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1993-03-26 第126回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月二十六日(金曜日)    午後一時五分開会     ―――――――――――――    委員異動  二月十八日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     聴濤  弘君  二月二十三日     辞任         補欠選任      藤江 弘一君     鈴木 省吾君  二月二十四日     辞任         補欠選任      鈴木 省吾君     藤江 弘一君  三月一日     辞任         補欠選任      高井 和伸君     中村 鋭一君  三月二日     辞任         補欠選任      中村 鋭一君     高井 和伸君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         守住 有信君     理 事                 板垣  正君                 田村 秀昭君                 穐山  篤君                 喜岡  淳君     委 員                 合馬  敬君                 永野 茂門君                 藤江 弘一君                 翫  正敏君                 小川 仁一君                 瀬谷 英行君                 大久保直彦君                 吉田 之久君                 聴濤  弘君                 高井 和伸君                 寺澤 芳男君    国務大臣        国 務 大 臣  河野 洋平君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  鹿野 道彦君        (総務庁長官)        国 務 大 臣  中山 利生君         ―――――        会計検査院長   中島  隆君         ―――――    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣  山本 正堯君        官房会計課長        内閣法制局第一  津野  修君        部長        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院総務総局  福島  登君        職員局長        内閣総理大臣官  高岡 完治君        房審議官        国際協力平和本  柳井 俊二君        部事務局長        総務庁長官官房  瀧上 信光君        会計課長        総務庁行政管理  増島 俊之君        局長        総務庁恩給局長  稲葉 清毅君        防衛庁参事官   三井 康有君        防衛庁長官官房  村田 直昭君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁教育訓練  諸冨 増夫君        局長        防衛庁人事局長  秋山 昌廣君        防衛庁経理局長  宝珠山 昇君        防衛庁装備局長  中田 哲雄君        防衛施設庁総務  竹下  昭君        部長        防衛施設庁建設  黒岩 博保君        部長    事務局側        事 務 総 長  戸張 正雄君        常任委員会専門  菅野  清君        員    衆議院事務局側        事 務 総 長  緒方信一郎君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  生天目忠夫君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  澁川  滿君    国立国会図書館側        館     長  加藤木理勝君    説明員        大蔵省主計局主  藤井 秀人君        計官        大蔵省理財局特  橋本  聰君        別財産室長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成五年度一般会計予算内閣提出衆議院送  付)、平成五年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所  管及び総理府所管総理本府、日本学術会議、  国際平和協力本部宮内庁総務庁北方対策  本部を除く)、防衛本庁防衛施設庁)) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 守住有信

    委員長守住有信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十八日、吉岡吉典君が委員辞任され、その補欠として聴濤弘君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 守住有信

    委員長守住有信君) 去る三月二十三日、予算委員会から、三月二十六日午後の半日間、平成五年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議国際平和協力本部宮内庁北方対策本部を除く総務庁防衛本庁防衛施設庁について審査委嘱がありましたので、御報告いたします。  この際、本件を議題とし、順次予算説明を聴取いたします。  予算説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る二月十八日の本委員会におきまして既に聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管予算説明を聴取いたします。  まず、国会所管のうち衆議院関係予算説明を求めます。緒方衆議院事務総長
  4. 緒方信一郎

    衆議院事務総長緒方信一郎君) 平成五年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成五年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百二十三億四千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと五十五億三千四百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百四億二千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し五十二億七千百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、平成六年一月から創設する政策秘書に係る経費文書通信交通費文書通信交通滞在費に改め、これを月額七十五万円から百万円に増額するための経費航空機利用増加に係る経費議員任期満了に伴う総選挙関係経費議員歳費並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、議員会館整備に要する調査費を引き続き計上いたしております。  第二は、衆議院施設整備に必要な経費といたしまして、十九億一千九百万円余を計上いたしております。  これは、国会審議テレビ中継設備整備費電話交換設備整備費各所冷房用冷凍機設備改修費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 守住有信

  6. 戸張正雄

    事務総長戸張正雄君) 平成五年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成五年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は三百五十七億一千五百万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと約十七億五千四百万円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百四十七億四千九百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し約十七億四千四百万円の増加となっております。これは主として、人件費増加によるもののほか、平成六年一月から創設される政策秘書に係る経費の計上、議員文書通信交通費改め議員文書通信交通滞在費増加及び国会議員鉄道乗車等経費増加によるものでございます。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、九億六千百万円余を計上いたしております。これは、議員会館昇降機改修費国会審議テレビ中継設備整備費及び庁舎等施設整備に要する経費でありまして、前年度に比し約一千万円の増加となっております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成五年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 守住有信

  8. 加藤木理勝

    国立国会図書館長加藤木理勝君) 平成五年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成五年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百五十二億六百万円余でありまして、これを前年度予算額百四十二億八百万円余と比較いたしますと九億九千七百万円余の増額となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百三十一億四千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十億三千四百万円余の増額となっております。これは主として、図書館資料収集経費関西図書館プロジェクト調査経費国会サービス充実のための経費及び人件費等について増額計上いたしたことによるものでございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億四千六百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと二千四百万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十五億一千七百万円余を計上いたしております。これは、主に新館整備及び本館改修に要する経費で、前年度予算額と比較いたしますと六千万円余の減額となっております。  以上、簡単でありますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  9. 守住有信

  10. 生天目忠夫

    裁判官弾劾裁判所参事生天目忠夫君) 平成五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成五年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億一千六百五十四万円余でありまして、これを前年度予算額一億一千百四十五万円余に比較いたしますと五百九万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費裁判員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、主として職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 守住有信

  12. 澁川滿

    裁判官訴追委員会参事(澁川滿君) 平成五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成五年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千三百四十一万円余でありまして、これを前年度予算額一億二千五百八十九万円余に比較いたしますと七百五十一万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  13. 守住有信

    委員長守住有信君) 以上をもちまして国会所管予算説明聴取は終わりました。  次に、会計検査院所管予算説明を求めます。中島会計検査院長
  14. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) 平成五年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成五年度予定経費要求額は百四十二億九千三百十五万四千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百二十三億四千七十一万二千円を計上いたしましたが、これは総額の八六%に当たっております。このうちには、会計検査充実を図るため、一般職員十二人を増置する経費も含まれております。  旅費として七億八千八百万二千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が七億一千九十三万七千円、外国旅費が三千四十一万二千円であります。  施設整備費として二億三千二百二十四万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎事務室等改修工事費一億百九十六万九千円、庁舎別館昇降機更新工事費五千六百三十四万九千円であります。  その他の経費として九億三千二百十九万三千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費一億百三十四万七千円、会計検査充実強化のための経費五千七百七万七千円、検査業務効率化を図るための経費二億一千二百九十七万九千円及び検査要員充実強化のための研修体制整備経費二億一千三百六十万五千円が含まれております。  ただいま申し上げました平成五年度予定経費要求額百四十二億九千三百十五万四千円を前年度予算額百四十一億八千三百三十八万九千円に比較いたしますと、一億九百七十六万五千円の増加となっております。  以上、簡単でありますが、本院の平成五年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  15. 守住有信

    委員長守住有信君) 以上で予算説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 喜岡淳

    喜岡淳君 社会党の喜岡でございます。関係閣僚を初め、皆さんにはよろしくお願いいたします。  最初にお尋ねをいたしますが、一斉に報道がされておりますモザンビークへのPKO自衛隊派遣の問題であります。  まず、この派遣計画について、PKO本部官房長官、この計画について御説明を願いたいと思います。
  17. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 大変恐縮ですが、ちょっとお時間を拝借して、経過を少し御説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  国連モザンビーク活動でございますが、我が国への協力要請国連からございました。それは昨年の暮れあたりかと存じますが、そのころから、全く非公式でございますけれども、ニューヨークにございます国連代表部などを通じて、非公式な協力要請と申しますか協力可能性等についての話がございました。その当時から、国連から我が国に対しましては、停戦監視分野あるいは人員、物資の輸送の段取りを行う輸送調整分野、その他若干の文民関係要員派遣可能性についてお話があったわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、政府といたしまして慎重な検討を続けてまいりました。御案内のとおりこの検討経過の途中では、外務省をキャップといたします調査団などもモザンビークに出しまして、現地調査もいたしまして、その調査団報告を受けましてさらに慎重に検討を続けてきたところでございます。  本日、閣議におきまして、私から発言をいたしまして、国連平和維持活動協力をする、その協力計画は、国連我が国に対して最も強く期待をしております輸送調整分野について応分の貢献が可能と思えるので、今後国連との調整を進めて派遣に係る準備をいたしたい、こういう報告をけさいたしたところでございます。  先生お尋ねのどんなものかということでございますが、申し上げましたような輸送調整分野について貢献をしたい、こういうことでございます。
  18. 喜岡淳

    喜岡淳君 従来、官房長官は、私どもの聞き及ぶ範囲では、とにかくカンボジアの問題があると、いろいろ議論がまだまだあるんだから慎重だというふうに受けとめておりました。我々も、当然カンボジアPKOについても議論がし尽くされておりませんから、やらなければいけない議論はたくさん残っておると思っております。  このアフリカの問題につきましても、アンゴラでは内戦の後に選挙をやった。そして新しい政権を樹立したのはいいんですが、再び内戦が激化をして遂に国連PKOも九割方が撤退をすると。そしてその残りの一割についても、もうそのうちにというような風前のともしびの状況でございます。  本当にこの五原則モザンビークにおいても確認されるというふうな判断がしっかりと行われたのでしょうか。私は、武装解除も進んでいないモザンビーク自衛隊を出すということについては、この五原則の上からも非常に重大な問題を含んでおると確信をいたしておりますが、この点について明確な答弁をお願いいたします。
  19. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) お答え申し上げます。  モザンビークにつきましては、昨年の十月に停戦協定がローマで署名されまして、この停戦協定署名直後の時期におきましては若干の停戦違反もあったようでございますが、その後は停戦合意はよく守られておるというふうに承知しております。この点につきましては、先ほど官房長官お触れになりました現地調査団現地において関係者から確認してきているところでございます。  また、モザンビーク政権側、そして反対側のRENAMOという組織につきましても、調査団が参りましたときにその関係者と会っていろいろ意見交換をしておりますが、双方ともこの停戦合意は守っていきたいというかたい決意を示したというふうに報告を受けております。  また、この紛争当事者双方とも国連PKO活動を受け入れております。したがいまして、PKO活動に対する同意というものも確認されている次第でございます。  また、ONUMOZと申しておりますが、モザンビークにおきます国連平和維持活動が中立的に行われるということは当然のことでございますが、この点も確認を得ております。  先ほど御指摘になりました武装解除の問題、これはもとより非常に大事な問題でございますが、これにつきましてはこれからのモザンビークにおきます平和維持活動の過程の中で武装解除を進めていくということでございます。現在、特にイタリアを中心とするいわゆるPKFの部隊が展開中でございまして、その保障と申しますか、その監視のもとに紛争当事者間の具体的な武装解除合意を進めてこれを実施していきたいというのが国連側考え方でございます。  なお、先ほどお触れになりましたアンゴラの例もございますので、この武装解除というものを十分やっていきたいというのが国連特別代表考え方であるというふうに承知しております。
  20. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、モザンビークの場合は、特に慎重が必要だろうと格別の理由を考えております。  それは、近年来、国連ガリ事務総長が新たなPKO展開ということを繰り返し主張しております。御承知のとおり、今度のガリ氏の提案の内容武力行使を辞さないというPKOの新しいタイプの問題であります。モザンビークPKOガリ氏の言う武力行使を辞さない新しいタイプPKOに変質していくという可能性は十分あるわけですね。そうしますと、従来国会議論してきた政府PKO説明、そしてその理解の上に立って進めてきた今日のPKO協力法、五原則の運用、こういったこともすべてが別のステージに移っていってしまうわけです。  したがって、今度のモザンビークの問題については、私は文民統制の上からいっても、さらにガリ氏が言う武力行使辞さずという新しいPKOに変質していく可能性危険性、こういったことを踏まえるならば、もっともっと国会で慎重な議論が行われなければ派遣はできないものだと確信をしておるものでございます。  さらに、この問題に関しては、外務省中心にして情報を集められたということであります。私は、官房長官にこの際、特に申し上げておきたいことがございます。それは、新聞でもたびたび外務省情報操作、こういう問題が指摘をされております。私も実はその経験者の一人です。昨年の春、参議院の沖縄・北方特別委員会委嘱審査の際、こういう事実が発生しております。  この委嘱審査の際には、我が党の議員から外務大臣に対する質疑の通告が出され、その準備が進められておりました。ところが、委嘱審査の当日の朝、外務大臣は非常に重要な外交的な日程があるために出席できない、外務省審議官から我々理事会報告がございました。その当時の内容は、大事ですから時間がかかってでも私は今から読ませていただきたいと思います。これは非常に重要な問題です。審議官理事会での報告はこういう報告でした。  外務大臣は、クナーゼ・ロシア外務次官との重要な協議があるために残念ながら委嘱審査には出席できない、十時半から十一時半までだと。その後は、江沢民氏あるいは銭其シン外相との会談の準備があってどうしても出られない。これが理事会に対する報告でございました。  私は、事実かどうか確認をいたしましたが、事実でないということが判明して、再びこの外務省審議官本当日程はどうなっておるのかただしました。すると、今度はこう言うんです。クナーゼ氏は外務省に来るのは来たが、外務大臣の側に緊急の電話が入ったためにクナーゼ氏との協議は行われなかったと。再び私は確認をいたしました、事実を。違いましたね。そこでもう三回目、外務省審議官に尋ねました。  すると、今度はこう言うんですね。いや、実は外務省本省において江沢民氏らの来日に備えて、その準備のための勉強会をやっているから出られない。三たび私は本当かと聞きました。私も各方面電話して調べた結果、これもまたうそでしたね。問い詰めたところ、今度はこう言うんですね。  いや、実はけさから外務大臣事務所で中国とロシアに関する勉強会をしていた。私的な問題じゃないですか。まあ四回も言うから今度は本当かなと思ってまた関係方面電話確認をしたところ、これもまたうそだったんですね。五回目に最終的な報告書を持ってまいりました。そんなに重要な日程入ってなかったんです、この日は。これが外務省の態度なんです、国会に対する。  私は、非常に外務省情報操作についてはだまされた一人として、私個人がだまされたということではなくて、国会委員会外務省情報操作しておるというこの事態について、官房長官には特に申し上げておきたいというふうに思います。  それでは、ただいまから防衛庁予算について質問させていただきたいと思います。  公共事業費のうち実に三%から五%が金丸氏の取り込んでおった金額である。国民は唖然としております。政府予算の中にはかなり巨額のリベートが含まれておるんではないか、これが町の中で今どこに行っても言われておる国民の声であります。大蔵省はしっかりと査定をしておるはずでございますが、政府予算の中にこういうリベートというのは、大蔵省査定の結果、摘発した結果、ありますかないでしょうか。大蔵省お尋ねします。
  21. 藤井秀人

    説明員藤井秀人君) そのような事実はございません。
  22. 喜岡淳

    喜岡淳君 今度の事実は何ですか、それでは。  防衛庁長官お尋ねをいたします。  防衛庁予算も非常に巨額でありますが、従来ダグラス・グラマン疑獄とか、いろいろ騒がせた事件が発生をいたしております。平成五年度の防衛庁予算の中に一円たりとも疑惑のつくようなお金はない、もう全く一円たりとも問題はないんだと、こういうふうに断言できるでしょうか。
  23. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 私はそのように信じております。
  24. 喜岡淳

    喜岡淳君 信じておるとか言うんじゃなくて、断言できるかどうかをお尋ねしておるわけです。
  25. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 私の信念として断言をいたします。
  26. 喜岡淳

    喜岡淳君 一円たりともないというかたい信念と断言でございますから、それではこの平成五年度の防衛庁予算について、すべて説明が納得いくまでしていただけると思うんです。その点について間違いないと思いますが、確認できますか。
  27. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先生からは、先般予算委員会で御質問をいただきました。私の説明が十分でなかったと思いますけれども、そのときのお話では、今年度予算に計上されております艦船についての中身の開示をしてほしいということでございました。  しかし、これは私どもといたしましては、先生がおっしゃるようにできるだけの情報をこの委員会にお知らせをして御審議いただくということがこの国会審議権、また文民統制というようなことから言いましても非常に大事なことだということで努力をしてきているところでありますが、先生のお尋ねの分は、何分にも予算を余り詳しく教えてしまうと今度はいろいろこれからの業者との折衝の中で国家の方に非常に不利を来す、あえて秘密とは申し上げませんけれども、やはり公務員としての一つの限界があるということで、これまでもいろいろ努力をした結果であります。  その点は、我々の立場も御洞察をいただいて御理解をいただきたいというふうに申し上げてきたところでございますが、今でもその状況は残念ながら変わっていないということでございます。
  28. 喜岡淳

    喜岡淳君 公務員の限界ということをおっしゃいましたが、大臣は公務員ではないと思います。選良でしょう、政治倫理綱領に基づいた行動をとるべき立場として。公務員じゃないですね。公務員としての守秘義務を持つあの公務員法とは違うでしょう。  それから、例えば役所の皆さん方が公務員として職務上知り得た秘密とかおっしゃいますけれども、それはあくまでも国益との対比ですね。国益と守秘義務と比べてどっちが上かというのが問題になるわけですよ。しかも、それが我が国をひっくり返してしまうような、我が国が滅亡するような重大な機密でも何でもないわけですね、今問題になっておるのは。  そもそも大臣、ここははっきりしておきたいと思いますが、国家行政は何のためにやっておるのか。もう私のような年の若い者が大先輩の大臣にこんなことを言うことじゃございませんけれども、国民のための国家行政であり、そのために国民は税金を納め、つまり国民のための国家行政、税金でありますから、国民に対する秘密などというのは我が民主主義国家にはないというのが常識です。そういう意味から、私は納得のいく説明をぜひお願いをしたい。そうしないと、防衛予算の中にまんじゅう代やコーヒー代は含まれていないと幾ら言っても、今の世間はそうなっているんですから。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、皆さんのお手元にこういった資料を配付させていただきました。これは平成五年度予算に含まれておる新しい輸送艦の図面であります。  まず、この輸送艦の本体の価格は一体幾らでしょうか。そしてそのうち後年度負担は一体幾らか、教えていただきたいと思います。
  29. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先日もお答えいたしましたが、私からの御説明ではなかなか納得がしていただけないと思いますので、政府委員の方から詳しく説明させます。
  30. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 平成五年度に調達を予定しております輸送艦につきましては、予算額が五百三億一千五百六万四千円でございます。このうち後年度負担は五百億三千七百六十三万七千円でございます。
  31. 喜岡淳

    喜岡淳君 この輸送艦に搭載するいわゆるLCACというんですか、ホバークラフトですね、この後年度負担は一体幾らになるでしょうか。
  32. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) LCACの後年度負担についてのお尋ねでございますけれども、LCACの価格自体につきましては、先般予算委員会でも申し上げましたが、後の調達上大変困難を伴うということでございまして、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  33. 喜岡淳

    喜岡淳君 私は、予算委員会の総括質問でお尋ねしたのは、予算が一体幾らかということは尋ねましたけれども、後年度負担は今初めて聞いているんです。後年度負担ぐらい言えるでしょう。
  34. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 後年度負担を申し上げますことは、予算の価格を申し上げますこととほぼ同様のこととなるというふうに考えているわけでございまして、ちょっと無理でございます。
  35. 喜岡淳

    喜岡淳君 大蔵省の方にお尋ねをいたします。  このホバークラフトの査定に当たっては、一体どのような査定をされたか、説明してください。
  36. 藤井秀人

    説明員藤井秀人君) 輸送艦の査定に当たりましては、近年の技術的趨勢に対応するため、いわゆる先生今御指摘のホバークラフト等を備える必要があるということで、種々防衛庁とも折衝、検討を行ったところでございます。  そのような過程の中で、ホバークラフトの種々の価格等々を参考といたしまして、適正な予算計上をさせていただいたというところでございます。
  37. 喜岡淳

    喜岡淳君 このホバークラフトを国産した場合は一体幾らと大蔵省の方では調べられましたか。あるいは輸入をされた場合は一体幾らで輸入できると計算されましたでしょうか。
  38. 藤井秀人

    説明員藤井秀人君) お答えいたします。  ただいま防衛庁から御答弁ございましたように、先生御指摘のホバークラフトの単価につきまして、何らかの金額、計数をここでお示ししますことは、貴重な税金を財源といたします予算の適正なる執行というものに何らかの影響があると思われますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  39. 喜岡淳

    喜岡淳君 そういう何か威圧的な答弁はやめるべきですよ。金額を言えばメーカーを利するとか、逆に国民が高く買わされるとか、そういう言い方自体がもうだれが聞いてもおかしい説明じゃないですか。質問するな、黙っとけということでしょう、それは。それはおかしいですよ、役所の方がそんなことを言うのは。全部納税者にきちっと言うのがやっぱり本筋です。  例えば、私の手元にあります試算では、アメリカのテキストロン社がつくっておるホバークラフト、配付した資料の下側につけておりますが、写真がちょっとわかりにくくて申しわけございません。これをいわゆるアメリカ軍からFMSを通じて購入した場合、このLCACは四十八億円あるいは五十億円程度、商社経由で輸入をするならば二十九億から三十億円程度ではないか。国産化すれば二十億円程度で済むのではないかというふうな計算もございます。間違っておれば具体的に御指摘をいただきたいと思います。  ところが、防衛庁の皆さんの衆議院の答弁での説明では官給品百億円という言葉を使われております。船、軍艦全体が五百億円、船体が三百億円、エンジンが三十億、四十億、官給品百億円、その他武器など。そうなってきますと、この官給品百億円というのがいわばホバークラフトLCACの予算がというふうに聞いたわけであります。皆さん方の積算は百億円、私たちの計算、調査ではFMSで米軍から輸入すれば五十億円、アメリカ商社経由でいけば三十億円前後、国産化すれば二十億円程度でできるんではないか。  もう全く金額が違うわけですが、私の計算が間違っておれば具体的にそこはこうだよと言っていただきたいと思います。防衛庁長官、お願いします。
  40. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) ただいまの御質問の細部につきましては、政府委員からお答えを申し上げます。
  41. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 私どもLCACにつきましても、国内、海外、それぞれいろいろな資料を集めまして研究をしてきているところでございますけれども、委員が今御指摘になりました価格につきましては、例えば部品費が含まれているのか含まれていないのか、メンテナンスの問題、あるいは技術指導の問題、訓練の問題、こういったものが入っているのか入っていないのか、こういうことによりまして非常に価格自体が変わってくるわけでございまして、この辺が明確でございませんので、私ども申しわけございませんが、コメントをできないということでございます。
  42. 喜岡淳

    喜岡淳君 既に業界新聞でも、一隻百億円ということで関係業者が動いておるということが報道されておるのは、防衛庁の方御自身既に知っておられると思います。  それから、アメリカの新聞にも米国のテキストロン社製は一隻約二十億円という報道も行われております。二十億円という計算になります。それから、私が今言いました金額は本体と初年度の部品を含めた値段を言ったわけであります。私の値段にいろいろ疑問がある場合は防衛庁側の予算を明らかにしていただきたい。そうしないと全然議論はかみ合わないわけです。  したがって、この問題については百億円があるいは二十億円、三十億円か、もう全く幅が違い過ぎますからね。こんな説明もできないようなわけのわからないような予算を納税者自身が承認することはない。これは当然の問題であります。私は、こういうような説明もできないような予算を承認するわけにはまいらない一人であります。  さらに防衛庁長官お尋ねいたしますが、防衛庁からいただいたパンフレットではこういう絵になっておりますね。戦車や車両が甲板の上にずっと並べられた絵をわざわざかいておられる。この戦車とか車両なんかを全部消してしまえば右側の絵になるわけです。これはだれが見ても航空母艦なんですね。政府の従来の答弁では空母の建造計画はないということでございますが、今日においてもそのとおりでしょうか。防衛庁長官お尋ねいたします。
  43. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) まさに上に乗っております車両、戦車等を取りますと、航空母艦によく似ているような感じがいたしますが、中身につきましては、飛行機を格納する装置であるとか、甲板の強度であるとか、いろんな面でとても航空母艦と言えるようなものではない。しかも、我が国においてはどういう形であれ、航空母艦を現在のところ保有するという必要性というものも全く認められないということでございますので、私はそういう心配は杞憂ではないかというふうに思っております。
  44. 喜岡淳

    喜岡淳君 私の持ち時間は最後になりましたので、一言だけ確認をしておきたいと思います。  日本戦略研究センター、この中にも関係者いらっしゃると思いますが、その大賀良平さん、元海上幕僚長のベテランの方でございますが、この方が非常に気になることを書いておられます。アメリカ海軍の強襲揚陸艦LHA、LPHに分類されるタラワ級、イオウ・シマ級などは航空機の搭載能力でははるかに大きく、垂直上昇機も搭載されることになっているが、空母とは呼ばれていない。ヘリコプターとかVTOLなどの垂直離着陸機を搭載することになれば、この新型輸送艦とは申しますけれども、これもいわば軽空母というか、そういうことになっていくわけでありますので、その疑念のないということを明らかにもう一度確認しておきたいと思います。  それと同時に、必要な予算内容についてはやはり議論しやすいように出していただかなければならないと思います。政府・与党の方から予算審議してくれと言われたって、もうきょうも自民党の方六人欠席ですね。審議せよと言うから我々来たけれども、六人も来ていない。しかも、内容については詳しく言ってくれない。そういうことでは委嘱されても審査できないわけです。ですから私は、少なくともこの計画については、国民説明のできないような計画を了承するわけにはいかないことだけを述べて質問を終わります。
  45. 小川仁一

    ○小川仁一君 具体的な問題でお聞きいたしますから、正確にお答えを願いたいと思います。  今、世界が軍備の縮小に向かっている中で、先進国では我が国だけが着々と軍備を増強しています。  政府は、中期防は修正し、正面装備の調達は削減したと言っておられますが、五年度予算においては予算の伸び率は一・九六%で、事実上戦後最低の伸び率と強調しておられます。しかし内容を見てみますと、自衛隊の長年の要求であったイージス艦、AWACS、空中給油機のうち、イージス艦は一番艦が既に佐世保の第二護衛隊群に配備されている。二番艦、三番艦も建造中。五年度予算では四番艦の建造ということになります。AWACSも二機が五年度予算に計上され、残るは空中給油機ということになるので、そのことについてお尋ねをいたします。  前の中期防のときから防衛庁は、空中給油機については鋭意検討しているということを言っておられます。当時の航空自衛隊の構想では、AWACS回ないし六機、空中給油機はKC135を十六機ぐらい装備するというようなお話もありましたが、これまでどのような検討、研究をしてきたか、その内容を具体的にお話し願いたいと思います。
  46. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 空中給油機の検討状況でございますが、現在までまず次のような有用性が認められたということでございます。  まず一つは、有事における有用性でありますが、これは航空軍事技術の向上によりまして、進攻態様の主体となりますことが予想されますスタンドオフ攻撃により有効に対処するためのものとして、空中警戒態勢への支援ということがございます。  それから継戦能力の向上ということで、戦闘機が燃料枯渇によりまして基地へ帰投できない場合に、空中給油により基地への収容が可能となるなどの継戦能力の向上という点で有用性があるという二点が指摘できるかと思います。  それから第二に、平時における有用性の検討ということでございますが、これは訓練支援が一つございまして、一回の訓練時間の延長が図られることから、訓練時間に占める訓練空域への往復時間が節約できるということと、それから外装タンクなしで訓練も可能となるというようなことから、効率的で実践的、安全な訓練が可能となるということでございます。  それから、輸送体制の整備という観点から申しますと、空中箱油機の導入によりまして給油機能の整備に加えまして、人員及び物品の長距離空輸能力が向上する。こういった有事及び平時におきます運用について、空中給油機は有利性がたたえられたというふうに現在検討の段階で一応そういう方向がございます。  他方、諸外国の航空軍事技術の動向あるいは我が国の防空システムにおきます空中給油機能の具体的役割等につきまして、なお調査検討すべき点が残っているというふうに考えられますので、その点についてなお引き続き検討していきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  47. 小川仁一

    ○小川仁一君 そうすると、有事の際必要、こういうことでございましたが、有事の研究をしておられますか。
  48. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 仮に、有事になった場合においてどういう有用性があるかという点について、空中給油機についても検討を加えたということでございます。
  49. 小川仁一

    ○小川仁一君 私が言っているのは、有事というものの具体的検討をしなければ有用性が出てこない、有事の具体的検討をしておられますかと聞いているんです。仮になんという問題じゃない。
  50. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 空中給油機に限らず、防衛装備品といいますのは、もちろんあってはならないと思いますけれども、我が国国土を守るという観点から一つの有事があった場合に備えてどう運用するか、どういう機能を持つかということを一般的に考えるわけでございまして、そのことが当然に具体的にどういう有事があるかという研究を進めていることとは直接の関係はございません。  戦闘場面において、例えば今申しましたように継戦能力の向上というのは、有事におきます状況を踏まえての一般的前提としての備えという意味で、継戦能力の向上あるいは空中待機警戒態勢の維持というのは、これは一般的な問題として有事を前提としての検討ということに相なるかと思います。
  51. 小川仁一

    ○小川仁一君 一つの図面作戦を含めた有事の計画があるから、何千キロまで行くために空中給油機が必要などという具体的検討課題が出てくるわけでございます。その有事研究なしに、ただ有事のときにこういう武器が必要だ、こういうものが必要だという必要論なのか、どっちですか。大臣、答弁してください。
  52. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 御承知のように、我が国の防衛体制は最小限度の装備でこの細長い島国を守るということでございまして、今防衛局長からお答え申し上げましたように、有事といいますけれども、あらゆるそういう事態に対応した備えというものをしていかなくてはならない。今の給油機でございますが、そのためにはできるだけ滞空能力とか、遠くへの距離を考えて滞空時間を長くするためにも必要なのではないかというような考え方もあってしかるべきだろうと思っております。  そういう意味を含めて、これまでも長い間続けてきたところでありますし、今後も世界のいろいろ科学技術等の発展等を踏まえながら検討を続けていくということであろうと思います。
  53. 小川仁一

    ○小川仁一君 今のお話をお聞きしながら、有事の研究をしていると私は理解をいたします。したがって、この問題は後にまた具体的な資料を含めた御質問をいたすことにして、きょうはこの問題はそれくらいにします。  航空自衛隊の装備している要撃戦闘機F4EJは昭和六十二年度から能力向上改修が行われていますね。この改修において空中給油装置を復活させているという記事が最近の軍事専門誌に載っておりました。これが事実とすれば、F4導入時の国会での質疑と増田防衛庁長官の答弁をないがしろにするものと言わざるを得ませんが、こういうことが事実でございましょうか。  また空中給油用の給油口は、岐阜の第二補給処に大事にしまっているということですが、取り外した給油口を何機分そこに保管しておられ、それは何にお使いになるつもりですか。
  54. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 委員指摘のF4EJの能力向上改修につきましては、昭和六十二年度から実施しておりますけれども、空中給油装置の取りつけは行っておりません。それ以前に取り外しを行いましたこの装置につきましては、八十八個ございますけれども、そのまま保管をしているところでございます。
  55. 小川仁一

    ○小川仁一君 何に使うつもりかと聞いている。
  56. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 現状において使用を定めているということはございません。
  57. 小川仁一

    ○小川仁一君 それじゃ壊してしまってもいいわけですね。廃棄処分にしてもいいわけですね、使うつもりがないとすれば。
  58. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 貴重な財産でございますので、大事に保管しているところでございます。
  59. 小川仁一

    ○小川仁一君 使わないものを無用の長物と言いましてね、そういうものを普通は廃棄するんです。  次に、導入を決めているAWACS、E767には空中給油装置が装備される予定がありますか。ボーイング社が公表した資料によれば、E767の航続時間は、半径千海里の警戒域で七時間から九時間ぐらい、半径三百海里で十時間から十二時間、空中給油で二十四時間ということですが、具体的に、空中給油装置を前部胴体の上部に取りつけるという改修案が提示されているのではありませんか。今開発中のF1の後継機種であるFSXに空中給油装置は取りつける予定ですか。原型機であるF16にはついておりますが、どうでしょうか。
  60. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 平成五年度予算案に計上しております早期警戒管制機E767につきましては、現在のところ空中給油装置を取りつけることをしておりません。  それから現在開発中のFSXでございますけれども、これは今お話にもございましたように、F16を改造、開発して、現有の支援戦闘機F1の後継機とするものでございますが、仮にその量産が決定されました場合には、現有のF1と同様、防空任務を当たるということになるわけであります。  空中給油機能につきましては、近年の航空技術の進歩に対応いたしまして、防空作戦を効果的に実施いたしますために、例えば空中警戒待機、CAPと称しておりますが、この時間を延伸することはできるといったような有用性が認められるところでございまして、FSXにつきましても、現段階で将来の運用まで考えますと、空中給油装置を取り外してしまうということは適当でないということから、既に現在使っておりますF15と同様に空中給油装置を残置するという予定にいたしております。
  61. 小川仁一

    ○小川仁一君 不思議室言葉を使いますね、残置なんて。  これまでのお話を聞いて、結局こういうことですね、F15には空中給油装置がついている。F4にもこれをつけようとすればつけられるわけですね、大切に保管しているようですから。それからE767にはつけない、そしてFSXにはつけると。  今、自衛隊が幾ら航空機を持っているかというと、F15は最終的には二百十機、F4EJ改は百機、これだけの高い性能を持った戦闘機、攻撃機をこんなにたくさん持っているのはアメリカとロシアを除いて日本だけですね。この能力にAWACSと空中給油機が加わったらでっかい戦力になりますよ。  今、盛んにアジア諸国の軍備増強が宣伝されています。言われているのは、中国にしてもスホイ27戦闘機を最終で七十二機、スホイ27というのはF15程度あるいはF16程度の能力でしょう。これが脅威だと日本で言っていながら、日本にこれだけの航空戦力があるのは、他国に脅威を与えているのではないかという疑念を持つんですが、長官、いかがでしょうか。
  62. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 我が国に存在している防衛力、これは見方によってはかなりの強力のものであるという見方もございますし、まだまだ専守防衛として欠陥が多いという説もございます。  ただ、周辺諸国に与える印象といいますか、影響といいますか、これは常々私どもも考えて配慮をしていかなくてはいけないというふうに感じておりますが、周辺諸国のいろいろ軍備状況、また地域の安全保障に対する考え方、また我が国との関係等を考えてみましても、この今現有している我が国の戦力が周辺諸国に大きな脅威を与えているということは考えられないと考えております。
  63. 小川仁一

    ○小川仁一君 F4改の任務はどんなものですか。能力向上改修では対艦ミサイルを装備している。F15はAWACSと空中給油機の支援のもとで戦闘行動圏は千キロ、六時間を超えるCAPが可能です。空中給油装置を装備したF4EJ故は八百キロを超える戦闘行動能力を持った対艦ミサイル装備の爆撃機となります。  こういう航空戦力は、黄海、南シナ海までその周辺を含めての行動半径となります。専守防衛の領土、領空をはるかに越えている、これが他国に脅威にならないという理由を明確に大臣述べていただきたいと思います。
  64. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先ほどから申し上げておりますように、兵器のミサイルなどと違いまして、航空機の場合は行動半径で真っすぐ外国へ、近隣諸国へ攻撃に行くということは考えられませんし、各国の専門家等は、日本の持っている装備というものはまさに専守防衛をはみ出したものではない、それを越えたものではないという認識を私は持っていると思います。私どももそういう意味で、近隣諸国と理解と信頼を強めていくように努力を続けていくつもりでございます。
  65. 小川仁一

    ○小川仁一君 これは客観的な物の見方になりますから、主観的にはあなたと私の立場ははっきりと違います。  私は、空中給油機を問題にしているんですが、前の防衛庁長官国会の中でこのことについては持たないということを言明なさいました。したがって、今後空中給油機をお持ちになるとすれば当然国会の了解を得なければならないと思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  66. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先ほど申し上げましたように、科学技術の発達によりまして兵器の性能なども大きく変わっております。湾岸戦争などでも見られるような大変な長足な変化があるわけでありますし、それに対応すべくいろいろな前提をもとにして研究や整備を進めているというところでございますが、その大きな政策変更ということになりますれば、そういう答弁がなされているとすればやはり国会での御承認を得なければいけないと思います。
  67. 小川仁一

    ○小川仁一君 じゃ、空中給油機は今までの国会審議その他、何か大臣御存じないようでございますが、よく御研究をいただきまして、はっきりと今後これを装備なさるときには国会の中で審議をし、承認を得るという形をとっていただきたい。大臣のお話をお聞きしますと、他国の兵器がどんどん上がっていくからこっちもそれに対応する兵器と、こういうお話のように私には聞こえたんです。  しかし、今この日本の周辺あるいは今後予想される戦闘行動、それは主として宗教戦争であり、民族戦争であり、国内の部族戦争であります。それが戦争の脅威だというふうに一般的に言われておりますけれども、そういうものに対応するのにロシア、アメリカに次ぐような兵器が必要だという理由をお聞かせ願います。どこをどう考えてそういう兵器が必要ですか。
  68. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先ほども申し上げましたような、細長い島国を最小限度の装備で守るという観点からいたしまして、現在の装備が過大なものであるか過小なものであるか、いろんな議論があると思いますけれども、私どもといたしましては、やはり国の安全を守り国民の生活を守り、また日本国の独立を守っていくためには最小限度このくらいのものが必要だという観点から努力をしているところでございます。
  69. 小川仁一

    ○小川仁一君 非常に抽象的なものです。具体的に私お聞きしたい。  日本の近隣で、この日本の航空戦力に対抗し、あるいは日本に脅威となっているような国を挙げられるとすればどこですか。
  70. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 具体的にどこどこの国というようなことは考えておりませんけれども、やはりそういういろんな兵器、装備等の変化ということも常に考えておりませんと、もしそういう事態になったときに急に装備を始める、軍備を進めるといっても間に合わないわけでありますから、責任ある立場としては常にあらゆる事態を考えながら準備をしていくということであろうと思います。
  71. 小川仁一

    ○小川仁一君 そういう事態というものは、どういう事態を大臣予想されてお答えになったんですか。明確にしていただきたいと思います。
  72. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 新しく開発をされた高性能な兵器で我が国が侵害をされるという事態というものは当然考えていかなければ、どこの国がやるか、どの飛行機がやるかということは別にして、そういうものに対応する準備だけはしておかなければ責任を果たせないという感じで、先生とは大分考え方が違うかもしれませんけれども、そういう考え方整備を進めているということでございます。
  73. 小川仁一

    ○小川仁一君 大臣は国家間戦争があり得るという想定に立っておられるわけですね、今の御答弁は。それでよろしいですか。
  74. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 我々国の安全を守るという使命を命ぜられている立場としては、あらゆる事態を考えていかなければいけない。そういうことで、いつどこでどういうものが来るかということは別にして、あらゆる事態はやはり考えていかなければいけないということでお願いをしているところでございます。
  75. 小川仁一

    ○小川仁一君 実はそっちの方向へ話を進めるつもりはなかったのに、御答弁の関係でそっちへ発展してしまいました。この論争は改めてまたお願いしたいと思います。  次に、新型輸送艦について、先ほども喜岡同僚委員が触れた問題についてお聞きいたしますが、この艦は基準排水量八千九百トン、満載排水量で一万一千トンを超えています。その上指揮管制機能まで持っています。こんな一万トンを超える船を千五百トンのあつみ型の後継艦だなどという言い方をしておられますが、これはだれもはいそうですかというふうな納得はしないと思います。この船は全長百三十メートル掛ける二十三メートルの航空母艦のような甲板を持っています。自衛隊の装備しているCH47J輸送ヘリコプターを運用することも可能です。さらにエアクッション型の上陸用舟艇二隻を搭載することになっています。LCACは九〇式戦車と兵員二十名を四十ノットの高速で揚陸できる能力を持っていると言われています。  この種のエアクッション型の上陸用舟艇を実際に運用している国は世界ではアメリカとロシアだけです。日本がこれを持つというのはどういう考え方でお持ちになったのか、これも非常にげだ外れの装備でございますだけに、まず考え方を大臣にお聞きをいたしたいと思います。
  76. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先日も喜岡先生の御質問にお答えを申し上げたわけでありますが、我が国の防衛体制、先ほどから申し上げておりますように細長い島国でございます。そういう中で最小限度の防衛体制を築いているわけでありますが、これがいろいろな侵害に対しまして有効に最小限度の装備というものを生かしていくためには輸送能力というのが非常に大事になってくるわけであります。  今おっしゃられました六隻の上陸用舟艇、これで十分というわけではございませんで、やはり速力もあり、輸送能力もあり、しかも小さな船と同じぐらいの人員で操作もできる、そして日本のような複雑な海岸線のいろんなところへ上陸が可能だと、揚陸可能だというような意味でホバークラフトを含めた今度の艦を考えたわけでございます。今までの装備が十分でなおかつその上にこういうものを装備したということではございませんので、今まで欠けていた機能を補完するという意味で、この輸送能力の向上を図ったわけでございます。
  77. 小川仁一

    ○小川仁一君 こういう船は大概海外に兵員を送るときに使っているのが軍事界の常識でございますし、国内で四国から中国へ渡るとき使うなんというふうな、そんな御答弁したら笑われますわな、防衛庁長官としては。  上陸用舟艇とCHヘリコプターとを持っていくという目的は、当然のことながら、一般的には海外に兵員を輸送し、あるいは上陸用舟艇でもって接岸していくという想定ができるのは今の大部分の方の常識だろうと思うんです。この船に積んであるヘリには完全武装の兵員最大五十五名乗っていくんですよ。りゅう弾砲を機外につり下げて、その弾薬と砲の操作要員十一名を輸送することができると言われております。  あなたは国内でと言いましたが、国内は船で行くより陸上を行った方がずっと早く、しかも上陸用舟艇などを使って海岸に揚げる必要もないんです、港もありますから。だから、何か答弁をごまかしているように私には聞こえるんです。イタリア海軍の持っている強襲揚陸艦のサン・ジョルジョ級は満載排水量七千六百トンで、自衛隊の新型輸送艦に比べて一回り小型です。百メートル掛ける二十・五メートルの飛行甲板を持っていますが、それでもCH47五機運用が可能となっている。  自衛隊の新型輸送艦はCH47を何機運用する予定でございますか。
  78. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) お話に、そのCH47を恒常的に積んで専用のヘリコプターを持つという前提でのお話でございましたけれども、この計画されております輸送艦は一機分のヘリ発着艦スポットを持っておるというだけでございまして、その専用のヘリコプターを持つという計画はございません。したがいまして、陸揚げをしますときにヘリの力をかりた方がいいという場合に、そのヘリによって所要のものを荷おろし、あるいは荷積みをするということ、そういう運用を計画しているだけでございます。
  79. 小川仁一

    ○小川仁一君 これだけの船に専用のCH47を持たない、こういうお話ですが、それならこんな広々とした甲板をつくらぬでもいいじゃないですか。どれくらい大きな甲板なんですか。  それで、仮に専用のものを持っていなくても、これを使用しようとするときには何機使用できるか、何機収納できるか、それからどういうふうな運用計画でそれをやっていくかということをお伺いしたいと思います。
  80. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 前提として、専用のものを仮につくった場合に何機使用できるかというお話だといたしますと、現在計画されておりますこの五年度のLSTにつきましては、例えばヘリ甲板の強度の問題とか航法援助装置がついていないとか、そういったことからいたしまして、専用のものを常時運んでいって運用するというようなそういう構想にそもそも立っておりません。それから整備格納庫もございませんので、そういったような運用はそもそもできないという前提でございます。  それから、それじゃどういうふうに専用でないヘリを運用するのかと言いますと、先ほど申し上げましたように、例えば先ほど四国から九州にというお話がございましたけれども、イメージといたしましては、例えば本州から北海道、北海道から本州といったようなそういうことをイメージとしてお考えいただければいいわけでありますが、その行った先におきまして陸上自衛隊のヘリコプターがございますので、それを発着艦スポットにとめたり、あるいはそこから飛び立ったりというようなことを運用するために一カ所のみのヘリ発着艦可能スポットが設けられておるということでございます。
  81. 小川仁一

    ○小川仁一君 甲板強度をお聞きしました。甲板の強度。  それから、今例に北海道というお話がありましたが、高速道路が通って、新幹線が通っている時代に、高速といっても四十ノットまで出さぬでしょう。そんな船でわざわざ持っていくというのはちょっと常識の外みたいな感じなんですよ。そういうことを含めて、それなら不必要じゃないですか、国内にそういう新型の輸送艦を持つということは。  これはカンボジアなんかに持っていくためにつくったんでしょう、腹の中では。そうじゃないんですか。
  82. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) この新型のLSTのスピードでございますけれども、これは今までのと違いまして二十二ノットでございまして、その意味では、これまでの千五百トン型ないしは二千トン型の輸送艦に比べましてかなりスピードは速くなっています。  しかしながら、御指摘のとおり、スピードという点だけからいいますと必ずしも船が最適かというのは御指摘としてあり得るかと思いますけれども、この陸上自衛隊の作戦地域におきますところまで所要の物資を運ぶという、その物資の量というものを考えますと、あるいは人間の数というものを考えますと、大量に運搬できる、一度に運搬できるという意味におきましては船のメリットというのはあるわけでございまして、そういう考え方で従来からこの輸送艦というものを整備するということが必要であるという考え方に立って進めてきたところでございます。
  83. 小川仁一

    ○小川仁一君 甲板強度。
  84. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 甲板の強度につきましては、私、ちょっと突然でございまして、具体的な数字については今持ち合わせておりません。
  85. 小川仁一

    ○小川仁一君 このタイプの船をあと何隻おつくりになる予定ですか。
  86. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 現在、平成三年度から七年度までございます修正後の中期防衛力整備計画におきましてはこの一艦のみを計画いたしておりまして、本五年度予算に計上いたしますLST一艦だけでございまして、その後の問題につきましては現在具体的な計画を持っておりません。  なお、失礼いたしましたが、先ほどPKOを念頭に置いて検討したのではないかというお話もございまして、その答弁を忘れましたけれども、私どもといたしましては、先ほど来御説明申し上げたとおり、陸上自衛隊輸送所要量を一定のところまで運ぶ、輸送することが必要であるという目的で本艦を建造するものでございまして、PKOを目的として建造するものではございません。  ただし、申し上げておきますけれども、他の装備品と全く同様に、結果としてそれに使い得るということは排除されないということでございます。
  87. 小川仁一

    ○小川仁一君 ただし以下が本音ですね。  次に、防衛庁は五六中業から新しい輸送艦を建造することを考えておられました。そうでしたね、たしか。  五六中業では三千五百トン型の輸送艦を建造する構想がございました。前の中期防では。当初三千五百トン型輸送艦三隻を建造し、現有のみうら型、あつみ型とあわせて一個連隊戦闘団を輸送する構想をお持ちになり、そのうち一隻を前中期防で取得するとされました。その後、構想が次第に大型化して、ヘリコプター甲板を持つ五千五百トン型輸送艦二隻を建造し、現有のみうら型、あつみ型で一個連隊戦闘団の四割を輸送し、残り六割をその新型輸送艦二隻で輸送する構想が検討された。実際に昭和六十二年度予算案の概算要求をつくる際の海幕の原案では六千トン型輸送艦が提案されている。  そして、この平成元年度予算の概算要求では、今度は五千五百トン型の輸送艦を要求されておる。この01LST、平成元年度要求の輸送艦ですが、この性能は基準排水量五千五百トン、速力十六ノット以上、在来の上陸用舟艇と輸送艇を搭載、ヘリコプターの運用も可能、こういうずっと一連の拡大あるいは強化の政策をとってこられた。その後、さらに一個連隊の六割を輸送するため、八千五百トン型輸送艦一隻を建造するという構想に変わり、平成二年度予算で要求することが検討されたが、今の中期防に持ち越された。  この構想のもとでの今回の新型輸送艦の予算でしょう。それをこれまであなた方の説明では、あつみ型は退役するからその後継艦だというような言い方をしておられる。その御説明と、今私が申し上げたこれまでのあなた方の年度ごとの構想とは随分違っています。今私が申し上げたことが本当なのではないでしょうか。どこか申し上げたところに間違っているところがあったら御指摘願いたいと思います。
  88. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) まず、輸送能力という点で申しますと、今お話の中に一個連隊戦闘団の所要を一〇〇%これで充足するというようなお話がございましたけれども、現段階で申しますと、これまで六隻ございます既存の輸送艦の輸送能力といいますのは所要量の三割を満たすものでございます。  今回の平成五年度のこの八千九百トン型の輸送艦を加えまして、全体として所要の四割を満たすという状況でございまして、まず輸送所要の充足という点においてまだ非常に欠けているところがあるということでございます。その辺の数字について、あるいは私の聞き違いかもしれませんけれども、まずそういうことでございます。  それから、だんだん計画が大きくなってきているのではないかというお話がございましたが、これは確かに御指摘のとおり、これまで千五百トン型三隻と二千トン型三隻の輸送艦を持っておりましたし、それから現在の中期防におきまして、当初計画において必ずしも八千九百トン型を最初から想定していたわけではないというのは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、私ども内部で検討いたしましたときに、仮にも陸上自衛隊の一個連隊戦闘団の輸送が必要だとするならば、それの持つ装備品を運べるものでなければ意味がない、効率的なものでなければ意味がないわけでございますので、もし八千九百トン型よりも小さいもの、従来の計画どおりといたしますと、九〇式戦車は少なくとも運べないということに相なるわけでございますので、そのこと自体に議論があるのは別論といたしまして、仮にも一個連隊戦闘団を所要のところに運ぶことが必要であるならば、その陸上自衛隊の持つ主たる装備品をすべて運ぶことができるという状態にすることが必要であるという、そういう装備品の近代化に伴った需要の増大に沿ったものということで御理解をいただきたいと思います。
  89. 小川仁一

    ○小川仁一君 私も一気にこの構想を述べましたから、あるいはお話の分と私の指摘分の共通点も食い違いもあるかと思いますから、またこれは後でお話ししましょう。  ただ、一個連隊戦闘団を運ぶという必要性という問題についても、私なりの幾つかの疑問を持っております。どうしてもこれは日本国内で運用されるものとしてはちょっと不適当、でか過ぎる、こういう感想を持っているんですが、その問題はまた後でやります。  次に、あなた方が言っている輸送艦は、兵員や武器を輸送するヘリコプターを運用する飛行甲板を持っているということはおわかりのとおりです。艦内には七十メートル掛ける二十メートルの車両甲板も有しております。ウエルドックは五十メーター掛ける十五メーターでエアクッション型揚陸艇二隻を搭載する、こういう艦です。つまり、新型輸送艦は九〇式戦車十両または兵員約千名、車両、資機材約千五百トンを目的地まで輸送し、なおかつヘリコプターとエアクッション型上陸用舟艇で、これを高速でかつ相手の防衛線の背後におろすことが可能であるという能力を持つ船であります。  こういう艦のことを普通我々は強襲揚陸艦、こう呼んでおるんです。ですから、これは日本語で言えば強襲揚陸艦です。その分類に入ると思います。新型輸送艦という言い方でもって国民をごまかして、実態はこういう侵略にも使うことができるような船をつくるということ、私がこう申し上げていることに間違いがあれば御指摘をいただきたい。
  90. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) まず、我が国は専守防衛のための防衛力の整備を行っているという基本理念を持っておりますから、御指摘のようないわゆるパワープロジェクション的な考え方は意図としてまず持っていないということであります。  それからまた、このLSTの具体的な装備について申し上げますと、先ほども触れましたけれども、いわゆるパワープロジェクション能力を持つような装備品を持っていない、あるいはそういう設備になっていないということでございまして、例えば強襲揚陸艦といいますと通常は、これは言葉の問題でもありますけれども、通常の観念されます強襲揚陸艦といいますとヘリを数機搭載するとか、あるいはまた対空の防空能力を強く持っているとか、そういったようなことになるわけでございます。  先ほど来御説明しておりますとおり、私どものこの平成五年度にお願いしておりますLSTにつきましては、ヘリの発着のスポットが一つあるだけというようなことでございますので、その意図及びこの装備品の中身からいたしまして、今の御指摘のようなことではないというふうに思います。
  91. 小川仁一

    ○小川仁一君 次に、参考に申し上げておきますが、イタリア海軍のサン・ジョルジョ級は一番艦は海軍が使っております。御承知と思いますが、二番艦のサン・マルコは平時には内務省が管理して災害救助や難民輸送に利用しております。新型輸送艦についても、カンボジアヘの自衛隊派遣時に現有のみうら型では不十分だ、PKOのためにも新型の輸送船が必要だという声が上がったので、私は先ほど妙なことを申し上げましたが、これは海外に出すための装備ではないかというふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
  92. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 海外に出すためというお言葉の意味でございますけれども、私どもといたしましては先ほど来御説明申し上げたとおり、陸上自衛隊の所要の人間及び装備品を所要のところに運ぶためのいわば輸送艦で、国内的な運用をする輸送艦でございます。  そういう意味で、海外に持っていくということはあり得ないわけでございますが、先ほども触れましたとおり、したがってこれはPKOのために建造をお願いするということではございませんで、そういった本来の目的のために使うということではございますけれども、まさに他の装備品と同様に、結果としてその必要が生じたときに、本来任務に支障のない限りにおいてこれをPKOのことに必要であれば使うことも排除されないということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  93. 小川仁一

    ○小川仁一君 だんだん本音がわかってまいりました。  近ごろ、東南アジア諸国の軍備の増強が強調されております。また、中国海軍の脅威が専門誌だけではなくさまざまな新聞や雑誌でも強調されるようになっております。また、アジアからアメリカの軍事力が後退すると力の真空を生んでアジア地域の不安定さが増すとの論調も目立っております。これらの論調の行き着く先は日本の軍事力を質的に高める必要があるという主張になってまいります。私は、今まで質問で取り上げた自衛隊のそれぞれの装備の取得がそのような自衛隊の質的転換それ自体ではないかという危惧を持っております。あるいは、それに道を開くことにつながるのではないかという心配もいたしております。  国土防衛から権益防衛へと戦略転換をすべきだという御主張もこのごろ出てまいりました。特に退役幹部自衛官によってなされております。源川幸夫元陸将という方がお書きになった「国際的自衛隊論」という本がございます。ここではこういう主張がされております。日本と世界のかかわり方が単に資源にとどまらず、国益が海外に拡散している、海外に拡散した国益の防衛も国家の責任。あるいは、領土防衛のみではなく、海外における権益保護までを自衛の範囲に含めるべきである。そして、国土防衛戦略に基づいてつくられた大綱を見直し、日米安保を集団自衛権として認め、見直すべきだと結んでおられる。  こういう退役軍人になると現役時代に言わなかったことをどんどんおっしゃっている。まあ畠山さんはまさかおやめになってからもこんなことはおっしゃらないと思います、先ほどのお話の筋からいけば。しかし、私は、そういうことをおっしゃる方は現行の自衛隊の中でそういう思想的な教育あるいは影響力を受けているからおやめになって自由になった途端におっしゃるものだと、こんなふうに考えますし、もしまたこういう考え方の人が現役の中におられたら、これは防衛庁長官としてもまことにお困りになることだろうと思いますね。ですから、こういう問題について、現職自衛官の中においてどうこうという指摘はいたしませんが、長官、十分な御留意をお願いしておかなければならないと思います。  同時に、今度国土防衛戦略に基づいた大綱を見直す、こういうふうにお話をしておられますが、今申し上げたような源川元陸将のような考え方で見直しをなさるとは考えられません。私は、防衛庁長官に対していかがでございますかとお聞きすると同時に、このよう係な主張をあなた自身どのように評価しておられるか、この二つを長官からお聞きしたいと思います。
  94. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 私も長官になりまして、防衛庁自衛隊の中にどういう考え方があるのか、私どもは専守防衛に徹して先ほどから申し上げているような精神で努力をしているということが貫かれているかどうか、そういうことをまず最初に考えたわけでありますけれども、私の見る限り知る限りでは、私が考えておりますよりはるかに健全な思想の持ち主であると。  また、退職後にそういう意見を述べられるということは、やはり現在の自衛隊が持っている機能、構成そのもので本当に期待される十分な防衛ができるかどうかというような、その人その人の意見が出てきているのではないかと思っておりますけれども、私どもはそういうことは一切考えない。  先生もう非常に専門的な知識が豊かであるわけでありますが、先ほどからの輸送艦が一個連隊戦闘団を乗せてどこへ行くのかとか、給油を受けた飛行機がどこの国へ行くのかという、私どもにはちょっと理解ができないような御質問がございましたけれども、私どもは一切そういうことは考えておりません。私は国内での防衛に専門に使うと申し上げているわけでありまして、そういうこともありまして、私、防衛庁長官としてもそういうことの教育がどうなっているか、思想がどうなっているかということも、非常にそれを監督することも重要な役割であろうと思っておりますので、先生の御期待に背かないようにこれからも努力をしていきたいと思っております。
  95. 小川仁一

    ○小川仁一君 あとちょっと、人事院の方来ておられると思いますが、人事院の天下り白書についてお尋ねします。  二十四日公表された「営利企業への就職の承認に関する年次報告書」、多くの幹部公務員の方がお仕事に関連のある企業に就職なさっておられますが、また今問題になっております建設業界にも建設省から大勢の方が再就職しておられる。その内容については別の機会にお聞きしますが、この報告国会と内閣に対して行う根拠規定を御明示願いたいと思います。
  96. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) ただいまの御指摘の営利企業への就職承認の処分に関する人事院の国会と内閣への報告の根拠規定でございますが、これは国家公務員法第百三条の第九項でございまして、この規定は、御承知のとおりに、昭和三十八年に議員立法によって追加をされたものでございまして、これはその当時の提案者の提案理由……
  97. 小川仁一

    ○小川仁一君 根拠規定だけ聞いている、経過は聞いていません。
  98. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) 百三条の九項でございます。
  99. 小川仁一

    ○小川仁一君 防衛庁からも随分多くの役人の方が関連企業に御就職をしておりますが、防衛庁は内閣及び国会に公務員と同じような報告をしておられますか。また、もししておられないとすれば、自衛隊法第六十二条が国家公務員法の今言った百三条に準拠すべきものだと考えますので、なぜ調達企業に対しての就職をこの六十二条に基づいて内閣、国会報告しないのか、その理由。  それから、この六十二条の形で防衛庁だけが特別公務員であるにかかわらず報告をしなくてもいいというふうに解釈されている理由、これは防衛庁法制局からお聞きして私の質問を終わります。
  100. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) まず、内閣及び国会報告をしているかという点につきましては、国公法百三条九項にございますような規定が自衛隊法にはございませんので、特に国会及び内閣に対して人事院が行っているような報告は行っておりません。しかしながら、本省庁の課長と同等またはそれ以上の官職にあった者の就職状況につきましては、議員委員会から要求のあった都度資料として提出してきたところでございます。  そこで、自衛隊法上その国公法百三条九項の規定のようなものがない理由は何かという点でございますが、これは防衛庁長官が、要するに再就職について長官が承認を与えなくちゃいけないようなそういう場合には、御案内のことかと思いますけれども、学識経験者等から成る諮問的機関である自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいて承認を行うことになるわけでございますけれども、その承認を行う主体が防衛庁長官でございまして、その防衛庁長官国務大臣として国会に責任を負っており常に国会の国政調査に応じる体制にあると、こういうことで特に報告規定は設けなかったと、こういうことでございます。  なお、国公法第百三条の規定の趣旨につきまして、我々は、それが公務員が在職中の地位、職権を乱用して特定の営利企業と情実関係を結び、これを利用してその企業に就職するような弊害を防止し、もって在職中の職務の厳正を図るところにあると承知しているところでございますけれども、自衛隊の場合、営利企業との関係は他の省庁と異なりまして、許認可権あるいは監督権、そういったものの行為を通じての権力関係にはないわけでございまして、ございますのは調達に伴う契約関係のみでございます。そういうことから相違があるということであります。  ただ、制度の趣旨につきましては、我々も一般職と何ら異なることはないと考えております。
  101. 津野修

    政府委員(津野修君) ただいま防衛庁の方からお答えになられましたことで大体答弁の内容は尽きていると思うわけでございますけれども、若干つけ加えておきますと、この国家公務員法は昭和二十二年に成立した法律でございます。先ほど人事院の方から御答弁ございましたけれども、この第百三条の第九項の報告規定と申しますのは、昭和三十八年の改正で、先ほど言われましたように議員立法で加えられたというものでございます。したがいまして、自衛隊法が制定されました昭和二十九年当時、この当時にはまだこの百三条九項の報告規定はなかったわけでございますし、それから自衛隊法の第六十二条において、そういうことからもこのような報告規定は設けられていないというようなことで、これはそういったような経緯、若干過去の立法の経緯というような点もあろうかと思います。  それで、現時点において、報告規定につきまして自衛隊の方にないのではないかと。これは、一般職ではございませんから当然自衛隊の隊員に関しましては自衛隊法なりそういった特別の規定が要るわけでございますけれども、その点につきましては、先ほど防衛庁の方から御説明がございましたけれども、防衛庁長官国務大臣として国会に対して責任を負っておりまして、常に国会の国政調査に応じる体制にあるというようなことで、特に報告規定を設けなかった、設けるまでもないということにされたようでございます。  私どもの方からはそういうことでございます。
  102. 板垣正

    ○板垣正君 私は、現在問題になっております防衛庁の檜地区から市ヶ谷台への移転に伴ういわゆる市ヶ谷台一号館の保存の問題につきまして、お尋ねをし、要請をいたしたい、こう思うわけであります。  まず、基本的に私は、国の平和と安全のために防衛庁自衛隊の果たしている役割は高く評価するものであります。同時に、その機能を十分果たされるために、今後の装備の強化を図られる、あるいはその配置を合理化される、こういうことについては基本的には決して異議のあるものではありません。ただ、今回の問題が、自衛隊の本拠と申しますか、中央の機能を市ヶ谷台に持っていかれる、これに伴ってあの歴史的な存在ともいうべき市ヶ谷一号館を全く跡形なく壊してしまう。こうなりますと事柄は極めて重大であります。  そこで、まず第一に長官にお伺いしたいのは、顧みまして、どうも運び方ですね、この運び方が我々としても納得のできないものがある。この問題は中曽根内閣の時代であります。その移転の問題については中曽根内閣のいわゆる民間活力導入、こういう一環として現在の六本木都市再開発、こういう背景というものがこの移転の問題にあった、私はこの点についてはきょうは特に取り上げるものではありませんけれども、そういう流れの中で、私どもが承知しているのでは、昭和六十一年度から六十二年度にかけて防衛庁においてはこの移転可能性について調査を行った。それで、この調査の結果、市ヶ谷に移転するについては特段の支障はない、問題はないと、こういう結論を出され、昭和六十二年の八月に正式にこれを協議決定をした、こういうふうに私どもは後から聞いたわけであります。そして六十三年度から予算が計上され、逐次六地区にわたる移転計画が着手された。  しかし、この問題が国会において論議されましたのが平成二年になってからであります。かつ一般国民がこの問題について承知したのは、平成三年五月十五日にNHKの教育テレビがこれを取り上げて、移転に伴う新しいビルをつくる、これに伴い市ヶ谷一号館が取り払われる。少なくとも一般国民の立場においては、平成三年五月に至って初めでこのことをテレビを通じて承知をして愕然とした、これは大変なことだと。これが現在もいろいろ行動しておられる市ヶ谷台一号館の保存を求める会、これが同年九月に発起人百余名を連ねてスタートした。したがいまして、この後これらの方々が熱心に防衛庁に陳情されるあるいは世論に訴える、いろいろな行動を行っていることは御承知のとおりであります。  こうした経緯を顧みますと、この問題私一生懸命とらえますと、もう遅いですよ、もう計画は進んでまず、今ごろおっしゃっていただいても無理ですよ、こういうことがはね返ってくるわけであります。確かに進行状態はそういうことかもしれませんけれども。どうも今までのこの運びから見ますと、こういう極めて重大な問題について果たして国民の理解を得る、あるいはこの手順というものについて果たしてこれで十分であったのかどうか、こういう点についてまず長官にお伺いいたしたい。
  103. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 防衛庁といたしましては、防衛中枢の移転を検討するに当たりまして、委員先ほど御指摘のとおり、昭和六十一年度から二年間にわたりまして、檜町地区に所在する施設を仮に市ヶ谷に移転させた場合の可能性について十分な調査を行ったわけであります。
  104. 板垣正

    ○板垣正君 簡単にやってください。
  105. 三井康有

    政府委員(三井康有君) その結果、市ヶ谷地区への移転の実施は可能であるという結論に達しまして、これを踏まえて六十二年の八月に移転計画を決定したわけでございます。
  106. 板垣正

    ○板垣正君 私が言ったことを反復しなくてもいいですよ。
  107. 守住有信

    委員長守住有信君) 繰り返しは要らぬよ。繰り返しはなし。
  108. 三井康有

    政府委員(三井康有君) このような状況におきまして、市ヶ谷地区の一号館につきましては過去いろいろな使われ方をした建物であるということ、すなわち戦前は陸軍の士官学校あるいは陸軍省等が所在し、戦後は東京裁判の法廷としても使われたというような経緯があることも踏まえまして十分検討を重ねたところでございます。  しかしながら、この移転先の市ヶ谷地区におきましては、都内の限られた敷地を有効に活用して、防衛庁の中央組織にとりまして必要な機能が十分発揮できるように、各種機関の建物を効率よく配置する必要があることから、今市ヶ谷の敷地の中央部に所在して東西百三十メーター、南北八十五メーターに及ぶような大規模な建物である一号館を残置したままでは本移転計画を進めることはできないという結論に達したものでございます。
  109. 板垣正

    ○板垣正君 質問に答えてください。  私が防衛庁長官に伺っているのは、六十一年、六十二年に調べたと言われる。しかし、それを六十二年に決めて六十三年から予算に入って、国会でも論議が始まったのは三年後の平成二年であり、一般国民が知ったのは平成三年の夏になって、こういう運びということについて、これでよかったかと、今防衛庁長官はどう思っておられるのかということを簡単に答えていただきたい。
  110. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) これまでの運びにつきましては、ただいま御説明を申し上げたところでございますが、防衛庁と非常に密接な関係にあります板垣先生御自身にそのような印象を与えたということは大変申しわけなく思っております。今後とも、先生の御趣旨などを十分尊重しながら、連絡を密にしながらこのことを進めてまいりたいと思っております。
  111. 板垣正

    ○板垣正君 それで、市ヶ谷一号館を保存する、この問題についても非常に真剣に検討した、あるいはいろいろ意見も聞いたんだと、こうおっしゃいます。  それでは伺います。これは一つの例でございますけれども、あの第一生命、占領下にマッカーサーの司令部が置かれたこの建物は、新たな本社ビルをつくらなければならない。こういう状況の中でいろいろ検討をされて、マッカーサーのおった居室はそのまま残っておる。少なくとも日本の歴史にとって極めて意義のある、忘れることのできないこれは残さなければならぬと、そういうことでこの第一生命においてはいろいろ協議をされ、結局あの建物は残す、残しつつこれと一体の関係で新しいビルをつくる。  しかも、このことについては清水建設がやっているとともに、ケビン・ローチさんという方、私は門外漢でありますが、この方は建築界のノーベル賞とも言うべきフリッカー賞を受けられたこの道では第一人者であると言われておる。清水建設の社長がアメリカに行かれていろいろ見られ、特にニューヨークのメトロポリタン美術館、これは既存の歴史的な建造物と新しい建物を融合させる、こういう意味合いにおける見事なモデルである、こういう形で何とかこの第一生命の場合にいけないだろうかということでこのケビン・ローチさんに設計をお願いして、そのもとでさすがに調和のとれた形で、しかもその施設は残された、こういうことを聞いております。  壊してしまうということになれば、まさにそれは価値がゼロになってしまう。建物そのものがやはりこれは歴史の一部であります。こういうことで、民間会社といえども海外の一流の専門家に設計をお願いして、何とかならないかという努力をされたということを思うときに、それでは、防衛庁があの一号館は壊してしまうんだという結論を出されるについて、これに匹敵するような努力をどういうふうにされましたか、それを具体的に伺いたい。
  112. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 最初に、先ほどの御質問で、国民が知らない間にどんどん進めたんじゃないかという点につきまして一言補足して御答弁させていただきますが、防衛庁といたしましては、計画を決定した後最初に発行されました昭和六十三年版の防衛白書におきまして、特に囲み記事を設けましてこの移転計画全般を詳細に御説明しているということを申し上げたいと思います。  そこで、マッカーサー司令部が残されているという点につきましては、防衛庁といたしましてはその細部を承知している立場ではございませんけれども、今回この一号館についてどのように取り扱うかということにつきましては、私どもは防衛中枢の市ヶ谷移転と一号館の保存とが両立てきる問題であれば、もとより防衛庁としても移転計画においてその一号館の保存を図りたいという意向は持っておったわけでございます。  しかしながら、いろいろな点を慎重に検討しました結果、この両者は両立てきる問題ではないということが明確になりました。つまり、市ヶ谷移転をとるのか一号館の保存をとるのか、どちらか一方しかとれないという状況になったわけでございます。その判断におきまして、防衛庁としては移転を優先させたということでございまして、つまり一号館の保存のために移転計画そのものを犠牲にすることはできないというように考えた次第でございます。  これは防衛庁としての価値判断、政策判断でございまして、防衛庁外の方から別の判断を迫られましても、それによって変更するというわけにはまいらない、このように考えておるところでございます。
  113. 板垣正

    ○板垣正君 それでは、もう一つ伺いますが、大蔵省から来ていただいていますね。  私の調べによりますと、あの市ヶ谷台は、明治の初めから明治七年にあそこに士官学校が条例によって設けられた。由来、終戦に至るまで何らかのかかわりにおいて軍の施設が置かれ、昭和二十年当時には大本営等も置かれていたわけですが、そのときの市ヶ谷台と言われる土地の広さ、これが約三十二万六千平米。三十四年まではあそこはアメリカが接収しておりましたけれども、三十五年に日本に返ってきて防衛庁があれを使うことになった。東部方面総監部が置かれた。そして、三十六年の八月と聞いておりまするが、その土地を防衛庁に関東財務局から移管をした。それが約二十二万三千平方メートル。この数字に間違いはあるでしょうか、どうでしょうか。
  114. 橋本聰

    説明員(橋本聰君) 自衛隊の市ヶ谷駐屯地、約二十二万平米でございますけれども、これにつきましては、昭和二十七年の七月二十六日にこれは在日米軍に提供されまして、その後昭和三十三年十二月二十日、それから昭和三十五年一月二十五日の二回に分けまして返還されてございます。したがって、私どもが確認しております数字は約二十二万平米、こういうことでございます。
  115. 板垣正

    ○板垣正君 その前に申し上げました、つまり昔からずっと使ってきた士官学校所在の時代、大本営が使っていた時代、昭和二十年の時点における三十二万六千平米という数字はどうですか。
  116. 橋本聰

    説明員(橋本聰君) これは、昭和二十年の十一月一日に旧陸軍省から引き受けた財産でございまして、そのときの面積が三十二万六千百十七平米でございます。
  117. 板垣正

    ○板垣正君 大蔵省の方でも確認をしていただいたわけです。つまり、もともとは三十二万六千平米あった。そうすると、現在約十万平米ほかに使われておる。どういうところが使っておりますか、主なところは。
  118. 橋本聰

    説明員(橋本聰君) ただいま申し上げましたように、引き継ぎの段階で約三十二万平米でございます。それから、市ヶ谷駐屯地が約二十二万平米、したがって残りが約十万平米ということになるわけでございますけれども、これはすべて処分済みとなっております。  具体的な相手方を申し上げますと、大蔵省印刷局、それから厚生省統計情報部、それから警視庁機動隊、それから東京都、これは道路用地でございますけれども、それからアジア経済研究所、特殊法人戦傷病者会館、こういうふうになっております。
  119. 板垣正

    ○板垣正君 そのうちの大蔵省印刷局ですか、教習所ですか、そこはどのくらい使っていますか。
  120. 橋本聰

    説明員(橋本聰君) 約四万四千平米でございます。
  121. 板垣正

    ○板垣正君 防衛庁の方にお伺いしますけれども、今お話があったとおりに、元来市ヶ谷台として使われてきた場所が三十二万平米、そして自衛隊に改めて三十五年から二十二万平米ということですから、あの六本木の今度の防衛庁の六地区の計画というのは防衛庁開闢以来の、しかもまさに遠い将来を踏まえながらの一つの防衛体制、防衛の中枢をやっていこう、これは画期的な計画であると思うんです。そうであるならば、しかも本当に真剣に、しかしあそこにある一号館を取り壊してしまうに忍びないという思いがあるならば、当然二十二万平米ではなくして三十二万平米を構想しつつ、その広さの中において配慮され、検討されてしかるべきじゃなかったのか。  そもそも六本木から移るについても、国有地の有効利用ということが言うなれば大義の、にしきの御旗でありましょう。そうであるならば市ヶ谷台に、今伺ったこの大半を使っておる大蔵省の印刷関係の、そういう部署を何でもかんでもあそこに置いておかなければならないものかどうか。土地の有効利用という立場においても、あるいは防衛庁の所要の目的を達する施設をつくりつつ、かつかけがえのない歴史的遺産である一号館も残すという真剣なぎりぎりの思いがあったならば、当然歴史的流れにおいても、そうした構想において、三十二万平米の広さにおいての問題として当然検討されてしかるべきだったと思うが、この点はどうなんですか。検討されたことがあるんですか。
  122. 三井康有

    政府委員(三井康有君) 市ヶ谷駐屯地の北側に隣接する国有地につきましては、ただいま大蔵省の方から御答弁ございましたように処分済みで、他省庁がそれぞれ有効に利用しているわけでございますので、今直ちに防衛庁がこれを利用できるといった状況にないことは申すまでもないところでございます。  ところで、これは全く仮定の問題でございますけれども、仮に今御指摘の土地が利用できるという状態であったといたしましても、それだけで建物というのが建てられるわけではございません。つまり、建物建造は御案内のように関係法令に従って行わなければならないわけでございまして、いろいろな規制とか制限を受けるわけでございます。市ヶ谷地区の場合には、まず建築基準法によりまして日影規制あるいは高度制限というものを受けております。このために、仮に駐屯地北側の国有地が利用できるといたしましても、そこに高層建造物を建てるということは、さらにその北側に隣接しております民家地区に対しまして今申し上げたような規制が及ぶわけでございますので、そのことの関係で大幅な制約を受けておるわけでございます。  それからさらに、この市ヶ谷地区には民間放送局の電波の伝搬路といったものが通っておりまして、具体的には朝日放送と東京放送、この二つの放送局の赤坂とサンシャイン60という建物の間の経路、それから文化放送の東京と川口間の経路というのが走っておりまして、それは駐屯地の上空二十三メーターから百メーター余りといった高さに三本走っているわけでございます。したがいまして、電波法上その電波の伝搬に障害を与えるような建造物は建てられないということでございまして、そういった各種の規制をかいくぐりながら、私どもは市ヶ谷における新庁舎建築計画を立てているわけでございまして、北側の土地があるからといって直ちにそれによって一号館の保存が可能になるといった状況にはないわけでございます。
  123. 板垣正

    ○板垣正君 当局としては、これをどうしても建てなければならないという立場において、今おっしゃったようないろいろな制約というようなものを真剣に検討されたと思います。しかし、この問題はやはり私は国が考えなければならない問題ではないのか。  旧近衛師団司令部が残された経緯というのがありますね。これは現在、北の丸に東京国立近代美術館工芸館として使用されておりまするけれども、これは昭和四十一年一月の閣議で取り壊してしまうと、閣議決定のもう直前まで行った。しかし、これにかかわりを持つ方々あるいは建築学会の方々、こういう人たちのもう非常に切なる思い、署名運動、こういうものが積み重ねられて、昭和四十七年九月に改めて重要文化財の指定を受け、四十八年から五十三年までかかって工事をして、あの明治時代を伝える建物が守られたわけであります。  文化庁や文部省は、史跡として指定されるもの、そういう価値のあるものは少なくとも明治以前のものであって、市ヶ谷一号館のごときはもう文化的な価値もない、建物としての価値もありませんと。これは今のそういう文化財保護法というような立場から言うとそういうことになるかもしれません。古来のそういう遺跡を残すことも大事かもしれません。また、今の旧近衛師団司令部の場合は明治四十三年にできておりまして、そういう意味でぎりぎりに指定を受けたということかもしれません。  我々は、これが重要文化財であると主張するのではなくして、それ以上のものじゃないのか。そうであるならば、防衛庁としてはもう既に計画を立てられ、そしてもうあらゆる角度からいって決めたことであり、変えられないと。私は、それで済む問題ではないんじゃないのか。現にまだ建物は存在しているわけでありますから、もう一度防衛庁の立場で、またきょうは官房長官にそのことも篤と申し上げたいと思ったわけですけれども、どうしても席を外されるということで大変遺憾であります。  そこで、防衛庁長官のひとつ政治的な御決断もお願いしたいと思うわけですけれども、さっき申し上げました市ヶ谷一号館の保存を求める会の方々、宇野精一先生が会長で、それこそ著名な、また常にこうした問題について、防衛の問題についても極めて真摯な方々、こうした方々が名を連ねて、しかもこれは発起人であって、幅広い国民の声が巻き起こりつつあるというのが現状でございまして、その趣意書の一端をご紹介いたしましても、今まさに我々は、日本の歴史と将来を厳正に見詰め直すべきときに来ている。このようなときに、国の防衛の責任を負う防衛庁が、国民自衛隊員に国を守る心や愛国心を説きながら、このような歴史上の意義に思い至ることなく、日本の現代史のシンボルであり、先人の血と汗のにじんだ市ヶ谷台一号館を取り壊すということは、国を守るべき心や愛国心、そしてまた日本の歴史と伝統をみずから破壊し、踏みにじることにほかならないのじゃないのか、こういうことを訴えておられる。  さらには、これは陸士の六十期という在校中に終戦を迎えた、前宮下長官がこの同期生ですよ。この同期生会が幹部の名を連ねて、やはりこの問題についてこういうふうに訴えています。市ヶ谷一号館が無用の長物のごとく取り除かれていたら、後代の智者の理性と歴史家の炯眼は、これを立案した官僚の無知を怒り、これを容認した為政者の闘うことを忘れた事なかれ主義を侮べつし、さらに一言も発せず黙認した現代人にはあきれるばかりであろうと、こういう切々たる思いを訴えている。  私ども、自民党の衆参の先生方にアンケートをお願いしたわけであります。市ヶ谷一号館は何としても保存すべきであるか、壊されることもやむを得ないか、自民党の衆参の先生方全員に実はこの趣旨を訴え、御見解を伺ったわけであります。三月の五日であります。今日までにご返事をいただいたのは七十九名であります。このうち保存すべきであるというのは七十二名、取り壊しやむを得ないが七名。これをどういうふうに受けとめられますか。私は、数の多寡ではないと思う。この問題について多くの議員がやはり残すべきである。またこうしたことにお答えなっておられなくても、心情的にはここにあらわれておりますように、圧倒的多くの方が残すべきである。こういうことについて長官、どうぞ御再考を煩わしたい。  官房長官がお戻りでありますから、最後に一号館について、これは歴史的なかけがえのない遺産として万難を排して残すべきである。同時に私どもは、防衛庁がきちっとした施設を持たれることには積極的な意義を認めております。これをどう調和を図るかということであります。しかも、この建物は生きた歴史である、歴史そのものである、長々申しません。  特に最近、近現代史の教育が非常に不十分であるという、こういうことについて宮澤総理は、この間の二十三日の参議院予算委員会で質問に答えて、この日本の特に近現代史が教科書の後ろの方にある、あるいは受験に出ない。そういうことで学び得ない、情けないことだと。官房長官、もしこの市ヶ谷一号館を文字どおり跡形もなくなくしてしまったら、教育の生きた証人をなくしてしまうようなことになったならば、そんな宮澤内閣こそ本当に情けないじゃありませんか。長官の御見解を承りたい。
  124. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 板垣先生がかねてから一号館の保存に奔走しておられることを私どもも承知をいたしております。ただいまお話しのように、一号館の持つ近現代史的な意味というものは、日本人が忘れてはならない意味、意義を持っておるというふうにも考えます。  一方で、板垣先生も御理解をいただいておりますように、防衛庁の施設の移転ということも、現在の六本木周辺にあるあの施設を移すことも、これまた重要なことであることは先生も御理解をいただいているところでございます。  御指摘のように、宮澤総理は予算委員会で、正しく歴史を次の世代を担う人たちに伝えていくことの重要性を強調しておられます。こうした幾つかの命題を満足させる答えを見つけるべく懸命に努力をいたしておりますが、現在の時点では必ずしもいい知恵が見つかっておりません。甚だ申しわけないと思っておりますが、あの場所に残したまま防衛庁の施設を移すということは難しいというのが防衛庁からの私に対します説明でございます。  しかし、先生のお話を伺っておりましても、あの場所にあのままの姿をそのまま残すということであるのか、ああしたものがあったということを日本人が忘れずにいられるように、何らかの形と申しますか、何らかの工夫を加えるということなのか、先生御指摘のように跡形もなくそうしたものを全部片づけてしまうということであってはならぬというのが先生の御指摘でございますから、何かそこに工夫があってしかるべきものというふうには考えておりますが、きょうここで御返事をするほど頭の中が整理できておりません。  しかし、先輩のそうした大変御熱意ある運動と申しますか、奔走を敬意を持って拝見いたしております私といたしましては、何がしかの、ない知恵ではございますが、絞って、次の世代にわかるようなものを残していきたいという気持ちを持っております。もうしばらく時間的御猶予をいただきたいとお願いを申し上げます。
  125. 大久保直彦

    大久保直彦君 初めに、人事院総裁に御出席をいただいておりますので、骨髄移植のドナーの問題についてお尋ねいたしたいと思います。  昨年十二月八日の当委員会におきまして、私は、白血病の治療法である骨髄移植の提供者いわゆるドナーの検査入院についての休暇問題について、弥富総裁に規則改正をいたしまして特別休暇として認めるべきであるということを要望いたしました。昨年の総裁の御答弁は、そのことについては深い御理解を示されながらも、まだ民間の諸情勢等々勘案いたしまして、時期なお尚早である、このような認識を得たのでございますが、その後、私の方にもいわゆるボランティアとして骨髄移植提供をされておる方々、またこれからされようとしている方々から、ぜひこの有給休暇の実現に向けて再度努力をすべきであるという数多くの意見が寄せられました。我が公明党におきましては、衆議院内閣委員会におきましても、または予算委員会におきましても継続してこの問題について総裁に要望をいたし、また大変前向きな御答弁もいただいております。  あれから数カ月が経緯いたしましたが、もう民間の状況におきましてもかなりの変化が見られておりますし、また、人事院におきましてもその後前向きな検討が重ねられてようよう実現の運びのときを迎えているやにお伺いをいたしておりますが、その辺の状況について御答弁を願いたいと存じます。
  126. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) ただいま大久保委員の方から、昨年の十二月八日の当内閣委員会におきます御質問及び私の答弁についてお話がございました。その当時、確かに骨髄移植というものが非常に白血病等の難病に対して効果があるということは十分に承知をいたしておりますが、ただ民間の情勢等を勘案させていただきたいというふうな、今言われましたような御答弁をしたことがございました。  その後、やはり一般的な情勢、一般的な要望、それから白血病等の難病が、これは本当に人命に関する問題でございますので、衆議院内閣委員会におきましてもこれは、我々は人事院勧告というのは八月に出させていただいて従来はいるわけでございますけれども、それまでとても待つわけにはいくまい、できるだけ早い時期に結論を得たいというふうなことを御答弁申し上げました次第でございます。  その後、人事院におきましていろいろとその御趣旨を体しながら検討を重ねてまいりました。ただ、まだ若干の調整すべき点が残っておりますので、最終的にいつというふうに申し上げかねるわけでございますけれども、できるだけ速やかに対処いたしたい、そのように考えておる次第でございます。
  127. 大久保直彦

    大久保直彦君 この骨髄移植というのは、私も専門家でありませんので詳しくわかりませんが、骨髄の適合があればかなり白血病等の難病の治療にも役立つということが伝えられております。今この骨髄の適合が得られませんで年間五百五十名から六百名ぐらいの方が人命を落とされておる、こういう大変差し迫った状況のように承知をいたしております。  つきましては、先ほど来総裁の御答弁にありましたように、新年度の八月の人事院勧告まで待てないのではないか、こういうことでございますが、年間六百人といたしましても月には五十人程度の人命にかかわる問題でございますので、可及的速やかに諸条件を整えて実現に踏み切るべきではないか、このように思います。つきましては、新年度可及的速やかな時期にこれを実施されますことを強く要請を申し上げておきたい、このように思います。  官房長官お帰りになりましたので、このことについて官房長官も非常に関心を深く持っておられるということを伺っております。この実現方に特段の御努力を要請いたしたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  128. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) かねてからお話がございまして、私もいろいろ勉強させていただきました。今御答弁ございましたように、人事院総裁におかれましてもこの問題に強い関心を寄せられて、極めて前向き、積極的に御検討をいただいているように伺っております。  私どもといたしましては、人事院におきまして検討の結果御決定をいただき、御発表があれば、できるだけ早い時期にその実施をいたしたいと考えているところでございます。
  129. 大久保直彦

    大久保直彦君 総裁に対して、新年度可及的速やかな時期に実施をいたされますよう強く要請を重ねて申し上げたいと思います。  そこで、官房長官政府演説の中には、今国の内外に難問が山積しておるという言葉をよくお使いになるわけでございますが、今日ほどその言葉がぴったりきているときはないのではないか、このように思うわけでございます。  早速、この数日来世界じゅうの耳目を集めておりますロシア問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  エリツィン大統領の特別統治の導入、最高会議議長の反発、また憲法裁判所の違憲判断等々、大変激しい権力闘争と申しますか、日々刻々事態が変わっておる。エリツィン大統領の解任云々というような事態にまで事は運んでおるということでございますが、最近このロシア情勢についてどのような情報を得ておられますのか、まずそこからお伺いをいたしたいと思います。
  130. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 委員御承知のとおり、エリツィン大統領は二十日にテレビ演説を行いまして、信任投票を行うこと及び特別統治制度を導入することなどを骨子とする措置をとる旨発表して国民に支持を求めました。これに対しまして、二十二日には憲法裁判所が特別統治制度は違憲であるとの決定を採択いたしまして、翌二十四日、最高会議はこれを受けて二十六日、つまり本日でございますが、人民代議員大会を開催するとの決議を採択いたしております。  このように、議会と大統領の緊張関係は極めて高まっているわけでございまして、本日の人民代議員大会でどういう議論が行われ、どういう結果になるか、我々も大変注目をいたしているところでございます。  先ほど当委員会委員長を初め皆さんのお許しをいただきまして、実は官房長官といたしまして急速記者会見をさせていただいたわけでございます。この記者会見はG7サミットの議長国として、G7諸国の首脳及び欧州共同体の代表はエリツィン大統領の改革努力に対する支持を改めて確認する、そして七月の東京サミットの際に協議を行うためエリツィン大統領を招請するということを発表させていただきました。さらに、七月の東京サミットの前に外相・蔵相の合同会議を四月の十四、十五と二日間にわたって東京で開催する、その会合にもロシア政府の代表を招待するという旨の発表を三時に行わせていただいたわけでございます。  つまり、本日の午後三時というのはモスクワ時間でいきますと人民代議員大会が開始されます一時間前ということになるわけでございますが、G7メンバーの合意も取りつけられましたので急遽記者会見を議長国としてさせていただいた、こういう状況でございます。
  131. 大久保直彦

    大久保直彦君 人民代議員大会の一時間前にいわゆるインビテーションを出したということは、何か特別な配慮があってなさいましたのですか。
  132. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 改革のために努力をなさるエリツィン大統領に対しまして、G7が一致してその改革の努力を評価するということを言ったわけでございます。そのことはロシアの議会あるいはロシアの国民にぜひそうした評価、エリツィン大統領の改革への努力を広く世界は支持しているよということを伝えたいという気持ちがあったということでございます。
  133. 大久保直彦

    大久保直彦君 私は今の長官の御答弁を伺っておりまして、私も基本的には宮澤内閣、日本政府がとっておられる姿勢については賛成をいたすわけでございますけれども、ただ、この数日来の動きを見ておりますと、大統領が民主改革路線を推進する中にありまして特別統治導入を発表する。また最高会議議長は反発してそれを提訴する。また違憲判決が出る。そこで、特別統治導入は撤回をする等々、目まぐるしく事態が変わっておるわけであります。これは一つ一つの事象としては理解できるのでありますが、今ロシア国内で、何が、何のために、どう変わろうとしているのかということがいまひとつよくわからないというのが私の率直な感想でございます。  今のこのロシア情勢というものを、宮澤内閣としてどのようにこれを承知し、また判断をしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  134. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 冷戦構造が終えんを遂げて、世界は新しい国際平和秩序を模索している中で、世界をかつて二つに分けていた一方の雄とでも言いましょうか、スーパーパワーであった国が共産主義を捨てて民主化への道をとるということは大変大きな変化でございます。その大きな変化が世界の平和秩序をつくる上で、結果的に世界の平和秩序をつくっていくものとは思いますけれども、そのプロセスにおいて大きな問題もあるわけでございます。  御承知のとおり、ロシアが抱えております核兵器を初めとするさまざまな問題、武器その他が拡散をするというような状況もございますし、その他ヨーロッパの国々が大変心配をしている問題もあるわけでございまして、そうしたことを見ておりますと、何とかかってのソ連邦、あの国がいわば民主化への道を一歩一歩進んでもらいたい、そして、願わくばソフトランディングをしてもらいたいという気持ちを我々は持っております。それがもし途中で挫折をするということになると、新たな世界の大きな混乱要因となるのではないか。あるいは危険をまき散らすおそれはないかといったようなことまでおっしゃる方もあるわけで、現在のロシアの改革への動きというものを我々は注視しているわけでございます。  大久保委員が今おっしゃいました言葉の中に、気持ちとしてエリツィン大統領の改革のための努力というものは評価できるけれども、一方で議会を飛び越えたテレビ演説というようなものは民主化とは少し違うんではないかというような感じもあるいはおありなのかもしれません。そういったことを指摘をするあるいは心配をなさる方もございます。また一方で、このロシア国内の動きが一体どういう形になるか、まだとてもわからない、見通しが立たない状況の中で踏み込んでいくということが、果たしていいのかということもあるいはあるかもしれません。  しかし、我々は、現在ロシアにおいて民主的手続で国民から選ばれた大統領、これはまあロシアの歴史の中で初めての民主的な手続による国民によって選ばれた大統領、その大統領が現在改革への努力をしているということでございますから、これを支援しようというG7メンバーとの議論、メンバーとの話し合い、これはもう我々は、その議長国として当然イニシアチブをとっていっていいというふうに考えているところでございます。
  135. 大久保直彦

    大久保直彦君 サミットの議長国といたしまして大変な御努力を重ねられまして、G7諸国の同意を得られて招待状を出されたということについては大変敬意を表するわけでございますし、その事前のいわゆる緊急外相・蔵相会議にもソビエトの代表を呼ばれたということについても同様の認識を持つわけでございます。  そういう話の中で、水を差すようなことは申し上げたくないのでありますけれども、しかし、日本とロシアとの間には北方領土という問題が介在いたしておりまして、さきにエリツィン大統領の訪日が、この問題がすべてだったかどうかわかりませんけれども、訪日が延期されたと、こういう現実を我々は経験をいたしておるわけでございます。  そういうことがまだ未解決のまま今日に問題として継続している中で、このG7の外相・蔵相会議、または七月のサミット等に臨みまして、この問題をどのように位置づけてこれから対ソ外交に臨もうとされておるのか、お許しのいただける範囲で御答弁をいただきたいと思います。
  136. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 七月の東京サミットにエリツィン大統領を招請するという判断は、昨年のエリツィン大統領の訪日が延期をされているということとは次元を異にした問題というふうに考えております。  七月のサミットにエリツィン大統領が来られるということと、延期されている大統領の訪日がそれによって置きかえられるというふうには全く考えておりません。あの延期は延期として、いつの日かその延期された訪日は実現されるものと考えております。今回はあくまでもG7の話し合いにプラスワンという形で大統領に御参加をいただくという決定をいたしたわけでございます。
  137. 大久保直彦

    大久保直彦君 ということは、この東西冷戦終結後のいわゆるロシアの民主化、大きなうねりの中で、そのG7プラスワンという体制をとって新しい世界の秩序づくりに貢献をしたいという議論であって、日本とロシア間の領土問題は今回の会議とは別の問題であると。全く今回の緊急G7蔵相・外相会議にも、また東京サミットにもこの領土問題というものは影響がないと。むしろ議題にしないというふうに受けとってよろしいんでしょうか。
  138. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 仮に七月、エリツィン大統領が東京へ見えたという前提でお話を申し上げたいと思いますが、私どもが考えておりますのは、例えば東京サミットの日程の枠外で宮澤・エリツィン会談が行われるかどうかということについては、その可能性は排除されない。あるかもしれないしないかもしれない。しかし、その可能性は排除されないというのが我々の認識でございます。つまり現時点ではそれはまだ何も決まっていない。  いずれにせよ、今申し上げましたように、七月のサミット出席は、昨年延期されたエリツィン大統領の公式訪問のかわりになるものではないという認識を持っております。  さらに、今、大久保委員指摘の北方領土問題が日ロ間にはあるではないかということは全くそのとおりでございます。ただ、東京サミットにおける議題にその問題がのるかのらないかは、これは御承知のとおり、サミットの議題をあらかじめ整理をする会合がサミット前に何回か行われるわけでございます。よくシェルパ会合などと言われておりますが、その手の会合の中でこれから議論をする段階でございまして、きょうの段階ではまだ申し上げる状況ではございません。
  139. 大久保直彦

    大久保直彦君 終わります。
  140. 吉田之久

    ○吉田之久君 最初に、モザンビークに対するPKO派遣問題について御質問をいたしたいと思います。  私ども民社党は、過日、小西外務省審議官から詳しく報告を聞きました。国際平和協力法に規定されておる五原則を満たしている。そうであるとするならば、よく考えて適切な派遣我が国としても行うべきではないかという考え方を持っておる次第でございます。  たまたまきょう、閣議におきまして河野官房長官がその件につきまして発言をなさいました。先ほど同僚委員にもお答えがございましたけれども、改めてその決意、構想、配慮などについて承りたいと思いますし、特に国連から我が国に対して停戦監視分野、それから人員、物資の輸送の段取りを行う輸送調整分野、その他の分野などの要請がありますが、その中で当面、輸送調整分野だけに限って派遣なさろうとしているのかどうか、その辺のところもお伺いいたしたいと思います。
  141. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) モザンビークに関しましては、後ほどもし御希望があれば政府委員から詳細をお答えいたしますが、昨年の十月の初めに和平の枠組みができ上がりました。モザンビークの和平はカンボジアその他と少し趣を異にしております。  と申しますのは、モザンビークにおきましては、政府軍対反政府軍というふうに二手に分かれてにらみ合うという状況でございまして、カンボジアのように四派が複雑に絡み合うという状況よりは割合と単純な図式、言葉は悪うございますけれども、二手に分かれてにらみ合っているという状況でございまして、この両派が長い間の戦いの中でお互いに、それはそうだと思いますが、相当疲弊もして、厭世気分も出て、和平へという気持ちが相当募ってきたということだったろうと思います。  イタリーなどが大変努力をされて和平が整いつつございます。そういう状況の中で、国連PKO活動をそこに展開をするということになりまして、昨年のかなり押し詰まったころでございますが、我が国にもPKO活動協力をしてほしい旨の、全く非公式ではございますけれども、打診があったことは事実でございます。その後、外務省の柿澤政務次官がモザンビークを訪れまして、政府側、反政府側、両方のハイレベルの人と接触をして和平への決意などを確認をし、また停戦の合意、当事者からの同意がある旨の認識を持って帰ってこられました。  政府といたしましては、先生おっしゃいますように、民社党を初めとして幾つかの政党からも、五原則が整っているのだから直ちにモザンビークPKO派遣を行うべきではないかという御要請と申しますか、御指摘がございましたことも事実でございますが、私どもはできるだけ現地状況、その他詳細に検討する必要がある、こう考えました。五原則が整っていれば自動的に自衛隊派遣するというふうには私どもは実は考えておりませんで、五原則が整っているということが確認されれば議題としてテーブルにのる。そのテーブルにのったものについては政治判断をそれから下す。出す場合もあるし、出さない場合もあるということでございまして、そうした総合的な判断を下す判断材料を集めるという意味で、外務省をキャップといたします政府調査団を正式に現地派遣をいたしました。  現地調査をいたしてまいりまして、調査報告書が出てまいりました。この調査報告書はオープンにいたしておりますので、皆さんもお目をお通しいただいたものと思いますが、こうした報告書などを重要な参考資料といたしまして、その後総合判断をいたしまして、けさ、私から閣議にモザンビーク輸送調整のための要員を五十名程度派遣する準備をする旨の報告をいたしたところでございます。  なぜ輸送調整要員を考えたかというお尋ねでございますが、これは国連から幾つかの希望がございました。先生御指摘のように、停戦監視要員でございますとか、選挙監視要員でございますとか、幾つかの国連からの御要請がございましたが、国連が最も強く期待をいたしておりますのはこの輸送調整要員でございました。そうした期待にこたえようとするものでございます。
  142. 吉田之久

    ○吉田之久君 経過はよくわかりましたが、やっぱり停戦監視武装解除、この辺がスムーズに進みませんと、いかに港を中心として協力する輸送調整にいたしましても、不測の事態もないとは言えませんので、その辺をどう見るかという問題でございますが、報告を聞いた範囲では、四十九カ所で場所を設定して武装の解除をやろう。ところが、まだ現に九カ所しか場所は決まっていない。イタリアから派遣される歩兵部隊が主力のようでございますけれども、その見通し等が確たるものがあったのかどうか。あるいはイタリア以外の各国のPKO、PKFも参加すると思うんでございますが、この部分に関しては、日本は要請されても派遣する気持ちは今のところないのかどうか。この辺のところをもう少し詳しくお願いします。
  143. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 現在の段階では輸送調整要員五十名程度を派遣するということにとどめるつもりでおります。イタリーの歩兵大隊が恐らく既に到着をしているというふうに思いまして、これが到着をいたしますと武装解除の四十九カ所も恐らく進んでいくことと思いますが、詳細は政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  144. 吉田之久

    ○吉田之久君 はい。
  145. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) ただいま官房長官から御答弁いただきましたことに基本的には尽きると思いますけれども、御承知のように、長年にわたりまして紛争が続いてまいりましたので、この紛争当事者の間の不信感というものがあるわけでございます。そこで、武装解除にいたしましても、紛争当事者といたしましては国連のPKFであるイタリアの歩兵大隊、歩兵部隊を中心とする第三国の部隊が到着して、この武装解除を公正な立場から監視してくれるということがこの合意の一つの前提になるというような考え方を持っているようであります。  現在、歩兵部隊といたしましては、調査報告書にもございますように、イタリアの歩兵旅団の一部、二百名が既に到着しておりまして、これからだんだん他の部隊も到着していくということで武装解除等も進捗するだろうというふうに考えております。  なお、当然のことでございますが、いわゆるPKFにつきましては、我が国の場合には当面凍結されておりますので、また国連側といたしましてもそのことを知っておりますので、特に歩兵部隊についての御要請というのはございませんでした。
  146. 吉田之久

    ○吉田之久君 官房長官がちょっと席を外されましたので、あと防衛庁長官外務省の関係の方にお聞きしたいと思うんでございますが、七十万人の人が既に死んでしまった、地雷が二百万個敷設されていると聞いております。かつ、この国はGNPがわずかに八十ドルだとも聞いておりますから、大変恵まれない国であろうと思うんです。そういう国が一刻も早く平和になるために、日本が許される範囲で可能なる努力を払うことは正しいと思います。  ただ私は、今度のカンボジア派遣された我が国PKOのきょうまでの実績に照らしてつくづく思いますことは、日本は国連の各国のPKOとはやはり一味違った日本らしい貢献を果たしていく、そういう特性あるPKOであると。例えば、道路の補修でありますとか、水道の供給でありますとか、カンボジアで我がPKOが果たしている貢献は高く評価されていると思うんですね。だから、もし外務省政府に、ともかく諸外国が行くんだから日本も行かせて適当に並べておけばいいわという考え方じゃなしに、平和憲法を持ち平和に徹している日本が、この局面の中でPKOを出すとしても、日本のPKOというのは、実にユニークなかつ本当に感謝される目に見える貢献をしているいうことにだんだん絞っていくことが非常に正しいのではないかというふうに考えるわけなんでございます。  そういう点で、これから、願わないことではありますが、世界でこの種の要請が続くかもしれません。そのときに、国連に対して日本の特殊事情を言いながら、かつ日本が他国と比べてはるかに果たし得るそういう具体的な貢献ということを大きく主張して、そして実際にそういう展開をしていくという努力を払うことが国民の期待にも一番こたえる道ではないかというふうに思うのでございますが、防衛庁長官、どのようにお考えでしょうか。
  147. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 吉田先生のお話のとおりでございまして、我が国が国際社会の中ででき得る貢献いろいろあろうかと思います。今度のモザンビークPKO参加につきましても総理は初め非常にお迷いになった。というのは、どういう貢献が最もかの国にとって有利な貢献になるのかという御判断もあったかと思います。  カンボジアとはもう条件がまるで違うということでございまして、世間ではお金だけの貢献は余り効果がないんではないかというようなお話もありますが、場合によってはお金による貢献ということもそれぞれの国の実情に応じた貢献であればやはり有効なんではないかというふうに思っております。  そういうことで、モザンビークは大変情報の少ない国でありますし、いろいろデータを見ましても決して豊かな国とは言えない、最貧国のうちに入るような国であろうと思っておりまして、私どももどういう御指示が来るのかなということでかなり迷って検討もしてきたわけであります。  先ほど官房長官からお話がありましたように、モザンビークへのPKOに参加をして、そして輸送調整部隊の仕事に当たるということになりました。私どもといたしましても、これを厳粛に受けとめまして、この任務が無事に立派に達成できるようにということで、実はきょう午前中各幕僚長に対しまして、派遣をされる部隊の要員候補者の選考、部隊の編成、それからさらに輸送調整という仕事をやるためのいろいろな現実的な情報の収集、教育訓練、それから予防接種、その他装備品やその他の集積、研究というものを直ちに行うようにという指示を与えたところでございます。  モザンビークに人的な貢献をするということは大変国際的にも意義のある仕事だろうと思いますが、実際に行って仕事をするということになるといろんな困難があるのではないかと思っております。そういうことで、十分な準備を整えてこの仕事を達成して、このモザンビークに平和な日が一日も早く訪れることを祈っておる次第でございます。
  148. 吉田之久

    ○吉田之久君 カンボジアの例でございますが、日本のPKOが持ち込んだ短波放送、それが非常に重用がられて、各国の人たちもそれを聞いては情報をキャッチしたり、母国語に接したりしているというような話も聞きました。例えばモザンビークでだんだん武装解除されるとすれば、政府軍であろうが反政府軍であろうが、いわば復員する人がふえてくるわけでありますが、そういう人たちは職を失いますね。  やっぱりその人たちに新しい生産的な社会的な活動を与える、何かの指導やあるいは援助をしてやること。PKOPKO、ODAはODAとしていろいろこれからの展開がありますけれども、やはりその中で本当に日本の技術を持っていってやるとか、あるいはせめて単車の普及のためにいろんな部品を送ってやるとか、指導をしてやるとか、そういうことにこれからの日本のPKOがその機能を果たしていいんじゃないかというふうに思うんですが、それが問題の一つ。  それから、今はしなくも防衛庁長官がおっしゃいましたが、総理にもいろんな迷いがあったように私どもも感じました。ただ、最近のいろんな週刊誌あるいは月刊誌などによりますと、今度のモザンビークPKO派遣についても推進派は外務省であったと、防衛庁と官邸がむしろ消極派というか、しり込みしておったとか、いろんなことが書かれております。  報道は自由でありますけれども、与野党間でいろんな意見の違いがあるのはそれはむしろある面で当然でありましょうが、同じ内閣でこういうものがいろいろと意見の違いを見せておるというふうなことが、こんな重要な問題で国民の中にそう映っていくことは、私はやっぱり国民に非常に不安を与える、あるいは現に外地で活動をしておるPKOの隊員の人たちにも少なからぬいろんな不安を感じさせはしないかという気がするんですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  149. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) やはり自衛隊と限りませんが、日本の国民のかなりの人数の人たちが現地へ行きまして生活をする、現地の人たちと接触をする。また、PKOということで世界のいろいろな軍隊の人、国の人と接触をするということが、今度カンボジアに行ってこられた方々の話を聞きましても、個人的にも大変プラス、勉強になったと言われておりますが、そういうことが将来お互いの国同士の友好、それから先ほど来先生がおっしゃっておられる、その国に対する支援というものも、非常にこれから効果的な支援ができるのではないかというふうに感じております。  またいろいろな、まだ私も、モザンビークという国のイメージというものはいろいろお伺いをしているんですが、なかなかわいてこない。さらにもっと詳しく調査をしないとなかなか隊員の派遣というのは難しいと思うんですけれども、そういう意味で、先生のおっしゃるようなことをこれからも十分配慮しながら行っていきたいというふうに思っております。
  150. 守住有信

    委員長守住有信君) もう余り時間がありませんので。
  151. 吉田之久

    ○吉田之久君 ほとんど時間がなくなりましたのですが、PKOの文民警察隊、この余り報道をされていない、残酷物語とかいろいろ書かれておりますが、かなり危険にさらされながら頑張っていると思うんですね。  そういうことで、例えば最初にどの地点が一番危険だろう、それに比べてここは少し楽なのではないか、いろんな想定をして手当などが考慮されておりますが、実際状況もいろいろ変化いたしますし、行ってみれば、またその辺のかなりのミスマッチなどがあって、本当にきついところはここだとかいうことがあると思うんですね。その辺をいろいろ検討をされなければならないと思うんですが、長官はどうお考えでしょうか、あるいは担当の方から。
  152. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、文民警察の方々の活動につきましては、必ずしも私どもが期待するほど十分知られていないという面がございますし、またカンボジアのいろいろなところに数名ずつ配置されておりますので、いろいろな御苦労があるわけでございます。  手当の問題につきましては、御承知のとおり二万円を最高額といたしまして、四千円刻みで勤務条件等を考慮して制度をつくったわけでございます。それに従いまして適用してきたわけでございますが、当然のことながら配置転換等がありますれば、そこで必要な調整を行うということで、私どもとしては常に適切な運用ができるようにというふうに気を配っているつもりでございます。今後ともその点を留意していきたいと思っております。
  153. 吉田之久

    ○吉田之久君 終わります。
  154. 聴濤弘

    聴濤弘君 モザンビーク問題について質問いたします。  政府は、このモザンビークへの自衛隊派遣について、最初は国民に不安がある、それからまた、カンボジア問題で一定の成果が上がってから判断する。こういうふうな態度をとっていたというふうに伝えられておりますし、また国会でのこれまでの議論でも、そういう立場からの発言官房長官、それから宮澤総理自身からもありました。この条件は今でも変わっていないはずであります。ところが、なぜきょう決定をされたのか、御説明いただきたいと思います。
  155. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) この点につきましては、官房長官がいらっしゃれば官房長官に御答弁いただくのがよろしいと思いますけれども、とりあえず私からお答え申し上げるのをお許しいただきたいと存じます。  御承知のように、カンボジアにおける活動開始後半年たちまして、最近では停戦監視員の第一次の派遣された皆さんも戻りまして、具体的な報告も受けたわけでございます。また、近く施設部隊の第一次派遣部隊も交代を迎える時期になっておりまして、これまでのところ幸い相当の成果を上げているというふうに認識しております。  国連モザンビーク活動への要員派遣に関する我が国への国連でございますとか、あるいは関係国の期待の強さでございますとか、あるいは最近帰ってまいりました現地調査団報告等を総合的に政府において検討をした結果、本日発表になりましたような輸送調整分野に溶いて応分の貢献が可能であり、また適切であるというふうに判断したものでございます。このような貢献を行うことにつきましての国民の御理解が得られるものというふうに考えております。  昨年来の、特にカンボジアでの我が国の隊員の活動ぶりにつきましては、随分いろいろな報道機関によりまして報道がされております。このような報道を通じましても、国連平和維持活動の実態というものに対する我が国国民の皆さんの御理解というものも相当に進みつつあるというふうに考えております。
  156. 聴濤弘

    聴濤弘君 今、カンボジアでの活動に一定の成果が上がっていると認識しているということと、それからモザンビーク自身の問題では、調査団報告を聞いて総合的に判断したというお話でありましたけれども、カンボジアの事態について、あれで一定の成果が上がっているというふうに認識をされるということは、私はきょう初めて聞きました。非常に驚くというのが実際であります。  なぜならば、私から申し上げるまでもないけれども、カンボジアの今のポル・ポト派の勢力は武装解除を拒否している。それから選挙も拒否している。カンボジアにああいう協定が結ばれたけれども、カンボジアに平和が訪れるという状況にはないというのが実際の状況で、カンボジア状況は泥沼に陥っているという状況にある。ガリ事務総長報告書でも、たびたび和平のプロセスは大幅におくれ進展してないということが述べられているはずであります。  それが、成果が上がっているというふうに評価し、モザンビーク問題もそのように合理化されることについては、私は何としても納得がいきません。もう一度御答弁いただきたいと思います。
  157. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) カンボジアにおきまして停戦違反があるとか、あるいは当初パリ協定で予定されました武装解除がそのように進まないというようないろいろな問題があるのは、これは事実でございます。  ただ、他方におきまして、三十数万を超える難民の帰還でございますとか、あるいは有権者の九割を超える方々の選挙登録も進むというような成果も上がっているわけでございますし、また我が国派遣をしておりますいわゆる工兵部門、施設部隊による建設、復旧等の分野での業務の進捗というのもあるわけでございます。また、相当の成果と申し上げた中には、我が国から派遣いたしました停戦監視要員の非常にまじめな勤務ぶりを通じまして、この停戦監視のUNTACの業務にも大きな貢献をしたというような点、文民警察の活動によって国際的にあるいは現地の皆さんから高い評価を得ているということを申し上げたわけでございます。  必ずしもカンボジアの和平がパリ協定で期待したとおり百点満点でいっているということでは毛頭ございません。ただ、やはりあれだけ長いこと紛争が続きました後でできた和平というものは脆弱でございますので、これを世界の多くの国々が助けて、より強固な和平をもたらすというのがまさにPKOの目的でございますし、そういう面でかなりの成果を上げつつあるというふうに考える次第でございます。
  158. 聴濤弘

    聴濤弘君 つい数日前、二、三週間前まではカンボジアで一定の成果が上がったら判断すると言っていた。きょうになって決定したら、もう一定の成果が上がったと、これは私は何としても納得のいかないところであります。一種の詭弁に属するというふうに私は思います。  モザンビーク調査団のことについてでありますけれども、今総合的に調査団報告検討して判断したというふうに言われましたけれども、政府は、これは河野官房長官でありますが、五原則が満たされていればいいというだけではない、政治判断が必要だということも国会で述べておられます。  調査団報告によりますと、これはきょう外務省から受け取ったものでありますが、三月二十二日に出された報告書です。それによると、PKO法の五原則というのは一応満たされておるということは書いてあります。しかし、この報告書には次のような重大な記述がございます。それは、モザンビークの和平プロセスは大幅におくれている。武装解除は行われていない。政府とRENAMOとの間の相互不信が生じている。事態は深刻であって、事態がそういう状態にあるということを述べ、「今後慎重に事態を見守っていく必要がある。」、こういうふうに報告書は出ておる。五原則は一応満たされているとはいうものの、モザンビークの事態というのは慎重に見守っていく必要がある事態、こういうふうに報告書は述べております。  それで、なぜ派遣を決定したのか、ただ五原則が満たされているからと。そうじゃなくて、ちゃんとした判断が必要だということも官房長官言っていたわけであります。一体どのような政治判断をしてこういう決定をされたのか、御説明いただきたいと思います。
  159. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) 私の方から政治判断について御答弁申し上げるのは大変難しゅうございます。ただ、調査報告についてお触れになりましたので、その観点からお答えを申し上げたいと存じます。  確かに、ここにございますように、和平プロセスのおくれというものがあるのは事実でございますが、また他方において、ここにもございますように、包括和平協定が昨年の十月に署名されまして、その後しばらく若干の問題が生じたということはございますけれども、その後は武力衝突もなく、停戦合意は遵守されているということもこの報告書に記載されているわけでございます。  また、詳しくは時間をおとりしても申しわけございませんので省略いたしますが、政府軍及びRENAMOの軍の双方について、この和平協定の重視の姿勢というものが相当かたいというようなこと、その根拠も挙げているわけでございます。  他方、確かに武装解除その他のプロセスがおくれているというのは事実でございますけれども、それゆえにこそ、イタリアの歩兵部隊の展開でございますとか、ONUMOZが予定しておりますPKO活動を促進していく必要もあるというふうに思う次第でございます。  当然今後も事態の推移を見守る必要はございますけれども、現在のところ、この五原則というものは充足されているというふうに判断している次第でございます。
  160. 聴濤弘

    聴濤弘君 今回の派遣も、カンボジアと同じようなものだと言わざるを得ないですね。  もう繰り返しませんが、カンボジアではポル・ポト派が武装解除をしない、選挙にも参加しないということで、カンボジア問題が解決するという見通しは少なくとも現在ない、いわば泥沼化している。これは国連報告にもいろいろな形でそれが出ている。そこへ自衛隊派遣されている。今度モザンビークへまた派遣する。そこでは和平へのプロセスは大きくおくれている。武装解除はしていない。我が国派遣した二回のこの自衛隊派遣、皆解決の見通しというのが立たない、そういうところへ派遣されている。  こういう事態を考えてみますと、これ放置しておくと、結局これを解決しようとすればどういうところへ行かざるを得ないか。武力行使を伴うそういう派遣、そういったところへ行かざるを得なくなってくる。もう一つの選択は、そうではなくて、どうやって政治的にカンボジア問題あるいはモザンビーク問題を解決するか、ここに最大限の努力を払うべきだと。そういう二つの選択に迫られると私は思います。いずれにいたしましても、そういう事態でただ自衛隊派遣ありきということでは、カンボジア問題もモザンビーク問題も解決しないというふうに私は思います。  いずれにしましても、この派遣の問題、極めてそういう面で重要な問題で、二回とも同じようなことになってきている。ですから私は、この問題は国会でこの派遣の可否を本当審議を尽くすべきだと考えますが、どのようなお考えをお持ちか、御答弁いただきたいと思います。
  161. 柳井俊二

    政府委員柳井俊二君) 派遣の可否という問題につきましては、昨年成立いたしました国際平和協力法に規定されております五原則中心とする規定、それから手続というものがございますので、これに照らして私どもとしては判断をしていく所存でございます。  なお、当然のことでございますけれども、この法律に基づいて派遣を正式に決定するという手続は閣議決定によって行うわけでございますけれども、その閣議決定があり次第、遅滞なく国会に御報告をすることになっておりまして、今までの業務につきましてもそのように遅滞なく御報告を申し上げている次第でございます。また、その報告に基づきまして、またこのような委員会等の場で国会においていろいろな御意見を伺わせていただき、また御審議いただいておるところでございます。
  162. 聴濤弘

    聴濤弘君 手続はそういうふうになっているとおっしゃいますが、やはり事態は重大であります。このままこういうことが繰り返されるならば、どこに行くかわからないということを真剣に考えなきゃいかぬ。国会審議が私はぜひ必要だということを主張したいと思います。  残された時間、AWACS、早期警戒管制機の導入問題について若干御質問したいと思います。  一九七九年、防衛庁は、AWACSとE2Cの導入について検討しE2Cを選ぶことにしました。理由の一つは、AWACSの値段が高いということでしたが、もう一つの理由は何だったか、御説明いただきたいと思います。
  163. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) E2Cを選ぶこととしました理由として三点掲げてあるわけでございまして、そのうちの一つは、今御指摘の値段の問題が最後にございました。  あとの二つのうちの一つは、本来、戦術統合作戦の指揮統制用のものがE3Aでありますということで、そういうことからいいますと当時求められていた目的からして過大なものでありますと、機能として過大であるという趣旨の指摘でございました。もう一つは、重量あるいは飛行機の長さといったことから、空港の長さあるいは厚さといった点で問題があるという指摘が二番目にございます。三番目が費用対効果の問題でございます。
  164. 聴濤弘

    聴濤弘君 機能として過大であるというふうにおっしゃいましたが、私もまさにそのとおりだと思うんです。このAWACSは、空中戦を指揮することができる空の司令部だとまで言われているものであります。私の知っている限りにおきましては、同時に四百機の飛行機を敵味方に識別して指揮統制できる。そして、味方の飛行機に対して攻撃命令を直接出すことができる。こういう機能を持っているという点でE2Cと違うというふうに私も認識しております。  それでは、なぜこのような四百機が空中戦をやるという、こういう大規模な空中戦を指揮するようなそういったものが、当時は要らないと、現在の状況というのはソ連が崩壊した、こういう状況のもとで今何で要るんですか、ということをお聞きしたいと思います。
  165. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ただいま申し上げましたE2C導入当時におきましては、主として低空侵入に対する地上レーダーの覆域の限界といいましょうか、不足する部分を補完するという機能だけが求められる事態、それが念頭にあったわけでございまして、その意味からいたしますとE2Cで十分でありましたと、こういうことでございました。  それに対しまして、それから十数年たちました現在の状況を考えますと、国際軍事技術の動向に変化がございまして、各国におきます航空機の航続距離が非常に延びたということが一つございます。それからまた空対地のミサイルの射程が非常に延びたということがございます。そういうことから、いわゆるスタンドオフ攻撃、洋上遠く離れたところから攻撃する能力を備えてきているのが現在の一般的な傾向でございます。  そういたしますと、我が方も、受ける側の方、守る側といたしましても、やはり洋上離れたところで早くから早期に発見するという運用が必要になるわけでございます。そうした上で要撃機を早く飛び立たせるということが必要になるわけでございまして、そういう国際軍事技術の変化が積み重なって今一般化している状況を踏まえて、そういうことが必要になってきた、こういうことでございます。
  166. 聴濤弘

    聴濤弘君 AWACSの導入が検討されたのは、ソ連のバックファイア対策である、一九八五年からそれが検討されたと、当時の加藤防衛庁長官とワインバーガー長官の会談が初めである、このことはもう非常にはっきりしている。国会議論でも何回もこれはやってきていることでありまして、単なる航空技術の向上ということによるものだというものでないことは明白であります。  最後に、防衛庁長官お尋ねいたします。  ソ連は崩壊し、バックファイアの危険性というのは八五年に検討を始めたような状況というのは今なくなっております。現に、ことしの一月五日、渡辺外務大臣は宇都宮市内の後援会であいさつをしました。その中で、日本の仮想敵国は少なくなっている。イージス艦、空中警戒管制機AWACS、戦艦をつくっても使い道がない、こういうふうに渡辺外務大臣は言っておられます。このことを防衛庁長官はどのようにお考えになり、これでもAWACSの導入が必要とお考えになるのか。それならば外相と意見が違う、内閣不統一ということになりますが、いかがですか。
  167. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 外務大臣がどういう意図でおっしゃったかわかりませんが、今防衛局長からお話し申し上げましたように、我が国はもう専守防衛、先ほどの輸送艦のときもお話しいたしましたように、本当に限られた装備であらゆる事態に備えていかなくてはならない。そのためには、やはりウサギの長い耳といいますか、情報収集機能というものが非常に重要になってくる。しかも、今お尋ねになりました時代と大きく兵器の性能等が向上しております。湾岸戦争で見られますようなピンポイント爆撃、遠くの方から非常に命中精度のいい攻撃ができるという時代になりました。それに対応をしていくためには、やはり情報収集というのが非常に大事になってまいります。まさに専守防衛の装備であろうというふうに考えまして、このAWACSの導入ということに努力をしたわけでございます。
  168. 聴濤弘

    聴濤弘君 終わります。
  169. 高井和伸

    高井和伸君 防衛庁に、自衛隊員の日ごろの訓練の中で、特に私は、隊員の国を思う心というところに昨今の日本の政治の動きというのは非常にいろいろな場面で反映しているんじゃなかろうかと、こう思っております。  防衛庁長官、いきなりで恐縮でございますけれども、今のこういった総理大臣を最高司令官とする日本の自衛隊の枠組みの中で、この日本の国会における政治改革がなかなか進まない。その前提で、いろんな事件が連続して起きていると。そういったときに、かつて自衛隊の高級隊員がクーデターを起こしたいような起こしたくないような、問題を醸し出すような発言があり、それなりの部内処置が行われた。  こういうときに、この政治改革と隊員の日本を思う心というものに対して、今の自衛隊員はどう心がけておらなければいかぬのか。私はかなり離れているんじゃないかと思うんですが、それに対して、現自衛隊を総括なさっている防衛庁長官としては、昨今のこの政治のレベルのいろんな問題をどう隊員に諭されるんでしょうか。
  170. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) いろいろと憂慮をしていただいて恐縮しているわけでありますが、確かに政治、私も政治家でありますし、自衛隊員の中では私の上官になっております総理大臣も政治家であります。国の最高指導者である政治家が、やはり道義的に国民に皆さんに顔向けのできないような事態を生じるということは、これはやはり自衛隊の士気などにも少なからぬ影響があるのではないか。もちろん自衛隊隊員の士気、それから国民全体の政治に対する信頼、自衛隊に対する信頼というものが非常に大事なわけでありますから、この点は私どももそういうことに惑わされることのないように、いろいろと配慮をしてきているわけであります。  先般、防衛大学の卒業式に出席してまいりましたが、若い諸君がそういうことから超越して、政治にかかわらず、この防衛の与えられた任務に邁進をするんだという決意を述べておられましたけれども、政治がそういう国の守りのために命をなげうっていらっしゃる方々から見放されるようなことがあったら、これは一大事ではないかというふうに思っておりまして、これからもそういう面での信頼関係を取り戻し、また、自衛隊の隊員の若い皆さんにも本気になって仕事ができるような環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
  171. 高井和伸

    高井和伸君 ちょっと細かいことになりますけれども、自衛隊法施行規則三十九条によりますと、まず、隊員になりますと、「一般の服務の宣誓」というので例文が載っております。その中をいろいろ読んでおりますと、「政治的活動に関与せずこと、こうなっております。そしてまた他方、自衛隊法の中でも政治活動やっちゃいかぬと、六十一条に「政治的行為の制限」というような条項があります。そういった自衛隊法の精神はどこにあるのか、念のために解説してください。
  172. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ちょっと所管の官房長がおられませんので私からお答えいたしますが、政治的活動に関与せずということでかねがね服務規律上は指導しておるところでございまして、今先生御指摘の法文にもございますし、私もふだんから「自衛官の心がまえ」というふうなものを示して、中央からそういう趣旨を徹底して、教育しておるところでございます。
  173. 高井和伸

    高井和伸君 私の質問に何も答えておられないんですけれども、防衛庁しっかりしてほしいんですが、私の質問は、端的に言えば自衛隊法六十一条の立法趣旨は何かと、こう聞いているわけです。
  174. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 自衛隊法の立法趣旨というのは、私どもの方でどこまで解釈申し上げられるかちょっと疑問がございますが、やはり自衛官が政治に関与しないというようなところが、従来から各国とも非常に教育上出ておるところでございますから、その立法趣旨と言われましても、政治活動……
  175. 高井和伸

    高井和伸君 結構です。  じゃ、少し質問の角度を変えます。日本国民としては政治活動をしていいんですよ、基本的に。しなきゃおかしいんですよ。それをあえて禁止するというのは自衛隊の目的があるんだろうと思うんですよ。ならば、その代償措置は何なのか。自衛隊員の政治活動を規制しておきながら他方で何もしないということは、これはあり得ないんです。  先ほど防衛庁長官が、身を挺してやっておられる自衛官から日本の政治が見放されたらどうなるのか、一大事だと、こうおっしゃっておられるわけです。したがって、私の言いたいのは、こういった政治的活動を禁止した裏腹に、自衛隊は日ごろから何を心がけ、どういう政策を使い、そしてどんな予算を使っておるのかと、こういう質問になるわけです。
  176. 村田直昭

    政府委員(村田直昭君) 六十一条で政治的行為の制限を規定した立法の趣旨は、大きく分けて二つあると思います。一つは、隊員が国家公務員として政治的に中立公正の立場を堅持しなければならないということから来る要請でございまして、これは本来的には国家公務員法の百二条と並ぶものとして規定されているものでございます。  いま一つは、隊員が国の最強の武装集団の構成員としての地位にあるということからして、軍と申しますか、自衛隊ないし隊員が政治に関与しないということを、従来からの各国の例にも倣いこれを規定したものである、こういうふうに理解しております。
  177. 高井和伸

    高井和伸君 それはちょっと横へ置いておきましてあとやりませんが、「自衛官の心がまえ」というのをいただきました。その中を読みますと、日本の国は民主主義の国家である、民主主義が貫か札でいるというふうなことがるるうたってあります。そういった前提で自衛隊員はきちっとした心構えを持たなきゃいけない。私が質問したら、こういう本でございましたが、いただきました。  この「自衛官の心がまえ」、昭和三十六年六月というかなり古いものでございますけれども、これはどういうときに、どういう目的で、どうできたのですか。
  178. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  これは昭和三十六年に、当時自衛隊の教育についていろいろ御議論がございまして、防衛庁長官から、自衛隊員に対する教育の指針としてこの「自衛官の心がまえ」というのが示されたわけでございます。それ以降、個々の隊員の教育に際しましては、この「自衛官の心がまえ」にのっとりましてそれぞれの幹部は一般隊員に対する教育指導を行っておるというのが実情でございます。
  179. 高井和伸

    高井和伸君 今のお話だと、幹部だけが使っているんですか。
  180. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) いや、違います。これは幹部のみならず一般隊員にもこの「自衛官の心がまえ」につきましては配付をしております。したがいまして、この考え方につきましては、一応幹部、一般曹士ともに周知徹底されておるということを申し上げたわけでございます。
  181. 高井和伸

    高井和伸君 これは、朝な夕なにまず起きたらこれを読み上げるというようなことをやっておられるんですか。
  182. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) そういうところまではやっておりませんが、教官によっては、この内容についてそういう基本的な、骨子になるようなところを示しておるというようなことはございます。  余談でございますが、私の部屋なんぞにもこの五つの項目について示しておるというようなことで、一般の部隊でもそういうことをやっておる司令官の方もおられるようでございます。
  183. 高井和伸

    高井和伸君 自衛隊は、有事があっては困るわけで、普通平時だろうと思うんです。その間に行われることはすべてほとんど訓練教育だろうと思います。  そういった訓練教育の場において、新しい武器が来たから新しい武器に修練する、いろいろそういうことがあるかもしれませんが、基本的な政治に関する指導というか、日本国はこういう枠組みで今政治が行われているというような教育指導は那辺にあるのか、どのぐらいやっておられるのか。いろいろ私もあっちこっちひっくり返してみましても、そういった言葉がなかなか出てこない。そういった民主主義あるいは政治に対する教育は、どのぐらいのことをどんなカリキュラムで、どんなふうにだれがだれに教えているのか、そういったトータル的なことを、まず総論からお願いします。
  184. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) この「自衛官の心がまえ」の中にも一部そういう趣旨のことを書いてございまして、ちょっと引用させていただきますと、「民主主義を基調とするわが国の平和と独立を守り、国の存立と安全を確保することが必要」だということを冒頭言っておりまして、「自衛隊はつねに国民とともに存在する。したがって民主政治の原則により、その最高指揮官は内閣の代表としての内閣総理大臣であり、その運営の基本については国会の統制を受ける」ということを明確にこの「自衛官の心がまえ」の中に示しておるところでございます。  それで、さらに幹部、曹士ともにそれぞれの教育課程の中におきまして、精神教育であるとか訓育というような時間を設けておりまして、機会あるごとにこういう趣旨については徹底した教育を行っておるところでございます。
  185. 高井和伸

    高井和伸君 かなり生臭い話まで知った上官でないとなかなか指導ができないんだろうと思うんですね。  念のために聞きますけれども、政治活動の行為がいろいろ禁止されます。そのペナルティーたるや、いろんな厳しいペナルティーが科せられております。しかも、今おっしゃられました「自衛官の心がまえ」の中にも「一身の利害を越えて公につくすことに誇りをもたなければならない。」と、先ほど防衛庁長官がおっしゃったことがいみじくも書いてあるわけですね。これを指導できる上官というのはかなり政治的なレベルで習熟していないと、私は基本的に部下を指導できないんだろうと思うんです。そういった訓練は具体的にどうしているのかと、こういう質問です。
  186. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 先生おっしゃいますように、この点の教育の中身になりますと、まさに人格といいますか、そういう個人の人格を反映したような教育を行わざるを得ない面も出てこようかと思います。しかしながら、先ほど官房長からも答弁がありましたように、私ども、大きな意味の政治活動に関与せずというところは、国家公務員としての当然の枠が一つはめられております。  一方では、こういう常に民主政治の基本といいますか、そういうものに対して、隊員に基本を誤らせることがないように教育をするということで、これは各部隊の隊員に対する責任といいますのはそれぞれの教育部隊の教官なり学校の教官、そういう人たちの人格といいますか識見といいますか、そういうところに私ども依存せざるを得ない面があろうかと思います。
  187. 高井和伸

    高井和伸君 ただいまの答弁を聞いていますと、大変不安になります。自衛隊員たる者が政治的ないろんな判断をするときに、単に人格的なレベルだけで政治的ないろんな現象を理解できるわけがないわけです。政治的な民主主義のルールというのは、これは人間が長い紛争の歴史の中でつくり上げてきたルールなんであって、単に道徳的な人格、倫理的な人格というものではないはずなんですね。そこらに対する全く配慮のない答弁を聞くについて、自衛隊員の政治的な風景というのは大変寒々しい風景を私は感じます。  ちょっとそれは横に置いておいて、私の言いたいことは何を言いたいかというと、自衛隊員たる者はきちっとした心構え、日本を守るということができてないことには自衛隊員としてはこれは失格という言葉を使うと悪いかもしれませんが、立派な自衛隊員じゃないだろうと思うんです。そういったときに、簡単なことを言いますが、敵前逃亡罪的な刑罰は、自衛隊員がもしそういったことを犯しますとどのぐらいのペナルティーになりますか。  これは懲役七年でございます。答弁結構です。このくらいのスピードで出てこないようじゃ、これはもう日本の、本当に情けない、今の自衛隊。  最高刑は七年でございます、懲役または禁固刑で。旧軍においての規定はどうだったかといえば、旧軍の方おられますが、これはもっと厳しいものであったと思うんです。そういうペナルティーをやりまして、やはり日本国としての一つの組織として、自衛隊として力を持たなきゃならない、精神を持たなきゃいけないというときに、私、今のような答弁、今いろいろ半端な、時間がなくて困ったんですが、私の言いたかったのは、七年ぐらいの懲役あるいは禁固刑でいいんですかということを言いたかったんです。その前提たる政治的行為の制限に対する自衛隊最高の内局の方々の答弁状況を見ていたら、これは七年ぐらいにしないとかわいそうだと思うような結論になってくるということなんでございます。  防衛庁長官、もう時間がないものですから、ここら辺の議論のやりとりの中で、一つだけ防衛庁長官として安心してくださいよという言葉をいただきたいと思います。
  188. 中山利生

    国務大臣(中山利生君) 先生の御質問の御趣旨とかなりかけ離れた答弁が先ほどから行われておりまして、本当に申しわけないと思っておりますが、言いわけではありませんが、半面、こういうことが実際に幹部の人たちの記憶から消えているぐらい自衛隊の諸君がきちっと、整々と自分の任務を果たしている、そういう考え方もあるわけでありますし、私が接触をしております幹部の皆さん、また若い隊員の皆さん、それぞれ私が事前に想像したよりも以上に、非常に思想的にも堅固にこの仕事の任務に邁進していると私は感じておりますので、その点はこれから私もなお一層努力をしていくつもりであります。御安心をいただきたいと思います。
  189. 高井和伸

    高井和伸君 総務庁及び内閣官房長官に、まだ通告しておりませんが、共通の話題になりますのでお尋ねしておきます。  今国会冒頭における内閣総理大臣の施政方針演説にもございました、行政の分野に透明性、公正性を与える、昨今政治改革でも言われている透明性という言葉が盛られた決意が述べられました。私もいろいろ興味を持ってやってきた立場上、今まで私の得ているニュースによれば、三月中旬ごろに閣議決定を経て行政手続法及びそれに関連する整理法案が出てくるというふうに聞いておりましたところ、現在までのところ出てきておりません。そこらの経緯について、総務庁にまずお尋ねします。
  190. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 昨年末の行革大綱で本国会に提出するという政府決定をいただきまして、そして鋭意準備を重ねてきております。それで、三月中旬の時期からおくれていると、これは事実でございます。  行政手続法に盛られます内容が行政手続のまさに基本法であるということから、今回の法案の中にも大変新しい概念、法律的に詰めるべき事項というのはかなり多く含まれております。そういう意味でぎりぎりの法律的な吟味を重ねざるを得ないということが一点ございます。  それからもう一つは、この行政手続法を施行しますときに関係法律の整理法案というのが出るわけでございます。この行政手続法につきましての本法というものの適用について、適用除外するとか、あるいはまた行政手続法の規定と重複する事項を削除する問題とか、あるいは用語の整理とかいうものが含まれているわけでございますが、全省庁、全地方公共団体に関係します立法でありますだけに、関係します法律の数が、現在整理法の対象となっておりますのが約三百五十法ございます。  そういうようなこともありまして、この立案それから審査という作業が今かなりかかっておりまして鋭意進めているというところでございます。しかし、全体的には本法案につきましての作業は山を越えているというふうに申し上げたらよろしいと思います。あとむしろ各省庁の所管の本法の成立、施行に伴います関係法律の整理ということにつきまして、今各省庁の御努力をお願いしておるという状況でございます。
  191. 高井和伸

    高井和伸君 時間がありませんので、最後に総務庁長官及び内閣官房長官に決意を述べていただきたいということでございますが、ぜひとも従前の流れの中で成立を今国会で期していただきたいという立場でございます。  そして官房長官は、官房長官になられる前から興味を示されて、新聞紙上で成立を図るべきだということを強調しておられました。行政各部の施策に関する統一保持に必要な総合調整を任務とされる官房長官にもその決意を伺って、双方二人の大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。
  192. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この問題につきましては、行革審の答申のいわゆる「公正・透明な行政手続法制の整備に関する答申」に指摘されておりますとおりに、国内だけではなしに諸外国からもいわゆる公正・透明な行政運営の確保を求める声が出てきておるわけでございまして、公正・透明な行政手続を確立することが我が国のいわゆる行政に対する信頼を確保する、こういうふうな意味からもこの行政手続法の制定をすることが必要である、こういう認識を持っております。  今、行政管理局長の方から答弁をさせていただきましたが、精力的に作業を進めまして、できるだけ早期に法律案国会に提出させていただきたい、このように考えておりますので、どうぞ引き続いての御支援、御協力をお願いさせていただきたいと思います。
  193. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘のとおり、かねてから私は個人的にも行政手続法の存在に関心を持っておりました。現在、行政手続法案は、今総務庁長官からお話がございましたように精力的に作業が進んでおります。  本来、私どもは閣議の席で、予算関連でない法律案は大体三月の半ばをめどに法律案を全部準備をするという申し合わせをしておりましたけれども、この重要法案は先ほど局長がお話しになりましたようになかなか作業も大変でございます。そこで、三月十五日というめどをむしろ外しまして、若干月をまたいでもぜひ法律案としてしっかりとつくり上げて国会に提出をして、皆様方の御審議をいただいて何とか成立をさせていただきたい、かように考えているわけでございます。
  194. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 平成五年度の国家公務員の定員についてお伺いいたしたいと思います。  平成五年度の国家公務員の定員の増減審査結果を見ますと、削減数、減った数は平成元年までは一万人台で推移していましたが、平成二年度には九千人台、四年度、五年度には八千人台へとだんだん低下してきております。一方、増員は削減とは逆に増加傾向にあります。五年度は七千五十八人と、二年度よりも四百九十六人、平成四年度より三百四十六人増加しております。この結果、平成二年度まで三千人台を確保していた純減数は、平成五年度には三年度の二千四百九十九人の約二分の一である千二百十五人にまで低下しております。削減数の低下並びに増員数が増加してきているのはどのような理由によるのか、その理由を御説明願えればありがたいと思います。
  195. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) まず削減数でございますが、平成四年度から第八次定員削減計画というのがスタートをいたしております。定員削減計画は、昭和四十三年度から、あるときには三年、あるときには五年というように計画的な削減計画というのをつくっておりまして、平成四年度から第八次定員削減計画ということになっておりますが、現時点におきますこの厳しい定員管理の中での各省庁の厳しい定員事情というものを考慮いたしまして、平成四年度からの第八次定員削減計画は五年間で四・五二%という計画になっております。第七次定員削減計画の場合にはそれが五%ということでございます。したがいまして、削減数のトータルが減少しているということが一つございます。  この削減計画のもとで、原則として五年ですと五分の一を毎年削減していくということになるわけでございますが、第七次定員削減計画の場合ですと、その五分の一に当たります数といいますのが八千七百九十六人ということでございます。第八次定員削減計画のこの五分の一といいますのが七千八百十人ということでございまして、この削減計画の中で削減数が約千人の減になっているということでございます。  それから、もう一方増員の関係でございますが、増員につきましては新規増員を極力抑制すると、そういう方針の中でございますが、国際化の進展への対応あるいはまた国民から信頼されます公務サービスの充実ということ、そういうことがございまして、この増員につきましてもいろいろな配慮を行う必要があるということで増員数の増加というのもあるわけでございます。
  196. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 国家公務員の定員につきましては、何が何でも削減すればよいというものではなく、行政のサービスの水準をどう維持していくかの観点からやはり論議をしなければならないと考えます。非現業部門において純減を確保することが難しいという実態があるなら、その実態に合った定員管理が必要だと考えます。非現業部門に関する定員管理のあり方を見直すお考えはありますか。
  197. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 国家公務員の定員は、非現業それから現業とあるわけでございますけれども、非現業、現業を問わずその総数というものを抑制をする、そして行政需要の変化というものに対応しまして適正な定員配置を行っていくという、そういう基本の考え方があるわけでございます。  それで、今の定員管理の基本といいますのは、各省庁のいわば定員につきまして要合理化部門からこの削減というものを行いまして、そしてその削減数を観念的には一度プールいたしまして、そのプールしたものを原資としまして、そして新しい行政需要に対応する増員を配り直す、そういうような図式のものでございます。そういう図式のものにつきましては、これは歴代内閣の厳しい定員管理の方針のもとでございますけれども有効に機能しているというふうに考えております。そういう基本的な仕組み自体につきましては、これを特に直さなければいけないというようには考えておりません。
  198. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 国家公務員の定員削減は、昭和四十三年に総定員法が施行されて以来、今日まで二十六年間にわたって実施されてきました。しかし、最近五カ年間の純減の推移を見ますと、まず非現業では昭和六十三年度にはマイナス八百十三人、平成元年度マイナス九十三人、平成二年度マイナス四百八十三人、三年度マイナス三百二十四人と、いずれの年度もマイナスで推移してきたわけですが、平成四年度には逆に百五十二人、五年度には三百十六人の増員となっております。さらに、現業の純減数を見ても、昭和六十二年度二千六百三十七人、昭和六十三年度二千八百四十二人、平成元年度二千九百七十六人とされてきましたが、平成二年度には二千六百六十五人、平成三年度二千百七十五人、平成四年度千五百二十四人、五年度千五百三十一人と減少傾向にあります。  定員削減の供給面に大きな役割を果たしてきた現業部門が、数次にわたる定員削減の結果そろそろ底をついたという実態が見られます。加えて、平成四年度、五年度の増員要求基準が前年度マイナスシーリングの原則から前年度の増員要求数と同数とされたことは、定員削減は限度にきていると考えます。私は、現在、外交とかあるいは国立医療機関、国立学校を初め法務、労働等の各方面にわたって定員の強化が叫ばれ、これらにどのように対応していくかということを考えると、定員管理が極めて難しいところにきている、そういう実態をあらわしていると思います。また、第八次定員削減計画は、国民の行政に関するニーズを的確にとらえて作成されたものかどうかも疑わしいと思います。  こうした点から、私は、国家公務員の第八次定員削減計画の実施にはかなり無理が出てきているのではないかと思います。社会情勢が変化して、行政に対する国民のニーズが多様化してまいりまして、既定定員では行政サービスに限界がきているのではないか。さらに、国家公務員の完全週休二日制の実施によって労働過重となってきている実態などからすれば、今後、各省庁とも実態に合わせて多くの新規増員を要求してくることは間違いないところだと思います。  こうした実態があるにもかかわらず、総務庁長官は八次定員削減計画を実施されるのか、それとも国民の行政のニーズなどを見きわめ弾力的な定員管理を実施されるのか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
  199. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 先生の今御指摘なされました諸点といいますものが、今定員管理の中で考えなければならない基本のことがかなり含まれているわけでございます。全体としての定員の状況というものの合理化を進めていくということと、それから新しい行政需要の部門についてはやはり積極的に対応していく、そういうことでございます。削減数の減少のこと、それは冒頭に申し上げたとおりでございます。  それから、増員につきましても、国民生活の行政の充実ということからいって必要な面にはやはりきちっと対応していくということでございます。平成五年度の中でも、例えば増員数が従来ともこの措置をしてきているもの以外に、さらに、関西新空港の発足といいますか、そういうものを控えました増員というものもかなり含まれております。そういう削減計画、それから年々の増員という、そういう仕組み自体はやはり維持されていかなければならないと思います。  行政の中には、やはりそういう自律的な調整のメカニズム、プライスメカニズムのようなものがありませんので、したがいましてこういう仕組みというものは大切なことであるというふうに考えておりますけれども、そういう考え方のもとでやはりきちっとした、先ほど先生が御指摘になっているようなところに対しての積極的な対応というものはしていかなければならない。いわばそういうことの結果が、先生が冒頭に言われました平成四年度の数値あるいは平成五年度に予定しております数値にあらわれているというふうにお考えいただいたらよろしいのではないかと思います。
  200. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 今度は、障害者対策に関する長期計画について政府のお考えをお伺いしたいと思います。  政府は、昭和五十七年三月に障害者対策に関する長期計画、さらに昭和六十二年の六月に障害者対策に関する長期計画後期重点施策を策定し、障害者対策の総合的かつ効果的推進ということをやってきているわけですが、具体的にどういうふうにこれを実行しているのか、ぜひ官房長官にお答え願いたいと思います。
  201. 高岡完治

    政府委員(高岡完治君) 官房長官がお答えになります前に、事務的に若干申し上げたいと思います。  大きな流れといたしましては今先生仰せのとおりでございまして、ちょうど国際障害者年が始まりますときに国連の方から、国家計画を定めて障害者対策を推進していくようにという要請といいましょうか、勧告が各国に対して行われたわけでございます。それを受けまして、現在十年目を迎えます現行計画を各省ともに協力をいたしまして策定をさせていただきました。  その結果について、実はことしの一月に、中央心身障害者対策協議会というのがございますが、これはいわば政府とそれから民間有識者の方々との混成会議でございます。そこで実際の施策の状況を見ながら、これからどうするかということについて総理大臣あてに意見をまとめていただいたわけでございます。そこで言っておられますことは、かいつまんで申し上げますと、この十年間の評価ということにつきましては、手前みそになって恐縮でございますけれども、各分野において制度の創設、改正等を含めて着実な施策の進展が見られ、そして成果が上げられてきたと評価することができると。大変評価をいただいておるところでございます。  しかし、今後に残された問題としてどういうものがあるかということで、実は二つの問題点が指摘されております。一つは、福祉、教育、それから雇用、生活環境等の施策の相互連携の面において不十分さがあるということが第一点でございます。それから第二点目といたしましては、障害の重度化、重複化、それから高齢化の進展、こういった問題について新しい課題が提起されてきているではないか、これの対応が現行計画では問題になるのではないか。そこで、この二つの問題点を踏まえまして、さらに今後おおむね十年間の期間で新しい長期計画をつくるべきではないかという意見を総理大臣あてにいただきました。それを受けまして今週の月曜日でございますが、障害者対策推進本部におきまして新しい長期計画を先生御指摘のとおり策定させていただいたわけでございます。  それで、先ほどどういうふうにしてやっておるかということでございますが、この障害者対策推進本部は各省の事務次官、そして本部長が総理でございます、副本部長がここにおられます官房長官と厚生大臣というこういう構成になっておりまして、各省庁の連携をとりながら進めていこう、こういうことになっております。  具体的に十年間でやってまいりました施策といたしましては、例えば身体障害者福祉法の改正でございますとか、あるいは障害基礎年金制度を国民年金に新しく設けたとか、雇用促進の関係についての法律改正をやりましたとか、あるいは精神保健法についての改正をやりまして、人権の擁護、社会復帰の促進、こういった点について所要の法律改正等々のことをやってきたわけでございます。それが先ほど御紹介申し上げましたような中心協の評価というふうにつながってきているのではないかと思います。こういうことを十分踏まえながら今後とも一生懸命頑張っていきたいと思っております。
  202. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 詳細政府委員から御答弁をさせていただいたわけでございますが、政府が掲げております生活大国づくりという大きな目標がございます。この生活大国づくりに向けて障害者の皆さん方にいわゆる完全参加といいますか、積極的に一緒になっていい社会をつくろうという精神でこの問題には誠心誠意取り組む決意でございます。  今、政府委員から御答弁をいたしましたが、私自身のごくごくささやかなことをイメージをわかっていただきたいためにちょっと申し上げたいと思います。  目の御不自由な方々が今から十年ほど前に何人がお集まりになりまして、目の御不自由な方はどうしても運動不足になりがちだと、したがって目の御不自由な方々が集まっていわゆるジョギングといいますかマラソン大会を開きたいと、こういうお話がございまして、目の御不自由な方々でございますから、当然一定の長さのひもを輪にして、健常者がその輪の片方を持って、もう片方を目の御不自由な方が持ってマラソンをやる、五キロを走る、十キロを走る、そういう大会をまずスタートをさせました。十一年前のことでございます。  毎年毎年そのマラソン大会が続きまして、だんだん参加をなさる方が多くなりました。この大会は何といってもボランティアが積極的に集まっていただかないとできないわけでございますが、大変多くのボランティアにも参加していただいてだんだん大きな大会になりました。十年目を迎えて、目の御不自由な方だけのマラソンではなくて、健常者の、つまり一般のマラソン大会に目の御不自由な方々が参加をして一緒に競技をするという、そういうところまでいきたいという御希望がございまして、昨年の秋でございますが、九州で健常者のマラソン大会にその十年間の積み上げとして目の御不自由な方も一緒に参加をして四十二キロを走るという大会がございました。  これから先、恐らく健常者の方々とそうしたハンディキャップをお持ちの方々がだんだん一緒になって大会を開くということになっていくんだろうと思いますので、そうした方向に進めることが理想ではないかと。もちろん、ハンディキャップをお持ちの方々はお持ちの方々でそういう方が参加できるいろいろなものももちろんございますが、それだけでは十分ではない。さらに一歩踏み込んで健常者と一緒にいろんなことができる。ただ、そのためには町づくりも変えていかなければなりませんし、変えなければならない、改善、改良されなければならないものはたくさんございます。そうしたことを幾つかの分野に分けまして、これから十年、そうした改良、改善を加えていきたい。こんなことを考えているところでございます。  不十分な御答弁で恐縮でございますが、冒頭申し上げましたように、生活大国づくりの大きな柱と考えて一生懸命取り組んでいく所存でございます。
  203. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 我が国がいわゆる経済大国、エコノミックスーパーパワーになったんですが、そういう身体障害者もやさしく暮らせるような本当の意味での生活大国になるようにあらゆる努力を政府としてもやっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  204. 守住有信

    委員長守住有信君) 他に御発言もなければ、これをもって平成五年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議国際平和協力本部宮内庁北方対策本部を除く総務庁防衛本庁防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 守住有信

    委員長守住有信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  206. 守住有信

    委員長守住有信君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鹿野総務庁長官
  207. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内客の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額を増額すること等により、恩給受給者に対する処遇の適正な改善を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。  これは、平成四年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額を、平成五年四月分から、二・六六%引き上げるほか、七十五歳以上の者に係る普通恩給及び普通扶助料の最低保障額、並びに傷病者遺族特別年金の年額について、さらに引き上げようとするものであります。  その第二点は、寡婦加算及び遺族加算の年額の増額であります。  これは、普通扶助料を受ける妻に係る寡婦加算の額を、平成五年四月分から、他の公的年金における寡婦加算の額との均衡を考慮して引き上げるとともに、遺族加算の額についても、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、同年四月分から、公務関係扶助料受給者に係るものにあっては十二万一千九百円に、傷病者遺族特別年金受給者に係るものにあっては七万五千二百五十円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  208. 守住有信

    委員長守住有信君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      ――――◇―――――