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上田耕一郎君 この法
改正の眼目は、
京都の五条
通り以南に五本の
都市高速道路網を
建設するというものなんですね。
午前中の
審議、それから今も
住民の反対問題について質問がありました。
都市局長は余りはっきり言われなかったけれ
ども、市民団体それから沿線
住民のこの
道路問題への非常に根強い激しい反対運動が起きております。
京都道路問題連絡協議会、こういう組織までできています。去年の十月には
京都の
高速道路を考える
住民シンポジウムというのが開かれて約三百人集まったんですね。ここでは、あの有名な
環境問題の研究者の
大阪市立大学の宮本憲一教授、それから立命館大学の荒井教授、土井教授などがこの問題の問題点を非常に厳しく
指摘しています。
ことしの二月に府の都計審が四
路線について承認したんですけれ
ども、この府の都計審に対する
住民の
意見書四千七百九十五件、人数で一万四千三百二十二人で非常に強いということがこれを見てもわかるんですね。アセスの実測値でも、NO2について
京都市の
基準は国より厳しくて〇・〇二ppm、当面〇・〇四ppmというんだけれ
ども、
京都市の
基準を超えている
状況なんです。ですから非常に大きな問題なんです。最大の問題は京阪間の
自動車交通を大量に
京都市
中心部に流入させるということにあります。
新聞を見ますと、これは二月六日の朝日ですけれ
ども、
京都道路問題連絡協議会の事務局長中川さん、この方はタクシーの
運転手歴六年で、だから
道路交通事情をよく見てきている。彼はこう言っているそうであります。「
計画は、街のまんなかに蛇口を取りつけて車の洪水を吐き出させるようなもの」だ、なぜ東京などの二の舞を
京都でやらなきゃならぬのかと、そう嘆いています。東京は
高速道路をやってある問題を解決しはしたけれ
ども、二十五年たつと当初の
計画よりはるかに多い自動車数になってもう非常に
渋滞が激しくなっていることは御存じのとおりです。
富本教授が
指摘しているんだが、
都市の景観破壊では、日本橋なんというのはまたがれちゃってああいう
状況になっているじゃないかということも言われています。これは「ねっとわーく
京都」という雑誌です。「九二年十一月号 大型特集
京都に
高速道路は必要か」と。これを読んでみると、おもしろいのがあるんですね。宮本教授が言っているんですけれ
ども、「有名な話ですが、
大阪市の
都市計画局長が
辞任するときに、自分は戦後の
大阪の復興のためにずいぶんいいことをやってきた、ただひとつ残念な失敗は
高速道路をつくったことだと」、そう言ったというんですね。ですから、いいものと思ってつくっても、
自動車交通の当時
予測できなかった非常に複雑な問題が起きるためにさまざまな問題が生まれているわけですね。
そこで、それを
古都京都に今度は持ってこようというところに非常に大きな問題があります。七〇年にユネスコが
京都でシンポジウムを開きまして、「
京都・奈良の
都市計画における歴史的
地域の保存と開発についての勧告」というのを出しています。この中には、「両
都市の都城
計画は中国と日本の歴史的産物であるが、現代の
高速道路と他の公共事業によって乱されつつあることを考慮しこということを七〇年、もう二十年前に言っているわけです。
私
ども京都の共産党も、府議会、市議会でこの問題の問題点を
指摘してずっと市民団体や学者の
方々とともに反対してきたんですね。我々だけじゃなくて、きょうここに持ってきたのは日経新聞の近編集
委員の論説で、去年の八月二十六日の夕刊、「東京の愚繰り返すな
京都と
高速道路」というので書かれているんですね。「
古都、新都にかかわらず、世界の車先進
都市はインナーシティーに
高速道路を持ち込むのは
都市環境を著しく損なうとして八〇年代から敬遠するようになった。
京都はこの教訓に学ばなければただの
京都になるだろう。」ということで、東京の愚を繰り返すなということで警告されているんです。
私は、
建設省がこういう問題点、重々承知の上で強行されようとしていると思うんですね。百歩譲ったとしても、
建設省は環状
道路など必要だと言っているんだが、そういう見解からいっても環状
道路も未
整備のまま
京都という非常に大事な
古都に都心に向かう
高速道路を
建設するというやり方は、全くそういう教訓や問題点の
指摘を無視したものだとしか私は思いません。
非常に関心が強くて、例えばきょう参議院でこれをやるというので、
京都の本野という共産党の前の府議の方は、御自分が出した
意見書を私のところへ送ってきましたよ。この人たちは実際にかなり市民と一緒に調査して、こういうものをつくらなくても久世橋
通りのここのところはここをこう改善すれば
渋滞は解決できるということを非常に具体的な積極的な見解まで
意見書として出して、それを私のところに送ってくるというほどなんですね。
都市局長、これは非常に私は逆行する
計画だと思いますけれ
ども、いかがでしょうか。