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1993-08-24 第127回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年八月二十四日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 池端 清一君    理事 鈴木 俊一君 理事 萩山 教嚴君    理事 宮路 和明君 理事 村上誠一郎君    理事 石橋 大吉君 理事 西川太一郎君    理事 弘友 和夫君 理事 初村謙一郎君       稲葉 大和君    衛藤 晟一君       小坂 憲次君    佐藤 静雄君       塩崎 恭久君    七条  明君       鈴木 宗男君    住  博司君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       保岡 興治君    山本  拓君       横内 正明君    沢藤礼次郎君       鉢呂 吉雄君    濱田 健一君       前島 秀行君    金子徳之介君       工藤堅太郎君    白沢 三郎君       月原 茂皓君    星野 行男君       大口 善徳君    千葉 国男君       西  博義君    園田 博之君       藤村  修君    牧野 聖修君       石田 美栄君    吉田  治君       穀田 恵二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 康助君         (国土庁長官)  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官     山下 弘二君         国土政務次官  増田 敏男君         国土庁大都市圏         整備局長    足立穎一郎君         国土庁地方振興         局長      秋本 敏文君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       滝本 豊水君         文部省生涯学習         局学習情報課長 遠藤  啓君         文化庁文化財保         護部建造物課長 宮澤 智士君         厚生省社会・援         護局保護課長  松尾 武昌君         厚生省社会・援         護局更生課長  冨岡  悟君         農林水産大臣官         房審議官    福島啓史郎君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     石村  洋君         林野庁指導部治         山課長     工藤 裕士君         水産庁漁政部協         同組合課長   高濱 正博君         水産庁漁政部漁         業保険課長   澁川  弘君         水産庁漁港部防         災海岸課長   神瀬  哲君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全企         画審査課長   大野 栄一君         中小企業庁長官         官房総務課倒産         対策室長    稲見 雅寿君         中小企業庁指導         部組織課長   倉持 治彦君         運輸省鉄道局業         務課長     岩崎  勉君         運輸省鉄道局保         安車両課長   豊田 榮次君         運輸省鉄道局施         設課長     藤森 泰明君         運輸省海上交通         局国内旅客課長 齊藤 孝雄君         気象庁予報部予         報課長     櫃間 道夫君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      森  俊雄君         建設省河川局河         川計画課長   尾田 栄章君         建設省河川局治         水課長     山田 俊郎君         建設省河川局防         災課長     山口 嘉之君         建設省河川局砂         防部砂防課長  大久保 駿君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      瀬尾 克美君         建設省道路局企         画課道路防災対         策室長     納   宏君         建設省道路局高         速国道課長   井上 啓一君         建設省道路局国         道第一課長   辻  靖三君         建設省住宅局民         間住宅課長   藤田  真君         自治大臣官房参         事官      武田 文男君         消防庁防災課長 牧野 清文君         特別委員会第三         調査室長    菅野 和美君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十三日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     横内 正明君 同月二十四日  辞任         補欠選任   大石 正光君     佐藤 静雄君   大島 理森君     七条  明君   鈴木 宗男君     保岡 興治君   田口 健二君     濱田 健一君   金子徳之介君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 静雄君     大石 正光君   保岡 興治君     鈴木 宗男君   濱田 健一君     田口 健二君   白沢 三郎君     金子徳之介君     ――――――――――――― 八月二十三日  大規模長期災害における新たな被災者救済対策  に関する陳情書  (第八四号)  平成三年の台風十九号等による山林被害の二次  災害防止対策に関する陳情書  (第八五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 池端清一

    池端委員長 これより会議を開きます。  この際、国土庁長官及び国土政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。上原国土庁長官
  3. 上原康助

    上原国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月九日に国土庁長官を拝命いたしました上原康助でございます。災害から国民生命、身体、財産を守ることは国政の最重要課題であり、身の引き締まる責任の重さを痛感いたしております。  本年は、御承知のように、北海道南西沖地震災害平成五年八月豪雨災害と大災害が相次ぎ、従来から続いております雲仙岳噴火災害とともに、大きな被害をもたらしております。これらの災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  私も、鹿児島北海道被災地視察し、被害の大きさに改めて驚いておりますが、被災者方々生活再建被災地域復旧、復興に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、就任のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)      ――――◇―――――
  4. 池端清一

  5. 増田敏男

    増田説明員 ごあいさつを申し上げます。  去る八月十二日に国土政務次官を命ぜられました増田敏男でございます。  本年は特に豪雨災害、あるいは地震災害、あるいは噴火災害など、大きな災害が続いておりまして、私も、これらの災害で亡くなられました方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  災害を受けやすい我が国においては、国土を保全し、国民生命財産を守ることは国政基本であります。上原国土庁長官を補佐し、災害対策全力を尽くしてまいる所存であります。  微力ではありますが、一生懸命努めますので、委員長を初め委員各位の格別の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  6. 池端清一

    池端委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る八月十九日、平成五年八月豪雨等による被害状況調査のため、鹿児島県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表いたしまして、便宜、この席から調査概要について御報告を申し上げます。  派遣委員は、自由民主党自由国民会議萩山教嚴君日本社会党護憲民主連合石橋大吉君、新生党・改革連合西川太一郎君、公明党の弘友和夫君、さきがけ日本新党の初村謙一郎君、自由民主党自由国民会議住博司君、民社党・新党クラブ吉田治君、日本共産党穀田恵二君、そして私、池端清一の九名であります。  地元から、理事宮路和明君、委員小里貞利君、松下忠洋君、宮崎茂一君、地元選出議員保岡興治君、濱田健一君、徳田虎雄君の御参加を得ました。  本年の鹿児島地方は、雨量の多い梅雨を迎え、そして七月末の台風五号と六号の影響により、七月の県内降水量は平年の三倍から四倍となりました。そして、七月三十一日から八月二日にかけて、県の中部を中心集中豪雨が襲い、特に姶良郡溝辺町では八月一日十六時四十分から十七時四十分までの一時間に百四ミリという記録的な大雨となりました。さらに加えて、八月五日から六日にかけて鹿児島市及びその周辺を中心に局地的な集中豪雨に見舞われ、鹿児島市では平年の三倍の降水量があった七月に続いての大雨となりました。  このような豪雨の結果、県内各地土砂崩れ河川はんらん道路の水没などが起き、甚大な人的被害物的被害が生じました。そして、県内の二市六町に災害救助法が適用されたところであります。  八月十七日現在で、六月十二日から八月十日までの集中豪雨による被害状況のうち、七月三十一日から八月六日の間の県内被害は、人的被害が、死者七十一名、行方不明者一名、重傷者二十一名、軽傷者百二十一名であり、物的被害が、住家の全壊四百四棟、半壊二百五十棟、一部破損五百六十八棟、床上浸水九千四十九棟、床下浸水七千二百六十六棟、そして河川道路、橋梁、農地、農業用施設山林、店舗、学校などが壊滅的被害を受けました。同期間の物的被害の総額は約九百二十一億円に達しました。六月十二日から八月十日までで見ると、死者八十五名、行方不明者一名となり、一般被害を除く被害額は、千四百十八億円余となっております。  このような今次災害によりとうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、残された被災者方々に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。  それでは、調査の順を追って御報告をいたします。  まず最初に、鹿児島空港からヘリコプターで鹿児島湾岸に沿って、約六十分間にわたり被災地域上空から視察いたしました。視察箇所は、隼人松永地区国分姫城地区名波地区垂水二川地区鹿児島花倉地区三船地区竜ケ水地区九州縦貫道桜島サービスエリアそして姶良域瀬橋であります。五名の死者を出した隼人松永地区のかけ崩れ現場は、緑の山肌の斜面がえぐれ、茶色に変色し、大変悲惨な状況にありました。二名の死者を出した国分名波地区のかけ崩れ現場は、山の急斜面が崩壊しておりました。次いで、垂水上空を経て対岸の鹿児島市に飛び、鹿児島竜ケ水地区のかけ崩れ現場では、崩れ土砂がけ下国道十号線と日豊本線まで達し、さらに九州縦貫道桜島サービスエリアは、崩れ土砂により埋没いたしました。災害つめ跡のすさまじさは、まさに言語に絶するものがありました。  次に、バス国分姫城地区に到着し、現場では谷口国分市長から、国分市全体で七名の死者を出した八月一日の大雨被害状況などの説明を聞いた後、姫城地区のかけ崩れ現場視察いたしました。現場は、高さ百メートルほどの急斜面が大きく崩壊し、大きな石、折れた大木そして土砂などが散乱し、自然の猛威による惨状はまさに目を覆うばかりでありました。この現場は、発災当時住民が避難をしていたのでありますが、もし避難がおくれていたらどうなっていたかを考えると、背筋が寒くなる思いがいたしました。  次に、鹿児島県庁で、土屋鹿児島県知事赤崎鹿児島市長及び川崎JR九州常務取締役から、概況説明陳情を受けました。  知事は、今回の災害に関し、鹿児島地方の降雨の状況被害状況救助活動概要被害額などの説明をされ、今回の災害の大きな原因の一つとして、鹿児島地方には鹿児島県特有のシラスで覆われた丘陵が非常に多いことの特徴を挙げられました。陳情としては、国として応急救助活動経費及び災害弔慰金等について手厚い予算措置を講じてほしいこと、シラス土壌の弱さの対策として、単なる災害復旧ではなく、将来にわたって被害を防止できるような改良復旧を採用すること、今回の一運の大雨を一体としてとらえて激甚災害の指定をしてほしいなどでありました。特に、鹿児島市内甲突川復旧工事河川激甚災害対策特別緊急事業を採択してほしいとの要望鹿児島湾西岸の海の端を走る国道十号線の改良復旧必要性指摘がございました。  市長からは、概要説明の後、八月六日の大雨により、甲突川などの都市河川はんらん国道三号線、十号線などの幹線道路寸断などにより、一時鹿児島市が陸の孤島となった恐ろしい状況が語られました。そして、特にシラス土壌の中で、がけ地近接等危険住宅移転事業の積極的な推進要望されました。  川崎常務からは、三年前の九州豊肥本線の受けた災害を上回る被害を出した今回の日豊本線のかけ崩れによる寸断被害説明陳情がありました。  次に、県庁を出て、バス国道三号線を甲突川を左に見て北西に下り、松嶋建設省鹿児島国道工事事務所長説明を聞きながら、市内河頭地区被災状況視察いたしました。八月六日の甲突川はんらんによる被害状況は、既に重機が入ってかなり復旧されているにもかかわらず、いまだ至るところにそのつめ跡が残っておりました。道路の損壊が私ども行方を遮るかのように見られました。また、甲突川の川岸が至るところで崩れておりました。  そして、小山田地区の地盤大陥没の現場視察いたしましたが、ここは、深さ約三十メートル、距離にして約六十メートルもの広範囲にわたって国道三号線及びその周囲が陥没し、大地に巨大な穴をあけているところであります。付近に立った私どもも、地の底に吸い込まれるような錯覚を覚えました。  そして最後に、吉田町に向かい、大角吉田町長説明を聞きながら、吉田町の被災状況視察いたしました。吉田町は八月一日と六日の二回にわたって集中豪雨に襲われました。一帯では、かなり復旧された後であるにもかかわらず、がけ崩れ付近中小河川はんらんによる水田の流出と土砂の流入による埋没などが、生々しく私どもの目前に展開されました。そして、西佐多浦地区被災現場に立ちましたが、ここは山が崩れ土石流とともに大量の流木が押し寄せたところであり、土石と流木ばかりの世界となっており、すさまじいばかりの様相でございました。  調査を通じて感じたことは、まず第一に、自然の猛威の前には人力は無力なるがゆえに、常日ごろの事前の防災対策が何よりも大切であるということであります。そのためには具体的に、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所及び土石流危険渓流などの危険箇所整備積極的推進を図ることが必要であると考えます。第二に、鹿児島地方シラス土壌のような災害に弱い特段の事情がある場合には、改良復旧必要性が特に重要であると思います。災害という自然現象を考える場合、地域事情に応じたきめの細かい災害対策が大切であると考えられるからであります。第三に、国の被災自治体に対する財政支援必要性であります。  調査報告を終えるに当たり、今回の災害被災されました方々に改めてお見舞いを申し上げますとともに、日夜災害対策に努力をされております関係者各位感謝を申し上げ、調査に全面的に御協力を賜りました鹿児島県、鹿児島市、防衛庁を初めとする多くの関係者各位に心からお礼を申し上げまして、報告を終わらせていただきます。  この際、お諮りいたします。  鹿児島県並びに鹿児島市からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 池端清一

    池端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔要望事項本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  8. 池端清一

    池端委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  9. 宮路和明

    宮路委員 私は、鹿児島一区から選出されております宮路和明でございますが、今般の鹿児島豪雨災害に関しまして、その迅速かつ的確な救済対策復旧対策推進をぜひとも図っていただきたい、こういう観点から、上原国土庁長官を初め政府当局に若干の質問をさせていただきたいと思います。  ただ、その前に、まず、今回の災害によってとうとい命をなくされた多くの方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者方々衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。  それでは、最初国土庁長官にお尋ねをいたしたいわけでありますが、まず第一に、政府として、今回の鹿児島県下における豪雨災害をどのように受けとめ、そしてその救済復旧にどのように取り組んでいかれるお考えであるか、その基本的姿勢についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。  と申しますのも、先ほど委員長から御報告がございましたような鹿児島の今回の豪雨による災害は、かつて経験したことのない、まさに未曾有のものであったわけでございまして、それに対応して、政府におかれても早速八月九日に非常災害対策本部を設置されました。上原国土庁長官本部長として設置されたわけでありまして、そして八月十一日には政府調査団上原団長以下現地調査されました。  そして、十三日には細川総理みずからが現地にお入りになったわけでございますけれども、私は率直に申し上げまして、その細川総理がお見えになった際、現地視察された際、当然防災服を着用されて現地を訪問されるものというふうに思っておったわけでございますけれども、びっくりいたしましたことに、大変仰天をしたわけでありますが、防災服ではなくて、通常のワイシャツにネクタイ姿ということで現地に入られたわけであります。そういう姿で被災地をずっと視察をして図られた。まさに仰天し、そしてまた、政府のこの対策に対する取り組みについてどういう基本的な考え方、姿勢でやっていかれるつもりなのか大変疑念を抱いたわけであります。  現地では、大変な災害の中で、皆さんが本当に泥まみれになり、そして汗まみれになって、一生懸命災害復旧に取り組んでおられる。そこに先ほどのような姿で入られたわけでありますから、何となく散歩気分でお見えになったんじゃないかという気すらいたしたわけでありまして、現地で一生懸命頑張っておちれる皆さんの、士気を鼓舞するどころか、その士気を阻喪さしてしまったんじゃないかというふうな懸念すら強く抱いたわけであります。そして、これは、私がそうした気持ちを抱いただけでなくて、現地でも、その後もそうした声が数多く聞かれたわけでございまして、大変私どもはこの点失望し、そして、先ほど申し上げたように、政府のこの対策に取り組む姿勢というものは一体どういうものなのかということに強く疑問を抱いたような次第でございます。  そこで、上原国土庁長官にお聞きしたいのでございますが、総理のこうした姿での現地視察について、どういう感想をお持ちであるか、まず第一点お聞きしたいと思います。
  10. 上原康助

    上原国務大臣 宮路先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思いますが、お答えする前に、水災害対策特別委員会として、先ほど池端委員長から御報告がありましたように、早速委員会各党派の代表の皆さん現地に足を運ばれて、鹿児島豪雨災害の実情を視察なさって、いろいろその災害復旧について政府に督促をしておられることの労を高く評価し、お礼を申し上げたいと存じます。  今宮路先生から三点ばかり御質問があったわけですが、御案内のように、八月九日に細川内閣が誕生をいたしまして、総理の方からも、ぜひ鹿児島豪雨対策については迅速に対処をしてもらいたいという特命を私はいただきました。その日にでも鹿児島入りをする予定を立てたわけですが、あいにく台風第七号の襲来もあって、今宮路先生おっしゃいましたように、八月十日の晩鹿児島に入って、十一日現地視察させていただきました。  宮路先生初め関係者の御協力に対しても厚くお礼感謝を申し上げますが、それを受けて、九日に非常災害対策本部を設置して、私が本部長になって、国土庁関係省庁連携をとりながら、できるだけ迅速に災害復旧、あるいはお亡くなりになった方々へのいろいろの手だて、また被災を受けた方々、もちろん遭難者捜索等についても、一生懸命関係省庁協力をし合いながら、鹿児島県や地方自治体の御協力も仰いで、やってまいりました。十分御期待には沿えてない面もあろうかと思いますが、この未曾有豪雨災害、百年ぶりあるいは百五十年ぶりとも言われている凄惨な災害でありますので、政府としては真剣に誠意をもって対処している点を御理解賜りたいと存じます。  そこで、総理も十三日に、御指摘ありましたように、鹿児島入りをしていただいたわけですが、この点は、私がいろいろ鹿児島県や関係者皆さんからお聞きをする限りにおいては、総理が足を運ばれたことに、大変よかった、こう評価をしていただいておると思います。  ただ、防災服着用云々の問題は、総理も初めてのこういう御経験総理となられての御経験であったということと、突然いろいろの激務の中で行かれたということなどもあって、十分そういった準備などもあるいはない面もあったかもしれませんが、決して、防災に対して、あるいは鹿児島のこの災害に対して、総理が軽く見ておられるとか、また総理だから防災服はおつけにならない、そういうお気持ちからこういうことになったとは私は理解をしておりません。そういう意味で、宮路先生の御指摘については十分意にとめて、総理にもまたこういう御意見もあったということを私たちも伝えながら、もし地元関係者に誤解なりあるいはいろいろ御意見等があれば、そういうことも尊重をしていくように、こういたしたいと思いますので、御理解を賜りたいと存じます。
  11. 宮路和明

    宮路委員 今の長官お話ですと、総理とされて初めての被災地視察といったようなこと、あるいは組閣後の慌ただしい中での突然のスケジュールといったようなこともあったんじゃないかというようなお話もございましたけれども、私どもは、そんなことは、率直に言って、なかなか理解に苦しむことであるわけでありまして、総理とされて現地視察される以上は、やはり先頭に立って、みずからが地域人たちとともに悩み、地域人たちとともにこの災害というものを悲しみながら、そして災害復旧あるいは救済に向けて、本当に汗まみれ泥まみれになっても、一生懸命やっていくんだという気持ち現地皆さんに伝え、そして、現地で頑張る皆さん方士気を鼓舞するためにも、当然従来どおり防災服を身にまとっていただいて、そして現地視察をやっていただくべきだったというふうに私は思うわけであります。  ですから、今後国土庁とされて、国土庁長官とされて、そうした防災対策あるいは災害対策のいわば調整官庁といいましょうか、最高の責任者とされて、その対策に取り組まれていく中で、今後こうした事態が二度と起こらないように、ぜひともその辺は強く肝に銘じてひとつお取り組みをいただきたい。そして、今回の鹿児島災害は、先ほど来お話がございましたような百五十年ぶりとかいうことではなくて、これはもう歴史になかったような大災害でありますから、ぜひともひとつ渾身の努力を傾けて、総力を挙げて、政府におかれてひとつその災害復旧あるいは救済対策にぜひお取り組みをいただきたい、このように願う次第であります。  そこで、次にお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、今回の災害では、先ほど委員長からの御報告がございましたように、大変特徴があるわけでありまして、単に、豪雨によってそのはんらんがあった、そしてそれによっていろいろな災害が起こったということだけではなくて、各所で鹿児島独特の土壌でありますシラスの崩壊、シラス土壌の山地やあるいはがけの崩落といいますか崩壊が随所に起こって、そしてそれがもとで大量の土砂や立木が流出をいたしまして、それが流水と一緒になって、河川をふさいだり、あるいはまたはんらんして河川を決壊させたり、そしてそれが農地を流失させ、あるいはまた農地を埋没させている。さらにまた、道路や鉄道といった輸送機関を埋没させたり、あるいは決壊させたり、分断させているというケースが非常に多いわけでございます。これが今回の災害の大きな特徴でございます。  そこで、これらの災害復旧を効果的に進めるためには、治山事業だとかあるいは急傾斜地の事業だとか砂防、河川の改修、道路の改修、鉄道の改修、さらにまた鉄道の復旧、あるいは農地や農業施設の復旧といった各般の事業を一体としてとらえて、総合的に、そしてしかも、どれからどうやるべきかといったような順番をつけながら、計画的に取り組んでいかないと、効果的な災害復旧というものは不可能であると私は思うわけでございます。  したがいまして、そのためには現場における、地元における体制のそういうための取り組みが必要であるわけでありますけれども政府におかれても、地方自治体を十分そういう方向で指導していただくためにも、中央における体制というものをそのためにしっかりと早期に確立していただかないことには、これはうまくいかないじゃないかというふうに思うわけでありまして、この点の中央における、政府における体制の早期確立ということをぜひ要望したいと思うわけでありますが、その点とういうふうに取り組んでいかれるお考えでしょうか。
  12. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 ただいまの先生のお話でございますが、災害復旧をいたします場合に、原則といたしましては、個々の施設の管理者がそれぞれの災害復旧を行うわけでございますが、今回のケースのように、例えば竜ケ水地区のように、国道と鉄道、それから急傾斜地の崩壊防止事業といったようなものを、先生の御指摘のように、確かに総合的に実施しなければ、その効果を上げることができないようなところも多々あろうかと存じます。そういった場合には、今後とも関係省庁それから関係地方公共団体とも密接な連携をとりながら、そういった意味で円滑な災害復旧事業が実施されるように、政府におきましても、関係省庁と適切な連絡をとりながら実施をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 宮路和明

    宮路委員 ただいま防災局長の方から竜ケ水のお話があったわけでありますが、実は、先ほどの委員長の御報告にございました吉田町の例でありますけれども、ここらは竜ケ水の場合よりもさらに、山地の崩壊によって、それがもとでの広域的な大変な被害というものが発生しておる地域でございまして、私が申し上げたような観点からの災害復旧の体制づくりというものが大変重要な地域だというふうに思うわけであります。地元においても、町長さんを初め関係者からそうした切なる要望があったわけでありまして、したがって、防災局長とされても、そういった点をいま一度深く御認識をいただいて、ひとつ精力的にこの体制整備の問題に取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。  次に、激甚災害の指定の問題を御質問させていただきたいと思います。  先ほど配られました県やあるいは市の方の要請事項の中でも、一番大きな問題として、激甚災害の指定を早期にやってほしいという要請があるわけでございます。これから被害額の確定を急いでいただいて、その上でこの手続を踏んでいただくということになるわけでありますが、とにかく未曾有の大災害ゆえに、現地においては、何としても激甚災の指定をいただいて、そして政府による強力な財政的バックアップのもとにこの災害復旧に取り組んでいく以外に道はないという思いでいっぱいであります。  したがって、従来、激甚災の指定は、被害額の確定を待って、天災融資法の関係については、その天災融資法の発動と並行して激甚災の指定をし、一方、公共事業あるいは農地、農業施設といったような分野については、その天災法の発動とはまた別に、年度末においてその指定をするといったような慣行があるふうにお聞きしておるのですが、今回は、そうした過去の慣例にとらわれずに、できるだけ早期にこうした公共事業関係の激甚災の指定についても、ぜひとも一日も早くその指定をやってもらいたい、こういうふうに考えるわけですが、その点とういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  14. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 激甚災害関係の指定につきましても、被害額を早急に把握いたしまして、政令で定めます基準に該当しておりますものにつきましては、できるだけ早く作業を進めたいというふうに考えておるところでございます。  今御質問がございました公共土木施設の関係でございますが、御承知のように、激甚災の場合に、広域的な地域について指定いたします本激と、それから市町村の区域につきまして指定いたします俗称局激というのがございますが、本激の場合につきましては、年度末を待たずに、判明次第従来から指定いたしております。ところが、局激の場合には、先生がおっしゃいましたように、二月ぐらいにまとめて指定をしているということでございます。  それはなぜかと申しますと、同一の市町村が同一年度内に再度災害を受けるというケースもあるわけでございます。そういたしますと、激甚災害の指定をいたします場合に、仮に再度災害を受けました場合には、その再度の被害額を合計して計算いたしました方が市町村に対する援助額がふえるという実態がございます。そういったこともございますので、年度末に一括して指定して運用をいたしているところでございます。  ただ、災害復旧事業自体は激甚災害の指定を待たなくとも当然実施が可能でございますし、さらに、地方公共団体が災害復旧事業に年度途中で着手した場合でございましても、年度途中の概算交付とかあるいは普通交付税の繰り上げ交付等の措置によりまして、当該地方公共団体の財政運営に支障が出るというようなことはないように措置しているところでございます。  今後とも、早急に災害復旧事業に着手できますように、関係省庁とも密接な連携をとりながら努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 宮路和明

    宮路委員 今のお話では、年間を通じて被害額を計算した方が当該市町村にとってプラスになるんじゃないか、そういう配慮のゆえにこれまでそうした措置をとってきた、こういうことでございますけれども、今回の災害はとにかく大変な災害で、一市町村の年間の予算額をはるかに超える災害を受けているという市町村もたくさんあるわけでありまして、そういう面から、とにかくそうした市町村に災害復旧に向けての安心感というものを早く与えてあげて、そして、災害復旧に取り組む地元士気というものを鼓舞するという上からも、ぜひとも早く激甚災の指定という、いわば正式決定でなくても、内示でも早くいただくような、そういう姿というものを示していただいて、そして、そうした災害復旧が速やかに行われるような万々の配慮をぜひ加えていただきたい。このことを強く要望いたしたいと思う次第でございます。  それから、あと一点は、先ほどの委員長報告の中にもございました、今回の集中豪雨といいますものを、六月中旬以降の梅雨と八月九日の台風第七号による雨、これらの長雨による災害というものを一括して激甚災に指定してもらいたいという要望が非常に強いわけでございます。  それといいますのも、気象庁の方では七月九日に梅雨明け宣言を出したわけでありますが、しかしその後も、私どものこれはまさに選挙期間中でございましたけれども、ほんのわずか雨が上がっただけで、あとはまた大変な豪雨が連続してずっと続いたわけであります。したがって地元では、これらの豪雨による災害を、この災害は別な気象現象による災害であり、これはまた別なものであるというふうに仕分けをして、区別して扱うことは非常に理解を得ることが難しいといいましょうか、そんな状況にあるわけでもございます。  ですから、そうした区別をいたしますと、また市町村間における大変な差別というようなことも出てまいったりすることもございますし、今回のこの異常現象の中でのこうした相次ぐ豪雨でございましたから、それらを一括して一体としてとらえていただいて、そうした観点からの激甚災の指定というものをぜひひとつ賜りたい、こういうふうに考えるわけでありますが、この点はどうでございましょうか。
  16. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  一運の気象現象というふうに言うためには、引き続いた前線による大雨であるということを気象学的に確認することが必要であります。御指摘の八月上旬の鹿児島県を中心とする大雨については、戻り梅雨によるものというふうにも考えられますけれども、どこまでを梅雨前線の影響と言えるのか、ただいま調査しております。
  17. 上原康助

    上原国務大臣 若干私の方から、今の激甚災と、また五月-七月の梅雨どきに加えて八月の集中豪雨被害が大きくなったこと等もありまして、その災害被害に対して激甚指定をどうするかというお尋ねでございますが、先ほど防災局長と今気象庁の方から御答弁がありましたように、いろいろ激甚指定をするまでには実態の掌握と一定の手続面があることは、宮路先生もおわかりのとおりであります。しかし今何、私も以前災害対策委員長もさせていただいたこともありますので、地元に足を運んで感ずること、あるいは強く要望を受けることは、激甚指定を早目にやっていただきたいということは、もうどういう災害の場合でも強いわけですね。これはまたよくわかる気もいたします。政治論としては、お互い、特に災害については与野党の立場を超えて、超党派で推進をしてきた経緯もあります。  そこで、今回の場合も、いろいろ事務手続上あるいは中小企業とか農林水産関係とか港湾、船舶等々のそれぞれの省庁のやるべきことをやらねばいけないことはあるでしょうが、国土庁として、その実態を窓口として掌握して、迅速にやるようにということで、私の方からは特に、国土庁はもとよりですが、関係省庁の方々、また閣僚の皆さんにもお願いをしてございますので、少しく時間がかかっている向きもございますが、今防災局長や気象庁の方から御答弁ありましたことも踏まえて、御期待に沿うように努力をさせていただきたいと存じます。
  18. 宮路和明

    宮路委員 ただいま国土庁長官からお話がございましたが、ぜひとも長官の強力なリーダーシップのもとに、今回の激甚災の指定をできるだけ早期にやっていただくと同時に、一連の災害を一体のものととらえての指定をひとつぜひ行っていただきますよう切にお願いをいたしたいと思う次第であります。  次に、建設省の方にお尋ねをいたしたいと思いますが、先般来のお話のように、今度の災害によって、鹿児島の大動脈であります国道三号線それから十号線がもうずたずたにやられたという、大変惨たんたる被害をこうむっておるわけであります。そこで、今後の鹿児島県内の経済活動あるいは県民生活の正常化のために何としても早期復旧が急がれるわけでございますけれども、その復旧の見通しはどういうふうにお持ちであるか、ひとつその点をまずお聞きしたいと思います。
  19. 辻靖三

    ○辻説明員 国道三号につきましては、鹿児島市小山田町内において甲突川沿いの約百メートルの区間が決壊しましたほか、数カ所において土砂が崩落しました。現在まだ交通どめとなっております小山田町内の本復旧につきましては、相当長期間を要する見込みであります。このため、地元鹿児島県、鹿児島市等の協力を得て、仮設道路のための用地の確保を図り、早期に暫定的な交通の確保を図ることとしております。既に現地の測量は完了しておりまして、関係者との調整を行い、必要な用地を確保した後、工事にはおおむね二、三カ月を要する見込みでありますが、一日も早い供用に向けて今後とも努力してまいります。  国道十号につきましては、鹿児島市吉野町磯から姶良町脇元までの約千二キロの区間につきまして、至るところで土砂崩落がありました。特に、道路に斜面が接している吉野町磯から花倉付近までの約一・五キロメートル間につきましては、浮き石等が崩落する危険がありまして、道路端に防護工を施工するなど、今月末までに交通確保ができるよう鋭意応急復旧工事を実施中でありますが、さらに、一日も早い供用に向けて今後とも努力してまいりたいと考えております。
  20. 宮路和明

    宮路委員 私、実は先般地元鹿児島国道事務所を訪れてみたわけでありますけれども、まことに気の毒なことに、国道事務所の職員の皆さんの宿舎も甲突川はんらんによって泥水をかぶってしまいまして、自分の宿舎の家財その他もめちゃくちゃにやられてしまった。自分のうちには帰ることができない。そういう状況の中で松嶋所長以下、本当に泥まみれ汗まみれになって、庁舎の中に寝泊まりしながら、とにかく土曜、日曜も、そしてお盆も返上して、本当に不眠不休で、一生懸命こうした道路災害復旧に向けて頑張っておる姿に接したわけであります。ですから、大変な御努力を、地元皆さんが御苦労を重ねておられるわけでありますが、県民生活あるいは県全体の経済活動の本当に浮沈を握っているこの三号線、十号線の復旧問題でありますから、どうかひとつ本省の方におかれても、重々その点配慮していただいて、一日も早い復旧が実現するように万全の御配慮を賜りたいと思う次第であります。  そして、それと同時に、この両国道は今の状況では非常に災害に弱いといいましょうか、そういう立地条件に置かれた国道でありますので、当面の復旧は先ほどのようなことで急いでいただくとして、何としても今後これの抜本的な改善改良というものを図っていただかないと、再びこうした事態に立ち至ることになるんじゃないかというふうにも思われるわけでありまして、ひとつどういうぐあいに今後この両国道の改良、整備というものを考えていかれるのか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  21. 辻靖三

    ○辻説明員 国道三号、十号につきましては、これまでも必要な防災対策を実施してきたところでございますが、国道地域の生活に直接かかわる社会基盤でありますので、災害等にも十分な安全性が確保できるよう、今回の被災状況を踏まえ、今後とも適切な防災対策を進めてまいります。  特に、国道三号鹿児島市小山田町内における甲突川にえぐられた区間につきましては、今後、河川管理者と十分調整をいたしまして、同様の被害が起きないよう対策を講じてまいる所存であります。  また、国道十号につきましては、鹿児島市磯から花倉の付近につきましては、鹿児島北バイパスとして海岸沿いに都市計画決定し、事業を実施中でありますが、県、市等、地元の御協力を得ながら本事業の推進に努めてまいります。その北側の花倉から姶良町白浜間につきましても、今回の被災状況を踏まえまして、災害に強い道路づくりを目指しまして、ルート、構造等を検討してまいりたいと考えでございます。
  22. 宮路和明

    宮路委員 そうした対策を今後さらに一生懸命ぜひ取り進めていただきたいと願う次第であります。  次に、運輸省にお聞きをいたしたいと思うのですが、実は日豊本線それから肥薩線に甚大な被害がありまして、もうお聞き及びのとおりだと思いますが、御承知だと思いますが、両線の一部区間はいまだに運行中止の状況になっておりまして、しかも復旧の見通しが今もって立っていないということであります。これらの鉄道が地域の交通あるいは地域の経済発展に果たす役割というのは大変大きいわけでありまして、その一日も早い復旧地域皆さんの切なる願いとなっておるわけであります。  ところが、今回の災害の特徴は、先ほど申し上げたように、鉄道の場合も、鉄道のみならずその周辺の山やがけが崩れてきてしまった、あるいは河川道路が決壊して埋まった、そういったものと一体となって、広範囲にわたる災害の中で鉄道も損壊をしている、こういうような状況にあるわけでございます。  したがって、これらの鉄道の損壊を、JR九州の自力のみによって、みずからの力のみによって復旧を行うということは、現在のJR九州の経営基盤の脆弱性といった点からいっても、これはなかなか難しい、というよりも不可能である、こういうふうに思うわけでありまして、したがってこの復旧を実現するためには何としても鉄道軌道整備法、三年前の豊肥線の復旧の際にも適用をされましたあの鉄道軌道整備法による助成措置の適用というものが不可欠だというふうに私ども強く認識をいたしておるわけでありますが、その点とういうふうに運輸省として検討されておられ、そして取り進めていこうとしておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  23. 藤森泰明

    ○藤森説明員 ただいま委員指摘のとおり、鉄道施設が大規模な自然災害を受けた場合には、災害の規模あるいは鉄道事業者の経営状況等が一定の用件を満たした場合には、その災害復旧費につきまして鉄道軌道整備法に基づく補助を受けるという制度ができておるわけであります。  それで、今回の豪雨によるJR九州の被災につきましては、現在JR九州におきまして被災状況調査中でございます。したがいまして、運輸省といたしましては、その調査結果を待ちまして、被害がその所要の要件を満たしましたらば補助を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  24. 宮路和明

    宮路委員 JRのこれまでの調査によりますと、五百六十四件の被災があって、そして被害額も五十数億円に既に上っておる、そういう数字を私どもは聞いておるわけであります。しかも、先ほども申し上げたように、JR九州は大変経営基盤も弱い。  実はこの間、去る十九日に私の地元の喜入町というところで踏切事故がございました。これも、JR指宿枕崎線における踏切事故で、小学校四年生の子供が汽車にはねられて亡くなったわけでありますが、この踏切が、遮断機もなければ警報機もついてないという、踏切の種類としては第四種という踏切だそうであります。これはもう、全国的にこういう踏切というのはほとんど残されてない。JR九州と、あと北海道、四国のJRについてはそういうものもあるそうですが、全国的にはもう珍しい存在となった踏切のようでありまして、そういったものが九州にはまだ数多くあるというのも、JR九州の経営基盤の弱さを私は象徴しているんじゃないかというふうにも思うわけであります。  ですから、そういった脆弱な経営基盤であるJR九州に今度のような本当に未曾有災害復旧の負担をその独力にゆだねるということがあったら、到底無理なことでありますから、何としてもそうした点に深く思いをいたしていただいて、運輸省としても、先ほどの軌道整備法の助成措置の適用というものをひとつぜひ実現するようにお取り組みを願いたいと思う次第であります。  最後に、中小企業庁にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の豪雨による大災害の中で、特に鹿児島市における甲突川あるいは稲荷川そしてまた新川といった主要な河川はんらんを起こし、あるいは決壊をいたしまして、そしてこれら河川の周辺の商店あるいは工場あるいは事業所等に甚大な被害を与えておるわけであります。これまで鹿児島県の方で取りまとめられました商工業関係の被害額というのは、現在の段階で商工業関係二百六十億円だというふうに聞いておるわけでありますが、この圧倒的部分が鹿児島市に集中をしている、そういう状況であります。  ところが、これら被災者被災された中小企業者が加入している火災共済でありますけれども、その火災共済におきましては、床上浸水等によって商品やあるいは原材料そしてまた機械施設、こういったものが今回泥水をかぶってもうめちゃくちゃになってしまった、使用にたえない、こういう状況が起こっているわけでありますけれども、これらの損害が生じた場合の補てん額が、火災共済においては共済金額掛ける五%、共済金額の五%相当または百万円のいずれか低い額というふうになっておるのでありまして、大方の場合はもう百万円で要するに頭打ち、こういうことであります。掛けておる共済金額は相当なものであり、損害額も数千万円というふうなことになっておるわけでありますが、それに比べて百万円というのは極めて小さな額であって、本当にこれらの被災者復旧をしていく上では役に立たないと言っても過言ではないほどの少額な金額であるわけであります。そして風害、台風災害ですね、あるいは雪害、火災といった場合の補償に比べて、これも極端に冷遇されている、水害の場合ですね。  こういった仕組みになっておるわけでありますが、その点とういうふうに考えておられるか。これを何としてもとにかく改善してもらいたいというのが地域皆さんの非常な、中小企業者の方々の強い願いであり、県やあるいは鹿児島市の方の要請の中にもそうした点が掲げられておるわけでありますけれども、この点とういうぐあいに考えておられ、またどういう改善を図っていこうというふうに考えておられるか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  25. 倉持治彦

    ○倉持説明員 先生御指摘のように、火災共済制度におきます水災の場合の支払い額、特に御指摘の設備、商品等の損害が生じた場合につきましては、現行では百万円を限度といたしまして共済金額の五%を支払うということになっております。こうした限度額を設定している背景には、水災が起こった場合には損害が大規模かつ広域になることが予想されておりまして、損害額をそのまま支払った場合には、組合の財政上その運営が困難になるというような事情がございます。こうした事情によりまして、共済制度のみならず、企業でやっております保険制度、損保の制度でも同じような限度額の設定ということが行われております。  先生御指摘の支払い限度額の引き上げにつきましては、火災共済が火災共済組合と個々の中小企業者たる組合員との契約ということである点、それからまた、支払い限度額の引き上げを行った場合には、再共済機関である日火連における再共済制度の見直しということも必要となってくることなどから、火災共済制度の根幹にかかわる大きな問題と我々認識しております。このため、全国の火災共済組合全体のコンセンサスを得て進めていくことが必要と考えております。  日火連、通産省それから大蔵省共管でございますが、組合員ニーズを踏まえまして、改善できる余地があるのかどうか、火災共済組合それから日火連を含めて、組織全体で検討していくよう要請していきたいと考えております。
  26. 宮路和明

    宮路委員 今、中小企業庁の方からお話があったように、いろいろな事情があって、百万円限度額ということになっているんじゃないかと思いますけれども、それにしましても、何千万も損害をこうむったのに百万円ということでは、水害における火災共済の補てんの意義というのが、百万円というこの金額をもってして、では今日的な意義があるのかどうかということになると、甚だ私はこれは疑問じゃないかなというふうに思うわけであります。  ですから、もう今日この百万円というのは、本当にそうした存在する価値といいますか意義といいましょうか、そういう面から見ても、甚だ疑問なしとしないわけでありまして、共済のことでありますから、いろいろな方面への影響まことに大なるものがあるというふうに思いますけれども、ひとつこの際、この共済によって救われたという方々はまずほとんどいないと言ってもいいぐらいのような実態でもありますし、今度の被害額に比べてですね。  ですから、水害に対する共済制度のあり方というものをひとつ抜本的に見直していただくような、基本的に見直していただくような、そういう方向での取り組みをぜひ進めていただけないものか。そうでないと、今回のようなこういう被害を見ながら、全くこの共済が、関係者の、契約者の災害復旧ということにほとんど役に立たなかったというふうなことに相なるわけでありますから、ですから、その点重々配慮していただいて、ひとつぜひ前向きの積極的なお取り組みを切に要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  27. 池端清一

  28. 松下忠洋

    松下委員 松下忠洋でございます。鹿児島二区の選出でございまして、今回鹿児島県を襲いました集中豪雨による大災害をまともに受けた地域の者でございまして、鹿児島市の災害だけが特にいろいろ注目を浴びているようでございますけれども、今回の災害鹿児島県全体について幅広い災害が起こったわけでございまして、それにつきまして、私も、五十分時間をいただきましたので、御質問申し上げたいと思っております。  最初に、今回の災害でたくさんの方々が亡くなられました。その方に対する御冥福を心からお祈り申し上げまして、その方たちの犠牲を無にすることのないように、再度災害を防止するという観点からいろいろ御質問を申し上げたいというふうに思っております。  まず、国土庁長官にお聞きしたいと思います。宮路理事の御質問と重複する部分はできるだけ避けながら進めていきたいと思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。  今回の災害は、鹿児島シラス土壌といいます、火山灰あるいは火山れきという特殊な土壌が厚く堆積している地域大雨が降って、あのような災害が発生いたしました。シラス台地といいますのは、これは今雲仙でいろいろ話題になっておりますけれども、火砕流、あの大昔の火砕流の堆積物の一種と言われておりますけれども、ふだんはからからで一見非常に強そうに見える、直角に近い角度で屹立しておるがけでございますけれども、一たん水を含みますと、大雨でそれがぽろぽろと崩れ落ちて、粘着力がないものですから、ああいう大きな山崩れやがけ崩れを引き起こすということになります。そのような地帯に大雨が降りましたものですから、ただ単に山が崩れた、がけが崩れ道路河川被害をもたらしたということだけではなくて、鹿児島県をいろいろ走り回っております高速道路、あるいは三号線、十号線という根幹の幹線をなす道路に大被害を与えました。鹿児島県が、長期間にわたりましてその経済活動、そして幅広い市民の社会活動、市民生活が大打撃を受けたわけでございます。  一日も早い復旧を願っておるわけでございますけれども、大臣、今回現地視察されまして、どのように今回の災害の現状を認識してお帰りになりましたか。そしてまた、今後の対応につきまして、緊急にしなければならないこと、そしてまた、将来をにらんで、どんなふうに復旧、復興をしていこうと考えておられますか。その基本的な姿勢、考え方をお聞きしたいと思います。
  29. 上原康助

    上原国務大臣 松下先生の今のお尋ねに御答弁をさせていただきますが、せんだって私たち政府調査団として現地に足を運びました際に、松下先生にも御参加をしていただいて、御協力をくださったことに、まず敬意を表したいと思います。  そこで、先ほど宮路先生のお尋ねにもお答えいたしましたが、今回の鹿児島豪雨につきましては、今御指摘がありましたように、内閣発足早々ではございましたが、私自身政府調査団の団長として、現地状況を、十分とは言えなかったかもしれませんが、鹿児島県、鹿児島市、関係町村の方々の御意向も伺いながら、視察してまいりました。集中的な豪雨による災害のすさまじさといいますか、自然災害の怖さ、恐ろしさというものを目の当たりに見て、政府として、万全の災害対策に取り組む決意を新たにいたしたところであります。九日に非常災害対策本部を設置いたしまして、現地に赴き、またその調査に基づいて、第二回目の災害対策本部会議も持って、先ほども御答弁をしましたように、関係省庁連携をとりながら鋭意努力をさせていただいているところであります。  短期的な対策としては、被災箇所の応急復旧を早急に進めるとともに、今後の台風等の降雨などによる被害の発生の防止と軽減を今対策を図りながらやっているところであります。長期的には、御指摘がありましたように、シラス土壌という、特殊といいますか、大変豪雨災害に弱い土壌関係もあるということを勘案しまして、災害復旧事業を初めとする災害対策事業を地元地方公共団体及び関係省庁の緊密な連携のもとに進めることにより、関係者皆さん被災者皆さんの御期待に沿うように特段の努力をしてまいりたいと今一生懸命やっておりますので、御協力を賜りたいと存じます。
  30. 松下忠洋

    松下委員 どうもありがとうございます。  特に、戻り梅雨と言われておりまして、まだぐずついた天気が続いておりますし、また、これから台風の襲来する時期を控えておりますので、十分に二次災害にも気を配りながら、災害復旧に早急に当たっていただきたいというふうにお願いをしておきます。  国土庁防災局長に再度お願いしたいと思いますけれども宮路理事の方からも御質問がございましたけれども鹿児島県の方からも強い要望がございます。今回の災害につきまして激甚災害としての指定をしていただいて、しかも、それを早く急いでやっていただきたい、そして苦しんでいる方たちに対するいろいろな援助の手を、いろいろな優遇措置あるいは有利な手当てというものをしていただきたいという強い要望がございます。この点についてのお考え方と見通しについて、もう一度お願いしたいと思います。
  31. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 地元から激甚災害に関しまして強い要望があるということは私どもも承知をしているところでございます。先ほど上原長官の御答弁にもございましたように、私どもにはもちろん、関係省庁にもその作業をできるだけ早くやるようにという御指示がございまして、関係省庁にもそういうお願いをしているところでございます。所要の作業をできるだけ早く済ませまして、手続に入りたいというふうに考えておるところでございます。
  32. 松下忠洋

    松下委員 ひとつ鹿児島県民挙げて対応を注目しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  気象庁にお願いしたいと思います。今回の災害をもたらした集中豪雨、この大雨をどのような現象としてとらえておられるのか、そしてまた、どのような地域にどのような強さの雨が降っでこのような災害になったのか、その雨の状況についてひとつ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  33. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  鹿児島市では、七月中の月の平均降水量の約三・五倍に当たる千五十四ミリという雨が七月中に降りました。それから八月に入りましても、前線が九州南部に停滞しまして、雨の降りやすい状態が続きました。鹿児島県内では、八月一日と六日を中心に、それぞれ日中雨量で三百ミリを超す大雨となりました。このため、御指摘のような土砂崩れあるいは土石流が多発したものと考えられます。
  34. 松下忠洋

    松下委員 八月九日の朝日新聞の記事にこのような内容の記事がございます。スーパー警報を出すべきだったのではないかというお話です。基準以下でも、事前に大雨が降っている、ですから今度の災害のときに、そういう雨として、基準に達していなくても出すべきではなかったかという指摘がございますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。こういうふうに記事が出ております。「鹿児島市を中心に襲った集中豪雨の際、大雨警報よりさらに緊急度の高い「記録的短時間大雨情報」(通称「スーパー警報」)が発令されても良かったのではないか」ということであります。「鹿児島地方の場合、一時間に五〇ミリ以上降れば大雨警報を、八五ミリ以上に達すれば、スーパー警報を出すことになっている。」と書いてございます。  今回の雨では、六日の一日間でも二百五十九ミリということでございますし、気象台が観測を始めた一八八三年以来、八月の一日の雨量としては最多だったということであります。それから、七月中に降った千五十四・五ミリも観測史上最多で、平年の三・五倍だった、これは今お話があったとおりでございます。  このように、基準以下でも、事前に大雨が降っておった、そういうときには、より緊急度の高い、本当に大雨になるのだぞという話、そして大きな災害が起こる危険性があるんだというような情報をきちっと出しておくべきではなかったかというお話がございますけれども、これについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  35. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 初めに、お言葉のスーパー警報ということでありますが、文字どおりのスーパー警報というものは実在いたしません。あるのは記録的短時間大雨情報というものであります。これはどういうものかと申しますと、大雨警報を既に発表しているときに、実際にある基準を超える記録的な短時間の大雨が降った場合に、それを速報する、そういうものであります。つまり、これは警報で予想したような大雨が現実に降った、そういうことをお知らせする情報でありまして、すなわち一層厳重な警戒が必要である、そういう意味合いを持っております。  そういう記録的短時間大雨情報がこの場合発表されていなかったということでありますけれども、その前に一般の大雨警報、警報そのものは、先ほども説明したような大雨の予想に基づきまして、適時適切に発表されておりました。単に発表しただけではなくて、その結果というものを、予警報一斉伝達装置というものを使いまして、鹿児島県とか市とか、あるいは報道機関とかそういったところに直ちに伝達しておりました。  さらに、それに加えて、この記録的短時間大雨情報に関してでありますけれども、これは過去の大雨資料から、あらかじめ発表基準を設定しておきまして、その基準を超えた場合に行う、そういう仕組みになっておりますけれども鹿児島県の鹿児島地方の場合、この基準というのは一時間に八十五ミリということで設定されております。今回の場合、これは日置郡の入来峠というところでありまして、八月六日の十七時から十八時までの一時間でありますけれども、六十五ミリという激しい雨が観測されました。そういう雨は観測されましたけれども、八十五ミリの基準には達しないということで、発表は行いませんでした。
  36. 松下忠洋

    松下委員 スーパー警報の内容については承知しておりますけれども、時間雨量が基準に満たないといっても、事前に十分過ぎるほどの雨が降っているという場合には、しゃくし定規に考えないで、臨機応変の大雨の警報といいますか、強い雨が降るぞということの警報は出しておくべきだったんじゃないかというふうに私今でも考えておりますから、それまた十分に御検討いただきたいというふうに思います。
  37. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 記録的短時間大雨情報の発表については、元来、その趣旨から見て、数年に一回程度の記録的な大雨ということでやっておりましたので、今のところこれで、いわゆる大雨警報にこれを加えるということで機能してきたというふうに考えておりますけれども、御指摘のような今回の大災害でありますので、こういった災害を踏まえて、さらに情報のあり方について見直していきたいと考えております。
  38. 松下忠洋

    松下委員 ひとつよろしく御検討をお願いしたいと思います。  それから消防庁の方に、今の雨に関連いたしまして、警戒避難についての御質問をしたいと思います。  防災無線の整備状況についてでございますけれども、八月六日、八月五日の朝日新聞それから南日本新聞等には、戸別無線の整備が進んでいないのじゃないのか、鹿児島県九十六市町村ございますけれども、そういう無線が完備して、災害情報や雨の情報が伝達される市町村というものは十七市町村しかないというように書いてございます。  またそのことで、完備している地域では、これは福山町の例でございますけれども、その同町のシステムは役場から直接町内全家庭に放送が流れるということで、外部のスピーカーで外にも聞こえるけれども、家の中にもそういう情報が伝わっていくということが完備しているところがある、そういうところでは十分に事前に避難することができて、今回の災害から生命を守ることができたというような記事も載っておりますけれども、この防災無線の状況、それから戸別無線の完備を図るべきじゃないかということについての現状、そしてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 牧野清文

    牧野説明員 御説明をいたします。  御指摘のありました市町村防災行政無線につきましては、まだ未整備の市町村がなお相当数ございます。特に、住民に対しまして直接情報を伝達します同報系無線、これは屋外拡声方式と、先生御指摘の戸別受信方式とがあるわけでございますが、その整備率はことしの三月三十一日現在、全国で見ますと、五二・〇%にとどまっております。  消防庁といたしましては、これまでも市町村防災行政無線、とりわけ御指摘のありました同報系無線の整備を進めてきたところでありますけれども、同報系無線を整備する際には、実情に応じまして、屋外拡声方式だけではなくて、戸別受信方式をも整備するよう指導しているところでございます。御指摘のように、今後とも、この戸別受信方式の有効性を広く周知いたしますとともに、同報系無線の整備を重点課題として取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  40. 松下忠洋

    松下委員 これは南日本新聞の八月五日の記事ですけれども隼人町の松永という事故現場、これは調査団でも調査していただきましたけれども、そこで何名かの方が亡くなられました。これは同じ地域でも、放送して、避難されている方もあるわけです。この方々はそれが聞こえなかったのじゃないかなということを後から言われております。そしてまた、同じ雨で、福山町では無線放送システムを活用して、数十カ所の土砂崩れがあったけれども、全員避難して、一人のけが人もなかったということが言われておるわけですから、この辺のシステムをもっと熱心に、真剣に進めてもらいたい、そういうふうに強く希望しておきますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、消防庁にもう一つでございますけれども、これは竜ケ水の十号線のところでの交通の問題でございますが、現実に移動している列車とか車とかバスとか、そういう動いている車に対して、現在の防災業務計画あるいは地域防災計画の中でどのようなシステムで情報を伝達しようとしているのか、あるのかないのか、その辺をお聞きしたい。そして、それが現実に今回の場合どういうふうになされたかということをお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  41. 牧野清文

    牧野説明員 御説明いたします。  災害に関する予報、警報につきましては、気象業務法によりまして、気象官署から都道府県などへ通知されまして、さらに都道府県は、地域防災計画の定めるところによりまして、公共交通機関などの指定地方公共機関に、予警報に伴いまして想像されます災害の事態と、これに対してとるべき措置を伝達するものとされてございますが、団体によりましては、地方気象官署から直接そういった情報が公共交通機関等に伝達されている状況でございます。  先生御指摘のように、移動をしております車両でありますとかにつきまして直接情報を伝える手段、これはいろいろなケースがございますので、巡視に回っている消防団あるいは警察等が指示を与えることもあろうかと存じますが、例えば、先ほど来御指摘のありました行政無線で直接事態を伝えるといったような状態にはなってございません。  しかしながら、いずれにしましても、今回の災害の事例を十分に参考といたしまして、地域防災計画におきましても、地域における交通機関への情報伝達などにつきまして必要に応じて見直しを行う、また指定地方公共機関が作成します防災に関する計画につきましても、それと整合性を図るよう指導をしてまいりたい、そのように考えております。
  42. 松下忠洋

    松下委員 現実に約二千五百人の方たちがあの十号線の竜ケ水の中に夕方閉じ込められたわけですね。そして、車も八百台ほどがあそこの中に閉じ込められて、身動きできなくなった。激しい雨は依然として降り続いているし、斜面は依然としてどんどん崩れているという状況の中で、ああいう二千五百人、八百台という車が閉じ込められた現実があるわけです。しかも、その中には鹿児島県の指揮官としての知事さんも入っているという状況であったわけで、無事脱出できたという、そういう武勇伝で済む話ではなくて、事前にもっと根本的なところでもう少し防ぐ手だてがあったのではなかろうかということを今私が申し上げておるわけでございまして、これは十分に御検討をいただきたいというふうに思います。  建設省にお尋ねいたしますけれども、具体的に道路の場合、豪雨時の道路通行規制、それから道路情報伝達というのはどのようになっているのか、そして、今回の十号線の場合にどのようにされたのかということですね。  それから運輸省の方には、JRですけれども、列車が竜ケ水でとまっておりました。これも南日本新聞の八月九日の記事ですけれども、現実にはそこのJRの車掌さんとパトの警察官が連係して、乗客を誘導して、土石流だ、列車を離れろというふうになっておりまして、そういう起こってからの対応はそれはそれでよかったかもしれないが、事前にどういうような対応をするようになっておるのか、現実はどうだったかということを教えていただきたいと思います。お願いします。
  43. 辻靖三

    ○辻説明員 大雨洪水警報等が気象台から発令された場合や、豪雨が続き、道路ののり面の崩壊のおそれがある場合などにおきましては、その道路や区間のこれまでの被災の履歴等に応じ、パトロールの強化や情報の収集、伝達に努めるとともに、特に道路の通行に危険が切迫している場合には、交通どめ規制等を行うこととしております。  今回の国道十号竜ケ水付近状況につきましては、非常に短時間での急激な降雨であったため、通行どめ等の規制を実施する余裕がなかったものと考えておりますが、この間の情報提供としましては、道路交通情報センターやマスコミにも各時点で得られた交通どめの情報については逐次提供しておりました。  今後、災害時におきます通行規制や道路情報提供のあり方につきましては、今回の災害も踏まえまして、適切な対応を図ってまいりたいと考えでございます。
  44. 豊田榮次

    ○豊田説明員 まず、先ほど消防庁にお尋ねがございました列車の運転規制、そのほかの連絡の方法でございますけれども、この区間におきましては、消防庁の方からお答えがございましたように、気象官署からの情報、それから鉄道の沿線に独自に配置しております雨量計からの情報、そういうものを含めまして、移動中の列車に対しましては無線で、また駅に停車中の列車に対しましては駅係員を通じまして必要な速度規制、あるいは雨量そのほかがひどくなってまいりました場合には前途の運転中止というようなことの連絡をとるようにいたしております。  今回の場合は、それらの雨量がまだ所定の量には達しておりませんでしたが、竜ケ水に停車した上り、下りの列車の乗務員同士が情報を交換いたしまして、どうもこれ以上進むと危ないということで、運転指令にその旨を報告いたしまして、運転を見合わせていたところでございますけれども、さらに、JR九州の社内の規定によりまして、出動しております保線区長が、降雨の量にかかわらず、危険だと判断した場合には、運転指令に連絡いたしまして、運転を抑止することができるとなっておりまして、その運転を見合わせている段階で、保線区長からどうも危ないということで連絡が入りまして、運転指令からそれ以上の運転はやめろということで抑止しておりましたところに、現場でさらに小石がばらばらと降ってくるというようなことで、これから先はもう現場の判断になるわけでございますけれども、車掌の方から運転指令に、乗客を避難させた方がいいと思うけれどもどうかという連絡がございまして、そのように処置しろというふうにしたわけでございます。  以上でございます。
  45. 松下忠洋

    松下委員 議論していてもこれは尽きない話でございますけれども、南日本新聞の八月八日の社説、あるいは読売新聞の同八日の社説、これには非常に示唆のある話が出ておりますよ。例えば南日本でいきますと、市街地の車の渋滞それから竜ケ水での大量の車の立ち往生は、車社会における災害時の対応に宿題を残した、幹線道路の確保とともに混乱を来さない何らかのシステムは考えられないだろうかという提起をしております。もう一つは、多くの車やバスなどが、移動中に、それを知らずに被害に巻き込まれた、移動中の車や住民にいち早く危険を伝えるには、日ごろからラジオ局との協力システムや防災無線網を一層整備しておく必要があるということでございまして、一つの省庁あるいは一つの役所だけでの話ではなくて、さっきのスーパー警報とも絡みますけれども、連携しながらやっていくということをこれからも研究し、勉強していただきたいというふうにお願いをしておきます。  次に、警戒避難態勢のことについて消防庁にお聞きいたします。  今回非常に問題になりましたのが、そのとき弱者を抱えた施設ではどう対応したかということでございます。今度の雨は、後半の方の鹿児島市を中心とした大きな大雨による災害、それからその前の姶良国分地区、鹿児島の中部地区の災害に分けられておりますけれども、前半の雨で亡くなられた二十数名の方たちの半数は六十五歳以上のお年寄りです。それから体の不自由な方たちもおられますし、老人の保健施設や保育園におられた方たちもおられるわけでございまして、そういう弱者、体の不自由な方たち、お年寄りに対するそういう大雨のときの避難のあり方、誘導の仕方、それを、健康な走って逃げ回れるような人たちと同じような扱いはできないわけでございますから、この辺をきめ細かな対応をしていく必要があると思いますけれども、どういうふうに考えておられるのか今回の例も引いて教えていただきたいと思います。
  46. 牧野清文

    牧野説明員 御説明をいたします。  今回の集中豪雨被害に際しましては、私ども、とりあえず関係市町村の方へ電話で聞き取りをしたわけでございますが、各地方公共団体におきましては、まず災害対策本部を設置いたしまして、高齢者を含めた災害弱者、それら住民に対しまして全庁態勢で警戒に当たる、そして消防機関あるいは市町村の広報車さらには有線、同報無線によりまして住民に事前の避難を呼びかけた、そのように聞いてございます。しかしながら、具体的に先生御指摘のような、いわる災害弱者の方々に対しましてどういう措置を講じたかということはまだ把握をいたしてございません。今後調査をいたしたいと存じます。  消防庁といたしましては、これまでも風水害対策の一環といたしまして、災害状況に応じた適切な避難誘導ができますように、あらかじめその方法について地域防災計画などにおいて決めておく、それでその際、高齢者や障害者の方々など自力で避難することが困難ないわゆる災害弱者に関しましては、その実態を的確に把握しておきますとともに、私ども、現在も育成しておりますけれども、自主防災組織あるいは近隣の居住者の方々、そういった協力も得て、早目の避難誘導を行うよう、そのように指導通知を出しているところでございます。  しかしながら、異常な豪雨によりまして、このたび避難ができずに、あるいは避難がおくれるなどして、多くの高齢者の方々が亡くなったというのは非常に残念なことだと存じております。今後、今回の災害の教訓を踏まえまして、高齢者などの災害弱者の早期避難に重点を置いた警戒避難態勢の確立に努力をしてまいりたい、そのように存じます。
  47. 松下忠洋

    松下委員 努力していただくことはぜひともお願いしたいと思いますが、一つだけ教訓がございますので、これはお知らせしておきたいと思います。  これは調査団も実際に現地を見られたわけですけれども国分市の名波という地区の竹下地区でございますけれども、ここでは土石流とかけ崩れで十三戸の家が全滅いたしました。しかしながら、一人のけが人も、一人の死者もなかったわけです。なぜかといいますと、その地域に住んでおられる百七十五世帯が、事前に、ある数人の人の勇気のある行動によって、全員が避難して、災害を免れたということでございます。  これは、その地域の公民館長さん、これは松下さんといい、私と同じ名前でございますけれども、この方が消防団長さんと二人で、とにかく雨が降ってきて危ない、早く逃げようじゃないかということで、全員を戸をたたいて引っ張り出して、そして避難させたということでございますから、いたずらに雨の情報がどうである、そして警報が出そうだというようなことの情報に頼るのではなくて、言いたいのは、自分たちのそこでの判断でやろうと思えばできるわけですから、そういうことをもっといろいろな場面で指導していただきたいということをお願いしておるわけでございまして、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。  それからもう一つは、これは厚生省と文部省にお聞きしたいと思います。  こういう記事がございます。これは南日本新聞の八月十四日の記事です。鹿児島県の点字図書館です。「蔵書の九割廃棄へ」ということで、「豪雨で冠水、業務も中断 再開のめどつかず」ということでございまして、一万五千点の四十年間にわたって蓄積された資料がございます。これは点字図書それから録音図書でございますけれども、これがほとんど全滅いたしました。これは、一カ月に点字図書が約千五百点、録音図書が約三千点の利用があったとこの南日本新聞に書いてございます。そして、点字図書館というのは県内に一カ所しかないということで、多くの人たちが不自由をしているということでございます。しかも、この図書館と同じ建物にある県の身体障害者更生指導所と相談所も被害を受けておりまして、立ち直りに非常に時間がかかっているということでございます。  この点についての、本当の困っておられる方たち、そしてその施設を本当に楽しみにして使っておられた方たちが、今回の災害でそれを利用することができないという状態になっていますので、何とかこれに対するお手伝いをいただきたいというふうに思うのですが、厚生省、文部省、よろしくお願、いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 冨岡悟

    ○冨岡説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、被害に遭いました点字図書館は鹿児島県で唯一のものでございます。そういうことでございまして、この早期復旧につきましては、現在鋭意取り組んでいるところでございまして、実は昨日も鹿児島県の担当課長と打ち合わせたところでございます。  この図書館は、三万点の点字図書それから録音図書がございましたが、そのうち九割に当たります二万七千点が水浸しになって使えなくなったということでございます。そのほかに、現在点字図書はパソコンを利用しまして点字の打ち出しをするといったシステムでつくっておりますが、そういった機材も被害を受けております。これにつきましては鹿児島県と現在相談しているところでございまして、その復旧については、災害復旧費によりまして必要な措置を早急に講じたいと考えているところでございます。  このほかに、実は点字図書は一般の図書と違いまして、お金があっても買えない、物がないという特徴がございます。そういうことで、全国の点字図書館にお願いいたしまして、分けてもらう、それから録音テープにつきましてはダビングをするといったことも含めまして、図書の整備に努力したいと考えているところでございます。  また、御指摘のございました身体障害者更生相談所といったところにつきましても、必要な事務機器、機械が被害を受けておりますものですから、早急に整備いたしたいと思っております。  以上でございます。
  49. 遠藤啓

    ○遠藤説明員 御説明申し上げます。  点字図書館につきましては、ただいま厚生省の更生課長の方から御説明がありましたとおり、身体障害者福祉法に基づきます厚生省所管の施設でございます。したがいまして、私どもの方としては、所管外ということで方途を持たないわけでございます。  これに対しまして、一般の印刷物を主たるサービスの中心といたします図書館につきましては私どもの所管でございまして、激甚災害に指定され、その設置者である地方公共団体が特定地方公共団体として指定された場合には補助をさせていただくということになっておりますが、今回の豪雨災害につきましては、鹿児島県内の図書館、県立が二館それから市町村立が三十数館ございますけれども、幸い鹿児島県教育委員会には被害報告が入っていないと聞いているところでございます。  以上でございます。
  50. 松下忠洋

    松下委員 生活弱者に対する行き届いた配慮、そして復興の手助けをぜひお願いしたいと思います。これは、上原大臣にも特に目をかけていただいて、後のフォローをしていただきたいというふうにお願いをしておきますので、よろしくお願いいたします。私どもでもできるお手伝いはできるだけしたいと思っておりますから、よろしくお願いしたいと思います。  それから、今度は建設省にお尋ねしたいと思います。  今度は、まず道路についてお尋ねいたします。  大変な災害を受けました国道三号線、写真がございます、がっぽりと道路河川の浸食で穴が振れてしまって、立ち直りが不可能ぐらいの形の災害を受けました。また十号線、これも竜ケ水では寸断されて、目の置き場もないぐらいの惨状でございました。また高速道路、それから空港に各地から走っていくアクセス道路、これも全滅いたしましたし、迂回路、いろいろな道路寸断され、至るところで目を覆うばかりの状況でございます。鹿児島県全体の経済が麻痺し、市民生活が麻痺したわけでございますけれども、このような災害に強い道路をどうしてもやはりつくっていただかなければいけないというふうに思います。  いまだに災害復旧のめども立たないというほどの大きな災害でございますけれども、これについて、災害に強い道路づくり、そういった観点から、シラスという特殊な地質、土壌の中でづくっていく道路幹線道路、それから幹線道路がだめだったら第二、第三の迂回路をどうするかという全体の交通システム、そういうものも考えた抜本的な対策をしていただかないと、これはまた同じような雨で再度災害をこうむるということになります。  特に、海岸線沿いに走っている道路、また、同じ場所で同じ斜面を直したからこれでいいのだというふうな形で済む改良では私はいけないというふうに考えておりますから、それについて抜本的な対策をどのようにしょうとしておられるか建設省、聞かせていただきたいと思います。
  51. 納宏

    ○納説明員 道路災害発生が懸念されます箇所につきましては、従来から防災点検に基づきまして計画的な防災対策の実施に努めてきたところでございますが、今回の鹿児島県を中心といたしました災害は、水による浸食に弱いシラスという土壌であることに加えまして、記録的な豪雨によりまして大規模な被害に及んだものと考えております。  道路は、平常時はもとより、災害時には住民の生活や復旧活動などのために欠くことのできない基本的な施設でございますが、特に広域的な幹線道路は、物資の輸送などに支障がないように道路ネットワークの確保が重要であると認識しておるところでございます。  今後、このたびの被害を教訓といたしまして、のり面工等の防災対策を一層推進しますとともに、シラスという地質の特殊性を念頭に置きまして、必要に応じて、シラスの崩壊による影響をできるだけ避けたルート、構造の採用によりまして、災害に強い道路のネットワークの整備を進めてまいりたいと思います。
  52. 松下忠洋

    松下委員 道路局の課長さんもお見えでございますけれども、何か一言ございましたらお願いします。
  53. 辻靖三

    ○辻説明員 ただいま防災室長が申したように、災害に強い道路づくりといたしまして、やはり一つは、その道路自身の構造、災害に強い構造形態をとる。これにつきましては、のり面等いろいろ現地を見ながら、適切な工法を選ぶ必要があろうかと思います。それから、やはりその前、計画といたしましては、そういうような箇所を事前に避けられる場合は、計画において事前に避けるルートを選ぶということも考える。  それから、御指摘のように、いろいろ道路網として切断されて、広域的に麻痺になるというのは大変問題でございますので、全体として道路のネットワークとして、やはり災害に強いネットワークづくりを計面的に整備していく必要があろうかというふうなことで考えでございます。
  54. 松下忠洋

    松下委員 これは、今被災した道路をもとの状態に戻すということだけの考え方ではなくて、広く全体をとらまえたネットワークとしての復旧そして改良ということで検討いただきたいというふうに切にお願いを申し上げておきます。  あと河川関係について、治水関係についてお尋ねしたいと思います。  甲突川の激特導入の件でございます。これは、文化財としての五つの石の橋がございまして、いろいろ鹿児島県の中、鹿児島市でも議論がございました。今でもまだその余韻としての議論がずっと残っておりますけれども鹿児島県としては、鹿児島市の要望も受けて、激特事業として抜本的な改修に取り組みたいという強い要請を出したということでございますけれども、これについて治水関係、治水事業としてどのように取り組んでいかれるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  55. 山田俊郎

    ○山田説明員 御説明いたします。  平成五年の八月五日から七日の豪雨によりまして、鹿児島市内を流れる甲突川の下流部におきましては、一万一千戸を超える家屋浸水が発生いたしました。ということで、八月二十日に鹿児島県より河川激甚災害発生報告書が河川局長あて提出されたところでございます。現段階でも、河川激甚災害対策特別緊急事業の対象河川と考えられますが、県の準備が整い次第、担当官を現地に派遣しまして、その被害実態の把握とあわせ、県と採択に向けて協議をしてまいるというつもりでおります。
  56. 松下忠洋

    松下委員 あそこには五つの石橋がございまして、五石橋と言っておりますけれども、その移設の問題で、鹿児島県民あるいは市民のいろいろな感情がきちっと整理されていないまま進んでおります。災害防止の観点から、再度災害を防ぐための激特事業の導入ということは、これはどうしてもやっていただかなければいけないと思いますけれども、あとの橋のいろいろな保存の問題、その辺についても十分な配慮をしていただきまして、市民の感情がきちっと整理され、落ちつくような対応をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  もう一つでございますけれども、ここに写真がございます。これは、姶良町の城瀬橋という橋が、決壊して、河川の護岸がやられたりして、大雨でやられたわけですけれども、このようなシラス台地における河川の改修のやり方、シラス台地を流れる河川の改修の仕方、これを根本的にどうすればいいのかということがあると思います。大量の流木が流れてまいりますし、また非常に水に弱い土質でございますから、ちょっとした堤防の欠け、あるいは水がちょっと裏に回ることで大きな被害を及ぼしますから、この辺の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  57. 山田俊郎

    ○山田説明員 ただいま先生御指摘のとおり、シラスは大変雨水の浸食により崩壊、流出しやすいという特性を持っております。こうしたシラス台地の中を流れる河川の改修につきましては、河川へのシラスの流入防止、そしてまた御指摘のありましたような流木対策というものが必要でございますので、河川上流域におきます砂防事業と一体となりまして、河川改修を今後とも鋭意推進してまいりたいというふうに考えております。
  58. 松下忠洋

    松下委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  市街地を流れる河川でも、甲突川だけではなくて、その周辺の新川でありますとか稲荷川でありますとか、非常に危険な河川がたくさん残っておりますし、周辺の郡部でも、堤防が決壊し、あるいは直轄河川の上流でも堤防が決壊して大はんらんを起こしている地域もございますので、ひとつ十分なる対応をお願いしたいと思います。強く要望をしておきます。  あともう一つは、がけ崩れ、それから土石流についてお尋ねしたいと思います。特にシラス台地での今度の災害は大変でございました。がけ崩れ対策を今後どのように進めていくのか。根本的なところから進めていかなければいけないと思いますが、考え方をお聞かせいただきたい。  またあわせて、砂防でございますけれども土石流も頻発して、非常に大きな災害を及ぼしております。そういうものに対する抜本的な対応策。  そしてもう一つは、あわせて、こういったハードな工事をすることに加えて、事前にこういうところは危険であるというハザードマップをつくれという要望県内でも非常に強く出ておりまして、鹿児島大学の下川教授あたりも強くそういう勧告をしておりますし、新聞論調でも、そういうハザードマップ、危険予測図をつくって、それを住民に知らせて、こういう災害に備えるための総合的な対応をすべきだというふうに言われておりますけれども、これについてのお考え方。  三つあわせてお尋ねいたしましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  59. 瀬尾克美

    ○瀬尾説明員 お答えいたします。  今回の八月豪雨災害におきましては、急傾斜地の崩壊、いわゆるがけ崩れ災害鹿児島県だけで百五十一カ所にも及びました。これによりまして五十八名の犠牲者が出たわけでございまして、また、その大半がシラスということの崩壊によるものでありました。  まずは、やはりこのシラスといいますのは、御承知のように、流水によります浸食に極めて弱いという性格を持っておりますので、実はこのシラス対策につきましては、シラス地帯における土工設計施工指針というようなものをかつて昭和五十年につくっておりますけれども、これにのっとりまして、いわゆる切り取りの安定勾配の選定、並びにさらに風雨にさらされないようなのり覆い工の施工、そしてさらに排水工の整備ということを確実にやればということの一つの方針が出ております。実は、この方針にのっとりまして、昭和六十一年の災害のいわゆる崩壊の対策工事もなされておりますが、今回はこういうところにおきましては、災害という形にならないで、見事災害を食いとめておるという実態もございます。  そういうことでございまして、一応我々といたしましては、このシラス地帯におきましては、ちょうど全国でも第三次の急傾斜地の五カ年計画というのが本年を初年度として始まっております。それに基づきまして、基本的に着実にその計画にのっとった形でやっていきたい、こういうふうに思っております。それがいわゆる抜本的な対策であると確信をしているところでございます。  以上です。
  60. 大久保駿

    ○大久保説明員 土石流対策についてお答えいたします。  シラスの特徴は、もう御承知のとおり、浸食を受けやすい、あるいは崩壊を起こしやすいというようなことがございまして、従来から鹿児島県の砂防につきましては、そういうシラスの特性を踏まえた対策をやってきたところでございます。鹿児島県内には、現在一千八百八十八の土石流危険渓流がございまして、いまだ整備が低いという状況でございます。今後、シラスの特性を十分考慮いたしまして、砂防設備の整備を図っていきたいというふうに考えております。ただ、整備が低い状況でございますので、こういう施設の整備とあわせまして、警戒避難態勢の整備等もあわせた仕事をしていきたい、こういうふうに考えております。  また、今回土石流が発生しました渓流あるいは山腹の崩壊等によりまして流木が出てきたという特徴がございます。流木対策につきましても、効果的に流木を捕捉できるようなスリットタイプの砂防ダムの配置等、今後さらに検討していきたい、こういうふうに考えております。
  61. 尾田栄章

    ○尾田説明員 ただいま先生御指摘のハザードマップにつきまして御説明をさせていただきます。  御指摘のとおり、厳しい気象条件、急峻な地形条件、もろい地質条件、そういう日本でございます。水害に大変弱い国土でございます。そういうことで、治水事業、砂防事業、急傾斜地保全事業等の事業を精力的に進めるということが基本ではございますが、それと相まちまして、ソフトな対策、いわゆる避難態勢等のそういう態勢を確立をするということは大変大事だと私ども認識をいたしているところでございます。  そこで、ハザードマップの整備状況でございますが、水によります災害につきましては、防御対象氾濫区域図、それから浸水実績図、浸水予想区域図を作成、公表をしておるところでございます。また、土砂災害対策についてのハザードマップといたしましては、土砂災害対策危険箇所マップそれから土砂災害危険区域図をそれぞれ作成、公表しておるところでございます。  特に、鹿児島県におきましては、災害危険区域図を平成四年度、二地区について作成、公表しておりますし、平成五年度におきましても、同様に二地区について作成、公表する予定でございます。  いずれにいたしましても、ソフトの対策も大変大事だと考えておるところでございまして、ハザードマップの整備にさらに意を尽くしていきたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  62. 松下忠洋

    松下委員 時間もなくなってまいりましたので、あと二つだけで終わりたいと思います。  農林省にお願いしたいと思いますが、今回災害で山も大変傷みました。そのときに、災害に強い森林づくりといったものに取り組んでいただかなければいけないというふうに考えております。三年前の九州の風倒木災害でも同じような議論がありました。その経験を生かして、どのように取り組んでおられるのか。そして具体的に鹿児島県でもやっていただきたいと思いますけれども、そういう森林のあり方、そして治山事業のこれからの方針、それを簡潔にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  63. 工藤裕士

    工藤説明員 森林は、御承知のとおり、木材等の林産物の供給だけではなくて、国土の保全、水資源の涵養、こういった公益的機能の発揮を通じまして、国民の生活に重要な役割を果たしておるところでございます。このために、特に公益的機能を発揮させることが必要な森林につきましては保安林に指定しているところでございまして、鹿児島県につきましては、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林、こういったものを合わせまして約六千ヘクタールの森林を指定しておりまして、特に広葉樹林につきましては努めてその維持を図りますとともに、伐採方法につきましても、皆伐を認めずに択伐、抜き切り、こういうことにしておるところでございます。  このほか、普通林につきましても、知事さんの立てます地域森林計画というものがございまして、この中で農地等の保全のために伐採方法を原則として択伐とする、こういう森林を約四千五百ヘクタール指定しているところでございます。  今回の災害につきましては、未曾有豪雨によるものであることでございます。被害状況等を踏まえつつ、今後一層きめ細かな森林施業の推進を図りまして、特に鹿児島県のようなシラス台地におきます、災害に強い、活力のある健全な森林の整備、育成に努めてまいりたい、こういうように思っておるところでございます。
  64. 松下忠洋

    松下委員 林野庁にもよろしくお願いしたいと思います。  最後に、上原大臣に要望と、それから御質問を申し上げたいと思います。  集団移転がございます。これは、大災害をこうむった地域での集団移転を希望しておりますので、地元意見を十分聞いていただきながら、配慮ある移転のあれをしていただきたいというふうに思います。それから、それに合わないところにつきましては、これはがけ地近接の住宅の移転という方法もございますから、いろいろな制度を活用してやっていただきたいという要望をしておきます。時間がございませんので、それでお願いしたいと思います。よろしく、県当局とも打ち合わせして、進めていただきたいと思います。  最後に、大臣にお考えをお聞きしたいと思っておりますけれども、今回細川政権が発足いたしました。そして、所信表明でも、それからいろいろな報道でもお聞きしておりますけれども、来年度の予算につきましては生活重視ということを言われております。それはそれで当然そうだろうと思っておりますけれども、今回のような災害を目の当たりにいたしますと、生活の重視というその前に、基本的なこととして、生活の基盤そのものが壊れてしまうような、そういう災害に直面しておるわけでございまして、この防災必要性、そしてまた斜面が壊れる、河川があふれる、堤防が切れる、あるいはそういうようなことによる、保たれている道路の大きな災害といったことがございます。  こういう生活の基盤そのもの、根幹そのものに対する十分なる手当て、そして予算の配分というものもどうしても必要だろうと思います。そういう面についての予算の配分を軽視することなく、重点的に配分していただきまして、国土の保全を十分図っていく基盤をしっかりとつくり上げていただきたいというふうに考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  65. 上原康助

    上原国務大臣 御意見、御提言の趣旨をよく理解いたしております。また、細川総理国土の保全、国民生命財産災害に強い国土づくりということを強調しておられますし、予算の確保等におきましても、そういう配慮をしながら御期待に沿うように万全の努力をいたしたいと存じます。  加えて、今松下先生の御質問を聞いて、一言二言つけ加えさせていただきますが、先ほどの弱者の点字等の被害については、私は非常にこの点について心を打たれましたので、私の方からも文部大臣や厚生大臣に強く御協力をお願いすることをお約束いたします。  さらに、気象状況の情報提供の問題についても、気象庁あるいは運輸省、御熱心、的確にやっていらっしゃいますけれども、やはり今回の場合、いろいろ国民の中に、鹿児島県民の皆さんに、幾分もう少し何とかならぬのかというお気持ちがあるようですから、私も台風銀座に住んでおって、そういうことはよく気になるところでありますので、この点につきましても、気象庁長官や運輸大臣にも、私の方からも、万全を期すように御協力をお願いいたしたいと思います。
  66. 松下忠洋

    松下委員 よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  67. 池端清一

  68. 保岡興治

    保岡委員 今回の鹿児島中心に襲った八月豪雨災害あるいは一連の災害について、細川総理大臣あるいは上原国土庁長官初め政府関係者がいろいろ調査に当たっていただいていること、また対応に努力していただいていること、そしてまた池端委員長初め各党の代表の委員方々現地視察をいただいたりなどしたこと、改めて心から感謝と敬意を表さしていただきたいと思います。  そこで、まず大臣にちょっと確認をさしていただきたいことがございます。それは、今回の八月豪雨災害における要請ということで、我が自由民主党平成五年八月十三日、今月十三日、平成五年八月豪雨非常災害対策本部本部長の森喜朗名で四項目にわたっていろいろ御要請申し上げたことについて、大臣が承知しておられるかどうか、ちょっと伺ってみたいと思います。
  69. 上原康助

    上原国務大臣 今突然のお尋ねと言ったら御無礼になるかもしれませんが、保岡先生からの私に対する御質問の要旨の中に含まれておりませんでしたので、事務当局から御答弁をさしていただきたいと思います。
  70. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 ちょっと今手元には持ってまいっておりませんが、自民党の方でそういう要望をされたということは承知いたしております。
  71. 保岡興治

    保岡委員 我が党は、この災害に対して、幹事長を本部長とする非常災害対策本部というものを設置しまして、政府に早期復旧対策を要請するとともに、九日には最も被害の大きかった鹿児島被災状況視察するなどし、また党で委員会を開きまして、いろいろ地元で承ってきた問題点について政府の方に御要請申し上げている。そのことについて、衆議院を構成する大きな第一党でございますから、やはり公党として政府に申し上げたことについては、予定がなかったので申しわけないとは思いますけれども、大臣も承知していただいて、そしてこの要請についてはきちっと受けとめて対応していただくことを強く希望いたしておきたいと思います。  そこで、今回の災害に対するいろいろな具体的な対応についての質疑については、我が党の練達な宮路理事松下委員からいろいろ詳しくお話もございましたので、その質疑の内容あるいはそこから出てまいりました答弁の事実を前提として、補充的に質問をさせていただきたいと思います。  まず、予報システムのあり方でございますけれども、私は、今回のような災害については予報の仕方に工夫が必要なのじゃないだろうかということを非常に強く感じております。というのは、確かに原因としては、七月に降った雨は鹿児島県の各地で大体平年の三倍ないし四倍降っているという異常な雨が降り続いている事実、あるいは梅雨に入ってから今回の八月の災害に至るまでを計量すると、一年分がこの時期に一気に降ったというような、すさまじい連続した雨が降っておるわけでございます。  先ほど来幾たびも出てまいりましたが、シラス土壌という特殊な地域で、この雨がシラス土壌に含まれて一気に大災害に結びついたということを考えますと、こういった事実については、もう少し起こり得る災害というものをシミュレーションして、そうして具体的なイメージがわくように情報の提供をしたり、防災に当たる関係者地域の人に防災の適切な対応がとれるようにしてあげる必要があるということを強く感じます。  というのは、私の家族も経験したわけでございますが、鹿児島市の西駅、これは甲突川の近くにあるわけでございますけれども、といっても何百メートルかは離れている、そこにあっという間に水がわいてきて、車を運転することができずに、そこにとめて、慌てて車から脱出して、近くのお店に飛び込んで、そうして一階から二階、二階から三階というふうに逃げなければならない、こういうあっという間に起こった被災。  あるいは、土石流とかがけ崩れにおいても同じようなことが言えるのじゃないだろうかということを考えますと、確かに、先ほど来各委員質問で、警報の出し方についてはいろいろ工夫をして、情報の伝達についてもできるだけの努力をされているのですが、そういう情報の提供を、例えばテレビなどで絵にしたりアニメーションにしたりして、お年寄りや子供、一般の人にわかりゃすい形で情報を伝達することも一つの大きな工夫じゃないだろうか。これは、国土庁とか消防庁とかあるいは気象庁、みんなが寄って相談をして、経験を生かす努力をすることによって私は可能だと思うのですけれども、この点について、大臣、いかがでございましょうか。
  72. 上原康助

    上原国務大臣 先ほどもお答えをさせていただきましたが、所管は運輸省気象庁でございますが、申し上げましたように、予報のあり方、情報提供についてもっと工夫ができないかという強い国民の御要望がある以上は、今御指摘のようなことができれば、もっと被害を少なくすることも可能かと思いますので、私の方からも運輸大臣や関係省庁にも御協力をお願いさせていただきたいと思います。  具体的なことにつきましては、関係省庁の担当者から御答弁させていただきたいと思います。
  73. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 今の大臣のお話を若干補足させていただきたいと思います。  先生おっしゃいますように、何といいましても、情報を伝達する手段としてはマスメディアというのが非常に大きな役割を果たすということは、先生おっしゃるとおりだろうと思っております。そのために国土庁では、平成三年度に学識経験者あるいは放送事業者等で構成いたします検討委員会を設置いたしまして、テレビ放送を通じて提供する防災情報の整備につきましての調査検討を行ったところでございます。  その結果、例えば過去に大きな災害をもたらした台風の進路、こういう進路をとればどういうところにどれぐらいの雨が降ったというふうなことを示す絵でございますとか、あるいは、各地域台風に伴います暴風雨域に入る確率がどれぐらいになるかということを数字であらわした、絵のような、モデル画面といったようなものを作成いたしております。このうち、今申し上げました暴風雨確率につきましては、既に一部の放送局で情報の提供が実際になされているところでございます。  今後ともメディアを通じました防災情報の内容の整備につきましては、いろいろ検討した上で進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  74. 保岡興治

    保岡委員 川のはんらんで浸水して洪水の被害に遭った地域などはかなり広範にわたっておりまして、例えば河川の水位より低い地域などはあらかじめわかっておることでありますし、今防災局長がおっしゃったこと、あるいは今までの御答弁にも出てまいりましたが、かなり詳しく、時間も場所も非常に細かく予報ができる体制はできているようでございますけれども、やはりその情報をいかに一般の市民に、あるいは防災関係者に伝えるかということが肝心であって、確かにNHKの予報などを見ておりますと、天気図あるいは各種の注意警報あるいはアメダスの絵、いろいろなものが出てまいりますけれども、そういったことは、やはり何か大きな経験や具体的なイメージを持っていないと、災害の大きさ、その災害が襲ってくる可能性について予測というものをなかなか持てないんじゃないか。その辺の工夫を、今局長が言われた検討会などで、もっと具体的に検討をしていただきたい。それは、今回の災害の思わぬ被害に襲われた鹿児島人たちのとうとい犠牲や被災について、それを生かす大きな課題だというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それから、先ほども質疑に出てまいりました損害保険の保険金の円滑な支払いということでございます。これは、河川はんらん等で、周辺の中小企業者はただでさえ不況で大変であるところに、夏の大売り出しとか夏の休暇を利用した観光等の時期に合わせた工夫などいろいろ準備をしていたところに、いきなり大変な思わぬ災害を受けたものですから、非常に途方に暮れておるという状況でございます。ところが、先ほど宮路委員からも質疑がありまして、保険組合についてのいろいろなお答えもございましたが、一般の、民間の損保においても全く同じようなことが起こっておりまして、今回の中小企業の被災者の印象としては、水害に対して保険を掛けていたけれども、全く裏切られたという感じが非常に強い、このことは大変大きな声でございます。  私は、ごく最近入ったけれども、保険金が出ないと言って嘆いていた人からちょっとパンフレットをもらってきたのです。どこの会社ということではなくて、これはかなり一般的にこういうことが同じように行われておるらしいのです。店舗総合保険では「十一種類の事故からお店をガードします。」「大切な財産をワイドに補償」こうなっておるのですけれども、まずは火災保険が最初に出てくるけれども、同じような説明の仕方で絵がかいてあって、その中に水害というものが入っている。このように並べてあると、水害も火災と同じような条件で保険金が出るのではないかということは、だれでもそう思うのじゃないか。  確かに小さく、先ほど宮路先生指摘されておった、これは大蔵省も認可を与えた約款に基づく支払いの条件が付されていますけれども、まことに小さい字で書かれている。この保険に入って、保険金が出ない、あるいは百万が限度であるということを知った人は、ある意味では、詐欺に遭ったような気持ちに、余りにもひどい災害を受けたために強い怒りになっておる。これは先ほどいろいろ、あれは中小企業庁でしたか、お答えがございましたけれども、大蔵省の方からも、この点についてどう考えるか、ちょっと伺ってみたいと思います。
  75. 滝本豊水

    ○滝本説明員 お答えいたします。  今委員質問の、火災保険の中の店舗総合保険というのがございますけれども、その中で水害保険と申しますのは、現にここにパンフレットがございますけれども、要するに、三〇%以上の水害の損害があった場合は七割の保険金を払います、ただ、三〇%以下であった場合には五%の保険金を支払う、ただし百万円を限度とするというふうにパンフレットにも書いてございますし、約款にもそういうふうになっておるわけでございまして、この約款以上の取り扱いはなかなか難しいということは御理解いただきたいのです。  今先生御指摘の、こういうパンフレットの内容の書き方あるいは説明でございますが、そういう約款の内容につきましては、従来から、保険事業に対する国民の信頼というのは非常に重要なことでございますから、こういう支払いを行うための条件、あるいは支払えない事由、その内容等につきましては、契約者に懇切丁寧に説明するように指導してきたところでございますし、今後ともその辺は、損害保険会社が国民の信頼を損なうことのないように、その内容を契約者にわかりやすく、適切に説明するよう今後とも指導していきたい、そういうふうに考えております。
  76. 保岡興治

    保岡委員 確かにそのように大蔵省は指導しておられたということであればなおさら重大なのでございますけれども、私は法律家でございますから、こういう場合にちょっと考えるのは、こういう損害が起こって、確かにいろいろ保険契約を結んで、いろいろな掛金をかなり払っている、にもかかわらず、その説明が不十分で、得られると思っていた保険金が得られないという場合には、その過失に応じて、場合によっては不法行為でも成立する可能性だってないわけじゃない。  そういうことですから、私は、やはり今回の措置は、しようがなかったんだということで見過ごすことはできないんじゃないか。百万円に加えて、何らかの温かい、心の通った努力を私は保険会社に求めたいし、大蔵省にもそういう指導をしてもらうことが地域人たち気持ちに沿うことだ、このように思いますし、そういうあえてつらい負担を、あるいは同じような責任を大蔵省、中小企業庁も負うことによって、もっともっといい災害保険の仕組みがそこから生まれてくる。  特に、個人災害の補償ということをなかなか公にしにくいということが、この災対の委員会でもたびたび長年にわたって議論されておる中で出てきておるだけに、災害の多い日本でありますから、災害の種類によっては保険金の出し方についてはいろいろ工夫の要るところだとは思いますけれども、しかし、それだけにまた保険事業の使命というのは大きいんじゃないか。  したがって、私は、保険事業というものが国民に受け入れられるためにも、今回実は適切な対応が会社に求められている。例えば、しょうちゅう二本持って、お見舞いですといって保険会社の方が来られた。そのことに物すごい反発を覚えておられる。何か工夫をされないと、このしょうちゅう二本のお見舞いで事足れりという姿に、せっかく努力をされたことが逆に受けとめられる。私は、それぐらいこの問題については今後心していろいろ対応していただく必要があると思いますけれども長官、いかがでございましょうか。
  77. 上原康助

    上原国務大臣 御専門のお立場からのお尋ねなんで、大変恐縮ですが、実はこの件につきましては、私も庁内で事務当局にいろいろお尋ねもするし、また、今もありましたように、もう少し心の通うというか、温かみのある何らかの措置ができないかということをたびたび督促してみました。  だが、御案内のように、現在の制度、法律の範囲、あるいは確かに保険勧誘の場合には今御指摘のような広告で、ガイダンスで勧誘してお入りになっているわけですが、実際のこの契約約款を見るとそうでもないという点もありまして、中小企業の被害に対して百万円あるいは五%というのがあるようで、先ほど中小企業庁の課長の方から、何らか検討ができないものかどうか検討してみたいという御答弁もありましたし、今大蔵省の方も答弁がありましたので、この点は非常に重要な案件としてとめさせていただいて、事務当局にさらに、何らかのプラスというか、あるいはアルファというか、そういう面ができるのかどうか検討はさせてみたいと思いますが、なかなか困難な面もあるということも御理解いただければと思います。
  78. 保岡興治

    保岡委員 それから、先ほどいろいろ交通のシステムについてのお話もございましたが、私は、東九州自動車道、西回りの自動車道、こういった南の鹿児島から九州の北の方に結ぶ高規格幹線道路、こういったものの早期完成ということが非常に重要なんじゃないだろうか。なぜならば、先ほど来質問にも出てきたとおり、十号線もだめだ、日豊本線もだめだ、三号線も使えない、しかも復旧の見込みが立たない、いつ復旧できるかわからないという状況では、生活物資や鹿児島のいろいろな産業に重大な影響を及ぼす。  私は常日ごろ思うのですけれども、北九州までは新幹線も十年ほど前にもう完成をした。高速道路もできておる。しかし、それから南の九州の各地域には新幹線もない。高速道路もいまだ整備ができてない。あと十年かかるかなんという話を聞いていると、二十年も、こんな一年で激変していく時代に、国土の建設のあり方、交通体系の整備のあり方についてこれほど落差を設けてもいいものだろうかということを、こういうことを解決するのが政治だというふうに思わされているんです。  そういった意味で、国土建設の責任者である国土庁長官に、最後にその点について、今後、南九州の新幹線の整備を初め、東回り、西回りの九州自動車道の早期完成、重点的な予算の配賦などについて御尽力いただけるように決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  79. 上原康助

    上原国務大臣 御趣旨は私も同感なんです。この間、九州は一つという、九州各県の知事がお集まりになって、御要望もございました。その中にも、今保岡先生御指摘の、新幹線あるいは高規格道路の着工をもっと促進すべきだという御要望がありました。具体的なことにつきましては、やはり建設省や各省庁の御協力もいただかねばなりませんし、災害を少なくしていく国土のあり方という観点も加えて、できるだけ、また保岡先生の御協力もいただきながら、促進できる面は促進をしていくように一段と力を入れていきたい、こう思います。
  80. 保岡興治

    保岡委員 終わります。
  81. 池端清一

    池端委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  82. 池端清一

    池端委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤静雄君。
  83. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 七月十二日発生の北海道南西沖地震でありますけれども、ちょうど私たちの選挙の最中でありました。大変大きな被害を出しまして、死者百九十九名、行方不明者が三十八名、住宅の全半壊が八百五棟、そして被害町村が五十二町村に及んだ大変大きな被害になりました。八月十六日現在の被害の総額を見てみますと、一千億円を超えたという状態であります。その後、余震が続いたりして、現地方々も非常に不安な状態でありますけれども現地の皆様方には本当に心からお見舞いを申し上げたい、そう思います。  そこで、この間から上原国土庁長官や多くの閣僚が現地に行って見ていただいたわけでありますけれども、それだけに、新政権の方々が次から次に見に来るものですから、多くの方々も非常に早期復旧に期待を寄せているわけでありますけれども上原長官は十七日の視察の後に記者会見で、激甚災の指定、農林水産業の激甚災の指定は今月中ぐらいに何とかなるんじゃないかなというようなことを言われておりますけれども現地方々も、一日でも早い激甚災の指定を望んでいるわけでありますけれども、指定の日程は大体決まったのでしょうか、その辺、ひとつお話しをしていただきたいと思います。
  84. 福島啓史郎

    ○福島説明員 農林水産関係でございますので、私の方からお答えいたします。  北海道南西沖地震により、水産業を中心に農林水産業関係にかなりの被害が発生しているわけでございます。農林水産省といたしまして、被害状況調査結果を踏まえまして、天災融資法の貸付限度額のかさ上げと償還期限の延長、それと共同利用小型漁船の建造費の補助などの特例措置が適用されます激甚災害法の指定につきまして、現在、関係機関と鋭意調整中でございます。
  85. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 日本海中部地震のときには、これは昭和五十八年の五月二十六日でしたけれども、ちょうど発生してから五十一日目に激甚災の指定をしているのですね。施行しているのです。そういうことを考えてみましたら、今月の三十一日がちょうど五十一日目に当たるわけですけれども、一日も早い指定を皆さん望んでおるものですから、余り悠長なことを言っていないで、やはり大至急してやることが必要だと思うのです。めどとしてはどうですか。
  86. 福島啓史郎

    ○福島説明員 めどといたしましては、今月末から九月初めを目途に、関係省庁と協議を進めているところでございます。
  87. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 できたら、今月いっぱいぐらいに何とかしてやっていただきたいと思います。  同時に、激甚災の指定の法律を見てみますと、農業被害の見込額を基準としているわけですね。今度は津波ですから、漁村が非常に被害を受けている。農業は余りないという状態です。農業のあるところは農業の被害額によってそれはもちろんできるわけでありますけれども、農業のほとんどないところは水産業の被害によってしなければならないわけでありますけれども、その辺の法律の弾力的な運用をしないと、檜山管内の大成町ですとか瀬棚ですとか、後志管内の島牧村ですとか、そういうところが外れる可能性が出てくるわけです。その辺、何とかして、水産業の被害を基準として指定をしてやるべきだと考えますが、どうでしょう。
  88. 福島啓史郎

    ○福島説明員 農林水産業共同利用施設災害復旧事業の激甚指定は、農業被害額を基準としているわけでございます。その考え方は、激甚法の立法に当たりまして、それまでの個々の特別立法によります激甚災害における措置の実績を基準といたしまして、これを尊重するという基本方針がとられまして、指定基準につきましても、過去の実績を踏まえた基準となっているわけでございます。  それで、農林水産業共同利用施設に対する被害につきましては、天災による農林漁業被害というものが通常、面的な広がりを持って農業、林業、漁業と相伴って発生しまして、特に激甚な災害につきましてはほとんどの場合、農業部門の被害中心となっているという我が国の農林漁業災害の実態に着目しているわけでございまして、そのために農業被害を基礎として設定されているものと考えるわけでございます。  そうした事情にあるわけでございますが、今般の件につきましては、今後、関係市町村の被害状況あるいは今後の査定結果等を踏まえまして、必要に応じて関係機関と相談してまいりたいというふうに考えております。
  89. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ぜひとも、やはり漁村が中心の、基幹産業が漁業でありますから、農業はほとんどないわけですから、十分にその辺を考えてやっていただきたいと思います。  それから、査定をする場合、農林水産業の施設の査定というのは、残存評価をするわけですね。例えば、修理復旧再建額を一千万とします。償却分がもしも四〇%あるとしたら四百万は抜かしてしまう。被害を受けない部分が二〇%あったとします。二百万分ある。ですから、査定対象額が、そういうものを抜かしていくと、四百万の部分しか査定ができない。その部分の、査定対象外になるのが、六百万も査定対象外になってしまうわけですね。激甚災に指定されて補助を十分の丸もらったとしても、それはもう実際、地元としては十分の一の部分の出さなければならぬ部分と六百万足すと、六百四十万自分で出さないと、もとに復旧できないという状態ができるわけですね。  ですから、その辺の査定の仕方をよく愛情を持ってやってやらないと、もとに復旧できないという状態になると思うのです。ですから、もう各町村は非常に財政的に逼迫しておりますし、それだけに地元で負担をするということはなかなか難しい状態でありますから、その辺をぜひとも考えていただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  90. 福島啓史郎

    ○福島説明員 暫定法に基づきます共同利用施設の災害復旧事業費は、被災施設の復旧に必要な額または再調達額に経年減価分を差し引いた率を乗じて算定しております。共同利用施設につきましてこのような経年減価方式を考慮いたしておりますのは、一つは、通常の場合、農協あるいは漁協等が所有する共同利用施設につきましては、減価償却に見合う更新のための積み立てが行われているという事情がございます。それからもう一つは、一般の奨励的な補助事業におきましては単なる施設の更新は補助の対象としていないということとのバランスをとる必要があるということから、災害を受けた場合だけ再調達価額による復旧事業全額を補助対象とすることは適当でないという事情によるものでございます。  なお、この場合、経年減価方式を適用する場合におきましても、耐用年数は大蔵省令で定められておるわけでございますが、その耐用年数の四割増しを適用するなど、実態に即した運用に努めておるわけでございます。そのような事情にあることを御了解いただきたいというように思っております。
  91. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 過去のいろいろな査定を見てみますと、やはり査定官のいろいろな考え方でもって、もとに戻さないとだめだな、残存しているものは認めて、これを残しておいてもこれはもとに戻らないなということが今までもたびたびあるらしいですね。ですから、そういう場合には新しくつくり直す、それを全部認めてやるということが過去にあったと聞いております。ですから、そういうことを考えてあげないと大変だと思いますから、これからいろいろな査定が始まっていくのでしょうけれども、その辺を十分に査定官の方々も頭に置いて、できる限り愛情を持ってやってやる、その辺ぜひとも考えていただきたいと思います。  それから、津波のために浅海資源が全部波にさらわれてしまったという状態にあるらしいのですね、調査が進んでいませんから詳しいことはまだわからないわけでありますけれども。御承知のとおり、つくる漁業というものが中心になって今まで水産業をやっております。ウニ、アワビ、ホタテとか、こういうものをやっているわけでありますけれども、こういう資源がほとんど根こそぎなくなってしまっているという状態にあるかもしれない。多分あるだろうと言われております。  ですから、その辺を、北海道調査にいよいよ今乗り出していますけれども、相当広い地域ですから、水産庁としても相当支援をしてやっていく、その復旧対策のための調査を大至急大規模にしまして、そして大規模漁場造成事業などをやって、もとに復旧してやらないと漁業ができない状態になると思いますので、ぜひともその辺をお願いしたいのですけれども。お考えはどうでしょうか。
  92. 神瀬哲

    ○神瀬説明員 漁場の調査あるいは漁場の復旧に関する御質問にお答えをさせていただきます。  現在、鋭意北海道の方で漁場関係の調査をされているようでございます。沿岸漁場整備開発事業によりまして設置いたしました漁業施設の被害につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づきまして災害復旧事業ができるようになってございます。  今回の地震におきまして、漁業用施設の被害状況につきましては、北海道からの報告によりますと、現時点で、ウニ漁場で四カ所、約二億円となってございます。被害箇所の復旧につきましては農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づきまして、早急に査定を実施いたしまして、早期復旧に万全を尽くしたいと考えている次第でございます。
  93. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 それと、被害漁業者の大半が、経営が今までも非常に逼迫していた状態があったわけですね。漁船はなくなる、また、その他いろいろな施設が壊れてしまう。それで、復旧のためにそれぞれ公庫資金など、いろいろな近代化資金を借りていますね。その融資残高がそれぞれ地域で非常にあるわけです。ですから、新たに借りるとなっても、なかなか大変な状態があるわけです。ですから、今までの借入金の償還猶予ですとか、条件の相当な緩和をしてやらないと、新たな出発ができないという状態にあるわけです。その辺を十分に考えてやらなくてはならぬと思うのですけれども、どうでしょうか。
  94. 福島啓史郎

    ○福島説明員 既借り入れ制度資金の償還条件の緩和につきましては、関係金融機関、すなわち農林漁業金融公庫、農林中央金庫、全国信連協会、全国漁業協同組合連合会あるいは北海道庁等に対しまして、その実情に応じて適切に対応するように既に指導しておるところでございます。  具体的には、償還期限の延長なり、据置期間の延長、あるいは中間の据置期間の設定、償還金額の一部繰り下げなどでございますが、この趣旨の徹底が図られるように十分指導してまいりたいと考えております。
  95. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ひとつお願いします。  もう一つ、漁船保険についてお聞きしたいのですけれども、火災保険には新価保険というのがあって、例えば二千万の船が今必要だ、しかし保険は六百万しか出ない、しかし船の価値二千万の保険が掛けられるという制度があるわけですね。ところが、漁船の場合にはそういうような制度がない。それで、保険を六百万ぐらいもらったってどうにもならないという状態になります。もちろん今度の場合には、個人個人がっくれませんから、漁協がつくって貸すという制度を今やっておるわけでありますけれども、やはり自分でつくりたいという人もいるわけですね。つくらなくてはならぬという人もいるわけです。  ですから、そういう人たちのために、これから、こういう経験を生かして、火災保険のような、丸々つくれるという、そういう新しい漁船の保険制度というものをつくるべきだと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  96. 澁川弘

    ○澁川説明員 ただいまの御質問でございますが、比較的新しい保険として新価保険というのが出ておるということは、御案内のとおりであります。  ただ、新価保険は、基本的に、保険設計上超過保険になるおそれがあるものですから、民保におきましても甚だ慎重な対応になっているものでありまして、現在新価保険が適用されているものは、長期的に対応する保険のようなもので、なおかつ家屋を対象とするような火災保険に限られておるわけであります。したがって、我々、漁船保険と同種の一般船舶とか貨物を対象とする海上保険がありますけれども、これも実は採用していない状況にあるわけであります。  しかしながら、先生御指摘のように、年数がたってなかなか再取得が難しいようなことを懸念いたしまして、私ども、漁船保険は単年保険でありますから、一つは複成船価方式というのを考えておりまして、これは引き受け時の新造船価額を念頭に置いて保険価額を設定する、こういうことをやっております。もう一つは、満期保険制度というのを並行して走らせておりまして、この二つのシステムを組み合わせることによりましてかなりの水準までてん補ができるような仕組みで今対応しているところであります。  御指摘の新価保険につきましては、そういう現状でありますので、その対応は一般船舶の海上保険の動き等を見ながら慎重に対応すべきではなかろうかというふうに考えております。  以上であります。
  97. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 わかりました。  今おっしゃったような、新たにそういうもとの船が買えるというような形でもって、新価保険は別にしまして、いろいろ考えていただきたい、そう思います。  それと、漁協経営についてちょっとお聞きしたいのですけれども、施設や船が壊滅的な打撃を受けているわけですね。奥尻なんかはほとんどもうない。島牧なんかもほとんどない。また、それぞれの町村を見ましても、半分ぐらいはもう船がだめだ。それで結局、漁業の生産活動が停止状態にあるわけですね、船がないから、沖に出られないわけですから。また、先ほど申し上げましたとおり、浅海漁業をやっている方々なんかは、もうみんな根こそぎやられてしまっているという状態ですから。船ができ上がるといったって、これは一年ぐらいかかるわけですね。買いに行ったとしましても、その地域に合う船がない。それからまた、つくったとしても、これはもう今物すごい量でつくらなくちゃなりませんから、船大工なんてそんないるものじゃありませんから、時間がかかるわけですよ。  結局、漁協やなんかは、一年くらいもう生産活動もできないという状態になってくるわけです。ですから、漁協の職員の給料だとか、いろんな運営資金、運転資金が非常に困る状態になってくると思うのです。ですから、漁協に対しての当面の経営資金だとか助成制度、そういう低利の融資措置を講じなかったらだめだと思うのです。同じように、漁協ばかりじゃなくて、奥尻なんかは農協なんかもそういう状態になっていますけれども、そういうことを大至急やらないとだめだと思っているものですから、お考えどうでしょうか。
  98. 高濱正博

    ○高濱説明員 お答え申し上げます。  今回の地震によりまして、奥尻漁協を初めといたしまして北海道の多くの漁業協同組合が大きな被害を受けたところでございますが、漁業協同組合は、地域の漁業振興や各種の水産施策の担い手といたしまして重要な役割を果たしておるところでございます。したがいまして、その機能が速やかに回復されることが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。  このため、水産庁といたしましても、漁業協同組合が所有いたします産地市場の施設でございますとか、それから製氷冷凍冷蔵施設、さらには給油施設等のいわゆる共同利用施設でございますが、これにつきまして、暫定法に基づきます補助によりまして、早期に災害復旧が図られるように措置をするというふうにしているところでございます。  それから、先ほどお話がございましたが、漁協等の職員の給料の問題等でございますが、現在のところ、被害を受けた漁協の職員の給料等の支払いに直ちに支障が生じているというふうには聞いておりませんけれども、今後、被災地域の漁業復興がどういうふうに行われるかということでございますが、その程度によりましてはいろいろ運転資金等にも問題が生じてくる場合もございますが、そういう場合につきましては、道庁等とも十分協議をいたしまして、適切に対応がなされるように指導していきたい、こういうふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  99. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 わかりました。  それと、農業施設の復旧について一つだけお聞きしたいと思いますけれども、用水路や排水路などが被害を受けているわけです。いろいろ、農地にひび割れが入ったとか、大変な被害を受けているわけでありますけれども、早期復旧をしないと、来年の営農にも差し支えるような状態になってきますので、査定などを相当急がなくちゃならぬと思っていますけれども、査定のスケジュールなんかわかりましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
  100. 石村洋

    ○石村説明員 北海道南西沖地震により被災しました農地、農業用施設につきましては、八月二十六日から緊急査定を行いまして、順次災害査定を実施する予定でありまして、早期復旧に努めてまいりたいと考えております。  また、緊急に対策を要する箇所につきましては、応急工事の実施など、適切な対策を講じるよう関係機関を指導しているところでございます。
  101. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 それと、林業もひとつお聞きしたいのですけれども、林業被害も、北海道二百億という大変大きな被害があるのです。林業というのは、奥はどうなっているかというと、道路が決壊したりなんかしているものですから、中に入っていけなくて、だんだんだんだん被害がわかってきたというような状態があるわけですけれども、最近の状態を見てみますと、大変大きな被害が出ているということがわかってきたわけです。  それで、早期復旧のために災害関連緊急治山事業みたいなものを採択してしなければ、早期復旧は無理だろうと言われているんですけれども、この林業の復旧について、お考えをお聞きしたいと思います。
  102. 工藤裕士

    工藤説明員 このたびの北海道南西沖地震によります林業関係の被害額は約二百八十七億円でございます。林野庁といたしましては、林業関係の被害が発生した箇所等に担当官を派遣いたしまして、被害状況調査、応急対策復旧等の指導を行っているところでございます。  地震に伴い発生いたしました林地荒廃箇所につきましては、先生先ほどおっしゃいました、災害関連緊急治山事業によりまして早期復旧を図るということで、緊急性の高い箇所から、準備が整い次第、土どめ工とかのり枠工、こういった復旧工事に着手する、こういう予定でございます。今後とも、早期復旧に向けまして、関係機関と連絡を密にいたしまして、万全な治山対策を講じる考えでございます。
  103. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今まではどちらかというと津波を中心としたことでありましたけれども、蘭越町というところがありますけれども、蘭越町に一級河川の尻別川というのがあります。その尻別川と、もう一つ後志利別川というのがあるのですけれども、築堤が真っ二つに割れたような状態でひびが入ってしまった。相当長い距離ですけれども、真ん中から割れているわけですけれども、今大至急応急手当てをやってくれているわけです。  なぜあの地域はずっと長い距離にわたって築堤をしているかというと、たびたび尻別川のはんらんがあって、相当な地域にわたって、何回も何回も被害を受けた地域なんですね。ですから、今のまま、本復旧を急がないと、これから北海道は雨の時期になってきますし、来年の春には今度は雪が解けて、今度は融雪期になるとまた水がふえるわけでありますから、本当に急がないと大変だなと私は思っているものですから、この地域の本復旧の見通しについてお聞きいたしたいと思います。
  104. 山田俊郎

    ○山田説明員 今回の地震によりまして、尻別川では約二・三キロメートル、後志利別川では約六・六キロメートルにわたりまして、先生御指摘のように、堤防に亀裂や陥没等の被害が発生したと報告を受けております。  被災を受けた箇所につきましては、七月十六日に、台風等に起因する出水に緊急に対処すべく、合計約四十二億円をもちまして三河川の緊急復旧事業に同時に着手しまして、尻別川では八月九日、後志利別川では八月十三日にそれぞれ完了しております。  緊急復旧工事の内容は、被災前の堤防高まで盛り土し、シート張りをかけて、土のう積みを施したほか、必要な箇所につきましては鋼矢板二重締め切り堤を実施したところでございます。  また、先生御質問の本復旧工事につきましても、査定に係る現地調査を八月十六日から二十日にかけて既に実施したところでございまして、早期復旧に万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  105. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 これは本当に急がないと、それこそ先ほど申し上げましたとおり、雪の多いところなものですから、来年の春なんかはもう非常に心配されるものですから、ぜひともひとつ急いでいただきたいと思います。  それから、住宅についてちょっとお聞きしたいのですけれども、住宅が壊れてしまった人、流された人、それぞれが各町村でもって仮設住宅を建てたり、またほかのところに移ったりなんかしている人もいますけれども、自力で住宅を建設しようとする人たちで、過去に住宅金融公庫から既に借り入れがある。ですから、今回新しく建てる場合には二重の借り入れになってしまう。それが支障になって、住宅を自分で建てられないということになるとちょっと大変だと思っているのです。  ですから、私、本当は、この激甚災に指定をした場合の金利を安く、前の分も一緒に金利を安くしてしまうのがいいと思うのですけれども、相当な対策をしてやらないと、自力で住宅を建てることは難しいと思うものですから、自力で住宅を建てる場合のそういう対応についてどう考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
  106. 藤田真

    ○藤田説明員 自力で住宅を建てる人に対する対策でございますけれども、新規の貸し付けにつきましては、金融公庫の災害復興住宅資金貸付制度があり、七月十六日から受け付けを開始しておりまして、既に十三件の受け付けがございます。これにつきましては、全償還期間を通じまして、基準金利のマイナス○・二%、四・二五%と非常に有利な貸し付け条件になっておりますし、また、三年以内の据置期間を設けまして、この期間中は元本を据え置いて、利子のみを返済すればいいという制度でございます。これにつきまして、今後とも、被災された住民の方々から融資につきまして相談があれば迅速に対応するよう公庫に対して指導してまいりたいと思っております。  また、御指摘の、既存の債務を負っておられる方々についてでございますけれども、これにつきましても、金融公庫の融資の条件を緩和する仕組みがございまして、既に金融公庫に対しまして、この条件変更についての包括的な認可を行っておるところでございまして、例えば、漁業についての事業資産やあるいは勤め先が被害を受けたことによりまして著しく収入が減少した方々につきましては、その罹災の割合に応じまして、償還元金の払い込み期間を据え置く、あるいは据置期間中の利率を引き下げる、さらには償還期間を延長するなどの仕組みが用意されておるところでもございまして、個別の事情に対応いたしまして公庫の窓口を指導してまいりたい、こういうふうに考えておるところでもございます。
  107. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ちょっと時間がなくなってしまったので急いで聞きたいと思います。  原子力発電所等の設置町村泊村、後志管内の泊村は原子力発電所を持っておりますけれども、その隣の神恵内村でも相当大きな被害を受けたわけですが、原子力発電所の設置町村及び周辺地域が、もしも奥尻並みの地震が、津波が来たら、一体どうなるのだろうかという不安が非常にあるわけですね。もちろん原発をつくるときには、地震の対策、津波の対策は十分にしておるわけでありますけれども、今でも非常に不安を持っている。どうもそういうPR活動がちょっと足りないのじゃないかと私は思っています。こういう機会に、原発に対しての不安を抱かないようにやはりもっとPR活動をしっかりした方がいいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  108. 大野栄一

    ○大野説明員 原子力発電所の設置に当たりましては、先生御指摘のように、国としまして厳格な安全審査を行っておりまして、安全性については十分確保されているわけであります。地震、津波に対しましても十分な安全性を有しているところでございますが、こうした安全性についてはかねてより私どもPRに努めているところでございますけれども、御指摘を踏まえまして、今後とも一層鋭意努力してまいりたいと考えております。
  109. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ぜひともPR活動、この機会ですから、一生懸命やっていただきたいと思います。  もっと聞きたいのですけれども、時間がないので、最後に、もう一つだけお聞きします。  私は、この地震を契機に、全国的に、各都道府県に災害復興基金のようなものをつくってはどうかなと思うのですね。制度ではとても救えない、いろいろな制度の財政支出がなかなかしにくい、そういう面が民生用の被害にたくさんあるわけですよ。それは各町村などの持ち出しで処理しているわけですけれども、とてもとても被害が大きいときにはそれではだめだ。ですから私は、例えば五年計画ぐらいで、国と都道府県がだんだん積み立てていって、そして百億だとかなんとかということで基金をつくる、そしてその基金でもってそのときのいろいろな対応をしていける。  それから、今回、北海道の義援金を見てみますと、物すごく集まったのですね。大変な善意の寄金が集まっておるわけですよ。百数十億円ぐらい集まった。これを、ただ配ってしまうのではなくして、やはりそのうちの半分だとか何割かを基金にして、また積み立てていく、そういうことをすれば、もっと有効な利用ができるのじゃないのかな、そして今後のいろいろな対応ができるのじゃないかな、私はそう思うのですね。これからもまた我が国においては、地震国ですから、そういうことは起こり得るわけですから、その辺をぜひともこの機会にやるべきだと私は思うのですけれども、どうでしょうか。上原長官、どうぞ。
  110. 上原康助

    上原国務大臣 佐藤先生の御質問にお答えいたします。  今の基金制度のということについては、やはり一考に値する御提言がと思うのです。  ただ、現在は、御承知のように、災害救助法に基づいて、救助に要する経費については、その財源に充てるために、都道府県において災害救助基金というものを積み立てておる都道府県もあるようでございます。さらに、地方公共団体は、地方財政法に基づいて財政調整基金を設置しておって、同基金は災害対策経費の財政調達に大きな役割を果たしているようでございます。  目下のところはこれらの基金を活用することにより適切な対応がなされておるようでございますが、実は私も、鹿児島あるいは北海道をじかに視察して、現在の制度あるいは法律の範囲で対応ができかねる面が多い、そこで何か国としてそういった基金制度なりいろいろ考えられないのかということを事務当局にちょっと聞いてみたのですが、政府としてというか、国の財政支出による直のものはなかなか容易ではないという現段階のお話ですけれども、各都道府県にもそういう基金制度がある、あるいは義援金なども、今回の場合、鹿児島北海道含めて相当国民の善意の支援があるわけですから、この場ですぐにそうしましょうというわけにはいかないと思うのですが、やはりこういう件につきましても、本委員会なり各党派の御意見等も承って、将来そういうことができないのかどうか、検討に値する懸案事項ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  111. 池端清一

  112. 濱田健一

    濱田(健)委員 鹿児島県第二区から参りました濱田健一でございます。  国会に参りまして、こんなに早く委員会質問をさせていただく機会を得ましたことを、中身が災害のことについてですので複雑な思いがしておりますが、感謝申し上げたいと思います。  さて、けさから鹿児島県の選出の国会議員三名の皆さんからも話がありましたとおりに、さきの鹿児島長雨そして集中豪雨災害におきましては、死者八十五名、現時点ですが、行方不明一名、重軽傷者百六十九名という人的な被害を含む、家屋、耕地、そして道路河川等、筆舌に尽くしがたい被害が発生しました。お亡くなりになりました皆さん方を初め、被災されました多くの県民の皆さんには、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、細川総理を初め上原国土庁長官政府首脳そして災害特委の皆さん方が、早速のお見舞いと、被災されました県民の皆さんへの激励、そして速やかな復興、復旧への対応、支持をくださいましたことを、県民を代表いたしまして、心より感謝申し上げたいと思います。  では、本日は時間が限られておりますので、緊急的な事項を中心にして、数点に絞って質問させていただきたいと思います。  けさからも出ておりますが、まずは上原長官にお尋ねしたいのですが、県の要望等にも出ておりますとおりに、被害の甚大さにかんがみ、地元激甚災害法の適用を一刻も早く望んでおりますのできましたら、そのめどと、国土庁としての災害復旧、復興に向けての決意をいま一度お聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
  113. 上原康助

    上原国務大臣 けさほど来御答弁申し上げておりますように、今回の鹿児島県における豪雨災害により多くの人命を失ったこと、また、行方不明者もいまだにおられる、たくさんの被災者皆さんに、本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思うのです。濱田先生初め地元の与野党の先生方が一生懸命頑張っておられることに対しても敬意を表したいと存じます。  そこで、激甚災害の指定の問題ですが、これは鹿児島県、鹿児島市の方から強い御要請があったことも、私もじかにお受けをいたしました。既に、現在、関係省庁等において被害状況等の把握に鋭意努力をさせていただいていることは、濱田委員よく御承知おきのことと思うのです。被害調査の結果を待って、適切に対処をしてまいりますが、いろいろ各省庁の連携あるいは協力関係も得なければならない面もありますので、大体激甚指定をやるには早くて一月ないし一月半程度これまでも要しているようでありますが、今般の豪雨災害被災の重大さにかんがみて、関係省庁、特に国土庁としては、できるだけ早目にその指定ができるように、これからも事務当局を初め一段の努力をさせていただきたい、こう考えております。
  114. 濱田健一

    濱田(健)委員 上原長官が就任されまして初めての仕事ということで、北海道のこともございますけれども、両方一緒に期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  自治省の方にお尋ねしたいと思うのですが、各自治体に対しまして災害救助法が発令され、交付金の前倒しが実施されています。しかしながら、多くの自治体が財源に乏しいところでありまして、ある町などの例をとりますと、年間町予算総額が四十五億に対して、既に、まだ未集約部分を多く残しながらも、五十億を超えておるというような被害の実態からも、どの自治体も特別交付金や時限立法等による手厚い財源救済措置を望んでいるというのはおわかりだろうと思います。財源的にまたいろいろな方法を駆使されて、どういうふうな形で救済されていかれるおつもりがあるのか、その決意等もお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  115. 武田文男

    ○武田説明員 御説明申し上げます。  今回の集中豪雨により被害を受けた地方公共団体におきましては、被災者の救援、応急復旧などを行うため資金繰りに支障を生じている団体もあると考えられますことから、今議員御指摘のように、関係地方団体の意向も踏まえまして、八月十六日に宮崎県下の十四市町村さらに鹿児島県下の十四市町に対し、それぞれ四十四億五百万円また三十七億七千万円の普通交付税の繰り上げ交付を行ったところでございます。  また、今回の豪雨災害により被災をいたしました地方団体におきましては、今後災害復旧事業など多大の財政負担が生ずることが見込まれるわけでございます。自治省におきましては、このような地方団体が行う災害復旧事業についての地方債の措置を行うとともに、災害復旧事業費あるいは罹災世帯数、農作物の被害額などを十分勘案いたしまして特別交付税の算定を行い、所要の財源措置に努力をしてまいりたいというふうに考えております。  今後とも、被害状況、財政状況を十分に勘案しながら、地方団体の財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  116. 濱田健一

    濱田(健)委員 ぜひ手厚い手を、光を差し伸べていただきたいというふうに思います。  次に、建設省にお尋ねいたしますが、公共災害復旧の早期実施についてですけれども、国も多くの災害査定案件を持っておられまして、日々職員の皆さんが奮闘されておられることを十分承知しておりますけれども、国の査定が終わらなければ工事実施できないという状況の中で、住民の皆さんの日々の不安と不満は募る一方でございます。復旧に対しての取り組みがもっと迅速化できないのか、その現状と対応について述べていただきたいというふうに思います。
  117. 山口嘉之

    ○山口説明員 御説明させていただきます。  災害査定につきましては、測量、調査、設計等、地元の準備が整い次第、早急に査定に入ることにしておりますが、先生御指摘のとおり、今回の災害は大変規模が多うございまして、箇所につきましても大変数多くなっております。このため、災害査定が迅速に行えるようにということで、今回はあらかじめ先週あるいは今週、災害査定官を現地に派遣いたしております。あらかじめ現地に派遣いたしました査定官が、県あるいは市町村等と復旧工法等の事前協議等を行うなどいたしまして、現地の査定の準備が早まるようにまず配慮しております。  それから、緊急に復旧を要します箇所につきましては、査定を待たずに復旧に着手するよう指導しておりまして、この応急復旧工事につきましては、後日、災害査定時に災害として申請するよう指導しております。査定を行いまして、適切なものにつきましては災害復旧事業として国庫負担の対象としております。  また、災害査定迅速化のために、申請額が一カ所二百万円未満の箇所につきましては、あるいはまた距離等の関係からやむを得ない理由によりまして現地の査定が困難である箇所等につきましては、現地に行かず、被災写真等により机上で査定を行って決定するという机上査定制度を積極的に活用しております。  また、災害査定設計書の作成につきましても、申請額が一千万円以下の箇所につきましては、簡略化した設計書により査定を受けられるよう総合単価制度を積極的に活用しております。査定が早期に受けられるようにいろいろ努力しております。  公共土木施設の災害復旧につきましては、今後とも地元機関と緊密に連絡をとりつつ、以上の制度を積極的に活用いたしまして、一日も早く災害査定が終わり、工事に着手できるようにしてまいりたいと考えております。
  118. 濱田健一

    濱田(健)委員 もう一点ですけれども国道十号の話はけさから出ておりますけれども姶良町の白浜というところから鹿児島市の磯の公園まで、大雨のたびにがけ崩れ、そして通行どめを繰り返しております。県都鹿児島市、そして鹿児島空港、宮崎、熊本両県を結ぶ基幹路線ということ、それに姶良郡や曽於郡という県内の基幹生活道路としての機能をこの十号は持っているわけですが、それをいっときも停滞させないために、別ルート、地元ではトンネルをつくるとか、海岸から少し離して橋をかけるとかという話題も出ておりますが、そういうものも含めて、抜本的な災害対策についてどのようにお考えなのか、けさも少し出ましたけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  119. 辻靖三

    ○辻説明員 今回被災しました国道十号沿いの斜面の防災工事等の対策につきましては、十分調査した上で、鉄道、急斜面、治山等各事業とも協力して行うこととして考えております。  さらに、今回被災しました国道十号の抜本的な対策といたしましては、国道が斜面と接しております鹿児島市磯から花倉付近につきましては、海岸沿いにバイパスを設置することで都市計画決定をいたし、鹿児島北バイパスとして現在事業を実施中でございます。県、市、地元の御協力を得ながら、この事業の推進に努めてまいりたいと考えでございます。  その北側の花倉から姶良町白浜区間につきましては、今回の被災状況を踏まえ、災害に強い道づくりを目指して、ルート、構造等の検討を行ってまいりたいと考えております。今回の被災状況につきましては貴重な教訓といたしまして、今後の道路整備に生かしていきたいと考えでございます。
  120. 濱田健一

    濱田(健)委員 御努力をお願いしたいと思います。  もう一点ですが、シラスの土地を切り開いてつくった九州縦貫道路、特に吉田-加治木間のストップにつきましては、国道十号が通行不能になっても縦貫道があるから大丈夫という県民の期待を見事に裏切りました。特殊な軟弱地盤のシラス台地を切り開いてつくったのですから、ほかの工事基準とは異なった工法でつくられたというふうに思っておりますが、その特徴がありましたら示していただき、今回の状況から見て、ほかの縦貫道と違ったこれからの強化策、それらが検討されているのであればお示しいただきたいと思います。
  121. 井上啓一

    ○井上説明員 南九州のシラス台地を通過する高速自動車国道、九州縦貫自動車道のえびのジャンクションから鹿児島間、あるいはえびのジャンクションから宮崎間、合わせますと百五十・三キロございますが、このシラス台地を通過する高速道路を建設するに当たっては、シラスが特に水に弱い土質であるということで、のり面の定安と排水対策が最大の課題であると思っております。  このような観点で、シラス地区に高速道路を建設するに当たっては、大きく言いまして、四点の技術的工夫を行っております。盛り土の定安を図るために、盛り土のり面の勾配を緩くいたしておりまして、通常ですと一割五分で切っておるところを一割八分に切っている、それから盛り土高も七メートルから六メートルに縮小する。あるいはのり面の浸食を防止するために、切り土のり面では側溝の道路側に止水堤を設けましたり、あるいは盛り土のり面では側溝から水があふれ出さないように特別な側溝を用いるようなこともして、流れ込む水の阻止をしております。また、小段の幅を広くいたしまして、そこに側溝を設置して、のり面排水対策をしておりますとか、あるいはのり面に張り芝工、植生マット工等を施しまして、のり面の保護をしております。  ただ、今回高速道路被災、三十数カ所被災いたしておりまして、これは予測ができない豪雨により生じたものでありますけれども、今回の経験を踏まえまして、さらに事態を調査して、より一層災害時に安全性向上が図られるよう日本道路公団を指導していきたいと考えております。  また、今回の被災で、高速道路の敷内で起こった被災については早急に復旧ができたわけでございますが、崩落のおそれのあるのり面についてはコンクリートのり枠の設置、あるいは排水性の向上を図る等安全対策を今後講じてまいりたいと考えております。また、復旧に手間取っておりました被災は、道路区域外ののり面の崩落によって高速道路被災したものでございまして、このような災害に対しては、今後高速道路区域外の点検を強化したいと考えております。また、これに基づいて地方自治体等と協力して、一層の防災対策に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  122. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間がありませんので、簡潔にお答え願いたいと思うのですが、運輸省にお尋ねいたします。  国道十号については、今月末または来月の頭には何とか片側交互通行、時間制限等で使用できるようになるのではないかと聞いておりますけれども、JR日豊線、肥薩線は当分使用できる状況にありませんし、復旧にはどの程度かかるか、全くめども立っておりません。一週間後には二学期が始まりまして、高校生、大学生、この人たちが通学しなくちゃならない主な交通機関になっているわけですが、JR両線の代替バスまたは鹿児島方面への大量輸送手段としての代替船舶、これらの速やかな交通手段確保について、運輸省としては、関係方面への対応の状況をお知らせ願いたいと思います。
  123. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 御説明申し上げます。  JR九州におきましては、今先生御指摘の不通区間におきまして何らかの形でバス代替輸送を行うということで検討を進めております。このバス代替輸送を行います場合に、鉄道線路に並行いたします道路が開通するということが前提でございますけれども、JR九州におきましては、県の御要請もございましたし、今御説明ございました、朝夕の通学、通勤時間に集中いたします鉄道利用者の方々の需要に対して、必要なバス台数を確保する、あるいは所要時間をどうするというようなことで、関係バス事業者間で検討を進めているところでございます。  運輸省といたしましても、JR九州に対して、今検討を進めておりますけれども、その具体策をできるだけ早く取りまとめて、鉄道利用者の方々の代替輸送の確保という観点から、適切かつ迅速に対応し得るように指導してまいりたいと考えております。
  124. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間がありませんので、最後に、一点の質問要望をしておきたいと思います。  郡部での耕地被害のすごさは、ごらんになったとおりでございます。農家としましては、農作物共済の早期支払いを強く望んでおりますし、その対応と、品質低下が予想される米の問題について、損害評価については特別な措置を鹿児島県も要望しておりますので、取り扱いをよろしくお願いしたいと思います。  あと一点、石橋の問題ですが、あれがあるから洪水も起きるんだというような話も出ておりますけれども、文化財として残そうという皆さんの声が私のところにも入ってきます。例えば川底を二メートル掘り下げても、橋脚の高圧コンクリート補強によって石橋は今までのとおりに保存できるという見解を持っている学者もおりますし、移設するというけれども、稲荷川という鹿児島市にある小さな川にかかっていた大乗院橋という橋も移設をするために取り外したそうですが、古い工法で、移設、復旧できなかったという状況もあるようです。また県は、国が文化財として指定しようとしていた石橋を、その文化的価値の評価すらせずに、しゃにむに取り崩そうとしているだけだというような声も出てきているわけです。文部省文化庁としては、この貴重な国民、県民、市民の財産としての石橋についてどのように対応していかれる基本的な姿勢があるのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。  時間が来てしまいましたので終わりたいと思いますが、とにかく国が緊急復興の手だて、中長期的な復旧、復興の手だてを早急に示していただきまして、先ほど佐藤議員からありましたように、この際災害基本法というような、個人を救える法律等も何らかの形でつくっていかなくては、都市計画、都市づくりの悲惨さからがけ崩れなどに遭っている住民の皆さんというのは、やはり貧しい方が多い、復興に手間取るというようなことも強く感じているところでございます。その辺をお願いいたしまして、一点だけ文部省文化庁の回答をいただきまして、終わりたいと思います。
  125. 宮澤智士

    ○宮澤説明員 ただいまの点でございますが、文化財の指定の取り扱いは、国が指定するもの、それから都道府県、市町村が指定するものとがあるわけです。それに、いずれも価値が高いものを指定しております。  具体的に本件の場合でございますが、五つの石橋のうち一つは、鹿児島県の文化財に指定していることは承知しております。流された二つの橋の修復についてでございますが、流失した石材がどの程度回収できるかということが一つ問題があります。それかもまた、もとの位置に戻せるかどうかということが重要でして、現時点では、その判断がまだつかめていない状況にあると聞いております。  それから、残された橋についてですが、流された二つの橋がどういうぐあいに復旧できるか、これとあわせて保存について再考することになろうかと思っております。指定の場合、一般的には簡単に移すべきではないのですが、本件に限った場合、現地で保存が可能であるか、あるいは移築して保存することがよいのか、地元調査検討していただきたいと考えております。鹿児島県では、文化財審議会でこの点について既に検討を始めていると聞いております。文化庁といたしましては、県の方からそういうことについて相談がありましたならば、指導助言など協力に努めてまいりたいと考えております。
  126. 濱田健一

    濱田(健)委員 どうもありがとうございました。
  127. 池端清一

    池端委員長 鉢呂吉雄君。
  128. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、日本社会党鉢呂吉雄でございます。同時に、今度の北海道南西沖地震の地元議員として質問をさせていただきたいと思います。  質問に当たりまして、今度の鹿児島豪雨災害あるいはまた北海道の南西沖地震災害でお亡くなりになられた方に対して、心からお悔やみを申し上げますと同時に、被災された多くの方々に対して、心からお見舞いを申し上げるところでございます。  北海道の南西沖地震に際しましては、天皇陛下はもちろんでありますが、細川内閣組閣直後に、大変お忙しい中で上原国土庁長官が二日にわたりまして、奥尻町はもちろんでありますけれども、対岸の北海道本島側にも二日目にも調査視察をされて、地元の住民の方々、本当に感謝を申し上げておるところではございます。同時にまた、畑農林水産大臣あるいはまた五十嵐建設大臣、そしてまた、実はきょう私ども地元の檜山管内十町の町長さんすべて上京いたしまして、細川総理と朝、閣議後の本当にお忙しい中、三十分以上にわたりまして、各町長さんの御要請に対して、本当に詳しく状況を聞かれ、また激励の言葉を述べていただきました。  そんな形で、当該町村はもちろんでありますけれども北海道庁あるいはまた国においても災害本部をいち早く設置されまして、この間復旧に御努力をされてきまして、心から敬意を述べるところであります。  二、三質問をさせていただきたいのですけれども、私も、選挙真っ最中でありましたが、二日にわたり選挙中被災地調査させていただきました。同時にまた選挙後も、奥尻におきましては五日間状況を見させていただきまして、先週参ってきましたけれども、ようやく茫然自失たる状況を脱しまして、島民の皆さんも応急仮設住宅にほとんど入居されまして、若干の落ちつきを取り戻してきておるところでございます。  しかしながら、大変な人命の犠牲もありまして、その精神的な痛手は本当に大きいものがございまして、本当に皆さん、みずからは助かったけれども、多くの方がすぐそこから亡くなっていったというその精神的なショックが一番大きかったというふうに言っておりますし、住居はもちろんですが、生業である水産関係のさまざまな生産手段を奪われたということで、本当に大きな痛手をこうむっておるところであります。  そこで、先ほど来お話がありますけれども災害が起きるたびに、このような災害特別委員会あるいはまた大変多くの皆さんがかかわりになってくるところであります。まさに地球上異変を起こしておるのかもわかりませんけれども災害が常襲をしておるような状況が今見えておるわけでありまして、私も災害特別委員会もう経験させていただきましたが、雲仙・普賢岳の例を見るまでもなく、大型でその対応がさまざまに異なっておる。したがって、現在のさまざまな制度なり規則なり法律が、必ずしも現在的な災害に的確に適応できておらないのではないか。  いろいろ細かいことは質問したいのですけれども、二十分という限られた時間でありますから、質問を限定させていただきますが、そういう点については、やはり国会の中でも十分論議をする時期に来ておるのではないか。個別一つ一つの制度なりそのものについてするのではなくて、もっと大きな意味で、的確に機動的に対応できるような対処の仕方、私ども、一々国あるいはこの国会が、個別の問題についてどうするんだ、しかも余り被災された住民の皆さんにとっては満足のいかないものになっておる状況、これはやはり根本的に改める時期といいますか、新たな視点で見直す時期に来ておるのではないかというふうに考えまして、率直なところでよろしいのですけれども上原長官のこの点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  129. 上原康助

    上原国務大臣 鉢呂先生には、ちょうど御自分の選挙区といいますか、地元、足元でありますので、今回の奥尻南西沖地震の被害の甚大さに非常にお骨折りをいただいていることにまず敬意を表します。  行ってみて、感じましたことは、特に奥尻の育苗地区あたりの、あの跡形もない状況を見て、そういうことに対してどういう救済措置があるのかなといろいろ考えさせられました。確かに、御指摘のように、政治論としては、もっと迅速そして手厚く救済というか、復旧作業を含めてやってもらいたいというもどかしさがあることは私もよく理解ができます。ただ、今の法律、制度の中で、しかも国土庁だけでなくして、御承知のように、十三省庁、あるいは場合によっては二十二、三の省庁にまたがって非常対策本部を設置してやらなければいかないということ、また、行政を執行する上においては、十分な被害状態の把握等、公平、公正さを欠いてはいかないという手続面等が加わっているので、なかなか地元や、今御指摘のような迅速な対応ができていない面もあろうと思うのです。  いずれにいたしましても、今御意見があったようなことについては、直ちに制度、法律の弾力的運用ということで対応することは非常に難しい面が多いということを事務当局は指摘しております。かといって、では、ずっとそのままでいいのかということになりますと、これもまた被災者皆さんには御不満の点も多いと思いますので、お互いによく研究をしながら、より御期待に沿えるような方途があれば、逐次改正、改善をやっていく、そういう政府としての誠意を示すことは私は必要かと考えております。
  130. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 応急的な措置については、もちろん各省庁に分かれておりますけれども、道庁をその本部としながら迅速に、もちろん奥尻のように、私も行ってみましたけれども、戦中であれば本当に空襲に遭ったような感じで、一夜にして焼け野原という感じでありますから、何から手をつけていいかというような状況であったろうと思います。しかし、それでも最大の形はやっております。さまざまなものを適用しながら対応しておるということは、それは大変な御努力があったというふうに思います。警察、消防、あるいは衛生的な面、これはなかなか表には出ないのですけれども、そういう面は本当に各関係機関がやっておるということは事実であります。ただ、次の恒久的な対策といいますか、緊急的な対策から、あのように焼け野原になったわけでありますから、それをもとに戻すというか、奥尻の町長に言わせれば、復興だ、新たな町をつくるのだというぐらいの意気込みでなければやっていけないという中では大変なことだ。  私は二つ申し上げたいのですけれども、一つは、先ほど国の一級河川については四十二億、これは築堤でありましたから、緊急にやっておると。国の直轄事業は非常に迅速なのです、緊急的なものであっても、あるいは恒久的なものであっても。しかし、都道府県営以外のさまざまなものについては、先ほど来から話がありますけれども、査定行為というのが入る。またほとんどの農地、河川、さまざまなものがあります。治山の問題もありますけれども、査定行為が終わらなければなかなか手がつけられない。やはり査定ということになりますと、測量、設計ということから入りますし、ああいうふうに人的にもなかなか及ばないということで、七月十二日から一カ月半以上、ややもすると二カ月にもなってしまって、やっと査定だ。これでも大変な努力をしているのです。今の制度の中では大変な努力でやっていることは認めるのですけれども、しかし、これではやはり時を逸する。  例えば農地の災害復旧北海道は冬が近いのですから、今やれば一番いい農地に復旧できるという時期なのですけれども、これがやはりできない。国の直轄であれば、走りながら予算をつけていくというようなやり方を、我々はた目に見ても、聞いてみても、先ほども机上の写真でやったとかというふうな話もありましたけれども、やれるのですけれども、なかなかそれがうまくいっていない。そこはやはり直していくことが国としても必要だろう。地方分権ではありませんけれども災害においても、財源を伴って、災害復旧から、もっと長期的な、恒久的な復旧に向けての対処の仕方について検討する時期ではないだろうかなというふうに思うところであります。これも後で、率直なところの御返答をいただきたい。  それから、先ほどもお話がありましたけれども、さまざまな制度があります。もちろんそれでできる災害の規模のところもあるでしょう。しかし、今度の地震の災害を見ますと、特に奥尻なんかはああいう状態であります。一千七億という北海道全体の被害額でありますけれども、そのうちの四百二十億が奥尻でありまして、町の予算の十倍以上、大変な事態であります。ああいう大きな災害に対して、今の激甚災害でも、必ず受益者負担、自己負担、都道府県以下の負担を伴う事業が多いのであります。  そういうものに対して、本当に災害復旧ができるということからいけば、機動的に対応できる新たな財源的な措置をとれる、そういうものをつくる時期に来ておるのではないか。長官は、現地でもそう言っておりました。今も、一考に値すると。どういうできない要素があるのか。直接的な財政支援が難しいということは少し述べられましたけれども、私はぜひ、一つは、国でそういうどこの災害にも適用できるような、しかも機動的に財源を支出できるような基金制度をつくる、こういうものを検討していただきたいと思いますし、同時に、なかなか時間がかかるようでありましたら、北海道の南西沖に限ってみても、長崎・雲仙の例もありますけれども、ぜひともこの復旧基金制度のようなものを国として支援していただきたい。  過日の北海道議会では、このような復興基金について、関係機関と協議をしながら検討しますということを北海道の知事は言っておりますから、ぜひともこれとタイアップして、北海道庁はさまざまな面で、既成の制度について上乗せを図る措置を努力してやっております。例えば共同利用の漁船の購入に対しても、三分の二しか国、都道府県では助成がされない。あとの三分の一について漁業者に負担をさせない、例えばそういう例。さまざまな個人の住宅についても、金利の補給をするというような形をとりつつあります。しかしこれも、北海道といえども財政はそんなに豊かでありません。財政力でいけば奥尻町なんかは〇・一一一ですから、本当に島内の、島の収入がないところであります。  この基金の制度について、とりわけこの北海道南西沖に関しての基金制度について、北海道庁のこの取り組みに対して、国が支援をするお考えがあるかどうか、これについて御答弁を願いたいと思います。
  131. 上原康助

    上原国務大臣 お答えさせていただきます。  災害対策基金というか、あるいは災害復旧基金というか、仮称でしょうが、そういうお尋ねが先ほど自民党の先生からも、また今鉢呂先生からもあるわけですが、これはあくまで今後のこととして、一考に値するお考え、あるいは援言がなと私申し上げたわけで、第一義的には現在の制度、法律の範囲でやっていきたいというのが国土庁、関係省庁の立場であるということ。  第二点目は、都道府県において義援金を含めた基金制度を特定の大きな災害に当たって創設というか、持っていらっしゃるところもある。そういうことも参考にさせていただいて、今北海道庁でどういうお考えがあるかはつぶさには聞いておりませんが、政府としてというか国として、今後のこととして、これは国土庁の一存でもできませんし、もちろん大蔵、建設、他省庁の御理解、場合によっては内閣全体でいろいろ検討せねばいかないこともあろうと思いますので、そういう点を含めてよく勉強させてもらいたい、こう考えております。
  132. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きょう総理にお会いしたときも、総理の方から査言っておったのですけれども、また長官現地に行ったときにも、被災地の町長さんからお話があったと思いますけれども、いわゆる住宅に対する火災保険の適用で、津波、地震、噴火についてはこれを対象としない、その類焼についてもしないという免責条項がありまして、これが、通常の保険を掛けている方はこのことを認識しておらない。またこのことは、保険関係の損保協会等に聞きますと、大きな東京大震災のようなものが起きたときにはもう保険金の対象にならないこともあってということ。  しかし同時に、過去の保険の支払いをずっと見ますと、大きな災害は、もっともっと、風水害の場合で、台風等の被害が全国的に出た場合には保険を支払っている。もちろんこの免責条項はありませんから、約款に基づいて払うのですけれども、やはりこのような奥尻町の災害については、被災者にとっては住宅を損失した痛手は大きいのであります。こういう条項についても特例的な措置ということが間々あるのですけれども被災地においては大変困っております。  長官として、この点について、これはもちろん行政のかかわりは大蔵省の管轄でありますけれども、ぜひとも損保協会等に対して、この点について誠意を持って当たるようにという橋渡し役をやっていただきたい、このことについて、時間が来ましたので、最後にお尋ねをしたいと思っております。
  133. 上原康助

    上原国務大臣 お答えします。  この点も、先ほど中小企業庁また大蔵省の方からも御答弁がございました。あれに限定といいますか制約を受けるわけですが、先ほども中小企業庁、関係省庁でもよく検討してみたいということでありましたので、その経過も踏まえて、今の御提言についてはよく念頭に置いておきたいと思います。
  134. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう時間が過ぎようとしておりますので、さまざまな問題点がありますけれども、しかし行政の方としては、最大限の災害対策をやっておられるということは我々も承知をしております。各大臣も現地で言っておりますけれども、お役人的な対応はしない、ぬくもりのある、本当に被災者の立場に立った災害対策に努力をしたいというふうに言っておりますし、その観点も、現実に農水関係の農業共済の支払い等に当たってこのことは出ておりますので、大変感謝しておりますので、どうかそういった基本線で対応していただきたいし、災害大国日本でありますから、そういうものを踏まえて、新たな災害対応策というものがどうあるべきかについて、先ほど大臣も、この委員会でも検討していただきたいという話でありましたから、ぜひ委員長さんにもこのことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  135. 池端清一

  136. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、関東大震災で大変な被害を受けました被服廠の跡地を選挙区に抱えております東京第六区、東京の下町、すなわち荒川、墨田、江東から初めて当選をお許しいただいた新人でございます。先輩の皆様の御質疑を伺いながら、私も精いっぱいお尋ねをさせていただきたいと思っております。  それにつきましても、先般本委員会池端委員長にお供をして、現地鹿児島視察させていただきましたが、本当に想像を絶する惨状を目の当たりにいたしまして、集中豪雨というものを、私ども都会におります者は少し軽く考え過ぎていたという実感を強く持ったものでございます。国分市の職員の方に、具体的にどんなイメージで雨が降ったんですかとお尋ねを申し上げましたところ、パチンコ玉のような大粒の雨がびしびし降って、表で作業に当たっていて、痛いという実感であったということを伺いました。まあ大変なことだったんだなと拝察をいたすわけでございます。  そこで、もう十分御地元選出の先生方から御質疑があったわけでございますので、私は、鹿児島北海道、特に鹿児島につきましては、県庁並びに市当局から御要望のございました諸点につきまして、政府におかれましてはこれを十分しんしゃくされまして、できる限り陳情の御意思に沿われるようにひとつ御努力いただきたいと御要望を申し上げたいと思うわけでございます。また、被災をされました県民の皆様、道民の皆様、御関係の方々に、御冥福をお祈り申し上げますと同時に、お見舞いを申し上げたいと存じます。  さてそこで、災害の教訓を生かす最大の道は、災害の予防であるというふうに存じます。災害の予防と救済は国の責務であるという観点から、時間も押しておりますので、幾つか簡潔にお尋ねを申し上げたいと存じます。特に、冒頭申し上げましたとおり、私は、いわゆる震災危険度というものの極めて高い地域に住まっておる立場から、首都圏、特に東京、また全国的な観点から、鹿児島、奥尻の教訓を生かすという観点でお尋ねをさせていただきたいと存じます。  一点目は、いわゆる全国各地に相当数のかけ地、傾斜地、危険な地域が存在をしていると承知をいたしておりますが、このたびのシラス台地という特殊な条件もさることながら、いわゆる傾斜地やかけ地の危険度というものは、大雨に対して極めて脆弱であるということが容易に想像できるわけでございますが、これに対する国の取り組みはどんなふうになっているのか、またどういうふうにこれからしていこうとされるのか、その点について第一点お尋ねをさせていただきたいと存じます。
  137. 瀬尾克美

    ○瀬尾説明員 お答えいたします。  現在、急傾斜地の崩壊危険箇所は、実は全国で八万一千八百五十カ所ございます。これにつきまして、実は災害対策といたしまして、一つは崩壊防止工事をやってございます。それからもう一つは、いわゆるソフト対策といいますか警戒避難態勢の整備ということでございます。     〔委員長退席、石橋(大)委員長代理着席〕  現在、この整備状況といいますと、全国で二二%という整備率でございます。それで、ことし、実は第三次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画というものを策定いたしまして、ことしから平成九年度までに一応三〇%までそれを引き上げよう、こういうことを目標にして、計画を現在進行しているところでございます。  あと、ソフト対策等につきましては、急傾斜地の崩壊の危険箇所につきまして、市町村の地域防災計画の中に登載してもらうように、そしてそれによりまして住民への周知徹底をしていただく。そのほか、がけ崩れ防災週間というのを実は毎年六月の第一週に定めておりますが、それでいろいろ啓蒙普及に努めておるといったところでございます。
  138. 西川太一郎

    ○西川委員 そこで、さきの北海道の奥尻地震もそうでございますが、その前のいわゆる釧路沖地震におきまして、ライフラインというものが甚大な被害をこうむったわけでございまして、特にガスの復旧につきましては二十日間も要するという、市民の日常生活に多大な迷惑がかかったわけであります。また、東京都が平成三年に公表しました関東大地震の再来を想定した被害予測によりますと、例えば電気は、需要家の三二・八%が停電の被害をこうむるであろう、そしてその復旧には六日間要するであろう、そしてまた都市ガスにつきましては、需要家の八六・六%が供給停止になり、その復旧は二十六日間要するであろう、さらに電話では、加入者の二八・二%が被害を受け、復旧は二十日かかる等々、いわゆるこのライフラインというものの被害国民の日常生活の困難性また社会経済活動に甚大な影響を与え、その大幅な機能の低下が十分予想できるわけであります。  そのために、国は、こういう被害を軽微に抑える、もしくは復旧を急ぐというような観点で、電気、ガス、電話などのいわゆるライフライン事業者に対しまして、施設の防災対策の充実並びに強化、また少し具体的に申しますと、近年大都市圏などは地価が高いものですから、社員の皆さん現場から遠くに住むというようなこともございます。そして、さきの災害でもそうでございますが、公共交通や道路寸断されることになれば、なかなか現場に赴くことが速やかにできないということも想定できるわけでございますから、会社近くに住める、そういう意味で、福利厚生施設的な観点もさることながら、ライフラインを確保するという意味で、社員寮などを建てるものについては税制上の優遇措置を考えるなど、これは一つの思いっきでございますから、このことについてすぐ答弁をということではございませんが、そういう対応を国として、ライフライン業者といいますかこういう方々指導していく必要があるのじゃないか、かように考えるわけでございますが、御見解を承りたいと存じます。     〔石橋(大)委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 先生おっしゃいますように現代の経済活動、市民生活におきまして電気、ガス、電話、上下水道等のライフラインが果たしております機能は非常に重要なものがあるというふうに認識いたしております。これまでも個々の構造物の耐震性の向上を図るとともに、系統の多重化対策、それからバックアップ機能の整備、それからマイコン型の自動ガス遮断装置の普及等、システムの自動制御化対策などのライフラインのネットワークとしての安全性を高めるための総合的な対策を講じてきたところでございます。引き続きこれらの対策を一層推進することが重要であるというふうに認識をいたしております。  また、ことしの一月の釧路沖地震に際しましては、釧路市内のガス供給を早期に回復させるために、政府として、日本瓦斯協会に対して応援要請を行いまして、全国各地域から多くのガス技術者の応援を得て、復旧作業を実施したところでございます。今申し上げましたような相互の応援体制の強化というものも迅速な回復を求めるための有効な手段ではないかと考えておるところでございます。  それから、昨年の八月に中央防災会議で決定いたしました南関東地域直下の地震対策の大綱におきましても、こうしたライフライン機能の確保対策推進するということといたしておりまして、国土庁といたしましても、関係省庁と密接な連絡をとりながら、今後ともライフラインの地震対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  140. 西川太一郎

    ○西川委員 ただいまの局長さんの御答弁にもございますとおり、全国的にバックアップもしくは復旧に向けての御協力があっても、釧路では二十日もかかったわけでございますので、このことはひとつ重大にお考えをいただきたいというふうに重ねて御要望申し上げる次第でございます。  さて、そうした大災害が人口稠密な大都市圏を襲いますと、多数の国民が犠牲になると同時に、日常生活に困窮をいたすわけでございますが、それ以上にといいますか、もっと平たく申せば、最近、地震災害に対する思想の普及、地震だ、すぐ火を消せとか、それから町内ぐるみで避難の態勢をしたり、私の地元などでは、おんぶ作戦といって、寝たきりのお年寄りをみんなで背負って逃げようとか、そういう訓練もしているわけでございますけれども、そういう個人的なレベルの防災に対する備えというのはかなり充実をしてきていると思うのでございます。  ところが、問題は、例えば夜間に社員が退社をした後の企業、事業所、そういうものが災害に直撃をされたりいたしますと、いわゆるライフラインの機能障害ももとよりでございますが、その企業それ自体の事業活動が大変甚大な影響を受ける、このことが国民経済に与える影響というものは極めて大きいわけでございまして、早期に企業等の経済活動が再開できない場合には、金融、流通は言うに及ばず、国民生活全般の経済分野の阻害を著しくするものでございます。  そこで、企業の防災対策とでも申しますか、個々の国民防災対策、町ぐるみの防災対策というものも観点に入れながら、企業と地域が連携して、経済活動の担い手である企業を災害から守る、そういう意味での取り組みというのが、案外企業任せになっていて、ともすると、そういう分野に費用を傾注するといいますか、投入するといいますかそういうことがどうも弱いのではないかという感じもいたすわけでございますが、ここらにつきまして、ひとつ今後は指導をしてしかるべきだと存じますが、お考えをお聞かせ願えれば幸いでございます。
  141. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 ただいまの先生のお話にもございましたように、現代社会におきましては、企業は経済的な活動主体として、また組織体として種々の社会的な機能を有しておりまして、社会の安全性向上のためには、企業の防災活動というものも極めて重要な意味を持っているというふうに認識をいたしております。  企業の防災活動の観点といたしましては、従業員あるいは顧客の安全確保はもとより、企業の立地地域におきます災害時の安全性向上への寄与という、地域社会の一員としての役割、あるいは災害時に企業活動を休止するということが長引くことによりまして、社会経済活動全体への影響があるというふうに考えております。こうしたことから、平成四年度から、企業における防災対策と職場での防災活動の現状、その改善方策等につきまして調査検討を行いますとともに、企業防災活動の優良事例の収集、紹介などの普及啓発活動を行っているところでございます。  今後とも国土庁といたしましては、企業防災の社会的経済的重要性にかんがみまして、その促進に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  142. 西川太一郎

    ○西川委員 ありがとうございました。ひとつぜひお願いをいたしたいと存じます。  次に、いわゆる首都機能の移転というのが国会でも決議をされて、これの具体的なスケジュールが徐々に詰まりつつあるわけでございますが、その際に、一般的にこれを促進する論拠として、東京の巨大都市の過密化、これを救うために、例えば国会のございますこのあたりが、移転をいたしますと大変な空き地ができる、一説によると十三万坪できる、こういうわけでありますけれども、そうなると東京の震災は被害が軽減できるという、極めて短絡的な議論が、国会移転や首都機能移転に際して用いられた議論の一部であったわけでございます。  確かにこの地域には広大な空き地ができるわけでありますけれども、むしろ震災危険度の高い、東京の、街路整備等もまだ十分でないそういう下町や一定の地域、そういうところの対策というものがむしろ大切なのでありまして、この首都機能の移転に関しては、そういうその他の地域防災上のバランスというものも十分に、当該この首都機能が仮に移転したとしても、それだけで東京が安全になるというものじゃない、こういう考え方でございますが、首都機能が、これは仮定の話といいますかしかし国会決議もあるわけでございますから、移転をされるということを前提にお尋ねを申し上げたいと存じますけれども、その後の東京の安全対策について国はどうお考えになり、東京都をどう指導していくのか、その辺、御見解を賜りたいと思います。
  143. 足立穎一郎

    ○足立説明員 お答え申し上げます。  御高承のこととは存じますが、昨年十二月に公布、施行されました国会等の移転に関する法律では、一極集中を排除し、多極分散型国土の形成に資するとともに、地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するために、移転の具体化について積極的に検討を進めることは、極めて緊要なことであるというふうにされておるところでございます。そして同法十三条におきまして、国会等移転調査会の調査審議事項に「移転に伴う東京都の整備に関する基本的事項」が挙げられております。また同法十一条におきまして、国会等移転についての検討指針の一つといたしまして「地震等の大規模災害に対処する上での緊急性、東京都の災害対策の充実等に配慮するものとする。」とされておるところでございます。このため、同調査会の調査審議に当たりましては、これらのことを十分に踏まえまして、移転跡地を防災性の向上に役立つよう総合的に活用するということによりまして災害に強い都市構造をつくることが重要である、こういう視点に立ちまして今後検討を進めていただけるものというふうに考えておるところでございます。
  144. 西川太一郎

    ○西川委員 議事運営に協力をする立場で、あと二問、極めて簡潔にお尋ねをしたいと思います。  まず、気象庁と科学技術庁にお尋ねをいたしたいと思います。  かつて中国では地震予知の技術が空振りをしまして、大勢の人が一度避難をしたけれども地震が来なかった、最大の被害は風邪を引いたことだなんということがございました。まあそういう笑い話で済むならこれは大変結構なことでございますけれども、日本にはこのところ大きな地震が必ず来るのじゃないのか、特に相模湾の相模トラフというものに沿ってこれを震源とする海洋性巨大地震、それから首都圏の直下型地震、いわゆる関東大震災級のマグニチュード八などというものは百年、二百年後だろうというような観測もあるようでございます。しかし、自然相手でございますから、ジェット気流、偏西風が津軽海峡を吹いていれば鹿児島にあの激甚な大雨はなかったわけでございますから、いっどこで予想が狂うということもわからないわけであります。  そこで、だれしも望むことは、この予知をするということができたらすばらしいな、こういうわけであります。実は、笑い話みたいになって恐縮ですが、東京都では葛飾区の水元公園にナマズを飼っておりまして、そのナマズの動静が、毎日副知事の机の上にマル秘の判こを押して届けられているというのがかってあったわけでございます。そこで、このごろはナマズも当たらないということでやめたようでございますが、私どもとしては、もっと明確な予知の体制といいますか、充実といいますか、こういうものの調査研究を国費をもって進めるべきではないか。かつて、実は私、東大の地震研究所の力武先生とある雑誌で対談をしたことがあるのでございますが、その際に、地震予知の話を伺いましたところ、当時私は東京都議会議員でございまして、東京都でそういうことをやるべきだということを申しましたら、先生が、予知のような科学的、また特に知見の難しいもの、また経費のかかるものは国に任せるべきである、地方自治体としてはもっと身近な災害防止対策に熱心になるべきであるという御教示をいただきまして、それ以来ずっと私はそういう考えを持っているのでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、これの調査研究の促進につきまして、どういう姿勢で臨んでおられますのか、お教え願えれば幸いでございます。
  145. 森俊雄

    ○森説明員 まず、気象庁の観測監視体制について説明させていただきます。  気象庁では、測地学審議会による地震予知計画の趣旨に沿いまして、全国的に整備いたしました地震観測網に基づき、全国の大中小地震を観測しております用地震活動については、これらにより適切に把握してございます。また、観測強化地域である相模トラフを含みます南関東の地震につきましては、地震計のほか地殻岩石ひずみ観測システム、海底地震常時監視システム等を整備いたしまして、気象庁本庁において監視を行っているところでございます。また、平成五年度におきましては、当該地域の地震の監視強化等を目的といたしまして、地震活動等総合監視システムの改良更新に着手しているところでございます。  なお、地震予知につきましては、気象研究所におきまして鋭意研究しているところでございます。
  146. 山下弘二

    ○山下説明員 先生御指摘の、首都圏直下の地震の調査研究の観点から、御説明をさせていただきます。  御承知のとおり、首都圏、南関東における直下型の地震というようなものの発生が心配されておるわけでございますが、残念ながら、想定されております地震の規模、あるいはその首都圏の堆積層の厚さとか社会的なノイズの多さなどから、現状では、地震の予知については非常に難しいということが現実でございます。しかしながら、やはりその予知を実用化に向けて努力するべきだということで、関係諸機関、いろいろな観測研究あるいは基礎研究等を従来から行っておるところでございます。  この中でも、科学技術庁におきましては、関東、東海におきます微小地震の観測を初めとしまして、地殻活動に関する研究を実施してきておりますし、平成三年度からは深い井戸を掘りまして、その中に地震計を設置する等の、三千メートルあるいは二千メートルクラスの地震観測施設あるいはケーブル式の海底地震計の整備ということに着手しておりまして、平成五年度までに二千メートル級の観測施設四カ所、三千メートル級観測施設の一部完成を見る予定になってございます。  当庁といたしましては、平成五年度以降もこれらの施設の整備を着実に進めまして、首都圏の直下型地震の予知に向けて努力してまいる所存でございます。  以上でございます。
  147. 西川太一郎

    ○西川委員 質問としては最後になるわけでございます。  御案内のとおり、東京には島嶼、伊豆諸島があるわけでございますが、ここは大島の三原山に代表されますように、いわゆる火山でございます。そこで、三宅島にも過去にそうした経験があったわけでございますが、火山噴火の前兆現象というものを的確にとらえていただくということは、そこに住む多くの島民にとって大変重大なことになるわけでございます。  そこで、火山噴火の被害を最小限にとどめるために、大島にはもう既にしていただいておりますが、常時精密火山観測の対象を三宅にも広げていただけないかこういうことなんでございますが、いかがでございましょうか。
  148. 森俊雄

    ○森説明員 現在、三宅島におきましては、臨時観測点を含めて、二点で震動観測を行っております。今後、活動の活発化等が見られた場合には、地震機動観測班の派遣によりまして、観測を強化してまいりたいと存じております。  また当面、精密観測火山とする計画はございませんけれども、必要に応じまして、他機関の協力も得て、観測強化をしてまいりたいと存じております。
  149. 西川太一郎

    ○西川委員 最後に御要望を申し上げて、終わりたいと存じます。  先ほど午前中の委員会を終えて、会館の事務室に戻りましたら、北海道から友人が訪ねておりまして、この委員会を傍聴したわけでもないのに、先ほど来諸先生、諸先輩から同じように御質疑のございました、保険、金融に関するお悩みを率直に承りました。  ひとつ、私ども新生党といたしましても、この問題につきまして政府が前向きに取り組んでくださいますように要望をつけ加えまして、私の発言を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  150. 池端清一

  151. 弘友和夫

    弘友委員 公明党の弘友でございます。  まず、質問入ります前に、去る七月十二日に起きました北海道の南西沖地震、また台風五、六、七号及び鹿児島中心といたしました集中豪雨によって亡くなられました皆様方に、謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。一日も早い復旧を願うものでございます。また、就任早々、細川総理を初め上原国土庁長官には早速現地視察など迅速な対応をいただきまして、敬意を表するものでございます。  それで、朝からずっと審議をやっておりますので、その重複を避ける意味におきましても、少し別の角度から、また先ほどから御答弁をいただいているものに対する御質問等を行いたい、このように思っております。  まず初めに、ことしに入りまして、非常に長雨やまた異常気象といったような冷夏が続いておりまして、今から農作物、特に稲作の冷害が大変心配されるところでございまして、また例年に比して災害も非常に多発しております。一月十五日には釧路沖の地震や、二月七日には能登半島沖地震、四月二十八日から二十九日及び五月二日にかけての雲仙・普賢岳の土石流災害、またさらには七月十二日の北海道南西沖地震、また台風第四号、五号、六号、七号の上陸被害、そして今回の八月豪雨災害等の被害が、ことしは初めからずっとこの被害が続いているといったような状態でございまして、これは、ただ単に災害が細かく重なってきたということじゃなくて、何か、言われているように、世界的な規模での異常現象が起きているんではなかろうか。ある人はエルニーニョ現象によるものだとか、また地球の温暖化によるものだとかいろいろさまざまございますけれども、それがどういう原因に基づくものなのかということが、多分はっきりはわからないとは思いますけれども、どういうふうに考えられているのかお尋ねをしたい、このように思います。  もう一点、世界的にもこうした異常気象というのが騒がれている現在、私は、気象庁の持つ気象情報、また予知や予報技術、また各省や研究機関などが持っ火山や地震についての研究成果等も世界各国の防災対策に生かすようにしてはどうか。世界的な規模のそういう異常現象の原因を、今の日本のそういう能力で、本当に世界に貢献していくためにおいても、これをぜひ充実させていくべきじゃないか、このように思いますけれども、この二点について、まず、気象庁だけではなくて、長官にも、そうした貢献をするお気持ちがあるかどうか含めまして、お尋ねをしたいと思います。
  152. 上原康助

    上原国務大臣 弘友先生のお尋ねにお答えします。  まず鹿児島視察総理初め私がやったことに対して評価をしてくださって、ありがたく思います。  事務的といいますか、実際具体的に気象庁やあるいは科学技術庁がどう取り組んでいるかは後ほど関係者にお答えをさせますが、確かに、昨今のこの連続した災害状況を見てみますと、異常気象あるいは何らかの地球環境の天変地異ということもあるかもしれませんので、そういう科学的な分析というかいろいろの研究、予知というのは必要だと思いますので、国土庁としては、先ほど来申し上げておりますように、特段の力を入れていく方向でやっておりますし、また、御注文がありました点につきましては、必要に応じて、各関係閣僚にも協議をしながら努力をさせていただきたい、こう思います。
  153. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 御質問は二つあったかと思います。すなわち、異常気象はなぜ起きるのかという問題、それから世界各国への日本の貢献、そういうことであったかと思います。  まず、異常気象という点についてですが、世界気象機関、これはWMOと言っておりますけれども、そういう機関が国連の専門機関としてあります。そこでの定義として、異常気象というのはこういうふうに定義されております。すなわち、その出現率が三十年に一回程度あるいはそれ以下のまれな現象、非常に温度が高いとか長雨とか云々、そういったことですけれども、そういうものをもって異常気象というふうにWMOでは定義しております。  それで、そのような現象がなぜ起きるのかという、これは非常に難しい問題なのですが、例えば、幾つか挙げられる要因として、一つには偏西風の大規模な蛇行というのがあります。偏西風というのは、御存じのように、地球を帯のように取り巻いて、西から東に流れている風の流れがあるわけですけれども、それが時として大きく南北に蛇行することがあります。そのようなことが起きますと、異常高温あるいは異常低温、長雨とか、そのようなことが起きやすくなるというところまではわかっております。ただ、その蛇行がどのような仕組みで起こるかというところが、残念ながら、世界のいろいろな気象学者あるいは気象技術者の努力にもかかわらず、必ずしもまだ解明し尽くされておりません。  それから、偏西風の蛇行のほかに、亜熱帯高気圧の強さの問題があります。亜熱帯高気圧といいますのは、太平洋高気圧というのもその一つですけれども、中緯度にある大きな高気圧でして、ことしもまさにそうなのですけれども、それが余り発達しないで、日本付近を本来覆わなければならないのがなかなか覆わないとか、そういうふうなことがあります。これもまた、残念ながら、なぜそうなるのかというあたりが必ずしもよくわかっておりません。  そのほかに、例えば海面水温の問題ですとかあるいは高緯度の地方を覆っております雪と氷の面積、あるいは土壌水分とか、あるいは世の中に言われるエルニーニョ云々なんというのもその一つでありますけれども、いろいろなものがいろいろ言われておりまして、それらが複雑に絡み合って異常気象が起きるものというふうに考えられておりますけれども、具体的にそれがどういうふうにつながって最後の答えになるのかというところは、残念ながらわかっておりません。異常気象についてはそんなところです。  それから、日本が世界へどのように貢献するのかという点についてお話しいたします。  これについては、最初お話ししましたように、基本的にはWMO、世界気象機関の一環として活動しております。毎日の天気予報に使われるいろいろな気象データも、同じくそのWMOの組織として通信回線がつくられておりまして、そこでやられていますが、技術の向上、その分野の進歩ということも、同じくそのWMOの中でいろいろな関連の会議がありまして、例えば気候変動に関する政府間パネル、IPCCと言っておりますけれども、そういうものもその一つでありまして、その中では日本は非常に高い位置にありまして、積極的に貢献しているところであります。  以上です。
  154. 弘友和夫

    弘友委員 ぜひとも世界の中にもそうした技術力等でもって貢献していただきたい、要望しておきます。  そこで、具体的にお尋ねしますけれども、こうした異常気象また冷夏による農作物の被害について、この被害実態また今後の予測及び政府対策というのを、簡潔にちょっと御答弁をお願いします。
  155. 福島啓史郎

    ○福島説明員 本年は、これまで低温あるいは日照不足に加えまして、多雨傾向で推移してきております。このため、農作物の生育は全体的におくれぎみであり、水稲は、北海道、東北地方中心に、地域によっては十日を超える生育のおくれが生じております。また、一部地域では、八月上旬の低温等による障害不稔の発生も心配されております。また、稲体は概して軟弱傾向で、いもち病が多発しているほか、台風六号、七号等に伴う大雨により、九州を中心とする早期水稲に冠水あるいは倒伏の被害が発生しております。  野菜でございますが、低温、日照不足等により全国的に生育がおくれており、作柄は、ホウレンソウ等一部の品目、産地を除いて、やや不良から不良となっております。  それから、果樹につきましても、全体的には果実肥大は回復傾向にありますものの、リンゴ、カキ、クリで小玉傾向となっているほか、全品目で病害虫が多発しており、福岡、佐賀のナシあるいはブドウ等につきましては台風による落果等の被害が発生しております。  このような状況を踏まえまして、農林水産省といたしましては、気象庁等と密接な連携のもとに、気象動向あるいは生育状況等に即した各作物の技術対策を講じております。特に、水稲対策といたしましては、深水かんがい、あるいはいもち病の防除の徹底、果樹、野菜等の病害虫防除の徹底等を指導しております。  八月二十日に気象庁が発表しました長期予報では、八月下旬は晴れて暑い日が多く、九月は東日本の太平洋側と西日本では曇りあるいは雨の日が多いが、十月は天候は周期的に変わる、また、北日本の九月、十月の気温及び降水量は平年並みと見込まれております。今後も、気象の推移を常時把握し、その動向に即した適時適切な防除なり、あるいは水管理の徹底等の指導全力を尽くし、水稲を初めとする各作物への気象の影響を最小限にとどめるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  156. 弘友和夫

    弘友委員 今のいろいろな被害被害総額は、おおむねどれぐらいというふうに試算されておりますでしょうか。
  157. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先ほどの北海道南西沖地震であるとかあるいは鹿児島等の豪雨に伴います被害額は県からの報告を受けておりますが、今申し上げました水稲なりあるいは野菜等の被害といいますのは、いわばまだ被害というよりも、その被害をできるだけ軽減するような栽培技術の励行を指導している段階でございまして、被害額という形での報告は今のところありません。報告を受けておりません。
  158. 弘友和夫

    弘友委員 それでは次に移らせていただきます。  先ほど来、災害の予報システムというか、未然防止には正確、適切な情報が必要であるという論議がなされておりましたけれども、先ほどの気象庁の方の御答弁というのがちょっと、要するに、大雨警報を出して、その後のスーパー警報というのは実際はないのだ、大雨警報を出したその雨がどれだけ降ったのか、それが警報どおり降れば記録的短時間大雨情報というのを出す、要するにそういうシステムがないのだというふうなお答えだったと思うのですよ。これは数年に一回に当たるものだというようなお答えでありましたけれども、私は、先ほど来から論議されておりますように、そういうシステムがないこと自体が問題ではなかろうかな。  例えば鹿児島の場合は、六月からずっと雨が降っている、いろいろな災害も起きている、それが積み重なって初めてあの大きな被害になったわけですから。それが的確に、蓄積されたものがどれだけの降雨量だとか、そういうシステムを、そしてその段階で初めて避難命令を出すだとか、そういうきちっとしたものがなければ、先ほどの気象庁の方の御答弁では、要するに何もないに等しいのではなかろうかな。少なくとも、がけ崩れで亡くなった方が五十八名ですか、百五十一カ所、そういう方は、そういうものがきちっとしておけば、避難さえしておけば、亡くならずに済んだと思うのですよ。  長官は、こうした予報システムについてはもう少し何とかならないか、このような御答弁もございましたけれども、先ほども地震予知の話がありましたけれども、地震予知は非常に難しいかもしれませんけれども、今の技術力からすれば、雨の状態というか、そういうのはある程度は予測できるわけです。ですから、それが、一つ一つをとるのではなくて、積み重ねでもって被害が起こるということがあるわけですので、そういうきちっとしたシステムをつくるべきじゃないかこのように思いますけれども、御答弁をいただきたい、このように思います。
  159. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  先ほどスーパー警報はないというふうに申し上げましたが、しかし大雨警報というのはありまして、具体的には、二十四時間雨量それから三時間雨量、一時間雨量、そういったものでそれぞれ基準をつくりまして、その基準というのは当然過去の災害の実態などから総合的に判定して決めるものですけれども、そういったものによって警報というものを行っております。  それで、ちょっと過去をさかのぼりますと、約二十年前までは、二十四時間雨量というのが一つだけの基準でした。ところが、その後の社会の変化とかもろもろから、もっと短い大雨について必要ではないかということで、三時間雨量それから一時間雨量とかいうふうなものについて考えました。さらに、もっと改善すべきであるということから、先ほどお話ししました、短時間の大雨についても加えて出すというふうなことで改善を図ってきております。これをさらにどういうふうに改善したらいいかということについて、今後さらに検討を続けてまいりたいと思います。
  160. 弘友和夫

    弘友委員 要するに、長官は先ほど、この災害は百年から百五十年ぶりというか、そういう本当に大きな災害であったわけですね。それが現実にそうした、基準外であるというか、だからそういう警報が出せなかったとか、現実に災害が起きているわけですから、これだけ大きな災害が起きる前に、何らかのそういう警報というか避難の勧告なり、いろいろなものができてないところに問題があるのではないか。  現地の対応が非常によかったので、列車にしてもお客さんが避難されたとか、また家は壊れたけれども、公民館長の判断がよかったので避難できた。そういう現地の対応に任せられたところが非常に多いわけです。それで災害がある程度食いとめられた。そういうことじゃなくて、気象情報なり伝達システムなり、そういうものがきちっと機能した上でなければならないのではないかこういうふうに思いますけれども、もう一度長官、ぜひ。
  161. 上原康助

    上原国務大臣 お答えをさせていただきますが、先ほど気象庁の方から技術的なことについての御答弁がありましたが、優秀な役人のお知恵もかりなければなかなか容易ではないと思うのですが、これは地震予知とは違って、雨は降っている状況を見ればある程度素人でもわかりますし、またどの程度続いているかといういろいろな臨場感覚もありますので、今の御提言については、そうお金のかかることでもないわけですから、そういったシステムを改善するということは、よく国土庁や関係省庁が相談をし合えば、前向きにできるかと思いますので、相談をさせていただきたいと思います。
  162. 弘友和夫

    弘友委員 お金がかかるかかからないかわかりませんけれども、ぜひとも万全なそういう体制をしいていただきたいと要望いたしておきます。  時間がありませんので、具体的にはもう一つ、これもやはり先ほどからありました、五つの石の橋、石橋の問題についてお尋ねをします。  先ほどの文部省の方の御答弁では、流された二つの石橋の改修というかそれも含めて、今後石橋についてどうするかという相談がありましたら御相談に応じたい、このような御答弁があったわけですけれども、現実に県だとか市では、何かこれは取り除くという判断をしているようにあるわけですね。そこら辺で、ちょっとどうなっているのかなというふうに思いますけれども、県や市が移転やむなしと早急に判断をしたのは、激特の申請が、十五日以内ですか、二十日以内にされなければならない。そのときに、県議会だとか市議会で答弁があったのは、その申請の際に、石橋を取り除くかどうかという、これもあわせて提出しなければ申請にならないというような、そういう指導が建設省の方からあったやに聞きますけれども、それが事実であるのかどうかちょっとお尋ねします。
  163. 山田俊郎

    ○山田説明員 今回の甲突川はんらんは、河川の流下能力約三百立方メートル毎秒というものをはるかに超えます七百立方メートル毎秒の洪水量が流入したというふうに考えられておりまして、鹿児島市内におきまして、はんらん面積四百二十四ヘクタール、家屋浸水が一万一千五百八十六戸に及ぶ大災害が発生したわけでございます。  甲突川河川改修に伴います石橋の問題につきましては、長年にわたり検討されてきておりましたが、こうした災害状況にかんがみまして、河川管理者であります県は、市との協議の上で、河川激甚災害対策特別緊急事業によりまして、五カ年で再度災害を防止するためには、石橋の移設による甲突川の抜本的改修をせざるを得ないとの判断のもと、去る八月二十日に河川激甚災害発生報告書を河川局長あてに提出してきたものでございます。  私どもとしましても、本年度より早期に事業着手ができますように、この際に、その改修方式、事業規模、施工予定区域等につきまして概略の説明を聞かせていただいたというところでございます。
  164. 弘友和夫

    弘友委員 説明を聞いたか聞かないかじゃなくて、申請をする際に、そういう石橋を撤去するとかしないとかいう判断を持って申請をしなければならないのかどうかということだけお尋ねしているわけです。
  165. 山田俊郎

    ○山田説明員 今回、災害発生後十五日以内にいただきますものは、災害の発生の報告でございますので、改修の方式を決定して持ってくるものではございませんが、ただいま申し上げましたような状況で、早期に着手しなければいけないということで、そのような説明もあわせて我々の方からもお聞かせいただいたということでございます。
  166. 弘友和夫

    弘友委員 よく答弁がわからない。要するに、申請自体には要らない、だけれども、早期に実際の改修にかかるにはそれをどうするかというのを聞きたかった、こういう趣旨なんですか。ただ、その後の調査の段階でもそれは間に合うのではなかろうかという論議が地元ではあっているようでございますけれども、余りこれをいろいろやっておりましても、時間がありませんけれども、要するに申請時には必要ない、法的には必要ないということでよろしいのですか。
  167. 山田俊郎

    ○山田説明員 先ほど私が御説明したとおりでございます。それで建設省としましては、できるだけ早い時期に担当官を現地に派遣いたしまして、被害の実態を調査するとともに、事業の内容について県と協議をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  168. 弘友和夫

    弘友委員 私の持ち時間が来ましたので終わりますけれども全力を挙げて復旧等に尽くしていただきたいと要望いたしまして、終わりたいと思います。
  169. 池端清一

    池端委員長 千葉国男君。
  170. 千葉国男

    ○千葉委員 宮城一区選出の千葉国男でございます。十五年前の六月に仙台沖地震を体験した地域の同苦する者として、北海道南西沖地震災害について若干質問をさせていただきたいと思います。  私は、公明党北海道南西沖地震災害調査団の団長といたしまして、長内順一、若松謙維各衆議院議員また風間昶参議院議員らとともに八月十七日を中心に奥尻町、瀬棚町、大成町、北檜山町の四町の被災一カ月後の復旧状況視察のため、調査をしてまいりました。現場を見て、改めてその被害の大きさを確認するとともに、地元の皆様の大変さを骨身にしみて感じてまいりました。改めて、亡くなった方々被害を受けられた方々に対しまして、お悔やみとお見舞いを申し上げるものであります。被災者の皆様が一日も早く立ち直って、安心して生活できますよう、本委員会といたしましても取り組んでいただけるようお願いを申し上げるものであります。  時間の都合上、現地調査した上で、特に感じた点のみに絞ってお尋ねをいたしたいと思います。  やはり今度の災害は、何といってもマグニチュード七・八という大変大きな地震であったこと、またそれに伴う高さ三十メートルの津波、そしてプロパンガスの爆発、第二次災害としての火災の発生、特に奥尻町の青苗地区では百二十軒が火災でほとんど焼失してしまった。町長さんともお会いして、いろいろ実情を聞いてまいりましたが、特に出てきた問題は、素朴な問題といいますか、要するに火災保険がおりない、こういうことが一番の問題として出てまいりました。  先ほど来いろいろ御説明の中にも、地震あるいは噴火、津波というものでは今の火災保険制度は通用しないのだというお話がございましたが、全国各地から、善意の義援金が真心込めて届けられております。私も仙台市の街頭に立ちまして、この南西沖地震の街頭募金もやってまいりました。去る七日には地元の新聞社にその寄金を寄託してまいりましたが、これだけ真心込めたそういうものが寄せられているときに、いざというときのために自分が掛けておいた火災保険が何にも役に立たない、何のための火災保険なのかという庶民の素朴な感情にどうこたえていくのか、この辺がやはり今度の問題点でも一番大事な点じゃないか、こう思いますが、この辺はいかがでしょうか。
  171. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 先ほどから、この問題につきましては大蔵省からの答弁がございますが、私ども長官は今後もう少し検討してみたいということを先ほど答弁されましたが、こういった問題を今後どうするかということについては、関係省庁と相談をする余地があろうかと思いますが、何分、現実の問題として、既に契約が締結されておって、地震に伴う火災等については免責だということが明文で書かれているわけでございます。そういったものについて、既に成立しておる私的な契約について政府がどうせいということは非常に難しい面があるのではないかというふうに感じております。  以上でございます。
  172. 千葉国男

    ○千葉委員 現行のこともありますが、災害は忘れたころにやってくるというような定説が全くきかなくなった時代において、日常的に災害がやってくる時代に入っておるわけですから、もしせっかく掛けた保険が役立たないというのであれば、新たに、例えば今の総合保険みたいな制度がありますが、天災保険制度みたいなものは考えられるのかどうか。
  173. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 現行でも、私どもが承知しております限りでは、火災保険に附帯をいたしまして地震保険というのがございますが、それに入りますと、一定の限度はございます、火災保険と違いまして、入った額全部ということではなくて、例えば保険金額の半分までとか、あるいは一千万までというふうな限界はあると承知いたしておりますが、制度としても、そういう火災保険に附帯いたしまして地震保険に加入をされれば、今申し上げましたような範囲の中ではございますけれども、保険金が出るというふうに承知をいたしております。
  174. 千葉国男

    ○千葉委員 ですから、そういう地震という限られたものになりますと、今度は、津波の方はどうなんだとか、噴火はどうなんだとか、いろいろ状況がいっぱい分類的に出てきますから、まとめたようなものが今必要なんじゃないかというふうに思うのですが。
  175. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 ちょっと言葉が足りなくて失礼いたしましたが、地震、津波、噴火は、今申し上げましたたぐいの保険にもし入っておれば、一定の限度内で保険金の支払いがあるというふうに承知しております。  それからもう一つ、先ほど出ておりました住宅総合保険等のタイプでございますが、これは、それに入りましても、地震等はだめでございますが、先ほど三〇%までは少ししか出ないというお話がございましたようですが、仮に全損ということになれば七〇%までは出るというふうに承知いたしております。
  176. 千葉国男

    ○千葉委員 ではよろしくお願いしたいと思います。  次に移ります。漁業問題についてお願いをいたします。  イカ釣り漁業がつい先ごろ再開されたと聞きました。当時の津波の状況で、沖に出ていた方々が結果として守られたわけですが、九月から次はタコ釣り漁業が始まるということを聞いてまいりまして、そのタコ釣りの関係の方も漁船が津波で流されたり大破した、あるいはその関係の被害額も相当なものになっているわけですが、また船のそういう補償の問題とか、それから漁具類も小屋と一緒に流された、こういうことで、船があって、道具があれば、例年ならば秋に二百万とか三百万の収入があると皆さん申しておりましたが、今回、全くそれが期待できない状態でございます。  そういうことで、そういう被災者の漁業者の漁船再取得に当たっての激甚法の災害適用の中で、この小型船舶災害復旧事業として、その適用を今回どういう形でお願いできるのか、また、漁具等をなくした方々の再取得に対する資金、またその経営の安定のための資金繰りなどについて、どのようにお考えになっているか、お願いしたいと思います。
  177. 澁川弘

    ○澁川説明員 ただいまの御質問で、特に漁具の被害についての対応につきましてお答えさせていただきます。  御案内のとおり、漁業につきましては、いわば常に自然災害にさらされておるという状況にありまして、したがって、主たる生産手段であります漁船につきましては、漁船損害補償制度に基づきます漁船保険、それから漁具を含めまして、養殖施設もさようでありますけれども、こちらにつきましては漁業災害補償法というのがございまして、これに基づきます漁業共済制度がございます。  今回の地震の災害につきましても、これは比較的加入率が低うございますのですが、加入された方は、定置の被害につきまして、これは操業中でありますけれども救済の対象になるということになっております。残念ながら加入されていない方につきましては、さまざまな融資制度を御利用していただくしかないわけであります。せっかくの制度でありますから、保険ないし共済につきまして、私ども、今後も加入の拡大に努めてまいりたいというふうに思っております。  以上であります。
  178. 福島啓史郎

    ○福島説明員 共同利用小型漁船の建造費の補助の特例が適用されます激甚災害法の指定につきましては、現在関係機関と鋭意協議中でございます。今月末ないし九月初めを目途に、鋭意協議をしてまいりたいというふうに思っております。
  179. 千葉国男

    ○千葉委員 観光シーズンを前にして、奥尻、年間七万人の観光客がいらっしゃっていると聞きましたが、今回、地震の災害によって、商工業者の経済活動がほとんどストップしている状態。店舗、商品等の直接的な被害はもちろんのこと、観光シーズンの中にあって、販売減収被害等の間接的な被害は甚大なものがあります。そうした方々の経営の安定を図るために、あるいはこの逼迫から何とか乗り越えていくために、さまざまな資金の確保、金融機関の制度の優遇等をぜひ考えてほしいところですが、よろしくお願いしたいと思います。
  180. 稲見雅寿

    ○稲見説明員 本年七月十二日の北海道南西沖地震につきましては、中小企業に非常に大きな被害を及ぼしたわけでございます。このため、当庁におきましては、七月十三日以降、中小公庫、国民公庫及び商工中金の政府系三機関によります災害復旧貸し付けを発動しているところでございます。現在、対象となっておりますのは後志、檜山、渡島、胆振の四支庁でございます。さらに、特に被害の甚大でございました奥尻可及び島牧村につきましては、激甚災害法に基づきます激甚災害として指定すべく、先週末の二十日の閣議で決定したところでございまして、二十五日付の政令で公布、施行する予定になっております。奥尻町、島牧村につきましては、三%あるいは四・六%という低利の融資が受けられるということになっております。
  181. 千葉国男

    ○千葉委員 次に移ります。  今回被害を受けられた方に対して仮設住宅が緊急に設置されましたことについては、政府並びに道庁の対策が早かったということで、早くて助かりましたと地元方々が大変感謝をしておられました。  ただ、いよいよこれから冬を迎えるに当たりまして、奥尻の高台にある仮設住宅、もう風当たりは直行ですが、あそこでこの北海道の冬の厳しさを迎えるのはどうなのかな、こういうふうに思っているわけですが、その他の公営住宅の建設の問題とか、災害復興住宅資金の貸し付けとか、新たなそういう住宅についての考え方をお願いしたいと思います。
  182. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 今のお尋ねでございますが、まずは住宅を、自力で持ち家を持ちたいという方につきましては、公庫融資の制度がございます。これにつきましては、貸付限度額、貸付利率それから償還期限等について通常の融資よりも優遇された貸付制度がございます。先ほど建設省が答弁しておりましたところでは、既にその措置は発動しているというところでございます。  それから、そういった持ち家を手当てするだけの資金力がないという方も中にはおられるかもしれませんが、そういった方々に対しましては、公営住宅の建設ということを、道なり地元の印とよく相談した上で対処するということになろうかと思っております。
  183. 千葉国男

    ○千葉委員 じゃ、最後になります。  ちょっと質問には入っておりませんが、今回、奥尻とか鹿児島のような離島、海岸線に係る災害の場合、被災者の海上避難路の確保は非常に重要であると思っております。そういう意味で今後、災害のための海上避難船、仮称ですが、そういう導入とか予算措置を考えられているのかどうか、よろしくお願いしたいと思います。
  184. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 今先生がおっしゃいましたようなことについて、検討は現段階ではいたしておりませんが、よく先生の御意見も承った上で、関係省庁とも相談をしてみたいというふうに思っております。
  185. 千葉国男

    ○千葉委員 ありがとうございました。
  186. 池端清一

  187. 初村謙一郎

    ○初村委員 さきがけ日本新党の初村謙一郎でございます。  上原長官には御就任早々、北海道そしてまた鹿児島、そして私どもの選挙区であります長崎県の島原、たくさんの被害地がある中で、御就任早々に鋭意努力をされ、そしてまた御視察をいただいておりますことを、まずもって御礼を申し上げたいというふうに思います。  私ども長崎県の島原に対しましても、実は過去、この三年の間にたくさんの義援金をちょうだいいたしております。長崎県一万三千三百一件、そして日本赤十字社を通じまして二十万二千百五十七件、共同募金会につきましては十五万八千八百十八件、島原市に対しまして一万二千六百二十三件、深江町に対しまして六千百九十六件、総額にしまして二百二十六億円に上る義援金をちょうだいいたしております。全国の温かいお気持ちにも、心から御礼を申し上げたいというふうに思います。  昨日の細川総理の所信表明の中に、冒頭に御遺族の皆様への哀悼の意が表され、そしてまた被災者の方へのお見舞いの言葉がございました。政府並びに地方公共団体が一体となって、早期の復興をされるという強い決意が感じられたわけであります。そういう意味では、政府に対しまして私どもも非常に期待をするところでございます。  きょうの私ども地元の新聞紙に、私どもの県知事がこのような談話を載せております。「政治改革の敢行とともに、相次ぐ災害復旧全力で取り組む姿勢が示されたのは心強く、今後の対応に期待したい」というふうな談話を載せられております。  被災地から、そしてまたこの復旧、復興に向けて頑張っておられる皆様、そしてまた現在も被災中でありますけれども、島原半島の皆様には、本当に国の援助への期待が非常に大きいというふうに思っております。鹿児島北海道の件もございますけれども、国の直轄事業といったものが、これまで雲仙岳の噴火災害につきましてどの程度行われたのかということをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
  188. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 雲仙岳災害に対しましては、平成五年度から建設省雲仙復興工事事務所を開設いたしまして、火山砂防事業を直轄化し、事業が実施されております。平成五年度は当初九十五億円、補正二十三億円、計百十八億円をもって事業を進めております。  事業の内容といたしましては、用地取得は八月十六日現在、国道五十七号下流の建物については一〇〇%、用地については五六%が契約済みであります。  それから、島原鉄道と国道二百五十一号間の二百四十メートルの仮設導流堤につきましては、八月五日から着手し、十六日現在三三%が完了しておるところでございます。  それから、去る六月二十六日に警戒区域が拡大されました。それに伴いまして、二号遊砂地を含め、その上流で工事ができない状況にございます。そういった状況に対処するために、危険地域での施工を可能にするために、無人化施工に関する民間の施工技術の公募を実施中でございます。  それから、国有林直轄治山事業につきましては、林野庁において、治山ダム、導流堤、護岸工、流路工、排土工等が実施されており、平成五年度は二十六億円が予定でございます。噴火の始まりました平成三年度からの総計七十八億円をもって鋭意事業を実施しておるところでございます。  それから、道路事業につきましては、島原・深江地区の安全な通行を確保し、地域の復興の基盤となる道路として、一般国道五十七号島原深江道路、延長が四・六キロメートル、高架構造四車線でございますが、の整備が建設省により実施されております。この道路は、平成四年度補正予算において建設に着手し、直ちに地元説明会及び測量、地質調査を実施したところでございますが、平成五年度新たに設置されました、先ほど申し上げました雲仙復興工事事務所におきまして、五月十八日から用地測量調査に着手し、八月一日には土地価格の発表を行い、現在用地買収のための個別協議を実施しているところでございます。今年度は、用地買収を実施し、できだけ早い時期に工事に着手したいというふうに考えております。  今後とも長崎県を初め地元の皆様方の御協力を得て、事業の促進に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  189. 初村謙一郎

    ○初村委員 もう御承知のとおりに、雲仙・普賢岳の災害は、もちろん噴火、そしてまた火砕流、そしてまたその火砕流が堆積しました灰によって土石流が非常に起こりやすくなっております。先週の十九日に、私も鹿児島の方の災害視察に行かせていただきました。帰りに長崎の方に向かいましたけれども、飛行機が飛ばないというぐらいに集中豪雨を受けておりまして、帰りましたらば、実は、今まで土石流が発生しておりました水無川、中尾川、島原市の南北に位置します。その両川の中間、ちょうど眉山というのがありますけれども、そこらから実は土石流が発生をいたしました。八月二十日の早朝の強い雨によりまして発生をしたわけでありますけれども、このことについて、国土庁としてはどれくらいの調査を進められておるのか。  それから、今国の直轄事業としてやっていただいておりました治山ダムの問題があると思いますが、この土石流が発生をいたしました百メーターぐらい上のところに治山ダムの建設をしていただいておりまして、ことしの六月から新たな治山ダムの建設をしている。雨が降り、そしてまた非常に地形が変わりやすいというふうな状況でありまして、予定では四十基以上の砂防ダムをつくっていただくようになっておりますけれども、実質そのダムの建設に着手できない状態ではないかというふうに考えているのでありますけれども、その点も含めて、御答弁いただきたいというふうに思います。
  190. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 今回の災害が発生した地区におきましては、林野庁において平成三年度、四年度に大規模な治山ダム、導流堤を設置しております。今年度は約二万立米の排土も実施しているところでございます。今後は治山災害関連緊急事業によりまして、早急に既設治山ダムのかさ上げ及びそで部の拡張を実施するとともに、新たに導流堤、床固め工、霞堤等を設置する予定でございます。  一方、建設省におきましては、治山ダムの下流の大手川におきまして流路工を計画実施中でございます。流路工は延長七百五十メートル、総事業費十六億円、平成五年度は一億円でございますが、これまでは、平成元年から五年度の間に用地取得を実施したいというふうに考えておるところでございます。
  191. 初村謙一郎

    ○初村委員 先ほどもお話が出ておりましたけれども、仮設住宅についてちょっとお聞きしたいと思います。  現在島原でも約二千九百四十二名の方が仮設住宅のお世話になっております。私も何回かお見舞いにも出かけましたし、そして回っておりましても、本当に窮屈な生活をされておるわけでありますけれども、その中において特に奥尻での仮設住宅の建設の状況、入居の状況、供給を含めてその状況を教えていただきたいというのが一つと、それから、仮設住宅で、実は私ども長崎県の場合はテレビ、冷蔵庫あるいはクーラー、洗濯機そしてまた電気カーペットの貸与をいただいております。ただ、そのユーティリティーでありますが、電気、水道、ガスといったものについては、何としても国からもう少し援助が出ないのかなというふうな思いが、残念ながらいたしておりますけれども、この辺の考え方についてもちょっとお聞きをしたいなというふうに思っております。
  192. 松尾武昌

    ○松尾説明員 御答弁申し上げます。  まず、奥尻町の仮設住宅の現在の建設戸数は三百戸でございまして、現在あと三十戸を建設する予定でやっております。入居者は、約八百四十一人が現在入居されておる状況にございます。  北海道という地域的なことを配慮いたしまして、その仮設住宅に特別基準を設けまして、強化フレームあるいは断熱材等を入れております。  それから、備えつけております備品でございますが、ユニットバス、カーテン、流し台、ガスこんろ、ガス湯沸かし器、ストーブ等につきましては、仮設住宅の附属設備として設置しておりまして、それ以外のテレビ、冷蔵庫等につきましては、日本赤十字社あるいは義援金等によりまして現在設置されている状況にございます。  それから、最後に御質問がございました電気・ガス料金等につきましては、災害救助法が一時応急的な救助法という建前から、ちょっと現在のところは困難だろうというふうに理解しております。  以上でございます。
  193. 初村謙一郎

    ○初村委員 この辺で、後でちょっとお話をまた続けさせていただきたいのですが、要するに、被災者の方の声がなかなか反映されない、今の救助法の中ではどうしても反映されないという部分がございます。この件につきましては、後でまたちょっと国土庁長官からもお話をお聞きしたいと思います。  もう一点、住宅につきましてお聞きをしたいと思いますが、集団移転の問題が実は今挙がっております。もちろん、雲仙・普賢岳の災害の中で今一番困っておりますのが土石流の発生でございまして、特に、島原半島の中でちょうど三角州のように残ってしまうわけでありますけれども、その河口を含めてだんだん土石流が流れる範囲というのが広がってきております。その中で被災地の住民の方の中に集団移転をしよう、あるいはしたいというふうな声も大分聞くようでありますけれども、集団移転に伴う国の財政援助を含めて、国の基本的な考え方をお聞きしたいというふうに思います。
  194. 秋本敏文

    ○秋本説明員 防災集団移転促進事業についてでございますが、この事業につきましては、被災地域あるいは災害危険区域のうちで当該地域の住民の生命、身体及び財産災害から保護するために、住民の集団移転をすることが適当であるというような場合に、市町村が一定規模の団地をつくる、そこに集団的に被災地域等の住民が移転をする、そのことを国としてもいろいろな財政支援を含めまして支援をしていこう、促進をしていこうという制度でございます。  この雲仙岳噴火災害に伴います集団移転促進事業につきましては、水無川流域の砂防事業区域に係る島原市安中地区の事業計画につきまして、本日国に承認申請が出されました。これを受けまして、私どもとしてはできるだけ早期に関係の省庁とも協議をしまして、措置をしていきたいというふうに考えております。
  195. 初村謙一郎

    ○初村委員 よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  それから、先ほども質問の中に出ておりましたけれども、公共交通機関の問題でございます。特に、鹿児島にしろ、奥尻にしろ、そしてまた島原にしましても、海上での代替輸送といったものが必要になってまいります。特に、先週の豪雨によりまして、島原でも初めてフェリーが出たというふうなことがございましたけれども、しょっちゅう出るわけじゃないのですが、この災害道路寸断をされる、あるいは鉄道が寸断をされる中で、代替として海上輸送が行われるわけでありますけれども、これに対する国の助成といったものができないのかどうかこの辺を一点お聞きしたいというふうに思います。  それからもう一つは、JR九州の鹿児島、日豊線の復旧のめどが立っていないということでございますけれども、鉄道の災害については、事業収入の一割、たしか収益の一割程度の被害であれば、一割以上の被害であれば、その法律が適用されるというふうにお聞きをいたしておりますが、例えば、日豊線のように一日で五十三億円の被害が起きたところもあれば、島原のように、三年間の間で累積でずっと、少ないときは八百万円、あるいは累積にしますと四億円以上というふうなところでございまして、経営が非常に基盤がしっかりしておらないというふうな状況の中でございまして、その辺の災害復旧に向けての特に鉄道災害における助成のあり方、この辺の見直しをされるお気持ちはないかどうか、あるいは基準を下げていくようなお気持ちはないかどうかというのをもう一点お聞きしたいと思います。  それから、実はこの島原鉄道は、もうしょっちゅう災害に、土石流に悩まされておりまして、市内をまたがって高さ五メーター、長さ約二・五キロメーターの高架構想というのが出ております。この辺の県あるいは地元から出ております構想について、国として、特に運輸省の方にお聞きをしたいと思いますが、どのようにお考えであるのかということをお聞きしたいというふうに思います。  以上、三点お願いしたいと思います。
  196. 齊藤孝雄

    ○齊藤説明員 海上代替輸送の関係につきまして御説明申し上げます。  陸上交通の途絶した場合におきます雲仙・普賢岳の海上輸送につきましては、長崎県の要請を受けまして、地元の旅客船事業者が航路開設を行いまして、運航を実施しております。この場合におきまして、運賃につきまして、県の要請によりまして、通常の旅客船事業の運賃体系ではなくて、被代替輸送機関でございます鉄道の運賃を基準にして運賃が設定されておりまして、このようなことから、運航によりまして欠損が生じざるを得ない、このようになってございまして、したがいまして、その欠損につきましては、要請者であります長崎県においてこれを補てんしておるというのが実情でございます。  それから、国の助成措置云々につきましては、海上旅客運送事業に対します国の助成措置につきまして、現在ございますのは、離島航路整備法に基づきます、本土と離島等の間の唯一の交通手段でございます離島の生活航路に対する欠損補助といったものがございます。しかしながら、この海上代替輸送につきましては、臨時的かつ緊急の代替輸送でございまして、先ほど申し上げましたように、運賃が基本的に代替輸送機関の運賃との関係で設定されますので、一般的な海上運送事業におきます運賃とは違ってくるということ、それから、輸送機関があらかじめ予測しがたいというようなこと、あるいは代替機関以外につきましては、鉄道、道路等が利用できるわけでございまして、離島航路のように、唯一の交通手段という位置づけにはならないというようなことがございまして、現在ございますこの離島航路に対します補助制度を適用することは難しい、このように考えております。
  197. 藤森泰明

    ○藤森説明員 鉄道の災害復旧の補助に関する御質問、三点ほどあったかと思いますので、それに対してお答えを申し上げたいと思います。  まず第一点は、鉄道施設の災害復旧の補助に関してでございますが、鉄道の施設が大規模な自然災害を受けた場合におきましては、災害の規模あるいは鉄道事業者の経営状況等が一定の要件を満たした場合につきまして、その災害復旧費につきましては、鉄道軌道整備法に基づきまして補助をするという制度ができておるわけであります。  先生御指摘のその要件でございますが、鉄道軌道整備法の施行規則の方で何点かの要件がございまして、御指摘のとおり、災害復旧事業費の額が運輸収入の一〇%以上の災害であるというふうなことも規定をされているところでございます。この補助の要件についての取り扱いでございますけれども、従来から、全国共通で、この規則に従って私どもの方で災害復旧の措置をしておるところでございまして、今にわかにこの制度を改定するということにつきましては、現時点ではなかなか困難ではないかというふうに思料しておるところでございます。  それから、もう一点ございましたのが、雲仙で被害が何度か発生した場合についてのお尋ねではないかというふうに思います。雲仙のように火山活動の同一原因によって被災が長期にわたる、こういう災害が発生する状況での鉄道復旧につきましては、火山活動の動向だとか周辺の防災施設整備の進捗状況というものを踏まえまして、再び被災のおそれがないかどうか総合的に考慮して、判断する必要があると思うわけであります。しかしながら、他の交通手段がない等の理由によりまして、やむを得ず災害復旧を行う場合があるわけでございますけれども、その場合に、せっかく復旧した施設が再び被災するという事態が、残念ながら全くないというわけではございません。そういう場合に、同一の年度内に災害復旧事業を複数やるというふうなケースについて、これを一つの災害復旧事業とみなして災害復旧補助の対象とするかどうかということにつきましては、運輸省として、今後の検討課題というふうに考えて、対処してまいりたいというふうに思っておるところであります。  それからもう一点は、島原のところでも話があるわけですが、鉄道の高架など、防災上の見地から、より望ましい施設をつくるべきではないかというお話かと思います。鉄道軌道整備法に基づく災害の補助制度というものは、先ほど申し上げたとおりでありますが、これの対象となります災害復旧事業というものは、基本的には、被災した施設を原形に復旧することを目的とする事業でございますけれども、ただ原形に復旧するだけではもはや被災を食いとめることができないような、いわば原形に復旧することが著しく困難だとか、あるいは不適当な場合においては、これにかわる事業というものを対象にすることにしております。  島原鉄道につきましては、ことしの四月二十八日から島原外港から深江間が不通となっておりますけれども、現在この地域につきましては、総合的な防災計画が検討されているところでございます。したがいまして、島原鉄道では、これらの全体の防災計画との整合性を図った復旧方法を考えることとしておりまして、具体的な復旧方法はこれから検討していくという状況でございます。  さらに一方、私ども長崎県の方からも一つの情報として伺っているところは、地域全体の防災計画として、砂防事業としての導流堤の設置とか河川の改修というものとあわせまして、鉄道の高架化というものを検討しているというお話を伺っておるところであります。この場合には、導流堤の設置あるいは河川改修について、原因者側による負担という考え方もあり得ないわけではないということでございますので、運輸省といたしましては、島原鉄道の具体的な復旧計画が明らかになった時点におきまして、今申し上げましたような関係機関との調整を図りながら、補助対象となる災害復旧事業であるかどうかということを検討していきたいというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  198. 初村謙一郎

    ○初村委員 ちょっと今の御答弁で、確認をさせていただきたいのですが、今言われました導流堤の計画次第では建設省が原因者側になり得るということですか。
  199. 藤森泰明

    ○藤森説明員 まだ詳細を県の方から伺っているわけではございませんが、仮に導流堤の設置の事業というものが建設省の方、他省の事業で行われるということになりますと、それによって鉄道を変えなければならないということになりますと、原因者側がそこに登場してくるという考え方もあり得るということでございまして、したがって、原因者負担の方でやるのか、あるいは鉄道事業の災害補助の方でどの程度できるのか、そこら辺のところは、それぞれの事業の全体の調整をした上で判断をしていくということになるということでございます。
  200. 初村謙一郎

    ○初村委員 その辺がちょっと私どもにはわかりかねるところでありますので、また遠いところを歩いてもらうのは気の毒でございますので、後でまた勉強させてください。  どっちにしろ、この雲仙岳の噴火災害によって鉄道がだめになってきている。しかも、毎日のようにその危険にさらされながら、しかも被害がだんだん大きく広がってきているという状況からすると、これは建設省だ、運輸省だという域を超えて、ぜひ国土の安全のためにも、両省またがってやっていただきたいというふうにに要望して、終わりたいと思います。  最後に、長官に一つお願いを申し上げたいと思うのです。  実は雲仙の災害というのは、百九十八年ぶりに噴火をいたしました。平成二年の十一月十七日でございます。記憶にありますのが、平成三年六月三日、死傷者が出ました大規模な火砕流。その後、政府調査団、そしてまた衆参両院の特別委員会委員派遣、あるいは過去三代にわたる国土庁長官の来県を含めて、そしてまた海部総理大臣、そしてまた宮澤総理大臣にも現地視察していただきました。一番問題になっておりますのは、実は特別立法の問題でございまして、実は各党の党首の方もお見えになりました。二代にわたる総理もお見えになりまして、お二人とも、実は特別立法をやりますというふうなことを現地では言われる。東京に帰られると、しゅんとなってしまう。それが非常にある面では政治不信につながっているところがございます。ぜひそういったものをはっきりとした形で、ぜひ長官にも長崎の方に、雲仙・普賢岳の方にも災害視察をしていただきたいというふうにも思いますし、そしてまた総理の方にも、ぜひ雲仙・普賢岳の視察を早急にやっていただきたいというふうに思います。  それから、先ほどから私の質問中にも、なかなか被災者皆さんの声が届かないという部分があります。国の施策においても、どうしてもうちょっとこういうふうにならないのかなというふうなことが、きょうの午前中から聞いておりましても、あるわけでありますけれども、そういう意味では、ある面では、災害の新しい立法措置というものが必要になってきているのではないかというふうな感じがいたします。  例えば、火山法の中には火砕流あるいは土石流といった規定がございません。ただ、最近の豪雨の問題あるいは雲仙の問題を考えますと、どうもそういう時期に来ておりますので、ぜひとも長官におかれましては、そういう現状を踏まえて、法の改正を含めて御検討いただきたいというふうに思います。  最後に長官の、今度起きております北海道そして鹿児島、そして今まだ被災中であります雲仙・普賢岳に対しまする被災者の皆様あるいは現地状況を考えられまして、強い決意のほどをもしお聞かせいただくことができれば、お聞かせをいただきたいなというふうに思います。
  201. 上原康助

    上原国務大臣 まず、初村先生のお尋ねと御要望のことについて、私に関する件から申し上げたいと存じます。  まだ国土庁長官に就任させていただいてから期間が間もないことと、何分国土庁北海道・沖縄開発庁と仰せつかって、正直申し上げて大変な日程を毎日こなさないかないということで、長崎県の雲仙・普賢岳で被災をこうむって、しかも長期にわたっているということからしますと、心からお見舞いを申し上げますと同時に、いろいろ政府としてもっと何かやっていかねばいかないのではないかという気持ちも、私個人も大変持っている一人であります。ただ、率直に申し上げて、これまで既に二代の総理大臣なり国土庁長官、各党の代表の皆さん、そして衆参の災特の先生方も現地に赴かれて、なお困難な諸問題が残っているわけですから、そう過大な御期待を持たしてもいかないと思いますが、私自身、日程の都合を見て、早目に長崎県の方にも視察に行く予定を事務当局にお願いしているところでありますので、その点はできるだけ早い機会に御期待に沿うように努力をしたいと思います。  さらに、特別立法の件については、私も長崎県の与野党の議員の皆さんからも聞いたりしているわけですが、いま少し、どういう形の内容の立法がもしできるとすればやるのか、そういう面が、国土庁なり関係省庁にとっては少し定かでないというような御指摘もあるやに思いますので、そういう点もお互い、相互に勉強を進めることがあるいは必要かとも思います。  いずれにいたしましても、初村先生御指摘のように、被災者の声がなかなか政府の諸施策に十分届かないという御不満はあると思いますので、そういう面をどのようにすれば反映させることができるのか。おっしゃいましたように、火山法の中に火砕流とかあるいはそういう噴火による災害についての規定がなければ、そういう面もやはり今日的時点でいろいろと検討することはいいことだと思いますので、よく勉強をさしていただきたいと思います。
  202. 初村謙一郎

    ○初村委員 最後に、先ほど冒頭に申し上げました私ども地元紙の中で、最後に載っておりますコメントの中に、これは被災者の方です、現在島原にお住みの方でございますけれども、こういうことが載っております。連立内閣の中には、特別立法で理解を示していた政党も入っている、特に被災者にやる気を持たせるために個人補償の問題、さらには警戒区域などの設定権者を国にするほか避難道路整備などをとにかく超法規で実現してほしいという声があります。これは、私は地元の本当の素直な声だというふうに思っております。このことをぜひお聞きとどめをいただきまして、私の質問、発言を終わらしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  203. 池端清一

  204. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党穀田恵二です。  今回の鹿児島地方中心とする豪雨災害並びに北海道南西沖地震での災害、そして、先ほどお話があった雲仙・普賢岳の災害、これらに対して、亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げ、また、被災地の皆様にお見舞い申し上げる次第です。  私は、鹿児島豪雨災害について、十七日と十八日、日本共産党独自で、そして十九日に院から派遣されて、それぞれの被害の実態を調査してまいりました。既に各委員の方からお話がありましたので、私は、まず最初に、被災者の要求に沿った救済の問題についてお伺いしたいと思います。  これは、まず第一に激甚災害の指定の問題ですが、私どももそれぞれの災害のたびごとに申し入れを行ってきたところですし、そして一刻も早く指定することが復旧に携わっている方々を激励するわけですから、先ほどありましたように、調査の結果を待ってということではなくて、やはり一刻も早く指定の可能性なども明らかにして、そして天災融資法や農地、農業用施設被害への激甚災害の指定を、改めて私からも要望しておきたいと思います。既にこれは皆さんお話がありましたので、省いていきたいと思います。  そこで、お聞きしたいのは厚生省です。  災害救助法が適用されているわけですけれども、これが全面的に発動されていないということに対して、大きな不満が出ております。これは、救助の中身を被災者に周知徹底させ、一日も早く生活を再建することが必要です。救助項目のうち、障害物の除去は、鹿児島市で何件実施されていますか。
  205. 松尾武昌

    ○松尾説明員 細かい件数では上がっておりませんが、現在十一件実施して、十三件検討しているところでございます。
  206. 穀田恵二

    穀田委員 少なくとも十一件実施されたというのは、二十一日以後ですね。これは、私調べましたところ、鹿児島市では、生活保護世帯が二百五十世帯被災しています。そして、厚生省の早見表によれば、障害物の除去は災害発生の日から十日以内となっているはずです。しかし、今のお話では十一件とありましたけれども、これは二十一日以後になされているわけですから、まことにこれは、その時点では、十日以内ということでいいますと、適用はゼロだったということになりますが、間違いありませんね。
  207. 松尾武昌

    ○松尾説明員 障害物の除去につきましては、自力では障害物の除去ができないものを対象として実施しているわけでございますが、鹿児島の八月豪雨災害につきましては、非常に広域、あるいはその後台風、雨が続く等の状況によりまして、非常におくれております。先生御指摘のとおり、非常に立ちおくれた状況でございます。
  208. 穀田恵二

    穀田委員 今、自力でということがございましたけれども、発生の日から十日以内ということになりますと、それ以内に自力でできる、できないという問題があると思うのですね。すなわち十二日間も、自力でできたかどうか見ていたということに結果的にはなると思うのですね、そういう言い方だと。私は、それは間違いだと思うのです。だから、その制度はないに等しいということになりはしないか。  私、現地でお聞きしますと、例えば、自分のうちがやられている。それで出すのに必死だった。そして、おじいさんのところにそれからやおら出かけていって、残っているのがわかっている。こういうことがるる報告されて、本当に助けてくれないのかということを言われました。やはりこういう問題について、事実に即して対応すべきだと思います。そしてその際に、私は思いますのは、独居世帯だとか、これは全部つかんでいるわけですね。つまり、今お話があったように、自力復旧、自力脱出が原則だというのであれば、そういうことができない人がわかっているのだから、そこに対して手を打つということが必要だと思いますが、それはどうされましたか。
  209. 松尾武昌

    ○松尾説明員 先ほど答弁しましたように、非常に立ちおくれて救助に向かったことは事実でございます。私ども鹿児島県に対しまして、十分そういう高齢者、障害者に対して配慮するよう指導いたしまして、御指摘のとおり、八月二十三日から始めたということでございまして、今後ともこういう方たちに対しては最優先でやるよう、よく努力してまいりたいと思っております。
  210. 穀田恵二

    穀田委員 最優先で今からでもやっていただきたいと思います。  ただ、私は市役所へ行きまして、実際被災者証明を出しているわけですね。そこへ行きますと、もう名前を言った瞬間に、半壊だとか全壊だとか、全部わかっているわけなんですね。ですから、役所の方は、各人別にどんな被害か素早くつかんでいるわけです。そういう意味でいいますと、障害物除去の対象となる人間も本来わかっているはずなわけでありますから、そういう点での、避難所の開設、炊き出しなどと同様に、自動的に必ず行政が動くように今後改めるべきだと思います。その点いかがですか。
  211. 松尾武昌

    ○松尾説明員 冒頭申し上げましたように、鹿児島市の豪雨災害は非常に市全体が水害に遭ったということで、いろいろな面で苦労したようでございまして、今後そういうことのないよう十分努力するよう指導いたします。
  212. 穀田恵二

    穀田委員 その点よろしくお願いいたします。  そこで次に、炊き出し等の食品の供与について、避難所に避難していない人も供与の対象となっているわけですけれども鹿児島市の場合は、何人の対象者に供与が実施されているか。それからついでに、住宅を失われた方がたくさんいます。仮設住宅でなくて、鹿児島県の場合は、市の場合も含めてですが、県営住宅に入居する場合の対応はどうだったか。その二つ。
  213. 松尾武昌

    ○松尾説明員 現在避難所で炊き出しをやっている状況でございますので詳細はまだ把握しておりませんが、避難所で炊き出しをやっております避難所利用者が、延べでございますが、約四万五千食ほどでございます。それから避難所以外の方が、この避難所で炊き出しを利用されているのが約四千三百程度でございます。
  214. 穀田恵二

    穀田委員 ですから、私は現地へ行ってみてわかりましたのは、避難所に来た方には渡す。もちろん私、地方公共団体が本当に努力しているのはよく存じております。しかし避難所に来られた方だけでなくて、あの早見表にもありますように、半壊それから全壊だとか、そしてあわせて、あそこの場合、水もとまり、電気もとまるといったことでした。したがって、そういう方々に対して供与をするというのは当たり前だと思うんですね。問題は、そういうことが知らされていないというところに私は問題があると思うんですね。つまり、いろいろ忙しくて大変なのはわかっている、だけれども、そういうことについて、避難所だけを相手するのではなくて、あの早見表の内容のすべての、二つ目の項目、三つ目の項目、そして今日の段階で水道がとまる、電気がとまるという事態の中で正しく対応すみことが求められている。ここらについて改善してほしいと思います。
  215. 松尾武昌

    ○松尾説明員 災害直後の炊き出してございますので、個別に対応するというのはなかなか難しかろうと思います。したがいまして、避難所で炊き出しを実施する、ただし、先生御指摘のとおり、そこに来ていただくようないろいろな措置を講ずるのは非常に重要だと思います。そういう意味で、これから高齢者、障害者の方たち等、なかなかそういう情報が入らない方々に対しまして、的確に情報が入るように指導してまいりたいと思います。
  216. 穀田恵二

    穀田委員 その点は、よろしくお願いします。  同様でして、先ほど県営住宅の入居の話をしましたけれども、言いたいことはこういうことなんです。県営住宅に入れ、こういうことであっせんするんですけれども、ところが、家財道具全部失っているわけなんですね。ところが入ってみると、電気は来ているんだけれども電球がない、そしてガスは来ているんだけれどもガスのそういう器具がない、こういうのでは、先ほども他の都市の災害の例はありましたけれども、そういうものについて温かいというか、当たり前のことについて、もしそれが現物で支給ができないのだったら、そのための貸与の金を出すだとか、そういうことが必要じゃないですかね。そのこともあわせてお答えください。
  217. 松尾武昌

    ○松尾説明員 災害救助法では「生活必需品の給与又は貸与」という項目がございます。したがいまして、一時的に被災者の生活を安定させることを目的としまして、どうしてもそういう生活必需品と申しますのは、給与あるいは貸与するという制度になっておりまして、その中で、この公営住宅にお入りになった方にもいろいろな対応を始めたというふうに報告を受けております。その中身につきましては、また詳細を調査しながら、指導してまいりたいと思います。
  218. 穀田恵二

    穀田委員 当初私が行ったときが十七日ですから、十五日までは少なくともそういう貸与はされてない、給与はされてない実態がありましたので、先ほどの話ではございませんが、そういう点も温かい配慮をお願いしたいと思います。  次に、運輸省にお聞きします。もう時間もありませんので、これは要望しておきたいと思います。  JRの復旧の問題については、先ほどもありましたように、要望書が出ていまして、鉄道軌道整備法による災害復旧の助成、要件が三つばかりあるということはお話がありましたけれども、国としても必要な予算措置をとって、通学路でもあり、通勤路でもありますから、その点は要望しておきたいと思います。  中小企業庁にお聞きします。  北海道の奥尻でも、それから鹿児島の場合でもそうですけれども被災した業者の方々が困っているのは、一つは保証人の問題ですね。つまり、お金を借りょうと思うのだけれども、なかなか保証人が見つからない、そういう実態をお聞きですか。
  219. 稲見雅寿

    ○稲見説明員 一般論としては話を伺ったことがありますが、個別具体的な話としては伺ったことはございません。
  220. 穀田恵二

    穀田委員 一般論としてお聞きしているというのはあれですけれども、じゃ要するに、現地でそういう話は聞いたことはないということですか。
  221. 稲見雅寿

    ○稲見説明員 基本的には、個々の融資につきましては、それぞれの政府系金融機関の窓口で対応するということになっておりますので、私どものところには個々のケースは上がってきておりません。
  222. 穀田恵二

    穀田委員 融資を受けようと思うのだけれども、やはり保証人がみんな被災者ですよね、あそこへ行ってわかりますけれども。だから、結局のところ、地域みんなが被災者で、保証人が頼めないという実態を私は聞いております。ですから、問題は、今の点で、被災者に借りやすいような手だてを打つべきではないか。つまりそういうことがあれば、そういう態勢をとっていただきたい。不況の場合でも無担保無保証人融資なんかやっているわけですから、せめてこういう事態、立ち上がりに当たって、せっかく準備した低利融資とか激甚災害の適用とかいっても、絵にかいたもちになりかねないわけですから、そういう事態があれば改善をするということでしていただきたいし、必要とあれば無担保無保証人融資の制度ができるのではないか、していただきたいと思います。その点いかがでしょうか。
  223. 稲見雅寿

    ○稲見説明員 災害発生時におきます中小企業向け融資につきましては、政府系金融機関に対しまして、保証人あるいは担保の徴求については、個々のケースに応じて弾力的に対応するよう指示しているところでございます。  また、信用保証の関係でございますけれども、金額が大きくない場合には特別小口保証というのがございまして、通常の場合は五百万が限度でございますけれども、無担保無保証で保証協会の保証が受けられる、激甚災害の場合はこれが倍になりまして、一千万まで無担保無保証による保証協会の保証が受けられるというような制度もございます。  いずれにしましても、個々のケースに応じて、さまざまな事情があると思われますので、個別具体的、個々のケースごとに判断してまいりたいと思っております。
  224. 穀田恵二

    穀田委員 今ありましたように、個別具体的に判断していただくと同時に、まさに一番最初に答弁ありましたけれども、弾力的にそういう形でやっていただきたいと思っています。  以上、若干の点に絞って、緊急でしかも必要な被災者救済措置について伺ってきましたけれども、先ほど厚生省なんかからもありましたように、自力復旧という考え方がやはりきついんですね。自立自助、こういう考え方が災害復旧の根本に横たわっていることがあるんではないかと私は思うのです。そこで、首相はこの前の所信表明でこう言っておられるわけですね。一日も早く平常時の生活に戻れるよう急いでまいりたい、こういうことをやって、不安な毎日を送られていることを思って、全力を挙げて取り組むということを最初お話しあったわけです。  そこで、私は国土庁長官にお聞きをしたいわけですけれども、今の災害対策基本法では第三条で「国の責務」「国は、国土並びに国民生命、身体及び財産災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と明記しています。つまり、ここに「組織及び機能のすべてをあげて」と書いているわけですね。  そこで、首相の言明とも関連するわけですけれども、やはり被災者救済のためには、この間の自力復旧という考え方の根本を抜本的に改める必要があるのではないか。そこで第一に、救済措置を、土地や家屋、家財を含めたものに拡充すること、それから二つ目に、救助は健康で文化的な最低限度の生活を保障する内容にする、このことを明記して、国庫負担を大幅に引き上げること、三つ目に、受益者負担という考え方を根本的に改めること、これらの三つが必要だと思いますが、その点で大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  225. 上原康助

    上原国務大臣 穀出先生のお尋ねにお答えいたします。  総理の昨日の所信表明における所見といいますか、災害に対する基本的なお考えを述べていただいたわけですが、やはり国の災害復旧、あるいは被災を受けられた方々に一日も早く平常な生活に戻っていただく、このことを基本にして災害対策には取り組んでいくという姿勢でありますので、その点は、これまでの政府もそういうおつもりでやってこられておりますし、特に細川内閣も、そういう立場で積極的に災害対策あるいは防止を進めていくという基本姿勢を明確にしていただいたものと私は考えます。  そこで、お尋ねの三点、自力救済あるいはその他、すべて国の立場で救済というか援助、対策をするということは願わしいことではありますが、やはり災害国としていろいろ多方面から考えた場合に、万般それだけではいかない面があることも御理解いただけるかと思うのです。私どもは、御主張の点も十分念頭に入れて、これからも災害対策には積極的に、関係者の御協力も、公共団体の御協力もいただきながら取り組んでいく、こういうことで御理解を願いたいと存じます。
  226. 穀田恵二

    穀田委員 お話がありましたように、被災者が一日も早く普通の生活に戻るというために国がなし得ることは何か、こういうことだと思うのですね、長官お話だと。ですから、国がすべてをやれと私は言っておるわけではなくて、ここにあるように、今自立自助、さらには自力復旧というのでは、国の責任が果たせないのではないか。つまり、一日も早く普通の生活に戻るにも、その資材がない、お金がない、そして復旧のための事態が進行していない、こういうことがあるわけですから、そのためには国が補助をし、援助をするということに対して当然全力を挙げるべきだ、こういう観点が大切かと思うのですね。  ですから、その場合何と何を今改善すべきか、それはやはり多くの方々も、委員の方もお話があったように、個人に対する補償という考え方がまだまだ不十分だということを私はまず第一点として申し上げたわけです。だから、そういう方向に今後検討して、努力をすべきではないかということを提案したわけです。いかがでしょうか。
  227. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 先生にお言葉を返すようで恐縮でございますが、個人が災害を受けました場合に、基本は自力で復旧することであると思います。ただ、自力で復旧することは、何もしないでおるということではないわけでありまして、必要ないろいろな、例えば先ほどから話が出ております、個人の住宅が被害を受けました場合に低利の融資をするとか、あるいは災害当初には、先ほど厚生省からお話がありましたようなもろもろの措置を講ずるといったようなことはこれまでもやっておりますし、今後とも、必要に応じて施策の拡充は必要だと思いますが、基本はあくまで個人がそれぞれの力で復旧をする、それを政府なり公共団体が側面から援助をするということであろうと思います。
  228. 穀田恵二

    穀田委員 私は、それは考え方が違うと思うのですね。それは争っている時間がちょっとありませんのであれですけれども、しかし、先ほど、被災者が一日も早く普通の生活に戻ることだ、こういうことを言われました。そうしますと、そういうことをやろうと思いますと、先ほども初村委員からありましたように、被災者の声を聞くことが大切ですね。ところが、先ほどあったように、住宅の問題にしても、炊き出しの問題にしても、除去の問題にしても、いわば現地で見れば、こういった実態がある、こういう乖離が現実はありますね。だから、そういうことに対して厳しく接していただきたいということが一つ。  あわせて、自力で復旧する、最終的にはそうだと思います。しかし、その過程でどれだけなし得るかという問題について、今不足している点を、例えば最低でも、国庫負担を引き上げる問題などはできることだ。それから、受益者負担、これは益を得るのじゃなくて、実際は被害を受けているということから出発するという考え方に立つべきではないか、このことを言っているわけです。その点を長官、もう一度お聞きしておきたいと思うのです。
  229. 上原康助

    上原国務大臣 穀出先生のお尋ねの点と私が答弁している点、あるいは防災局長が非常に責任を持たねばいかない、事務的なことも考えながら答弁する面もあると思うのですが、そう食い違っているとは思いません。  確かに国がやるべきこと、例えば仮設住宅であるとか、河川とか道路の決壊等について直轄事業で迅速に対処をして、関係都道府県あるいは市町村の方からその面は非常に評価を受けている面も、鹿児島、長崎あるいは北海道、ございます。同時に、激甚災の指定についても、幾分時町はかかっておりますけれども、これは行政の立場としては、公平公正、十分な実態の把握ということが大事でありますので、そういう点など、単に自力で救済をするとか、受益というような概念ではなくして、国がやるべきこと、地方公共団体が協力してやること、また、不幸にして災害を受けた方々が御自分で努力をしていくという、三位一体の気持ちを我々は持ちながら対策は講じていると思いますので、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。
  230. 穀田恵二

    穀田委員 論争していたら切りがありませんが、私は国の責任の、例えば住宅の問題などにしても、先ほど長崎の例がありましたように、狭いだとか、そういう問題がございますね。ですから、そういう点などもさらに責任をかぶっていただいて、努力する必要があるのじゃないか、このことを概念的に言うと、三つの点を先ほど申し上げたわけです。  次に進みます。私は、今回の災害との関係で、被害を最小限にするという観点から若干お伺いします。  私も国道事務所を訪ねまして、所長を初め皆さんからお話をお伺いしました。工事事務所そのものが水につかり、職員の三分の一が被災者だという中で、本当に不眠不休の努力をされていることは、御承知のとおりです。しかし、最後まで竜ケ水一帯の通行が規制できなかった問題、あれだけの被害を出したということは極めて重大です。  そこで、お話をお聞きすると、各地の雨量データ、テレメーターで入ってくるのですが、実はそのときに機械が壊れて、雷で入らない。無線が受信できなくなった。それから、所長自身も、今後の交通規制のあり方など見直さなくてはならない、こういうことを言っておられました。先ほどの小山田地区の場合には、夜の八時に地元方々がロープを張って、九時半に駐在所が来る。こういう関係です。  ですから、私は実際目で見て、建設省に、緊急時に危険箇所を機敏に通行するためのいざというときの態勢がないのじゃないか、そして危険箇所の設定や人員を絡めた緊急時の対応、設備など全般にわたって改善をする必要があるのじゃないか、このことをお聞きしたいと思います。
  231. 辻靖三

    ○辻説明員 異常気象時の交通規制でございますけれども、今回の状況ございますが、一般的には各道路管理者が、その道路構造や地形、地質、過去の被害の程度、路線としての重要性等、道路道路周辺の状況から必要な区間を指定して、一定の通行規制の基準を設けて、事前通行規制を行っております。  今回の国道十号竜ケ水付近におきましては、これまで何回か降雨に関する被害も発生しておりますが、道路そのものに及んだ災害は少なく、また、これまでも必要な防災対策を逐次実施していることなどから、異常気象時の事前通行規制は実施していなかったものでございます。  今回の雨につきましては、大変急激な降雨であったということもございまして、結果的に多くの車が閉じ込められるというようなことが生じたわけでございますが、これらに対する態勢といたしましては、やはり一つは、先ほど申されましたように、施設関係の設備が充実するということが大事だと考えております。先ほど、停電等でテレメーターとかそういうものが一時故障したことも今回ございましたけれども、こういうものに対しても、やはりそういう事態になってもバックアップ態勢がとれるような状況は、今後そういう施設面でも整備していかなければならぬと考えでございます。  また、現状の態勢でございますけれども、現在の態勢の中で、そういう設備関係それからシステムとかございます。また人員の態勢もございます。それらにつきましても、現在鹿児島国道工事事務所、職員百二十名余で大路線二百七十七キロを建設管理してございますが、管内の道路整備に対する要請も非常に強いと同時に、住民からの要請も、管理面でも非常に多いわけでございますから、現在の態勢をフル活動してやってございます。こういう災害でも、非常態勢として、建設分野の職員もこういう災害対応に態勢をとっている、また地方建設局も指導とか支援も行っております。そういう面で、地建の工事事務所、態勢、決して楽ではございませんが、一生懸命全力を挙げて任務を遂行しているということでございます。
  232. 穀田恵二

    穀田委員 職員の態勢はそのとおりだと思うのですけれども、私は、今言いましたように、例えばバックアップ態勢、それから竜ケ水の話でありましたけれども、同じところに閉じ込められているわけですね。実は国道の事務所の方々も、同じ道路で、パトロールカーは全部二台とも今からがら逃げ出しているわけですよ。そのときに、車の無線は通じたけれども、それを放棄するから連絡もつかない、こうなるわけですね。これはひどいのじゃないか。だから私は、そういう場合携帯電話の一つも持ってないという実態はひどい、これは改善してほしいということです。実態は、そういうことなんです。だから、私は、職員の方々が働いておられるその態勢を問題にしておるのじゃなくて、そういう場合の緊急態勢にふさわしいようなバックアップの問題と、それから具体的には、携帯電話だとか、そういうことまで含めた改善をしていただきたいということです。  それからついでに、もう時間がありませんから、これは国土庁が作成している防災マップなんですね。この中で「風水害危険箇所」というのがあるのですけれども、実際には、浸水の常襲地域が取り入れられてないという実態になっています。これは、見ていただいたらわかるわけですけれども、ここには甲突川があります。そういうところが本来、地図によると、永吉地区では、低地で甲突川が逆流して、しょっちゅう水に浸っている。それから、そういう想定をしていないものだから、この鹿児島市の被害調査を見ますと、市の施設であるアリーナ、コンピューター類を全部地下に置いてあって、この浸水で全部だめになっている、こういうことが起こっています。ですから、甲突川だけでなくて、同じく新川の場合にも、実は中流の唐湊というのですか、毎年のように大雨による住宅被害が出ている、こういうふうに新聞でも指摘せざるを得ない。ところが、こういう防災地図にあるにもかかわらず、そのことでどんなふうな被害が次に出るのかということが書かれていない。これでは極めて不十分ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 今お話がございました防災マップにつきましては、昭和六十三年度から毎年度一、二の市町村をモデル地域として選定いたしまして、防災マップのモデルの作成をしているところでございます。平成三年度には、鹿児島市、桜島町についてモデル的に作成したところでございます。  そういったことで、今御指摘のような不十分な点もあろうかと思います。今後そういった点については改善をしていきたいというふうに考えております。
  234. 穀田恵二

    穀田委員 ぜひ改善いただきたいと思います。  例えば、これは、後で見ていただいたらわかるのですが、十勝の場合は、緊急避難区域、泥流危険区域、この辺の地域は、泥流が起こった場合にはこういうふうに避難しなさいよ、こう書かれているのですね。  ところが、この地図はそういう地図じゃないわけなんですね。ですから、皆さんおわかりだと思うのですけれども、風水害といって、普通は、見たら、水害と思われるでしょう、どうです、「風水害危険箇所」。普通は、皆さんの言葉で言えば、こうなると急傾斜地云々となるわけですけれども、実際には、多くの方々は、水害ということがあそこの場合多いわけですから。  だから、現地方々を含めて、こういうものをつくる場合には、せっかくおつくりになるわけだから、しかもこれは住民用の防災マップなんですね。皆さん持っておられたら助かるというものなんです。ところが、これがこれでは役に立たない。役に立たないと言いませんけれども、少なくとも今回の場合にはそういうことが想定されていなかった。しかし、何回も水害の被害があるわけですから、少なくともこういう問題は改善していただきたい。そういうことを要望しておきたいし、今改善するとおっしゃったので、言っておきたいと思います。  そこで、治水対策についてお聞きしたいのですけれども、先ほども石橋の問題が随分出ました。新聞を見ますと、鹿児島県は、甲突川災害復旧というのは、文化財を含む貴重な五石橋を撤去しないとできないんだよ、こういうふうな話がやはり出るわけですね。現実はそういうことが横行していて、先ほどもお話あったように、激特の申請の際にそのことがなければ通らないかのような言い方を、現実にはテレビでは報道されておりました。ですから、肝心な問題は、先ほども少しお話ありましたけれども報告は改修方法を含めなければならないもの、つまり撤去と激特がセットであるかのような言い方をしていますけれども、今度の場合、国としてあらかじめそのような方針を持っていたのかどうかということをまずお聞きし、確認したいと思います。
  235. 山田俊郎

    ○山田説明員 河川激甚災害対策特別緊急事業というのは、先生も御承知のとおり、五カ年という短期間で再度災害の防止を図るという観点から、集中的な投資を実施する事業でございます。それで、この事業の採択の流れとしまして、発災後十五日以内に、河川激甚災害発生報告書というのを受けることにしております。この災害発生報告書は、家屋の浸水被害状況等々の被害の実態を受けるというものでございまして、河川改修方式その他の決定をあわせて持っていただくものではございません。先ほど申し上げましたように、短期間に集中投資をしていくという観点から、私どもとしましては、その際、本年度より早期に事業にも着手できますようにという観点で、改修方式、事業規模、施工予定区域等につきまして概略の説明を聞かせていただいた、こういうことでございます。
  236. 穀田恵二

    穀田委員 そうすると、受理したのは災害報告だということですね。そのときに説明を求めた。説明だということですね。  そこで、逆にこのことで現地では、私聞いてみますと、先ほどもお話あったように、鹿児島県自身も昭和五十五年度予算でコンサルタントに委嘱していた甲突川総合治水対策調査報告書によりますと、これは、甲突川治水計画の基本計画は、石づくりのアーチ橋を保存するという考え方である、こういうふうに当時言っておられたわけです。その報告書は、最終的には公にされなかった模様ですけれども、図書館には保存されておりますので、そうなっておるわけですけれども、当時、保存することが大事なんだということが強調されています。私は、その点で意見はいろいろあろうかと思いますけれども、その場合、住民の合意を大切にしていただいて、これからも、そういった保存してほしいという御意見を聞いていただきたいと思います。  そして、私文化庁にお聞きしますけれども、五石橋というのはどういう価値があると考えておられるのか。二つ目に、狭い意味での河川工事からだけの議論ではなくて、文化財保護行政の仕組みに沿って、住民の声や専門家の声を聞き、審議会等に諮って、きちんと取り扱いが検討されるべきであると思いますが、いかがですか。この点を文化庁にお聞きしたいと思います。
  237. 宮澤智士

    ○宮澤説明員 今の点でございますが、文化財保存の制度としては、文化財保護法の規定で国が重要文化財に指定するものと、それから地方公共団体が制定する文化財保護条例によって文化財に指定する方法があるわけです。鹿児島の甲突五橋の場合には、そのうちの一つが鹿児島県の文化財に指定されていることは承知しております。  それで、一般的に言いますと、地方公共団体の指定の文化財につきましては、その現状を変更するときには、地方公共団体の文化財保護審議会の審議を経て行うことになっております。それから、それ以外、指定になっていないもので、文化財的価値があるものにつきましては、審議会に語るか否か、その扱いについては、該当の地方公共団体の主体的な判断にゆだねられております。  本件の甲突五橋の場合でございますが、五橋のうちの一つは県の指定でありますので、県の審議会にゆだねられます。それから、このことについて県から相談がありましたら、文化庁としては、その価値等いろいろなことについて指導助言、協力に努めたいと考えております。
  238. 穀田恵二

    穀田委員 ですから、やはり文化的な価値、そして文化関係としての当たり前の行程をきっちり通らせて、意見を聴取するということに努力していただきたいと思います。  最後に、その点で、今私ふと、見てきたんですけれども、五石橋の問題というのは、単に川の流れとその水だけではなくて、昔こういうことを言っているというふうに新聞に書いていました。「五石橋を設計した岩永三五郎を直接指揮した海老原清煕は、「御一新の際より山林開拓と公事流行して」」要するに、簡単に言えば、開発するということがだめなんだよということを当時言っておったそうです。ですから、そのことが改めて、今石橋問題を考えるに当たって、単に川の流れをどうするかだけじゃなくて、全体の開発問題についても見直すべき時期に来ているということを改めでこのことが教えているし、現地ではこの問題をめぐって、石が泣いているということを言っているそうです。ですから、ぜひともそういう立場で、保存と治水という立場、両方向確立できるようなことをお願いしたいと思います。  最後に一つだけお聞きしたいのですけれども、この被害の大部分を占める急傾斜地崩壊対策事業の抜本的強化についてです。  これは、御承知のとおり、鹿児島県でも相当な箇所が指定されています。何でも二千三百七十六カ所だそうでして、残りは千八百六十五カ所と言われています。大体工事は一カ所一億円から二億円というのが多いそうですから、これをやろうと思いますと、一千四百億円それぞれ国と県で負担をするということになると思うのですけれども、これを正面に掲げてやれば可能だと私は思います。そういう観点から、今始まりました、先ほど政府委員の方からお話がありました第三次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画、これを抜本的に見直すことを私は提案したいと思います。  当時、第三次五カ年計画は、公共事業拡大方針もあって、当初の事業計画では一兆五百億円の概算要求でした。結果は五千八百億円にとどまっております。ですから、これをやはり、始まったばかりの計画ではございますけれども、速やかに見直して、少なくとも倍加を要求した概算要求以上に改定すべきだと私は思います。  その点で建設省にお伺いし、同時に、これは閣議にも関係する問題なので、防災担当大臣としての政治責任を果たす第一歩として、この五カ年計画の見直しを検討してもらいたいと思うのです。その点での御答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  239. 瀬尾克美

    ○瀬尾説明員 お答えいたします。  急傾斜地崩壊対策事業の五カ年計画につきましては、ことし五月二十八日に閣議決定を見まして、平成五年から九年までの五カ年間に総額一兆一千五百億円ということで実施するものでございます。そのうち、急傾斜地の崩壊対策事業のいわゆる公共分といいますか、補助事業でやるものでございますが、御指摘のように、五千八百億円ということでやることにしておりまして、一応二二%の整備率が現状でございますが、それを三○%まで上げる、こういうことでやっております。ことし、まず緒についたものであります。そして、これにつきましては調整費というものも二千七百億円というものを見ております。  ですから、今の段階では、まず当初年度も一応一八・四%の進捗率も、これはいわゆる公共の五千八百億円に対しまして一八・四%の進捗も見ているところで、これは一応初年度としては順調にいっているものであります。ですから、今のところでは、この計画に沿って、しっかりと予算が確保できれば、抜本的な対策につながっていくものになるのではないかというふうに期待をしているところであります。
  240. 上原康助

    上原国務大臣 今建設省の方から御答弁なさったとおりでございますが、何分、全国的に八万六千カ所以上、鹿児島だけでも千六百カ所以上あるということと、膨大な資金を要するということと、また、そういう傾斜地対策をしていくには相当の技術面の配慮も必要だということでありますので、計画されて間もないし、かなり軌道に乗ってきているような感も受けますので、その推移を見ながら、また、御注文のことについてもよく念頭に入れておきたいと思います。
  241. 穀田恵二

    穀田委員 一言だけ。
  242. 池端清一

    池端委員長 穀田君、簡単に。
  243. 穀田恵二

    穀田委員 はい。だから、ただ私が言っているのは、二十年、三十年でこれはできないわけですね、この調子でいくと。緊急度の高いものから、そういう万全を期して、少なくとも七十年、九十年かかるという計算なんですよ、これ、計算でいくと、全部やろうと思いますとね。下手したら百年かかる、こういう実態です。ですから、そういう角度からしますと、やはり知恵を集めていただいて、緊急のものからこれはやっていくんだということをはっきりさせた、そういう強化点を打ち出しつつ急いでいただきたい、このことを要望して、終わります。      ――――◇―――――
  244. 池端清一

    池端委員長 この際、念のため御報告いたします。  今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、大規模長期災害における新たな被災者救済対策に関する陳情書外一件であります。      ――――◇―――――
  245. 池端清一

    池端委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  災害対策に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 池端清一

    池端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の各件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 池端清一

    池端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査のため、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 池端清一

    池端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣地、期間、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 池端清一

    池端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会      ――――◇―――――