○
国務大臣(
宮澤喜一君) 最初に、ここ二十年に及ぶ
政治腐敗の体質とそれを生み出した
構造についてどう考えるかという御指摘でございました。
申すまでもないことでございますけれ
ども、
議員は、
選挙民の
信頼を得て、その負託にこたえて国政に従事をするものでございますから、たとえどのような
制度であれ、
議員一人一人がはっきりした、しっかりした
政治倫理を持っていなければならない、これは申すまでもないことでございます。しかしながら、過去の出来事を振り返ってみますと、それはそうでございますけれ
ども、やはり
選挙制度そのものにも
関係がないわけではないと申し上げることができると思います。
すなわち、今の
選挙が、政策
中心で争われる、必ずしもそういう形になっていない。いわゆる衆議院における中
選挙区というものは、必ずしも政策
中心で争われずに、一党から複数の
候補者が出るというようなことが現実でございます。したがって、その結果としてやはり金が余計にかかるというようなことも現実の問題としてはございますし、
政治資金は、いろいろの規制をしておりますけれ
ども、それにも不透明さが残っておるということが現実であろうと思います。
残念なことでありますがそれが現実と思いますので、したがって問題は、そういう
政治構造に立ち入った抜本的な
政治改革がやはり必要である。倫理のことは申すまでもないことでございますけれ
ども、そういう倫理が間違いなく貫き通せるような、それを
制度面からも担保するような
制度の
改革というものがやはり大切ではないか、こういうふうに考えております。
それから、共和
事件以来、
我が国の
議会制民主主義は根底から
存在を問われているではないかと言われることについては、まことに残念でございますが、私も御
所見と同じ考えを持っております。
この現在の
国民の
政治不信というのはかつて経験したことのない深刻なものである、まことに残念なことでございますが、そう思いますので、この機会に、
政治が一日も早く
国民の
信頼を
回復し、そして期待される機能を発揮するようにいたさなければなりません。それは、倫理の問題であると同時に、やまり
政治改革を必要とするというふうに考えておりまして、
事件の
真相解明ということはもとより極めて大事でございますが、民意が的確に反映されるような
政治構造を
実現しなければならない、
政治改革を推進してその具体的な成果を上げたいというふうに考えております。
なお、
佐川急便事件につきましてお尋ねがございましたが、これにつきましては、前
国会におきましても各党各派が
真相解明のために非常な努力をされました。また、今後におきましてもそういう御努力が続けられると存じますが、
国会における証人の喚問の問題は、これは
国会において御
判断をされるべきことかと存じます。もちろん、
政府といたしまして、
国会の国政調査については可能な限り
最大限の
協力をいたすことは当然でございます。
なお、この
佐川急便事件に関連をして
政治家と
暴力団との
関係について指摘がなされておりますけれ
ども、およそ
政治家がこのような集団とかかわり合いを持つということは、これはあってはならないことであります。
政治にかかわる者は、みずから襟を正し自粛自戒して日々の
政治活動に当たらなければならないのはもちろんでございます。
なお、
政治家の進退につきまして、これは前
国会でも申し上げたことでございますけれ
ども、
選挙民に選ばれました
議員の責務というのは、やはり
選挙民から
信頼され、その負託にこたえて国政に従事をするということでございます。そのような
選挙民の
信頼がなお維持され失われていないか、また
選挙民の負託にこたえて活動ができるかどうかということは、これは最終的にはやはり本人が
判断をしなければならないことではないかというふうに考えております。
国民の
政治不信を招く
事態が生じましたことについて、
国民の疑念が解消され、
政治への
信頼が
回復されなければなりません。
真相解明はもとより重要でありまして、
国会における国政調査に
政府が
最大限の御
協力をいたすべきことは当然のことでございます。
また、この
事件につきまして、一部には既に
関係当局が捜査、調査を継続している事柄もございます。また、裁判所におきまして公判係属中の事柄もございますので、それらについては、つかさつかさに任せて、その推移を見守る必要があろうと存じます。
なお、過去において、個々の
事件が起こりましたときに、私の発言がそれに対して不明確であ
る、あるいは微温的であるという御指摘がございました。
そのことは気がついておりますが、実は、
一つ一つの報道がございました場合に、私の
立場から申せば、事実
関係を明白にいたしませんでその報道についてコメントすることは、これは差し控えなければならないという自分の
立場であると存じておりますので、事実
関係がはっきりいたしましたときには常にはっきり
判断を申し上げておるつもりでございますが、この点は御理解をいただきたいと思います。
企業献金の問題でございますが、
企業も社会的な
存在でございますから、
政治に対して発言をするということは、これはあってならないわけではない。ただ、それにつきましてはおのずから自制の限度というものがあるだろうということは、これは事実だと思います。
自民党がこのたび
政治改革の
基本方針、いわゆる抜本
改革の
基本方針を策定いたしましたが、その中では、
政治資金も、これは
選挙そのものもそうでございますが、なるべく政党
中心に調達をする仕組みにいたしたいというふうに考えておりまして、したがって
個人につきましては、いわゆる
企業等
団体献金の関連の
資金調達
団体を極めて厳しく制限し、またそれを少額に限るということにいたしております。したがいまして、それは、
企業との関連は主として政党がこの相手となるというふうに考えをしておるわけでございますけれ
ども、また、寄附の公開
基準の引き下げ、あるいは
政治資金の透明性の確保、
罰則の
強化などをこの
政治改革の
基本方針では定めておりまして、やがてこれらにつきましては
国会におきまして、各党各派間で十分御議論をいただきたいと考えているところでございます。
それから、
イギリスにおきまして、一八八三年、グラッドストンのときに
腐敗行為防止法ができて、それが今日の
イギリスの
政治浄化の起点になったということはそのとおりでございますが、
我が国も、百年余りおくれましてまさにそういう時期に来ているものというふうに
認識をいたしております。
先ほど申しました
自民党が作成いたしました
政治改革の
基本方針もそのような思想のもとにつくられたものでございますが、この
基本方針をもとに、その法案化に向けてただいま鋭意作業が行われておりまして、今
国会に提出をして御審議を仰ぎたいと考えておるものでございますが、なお各党間で、各党におかれてあるいは各会派におかれてもいろいろ案をお持ちと思いますので、
国会で十分論議を尽くしていただいて、今
国会で合意を得ることをお願いいたしたいと思っておるところでございます。
次に、過去における
我が国の
戦争責任、殊に
アジアにおけるそれについてお尋ねがございました。
我が国の過去の行動によって、
アジアを初めとする
関係地域の人々が耐えがたい苦しみと非常な悲しい体験をされたということは事実でありまして、
政府はいろいろな機会に深い反省と遺憾の意を表明してまいりました。これらにつきましては、過去において、連合国、あるいは戦後
我が国と分離独立いたしました
地域との間の請求権の問題について、御承知のようにサンフランシスコ平和条約あるいは二国間の取り決め等によって、誠実に、
我が国としてはかなり経済的には苦しい
時代でございましたが、誠実に
対応してきたと思っております。
また、教育の問題でございますが、私は、先般バンコクで申したことでございますけれ
ども、
日本国民の日々の行動の中にも
歴史の教訓が十分に生かされるようにしていかなければならない。殊に若い世代は過ぎ去ったことを存じませんので、そういうことは間違いなく教育をするようにしなければならない。一層意を用いてまいりたいと思っております。
次に、
国連協力につきまして、
我が国としてどのような
立場からそれをなすべきかという御指摘であったわけでございますけれ
ども、
我が国は本来、いわゆる
国連中心主義ということで戦後ここまでやってまいりました。
国連が無力でありました
時代には、それは一種の抽象論であるというやゆを受けたこともございましたけれ
ども、幸いにして
国連が力を持つようになりまして、
憲法の定めるところに従いまして、この
国連への、
国連憲章の目的と理念を
実現すべく
最大限の
協力をいたさなければならないのは当然と思います。また、現に、
国連の財政面におきましては
我が国は第二の財政負担をしておる国でございます。
とりわけ、
我が国のこういう国力が進むに従いまして、
国際の平和と安全の分野においてもう少し積極的な人的な貢献をなすべきではないかという
内外の世論がございまして、昨年、
国会において慎重な御審議の末に
国際平和協力法を成立させていただきました。これによりまして、
我が国の
憲法の許す範囲における人的貢献を行うことができることとなりました。現に
カンボジアにおきまして、
自衛隊の諸君を初めとする六百名余りの人々が
カンボジアの国づくりに汗を流しております。このことは広く
国民の支持を得ているというふうに考えております。今後とも、御指摘のような
民生面も含めまして、
憲法の許す範囲での
国連協力を進めてまいりたいと思います。
これにつきまして、今の
国連では十分でない、いろいろな意味で
国連の
強化をすべきだという御指摘がありまして、私はこの点はそのとおりと思います。
国連がにわかに実際的な機能を帯びざるを得ない、また、それを発揮するようなことになりましたについて、
国連というものがそれまで十分そのような用意をしておったかといいますと必ずしもそうだとは申せない、それは確かにそういう点がございますので、そういう意味で、
国連を育ててまいらなければならないと思います。そういう
立場から申しまして、御指摘になられました幾つかの点は十分検討をいたすべき項目であろうと思います。
常任理事国の問題について御指摘がございました。
安保理事会の改組につきまして、昨年の十二月に全会一致で「
安保理議席の衡平配分と
拡大」に関する決議というものがございました。これは全会一致で採択をされたわけでございますが、それに従いまして、本年の六月三十日までに各国が意見を提出することになっておりまして、
我が国としてもその準備をいたしております。
我が国として率直に意見を述べてまいりたいと思いますが、
安保理事会の機能を損なうことなく、
国際社会の期待に沿うような形での
安保理事会の改組が行われ、
安保理事会の
信頼性と実効性を高めなければならない、これがこれから
国連総会決議を受けましての
課題であると思っております。
この
安保理事会の改組の問題は、よく御承知のとおり、
国連の場においてこれから議論が進んでまいりますと
国連憲章の改正を必要とする問題に発展することは恐らく不可避と思われますが、その場合には、大変高度で
政治的な複雑な微妙な問題をいろいろ呼び起こすであろうということは容易に予想されますので、息の長い取り組みが必要であろうかと考えております。
なお、先ほど、
安保理事会は
国際的な公正と
民主主義の
原則にもとるというふうに御指摘になられたというふうに承りましたが、私はそう考えてはおりません。
カンボジアにおきましてのことでございますが、散発的あるいは局地的な
事件が発生しておりますけれ
ども、パリの和平協定に基づく和平プロセスの
基本的な
枠組みは維持をされております。いわば紛争当事者間の停戦の合意は保たれているというふうに考えておりますので、
我が国が
自衛隊諸君等を派遣いたしました
基本的な
状況には変わりがないというふうに思います。
次に、
国連の
ガリ事務総長が提唱いたしましたいわゆる
国連のこれからの平和維持等に関する問題でございますけれ
ども、
ガリ事務総長が、
国連の現在のような
状況の中で積極的に機能を発揮させるために事務総長としていろいろな
イニシアチブをとろうとしておられることには、これは十分にその意義がわかりますし、
我が国もこの議論に積極的に参画していきたいと思いますけれ
ども、ただ事務総長のお話の中には、やはり今まで
国連あるいは
安保理事会がやってまいりましたこととは、かなり先へ進みましたと申しますか、一歩を出たいろいろな問題がございますので、
我が国自身がすぐそれに参画できるかどうかというようなことは、
憲法の問題もございまして、これは
一つ一つやはり慎重に考えていく必要があると思います。
もちろん、
我が国はそういう議論には積極的に参加をしていきたいと思っておりますけれ
ども、
我が国自身が事務総長の先般言われましたような
国連の新しい平和維持、あるいは平和をつくる、ピースメーキングと言われたと思うのですが、そういうことに参加できるかどうかということは、これは
我が国自身が
判断をいたさなければならない問題と思います。
国連平和維持活動につきまして、
自衛隊とは別の文民がいいのじゃないかというお話は、前
国会でも御
主張を承っておりますけれ
ども、今現実に
自衛隊の諸君が
カンボジアの国づくりに参画しておりますことを見ておりますと、やはり長年の蓄積いたしました技能であるとか経験であるとかあるいは組織力等々、これが有効な貢献をするために極めて必要なことであるということが現実に証明をされておるように思います。この法案の御審議の過程で、
国民の中には果たしてどういうことが行われるかについて十分な御理解がなかった向きもあると思いますけれ
ども、その後の
自衛隊等々の活動をテレビ、報道等で
国民が見ておられて、今、幅広い
国民の支持があるものというふうに私は考えております。
この法案は、
国会で御修正がありまして、施行後三年を経た場合に見直すということになっておりますけれ
ども、私といたしましては、今現に行われている
平和協力、この実態というものを、まだ始まって間もないことでございますので、よくその実績を見ながら将来のことは考えていく、予断を持たずに、もう少し今の実績を重ねていってもらってはどうかというふうに考えております。
ODAについて、
政府開発援助大綱というものを私
ども閣議決定をいたしました。それに対して、相手国の
立場も考えながら、やはり人権でありますとかあるいは過大な軍備でありますとかいうものについては、それなりの我々としての意見を言わせてもらう、あるいは
環境についてもさようでございますけれ
ども、そういう考え方から
政府開発援助大綱を閣議決定してやらせていただいておるところでございます。
それから、
ロシアの核
兵器の解体あるいは
軍民転換ということについてお話がございまして、確かに
ロシアの核
兵器の解体及び処理は重大問題でございます。重大問題でございますので、G7等でも議論をしておるところで、
我が国としてもそれはなし得る貢献はいたしたい。技術的には、核
兵器の解体・処理が、
日本として現実にそれについて手の出せる問題とは思いませんけれ
ども、しかしそのための財政的援助等々はこれはやってできないことはないのでございますから、それについてもできることは貢献をいたしたい。
軍民転換につきましては、これは現実に、ミッションを
我が国から派遣しておりまして、個別の
企業についてアドバイスをいたしております。
それから、戦術核、戦略核で、いわゆる海洋発射の分につきましては、先般
アメリカと
ロシアとの間で第二次
戦略兵器削減条約、STARTⅡが署名されたことでございまして、これは喜ぶべき進展だというふうに考えております。
日ロ平和条約の問題でござ、ますが、先般、渡辺外務大臣がパリにおきまして
ロシアのコーズィレフ外相と会談をされて、エリツィン大統領訪日のために真剣な準備をするという合意をされたわけでございます。
我が国としましては、
ロシアあるいは旧
ソ連の各国がいわゆる
民主主義路線あるいは市場経済路線に進んでくれることは、ここは
世界全体、
我が国にとりましても当然利益でございますから、そのための
支援は当然いたしていかなければなりませんけれ
ども、領土問題について、やはりエリツィンさんの言われる法と正義に従ってこれは
解決をしてもらわなければならない。バランスのとれた
関係を進めていきたいと思います。
なお、日朝国交正常化でございますけれ
ども、朝鮮半島の平和に資するように、
我が国としても誠意を持って努力を続けておりますが、ただいま北朝鮮の核
兵器の開発の問題についてなお十分な理解が得られていないと私は考えておりまして、この問題を
解決いたしませんと国交の正常化を促進していくことはなかなか困難である、説得によってこの問題の
解決をしてもらって正常化を進めたいというふうに考えております。
それから、
自衛隊の問題でございますけれ
ども、先般、中期防の修正を三年後を待たずに行いましたことは
施政方針演説で
報告を申し上げたところでございます。五千八百億円の減額をいたしました。
いわゆる早期警戒管制機AWACSでございますが、
我が国のような専守防衛の国から申しますと、できるだけ情報というものを広く的確に集めておくということが専守防衛の
基本であります。
AWACSは攻撃的な性格を全く持っておりませんので、いわばウサギの耳が長いといいます、一番
我が国の専守防衛に必要なものと考えております。確かに、多くの国がAWACSを購入いたしました
時代は既に過ぎておりますために、生産ラインが一時閉鎖される、こういうことがありまして、単価がいっときに比べますとかなり高くなったことは事実でございます。残念なことでございますが事実でありますので、先般、日米間でかなり詰めた折衝をいたしました。そうして、その結果として
我が国として購入することを決めたということでございます。
ただ、
我が国の防衛全体は、仮想敵を持たないいわゆる専守防衛でございますから、この世の中の動きはよく知っておりますけれ
ども、いわゆる専守防衛、基盤的防衛力整備のための大綱を今すぐに改める必要があるとは思いません。ただ、今回の中期防衛
計画の終了前に、その辺のことは全部改めてレビューをいたさなければならないと思っておりまして、したがいまして、御指摘のような自衛官定数を含む大幅な
削減をするということは考えておりません。
アジア・
太平洋地域でどのような
軍縮が可能であるかということにつきまして、せんだっても、私、これらの幾つかの国を訪問したときに話をいたしてまいりましたが、ヨーロッパにおけるCSCEのような、そういう仕組みがすぐにできるような
関係ではない。それはやはり
アジアの国々が非常に多様的であるということに
関係があると思いますが、むしろそのことは私は大事なことだと思いますので、今としましては、御承知のようにASEANの
拡大外相
会議というものが、昨年来、経済問題からさらに進んで
政治、安全保障の問題も取り扱おうという合意が自然にできてまいりましたので、そのような自然の動きを
日本としてもお役に立つのならば促進をする、そういうことがいいのではないか。急いで
一つの仕組み、機構をつくるということには少しまだ無理があるように思います。
なお、この
地域の安全を将来考えていきますときに、私はやはり
アメリカの
存在が不可欠ではないか、
地域の平和と繁栄のために不可欠だと思います。と申しますのは、これらの
地域の国々によってはお互いに
脅威と考えている相手が実はまちまちでございまして、場合によっては
日本自身がそのような
脅威になるかもしれないと考えている国もあるいはあるかもしれません、そういうことはないはずでございますけれ
ども。そういういろいろ複雑な各国間のいわば
脅威観がございますものですから、やはり
アメリカがこの
地域で
存在を持つということは
地域の安定性のために私は大事なことではないかというふうに、この問題の
基本の
一つの要素として
認識をいたしております。
クリントン政権との
関係でございますが、日米両国合わせまして
世界のGNPの四割を占めますので、両国間の問題はもとよりとして、お互い同じ価値観のもとに
世界全体の繁栄と平和のためにやりていかなければならない仕事は多い、
選挙が済みました直後にそういうことは電話でクリントンさんとお話をいたしましたけれ
ども、なお、新
政権のそういう準備ができましたら、できるだけ早い機会に話をいたしたいと思っております。
対ロ
外交につきましては、先ほどちょっと申し上げました。
ロシアの内政、経済、
外交がいわゆる好ましい
改革路線に行きますように、
我が国としてもできるだけの
支援をしなければなりません。同時に、両国間の領土問題を
解決して平和条約を締結するということも大切なことと思います。
景気問題についてお尋ねがございまして、このたびの
平成五年度
予算では、いわゆる公共事業
関係、財投、地方単独事業を含めまして、財投で一二%、地方単独事業で一二%、また住宅、下水道、
生活関連等々の
予算は七%、かなり大きな伸びを
平成五年度
予算で組んでございまして、昨年の総合経済対策の延長線上でこの
景気の
回復を図ろうといたしております。また、一応住宅投資も活発でございますので、これらのことがこれから数カ月の経済に影響を持たないはずはない、これは必ず影響を持つことになると思います。
三・三%の
成長は大丈夫かなと、こういうお尋ねがございましたが、何と申しましても、過去を振り返りますと、昨年の四月-六月期の
成長率はゼロでございます。七月-九月期がマイナス〇・四でございますので、その上で三・三%の
成長というのはそんなに大きな話ではございません。だからといって、また大変自慢をしていいほどの実は数字でもないのでございまして、このぐらいのことはできないと私はいかぬというふうに思っております。
それから、
資産デフレ、これはもう
金融機関が自分の
責任で対処すべきものではないかということは、私は
基本的にそう思います。
金融機関の自助努力が
基本であるということから、いわゆる共国債権買い取り機構が間もなく設立されるということ、また、各銀行が不良資産のディスクロージャーを本年三月期に、たすことになっておりまして、
基本的にはこれはおのおのの
金融機関等々が真剣な自助努力をいたすべき問題である。ただ、結果として銀行の融資能力が非常に落ちるということは、言ってみれば、体の中を血が
流れる、その血の
流れが停滞をするというようなことでございますから、
国民経済的な観点から
支援すべきところは
支援をする必要があると思っておりますけれ
ども、
基本的にはこれは自助努力の問題であると思います。
生活大国につきましては、いわゆる
公共投資基本計画を
平成二年六月に策定いたしてございます。そして、昨年の
生活大国五カ年
計画で、
公共投資を今度はできるだけ利用者の視点に立って目標を設定することにいたしました。それが五カ年
計画でございます。これを進めてまいりたいというふうに思っております。
所得税の
減税についてお話がございまして、これは昨年も申し上げたことでございますけれ
ども、結局、
政府が数兆円なら数兆円という財政支出、財政負担をいたしますときに、それが
減税の形をとるのがいいのか、あるいは
公共投資等の形の方が
景気回復に役立つのかという、そういう
判断の問題が
一つございます。
平成五年度の
予算では後者の
判断をいたしたわけでございますが、また同時に、これには財源の問題もございまして、いわゆる
公共投資でございますと、建設公債、これは資産が将来に残りますので発行することができますけれ
ども、そうでない場合の歳入補てん公債ということになりますと、これはこれなりのやはり問題があるということから、
平成五年度
予算はごらんのような編成をいたしました。
ただ、これから数カ月間の経済
状況は非常に微妙でございますから、
政府としては、常に注意を怠らずに見ておりまして適時適切な
対応をいたさなければならないというふうに考えております。
ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これも前に申し上げたことでございますけれ
ども、
国会決議等の御趣旨を体しまして、国内産で自給することを
基本方針としてまいりました。この段階に入りまして、各国とも農業につきまして困難な問題を抱えておりますけれ
ども、やはりこのダンケル合意案というものは、輸出補助金についてはいろいろ申しておりますけれ
ども国境
措置については十分なことを言っていない、
我が国のような輸入国から見ればバランスを失しておるということを考えておりまして、そういう指摘をいたしておるところでございます。
それから、
環境問題につきましては、いわゆるリサイクル法の適切な
実施をいたすこと、また
環境負荷の少ない製品、循環型の好ましい生産を優遇してまいりたいと思います。
環境税の問題でございますけれ
ども、
環境税を
主張される
主張の中に、
一つは、これはむしろ
環境汚染を抑制するための一種のペナルティーとして税金を取るという考え方と、そうではなくて
環境対策のための財源が必要であるという考え方と両面がございまして、議論が集約されていないというふうに思っておりまして、引き続き勉強いたしてまいりたいと思います。
環境アセスメントの問題につきましては、公害対策審議会の答申に基づきまして、このたびの法律の中で、現行
措置の実態や事業者の自主的取り組みを踏まえつつ
環境影響評価の
重要性、考え方を盛り込むべきである、そういう考え方を踏まえて検討したいと思っています。ただいま法案の策定作業を進めておりまして、できるだけ早い時期に成案を得て御審議を仰ぎたいというふうに思っております。
憲法の見直し、
憲法改正との関連で、
国連憲章とのお話があったわけでございますが、
国連が行う
軍事的な
措置、いわゆる強制
措置の中で、
国連憲章の第七章には
国連軍というようなことを書いてございますけれ
ども、このような
国連軍は創設されたことがございません。また、はっきり定義を下されたこともないと思います。
集団的自衛権の行使につきまして、
国際法上
日本が自衛権を持っているということは主権国家ですから当然でありますけれ
ども、その自衛権の行使というのは、やはり
憲法九条でいえば、
我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであるというふうに考えますので、そのような最小限度の範囲を超えるということになりますと
憲法上問題があると思います。つまり、この間のことは、一言で申しますならば、
我が国が海外において武力行使をする。すなわち、自衛のために、国土を守るためということであればこれは別でございますが、海外で武力行使をするということにはやはり
憲法上の問題がある、そういうふうに従来考えてまいりましたし、またそれでよろしいのではないかというふうに思います。
日米安保条約、
自衛隊を根本的に見直すべきではないかということでございますが、
冷戦後の
時代になりましたけれ
ども、やはり日米安保条約が抑止力として働いておることは事実でございます。抑止力というのは、これはめつたに発動されませんのでわかりませんけれ
ども、それが抑止という意味であろうと思います。また、
アジア・
太平洋地域における安全保障の点につきましても、やはり
アメリカの
存在というものは大事だということを申し上げました。そういう観点からもこの体制は大切なものであると思っておりますし、また
自衛隊につきましても、先ほど申しましたような基盤的防衛力を整備するという
立場から申しますれば、これは
自衛隊というものをやはり大切にしていかなければならないというのが私の考えでございます。
憲法の意義と今日的
役割というようなお尋ねがございましたが、
我が国の
憲法は我々の過去の経験に基づきましていろいろなことを定めておりまして、それま我々としてやまり大切にしなければならない。もとより、
憲法で許されておりますことは、今日の
国際情勢の中で我々の貢献としてなさなければなりません。むしろ、許されておることは積極的にすることによって、それを越えて
憲法の許されていないことは我々としてはできない、そういう
立場をはっきりさせることがよろしいのではないか、そういう考え方を持っております。(拍手)
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