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1993-02-25 第126回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十五日(木曜日)    午前十時九分開会     ―――――――――――――    委員異動  二月二十三日     辞任         補欠選任      山田健一君      三重野栄子君  二月二十四日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     堀  利和君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野別 隆俊君     理 事                 岡野  裕君                 陣内 孝雄君                 及川 一夫君                 中村 鋭一君     委 員                 岡  利定君                 加藤 紀文君                 沢田 一精君                 志村 哲良君                 中曽根弘文君                 大森  昭君                 川橋 幸子君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 常松 克安君                 鶴岡  洋君                 鈴木 栄治君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君        郵政大臣官房人  加藤豊太郎君        事部長        郵政省郵務局長  上野 寿隆君        郵政省貯金局長  山口 憲美君        郵政省簡易保険  江川 晃正君        局長        郵政省通信政策  松野 春樹君        局長        郵政省電気通信  白井  太君        局長        郵政省放送行政  木下 昌浩君        局長    事務局側        常任委員会専門  星野 欣司君    説明員        外務大臣官房外  美根 慶樹君        務参事官    参考人        日本放送協会会  川口 幹夫君        長        日本放送協会理  堀井 良殷君        事        社団法人日本民        間放送連盟専務  松澤 經人君        理事        日本電信電話株        式会社取締役   三輪 佳生君        サービス開発本        部長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政行政基本施策に関する件) ○電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十三日、山田健一君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。  また、昨日、三重野栄子君が委員辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件審査及び郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会社団法人日本民間放送連盟専務理事松澤經人君及び日本電信電話株式会社取締役サービス開発本部長三輪佳生君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、郵政行政基本施策に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは質問させていただきたいと存じます。昨年の臨時国会でお伺いしたいと思いながら時間切れで終わってしまった女性登用の問題からお尋ねさせていただきたいと思います。  まず、郵政省関係審議会が幾つかおありでございますけれども、そこに女性委員登用はどのくらいの比率でなされていらっしゃいますでしょうか、お尋ねします。
  8. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 郵政省関係審議会四つあと審査会一つ、五つありまして、現在女性委員登用の数というのは、委員総数八十三名中十名でございますので、その比率は一二・一%となっております。
  9. 川橋幸子

    川橋幸子君 私はいつもこういうPR資料を持ってきて、目で見てわかりやすくビジュアルに訴えさせていただきたいと思うのですけれども、これは「女性男性と共に創る社会の形成をめざして」、男女が共生でパートナーシップを発揮しましていい日本をつくる、あるいは国際貢献をするというそういう政府国内行動計画でございますが、その中に「政策方針決定への参画の促進」、審議会等における女性委員割合につきましておよそ五年間に総体として一五%、こういう目標数値が挙がってございます。  五年間といいます意味は、計画の改定でございますけれども、改定されたのは平成年度、ですから終わりの年度が七年度になります。総体として一五%。さらに、西暦二〇〇〇年には飛躍的な上昇を図るというのが政府の方のお約束事でございます。このバックには、国連における女性問題の取り組みが地球的な規模で行われておりまして、ナイロビというところで会議が開かれましたときに採択されましたナイロビ将来戦略というのがございます。  そこでは、一九九五年までに指導的地位につく女性割合を少なくとも三〇%に上げると。ですから、日本目標値といいますのは、時期もナイロビ将来戦略に比べればちょっとおくれぎみ、しかも比率はその半分。これでも政府の方では大変苦労しておられるんだと思います。これは御紹介でございますけれども、これは女性の問題として女性だけがやっている計画ではないわけでございます。  もう一つ、野党の議員でございますけれども政府の方で出された資料をいろいろPRさせていただきますが、生活大国五カ年計画PR資料でございます。宮澤総理大変熱を入れられておりまして、生活大国変革を図ってまいりたいという計画があるわけでございます。よく知られております政策目標としましては、年収の五倍で住宅が持てるようにしたいとか、年間の労働時間を千八百時間にしたいとか、そういう政策目標が掲げられている生活大国でございますけれども、その中に女性社会参加促進するという一項目が挙がっております。このように政府計画をわざわざ引用させていただいておりますのは、これは日本政府としての国民へのお約束事だということを確認させていただきたいわけでございます。  さて、先ほど五十嵐官房長お答えの中で、郵政省総体として現在一二%であるわけです。目標値よりはまだ下にあるわけでございますが、実はこれは各省庁審議会委員、成績を比べるわけじゃないですけれども、各省庁別達成度を見ますと大変いい順位につけておられます。第一位はこれを所管しております総理府でございますが、一四・三%という数字が現時点で挙がっております。続きまして外務省、これがナンバーツー、ナンバースリーが厚生省、ナンバーフォー郵政省というわけでございまして、小泉大臣はそのナンバースリーナンバーフォーの両省を経験されていらっしゃる大臣だ、大変女性の問題について理解のある大臣でいらっしゃると思うわけでございます。  ところが、実は、郵政省も本当に努力はされているということは評価はされるのですけれども、やはり満点ではないわけでございまして、先ほど官房長お答えの中、四つ審議会一つ審査会、そのうちの一つ審議会でございますが、大変重要な役割を持っております電監審電波監理審議会、これが私ども女性の中ではいわゆるゼロ客と申しております。ゼロ戦ではございませんでゼロ審、女性がゼロの審議会でございます。ゼロ客をなくすということが行動計画の中で政府努力目標として非常に大きな比重を持っているわけでございますけれども、どうして電波監理審議会には女性登用が困難なのか。あるいは努力して登用するというような努力目標がありましたらお教えいただきたいと思います。
  10. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 先生指摘のように、電波監理審議会委員先生は今五名いらっしゃいますが、そのうち女性はいません。電波監理審議会委員の数が五名と大変少ないということに加えまして、非常に専門的、技術的なことを御審議いただき、また議決をしていただくというようなことになっておりまして、これまで女性適任者が見当たらなくて結果としてこういう登用に至っていないという現実でございますが、なお今後とも女性委員先生登用については私ども努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  11. 川橋幸子

    川橋幸子君 今後努力したいという官房長の御答弁でございますので、その御答弁に私としては満足すべきかもわかりませんが、やはりもうちょっとだめ押しさせていただきたいと思うわけでございます。  確かに、官房長おっしゃるように非常に技術的な専門分野の方で、少数の方で構成される審議会でございますのですけれどもメンバーの方の専門分野を拝見いたしますと、専門分野マスコミュニケーションという方もいらっしゃいますし、専門分野行政法という方もいらっしゃいます。そういう意味では、本当にテクニカルなというよりも、法律専門家であれば、あるいはマスコミ学専門家でいらっしゃれば、マスコミには非常に女性が多い、女性の活躍する大きな分野でございますし、メディアに対する女性の目というものは大変的確なものを持っていると思うわけでございます。そうした技術的な委員で構成されるからという、そういうお答えだけではなくて、そうした分野の中にももう女性がそろそろいろいろな方が、人材が出ていることを把握していただくのもやっぱり役所のお努めかと思いますので、ぜひその辺の努力をお願いしたいと思います。一言で結構ですので努力のお返事をちょうだいしたいと思います。
  12. 五十嵐三津雄

    政府委員五十嵐三津雄君) 今先生からお話ありましたように、確かに専門的、技術的な分野委員会でございますが、経済、法律行政あるいは文化と言われるそれぞれの分野での権威と言われるような方が委員になっていただいているような委員会であります。  先生今御指摘のありましたようなことで、結果として登用に至っていないということでございまして、私ども今後とも努力をしていくという考え方を持ち続けてまいりたいというふうに思っております。
  13. 川橋幸子

    川橋幸子君 官房長からお答えをちょうだいしましたので、加えて大臣にもお答えいただくというのも恐縮なんでございますけれども、やはりナンバースリーナンバーフォー女性登用を誇った省の大臣でいらっしゃいますので、私としては伺わせていただきたいと思います。  これまた政府資料でございますが、「えがりて」というものがございます。ちょっと遠くてごらんになりにくいかもわかりませんが、エガリテというのはイコーリティーのフランス語、平等というこういう広報誌でございます。婦人問題企画推進本部各省の事務次官がメンバーになっていらっしゃるそういう推進本部事務局が発行するものでございます。こちらにいらっしゃる男性、そちらから見当つかれますでしょうか大臣。じゃ、後で事務方から、もちろん事務方はお持ちでしょうからごらんいただきたいと思いますが、実はこの立ってあいさつされているのは河野官房長官でございます。このときのあいさつの言葉は新聞で報じられておりまして、私は初の婦人問題担当大臣でございます、官房長官を併任しております。こういうお話がありまして、女性に対しては大変好感度の高い、好感が持たれた初の女性問題担当相の就任なのでございます。  このところ、アメリカクリントン政権クリントン、ゴアさんの若いコンビの話がよく出てまいりますけれどもヒラリー夫人は言うまでもなくですが、閣僚の中に非常に女性登用が多くなっている。アメリカではかつてウーマンリブということが言われましたけれども、その後一時それが下火になって、今また新しい女性時代がやってくるというこういう認識、時代の流れがあるわけです。つまりタイム・フォー・チェンジ、変革時代というのは女性あるいは少数民族、こういう人たちが担うのだというこうした人権に対する意思、あるいは物事を変えるときに市民が参加するという、そういう方法を重視するクリントン政権なわけです。  そこで大臣に、今までの官房長の御答弁、それから私が今申し上げましたように、日本の中でも婦人問題担当大臣がおられる、あるいは小泉大臣もそのうちこういうところに御登場いただけるかもしれないという、そうした時代の中にありまして、郵政大臣としての審議会への登用についてのお答えをいただきたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 官房長から答弁ありましたとおり、国の審議会委員への女性登用ということについては、郵政省としてもこれから積極的にもっと女性登用するように進めていきたいと思うんです。政府役所の中で郵政省は四番目ですか、比較的目標達成に向けて順調に進んでいるところだと思いますが、今後も審議会等委員任期満了時等にはできるだけ女性登用も考えまして、各省に比べても遜色ないように、というよりも、一歩も二歩もこの女性登用に向けて積極的な姿勢を進めていくよう検討していきたいと思っております。
  15. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。ナンバースリーナンバーフォーで少し褒め過ぎの言葉を申し上げたかなと、褒め殺しじゃありませんけれども、ちょっと私も気恥ずかしくなりました。  ですけれども郵政省事業の特色、郵政省という省が受け持っている政策の中身を考えますと、郵便ですとか貯金保険放送、それから情報通信、これはいずれも女性視点が非常に生かされる行政分野があるわけでございます。私はかねてから郵政省というのは生活大国実現省の非常に主要な省庁一つだと考えております。大臣がおっしゃったように順調に推移しているかもわかりませんけれども政府総体として一五%となると、リーディングな省はやっぱり二割ぐらいはいっていただかないと、政府全体として平均値としてはいかがなものでございましょうか。任期満了時にはぜひ登用したいというふうなお答えをちょうだいいたしましたので、私としては満足させていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。  以上が審議会の中での女性登用の問題でございますが、今度は郵政省内の女性の問題についてお尋ねさせていただきたいと思います。  政策方針決定への参加促進といいますのは審議会女性登用だけではございませんで、政府がみずから率先垂範しまして女子公務員採用登用あるいは職域開発能力開発、これを進めるということが行動計画の中でうたわれているわけでございます。  そこで、まず採用についての現状。女子全体の総数、あるいは政策方針決定の場になかなか進みにくいということが言われるわけでございますが、そうなりますと、Ⅰ種採用の方々の中での女子採用動向、それから郵政事務Bという、これは現在文部大臣になられました森山先生労働省の局長のころに郵政省さんにも随分陳情というか要請されたことだと思います。受験制限職種だった、それが解除されまして今採用を続けられていると思います。Ⅰ種の方と郵政事務Bのそれぞれについての採用動向、最近の例をお知らせいただきたいと思います。
  16. 加藤豊太郎

    政府委員加藤豊太郎君) Ⅰ種職員とそれからⅢ種郵政事務B職員採用状況についてのお尋ねでありますけれども、昨年四月一日の採用数でありますけれども、Ⅰ種試験合格者から四十九名採用しましたけれども、そのうち五名女性採用してございます。  それから、御指摘のありましたところの郵政B区分からの採用者でございますけれども、同じく昨年四月一日に採用した二千五百七十名中三百九十八名、一六%でございますけれども、これだけ採用してございます。
  17. 川橋幸子

    川橋幸子君 加藤人事部長の方からお答えいただいているわけでございますけれどもトータルの方の数字は、私がちょうだいしたところでは、二二・五%というのが平成年度採用実績として数字をちょうだいしております。平成三年、四年、五年と、ここ三年ばかりの推移を見ますと採用比率は目に見えて上がってきているというふうに私も御礼申し上げたいと思いますのですが、トータルにおいて二二・五%、二割強というのは、現在の労働市場の中での女性の占める比率から見ると、あるいは特に公務が含まれます第三次産業の中に含まれる女性比率から見ると半分ぐらいという感じでございまして、やはり何か非常に男性職場郵政省でいらっしゃったな、こんな感じがするわけです。ですが、現在御努力なさっていらっしゃるわけです。  働く女性の問題といいますのは、女性の側からいえば権利とかそういう言い方もありますけれども、私ども長い間継続して働いている人間の側から見ますと、やっぱり本人の自己努力が一番基礎になるということは、これはもう確かだと思います。  ということで、まずは自己努力するということは当然なのでございますけれども、もう一方において、非常に新しい、今までなかった、職場の中が黒一色といいますか男性一色の中に女性が入っていくときに、職場雇用管理上はやはりかなりの配慮が必要なのではないか。せっかく採用された有用な人材が途中でやめてしまわれる。よく民間企業では総合職がサバイバルしないというようなお話があるわけでございます。この点、郵政省の方ではいかがでございましょうか。雇用管理上の御配慮等について伺いたいと思います。
  18. 加藤豊太郎

    政府委員加藤豊太郎君) 先生指摘のように、女性活用郵政事業にとりましてこれから非常に重要な問題だと思っております。先ほどちょっと御指摘ありましたように、私ども採用状況につきましては、採用制度につきましては、昭和五十六年に郵便外務職員採用試験女性にも開放しましたし、それから先ほど御指摘ありましたように平成年度から郵政事務B女性が受験するようになりまして、採用の機会につきましては全く男女平等になったというところでございます。  そういうふうなことで、夜間勤務等に従事する女性職員も増加しておりますので、休憩室だとか更衣室だとかということはもちろんでございますけれども、専用の入浴施設だとか宿直室等女性が働きやすい物的な職場環境整備努力しておるところでございますけれども、これからも努力してまいりたいと思います。  また、女性職員職場に定着して活躍していくためには、今申し上げました物的環境整備とともに、職場におきまして管理者中心になりまして女性職員を育成するという視点取り組みが必要であると考えておりますが、そこで郵政省としましても〇JTを中心としまして研修充実だとか士気喚起に努めてまいりたいというふうに思っております。
  19. 川橋幸子

    川橋幸子君 加藤人事部長おっしゃるとおりの御努力女性能力開発にとっても必要なわけでございまして、その方向でぜひ御努力いただきたいと思います。  あわせてもう一点私の方から要望させていただきたいのは、職場の中の意識改革というのが女性定着の意外に大きなキーポイントになっているわけでございます。よく若い女性の間で言われておりますのは、女の子は好きだけど女の部下は欲しくないというのが中間管理職像ということでございますのですけれども、これからは女性が使いこなせないような管理職というのはある意味では管理職の資格がないと言われるような状況になっているわけでございますので、ぜひ管理職研修、特に直属の上司になる中間管理職初級管理職女性たちを育てていこうという雰囲気が持てるようなそうした大じゅうと、小じゅう教育もぜひお願いしたいと思います。  さて、育児休業が去年から公務員にも適用になったわけでございます。郵政省の中ではこの育児休業活用状況というのはどの程度なされていらっしゃるかお尋ねします。
  20. 加藤豊太郎

    政府委員加藤豊太郎君) 先生指摘のように、昨年の四月一日以降育児休業法が適用されるようになったわけであります。昨年の四月一日以降半年間のデータしか実は持っておりませんけれども、四月一日以降九月までの間の職員育児休業取得状況でございますけれども育児休業につきましては女性職員四百四十六名、それから男性職員六名、合わせて四百五十二名取得してございます。それから部分休業でございますけれども部分休業につきましては女性二十二名、それから男性五名、合わせて二十七名取得してございます。女性職員につきましては、この期間内に一歳未満の子を有する者のうち二六・五%が育児休業を取得したことになっております。そんなことで、私どもとしましては円滑にスタートしたものというふうに評価しております。
  21. 川橋幸子

    川橋幸子君 女性が長く定着して働き続けられ、職場の中のOJTでトレーニングされた能力がむだにならないように回収される。お雇いになる側の方の郵政省でございますが、そうした場合には、こうした女性に特有な出産、育児、あるいはこれからは介護という問題も大きくなるかとは思います。やっと育児が終わったと思ったら、今度はおじいちゃまが倒れられて、その介護の担い手として嫁が期待されるというようなことで、なかなか家庭との両立というのは難しいわけでございます。郵政省の中では男性の方も育児休業活用されていると。育児というのは男女共通の仕事といいましょうか、支え合いながらやる。そういう意味では、大変まだ男性の数は少のうございますけれどもいらっしゃるというだけで、開かれた職場なのかなというそういう印象を持つわけでございます。  それから、取得率が二六・五%というのは、これは個人の意思で取得するものでございますから別に一〇〇%でなければならないということはないとは思うんですが、四人に一人という数字が、何かどこかとりにくいというような障害があるのかどうかですね。もともと所得保障がない休業制度でございますのでいろんな問題をはらんでおりますけれども、その辺も目配りされた上で、女性を保護してくださいという意味じゃなくて、有用な人材教育した教育投資を無にしないように、御活躍いただけるためにもこうした制度についてなお御配慮いただければありがたいと思います。  大臣にも一言お伺いしたいと思いますが、今のような私の質問、それから部長答弁等をごらんになられまして、大臣としていかがでございましょうか。
  22. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 何か育児休業をとりにくいような雰囲気がないように、役所としても、男性女性もそういう配慮がこれからも必要だと思っております。
  23. 川橋幸子

    川橋幸子君 どうもありがとうございました。先日来の御審議で大変お疲れだったと思いますが、きょうは軽やかにお答えいただきました。  それでは、今は郵政事業全体の女性の問題でございましたけれども、二点目に郵便事業。これは非常に労働集約的な事業の特色がございます。郵便特別会計を拝見しますと人件費比率がとても大きい。なお、このところずっと郵便は値上げをなさらずに据え置かれて経営努力しておられるわけでございます。これは当然の努力といえば当然でございますが、いろんな御苦労の中でよくやっていただいているのではないかと思います。  ですけれども、私も幾つか郵便局を拝見させていただきましたが、郵便局というもの、特に郵便事業の場合一日、あるいは月のうち、週のうちといいましょうか、あるいは一年のうち非常に業務量の繁閑が大きなところでございますね。そういう業務量の繁閑が大きい中で郵便事業、サービスが国民に利便性にもとることのないように努力しておられますが、意外に家庭の主婦の方が多かったり、あるいはアルバイトさんが多かったりということで、正規従業員以外に賃金職員の方々への依存度というのが非常に高くなっているような気がいたします。  その辺の現状、あるいは何かそれ以外にも郵便事業として御苦心なさっていらっしゃるようなことがありましたらお教えいただきたいと思います。
  24. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) 郵便事業取り組みに対しまして高い評価をいただきまして、心からお礼を申し上げます。  先生、今御指摘になりましたように、現在非常勤による度合いというのは非常に高まっておりまして、昭和六十二年度平成年度五カ年間のその辺の推移といいましょうか、変化についてデータで若干申し上げてみたいと思いますけれども、昭和六十二年度におきまして非常勤職員の雇用人数は年間延べ七百五十万人という数字でございます。これを一日当たりにいたしますと、要するに定員換算といいましょうか、そういう数字を出しますと二万五千人相当ということになりまして、全体の中での非常勤依存度といいますのは約一五%という数字になります。  一方、平成年度でございますけれども、年間の非常勤の雇用人数は延べ千二百七十万人、これを同じように一日当たりに換算をいたしますと約四万二千人ということになりまして、先ほどと同じように依存度というものを出しますと約二三%ということでございまして、五年間でその非常勤依存度が八%ばかり高まったというふうな情勢でございます。事実関係はそんなところでございます。
  25. 川橋幸子

    川橋幸子君 どの省庁でも共通したことはあるわけでございますけれども郵便事業の特色から考えますと、フルタイムの正規従業員といいましょうか、フルタイムの一般の公務員だけで対応するというのが非常に困難な事業ですし、またそうすることが適切とも思えない。もっと公務員制度の中に多様な働き方というものが工夫されてしかるべきではないかと私は思うわけでございます。  平成年度の予算案の中で、仮称となっておりますけれども、時間制職員、この導入についての調査研究費が六百万計上されております。この趣旨とか目的、それから調査研究費となっているからには何か調査研究なさるわけでございますから、それはどのようにお進めになって、この結果はやはり来年度の予算要求に生かしていただきたいと思うわけでございますけれども、その来年度予算の実現方についての省の努力、今から来年度と言うのは早いとおっしゃるかもしれませんけれども、これはむしろ延長線にある話でございます。そういう観点についてお差し支えない程度でお教えいただきたいと思います。
  26. 加藤豊太郎

    政府委員加藤豊太郎君) 仮称でありますけれども、時間制職員についての取り組みにつきまして御質問があったわけでありますけれども先生指摘のとおり、特に郵便局の業務量につきましては近年大変増加しておるとともに、御指摘ありましたように、一日のうちに朝だとか夕方に仕事のピークが生ずるというふうな特性を持っておるわけでありまして、これに対応したところの労働力の安定的な確保、それから効率的な配置というふうなものがぜひ必要であるわけです。  また一方、これから基本的には労働力が不足してくるという対策としまして、女性労働力だとかそれから高齢者の労働力の活用というものがポイントになってくるわけでありまして、こういうふうな働く側のニーズとそれから雇う側のニーズと両方にマッチするような四時間勤務の恒常的な職としての時間制職員、仮称ではありますけれども、こういうふうなものを創設するということが大変必要なことではないかというふうに考えておるわけです。  そこで、御指摘ありましたように、平成年度の予算案におきまして調査研究費六百万円を御審議いただいておるわけでありますけれども、この中で採用方法だとか処遇だとか、それから勤務時間等の細目などにつきまして、民間のシンクタンクも活用しましてさらに細目を固めるべく検討を進めていくこととしておりますが、それに合わせまして、昨年に引き続きまして関係省庁と鋭意折衝を行いまして平成年度からの時間制職員の実施に向けて努力してまいりたいというふうに思っております。
  27. 川橋幸子

    川橋幸子君 ぜひその方向で、今度こそは調査研究費じゃなくて、一年後の話でございますけれども、実現方に向けての予算措置も計上されますように御努力いただきたい、こう思います。  申し上げるまでもなく、部長よく御存じの話でございますけれども公務員制度というのはかなり硬直的でございますのですが、その硬直的であることに対する悩みというものも、制度の所管である人事院だってあるいは総務庁だってよくわかっているわけでございまして、ここはぜひ公務部門の中でも、パートというものが劣悪な雇用機会というわけじゃなくて、おっしゃったような恒常的な労働力として位置づけていただく。ただ時間が短いだけで、良好な雇用機会を創出していけるのだというようなことを、特に三十万職員を擁する大きな安企業、社会的な影響力の大きな郵便局でいらっしゃいますので御努力をいただきたいと思います。  一つこれは冗談じゃなくてお伝えさせていただきたいと思いますのは、クロネコヤマトに学べという言葉があるのでございます。これから経営形態などのお話が出ると出てくるのでしょうが、クロネコヤマトの場合は女性の雇用について大変先進的なプログラムを持っております。ぜひそういうところは官民競争し合って、フェアな競争をしていただきまして良好な雇用機会確保について御努力いただきたいと思います。以上は要望でございます。  もう一点は、これは昨年の臨時国会でお尋ねさせていただいたことなのですけれども、確認の質問を二点させていただきたいと思います。  まず第一点は四週八休制、いわゆる完全週休二日制の話でございますが、年度内実施で関係労働組合と協議しておる、煮詰まっているので年度内実施が確実にできるというようなお話がございました。いかがでございましたでしょうか。聞くまでもなくもうそれは合意されて実施に、年度内ですのであと一カ月でございますが、実施に移るようになっているのでしょうか。
  28. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) 四週八休制につきまして、私ども郵政事業の中で郵便が若干おくれておるわけでございますけれども、これにつきましては現在のサービスを維持しながら完全週休二日制を実施していく必要がございますので、そのためには事業運営の合理化、効率化あるいはその他のいろいろな部内の努力が必要でございまして、その調整のために関係労働組合と話をやってまいったわけでございますけれども、ことしの一月十一日に組合と合意をいたしまして、それで平成五年三月、間もなくでございますけれども、この実施のための準備を現在やっているという段階でございます。
  29. 川橋幸子

    川橋幸子君 安心いたしました。当たり前といえば当たり前かもわかりませんが、労使の御協議、大変御苦労なさったと思いますが、実施に移されてよかったと思います。  めでたしということではございますが、ちょっと苦言を呈させていただきますと、四現業のうちで他の三現業は去年の五月から実施に入っておった。それから郵政省の中でも郵便以外のところは実施に入っておられて、郵便局の中では局長さんがお休みでも郵便の方だけが出てこられるという、やっぱりちょっと異常さを感じたことがあったわけでございます。先ほど申し上げましたような郵便事業の特色が非常にあることはよくわかっておりまして、御苦労は多かったと思いますけれども、これからどちらかといえば今度は率先垂範してやっていただけるようなことを御努力いただけますようにお願いしたいと思います。  といいますのは、やはり大きな目標は千八百時間の達成ということにあるわけでございます、平成年度までに千八百時間。別にこれはタイムウォッチを持って一分一秒たりともというわけではないとは思います。ある種の指標としての千八百時間だとは思いますが、昨年の臨時国会でお尋ねさせていただきましたのは、やはり休日というのでしょうか、月一回の土曜休配、学校も月に一回は五日制になる、五日制といいますか週休二日制になるわけでございます。  昨年の臨時国会では、関係労働組合がつくりました大変スマートなPR資料を持ってまいりましてごらんいただいたわけでございます。笹川政務次官がちょっと郵政省のつくったものとお間違いになられたような御答弁があったようでございますけれども、どういう意味でスマートかといいますと、地域社会の理解を求めるというPRの仕方がスマートといいますか、むしろPRのこれは正道なんだと思いますけれども、そういうやり方をやっておられたわけでございます。  土曜休配問題につきましても、これもお相手方、ユーザーがいらっしゃるわけでございますから、ユーザーの意向というのは十分把握する必要があるかとは思いますけれども、この問題についてはどんなふうにその後検討していらっしゃるのですか、お尋ねさせていただきたいと思います。
  30. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) 今お話のございました土曜休配でございますけれども、まさにお客様サービスとそれから私どもの部内におきます業務運行の確保という大きな観点がございますので、慎重にこれは対応していく必要があるんではないかというふうに考えておりまして、平成年度におきまして次のような調査項目を検討してまいろうというふうに思っております。  主な項目を申し上げてみますと、まさに土曜日配達をどう考えておられるかというお客様の意向、それから民間の類似の業者の動向でございますとか、あるいは曜日別の配達物数がどんなふうに変動するのだろうかとか、土曜日を休むということになりますと、土曜、日曜、月曜というものをまとめて配達するというふうな状況にもなってまいりますので、その要員の配置がどうなるだろうかというふうな点、あるいは諸外国の動向あたりも踏まえてこの結論を得る必要があるんではないかというふうに考えております。  そこで、現在の取り組みでございますけれども、今申し上げましたような調査研究項目につきまして細かいスケジュールを立てまして、それで平成年度早々にこういった点についての調査に移りたい、こんなふうに考えております。
  31. 川橋幸子

    川橋幸子君 調査研究に彩られるという点はその御努力ありがたいと思いますけれども、何となく慎重に対応という御答弁ですね。もちろん、郵便事業の特殊性から考えればそう軽々には取り組めない慎重な対応というのはわかるのですけれども役所の方が慎重にというふうにお使いになるときには余り前向きじゃないというふうに、私も役人出身でございますのでつい思ってしまうわけでございます。  特に、類似業者の動向ということをおっしゃいました。公務員労働条件の場合は民間準拠ということがいつも鉄則のように言われるわけでございますのですけれども、千八百時間というのはこれは政府の公約事項でございますので、やっぱり安企業の方がむしろリーダーシップをとっていい政策課題じゃないかと私は思います。類似業者の方もどちらかといえば、運輸業の場合は三K職場というようなこともありまして、郵便局が踏み切ってくれれば自分たちも休めるんじゃないか、そういう期待感もあるやに伺っているわけでございますけれども、もう一回調査への取り組み、土曜休配問題への取り組みについてお話伺いたいと思います。
  32. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) サービスを維持していくという点とサービスを一方で休むという点の選択になるわけでございますので、やはりこの辺は業者の動向調査項目の一つでございまして、そこに余り重点を置くという殊さらの意図はございませんで、あくまでも客観的にその辺については調査をしてまいりたい、こんなふうに思っておるところでございます。
  33. 川橋幸子

    川橋幸子君 客観的にということで少し安心いたしましたけれども、やはり大臣からもこの問題について、土曜休配の問題、それから少し前にお尋ねしました多様な働き方というんでしょうか、時間制職員制度調査研究の問題、この二点について所信をお尋ねしたいと思います。そういう問題は民営化すれば公務員制度の硬直的なところはないからすぐできるというようなお話ではなくて、現段階の郵便事業の問題としてお答えいただきたいと思います。
  34. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 郵務局長がそれぞれの目標に向けての問題点を指摘されましたけれども、要は目標を達成するということでありますので、そういう問題点をどうやって克服していくか、それに重点を置いて、今掲げております生活大国あるいは時間短縮に向けて積極的に進めていかなきゃいかぬというように考えております。
  35. 川橋幸子

    川橋幸子君 問題克服に向けて積極的に取り組んでいただけると、大変力強い御答弁をちょうだいしましたので私どもも期待させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  以上で郵便事業の問題を終わらせていただきまして、三点目に貯金事業についてお尋ねさせていただきたいと思います。  先日来、この問題につきましては当委員会でもベテランの議員の方々からお尋ねがありまして、大臣も誠実な丁寧なお答えをしておられたようでございますけれども、私も昨年の臨時国会では、郵便貯金の特に定額の商品性確保についてということですとか、あるいは新規の予算要求のことですとか、老人マル優の問題についても質問させていただきましたので、ダブりませんように、素人の私はどうもわからないので、むしろ専門家大臣からお教えいただきたい、そういう気持ちで大臣にもお尋ねさせていただきたいと思います。大臣だけではなくて、もちろん事務方の方にもお尋ねさせていただきたいと思います。  まず、昨年質問しました定額貯金の商品性確保につきましては、年末に両省協議がなされまして、私としては商品性は確保いただいたと。金利は市場に連動するけれども、今までの国民の自主的な自助努力、生活設計を助ける定額貯金というものの一番根幹的な部分は確保してきたということで満足しております。これは特にお答えいただかなくてもよろしいわけです。  それから、予算内示直前だったわけでございまして、セカンドライフ貯金ですとか家計ライフサイクル・サポートサービス、それから地方公共団体、関連三セクヘの還元融資、この三点が私は目玉かと存じまして質問させていただいたわけでございます。長年の懸案でしたがやっぱり今年度予算でもその壁は破れなかったということは、ちょっと言葉は悪いかもわかりませんが遺憾であったと言わせてもらいます。郵政省の説得力をもっと高めていただきたいと思うわけでございます。  さて、老人マル優の問題でございます。一昨日の委員会で、大臣の方のお答えで特に税についての見解が出されたわけでございます。税というものは公平性、中立性あるいは簡素性、これが非常に重要なポイントになる。それから、本来だったら総合課税制度が望ましいけれども、実務的な困難度を考えると分離課税も積極的に評価というような御表現ではなかったかと思います。本来は総合課税が望ましいんだけれども、実務的な事情から分離課税が評価できる、分離課税をとった場合のいわゆる少額貯蓄への優遇制度、これはない方がよろしい、廃止の方がかねての持論である、こんなことをおっしゃっていたわけでございます。  総合課税制度が望ましいということには私も大変同感する人間の一人でございますが、分離課税のところで、徴税の側から見れば非常に便利で、実務的で、あるいは事務的に手数もかからないから、便利なんだから積極的に評価する、この辺はどうもなかなか賛成しかねる点であるわけでございます。結果としては、三百五十万円への引き上げで大臣も納得していらっしゃる、あるいはその決定に従うと言っていらっしゃるわけで、過去の話を蒸し返すわけではないのでございますけれども、実務的に困難ということが分離課税制度を積極的に評価するようなことになるのかどうか、これをお教えいただきたいことが一つでございます。  それから、やはり私は納税者番号というものが所得、資産を捕捉する一番公平なものではないかと思うわけでございます。政府税調のお答えの中ではそれも当然触れられておりまして、必要に応じて検討と書いてあるわけですね。必要に応じてというのは、これも役所用語では余り積極的にやらない方に使うことが多いわけでございます。客観的に必要に応じてということもありますけれども、必要があるならやる、必要がなければやらない。必要性があるのに私はなぜこれをもっとちゃんと検討していただけないのかと思うわけなんです。  この二点について大臣にお伺いいたします。
  36. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 総合課税、分離課税、私がお答えするより大蔵大臣の方がいいと思うんですが、個人的に日ごろから考えることを申させていただければ、現在でも総合課税なんですね。しかし、総合課税では把握し切れない点もある。あるいは手続上複雑な点もある。分離課税も組み合わせて今の徴税制度というのはでき上がっていると思うのであります。  そこで、総合課税を進めていく上には、政府の税制調査会でも検討していると思いますが、総背番号制が必要だと。これに対して国民はどう反応するかまだ定かではない。総合課税でそれぞれの所得、資産等を完全に把握できるかという現実の問題があります。こういうものを含めていくと、果たして完全な総合課税制度をとることによって国民がそっちの方がいいかということになるかということ、私はまだもうちょっと様子を見なきゃわからないと思います。  どういう点が問題か。それを補う意味において、簡素性とかいろいろな政策目的があって分離課税がなされている。ですから、総合課税にしなきゃならぬという一つの方向は持っていても、現実の問題としてある程度分離課税を認めた方がいいという議論も出てくると思いますから、この点は私は調整と現実問題、バランスを図ってやっていくことだと思っております。  ですから、もうちょっと今後とも総合課税の手順、総背番号制の問題、納税者番号制の問題等の議論の行方といいますか、具体的にはこうなるんだという青写真をもっと見ないと、果たして完全な総背番号制、総合課税へ向けて進めていく手順が、今現在はっきりこうした方がいいということではなくて、総合課税を継続しながらある程度そういう分離課税制度的なものは認めてもいいんじゃないかというのが率直な私の考えてあります。
  37. 川橋幸子

    川橋幸子君 現段階においては大変的確な御答弁をちょうだいしたような気がいたしますが、やはり将来の問題として、あるべき税制の問題として、郵政大臣であるから、大蔵大臣じゃないからとおっしゃるかもわかりませんけれども郵政省もやはり金融財政には非常に密接な関連を持つ省庁でございますので、特に大臣の場合はキャビネットの中の閣僚として総合的な調整の権限を持たれるメンバーでいらっしゃいますので、その辺についても御発言いただきたいと逆に私は思うわけでございます。  そのときに、政府税制調査会の中に女性がどのぐらいいらっしゃるのかちょっと私わかりませんが、大変やり方が下手だなと思うことがありますので、この場をかりて大臣にお伝えさせていただきたいと思います。やり方が下手だなと思うのは、なかなか市民に理解が得られないから今の段階はこの程度の表現にしておこうと、そういうやり方がまず下手だと。やっぱりもっと訴えるべきなんじゃないんでしょうか。もし本当に税を変えたいというのなら、よらしむべし、知らしむべからずじゃなくて、もっと訴えていくのが市民参加行政なり政治なりというものだと思うのです。  そのときに特に思いますのは、納税者番号という表現の問題ですね、何か税を取られるための背番号をつけられる。これは新聞で見た言葉で、私も余りよくは知りませんけれどもアメリカ、カナダでは社会保険番号、それから北欧では統一コード、オリジナルを言葉はよくわかりませんがそういう言い方をしている。結局、税金を取るための番号じゃなくて、社会保険とか年金とか教育とかさまざまな社会的なサービスを受ける受給権のある者のIDカードであるわけですよね。私はそう思うのです。ぜひそうした問題も含めまして、私のつたないアイデアでございますけれども大臣に御理解いただきまして、こういう問題も主張していただきたいと思います。いかがでございますか。
  38. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 表現というか、国民にわかりやすい言葉の使い方ということにも関連してくると思いますが、何か国民の中にも納税者番号とか総背番号とか言われますと、またいろいろ管理されるんじゃないかとか、痛くもない腹を探られるんじゃないかとか、あるいはどの程度まで自分のプライバシーが資産の面においても所得の面においても保護されるのかという危惧を持っている面も事実なものでありますから、その総合課税あるいは総背番号を進めていく際にはそういう点も配慮して、国民にわかりやすいような説明とかPRが必要じゃないかと思っております。御趣旨はよく承っておきたいと思います。
  39. 川橋幸子

    川橋幸子君 このところ新聞を拝見するのが毎朝楽しみなのでございます。特に郵政大臣にお目にかかれるのが逓信委員の一人としては大変楽しみでございまして、きょうも「記者の目 郵貯見直し」というこの記事、きょうはごらんになられたと思いますが、いかがでございましょうか。そこで、素人の私が挑むにはかなりの難題でございますけれども、やはり逓信委員としてはお尋ねしたいのでございます。  まず山口局長の方に。郵貯への資金シフトが非常に巨大だというような記事があったり、それから金融システムが撹乱される要因になっているというような、郵貯が犯人だというような解説記事がこのところ多いのでございますけれども、現状は一体いかがなのでございましょうか。
  40. 山口憲美

    政府委員(山口憲美君) 郵便貯金へのシフトのお話でございますが、郵便貯金のシフト論議がここのところ話題になってまいりましたのは、例の平成年度に全国銀行の預金の落ち込みが大変大きかったというふうなことが背景にあってというふうに思っておりますが、ちなみにこの平成年度状況というのをちょっとお話しさせていただきますと、全国銀行の預金は五兆七千億ほどトータルで減っております。ただ、この中を見てみますと、いわゆる法人預金等が十三兆七千億も減っているということでございまして、私どもと競争している分野の一千万円未満の小口の預金の分野では平成年度も八兆七千億というふうに順調にふえているということでございます。したがいまして、私どもとしては巷国言われております民間の預金が郵便貯金の方に流れてきたんだというふうなお話は、この法人預金というのは全然私どもの扱ってない分野でございますので、そういった言われ方というのは余り当たってないんじゃないかというふうに私たちは思っているということでございます。  ただ、郵便貯金につきましても、平成年度につきましては五兆一千億も減ったとか、あるいは平成年度には十一兆円もふえたというふうなことは、確かに郵便貯金自体の問題としてはございます。  どうしてこういうことが起こってくるかということでございますが、先生御案内のように、現在のところいわゆる規制金利と自由金利というものが混在しているというふうな状況でございまして、金利が上昇局面になりますと自由金利の方が先に機動的に動きますので、どうしても自由金利の方が金利が高くなるというふうなことから規制金利を中心にしております郵便貯金が若干金利面で不利になる。一方、下降局面になってまいりますと規制金利がどうしてもおくれますので、高とまりして有利になるというふうな現象からこういったことが郵便貯金に見られたということでございます。しかしながら、今回定額貯金の金利のつけ方につきまして金利自由化というふうなことで大蔵省との間で一定の整理をいたしましたので、こういった金利の不整合の状況というふうなものは今後起こらなくなるというふうなことで、こういった状況というのはなくなるものというふうに思っているわけでございます。  それから、もう一点お話しがございましたのは、金融市場へ与える影響というふうなことでございますが、これは端的に申しますとマネーサプライの問題というふうになろうかと思います。最近マネーサプライの伸びが大変低うございますが、これは私どもは、景気の後退によりまして企業の資金需要が減少してきているというふうなこと、あるいはもう一つは銀行の貸し出し態度が非常に慎重になっているというふうなことが関係するというふうに考えておりまして、郵便貯金の増加が直接関係しているものじゃないというふうに思っています。これは郵便貯金を含みますマネーサプライの指標でございます広義流動性という指標で見ましても、大変伸び率が低下しているということからもうかがわれるわけでございます。  ちなみに、郵便貯金は有償の資金でございますので、お客さんからお預かりいたしましたらもう速やかに預託をして金利をいただきたいという性格のものでございますので、日々全額大蔵省の資金運用部に預託をしておりますし、預託された資金は、大蔵省も私どもに金利を払わなきゃなりませんので直ちに市中に還流をするというふうな形になっておりまして、具体的にも日本銀行や市中の金融機関を相手にいたしまして資金運用部は即日運用をしているというふうなことでございます。  郵便貯金資金のうち、資金運用部を通じて日銀に流れた分につきましては、日銀はこれを日々把握をしておりまして、民間の経済活動に支障がないというふうな形になるように十分な資金をその状況を見て供給しているというふうに聞いておりまして、郵便貯金に資金が集まったということが経済活動等に影響を与えるというふうなことはないというふうに私どもは考えている次第でございます。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
  41. 川橋幸子

    川橋幸子君 私にとっては大変今の局長の御答弁はわかりやすいのですね。理解しやすいのです。大臣もこのところの御答弁で、郵政事業の重要さとか、郵便貯金の果たしている役割とか、あるいは財投の存在意義とかというものについて現在のところは評価、認識というようなお答えをいただいていたかと思いますので、当然のこと、局長の御答弁をそのとおりと思っていらっしゃると思うんです。ただ、何かいつもしかしということで、将来の問題として行財政改革、官民の役割見直しを強調なさっているように私には受け取れました。  そこで、どうも将来の問題としてというところがわからないのです。将来の問題としてというのは、将来検討するということなのか今はいいんだけれども将来悪くなるから今検討するというのか。もしそうだとすればもう少し具体的な将来検討のお話を、ちょっと時間が短くて恐縮でございますけれども、まだ省内で御相談なさっていらっしゃらないことがあろうかと思いますが、かいつまんでお気持ちだけ簡単にお伝えいただけますでしょうか。
  42. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は基本的な考え方として官業の重要性は否定しません。ただし、官業は民業の補完であるべきだという考えは多くの自由民主党代議士と共通の気持ちを持っております。同時に、今政府を挙げて掲げております目標として、行財政改革、財投等を含めましてあらゆる組織、また官民の役割を見直していかなきゃならない、これは宮澤内閣の大方針であります。  そういう方針に沿って、やっぱり官業というのは節度を持って、財投におきましても、本当にこれが郵便貯金とか国民の資金を預かっている貴重な団体である、法の精神に照らして確実にかつ有利に運用されているか、そういうものをふだんから見きわめて、資金が有効に国民生活、あまねく経済の発展のために使われていかなければならぬ。そういう観点からいろいろな事業というものを見直していく必要があるというふうに考えております。
  43. 川橋幸子

    川橋幸子君 時間をオーバーして本当に申しわけございませんが、最後に一言だけ大臣に要望して終わりたいと思います。  今の御説明でもまだ具体的にどんなスケジュールで何を問題視されているのかがよくのみ込めなかったのでございますが、私が要望したいのは、現状においては評価なさっていらっしゃる。その評価もやはり見直しのときにはちゃんと御主張いただきたい、これが一つです。  それから、財投の問題については確かに検討すべきことはあると思いますが、財投そのものが悪じゃなくて、もうちょっと財投のあり方をディスクロージャーしてほしいというのが市民の願いだと思います。そういう意味で資金運用部も日銀も、郵政省はとっくにディスクロージャーしていらっしゃると私は思っておりますので、何となくブラックボックスの中に入って国民の目にわかりにくいというようなところをぜひ大臣のリーダーシップでディスクロージャーしていただきたい、これを申し上げて終わりたいと思います。
  44. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 中尾でございます。きょう私は、NHKを初め頻発しておりますいわゆるテレビのやらせ事件について、放送のあり方、さらにはまた放送行政のあり方等を中心にお伺いしたいと思います。  まず、NHKのいわゆるやらせ事件についてお伺いいたします。  NHKのムスタン番組でのやらせ取材は、もう御存じのように国民の放送に対する信頼を著しく失わせ、国民の知る権利を侵すものであると思います。全く遺憾なことであります。とりわけNHKは放送法に基づく特殊法人、公共放送であるだけに、主管する郵政省の責任も大きいと考えます。NHKに限らず、昨年から御存じのように民間放送でもやらせ放送が相次いで発覚し、国民の強い批判を浴びております。関係者は公共の電波を利用する重要な使命を改めて自覚し、再発防止に全力を挙げるべきだと思います。このことは、言うまでもなく、憲法に保障された表現の自由を確保する上でも、関係者自身の手による厳しい自戒自浄の徹底的な実現が今求められていると私は思います。  さて、NHKはこの事件の発覚後早速みずからの手で調査に向かいました。現地に調査団を送った。この姿勢は私は高く評価するものであります。しかしながら、自分自身に対する調査は、決して手を緩めず、厳しく自己を律することが求められているということは言うまでもありません。すなわち、自分に都合よく、問題点をあいまいにしてはならないと考えるのであります。この観点から調査報告書についてNHK当局に幾つか御質問申し上げたいと思います。  一言でやらせといってもいろいろございます。定義が大変あいまいです。どこまでが演出がどうか。これについては言うまでもないところでありますけれども、このNHKの調査報告では、あるやらせの部分について、これは行き過ぎた表現であった、あるいは、表現そのものはよいが行き過ぎたのが問題というようなことが書かれてありますが、こういうニュアンスで受けとめてよろしいんでしょうか、まずお伺いします。
  45. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 先生指摘のように、私どもみずからを厳しく律するということが極めて重要であると考え、すべてを正確に調査し、すべてを明らかにし、ただすべきはただしていくという姿勢で調査を行ってまいったわけでございます。  その中で、この番組における表現につきまして事実と異なる点、これはきっちりと正確に事実はこうでございましたということを調べ、またそれを御報告申し上げなきゃならぬということでございます。同時に、表現の中で行き過ぎたところ、あるいは誇張があった、そういったところにつきましては、それは事実と異なる点とはまた分けて、何がどのように行き過ぎた表現であったのかという点を解明したという次第でございます。
  46. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は言葉じりをとらえているんじゃないんです。なぜこれを申し上げるかというと、精神を私は言っているんです。どうこの事件をNHKはとらえているんだろうか、だから大事なんです。  報告書をいただきました。これは四ページです。「行き過ぎた表現」、例の問題になった高山病を演出して、スタッフに高山病にも何も全くかかっていないのにやらせた。私も見ました。大変よくできておりました。これを「行き過ぎた表現」と、私はその精神を言っているんです。捏造です。事実と異なる。これは捏造ということを問題にしなければ、行き過ぎた表現、ちょっとやり過ぎたなと、そういうニュアンスがあるからいけない。これは捏造なんです、うそなんです、そういうことを申し上げております。お認めになりますか。
  47. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 「行き過ぎた表現」という中には、先生が御指摘のような、捏造に近いようなものも含めての厳しい反省のもとに私どもは調べ、また御報告させていただいております。
  48. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ここ大事なんですよ。もしこの事実の捏造という、そういう反省点がなかったらこの調査報告書は一体何なのかと。これは映像を見ましたらわかります。非常に大事な部分にこの高山病のいわゆるやらせが使われております。そうして例の流砂、これも非常に大事な部分です。ですからこれは捏造以外の何物でもない。「行き過ぎた表現」というあいまいな言葉で終わらせるからだめなんです。私はさっき自浄努力と言いました。自浄努力が大事だ。その意味でもきっちりとこれは反省していただかないと困ると言っているんです。  もう一度伺います。この今の「行き過ぎた表現」でもし済まされるとするならば、黒は黒、黒を灰色としちゃいけないと私は言っているんです。これについてはどう思いますか。
  49. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) このような高山病に取材スタッフが演技でかかったということを撮影したということは、これは行ってはならない演出であると考えております。また、岩が崩れ落ちる場面を故意に起こして撮影したということも、ドキュメンタリーの取材としてはあってはならない演出であったということで、深く反省しているところでございます。
  50. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 こればかりをつついても仕方ありません。若干説明します。  非常に巧妙にできております。例えば高山病のシーンです。これは行き過ぎた表現じゃないですよ。なぜ捏造せざるを得なかったかわかるんです。三千数百メートルの山を登っていきます。その間にやらせがあるんです。石ころが落ちてくる、流砂がばあっと来る、場面に引き込まれるんです。そして高山病が発生するんです。こういうコメントがあります。「四千メートル地点で恐れていた高山病が発生した」、これはナレーションです。その後、いろいろモンタージュしているんです、いろいろなショットを。情けないですよ、こんなうそをやっちゃ。そして、こういう声があった。「頑張ってください、もう山をおろすしかない」と言っているんです。「おろすから頑張ってくださいね」。そしてこういうコメントがくるんです。「徒歩を断念した」。  そうすると、これ大事なんですよ。なぜかというと、このやらせをしなかったら、次にあのすばらしい映像ですよ、空撮です、空からヘリコプターがだあっと行くんですよ。厳しい中でスタッフが苦しむ、そして明るい真っ青な空に白い山々が広がる。うまくできているんですよ。流砂の話はしません。ですから、これは行き過ぎた表現だということで認識していただきたくない。これだけ申し上げて、答えは要りません。  続いて民放さんにも伺います。松澤専務理事一言伺います。  昨年、民間放送でもいわゆるやらせ事件が相次いで起きました。一つは、外国人男性に群がるというスキャンダラスな演出を試みようと。ところが、そんなものはなかなか撮れるわけでもない。そこで行ったのが、追いかける女性もアルバイト、外人もアルバイト、いわゆる仕込みでございます。これが問題となっています。それからもう一つは、出張アンケート。看護婦さんの大会の場面で、二十人ほどの看護婦さんを集めようといったのがなかなか集まらないで、これも二十人のほとんどが看護婦さんじゃなくてOLや学生だったというふうに聞いております。これも非常に罪が深い。  このことについての反省と、それから今どういう対策を行っているか、一言お伺いしたいと思います。
  51. 松澤經人

    参考人松澤經人君) お答え申し上げます。  民間放送は、メディアの中で最も親しめるメディアといたしまして、国民の間に定着をいたしまして非常に大きな影響力を持っております。したがいまして、その社会的責任はまことに大きいものがあると自覚しております。したがいまして、公正な立場で事実を報道し、正確な情報を提供することは放送の公共性と社会的責任を果たす上で最も重要なことでございます。  しかるに、先生ただいまお話しのような虚偽の内容を含む放送が行われましたことは、長年にわたる視聴者との信頼関係を損なうものでございまして、国民の電波を預かる立場にある者といたしましてまことに遺憾でございまして、ここに深くおわびを申し上げる次第でございます。  こうした虚偽の内容を含む番組が放送されますことは、これはもうあってはならないことでありまして、民放連といたしましては、このような事態の発生することのないよう、その対応に目下全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  朝日放送の番組の不祥事が明るみに出ました後は、これは昨年十月でございますけれども、民放連の理事会におきまして、報道機関としての責任を全うして国民の信頼にこたえるための決議を行い、翌日の秋田でございました民放大会の席上、民放運の会長から、この事態を民放全体の問題として厳しく受けとめ、二度とこうした事態が発生しないよう強く全社に訴えたところでございます。  その後、一月の私ども理事会、ここにおきましても放送番組向上のための審議を行い、さらに、全社の代表者が会します会員協議会というのがございますが、この会員協議会におきまして番組向上のための取り組みを要請するとともに、その旨を全社に文書でお願いをいたしました。  続いて、二月の理事会でございますけれども、私ども民放連には放送基準の遵守徹底を図る会長直属の組織といたしまして放送基準審議会というものを設けておりますけれども、この審議会には放送番組調査会という機関を設けておりまして、この調査会におきましては再度にわたる不祥事、これを重く見まして番組制作のあり方についての見解というものが出された。これを報告いたしまして、この見解の尊重と番組向上への尽力についての要請が行われております。  この調査会は、実は放送番組に対する視聴者の意見や批判、すなわち世論の的確な把握と対応を行う機関として設置したものでございます。有識者による構成、すなわち外部委員五名、また在京社の編成局長中心として、これは編成局長七名でございますけれども、これで構成されまして、見識ある第三者の公正な意見と放送の現場を預かる直接の責任者の発言によりまして番組についての真剣な審議を行っておるところでございます。  ここの調査会で、今申しましたようにやらせ問題について二回にわたり熱心な審議を行いまして、それで先ほど申しましたように二月にこの調査会見解というものが出されまして、これを受けまして民放全社に対して、この見解の尊重と番組の向上への一層の努力を要請したところでございます。民放連といたしましてもこの見解を受けとめて、今後の取り組みとして、番組向上活動に関する業務計画をつくりまして実際の活動を進めていくことにしております。  また、各社におきましても、たびたびの要請を受けまして、こうした事態、そしてまた世論の批判も受けながらそれぞれ真剣に対応に取り組んでおるところでございます。例えば社内における放送倫理委員会等を設けておりますけれども、そうした組織の改善、あるいは社内の考査機構の見直し、またプロダクション等関係者を含む社内研修会、こういったものを開くなどいたしまして、目下改善に取り組んでおるところでございます。
  52. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 NHKのいわゆるやらせ問題の背景については後ほどまた伺いたいと思います。そしてその決意も改めて後ほど伺います。  今、再発防止に対する民間放送お話を聞きました。後ほど伺いますけれども、当然NHKさんもその考え方には変わりないと思います。これは自浄努力をすべきだと、私はこれが最善であると考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  質問を変えまして、放送行政局の今回の事件の対応について若干伺います。木下放送行政局長にお伺いいたします。  今回の一連のやらせ問題について、まず民放のやらせ、ただいま御説明ありました二件のやらせ事件について木下放送行政局長は一月二十五日にこう発言しております。ちょっと読み上げます。こうした事件が引き続けばことし秋の再免許で何か検討のしようがある、こう言ったのは事実でございましょうかお答え願いたい。事実かどうかです。
  53. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) ただいまのお話でございますが、相次いで民間放送において事実でない報道をしたということで厳重注意をし、また放送法、番組基準の遵守徹底、あるいは外部に制作を委託した場合のチェック体制の確立等、再発防止の取り組みを民放に対して求めたわけでございますが、その直後の記者会見におきまして私が申し上げましたのは、こういった不祥事が続発して放送事業者の自主規制に期待できないような事態になれば、行政としても何らかの再発防止のためのより効果的な方策を検討せざるを得なくなるという趣旨で申し上げたものでございます。  私は、あくまでも放送番組は今御主張のとおり放送事業者の自主規制によって行われるということが基本である、私どもとしては、これからも放送事業者みずからの努力によってこういった事態が、再発が避けられるように進められることを期待しているところでございます。
  54. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私が聞いているのは、ここ大事なんですよ、免許という言葉を出したのかどうか。もう一回伺います。
  55. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私は今申し上げたことを記者会見で申し上げました。そうしましたら……
  56. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 端的に答えてください、出したのかどうか。
  57. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 新聞記者の方からの御質問の中でそういった免許の問題についてのお話がございましたので、法条の仕組みを申し上げました。
  58. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 法条の仕組みというのは、これは電波法、それから今おっしゃったように放送局の開設の根本的基準、そんなものはわかっているんです。  これが発表されれば放送局側がどう受けとめるか、その重大なことをあなたは認識してなかったんですか。そして、先ほども言った何らかの方策ということは、あなたわかるでしょう、ことしの秋、再免許の時期なんです。私言っているのは、表現の自由に関するから言っているんです。  そしてもう一つ、そうしましたらNHKのいわゆるやらせ事件が発覚しました。あなたは記者会見でどう言いましたか。
  59. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 本件に関して記者会見はやっておりませんが、コメントを求められましたので、こういった事態が起きたことは大変遺憾であるということを申し上げました。さらにまた、放送事業者の皆さん方の自浄努力によって再発防止に努めていただきたいということを申し上げたように記憶しております。
  60. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ですから、これはおどしですよ。再免許だとかそのことを話すこと自体がどれだけおどしになるか。例えば許認可権持っていらっしゃる、その重大性。そしてその許認可権を行使するぞと。行使するとは言ってないかもしれないけれども、それをにおわすことによって、憲法二十一条、よく御存じだと思うけれども、表現の自由に踏み込まざるを得ない。我が党はこれについては断固問題視しているんです。  そして、これはまずいかなとトーンダウンしているんです。明らかにトーンダウンしています。民間放送だからそう言って、NHKの今回のやらせが発覚した後、記者に求められたコメントが自浄努力。ようやく、あっいけないと気づいた。そうですか、反省しておりますか。
  61. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私は一貫して考えておりますが、最初の民放の問題のときの記者会見におきましても、先ほど御答弁申し上げましたようにあくまでも自浄努力によってこういった問題が再発しないようにしてほしいということを申し上げておりまして、その中でたまたまこの話題になったということでございます。
  62. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は納得しないんです。もう一度言ってください。再免許あるいはそれをにおわせたんですね、一月二十五日の記者会見で。新聞報道みんな書いてあるんです。それが間違いですか、虚偽の報道ですか。もう一回言ってください。これは大事なことです。
  63. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 繰り返しますが、私は記者の質問に答えて法条の仕組みについてお話し申し上げました。
  64. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 法条の仕組みと言うことはどういうことかわからないですか。  そうしたら、ここで大臣に伺います。私は大臣を別に褒め殺しするあれはありませんが、二月五日の記者会見でNHKのやらせについてコメントしておりますが、そのときのコメントはどんなコメントをされましたかやらせについての感想を伺われたときの。
  65. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 正確にはどう言ったか一言一句は覚えておりませんが、趣旨として、大変遺憾である、今後再発防止策を積極的に考えてもらいたいというようなことを言ったと思います。
  66. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣に重ねて伺います。一月二十五日に放送行政局長が恐らくにおわせたんですよ、におわせなかったらこんなの書かない。これについては私は全く遺憾だと、踏み込み過ぎだと、表現の自由を著しく脅かすと私は思っていますが、大臣はいかがでしょうか。踏み込み過ぎだ、これはあってはならないとお考えですか。それとも大臣がおっしゃったように自浄努力に任せるべきだ、そういう再免許の話をすべきじゃないとお考えですか。
  67. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 放送行政局長もこういうことは二度とあってはいけない、大変遺憾であるという趣旨でそのような発言をしたんじゃないかなと私は思っております。
  68. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それじゃ放送行政局長に重ねて聞きます。  この一月二十五日以降、全国の各民間放送の幹部をやらせ問題にかかわらず全部、言葉は悪いですけれども呼びつけたのは事実ですか。
  69. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 相次いで起きましたものですから、実際にこういった事実に反する報道をした放送事業者はもちろんでございますが、全国のテレビ放送を行っている放送事業者の方に対しまして、こういった事件、事犯が起きないように再発防止に積極的に取り組むようにという注意喚起を行ったところでございます。
  70. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 言葉にすればそれは注意喚起です、再免許はちらつかせてはいない。事がことし秋の再免許です。そういう状況の中で、しかも郵政の放送行政局をつかさどるトップが不謹慎にもそういう権力の介入をにおわすようなことがあってはならないと私は思うんです。あってはならないし、また将来もあるべきではないと考えております。これはこういう発想法ですよ、あなたたちが改めなければ、許認可権をちらつかせる、これはおどしですよ。先ほどもNHKあるいは民放の方々がこれは何とかしなきゃいけない、自浄努力で頑張らなきゃいけないと言っているんです。  最後にもう一度確認します。一月二十五日のこの発言は間違いだと思いますか。適切でなかったと思いますか、適切だったと思いますか。一言お伺いします。
  71. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私は、こういった問題が二度と再び起きないということをこいねがいながら各放送会社の皆様方の自浄努力を期待したつもりでございます。その中で、記者会見の席で質問に対して答えた中身は、今の法適用の問題もあったわけでございますが、基本的には私は間違っていなかったと思っております。
  72. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 余りこればかりやっていると時間がなくなります。法適用の問題を説明したのは間違いなかった、そんなのでは済まないんですよ。後ほどまたこれは改めてやりますけれども、少なくとも適切でなかった、そのことは申し上げて、二度とないように、そういうようなにおいを、しかもおどしの考え方をもう二度とやっていただきたくない、そう思います。  質問を移ります。NHKさんに改めて伺います。まず川口会長にお伺いします。  会長は、私も見ておりましたが、二月十七日夜のNHK総合テレビのおわびのあいさつの中で、このやらせ問題について視聴率や効率至上主義に行き過ぎがあったかもしれないと反省しておられましたが、これは事実ですね。あの放送をごらんになっていない方もこの中にいらっしゃいますけれども、端的に事実かどうかまず確かめたいと思います。
  73. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 事実でございます。
  74. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私は、まさに川口会長が指摘された視聴率や効率至上主義に今回の問題の最大の原因があったように思います。視聴率や効率至上主義に踊らされるといえば、これはまことに残念ながら広告収入に頼る民間放送がしばしば陥る悪弊であります。しかしながら、御存じのように、放送法により確かな地位を占め、しかも国民から受信料という安定した収入のある公共放送がこうした事態に立ち至ったのは、やはり視聴率や経済効率に踊らされる近年のNHKの商業主義的傾向に私は最大の原因があると思います。これはたしか八八年の放送法改正だと思いますが、それ以来急速に進みました。メディアミックスの話でございます。  ところでこの番組では、放送だけでなく、番組販売や取材テープの二次的な使用、あるいは出版などの商業的な利用、NHKではこれをメディアミックスと呼んでいるそうですけれども、この二次利用をこのムスタンの場合あらかじめ計画されておりましたですね。二次利用を前提に取材を行いましたね。その事実だけ先に聞かせてください。
  75. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 時系列的に申し上げますと、この番組の企画が承認されたのは平成四年の五月のことでございました。これにかかわる二次利用計画先生の御指摘のメディアミックス計画が決まりましたのは六月という時系列になっております。
  76. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 すなわちNHKの言葉では副次的収入を得るメディアミックス、普通で言いますとこれは商業主義と言うんですが、続けて御質問します。  この番組について、ある自動車メーカーから一千万円以上の資金提供をNHKの関連会社を通して行っていたのは事実ですね。そして、これも先に確認させてください。関連会社というのはNHKクリエイティブ、一千万円以上というよりも、私が調べましたらNHKクリエイティブとは、あえて申し上げませんけれども、ある自動車会社からこの番組のいわゆる二次使用のために一千八百万円程度もらっているわけです。そして、NHKクリエイティブがNHKにその映像使用のために一千七百万円、言ってみればNHKクリエイティブが中に入って、これで言えば百万円程度のもうけといいますか、これは事実でございますね。
  77. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 番組の二次利用と私ども申し上げておりますが、番組を放送する際に生まれましたビデオテープや音声その他を広く活用して社会の方々にそれを還元していくという趣旨で、例えば海外に放送いたしました番組を情報交流、文化交流というような形で出していく、あるいはビデオ、音声カセットあるいは出版物という形で、言うところの知的蓄積、知的財産といったものを広く活用していくという趣旨で行っております。その中で、今回のムスタンの番組につきましては、取材いたしましたビデオテープを活用するという趣旨でNHKクリエイティブという私どもの出資しております関連団体が自動車会社にビデオを提供したということは事実でございます。
  78. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうすると、今私が言った一千八百万円程度、そしてNHKクリエイティブから一千七百万円を一本当たりもらったというのは事実だということで、さらに質問を続けます。  NHKスペシャル、これは七十四分があれですから、ちょっと枠拡大で違うと思いますけれども、予算聞いたんです。平均単価、いろいろ番組の内容によって違いますけれども二千万。ステッカー張って二次利用、ここなんですよ問題は。一千七百万、一千八百万どうして出せますか。  私はいろいろな番組の担当者を知っております。こんなこと言ったらおかしいですけれども、二百万、三百万で良質なドキュメンタリーをつめに火をともすようにつくっている制作者がいっぱいいるんです。その中で、ある自動車会社が一千八百万円を出した。これについて私は大変不思議だと思うんです。一千八百万円を出す価値があるんです。これは民間放送でもよくやります。これはタイアップといいます。例えば、取材の経費を少なくするために、よく皆さん御存じのように、何々ホテル、字幕を大きく出したりするんです。そうしてわずかに制作費の軽減を図っているんです。  ところが、一千八百万、私は聞いたこともない金額。時間ありませんから、こっちで調べてあります。一千八百万程度のある自動車会社の販促用ビデオ、これは民生用VHS、いわゆる普通のVHS六本納入です。十分程度です。コマーシャルを現地でつくっても一千万で上がりますよ。なぜ出したかといいますと、そこに問題があるんです。  次に行きます。あの番組を見てみますと、走行シーンである車にそこの提供会社のステッカーをディレクターが張りましたね。それについてはもう報道されていますからあえて言いません。張りました、それについては大変遺憾であると言っています。  そこで整理して伺います。これはNHKの職員がやったから遺憾なんですね、この報告書を見ると。NHKクリエイティブの職員がステッカーを張った場合は、それは成り立ちますね、そういうお考えですね。これは会長にちょっと聞きたいです。
  79. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) NHKの関連団体の社員がやったとしても、それが本体の放送そのものと関連づけて非常に本体のイメージを損ねることがあれば、これはいけませんので、そういう意味では関連団体の職員がやっても同じことではあります。
  80. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうしますと、私は読解力がないせいかよくわからないんで伺ったんですが、NHK本体と、私はそう思ったんです。もう一回改めて読ませていただきました。本体という正面玄関を避けて、関連団体という裏口から出入りすればオーケーだと書いてあるじゃないですか。こういうふうに言ってませんよ、まとめて言ったんですよ。そういう精神が書いてあるんですよ。  だから、今回の事件の背景は、もちろんディレクター本人の判断、これは大きいです。しかし、その背景にあるものをきちっと整理しなければこの体質は変わらないと私は申し上げているんです。確かに視聴率主義もある。しかし、このメディアミックスですよ。かつて民放がやってきたことをNHKが今追従している。私が言っているのは、公共放送の使命というものはそうなんだろうかと。  だから、いろいろな方が新聞でも言っています。NHKになぜ受信料を払わなければいけないのか疑問に思っているという声がたくさん出てきているんです。そこなんです。メディアミックス、横文字で書けば何でもいいんじゃないんです。  改めて伺います。ちょうど折よくといいますか、NHKは「二十一世紀への展望とNHKの課題」ということを書いていますけれども、この中を見ますと、初め有識者の提言を第一部でまとめてあります。このメディアミックスについてまず有識者がどういうふうにNHKに提言しているか、この中の十ページに書いてあります。「NHKは、各種経営資源の有効活用のための関連事業を節度を持って展開するとともにこと書いてある。「節度を持って」、ここですよ。ところが、この提言を受けて三十二ページにあるんです。節度という文字が抜けているんです。これはどういうことですか、節度という文字が抜けている。ここがポイントなんですよ。有識者はそこを節度を持って、すべてのメディアミックスが悪いと言っているんじゃないんです、この事件の前に節度を持たなければいけないと言っているんです。ところが、NHKは節度というのを一言も書いてない。まあそれは事件の前でしたから。  しかし、ここが大事なんですよ。私は言葉じりをとらえているんじゃないんです。基本的な精神をきちっとしなければ権力の介入を許すことになる。ですから、この節度という言葉が抜けています。これはあえて落としたんですか。それとも、もし今回の事件でやっぱり節度を持ってやるんだと一項目を入れるんだったら、これを増刷といったらおかしいですけれども、訂正でいろいろ配付先に送るお考えはありますか、川口会長にお伺いします。
  81. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私どもが何遍も議論した中で、この関連団体の活用の方法については常に節度を持ってやる、そして本体を傷つけるような仕事はしないということを何遍も言っておりまして、その精神で書いたつもりでありましたが、言葉が抜けていたことについては申しわけないと思います。  ここの中の下の方ですが、三十二ベージ、「関連団体は、これらの自主事業を実施するにあたり、公共放送の関連事業であることの認識に立って、NHKグループならではの高品質で多様なサービスの提供に心がける。」というふうに書いてありまして、これがいわゆる節度というものの表現に私どもの方で書きかえたものだということで御理解いただきたいと思います。
  82. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ですから、そこが大事なんです。確かにこのムスタンの事件が起こる前ですから、まあ百歩譲ってやむを得ないとします。しかし、こういうふうなムスタンの事件でNHKも会長以下自浄努力に努めていることは私も十分承知しております。ですから、早急に節度を持って私はやるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  83. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 確かに八八年以来、昭和で言うと六十三年以来ですが、メディアミックスの方向にNHKが大きく走り出しているということは事実でございます。その結果、いろんなことで問題が起こりました。私もよく知っております。そして、私が就任いたしました一昨年七月以来そのことを第一に戒めてまいりました。  関連団体の長を全部呼びまして、節度あるということはそのとき私使ったんですが、きちんとした関連の事業を展開してほしい。そして、NHKは無理ないわゆる副次収入を得ようとしていないということをはっきり申し上げました。受信者からいただく受信料を基本にするんだから、そちらの方の対応をまず第一にやる。そして、関連団体のメディアミックスについては常に節度ある、限度のあるやり方をするようにと言っております。  それがたまたまこういう形で出てまいりましたので、行き届いていないということを私は非常に遺憾に思いますけれども、今回の事件を契機にして、さらに今後については厳しく戒めてまいりたいと思っております。特に四月以降、早速関連団体のいろんな規範等についてもより細かい形で実施をするようにただいま部内で詰めております。
  84. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がないんです。節度という精神は必ず何らかの形で生かしてほしいと思うんです。よろしいですね。
  85. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) はい。
  86. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それから、たくさん伺いたいんですけれども、同じく「二十一世紀への展望とNHKの課題」の中で私はおかしいな、上手だなと思いましたね。何が上手か。この問題はもう一つは、メディアミックスと同時に、私は一月二十一日の参議院の決算委員会小泉大臣にも申し上げました。それはどういうことかといいますと、NHKあるいは民間放送、ことしはテレビが始まってちょうど四十年です。官民の調和ある発展が放送文化の向上に寄与してきた、私はそう思っている。大臣もそのとおりであるとおっしゃられました。  そして、その際私はNHKのみが独走してはいけないと。JSBの問題これからちょっとやりますけれども日本衛星放送がなぜ今四百億とも五百億とも言われる赤字の中であえいでいるのか。ところがNHKのBS放送は一波持っている。これは収支の関係もあるでしょうけれども、単年度黒になる。その落差がどういうものであるかを私は前回の決算委員会で申し上げました。そのとき大臣は、確かに官民の調和ある発展とおっしゃいましたですね。
  87. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) そのとおりであります。
  88. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうしますと、この「二十一世紀への展望とNHKの課題」について、早口でいきます。十八ページ、これはBS4、一九九七年を目途に上げる。五月に電監審の答申が出ますけれども、NHKの将来構想にこうある。もっと肥大化しよう、独占しようと書いてある。  「ハイビジョン放送取り組み」、簡単に申し上げますけれども放送普及基本計画では八チャンネル。ところがそれは無理だと行政局長もおっしゃいました。四チャンネル。現行のBS3、今ありますね。NHK一波、それから問題となっているJSB、愛称WOWOW、これが一波、そしてハイビジョンの試験放送、四波だ。これ四波で上げざるを得ない。当面先発機として一九九七年を目途に上げる。  そのとき、NHK二波は現行の放送維持をそのまま一九九七年のBS4の段階でいただく。それからJSBどうなるかわかりません。あとのハイビジョン一波、これに書いてある。「NHKは衛星放送をハイビジョン化するまでの間、現行方式の放送一波に加えて移行波を設定しハイビジョン放送を実施することが適切であると考えている。」、移行波と言っているんです。移行波ということは、当面の間NHKに任せなさいよと言っているんです。そしてある程度ハイビジョンが普及したら、おおむね普及した段階で民間あるいは皆さんとどうぞという、ちょっと荒っぽい論理ですけれども。  そうしたら、電監審に報告されたハイビジョン放送研究会の報告書をひもといてみますと、一九九七年にハイビジョンのチャンネルも、四つあるうちの三つ目のチャンネルをNHKが移行波として使わせてくださいと言っているんです。だけれども、おおむね普及した段階というのは、ハイビジョン放送研究会の報告書は、二〇〇〇年、二十一世紀に三四・二%しか上限で普及しない。最も低いケースで一八・六%。二〇〇七年、十年後には最も高く普及するケースで八七・九%。普及しないケースでは四三・七%。ずっとNHKが保有するということです。私はこの問題は改めてやりますけれども、この肥大化について、やっぱり官民調和ある発展をしなきゃいけない。マスメディア集中排除の原則もあります。  ところで、放送行政局長にこの問題に関連して、JSBです。今御存じのように、JSB、日本衛星放送、WOWOWは、前回も私は御質問申し上げましたけれども大変な赤字に悩んでおります。累積債務はもう五百億。資本金はたしか四百十五億だと記憶しております。そして、この二月の十八日の再建に関する取締役会で、もうにっちもさっちもいかないから新たに二百億を出してくれ、債務保証をしてくれと。これはたしか十二のグループ、民間放送、流通、銀行関係含めて。そこにかかわっている株主は二百数十社、たしか二百六十社だと思いましたけれどもある。  そして、一月二十一日の決算委員会で申し上げましたように、初代の社長が郵政省の事務次官、現社長がたしか放送行政局長。わしは知りませんよと。それは民間ですから、内容に対するあれは私は絶対反対です、先ほど申し上げたように。しかし、枠組みをつくっておきながら私は知りませんよとは言えないと思うんです。二月十八日の取締役会で二百億円の債務保証、三月十二日までに何とかしてくれといっているんです。  このことについて、先ほども言いましたけれども、なぜ今のJSBが立ち行かないか。このことは本当はじっくりお伺いしたいんですが、時間がありません。一つは経営体制の無責任、もう一つは、口出すときには出して、知らないときには知らないという郵政のこの体質、これがあるんですね。そしてもう一つ大きいのは、今NHKのBS3チャンネルがどう育っているかということは、これは言うまでもなくNHKさんの努力、これは当然大きいんですが、ソフトの保有が全然違うんです。  ですから、私は行政局長一言お伺いしたいのは、マスメディアの集中排除の原則があります。民間に対して放送局を二局兼営してはいけないとかいうのがあります。その精神は私は納得できるところもあります。しかし、このマスメディア集中排除の原則を適用すると、民間放送、例えばJSBは今高いお金でハリウッドの映画を買わされているんです。そういう原則で縛り続けるのであるかどうか。CSは解除しましたね、十年間をめどに六社にですね。それを一言だけ。
  89. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) マスメディアの集中排除の問題に絞ってお答え申し上げます。  この問題につきましては、ただいまお話しのとおり、CS放送に関しまして、このマスメディア集中排除の原則の緩和につきまして現在電波監理審議会に諮問をして結論を得ていただくように努力しているところでございますけれども、全体のこのマスメディア集中排除原則を衛星時代にどうしていくかということにつきましては、現在電波監理審議会で鋭意検討されておるわけでございまして、その検討結果を踏まえて対処してまいりたいと考えております。  訂正させていただきますが、先ほどCSの問題につきまして現在審議中と言いましたが、先般答申が出ております。失礼いたしました。
  90. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がございませんので、これについては改めてゆっくり質問させてください。  きょうは、せっかく参考人としてお忙しい中、川口会長を初め専務理事に御出席いただいたわけですから、ここで一言ずつ自浄努力に対してひとつ決意を簡単に手短にお伺いしたいと思います。まず松澤専務理事の方からお願いします。
  91. 松澤經人

    参考人松澤經人君) 私どもも、先ほど申し上げましたように放送はまさに自主自律の精神、もうこれに尽きると思いますので、再びこのような不祥事の起きないようにただいま民放連といたしましても会員各社とともに全力を挙げて取り組んでおるところでございますので、今後とも何とぞ御指導をいただきたい、かように存じておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  92. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) NHKはこの問題が起こってから直ちに調査委員会を設けて、なるべく早い時期に結論を出し、そして処分すべきはし、そして今後の対応策を練りたいと考えて今日までやってまいりました。したがって、この精神は今後ともずっと続けていきたい。何か起これは必ずみずからの力でみずからを清くする、そして本当に国民に信頼されるNHKであるようにしたいと思っております。
  93. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 もうあと四分余りしかありませんので、木下放送行政局長、今お二方からの御発言がありましたが、自浄努力、本当に期待して見守るという先ほどのお考えでよろしいんですね。しつこいようですけれども、免許の余計な説明はする必要は私はないと思うんです。その決意を一言伺いたいと思います。
  94. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) NHK並びに民放の皆さん方の現在の置かれている状況からいたしまして、私は十分にその自浄能力があると考えております。大いに期待をしたいと思っております。
  95. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 行政局長の発言としては、私はそういう発言をいただければ安心してお任せできるなと思っております。  最後に、小泉郵政大臣のきょうの御審議の感想と御決意をお伺いしたい。その後、私一言述べて時間どおりにやめさせていただきます。
  96. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) やらせの問題につきましては、非常に遺憾なことでありますし、今NHKも民放も相提携しながらどうして再発防止策を講じていくかということを真剣に努力していると思います。またその決意でもあると思います。ですから、そういう効果が本当にあらわれるように私どもは期待して見守りたい。  それと同時に、今までNHKというのは公共放送として、民間の広告料収入に頼るものとは財政基盤も違いますから、そういう受信料を基盤にしてやっている公共放送としての自覚を持ってもらいたい。今委員が御指摘の節度という言葉、これは常識とか良識とかと似ていまして、漠然としているからこそ私は非常に重要な観念だと思うんです。過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉がありますが、むしろ過ぎたるは及ばざるより悪い。本当に節度を持って、NHKはNHKなりに先導的役割はあったと思います。これからは官民相協調を図って、節度を持って公共放送としての使命を果たしていただきたいと私は期待しております。
  97. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 あと一分残っておりますので、僭越ながらちょっと感想を述べさせてください。きょうは本当にありがとうございました。  私もドキュメンタリーファンでございまして、いろいろな番組を見る機会があります。そして、そういう人たちのたくさんの仲間を持っております。もちろん、NHKのスペシャル、かつてのNHK特集、それから民間放送とか数多くの番組をつくっている人たちは、国民はもとより一番悲しんでおられる、肩身の狭い思いをしなければいけない、私はそのことに思いをいたすのであります。  ですから、自浄努力の中にも、チェックだけを厳しくすればいい、そうではないと思うんです。僭越ですが、社員教育の徹底など、私もそれを言えた年代ではありませんが、その中で、仲問うちで話せる体制をまずつくっていただきたい。今回不幸にして出ましたけれども、大事なのは、これはNHKの職員だったら果たしてこの問題が出てきたろうかと思うんです。いろいろなプロダクションに働く人たちのあのひたむきな努力もぜひ評価していただきたい。彼らが今回の事件を告げ口するためにはどれだけ命がけであったかそれを教訓として、その思いをもう一つまとめて、現場からの風通しをよくして、何よりもあつものに懲りてなますを吹くような状態じゃなくて、現場の意思を尊重し、あるいはチェックできるところはする、その体制でやっていただきたい。放送現場で働く人たちを殺すようなことはしていただきたくない、それを十分考えていただきたいと思います。  つけ加えさせて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  98. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 御三人の参考人の方々、御協力ありがとうございました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  99. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、郵政行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  100. 及川一夫

    ○及川一夫君 参考人の皆さん、大変に御苦労さまでございます。  まず、郵政当局にお伺いするという形になりますけれども、最近目を覆いたくなるようなことが大変郵政省サイドには起こっていますよね。このところ私も週刊誌というものをどこまで信頼していいのかということはいろいろありますし、私もかつては大分週刊誌でたたかれた経験もありますから、記事そのものについての信憑性などいろいろとただしていかなければならないものはあると実は思うのであります。しかし、最近郵政省をめぐるというか、郵政省が監督官庁であるということを前提にして物を考えてまた週刊誌を見ていきますと、一体これはどういうことになっているのかなというふうに目を覆いたくなるような週刊誌が非常に多いというふうに言わざるを得ないと思うのであります。  まず、やらせの問題では報道の信頼性ということが一つ問題になりましたよね。午前中の論議にありました。それから、これは三年前にも取り上げられたことがあるんですが、どういうわけかまた尾を引いて、新たな問題であるという観点から、NHKの内部体制の問題とか、海外における隠し口座と称するタイトルでいろんなことが報道されています。  さらに、今国会の法案にもなっている通信・放送機構ですか、この機構が十五億円の債務保証をした問題。どうも振り返って考えてみると、通信機構に債務保証するような金が一体あるんだろうか。もちろんこれは債務保証したところの事業がおかしくなって初めて保証しなければならないという事態にもなるんですが、しかし債務保証した先が本当に大丈夫なのかなという前提で書いておられることを考えると、通信機構が債務保証をしたということは一体どういう意味を持つのかということ。あのいろんな経過の中で議論してきたことを思い起こすと、そんな余裕はまさにないと思うんだが、そんなことをやっている話とか、あるいは、これは信じたくない話ですけれども、簡易保険局が民間銀行に対してある事業に対して融資の圧力をかけた話とか、大変なものだと私は思う。  さらには、衛星放送にかかわる事業としてJSBというものがあるが、午前中も言われたとおり大変な赤字で、しかもBS4の打ち上げが本当に可能なのかどうか。そしてまた、それが可能でないということになれば、NHKやまた郵政省当局がとにかく大変な意気込みでハイビジョンというものの事業を起こそうとしている。これ自体だって崩れてしまうではないかなどなど考えますと、要するに不祥事件のように報じられているわけですよ。しかも顔写真まで載っていますわね、だれとは言いませんけれども。現職の担当だからやむを得ないのかもしれませんけれども郵政大臣が顔写真になるのはこれは責任上しょうがないわね。しかし、担当局長、関係する局長の顔写真まで載っているというふうに受けとめますと、しかもその担当局というふうに言うとほとんどが放送行政局長のところじゃないですか。これは一体どうなっているんだろうか、まさに締まりのない話だというふうに思うんですが、この辺放送行政局長いかにお考えですかな。
  101. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 週刊誌で最近放送行政の問題について、ただいま御指摘のありましたような件につきましていろいろと取り上げられていることはそのとおりでございますが、一つ一つについて私どもそれぞれ申し上げたいことはございますけれども、それぞれの問題について私ども決してやましいことをしているつもりは毛頭ございませんし、また一つ一つ着実に課題について解決していきたいというふうに思っておるところでございます。
  102. 及川一夫

    ○及川一夫君 私もそう思いたいですよね。しかし、かなりの迫力じゃないですか書いている内容から見ると。なるほどとうなずけるようなものも実はあるんですよ。  そういう考え方で取り上げてまいりますと、例えば通信・放送機構からセント・ギガに対して十五億円の債務保証をしたというのはうそなんですか、本当なんですか。いずれですか。
  103. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) セント・ギガに対する通信・放送機構からの債務保証十五億円、これは事実でございます。セント・ギガの事業の立ち上がりに機構からの債務保証が必要不可欠であるというふうに考えられまして、また収支の見通しにつきましても、当時債務保証したのは平成三年の八月でございますが、その収支見通しにつきましても市場調査に基づく需要予測から算出したものであるということから、そういう理由から通信・放送機構が金融機関に対して債務保証を実施しているところでございます。
  104. 及川一夫

    ○及川一夫君 通信機構にそういう条件というか能力を与えておるんですか。
  105. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 通信・放送機構に信用基金が設けてございまして、これをもって債務保証の弁済に充当することとされております。信用基金の規模は平成四年十二月末現在で五十八億五千万円となっております。
  106. 及川一夫

    ○及川一夫君 それはいつから決められましたか。
  107. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 実は、特定通信・放送開発事業実施円滑化法がございますが、これが通信・放送分野に属する事業のうち、新たな役務を提供する事業、それから地域に初めて導入されるニューメディアなどに対しまして通信・放送機構が出資あるいは債務保証、利子補給等を行う、それで情報の円滑な流通を図ることを目的とする法律でございまして、これが平成二年六月に成立をいたしております。その法律の趣旨にこのセント・ギガの行う事業が合致するということで、平成三年の二月に郵政省がこの事業に認定をいたしまして、同年八月に通信・放送機構が金融機関に対して債務保証を実施したということになっております。
  108. 及川一夫

    ○及川一夫君 担当がかわるとえらい変わりますね。セント・ギガのような資本金二十八億三千万というような、ある意味では大きな企業ですよね。こういうものに対して援助していく、支援をしていくという意味で通信機構というのはつくられたとは私は理解してないんですよね。もともとは衛星の運用というものをするということが前提になって、しかし郵政省の仕事として次から次といろんなことが出てくるんだが、別組織をつくろうと思っても行政改革という条件の中ではなかなかつくれない。だから、郵政省としてはたった一つある通信機構という外郭団体といいますか、そういうものに法律でもって役割任務を与えて、それとなく事業の範囲が拡大をしてきている、こういう経過なんですよね。  そういう中で支援したり援助したりするのは、いわば地域の情報産業とかそういうものを含めた電気通信というか衛星放送関係とかそういうものに対する手だてをするというのが大体通信・放送機構の役割であって、何か人の銀行の融資に対して債務保証するというのは一体本当に役割任務としてあるという認識でおられるのかどうか。これはさかのぼって皆さん考えてみたら、私はそういったことはあるようには思わないというふうに考えております。私はきょうはこれを深く掘り下げるつもりはございませんが、いずれにしても、そういうことをやるから一つの疑惑が、私から見れば週刊誌で書かれたものであっても本当のように思えてくるという印象を実は持つわけであります。  とにかく、少したるんでるんじゃないか。発想が大きいことはいいけれども、やれることかやれないことかも吟味せずにとにかく発展すればいいと、伸びればいいと、それこそ拡大主義で放送行政局の場合には考えているんじゃないか。そしてあちこちで失敗を起こしている。あちこちが赤字ですよ。したがって、何とかそれを挽回しようという気持ちがあって次から次といろんなところに放送行政局長が参画をしていくというふうな感じがしてならないんでありますが、いかがですか。
  109. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 御指摘のとおり、放送関係のニューメディア、CS放送も含めまして、JSBの問題もセント・ギガの問題もそうでございますが、特に衛星放送に関しましては本当の立ち上がり期でございまして、いろいろ当初の見込みと違ったところも確かに出ていると思います。私どもこういった立ち上がり期ができるだけ早く軌道に乗るように必要な助言、指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 及川一夫

    ○及川一夫君 答弁としてはそうなるでしょうね。ここまで来たからもう全部御破算にして、白紙に戻してこれから考えますなどという答弁はなかなかできないでしょう。  郵政大臣、あなたもおいでになっていろいろなことをお聞きになっているんでしょうけれども、最近の週刊誌なんか大臣は見ないだろうけれども、私のちょっとした報告ですが、それを聞かれてどう思いますか。衛星放送関係のいろんな計画があるんですが、ほとんど成功するかどうか疑問が持たれるような状況にあるんですよ。一つ一つそれこそ尋ねてごらんなさい。郵貯だけが問題じゃないんだから。これはぜひ郵政大臣逓信委員会でも終わりましたら整理をしていただきたい。また、私も新たな問題を提起をしたいと思いますから、大臣これから先のことについて少し述べてください。
  111. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私もその週刊誌等の記事を詳しくは読んでおりませんが、拾い読みみたいなところだけちょっとしおりまして、委員指摘のような似たような疑問を持ったものですから、どうなっているのか整理して教えてくれという形で今検討を命じまして、もしそういう批判があるならば、批判にこたえて、そういう批判を生かして将来よりよい行政を進めるような検討をしてほしいということで、省内でしばらく時間ができましたらよく勉強してその批判にたえ得るような施策を講じていかなきゃならないな、そう思っております。
  112. 及川一夫

    ○及川一夫君 次の問題として、午前中、中尾議員の方から憲法上の表現の自由問題とやらせの関係、そして、行政当局が行政指導というふうに言われるんだが、その一体基本的な物の考え方はいかにということでやりとりがありました。かなり問題点が私は明らかになってきたように思います。  そこで、私は法律的な立場からお尋ねをしたいのですが、電波法の七十六条で言う処分という言葉が実はあるんですけれども、この七十六条を適用する違反行為というのは一体どういうものがあるんだろうということをまずお聞きしたいんであります。違反事例ですな。
  113. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 電波法七十六条では、第一項におきまして、免許人が電波法、放送法に違反したときは無線局の運用停止等の行政処分を行うことができると規定しておるわけでございます。  法形式的に申し上げれば、電波法違反という事例に当たるとすれば、例えば事前の許可を受けずに無線設備の設置場所を変更したり、無線設備の変更の工事を行ったりする場合があろうかと思います。それからまた、免許状に記載された周波数以外の電波を使用して運用した場合、あるいはまた免許状に記載された空中線電力を超えて運用した場合とか考えられるんじゃないかと思います。  また放送法違反の事例として、適用するかどうかということは別にして法形式的に申し上げれば、放送法四条一項の訂正放送を行うべきときに行わなかった場合とか、あるいは今回のような、報道は事実を曲げないですること等に違反した場合、極めて法形式的な話でございますがそのようになろうかと思います。
  114. 及川一夫

    ○及川一夫君 それならば、第七十六条の違反をした場合には、「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じろというのでありますが、これは具体的にはどういうものなんですか。無線局の運用の停止という事態はどういう事態を言うんですか。
  115. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 放送局の場合には、放送をする無線局であるわけでございますが、その無線局の停止を命ずるということの意味合いは、放送局の電波の発射を停止するということであろうかと思います。そうすれば、その結果その放送局の放送が停止されるということになるわけです。
  116. 及川一夫

    ○及川一夫君 仮に、NHKにこれが適用されて無線局の運用を停止をするということになると、NHKの放送は停止をされる、つまり画面が出てこないということになるわけでしょう。なりますか。
  117. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) ただいまの仮定の話でありますが、そういう条項の適用によって無線局の停止を命ずるということに相なれば、そのようになります。
  118. 及川一夫

    ○及川一夫君 じゃ次に、「又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」という事態はどういうものですか。
  119. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 運用許容時間を制限するということになりますと、例えば免許上常時電波の発射が可能になっているというものを、ある一定の時間に限って電波の発射を制限するということが考えられると思います。その結果として放送局の放送する時間帯が制限を受けるということかなというふうに思います。
  120. 及川一夫

    ○及川一夫君 それは、期間はだれが決めるんですか。
  121. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) この運用許容時間に関しては、期間の定めはないというふうに思いますが、結局郵政省が決めるということに相なろうかと思います。
  122. 及川一夫

    ○及川一夫君 私の見る限り、郵政大臣の裁量で決めるということになっているようであります。  私は、こういう事態になるということはどういったときになるのかなと。違反をしたらこれを適用するというだけじゃなしに、どんな形の違反があればこれを適用するのかということ、違反事例なんですよ。それが今まで存在しませんでしたね。これから先も存在しないでありたいというふうに思うんだけれども放送局長として、こういう場合にはこれが適用になるんじゃないかということをあなたの私見でいいから言ってほしいんですよ。
  123. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) いわゆる電波法の規定を適用するということは、午前中にお話もございましたが、表現の自由等極めて重要な問題であると理解しておりますし、不当に制限することがあってはならないと思っております。したがって、今までこの条項を適用したことは今のお話のとおりないわけでございますが、これからも放送事業者の皆さんの真摯な御努力によってそういう事態が起きないようにということをこいねがうばかりでございます。
  124. 及川一夫

    ○及川一夫君 こいねがっても現実に法律はちゃんと書いてあるわけだから、何かを予測していることは間違いないですね。何も予測しないで適当に書いておけという法律はないと思う。  この項目について、表現の自由を侵すからこの際もう削除すべきであるという意見は、これまた電波法問題をめぐって、放送法をめぐって学者の議論の中にもないことは確認できるんですよ。しかし、今まで事例がないだけに、しかも今回はやらせの問題で大臣名で行政指導なるものがおりているだけに、やはり改めてこのことを問うておかないと先行き大変なことになりはせぬかなと、こういう思いがするものですから、もう一度、法律上具体的に事例を挙げなかった理由などがあれば僕は教えてほしい、こういうふうに思うんですよ。
  125. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私は、この問題についてなかなか認定が難しいという現実の問題はそのように思います。  ただしかし、あえて申し上げますと、明らかに放送法に違反しているということが私どもとして認められて、それが社会的な大きな問題を引き起こすような放送電波によって流されて、放送事業者の自律を求めておるわけでございますが、自律によっては再犯防止が期待できないというような事態があるとすれば、それはもう放置できない事態ではないか。しかし、具体的な判断に当たりましては極めて慎重でなけりゃならぬというふうに考えております。
  126. 及川一夫

    ○及川一夫君 具体的にお聞きしますと、今回のやらせというものが大変遺憾な事態である、これは放送法に違反をしているというふうに見られていますかどうですか。
  127. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私どもは今まで民放に厳重注意をやったわけでございますが、これについては放送法の三条の二に違反しているというふうに理解しております。
  128. 及川一夫

    ○及川一夫君 第三条の二の三号のことを言われているわけでしょう。「報道は事実をまげないですること。」と書いてある。しかし今回は事実を曲げて報道した、だから違反である。違反という言葉である限りは、放送局長の判断として字面だけを見れば七十六条を適用してもいいわけですよね。しかし、やらせがあったから、事実を曲げて報道したから放送を停止するという事態になったら、ある意味じゃ世の中真っ暗ですわね。  したがって、今回のような事件、事例では七十六条の適用なんていうのは考えられぬというふうに私は理解をするんだが、その点はいかがですか。
  129. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 先ほど自律によっては再発防止が期待できないというようなことを申し上げたと思いますけれども、既に厳重注意をいたしました朝日放送、読売テレビの事案につきましては、今申し上げましたように三条の二の「報道は事実をまげないですること。」ということに違反しているというふうに判断をいたしました。  しかしながら、ただいま御指摘のとおり、両社とも事案の重要性を認識されてみずから真摯に再発防止策を講ずることを誓約しておられます。そういうことから、この事案につきましては放送事業者の自律による是正を期待できない状況にあるとは認められないということで、直ちにこれが電波法七十六条の行政処分によらなければ同様の再発を阻止できないというような事態には立ち至っていないというふうに認識しております。
  130. 及川一夫

    ○及川一夫君 局長が再発防止が期待できない場合にはとか、あるいは午前中にもあったように、免許という言葉を用いて、それで行政指導をされるというふうなことになることに対する我々は大変危惧を実は持っているわけです。  私は、この七十六条などというのは、反社会的な行為、あるいは電波を使って人を殺すというようなことが行われた、そういう反社会的な行為というものでない限りはこれは適用にならないし、あるいはクーデターとか革命とか、何かそういう目的を持って放送局を占拠し、そしていわば革命のための、クーデターのための放送をばんばんとやるというふうなことになれば、これは七十六条の適用なんてことは即座に考えられる。しかしそうでない限りは、仮にNHKが予算のことについて、国会に提出しないでやったというだけでもって放送が停止をされるような事態などというのはとてもじゃないが考えられないんですね。それをやってしまうと、それこそ社会的な損失も大きいし、公共放送という意味合いでの立場から見ても大きな問題が起きるし、表現の自由にも立ち至ってしまうということだと私は思うのであります。  したがって、学説のどれを見ましてもほとんど次のようなことを言っている。これは「放送概論」を書かれた片岡先生という方が言われているんですが、表現の自由の確保を原則に掲げた言論立法である放送法について、その違反を理由に電波法に基づく放送局の運用停止等が行われるとすれば、放送番組編集の自由は実質的に大きな影響を受けることになるため、その適用に当たっては消極的慎重論が通説になっている。そういう意味合いで放送局長も慎重と言われているというふうに僕は理解をいたしたんですが、それはそれでよろしゅうございますか。今のような理解でよろしいですか。
  131. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 表現の自由を制限するということは大変重みのあることであると理解しております。したがいまして、この条項を適用するかどうかということについては、極めて限定的に解釈し、適用することが必要であろう、そういう意味で慎重な配慮が必要だというふうに申し上げたところでございます。
  132. 及川一夫

    ○及川一夫君 少しかみ合わない気持ちもありますが、少し前へ進めますと、「虚偽報道についての朝日放送株式会社等に対する措置について」ということで、郵政大臣名をもって文書通達、つまり厳重注意と具体的な措置を明らかにせいという意味のものを出されましたね。また、読売に対しても出されましたね。出したとすれば、その内容についてちょっとおっしゃっていただきたい。
  133. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) まず、朝日放送と読売放送でございますが、朝日放送につきましては、郵政大臣から文書によりまして、真実でない放送を行ったことに対する厳重注意をやっております。それから放送法及び番組基準の遵守・徹底、それから外部に委託した番組に対するチェック機能の確立等の再演防止策を講ずるように指導しております。それから三点目といたしまして、当分の間、講じた再発防止策の取り組み状況について、四半期ごとの報告を要請しております。
  134. 及川一夫

    ○及川一夫君 この取り組み状況を報告することは当然だというふうに思いますけれども、当分の間ということを今申されましたね。しかし、この文書をよく見てみますと、その取り組み状況の定期的な報告を求める、定期的に報告せよ、こういう内容になっているんですよ。これは事実でしょう。
  135. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 今申し上げましたように、当分の間、四半期ごとに報告されたいというふうに言っております。
  136. 及川一夫

    ○及川一夫君 だから、四半期という定期なんでしょう。これには四半期とは書いてない。その取り組み状況の定期的報告を求めるというように書いてある。ですから、定期的にとにかくやるわけでしょう。定期的に報告をせにゃいかぬのでしょう。それを求めているのでしょう。
  137. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 今申し上げましたように、朝日放送の例を申し上げたんですけれども、当分の間、四半期ごとに報告されたいというふうに出しております。
  138. 及川一夫

    ○及川一夫君 この文書とは違うんですか。これも朝日ですよ。
  139. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私の手元にありますのは実際に出した文書でございますが、多分報道資料で、何かその辺を省略したところがあるかもしれないと思います。
  140. 及川一夫

    ○及川一夫君 しかし、当分の間、四半期別に報告しろというのは、読みかえれば、仮に当分の間が一年、二年続けば定期的報告になるでしょう、四半期ごとの。だから食い違ってないじゃない、そういう意味では。認めますか。
  141. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私ども未来永劫、永遠にこれをやるつもりは毛頭ございません。再発防止について早急な改善策を立ててもらって実効が上がるようにしてもらいたいということでございまして、その取り組みが十分に機能していると認められる時期になりましたら、そのときまでと考えております。したがっておおよそのめどとして、まだこの時期始まったばかりでございますけれども、次の再免許の日が一つの区切りになるかと、もう近々参るわけでございますが、そういうふうに考えております。
  142. 及川一夫

    ○及川一夫君 先ほど、この問題については表現の自由問題に直ちにぶつかっていくこともあり、一番大事なことは自浄努力だということを申し上げました。それから、放送事業者の自律性と自主規制というようなことが極めて大事なんだということを我々の方も強調しているし、あなたもそれを受けとめ、大臣もそれを認められている。そういう事態があるのになぜ定期的に求めるんですか。信頼できないんですか。
  143. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私は各放送事業者の皆さんがこの事態を真剣に受けとめて真摯に取り組んでおられることを確信いたしております。しかしながら、私どもとして放送法を所管する立場からこういう行政指導を申し上げているわけでございますので、自主規律によって再演防止を図るために、一定の期間取り組み状況を把握するという趣旨で報告を要請しているところでございます。
  144. 及川一夫

    ○及川一夫君 大変恐縮ですが、民放連の方にお伺いいたします。  前段、再発防止のための取り組みを報告しなさいと。ある意味じゃ不祥事件みたいなものを起こしたわけですから、いけないとみずからも反省した、再発防止のためにどうするかということを社内的に論議をした、こうすれば再発は防止できるんではないかという前提に立って、以下次のようにいたしましたという報告をされることは、これは社会的にもそれらを明らかにしなきゃならぬ立場にある者ですから当然だと思うんですね。  しかし、自後定期的に朝日テレビ、読売テレビがいわばそういうふうに措置をしたら、今はこうなっている、今はここはこういうふうに発展をしていますよという意味なのかどうか知りませんけれども、その内容を当分の間とにかく四半期ごとに報告をしてきなさいと、こう言われたときに、民放連の立場に立ちますと、これはどういう文書に見えるんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  145. 松澤經人

    参考人松澤經人君) 本来、このような報告を求められますことは決して好ましいこととは考えておりません。しかし、今回のこの一連のいわゆるやらせ問題でございますけれども、これは本来あってはならない、行ってはならないものでございまして、今回の報告は、いわばこうした不祥事を今後二度と繰り返さないために社内でとった措置を報告する極めて特殊事情のもとにおける限定されたものであろう。行政庁御当局の意図を私も必ずしも把握しておるわけではございませんけれども、そういうことで、これは極めて特殊事情のもとにおける全く限定されたものであろう、そういうふうに私どもは思っておるところでございます。
  146. 及川一夫

    ○及川一夫君 率直に言ってなかなかお答えにくいと思います。  私も民放運労組の方々ともお話をしたんですが、やはり介入と受けとめていますよ、番組編集に対して介入されるのではないかと。そういうおそれが本当にある。定期的にという意味はそういう意味じゃないかというふうに受け取っておられるんですよ。中尾議員もこのことには触れなかったけれども、実際にプロデューサーをやった立場からこれを見たときに、それこそ郵政省が監督官庁として、免許という言葉の問題は一応薄められたからいいようなものの、再免許という問題は、いずれにしても定期的に報告するというやり方をしていく、またそれを郵政省が求めていくということは、まずかったらもっとこうやれああやれという注文が出てくるし、そして時と場合によればまた免許再交付の際にいろんな条件がついてくるんじゃないか、そのための布石ではないかというふうにとられるんですよ。  ですから、放送行政局長がそんなに信頼されているのなら、この際定期的というのはおやめになった方が私はいいと思う。そして、むしろ能動的に民放連なら民放連がこうなっていますということを、仮に自主的な意味社会に発表するとか、あるいは皆さんのところにたまたま報告に行くとか、そういう程度の関係の中で信頼して見守るということの方が私は正しいあり方のように思うんですけれども、いかがでしょうか。
  147. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私ども、再発防止という視点に立って行政指導の一環として要請したものでございます。番組の内容について立ち入ってどうこうするというつもりは毛頭ございません。私どもとしてこの取り組み状況を把握しておく必要があるということで要請したものであります。私ども、番組編集の自由を侵すような結果になっているとは考えていないところでございます。
  148. 及川一夫

    ○及川一夫君 定期的云々を撤回されないということであれば、また機会を改めてやりたいと思いますが、ぜひ郵政大臣、もう少し放送事業者というものを信頼して私はかかるべきだと思うし、違反というものをしたといったって、七十六条をずばり適用するなんということは、我々が考えている常識的な違反では起こり得ない、起こしてはだめだというふうに考えるだけに、放送事業者というものを信頼してかかるべきだというふうに私は思っています。  なお、NHKの問題とかはこれから先、決算、予算、いろいろあるわけですから、その際にもう一度やりたいと思いますから、これはきょうは打ち切っておきます。  ただ、最後に郵政大臣一つお伺いしたいのは、郵便料金の問題であります。  つまり、所信表明やそれから郵政大臣の年頭あいさつ、あるいは郵務局長の新年のあいさつ等々では必ずと言っていいほど郵便事業の赤字ということが強調されているわけですよ。そうして、必ずあるのは小包については料金の改定をいたしますと、こうなっているわけです。それはいいですよ、事実だから。しかし問題は、赤字を強調されているんだけれども、一体これをどうするかというのがほとんどないんです。しかも、赤字が事業収支に対して三%以上赤字という状態になれば、皆さんの意思で決められて、郵政審議会に諮って料金の値上げをすることができるわけでしょう。どのぐらいにするかということを含めて。  それで、今回の予算を見るとその料金値上げの部分というのはない。そうすると我々の頭の中には、ないことは結構だけれども平成年度中にやるのかな、やらなきゃ大変じゃないのかな、じゃいつやるんだろうな、やるならどういう方法でやってくるんだろうなということが直ちに疑問になるわけです。したがって、郵便事業の赤字という問題と料金値上げという問題については考えているのかいないのか、お答えを求めたいというふうに思います。
  149. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) 先生から御指摘いただきましたように、現在予算上赤字の予算を御審議いただいております。平成年度に十一年ぶりの赤字を計上いたしまして、平成年度予算も赤字、これはもう残り一月ちょっとでございますが赤字の予算でございまして、さらに平成年度、これに続く赤字を計上した予算になっております。  こういった状況を踏まえまして、私ども今後一層積極的な営業活動による増収対策、それから郵便番号自動読取区分機等の導入といったようなことによります効率化の推進、そういったことを図りまして経費の節減に努めてまいりたいというふうに思うわけでございます。  なお、郵便料金の見直しの点でございますけれども、ことしの夏に出ます平成年度の決算、それから平成年度の決算が出る時分になりますと、第一・四半期、この損失の状況が大体出てまいりますので、その辺を踏まえまして今後検討してまいるという考えでございます。
  150. 及川一夫

    ○及川一夫君 そういう意味合いで言うと、十月以前は現行料金でいくというふうに大枠として理解していてよろしいですか。
  151. 上野寿隆

    政府委員(上野寿隆君) ただいまその辺のところにつきましては具体的に申し上げる状況ではございませんで、あくまでも今年度の決算、これと五年度状況を見た上でその辺は判断させていただきたいと、こんなふうに思う次第でございます。
  152. 及川一夫

    ○及川一夫君 別に私の方も料金の値上げをしてくれと言っているわけじゃありませんから、これ以上追及することはいたしません。ただ、料金値上げということになったときに、民間というサイドから見ると、郵便料金の値上げをするといった場合のコストというものは一体どういうものなのかということが直ちに問題になるんですよね。したがって、そのコスト的なものがよほどオープンにされないと、なかなかもってこの料金値上げ自体について国民の受け入れるところにならないということだと私は認識いたしております。  したがって、先ほど述べられた企業努力の問題はもとより、これまでも大変な努力をされてきていることは認めておりますけれども、いずれにしてもそういう事態になったときには国民にわかりやすいようなコスト論を展開してもらいたい。そうしないと、我々もそれこそそれ自体に対して賛成できることになりませんよというふうに思っておりますから、ぜひそういう意味の性根を入れた、やるんならやるし、しっかりした根拠というものを明らかにして提案されるようにお願いをしておきます。  時間が参りましたから終わります。
  153. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 大臣所信に限って質問させていただきたいと思います。  所信を拝聴し、またよく読ませていただいて感じますことは、郵政省では国民がひとしく豊かさを実感できる社会の実現に向けて、あるいはまた国際貢献等に向けてもさまざまな施策を行っていこうという積極さが感じられるわけでございます。私は大いに評価したいと思うわけでございます。  そこでまず、これらの政策展開に当たって大臣は、昨今の諸情勢の変化といいますか、取り巻く情勢の変化をどのように受けとめ、またそれに対してどのように対応されようというお考えなのか、その辺の基本的なことをお伺いさせていただきたいと思います。
  154. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) このところ国際社会においての変化はまことに激しいものがあると思っております。電波、通信問題一つとりましても、まさに国境はないに等しいぐらいに高度情報社会は進んできていると思います。  こういうような内外の諸情勢の変化を踏まえまして、郵政省としては高度情報社会の実現、そして郵便局ネットワークの活用により生活大国づくりに努めるとともに、国際社会にも日本の持てる力を積極的に貢献していきたい、そういうふうに考えております。  また、情報通信の高度化、多様化を推進して情報通信基盤の高度化を図り、産業社会の高度化や国民生活の充実に努めてまいりたいと思っております。  また、国内におきましても、全国二万四千の郵便局ネットワークを通じて三事業郵便貯金保険のサービスを充実させていくとともに、国土の均衡ある発展にも貢献していきたい。今後、国際協調、国際協力の積極的な展開、それから情報通信等、郵便局の活用による環境に優しい社会経済づくりなどにも意欲的に取り組んでいきたいと思っております。
  155. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 ありがとうございました。  改めて高度情報社会の実現や、あるいはまた郵便局ネットワークの活用が重要だと伺ったわけでございます。電気通信行政、そして全国二万四千の郵便局を拠点としての三事業の協調、こういうものによって所信にうたわれておりますような行政が円滑に進むようにぜひ期待したいと思います。  きょうは時間が限られておりますので、あるいは電気通信関係の範囲だけで質問させていただくかもしれませんので、その点ちょっとお許しいただきたいと思います。  さて、今もお話しございましたように、高度情報社会を実現するには、その基盤でありますところの情報通信ネットワーク、これは社会経済の神経とも言うべき社会資本というふうに書いてございますが、この重要な機能、役割を担う情報通信ネットワークを郵政省の少ない予算で一体どのように整備していこうとされておるのかその点についてまずお伺いしたいと思います。
  156. 松野春樹

    政府委員(松野春樹君) ただいま先生からも御指摘ございましたように、情報通信が企業活動でありますとか日常生活に必要不可欠なものとなっております。この情報通信のネットワークの整備生活大国の実現でありますとかあるいは国土の均衡ある発展を図っていく上で極めて重要であるというふうに私ども認識いたしております。  これまでも民間事業者の方々の御努力で逐次このネットワークを整備してきておりますが、例えば現状におきましても不採算地域など民間のみでは整備が困難な分野がございます。地域間の情報通信格差の是正を図るということで、平成年度から公共投資の生活関連枠によりまして電気通信格差是正事業を十億三百万円の当初予算でスタートいたしました。今お諮りしておる平成年度予算におきましては、総額三十二億七千二百万円の公共投資予算を計上させていただいております。  今後の課題でありますが、今後の例えば十年、二十年後を想定いたしますと、光ファイバーを中心とする高度化されたネットワークをどのように整備していくかということも大変重要な課題になってまいると思います。民間事業者の方々の役割あるいは国の役割というふうな役割分担の面につきましても十分検討を加え、留意しながら知恵を出して取り組む必要があろうかと考えております。
  157. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 きのうの日経新聞だったと思いますが、国の資金による次世代の基盤通信網の建設、これは新社会資本というように称して建設国債の対象事業に新たに入れて、そして追加景気対策としてでもやったらどうかというような議論があるやに書いてございました。  そのこと自体は私どうか知りませんけれども、そういった声も起こるぐらい私はこの情報基盤の整備というのは非常に大事だと思います。これからも格差是正、これはもう当然やらなきゃいかぬ喫緊の課題でございますが、次世代に向けての情報ハイウエーといいますか、とにかく新たな視点での社会資本、今までの道路とかそういうものだけじゃなくて、もっと情報化時代にふさわしい基盤整備を心がけていかれるように心から期待したいと思います。  さて、次に移らせてもらいますが、電気通信に関する技術開発の推進についても所信の中で触れておられます。  ここで私は思い出すわけでございますが、逓信省が発足した当時、初代の工務局長といいますか、今で言えば今の局長さんのお立場のような方だろうと思いますが、志田林三郎博士が技術開発について非常に驚くべき先見性を語っておられるわけでございます。  このことについては、かつて守住参議院議員がここで触れられたので詳しくは申し上げませんけれども、博士は百年前の明治時代において既にラジオやテレビあるいは無線通信、テープレコーダーの出現を予測されたのでございます。また、初代の工務局長として我が国の電話の創業に力を尽くされたということでございまして、郵便の父にも値するような電波、電信の父ではないかというふうな見方もあるやに聞いております。  また、そういうことがきっかけになりまして、昨年ですか生誕地の佐賀の多久市で没後百年を記念して、郵政省を初め多くの団体、機関の協力のもとで志田林三郎博士の検証シンポジウムが盛大に開かれました。そのときのテーマは「今甦る志田林三郎博士」でありましたが、志田博士の偉大な業績と存在感、これがテーマどおりに今よみがえったんじゃないか。私はたまたまふるさとでございますので、それに参加して感じた次第でございます。  我が国は、御案内のように資源もない、エネルギーもない。我が国はいずれにしても技術立国でなければ立ち行かないような国情でございます。また、これから問題であります環境対策につきましても我が国のすぐれた技術を役立てていく必要があろうかと思いますが、そういう意味で技術の先導性に歴史的なことをやってこられたと思います。郵政省としてもいろいろ御努力はされておると思います。  例えば、六十二年度からフロンティア研究開発ということで研究を進めておられるわけでございますが、その点について現在どういう成果が出ているのか、あるいは志田さんのように百年先のことをお伺いするわけにいきませんけれども、とりあえずどんなことが期待できるのか、ちょっとその点を教えていただきたいと思います。
  158. 松野春樹

    政府委員(松野春樹君) ただいまのお話の中に出てまいりました志田林三郎博士の件につきましては、業績を私どもとしても再認識いたしましたのは最近のことでございまして、内心じくじたるものがあるわけでありますが、今のお話の中にもありましたように、明治二十二年に逓信省の初代工務局長に就任されまして、無線通信の可能性でありますとかそれから現在のメディアで申しますとテレビ電話、双方向のテレビという言い方をされておるようですが、そんなものまでも実現を予見されておられたということで大変驚きもし、また先見性の高いお方であるというふうに存じた次第であります。電気通信のある意味では黎明期にこのような指導者を得られたことにつきましては、我々通信関係者の一人としまして大変誇りに思っておる次第でございます。  御指摘の電気通信フロンティア研究開発でございますが、これは電気通信の高度化のための特に基礎的・先端的な研究開発プロジェクトといたしまして、郵政省の通信総合研究所を核として、産学官の連携によりまして六十三年からスタートいたしました。  若干具体的に申し上げますと、三つの分野があるわけでございますが、一つは、超電導などの新しい物理現象を利用しまして、飛躍的に伝送能力を高めるいわば超高速通信技術の研究開発、それから二つ目には、すぐれた人間の情報処理機能等を電気通信に応用しますバイオあるいは知的通信技術という分野、それからさらに、高度な知能を持たせることによりましてどのような通信需要にも対応できる高機能ネットワーク技術というふうな、私も実は説明申し上げながら少し内容について十分そしゃくできない面もある難しい分野にもわたるわけでありますが、今研究を進めておるところであります。  大部分はまだ継続して研究を続けておりますけれども、これまでの研究開発の成果の例といたしまして一部申し上げますと、世界で最も波長の短い紫外線レーザー光の連続発生に成功したという報告を受けております。この成果は、今後におきましては、例えば衛星間通信などにおける大量の情報伝送を可能とするものであるという報告も受けております。  なお、平成年度の予算の中には、新たに分子素子技術の研究開発という新しい分野につきましても研究の拡充強化を行いたいという計画が盛り込んでありますし、また研究者の招聘によります国際研究交流の推進も図る予定でございます。  従来、いろいろな方面から日本の研究開発がややもすると応用の分野に偏りがちであるという御指摘をいただいておりますけれども、今後ともこの基礎的・先端的な分野につきまして電気通信の面から十分充実してまいりたいというふうに念願いたしております。
  159. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 各省庁とも研究開発についてはなかなか予算が十分でないというような悩みを聞くわけでございますが、お聞きしたところ、民間との協調等もしながら非常に立派な成果を着実に上げておられるということで、敬意を表したいと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  時間が参りましたけれども、いずれにしましても、私ども現場を歩いておりますと、郵政省職員、大変第一線で頑張っていただいております用地域振興のためにも、あるいはまた愛のあるボランティア的な活動のためにもやってもらっておる。頭の下がる思いでございます。先ほどの定額貯金についての質問の中でも、これはいわゆる資金シフトが起こるような形は昨年末の合意によってなくなった。そして、十分商品性の基本的なところは残っているということでございます。非常にこういう競争の激しい中ではございますが、ひとつ誇りを持って、自信を持ってやっていただく。それにはやっぱり郵政事業全体、三位一体となって取り組まなきゃそういう成果も上がりません。民間じゃできないことだと私は思います。どうぞ頑張っていただくように皆様からの御激励も賜りたいと思います。  ありがとうございました。
  160. 常松克安

    ○常松克安君 冒頭からでございまするが、大臣、まことに御壮健で何よりでございます。博学の大臣でありますからいろいろなお言葉を御存じかと存じます。「民の意に沿って国を建て、民の意に送ろうて国を滅ぼす」という言葉がございます。御存じだと思います。これより大臣として、郵政事業たるもの、どのような新しい見解、新しい制度がどのように論議がありましょうとも、民意に送ろうては国を滅ぼすという先哲の教えを私は身にしみて先日からの大臣の御答弁を聞いております。いま一つ、「人法勝劣生じたるはその存在を認めず」とあります。  問われれば個人の見解、政治姿勢等、あるいは十二分に自民党内の話をいたした、税調ともいたしたと。ここでは一分一秒を争う戦場であります。私がここで求めておるのは郵政大臣の御見解であり、御意見であり、御判断でございます。個人のことならば別に場所を移して幾らでも機会がございますから、来いとおっしゃるなら部屋までお伺いして礼を尽くしていろいろなお教えを承ります。そういうお立場、任と補、郵政大臣の立場、郵政大臣としての所管、職務についてのお立場以外に私はこの委員会では求めません。あくまで郵政大臣として御尊敬申し上げ、論議をしてまいりたい。このことをひとつ、これより何カ月か御指導、御鞭撻をいただきます我が身でありますので、前もってお願い申し上げておきます。  さて、問題に移ります。国の施策、国のいろいろな立場において、民間である立場が圧迫あるいは抑圧をされておるとするならばこれはゆゆしき問題でございます。まず一つ、サミット会議においてNTTがどれほどまでに圧迫を受けておるか、私は私なりの調査に基づいてこれを論及したいと存じます。  まず一つ、外務省にお尋ねいたします。六十一年度、七億九千万の予算をもってサミット、世界じゅうの国際家、華々しくお迎え、大成功をおさめられました。しかしそのときにおいて、NTTに対してどれほどの予算をもって報われたか、内容について数字だけをお尋ねいたします。
  161. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 昭和六十一年度におきましては、サミットの関係の経費でございますが、その中で通信関係ということでは、予算は約二千五百万円でございました。
  162. 常松克安

    ○常松克安君 六十一年の実績はそういうふうにおっしゃいました。しからば本年、まだ精査をしていらっしゃる最中でありますから、確定的なものをこれから積み重ねていかれると思いますが、今回平成年度は十五億と組まれました。その中において、NTTに対して契約を結ばれ、あるいは要請をされ、協力をお頼みになったその金額の見積もりは、今のところどのように心得ていらっしゃいますか。
  163. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 平成年度におきましては、ただいま先生から御指摘のありました総額十五億円の予算を今要求いたしておりますが、その中で通信関係につきましては約七千万円を見込んでおります。
  164. 常松克安

    ○常松克安君 まず具体的なお立場で、六十一年度二千五百万、そして、臨電あるいは国際線、いろいろ使用料を含めてNTTとしては七千万円の収入を得さしておられるそうであります。  失礼でございますけれども、マンホール作戦という言葉を御存じでしょうか。
  165. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 詳細は私はよく存じておりません。
  166. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、郵政の方へお伺いします。
  167. 白井太

    政府委員(白井太君) マンホール作戦という言葉自体を私は存じているわけではございませんが、通信について万全を期する、あるいは通信に妨害が加えられないということのために、マンホールのふたが簡単にあかないようにするとかというようなことを恐らく指してそういう言葉が使われておるのではないかと推測をいたしております。
  168. 常松克安

    ○常松克安君 もう一度お尋ねいたします。そのマンホールにサミット前には全部錠をかけてしまいます。あかないようにします。何カ所でございましょうか。
  169. 白井太

    政府委員(白井太君) 申しわけございませんが、箇所数は私存じておりません。
  170. 常松克安

    ○常松克安君 どうも失礼いたしました。こちらの方からざっくばらんに申し上げた方が早うございますから、御迷惑をかけました。  六十一年の実績の上から申し上げますと実はこの二千五百万ではおさまらない。しかし、それを実際に外務省として要求されたのかされなかったのか。そのところは今後の論議でございますが、まず一つは、結論から申し上げますと、NTTの金をサミットに拠出したのは十三億円であります。片方は二千五百万です。電話料金収入として七千万。何でそんなにかかったんや、それなら最初からちゃんとみんな言うたらええやないか、こういうふうなお考えもございましょうが、まずここに十二億かかって、国としては二千五百万だったというこの明確な事実をお示ししておきます。  その裏付け、バックアップ回線設置。本線が万が一ショートしたならば国際的に大変な大恥をかく。ですから、それを妨害あるいは何かの故障を起こしたときのために二ルート化、二億二千万円かけてつくりました。  第二番、マンホールに警備上錠をかけます。爆弾を仕掛けられて、それがために通信不能、国の恥であります。七千カ所でございます。これに対する経費を四億円支出いたしております。  第三、ここが問題であります。局内パトロール、言うなら錠をしたマンホールをある反抗グループがそこを切ってあけて、そこへ爆薬を入れたら大変だ。こういうふうなことにかんがみましてパトロール隊をどうしても安全のためにつくらないかぬ、その距離数何と百万キロであります。これに対して内容は六億二千万でございます。  あるいはまた、ガードマン配置二億八千万。これは何かといいますと、一番問題は、国外からVIPが来られるときに、成田にいたしましても羽田にいたしましても、全部レーダー、無線装置になっております。ところがNTT回線のそこのセッティングは無人局でございます。そのところを一つつぶされると大変なことになるという、そういうお考え、これが二億八千万。  その他、前回と今回と色違いが一つございます。それはKDDに対しまして、六十一年度は便宜を図ったつもりでホットラインを全部各国につけました。ところが向こうから断られてきた。電信の内容が途中で漏れてしもうたらいかぬ。悪い言い方をすれば、信用できぬとは言いませんが、当方できちっと精密な機械を各国から持ち込んで対応いたしまするからそれは結構ですと。前回と今回の電信に関する差異はこうでございます。  さて、こういうふうなことに相なりまして、外務省さん、まことに言いづらい言葉でございまするが、国を挙げてのサミットというこの事業におきまして、こういうふうなものをまずはお聞きしますと、精査中である、こういうようなことでございまするが、よくこの辺のところを十二分にお考え願いたい。例えば、今回外務省が要求されておる電話回線、ところがその回線では現実ならぬとして、ほかに一千三百回線のセット。前回の実績との差異がある。あるいは前回なくて今回公衆電話で直結に、そういうふうなものの要請があったとすれば、百三十台ということを漏れ承っております。  ところが、今外務省からお示しいただきましたこの内容のペーパーには、申しわけございません、ここにペーパーにきちっと書いてございます。それ以上のことを明確にしていらっしゃいます。  大成功たらんという、宮澤総理が世界から迎えるという、このことに対する危機管理から、あるいは便利性から、中でも体の中の神経をつかさどりますところの通信でありまするから、この辺のところを漏れのないような対応の精査をしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、いかがでございましょうか。
  171. 美根慶樹

    説明員美根慶樹君) 外務省といたしましては、ただいま先生より御指摘のありましたように、サミットにつきましては万全の態勢をもって臨んでいく必要があるという考えのもとに、各経費につきましても十分な検討を加えておるところでございます。  通信というのは、まさにその中でも特に大事なところでございますので、慎重を期しておるわけでございますけれども、経費の点につきましては限られた予算の範囲内でできるだけの工夫をしていきたいというふうに考えております。  しかしながら、政府として払うべきものは払う、民間から協力いただくものは協力いただきたい、こういう考え方でやっていきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
  172. 常松克安

    ○常松克安君 一番腹立たしいのは郵政に対してなんです。何だらかんたら規制はする、人事権は握るわ、予算はうるさくごにゃごにゃと心配の余り。する親の立場として、子が民営化されてスタートして八年、そういう事細かなことまで、そんなことは外務省が担当だから、予算はそっちだからちゃんと要求するものはちゃんとせぬか、何をぼやぼやしておるんだと、こういう態度が私は官僚的だと思っておるんです。  十三億対七千万、これが世間の常識でしょうか。いかに協力といいながら、いかに協賛といいながら、じゃ協力なら協力のようにそれをきちんと名目を明確にして対応し、そして収入の中からいただく税金はどんどんいただく、これが一番私はだれが聞いても見ても筋が一本通っておる対応であると。  幸いにして、外務省の参事官の方でも、今精査中であるからもっともっとそれを見てと、こうおっしゃいますが、郵政の立場といたしまして、子供がそういう難渋しておるような立場であったときょう知られたとして、外務省との接点のお話を、両者の話をよく聞いて、それを調和して一歩でもよりよいものにしていく、こういう努力局長していただけるでしょうか。
  173. 白井太

    政府委員(白井太君) 先ほどの先生お話に重ねるようなことで大変恐縮でございますが、やはりサミットにとりましてはこの通信関係というのは大変重要な役割を持っております。  それで、実は万が一の上にも万が一の対策を講ずるということもどうしてもやっておきませんといけないという気持ちが私どもも率直に言ってないわけではございません。そのためにかなりのお金がかかるということではないかと思うわけでありますけれども、他方において、予算措置の方は外務省で、その他の経費もあわせて、今度の平成年度の予算案の中に必要な経費を盛り込んで国会の方で御審議をいただいておるわけでございます。  したがって、現実の問題として、十分なことというのはなかなか手だてが難しいと思いますが、ただいま先生お話もございましたので、私どももできるだけNTTの方から率直な事情もお聞きし、またそれを私どもの立場なりに外務省にもいろいろ御説明をするということはさせていただきたいと思っております。
  174. 常松克安

    ○常松克安君 私が一番恐れをなしてなぜこの問題を取り上げるか。NTTが三万人の人員整理をする。経営としてスリムにしたい。これはひとえに利用者の安定な料全体質を保っていきたい、こういうふうな一面。ところが、こういうふうな問題が回り回って、経営が赤字でございますから、どうか利用者から料金アップで願えませんか、これは筋の通らぬ、断じて承認できない。私はここではっきり申し上げておきます。筋が全然通りません。  もっと極論しますしからばお話の中でお伝え願いたい。マンホール作戦、あんなものは撤退せよ、金が入らぬというのだったら。NTTの警備はええ、金がないでお断りせい。民間やで、もうからなあかんねんで。ただの仕事をどこの企業がしとるか。引いちまえ。こんなことの論議、またまたこれは傷だらけの論議になる。私はそういうような考えはなじみません。  私はなぜかように声を大にして御指摘申し上げておるか。限られる予算です。それは認めます。しかし、そのことが要因として利用者に、十億円もうかるはずの金がそっちへ流れて、赤字でござんしたと再度出されるなら承服しかねる、こう申し上げている。従来どおり以上の御努力をひとつなさっていただきたい、こう思います。  第二点に移ります。同じように、今度は逆に税金の方から一遍論議を展開したいと存じます。これはNTTであろうとどこの会社であろうとも、税の上からは公正、公平でなきゃならぬ、こういうふうに思います。  そこでまず一つ確認でございますけれども、かようなことを言うこと自体がいかがかと存じますが、NTTはあくまで公共性を持った民間会社である、このように認識してこれから論を張りたいと思いますが、間違いございませんでしょうか。
  175. 白井太

    政府委員(白井太君) 私もそのように考えております。
  176. 常松克安

    ○常松克安君 ではお尋ねいたします。  平成年度上半期、下半期、NTTに対して政府が経済不況総合対策の一環として、よかろうと悪かろうと設備投資をしろ、そのように言って御協力願って、景気を少しでも上げろ、こういうふうな要請はどういうふうになっているんでしょうか。
  177. 白井太

    政府委員(白井太君) いわゆる現下の経済状況にかんがみまして、昨年度政府として二回にわたりまして経済対策が講じられたところでございますが、それぞれそのときには私ども、これは必ずしもNTT、KDDだけではございません。一般の通信事業者の方にも同様のお願いをいたしたわけでありますが、昨年三月に決めましたいわゆる緊急経済対策におきましては、下期分に予定いたしておりましたものを上期に繰り上げてやっていただくということをお願いいたしましたし、さらに昨年八月のいわゆる総合経済対策におきましては、NTT、KDDあるいは新規の通信事業者の方々すべてを含めまして、八百億近いお金を翌年度の分をむしろ繰り上げてやっていただくというようなことをお願いしたところでございます。
  178. 常松克安

    ○常松克安君 まことに明快な御答弁トータル的に申しますと、それらを一切含めまして設備投資額は合計二兆六千三百億円、努力目標と申しますか、こういうふうな要請をされていらっしゃるわけであります。  そうしますと、国の政策という立場において協力してくれよと。また片っ方では公共性でもある。しかし、この公共性だとか国の要請を受けるのはほかにも会社があります。特に公共性という立場では、電力会社もあればガスもあれば、JRもあれば国際空港もございます。それだけの立場でありながら、電力やガスやほかとNTTの税対策が非常に冷遇されているようなところはございませんでしょうか。
  179. 白井太

    政府委員(白井太君) 言葉として適切かどうか多少迷いますけれども、少し不利な扱いを受けているというような感じを私は持っております。
  180. 常松克安

    ○常松克安君 これはバランス論になってくると思うんですけれども、確かに一概に差がある。税制の上においてもいろんなお立場、あいつは嫌いやでちょっといじめたろうかと、こんなことでやれるはずないところまで税法は物すごくびしっとしておりますし、そこへもって過去の経過というものがございますから、それを一概に端的な数字を取り上げての論議はちょっとなじまないとは思いながら、じゃ、そのようにお感じになっていらっしゃる点で、まず固定資産税ではどこにそのアンバランスがあるのか。電力やガスは認められているのにNTTだけはあきまへん、その理由は何だ。  第二番目には、承継特例、すなわち公社からずっと続いてきたものがあります。公社は国の事業でただだったんですけれども、それを承継してきた。これに対する問題のアンバランスはどこにあるんだ。  第三点には、設備をせよせよとおっしゃいますから平成四年、五年にわたって光ファイバーを設備いたしました。固定資産ではなく、今度は国税という立場において特例をそこにかまさぬ、あかん、こういうふうな差異がありますけれども、まず一つずついきましょうか。  固定資産税という立場における差異がどういうようになっているんだ、どこにあるんだと。それを電力やガス等、今特例で受けているようなことで例えて言う一つのテストケースの数字を出すとこれだけ負担が多くNTTは加わっておると、これ明快にお願いします。
  181. 白井太

    政府委員(白井太君) 先生御案内のように、固定資産税はもちろん地方税法の問題でございます。したがいまして、固定資産税について特例の扱いを認めてもらうためには地方税法の中でそのような規定を入れていただかなきゃならぬわけでございます。  多少言いわけのようなことを申し上げさせていただきますが、実は昭和六十年、今から約八年前にNTTがいわゆる株式会社になりましたときに、実はいろいろな議論があったようでありますが、結果として、当時はこのNTTについては、たまたまただいま先生のお言葉の中にも出ましたが、承継資産、つまり公社の時代から受け継いだ資産につきまして一定の固定資産税についての特例措置が認められた。つまり、特例が認められたのは公社から引き継いだ財産に限られたというところが実は問題の出発点になっているように思うわけでございます。  その後、これも先生おっしゃいましたけれども、NTTの仕事の公共性にかんがみて、固定資産税についてもできるだけその他の公益事業と言われているようなものに少しずつでも近づけることをしていただきたいということで、毎年毎年税制改正の問題が議論に上る都度私どもとしてはいろいろお願いをしてきたわけでございます。少しずつは改善をされてきておりますが、なお電力とかガスと言われるような他の公益事業と比べますと、率においてもやはり扱いが不利な扱いになっているということは率直に言って申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
  182. 常松克安

    ○常松克安君 具体的な数字を求めておるんですが。
  183. 白井太

    政府委員(白井太君) 承継資産について申し上げますと、承継資産というのは日本電信電話公社というところから日本電信電話株式会社に移るときに承継された資産ということでありますが、平成年度、つまり来年度で一兆五千百億円になるということのようでありまして、現在の仕組みでいきますと四分の一が軽減されますので、したがいまして、軽減される額は平成年度で五十億円ということになっております。  それから、先ほど新しい設備というような先生からのお話がございましたが、私どもはこの新しい設備としての光ファイバーのようなものを特に重要なものとして位置づけておりますが、これが平成年度ですと一千億円程度の投資を行うという計画を持っておられるわけでありますが、これにつきましては平成年度分で約十億円の負担軽減となるという計算になるようでございます。  ところで、問題の電力、ガスとこれを比べた場合にどうかということでありますけれども、電力、ガスの場合は、実は新規に取得しました財産につきましては固定資産税の特例措置というのが合計で十年間認められるということになっております。NTTの場合は五年間ですので、まず期間が違うというようなこともございますが、全部十年間たった場合を比較してみますと、もし電力、ガス並みの扱いを認めてもらえるということになりますと、なお十九億円の負担が軽減されることになるはずだという計算がございます。
  184. 常松克安

    ○常松克安君 今いろいろと数字を聞かされましたが、こちらの精査し勉強させていただいた数値とはいろいろと食い違いがあります。後ほどまたこれに対しては、先議法案も来ておるものですから、そのときにひとつじっくりと御教示願います。  私の申し上げたいのは、もう一点、心からどうしてもそれが抜けないんです。先ほど言いました公正で公平でなきゃならぬ。過去の経過措置もよくわかっておる。八年もたった今日、何回となくやった。何も大蔵省と交渉しとらぬと言っていない。税制の話し合いというのは二年に一遍でしょう。郵政は本年また蒸し返してこの問題を取り上げて努力された。努力の跡は認めます。何と何と何の理由で大蔵省は絶対これは認めぬとおっしゃったんですか。次の決算委員会待っておるもんですから、私はここでそれを聞いたからにはずっとこれやりたい。これは公平じゃない。
  185. 白井太

    政府委員(白井太君) もう一回だけ言いわけをさせていただきますが、電力、ガスの場合は、地方税法の上で固定資産税についての特例措置を認めるにつきましては、地方税法の本文の中で電力とかガスについてはそのような扱いをするということが実はきちっと決められておるわけでございます。  ところが、非常に残念なことに、私どもの電気通信の関係につきましては地方税法の附則の中でこれを認めてもらうというようなことになっておりまして、したがいましてある意味では毎年毎年これを要求していくということをせざるを得ないわけですが、どうしてそうなったかというのが実は一番問題だと思うわけでございますけれども、これは別にその当時のことを言いわけに使ってはいけないと思いますが、率直な事実として申し上げさせていただきますが、昭和六十年にいわゆるNTTが株式会社に移行いたしますときにこの点についてのいろいろな議論があったことはどうも事実のようでございます。  今から考えますと、そのときに本当に地方税法の本文の中にそういうことが書いてあればこのようなことには恐らくならなかったんだろうと思いたいのでありますけれども、私どもとしては、毎年毎年この予算編成とあわせて税金の扱いを決めますときに少しでも電力、ガスと同じような扱いに近づけるような努力を粘り強くしていくということが今の段階では最善の方法がということで、先生お話しになったようなことを毎年実はやっておるわけでございます。
  186. 常松克安

    ○常松克安君 いや、私聞いておりますのは、大蔵省が何と何の理由でこんなもんあきませぬ、こう否決されたのかと聞いておるんです。そのくだんの説明でどうじゃないんです。  地方自治法に基づく地方税法附則第十五条第三十項、こういう縛りをかけるときはちゃんと載っておるんですよ。NTTが民間会社になった、自由競争の中へ割の込ませなきゃいかぬ、新電電あり、こういう小さな会社は固定資産税から何から皆認めましょう、しかしNTTはここで認めると自由競争のバランスを失っちゃいかぬのでと、そういうことでこの附則にちゃんと載っておるんです。載せればいいんです、はっきりここへ。そういう運動は我々もしていきたい、こう決意いたしております。  それに増して、大蔵省の方がどう言っておるのかと。自治省に聞きますと、光ファイバーでございますか、五カ年と郵政の要求ございましたが、十年というふうなことに対しての要請は郵政からございませんでしたとおっしゃる、固定資産税の課目では。いやそれは違うんや、大蔵省はペーパー出して、あそこは何でもチェックしおって、予算に関する問題、こんなこと言うたら承知せんぞと皆帰しておるねん。そして、あかんかったもんやで、こんなこと二度と言ってもあかんで、あんたの方へはこういう言い方できておるんじゃろうかなと。  ですから、私の聞きたいのは、大蔵省は必ず因果関係と言います。あそこはぐじゃぐじゃ言いません。なぜ認められないかはっきり明確におっしゃいます。一、二、三、何と何と何を理由として郵政省の予算折衝のときに認めないとおっしゃったか、私はそれを聞きたいんです。
  187. 白井太

    政府委員(白井太君) 固定資産税の方は地方税法なものですから自治省でございますし、それから大蔵省の方は、実は私どもはあわせて法人税について特別償却を認めるべきだということ、特に光ファイバーケーブルなどについて要求をずっといたしております。  それについて大蔵省の言い分といいますか、大蔵省の方の主張でございますが、端的に申し上げますと、一つは、お決まりのようでございますけれども財源がない、それからもう一つは、先ほど御答弁申し上げたことに関連するわけでありますが、昭和六十年度の議論をするときにこのときのこの問題については整理がついたはずだ、ついているではないかということを言うわけでございます。  ただ、これはもう八年も前の話でありますので、私どもとしては今日の事情というのをよくお話をして、何とかこの点について理解をしてもらうという努力をまたこの次も引き続いてやっていかなければならないのではないかというふうに思っております。
  188. 常松克安

    ○常松克安君 一点申しおくれました。先ほど言いました光ファイバーに対しての国の特例措置について、もしも認められたとしたら幾らぐらいの軽減だったですからょっと数字が漏れているような感じがするんですが。
  189. 白井太

    政府委員(白井太君) これはもう先生何もかも御存じですが、特別償却というのは特に初年度に償却額が多くなり、そのかわり後の年では今度は償却額が逆に少なくなりますので、トータルいたしますと納める税金は同じだということになるわけですが、初年度について私どもとしては三〇%の特別償却を実は要望をしたわけでございます。もし仮にそれが認められたということになりますと、平成年度におけるNTTの納税額は百億円軽減されるということになる、計算上そうなるということでございます。
  190. 常松克安

    ○常松克安君 一昨年も昨年も御尽力されたようでありますし、平成年度に向けて端的にここで早急に回答を求めるわけにもまいりませんでしょう。しかし現実問題として、今そちらの積算されましたことを王とし、百七十九億円、万が一この軽減策がここに当てはまったとしたならばと、こういうような数値をお示しいただいたわけであります。  そうしますと、三万人人員整理するぞ、あるいはこれから一番大きな問題は地震のことやで、それからぐるっと回って次の法律に出てくるんですね。大臣の所信の中にも明確にこの通信は国民全体にとって神経であると。本当に大変である。神経が一番病には痛み、すぐ感ずるわけでございます。そうした中において、もしも軽減されておったらいいけれども、これが赤字要因の蓄積されたものとして、改めて利用者に再度負担を求めるようなことになったならば大変なことだという老婆心を持っているわけです。  ですから、どうかこのことに関しては、大変難しい問題でございましょう。相手のあることですし、財政もございます。国もお台所は大変でございます。しかし、出すべきものは出していただくものはいただく、これが公正、公平の立場じゃございませんでしょうか。本当言うとこれ大臣に言っていけば、大臣は大体もともと大蔵大臣になられていい方なんです。郵政大臣になったのが間違いなんです。こっちに言った方がいいんですけれども、いましばらくは忍の一字でじっとしていらっしゃいますから、男心情察しまして局長に、平成年度には断固としてこの中から一つだけでも、我が子供であるNTTに対して、経営基盤の整備に決意を持って努力する、この闘いを起こしていただけませんでしょうか。いかがでしょうか。
  191. 白井太

    政府委員(白井太君) 私どもとして最大限の努力をいたしたいと思います。
  192. 常松克安

    ○常松克安君 次は立場をぐるっと変えまして、最近私新聞見ておりまして、気になって気になってどういうことかいなと思っていたし方ないのは、株の欄を見ておりますと、公的資金によって下がるものを支えている、下支えしている。じいちゃんばあちゃんが一方、五千円とためたそのお金が回り回って、政府の許可を受けて、みんなの審議を受けて二兆二千七百億円を運用してよろしい。内容は株式組み入れ比率制限は求めない。これだけのお金がぼかんと事業団へ行く。事業団はその専門家によって運用される。ところがそれを見ておると、何ぼ買うたとは書いてないわけですね。どこを見ても公的資金が何ぼ買うたとも書いてない。むしろディスクロージャー、公開、明らかにすれば接点がこれあり。  要らぬことを言う人がおりまして、一番危険で一番えらい会社のところへ株支えで、それが政府のにおいの一番きつい会社で今えらいことになっておる。その会社へ支えるためどかんと流れておるというふうな、もうその字句がわからぬものですからみんなが寄ってたかって想像しちゃうわけですよね。ところが株でえらい損をして痛みを受けた立場からすると、お上がおやりになることだからそんな損はせえへん、こういう人もあれば、だれが買おうと何が買おうと、証券の原理からして上がったり下がったりするのは当たり前でございましょうと。これはまたしかし心配なことやな、こういうふうに私は思うんですけれども、公的資金としてこのような行為を行うということがいかがなものだろうかな。やってもいいことは認めたんです。ただし危ないときまでやってもいいとは言っておらぬのですから、この辺のところをまず見解をお願いいたします。
  193. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) 昨年八月に策定いたしました政府の総合経済対策におきまして、先生指摘のとおり二兆二千七百億円、これは貯金保険と両事業の資金でございますが、それぞれの事業の健全な運営の確保が図られるということを前提とするようにしまして簡保事業団に指定単運用をするための資金として流したわけでございます。その際に指定単運用の条件を緩和いたしました。それは株式への運用をしやすくするという緩和でございまして、したがいまして株価の下支えを目的とすることでやったわけではございません。現実に二兆二千七百億円が指定単運用で入っておりますから、もちろん全額が今株に入っておるわけじゃございませんが、こういうことによって郵貯の預金者とか簡保の加入者の利益の増進を図るということとともに、結果として同時に証券市場の活性化に貢献していることになっているというふうに我々承知しているところでございます。
  194. 常松克安

    ○常松克安君 ちょっとわかりにくいんですが、断じて損じませんやろな。
  195. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) 指定単運用といいますのは、先生御案内のとおりですから私余りくどくど申し上げませんが、株ばかりを買うのではなくて債券その他のいろいろなものを買うことにしております。そういうのをこの世界の言葉でポートフォリオと言っておりますが、いろんなものを一番利益が上がる買い方をするということです。瞬間的に株がきょう下がったりあした上がったりという変動はあるわけですが、ある一定期間持ったときに全体として利益が上がればよいという考え方でやっていくというふうにしておりまして、損をしないようにやろうと考えているところでございます。
  196. 常松克安

    ○常松克安君 それは聞き捨てならぬ。しかし、いろいろ慎重の上にも慎重を図っていらっしゃいまするから、それはその言葉でいいんですが、株は生き物でございます。大蔵委員会でもございませんのでとやかく論じませんけれども、一番心配なのは、ディスクロージャーに努められますか、どういう運用か。株式の銘柄まで言うたらこれは大混乱ですから、しかし株に何億ぐらい、短期コールあるいは社債に何ぼくらい、こういうふうなことについて今国民の皆さんは――これは税金じゃないんです。税なら皆さんの責任においてやってくださいよ。五千円、千円と月掛けしてためてためてためたお金なんですよ。そのことが第二の何とやらでがたんといってしまって、それをまた伏せるために一般会計からそれを穴埋めしようたら、操作ができるできない、それは私は知りません。知りませんがそういうことになる要素というものが非常に怖いものだという、庶民の皆さん皆それを見ておるんです。  ところが、毎日毎日一万七千円のダウが下がりますと、公的資金の出動により下支えになった。公的資金て一体幾らあんのやろ、だれが何を買うてどないしとんのやろ。もう本当にそういうことで一般庶民は心配なんですよ。その心配を解くためにある程度の公開というもの、ある程度のところはこれをしていくことが慎重に図りましたこのことでございますと。あるいはまたここにはっきり書いてあるんですわ。利息というのは五年間せぬことには、そんな短期で言われたら困る。次々上がった下がったなんて一々言われたら何もできぬ。しかし、もともとからこの二兆何千億というのは、そういうふうにやるぞという姿勢を示せば心理的影響で上がるとされてスタートしているんです、論議の中では。ところが決定しても一向に上がっとらぬ。この決定からくくっとダウが下がっておる。  もう時間ありませんから、川口会長さんの方へいかなきゃいけませんから、次の郵貯の三法のときに一生懸命やりましょう。一点だけ、ディスクロージャーはなさる気ありますかないですか。それだけ答えてください。
  197. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) どこの銀行がどの株に幾ら投入しているということをディスクローズしろとおっしゃるとすれば、そこのところは我々としては一切世に出さないということにしております。それは我々自身がこの指定単運用の仕組み上承知していないという事情もありますが、プラスして、そこは市場を混乱させてしまう要因になり得ますので、その辺はディスクローズすべきではないと考えているわけでございます。
  198. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、次にその辺のところを時間をかけてやりましょう。徹底的にいきましょう。そんな甘いような経済界というものじゃございませんよ。  長らくお待たせいたしました。まず今回のやらせ問題につきましては、もう何回となくテレビに、こうして委員会に、お忙しい時間を割かれて、その後の防止対策もあわせて会長みずから、あるいは民放の方々までもが真摯にお取り組みになっていらっしゃることは多大なる意と心得させていただきます。  ただ一つ、会長に申し上げますが、えらい単刀直入に申し上げて失礼でございますけれども、NHKは社員は何名なんでしょうか。
  199. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ただいまの総員数が一万三千九百九十名、一万四千をちょっと切ります。
  200. 常松克安

    ○常松克安君 まことにぶしつけでございますけれども、その一万三千名になんなんとする社員の中で、名前と顔をびっちり覚えていらっしゃるのはどのくらいでございましょうか。
  201. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私は実は昭和二十五年から延々とNHKにおりますので、相当たくさん知っておるつもりでございますけれども、一時五年間外にいましたのでその間わからなくなりましたけれども、今は大体名前と顔が完全に合うのは千人はいないと思います。八百何人でしょうか。
  202. 常松克安

    ○常松克安君 かく申し上げましたのは、いろいろな団体や組織、そういうお立場の方となりますと全部が全部というのは、言葉がどうあろうともこれは無理です。しかしながら今回のミスが、機械が起こしたとか自動車が衝突したんじゃなく、人為的になってまいりますと、防止対策をおやりになりましたとしてもある程度限界があるだろう。何しろ人間が人間としてそこに動くものがあるものでございますから。そういうことは十二分にお知りになっていらっしゃると思いますけれども、チェックのできないという物理的なものをじゃどうフォローしていくんだろう。一万三千も一人でそんな統括できない。部署があって責任者があってどうとおっしゃいます。  ところが、一点だけ気をつけていただきたい。このことで私自身が反省いたしましたのは、人かわやに入りて臭みを忘るるなりという言葉を思い出しました。母に教えられました。長い間その立場にいますとそれが当然かのようになります。我々からしますと、NHKは国民とNHKなのだろうか、国民のNHKなんだろうか。非常に高い存在。もう会長なんか私たちはもう本当雲の上の人に見えます。そういうふうな組織の中ではこのことが非常に響いてくる。そういうことでチェック体制というのは二重にも三重にもたとえかけても、人間というのは悪知恵が発達すれば幾らでもやりますから、そんなもの法律や活字で何ぼ六法全書やっとってもあかんのです。そうした場合、その辺のところを会長の御人徳として、やっぱり各局各方面に身をもって訓示をなすっていかれる。その会長の人柄から、ぱあっと言えばびゅうっとなりますと私は信頼しています。いかがでしょうか。
  203. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私、この事件が起こりまして全局長会議というのがありまして、そこで直ちに言いましたことは、まず議論を起こそうと。例えばこの問題をどう考えるかプロデューサー、ディレクター同士で話し合おうと。そして、今の時代のテレビのあり方はどうなのか、我々がそこを議論をし合ってお互いに認識を同じくしてやることから始めようというふうに申しました。  それは上からチェックをするんじゃなくて、自分たちがまずみずからの考え方を述べる。そして、例えばおごりはないだろうかとか甘えてはいないかとか、例えば、先ほども御質問がありましたけれども、効率主義あるいは視聴率主義になってはいないかということを反省しながら、みずからの中にプロデューサー、ディレクターとしてのモラルといいますか、そういうものを持とうじゃないかということから始めようと思いました。  そしてチェック機能も、単にできたものをああだこうだと上からいわゆる検察みたいな形でほじくるんじゃなくて、それをつくるには例えばどういうチームをつくればいいのか、どういうことをきちんとやらないと疎漏が起こってくるのか、そういうところをきちんと事前の段階でチェックしよう、それがつまりチェックというものの一つだよということを申しました。  そして、なるべく小さな単位で、例えばチーフプロデューサーというのが十五人ぐらいの人間を統率しておる。それから部長になりますと百人ぐらい。そのレベルが責任を持ってきちんと部下を掌握する。そして番組のでき上がり方をずっと見守っていくという体制をつくろう、そういうことを今言っておりますので、先生のおっしゃるとおり、まず人の心構えから始めたいと思います。
  204. 常松克安

    ○常松克安君 民放運の専務理事さんでございますか、申しわけございません、ちょっと時間が経過しちゃいました。お聞きしたかったのは、NHKのみならず民放でも過去にいろいろこういう問題というふうに指摘された件数が多いだろうと、これをお聞きしたかった。既にペーパーをいただいておりますので、きょうのところは御無礼いたします。  ただ、会長にもう一つ申し上げたいのは、やっぱり視聴者の皆さんの中の気持ち、NHKは果たして今回のことで生き残ることができるんだろうか、そういう一つの追い詰められた気持ちもあるんです。それは経営移譲だとかそんなものは言っていないです。そこは断じて間違いないというふうに、長年、幼いころから親しみを持ってこられたこのお気持ちからしますとね。  そこで、Nスペですね、最近Nスペが多過ぎますね。もうどれもこれも皆スペシャル、どれが本当のスペシャルかわからぬ。もう一つ超スペシャルという字句つけぬことにはわからぬようになる。どうか、私はこういうときにこそ大きな二時間、三時間番組の、会長みずからが陣頭指揮で視聴者の皆さんによくやったと言われるような本当の真のスペシャルをお出しいただくことを願いまして、私の質問にかえさせていただきます。どうかよろしく。  以上です。
  205. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 鈴木と申します。よろしくお願いいたします。  川口会長、私NHK好きなんですよ、本当に。特に報道だとかスペシャル番組をよく見るんです。しかし残念なことに最近、いい場面が出てきたり、昔だったら多分ここら辺でぶわっと感動したなというところは、これはきっとつくっているんじゃないかとか、何かやばいなと思って、何かその感動を失っていくことを非常に残念に思うんでございます。じゃ、民放に対してはどうか。正直な話、いろいろ見るとうまくつくっているなと、私のNHKに対する考えとちょっと違うんですね。  それはなぜかと自分でも考えたんでございます。それは、私も受信料を払っているものですから、一緒になってつくっているという連帯感と申しますか、それと同時に、NHKというものは真実を報道するんだ、間違ったことはないというそういう意識が根底に流れておる。これは私だけじゃなくて、国民といいますか視聴者の方すべてが思っていると思うんですね。  今回の対応の仕方といいますか弁明を聞くと、ディレクターの方の熱意がちょっとあり余ったとか、いや、これはやらせじゃなくて再現なんだとか、そのようなことをいろいろ弁明を聞きますと、正直な話、肩透かしを食らったような感じがするんでございます。私やっぱり信頼性という面に関してNHKと視聴者、要するに国民の認識とのずれというのがあるんじゃないか、出てきたんじゃないかなと思うんでございますが、この問題についてひとつ。
  206. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) NHKについて信頼しているよという言葉を私は聞きたいと思っています。ですから、番組が出ていくと、それが視聴者にとってはさすがにNHKのものだという、真実を伝えてくれる、あるいは胸を打つ、感動を伝えてくれるというふうな信頼感の上でNHKは成り立っていると思います。  それが今回の事件で、もうその晩からですが電話や投書が山のように来まして、裏切られたとかあるいはNHKおまえもかというふうな指摘がありました。本当に胸をかきむしられるような気持ちでございましたけれども、この悔しさあるいは無念さを何とか番組でもってちゃんとお示ししたい。そして、それをきちんと番組として、NHKの報道として視聴者の前に提示することが私どもの任務だというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、今回なるべく早くこの調査の結果を明らかにし、きちんと処分するものは処分をし、そして今後の対応策を考えるということをやろうと思いました。そして、今後さらに例えば民放との話し合いの上で何らかの措置をする必要があるだろうと思います。これもします。そして、先ほど常松先生お話でも申し上げましたが、部内的にはいろんなディレクターのモラルの問題を含めて細かい対応策を考えて、そして職員一同と一緒になって信頼の回復を図りたい、こう思います。
  207. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 ありがとうございます。  私、一俳優といたしましてNHKさんのドラマに出させていただいたこともあったんでございますが、NHKのスタジオに入ってまず驚くことは設備並びにセットでございますね、これはすばらしい、民放の比ではないと。それからスタッフの人数の多いのには驚きます。それと同時に、いろいろと聞いていきますと、大体予算も同じ一時間物においても民放の一・五倍、それから多いときになりますと二倍ぐらいのときもあるみたいでございます。いや、それはいいんですよ。受信料をいただいていい質のものを、すばらしいものを皆さんに提供する、これはすばらしいことなんです。  ですから、出演者の皆さんも民放よりは少し頑張ってくれよと。一・五倍ぐらいの報酬、ギャラをいただけるのかなと思いました。これが何と、川口会長御存じでございますか、民放に比べて出演料は三分の一から五分の一でございますよ。まあそれはいいんでございますが、私いろいろとNHKの方と接している中において、俳優の報酬に関してもいろいろ、それは私は使われている方ですから遠回しに言いますが、心といいますか、言葉の端々におまえを使ってやっているんだ、天下のNHKが全国にやっているんじゃないか、そういうものが根底に流れているような、言葉じゃなくても気配を受けるんですね。  それから紅白歌合戦、あれに出ている歌手の方いっぱいいますが、テレビではみんな笑顔で歌っていますよ。私なんかそういう仲間が多いものですから。当日のNHKスタッフの皆さんの非常に無礼な傲慢な態度に嫌気が差す。頭にくる。でもしょうがない、紅白に出ないとギャラも上がらないから。そういう部分があるんですね。申しわけありません、私は別に会長が傲慢だと言っているんじゃないんですよ。でもそういうNHKの傲慢さの体質が今回の事件で明るみになったんじゃないか。  例えば、この事件において新聞だとか雑誌だとか報道等によりますと、このディレクターの言動が、おれはNHKだ、NHKがやるんだから文句言うな、NHKだからできるんだと言ったという。そのような思い上がりというのは随所に見られるんでございますね。私は、もちろんNHKの皆さん全部ではないと思うんでございますが、NHKの看板に対しては十二分以上に認識しているけれども、NHKの重さに対して私は認識が非常に甘いのじゃないか、そう思うんでございますが、いかがでしょうか。
  208. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 最も痛いことを言われてしまいました。そのようなことがあると思って私も去る十七日のこの問題についてのおわびを申し上げたときに、テレビが始まって四十年になりました。この間にテレビは非常に大きなメディアとして大発展をしました。ところが、その陰でつくっている者の思い上がりとかあるいは甘えとかいうのがあったのではないか。そのことをまず反省しますということを放送の中で実は申し上げた。それが実は私自体が、現在まで過ごしてきまして世帯が大きくなり、番組自体がいろいろな形で豪華につくられればつくられるほど人間の存在というものがだんだん消えていく。本当に人間的な態度でもって出演者の方と接したり、番組をつくったりしていた時代が昔あったのになという気が非常に強くしました。  ですから、世帯が大きくなったらなるほど、あるいはNHKが大きな強い存在になればなるほど、人間はこうべが下がらなければいけないということを思っておりまして、私が常に職員に言っていることの一種の標語みたいなものは、まず清潔です、それから誠実です、そして親切、丁寧、この四つを必ず守っていこうということをいつも言っています。NHK自体が受信者三千五百万世帯というものに支えられているんですから、当然そのことを我々は日常の言葉の中に、考え方の中にはっきりと持っていなければいけないということを自戒を込めて申し上げております。  そういう意味では、これから精神的な意味の成長というものをNHKはやらなければいけない、心からそう思っております。
  209. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 しかし会長、一方において、私はドキュメンタリーは撮ったことはありません。しかし映画制作といいますかいろいろなものをやっていて、自然を撮る難しさというのは私も十二分に認識しているつもりでございます。私の映画といいますと必ず夕日が出てきて、それに向かってはかやろうとか叫んだりとかいろいろあるんでございます。その夕日をいかに待つかなんて、これはまた金と暇がかかるものでございます。  ある一方において、幾らドキュメンタリーといえども、やらせというのじゃなくて演出はある程度あってもしょうがないんじゃないか、ドキュメンタリーの監督といいますか、演出家の方でそう言う人もおります。また新聞の読者欄でも、もちろん言語道断だと言う方もいますが、中にはそれは少しぐらいしょうがないだろう、そういう意見もあることも事実でございます。  私は、ドキュメンタリーといえども、NHKさんのこの弁明のときにおいて、あれはやらせじゃなくて再現なんだと、そういうことをおっしゃった。腹の中にはしょうがないだろう多少はという部分があったかどうかわかりませんが、そういう部分もあると思うんです。ですから、ドキュメンタリーといえどもこのぐらいの許容範囲があってもいいんじゃないかなという何かお考えがあったらちょっとお聞きしたいんでございますが。
  210. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ドキュメンタリーには確かに事実を追いかけるということだけではいけないものがあります。事実を撮ることによって、編集することによってどう真実に迫るかという、あるいは芸術作品としてそれを仕上げるかという問題がありますから、当然多少の演出的な加工は必要かと思います。  私の隣におります堀井君は昔「謎の一瞬」という番組をつくりまして、これは全日空機が墜落したときの事故調査ですけれども、それでイタリア賞などをとりました。ドキュメンタリーの専門家でございますから、彼からちょっとお願いします。
  211. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) ドキュメンタリーとこう一言で申しましても、いろんなジャンルがやはりあろうかと思いますが、非常に忠実に事実を並べていく、ルポルタージュというのはそういう分野だと思いますが、そういうものから、非常にテーマ性の高い高度な表現力を駆使するドキュメンタリーに至るまでさまざまを分野がございます。また、ドキュメンタリーのつくり方、作法につきまして、この映像表現というのは二十世紀に始まりましたメディアでございますが、この作法につきましてさまざまな議論が歴史的にも展開されてまいったということはもう御承知のとおりかと思います。  しかしながら、いかに真実に迫るかということがドキュメンタリーにとっては一番大事な共通の追求しなければならないところでございます。事実をただ羅列するだけで真実に迫れるかという問題がございまして、事実と真実の違いといいますか、そういったものを制作者がどう理解して、事実を描くことによっていかに真実に迫れるかという、そこに番組の個性とか創造性とか作品性とかいったものが生まれてくるものではないかというふうに理解しております。  しかしながら、いずれの範囲のドキュメンタリーをつくるに当たりましても、やはり制作者は常に厳しく事実に向かう、その事実に真正面から向き合ったときの緊張感、あるいは真実を常に追い求める姿勢、さらに常に客観、公正であろうとする自律的な態度、そして知識や経験あるいは社会人としてのモラル、そういう謙虚な姿勢こそがドキュメンタリー制作者に最も必要な資質であろうというふうに思っております。そういった意味で、今回の件につきましては、そういうドキュメンタリーに向かう制作者としての基本的な姿勢に欠けるところがあったということで反省しておるわけでございます。  今後は、そういう私どものドキュメンタリーに向かう姿勢についてさらに議論を深め、職場で共通のそういう考え方をつくっていきたいというふうに思っているわけでございます。
  212. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 それはある程度、例えば番組制作とかドキュメンタリーとかに携わっている方は理解のできる、また認識できる部分もあると思うんでございますが、見ている方というのはドキュメンタリーというとすべて真実であるという認識のもとに立っていると思うんでございますね。  ですから私は、ある程度わかりやすく、例えばドラマでは一番最後にこれはフィクションである、何だかんだというふうに出ますわね。あそこまではいかなくても、ある程度NHKのドキュメンタリー、例えばマルAがあってマルBがあってマルCがある、この部分に関してはこのぐらいの許容範囲を持たれて描かれているということを御提示なさるのも一つかなと思うんでございますが。
  213. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 確かに、物をつくっていく中で今私が一番考えなきゃいけないのは、時代とともにテレビも変わってきた。どう変わってきたか、何が一番変わったかというと、視聴者の目が一番変わった。見ている方々はもうテレビのいろんなことを知っていらっしゃいます。中には楽屋裏のこともよく御存じの方がいらっしゃる。その方々の前で、番組をつくっていく担当者の方が十年一日のごとくちっとも進歩しないというのが大きなギャップになっていやしないかなと思うんですね。  ですから、テレビが始まって四十年目のドキュメンタリーだったら、三十年目のドキュメンタリー、二十年目のドキュメンタリーよりもはるかにいろんな面で進歩してなきゃいけない。表現、手段とか方法も、あるいはコメント一つ書くにもそれは変わってこなきゃいけない。そういう意味で現場にもっと勉強をさせたい。そして、現在のお客さんの前に本当に新しい意味を持った、非常にわかりやすくて、よくわかって、それで胸を打つようなものができることが一番望ましいと、こういうふうに考えております。
  214. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 わかりました。  それと、やっぱり私、今回このディレクターがここまできた一つの要因として、何しろ視聴率とれよという部分もあったんじゃないか。ですから、それが何らかの形でいろいろ作用し、こういう結果にあらわれたんじゃないかな、そういう体質も事実としてあるんじゃないかなという感じもするんでございます。私どもは、もちろんつくる側として見れば視聴率がいいものにこしたことはないんですが、NHKに対して望んでいるところというのは、それよりも視聴率にこだわらない何かというものを求めているということもあるんじゃないかと思うんですが、いかがなものでしょう。
  215. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 視聴率というもの、民放の場合はこれは商売でございますからそれを一つの目安にしてつくる、それは当然のことだと思います。それでも僕はやっぱり視聴率だけで処理するのは絶対よくないと思っています。ましてやNHKは視聴率が高かろうと低かろうとそれは構わない。いいものをつくればいいんだというのがまず基本でなければいけないわけですね。  ところが、たくさんの番組が出ております。NHKだけでも一年間に三万本の番組が出ます。そうしますとほかと比べて少しでも見てもらった方がうれしいわけです、つくっている方としては。それでつい視聴率が高いと万歳と言い、低いとがっくりするというふうな現象が見られます。これはしかし私、このたびのことがありましてからいろいろ聞いてみましたんですが、やはり担当者の方に一種の功名心がありまして、前人未到のカメラが初めて入ったムスタンをお伝えするんだから少しでもたくさんの人に見てもらいたい。それは単に視聴率という数の問題じゃなかったんでしょうけれども、たくさんの人に見てもらいたいということでいろいろと無理を重ねたというのがやっぱり原因になっていると思うんです。  ですから、十七日の番組の中でも、いたずらなる視聴率主義とか、あるいは効率万能主義とかいうものをとってきたことはないだろうかということを反省したのもそのせいでございます。おっしゃるとおりNHKは視聴率のことを考えなくてもいいですから、これからはさらにそういった点を指導していきたいと思います。
  216. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 多くの人に見てもらう、それは結構なことなんでございますが、本物を見せないでにせものを見せちゃしょうがないので、それはしっかりと認識していただきたいと思うのでございます。  しかし、私思うんでございます。今、川口会長が会長をおやりになっておりますが、こういういろいろな体質というのは今出てきたんではない、要するに昔からはぐくまれた部分があるんじゃないか、私はそう思うんでございます。ですから、責任のとり方として、もちろん減給もそれはそれでいいんでしょうけれども、川口会長というのは非常に正義感があり、そして非常に人望のある方と私は聞いております。ですから、真の責任の取り方というものは、こういうことを二度と起こさない、そして公共の立場として皆さんに喜んでもらえる番組づくりというものを心していただきたい、そのように思います。
  217. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、私は今の形で、とにかくおまえの責任でもって再建をしろ、いい番組を出しておこたえしろという経営委員長からのお話も聞きました。私自体もそう思います。今私が再建NHKの先頭に立って頑張っていくつもりでございます。よろしくお願いします。
  218. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 ありがとうございました。  今度はNTTさんにちょっとお尋ねします。  言うなれば、親方日の丸から民営化になって、私企業になりまして七、八年たちまして、今までの体質からさあ頑張るんだぞという、これはやっぱり社員の方も非常に努力をなさったと思います。そういう意味においては私のみならず多くの国民が敬意を表しているんじゃないかと思うんでございます。  しかし、私企業というものはどうしても利潤を追求するものでございます。その中において、もちろんいいサービスもあるんでございますが、青少年の教育的見地に立ちますとどうしてもこれは納得できないという部分も、そういうひずみもあったことは事実だと思います。  私は、今それを一つずつ取り上げてこれはどうなんだああなんだと言う気持ちはありません。それはNTTさん御自身がおわかりになっていると思います。民営化された私企業といっても、電気通信、殊さら電話といえばもう必需品といいますか、これはなければならないものと言っても過言ではないと思います。  この七、八年を振り返ってみて、こういうことに関しては積極的に改善する、そしてこういうことに対してはもっともっと伸ばしたい、また皆様の理解をいただきたいと、そういうものがございましたら、もう時間も余りございませんがひとつよろしくお願いします。
  219. 三輪佳生

    参考人(三輪佳生君) 民営化以降の私ども努力を御評価いただきまして大変ありがとうございます。  今、御指摘にございましたように、私ども企業でございますので収益ということを考えなければいけない。しかしながら、電話は必需品という今お言葉がございましたように、片や私どもユニバーサルサービス・の提供という使命もございます。そういった公共的な立場も十分踏まえていろいろサービスの提供をしてまいりたいと今までも考えてまいったわけでございます。  それで、今青少年に影響を与えるようなサービスというのも中にはあったのではないかという御指摘もございました。これは幾つか私ども改善をしてまいったわけでございます。例えばダイヤルQのサービスといったようなお話もあったわけでございますけれども、これにつきましても幾つかサービスの改善という角度、あるいは御利用者の保護という立場からもいろいろ改善措置を講じてまいったわけでございます。  それで、私ども今申し上げましたように、既に出したサービスにつきましてもお客様のお声、御批判、こういったものを聞きながら手直しをしていくということが必要だと認識しておりますし、また、新しいサービスというものを出してまいりますときにもそういったお声を十分踏まえて新しいサービスの開発なり提供なりに心がけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  220. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 ひとつ利用者の立場、また青少年の育成という面からもいろいろと認識していただきたいと思います。  最後に、これは大臣にちょっとお聞きしたいんでございます。私これは前のときに笹川政務次官にちょっとお尋ねしたことでございますが、またかとお思いの方もいらっしゃると思いますけれども電波、特にテレビでございますね。要するにテレビというのはチャンネルを回せば子供でも見れるんだ。最近特に番組の中で暴力の描写、性の描写が非常に強烈である。  ですから私は、子を持つ親として、できるならば十時前までは、そういう子供たちも見るんだから、それは表現の自由とかいろいろ問題があるのはわかりますのでも一つの良識としてある程度、十時以降は大人、十時前は子供も見るということで、暴力とか性の表現をいろいろお考えになってもらいたいと笹川政務次官にお尋ねしたんですが、いまひとつの御意見だったんでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  221. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私もテレビはちょくちょく見まずし、また映画も見ます。暴力とか愛の表現、見ていて子供とちょっと一緒に見たくないなというようなテレビも映画も割合九時前の時間帯にもあると思います。そして、芸術家にはそれぞれのお考えがあるんでしょうけれども、昔の映画を見ていますと、愛の表現、決して裸を見せなくても裸を見せた以上の愛の表現、すばらしい映画がたくさんあります。裸じゃないと芸術の表現ができないとは私は個人的には思っていません。  しかし、今大臣としてああしろこうしろと、そういう個別のことは言いたくありません。ただ気持ちとして、そういう暴力とかポルノというんでしょうか普通の常識ある大人が考えてちょっと行き過ぎだなというものはできるだけ時間帯も配慮していただきたいという気持ちは十分に持っております。
  222. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 大臣、お尋ねして私は大変よかったと思います。ありがとうございました。  私の質問を終わります。
  223. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 きょうは、私はNHKの今回の事件に焦点を絞りまして、私の質問というよりも、お互いに意見の交換をひとつさせていただきたい、こう思います。  川口さん、私は大阪の朝日放送に昭和二十六年に入社をいたしまして二十六年間在籍をいたしました。最後は報道部長を務めさせていただいておりました。ですから、こういった番組も数々つくってまいりましたし、退社しましてから後はいわゆるタレントとして報道番組にも数々出させていただきました。ですから、今回のこの事件につきましては多少の自分自身の反省も込めていろいろな感慨があるわけでございます。  私のおりました朝日放送、ABCとこういいまして、実は会社が発足したときに、ややこじつけではありますけれども、ABCのAはアキュレートインフォメーション、正確な報道。ABCのBはビューティフルエクスプレッション、美しい表現。ABCのCはチアフルプログラム、楽しい番組。正確な報道、美しい表現、楽しい番組、これをひとつ社のモットーとしてやっていこうじゃないかといってスタートをしたことを印象深く私は今思い返しております。  堀井さんにお尋ねいたしますが、NHKが理解をしておられます報道番組というものは、今私が申し上げたようなアキュレートインフォメーション、ビューティフルエクスプレッション、チアフルプログラムじゃなくても結構でございますが、端的にどのようなことを一つのモットーとしておやりになっていらっしゃいますか。
  224. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) NHKの番組の編集上、NHKの放送は調和を持って放送しなければならないということになっておりまして、番組の編集の項目として、教養または教育番組、そして報道番組、さらに娯楽番組、こういう形で分類してそれぞれの調和を保ちながら放送しておるわけでございます。  この場合の報道番組というのは報道を目的とした放送の全体を指しているわけでございます。しかしながら、放送現場で現実に報道番組と言うときには、それとともにニュース・報道番組という形で一般に放送の現場では申しておるわけでございまして、ニュースは何と申しましても迅速、的確そして公正でなければならない。公正で正確で迅速な報道ということを重点にニュースを毎日報道しておるわけでございます。  そして、このニュース・報道番組と言う場合の報道番組というものは、例えば座談会とか、あるいはビデオ構成による番組とか、あるいは中継車を出して中継する中継番組とか、そういう企画性の高い番組を報道番組とこう言っているわけでございます。これもやはり精神は公正で正確な報道。ただ、この報道番組の構成されたものあるいは企画性の高いものについては、さらにある種の感動を持ってこの報道番組を伝えるという役割も同時にこの中に含まれているということでございます。
  225. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ドキュメンタリー番組も今おっしゃった中に含まれているわけですか。
  226. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 一口にドキュメンタリーと申しましても、先ほども申し上げましたように、非常に事実に忠実な報道番組と呼ぶにふさわしいルポルタージュ的なものから、教育・教養を主たるテーマにしたもの、あるいは極めて高度な芸術性に重点を置いたドキュメンタリーと、いろんなジャンルがあるわけでございますので、先ほどの番組の調和という点からの分類から申しますと、報道番組にもドキュメンタリーがございますし、教育・教養番組にもドキュメンタリーはあるということと理解しております。
  227. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その辺が実際は大変難しいと思うんですね。真実と客観性を保証しながら、一方で、特にドキュメンタリー番組なんかの場合はやはりつくり手の主観といいますか、主張といいますか、そういうものも盛り込んでいきたいし、当然ながら一つの番組でございますから構成がありますし、そこには演出というものも当然必要なわけでございます。  堀井さん御自身長年番組をつくってこられて、いつでも御自分では真実を真実のものとして客観的に報道することと、それから演出、構成というもの、もっとざっくばらんな言葉で言えば、あなたが番組をおつくりになってきた過程で、これが真実なんだけれども、ここで一発これを入れれば視聴率がもう一%とれるぞというふうなことを考えて、一緒にやっている人たちに、おい、ここのところはもうちょっと手を入れてやろうやないかとおっしゃったことはこれまでにございませんか。
  228. 堀井良殷

    参考人(堀井良殷君) 私は、「新日本紀行」あるいは「現代の映像」それから「日本の素顔」といったテレビの揺籃期、立ち上がりの時期のドキュメンタリー番組に実際に制作現場でタッチしてまいったわけでございますが、そうした中で、常に真実を追い求めるということこそがドキュメンタリーの基本であろうと思ってまいりました。  しかしながら、より感動を持ってこの真実を伝えていきたいという、その感動を持って伝えていく、つまりテレビという表現手段は知性に訴えるとともに多分に感性に訴える部分が映像表現にはございまして、その感性に訴える部分に演出とか創造性というようなものを発揮したいというディレクターとしての気持ちは正直言ってございました。常にそういう意味では制作現場は誘惑との闘いと申しますか、いかに事実を通じて真実に迫るかというときに、必ずやはりいろいろな誘惑が心の中に葛藤として起こるのは事実でございますが、しかるがゆえにこそ私はやはり厳しく事実と対面していく、そしてあくまでも事実に基づいて真実を求めていくという緊張感というものが絶えずドキュメンタリーの制作者には必要であろうということをみずからにも言い聞かせてまいったわけでございます。
  229. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 本当に率直に今誘惑との闘いということを言ってくださいましたので、私もああこれは本当に堀井さん正直に言ってくださっているな、こう思ったんですよ。私自身の経験からしてもそうなんですね。今この席で参考人として発言していらっしゃる堀井さんは、私の理解は、NHKを代表する者として言っておられると、こう思います。  そこで、川口会長にも一言お尋ねいたしますが、真実というものを伝えるということと、それから真実性を裏打ちするためにある種の強調、演出というものがある。それは捏造とか歪曲につながってはけしからぬのは当然でございますが、こういった夏時間のドキュメンタリー番組なんかにおいてはその兼ね合いというものが非常に難しいものであり、だからこそ真摯な態度というものが制作者に求められる。今堀井さんのお話もそういうことだったと思うんですが、そういうことについてNHKはこれまで、特に報道、広い意味での報道番組で常に皆さん方を啓発し、そのことについて注意は喚起してこられましたですか。
  230. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 当然私、会長に就任しました一年七カ月前から口を開けば必ずそういうふうな言葉を出しております。番組自体が視聴者の中に素直に受け入れられるような形になってほしいと。したがって、つくる側の考え方、身の処し方というものが一番大事だよということを言い続けてまいりました。私が現場をやったのはもうはるか昔でありまして、昭和二十五年から三十七年まででありますからもうはるか昔ですが、そのときもやはり同じような考え方で番組をつくってきたことを思い出します。  そういう意味で、多少現在の現場がそういう先ほどの堀井が申し上げた誘惑と闘いながら負けてしまったケースというのが、今回なんかはそうじゃないかと思います。これをさらに、番組制作の基準ハンドブックみたいなものをこれからこさえようと実は思っています。やっぱり若いうちに、こういうことはやっていけないんだ、そこまで行ってもいいけれども、これはだめだぞということがなければいけないと思いますので、そういう実地訓練みたいなことから始めたいと思っています。
  231. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私がお願いしようと思ったことを会長先に言ってくださいました。本当にありがたいと思います。入社してきて現場でいろいろ仕事を覚えていくときに、堀井さんのような怖いベテランが職人かたぎで指導していくというのもそれは大事でしょう。大事でしょうけれども、やっぱりわかりやすいマニュアルをつくりまして、こういう場合はこうだ、こういう場合はと非常に細かいことをきっちりとつくっておいてあげますと、そのハンドブックに照らしながら、そして自分の情熱とか勉強をその尺度に合わせて伸ばしていくことができますので、これまでむしろなかったのが不思議なぐらいでございますので、これからも率直にそういうものをなるたけ早くおつくりいただくことをお願いをしたいと、こう思います。  ただ、現実に考えますと、もう朝からの各委員お話の中にも出ておりますけれども、どこまでがその演出で許されるか許されないか、これは番組にもよると思うんですね。  実は私、ゴルフ番組のゲストに出て、そして同じ池に連続九発OBを打ち込んで、二十一オン・ツーパット、二十三で上がって、そのコースのオーナーに当クラブ発足以来のギネス的記録をつくっていただきましてとお礼を言われたことがあるんですね。そのときにディレクターが参りまして、中村さん、あんまりひどいですから、あのOB九発を全部映すんじゃなくて、OBは三発ぐらいにして放映しましょうかと、こう言いましたけれども、いや、私は下手を売り物でやっているんだからこれで結構だと、こう言ったんです。その次の録画のときに今度はたまたま私がパースリーのショートゲームでワンオンをして、ワンパットで入れましてバーディーをとったんですね。そしたらまたディレクターがやってまいりまして、世間の人が思っている中村さんと今のバーディーとった中村さんと違うから、これではおもしろくないからもう一遍打ち直してくれ、こういうことがありました。  何というんですか、スポーツのゴルフの番組ですからそのようなことが笑って済むんですけれども、NHKスペシャルではそれはちょっとぐあいが悪いことであり、それはやっぱり範疇を飛び出てしまったというのが今回の事件であった、こう思うんです。ですから、これはもう朝から何回も何回もおっしゃっておりますので、そのハンドブックをつくることも含めてお願いをしておきたいと思います。  ここまでは現場のことでございますが、これも朝から各委員指摘でございますけれども、NHKそのものの体質ですね。いつの間にかNHKが肥大化をいたしまして、いわゆる天下のNHKということになりまして、よくタレントの皆さんが、例えば漫才さんなんかが某国営放送という言い方をいたします。NHKは国営放送じゃないんですね。ところが、はっきり言って大阪の吉本の芸人さん方は某国営放送、こう言うことによってNHKをやゆしている。やゆしている裏側には割に鋭くNHKの本質みたいなものを見抜いているところがあるんです。体が大きくなり過ぎて肥大化して、硬直化して弾力性のある考え方ができなくなる。そういうものが番組にも反映する。  朝からおっしゃっているように、例えば視聴率至上主義といいますか、妙なところで民放と張り合って視聴率をとりたがる。それからNHKそのものが、これまた民放と張り合ってかどうかは知りませんけれども娯楽性を極端に追求しようとする。それからまた、メディアミックスがありますね。やっぱりたくさんの職員がいらっしゃいますから、その人たちの給料を保障するためにも売れる番組、おもしろい番組、日本だけじゃなくて海外の皆さんにも十分買っていただけるような番組をつくれつくれというような体質に知らず知らずの間になっていなかったかこう思うんですが、その点についての反省を改めて会長からお伺いいたしたいと思います。
  232. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) いわゆるメディアミックス化のようなことが始まりましたのは、たしか昭和で言うと五十七年のころからじゃないかと思います。それが六十三年ぐらいになってからさらに急速に倍加しまして、そして番組をつくるのに絶えず先のこと、つまりそれが外国に売れるかとか、あるいはビデオになって国内販売はどうだとか、あるいは本になるのかとかというふうなことが番組企画の先に議論をされるような形になったと聞いております。私自身はそのころはもういませんでしたから。そういうふうなことが結果的には職員の中に心の空洞みたいなものを生んできたことがあるんじゃないかというふうに思っています。  私が会長に就任したときにいろんな人に話を聞きましても、とにかくよりどころがなくなってしまった、どういうふうに我々は生きていっていいのかわからなくなったという感じの訴えもありましたし、それから、こういう形でもって進むと公共放送NHKは非常に危ないものになるというふうな認識を示した人もおりました。  私も、そういうのが行き過ぎますとどうしてもいわゆる商業化というものの影響が出てまいります。ですから、何よりもまず視聴者を大事にしようということを考えました。視聴者の方に向き合いなさい、向き合って絶えず話をしなさい、それで視聴者から我々に要望を聞こうじゃないか、その要望になるべく的確にこたえようということを言ってまいりまして、それが一年半かかってやっと気持ちの上ではみんながそっちの方に行こうというふうに思ってきたと思います。  その象徴が先ほど中尾先生からお話しいただいたNHK構想というもので、その中に私どもが一番大きく書いたのは、いたずらなる肥大化をしない、むしろスリムな体質、みずからを切ってスリムな体質にすることが公共放送NHKの一つのあり方ではないかということを前提にして書いてございます。もちろんいろいろ問題がありますから、これは率直に国会を通じていろんな御意見をいただいて、これは構想でございますから、計画に移すときはそういういろんな方の御意見を入れながらもう一遍考え直していきたい、こう思っております。
  233. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それを本当に今度は真剣に具体的に取り組んでいただきますようにお願いをいたします。  これは私の苦言でございますが、今回の事件が明らかになりましたことは、これが明らかになったことによって、今会長がおっしゃったようにNHKがもう一遍スリムになって、視聴者からの真剣な意見をフィードバックさせて、本当に喜んでいただけるように、そういう番組を視聴者にサービスとして提供することができるいい機会を与えてくれた、こう思うんです。  ただ私は、今回のことがいたずらなNHKの責任体制の強化と管理体制の締めつけ、こういうものにつながったらかえって現場の士気は阻喪するばかりだと思うんです。これは堀井さん自身が現場を踏んでこられたわけでございますから、そのことはよくあなたがおわかりだと思うんです。これだけ世間に喧伝されてこの事件がまさに国民的話題となったわけでしょう。それで、NHKが反省をしました、これこれこのような責任体制をやります、これからは現場を上司がしっかりと監視します、そうして一々チェックをいたします、これだったら極論すれば、まるで昔ソ連にあったGPUか何か、そんなような監視機関といいますか下手したらまたこれ何かお互いに、こんなことがありましたあんなことがありましたよといって、社内で前向きに意気揚々として番組をつくることよりも、他人の非をあげつらって、だんだんだんだん事が矮小化していって、場合によれば卑屈な密告合戦につながらぬとも限らない。そのような管理体制の強化だけには絶対ならぬようにお願いをしたい、こう思うんですが、その点についての川口さん、御意見は。
  234. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 放送会社の難しいところは、物をつくっているというその物が実は非常に難しい物だと思います。単に食べるものとかこういう道具だとかじゃなくて、つくったものが非常に大きな精神的な影響を国民の皆さんに及ぼす。そういうものをつくっている放送会社は一番難しい仕事をしているところだというふうに私は認識しております。そのためには、つくっている人たちがそれぞれの中に自覚を持たなければいけない、そういうものをつくっている立場にいるのだと。だから、どういう考え方でどういう方法でやるべきかということを絶えずみずからに問いかけながら番組をつくっていくということが何よりも必要であります。  したがいまして今回のことでも、十七日の例の結果発表、それから処分の発表等が終わった後、十九日に全局長会議というのを招集しまして、東京の局長は全部集めました。それから地方はラインでつなぎまして音声だけでやったんですけれども、その冒頭で私が言いましたのは、今回のことを一つの契機にして部内でもっと論議を起こそう。それで、自分の隣の人、あるいは自分と一緒に輪になって仕事をしている者たち、あるいはふだんは全く接していない人たち、そういう中で議論を起こしていって、今どうすれば現代のお客さんに一番いい形で番組をつくれるか、そういうことを議論しようじゃないかと。  例えばドキュメンタリーだったら、今の演出とやらせの違いは何だとか、どうすればいい形でそれができるかということを論議をしよう。そして、そのほかに形が必要ならば、例えば考査室というのはどういう仕事をするか。それから先ほど申し上げた民放との共同の委員会が必要ならばどうつくるかということを考えよう。つまりは内的なチェックから始めようというふうに考えておりまして、何よりも番組自体をつくっている者たちがいたずらにシュリンクしない、伸び伸びと仕事をするということからかえっていい結果を出そうじゃないか、こう申し上げて呼びかけております。
  235. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まさに我が意を得た発言でございます。角を矯めて牛を殺す結果とならないように本当にお願いをいたしたいと思うんです。  私、実は同志社大学を出ておりまして、同志社大学をおつくりになった新島襄先生は三十歳を超えたばかりのときに学校をおつくりになって、そのモットーは、良心の全身に充満せる青年よ集い来れ、こういうモットーで建学されたわけでございます。私はやっぱり今のNHKに必要なのはこれだと思うんですね。最後のところは会長、やっぱり制作者一人一人の良心と、烈々たるジャーナリスト魂と、それから一人一人の清潔な倫理観、これが物を言うんじゃないでしょうか。管理体制とか責任体制をどんなにつくったって、やっぱり一人一人がそういう良心をしっかりと持って、自分が今づくっている番組はこうでなければならぬということを自分にまずしっかりと言い聞かせられないとだめだ、こう思うんですね。  そこで、今回の処分でございますが、実は私は、今回の会長自身も含まれた処分はむしろ重過ぎる、こう思うんですね。先ほどから討論しておりますように、いわゆるドキュメンタリー番組というのはどこまでが捏造で、どこまでがやらせで、どこまでが演出で、どこまでが構成がというのはわかりにくい。それから、堀井さん自身がおっしゃったように、こんなベテランの方でも長年の間誘惑と闘ってこられたわけでしょう。そこに一人の有能ではあるがやや跳びはねたディレクターがいて今回のムスタンをつくったということで、それを国民の皆さんにおわびするのは大いに結構でございますけれども、私今回の処分結果を拝見いたしまして、これはちょっときつ過ぎる処分じゃないかな、こういう印象を持ったんです。  私の同僚議員は、私がそう言いましたら、冗談冗談言うなよ、制作ディレクターはもう即刻懲戒免職にすべきじゃないか。例えば、旅行会社の添乗員が旅先でちょっとしたミスがあって、それは自分に何の関係のないことでも、お客さんに迷惑をかけたら旅行会社の添乗員はもう全部今首になっているんだよ。そんなときに、このNHKのような巨大な組織で、これだけの番組で、これだけのいわゆるやらせが発覚して、この処分は軽過ぎるという意見がありました。  これは私は、NHKというものに対する評価の仕方でその見方は変わると思うんです。私はNHKに対して期待しています。これまでNHKがたくさんのいい番組を提供し続けてこられたこと、今回この事件が明るみに出て、この番組が非常に皆さんに失望と迷惑を与えたから、だからこういう処分をしたんだという言い方もありましょうけれども、この処分をすることによってNHK自身の一つの一定の評価というものが私はマイナスに働いたらいかぬ、こう思うんですが、会長御自身どうですか、今回の処分は非常に妥当なものであったと思っていらっしゃいますか。
  236. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私も処分された一人であります。もっとも自分でやったことですけれども、私のは当然だと思っています。  そして、今の処分に関するきつい、あるいはやわらか過ぎる、両方の意見があることは全くそのとおりでございます。NHKにもたくさんの電話がその晩かかってきました。大体五五、六%が緩過ぎる、首にしろというふうなことでありました。残りはそのことについての評価だとか、あるいはNHKがディスクロージャーといいますか、自分をオープンにしてこのことをやろうとしたことを褒めてくれたり、いろいろありました。  ただ、私どもはこのことをやるときに考えたんですが、例えば大津事件なんというのが音ありました。ロシアの皇太子が大津でけがをされて、その巡査がたしか死刑にされようとした。それを大審院長の児島さんという方が、それは法律に照らせばそうはならないということで、有名なお話ですね。あのことを考えまして、単にこの事件が大きかったから、あるいは世間に与えた衝撃が強過ぎたからということだけで裁くのはいけないのではないか。だから、職員就業規則の中の責任審査規程、その中のどういうところに当てはまるかじっくり考えようということで、考えた末の結果がああいう形になりました。  理由は、免職というのはいわゆる破廉恥な行為とか、金銭上にまつわる大変な迷惑をかけたとかいうことですね。そういう場合はもちろんやむを得ませんけれども。じゃ、もっと軽いのでよかったのかと言いますと、番組の演出以外のことで、例えばオオカミを持ってきたとか、それは善意であり好意であったんでしょうけれども、上司の制止を聞かないで業務外のことをやっているわけですね。そういうこととか、国際関係的なことで多少ネパールの人たちに迷惑をかけたということもありました。それでああいう処分になって、妥当な処分であったのかなと思っております。
  237. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 会長、この処分が少なくとも免罪符にならぬようにしておいてください。これだけの処分やったんだからもうこれで済んだんだと思わぬようにお願いしておきます。  時間がありませんので、木下放送行政局長にお尋ねいたしますが、憲法二十一条、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とあります。保障するのはどこか、国及びその機関であります。今回の事件に当てはめるならば郵政省であります。それから放送法第一条の二号、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」、こうなっておりますね。一方、これは及川委員も朝からおっしゃいましたけれども電波法の第七十六条は、「無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」、こうなっておりますね。  あなたは先日の記者会見でおっしゃった。これは中尾さんの質問の中にもありましたけれども、そのおっしゃった具体的な内容を本当はお伺いしたいんですが、時間がありませんのでもう省略をいたしますが、あなたは先ほど法律の仕組みとおっしゃいましたが、法律の仕組みというのはこの放送法のことをおっしゃったんですか。電波法のことをおっしゃったんですか。
  238. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 一つの事例として、再発防止のために今のようなやり方でいいのかということで、もう少し突っ込んだやり方が必要になってくるかもしれない、そういうことがないように的確にやってもらいたいということを言って、その後の質問でどういうことを考えているんだというので、明確なものを描いているわけではないけれども、再免許のときでもあるから、その際、再発防止のための効果的な方策をとり得るのではなかろうかそういうことも考えられるんじゃなかろうかと事例として申し上げたところであります。行政処分の問題については、その仕組みについては質問がございました。
  239. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 木下さん、今あなたがそうおっしゃいましたが、新聞各紙が報道しているんですよ、免許について考えると。これ中尾さんおっしゃったとおりですよ。言ってるんですよ。あなたのその発言は、電波法七十六条に基づいて免許について考えざるを得ない仕儀に立ち至るかもわからぬというふうに、具体的な言葉の選択は別ですよ。その真意というのはここにある。  だからそれは、そうでない立場の人々からすれば、これはNHK並びに民放に対する恫喝である。権威をかさに着た思い上がりを伴ったまさに憲法違反の発言である。もう一遍あなたこの憲法の規定をしっかり読んでくださいよ。憲法二十一条ですよ。憲法二十一条をしっかりと守るならば、電波法七十六条が表現の自由に抵触しているから、べらぼうなことをやったから免許の停止もあり得るということをにおわせるような発言をすることは、あなたは現実の具体的な事柄ではなく、その意味するところにおいて憲法違反の発言をしたということだけはしっかりと認識をしていただきたい。これについてどうですか。
  240. 木下昌浩

    政府委員(木下昌浩君) 私はそういうことを申し上げているつもりは毛頭ございません。表現の自由というのは非常に大事な国民の何者にも侵せられない権利であるというふうに思っております。しかしながら、これが絶対無制限のものであるとも思いません。したがいまして、これについて私は法形式的には七十六条に合致すると思いますけれども、それはあくまでも非常に慎重に判断していかなければいけないということを申し上げているわけでございます。
  241. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これはどこまでいってもこうなりますからもういいですが、また機会を改めてもっとゆっくり話し合いましょう。でも、少なくともここに座っている我々の理解は、あなたの発言は少なくとも憲法に保障された言論、出版の表現の自由に対して不敵な挑戦をしたと思わざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。  終わります。
  242. 青島幸男

    ○青島幸男君 長々と皆さん御苦労さまでございます。私が最後でございまして、そう長くやるつもりもございませんので御安心いただきたいと思います。  まず、大臣に御就任早々でございますから一つだけお尋ねしたいんですけれども、我が国の放送の現状、一方ではNHKという公共放送があって、しかもこれは受信者による拠出されたお金でもって主に成り立っておりまして、しかも放送法によってかなり制約をされております。民放のようにただ流しさえすればいいというものではなくて、日本全国あまねく平等に良質の絵と音が流れて皆さんに享受してもらわなきゃならないというかせもはめられております。それで、先ほどから四十年という話も出てまいりましたが、延々と業績を積み重ねてまいりました。  片や民放というものができまして、これは今中央に五局ですか、それから地方に各県単位ぐらいであるはずですね。今お話に出ましたようにABCさんとかHBCさんとかたくさん各局がありまして、各局は自主的にその見識と情熱に基づいて放送しております。しかもこれは株式会社として営利目的で、これも放送法の制約はありますけれども、何やってもいいということございませんけれども、一応それぞれの見解に基づいて、表現の自由も保障されて営業活動として放送しております。  こういうものが並立して存在するということは、非常に煩雑な感じがするし、一部には民放と同じようにNHKもしてしまえばいいんじゃないかとか、民放を幾つかまとめた方がいいんじゃないかというお話もあるわけですけれども、現在のようなこういう放送状況についてどういうふうにお考えになるか、まずその御見解を承りたいと思います。
  243. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に、受信料を中心とした財政基盤を持っている公共放送のNHKと、それから広告料収入を主な財源としている民放、これは日本においてうまく官民といいますか、NHKと民放のお互いの共存を図りながら競争していこうという方向で私はうまく機能していると思います。これからいろいろな多メディア・多チャンネル化時代に向けましても、NHKは民放とは違うより公共性の高い放送事業者として、先ほどからもいろいろ話が出ております節度ですね、これが極めて重要だと思います。節度のとらえ方というのは、私は、NHK会長初め経営者の常識観念とか社会通念、これによるところが多いと思いますけれども、もちろん倫理性も入ると思います。この節度をいかに保ってNHKと民放が発展していくか、そのうまい環境を整備するためにも郵政省は協力していかなきゃならないんではないかそういうふうに考えております。
  244. 青島幸男

    ○青島幸男君 私も今の大臣の御発言は今のありようを肯定的に考えているというふうに拝察するんですが、それはいいと思います。私も昔の大本営発表ということでかくかくたる戦果にだまされてきた年代でございまして、報道が一元化したりしますとナチスの例をとるまでもなくこれは大変なことになります。  雑多な意見がありまして、先ほど会長からのお話もありましたけれども、最近では聞く方、見る方が賢くなりまして、一つの事象につきまして雑多な意見が雑多な形で放送されても、どこに真実があるかということを見きわめる目を持とうとしておりますし、かなり高いレベルで持っていると思います。ですから、そういう方々の個々の認識をはぐくませるという意味でも、雑多な見解が雑多な形で報道されるということが私は民主主義を培う上で大事なことだと思いますので、この形は温存したいと私は実は念願しているわけです。  BBCとかアンテヌドゥーとかの例をとりましても、こういうふうな格好でNHKみたいにうまくいっているところはないんですね。BBCなんかも、もう今当初の考え方でスタートしたときとはまるで違った形態になっているみたいですし、アンテヌドゥーというのは、公共放送みたいな形で始めながら、強力な一社の資本ががんと入りまして、今やもう有識者のまゆをひそめさせるような放送効率本位の番組内容になっているみたいなんですね。そういうふうになってしまっちゃいけない。そういう国々から見るとNHKというのは非常にうらやましいような状態になっているわけですね。  というのは、我が国の国民性でしょうか、NHKで参りましたと言うと、多くの方が協力費と考えているのか税金と考えているのかわかりませんけれども喜んでお支払いいただいてまして、九〇%以上の方がそれこそ唯々諾々とでも申しますか喜んで受信料をお払いいただいているわけですね。雑誌を発行しましても新聞を出しましても、マスコミにかかわりますと一回出たものを回収するというのは非常に難しいですね。それがNHKの場合は、それは心情的におれは払いたくない、受信料拒否なんという方もおいでになることはありますけれども、大方の方が喜んで協力してくれている。そういう信頼関係の上にNHKは成り立っているわけですし、そういう形で今まできているということはほかの国からうらやまれるような状態でありますし、再三会長さんも御発言になっていますように、そういう体質だからこそ、視聴率競争にうつつを抜かしたり、あるいは少しでも利益を上げたりするとか、効率を上げるとかということを考えずに国民の皆様にいかにしたら信頼をつなぐことができるかということにこそ心を砕くべきだと、そこが民放と違うところだというふうに考えて積み重ねていらっしゃいました。  民放は民放で、視聴率さえとればそれでいいんだということでおもしろおかしい番組だけを積み重ねているという時期もありました。しかし、これも視聴者の方が賢くなられまして、昔初めてテレビが出たころは、何が出てもうれしがって見てましたけれども、今は取捨選択が自由ですし、衛星放送なんかのことを含めますともう選択肢はたくさんございますし、おのずと自然淘汰されまして、知的であり、それこそ真実の意味のユーモアもあり、あるいはそこから得るものがある。知的好奇心を満たすものがなければ人々が受け入れないというようなことになりまして、視聴率もただじゃんけんして脱がせるというような番組は数がとれなくなりました。裸見せればという番組も数がとれなくなりました。それはやはり人々がそれだけ肥えてきたし、レベルが高くなってきていることだし、それは放送界の皆さん方が切磋琢磨しながら蓄えられた私は財産だと思いますし、これは大事にしていかなきゃならない。  ですからこそ、先ほどから議論になっておりますように、許認可権を持っているとか、あるいは予算審議をするからという権力側の立場を構えてああせいこうせいというような格好で管理するというようなことがあっては、せっかく業者の方々と民衆が知的好奇心、並びに、どうやったら民主主義を守れるか、民主主義に放送がどれだけ大きな意味を持っているかということを認識して培われてこられたものを壊してしまうようなことになったら困ると思いますので、そのことのために委員各位も、権力的に規制するようなことがもしあったらそれは反省していただきたい、そういうことはなるべくやめていただきたい、それは、確かにきちっと守らなきゃならない法律は守ってもらわなきゃならない、これは事実でございますが、そのような意味で皆さんおっしゃっておるのですから、改めて大臣のその辺の御見解を承りたいと思います。
  245. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に、委員の御指摘のとおり私も共感を持ってお聞きしておりました。大事なことは、そういう表現の自由、言論の自由をみずから閉ざしてしまうようなそういうやらせ問題、これを非常に心配しております。ですから、今回のこういうやらせ的な事件が二度と起こらないような自主的な努力というもの、それを強く期待していきたい、そういうふうに考えております。
  246. 青島幸男

    ○青島幸男君 それでNHKにお尋ねするんですけれども、はばかりながら私も放送の仕事に携わりまして三十五年になります。当委員会におきましてNHK並びに皆さん方とお話し合いができる機会を得ましてからもう二十五年になります。NHKの会長さんも私ここに来てから川口さんで五代目になります。さまざまな方が会長の立場にお立ちになりまして、私もかんかんがくがくいろいろやり合った時期もございましたけれども、中にはこの方が会長でおられるというのは私としては許しがたいんじゃないかと思うような方もおいでになりました。それは見解の相違でございますから、私が一方的に申し上げるんですけれども、しかし今回の事件は、川口さんが何でもいいから視聴率を上げろとか人気のある番組をつくれとかという指示があってこういう事件が起こったとは夢にも思いたくないし、思っておりません。  私は、川口会長のお人柄についてはそれこそ十分な知識はありませんけれども、会長が各所でお書きになったり御発言になったり、また当委員会並びに衆議院の委員会などで対処されておる態度、発言なんかを見まして歴代会長さんの中では屈指な方だと思っておりますし、人格高潔、温厚篤実、誠実でしかもスポーツから音楽に関して経験と知識が豊富でいらっしゃって、しかも民主主義の何たるかを十分心得ていらっしゃる方だと思います。しかも今回の事件は、会長の指示とかそういうことじゃなくて、出先のディレクターの私は個人的な資質にかかわる部分が非常に大きいと思っています。  ですから、処分が妥当だという考えも私は持っていますけれども、しかし、勇み足といっても、そういう勇み足が出る土壌があったということはやっぱり許しがたい。そういうことの芽を摘み取るのが責任者の立場だろうということからみずから罪をあるいは罰を科して、そのことをまた皆さん方につまびらかになさったということは私は大変評価したいと思いますし、余人をもってかえがたいという、まさにNHKの会長にふさわしい方だと私は信頼申し上げておりますので、健康に御留意になりまして、辞するなんということ、立場を降りるなんということをお考えにならずに、情熱を持ち続けられまして精励されることを切にお願い申し上げまして、終わります。
  247. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
  248. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 次に、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉郵政大臣
  249. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国民生活や社会経済活動の電気通信への依存度が高まる中で、電気通信サービスに障害が生じた場合の影響が著しく増大しているという状況にかんがみ、電気通信基盤充実事業に信頼性向上施設整備事業を加えるための所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、電気通信基盤充実臨時措置法の目的として、信頼性向上施設の整備促進する措置を講ずることを追加することといたしております。  第二に、信頼性向上施設とは、電気通信業の用に供する施設であって、電気通信システムの信頼性を著しく高めるためのものをいうものといたしております。  第三に、信頼性向上施設整備事業とは、信頼性向上施設の整備を行う事業をいうものといたしております。  第四に、通信・放送機構の業務の特例として、通信・放送機構が、通信・放送機構法第二十八条第一項に規定する業務の特例として行う業務に、信頼性向上施設整備事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借り入れに係る債務の保証を行うことを追加することといたしております。  その他所要の規定の整備を図ることといたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  250. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
  251. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 次に、郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉郵政大臣
  252. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 郵便切手類販売所等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便切手等に対する海外における需要にこたえる等のため、郵政大臣郵便切手等の海外における販売に関する業務をその委託する者に行わせることができることとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、郵政大臣は、郵便切手等を海外において販売するのに必要な資力、知識、経験及び信用を有する者のうちから郵便切手等海外販売者を選定し、その業務を委託することができることとしております。  また、郵便切手等海外販売者は、郵便切手等を郵政省から買い受け、定価に相当する価格で公平に販売しなければならないこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  253. 野別隆俊

    委員長野別隆俊君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。午後四時十八分散会      ――――◇―――――