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国務大臣(
宮澤喜一君)
カンボジアに対しまして部隊、
要員を
派遣いたしましたのは、
国際平和協力本部長としての私でございます。したがいまして、私はそれについて
責任を負わなければなりません。有為な
人々の命が失われたことを心から申しわけなく思っております。
しかし、
我が国として果たさなければならない
国際平和
協力の業務がございます。
派遣要員の
安全確保には万全を期して、この我々に与えられた責務を果たすことが私の
責任であるというふうに
考えております。
そのため、先般村田
国務大臣に
現地に行っていただきまして、
我が国の
要員を含む、
我が国だけではありませんが、
UNTACの
選挙要員、
文民警察等の
安全確保について御相談をしてまいりました。また、その結果、
UNTACとして
輸送のための能力を
強化したい、それが当面の
安全対策であるというふうに言われましたので、ヘリコプター等々につきましては近隣諸国から既に具体的に提供をしてもらう計画が進んでおります。ただそのための費用の捻出に苦しんでおられまして、
国連から
要請がありましたので、
我が国としてもとりあえず百万ドルの緊急支出を決定をいたした。今
全力を挙げて
安全確保をさらにやっておるところでございまして、現に
国際平和協力本部の事務局長柳井君を昨日、
村田大臣に引き続きまして
現地に
派遣いたしたところでございます。
このような
PKO活動の
状況について、
政府は
国会の
法案御審議の過程において間違った説明をしたのではないか、欺いてきたのではないかという御指摘がございました。
私はさようには
考えておりません。先ほ
ども申し上げましたように、
カンボジアにおいて十三年間の戦闘が続いて、それが
国連や我々
関係国の仲介によってともかくも戦火がやんだ。しかし、この
人々だけで
国づくりをするということができない。そういう
状況から
国連の平和業務が始まったわけでありまして、そういう意味では、自分
たちだけで
国づくりができ
選挙ができるのならば、もともと
国連が、あるいは我々がそれに対して
支援をするということは要らなかったことでございますから、現実にはそういう
状況であるので
平和維持活動について我々が
協力をすることになったという
経緯は御
承知のとおりでございます。
しかも、先ほ
どもおっしゃいましたように、まさにこの
平和協力業務というものが
武器を使って戦闘を再開するというようなことではこれは平和
協力になりませんので、できるだけ
武器の使用は控えて、
国連というものの信頼とそうして中立的な
立場、それによって
国づくりを手伝うというのがこの平和
協力の本体でございますから、そういう意味では極めてこれは難しい仕事である。決して容易な仕事ではないので、そのゆえにこれは歴戦の経験を重ねたベテランの仕事である、だからノーベル賞をもらうほどの値打ちのある仕事だということは何度も
国会に申し上げてまいりました。
殊に、
我が国の場合には憲法の規定がございますから
武器の使用というものについては極めてこれは神経質でなければならない、
武器の使用というものを誤ってはならないというのは
我が国の特に憲法の規定から大事なことでございますので、それだけのことをまた
法律に規定をされておりまして、それだけに、我々の同胞、
要員であれ部隊であれ、そういう難しい仕事を今やっていてくれるのだということを改めて申し上げておきたいと
思います。
しかし、それは、だからといって安全をないがしろにしていいというわけではもとよりございませんで、先ほ
ども申し上げましたように、この際この従事する
人々へのいわゆる安全のための装備の
強化であるとか、あるいは通信機能の
強化であるとか、
UNTACに対する改めての
支援であるとかを先般も
村田大臣を通じて申し入れ、今日も事務局長が行っておるということは申し上げたとおりでございます。
しかし、
政府が
考えていた
状況と現実に展開したことは違うだろうと。幾つかの点で違っております。それは、
武装解除というものが完全にいかなかった。残念でありますが完全にいっておりません。それから、
ポル・ポト派、クメール・ルージュが
選挙に
不参加を表明した。これらのことは確かに
国際社会が当初
考えていたことと違っております。違っておりますが、さりとて十三年間行われておりました戦闘が再開されたかといえばそういう
状況ではないし、クメール・ルージュ自身が自分
たちは
パリ和平協定を遵守すると言っておるわけです。むしろ、
パリ和平協定が忠実に行われていないではないか、これを忠実に行ってくれ、
SNCがもっと権限を持ってほしい、こういうことを言っておるわけでございますから、
基本的に私
どもは
パリ協定の平和の
枠組みは崩れていない。そういう
状況に立って
平和協力業務を遂行し、
選挙を行うために
努力をすることが我々の務めであるというふうに思っております。
それから、
各派に対して
武器をもう一度返すかということにつきましては、先ほ
ども申し上げましたが、そういう
報道はございますけれ
ども、そのような決定がなされておるとは
承知をいたしておりません。
現在、先ほ
ども申し上げましたが、住民の九割と推定されます四百七十万人が
選挙の
登録をいたしておるわけでございますから、
基本的に
カンボジアの
人々が
選挙を希望しておると
考えることは私は間違いでないと
思います。そういう
状況の中で
選挙をできるだけ公平に無事に行わなければならないと
思いますが、
パリ和平協定の再構築をしろと言われるその再構築と言われることの内容は私にはつまびらかでございません。ただいまこの
努力を続けることが
パリ和平協定の精神と
思います。
それから、モザンビークにつきまして、我々の方からONUMOZの司令部への
要員派遣をしたということについて
お尋ねがございました。これからモザンビークにおきましていわゆる
輸送調整業務、
輸送管理業務を行うのでございますけれ
ども、どの港に、どの飛行場にどういう人が来る、どういう機材が来るというようなことは、これはあらかじめ司令部と十分に連絡をしておきませんと適正に業務が進行し得ませんので、先方の希望もございまして、司令部に
要員を
派遣する、個人
派遣をすることになりました。これは我々の
輸送調整業務が円滑に行われるために有効なことであると思っております。
それから、今回
選挙要員を
派遣いたしましたが、
派遣されているこの
選挙要員の安全というものは、
基本的には
国連が持っておりますところの、つまり
UNTACに
派遣されております
各国の歩兵部隊がその安全を
確保するということになっておりまして、この点は
村田大臣が先般行かれましたときも確認をされておりますけれ
ども、もちろん
我が国としてもあとう限りの
対策を講じております。タイのパタヤで事前の研修をいたしまして、その後いろいろな、防弾のための設備であるとか、あるいは短波受
信用のラジオの携帯であるとか、それからインマルサットの配備でありますとか、できるだけのことはいたしておるというのが
現状でございます。
残りの
お尋ねにつきましては
関係大臣からお答えをいたします。(
拍手)
〔
国務大臣中山利生君
登壇、
拍手〕