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政府委員(山口
憲美君)
郵便貯金へのシフトの
お話でございますが、
郵便貯金のシフト論議がここのところ話題になってまいりましたのは、例の
平成三
年度に全国銀行の預金の落ち込みが大変大きかったというふうなことが背景にあってというふうに思っておりますが、ちなみにこの
平成三
年度の
状況というのをちょっと
お話しさせていただきますと、全国銀行の預金は五兆七千億ほど
トータルで減っております。ただ、この中を見てみますと、いわゆる法人預金等が十三兆七千億も減っているということでございまして、私
どもと競争している
分野の一千万円未満の小口の預金の
分野では
平成三
年度も八兆七千億というふうに順調にふえているということでございます。したがいまして、私
どもとしては巷国言われております民間の預金が
郵便貯金の方に流れてきたんだというふうな
お話は、この法人預金というのは全然私
どもの扱ってない
分野でございますので、そういった言われ方というのは余り当たってないんじゃないかというふうに私たちは思っているということでございます。
ただ、
郵便貯金につきましても、
平成二
年度につきましては五兆一千億も減ったとか、あるいは
平成三
年度には十一兆円もふえたというふうなことは、確かに
郵便貯金自体の問題としてはございます。
どうしてこういうことが起こってくるかということでございますが、
先生御案内のように、現在のところいわゆる規制金利と自由金利というものが混在しているというふうな
状況でございまして、金利が上昇局面になりますと自由金利の方が先に機動的に動きますので、どうしても自由金利の方が金利が高くなるというふうなことから規制金利を
中心にしております
郵便貯金が若干金利面で不利になる。一方、下降局面になってまいりますと規制金利がどうしてもおくれますので、高とまりして有利になるというふうな現象からこういったことが
郵便貯金に見られたということでございます。しかしながら、今回定額
貯金の金利のつけ方につきまして金利自由化というふうなことで大蔵省との間で一定の整理をいたしましたので、こういった金利の不整合の
状況というふうなものは今後起こらなくなるというふうなことで、こういった
状況というのはなくなるものというふうに思っているわけでございます。
それから、もう一点
お話しがございましたのは、金融市場へ与える影響というふうなことでございますが、これは端的に申しますとマネーサプライの問題というふうになろうかと思います。最近マネーサプライの伸びが大変低うございますが、これは私
どもは、景気の後退によりまして企業の資金需要が減少してきているというふうなこと、あるいはもう
一つは銀行の貸し出し態度が非常に慎重になっているというふうなことが関係するというふうに考えておりまして、
郵便貯金の増加が直接関係しているものじゃないというふうに思っています。これは
郵便貯金を含みますマネーサプライの指標でございます広義流動性という指標で見ましても、大変伸び率が低下しているということからもうかがわれるわけでございます。
ちなみに、
郵便貯金は有償の資金でございますので、お客さんからお預かりいたしましたらもう速やかに預託をして金利をいただきたいという性格のものでございますので、日々全額大蔵省の資金運用部に預託をしておりますし、預託された資金は、大蔵省も私
どもに金利を払わなきゃなりませんので直ちに市中に還流をするというふうな形になっておりまして、具体的にも
日本銀行や市中の金融機関を相手にいたしまして資金運用部は即日運用をしているというふうなことでございます。
郵便貯金資金のうち、資金運用部を通じて日銀に流れた分につきましては、日銀はこれを日々把握をしておりまして、民間の経済活動に支障がないというふうな形になるように十分な資金をその
状況を見て供給しているというふうに聞いておりまして、
郵便貯金に資金が集まったということが経済活動等に影響を与えるというふうなことはないというふうに私
どもは考えている次第でございます。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。