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牛嶋正君 私が今申し上げました基本的なところで構造が変化しつつあるということについて、若干私が分析いたしました
数字をお示ししたいと思います。
過去、戦後八回の
景気循環パターンがあったわけですけれ
ども、これを見てみますと、一サイクル、大体周期は四年から五年、好況期が二ないし三年、そして不況期が一ないし一・五年ということで、私はこういった我が国のこれまで繰り返してきた
景気循環パターンを長期好況型というふうに呼んでいるわけでございます。実はこのことが
日本の
成長率が諸外国に比べて常に一、二%高かった、これをもたらしてきた最も大きな要因だったと思うんです。
ところが、今回の不況を見てみますと、かなり不況期が長期化しているわけでございまして、ここのところの解釈が非常に大事なんですけれ
ども、私は
景気循環のパターンから言いますと欧米型になったんではないかというふうに思うんです。というのは、好況期が逆に短くなって不況期が長くなる、いわゆる長期不況型の
経済パターンになったのではないかというふうに思うんです。今欧米型はそういうパターンを繰り返しているわけでありまして、ここで
成長率に差が出てきているわけでございます。
なぜそういう判断をしたかということですが、先ほど
山田委員も問題にされましたように、これまでの
景気循環の不況期と比較いたしまして、
景気後退期と比較して
指摘できることは二点あると思います。
一点は、
個人消費の
需要が低迷しているということです。これまでは不況期におきましても、
景気後退期におきましても、そこそこの
消費需要は伸びておりました。
それからもう
一つは、
設備投資意欲が今沈滞しているということです。これはこれまで省エネルギー化のための投資とかあるいは省力化のための投資、投資目標がはっきりしていたわけですが、今に至って、バブルの崩壊後、私は
企業は投資目標を見失ってしまっているんじゃないかというふうに思っております。
この議論をいたしますと長くなりますので、ここでは
消費だけ取り上げてみたいと思うんですが、そういうことで非常に
消費需要の低迷というのが重要な
意味を持っておりますので、これはなぜそうなのかということをやっぱり分析する必要があると思います。
私は、家計調査を使いまして昭和五十年から
平成三年までのデータをいろいろな角度から分析させていただきました。データの都合で勤労世帯に限定されたわけでございますけれ
ども、いろいろな結果が出ましたが、
消費支出の構造について申し上げますと、昭和五十七年を境にいたしまして前半と後半に分けて平均
消費性向を計算いたしますと、前半が七〇・六%、後半が、後半がというのは昭和五十八年以降ですが、六六・二%ということで四・四%落ちているんです。問題は、限界
消費性向の方です、今の公共投資の乗数
効果を決める値ですから。これも前半が五七・五%、そして後半が五三・六%ということで四%低下しております。こんなことから、
個人消費支出の構造も徐々にバブル以前から変わりつつあったというふうに見なければならないのではないかと。
なぜそれが起こってきたかということなんですが、私はこんな計算をしてみました。
我々の家計の中でどうしても払わなければならない義務的
支出というのがございますね。これは税を筆頭にいたしまして、社会保険料、住宅ローンの返済、月賦の支払い、その他何かそういうローンの返済があると思いますが、これらを私は義務的
支出というふうにしてくくってみたわけです。これが所得の中でどんな割合を示しているか、どういう割合になっているかというと、ふえてきているんです。これが私は問題だと思います。
どんなふうにふえているかと申しますと、先ほどの五十七年までの平均値を出します。ずっとふえているんですけれ
ども、平均値で出しますと、五十七年までは二三・七%、これが五十八年以降は三〇・七%に増加する。言うならば、家計の中が国の
財政と同じように硬直化してきているということですね。いわゆる
消費の伸び悩みを、いろいろ
消費マインドとかなんとか言っていますけれ
ども、それは一時的なものであって、これが私非常に大切じゃないかなと思っているわけです。
そういたしますと、私は、住宅投資が伸びているから
景気がよくなるなんというようなことは喜んでいられないんじゃないかと思うんです。これがまたまた所得に対する義務的
支出をアップさせます。将来ますます
消費がこれまでのような順調な伸びを示してくれないというふうなことになります。
こういうふうな構造の変化から、先ほど申し上げましたように、これから安定的な
成長トレンドに戻っても生活大国五カ年計画で言っておられるような数値は
期待できないのではないかということで、これは、計画で決めているからそれに基づいて計算しなきゃいけないんだというふうな御
答弁では、ちょっと私どれぐらい
財政改革に真剣に取り組んでおられるのか疑いたいんですね。やっぱりこの実態を本当に見詰めなければ大変なことになると思いますが、今の
説明に対して、
大臣のちょっとお考えをお聞きしたいと思います。