○
国務大臣(
河野洋平君) 今の
委員の御
質問、
政府委員の
答弁を聞いておりまして感じましたことを
最初にちょっと申し上げたいと思います。
先ほど来やりとりがございましたけれ
ども、宮澤
総理がサイゴンを例に出したというのは、宮澤
総理自身が
外務大臣当時にこういう実体験があるということから、サイゴンの例を引いて御
答弁を申し上げたと私は
承知をしております。
しかし、考えてみますと、サイゴンの例は、宮澤当時の
外務大臣をして非常に苦渋に満ちた作業をして、結局それは成功しなかったという例を本人は皆さんにお示しをしているわけでございまして、私思いますのに、サイゴンのように時間がかかってしまって、ついに自力で、つまり日本が日本のチャーター便で
救出することに失敗したというのは、まさにあれは言ってみれば失敗例なのであって、もっと手際よくやるべきであったし、手際よくやるためにはこういう方法が、今回の法律をおつくりをいただいて準備をすることしかないのだということを
総理は御理解をいただきたくてああいうことを言ったんだと思うんです。
今、
委員からいろいろ御
質問がございまして、確かにサイゴンの例を引かれて、ああなった場合にだれの許可で行くのか、
自衛隊機はだれの許可をとるのかという御
質問で、それは本当にあの最後の場面、最終的な場面から言えば、確かに御指摘のようにだれがその着陸許可を出せるか、どの
政府が着陸許可を出すかということになると、かなり微妙な問題だろうと思うんです。しかしそれは、おっしゃるように
民間機であっても同じなのでございまして、何も
自衛隊機だから着陸許可が
求めにくいというのではないのでございます。
民間機であれ何機であれ、サイゴンのあの最終場面であれば、一体だれが着陸許可をおろすかということになれば、それは非常に問題があって、要はああいう状況になる前に
救出していなければならない、
輸送していなければならないということだろうと思います。
繰り返し申し上げておりますように、本来、
在外邦人の安全を確保するための
責任は、在外公館は非常に大きな関心を持ってその安全のために
努力をするのは当然の義務でございます。しかし、
在外邦人と申しますか、外地におられます
邦人の方々はそれぞれ在外公館からの情報を得て自発的に行動していただくということが実はまず第一義的にあるわけです。国内状況が悪い、あるいは災害の状況が悪い、治安が非常に悪化しそうだという情報を得て、それぞれ自発的に行動をしていただく、自発的に
飛行機の便を探して別の地に移っていただくということがまずあると思います。
それがしかし、例えば急激な治安の悪化でありますとか急激な何かが起こる。それはもうその地域にいる人たちが飛行場に殺到する、あるいは交通の便を求めていろいろする、そこにパニックが起こるというようなことがあるとすれば、在外公館はしばらく落ちついてと、例えば在外公館に集まってください、ここにいていただければ、やがて
政府専用機が
輸送のために飛来をいたしますというようなことはあり得ることでないでしょうか。
それで、
民間チャーター便でいいじゃないかという
委員の御指摘は、それは
民間チャーター便がチャーターできればそれも
一つの方法だと私は思います。しかし、必ずしも
民間のチャーター便というものはこちらが望む時期に、望む場面にチャーターできるという保障はないわけでございまして、そうした手段をたくさん持っているということは大事なことだと。商業便で別の地点に移ることも
一つの選択肢、チャーター便を探すことも
一つの選択肢。私は、そのチャーター便を探すということを決して排除しないでいいと思います。チャーター便を探すということも
一つの選択肢の中にあっていい。どれが一番機敏に一番安全に
輸送できるかということを考えるということが大事なのではないかというふうに私は考えているわけでございます。
したがって、この法律ができたからといって、
邦人の
輸送はすべてこの法律に基づいて
政府専用機といいますか、
自衛隊機が行うということに限定をされるものでは全くないということだと
承知をいたしております。