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三重野栄子君 私は、
日本社会党・
護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました
平成五年度
補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
反対理由の前にまず申し上げなければならないのは、カンボジアでボランティアの中田さんや高田さんほか文民警察官の
方々が死傷されるという痛ましい犠牲を出したことです。これは、政府が一番重要な安全確保に有効な手を打たなかったばかりか、現実から乖離した無理な解釈の積み重ねをしながらなし崩し的にPKOの拡大をもたらした結果であります。
昨年のPKO
法案審議の際にも私たちがさんざん指摘したにもかかわらず、政府はまず自衛隊の海外派遣ありきを前提にひたすら安全を強調し、カンボジア情勢についての甘い見通しを改めなかったその責任は重大であります。ついにソマリアでは武力衝突が起こりました。PKOの拡大は全く認めることはできません。
次に
政治改革ですが、
政治腐敗防止や政治倫理を求める
国民の世論を軽視し、与党
自民党は自党に有利をもって問題の多い単純小
選挙区制の導入に固執する姿勢が見られるのは大変遺憾であります。我が党初め
野党が既に妥協策を示す中でこのような姿勢を続けることは、
国民の
政治不信の声にこたえないものとして
政治改革の意思が大いに疑われます。抜本的な
政治改革の断行こそが緊急の課題であることを
認識し、
総理の速やかな
リーダーシップの発揮を改めて強く求めます。
さらに、今回の
補正予算はその
提出の時期が当初
予算成立直後という極めて異例なものということです。これは政府の
景気見通しの甘さ、当初
予算での施策の不十分さを示すものと言わざるを得ません。当初
予算の
審議や両院協議会の場でも参議院側が誠心誠意
予算修正を求めたにもかかわらず、政府・
自民党はすべてこれを拒否したこと、その上このような
補正を
提出する姿勢は余りに独善的と言わざるを得ません。
重ねてその提案理由についても
景気対策を強調するばかりで、例えば当初
予算にはわずか一千万円しか計上されていなかったある施設
関係に十億円を超える額が追加されるなど、余りにもずさんな
予算編成であり、このことは既に指摘しましたとおり、財政法第二十九条の
補正予算の緊要性が認められるとは言いがたいのでありまして、このような
補正予算は全くもって認めることはできません。
以下、順次、
平成五年度
補正予算に反対する理由を申し上げます。
反対の第一の理由は、私たちが求める所得税減税の実施が含まれていないことです。
政府が強調する今回の
補正の
景気対策が旧態然とした公共投資中心のものであり、未曾有の消費不況であることの
認識が全く不十分と言わざるを得ません。現に、昨年末の公共投資にもかかわらず、企業収益は落ち込み、所得は伸び悩み、百貨店販売額も一年以上前年比マイナスが続いています。発表によりますと、
平成四年度の税収不足は三兆円を超し、十一年ぶりと言われる厳しい情勢である今こそ、何よりも緊急必要なのは落ち込んだ
個人消費の刺激であることはだれの目にも明らかであります。
自民党幹事長は、当初
予算審議に入るに当たって前向きに検討すると約束しているのであります。今回の
補正に盛り込まれたのは、わずか教育減税、投資減税など総額千四百六十億円の政策減税だけで、我が党初め
野党が求める本格的な所得税減税の実施は一顧だにせず見送られており、公党間の約束をないがしろにする政府・
自民党の姿勢として全く認めることはできません。
反対の第二の理由は、社会資本整備の新たな展開への対応が不十分であることです。
今回、社会資本整備の新たな展開として研究施設改善の費用が計上されていますが、当初
議論されたような硬直した
予算や財源策を打破する
制度的変更はありませんでした。下水道のシェアの増加は見られたものの一方で住宅対策のシェアが低下するなど、全体として見れば依然として生活関連のシェアが顕著に増加したとは言いがたいのです。こうした政府の公共投資変革の必要性に対する
認識の甘さ、対応の不十分さは全くもって容認できません。
反対の第三の理由は、第二
段階の財政再建の事実上の破綻にもかかわらず、政府がその責任を明確にしていないことです。
政府は
平成七年度までに国債依存度を五%以下にするとの目標を掲げておりますが、本
補正での二兆二千四百六十億円の国債増発によって国債依存度は十三・九%に上昇し、かかる目標達成が困難であることはだれの目にも明らかです。にもかかわらず、政府は努力しますと言うだけで何ら対策を示さず、
国民の財政運営に対する不信感を一層増大させており、こうした政府の姿勢は決して容認できません。
最後に、緊急課題である所得税減税の実施について、今日までの
国会論議を軽視し、政府・与党の誠意が見られない対応に怒りをもって強く抗議し、私の反対討論を終わります。(拍手)