○瀬谷英行君 それは、緊急の事態あるいは騒乱、危険な状態になった場合にそこから邦人を助け出すということはそれはやらなきゃならぬことだと私も思います。しかし、やらなきゃならぬという前提としては安全が第一なんでしょう。飛行場だって安全でなけりゃいけない、それから大きな飛行機じゃおりられない、小さな飛行機じゃなきゃおりられない場所もあるかもしれない、ちゃんとした空港がないかもしれない、ないかもしれないけれ
ども田んぼの中や畑の中にジャンボ機をおろすわけにいかないだろうと思うから、そうするとそれ相応の方法を考える以外にない。
しかし、この騒乱というのはいわば内乱なんですからね。武器を使って撃ち合いをやっている、殺し合いをやっているというのが現実に出てきた場合に、そういうふうに百一条に書いてある、それは極めて危険な状態なんです。極めて危険な状態だから
自衛隊機を使いたい、こういうことなんでしょう。危険でなけりゃ民間機で間に合うんだから。今までだって民間機でもって邦人を多数助け出してきているんですよ。だけれ
ども、騒乱あるいは緊急事態というせっぱ詰まった
状況が前提になっているんだから、そうするとその危険な場所に飛んでいくんだから、それが軍用機であるということになると目標になるということも当然考えなきゃならないでしょう。
大丈夫だというふうに言ったところで、
PKOだって、これがいい例なんだけれ
ども、大丈夫だ大丈夫だ、絶対に心配はない、こういう話は去年の
PKOの
審議の際に耳にたこができるほど聞きました。実際はちっとも大丈夫じゃなかったでしょう。この間
予算委員会のときに公明党の猪熊さんが、去年の話は大丈夫だということだったけれ
ども、しかし実際はそうじゃない、犠牲者が出たじゃないか、
日本だけじゃないんだ、外国だって多数の犠牲者を出しているじゃないか、話が違うじゃないか、こういう話をされました。
それから、我が方の
喜岡議員がこの間
カンボジアへ行って文民警察の人からいろんな話を聞いたそうです。そうしたら、助かった人は、弾が頭のわきをかすめていったと。これはかすめていったから助かったけれ
ども、あと三センチか五センチ違ったら即死だったわけです。非常に危険な思いをされているわけです。
そういう危険なところにもし行くということになると、軍用機であれば非常にこれは問題になる、ねらわれる。それから、軍用機を乗っ取られたりなんかしたらみっともないことになるから、それ相応に警戒をしていかなきゃならないということになるでしょう。そうすると、ちゃんとした護衛機をつけるとかあるいは護衛要因を乗せていくとかいうことをしないと安心して行けないでしょう。姿かたちだけが
自衛隊機であるということで相手が恐れをなして遠慮すればいいけれ
ども、遠慮しなかったら困るでしょう。攻撃かけられたらどうしますか。そのとき、応戦をすれば交戦状態になっちゃうんです。
だから、この条文からいうと、騒乱の地域に対して軍用機を飛ばすということはこれはもうガソリンスタンドでもってたき火するようなものです。大丈夫だ大丈夫だと言ったってちっとも大丈夫じゃないんだ、そういうことになるんですよ、これ条文の上からいくと。だから、安全だ、完全にもう心配はないということが保障されるんならばこれは民間機でもよろしいということになる。そういう心配はないようにするというなら民間機でどうして都合が悪いんだという話になっちゃうんです。だから、話はちょっとこの問題では矛盾したところが出てくる。本当に民間機でもって救えるならばそれにこしたことはないでしょう。
外務大臣だって
防衛庁長官に頼む必要はないんで
す。
防衛庁長官に
外務大臣がぜひ頼むということは、危ない場所だから、危険が伴うからだからひとつ防衛庁に頼む、こういうことになるんでしょう。安全だけれ
ども軍用機を頼むと言われたら困るでしょう。
防衛庁長官、どうですか。