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説明員(
中須勇雄君) 第一の和牛と乳雄の統一と分離と申しましょうか、そういう問題についてでございますが、
先生から御
指摘ございましたとおり、昭和六十三年に実はそれまで
価格安定
制度は和牛去勢とその他牛去勢と二本立てであったものが一本化したわけでございます。
このときの
考え方と申しますのは、ちょうど六十二年の四月から牛肉の枝肉の格付規格を抜本改正いたしました。その
考え方というのは、すべての牛肉、和牛とか乳雄とかを問わず、牛肉を歩どまり等級と品質等級という大きな二つの物差しによって分類し、統一的に
評価をし、適正な
価格形成ができるようにということで、いわゆるA、B、Cの歩どまり等級と一から五までの肉質等級とこの組み合わせでそれ以降
評価が行われているわけでございます。
その際、それまでは要するに和牛は特選、上、中、並みというような区分だったわけでございますが、和牛と乳雄というので、そもそも値段の発表を初めすべて分けてある。それをA、B、Cと一から五で統一的にやろうじゃないかと、そういうある意味では非常に革新的な理想的なそういうふうな改正だったわけでございまして、その精神を受けて統一して、B2、B3の去勢牛を省令規格として一本化して
価格安定
制度の対象にした、こういうことでございます。
ただ、その際B2とB3を対象にした、というのは、従来の
価格安定
制度の対象でありました中という規格に比べるとやや下でございます。より大衆的な、それでかつ去勢牛肉の中で
かなりの量を占めている、そういう
部分を対象にしようじゃないかということでB2、B3というところを対象にしたわけでございます。その結果、実際にはその中には御
指摘のとおり和牛も乳雄も含まれておりますが、量的には圧倒的に乳用種が多いわけでございます。
それと同時に、もう
一つはB2とB3、和牛と例えば
乳用牛に分けてそれぞれ
価格動向を見ますと、
先生御
指摘のとおり数百円の格差があるのは事実でございますが、
一定の格差を伴いつつ
かなり平行的に高い相関
関係で動いている、そういう事実も
自由化後もしっかりと見られるわけで、そういう意味では私ども今の
段階では基本的にB2、B3で一本化して、省令規格として安定帯の中におさめるべく努力する、この
制度が一応機能しているんではないかなと思っております。
むしろ分離いたしますと、B2、B3というのは和牛去勢肉の中では一割ぐらいしかないということでございますので、和牛の一割だけを対象にした
価格安定
制度をまたつくるのはどういうことなんだと、こういうような
議論も出てまいります。いましばらく
自由化の
影響がどういうふうに出てくるかさらに見定めなければならないかと思いますが、一応今の形をもう少し続けてその様子を見てみたいというのが率直な偽らざる気持ちでございます。
それから二点目に、
自由化のもとで一体牛肉の調整保管というのがどんな機能を果たすのかというお尋ねでございます。
これは
先生もまさに御
指摘になりましたとおり、IQ
制度で事業団が一元的に輸入牛肉を扱っているという時代における安定帯の設定、そしてその安定帯の下を割りそうなときの調整保管というものと、現在の
自由化してだれでもが自由に輸入牛肉を入れられる、そういう
制度のもとでの調整保管、やはり基本的な意味合いを含めて変わってきているんだろうと、そこはそういうふうに思っております。
しかし、ここはなかなか断定的に言いがたいわけでございますが、牛肉の調整保管が今の
制度のもとで機能を発揮するというような場合は、例えば短期的な需給の失調が起きている、例えば半年とか一年たてば明らかに回復することがわかっている、そういうときに一時的に調整保管をやって
価格回復を早めるとか、そういった場合に用いるとか、もう少し理想的とか進んだ例で言いますと、
自由化のもとで輸入牛肉と国産牛肉に
かなりの品質の格差があることは事実でございますので、その品質格差というところに着目した消費面あるいは流通需給面と申しましょうか、そういう意味でのすみ分けというようなことが
自由化後の
一つの秩序として出てくれば、ある
程度は相対的な輸入牛肉と国産牛肉のマーケット、もしそういうものが形成されるというような
状況になりますれば、その一部のものを対象にした調整保管は不可能なわけではないと思います。
ただ、そういうようないろんな
考え方があるわけでございますが、いずれにしても
自由化が輸入牛肉と国産牛肉のそれぞれのマーケットというか相互の需給なり
価格関係に一体どういった形で、ある落ちついた時点で秩序を
つくり出すか、そういうのを見定めた上で調整保管がどういうふうに機能するかさらに詰めていくというか、そういうのに応じた知恵を出していく、そういうことが必要なんではないかと思っております。