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1993-11-25 第128回国会 衆議院 安全保障委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十一月二十五日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 近藤  豊君    理事 鈴木 宗男君 理事 中谷  元君    理事 町村 信孝君 理事 山崎  拓君    理事 大出  俊君 理事 月原 茂皓君    理事 赤松 正雄君 理事 樽床 伸二君       麻生 太郎君    今津  寛君       瓦   力君    北川 正恭君       高村 正彦君    谷垣 禎一君       中村  力君    中山 利生君       中山 正暉君    西銘 順治君       浜田 靖一君    宮里 松正君       宮下 創平君    山下 元利君       渡瀬 憲明君    岩垂寿喜男君       金田 誠一君    左近 正男君       楢崎弥之助君    上田 清司君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       船田  元君    上田  勇君       平田 米男君    福島  豊君       三原 朝彦君    矢上 雅義君       西村 眞悟君    東中 光雄君       玄葉光一郎君    高市 早苗君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君         国 務 大 臣 武村 正義君         (内閣官房長官)          国 務 大 臣 中西 啓介君         (防衛庁長官)  出席政府委員         内閣法制局第一 津野  修君         部長         国際平和協力本 鈴木 勝也君         部事務局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁参事官  萩  次郎君         防衛庁長官官房 宝珠山 昇君         長         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練 上野 治男君         局長         防衛庁人事局長 三井 康有君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 米山 市郎君         防衛施設庁総務 草津 辰夫君         部長         防衛施設庁施設 江間 清二君         部長         防衛施設庁建設 森本 直孝君         部長         防衛施設庁労務 小澤  毅君         部長         外務大臣官房審 野上 義二君         議官         外務大臣官房領 荒  義尚君         事移住部長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省条約局長 丹波  實君  委員外出席者         議     員 鈴木 宗男君         安全保障委員会 下尾 晃正君         調査室長     ――――――――――――― 委員保異動 十一月二十五日  辞任         補欠選任   江﨑 鐵磨君     上田 清司君   松田 岩夫君     実川 幸夫君   米沢  隆君     西村 眞悟君 同日  辞任         補欠選任   上田 清司君     江﨑 鐵磨君   実川 幸夫君     白沢 三郎君   西村 眞悟君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     松田 岩夫君     ――――――――――――― 十一月二十四日  防衛庁市ヶ谷台一号館の保存に関する請願(虎  島和夫君紹介)(第一五六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  自衛隊法の一部を改正する法律案鈴木宗男君  外五名提出衆法第一号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)      ――――◇―――――
  2. 近藤豊

    近藤委員長 これより会議を開きます。  鈴木宗男君外五名提出自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  3. 中谷元

    中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。  案件でございます自衛隊法改正につきまして質問をさせていただきます。  この委員会自民党案提出されて二カ月たちましたが、衆法、閣法に対する委員会質問も一巡したわけでございます。  私が一番強く疑問に感じますことは、総理や外務大臣等のスタンスとして、連立政権外交安全保障政策につきましては自民党政権を引き継ぐということでございましたが、前の国会の衆議院の本会議で成立したこの自衛隊法改正法案について、この自民党案に対して、防衛庁長官外務大臣も、前の防衛庁長官外務大臣も、そして公明党、民社党、新生党、さきがけの人たちも、ほんの半年前までは賛成をしたのに、今の長官大臣ともに、同じ法案に対して反対をしているわけであります。政策の継続を言っているのにもかかわらずなぜ反対をされておられるのか、この点につきまして両大臣からお伺いをいたします。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  今お話がございましたように、私ども連立与党を結成するに当たりまして、外交あるいは防衛、こういった問題についての継承、これを申し上げました。それと同時に、これをさらに発展すると実は申し上げてまいっておるところであります。  そういう中にありまして、この法律につきましてはまさに、私どもといたしましては、基本的な考え方、こういったものについては異なるものではないというふうに思っております。ただ、これまでの国会におきます審議ですとか、あるいは政府与党部内、ここでの意見調整といいますか議論をいたしました結果、在外邦人等輸送自衛隊航空機を使用することについての種々の議論が行われたことはもう御案内のとおりであります。  在外邦人保護を所管する私といたしましては、緊急事態において生命等の危険が差し迫っている在外邦人をより一層適時適切に輸送するために、自衛隊航空機の使用が一刻も早く可能となるよう希望いたしておるところであります。  基本的には私ども変わってないということは申し上げたいと思います。
  5. 中西啓介

    中西国務大臣 今中谷さんが、前国会では賛成していたわけであるが、今回は両大臣とも反対をしているではないかという御指摘をなさったわけでありますが、反対というニュアンスでありませ んで、今外務大臣がおっしゃられましたように、この種の法案というものは、議員立法よりもやはり政府提案という方が望ましい、また性格からいってもやはり政府の責務というような形でとらえるべきではないのか、そんな意味政府案の方がよりベターである、そういうとらえ方でございます。  あとは外務大臣が言われたとおりでございますが、連立与党でございまして、各党それぞれ連立をして内閣を編成しているわけでございますから、若干意見の相違がございます。それを調整するということは世界各国どの国でもやっていることでありまして、この間、ある国の国防大臣と話をした際に、私どもずっと、自民党約四十年間の政権が続いてきたわけです。  もちろん部内ではいろいろけんけんがくがくの議論はするわけでありますが、ぴたっと一致してやってきたという経緯は事実であります。そういう感覚になれているためか、連立というのはどうしても意見の違う政党が集まっているものですから、いろいろ苦労もあるんですよみたいな話をしましたら、いや、それが連立政権の特色なんだ、それが当たり前のことなんだというような指摘をされて、なるほど、少し我々は過去の経験のみに視点を移し過ぎていた嫌いはあるのかな、そんな印象を、その国防大臣と話をした際に持った私の印象でもございます。
  6. 中谷元

    中谷委員 では、防衛庁長官にお伺いしますけれども、そういった、政府案だからベターだという御答弁もございましたが、連立政権であるということを抜きにしてこの法案の中身を見てみまして、実際に救援機派遣に当たって、送り出す方、また救出をされる人々、実際の業務に当たる防衛庁自衛官のことを考えると、どちらの法案の方がベターであるのか、どうお考えでしょうか。
  7. 中西啓介

    中西国務大臣 基本的には同じ趣旨ではあると思うのです。ただ、安全性確認であるとかあるいは輸送に向かう際の航空機機種等については、より丁寧にやろうという趣旨から、自民党案と若干違う文言が明文化されたりというようなことはございますが、丁寧にやったというふうに私は理解をいたしております。
  8. 中谷元

    中谷委員 今安全性確認というお言葉もございましたけれども、この政府案衆法の違いは、派遣される条件として、長官当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めているときに限って送り出すという点でございますが、防衛庁長官大臣にお伺いします。何をもって安全と判断をするのか、いかなる基準をもって安全確保判断する基準とするのか、それにつきまして明確にお示しください。
  9. 羽田孜

    羽田国務大臣 今までも、在外邦人輸送するため民間機チャーターする、この場合に際しましても、在外邦人輸送目的を安全に達成するために、派遣先国空港及び航空機飛行経路におきまして、派遣先国政府等措置によって航空機等の安全が確保されていることが前提となっておったということであります。今回実施しようとしております自衛隊機による輸送につきましても、あくまで従来から実施してまいりました輸送を一層適時適切に行い得るようにするためのものでございまして、従来と基本的に異なる性格輸送を行おうとするものではないということであります。ですから、民間機であろうと今度の自衛隊機を使用する、活用する場合においても同じものであるということです。  したがって、輸送に当たりましては、派遣先国空港及び航空機飛行経路におきまして、派遣先国政府等措置によって航空機等の安全が確保されていることが前提となっております。そのような前提のもとに、当該国の権威ある当局から領空通過及び着陸についての許可を取りつけることとなります。さらに、個々緊急事態に応じまして、現地の情勢及び見通しにつきまして最大限の情報収集と分析を行って、それらに基づきまして、安全の確保というものを総合的に判断するということになろうというふうに思っております。
  10. 中西啓介

    中西国務大臣 今外務大臣がおっしゃられたとおりでございますが、外務大臣判断をされた結果を踏まえて、例えば飛行場の滑走路状況であるとかあるいは飛行経路の安全、保安施設機能等の面から防衛庁長官がさらに安全性確認を行って、そして輸送機を飛ばすというような結論に至るんだろうというふうに考えております。  ただし、外務大臣からそういう要請があった場合に、防衛庁長官が安全に輸送が実施できないというような判断をする場合もあり得ると思うんですね。その場合は輸送には向かわない。そういうこともケースとしてはあり得ると認識をいたしております。
  11. 中谷元

    中谷委員 安全について余りよくわからないんですけれども、例えば民間飛行機が飛ばずに自衛隊機派遣されるときというのはどういうケースなんでしょうか。そのケーススタディーを、防衛庁お示しいただきたいと思います。
  12. 中西啓介

    中西国務大臣 もちろん民間機に行っていただくことが一番好ましいわけです。民間機が行っていただかない場合は、民間機チャーターしてというケースもあり得ると思うんです。それがさらに、過去のケースでも経験があるわけでございますが、いろいろ調整に手間取って、タイミングを逸するというようなケースも過去何度かあったわけでございます。  そのときに、調整のそういう時間的なロスがなければ、民間チャーター機でも十二分に輸送を行い得たケースが過去あったわけでございますが、残念ながら、労働組合とのいろいろな保険の交渉に時間がかかったりとかそういうふうなこともあったものですから、そういうふうなときには、自衛隊機タイミングを逃さずに安全性確保する、邦人輸送してくる、そういうふうなことを想定しているわけでございます。
  13. 中谷元

    中谷委員 民間が行かないということは、安全上何らかの問題があるから民間では行けないということであって、そのケースで実際に派遣をされると思いますが、実際にこの飛行機運航する側、防衛庁として、やはり責任を持って、派遣する側としては、隊員運航の安全を考えて計画をするのは当たり前のことでございます。いかなる形で安全を確保するのか、いかなる基準で安全な運航ができると考えたらいいのかという問題ですが、その安全の検討基準についてもう少し詳しくお話しください。
  14. 村田直昭

    村田(直)政府委員 個々の安全の基準というのは、そのときの状況いかんによるということもあろうかと思いますけれども先ほど大臣から申し上げましたように、基本的には、まず現地公館長等判断あるいは他国の航空機運航状況等を踏まえまして、派遣先国空港あるいは航空機飛行経路が安全か否かという判断をすることにもなりますし、また実際に運航するに当たって、飛行経路航空保安施設状況でありますとか、さらには空港滑走路状況でありますとかという具体的な面についても十分調査をするということで安全を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
  15. 中谷元

    中谷委員 なかなか安全に関する考え方がぽんやりとしてわかりにくいのでありますが、では、お伺いさせていただきます。  さきの国会で成立しました国際緊急援助法にはその輸送業務の実施に対しては安全確認を義務化しておりませんけれども、今回の法案にはこれを義務化しているわけでございますが、それはどういう違いからですか。なぜでしょうか。
  16. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 先ほど防衛庁長官が御答弁申し上げたとおりでございますが、繰り返させていただきますと、これまでの国会における審議、それから政府、新しい政府与党内部における意見調整の過程におきまして、安全確認というものを明記するのが適当であるという議論がなされまして、これを法文化したということでございます。  安全な輸送を行うために、今防衛局長が申し上げましたような手続を踏むというのは、両法案において当然になされるものと理解しております。
  17. 中谷元

    中谷委員 ますますわかりにくくて、私は、今後派遣するたびに、政府としては大変大きな苦労 と悩みを抱えながら派遣をされるのではないかというふうに思います。というのは、やはり法案の中に「安全」という大変不自然な言葉が入ってしまったために、状況があいまいとなってしまって、こんなときにはこうなるだろう、こんなときには派遣するというイメージがなかなかわいてこないわけであります。  つまり、法をつくらなければならない精神と派遣をする状況と相入れない言葉が残ることに非常に疑義が残るわけでありまして、安全なら民間機で行けますけれども民間機で行くことのできない危険な状況のときに、政府専用機なり輸送機自衛官に行ってもらうための法案であるのが、安全だから派遣すると言って状況をあいまいにしております。  これはカンボジアPKO等でも大変大きな教訓を得ている事項だと思いますけれども、安全たから派遣するのではなくて、ある程度リスクや危険があるから自衛官に行ってもらうための法案ではないのでしょうか。この点につきましては、いかがでしょうか。
  18. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先生の御指摘とやや私ども考えが違いますのは、この輸送目的というものは、先ほどから先生も御指摘になっているように、乗ってこられる邦人の方が安全な場所に移動するということが最大目的でございまして、そういう意味で、安全でないような場合と考えられるような場合には、むしろ動かないとかあるいは別の方法をとるということも考えられるわけでございまして、これが唯一の手段ではないわけでございます。  それから、民間機チャーターあるいは民間商業便の利用あるいは自衛隊機ということについても、多様な手段を設けることによって適時適切にこれが行い得るようにしようという目的でございまして、やはり先ほどから、確かに安全ということについて抽象的ではございますけれども、それについて最大の配慮をした上で行うということは、法文に書く書かないにかかわらず、従来から御答弁申し上げているところでございます。
  19. 中谷元

    中谷委員 私は、これは詭弁だと思います。政府が、安全だから行ける、そう言っても、良識のある国民なら、政情が緊迫しているときに自衛隊派遣しなければならない状況は危険がつきまとうことぐらい理解しております。このように、安全だから行くという、この前のカンボジアPKOでも見られたように、実際の業務に支障となるような制約をつけたのも、突き詰めていくと、連立政権では社会党を閣内に取り込むという政治的な思惑によって派遣隊員の安全と救出の機会を置き去りにするものではないでしょうか。  政権がかわれば派遣に対する制約をつける。これでは、派遣される隊員の安全と人格、名誉、誇りはどうなるのですか。時の政権政府の御都合によって、まるで自衛隊は着せかえ人形のごとくいろいろと制約をつけられ、あたかも物を動かすごとく、行かされる人の安全性や名誉、人格を無視して政治的な道具にされてよいものでしょうか。  ほんの半年前ですけれども自分たちがつくって議論をし自信を持って賛成したその法案に賛成せず、連立政権を維持するための手段として、自衛隊を認めていない社会党政権内に取り込むために、隊員安全性派遣可能性を売り飛ばして、行く隊員誇りと名誉を犠牲にしたのでは、迷惑するのは自衛隊であり、救援を待ち望んでいる人々そしてその家族、そして何よりも、まともな国際貢献をやるべきだと貢献を望んでいる日本の国民でございます。  どこの国に、自分たちの同胞を救出するのにわざわざこの政府案のように非常に慎重に、行けるものまで行けないような足かせをかける国があるでしょうか。私はあくまでも可能性だけは残して追求すべきだというふうに思いますし、また、救援に行く人は大変大きなリスクを背負って決死覚悟で行って、救出を待ち望んでいる人はわらをもすがる思いで一刻を争って救援を待っているわけでありますので、この国際貢献について、国防安全保障の問題でありますから、時の政権連立政権延命のためにゆがめてしまうべきではないというふうに思いますが、これでもやはり長官大臣政府案の方がいいとお考えでございますでしょうか。
  20. 羽田孜

    羽田国務大臣 中谷さんの言わんとするところ、私も理解できないことはありません。  確かに、PKO法案に基づいて自衛隊の皆さんが出かけるときに、安全という言葉国会の中で大分議論されておったけれども、きのうまで戦っておった、そういう中に例えば復興とかそういったことのために出かけるにしても、ここが絶対に安全であるということはあり得ないだろうと。  例えばカンボジアの場合なんかにも、武装した一つのグループがまだある。クメール・ルージュというものがある。そういった中で本当に安全というのはなぜ確保できるのかというお話があり、むしろ率直に、危険であるからこそ行ってほしいということを我々に対して言ってもらった方が我々は誇りを持って行くことができるということを自衛官の方からあるときに私は直接話されたことがあります。  ただ、それとこれとの違いといいますか、これは連立与党を組むために、あるいは取り込むために、あるいは延命のためにこういう話をしているんじゃないのかということでありましたけれども、しかし、前国会におきましてこの法案というものは議論をされた、そういうものを踏まえながら、私どもも、邦人を非常に厳しい中にあってもやはり安全に輸送をする、あるいは次の地点に安全に避難をさせる、そういったことのためにこれを出すということでありますから、やはり乗っていただく邦人の安全を確保するためにも、我々としてはでき得る限りの安全というものを確保する、あるいはそういった情報というものをきちんと踏まえながら対応するということがやはり望ましいんだろうというふうに思っておりまして、その意味で、単に私どもがお願いしたからすぐ出すというだけでなく、防衛庁長官と協議をするというところを入れたんだというふうに思います。  それともう一つは、こういった問題を実施するためにやはりより多くの、一人でも多くの国民の皆様が御理解をいただくということで、私どもがこういう措置をしたことは、単に連立政権をもたすとかそういったものではないんだということをぜひともひとつ御理解をいただいて、何とかやはりこれは一日も早く対応ができるようにこの法案を通していただきたいことを重ねてお願いを申し上げたいと存じます。
  21. 中西啓介

    中西国務大臣 防衛庁長官といたしましては、自衛隊員の安全というものには一番私は優先をしなければならないものであるというふうに位置づけておるつもりでございます。  また、その安全という定義というのは、私はなかなか、個人個人の想像、見方によって随分遣うんだろうというふうにも思われてなりません。全く安全であるときには民間機が恐らく行ってくれるんでありましょうし、やや薄目の安全といいますか、濃度いろいろあると思うのですよ。そのときはチャーター便か何かが活用されることになるのかなと。それで、ぎりぎり許容範囲いっぱいの場合は、恐らく自衛隊政府専用機なりあるいは輸送機なりが輸送に向かうようなことになるのかなと。そんなふうに考えておりまして、中谷さんが御指摘されるようなことも強いて考えればわからないではありませんけれども自衛隊員安全性確保ということにはだれよりも優先して考えているつもりでございます。
  22. 中谷元

    中谷委員 ただいまの外務大臣答弁にも、絶対に安全であるということはあり得ないし、危険だから自衛隊に行ってもらわなきゃならないということがあるのにもかかわらず、この法案の中に、安全を確保されると認めるときに限って行うというように本当に不自然な言葉が入っていまして、ますます議論認識は混乱すると思うわけでございます。  そこで、もしこの法案が通過すれば、実際にこれを行うときには、もはや民間で行ってもらうと いうことは余りウエートをかけて考えることなく、自衛隊が行くのが当然だ、自然だということになろうかと思います。しかし、この法案のように、安全だから行ってこいということを言われても、実際にはある程度のリスクがございまして、自衛官は危険を覚悟で、決死覚悟で行くわけでございます。非常に考え方自衛官にとって割りの合わないような、国民政府から、本当に危険だから行ってもらいたいというようなことがこの法案に盛り込まれていないわけですから、本当に割りの合わないような業務を負わなければならないと。おまけに、危険の手当もなければ事故等で死亡した場合の補償もございません。  これでは、隊員家族の心情、名誉や誇りは一体どうなるのでしょうか。危険手当補償は、安全だからという一言で片づけられてよろしいものでございましょうか。この問題につきまして、国家として諸手当についてどのようにお考えなのでしょうか。
  23. 三井康有

    三井康有政府委員 お答え申し上げます。  航空機乗員に対しましては、その職務の特殊性、すなわち、困難性でございますとか肉体的、精神的な労苦でございますとかあるいは責任といった面に着目いたしまして、いわゆる配置手当といたしまして航空手当が支給されております。  今回の在外邦人等輸送につきましては、当該輸送派遣先国等空港及び航空機飛行経路安全性確保されていることが前提であり、また、これらの業務に従事いたします航空機乗員につまましては、ただいま申し上げましたように航空手当が支給されているところでございます。したがいまして、必ずしも外国におきます在外邦人等輸送業務特殊性等が明らかでない面もありまして、今後検討しなければならない部分もあるいは出てくるのかとは思いますけれども、現在のところは、既存の航空手当で給与上の措置はよろしいのではないかというふうに考えております。  また、補償についてもお尋ねでございましたけれども、これはあってはならないことでございますけれども航空機乗員等について万一死傷者が出ました場合には、防衛庁の職員の給与等に関する法律第二十七条の規定によりまして準用することとなっております国家公務員災害補償法によりまして、公務災害補償として、遺族補償、療養補償、障害補償などの補償を実施することになります。また、この公務災害補償とは別に、航空機乗員が、邦人輸送業務に従事しまして、万一の事故により死亡したりあるいは障害の状態となった場合の措置としましては、賞じゅつ金等が授与されることになります。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、国の制度内においてできる限りの措置をとる所存でございます。
  24. 中谷元

    中谷委員 いずれにしましても、国内での業務と海外で運航するという場合は、運用環境も違いますし、精神的にも肉体的にも非常に苦痛が伴うものでございますので、今後御検討をいただかなければならないことだと思います。  そこで、法案に付随して閣議決定がされておりますが、政府派遣に際して閣議で武器の使用について制限をつけております。しかし、これは派遣が安全であるという前提をもとにした推論でありまして、実際に危険が伴うであろうと予想されることでございますので、行かされる者にとっては到底承服できるものではございません。カンボジアのように、安全と思われて派遣された警察官がゲリラによって襲われて、貴重な命を落としたという事例もございますが、この派遣が決定して、実施中にゲリラ等の襲撃があった場合に、この乗員等はどのように対処したらよいのでしょうか。あのときのような過ちを再び繰り返すおつもりなのでしょうか。その対処につきましてお伺いします。
  25. 村田直昭

    村田(直)政府委員 今回の、邦人輸送に行く場合の航空機輸送機を使ってやることになっておりますから、そういう意味で、この閣議決定にもございますように、先ほどからるる先生からの御質問もありますように、安全の確認が十分行われるところに参るということでございますので、航空機に対する攻撃というようなことは想定しがたいということで、航空機外において武器を使用するということは想定されておりません。そこで、当然のことながら、武器を携行していくということも考えておりません。自衛隊法九十五条の適用というものについてでございますけれども、それは想定されないということで、武器を携行していくことはないということでございます。  なお、機内の秩序維持ということで、自衛隊法九十六条に基づく警務官として同乗する者がある場合に、この者が必要に応じけん銃を携行することはあり得るということも、同時に閣議決定をしておるところでございます。
  26. 中谷元

    中谷委員 私は、国際情勢というものはそんなに甘くないと思いますし、また人質の救出でございますから、思わぬハプニングも予想され得ると思います。派遣する前に安全と思われるカンボジアに対する政府派遣でさえあのような事例があるわけでございますので、この武器の使用につきましても、けん銃に限らず、安全に業務が遂行でき得るような体制をとっていただければありがたいというふうに思います。  しかし、そこでひっかかるのが国際法との関係でございます。自衛隊法九十五条では、航空機や液体燃料等を警護する人員とか航空機を防御する必要のある場合は武器の使用が認められておりますが、海外の空港等において救出のために駐機している輸送機の警護のための武器の使用は、もしその国の政府が日本国に対して許可すれば、我が国の武器の使用、搬出は認められるものでしょうか。私はそこまでする必要があると思いますけれども、この解釈はいかがでしょうか。
  27. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま、邦人救出のために自衛隊機がある国に赴いたという想定でお尋ねと思いますけれども、そのような場合には、そもそも御指摘のような武器を使用するような状況が起こり得ない、想定されないというふうに我々は考えております。  再三お答え申し上げましたように、今回の法案は、邦人を安全に救出するために航空機を安全に派遣するということでございますので、御指摘のようなケース考えられないと思っております。
  28. 中谷元

    中谷委員 しかし、現実問題として、そういうことでもして救出すべきときが来るのではないかと思いますので、法案によってその可能性を制限するのではなくて、時の政府責任を負ってやることでございますので、自民党法案のように、そういう細々とした制約はつけるべきではない。大いに自衛隊員を信じ、そしてシビリアンコントロールであります日本の政治を信じた上での派遣にならなくてはならないし、現実に今の自衛隊防衛庁も、そんなに想像を絶するようなことも考えておらないわけでありますから、まともな国際貢献ができますようにお願いをいたします。  それからもう一つ、その政府決定の中で、機種を「その他の輸送の用に主として供するための航空機」と限定しておりますけれども、その範囲につきましてお伺いをいたします。この航空機というと、どこまででございますでしょうか。
  29. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 政府提出法案の中の第二項で「その他の輸送の用に主として供するための航空機」と書いてございますが、これは、百条の五第二項の規定により保有する航空機、すなわち政府専用機と呼んでありますものとスーパーピューマ、これ以外の輸送機ということであります。  実際の運用におきまして使われるものとして考えておりますのは、かねがね御答弁申し上げておりますようにC130というものが使われることが多いと考えておりますが、この法律において、先ほども申し上げた法文との関係で該当すると解される機種、その機数というものは、固定翼の関係ではC130H、C1、YS11、それから回転翼ではV107、CH47Jといったもの、約百十機が理論的には含まれるものと解しております。
  30. 中谷元

    中谷委員 そこで、その可能性の問題についてお伺いをさせていただきますけれども、C130 にしてもYSにしてもヘリにしても、非常に航続距離が短いという欠点がございます。  そこで、現在の中期防において、十二の「その他」の一の項目において、空中給油機の性能、運用理想など空中給油に関する研究を推進するということで検討されているわけでありますが、米軍における空中給油機は、KC130がございます。これはC130の改良型でありまして、アメリカ空軍では輸送機の部類に入っておりますが、これがもし導入されれば、C130等の航続距離も延びて、救生活動に非常に有効なものとなりますけれども、今回の改正では、これは救援のための航空機として扱われるものなのでしょうか、いかがでしょうか。
  31. 村田直昭

    村田(直)政府委員 御指摘の中期防衛力整備計画、平成二年十二月二十日閣議決定の現在の中期防でございますが、その中で、御指摘のように十二の一項で「引き続き、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行う。」ということでございまして、この事業につきましては、現在なお防衛庁部内において引き続き検討をしている段階でございまして、その成果についてはまだ御報告できる段階に至っていないということでございます。
  32. 中谷元

    中谷委員 これはやはり、邦人救出で一刻を争うケースもございますので、この導入につきましても検討をしていただきたいと要望いたします。  そこで、もう一点気がついた点は、現在、政府専用機とかC130の訓練につきまして、今後海外救出となると、一度も離発着をしたことのない空港とか未知の飛行場へ飛ばなれけばならないわけでございます。政府専用機につきましても、日本の国賓や要人を乗せて海外に飛ぶわけでありまして、訓練の必要性が当然あると思いますけれども、この訓練につきましてどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  33. 上野治男

    ○上野(治)政府委員 お答えいたします。  今議員の御指摘のような問題というのがあります。安全、危険というのじゃなくて、各種の困難とでも申しましょうか、十分な情報がないというようなこともあります。飛んだことがない飛行場、そういったような飛行場について平素から、そういうところへ飛行をすることがあり得べしということで、私どもは専門的な訓練を従来からしておるわけでございますが、この法案が通った段階では、さらにそういうような各種の困難があった場合、それをより確実なものに、より安全なものにするための訓練というのをさらに続けて重ねていかなければならないだろう。そして、そういうような安全を、何が安全なのかということをより見抜く力といいましょうか、より確実なものにするためにどうするかという訓練をやっておるわけでございます。  このためには現実の飛行場へ飛んでいくのがいいわけでございますが、全世界には現在持っております政府専用機が飛べる飛行場だけでも百はあるだろうと思いますが、それぞれの飛行場に行くことはできませんので、現在は各種のシミュレーター等を使ってそういう飛行場へ飛ぶための訓練をしておる段階で、今後も続けていきたいと思っておる次第でございます。
  34. 中谷元

    中谷委員 ただいまの答弁もあったように、未知の飛行場に行くことでさえ非常に困難が伴い、安全性ということがこれでも言われる疑義になるわけでございまして、とにかくこの法案の中にこの「安全」という大変不自然な言葉が入ったために、状況がより複雑となって、せっかくの救生活動の可能性を狭めてしまう、そのようなことがございまして、やはりその法をつくる精神と派遣をする状況、この間の相入れない言葉が非常に問題であると思いますので、この点について修正をしていただきたいというふうにお願いをいたします。  続きまして、PKO法案の問題につきましてお伺いをいたします。  防衛庁長官は、十一月十八日の委員会で、PKO法の見直しについて、日本の意思で武力を行使するのは憲法が禁じているが、国連の指揮のもとで他国と同じレベルで平和維持活動をするのは憲法違反にならないと考えている者の一人だと述べまして、PKO部隊の指揮権を国連にゆだねた場合、武力の行使に踏み込んでも憲法に抵触しないという考え方を明らかにされましたが、実際に部隊を指揮する長官としてそうお考えになっておられるのかどうか、お伺いをいたします。
  35. 中西啓介

    中西国務大臣 今の憲法は、いわゆる国際環境にいろんなケースを想定して明確に対応していくその規定といいますか、ルールというものが明確に定められておりません。そういうことで、いろんな場面で、それは憲法違反である、いやいやおれはそれは憲法違反ではないと解釈するというような議論がしょっちゅう起こっておるわけですね。  ですから私は、私たち人間が想像する以上の勢いとスピードで、国内はもとより世の中も大きく大きく変化しているわけでございます。そもそも日本の自衛隊が海外に出ていくなんてことは、ついこの間まではほとんどの人が考えもつかなかった。しかし、現実に日本の自衛隊カンボジアにも行って、大変手探りのスタートでありましたけれども、マクロに見て大変な成果をおさめて帰ってきて、国民自衛隊に見る見方も大きく変わってきておることも事実です。あるいはペルシャ湾に、掃海艇という特殊な、水雷を撤去する技術を持った部隊がこれも海外に出たわけでありますが、行く前は大変な騒ぎでありましたけれども、帰ってきたときは、国内はもとより、マスコミも含めて世界じゅうの人からも感謝された。  そういうことで、自衛隊の海外へ出ていくという事実を見ても、ついこの間までだれもそんな場面というものは想像できなかったわけですね。私はですから今後とも、例えば国連のあり方というものも、機構の改組も含めて、日本もそれに恐らく深くかかわっていくことになるんだろうと思いますが、もちろんかかわっていくかどうかのこの議論を徹底的にやるというのが前提でありますけれども、国連のさま変わりも予想される。PKOの頻度もふえてくる。PKOの中身そのものも相当変化が起こり得る。  そういう状況の中で、例えば憲法九条では、国権の発動として、いわゆる日本の意思として海外で武力を行使することは、これはいけませんということで禁止されているわけですね。しかし、将来、国連のルールがどうなるか、それに日本がどういうふうにかかわっていくかということは、日本がこれ決めていくわけでありますが、私は、日本というものは独立国として必要最小限度の防衛力を整備する、とても一国で、日本独自ですき間のない防衛力を整備するということは、これはもう予算的に見ても不可能なことでありますし、近隣諸国に与える影響、それによってもたらされるいろんな政治的なリアクション、そういうようなことを考えると、とても一国で完璧な防衛力をつくるということはこれは不可能だ。  そこで、日米安保条約というものを結んで、補完的にアメリカに守ってもらっている。それが戦後約半世紀、全く戦争に関係のない平和な日々を送り続けてこられた抑止力として大きく働いてきたと私は思うんですね。その二つの力によって平和を維持してきた。  しかし、私は、これからは第三本目の柱として、やはり国連というものも大きくクローズアップされてきたのではないか。その国連を通じてやはり日本は、周辺及び世界全体に対して平和な環境を構築していく有力な足場としていく必要がある、そんなふうに考えております。  ですから、国連がどんなふうにこれから形づくられていくのか、中身がどんなふうに、世界じゅうの多くの国々が参加して、世界の平和維持のために国連が最大限その能力、機能を発揮さしていくということになれば、世界の国々と一緒に参加して、国連のいわゆる指揮のもとに、世界の国々と歩調を合わせてやっていく。これも、もちろん民主主義の我が国でありますから、国会の出された結論に従っていく、国会の結論を尊重していくというのは当然のことでありますが、国連のいわ ゆる指揮のもとで、世界と同じレベルで平和維持活動をやっていくということは憲法違反ではないという解釈をしている方々もたくさんおられるわけですから、これ解釈の問題ですから、私もそういう解釈は成り立ち得るのかな、個人的にはそんなふう。に思っていることは事実です。  ですから、そういう問題も含めてこれから国会で、景気対策、あるいは政治改革、あるいはウルグアイ・ラウンドの問題、将来の福祉をにらんだ税制改革、こういう問題に見通しをつけられた後は、私は、地に足をつけた徹底的な国会の論議というものが行われていくであろう、また、ぜひそういう議論をやっていただきたいという希望を持っているということを先般申し上げたとおりでございます。  先ほど中谷委員が、これから邦人救出、これだけ国際化が進んで、世界じゅうのほとんどの国に日本人がおる、活躍しておる、何が起こるかわからないような情勢でもある、そんなときに、やはり邦人救出というのは国家の責任においてやるべきではないかというようなお話をなさってくださいました。大変私は結構な御意見だと思います。  しかし、自衛隊法改正のこの問題は、政府専用機自衛隊に管轄、運営させようということが決まってから、それじゃ、その自衛隊機をどんなふうに、政府専用機をどんなふうに利用するかという視点からこの話につながってきているわけですね。  だから、邦人救出、日本人が外国にたくさんおられる、そういう人たちにもし何か災難が降りかかった場合に、危機管理といいますか、そういう視点からとらえるならば、私はやはり何か特別の、その問題に限定した法律というものをみんなで考えてやっていくというぐらいのとらえ方をすべきなのではないか。  だから、視点が全然、ちょっと違うところからの視点で邦人救出というふうなところにいってしまっているものですから、若干、何といいますか、例えば非常に近いところで何かそういう事態が起こった場合は、船にヘリコプターぐらいを載せていく、それでヘリコプターで現地に行って、それでヘリコプターに乗せてピストン輸送か何かして、その船にはお医者さんもおる、おふろも沸かしている、あるいは下着だとかいろいろな衣類も完全に用意している、おいしい食事も用意しているぐらいの体制を整えるのが、ふっと考えたって思い浮かぶことでありまして、それはそれでまた改めてやっていただければ結構な話かなというふうに私は思っております。  以上のようなことで、先般私申し上げたわけでございますが、とにかく今抱えている問題のある程度の見通しがついた段階で、もう一度掘り下げていろいろな角度から安全保障という見地の御議論をしていただきたいという強い希望を持っておることは事実でございます。
  36. 中谷元

    中谷委員 先ほど答弁で、憲法は国際環境に対するルールが想定されていないわけで、いろいろな議論があるというふうにお述べになりましたけれども、それじゃ将来、政府の憲法解釈を変更することもあり得るという立場のお考えなのでしょうか。  それから、国連活動なら現在の憲法のもとで武力行使ができるとお考えになっていると判断してよろしいのでしょうか。
  37. 中西啓介

    中西国務大臣 私は、憲法というものはやはり日本という国の発展、繁栄、そしてまた国民が幸せに生きていくための尺度になるものだと考えております。やはり、憲法のために国家国民があるのではなくて、国家国民のために憲法というものは存在すべきであろう。  ですから、先ほども申し上げましたように、はるかに私たちの想像を絶する勢いで世界が動いているわけですね。ベルリンの壁が崩壊した、ソビエトが突然瓦解をした、あるいはラビンとアラファトが、何千年の骨肉の争いというか怨念の歴史があったわけでありますが、アメリカの情報部ですらなかなか予測できなかったような和解、握手が行われたというふうに、人間の予知能力というのは本当に大したことないのだろう、私はこう思っているのですね。  ですから私は、日本の平和憲法、立憲の精神というものだけは、これは非常にとうといわけですから、むしろ不滅の金字塔とも言うべき立憲の精神だと思うのですね。この精神だけはやはり断固守り抜くべきだろうというふうには考えておりますが、しかし、いろいろ考えてみると、もう五十年前につくった憲法ですから、随分を、こつんこつんつかえてきていることも事実でありますから、やはり日本の尺度に世界が合わせてくれるのではありませんから、世界の尺度に許容の範囲内までは合わせていけるような柔軟な対応をしていくということが、日本の国益、あるいは我々日本人の幸せを追求していくためには私は必要なことなのではないか、そんなふうに考えております。  将来、海外で武力活動とかいうことはできるのかという御質問でありますが、例えば、今ボスニア・ヘルツェゴビナですか、あるいはソマリア、ここでも武力を激しく行使している国々もあるわけです。だけれども、そのことはなかなか世界全体、国連の中でもやはりこれは余り好ましいやり方ではないねというような方向に向いているわけですね。  それで、完全に国連の命令に一〇〇%従わなければならぬという法則、実態でも今はありませんし、それぞれの国の最終判断によって、何といいますか、裁量が決定されているわけですから、私の言っているのは、いろいろな国々が参加して平和を維持していく活動、平和維持活動には大体まあまあ世界と足並みをそろえるくらいのことを、日本だけが特別違うやり方というのは、これから国連の常任理事国みたいなことにもなるということを想定して考えれば、平和維持活動のためであれば――例えば、この間ある国の閣僚とも話をしたのでありますが、これからPKOの頻度というものも相当ふえていくだろう、そしてまたその中身も、要するにカンボジアのような全く、全くでもあそこはなかったわけですが、停戦合意が結果的には守られたわけですね。そういうケースというのは比較的まれなんじゃないですかね、もう少し環境としては悪い方向に進んだ環境下でのPKO活動というものが非常に多くなってくるんではないですかねというふうにその閣僚はおっしゃられました。あるいはそうなのかなという印象で私はその閣僚の意見を聞いたわけであります。  要するに、こっちからしむけていくというようなことは、断じてこれは許されるべきことではないと思いますけれども、やはりその許される範囲内の、ゲリラもおれば反政府のいわゆる組織の人もおればとか、なかなか不穏な場合に、向こうからしかけられた場合は、やはり自己防衛というか専守防衛という見地からは武力行使をしても全然憲法違反にはならない、そういうふうに私は申し上げてきたわけでございます。
  38. 中谷元

    中谷委員 大変御立派なお考えを述べていただきまして、ありがとうございました。  でも、この憲法問題につきましては、連立政権内でいろいろな極端な意見の差があると思いますし、先日の武村官房長官の発言とは全く違う御趣旨ではないかと思いますので、いずれ政府として統一見解をお願いいたしたいというふうに思います。  そしてまた、長官は、先日の第二次モザンビークPKO要員の派遣に際する記者会見で、PKO法案の見直しについて三点述べられましてその必要性を発言され、後顧の憂いないレベルまで持っていくべきであるというふうに発言をされました。  私も、隊員安全性国際貢献の任務上、次の派遣までにはこういった点について見直しが必要であるというふうに思いますけれども長官といたしまして、この発言された項目について早期に法案の修正の必要性を感じておられるのか、また、見直すとしたら一体いつごろまでに見直すおつもりであるのか、お答えいただきたいと思います。
  39. 中西啓介

    中西国務大臣 先ほども申し上げましたよう に、これからPKOに対する要請といいますか、需要も確実にふえてくるだろうというふうに私も想像いたしております。出る限りはやはり万全を期して後顧の憂いのないものにしたい。要するに、行った国あるいは参加した国々からも日本はよくやったと言われるような評価をしてもらいたいな、ひんしゅくを買うようなことにだけは少なくともしてほしくないな、そんなふうに思っておることは事実でございます。  ただ、この前の国会PKO法案が成立した際のいろいろなルールが定められておりまして、三年後を経過した段階で見直してみようみたいな話になっているわけですね。まだカンボジアに行っただけでございまして、まだ経験も極めて浅い。今、カンボジアに行った人々からいろいろな意見も聞いて、こういう点はこういうふうにしてもらったらありがたいですねみたいな大体の所見は聞き終えたところでございます。  ですから私は、慌てて見直すよりも、かなり時間的余裕を持って、ありとあらゆる角度から掘り下げて議論をしていくべきではないんですか。早く直していただきたいという意味合いで申し上げたのではなくて、性急に短時間の間にばたばたっとやってしまうよりもじっくり時間をかけて、後顧の憂いなくという意味からいってもやはりそういうふうな議論が望ましいのではないかということで、政治改革の法案とか、緊急のウルグアイ・ラウンドの問題とかもろもろございますね。今細川内閣が抱えているこのテーマにある程度のめどがついた段階で、そういう問題も含めてこの安全保障議論というものを、地につけた議論というものを徹底的にやっていただきたい。  いずれにしても、国会国民を代表する議決機関でございますから、国会の出された結論に従うというのは当然のことであると認識をいたしております。
  40. 中谷元

    中谷委員 いずれにしましても、PKO隊員政府の命令で派遣されるわけでございますので、政府のお考え方がまず一致するように、そして法案の修正につきましても迅速に行われるように、今後とも御努力をいただきたいというふうに思います。  続きまして、在日米軍等につきましてお伺いをいたします。  十一月十九日の朝日新聞の夕刊によりますと、横田基地の滑走路に隣接する駐機場の改修を現在行っているということを明らかにした上において、日米地位協定でつくれない米軍提供施設は原則として何もないというように報道されておりますが、そのような見解を防衛施設庁はおまとめになられましたでしょうか。     〔委員長退席、大出委員長代理着席〕
  41. 米山市郎

    ○米山政府委員 提供施設の整備に係る政府考え方につきましては、これまでも国会委員会の御審議等の場を通じまして明らかにしてまいっております。この報道によりますと、これまでの姿勢を改めたというふうな書き方もございますが、そのようなことではございません。一貫して政府考え方は変わっていないわけでございます。  その考え方と申しますのは、地位協定第二条第一項(a)に基づく施設及び区域の提供については、地位協定第二十四条第二項において、地位協定第二条に定める全ての施設及び区域をこの協定の存続期間中台衆国に負担をかけないで提供することと規定されており、この規定の内容に合致するものであれば、我が国が整備し提供することに地位協定上問題があるわけではない。  ただ、具体的にどのような施設を整備して提供するかにつきましては、地位協定の範囲内で米側の希望を聴取いたしますとともに、安保条約の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係、さらには社会経済的影響等を総合的に勘案いたしまして、個々の施設ごとに我が国の自主的な判断で整備をしてまいってきているわけでございます。ただ、その場合に、やはり国民理解というものが大きな前提になるわけでございまして、国民理解が得られるようこれまでも努めてまいりましたし、今後も努めてまいる所存でございます。
  42. 中谷元

    中谷委員 わかりました。  外務大臣にお伺いさせていただきますけれども、新しく連立政権が誕生いたしましたけれども、その政権のもとで在日米軍駐留に対するお考え、日米安保に関するお考えはいかにお考えなのでしょうか。  それと、せんだってAPECの会議にも出席されましたけれども、シアトルでAPECの総会が行われましたけれども、我が国として経済の枠組みをさらに発展させ、地域平和の安定のために、CSCE的なアジアの安全保障の枠組みに向けて今後積極的に役割を果たすべきだというふうに考えておりますが、このアジアの安全保障についてどのように御認識をされているのか、二つの点についてお伺いいたします。
  43. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  まず第一の問題でございますけれども、在日米軍でありますけれども、これは我が国の安全及び極東の平和と安全、このために我が国に駐留しておるということであります。  冷戦の終結後も、国際社会というのは依然として不安定要因を内包しておるというふうに思っております。このような中で我が国が引き続き安全を確保していくためには、米軍の我が国における駐留、これに伴う日米安保体制、これは不可欠であろうと私ども考えております。また、このような日米安保体制は、アジア・太平洋地域における安定要因として米国の存在を確保してこの地域における平和と繁栄を促進するためにも不可欠である、こういった思いというのはアジアの各国にもあるということであります。  我が国といたしましては、このような意義を有します日米安保体制、これはまだ堅持しなければならない。そして、米軍の我が国におけるいわゆる駐留経費、こういったものの支援というものを含めまして、その円滑な運用のために我々はまだ努力をする必要があろうというふうに考えております。  それから、アジアの安保の枠組みづくりについてのお話があったわけでありますけれども、確かにAPECの中のいろいろな会議の中で、こういった問題がいろいろな方からお話があったということはあったと思います。そういう中にありまして、今、CSCEのちょうどヨーロッパと同じような欧州安保的なものをこのアジアの地域にもつくるべきじゃないかというお話があった。  この議論というのは確かにいろいろなところであることは私ども承知しておりますけれども、ただ問題は、やはりこのアジアというのはヨーロッパとは大分違うということがあろうというふうに思っておりますので、直ちにCSCEのようなものを今ここで構築する、あるいは枠組みをつくるということはまだ私は時期尚早であろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、朝鮮半島あるいはカンボジアなどの個々の紛争の問題、あるいは対立のおのおのの状況に応じた解決のための外交努力というもの、これは不可欠であろうと思います。また、域内各国の政策の透明性、これを深めまして、お互いの安心感を高めるための全域的な政治・安全保障対話というものは、これから促進といいますかそういったものを深めていく必要があろうと思っております。また、本当の安全を確保するためには、やはり経済発展の確保というものあるいは促進というものも、私どもは平和を維持するために、平和を確保するために必要なものであるということを、さらに思いを強くいたしておるところであります。  しかし、いずれにいたしましても、本年の七月に、我が国やアメリカも含まれるASEAN拡大外相会議、ここの参加国にロシアですとかあるいは中国、ベトナム、パプアニューギニア、あるいはラオスとを加えまして、ASEAN地域のフォーラム、こういったものが合意されておりまして、こういったところでアジアあるいは太平洋地域の安全についての議論というものを深めていく必要があろうというふうに考えております。
  44. 中谷元

    中谷委員 そこで、基本的に在日米軍等のお考 えを聞かせていただきましたけれども、この在日米軍基地提供予算ですね。これは実際は日本の防衛予算に含まれているわけでありますが、財政事情で隊員の訓練の実施とか修理の費用とか、いろいろな処遇を抑えてまでも防衛予算のやりくりに非常に苦労をしている一方、在日米軍駐留特別協定による負担増が二百五十九億円増になっておりまして、非常に米軍の協力費が伸びた分、自衛隊の整備の予算が圧縮されているという現状がございます。  特に、横田、三沢、沖縄等における整備の状況を見てみますと、外側ですけれども、米兵が住んでおります官舎とか宿舎、これらは自衛官自衛隊の官舎、宿舎、部内施設に比べて非常に立派でございまして、これを見まして非常に自衛隊員も士気を失う、そして一人の日本人としても非常に驚きを持って見るわけでございますが、今後こういった米軍に対して重視を引き続きしていくのか、それともこの米軍の比率を抑えて自衛隊の整備の比率を大きくしていくのか、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  45. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず、基本的に東西冷戦というものが終わったという中にありまして、国際社会の中にあっては、やはり軍縮というもの、あるいは武器の移転等についてもきちんと管理するというような方向というものは実際に起こってきているということがあろうと思います。  ただ、先ほどお話がありましたように、また私からも申し上げましたように、我が国を含みますこの太平洋地域、こういった中にあって、まだ地政学的な環境の複雑さもあるということ、そして一定の好ましい動きが見られるものの、やはり冷戦終結の影響というものはヨーロッパほど大きくないというふうな認識をいたします。まだ不安定要因というのがあるし、またこの周辺諸国の中には軍の近代化の動きもあるということがあろうと思っております。  その意味で、やはり国際的な一つの軍備管理あるいは軍縮等、こういったものについて我々としても努力していく一方では、やはりみずから適切な規模の防衛力というものを整備していくということは大事であろうというふうに思っております。  そして、今お話がありましたのは、日本に駐留する米軍に対する駐留費、こういったものと自衛隊防衛費、こういったものについてどう考えるのかという御指摘だろうと思いますけれども、これはもう基本的にはやはり双方がきちんと連携することが、バランスがとれるということが非常に大事なことでありまして、私どもはそういう中でやはり適切な対応というものが、これは一般論でありますけれども、適切な対応というものが必要であろうというふうに考えております。バランスのとれたものにしていく必要があろうというふうに申し上げたいと存じます。
  46. 中谷元

    中谷委員 最後に、防衛庁にお伺いをいたします。  報道によりますと、防衛庁は近く国連へ防衛庁の文官を派遣する決定を行ったそうでありますが、カンボジア等での教訓を踏まえ、国連本部で軍事関係の情報入手等を行う必要もあるわけでありまして、こういう情報入手を行うのであれば、まず文官ではなくて武官、制服自衛官派遣するのが適当であると考えますけれども、まず、文官を派遣した理由につきましてお願いします。
  47. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 従来から防衛庁では、防衛行政の円滑化、軍事情報の収集などの観点から、それぞれの派遣先の状況に応じまして、防衛庁の要員を在外公館に派遣してきております。現在進んでおります国際情勢の変化などを踏まえまして、外務省とも協議して派遣先国の見直しなどを行っておりますが、御指摘のございましたように、国連代表部に防衛庁の要員を派遣するということで、六年度当初から文官一名を派遣することとしております。  これは、国連が国際の平和及び安全を維持する機能を従来以上に果たし始めているという認識に基づいております。このような国連の動向に的確に対応する、そういう趣旨でありますが、国連の平和維持活動に関する情報収集という観点のみにとどまりません。安全保障理事会の動向、それから軍備管理・軍縮への取り組みなどを念頭に置いておるものでありますが、この中でまず文官について派遣することを決めましたのは、政策的な枠組み、そういうものについて通じている者を第一に派遣したいということで関係省庁との合意に至ったものであります。  もう一つ防衛駐在官、すなわちユニホームを国連代表部に派遣することについては、これからの国連の動向、国連代表部の活動状況など、派遣した経験を踏まえながら、今後外務省など関係省庁と協議して、防衛駐在官の派遣先国の見直しなど、そういう全般の中で検討してまいりたいと考えているところでございます。
  48. 中谷元

    中谷委員 ただいまのお話にもありましたし、また防衛庁長官先ほどお話のとおり、国際情勢は非常に流動化をしているという中にあって、最近我が国の防衛力につきましては、冷戦が崩壊したということで防衛力を削減すべきという議論が聞かれますけれども、そもそも現在の我が国の防衛力は基盤的なものでありますので、こういった短期的傾向や風潮に流されて軍縮に乗ることは非常に危険ではないかということを言いまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  49. 大出俊

    ○大出委員長代理 次に、三原朝彦君。
  50. 三原朝彦

    ○三原委員 何かここに立って質問するのはいわく言いがたい心境なのでありますが、実は自民党さんが出されている案に、私は五カ月前まではそっち側にいて賛成で大いに努力した経緯もありますので。しかしながら、新しい政治を求めて一方の側に移ってその中で模索をしておるという状況ですから、今般は政府案を出された連立与党の枠内での我々はできる限りの賛成をして、今回の政府案に対して何とか成就させなければならない、そんな気持ちできょうはここに立っておるような次第であります。  私が理解するところでは、今輸送手段の問題で、この決め方、大いに問題があっているようですけれども、つまり自民党政府案輸送手段に関する差異というのは、基本的には救出に使用するための機種を限定というような感じが問題であると理解しておりますし、またそういうことを限定することによって、またしないことによって、いろいろ議論もあってきましたけれども、ロングレンジであるとかそうでないとか、また滑走路がよりラフであるとかそうでないとか、そういうところからも問題がいろいろあるのでしょうが、機種を限定するしないというような状況によってどのような問題が生じるか、その点をちょっともう一度把握したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  51. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 在外邦人等輸送自衛隊機を使用し得るようにするための法改正というのは、御承知のところでありますが、政府専用機を平成四年四月に防衛庁に移管されたことを契機として生じたものでございます。  在外邦人の具体的な輸送経験にかんがみましても、航続距離、搭載能力、それから巡航速度などを踏まえますと、主として政府専用機、747というものが使用されることは考えられます。こういうことで政府専用機の位置づけを、法文上原則とすることを明記したものでありますが、しかし他方で、二機しか保有しておりません。現在二機でありますが、これが他の目的で使用されている場合、あるいは使用の予定があるような場合には在外邦人等輸送できないというようなことでは極めて不適当であるということから、緊急時における在外邦人等輸送を一層適時適切に行うという立法趣旨に照らしまして、その時点において国が保有する能力を臨機応変に活用し得るようにという趣旨も踏まえまして、輸送機、いわゆる輸送機を使えるようにただし書きで記述したところでございます。  これを理論的にどうかということでありますと、輸送機に限定するあるいは政府専用機を原則 とするということで限定したことに伴いまして、一層適時適切に行うという趣旨を若干落としたという感じをお受けになるかと思われますけれども、実態の運用ということでありますれば、747あるいはC130というものを利用できることは明確でありますので、実態上の支障があるというのは今考えなくてよろしいのではないかというふうに理解しているところでございます。
  52. 三原朝彦

    ○三原委員 実は私は北九州の人間ですが、北九州からこのごろ例えば韓国の済州島あたりに観光に行く人がたくさんいるのですね、ゴルフしに行く、のんびりと数日を過ごすというようなことで。例えばですよ、奥尻島じゃありませんけれども、ああいう災害が、例えば地震が起こったとか何かであったような状況のときには、済州島にも立派な飛行場があるのですが、それも使えないような状況だとしたとして、そしてまた韓国政府が、例えば日本人の観光客の人たちがけがされた、もしくは言葉もよくわからない、じゃ早く九州の方の病院に送るべきだ、手も足りないから自衛隊さんちょっとヘリコプターで飛ばして、もしヘリコプターの飛行距離がなければだめでしょうが、あったとして、バートルかなんかで飛ばして連れてきてくれないか。  そういう状況も、例えば内紛とか騒乱とかそういうことじゃなくても、そういう状況も全く万が一考えられなくもないと思うのですが、そういうときには、輸送機といえば、前もって聞いてみましたらヘリコプターも輸送機ですからいいですよということだったのですが、そういう状況の臨機応変のときにはどうでしょうね。
  53. 村田直昭

    村田(直)政府委員 今先生が仮説になられました問題でございますが、例えばそういう災害等によってけが人が出たというような事態においては、国際緊急援助活動というようなことが行われることも予想されます。その場合の輸送手段としては、やはり政府専用機というような大型機がおりられないような場合はC130、これは物を運んでいくこともできるわけでございますからC130輸送機考えられます。またその際には、邦人等を乗せてくるというようなときには、滑走路状況によりますが、法案からいくと原則として政府専用機でございますが、C130等も使えるんではなかろうか。  ただ、今申しました中でヘリコプターの使用についてどうかという御質問でございますけれども、ヘリコプターにつきましては、航続距離とか搭載能力が極めて制約されておりますので原則として想定しにくいということでございますが、非常に近距離だとか極めて少人数という場合にこれが全く排除されるというわけではないと考えております。
  54. 三原朝彦

    ○三原委員 もちろん自衛隊にそういう能力がないのですが、例えばバングラデシュでサイクロンがあって、チッタゴンですね、バングラデシュの東海岸のあたりがもうすごいダメージをサイクロンで受けて、そのときちょうど湾岸戦争から帰りかけのアメリカの揚陸艦ですかね、ちょうど通りかかって、医療施設も万全であるからといって、沖合に泊まってヘリコプターで行き来してすごい援助をした経緯があったものですから、ヘリコプターの活用、有用な利用法というのも念頭にあれば、いざというときには私はまた大いに役立つんじゃないかな、こう思ったような次第なんで、ちょっと聞いてみたわけなんであります。  そうなりますと、政府専用機が主だといっても、今局長が言われたように、あとはカンボジアの支援に週に一度飛ばしておったC130とか、あとジェット機、余り遠くにも飛べないし荷物もたくさん積めませんけれどもC1とかYS11とかありますが、そういったぐいのものも、やはり臨機応変にはもちろん使う可能性はあるということですね。
  55. 村田直昭

    村田(直)政府委員 おっしゃるとおり、原則としてまず政府専用機について検討いたしますが、その上で、空港状況でありますとかあるいは滑走路状況でありますとか、そういう状況を踏まえた上で、最適なものをいろいろ次に選んでいくということになろうかと思います。
  56. 三原朝彦

    ○三原委員 今言われたような、政府専用機を基礎にしていろいろなことを考えられる、こういうことになるのですが、しかしながら、最も適当な、適合したということになりますと、政府専用機があるからそれを大いに使って邦人救出ということになったのでしょうけれども、もっと航空機輸送機あたりで適当な、適切なというような機種、そういうのは、今我々持っているようなもの、C130、それとあとボーイングの747というのがありますけれども、それ以外のものでもさらに適当だというようなものというのはやはり考えられないのでしょうか。そこのところをちょっとお聞きしたいと思います。
  57. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、自衛隊輸送機の主なものとしましては、ボーイング747政府専用機、C130H、C1、YS11等、先生が挙げられるとおりでございまして、それぞれ離陸距離でありますとか着陸距離、それから速度、輸送人員というような特徴を持っておりますので、そういう意味では最適な手段というものをいろいろな組み合わせとして選ぶということが当然運用として考えられます。  その場合でも、例えば政府専用機が量的に二機でございますから、他の用途に振り向けられているというようなこととかいろいろなケース考えられますが、そういうことも含めて、その時点で原則を原則として最適なものを選んでいくということになるんじゃないかと思います。
  58. 三原朝彦

    ○三原委員 私が常識的に考えると、そういうことであるならば、やはり我々は大いにそのことをこれから先具体化していく。国民の危惧といいますかそういうあたりは、今の短い時間の意見のやりとりだけで考えてみましても、危惧というものはほとんど持つような余地もない。それから考えると、私たちは今言われた政府案が出しておられるような範畴での、邦人救出するためのこれからの役割というものに関しては、何とかしてこの機会に努力をしてみんなの理解を得て、これは実際問題として施行されるように働きかけなければならないと思うところであります。  そのことによって、例えば今中谷委員が言われたような心配といいますか、じゃ行って邦人救出しましょう、お手伝いしましょうという人たち自身がちゅうちょ、ためらいがあるような感じで行くというのは、我々法をつくる側としては本当に申しわけないと思いますけれども、今までの意見の交換なんかを見ていますと、私は何とか、行ってくれる自衛官の側も、そしてまた国民理解の線まできておるのじゃないか、そんな気もするわけでもあります。  まあ言葉の中では、安全なところだから行くのだと言うと、いや、安全ならだれでも行くのじゃないかというようなこと、また議論が出てくるのかもわかりませんけれども、少なくとも向こうの、外国の方がちゃんと、よろしいよ、邦人救出最大限のお手伝いもしますから来てお連れになってくださいというような状況という場面があるならば、今言われた政府専用機、またはそうでないときにはC130あたり、ある程度のロングレンジのものあたりも使ってやることに大いに我々は一歩進めて、それもこの自衛隊の職員の中に入れるべきだと私は考えておるところでもあります。  ですから、何とか我々、政府側でもこれからも大いに努力して、もう最終段階になっていると思いますから、その面に関しても努力してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 羽田孜

    羽田国務大臣 今三原委員の方から御指摘のございましたとおり、やはり国民のより多くの合意を必要とする、これを得るために努力をすべきであろうというふうに思っております。  私どもはそういった意味で、これまでの前回の国会でもありますし、またそういったものを審議あるいは政府与党内部でも十分な意見調整、これを通じまして、在外邦人等輸送自衛隊航空機を使用することについての議論を行った上 で、再提出をさせていただいたということであります。  政府提出改正案は、生命等の危険が差し迫っている在外邦人をより一層適時適切に救出する、輸送するためでございまして、まあ自民党御提案の改正案と、その考え方においては基本的には異なるものではないと認識しております。したがって、海外の邦人保護を所管する私どもといたしましては、やはり自衛隊航空機の使用が一刻も早く可能となるように、政府提案改正案、これを速やかに御可決いただきますように、委員の皆様方の御理解をいただきたいというふうに考える次第であります。
  60. 三原朝彦

    ○三原委員 自民党の提案者の一人の鈴木委員も今戻ってこられましたけれども、でき得べくんば、何とか話し合いのうちに、我々はこの法案を何とか通していただきたいと思っておる次第であります。  ところで、ちょっとだけ話は変わりますが、先ほども最後の方で中谷委員質問されていたこと、私も大いに興味がありますので羽田大臣にお尋ねしたいのですが、羽田大臣、APECに行かれたわけです。APECの模様あたり、僕らも新聞では見ましたけれども、その中で私自身が大いに興味があるというか、これから先どうなるだろうかと心配しておることは、やはり朝鮮半島の、北朝鮮の核の査察の問題ですね。そのことに関しては、外国の要人と羽田大臣は何か意見交換みたいなものをなさいましたか。     〔大出委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御質問の点につきましては、今度のAPECの会議というだけではなくて、来日されるそれぞれの皆様とも今日までお話を申し上げております。  私どもといたしましては、北朝鮮、ここにおける、核兵器がつくられておるのじゃなかろうか、この疑惑というもの、こういったものをやはり解消するために、IAEA、ここの査察というものをぜひ受けてほしいということ、そしてもう一つは、やはり南北が本当に対話をしてもらいたい、そして核というものを持たないのだということの宣言というものを、南北でしてもらうということが大事なのではないのかということであります。  ただ、この問題につきまして、時間が経過してまいりますと、核兵器に要しますウラン等が蓄積されるのじゃなかろうかというような話、あるいはこれをつくり上げるための時間稼ぎをやっているのじゃないのかなんという思いを持つ方々も実はある、あるいはそんな情報もあるということであります。  しかし、私どもといたしましては、やはり北朝鮮と率直な話し合いというものをすると同時に、先ほど申し上げたものに対して北朝鮮もやはり受け入れてもらって、話し合いによってこれを解決することが大事であろうということで、米国に対しましても、粘り強いやはり対話というものをぜひともしてほしいということ、それからいろいろな関係のある国の皆様方に対しましても、やはり率直に南北で話をしてもらいたいということ、そういう中でこれらの問題を解決できるようにということで、この問題について私ども話し合っておるということであります。
  62. 三原朝彦

    ○三原委員 これも僕ら新聞でしか読んでないのですが、アメリカや中国の首脳も、北朝鮮のこの核の問題に関してはもっといろいろな意味で影響力を使って、彼らは核査察を認めさせて、そしてそういう冒険主義的なことをやらないように意見交換もして、協力してやりましょうということを話をしたということが書いてあるのですが、東アジアの安全なんかを考えましても、冷戦構造が終わったといっても、一番予期しがたい、予想しがたい不安要因というのは、僕はやはり北朝鮮のこの考え、行動だと思うのですね。  ですから、そうなると、やはり我が国ができるのは、アメリカの、あれは議会でしたか、日本から円とかドルとか、ハードカレンシーが六百億円ほど行っているのを、それをとめればいいとかなんとかいう話も何か出たようなことも、これもまた新聞に載っておりましたが、いろいろな方法があると思うのですね。北朝鮮がそういう不安要因を少しずつでも除去する方法に、日本、中国、同胞である韓国、アメリカあたりがやらなきゃいけない。  それに加えて、私が思ったのは、APECに参加しておる他のアジアの国々もそういったぐいのことが、温度差はあっても、今どんどん安定化しようとしておるアジア・太平洋岸の国々の中で、あの国だけがちょっと疑問視されざるを得ないような状況だということなものですから、最初に羽田大臣に、外国の要人でも、そういう今言った大国でないところとも話をされましたかということを私はお聞きしたようなことで、日本あたりは近い国でもあり、ノドンで五百キロぐらい飛ばして実験してみたなんということもあってみたり、なおかつ、また我が国だけが唯一の被爆体験を持つような国ですから、国民の不安というのは他のところよりもやはり強いと思うのですよ。  だからこそ、私もこうやって質問もさせていただいておるわけですけれども、でき得べくんばこれからも、今申し上げたような近隣の、中国やそしてまたロシア、韓国、我が国、アメリカ、そしてまたアジアの国々あたりが、何とかいろいろな手だてでもって北朝鮮に対して、私は、いろいろな意味での冒険を行うようなことをやめて、より平和な開かれた国家になるようにやる努力をしなければならないと思うんですが、最後にその点をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御懸念がありましたとおりでありまして、その懸念を払拭するために、いろいろな国が率直に北朝鮮に対して語りかけていくことが大事であろうというふうに思っておりまして、今御指摘のあった国々だけではなくてやはりアジアのそういった関係のある国がございます。こういったところからも、国際的にどんなふうに今、北の状況について見ているんだということ、これを率直に話しかけてほしいということ、それで我々も努力をしなければいけないということだろう。  そして、北朝鮮をこの東アジアの中にあって一つだけ孤立化させていくということはいいことじゃない。国際社会でお互いに話し合い、またあるときには協力する、そういったことによって経済も高まっていくこと、これもやはり必要なことなんでしょう。  ですから、そういう努力というものを我々は徹底してやっていくことが大事であろうということでありまして、今、実は制裁とかいろいろな話もあるわけでありますけれども、できるだけ我々は対話によってこういった疑念というものを払拭するために、そしてともどもに平和をつくり出すために協力できる体制というものをつくり上げていくことが大事であろうと認識しながら、これから対応していきたいというふうに思っております。
  64. 三原朝彦

    ○三原委員 ありがとうございました。
  65. 近藤豊

    近藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  66. 近藤豊

    近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大出俊君。
  67. 大出俊

    ○大出委員 非常に短い時間でございまして、きょうは自民党の山崎拓先生おいでになりませんので、この間山崎さんの答弁を聞いておりまして三、四承りたいことがございますが、そういう意味で時間は残しましたから、山崎さんがお出かけのときに改めて自民党さんの案については質問をさせていただきたいと存じます。  それで、政府案、これはまあ私は一生懸命皆さんと話して結果的にまとめたわけでございまして、そういう意味で余り質問しても意味がない気がするのでありますが、時間があれば二、三点、要点だけ後から聞いておきたいと存じます。  その前に、この委員会で、十八日あるいはきょ う、中西防衛庁長官から、ちょっと聞き捨てならぬ、こう申し上げたいのですが、御答弁が重なっておりますので、これは一つの、この国会における、衆議院における長い議論の経過もありまして、政府見解の明確になっておるところでございまして、これと違ったことを簡単に雑談のごとく言われるというのは非常に迷惑でありまして、そういう点はきちっとしておいていただいて、個人意見を何遍もおっしゃるというのならば、その個人意見政府意見になるように、ひとつ内部できちっと御議論をいただいた上でお話しいただきたいな、こう思います。  そこで申し上げますが、これは十八日の中西さんの、防衛庁長官答弁を、議事録を起こしたものでございますが、質問者は、防衛庁として、今後の国連平和維持活動への参加についての基本的な考え方、また近年、ガリ事務総長等から平和執行部隊などの提案もされておりますが、それらへの参加も含めまして、国連による平和活動全般に対しまして、防衛庁の取り組みの基本的な考え方を承りたい、こういうことでございます。  これに対しまして、中西さんの答弁というのは、おっしゃるように、本当に国際平和維持活動というのはこれから大変にふえるであろう、これはいいか悪いかわかりませんが、需要に対して供給がなかなか追いつかない、そういう現況にあることも事実がなというふうに思う、そして、国連が唯一の平和機関だから、そういう国連に、まず常任理事国にならなければいけないという答弁をなさっておいでになる。推されてあるいはなるべきものだと思うけれども、しかし、英国やフランスや中国など三カ国合わせたよりも余計日本は金を出しているのだから、そういう意味で、発言権を得、情報も得なければならぬということになると、推されてなるべきだとは思うけれども、やはり日本が国連の中心に座らなければだめなんだ、こういう答弁をまずなさいました。  さて、その後に、憲法九条では、それは確かに国権の発動としての武力活動、これはもう当然やってはいけないことでありますし、禁止されておりますというふうにお断りになってはおりますけれども、日本の意思でそういう武力行動を行うというのは御法度で、禁止されているんだけれども、私は、国連の指揮のもとに、それぞれの国々と同じレベルで平和維持のための活動をしていくことは憲法違反にはならない、そう考えておる一人でございますので、つまり、憲法九条はあるけれども、国連の指揮のもとに武力行動を行うということになると、それは憲法違反じゃないんだ、こういう答弁でございます。  これは絡んでおりまして、国連の常任理事国になる、責任と義務がある、国際的にいろいろな紛争が起こる、それをみんなで鎮圧し片づけなければならない、となるとそこに、国連の指揮下で日本も武力行使をしなければならないんだという答弁になっているわけでありまして、これは、私は個人の意見で済ませられる筋合いではない。このくだりは個人と断っていない。  そういう意味で、一遍中西さんに、このくだり、私は議事録を起こして読んでおりますが、ちょっと略してはおりますけれども、お答えいただきたい。こういうことのお考えなので、これは個人意見なんですか、それとも長官としての御意見でございましょうか。
  68. 中西啓介

    中西国務大臣 私は、これからどのような環境変化が起こっていくかということは、なかなか想定はできにくいと思うのですね。さっきも午前中の答弁でも申し上げましたように、今まで自衛隊そのものが海外に出ていくというような概念といいますか想定というのは、ほとんどの人がなさっておられなかったのだろうと思うのですね。  しかし、現実の問題として、自衛隊がもうカンボジアに行って大変な成果をおさめて、国内外から評価を受けたことも事実でありますし、過日NHKの調査を見ましても、そういう災害の……(大出委員「まず焦点を答えてくださいよ、時間がないから」と呼ぶ)救助等も含めてですね、そのPKOの活動も踏まえて、自衛隊に対する心証というものは非常によくなってきていることも客観的に事実だと思うのです。  そんなふうに大きく変化をしてきているわけでございますから、私は、防衛庁長官に就任早々に、いわゆるこれからの国際社会の中で日本が生き抜いていくための一つの有力な手段として、やはりPKO活動というものは度外視できない。ですから、自衛隊法あるいは憲法が制定された当時、PKOということを想定した人はだれもいなかった。だから、そういう想定は自衛隊法にも憲法にも定められていない。だけれども、日本が生きていくためにはPKO活動というのは不可欠なアクションであるということであるとするならば、私はやはりPKOというものを自衛隊の本来任務の範畴の中に加えるべきだ、それは議論をしていただきたい、こういうことも申し上げてきたわけです。  仮にそんなふうになったとします。そしていよいよ国連五十周年も迎える。国連の存在価値も変わってくる。また、国連のルールもこれから検討されていくことになるわけですから、さっきも申し上げましたように、日本の防衛上、もちろん最小限度の防衛力の整備プラス日米安保体制ということによって日本の平和が保たれてきた。二本柱であった。しかし、これからは国連という大きな三本柱もできる可能性が非常に高まってきたという認識が私の認識なのです。  ですから、そこに参加する場合も、別にミサイルを持っていってとか、攻撃型の兵器を持っていって云々ということは、私は決して申し上げているのではありませんで、要するにあくまでも平和的なニュアンスの中で他の国々と一緒に平和維持活動にいそしむということは当然あってしかるべきだ。その中で、相手から攻撃を受けるというようなことも大いに考えられるわけですから、そのときに防御するという観点の武力行使は憲法違反には当たらない、そういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  69. 大出俊

    ○大出委員 三十分しかなくて、五分は楢崎君がやるので一あなたが一人で七分もしゃべったの一じゃ、演説を聞いているのじゃないのだから。  私が聞いているのは、憲法九条で武力行使が禁止されている、これは前置きにされている。そこで、議事録には、国連の指揮のもとに行われる武力行使は憲法九条違反ではないのだと述べておいでになる。これはあなた個人の見解か防衛庁長官としての見解かと聞いている。
  70. 中西啓介

    中西国務大臣 防衛庁長官の以前に政治家としての私があるわけでございますから、政治家個人としての見解を申し上げたつもりでございます。
  71. 大出俊

    ○大出委員 十分ぐらいたってようやく個人の見解というお話が出てまいりましたが、私は野党じゃないので、気をつけて聞いてはいるのですよ。  そこで、ちょっと官房長官に承りたいのですけれども、この個人の意見で、国連の指揮下における武力行使は憲法九条違反じゃない、政府はそういうことでございますか。武村さんどうですか、そこのところは。
  72. 武村正義

    ○武村国務大臣 政府としてはそういう見解に至っておりません。
  73. 大出俊

    ○大出委員 それでは、どういう見解なのですか。
  74. 武村正義

    ○武村国務大臣 今までの政府においてお答えをしてきたことを踏まえていきたいと思っております。  要約いたしますと、国連がPKO活動として編成をした組織については、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば、我が国としてこれに参加することは憲法上許されないという解釈に立っております。これを変更する考えはありません。
  75. 大出俊

    ○大出委員 それでは、念のために申し上げますが、これはずっと歴史があるのでありますけれども、平成二年十月二十六日、中山外務大臣答弁ということで統一見解が出ているのですね。「いわゆる国連軍への平和協力隊の参加と協力についての政府統一見解」  この国連軍というのは非常に幅の広い意味の国 連軍でありまして、「いわゆる「国連軍」に対する関与のあり方としては、「参加」と「協力」とが考えられる。」「昭和五十五年十月二十八日付政府答弁書にいう「参加」とはここの昭和五十五年十月二十八日の政府答弁書というのは、我が党の稲葉誠一さんの質問主意書に基づく答弁でありまして、武力行使を目的とする場合は参加できない、こういうことなのです。  したがって、「「参加」とは、当該「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動するととを意味し、平和協力隊が当該「国連軍」に参加することは、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が当該「国連軍」に参加する場合と同様、」協力隊も自衛隊と同様、「自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。」以下二項あるのでありますが、国連軍の指揮ということになると明確にこれは参加なのでありまして、協力じゃないのであります。  そこで、「これに対し、「協力」とは、「国連軍」に対する右の「参加」を含む広い意味での関与形態を表すものであり、当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援をも含む」、これが協力だというわけですね。だから、協力の場合は、国連軍に武力行使の任務があっても、それに至らない形の協力をするのだから憲法違反にならないという統一見解を出しておられる。だから、PKO法案というのも協力法案になっている。参加ではない。  これは明確なので、もう一遍官房長官に御答弁いただきたいのと、当時の統一見解で政府は参りますということであるのかどうか。そして、そうだとすれば、国連の指揮下で行われる武力行使であれば九条違反ではないという個人意見を繰り返し御答弁いただくことは迷惑なので、閣僚でございますから、しかも防衛庁長官でいらっしゃいますから、だから、そこのところをあわせて官房長官に、おとりまとめをいただいている立場で、新聞は見ておりますけれども、直接議事録に残されなければいけませんので、ひとつお答えをいただきます。
  76. 武村正義

    ○武村国務大臣 閣僚の一員として、日ごろ中西防衛庁長官安全保障にかける御熱意には大変敬意を表している一人でありますが、先般この発言がございまして、その後閣議でいろいろ話し合いもございまして、先ほどお読みを申し上げました統一見解でこれからもいこう、中西長官御自身もそれは当然であるということで、全員が意思を統一することができたわけであります。  でありますから、個人的な御見解は御見解として、政府としては先ほど申し上げた、これはさかのぽれば昭和五十五年十月二十八日付の答弁書、今御指摘のこの答弁書の文章でございますし、また、参加、協力の定義も今お話のあったとおりでございまして、その見解をしっかり踏まえてこれからもやらせていただきたいというふうに思っております。
  77. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ。  これはPKOの武器使用に関する中西さんの記者会見その他いろいろございまして、つまりこれは、ほかの国がやっているように司令官、指揮官がいて、発砲しろとかなんとかという命令を行わせるべきものであって、例の協力隊法の審議に当たりましては、刑法上の正当防衛なり緊急避難なりというところで武器使用の主体を個人にしておいでになる、隊員にしておいでになるわけでありまして、時にこれを束ねて、こういうことになっているわけでございます。  したがいまして、ここのところも長官一つ憲法九条というのはございまして、他国と違うといってもこの国の憲法でございまして、長官のような言い方をすると、今までの議事録を見ましても、九条に抵触をすることになる。これも個人見解であるならあるとおっしゃっていただいて、長官がそうお考えであるとするならば、防衛庁内部なり政府内部なりを長官のお考えでこうだというふうに内部でお話しいただければいいのですけれども、表へ出しての御答弁は極めて迷惑でございますので、今の点も長官の個人の御見解であればあるというふうにお答えをいただきたいのでありますけれども、いかがでございますか。
  78. 中西啓介

    中西国務大臣 繰り返し申し上げているわけでありますが、私は今早急に改めるべきだとは申しておりません。将来の問題として、今抱えているそのテーマが一応見通しがついた段階で徹底的に掘り下げて議論をしてみる価値はあるのではないか、こういうふうなことを政治家個人としての見解として申し上げているわけでございます。
  79. 大出俊

    ○大出委員 あくまでも個人見解である。官房長官、今の点は個人見解に重なるのですけれども、ここもひとつ、武器使用のことも長官、一言、官房長官にお答えをいただきたいのですが。
  80. 中西啓介

    中西国務大臣 ちょっと言いそびれましたが、武器使用の問題は、帰ってきた隊員たちの報告の中に、個々隊員判断によって武器使用というような規定をされると大変不安であります、落ちつきません、絶えず緊張していなければなりません、こういう意見が結構多かったものですから、大体組織、部隊というのはそのいわゆる部隊長、長の判断、命令、指揮によって行われるのがこれは常識的な行われ方なんだろう、そういうふうに思っておるものですから、そういうふうな問題もあわせて、今のままでいいのかどうか掘り下げて検討していただきたいということを申し上げたまででございます。
  81. 大出俊

    ○大出委員 官房長官、今日ただいまのこの時点で、さきの国会、その前の国会議論もございまして、今ここで議事録もありますが読み上げませんが、これはタイムラグがありまして、後から石橋大吉君がまた細かく聞いておりまして、当時の畠山防衛局長からの答弁もございまして、あくまでも個人に属するものであって、したがって指揮官がこれをより慎重にという意味で束ねて行動するようにする、そのことが九条に沿うものだという答弁をしておられますので、これが一番最近の新しい答弁でございまして、これが政府見解でございますから、そこのところをひとつ官房長官、それでいいと私は思っているのですが、いかがでございますか。政府の御見解を聞いておきたい。
  82. 武村正義

    ○武村国務大臣 今の中西長官の、今回のカンボジアPKOの体験を踏まえた問題意識は、私も同感であります。  お尋ねの武器使用につきましては、自己または平和協力隊員生命等を守るために、やむを得ないときに個々判断で武器使用を認めている、この考え方を変えるつもりはありません。
  83. 大出俊

    ○大出委員 念のためにあわせて承ったわけでありますが、もう一つ、この中西さんの答弁の中で絡んでまいります国連の常任理事国入りという問題。  これは外務大臣に承りたいのですが、先般国連で細川総理が演説をされておいでになります。ここに簡単に焦点だけ要約しておりますけれども、細川首相は、憲法の枠内で責任を果たすという認識のもと、改革された国連においてなし得る限りの責任を果たす用意がある。改革された国連においてなし得る限りの責任を果たす用意がある。  一方で、外務省が平成五年七月の六日、安全保障理事会議席の衡平配分と拡大決議に関する我が国の意見というのを外務省として国連にお出しになっている。この中には、武力行使だ云々だなんということは金輪際書いてありませんけれども、改革された国連において、こういうことなんですけれども、ここのところを外務省の考え方羽田外務大臣から、これは総理の国連における演説も踏まえていただいて簡単にお答えをいただきたいのです。
  84. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  今回の総理の国連演説では、国連改革に関しまして、特に平和維持活動あるいは安保理の改組または行財政、この三つの分野で改革の必要性、これを指摘しております。その上で、改革された国連においてなし得る限りの責任を果たす用意がある、この旨を述べておるわけであります。  国連改革に関しましては、このようなさまざまな面での改革を念頭に置いておりまして、これら すべての国連改革がなされない限り日本は責任を果たさないというものではないということであります。改革が安保理常任理事国入りの前提条件ではないというのは、そうした趣旨を述べられたものであろうというふうに思っております。いずれにいたしましても、安保理事国入りにつきましては、繰り返し述べられておりますように、我が国としては推されれば常任理事国としての責任を果たす用意があるということであるわけでございます。  なお、御案内のとおり、この十一月の二十幾日ですか、もうそろそろ始まっておるわけでありますけれども、この改革についての議論が実はなされておりまして、こういった中で、我が国に対してもその責任を果たすべきであるという声なんかも相当大きく出ておるということであろうと思っております。  いずれにしましても、今国連に対する新しいニーズといいますか、こういったものが大変大きくあるということ、そして安全保障理事会というものは、この多くのいろいろな議論に対して大変大きな作用を果たすものであるということ、その辺あたりも認識しながら、新しい国連というものをきちんと機能させるためにそれぞれ役割を果たしていかなければならないのじゃなかろうか。日本に対してもその機能を果たすようにという要請というものも、相当強くあるということだけは率直に申し上げたいと存じます。
  85. 大出俊

    ○大出委員 これは安保理改革の作業グループ、二十三日にまとまったという案がありまして、どこの国も参加しようとすれば入れるということなんでありますけれども、これは来年の秋までに中間報告を出そうという進み方なんでありますけれども、時間の関係で、この外務省がお出しになった文書にもいろいろ疑問もあるのですけれども聞いている暇がありません。  一つだけ、中西長官がおっしゃっていたような、あの御発言、国連常任理事国入りとあわせておっしゃっているので、どうもPKFとの絡みなどなどが気になるわけでありますけれども、国連改革とは何をもって、つまり外務省としてはどこを、中心が何なんだ、日本の果たすべき責任というものは、つまりPKF等を含むのかどうか、ここのところだけはっきりしておいてください。
  86. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話のありました安保理事国入りということがすなわちPKFということではないというふうに理解をいたしております。  ともかく安保理事会につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に幅広い役割も果たしておるということでありますし、そして我が国としてこの憲法を守りながらやり得る仕事というのは十分実はあるというふうに私は認識をいたしております。
  87. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ時間も少なくなっておりますから、政府案、つまり自衛隊法改正政府案について、細かいことを申し上げずに一点だけ質問をしたいと思うのでありますが、一九七五年四月二十九日でございますね、例のサイゴンが陥落をした。グエン・カオ・キ政権のときでございます。このときに、ここに議事録がございますけれども、宮澤さんでございますが、外務大臣でいらっしゃった。  七五年にサイゴンが陥落をするその前の晩に、フィリピンのマニラに日航機が行っていた。ところが、これはいろいろな周辺の事情があるのですが、予測に反してサイゴンが陥落までいってしまった。グエン・カオ・キ将軍が逃げてしまった。このときに、日航のパイロットの方ないしクルーの方がサイゴン行きを拒否をした。  ここに宮澤さんの答弁でございますが、平成五年四月二十七日の答弁でございますけれども、一九七五年に外務大臣として現実に体験したわけでございまして、非常にこれは苦しい体験だったという意味でございまして、だから今回はこの法案の御審議をお願いをする、こうなる。  そうすると、この答弁を正直に受け取れば、民間のパイロットやクルーの方が、身の危険があるから弾が飛び交う最後のサイゴン陥落の日、とても行けない。そこでつらい思いをしたから、だから今回はこの法案の御審議を、こうなると、民間の方が行ってくれなかったら自衛隊の皆さんに行ってもらおうということになるでしょう。どう読んでもそうなる。  私は、これはとるべき政府の立場でもなければ、間違いだと思っているのです。なぜかといいますと、それは日本の国がどこかから侵略されたというのであれば話は別です。三条に基づく自衛隊の本務だから。しかし、それに支障のないように、附帯業務として行うことになるであろうこの法律自衛隊の皆さんだって、家族もあれば御両親もいるわけでありまして、身の危険があって危ないから嫌だと言って行かない、民間のパイロットは行かない、クルーは行かない、だから自衛隊にという発想は、私は間違いだと思っているのですよ。自衛隊といえども、これはこういうところにはやるべきでない。  そこで、結果的にサイゴンは、米軍の飛行機に乗った方が多少おられて、残った人は、残留したんだが、一人のけが人もなければ一人の亡くなった人もないし、何の被害もない、こういう結果になっている。  ですから、そういう意味では、私は、そういう危険なところには、殊に迷彩を施した自衛隊機などが行くべき筋合いのものではなくて、百歩譲って認めるとしても、こういう危ないところには行かないんだと。進入路なり航空路なり、あるいは滑走路なり、あるいは飛行場なり、そういうところの安全が確保できるところに輸送のための自衛隊機派遣する、これが私は建前でなきゃならぬと思っておるのですよ、ここのところ。  そうしないと、だから、この本会議の一番最後のところで防衛庁長官が答えているのは、民間のパイロットが危ないから行かないなんというところに自衛隊飛行機は出しませんと、そっけなくぱんと答えているのですね。気持ちはわかるんです、自衛隊の皆さんの側の。ですから、そこで私は、やはり安全確認が欲しいという意味で、政府案に入れていただいたといういきさつがある。間違ってないと私は思っているのですよ。  この点、この邦人の安全を図る責任外務大臣にございますから、まずもって羽田さんに、こういうケース、こういうところには行くべきじゃない、私はそう思うのですが、その点の御同調を求めたいのですが、いかがでございますか。
  88. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず、この我々のお願いしております一番の趣旨というのは、騒乱ですとかあるいは災害、そういったときに邦人の方を安全に、やはり安全な場所に移転をさせるということが一番の目標でございます。そのためには、これを救済に行くための航空機というものは、民間の場合であろうと自衛隊の場合であろうと、やはり安全でなかったらこれは目的を連することができないということでございますから、私どもはよくその点を認識をしながら、よく安全を確認した上で対応をするということを申し上げておきたいと思います。
  89. 大出俊

    ○大出委員 残り五分ございますが、楢崎さんに関連質問のお願いをいたします。
  90. 近藤豊

    近藤委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、大出君の持ち時間の範囲内でこれを許します。楢崎弥之助君。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 与党として初めて質問をいたしますので、なれませんから、立場を超えないように気をつけながら質問をさせていただきます。  実は、防衛庁の中枢が六本木から市ヶ谷に移転する、そして市ヶ谷の実動部隊が分散する、その問題について質問をするわけですけれども、私のところに請願が来ております。  藤井治夫さん、これは軍事評論家ですね。小川和久さん、これは国際政治アナリスト。ほか、学者、文化人十八名の連名で来ておりますけれども、要点だけ申し上げますと、   防衛庁を六本木から市ヶ谷に移転させ、これにともない市ヶ谷の部隊を十条、目黒、朝霞、大宮に移すなど、関東各地の自衛隊基地を再編する大規模な計画が進行しています。数千億円 の所要資金は六本木の跡地を売却し、防衛費のワク外で、まかなうとされ、土地バブル絶頂の八七年八月に庁議決定されました。   市ヶ谷台には旧日本軍と戦争の歴史を刻んだ一号館(旧陸軍省等)と大本営陸軍部地下壕がありますが、防衛庁移転により全部取り壊されようとしています。また市街地間の再配置は、緑と環境の破壊をもたらします。   防衛中枢の移転という重大問題が、防衛力整備計画に取り上げられることもなく本格的な防衛研究もしないまま、突如として実施されることになったのです。しかも防衛庁の庁舎は新しく、まだ二五年以上五〇年も使えるのです。建て替えの必要はありません。   また国民共用の国有地を売却して中央省庁の庁舎を建て替えた例もありません。東京都庁移転をみても分かるように、跡地は公共のために利用するのが常識です。   私たちは防衛施設の建て替えや移転に反対するものではありませんが、不適切な計画は一日も早く修正するべきだと思います。こうありまして、具体的に四点指摘されておる。   一、私たちは、防衛庁移転・再配置事業の即時凍結と計画の見直しを求めます。   二、私たちは、歴史的建造物である市ヶ谷台一号館と大本営陸軍部地下壕の保存を求めます。   三、私たちは、過密化を促進する市ヶ谷台、十条、目黒などへの防衛施設再配置を取り止め、オープンスペースとして市民に開放することを求めます。   四、私たちは、防衛施設の地方移転にあたっては、軍縮の方向で、関係住民の同意を得て進めるよう求めます。こういう請願が来ております。  これについての見解を聞くわけですが、実はこの庁議決定をされた八七年八月、これは例のリクルート・スキャンダルが起こった前の年であります。そして、当委員会に現在所属されている元防衛庁長官の方はたくさんおられます。現防衛庁長官も、関係のないですね、関係のない前の防衛庁長官お二人が実はリクルートコスモスの未公開株を譲渡されたということが明らかになっております。そしてそのとき、この移転問題について、実はリクルート社がこの土地を買って、そしていろいろ問題のスーパーコンピューターを入れたりするという、そういう問題があって、港区の区議会でこれが当時問題にされたわけであります。  そういういわくつきの土地でありまして、この庁議決定自身に私は疑問を持っておりますが、今そのことは申し上げません。ただ、そういういわくつきの土地であるということはよく思い出していただきたい。  それで、この請願について、防衛施設庁長官の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  92. 萩次郎

    ○萩政府委員 この件は防衛施設庁の担当ではございませんので、私どもの方から概略申し上げます。  御質問がありましたように、昭和六十二年の八月の庁議で決定をされました防衛中枢組織移転計画、お話がありましたようにかなり大規模な移転計画でございます。既に六年がたっており、主な工事の六割以上が進捗をしておる状況でございますが、私ども当時の資料等当たっておりますが、そのような御質問のような関係があったという事実は私ども聞いておりません。  現在の計画がそのまま進みますれば、あと三、四年ぐらいで計画が終了するものというふうに考えております。
  93. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間が参りましたから終わりますけれども、そういうことは聞いておりませんとおっしゃるなら、あなただれか知りませんが、どなたですか、あなた。
  94. 近藤豊

    近藤委員長 新参事官です。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 とにかく港区の区議会の議事録を読んでごらんなさい。それならまた徹底的にやらなくちゃいけない、そういう無責任な知識であればですね。  私は、そのことはさておき、こういう問題の土地ですよということを申し上げたにすぎないのであって、今それを本格的に問題にしようとは思っていません。ただ、こういう請願が出ておることについて一顧だに値しないのか、それを問うておるわけでして、時間が参りましたからもう一遍答弁してください、そうしたらやめますから。
  96. 中西啓介

    中西国務大臣 今新参事官がお答えしたのは、港区の議会でそういう話があったということは多分知っているんだろうと思いますが、そういう事実があったかどうかは承知しておりません、そういう意味であったと思っておりますので、どうぞ誤解なきようにお願いできればありがたいと思います。  今楢崎先生の御質問の中に取り上げられたそういう請願書あるいはまた陳情は私のところにも来ておりまして、皆さんのおっしゃられる趣旨もよく理解いたしております。  過日参議院の決算委員会でも、とにかく、今度移転する市ヶ谷のちょうどど真ん中に二万六千平方メートルの巨大な建物が建っておるものですから、あれをそのまま残してということになりますと計画そのものが全く成り立たないという防衛庁の事務方の結論でございまして、しかし、そうはいうものの、そういう方々の御意向ももう一度何とかぎりぎりのところまで取り入れて、計画そのものをもう一度検討し直すことができないだろうかということで、今懸命の作業をいたしておりまして、何とか十二月初めぐらいには御報告できることになるのかな、今そんな状況でございます。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その検討の結果を期待して待っております。十分監視をさせていただきたいと思います。  終わります。
  98. 近藤豊

  99. 上田清司

    上田(清)委員 新生党の上田清司です。  まず、今回の法案についての私なりの基本的な認識ということについて申し述べさせていただきます。  現在海外在住の日本人は約六十万人。日本経済のいわば世界化ともいうべき状況の中で、活動領域は世界各地に及び、時には動乱の地にあることも予想されております。このような人々を救うことは、国があるいは政府が最善の努力を尽くすことが極めて大事だというふうに私は考えております。  こうした状況の中で、さきの湾岸戦争の中で、政府は帰国希望者の輸送民間航空会社に依頼したわけでございますが、結局民間機を飛ばすことができなかった。また、国連から難民の輸送協力も依頼されたわけですが、これも断らざるを得なかったわけでございます。  こういう状況の中で、今回自衛隊法の一部を改正する法律案について、今述べました趣旨を実現する意味でも大変意義の深いことではないか。もちろん民間機で十分だという意見もありますが、新しい意味でのオプションを提供するということにおいても、今回の法律案を成立させることに私は極めて賛成の意を表するものであります。  そこで、もとより現在の政権と前政権とは連続したものではありませんが、一応、前国会の際提出された政府案、現在の自民党案でございますが、政府案との違いというのでしょうか、内容、こうした背景について改めて御説明をいただければ大変ありがたいと思います。外務大臣あるいは長官にお願いいたします。
  100. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がありましたように、我が国の人たちが世界各地で大変数多くの方が活躍されておる。そういう皆様方が災害ですとかあるいは騒乱、そういう事態の中で、身の安全というのが確保されない、そういった皆様方を安全な場所に移転をさせる、やはりこれがこの法律の大きな目標であります。  ただ、そう申しましても、この皆様方を安全に輸送することが一番の目標であるということで、現地の安全等についてどういう状況にあるのか、こういったものをやはりきちんと把握しなければならないだろうと思います。そして、我が国としてそういったものに対しての対応ができるかどう かということ、こういったものについての考え方の基本は前回のものと変わらぬし、また、今自民党から提案されている考え方と基本的には変わりません。  ただ、私どもはそういったものについて必要があると認めましたときに、防衛庁長官と合議をするということが一つであり、また、そういったものに使用される航空機等につきまして、対応する機種というものをある程度限定していくというものであろうというふうに思っております。  基本的には変わっておらないというふうに思います。
  101. 上田清司

    上田(清)委員 外務大臣お話でわかりましたので、長官の方は結構だと思います。  続きまして、この政府案が成立することを前提に、十一月五日の閣議決定の中でこの法案の中身の運用について大変懇切に記されているわけでございますが、基本的に法律の条文というのはそれなりに解釈にグレーゾーンがございます。そういう意味で、そういうグレーゾーンを補う意味での閣議決定の運用についての規定というのを私は大変正しく評価していいのではないかなと思います。  ただ、中谷議員の御質問等にもありましたように、安全問題について若干すれ違いがあったような気が私はしておりますので、改めまして、中谷議員は全般的に安全を確保する基準とは何ぞやというような御質問であったのですが、政府の方の御答弁の中では、安全に行くための航路の問題であるとか、安全についての現地での判断であるとかそういう議論で、若干のすれ違いがあったように思いますので、改めて航空機派遣する場合の安全確保の条件ということについて、外務大臣、また長官に御意見を伺いたいところでございます。
  102. 羽田孜

    羽田国務大臣 輸送に当たりましては、もう今お話もございましたけれども派遣先国空港及び航空機飛行経路におきまして、派遣先国政府などの措置によって航空機等の安全が確保されていることが前提となっておるわけであります。  そのような前提のもとにおきまして、当該国の権限のある当局から領空通過及び着陸についての許可を取りつけることになります。さらに、個々緊急事態の態様に応じまして、現地の情勢及び見通しにつきまして最大限の情報収集と分析を行い、それらに基づきまして安全の確保を総合的に判断することになるということであります。
  103. 中西啓介

    中西国務大臣 上田さんがおっしゃられましたように、安全という定義というのは、なかなか定義づけるのは非常に難しいと思うのですね。ストライクゾーン、どこまでなのか。しかし、そこはもう外務大臣がチェックする、あるいは防衛庁長官がチェックする、さらにまた、大出先生が強調されておられるように、必要に応じて閣議を開いてそこでも入念にチェックをする。二重、三重にこの安全性確認するという意味では、より丁寧な内客の法律になったのかな、私はそういう認識でおります。
  104. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  私も基本的には一歩前進の法律ではないかと思いますが、今長官の言われましたような、必要に応じて閣議を行うといいますと、閣議を行わないでこういう救出機を出すということもあり得るということになるかと思います。やはりこの辺のグレーゾーン、大変あると思いますが、多少の基準なり、また方針なり、ございましたら、お伺いしたいものです。
  105. 中西啓介

    中西国務大臣 これも想定でございますから、具体的にまだ経験したわけでありませんけれども、災害あるいは騒乱の規模ですね、あるいはその救出を待っている現地の在留邦人の人数、それによって飛ばす機数も決まるわけですから、そういうようなときにはやはり閣議で決定をいただくというようなことになるのかな、そんなふうに想定いたしております。  全くとの角度から考えても安全だという場合はもちろん民間機が行ってくださるのでしょうが、例のサイゴンのときだって、本当は十分救出できたのだけれども、保険の問題とかなんとかで相当の時間が交渉にかかってしまってタイミングを逸したというようなケースもございます。ですから、そのケース・バイ・ケースによるのだろうと思いますが、今申し上げましたようなケースは閣議決定というようなことになるのだろうというふうに想像いたしております。
  106. 上田清司

    上田(清)委員 お話ではよくわかる部分があるのですが、もし可能であれば、今サイゴンの事例が出ましたが、過去の邦人救出の事例において、こういう場合が閣議で、こういう場合はむしろそうじゃないというようなことは可能でしょうか。大変難しいと思いますが。
  107. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 基本的には、この法律が成立した後、ケース・バイ・ケースでということになろうと思います。ケースを積み上げてまいりますと、類似のケースであれば二度かけなくてもいいというようなこともあろうかと思います。  慎重を期してこれから運用するというところまででございまして、過去のこのケースの場合にどうかということについては分析を行っておりません。
  108. 上田清司

    上田(清)委員 今のでよくわかりました。  確かに二度三度と繰り返す中でこういう中身もあるいは決定していくのかなというふうな感じもいたしますので、ぜひそうした中身を積み上げる中できっちりとした一つ基準なり明確な方針なりを今後つくっていただければ、大変国民にとってありがたい、あるいはまた、わかりやすい議論になるのではないかなというふうに私は思います。  続きまして、政府専用機の使用、いわば今回の政府案は、自民党案と違って、航空機に限定する、あるいは戦闘機の護衛はつけない、また武器の使用をしないと、極めてはっきりと、いわば救出に名をかりた軍事活動につながらないという、そういう意思を法文の中で明確に出したことは、我が国の平和憲法あるいはまた平和活動において国際貢献をするという意味で、さきの政府案あるいは現在の自民党案により一歩まさる考え方を示しているのではないかなと私は評価しております。  ところが、この救生活動が航空機だけに限定されているわけでございますが、天候、飛行場の状況に応じて――ルートが安全で受け入れ側の保障があっても、今言ったような、飛行場が破損しているとかあるいは天候が極めて悪いというようなときに、そうした航空機によるだけの邦人の救生活動が可能なのかどうかということについてこの法案では何も触れておりませんが、あるいは将来の考え方としても、艦艇を使って近くまで行くとか、あるいはその艦艇からヘリ等を飛ばすとか、この辺が軍事活動との関連の中で非常に誤解を受ける部分もありますが、こうした点について多分外務省あるいはまた防衛庁等で検討されたと思いますので、その辺の経緯についてもお伺いしたいというふうに思います。
  109. 村田直昭

    村田(直)政府委員 今回の法案は、政府専用機自衛隊に移管されたことに伴う措置として航空機を対象として規定したわけでございますが、輸送手段として航空機に限定して船舶を含めなかった理由について申し上げますと、今までこのような邦人救出という事態は多々あったわけでございますけれども一つには、その緊急事態に際しての輸送を極めて短時間のうちに適切に行う必要があるということで、時間的余裕ということから船が利用されたことがなかった、それから、緊急事態に際しての在外邦人輸送のため我が国政府が船舶をチャーターした例がなかった、こういうことから、今回の法案作成については航空機に限定したものでございます。  輸送手段に船舶を加えるか否かにつきましては、今後の具体的なニーズ等を踏まえてさらに検討する必要があろうかと考えております。
  110. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  私、ちょっと知識が足りなくて恐縮なんですが、政府専用機というのは、総理府から防衛庁に移管されたということですので、これは基本的に軍用機としてとらえてよろしいのでしょうか。
  111. 村田直昭

    村田(直)政府委員 これは、国の使用に供する航空機ということで、軍用機ということに扱われることとなります。
  112. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。  としますと、武器なく護衛なくということを強力にアピールすることがより一層必要になるかと思いますが、当然、戦乱地域あるいは動乱地域、こうした地域において政府専用機を救生活動に使うということに関してあるいは誤解を受けるという部分もありますので、誤解を受けるというのは、一方に加担するような形の中で何か軍事用の飛行機が飛んでくるというような、もちろんこれは、外務省あるいは防衛庁を通じてさまざまな形でアピールをされるのでしょうが、そういう動乱期であればあるほどそういう手違いだとかいろいろあると思います。  こうした点について、より平和的にこうした行動をしているんだということをアピールするための考え方というのでしょうか、そういうものをうまくしていかなければ非常にまずいのじゃないかなというふうに考えますので、その辺について特別な考え方というのはお考えの中にあるでしょうか。
  113. 村田直昭

    村田(直)政府委員 この件につきましては、御質問に答えて再々御答弁しているところでございますが、武器の携行の問題について、在外邦人等輸送航空機等の安全が確保されていないと認められるときには行わない、そういうことで、派遣先国内で航空機等を防護するために航空機外において自衛隊員が武器を使用することは想定されないということから、自衛隊法の九十五条という規定を適用しないということで閣議決定が行われているわけでございます。  また一方、航空機内におけるハイジャック等の不測の事態が万々一にも起こることは考えられるということから、必要な場合には自衛隊法の九十六条の規定に基づき警務官が、自衛隊の内部で司法警察を行う職員でございますが、警務官が武器を携行することもあり得ると考えております。その場合でもけん銃を携行すれば職務を十分果たせるということで、同じく閣議決定におきまして、けん銃を携行することということで、けん銃以外のものは携行しないということになっている。そういうような状況で、武器の携行については致しい縛りをかけておるということでございます。
  114. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしもちょっとかみ合わなかったような気がいたしますが、もちろん安全だからこそ行くという部分についてはっきりしているわけでございますが、その場合でもあるいは途中から極めて安全でなくなるというような情報が、きっちりと飛行機の方に伝わるかどうかということに関して私はちょっと懸念をしたもので、こういう場合の想定というのはなされているかどうかという考え方でございます。
  115. 村田直昭

    村田(直)政府委員 そのようなことも従前からいろいろ御指摘を受け、私どもとして検討しておりまして、やはり安全の判断というのは刻々変わることも考えられます。その場合に、出発してから安全が少し変わってきたというようなときにまた改めて判断をして、それを伝えた上で、必要なときには引き返してくるということも当然考えの中に入っております。
  116. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  実は私、十月の終わりに自民党の柿澤前政務次官ときょう委員会に欠席をされましたが玄葉委員と三人で、PGA、パーラメンタリアンズ・フォー・グローバル・アクションといういわば超党派の議員連盟、そしてこれは各国のそれぞれの議員が参加している議員会議なのですが、この総会に行く機会がございました。  このときに、PKOの諸問題について、さまざまな経験の中からの発表がございまして、その中で、フランスのフィリップ・モリヨン将軍、この方は前ボスニア・ヘルツェゴビナPKO司令官だったわけですが、この方の発表で非常に私にとって印象深く、なおかつ感銘を受けた事例がございましたので、ちょっと御報告を兼ねまして申し上げます。  ボスニアの悲惨な状況や混乱の状況は御存じのとおりだと思いますが、そうした緊迫した状況の中で、この将軍は、PKOとして武器使用を最低限にしなければならない、なおかつ後退はできないという極めて選択の幅の狭い行動というのが要求されているんだと。  この方は、丸腰で人質の救出のために向かわれた大変すばらしい司令官でありますが、同じように、紛争地域あるいは動乱状態において邦人航空機による救生活動というものについて、こうした姿勢が非常に大事じゃないかなということを感慨深くダブらせたもので、こういう点について非常に難しい接点がある、安全の部分、それから救出しなければならない、そういう点についても外務大臣あるいはまた防衛庁長官、もう一度そうした基本的な救生活動についての考え方について、今のフィリップ将軍の話も含めて御感想をいただければありがたいなというふうに思います。
  117. 羽田孜

    羽田国務大臣 今のお話PKOにも絡んでのお話でありましたけれどもPKO活動についても武器使用ということについて最低限にすべきであろうという考え方、こういったものはやはり多く出てきております。そして、カンボジアでの活動なんかもその中の一つの新しい例として挙げられておるのではなかろうかというふうに思っております。そして私どもは、今度の救生活動につきましては、もうそういったことのないように、安全というものを何としてもまず確認するということがございます。  ただ問題は、ハイジャック等が予測されるということはありますでしょう。そんなことのためにけん銃の携帯というものは認めることになっておりますけれども、それ以外の武器の携帯というものは、今我々は想定せずに対応するということが必要であろうというふうに考えます。
  118. 中西啓介

    中西国務大臣 上田さんおっしゃられるとおり、本当に平和裏にといいますか、極めて穏便に事が収拾されることが一番望ましいわけです。ですから、まず徹底的にそれを追求すべきである。なおかつ、それでもどうにもならないというときにどこまでぎりぎりやれるかということをもちろん判断もしなければなりませんが、基本的にはそのお考え方には賛成でございます。  ただ、自衛隊機が飛んでいくわけでありますが、防衛庁長官としては隊員たちの安全性ということは極めて重大な関心を持って対応していかなければならないことは当然でございますけれども、そこが非常に微妙なところでありますが、ストライクゾーンぎりぎりのところで、行っていれば在留邦人を救えたのに、行かなかったために在留邦人たちが大変な犠牲になったという可能性だってあり得るわけですね。  私は、やはり自衛隊員も日本国民だし外国にいる在留邦人も日本国民でございますから、人の命というのは全く同等である、そういう見地からも、時間をかけながら経験を積みながら考えていくべき価値のある問題なのかな、そんなことも考えておるところでございます。
  119. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  先ほど中谷議員が法案の制限はよくない、手足を縛ってはいけないということも言われましたが、私は、この法律のグレーゾーンを狭くしながら安全についての項目等を入れたことは一歩も二歩も前進で、なおかつ、日本の平和志向の姿勢を明らかにしたということにおいて意義深いのではないかというふうに改めて強調させていただきたいと思います。  ところで、他国の軍用機やその他の航空機によって私たち日本人の仲間が過去にいろいろな形で救出されたケースがたくさんあると思いますが、逆に我が国が民間機などで外国人の救生活動を行った事例というのはございますか。私は十分勉強していないものでわかりませんが、あったらちょっと教えていただきたいのです。
  120. 荒義尚

    ○荒政府委員 すべてのケースを申し上げる時間はございませんけれども、典型的なケースとしまして、一九九一年にザイール暴動がございました。  そのときの状況でございますけれども、結局引き揚げるべき邦人が五十五名おりまして、スイス航空のチャーター便を我々チャーターしたわけでございます。そのときに、各国からそういう日本のチャーターした救援機に座席に余裕があれば乗せていただきたいというのがございまして、百十名外国人の方を同乗させております。  とりあえず典型的な例だけ申し上げました。
  121. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  あるいはないのかなというふうに思っていたのですが、あって大変よかったなというふうに思います。助けられっぱなしてはちょっと気分がよくないので大変ほっといたしました。  いずれにしましても、今後この法案が成立する中で、各国からあるいは国連からそうした救助要請等があるときに、民間機だけではなくて、少しでも枠を広げていくというのでしょうか、選択の幅を広げるという意味において、私はまた日本の国際貢献が一歩進むものだというふうに考えます。  それで、一つ、直接的には関係ありませんが、先ほど大出先生お話の中にもありました国連の常任理事国入りの問題について、若干また御質問させていただきたいのですが、大変つつましい言い方の中で、細川総理の施政方針演説の中で、国連について、改革された国連についてなし得る限りの努力をするという表明があったわけです。  実は先ほど申し上げましたPGAの活動の中で、大変運よく国連の事務総長ガリさんあるいはアメリカの国連大使でありますウォーカー氏、またロシアのボロンツォフ国連大使等にお目にかかる、また三十分、四十分という少々の時間でありますが、細かくしつこく私お伺いする機会がありましたところ、日本の常任理事国入りについてガリ事務総長も極めて積極的な賛同の意思をお示しになりましたし、またアメリカのウォーカー国連大使も当然だというニュアンスで語られ、話の中ではドイツはいいんだけれどもと。  なぜですかと聞きましたら、これはあるいはまた蛇足かもしれませんが、イギリスとフランスがあるから、しかしバランス上ドイツもというお話がありました。ロシアの大使におかれては、日本とドイツと、なぜかインドが入っておりました。いずれにしましても、私は、日本の常任理事国入りについて、極めて評価する形の中で積極的に支持をされたような受けとめをしました。  また、現在国連における日本の活動の中で、御承知のとおり、難民高等弁務官の緒方貞子さんの活動、活躍は全世界が知るところであります。さらに、WHOにおいて中島さんが再任され、大変大きな役割を果たしていること。また、国連の分担金が世界で第二位であること。そして、日本が常に、しばしばと言ったらいいのでしょうか、非常任理事国として選挙で理事国になり活動している実態。そしてまた、もし非常任理事国でなくなった場合、理事国でなくなった場合、情報の問題やあるいは安全保障理事会におけるさまざまな活動について、日本として十分それにこたえられなくなる可能性も非常に高いのではないか。日本が積極的に常任理事国にならないことの方が、目下の国連における日本の役割あるいは現在果たしている活動の内容、さらにまた発展途上国あるいは南米諸国の期待を逆に裏切るのではないかなというふうに私はむしろ考えております。  こういう点について、連立与党の一員の立場から、まことに恐縮ですが、外務大臣に、この国連の常任理事国入りの問題について、もう少し踏み込んだ御意見を例えれば大変ありがたいなというふうに思っております。
  122. 羽田孜

    羽田国務大臣 国連が始まったときは、たしか五十一カ国であったと思います。そして、現在では百八十四カ国。そして、安全保障理事会の理事国は戦勝国、しかもすべてが核保有国である。しかもそれが五カ国で、五十一から百八十四に変わりましてもその数は変わっておらないという現実があります。  そういったことも一つ議論の対象になっておりますけれども先ほど議論がありましたように、国連に対する新しいニーズが相当大きく生まれてきておるということ。そして、安全保障理事会に対するニーズも大きく、ポスト冷戦という中で、しかも地域の紛争がいろいろ起こっておる。こういうものに対応するために、機能をきちんと果たすためにも安全保障理事会の機能を改革すべきであるということでありまして、今般の国連総会におきましても、この安保理改組に関しまして、作業部会を設立するという決議が近く採択されることになろうということであります。まさに安保理の改組は国際社会の大きな流れの一つになっているということも言えるのじゃなかろうかと思います。  安保理の改組と機能強化のためには、世界の平和と安定のために貢献する意思と能力を持つ加盟国を積極的に活用していくことが重要であろうというふうに思っております。この問題につきましては、作業部会におきまして今後本格的な議論が行われることになるわけでありますけれども、安保理改組の具体論をめぐっては、依然として相当の曲折があるのじゃないかというふうに思っております。  我が国といたしましては、作業部会の作業に積極的に参加するとともに、今お話がありましたように、日本の国は平和の中で今日を築いてきたということからいきましても、平和をつくり出すためには積極的に発言もする、あるいは私どもとして果たせる範囲の中で幾らでも果たすことのできる分野はあるわけでございますので、そういった分野で私どもとしてなし得る責任を果たしていく必要があろうというふうに私も考えておることを申し上げたいと存じます。
  123. 上田清司

    上田(清)委員 最後の部分でちょっとわからない部分がありましたが、積極的な発言、積極的な行動ということで気持ちは同じではないかなというふうに受けとめたいと思います。  申しわけありません、一つさきに戻るような形になりますが、邦人救出の場合、これは日本人を対象としてなおかつ要請があれば外国人も乗せるというような法案でございますが、将来、日本人が含まれてなくて、あるいは外国人だけの救出のために、国連やあるいは諸外国から要請があった場合に、日本としてそうした輸送機現地派遣するということは可能なのか。この法案ではちょっと難しいと思いますが、そういうこともあるいは想定した上で検討されればいいのではないかなというふうに思いますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  124. 村田直昭

    村田(直)政府委員 ただいまの先生の御質問については、先生御自身が言われますように、この法案は、要するに外国において当該邦人と同じような状況にある外国人、その件についても閣議決定をしておりますけれども、そういう方がおるときであってかつ余席があるときということで、邦人を中心として考えておりますので、余席がある場合に乗せるということで、外国人だけということについてはこの法律案では考えておらないということでございますけれども、これは将来の検討課題であろうかと思っております。
  125. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  時間が参りましたので、最後の質問にいたしますが、私は、基本的にこの自衛隊法の一部を改正する法案の中身が、日本の国際貢献やあるいは危機管理、こうした問題について極めて有用な、有効な法律案だと思いますし、基本的な考え方において政府案自民党案はそんなに変わりはないと思いますので、できればより歩み寄った形の中で、全会一致に近い形の中でこの法律案委員会においても採決されることを強く望みまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  126. 近藤豊

    近藤委員長 福島豊君。
  127. 福島豊

    ○福島委員 公明党の福島豊でございます。  議員となりまして百日余りで、経験も甚だ乏しく、また浅学でございますけれども、どうかよろしくお願いいたします。  私は、安全保障という言葉にはさまざまな意味があると思いますが、その一つの重要な要素とい たしましては、国家レベルまた国家間レベルで生起し得るさまざまな危機を管理するという意味を含んでいると考えております。今回の自衛隊法改正案は、さまざまな状況下において危険にさらされた在外邦人救出目的としたものでございます。在外邦人六十六万人を抱える国際化された日本という国家において、生起し得るさまざまな危機の中で、危険にさらされた在外邦人救出という限られた状況に対しての危機管理の方途を定めている、そのように思います。  したがって、危機管理の一局面という視点に立ちまして、法案の文言にとどまらず、より包括的な、そして具体的な考え方審議の中で明確にしていく必要がある、そのように考えております。  そこで、まず初めに、防衛庁長官にお尋ねいたします。  危機管理に際しまして重要な点は、あらかじめ想定し得る限りのさまざまな状況を想定し、その対応を明確にしておくということではないかと私は考えております。もちろん、その状況は変化するものでありますし、弾力的に対応するのは当然でございますけれども、その場になって初めて考えるという対応は最も拙劣なものではないか、私はそのように考えております。  冷戦後の国際システムの確立が流動的な現在、ローインテンシティー・コンフリクトは多発しております。その中にありまして、今まで経験しなかったような事態に我々が立ち向かわなければならない可能性は高いのではないか、そのように思っております。決してケース・バイ・ケースということで不透明なままにしておくことはできないと思いますが、この基本的な考え方につきまして長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  128. 中西啓介

    中西国務大臣 おっしゃられるとおり、今回のこの自衛隊法の一部を改正する法律案、今御審議をいただいているわけでありますが、これは、政府専用機防衛庁に移管されて、防衛庁で管理しなさい、運用しなさいというスタンスが定められて、それじゃ使い方についてはというようなアプローチなんですね。今福島さんが言われたような危機管理という見地からのアプローチではないわけですね。  要するに、もうこれだけ日本があまねく世界に活躍しておりまして、もう世界中どの国にも日本人がおるというような状況の中で、いつ何ときどんな事態が起こるかもわからない、そういうときに、国家の威信にかけて、人道的見地からも、やはりぎりぎりの範囲内で邦人たち救出できればこんなすばらしいことはないと思うのですね。そのぎりぎりのところがなかなか、判断がいろいろあって難しいところであるのです。  そういう見地から、午前中の答弁でもお答え申し上げたわけでございますが、例えば船で、ヘリコプターも相当航続性の長い優秀なヘリコプターも今あるわけですから、そういうヘリコプターで近間まで行って、そして、例えば滑走路もないようなところで邦人たちがいるケースだって考えられるわけですから、そのときは、政府専用機もおりられない、C130もおりられないというようなときは、四、五十人乗せられるヘリコプターがあるわけですから、それに乗せて船にピストン輸送をする。  船にはお医者さんも待機している、下着やいろいろな衣服も用意して、あるいはおふろも沸かしている、あるいはごちそうも用意しているというようなあたりまで完備できれば、それは危機管理という面からも相当整備されたかなということも言えるかと思いますが、まだそんなアプローチじゃありませんので、将来そういう方向からも、やはりこれだけ成熟した国になったわけですから、検討していくべき価値のあるテーマなのかな、そんなふうに考えております。  しかし、とりあえず今はそうじゃありませんので、ぎりぎりのところ、やはり自衛隊員も日本人なら海外で災難に遭遇している在留邦人も同じ日本人でありますから、人の命には区別はつけられませんから、ぎりぎりのところ、両方が安全に対応できるようなことを実施するために、外務省を通じて在外公館から徹底的に情報を集める、あるいは商社とかいろいろな民間の企業も大体出ていっているわけですからそういうところからもさらなる情報を集める、また防衛庁としても専門的な安全性確認を徹底的に行うというようなことをやって、両方ともセーフティーに任務を完了するということを今追求しようとしているわけでございます。  先生趣旨は非常に理解のできる話だと思っております。
  129. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。  危機管理という視点が若干違うという御発言でしたけれども、危機管理ということで私ずっと考えてまいりましたので、一貫してそれで質問させていただこうと思います。  まず、危機管理ということにおきましては情報を得るということが非常に重要である、まさに生命線であると私は思っておるわけでございますけれども邦人救出といいましても、現地状況をどのように把握するのか。例えば、邦人がどこにいるのか、何人いるのか、また連絡はすぐにとれるのか、傷病人はいるのかいないのかというような問題がすぐに思い浮かんでまいるわけでございます。こうした情報が迅速に収集できなければ、ただ航空機が飛んでいったとしても、その十分な役割を果たすことができないと私は考えます。  外務省におかれましても、平成五年度の予算で海外邦人安全対策及び危機管理体制の強化ということで総額二十二億円を計上し、通信網の整備に努められておりますけれども在外邦人六十六万人に対して海外の領事担当の定員がわずか二百六十名程度と、まさにマンパワーの不足、また施設整備のおくれというものは否定しがたいのではないか、私はそのように思います。  とりわけ、危機的状況下におきまして、現状の体制でどの程度対応能力を発揮することができるのか、また十分な能力を発揮するためにはどの程度を目標に整備をする必要があるのか、外務省のお考えをお聞きしたいと思います。
  130. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま御指摘のように、私ども外務省としましても、最近世界各地におきまして、邦人が関係する紛争であるとかあるいは緊急事態が多発しているという状況を大変深刻に受けとめておりまして、海外に行かれる邦人の方が安心してお仕事なり活動をしていただくためにも、海外の安全対策、危機管理体制が重要だという認識で、御案内のとおり我々努力を続けておるわけでございます。  若干具体的に申し上げますと、特に邦人の安全対策、危機管理体制ということになりますと、例えば邦人の動静あるいは所在確認といったことが、まさに御指摘のとおり大変そういう体制の基本でございまして、私ども現在全世界につきまして、年一回海外の在留邦人の調査ということをやっております。それに加えまして、きょう現在では世界各国百十二カ所の我が方の在外公館の所在地におきまして、在留邦人安全対策連絡協議会という名前のもとで、官民で協力して連絡体制の整備あるいは安全対策上の措置をとるシステムを現在整備中でございます。  そういう観点から、これも先ほど指摘ありましたけれども、私ども外務省としましても、海外邦人安全対策及び危機管理体制の強化ということが本当に焦眉の急であるということで、五年度におきましても御案内のとおり三六%強の予算を増強しておるということでございますが、これもまだまだ十分とは申せませんので、今後しばらくの間、情報収集及び連絡体制強化、またそのための人員の増強といったことにつきまして、関係方面の御理解を得て、引き続き努力してまいりたいと思っております。     〔委員長退席、赤松(正)委員長代理着席〕
  131. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。  さらに、航空機現地に到着した場合、どのように邦人救出するかという問題でございます。現地の交通が確保されている状況であればよいわけですが、交通が遮断されている、また連絡もと れないという事態も想定されるかと思います。海外移住審議会の緊急意見書の中でも輸送手段確保についての提言がありますけれども、現状の体制、また来年度等にわたりましてどの程度充実される予定か、外務省の御意見をお聞きしたいというふうに思います。
  132. 荒義尚

    ○荒政府委員 私どもは、そういう緊急事態を想定しまして、海外の在留邦人の方々との平時及び緊急時を念頭に置きました緊急連絡網の整備を今鋭意図っておりまして、これも御案内と思いますけれども、そのための無線機の増強を今一生懸命やっておるところでございます。  具体的な若干の数字を例示的に申し上げさせていただきますけれども、例えば邦人用の無線でございますが、本平成五年度末の時点では全世界でおおむね二百五十台ぐらい配置できる見込みになっております。それからパラボラもおおむね百二十機、それからポケベル、移動電話等はそれぞれ今二百から四百台程度の水準まできたわけでありますけれども、御承知のとおり、在外公館だけとりましても全世界で百八十ございまして、まだまだ十分とは言いがたいということで、これも引き続き整備に努めてまいりたいと思っております。
  133. 福島豊

    ○福島委員 また、ある商社マンから聞いた話なんですけれども、天安門事件に際しまして、航空機は到着したんだけれどもなかなか出国させてくれないということで、航空機になかなか乗れなかったという事態があったそうなんですけれども、こういう問題に関しまして外務省の見解をまたお聞きしたいと思います。
  134. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま福島委員より、天安門の際、邦人が出国する際に、若干時間といいますか、何か支障があったというお話でございますけれども、当時、西暦でいいますと一九八九年でございますが、そのときには定期便及び臨時便を皆さんに利用していただきまして、その年の六月六日から八日まで三日間でございますけれども、その間合計十便の臨時便を出していただいて、一応退避すべき在留邦人の方々は退避できたということでございます。  その過程におきまして、中国政府あるいは中国の現地当局との間で何か特に重大な支障があったという報告には接しておらないのでございますけれども、基本的には、今、申し上げましたように無事十便飛ぶことができたということでございます。
  135. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございました。  また、現地におきまして不測の事態、例えば航空機が何者がの襲撃を受けて飛行不能となったりする、そのような事態が生じた場合にどのように対応するのか、防衛庁長官にお聞きしたいと思います。ケース・バイ・ケース考えるということであれば、その際の考える原則についてお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  136. 中西啓介

    中西国務大臣 二重、三重に安全性確認して行くわけでありますから、そういうことは想定はされないという前提に一応立ってはいるのですが、しかし何が起こるかわからないわけですから、そういうことも万々が一起こらないとは限らない。そういうときにどうするのか、こういう話なんですね。  しかし、飛行機に乗っていく武器を保有した警務官というのは、ピストルしか持っていないわけですから、ピストル一丁でやったってまさにむだな抵抗でもあります。そのときの具体的な対応の仕方というのは、事実上ないという前提考えているわけでありますから、全く対応策がないという言い方をしても間違いでないのではないかというふうに思っております。  ここら辺も、いろいろ万々が一のケースとしては考えられるという御指摘でございますから、やはり万々が一のケースにも対応できるような方向に将来みんなで検討して、しかし、それも経験を積み上げていく中でいろいろな案もまた出てくるのだろう、そんなふうに今考えております。
  137. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございます。  次に、付随的なことなのでございますけれども、こうした緊急の場合に、災害または騒乱等でございますが、傷病人が存在するということは十分に考えられることでございます。その情報が本国まで、日本までなかなか伝わらないということも当然あり得ることであると私は思うのでございますけれども、例えば自衛隊による医療チームを同乗させるべきではないか、そのような思いもいたします。この点につきましてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  138. 村田直昭

    村田(直)政府委員 御指摘自衛隊機による在外邦人等輸送を行う場合でございますが、やはり中にはけがをされている方とか治療を要する方がおられるというようなケースもございますし、機内において医療行為を行うということも考えられますので、必要に応じ医官等を同乗させるということはあり得ると考えております。
  139. 福島豊

    ○福島委員 また、先ほどもあった御質問でございますけれども改正案におきましては、空港及び飛行経路の安全が確保されていることを確認した上で航空機派遣が行われるわけでありますけれども、事態が変化するということは当然あり得る、特にまた地域紛争などでは生じ得る可能性は高いと私は思います。この場合に、ある程度の数の邦人がいたとする、その一部の人は救出し得た、しかし状況の変化の中でさらなる救出は難しいという事態になった場合に、その救出はあきらめざるを得ないのか。  一部の人は救出したけれども一部の人は救出できなかったということに対して、国民の感情としては非常に困難なものがあるのではないか、そのような事態に立ち至るのではないかと私は思うわけでございますけれども、この点についての御見解、また一たん安全であると判断した上で事態が変化したときに、いつの時点で安全でないと判断するのか、その判断基準でございます。先ほどもありましたけれども、その点についてもう一度、確認意味もありまして、お話を伺いたいと思います。
  140. 中西啓介

    中西国務大臣 なかなか、ケース・バイ・ケースという一語に尽きると思うのですね。ですから、今御指摘のような、積み残しといいますか、にわかに一天かき曇って安全に輸送し得なくなったという環境にもなる可能性もあるわけですね。そのときは、今申し上げたように、持っていく武器だってピストルしか持っていかないわけですから、またそれで、警務官とお医者さん、考えられる自衛官というのは数人なんでしょうね、パイロットは別にして。チーフパーサーというのですか、そういう役目をするのは自衛官ですから、合わせても恐らくきっと数名か十名以下なんでしょうね。ですから、そういう運び得なかった、不幸にして現場に自衛隊機ともども残ってしまったなんという可能性だって、それは僕はあり得ないことだとは言い切れないと思うのですね。  ですから、将来の問題として、いろいろな国々が、例えばグリーンベレーとか特殊部隊なんかを派遣したりしていますよね。そういうことをやっている国だってあるわけですが、日本は果たしてそこまで踏み切ることができるのかどうか、そういうことも国会議論をして検討すべき課題だと私は思っております。そういうことは僕はあり得るという認識でおります。  しかしながら、今の法律では、そういう事態に遭遇した場合は、もういかんとも対応のしょうがないという法律であることも事実だと思っております。
  141. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございます。  また外務省の方にお尋ねしたいわけでございます。  安全性確保がなされていないと判断した場合に、救援機は飛び立てないわけでございますけれども、その場合に、在外邦人に対しての対応をどのようにしていくのかという点についてお聞かせいただきたいと思います。
  142. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、若干一般的なお答えになるかと思いますけれども、いろいろな事情、安全上の問題等々によ りまして救出すべき邦人のところに救援機が赴けないという場合でございますが、そのときには、その地にある我が方の在外公館の全機能を挙げて対応するということでございます。  御案内のように、具体的には、例えば現在、在外公館の施設面の整備を若干進めております。それから備蓄も少しずつ積み増しをやっておる。通信連絡機能につきましては、先ほど申し上げたとおり、本国との連絡機能の強化ということをやっておるということでございますし、そういった我が方独自の努力に加えまして、万一そういう残念な事態になっても、我が方の外交的努力で、例えば諸外国の協力を求めるということも、我々あらかじめ念頭に置いておるということでございます。
  143. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございました。  また、救出に際しまして、外国人であっても、人道的見地から邦人と同じような状況のもとで退避が必要とされ、また他に救出手段がなく、当該外国人の属する国の政府からの要請があった場合には、これを同乗させることができるとなっておりますけれども、この外国人のその後の我が国の取り扱いについてお尋ねしたいと思います。特に、この外国人が救出先の国の国民であり、また飛行機に搭乗されましてから亡命等要請されたような場合に、一体どのように対応するのかということについて、外務省のお考えをお聞きしたいと思います。
  144. 荒義尚

    ○荒政府委員 我が方在留邦人と同じような状況下に置かれて、ほかに方法もなくかつ人道的考慮から、座席に余席があるという条件で搭乗させるという外国人でございますけれども、これも基本的には、当該外国人の本国政府からの要請があるということを大原則にしておりまして、まずそういう観点から、当該国あるいは第三国との関係で問題が生じないように、そういう人物が紛れ込まないように我が方としては最大限注意を払い、チェックをするという体制を考えておるということでございます。
  145. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございます。  以上で大体考えてまいりました質問は終わったのですが、若干時間が残っております。  防衛庁長官にお聞きしたいのでございますけれども、先般の、国連の指揮下におきましてその武力行使も容認されるのではないかというお考え長官の個人的御見解を述べられたわけでございますけれども、公明党といたしましては、PKOの五原則というものをこれは厳守しなければならないという考え方がございまして、そのPKOの五原則について長官の御見解を私はお聞きしたいと思います。
  146. 中西啓介

    中西国務大臣 もちろん我が国は議会制民主主義でございますから、国民から選ばれた国民の代表であるこの国会の場で出された結論に従っていくというのは当然のルールだと思います。今はそういう方向で決定されているわけですから、そのルールに従ってこの展開をしているわけでございますが、将来の問題として、相当いろんな環境が大きく変わる可能性があり得るわけですね。  そんな状況の中で、私は、日本の意思として海外で武力を行使するわけでもありませんし、国権の発動でもありませんから、いわゆる攻撃型の武力行使はこれは避けるべきだと思いますが、いわゆる専守防衛型といいますか、こういうぎりぎり行為であればこれは憲法上も許されるのではないのかな、そういうことを個人的には思っておるという趣旨を過日申し述べたところでございます。  ですから、このPKO法律に関しましても、経験を積み重ねていきながら、どうしてもそごを来すといいますか、結果的には世界の国々からひんしゅくを買うようなものであっては、何のためにPKO活動に出ていっているのか意味がなくなる可能性もあり得るわけですから、その時点で、もちろん国会の御議論を得て、また結論に従っていくわけでございますが、いま一度、時間的余裕を持って、先ほどからおっしゃっておられる危機管理ですね、いわゆる邦人救出という面からのアプローチではないわけですから、そういう意味では、かなりこうあちこち抜けている部分が結構あるわけです。そういう問題も含めて地に足をつけた安全保障という問題を、広範囲にわたるわけでありますが、徹底的に議論をしていくべき価値のある問題であるという提起をさせていただいたわけでございます。
  147. 福島豊

    ○福島委員 長官のお考えの内容、非常によくわかりまして、安全保障、また危機管理ということは国際社会の中におきまして、日本の大変に重要な課題であると私も思っております。私も一年生議員でございますけれども、真剣にこの審議に参加させていただきまして、また日本の将来というものを考えていきたい、そのように思っております。  本日は大変にありがとうございました。若干時間が残っておりますけれども、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  148. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員長代理 西村眞悟君。
  149. 西村眞悟

    西村委員 今福島委員の御質問の内容と若干関連いたしますし、またこの邦人救出についての問題がほぼ出尽くしたであろうと思われるのですが、私の立場として少し疑問点をお伺いしたいと存じます。  まず政府専用機、これは長官先ほどおっしゃいましたように、これから非常な試行錯誤のもとでいかにすべきかが決定されていくのだろうと思いますが、現時点で政府専用機は二機あるということは、非常に少ないのではないか。政府専用機というものは、これから国際関係が緊密になっていきます場合に、例えば閣僚が即時に外国を訪問する、そのような用途としても非常に必要でございますから、防衛庁として、せめてドイツ並みの、各種合わせて三十機ほどの装備の必要はあるのではないかということをお伺いしたいと思うのです。  それから、もうあと二点、同時にお伺いいたしますけれども、現在の政府専用機で着陸できない場所にはどのような機種の飛行機が着陸できるのか、現時点の装備において、その一点でございます。  それからもう一点は、邦人救出に際して、飛行機が例えば政府専用機、そして同時並行して輸送機、その輸送機にはヘリコプターを積んでおって、両者着陸できない地点におる邦人をヘリコプターにおいて飛行場まで運ぶというふうな救生活動は、この現在の法律で可能だと考えておられますでしょうか。その三点でございますが、お伺いしたいと存じます。
  150. 中西啓介

    中西国務大臣 以前も申し上げたと思いますが、少なくともサミットに参加する国々の政府専用機の保有台数を調べてみますと、今西村さん言われましたように、ドイツでも三十機、アメリカなんかは四十数機、イタリアでも十一機だったですか、かなり持っているわけですね。しかし、日本はまだ二機しかない。  これから国際会議なんというのは日常茶飯事でありますし、陛下が海外に出られるときにも御使用なさる。あるいは機械物でございますから、絶えず点検をしておらなければ安全性という面からもこれは大変な問題が生じる可能性があるわけです。ですから、どう考えても、二機では十分効率的に本来の機能を発揮するということは甚だ心もとない。ですから日本も、予算上の問題はありますけれども、でき得れば先進国並みの政府専用機を保有したい。  その政府専用機も、今持っている大型機ではなくて、大小取りまぜてといいますか、そうすれば滑走路の短い飛行場を使用することだって可能になるわけでございますから、対応がかなり広範囲に広がっていくというようなことが言えるかと思うのです。大体騒乱が起こり得るような可能性のある国というのは、そんなに飛行場そのものが先進国のように整備されているとは思いにくい。そうすると、今の保有している政府専用機は二千七百メートルの滑走路がなければ着陸できないのですね。  ですから、そういう飛行場ばかりじゃありませんからというので、C130でありますともう少 し短い滑走路でも使用できるわけですから、C130というふうに一応指定をしているところでございますが、滑走路じゃなくて草原みたいなところでいわゆる在留邦人たちが五十人か百人か、それはケース・バイ・ケースでありますが、救援機を待っているというような場面だってあり得ると思うのですね。そういうときには、大出先生も御指摘なさったような線で、閣議を開いて、飛んでいって輸送するという範疇においてそのアクションがまあまあ無難に遂行できるということであれば、例外的に閣議決定でヘリコプターを使用するというような場面もあるいは私はないとは言えない、そんなふうに考えております。  あと、ヘリコプターとの組み合わせの問題ですが、これは今の政府専用機をいかに活用するかという視点からの自衛隊法の一部改正でございますから、現実のこの法律改正審議をしていただいている範囲内では、ヘリコプターというのはちょっと考えにくいのかなと思いますが、さっき御質問をいただいた中の邦人救出という面に視点を当てるならば、私はそういうようなことも当然考えなければならぬのではなかろうか、それは改めてまた邦人救出に視点を当てた御議論をいただく中で位置づけていくべきであろう、そんなふうに想像いたしております。
  151. 西村眞悟

    西村委員 長官も私と同様なお考えで、政府専用機の充実ということを考えておられるということで、これから推進していただきたいと思います。  次に、この邦人救出という問題も含めて、緊急時の問題を我々考える時間を持っておるわけですから、緊急事態というものの特徴は、現時点において予測し得ない事態が起こるし、現場においてしか把握できない状況が起こるということであろうかと思うのです。  先ほどからも議論がありましたように、このような事態における安全性とは何か。この安全性の概念を固定的に考えることはできないのではないか。安全性という概念は相対的な概念であって、例えば冬山に登るときに、赤ん坊であれば危険であるし、冬山の装備を持たないならば危険である、しかし訓練されたパーティーによって、十分な装備をもってすればそれは安全である、このような状況を想定して安全性という概念を考えねばならないと思います。  そこで、自衛隊として安全であるか否かの判断に関して、あらかじめ武器も含めてたがをはめるような考えは、ある意味では非常に危険、現場において危険に遭遇する可能性が強いと私は思うのですが、それに関して、やはり武器も含めて現時点において固定される方はいたし方ないのでございましょうか、長官の御判断をお願い申し上げます。
  152. 中西啓介

    中西国務大臣 政府・与党が出した法律は、例えば持っていく武器はピストルに限定をしているわけですね。もちろん、飛行場に着陸してからにわかに環境が変わって、より険悪な状態になったというときは、不可抗力というか、どうしようも対応のしょうがないわけでございますが、今政府・与党の出している法律案は、重装備をしていくというような考え方に基づくものではございません。
  153. 西村眞悟

    西村委員 あらゆる事態が起こりますから、これからこの法案を通して、日本国が在外にいる邦人救出するための法律を持っているんだということで、やはり今長官が言われたような観点も含めて考えていく体制をつくらねばならないと私は思っております。  次に進みますけれども国際貢献についての情報収集の観点でございます。一  先ほども福島委員への答弁で外務省答弁されておりますけれども防衛庁としても、独自に情報収集の努力をなさるべきかと思うのですが、この点、いかがでございましょうか。
  154. 中西啓介

    中西国務大臣 専守防衛を旨とする我が国国防の見地から論じた場合、より新鮮な、より確度の高い情報をより早く収集するということは、極めて重要な要素であると認識をいたしております。そのためには、やはりこれから防衛計画の見直しも精力的に行っていくわけでございますが、私は、その情報というような視点も相当中心的に位置づけて防衛計画というものを考え直すべきであろう、そんなふうに考えておるところでございます。
  155. 西村眞悟

    西村委員 ありがとうございます。  情報収集、それと同様に必要なのが情報の発信だと思うのでございます。先般、十月二十四日付ニューヨーク・タイムズが、日本のカンボジアPKO活動に関して「疑問と批判生んだカンボジアでの日本の平和維持活動」という記事を掲載いたしました。いわく、自衛隊は宿泊地として安全なタケオ付近を選んだとか、こういうことを書いております。  この記事を見まして私が一番思いましたことは、情報の収集もさることながら、我々は情報の発信が下手なんだなということでございます。言葉遣いは雑な言葉ですが、あれだけがんじがらめにして出しておいて、その現地隊員苦労をやはりもっと発信してやる、そのような努力が必要ではないのかなと思うのです。  そこで、情報の発信のためには、やはりトップが政府専用機を使用して世界の各地と機動的に交際する、今まで以上に政府専用機の活用の領域をふやして、例えば外務大臣防衛庁長官現地及び国連、そして欧米諸国を回って説明するというふうな努力が必要かと思いますが、情報の発信について今まで以上に必要だという私の見解について、長官、そしてまた外務省、皆さんどうでございましょうか。
  156. 中西啓介

    中西国務大臣 西村さんがおっしゃられる御意見に全く同感でございます。  確かに、発信の側としての能力を十分発揮したかという点でございますが、この点は反省をいたしまして、今後可能な限りそういう御指摘を受けない方向で努力をしていかなければならない。カンボジアPKO活動を経た後の我々の反省点でございます。  今、さらに御指摘をいただいた部分について、これからいよいよ厳しい予算編成が始まろうとしているわけでございますが、日本はこの間PKO活動に自衛隊が初めて参加してみて得られた幾つかのメリットの中に、非常に日本の自衛隊に対する誤解があったわけですね、各国が。例えば、韓国あるいは中国からもPKO部隊が派遣されてきていたわけでありますが、彼らも持っていた印象を相当変えた、こういう事実報告も受けております。そういうふうにやはり誤解されている部分がかなりあると思うのですね。  ですから、防衛庁長官を含めて、各クラスのいわゆる防衛庁の人間が、可能な限りやはり各国とのスキンシップといいますか交流といいますか、そういうことを積極的に図っていく。その中で例えば、日本は全く専守防衛に徹底している国である、なぜならば攻撃型の兵器は一隻も、一機も持ち合わせていないという歴然たる事実を相手国に伝えるとか、そういうことは極めて積極的にやっていく必要はあるだろう。  しかしながら、防衛庁長官が一回か二回か外国へ行ってしまうと、その外国へ行く予算がなくなってしまうみたいな非常に心寂しい予算内容でございますので、情報の面の強化という面も含めて、そういう部分もこれから大蔵省との折衝の中で要求をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。     〔赤松(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 野上義二

    ○野上政府委員 今先生指摘のとおり、トップレベルでの情報発信というのは極めて重要でございまして、そういった意味からも、さきの国連総会において細川総理から我が国の国際貢献のあり方についての演説をしていただきましたし、外務大臣も就任以来、タイ、カンボジア、それから中東和平の署名式といったようなところで、トップレベルでの我が国の貢献についての情報発信をしていただいたところです。  先生御承知のように、我が国のUNTACの活動につきましては、アジアの近隣諸国、国連、そ れからUNTACに参加した各国とも非常に高い評価を持っております。また、同じようにモザンビークに出ておりますPKOについても極めて高い評価を持っております。しかしながら、先ほど先生指摘のUNTACに関します二十四日付のニューヨーク・タイムズの一連の記事でございますけれども、かなり事実誤認に基づいておりますし、また、ニューヨーク・タイムズの記者が書いたものではなくて、ニューヨーク・タイムズに原稿を売り込んだというような記事で、極めて一方的な観点から書かれた記事でございます。  私どもとしては、そういった認識先ほど申し上げましたような国際的な高い評価と全く反するような記事でございますので、十一月二十日付で同じくニューヨーク・タイムズに国際平和協力本部の事務局長から反論を掲載しております。
  158. 西村眞悟

    西村委員 そうですか。そのような事態、ありがたいと思います。  それで、カンボジアPKOの問題が一応終了して、部隊が任務を完遂して帰ってまいりましたので、PKO法について、再来年ですか、ぽつぽつ見直しの時期が来ております。長官にその見直しの方向性について少しお伺いしたいのですけれども、限られた時間ですからイメージで結構なんですが、その前に、いわゆるPKO法の、この点は見直すべきだというふうな私の問題意識をちょっとお伝えしたいと思うのです。  つまり、武器の使用に関しての問題でございますが、武器は正当防衛として個人的な判断でやおということでございましたですね。そして、PKO活動というのは、軍事部門の活動としますならば、一九四九年のジュネーブ条約等にあります、部隊としての活動か否かの要件が当然基準になると思うのです。つまり、一人の指揮官のもとにおいて組織人として行動する、市民と識別された服装、ユニホームを着用しておる、公然と武器を携帯しておる、武器を隠し持ってはいない、国際法、国際慣例に従った行動をしておる、武器使用に関してまさに指揮官のもとに行動する、それがいわゆる軍事組織の特徴ではないかと思うのでございます。  武器使用に関して、日本のPKO活動にその必要が生じた場合においても、突如として指揮官の指揮のもとから脱して各人の判断による、これは市民としての正当防衛の領域に戻ってしまう。このような事態になった場合に、相手国から軍事捕虜として当然認められる権利を否認されて、非合法な戦闘行為者、戦争犯罪人とみなして捕虜としての権利を認められないというふうな事態が生じるのではないかなと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  159. 村田直昭

    村田(直)政府委員 今先生指摘の国際平和協力法二十四条三項の武器使用の件でございますけれども、確かに正当防衛、緊急避難の場合に限って危害要件として認められておるということでございますが、このことは自衛隊法上特に珍しい規定ということではなくて、自衛隊法上にはいろいろな武器使用の規定がございます。治安出動時の権限を決めた八十九条、九十条、海上における警備行動時の権限を決めた九十三条、あるいは武器等防護の際の武器使用を決めた九十五条等についても、同様の条件のもとで自衛官が個人の判断において武器を使用するということは決められておりまして、必ずしも珍しい、特異な規定ではないということが一点でございます。  それから、それではそういう使用をすると国際法上の軍人という要件に当たらないのじゃないか、こういうことにつきましては、この答え、国際法上の問題として防衛庁からお答えするのが必ずしも適当かどうかということですが、一般論として言えば、国際法上自衛隊も軍隊として取り扱われる、自衛官は軍隊の構成員に該当するということであって、国際平和維持活動に参加する自衛官についても軍人という趣旨は当てはまるものと考えております。  しかし、いずれにしましても、武器の使用が個々自衛官判断にゆだねられているからといって、自衛官が軍隊の構成員に当たらないという評価をされるとは解されないのではないかと考えております。
  160. 西村眞悟

    西村委員 わかりました。治安出動と外国における軍隊の活動は全く違いますから、その点は参考にならないと私は思いますし、これは次の点にも関連するのですけれどもPKO活動は余りにもがんじがらめにして出し過ぎはしなかったかなと思っております。  つまり、緊急事態とか外国における事態、それは日本国内において予測し得ない事態が現地にも起こるし、そして、現地の指揮官は日本では予測し得なかった事態に遭遇して決断を求められるわけですから、組織としては一定の自律的な指揮官のもとにおける行動、部隊としての行動が認められてしかるべきだと思います。  よくポシリスト、ネガリストという表現が行われるのですけれどもPKO活動に関しても、禁止される事項、原則禁止という点については大ざっぱに認めても、禁止されない事項に関しては部隊の現地における自律性にゆだねる、目的を設定してその目的を遂行されるための過程における状況は部隊の自律に任せる、いわゆるこのような規定の仕方がいいのではないかな。  先ほども治安出動という言葉が出ましたけれども、警察官が国内で職務を執行する警職法のような規定の仕方では、到底国際貢献として対処できない事態が生まれるし、今度のカンボジアPKOは幸いにして無事終わりましたけれどもカンボジア状況とこれから我が国が遭遇するPKO活動の相手国の状況と大幅に異なる事態が予測されるのですから、これから見直しとしては、外国における武器使用において、その事態に遭遇した場合、隊員個々判断にゆだねられるという規定の仕方は、余りにも現地隊員の心理的負担をふやすものではないのだろうか、このような感じがいたします。もともと、指揮官のもとに組織として統一されて行動して任務を遂行するという組織でございますから、その点に関して、一挙に市民としての責任において勝手に武器使用せよというふうな規定は断じていけないのではないか。カンボジアではうまくいきましたが、将来において禍根を残すと私は思っております。  私はこのような問題点、関心を持っておるのですが、防衛庁長官として、再来年に見直しが予定されているPKOに関して、カンボジアでの経験を踏まえて、どのようにすればよりよき国際貢献の道を開くのかという点に関していかがな見通しをお持ちでしょうか、お伺いしたいと思います。
  161. 中西啓介

    中西国務大臣 いずれにしても、まだカンボジアに行った経験しか持たないわけでございます。今、アフリカのモザンビークというところにもこの間二次隊が、恐らくもう今ごろ事務を引き継いで新しい任務についているところだろうと思いますが、そういう平和維持活動を海外に出て経験を積んでいく中で、やはりだんだんに、想定していたのと現実とは大分遣うね、現場は相当混然一体としておるわけでございますから、なかなか判で押したようなマニュアルばかりではない、そういうケースも、今度の所感を彼らから聞いた中で、概してやはりポシリストよりもネガリストの方がいいという印象を漏らしていることは事実でございます。  自衛隊は、日ごろから厳しい訓練を積んできておりまして、秩序立てて物事を行うといいますか、本当に一つの非常に能力の高い組織でございますから、また、平和維持活動自体は軍隊の行うもちろん本来的な任務ではありませんけれども、逆の面から見てみると、この任務はやはり軍隊しか行い得ない任務であるというような側面もございますから、私は、やはり各国がやっているように、組織でありますから、組織の訓練を積んだ優秀な責任者のこの指揮命令系統に秩序立って行動していくということの方がよりいい結果が生まれるのではないのかな、そんなふうに感じているわけでございます。  しかし、今は法律ではこのように決まっているわけですから、この法律に従って経験を積みながら、また皆さんに御議論をいただき、改善すべき は改善していくという方向をとっていただく方がいいのではないか。ですから、見直しにつきましては三年後を経過した時点でというふうなことになっておるわけでございますから、まだ一年経過したばかりでございますので、もうしばらく推移を見守りながらという今気持ちでございます。
  162. 西村眞悟

    西村委員 いろいろありがとうございました。これからも御努力をよろしくお願いいたします。  時間内ですが、これで質問を終わります。
  163. 近藤豊

    近藤委員長 東中光雄君。
  164. 東中光雄

    ○東中委員 防衛庁長官、早速ですが、先ほど来大出さんからも議論がありました例の発言ですが、これは、防衛庁長官がこの安全保障特別委員会答弁されていることだから、単なる個人的見解というわけにはいかぬ。それは個人的な見解でしょう。しかし、単なる個人的な見解では済まない、こういうふうに私は思っています。  それで、長官の発言で、先ほども言われておりましたが、私は、世界の多くの国々が参加する国連組織の中で日本も国連の旗のもとに、国連の指揮のもとに、それぞれの国と同じレベルで平和活動のために活動するということは、武力の行使になっても憲法違反にはならないと思う、こういう趣旨の発言をきょうも繰り返された。これでいきますと、国連指揮下でなら自衛隊の海外での武力行使は憲法に抵触しない、つづめて言えばそういうことになるようです。  それで、今ちょっと聞きたいのですが、長官のこの見解によると、第二次国連ソマリア活動といいますか、UNOSOMⅡというのですか、これは自衛隊が参加しても憲法上問題はない、こういうことになるのですよね。  このUNOSOMⅡというのは、国連憲章第七章を援用する形で、停戦の実現と武装解除、援助物資輸送の防護などを目的に武力行使の権限を与えられた三十カ国、二万九千余の国連の史上最大の、いわば重武装の活動ですね。これに対して米軍は約七千が支援をしているということで、今は国連でも随分問題になっています。これは、米軍は別ですよ。国連の指揮下で、国連の指揮のもとで活動しているわけですが、これに日本は、日本の自衛隊は参加をしても憲法に抵触しない、抽象的に言われていることを具体的に適用すればそういうことになるのですか。まず、これをお聞きしたい。
  165. 中西啓介

    中西国務大臣 防衛庁長官になる以前から、ややそのような考え方を私が持っていることは事実でございます。  しかし、これはそうすべきだと申し上げているのじゃなくて、こういうふうなことも将来、世界の多くの国々が可能な限り一致協力して、世界の平和維持のために、秩序安定のために国連というものが大いに活用される可能性が相当出てきた。だから、そういうふうなことも想定して私は平和維持活動をやるべきだと言っているわけです。  その平和維持活動を徹底的に行う中で、要するに、何といいますか、相手方から攻撃を受けた場合に、専守防衛的な武力行使は憲法違反ではないのではないか、こういうことを申し上げているわけでございまして、ソマリア型、あるいはもう一つのボスニア・ヘルツェゴビナですか、この形を肯定している発言をした記憶はございません。ですから、将来の問題として議論をすべき課題であるということを申し上げたわけでございます。
  166. 東中光雄

    ○東中委員 議論をすべき問題じゃなくて、あなたが議論をすべき問題だと言っているのは、現在あるソマリア型の、あの平和維持活動と言ってやっているのですよね、平和強制とも言っていますけれども。その活動に自衛隊が参加をしても、国連として三十カ国が参加しているんだから、国連の旗のもとにやっているんだから、それなら憲法違反にならないという見解をあなたは、防衛庁長官は前から持っていたかもしれぬけれども、現在も持っているということを今言っているわけでしょう。  議論をするなら先にしてくれと、そんなことをだれもあなたから要請される必要はないので、考え方について、そういう考え方はあなたは持っているのか、持っているんだったら、その考え方でいけば、ソマリア型のものに自衛隊が参加しても憲法違反にならないという考えなら考えだと言えばいいじゃないですか。それは言えないんだと。肯定したとかなんとかじゃなしに、あなたが言っている考えでいけば、ソマリア型もちゃんとそういうことになるじゃないですか。
  167. 中西啓介

    中西国務大臣 国連に強制されるべきものではありません。国連から要請されても、独自で我々が判断して拒否することもできるわけでありますから、私はソマリアに参加すべきだと言ったことはただの一回もありません。  要するに解釈上の問題でございますから、そういうふうな解釈も解釈ですから、現実にしている人もいっぱいいるわけですからね。それで、我が憲法では海外のいろいろな環境に的確に、このケースはこうすべきだ、このケースはこうあるべきだという明確に対応をきちっと示したその規約、そういうものは全くないわけです。ですから、その都度その都度、合憲だ違憲だ、こういうふうなことを言っているわけですから、そういうふうなことを私は問題提起したわけでございます。
  168. 東中光雄

    ○東中委員 あなた、問題をずらしたらいかぬですよ。自分の言うたことについて責任を持ちなさいよ。防衛庁長官としてこの公式の場所で言っているのでしょう。その見解でいけば、その解釈でいけばソマリア型のやつに参加をしても――参加をするかしないかは、そんなものは別の話ですよ。参加をしても、あなたの見解でいけば憲法違反にならない。  だって、国連の旗のもとに、国連の指揮のもとにそれぞれの国と同じレベルで平和活動のために活動することは憲法違反ではない、だから三十カ国、二万九千余の部隊が国連の平和活動として動いておる、それはいいんだとあなたは言うのなら、それで今すぐそうせいとは言っているのではない、先で論議せいとかいうことを言いますけれども、あなたの見解自身でいけば、ソマリア型に参加しても憲法違反にならないという見解をあなたはとっているということになるのですよ。  それの論議は、そういう意見を言っている人はほかにもおる、それは小沢さんも言っておるでしょう。いますけれども、そんなものとんでもないという意見が多数なのです。しかも政府の見解とも違いますね、先ほど大出さんが言いましたけれども政府の統一見解は、あのPKOの特別委員会で、私もずっと特別委員会全部出ましたからね。それで、PKOとして編成された組織の目的・任務が武力の行使を伴うものであれば我が国の参加は憲法上許されない、これは何回も、文書でまで出してあるのです。  その見解とまるっきり違う見解をあなたは今言っておって、その見解を具体的に当てたらソマリアヘも結構だということになる。そのことを言うのは、今度は政治的に配慮をして言わない。あなたがソマリア型に参加せいと言ったというようなことを、私一つも言ってないですよ。ソマリア型は、あなたの言っているのでいけば、自衛隊が参加しても憲法違反にならないとあなたは言っているじゃないか。そのことをどんどん議論してくれとあなたは言っているから。そうでしょう、あなた、そんなごまかしを言うのはやめなさい。
  169. 中西啓介

    中西国務大臣 ごまかしているつもりは毛頭ございません。私はソマリアの実態はよくわかりません。わかりませんし、今我々が決めた法律では、停戦が合意してないわけですから、ソマリアにはまず行けないということははっきり言えると思います。ですから行くことはあり得ない。  また、ソマリアに出ているイタリアという国は、今アメリカが主力にやっていることに対して相当ネガティブである、批判的である。だからあそこから撤収するみたいな動きも伝えられているわけですね。一部撤収もしたわけでありますが。だから、イタリアは武力行使みたいなことはしてないのじゃないかというふうに思うわけでありますから、理論的に言うならば武力行使を。だけれども日本の場合は、停戦合意が成立してないわけ ですからそもそも行けないわけでありまして、ソマリア型には行けるとは私は断じて思いません。
  170. 東中光雄

    ○東中委員 現在のPKO法では行けない、そんなことだれも言ってやせぬです。行けないのは当たり前ですよ。あなたのさっき言った憲法解釈でいけば合憲だということになるじゃないか、そういう暴論をあなたは言っているんだということですよ。防衛庁長官の立場で、そしてこういう公式の場所で、私的な見解を述べること自身が大体けしからぬのです。  それなら、PKOとして編成された組織の目的・任務が武力の行使を伴うものであれば我が国の参加は憲法上許されないというふうに防衛庁長官としては考えておる、そのことは、防衛庁長官としてですよ、中西個人ではないです。中西さんがどこかの大学へ行って勝手に言うというのは、それは勝手です。  ここへ来て、防衛庁長官として聞いているのでしょう。そういう形で、憲法問題をもてあそぶようなことを言って、そして海外における武力行使もいいんだ、防衛庁長官である中西さんが言っておるということが問題なのです。しかも、海外における武力の行使をやる自衛隊責任者でしょう。その立場におる者が、肝心の問題について言わないで、空気だけつくって憲法を変えていく、こういうやり方というのは本当に言語道断だと思うのです。  PKOについての見解、これはひとつ副総理であり、そして外務大臣であります羽田さんにお聞きしておきたいのですが、PKOとして編成された組織の目的・任務が武力の行使を伴うものであれば憲法上許されない、これは何回も言ってこられた。これは今の当然の見解であるべきだと思うのですが、どうですか。変える、あるいは将来変えるというようなことを外務大臣としては……(中西国務大臣「その前に」と呼ぶ)いや、あの人はまともに答えぬで、違うことばかり答えているから。  だれがソマリアヘ参加せいなんて言っているのですか。だれがソマリアヘ参加したいとあなたが言ったというようなことを質問しているのですか。言った覚えがないと言って、だれもそんなことは言ってないじゃないか。時間つぶしみたいなことせんといてください。外務大臣、ちゃんと言ってくれ。そんなばかなことがあるか。
  171. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お問い合わせの件につきましては、先ほど官房長官が統一見解として述べられておりますように、当該の国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が当該の国連軍に参加する場合と同様、自衛のための必要な最小限の範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えておるということでありまして、私どもといたしまして、今この問題について我々がどうこうというあれはないことだけは申し上げておきたいと思います。
  172. 東中光雄

    ○東中委員 防衛庁長官は問題そらしの名人だから、そのことについてはもうやめます。(中西国務大臣「まあちょっと答弁さしてください」と呼ぶ)それは、防衛庁長官としての政府側の答弁なら答弁する権利あるのですよ。憲法六十三条であります。しかし中西さん個人の、防衛庁長官の職にあるけれども全く個人的な見解をだらだら言う、そんなことを言う権利はないです。私たちはまともに答弁を求めます。  では、時間がないので、法案に入ります。  午前の審議で、安全の確保について、防衛庁長官はゾーンがある、こう言われました。全く安全なときは民間機が行く。防衛庁長官、あなたの答弁されたことを私は今引用しているのですから。全く安全なときは民間機が行く、薄目の安全なときはチャーター機が行く、ぎりぎりいっぱいの安全のときは自衛隊機が行くということなのかなと、こういうふうにあなたはおっしゃいました。  全く安全なときと薄目の安全なときとぎりぎりの安全なときと、公式の答弁ですからね、ちょっと説明をしてください。
  173. 中西啓介

    中西国務大臣 ですから、さっきも申し上げているとおり、安全性というか、安全の定義というのは、なかなかこれだということはだれを言えないのだろうと思うのですね。ですから、二重三重にチェックをして行くべくこの法律案提出させていただいたわけであります。各党間で徹底的に協議をした上でですね。  ちょっと比喩的に申し上げましたけれども、もう完全にセーフティーだったら全然問題じゃないわけですから、民間機は行ってくれるのだろうと僕は想像するのですよ。それで、やや陰りがあるというようなときには、政府民間機チャーターして、行ってくれという要請をするわけでございます。それでもなおかつだめな場合は、ぎりぎりもう一度安全の確認をして、これではまあ何とか行けるだろうという判断ができたときには、政府専用機が飛んで行くことになるのだろうということを申し上げたわけでございまして、それじゃ、どの時点がやや濃い目で、どの時点が全く安全な状況なのかと言われても、それはなかなか定義づけにくいということで御理解をいただく以外にないのじゃないか、かように考えておるところでございます。
  174. 東中光雄

    ○東中委員 安全という言葉は決められないんだ。条文に「安全」という言葉があるのですよ。「安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるとき」、「これが」というのは安全がでしょう。安全がぎりぎりいっぱいに確保されている、何とか安全に行けるのじゃないか、ひょっとしたら危ないかもしれぬけれどもという、どうもそんな感じですね、ぎりぎりいっぱいと言っている趣旨は。薄いというのは、ないとは言えぬけれども、まあまあええやろうというのが安全が薄いのでしょう。完全に安全というのは、安全なんですということでしょう。  そうすると、紛争地域へ行くんでしょう。緊急時だというんでしょう。そこへ行くのに、ぎりぎりいっぱい安全確保できた、しかし起こるかもしれぬぞ言いながら紛争地域へ行って、それでもし安全が脅かされたとき、だって救出される邦人は生命、身体が危険になっておる、保護する必要がある、救出に行くのですからそういう危険な状態でしょう。そこへ行くという。  これは紛争地域へ軍用機が、日本の輸送航空部隊が乗り込んでいくということなんですよ、法律的には。だって、輸送機が行くんでしょう。C130はれっきとした国際的な軍事用の輸送機じゃないですか、あの迷彩したやつは。それを運航する、操縦する部隊というのは、航空輸送部隊じゃありませんか。それが外国へ行くのですよ。ぎりぎり安全や、しかし紛争地域だ、これで安全確保されたということで行く。極めて危険ですよ。サイゴンが陥落する、そういう直前に、それでぎりぎりまあいいだろうといって、ぎりぎり安全確保されているのだといって行くということになるわけでしょう。これはあなた、紛争地域への軍用機の介入になってしまうじゃないですか。どうですか。
  175. 中西啓介

    中西国務大臣 東中先生お話を聞いていると、もうまるで戦争真っただ中へ行くのが前提みたいな、そういう場合もないとは言いません。しかし、災害、騒乱、いろいろなケース邦人が危機に瀕しているときでありますから、一概に断定的にそのようなケース、場面だけではないと私は考えております。  それから、サイゴンのケースが代表的によく挙げられるわけでございますが、あの場合も極めて安全であった期間があったのですね、二カ月ぐらいだと聞いておりますが。その間民間機が行っていれば全然問題でなかったわけでありますが、労使の間でいろいろ保険とかなんとかというような問題で手間取って、そしてタイミングを逸したために危険になった。  だからそのときに、もしこの自衛隊機が、政府専用機が海外に救出に行けるという法律があったら、私は物の見事に成功していただろう、こう思うのですね。だから、そういうふうなことを想定してこの法律をつくっているわけでございますから、余り断定的には私はおっしゃられない方がいいのではないかな、そんな今印象で御質問をお聞 かせいただいたわけでございます。
  176. 東中光雄

    ○東中委員 よくわかりました。私が言うたような場面もあるんだということを認めましたね。  だから、そういう場面のときに、これはサイゴンの陥落が問題になったのは一九七五年の四月に入ってからですよ。四月三十日に最終的撤去を人見大使は向こうで言っているのですよ。ところが、二十七日にもう陥落しているのです。その前に、二十六日にはマニラまで行っているのですよ。だからあのときに、米軍とハノイとそれからかいらい政権、これがもめている最中に日本の軍用機が乗り込んでいってごらんなさい。どんなことになっておるか。  あなたはちゃんと成功しておったろうと思う、こう今言われたから、恐ろしいことを考えているんだなと思いましたね。あのときなら、サイゴンが陥落する直前にこの法律ができておったらちゃんと行っておるのだ。結局はあのときは十名が米軍のヘリコプターで避難したんでしょう。そういう状態です。  この法律は、今あなたの言われている答弁でわかりました。サイゴン陥落の直前にもしこの法律ができておったらちゃんと乗り込んでいくのだ。そうしたら日本は紛争の中へ入ってしまう。そういうことになったら大変だというので、そういうふうになったらまさに海外派兵ですよ、そういうことになりますので、私たちは絶対許せないというふうに思います。  それともう一つ、もう時間がありませんので、もう一つ言っておきます。  輸送について閣議決定がされていますね。十一月五日の閣議決定の六項ですが、救出機について、「在外邦人等輸送のため使用される航空機の安全が確保されない場合には、当該輸送を実施しないことから、」だから戦闘機による護衛を行うことはない、こう書いてあるのです。  だから、安全が確保されているというふうに思っても、ぎりぎりいっぱい確保されたと思って行ったらそうでない場合が起こり得るわけですね。その場合に、自衛隊法の九十五条の適用は排除していないから、だから自衛隊航空機の防護のために戦闘機がついていくことができる。この場合は、閣議決定でつけていけないんだ、こう言っているけれども法律上は、今度の百条の八ができて九十五条がそのままカバーするわけですから、これはついていけるのです。そして、だからこそ、法律ではついていけるから、この閣議決定でつけないんだ、こうわざわざ書いてあるのです。  それからもう一つは、航空機を防護するための武器を携行し使用することはないと書いてある。九十五条では武器を使用することができるのです。そうなっているでしょう。できるということは、自衛隊法の建前からいって、できることはやらなければいかぬのです。どうなってもいいとほうっておくわけにいかぬのですよ。そういう九十五条がそのままカバーしてくるのだから。しかもその飛行機は紛争地域へ行くのですから、湾岸戦争にしろベトナム戦争にしろ。そういうことになると、これはまさに紛争に直接介入されていく。憲法上とんでもないことだ。こういう閣議決定をしたということは、この法律の百条の八とそして九十五条がかぶるということで、法律としては非常に危険なところへいくんだということを申し上げたい。  九十六条について言えば、今度は、不測の事態が起こるためにけん銃を持っていくということを書いてあるのですよ。不測の事態というのは、全く、まあハイジャックなんというのはほとんどあり得るとは思えぬことだ、それが起こった場合のときにちゃんと武器を持っていくのでしょう。ところが、ぎりぎりいっぱい安全が確保されたということで、ぎりぎりいっぱいだからやはり危険だということですよ。そういうときに今度は九十五条である権利を持っていかないということのつじつま合わせをしているのです、これは。持っていくということになったら紛争への軍事行動の進出ということになるから、これは憲法上何ぽ何でも許されない。こういうジレンマになっているのですよ、これは。  私は、この法律は、憲法の建前からいって、武力の行使を海外へ出ていってやるなんというのはとんでもないことだ、憲法上許されないという立場から、これは断じて承認することはできない、こう思います。  時間がありませんので、意見があったら言ってください。
  177. 中西啓介

    中西国務大臣 何度も繰り返すようでございますが、二重三重に安全の確認、チェックをされて、安全であるという状況確認されて初めて行くわけでございますから、安全でないという場合は行かないわけでございますから、東中先生の言われるような御指摘は当たらない、かように考えているところでございます。  それからもう一つ、これはこれからの政治改革の中で国会のあり方も私は変えていくべきだと思うのでありますが、やはり国会は政党のためにあるのではないと僕は思っております。国民のためにある国会だと思っております。ですから、国会国民にわかりやすい開かれた議論をできるような委員会にしなければならない。  ですから、質問だけに答えなければ許さぬというような規定は衆議院規則にないと僕は思うのですね。ある程度こういうふうなケースもあるというような反論権も認められているのではないかという認識で僕はおるわけでありますが、もう一度衆議院規則を調べ直してみますが、そういう見地から先ほども申し上げているわけでございますので、御理解をいただければ幸いでございます。
  178. 村田直昭

    村田(直)政府委員 一部大臣答弁の中でお答えしなかった部分でございますが、御指摘の、派遣先国において自衛隊法第九十五条の規定に基づく武器使用は想定をされていないということで、このことを法律上排除する積極的理由もないということから、適用を排除する旨の規定は置いておりません。  なお、こういう規定が認められておるのだから必ずやるんだという御指摘でございますけれども自衛隊法九十五条に基づく武器使用が想定されていない自衛隊法の他の規定、いろいろな活動がございます、土木工事の受託でありますとか国賓等の輸送というような規定においても、同条の規定の適用を排除していないということの権衡上からも、法律技術的にもこの規定の適用を排除するということはない一この規定があるから必ずやらなければならないのだということにはならない。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですが、そんな話があったので。  違いますよ、私の言っている趣旨は。紛争地域へ行くんだ、紛争地域だということ、そればかりじゃないということを言いましたけれども、それもあるのですよ。だから、紛争地域へ、サイゴン陥落の直前のところへ行くのだということでしょう。あそこで戦争をしていたのですよ。そこへ行くのでしょう。そのときに軍用機が行くのでしょう。その軍用機に対しては九十五条がかかるから防護しなければいかぬというのが建前なのです。だから、それは建前だから、今度の場合は特別に、危険なところへ行かぬのだということにして、それで閣議決定で、戦闘機はつけないとか、こういうことはしないとかと書いてあるのですよ。閣議決定をやったって何にもならない。こんなもの、閣議決定なんかすぐ変えられるじゃないですか。  しかも、この派遣は、部隊の派遣なのに、外国への派遣、紛争地域へも派遣するというのに、何と防衛庁長官だけでやるというのでしょう。(中西国務大臣「いやいや、外務大臣も」と呼ぶ)法律上はそうなっていますよ。防衛庁長官は、外務大臣と協議し、確認して、輸送させる。主語は防衛庁長官ですよ。条文をきちっと読みなさいよ。そう書いてありますよ。あなたがやることになっているのですよ。  閣議決定もやらないんじゃないですか。ただ、この十一月五日の閣議決定によると、何か地域の 状況と行く機種によっては閣議決定するものとすると書いてある。閣議決定するかしないかということを法律には書かないでおいて、この一片の、閣議で決めている。何ということですか。これはもうずさんな法律ですね。  外国へ軍隊を、部隊を派遣する、国際法上は軍用機を派遣するのに、防衛庁長官だけで決めて、閣議決定もしない。国会はもう全く知らぬ。そしてぎりぎりいっぱい危険なところへ入って行くのだ。そんなことは許されないということを言って、終わります。
  180. 中西啓介

    中西国務大臣 では、最後に私も一言だけ申し上げておきます。  これは、外務大臣の要請を受けて、もちろんその前提条件として、安全であるから、ひとつ防衛庁長官、行ってくれぬかという話が来たときに、防衛庁長官防衛庁の見地から安全性をさらにチェックして、それで行く話でございますから、防衛庁長官判断で行ける話では断じてないと認識をいたしております。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 要請でなくて依頼です。  終わります。
  182. 近藤豊

    近藤委員長 高市早苗君。
  183. 高市早苗

    ○高市委員 無所属の高市早苗でございます。  本日は、私に質問時間をお分けいただきました理事先生方、そして委員の皆様、本当にありがとうございます。  きょうは、主に自衛隊法改正案について質問をさせていただきたいのですけれども、既にこの委員会でも長時間の議論を経ておりますので、幾つかの重複点はございますけれども、採決も返そうな感じですので、いま一度お尋ねすることをお許しください。  まず、長官にお伺いいたします。  私は、国民の生命と財産を守ることが最も重要な国家の役割だと考え、その仕組みづくりに参加したくて政治家になりました。長官も、国民の生命を守ることを国家の重大な役割とすることに御賛成いただけますでしょうか。
  184. 中西啓介

    中西国務大臣 全く同感でございます。
  185. 高市早苗

    ○高市委員 在外邦人もすべて国家が守るべき国民に含まれますでしょうか。
  186. 中西啓介

    中西国務大臣 先ほども申し上げましたように、外国にいる人であろうと、日本人である限りは私は同等に、まあ扱い方はなかなか難しいのでありますが、気持ちとしては同じであるというふうに考えております。  ですから、危機管理という見地からのアプローチであればもっと深まった議論が展開されていくのでしょうけれども自衛隊機防衛庁に移管されて運営を任された、それではその自衛隊機をどう使うかというところからのこれはアプローチですから、機会を改めて、そういう邦人救出というか人命尊重といいますか、そういう見地からの御議論もいずれやっていただければなというふうに思っております。
  187. 高市早苗

    ○高市委員 内閣提出法案には「長官は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人輸送の依頼があった場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときはこというくだりがございます。こういう形で邦人救出実行の条件を規定していると思うのですけれども輸送安全性確保されている状態について、先ほどから長官の言われるような、濃い目とか薄い目とか、ぎりぎりの安全なんというあいまいな基準なら、何もわざわざ法案の中に「確保されていると認めるときはこという一文は要らないのじゃないか、不適切なのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
  188. 中西啓介

    中西国務大臣 ちょっと比喩的に申し上げ過ぎた嫌いはありますが、私の言わんとしていることは、いわゆる我々が懸念しているような危険性が全くないということであれば民間機も行ってくれるのだろうと思うのですよ。だけれども、過去何回か、民間機には行ってもらえなかった、チャーター機に頼ろうとしてもこれも果たせなかった、なおかつ、自衛隊機が行っていれば救出できたのになというような場面もあったと思うのですね、現実に。そういうことを念頭に置いて申し上げたわけでございます。
  189. 高市早苗

    ○高市委員 今おっしゃったことは、平成五年四月二十七日の衆議院の会議録、手元にございますけれども、当時の宮澤総理大臣がおっしゃったことに割と近いと思うのですね。このときに、宮澤総理大臣はこうおっしゃっています。   現実に避難をする事態が生じましたときには、最初には民間定期便を使ってもらうということでございますけれども、それが困難になってまいりますと、民間機チャーターしてみんな一緒に避難をしてもらうというようなことを従来やってまいりました。   一九七五年にサイゴンの陥落いたしましたときにはそれができなかったわけでございます。   結局このチャーターした民間機はマニラまで行ってサイゴンに入れなかったということを考えてみますと、やはりパイロットやクルーがそのような危険な業務を拒否をする、現実に拒否をしたわけです、ということがある。あるいは、その民間機そのものが任務につくのに非常に保険料が高くなって、禁止的に高くなって、実際、私企業にはその負担ができなかった。ですから、事の性質上、民間企業にそれをやってもらうということが現実に無理だということを、我々は一九七五年に現実に体験をしたわけでございますから、民間でできるではないかということにはならないので、それで万一のときを思いまして、このような法案の御審議を願っておるわけでございます。というような宮澤さんの話が載っているのですが、つまり、民間機が拒むほど危険なケースを想定したのが、もともとの自衛隊法改正目的なんだろうかという印象を受けたわけです。  当時自民党だった長官に伺いたいのですけれども、今国会でその目的そのものというのは変わったということでしょうか。それとも、今長官がおっしゃられたニュアンスでは、民間機が行けない危険なケースを想定されているように受けたのですが、いかがお考えでしょうか。
  190. 中西啓介

    中西国務大臣 これも何度も申し上げておりますように、趣旨としては変わったとは認識いたしておりません、自民党案政府案趣旨そのものは。しかし、過去のいろいろなケースの中で、要するに、民間機チャーター機も行ってくれない、当然そのときは政府専用機も行ける規定もないというようなときに、外国の民間機によって輸送されたケースも何度かあるわけでございますから、ということは、行こうと思えば民間機でも行けるわけでありますが、いろいろな理由で行けなかったわけですから、よその国の民間機輸送されているということは、いわゆる許容範囲内の安全性確保されている状況だったのだろうと僕は思うのですね。  そういうときは、民間機チャーター機も行ってくれないわけですから、自衛隊機が行くというような可能性もかなりあるのだろう、そういうことで今度この法律を出そうということになったのだろうと認識をいたしております。
  191. 高市早苗

    ○高市委員 許容範囲内の安全性というのがいま一つわからないのですけれども、次は長官外務大臣にお伺いしたいと思うのですけれども輸送安全性については長官外務大臣で協議されるそうなのですけれども、お二方は、それぞれどういうルートの情報に基づいて現地安全性について判断をされるのでしょうか。お願いします。
  192. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の御質問の点につきましては、輸送に当たりまして、派遣先国空港及び航空機飛行経路におきまして、派遣先国政府などの措置によりまして航空機等の安全が確保されていることがまず前提となっております。そのような前提のもとに、当該国の権限のある当局から領空通過及び着陸につきまして許可を取りつけることになります。  さらに、個々緊急事態の態様に応じまして、現地の情勢及びまた見通しにつきまして最大限の情報収集と分析を行いまして、それらに基づいて 我々は安全の確保を総合的に判断するということであります。こういったときに私ども外務大臣と、防衛庁長官邦人輸送を依頼するということになるということであります。
  193. 高市早苗

    ○高市委員 つまり、現地の在外公館というわけではなくて、相手国の政府判断に基づくということになりますでしょうか。
  194. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、例えば私どものまさに大使館あるいは総領事館ですとか、そういったところを通じながら相手の国に確認をすることがありますし、また我々のそういった機関は周辺の各国の大使館、その他の情報も得るということでありまして、情報はありとあらゆる手段を講じながら得たいというふうに思っております。
  195. 高市早苗

    ○高市委員 相当慎重な情報収集ができなければ、またしなければ、この政府専用機派遣するということについて、かえって日本国内でもめてしまって迅速な対応がおくれる危険性が出てくると思うのですが、例えば在外公館の場合、ごく少数のスタッフしかおられないところもありますし、二つの国を兼轄していらっしゃるような場合もあると聞くのですけれども外務大臣は、現在の状態で世界のどこの国において緊急事態が発生したにしても、輸送安全性確保に関する情報収集が正確に、かつ迅速に行われ得る体制が整っているとお考えでしょうか。
  196. 羽田孜

    羽田国務大臣 そういう情報確保するために私どももさらにそういった角度を、角度といいますかそういう対応ができるような体制をやはり常に努力していくということであろうと思います。いずれにしましても、我々は万全を期してまいりたいというふうに思います。
  197. 高市早苗

    ○高市委員 安全だと判断して政府専用機派遣したものの現地到着後に状況が急変したり、また安全だと思って飛び立ったものの万が一の事故になったような場合には、どなたがどんな形で責任を負われることになるのでしょうか。
  198. 中西啓介

    中西国務大臣 ですから、急展開をすることだって予想できるわけであります。それで、まだ現地に到着していないで現場の情勢がにわかに悪化したというような状況になれば、通信で飛行機を引き返すというようなことに多分なるのでしょう。そういう場合もあり得るし、あるいは着陸して、それで乗せて飛び立とうとしたときに飛び立てなくなるような場面も想定されるわけですね。そのときは、今の法律では全く対応のできない法律でございますから、そのときはただひたすら、何といいますか、問題が起こらないようなことに専念するしかないのだろう。  いろいろなケース考えられるのですよ。ですから、外国にいる日本人も、国内にいる日本人も日本人であるわけですし、同じ価値があるという判断に基づくならば、私はだからさっきも申し上げましたように、危機管理というような面で、これだけの国になったわけですから、じっくり時間をかけて徹底的に議論をして、やはりそういう対応策も考える我々は責任があるのではないか、国会というところは。だからそういう議論をやっていただきたいということを過日、そういう問題も含めて申し上げたつもりでございます。     〔委員長退席、樽床委員長代理着席〕
  199. 高市早苗

    ○高市委員 例えば、過去にも緊急時の在外邦人救出のために政府救援機を派遣した実績がありますけれども、これまでは内外の民間航空会社の航空機によったわけです。昭和四十年と四十六年の印パ戦争とか昭和四十二年の第四次中東戦争、平成二年の湾岸危機の邦人引き揚げなどなんですけれども、これと同じようなケース、つまり戦時と呼ぶに非常に近い状態が起きたときに、外務大臣長官政府専用機派遣されますか。
  200. 荒義尚

    ○荒政府委員 ただいま具体的に幾つかのケースを御指摘になりましたけれども、これは過去の事態でございますので、そのときに当てはめて、そもそもそのときに自衛隊ありせばという議論は御案内のとおりに無理がとも思いますけれども、とにかく私どもとしては、現実に今後起こる状態に応じて適時適切にどういう措置がいいか考えていくということでございまして、個々ケースがどうだったかということは、過去の事例であるだけにちょっとなかなかお答えしにくいということでございます。
  201. 高市早苗

    ○高市委員 しかし、先ほど長官がおっしゃったように、海外にいらっしゃる邦人も大事な国民で、国家にとっては守るべき義務のある対象だと思います。そして、個々ケースにおいて判断するということなんですが、本来危機管理というのはあらゆるケースを想定して、こういう場合にはこうする、こういう場合にはこうあるべきだ、政府専用機が使えないならそのかわりこうするんだ、万が一輸送の安全が確保されない場合に政府専用機は飛ばしませんよ、しかしそこにいらっしゃる方々がどうしても国外に出なきゃいけない、これを見捨てるのかどうかという議論にもなりますので、ぜひそういった意味ではこれからあらゆるケースについての危機管理というものを議論していただきたいと思います。  また、先ほども言いましたが、この条文の中に「確保されていると認めるときはこという一文があるばかりに、何だか安全だから自衛隊機を出すという論法に聞こえてしまって、PKOのときの議論にえらく似てきたように思うんですね。万が一のときに、国民の政治不信というのは取り返しがつかない状態になるように思えてならないわけです。  次の質問に移らせていただきたいんですが、内閣提出法案輸送手段政府専用機と特に指定しております。しかし、空港設備の状況やその他の事情によりこれによることが困難であると認められたときには、その他の輸送機を使用できるようになっているんですけれども、次のケースでどうなるかということをお聞きしたいのです。  政府専用機輸送人員は約三百五十名と聞いております。二機を使用して約七百名救出てきますけれども、例えば千名をできるだけ早く救出しなければならない事態が発生した場合に、基本的には政府専用機を一往復させるのか、それとも輸送機も同時に使用して一回で済ますのか、どっちになるんでしょうか。
  202. 村田直昭

    村田(直)政府委員 救出に当たって、非常に緊急を要するケースと、それからやや時間的余裕があるケースとかいろいろなケースがあると思いますが、一遍にやるということが非常に重視される場合においては、政府専用機二機あるいはそれにC130を同時に飛ばすというような措置もとれますし、それから時間的に余裕があるときには、政府専用機を一往復させる、あるいは一・五往復させるというようなことも考えられましょうし、それはそのケース・バイ・ケースによって判断されるということでございます。
  203. 高市早苗

    ○高市委員 それでは、例えば五人ぐらいの少人数の邦人救出を行う場合に、費用対効果は考えずに、小型の航空機ではなくまず基本的に政府専用機派遣されるのでしょうか。
  204. 宝珠山昇

    宝珠山政府委員 現在の政府提案考え方ではそのようになります。
  205. 高市早苗

    ○高市委員 本当に、例えばアメリカでしたら、納税者がアズ・ア・タックスペイヤー、納税者として費用対効果という問題についてどう考えるのかというようなことで、新聞の一面に載るような大きな争点になると思うのですね。緊急時において最初のオプションを政府専用機と、わざわざそうすることで、最適な救出法の選択の余地を狭めてしまっていたり、あと政府専用機以外の自衛隊機を使うべき場合かどうかという議論に手間取りまして、対応がおくれることにならないかなと心配するわけです。ぜひ臨機応変な対応ができるような形に持っていっていただきたい。このわざわざの一文は抜いていただけたらいいなと思ったりいたしております。  次に、長官にお尋ねしたいのですが、私は無所属でございますから、特に従うべき党の方針というようなものもございませんので、割と自由な立場で両法案を比較研究させていただいているところです。そんな中で、与党の先生方から法案内容についての御教授もいただいたのですけれども、 その中で自民党議員提出衆法第一号と内閣提出第十五号は実質的にはほとんど変わらないとの御説明が多かったのですけれども長官もそうお考えでしょうか。
  206. 中西啓介

    中西国務大臣 これも何度も申し上げているとおり、基本的には趣旨は同じだと認識をいたしております。  ただ、前国会でも政府提案として出させていただいたとおり、やはり政府として性格上あるいはまた人道上出す方が、責務という見地から考えても望ましいのかな、そんなふうに個人的には考えております。
  207. 高市早苗

    ○高市委員 でも、似たような内容だとおっしゃるならば、既に自民党議員から衆法第一号が出ていたのに、なぜ実質的にそれほど変わらないようなものが新たに提出される必要があったのか。幾ら閣法で決められた方がいいとおっしゃっても、よく理由がわからないのです。衆法が出ているのに似たような内閣法案を出すというのは、国権の最高機関である議会軽視ではないでしょうか。長官にお願いします。
  208. 中西啓介

    中西国務大臣 いや、ですから先ほども申し上げたように、前回の経緯があるわけでございます。前回の国会でこういう法律が全く議論もされずに、今回初めてこういう問題が提起されたということであれば、まあまあまた若干あれなのかもしれませんけれども、何も意図的にやったというのではなくて、前回も要するに政府提案で出した経緯もあるわけでございますから、やはり責務としても、政府としても人道的見地からも邦人救出のためにも供する、そういう案を考えて、国会議論をいただいて成立をさせて、そういう不測の事態に備えたいという趣旨で出しているわけでございますから、私は整合性はある、そんな認識でございます。
  209. 高市早苗

    ○高市委員 細川政権は、国家の基本政策はこれを継承する方針をとっておられますけれども安全保障というのは基本政策でも最も重要な部分だと思うわけですが、自衛隊法改正について、第百二十六国会で衆院を通過した改正案をなぜ政府からもっともっと早急に再提出されなかったんでしょうか。
  210. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、もうよく御案内のとおりでありまして、政府で出したその法律、この前の国会議論にありますよね。そして、新しい政権ができて、この間にやはり一人でも多くの国民理解を得るということは、一つの政党でも多くの理解を得る、こういうことが私は必要であろうと思うのですね。  ですから、そういう中で、先ほどから中西長官もお答え申し上げておりますように、やはり邦人の安全というものを確保するためには輸送そのものが安全でなければならぬということで、さらにそういったものに対して、防衛庁長官と一緒に合議をするというようなことをきちんと詰めていることと、国民の中には、どの飛行機でも行けるということになりますと、やはりこれは問題があるのじゃないのかという方々もあるでしょう。そういった中で、ある程度輸送する航空機を特定しておるというようなことも、私は多くの人の理解を得るためには前進であろうかなというふうに思っております。
  211. 高市早苗

    ○高市委員 それにしても、自民党議員の方々が衆法第一号を提出してから内閣提出第十五号が提出されるまでに、もう一カ月余りがたっております。ネバー・ゼイ・ネバーという言葉がありますけれども、この国際環境の中で、もしもここ数カ月の間に緊急事態が発生していたらと思うとぞっとするのですけれども、いま一度、時間がかかった理由を具体的に教えてください。お願いいたします。
  212. 中西啓介

    中西国務大臣 連立内閣でございますから、やはり意見が若干違う政党が集まっての内閣でございますから、調整をするためには若干時間のかかるのは、これはもう当然の結果だと思います。一刻も早くこの法律を物にしなければならないというお考え方で高市さんがおられるならば、趣旨が同じでございますから、何とぞ政府提案に御賛同いただくことを心から切望いたしたいと存じます。
  213. 高市早苗

    ○高市委員 趣旨が同じということは理解します。私自身も自衛隊法改正を何としても今国会でなし遂げたいと思っている一人なんですけれども、実際に文章に違いがあるのですね。先ほど安全確保確認されたときというのと、政府専用機に限ったという部分がございますね。  長官にお尋ねしたいのですが、一政治家としての信念にのみ忠実にお答えいただきたいのですが、内閣提出法案が内容においてベストだと確信されておられますか。
  214. 中西啓介

    中西国務大臣 要するに、かつて僕も新聞のインタビューに答えたのですが、ベストではないかもしらぬがバッドではないというコメントをしたのを今思い起こしたわけでございます。  それは、完璧なものかどうかというと私なりに意見もございますが、しかし、実績を積み重ねていく上においてまた見直していけばいいわけでございますから、とりあえず一刻も早く成立をさせていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。
  215. 高市早苗

    ○高市委員 でも、どうせ成立させるならベストなものを目指したいと私は思うのですけれども、それでは長官は、衆法第一号と内閣提出第十五号では内容においてどちらがベターだと思われますか。
  216. 中西啓介

    中西国務大臣 もうこれは申し上げているとおり、我々が出している政府提案の方がベターだと認識をいたしております。
  217. 高市早苗

    ○高市委員 第百二十六回国会では、今回の衆法第一号と同じ内容の法案が自民、民社、公明各党の賛成で衆院を通過しております。つまり、現在の新生、さきがけの方々も賛成だったわけだと思うのですけれども、今国会では新生、さきがけ、民社、公明の各党は前と同じものには賛成できなくなっていらっしゃるようです。長官も前百二十六国会では自民党でいらっしゃったのですけれども、それでは、前の国会ではベストでないものに賛成してしまわれたのでしょうか。
  218. 中西啓介

    中西国務大臣 いや、ですから、自民党さんが出している案よりも、我々与党が出している法律の方がベターだと申し上げているわけです。ですから、私は当時自民党に所属する代議士で、議運の委員長でございまして、政府提案よりはベターではないけれども、とにかく早く出していただきたいという立場でお願いをしてきたわけでございますが、衆議院を通過して参議院で通過寸前にハプニングが起こって廃案になっちゃった、こういう経緯でございますから、そういう認識でおったわけでございます。     〔樽床委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 高市早苗

    ○高市委員 それでは、長官は、前の国会のときにもし今の政府提出法案の内容が出ていたら、絶対そっちに賛成されていたわけですね。
  220. 中西啓介

    中西国務大臣 そういうことですね。
  221. 高市早苗

    ○高市委員 それでは、先ほど連立内閣だからという言葉が出たのですけれども、あくまでも社会党への妥協というようなことで信念を曲げられたとか、一番いいと信じている内容を少し妥協されたとかいうことは絶対ないとおっしゃれますでしょうか。
  222. 中西啓介

    中西国務大臣 やはり連立政権がうまく機能していくためには、お互いに協調していくということが大前提だろうと思っておりますから、その結果の法案でございます。
  223. 高市早苗

    ○高市委員 国民というのは、選挙のときに政治家が唱えた政策や人間的な魅力に大切な一票を託すんだと私は考えています。もしも、特定の政党への配慮から、残りの政党に属する人が少しでも信念を曲げたり政策を変えたりしては、国民にとって唯一の政策選択の機会である選挙そのものが意味を失ってしまうんじゃないかなと思うわけです。特に、国民の命にかかわるような大切な問題については、それぞれの議員が党利党略、党議に縛られずに、もしも信念と良心にのみ忠実に投票すれば、きっとそれが国民の思いに一番近い結論になるんじゃないか、私はそう考えます。  次の質問に移らしていただきます。  委員会についてなんですけれども、私は新人ですから、もしかしたら委員会というものについての認識が間違っているのかもしれませんけれども、私は委員会で長時間の議論を尽くして決定したことについては、できるだけ委員全員で尊重していきたいと思うものです。委員会を通過したものが本会議でも可決されて、私たちの努力と時間がむだにならないように、委員会に所属しない先生方にも委員会通過の法案の内容を御理解いただく努力を、委員の一人として微力ながらしてみたいなと考えております。  例えば、政治改革の関連法案につきましても、あれは無所属に冷たい内容でしたので不満は少々残ったのですが、私も質問時間をいただいた政治改革特別委員会先生方が十分に議論を尽くされた結果、委員会を通過した法案だったからこそ、これを尊重したいと思って賛成票を投じました。  自衛隊法改正は、一刻も早く必ずなし遂げなければならないと思っておりますし、その点では多くの委員先生方が同じ思いだと思うのです。委員会を通過した法案が、本会議で否決されて元も子もなくなるような結果にだけはしたくないと思うのですけれども、この質問自民党先生方と与党に属される大臣の双方にお尋ねしたいのですけれども自衛隊法改正案については本委員会での結論は尊重されると思われますでしょうか。
  224. 中西啓介

    中西国務大臣 当然、本委員会で決定された結論に従い、尊重していくのは当然のことだと思います。ですから、当委員会の与野党を代表する理事の皆さんの間において、何とかひとつ精力的な合意に向けての話し合いがなされることを心から期待をしたいと思います。
  225. 鈴木宗男

    鈴木(宗)議員 民主主義の原理原則は、何といっても議論議論を重ねて得た結論は尊重する、これが最大の基本だと思っておりますしからば、今高市先生がおっしゃるとおり、この委員会で十分審議尽くされ、そこで整々と採決されたものは本会議でも決定される、これが常道だと考えております。
  226. 高市早苗

    ○高市委員 長官に対する質問としては最後の質問になるのですけれども長官自民党においでのときに賛成されていた内容のものに今回はどうも賛成できないという理由を、具体的にいま一度御説明ください。
  227. 中西啓介

    中西国務大臣 環境が変わりまして、私の今置かれているスタンスは、自民党と基本的には趣旨は同じなんですけれども、若干違う部分もあるわけですが、その違う法律を出した側にいる人間でございますから、出した法案の成立を期待する、切望するというのは当然のことかと認識をいたしております。
  228. 高市早苗

    ○高市委員 それでは、自民党提出議員の方に対してもこれが最後になるのですけれども、とにかくこれは成立させなければいけません。なぜ提出された案にそれほどこだわられるのか、どの部分がどうしても譲れないのか、いま一度、できるだけ詳しく御説明ください。お願いします。
  229. 鈴木宗男

    鈴木(宗)議員 先ほどお話がありますように、我々は、前々通常国会ですか、百二十六国会に出しましたこの法案をそのまま提出をいたしました。同時に、この法案議員立法で出す前に、我々も時間をかけて政府には検討の機会を与えております。例えば、八月二十六日の特別国会で、我が党の町村政調副会長が代表質問で、細川総理にこの自衛隊法改正法は出すのか出さないのかただしております。それについて細川総理は、速やかに出したい、こう言っているのです。そして、九月の臨時国会が始まりました。これは九月の二十二日でありますけれども、このとき我が党の橋本政調会長、額賀副会長が同様の質問をいたしますと、細川総理は、今与党内の調整を進めているところです、こんな答弁でありました。  私は、総理大臣が出したいと言っておきながら、一部政党、名前を挙げて言うならば社会党でありますけれども、それに振り回されてその筋を曲げるというのはいかがなものか。同時に、国際社会日本という話が先ほど中西長官からもよく出ております。日本の果たすべき役割ということも中西防衛庁長官からよく言われておりますけれども、しからば、緊急事態はいつ発生するかわからない、速やかにこういった法案政府として出すのが私は筋でないかと思っているのです。それを、我が党は待ったにもかかわらず、我が党が出したのは九月の二十八日です。十一月の五日に政府がやっと、妥協の産物として、政府専用機限定なんという中身で出してきているところに私は問題があると思っているのです。  そこで、先ほど中西長官が環境が変わったという話がありますけれども、国家安全保障だとかあるいは外交については、私は一番大事な国の基本をなすものであります。それが、連立政権という環境が変わったからそこで我々は節操を曲げるんだ、これでは日本国の政治を任せるには私はいかがなものかなという気もいたします。  私は、政治家としてこれは信念を持って申し上げておるのでありますけれども、そういった面から考えましても、自民党の出している議員立法は、通常国会でも自民党そして公明党、民社党の協力も得て衆議院で可決しまして、参議院に送付されて、あす採決という参議院の状態でたまたま不信任案が出たものですから、そこで日の目を見なかった案でありますから、さっきベスト・アンド・バッドの話が中西長官から出ておりましたけれども、私は、ベストの案を我々は出している、しからばこの案を速やかにここで採決をしてもらって成立をさしていただきたいものだ、こう思っています。  同時に、今高市先生質問をお聞きしながら、よく勉強もされておりますし、大変的を射た質問ばかりでありまして、非常に立派な質問者だったと敬意を表しているところであります。
  230. 高市早苗

    ○高市委員 私が質問申し上げた内容についていま一度お答えいただきたいのですが、どの部分にどうしてもこだわって譲れないのかという具体的な点をお願いいたします。
  231. 鈴木宗男

    鈴木(宗)議員 まず一番の点は、飛行機は、私ども政府専用機及び自衛隊の保有する飛行機を使ってとにかく救出に当たる、人道活動に当たるということなんです。ですからオプションを広げております。今政府が出しているのは、政府専用機に限定をしております。先ほどいみじくも高市議員が質問したように、わずか五人を救いに行くのにも政府専用機ボーイング747-400型を持っていく。私はどう考えてもむだなことだと思っているのです。やはりケース・バイ・ケースで即応する、適時適切な対応をする、これが本来の救助活動だと私は思っているのです。この点は、最大譲れない点であります。
  232. 高市早苗

    ○高市委員 本当に本日は、無所属であります私に長時間の質問時間をお与えいただいて、感謝いたしております。  最初五分と聞いておったのが急に五十分になったので、まだ時間を余している状態なんですけれども、私自身お尋ねしたいことはもう十分お尋ねさせていただきましたので、後は心を一つにして何とか法案の成立に向けて委員の一人として努力をさせていただきたい、そう考えております。本当に本日はありがとうございました。
  233. 近藤豊

    近藤委員長 次回は、明二十六日金曜日午後零時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会      ――――◇―――――