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上山和人君 よくわかりました。
ちょうど三十年前に既に、今おっしゃったように、
教育を投資的な観点から考察されている。それも
文部省内でそういう議論がずっと続けられていたということは、大変私たちにとっては貴重な、何といいますか、経過のように思うんです。もちろん、今お答えいただきましたように、そういう考え方が途中で消えるはずはありませんし、そういう流れがやっぱり宮澤総理の先ほど御紹介申し上げましたような昨年の臨時国会における御答弁にもあらわれているんだと。そして、今
大臣がまたつけ加えてお考えをお示しになりましたけれ
ども、そういう流れになっているんだと思いますので、ぜひ
教育を投資的な面から、恐らく三十年前の
昭和三十七年当時の
文部省内のその投資的な観点から
教育を考察するということが、そのころの
世界の動きといいますか国際的な趨勢の中でやっぱり議論され始めた、考察され始めた、もう詳しい国際情勢は申し上げませんけれ
ども、そういう歴史的な経過があると思うし大変貴重でございますから、歴史こそ教科書でございますので、私
どもにとりましてはそういう歴史の経過も大事にしながら、これからやっぱりアメリカ並みとは言いませんけれ
ども、
社会資本への公共投資と同じように文教予算、
教育予算をアメリカでは考えている。そういうほかの国と全く同じ
レベルにとは言いませんけれ
ども、同じような考え方が特に発展途上国においても最近広がっているという状態でございますから、難しい時期を迎えている、歴史の曲がり角にある
日本の
教育改革を進めていく上で振り返って確認しておくことが大事だと思います。
そこで、こういう
状況の中でやっぱり私たちを励ましてくれますのは、
教育関係者だけでなくて
教育関係外にもだんだんやっぱり投資的な観点で
教育は考えるべきだ、文教予算は考えなくてはならないのではないかという御認識が広がりつつあるように思うのでございます。
時間の制約がありますからほんの御参考までに御披露申し上げますと、日経
新聞の二月十八日、ちょうど
大臣の
所信表明のあった日ですが、これは元の大蔵事務次官ですよ、おっしゃっているのは。そこにやっぱり
一つの
意味があると思うんです。財政が厳しいからといって一般財源化を大蔵省が今進めていらっしゃるわけだけれ
ども、元大蔵事務次官の竹内道雄さん、この方は今資本市場研究会の理事長をお務めになっていらっしゃるよこつでございますけれ
ども、その竹内さんがこうおっしゃっています。
「景気
対策というと道路、河川などの公共事業をさらに増やすか、所得税減税をするかという議論ばっかり。
工夫がないね」 道路や河川の工事を増やしても、恩恵を受けるのは一部の業界や
地域に限られる。所得税減税の消費刺激効果も限られている。「どうせならもっと中長期的にみて有意義なところにおカネが使えないか」「国立大学の施設の汚さは想像を絶するほど。建物と学問や仕事は関係ないと言い切れない。公共事業予算のシェアを気にせずに思い切って大学などの施設整備ができないものか」。景気への即効薬にはなりそうにないが、ヒトヘの投資を通じ長い目でみて
日本経済を活性化させることが重要というわけだ。そんなふうに元大蔵事務次官がごく最近日経
新聞に記事を寄せていらっしゃいます。
もう
一つ、やはり日経
新聞の「経済教室」の中で東大の岩田教授が人的資本形成の問題を論じていらっしゃいます。ほんの少し御紹介申し上げますと、
道路や下水道が将来の世代のための資産であることは確かであるが、若い世代の人的資本形成のための費用もまた直接的な投資であり、将来世代の資産であることは言うまでもない。 政府支出の面でも、人的資本形成のための「公共投資」が問われていると言ってよい。 米国では人的資本の形成に要する費用も投資的支出に含めているのである。先ほど申し上げましたことと関連がありますけれ
ども、そういうふうにおっしゃっています。 こういうふうに徐々に世論が、やっぱり
教育は投資的観点から、
教育予算もそういう投資的な観点から考えるべきだというふうに広がりを見せていることが私たちを励ましてくれています。
もう
一つ、やっぱり非常に元気づけられますのは、私は一年生ですからこれまでの国会の経過はよくわかりませんが、この
委員会に去年からおいでになっている
先生方もたくさんいらっしゃいます。昨年の通常国会で、特に衆参の
文教委員会では文教予算を一律シーリングの適用除外にする、そういう声がそろって特別決議を上げる動きがあったというふうにお聞きしているんですが、そのとおりだと思います。しかし、残念ながら大蔵省の反対が強くて日の目を見なくて、
平成五
年度も一律シーリングのもとで文教予算も編成されたといういきさつがあるのでございます。
この流れを、これは
委員長に対して
お願いなんですけれ
ども、非常に大事な流れだと思います。少なくとも昨年の通常国会の
段階で衆参の
文教委員会で文教予算は一律シーリングの適用除外にするという声がそろって、そして特別決議を上げる動きがあったという流れは非常に歴史の流れとして、また国会のこの過程でも大変大事だと思います。私など一年生は非常に元気づけられ勇気づけられているところでございまして、どうぞ
委員長には格段の御
努力をいただきまして、できるなら今国会の一般
質疑などをよくごらんになりながら、ひとつそういう流れをもっと進めるようにぜひ御
努力を
お願いしたいものでございます。よろしく
お願い申し上げます。
最後に、私、
大臣に御決意をお伺いして、もう中途半端なことは申し上げません、質問を終わりたいと思うのでございます。少しは時間が余るかもしれませんが、後は同僚の肥田
委員に時間をプレゼントいたしたいと思います。
教師の日というのがほかの国にあることは御存じだと思います。中国で九月十日、それから韓国で五月十五日、タイで一月十六日、アルゼンチンで九月十一日。私が持っている資料では
世界で教師の日を定めて、その日には教師をたたえてお父さんお母さんたち、
子供たちが一緒に教師にプレゼントするという、いわゆる教師の日が定められているんです。そのことを見まして、やっぱり
日本で今教師の日を設定したとしても果たして、大変残念ですけれ
ども、
先生たちと
子供たちの間にあるいはお父さんお母さんと
先生たちの間にそれほどの尊敬と信頼のきずながあるかなと率直に思います。大変
日本は深刻な状態になっていまして残念な
状況だと思うんですが、今の
状況で教師の日を制定されるなどとはお考えになっていらっしゃらないと思うんですけれ
ども、でもこんな国もある。そして、こういうふうに教師と
子供たち、お父さんお母さんたちとの間の尊敬、信頼の関係が深い。 そういう理想的な姿を展望しながら、何度も言うのも少しおかしいんですけれ
ども、今こそ女性
大臣の出番だと思っています。どうぞそういう理想に向けて、本当に
日本でもそういう日が制定されるような
教育環境、国の状態にして、
生活大国の中にしっかり
教育が生きて
子供たちが今の苦しみから解放されるような、そういう将来の姿をぜひ描きながら、
文部大臣として全国の
子供たちの母親として力強く女性パワーを発揮してくださるように
お願いを申し上げて、最後に
大臣のまた御決意をお伺いして、私は質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。