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1993-05-19 第126回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月十九日(水曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 永田 良雄君                 野村 五男君                 瀬谷 英行君                 村田 誠醇君                 矢原 秀男君     委 員                 井上 章平君                 石井 道子君                 泉  信也君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 清水 達雄君                 関根 則之君                 野沢 太三君                 藤田 雄山君                 梶原 敬義君                 清水 澄子君                 谷本  巍君                 種田  誠君                 村沢  牧君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 山田  勇君                 西山登紀子君                 笹野 貞子君                 西川  潔君                 武田邦太郎君    政府委員        国土庁土地局長  鎭西 迪雄君    事務局側        常任委員会専門        員        駒澤 一夫君    参考人        明海大学不動産        学部長        財団法人土地総        合研究所理事長  石原 舜介君        財団法人建設経        済研究所常務理        事       長谷川徳之輔君        東海大学開発技        術研究所教授   秋山 政敬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関  する調査  (土地利用計画土地税制に関する件)  (地価動向土地政策に関する件)  (今後の都市整備のあり方に関する件)     ―――――――――――――
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査のため、本日、明海大学不動産学部長財団法人土地総合研究所理事長石原舜介君、財団法人建設経済研究所常務理事長谷川徳之輔君東海大学開発技術研究所教授秋山政敬君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。  この際、参考人方々に御礼を申し上げたいと思います。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、ここに御意見を聴取することができますことについて、委員会を代表いたしまして厚く感謝を申し上げる次第でございます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の調査参考といたしたいと思います。  本日の議事の進め方でございますが、まず石原参考人長谷川参考人秋山参考人の順序でそれぞれ二十分程度意見をお伺いいたします。その後、二時間程度質疑をいたしたいと存じます。  本日は、あらかじめ質疑者を定めないで、委員には懇談会形式で自由に御質疑をいただきたいと思います。質疑を希望される方は挙手を願い、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。なお、意見の陳述、質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより石原参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。石原参考人
  5. 石原舜介

    参考人石原舜介君) ただいま御紹介いただきました石原でございます。  それでは、お手元に差し上げておりますレジュメに従いまして私の所見を述べさせていただきます。  なお、ちょっと前に講演した「生活大国実現に向けて」という講演の要旨をまとめたものがございますので、これはまた御参考にしていただければと思うわけでございます。  まず初めに、現在の土地対策を行っていく場合の基本的な姿勢といいますか、それがどういうことかということについて私なりの考えを申し上げます。  まず、何といいましても、今まで地価が大変高騰いたしまして勤労者方々がとても住宅取得することができないような高ねの花というような状態にありましたので、これに対します緊急措置というのがいろいろ行われ、そしてそれに伴いましていろいろな関連対策が続いて行われてきたことは御承知のとおりでございますが、しかし、昨年、一昨年あたりからぼつぼつ地価がその効果として降下し始めまして、東京圏では、本年の一月一日の公示価格におきましては、昭和五十八年を一〇〇としたときには一九四・二と、昨年より一四・六%の低下を示しております。まだ商業地の方は若干高いようでございまして、二五七・四ということで、住宅地に比しましてはまだ不十分な状態にあろうかと思います。  宮澤内閣で示されておりますのは年収の五倍程度住宅取得できるようにというようなことで考えておられますが、それには若干まだ所得との開きがございますけれども、ほぼそういうことに近づいてきたということが言えるかと思います。いろんな資料その他から考えまして、特に住宅地につきましては本年の終わりか来年あたりには大体底を打つだろうというふうに考えられておりまして、その年収の五倍程度住宅取得することが一次取得者において実現可能性を持ってきたということが言えるかと思います。  こういうように地価がある程度安定化といいますか下落し、そして一応の目的が達せられてきた段階で、ここで基本的な姿勢土地対策というものを見直してはどうかというふうに考えるわけで、緊急措置としてとられていた内容を再検討され、そしていろいろな側面から土地というものをもう一度見直していく必要性があるというふうに考えまして、いろいろこれから申し上げる意見をまとめたわけでございます。  まず、何といいましても、土地というものの価格はよく需給のバランスによって決まるとかいうふうなことを言われますが、土地対策といたしましては、宅地供給というものを積極的に行わないとやはり本質的な解決にはならないように思うわけでございます。  現在、幸いといいますか、大都市地域における住宅及び住宅地供給促進に関する特別措置法が改正されまして、そして建設大臣大都市地域におきましては供給基本方針を定めて、それに基づいて各都道府県知事供給計画を作成することになっておりますのは御承知のとおりでございます。これに基づきまして各都道府県が現在供給計画を策定しておるわけでございますが、私も東京都の関係で一部関与いたしましたのですけれども、東京の場合に、必ずしも実現性という点ではこれはちょっと疑問に思う面があるわけでございます。  というのは、数字だけは一応合わせるんですけれども、一部には民間建設に期待している点が多々ございまして、特に二十三区内の住宅供給に関しましては、沿道開発だとかあるいは再開発の二号地区とか、こういうようなところに住宅供給したいということで住宅マスタープランというものを作成いたしまして、それを都市計画の整・開・保と申しますけれども、整備開発、保全の方針に基づきまして住宅マスタープランというものを位置づけてやっておりますが、実際にそれだけの住宅供給目標年次までに実現可能かということになりますと、とても事業化への足がかりが、公共団体自身が行う場合には可能性がありますけれども、民間の場合にそういうことをやってもらいたいという希望はわかるんですけれども、なかなかそこが十分フォローされていない点が供給面において問題ではないかなというふうに思っております。  ですから、ここを強化していく施策をまず考えなければいけないんだろうということで、この住宅供給自身にある程度魅力を持たせるというふうなことをするためには一体どうしたらいいかということで、当然のことでございますけれども、融資制度自体にしましても、特別の措置だとか税制上の優遇措置だとかいろいろそういうふうなこれをプッシュするような施策をこの際考えていかなければいけないんじゃないか。だから、確かに供給計画はできました、できましたけれども、じゃどうかということになりますと、そういうような意味でのフォローがないということでございます。  それからまた、特に市街化区域内農地宅地並み課税に伴います宅地化の問題でございますが、これは非常に住宅供給の面から見ますと魅力のある用地でございます。これを非常に計画的に誘導する方法を、建設省の方でも新しい方策としまして中層の住宅が建てられるような制度を導入したりいろいろやっておられますが、ところが、残念なことにこれがなかなか生産緑地が介在しまして必ずしも一体化していない。こういうものをもう一度区画整理を、促進区域ぐらいをかけましてそして再整備しながらやっていくことが可能性があるかどうか。これは農業の方から見ますと、とてもそういうものに応じ切れない、自分の命まで耕していた土地を統廃合することはできないというふうなことがございますので、この点などもいわゆる健全な市街地形成へ結びつけるようなうまい方策を考えてもらいたいなというふうに思っております。  時間の関係がございますので、少し先に飛ばさせていただきます。  そういうようなことがいろいろございますが、そういう中で、私は住宅建設戸数というのに余りにもいろいろこだわりがあるような気がしてならないわけでございます。  我が国の住宅建設戸数というのは百四十万戸では少ないとか多いとかいろいろ言われますけれども、現在百四十万前後の建設戸数でございますので、千人当たりで直しますと一一・何ぼというふうな戸数になります。これで諸外国と比較しますと、アメリカあたりの大体三倍近い値になっているというふうなことでございます。  なぜこうなるかといいますと、新築戸数のうち実は半分、約六割近くまでが建てかえでございます。ということは、今まで建っていた建物をつぶしてそして新しく建てる、それは確かにいいことかもわかりませんけれども、これは資源むだ遣いでございます。もう少しここら辺を考えまして、資源を有効に使うためには、こういうものがローテーションをする、いわゆる国家の資産として活用できるような形にしていかないと、ストックとして有効に働くようにしないといけない。そのためには買いかえということを相当積極的に進めなければいけないわけでございまして、住宅買いかえ特例というのが緊急措置として一応廃止され、そしてことしから制限を加えて復活しておりますけれども、私はこれはぜひひとつ復活してもらいたいというふうに思っております。  それから、そういう中で特に私が希望いたしますのは、東京の場合に、都心近くの居住者が老齢化してきております、そしてこの人たちが住まいを変わるというときには非常に価格が高いものですから非常に難しいわけでございますが、こういう点で、六十五歳以上の方でもう十年も二十年も住んでおられる方に対しましては譲渡益に対します課税をしないというふうなことにして、そして新しいマンション等に住んでいただいて、そして平屋とかそういうところで住んでおられた空間をあけてそれを多くの人たちが住めるような住宅用地として供給できるようにしていってはどうだろうか。その人たちはいずれもう十年か二十年すれば亡くなるわけでございますので、そのときに相続税を取ればいいわけでございますので、何もそういうときに譲渡所得税を取る必要はない。  そうすると、こういうふうなライフスタイルの変化に伴います住みかえというものが逐次行われるようになればなるほど我々の住の質が向上してくるというふうなことで、特に高齢者の場合には、こういうような資産を持っておられる人たちはそれを余生を送る一つの資金にしていただければ非常にいいんじゃないかというふうに思うわけでございまして、そういう点から、買いかえ特例というようなことは一般的にも必要でございますし、特に高齢者に対しては無税ということで、これは買いかえ特例ではございませんで買う資産が仮に売ったものより低くてもこれは課税しないというふうなことにしていただきたいなというふうに思うわけでございます。  それから、先を急ぐようでございますが、税制につきましてちょっと申し上げたいのは、この買いかえ特例のほかに、特に公共用地取得に伴います問題点でございます。  これは、現在のところ、土地収用等を行いましても代替地を要求される場合が非常に多いわけでございます。公共施設整備をしていくためには用地取得が何としても避けられない大きな課題でございますが、代替地の場合に、代替地を先行取得するときの基礎控除額が低過ぎちゃって、収用対象になれば五千万までの基礎控除がございますけれども代替地の場合にはその対象にならないということなので、これは地方公共団体用地を先行取得する場合には収用と同じような扱いにしてもらえないか。そうすると、その代替地自体を相当先行的に取得できるんじゃないか、そういうことを種にして土地整備を図っていくことができるというふうに考えております。  それからまた、地価税自体に関しましては、私はこれは資産税というふうに理解しております。というのは、私もこのときちょうど税調の委員をしておりましたが、そのときの議論の一部には、消費所得資産、この三つのものについてのバランスを図るということで、特に土地に対する資産としての有利性、預金とかあるいは株とかこういうふうなもので資産の形態をなすものとの対比においてこれが非常に保有のコストが低過ぎるということがこの地価税の一番原因だったというふうに思うわけでございます。そのために土地へ投資をされる方が非常に多いと。  そういうことから考えますと、現在のように特定の何か企業にねらい撃ち的なものになってしまっているというのはちょっとおかしいんでございまして、資産課税であるならばこれは広く薄くかけていただく方がよろしいんじゃないか。だから、これはその対象をもう少し考えていただきたいというふうに思っております。  そのほか、相続税の問題などにしましても、今回の問題でいろいろ出てまいりますのは価格要件だけでございますが、相続の問題は、それを多少、住宅だとか中小企業の店舗だとか、こういうふうなものに面積要件を入れたらどうか。そうしないと仕事を親から譲ってもらって継承していくことが非常に難しいということで、中小企業の経営が大変に困難な場合が生じますので、そういう点もひとつ配慮していた。だけないかなというふうに思っております。  それから、監視区域制度が非常に問題になっておりますが、監視区域制度というのは、確かに法律上は、地価の急激な上昇のおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用確保が困難と思われるような地域にかけるし、それから期限がついております。そういうことで、監視区域制度というものはやはり緊急措置として必要だというふうに理解されております。  実際に私も不動産取引をしてみまして、取引透明性を高めるためには、この監視区域に類似した届け出制度にして何かやはり公的にスクリーンをかけた方が取引をするのに安心感がございまして、消費者の方も、非常に高いものをつかまされるんじゃないかとか、あるいはこういう値段で売るということは例えば業者の方がつまり安く値踏みしているんじゃないかとか、そういうふうなことなんかもこういうような届け出制度が非常に有利だったと思いました。  そういう点から考えまして、これをやめるのであれば、監視区域制度と言わないまでも、何かこれにかわる届け出制度というものを継承していただきたい。その場合の面積要件なんかも、この監視区域制度と同じように細かくしたものにしていただきたいなというふうに思っております。  時間も参りましたので、一応私はこの程度にとどめまして、御質問に応じてまたほかの問題にも触れたいと思います。
  6. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ありがとうございました。  次に、長谷川参考人にお願いいたします。長谷川参考人
  7. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 建設経済研究所長谷川でございます。  私は、地価動向土地政策ということで私の意見を申し上げたいと思います。  レジュメを準備しましたので、レジュメ図表等を中心に御説明を申し上げます。  最初に、立場でございますが、土地住宅問題を論議するときにどうしても実は立場が優先してしまう。お役所の立場民間立場会社立場、銀行の立場、いろいろな立場がありますが、しかし立場というものは、すべての場合に個人生活という視点が私は絶対必要だと思っております。しかし、今までの論議というのは、実はこれは、端的に申し上げれば、自分会社にとって損か得かということが、税制にしろ土地神話にしろ、あらゆる場合の判断の基準になりました。事土地住宅問題に関しては、組織あるいは会社にとっての損か得かということではなくて、個人生活にとって望ましいか望ましくないかという判断で物を決めるべきだというふうに私は思います。  その意味で、私は、個人生活生活者視点で物を評価して考え方を述べたいというふうに思います。  最初地価動向についてですが、私は、地価動向を見ると、今、構造的変化が起こっているというふうに思います。  そのあたり図表で見ていただきますと、四ページ目が地価公示による住宅地地価の変動でございます。詳しくは申し上げませんが、東京圏大阪圏、それから東京都の区部等数字を挙げてございます。東京都の区部では昭和五十八年に比べて六十三年に三倍に上昇し、それから大阪圏では平成三年にほぼ三倍に上昇し、東京圏では同じく平成三年に二・五倍に上昇する、こういう経過でございますが、ここで私が見ていただきたいのは、三年も四年も実はバブルが続いたということでございます。  大阪圏の場合には実は急上昇して急落しています。本来、東京の二十三区も急上昇して急落すべきはずでございますが、残念ながら、実はこの六十二年、六十三年に大変矛盾した政策がとられた結果、そのバブル崩壊が長引いてしまったというふうに私は思います。  昭和六十二年、そこに書いてございますとおり、ブラックマンデーの前後に株価も下がり地価も下がったわけでございますが、実はそこでとられた政策は、一方で土地臨調を発足し監視区域を導入するという対策をとりながら、他方で、六兆円の緊急経済対策を実施し、公定歩合を二・五に下げ、NTT株大量発行をするというバブル経済が同時並行的に進んだ。これが実はバブル崩壊のシグナルを見失って三年も四年も続いてしまったということで、実は政策整合性ということが欠けていたのが非常に大きな原因ではなかったかということをこのグラフは示しております。  五ページの図の2が商業地でございまして、同じような傾向でございます。  それから、六ページの図の3は、実はこれは少し日本全体に目を転じて、都道府県別平均地価動向縦軸グラフにしてみました。北海道から沖縄まで、住宅地の一平方メートル当たり値段幾ら幾らになったかという数字を出してみました。これは一九八〇年、八四年、それから一番高いとき、それから平成四年、この四時点県ごと地価水準を見てみました。  そうすると、一番黒いところ、一番下が昭和五十五年、地価高騰前でございますが、この時点で見ますと、東京が大体十八万円ぐらい、東京周辺の埼玉、千葉、神奈川が大体九万円ぐらい、大阪、兵庫、京都が大体九万円か十万円。この東京とその周辺大阪とその周辺を除きますと、北海道から沖縄までほとんど四万円から五万円という数字でほぼパラレルでございます。  この時期の地価は大変に高かったのでございますが、私はかなり合理性があったと思います。  この水準でもって住宅価格、ここでは二百平米の敷地に百平米の床面積戸建て、それと八十平方メートルの敷地に八十平方メートルの床面積マンション、この値段を計算しますと、昭和五十五年、一九八〇年には、東京では戸建てが四千六百万円、地方では二千六百万円、マンション東京で二千四百万円、地方で千四百万円、こういう数字でございました。これがピーク時、東京では百二十万、大阪では六十万になるわけでございますが、このピーク時で計算しますと、東京では戸建てが二億八千万円、地方では三千六百万円、マンションでは東京では一億二千万円、地方では二千六百万円という計算になります。今度は一九八〇年の時点をごらんいただきますと、実は東京マンション地方戸建てが同じ値段でございます。こういうことは実は大変リーズナブルな地価水準だというふうに思います。  ところが、そのピーク時には東京地方で、戸建てで八倍、マンションで五倍の差が出ております。世の中の商品に、地域によって五倍、十倍差のある商品はございません。同じ自動車が東京で二千万円、大坂で二百万円するわけがございません。  これはアベレージの住宅でございますから、少なくとも私は、この一九八〇年というような水準合理性がある、そういうふうに合理的な地価形成が図られるべきだと思いますが、残念ながら、実はこの地価高騰の結果、大変地域的に矛盾した地価形成になっているというふうに思うわけでございます。  さて、こういうことで地価動向を見ていただきましたが、この地価動向を少し見てみますと、一九五五年から一九八五年まで、昭和六十年までの三十年間に私は土地神話ができてしまったと。これは、地価上昇率が常にGNP所得や金利より高いという時代が三十年続きました。その結果、我々に土地神話が定着してしまいました。そして、一九八五年から九二年はこの土地神話が極端に実は増殖した時代でございまして、大変矛盾した時代でございまして、バブルが極限までになって壊れた時代でございます。  これからは、実はこの三十年続いた土地神話、三十五年続いたというそのゆがんだ経済というのが崩壊しまして、私は、経済地価が均衡した状況、収益に応じて地価が形成されるというごく当たり前な状況になっていくというふうに思っております。  それを七ページの図でごらんいただきます。  七ページの図は、これは昭和三十年から平成四年までの間の地価GNP関係を示しております。上の線が地価、下の線がGNPでございます。  昭和三十年から昭和六十年の三十年間、地価は五十六・一倍に上昇しております。GNP名目GNPで三十七・七倍であります。そうしますと、実はこの三十年間、地価も大変上昇しましたが、GNP上昇しました。したがって、時間を置いて必ずGNP地価に追いつくという関係がございました。言ってみれば、時間差でもってバブルが消えるという関係にございました。ここに実は、必ず最初に買った方が得だ、必ず売れるという土地神話が生まれたわけであります。  ところがこれが、六十年以降を見ますと、昭和六十年から平成三年にかけて地価が五十六・一倍から百七十二・二倍に上昇しました。GNPは三十七・七倍から五十三・五倍。実はここにこれだけの格差ができます。この格差を従来どおりの成長率で埋めようと思えば何年かかるかということでございます。この百七十二・二に五十三・五という水準が追いつくには、経済成長は合せいぜい四%、賃金もせいぜい三、四%でございますから、その水準でいけば実に二十五年という年月がかかります。二〇一五年にならないとこのGNPが上の地価に追いつかないわけでございます。  実はここにバブル崩壊した原因があるわけでございまして、かつてのように地価経済が追いつくという関係ではなくて、経済生活の方に地価が追いつかないと経済は機能しない、こういう時期になったというふうに理解すべきですし、今バブル崩壊地価が急落したのもまさにそういうことに基本的な原因があるというふうに理解すべきだと思います。  さて、こういう構造的変化が起きた状況での土地対策でございますが、最初の一ページ目にお戻りいただきまして、私は、土地政策の目的というのは個人生活の質を向上することだし住宅と住環境を改善することだと思います。昨今の不況から経済生活かとかあるいは景気か土地かという選択を迫られますが、私は、土地対策が講じられ住環境が整備され住宅があって初めて経済も成長するわけでございますし、経済生活も同時に達成するでしょうし、景気も土地も同時に達成するでしょうし、相矛盾するものではないと思いますが、最近ともすると景気対策のために土地政策が後退してもいいというふうなムードがございますが、しかし私は、それは非常に近視眼的な視点だろうと思います。  土地政策の総合性、整合性でございますが、土地政策というのはいろいろな視点が重なり合ってその政策が行われます。その場合に、実は基本的にそれらは同じ方向を向いているという総合性と整合性であります。一、二年の短期的には監視区域の設定、不動産金融規制による緊急避難的な公的介入、これによって仮需、投機を抑制するということにしました。中期的には土地税制をしっかり立てて土地制度の枠組みを設定します。現時点ではこの時期まで来たわけでございます。この四、五年でこの時点まで来まして、これからは実は長期的な都市計画住宅宅地の計画的供給ですが、にわかに都市計画宅地供給ができるわけではございません。これを安定的、計画的に実施するしかないわけでございます。  この三つの時間的な流れに従った整合性を持って方向づけていくべきで、これを後戻りしたりするのは大変まずいことだというふうに思います。  この意味政策についての評価をさせていただきますと、短期的な監視区域、これは時限的な緊急措置で実際的には役目を終えたと私は思っております。石原先生もお述べになりましたように、やはり土地情報の収集、公開の手段として、市場をクリアにする手段として利用していくべきだと思います。不動産金融規制、これは既に発動され解除されておりますが、これは基本的にはまさに緊急措置でございまして、その対応は的確であったというよりむしろ発動が非常に遅かったという点を私は危惧しておりますし、これからも機動的に発動し得るという余地を残していくべきだろうと思います。仮需の抑制には、最大の効果は実は不動産金融規制でございます。これの効果というのは絶大でございますので、これについて地価の監視等に機動的に発動し得る余地を残していくべきだというふうに思います。  さて、土地税制でございますが、地価税、これは一面大変評判が悪うございますが、私はこの地価税についてはもう少し大所高所から考える必要があると思います。自分企業にとって損か得かという視点ではなくて、大所高所から考えていく必要があると思います。  この地価税は、土地税制の改革の象徴でございます。土地資産としての有利性を縮減して有効利用を促進するということでございますが、実は一番の効果は地価公示の一元化を図るということでございます。  この地価税によりまして、税制課税標準が地価公示の一定割合、八割ということになりました。八割に対して課税をするということは、実はこれはバブルに対して課税するということでございます。バブル課税をしたのでは、実は収益では支払えません。したがって、バブル課税することによって現実には収益によって支払える水準まで地価が下がらざるを得ない。地価税というのはこういう効果が実はございます。非常に逆説ではございますが、バブル課税をして結果的にバブルを消すということでございますが、その役目を実は私は果たしていると思っております。  今〇・二%、ことしからは〇・三%ですが、この程度地価税企業の収益を圧迫するというのは、いかに実は収益性がないかということ、地価が高過ぎるかということでございます。〇・二%、〇・三%の収益の上がらない土地というのはいかにも収益が落ちるわけでございます。それを実ははっきりさせたということが地価税の大きな目的でございますし、これは今度の地価税の発表に、よってはっきり企業も認識したはずであります。問題は、地価が高過ぎるから地価税の負担が重いんだということをしっかり認識すべきだろうというふうに思います。  固定資産税との二重課税の問題、これが実はございます。パーフェクトな制度ではございません。  私の理解では、固定資産税改革へのインセンティブになりまして、いずれ固定資産税の改革がきちっとできるはずでございます。地価税の機能が固定資産税に引き継がれるはずだというふうに思います。その引き継がれることが早ければ早いほどいいわけでございますが、固定資産税の持ついろいろな問題から地価税がしばらくの間その役を担わざるを得ない、こういうふうな状況だと思います。さらに、地価税というのは、所得消費資産バランスということであれば、実はこれは減税財源にこそ充てるべきだというふうに私はずっと理解しております用地価税はそういうことでございます。  それから、次の問題は不良資産の問題でございます。  これからの最大の問題は不良資産の問題であります。不良資産はどのぐらいかわかりませんが、在庫としての不良資産は百兆から百五十兆だと思います。六カ月以上利子が滞納している不良債権は十二兆円、回収不能は四兆円と言いますが、実際には私はもっと多いと思います。これはオープンにしませんからわかりません。  もし百兆円の在庫とすれば、これは九州全土の宅地資産額に匹敵します。九州全土の宅地が買える値段になります。そして、二戸四千万円のマンション土地代を半分にしますと、百兆円の土地というのは五百万戸に相当する在庫になります。実に巨大な在庫圧力でございます。この土地が虫食い、不整形、高地価、非採算、こういう状況で町中に放置されております。これはほっておけば腐ってしまいます。  今、共国債権買収機構は、土地ではなくて債権を買い取って、とりあえず右から左手に移して帳簿の処理をしようというふうに考えておると思いますが、私は、不動産不況の解決、それから経済の再建には、この不良債権、不良資産をどう有効利用してどう住宅地に充て、どうビルを建て、これをアフォーダブルな水準値段でもって消費者供給していく、こういうプロセスが最も必要だと思いますが、残念ながら世の中は、当面損したくないということで損を先送りにし、なおかつ土地を塩漬けにして、実は事態を悪くするだけです。  実は積極的な対応が私はどうしても要ると思います。その場合にある程度ゼロクーポン債によって買収するなり何なりして公が何らかの形で介入し、これを積極的に有効利用する手段をとらざるを得ないというふうに理解しております。  それから、住宅宅地の計画的な供給でございますが、市場を活性化する最大の条件は、住宅価格消費者のアフォーダブルな、要するに購入可能な水準に回帰することでございます。年収五年分の住宅供給が質の向上、高遠狭の解消ということを伴いまして建築空間を拡大し、付加価値を高め、経済を振興し、そして住宅、住環境を改善するということにいくことによって、市場は活性化し、経済は機能するはずであります。  今、例えば四千万円の水準年収五年分だと仮定しましても、従来は土地代に二千五百万払って建築費に一千五百万でございましたが、これからは土地代に一千五百万、建築費に二千五百万、そういうふうにコストの構成を変えるべきだと思います。土地代は下がっても実は別に住宅の効用が落ちるわけではございません。しかし、建築費に入れる値段がふえればそれだけ面積がふえます。面積がふえれば電気製品も家具も売れるでしょう。経済の振興になるはずでございます。まず建築面積をふやすことが大事であって、面積がふえない土地に金を入れても何にもならぬということを理解すべきだと思います。  これからは、例えば建築費を三十万として悠々二千五百万で百平米近い住宅ができます。それに対応する土地代が千五百万であれば、容積率一〇〇%で平米二十万、二〇〇%で四十万、四〇〇%で八十万、こういう数字になるわけでございまして、年収五年分という水準は、地価水準のあるべき姿としての方向を示すべきだというふうに思います。  それから、優良賃貸住宅の充実、地価を反映させない住宅供給、これはこれからぜひお考えいただきたい。  政府も、優良賃貸住宅事業の助成について方向を見出したようでございますが、土地を買って住宅をつくるという何ともばかばかしいこのボタンのかけ違いを戦後の住宅政策がしたのが実は事の間違いの始めでございます。いろいろな方法があると思いますが、市街化区域農地や既成市街地の土地利用促進にしろ、土地を買わずに有効利用を促進する、利益をみんなで享受し合って住宅供給を進めるということの政策をとるべきだと思います。  それには実は、私の案では、建築費は公共負担、土地代は地主負担、建物の所有権は地主にくれてしまって家賃は土地代を抜いた家賃で形成し、そして自治体は固定資産税や住民税をもって支出を回収するというふうにすれば、だれも損じないで実は安い住宅供給できるはずだというふうに思っております。  それから、石原先生からもお話しございましたが、市街化区域農地の宅地化についての整備プログラムを実施する。その場合に、実は宅地並み課税というのは税収を伴うわけでございますが、この税収をインフラ整備なり宅地開発なりに投入するようにして宅地供給が進むように総合的な対応を図るべきだというふうに思います。  それから、その他たくさんございますが、さらにいわばこれから大きな国土利用の変革がある。  それから減反農地でございますが、今八十万ヘクタールの減反がございます。八十万ヘクタールの減反というのは全国の宅地面積に等しい面積でございます。もしこの減反面積が有効な都市的土地利用になっていくようにすれば、今の倍の実は宅地面積ができる計算になります。そういう意味では、さまざまな国際関係の中で、こういう問題、農業の問題、いろいろございますが、こういった問題を含めていかにして都市的土地利用に国土をうまく有効利用していくかというもっと広い視点宅地供給住宅供給を考えていくべきだろうと思います。  それから、七番にオフィスビルの不況でございますが、これはマイナーですから省略いたします。  以上でございます。
  8. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ありがとうございました。  次に、秋山参考人にお願いいたします。秋山参考人
  9. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) 東海大学の秋山でございます。  私に与えられましたテーマにつきまして、レジュメの順序に従って御説明申し上げます。都市の開発と申しても、これは東京都とか大阪の大都市を想定して述べていきたいと思います。  都市というものは非常に今住みにくいし働きにくいというようなことも言われておりますが、さらに一層利便とか快適というのを考えながら開発を進めていかなければならないと思っております。それにはやはり生態学的に見て人に優しい都市計画を進めなければならないと思います。それには一番先にやはり交通問題とか環境問題、住宅問題というものが問題になるし、そのために一極集中とか過密だとか盛んに言われておるわけです。そういうものをコントロールしながら開発をこれからも進めていかなければならないと思っております。  ところで、東京都心区部、その区部が例えばパリの建築物の容積率に対して現時点では三分の二、それから平均階数でいくと二・七階に対してパリは六・六階というようなことが言われておりますが、これはパリという町は東京のほぼ山手線の中程度だと思いますから、したがってその比較につきましては、パリで六・六階というのは、区部においては、山手線内においては三・三階とかというふうに半分ぐらいに想定してよいのではないかと考えております。  第一番目に交通対策の問題です。  一般道路が非常に狭いということは前々からわかっておりますが、道路というのも公的空間の一つでございますから広いということが必要であります。それについても、例えばワシントンの一九%に対して東京は一二%とかいうようなことを言われておりますが、そういう意味からいっても区画整理事業等を利用して道路を広げ町をもう少し立体的にしていくということが必要ではないかと考えます。  そこで、やはり車道は今のより広げなければならないんですが、歩道につきましても、人に優しいということは歩車道の完全分離ということが必要ですから、そういう意味でその方向に持っていくということが必要であろうし、例えば中心部においてはペデストリアンデッキというのが盛んに今、駅とか、例えば仙台とか水戸とかというところに使われておりますが、そういうものによって完全に人と車を分離するということを考えなきゃいけないだろうと思います。  それから、歩行者専用道というようなものを各地区に一つずつぐらい設けて、そこに潤いを与えるというような専用道を設けなきゃいけないというようなこともございます。もちろんそこには植栽とか花壇とかそういうもので潤いのある雰囲気を醸し出すということが必要だろうと思います。  それから、次に駐車場。  中心地区の駐車場につきましては、公的駐車場として地下化、階層化し、それに鉄道との結節とかそういうことをしなきゃならぬだろうし、大型の店舗等については必ず立体駐車場の設置を義務づけるというようなことが必要であろうと思います。都心部に盛んに東名とかから自動車が入ってきますが、郊外にやはり大型の駐車場とかを設けて、それから都内に入ってくるというようなこと、例えばバスターミナルを設けるとか、そういうことが必要だろうと思います。  個人駐車場につきましては、共同化を図るというようなことをしてむだのない土地利用をしたらよいのじゃないかと思います。  次に、車両交通です。  地域地区内は一方通行道路を主体にして、そしてアクセス道路との分離をするというようなことをすれば、交通の繁雑がなくなるだろうと思います。  それから、高速道路につきましては、努めて待避所をふやす。それによって事故対策とかあるいはそこで荷崩れを直すとかというようなことにも大いに利用すべきだと思います。  それから、ランプにつきましては、出入ランプの箇所をふやしまして、そこに誘導システムとかいうものをつくって交通を管理するというようなことが必要だろうと思います。  それから、これはできるかどうかわかりませんが、都心部を通過する交通に対しては通過交通税みたいなものを考えてはどうかというようなことも考えられます。  第四番目に、地下交通でございます。  地下交通といえばほとんどが地下鉄でございますが、その地下鉄につきまして、先般、山手線の例えば地下鉄化したらどうかというようなことがございましたが、これにつきましては、結構ですけれども、やはり現在の山手線を残して二層にしたらば交通量が倍になって非常に緩和されるだろうと思います。その上にビルをつくるとかという説がありますが、これは局部的な問題ならいいですけれども、そうでないと東京都内がヒートアイランド化するような心配も考えなきゃいけないだろうと思います。  もう一つは、南北方向とか環状方向に地下鉄網を設けたらどうかということが考えられる。例えば環七の下だとか環八の下に環状地下鉄をつくると非常に便利だし、要するにそれによって交通の緩和が得られるだろうと思います。  それから、業務地や商業地においては地下鉄のネットワークをつくるというようなことが必要だろうと思います。  それから、通過地下交通高速道路というものをつくって通過交通にすることも考えられますけれども、これはもちろん有料制でやるんですが、通気の問題とか公害あるいは防災の問題上いろいろかなりの配慮をしなきゃならないんじゃないかと思います。  それから、改正都市計画法と道路との関係です。  幅員六メーターならばよろしいというようなことがありますけれども、これについては両側サイドの一メーターずつのアローアソスを計画線に入れなきゃいけないんだということも考えられます。それから、商業地、工業地につきましては、道路の車線制限を撤廃するあるいは緩和するということが必要であろうと思います。これは今回の改正法にはございませんです。  次に、環境問題に入ります。  水質汚濁とか排気ガスとかいろいろのことがありますけれども、日照よりも通風とか採光、温度というものを考えてこれからの環境の問題を考えていかなければならないだろうと思います。東京湾と山手との関係で、風の方向とかいうことで東京湾の重要性というものを環境上かなり認識しなければならないと思います。  それから、その環境問題には、用途地域とか地区の再配分を考えて、もっとピュアな用途地域の構成とかというようなものをこれから考えていかなければならない。それによって都市施設の共用化とかあるいは都市機能の効率化というようなものをこれから考える。例えば都心三区においても、千代田、中央、港区とか、それぞれの特徴がございますから、それぞれが生きるような方向でお互いに融通し合っていくというような行政のことも考えなきゃならぬ時代に入っているんじゃないかと思います。  それから、都心では高いビルをつくればいいだけじゃなくて、台東区の根津地区のように、寺町のようものはそのまま都市空間、外部空間の量的ポケットとして確保していくということも必要だろうと思います。  それから、駅舎中心の人工地盤の利用というようなことも、環境上そこに緑地帯をつくったり水面をつくったりする意味で重要だろうと思います。  次に都市景観の問題でございます。  これには景観条例とか緑化基金とか環境助成制度というものを設けて、それに対して市民参加というものを考えていかなければならぬと思います。  それから、街路樹の緑化とか河川の清流化とかそういうふうなこと、それから水辺の散策路というものをつくっていくことは当然でございます。  それから、沿道の色彩の統制とか建物の形態の制限だとかそういうことも考えなきゃならないし、電柱とか電線、そういうものはすべて地中化する。諸外国に行ってもほとんどの町は電線は地上にはありません。そういう点で例えばちなみに、現在、東電管内では六・七%だそうです。  その他ですが、屋上の緑化だとか、排気ガスの例えばNOx、こういうものに対しても、いわゆる車に対する課税化というものも考えたらいいじゃないか、そして努力目標を決めた方がいいんじゃないかということが考えられます。それから道路については、雨水を地中に返すという浸透の舗装を行う、そういうふうなことが必要であると思うんです。  次に、住居問題に入ります。  住居に対して我々が一日の行動圏あるいは日常生活圏を一時間として考えた場合、そこにはやはり職住近接とか職住一体で住み働くということが基本であろうと思います。そういう意味からいくと、現在、都心の空洞化ということが起きて、盛んに定住対策が問題になっております。定住対策をすることを考え、あるいはそういうような空洞化を防ぐために、最近、都市計画法が改定になりまして三種であった住居地域が現在御案内のように七種に分類されておるわけです。それに従っていろいろのことが起きておるわけですが、これからそれを進めていかなきゃならぬ。要するに、住居の地区の純化というものを都市計画上図ろうとしておるわけです。  定住対策としては、一定面積以上のものに対しては住宅附置義務を課すというようなことが行われますけれども、その場合、住居の住居床と業務床に対しては固定資産税を区別して軽減するとか、いろいろ方法はあろうかと思います。それから、企業社員に対しては、例えばそこの企業のビルに住みつく義務を課すとか、そういうふうにすると定住対策というものがとれると思います。もちろんそれを利用する場合は差額を補助するとかということも考えなきゃならぬと思います。それから、民間住宅を借り上げて補助するとか公共賃貸住宅をふやすとかいうことは当然行われなければならないと思います。  次に、定住対策として総合設計制度というものを利用して容積率の割り増し、そういうことも行われておるし、景観を重視して庭を設けた場合には割り増し率を増すとか、いろいろなことが行われております。そういう容積の割り増しによって住宅をふやすというようなことも行れてきております。  いずれにしても、そういうふうにして開発した場合には、開発利益の還元と負担金制度というものを充実させてそれを家賃等に補てんしていくということを考えなきゃならない時代になってきておると思います。  それから次に、地下の利用でございますが、1の(4)になりますが、地下交通は、先ほど申しましたように地下鉄の環状ネットワークというものを考える必要があろうかと思います。それから地下街等の地下歩道のネットワーク、それも考える。それから地下を輸送する物流のネットワーク、こういうことも考えなきゃならない。  それから現在ある地下共同溝あるいは情報通信網と発信基地、そういうようなものの地下化、地下河川の放水路、それから地下鉄の廃熱の利用とか下水の水温の利用とか、そういうことが地下利用で多く考えられることでございます。  次に二番目に入りますけれども、新しい都市の開発。  人間が住む上で、最近、来学園都市とか職住一体都市とかあるいは業務核都市という言葉が出ておりますけれども、やはり一番理想的にするには職、住、遊、それから文というのは文化、これは学校とか研究所、そういうものが一体となった都市というものが理想的じゃないか。  それに似たものの一つとして、最近、幕張新都心というのがありますが、ややそれに近い面を持っております。それはなぜかというと、業務とか住宅、学園用地、研究用用地とかを持っておりますし、それから住宅としては高層のビルとか、それから学校や公園を利用したオープンスペース、アクセス道路とコミュニティー道路を分離している、それからマリーナとかテーマパークも設けられております。ただ、それにもまだまだ、やはり理想的には共有庭園を持つ二、三戸の戸建て住宅群というものを設けたらなおいいと思うし、ミニバスの運行というようなものも考えるべきじゃないかと思います。  それから、エコロジカルシティーの問題です。  これは環境共生都市というようなことも言われます。先ほど来申し上げましたいわゆる生態学的な都市でございます。そういう用途地域の外部空間とのバランスとか環境負荷の小さい交通体系、例えば地下鉄、そういうもの、それから環境基金とか緑の基金制度、それから省エネ、リサイクルシステムの確立とか、景観を考慮した土地利用、未利用エネルギーの活用、それから自然体系に近づけた水と緑のこととか、あるいは高齢者にやさしい施設とかそういうものを設けることがエコロジカルシティーのテーマ問題であろうと思います。  それから、時間が来ましたが、複合型連関都市につきましては、これは二つの都市がそれぞれの特徴を出して一緒に共同利用とか融合、例えば下水の共同利用とかそういうことを行うことを主体にして、例えば高崎は交通の要衝であり、前橋は県庁の所在地としての特徴を出す、そういう二つの都市が融合的になって都市をよりよく有効に利用し発展させていくということが、ここにあります複合型連関都市でございます。  それから、森林都市というのは、最近、林野庁で唱えましたものの中にありますけれども、自然の中に集合住宅戸建て住宅、それから学校等を設けて、三割の住宅地をつくるとして七割は緑地として残すというようなことをして、中心部には学校、病院、商店街、そういうものを配して、電線等は全部地下埋にする、あるいは照明を規制するとかいうようなことです。  先般、ヘルシンキへ行きましてタピオラニュータウンを見てきましたけれども、それと全く同じような都市でございます。森林の中にヘルシンキ大学があり、その周辺住宅地をふやす。  ただ、これ、問題になるのは、こういう都市をつくっても、ベッドタウンとして活用する場合に、その近くに雇用の地域とそれから地域振興に役立つということがないと、それが単なる別荘地みたいな形態になってしまう可能性がなきにしもあらずだと思います。  それから次に、住民参加問題ですけれども、これはもう皆様が御存じのとおりでございまして、住民が主張するということに対してやはり義務も考えてもらわなきゃしようがないし、それから協調性を持ってもちろん進めなきゃならないんで、これにつきましては、敷地の共有だとか建物の高層化だとか、企業の地元参加、社会的貢献だとかいろいろなことがございますが、これによって成功している例があちこちにございますので、これはひとえに先生方の住民に対する御指導ということがこれからの都市を進めていく上で非常に大事であろうと思います。  以上でございます。
  10. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  先ほど述べましたように、本日は自由質問形式で質疑応答を行っていただきます。  御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は、私から指名させていただきますので、挙手をお願いいたします。
  11. 関根則之

    ○関根則之君 大変ありがとうございました。勉強させていただいたわけでございますけれども、石原先生にちょっとお伺いをいたします。  地価税の問題でございますが、保有コストが低過ぎるものに対して保有課税を強化していくということはもともと必要なことだというような考え方だと思いますけれども、しかし、それは広く薄くなければいけない、こういうお話でございました。  資産に対して広く薄く課税する税としては既にもう固定資産税があるわけでございますから、固定資産税をうまく、まあおかしなところがあれば直せばいいんであって、それを利用することによってこういった保有課税というものは大体目的を達するということができないのかどうか、その辺についてお教えをいただきたいと思います。  それから、今〇・二%が〇・三%になったわけでございますけれども、今の税率で高いのか低いのか、その辺の感覚もちょっと教えていただければありがたいと思います。ただ、現実の問題としては、保有コストを引き上げることによって土地の放出を促進するという効果をねらうんであるとすれば既に有効に活用されている土地に対して課税するのはノンセンスじゃないか、そんな感じもするわけでございまして、いたずらにコストプッシュになる、あるいは利益減殺の効果しか持たないような地価税を置いておく意味が果たしてあるのか、そのときに未利用地についてうまく課税する方法があるのかどうか、お教えをいただければありがたいと思います。  それから、長谷川先生も地価税につきましての関連でお話しをいただきましたのでちょっと教えていただきたいんですが、地価税を固定資産税改革のインセンティブにすればいいではないか、こんな趣旨のお話がございましたけれども、固定資産税について改革をしなければならない何か大きな問題がどういうところにおありになるのか、地価税を存在させることによってそういった固定資産税の矛盾というものが本当に解消するものであるのかどうか、ちょっとお教えをいただければありがたいと思います。  以上です。
  12. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 今お話しのように、確かに地価税というものが固定資産税と非常に酷似した税であるということはこれはおっしゃるとおりだと思うんですが、地価税がそもそも発想された段階におきましては、保有税というものを強化しよう、その保有税の形態をどうするかということで、たしか税調のときには固定資産税というのが最初に出てきたと思うんです。そしてそれが、自治省の方から、固定資産税というのはそこに投資された公共施設とかそういうようなものによる収益に対して課税するんだ、必ずしも地価上昇したから固定資産税を高くかけなければいけないような状態ではなくて評価額がそういうふうな形であるんだというふうな説明で、固定資産税そのものを一つの保有税強化の方向へ持っていくということができなかったというふうに私は理解しております。  結局、なぜ違うのかというと、私も固定資産税というのはいわばそういうような土地の利用による収益というふうな形に対しての課税というふうな感じを持っておりますが、地価税というのはそうではなくて、資産という意味での課税対象ということで、これは例えば地価が本当は個人の努力によって資産が向上するとかそういうふうなことではなくて、社会的要因によって向上したりする場合もあるわけでございますので、本質的にはこの地価税の方はいわゆる資産税でございますので、常に再評価されてその条件に合うように課税対象になっていくというふうなことだろうと思います。  そうすると、これを突き詰めていきますと、それじゃ資産が下落したときにはどうなのか。特に現在のように地価が下落したときに、資産としての価値はその期間低落したわけでございますから資産の向上がなかったわけですね。だから、そういうふうなことから考えると、この地価税というのはそういう非常にあいまいな点が若干あろうかというふうに思います。  ですけれども、私は、性格がやはり違うもので、これが将来仮に固定資産税整備されたとしましてもこの資産課税ということは何らかの形で残りはしないかなというふうに思っております。  そして、税率が高いか低いかというふうな問題でございますが、これは投資の対象といたしまして、このとき議論になったのは、現金で持っていてそれを預金したときの預金利子に対する税額と、同じ金額を土地で持っていてそれが値上がりをしたその含み益に対する税金、そういうふうな形で対比したときには、これは地価上昇とかいろんなことがありますけれども、仮にGNP程度の伸び率ということで三%だとかいうような、名目ですと例えば五%ぐらいまで行くかと思いますけれども、仮に三%程度GNPに比例して地価が伸びていく、こういうふうな仮説を立てますと、それに対して税率が仮に〇・二%というふうなことで考えますと〇・六%ぐらいの税率になるわけです。だから、例えば〇・六%ぐらいの税を取っているというふうな形になるわけです。  それに対して片側のものはこれは預金した場合の金利が、今相当下がっておりますけれども、仮に同じように三%だとしましたときには、これは二〇%ですから、〇・二を掛けますとやはり同じような状態だと。  だから、そういう意味での均衡というふうなことを仮に考えれば、決して高い数字ではないというふうに思います。  ただ、現在のところ、先ほどちょっと長谷川さんが申されたように、非常にバブルで路線価が高くなっておりますから、これが非常に問題でございます。ですけれども、内容的にはそういう形かなというふうに思っております。その点で、〇・三に上がるとちょっと高過ぎるかなということで現在の〇・二が均衡というふうなことじゃないかなというふうに思っております。  そのほか、この地価税自体に対してどういうふうに考えるかというのは、調べてみましてもそういう税というのが外国にも余り例がないものですからどうもよくまだ私の頭の中でも十分整理できておりませんけれども、何かこれ、もう少し勉強してはっきりとした方向を出したいというふうに思っております。  それから、こういうふうなものが未利用地の利用促進につながるかどうかというふうなことでございますが、これはその考え方の基本が全然違うんじゃないかなというふうに思います。税の設置のときにはそういうような意見もございましたけれども、これは特別土地保有税等の問題がございまして、別途でやれる問題が幾らもあるわけです。  ただ、仮に私がここで一億の金を持っていてそれをどういうふうに運用しようかというときに、これを土地に投資した方が有利があるいは預金にしといた方が有利かというふうな選択に迫られたときに、土地の方に投資をした方が有利だというふうに考えることをできるだけ避けたいというのがこの資産税の基本の考え方にあるんじゃないかと思うんです。ですから、それが均衡するような形で、どちらでもいいけれども土地に投資した方がかえって有利だというふうなことを生じないようにしたいということがこの資産税の基本的な理念ではないかなというふうに思っております。  そういう点からいいますと、利用促進というふうなことは言われておりますけれども、何も利用促進ではなくて含み資産がどんどん上がっていく、そういうふうな含み資産上昇分の利益を何らかの形で還元させる、こういうふうな意味合いではないかと思います。そのためには余りにも特定の枠を切ってやるというよりは、本当は投資をするようないろんな人たちのことを考えると、私は全体にかけるような形でもう少し幅広くかけるべきだというふうに思っております。
  13. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私は地価税を立案するときの政府の税制調査会の委員として先生と参加しておりました。私自身も実は固定資産税の改革が基本的に必要だということをそのときも申し上げました。固定資産税の矛盾がいつ解決できるかということが一番のポイントでございました。  固定資産税は、御案内のとおり、土地の保有に対して固定資産税評価額の一・四%に〇・三%の都市計画税を含めて一・七%が課税されるはずであります。  しかし、固定資産税の最大の問題点というのは、実はこれを土地政策の手段とすべきでないという伝統的な考え方がございます。したがって、地価を上げたり下げたりする手段ではなくて安定的な財源の確保の手段だけだというふうに実は理解されておりました。したがって、評価額が上がったら税収が上がるということを避けるために評価額を意図的に実は低くしてきました。形式は一・四%の税率ですが、実際には評価額が著しく低くて、私の調べではほとんどの地域で〇・一%にいかないという数字でございます。したがって、固定資産税そのものがほとんど企業経営にも影響しない。固定資産税がどうであるかということが土地利用にも影響しない。すべてほとんどの者が実は固定資産税を無視して経営ができるという状況でございました。これは個人も法人も基本的に同じでございます。  これに対して、諸外国の場合には税率が四%という高いものがございます。  基本的に、実は固定資産税は物を利用したりする場合のベースの税制になっておったのでございますが、それがなってない。実は評価を非常に低くしてしまった。なおかつまた、評価が公開されておりません。  評価が公開されないために大変な矛盾が生じていると思います。評価が地域ごとに違う、あるいは都市ごとに違う、あるいは同じ地域の中でも利用価値によって必ずしも適正にされてない、こういう実態が実はあるわけでございますが、これを公開しますと実は大変行政が困るわけでございまして、言ってみれば、評価の矛盾というのが行政に対する公平という点から大変マイナスになるということもあってなかなか公開できなかった。実は長年公開しないというそういう対応をしたために評価の矛盾がどんどんどんどん拡大してしまった、こういう結果になってきたんだと思います。  私は、評価を適正な水準に改め公開する、これが第一歩だと思いましたが、実はこれはなかなかできない。私もなかなか難しいと思います。一挙に固定資産税の評価を七割に引き上げ、なおかつ地域的なバランスをとるということは大変難しいと思います。実効税率一・四%ということは大変難しゅうございます。といって、固定資産税の改革が成立するのを待っておったら緊急的な土地対策はできません。そこで、地価税が固定資産税の改革をするまでの代役といいますか、にかわったというふうに実は私は理解しております。  今回の固定資産税の改革でも、固定資産税の評価が、地価税ができたために固定資産税そのものの改革について初めて手がついた、あるいは国民的な支援も得てきて固定資産税の改革を自治省も自治体もやるようになった、こういう実は効果があったわけでございます。しかしながら、実は固定資産税の改革は地価公示の七割にするにも十年かかる、こういう状況でございまして、一挙にできない。この間を実は固定資産税のかわりに地価税が補完していくということでございます。  私は、固定資産税の改革こそ本命だと思いますし、一日も早く固定資産税の改革、本来の意味での固定資産税の機能を発揮しまして地価税がそれに吸収されるということを期待するわけであります。
  14. 牛嶋正

    牛嶋正君 今の問題に関連して石原先生と長谷川先生にお尋ねしたいんです。  今、石原先生は、固定資産税は保有税だけれども地価税はそれと違った資産税としての性格を持っているというふうにおっしゃいました。説明を聞いておりますと、含み資産に対するいわば応分の負担を求めるというふうな御説明ですが、そうなりますと今度は所得税との関連が出てきますね。所得税におけるキャピタルゲイン課税がまさに価値増大に対する課税です。  しかし、今の所得税では実現主義に立っておりますね。発生主義じゃございません。ところが、今、この地価税を先生がおっしゃるような形、そういう目的で課税するということになりますと、これはまさに発生主義です。土地を持っていても地価上昇があればそれに対して応分の税負担を負うということになります。こういうふうに考えますと、地価税は幾つかの矛盾を持っておりまして、今既存の税目と関連づけて説明するといろんなところで不整合が生じます。  ですから私は、今回今予定されております税制の抜本改革の中で、この地価税も、所得課税との関係あるいは固定資産税との関係等々を十分に考慮して、廃止すべきは廃止するというふうな思い切った改革をしていかなきゃいけないと思います。  先生は先ほど地価税は何らかの形で残るんじゃないかとおっしゃいましたけれども、今の私の意見に対しましてどういうふうにお考えでしょうか。  もう一つ、長谷川先生にお尋ねいたします。  長谷川先生の方には固定資産税との関連で、固定資産税が正常化されるならばいいとおっしゃいました。そのためには評価額、土地の評価をきちっとする、時価にできるだけ近づけるというお話で、私は、これをやるためには税率の方を考慮しなければいけないと思います。  今は固定資産税は、標準税率を一・四と決め、そして制限税率を一・五倍の二・一%で定めているわけです。この間であれば自治省の許可を得て設定することができますが、私が申し上げたいのは、そうじゃなくて、軽減税率を下に設定する。そして一・四%の税率を中心に大体二%ぐらい、まあ二%になりますとゼロになってしまいますが、一%前後ぐらいの中でそれぞれの自治体が税率を設定する。そういうふうにしなければ評価額を時価に近づけるという正常化は私はできないと思いますけれども、この点について長谷川先生はどういうふうにお考えか。  二点お尋ねいたします。
  15. 石原舜介

    参考人石原舜介君) おっしゃるように、この地価税ということは非常に定義が難しい問題がございまして、ほかの固定資産税あるいはその他所得税等々の関連性が非常に深いことは事実でございます。ですから、十分そこら辺を御議論いただきまして、これがどういう性格のものであるかということをもう一度はっきりさせていただきたいというふうに私も思います。  それで、いろいろ議論がある中で一番残りそうだなというふうに考えておりますのは、個人の場合には相続税でこの含み益というものを一度清算できますけれども、法人の場合には相続がございませんから含み益がいつまでも残って継承されていくわけです。そういうふうな有利性をある程度は均衡化させるというふうなこともまたこの地価税の一つのねらいでもあるわけなんです。  ですから、そういう意味で、個人にはかかりにくいものになるかもわかりませんけれども、法人に対してはこういうものがあるいは残っていく可能性があるかなという意味で残る可能性があるかなと申し上げたわけでございまして、ひとつ十分御議論いただかないと、これは非実現の収益、いわゆる架空の収益みたいなものでございますから、非常に捕捉も難しいし、またそういうものがあるかということで、そういうものがあるゆえに今度は別の意味でのプラスが何らかの形で投影しているじゃないかというふうなこともまた考えられますので、そこら辺をどういうふうに整理していくか、これが大きな問題じゃないかと思います。  そういう意味で、諸外国ではちょっとこういうふうな税金というのはないものですから、日本独自のこういうふうな新しい考え方というのが果たして本当に論理的にうまく説明できるかどうか、ちょっとまだ私自身も自信がございません。そういうことです。
  16. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 実はなぜ固定資産税がゆがんでしまったかといいますと、税率の弾力的な設定ができないために実は評価の方でいじってしまった。基本的には収入が先にあって税率がありますから、評価しかいじれません。本来なら、実は評価があって収入があったら、その評価と収入のバランスは税率でとるのが筋だと思います。ところが、弾力的な税率の設定が実行できなかった、これが一つの大きな原因だと思います。  その原因の一つは、実は私は、都市をつくるときに固定資産税の機能はどうあるべきかという議論が大変欠けていたと思います。  私自身の理解では、都市のインフラの整備は基本的には固定資産税で実施して、そのオペレーションというか教育とか福祉とかそういったものは実は所得・住民税でやる、これが実は基本的な地方自治体の財源のあり方だと思いますが、残念ながら実はこの二十年、固定資産税地価高騰に伴ってだんだん低下してしまったわけであります。東京都の場合ですと、私の計算では、固定資産税の税収はせいぜい二〇%から二五、六%だと思います。三〇%達しません。そのうち実は土地の占める割合というのはせいぜい八%から九%でございます。  自治体の公共投資が三〇%ぐらいですから、実は土地を持っている人は非常に低い負担で高い受益を受けております。しかし、これは実は本来なら土地の方の負担をもっと高めるべきだと思いますが、実は長年のそういう税率の非弾力的なために結果的に負担が低くなってしまった。  私は、上げる方にも下げる方にも弾力的な設定、もともと弾力的な税率を設定すべきだと思いますが、これが中央省庁の一つの統制的なものもあったでしょう、それから、自治体が固定資産税の機能を正確に理解しないというか、なるべく固定資産税を下げて住民税を上げて土地を持たない民の負担でもっていろんな仕事をしよう、そういったところに実は矛盾があったわけでございます。  私自身も、年間の住民税と固定資産税を比べてみますと、固定資産税の十倍ぐらいの住民税を払っております。これは私にとっても大変矛盾だと思いますし、こういう財源のあり方も含めて、この税率、評価額は一体的に実は考えるべきだというふうに思っております。
  17. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 民主改革連合の笹野と申します。  きょうは、三人の参考人の先生方、大変お忙しいところをありがとうございました。  私は、都市計画の問題で秋山参考人に御質問をさせていただきます。  都市計画というのは、先生の先ほどのお話を聞いていますと、何か新しいところに都市をつくる、あるいは都市の機能を考えるための都市計画という重点だったわけですが、古い町の都市計画というのも非常に問題があるということでちょっと御質問させていただきたいというふうに思います。  都市というのは、公有地、私有地、それが一体となって生活の基盤とかあるいは景観とか地域社会というそういうものをつくっているわけですが、土地基本法を見ますと、都市というものは住民の福祉を優先するということが非常に大きくうたわれております。そうするならば、公共の福祉という問題を取り入れるならば、やっぱり住民の意見をいかにくみ上げていくかということが一つの大きな問題点になると思います。  しかし、現在の都市計画を見ますと、これは知事の権限になっておりますが、私は都市計画の問題は、住民の意見を吸い上げるためにはその市町村の議会の意見を取り入れるようなシステムに変えてはどうかなというふうに思っておりますので、その点を一つお伺いするんです。  それにつけてちょっと具体例を申し上げるとより一層わかりやすくなりますので、具体例を申し上げますと、私は京都ですけれども、京都には非常に古い都としましていろいろな台帳の整備ができておりません。そこで、高瀬川にかかっております万寿寺橋という橋があるんですが、その橋から通じる万寿寺通りという大変古い通りがありまして、これはずっと住民がそこは道路として使っていたのですが、ある日突然地上げ屋が来ましてその道路にビルを建てる計画をしてしまいました。びっくり仰天したのは住民でして、今まで自分たちは道路として使っていたのに、それが道路台帳にないばかりに買い占められてビルを建てるということで大問題になったんですが、これを防ぐ手だてがありません。  今のところ市民運動で防いでおりますけれども、こういう問題というのは古い町では起きていくわけです。京都というのは基盤の道路ということで都市の景観、あるいは都市の計画を持たれているわけですが、先生のお話を聞いておりまして、つまり古い町の土地台帳というもののまず不整備というのはどうやって防げるか。文化観光都市建設法という法律はありますけれども、これは具体的なことが書かれていませんで、そういう具体的な問題になりましたら何の手だてもないというのが現状です。  そこで、先生の都市計画の面から、こういう非常に具体的なしかも大変びっくりするような問題がやっぱりあるということで、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  18. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) 第一の御質問に住民参加の問題をおっしゃられましたですけれども、これは諸外国を見ても、先進国においては末端の人々の意見をくみ上げてやるということで地方分権の問題になろうかと思います。それを、先般来国会におきましてもいろいろ問題が、例えば社会党さんあたりから都市計画のそういうものはもう地方に任せたらどうかというようなことが出ておりますけれども、確かにそういうことによって、地元のよさというのは地元に住んでいる人とか地元で活動している人たちが一番よくわかるんですから、だから非常に大きな問題については中央の御意見を伺うのもいいんでしょうけれども、しかしやはり私の意見としましたら、地方人たち意見をくみ上げて地方に権限を任せるというようなことにした方がいいんじゃないかということを感じます。  それから第二番目の道路の上にビルが建つというようなお話でございますけれども、これは例えば各県や市におきましては道路台帳というものをつくるのが通常で、つくらなきゃいけないんです。それを言うと悪いですけれども、ようわからないですけれども、そういうものをつくってなかったということは行政の怠慢かもしれませんですね。  ですから、それは今のところ先生のおっしゃられたように住民パワーによって防がれているということはございますけれども、やはりそういうことが起きるんだというようなことを行政の人たちが先見性を持って先に手を打っておかなきゃいけないわけですね。東京都なんかでは道路台帳の整備等はもう昔からやっておりますからかなりそういうところはなくなってきているんだろうと思いますけれども、今お伺いしますと、橋があって何かかなり重要な道路みたいなところ、その道路台帳がないこと自体がおかしいんだろうと思います。だから、やっぱり道路台帳を先につくらなきゃいけないですね。京都市といえば大きな都市ですから……
  19. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 ちょっと信じられない話なんですけれども、それをどうするかという具体的な例、今ないというところの問題ですね。
  20. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) だから、東京あたりだと道路台帳というのがかなりきちっとしていまして、ここに下水管が入っているとか何が入っているということをちゃんと表示してあります。なお欲を言えば、その台帳というものをもっと正確に、どのくらいの管が入ってどの位置に入っているということまではぴしっとできておりませんですけれども、そこまであれば道路をしょっちゅう掘り起こさなくて済みますけれども、そこまでやるべきだと思います。
  21. 清水澄子

    清水澄子君 私は、社会党の清水澄子でございます。  石原先生から先ほど住宅の問題で、高齢化社会の中でライフスタイルによって特に住宅買いかえ特例という制度を設ける方がいいというお話があったわけですが、私もこれは一つの考え方というふうに受けとめております。しかし、なかなか、年をとったら一カ所のマンションに固まって住むというのが必ずしも高齢者の住生活ではないんじゃないかな、そういう面も感ずるんですが、それはまた秋山先生の方にも後でちょっとお尋ねします。  そこで石原先生には、やはり合いわゆる高齢化社会という社会を迎えていくに当たって、年金生活者でも非常に固定資産税を払わなければいけないという中で、担税能力から見て非常に無理な場合も出てくると思うんですが、そういう場合に先生は、高齢化社会における固定資産税を中心とした土地税制のあり方というものについて、それはやはり一般的にじゃなくて、高齢化社会を迎えるという中で今後これをどう変えていくべきか、そういう点でどういうふうにお考えかというのをひとつお伺いしたいと思います。  そして秋山先生には、先ほど「新しい都市の開発」という中に「職住遊文一体都市」とあるわけで、私もこれは賛成ですが、本当はここに一つ、「エコロジカルシティ」というところで人に優しいというのがありましたけれども、職、住、そして福祉というのが、これからの都市整備には都市計画住宅という中で必ず福祉という側面が私は必要なんじゃないかなというふうに思うんですね。  そういうときに、今時に大都市なんかでは非常に巨大なオフィスビルはどんどん建ってそこは空き室になっている、そういう空間はどんどん大きなビルに買い占められていくという中で、むしろこれからはひとり暮らしの高齢者というのはふえていくわけですし、その人たちに全部先ほど言ったようにどこか一カ所に集まれといっても、これは住みなれたところで生活していきたいという要求もあると思うんですね。そういう中で、ひとり暮らしの高齢者も社会生活を営んでいける都市環境というものが非常に今後政治の中で必要になっていくと思うんですけれども、その点についてどういうふうに御意見を持っていらっしゃるか。  そして三人の方にぜひそれぞれ、土地問題、都市問題を含めてこれからの都市整備というのはこれまでの産業とか一極集中じゃないそれこそ人間中心の福祉とか都市計画というのが望まれているんですけれども、それでもなおかつ東京への一極集中というのはなかなか是正できないんですが、それらはどういうふうな方策をとれば是正できるとお考えになっていらっしゃるか、三人に一言ずつ聞かせていただきたいと思います。
  22. 石原舜介

    参考人石原舜介君) まず、高齢者の方に対します買いかえ特例以上の譲渡益に対する非課税ということは、それはライフスタイルによって住みかえる場合にその町の中に新しくできたマンションに移って結構なんで、何も年寄りばかりが住むというわけじゃありませんが、独立住宅などにお二人で住んでおられますともう本当に今いろいろ留守にしたりなんかすることもできないし大変でございますけれども、最近のマンションなんかはエレベーターが全部ついておりますので、そういうところで生活されると非常に生活が便利になりまして、お年寄りも非常に生活しやすい環境になる。  ですから、そういう住みかえようとしたときに、先ほど独立住宅に住んでおられる方の固定資産税が高いというふうなこと。要するに固定資産税が高いということは、非常に大きな資産を持っておられるわけです。そういう資産を売りまして住みかえましたら、例えば今持っているところが二億で売れる、それで今度住みかえようとしたらこれは八千万であるということになると、最初取得したときがそれほど高くないというふうなことで値上がりでそれだけの価値があったとしましたときに、これの一億二千万なら一億二千万に対しまして譲渡所得税がかかってくる。  その場合に、高齢者の場合には、それはその人が生活していく、これから年金の足しにしていくというような形でその人の所得にしてしまったらどうかと。そして課税しないと。それは一回限りというふうなことで、はっきりその人の生涯において一回だけはそういうことをさせてあげましょうというふうなことにする。我が国のようにこれからの高齢化社会で年金というものが十分生活できるだけの水準の年金を支給できるかということになりますと非常に難しい問題がございますので、そういう意味で、個人の今まで努力されてつくられてきた資産を有効に使えるような形で余生が送れるようにしてあげるということがよろしいことじゃないかというふうに思うわけです。そういう意味で、譲渡益に対して非課税というふうなことを申し上げているわけです。  そして、そういうふうな固定資産税が非常に高くなるというふうなことでございますので、年金生活に入ったために今までの収入がなくなって固定資産税が払えない、払えないというか負担が非常に重くなるというふうな場合には、もちろん長く住みなれた場所から移るということは大変抵抗がございますけれども、しかし、そういうような生活の切りかえをしていってはどうか。固定資産税の場合にはそういうふうに年寄りだから安くしろということは無理があろうかというふうに思いますから、ですからそれは、そういう恩典があれば自分生活設計の選択肢が非常にふえますので、十分対応していけるんじゃないかというふうに思っております。  それから、三人の方にということで一極集中の問題でございますが、先にちょっと続いてお話ししたいと思います。  いろいろ現在の地方拠点都市振興のための制度ができたり、あるいはかつては多極分散型国土形成促進法とか、四全総を受けましていろいろ、特に四全総は東京一極集中の是正を大きな政策目標に掲げてやっているわけでございまして、そのためにいろいろな手当てをされたんですけれども、実効性が上がっていないのは御承知のとおりでございます。  それで、今のトレンドでいきますと、おっしゃるように四全総では東京圏は三千三百十万の人口というふうなことでございますが、実際には今世紀末ぐらいに三千四百万を若干超えるんじゃないかというふうなことが予測されております。これはもう趨勢型で予測しますと大体そのぐらいになります。  ですから、そういうふうなことでいろいろな手当てをしているんですが、それをどうするかというと、これから先のいわゆる就業構造というものがどうしても業務を中心とするような就業構造に変わっていきますので、そういう業務は情報の収集される東京あたりが非常に効率的であるし東京にいろんな企業が集中するというふうなことも考えられますので、これをいろいろな手だてで、例えばパリで行っているような賦課金制度だとかあるいはイギリスで行ったような増改築を一切認めないというような厳しい規制だとか、いろんな手だてがあろうかと思うんですが、賦課金制度ですと少々の賦課金ではどうにもならない。  これは土地臨調のときに我々も提唱したんですが、何とか東京に集まる企業、そういうふうなものに対して特別課税できないか。そうすると、これは鈴木知事が大分反対されたんですけれども、既にもう事業税があるじゃないか、それに屋上屋をなすような税はおかしいというふうなことで、我々としては何とかこの東京から分散するための特別税、首都税みたいなものを課したらどうかというふうに思って、そしてそれだけ経費がかかれば分散してくれるんじゃないかなというふうな、しかし、どうもそれは吸収されてしまう嫌いがあるんです。本当にそれだけの効果を上げるだけの課税をしようとすると、これはべらぼうな額になる危険性がある。  ですから、それで私はある論文に書いたんですけれども、要するに高く取るというのは非常に抵抗があるから、地方に行ったら法人税をまけてやったらどうかと。例えば地方に、例えば小さな都市に行けば行くほど法人税が安くなるというふうなことで、例えば東京から大阪に行くんでは五%ぐらいしかまけないけれども、これが札幌ぐらいに行くんであればこれはもう一〇%まけましょうとか、それが富山あたりに行くんだったらこれはもう二〇%まけるとか、そういうふうに都市の規模、地域によって税率をずっとやって、地方ほど有利になるように、法人税をある程度まけてあげるぐらいのそういうようなことをやれば少しは会社は動いてくれるかな、本社を移してくれるかなというふうな気もするんですが、これ以外にちょっと今のところ手だてがない。  きのうも実は国会等移転の調査会に出ていたんですが、地方分権だとかいろんなことを言われますけれども、下河辺委員なんかはこれをやるのに大体五十年かかるとかなんとかと言っております。そのぐらいかかるだろうと思います。ですから結局、国会を移転しても実勢として東京が集中がとまるかどうかということになると、これはちょっと保証の限りじゃない。  ですから、こういう点から考えまして私は、非常に逆立ちしたような議論ですけれども、今までのアメリカの事務所の分散を見てみますとほとんどが税金ですから、そういうことから考えまして、やはり税金を道具に使わないといけない、その税金は、過重にかけるよりはむしろ安く、みんな逃げていくのは安いところへ逃げていくというふうなことですので、要するに安くするということを考えてやらないと一極集中はちょっと分散化が難しかろうというふうに思っております。
  23. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私は一極集中のことについてお答えします。  もともと東京は、私は東京の歴史を調べるのが大変趣味でございましてそういう勉強をしておりますが、人口百万人から三千万人になっております。一極の範囲が実は時代によって物すごく変わっておりまして、明治の初めにはたかだか都心一区でございます。大正の時代になっても都心十五区の範囲でございますが、今実はそれが、私の見るところ、日本じゅうが実は東京になっているわけでございまして、一極の範囲そのものが非常に変化しているということを私たちは見なきゃいかぬ。  多分、一極の論議のときに、そもそも一極の範囲が言う人によって皆違うんだろうと思うんですね。既に交通網とかいろいろな体系においては日本じゅうが実は一極じゃないかというふうに思うのでございまして、私は従来の行政区域を前提にして一極である一極でないと言うのは大変ステレオタイプでよくわからないと思います。  ただ、東京へ機能が集中することは確かでございましょう。その場合に私は、場合によってはせん方ないことをしてもしようがない、来るなと言ってもしようがないと思っておりますし、少なくとも最小限東京への業務集中を政府や自治体が促進することは避けろよと。例えば臨海部の副都心の開発であるとか、幕張メッセであるとか、MM21であるとか、それなりにすばらしい開発ではございますが、業務集積を促進することには間違いがございません。むしろ、私は基本的には、東京では住宅とか住環境とかこういったものについての政策をとり、業務地域についてはなるべく地方に持っていくというふうに計画や予算配分において対応すべきだと思います。  もう一つ、地価税も実は大変大きな機能を持っております用地価税の収入の九割は東京でございます。かつまた、大企業でございます。実は、これを逆に財源を地方に回すようにしていけば、それは新しい税金を課さなくても事実上の付加税になる。これもぜひ地価税の機能として考慮すべきだろうと思います。  一極集中というのは大変ステレオタイプで、意味のないことはないわけでございますが、私はせん方ないことを議論しているという感じがして仕方がないわけでございます。それだけ申し上げておきます。
  24. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) 第一番目の御質問でそこに住みたいというようなことがございましたんですけれども、やはり自分が権利を持っているところに今まで住んでいたから住みたいという方が非常に多い。お年寄りでも多いと思いますし、また考え方によっては地方へ行った方が環境もいいしというような人もおろうかと思います。  都心に住むための方策としましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、各区で非常に困りながらいろいろなことを考えてやっているようですけれども、やはりそこをのいてビルをつくるような場合には、必ず住居の部分の階層と業務の階層と両方を両立してつくるということを行うことが必要だろうと思います。  というのは、さっきも申しましたけれども、もちろん税の面でも住宅の部分を安くするというようなこともございますが、先般リヨンへ行きまして一つの開発を見てきたんですけれども、例えばマンションとホテルを同じような建物で隣り合ってつくる。こんなことでいいのかと言ったら、これでいいんだと。それから、学校も一流校がその近くにあるし、イベントホールもずく近くにあるし、スーパーマーケットもすぐある。  これからの都市計画は、多少そういうような、混在と言うと意味が、ちょっと呼び方が、ということもありますけれども、そういうふうなことでいいんだというような新しい都市計画の考え方でやっているようです。そういう意味からいえば、今のようにしてビルをつくれば都心に住む可能性も出てくるだろうと思います。  それから、今の一極集中の問題ですけれども、先ほど私は一つの案として、環状七号線とか八号線のところに環状地下鉄線をつくったらいいじゃないかということを申しましたけれども、鉄道による人間の輸送というのが一番大きいわけですね。そうすると、そこと例えば中央線との交点に都市化した地域ができて、そこに業務地域ができるとかその周りにまた住宅ができるとかというようなことで、いわゆる都心における分散が可能じゃないかと思うんです。  もう一つは、道路の下ですから地価が安いというか、駅ぐらいのところだけですから、非常につくりやすいわけですね。今までは、道路の環状線ばかり考えていて鉄道の環状線というものを考えていなかったんですね。そういうことをやったら東京もかなりもう少し、狭い東京圏というんですか、東京都内というんですか、そういうことの分散、分布が可能じゃないかと思います。一つの例としてそれを申し上げておきます。
  25. 種田誠

    ○種田誠君 まず長谷川先生にお伺いいたします。  先生の方のレジュメにも、これからの課題として、都市計画住宅宅地の計画的供給、こういうことが指摘されております。もとより日本も都市計画に関してはかなり長い実績を持っておりますし、さまざまなバラエティーに富んだ施策も、町づくり、都市の再開発等々を含めましてこれまでも提供してきた。しかしながら、これらが十分な法の目的どおりの成果を得られない実情に今日まであるやにも思われます。そういう意味で、その辺のところはどういうところに重立った原因があるのか。  さらには、長谷川先生がここであえて指摘された都市計画住宅宅地の計画的供給、これは新しい視点で何か示唆するものがあってこの点で述べられておるのか。  さらに最後に、都市計画、すなわち町づくり、再開発、住環境の整備、いずれも膨大なお金が必要であります。この財源などを私はやはり開発利益の還元という視点政策目的税のような形をこれからつくっていかないと思うような展開もできないのじゃないかなと思うんです。  その三つの点についてお伺いをしたいと思います。
  26. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) お答えします。  私自身も建設省に奉職しまして都市づくりや都市計画を見てまいりましたが、行政はそれなりによくやって、しっかりやろうとしておると思いますし、それなりの努力は重ねていると思います。  実は都市計画なり宅地供給なりいろんなものが進まない原因は、地価経済成長より高く上がり過ぎるということに最大の原因があったと思います。要するに、待っていれば待っているほど得だ、売らなければ売らないほど得だ、利用しなければ利用しないほど得だという実は体制になってしまいました。税制、金融、いろんな制度がむしろ土地持ちにおもねて、土地を使わなくてもいいよ、あるいはもっと税金が安くなるから待っていてもいいよと、こういう、対応がどうしても実は短期的な視点にとらわれてしまった。  私は、やはり土地基本法の成立が余りにも遅かったと。あの程度のものは昭和三十年代の初めに、日本が都市成長するときに少なくとも国民的なコンセンサスを得ておくべきだった。しかし、この三十年の国民のコンセンサスは、土地でもうけることが偉いという風潮になってしまいました。上から下まで土地でもうける人が一番社会的地位が高くなり、一番金持ちになり、一番力を持つ、こういう世の中になってしまいました。個々の企業個人もみんなそういう風潮になってしまいました。それが土地神話と言われるものだと思いますが、しかし、そこをどうしても崩さなきゃいけない。  借地借家を一つ見ましても、借地借家が出ないのは実は法律の問題じゃなくて、地価が賃料より高く上がり続けるから、その利益が多いから、その分捕り合いで実は争議が起きております。やはりそこに足りなかったのは、それを調整する税制の問題、全体としては国民意識の問題、それから政府の施策や議員の皆さん方の意識の問題もありまして、そういうふうになってしまったと思います。  私が最初に構造変化が起こっておると申し上げたのは、その辺を申し上げたわけです。  地価経済成長より上がらなければ、住宅価格が収入の伸びより低ければ、実は我々は無理して買うこともないわけでございまして、それを金もうけの手段にすることもできないわけでございます。そういう構造変化の中であれば、我々の土地に対する意識も変わってまいりましょうし、いろんな行動も変わってまいります。収益というものが非常に大事な時期になりますし、そういう時代をつくってこそ初めて解決できるわけでございます。  従来は、そういう意識の改革がなしのままに、非常に短い視点土地所有者におもねる、利益を何とかうまく確保するようにしてやるというところに最大の原因があったというふうに思います。それなりの努力はしましたが、それを支える我々の土地意識や経済意識にゆがみがあったのが最大の原因だというふうに理解しております。  それから、住宅宅地の計画的な供給で、私たちのボタンのかけ違いは実は土地代をカウントすることを覚えてしまったことだと思います。戦前の東京住宅供給というのは、大半は地主さんがイコール家主さんなんでございます。地主さんはもともと土地をただで持っていますから、そこに建物をつくって貸しても、土地代のリターンを取ろうという意識がございません。したがって、建物の償却だけで実は賃料が形成される、そういう市場だったと思います。  戦後これを、住宅公団にしろいろんな公社にしろディベロッパーにしろ、土地を買って住宅をつくりそれを売るという行為をしてしまいました。国有地も、実はこれを払い下げて、それをカウントして住宅価格に入れるという方法をとってしまいました。したがって、土地代が全部宅地価格に入ってしまう、それがまた全部住宅価格に入ってしまう、賃貸住宅でもその金利が入ってしまう、こういう仕組みをとりました。国有地も高く払い下げて収入を上げることに狂奔しました。これが実は大変な間違いだったと思います。  そこの間違いを正す。国公有地の使い方等については払い下げずに国が保有してそれを賃貸して住宅供給をするとかそういう方法をとるべきと思いますし、なお市街化区域内農地宅地並み課税市街化区域内農地方々に対しても土地を保有したまま住宅供給できるという方法、あるいは都市の中でも実はそういう方法がとれると思うんですね。そういう方法を国みずからとるべきだと思いますが、残念ながら、国みずから土地を売ってそれを住宅価格に入れるという方策をずっととってきたというところに問題があったと思います。その辺を実は今意識を変えてほしいというふうに思います。  三点目は財源の問題でございますが、これはまた地価税、固定資産税等の土地資産課税の問題であります。  資産課税というのは、相続税を含めてですが、土地にかかる税金が基本的には安過ぎるということを前提にすべきだと思います。それは何に比べて安いのかというと、我々の所得税の比べて安過ぎるわけです。その均衡をどう図っていくかということでございますが、土地に対する負担を高める。この負担の高め方は開発利益に沿うとかいろんなことがあると思いますが、基本的に私はキャピタルゲイン課税譲渡所得税、それから固定資産税、さらに相続税など、これについてやはり資産所得消費バランスをとった税制を構築すべきでありましょうし、そのときに固定資産税等の負担を高めるべきだと思うんです。  やはり、都市づくりというのは土地の負担でつくり住む人の所得をもって運営していく、こういう基本的な原則を認識すべきだというふうに思っております。
  27. 清水達雄

    清水達雄君 まず、石原参考人にお伺いします。  監視区域制度について述べられた中で、取引透明性を増すために届け出制みたいなものが必要じゃないかというお話があったわけでございます。  実は、届け出制の中に価格の問題が入ってきますと、非常にいろんな問題点がたくさん出てきます。取引の中で、例えば会社間の取引であるとか再開発なんかやる場合に、どうしても言うことを聞かない地主にある程度高い価格で買って全部を取りまとめる問題だとか、それから、現実に今の例えば監視区域制度なんかでは半年ごとに値段を変えるというようなことをやっていて担当者の方があと半年たつと一・五%掛ける六カ月分ぐらい下がるよというふうなことを言うものだから、マンションを売るなんていうときに非常に不安感が起こるとか、要するに統制経済ですから非常にいろんな問題が出てくるわけでございます。  ただ、取引透明性といいますか、そういうことを増すということは非常に大事なことで、例えば国民は野菜の値段はわかるけれども土地値段はわからない。これは業者にしてもわからないわけです。そういう意味で、地価情報というのを国民がもっとアップ・ツー・デートに的確にとらえられるような仕組みというのはこれはどうしても必要なので、私も一つの案は持っているんですけれども、そういう側面から国民に地価がよくわかるようにという対策は進める必要があります。  今の国土法による届け出というふうなのをやっぱり地価上昇するときに緊急対策としてやるというふうに私は措置した方がいいんじゃないかという感じを持っているんですが、石原先生、自分取引にも関連してとおっしゃったあたりをもうちょっと御説明をお願いしたいというのが一点でございます。  それからもう一つは、地価税の問題に関しまして、個人には相続税がかかるけれども法人にはかからない、したがって法人に対して土地が非常に集中するというプロセスがあるという話がありました。土地がみんな法人に集まっちゃうという問題があったわけでございます。  確かにその。問題は一つの問題点としてあるし、国土庁の中でも地価税のそもそもの発端は法人に相続税がかからないというあたりから出てきたわけでございまして、もしそういうことを考えるならば、資産の再評価税とかそういうちゃんと仕切りのついた税制としてやるんならやるというふうにあるべきじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、その二点についてお伺いしたいと思います。  それから、長谷川参考人にお伺いします。  幾つかあるんですけれども、まず第一点としまして、2の土地政策のところに「土地政策の目的」として「景気か土地ではなく、景気も土地も」ということが書いてございまして、私はまさにそのとおりだと思うんです。しかし、現実には景気がよくなって需要がふえてくると地価は上がるんです。特に昭和六十一、二年ごろの地価上昇というのは、都市改造というのが今後の非常に大きなマーケットである、そういう意味で都市改造のための用地取得というようなことが日本経済の今後の展望にとって非常に大事だというようなところから地価上昇が始まってきているというように思うわけで、そういう長い視点も含めまして、やっぱり景気がよくなると土地が上がるというのはどういうことかというと、供給に対して需給がふえるから地価が上がるわけです。  そういうことを根っこに考えますと、最初に御指摘になった四ページのところで、監視区域の導入とか土地臨調とかいろいろやったけれども円高経済対策で六兆円の経済対策とか公定歩合とかいろんな矛盾したことをやったからめちゃくちゃになった、そういうようなお話がありましたけれども、やっぱりこれは、景気対策は景気対策でやるんだけれども土地の需給バランスはちゃんととるようにしなきゃならぬ。それは何でやるかといったら、やっぱり短期的には私は土地金融を抑制するということしかあり得ないと思います。やっぱりそういうふうにしてやっていくべきじゃないかなというふうに思うんで、「景気も土地も」ということと最初に指摘された政策が何か相反する矛盾したようなことをやっているということがどうもちょっと私にはわかりにくいんで、その点を一点お伺いしたいというふうに思います。  それから、地価税につきましてはいみんなことがここに書いてありまして、私もこれについてはかなり異論をいろいろ持っているんです。要するに、固定資産税が評価も適正化され、それからレベルも住民税との関係なんかで、私も一般論として言えば住民税をもっと減税をして固定資産税をもっと上げた方がいいと思っているんですけれども、そういうふうな措置がとられるならば地価税は要らなくなるんじゃないかということになるのかならないのかという点を一つお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、不良債権の問題でございます。  不良債権の中にはいろいろあって、都心部のいわゆる事務所用地の問題もあれば、そうでない郊外の住宅地なんかについても値段が合わない不良債権というのがあるわけですね。高値で買っちゃったけれども、今度使うときになると安値で事業化しなきゃならない、あるいは安値で売らなきゃならない、これが銀行との間で話がつかないというような不良債権もあるし、それからリゾート絡みの不良債権というのも相当ある。  いろいろありますが、特に都心部の事務所用地等の不良債権については、その利用を促進しようと思っても現実にもうできないわけですね。これは、今のビルの需給関係等からいってやっぱり時を待たなきゃならない。銀行がいわゆる不良債権の処理をやるんだけれども、その処理も一挙にはできない。損失をそんなに一挙に償却することはできませんから、徐々にやっていかなきゃならない。だから、これは公的介入とかなんとかということをやらずに時間を待って解決していくより私はしようがないんじゃないかなというふうに思っているんですが、その辺についての御意見を伺いたい。  それからもう一つは、減反農地の都市的土地利用への転換。  これは私もまさにそのとおりだと思って、何とかうまくできないかなというふうに思うんですが、いわゆる減反農地というのはばらばらでして、これを都市的土地利用としてまとめて使えるようにする方途があるのかというふうなことを、私自身も何かいい方法はないかなと思っているんですが、何かそういう点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。  以上でございます。
  28. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 監視区域制度でございますが、監視区域制度の条文そのものから考えれば、おっしゃるようにこれは地価の急上昇等のおそれのあるところとかそういうことが起こったところをやるのが建前でございます。しかし、これを行ってみて、実際にいろいろな価格が入っていることが、実は地価に対するデータなども非常に収集が多く行われましてそして短期予測、短期のいろいろな地価データを作成するのに非常に参考になっていることは事実でございます。  それで、私自身が実際に取引をした、こういうふうに申しましたが、ことしの一月に実際に取引をしましたときに実は非常に困りましたのは、期間がちょっとかかり過ぎるんですね。届け出をしましてそれの認可がおりるまでがちょっと待たされて、結局それから公庫の方で資金を借りるというふうなことをするために、どうしても認定されてから手続をとらなきゃいけないものですから期間がかかる。ここら辺の手続論としては、監視区域制度でいいのかどうか、届け出がいいのかどうかわかりませんけれども、何かこういうふうなものが簡略にできるような制度ができないかなと。  ただ、価格が入らないと、おっしゃるように、再開発なんかでごねている人たちをどうしてもはじき出さなければ再開発事業ができない。法的には四分の三ぐらい同意があればできることになっていますけれども、そうは実際はできない。一人の反対があってもできない。そういうふうなことでどうしてもというようなときには、特殊事情の地価ですから、だからそれはその了解を求めることもできないかなというふうに思うんですね。こういう点はちょうどダムなんかの生計保障と同じような形のものに近い内容がございますので、市場性を離れたそこでのいわゆる営業保障的なものを含んだ価格になってしまうというふうなことがございますから、それは確かにおっしゃるように若干問題があるかと思います。  それをけるというふうなことは、これはやはり多少そこら辺の扱いは必要かと思いますけれども、しかし、価格をある程度そういうことで届け出をするようにしておけばこういうデータが非常にたくさん集まりますので、いわゆる短期にいろいろ情報を逐次改正しながらやっていけるというようなメリットもございますので、私はやはり、国民にこういうものを周知させるためにも、こういうような情報源的な形、そういうことをやることがそういう情報との対比で価格が安定していく一つの方法として必要なことじゃないかなと思います。役所としては大変な人数を必要とするかもわかりませんけれども、これはせっかくですから監視区域制度の名前を変えてひとつ継承してもらいたいなというふうに思っております。  それから、地価税の問題でございますが、おっしゃるように、国土庁から最初地価税の提案があったことは事実でございますが、それは法人に対しまして相続の問題がかからないということが大きな原因であったというふうに思います。  そういうことで、いろいろ議論をされた中に含み益課税問題というのが当時出てまいりまして、含み益課税をすること自体が、これは非常に評価の問題で、多くの場所、路線価その他でもやればそれまでなんですけれども、一種のこういうふうな形での評価がオーソライズされて含み益自体がある程度認定されなければ含み益課税ということはできないわけですね。その点で、今度の地価税の一つの評価基準というのは路線価が基礎になっておりますので、そういう意味ではある程度客観性のある判定がなされておりますので、そういう意味からいいますと含み益課税的な要素を当然地価税は含んでいると私は見ているわけですが、だから資産税なんだと。固定資産税とそこが違うところじゃないかなというふうに思っております。  これが全く固定資産税と同じように運用益を中心とします課税であるならば、国税で取る意味というものが非常に難しくなってくるんじゃないかというふうに思うわけです。その点で、国税でこういうものも取りそして地方税で固定資産税を取るというふうな二重課税問題というふうなことが、そうなってきますと起こってまいります。これは性格が全然違うというふうなことで、相当明確に地価税というものを整理しておかないといけないんじゃないかなというふうに思っております。そういう点で私は資産課税というふうな解釈をさせていただいておるわけでございます。
  29. 清水達雄

    清水達雄君 私、石原先生の御意見なら資産の再評価税みたいな形にすべきじゃないかと思うんですね。
  30. 石原舜介

    参考人石原舜介君) ですから、それは路線価で再評価がやられていること……
  31. 清水達雄

    清水達雄君 まあ、いろいろ今議論がありますけれども……。
  32. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私は、今世の中の議論の中で、景気が非常に悪いということもありまして、この景気の悪い原因として地価が下がったからむしろ景気が悪くなったんだ、もっと下がるともっと景気が悪くなる、あるいは金融恐慌が起こるかもしらぬ、こういう一種の言ってみればブラフ的な見方があると思いますね。しかし、私は、そういう形でミニバブルを期待してやったところで、実は消費者が市場に戻ってこなければ景気はよくなるはずがない、消費者が市場に戻ってくるのは消費者が買えるようになってからだ、買えないものは売れない、そういうことをやはり正確にちゃんと認めなきゃいかぬと思うんです。地価の低落を支えたいという意向がどうしてもあって、土地が下がると景気が悪くなるよということでバーター的に見てしまっているところに実は問題があるわけです。  私は基本的には住宅が売れること、消費者が市場に戻ってくること、そして消費者が新しい住宅買いに入ること、これが実は景気回復のかぎだと思う。その景気回復のかぎとしては、やはり買える、アフォーダブルな水準に返すということが一番大事だという意味で実は「景気も土地も」というふうに申し上げたわけでございます。  それから、もちろん経済政策として総合性が必要でございますが、六十二年当時、六十三年当時の問題、私は大変矛盾した政策がとられたと思います。そのときに、従来の考え方は、地価が上がるのは需給が不均衡なんだ、需要が多くて供給が少ないから供給をやるんだ、こういう一点張りでございました。  私は、実はこの点についてかねてから疑問に思っておりまして、需要というのは本来コンスタントにあるはずだ、一度にふえたり一度に減ったりするはずはない、一度にふえたりするのはそこには金融要因によるスペキュレーション的な過剰需要があるはずだ、仮需要があるはずだ。これを抑制するのが実は大変大事だったんですが、残念ながら長い間金融や税制土地政策の手段ではない、大蔵省や自治省はその政策は負わぬ、こういう話で実は金融政策税制が使われなかったわけでございます。私は、土地基本法が成立しまして金融、税制が出たことによって政策整合性を持ったというふうに実は理解しておりますし、そういう点では実は土地基本法の最大の効用だというふうに思っております。  それから、不良債権の問題については、都心部の地上げ地はほっておけば永久に私は使えないと思います。また、待っていても使えないと思います。ビル需給の不均衡は多分これから五年、六年続くでしょう。それからさらに、土地を買ってビルをつくるという経営がこれからはなくなると思います。土地を買わずにビルをつくろうという、そういう借地によるビルができれば、今の商業地の地上げ地が使われることはほっておけば永久にないというふうに思います。だから、時間をかけたら入ってくるといっても、時間をかければかけるほど金利がたまって傷が深くなるだけだというふうに思いますし、私は、ビル用地をビルとして使わずにむしろ都心に人が住める住宅地にして年収の五年分なりで買えるように、あるいは賃貸住宅になるようにする方が、国民経済的にも、それから土地を持っている人にとっても銀行にとってもはるかに実は有利ではないか。  決して時間が解決しない。最初に申し上げたように、地価に構造的に変化が起こっておって待ってもだめだということを実は銀行も不動産業者も認識すべきです。待ってもだめなら早くどういうふうな対策で有効利用するかということを考えるのが実は一番肝心だというふうに思います。  それから、減反農地については、私はこれは多分、減反農地だけじゃなくて、米の自由化等がいずれ進めばやはり農業政策全体についての転換の時期が来るだろう、いわば時代を画するようなことが出てくるだろう、そのときに、今農地が六百万ヘクタールありますが、相当程度の農地が実は都市的土地利用に転換せざるを得ないと思うんです。  農業サイドにとってみても、ほっておいたら金になりませんから、都市に買ってもらわない限り実は対応できませんから、どうしても実は都市の方でそれを吸収するということにならざるを得ない。そういうときに、やはり減反農地を含めて今までのように各県一律であるとか地域一律であるとかということもまた修正されるでしょう。  大都市圏の近郊とかそういうところについては、積極的に実は減反政策を集合させて都市的土地利用に転換していくと、そういう対応をとるべきであって、そういうことなしのままに農業は農業、都市では都市、こういうことでやっているのが大体問題だと思うし、神様は日本の上空から地上を見たら、何とばかな国よ、片方では余って困っておって片方では足らなくて困っておる、同じ国なのにと、多分そうおっしゃるだろうというふうに思います。
  33. 清水達雄

    清水達雄君 済みません、地価税の問題でお答えを……。私が申し上げましたのは、固定資産税が適正な評価がなされ、レベルが適正になれば地価税は要らなくなるんじゃないかと。
  34. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私は、最初から当然そう思っております。  もともと実は地価税の発端は、一つは法人に対する課税の不均衡、もう一つは固定資産税の改革を引き出すためのインセンティブだったと思うんです。税調の議論も基本的にはそういう議論です。ところが、固定資産税の改革が長年のしがらみでできないということで、万やむを得ず地価税が出たというふうに私は理解しておりますし、これはいわばピンチヒッターであろうと思うんです。そういう意味では、いずれ固定資産税の改革ができるだろう。それが早くできることを実は期待しますし、それが実は本筋だろうと思っております。
  35. 清水達雄

    清水達雄君 関連でもう一言ちょっとお願いします。  石原先生が、監視区域に関連した問題で、地価の情報がよく入るからというお話がございまして、私はまさに現行制度ならそのとおりだと思います。アップ・ツー・デートな地価情報というのはやっぱり流通のプロセスしか入らない。  それで、私が基本的に考えておりますのは、宅地建物取引業法で専属専任媒介契約について登録義務を課しておりますけれども、全取引について登録義務を課して成約報告義務を課すというふうにしてすべての取引地価は流通機構に把握される、それをどういう加工をするかはわかりませんが、加工をして国民に知らしめるということをやらない限り、なかなか土地市場というのが国民にわかりやすい市場にはならないと思うんです。むしろそういう対策をやるべきじゃないかというふうに思っているもので、その点も、今後もし先生に御検討いただけたら大変ありがたいというふうに思っております。
  36. 石原舜介

    参考人石原舜介君) おっしゃることは非常にもっともでございます。  実はアメリカのMLS、マルチ・リスティング・システムにおきましてはおっしゃるようなことがもう完全にできている。我が国では、どうも取り引きが専属専任媒介契約にならない。一般契約だとか専任契約になってしまう。だから、本当にこれが何とか専属専任媒介契約に全部移行してくれれば、そしてアメリカのようにもう一〇〇%近くそういうふうなことになれば、おっしゃるようなことができると思います。  そうすると、報告義務が当然出てきますけれども、そうしますと対象地域価格をすぐコンピューターでリストアップできますから、なおアップデートのデータが手に入りやすくなる。アメリカの場合には、それをもとに価格査定をして、住民にこういう価格なら売れますけれどもこの価格だったら売れないんですよというふうなことをはっきりそういうデータをもとにお話しすることができる。こういう点なども、ぜひひとつ日本もそういうふうなことをやるためにそういう流通システム、機構をつくったわけでございますので、これは何とか、それを普及さすように、清水先生にひとつぜひ普及をお願いをしたいと思います。
  37. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変いろいろなことを勉強させていただいているんですが、石原先生と長谷川先生にそれぞれお伺いいたします。  私は、都市計画というものはやはりその地域に住民が生活をするということを基本にして考えるべきだというふうに思っているわけです。  先ほど石原先生も宅地の提供を積極的に行うというふうに言われたわけなんですけれども、この宅地の提供の場合に、やはり公共用地取得という問題が非常に関係してくるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、その場合に、自治体の先買い権の強化の問題とか、それから大企業が今保有しておりましてまだ使っていない未利用地だとか遊休地だとか、そういうのがあるわけですけれども、そういうのを適正に宅地利用に提供させるというふうな何かいい方法がないのかどうか、そういう点で先生のお考えをぜひお聞かせいただきたいということが一つです。  それから、長谷川先生にお伺いしたいんですけれども、土地動向と都市政策の基本は個人生活の質の向上で見ていこうというこのお考えは非常に私も賛成なわけですけれども、なかなかやはり地価動向に影響を与えるようなこういうふうなことというのは、例えば東京都の「東京土地一九九一」というこういう資料をちょっと見てきたんですけれども、それを見てみますと、八六年以降土地所有における法人の割合というのはずっと増加しておりまして、九一年には二四・四%東京土地を法人が持っている、それから地価税も上位百社はすべて法人であるということで、やはり企業がこの土地動向に非常に大きな力を発揮しているということはこの数字を一つ見てもわかるわけですけれども、そこで、今後バブルを再現させないための方策、これについてどのようなことをお考えになっていらっしゃるか。  それから、今、地価が下がってきたというふうに言われているんですけれども、これも東京都の例なんですけれども、東京都は下がったといいましても、やはり地価というのはなかなか高いものでありまして、例えば道路整備の一平方メートル当たり用地代というのは八六年には前年度比で三倍に上がった、ところが、九〇年にピークを迎えているんですけれども、九二年には再び九・八%上昇いたしまして九〇年の水準と同じような状態になっているということで、私がお聞きしたいのは、こういうふうに下がってはいても非常に高いところで安定しちゃっているというこの地価を引き下げるという、そういう何か公的な措置についてお考えをお持ちではないかということで、二点。  お二人の先生方にそれぞれお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。
  38. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 御質問の宅地供給促進の件でございますが、おっしゃるように、宅地というものはただ土地を造成すればいいということではなくて、その周辺を含めて公共施設整備をしていかなければいきませんので、当然のことながら宅地供給をやるためにはいろいろな公共関連の整備が伴ってまいります。公共開運というふうな形で特別枠でそういうふうな予算を宅地開発につけているというようなのも、そのためではないかというふうに思います。  そういう点で、特に公共用地取得するための先買い権の問題でございますが、残念なことに我が国ではこの先買い権というものを行使できる地域指定というものがないわけでございます。これは、フランスなんかですとZADという地域がございまして全部ほとんど先買い権を行使できます。我が国では先買い権というのは特殊な場合しか行使できませんので、そういう点がちょっと残念でございますけれども、これは、いろんな新しい開発の場合には必ず先買い権が行使できるようにしておかなければ環境のいい住宅地等を整備できないんじゃないかなというふうに私は思っております。  ですから、区画整理事業で適用する場合でも、公共団体が一部先買いをしまして、そして減歩率を多少下げるという作用もございますけれども、そういうことからいろいろ手当てをするようなことが行われておりますので、ぜひひとつこれはそういう地域指定というものを設けるように考えていくべきじゃないかなというふうに思っております。  そのために、先買い権のことにも関連をするわけでございますけれども、先買いする場所が公共用地対象地であれば先買いも非常にできやすいんですけれども、それ以外のところで交換で先買い権を行使して代替地取得しておくというようなときに税法上収用法の適用地域と同じようにしてもらえないかというふうなことを先ほど申し上げたのはそのことなんです。それによって、公共団体が土地を買う場合に限り、そういうふうな収用法の適用区域でなくても収用法と同じように有利に譲渡できるというふうなことであれば、税が安いものですから、そういう代替地を事前に公共団体の方へ今度売りにくることができますので、そうすると先買いに等しい効果を上げていけるんじゃないかというふうにも思います。  それから、未利用地になっている法人保有の土地でございますが、これは未利用地になっている部分は主として調整区域が多いんです。市街化区域内で特に保有していて遊ばしている土地というのはそう多くございません。何かやはりそこには計画を持っております。ところが、都市計画法の適用になるときに、たまたまそういうふうなところに手当てしていたのが調整区域に組み込まれて、二十ヘクタール以上なら開発許可をしますよというふうなことを言われているんですけれども、なかなかこの市街化区域内が宅地化しないものですからわざわざ調整区域まで宅地化さすということができにくい条件にございまして、その転用が非常にいろんな意味で抵抗がございます。  ですから、むしろそういう意味からすると、今回、念願の市街化区域内の宅地並み課税が二十年ぶりにようやく成果を見たわけでございますので、最初に考えられていた都市計画の市街化区域に近い行動が多少できるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そうなりますと、それがある程度開発されました後は未利用地の方へ手が届くというふうなことになろうかと思います。そうすると、今までのような形でいつまでも凍結するというようなことが行われないんじゃないかなというふうに思っております。
  39. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私は、今回の地価高騰なりバブルの増殖の背景には日本的な法人社会のゆがみが大変あったと思います。  その法人社会のゆがみを支えたのは、基本的には私は税制だと思います。すべて法人に乗っかると有利だと。食べることから飲むことから遊ぶことから、一切合財が法人に乗っかっている。ゴルフの法人会員権なんてある国は日本だけでございまして、法人って一体どうやってゴルフするんだと思いますが、とにかく法人会員権というのが実はあるわけであります。そういう社会ができたのも、基本的には実は税制のせいであります。社宅がもてはやされたのも税制のせいであります。  これは実は、企業がそういうゴルフの会員権でも社宅でもつくりますと、すべて経費で落ちるという仕組みであります。個人買いますと、これは全部可処分所得といいますか、税金を払った残りで買わなきゃならない。大変不公平な税制住宅にもゴルフの会員権にもございます。こういう税制が実は一億円の法人会員権をつくり出し、何億円の億ションをつくり出した原因だと私は理解をいたしております。  こういう法人社会のゆがみというのが実はバブル崩壊で非常に問われているということでありまして、そのベースが税制であります。これは日本に百六十万社、税金を払わない法人が大変多くて九九%が払っていませんが、そういう会社ができたのも実はこの法人社会のゆがみ、税制のゆがみによってできたというふうに私は理解をしております。したがって、基本的には法人社会のゆがみをどういうふうに是正するかということが大変必要なことだというふうに思います。  それから、バブルを再燃させない方法、あるいは今東京土地の絶対値は私も確かに高いと思いますので、それをどう引き下げるかという話でございますが、私はこれは引き下げようと思わなくても引き下がると思いますね。嫌だと思っても下がると思います。今、バブル崩壊によって中途半端で地価がとまるはずはない。もしソフトランディングできたり中途半端でとまるということであれば、下がる必要はなかったわけでございます。下がったということは、実はこれは行き着く先は、住宅地についてはアフォーダブル、要するに年収五年分で住宅が買えるような水準にまで下がらざるを得ない。商業地は、そこで新しくビジネスをする人が投資をしてもちゃんと商売が成り立つという水準にならざるを得ない。もし今ミニバブルを起こしても、そういう条件にない土地を一体だれが買うか、一体だれがそこに金を融資するか。ミニバブルを起こしたいというのは、当面今の借金のツケを回してしまいたいという話でございまして、その回される人がいるはずもないこういう状況の中でミニバブルを起こしても仕方がないというふうに思います。  したがって、土地基本法によって成立した土地に対する国民的コンセンサスをどういうふうにやっていくか。この地価高騰の中でかなりしっかりした税制もできました。それから金融対策等もできました。さらに、都市計画等についてもかなり積極的な対応が行われました。私は、これを着実にやっていくことだと思います。後ろに戻らない。リレーであれば既にアンカーに実はバトンタッチされておるわけであります。それは都市計画とか宅地供給というそういう最終ランナーにバトンタッチされたわけであります。それを後ろに戻らないということです。  一度その税制をやめましょうとか、何とかしてもっとバブルを起こしましょうとかいうことでなくて、やはり今のでき上がった土地対策土地制度の仕組みの中でどうやって豊かな住宅、住環境をつくっていくか、供給していくかというところに最大の力点を置くべきだと思うし、その条件は十分ある。我々が後ろに戻ろうとしなければ前に行かざるを得ないわけでございまして、そういう条件が十分あると思う。したがって、何もしなくてもいいんです。今のとおり着実に今のことをやっていただきたいというふうに思います。
  40. 山田勇

    ○山田勇君 長谷川参考人石原参考人秋山参考人にお尋ねをいたします。  長谷川参考人は、土地政策の目的は個人生活の質の向上である、すべてを個人の問題という形で論じられております。大変僕は尊敬に値する考え方だと思っております。そういう中にありまして、まず、土地基本法は土地に関する憲法と言うべきもので、土地についての公共の福祉優先を初め土地についての基本理念を確立したことは、僕は大変結構なことだと思います。  我々建設委員としましては住宅基本法は何としても制定したいというので今努力をしている最中でございますが、その住宅基本法について、石原参考人、そして長谷川参考人にお尋ねをいたしておきたいと思います。  それと、石原参考人は、買いかえ特例、六十五歳、税制上の優遇政策をやりなさいと。高齢社会に対して大変結構な御提案でございます。これはいろいろ問題もあろうと思いますが、大変結構な提案だと思います。  そこで、賃貸の場合の買いかえということになりますと、家賃が非常に上がるということで老人が大変困窮している状態が今あちらこちらにあるわけでございます。そういう場合、賃貸の場合に対する家賃の何か国からの施策といいましょうか、補助といいましょうか、そういうものを積極的にやればいいというようないい考えがあれば御提案を願いたいと思います。  最後になりましたが、秋山参考人に、秋山参考人は地下道が大変お好きなようでございますので、お尋ねします。  今度新しく建設委員会でも法案が成立しまして、阪神高速道路公団の京都に対する道路ができます。これは古都景観の問題がありますので、地下にもぐって道路は建設していくわけですが、この地下道の場合、どういうんですか、排気ガスの処理の仕方というのが、景観を損なわないで地下に入る、しかし地下で起こる排気ガスをどこへ上げるか、それが住民にしたら大変問題で、日本のことですからこれからハイテク技術を駆使して何かのもので排気ガスを少しは薄めて地上へ出すのでしょうが、新しい都市の問題でそういうような排気ガスを地下から地上へ上げるやり方で秋山先生の何かいいアイデアがございませんか、その点をお尋ねして私の質問を終わります。
  41. 石原舜介

    参考人石原舜介君) まず先に後の方の質問の、買いかえ特例に関連しまして高齢者に対します家賃の負担の問題でございますが、これは、私、住宅都市整備公団の家賃部会の部会長をしておりまして三年に一度ずつここに呼ばれていろいろつるし上げられているんですが、毎度問題になるのがこの問題でございます。  やはり対応としては、これは応能家賃制度以外に方法がないというふうに思っております。  応能家賃制度を適用できるようなものというのはこれは公的住宅対象でございますので、例えば公団で建てかえをするときも、今回から、公団の方から公的住宅、公営住宅の方に優先入居できるような手だてをしましてやっていこう、そして公的住宅の方では応能家賃制度を適用する、そういうようなことで住の安定化を図るという措置が講じられるんじゃないかなというふうに思っておりますが、民間に対してこういうふうなことで対応してもらいたいというふうなことでやる場合もあり得るだろうというふうにも思います。  アメリカでは一般の住宅におきましても応能家賃制度が適用されております。それで、その場合には、公的機関が住宅の査定をいたします。そして適正家賃というものが幾らであるかということを査定いたしまして、その人の可処分所得の三〇%というふうに言っていますが、三〇%を支払わせて、その残りの差額を国が補助する、いわゆる州が補助するわけです。アメリカでは、こういう制度に切りかえて公営住宅をつくらないようにしていこう、むしろ応能家賃制度を中心にこういう制度をやっていきたいというふうなことで、今、アメリカの住宅政策はそうなっております。今度のクリントン氏になってどういうふうにまたこれが変わるかわかりませんけれども、まあ一応そういうふうな形になっております。  我が国もある程度のストックができ上がった段階で今のように高額者が公営住宅の方に入ってなかなか出ないというふうなことでは困るんで、これをしっかり完理していただくようなことをしないとせっかくのストックが有効に働かない。そうすると、どんどん今の段階ではこういう公営住宅の方に収容してできるだけ家賃をそういう応能家賃的な形に持っていくことができるんですけれども、将来については、これは一般的な公営住宅というのはこれから先どんどんつくるべきでは私はないと思いますが、そういうふうなことで応能家賃的な形が生まれ出てくるんではないかというふうに思っております。そういうことで、これは現在のところの対応はできるだけ公営へというふうなことで処理していかざるを得ないだろうというふうに思っております。  それから、住宅基本法というものをお考えになっておられるというのは非常に敬意を表するわけでございますが、かねがね住宅に対しまして国がある程度の最低水準に対する責任を持たなければいけない、こういうところから実は応能家賃的な考え方も生まれ出てくるわけでございまして、どこまで国が責任を持ってこの最低居住を保障するかというあたりが一番議論の対象じゃないかというふうに思います。ぜひそこら辺を十分御検討いただければありがたいなというふうに思っております。
  42. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 賃貸か持ち家がという話でございますが、今までですと、実はみんな持ち家に行きたがる、それは実は私たちが賃貸より持ち家が得だというふうに思っているわけでございます。地価も上がるし、税金も安いし、お金も貸してくれるし、なおかつ利ざやも確保できる、こういう状況が続いてきました。一方、賃貸住宅には何らの恩典もございません。したがって、皆さん賃貸住宅から持ち家へどんどん変わると、こういうことでございましたが、それのベースには、実はどちらが有利かというと、持ち家に有利な仕組みだったからこそそうなったんですね。  私は、持ち家か賃貸かというのは、基本的には、東京にちょっとの間いる人は賃貸でもいいし長く住む人は持ち家でいいというそのライフスタイルで決めるべきであって、得か損かで決めるべきではないというふうに思っております。しかし、今は得か損かで決めざるを得ないというところに問題があると思いますね。  そういう意味で、私はファミリー住宅のような賃貸住宅に常に入りやすいようにするということがまず第一だと思いますし、そのあたりは政府もいろいろ御努力されておるようでございまして、優良賃貸住宅に対する助成とか金融とか税制とかという対応も一方でされておると思いますね。  それはそれなりに大変いいことだと思いますが、基本的には私は賃貸住宅で一番メリットというのは地価を反映させなくて済むということだと思います。分譲住宅の場合には土地を買って建物と一緒に売らなければならない。賃貸住宅の場合には実は土地代を消すことができるというところに最大のメリットがあるわけでございまして、特に賃貸住宅の場合にはそのメリットを最有効に利用できるようにして、より賃料が安いというか入りやすい賃貸住宅供給するというところにまず一番のポイントを置くべきだと思います。  それから、住宅基本法についてはどういうのか私中身はつぶさでありませんが、やはり年収五年分の基準という大きな生活大国の目標ができましたが、さらに私は、生活大国の目標の年収の五年分というのは、先ほど石原先生がおっしゃったように、アフォーダブル、アフォータビリティーというか、アメリカが持っておる住宅政策の理念をつくるべきだと思うんですね。先ほど石原先生から賃貸住宅について三〇%を超えるとという話がありましたが、持ち家の方も実は日本の基準よりも、アメリカの基準は、頭金から、ローンの支払いから、税金から、光熱水料から、保険料まで一切合財入れて収入の三割以内で実は住宅取得できるというのが一つの大きな目標でございます。そういうふうに、住宅を買うだけではなくて住生活におけるコストあるいは費用をどういうふうに見ていくかということもぜひ住宅基本法の考えの中に入れてほしいというふうに思います。
  43. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) 大変難しい問題をお聞かせ願ったんですけれども、通常、トンネルがある場合、その出入口においては排気ガスのために周辺の木とかああいうのは枯れてしまうんですね。それほど害があるわけなんです。  窒素ガスと炭酸ガスとを考えた場合、窒素ガスは空気よりちょっと重いか同じぐらいか、炭酸ガスはちょっと軽い程度だと思いますが、それを外へ出さなきゃいけないわけなんです。  まず、私、今ここで考えただけなんですけれども、隧道の長さにもよるんですが、パイプを隧道の中へ通して幾つか穴をあけて、そこから、これ吸い出すことができますから、それを利用して吸い出すというような方法。どの程度排気するかということはわかりませんけれども、幾つかの穴をあけて、そこから吸い出すとかというような方法。  それから、物すごく長いので、深さにもよるけれども、そういう場合には昔は困ったときには大きな塔を建てましてそこから吐き出すというようなことをやっていたんですね。だけれども、余り深くなければ、それはやはり穴を縦方向に掘って、そして吹き込む方と引き出す方と両方に機械的な装置ができると思うんですね。そういうことをやれば浄化はできると思うんです。  ただ、電気自動車とかそういうような時代になれば害がなくて一番いいんですけれども、現実としては、今ここで考えた中では、そういうことができるんじゃないかというような思いがいたします。
  44. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。
  45. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 時間が参りましたので、なるべく短くお願いいたします。
  46. 西川潔

    ○西川潔君 かしこまりました。  間もなく四時になろうとしておりますので最後になりますが、私は主に老人福祉を勉強させていただいておるんですが、現場を回らせていただきますと、都会の空洞化、そして田舎の過疎化で、ありがたいことに我が家は親子三代が生活しておりますが、お年寄りの皆さん方の御意見をお伺いしますと、これからの不安、心配、苦しみというのはやはり固定資産税とか相続税とかということになるんですけれども、これから高齢化社会に向かって随分施設なんかも足らないわけで、特別養護老人ホームとか養護老人ホーム、有料老人ホーム、そしてまた、これからは中間施設というようなものもたくさんふやさなければいけないんですね。  そういう中にありまして、大都市における高齢化に対しまして、土地利用、そしてまた土地税制――税制の方は石原先生の六十五歳以上非課税というようなお話もお伺いいたしましたが、今後、高齢化社会を迎えましての都会の老人福祉と田舎の老人福祉とは、僕は百八十度違うものであるというふうに思っておるわけですけれども、そういう意味での土地利用というよきアイデアがあればお聞かせいただきたいな、こういうふうに思うんです。  三先生に順番にお願いいたします。
  47. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 大都会における高齢者というのは、これは大変農村等における高齢者と違いまして、ある程度都心の方に住んでいただいて、元気な間はできるだけいろんな文化的施設だとかそういうものに親しんでいただけるようなそういう機会があるような形にしていきたいというふうなことで、これはたしか関西の方にあったと思うんですが、駅前に高齢者用の専用のアパートをつくって二階にクリニックを入れたビルがあったと思いましたが、そういうふうなことが一つの形じゃないかというふうに思っております。やはり人と接触する機会を多くするというふうなこととともに、やはり何かの趣味とかよりどころを自分でつくって生活していかないと、高齢者というものは非常にわびしくなっていくんじゃないかなというふうに思っております。  それで、そのために、大都市なんかでやはり動けなくなったときにどうするかというのがこれ非常に大きな問題でございます。これは農村でも同じようなことだと思うんですけれども、特に出張看護といったら変ですけれども、都市におきましてはできるだけボランティアなんかが出張看護するような仕組みにしていくような組織をつくる必要があるんじゃないかなというふうに思っております。農村なんかですと割合皆さんお隣同士助け合いが簡単にできますけれども、都会はそういうことが非常にやりにくいところだけに、何かそういうような組織化を公共団体なんかが応援して、そしてそういう援助をしてあげる。  それから、例えば一日看護のような形で預かるような場所をできるだけつくるとかいろんなことをしながら、公共団体とか地域の人とかこういう人たちで支えていくような組織体というのが、今、大都市というか、都市では必要なんじゃないかなと思います。  農村の方においては大家族的な形もありますし、それから周りで生産活動することもできますので、これまたちょっと違ってくるというふうに思います。  そういう点で、できるだけ高齢者対策を考えていただくのはありがたいことですが、いろいろ施設そのものをつくるよりも、こういう人の輪、どうやってボランティア的な輪をつくるか、そちらの方がより大切なんじゃないかなというふうに思っております。
  48. 長谷川徳之輔

    参考人長谷川徳之輔君) 私も高齢者が射程に見えてきまして、余り人様のことでなくて自分のこととして考えなければならない、そろそろそういう時期が見えてきたんですが、私はやはり自分自身都会に住みたいと思うんです。やはりビビッドに生きたいという意味で都会に住みたい。  同時に、実は高齢者にとってみると実はふるさと回帰と両方のことがございます。同時に、私は昔の友達と故郷でもって別な時間を過ごしたい。そういうふうに多面的な実は接触ができるようにすることが、私は自分のおふくろや親戚を眺めておってとても大事だと思うんですね。ある一カ所にいるんじゃなくて、動けるということだと思うんです。  そのためには、都会にも住むし自分の故郷にも住める、あるいは昔の仲間とコーポラティブハウス的な生活もできる、今の活動も維持する、こういうことが私は一番大事だと思うし、少なくとも私たちの時代からはそういうことの欲望、そういう意識を持った高齢者がふえてくると思いますし、それに対応するような住宅あるいは施設、こういったものを考えていくべきだと思いますし、私も一カ所にとどまってじっとしているというのは耐えられないというふうに思います。
  49. 秋山政敬

    参考人秋山政敬君) 地方へ住むのと都会に住むのとお互いにメリット、デメリットがあると思うんで、都会に住みたい人もいるし、田舎の方がいいという人もおるんです。  都会においては例えば、地方でも同じかと思うんですけれども、三世帯住宅というものをつくった場合にはそこで六十五歳以上の人、老人に対する税制上の優遇措置を講じてやるとか、それからもう一つは、外の面については、例えば散策するための散策路とかポケットパークを設けるとかして、老人は足から傷みますから、歩いてそこへ孫と一緒に行って散歩するとか、そういうことのできるような遊び場というものをもっとふやすべきだと思うんです。  田舎においてはそういうような自然なところが非常に多いんですけれども、やはり家族で一緒に住むということは一番老人に対してはメリットだと思うので、田舎においても三世代住宅に対する優遇とかということを税制上図っていただきたい、そのように思います。
  50. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。
  51. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 参考人方々に一言あいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ長時間にわたり本委員会に御出席いただきまして、貴重な御意見を拝聴いたしました。私どもは日本の土地政策について大変御指摘にありましたように重大な問題だと考えておりますので、御指摘いただきました数々の参考意見を中心といたしましてこれからの重大な土地問題に対応いたしてまいりたいと思います。きょうはありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会