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1993-08-31 第127回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年八月三十一日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  八月二十六日     辞任         補欠選任      釘宮  磐君     平野 貞夫君  八月三十日     辞任         補欠選任      井上 吉夫君     守住 有信君   出席者は左のとおり。     ―――――――――――――     委員長         西岡瑠璃子君     理 事                 大塚清次郎君                 野村 五男君                 上山 和人君                 常松 克安君     委 員                 鎌田 要人君                 北  修二君                 守住 有信君                 櫻井 規順君                 篠崎 年子君                 中尾 則幸君                 風間  昶君                 猪木 寛至君                 林  紀子君                 乾  晴美君                 平野 貞夫君    国務大臣        国 務 大 臣  上原 康助君        (国土庁長官)    事務局側        常任委員会専門  駒澤 一夫君        員    説明員        国土政務次官   増田 敏男君        国土庁地方振興  秋本 敏文君        局長        国土庁防災局長  村瀬 興一君        外務省北米局北  小澤 俊朗君        米第一課長        大蔵省主計局主  津田 廣喜君        計官        大蔵省銀行局保        険部保険第二課  滝本 豊水君        長        文化庁文化財保  宮澤 智士君        護部建造物課長        厚生省社会・援  松尾 武昌君        護局保護課長        農林水産大臣官  福島啓史郎君        房審議官        農林水産省構造        改善局建設部防  石村  洋君        災課長        水産庁振興部沿  本田  進君        岸課長        水産庁振興部開  浜田 義徳君        発課長        水産庁漁港部防  神瀬  哲君        災海岸課長        資源エネルギー        庁石油部流通課  松永 和夫君        長        運輸省鉄道局施  藤森 泰明君        設部長        気象庁予報部予  櫃間 道夫君        報課長        気象庁予報部長  吉住 禎夫君        期予報課長        気象庁地震火山  津村建四朗君        部長        建設省河川局河  尾田 栄章君        川計画課長        建設省河川局治  山田 俊郎君        水課長        建設省河川局治        水課都市河川室  石川 忠男君        長        建設省河川局防  山口 嘉之君        災課長        建設省河川局砂        防部傾斜地保全  瀬尾 克美君        課長        建設省道路局企        画課道路経済調  佐藤 信秋君        査室長        建設省道路局国  辻  靖三君        道第一課長        建設省住宅局住  那珂  正君        宅建設課長        建設省住宅局建        築指導課建築物  磯田 桂史君        防災対策室長        自治大臣官房参  武田 文男君        事官        消防庁防災課長  牧野 清文君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (平成五年八月豪雨等被害対策に関する件)  (平成五年北海道南西沖地震災害に関する件)  (被災者救済対策のあり方に関する件)     ―――――――――――――
  2. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る七月十二日に発生いたしました北海道南西沖地震災害、七月三十一日から八月二日にかけて、また八月六日から翌七日にかけて発生いたしました豪雨災害及び八月十日に発生いたしました台風号災害により亡くなられた方々に対しまして御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷をお願いいたします。    〔総員起立黙祷
  3. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 黙祷を終わります。御着席を願います。     ―――――――――――――
  4. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、釘宮磐君が委員辞任され、その補欠として平野貞夫君が選任されました。  また、昨三十日、井上吉夫君が委員辞任され、その補欠として守住有信君が選任されました。     ―――――――――――――
  5. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) この際、上原国土庁長官及び増田国土政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。上原国土庁長官
  6. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月九日に細川内閣発足に当たって国土庁長官を拝命いたしました上原康助でございます。  災害から国民生命、身体、財産を守ることは国政の最重要課題であり、身の引き締まる思いがいたしております。  本年は、北海道南西沖地震災害平成五年八月豪雨災害と大災害が相次ぎ、従来から続いている雲仙岳噴火災害とともに大きな被害をもたらしております。これらの災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  私も鹿児島北海道被災地視察し、被害の大きさに驚いておりますが、被災者方々生活再建被災地域復旧復興に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  7. 西岡瑠璃子

  8. 増田敏男

    説明員増田敏男君) ごあいさつを申し上げます。  去る八月十二日、国土政務次官を命ぜられました増田敏男でございます。  本年は、特に豪雨災害北海道南西沖地震災害あるいは雲仙の噴火災害など大きな災害が続いており、私からもこれらの災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  災害を受けやすい我が国においては、国土を保全し、国民生命財産を守るということは国政の基本であります。上原国土庁長官を補佐し、災害対策全力を尽くしてまいる所存であります。  一生懸命取り組んで職員を果たしたい、このように心いたしておりますので、委員長を初め委員各位格別の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。     ―――――――――――――
  9. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る八月二十四日に行いました平成五年八月豪雨等による被害実情調査のための委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。上山和人君。
  10. 上山和人

    上山和人君 それでは、御報告申し上げます。  去る八月二十四日、西岡委員長井上委員鎌田委員風間委員猪木委員林委員乾委員釘宮委員、そして、私、上山の九名は、鹿児島県における平成五年八月豪雨等による被害実情調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。  本年は、長梅雨、冷夏など全国的に不順な天候が続く中、鹿児島県では、七月三十一日から八月二日に県中部中心にいたしまして、そして、八月五日から六日にかけては鹿児島市及びその周辺部中心にいたしまして二度にわたり局地的な集中豪雨に襲われました。特に姶良郡溝辺町では、八月一日十六時四十分から十七時四十分までの一時間に百四ミリ、そして、鹿児島市では八月六日の十七時から十九時までの二時間に百九ミリという記録的な大雨に見舞われました。その豪雨によるがけ崩れ河川はんらんなどによって甚大な被害が生じまして、さらに、復旧作業もままならないうちに八月九日には、台風七号が上陸いたしまして、さらに被害が拡大したのでございます。  今回の被害は、直接的にはこの八月豪雨等によるものでありますけれども、ことしは長梅雨及び梅雨明け後も続く不安定な気象状況のために六月及び七月の降水量が平年を大きく上回りました。この間の多雨によりシラス土壌の地盤が緩んで崩れやすくなっていたことも八月豪雨等による被害を甚大にした原因と思われているのでございます。  なお、六月から八月十日までの間の降水量が二千三百ミリに達しましたが、このわずか二カ月少々で鹿児島県の年間平均降水量二千二百二十五ミリを上回ったのでございます。  この期間における視察時点での県内被害状況について御報告申し上げますけれども、死者八十五名、行方不明者一名、重軽傷者百六十九名、住家被害は全半壊、一部破損、床上・床下浸水を含めまして二万十棟に上り、被害額河川道路など公共土木施設関係の約五百七十億円を初め農林水産関係商工関係等を含め総額千五百五十三億円に達し、なおこれからふえる見込みでございます。  私たち派遣委員は、国分姫城鹿児島河頭小山田花倉三船及び竜ケ水の各地区視察し、また、鹿児島県庁においては土屋鹿児島県知事赤崎鹿児島市長JR九州からそれぞれ被害復旧に関し要望を受けてまいりましたので、これから順次御報告申し上げます。  まず、国分姫城地区でございますけれども、ここでは七月三十一日から八月二日の豪雨によるがけ崩れ被害をこうむっているのでございます。  報道写真などで被害状況は私たち見ておりましたけれども、実際に切り立ったがけや白く残るがけ崩れの跡を目の当たりにしまして、もういやでも圧倒的な自然の力の大きさを感じさせられたところでございます。  初めに、谷口国分市長から国分市の被害状況を聴取いたしましたが、同市では三日間の降水量が六百ミリを超え、特にピークの八月一日の降水量は三百五十ミリを記録しまして、死者七名を初め、道路河川農林業関係等国分市の被害額は約四十億円に上るとのことでございまして、市としては被災者救済など全力を挙げてはいるものの、国からも格別の力添えを願いたいという御要望がなされたところでございます。  続きまして、姫城地区公民館長から被害状況を聴取いたしました。  姫城地区被害家屋被害十二棟のみでございまして、死傷者など人的被害は出ておりません。ここでは日ごろから公民館長中心自主防災に意を注ぎ、毎月一日は危険箇所点検の日と定め、急傾斜地に対する用心を怠らなかったとのことでございました。今回がけ崩れが起きた八月一日は、幸運なことにちょうど危険箇所点検の日に当たっておりまして、点検作業を通じてがけ崩れの危険があると判断した公民館長の適切な指揮のもとに消防団による住民の避難が円滑に行われ、人的被害を免れたものでございます。平素の危険に対する備え、実際に危険に際しての機敏な対応と、人的被害は絶対に出さないという当地区の姿勢に私たちはまことに感服して帰ってまいりました。  次に、八月五日から六日の豪雨による被害を受けた鹿児島河頭小山田の両地区について御報告申し上げます。  国道三号線を左に甲突川を見ながら上流へ向かいましたが、いまだに甲突川には多量のごみ、流された車の残骸、内側から無残に崩れ落ちたコンクリート護岸など、今回の災害のつめ跡が随所に見られました。  何頭地区では、甲突川はんらんにより水没した何頭浄水場視察いたしました。水没によって市内の約四割に当たる八万戸が断水いたしましたが、この間給水車による給水を行うとともに鋭意復旧に努力して、被災から一週間後の十三日には完全復旧をしたという御報告がございました。  さらに甲突川に沿って上流へ向かい、小山田地区国道三号線の道路決壊現場視察いたしました。国道三号線は、両車線とも長さ約七十メートル、深さ約三十メートルにわたってがけのように決壊しておりまして、現場惨状に私たちはただ唖然とするばかりでございました。現場担当者によりますと、応急の対策として早急に迂回路をつくることを考えているが、完成には数カ月を要するとのことでございました。また、本格的な復旧については、甲突川流路変更を要するため数年かかるとのことでありましたけれども、現場視察した印象からは、再度の決壊防止には工法などに相当の工夫、改良を要するのではないかと思われました。  次に、花倉三船竜ケ水の各地区について申し上げます。  この三地区も八月五日から六日の豪雨によりましてがけ崩れ被害を受け、三地区合わせて死傷者三十一名、家屋被害二十五棟となっております。ここでは国道十号線が通行どめで陸上から視察できないために、海上保安庁巡視艇で五百メートルほど沖合の海上から私たち視察をいたしました。  新聞等で報道されておりました花倉病院三船病院は、入院患者はすべて他の病院へ移されておりまして、営業はされていないということでございました。土砂を受けたままの状態で残っておりました。また、JR竜ケ水駅では土砂排除作業が行われておりましたが、いまだに土砂は多く残っており、白く残るがけ崩れの跡も随所に残っておりまして、海上からもその被害の甚大さ、復旧作業の困難さを私たちも感じたところでございました。  また、被災地視察とともに、竜ケ水付近におけるがけ崩れにより国道が寸断され孤立した被災者救生活動について、海上保安庁当局から説明を聴取いたしました。  傾斜地の下にJR日豊本線国道十号線が鹿児島湾に沿って並行して走っておりまして、国道十号線の下はほとんど垂直のコンクリート護岸があってすぐ海という地形であるために陸上での救生活動は不可能であり、海上保安庁海上自衛隊県警船艇が出動して、フェリーや漁船も動員し、海上から必死の救助活動によりまして、海上保安庁だけで約千四百名の救出を行ったとのことでございました。  私たち視察したときには既に海上はきれいになっておりましたが、さきに述べましたように、地形の悪さに加え、当日の海上は流木や流された車などが多数浮いておりまして、さらには夜間という悪条件の重なる中でございましたが、救助活動に従事された方々には心よりねぎらいと敬意を表する次第でございます。  被災地状況は以上のとおりでございますが、これを踏まえた現地における国に対する主な要望事項がございましたが、次のとおりでございます。  第一に、激甚災害指定でございます。  今回の豪雨被害はまさに想像を絶するものでありまして、災害復旧のためには莫大な財政措置を要し、国の支援が不可欠であること、また冒頭で申し上げましたが、六月、七月、八月における災害は一連の気象現象と考えられますので、これらの被害も一体として評価し、速やかな激甚災害指定及び特別の財政援助が必要であるとのことでございました。  第二は土砂災害対策でございます。  今回は記録的な豪雨によりまして、山崩れ、がけ崩れ土石流によりまして多くの人命財産が失われました。今後台風による二次災害発生のおそれもありまして、被災箇所早期復旧に向けて必要な措置を急ぐ必要があると同時に、再度の災害防止の観点から、鹿児島県の地形、地質の特殊性にかんがみ、思いきった改良を加えた復旧が必要であるとのことでございました。  第三は、都市河川緊急改修でございます。  今回の豪雨によりまして鹿児島市では河川はんらんし、一万一千戸が浸水するなど甚大な被害が発生いたしました。特に甲突川では、流下能力が毎秒三百トンであるところに能力の二倍以上の七百トンが流れ込んなどのことでございまして、今回のような七百トンの流量にも十分耐えられるよう、緊急かつ抜本的な河川改修が必要であるとのことでございました。  第四に、国道三号線、十号線及びJR九州日豊本線の早急な復旧でございます。  これらの交通網は、通勤、通学の利用も多く、鹿児島市街地への大動脈でございまして、今回の豪雨災害の際は市外との交通が遮断されまして、数日間にわたり陸の孤島と化して市民生活危機的状況に陥ったのでございます。国道三号線、海上からの十号線及び日豊本線被害視察については既に申し述べたところでございますけれども、これらの視察を通じまして、一日も早い復旧災害に強い交通網整備の必要を私たちも痛感させられたところでございます。  なお、JR九州からは、被害額は既に約五十二億円に達していることもございまして、今回の災害鉄道のみならず周辺の山林、河川道路等広範囲にわたっているため、関係諸機関の尽力により鉄道沿線を含めた総合的な治山治水砂防事業など広域的防災対策を講じていただきたいとのことでございました。  その他、被災した農業者漁業者中小企業者等に対する制度金融対策がけ地近接等危険住宅移転事業促進等要望も受けてまいりました。  以上が調査概要でございます。  最後に、復旧作業等でお忙しい中、調査に御協力いただきました方々に厚く御礼を申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げ、御報告を終わらせていただきます。
  11. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 鎌田要人

    鎌田要人君 初めに、去る六月十二日から八月十日までに断続いたしまして鹿児島県を襲いました集中豪雨並びに台風による被害状況につきましては、先ほども上山委員の方からお話がございましたように、人的被害死者八十五名、行方不明一名、重軽傷者百六十九名、こういった惨害でございますし、物的被害におきましても、住宅で四百八十四棟の全壊を含めまして二万十戸、非住宅で五百十二棟を数え、また被害総額につきましても、平成五年八月二十七日現在におきましては、先ほどの上山委員のおっしゃいました金額からさらに額がふえまして千八百七億円余と膨大な額に上っております。なお、この数字も精査の結果さらにふえる見込みでございます。  このような未曾有の災害によりましてとうとい生命を失われました方々の御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、被災者方々に対し心からお見舞いを申し上げ、その一日も早いお立ち直りを心から望んでやまない次第でございます。  そこで、今次災害でございますが、私の過去の乏しい経験に照らしましても、いまだかつて例を見ないほどの惨害をもたらしております。そのような惨害をもたらした豪雨につきまして、例えば、国分市の姫城地区、あるいは鹿児島市を貫通する甲突川上流河頭地区、これは方言ではコガシタと申しておりますが、あるいは小山田地区惨状を見るにっけましても、また、降雨量が近々二月で平年一年分に相当いたします二千三百ミリと、こういう膨大な量でありましたことを見聞するにつけましても、この災害というのは、全く不可抗力の激烈なる豪雨が、しかも局地集中の形をとって来襲したとしか考えられないのでございますが、専門的な立場からひとつ国土庁の方と気象庁、この両面で代表してお答えを願いたいと思うのであります。
  13. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) ただいま先生がおっしゃいましたように、このたびの鹿児島豪雨災害は、七月から八月にかけまして鹿児島下各地を襲いました記録的な集中豪雨によりまして、がけ崩れ河川はんらん土石流などが発生いたしまして、人的被害を初め、家屋道路河川等公共土木施設に甚大な被害をもたらしたというふうに考えております。とりわけ、今回の集中豪雨鹿児島県に特有のシラス土壌地帯と相まってがけ崩れなどの土砂災害を誘発し、多数の人命災害をもたらしたものと考えておるところでございます。
  14. 櫃間道夫

    説明員櫃間道夫君) お答えいたします。  鹿児島県内では、六月から七月にかけて梅雨前線などによって多量な雨が降りました。七月の鹿児島の月の降水量は、平年の約三・五倍に当たる千五十四・五ミリとなりまして、これは鹿児島の月の降水量の記録を更新するものであります。  それから、八月に入っても、前線九州南部に停滞しまして、雨の降りやすい状態が続きました。鹿児島県内の多いところでは、八月一日と六日に日雨量三百ミリを超す大雨となりました。鹿児島市では、六月一日から八月十日までの総降水量が二千三百二十一・○ミリとなりまして、これは鹿児島市の平年の一年分二千二百三十六・八ミリを上回るものとなりました。  以上です。
  15. 鎌田要人

    鎌田要人君 この災害、今お話を伺っただけでも、鹿児島県のこれまで際会いたしました災害のいずれにも匹敵するといいますかそれ以上のものがある。実は、私は七十一歳でございますが、その間に初めてでございます。このような甲突川の五つの橋のうちの二つが流れてしまう、あるいは何頭から小山田の方がこのような災害に遭うということは初めての経験でございます。それだけに、災害の怖さ、集中豪雨というものの恐ろしさ、これらを幾ら強調しても強調し足りないところでございます。  そこで、古来、殊に鹿児島では、後背に山を負うて南向き山すそ、これに家を建てることを誇りとしてきたところ、これは日本人全体そうであろうと思いますが、特に鹿児島ではそういう気風がございます。  ところが、この山々が、例えば竜ケ水の今度の災害に遭ったところ、あれは前にも災害に遭ったところでございますが、あの山が昔の姶良カルデラ、阿多カルデラという、昔は錦江湾というのが山地だったというんですね。それで、陥没して海水が入って錦江湾になった、こういうことが言われておるわけです。その山であった時代の火口壁のところがちょうど今の錦江湾周辺になっておる、こういうことが言われておるわけです。  したがって火口壁に沿って、海に向かって火口壁後ろに負うて、この生活が一番いいんだという、考えてみればぞっとするような生活をやってきたという面もあるわけです。災害がなかったから、今までは南向きの山に抱かれるような生活というのが非常にいいんだ、こういうことでやってきた。それがこの惨害に遭った原因でもあるわけであります。  政府におきましては、このような危険な急傾斜地につきまして指定を行っているところでありますし、また、このようなシラス土壌地帯を含みまして、山すそ一定距離間隔、例えば、どこではかるのか知りませんが、後ろ山すそ傾斜地、これの高さをはかりまして、その一倍か一・一倍か知りませんが、それは離せという指導をしておられるというふうに伺ったのでありますが、これは現実に申しまして、鹿児島のように平地の少ないところでは、これは言ってもなかなか行われがたい、そういうところでもありますし、この点につきまして、建設建築当局から改めて御見解をお伺いいたしたいのであります。
  16. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) 御指摘の山すそから一定距離内にあります住宅建築制限につきましては、建築基準法の規定に基づきまして、地方公共団体条例建築に関する制限を定めることができるということになっております。  鹿児島県におきましては、昭和四十六年に県の建築基準法施行条例を改正いたしまして、同条例第三条では、建築物が勾配三十度を超え、かつ高さ二メートルを超える斜面に近接いたします場合は、斜面の下、山すそ側でございますが、斜面の下にあっては斜面の上端から、それから、斜面の上にありますときは斜面の下端からということになりますが、その斜面の高さの原則として二倍以上の距離を離して建築をしなければならないということになっております。  それからまた、同条例二十六条、二十七条では、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の規定によりまして指定されました急傾斜地崩壊危険区域という、危険区域は災害危険区域ということになりまして、これも原則として住居の用に供する建築物建築してはならないということにそれぞれ条例で定められているところでございます。  このような建築制限がかかっております区域における危険住宅を安全な区域へ移転することに対しましては、昭和四十七年度におきまして、がけ地近接等危険住宅移転事業を創設いたしまして、当該危険住宅の除却費、それから建物助成費の一部を国が補助しているところでございます。  さらに、鹿児島シラス土壌のような特殊土壌地帯におきましては、本事業におきまして一般地域に比べて補助限度額の高い地域として位置づけまして、速やかな移転の促進が図られるよう措置いたしまして、危険住宅の解消に鋭意取り組んでいるところでございます。
  17. 鎌田要人

    鎌田要人君 今の点は非常に大事な点だと思うんですが、それは確実に行われておりましょうか。条例で規定しているわけですね。あなたに伺うのはあるいは間接的かもしれませんが、確実にその条例が施行されていれば今度のような災害というのは大分救われたと思うんですが、どうでしょうか。
  18. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) その点は確実に行われているものと確信しておりますが、この条例が改正されましたのが昭和四十六年でございますので、それ以前に建築されたものにつきましては条例の規定が適用されませんので、やはり山すそに残っているものは恐らくそういうものではないかと思っております。
  19. 鎌田要人

    鎌田要人君 私は、条例の遡及適用の問題も含めまして、こういう災害が起こってからこの問題に気がつくと。私自身がその責めを負わなければいけないわけですが、この条例をさかのぼって適用するということは、これはなかなか難しいと思うんです。そういうものも含めて、こういう鹿児島のような特殊事情のあるところは、何か包括的な指導をされるべきじゃなかったかという気もいたしますのですが、それは県当局が第一義的には責任を負うべきことは十分わかっておりますが、そこのところはどうなんでしょうね。
  20. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) 今お話がありましたように、この建築制限の点につきましては、地方公共団体条例で定めるというようになっておりますので、第一義的には、今お話しありましたように、鹿児島県ということになりますわけですが、今回の災害を教訓といたしまして、鹿児島県とともにその対象区域のあり方についても十分検討してみたいというふうに思っております。
  21. 鎌田要人

    鎌田要人君 この点と関連しまして、私はやはり、地方の時代ということが言われるんですが、地方の時代というのは、今までのところは全く机上の空論でありまして、鹿児島あたりで地方の時代ということを言っても、現実を見てみますと災害復旧も非常におくれておる。今のシラス土壌地帯での地域指定の問題にしても非常におくれておることを痛感するんです。  そういう意味で、これはお尋ねじゃありませんで私の希望でありますが、地方の時代というものの到来を正確なものにするためには、やはりこの機会に地方の災害復旧について、これまで以上に重点的に力を注いでもらうということをお約束いただきたいと思うのであります。  そこで次に、甲突川上流の問題でありますが、甲突川上流鹿児島市の何頭地区から小山田地区にかけての災害現場、特に小山田地区国道三号線の道路の決壊、陥没場所、この箇所を見ますと、全く手がつけられない状態であります。これはやむを得ないところもあると思います。道路が狭い。道路自身が狭いんです。しかも、国道三号線という名前をちょうだいしながら、あの辺は片側一車線しか行けないところです。その狭いところでこれだけの陥没が起こって、今まで平穏無事に何の危険もなしに通っていた道路が一朝にして川底になってしまった、川になってしまったんです。これはやはり私は、この国道の路線を決めるときに、過去の百年までいかぬでも五十年ぐらい前までの、この道路敷になっているところは過去どうだったのかということを調べられなかったのじゃないかという気がするんです。  鹿児島市に熊本の方から道路をつける。その場合に、伊敷の狭いところを通す、通さなければいかぬということで、甲突川上流道路を通す。したがいまして、かなり迂回していますね。そういうこと等も考えまして、国道事務所に現地で伺ったんです。そうしますと、国道事務所では最低三カ年間は現状のような状態が続きますと。したがいまして、その間に、災害現場からちょうど鹿児島市に向かって右側になりますが、西南地域の方に水田地域が若干あります。その水田地域の方にバイパスを通して交通を確保したいと。これもしかし、個人の持っている水田地域ですから、これからこの道路をどう敷いていくのか、それにも時間がかかる。その間は結局、今は全く交通途絶の状態になっておるわけです。  そういう状況でありますので、私は今の道路の現況を見ておりまして、今の道路のその決壊した場所を覆うということじゃなくて、むしろ、今の迂回をしている道路をほんまものの道路にして、少々回り道になりますが、そういうことをしないと、あの地域の道路というのは結局物にならないのじゃないか、そういう気持ちがいたしております。  現在の国道状況にかんがみまして、むしろ路線変更をして、今計画しておりますバイパスを中心に新しい国道三号線を建設するなど、思い切った措置をとられなければ、この国道三号線の伊敷区間というのは完全に今のままではだめだという気持ちがしてなりませんが、その点につきまして国道当局の御意見をお伺いいたしたいのであります。
  22. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) 国道三号線、鹿児島小山田町内は、災害前では約五十メーター離れて、高低差にして十五メーターほど低い部分を流れておりました甲突川はんらんしまして、川と道路の間にあった水田とともに道路本体そのものが延長約八十メーター、深さ約三十メーターにわたってえぐられたものでございます。甲突川自身の非常に大災害も含めて、かつて想像できない、例を見ない大きな災害であったと考えております。  復旧につきましては、今後早急に地質等の諸調査を実施して検討することとしておりますが、河川復旧道路復旧までに相当期間がかかることが予想されますので、当面緊急的に迂回路による交通の確保を図ることとしております。  迂回路につきましては、一刻も早く交通を確保するという観点から、必要最小限のルート、構造としております。既に、必要な用地の関係地権者の御協力を得て、中心線測量、用地測量等を実施するなど鋭意作業を進めているところでありますが、今後工事におおむね二、三カ月を要する見込みでございます。一日も早い交通確保に向けて、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  当該箇所の本格的な復旧工法につきましては、今御指摘のような従来と別の、現道ルートと違って従来と別のルートに変更して復旧する案、それから、河川改修を行った上で従来の位置に復旧する案や、いろいろ考えられますが、今後、土木研究所の専門家、また学識経験者等の専門家の意見を聞くとともに、河川管理者とも協議調整いたしまして、具体的な最適な工法について検討してまいりたいと考えているところでございます。
  23. 鎌田要人

    鎌田要人君 あなたは現地をごらんになりましたか。現地をごらんになりますと、今のあの道路というのは、私は、やっぱりそのまま復元して使っても、あの二の舞がまた何らかの機会に出てくるんじゃないかという気がしてならないんです。恐らく私は、あれは昔の道路じゃないと思いますね。現道を舗装して、それで今日に至った道路じゃないかと思いますね。そこのところもよく含めて考えていただきたいと思います。  といいますのは、あれが、国道では鹿児島から県外に出る、熊本あるいは福岡とつなぐ唯一の幹線なんですね。高速道路があるじゃないかということがあるんですが、これは後ほど申し上げますが、これがまただめになった。高速道路がだめになり、国道十号線がだめになり、国道三号線を使わざるを得なくなる。その国道三号線がまただめで、今申しましたように、伊敷であれだけの区間がだめになっているわけですから、完全に鹿児島市というのは孤立した状態に一週間ぐらい置かれたわけですね。そういうことは今日の文明開化の世の中で考えられないことなんですね。でありますから、あの国道三号線の実態をもう少し過去にさかのぼっても調べられて、それで抜本的な方策を講じられないと、今後ともあの二の舞になることは必至だという感じが、今私は興奮しているのかもしれませんよ、興奮しているのかもしれませんが、あの道路状況を見ていますと、ただごとじゃないという感じがいたします。それを注意までに申し上げておきます。  そこで次に、大蔵省はお見えになっていますね。今次災害は、ただいまも申し上げましたように、私のささやかな個人生活でも類を見ない災害、しかも局地的な集中災害ということであり、激甚災害であります。当然その復旧のためには鹿児島県も鹿児島市も全力を挙げておりますが、鹿児島県が俗に言うカライモ県で、財政力の貧困なことは、これはもう既に御存じのとおり。鹿児島市も財政力は、もう少し市としてのランクは上ですが、貧乏市であることは間違いない。そういう中で災害復旧の問題でありますが、国において従来のこの種の災害復旧とは類を異にする災害復旧であるということをまず御認識をいただかなければいけないと思うんです。従来の災害復旧ですと、ちょっとぼこになるところをならすか、ちょっと上に置くと、こういうことですが、この場合は全般的に物すごいぼこにへこんでしまっておるということでありまして、このような観点からしますと、災害復旧措置というのが従来のような災害復旧の型ではおさまらない、激甚災害の雄なるものだという気がするのであります。  そういった意味からいたしまして、県といい関係市町村の財政力も考慮に入れて、国において適切な財政的措置をとっていただかないと、これは鹿児島県、鹿児島市、国分市あるいは周辺市町村、いずれも財政力貧困なところでありますから参ってしまうという気がするわけであります。  現実に鹿児島市の何頭あたりの災害でも、これは物理的な困難もありますが、財政的な制約もあって遅々として災害復旧が進まない、こういう窮乏にあることを十分御考慮いただいて、これに対する対策を考えていただきたいのでありますが、ひとつ大蔵当局の御意見をお伺いいたしたいのであります。
  24. 津田廣喜

    説明員(津田廣喜君) 災害復旧の問題につきましては、できるだけとにかく早期に復旧を図りまして、民生の安定に役立てるということが何よりもまず大事だという認識は持っております。  八月の豪雨災害につきましては、今各省庁が現地調査をなさって被害状況の把握をしておられるところでございます。  それから、緊急を要する被害箇所につきましては、応急工事に既に着手をされていると聞いておりますし、それから、直轄の工事の場所につきましては、今建設省からも話がありましたけれども、どのようにやっていくかということについては既に検討が始まっているわけでございます。  私どもとしても、今回の災害の規模が大変大きかったということは関係の省庁から聞いてよくわかっているつもりでございますが、財政的な対処といたしましては、関係の省庁が調査をした結果、しかるべき要求が私どもの方に上がってくると思いますので、その段階で適切かつ迅速に対処させていただきたいというふうに考えております。
  25. 鎌田要人

    鎌田要人君 災害復旧のたびに、これは私がかつて地方財政をやっておりましたときから、大蔵と各県、各市町村の間で非常な対立がある。それで、結果的には大蔵の腕力でねじ伏せてしまわれたことが多いわけですね、これは腕力という適当でない表現を使いましたが。  といいますのは、災害の起こったときにすぐ対応を講ずれば、災害の生々しい状態というものを目の前に見ておりますから、お互いにこれはほっておけないな、これは急ぐな、これは後回しでもいいな、こういうことがその場で判断ができるんですが、三月たち四月たち災害の緊急査定をやりということで、例えば、今度のこの八月の災害がおたくの手にかかるのは恐らく十月、十一月のころになると思うんです。そうしますと、当時の殺気立った空気というのはすうっと引いてしまうんですね。そうしますと平常な状態災害査定をやられる。それが大蔵なり国庫当局の手かもしれませんが、私は、災害というものの復旧はやはり熱いうちにやらなきゃいかぬ、そういうことを痛感するんです。  といいますのは、同じようなケース、同じような例をあちこちで見ていますが、当然これは国庫補助の対象になるべきじゃないかと思われるのが、もうそのときになってしまいますとある程度世の中がおさまってしまう。それは冷静な気持ちで判断をしなきゃいけませんが、実情というものをある程度捨象された状態で査定をされるものですから、当然見られるべきものが見られないというようなうらみ、抽象的なことを申し上げて恐縮でありますが、そういう点もありますので、この点については特に、くどいようでありますが、私は災害実情というものをよく皆さん方今のうちに本当はごらんになるべきなんだと思うんですね。その中でまた、皆さんの判断からして、これはこうした方がいいんじゃないかということも含めてやられた方がいいんじゃないかと思うんです。それは個々の査定に大蔵の主計官が出ていく、あるいは主計官補佐が出ていくというのは大変かもしれませんが、こういうような何年、何十年、何百年に一度というような大災害のときには、それだけの現実性というものをやはり皆さん方も身につけられた方がいいんじゃないか。その方が心の通った政治というものができるんじゃないかという気がいたしますので、これは希望、意見として申し上げておきます。よく上司にもお取り次ぎをお願いいたしたいと思います。  そこで次に、日豊線の竜ケ水駅並びにその周辺部災害についてお伺いをいたします。これは建設省、運輸省の方にお願いをいたします。  日豊線の竜ケ水周辺災害は、前にも、私が県知事時代の昭和五十二年当時にもございました。先ほど申しましたように、後ろが城山でありますが、城山からそれこそ何百年に一回というくらいのが転げ落ちてきまして、それでふもとにたしかあのころ十軒ぐらいありましたが、十軒の家がもろにやられたことがありました。ところが、そのときは、海岸側は海で災害がとまったんです。したがいまして、今度の災害の規模がそれに輪をかけて大きいということになるわけですが、今度はその災害の部分が海上まで広がりました。車が何台も流された、海上保安庁の船やあるいは桜島のフェリーボートまで駆り出して、あの地域で二千四、五百人ぐらい海上輸送で運ばれた、鹿児島県知事もその中の一員であったようでありますが、こういう非常な事態に陥ったわけであります。  当時からあの地域は余りにも狭いのですね。鉄道は日豊線が単線でありますが、山の上を通っておる。道路部分が上下二車線を辛うじて維持できて、それから直ちに海に入っておる。こういうことでもともと交通の難所だったんだろうと思うんです。そこに鉄道を通し、国道十号線を通しということでかなり無理をしたところもあるんでありましょうが、そこへもってきて、ただいま申しましたように、昔の姶良カルデラ、阿多カルデラですか、このカルデラのちょうど周辺部に当たっておる。こういうこともあってでありましょうが、そういうことで交通の難所になっておるわけであります。この点につきまして、今次のような非常災害というのが今後も、もう既に私が知事をしておりました昭和五十二年に一回起こり、それでまた今度起こりということでありますので、ちょいちょい起こるということは間違いはないわけであります。  ちょうど私が静岡県におりましたときに、由比、蒲原というところがありますが、由比、蒲原と非常に地形が似ておるところであります。由比、蒲原のところは海の方に国道を出したわけですね。国道を出したからあれだけのスペースがとれました。したがいましてあれ式で、竜ケ水のあたりのところは海上まで陸上部分を広げて道路を自由に通す、鉄道部分もできればこの地上部分におろした方がいいんじゃないかと思うんです。そういう大都市計画も含めまして、あの地域の災害復旧ということを将来的に考えてまいらなければ収拾がつかないと思うのであります。その点につきまして建設当局、運輸当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  26. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) 国道十号の鹿児島市吉野町磯から姶良町重富付近につきましては、災害発生以来全面交通どめの状態でありましたが、復旧工事に全力で取り組み、八月二十七日朝より、当面昼間のみでありますが、一般車両が通行できるまでに進んだところでございます。  国道十号の抜本的な対策といたしましては、まず、山の斜面に接した二車線区間であります鹿児島市吉野町磯から花倉付近につきましては、既に海岸沿いに四車線の道路を設置する都市計画を決定しておりまして、それを鹿児島北バイパスとして事業を実施中でございます。県、市等地元の協力を得ながらこの事業の推進に努めてまいりたいと考えているわけであります。  その北側の花倉から姶良町白浜間につきましては、今回の被災状況を踏まえまして、県、また鉄道事業者等関係者との調整を含めまして、災害に強い道づくりを目指しまして、ルート、構造等を検討してまいりたいと考えております。  今回の被災状況につきましては、貴重な教訓として今後の道路整備に生かしていきたいと考えでございます。
  27. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 鉄道につきまして申し上げます。  鉄道防災につきましては、運輸省は昭和五十三年度から、日豊本線を初めとしまして、旅客会社等が行う鉄道線路の防災施設整備事業について、国の治山治水事業に準ずるものにつきましては補助金を交付するという制度を使いまして、鉄道防災事業の促進を図ってきたところでございます。  今回の豪雨による災害につきましては、JR九州におきましては、日豊本線を初めとしまして不通区間の早期復旧に努めておるところでございまして、日豊本線の一部区間につきましては、九月中に応急復旧して運行を再開したいというふうに聞いておるところでございます。さらに、本格的な復旧につきましては、現在、JR九州におきましてその方法等技術的な検討を進めているというところでございます。  ただいま先生御指摘の海の方に出すという改善策でございますが、もちろん抜本的な改善策の一つであると考えられるわけでございますけれども、何分多額の費用も予想されるんじゃないかというふうに考えられますが、そうしますと、JR九州の会社の負担力への影響といったものについての検討もしなければならないということもございますし、また、今建設省の方からもお答えがございましたように、国道などの道路管理者等の関係機関との調整も必要かと思います。そういうことも含めまして、長期的視点に立ちまして、関係機関とともに検討をすべき課題と考えておるところでございます。
  28. 鎌田要人

    鎌田要人君 事柄は、人命あるいは交通あるいは産業の面なり民生安定の面にかかわるものでありますから、負担の問題については慎重に御検討いただくことは当然でありますが、何よりもこの道路国分方面あるいは宮崎方面、この方面の要衝であるということをお考えいただいて、負担の問題は、その段階で適切な措置は当然地元もある程度の覚悟はしておりますから、安全ということを第一にひとつ考えていただきたい。そのために特に申し上げた次第でございます。  最後に、私から申し上げます事項といたしまして、総じて今次災害に当たりまして、鹿児島県、関係市町村等の地元はもとよりでありますが、国の関係部局、九州幹線鉄道、九電、ガス会社など、関係諸機関のとられた措置は高く評価さるべきものでありますことは言をまちません。ここに改めて感謝の気持ちを表明する次第でございます。  最後に、懸案の甲突川五石橋の問題についてお伺いをいたしたい、また、私の意見も申し上げたいのであります。  甲突川の五石橋の問題につきましては、私が県知事として在任をいたしておりましたころからの懸案事項でございます。この五石橋は、肥後の橋の各人でございます三五郎という人が甲突五橋を今日の形で残してくれたわけでございまして、ここに熊本の人もおいででございますが、そういうことで歴史的な価値は非常にあります。  ただ、橋というのはやはり通行するから意味があるので、ある程度年限がたちますと、かつて私が自治省の役人をしておりましたときに、フランスで百二十年たちました橋が勿然として流れたということがありました。やはり五石橋の保存の問題と撤去の問題というのはいつも鹿児島においては大きな問題でございます。ところが、こういう水害のときになりますと、必ずこの五石橋の問題というのは出てまいります。そのときに、橋を取っ払うべきだという意見と橋をそのまま残すべきだという意見と、この二つが常に対立するわけです。  その結果、鹿児島県の場合で申し上げますと、橋を残すべきだという橋に対する愛着は百八十万県民ひとしく持っておるわけでありますが、その橋を現在のままの形で置いておくということでありますと、これは人口十万に満たなかった旧幕時代から二十万の人口の時代、五十万の今日の時代、ずっと五石橋というのは最少限度の補修を加えられながら黙々として耐えてきた。ただ今日は、西田橋とか玉江橋、そういった橋は別にいたしまして、この前落ちました武之橋なんというのは、これはもう歩道橋としてしか使っておらない。車は通しておらないわけでありますが、一番大きな西田橋なんというのはいまだに十トン車、二十トン車がその上を走行しておるわけであります。そういう状態でこの五石橋を置いておくことがいいのかどうか、この問題は、常に私ども県におりましたときも河川当局者としてあるいは文化財の保護者として相克、矛盾の思いを持っておったわけでありますが、結論的には、行政といたしましては住民を安全に通すことが第一だ。  そういうことになりますというと、今の五石橋、これがこの前の水害ではっきりしましたことは、倒木、流れる木や電信柱、こういったものが引っかかって橋脚を崩して、それで二つの橋は流れてしまった。そういうことから、やはり今日の時代というものに即して考えて見ますというと、この橋というのは御奉納申し上げてそれで石橋公園をつくって、そこで市民に見ていただく。それで、河川河川として、旧来の治山治水を含めましての河川の機能というものを生かしての橋ということで、これは新しい橋がもう既にかかっております。そういうことで、この両者の調和を図るべきだというのが私の意見でございます。  そこで、この問題につきまして、これは建設省の皆さん方は文化財については触れたがらない。これは県の保存する文化財でありますから、それについて私どもの意見を差し挟むのは控えさせてほしい、こういうことをおっしゃっておられました。もっともだと思うわけでありますが、その点を除外しまして、甲突川自身の治水工事、これについて、例えば、今までは千右寄りの方の、旧市内寄りの方の護岸は低く、荒田の田んぼの方の護岸は高く、こういうことであったわけですが、それもある程度修復されて同じ高さにされるということはあるわけですが、依然として川の幅は昔のままでありますので、この河川改修工事の面においてどういうことをこれからやろうとされるのか。  今申しましたように、この川が、人口二十万のときも人口五十万のときも、まあ若干の手は加えられておりますが、ほとんど同じ容積の河川であるという、これに私は重大な関心を寄せざるを得ないわけであります。ということは、人口二十万のときの川と五十万、六十万のときの川というのは同じ川幅でいいはずはないわけでありますのでありますから、そこを掘り下げるということでやらなきゃいかぬ。  それで、五石橋を残せという意見の人は、橋を残して橋脚をつけて、バイパスをそのかわりつける。そのバイパスが五百五十億から六百億かかるということで、私どもは荘然としてあきらめておるわけでありますが、そのバイパスの構想ができるのならこの橋を置いておいてもよろしい。そのバイパス構想が現実的なものでないとすれば、また橋は人間の生活とともに変わっていくわけでありますから、この岩永三五郎のつくられた橋というものを石橋公園をつくって、そこに置いて皆さんに眺めてもらう、これも一つの考え方だと思うわけでありますが、その辺についての御意見を河川工事の進捗状況と計画を含めて、最後にひとつ河川局の方からお答えをいただきたいのであります。
  29. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 八月五日から七日の豪雨によりまして、鹿児島市内を流れる甲突川の下流におきましては、先生冒頭お話ございましたように、一万一千戸を超える家屋浸水が発生しました。そういうことで、去る八月二十日に鹿児島県知事より河川局長あて、河川激甚災害発生報告書というものが提出されました。  現段階でも、河川激甚災害対策特別緊急事業として対象になるというふうには考えられますが、早ければ今週中にも担当官を現地に派遣しまして、被害の実態把握とあわせまして、県と手続を進めるべく協議をしてまいりたいというふうに現在考えております。  県からは、五石橋につきましては、移設、保存しまして、現川を抜本的に改修して再度災害防止を図る、そういう意向と聞いております。私どもとしましても、河川激特としては妥当な改修方針ではなかろうかというふうに考えておりますが、なお、県、市の意向を十分聞きながら、県当局と甲突川の改修計画を協議してまいりたいというふうに思っております。  また、先生御指摘の五石橋の移設についてでございますが、先生のお話にありましたような石橋公園ですか、そういう案も含めまして、県においては別途鹿児島市と十分協議をしていくというふうに聞いております。
  30. 守住有信

    守住有信君 お隣の鹿児島県の鎌田先生からたまたま最後に甲突川の石橋の保存、河川改修等の関連のお話が出ましたので、そっちからちょっと。  もう既に二百年ぐらい前でございますかね、今は八代郡の東陽村という山奥の方でございますが、種山石工という、当時オランダ出島に数学の勉強に行きまして、石だけを積み上げて橋をつくる。どういうところにあるかというと、お江戸日本橋も種山石工がやったものでございます。長崎県の長崎市、諌早市とか、大分の方とか、我が熊本の方にも例えば通洞橋という、矢部町でございますけれども、矢部川の、かんがい用水ですね、向こうの小山の丘の方に農業用水を回すというふうなもの、その他無数にあるわけでございます。  私も実は石橋を守る会の会員の一人で、記念切手を発行したりして、今度は甲突川の石橋をやったらどうかと、ふるさと切手でと思っておりましたら、まれに見る最大の被害鹿児島市を中心に起こりまして、やっぱり鎌田先生のおっしゃるように、歴史、文化は大切でございますが、どんどん近代化の中でその位置になけりゃならぬのか。そして、流量はふやさねばいけませんが、実はあの橋げだというのが障害物になるわけでございまして、どうか建設省も県や鹿児島市と一緒になって、一方じゃ建設省は都市公園という政策を進めておられますから、そういうものの方へ新しくビルドして、全体のバランスのよい中で石橋の歴史的なものもシンボル的なものとして保存されていく。  やはり甲突川は、我が熊本の白川もそうでございまして、大都市河川でございますが、いつも大はんらんを起こしておって、まあやっと上の方の白川、黒川の立野ダムも緒についた、一秒五百トンカットでございます。しかし、白川も大都会の中の河川で、あれを拡幅すると同時に、これは熊本と絡みますけれども、甲突川もしゅんせつを川下の方から拡幅と同時にやらぬと、下がまたはんらんしますから、河口の方からしゅんせつをされる。何か二メートルぐらいも拡幅と同時にやる、そういう御構想だと聞いております。  したがいまして、阿蘇の白川というのは非常に特有河川でございまして、阿蘇の外輪山があり、こちらに白川上流、黒川の上流、つい三年前に大はんらんを起こしましたが、白川がまいりまして、非常に大河川ですけれども距離の短い、しかも勾配が非常に高低がありません。そして、熊本市内で、六十何万おりますが、あれは二十八年の大水害でございますけれども五百人から死んだという歴史があるし、建設省が熊本工事事務所に格上げしたのも白川改修対策だということもよく知っております。まあ肥後の国、薩摩の国と歴史がございますから、そういう思いで私も、たまたま鎌田先生の保存か、エントベーダーオーダー、オール・オア・ナッシングじゃなくて、やっぱり第三の道を大いに知恵を出してやっていただくことをこの席から希望いたす次第でございます。  さて、本論に入らせていただきまして、先ほど委員長の方から今回の大災害でお亡くなりになった方に皆さんと御一緒に弔意をささげたわけでございますが、もう一つは上原長官の方から決意表明がございました。そして、私もそれをじっとお聞きしながら、いかに治山治水、洪水対策が日本国民の今、それから身体、財産を守るか、これが私は非常に一番基本だと思っておりまして、前からこの災害対策委員会へ、委員じゃございませんけれども、差しかえて出席して御意見も申し上げたい、こういう思いで今回は出ておるわけでございます。国内的には治山治水、洪水対策、今、財産を守るということと、もう一つは私は国内の治安、これはこの場ではございませんけれども、それからもう一つは、やはり外交と防衛、周りからの我が国民の防衛。内政においては、やはり災害対策、それから治安の維持、この二つが大原則ではなかろうか。  たまたま私の名前が住まいを守る守住と申しますので、住まいを守るとは一体どういうことかということを政治家になりまして余計考えまして、そういういろんな地域でまた同じような現象が起こっておるということに対しまして、ひとつ上原長官、まさしく御決意のとおり、国土庁だけじゃいけません。国土庁は防災の推進、調整官庁の中心でございます、推進官庁です。したがいまして、それに関連するようないろんな建設省初め、運輸省のお話も出ましたし、その他気象庁からもろもろの省庁に対してのひとつリーダーシップを特にこの席をかりまして御期待、お願いを申し上げる次第でございます。そして、不十分な場合は、私ども健全野党としていろいろ物を申させていただこう。  また、予算編成も始まっております。予算の話も出ましたが、本当はばっばっと処理して緊急な補正予算を組む、予備費の分も使いこなす、こういう姿勢でやっていただきたい。もう補正予算、与党の皆さん方もいかがお思いでございましょうか。あわせて、そういう手法でお取り組みをいただきたいということを、まあ北海道の奥尻もそうでございます。どこもそうでございます。  それから、もう一つ申し上げたいのは、鹿児島が最大でございますけれども、その前の六月の初期の段階でございましたか、私どものやっぱり阿蘇の外輪山の外の方でございますが、福岡へ流れておる筑後川の上流の杖立川、その横の国道がございますが、やはりこれもいわゆるがけ崩れでございます。そして、何名かの方がおかくれになって、そのときも自衛隊の諸君、実は消防団じゃなかなかだめなんだと、自衛隊の諸君が出動されまして、お亡くなりになった方もありますけれども、壊れた家の中から若い女性を救出した、いろんな実例が出ておるわけでございます。  その初期の段階、それから今度の鹿児島中心の問題、いろいろ考えていきますと、やっぱり急傾斜地の崩壊、これがもう一番のあれでございますが、実は私ぼつぼつと勉強しておりますが、河川関係、林野庁関係では、どこのポイントが急傾斜の危険区域であるかということを既に八万何千カ所か指定をしてある。ところが、地元の方、そのポイントの方は、広い面積じゃございませんが、ここは余り御承知でない、知らせていない。これに非常に気がつきました。知らせると土地の値段が下がるんじゃなかろうかと。  こういうふうなことで、八万何千カ所の中で予算がついた部分は表示がしてある。それなら、大きく表示ができぬでも、その部落部落の区長さん、その他今もお話が出ておりました、報告の中にもありましたが、ある区長さんが、ここは危険区域だからということで、災害の様子で、何か棒やほうきを持ってわあっと回って、みんな避難して、まず避難することでございますけれども、そういう点が十分でなくて、本当の末端の町村の、特に過疎ばかりでございますから、都市災害というのは鹿児島市は例外中の例外でございますけれども、がけ崩れは大部分は過疎地域でございます。そういう点につきまして、危険マップというのはできておる、私も拝見した、いろいろ赤い色でつけてある、それがなぜ地元の住民の皆さんに浸透して、自分の住んでいるところは、この部落はこの庄の五軒とか十軒とか、これは危険区域だよということを御承知でない。  いろいろ条例の話も出ましたけれども、それをある機会にちょっとおんぼろになったから、また家を建てられるとか、三百メートル離れていても同じ地域の部落であるわけですから、そういうものへの行政指導というか、そこらあたりのことを制度的運用面、行政指導、あるいは末端の村や区長さん方の受けとめ方、そこらあたりにつきましてどのような把握と、今までの皆さん方の行政としても私は反省が要るんじゃないか。もっと強力に自治体に向かってもオープンにしていく、そういうあれが要るんじゃないか。災害の起こるたびに、死人が出るたびにがけ崩れ問題は痛感しておりますので、そこらあたりをざっと御説明いただきたいし、それをお聞きになりまして、長官としてどういうふうに、建設省もあればいろんな省庁がございます、国土庁だけじゃございません、自治省もあります、自治体もありますが、それに向かってどういうふうに長官としてお取り組みいただくか、まず前段の方をよく御説明いただきたいわけです。
  31. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) 御説明をさせていただきます。  ただいま先生からお話をいただきましたがけの表示の問題に限りまして、後ほど保全課長の方から御説明をさせていただきますが、私の方からは一般的なソフトの対策につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。  私ども建設省といたしましては、国民生命財産を守る、そのためには治水施設の整備を進めるということが最も重要、肝要と考えておりますが、それと相まちまして、ただいま先生の御指摘がございました、事前に河川、砂防に関します防災のための情報を一般の住民の方たちに十分周知徹底をしておくということ、そういうソフトの面での対策というものも大変重要だと考えております。今御指摘の地元への表示の点でございますが、河川の流域内にかつての大きな災害被災水位、先ほどお話がございました白川におきましては昭和二十八年六月洪水、これが既往最大でございますが、この水位を熊本市内一カ所でございますが表示をしておるところでございます。  それから、土石流危険渓流につきましては、全国七万カ所のうち一万三千カ所程度表示をしておるところでございます。一九%ぐらいでございまして、必ずしも進んでおらない現状にございまして、私どもこういう表示をさらに進めるべく努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。ちなみに、熊本県分だけで申しますと、約千三百カ所のうち千二百カ所につきまして既に表示をいたしております。九〇%の進捗率になっておるところでございます。  そういっただいま御説明をいたしました現地におきます表示とあわせまして、地図に視点を落としまして、その地図をごらんいただくことによって認識をしていただく、そういういわゆるハザードマップの整備につきましても整備を進めておるところでございます。河川につきましてのハザードマップといたしましては防御対象はんらん区域図、浸水実績図、浸水予想区域図というようなものをそれぞれの河川の特色に応じまして作成、公表をしておるところでございます。また、土砂災害につきましてのハザードマップといたしましては、土砂災害危険箇所マップ、それから土砂災害危険区域図というようなものを作成いたしまして公表をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、ソフト面での対策は、特に一番重要な生命を守るという意味では大変有効な手段と考えておりまして、今後とも鋭意取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 急傾斜地崩壊箇所の件につきまして説明させていただきます。  先生御指摘になりましたように、全国で約八万二千カ所という危険箇所がございます。これにつきましては、一応都道府県を通じまして市町村の地域防災計画書にこれを登載するように指導しておりまして、これで周知を図ってきておるところでございます。急傾斜地の崩壊によります場合は法律がございますが、この急傾斜地法によりまして急傾斜地の崩壊危険区域として法的に指定されました箇所につきましては、都道府県が標識を設定いたしましてさらに危険区域の周知を図っておるという、こういうことの現状でございます。  ただ、未指定の危険箇所につきましては標識の設置等によりまして住民に周知を図るということがまだ十分にできていないということですが、これにつきましては標識の設置にかかわりまして予算措置等種々の問題がございまして、これらにつきましては都道府県及び市町村の理解を得る必要もありますので、今後も幅広く検討してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  33. 守住有信

    守住有信君 私自身もそういうマップを拝見したわけです。私自身は知ることができました。ただ、それを本当に現場の末端の区長さんや消防団員の人たち、そこまで見るようになっておるだろうか。私の方には熊本県のいろんな町村の市政だよりとか町だよりとか、村ぐらいではなかなか発行能力がありませんけれども、よう来るんですよ、我がふるさとのいろいろのそういうのが来ます。見ておりますと、福祉とか保健とかいろいろ載っております。町の催しとかイベントとかいろいろ載っておりますけれども、それはついぞ私が気がついたことがない。したがって、皆様方もどこかモデル地域を抽出して、全国なんて大変だからどこか幾つかモデル地域、災害の起こりそうなところを抽出して、その本当の末端の末端情報を把握しないと話にならぬ。  じゃ、例えば今度鹿児島中心にかけ崩れがいろいろいっぱいあった。そこは一体危険区域であったのかなかったのか。もう一つは、それがどのような方法で末端の委嘱職員とか消防団とかそういうところまで行っておって、なお土石流とか何かが起こったんだろうか、こう思うんですよね。そういう点も、いかがでございますか、チェックされておるんですか。
  34. 尾田栄章

    説明員(尾田栄章君) それでは、河川の方につきましてまずお話を させていただきます。  今、先生御指摘の地元のいろんな情報を組み込んだそういう詳細なハザードマップをモデル的につくってはどうかと、こういうお話でございますが、想定判断区域の浸水の深さ、それからかつてどういうところで破堤をしたか、そういう破堤の実績箇所、そして洪水時の避難地、避難路、これは地震時の避難地、避難路とは全く別のものになろうと考えておりますが、そういうもの。それから、洪水情報を表示しておるような箇所、水位観測所の位置、それから洪水時の心得、あるいは河川の防災ステーションの所在地、そういういろんな情報をすべて盛り込みましたハザードマップをさらにつくりまして、そういうものについて地元に公表していくというようなことを今後精力的にやっていきたいと考えておるところでございます。
  35. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 今回の発生箇所が八月十八日現在までに百五十一件あるわけでございますが、そのうち実は点検をしております箇所といいますのが九十一件、その中の大体六〇%ぐらいになっておるということでございます。  しかし、この危険箇所といいますのは、実は人家五戸以上を調査しておりまして、ですから、人家五戸未満でも結構この中では起こっておりますので、そういった調査というのが今後も必要ではないか、こう思っておるところでございます。
  36. 守住有信

    守住有信君 くどいようですけれども、調査と同時にその具体的な情報です。広いエリアの話はいいんだよ、その部落なんだよ、そこで生活しておられる人たちの本当に末端に行かないとね。まあ洪水の場合はなかなか予測できぬし、いずれ防災無線の話をしますけれども、ちょっとした部分部分なんだ。急傾斜地でだっと土石流が起こったり、上のせきがばっと落ちてきて家をぶち壊してまた下へ落ちたり、あのテレビや写真を見ますと、しまいにはもう埋まってしまって、やっと自衛隊の諸君が若い二十歳ぐらいのお嬢さん方を助け出したとか、そういう地域なんだ。私は、本当にそこの村民の区長さんになったようなつもりで実はいろいろ御意見、御批判を申し上げておるわけで、我々は国会議員だから政府や各省庁に申し上げるしかない。  私なんか、もう余談ですが、県会議員の諸君に、おまえのバッジとおれのバッジとかえて、おれに熊本県議会で質問させると、細川知事時代にそういうことを言った覚えもありますけれども、本当に県、市町村、いろいろ組織がありますが、警察、消防あるいは自治会、区長会、これを通じて本当の細かいあれが要るんですよ。よそのことはどうでもいいんですよ。そこの町のその部落のその点なんですよ。そこで何度も何度も起こった、また水害があった、またやった、人が死んだ、大けがをしたということの繰り返しですから。やっぱりまずは逃げるしかないんで、生命を守るためにまず逃げる、逃がする。自分のところは雨が降ってことしの梅雨はちょっと違うぞとか、台風が来たらどうしたらいいか、そこから始まる。  まあ一生懸命東海地震とか何かかんかでNHKも独自のアンケート調査をして、どういう意識があるかというのをやってくれておりますけれども、漠たるものじゃなくて本当にそのポイント、これに向かって、非常に個別行政になりますけれども、それの方策を県や市町村、市町村だけじゃだめですよ、議員になったら我が選挙地盤の部落だけは一生懸命やらなければいかぬのでこれは敏感だけれども、それはいろいろあるわけですから。えらい御苦労だと思いますけれども、本当に一般論じゃもうだめなんだ、一般論は。この審議で、皆さん方、先生方も当時は野党だったけれども今は与党でございますが、わっと何度も何度も提言をし、役人の皆さんも苦労しながら、そのかわりちょっとすると役人の皆さんもすぐかわるんだが、これはどうやっていくのか。死んだ方の思いを思いながら切歯扼腕をしておる。  そこで、皆さん方はやっぱり行政のプロですからね、各省庁、国土庁の防災局を中心に組んでいただく。私はある部分だけを申しておるわけです。まず逃げる問題であります。それ以外に、未然に防ぐとかいろんなことにお取り組みでございますし、補正予算のことを申しましたけれども、今度の本格予算に向かっても生活者重視というなら生活者の命を守る、これが私は最重点じゃないかという自分なりの思いを持っている。  あるいは実話を申し上げますと、我が肥後藩、熊本の原点は実は加藤清正でございます。何が加藤清正か。治山治水、干拓、町づくり、お城もつくりまして城下町、そして藩民の命を守る、そして干拓は農業政策で、五十四万石は実質は七、八十万石のあれであった。その後細川家が小倉藩から来まして熊本城を預かって、そしてずっと流れて細川護煕さんと、こういうことになるわけでございます。  時々文化しか残らぬとおっしゃっておるものだから、文化の前に県民の命を守る、今度は国民の命を守るということからが一つの大きな政治哲学じゃなかろうか。私らなんかは閣議に出られませんので、上原長官も細川総理と大いにお話し合いをしていただきたい。ともに鹿児島災害視察もなさったでしょう。細川首相も飛んで行った。我々自民党もその前にちゃんと政調で一緒に行っております、もちろん災害対策委員会としても行っておられますけれども、その実感といろんなプロの政府職員からお聞きになった話をいかにして各省庁に浸透させ、各閣僚がまさしく新しいイメージを出す、そこから私はやっていただきたいという思いを持って申し上げた次第でございます。  それで、もう一つ気象情報の問題もございます。気象庁も御苦労していろいろ研究開発しておられます。雨量のあれは、だんだんエリアが小さくないとだめなようになってきましたね。早期の警報を出す、そういう警報もただ普通のパターンの警報でなくて、もっと率直なことを言ったらどうかと思うんです。よく地震のときに間違ったらどうだなんといいますけれども、こういう地域地域の豪雨の問題はちょっとは間違ってもいいんですよ。気象庁も、もっと率直に大胆に気象情報も早目に警告して、まず逃げることだというふうな発想で、また国土庁からも気象庁に、報道のあり方、もっと早目のローカルの部分ですよ、マクロ的にはいつもテレビの絵には出ますが、もう一つのミクロ的なもの、そしてそれが私は防災無線につながっていかにゃいかぬ、こういうふうに思っておるわけです。  しかも、防災無線は今までは長い間市町村単位で防災無線システムを自治省を中心に消防庁もやってこられましたけれども、火事はどこかのポイントだけですが、豪雨とか台風被害とか水害というのはもっと面的に起こるわけですから、私はやはり税金の効率的使用とか情報システムということから考えても、郡単位でまだ防災無線をやっておらない町村はやると、ちょっとそこをお聞きします。自治省の方おいででございますか。――お見えでない。ならいいです。  何かまだ五〇%台というふうなことを聞くんですよ。その場合、後広げていかれる場合はやっぱり資金の効率という、税金を使うわけですから、そういう意味からももっと広い郡単位の防災無線システムをつくっていただきたい。災害、水害というのはわっと河川の渓流伝いでどんと起こってくるわけですから、一つの町だけ、村だけじゃないんだから、そういうシステム化をより早く予算化して、郡単位のシステムをまずつくっていくということを特にお願いをしておくわけでございます。  それから、先ほど日豊線のお話が出ましたが、日豊線の場合はJR九州ですからなかなか経営上、JR北海道とかJR四国と同様に収益力がありません。また、かつて豊肥線が大被害を受けてとうとう廃線になるかというころ、ここで私が一つの理念を言いました。  これは、自民党なんかも言い出したもので、昔から、明治以来から鉄道を鉄路と言う、下は道路でございます。鉄道、鉄路、道、路。そして、国道、県道は税金でやっている。長い間国鉄、国鉄と名前がついておるものだから、税金のように思って国鉄におっつけてあのような状態にならざるを得なかった。今度は新生JR。その場合、レールから上はJRの自己責任、軌道は国の公共資本、社会資本だと実はとらえて、私はそういう論陣を張って運輸省と一緒に、大蔵省ともやって、鉄道軌道整備法か、国が四分の一、大分県と熊本県が四分の一、二分の一がJRの自己負担。そして、大分県も熊本県も貧乏県でございますから、今度は自治省とやって、いわゆる年度末には特別交付税の裏負担で十分面倒を見さす。大分も熊本も貧乏県ですから、同じように鹿児島もそうですからね。  そんなことであれしましたけれども、そんなことを思いながら、まずは海岸に延ばした国道の十号線ですか、これは一番基本だけれども、同時に豊肥線の問題もどうやって動かせるかその経費負担。これはまた、運輸省はおいででないようだけれども、運輸省も一緒になって、みんな一緒に走っておったわけですからね。こっちに山があって、急傾斜して、前も鎌田知事時代に一度起こった、また重ねて起こった。のど首でございますからね、宮崎と鹿児島。そんなことをお願い申し上げる次第でございます。  それから、もう一つ気がつきましたのが、いろいろ阿蘇、その他大分県日田市での風倒木、これは例の十七号、十九号台風の遺産でございますが、私は災害廃棄物と言っておるんですが、その結果産業廃棄物、一般廃棄物、災害廃棄物が山のように出まして、例えばあの杖立川の下流の筑後川の二つのダムに山のような材木や木材、これはやっと上に揚げたんですよ。揚げたけれども、一々所有権者はどこの山持ちかとかいってこれはもたもたもたもたやって、そうこうしておりますうちに、今度は熊本県の阿川から流れたいろんな廃棄物、流木から始まって家から出たごみから何かかんかが有明海に行って不知火海、我々の方もちょうど鎌田先生のあそこの鹿児島湾と同じように入り海でございますので、あれが太平洋とか東シナ海に面しておるなら別ですが、わあっといつの間にか海岸の端に漂っておるんですよ。  それで、それを一体だれが処理するか、その経費負担はどうかとかいうのが地元で起こっておりまして、地元の新聞でも一体どうなんだということ。そして、景観の問題もありますけれども、それが沈殿していって、あの辺は栽培漁業でございますから、今度は漁民の諸君にまでその災害廃棄物がだんだんだんだんと影響してくるわけですよ。その問題が、一つ終わった後の全く災害地域でない河川の下の方で、海の方の入り口のところで山のようにそういうものが漂っておるということがございます。これはどこが、どこといったらやっぱり最後には国土庁となるわけで、各省庁の陣頭指揮をとらなきゃいかぬですよ。  そういうことで、その辺の対策はどうか。港湾管理者とか、いやどうだこうだという、海なら海上保安庁が、どこだということ、廃棄物だからこれは自治体だと。もちろん自治体は、三角町なんか三角西港、もう待っちゃおられぬといって、あの町長は勇ましい町長ですから、決断してやりましたけれども。じゃ、経費負担はどうだとか小さな町ですから財政はないというふうなことがあるわけです。その辺のところは既に御承知でございますか。事実認識と、それに対する指導、これをひとつ御答弁いただきたいと思います。
  37. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 先生おっしゃいますように、海に流木が流出した場合の処理というのは、場合によってだれがやるべきかということはなかなか複雑なようでございまして、例えば、海岸に漂着した場合には海岸管理者が原則としてやるということでございます。それから、港湾等に漂着しているような場合には港湾あるいは漁港等の管理者が処理をするということでございます。それから、そういった海岸あるいは港湾等ではなくて、海上に漂流しておる、あるいは海底に沈んでおるというような場合もあろうかと思いますが、その場合に、所有者が特定できるような場合には海上保安庁から市町村に連絡をいたしまして市町村が処理をするということでございます。ただ、そういったケースは余りないかと思われますので、その場合には海上保安庁が処理をするというケースもあるということでございます。  それから、今先生がおっしゃいましたような漁場に影響があるような場合もあろうかと思いますが、その場合には漁業協同組合が処理をするのが原則でございますけれども、都道府県が水産庁より補助を受けて処理を行う場合もあるというふうに聞いております。いわばいろんなケースがあろうかと思いますが、これから、そういった漂流物が二次災害原因となるというようなことになると困りますので、申し上げましたような関係省庁と地元の公共団体からの連絡も受けながらやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  38. 守住有信

    守住有信君 また現地の方に電話しますので、熊本県の町の問題ですけれども、いたしますから、よろしくお願いしておきます。  それから、例年のことですけれども、激甚災害指定その他で公共施設の被害についてはきちっとそれなりの対応ができておると私は理解しております。もちろんその他農地の被害とか農産物とかこういう問題もありますが、私が気がつきましたのが、災害のときに、あれは鹿児島新聞でございますが、地元の銀行さんがいろいろ緊急の融資なり手続を延ばしていいですよとかいろんなことをやりましたし、我が我がというとなんだけれども、郵政省も郵便局もこうですよとかあるいは北海道へのああいう無料で小包を送りますよとかいろいろやりましたが、もう一つ気がつきましたのが損害保険の問題です。  これは中小企業、商店の、住宅に対してはいろいろ住宅金融公庫、政府関係機関等々でやりますけれども、商品被害の問題です。あの佐賀の大水害で、私は熊本から福岡の南、佐賀県と視察に行きましたが、床上一メートルから二メートル。ただ、田んぼはその後もまた行ったんですが青々となっておりましたが、問題は商店、倉庫とか商品被害です。借金して店に並べたり倉庫に入れておったが、大水害で浸ってしもうて使えぬと。缶詰ぐらいは洗って使えるかもしれませんけれども、高級自動車から始まりまして大部分が使えぬと。そういうときに一体損害保険はどうなのか。かつて銀行局に私は言ったことがあるんですよ。その辺のところをこういう大風水害のときに対して損害保険はどうなのか。  あるいは新聞を見ておりましても、こういうときこそ新聞の何ページかに大きく損害保険に入りましょうと。火災保険はみんな認識があるんだよね。ところが、商品被害というのは、あれは総合保険というのかこれはほとんど入っておらぬ。どの程度入っておるのかね。アメリカあたりだったらみんな保険制度だよね、国というものは余り役割を果たしておらぬ。それに対して、その損害保険会社としての姿勢なり、あるいはその前に実態が一体どうなっているのか。中小企業対策といいますけれども、そんな低利融資、長期融資ということを言うけれども、その被害額に対して、これは一体どの程度総合保険たる損害保険に入っておられるのか、そういうのを聞いたためしがない。  今まで大蔵省というのは、災害、ここへは余り来たことないものね、呼んだことないものだから、予算もありますけれども。今度は損害保険制度、それの浸透普及、そしてPR。災害国ですから、特に商店の皆さん方は自己責任ですよ、自由主義社会というのはまず自己責任なんで、損害保険に入ろう、こうなんです、こういうメリットがあります、実例も紹介する、こういうことを私はもう一つ思っておるわけでございまして、損保は銀行局だったかね、どなたかずっと話してください、勉強したいからよろしくお願いいたします。
  39. 滝本豊水

    説明員(滝本豊水君) 今御指摘の水害に関しまする損害保険でございますけれども、今正式な数字はちょっと手元にございませんが、大体今集計中でございますけれども、今回の水害に関しましてはおおよそ五百億ぐらいの保険金を支払っておるというふうに記憶いたしております。  今先生御指摘の商品がどれぐらいだったかというのはちょっと手元にございませんけれども、一般的に御説明しますと、一般の普通の火災保険と申しますのは、水害については通常はてん補しないわけでございます。ただ、住宅総合保険、店舗総合保険というふうな総合保険に御加入になりますと、台風、暴風雨などによる洪水、高潮、土砂崩れの水災は一定の範囲でてん補するというふうになっております。
  40. 守住有信

    守住有信君 ちょっと商品被害の方は。
  41. 滝本豊水

    説明員(滝本豊水君) 商品は、この場合には店舗の総合保険になりますけれども、一般的には店舗総合保険では商品は入っておらないと承知しております。商品の場合には別の保険がございまして、ちょっとこれは正確でございませんかもしれませんけれども、例えば動産保険とかそういうような保険がございますので、そのうちのあるいは別な特約の形で保険に入っていただくというようになっておる、こういうふうに承知しております。
  42. 守住有信

    守住有信君 それと、ここは我々だけが聞いておるわけで、一番大事なのは、そういう災害地域や起こり得べき地域の住民、あるいは商店の皆さんが知るとか関心を持つとか、これが一番大事なんです。ここで災害が起こっても、鹿児島銀行は載っておったが、損害保険会社は何にも載っておらぬよね。こういうときこそ、これは最大の機関投資家でいろいろなあれはあるけれども、生保、損保の垣根がどうとかいろいろあるけれども、それよりももっと大事なのが、損害保険会社に指示して、これは規制強化じゃないですよ、いいですか、国民のためだから、何でも規制強化反対と言われるけれども、こういうものこそどんどん強力にやってもらいたい、大蔵大臣以下局長。一番のあれですよ。そして、国民にやっぱり啓蒙せぬといかぬと思いますよ。国家公務員共済組合とか農業共済とか、これは共済制度でそれぞれある程度は守られておるわけですよ。あとは低利融資、長期融資だけれども、やっぱり保険制度というものをこういう機会に損害保険協会に強力な指導をし、そして大いに、近ごろマスコミもスポンサーが減ってきて大変なんだよ、だからそこでそういうのをどんどん入れてやっていただきたい。その点についてはいかがでございますか。
  43. 滝本豊水

    説明員(滝本豊水君) 今御指摘の点でございますけれども、損害保険協会といたしましても、特に水害、それから地震でございますとか、こういうふうに被害が広く及ぶ場合に備えまして、実は七月から九月を特にそういう月間に定めまして、全国紙及び地方紙にこういう先ほど申しました総合保険などの一般的な台風に備えます火災保険、それから地震保険の紹介をして、これは全五段の新聞広告を出しておりますし、そのほかテレビ、ラジオのスポット広告も実は流しております。  このように広報に努めておるところでございますけれども、今御指摘ございましたように確かに大事なことでございますので、大蔵省といたしましても、協会が今後ともこのように広報活動、PRに努めるように指導していきたい、このように考えています。  なお、ちょっと付言でございますけれども、あす九月一日は防災の日ということでございますので、やはり全国紙に地震保険につきまして普及するようなPRをしたいというふうに今予定しておるところでございます。
  44. 守住有信

    守住有信君 重ねてですが、あしたは関東大震災の歴史的なあれですから、これはこれで結構ですが、台風水害の保険の関連について、何かおれはこう思うんだ。入っていたからこうだった、入っていなかったらこうだったとかいうふうな、こういう対比したようなイメージを本当に一人一人の住民、商店の方に認識してもらう。やっぱり、自分で自分を守る。そのために保険制度があるんだよね。  一般の健康保険とかまあ生命保険は生命保険で相当普及しておるけれども、国家公務員共済組合とか農業共済とか、あるいは厚生省のあれとかこれはあるんだが、抜けておる部分があるよと。それが私は水害の際の特に商品被害だと思う。借金して買ったのがみんなパアになってしまう。また商売もせにゃいかぬ、また投資もせにゃいかぬ。それは中小企業金融公庫から借りるだろうけれども、一種の廃棄物ですね、それがお店の中から発生するわけです。そうすると、それをどうするだろうかと。一般廃棄物で夜とこかにうつしてるんじゃなかろうかとか、そういう廃棄物問題まで、後の方の流れですよ、それをたまたま川でこうなっておるものだから、待てよと思って、使えない商品、そういうことも感じておりますので、そういうこともいろんな角度から業界にも具体例でお話しいただきまして、一般的なPRの紙面ではなくて、さらなる業界にもっと深くえぐった多彩なあれをやっていただきたい。損害保険会社は大資本ばかりだから。特に最後にお願い申し上げます。  あと二十分ございますけれども、お昼であれでございましょうから、この程度にさせていただきます。
  45. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時十分開会
  46. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  47. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 中尾でございます。  今回、災害対策特別委員会委員に選任されました。どうぞよろしくお願いします。  私もまず初めに、北海道南西沖地震、そして八月の鹿児島中心とする集中豪雨被災地、数多くの方がとうとい命を亡くされました。心から犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、謹んで御遺族の方々へ心からお悔やみ申し上げたいと思います。また、被災された方々にも、一日も早いお立ち直りと心からお見舞いを申し上げたいと思います。  さて私は、北海道南西沖地震の災害に対してきょう御質問申し上げますけれども、私も社会党の調査団の一員として、七月二十八と二十九の両日、奥尻町を初め被災地視察調査いたしました。当委員会を初め関係者の皆さんの御協力、御理解によりまして、きょう、若干もう暗くしてありますけれども、私がこのカメラで当時の被災地の模様を撮影してまいりました。六分に編集してございます。大変僭越な言い方になりますけれども、その被災地方々の表情あるいは痛みをできるだけこの委員会の場で皆さんにおわかりいただきたい、その一念からでありまして、ひとつどうぞよろしくお願いします。これが、国会審議の場の一助になればと思っております。  それでは、早速テープをスタートさせてください。(ビデオ映写)  私が行きましたのは、まずこれは今回被害の最も大きかった奥尻島なんです。フェリーの入り口です。防波堤が地震などで大きく移動あるいは陥没し、その衝撃の大きさを物語っています。  これがホテル洋々荘の跡地です。一瞬に裏山が崩れ、多くの宿泊客が犠牲となりました。灯油などの町営の備蓄タンク二基も壊滅状態です。冬場の灯油確保が大変心配です。  このほか、道路や港、そして住宅など、被害総額は現在一千億円を超えていると言われています。全部これは津波に洗われた、これ地震と津波の面打ちに遭ったというところです。  ここが奥尻島の中でも最も被害の大きかった育苗地区です。私も災害の一年ほど前にこちらを訪れているんですけれども、余りの変わり様に本当に息をのみました。ここは、漁師の人たちの家や、それからお店が立ち並んでおりまして、集落というより小さな町を形成しておりました。地震と津波と、そして火災で町の生活が消えたわけです。  これ日本海中部沖地震で三メートルかさ上げした防波堤も今回の津波には役に立ちませんでした。これまでの復旧対策だけでは町の再建は無理だと感じました。現行法制の枠を超えた復興対策が必要だと痛感いたしました。  中学校の体育館に避難していた人たちも、今月末でようやく仮設住宅三百三十戸に入居できましたが、島に残るためには、まず住宅をどうするのか、また島で仕事を再開するにも資金をどうするのか大きな不安を訴えておられました。  その仮設住宅なんですが、一棟二戸です。寒冷地用に特別に断熱材を入れてあるものの、ちょっと中をごらんください。大変な狭さです。応急だからやむを得ないだろうというのが果たして生活大国日本のあり方かなと私は思いました。こちらが部屋の広さです。二間しかありません。多い人で一家五人暮らすわけです。そして、これがふろ場です。ふろも雲仙以来初めてつけたということですが、立ってシャワーを浴びる程度のふろ場です。政治の原点は、こういうところをどうするかから始めなければならないと私は思うわけです。  そして、これは島の中にある学校なんですけれども、学校も数カ所でかなりひどい被害を受けました。花壇の周辺には亀裂が入っておりまして、建物の土台そのものがもう落ち込んでいるんです。よく見えないかもしれませんけれども、これは陥没しております。そして、こちらが理科の実験室です。床はひび割れ、そしてこんな状態であります。小中学校等文教施設の被害総額は二十五億円を超えているそうです。このほかもう壁のあちこちにも亀裂が入って、果たしてお子さんたちが大丈夫なんだろうか。この後、専門家が調査に入ったそうですから、その調査結果を見たいと思います。  それから、大地震の後、余震が続いて、また長雨によってがけ崩れが大変心配なところが数カ所ございます。先ほど守住先生の御指摘にもありましたけれども、こういった危険箇所をやっぱり周知徹底することが大事じゃないかと思いました。これは命がけ調査をしているところです。  そして、これは北海道本島側の水田地帯の状況です。亀裂が入ったり陥没、液状化現象と、この地域は収穫ゼロです。これは全部亀裂が入ったところです。私たち調査段階でも、北檜山、今金二町の水田被害は約一千ヘクタールに上っています。二七%が収穫不能だと言っておりますが、それ以上被害は広がっているそうです。これは道路です、農業用道路。段差、陥没、亀裂が至るところに入っておりました。北檜山、今金が特にひどく、これは川じゃありません、一キロメートルにわたって川のような亀裂が出た水田です。これら農業被害は百十九億円と言われておりますが、加えてことしは冷害が大変心配になっております。一日も早い激甚災指定あるいは天災融資法適用が望まれると私は思います。  そしてもう一つ、この周辺、檜山、それから奥尻の主要産業は漁業です。漁船の被害も本当に目を覆うばかりでありまして、沈没、流失が六百七十六隻、水産被害は百三十二億円余りに上っています。私は漁協の組合長のお話を聞いたんですけれども、ゼロからのスタートならいい、それぞれ借金を抱えてマイナスからのスタートなんだと重い口で私に語ってくれました。  この後どう復興させていくのか、大変重い課題を担って私は帰ってまいりました。  テープ、結構です。  以上、現地の視察、私のつたない映像でございましたけれども、御説明申し上げました。  それでは、質問に移らせていただきます。  上原長官は、就任早々鹿児島等八月豪雨災害、そして私が今取り上げる南西沖地震、奥尻島にも早々に視察されまして大変御苦労さまであります。私が今ビデオで御紹介しましたけれども、長官もこの現状は見てこられたということですが、まずさきに奥尻町と後志管内の島牧村への激甚災害指定については八月二十日の閣議で決定されました。今農林漁業の方々が大変心配しているのは、ほかの分野についても激甚災害指定を一日も早く行ってほしいということが強い要望でありますけれども、激甚災害指定についてどう取り組まれているのか、お答え願いたいと思います。
  48. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 中尾先生のお尋ねにお答えする前に、本委員会が鹿児島豪雨災害視察、あるいはまた今御指摘のありました北海道南西沖、特に奥尻島の悲惨な災害状況につきましていろいろと現地調査をなさるなり御尽力、御協力をしておられることに、まず心から敬意を表したいと存じます。  けさほどはまた、鎌田先生や守住先生の大変貴重な御援言、御要望につきましても、十分その点を考慮に入れて、私国土庁長官としても、また政府全体として全力を挙げて御要望に沿うように努力をいたしたいと感じた次第でございます。  そこで、今激甚指定のお尋ねがございましたが、もう既におわかりのように、北海道南西沖地震につきましては、中小企業に関する特別の助成を適用すべく激甚災害として今月二十日に既に閣議決定をしたところであります。また、農林漁業関係被害が明らかになったことを踏まえ、天災融資法の特例及び共同利用小型漁船の建造費の補助を適用すべき激甚災害指定として、来週の閣議で決定をするということで、先ほど決裁をいたした次第でございます。また、その他の処置につきましても、被害状況等を踏まえて関係省庁連携の上で、今適切に対処していきたいと努力をいたしておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  49. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 来週にも閣議で決定すると、現地の方々は大変待ち望んでおられまして、素早い閣議決定について改めて強く御要望申し上げます。  次に、長官は八月十八日、視察後の函館での記者会見で、被災地救済について、今の法制度だけでは対応が難しい面がある。弾力的な運用をし、より積極的な救援策が大事だと述べておられます。従来からの災害に対する各種法制度は、例えば災害対策基本法などの精神は、自然災害に起因する個人災害については自助努力を原則としております。しかし、現地を視察されておわかりのように、自助努力の限界を超えている例が多いわけです。  この際、災害対策基本法初め各種災害対策の法整備を改めて見直すべきだと私は思いますけれども、それについてのお考えを承りたいと思います。
  50. 上原康助

    国務大臣上原康助君) この件は、災害の現地を視察をし、あるいはまたいろいろ関係自治体なり団体から強い要望が出されている点はよく承知をいたしております。ただ、政治論としてはお互いわかるわけですが、なかなか困難な面もあることも御理解いただければと思います。  そこで、政府は被災者方々生活再建を軌道に乗せるための対策として、御案内のように、一つには災害救助法による炊き出しであるとか、避難所の確保、応急仮設住宅の供与、二つには災害弔慰金や障害見舞金の支給、三つ目に災害援護資金の貸し付け、四つ目に住宅金融公庫による災害復興住宅資金の融資、五つ目として、租税の軽減、減免等々の現行法律あるいは制度の範囲でできる最大限の支援を行っておるところでございます。  今後とも現行制度を活用することにより、個人被害救済被災者方々生活再建の支援に努めてまいりますが、今御指摘の件につきましては、少し時間をかけてみんなで検討する課題じゃなかろうか、こう考えております。
  51. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほども申し上げましたけれども、公的機関が個人をどう救済するか。これは災害対策の永遠のテーマでもあろうかと思います。  個人の救済につきまして、さきに雲仙岳の場合、御存じのように災害対策基金特別措置が講じられております。六百三十億円と聞いておりますけれども、現行制度では救済されない、そのすき間にいられる方の救済ということで一歩前進だろうと私も思っております。  今回の奥尻町を中心とした北海道南西沖地震の基金制度については、長官も前向きに考えておられるというふうに承っておりますけれども、これについて具体的なお考えがおありでしょうかお伺いしたいと思います。
  52. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 後ほど防災局長あたりからも補足をさせていただくことになるかもしれませんが、北海道南西沖地震災害に対しましては、御承知のように、非常災害対策本部を設置して、応急対策被災施設の復旧などに重点を置いて対策を推進し、今着実にその成果は上げつつあると考えております。また、昨日も第三回非常災害対策本部会議を持ちまして、地域の復興を視野に入れて対策を推進することといたしました。被災者住宅確保や各種融資制度の活用、激甚災害制度の適用、北海道による地域の再建・復興計画に必要な指導、支援などにも重点を置いて進めていくことといたしております。  これらの対策の推進により、被災者に対する生活安定、再建の支援を進めてまいりたいと思いますけれども、基金問題につきましては、北海道における検討も進められておるようでありますので、北海道庁の御意向等も外しながら、政府として支援できる面があれば御相談もしたい、こう考えております。
  53. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ただいま御答弁ございました北海道も、横路知事が、八月二十八日に、奥尻町に復興基金を創設した場合支援する考えを明らかにしておりますので、国としても積極的に支援を願いたいと思います。  それでは、時間も限られておりますので、私は、現地視察の折、あるいはいろいろなところから、さまざまの方から切実な意見、御要望を聞いてまいりました。なるべく多くの要望を、こちらでどんな考えがお聞きしたいと思いますので、一問一答方式でやらしていただきたいと思います。  まず、水産関係についてお伺いします。  一つは、激甚災害指定と天災融資法の適用が私は急がれると思いますが、長官の話も先ほどございましたけれども、漁業者への救済対策はどうなるのか。特に奥尻町では数多くの漁船が損失しております。そのほとんどが五トン未満の漁船であります。奥尻町だけで五百六十七隻あります。五トン以下の小型船の場合、激甚災害法、これは来週の閣議で指定されるということでございますけれども、激甚災害法十一条で助成措置があると聞いておりますけれども、これに対して簡単に御説明願います。
  54. 本田進

    説明員(本田進君) 小型漁船の復旧対策につきましてお答えをいたします。  今回の災害によりまして、被害を受けました漁船の復旧または再取得に要する資金につきましては、農林漁業金融公庫や農業近代化資金の活用が可能でございます。  また、天災融資法が発動された場合には五トン未満の漁船の建造または取得に必要な低利資金の貸し付けが受けられるということとなるので、必要に応じましてこうした各種資金により適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、先生御指摘の激甚災害法第十一条が適用される場合には、漁業協同組合が被害を受けた組合員の共同利用に供するための小型漁船を建造する場合に、国が建造費の一部を補助することができるというふうにされておりますので、本制度の利用につきましても適切に対処してまいりたいと考えております。
  55. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 続いて、漁協関係の製氷、冷凍、加工施設が壊滅状態にあります。復旧支援対策はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  56. 神瀬哲

    説明員(神瀬哲君) 水産業共同利用施設の被害状況並びにその対策についてお答えさせていただきます。  水産業協同組合が所有いたします産地市場施設、製氷冷蔵施設、給油施設等の共同利用施設の被害につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づきまして災害復旧ができ得ることとなってございます。  今回の南西沖地震によります共同利用施設の被害につきましては現在のところ、十六日付でございますが、約十五億円の被災となってございます。被災箇所復旧につきましては、先ほどの暫定法律に基づきまして、先週でございますが、八月二十三日から一週間をかけまして現在一部査定を実施したところでございます。残りの被災施設につきましても、現地の準備が整い次第早期査定を行いまして、早期復旧に向けて万全を期してまいりたい。  以上でございます。
  57. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 査定をなるべく早目にお願いしたいと思っています。  それからもう一点。奥尻町の基幹産業である水産業の柱とも言うべきウニ、アワビの磯資源が大変壊滅的な状態になっております。大きな被害を受けました。その対策を講じているのかどうか、一言お願いします。
  58. 浜田義徳

    説明員(浜田義徳君) お答えいたします。  今回の北海道南西沖地震によりますウニ、アワビ等の磯資源への影響につきましては、現在奥尻島から檜山、後志支庁管内と順次北海道調査を実施中でございます。北海道といたしましてはこの結果を踏まえ、今後具体的にどのように対応するのかを検討すると聞いておりまして、国といたしましても北海道と十分運絡をとっていきたいというふうに考えております。
  59. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 急ぎます。次は農業関係についてお答え願います。  先ほどもビデオで私も御紹介申し上げましたが、被害に遭った農家への一日も早い金融支援措置が求められておるわけです。共済金の早期支払い、これをいろいろ要望する声が強いんですが、その対策について一言お答え願います。
  60. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 北海道南西沖地震によりまして水稲について全耕地が収穫皆無となりました農家につきましては、本日共済金の仮渡しを行う予定と聞いております。また、一部の耕地が収穫皆無となった農家につきましても、九月中には共済金の仮渡しを行う予定というふうに聞いております。
  61. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もう一言。既に借り入れをしています制度資金がございますけれども、その償還猶予の措置についてはどのように。
  62. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 既借入制度資金の償還条件の緩和につきましては、関係金融機関、農林漁業金融公庫あるいは農林中央金庫あるいは全国信連協会あるいは全国漁業協同組合連合会あるいは北海道庁等に対しまして、その借入者の実情に応じまして適切に対応するように指導を行っているところでございまして、この趣旨の徹底が図られるよう十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  63. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もう一点ですが、水田を中心に地割れ、液状化、陥没などが大変ひどい状況であります。水田ばかりではなくて農地も大変な被害を受けておるんですが、水田に限っていいますと、来年春の営農を皆さん大変心配しておるんです。あれほど段差ができたり地割れができると、果たして補助金、共済制度があっても来年の春の営農に間に合うのかどうか、業者も数少ないと聞いておりますけれども、手は打っであるのかどうか大変心配ですけれども、それについてお答え願います。
  64. 石村洋

    説明員(石村洋君) 被災しました農地等の復旧につきましては、過去に発生しました地震災害などにおける復旧工法も参考にして、適切な対策を講じるように関係機関を指導しているところでございます。また、復旧計画書の作成など地元関係機関の準備が整い次第、順次災害査定を実施することとしておりまして、来年の作付に支障のないよう早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  65. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もう一問です。来年は大丈夫なんですね、春の営農開始には間に合うとお約束できますね。
  66. 石村洋

    説明員(石村洋君) 来年の作付に支障のありませんように私ども最大限早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  67. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 よろしくお願いします。農林水産関係、ありがとうございました。  次に通産省にまいります。通産省の方に一言お願いしたいと思います。  先ほどのビデオで石油備蓄タンクが二基もう壊滅状態でありました。北海道、大変なのはやっぱり灯油、冬の暖房の心配でございます。果たして灯油の確保があの離島でできるのか住民が大変心配しております。その確保対策、供給ですね。それからもう一つ、確保したはいいけれども、いわゆる値段が非常に上がるんじゃないかと心配しております。この二点について通産省からお答え願いたいと思います。
  68. 松永和夫

    説明員(松永和夫君) 奥尻島におきます石油製品の安定供給に当たりましては、元売各社に対しまして緊急輸送の要請等を行うなどこれまでも万全を期してまいりましたが、引き続き通産省といたしましては石油製品の安定供給に支障がないように努めてまいる所存でございます。  ことしの冬の灯油の供給でございますけれども、先生今御指摘の灯油の貯蔵タンクの問題につきましては、同島に石油元売会社所有のA重油のタンクが二基ございますけれども、そのうちの一基を灯油用のタンクにとりあえずは転用活用する等の施策によりまして引き続き安定供給に支障がないよう万全を期してまいる所存でございます。  価格の問題でございますが、今後の灯油の価格の状況について現在必ずしも明らかでございませんけれども、灯油の価格の高騰が招かれるような事態は好ましくないと考えておりまして、今後とも関係地方自治体あるいは石油元売各社とも十分連絡をとりながら価格の安定には万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  69. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。それを聞いて島の人たちも大変安心するだろうと、しっかりお願いしたいと思います。ありがとうございました。  先を急いで大変恐縮ですが、次に厚生省に伺います。  先ほど私が見たままお伝えしましたが、仮設住宅、これの基準を見直しすべきじゃないかというふうに私は考えております。被災者の心情に立ってもっとやっぱりきめ細かくやるべきじゃないかと思っておりますが、それについて厚生省の御見解を賜りたいと思います。
  70. 松尾武昌

    説明員(松尾武昌君) 災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与につきましては、避難所の設置等の第一次応急救助後、自立して生活を立て直していく段階での措置としまして、被災者に簡易な住宅を仮設し、一時的な住まいの安定を図ることを目的として講じております。  平成元年の基準でございますが、三人世帯で基準面積二十六・四平米というふうにしてございます。ただ、この一般基準によりがたい場合には特別基準を設定するようにしてございます。  北海道南西沖地震災害におきます応急仮設住宅の面積につきましては、単身用として約二十平米、二人から四人世帯用として約三十平米、これを超えます多人数世帯用として約四十平米まで引き上げることを行いました。その他、北海道仕様と申しますか、積雪対応の強化フレームあるいは二重サッシ、断熱材、暖房設備の設置等、弾力的に措置を講じたところでございます。御指摘のふろにつきましても、これも特別基準で対応いたしました。  こういうことで、特別基準の設定につきましては、その現場状況を踏まえまして最大限努力したと、こういうふうに考えておりますので、どうか御理解を賜りたいと思います。
  71. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 わかりました生言いたいんですが、わかりません。  ということは、最大限努力したと。雲仙の被害で初めて何かふろがついたということをお伺いしまして、私は勉強不足で大変びっくりしました。やっぱりこれから少しずつ、特に普通の人と違うんです、御存じのように。肉親を亡くした方、少しでもそういう目から災害対策を講じていただきたい。御返事は要りませんけれども、そういうふうにしていただきたい。長官、ここもひとつよろしくお願いします。今までのような与えるという発想じゃなくて、ともにやっぱり痛みを分かち合うという発想がなければならないと私は思います。  厚生省ありがとうございました。  次、建設省に伺います。  奥尻町を例に挙げますと、先ほど仮設住宅三百三十戸、これ急ピッチでできました。私見まして、皆さん大変な努力されたと。私、関係各位に感謝申し上げます。機材搬入から本当に寝泊まりする場所もないところでこれは大変なことをやっていらっしゃるなと、私は感謝申し上げます。  しかし、この人たち建築基準法で言えば二年以内、仮設でございますから。ただ、持ち家を持つにもローンを抱えて、借金を残したまま新しい家を建てる、これは大変不可能です。公営住宅は向こう二年間に道営、町営合わせて七十六戸建設だと聞いておりますけれども、三百三十世帯、ほとんど七割の方が島に残りたいと言っているんです。住宅がなければその確保対策について、一言建設省として公営の住宅建設含めてどのような対応を考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  72. 那珂正

    説明員(那珂正君) 奥尻町の公営住宅につきましては、北海道庁及び奥尻町が七月下旬に被災者方々に対し入居希望調査を行いましたが、この調査をもとに、また当面の用地確保の見込み等を勘案いたしまして、道営住宅六十戸、町営住宅十六戸、合計七十六戸の当面の建設計画を決定したところでございます。  北海道におきましては、近々に再度入居希望調査を実施する予定にしているところでございまして、その結果を踏まえ、また全体の復興計画のまとまりぐあい等を勘案しながら必要な追加計画につきまして早急に検討するよう指導してまいりたいと存じます。また、公営住宅以外の住宅対策といたしましては、住宅金融公庫によります災害復興住宅建設資金、購入資金等の融資を行うよう措置しているところでございます。  さらに、今後の住宅対策全体といたしましては、これらの施策を推進いたしますとともに、追及び奥尻町において住民の意向を踏まえつつ、策定を進めている地域の全体の復興計画の策定を待って、関係省庁と連携を図りつつ償還事業について適切に対処してまいりたいと存じます。
  73. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 少しずつ国会を改革しようというので、大変きちょうめんな御答弁でございましたけれども、適切に対処してまいりたいと。私は大事なことだと思うんですよ。この災害、これ与野党ないと思うんです。そういう意味で遠慮なさらずに、これはわからない、これはそこまでいかないとかいうような、長官そのような討論の場といいますか、検討の場にしたいなと。今急に変えようとすると大変でしょうけれども。  ただ私は一つだけ大変感銘を受けました。復旧じゃなくて復興と言いました。その精神が大事ですから、ひとつしっかりと胸におさめていてください。復興と言いました。この言葉を信用して、次質問を取りやめます。  次にもう一点、がけ崩れ、先ほども鹿児島等のございました。きょうもNHKの番組でやっておりました。がけ崩れの問題、大変深刻です。北海道の北檜山というところでは太櫓地区で五十三世帯、新成地区で五世帯、これがいまだに避難中でございます。これについて今どのような対応をなさっているのか。がけ地近接等危険住宅移転事業という長ったらしい名前のあれがありますけれども、こうした点も含めてこうした危険地域についてのいわゆる住民避難対策、移転事業、簡単にお答え願います。
  74. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) 建築基準法の規定に基づきまして、地方公共団体条例がけ地の崩壊等による危険があるとして定めました一定の区域内にあります住宅が移転をします場合、がけ地近接等危険住宅移転事業というものの対象になるわけでございます。対象になりました場合、危険住宅の移転を行う者に対し、市町村が既存住宅の除却、それから代替住宅の建物助成費を交付する際、当該市町村に国が補助するという制度になっております。  ちなみに、今年度北海道におきましては、二戸当たり六十六万円を限度といたします除却費、それから二戸当たり二百九十八万円を限度といたします建物助成費が適用されることになっております。  先生御指摘の北檜山でございますが、こういうようながけ近の事業の対象になるというように北海道庁の方からは聞いておりますが、道庁を通じまして要望がありました際には、私どもといたしましてもその御要望に沿えるよう精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
  75. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これは安全でないと、住宅移転事業に移行すると、まあ避難と言うとおかしいですけれども、その場合には安心してその人たちが移れるということですか。簡単に私は聞いているんですが、詳しい法律的なあれはわかりませんけれども、その大成地区の……
  76. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) 大成町の方からこのがけ近の適用対象になりますところが移転したいということでありましたら、私どももその趣旨に沿うようやっていきたいというように思っております。
  77. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。  さて、今度は消防庁に伺いたいと思います。  今回の南西沖地震で先ほど守住先生からもいろいろ御指摘ございましたけれども、地震そして津波、被害が大きかったのは地震発生以降五分で津波が急襲した、襲ったということでございます。  津波警報の問題点について伺いたいと思います。  私ちょっと調べたんですが、簡単に御説明申し上げます。どういうふうに情報が伝わったか、津波警報が伝わったかということであります。  七月十二日二十二時十七分地震発生、五分後二十二分札幌管区気象台津波警報発令、このときは津波が襲っているはずです。そして、その一分後二十二時二十三分NHK、ラジオとテレビで警報、同二十七分北海道庁、檜山支庁に対策通達として警報を伝える、以下云々となっています。そして、十八分後二十二時三十五分、檜山支庁が奥尻町に避難勧告の連絡、奥尻町が防災無線で町民に避難命令となっております。  確かに津波は急に襲います。これは天災だと、こんなことはだれも想像できなかった、仕方ないんだ、それじゃ犠牲者は浮かばれません。今回のこれを教訓としてどう生かしていくかということであります。  そこで、消防庁に伺います。  私は、今回の例えは地上系の無線もございます。北海道に行っていろいろ調べましたら十通りの連絡方法があるそうです。いろいろな連絡方法があって私はしかるべきだと思いますけれども、こういった場合にいち早く例えば気象台の情報が現地に届くかどうかですよ。これは各対策会議、例えば北海道庁だとか次に支庁だとかと通過している間にもう情報は去ってしまうんです。  それで、私はこう思ったんです。通信衛星がございますね、CSというようなものがあります。今CS3です。赤道上空に静止衛星が回っています。これはいろいろ活用されています。私もかつてマスコミ、放送局にいた時代にはCSを利用しておりました。これを利用しない手はないと思うんです。つまり、気象台の警報がダイレクトに、奥尻なら奥尻、鹿児島なら鹿児島にどう伝わるかということです。  これについて、私は、通信衛星、CS、スーパーバードでも結構です、これを使ってダイレクトに行く方法、これはどこかにないかと調べてみましたら、実はあったんです。びっくりしました。日本はやっぱり広いなと思いました。それは私から説明するよりも、消防庁の方ときのういろいろ検討いたしましたので、消防庁の方からその富山県の例を簡単に御説明願いたいと思います。
  78. 牧野清文

    説明員(牧野清文君) 御説明いたします。  御指摘のとおり、衛星通信は防災情報の収集あるいは伝達にとって極めて有効である、そのように考えております。現在、全国の地方公共団体が共同いたしまして、先生御指摘のような民間通信衛星、トランスポンダー、中継器を借り上げまして、これを利用した衛星通信による全国の防災通信ネットワークの整備、これを地域衛星通信ネットワークと呼んでございますが、その整備が進められておりまして、平成三年の十二月、富山県、兵庫県などにおきましてその運用が開始されているところでございます。  御指摘の富山県におきます衛星通信ネットワークを活用いたしました防災情報システムは三つの機能を持っており、あるいは予定をいたしております。  まず第一に、気象情報の収集提供システムというのがございまして、これは富山の地方気象台、日本気象協会、そして富山県自体の河川情報システム、それらから注意報、警報などの気象情報あるいは河川情報を県が収集をいたしまして、それを衛星通信ネットワークによりまして、市町村あるいは消防本部に提供するというシステムでございます。  二番目に、災害情報の収集提供システム、これは今年度整備中でございますけれども、県内の各市町村、消防本部などが災害速報、被害速報などをコンピューターに入力する、それによりまして、県内被害状況などを県においてリアルタイムに把握することができまして、その集計結果を市町村等へさらに転送するというシステムでございます。  三つ目は、気象情報、災害情報のデータベースシステムでございまして、これはデータベース化によりまして災害の予防対策に役立てようとするものであります。  ただ、冒頭申し上げました気象情報の提供システムでございますが、富山地方気象台などから県への情報の伝達方法につきましては、NTTの専用回線という状況でございます。このシステムは全国的にも新しいシステムでございまして、今後の運用実績を注視する必要もございますけれども、やはり災害情報の迅速かつ的確な収集伝達、そういった防災業務の効率化やきめ細かな防災活動には大変有効である、そのように認識をいたしております。
  79. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は説明下手なんですけれども、わかりやすくきのういろいろ検討してお話ししましたが、気象台があります。そして県庁があります。そこにNTTの回線が結んであります。そこで警報が出ます。そうすると、県庁から空にある星といいますか、衛星にぶつけるわけですね。例えばこういう県庁からのおわん型などでぶつける。危ないよ。そうしたら、各市町村に全部あるわけですね。全部あるんです、その受けが。受けがなきゃだめですから、衛星から受けがあると、それが即座に二つのタイプがあると聞きました。いわゆる街頭に警報の出る、街頭と家庭に一斉に行くわけです。だっと行きます。そうすると、私は簡単に言ったのはこれは語弊あるかもしれませんけれども、そういうシステムだと非常に早いわけです。  そしてもう一つは、地上系の無線だと、基地が壊れるとこれは大変です。けれども、これは衛星系であればそういう心配も余りないということだろうと思います。今後富山県の例、私も実際にもう一度調べてみたいと思うんですけれども、確かに今回の奥尻の場合なんかも聞きますと、青苗の巡査さんが危ないぞと自分の身の危険も顧みずやって、やっぱり避難しろと言った方々は助かっているんです。  こういった例がありまして、こういうシステムが導入されれば、これは北海道南西沖地震だけじゃないんです。そういう意味で、何が今大事かということ、どうやったら住民が知れるんだろうと。何々のシステムをつくりました。十通りありますじゃないんです、本当の防災対策は。私は無線関係といいますかテレビ関係をやっておりましたので、テレビで例えば六分で警報が出た、NHKが出た、大変早いんです。それは限界なんです。確認するわけです。気象庁から来ます。昔は本当はもうちょっとかかりました。今はコンピューターですから、すぐ字幕も出ます。しかし、それは限界があるんです。  例えば日本海中部沖地震、これ津波が七分で来ているんですね、調べたら。青森の深浦で、震源地に一番近かった。そういう状態なんです。ですから、備えあれば憂いなしで、この富山県でやっている例を危険地域にすべてとは言いません。これを大いに研究して、研究会などをつくるなりしてやっていただきたいと思うんですが、長官、この私の提案といいますか、どのようにお考えか、一言伺いたいと思います。
  80. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 中尾先生、御専門のお立場またあるいは報道関係のお仕事をした御経験から、そういう方法があるんじゃないかという御提言で、大変貴重な御提言だと思うんです。また今消防庁からも、富山県でそういった前例というか、活用されている実情というか、経過があるということですから、地震あるいは津波警報のシステム化についてよく国土庁としても検討し、関係省庁、また関係閣僚にもお話をして、そういった迅速な情報提供ができるようなシステムの確立についてよく勉強させていただきたいと思います。
  81. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 持ち時間がもう一分しかなくなりましたので、最後に一言申し上げたいと思います。  上原長官の前向きに検討したいということについてはぜひともお願いしたいと思います。  国土庁は、最後になりますけれども、来年度の概算要求で一般会計総額三千三百二十一億六千四百万、これ四・二%増と伺っております。この中で震災対策など安心して暮らせる国土づくりを重点にしていると伺っております。私、今申し上げたのは、これにちなんでいるわけじゃないんですが、この中で新たに津波対策推進費というものを要求しておられる。これは今回の津波、それから今後起こるであろうその災害を防ぐために私は大変英断だなと思っております。  その中に書いてありました、防災無線など情報伝達網の整備、避難路の整備、この二つが確保されれば少なくとも災害は最小限に食いとめられると私は思うんです。現地の奥尻へ行ってみても痛感いたしました。情報の伝達、情報をいかに的確に伝達するか、それがまず第一です。そして情報伝達した後、やはり先ほども鎌田守住先生のいろいろお話を伺ってみましても、やはり避難させる。その人たちがまず命を、財産じゃなくてまずその人たちの命を守るという意味で、国土庁が私は先頭になってやっていただきたいんです。それは守住先生の意見にも私は大変同感でございます。  そして最後になりますけれども、鎌田先生がおっしゃった災害対策は熱いうちに打てと、のど元過ぎれば熱さを忘れるじゃ、私も委員として、初めての今回の委員会の質問でございますけれども、それを肝に銘じて、皆さんにもひとつ被災地方々のためにも全力を挙げてやっていただきたいと思います。  時間が参りましたので、御要望を申し上げて私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  82. 上山和人

    上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。  御質問申し上げる前に、細川内閣がスタートしたのがたしか九日でしたけれども、その明くる日には国土庁長官が、そして三日置いて細川総理が、さらに二十日には五十嵐建設大臣が実情視察のために鹿児島入りをなさいました。そして、鹿児島県民は非常に励まされ、元気づけられまして、また政府に対する期待を高めておりますけれども、どうぞこれからもこういう事態には本当に血の通う対応を続けていただきたいものだと、長官初め総理、建設大臣等の関係閣僚の温かい御配慮、御努力に心から敬意を表しながら、また一層今後の御努力をお願い申し上げたいのでございます。  先ほど鎌田委員から、今度を外されましたけれども、最後の方で石橋の問題を取り上げられましたので、それとの関連がございますから、私は最初に五石橋の問題から御質問申し上げたいと思います。  今、鹿児島県は国の温かい御支援をいただきながら、災害復旧と同時に再び同じような災害を繰り返さないための抜本的な対策を進め、あるいは模索をいたしておりますけれども、大変悩ましい問題は石橋の問題でございます。  鹿児島県としては、去る二十日に災害報告書を提出いたしまして激特の導入をお願いしたわけであります。もちろん、鹿児島県議会は県当局の方針を了承いたしております。しかしながら、直接地元の鹿児島市議会は何回連合審査を繰り返しても結論を出せずにいるのであります用意見集約ができないままの状態で続いております。しかし、鹿児島市長が決断をされて県に同調なさったようでございます。また、県の文化財保護審議会がございます。この審議会の関係者の皆さんは、大方この石橋を移設することに反対なさっていらして、何とかして災害対策河川改修と石橋の保存が両立する道はないのか、そんなふうに意見をお持ちのようでございます。  大方の鹿児島県民の思いというのは、今申し上げましたように、石橋は撤去したり移設したりするんじゃなくて、河川対策災害対策と両立させて、なお保存することはできないんだろうか、そういう道を探る余地はないんだろうかという思いが大方の県民の思いだと思うんです。何よりも大前提は、しかし二度とあのような災害を繰り返さない災害対策を最優先させるべきだという思いはありますけれども、できるものなら両立させることはできないか、その道はまだ探れないのか、そういう思いであります。先般、地元の新聞社が聞き取り調査を電話でしておりました。その世論調査では全く五〇%五〇%で、石橋は保存すべきだ、保存してほしい、あるいは移設もやむを得ない。そういう移設もやむを得ないという意見と何とかして保存してほしいという意見と、これは偶然でしょうが、全く五〇%五〇%の調査結果も出ているわけです。  こういう鹿児島市議会の何回連合審査をやっても結論を出し得ない状態、県の文化財保護審議会の関係者の皆さんの御意見、そして地元新聞社の世論調査の結果、こういうのを見てみますと、どんなにこの問題に今鹿児島県民が頭を悩ませているかということをおわかりいただけると思うんです。どうぞ直接の関係省庁の皆さんだけではなくて、長官もおいでですから、国土庁の皆さん初めどうか中央の皆さん、鹿児島県のこの石橋問題についての今の状況を正確に受けとめていただきたいものだと思うのでございます。  そこで、私は鎌田委員とは少し違う観点で御質問申し上げるわけですけれども、まず文化庁にお尋ねいたします。  文化庁は、かつてこの鹿児島市の石橋を国の重要文化財に指定したいとおっしゃって、申請するように地元に打診なさった経緯があるとお聞きいたしておりますけれども、事実関係はどうでしょうか。その経緯をお知らせいただきたい。
  83. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) 今の件でございますが、鹿児島県の五石橋につきましては、昭和四十四年六月に鹿児島県教育委員会教育長から、県の文化財専門委員の会議で五石橋を早急に国指定か、または県指定にして保存すべきという意見がまとまったので、国の文化財として指定することについて文化庁の見解を示すような依頼がございました。その依頼に対しまして文化庁では、現地調査の上、昭和四十四年九月に鹿児島県教育委員会に、五石橋は多連アーチ橋として他に例のない遺構である、それぞれ現位置において構造の特徴もありかつ景観的にも現地保存が必要と思われること、それから五石橋の保存は都市計画等にも重要な関連を持っておると考えられますので、関係機関とも協議の上それぞれの意見書を添付して重要文化財申請書を提出するように依頼したことがございます。  その後、地元において関係機関等の話し合いが行われていると聞いておりますが、そのままになっているという経緯でございます。
  84. 上山和人

    上山和人君 今のお話を聞きますと、まず最初は県の教育委員会の文化課が、文化財保護専門委員会ですか、これで意見がまとまったから、地元の県の方からそういう意向が文化庁の方に示された。それを受けて文化庁が重要文化財指定申請の打診をなさった、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。そうですね。
  85. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) はい、さようでございます。
  86. 上山和人

    上山和人君 そうしますと、そういう経緯があるわけですから、はっきり文化庁の御意見をお伺いしたいんですけれども、現在、そういう経緯があって今日の事態を迎えましたけれども、この五つの石橋についての歴史的、文化的な評価は今も変わりありませんか。今どういうふうに歴史的、文化的評価をこの五石橋についてなさっているか、文化財保護に責任を持たれる文化庁の御意見をしっかりお聞きしたい。
  87. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) 五石橋については、多連アーチ橋として他にない遺構で、それぞれ現位置にあって構造上の特徴があり、文化財としても価値が高いものと理解しております。しかし現時点では、流された二つの橋の流失しました石材がどの程度回収できるか否か、またもとの姿に戻せるかどうかということが重要になってきます。それによって文化財としての価値判断も変わってくるのではないかというぐあいに考えております。
  88. 上山和人

    上山和人君 そういうふうにお考えになるのでしたら、実情調査をなさいましたか。
  89. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) 県の方からそういう相談があれば、これはそういう機会を設けたいと考えます。
  90. 上山和人

    上山和人君 相談があればじゃなくて、今のような御見解をお持ちでしたら、すぐ現地に飛んでいかれるべきじゃないですか。しかも鹿児島県がどういう状態でこの問題をめぐって進行しているかというのは御存じのはずですよ。県は、石橋の移設を前提条件みたいにして災害報告書を提出して、激特の導入をお願いしているわけですから。そういうときに、今のような御見解をお持ちでしたら、県の方からの要請を待つんじゃなくて、やっぱり文化庁の責任で現地に飛んでいかれるべきじゃないんですか。それをなさらないで、鹿児島県でどんどん進行しているのに、今のような対応をなさるのは理解できないんですけれども、これはもう仕方がないですから、委員長、続けますね。  文化財としての価値は高いと、今言われました。ただ、災害に遭い二つ流されましたので、それは現地に行ってみてごらんにならないとわからないんですけれども、それをどのように復活できるのか、あるいはもとに戻せるのかということなどが評価に関係すると言われましたが、これは私時間がありませんから、この文化財としての意義については御存じのはずですから申し上げません、関係者の皆さんもよく御理解いただいていると思うから。  今、鹿児島県が災害報告書出しました。移設が前提条件になっている内容のようなんですね。そういうこの鹿児島県の文化財の取り扱いについて文化庁としてはどのようにお考えですか。
  91. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) 文化財の指定の扱いについては、国が指定する文化財、それから都道府県、市町村が指定する文化財とがあるわけですけれども、いずれも価値があるのを文化財として指定しているわけです。具体的に、本件の場合、五石橋のうち一つは鹿児島県の指定文化財になっていることは承知しております。本件の場合ですが、現地で保存が可能なのか、あるいは移設して保存するのがよいのか、この点については地元でよく調査検討していただきたいと考えております。  文化庁としましては、そういう点につきまして相談があれば、指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
  92. 上山和人

    上山和人君 その後の御答弁、少し聞き取れなかったんですけれども、申しわけありません、ちょっと繰り返していただけますか。
  93. 宮澤智士

    説明員(宮澤智士君) 本件の場合でございますが、現地で保存が可能なのか、あるいは移築して保存するのがよいのかこの点につきましては地元でよく調査検討していただきたいと考えております。  それで、文化庁としましては、この点について相談がございました場合には、指導、助言に努めてまいりたいと考えております。
  94. 上山和人

    上山和人君 地元からのそういう求めがないとなかなか指導、助言しにくいという立場は理解はできますけれども、文化庁としてかって国の重要文化財に指定することを打診なさった経緯があるほどの歴史的、文化的評価の高い石橋の取り扱いについて、もう少し積極的に対応をしていただきたいなという思いがあります。ですから、もうこれ以上申しませんが、今進行しておりますけれども、あと御質問申し上げることでまたある程度、時間的な制約がどこまであるのかそういうことも明らかになると思いますが、ぜひ御検討いただきたい。大事な問題だと思うんです。取り扱いが結果としてどうなるかは、これは地元の問題、また中央の皆さんの御助言等の問題ありますから、今予断はできないと思うんです。でも、ぜひ文化庁としてはもっと積極的に、大事な文化財としての価値の高い石橋の取り扱いでございますから、対応していただきたいなと、これはお願い申し上げます。  次に、建設省にこの問題についてお伺いしたいんですけれども、今回の集中豪雨による甲突川はんらん原因、これは、本当の原因というのはどことどことどこにあるというふうにお考えなんですか。これは今後甲突川の抜本的改修と直接関係しておりますから、明快にお答えいただきたいんです。
  95. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) ただいまの御質問にお答えいたします。  鹿児島県におきましては、ことしの七月の降雨量が八百ミリから千二百ミリ、多いところでは千六百ミリを観測しております。この数字は平年の三倍ないし四倍という記録的な多雨でございました。このような状況のもとで、鹿児島市では二十四時間に二百六十ミリ、さらに上流の郡山町におきましては一時間に百ミリという記録的な集中豪雨が発生したわけでございます。この降雨によりまして甲突川の現況流下能力を大幅に上回る洪水流量となりまして、鹿児島市街地においてはんらん被害が発生したものでございます。
  96. 上山和人

    上山和人君 いや、もう少し、今まで建設大臣も鹿児島入りをなさったんです。そのとき皆さんも同行なさって、直接見たりお聞きになったりして、一番今度の災害復旧では大きな問題になる甲突川ですから、十分原因等についても分析をされ整理をされたと思うんですけれども、もっと具体的にはっきりできませんか。それは端的にこれとこれとこれという単純なものでないということはよくわかっていますけれども、それでもしっかり原因を確認しないと有効な対策はできないわけですから、まとめていらっしゃるんじゃないですか。いかがですか、甲突川はんらん原因
  97. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) 基本的には、甲突川流下能力が現状におきまして三百トン程度というふうに考えております。これをオーバーする水が出水した場合にはあふれるという状況でございまして、今回の雨によります流量は約七百トンと推定されております。したがいまして、そのオーバーした分がはんらんしたというふうに考えております。
  98. 上山和人

    上山和人君 三百トンしか能力がない川に七百トンが流れ込んだということはよくいろんな情報等でも明らかにされておりまして、今あなたの直接お答えもいただきまして改めてそのことを確認できるわけでありますけれども、その七百トンも流れ込むに至った背景というものについてはどのようにお考えですか。
  99. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) 先ほど御説明いたしましたように、七月の雨量が例年の三倍ないし四倍、しかもこのはんらんを起こした二十四時間の雨量が二百六十ミリ、一時間雨量で申しましても上流部で百ミリという大豪雨というのが原因というふうに考えております。
  100. 上山和人

    上山和人君 それは、それもそうだと思いますけれども、先ほど国土庁の防災局長は、鹿児島の今回の災害の特徴はシラス土壌という鹿児島特有の地質によるものだという趣旨の御答弁を午前中の鎌田委員の御質問に対してお答えになりましたよね。(「聞いておらぬ」と呼ぶ者あり)いや、ちょっと待ってください。今回のあちこちのがけ崩れもそうですよ、それから川のはんらんもそうなんです。これは鹿児島シラス土壌という、これは私たち鹿児島県民はこのシラス土壌と永遠に共存しなくちゃならない宿命を背負っているわけですよ。そのシラス土壌が、防災局長が言われたように、今度の鹿児島災害の背景にある根本的なものだとおっしゃった。みんなそう思っています、鹿児島県民は。ですから、抜本的な今後の災害対策を考えていく場合にそのことをしっかり押さえることなしには有効で的確な災害対策はできないんだと思います。  そこで、私たちはこの鹿児島災害の問題につきましては、これはシラス土壌という特有の地質なんですから、であるなら、ことしのような大雨が降れば川がはんらんをする、がけ崩れが起こるというのはもっと事前に大体予測できるわけです。これは繰り言になりますが、しかし教訓としてこれからの対策に生かさなくちゃならないんですけれども、もっと計画的な対策があってよかったんじゃないか。  この甲突川流域の団地開発、宅地造成は一九六〇年代後半からどんなふうに行われているかといいますと、これは団地名を申し上げてもなかなか他県の方にはわかりにくいことになると思うんですけれども、これはもう大変な状態で開発が進んでいるわけです、この甲突川流域で。原良団地という百十一ヘクタールの団地がつくられました。城山団地が四十六ヘクタール、伊敷団地が百一ヘクタール、そして今また鹿児島市最大級と言われている伊敷ニュータウンという宅地造成が百三十ヘクタール造成中なんです。しかも、これまで十三カ所の甲突川流域の団地開発が行われておりますけれども、総計六百五十ヘクタールになっている。シラス土壌がこの川の流域でこれほど山林を切り開きながら宅地開発が進められると、やっぱりこんなことになるんじゃないでしょうか。  ですから、そういう今までのことを教訓化しながら今後の対策も間違いのないように立てていただくべきだ。そして県の指導なりについてもよく、私は一部を申し上げていることになると思うんです。もっと総合的には十分専門家の皆さんの方が分析、整理をされて、的確な原因究明、そしてそれをもとにした災害対策を今後立てていただきますように、シラス土壌という特性をバックにしての災害だということをくれぐれも銘記されて、今後の鹿児島県の災害復旧、抜本的な災害対策を立ててほしいと思うんです。  そこで、甲突川の石橋の問題ですけれども、今のお話をお聞きしていますと、今県民の気持ちが二つに分かれていると申し上げましたけれども、みんな災害対策が一番大事だ、それを何よりも優先させるべきだという思いをしながらも、これほどの文化財を存続する道は両立しないものかという思いは同じなんですね。それで、先ほど鎌田委員が午前中は石橋の橋げたが障害になって、ああいう事態になったという趣旨のお話をちょっとされたと思うんです。これは建設省としてこの石橋の橋げたが流れを妨げてあの事態の一因になったとお考えですか。
  101. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 五石橋の橋でございますけれども、橋脚ですね、ピアの間隔が非常に狭いということもございまして、そこで水がせき上げられたという実態はあったようでございます。
  102. 上山和人

    上山和人君 橋げたが全く一因にもつながらなかったとは、私など専門家でもありませんし、また言えません。障害になったかということについてももちろん言えません。これは専門家の皆さんが十分調査の上、分析され結論を出されることであると思います。これからのまた調査等でさらにそういう点も明確になさると思うんです。  やっぱり根本の原因は先ほど申し上げるような背景、そこから起こってきた事態だ。これを正確にとらえて、もう少し枝葉とはいいませんけれども、それぞれの要因になった、もっと小さな問題もあるかもしれません。そういうのはまた総合的に集約をされて対策を立てていただければそれでいいわけでありますけれども。  改めて建設省にお尋ねしたいんですけれども、今回鹿児島県は災害報告書を出しましたが、建設省がいわゆる激特を指定なさる場合の前提条件として五石橋の移設があるんですか。
  103. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 今回の甲突川はんらんは、先ほど都市河川室長が御説明いたしましたように、現況の流下能力約三百トン、これをはるかに上回る毎秒約七百トンの洪水流量が流入したということでございまして、市内におきましてはんらん面積が四百二十四ヘクタール、そして家屋浸水が一万一千五百八十六戸に及ぶ大災害が発生したわけでございます。  この災害にかんがみまして、八月二十日に県知事から河川局長あてに河川激甚災害発生報告書というのが提出されております。この河川激甚災害発生報告書は河川激甚災害対策特別緊急事業に向けての一つの手続でございます。その事業の対象になるかどうかということを判断するために家屋の浸水被害状況等を提出してもらったものであるわけです。しかしながら、この河川激甚災害対策特別緊急事業と申しますのは五カ年という短期間に再度災害の防止を図るために集中的に事業を実施するという事業でございますので、私どもとしましては、報告書をいただいた際、本年度より早期に事業着手できるよう、その改修方式とか事業規模とか、施工予定区域等につきまして概略の説明を聞かせていただいたわけでございます。  どんな改修方式をとるかということは、事業の採択に当たりまして十分協議してまいる必要がありますが、この甲突川について申しますと、これまで約二十年の長きにわたりまして石橋との関連で検討がされてきたわけでございます、そして今般の災害状況にかんがみまして、この河川管理者であります県知事が市とも協議の上、石橋の移設により甲突川を抜本的に改修せざるを得ないという判断のもとで、先ほど申し上げました災害発生報告書を提出してきたというふうに私どもは理解しております。
  104. 上山和人

    上山和人君 そうすると、必ずしも直接石橋の移設が前提条件にはなっていなかったというふうに理解してよろしゅうございますね。
  105. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 激特事業の採択に当たってどんな方式をとるかですが、それは撤去をするとか移設をするとかいうものが前提ではございませんが、これまでこの川については、先ほど申し上げましたような二十年来にわたるいろいろな検討がされてきて、既に県としてはやはりこの方式でいかざるを得ないというふうに判断しているという点は私どもも理解しているということでございます。
  106. 上山和人

    上山和人君 建設省が激特に指定する条件として直接石橋の移設が条件にはなっていなかった、それは県がいろいろ計画を立てて申請をするといいますか報告をする問題だというふうに理解して、建設省が示した直接要件ではないということは、そう理解してよろしゅうございますね。
  107. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) おっしゃるとおりでございますが、激特事業は再度災害防止のために一定の計画に基づいて行う工事、それに再度災害防止をするという線に沿って一定の計画に基づいて行う工事でございますので、それなりに現実的な方法でなければいけないという点はございます。
  108. 上山和人

    上山和人君 よくわかるところはあるんですが、それでは今後甲突川の激特の採択ですね、それと河川改修事業をお進めになるおおよその、もう二十日に県からは報告書が出ていますので、その二十日に出たということを出発点にしまして、今後どういう日程でといいますか、どういう手順で採択あるいは着工ということになるんでしょうか。ちょっとおわかりであれば教えていただきたい。
  109. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 去る八月二十日に出てまいりました災害発生報告書につきましては、災害が発生しましてから十五日以内に出していただくということで、八月二十日に出てまいったものでございます。  これからの手続でございますけれども、必要があればですが、災害発生後おおむね一カ月以内に発生報告書も出てきた、そしておおむねその発災後一カ月以内に担当官を現地に派遣して調査をするということになっておりますので、早ければ今週中にも私どもは担当官を現地に派遣しまして、災害被害の実態調査とあわせていろいろと県と協議を進めてまいりたいと思っております。  なお、その協議をずっと続けまして、できるだけ速やかに県からは今度は激特事業の採択の要望書というものをいただくことになっております。それで、要望書をいただいてから激特事業の内定というプロセスを経るわけでございますけれども、災害がいつ発生したかにもよりますが、今回のこの甲突川災害発生から見ますと、少なくとも年内には採択、事業というような段取りで順調にいけば進んでいくものというふうに考えます。
  110. 上山和人

    上山和人君 それじゃ、大体年内採択、今週じゅうにも調査官派遣、さらに実情調査、そして年内にも採択、着工できる見通したというふうに理解してよろしゅうございますか。
  111. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) はい。
  112. 上山和人

    上山和人君 わかりました。  そうしますと、私が言っていることは決して矛盾しているとは思っていないんですが、そういうふうに非常に御努力なさって年内にも着工の見通しがあること、非常に鹿児島県としても励みになると思うんです。ぜひお進めいただきたいんですが、その過程で仮に、二十日にもう報告書出ていますけれども、その報告書の内容は、移設が石橋については内容になっておりますね。鹿児島市議会は連合審査で結論を出しておりませんから、文化財保護審議会の手続もあるいは具体的には必要になるかと思うんですけれども、そういう地元での検討が行われて、鹿児島県の改修計画の中に今ある石橋の移設の方針が変わる事態がもしあるとして、建設省は激特の指定をなさることには県の独自の計画の改正については影響はないと考えてよろしいですか。
  113. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 先ほども申し上げましたように、河川激甚災害対策特別緊急事業と申しますのは、非常に激甚な河川はんらんによる被害が生じたということで早急に対応しようという事業でございますから、おおむね五カ年で対応しようということでございます。したがいまして、いろいろな方法が出てきたにしましても、この五カ年間でできるかどうかというのも一つの重要な要素になると思います。
  114. 上山和人

    上山和人君 そういういろんな観点から建設省が御検討になるのは、それは当然だと思います。そういういろんな角度から、いろんな観点から検討なさるにしましても、県独自の改修方針の中に今あるものが、報告書の中にもう既にあるものが、その後わずかの時間しか残されておりませんけれども、そういう時間内に再検討されて修正の要求が出てきたときに、修正したら即激特は認めないよということには必ずしもなりませんね。
  115. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 私どもは、そういうことのないように、これから現地調査も含めて県の方と十分に協議を詰めていきたいというふうに考えております。
  116. 上山和人

    上山和人君 時間が過ぎておりますから、ほかのこともお尋ねいたしたいし、きょうは大臣がお見えになっていませんけれども、建設省の方でも非常にみんな頭を痛めているんです、この大事な文化財もできたら両立させることはできないかということ。それよりも何よりも災害対策が大事だということはみんな一致しているんです、その点では。でもせっかくだから、これだけ土木技術等についても発達しているんだから、両立させることはできないかという思いのあることをどうか御理解いただきまして、少し県に対する対応も柔軟にお願い申し上げたい。そのことだけ御要望させていただく以外にもうないと思うんですけれども、どうか受けとめていただきまして、柔軟に対応してくださいますように、この点はお願いを申し上げまして、次に進みたいと思います。  それでは、国土庁にお尋ねいたしますけれども、激甚災害法の適用について、これは、ことしの被害は長雨による一運のものでしたので、これについて激甚災害法の適用に当たって、ごく一部が対象にされると不公平を生じるというおそれがありますけれども、この激甚災害法の適用をしてもらえるという前提で申し上げていて大変恐縮ですが、適用の対象になさるのはどういうふうにお考えですか。
  117. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 激甚災害指定に当たりましては、御承知のように被害状況の把握が必要でございます。現在、関係省庁におきまして被害状況の把握に鋭意努めておるところでございます。  その一連の気象状況の中でどこからどこまでだということでございますが、細かい点につきましては、このたびの降雨が長期に及んでいるということは広く知られておるわけでございますが、こうしたことを踏まえまして、気象現象の一連性につきましては気象庁において最終的な判断をされるということになっております。その気象庁の判断を待って最終的に決定をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  118. 上山和人

    上山和人君 八月豪雨だけが対象になるということはないと理解するのは早いですか。
  119. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) ちょっと、もう少しお待ちいただきたいと思います。
  120. 上山和人

    上山和人君 私が御質問申し上げております趣旨は御理解いただいていると思いますので、八月豪雨だけが対象になりますと大変不公平が生じるということになりますので、一連のものとしてぜひとらえてご配慮いただきますようにお願い申し上げます。  建設省にお尋ねいたしたいんですけれども、災害復旧工事を早く実施してほしいということなんですけれども、特にその場合、災害箇所の査定をやっぱり早く行っていただかなければならないんじゃないかと思うんですけれども、今の段階で見通しはどうでしょうか。
  121. 山口嘉之

    説明員(山口嘉之君) ただいまの段階では、施設管理者でございます鹿児島県あるいは関係の市町村におきまして、災害で壊れました施設の測量、設計、積算等の査定のための準備を行っております。査定の準備が整い次第速やかに災害査定を実施することにしておりますが、何さま今回の災害は大変広範囲に及びまして、しかも箇所数も非常に多うございます。したがいまして、現在、県、市町村では鋭意作業を行っておられますが、その査定の準備に時間を要する見込みでございます。  したがいまして、災害査定を一日も早く行うために、私ども建設省といたしましても、この八月の中旬から災害査定官をあらかじめ現地に派遣いたしまして、現地でいろいろな問題点やあるいは復旧工法等につきまして、疑問の点等につきまして事前に直接指導を現地でする、あるいは相談に乗るといったようなことを行いまして、査定の準備が速やかに進むように現在やっておるところでございます。  全体につきましては、何回かに分けて行うことになると思いますが、とりあえずそれぞれまとまりました分につきまして、できるだけ早く何回かに分けて査定を実施していきたいと考えております。
  122. 上山和人

    上山和人君 それは、ぜひできるだけ速やかに査定が行われるように、さらに御努力をお願い申し上げます。  同時に、災害早期復旧を図ってもらうわけですけれども、やっぱり災害早期復旧を図ると同時に、再び災害を防止するという観点から、災害関連事業だ、災害復旧助成事業といったような改良復旧事業としてこれは採択してほしいという非常に強い要望があるんですけれども、その点はそうしてもらえると理解してよろしいですね。
  123. 山口嘉之

    説明員(山口嘉之君) 災害復旧事業につきましては、原形復旧というのが原則でございますが、そういった箇所につきましても再び同じような災害が起こらないようにしかるべく程度を上げて実施いたしますし、適切な箇所につきましては、先生今お話のとおり、改良復旧事業を積極的に取り入れまして、再び災害がないように万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  124. 上山和人

    上山和人君 大変ありがたく思っております。  続いて、それに際しまして、これは国道十号、国道三号、JR各線、JRは日豊本線、鹿児島本線でありますけれども、これは生命線ですので、災害復旧の問題としてはぜひこういった生命線については格別の御配慮をお願いしておきたいと思うんです。  その際、こういう道路のバイパスになっているのが東九州自動車道あるいは南九州西回り自動車道になっておりまして、したがいましてこういったバイパスの機能を持つ東九州自動車道や南九州西回り自動車道についても早く整備ができるように御配慮いただきたい。これはそういう趣旨で御配慮いただけるというふうに地元は理解しているんですが、よろしゅうございますか。
  125. 佐藤信秋

    説明員(佐藤信秋君) 御説明申し上げます。  先生御質問の東九州自動車道は、北九州を起点としまして、大分、宮崎、鹿児島に至ります延長四百十八キロの高規格幹線道路でございますが、御指摘のように、これは一般国道の十号と相互に補完し合う、助け合うという機能を持った路線でございます。  これにつきましては、平成三年の十二月に国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、大分、津久見あるいは末吉町、隼人町等三区間、八十二キロメートルの整備計画が定められておりまして、現在日本道路公団で事業実施のために必要な調査を行っております。できるだけ急ぎまして、第十一次の五カ年計画期間内には用地買収と工事を促進してまいりたいと思っております。  さらに、南九州西回り自動車道でございますが、八代市を起点としまして、水俣市、川内市を経て鹿児島市に至ります延長百四十キロの高規格幹線道路でございまして、これにつきましては一般国道の自動車専用道路としまして順次整備を進めております。現在、鹿児島道路など六カ所、延長で九十四キロメートルの事業を進めておりまして、第十一次道路整備五カ年計画期間中には、八代ジャンクションから日奈久インターチェンジまで、それから市来インターチェンジから鹿児島西インターチェンジまでの供用を図ることにしております。  それぞれ残ります区間につきましても、調査、整備を進めまして、できるだけ早く整備を進めてまいりたいと思っておりますが、特にこれらは循環型のネットワークといいますか、南九州のネットワークの循環型を形成する、行きどまりでないという形で形成するということでございますので、災害に強い、それから生活にも幅が出てくる、こういう重要な生活の基盤というふうに考えておりますので、地元と協力しながら積極的に整備、推進を図ってまいりたいと思っております。
  126. 上山和人

    上山和人君 ぜひそんなふうにお進めいただきますように御期待申し上げております。  それでは、関連しておりますから運輸省に一点だけお尋ねしておきたいのは、JR九州も大変甚大な被害をこうむっておりまして、これは午前中の御質問の中でも触れておられましたが、JR九州鹿児島支社管内でも大変甚大な被害をこうむっているわけですけれども、八月十日までの被害だけでも総額五十二億に上っている、そんな状態でございます。決して経営基盤が万全のものではないということを私たちはよく承知しておりますので、今回のこのJRの復旧につきまして、鉄道軌道整備法というのがございますけれども、この鉄道軌道整備法による災害復旧の助成措置を講じていただく場合に、この助成措置の条件がどういう内容としてあるのか、ちょっと明らかにしていただけますか。
  127. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 鉄道施設が大規模な自然災害を受けました場合に災害の規模、鉄道事業者の経営状況等が一定の要件を満たした場合にその災害復旧に要する費用に対しまして鉄道軌道整備法に基づく補助を行うことができる規定となっております。  その要件でございますが、幾つかございます。主要なものを申し上げますと、一つは災害復旧事業費の額でございますが、これが災害を受けた鉄道の前年度の運輸収入の一割以上の額であること。それからもう一点ございますが、鉄道事業者の経営状況についてでございますけれども、被災年度の前三カ年度において鉄道事業及び鉄道事業を含んだ全事業が赤字であること、あるいは災害により被災年度以降おおむね五カ年度を越えて赤字と見込まれる状況であることというようなことが規定されておるところでございます。
  128. 上山和人

    上山和人君 条件、主なものだけお聞かせいただきましたけれども、JR九州のこの経営実態から見ますと、この二項は当てはまるんじゃないですか、三カ年赤字というのは。
  129. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) JR九州の今申し上げました二項につきましては、私どもの手元のデータでは該当することだろうと思っております。
  130. 上山和人

    上山和人君 そうですか。それじゃ、ぜひ今回の災害復旧がスムーズに各面にわたって進められるためにも、十分また精査されて適用条件を確認されながらお決めになると思いますけれども、ぜひ特別の御配慮をいただきながらこの鉄道軌道整備法による助成措置を講じていただけるように御努力いただきたいとお願い申し上げておきたい。
  131. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) ただいまの適用のことで二項と申し上げましたが、二つがということではございませんで、後段のところが適用されるということでございます。  それから、今後の適用につきましては、まだJR九州におきまして被害復旧費用を調査中でございます。したがいまして、調査が上がってきた段階で私どもその復旧に要する費用が鉄道軌道整備法の要件を満たしましたらば、その適用について十分検討してまいりたいと思います。
  132. 上山和人

    上山和人君 どうもありがとうございます。ぜひ今のような姿勢で対応してくださいますように重ねてお願いを申し上げます。  災害関連の緊急事業について幾つかどうしてもお尋ねしたいと思っておりましたけれども、もう時間がなくなっておりますので一つだけ、がけ地近接等危険住宅移転事業についてお尋ねいたしたいと思うんですけれども、これは建設省になりますね。  がけ地近接等危険住宅移転事業は、これは地元ではその地区の全戸が移転しないと事業の対象にならないのではないかと理解しておりますけれども、そうですかね。
  133. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) 先生御指摘の件でございますが、その全戸が移転しなければというのは、国土庁の方の防災集団移転促進事業の話ではないかと思いますが。
  134. 上山和人

    上山和人君 そうしますと、この危険住宅の移転事業は必ずしもその地区の全戸が移転しないと事業の対象にならないという条件はない。ということは各戸ばらばらの移転も認められるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  135. 磯田桂史

    説明員磯田桂史君) はい。先生御指摘のとおりでございまして、二戸でも対象になります。
  136. 上山和人

    上山和人君 そうですか。  私が県の皆さんとの話し合いで県から聞いたのは少し誤解があるようですから、私の方も県の方に対してはすぐ今の正しいお答えに基づいて御連絡を申し上げたいと思うんです。  そこで、今関連して少しお答えの中で触れていただきましたように、防災集団移転促進事業の問題は、これは十戸以上でなければ対象にならないというのは厳格な制限としてありますか。
  137. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 防災集団移転促進事業、私どもの所管でございますので、それについてお答え申し上げます。  先ほど全戸移転ということございましたが、お尋ねの中で考えておられたのはあるいは私どもの防災集団移転かもしれないと思いますが、防災集団移転につきましては、その事業の趣旨からして全戸移転ということ、そしてまた移転住居の半数以上が住宅団地に入居するということ、住宅団地の規模が十戸以上であることといったような要件を設定いたしておりまして、それに合うものについて防災事業としての集団移転事業、それについて国として助成をするというようにいたしております。
  138. 上山和人

    上山和人君 十戸以上という制限といいますか条件は、これはどんな場合であっても厳格に十という数字が明記されている以上、たまたまその地区が九戸あったとしても適用にはならないと厳しく受けとめなければなりませんか。
  139. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 具体的に鹿児島でどういうような御議論がなされておられるのか、私ども伺っておりませんので具体的なイメージで申し上げることできませんが、制度の一般的な趣旨としての御回答しかできませんけれども、そういう制度の趣旨としましては、先ほど申し上げましたようなことで防災集団移転という事業の運用をしているところでございます。
  140. 上山和人

    上山和人君 その防災集団移転促進事業もいろんな制限があるのは今もはっきりお聞きしましたけれども、できるなら弾力的に運用をしていただきたいという気持ちが現地にありますので、お含みおきいただきたいと思います。  最後になります。厚生省にちょっとお伺いいたしたいんですけれども、午前中の鎌田委員の御質問にもありましたが、四年前まで三期十二年知事をお務めになった鎌田委員を前にしてなかなか申し上げにくいんですけれども、鹿児島県は財政力が大変低い県だということは前知事もおっしゃっていましたけれども、これは指数を見ましても、財政力指数で言いますと、全国は○・五なのに鹿児島は○・二六なんです。これは鹿児島県の市町村の平均で見てみましても、全国市町村の平均は財政力指数○・四一ですが鹿児島は〇・二二でして、県も市町村もともに半分の財政力しかないというのが指数にあらわれた鹿児島県の状態でございますから、ぜひ財源措置について格段の御配慮をいただきたい、そういう角度で御質問を申し上げるところでございますけれども、鹿児島県は、特に今回ああいう災害でしたので、二市六町に災害救助法を適用いたしました。そして二市四町には法外援護もやっているんです。さらに、そのほか全壊しました世帯につきましては一世帯十万円の見舞い金を県単独で支給しましたから、四千三百六十万円の支出もいたしておりますし、いろいろと経費がかさんでおります。したがいまして鹿児島県の財政力が余り強くないといいますより、大変もろい実情を御理解いただきまして、この災害援助法等の適用にかかわる財源措置についてはぜひ積極的に御配慮をいただきたい。これはもう最後のお願いでございますけれども、御配慮いただけると理解してよろしいですか。最後の質問ですからはっきりおっしゃっていただきたいと思うんです。
  141. 松尾武昌

    説明員(松尾武昌君) 災害救助法に基づきます応急救助に要した費用につきましては都道府県が負担する、支弁するようになっておりまして、鹿児島県の普通税収入見込み額と救助費用の割合を勘案しまして、百分の五十以上国が負担いたします。百分の五十以上と申し上げましたのは、この負担割合が高くなりますとその分につきまして百分の八十あるいは百分の九十というふうに国の負担額が多くなるようになっております。  それから、災害弔慰金制度がございますが、災害弔慰金制度につきましては国が二分の一、都道府県が四分の一、市町村が四分の一というふうにそれぞれ負担するようになっておりまして、まだ応急救助をやっておる段階でございますので額が固まっておりませんが、その状況を見まして、十分配慮していきたいと思っております。
  142. 上山和人

    上山和人君 たくさん御質問申し上げましたし、まだ申し上げたいこともございますけれども、時間が参りました。  鹿児島としては、冒頭申し上げましたように、中央の政府を初め皆さんの御努力に心から敬意を表しておりますので、今後とも鹿児島災害復旧、そして同時に抜本的な災害対策がスムーズに、しかも早く進みますように、政府並びにまた中央関係省庁の皆さんのお力添え、御配慮を特にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  143. 風間昶

    風間昶君 公明党・国民会議の風間でございます。  このたびの北海道南西沖地震及び鹿児島中心とした豪雨によって犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災をされた皆様にも公明党を代表して心からお見舞いを申し上げたいと思います。  私も、奥尻を含めた南西沖地震で、翌日、日本海の沿岸に直ちに視察に行かせていただき、また奥尻島につきましても二回、三日間、視察させていただき、鹿児島へも先般の参議院災害対策特別委員会で参加させていただきました。この両災害発生以来、とりわけ現地の方から、国の、特に国土庁の皆さん方が中心になってさまざま対応してくださったその取り組みに対して、感謝の声もお聞きいたしましたし、そういう意味で心から御苦労さまというふうに敬意を表したいと思います。  私はまだ戦後生まれの四十六歳でございますけれども、こんなに一年のうちに三回もの大きな災害が起こったということは今回私自身初めてです。特に、一月の釧路沖地震に始まり、七月の北海道の南西沖地震、そして八月の鹿児島集中豪雨被害、相次いで被害が起こっているのはもう事実で、私もある意味では人知を超えた自然の怖さといいましょうか非常に自然の恐ろしさを見せつけられた思いがするわけでございます。  そこで、長官も早速鹿児島に入られ、つぶさに現地を視察、激励をされ、なおかつ、また今度北海道に行かれるというお話を伺っておりますが、このたびの一連の災害に対して、長官の率直なお感じ、またそれに対して国の行政上、防災の点でできることは何なのかということを基本的にどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
  144. 上原康助

    国務大臣上原康助君) お答えさせていただきます。  冒頭のごあいさつでも申し上げましたが、ことしは災害が相次いで、しかもその被害被災の内容が余りにも凄惨、深刻であるだけに大変心を痛めているところでございます。  私も、就任早々鹿児島豪雨災害に遭い、また北海道南西沖、奥尻島にも足を運ばせていただきましたが、改めて今先生御指摘のように自然災害の怖さというものをみせつけられて、災害から国土並びに国民生命、身体及び財産を保護することの国の基本的責任について痛感をいたしたところであります。  御承知のように、これはこれまでの政府においてもそうですが、細川内閣としても災害対策基本法、防災基本計画等に基づいて防災に関する科学技術の研究の推進、災害予防の強化、国土保全の推進、災害応急対策及び災害復旧等の実施など各般にわたる災害対策関係省庁連携のもとに進めておるところであります。  今も御指摘ありましたように、今年に入りまして、従来から続いております雲仙・普賢噴火災害とともに一月の釧路沖地震、北海道南西沖地震、平成五年八月豪雨等災害が頻発をしておりまして、国土庁としては政府の災害対策の中核として非常災害対策本部の設置を迅速にとり行い、各省庁の災害対策に関しその総合調整を行いつつ適切な措置を講じてきたところでございます。  今後とも、災害による被害の軽減を図るため、発生した災害状況及びこれに対する災害応急対策等の効果並びに都市化の進展など近年の経済社会情勢の変化を踏まえつつ災害予防施策の充実強化、迅速的確な災害応急対策災害復旧対策の推進に努めてまいりたいと決意をいたしておりますので、諸先生方のまた御協力もよろしくお願いをいたしたいと存じます。
  145. 風間昶

    風間昶君 今大臣からも災害に対する基本的なお考えを伺って、私も大臣と一緒に災害の怖さをまた知らされ、そのことの復興のために頑張っていく決意を新たにした次第です。  そこで、午前中も議論になりましたが、個人の救済に重点を置いた措置についてもやはり検討すべき時期にといいましょうか、そのような規模の大きい災害であるというふうに認識しておるわけですが、個人に対する特別立法措置などということも、今後また起こり得るであろう大きな災害に立ったときに、その辺は検討すべきではないかと思いますが、防災局長の御意見をお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。
  146. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 政府といたしましては、被災者方々生活再建を軌道に乗せますために、災害救助法による炊き出してございますとか避難所の確保、応急仮設住宅の供与あるいは災害弔慰金や災害障害見舞い金の支給、それから災害援護資金の貸し付け、住宅金融公庫による災害復興住宅資金の融資、租税の軽減、減免等のいろんな制度を設けましてさまざまな支援を行ってきておるところでございます。  今後とも、現行制度を活用することによりまして個人被害救済被災者方々生活再建に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  147. 風間昶

    風間昶君 今のお話で、これは全く私的な予測ですけれども、要するに現行法で救済し切れないぐらいのことが出てくるのではないかということがあるものですから、今後、これまでのいろいろな、今局長がおっしゃった五点ばかりの救済手当てで対処し切れない問題が出てくることが予測されるだけに、もう一歩踏み込んだ手当てを含めた法の体系ということも含めてちょっとお聞かせ願えればと思います。
  148. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 例えば最近の災害で、御承知のように雲仙岳の災害は非常に長期にわたっておりますし、終期もいつになるかわからないという状況でございますので、そういう意味でこれまでの災害とは若干タイプが違っているんではないかというふうに認識いたしております。  それで、非常に長期にわたっているということを踏まえまして、長崎県が基金を設置いたしまして、それの基金に基づきましてきめ細かい対策を講じているとか、あるいは土石流被害が起きそうな場合に、その避難をするための特別の施設を国土庁の補助金で設置しているというような措置等、長期にわたる災害という特質に着目をいたしましてこれまでの災害対策にはない施策もつけ加えているところでございます。  ただ、それらの施策につきましては、特別の法律制度というものは用意しないで、運用といいますかでやってまいっておるわけでございますので、現時点で考えます場合に、特別の法律措置を新たに講じないとなかなか難しいというふうなものは現時点では思い浮かばないというふうに考えております。
  149. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  それでは、建設省の方に御質問させていただきたいと思います。  道路の件でございますけれども、今度の南西沖地震についても、奥尻島には結構光が当たっているわけでございます。それだけ南西沖地震といっても奥尻島の被害が甚大であったわけでありますけれども、一方、対岸の檜山沿岸の各市町村、島牧村あるいは瀬棚町、大成町、北檜山町の被害についても、私も翌日行きましてつぶさに見させていただいたわけです。  特に国道二百二十九号線の復旧について、北海道のあそこはもともと道路がない状況で、船での輸送という歴史があるわけですけれども、あの二百二十九号線、いわば道南の檜山沿岸地域と道央の札幌、道央圏を結ぶ幹線道路として重要な役割を果たしておりますが、特に島牧村と瀬棚町の間に多数のトンネルがございまして、その一つの大きなトンネルに落石があって、トンネルはつぶれなかったけれども岩がトンネルを押しつぶすぐらいの状況であったものですから、交通閉鎖になって私は翌日は道南まで行けなくて戻ったわけですけれども、そういう意味で島牧地区以南の不通状態というか交通が途絶えた状態はかなり影響が大きなものがございます。  一日も早い復旧が望まれるわけでございますけれども、早期復旧といいますか、その見通し、また現在の復旧状態はどこまでいっていらっしゃるのか、わかっている限り教えていただきたいと思います。それを受けて私また視察に行かせていただきたいと思いますので、お願いいたします。
  150. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) 地震発生直後、国道において全面交通どめを実施した区間は三路線四区間、約二百四十キロ当初はございましたが、その後鋭意復旧作業に努め、現在での交通どめ区間は、国道二百二十九号の今おっしゃられました島牧村白糸第二トンネル付近と、それからもう一カ所、岩内町雷電地先の二カ所、延長にして約十三キロが現在まだ交通どめとなっているわけでございます。この交通どめの二区間につきましては、いずれも一方は海、一方は非常に高いがけという地形でございまして、いずれもトンネル坑口付近に落石がありまして被害を生じたものでございます。  白糸第二トンネルの方につきましては、トンネルの坑口から出たところの明かり巻き部分に上から落石がありましてその一部が破壊いたしました。その撤去作業と、斜面の石等の除去作業が必要になってございます。この作業を現在進めておりまして、九月下旬には一車線でありますけれども交通確保をしたいということで作業を進めでございます。  それから、もう一カ所の雷電地先につきましては、地震直後の崩落では道路本体には大きな被害はなかったわけでございますけれども、よく山の方を点検いたしましたら、ちょうど崩落した岩石が、足元をすくわれたような形で非常に巨大な岩がオーバーハング状になっておりまして、しかも上に割れ目も入っているという状況がわかりましたので、いつ落ちるかわからないという非常に危検な状況にありますので現在交通どめをしておりますが、これにつきましても、その除去作業を現在検討いたしまして、関係機関とも調整しながら作業を進めているところでございます。これにつきましては、もう少し時間がかかりますが、十一月中には何とか交通確保ができるよう努力しているところでございます。  いずれにいたしましても、非常に厳しい地形条件などのもとでの作業でございますけれども、おっしゃるように地域の人にとっては生活道路でございますので、一日も早い交通確保に向けて努力していきたいと考えでございます。
  151. 風間昶

    風間昶君 岩内の雷電は十一月中までかかるというふうに初めて伺ったんですけれども、十一月というともう雪が降ってくるんですね。恐らく十一月の中旬以降は降雪でかなり厳しい復旧工事状況になるんじゃないか。もうちょっと早まるようなことは技術的に可能ではないかと思うんですが、どうですか。十一月の中旬を過ぎますとかえって難しくなると思うんです。
  152. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) ただいま御説明いたしましたように、非常に大きな岩石がいわば非常に不安定な状態斜面に残っているものですから、非常に大きい、また高いところでございますので、作業の安全性、それから下も海岸沿いでございますので、どういう作業がいいのか、いろいろ作業の方法も関係機関と御相談しながら安全な工法をとっていかなきゃならぬと考えております。  十一月中という目標でございますが、いずれにしろそのころになりますともう冬が始まる時期でございますので、やはりそれまでには何とかしたいということで、現地では早期対策に努めているところでございます。
  153. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  もちろん安全を確保しながらやっていただかないと、またそれによって災害が起こると大変な状況になりますので、できるだけ早く進めていただきたいと思います。  もう一点、道路復旧につきまして、先般鹿児島にお邪魔したとき、午前中にも話題になりました三号線の小山田町のえぐられている状況、当初例案内いただきましたときに航空写真を見させていただきました。ちょうど道路が落ちているところの木材工場がそのままであったのが、写真ではそうだったんですが、私どもがお邪魔したときにはもう三分の二が下へ落ちるぐらいに土がなくなっていた状況でございます。  非常に想像以上にひどい状況であったのをつぶさに見させていただいて、午前中も鎌田議員の方からいろいろ示唆に富んだお話があったわけですけれども、バイパスをつくって新しい国道という案も大変すばらしいものかなというふうに一見感じたわけですれども、それにしても相当お金がかかる問題ですから、単純に考えると、今まで直線であった国道、あそこをそのまま復旧させるには、いろんな工法があるでしょうけれども、本格工開通、もとの三号線を生かすとするならばどういう具体的な工法があるのか、お考えがあれば、考えていらっしゃると思いますけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  154. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) 国道三号の鹿児島小山田町内の甲突川沿いに約八十メーターぐらいえぐられた区間の復旧でございますが、これも当初では川が国道から五十メーター離れていたぐらいで、それが記録的な豪雨による甲突川はんらんでああいうふうにえぐられたもので、それまでは想定していなかったような被害でございました。  これに対して、いろいろ河川状況も見てみますと、河川自身もかなりあの区間で従来よりは非常にえぐられているという状況がわかってきております。そのような状況もありまして、河川道路を含めてどういう形で対策を行うのが河川道路と両方の機能回復のために必要かということで検討していかなきゃならない課題と思っております。  それから河川の方も、ちょうどあそこの箇所で国道側に向かっていってまた戻るという、ちょっと曲がっている区間でございます。その曲がりを将来的に真っすぐにする方がいいのか、これにつきましてはまた地元関係方々とも御相談もしなければなりません。そういう工法で河川復旧でき、また道路復旧できるのか、そういう検討もございますし、そういうのをいろいろ専門的な意見とそれから地元関係方々とも協議しながら道路河川、どういう復旧工法があるか検討していきたいと考えております。そういうことで、現地で国道復旧する案、それからそれ以外にやはり別のルートで国道をもう一度つけかえる方がいいのかという案もあるかと思います。これについては、もう少しいろいろ幅広く検討して早急に結論を出すように考えてまいりたいと思っております。
  155. 風間昶

    風間昶君 今のお話しですと、そういう調査が終わってからでないとどっちに、つまり迂回路をやるのかあるいは現道復旧をするのかという要するに結論は出せないということでしょうか。実際に道路はとまっていますけれども。
  156. 辻靖三

    説明員(辻靖三君) それまでの間は、国道につきましては迂回路を緊急的につくるということで現在測量に入っておりまして、とりあえずその期間はその迂回路交通を確保していく。その間、いずれにしろ、あれだけのえぐれている状況でございますから、河川道路も含めて復旧するにはかなりの時間がかかる。再度災害を防ぐにはどういう形が一番いいのかということで、やはりそういう点でも技術的にも慎重に検討する必要があろうかと考えております。
  157. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございます。御検討されて一日も早い復旧をしていっていただきたいと思います。  次に、自治省の方にお伺いしたいと思いますが、奥尻島で地震が七月の十二日に起きて、十三日の未明といいましょうか四時過ぎに、実は自衛隊の真駒内基地から陸上自衛隊の緊急医療チームが一時間半かけて島に到着し、一部亀裂が入っておった空港に着きました。そして、緊急医療の業務がなされたわけです。七人のドクターが行かれ、また自衛隊ですから看護婦さんというよりも看護士さん、男の看護婦さんが二十三名行かれた。その中のドクターで、私が一緒に医科大学時代に学んだ古家外科部長がおりまして、先日もお話いろいろ伺ってきました。  古家医師の話ですと、まずヘリコプターが着地できる場があったことが幸いしたと。これがない場所であるならば大変もっと被害が、あるいはその結果命を落としたであろうということが予測されたわけですが、すぐ着陸できる場があったということが非常に幸いしたというふうに話しておりました。  もう一つは、防災対策委員会というんでしょうか災害対策委員会がすぐ開かれておったんですけれども、青苗地区と奥尻役場のある、災害対策委員会のある奥尻とは約三十分間ぐらいの車での距離なんですが、いかんせん、道路が何カ所も津波あるいは火事で寸断されていたために、連絡方法、連携がうまくいっていなかった部分が事実あったということを話していまして、防災上、災害対策本部と行った医療班あるいは救助隊がうまく連携できるような防災体制といいましょうか仕組みがぜひ必要ではないのかという御意見をいただいてまいりました。  いろんな診療の状況も、私も整形外科をやっておりましたからわかるんですけれども、とにかく水がやっぱり一番大事であるんだと。その次に先ほども話題になっておりました通信の問題ということで、薬剤にしても、自衛隊の装備された薬品が相当あるわけですけれども、そういう中でも、現実に被災に遭われた方々が高血圧症とか糖尿病とかいろいろな慢性疾患でふだんもらっている薬が全部海に流されてしまって、薬品の不足が多少この救急医療に支障を来したというような話も出ておりました。  そういう具体的なことを考えますと、都市防災を含めた救急医療といいましょうかその件について、いろいろこれまでも自治省の方々指導されて防災訓練の中でも都市防災における救助業務あるいは救急業務をされていらっしゃると思いますけれども、災害が起こったときに、一つは情報を与える通信網の問題点と、それからいつ災害が来ても対応できるようなシステムづくりということをやっぱりこれからもう少し考えていかなけれはならないのではないかというふうに思います。  後の処理の問題でも、古家医師の話ですと、最初はもう百人近い水死者方々の死体検案といいましょうか死亡診断をするのが関の山で、後からだんだんけがをされた方々が運ばれてきて治療をした。幸い、今回の南西沖地震では奥尻島ではなくて対岸の町立病院等が引き受けてくれるような医療体制になっていたので、そのまま自衛隊のヘリコプターで患者さんを初期手当てをして移送することができたというふうにおっしゃっていました。その辺のところはこれから私はもっときめ細かな問題について救急体制、救助体制を考えていかなければならないんではないかということも痛感した次第でございます。  そういう意味で、現実に、実際に救急業務をされるのは消防庁の管轄の救急上、救急隊員の方々であろうかと思うわけですが、それにつけても、各省庁の連携が大変私は大事になってくるんではないかというふうに思うんです。その件について消防庁の方々のこれからの御努力を要請していかなければならないわけですけれども、これまでの南西沖地震と鹿児島豪雨における救急あるいは救助活動について消防庁の方のお考えと今後のことについてお聞きできればと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 牧野清文

    説明員(牧野清文君) 私、防災課長でございまして、率直に申し上げまして、救急救助課の事務について十分存じ上げない面がございまして、お答えできる範囲で御説明させていただきます。  まず、こういった大災害時におきます関係機関相互の連絡体制ということでございますけれども、こういった体制につきましては地域防災計画において基本的に定めていただくということでございますけれども、従来、ややもすればこういった実際に災害が起きたとき、具体的にどのように諸機関が応援をし連絡をとるかということについては具体性に欠けるという面がございました。  例えば、先生御指摘の医療機関と災対本部との応援あるいは連絡体制、そういったことにつきまして、じゃ具体的にマニュアルのようなものがあるかといった場合には、それが欠けている事例が過去多かったわけでございます。消防庁といたしましては、そういった点を踏まえまして、各地方公共団体に特に地域防災計画の見直しということを改めて要請をいたしてございます。  また、ヘリコプターのお話もございましたけれども、現在、消防あるいは防災ヘリコプターという名前で、全国で消防ヘリコプターが二十五機、防災ヘリコプターが十機配備されておりますけれども、これを各県少なくとも一機配備するということで進めでございます。それに伴う財政措置を講じているところでございますが、そういったヘリコプターにつきましても、今回の南西沖地震におきまして東京消防庁から救助隊員が奥尻に向かいました。そういったような広域体制も整えていくということが今後の課題となってございます。  以上、十分な御答弁になりませんが、御了解賜りたいと思います。
  159. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございます。  その整備がより一層進むように他の省庁と連携を取り合ってさらにその指導強化をしていただければありがたいと思います。  それでは、建設省の防災課の方に、先ほどから話題になっておりますが、今までも日本は歴史上、国の地形状況からいっても、急傾斜地の崩壊によってとうとい多くの方々が亡くなってきた事実があるわけです。単純な質問で申しわけございませんが、がけ崩れと地すべりと土石流、簡単な違いをちょっと教えていただけますか。済みません、ごっちゃになっているんです、簡単でよいです、何メートルだとかなんとか要らないです。
  160. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) お答えいたします。  土石流は、いわゆる渓流といいますか、山の非常に急な勾配の川のところに起こります非常に土砂分の多い流れ、こうなるわけでありますが、よく似たもので地すべりとがけ崩れ、これは一応場所的にも同じような場所ですので区別は難しかろうと思いますが、地すべりといいますと、ある地質等の境界等を境にいたしまして、いわゆる滑り面というものを持ってかなりゆるい勾配でも起こるものがいわゆる地すべり。かなり規模的にも大きいということがございます。そして、滑るスピードは緩いということもありまして、比較的がけ崩れ等に比べますならば緩い、ゆっくりと滑っていくというような現状です。  それから、がけ崩れにつきましては、これは法律上では傾斜が三十度以上の急傾斜のところで起こる、非常にスピード的にも速く現象が起こりますので逃げるのになかなか避難が難しい、こういったような現状がございますが、そういったような大まかには違いがあろうかと思います。
  161. 風間昶

    風間昶君 何だか学問的なんであれなんですけれども、もうちょっと簡単に、小学生の理科ぐらいの、地すべりとがけ崩れはどう違うのかということをちょっと簡単に教えていただきたいんですけれども。申しわけございません、難しいんですか。
  162. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 余り学問的に言ったつもりはありませんですが、今申しましたように、がけ崩れの方は地質とかそういったものに余りこだわりなく、かなりたくさんどこでも起こるというような現象ですし、地すべりはやはりある程度地質が限られます。例えば新潟とか、これは第三紀層という地質があるんですが、そういったようなところ、あるいは四国等のああいった限られた場所にある程度起こりやすいというような違いがあるんですが、わかりやすくというのは難しいんですが、規模的にもかなり大きいものは地すべりという形になりますし、規模が小さい、そしてかなり急傾斜なところ、スピードが速く起こるというのはいわゆるがけ崩れというふうに思っておるところでございます。
  163. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございます。  それでは、現在日本に八万一千八百五十でしたか、急傾斜地崩壊危険箇所のうち、その危険度が著しい区域として、急傾斜地法という法律によって危険区域がまた決められているというふうに伺ったんですけれども、北海道鹿児島ではその八万一千八百五十カ所の崩壊危険箇所のうちの危険区域というのは幾つぐらいあるんでしょうか。
  164. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 一番最近の昨年の調査データでは、全国では八万一千八百五十カ所ということになってございます。そのうち北海道では千百四十九カ所、それから鹿児島におきましては二千七百九十八カ所ということになってございます。
  165. 風間昶

    風間昶君 その北海道千百四十九カ所、鹿児島二千七百九十八カ所のうち、崩れないように防ぐ防止工事などを実施しているのはどのぐらいあるんですか。
  166. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 北海道におきましては、いわゆる我々が工事上機成箇所と申しておりますが、それが一応二百二十六、これは平成四年度末でございます。それから、鹿児島におきましては五百十一カ所ということになってございます。
  167. 風間昶

    風間昶君 そうすると、北海道では千百のうち二百二十六、鹿児島では約二千八百のうち五百十一。結構実施状況としてはいいものではないというふうな印象なんですけれども、どうなんでしょうか。
  168. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 実は、この急傾斜地事業といいますと、昭和四十二年に開始された非常に新しい事業でございます。そういうこともございまして、全国でもまだいわゆる我々の所管しております工事をやらなければならない箇所の二二%という状況が全国平均でございます。そういうことがございまして、五カ年計画もまだ第三次の五カ年計画がことしを初年度として発足したばかりですが、そういったことで非常に若いといいますか、事業が始まって間がないということもございまして、やはり整備率というのは低いというような状況になっておると承知しております。
  169. 風間昶

    風間昶君 ぜひとも整備を進めていっていただきたいと思います。  工事そのものと直接的な関係はあるかどうかわかりません。一方では危険箇所あるいは危険区域に住んでいる住民の方々への周知、これも大事な私は運動といいましょうか事業といいましょうか、になると思うんですけれども、どんなふうにやっていらっしゃるのか。また、今後周知徹底していくとするなら、どういうふうに進めていくのか、考えをお伺いしたいと思います。
  170. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) 実は、この危険箇所につきましては、都道府県を通じまして、市町村に地域防災計画というのがございますが、そこに計画書に登載をしてもらうように指導し、なおかつ周知しておるところでございます。  そのほか、平成三年度からでございますが、都道府県におきまして危険箇所の位置を図示しました土砂災害の危険箇所マップ、これは先ほど御指摘になりました土石流、地すべり、それも一緒に含めてマップをつくってございますが、それを市町村の方を通じまして住民の方々に配布をさせていただいております。こういうことでございます。  また、より正確な地図等も含めて周知を徹底させるということが今後の問題ではないかこう思っております。
  171. 風間昶

    風間昶君 自分の住んでいるところ、例えば風間が住んでいるところが危険箇所というふうに公表されたらどうするかと今考えたんですけれども、その住民の方々のいろんな御意見とか何かも当然あると思うんです。その辺は今までトラブルになったことはないんですか。
  172. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) マップをつくった段階でそういった心配を我々もいたしました。しかし、やはりしっかりと事実は事実として知りたいという意見の方が強かったわけでありますし、その後アンケート等もやらせていただいたところ、非常にそういったことを発表してもらってよかったという意見は聞いておるところであります。
  173. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  じゃ、また戻りますけれども、急傾斜地の崩壊防止工事について事業費の二〇%が受益者負担、残りの二分の一が都道府県で二分の一が国の補助で行われているというふうに承知していますけれども、これはいろんなケースがあるんじゃないかと思うんです。例えば、風間の裏が国有林で猪木委員の裏が私有地であった場合に、災害が起こったときに、私有地であるのと国有地であるのと一律二〇%負担をするというのはちょっとおかしな論理じゃないかというふうに思います。そのケース、ケースによって違うと思うんですけれども、弾力的な運用を考えていかなきゃならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  174. 瀬尾克美

    説明員(瀬尾克美君) この急傾斜地の法律によりましては、これは二十三条でございますが、受益者負担金を徴収することができるということになっておりまして、これをしっかり取るときには条例をもってすべしと、こうなっております。しかし、現在はまだそういった形で条例がなされていない状況であります。ですから、我々は受益者負担金と言わなくて、受益者負担金相当額と、こう称しておるところでございます。  そういうことで、一応二〇%というのが一般の事業としては最大でありまして、そのほか公共的な施設、いわゆる河川とか道路とか、そういった公共的な施設がそのはんらん区域の中に、被害区域の中にある場合はまたさらに二分の一する等いろいろ分けておりまして、ですから、最高は二〇、最低は二・五%、こういう段階があります。  それで、実際それを取ることにつきましては、今言われましたような非常に細かなケースがいろいろ考えられますので、それはすべて市町村の方に実態に合わせてやっていただくという形で今のところは実施しておるところであります。
  175. 風間昶

    風間昶君 時間ですので終わります。  ありがとうございました。
  176. 猪木寛至

    猪木寛至君 冒頭に、南西沖地震そして鹿児島の洪水におきまして亡くなられた方にお悔やみ申し上げますとともに、被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。  私は、この委員会はピンチヒッターということで、先日の二十四日の鹿児島視察にお供をさせていただきまして大変いい勉強をさせていただきました。また、きょうは冒頭から鎌田先生、またそれぞれの地元の先生から大変詳しい話を聞かせていただきました。  私、災害につきましては大変日ごろから注意を持っていたんですが、普賢岳の折にもいち早く駆けつけました。私は元気を持ってまいりましたよということで、こういう時期にひとつまずもって元気を取り戻してくださいということでお話をしましたら、たまたまそこに集まられた方が大変プロレスのファンということで、プロレスをやってくださいという話があったので、その後落ちついたときにじゃプロレスをやりましょうということで一回チャリティー興行をやらせてもらったんです。特に今回の鹿児島におきましては、我々が行ったところにおいては、あれは国分市だったでしょうか、死者が出なかったところ。日ごろの防災訓練というか、やはり地域住民の日ごろの意識によって最小限に被害を食いとめることができるということを目の当たりに見てまいりました。  そして、もう既に私のお聞きしたいことは大体出てまいりましたので重複しますのでその辺は避けまして、一つは、日本の普賢岳、南西沖地震、そして今度は鹿児島の洪水と、ここのところ非常に災害が重なったわけですが、同時に世界でも、アメリカにおきましてミシシッピーの大洪水ということで、約七州ですか八州ぐらいにまたがって水害を受ける。あるいは中国におきましても大洪水が起きまして、これも大変な被害が出ている。  これは、南半球と北半球に分けますと、北半球に災害が多いときには南半球が災害が少ないとか、あるいは大飢饉が多いときには南半球、よくそういうとらえ方があるようですが、この辺の、例えばことしだけなのか、周期的に見てこういう時期に当たっているのか、気象庁の方でしょうかね、ちょっとお聞きしたいと思います。
  177. 吉住禎夫

    説明員(吉住禎夫君) お答えいたします。  ことしの夏は、日本では多雨それから冷夏、アメリカではミシシッピー流域の多雨によります洪水、アメリカの東部地域では高温小雨、中国の南東部では多雨などがございました。またヨーロッパでは低温や多雨なども発生しております。こういった地球上の天候というのは上空の偏西風の流れと非常に深い関係がございます。ことしは六月ごろから北半球の偏西風の流れがこれまでよりも平年に比べまして大きく蛇行しておりました。これに関連して先ほど述べましたような天候が各地で起こったというふうに見られます。
  178. 猪木寛至

    猪木寛至君 この辺の例えは予測というんでしょうか、天気予報はいつも一週間あるいは一カ月の長期予報をされますが、こういう災害というか、これは特に天候を意味する、地震も含めまして天候の場合はどのくらいの予測というのは可能なんでしょうか。天候というよりそういう災害
  179. 吉住禎夫

    説明員(吉住禎夫君) お答えいたします。  気象庁で現在行っております予報には一カ月予報、それから三カ月予報、それから暖候期予報、寒候期予報というのがございます。そのうちで一番長いのが暖候期予報、寒候期予報でございますけれども、それは六カ月先まででございます。それも災害まで言及するものではございません。  ですから、例えば来年の夏ということになりますと、来年の三月に出します暖候期予報ということになります。
  180. 猪木寛至

    猪木寛至君 例えば来年も冷夏というようなことはわからないんですか。
  181. 吉住禎夫

    説明員(吉住禎夫君) お答えいたします。  今のところ六カ月先以上につきましては、ちょっと何とも言えません。
  182. 猪木寛至

    猪木寛至君 それに伴いまして、一つは、既に新聞にも出ておりますが、アメリカにおきます大豆あるいはトウモロコシの不作というか被害が大きく出ております。日本も今米の自由化という問題がありますが、自由化ところじゃないじゃないかなんという話もあります。そういう中で日本はほとんどが食糧輸入に頼っている。  そういう意味で、私は子供のときにブラジルの方へ移民してコーヒー園で入植して働いたんですが、そういう自然の中で、やっぱり備蓄というものをしておかないと、農業の場合は翌年の問題というのが大変大きな問題になります。そういうことから農水省にお伺いしたいと思いますが、その辺の、例えば日本は今物が余っているが、しかし現実にアメリカでそういう被害が起きたときに、そして今ヨーロッパ、アフリカにおいてもかなりの被害が出ていますが、今お聞きしたいのは、来年は大丈夫ですか、二年、三年続きでそういう災害が起きたときに日本は本当に食糧確保というのは大丈夫なのかということをお聞きしたいと思います。
  183. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) お答えします。  食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございまして、国民に対する食糧の安定供給の確保を図っていくことは農政における基本的な課題であると認識しております。  国土資源に制約のある我が国におきまして、現在の豊かな食生活を今後とも維持していくためには、国内生産、それから輸入、それから備蓄を適切に組み合わせることが必要であり、今後とも生産性の一層の向上など品質あるいはコスト面での改善を推進することにより可能な限り国内農業生産を維持、拡大することを基本に国民に対する食糧の安定供給に努めてまいりたいというふうに考えております。  また、お尋ねの備蓄でございますが、具体的に申し上げますと、食糧用の輸入小麦につきましては約二・六カ月分、また飼料穀物につきましては約一カ月分、また食品用の大豆につきましては約一カ月分の備蓄を現在持っております。
  184. 猪木寛至

    猪木寛至君 例えば今言ったような災害が起きたときに、オーストラリアとかあるいはアメリカ、ブラジル、こういうところにおけるそういう大きな農業被害が起きた場合に、当然その国が輸出を控えるとか、前にもたしか小麦をオーストラリアが輸出を控えるというようなこともありましたが、その辺の、今私初めて聞いたんですが、一カ月とか二・五カ月とか、これはごく短いというか、聞くところによりますと、例えば石油の備蓄なんかから言うと何十日分とか、そういう部分で言いますとどうなんですか、十分なんでしょうか。
  185. 福島啓史郎

    説明員福島啓史郎君) 先ほど小麦につきまして年間の需要量の約二・六カ月分と申し上げましたが、その考え方といたしましては、需給操作上必要なものが約一カ月分、それから安全余裕を見た在庫が約一・六カ月分でございます。  それで、需給操作上一カ月分といいますのは、月単位で輸入契約を締結しておりますので、その関連で需給操作上必要な在庫としまして一カ月分、また安全余裕を見た在庫といたしましては、輸出国の港湾ストであるとかあるいは国際需給の事情、そういったものを考慮いたしまして、約一・六カ月分を持っておるわけでございます。
  186. 猪木寛至

    猪木寛至君 次に、外務省にちょっとお伺いしたいと思います。  報告書をもらったんですが、中西部の洪水におきましてアメリカ政府は、クリントン大統領は緊急援助として二十億ドルの支出ということで、そして日本からそれに対するお見舞い金というんでしょうか、各千ドルずつという、各紙に出ているんですが、これは甚だ何か国としては小さいような気がするんです。これはアメリカといえども、途上国といえども、こういう被害に遭った人たち状況というのはまさに同じだと思うのですが、いかがでしょうか。
  187. 小澤俊朗

    説明員(小澤俊朗君) 米国では、一説によりますと今回の洪水は五百年に一度のものと言われておりまして、冠水地域は我が国で言えば九州地域の広さにも及ぶと言われております。今洪水は山場を越えまして水が引き始めたと聞いております。先ほど言われましたが、九つの州に今回の被害は及んでおりまして、その総額は百二十億ドルと言われております。  我が国の対応につきましては、丁重なお見舞いをアメリカ側の政府に伝えております。また先般、細川総理とクリントン大統領が電話で話されましたときにも、総理から丁重にお見舞いを申し上げました。なお、つけ加えますと、先方からも我が国における集中豪雨、地震等の被害についてのお見舞いの言葉がございました。  見舞い金につきましては、管轄している総領事、具体的には在シカゴ総領事と在カンザスシティー総領事から、それぞれイリノイ州、ミネソタ州、ウィスコンシン州、またサウスダコタ州、ノースダコタ州、ネブラスカ州、アイオワ州、カンザス州、ミズーリ州の九州の州知事に対しまして、言うならば総領事がそれぞれ千ドルを見舞いとして贈与したということでございます。  この動きに呼応いたしまして、進出している日系の企業あるいはこれらの州あるいは州の中にある都市と姉妹関係にあります県あるいは都市からも同様の見舞い金の贈呈があったと聞いております。
  188. 猪木寛至

    猪木寛至君 同時に、先ほど申し上げた中国の洪水ですが、もう三年前になりますが、中国に行った折に、ちょうど洪水の最中ということで、私、ポケットマネーをちょっと出させてもらったんですが、今回の被害総額というのは一千九百億とも二千億とも言われております。大変大きな洪水が起きていますが、中国政府から何も要請はありませんか。
  189. 小澤俊朗

    説明員(小澤俊朗君) 中国につきましては、六月の下旬から七月の下旬にかけまして、中国の華南地方、これは断江省、江西省、湖南省、四川省の地域で豪雨が多発いたしまして、この地域における主要な河川が洪水となりました。死傷者は四百九十三名の死者を含む六千五百名に及んで、被害総額としては千八百億円に及んだと聞いております。  この件につきましては、七月の下旬に宮澤総理から李鵬総理あてに丁重な見舞いを贈っております。中国側からはこれについて援助の要請はございません。
  190. 猪木寛至

    猪木寛至君 ありがとうございました。  私の方もそういう、国際化の中で日本が自分の国を守っていくということが第一優先で、同時に国際貢献というのはいろんな部分での貢献をしていかなければならないのかな、そういう意味でアメリカの問題あるいは中国の問題、あるいはバングラデシュという本当に手の打ちようのないような毎年水害が起きる、そういうことに対しても今後我々は考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  そこで鹿児島の話に戻りますが、私も昔の商売柄、日本国じゅうを巡業いたしておりまして、ちょうど鹿児島の桜島の噴火の折、これはもう毎年というか、降灰対策というんですか、灰が降ってまいりました。今回行ったときには灰の問題は余り問題になってなかったようですが、今まではどんなことをやってこられたのか聞かせてください。
  191. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 桜島は、昭和三十年以降ほぼ連続的に活動をしているところでございます。これまでも活動火山対策特別措置法等に基づきまして、避難施設、防災営農施設等の整備、降灰の除去、降灰防除事業、治山砂防事業等の推進を図ってまいってきております。  桜島の周辺地域におきましては、これらのうちでも降灰対策が重要であるというふうに認識しておりまして、活動火山対策特別措置法に基づきまして降灰防除地域に指定をいたしまして、教育施設及び社会福祉施設における降灰防除施設の整備等を推進しているほか、多量の降灰があった市町村等におきましては、道路、下水道、宅地等の降灰除去事業等を実施しているところでございます。  国土庁といたしまして、今後とも桜島の火山活動による被害状況にかんがみまして、引き続き関係省庁と緊密な連絡をとりながら一層きめ細かい対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  192. 猪木寛至

    猪木寛至君 今回、鹿児島視察しながら、いろんな写真もいただきました。これ現地の人たちからもらいましたが、被害のあった当時の写真だと思うんですが、現実には我々が行ったときにはもっと被害がひどくなっている。道路の決壊がもっと拡大しているというような状況も見てまいりました。  もう一つは、やっぱりこれから生活をしていく中で、確かに道路もあるいは家も直さなきゃいけないと同時に、生活をしていく、特に農家の方々、田んぼに大変な土石流というか砂が流れ込んできた。これは農業を体験した人は多分すぐおわかりかと思いますが、田んぼが一回そうなった場合には、もうそれは壊滅的というか、あるいは三年、五年かけてもなかなかもとには戻らない、そういう土壌が持っている性格があります。  そういう意味で、ここに県とそれから市と要望書をいただきました。先ほど激甚災害の問題、それから緊急急傾斜地崩壊対策事業とがそれぞれ出ましたのでお聞きしたいんですが、一つは、田んぼあるいは畑がやられてしまった場合に、それに対する対策というのはあるんでしょうか。農家の方が一生懸命手を加えて土を掘り起こせばいいんでしょうが、今それだけの手間がない。そういう場合に、その人たちは一体今後どういう道を選択すればいいのか、そんなことを考えておりましたが、お答えいただければ。
  193. 石村洋

    説明員(石村洋君) 田畑の復旧対策でございますが、具体的には災害対策の事業を用いまして復旧することになります。  鹿児島県からの報告によりますと、八月の豪雨災害で約六百三十ヘクタールの農地が被災しております。現在も引き続き被害状況の把握に努めているところでございまして、復旧計画書の作成など地元関係機関の準備が整い次第順次査定を行いまして、早期復旧に努めていきたいと考えております。  また、具体的に復旧に当たりましては、流入しました土砂など災害復旧事業により除去することになりますが、また、再度の災害を受けるようなおそれのあるところでは必要に応じて改良復旧を行うことを検討するといったことなど、被害状況を地元の意向を踏まえた適切な工法によって復旧を行うように関係機関を指導してまいりたい、このように考えております。
  194. 猪木寛至

    猪木寛至君 ぜひそういう要望にこたえていただきたいと思います。  それと、これは一昨日でしたか、朝日新聞の投書欄に出ていたんですが、「気象庁が来年度予算の概算要求に、日本海側の地震や津波の監視体制整備の経費として一億二千六百万円を盛り込んだ」という記事があるんですが、もうちょっと、地震の研究あるいは予知というか、そういうものに対する予算としてはどうなんでしょうかね。全国的に、地震国としてそういうものが、完全に予知するというのは難しいにしても、今の技術をもってすればそれを何%かカバーできるのか。そういう意味では、こういう災害が起きてからじゃなくて、事故にそういうものの対策として、一億二千六百万円という金額が多いのか少ないのかちょっとわかりませんが、私の感じでは余りにも小さ過ぎるのではないかなという気がいたしますが。
  195. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 気象庁では、北海道南西沖地震の経験にかんがみまして、日本海側の監視体制を重点的に強化すべく小地震観測装置、これは三千倍の倍率を持っておりますが、それの改良更新、また遠隔自記検潮装置の整備を検討しているところでございます。それ以外にも本庁の地震活動等総合監視システムの改良更新、あるいは東海地域における地殻岩石ひずみ観測システムの改良更新等についても検討しているところでございまして、新聞で報道されましたのはその一部でございます。今後とも地震津波監視体制は強化を図るとともに、適時適切な津波予報及び地震津波情報の発表に努めてまいる所存でございます。
  196. 猪木寛至

    猪木寛至君 それと、台風十一号によるこの間の東京の状況ですが、都市型というか災害に非常に弱い部分、テレビを見ていても、まさに皇居前があんなにもなるのかなというぐらい、あるいは地下鉄が水浸しになってしまっている部分。日ごろ、私なんかも地下鉄にたまに乗ることがありますが、もし何かが決壊して水が入ったらどうなるのかなと思ったりするんです。そういうことが、大事に至らなかったからよかったんですが、逆に何十年に一度の面といいますが、これは災害というのは予測ができないから被害が起きる。そういう意味で都市型の一番弱い部分、水の問題が出ました。  私、海外も含めていろんなところへ行く折に、必ず一つ問題になるのが食糧援助というもの、まず皆さんが注目するところなんですが、それと同時に水の問題、先ほど出ましたが、必ず飲み水というものが、普通の水が飲めなくなってしまう。そういう水に対する興味というのが非常にありまして、私自身いろいろ水の研究もさせてもらっているんです。  この間、鹿児島においても、浄水場が川より高い位置に設置されてあるんですが、全く予測ができなかったというか、本当にぎりぎりの線まで浄水場が水浸しになっている。たまたまそこの一カ所は水浸しにならないで免れた。もう一カ所のところは、ここにも書いてありますが、四万世帯でしょうか、水道が断水になってしまっている。  そういう意味で、災害における、例えば食糧も含めて水という問題についてどうお考えになっておられるかちょっと聞かしてください。
  197. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 今、先生おっしゃいましたように、鹿児島の場合にはたしか浄水場が三カ所あったようでございますが、いずれも一時期操業不能に陥りまして、全面的に復旧したのはたしかお盆前というふうに聞いておりますので、十日か十一日ぐらいかかったというふうに聞いております。その間は自衛隊が給水車を出して対応したというふうに聞いておりますが、そういうことで市民が非常に不便であった。給水車によりまして飲み水には不自由はしなかったようでございますが、先ほどから出ております甲突川等のはんらんによりまして床上浸水等の家屋がかなりありまして、浸水した家屋を洗いたくても洗うほどの水がないわけでございまして、そういうことで非常に難渋をしたというふうに聞いております。  台風だけじゃなくて、地震等によりましてもライフラインの被害ということは予想されるわけでございますが、そういったことに備えまして、水道もそうでございますし、それ以外の電気、ガス等につきましても、バックアップ体制でありますとかラインの多重化でありますとか、あるいは被害が起きた場合の利用者相互間の応援体制等について鋭意努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  198. 猪木寛至

    猪木寛至君 災害が起きるたびいろいろ問題が提示されるわけですが、一つは、やはり私は東京に住んでますから、東京にああいう鹿児島的な水害、今回はそれほどじゃなかったから東京はそんなに被害はなかったというべきで、鹿児島で起きたように三百ミリから六百ミリ、東京にそういう雨が降ったらどうなるのかな、あるいは地震が起きたときにどうするかなと日ごろ考えることがあるんです。  私は、避難地域というか、避難場所でしょうか、こういう都会で起きる問題は、一番は混乱、やはり冷静さを失うということで、家族の中で日ごろ示し合わせておくというか、どこどこに避難するとか、何かあったらここへ連絡とか、そういう連絡が必要じゃないか。先日、NHKのテレビでもやっておりましたが、そういう意識というのは大変薄いようです。ですから、その辺もひとつ政府は国民に、あってはならないんですが、備えあれば憂いなしということで教育をしていただきたいと思います。  最後に、長官、今回新しい政権が誕生いたしました。そして、普賢岳におきましても、かつての自民党政権においても言っていることは同じことを言っているわけだと思うんですが、新しい政権になりまして、ひとつ防災あるいは災害に関する、ここはこうやって力を入れていくぞというもしお考えがあればお聞かせください。
  199. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 猪木先生の大変貴重な御提言をお聞かせいただいて参考にいたしたいと思います。  災害対策につきましては、先ほど来御議論がありますように、これまでも超党派、与野党を問わずその都度熱心に努力をしてきた経過があると私は理解しております。私も、衆議院の災害対策特別委員会委員長もさせていただいたこともありますので、ある程度理解、認識を持っている一人ですが、基本的にはさほど新しい変化というか対応は今の段階では打ち出せないかもしれませんが、私が痛感することは、御承知のように、国土庁は調整機関としての機能を果たさなければいけないことは御案内のとおりですが、何分、二十二省庁の窓口があるわけです。この連係プレーをとうするかということが非常に骨の折れることで、私も就任間もなく、ぜひひとつ各省庁が横の連携をとり合いながら迅速かつ災害を受けておる地域住民の方々国民の気持ちに沿えるような復旧対策なり諸施策を進めていくようにということをお願いしてきたところであります。  そういう意味で、先ほども御指摘ありましたが、国土庁の防災対策あるいはその他の災害関係予算につきましても、次年度は、国民の側から見ますと十分とは言えないかもしれませんが、特段の力を入れておりますし、また情報システム等についても国民生命、身体、財産災害から守るという国政の基本であるということを認識を持ちながら総合調整機能を果たしていきたいと思いますので、ひとつ御協力のほどをお願いいたしたいと思います。
  200. 猪木寛至

    猪木寛至君 終わります。
  201. 林紀子

    ○林紀子君 私は初めに、今回の北海道南西沖地震や鹿児島県の集中豪雨で亡くなられた方々、また被災された方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  今までの委員の皆様方の御質問と重なる部分がありますので、私はお願いをしておきました質問の順番をちょっと変えまして、まず地震津波観測体制の強化というものについてお伺いしたいと思います。  初めに、上原国土庁長官にお伺いをしたいのですが、今年度は第六次地震予知計画の最終年度に当たり、来年度から開始される第七次予知計画の建議が測地学審議会から行われております。このうち第四次予知計画では、「社会の要請に応え、防災に貢献する予知の実用化を推進するためには更に観測研究の格段の拡充強化と地震発生機構の解明を図る」としておりますけれども、この建議が出されましたのが一九七九年度ですね。  この一九七九年度から国の地震予知予算額の推移を見てみますと、ここにわかりやすくグラフを書きましたので長官にもこれをちょっとごらんいただきたいと思うのですけれども、皆さんの分はちょっと用意をしてないので申しわけありません。ここに書きましたが、一九七九年度から見ますと、この地震予知の関係予算というのは伸びが四〇%です。そして、国の一般会計の予算の伸びといいますのは八七%、そして防衛費の伸びというのは一二二%ということになっているわけです。  ですから、もしこの地震予知関係の予算が防衛費並みに伸びていったら、十四年間の積算ということを考えますと、今年度は八十二億円の予知関係予算ですが、それが実に四百七十五億円に達する、こういうことになるわけですが、こういう問題について、こうした事実について、長官としてはどのようにお感じになりますでしょうか。
  202. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 数字的な傾向は最近は若干変化があるようでございますが、もし御必要があれば政府委員からお答えさせますが、地震災害の防止、軽減を図る上で地震予知の推進が重要な課題の一つであるという認識は、今御指摘のように、国土庁としてもまた私個人としても持ち合わせているつもりでございます。  現在は、昭和六十三年七月に測地学審議会により建議された第六次地震予知計画、平成元年から五年までの計画のようですが、に基づいて推進をしていることは御承知のとおりでございます。第六次地震予知計画の計画期間である最近の五年間を見ますと、地震予知関係予算は四三・三%の伸びを示しております。この間の予算の全体の伸びが二七・六%及び防衛費の伸びは二五・四%で、先ほどの昭和五十四年でしたか、一九七九年以降の数字はグラフの傾向もありますが、最近の状況は上回っておると理解をいたしております。  国土庁としましては、引き続き関係機関と密接な連携を図りつつ、地震予知観測体制の充実強化を図るため、先ほども申し上げましたように、関係予算の確保に一層の力を入れてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  203. 林紀子

    ○林紀子君 地震の発生時期というのは予測するのはなかなか難しいということだそうですけれども、しかし規模や場所というのは前兆現象の発生場所や広がりからかなり推定できる状況になっているというお話を聞きました。実際、今度の地震でも北海道大学の岡田教授グループは、北海道の依頼を受けた想定地震の研究の中で場所も規模も全く同一の地震を予想していたという、私もこのレポートを拝見いたしまして大変ショックを受けました。  この中では、北緯四十三度、東経百三十九度の想定地震を設定するということをこの岡田教授グループは言っているわけですけれども、今回の南西沖地震が発生した位置というのはどういうところかといいましたら、北緯四十二・八度。北緯四十三度と予想していたわけですからほとんど変わらないわけですね。また、東経も百三十九・四度で起こった。予想していたのは東経百三十九度ですからこれもほとんど重なっている。しかも、規模といいますのはマグニチュード七・三から七・四ぐらいの規模の地震が起こるのではないかと設定していたわけですが、今回の地震の規模というのがマグニチュード七・八であった。まさにそういう意味では的中と言ってもいいような状況なんじゃないかと思うわけですね。  しかし、予算や人員体制が足りないから地震予知の前兆現象を監視できない、まさに今回の地震はこういうことだったんじゃないかと思うわけですが、そういうことでは政治というのはもう要らないということになってしまうのではないかと思うわけです。今度の地震を教訓に観測網の強化と地震予知、発生のメカニズムの基礎研究というのをぜひとも、第四次予知計画で言っているように、文字どおり格段の拡充をしていくべきだと思うわけです。  きょうの日経新聞ですが、社説にこういうことを掲げているわけですね。「地震予知の研究に思い切って資金と人材を投入すべきだ。」、「国家事業として取り組んでいる「対がん十カ年総合戦略」に学ぶべきだ。」ということを言っているわけです。このがんを撲滅するための対がん十カ年総合戦略というのは十カ年が今年度で終わりだということですが、これはまだ続けるということを言われているそうですね。十年間で一千二十四億三千万円の予算を投入した、これに学ぶべきだということを言っているわけですけれども、長官、こういう対がん十カ年総合戦略というようなものにも学んでぜひ格段の予算の拡充ということをまさに新政権になったということで考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  204. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 林先生御指摘のように、地震国といいますか、災害が非常に多い国ですから、先ほど来申し上げておりますように、国民生命あるいは国土の保全、財産を守っていくという国の基本的施策として、地震予知対策あるいは災害対策、予防を含めて十分に予算、人的面で配慮をしていく努力をやることは当然かと思うんです。  今年に入っても、御承知のように、釧路沖地震や能登半島沖の地震、北海道の先ほど来御議論がありますような南西沖地震と、地震が相次いで発生しておりまして、特に東海地震のように発生のメカニズム等が、今も御指摘ありましたが、明らかになっている場合を除いては現状ではなかなか予知することは難しい状況にあると言われております。  しかしながら、地震災害の防止、軽減を図る上で地震予知の推進は重要な課題の一つでございますので、政府としては、地震予知について総合的、計画的な施策を推進するため昭和五十一年に、先ほどもお答えしたかと思うんですが、地震予知推進本部を設置して、気象庁、科学技術庁、国土庁などの関係機関が緊密な連絡をとりながら、観測体制の整備強化を図り地震予知の実用化のための観測研究を進めておるところでございますので、一層力を入れてまいりたいと存じます。  国土庁といたしましては、今後とも気象庁を含め関係機関との密接な連携連絡を図りつつ、地震予知観測体制の充実強化を図るための関係予算の確保に努力をいたしたい、こう考えております。
  205. 林紀子

    ○林紀子君 そこで、気象庁に地震津波の観測網の強化という点でお伺いいたしますが、気象庁としては、先ほどの道から依頼を受けた岡田教授グループのあの研究レポートというのは今まで御存じだったわけでしょうか。それが一つ。  それから次に、すくすく来年度とうするかということで今、遠隔自記検潮装置の整備を進めているというふうに伺っているわけですけれども、この遠隔自記検潮装置というのは、北海道の日本海側、今回地震が起こったあの一帯には稚内と函館にしかないというふうに聞いているわけです。そうしますと、日本海側に測候所というのが幾つあるのか私もよくわかりませんが、思いつく限り、留萌、小樽、寿都、江差、そういうようなところというのは全然なかったわけですね。そういうなかったために今回の地震との関連でいいますとどういうところに大きなマイナスがあったのか、そしてそれを克服するためにどういうふうに配置をしていこうとしているのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
  206. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 第一点でございますが、日本海中部地震が発生いたしまして、十年前でございますが、その後、日本海中部地震の北側あるいは南側も地震発生の可能性ありという学説が幾つか発表されております。しかし、先ほど先生御紹介なされました北海道が行った想定というものそのものを私は存じておりませんでした。それに相当するそういう学説があるということは存じております。  それから二番目の津波体制の強化でございますが、これにつきましては、今回確かに北海道西側の観測点で気象庁として直接観測できる観測点が少なかったということは事実でございますので、この経験にかんがみまして、日本海側の気象観測において即時的に津波を監視するための検潮装置の隔測化の整備を検討してまいる所存でございます。留萌、江差等も含めまして検討いたしております。
  207. 林紀子

    ○林紀子君 北海道は留萌と江差に来年度それを設置していきたいということですか、この遠隔自記検潮装置というのは。  そのほかに北海道だけではなくて方針があると思いますので、それもあわせてお答えください。
  208. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 今、日本海側の六カ所を考えております。そのほか、深浦、酒田、金沢、境、それからもっと西の方に参りまして福江、そういうところの整備を検討しているところでございます。
  209. 林紀子

    ○林紀子君 それから小地震観測装置というものをこれもまた改良更新をしていくということですので、それも日本海側というのを強化していくのかどうかということも伺いたいと思います。  それからもう一点。地震機動観測班、こういうものが現在あるそうですが、現在は本庁にたった二人しかいない、一班しか構成されていないわけですね。ですから、有感の群発地震が発生した場合には出動して、それは日本全国が範囲になるわけですね。せめてこの地震機動観測班というのを火山機動観測班並みに管区気象台ごとに常設すべきだと思いますけれども、その辺の御計画というのはどうでしょうか。
  210. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 小地震観測装置の改良更新につきましては、今回の経験にかんがみまして、来年度は日本海側の監視体制の強化を重点的に行いたいと検討を進めているところでございます。これも北海道から山陰に至る官署の小地震観測装置を改良すべく検討を進めております。  それから地震機動観測班の件でございますが、これにつきましては、気象庁では本庁に地震機動班を置きまして、大きな地震や群発地震が発生した場合には迅速に現地に赴きまして、各管区気象台等地元気象官署とも連携をしながら、全国を対象とした必要な観測強化等を機動的に行うこととしております。さらに、海域における観測強化のために本庁の機動観測業務の強化を計画しているところでございます。一応全国を対象として本庁の機動班が対応するという考えで、ただしそれを強化していきたいというふうに考えております。
  211. 林紀子

    ○林紀子君 強化というのは、来年度にあと二人、一班ふやすというふうなお話を聞いているわけですが、今伺ったのは本当にほんの一部だと思うわけですけれども、しかしやはり地震観測網の強化ということで格段に拡充をする、そういうことからはまだまだ大分距離があるのじゃないかと思うわけですね。  しかし、これが来年度の概算要求で今、気象庁の方から出しているものだというお話を聞いているわけですけれども、そういう意味では、せめてこれだけは来年度の本予算にきちんと反映されるようにということで気象庁もぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、その決意のほどをちょっとお伺いしたいと思います。
  212. 津村建四朗

    説明員津村建四朗君) 観測監視体制の強化に向けて引き続き努力してまいりたいと思っております。
  213. 林紀子

    ○林紀子君 今年度の地震予知関係予算といいますのは八十一億六千九百万円、国の一般会計予算に比べますと〇・〇一%ということになっているわけですね。各省庁で見ると、研究目的が主体の科学技術庁が二十五億八百万円、国立大学など文部省が二十億二千七百万円、そして二十四時間観測監視体制を続けている唯一の防災機関である気象庁の予算が十五億五千九百万円、予知関係予算の一九%ということなわけですから、ぜひ気象庁も頑張っていただきたいのと同時に、長官もかつて内閣委員会で、「災害対策というのは国民生活にとって一番の肝心なことなんですよね。事災害対策とか津波とか台風とか地震とかそういうことについては、一刻もゆるがせにできない問題なんで、内閣全体としても十分御検討をいただきたい」ということを当時の後藤田総務庁長官に質問していらっしゃいます。ですから、気象庁が出しましたこの概算要求が削られることなく政府案に盛り込まれるように長官の方としてもぜひ御尽力をいただきたいということをあわせてお願いしたいと思います。  そして、もう一点長官にお聞きしたいことがあるんですが、先ほど消防庁の方で、ヘリコプターというのが消防庁には合計十五台あって、各県に一台は整備をするようにという予算も組んでいるというお話があったわけですが、気象庁にはヘリコプターが一機もありませんね。そういうことでは、AWACSを整備するよりも災害から国民の命と財産を守る上で気象庁にせめてヘリコプター一機ぐらいはまず置くべきだと、そう思いますけれども、その辺は、長官、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
  214. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 前段の件は、総務庁が御承知のように公務員の定員問題等々を扱っておる関係上、私も災害対策あるいは地震予知対策というのは国民生活にとって非常に重要な政府の課題だと認識をしておりますので、そういう立場からお尋ねをした点がありますし、いろいろ行政改革、定員削減等がありますから、そういうことも念頭に入れてこれは総務庁で御判断をなさる点だと思うんです。  後段の御質問のことにつきましては、基本的には消防庁にヘリコプターが災害対策として必要であれば、運輸省、自治省等から予算確保その他についていろいろあると思いますので、直接私の所管ではございませんので、その点は御遠慮させていただきたいと思います。
  215. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、自治省にも来ていただいておりますのでお伺いしたいと思います。  北海道では、災害対策基金というようなものを創設してその運用益で被災者生活支援を強化しようという検討もされているということを聞いておりますけれども、雲仙・普賢岳の災害に対する長崎基金の場合は、国の財政支援措置として地方債五百四十億円を資金運用部資金から充当して、その返済利子分のうち百分の九十五を普通交付税を充てているということをお聞きいたしました。北海道でも今大変な状況なわけですので、こうした基金がつくられた場合、地方財政支援措置北海道の基金にも当てはめていただくということがぜひ必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  216. 武田文男

    説明員(武田文男君) 側説明申し上げます。  雲仙岳災害につきましては、御案内のように、長期にわたり継続をしており終息の見通しが立たないという非常に特殊な態様の災害でございます。こうした異例の状況のもとで、長期化する災害の態様に応じまして対策を講じていく必要があると考えられることから、長崎県において基金を設置し、私どもとしても所要の財源措置を講じたものでございます。  今回の北海道南西沖地震災害につきましては、その被害は非常に甚大なものであると私どもも認識をいたしておりますが、今申し上げました雲仙岳の災害とはその態様、事情が異なるものと考えておりまして、基金設置につきして雲仙の場合と同様の設置を構ずることについては考えていないところでございます。  なお、北海道の南西沖地震に関しましては、私ども地方財政の立場からそれを支援していくということで、既に七月二十三日と八月十六日の二度にわたりまして十四の町村に対しまして普通交付税の繰り上げ交付を実施をいたしました。  さらに、今後災害復旧事業等の対策が地元の地方公共団体中心全力を挙げて行われるわけでございますので、自治省といたしましても、こういった実情を十分把握をした上で、災害復旧事業に係る地方債措置や特別交付税の配分を通じまして被災地方公共団体の財政運営に支障を生じないように適切に対処してまいりたいと考えております。
  217. 林紀子

    ○林紀子君 今、長崎の基金のような形はできないというお話でしたけれども、やはり北海道でも本当に今回の災害に遭われた方は大変な目に遭っているというその状況は同じだと思うわけですね。ですから、そこのところをもう一度ぜひ考えていただきたいと思います。  そして、住民の方は、生活再建に対しての公的な補償制度がないということで、やむを得ず家屋や家財の補償として地震保険や火災保険に加入しているわけですが、今回の北海道南西沖地震では、火災保険の場合、地震による火災が適用外である、支払い免責をされているということで、全焼の場合だけ五%の地震火災費用保険金を支払うということを決めて既にこれを実行し始めているということですね。  ですから、火災保険は五十二件で約二千七十万円、一件当たりにして平均をいたしますと四十万円にしかならない。後片づけの費用にも充てられるかどうかといったところなわけですけれども、ここのところをどうにかならないかというのを大蔵省の方にぜひお聞きしたいと思います。そして、制度上、今後改善を図っていくように業界の方にも指導していくべきではないかと思いますが、いかがですか。
  218. 滝本豊水

    説明員(滝本豊水君) ただいま御指摘の点でございますけれども、保険金の支払いはあらかじめ契約の際に契約者に渡しております保険約款に基づいて支払いが行われておるということでございまして、火災保険につきましてはその約款におきまして、地震、津波により生じた火災、家屋の損壊等の損害というのは免責になっております。  ただ、地震の危険につきましては別途地震保険というのがございまして、地震保険に入って契約していただいていない場合にはそのような地震、津波による損害に対しては火災保険は支払われません。したがって、地震保険にぜひ入っていただきますよう我々もお願いしているところでございまして、当局といたしましては、地震保険につきまして今後皆さんに入っていただくよう幅広くPRを行いまして、業界に対してもこういう地震保険の普及を図っていただくというようなことに努めてまいりたい、こういうように考えております。
  219. 林紀子

    ○林紀子君 こう話を伺っできますと、基金の方もお金はだめだ、それからまた火災保険に入っていた場合も四十万円ぐらいしか出ないというようなことになりましたら、本当にこの地震で大きな被害を受けた方たち大変なわけですね。こういうところから考えますと、やはり国の方で被害を受けた土地や家屋や家財に対する個人補償制度、これを検討していくべきではないか。  今までもお話に出ましたけれども、先ほど上原長官の方はこれを考えていくというふうにお話しになりましたけれども、これから先の段取りといたしましてどういうような、ずっと考えっ放しということはないと思いますので、その辺も含めまして個人補償制度、これもまた新しい政権になったということでぜひ考えていただきたいと思うわけですが、どうでしょうか。
  220. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 私が考えるというか、よく勉強させていただきたいということは、そういう御要望が地方自治体なり関係者から非常に強いということを認識しておりますので、今直ちに現行制度なり法律を超えて何かできるから考えるということではございませんので、その点はぜひ御理解を賜りたいと思うんです。  そこで、災害に対する補償は、私有財産や事業に損失が生じても個人補償という考え方をとるというのは残念ながら大変現在の制度、法律の中では難しいというのが国土庁関係省庁の立場でございます。したがって、政府としては、被災した個人の生活の再建を軌道に乗せる支援という考え方をとって諸施策を推進していきたい、こう思います。  現に平成五年八月豪雨災害、あるいは北海道南西沖地震災害雲仙岳噴火災害など、大きな災害が続いていることは御指摘のとおりでございますが、これらの災害に対しては政府は非常災害対策本部を設置し、応急的な救済対策にとどまらず、住宅対策、中小企業・農林水産業対策あるいは雇用対策から地域の再建復興の計画づくりの支援等も行ってきているところであります。  ですから、基金問題その他いろいろ将来的に検討課題ではあろうかと思うんですが、現在、個人補償という対象での救援というのはなかなか難しいというのが実情でございますので、かといって、政府の先ほどの激甚指定であるとかあるいは天災融資であるとか低利融資その他融資に対する期間延長等々のできるだけの配慮はしておりますので、そういう手順を十分進めながら、勉強すべき点は将来課題として勉強することはいいのじゃないかといったのが私が先ほど考えるということでありますので、改めて御理解賜りたいと思います。
  221. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 林さん、時間が来ております。
  222. 林紀子

    ○林紀子君 あと一点だけ、済みません。  地元の要望なので、ちょっと時間が過ぎて大変申しわけありませんが、建設省に最後にお伺いしたいんです。  災害公営住宅建設というのは全壊家屋の三割までできるということですが、奥尻町では四百軒全壊家屋あるわけですから、そうしますと百二十戸は建てられるということです。これは今、上限までぜひ建設をしてほしいという声が大変大きいのですが、このことについてどういうふうに措置をとるのか、最後にお答えいただきたいと思います。
  223. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 簡潔にお願いします。
  224. 那珂正

    説明員(那珂正君) 災害公営住宅につきましては、先生御指摘のように、滅失住宅の三割まで建設することが可能でございます。  現在、奥尻町につきましては七十六戸の建設計画をとりあえず定めておりますが、地元被災者の皆様の将来の住宅希望の事情等を調査を進めまして、さらにはまた全体の復興計画のまとまりぐあい等を勘案いたしまして、早急に必要な追加計画を道の方でまとめるよう指導してまいりたいと思います。
  225. 平野貞夫

    平野貞夫君 新生党の平野でございます。  最初に、さきの北海道南西沖地震、南九州の豪雨、また三年目に入りました島原雲仙・普賢岳の噴火で亡くなられた方々、御遺族、被災された方々、さらに先日の台風十一号で被災を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げます。  時間が限られておりますので、最近の災害特殊性にポイントを絞りまして災害対策の基本問題についてお尋ねしたいと思います。  なお、私、災害対策につきましては全く素人でございます。国土庁ができる二十年前には十年ぐらい災害対策の仕事をしておりましたが、最近のことは全く知りません。したがいまして、素人でかなり乱暴な話になるかもしれませんが、どうかひとつ、お疲れのところ、大臣、恐縮でございますが、あと三十分御勘弁いただきたいと思います。  寺田寅彦は、天災は忘れたころやってくると言いましたが、最近の天災は定期的でございます。しかも、激甚を通り越して、一地域を壊滅させ、場合によっては極めて長期化するという特殊化の傾向にあると思います。現行の諸制度の想定を超えたものだと私は考えます。  細川連立政権は、生活者に顔を向けた政権として国民の期待も大変高いものがございます。上原大臣、所管のことですから遠慮せず、非常に特殊化した災害に今後どのような姿勢で臨まれるか、大臣の信念をお聞きしたいと思います。
  226. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 先ほどから御答弁を申し上げておりまして、繰り返しになるようで恐縮でございますが、確かに細川新内閣としても災害対策あるいは現に起きていることについては迅速かつ適正にやっていこうということで、総理初め行動を展開していることは御理解賜りたいと思います。  しかし、基本的な態度は、災害から国土並びに国民生命、身体及び財産を保護するということは国の基本的責務であるという立場から、政府においては、災害対策基本法、防災基本計画等に基づいて国土保全の推進、災害応急対策及び災害復旧等の実施など各般にわたる災害対策を積極的に推進していることを御理解賜りたいと思います。
  227. 平野貞夫

    平野貞夫君 大臣、しつこいようですけれども、連立政権というのは外交、防衛についてはこれまでの政策を継承するということになっておるんですが、災害対策についてはこの合意には拘束されないはずですから、これまでの政策を超えてひとつ画期的な対策を展開しないとなかなか連立政権もやっていけないようになるんじゃないかと私は思っております。これは要望でございます。  防災局長にお聞きしますが、雲仙の噴火災害が発生したときに地元から特別立法の要望があったと思います。それから当時の海部総理も約束しましたし、与野党の首脳の方も現地で対応するということを言ったと思います。しかし、実現しませんでした。  念のため、地元からどんな内容の特別立法が要望されたのか、またその立法ができなかった理由は何か、お教え願いたいと思います。
  228. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) まず海部元総理は、規模の大きな火砕流によりまして人的被害が出た直後の平成三年六月九日に現地を視察されておりますが、その際の現地での御発言としては、政府としては被災者救済のため現行制度で対応できない問題があれば具体的に検討するという趣旨の御発言をされたというふうに承知をいたしております。  それから地元からは、具体的な内容をもってこういう内容の法律をつくってほしいという要望はなかったというふうに承知いたしております。
  229. 平野貞夫

    平野貞夫君 そうすると、国土庁としては特別に立法する必要ないというお考えだったのでございますか。
  230. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 先ほどから申し上げておりますように、現行制度の活用、拡充によって対応できるというふうにこれまで考えてきているところでございます。
  231. 平野貞夫

    平野貞夫君 私は、仮に現行制度の拡充、拡大あるいは予算措置であってもあのときに立法すべきだったと思います。それはいろいろな特別立法の形はあったと思います。立法できなかったのは、これは一つは政府の責任だけじゃなくて国会にも責任があると思う。  やっぱり災害というのは、現行制度の拡大であってもあるいは政府のできる予算措置であっても、国会がそれを国民の権利として法律につくるということによって心理的に国民というのはかなり安心すると思います、同じ行政措置であっても。そこら辺の視野が私は島原のときには不足していたんじゃないかと思っております。結構与野党の首脳の方が調子のいいことを言っておるものですから、それが政治不信の一つの原因になったんではないか、そのように私は感じております。しかし、余りもうこれ以上は申しません。  そこで、ここ数年地球的な規模で天災の質といいますか、天災による災害の質と言ってもいいと思いますが、これが変化しておると思います。したがって、当然対策の変化も検討されてしかるべきだと思います。  雲仙岳の問題で出た問題としまして、例えば災害救援基金の問題、こういったことが自治体レベルで考えられてかなり効果を上げていると思いますが、これは国レベルといいますか、そういう国の法制度の中で採用するということは無理でしょうか、あるいは検討されているでしょうか。
  232. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 今、先生のおっしゃったことに対応しているかどうかちょっとあれですが、例えば生活安定資金の貸し付けというものを雲仙につきましては新たな補助要綱を設定いたしまして平成三年十月十七日から受け付けを開始いたしております。これは償還期限十年、うち五年間据え置きということで、利率が年三・○%、据え置き期間中は無利子ということでございます。これは警戒区域等内に住居を有する方に対しまして生活安定資金の貸し付けということで、一世帯当たり百万ということでやってまいっております。  あわせましてさらに実質的には、先ほど出ておりました県がつくっております基金によりまして、その後も無利子化しようということで、そういう運用をしておるものがございます。
  233. 平野貞夫

    平野貞夫君 雲仙岳の災害はかなり歴史的な悲劇でございますが、そういうふうに皆さんのお知恵で新しい仕組みができているということは結構なことだと思います。ますます国側としてあるいは国会側としてどう対応するかということが今後の問題だと思います。  災害の質も変化しておりますが、同時に災害を受ける被災者の気持ちといいますか、それも随分変化したんじゃないかと思います。二、三十年昔は被災を受けますと食べる物、着る物あるいは寝るところを与えられればかなり満足したと思いますが、今日豊かな社会と言われる中でかなり被災者のお気持ちも変化していると思います。そういうものも酌んだ新しい対策というのが検討されてしかるべきじゃないかと思います。  何といいますか、災害によって失うものは家族とか家とか地域社会、その粉々になった自分たち生活の秩序をもう一回取り戻して、そしてこれから生きる意味を見つけよう。これは私は現地の島原にも奥尻にも行ったことはございませんが、テレビの映像で被災者の人たちのそういう気持ちが痛いようにわかるんです。  どうも従来の国の被災者に対する救援は、物中心、施設や道路、そういった物を整備すれば、物を復旧してやればそれでよかったんだという考えだったと思いますが、最近の災害を考えますと、災害後の精神的なショック、これを支える何といいますか、社会的なネットワークというものをどうしてもつくる必要があると思いますし、人と人、やはり人の好意によって新しい発展も起こります。最近、災害の救援基金が、テレビ等で話されますとすごく救援基金が集まる。むしろ、上原大臣、言葉は悪いんですが、国民の方が災害の救援について理解が最近は深いんじゃないかと思うぐらいでございます。  そういう意味で、個人に対する補償という言葉はこれは概念的にいろいろ問題があると思いますが、余り法律の細かいことにこだわらずにもうちょっと国家的なスケールでの災害救援基金、こういったものを本気で検討して早急に採用する。これからどんな災害が起こるかわかりません。国にお金がないなら税制上の控除でもして寄附を受ければいいんじゃないですか、国民から。そういうような発想の転換で今後の災害対策の原点を置かれたらどうかと思うんですが、御意見をお聞きしたいと思います。
  234. 上原康助

    国務大臣上原康助君) 今、平野先生御指摘の点は、確かに国民の共通した感情がと思うんです。被災を受けておられる方々あるいはその周辺地域、また鹿児島にしましても北海道南西沖地震等に対しても雲仙・普賢もそうですが、多くの国民の温かい支援、義援金があるということを見ても、経済大国あるいは生活大国日本という立場からすると、もう少しいろいろの御意見に対してまた御要望について何とかできないものかというもどかしさなり、いろいろ感じている点は私も同様でございます。  そこで今、国家的スケールでの救援基金とかまた制度、法律の弾力的運用等の御指摘も各先生方からありまして、私もある程度の認識と考えを持っておるわけですが、今、一存で申し上げるわけにはいきませんので、きょうの御提言については十分念頭に入れて、内閣全体としてこの災害問題にどう対処をしていくかということを時期を見てお話もしてみたい、こう考えております。
  235. 平野貞夫

    平野貞夫君 防災局長、私、素人の思いつきでまことに恐縮でございますが、極めて壊滅的で長期的な災害、例えば今度の島原とか奥尻島とか鹿児島のシラス、こういったものを激甚災害指定というので財政援助をやるという方法はあるんですが、特殊災害というような指定をして、主としてそこで被災をこうむった人たち生活再建のために、かなりの自治体レベルではやられているかもしれませんですが、国の無利子による融資、そして生活を再建する。  率直に言いまして、島原でも農業施設なんかには相当お金がかかるようでございますし、それから奥尻島の漁船だって安いものでやっぱり一隻百万円はすると思います。もっとすると思いますね。そういうことを無利子で生活が軌道に乗るまで国で面倒を見る。いわゆる特殊災害を受けた人たちには自力復興の原則というのをその地域では発想を変えて救済する。このくらいのことは、どうでしょう、一つの立法措置としてできないものでしょうか。
  236. 村瀬興一

    説明員村瀬興一君) 先ほども申し上げましたように、雲仙につきましては県が基金をつくっております。国の既存の制度、通常に比べますとかなりの低利の融資、それから先ほど申し上げました生活安定再建資金は据え置き期間中は無利子でございますが、それにつけ加えまして県の基金によって実質上無利子にするという措置を講じておるところでございます。  先ほど自治省の答弁によりますと、北海道についてはそういう雲仙と同じようなものは考えていないということでございましたが、仮に雲仙と同じような長期継続するような災害が起きました場合には、それぞれの県なりが基金をつくって同様の対応をするということは考えられることだと思います。先生がおっしゃるように、それが立法措置が必要かどうかということにつきましては、雲仙の例を見ましてもそれ自体に対しては必要ではないということになろうかと思います。  ただ、先生が先ほどおっしゃいましたように、旗印を掲げるという意味で法律があった方がどうかというのはまた別の議論だろうかと思います。
  237. 平野貞夫

    平野貞夫君 これは大臣、局長に申し上げるわけじゃございませんが、実は昭和四十七年に天草で集中豪雨が起こりまして、これはもちろん災害対策基本法も激甚法もあったころですが、特別立法として集団移転法をつくったわけでございます。このときにも随分政府は反対しました。それから昭和四十八年には桜島の噴火の火山立法というのをこれも特別立法をやりました。これは鹿児島の先生方が随分頑張ったことでございまして、そういう意味でやっぱり特別立法というのは行政の考えることとはまた別の意味があると思います。特に火山立法の場合には、あえて立法しなくてもできたんではないかと思うようなことを、私は直接事務をやりまして考えたわけですが、やったわけでございますが、しかし非常にそういう意味では県民だけでなく全体の国民に評判を得たわけでございます。  それから参議院の災害対策特別委員会というのは非常に伝統のある委員会でございまして、現在の災害弔慰金制度というのは佐藤隆先生がここで活躍されていたころ、昭和四十年代の中ごろだった思いますがつくられた制度で、現在五百万でございますか、当時は最初十万の見舞い金から始まったわけです。これも法律にするには大変な大騒動をやって、七、八年かかってつくったわけでございます。  ですから、災害につきましては政府の判断、財政当局の判断もこれありますが、やはり国会がどうするかという基本姿勢が一番大事じゃないか、努力すればそういう制度ができるんではないかということを申し上げておきます。  それからこれは要望でございます。大臣に要望がございます。  先ほど中尾先生からも災害時の情報の伝達の問題がございました。今回の北海道南西沖地震、それから南九州の豪雨でもあったやに聞きますが、やはり通信手段が被害を受けてそれによる通信のおくれが被害を増大したという、災害対策における情報通信分野の強化というのは非常にいろんな意味で大事だと思います。  ちょうど細川連立政権でも、非公式に二十一世紀の社会システムとしての総合的な新情報通信ネットワークづくり、こういうものが構想されているように聞いております。災害対策の強化の一環として光ファイバーあるいは衛星、そういったものを使って通信放送関連施設を整備して、そういう情報のネットワーク化、これが災害対策はもとよりこれからの景気対策とか黒字減らしあるいは地方分権の整備、そういったもののもとになるということで非常に急がれる課題ではないかと思います。どうかひとつ閣内でも早急に抜本的に実施されますよう御発言されることを要望いたします。  以上で終わりたいと思います。
  238. 西岡瑠璃子

    委員長西岡瑠璃子君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時五分散会