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1993-11-11 第128回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十一月十一日(木曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員   委員長 近藤  豊君    理事 鈴木 宗男君 理事 中谷  元君    理事 町村 信孝君 理事 山崎  拓君    理事 大出  俊君 理事 月原 茂皓君    理事 樽床 伸二君       瓦   力君    高村 正彦君       谷垣 禎一君    中村  力君       中山 利生君    西銘 順治君       浜田 靖一君    宮里 松正君       宮下 創平君    山下 元利君       渡瀬 憲明君    岩垂寿喜男君       金田 誠一君    楢崎弥之助君       江﨑 鐵磨君    船田  元君       松田 岩夫君    上田  勇君       福島  豊君    矢上 雅義君       東中 光雄君    玄葉光一郎君       高市 早苗君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君         国 務 大 臣 中西 啓介君         (防衛庁長官)  出席政府委員         国際平和協力本 鈴木 勝也君         部事務局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 宝珠山 昇君         長         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁人事局長 三井 康有君         防衛庁装備局長 中田 哲雄君         防衛施設庁長官 米山 市郎君         防衛施設庁総務 草津 辰夫君         部長         防衛施設庁施設 江間 清二君         部長         防衛施設庁労務 小澤  毅君         部長         外務大臣官房領 荒  義尚君         事移住部長         外務省総合外交 柳井 俊二君         政策局長           外務省アジア局 池田  維君         長  委員外出席者         安全保障委員会 下尾 晃正君         調査室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 近藤豊

    近藤委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、外務大臣から我が国安全保障政策について説明を求めます。羽田外務大臣
  3. 羽田孜

    羽田国務大臣 我が国安全保障についての所信を申し述べたいと存じます。  今日の世界におきましては、東西冷戦が終了した一方で、旧ユーゴスラビアや旧ソ連邦に見られるように、民族宗教に根差した地域紛争が多発しております。また、米ロ間の全面核戦争危険性が大きく減少した反面、大量破壊兵器拡散防止は、新たな、かつ急を要する課題となっております。  このような冷戦後の課題に対応する中で、国際社会は、新たな平和と繁栄のための枠組みを模索しつつありますが、事態は流動的で、また多くの不透明性をも抱え、また、国連中心とする国際社会の協調と協力がますます重要となってきております。  アジア太平洋地域においては、冷戦の終了に伴って一定の好ましい動きが見られ、特にカンボジアにおけるUNTACの業務が成功裏に終了する等、地域紛争解決のための国際社会努力一定の成果を生み出しております。  他方、この地域は依然として多くの未解決の問題や不安定性を抱えており、中でも北朝鮮の核及びミサイル開発疑惑の問題は、引き続きこの地域安全保障にとっての重大な懸念材料であるのみならず、不拡散に向けての国際社会努力に対する大きな挑戦でもあります。また、我が国に近接する極東地域ロシア軍は、軍の政策として、また、ロシアの厳しい経済状況などから、活動規模やレベルは縮小しつつありますが、依然として核兵器を含む近代化された膨大な戦力を蓄積しているという事実には変わりありません。  このような国際情勢の中にあって、アジア太平洋地域の平和と安定を図っていくためには、次のような努力を多角的、重層的に行っていくことが重要であろうと考えます。  その第一は、日米安保体制の堅持であります。日米安保体制は、我が国の安全を確保するために必要な抑止力を提供するとともに、日米間の緊密な同盟協力関係に安定した政治的基盤を与えております。また、この体制は、アジア太平洋地域安定要因となっている米国の同地域における存在を確保する上でも不可欠の手段となっております。政府といたしましては、このような意義と重要性を有する日米安保体制を今後とも堅持し、その円滑な運用と信頼性の向上のために、できる限りの努力を払っていく考えであります。  第二は、個々の対立紛争に応じた関係国解決努力を着実に積み重ねていくことであります。この関連で、北朝鮮の核開発問題への対応に当たっては、核兵器拡散条約脱退完全撤回IAEA保障措置協定の完全な履行、南北非核化共同宣言の実施を実現させるべく、米朝交渉南北対話中心として各般の努力がなされておりますが、この問題の解決のためには、このような、米国を含め地域諸国中心とする関係国の一致した努力が極めて重要であり、我が国としても最大限の努力を払っていく考えであります。  また、カンボジアにおける国連平和維持活動に対する我が国の貢献は、国際的にも高い評価を受けたところでありますが、目下最大課題であります新国家建設支援に向けて、引き続き協力し、努力を重ねてまいりたいと考えます。  第三は、域内各国政策透明性安心感を高めるための政治安保対話推進であり唐す。この点につきましては、本年七月のASEAN拡大外相会議におきまして、明年から同会議参加国中国ロシア等五カ国を加えたASEAN地域フォーラムを設置することなどが合意され、より広い範囲での政治安保対話が開始されることとなりました。我が国としても、域内各国政策透明性お互い安心感を高めるために、今後ともこのような対話推進してまいりたいと考えます。  そして第四に、この地域の平和と安定のためには、経済的な発展が重要な意味を持つことから、地域諸国経済発展の一層の促進のための協力を行っていくことが重要であります。  以上のような努力のほか、よりグローバルな観点から、今日深刻な問題となっている大量破壊兵器の不拡散問題についても、我が国は、核兵器拡散条約(NPT)の無期限延長を支持するとともに、核兵器国による一層の軍縮推進必要性を指摘してきております。また、これに加え、包括的核実験禁止条約(CTBT)交渉への積極的参加、旧ソ連核兵器廃棄促進のための支援及び大量破壊兵器関連科学者技術者流出防止のための国際科学技術センターの設立などにも積極的に貢献してきております。なお、この関連で、先般中国による核実験が実施されましたことは、包括的核実験禁止条約の締結に向けて国際的な機運が高まっている時期だけに極めて遺憾であり、我が国としては、引き続き、中国及び他の核保有国に対して核実験を控えるよう、外交努力を重ねているところであります。  我が国は、今や、これからの国際秩序基本にかかわる問題に大きな影響力を持つ存在となりました。私としても、このような我が国の責任と役割を自覚しつつ、我が国安全保障のみならず、世界の平和と安定のために努力を注いでまいる決意であります。この重責を十分果たせますよう、今後とも委員各位の御協力をお願い申し上げます。  以上であります。(拍手)     ―――――――――――――
  4. 近藤豊

    近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  5. 中谷元

    中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。  国の安全保障のあり方につきまして質問をさせていただきます。  ことしの十月三十一日でありますけれども、細川総理自衛隊観閲式典の場でこう発言されました。日本世界のどの国にも率先して軍縮イニシアチブをとっていかなければならないという発言でございまして、これは、私聞きまして、あの就任早々日本侵略戦争発言を聞いたときに次ぐ驚きの感じを持って聞きました。時が時、場所場所であって、最高指揮官ですから自分の抱く理念とか方針は明らかにするのは大事なことなんですけれども、ああいう場での発言でございまして、非常にびっくりしたわけでありますが、防衛庁長官としてはこの発言につきましてどのようにとらえておられるのか、お伺いします。
  6. 中西啓介

    中西国務大臣 私も当然観閲式に立ち会ったわけでございますけれども、私は若干中谷さんとは違う受けとめ方をいたしました。  日本は、もう中谷さんも御存じのとおり、世界原子爆弾被害を受けた唯一の国でもあります。そういうことから、非核三原則というものも徹底して今日まで堅持してきておる、あるいはまた武器を国内ではつくっておりますが、それを海外に売ることは断じてできない、シビリアンコントロールも徹底しているというようなことで、要するに、日本が平和で安全であるためには幾つかの手段、便法はあるわけでありますけれども、やはり国際社会がそういう状況になるということは、日本にとってもこれはもう本当に大歓迎すべき状況だと思います。  そういう状況をつくり出すために、冒頭申し上げましたようなことを考えれば、先頭に立っていくだけの資格を有しているのが日本である。ですから、一方では、そういうアクションも積極的に起こしていくべきである。しかしながら他方では、やはり先人たちが築き上げてくれましたこれだけ豊かでこれだけ平和でこんな自由な祖国日本を、邪悪な企てを持ってみたいな勢力が仮に存在する、台頭してくるということに対しては断固立ち向かう、こういうこともあわせてあのとき総理はおっしゃられたわけでありますから、私は、なかなかニューセンスだな、そんな実は気持ちを持って訓示を聞いた次第であります。
  7. 中谷元

    中谷委員 日本軍事力とか兵力が周辺国に対して突出していれば、この軍縮イニシアチブ発言もうなずけるわけでありますけれども、御承知のとおり、本年度の国防費伸び率におきましても、日本の一・九五に対して、中国は一四・九、韓国が一二・九と二けたの伸びをしておりますし、台湾やASEANも大幅に伸びております。東西冷戦が崩壊したといいまして軍縮がキーワードになっていますけれども、西側諸国それなりに、ソ連脅威と直接対峙していましたし、また軍事同盟とか安保システムがあって各国の協調した軍縮が可能なんですけれども、東アジア方面において、日本がこの周辺国軍事同盟を結んでいるわけでもございません。また、軍事予算GNP比も、北朝鮮GNPに対して一一・六%、ロシアが一一・一%、韓国が三・八%と非常に高いのに比して、日本は一%と非常に節度ある防衛力を維持しているんじゃないかなと思います。  また、隊員生活にしても、隊舎や官舎や宿舎が充実して一人前の生活をしていればいざ知らず、非常に苦労しながら、生活自衛官に苦労を強いておりますし、また、観閲式という場所は、私ももと自衛隊におったんですけれども、もう何カ月も訓練をして、練習をして、一番晴れがましい姿を長官総理大臣に見てもらう、一種の士気を鼓舞する場所でもあります。非常に平和な時代安全保障ということで、隊員のみんなば、非常に豊かで楽しい日本生活を横で見ながら、三日四日と雨に打たれたり風に吹かれて夜も寝ずに訓練をしている場所でありまして、非常に自衛隊員士気を喪失さ甘るような、そういう心配を私はしておりますし、また防衛庁におきましても、拍手して喜んでいる大蔵省の職員の姿が見えるというような感じで、非常に、隊員を預かる最高指揮官としては果たしてあの場所での発言が適切であったかどうかという疑問がございます。  そこで、隊員を預かる長官としては、このことをどのように理解をされ、総理に対して処置をされたのでありましょうか、お伺いをさせていただきます。
  8. 中西啓介

    中西国務大臣 特段あの話を聞いた後総理にお話を承ったわけではありませんけれども、私は、決して総理は今中谷さんが言われたような趣旨発言をしたとは私自身は受けとめていないということを先ほど申し上げたわけでありますが、東西冷戦構造が終わったことは事実でございます。アメリカソビエトがにらみ合いをしておったわけでありますが、その背後には核というものが存在しておりまして、それを使えば人類も含めた地球上の生物が数十回も殺りくできるというくらいの強力な兵器を背景にした恐怖のにらみ合い、そのこと自体が終わったことはマクロにおいて歓迎すべきことなのかな。要するに、世界じゅうを核戦争に引きずり込んでみたいな可能性は相当私は遠のいていっているのだろうというふうに思います。  しかし、逆にそれが何となく締めつけみたいな形で、おもしのような形で、それよりも小さい懸念というものがその緊迫したにらみ合いが続いているときにはまだ出てくる余地はなかったわけでありますけれども、そのおもしがごろんととれたことによって、小さい懸念が特に我々の周辺には増幅してきたことは紛れもない事実だと思うのですね。ですから、そういう大きな変化は率直に変化として認めつつ、悔いのないといいますか、未然に侵略を防ぎ得る、そしてまた、いざ、こんなことはあり得てはなりませんが、有事の際には最小限度被害に食いとめられるような中身にもう変えていく必要性がある。  特に、私自身考えることでありますが、防衛というのは本当にお金のかかるものだな。果てしない技術革新が行われておりまして、完璧な武器はもちろんないにしても、あるいはそれに対抗する手段としての武器もまた完璧なものはあり得ない、しかし、かなり現実よりも能力のすぐれたものが開発されれば、どうしてもその開発された水準に張りついていかなければならぬ。そこに、防衛の宿命といいますか、大変お金のかかるというか、大変難しい問題というものが絶えず存在するのだろうというふうに思うわけです。  特に、ヨーロッパというのは、十幾つかの国があるわけでありますけれども、お互い一つの国をつくろうではないか、ECという国をつくろうではないかということで物すごい作業、努力が行われておりまして、もう半ばECという国ができ上がったというふうな見方をする人もいるくらいでございます。それほどお互いにあの地域の中ではもう本当に信頼関係が構築されている状況にあるあのヨーロッパですら、自分の国の防衛という視点から考えてみた場合には、これっぽっちも手抜きはしていない。要するに、ソビエトとの厳しい対峙の中でつくり上げられた、過剰のといいますか余剰の戦力お互い削減をしていることは事実だと思うのです。そういう状況の国でも、防衛ということに関しては全く手を抜こうとしていない。  一転、このアジアに目を転じた場合に、ヨーロッパと比較すると、もう雲泥の差があるのですね、そういう一体感という視点から考えてみた場合。もう全く価値観が違う。宗教上の対立も厳しい。あるいは民族間の紛争も起こっている。また起こる可能性も相当ある。  そんな状況の中で、確かにソ連はお釈迦様でも気がつかないような形で瓦解をいたしましたが、ロシアという国が今存在をいたしております。特に、ロシア軍というものは大変近代的な、また大変な能力を持った軍隊であると見るべきだと思っております。共産党が大変な威力を発揮していたときは、その共産党コントロール下に軍が置かれて、そういう意味では、コントロールという面から考えれば安心できるといいますか、軍が独走するような可能性というのは非常に小さかった。しかしながら、今、そういう共産党の大変な指導力に置かれていた当時とは随分さま変わりになってきておりまして、民主化に移行している一つの過程にあるわけですから、全体から、今の局面だけで判断するということもいかがかなという感じはいたしますけれども、コントロールという点においては当時と比べると弛緩してきておる。ですから、ロシア軍の行方が一体どうなるのかなというような心配もございますし、あるいはまた、ヨーロッパに対峙していた近代的な能力の高い部分は、極東、我々の一衣帯水の、この極めて近間にかなり移しかえられたこともこれまた事実でございます。  それからまた、中国も、過日羽田外務大臣を通じたりして核実験の停止、中止を強く働きかけたところでありますけれども、全く効果なく、核実験を強行された。中国の軍の動きを見てみますと、予算的にも増強の方向にありますし、IRBM、ICBM、長距離戦略爆撃機あるいは空母というような、攻撃型と言われる範疇に属する勢力を相当伸ばしておる。また南沙群島ですか、そこら辺の動きもかなり活発であるというようなことも、中期的に見てみるとやはり気になるところでございます。  それから、北朝鮮の問題を考えてみましても、今アメリカと、機能しているチャンネルとしてはそこしかないわけでありますが、核査察の問題でかなり大詰めの局面を迎えているのかなというような感じでありますし、ことしの五月に、御存じのとおりノドン一号と称されるミサイル実験が行われたというようなこともあります。  これは杞憂に過ぎればありがたいわけでありますが、そういう核と弾道ミサイルとがドッキングするということは、やはりこれは我々にとっても大いに気になるところでございますし、総理予算委員会で、もし、もしですよ、そういう弾道ミサイル日本に向けて使用されるというようなことがあった場合には、八分後には日本に届くわけでありますから、そういう点にも総理自身も重大な関心を持っておるということもはっきりと明言されておられるわけですから、私は、やはり時代の趨勢とともに、科学技術日進月歩等をにらみながら、また国際情勢の微妙な変化等もあわせ考えながら、防衛力整備というものは図っていくべきであろう、そんなふうに考えております。  ですから、後段の部分で、観閲式総理は、我が国に対する侵略というようなことに対しては断固としてそれを排撃すると不退転の決意も表明されたわけでございますから、中谷さんの御指摘のような御心配はないのではないかと、私個人はそのように理解をいたしておるところでございます。
  9. 中谷元

    中谷委員 自衛隊存在とか士気自体周辺国に対する抑止力になっているわけでありますし、また、安全保障というと国家百年の計でありまして、やはり発言につきましては、時と場所を選んで、もう少し慎重にやってもらいたいと私は要望する次第であります。  その中で総理大綱見直しにも触れておられまして、できるだけ検討を早く進める方向というふうに聞いておりますけれども、この大綱見直し検討国家の根幹にかかわる問題であります。長官は、これにつきまして、結論を急ぐべきだというふうにお考えなんでしょうか。いかがでしょうか。
  10. 中西啓介

    中西国務大臣 総理自衛隊最高指揮官に当たられる立場の方でございます。その方が急ぐべきというか可能な限り、これは僕は冷静に考えると合理的な話になるんだろうと思うのですね。要するに、時代にマッチした防衛力防衛中身にフィットさせていくというのは、これは正しいことだろうと思うのですね。  昭和五十一年に策定されたわけでございます。考えてみますと、あと二、三年たてば二十年経過するわけです。十年一昔という言葉がありますが、もうこれは二昔ほど前につくられた基本計画でございます。ですから、そういう国際情勢だとかいろいろなことを正確に分析しながら、もう一度防衛計画大綱もやはり見直されていくべき時期に入ったのではないのかな。そういう意味では、急げ急げという、そこのニュアンスの差はありますけれども、できるだけ可及的速やかに防衛力整備をフィットしたものに改めていくべきであるという総理趣旨だろうと私は受けとめましたので、最高指揮官である総理の御発言でございますから、重く受けとめて、これから防衛庁でも精力的に勉強、検討をしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  11. 中谷元

    中谷委員 それで、対処の早い防衛庁のことでございますから、早速その検討にも着手をされているのじゃないかなと思います。  そもそも、大綱ができたときの情勢と現在の情勢がどう違うかということも検討しなければいけないのですけれども、大綱自体のいきさつも考えていただきたいと思います。今の防衛計画大綱というのは、平時にあっては、独立国家として領土、領海、領空を警備し、有事にあっては、小規模・限定的な侵攻に対しては独立対処、大規模侵攻には米軍の来援を期待するものといたしておりまして、いわゆる独立国家として必要最小限防衛力を保持するという基盤防衛力構想に立脚しているわけであります。ほかからの脅威にかかわらず最低限これだけは持ちます、そういう思想が貫かれているわけでありますが、それにもかかわらず、これを縮小するというようなことが考えられるのでしょうか。その辺につきましていかがお考えなんでしょうか。
  12. 中西啓介

    中西国務大臣 中谷さんの場合はかなり思い詰められておるというか、何か縮小するのだというような限定を前提にお話しされているような感じがしてならないわけであります。部分的には縮小される部分も出てくるのかもしれません。しかし、これは私個人考えでございますけれども、専守防衛に徹しなければならない国でございますから、逆に情報という部分については殊のほか敏感にこれから検討をしていかなければならぬのではないか。いち早く確かな情報を収集するということは、これは致命的に重要なことなんだろうと私は思います。  そういう視点から今の日本防衛を眺めてみますと、十分だ、満足だというようなことにはなかなかほど遠い現状にあるのだろう。それは装備の面も、あるいは情報を収集する、いわゆる人的な面もあわせ考えてみましても、なかなかまだまだこれから、皆さんのまた御理解、お力添えもいただいて、十分補充、補完をして、それなり水準に向上していくべき部分なんだろう。  ですから、そういう部分はこれからは相当力を入れていくことになるのかなみたいな、いろいろ今この場で長々と申し上げることは差し控えますけれども、結論からいいますと、部分的には縮小される部分も出てくるだろうし、逆に新たに、何といいますか、重点的に強化していかなければならぬ部分も出てくるのだろう、そんなふうに考えております。
  13. 中谷元

    中谷委員 これまで防衛論議政府は、大綱考え方につきまして、軍縮時代を先取りした構想であるというような言い回しをしてきたわけでありまして、まさにこの大綱自体世界に対する軍縮の第一歩であったと思っているわけであります。今後とも、この点につきましては、百年先の我が国考え対処していただきたいと思います。  私が大綱見直し縮小ではないかというようなことを考える根拠は、ことしの五月の新聞で、陸上自衛隊方面隊削減して、三つの方面隊縮小、転換をするというふうな報道等があったからでございます。この報道の真偽はわかりませんけれども、陸上自衛官定数削減というようなことも言われているわけであります。この削減につきまして、今の状況と、もし削減される場合は駐屯地削減もやむを得ないと考えておられるのかどうか、お話しいただきたいと思います。
  14. 中西啓介

    中西国務大臣 私も最近真意のわからない記事を読む機会に恵まれているわけでありますけれども、これもよく真意のほどはわかりません。わかりませんが、大綱見直していく中で、私は、自衛官定数見直しということも可能性はないとは言えないというふうに思っております。  特に、何といいますか、人的資源といいますか、若い人たち出生率が、一・五を割るうとしておりまして、どんどん今減ってきているわけですね。そんな状況の中で、自衛官の待遇が民間よりも特別はるかにすぐれているとかなんとか、大変な特典でもあればそれはまた別なんでしょうけれども、例えば隊舎一つ見ても、高校時代の運動部の部室に入ったようなにおいがいきなり鼻をついて、小さい部屋に八人も十人も二段ベッドで、ちょっと寝返りを打ったらぎしぎしいうようなベッドに寝かされて、それで大変過酷な、PKOの活動であれ、災害の救助のための出動であれ、下手すると今もなくしてしまうような危険性すらあり得るわけですね。  そういう状況の中で、国民の方々から、最近は相当、自衛隊に対する信頼度といいますか、期待度といいますか、そういうものもPKOに行く以前と行った後とでは随分と違ったものになってきていると私は肌身に感じております。大変うれしいことではあります。そんな状況でありますが、それ以前は、ややもすればうさん臭い目で自衛隊員自衛官たちは見られたわけですね。  そんな状況の中で、果たして、例えば今の目標にしている十八万人というような隊員たちを一〇〇%充足していける現実にあるのかどうかというようなことを考えてみましても、現実に十八万と銘打ちながらなかなか十五万少々しか集まらないとか、そういうふうな点も、もう少し改善していけば充足は改善されていくのだろうと思いますけれども、今そういう自衛官定数の問題も含めて、あり方の検討を開始したところでございます。  もし自衛官定数が云々ということになれば、当然駐屯地といいますか、基地といいますか、そういう問題にも焦点が当てられていくことになっていくわけでございますけれども、仮にそういうふうな事態が起こった場合でも、地元の方々と十分連携をとりつつ、また地元の事情を十二分に配慮しながら進めてまいらなければならぬ、私はそんなふうに今強く感じているところでございます。
  15. 中谷元

    中谷委員 よろしくお願いいたします。  そこで防衛予算の問題になるのですけれども、防衛費の伸び率は、この四、五年見てみますと、九一年から、毎年、五・四五%、その次が三・〇八、その次が一・九五、ことしは一・〇五とかマイナスとかいうふうに言われているわけでありますが、そもそもこの防衛予算の根拠でもございます五年間の中期防衛計画ですね、これが昭和五十九年から閣議決定になりまして、政府が承認をして責任を持ってやろうというようになったわけであります。その計画を昨年見直しをして、昨年から一年しかたっていないわけでありますが、このままいきますと、予算の八〇%が人件費であり糧食費、ツケ払い、あとの二〇%で自衛隊の日常活動をやっているわけでありますが、その二〇%の中の半分近くの四二・一%が基地対策とか在日米軍の駐留経費、残りの一二%で自衛隊生活をやっていかなければならないわけでありますが、仮にもし今の要求のままでいって、増加額が九百五億円といたしましても、人件費とか糧食費とか駐留費の伸びだけでほとんどそれを食われて、まさに、訓練を節約するか隊舎を切り詰めるか、せっかく購入した兵器の施設、倉庫なんかも手つかずの状態でやっていかなければならないわけでありまして、非常に部隊の訓練に支障も出てくるわけでありますが、こういう士気とか訓練面において、そういうレベルの低下がないようにやっていただきたいというふうに思います。  そこで御質問でありますけれども、昨年末一年前倒しをして、抑制的な中期防計画という下方修正をしているのにもかかわらず、ことし非常に予算が厳しいという見通しの中で、長官は修正中期防整備計画は完全実施をしていただけるものなのか、また修正をされるおつもりなのか、この点についてお伺いさせていただきます。
  16. 中西啓介

    中西国務大臣 私、何カ所かでこの予算に関連して発言をしたこともございますが、とにかく今中谷さんが御指摘のとおり、もう本当に維持費と基地対策、周辺対策、これが圧倒的部分なんですよね。もう八〇%を超しておる。ですから、正面装備なんというのは全体の中で二・八%しかない。二百八十億程度なんですね。ですから、もうほとんど正面装備に使えるお金はない。ローンといいますか、そういうもので払っている部分はもちろんございますけれども。  ですから、さっき運動部の部室に例えた隊員の隊舎、宿舎の劣悪な現況、そういう部分を一例として申し上げたわけでございますけれども、力士に例えますと、もう防衛庁は舞の海だ。小錦じゃない。小錦ならまだかなりぜい肉を落とすこともできるのかもしれませんが、舞の海。これ以上減量したらもう回しをつけて土俵に上がることはできない、力士を廃業しろというのかというようなことを申し上げてきたわけでございます。  三年連続税収入が不足している極めて厳しい財政状況の中でありますから、大蔵省の気持ちもわからぬではありませんけれども、私はやはり、財政的な観点から、国の根幹を、人間のこの幸せを形成する最も基軸の部分にまで財政上の論理だけで立ち入るということはいかがなものかな、実はそんな考え方を持っている一人でございます。  極めて厳しい予算折衝に相なろうかと思いますけれども、崇高な国の防衛に関する予算でございますから、ベストを尽くして全力を挙げて対応してまいりたいと思います。どうか中谷さん初め皆さんにおかれましてもお力添えをいただければ大変幸いでございます。
  17. 中谷元

    中谷委員 防衛整備計画は政府計画でございまして、それに基づいていろいろな装備を長期的な分野で発注をして、それの借金が次の年、次の年へと重なって、結局自衛隊隊員生活なり訓練にしわ寄せがくるというのは、基本的に予算の考え自体も間違っているのじゃないかなというふうに思いますので、やはり本質は何かというような点も考えていただきますと同時に、そのしわ寄せはもう一つ防衛の正面の装備だとか後方の各装備にはね返ってきているわけでありまして、マイナスの伸び率でございますけれども、日本防衛産業といいますといろいろな制約がありまして、武器輸出禁止の三原則とか、国有の、官営の兵器工場は持たずに民間にゆだねている、しかもその民間が防衛政策を頼りに莫大な研究開発の費用をかけて開発をしているというのが実態でもございますし、景気の浮揚につきましても重要なファクターも持たれているわけでありますので、こういう点も力を入れてやっていただきたいというふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。  次は、今話題になっておりますTMD、戦域ミサイル構想ですか、これにつきまして質問をさせていただきます。  今、北朝鮮ミサイルが非常に話題になっているわけでありますが、ことしの六月、労働一号のミサイル日本海に対して発射されたというふうな報道がございました。この報道情報の源といいますか、どのようにしてわかったのか、我が国能力なのか、それとも海外からの通報であるのか、この根拠を聞かせていただきたいと思います。
  18. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 お答えいたします。  本年の五月末に行われました北朝鮮ミサイル発射実験につきましては、防衛庁といたしましては、各種の情報を総合的に分析した結果として、この五月二十九日に弾道ミサイル発射実験が行われたというふうに分析している次第でございます。  このような各種の情報の中には防衛庁独自の情報も含まれているということは申し上げることができますが、その内容の詳細につきましては、事柄の性質上、答弁は控えさせていただきたいと存じます。
  19. 中谷元

    中谷委員 それで結構でございます。  そこで質問ですけれども、そういうふうな北朝鮮ミサイルに対して、現在の日本の防空体制はそれに対処し得る能力を有しているかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  20. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お答えいたします。  戦域ミサイル防衛の問題ですが、北朝鮮へのミサイル対処能力については、現在我が国としては、ノドンは現在まだ配備されておらないと私ども考えておりますが、スカッドミサイルのような弾道ミサイル対処することを想定したシステムを保有しておりません。現在、空対地ミサイルを初めとする高い角度から侵入するミサイル対処能力の向上を図るということで、御案内のとおり、ペトリオットの能力向工事業を進めておりますが、これをしてもなお、弾道ミサイル等の性能等がさらに向上してまいりますと、こういうミサイルをもってしても限定的な対処しかできない、むしろ、さらに長い弾道ミサイルについては対処が困難であるということが言えようかと思います。
  21. 中谷元

    中谷委員 今でも対処できないということでありますが、これは、現在日本にある装備をフルに使ったとしても、まずは捕捉をするということが必要になってくるわけでありますが、現在、ミサイル迎撃につきまして、その情報米国や第三国から入手することが可能かどうか、どの程度まで入手できるような状況であるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  22. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 いわゆる弾道ミサイルの発射されたというようなことについての情報を入手するということは、現時点ではできません。
  23. 中谷元

    中谷委員 現時点ではできないというところからTMD計画なるものが生まれてきたのじゃないかというふうに思いますが、現状は、日米安全保障事務レベル協議の下に設けることになった戦域ミサイル防衛構想政策的な検討について、それぞれ長官並びに事務次官レベルで交渉が進んでいると思います。現在はどのような状況になっているのでしょうか。
  24. 中西啓介

    中西国務大臣 TMDに関する御質問でございますが、結論から言うと、まだ何もわかっていないという現実でございます。  いろいろ、宇宙の平和利用に関する国会決議、あるいは集団的自衛権の問題とか、あるいはソビエト時代アメリカとの条約に関連する部分とか、ああいうのに抵触する可能性があるではないかとか、いろいろなそういう問題をクリアしなければ難しいではないかというような御指摘もいただくわけでありますが、実はそれを判断する域にまだ至っていない。そういうことで、アスピン長官とも二度ばかり会談をしたわけでございますけれども、我々も関心を持っていることは事実でございます。しかし、関心は持っているけれども、いろいろ政策判断もして、これとのかかわり合い方を、位置づけだとかあるいは協力可能性だとか、そういうものを判断していかなければならないわけでございますから、そういうために、情報の交換といいますか、お互いに勉強をしましょうというようなことで、SSCのもとに、作業部会と称しますかそういう事務レベル協議をやろうということで合意をいたしまして、実は十二月の半ばに第一回目の会合が持たれるということが決まった段階でございまして、今それ以上のことはまだ申し上げられる状況にない、こういうことでございます。
  25. 中谷元

    中谷委員 私も、その程度のお話ではこれ以上質問のしようもないのですけれども、このTMD計画においては、やはり集団的安全保障の問題をどう解釈するか、それから宇宙の平和利用の問題につきましても、日本の安全保証を第三国やアメリカの軍事衛星の情報にゆだねなければならないということは、せっかく高いお金を出しても非常に大きなリスクもあるのじゃないか、だから、こういう情報の面について日本が独自の情報入手、収集衛星なり、こういうものも必要になってくるのじゃないかなという気がいたします。それから財政的にも、片や防衛計画大綱見直しを進めて防衛予算が年々圧縮される、それが隊の運営にも響いているという状況の中で、この計画が進められるわけであります。  概略で結構でありますけれども、この費用として大体どのくらいのものを想定されているのでしょうか。そして、このTMDの開発経費のシェアに占める割合というものはどれくらいを想定されておられますでしょうか。わかる範囲でお願いいたします。
  26. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 お尋ねの、TMDについてのお尋ねでありますれば、TMDについては、今年度、米国においては十八億ドルを要求しておるということでございます。それから、先般九月一日に発表されましたボトムアップレビューにおきまして、九五年から九九年までの間に、百八十億ドルのミサイル防衛に対する予算のうち百二十億ドルについてTMDに振り向けるという考え方が発表されておりますが、全予算のうちのどのぐらいのシェアということは、ちょっと現在資料を持ち合わせていません。
  27. 中谷元

    中谷委員 ありがとうございました。  何をするにおいても費用対効果というものを考えていかなければならないわけでございますが、では最後に、大臣は、この構想につきまして防衛力整備の中核として整備をされるおつもりなのかどうか、その点につきましてお話しいただきたいと思います。
  28. 中西啓介

    中西国務大臣 まだ、先ほども申し上げましたように、政策判断をしていく前にいろいろな問題が考えられるわけですね。例の弾道ミサイル脅威の評価、例えば湾岸戦争のときのあのペトリオットミサイルが、どれだけの要撃率といいますか確率でイラクから撃ってくるミサイルを撃ち落としたかというようなところも、まだ足かな資料というものもありません。そういうものもぜひ知りたいなと。あるいは、米国のTMDに対する概念というものは、一体どういう概念を描いているのかということも全く定かにわかっていないとか、あるいは衛星、米国のTMDにおける衛星利用は不可欠なのか、またどのような利用形態を整えているのかとか、いろいろなことを知らないとなかなか、協力するか、あるいは防衛力のどのあたりに位置づけるかということも判断しかねることなのだろうと思っております。  また、おっしゃられたような費用対効果、果たして一体幾らぐらいかかるものなのか、それすら全くわからないわけであります。例えば十兆円とか二十兆円とかかかる話だとすれば、今日本防衛費の予算の中で正面装備は一兆円を切るぐらいのところにあるわけでありますが、それを一切なくしてこのTMDに充てたって、一年に一兆円充てるとしたって十年あるいは二十年かかる話でございますから、それではなかなか現実性のない話かねというようなこととか、全くそこら辺まだ本当にわかりませんので、第一回の勉強会からいろいろな資料を集めて政策判断の資料に供していきたい、このように考えているわけでございます。  ただ、先ほど私申し上げましたように、防衛というものは相対的な要素が非常に高いわけでございます。ですから、そういうかつてなかったような兵器弾道ミサイルというようなものがいよいよ開発間近い、そして配備もそう遠くないというようなことになってまいりますと、どうしてもそれに焦点を合わせていかないと意味のない防衛力ということにもなりかねませんので、そういう意味では関心を持っておるということを私申し上げたわけでございます。
  29. 中谷元

    中谷委員 どうもありがとうございました。  続きまして、今度は国際貢献、PKOの問題に移らしていただきます。  この前のカンボジアのPKOにおいては、六百名、六百名という隊員が、大変厳しい条件の中、現地の生活も厳しかったし、任務も大変でしたし、それ以上に法律によって制限された枠組みの中での仕事というようなつらさを乗り越えて立派に任務を達成して帰ってきたということにつきましては、本当によくやったと評価をするわけでありますが、我々政治家の使命として、このPKO活動においていろいろな教訓があったと思いますので、今度のPKO活動に出発する前にこれらの教訓を生かして法の見直し検討をするのが務めではないかというふうに思います。今度の国会にも国会報告ということで報告等があろうというふうに思っているわけでありますけれども、私が総括をしてみますと、今回のカンボジア派遣にかんがみますと、大きな問題点は、やはり武器の使用の規定、それから指揮権のあり方、こういう点が大きな問題ではないかなというふうに思います。  この中のまず第一の武器の使用につきまして、投票日の直前になって、選挙監視に行ったすぐ近くの日本人の命を守るべきかどうかという問題になったときに、PKOの法律自体に警護とか警備の任務がないために巡回、巡視の方法で日本人の安全を見守ったという程度でございましたが、こういう武器の使用についての考え方、そして行かされた隊員の安全を守るという点につきまして、部隊としての武器の使用は禁止されていまして、個人ごとに自分の体は自分対処せよという自己防御の範囲にとどめられたわけでありますけれども、この点について、行った隊長から聞きますと、片や隊員の命を守る隊長として、片やUNTACの一員として任務を遂行する面、そして外国の軍隊と一緒に仕事をする一国の代表選手として非常にジレンマに陥ったという報告等もございました。  そこで、防衛庁としては今回のカンボジア活動を通じてこの武器の使用についてどのようにお考えになっておられるのか、この所見をお伺いします。
  30. 中西啓介

    中西国務大臣 この質問にお答えする前に、さっき私、中国の軍の部分に触れた際に、空母を持っているみたいな言い方をしたそうでございますが、空母を持つ可能性が極めて高いという言い方に訂正をさせていただきます。  今の中谷さんのお話、これは法律の施行後三年を経過した時点で法律の実施状況に照らしながらいろいろ反省すべき点があったら見直していこう、こういうことになっているわけでございます。今我々も、カンボジアから全員引き揚げてまいりまして、手探りでスタートした割には大変好評のうちにその任務を終了することができたという意味では、胸をなでおろしているところでございます。そういう状況の中で、いろいろ反省すべきといいますか、でき得ればみたいな話も幾つか今出てきておるわけでございます。  これはもちろん民主主義の我が国のことですから、国民の前で掘り下げた徹底した議論を展開していただきたい。そしてまた、国会で決めていただいたことに従っていくのが私たちの務めではござい産すが、私個人的な印象だけを申し上げさせていただけたら、何となく日本の常識は世界の非常識である、世界の常識は日本の非常識であるみたいなやゆも聞こえる昨今でございます。そんな中で、自主撤退の話と、それから今中谷さんが御指摘された武器使用の話と、それから例のコマンドの訳し方ですね。こういう部分についてはこれからいろんな専門家たちが――PKOの需要はこれから相当ふえてくるだろう。そんな中で、供給がなかなかまだ追っつかない状況にある。国連の組織のあり方、見直し検討も含めて、日本もそれにはどうしても深くかかわっていかざるを得ない状況下に置かれているんだろうというふうに私は思います。  日本もこれから安全保障の議論を徹底的にしていただく中で、国連の常任理事国になるべきかならざるべきか、こういう問題にも結論を出していただかなきゃならぬわけでありますが、私は個人的には、もうここまで大きく成長した世界の中の日本になったわけでありますから、やはり国連という機構の中で世界に貢献をしていくべきだという持論を持っております。そういう世界に貢献をしていくという幾つかの手段があるんでしょうが、やはり人的な国際貢献というものが非常に大きなファクターなんだろう。そうすると、その国際貢献をしていく主役、主人公はやはり自己完結的能力を持った自衛隊しか日本にはないんだろう、そんなふうに思っております。  そうとすれば、この間の国際平和協力法という法律で万全なんだろうかということを考えますと、国連の中枢に座った日本がいろいろ人的貢献をやっていく中で、随分ほかの国々とは違った自分勝手ないろんなルールとか解釈の仕方とかそういうもので果たしてうまく機能していくんだろうかな、そんなことはよくふと一人でおるときに考える事柄でございます。  国連の作戦指揮に属するわけですね、国連の指揮は、これは部隊の配置、行動の一切を含むものだと私は理解をいたしておりますから、今中谷さんの御指摘なされた問題も含めて、やはりもう一度徹底的に議論をしていくべき価値のある問題なのかな、そんなふうに私も認識をいたしておるところでございます。  詳細は担当政府委員からお答えをさせたいと思います。
  31. 鈴木勝也

    鈴木(勝)政府委員 お答えいたします。  法律の技術的な問題もございますので、ちょっと補足させていただきますけれども、まずその前に、私ども事務当局といたしましても、カンボジアでのPKO参加ということは非常に貴重な、我が国全体として非常に貴重な体験であったというふうに考えておりまして、戻ってまいりました要員の方々の意見あるいは問題提起というものはできる限り注意深く耳を傾け、それをもとにして改善すべきことについては改善を図っていくという姿勢で当たってまいりたいと思っております。  ただ、一つ理解いただきたいと思いますのは、要員の方々からさまざまな問題の提起がございます。中谷先生おっしゃられましたように、武器の使用の問題について、あるいはいわゆる指揮と指図との関係等についても、もちろん問題の提起というものは要員の方々からなされておりますが、私ども、そういうお話を伺って、それではどうするかということになりますと、現在の法律の枠組みの中で、運用の面の改善によってできるものも相当あるのではないか。それから、本当に現在の法律の枠の中ではできないもの、将来いずれかの時点で法律の見直しあるいは法律の改正ということが必要になるものもあるのではないか。そういうことで、個々の提起された問題につきまして、注意深く分析をしてみて、実際にどうすれば問題が克服できるのかという観点から現在検討中でございます。  いずれにいたしましても、いわゆる法律の見直しとの関係で申しますと、カンボジアはまことに重要な経験ではございましたけれども、同時に、やはり国際平和協力法が施行されてからようやく一年を超えたばかりの時点ということもございますから、現時点では、実績を積み上げていくという過程の中で検討すべきものは検討していくということではなかろうかというふうに考えております。  それから、いわゆる任務として警護ができるかどうかという点につきましては、中谷先生御指摘のとおり、現在の国際平和協力法の中にはそもそも警護という任務そのものは含まれておりませんので、これは、仮にいわゆる凍結解除ということが行われた場合にも、それによって解決する問題でないことは間違いございません。  他方カンボジアの場合、御記憶と思いますけれども、選挙が間近になりましたころに、施設部隊の方々が、部隊の任務の一環としての情報収集という形で投票所に立ち寄り、あるいは食糧、水なんかを供給したというようなこともございまして、これ自体は非常に心強かったということを選挙要員の方々からも言われておりますので、そんなことで解決するかどうかわかりませんけれども、しかし、いま少し時間をいただいて、運用で解決できるものとそれから法制そのものにかかわる問題というものを整理させていただきたいというふうに考えております。
  32. 中谷元

    中谷委員 実際のPKOが終わって、我々政治家側の責任としては、現実のPKOと日本の国会で考えていたPKOが大変なギャップがあったという、やはりPKOの認識も必要でございますし、それから、日本人に問われている国際貢献やPKOの認識もかなりギャップがあるのではないか。だから、次にPKOに行く前にどうしても法を見直し、改正をしなければ、行かされる隊員の側としては本当にまた大変つらい思いをさせるんじゃないかということでありますので、ぜひこの議論を今後とも続けていただきたいというふうに私は思います。  それから最後に、このPKOの組織的な意味合いですけれども、長官は、記者会見等で、本来の自衛隊の任務にすべきかどうか、それからPKOの組織的なことについて別組織論を展開されておりますし、また、小沢さんの本を読んでみますと、将来は、国防軍とそして世界に貢献するような国連待機軍、このような組織に、別組織にしようかというようなことも書かれているわけでありますが、この組織、任務につきまして、長官の御所見をお伺いします。
  33. 中西啓介

    中西国務大臣 自衛隊法がつくられた当時とかあるいは日本国憲法が制定された当時、何人もこのPKOのPの字も想定できる人はいませんでした。それほど、私たちの想像をはるかに超える形で、勢いで、世界情勢も変わっておる。国内もしかりである。  日本は、御存じのとおり、もう何の資源もない国でございます。掘ったって温泉しか出てこない。そういう国が世界に冠たる経済大国に成長したという背景は、やはりありとあらゆる国々と国交、国交というか、仲よくして、それで資源を確保して、そして付加価値の高い、技術立国日本でありますから、大変な各種工業製品をつくり上げて、そして秩序の安定している平和な世界に向かって販路を拡張して、ガットという体制にもこれ便乗して、そして大変な利益を得て、きょうの日本を築き上げたわけです。  ですから、日本がここまで大きくなった大きな前提条件は、やはり環境が平和である、世界の秩序が安定しているということにあったんだろうと思うんです。ですから、そういう問題に対してやはりどの国よりも敏感にとらえていかなければなりませんし、そういう問題に対しては、でき得れば先頭に立つのが望ましいんでありましょうけれども、少なくとも世界水準よりも後ろでというようなことのない範囲でやはりその秩序維持、平和維持のために私は可能な限り貢献をしていくべきだ。  そんな中で、初めてカンボジアというところにPKOを出しました。まあ明石さんという日本人が司令官であったというようなこととか、いろいろな客観情勢がうまく作用して大成功をおさめたわけでございます。しかし、私は、これから多発するでありましょうこのPKO活動が起こる国というのは、あんなカンボジアのような全く停戦合意が完全に成り立っている国ばかりだろうかというふうなことを考えますと、むしろカンボジアというのはレアケースなのではないか。ややもすれば、もう少し環境がよくないケースが多いのではないか。  ですから、私は、やはり国会の答弁なんかでも、PKO活動というものは非常に危険の伴う活動であるということも率直に認めた上に立っての議論が行われてしかるべきだったんだろうと思いますが、なかなか危険だということを認めたがらなかったことも事実だと思うんですね。よもやハイキングやピクニックに行くわけではありませんから、よしんば停戦が完全に合意されていても、戦争、長い間殺し合いをしてきた、もう地獄絵図のような状態になったところの地域に赴いて再建のお手伝いをするわけですから、大変衛生面も悪いし、ゲリラ活動やあるいは強盗等のたぐいの出没だって大いにあり得る話でありますから、そういう前提に立ってやはり本当にそういう国際貢献というものをしていく腹構えをするのなら、そういう前提を正しくきちっと認識した上で私は法律というものを構築されていくべきだろう、そんなふうに考えております。  そういう状況の中で、いよいよ国連の機能が充実されていく状況だと思うんですね。そんな状況の中で国際貢献が中枢に位置づけられる、しかも、人的貢献が極めて大事だという状況の中で日本がかかわっていくとすれば、それを行い得る能力を持った組織は自衛隊しかないわけです。そして、ほかならぬ、これは国際社会の中で日本が生き抜いていくための極めて有力な手段一つであるわけでございますから、私は、自衛隊の任務の、三大任務の範疇にこのPKO活動というものは位置づけるべきだ、これは私の信念であります。どうしても自衛隊しかやる能力は持たないわけでありますから、私は、やはり防衛庁長官の指揮のもとにPKO活動を行っていく、その組織のあり方についてはこれから大いに私たちもありとあらゆる角度から検討、勉強してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  34. 中谷元

    中谷委員 どうもありがとうございました。  そういう中で、最後になりますけれども、私の郷里の高知県の三原村というところで、ことしの十一月二日に村の臨時議会を開きまして、自衛隊とは別組織の国際災害救援センター並びにPKOセンター等を想定して、この村に国際貢献センターを誘致をしたいという旨の、全国でも初めての決議が行われたわけでございます。  長官にお伺いしますけれども、こういうふうな国際貢献センターにつきましてどのようにお感じになられるのか、この点を質問して終わりたいと思います。
  35. 中西啓介

    中西国務大臣 お話し申し上げてまいりましたとおり、PKO活動というものは極めて中枢に位置づけていくべき価値のあるものだと私は考えておりますから、今そういうPKO活動に備える、訓練を行うというような専門的な場所もございません。そんな中で、この間、中谷さんの郷里である高知県の方から、実は新生党の平野参議院議員からその話を承りまして、大変ありがたく平野さんのお話を承らせていただいた。でき得れば平野さんの意向に沿ってやれればなと、個人的には私自身そのように感じております。
  36. 中谷元

    中谷委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  37. 近藤豊

    近藤委員長 浜田靖一君。
  38. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一であります。私にとりまして当選後初めての当委員会での質問であり、大変光栄に存ずるものであります。  我が国世界平和に積極的に貢献し、国際政治の場で積極的役割を果たしていくためには、みずからの国はみずからの手で守るという気概と愛国心の涵養が何にもまして必要と考えますし、当委員会がその役割を積極的に担うことを切望するものであり、私も委員会で汗をかいてまいりたいと存じます。  まず初めに、中西長官にお伺いいたします。  現在、食糧安保また経済援助による安保などが声高に言われておりますけれども、日本安全保障における自衛隊存在価値は何か、お教え願いたいと思います。     〔委員長退席、月原委員長代理着席〕
  39. 中西啓介

    中西国務大臣 私の尊敬する浜田先輩の御子息が重要なこの安保委員会に所属をしていただいて、第一回目の質問にあなたがお立ちになられで私がお答えをさせていただく、私も大変に光栄に存じます。  お尋ねの、安保に関して自衛隊の位置づけでございますけれども、もちろん我が国の安全を確保していく便法、手段というものは幾つかあろうかと思います。周辺世界全体が平和である、安全であるということが非常に我々にとっても連動していく話ですから、それには、やはり外交手段中心にして汗をかいていくということも有力な手段だと思いますし、今ウルグアイ・ラウンドに絡む米の問題も大きなテーマになっておりますが、食糧自給率、こういうものも極めて有力な、なおざりにできないやはり手段一つだと思います。  いろいろございますけれども、しかし、究極的には、やはり国の防衛、いわゆる外国からの侵略を未然に防ぐ、よしんば不幸にしてそういう侵略が企てられた場合に最小限度被害で排撃をする、そういういわゆる国の防衛というものが究極的には私は極めて有力な、国の安全保障の見地から考えて有力な手段であるというふうに信じて疑っておりません。
  40. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 ありがとうございました。  今長官がお述べになりました価値観が国民に十分に理解されていると長官は思われますでしょうか。
  41. 中西啓介

    中西国務大臣 いろいろなところでいろいろな調査みたいなものも行われているんだろうと思いますが、少しずつ好転はしてきているかなというふうに思いたいのでありますが、幸か不幸か、幸か不幸がというよりは幸せなことなんでしょう。あの忌まわしい終戦から今日まで約半世紀たちました。その間、本当に日本というのは、文字どおり直接的にも間接的にも戦争に関係のしていない、世界でも本当に数少ない国なんだろうと思います。というのは、人も出していない、武器も、つくってはおりますが、外国に一切売っていない。原子爆弾も持っていない。そういう意味では確かにいいことなんでありましょうけれども、それがために、ヨーロッパのような地続きということで国々があちこちに存在しているという環境でもありません、四海が海でございますから。そういう意味で、若干何といいますか、国の防衛というような、安全保障というような、あるいは危機管理というような範疇に関しては、私は、やはり他の国々と比較すると、ややもすればそれに対する関心というものは希薄になっているのかなと、一般的には平和ぼけなんという言葉で言われているような現象は大いにあり得るのかなと、それはそんなふうに感じております。
  42. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 私は、今回のPKOの派遣に際し大変残念に思いましたことは、世界平和に貢献するための派遣だったにもかかわらず、自衛隊員が国民の皆様方からの絶大なる支持のもとに出発できなかったことが大変残念であります。今こそ、長官が述べられた自衛隊価値観、これを本当に理解していただくために我々は多くの議論をしていかなければならないと考えますが、長官はこの点どのようにお考えになりますでしょうか。
  43. 中西啓介

    中西国務大臣 実は、私も長官に就任をさせていただきましてやっと三カ月経過をしたところでございます。その間、初度視察という慣例的な行事がございまして、陸海空の自衛隊の部隊を訪問して激励、視察してくるわけでございますが、その中で聞いた報告でございますけれども、やはりPKOに出かける場合に、相当いろいろデモ隊に囲まれる、やじと怒号、怒号と言うとちょっと語弊がありますけれども、そういう環境下にあったことも事実だったと思うのですね。ですから、そういう不快な思いをさせたくない。本来ならば日中出るところを、夜ひそかにというか静かに出発をしたというような話を聞いて、もう本当に涙の出る思いをいたしました。  しかしながら、それは、極めて一部の誤解をされておられる方々、あるいは意図的に言っておられる方もおられるのかもしれませんが、内閣総理大臣官房広報が実施をいたしました統計によりますと、自衛隊に対してよい印象を持っている、悪い印象は持っていない、これらを合わせますと七割に達しているんですね。逆に、自衛隊に対してよい印象は持っていないよ、悪い印象を持っているよという人も約二割近くあるのですね。こういうのを、二割をできるだけ減らしていって一割にし、一割をさらにまたゼロに近づけていくべく、もちろん我々も全力を挙げていきたいと考えております。  今、広報の分野でいろいろな機関誌を発行したりいろいろな催し物を催したり、自衛隊のPRにこれ努めているところでございますが、いかんせん広報費というものは三億ぐらいしかありませんで、もうちょっとやってしまうとすぐ三億なんてなくなってしまう金額でございますから、そこら辺も実は大変頭を痛めているところでございまして、大変ありがたい問題の御指摘をいただきまして、予算的には十分でありませんけれども、二十六万隊員一同、自衛隊の信頼を向上させていくべく全力を挙げていきたい、今そんな気持ちでいっぱいでございます。
  44. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 ありがとうございました。  日ごろから長官初め防衛庁の皆様方が一生懸命になって努力をされていることは、私どもの地元であります木更津市にも基地がございます、そちらの方で、自衛官の皆さん方が手づくりのお祭りを開いたりして努力されていることを私自身も存じ上げておるわけでございます。今後もなお一層の御努力を願うものでありますし、私たちもまた一緒になって、この安全保障に関する位置における自衛隊の立場というものを十分に考慮しながら御協力をしたいと思うわけでございます。  さて、そこで、国民の皆様の理解を得ることもさることながら、国土防衛のために日夜努力をされている自衛隊員の皆様方の待遇についてお聞きしたいと思います。  以前よりは改善されたと聞いておりますけれども、現状はいかがなものか、給与体制、手当、官舎の充実等、お教え願いたいと思います。
  45. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 お答え申し上げます。  自衛官の給与につきましては、これは一般職の国家公務員の給与との均衡を図りながら、さらに自衛官の勤務の特殊性を考慮いたしました手当を設けるなどいたしまして対処しているところでございます。  俸給につきましては、一般職の国家公務員における類似の官職を基準として作成いたしました自衛官俸給表というものによって定められております。したがいまして、その額の改定というのは、おおむね一般職の国家公務員の給与改定に準じて行っております。本年も、つい先ほどの国会で防衛庁職員給与法の一部改正をお認めいただきまして、所要の改定を行ったところでございます。  諸手当につきましては、一般職の国家公務員とおおむね同様の体系によっておりまして、扶養手当でございますとか住居手当あるいは通勤手当といったような一般職の諸手当に準じて改定されるものと、それとは別に、自衛官の職務の特殊性に応じました特別の手当、例えば航空手当でございますとか乗組手当、落下傘隊員手当といったものにつきましては、これは防衛庁が独自に毎年度の概算要求を通じましてその改善に努力しておるところでございます。例えば、平成五年度におきましても、落下傘隊員手当の支給率の改定でございますとか、夜間特殊業務手当の支給範囲の拡大といったようなことが実現を見ております。  したがいまして、現行制度のもとにおきましては、自衛官に対する給与は、私どもとしましてはいわば適切な水準にあるのではないかというふうに考えておりまして、これは一般職の公安職の給与に比べましても特段低いというようなことはないと思っております。  そうは申しましても、もう万全で今後何もやることはないのかというと、決してそうではございませんで、やはり自衛官の勤務条件は一般職に比べて特殊な面がございますので、今後とも適切な処遇を行うべく、さらに一層努力をしてまいりたい、このように考えております。     〔月原委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 ありがとうございました。  長官、私は、やはり自衛隊員の皆様方が生活に憂うことなく任務に励むことができる環境をつくることが大変重要であって、また、国民の皆様から尊敬され感謝される自衛隊として一層認められる活動ができると私自身は思っておるのですが、長官はこの点どのようにお考えになりますでしょうか。
  47. 中西啓介

    中西国務大臣 もう浜田さんの御意見に全く同感でございます。  先ほどTMDの話とか正面装備部分も若干出たわけでございますけれども、それはもちろんそれなりに重要ではありますが、やはり私は、何といっても後方分野といいますか、ここがおろそかになりますと、戦力の核心は人でありますから、やはり人に焦点を当てて、国を愛するという烈々たる精神を持った、愛国心に富んだ優秀な人材がいるかいないかによって随分と違ってくるのだろうと思うのですね。そういう意味で、今の自衛隊自衛官、特に官ですね、自衛官たちの生活環境というものの実態は、本当にお気の毒としか言いようのないような水準にまだありますので、全力を挙げてこういう面での予算配分が実現できるように大蔵省にも強く働きかけていきたい、今そんな気持ちでいっぱいでございます。
  48. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 長官には、自衛官、事務官合わせて約二十六万人の長として、国防の面、安全保障の面で全力を挙げて努力をしている皆さんの生活環境を向上させ、これを守ることが絶対必要条件と考えます。  いま一度長官の、私どもも一生懸命努力をいたしますので、長官決意をここで一言お述べいただきたいと思います。
  49. 中西啓介

    中西国務大臣 繰り返しになりますが、全く浜田さんと同じ感覚、意見でございます。  これも、ちょっとこの場で言うのが適当かどうかですが、冗談半分に、アメリカとの会談の中でも余談の部分で冗談を申し上げてきたのですが、日本防衛の環境も極めて厳しい。経済の今の状況、税収入が連続して減収しているわけですから。そんな中で特に、東西冷戦構造が終わった、だから平和が来るのだ、防衛費の予算も減らせみたいな声も随分出てきておるのは事実でございます。そんな中で我々も、もちろんむだのない、何といいますか、精強な自衛隊をつくっていくということにはそれは専念しなければなりませんけれども、いたずらに情緒的に予算を減らすというようなことに対しては断固私も頑張りたい。だから、年末の予算折衝にはピストルを懐に入れて大蔵省と対決する、そのピストルは相手に向かって使うか自分自身に向かって使用するかはまだ未定だがみたいな冗談を申し上げたわけでありますが、本当に相当の決意で予算折衝に臨まなければ容易ではないな、そんな認識は今持っております。
  50. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 大変力強いお言葉をいただきまして、本当に私自身も心強く思った次第でございます。  しかしながら、私は少々不安に感じておることがございまして、それは、今回の自衛隊法の一部改正について政府案の提出が大変おくれたことであります。経過については私どもも漏れ聞いておりますので特にお聞きしませんが、先ほど来長官が答弁された内容がもっともなことであればあるほど、今回の政府案のおくれは不思議でならないのであります。しかし、当委員会は国家国民の生命財産の保護に責任を負っているのであり、備えをふだんから進めておくことが肝要だと思います。さすれば、自民党案であれ政府案であれ、成立に向けた努力が求められていると考えます。その成立を私自身も心より熱望するものでありますが、防衛庁長官のこの件に関してのお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 中西啓介

    中西国務大臣 御指摘のような緊急、エマージェンシー、災難というのは本当にいつ起こるかわかりません。そんな状況の中で、ある外国の地において在外邦人が生命の危機にさらされているというような状況のときには、これはやはり人道的見地からも、成熟した国の当然の立場からしても、もちろんある一定の条件のもとではありますけれども、より早くより安全にその邦人の救出に政府が当たるというのは当然のことだと私は思っております。  それで、当時自民党から出された、あの平成四年三月、第百二十三回国会ですね。衆議院も可決、成立していよいよ参議院で成立寸前というときに、ハプニングが起こりまして国会が解散になってしまったというようなことで、また一からみたいな今状況にあるわけでございますが、我々も今連立与党内閣でございまして、若干意見の調整が必要になりまして、まあ時間も若干かかったわけでございますが、基本的な邦人救出に当たっての事項であります輸送の安全の確認の部分ですね。それから、輸送に使用する航空機の部分については、輸送の安全確認について、防衛庁長官外務大臣と協議をして共同して慎重に行うこと、これが一つ。  二つ目は、在外邦人の輸送は原則として政府専用機により行うのが適当であるという、政府専用機の位置づけですね。これをその法文上明文化したというところが違いますけれども、自民党提出案と全く趣旨は同じでございますので、何とぞひとつ可及的速やかに御審議をいただいて、可決成立をしていただきますことを心から希望するものでございます。
  52. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 とにかく内容がほとんど変わらないということでございましたので、できれば速やかに出していただければもっとよろしかったのではないかと私は思います。どうか今後そういったことのないようにしていただいて、特に安全保障に関しては、いかなるときに何が起こるかわからないわけでございますので、無論これはそれこそ釈迦に説法かもしれませんけれども、どうか防衛庁長官、何事にも屈せず前向きに対処していっていただきたいと思う次第であります。  そしてまた、もう一つお聞きしたいと思うのですけれども、現在の法体系上、有事の際の自衛隊の任務遂行に必要な法制の整備が今なされておらないわけですが、これについて防衛庁考えを教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  53. 中西啓介

    中西国務大臣 有事法制の研究はいろいろ、何年ごろでしたか、三矢研究だとか過去随分物議を醸した経験を持つものでございますけれども、しかし私は、やはりこれだけ先進国、世界の大変な、国連理事国にもなろうとしているぐらいの国が有事法制を持たないというのもいささか問題があるのではないのかなと、個人的にはそんなふうにずっと、政治家になってからも考え続けてきた人間の一人でございますが、まだ有事法制というものは存在いたしておりません。いたしておりませんが、防衛庁に関する部分については、事務当局で研究は、検討はずっとしてきているものでございます。  どうかひとつ、そういうふうな問題も含めて、この安全保障委員会で徹底的な議論を今後していただくことを心から切望したいと思います。
  54. 近藤豊

    近藤委員長 三井人事局長から発言を求められておりますので、これを許します。
  55. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 私、先ほど先生からの御質問で宿舎についての御質問があったのでございますけれども、答弁を漏らしまして大変失礼いたしました。一言補足させていただきたいと存じます。  防衛庁といたしましては、宿舎等の生活関連施設の充実を図りまして隊員の処遇を改善するということは、隊員士気を高く保ち、良質隊員の確保をする上でも大変重要であって、質の高い防衛力整備していく観点から欠くことのできないものだというふうに考えております。  このような考え方のもとで、宿舎の整備につきましても逐年改善努力を行っているわけでございまして、平成五年度予算におきます宿舎の充足状況は九四・〇%、この数字は他官庁と比べますとやはりまだ低うございます。それから、老朽宿舎もまだ相当数保有しておりまして、建てかえですとか補修等の所要も多いという状況にございます。  こうした状況を踏まえまして、防衛庁としましては、宿舎充足率の向上を図りながら、既存宿舎の維持、補修及び生活環境の改善を積極的に推進することといたしております。  具体的に申しますと、平成五年度におきましては、約二千百戸の宿舎の新設の計画を進めておりまして、宿舎関係予算は約四百五十億円。大変厳しい財政状況でございますが、この宿舎予算は対前年度に比べまして約一三%の伸びということで努力をしているところでございます。  引き続き、私どもとしては最大限の努力をさせていただきたいと思っておりますので、ひとつよろしく御理解、御支援を賜りたいと思います。
  56. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 丁寧な説明ありがとうございました。大変進捗しているようで、安心しております。  今長官から有事の際の研究についてお答えをいただいたわけでございます。大変この問題はデリケートであることは、私ども十分に理解をしておるわけでございます。政府・与党内でも、最大会派である社会党は憲法に反すると主張しておりますので、長官の苦しい立場は十分に理解をするところであります。  そして、もう一つだけお聞きしたいと思います。それは、我が国の民間防衛施策について検討が必要と考えますが、防衛庁において民間防衛検討は進捗しているのでしょうか。その辺のところをちょっと教えていただければと思います。
  57. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 有事法制につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございます。  民間防衛については、防衛庁で行っております有事法制の研究の対象とはなっておりません。この点をどう考えるかということでありますが、御指摘のように我が国有事、あってはなりませんけれども、そういう際に国民の生命財産を保護する、被害を最小限に食いとめるということで考えますと、これは政府、あるいは地方公共団体、あるいは国民一体となりましてこれを行うということが重要であるという御指摘だと思いますが、これをどう進めるかということについては、現在政府トータルでも確たる考えはまだできていないという状況にございます。  防衛庁として協力できる部分については、これらの有事法制の検討の中でいろいろ勉強しておりますことを提供しながら協力させていただくということであろうかと理解しております。
  58. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 確かにこの件に関しては、この当委員会で活発な議論をしていくことが重要だと私自身も思っておりますので、どうか今後とも我々に対しましてもさまざまな情報を提供していただければと思う次第であります。  私の質問もこれで全部終わらせていただきました。今後とも防衛庁の皆様方、長官を初めとして、我が国安全保障の面からいっても、本来であれば、すべての面の安全保障を統括し、研究することがやはり防衛庁にとって重要なことだと私自身考えておりますので、確かにいろいろなデリケートな問題があるかとは思いますけれども、防衛庁の中だけの範疇ではなくて、食糧安保に関しましても、いろいろな経済援助に関する安保に関しましても、その辺につきましても十分な御検討を今後とも防衛庁にお願いをする次第であります。今後とも国家防衛、安全のために精いっぱいの御努力を心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  59. 近藤豊

    近藤委員長 大出俊君。
  60. 大出俊

    ○大出委員 せっかく質問なさる気になっているところを恐縮でございますが、こういう順番のようでございますので、三十分という短い時間でございますが少し聞かせていただきたいと存じます。  時間がございませんで整理もしておりませんが、ずばりひとつ聞かしていただいて、的確な御答弁をと思っているわけでございますが、五月の二十九日に、もう皆さんがよく御存じのように、北朝鮮の咸鏡南道にございます盧洞里、これノドンというのだそうですが、このミサイル基地から東南の方向ミサイルが発射をされた。新潟沖に着弾をするというようなことになるんですけれども。このミサイルは世上、労働一号、これもノドンというようでございますが、そのほかにスカッドB、スカッドC、この三発だと考えでいいのかどうか。アメリカのDSP衛星等が撮っておるようでありますが、それぞれの射程その他が防衛庁でわかっていると思うのでありますが、三発なのか、射程はどうなのか、ちょっと答えてください。
  61. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 太出先生御指摘のとおり、五月の二十九日に行われましたミサイル実験は複数でございます。複数のミサイル実験が行われております。これにつきましては、すべてがノドン一号であった可能性は少ないであろうというふうに私どもも見ておりますが、しからば残りが正確、に何の実験であったのかということについては確認はとれておりません。
  62. 大出俊

    ○大出委員 すべてがノドンではない、複数の実験であった、いろいろな説がございまして、一番的確なのはDSP衛星を持っているアメリカなんでしょうけれども。日本もこれ伏せていたわけだから。一番最初に、しばらくたってから物を言ったのはおたくの当時の防衛局長畠山さん、参議院で答えていましたね。その後、リークしたと言われる石原官房副長官のリーク式記者会見といったことがございまして。  そこで承っておきたいのですが、北の場合は、ソビエト型のスカッドBを改良してスカッドCがある。これはもうはっきり初めからわかっているので、これはイラン、イラク、東南アジア、あっちの方に北朝鮮ミサイルが流れでいっている。リビア、シリアあたりまで行っているというふうに言われているわけでありますが、ここで承りたいのは、改良型のスカッド、つまり労働一号というもの、ちょうど新潟沖に着弾をした、それを延長すると東京だというわけでございますが、千キロあるいは千百キロ、その辺は今ちょっとおっしゃらなかったのですが、方向は東南と私申しましたが、一言答えてください。
  63. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 今大出先生御指摘のとおり、私ども着弾地点は正確に確認いたしているわけではございません。しかし、当海岸から東やや南寄りの方向ということは申し上げられるだろうと思います。
  64. 大出俊

    ○大出委員 これは自衛隊の対潜哨戒機が、能登半島沖の公海上で、フリゲート艦その他、キャッチしておられるのですね。あるいは言えないのかもしれませんけれども。  そこで、このノドン一号、非常に私は心配をしておりまして、私どもは北との交流がありますから、将来に向かってできることは一生懸命やろうと思っていますけれども、非常に心配なんですが、このノドン一号というのは一体、一九九四年という時点で生産体制に入るという記事がございます。アメリカの専門誌がございます。ディフェンス・ニュースで、これはもうほとんど専門家が見ていると言われる専門誌でございますが、九四年から生産体制日本防衛を預かる防衛庁でございますから、これが実戦配備されるとなると大変なことになる。そこのところをどういうふうに、いつごろというふうに見ておられますか。
  65. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 いつごろ開発が完了し、生産に入り、実戦配備がされるのかという点につきましては、現時点におきましては明確なことを申し上げられる段階にはございませんが、ただ私どもが各情報を総合的に勘案、分析いたしますと、このミサイルの開発完了がかなり近いということは恐らく事実であろうというふうに考えているところでございます。
  66. 大出俊

    ○大出委員 これは非常に重大な問題で、私も日本にいる人間、日本人でございますから、防衛庁長官そこにおいでになるけれども、重大な関心を持っていただきたいと思っているのですよ、この国のために。  そこで、ちょっと私は非公式な話をしたのをここで取り上げて恐縮なんだけれども、畠山さんと私はきのうきょうじゃないから、この間いろいろ話してみた、この点を、私心配だから。こういうアメリカの専門誌で、軍人OBや何かを含めてほとんど読んでいる専門誌なんですから、ここで一九九四年に完了してもう生産体制に入る、九四年の末から九五年にかけてひょっとすれば実戦配備まで、ノドン一号が。これは私は非常に危惧をするのです、将来に向かって。だから、畠山さんにこの話をしたら、先生、重大な問題だと言うわけです。先生今九四年とおっしゃったけれども、四年はちょっと早い、五年になるんじゃないかと見ているとおっしゃった。言いにくいかもしらぬけれども、ぴしゃっと断るかと思っておったらあなたその先をお話しになったから今話し合いを引用したんですけれども、的確にぴたっと答えぬでもいいけれども、そういう説があるとか、大出さんはそう言うけれどもあるいはそのぐらいのことなのかもしらぬとかなんか答えようがあると思うので、ちょっと私はその辺に目標を置いて見ているわけなんですから、畠山さんとやりとりをしたら一年ぐらい、もうちょっと先へ行くんじゃないかという見方をしていましたが、ちょっと専門的にお答えください。
  67. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 大変難しい御質問でございまして、確かに一つの見方として……(大出委員「心配だから聞いているんだから」と呼ぶ)一つの見方といたしまして、来年におきまして何基がつくられる可能性があるという見方があることは事実でございます。現時点において申し上げられますのは、そういう見方もあるという程度のことで御理解をいただきたいと存じます。
  68. 大出俊

    ○大出委員 そこで、これはPAC2、この間予算の与党の説明会のときに私は少し皆さんに注文つけたんだけれども、これ「防空能力等の充実を重視」と書いてあって、PAC2と書いてないんだけれども、ペトリとか書いてあるだけなんだけれども、「ECCM能力等の向上」、ECCM能力といったって、これエレクトロニック・カウンター・カウンター・メジャーというのですが、妨害電波が出てくる、カウンターする、またそれを妨害するからカウンターするというので、そんな理屈を挙げたって意味ないんですよ。PAC2ならPAC2で役に立つのか立たぬのかというのを前面に出さなければ、防衛当局の責任果たせませんよ。このPAC2を入れてきて役に立つんだとすれば、北九州と山口ぐらいです。なぜならば、スカッドCが飛んできた場合だけですよ。六分がそこらで来るでしょうけれども。その場合ならば、確率はうんと低いけれどもPAC2というのは何がしかの役に立つかもしれない。そこのところ、ウィズナー次官も来ているし、ドイッチェ次官も来ている、アメリカから。PAC2で防げないからTMDに入ってくれというのでしょう。シアター・ミサイル・ディフェンスです。そこのところはっきりしておいてください。
  69. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 我が国が現在整備をしようとしておるペトリオットの改良は、PAC2型に改良しようとするものでございます。PAC2型のペトリオットは、その改良の目的は、一つは航空機に対する対処ということと、それからミサイルでも、低速といいますか速度の遅いミサイルで高角度に入ってくるようなミサイルに対する対処ということがねらい。それから、先生御指摘のECCM能力を上げるということでございまして、このPAC2そのものが弾道ミサイル対処を主としてねらいとしているものではございません。あくまで有人航空機とそれから発射されるミサイルを対象とするものでございます。
  70. 大出俊

    ○大出委員 つまり弾道ミサイルをというのではないというところに、PAC2というものが北のスカッドBの改良型、スカッドCなりノドンなりというものに対処できないという性格を持っているのですよ。  ちょっと例を挙げておきます。長い議論ができませんから例を上げておきますが、これはジェーンズ・ストラテジック・ウェポンズ、有名なジェーンの戦略兵器年鑑でございます。この戦略兵器年鑑によると、湾岸戦争でアル・フセインをイラクの方から百六十発撃ったというのです。そうしたら、これをパトリオット部隊がとらえようとしていろいろやった。やって、何とか自分の防御エリアに入れたのが五十六発しかないというのです。しかも、入れておいてそれを今度撃ったら五十一発しか落とせないというのです。百六十発飛んできているのに五十一発しか落とせない。エリアに入れたのが五十六発だ、こう言う。余り役に立つ筋合いのものではない。  そこにまた別な説もここにある。これを見ると八十九発で五十一発。今の数字に近いのだけれども、もう一つは四十九発で一、二発。製造欠陥があって、五百五十キロから六百キロ飛んでくると破裂するという性格を持っていたというのです。つまり、アメリカのパトリオットにとっては極めて効率的に、有利だったなんて書いてあるのです。  そこで私は、時間がございませんからずばり聞きたいのです。もう一点聞いておいてから本論だけ申し上げますが、北の核は一体いつできると見ているのですか。  これも念のために申し上げますが、アメリカの議会調査局は九五年に二十発ないし三十発という数字を出している。私は申し上げている暇はないのだけれども、ここにこの、皆さんお持ちだと思うけれども、リポート・ツー・コングレス、一九九三年、シアターこミサイル・ディフェンス・イニシアチブ、TMDIというのがございます。これは非常に細かく書いてありまして、だから、THAADミサイルというものをやはり中心考えていくことになっていくのだろうと思っているのですけれども、そういう意味であらかじめ承っておきたいのは、核は、議会調査局の数字まで出ておりまして、これはえらいことになりますので、そこのところはどういうふうにお考えでございますか。
  71. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 北朝鮮につきましては、核兵器開発の疑惑という点が今日国際的に非常に大きな問題になっておりますことは御承知のとおりでございます。今疑惑が持たれておりますようなことがそのとおりであるといたしますならば、核の爆発装置がつくられる時点はもうかなり近いところに来ているのではないかという見方がかなり多いということは申し上げられると思います。  ただし、これが兵器レベルになるのはいつかという点につきましては、現時点におきましては確たることを申し上げられるような状況にはないということで御理解いただきたいと存じます。
  72. 大出俊

    ○大出委員 私どももできる限りのことをしなければいけないなと本当に痛切にそう思っているところなのですが、調べてみますとこういうことなんですね。アル・フセインというのは直径が八十八センチなんですね。スカッドC、これもいろいろなものを調べると直径がおおむね八十八センチなんですね。要するに、ノドン一号というのは、これは八十八センチよりももっと長いんですよね。これは例がありまして、一九五二年にマーク7というアメリカの核弾頭ができた時期がある。調べてみると、これは本当の初期、今から四十年ぐらい前。ちょうどその辺の技術で進んでいる感じがするんですね。そうすると、今の御答弁のようなことになりかねないんですね。非常にその点は、つまり太くなったということは、ノドンというのは核を載せられるということになるんですよ。おおむね一トン近いものが載せられるということになるんですね。ですから、そこらのことも考えてみて、よほどこれは私どもも真剣にこの問題に取り組みたいなと今思っているのです。  そういう意味で、さて本題を申し上げたいのですが、TMD、シアター・ミサイル・ディフェンスでございますけれども、これはSDI以来いろいろな経過があってここまで来ているのですが、五年間に百二十億ドルも金がかかる。ナショナル・ミサイル・ディフェンス、シアター・ミサイル・ディフェンス、将来の研究は三つになっていますね。それでシアター・ミサイル・ディフェンス、つまり地域ミサイル防衛計画というものは、何と百二十億ドルこの中に入っているのですね。非常に詳細な報告が議会に出ているわけです。これを日本の円に直すと一兆三千億円ぐらいなんですよ。そうすると、これに入れというのが、ドイッチェさんなりその前に来たウィズナーさんなりアメリカに細川さんたちが行かれたときの長官。SSCですか、あそこの下に作業部会みたいなものをおつくりになるという。  そこで、これは入る入らない、あるいはしばらく様子を見る、ここのところはどうお考えなのですか。ちょっと長官、お答え願えますか。
  73. 中西啓介

    中西国務大臣 御指摘のとおり、アスピン長官と会談を行った際に、この間防衛庁にお見えになったのです。そのときにTMDのテーマも話し合いました。そのときに長官から提示されたのは、共同開発、それから技術交流、それからコマーシャルベース、要するにできたものを買ってくれてもいいよ、その三つぐらいの選択肢があるね、こういう話はなされたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、その命中率の問題だとか、まだわからない部分がいっぱいありますので、それではとりあえず十二月の半ばにハワイで課長レベルの会議をやろう、こういうことで会談を終えたわけでございます。
  74. 大出俊

    ○大出委員 これは、私がさっきちょっと触れているのですけれども、今このTMDの中心になっているのは、THAADミサイルと言われている、シアター・アルティテュードという言葉を使っておりますから、つまり高高度防衛防空システムなのでしょうね、訳してみれば。このTHAADミサイルなのですけれども、これはここに図解もしたものも全部ございますけれども、ちょっと見ると火薬を装てんするような場所も余りないのだけれども、だから弾体を飛ばして、ノドン一号なら一号、成層圏に入ってくる、ここは一番速力が遅くなるんですからね、この遅いところにぶつけるという。DSP、こちら側でさっきのPAC2ならPAC2は、ディフェンス・サポート・プログラムという赤外センサーをくっつけた、赤外線カメラを回しているようなものを宇宙に置いておいて、これはインド洋から向こうの方になりますと、オーストラリアのアリススプリングズにすぐ行く、こっち側だとアメリカのコロラドスプリングスに行く、宇宙航空警戒センターに。そこで分析をして、三分から四分ぐらいかかって、パトリオット部隊に山火事なのかスカッドなのかという情報を送ってくる。今まで最後の九十秒で撃っているのです。これでノドン一号、落下速度がマッハ九ぐらいあるのですよ。アル・フセインならマッハ六ぐらいですから、音の速さ、ストライク・イーグル、F15がマッハ二・五ですから、そうするとマッハ十ぐらいというとその四倍だから、とてもじゃないが、今のシステムではこれは落とせないのですよ。そうすると、問題はこのTHAADミサイルなんだけれども、これができるのが一九九六年という。さっきの、防衛庁が今PAC2体制をつくろうというのは七年ですね。今五年ですから、平成七年。片っ方のTHAADミサイルというのは、大体このめどがつくのが九六年です。つまりUOES、緊急配備という方式も考えているようですけれども、緊急配備のできる試作品というのですか、これに日本がというのであれば、これはアメリカと話し合いをして緊急配備できるものが、つまり二つぐらいのランチャーで四十発というのですけれども、これをいきなり日本に持ってくることになるのかならぬのかという話もしなければ、本当は空白ができてしまうわけですね。先ほどのノドンの生産体制、実戦配備というものと比べれば空白ができる。こうなるのですけれども、そこのところは一体どうお考えでございますか、防衛責任という意味で。
  75. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 先生のおっしゃるように、THAADについて私どもの得ている情報では、非常に開発が進められておるということで、一九九六年の段階でプロトタイプのものができるのではないかと言われておりますが、あくまでそれはプロトタイプのものということでございまして、それをさらに改善、改良するということになろうかと思います。
  76. 大出俊

    ○大出委員 ですから、緊急配備の試作品とでもいうのでしょうかね、この今のお話は、恐らく。  そこで、これは皆さんの方は今の向こうの相手方の状況を眺めて、防衛という責任という立場で考えるとタイムラグがあるわけですね、つまり有効な対処ができるまでの間に。そうすると、今のプロトタイプのものができるというのは、要するにTHAADミサイル五つぐらいの、つまりランチャー五個ぐらい考えれば日本全土を防衛できるというシステムですよ、これ。そこらは一体防衛庁としてはどう考えているのですか。
  77. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 その点につきましては、先ほどから大臣からもお話し申しましたように、これの全容について、私どもその能力でありますとか有効性でありますとかそういうことについても承知をしておらない状況でございますので、先ほど申し上げましたSSCの下のワーキンググループと申しますか、作業部会でこれから詰めていくというのが実情でございます。
  78. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、まだこれからである、今のところこれから詰めていく筋合いのものなんだ、こういう理解でいいですか。  ここで一つ承っておきたいのですけれども、ロッキード社がアメリカでシミュレーションをやっているのですね。北がもしミサイルを発射したとした場合にというシミュレーション、これはどなたかお気づきになっていますか。
  79. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 ロッキード社から私のところにいろいろ説明に来ておりますが、そのシミュレーションをやったということは聞きましたけれども、内容については私は聞いておりません。
  80. 大出俊

    ○大出委員 気がついたら三百八十秒前だった。これは大変だと気がついたときに三百八十秒。一分が六十秒ですから六分ぐらい前だったというのですね。そういうシミュレーションなんですよね。  そこで、もう一遍ここで明らかにしておいていただきたいのは、THAADミサイルというものはどういうものなのかというのをこの際ひとつ明らかにしておいていただきたい。なぜならば、TMDの中心なんだから。
  81. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 THAADミサイルについて、私ども先ほどこれから勉強すると申し上げたので、詳しくは知りませんが、現時点で私どもが資料として得ているものについて申し上げますと、THAADと申しますシステムはTHAADウェポンシステムとTHAAD・GBR、グラウンド・ベースド・レーダーという二つの計画から成っておる。主要なシステムの構成と機能でございますけれども、THAADミサイルという単弾式固体燃料ロケットでペトリオットより小型のものというようなものと発射機、一発射機に十五発のミサイルを搭載する。それからGBR、さっきのグラウンド・ベースド・レーダーでございますけれども、トレーラー積載のフェーズドアレー。レーダーで、早期警戒、識別、発射点・弾着点の予測等を行うというものとBM/C3Iシステム、バトル・マネジメント・CIシステムというものでございまして、以上のような構成品から成っております。
  82. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、これはまだプロトタイプであれあるいは試作であれ、どういうふうに日本がというような話はまだ一切していない、研究段階だ、長官、そう考えでいいですか。
  83. 中西啓介

    中西国務大臣 話をしたという報告は受けておりません。ですから、これから開かれていく事務レベル協議の中で徐々に明らかにされ、詰めていかれるんだろうと思っております。
  84. 大出俊

    ○大出委員 この際、一つ承っておきたいことがあるのですが、時間ぎりぎりでございますので。  AWACSを前年度の予算で二機、九月三十日に、こちら側の契約者は伊藤忠でございますが契約をなさっている。長官、これは非常に膨大な金がかかりますので、AWACSというのは。御存じのように、函館の空港にミグ25が低空侵入したときに大議論になりましたよ。E2C、E3、A、B、Cあったのですが、E3、どっちなんだという。E3というのはAWACSですから。  当時私が実は随分長い質問をいたしまして、そのときに防衛庁の制服の方に私会っていろいろ対談もしまして、結局E2Cになっているんですけれども、このAWACSというのは、前からわかっていることなんですけれども、四機ということになりますと二千二百四十六億円かかるんですよ。この間の中期防どころじゃないのですよ。上がっちゃっていますしね。この二千二百四十六億円プラス、これ十五年のライフサイクルを持っているのです、この飛行機は。これ一万キロ飛ぶんですから。そうすると、何と千九百億円そのために維持費がかかる。支援システムの整備と燃料などの維持費、経費、千九百億円。これべらぼうな、四千億超えちゃうんですね。こういうもので、しかも、いいですか、今ソビエトのバックファイアも何もなくなっているんですからね。飛んできてないんだから。  そこで、今どうなっているかといいますと、アメリカ空軍のAWACSというのは、既に一九九〇年、三年前の七月三十一日飛行中止を決めている。飛んでないのですよ、アメリカが。ただ、今言われているのは、麻薬密輸監視のためにたまに使うということですね。飛行停止をしているのです、一九九〇年七月三十一日に。こんなに金かかってはどうにもならぬというわけです。それからNATOで十八機保有しているんですよ。このNATOの十八機も飛行停止です。英国が七機、これも飛行停止です。フランスが四機、これも飛行停止です。残っていて、使っているのかどうかよくわからぬというのはサウジアラビアだけなんです。あとはみんなわかっている。どこも飛ばしていない。停止しちゃっている。アメリカ本体が一九九〇年七月三十一日に停止したんだ、これは。  そうなりますと、こんな高価な飛行機を、私はちょっとおもしろくないのですが、一機五百五十四億円だ。今政治改革で一生懸命やっていて、政党助成費というのは四百十四億円だ。四百十四億円は高いから削れと言う。削れと言って、片っ方で一機五百五十四億円もするAWACSを買っていれば世話ないというのですよ。だから、費用対効果を含めて、そういう意味で私はこれはやめた方がいいという考え方と、パトリオットのPAC2というのは直接的に、さっきもお話聞いたって役に立たないんだからやめた方がいいというのが私の考え方で、もっと効率的に物は考えろ、本当に有効ならTHAADというものだってあるじゃないか、そう考えているということと、もう一つ、隣の国なんだから、北朝鮮との関係は。北を目標にして、やれAWACSだとかPAC2だとか言ってないで、やめるものはやめて、正常な形の国交回復に向けて真剣な話し合いをなぜしないかと実は申し上げたい。ここのところはひとつ大臣ちょ一とお答えいただけ事か。じゃ、防衛局長でもいいけれども。
  85. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 AWACSの運用あるいはPAC2、AWACSの必要性については従来からるる、航空軍事情勢変化に伴って有効な防衛力を維持していくということから導入する。PAC2につきましても、先生、弾道ミサイルについて有効性が乏しいということでございまして、当然のことながら有人航空機あるいはそれから発射するミサイル等については能力向上するわけでございまして、その点について御認識をいただきたいと思います。  それから、いずれにしましても、私どもとしては昨年の末に中期防の修正を行いました。全体として五千八百億円の減額をしたわけでございますけれども、その際に、例えばF15につきましては四十二機から二十九機、十三機削減しておるということでございますが、どうしてもその際にこのF15を有効に働かせるためにはAWACSが必要であるということで、AWACSについては四機を原計画どおり維持したということでございまして、全体としての防衛力の整合性といいますか、有効性を維持するためにそれぞれ取捨選択したものでございまして、その有効性については私ども自信を持っておるわけでございます。
  86. 大出俊

    ○大出委員 時間ぎりぎりのようですから、一言言って終わらせていただきます。  今おっしゃる中期防で決めたというのですけれども、中期防二十二兆七千五百億に書いてありますね。AWACS四機というのは幾らかというと千三百億なんですよ。ちゃんと書いてあるんだから。そうすると三百二十五億なんですよ、一機。そうでしょう。だから昨年ですか、生産ライン停止が目の前になっているのに何で決めるのだ、707じゃできないんだから767を持ってくるしかないじゃないか、そうするととんでもなく金額がはね上がるよと私はちゃんと御注意申し上げているんだ。そのとおりになっている。三百二十五億が五百五十四億になっている。そうでしょう。  だから、やはりここまでくると、こういうAWACSなんというものをここで買わなきゃならない必然性は世界どこの国見たってないんだから。飛ばしてないんだから。こんな維持費がべらぼうにかかるのはむだなんだから。はっきりしているんだ。だから、強いてアメリカとの関係と言うならば、経済的な問題を防衛庁関係の武器に、兵器にすりかえるというやり方はやめてもらいたいと私は思っている。  野党で長くきましたが、立場は皆さんと違うのだけれども、基盤的防衛力構想なんというものは坂田さんや久保卓也さんと話して、議論してきて一致するところは一致しているのだから、そういう意味でぜひここのところは中西長官にお考えをいただいて、少し北との関係だって、AWACSだのPACだのじゃなくて、そういうのはやめるならやめて、そして何とか国交回復を軌道に乗せるという、際なんだから、アメリカに任せておかないで、韓国も説得して、そういう必要があろうと思うのですが、最後にもう言いただいてやめます。
  87. 中西啓介

    中西国務大臣 防衛局長からおおむねお答えしたとおりだと私も思います。  しかし、大変、さすがオーソリティー大出先生の示唆に富んだお話だなというふうにも聞かせていただきました。  しかし、北朝鮮を含めた外交的努力は当然可能な限り日本努力をしていくべきであろう、そのように考えております。
  88. 大出俊

    ○大出委員 外務省の方は来ておられましたかね。そうしたら、ちょっと最後に答えてください。今どうなっていますか。
  89. 池田維

    ○池田政府委員 国交正常化交渉は九一年の一月からこれまで八回行いました。そして最後が去年の十一月に北京で行ったわけですが、それ以来中断しております。この中断の経緯につきましては、時間もございませんので詳しくは申し上げませんが、李恩恵問題をめぐりまして、北側はこれに反発して途中で交渉を打ち切ったということがございました。そして、次回の交渉をいつするかということも決めずに終わったというのが現状でございます。  しかしながら、私どもは、先ほど防衛庁長官からも御答弁がありましたように、北朝鮮側の対応いかんではいつでも交渉再開に応じたいという構えでございますので、そういう意味では常に交渉によってこの問題を解決していきたいという基本的な姿勢は維持しているわけでございます。  ただ、一点だけ強調しておく必要がございますのは、いわゆるこの核疑惑の問題というのがございますから、交渉は始めました場合にもこの問題を避けて通ることはできないということでございまして、この部分については明確にしておきたいと思っております。
  90. 大出俊

    ○大出委員 安全保障委員長委員長は、安全保障委員長という立場で北と話をしてみたい、今大変大きな問題だからというような御認識があるんじゃないですか。
  91. 近藤豊

    近藤委員長 そういう話を私的にしておりましたことがあります。
  92. 大出俊

    ○大出委員 どうもありがとうございました。
  93. 近藤豊

    近藤委員長 月原茂皓君。
  94. 月原茂皓

    ○月原委員 新生党の月原です。  与えられた時間、防衛庁長官初め防衛関係者の皆さんにお尋ねしたいと思います。  先ほどノドンの話が出てまいりましたが、そこから入らせてもらいます。  ノドンそのものの情報は、独自の情報も含まれている、各種の情報を分析してその性能等を割り出したんだ、こういうふうに言われておりますが、私は、今日本もそういうものに対する分析の能力を持っていなければならないと思っております。与えられた情報でいろいろな問題を判断するようでは、独立国と言えぬのじゃないか。私はそういう意味で、先ほどの答弁の中に、独自の情報も含まれていると言うけれども、多くは我が国情報に基づいたんだ、そういうふうなものであるかどうか、まずその点をお答え願いたいと思います。
  95. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 お答えいたします。  この五月末に行われましたミサイル実験につきましては、各種の情報を私ども得ております。その中には、先ほども御説明いたしましたように、独自の情報も含まれております。  ただし、情報の話でございますので、量的な面だけを、外部から入手した情報が何%で独自のものが何%、そういうふうに御説明できる性質のものでないということは、ぜひ御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  96. 月原茂皓

    ○月原委員 私はなぜそのことを申し上げておるかというと、過去、諸外国で戦いがあった場合に、みずからの国が情報能力を持たない場合には同盟国すらそれに協力をしない、そういう事例が非常に多いからであります。特に、今TMDの議論がありますが、もしその議論に進むとするならば、膨大な予算を必要とするわけであります。そしてまた、我が国防衛体制そのものが非常に大きく変わるものであるだけに、みずからの情報網を持っていなければ、その判断の、これからもそういう点について注目し、充実して、そういうものが、より確実な情報が入ってくるような体制を築かなければならないから、あえて質問しているわけであります。  今後そういう点について、情報の強化についても努力される所存であるのかどうか、その点を答弁してください。
  97. 中西啓介

    中西国務大臣 どなただったか、最初の中谷さんだったかの御質問の中でもその範畴の御質問が出たわけでございますが、今後防衛計画が見直される、再検討される中で、月原さん御指摘の情報の分野、当然ここにも焦点を当てて見直されていくのだろう、そのように想像いたしております。
  98. 月原茂皓

    ○月原委員 先ほど引用したのは、中谷議員に対する防衛庁の答弁を引用しながら私はお尋ねしたわけであります。  そこでお尋ねいたしますが、ノドン一号の性能として、射程距離はどのぐらいになっておると考えられておるのか、それからこれが移動性なのか、あるいは固定なのか、そういうような点について、また、燃料が液体なのか否か、そういうことがわかっておれば教えていただきたいと思います。
  99. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 現在開発中のミサイルでございますし、私どもとしてもできるだけ正確にその性能、諸元を知りたいと、情報収集に努力しているところでございます。  いずれにいたしましても、まだ開発中のものということでございますので、正確に確認しているわけではもちろんないわけでございますが、そういう前提で、私どもが現在行っている推定ということで御説明申し上げますと、射程は大体千キロ程度のもの、それから大気圏突入時の速度は大体マッハ八・五程度になるのではなかろうか、それから射程千キロを飛ばした場合に千キロに到達する時間としては約十分弱程度になるのではなかろうかということでございます。ただし命中精度につきましては、現在のところ正確なことはわかっておりません。それから、固定式か移動式がという点でございますが、これにつきましては移動式という見方も確かにございますが、この点につきましては現時点におきましては確認はとれておりません。燃料につきましては、現時点において私どもは液体燃料である可能性が非常に強いというふうに見ているところでございます。
  100. 月原茂皓

    ○月原委員 非常によく分析されておるので安心いたしましたが、移動性である、その可能性が高いということは今後非常に大きな問題をはらんでおる、私はこのように思います。  それで、先ほど大出議員の質問に防衛庁長官お答えになりましたが、米国の国防長官とこの問題についてお話しになった内容は、今大出議員にお答えになった以上のことがもしあればお話し願いたいと思います。三つの形がある、買う方法もあるだろうし、技術の交流もあるし、共同開発のものもある、こういうふうな、TMDについてお話しになったこと、それ以外の何か参考になるお話があったら、なければないで結構ですが。
  101. 中西啓介

    中西国務大臣 大出先輩にまさにお答えしたとおりでございまして、それ以上のものはございません。
  102. 月原茂皓

    ○月原委員 今ミサイルの問題がありましたので、先にそちらの方の質問をさせていただきました。  そこで、一九九一年十二月にソ連が解体したわけであります。ヨーロッパの方については非常に大きな、軍事的な意味でいえば安定した体制、そして平和が訪れるというとちょっと平和という定義が難しいのですが、やや前よりも防衛についてはそれほどの力を入れなくてもいいというような、大きな戦争は起きないだろうというような形が出てきたと思うのですが、アジア情勢、この辺について、冷戦構造崩壊後のアジアの軍事情勢ということについて、長官なり防衛庁の当局から御説明願いたいと思います。
  103. 中西啓介

    中西国務大臣 これも先ほどのどなたかの御質問にもお答えを申し上げたわけでございますが、東西冷戦構造が終わったことは大変歓迎すべきことである、核戦争世界大戦争みたいなことが起こる可能性は極めて低くなっておるという観点から考えてもこれはもう本当に結構な話であると思いますが、しかし逆に、今まで東西冷戦構造によって、何といいますか縛られていたような感じのある、それよりも小さい懸念が逆に特に日本周辺では増幅してきていることは事実だ、私はそのように認識をいたしております。  朝鮮半島の情勢がどうなるかというあたりも一つ懸念でございますし、今月原さんが御指摘の弾道ミサイルのいわゆる開発に余念のない北朝鮮の動向、これも大変な懸念だと私は認識しております。あるいはまたロシア軍の行方も、なかなか大変な能力を持った巨大なロシア軍でありますから、その行方もまだ定かに見きわめられる段階にはない。あるいはまた、中国動きもやはり気になる動きであるというようなことを考えますと、アジアは逆にまた、武器の取扱高を見ましても、地球上に幾つ地域があるかという分類、これも幾つかの分類の仕方もあるわけでございますが、アジア地域が一番ホットに取引も行われている、大体取扱量の三分の一がアジアであるという現況を見ても、世界が平和に移行していくんだという現状とは逆にほど遠い現実なのではないか、そんな認識を私は持っております。
  104. 月原茂皓

    ○月原委員 今大臣のアジアにおける冷戦構造後の情勢についての御見解を承りましたが、北朝鮮のことについては既に今議論がされておりました。核を含め、またミサイルを含めそのお話がありましたが、中国の問題ですが、ソビエトから、ソビエトというかロシアからスホーイ27を購入したとか、あるいは今空母の話も将来の話として出てきておりましたが、こういうふうな中国軍事力の増強についてその実態、そしてまた諸外国が、日本の見解というと難しいと思いますから、諸外国はこの増強をどういうふうににらんでおるか、どういう目的を持ち、また目的がなくてもどういう影響力をどの地域に非常に大きく与えているかということについての情報があればお話し願いたいと思います。
  105. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 御指摘になられましたように、中国は現在国防力につきましては量から質への転換を図ろうとしているというふうに私ども見ておりまして、その一環といたしまして、海軍力、空軍力を中心に目下鋭意装備の近代化を進めているという状況にございます。海軍につきましては、ヘリコプター搭載型の駆逐艦及び護衛艦の建造、それから新型ミサイル搭載の艦艇の近代化。空軍につきましては、F8Ⅱなどの新型戦闘機の開発、配備。それからまた、最近特に注目されておりますのは、ロシアからの第四世代の最新鋭のSU27戦闘機の導入といったような方法によりまして航空機の近代化も鋭意図っているというふうな状況にございます。  中国では、全体の国の政策の中では当面経済建設が最重要課題というふうにされておりますことや、また全般的にインフレ基調にあるとか、あるいは財政赤字の問題を抱えているといったようなこともございますので、このような装備の近代化も一挙に進むということでは必ずしもないとは思われますけれども、しかし着実に、緩やかではあっても着実に近代化が進んでいくというふうに思われるわけでございます。  私どもといたしましては、このようなペースで中国の軍の近代化が続けられてまいりますと、中長期的にはアジアの軍事バランスにどのような影響を及ぼすかという観点でこれは注目していく必要があろうというふうに見ております。  空母につきましては、確かに、長期的な計画ないしは長期的ないわば希望という意味では空母が国内でかなり議論の対象に上っているということは間違いございませんし、例えばウクライナの造船所で建造途中にございました空母に視察団を送ったといったような話もあるようでございます。そういう意味で、空母を取得することに大きな関心を持っていることは事実であろうと思いますが、現時点におきまして、そのような空母取得が具体化しているという兆候は今のところないものと見ております。  それから、このような中国の近代化がどのような影響を与えるか、これは確かに難しい点でございますが、私どもとしては、やはり大事な点は中国周辺諸国、特にアジア諸国との関係で、このような中国軍の近代化がこの地域の軍事バランスを大きく崩すようなことになればこれは地域の安定という意味では好ましいことではない、そういう観点で注目しているところでございますし、周辺諸国も恐らくそういう観点で中国軍事力の近代化を注目しているというふうに理解いたしております。
  106. 月原茂皓

    ○月原委員 今のお話のように、中国の、特に海軍力の増強というものは大変なものがあると思います。将来、資源の問題、海底資源あるいは石油の問題、そういうところであの周辺にいろいろ影響を与えていくものであると私は思いますし、今冒頭長官がお話しのように、アジア情勢はそういうふうな意味において冷戦構造、ヨーロッパとは非常に違うんだということをまず認識しなければならないと思います。  それについて、最近米国のいろいろ防衛見直しが行われているようでございますが、アジアに関して米国はどのような判断をしておるか、そのことについてお教え願いたいと思います。
  107. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 最近行いましたボトムアップレビューにおきましても、米国アジアにおける情勢とそれからアジアにおいて保持すべきプレゼンスを再検討いたしたことはもう御承知のとおりでございます。  その中で、例えば最近クリントン大統領が韓国などで行いました演説等におきましても、米国アジア太平洋地域における米国安全保障上の役割の基本は軍事的プレゼンスの継続であり、そのために日本韓国等との二国間条約を再確認するということを明確に明らかにいたしております。特にこのボトムアップレビューにおきましては、北東アジアにおける、特に韓国に対するコミットメント、我が国における海兵隊及び空軍戦力、さらには第七艦隊の展開など、現在とほぼ同じ規模の兵力を維持するということも明らかにしているところでございます。  私どもといたしましては、アジア太平洋地域の安定のためには米国のプレゼンスが不可欠であるという基本的な判断に立っておりますので、このような意味合いにおきまして、米国がこの地域におけるコミットメントと十分な前方展開を維持する方針であるということを高く評価している次第でございます。
  108. 月原茂皓

    ○月原委員 新しい米国冷戦後の政策においても、このアジア情勢について米国は相当の決意を持っておる、今までと変わらないということであります。  例えば、フィリピンから米国が撤退した。アジア諸国が、日本の進出は非常に困る、しかし米国にはおってもらいたい、今いろいろアジア情勢中国を含めていろいろなバランスの問題が出てきた場合に、やはり米国におってもらいたい、こういうふうな感じが強いのではないか、このように思っております。そういう意味で、大臣この間アメリカの方にも行かれまして国防長官とも会われましたが、アジア地域における米軍の役割ということについてどういうお話があったのか。そして日本の方としては、この日本における米軍の地位というものは、単に日本のためだけではなくて、アジアの非常に大きな安定に寄与しておるという認識のもとに米軍とそういう問題についてどのような協力をするか、そんなお話し合いがあったとするならばお話し願いたいと思いますし、米軍に対するその位置づけからいって我が国はこういうふうに考えておるんだという大臣自身の見解も教えていただきたいと思います。
  109. 中西啓介

    中西国務大臣 当然、アスピン国防長官との会談で、冒頭から、日米の関係は極めて重要であるというお互いの意思の確認が行われたわけでございます。先ほど参事官の答弁にもありましたように、クリントン大統領のボトムアップレビューにおいても、また宮澤前総理との共同コミュニケというのですか、あの文面の中にもございますように、確かに冷戦構造は終わったことは事実だけれども、引き続き日米関係の信頼性向上のためにお互いに全力を挙げていこう、米軍日本及び韓国アジアにプレゼンスするということはアジア全体にとっても、また世界の安定にとっても極めて大事な要素である、そういう認識もお互い確認をし合ったところでございます。  ですから、私どもは可能な限り駐留米軍の、ひっくるめて申し上げればいわゆる支援といいますか、こういう面でもさらなる努力をしていかなければならないのではないか、そんなふうに今私自身考えているところでございます。
  110. 月原茂皓

    ○月原委員 そのような決意で進まれておることに我々も大いに賛成であります。  特に私は思うのは、東南アジア諸国に対して、恩着せがましく言うわけではないけれども、この米軍が安定のために大変寄与することを我々も考え日本は大変な努力をしておるんだ、先ほど中谷議員ですか、予算のお話をされておった中にも駐留費の問題もありましたが、新条約に基づく経費についても我々は厳しい中で相当努力しておる、そういう点を大臣ひとつアジアの諸国に行ったときに、何回も言いますが余り恩着せがましく言うと問題があると思いますが、日本国民は大変アジアのために寄与しておるつもりだということをこれからも強調して、またアメリカにもその点を強調していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  111. 中西啓介

    中西国務大臣 貴重な参考意見にさせていただきます。
  112. 月原茂皓

    ○月原委員 最後の質問になりますが、新しい年度を迎えての予算折衝がいよいよ始まっております。中期防衛力整備計画は昨年五千八百億円の減を立てて抑制的に修正されたわけであります。それの着実な実行のために大臣もこれから大変な努力をされるわけですが、そのときに当たって、今大変景気が悪い。私もかつて防衛の予算をやった経験を持っておるのですが、防衛産業というか、今まで防衛庁がいろいろ計画をつくったときもいつもその基本にあるものはやはり産業の基盤がなければいけない、そして基盤的防衛力であるだけに何か事情が変化したときには急速に物をつくれる、展開できる、そういう基盤を持っておかなければならない、こういうことは常に強調されておるわけです。  そういう観点から、今年度予算なんかで特に大きな問題は、各企業が余裕があるときは防衛の方の赤字というかそういうものも救うことができておったけれども、いま企業自身が大変な状態にある。そういう観点から、防衛の研究開発に従事する者、また生産に従事する者、そういう人たちが一たんその職場を離れると再構築することはなかなか時間がかかる。そういう意味において、大変厳しい状態にあるこの防衛の生産関係の基盤というものを今度の予算について大臣はどのように考えられて対処されるか、その点をお伺いしたいと思います。
  113. 中西啓介

    中西国務大臣 御指摘のとおり防衛産業は、昨年の中期防の修正で正面装備だけでも五千八百億円減額されたわけでもございますし、これからの趨勢は、減ることはあり得てもふえることはもう全くないという厳しい環境下にあることは事実だと思います。そういう環境で彼らも大変危機意識を持っておりまして、私も今勉強いたしておるところでございますが、防衛産業を守るということも重要でないとは申し上げませんけれども、防衛産業を守ることイコール日本の国防を支えていく力になる、やはりそういう視点からこの問題をとらえていくべきであろうというふうに考えております。  大変厳しい予算ではございますけれども、例の五十一年の大綱の中にも織り込まれております精神を、装備品等の整備に当たっては、適切な国産化にも配慮しながら、また緊急時の急速の取得という視点も忘れずに、それから教育訓練が容易に行われやすいということ、それから費用対効果、こういうものを総合的に勘案しながら、この精神を守りながら大蔵省と、大いなる理解をいただくべく粘り強く、不退転の決意で予算折衝してまいりたい、このように考えております。どうぞ、御支援をいただきますよう改めてお願いを申し上げる次第でございます。
  114. 月原茂皓

    ○月原委員 大臣の決意を承って、我々も、対昨年度伸び率一・九五、シーリングも最も低いシーリングで臨んでいるだけに、バランスのとれた、隊員の処遇改善を含めすべてのものが抑制された中期防衛力整備計画の中で予定どおり実行されること。アジア情勢は、ヨーロッパと違って冷戦構造後直ちに手をたたけるような状態でないという認識のもとに頑張っていただきたい。我々も協力していきたいと思います。  以上をもって終わります。ありがとうございました。
  115. 近藤豊

    近藤委員長 矢上雅義君。
  116. 矢上雅義

    ○矢上委員 さきがけ日本新党の矢上雅義でございます。  先日長官が所信表明されましたように、今日の世界においては、ソ連邦の解体等により冷戦は終結し、大規模戦争の可能性が減少するなど緊張が緩和したことも事実ですが、他方、完全に平和な世界が出現したわけではなく、各地で紛争が続発し、複雑、流動化しておると私も認識しております。防衛庁としましても、その他見逃せないという点がございましたら具体的に、また簡潔に、冷戦終結後の国際軍事情勢についての御意見をぜひお聞かせください。
  117. 中西啓介

    中西国務大臣 もう何度も申し上げていることでございますが、東西冷戦構造という緊張した対立構造の中で日本防衛政策整備されてきたわけでございます。また、世界も二大陣営の対立の構図の中で推移してきたわけでありますが、その巨大な一方の国であるソビエト連邦という国が瓦解をしたわけでございます。  そういう意味では、大きく変化を遂げている地域もございます。ヨーロッパなんかは、本当に厳しいソビエトとの対峙をしてきたわけでございますが、今では対峙していたこの余剰の部分、過剰な戦力というものは削減方向にあって、着々とその実効を上げておるというようなことは確かに現実起こっているわけです。そのこと自体は大変結構な現象だと思います。しかし、そのことによって、今までは押さえ込まれていた、逆に日本にとっては懸念ともいうべき現象が現実の問題として台頭してきた。特にこのアジアは、ヨーロッパなんかと比較いたしますと、まだまだ地域一つというような観点からはほど遠い現実にありますし、民族上あるいは宗教上の対立、それによって紛争も起こっているし、また紛争が極めて可能性の高い状況にある国と国との関係もある。  そんな状況の中で、予算的に見ても、確かに米ソあるいはソビエトと欧州という関係では、軍事的予算、ソビエトとの分に関しては削られておるわけですから、全体的にも予算が削減されている。軍事力の増強という指摘はもはや当たらない状況にある。しかし、今地球上に百八十数カ国の国々があるわけでございますが、逆に冷戦構造が終わった時点から軍事力を増強しているという国々が約百カ国あるという現実も、我々は直視をしていかなければならぬことであろう。  そんな認識のもとに、大きな変化は起こったわけですから、その変化には認めつつ対応しつつ、二十年も経過した防衛計画というものをいま一度見直すべき時期に来ているという認識を強く持って、また皆さんの御議論もいただきながら、防衛計画というものを見直していくべく今防衛庁検討、勉強を開始したところである、こういう状況でございます。
  118. 矢上雅義

    ○矢上委員 どうもありがとうございます。  今のお答えを要約しますと、軍事力増強等百カ国を超えるような、そういう変化もございまして、国際情勢はさらに複雑、流動化の状況にあると言えましょうが、流動的であればこそ、日本が力の空白にならないという基盤的防衛力の認識と、それに向けての努力が必要になってくるのではないかと考えております。  また、その基盤的防衛力構想がうたわれております防衛計画大綱ですが、先日、朝霞基地におきまして細川首相は、目覚ましい科学技術の進歩を考慮に入れて防衛大綱見直しの時期に来ているのではないかと発言されましたが、昭和五十一年に策定以来二十年近く歳月もたち、その関大きく国際情勢も変わってきております。  先ほどからいろいろ御質問の中にありましたように、ミサイル時代、また第四世代戦闘機の時代に入った現在、相応能力等の向上も含めて非常に重要な時期を迎えております。これから、この大綱のどの部分が現実と乖離し、また適合しておるのか、もしくは修正が必要と考えておるのか、防衛庁の御意見をぜひお聞かせください。
  119. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 我が国は、従来から防衛計画大綱のもとで、独立国として必要最小限度の基盤的防衛力整備してきたことは先生御指摘のとおりでございます。  しかしながら、この大綱は、昭和五十一年に策定されましてがら既に十数年、約二十年たとうということでございまして、細川総理の訓示にもありましたように、その間に国際情勢が激変をしておるというような状況もございます。それから、大綱の別表に示されております自衛隊基本的な編成あるいは主要装備等の具体的規模は、大綱策定当時の装備体系を前提としているということがございます。そういうことから、現在、防衛庁においては今後の新たな防衛力のあり方について検討をしておるところでございます。  この検討に当たりましては、国際情勢変化、技術進歩あるいは将来における人的な資源の制約の増大というようなことを踏まえて検討をするということでございます。その検討の過程の一環として、新時代防衛を語る会というのをこの六月に設置をいたしまして、その中で部外の有識者の意見等もこれに反映すべく現在作業を進めておる段階でございます。
  120. 矢上雅義

    ○矢上委員 どうもありがとうございます。  私自身やはり懸念しておりますのが、防衛計画大綱の中のわが国が保有すべき防衛力で平時において十分な警戒態勢をとり得るのか。これは人材の確保、もしくはまた高度な科学技術水準に合わせた情報網の整備等ございますでしょうし、また、限定的かつ小規模侵略までの事態に有効に対処し得るものであること、これも非常に重要になってきております。ですから、今御意見にもございましたように、ぜひそういう即応能力を身にづけられるような基本的な編成を急ぎ、修正を加えていただくよう要望いたします。  次の質問に移らせていただきますが、今の私の意見にもありましたように、技術の格段の進歩のあったものの一つ情報というものがあります。先ほどから申し上げますように、複雑化、流動化している国際社会で、紛争を未然に防ぐ抑止力として、また有事の際の迅速な対応を保証するものとして、兵器同様高度な情報収集能力と分析能力が挙げられると思いますが、この点に関し防衛庁の見解はいかなるものでしょうか。  例えばアメリカにおきましては、人工衛星等、また人的資源におきましても日本をはるかに超えるものがあると聞いておりますが、今後とも日本がどう独立国として情報部門を確立していくか、それについての見通しについてぜひお聞かせください。
  121. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 先生御指摘のとおり、専守防衛を旨とする我が国防衛にとって、国の安全に必要な情報収集、処理、分析は極めて重要でございます。このため防衛庁としても、従来から各種情報業務の充実あるいは情報体制の充実に努めているところでございます。特に、我が国安全保障に直結する戦略的な情報については、総合的な処理、分析体制の確立を早急に図ることが、質の高い情報要員を育成することと並んで重要なことであると考えております。  このような観点から、現在の中期防におきまして、情報について、「総合的な分析を実施し得る体制の充実に努めるとともに、各種情報収集手段等を整備する。」ということが規定されておりまして、新たに情報組織として情報本部というようなものを設立すべく、現在作業を進めているところでございます。
  122. 矢上雅義

    ○矢上委員 一つ基本的なことについてお伺いしたいのですけれども、ロシアとかアメリカというものは、偵察衛星といいますか、人工衛星の立派なものを持っておりますが、私自身基本的知識がないものですから、日本はそういうものを技術的に持てるのか、もしくは技術的に持てるとしても何らかの法的な制限とか憲法の制限もしくは日米安保体制の中での制限で持てないのでしょうか。その辺のところをぜひお聞かせください。
  123. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 我が国は、人工衛星についての持ち方については、特に、現在既にランドサットというか、まあそういうようないろいろな人工衛星を打ち上げておりますので、その面で、その能力が比較相対的にどのくらい劣るかどうかということは別として、持ち得るというふうに考えておりますが、ただ、衛星の軍事利用につきましては、宇宙の平和利用に関する国会決議というものがございまして、その面との関係で解決すべき問題がなおあるということでございます。
  124. 矢上雅義

    ○矢上委員 どうもありがとうございました。  ところで、次の質問に移らせていただきますが、先ほど中西長官もおっしゃいましたように、我が国周辺地域の、特にアジアにおきます軍事情勢については大変厳しいものがあると考えておりますが、特にロシア極東部、中国北朝鮮軍事力についてどういう不安定な要因があるか、簡単に説明していただくとともに、そのロシア極東部、中国北朝鮮各国の陸上兵員数及び作戦機の数の最新の情報等いただければと思っておりますが、よろしくお願いします。
  125. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 確かに、今先生御指摘になりましたように、我が国周辺地域におきましては、伝統的に各国の国益や安全保障観が多様な地域でございまして、そういう意味地域的一体性に乏しいということが言えると思いますし、そういうものを背景といたしまして、軍事情勢も非常に複雑になっているということは言えるだろうと思っております。したがいまして、冷戦終結後も、この地域におきましては東西対立以外の要因に余り大きな変化は生じておりませんで、依然として複雑な軍事情勢にございます。確かに一部緊張緩和へ向けた動きはございますものの、例えば今日の朝鮮半島情勢に示されますように未解決の問題もそのまま残されております。そういう意味で、欧州に生じたほどの大きな変化はまだ見られていないという認識でございます。  そして地域的に見ますと、ロシアにつきましては、確かにこの極東部分におきましては過去数年来量的な削減は進んでおりますけれども、質的な面で見ますと依然として近代化が続いているという状況にございますし、また、これまで続けられてまいりました合理化、近代化の結果といたしまして膨大な兵力が蓄積されている、こういう状況にもございます。そういう意味で、今日の極東ロシアの軍事情勢は、ロシア自身の先行き不安定性というのもあわせてこのアジア太平洋地域における安全に対する不安定要因というふうに認識しているところでございます。  中国につきましては、これも先ほど答弁にもございましたように、目下量から質への転換という意味で、海空軍力を中心とした近代化が進められているどころでございますし、そういう近代化のために、過去数年間をとってみましても国防予算はかなり目立った形でふえているという状況にございます。私どもとしては、このような中国の近代化の動向が中長期的にアジアの軍事バランスにどのような影響を与えるのか注目していく必要があろうというふうに見ているところでございます。  また北朝鮮につきましては、これは、国民総生産の非常に大きな部分を軍事費につき込むという体制を過去一貫してとってきております。そしてまた、近年、核兵器開発の疑惑あるいはミサイル長射程化の問題といった難しい問題が出てきておりまして、これはこの朝鮮半島のみならず、地域の安定に対する非常に大きな不安定要因というふうに認識いたしております。  具体的な兵力の数、御質問の点に限って申し上げますと、極東ロシア軍は、地上兵力二十九万、航空機、作戦機千四百三十機、中国につきましては、地上兵力二百三十万、作戦機六千百七十機、それから北朝鮮につきましては、地上兵力百万、作戦機約八百十機というふうに見ております。
  126. 矢上雅義

    ○矢上委員 どうもありがとうございます。  今おっしゃいました極東ロシア軍二十九万人、そして千四百三十機、中国二百三十万人、六千百七十機、北朝鮮百万人、八百十機、これは人員にだけ直しますと三百六十万近くございますが、それに対しまして、日本は十五万人、四百九十機と自分の調べではなっておりますが、自衛隊の任務といいますか、紛争及び侵略を未然に防止することが防衛政策基本であり、自衛隊の任務でもありますが、このような現状で日本単独の防衛構想はとても考えられないと思っております。あらゆる国からのあらゆる侵略に合わせた軍事力日本独自で持つことは、軍事大国にならないという基本理念にも反することになると思っております。憲法上の制約からも、経済的な面から見ましても、日米安保体制我が国自身防衛力との組み合わせが妥当であるのではないかと私自身考えてはおりますが、以上の点を踏まえまして、日米安保体制の堅持についての防衛庁の御意見と、そしてまた、厚木基地や岩国飛行場などに見られますような、また沖縄にも当然起こっております米軍基地に起因する問題等の現状、そしてまた、一部の国民の皆様方に御負担をかけないように処理していく、そういう姿勢なりをぜひお聞かせください。
  127. 中西啓介

    中西国務大臣 今御指摘のとおり、日本独自で、すきのない防衛力というものはなかなか、費用対効果というような面から考えてもおよそ不可能なことなんだろうと、また、それだけのそのすき間のない整備をすると、やはり周辺諸国に与える政治的、心理的影響というものも大変な影響を与えることになって現実的でない。  そういうふうなことから、すき間を埋めると言うとちょっとアメリカに怒られるかもしれませんが、日米安保体制、これは軍事同盟だけではありませんけれども、経済的な部分、いろいろ多目的な同盟関係にある日米関係でありますけれども、軍事的にもアメリカとの強固な関係が構築されている。そして米軍の駐留も現実化している。ですから、日本に邪悪な心を持って対応しようとしても、アメリカ軍もいるしというようなことで、防衛庁自衛隊員も頑張っておるというようなことでなかなか手が出せない、これが現実に半世紀近くにわたって戦争のない平和な日々を送り続けている直接的な根拠なのかな、私はそんなふうに思っております。  しかし、災難というか、そういう問題がいつ発生ずるかというのは、これは本当に神様のみが知るでありまして、人間の予知能力なんというのは、私は本当に、ある意味ではネズミよりも劣るのではないか。ネズミなんというのは、船が沈みそうになったとき、火事が発生しそうになったとき、その船や家からネズミが一匹もいなくなってしまうというぐらい予知能力がある。人間は、それじゃベルリンの壁が崩壊する、ソビエトが瓦解する、あるいはアラファトとラビンががっちり握手をするなんということはだれも予見できなかった。  政治部の記者の皆さんにも話をするのですが、防衛費の予算、少し減らしたらどうですかというような質問をされる方々に僕は申し上げるのですが、あなたたちはそれじゃ経世会がなくなるなんということをだれが予見できましたか、そんなことも予見できない者が一国の安全、防衛に関することについては軽々に発言をしてもらっては困るというようなことも申し上げているわけでございます。  いずれにしても、ヨーロッパと違ってアジア周辺というのは、日本周辺というのは、もう非常に複雑、不安定この上ない状況なのですね。それで、アメリカヨーロッパでは、STARTあるいはSTARTⅡとか、欧州通常戦力条約だとか、NATOとか、CSCEだとかWEUとか、いろいろな縦横十文字の、みんなで話し合っていく場というものがあるわけですね。ところがアジアには何にもない。唯一あるのは、この月末にアメリカのシアトルで開かれる予定のAPECという会議しか唐いのですね。だから、こういうような面でもやはり日本がもう少しイニシアチブをとって、お互いに胸襟を開いて話し合っていくというようなことも非常に私は大事な要素なのだろうというふうに考えております。  ちなみに、さっき参事官が答えましたけれども申し上げますと、日本は二十四万人の兵力しかいないわけですが、極東ロシア軍はさっき言った数字でありますけれども、ロシア全体ではまだ二百七十万人、これを百五十万人にしたいという方向にはありますけれども、二百万を超えておる。米国は百九十万を百四十万人にしたい、そういう目標を持って今進んでいるわけでありますが、中国は三百万を超えている。北朝鮮日本よりはるかに人口の少ない国ではありますけれども、百万を超えた兵力を持っている。  人口千人当たりの兵力数を参考に申し上げますと、日本は千人当たり二人しかいない、英国は五人、ドイツ六人、イタリア六人、フランス七人、米国七人というふうにありまして、韓国が十四人、ロシアは十八人、北朝鮮は人口千人当たりに対して四十八人の兵隊さんがいる、こういう状況なのです。確かに、防衛費四兆七千億円になんなんとする、お金だけで見てみると大変な金を使っているじゃないか、こういう話があるわけですけれども、例えば、日本の一番階級の低い自衛官アメリカの一番階級の低い兵隊さんとを比較いたしますと、一年間に支払われる予算というものは約二借の予算が日本自衛官一人に支払われているのですね。だから、一人で二人雇えるわけですよ、アメリカと比較しても。あるいは、戦闘機だって輸入にばかり頼ることはできない、やはり国産化ということに重点を置かなければいかぬということで、そういう方針のもとにやっているわけでありますが、F15なんかを例に挙げますと、アメリカから買えば四十億円で買えるものを、国産化でやっておりますから八十億円、倍ぐらいの値段になっている。  こういうふうなことを考えますと、攻撃型の兵力なんというのは何にも持っていない日本なのですね。一隻も、一機も持っていない。もうまさに専守防衛に徹している国でありますから、そこら辺もやはり日常の広報を通じて、あるいは私も含めた政治家、また防衛庁のありとあらゆる階層で、いろいろな国々と胸襟を開いた話し合いというものも誤解を解いていく極めて有力な手段ではなかろうか、私はそんなふうに考えているところでございます。  残余の質問については、長官に答えてもらいます。
  128. 米山市郎

    ○米山政府委員 基地問題について御答弁申し上げます。  在日米軍の駐留は、日米安全保障体制の核心でございます。この日米安全保障体制を効果的に運用していくためには、我が国といたしましても在日米軍の駐留を円滑にするための諸施策をできる限り積極的に実施していくことが必要だということで取り組んでいるわけでございます。  他方米軍施設、区域を含む防衛施設の設置、運用に当たりましては、御承知のように、航空機の頻繁な離発着てあるとか、あるいは射爆撃、また火砲による射撃であるとか、戦車の走行等々によりまして、周辺地域生活環境に大きな影響を及ぼすという問題が生じてきておりますので、施設庁といたしましても、防衛施設周辺生活環境の整備等の施策を行いまして、周辺地域との調和を図るように努めております。  具体的な問題、私どもが取り組んでいる大きな、主な問題、二、三御説明をさせていただきたいと思いますが、まずNLPの問題でございます。  これは御承知のように、都市化が進展しまして、特に厚木空港周辺等におきまして騒音問題が深刻化しているわけでございますが、この騒音の軽減を図るために、暫定措置といたしまして、硫黄島におきましてNLPが実施できるように必要な施設整備工事を進めてまいりまして、本年三月に完成いたしました。これを受けまして、去る九月には硫黄島におきまして初めて全面的にこの施設を使用した訓練が実施をされまして、厚木空港周辺の騒音というのはかなり軽減をされて、地元の自治体からも大変感謝をされているという状況がございます。  また、現実に現在、この十一月九日から十四日までの予定でNLP、硫黄島で実施をいたしておりますが、台風二十四号の接近できのう、きょうあたりは訓練ができない。そういう中で、非常食を使ってでも二日間延長をして何とか硫黄島での訓練をやり遂げようというような情報も得ております。今後とも、できるだけこの硫黄島におきます訓練が実施されるように、私どもも米軍に要請をしてまいりたいと思いますし、また米軍もそのような努力をしていただけるものと期待をいたしております。  また、沖縄の問題でございますが、沖縄は御承知のように、全国の米軍施設、区域の約七四%が沖縄に集中をしているという状況でございまして、これを県土で見ますと、沖縄県の約一〇%、沖縄本島の約一八%というかなり高い割合で施設、区域が占めているという状況がございます。このために、施設、区域の統合ということが非常に重要な問題になっておりまして、私どもといたしましても、平成二年の六月に約千ヘクタールの返還に向けて作業を進めるという日米間の合意がございます。これを中心に現在作業を鋭意進めている段階でございまして、現段階におきまして十二事案、約五百七十ヘクタールについて返還または返還合意済みでございます。残余につきましても、できるだけ早く返還の実現を見るように努力をいたしたいと思っております。  そのほか、狭い国土の中でいろいろな訓練をやることによりましてさまざまな問題が起きております。これらの問題につきましても、私ども誠意を持って解決努力をすべく米政府とも交渉をいたしているところでございます。
  129. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の御意見により米軍基地の重要性または日米安保体制重要性等、十分わかりましたが、いずれにしましても、地域住民の方々の御苦労を思いますと、皆様方のさらなる努力で、今後ともそういう米軍基地に起因する問題を前向きに解決する方向に向けての努力をされることを私自身期待しております。  そしてまた、最後になりますが、時間が差し迫ってきましたので急いでお話ししますが、先ほど以来定員割れの問題が出てまいりましたが、平成五年の資料によりますと、陸上自衛隊の陸士の分類におきまして定員充足率が六四・八%となっております。定員七万二千七百三十九人に対し四万七千百十五人の隊員しかおりません。日本の安全を確保するためには自衛隊にも士気高く優秀な人材確保が当然必要でありますが、国民に自衛隊の貢献度、必要性を誤解なく知ってもらうためにも広報の重要性が指摘できるのではないでしょうか。  防衛白書によりますと、自衛隊の印象について、五〇%の人が「実態がよくわからない」と回答しております。また、これまで役立ってきたことは何かという問いには七五・八%の人が「災害派遣」という回答をしております。実際に災害時における自衛隊の活躍は特筆すべきものであるのは確かですが、「国の安全の確保」という回答が七・五%しかありません。これらを見ますと、自衛隊の本業について国民の意識が低く、自衛隊の役割と貢献が国民に浸透していないということになるのではないかと思いますが、これは質問とさせていただくつもりだったんですけれども、時間の都合で私の意見とさせていただきます。  これで質問を終わらせていただきます。
  130. 近藤豊

    近藤委員長 東中光雄君。
  131. 東中光雄

    ○東中委員 長官は、さきの所信表明で、日米安全保障体制を堅持する、日米安全保障体制は国の防衛の骨幹をなすものだ、日米安全保障体制の維持向上のために不断の努力を行っていくことが重要である、これは基本原則として言われました。  ところで、そういう中で、この間アスピン米国長官が見えて、十一月三日の東京での記者会見で、記者会見の内容を見てみますと、日本我が国軍隊、というのは米軍ですが、我が国軍隊に対するホスト・ネーション・サポートは米軍のすべての同盟国のモデルである、日本国民にもこのとうといというか気前のいい援助を我々がいかに高く評価しているかを伝えたいというふうに、もっといろいろと、なかなか褒めています。そういうことを言われていますね。  それで、この間の所信表明を見ますと、その中でこういうのがあるんです。「あらゆる機会をとらえて」「相互の意思疎通を図るとともに、在日米軍の駐留を円滑にするための諸施策を進めるなど、各種の日米防衛協力を行いこというくだりがあります。  ここで私は聞きたいんですが、在日米軍の駐留を円滑にするための諸施策、進めると言われている諸施策の中にACSAが入るのか、物品役務融通協定というんですか、これを結ぶというふうな方向が入っているのか入っていないのか、まずお聞きしたいんです。
  132. 中西啓介

    中西国務大臣 東中先輩御存じのとおり、このACSA、取得及び物品役務融通協定、この話は昭和六十三年の日米安保事務レベル協議、第十八回目だったそうですが、この場でアメリカ側から出たんだそうでございます。それで、勉強しましょうとか言って今日まで勉強ばかりしておりまして、まだ何にもアメリカに回答できる状況にない。  この間、おっしゃられるとおり、アスピン長官からいろいろホスト・ネーション・サポートについて感謝の意を表してくれたのは事実でございます。その際に、私の方から、六十三年に問題提起されたACSAについて今勉強しているんだけれどもまだ御報告する状態になっていない、その点はまことに申しわけないというような話をしたことは事実でございます。  これを在日米軍、ホスト・ネーション・サポートの中に組み込んではしっと位置づけるのかという御趣旨の御質問だろうと思うのですけれども、僕はそこまで、ACSAですから、まあでき得れば、これはもうNATO軍ともやっているし、韓国やあるいはオーストラリアともアメリカは結んでおる話でございますし、合同訓練する場合に一々燃料なんかでも、極端な話ですが、持っていったりしなければいかぬものが、こういう協定を結んでおれば日本の基地にある油を提供したりとか、要するに便利なわけですね、金のかかる話でもないし。だから、こういうのはもうやったらどうかなという話は、僕は前々から頭の中にあったわけです。  だけれども、日本は縦割り行政でもありまして、自衛隊法あるいは設置法、会計法、物品管理法とか、ありとあらゆるでもないけれども、相当の法律を直さないとできないわけですね。各省庁にまたがっておるし、なかなか現実は進まない。物品管理法なんというのはもう日本が物をもらわなきゃ生きていけない時代にできた法律ですから、この法律自体昔のまま存続しているというのも随分時代おくれの話かな。しかし、日本というのはトライアル・アンド・エラーをなかなか不得手とする国民ですから、一遍決めたものはもう金科玉条のごとく守っていく。これはいい面も悪い面もあるのですけれども、そういう性格がかなり強いものだからいまだに直せないでおりますみたいな話をしたことは事実でございます。
  133. 東中光雄

    ○東中委員 私は、それは非常に重要な問題だと思うんですよ。原則上の問題が絡んでくる。地位協定は、御承知のように二十四条一項、改めて今条文を見て確認したんですけれども、日本国にいる合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は合衆国が負担をするということが合意された、二項以外は。だから、これは大原則でしょう。その米軍に対して補給する、あるいは役務の提供をするというふうな協定を新たにつくるといったら、これはもう大変な問題になっていく。アメリカからは八〇年代から要求していることであります。しかし、それは原則上の問題があるということで、しかもいわんやその落ちつく先がウォータイム・ホスト・ネーション・サポートという、戦時接受国支援というところへ発展していくという非常に危険な問題があるわけですから、長官が今非常にいとも簡単に隊とのつき合いみたいに言われましたけれども、米軍それからそれに対するホスト・ネーション・サポートという問題でありますから、日米安保条約地位協定の体系さえ変えていく、そういうことになりかねないような――非常に便利だからとか、それは米軍にとっては便利でしょう。しかし、それはもう大変な問題になる。集団自衛権の行使の問題、憲法上許されない問題にも発展しかねないというふうに思いますので、非常に気軽に言われましたけれども、私はそういうことは進めてはいかぬということをあえて申し上げるのですが、長官の御意見を承りたい。
  134. 中西啓介

    中西国務大臣 これは地位協定ですから、本来的には外務省が管轄するマターでございますから、我々余り僣越なことは言えない立場にあるのでありますけれども、私の申し上げたトーンというのは、別にこれは予算の伴う話でもありませんし、お互いに、後方支援とか補給品、あるいはそういうものを効率的に提供し合うための具体的な各種条件を定めているものなんですね。ですから、取得したりあるいは移転にかかる支払い方法等については、現金による弁済、あるいは現物または同一もしくは同等品による交換とか、いわゆるアメリカに物を上げたりお金を上げたりという話じゃないわけです。物をとりあえず、この場ではとりに行くの遠いでしょうからこれを使っておきなさいよ、そのかわり同じものを返してもらいますよみたいな話ですから、合同演習する場合などはこういう協定があったら極めて便利なのにな、私の今与えられているポストから考えると、便利な条約というか協定だなということは、率直に申し上げまして感じていることは事実でございます。  ですから、外務省のマターでもありますし、地位協定という特殊な協定でもございますし、他省庁にまたがる法律もいっぱいありますし、そう簡単にできないという現実が、六十三年以来なかなか結論を出し得ない最大の根拠になっているわけでございますから、我々としては、先ほど申し上げましたように、仕組み等については検討中でございますけれども、いわゆるアメリカ軍の駐留を円滑にする施策そのものであるというふうには申し上げていないわけでございます。
  135. 東中光雄

    ○東中委員 要するに、米軍自衛隊との間で物資補給や輸送などの役務を提供する協定を結ぶというふうなことは、これは軽々しく言われたのじゃ困る。事は地位協定の問題でもあるし、同時に、それは日米共同作戦体制を進めていく場合の、何といいますか、ウォータイムにおけるホスト・ネーション・サポートということに発展していくわけですから、そうしたらもろに憲法上許されないということになるので、このことを強く申し上げておきたいと思います。  次の問題ですが、この間、十一月八日に第三次横田基地騒音公害訴訟で、東京高裁が裁判所の見解と和解案を出しました。これを見ますと、なかなかはっきりしたことを言っているわけです。「横田基地公害第一、二次訴訟の最高裁判決に示された判断をもとにして、右騒音発生等による侵害行為の態様と程度を考えると、」「右侵害が違法でないとすることはできず、本件飛行場の設置管理に瑕疵があるとの評価は免れ難いものと当裁判所は考える。」そして、「国としても、現状が違法状態であると判断される以上、これをそのまま放置することが許されるはずはない。国としては、できるだけ速やかに現状を改善し、被害の軽減に努め、違法状態を解消する責務を負うことは当然というべきである。」それで、「騒音発生源自体の除去、軽減を実現することに努力の重点を置くことがなによりも大切である。」  基地をなくしてしまうか発生源を削減することが大切だということを言いまして、そして和解案の中で、既に昭和三十九年四月十七日の日米合同委員会における合意がある、その合意が完全に実施されたらある程度の効果は期待できるのだろう、しかし、その合意のなされた当時と現在では、世界情勢変化もあるし、航空機の機種の変化や他面技術の革新もあると思われる、だから必要とあれば、右の合意の見直しを含めて、騒音軽減の方策を考えることが望まれると言って、この日米合同委員会の合意の改定、または少なくともその一層の遵守方を求め、実効を確保できるように努力せよということを言っているのです。  防衛庁は、この三十九年四月十七日付の日米合同委員会の合意の改定あるいは一層の遵守方を求め、実効を確保できるような努力をするかどうか、合同委員会に提起をするかどうかということについて聞きたいと思います。
  136. 中西啓介

    中西国務大臣 この第三次の横田基地騒音訴訟につきましては、今東中先輩が言われた十一月八日の東京高裁の出された和解案は、騒音規制、周辺対策、あるいはまた損害賠償等にわたっております。防衛庁としては、これは極めて厳しいものと受けとめておりまして、十二月三日が回答日になっております。それまでに十二分に吟味に吟味を重ねた上回答しなければなりませんので、関係機関とも調整して結論を出したい、そのように考えております。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 この和解をのむかのまぬかということについて私聞いているんじゃないのです。ここで指摘されている実態について、日米合同委員会の合意がある、それを完全に実施せよ、あるいは改定する、和解のことじゃなくて、当然やるべきことじゃないかと私は思うのですが、ここまで突っ込んで、裁判所がこんなことまで言わなきゃいかぬほど、何をしているんだ、防衛庁も外務省もというふうな感じさえ私は持っているわけです。だから、具体的に、この協定についての改定あるいは実施方をちゃんとやるべきだという見解を出している、これをのむかのまぬかは別にしてですよ。防衛庁としては、なるほど三十九年からだから、時代も変わっておる、状況も変わっておる、それぐらいのことをやるという気にならぬですか。それさえもまだ決まらぬわけですか。
  138. 米山市郎

    ○米山政府委員 横田基地における騒音問題でございますが、横田基地を含めまして、私ども日米合同委員会等の席におきまして、常々この問題については米側とも間断のない協議と申しますか検討をいたしております。そういう中で、今直ちに結論が出るという問題ではございませんけれども、鋭意こういった趣旨も踏まえまして努力をいたしたいと思っております。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 アスピン国防長官は、三日の記者会見の中でこういうことを言っていますね。「日本我が国の軍隊に対するホスト国援助は、米軍のすべての同盟国のモデルである。私は会見した相手にも伝えたし、日本の国民にも、このとうとい(気前のいい)援助を我々がいかに高く評価しているかを伝えたいと思う。」と。先ほど読みました。それで、「我々はまた、四万人を超す軍事要員とその家族に対する日本の受け入れを、極めて高く評価する。我々の側は、よいゲストであるようにすることで、これに報いるつもりだ。」それで、我々の司令官は、日本の近隣住民への打撃というか、あるいは危害というかが最も少なくなるようなやり方で訓練と作戦を行うよう努力するであろうと記者会見で言っているのです。  これはそう言っているんだから、「よいゲスト」と。まあ私はゲストだと思いませんけれども、向こうはゲストだと思っているんだから、だからよいゲストになるように、近隣に迷惑をかけぬように努力すると言っておるんだがら、変えると言うのは当たり前じゃないですか。どうですか、長官。ここまで言っておるのに、やはりよう言いませんか。どうです。
  140. 中西啓介

    中西国務大臣 和解案をしかと受けとめて、大いなる検討を限られた時間内に推し進めていきたいと考えております。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 本当にこれは日本国民のためだから腹くくってやらなければいけませんよ、向こうもそうしたいと言っているんだから。  時間が余りありませんので、続いてTMDについてお聞きをします。  TMDの開発等に日本が参加することは、安保条約上、義務になりますか、なりませんか。
  142. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 TMDについては、先般の合意に基づいてこれからそのあり方について研究をしようということで、十二月にそういう研究を開始するということでございまして、まだ決定を見ているわけではございません。
  143. 東中光雄

    ○東中委員 そんなことを聞いてないですよ。先ほど聞きました。十二月中旬にハワイで課長クラスでやるとさっき聞きましたから、そんなことは改めて聞いていないのです。  それではついでに聞いておきます。  それには抜本から、あるいは制服が参加することがあるんですか、ないんですか。
  144. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 メンバーについては、両方の合意に従いまして、アメリカ側は国防省の太平洋部長、それから日本側は防衛庁防衛政策課長並びに外務省の日米安全保障課長ということに決まっておりますが、その他のメンバーについては、行われるテーマに従いまして、そのテーマにふさわしい担当者が随時参加するという考え方でございます。
  145. 東中光雄

    ○東中委員 だから結局、制服も、抜本からも参加することもあるということですね。  それで、最初は十二月中旬にやる。大体いつごろとかいうめどはついていますか。
  146. 村田直昭

    ○村田(直)政府委員 開始が十二月中旬でございますけれども、終期については、現在まだ特段定めたものはございません。
  147. 東中光雄

    ○東中委員 アスピン国防長官が二日に中西長官とこのことを話をされたようですね。そこで、日本のTMDへの協力の形はいろいろあり得るということで三つくらいのオプションを出されたように伝えられているのですが、それはどういうことなんでしょうか。
  148. 中西啓介

    中西国務大臣 アスピン長官から出された三つのケースというのは、まず共同開発、それから技術協力、技術交流ともいいますかね、それからでき上がった製品を買ってもらうという、そういう三つのケースをおっしゃられました。
  149. 東中光雄

    ○東中委員 アスピン長官の記者会見では、一つ可能性は、我々自身の軍隊のために開発している戦域ミサイル防衛を彼らに売却することである、購入したければそれを日本に提供する、我々は予算の上でも進行中の、かなりの範囲までまとめられた戦域ミサイル防衛計画があるというふうに記者会見で言っています。もう既にアメリカなりにできたものがあるんだ、だから買いたかったら、言ってきたら売るということが一つですね。  それから二番目は、我々は彼らに対して戦域ミサイル防衛能力開発のための共同科学技術に参加する可能性を提供した、先ほど言われた共同開発ですね。だから、参加するかどうかということを今言ってきておる。  そして三番目には、我々は彼らとともに戦域ミサイル防衛技術について作業し、彼らが我々とともに汎用技術について作業するような技術交流の機会を提供している、要するに日本は汎用技術を出して共同作業をやる、向こうは防衛ミサイル技術で一緒に作業するというふうに言っている。だから、技術、技術の交流だ。向こうは防衛技術を出してくる、こっちは汎用技術だ、こう言っているのでしょう。この三つについて提案をしている。  それで、日本はどうなんですか。
  150. 中西啓介

    中西国務大臣 ですから、来月の中旬に開かれるであろう作業部会で勉強開始をいたしまして、いずれ、その三つのどれを選択するか、あるいは三つ以外のケースもあり得るのか、そういうものを判断していきたい。そのための第一回の会合が来月開かれる、こういうことでございます。
  151. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、アスピン氏が言っているのは、この三つのうちを選ぶか、あるいはいずれにも全く参加しないかの選択は全く日本日本政府にかかっている、こう言っているのですね。だから、安保条約上の義務でも何でもないので、向こうは三つの選択がある。売りますよ、買いますかというのが一つです。それから、両方で、うちの技術もある、おまえのところも出して一緒に共同開発をさらに進めようかということが一つです。やりませんか。それからもう一つは、こっちの部分は共同作業で提供する、汎用技術は日本から提供してくれ、そういう方法をやるか。この三つ、どうするんだと言っているので、どれもやらぬというのだったらやらぬということで結構だ、こう言っているわけですね。  日本はそのどれかをやろうと思って行くわけですか。何を話すのですか、向こうへ行って。この三つのうちの何を話をするのですか。
  152. 中西啓介

    中西国務大臣 ですから、何度も私も申し上げているとおり、このTMD構想には関心は持っております。それは事実であります。しかし、今アスピン長官の三つの提案を御指摘なさいましたけれども、その三つのうちのいずれを選択するか、あるいは三つ以外のケースを選択するかということも含めてこれから勉強していきたい、そういうことを申し上げているわけでございますから、とにかく十二月以降の作業部会を見てみないと何とも申し上げられない、こういう状況でございます。
  153. 東中光雄

    ○東中委員 アメリカの戦域ミサイル防衛関係予算は、先ほどもお話もありましたように、九五年から九九年までの五カ年で百二十億ドル、約一兆三千億円という、向こうはそういうふうに組んでいる。それと共同してやるかやらぬかというふうな問題なので、しかもこのことについては、アスピン氏は南朝鮮ともやっておる、NATO諸国とも協議をしておるということを最後に言っていますね、質問に対して。日本ともやっておる、南朝鮮ともやっておる、そしてNATO諸国ともやっておる、この戦域防衛ミサイルについてもう世界的なものなのですよ。そういうことになっておる。そこへ参加する。そう簡単に参加してもらったのでは困るということを私たちは思います。  それで、戦域ミサイル防衛研究については今までWESTPAC、西太平洋戦域ミサイル防衛構想研究が行われてきましたね。私、それについて随分細かい質問主意書を昭和六十三年十二月十六日、政府に出したことがあります。それから後、これについては日本の三菱重工と米国企業がそれぞれ主契約企業となってたくさんの会社が入っていますが、一九八八年から、西太平洋における中距離弾道ミサイル攻撃から米国同盟諸国の軍事装備、施設、すなわち部隊を防衛するための所要の分析、評価をする、そういう目的でこの作業が開始をされた。その後第四段階まで研究が行われて、ことしに終了しています。三菱重工などの日本の主要な軍事産業が全部入っていますね、参加しているリストを見ますと。WESTPAC研究について防衛庁はどう認識しているか。それから、これとTMDとの関係はどうなるのかということについてお聞きしたい。
  154. 中田哲雄

    ○中田(哲)政府委員 WESTPACにつきましては、委員御指摘のとおり、米国の国防省が昭和六十三年からSDI研究の一環として、日本を含む西太平洋地域を対象とする地域についての対ミサイル防衛構想の研究として実施をしたものでございますけれども、私ども、TMD構想とは別個の調査研究であるというふうに認識をしているところでございます。
  155. 東中光雄

    ○東中委員 別個なことはわかっていますよ。別個なことはわかっているけれども、その中身はどうかということを聞いているのです。ことしの、弾道ミサイル防衛局、アメリカのBMDOですね、前のSDI局が名前が変わった。これが戦域弾道ミサイル防衛イニシアチブに関する議会への報告というのを出していますが、それによりますと、太平洋軍とBMDOの支援のもとに行われたこの研究は米国の西太平洋地域における防衛の関心を取り扱ったものだ、こうして、日本政府はこの研究に公式には参加していないが、研究が開始された一九八八年以来、このプログラムの各段階の結果を検討してきたというふうに書いています。  日本は知らぬと言うわけにはいかないのです。しかも、西太平洋は日本を含んでいるのですよ。日本を含まない西太平洋というのはありはせぬですから。どの地域がといったら、アリューシャンから日本を含めてマーシャル群島までだとちゃんと、私の質問主意書に対する政府答弁に書いていますよ。だから、そういう状態で八八年から五年間やったのですよ。それで終了したのですよ。ですから、今ノドンがどうしたとか、それに対してとかいうふうな問題じゃないのですよ。もっと進めてきたことでしょう、これは。そういうことをはっきりする必要がある。  しかも、その上に、この報告は、西太平洋地域における脅威を分析して、それに対処する体制、アーキテクチャーというのですか、を開発したというふうにしています。可能な場合、駐留米軍支援を受ける。この防衛体制、西太平洋における戦域ミサイル防衛、これは陸上、航空、海上自衛隊の増強を基礎としている。つまり、WESTPAC研究は我が国自衛隊戦力増強を前提にしているのです。そう書いてあるのだから。そういうことを、TMDは別の形が、それは3DIの方から発展してきたものかもしれませんが、同じテーマについてやってきて、日本が直接参加しているんですよ。防衛技術の交換だとか汎用技術の交換だとかいう、そういう類型だけじゃない、もっと深く入っているのじゃないかということなんです。この内容をどういうようにつかんでいるか。  要するに、日本本土、太平洋全体の海上兵たん線、シーレーン、そして、西太平洋におけるその他の重要な軍事装備や施設、部隊を防護するということ、そのための研究を、ミサイル防衛の研究をやってきていたのですよ。それが今どこまで到達しているか、そういう関係をひとつ、もう何もわからぬ、別々のものだと言うだけじゃなしに、内容的にちゃんと言ってください、時間がありませんから。ちゃんと説明してください。
  156. 中田哲雄

    ○中田(哲)政府委員 WESTPACにつきましては、ある種の脅威に対しますシミュレーションを紙の上でやってみたという調査研究だというふうに承知しておりますけれども、この調査研究の成果が米国のTMD構想の中で活用されているのかされていないのか、どのような位置づけを持っているかにつきましては私ども承知をしておりません。
  157. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  158. 近藤豊

    近藤委員長 次回は、明十二日金曜日午後二時五十分理事会、午後三時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会      ――――◇―――――