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1993-10-15 第128回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成五年九月十七日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 菅  直人君    理事 小杉  隆君 理事 鈴木 宗男君    理事 福田 康夫君 理事 井上 一成君    理事柴野たいぞう君 理事 若松 謙維君    理事 牧野 聖修君       安倍 晋三君    石原慎太郎君       小渕 恵三君    加藤 紘一君       金子 一義君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    二階堂 進君       原田昇左右君    武藤 嘉文君       秋葉 忠利君    後藤  茂君       土肥 隆一君    濱田 健一君       石井  一君    工藤堅太郎君       赤羽 一嘉君    草川 昭三君       田中 秀征君    西村 眞悟君       古堅 実吉君    糸山英太郎君 ――――――――――――――――――――― 平成五年十月十五日(金曜日)     午前十一時一分開議 出席委員   委員長 菅  直人君    理事 小杉  隆君 理事 鈴木 宗男君    理事 原田昇左右君 理事 福田 康夫君   理事 井上 一成君 理事 柴野たいぞう君    理事 若松 謙維君 理事 牧野 聖修君       安倍 晋三君    加藤 紘一君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       二階堂 進君    秋葉 忠利君       石井  智君    後藤  茂君       濱田 健一君    工藤堅太郎君       赤羽 一嘉君    草川 昭三君       錦織  淳君    西村 眞悟君       古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         外務大臣官房審 小池 寛治君         議官         外務省総合外交 柳井 俊二君         政策局長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省条約局長 丹波  實君  委員外出席者         郵政省放送行政 清水 英雄君         局放送政策課長         外務委員会調査 黒河内久美君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   西村 眞悟君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     西村 眞悟君 同月七日  辞任         補欠選任   田中 秀征君     錦織  淳君 同月十五日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     石井  智君 同日  辞任         補欠選任   石井  智君     土肥 隆一君 同日  理事池田行彦君九月十六日委員辞任につき、そ  の補欠として原田昇左右君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月十二日  みなみまぐろ保存のための条約締結につい  て承認を求めるの件(条約第一号)  航空業務に関する日本国ネパール王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第二号)  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定  を改正する議定書締結について承認を求める  の件(条約第三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月八日  日朝国交正常化早期実現に関する陳情書  (  第一二号)  旧ソ連及びロシア放射性廃棄物海洋投棄に  関する陳情書  (第一三号)  日本国連安全保障理事会常任理事国入り反対  に関する陳情書  (第一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  みなみまぐろ保存のための条約締結につい  て承認を求めるの件(条約第一号)  航空業務に関する日本国ネパール王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第二号)  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定  を改正する議定書締結について承認を求める  の件(条約第三号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 菅直人

    菅委員長 これより会議を開きます。理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事池田行彦君が去る九月十六日委員辞任されましたのに伴いまして、現在理事が一名欠員になっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅直人

    菅委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事原田昇左右君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 菅直人

    菅委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅直人

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 菅直人

    菅委員長 次に、みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより各件について政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣羽田孜君。     —————————————  みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま議題となりましたみなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  我が国は、昭和五十七年以来、毎年オーストラリア及びニュージーランドとの間で、ミナミマグロ国間協議を開催し、毎漁期の三カ国によるミナミマグロの総漁獲可能量及びその各国別割り当て量につき協議することを通じてミナミマグロ保存及び管理を図ってきましたが、近年の漁業資源保存に対する国際的な関心の高まりを背景として、ミナミマグロ保存及び管理に係る枠組みを一層整備することが必要であると認識されるに至りました。このような状況のもとで、昭和六十三年四月以降三国間で協議を重ねてきました結果、ミナミマグロ保存及び管理に係る国際的な法的枠組みを設定することで意見が一致し、条約案文についても最終的合意を見るに至りましたので、平成五年五月十日にキャンベラにおいて、この条約署名を行った次第であります。  この条約は、ミナミマグロ保存及び最適利用を適当な管理を通じて確保することを目的としており、そのため、みなみまぐろ保存委員会を設置し、ミナミマグロ保存管理等に係る措置を決定することを定めております。また、締約国は、この条統目的達威を促進するため、他国のこの条約への加入を奨励することにつき協力するほか、この条約締約国でない国等ミナミマグロ漁獲活動がこの条約目的の達成に不利な影響を与える可能性がある場合には、そのような活動を抑止するための適切な手段をとることについても協力すること等を定めております。  この条約締結によりまして、ミナミマグロ保存及び最適利用関係国による国際的な管理体制のもとで一層効果的に確保されることが期待されるほか、漁業資源保存に対し国際的な関心が高まりつつある中で、この条約を通じてミナミマグロの科学的かつ合理的な資源管理を行っていることを示すことは、我が国漁業者によるミナミマグロ漁業安定的操業の維持を図る上でも重要なことと考えられます。  よって、ここに、この条約締結につき御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、ネパールとの間で航空協定締結するため、ネパール政府交渉を行いました結果、平成五年二月十七日にカトマンズにおいて、我が方伊藤駐ネパール特命全権大使先方ジョシ観光民間航空大臣との間でこの協定署名を行いました。  この協定は、我が国ネパールとの間の定期航空業務を開設することを目的としており、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国ネパールとの間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十九年四月に署名された中国との間の現行航空運送協定を改正する議定書締結するため、中国政府交渉を行いました結果、平成五年二月十七日に北京において、我が方図廣野中国特命全権大使先方銭其シン外交部長との間でこの議定書署名を行いました。  この議定書は、近年の両国間の航空運送需要増加等に対応することを目的として、定期航空業務運営のため、両国が指定できる航空企業の数を現行の二又は二」から「一又は二以上」に改めるものであります。  この議定書締結によって我が国中国のそれぞれ二社を超える数の航空企業による両国間の定期航空路線の開設が可能となり、両国間の人的交流及び経済的交流の促進に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上三件は、いずれも第百二十六回国会に提出されましたが、審議未了となったものでございます。何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。  以上であります。
  8. 菅直人

    菅委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 菅直人

    菅委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  10. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外務大臣日ロ首脳会談大変御苦労さまでした。モスクワでああいうような事件がありましたから、エリツィンさんの訪日がどうなるかということは大変気ももみましたし、やきもきもしたのではないか、こう思うのであります。  私は、今、国際社会冷戦から協調という新しい枠組みができた、そのことをたどって考えるときに、あのマルタにおける当時のブッシュ・ゴルバチョフ会談でありました。同時に、あのときの米ソの両首脳は三年間に六回も首脳会談をやっているのですね。あるときはレイキャビクで、あるときはモスクワで、あるときはワシントンでというふうにですね。やはりこの相互首脳会談信頼醸成につながって、今大きな新しい枠組みができた、それは冷戦から協調というものだ、こう私は考えているのです。  そういった意味で、相手の事情はどうであれ、エリツィンさんが日本に来て首脳会談をしたというところに大きな意味があると私は思っておるのですが、大臣として今回の日ロ首脳会談の具体的な成果というものを明確に国民にお伝えをいただきたい、こう思っています。
  11. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的に、今鈴木さんの方から御指摘のあった点について私も全く同感であります。  やはり隣国であるということ、しかもあの大きな国でありますから、あの国の方と本当に話し合えるということが大事なことでありまして、今御指摘がありましたように、この問のそういう事件といいますかあの事件で一体どうなることか、私自身も心配をいたしておりましたけれども、ああやって話し合うことができたことは大変よかったというふうに思っております。  そして、これの一番の成果といいますか、これは、ともかくお互い信頼関係に立ちながら、また個人的な信頼というものを醸成することができた。そういった中で、本当に両国がこれからどんなふうに話し合っていくのか、新しい歴史の一ページというものは開かれたということ、これがやはり何といっても一番大きな問題であろうと思っております。  しかし、もう御案内のとおり、日ロ間にはやはり多くの問題がありますね。やはり不可侵条約を侵しながら日本に入られたということ、そして、その結果、シベリア抑留というようなものに発展していったこと、それと同時に、我が北方の島を占有されたということ。このことについては、私どもとしてはやはり長いことこの問題についてかの国に対して物を申し上げてまいったわけでありますけれども、今度の会談の中にありまして、シベリア抑留については非常に細かい表現を使われながらそれぞれの場所でおわびをされるということ、これは、日本ロシアの間の精神的なわだかまりというもの、これをやはり開いたという意味で私は非常に大きなものであったろうというふうに思っております。  それともう一点は、領土問題という問題が両国間にやはり存在するんだということを非常に明確に言われたということ、それともう一つは、これについて我々としてもきちんとした対応をしていかなきゃならないということ、このことも明確にされたということ、これはいずれの日かやはりこれに対して結論を出していかなきゃいけないということを言われたということ、これは私は非常に成果の大きなものであったろうと思っております。  それともう一点は、何というのですか、この両国間の中にある合意した条約ですとか合意した文書、こういったものについては私どもはこれを認めますということを明言をされたということも成果のあったことであろうと思います。  そして、東京宣言また経済宣言ということで、私ども政経不可分というものから発展的に進めてまいりました拡大均衡、特にこの前のときに宮澤総理の方からも相当細かく御説明があったことがありましたけれども、そういったものは間違いなく前に向かって実現をする方向がはっきりとしてきたということ、これは私は非常に大きな成果であったろうというふうに思っております。
  12. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今大臣から、シベリア抑留者に対するおわびとか、領土問題の存在を明確にしたこと、さらには、各種経済宣言を含めての合意文書も調印できだということが言われました。私もその点は同感だ、こんなふうに思っておりますし、何よりも領土問題の存在をきちっと明確に打ち出しただけでも一歩前進でないか、こう思っております。  そこで大臣、今回のこの東京宣言で、領土問題では「択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な交渉を行った。」この中で特筆すべきことは、「法と正義の原則を基礎として」、これが文章としては初めて入ったんじゃないかと私は思うのですね。これはやはり明確になった、こう思っているのです。  そこで、一つお尋ねしたいのですけれども、今までこの領土問題等では国後択捉色丹歯舞、この言い方が逆になっているのですね。この点、何か意味があるのか。今までの言い方と島の位置がちょうど逆になっているのですね。何か意味があるならば教えていただきたい。
  13. 野村一成

    野村政府委員 先生指摘のとおり、今回、択捉国後色丹歯舞という言い方になっております。これは、私どもとしましては、北方四島はいずれにつきましても我が国固有領土であるという御案内のとおりの立場でございまして、それがきちんと名前が明記されておるということが一番のポイントであるというふうに認識いたしておりまして、その順番については、そのこと自体に特段の意味があるというふうには考えておりません。  なお、ちなみに去年九月に日本ロシアとの間で、両国外務省との間で作成いたしました「日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」というのがございます。その「序文」がございまして、先生案内のとおりだと思いますけれども、そこの中でこの順番と申しますかに沿った記述がございまして、「一八五五年二月七日付けの日魯通好条約により、この国境線が法的に画定され、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島日本領、ウルップ島以北の諸島はロシア領として平和裡に確定した。」そういう記述がございます。  したがいまして、全く今回が初めてというのではございませんけれども、重ねてで恐縮ですけれども、私どもは、順番ということよりはそれぞれの島、これは日本の、我が国固有領土であり、それがきちんと明記されているということがポイントであるというふうに理解いただきたいと思います。
  14. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 おととしの海部・ゴルバチョフ会談では、歯舞色丹国後択捉という順番であったものですから、今回この名前がちょうど逆になっているものですから、何か意味があるのか。同時に、考えるならば、例の五六年の宣言との絡みもあって例えば順番が変わったのかな、あるいは政策的な何か変更があったのかな、こう思ってお尋ねしたのですけれども、今の野村局長お話でよくわかりました、  そこで大臣、この東京宣言の二項に、「相互理解の増進へ向けた一連の措置を採ることに同意する。」日本国と四島住民との相互訪問の一層円滑化ということがうたわれております。  そこで、北方四島もビザなし渡航でことしも去年に比べて倍の人が行き来をしておりますから、それなりに日本の姿を見てもらってもいいことだし、また、旧島民がかつてのふるさとを、例えば自分の先祖のお墓があるところを見ることもこれまたいいことだ、こう思っているのですが、その中で、今まで四島に対する支援人道支援食料だとか油だとか、そういった生活関連のものだけでありました。やはりここまで来た以上、しかも、明確に東京宣言相互理解を得るということをうたっているならば、もう少し輸送手段だとかインフラの整備まで含めた、プレハブをつくってあげるだとか、何か新しい協力というものを考えていいんでないか、またそういう時期に来ている、こう私は思うのです。  特に、外務省政経不可分から拡大均衡という枠組みの中で進んでいくということもまた明確に言っているわけですから、しからばインフラの面でも少し踏み込んで日本のなすべきことがあるんでないか、こう私は思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  15. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がございましたように、まさに今日までされてきたことは、人道支援ということで食料、医薬あるいは発電用ディーゼル燃料、こういうもので進めてきたようでありますね。しかし、今お話があったように、確かにそういう中にあってお互い交流する、そしてニーズというものはやはり変わってきているということはおっしゃるとおりだろうと思います。そこで、この間からもいろいろと話しておりましたけれどもプレハブ倉庫ですとか輸送その他の車両ですね、こういった関係のもの、こんなものを供与することをやはり我々としても考えなきゃならぬ。  いずれにしましても、今お話がありましたように、その地域の住民皆さん方ニーズ、こういったものにこたえていく、しかもそれはやはり人道的なものというものを基本にしながら考える必要があろうと思っておりますけれども、今御指摘のあったことをよく私ども拳々服膺したいと思います。
  16. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今大臣から倉庫だとか輸送手段は考えていきたいという話がありましたが、具体的にいつからどう実行するか、あるいは今現在どうなっているか、それをお知らせいただきたい、こう思います。
  17. 野村一成

    野村政府委員 先生案内のとおり、これは人道支援といたしまして支援委員会という中で検討いたしておるわけでございまして、今までは、ことしの四月から例えば種芋を五十トンとか、砂糖、バターとか、そういう食料品として三千万円相当を送るとか、それから六月には発電用ディーゼル燃料を二千トン送ってございます。どうしても、人道支援ということになりますと、基本的にはそういうバターとかコンデンスミルクとかというのが中心になってはおりますけれども、やはり先ほど大臣指摘ございましたように、このせっかくの交流の円滑な実施ということ、あるいは人道支援の円滑な実施のためにも、プレハブとか車両なんかが必要になってまいります。これは、現在、支援委員会の中で検討を進めておるところでございますので、できるだけ早く、どう対応するかということを結論を出したい、そういうふうに思っております。
  18. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 野村局長さん、例えば、ビザなし渡航で行っても泊まるところもないというのが実態です。また、輸送手段もないというのが実態ですね。私は、これは早くやった方がいい、こう思うのですね。  そういった意味では、例えば今年度中にそういったものはつくれるのか、あるいは送ることができるのか、さらに来年度の予算で具体的に何か外務省は要求しているのかどうか、この点、お知らせをいただきたいと思いますが。
  19. 野村一成

    野村政府委員 ただいま先生の御指摘の点を踏まえて検討させていただきます。何分予算の枠の中で検討する点もございますので、御指摘の点、承りました。
  20. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 プレハブなりその輸送手段なり講ずるということでありますから、それはそれで受けとめておきますけれども予算の獲得には私ども協力しますから、きちっと対応してもらいたい、こう思っております。  あと、東京宣言の第三項で、これは外務大臣にお聞きするのですけれども日本国総理大臣及びロシア連邦大統領は、最高首脳レベル外務大臣レベル及び外務次官クラスレベルでの定期的な相互訪問をするということが明確にうたわれております。そこで、外務大臣として、いつごろ訪日し、さらには、事務次官レベル会議はいつごろやるように今の段階で考えておられるのか、それをお尋ねしたいと思います。
  21. 羽田孜

    羽田国務大臣 冒頭にお話がありましたように、やはり隣国でありますから、できるだけ頻繁に率直な話し合いをすることが大事だろうというふうに考えております。総理にも御招待があったということでありまして、この点は国会との関係を見きわめながら外交ルートで話を進めていきたいと思いますし、私自身国会のあれがありますので・・・・。ただ、できるだけ早くやはりお互いに話し合うことがいいのかなという思いを持っております。  いずれにしましても、年に二回ぐらいのお互いが行ったり来たりするようなことをすべきだろうというような話もあったことでありますので、このあたり踏まえながら私もできるだけ早く出かけていくというふうに考えております。まだちょっと日にち等については詰めでないことを申し上げたいと思います。
  22. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 いずれにせよ、外交チャンネルを通じてそれは詰めていくことだと思うのですけれども大臣国会も十二月の十五日までが会期であります。さらに、年末は予算編成もあります、さすれば、一月には通常国会も開かれる、おのずから大体ここら辺だというのは詰まってくると思うのですね。同時に、大臣の日程なんかでも、一月の例えばロンドン訪問だとか中東訪問という日程も今取りざたされておりますから、しからば、私は一月なんかは一つの可能性の時期じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  23. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに先方の正月休みというのは日本よりもっと短いようでありまして、その辺は一つの考え方の目安になるものであろうと思っています。  いずれにしても、あそこまで大きなエリツィンさんとの話し合いをしたわけでありますから、そういったものを間違いなくフォローしていくということが非常に大事だろうというふうに思っておりますので、ただ今度よかったねというだけで済ますことはいかぬというふうに思っておりますので、よく今お話があったことを念頭に置きながら我々もスケジュールを組みたいと思っております。
  24. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 間断ない首脳会談あるいは各種レベルでの会談というのは必ず実を結ぶものだ、こう思っておりますので、今大臣の言われた、やはりその一月を頭に入れてということを私も受けとめながら、なるべく早いうちに訪日して、これは領土問題の解決を図ってもらいたい、こう思っています。  同時に、私は今沖縄返還のときを思い出すのですけれども、あの沖縄返還でも、あれは一九六二年ですか六一年ですか、三月十九日、ケネディ大統領が声明を発しましたね。例えば、琉球は日本の一部である、そして、福祉だとか民生安定のためにアメリカは経済援助を大幅にするということを言ってくれました。それからつながって、あれは一九六七年ですか、佐藤・ジョンソン会談だとか、あるいは二年後の佐藤・ニクソン会談ですか、こういったものにつながっていくわけですね。やはり考えてみたら、領土返還までに土俵についてからもう十年ぐらいの期間を経て、これは一つの歴史的な問題が解決されているのです。  私は、この北方領土も、今回も新たな一歩だとするならば、まさに日本政府として五年や十年のスパンでの領土返還に対する戦略だとかタイムスケジュールがあってしかるべきでないかと思うのですね。  そういった意味で、今回の首脳会談を機に、外務省として日本政府としてどのようなスケジュールあるいは交渉を進めていくのか、今の段階での大臣の心構えをお聞きしたい、私はこう思います。
  25. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘のとおりでありまして、一つのきっかけはできた、前進へ向かっての基礎はできたというふうに私どもは心得ております。  ただ、今、これからのタイムスケジュールということになりますと、これから私どもも少し詰めなければいけないと思っております。ただ、準備というものが、相当長い助走の期間があったわけでありますから、私どもとしては話す基盤、割合と早く進む基盤というのはできたのかな。ただ問題は、やはりまだ本当に国内というのは完全に安定していらっしゃるということじゃありません。そのあたりも私どもよくにらみながら、今言われたことを念頭に置いて、そして、できるだけやはり往復すること、そういう中で着実な進展というものを図りたいなと思っております。  今、スケジュールについては、まだちょっと申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  26. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 やはりすべて交渉にはタイミングというものがありますから、やはりこの機を逃さず積極的に、私は、民族の悲願の問題であります領土問題、これにぜひとも取り組んでいただきたい、こう思っております。  あと大臣、今回の首脳会談はおおむねそれなりに評価されておりますし、あるいは国民も、エリツィンさんの率直な抑留者に対するおわび等で受ける印象も違ってきたと思うのですね。  ただ私は、最後の首脳の共同記者会見の中でエリツィン大統領が冒頭にこう言っているのですね。「残念ながら国家は時として力を行使しなければならないことがあります。私は思い起したくはありませんが、日本の国民にもそういう歴史があったのではないかと思います。」こういう表現があるのですね。私は、これはそばに聞いておった細川さんが黙っておること自体、総理としておかしいのではないかと思っておるのです。日本歴史上、いわゆる国民にもそういう歴史があったのではないかと、何を指しているのか。逆にあのときは多くの内外の記者がいるわけですから、きちっと打ち返しをすべきだと私は思っているのですね、何かということを。  これは私は大臣にもお尋ねしたいのですけれどもエリツィンは何を想定してこういうことを言ったのか、私はこれは黙って見逃す話ではない、こう思っているのですね。この点、大臣どうでしょうか。
  27. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに今御指摘のありました、会見の席でというお話があったのですけれども、ほかの席でもいろいろなこの問題についてのお話があったことがありました。  確かに、民主主義という国、民主主義へ進んでいくその過程の中にあって、例えば民主主義を進めることに対する反対する人たち、こういった人たちが暴力とかあるいは武力とか、こういったものを用いようとしたときに、やはり国として断固とした措置をしないと民主主義はそこで破壊されてしまうというようなことを言われて、いろいろな国の例なんかを挙げながら話されておったので、私もちょっとうっかりそめ会見のときのあれを聞き逃してしまったということがありますけれども、そのとき何か話されたのが、一九六〇年の日米安保のときの我が国の国内の状況というもの、そのときに言われたのは何かそれを想定して話されたのかなということがあったようであります。  ただ、当時の状況というのは、確かに全体主義の状況であるということで、こういう自由主義の国のことを報道するときに、いろいろな誤った、あるいは特定な見方で報道されていたことがあると思うのですね。そのあたりで大統領自身が、あるいはそういう報道に基づいて誤解をされながらああいう発言があったとする、だとすれば、私どもとして、すぐそこでやはり説明しなければならぬかったという今の御指摘は、私ども承らなきゃいかぬと思います。ですから、この一九六〇年のときはこういう状況だったんだよということを、ロシアの今日、この間の状況とは全然違うんだということを、これは、これからきちんと私ども説明していかなければならぬということを今申し上げさせていただきます。
  28. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今の大臣の、きちっと説明するということで私も了解しますけれども、やはり間違った歴史観を持たれてはこれまた問題解決の一つの障害になると私は思うのですね。  同時に、エリツィンさんが昨年秋に日本に来る来ないというときも、私もエリツィンさんの関係者なんかの話を聞きますと、間違った情報が入って、その間違った情報を受けて日本に来なかったという一つの要因もあるのです。  ですから、今回この共同記者会見も、私はエリツィンさんが十分物を知って言っているのではなくて、何がしかの、だれかの話が頭にあって言ったのではないかと思うのですが、しかし、「日本の国民にもそういう歴史があったのではないかと思います。」というのは、これは日本国歴史を間違ってとらえておりますから、今の大臣の言うとおりきちっと説明をしていただきたい。  同時に、あの六〇年安保のときは日本は国家権力は使っておりません。軍隊の動員はしておりませんし、騒然となったと言いながらも、あるいは樺美智子さんが亡くなったと言いながらも、それは仲間の中での事故でありまして、例えば特別軍隊がどうこうしたというのとはわけが違うわけでありますから、この点明確に、私は、事務レベルで結構でありますから、向こうに日本歴史の事実というものを伝えていただきたい。この点、大臣よろしいでしょうか。
  29. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘の点、よく踏まえながら私ども対応していきたいと思います。
  30. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 あとちょっと地域的な問題で恐縮なんですけれども大臣政経不可分から拡大均衡となって、さっき言ったように今まで人道援助で食料だとか油だとか生活物資を送ってきたけれども、これからは輸送手段もあるいはプレハブインフラの面も少しは協力しましょうというふうになってきました。  そこで、羅臼を初め旧島民の人たちは、四島周辺で魚をとりたい、同時にそれが我々の生活を守るすべなんだという思いを今持っているんです。水産庁に聞きますと、主権の問題があるからと言って、外務省がだめだと言っているから水産庁は手も足も出ない。ですから、外務省がそれなりの対応をしてくれれば水産庁は考えますよという話もあるのです。  私は、もうこの時期に来まして、領土問題を明確に向こうも認めてきた、同時に、解決しましょうというスタートラインにも立った。しからば、私は、四島周辺での魚をとらせてくれというあの地域の人の声というのはこの辺で聞いてやってもいいんではないか、こう思うのですね。この点、大臣どうでしょうか。
  31. 野村一成

    野村政府委員 今先生指摘北方四島、特に周辺の十二海里と申しますか領海の中の操業につきましては、これは御案内のとおり、領土問題が未解決ということでロシアが不法な施政を行っているという現状でありますので、我が国の基本的な立場というのをきちんと踏まえなければならないということでございます。  したがいまして、今現在、民間の契約ではございますけれども、御案内のとおり、昆布等につきましてはその契約に基づいて操業が行われておりますけれども、これはまさに零細漁民に対する考慮を基本といたします。その例外的なものというふうにお受けとめいただきたいと思うのです。やはり一般的に漁業、操業そのものを、全体を、不法占拠の対象になっております。その四島の周辺水域の中で、まさに領海の中で行うというのは、我が国の基本的立場にのっとりまして難しいことであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  32. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 野村局長さん、これももうそろそろ私は現実的な対応をした方がいいと思っているのですね。貝殻島昆布の例を今局長言われましたけれども、現実やっているわけですから。しからば魚をとることが何で悪いんだということにもなってくるんです、短絡的に言えば。  ですから、私はこの点、いわゆる生活を守るためにこの経済活動をぜひともやらせてくれというのは検討に値すると思うのですけれども、局長、従来の方針も私わかりますよ、わかりますけれども、やはりロシアも変わってきているんですから日本もここら辺で変わっていく、そのための交渉というのを私はやっていいんではないかと思うのですけれども、とうでしょう。
  33. 野村一成

    野村政府委員 お答えします。  私も今先生指摘の特にその漁民の皆様方に対する考慮というのが理解できないわけではございません。それはよく理解申し上げた上でなおかつ、せっかく新生ロシアとの間で、先ほど大臣から御指摘ございました新たな法的基盤にのっとりましてこの領土交渉を行っていこうということでございます。その中には法と正義もございます。それから一両国間で今まで結ばれました文書、それを基礎にするということもございます。そういう交渉に臨むに当たりまして、やはり基本的立場というのは、これはきちんと踏まえて守っていかないといけないという点があわせてございます。これはぜひ御理解いただく必要があろうかと存じます。
  34. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この問題も、野村局長の立場もわかりますし、日本政府の立場もわかりますからこれ以上は追及しませんけれども、しかし、外交は動いているわけですから、その点、現実的な対応ということも頭に入れてこれから対応していっていただきたいな、私はこう思っています。  あと大臣、最後に、きのうなりきょうなりおとついの新聞で、例えば「日米、コメ開放案詰め」だとか、「コメ除く約二十品目 関税化受け入れへ」だとかという大々的な報道がなされております。これは、ことしは農家の皆さん方は冷害で大変深刻に受けとめております。来年の営農をどうしようかと思って日本じゅうの農家が心配しているときなんですね。そのときに、自由化の問題だ、関税化云々だと言ったら、なおなお農家の皆さん方の精神的な負担というのは大変重いのですね。  この点、新聞報道が正しいのか、あるいは今交渉としてどうなっているのか、明確にやはり外交の責任者である外務省がきちっと国民に知らせる義務があると私は思うのですね。  私は、この新聞報道は新聞報道として目は通しますけれども、実際ここまでには至ってないと考えておりますけれども、事実関係大臣、ここ明確にしていただきたい、こう私は思います。
  35. 羽田孜

    羽田国務大臣 実はこの問題につきまして、けさ閣議におきまして畑農林水産大臣、こちらからお話がございました。十二月十五日というのは、まさに七月のサミットにおきまして、これをそこまでに一つの方向をつけましょうという実はあれを出されておるということで、これからいろいろと話し合っていくわけでありますけれども、きょう農林水産大臣からお話があったのは、やはり自分としてもこれから、かつての国会の決議がありましたね、こういったものを踏まえながら、ともかく日本の事情というものをきちんと説明しながら、我々として本格的な交渉をしようとしているところであって、既に合意したとか決まったなんということはありません。いろいろな報道がこういうときになりますと出ますけれども、ひとつそれは私どもがこれから本格的な交渉を始めるんだということで御理解をいただきたいということを言われておったことを、あわせてきょう御報告しておきます。
  36. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、簡単に言いますと、従来の日本の方針に変わりはないということをきょうの閣議でもきちっと話をしたということですね、わかりやすく言いますと。
  37. 羽田孜

    羽田国務大臣 全くそのとおりで、そういったものを基本にしながらこれから本格的な交渉を自分自身もやっていきたいんだという話をされておったということです。
  38. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 時間ですからこれで終わりますけれども外務大臣、私は、今外務省を見ておりますと、例えば、この日ロ首脳会談、さらには、その前にはアフリカ開発会議もありました。また、カンボジアの支援会議だとか、また、つい最近ではアンコールワット遺跡保存会議だとか、いろいろな会議が行われております。いつも思うのですけれども外務省の若い人たちは本当に一生懸命やっております。一生懸命やっておって国民からは余り評価されない、あるいは政治家からもよく思われないのは非常に不幸なことなんでありますけれども、そのときに当たって大事なのは、やはり指揮官たる大臣の思いやりといいますか、大臣の姿勢が非常に省内に元気を取り戻させたり活力を与えると私は思うのですね。人間味豊かな外務大臣ですから、その点は怠りないとは思いますけれども、ぜひとも若い外交官たちがより誇りを持って日本の外交の推進に当たっていただけますように、私は羽田大臣の外交は間違いないと信じておりますから、この点の対応というものもしっかりお願いしたい、こう思って、私の質問を終わります。
  39. 菅直人

  40. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 鈴木委員の質問に関連して、私は、大臣日ロ関係の問題について若干の質問をしたいと思います。  それに先立ちまして、今ちょうどお答えになりましたが、毎日新聞のきのうの夕刊を持ってきましたが、「コメ市場開放で日米合意 関税化を六年間猶予」、これが明らかになったということで出ておりますし、朝日あるいは日経等にも関税化受け入れということがはっきり出ておるわけですね。これだけ各紙に出て、しかも韓国の新聞にも出ておるということを聞いたのですけれども大臣、全然こんなことがないのだということではないと思うのですね。これはどういうことですか。もう少しはっきりひとつ、この点については全国の農民あるいは国民がもう非常に関心のあることであります。これだけマスコミに報道されておって、政府は全然知りません、存じませんということではないと思うのですが、いかがですか。
  41. 羽田孜

    羽田国務大臣 報道については、いろいろな報道というのがあります。私ども、かつて肉の交渉、オレンジの交渉、こういったものをいたしましても、まだ数字についてこれから話し合うというものがいかにもこのとおり結論になりますということが報道されて、交渉に行ったときに、日本の新聞にはこう書いてあるんですからこうでいいのですねなんて言われて、大変困ったことも実は何回も経験いたしております。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、きょうは農林水産大臣も、これから自分としても、例えばアメリカ——アメリカと言ったかちょっとあれでございますけれども、今度サザーランド事務局長もやってきます、こういった人と話し合い、そしてそういったものを踏まえながら、必要な、皆さん方と私も率直に話しながら、日本の立場というものを訴えていきたいということを申しておりました。ですから、こういった報道というものにまやかされることなく、ともかく自分たちがこれから真剣に交渉することを承知してほしいという実は話があったところでありまして、私どもは当然外交当局としてもこれを話し合うわけでありますけれども、やはり農業というのは一人一人の農民にも結びついている問題であります。ですから、農林水産省、この皆さん方と一緒に私どもも呼吸を合わせながら交渉をしてまいりたい、かように思っております。
  42. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いや、交渉してまいりたいというのはよくわかるのですけれども、この新聞内容というのは外務大臣は全然知らないということなのですか。そのことを伺っているのですよ。
  43. 羽田孜

    羽田国務大臣 私は、承知いたしておりません。
  44. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 この問題は、もう羽田農林大臣のときから非常に御存じの問題でございますので、これ以上申し上げませんが、ぜひひとつみんなの気持ちをよく御理解をいただいてやっていただきたいと思います。  さて、ロシアエリツィン大統領の来日でございますが、いずれにいたしましても、首脳間で話し合いができた、そしてこれからのスタートを切れるということは、大変私は意義が深かったと思うのです。その点は外務大臣の御苦労を大変評価をいたしたいと思います。  しかしながら、この内容を拝見しますと、新聞でもかなりいろいろな論評がございますが、特に私たちはロシアに対して、日本の国民というのは一般的に言って旧ソ連時代の非常に悪い印象を持っておるわけですね。個々のロシア人あるいはロシアの文化とかあるいは文学とか、こういったものについては非常に評価をし、いい人たちだなという感じはあるのですけれどもロシア全体については、不可侵条約を一方的に破棄して入ってきて、そして、大勢の人を抑留者として酷使したということとか、満州におけるあの入ってきたときの悲参なソ連兵の行動とか、こういうことは許しがたいという気持ちがいっぱいあると思うのです。私自身もそれ以来、また、ずっとロシアの核兵器は非常に怖い、やはり北に向けて枕を高くしては寝れないということが私たちの率直な気持ちだったと思うのです。  それをここへ来てエリツィン大統領がとにかく率直な謝罪をした。ソ連の抑留については謝罪をしたというところは非常に評価できるのですけれども、これからやはり日ロ間で本当に人の面あるいは文化の面、あるいはあらゆる面で交流をし信頼関係を醸成していかなければいかぬのではないかと思うのですが、その点今度の訪日をどういうように評価しておられるか、お伺いしたいと思います。
  45. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに歴史を振り返ってみますと、やはり一つの時期というもの、これは非常に冷たいときであったろう。しかし、今お話がありましたように、音楽の面では非常にポピュラーになっておるということ、あるいは小説あるいは思想、そういったものについても私ども多くのものを実は学んだりなんかしたもので、その面では割合と親しみがあったわけです。ところが、全体主義といいますかソビエトの時代、特にスターリン時代ですね、このときにいろいろな問題を起こしてしまったということであろうと思っております。  しかし、私は今度の会談にずっと御一緒しておりまして思ったことは、そういった問題に対して非常に率直にやはり認められておったということです。そして、そのソビエト時代というのは我々日本に対してもとんでもないことをしてかしたわけですけれども、しかし、ロシアの中にあってもやはり大変なことをしているのですね。人をこうやって動かしたり、共和国の中の人をこうやって動かしてしまうなんということをしてみたり、大変なことをした。あるいはそこで死んでいった人もあった。しかし、そのことも実は率直に話されていました。しかし、それがあったから日本に対しての言いわけにはなるものではないのだということを私はよく承知しておるということを言われまして、私はまさに人間として、そして精神的なものからいってもこのことは率直におわびしなければいけないというふうに思うと。しかも、ロシア国民を代表して、政府を代表して、大統領として皆様におわびを申し上げたいという言葉を尽くされておったということでありまして、私は、やはりそういうところからこれからの新しいものがスタートする、これがやはり一番大きな収穫であったのではないのかなというふうに思っております。  ですから、私どもはこれからお互いが率直に話し合うことのできる基盤というものができたということ、それから、これからの外交政策というものの、これはただ日ロというだけではありませんけれども、これからの外交政策というものをやはり法と正義に基づいて進めていこうということを言われておりまして、私どもはこの言葉というものは大変重いものであろうというふうに思っております。  そういったことを基盤にして、私ども申し上げることは率直に申し上げていく、我々が協力すべきことは協力していくということで、これから隣国ロシアというものとのつき合いというものをさらに深める必要があろうというふうに考えております。
  46. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 確かに、エリツィン大統領と私は、実は四年前でしたか五年前、まだ大統領でないとき、日本に見えたとき、ちょうど私建設大臣で、お相手をしましてテニスの試合もやったのですが、大変率直な方で、裸で話をすると非常におもしろい、魅力のある人柄であります。しかし、試合を通じて、この人なかなか厳しいな、相当強引だなという感じも率直に受けました。しかし、そういう点でこれからぜひ、率直にお互いに言うべきことは言い、協力し合うことはし合う、お互い隣国なんですから、大臣のおっしゃるとおり、そういう精神でぜひこれから日ソ間の関係を展開していただきたいと思うわけであります。  そこで、まずソ連の抑留問題ですが、抑留者の方々で組織している組織がありまして、我々の友人の相沢英之氏が抑留者の代表としてこういうことを言っておられたわけです。謝罪をしていただいたというのは大変評価をいたしますが、謝罪をしていただいたからには、とにかく悪いということを認めたのだから、あの強制労働をやらされた期間の賃金というか補償を当然すべきではないか、外務省は日ソ共同宣言相互にこういう個人補償についてはもう請求権を放棄したということになっておるけれども、日ソ共同宣言では北方領土の問題だって二島しか返還と書いてないのだし、どうせ平和条約なら平和条約をやるということであれば、はっきりこれは四島に改めてやるのであろうし、平和条約をやる場合にはその点をぜひ見直してはっきり書いてもらいたい、こういうことを主張しておられるわけですが、これに対して日本政府はどういうふうに考えておられるか、率直にお伺いしたい。
  47. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話のありました、特に抑留された皆様方、大変、本当につらい、苦しい思いをされたことであろうと思っております。そして、エリツィンさんのお言葉をかりて申し上げると、この非人間的な行為に対して謝罪の意を表明するということを言われました。  そして、この補償についての実はお話でありますけれども、今原田さんの方からお話がありましたように、日ソ共同宣言の第六条第二文で、両国は「戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。」と規定されておりまして、日ロ間におきましては本件は決着済みであるという、国と国との関係では決着済みであるということを申し上げざるを得ないということであります。
  48. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 大臣、今私の申し上げたのは、そういう見解はあるけれども、どうせ二島で決着済みとは思えないでしょう、我々はそういう主張をしていないのだから。その共同宣言をさらに発展させて平和条約にやるには四島に直さなければならないのだから、それは当然、今の抑留者の強制労働に対する補償だって何も放棄したことにならないんじゃないか、これはまた交渉し直したらいいじゃないか、こういう意見なんですよ。
  49. 羽田孜

    羽田国務大臣 四島の問題については、実はこの間もはっきりと申し上げておることでございます。しかも、今日まで戦後ずっと政府としてあの国と交渉する際に、四島の問題については常々ずっと申し上げてきたことでありまして、それとこの補償の問題と一緒にこれからまたこれをし直すということはちょっと認められないのではないか、また、私どもがそれをまた主張するということはちょっとこれは無理であろうというふうに私は思います。
  50. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ですから、ソ連側はもうやらない、では、日本政府ももう要求しないということなら、日本政府は補償の義務を生ずると思うのですね。これは政府が補償しなければならないということになってくるのではないか、その点はいかがでしょうか。
  51. 野村一成

    野村政府委員 この共同宣言第六項に基づきまして、請求権の相互放棄ということがなされたわけでございますが、こういった戦争請求権を政府が放棄したことにつきましては、このことについて国に法的な補償の責任はないというのが従来からの政府の見解でございまして、この点は最高裁判所の判例も同様の見解を示していると承知しております。その上で、日本政府の政策としてどうすべきかということにつきましては、これは私ども外務省としてお答えする立場にない問題であろうというふうに思っております。
  52. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 この問題については、外務省相手にいろいろあれしてもちょっと相手として欠けるところがあるのではないかと思いますし、また、この抑留者の関係の議員連盟もあることでございますので、その方々と十分相談しながら、これからさらにこの問題については検討していくことを留保したいと思っております。  さて、次に、領土問題についてですが、率直に言って、領土問題の進展は今度の文章から見ても極めて困難であるということだと思います。それはそうとして、日本ロシアの改革の支持とか支援に踏み込んだことを表明する文面となって、そして、政経不可分の原則というのはこの際切り捨てられたのではないかと私は思うのですね。そして、これにかわって、両国関係全般を均衡をとって拡大するという考え方、つまり拡大均衡路線というものがここで打ち出された、こういうふうに考えられるのですけれども、そういうことでございますか。
  53. 羽田孜

    羽田国務大臣 そのとおりであります。  かつては政経不可分という言い方をしてまいったわけでありますけれども、しかし、このところこういう領土問題等についても話し合おうということでありますから、政治面と経済面、これがお互いによく影響させ合いながら発展をさせていくということが大事であろう、そういう意味拡大均衡、こういう言葉を使うようになり、そして、そのようにこれからも進めていきたいと思っております。
  54. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 領土問題については大変困難な状況にあるのは、この文章を見ましても、先ほど大臣は法と正義の原則を基礎として解決するということを言われましたが、大体これはロシアが旧ソ連の継承国として国際的な承認を求めたときもその文章を使われて、文句は使われておるわけで、余り目新しいものではないのですな。最近、ロシアはどこへ行ってもそういう表現をするわけでありまして、特にこれで何かから取ったと考えるのは少し早計ではないかな。  それから、一九五六年の共同宣言が含まれるかどうかということについても、確認を記者会見でした。文書には書けないということなんかは、前に田中総理が七三年に訪ソしたときに、未解決の諸問題が文書に明記されたわけでございますが、そのとき領土問題が含まれるということを口頭で確認したというケースもあります。それとちょっと似たような話でありまして、私は、これに余りウエートを置いて過大評価してはならない、こういうように冷静に受けとめるべきではないかなと思います。  ただ、今度の中で、今まで日本外交が積み上げてきた共同資料というのですか、歴史的な資料集ですね、あれがこの中に織り込まれておるということは、私は高く評価したいと思うのですね。その点は率直に非常にいいなと思いますが、そういうことを考えて、これからの交渉にぜひ頑張っていただかなきゃならぬかな、こういうように思います。  そこで、実際にこれからのことを考えますと、開発プロジェクトというか共同開発プロジェクトというようなものを少しこの四島を含めて推進していくことは非常に大事じゃないかと思うのですが、特に四島の人たちと日本との交流、人的な交流あるいは生活の交流というものを積極的にやるということが大事だと思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 羽田孜

    羽田国務大臣 今もお話がありましたように、北方四島の住民との交流につきましては、これは、政府としては、やはり政府間で策定されましたこの交流枠組みのもとで領土問題に関する我が国の立場を損なわない形でこれを積極的に推進していくということは大事であろう、やはりお互いがよく理解し合うということが大事であろうということを私は今強く思っております。
  56. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ただいま四島と日本との間に定期航路、船による定期航路というのはないのですね。それから、飛行機による連絡もないということでありまして、それから、もう一つ通信の面でも、通信の連絡はどこ経由になるのか知りませんが、モスクワ経由でないと電話がつながらないのかどうか、その辺は実態はどうなっているのですか。人的交流をやるにはどうしたって、これはまず交通手段がなくちゃ人的交流はできませんよ。確かにノービザで往来できますと言ったって、じゃ、どうやって行くのか。大変な苦労をしなきゃ行けないというのじゃ、これはだめですよ。直通の航空連絡をやったらどうかと思うのですよ。ひとつその点にお答えをいただきたい、どんなぐあいになっているのか。
  57. 野村一成

    野村政府委員 お答えいたします。  通信の状態については、基本的にどうなっているのかというのは、私は直接確認はいたしておりませんが、私の承知している限りにおきましては、やはり衛星を通じまして、それぞれの島と申しますか、色丹島とか国後島、択捉島、ロシアの衛星を使っての通信ということになっていると理解しております。  それから、先ほど四島との間での航路の開設とかいうことにつきましては、基本的には、先ほど鈴木先生からも御指摘がございました漁業についても同じでございます、やはり不法に占拠されているということに伴いまして、当然、先方、ロシア側の法のもとに、管轄権のもとに服するということは我々できないわけでございまして、そういう基本的な立場にかんがみますと、やはり難しいという点ほどうしても指摘せざるを得ないわけでございます。  他方、四島の今行われております交流につきましては、先生、去年から始めまして、ことしまでの間に既に延べ千名の交流が両方の間で行われております。これは主としてチャーター船を利用いたしまして行っておるわけでございますが、何分、鈴木先生から先ほど御指摘がございましたように、それぞれ困難な面がございます。そういったインフラと申しますか、そういう点については、今後、基本的な立場を踏まえながら、改善すべきものは行っていくということを考えてまいりたいと思っております。
  58. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今、管轄権で困難だということなんですが、これこそ今度日ソ共同宣言の趣旨にのっとって先方と話し合って協力していく話じゃないかと思うのですね。  あそこには、国後ですか、軍用飛行場があるのでしょう。軍隊は徐々に退かせますとエリツィン大統領はこの間言ったんだ。だから、その飛行場がいつも軍用飛行場で民間機は絶対来れないという状況じゃないと思うのですね。定期航空路を開設して、少しは赤字でも日本が補助してやるくらいのことは考えたらどうですか、外務省。来年そういう面の調査費をぜひ要求して一具体的に連絡をとれるようなことをこれから考えていったらどうかと思うのですね。いかがでしょうか。
  59. 野村一成

    野村政府委員 定期航空路の開設にいたしましても、基本的には先方の法律のもとでの運用ということになるわけでございまして、領土問題が解決していない現在の実態におきましては、そういったことを行うのは極めて困難であるというふうに考えております。
  60. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ちょっと今の答弁納得できません。向こうの管轄に今一時的にあることは仕方がないわけだから、そこと連絡するにはやはり向こうと連絡して安全を期した運航をしなきゃならないのは当然じゃないですか。それは、向こうの、我が国領土ロシアがやっているのは違法だから、こんなものと交渉できないなどという話じゃだめですよ。それは、問題はちゃんと分けて話をしなければ、向こうどの航空連絡だって船の連絡だってできませんよ。その点は大臣どうですか。今の局長の答弁はおかしいじゃないですか。
  61. 羽田孜

    羽田国務大臣 今のお話は、定期航路ということになるわけでありますから、そうしますと、今実際に、不法占拠といいましても占拠されているわけですね。ですから、その不法占拠している政府とこの問題について協定を結ぶとかということ、この問題についてそれをすると、向こうのあれを認めてしまうということになりますからね。ですから、私は、この定期航路ということになると、北方領土との間にこれを結ぶということは非常にやはり困難なことであろう。先ほど鈴木さんの、北方四島十二海里ですか、この中の問題について政府政府交渉してというのはやはり無理だということは、結局先方のものを認めてしまう、国と国が交渉するということになるとやはりそうなるのじゃないでしょうか。
  62. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、そんなことを言っていたらいつまでたっても生活交流人的交流というのは本当に効果が上がらないと思うのですよ。それは、不法占領という事実は事実なんだから、これは不法としながらも、暫定的にその不法占領している当局者と交渉して交通連絡をつくる、道を開くことは頭をひねればできるはずですよ。そんなことができなくてどうするのですか。
  63. 羽田孜

    羽田国務大臣 原田さんのおっしゃる気持ちというのは私よくわかるのですよ。ですから、いずれにしましても、やはり人的交流というのは非常に大事であるし、そこに行く手段というものはやはり必要であるということはありますわね。そういう意味で、私ども交渉する立場というものを害さない範囲にあって、今いろいろな知恵を出せというようなお話もありましたけれども、そういう中で、航空路がどうということじゃなくて、ともかくできるだけそういう交流が盛んになって、しかも、そこで本当の実を上げられるような工夫というものは私どもも十分していきたいなというふうに思っております。
  64. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 ぜひこれは外務省の英知を結集して考えていただきたいし、具体的にやはり私は日本のよさに触れるということは大事だと思うのですね。  もう一つ言うと、テレビだってそうですよ。一体、カラーテレビは受信しているのですかね。恐らく、日本のテレビの電波は到達範囲内にあると思うのですよ。もし日本のテレビを見せるなら、ロシア交渉して、日本ではちょっと新型が出ると古テレビはとにかく廃棄物にしてしまうのを、我々が古テレビをみんな寄贈したっていいんだよ。そして、その人たちにカラーテレビを一台ずつ上げる。そのくらいの運動を起こしたっていいんですよ。そういうことで日本のテレビを見てもらう。あるいは日本のテレビをロシア語に吹きかえて出すぐらいはやったっていいじゃないですか。そのくらいの予算外務省で出したっていいんです。そういうことで日本の文化なり日本の生活に触れるということが大事だと思うのですよ。ぜひ考えてもらいたいと思う。テレビについてはどうですか。
  65. 清水英雄

    ○清水説明員 現状についてお答え申し上げます。  ソビエトで大体九千万台ぐらいの受像機がございまして、三分の一ぐらいがカラーテレビでございます。ただ、北方四島で現在受像機がどれだけあるかについては、詳細は把握しておりませんが、現実的には日本の放送については、北方四島のうち近くの島につきましては、実質上衛星からのもの、それから、海岸部におきましては地上の日本の電波が受信可能になっております。  ただ、ソビエトの受像機は、日本の受像機と方式がちょっと異なっておりますので、ソビエトの受像機で直接日本のものを受けたりしますと、画面が流れたりカラーに映らなかったりするような状況になっております。
  66. 野村一成

    野村政府委員 先生指摘のとおり、やはり北方四島の住民日本についての正しい理解を持つということは非常に重要だと思っております。  まさに合いわゆるビザなし交流という形で行われております。今までのところは千名が行われておりますけれども、そういう方々が日本についての理解を持って帰る、また、四島に帰りましていろいろな人にそれが話されるということも重要でございます。そういう見地からいろいろと、先ほど大臣の方から知恵ということがございましたけれども、考えてまいりたいというふうに思っております。
  67. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今テレビの話をしたのですけれども日本のテレビが見れる、あるいは日本のテレビをロシア語に吹きかえてやるとか、あるいは日本のテレビの映像ソフトを売り込んで向こうでロシア語で放送してもらうとか、そういうことにぜひひとつ気を使ってもらいたい。  これは、北方四島の返還を理詰めでがちゃがちゃやるよりは、住民たちが自然に、日本はいいぞ、日本に行こうやということに、ナホトカもそうですが、とにかく日本の文化圏に入りたい、モスクワより日本の方が手っ取り早いぞという気持ちになってくることは非常に大事だと思うのですよ。そうでなければ、幾ら法律的にこうだ、返せ、じゃ返るといっても反乱が起きちゃいますよ。やはり大勢の人の生活にかかわるものが、本当に日本と一緒になったら生活は向上するし、テレビもおもしろい、日本というのは非常にいいぞということにならないといかぬのじゃないか。来てもらうことも大事、往来も大事。今までビザなしでたった千人しか来ないというんだ。  その点について、もっと交流を考えて、定期航路ができなければ臨時便でも何でもいいですから、とにかくもっと交通手段を確保すること、それから情報通信手段をもっともっと活用すること、そういうことによってぜひこれを推進してもらいたい。どうですか。
  68. 野村一成

    野村政府委員 ただいま先生指摘の点を含めまして、いろいろと何が具体的に可能なのか考えてまいりたいと思っております。
  69. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 次に、経済宣言ですが、これは別に書いてありますけれども、実際には、ロシアの今の状況からいって、仮にいろいろなことが考えられても実行するのは非常に困難だということを私は実際にやっておられる方々から聞くのです。  私は、これから大いにいろいろな面で民間の活力が発揮できるようにする環境づくりをやっていく必要があろうと思いますが、特に宇宙空間の平和利用とか原子力の問題、核兵器の解体の問題あるいは核廃棄物の処理の問題、こういった点について日本として相当やることができるのではないかと思います。その点とういうように考えておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  70. 野村一成

    野村政府委員 今回の大統領訪日の際に、実務の面で幾つかの協定、取り決めを結びました。その中には、先生指摘のような原子力、宇宙における協力、特に核兵器の廃棄につきましての文書もございます。これは日本国会で認められました一億ドルの対日支援、それを具体的にどういうように使うかということでございます。ある意味で、この訪日の機会に、経済、実務面等も含めまして何が取り決めという形で結べるかということを総括して結んだものでございます。したがいまして、それらの実施の面できちんと対応してまいりたいというふうに思っております。
  71. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 この機会をスタートとしまして、日ロ関係の友好の促進と信頼の醸成、そして、これからの発展をぜひ推進していただくことを期待を申し上げまして、私の質問を終わります。
  72. 菅直人

  73. 古堅実吉

    古堅委員 細川総理は、さきの予算委員会で、国連安保理事会常任理事国入りについて、推されれば喜んで受け入れる、このような表明をしました。これは我が国の将来にとっても、政治の根本にかかわる大事なことだと考えますので、大臣にかかわってお聞きしたいと思います。  国連憲章第四十七条で設置される軍事参謀委員会は、常任理事国の参謀総長またはその代表者で構成される、このように規定されています。日本が常任理事国入りすることになれば、自衛隊の統合幕僚会議議長が構成メンバーになるのだろうと思うのですが、そのとおり考えられますか。
  74. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘の四十七条の点につきまして、まず私の方からお答え申し上げたいと存じます。  国連憲章第四十七条は、これは先生御承知のとおり、明文上、軍事参謀委員会は、安保理常任理事国の参謀総長またはその代表者で構成され、また、この委員会は、国際の平和と安全の維持のための安保理の軍事的な問題、理事会の自由に任された兵力の使用及び指揮等につき安保理に助言及び援助を与える、また、兵力の戦略的指導について責任を負うというふうになっているわけでございます。  この戦略的指導の内容につきましては、現在同委員会の実質的活動は行われておりませんで、また、御承知のとおり憲章四十三条に基づく特別協定もまだ結ばれていないわけでございます。したがいまして、現状から見まして、今後これがどういうものになるか、どういう活動になるかということにつきましては不明でございます。  また、安保理の改組が現在議論されておりますけれども、改組後の常任理事国の権限及び義務等につきましてはまださまざまな対応があると存じますので、現時点において、一定の権利義務を前提としてこの問題を論ずるのは難しいということでございます。  お尋ねの点は、恐らく憲法との関係を御念頭に置いてのことと思いますけれども、いずれにいたしましても、我が国は憲法の枠内で安保理において責任を果たすという考え方でございます。
  75. 古堅実吉

    古堅委員 いずれにしても、国連憲章上はそういう規定がございます。軍事参謀委員会が設置される場合に、常任理事国になっても参謀総長またはその代表者、それを出さないこともできるというふうなお考えもあるのですか。
  76. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいまの憲章上は、いわゆる五大国、現在の五つの常任理事国はこの軍事参謀委員会に参謀総長またはその代表者を出すというふうになっていることは御案内のとおりでございます。  ただ、今後安保理をどういうふうに改組していくか、改革をしていくかという点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、まだはっきりしない点がいろいろございます。したがいまして、将来の改組された安保理がどのようなことになるかという点は、御指摘の点を含めまして現在のところまだ不明でございます。
  77. 古堅実吉

    古堅委員 去る七日の参議院の予算委員会総理は、改革後の常任理事国入りということではないのかという質問を受けて、必ずしもそうではない、国連改革は前提ではないというふうに言っておられるではないですか。現在の国連憲章に基づいて常任理事国入りした場合に、今の問題は避け亡通ることができないのです。総理の発言との関係ですから、改革がなされたときにあるいはそういうことになるのかもしらぬ、そういうふうなことは許されません。答えてください。
  78. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先日の総理の御答弁につきましては、まだ正確な議事録を私ちょうだいしておりませんので、私どもで拝聴しておりました限りでお答えさせていただきたいと存じます。  たしかそのとき、国連改革が常任理事国入りの前提条件ではないのかというような御質問がございまして、それに対して、改革前ということもあれば改革後に推されて入るということもあるという趣旨の御答弁があったと存じます。  この国連改革の意味いかんでございますけれども総理がお答えになりましたうちで国連改革の前にもあり得るという点につきましては、これは御承知のとおり国連の安保理の常任理事国の議席を拡大するということになりますれば、これは当然憲章の改正が必要になるわけでございます。したがいまして、こういう憲章の改正を含めた国連改革の中で新しい常任理事国ができてくるという意味におきましては、とれは改正後の話でございますから、国連改革の改革後に入るということになるわけでございます。  他方、国連改革というものにはいろいろな面があるわけでございます。安保理一つをとりましても、例えば、拒否権の運用の問題でございますとか、あるいは関係国との協議をどうするかというようないろいろな改革もございますので、それでは、そういうほかの面の改革ということからすれば、そういう改革がすべてできた後でなければ入らない、入れないという意味ではないわけでございまして、その点につきましては、そういう改革が行われる前にも入ることがあり得るという趣旨でお答えになったものと承知しております。  ただ、繰り返しになりますけれども、新しい常任理事国が誕生するためには当然憲章の改正が必要である、そういう意味では、憲章の改正を国連改革というふうにとらえれば、それはその後でないと入れない、こういうことだろうと思います。
  79. 古堅実吉

    古堅委員 一九九二年六月十七日に、国連事務総長が「平和のための行動計画」という文書を出しました。これが今国連で検討されています。御存じのとおりです。その四十三項で、「特別協定締結への長年の障害はもはや存在しない。」いわゆる拒否権を発動し続けておったような、そういうような状況はもうなくなったんだということを前提にし、「障害はもはや存在しない。」と言い、「安全保障理事会が第四十三条にもとづいて交渉を発議し、軍事参謀委員会——必要な場合、憲章の第四十七条二項にしたがって他の国によって強化することができる——によって支持されることを勧告する。」そのような報告がなされて、現実にそれが論議されておるんです。  改革がなされる前、なされた後云々しますけれども、国連の方向としては、総長のもとでそういうことが検討されている。常任理事国入りするということになれば、そういう問題は論議として避けて通ることのできない基本的な問題ではありませんか、逃げずに答えてください。
  80. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 軍事参謀委員会を含めまして、安保理のあり方について議論をするというのは当然でございますし、また、そのような議論が、まだ軍事参謀委員会というところまでは必ずしも至ってはおりませんけれども、既に現在行われております国連総会で始まっているわけでございます。  ただ、私が先ほど申し上げましたのは、しからばどういう方向でこの安保理の改組が行われるのか、あるいは軍事参謀委員会の活性化なり運用の改善、あるいはさらに大きく言えば、そのあり方が議論され、どういうところに収れんしていくのかという点については、現段階ではまだ議論はそこまで至っていないということを申し上げている次第でございます。  ただ、御指摘のごとく、この問題はこれからの国連の改組に関する議論の中でいろいろ議論されていく問題であるという点は、それはそのとおりであろうと思います。
  81. 古堅実吉

    古堅委員 あなたは先ほど憲法の問題を持ち出されました。現在の日本国憲法に照らして、国連憲章に定める軍事参謀委員会、それに参加することはできないんだというふうに御理解しておられるのですか。
  82. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 現在の安保理軍事参謀委員会につきましては、これは御承知のとおり、五つの常任理事国だけが参加するということになっているわけでございます。そういう意味におきまして、現在このままで我が国が常任理事国になるということはないわけでございます。  ただ、今後安保理の改組を行い、そこであるいは日本も常任理事国になるという可能性があり得ると思いますが、そのときの軍事参謀委員会がどのようなものになるか、その点はまだ明らかでないということを申し上げている次第でございます。
  83. 古堅実吉

    古堅委員 改革を持ち出して答弁を避けようとしていますが、改革後も今のような国連軍が創設される、軍事参謀委員会がつくられる、そして、常任理事国がその構成国となるというようなことになった場合、どうですか。
  84. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先ほどもお答えしたつもりでございますけれども、この軍事参謀委員会の任務等がどのようなものになるかという点につきましては、御案内のとおり、これまでいわゆる憲章上の国連軍というものが現実に創設されたこともございませんし、不明な点がまだ多いわけでございます。例えば、この憲章四十七条三項には「兵力の戦略的指導について責任を負う。」というようなことが書いてございますけれども、その具体的な意味内容については現在のところまだはっきりいたしておらないということでございます。
  85. 古堅実吉

    古堅委員 大臣にお答えいただきたいと思いますが、今のような形で論議を避けて通るのではなしに、我が国憲法とのかかわりでただそうとしていることを御存じなわけですから、こうなった場合はこうなるということについて、大臣から、我が国が常任理事国入りするとした場合に、現在の内容の参謀委員会が設置されるような国連の規定がそのまま改革後もあるとすれば、我が国は、常任理事国という立場からも、その参謀委員会に参謀総長またはその代表者、それに相当する者を送ることが憲法上できないというふうに理解されますか、それとも憲法上何ら問題はないというふうな御理解ですか、そこをお答えください。
  86. 羽田孜

    羽田国務大臣 今日、国連に対すお要請といいますかそういうものが高まってきております。そういう中で、これから国連というものがどういうふうにいろいろな新しいニーズに対してこたえていくのか、そういう中で国連全体の改革等について今議論がされておるわけであります。  そのときに、先日来総理からもお答えしておりますし、また政府委員の方からもお答えしておりますように、我が国としては、そういう要請があるならば、我々としては憲法の枠内にあってこの安保理で一つの責任を果たしていきますということを実は申し上げておるわけでありまして、その考え方には私どもまだ変わりはございません。
  87. 古堅実吉

    古堅委員 答えられないということは、憲法とのかかわりにおいて突破することができない問題なんだと受けとめたというふうに思います。  前に進みます。  米空軍特殊部隊の嘉手納基地常駐問題について、時間も残り少ないのですけれども、急きお尋ねしたいと思います。  去る九月二十四日、嘉手納基地報道部は、フィリピンのクラーク基地から一時移駐していた米空軍第三五三特殊作戦飛行群が嘉手納基地に常駐配備されるというふうにして発表しています。私が一九九一年八月から十月、この外務委員会で質問をした在比米軍部隊の移駐問題について、当時の松浦北米局長は、「三五三特殊部隊の一時的な移駐というのはまさに一時的な移駐でございますので、全体的な恒久的なものは現在アメリカが検討中ということでございますので、その検討結果を待ちたいこというふうに言っております。  そこでお尋ねします。米軍側からいっその問題についての連絡があったのですか。常駐配備するといったことなどについてどういう説明を受けたのですか。
  88. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  何月何日にアメリカ側から連絡があったかという点は、私、今ちょっと記憶しておりませんが、アメリカ側が今回の発表の前に我々に対してこの第三五三特殊作戦航空群の常駐化についての連絡をしてまいりました。  先生御記憶だと思いますが、当時二年前にフィリピンから来たときには、あれは第三五三特殊作戦航空団と言われておりました。その当時の発表では、恐らく私の前任の松浦北米局長が答えたときには、当時のアメリカ側の発表しておりました考え方、すなわち、次の移駐先が決まるまでの間一時的に嘉手納に置いておくということに基づいてお答えをしたのだと思います。その後、あの当時の航空団の一部にありましたヘリコプター部隊は第三国に移転をいたしまして、そのときにアメリカの軍の編成上の一つ下であります団から群に名称変更して、そして沖縄に残すことにしたということだろうと私は理解しております。  この問題について、アメリカは当時一九九〇年から進めておりますアジア・太平洋地域の米軍の配備の問題、さらには、政権交代しての新しい見地から、彼らはボトムアップレビューと言っておりますが、そういうものも含めていろいろ検討して、その結果、アメリカ側の運用上の見地から見て、この第三五三特殊作戦航空群を嘉手納に置いておくことが一番効果的と判断したものと思っております。  私たちといたしましても、この問題について日米安保条約に照らしまして意味のあることと思っておりますので、それをそのまま受けとめているということでございます。
  89. 古堅実吉

    古堅委員 いつあったのですか、その連絡は。
  90. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 日にちの点については、先ほど申し上げましたように、私ここで覚えておりませんのであれでございますが、アメリカ側の発表の前には連絡があったと思います。  ちなみに一言申し上げておきますが、この軍の移駐、常駐についてアメリカ側について特段条約上の日本側に対する通告の義務があるわけではございません。ただ、一般の慣習上当然のこととしてこういうものについては我々にも連絡があるということでございます。
  91. 古堅実吉

    古堅委員 在比米軍部隊の沖縄移駐については当時から県民の間では大問題になりました。反対ののろしが上がり、地方議会では決議するということなども相次いで起きた問題です。そういうところを受けて松浦北米局長は、在日米軍の施設、区域が沖縄に集中しており、県民に迷惑をかけていることは非常に心苦しいと思っている、地元の意向を十分念頭において対応していきたいというふうに答えています。そのように答えておきながら、アメリカ側から言ってきたその問題について何ら拒否の態度もとらないでそのまま認めたというのですか。
  92. 佐藤行雄

    ○佐藤(行)政府委員 先生指摘の点については、二つの点に分けてお答えを申し上げたいと思います。  沖縄に米軍基地が非常に集中をしているということについて政府として大変心苦しく思っているという点については、私も何度もこの委員会の場で申し上げたこともございます。それゆえに、先般来何度も申し上げましたように、沖縄の基地の整理統合について一層の促進を図ろうということでアメリカ側と話し合っているわけでございます。  この前もこの委員会の場で申し上げたかと思いますが、実は昨年来話し合って、昨年五月十五日の沖縄返還二十周年のときに一つの区切りとして前進を図り、その後話し合いを続けております。ただ、その間にアメリカ側の政権が交代いたしたものですから、改めて交渉をやり直しているというのが現状でございます。  それから第二に、フィリピンからの移駐の問題でございますが、当時のフィリピンにおりました米軍の大部分は本土もしくはグアム、アラスカに行って、ごく一部がアジア・太平洋地域に分散移駐したというふうに私は理解しております。  空軍の問題につきましては、当時フィリピンから日本に参りましたのはこの第三五三特殊作戦航空団と輸送空軍でございまして、それぞれ合わせて人員数でいえば七百四十一名の移駐があった、この点は申し上げた記憶もございます。  他方、昨年の十月から嘉手納の第一八航空団のF15戦闘機の撤退がございまして、それに関連する再編成と含めて七百十九名の空軍面における人員の削減があり、結局空軍に関しましてはフィリピンからの移駐というのは二十二名の増にとどまったということでございます。
  93. 菅直人

    菅委員長 お約束の時間が経過しておりますので、結論をお願いします。
  94. 古堅実吉

    古堅委員 もう時間が来ましたので終わりますが、一言だけ申し述べておきたいと思います。  今のような形で沖縄県民の心を、安保条約を前面に出して踏みにじるなどというふうなこと、再編強化の方向にあるものをあたかもそうでないかのごとく描いて踏みにじるなどということは断じて許せません。今回の移駐強化の問題についても、大田知事を初め、その撤回を求めています。断固として、政府の、細川内閣のもとで今回とられたこの措置に対して抗議をし、常駐をやめるよう政府が県民の要求にこたえる態度を強く求めて、質問を終わります。
  95. 菅直人

    菅委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後零時四十三分散会      ————◇—————