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1993-04-15 第126回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十五日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月八日     辞任         補欠選任      翫  正敏君     西野 康雄君  四月九日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     会田 長栄君  四月十五日     辞任         補欠選任      会田 長栄君     三重野栄子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         梶原 敬義君     理 事                 井上 章平君                 岡部 三郎君                 種田  誠君                 山田  勇君     委 員                 井上 吉夫君                 石井 一二君                 上野 公成君                 遠藤  要君                 鈴木 貞敏君                 吉川  博君                 会田 長栄君                 青木 薪次君                 西野 康雄君                 三重野栄子君                 白浜 一良君                 中川 嘉美君                 上田耕一郎君                 萩野 浩基君    国務大臣        建 設 大 臣  中村喜四郎君    政府委員        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設大臣官房審        議官       村瀬 興一君        建設省都市局長  鹿島 尚武君        建設省道路局長  藤井 治芳君    参考人        阪神高速道路公        団理事      吉野  毅君        阪神高速道路公        団理事      小林 幸藏君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案審査のため、本日、阪神高速道路公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村建設大臣
  5. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま議題となりました阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、京都市及びその周辺地域において、自動車交通増大は目覚ましく、幹線道路中心とした交通渋滞は、都市機能を著しく低下させております。また、大阪市及び神戸市と京都市との間においては、都市化の進展が著しく、慢性的な交通渋滞が発生しております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、阪神高速道路公団が、京都市の区域のうち大阪市及び神戸市の区域と自然的経済的社会的に密接な関係がある地域等において、自動車専用道路建設及び管理を行うことができるよう所要改正を行おうとするものであります。  また、あわせて、役員に関する規定整備を行おうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、公団は、新たに京都市の区域のうち大阪市及び神戸市の区域と自然的経済的社会的に密接な関係がある地域等において、その通行について料金を徴収することができる自動車専用道路建設及び管理を行うこととしております。  第二に、監事は、監査の結果に基づき、理事長または建設大臣意見を提出することができることとしております。  第三に、副理事長は、理事長建設大臣認可を受けて任命することとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  6. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 西野康雄

    西野康雄君 この阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案、ずっと見させていただきました。その中で、今大臣もちょっとおっしゃってましたが、「役員任命」のところの改定でございます。第二十条が「理事長及び監事は、建設大臣任命する。」、二項が「副理事長及び理事は、理事長建設大臣認可を受けて任命する。」、一体なぜこれを変えなければならないのか少しわからないんで、ちょっと御説明願います。
  8. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 阪神高速道路公団の副理事長の件につきましては、現在建設大臣任命制ということになっておるわけでございます。  振り返りますと、第一次臨時行政改革推進審議会答申昭和六十一年六月でございますが、そしてこれに続きます閣議決定、六十一年十二月でございます。これにおきまして、特殊法人活性化等の観点から、建設大臣認可の上、理事長が副理事長任命するという制度への改正が示されておるわけでございます。この閣議決定におきましては、所要法律改正機会をとらえて逐次改正をするというようなことになってございますので、今般公団法の一部改正をお願い申し上げた機会改正をさせていただきたいということでございます。
  9. 西野康雄

    西野康雄君 それは理解できるんですが、第二十一条でございます「役員任期」「理事長及び副理事長任期は、四年とし、理事及び監事任期は、二年とする。」。以前は「役員任期」のところは「役員任期は、四年とする。」と、こういうふうなことがありました。四年と二年というふうに分けて、そしてまた「理事及び監事任期は、二年とする。」という、これの理由はいかがなんですか。
  10. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 阪神高速道路公団役員任期は、先生仰せのとおり、第二十一条の規定によりまして四年というふうにされてございます。これまた第二次臨時行政調査会、第五次の答申というのがございます。昭和五十八年三月でございます。これによりますと、特殊法人活性化方策の一環といたしまして、役員総裁、副総裁を除きますが、その任期は二年とするということが決められておるわけでございます。  これを受けまして、閣議決定昭和五十八年五月でございますけれども、この答申趣旨を踏まえまして所要具体的措置について検討をするということで、これまた法律改正機会をとらまえまして逐次改正政府として行ってまいっております。  阪神高速道路公団につきましては、今般の法律改正機会に合わせまして、四年とされておりますのを二年というふうに任期を改めさせていただくようにお願いを申し上げでございます。
  11. 西野康雄

    西野康雄君 私、また理事及び監事任期が二年と縮まったので渡り鳥しやすいのかなと、そういうふうに皮肉にもとっておったわけでございまして、余りにもあっちこっちいろんなところを渡り為する人が多いものですから、任期二年になったらあっちに渡りこっちに渡り、そして退職金をぎょうさんぎょうさんもらう人がおるので、ああそういう意味でこれひょっとしたら二年に縮めたんと違うかいなと、こういうふうに皮肉にとっておったわけでございます。  次に、京都高速道路計画というのがございます。これは阪神高速道路公団の管轄になるかと思いますが、ばっと常識的に考えるとああいう古都でございます。そういうところに高速道路というのはいかがなものかというふうなことが頭の中に浮かびます。ですから、非常にいい目的であるならばそれは差し支えのないことなんですけれども、そういう意味において京都高速道路計画、一体どのような計画になっておるのか、なぜ古都のところにつくるのか、まずそういうふうな概要目的から説明願えますか。
  12. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 先生案内のとおり、京都地域におきます自動車交通というものは市民の都市生活を大きく支える源になってございます。都市機能維持発展のために大変重要な役割を演じているところでございます。しかし、昨今の自動車交通増大に伴いまして幹線道路京都市内大変交通渋滞が発生をいたしまして、都市全体の活性化を生むために支障となっているというのも現状であろうかというふうに思うわけでございます。そこで、京都市域におきます、そしてまた周辺も勘案をいたしまして、大量の持続をして発生します自動車交通を効率的にさばくために、京都高速道路ネットワーク計画をされ、そのプロジェクトを推進させていただくべく今進めつつあるところでございます。  京都都市高速道路と申しますのは、御案内のとおり、ことし着工ということで予算を用意させていただいておりますけれども、新十条通り二・八キロをトンネルで抜いてまいります。これを初めとして五路線、十九・八キロで構成されます自動車専用道路でございます。この新十条通りのほかに四つ申し上げてみますと、油小路線四・五キロ、高架式でございます。久世橋線四・八キロ、高架式でございます。堀川線南向き一方でございますけれども三・七キロ、地下式でございます。それから西大路線、北行き一方でございますが四キロ、これまた地下式でございます。こういった五つの路線によりまして構成される計画を持っているわけでございます。
  13. 西野康雄

    西野康雄君 京都というところは、歩いておりましても、あるいはタクシーに乗っておりましても、ある一定のところは非常に広いんですけれども、突如として古い町並みのところになるとその広い道路が急に細くなったりとかで渋滞は確かにあるなというふうなことがわかるわけです。しかし、こういう高速道路を一たんつくりますと、渋滞解消とかそういうふうな目的が、かえってこの高速道路によって市内への車の流入量が逆に増加して、市内中心部が車で埋まってしまうというふうなことも考えられるわけで、その辺の根拠ですな、市内交通量等恐らく実態調査上本計画を立てたと思うわけですが、そのシミュレーション等ちょっとお伺いしたいんですが。
  14. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 京都市を中心にこういう都市高速都市内における道路計画考え方を申し上げますと、その地域における交通量長期予測をいたします。例えば、京都市の場合二〇一〇年までに平成二年の一・一六倍に地域全体としてはふえるだろう。しかし、路線ごとの推定も主な路線についてはいたします。そうすると、二倍にふえる路線もあれば一・五倍にふえる路線もあれば、いろいろとございます。  そういうことで、現在も既に混雑度が一以上の路線もあるわけでございますので、現在の交通渋滞解消、それから将来ふえるであろう交通に対してどうしたらいいか、こういう点からそれをいわゆる通常の街路計画で処理できるだろうか。あるいは街路立体化というふうな程度で解決できるだろうか。あるいは自動車専用道路の場合には一般街路の大体容量で一・五倍から二倍の効果を持ちます。ですから、四車線専用道路をつくりますと八車線一般街路をつくるのと同じ効果になります。そういうようなものを地域状況、すべてがだからそうするというわけじゃなくて、その地区状況に合わせてどう組み合わせたら全体の交通の処理ができるだろうか、こういう計画を立てるわけであります。  今回の京都自動車専用道路である京都高速道路計画に当たりましては、国道一号に並行する京都高速新十条線、これはいわゆる山科区の西野山桜ノ馬場町から伏見区深草西川原町の二・八キロでございますが、ここで平成二年度国道一号の東山断面が八万六千台一日あります。これが二〇一〇年には国道としては六万九千台という形に抑えました。今非常に混雑していますが、これを抑えました。そのかわりこれを専用道路として三万三千台を担うことによって、合計十万二千台一日でございますが、こういうことがさばき切れるだろう、こういう予測をいたしました。こういうようなことをそれぞれの路線で組み合わせながら計画を立てていくわけでございます。もちろんこれだけじゃございませんで、当然のことながら京都の場合でしたら鉄道もございますし、そういう意味での他の交通機関との結節もその際に考慮に入れます。さらには、今度は一カ所に集中しないようにするという意味での交通アセス的な考え方も導入しなければいけないと思っております。  そういうことで、私どもこれはよく車が先か道路が先かという議論もございますけれども、要は生活水準を向上するための動くことでございますので、そういうことを前提にしながら現在の混雑、現在の支障状況、将来起きるであろう支障状況に対してどのような形ならば一番その地域を大きな変化のないような形で処理できるか、こういうことで計画を立てている次第でございます。
  15. 西野康雄

    西野康雄君 やっぱり道路込みぐあいというんですか交通量予測というのは非常に正確だなと私自身も評価しておるところでございます。国土庁のあの水需要のフルブランみたいなああいうふうなむちゃくちゃなことはないので、私もそう聞いて大体の予測どおりだろうかなと思うわけですが、しかしながらやっぱりこう入ってくると、二酸化窒素だとかいろいろなNOxSOx、そういうふうな問題あるいは騒音等の問題、住民にとっては大変に不安な面がございます。当然高速道路地下を走っても、さあその排気ガス排気塔はどこへ持ってくるんだろうか、もう引っくるめてやっぱり住民の皆さんは不安だろうと思います。その辺の環境対策、いかがなっておりますか。
  16. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 京都高速道路につきましては、昭和五十九年に閣議決定されました環境影響評価実施要綱に基づきまして、京都府におきまして環境影響評価を実施していただいております。  これによりますと、例えばNO2いわゆる二酸化窒素に関しましては、七カ所の予測地点において年平均では〇・〇二七から〇・〇三二ppm、それから年間の九八%値では〇・〇四六から〇・〇五四ppm、こういうふうな数字になっておりまして、環境基準では年間九八%値で〇・〇六ppm、こういうことでございますので、これよりも下回っております。こういう環境影響評価が出ております。  それから二酸化硫黄に関しましては、環境庁建設省の方が協議して定めました指針におきましても予測対象とはなっておりません。したがって、この影響評価においても予測は実はされていないんですが、平成四年の十一月、昨年の十一月の環境庁の報告によりますと、二酸化硫黄の濃度に関しましては、昭和四十年当時に比べて逆に近年大幅に改善されておる、全国的にほとんどの地域環境基準が達成されていて問題はない、このような理解を私どももいたしております。  そこで騒音についてでございますが、七カ所の予測地点のうち二カ所について現在既に環境基準を超過しているということで、技術指針に基づきまして現状値もしくは騒音規制法規定されているいわゆる要請限度環境保全目標ということにいたしまして、他の五地点については環境基準保全目標といたしております。この予測によりますと、必要に応じまして道路構造あるいは遮音壁、こういうものを設けることによって全予測地点において環境保全目標を達成できる、こういう結果が得られております。  いずれにいたしましても、この環境影響評価京都府における都市計画決定で保障されておりますが、私どもその結果を尊重しながら、かつ事業の推進に当たりましては構造計画、これは一部地下にも入るわけでございますが、そういうものや遮音壁設置のやり方、こういったものを適切に組み合わせながら、良好な環境保全に今後とも努めてまいりたいと思っております。
  17. 西野康雄

    西野康雄君 確かに、NOxだとかSOxというのは難しい問題を抱えておるわけですよね。車の量がふえたからそれで比例してふえるのかというと、逆に道路整備されてスピードアップすると減ったりもいたしますし、車の量が少なくたって絶えず渋滞をしておりますとSOxNOxというのは随分とふえたりもいたします。ただ、非常に住民方々は不安に思っておられる方が随分といらっしゃいますし、現にこの京都高速道路計画というものが発表されると、もう本当にそこを通るところの沿線の住民方々はまさにハチの巣をつついたように大騒ぎになりました。ですから、やっぱりその辺の理解を得るというんですか、そういうふうな割と粘り強くやる必要はあるんじゃないかなと思います。  ただ概要説明を受けた中で、例えば堀川線が二車線で三・七キロメートルで地下式で南行き一方向、そして西大路線が二車線で四キロで地下式で北行き一方向、新十条通りは四車線で二一八キロでトンネル式で両方向というふうなことで、地下式というのがございます。あるいはトンネル式というのがございますけれども、四キロというのは大変に長いわけですよね。そういう中で果たして事故が起きたとき、トンネル内の事故というのは大惨事につながりやすいわけです。その辺の対策はどうなっているんでしょうか。
  18. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 確かに、この京都都市高速、総延長十九・八キロのうち五割がトンネル構造でございます。この構造については、土地の利用上のことからこのような形になっているわけでございますが、安全対策がもうすべての前提だと考えております。  具体的には、阪神高速道路公団設計基準、これは昨年の一月に改定をいたしておりますが、これに基づきましてトンネル延長及び交通量によって通報警報装置あるいは消化設備避難誘導設備その他給水栓あるいはラジオの再放送設備等々いろんな非常用の施設を設置することといたしております。特に五百メーター以上のトンネルにおきましては非常電話を百メートル置きに設置するとか、押しボタン式通報装置は五十メーター置きに入れるとか、非常警報装置は坑口の手前に幾ら幾らに置くとか、消化器は何メーター置きに置くとか、こういうように細かくそういう状況も設定しております。また、避難通路におきましても、長い場合についてはそういう連絡路をある間隔をもって設けるということや、それから事故が万が一発生した場合には運転手さんや関係機関に速やかに連絡するためのそういうシステム、二次災害を防止するようなこともこの基準の中で定めております。  いずれにいたしましても、今まで恵那山トンネルであるとか幾つがその他の、日本坂もそうでございますが、私ども多く反省をしながら一生懸命やってまいってはおりましたけれども、その中でいろんな厳しい経験をいただいております。そういうものを全部こういう基準の中にそれぞれ含めながらやってきておりますので、現在考えられる一番いい方法をこの安全対策として配慮しながらやらせていただきたいと思っております。
  19. 西野康雄

    西野康雄君 なぜそんな質問をしたかというと、住民意見の中にやはり地下式だとかトンネル式だとかそういうふうなものは大惨事につながりやすいんだというふうなことがございました。やはり、電話だとかそういうものもいいんですけれども、最終的には避難通路だと思います。皆はもうこんな惨事になったときには、電話をかけたりとかそういうふうな消化器を持ってとか、なかなか落ちついて行動できない。我先にと逃げていく部分が多うございます。避難通路というものが、ここの場合は堀川線西大路線も確保されているんでしょうか。
  20. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 具体的な構造でございますので、私は今現在資料を持っておりませんが、延長から見まして、当然のことながら配慮された状態で建設することになると思います。
  21. 西野康雄

    西野康雄君 次に、湾岸道路についてお伺いをいたします。  私が環境委員会でしたでしょうか、たしか芦屋方々からの要請を受けて、あの湾岸道路もう大変だと、あそこにシェルターのようなものをかぶせてほしいとかそういうふうな要望がございました。なかなかそうはうまくいかないようでございますが、その後もいろいろと話し合いをなさっているかと思いますし、その後の対策についてもいろいろと配慮をしてくださっていると思いますが、芦屋のあの近辺の湾岸道路環境対策、その後どうなっておりましょうか。
  22. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 先生指摘湾岸道路、いわゆる六甲アイランドからずっと行くところだと思います。その中で現在、西淀川区中島から出島西町までの十七キロが供用しているところでございます。御指摘芦屋地域については、五十五年に都市計画決定がされ、そしてその都市計画決定者である兵庫県知事環境予測及び評価を行いまして縦覧して、平成二年度に芦屋地区集約料金所設置するための都市計画変更を行った際、阪神公団予測評価を行った上で地域方々に御説明いたしたことは、先生も御承知だと思います。  その内容によると、路側に三ないし五メーター遮音壁中央帯に四メーター遮音壁設置するというようなことによって大気、騒音とも保全目標が達成できる、こういうような結果が得られたわけでございますが、地域方々のいろいろな立場からの御要請等々もありまして、平成元年十二月の公害調停が申請され、三年四月の審査会から調停案受諾勧告が出されました。私どもはそれを受けるという立場で考えていたわけですが、残念ながら地域方々の御理解を得られないで不調に終わったのが現状でございます。  しかし、その調停案内容を見ますと、いわゆる環境対策については、私どもが現在の技術力を駆使した最大のものを全部私どもに御指示をいただいているというふうにも理解いたしておりますので、これを最大限に尊重させていただきたいという前提で、具体的には湾岸線路側及び中央帯に、いわゆる予測評価では三ないし五メーターでしたが、それよりも数メーター高い七メーター遮音壁設置する。それから路側北側植栽を施したこれも高さ六メーターの築山を設置する。それから騒音対策として集約料金所に大屋根を拡張する。それからスピードチェッカー設置をする。それから騒音定期観測もする。こういうことで、これは全部今やっております。来年の春までには全部これらを完了いたします。  そして、私どもとしては一生懸命やってまいりたいと思っておりますので、地元方々のいろいろな立場からの御不満といいますか御納得といいましょうかそういうものに対して、いろいろな御意見が提起されていることは承知いたしておりますので、今後ともいろいろと御説明機会をとりながら、私どもの一生懸命やっているところを御理解いただく努力をしつつ、保全目標の達成に万全の対策を講じたいと思っております。
  23. 西野康雄

    西野康雄君 いろいろな住民立場もございます。考え方もございます。いろいろな制約の中で技術力を駆使するわけですから、一致点というのはなかなかそう希望どおりはいかないかもしれませんけれども、今後ともいろいろ地元住民から要望があったときにはできるだけそれを取り入れながら行っていただきたいと要望しておきます。  それから、六甲アイランドからポートアイランドにかけてのルートでございます。大まかなのは私も地図を持っておりますのでわかるわけでございますけれども、この点点点とあるだけではなかなか具体的なところまでわかりませんし、ポートアイランドに住んでおられる方は特にさあこれどこを通るんだろうかと。そしてまた、神戸市あるいは兵庫県が神戸空港をつくる、そのときにもやっぱり新神戸駅から地下かなんかでまたずっと下の空港の方まで直進してくるような道路がつくられるというふうなこともあって、ポーアイの人は地下式になろうとあるいは高架式になろうと道路がいっぱいふえるじゃないかと。特に市民病院周辺の人は、特に入院なさっている方とか、うちの前を通るんだろうかとか、そういうふうなことも聞いておるわけですね。こちらの方に寄せられております、不安というものが。  ですから、この六甲アイランドからポーアイにかけてのルート、具体的にもう決まっておるのか。あるいは望洋とした概要だけはちょっともう決まりつつあるんだ、例えば地下式にしてしまうんだとか高架にするんだとか、車線数はどうだとか、どれくらいの通過車両というものを見込んでおるんだろうかとか、それと芦屋と同じようにそれに伴う環境面の対策どうなっているんだろうかと、随分とこう私どもの方に寄せられておる声というのは不安の声が多いわけですね。まあ道路をつくるときには大体皆住民方々というのはそういう不安が先に来るかと思います。  そこで、六甲アイランドからポーアイにかけての今言った質問にちょっとお答え願えますか。
  24. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) お答えいたします。  先生指摘大阪湾岸道路六甲アイランドからポートアイランドを経て神戸市垂水区下畑町に至る二十・八キロ、これがまだ都市計画決定されておりません。したがって、この当該区間について平成元年の八月に私どもの近畿地方建設局から神戸市に対し計画原案を御提示申し上げました。このうち神戸市垂水区の下畑町から神戸市長田区駒ケ林南町間の延長六・四キロ、これについては既に神戸市から都市計画決定の手続が行われつつございます。  いわゆるお尋ねのこの神戸市の長田区駒ケ林南町からポートアイランドを経て東灘区向洋町東、通称六甲アイランドまでの十四・四キロの区間、これは計画原案では六車線の高架構造でございます。そのルートは、起点から海岸沿いに東進いたしまして和田岬から橋梁でポートアイランドヘ渡り、島内道路上を北進いたしまして、さらに東へ転進いたしましてポートアイランド北東端、北の埠頭からさらに六甲アイランドヘ橋梁で渡り現在の阪神高速湾岸線四期に接続すると、こういうことでございますが、この計画については、神戸市において都市計画決定並びに環境アセスメントのために必要な調査を実施しているところでございます。調査がまとまれば、その計画地元説明等の手続に入る、こういうふうに聞いております。  したがって、この手続の中で、将来幾らの交通量を見込んでいるか、環境対策は具体的に何と何をすれば大丈夫か、こういったことも明らかにされると考えております。したがって、建設省といたしましてもこの調査に対しては必要な協力はもちろんいたすわけでございまして、沿道において当該道路を原因とする騒音とかNOxとかこういったものの環境基準が守られるよう、神戸市の計画がきちっとなされるようにそれぞれの対策も実施していきたいというふうに思っております。
  25. 西野康雄

    西野康雄君 まだ計画のきっちりしたところはなされていないということですが、特に気になるのが市民病院への影響ですね。その辺は大まかなところで市民病院はうまく避けられるんでしょうか。
  26. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 市民病院のことについても、私どもそのようなことがこの中にあるということもお聞きしております。既にこのアイランドをつくった際に、その市民病院等を意識してその前の道路の空間というものも考えてあったやにお聞きしておりますけれども、いずれにいたしましてもそういう当初の構想は構想といたしまして、現時点においてもう一度きちっとした環境アセスメントをした上で、支障があるのかないのか、あるとすればどういう対策をとれば支障がなくなるのか、それともそういう対策をとらなくとも当初の計画で十分なのか、こういうものを全部アセスをさせていただきます。その中で明確にその病院問題も位置づけたいと思っております。
  27. 西野康雄

    西野康雄君 そして今、須磨の方で住民が大変に問題視しているところがございます。須磨の海岸部でございます。今、神戸市がいきなり埋め立てを始めようとしてケーソンを入れたりもしておりまして、住民とぶつかっております。そのぶつかる中で、埋立地の下を湾岸道路が走っていって、開口部がその埋め立ての端ぐらいに出てくるんじゃないかと。排気施設、開口部等、その辺が埋立地のところに行くんじゃないだろうかと。  埋め立てというのは二ヘクタールぐらいのところなんでございますけれども、大変に自然が残っておって、砂の浄化作用等もひっくるめて、ここを埋め立てられると須磨の海岸そのものが死んでいくというんですかね、そういうふうなこともあるようでございますが、神戸市ももうてんでんばらばらなんですな。港湾局と農政局が住民に埋め立ての説明をしたのが去年の五月なんです。去年の十二月に今度は都計局が湾岸道路説明に来る。だから、そごというんですか整合性というんですか、そういうようなのが、同時にきっちりと全体で説明してくれればいいものを、住民にとってはだまされたというふうな気持ちの方が大きいわけですね。片一方はノリの加工や、片一方は漁船のたまり場をつくるんだと。ああそうかなと思っていたら、今度は湾岸道路がまた十二月に説明があったりする。じゃ、最初からこれは湾岸道路をつくるためのものじゃないだろうかというふうなことでまた住民の感情を刺激したりしております。  そこの埋め立て部分の須磨の海岸部、地下方式のところですけれども、開口部だとか排気施設等、その辺の概要をちょっと御説明願えますか。
  28. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 先生指摘のこの須磨海岸、これは私ども長年この湾岸道路を考える際の大きな懸案事項でございました。こういう須磨海岸というような景勝の海岸を保全しながら道路を同時につくっていく、こういう一つの勉強課題でもありました。この湾岸線、私ども八期と言っておりますが、延長八十キロの大阪湾岸道路西端に位置する約六キロの区間でございます。これ は、神戸市が中心になりまして、昨年の九月に港湾関係等、今先生おっしゃいましたいろんな他の関係者との調整も行って都市計画の素案を取りまとめましたので、それを都市計画決定に向けて地元方々に御説明をさせていただいております。昨年の九月からでございます。  この計画によりますと、ポイントは一番西側。一番西側といいますのは、須磨海岸から急に山になるところがございますが、この須磨海岸部のここのところは山陽電鉄、国道二号、JRの山陽本線、これが全部狭いところを通っております。そこで、どうにもなりませんからここはどうしても下をトンネルで通過せざるを得ません。そうすると、トンネル通りますとJRから須磨浦漁船溜間、ここは出たところではどうしても路線というのは急には段階になりませんから掘り割り構造、こういう形にならざるを得ません。そういうふうになると聞いております。  そして、問題は須磨浦漁船溜から東。神戸市の中心の方に向かっては養浜事業がございますので、この養浜事業との調整を図るために基本的にはトンネル構造とさせていただきたいと、こういうことの案のようでございます。それで、須磨区の駒ケ林南町付近よりランプとして地表構造となりまして都市計画道路に接続する、こういうような計画だと思っております。  換気施設でございますけれども、これは換気効率、それからこの周辺にどういうものがあるかとかいったような土地利用の状況、それから景観、こういったものをやはり考えないといけませんので、こういうものを勘案した上で須磨海岸を通過するトンネル区間の東側と西側にそれぞれ一カ所ずつ二カ所設けたいと聞いております。詳細については、先ほど申しました兵庫県による都市計画決定の手続を今行っておりますので、その中で十分説明されるものと考えております。  いずれにいたしましても、こういう手続の中で行われる環境影響評価の中では当然のことながら公告縦覧、地元説明会が行われますので、それに対する御意見もまた寄せられるわけでございますので、そういうことから私ども計画を十分実のあるものにし、そして御理解をいただきながらこの計画をまとめさせていただくように指導していきたいと思っております。
  29. 西野康雄

    西野康雄君 住民の皆さんがいろいろと要望をしても神戸市の方はけんもほろろであると、御答弁とまるで違うような声を聞いております。ですから、これはもう本当に粘り強い説得しかない。ほかに代替案だとかいろいろ示しながら住民の皆さんに御理解を得なきゃならぬのですよね。ところが、こじれてしまっているんですね。大変にこじれてしまっている。何かお上のやることにおまえら文句あるのかというふうな態度をとられるんだというふうなこと、私も実際そこの場所に行きまして住民の皆さんの声を聞くとそんなんなんです。話し合いをしておっても、警備員を呼んでもう帰ってくれと言わんばかりのような、そういう態度なんですね。  ですから、こういう公共事業というのは、片一方では住民の生活の利便性の向上だとかを図るわけですけれども、片一方においてはやっぱり住民を犠牲にしていっているわけですから、その犠牲にしていっている部分をできるだけ少なくしていく。そのためにはやっぱり、高圧的な態度の話し合いというんですか黙って聞けみたいなことではだめだと思うんで、その辺の御指導なんかもよろしくお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、「地元自治会は猛反発 「憩いの場を汚すな」」、この湾岸道路トンネル内の排ガス処理で「鉢伏山に巨大換気塔」というふうなことで、「ハイキング・コースとして親しまれている神戸市垂水区の鉢伏山に、大阪湾岸道路トンネル内の排ガスを排出する巨大な換気塔が建つことが明らかになり、地元自治会がルート変更を求めて署名運動を進めている。神戸市は「環境上問題はなく、安全には自信をもっている」と説明しているが、自治会側は「市民の憩いの場を排ガスで汚すことは許せない」と反発、両者の主張は平行線をたどったまま。湾岸道路は一九九八年に完成予定の明石海峡大橋のアクセス道路の一つだが、換気塔問題は工事着工に微妙な影響を及ぼしそうだ」こういうふうな新聞記事がございます。  ルート変更を求めているのは垂水区の塩屋柏台自治会、およそ六百から六百二十世帯あるところでございます。塩屋北町柏台の住民から、そういうふうな換気塔の問題あるいは地盤沈下が下を通るものですから起こるのではないだろうかというふうな心配が寄せられております。また、地元住民より別ルート案の提示もあったようでございます。地元住民理解を得る話し合いはどうなっておるのか、また代替案への評価あるいは地盤沈下、振動対策、大気汚染に関しての対策等どういうふうになっているのか、お伺いをいたします。
  30. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 先ほど御質問いただきました須磨海岸もそうでございますし、この鉢伏山も四十年代の後半といいますか、今から十五年前に既にその計画のいろんな問題点が指摘されていろんな形の議論がなされて現在に至って、そして現在都市計画決定の手続に入っておる、こういう歴史を持った箇所でございます。  したがって、計画論におけるあるいは道路事業におけるこういう環境影響評価等々の物の考え方もその間に飛躍的に変わってまいりました。当然のことながら、地元方々のお考えもその間でいろいろとさらに密度を濃くされておられると思います。しかし、その間にいろいろな言葉のやりとりからの不幸ないきさつ、行きがかりというものも生まれていたかとも思います。私ども、やはり長い経過を持ったものというのは、内容の議論も重要でございますが、そういうやりとりによる不幸な結果もその中で生まれておりますので、そういう不信感を取り除く努力も当然のことながらしなきゃいけないと常日ごろ考えております。  そういう中で昨年の九月から、そういう長い歴史的経過の中でいろんな方々から相反する御意見をいただいたものを何とか間をとったといいますか、それぞれの立場の御意見を生かすというかそういう形で案をつくって、そして九月から御説明に入らせていただいております。その中では、地元説明をしている路線構造としては、周辺の土地利用や地形等を踏まえながら生活環境保全に十分に配慮して選定したという自信を持った案だというふうに私どもは聞いております。しかし、いろんないきさつがございますから、それぞれの立場から見れば当然のことながら十分ではないという御意見を持つ方もおられると思うんです。そういう意味で、振動、騒音、低周波、地盤沈下あるいは換気塔による大気汚染、こういうことでルート変更の要望が提起されておることも私どもは承知しております。しかし私ども、大きな意味でそういういろんな方々の御意見を集大成する中で環境影響評価に対しては十分全うできる、こういう前提での手続に入らせていただいておりますので、そういう環境影響評価の中で公告縦覧、地元説明会を通じて十分に御意見等々のやりとりがそこであると思いますが、説明がなされるものと考えております。  いずれにいたしましても、この塩屋北町柏台付近についてはトンネル構造ということで予定しておりますが、工法の選択もまた重要なことでございます。これも十分技術的に可能だとも聞いております。先生のいろいろな御指導をこれからもいただかなければなりませんが、そういう不信感を一生懸命取り除く中で、何とか案の御理解をいただけるように指導したいと思っております。
  31. 西野康雄

    西野康雄君 そうすると、地盤沈下が起きるんじゃないかとか振動対策、大気汚染、そういうふうな具体的なものはまだ出てきておらないんですか。
  32. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) それらについては、この説明の中で問題ないということを具体的に御説明するものと聞いております。
  33. 西野康雄

    西野康雄君 神戸市は安全に自信を持っておる、環境に対する調査も十分しておる、住民に納得してもらうようきちんと説明していくつもりだというふうなことなんですが、新聞記事には「排ガス問題に詳しい藤田敏夫・埼玉大学講師は、計画交通量七万八千台のうち、大型車が二〇%とすると、一日に排出されるNOxは約二百四十キロから二百七十キロになると試算。「最新式のフィルターを付ければ八〇%は取り除けるが、除去しきれなかった約四十八キロから五十四キロは、換気塔から吐き出されることになる。この量だと人体には影響ないが、酸性雨が付近の植物を枯らすなどの被害が出る可能性がある」と指摘している。」というふうなことで、神戸市は自信があると言いながら、片一方では学者の方はそうじゃないんだ、憩いの場である公園の植物を枯らしたりするんだというふうなことなんですね。そこの矛盾があるわけですよね。  だから、住民の皆さんはそういう意味において憩いの場に換気塔というふうなこと、神戸市はもううちは自信がある、片一方はそんなことはないんだよというふうなことで来るわけなんですね。そこの部分がぶつかっておるというふうなことですな。片一方の埋め立て部分のところもそうなんですね。ちょっと強気過ぎはしないだろうかというふうな、それこそ私もう体を張ってでも阻止するんですというふうな人まで出てくるわけなんですね。せっかくの道路案がいろんなところで住民とぶつかり合っているというふうなことで、ですから不信感みたいなものがもう出てきておりますから、その辺のことをきっちりと神戸市の方なりに御指導を願いたいと思うんですね。  埋め立てのときでもああっといきなり来て、港湾局だとか農政局だとかに電話してももうその人はおりません、局長はおりません、今係の者がおりませんというふうなことで住民がまた怒っているわけですね。そういうふうなことでは決してよい結果というのは生まれないと思いますので、その辺の御指導をひとつよろしくお願いしたいと思います。  次は、高速道路上の安全対策、救急だとかそういうふうな問題に移りたいと思います。 つい先ごろ、愛知県岡崎市の高速道路上で化学薬品を積んだタンクローリーが横転をいたしまして毒ガスが発生した事故がありました。警察ですらガスマスクを用意して現場に立ち入ったのが三十時間後かと思います。テレビを見ておったら、レポーターですか、もう涙をぼろぼろ流しながら声も出ないというふうな状況で現場から中継をしておりました。もう町の中でもそうですけれども、あの化学薬品を積んだタンクローリーというのがどんどんより多く走るんじゃないだろうかと思うわけです。高速道路上で事故を起こす可能性というのはますます増加すると予想できるわけですが、道路局は各インターチェンジにこのような事故が発生したときの諸設備というんですか、そういうものを配置すべきだと思います。その辺の対策はどうなんでしょうか。まず道路局に、そして阪神道路公団公団でそのようなことについて対策をなさっておられるのか、ちょっとお伺いいたします。
  34. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) それでは、建設省としてお答えをいたします。  確かに今回、東名における愛知県岡崎市の高速道路上で不幸な出来事が起きました。実は私ども、これはこのときだけではなくてその前にも、平成三年にもトルエンの廃油等々が散乱したことがあります。あるいはトリエクノールが路上に流出したような不幸な経験も持っております。そういうことで、危険物の取り扱いに関しましては消防法及び毒物及び劇物取締法等の諸法令と私どもとが一緒になって、こういう法令によって規制されていることを受けまして、一般の問題としてはまず水底トンネルあるいは水際トンネルあるいは長大トンネル、長さが非常に長いもの、一応今のところは五キロになっておりますが、こういうものについてはやはり交通の危険を防止するあるいは道路構造保全する、こういうことから危険物積載車両の通行を禁止ないしは制限をいたしております。こういった危険物の種類、輸送量とも非常に多岐にわたっております。したがって、発生時の対応ができるような体制を整えることは正直なところ言って容易なことではないわけでございますが、そういう意味で私どもは一義的には危険物輸送車の積載輸送方法、搬送方法の安全対策、これについて強くお願いしますということで求めているところでございます。  しかし、私ども道路管理者といたしましても、当然のことながら事故発生時の非常電話といったような事後の問題について警察、消防を初めとして連絡体制をきちっとする、こういったことは当然のことでございますから、そういうものはやらせていただいております。特に、高速国道における危険物流出事故の対応について処理方法のマニュアル、危険物の性状、応急措置方法、緊急時の連絡先等を記したデータシートというものをつくっております。ここで、空気呼吸器あるいは防毒マスク、砂、石灰、油吸着剤などを公団パトロールカー、交通管制室、管理事務所等には配置させておりまして、それぞれが適切な処理に当たるというような仕組みをとっております。  このデータシート、これをつくるまでに非常な苦労をいたしたわけでございますが、平成三年の二月に学識経験者、関係省庁、業界そして私ども道路管理者とで構成される危険物輸送に関する連絡会、こういうところで二百八十四品目の危険物を挙げまして、それの特性、性状、事故発生時にはどういうふうな処理をしたらいいか、それから処理剤は何をやったらいいか、その処理剤を持っている保有会社はどういう会社があるのか、その連絡先ほどうだ、こういったものを明記したマニュアルをつくっております。この前の東名のクロロピクリンの流出事故に際しても、このデータシートをもとに中和剤の保有会社に連絡をとったと聞いております。  しかし、先生指摘のように、やはり時間がかかったというようなこともありますので、このデータシートをベースにしながら一層時間を速くして、社会的影響が少なくなるようにその方策を今後とも検討させていただきたいと思っております。こういう貴重な不幸な経験でございますので、この経験は何とか今後にさらに生かさなきゃいけませんし、それとあわせてできるだけ安全な車でもって運んでもらいたいということを一層私どももお願いしたいので、先生方もよろしくお願いいたします。
  35. 吉野毅

    参考人(吉野毅君) 公団におきましては、高速道路上において事故が発生いたしました場合、非常電話による通報ないしは監視テレビ等によりましてその事実を認知するわけでございますが、認知をいたしまして専用電話等によりまして警察、消防等の関係機関にできるだけ迅速に連絡する体制を整えでございます。公団といたしましては、これらの諸機関の活動が円滑、迅速に行われますように交通誘導、交通整理等に努めておるところでございます。  御指摘の危険物輸送車の事故対策につきましては、公団といたしましても、建設省の御指導も得つつ、沿線自治体の消防本部との連携を強化して今後とも万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  36. 西野康雄

    西野康雄君 こういう事故というのは頻繁に起こらないからつい緩みがちになるというんですかね、そのマニュアルだとかそんなものを各関係施設に置いていても、それは救急隊なら救急隊の心得一つなんでしょうけれども、なかなかマニュアルはマニュアルでほったらかしというふうなことが多うございます。だからこそ、こういう事故が起きたときに非常にもたつくのだろうと思います。  そういうふうなもたつきのないようにふだんからいろいろと訓練の方お願いしたいと思いますが、救急のことについて聞く前に、大体今阪神高速道路公団管内で最新の五年間ほどで結構ですけれども事故件数、死亡件数、ふえているのか減っているのか、その辺についてちょっとお伺いいたします。
  37. 吉野毅

    参考人(吉野毅君) 阪神高速道路におきます事故発生状況につきまして最新五年間のトレンドと申しますか趨勢、傾向を見てまいりますと、通行台数の伸びに比例をいたしまして増加傾向が続いておりましたが、平成二年度をピークにして横ばいないしやや減少という傾向でございます。  ちなみに平成四年度におきます事故発生件数を申し上げますと、七千四百十件でございました。対前年度の比較で申し上げますと、七十五件マイナスでございます。率で一%のマイナスでございます。そのうち人身事故が六百二十二件でございます。対前年の比較で申し上げますと四十三件のマイナス、率で申し上げますと六・五%の減少でございます。なお、平成四年度におきましては十一名の方が事故によりお亡くなりになっておりますが、対前年マイナス十一人、率にいたしますとマイナス五〇%というのが最新の事故の傾向でございます。
  38. 西野康雄

    西野康雄君 ドリンカー曲線というのがございます。ドリンカーという博士が救急でどれぐらい早く着いたら人命を救助できるか、三分、五分、十分というふうに時間を区切る、そういう中でやっぱり四分以内ならば即死以外は大体救うことができるというふうなことが結果としてわかっておるわけでございます。  さりながら、本当に今救急車の到着時間、病院への搬送等をいろいろ考えますと、そういうふうな理想的な部分まで、四分以内だとかそういうふうなことはなかなかできません。最初の応急措置が四分というふうなことですけれども、これもなかなかできません。救急隊を各ジャンクションだとかインターの入口だとか常設させるというんですかね、そういうふうなことも考えるべきじゃないだろうかな、そんな気がするわけですが、阪神高速道路公団ではそのようなことをお考えでしょうか。
  39. 吉野毅

    参考人(吉野毅君) 高速道路上の事故に当たりまして、負傷者等の速やかな救助が極めて大事であるというのは先生指摘のとおりでございまして、私どももそのような認識をいたしてございます。  先生も御案内のとおり、阪神高速道路につきましては大体平均約二キロ置きに出入路が設置をされております。さらには、沿線の自治体におきます救急体制が大変整備をされております。そういったことにかんがみまして、公団と各自治体の間で協定を締結いたしまして、救助活動の迅速、円滑化を確保しているところでございます。  やや具体的に申し上げますと、公団交通管制センターと各消防本部の間に専用電話回線を設置いたしまして緊急車の緊急出動を要請するとともに、公団におきましては交通の誘導等を的確に行うことによりまして、救急活動が迅速に行われるような支援に当たっておるわけでございます。今、先生到着時間等のお話もございましたが、やや高速道路上というような制約もございまして、実績、現状を申し上げますと、平成四年度におきまして救急車の出動回数は六百二十六回でございました。現場到着所要時間平均は八分ということでございます。この時間をできるだけ短縮するように今後とも努めてまいりたいと思っております。  当公団といたしましても、今後とも関係機関との連携を一層強化いたしまして、都市高速道路安全対策、救急医療対策の強化に努めてまいる所存でございます。
  40. 西野康雄

    西野康雄君 ヘリコプターだとかそういうふうな最新鋭のものもいろいろと導入なさって、できるだけ人命が損なわれないように御努力を願いたいと思います。  これで私の質問を終えさせていただきます。
  41. 会田長栄

    会田長栄君 会田であります。おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、幾つか質問させていただきます。  まず一つは、阪神高速道路道路整備の現況を見ますと、基本計画延長は二百四十キロ、整備計画延長は百三十七キロ、四年度末供用延長は百五十八キロ、達成率六六%、こうなっています。大阪中心として兵庫、和歌山に通じるいわゆる大阪近郊の交通ネットワークというのは、基本計画整備計画もそして事業も大変着実に伸びているようであります。そこで、なぜ大阪京都間の整備がおくれているのか。これは私どもにすれば今日の交通渋滞を緩和する、流通業務というものを活性化させる、非常にいいかなとこう思う反面、確かにこの背景なり事情というようなものがあるんだと思います。  そこで、特別の事情や背景というものは京都大阪間の関係でおありなのかどうか、その点まず第一に聞かせていただきたい、こう思います。
  42. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 先生既に御案内のとおりでございます。  昭和三十年代、日本の経済というのは大変な成長を遂げてきたわけでございます。そういう過程で、大阪神戸、そしてそれらの間の地域につきましては、大きな工業地帯の形成と経済社会の中心ということで発展を見てまいっておりまして、これに伴いまして都市化、市街化が進んでまいったわけでございます。そういたしますと当然交通というものが大きく成長してまいりますので、昭和三十七年に阪神高速道路公団がこういった地域におきます大量の交通というものを円滑そして効率的に処理するということで設立を見てまいったわけでございます。  そこで、昨今の状況を見てまいりますと、大阪京都の間におきましても、とりわけ四十年代の後半からと申し上げていいと思いますけれども、この地域におきます人口が二・四倍に、昭和六十年との比較を申し上げてございますけれども、ふえてまいっております。交通状況もふえてまいっております。こういった状況で今般法律の改正をお願い申し上げておるわけでございますけれども、その他の地域につきまして、もちろんこれからの経済社会の発展の状況、今予測できる限りではないわけでありますけれども、そういった状況を踏まえてこれから、仮にでありますけれども、必要があれば検討するということもないとは申せないと思うわけでございます。
  43. 会田長栄

    会田長栄君 そうすると、第十一次の道路整備五カ年計画京都大阪高速道路というのは実施に移されるのか、その点です。
  44. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 現在私から申し上げますのは、ちょっと先ほどの答弁、言葉が足りなかったかと存じますので申し上げさせていただきますけれども大阪京都の間におきまして昨今大変な交通需要が増大をしている。これに対処をするためにこの間におきまして、阪神高速道路公団において高速によります自動車専用道路、こういったものの整備が必要であろうというふうに考えまして、今般の法律改正をお願い申し上げているという意味でございます。  さて、ただいま先生が仰せられました十一次の五カ年の計画の中で一体どうなるのかというお話でございます。阪神間のことはともかくといたしまして、大阪京都の間の交通増大のことを申し上げました。そしてこの間の交通につきましては、昭和五十六年度から建設省京都府、京都市等が協力をいたしまして、都市高速道路ネットワークの検討を今日まで進めてまいったわけでございます。六十年三月には、京都市におきまして基本計画が策定されております。その中で、京都高速道路網の必要性が指摘をされてございます。  もう一つ圏域を広げまして近畿圏全体の立場からどうかということを見てまいりますと、六十三年二月でございますけれども近畿圏基本整備計画が策定をされまして、京都高速道路、京阪連絡道路について調査を進め事業化を図るということがうたわれておるわけでございます。  そしてもう一度もとへ戻りまして細かく見てまいりますと、六十二年八月でございますけれども京都市域の中の高速道路のうち新十条通り、山科区の西野山桜ノ馬場町から伏見区深草西川原町まで二・八キロにつきまして、既に都市計画決定がなされております。そしてまた、ことし三月十六日でございますけれども京都高速道路、約二十キロで構成される計画でございますけれど も、そのうち新十条通りを除きまして四つの路線、十七キロの区間につきまして都市計画の決定がなされ、地方公共団体、地元としての意思がここに確立をしているわけでございます。  こういったことで、次第に京都高速道路計画が具体化して事業化に向けての条件が整ってきてまいっておりますので、第十一次の五カ年の初年度に当たります平成五年度から事業を進めていくように、予算の面におきまして所要経費を計上させていただいているところでございます。
  45. 会田長栄

    会田長栄君 私、先ほど短く申し上げましたけれども、例えば大阪神戸間の湾岸道路にしろ、あるいは大阪兵庫をつなぐ内陸の高速道路にしろ、あるいは湾岸と内陸を走る高速道路の連絡網にしろ、大変緻密に計画が進められているんですね。そういう意味からいうと、京都大阪がなぜこの都市間高速道というものと関連をして連携が今日までおくれていたのか、と言えば語弊がありますよ、ある人に言わせれば高速道路はできない方がいい、こう言う人もあるんだから。しかし、私から言わせれば、なぜこのように立ちおくれると言ったのでは語弊があるんですかね、おくれていたんですかと。  そういう背景なり特別の事情があったらばその点は聞かせてください、なかったらそれなりの意見もありますから聞かせてください、こう言ったんです。そこのところ、ちょっと関連して率直に聞かせてください。
  46. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 京都市内におきまして、そしてその周辺部、それから京都大阪の間におきまして、自動車の交通が大変増大をしている。そして幹線道路におきまして、現在慢性的な交通渋滞が発生している状況にあります。そして、それに伴いまして活力ある都市活動にさわりとなっているというような状況にあるわけでございます。このために、大量の自動車交通に円滑、効率的に対処するために都市高速道路のネットワークの形成が必要であるというふうに考えまして、昭和五十六年度から各機関がこぞりまして今日まで検討を進めてまいったわけでございます。  その間、六十年三月でございますけれども京都市の基本計画の中で、京都市自体がそういった高速道路網の必要性というものを掲げてございます。そしてまた、六十三年の二月に近畿圏基本整備計画におきまして、先ほど申し上げましたとおり調査を進め事業化を図るということをうたわれておるわけでございます。そして、具体には都市計画の決定の過程を通じまして新十条通り、六十二年八月、そして残る四つの路線につきまして平成五年の三月、都市計画決定という形で意思が明らかにされたということを申し上げました。そしてまたこれに先立ちまして、平成四年の十月でございますけれども、市の議会あるいは府の議会におきまして、早期に京都高速道路整備につきましてこれを促進する、事業化するということにつきまして意見書が出されておるところでございます。  こういったことで、京都におきまして大阪神戸と一体となりました高速道路網の整備を早く図るということが昨今の必要な状況になっているわけでございます。
  47. 会田長栄

    会田長栄君 はいそうですかと言ってしまえばこれで済むんですけれども、これは名古屋いわゆる中部、近畿、その中間ですからね、京都というのは。したがって、この高速道路網というのは中間地点でありますから、それは建設省から言わせれば大変必要頻度というのは高い。にもかかわらず京都大阪がおくれていたのには、それなりの背景があると見ている。  例えば、京都府あるいは京都市あるいは議会、こういったところで建設省の方針というものを素直に議論して進めることに、いわゆる京都の文化というものを守っていくためにもやはり高速道路は要らないんだというような考え方があって今日まで来たのか、何らそういう理由なしに今日まで手をつけずにいたのか、その点率直に聞きたいと言ったんですよ。あるいは結論から言うと、普通高速道路をつくるあるいはダムをつくる、空港をつくる、いろいろ言っても必ず住民の反対が出るんですね。今また出ているでしょう、湾岸道路で。だから、そういうことがおくれた主要な原因だったんですかということを率直に聞いているわけ。それは全く関係ないの。
  48. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども昭和四十年代の後半ぐらいから急激に都市化、それに伴って交通状況が悪くなってきたというようなことを申し上げました。そういったことを踏まえて、昭和五十六年からでございますけれども、国もその検討会に加わりましたけれども、この地域におきます交通の処理のあり方につきまして検討を進めてきたところでございます。それが今日の京都高速に関する道路網といたしまして手続をした、こういうことであろうかと思います。
  49. 会田長栄

    会田長栄君 それじゃ、具体的に聞きます。  この高速道路建設問題について、京都府議会あるいは京都市議会はどういう態度を表明しているんですか。
  50. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、昨年の十月、市、区それぞれ議会におきまして、その整備の促進あるいはまた早期事業化につきまして意思決定がなされております用意見書というものがまとめられております。
  51. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、反対運動ってないの。何となく反対運動なんていう言葉を使いたくないみたいだけれども、反対運動ってないの。
  52. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) このプロジェクトの内容につきましては重ねて申し上げる必要もないわけでございますけれども京都市におきましては都市計画の決定に先立ちまして、また都市計画の決定の手続の過程等を通じまして、京都高速道路建設につきましてその必要性、そしてまた計画の内答を御説明理解を求めてまいったわけでございます。その過程で、都市計画の決定の手続の過程で反対の御意見をお持ちの方がいらっしゃったことは事実でございます。
  53. 会田長栄

    会田長栄君 そうすると、その反対の声は昭和四十年代から五十年代にはありましたけれども、今日ではそういう声というのは建設省には聞こえてきませんと、そういうことね。
  54. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) そういうことではございませんで、申し上げましたとおり、ことしの三月十六日に新十条通りを除きます十七キロの区間につきまして都市計画の決定がなされました。その都市計画の決定の手続の過程におきまして反対の御意見をお持ちの方がいらっしゃるということを私ども報告を受け、承知をしておるわけでございます。
  55. 会田長栄

    会田長栄君 まあ京都市民のこの高速道路を通る地域の人たちの中に、高速道路は要らないと言って反対運動があった、今もあるということがよくわかりました。  そこでこの人たちの声というのは、本当にこの交通渋滞高速道路をつくっても緩和されないという意見の主張なんですか。
  56. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 私どもが報告を受けておりますところによりますと、主な反対される方々意見内容理由でございますけれども環境に関すること、つまり高速道路建設に伴います環境に関することがございます。総合的な環境の悪化、大気の汚染にかかわるといったような件でございます。それから、地元関係者の方々に対する説明がまだ十分でないというような種類の御意見でございます。
  57. 会田長栄

    会田長栄君 もちろん、もう一つ常にこの種の問題が出てくると反対の理由になるのは、高速道路優先なのかいわゆる街路などの生活道路優先なのかというのは常に議論になっているんですね。したがって、この高速道路を通過する地域の人たちの反対意見の主なるものというのは、実は街路等の生活道路整備がおくれているからそれを優先させて、高速道路は後に回してもいいんではないかという御意見なんですか。そこをひとつ聞かせてください。
  58. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 私どもが聞いております都市計画の決定に関連いたしましての関係者の中からの御意見の中では、計画案に賛成をするという方々の御意見も例えば聴取している中で件数で申しますと二千七百三十三件聞いております。それから計画案に反対であると、先ほどその理由の主たるものを申し上げましたが、反対の方々の件数というのが四千七百九十五件ありますというふうに報告を受けております。そういう中で、高速道路の必要性ももちろん理解をされているわけでもございます。  それから一方、先生仰せられますとおり、街路都市の市民の方々が生活する上で身近な生活道路としての街路の必要性につきましても背景としてあったかというふうに思いますが、具体の数字で私ども承知はしてないわけでございます。
  59. 会田長栄

    会田長栄君 それじゃ率直にお伺いしますが、京都市の街路等の生活道路整備状況というのはどのようになってますか。
  60. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 全国的に爆発する自動車による交通需要の状況にございますので、全国で都市内に道路整備しよう、街路整備してほしいという声は大変強いわけでございます。  京都市におきまして、既に必要であろうというふうに都市計画決定されております街路整備のうち完了しているもの、平成三年度末におきまして約五八%弱というような状況にございます。全国的に見てまいりますと四五%にも達しないような状況でございます。
  61. 会田長栄

    会田長栄君 これは地方の人たちにとっては高速道路を一日も早く敷いてくれ、早く着工してくれ、早く供用させてくれという声がもう大きいんですね。しかし、そこは意外と進まない。都市高速道路は、何としても交通渋滞を緩和させていきたい、早くつくりたいつくりたいと言うがなかなかできない、こういう矛盾を持った状況に今あるんですね。だから、その意味ではぜひこれは京都市の当局とよく相談をしながら、何としてもこれは整備地域住民に納得していただけるように、最大の誠意を払ってほしいということを申し上げておきます。  最後でありますが、この問題について。  どうも中部から近畿に入るところ、京都というところは盆地でありますから、周りが山。したがって、高速道路トンネルが多い。こういうことにかかわりまして、これは道路公団建設省道路局長でありますけれども地下構造安全対策というのは万全なんですか。ひとつその点を聞かせてください。
  62. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 私ども道路構造について万全という概念はありません。常にそのときの最大の安全を確保する、こういうことでございますから、きょうまた新しい情報が得られればそれに応じてよりよくしていく、これが基本姿勢でございます。  そういう意味で、現在私どもが持っておる高速道路にいたしましても、道路公団にいたしましても、阪神、首都道路公団等々のこういう安全についての基準等は、現在得られている情報をもとにできるだけ現実にできるものをベースに安全の対策を講じております。そういうものが、それぞれ設計基準であり管理基準等々の内容になっております。  特に、例えば東京湾横断道路とか、あるいは首都高では中央環状線とか、今回の京都高速道路のようにかなりの地下構造物がこれから延長として出てまいります。そうなりますと、今まで得られてきた単なる地下構造物の安全という概念だけで本当にいいかどうか、これもさらに見直していかなきゃいけない、こういう時期にも来ていると思います。したがって、私ども今回道路構造令の見直しということも含めた道路構造のあり方の議論をさせていただいておりますが、実はこれもそういう意味の安全というものを道路構造でどう取り込むか。  一つの例を申し上げますと、第二東名の場合には、一車線と同じぐらいの幅広い路肩をとらしていただきました。これなどはスピードが高いから何かあったときに側方に余裕を十分とりたいということから生み出した極めて今までにない大胆な設計をするわけでございますが、こういったようなことを含めまして、先生指摘基準、安全確保については具体的に今後とも詰めさせていただきたいと思います。
  63. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。  それでは、これに関連いたしまして第十一次道路整備五カ年計画についてこれからお伺いをしていきます。  その第一は、予算案が成立をしてこの第十一次五カ年計画というものはいつ閣議決定されるのか、明らかにしてほしい。
  64. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 私ども道路整備緊急措置法の御審議をいただきまして、先生方の御理解のもとに御承認をいただきました。本当にありがとうございました。  これらのいわゆる国会における御審議をいただきましたので、これをベースにこれからいよいよ具体的な内容のもう一度再度のチェックをしながら閣議決定をさせていただきたいと思っております。閣議了解という状況までは至っておるわけでございますが、そこで従来第十次の例をもって申し上げますと、十次は五月の末でございました。したがって、今回もこの国会の審議等々のそういういろんな状況といいますか、こういうこともあろうかと思いますが、私ども夏までの間にはなるべく早く閣議決定までさせていただきたいと思って、そういう努力をしたいと思っております。  しかし、閣議決定がなされる間におきましても、その内容について私どもは五カ年計画の御説明を申し上げたときに言いましたけれども、弾力的に五カ年計画内容は見させてください、よりよいものがあれば従来考えていたものであっても取りかえるなどの弾力性を持った執行をさせていただきたい、こういうふうに申し上げておりますので、そういう意味でこれからもこの五カ年計画閣議決定をすると同時に一層弾力的な物の見方をしながら執行させていただきたいと思っております。
  65. 会田長栄

    会田長栄君 第十次五カ年計画の実績を見ますと、これはもうお互い御承知だと思いますが、一般道路事業では一般国道の改良分は八六%、一般国道の舗装では八五・九%、地方道の改良分は九〇・四%、地方道の舗装は八二%、高規格幹線道路では、高速自動車国道九七・八%、本州四国連絡道路一〇〇%、一般国道。では一〇二・五%というように進んでいます。都市高速道路では首都高速が九二・五%、阪神高速が一番低くて七五・二%、指定都市高速道路では一三八・八%と、こういう実績になっております。  そこで、第十一次道路整備五カ年計画の基本方針というのは、改めて聞きますが、要点を絞って教えてください。
  66. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 今までも申し上げましたが、ごくかいつまんで申し上げますと、私どもやはり世の中の背景が高齢者の社会に向けて今急がなければいけないそういう交通手段、これを非常に重視したいと思います。それが私どもの生活者のためのという一つの大きな柱でございますいわゆる歩道であるとか、あるいは生活に密着したいろいろなコミュニティー道路とか、こういったようなものがそこから出てくるわけでございます。  さらに、いわゆる地域活性化ということが一極集中是正の対案、反対側としてどうしても必要でございます。そうなりますと、今こそそういう基盤を早くつくっておかなきゃいけないということから地域活性化という大きな柱が出てまいりますので、高規格幹線道路の供用スピードを年間四百キロを目標に、今までの倍増というような目標を持ちながらこれからやっていく。しかし、それだけでは強い地方圏はつくれませんから、地域高規格道路、それに合わせたいろいろな地域道路網をいろいろな法律もつくっていただいております。今回奥産道路というものもお認めいただいております。こういったものを含めて地域道路網をつくっていく。それと同時に、これからつくるものは二重投資はできません。非常に厳しい財政事情の中で豊かな基盤をつくるわけでございますから、環境とかそういったようなものを特に重視しなければなりません。そういう意味を含めまして、環境重視ということを考えたいと思っております。  そういうことで、私ども女性の社会への進出そして高齢者あるいは国際化等々の、あるいは道路だけで解決しないためのあらゆる交通手段を連携させた社会の構造、こういったものを全部前提に置きまして一つ一つの整備目標をつくっております。したがって、第十次と第十一次の整備副標の違いは、今までは国道の改良率何%、舗装率何%、地方道は何%とこういうことでございましたが、今回の十一次の目標は、そういう道路種別というよりもその用途に応じた目標を掲げさせていただいております。そういうことで、その用途というものをどういうふうに見るか、通勤圏の三十分通勤圏でカバーできるような地域をどのぐらいふやすかとか、こういったような発想をこの十一次の中には入れておりますので、地域計画地域の今後の努力と私どもの二人三脚が今後の十一次五計の成否を担っていると思っております。
  67. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、ここで二つお尋ねいたします。  一つは、この高速道路に関連をして通常一般的に、予定路線として採択されて、調査に入って基本計画をして整備計画をして供用までの間、一般的にですよ、路線として採択されて何年ぐらいが一体めどなんですか。
  68. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 非常に難しい御質問ですが、大胆にお答えいたします。  いわゆる国土開発幹線自動車道建設法という法律に基づいて、予定路線として今一万一千五百二十キロが採択されました。これは全部予定路線でございますが、その中から基本計画を出します。この基本計画を出すときには、当然のことながら大まかではございますがその地域における社会的、経済的な必要性、必然性、そして大まかではございますが採算性等もある程度頭に入れて検討いたします。そしてある程度ハードな、例えばトンネルでここは抜くのかな、本当に通すルートはあるのかなといったようなハードなチェックもいたします。そういう調査が終わるのが通常ですと数年はかかります。ですから、二ないし三年が一番早いケースでございます。場合によって五年、非常に大トンネルなどを持ったり非常に険しい山岳地で崩落するようなところですと十年かかるところもありますけれども、三年ないし五年というのが普通だろうと思います。  そして基本計画が出ますと、当然のことながら今度は都市計画決定ないしアセスメントをやる手順がその間に入って、整備計画を出すわけでございます。しかし、そのアセスメントや都市計画が終わったから整備計画を出すわけではなくて、整備計画というのは事業を実施する前提で出すわけでございますから、当然ながらその地域における熟度、その道路網を使って地域活性化あるいは地域交通需要のためにどうしてもそこが早く必要であるという意味の必要性の熟度が上がらなければなりません。そういう社会的、経済的な効果とそれから我々の道路計画の調査の熟度が上がった場合にアセスメントを行い、整備計画を出していただくように審議会にお願いするわけでございます。これが通常の場合、三年前後が早いケースでございます。  そして、整備計画が出ますと次に今度は施行命令というものを出します。この施行命令を出すまでの間は何をやるかというと、これはもう千分の一の図面で本当に幅ぐいを打ったり中心ぐいを打ったり、それから用地価格を設定したり、トンネルの坑口はどこだ、ミカン山はだめだからミカン山のこっち側にしようといったような細かいところまで入れた、そういう前提の調査をやります。そして、これならできるなというところで施行命令が出せるわけでございます。施行命令を出してから足踏みするようじゃ何で施行命令出したか意味がありませんから、その間が実は重要でございます。そこで私どもは基本計画の段階で、整備計画の段階でも常に施行命令を出す段階のことまで考えでできるだけ問題点を少なくする、そういう調査をしていただくように今指導をいたしております。そうすることによって、せっかく整備計画が出たら後はなるべく早く施行命令が出せて事業化できるような、そういう手順に来るように考えておりますので、よろしくお願いします。  そこで、整備計画ができてから供用までに何年かといいますと、おおむね普通の場合ですと十年というふうに国会では答弁をさせていただいております。なぜ十年と言うかというと、ハードな部分はこれは工事をやる、これは技術が進歩していますから比較的早いんです。ですから、これが六年とか七年とか、トンネルがあってもそのぐらいでできる場合が出てきているわけです。しかし、用地買収になりますと、人間を相手の工事でございますからとってもそんなわけにいきません。したがって、その前の段階での地元における御協力、先生方の御指導いかんによってスピードが速くなるか遅くなるかは決まるということでございます。
  69. 会田長栄

    会田長栄君 よくわかりました。私の地方なんというのは別にそんな反対意見なんというのはありませんから、そこは念を押しておきます。まあ大体十年だとこういうことでありますから、その点ひとつ私も踏まえて今後対応していきたい、こう思いますからその点よろしくお願いしておきたい、こう思います。  そこで、これと関連をして今局長がおっしゃった中に、今言い古されている言葉というのは、この高速道路建設については採算のとれないところは少しずつしかやらないんだという話になっているんだよ。今の話と違うんだ。総括的には出ていますよ、局長の言葉の中に。しかし、これ地方の者にとったら、せっかく高速道路路線が採択されて基本計画ができて今進んでいるんだけれども、一般的に十年だとこう国会では答えていますと、こう言うんだけれども、この採算のとれないところというのは、実はその次の質問にかかわるわけなんですけれども、これは均衡ある国土の発展を目指すというのが今日本の重要な施策の一つになっているんですね。  そういう意味からいうと、高速道路もこれまた採算性だけを今の熟度で判断してはいけないんじゃないかという意見を持っているんです、私は。それは高速道路ですから入り口から途中まで出ればそれで完成ということはありませんから、当然路線の完成を目指すということにくるわけでしょうから、この点につきまして採算のとれないところはちっとずつしかやらないんだ、こういう気持ちを国民が持っているということについては、そうではないんだと、その点の見解を聞かせてください。
  70. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 採算が悪いところを通常の整備手法、従来から道路公団がやってまいりました資金コスト六・五%でやる、これでは事業採択はできません。そこで、私ども一万四千キロの高規格幹線道路をつくった際は採算というものの考え方では日本の円満なといいますかバランスのとれた多極分散型の国土はできない、そこを前提にして一万四千キロの計画をつくったわけでございますから、採算性という視点だけでの道路網の考え方はその時点で捨てております。  ではどうするかということでございますから、当然のことながら整備手法についていろいろな工夫をしなければならない。公的助成も地方を含めていろいろと協力をいただかなければならないだろう。それから、プール制の堅持ということも今後ともお願いしなければならないだろう。さらに、その他いろいろな工夫を整備手法において考えていかなきゃいけないだろう。その際に、私ども昨年の道路審議会の答申におきまして、いわゆる公的助成から始まりまして、いわゆる償還制度の運用改善、それから暫定二車線の工夫等々いろいろな角度からの御指摘もいただいております。そういうものを踏まえまして、地域状況に合った整備手法を導入いたしまして、採算がとれる状態に公共事業の手法も導入した上で、有料道路制度を入れて全国津々浦々国民の負担が同じになるように、そういう状態にして使っていただくような、そういう高速道路のネットワークをつくらざるを得ないだろう、かように考えております。  したがって、私ども採算でそこをおくらせるというのではなくて、そこに合った整備手法を考え出すということをしていきたいと思っております。
  71. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。  それでは端的に、またかと言われるかもしれませんけれども、常磐高速道路の予定路線、決まって何年過ぎましたか。
  72. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 常磐自動車道は、いわき四倉までがいわゆる昭和四十一年に七千六百キロで決められた道路でございます。そして、いわき四倉から仙台までの間は昭和六十二年に新たに加わった部分でございます。したがって、いわゆる昭和四十一年に決められた路線はすべて供用を、一部いわき中央といわき四倉の間はまだこの十一次五計の中で完成する予定になっておりますけれども、それを除いて大体常磐道は従来の四十一年の路線は完成いたしました。  問題は六十二年に決めた新たな部分でございますが、この部分については従来は国道六号のバイパスとしてつくるつもりでおりました。これが本当のところでございます。しかし、よく考えれば仙台における湾岸道路とさらに三陸縦貫自動車道という三陸のいわゆる対策、これを含めた太平洋岸における高速道路網を一本通すことによって東北道と常磐道という複軸の高速道路網ができる、そういう視点から高規格幹線道路網に格上げしてつくった方がいいだろうということで、六十二年に入れたわけでございます。  したがって、当時の調査の内容は一般国道というレベルでの調査の内容でございましたので、もう一回調査をし直さなきゃいけない。ということは、ルートを変えなきゃいけない。一般国道ですと平面街路的につくりますから町に近くてよかったんです。高速高規格になりますと、かなりアクセスコントロールしますからルートも山側に移すとかいったような、そうなると観光の問題も含めてルートの調査の結果を新たに加えなきゃいけないということもありまして、我々は急がなきゃいけないということは十分承知はしておりますが、足踏みじゃなくて一生懸命着実に調査を進めて事業化をすべく準備をいたしておる、こういうふうにお答えいたしたいと思います。
  73. 会田長栄

    会田長栄君 いや、ちょっと時間がかかり過ぎるものですから、これは毎たび御指摘していた方がいいなと。通常予定路線となって十年過ぎれば供用が開始されるとこう言うものですから、余りにも時間がたち過ぎるので改めて聞いたわけです。  例えば、では福島県の相馬から秋田まで行く東北中央自動車道というのは、予定路線としては調査されていて、もう既にある一画は供用されているでしょう。これは第十一次でどの程度まで一体進むんですか。
  74. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 東北中央自動車道、これも六十二年に初めて入った路線でございます。これも国道十二号沿いが奥州街道として非常に大きな集積地を持ちながら高規格なネットワークがないということから、強い地元の御要請、御努力と私どもの調査とでこういうネットワークをつくったわけでございますが、二百六十キロございます。そのうち全体の一〇%におよそ相当する二十七キロが今現在整備計画区間でございます。そこで、これは十一次五計期間内に事業に着手をいたします。しかし、着手するわけでございますから五計内には完成をいたしません。特に上山-東根間二十七キロは私どもできるだけ急ぎますけれども、やはりおおむね十年内の中でできるだけ早くつくっていきたいと思っております。  その他、福島-米沢間、高畠-上山市間、東根―尾花沢間はいずれも、合計八十キロですが、基本計画区間でございます。これは整備計画を出すための準備を今急いでやっておりますので、着実な調査の結果が得られつつございます。  さらに、予定路線の区間が相馬市と福島市間、いわゆる阿武隈の開発地域を通るルートでございますが、これと米沢市と高畠町区間、尾花沢市と横手市間、これがまだ予定路線の区間でございます。これについては基本計画を出すべく準備をしておりまして、特に十三号の栗子トンネルに相当するこの福島市―米沢市間の大きなトンネルを加えた区間、ここがこのルートの最大の難所だと思いますので、ここについては私どもなるべく早く技術的な調査が先行しなきゃいけませんので、重点を置いて調査をしている次第でございます。
  75. 会田長栄

    会田長栄君 先ほど一言申し上げたんですが、均衡ある国土発展といえばもう一つの視点は地方道の問題です。そういう意味では、これは地方道も当然五カ年計画の中ではウエートを占めて整備をしていくということがわかりました。  したがって、ここで一つだけ、前回、地方の住民から国道昇格運動というのは全国的に三百路線ありましたと。前回は百八十路線を認めましたと。残りはいつごろまでにめど出るんですかということを最後に聞かせてください。
  76. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 国道昇格、去るこの四月一日、本年の四月一日に正式に国道になりました。昨年国道昇格をさせていただきまして、一年後に施行令が、政令の施行が発効いたしたわけでございます。この四月一日でございます。まだ国道になったばかりでございますから、私どもは今昇格した国道整備にまず当たりたいと思っております。  しかし、全体の延長が私ども国道網として今現在、多極分散型の国土という四全総の社会を前提とすれば、七万キロぐらいは必要だというふうにおおむね考えております。そういたしますと、現在この昇格した段階で五万三百十四キロでございますから、約二万キロほどこれから指定していかなきゃいけないということでございます。そこで、私どもが言う地域高規格道路網といったような新たな地域のネットワークの勉強を今させていただいております。こういうものの勉強の中から幹線道路網の将来構想というものを整理して、そしていわゆる地域のネットワークの整備上そういう必要があるという段階が来ましたら、指定という声はあるいは出ると思います。  従来の例で申しますと、前回は十年目にやらせていただきました。前々回は大体おおむね五、六年というところでございました。したがって、今後この新たな国道昇格をするかどうかはこの五、六年から十年というのが過去の例でして、まあそういうものを一つの参考にしながら今後のネットワークの評価の中で決めるものだろうと思っております。
  77. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 先生からいろいろ御質問をいただいている行政側の答弁はまあ今のような答弁に尽きてしまうわけでありますが、私は政治家としていろいろ地方の方から陳情をいただく中で、どちらかというと交通量の少ない地域方々の陳情というのが非常に多い。ぜひ高速道路をつくってほしいという要望が非常に強いわけでございます。しかし一方では、第二の国鉄にならないような有料道路制度というものはどうするべきなのかということ、一つの大きな問題としてこれから考えなければならないという問題も一方にあるわけでございます。  そうしたものを考えていくときに、整備手法等につきまして一般公共道路工事の整備手法をとったりしながらも、やっていきながらも、それが根本的な解決になるとは残念ながら期待できないわけでございますので、こういった機会に今後有料道路制度というものがどういう形で発展していくものか、そこに課題は何なのかという問題につきまして、建設省といたしましても将来にわたって課題を整理して、そして国会の御議論をいただきながら、こういった問題が将来に禍根を残さないような制度として定着できるように努力をしていかなければならない、このように考えて今建設省の担当者にその向きで指示をしておりますので、また意見がまとまりましたらば国会に御報告をさせていただきたい、このように考えております。
  78. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。  これで終わります。
  79. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  80. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、会田長栄君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。     ―――――――――――――
  81. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 休憩前に引き続き、阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 大阪中心とする関西は、来年開港予定の関西国際新空港を初めとして、関西文化学術研究都市それから明石海峡ルートの建設などの三大プロジェクトや大阪湾ベイエリアの開発などの地域開発が目覚ましく進んでいるのが現状であります。  人の体に例えれば、東京は日本の頭脳であって、大阪中心とする関西は心臓部である、このようなことが言えるかと思います。阪神高速道路はまさに関西の動脈であり、西日本経済の活性化を支えているわけであります。  今回の改正に当たり、阪高の基本的役割を見直しながら質問を進めてまいりたいと思います。  この改正案によると、京都市に初めて都市高速道路建設されるということとなったわけですが、人口百四十万を有する都市に今まで都市高速道路計画がなかったということは、それなりの理由があったのかと思います。京都より人口が少ない福岡であるとか、あるいは北九州では既に高速道路公社が設立されまして、昭和五十五年度から供用されているわけです。これに対して、京都にこれまで都市高速道路をつくらなかった理由はどういうところにあるのか。また、今日に至ってどのような状況変化があって法改正につながったのか。この辺に関して大臣並びに都市局長からで結構でございますが、御答弁をいただければと思います。
  83. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 京都の市域におきます道路交通現状について申し上げさせていただきたいと思います。  まず、通勤、通学、人の移動につきまして自動車交通を利用されている方々というのが約二六%、自動車が分担をしております。それからまた、日常生活を支えます生鮮食料品を初め物資の輸送につきまして自動車を使ってというのが九五%あるわけでございます。また、自動車の保有台数につきましても、昭和五十五年三十八万台、平成二年約五十三万台ということで、この十一年間におきまして一・四倍に拡大がされておるわけでございます。こういったことで、京都市そして周辺地域におきまして自動車の利用というのが大変急増しておるわけでございまして、この結果、自動車交通の増によります道路混雑というものが大変高まってきておるわけでございます。  例えば、東西方向というものについて見てまいりますと、東山の断面、国道一号線等におきましては一・七六という混雑度でございます。桂川の断面、西側の方におきましても一・七二というような状況にございます。このような最近におきます急激な自動車交通の需要の増が発生しております上に、あわせて京都大阪間におきましても人口等が密集をしてまいりまして、交通の需要の増が大変強まっております。  そういったことで、全体この圏域を合わせました自動車交通の需要の増に対しまして、円滑に、そして効率的に処理をするために都市高速道路整備というものを計画をいたしておるわけでございます。  今日まで、もちろん阪神高速道路公団は三十七年に設立以来、大阪そして神戸の圏域におきまして交通処理をしてまいったわけでございますが、昨今の状況を見ますと、昭和四十年代の後半と申し上げてございますけれども、急激な自動車の増が大阪京都の間におきましても発生をしてまいっておるわけでございます。そういうことで、こういった交通処理のために計画をさせていただきます。そのために今般、法律を改正いたしまして業務の範囲を京都地域にまで拡大をさせていただくようにお願いを申し上げておるところでございます。
  84. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 若干後半の方を補足させていただきます。  いわゆる都市高速道路、これをつくる際には公団による都市高速道路と地方道路公社による指定都市高速道路、名古屋などはこの指定高速道路整備をいたしております。しかし、そのいずれも都市計画決定が要件になっております。京都市の場合、都市局長からの御答弁もありましたけれども、五十六年度に近畿地区幹線道路協議会においていろいろとこの近畿地域幹線道路網の勉強をやってまいりました。  その結果、いわゆる全国的なネットワーク、全国的な自動車の動き、それから近畿地域における動き、そして近畿圏いわゆる大阪圏と京都圏はもう既に市街地を通じて一体化しているのが現状でございますから、そういう意味都市としての都市交通といいますか、そういう意味の流れ、こういったものを含めどのような道路網がどういう形で必要か、こういうような勉強をずっとしてきたわけでございます。  そこで、六十年度の京都市基本計画において、京都においても自動車専用道路網が必要である、それを高速道路網と言っているわけですけれども、そういう必要性が位置づけられました。そして、これを踏まえまして大阪京都都市計画決定については、平成三年度から地元において都市計画の素案の説明が開始されて、五年の三月十六日に決定がなされた、こういう流れになるわけです。こういった京都都市圏と大阪神戸都市圏、この地域は全部つながった都市圏でございますから、一体化した形での都市交通というものをどのようにさばくか、こういうところから、実はこの都市高速公団法によって整備することが適切であって、一つの地域だけに限定されて機能しているような地方道路公社よりもいい、こういうことから今回この都市高速道路公団法によって行われたというふうに理解をいたしております。  そこで、私どもはこういうものを今までも勉強してきたわけですが、今までの阪神高速道路が言ってみればすべての道路を、例えば全国的な交通網あるいは近畿圏の中の関西地区交通網、そしてその地域における都市交通として三つの種類の性格の車がみんな阪神高速に乗っかっていて、それが大きなスプロール化を起こしているわけです。それをそれぞれ分けることによって、交通の問題においても、環境の問題においても、地域活性化のためにも非常に有用であるということから、今回このような形をとらせていただいていると理解いたしております。
  85. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 大変お二方丁重な御答弁でありがたいのですが、限られた時間でありますので、しかも私は都市高速道路をつくらなかった理由は云々ということをむしろお聞きしているわけです。この質問の角度は、つくった理由じゃないわけで、その点をひとつ踏まえた上での簡潔な、明快な御答弁をいただければと、このように思います。  それで、京都高速道路をつくる理由の一つとして、京都市内交通渋滞による都市機能の低下を挙げておるわけです。それでは、この京都市においてこれまでどのような渋滞対策を行ってきたのか。その成果が上がっていない理由はどこにあったのかという問題。またあわせて伺っておきますが、京都市はこの流布法による流通業務市街地の整備対象都市になっているわけですが、基本方針が作成されていないということは一体どういうわけなのか、この辺をお答えいただきたいと思います。
  86. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) それでは、まず交通渋滞の方のお答えをいたします。  私どもいわゆる交通渋滞緊急実行計画というものをつくっております。その中で、いわゆる渋滞交差点の改良、隘路区間の部分拡幅等のボトルネック解消をやっているわけですが、基本的にはいわゆる環状道路といいますか、通過交通を排除するネットワークの整備を考えているわけです。京都の場合、京都第二外環、これを平成元年度より整備を行っておりまして、特に久御山町から大山崎町間の五・九キロについて重点的に整備を進めて、この平成四年度より用地買収に着手しております。この第二京都外環は京滋バイパスと合わせますと滋賀県からぐるりと京都を回っていく大きな環状的な役割も果たす、こういったものもあります。  さらに、平成元年一月に京都都市渋滞対策緊急実行計画も策定いたしております。その内容として、国道一号の久世橋通り交差点において平成元年度に右折レーンの延長に着手、完了しているほか、百七十一号の石原交差点においても元年度から左右折のレーンの設置とか、これも五年度には完了しますし、さらに名神自動車道の京都南インターチェンジの出口ランプの増設、改良、その他地下鉄東西線の整備の協力といったようなことで、それぞれこの渋滞計画に応じた対策京都市ともどもやらせていただいております。
  87. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 流通業務団地の件のお尋ねでございました。先生仰せられますとおり、この流通業務市街地の整備に関する法律と申しますのは、流通機能というものを都市機能の中の一つとしてとらまえまして、流通機能の向上と同時に道路交通の円滑化に資するということを大きく一つ目的として持っておるわけでございます。  そこで、現在の法律におきましては、主務大臣がその道路混雑状況、あるいはまた流通業務施設の立地の状況等を勘案いたしまして都市のまず指定を行っております。仰せのとおり、大都市として京都は指定を昭和四十五年十月の政令で行われているわけでございます。そこで京都市につきまして、基本方針ということで、具体的に流通業務地区の数とか、位置とか、規模、機能等々につきまして決めてまいっていくわけでございます。もとよりそういう過程におきまして、主務大臣地元状況をつぶさに伺いまして、いろいろ相談をしながら基本方針を決めていくことになるわけでございますけれども、一般論になりますが、京都におきましてこの基本方針が決められていない理由というのは幾つかあろうかと思います。  まず一つは、その流通業務地区につきまして、具体の構想というものがまだ京都で詰まっていなかったということであろうかと思います。それから二つ目に、流通業務地区と申しますと、どうしてもトラックターミナル、あるいはまた倉庫、卸売市場というようないろいろな施設を設置することになりますので、相当規模以上の面積になってまいります。そうしますと、大規模な用地、適地を確保するというのがなかなか難しいというようなことであろうかと思います。  こういった一般論であろうかと思いますが、今回この国会に御提案を申し上げまして法律の改正をお願い申し上げておりますとおり、基本方針を今後知事が策定をするということでございます。地域の実情を知事が積極的に判断をしていただきまして、この基本方針を定めて団地を形成していただく、それによって混雑の緩和というものに資していただければというふうに思います。  聞いているところによりますと、平成四年まちづくり審議会の答申等におきまして、南部の地域に高度の情報機能とか商業、業務、流通機能といったような、いろいろな機能を備えた施設をというような構想もあるようでございます。これから積極的に京都の方で取り組んでいただけるように私どもも御相談を申し上げていきたいというふうに思います。
  88. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 都市内の交通渋滞という問題ですが、これは第一義的には、その都市中心とする地方公共団体の努力によって解決すべきものである。もしこの有料道路を採用するということであれば、事業主体として地方道路公社を設立するという方法が考えられるのではないか。  今回の改正で阪神道路公団に対する国の出資率ですが、現状の三・七九%から四・九%に引き上げられることとしておりますけれども、これはコスト負担とか、あるいは開発利益の分配という面から当然検討されなければならないと思うわけです。この阪神公団は国が出資する法人であって、国が関与すべき理由がなければならないというふうに思いますが、京都都市高速をつくることによって、それでは国民全体としてどのようなメリットがあるのか、この辺をちょっとお答えをいただきたい。
  89. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 私どもがこの法律でお願いを申し上げておりますとおり、京都におきまして、阪神高速道路公団高速道路整備の業務を実施させていただくように考えているわけでございます。これはもとより国と地方が密接な連携を保って仕事をしていこうということであるわけでございます。  振り返りますと、大阪神戸京都は日本の経済、社会、文化の中心的な地域といたしまして、国全体の発展を引っ張っていく枢要な都市圏を形成しているわけでございます。そこで、都市高速道路整備は、国の中枢となります大都市圏の発展になるというだけではなくて、全国的な視野から高速自動車国道ネットワーク等と連携をしながら、国全体、大都市圏の物流、人の移動も含めますが、交流機会増大するということで、国土の均衡ある発展にも資するということになってくると思います。大変大きな集中的な投資を伴うわけでございますので、今後連携を保ちながらしっかりと進めさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  90. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 原則として道路公団都市間の高速道路、それから阪神公団都市内の高速道路整備という役割分担があるわけなんですが、実際この京都大阪間を連絡するところの第二京阪ですね、第二京阪道路道路公団建設主体となって事業が行われているわけです。これに対して今回の改正案では、阪神高速道路京都まで延伸することになりますけれども、これではこの両公団のそれぞれの業務の役割分担が非常にあいまいになってくるのじゃないかと思いますが、この点に関してどのように考えておられるのか。
  91. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) この京都大阪間には大きい道路としては名神高速道路、第二名神高速道路、そして先生おっしゃる第二京阪道路、そして京都大阪線、こういうふうに四つの大きな幹線があります。あと国道の一号線がございます。  それで、この名神及び第二名神は国幹道という形で道路公団が事業を行います。それから第二京阪道路、三十キロございますけれども、これは京滋バイパスと一緒になって広域的な幹線道路機能を有し、関西空港へもこれらを通じて京都側から行く、そういう性格の道路でございますので、道路公団にそれを分担させて、自動車専用道路として事業をやっております。  ところが一方、京都大阪線は、京都大阪間に多くの都市活動が市街地が連檐することによって行われております。小さな都市内トリップもあります。そういうものに対する小まめな機能を発揮する、そういうもので特に淀川右岸に連檐する高槻市、茨木市、摂津市等、こういったものの交通を円滑化する機能を有しております。  そういう意味で、こういった路線については都市高速道路という形でこれを整備し、それぞれの機能に応じて利用者に使っていただくことが適切なネットワークの機能を果たす、こういうことで整備を考えております。
  92. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 現在、この名神高速道路の拡幅工事が行われているわけですが、第二京阪も整備中という状態です。さらに、この第二名神の計画があって、これらのことを考え合わせますと、阪神公団京都大阪間の道路整備するということはどうもむだな投資になるような可能性というのですか、そんなふうに感じてならないわけですけれども、ここではそうではないのだという御答弁をひとつ重ねていただきたいと思います。
  93. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 現在、平成二年度におきまして大阪京都間の断面交通が約二十五万三千台、昭和四十六年の十三万五千台に比べて一・八七倍になっております。これは遠くから来る車もその地域のローカルな車も入ったものがこの二十五万三千台、これに相当するものが今後二〇一〇年に向けて約三十五万台になるというふうに予測をされております。  そういたしますと、その中の先ほど申しましたように、その市街地内、その都市圏の中で動く車と、それからロングトリップで動く車、こういうものを量的に整理いたしますと、やはり高速道路という、第二名神高速道路というような性格の道路と、それから京都大阪線という性格の道路を必要とするということを私ども分析した結果得ておりますので、このような計画を持ったわけでございます。
  94. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 去る六日に出された行革審の中間報告によりますと、特殊法人等の「改革の方向」として、「同種類似の役割、機能を担う事業を、複数の事業体が実施している場合には、必要に応じ、事業の総合性の確保、効率的な実施等の観点から統合等を図る」、こんなふうになっておりますが、いわゆるこの道路公団もその検討対象になっているのではないかと思われます。この当該公団を初めとして、建設省もヒアリングを受けていると思いますが、この事業対象の違う公団の統合の可能性、その是非、それから民営化への支障点などを説明していると思いますけれども、どのような点が問題なのか、今現在御答弁できる範囲で結構ですから、御説明をいただきたいと思います。
  95. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) まず、高規格幹線道路網、これは全国的なネットワークを構成するものでございますから、道路の性格は高速自動車国道または一般国道でございます。これは全国的な道路網でございますから、国としてみずから責任を持って整備すべきということで、道路公団を設立し、今現在やっていただいております。それに対して、一つの都市圏の中におけるネットワーク、これについては本来、その道路網は東京で言えば都道、あるいは近畿においては府道ないし市道等々地方道でございます。  そこで、こういう路線の性格が違いますが、しかしその事業規模が大きい、しかも国家的立場においてもその影響が大きいということから、国も出資をいたしまして、地域も出資をいたしまして、その二つの両方の特徴を生かした形の経営主体ということで首都ないし阪神の公団をつくっていただいて整備をしている、そういう性格のものでございます。したがって、この両方がそれぞれ対象とするものとその特色が違いますので、これらを組み合わせるというよりも、それぞれの特色を生かすという形でやることが望ましいということを行政改革当局にも御説明をいたしておるわけでございます。  そして、民営化という問題に対しましても、道路はいわゆる採算をとるという、言ってみれば本来全部ただでつくるべきものを財源がないために料金という形で整備をせざるを得ない、こういう現状でございますので、いわゆる収益を上げる、JRとかその他民鉄とかいったような収益を上げる事業と違いまして、本来収益というのはないわけでございます。採算期間、償還期間内で全部その収益がゼロになる、こういう性格でございますから、民営事業にはなじまない。しかし、民営としてのサービスというものは利用者にとってみればサービスが一番肝心でございますから、サービスを提供するという意味では民営的な感覚でこれを経営していくということを私どもさらに強く今後も指導していきたい。そういうことで両方のよさを持ちながらやっていく、こういうふうに理解をしております。
  96. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 この改正案では、公団目的及び業務の範囲として、新たに京都市の区域のうち、大阪市及び神戸市と自然的経済的社会的に密接な関係がある地域を追加することとしておりますけれども、なぜこの大阪市や神戸市と同様に京都市の全域を対象としないのか、またこのことは公団の名称を京阪神高速道路公団としないことと関係があるのかどうか、この辺はどうですか。
  97. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 先生案内のとおり、京都市の地勢を見てまいりますと、市域の三分の二は山間地域でございます。市の人口の九九%が居住します市街化区域と申しますのは、全域面積で約二五%、そして市の南方、南の方に一団となってまとまって形成をされております。そのために、京都市におきましては、市の全域において都市高速道路整備する必要があるものではないわけでございますので、大阪市、京都市の区域と密接な関係があるこれらの区域等を阪神高速道路公団の業務地域の範囲と考えておるわけでございます。  そうなりますと、改正後の公団法の業務地域中心は相変わらず大阪市そして神戸市でございまして、京都市は一部にやはり限られているという理解をしてよろしいものと思います。そうなりますと当然、名称につきましても現在のままでよろしいのではないかというふうに思います。そしてまた、三十七年設立以来、この名称は地域に既に親しまれ定着しているという理解もさせていただいてよろしいのじゃないかと考えております。
  98. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 一応了解はしておきたいと思います。  この京都都市高速道路、これは五年度の予算に着工準備費が計上された新十条通りを含めて、五路線計画されていると聞いておりますが、この五路線延長約二十キロの路線の決め方ですが、どのような理由で決めたのか。  項目別にちょっと申し上げてみたいと思いますが、十字形に近い路線京都交通効果的と判断をしたのか、あるいは大阪神戸と自然的経済的社会的に密接な関係を有する部分を結んだ結果このようなルートになったのか、その他何か別の理由があるのか。さらにもう一つだけ伺いますが、この中で新十条通りを優先して建設するのはどういうわけか、この辺のことについてお答えをいただければと思います。
  99. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) まず、私から前段の件について申し上げさせていただきます。  京都高速道路につきましては、昭和五十六年度から建設省京都府、京都市とが協力をいたしまして検討を進めてまいりました。そして、京都市内交通特性、土地利用、成熟した町並みの調和等を考慮いたしまして計画が図られてまいっておるわけでございます。また、京都大阪を結ぶ京阪連絡道路によりまして大阪と連絡する計画となっておるわけでございます。現在、京阪連絡道路につきましては、ルート、構造等について調査を進めておるところでございます。  そこで、京都高速道路自体は、京都市内渋滞の抜本的対策となるということ、それから京都市で計画されております京都南部地域開発の基盤施設というふうになりますとともに、JRを間に挟みまして南部地域と旧市街地を緊密に一体的に連絡することから、京都市の均衡ある発展に資することができるようになること、それから地下構造によりまして、既に成熟しております町並みとの調和を図っていこうということができることといったようなことで、現在計画として考えているところにたどり着いておるわけでございます。
  100. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) さらに、ちょっと交通の処理との問題でお答えさせていただきますと、京都市に入ってくる自動車の交通流動の通過交通が、大体九・四%が京都市に関係のない車が京都市を経過して出ていっております。こういうものを市内に入れないで自動車専用道路網で巧みに誘導していく、こういう効果も私どもは一つ考えております。  そういう意味で、特に例を挙げますと新十条通りをなぜ急いだのかと言えば、一般国道の一号線の混雑度が二・二であるとか、府道の四ノ宮四ツ塚線の混雑度が一・九五であるとか、非常に交通混雑の著しい路線、これを何とか解決しなきゃいけない。さらに、この周辺において一緒になって整備されることになる西野山大宅線とか鴨川東岸線等との一体的な事業を進めることが有効であるといったような地域利用との関係、こういったようなことを考えて、今後その地域との京都市内へのアクセスでもって混乱させないということを含めながら、今後路線の重点的な計画を立てさせていただきたいと思っております。
  101. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 時間の関係でちょっと割愛して次に進んでしまいますが、今後この事業範囲が京都市に拡大する際、道路の拡幅や補修あるいは延長工事などでさまざまな工事が行われることになると思いますけれども、それに伴って発生する交通渋滞であるとか迂回のためのロス、それから騒音、振動、粉じん等による地域住民への影響というのは極めて大きなものがあると思います。これら工事のあり方についても十分な事前の検討が必要であると思いますが、例えば代替路の確保によって短期集中の全面通行どめ工事などは、これは期間が縮小されて道路利用者への影響も少ないように聞いております用地域住民の生活への影響を考えると、新たな延長工事などではどのような対策を講ずる用意があるのか、また工事の実施内容とその効果、こういったものについて十分に情報を周知させる活動を行う用意があるかどうか、この辺のこともちょっと触れておきたいと思います。
  102. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) これは当然しなければいけない問題だと思っております。  まず本計画においては、もう環境影響評価を行い、そしてこういう景観の土地に、京都市という古都につくるわけでございますから、シビックデザイン等の発想も入れながら、これを計画立てるわけでございますが、その実施に当たりましては布やその地域と御相談いたしまして、いわゆる工法の場合にも騒音規制法とか振動規制法に基づく基準を守れるような、例えばくい打ち機一つとるにしても工法、機種の選定、あるいはほこりが立たないように散水をするというような、それを伴った工法をとるとか、あるいはそういう場合についても地域住民の生活に配慮するという点から、工事内容については事前に説明会を開き、またよく看板等でそういう説明を出すわけでございますから、そういったいろんなことを、我々が今までいろんな地域で経験してきた中で一番地元住民に評判のいいというか、わかっていただけるような手法をこういう場合には駆使しながら、十分御理解、御協力いただけるように指導していきたいと思っております。
  103. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 それでは、もう二、三分しかありませんので、大臣に最後にできればお伺いしたいと思います。  近年の傾向として大都市においては自動車保有量の増加率が上昇傾向にある、逆に交通量そのものの増加率というものは頭打ち傾向にある、こんなふうに言われておりますが、これは渋滞によって自動車の利便性が失われてきているからそういうことになるのであろう、こう考えますけれども都市高速道路が完成すればそれらの潜在的需要が表面化してくることも十分想定されるわけです。  それで、首都高の例を見てもわかりますように、交通量が当初の予測を上回って増加してしまって、渋滞解消するためにまた新たに道路整備の必要が生じてくるというのでは、これは全くもうイタチごっこの道路行政ということの繰り返しになってしまうのじゃないかと私は思います。  欧米の車先進国では、都市環境を守るために従来の車依存型の生活様式を改めようといろんな角度から努力をしているのを聞いておりますが、例えば都心部への車乗り入れを規制するために、都市の外周部、そういったところに大規模駐車場を設けて都市内は公共輸送機関をさらに充実させている、こういう場面が見られます。この高速道路の必要性そのものは否定しませんけれども、しかしそれだけではこの渋滞解消というものは恐らく無理だろうというふうに考えます。  最後のところで大臣にお伺いしたかったことは、ただ今回のこの十一次道路五計で交通需要マネジメントやあるいはモーダルミックス、こういったものを推進しようとしていることは事実なんですが、そこで京都において、東京とか大阪における交通政策の反省に立って、それで欧米の先進都市の手法というものをいち早く導入して渋滞解消することこそ、世界に誇れる都市になれるのじゃないだろうか、二十一世紀における京都の役割として期待されるのじゃないだろうかというふうに私は思いますけれども、最後にこういったことに関して大臣のお考えを伺って終わりたいと思います。
  104. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 御指摘をいただきました交通渋滞対策について、解消のために従来は都市部を通過する交通を排除する、あるいはバイパスをつくる、こういった環状道路等の道路のネットワークの整備が最も重要であるということで進めてきたわけでございますが、先生から御指摘をいただきましたようなモーダルミックスというものは、各種交通機関との連携を図りながら進めていくということは当然今後やっていかなければならない必要な課題である、このように考えております。  また同時に、従来のようなハードの政策ばかりではなく、地域住民のニーズにこたえられるようなソフトな新交通渋滞対策というものも考えていかなければならない。具体的に交通需要マネジメントとして、利用の仕方の工夫としての輸送効率の向上、人と物とあわせてカーフール等の相乗り促進あるいはロジスティックの高度化、物流拠点の整備等、そのほかに交通需要の時間的な平準化としてフレックスタイムの導入あるいは時差出勤、休日の分散等、こうしたものを網羅しながら新渋滞対策プログラムというものを整備していくことが、京都において過去の問題を解消しながら進めていくための政策になるのではなかろうか、このように考えておりますので、先生の御意見も十分参考にして進めさせていただきたい、このように考えております。
  105. 山田勇

    ○山田勇君 今回の法改正趣旨は、京都大阪間において増大する道路交通需要及び京都市における著しい交通渋滞などに対応した都市高速道路整備を行うため、阪神高速道路公団の業務地域を拡大しようとするものであります。  すなわち、大阪京都間の交通需要増、また交通渋滞の緩和のために、阪神高速大阪京都線を設けていこうということですが、都市内部に高速道路を設けると、その利便性が新たな車の需要を呼び込み、やがてはさらに渋滞がひどくなる、これに対応して高速道路網をさらに整備しなければならない、道路建設と車のイタチごっこが始まることが指摘されておりますが、その場合、特に高速道路へのアクセス道路が不十分でありますと、高速道路そのものの渋滞ばかりではなく、それにつながる市内の一般道路にまで渋滞が生じてしまうことになりかねません。  今回の法改正では、そのような事態が生じる心配はないのかどうか、今後の同地域交通需要をどのように見込み、またアクセス道路計画が並行して十分整備されていくのか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  106. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 京都は、空港とか港湾といったようなものを持たないわけでございますので、こういったことを考えますと、現在でも人の交通が約二六%、物資、生活必需品を運びます約九五%、これが自動車によりまして運搬されております。この機能はますます高まってくると思います。そういったことに伴いまして、先生仰せのとおり交通渋滞というものが生まれてまいってくると思いますが、こういったものに対処するために京都高速道路計画がこのたび都市計画で決定をされておるわけでございます。  都市計画で決定するに当たりましては、将来の人口、土地利用等を勘案をいたしまして予測をいたしました将来交通量をベースに策定をされておるわけでございますが、将来の自動車交通量に効率的に対応ができるというふうに考えておるところでございます。  京都市内におきましては、既に都市計画決定されております街路、一般の平面の街路都市計画の決定をなされてございます。その整備が完了いたしましたものは、平成三年度末で約五八%弱というような状況にございます。今後ともこの街路整備を積極的に進めていくということが、先生仰せのとおり、必要であるわけでございます。特に、都市内の高速道路整備とあわせまして総合的な交通網の体系整備が必要であるわけでございますので、この計画いたしております京都高速道路に密接関連をいたします都市計画道路西野山大宅線、鴨川東岸線、十条通り等の整備につきまして進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 山田勇

    ○山田勇君 今回、阪神高速の業務地域として加えられる京都市は、我が国の中でも特に歴史的遺産の豊富なところであります。しかも、これらの遺産は、一たび失うことがあれば二度と手に入れることのできないようなかけがえのないものが多く、国内、国外の観光客が毎年多数訪れる国際的にも貴重な財産であります。この地域はそういった特殊性を有する地域であり、今回の法改正に基づく道路建設によって歴史的に価値のある古都の景観が損なわれるようなことはないのかどうか、また歴史的建造物などの保存に支障はないのかどうか、こういった点についての対策、また景観を損なわない担保といいましょうか、保証といいましょうか、そういうことはお考えになっておられますかどうかお伺いいたします。
  108. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 京都市におきましては、伝統と創造の調和した町づくりというものを目指しまして、昨年、平成四年四月九日でございますけれども、まちづくり審議会から答申を得て、これに沿いまして今後土地利用そして景観対策を進めていくというお考えのように承っております。  この答申の中では、先生仰せになられましたけれども、北部周辺地域を自然・歴史的景観保全地域、それから中部の地域を調和を基調とする都市再生地域、そして南部につきましては新しい都市機能集積地域として色分けをいたしまして、京都高速道路はこのうちの中部の地域、そして南部の地域に位置をすることになるわけでございます。  具体には、十条以北の成熟した市街地に位置します堀川線西大路線につきましては地下構造というふうに考えております。それから、新十条通りにつきましては、山岳区間のためにトンネル構造ということになってございます。そこで、京都市の歴史的な遺産に与える影響というものはほとんどないというふうに考えられるわけでございます。  それから、具体の事業実施に向けまして、景観、デザインに関する専門家、関係機関から成ります委員会を設けまして、良好な都市景観の形成とか歴史的な景観の保全に資するように具体に検討をしていくというふうに承っているところでございます。
  109. 山田勇

    ○山田勇君 この道路建設に当たりましては、歴史的遺産に対する配慮のみならず沿線住民への配慮も十分になされているか、この点も重要なことは言うまでもありません。今回の京都大阪線に関しては、騒音排気ガスなど住民対策はどうなっておりますか、また環境への影響評価の問題など万全であるかどうかお答えください。  また、この計画では京都市の地下高速道路は相当長いもので、地下での事故が発生した場合非常に危険な状況も想定されますが、その対策についてもお答えをいただきたいと思います。
  110. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) 京都高速道路都市計画決定に際しまして、住民方々の御意見を具体の計画を縦覧する過程でお伺いする、あるいはその都市計画審議会にお諮りをする前にいろいろ御説明をし御意見を承るというような手続を京都市の方で今日まで実施してきたというふうに承っております。  具体的に、先生仰せられました環境のことでさらに申し上げてまいりますと、昭和五十九年、建設省事務次官通達で建設省所管事業に係る環境影響評価実施要綱というものを定めて今日まで重要な事業についてアセスメントを実施しておりますけれども京都高速道路都市計画決定に際しまして、この実施要綱に基づきまして大気の汚染、騒音等九つの項目につきまして適切な環境影響評価が実施をされてございます。その結果、必要に応じて環境保全対策を行うことによりまして各環境保全目標を満足できるという結論を得ておるわけでございます。この件につきましては、平成五年二月十日でございますが、環境庁に対しまして建設省からも意見の照会を行いまして、三月十二日に回答を得ておりますけれども環境影響評価の結果につきましては別段問題はないというふうに考えております。  このようなことで、建設省といたしましては、京都高速道路計画推進するに当たりまして良好な環境形成に配慮を十分加えてまいりたいというふうに考えております。
  111. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) 先ほどトンネルのお話がございましたが、確かに堀川線西大路線、新十条通り、合わせまして十・五キロ、全体の延長の五三%がトンネル構造でございます。したがって、道路構造令その他の基準によりまして通常の安全性を保つのに加えまして、阪神高速道路公団設定基準が昨年の一月に改定されておりますので、それに基づきまして種々の通報警報装置、消火装置あるいは避難路誘導システム、その他給水栓、ラジオ再放送といったようないろいろな施設を設置することにいたしております。その際、特に五百メートル以上のトンネルでは、やはり一番大事なのは非常電話ですぐ通報するということ、あるいは押しボタン式電話がなくても押しボタンですぐ通報できるということ、それからその警報がすぐに伝わるという意味での非常警報装置、それから消火器があればすぐにでもとりあえずの消火ができるという意味での消火器の設置等々、従来の経験を踏まえて整備することにしておりますし、避難通路についても検討することにいたしております。  ただ、そういうことだけでなくて、さらにその後の経験を経て、これはやった方がいいなということがもしあればやはり御検討いただきながら個々の地域に応じて一番ふさわしい計画設計をしてもらいたいと思っております。いずれにいたしましても、今後詳細設計の段階でいろんな工夫をしながら安全の確保には対応させていただきたいと思います。
  112. 山田勇

    ○山田勇君 一部地域住民の中で反対運動をなさっている方もおられます。その方たちの陳情も受けました。そういう中で十分に環境整備を図りながらこの高速道路をつくっていただきたいと思います。  僕は、個人的にと申しましょうか、この道路について大変期待をいたしております。余り触れられておりませんが、これは名神高速道路との関連からいきますと、いわゆる京都市内がスムーズに動くということが大変重要なことだと思います。  御承知のとおり、今の花見どきでありますと茨木インターぐらいまで渋滞をしております。ですから、京都市内に入るのに一時間四十分ぐらいかかります。我々通は、大阪人はもうこの時期には絶対に車では京都市内には入りません。新幹線を利用して京都駅前からタクシーに乗るというのが我々のやり方でありますのでも、知らない方たちは、茨木インターまで十何キロの渋滞が続きます。そうして、今局長が前の委員に御答弁なさいました、京都南インターの入り口の拡充、拡張と言われたことをちょっと覚えているんですが、僕は大変結構なことだと思います。これによりまして市内の相当渋滞が緩和されますとスムーズに京都市内を抜けていけるんではないか、余分な排気ガスもかえって市内では出ないんではないかという期待感もあることも事実であります。我々は名神を利用して、もう南が込むと山科まで行きますのでも、それも山科から今度は市内に入ってくるのが大変混雑をいたしております。そういう意味では期待をできる道路ではないかなとは思いますが、先ほど来十分申し上げていますとおり、地域環境整備を図りながら、地域住民意見も十分聞きながらこの高速道路をつくっていっていただきたいと思います。  次に、現在の阪神高速の問題について少しお尋ねをいたします。  阪神高速は、私たち大阪に住む者にとってはなくてはならないものであります。しかし、区間によっては毎日ひどい渋滞が続いております。大阪の言葉で、上を通るか、いや下の方を行こかというのが一つの言葉になっております。これは会話になるわけであります、上行こうか下行こうかと。タクシーに乗っても、上行きまひょか下行きまひょかとかいうことがよく言われます。これは、止すなわち高速道路は込むので下の一般道路を走った方が速いんではないかということで、高速道路が低速道路では庶民感情としてはちょっと許されないものがあります。  一体、この阪神高速の渋滞現状は、やむを得ない、手のつけられない状況なのか、年々改善されているのか、今後どのような対応をしていく考えか、阪神高速道路公団の方にお尋ねをしておきます。
  113. 吉野毅

    参考人(吉野毅君) お答えを申し上げます。  阪神高速道路におきましては、ただいま御指摘のございましたように、近年道路容量を超えます交通需要あるいは交通事故等を原因とする渋滞が発生してございます。渋滞の発生状況は改善しつつあるのかどうかという御質問でございましたが、まことに残念でございますが、交通量の増加に伴いまして、上がり下がりはございますが、ほぼ右肩上がりで渋滞が増加をしておるというのが実情でございます。なお、昨年、平成四年度の状況を申し上げますと、大阪地域におきましてはほぼ対前年度と同じ〇・一%ぐらいの増加でございます。ただ神戸兵庫地区につきましては〇・六%の増ということでふえてございます。  この渋滞状況を原因別に見てまいりますと、大ざっぱに申し上げますと、自然渋滞が大体八割、事故渋滞、工事渋滞、それが大体それぞれ一割弱というのが現状でございます。したがいまして、当然私ども渋滞対策の重点も自然渋滞対策に置いておるわけでございます。  自然渋滞対策といたしまして、これは抜本的には、申し上げるまでもないことでございますが、現在事業中あるいは計画中のネットワークの整備をする、これが基本でございます。しかし、当面の対策といたしましては、混雑の激しい区間におきます出路の新設あるいは本線の一部拡幅等を進めでございます。それから同時に、道路情報板、所要時間表示板等の設置等によります道路情報サービスの提供の充実を図っておるところでございます。  ついでに申し上げておきたいと思いますが、事故渋滞対策といたしましては、これも言うまでもなく、事故の発生自体を防止することが最重点でございまして、そのためには交通警察との連携のもとに各種の交通安全対策を講じておりますが、不幸にして事故が発生した際には、事故車の早期排除に努めますとともに、ドライバーに対しまして事故情報を迅速に提供することによりまして交通の迂回、誘導を図っておるところでございます。  なお、工事渋滞対策といたしましては、全面通行どめをして短期間で集中的に補修工事をやる、あるいは補修工事中も車線規制を必要としないと申しますか、車両をオーバーパスさせながら補修工事を行ういわゆる立体式の路面補修車、私ども公団におきましてはミニウエーと称しておりますが、そういったものを開発、運用いたしまして工事渋滞の緩和に努めておるところでございます。
  114. 山田勇

    ○山田勇君 質問を残して時間が来ましたので、質問を終えます。  ありがとうございました。
  115. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この法改正の眼目は、京都の五条通り以南に五本の都市高速道路網を建設するというものなんですね。  午前中の審議、それから今も住民の反対問題について質問がありました。都市局長は余りはっきり言われなかったけれども、市民団体それから沿線住民のこの道路問題への非常に根強い激しい反対運動が起きております。京都道路問題連絡協議会、こういう組織までできています。去年の十月には京都高速道路を考える住民シンポジウムというのが開かれて約三百人集まったんですね。ここでは、あの有名な環境問題の研究者の大阪市立大学の宮本憲一教授、それから立命館大学の荒井教授、土井教授などがこの問題の問題点を非常に厳しく指摘しています。  ことしの二月に府の都計審が四路線について承認したんですけれども、この府の都計審に対する住民意見書四千七百九十五件、人数で一万四千三百二十二人で非常に強いということがこれを見てもわかるんですね。アセスの実測値でも、NO2について京都市の基準は国より厳しくて〇・〇二ppm、当面〇・〇四ppmというんだけれども京都市の基準を超えている状況なんです。ですから非常に大きな問題なんです。最大の問題は京阪間の自動車交通を大量に京都中心部に流入させるということにあります。  新聞を見ますと、これは二月六日の朝日ですけれども京都道路問題連絡協議会の事務局長中川さん、この方はタクシーの運転手歴六年で、だから道路交通事情をよく見てきている。彼はこう言っているそうであります。「計画は、街のまんなかに蛇口を取りつけて車の洪水を吐き出させるようなもの」だ、なぜ東京などの二の舞を京都でやらなきゃならぬのかと、そう嘆いています。東京は高速道路をやってある問題を解決しはしたけれども、二十五年たつと当初の計画よりはるかに多い自動車数になってもう非常に渋滞が激しくなっていることは御存じのとおりです。  富本教授が指摘しているんだが、都市の景観破壊では、日本橋なんというのはまたがれちゃってああいう状況になっているじゃないかということも言われています。これは「ねっとわーく京都」という雑誌です。「九二年十一月号 大型特集京都高速道路は必要か」と。これを読んでみると、おもしろいのがあるんですね。宮本教授が言っているんですけれども、「有名な話ですが、大阪市の都市計画局長が辞任するときに、自分は戦後の大阪の復興のためにずいぶんいいことをやってきた、ただひとつ残念な失敗は高速道路をつくったことだと」、そう言ったというんですね。ですから、いいものと思ってつくっても、自動車交通の当時予測できなかった非常に複雑な問題が起きるためにさまざまな問題が生まれているわけですね。  そこで、それを古都京都に今度は持ってこようというところに非常に大きな問題があります。七〇年にユネスコが京都でシンポジウムを開きまして、「京都・奈良の都市計画における歴史的地域の保存と開発についての勧告」というのを出しています。この中には、「両都市の都城計画は中国と日本の歴史的産物であるが、現代の高速道路と他の公共事業によって乱されつつあることを考慮しこということを七〇年、もう二十年前に言っているわけです。  私ども京都の共産党も、府議会、市議会でこの問題の問題点を指摘してずっと市民団体や学者の方々とともに反対してきたんですね。我々だけじゃなくて、きょうここに持ってきたのは日経新聞の近編集委員の論説で、去年の八月二十六日の夕刊、「東京の愚繰り返すな 京都高速道路」というので書かれているんですね。「古都、新都にかかわらず、世界の車先進都市はインナーシティーに高速道路を持ち込むのは都市環境を著しく損なうとして八〇年代から敬遠するようになった。京都はこの教訓に学ばなければただの京都になるだろう。」ということで、東京の愚を繰り返すなということで警告されているんです。  私は、建設省がこういう問題点、重々承知の上で強行されようとしていると思うんですね。百歩譲ったとしても、建設省は環状道路など必要だと言っているんだが、そういう見解からいっても環状道路も未整備のまま京都という非常に大事な古都に都心に向かう高速道路建設するというやり方は、全くそういう教訓や問題点の指摘を無視したものだとしか私は思いません。  非常に関心が強くて、例えばきょう参議院でこれをやるというので、京都の本野という共産党の前の府議の方は、御自分が出した意見書を私のところへ送ってきましたよ。この人たちは実際にかなり市民と一緒に調査して、こういうものをつくらなくても久世橋通りのここのところはここをこう改善すれば渋滞は解決できるということを非常に具体的な積極的な見解まで意見書として出して、それを私のところに送ってくるというほどなんですね。  都市局長、これは非常に私は逆行する計画だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  116. 鹿島尚武

    政府委員鹿島尚武君) まず、今回計画をいたしておりますところの趣旨を申し上げればよろしいかというふうに思います。つまり、京都市域におきまして交通状況を考えてみますと、人の移動に約二六%、物の移動に約九五%車が使われております。そしてまた、皆さん車を保有されておりますけれども、その状況を見てまいりますと、昭和五十五年約三十八万台、平成二年約五十三万台、十年間とりましても約四割ふえているわけでございます。  こういった状況によりまして都市内の交通というものは大変渋滞をしている、混雑状況にあるということでございますし、都心外縁部の幹線道路中心といたしまして、特に慢性的な渋滞というようなことが出ておるわけでございます。つまり、面的にこの地域全体が慢性的な渋滞状況にある、まずこういうような理解をいたすわけでございます。  そこで、もとより京都市内交通の処理の面におきまして、ある特定の地域混雑しているということはもちろん私も認識をいたしております。そういう意味で、都市計画街路と申しますか、都市内の道路整備しなければいけない、この必要性につきまして何ら意見を異にするものではないわけでございます。  先ほど来申し上げてございますように、京都におきます都市計画道路整備状況都市計画決定をいたしまして、まだできてないものが多いわけでございます。整備状況が約五八%というような状況にございます。全国平均いたしますと四五%弱でございますので、全国に比べればやや進んでいるというふうに申してよろしいと思いますけれども、全国的にこうした都市におきます道路整備というものが必要であることについて、私もこれを急がなければいけないということは十分理解をいたしておるわけでございます。そういう中で、この慢性的な渋滞が面的に発生している、それが大阪京都の間、そして京都周辺を含めてというような広域的な問題の処理に相なるわけでございますので、こういった大量の交通を円滑に、そして効率的に処理するために都市高速道路というものを計画させていただいておるわけでございます。
  117. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設省広報誌、「建設月報」六月号に藤井道路局長が猪口邦子上智大教授と議論されている。なかなかこれを読むといいことを言われているんですね。藤井さん、いつも率直に物を言われるんで私たちもなかなか議論のしがいがあるんだけれども、今までの日本の道路というのは士農工商の道路で生活者がないと。歩きたくなる道をつくらなきゃならぬとか、優しい道づくりがいいとか、車社会から道社会と言われるように努力したいというのが最後の結論でね。そういうことを猪口さんとの対談になるとおっしゃりながら、いざつくるとなると、これは都市局の管轄かもしれぬけれども、全然生活者のにおいもしない道路京都に引っ張ろうとするというのは、道路局長のこの座談会と違うというだけじゃなくて、私は国際的な都市交通問題、それの研究の累積や趨勢から見てもおくれているんじゃないかと思うんですね。  国会図書館から、全部は読まないけれども、有名な本を少し借りてきたんです。この分厚い本は非常に有名な本で、マンフォード「歴史の都市、明日の都市」、よく引用される言葉として、「現今、都市を破壊するいちばんの普通の効果的な手段は、都心の中へ多車線高速道路、とくに高架高速道路をもちこむことである」と。ボストンの写真なんかありますけれども、ボストンはこの高速道路地下に後で埋めたそうですがね。そういうふうに都市破壊の最も効果的な手段が高架の高速道路だということをマンフォード氏も述べている。  それから、これはイギリスの有名なブキャナンレポートですけれども、これは卓越した能力を持っていたと言われるマープルという交通大臣がいて、その人が下級の官吏だったブキャナン氏の本を読んで感心して、抜てきして、チームのキャップにして、それでやったレポートだというんですね。結局、ブキャナンレポートというのは歩車分離という考え方で、居住環境の視点から通過交通道路地区道路を分ける住居環境処理という構想で、これはイギリスロンドンでも生かされたし、日本でも非常に影響を与えたみたいです。ところが、歩車分離だけでもなかなかこれ解決しないというので、最近はやっぱり自動車交通そのものの抑制をいろいろ考えなきゃならぬということが国際的にいろいろ進んできているというんですね。  私もいろいろこういう問題のことで多少読ませていただいたら、例えばオランダでボンネルフといって、歩車共存という形で街路樹や道路を屈折させて、自動車が余りすっと動けないようにする道路、これは日本でもコミュニティー道路、かなりできている。トラフィックゾーンシステムという考え方、これはスウェーデンで始まって、都心部を小さな区域に分けて周りの環状道路からしかその区域には入れないようにしている。道路交通容量の制限、直接規制、それからピーク時の自動車交通に課税をするロードプライシングなどなど、世界各国、都市交通問題で悩んでいるからさまざまな工夫が考えられて出てきているわけでしょう。  そういう考え方が日本でもやっぱり生まれ始めていて、昨年出た道路審の建議「「ゆとり社会」のための道づくり」、これもそういう発想が頭を出し始めていますよ。「社会資本整備は、これまでは、どちらかというと画一的で効率性を重視した整備になりがちであったが、今後は、品格があり周囲の自然や景観とも十分調和し」と、こういうものにする必要があると。歩行者、自転車の復権というようなことも言われているし、それから交通需要のマネージメント、だから自動車の交通量がふえるだけじゃなくて、その需要そのものをマネージメントしなきゃならぬという考え方も出始めてきまして、道路局長自身も座談会ではこういうことを言われているんです。  ところが、京都の今度のはそういう国際的な蓄積や研究、それから道路審や局長自身も言われているような方向と違う、士農工商の道以外に何がありますか。この京都古都のど真ん中にこういうものをどんとぶち込んでくる。私は、これは本当に重大な問題が余りに多過ぎると思うんだけれども、局長、いかがですか。
  118. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) どういうふうにお答えしていいか難しいわけですが、事実をちょっと幾つか述べながらお答えさせていただきます。  例えば、シンガポール、アテネなどでは交通を規制する、こういう計画を一部採用しております。シンガポールは七万キロでございます。アテネは十二万キロ、この東京の都心三区足しても四十万キロでございますから、恐らく中央区ぐらいの一つの区ぐらいがちょうどアテネなりシンガポールだ。京都の場合六百十万キロでございます。東京二十三区が六百方キロでございますから、こういう大きな面積でもってこういう実験をしたケースはありません。ですから、即座にこういう外国のいろんな工夫というものを入れるとい うことは難しいし、事実上不可能だと思いますけれども、こういうふうなことまでして交通をうまくして、いろんな都市内における、こういう市街地、中心地における混乱を防ぎたいという、その一点においては外国も日本も同じだと思います。  そこで、それでは我々がとり得る政策は何か、しかもすぐとらなきゃいけないことは何かというと、例えば首都高の例を一つだけ申しますと、首都高の今現在の延長、これが東京都の都道以上の道路の一二%を占めております。それが東京の交通の二七%を分担しております。一二%の道路延長で二七%の交通を分担しております。もし、この首都高速が下におりた街路だったらば恐らく倍以上の混雑が出ている。この自動車専用道路の持っている容量の大きさ、これは着目しなければならないと思います。  そこで、自動車専用道路、要するに都市高速道路をやみくもにどんどんつくる、こういう思想ではなくて、こういうものをうまく織りまぜながら都市内の混乱をどのように防いでいくか、誘導していくか、そういう視点に立って東京の問題も京都の問題も考えさせていただきたいと思っておりまして、現在の京都市におけるこの計画は、そういう意味でどちらかというと南側、古都京都であってもどちらかというと大阪府に近い方に重点を置いて、そちらの方から五条道路の方に入っていく、こういう計画になっていると思います。  そういう意味で、その入る際は平面あるいは高架で入るんではなくてなるべく地下構造として入ろう、こういう思想と、それから先生方御承知のように、あの山科の国道一号の渋滞は物すごいわけでございます。これを解決する方法はトンネルを掘るしか方法がないわけです。そうすることによってせめて現在の混乱、渋滞度二以上でございますから相当なひどい混乱でございます、これを救いたい。こういうようなことを考えて、京都市の人たちから随分いろんな反対の御意見もありましたけれども、そういう人たちと御議論を重ねながら、結果として都市計画決定というところまで運ぶには相当京都市は努力されたと思いますが、決められた計画だと思っております。  そこで私どもは、そういう地域がいろいろと汗をかいてできた計画については我々も応援しょう、しかし、実施をする際には環境問題であるとかあるいは技術問題として、あるいは景観問題、古都京都の景観を損なわないようなシビックデザインの問題だとか、いろんなところに我々も指導をしながら、そしてみんなが少しでも共存できる、そういう道路をつくることによって都市内の混乱を防ぎたい。  特に、道路ができたことによって女性も社会参画できましたし、高齢者だって物すごく、例えば五倍もこの五年間で免許保有者がふえているわけです。そういう意味で私は、世の中の生活が豊かになるということは社会参画の機会がふえることだと思います。それは移動することです。歩くことから車に乗ることまで含めてやらせていただきたいと思いますので、ぜひ、そういう視点に立って京都問題も私どもは一生懸命指導いたしますので、先生のこれからの御指導をいただきたいと思います。
  119. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が過ぎました。南半分に高速道路網をつくった、次は古都の核心である北半分もというようなことには絶対ならないようにということを述べて、質問を終わります。
  120. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 本法律案は、ただいま建設省当局の方から御答弁がありましたとおりに、大阪神戸京都都市化に伴う交通渋滞、この改善を図ろうとするものでありまして、本貫は基本において賛成でございます。しかし、いろいろと質疑の中にありましたように心配な点もあるので、その辺十分配慮して行っていただきたいと思います。  そこで私は、先ほど車社会から道社会という話も出ましたけれども、車社会と道路というような観点から、これに関連して質問いたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  現在では、御案内のとおりに免許の保有者というのは大変伸びてきました。特に女性ドライバー等もふえておりまして、昭和四十年代は大体二千百十万人だったのが現在では六千万人を超えたとも言われております。また保有台数というのは、やはり昭和四十年を見てみますと七百二十四万台、それから現在では五千八百万台、このように十倍近く伸びておるんですね。それからまた、トンキロ、貨物輸送に関しては五〇%、それから旅客輸送におきましては六〇%を自動車が負担と。こういう現実というものを見てみますと、車社会の進歩というのは一体どこまで進んでいくのか。自動車は今や、いい悪いは別にしまして、国民の足となっておる。こういう重大な我々の生活手段であり、交通手段になっている。こうした現実を踏まえながら、私、質問をさせていただきたいと思います。  まず、特に地方部におきましては自動車の依存度というのは非常に高いのであります。千人当たりをちょっと見てみますと、自動車保有台数は五百二十一台、これは全国平均から見ますと地方の方がずっと高いわけであります。すなわち、地方都市における利用交通手段は、公共交通機関の発達した大都市よりも自動車の負担率というものが地方においては非常に高いわけであります。  また地方では、例えば急に体の容体が悪くなったというような命にかかわるようなものも含めまして、医療の面、それから高齢者やまた障害者の社会参加、先ほど局長もおっしゃっておられましたが、そういう社会参加など、特に福祉の向上にはこの道路整備というものはどうしても欠かすことができない。まさに道路整備といいますか、こういう問題は時代的な要求であり、特に地方におきましては、ちょっと大げさに言うようになりますけれども、生存権、生活権というようなものにもつながっているんではないか、これが現状の私の認識であります。  そこで、また私が質問に立ちますとあの質問をするのではないかと思われるかもしれませんけれども、やはり日の当たらないところに日を当てるのが政治でありますから言わさせていただきます。  東北縦貫自動車道やそれから三陸縦貫自動車道など高規格幹線道路整備、これと一体となってネットワークを形成する国道網の整備というのは、先ほど私が申し上げたような面においても極めて重要なんであります。特に東北縦貫と三陸縦貫を連結する国道二百八十四号線、これはもうみんな期待しておるわけなんですが、この国道二百八十四号線というのは早くから計画されたわけですけれども、この整備というものはまさに私は今緊急の課題ではないかと思います。これにつきまして、まずその整備状況についてお答えをお願いいたします。
  121. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) お答えいたします。  二百八十四号線、現在の一般的な改良率でいいますと九七・四%という状況でございますが、一部において未改良区間が残っております。特に宮城県内において、気仙沼市柳沢付近で幅員が狭く、急カーブの連続した未改良区間が約一キロ残されております。そこで、いわゆる気仙沼市柳沢から川崎尻までの二・九キロ区間について、二カ所のトンネル及び橋梁二橋を含む新月バイパスということで、平成五年度より新規着手をさせていただきたいと思っております。今年度は用地買収や一部工事にも着手する予定でございます。いずれにしましても、この十一次五計内にはこの道路を、先生指摘のように急ぐ道路でございますし、今までの準備の状況もよろしゅうございましたので、五カ年内には完成をさせたいということでやってまいります。  また、岩手県における一関市から千厩町間の二カ所の未改良区間についても、延長三・四キロの薄衣バイパス及び一・四キロの西小田バイパス、これを平成四年度から新規着手しております。これらについては、特に一関市への流入部の渋滞解消ということで、二・一キロ区間の四車線拡幅及びその接続部〇・四キロの拡幅事業、これも平成元年度に実施しております。これらは今後ともなるべく急ぐようにしていきたいと思っております。  それから先生にちょっとお許しをいただいて一点だけ、先ほどの上田先生のときに、先生も今高齢者のこと、女性ドライバーのことをおっしゃっておられましたけれども、先ほど五年間で高齢者が五倍も運転免許保有者がふえたと申し上げましたが、昭和五十年から平成三年までの十五年間で四十七万人から三百十六万人と、高齢者もこのように社会参画できるような免許保有者がふえている、こういう状況でございますので、これはひとつ御報告をし、先ほどの数字、五倍と言ったことをちょっと訂正させていただきます。あえて先生のときにこのような発言をして、お許しいただきたいと思います。
  122. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 前回の三陸縦貫道に関しては、なかなか採算がとれないというのが出ましたけれども、前回の答弁よりきょうのは、これは有料道路ではありませんから非常に積極的にやるという局長からの回答を得られましたので、ひとつ期待しておりますからよろしくお願いいたします。  さらに、先ほど私は道といいますか、人、福祉、そういうような面から申し上げましたけれども、このような幹線道路整備につきまして、これだけではなく特に高齢者やまた障害者の方などが外出しやすい環境とすることも大変重要だろうと思います。これまでの質疑の中でも、よくその点につきましては配慮するんだというのが出ておりますが、これは幾ら言っても私は言い足りないくらい重要ではないかと思います。道路などの整備をもっとある意味では積極的にやらなきゃいけない。特に私は外国と比較するときに、とてもこの点寂しいものを感じるわけでございます。我々はこうした道路などの整備をもっと積極的に、高齢者や障害者の方たちに優しいものである、そういうようにすべきと思っております。  また、前にもやはりこれも出ておりましたが、歩道を例にとってみれば、必要なところが非常に狭くなって、それでまた歩道があるところも、例えば歩道の幅の広さが十分ないということで、車いすの人は近づけないというようなものがまだたくさんあります。また、これも同じく以前にも質問が出ておりましたが、横断歩道橋、こうしたものも高齢者や車いすの方には非常に使いにくいものである。これが、やはり寂しいことでありますけれども現状ではないかと思います。道路は、社会福祉の向上を図る上におきましても、最もこれからは根幹的な施設というものになっていくんではないかと私は認識しております。そのために、人に優しく使いやすいものでなければならない。  こういう観点から、建設省は、第十一次五カ年計画で人に優しい道づくりを進めるとおっしゃっておられますけれども、くどいようでありますが、特に歩道など歩行者に対する道路整備というものに対してどのような指針を持っておられますか。担当の局長さん、できますれば大臣からも言いただければありがたいと思います。
  123. 藤井治芳

    政府委員藤井治芳君) それでは、先に事務的に御説明させていただきます。  十一次五計で私ども歩道の整備、これを最重点にしております。それはなぜかといえば、いわゆる自動車専用道路とか高規格幹線道路とか、こういうものをつくるということは、非常に生活空間を生み出して、それぞれがいろいろとうまく組み合わされた社会をつくりたい、こういうことでございますから、安全で円滑なというそういう道路から、触れ合いができる道路、こういう意味合いも含めて歩道というものをモーダルミックスの一つの手段として考えております。そこで、全部今現在歩道の総点検もしようと思っております。その上で構造令というものもそういう目で見直して、高齢者、いわゆる身体障害者といいますかそういう方々、あるいは子供さん、そういうようなことも含めた道路構造が今の構造令で十分なのか、こういうことも道路審議会を中心に御議論をいただいております。  そういうことで、私どもそういういろんな角度のこと、特に通学路の総点検は今年度からやらしていただこうと思っております。そういう中で、場所によってはペデストリアンデッキであるとか、エレベーターであるとか、スロープであるとか、こういったようなどうしても機械的に歩行者空間の安全を確保しなければならない場所、それについてはこういったものも採用してみようかな、こういうふうにも思っております。また、地区によっては通過交通を徹底的に排除したいという地区もありますので、いわゆるコミュニティー道路のネットワークでもってそういう地区形成もする、こういう試みもさせていただきたいと思っております。それぞれ各地区でそういう研究成果、実行の成果がございますので、そういうことも我々は大いに参考にし、また推奨してみたいと思っております。  いずれにいたしましても、歩道整備というものは、我々これからやっていく質の高い歩道整備、これを大いにやっていきたい。しかし、現実には用地を確保しなきゃならない。しかも土地は高い。そして財源は限界がある。こういう壁が一方ではございますので、やり方については、一本の道路で全部解決するのではなくて、複数の道路を含めてこういった問題の解決を図るということも一方ではやりたいと思っております。いずれにしましても、考えることは道空間をつくっていきたい、こういうふうに考えておりますので、先生のまた御指導をいただきたいと思います。
  124. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 大臣、一言でいいです。
  125. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 御指摘をいただきましたように、人に優しい道路、特に歩道等を含めた高齢者、身障者の方、あるいは学童等が通行するのに安全で快適な歩道を整備するということは、もう当然必要なことでございますので、この第十一次道路五カ年計画の中で非常に力を入れてこの問題に取り組んでいきたい、このように考えておりますので、御了解をいただければと思います。
  126. 萩野浩基

    ○萩野浩基君 どうもありがとうございました。  終わります。
  127. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べください。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本改正案は、阪神高速道路公団の業務対象区域京都市の一部にまで拡大し、同公団を事業主体として京都高速道路網を建設しようとするものです。京都高速道路は、京都市の交通渋滞解消を図るものとされていますが、市域外との交通が利用交通の大半を占めると想定されているとおり、阪神地域からの自動車交通京都市の中心部に直接、大量に流入させることになるのは明白です。  都心への自動車交通の需要増大を容認し、そのために都心への自動車道路建設推進するという方策は、際限のない自動車交通増大道路建設の悪循環を招き、早晩、破綻に陥らざるを得ません。このことは東京や大阪の例をまつまでもなく、三十年も前から国際的な幾多の実例や研究で解明されてきた貴重な教訓です。  しかるに、現在の京都高速道路建設計画は、二十年も前に都市計画決定された橋梁建設などがいまだに実現していないなどという道路事情のところに、高速道路で大量の自動車交通を注ぎ込むという乱暴なものです。これが京都交通事情を一層深刻化させ、生活環境の悪化を招くとともに、人類的意義を持つ古都京都の文化的価値に取り返しのつかない重大な打撃を与えることになるのは疑いありません。このような本改正案には断固反対です。  このような計画は即刻中止し、生活と歴史的な文化遺産を守る視点から、一般道路の隘路の早急な打開、公共交通機関整備、無秩序な都心開発の抑制など、京都の実情に即した交通問題解決の総合対策住民とともに確立していくことにこそ力を注ぐべきであることを強調して、反対討論を終わります。
  129. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  130. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、中村建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中村建設大臣
  132. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  133. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会      ――――◇―――――