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清水達雄君 今回の
地価の乱高下というのは、我が国の
経済社会に対しまして大変悪い影響を与えているわけでございます。
この過程におきまして、
政府としてもいろんな
対策をとったわけでございます。
監視区域制度をつくるとか、あるいはただいま議論がありましたようないわゆる
不動産融資につきまして個別ヒアリングをやるとか、総量融資規制をやるとか、あるいは
税制につきましてもいろんな
改正をやったわけでございます。
ところが、今に至ってみますと、初めてこういう大きないろんな施策をやったというようなこともありましていろいろ反省したり検討する点もあるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。やっぱり国民の
土地対策に対する
考え方というのが一致しませんとなかなか強い
対策が打てないわけでございまして、この点については大いに今後議論をしてより的確な
対策がつくれるように
努力をしていかなければならないというふうに私は
考えているわけでございます。
それで、先般の決算
委員会におきまして
土地問題についての
基本骨格みたいな議論をさせていただいたわけでございますが、私のスタンスを御説明する意味もありまして若干その点について
考え方を述べさせていただきたいと思うわけでございます。
地価というのは、宅地の需要と供給の関係によって決まる。宅地の供給が長期的に見て不十分であるというふうな構造にあれば、
土地は持っていれば後で上がった上で売れるから必ずもうかるよということになるわけでございまして、これが
土地神話だと思うわけでございます。こういう
状況において、需要が増加すれば、つまり供給を上回って需要がふえれば、
地価は必ず上がるというのが
地価の問題だろうと思うわけでございます。
したがいまして、
地価を安定させるためには宅地の需給をバランスさせるということが一番大事でございまして、そのためには
土地利用転換、宅地供給をうまくやっていくということが一番大事な点でございます。そのために、
土地基本法では第三条に
土地の適正な
利用あるいは
計画に従った
利用というふうな理念を書きましたし、それから第十二条でいわばこれを
実現させるための規定も置いているわけでございます。
そういうふうなことで、地主の意思だけによるのではなくて、その
土地が置かれた
状況に応じて適正に
利用されるということをどうしてもやっていかなきゃならない。そのためには、今回三大
都市圏の特定市街化区域農地でやられましたようなああいう行政措置を伴う具体策をどうしてもやらなければ効果が上がらない、そういうふうに思っているわけでございます。しかし、これはそう簡単にできることではなくて、大変難しい問題であるというふうに思っているわけでございます。
一方、
税制改正が
地価対策という意味でいろいろ言われているわけでございますけれ
ども、それなら
税制によって
地価を安定させる機能があるかという点を
考えてみますと、まず有効
利用地じゃなくて、未
利用地や低
利用地に比較的高い保有
課税をやりまして
土地利用を促進させること、これは
利用促進の効果があると思います。それから、
投機的取引を抑制するために今行われておりますような超短期譲渡益に関して重課をする、つまり投機的な地上げ行為等をやめさせるということも効果があると思います。
しかし、有効
利用されている
土地に対して保有税をかけて
土地保有に伴う利益を縮減させるといったふうな
対策というのは、私は効果がないと思っているわけでございます。
というのは、有効
利用している
人たちが税金が高くなって、じゃどうすればいいのか。その
土地を売ってどこかへ移転するのか、あるいはそこの建物をぶち壊して何か新しいものを建てるのかという対応がない限りは、
土地は動かないし何にもならないわけでございます。そういう意味で、やっぱり保有税というのは担税力の点からいっておのずから限界があるわけでございまして、
土地の保有コストを上げるというのは本来的な意味の
政策課題にならないというふうに思っているわけでございます。
そんなことで、
平成三
年度の
土地税制改正につきましては今後十分見直しを行って安定的な
土地税制に変えていく必要があるというのが私の
基本的な
考え方でございます。
それで、じゃ長期構造的な宅地供給というふうな
対策が十分とれない段階では
地価が上がってくれば短期的な対応をしなきゃならない、それは何でするかといったらば、これはもう供給を上回るような需要につきましては
金融面で調節して需要を抑えるしかないというふうに私は思っているわけでございます。
その点について、今、トリガー方式のお話がございましたけれ
ども、あれは一つの
指標数字で書いているわけですが、やっぱり
大蔵省の銀行局が答えられているような
地価の
動向とか
経済情勢を十分見た上でトリガー方式等を発動してうまく需要を抑えていくということが必要ではないかと思うわけでございます。
基本論はそういうことで、決算
委員会でもやりましたので、きょうはやや具体的な問題について御質問いたしたいと思います。
それで、最近の
不動産業界などの事業用
土地の
取得状況につきまして建設省が三月に
調査を行ったというふうに伺っているわけでございますけれ
ども、当面の
取得の見込みとかあるいは
取得を進めるに当たっての支障とかという点について御説明をお願いいたします。