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1993-05-21 第126回国会 衆議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月二十一日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 粕谷  茂君     理事 石川 要三君  理事 小杉  隆君     理事 鴻池 祥肇君  理事 佐藤 信二君     理事 中川 昭一君  理事 串原 義直君     理事 中西 績介君  理事 松浦 利尚君     理事 草川 昭三君        相沢 英之君     愛野興一郎君        井奥 貞雄君     石原慎太郎君        臼井日出男君     内海 英男君        越智 通雄君     大石 千八君        狩野  勝君     唐沢俊二郎君        倉成  正君     佐藤 敬夫君        高鳥  修君     戸井田三郎君        中谷  元君     中山 太郎君        浜田 幸一君     原田  憲君        星野 行男君     松永  光君        松本 十郎君     村山 達雄君        柳沢 伯夫君     綿貫 民輔君        伊藤 忠治君    宇都宮真由美君        関  晴正君     竹内  猛君        富塚 三夫君     楢崎弥之助君        堀  昌雄君     松前  仰君        三野 優美君     水田  稔君        目黒吉之助君     元信  堯君        石田 祝稔君     二見 伸明君        宮地 正介君     児玉 健次君        辻  第一君     吉井 英勝君        中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 後藤田正晴君         外 務 大 臣 武藤 嘉文君         大 蔵 大 臣 林  義郎君         文 部 大 臣 森山 眞弓君         厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  森  喜朗君         運 輸 大 臣 越智 伊平君         郵 政 大 臣 小泉純一郎君         労 働 大 臣 村上 正邦君         建 設 大 臣 中村喜四郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会 村田敬次郎君         委員長         国 務 大 臣 河野 洋平君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 鹿野 道彦君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     北  修二君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 中山 利生君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 船田  元君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 中島  衛君         官)         国 務 大 臣 林  大幹君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 井上  孝君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一 津野  修君         部長         国際平和協力本 柳井 俊二君         部事務局長         国際平和協力本 萩  次郎君         部事務局次長         公正取引委員会 小粥 正巳君         委員長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局経済部長         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局審査部長         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房 垣見  隆君         長         警察庁警務局長 井上 幸彦君         総務庁人事局長 杉浦  力君         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練 諸冨 増夫君         局長         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛施設庁施設 江間 清二君         部長         防衛施設庁建設 黒岩 博保君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 田中 章介君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         科学技術庁長官 井田 勝久君         官房長         科学技術庁長官 興  直孝君         官房会計課長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁長官官房 藤田  修君         会計課長         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務省アジア局 池田  維君         長         外務省条約局長 丹波  實君         外務省国際連合 澁谷 治彦君         局長         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 藤井  威君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省銀行局保 鏡味 徳房君         険部長         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁次長   瀧川 哲男君         文部大臣官房長 吉田  茂君         厚生大臣官房総 瀬田 公和君         務審議官         厚生省年金局長 山口 剛彦君         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産大臣官 堤  英隆君         房予算課長         食糧庁長官   鶴岡 俊彦君         資源エネルギー 黒田 直樹君         庁長官         中小企業庁長官 関   収君         運輸大臣官房会 楠木 行雄君         計課長         運輸省運輸政策         局次長     和田 義文君         兼内閣審議官         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         郵政大臣官房財 新井 忠之君         務部長         郵政省簡易保険 江川 晃正君         局長         労働大臣官房長 七瀬 時雄君         労働省労働基準 石岡慎太郎君         局長         労働省職業安定 齋藤 邦彦君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房会 木下 博夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         局長         自治大臣官房長 吉田 弘正君         自治大臣官房会 斉藤 恒孝君         計課長         自治省行政局選 佐野 徹治君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         参  考  人 三重野 康君         (日本銀行総裁)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ————————————— 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     中谷  元君   粟屋 敏信君     星野 行男君   内海 英男君     井奥 貞雄君   衛藤征士郎君     佐藤 敬夫君   越智 通雄君     狩野  勝君   小沢 和秋君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     内海 英男君   狩野  勝君     越智 通雄君   佐藤 敬夫君     衛藤征士郎君   中谷  元君     相沢 英之君   星野 行男君     粟屋 敏信君   辻  第一君     吉井 英勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成五年度一般会計補正予算(第1号)  平成五年度特別会計補正予算(特第1号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)      —————◇—————
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  平成五年度一般会計補正予算(第1号)、平成五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 粕谷茂

    粕谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  5. 串原義直

    串原委員 初めに、一言発言させていただきます。  昨日の本委員会における鴻池委員質疑中、我が党の東京都本部幹部であった今正一君に関する記事についての発言がありました。その記事には、同氏が同記事を否定した記事も掲載されていることを、鴻池理事を初め、理事会において確認いたしました。  では、質疑に入ってまいりたいと思います。  初めに、PKO問題について伺ってまいります。  国際貢献の名のもとに、自衛隊の部隊を中心とする本格的な要員派遣カンボジアであります。カンボジアPKOにおいては、既に日本人関係者犠牲者が出ました。文民警察官高田晴行さんが亡くなり、文民警察官四名の方々が負傷、国連ボランティア中田厚仁さんが死亡されました。犠牲になられた方々に心より哀悼の誠をささげ、家族の皆様方にお悔やみ申し上げたいと存じます。そして、負傷された皆さんの一刻も早い全快を祈っております。同時に、PKO法を審議した国会議員の一人として、心よりおわびを申し上げたい気持ちでいっぱいであります。  なお、我が国派遣要員が現地の住民を交通事故で死亡させるという事態も起こっており、カンボジアPKOへの参加について疑念が強まっているのであります。また、和平協定の弱さも明らかになって、この際、カンボジア問題とは何なのか日本カンボジアPKOへの参加とは何を意味するのかなとを明らかにする必要があると私は思うのであります。  まず、カンボジア問題に対して我が国はどのような対応をしてきたのか、振り返って確認をしておきたい。  十九世紀後半にカンボジアフランス保護領となっていましたけれども、第二次大戦中、本国がドイツ占領により弱体化していたフランス支配の間隙を縫って、一九四〇年に日本軍が当時のフランス領インドシナに進駐して、私は大変な迷惑と犠牲を強いたものと考えているのであります。一九五三年、フランスから独立をから取った後も、カンボジアベトナム戦争などをめぐって国際政治のはざまで厳しい対応を迫られてきた。一九七〇年には、アメリカのバックアップでロン・ノルのクーデターが成功し、シアヌーク殿下中国に亡命をいたしました。この時期を前後に、四、五年にわたるアメリカ軍南ベトナム軍カンボジア進攻爆撃国土は荒廃し、約百万人の死傷者が出たと言われているのであります。  こうしたアメリカや当時の南ベトナムカンボジア侵略に対して、日本政府はどのような態度をとったのか。当時、支持をしていたのではありませんか。お答えを願います。
  6. 池田維

    池田政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど先生御指摘米軍南ベトナムによるカンボジア進攻というのは、七〇年五月の米軍南ベトナム軍が行ったカンボジア領内共産軍聖域掃討作戦のことかと思われますけれども、当時、我が国政府カンボジアにおきましてはロン・ノル政府支持いたしておりまして、また、ベトナムにおきましては南ベトナム政府を承認しておりました。  そして、ただいま御指摘のいわゆる掃討作戦に対して我が国政府といたしましては、その立場としまして、そのような事態が一日も早く収拾されて、この地域に平和が到来されることを願っているというものであったというように承知いたしておりまして、我が国として積極的な支援を表明したという経緯はなかったというように承知いたしております。
  7. 串原義直

    串原委員 積極的に支援をした、それは平和の到来を願ってという大義名分のもとに支持をした。  そこで、伺います。  一九七五年、ロン・ノル政権が倒れました。ポル・ポト派主導民主カンプチア政権が誕生いたしました。その後、一九七八年末にはベトナム軍が進攻し、ベトナムに亡命していたヘン・サムリンを国家評議会議長とするカンプチア人民共和国が誕生するのでありますが、日本政府はそれを承認しなかったはずであります。そして、八二年に成立したシアヌーク、ソン・サン、ポル・ポト派の三派から成る民主カンボジア連合政府国連代表権を認めていたのではありませんか。三派の連合とはいっても、プノンペン政権に実質的に対抗していたのはポル・ポト派であったが、それでも認めていたのではありませんか。それについて政府は、正しい判断であった、こう考えておられるのかどうか、お答えを願います。
  8. 池田維

    池田政府委員 八二年の七月に、ただいま御指摘のいわゆる三派連合によります政府というものがシアヌーク殿下大統領として成立したわけでございまして、我が国はこの政権正統政府というように判断したわけでございます。当時、もちろん国土とか人口の大部分を占めておりましたのはプノンペン政権でございましたけれども、この政権は当時ベトナム軍軍事介入によって成立したという事実がございました。したがいまして、その面で、外国軍事介入によって成立した政権支持することはできない、そしてシアヌーク殿下大統領とする三派連合政府支持するということが我が国姿勢であったわけでございまして、しかもこの姿勢は当時のASEAN諸国中国、欧米、大多数の国々によって支持されていたわけでございまして、我が国の当時の判断は正しかったというように判断しているわけでございます。
  9. 串原義直

    串原委員 私は、判断が正しかったかどうかだんだんと歴史的に明らかになってくるであろうということだけきょうは申し上げておくわけでありますが、そこで、その後、一九九〇年九月には、カンボジア最高国民評議会SNCが設立され、九一年十月にはパリカンボジア紛争政治的解決に関する協定関係当事者間で調印されている。国連主導カンボジア和平が進められることになりました。  こうして見てくると、カンボジア内戦状態を継続し、人的犠牲を拡大し、国土を荒廃させ、混乱させた大きな原因は、フランス植民地支配は言うに及ばず、ベトナム戦争期アメリカ爆撃ベトナム干渉を理由にした連合政府支配に見られるように、大国干渉にあったと言っても私は過言ではないと思う。日本もそれに無関係ではなかったはずであります。短いやりとりでしたけれども、今の御答弁にもそれがあらわれています。そうした大国干渉については全く反省も責任追及もせず、紛争当事者間では和平は実現できなかった。カンボジア人々だけでは復興も無理だ、だから国連の関与を求めた、日本もそれに協力したというのは、カンボジア問題の歴史的事実を意図的に歪曲ないしは看過しており、御都合主義と言われても弁解できないのではないか。  政府は、カンボジア混乱を続け、荒廃してきた歴史的事実に対してどのような認識をお持ちなのか。私は、これは大事な点でありますから、総理からお答えを願いたい、こう思っているのであります。
  10. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまお述べになられましたような長い間の経緯がございます。そのおのおのの段階においてそれがだれの責任であったかということは、また歴史としていろいろ判断が下される時期があると思いますが、ともかくもそれらの結果としてカンボジア国民が非常に不幸な状態にあり、そして内戦が続いたということについて、これはやはり国連あるいは関係国の何とか和平に導かなければならないという努力が結局パリ協定になって結実をしたということと考えております。  したがって、今行われておりますUNTAC中心とする平和協力は、一日も早くカンボジア人カンボジアという国づくりを実現をしたい。ただ、従来戦っておりました各派でございますから、自分たちだけではそれができないということから、国連がここにUNTACのもとにそのための努力をし、我々が協力をしておる。したがいまして、一番考えられますだれにも異存の少ない方法として、選挙によって制憲議会をつくってカンボジア人国づくりというものを実現したい、そういう過程の最後の段階に今我々はいる、こういう認識をいたしております。
  11. 串原義直

    串原委員 後ほどの議論、将来のためにも重要ですから、もう一点総理に伺っておきます。  今お答えをいただきましたが、冷戦後の国際問題の特徴として、民族紛争内戦の勃発、激化指摘されているところでありますけれども、多くの内戦外国干渉武器援助などがなければ落ちつくところに落ちつくものであろう、こういう歴史と経過を私たちは認めざるを得ないと考えています。  カンボジア問題でも、外国武器援助などの支援を中止するなど、カンボジア人々みずからの手で和平が行われる条件をつくり出すことが最も重要な基礎的条件であろうと私は思っております。つまり、自主独立、このことを評価、認めることが重要な課題であろう。それがない。そこにポル・ポト派から、SNCはお飾りである、名目だけの存在だとする批判を招くことになった一つの原因があるのではないか、私はこう理解しているのでありますが、総理見解を伺っておきます。
  12. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 カンボジアを例にお挙げになりましたが、例えばユーゴでありましても、あるいはその他の今国連努力をしている幾つかの紛争が、各国から提供された武器がなければこのような状況にならなかったであろうと言われますことは、その限りにおいて私は間違いではないと思いますが、現実にはそのような武器が大量に争う各派に所有されておって、それによって争いが激化をしたという、しているというその現実事態に我々は対処をいたさなければなりませんので、過去においてそういうことがなければこのような事態は起こらなかったであろうとおっしゃることに私は誤りはないと思いますものの、現にあります。その事態をどのようにして平和に解決していくかというのが今我々に与えられた課題であろうというふうに思います。
  13. 串原義直

    串原委員 過去の歴史に若干触れてきたわけでありますが、ここで多くの時間をとる余裕はありませんけれども、つまり私の申し上げたいのは、カンボジア、まあベトナムもそうでございましょうけれども、それぞれの地域地域紛争、これは民族紛争、時によれば宗教紛争である。そこへ大国干渉があるところにいよいよ混乱をさせる要因があった、あるのだ。これは私は、将来ともに厳しく承知をしながら外交上も対処していかないと大きな誤りを犯すと考えますから、あえて本日の質問の冒頭に取り上げさせていただいた次第であります。  そこで、カンボジアの現状と和平プロセスについて触れてまいりたい。  まず、総理に伺っておきます。  総理は、ポル・ポト派和平協定を守ると表明している、SNCからも脱退しているわけではないから、停戦違反の事実はあるが、停戦合意基本的枠組みは崩れていないとしているようであります。しかし、日本PKO協力法を成立させ、カンボジアPKO参加する以前から、ポル・ポト派和平プロセスの第二段階武装解除に応じてこなかった。ところが、UNTACは、予定の武装解除も実施できず、さらには総選挙へのポル・ポト派参加も実現できないまま、和平プロセスの日程の遂行、つまり総選挙の実施をまず優先させてきた。これではポル・ポト派反発を招くのは当然ではありませんか。  そもそもPKO協力法に従えば、日本政府は、ポル・ポト派武装解除に応じ、それぞれの派が武装解除に応じて、和平プロセスを履行することをきちっと正確に確認してからでなければUNTAC参加してはならなかった、PKO要員我が国から外国派遣する行為を行うべきでなかった、こう私は思う。この重大な責任総理はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  14. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 パリ和平協定においては武装解除もするということでございまして、ポル・ポト派もそのパリ和平協定承知をし、それを遵守をするということを言っておるわけでございまして、確かに結果的にはポル・ポト派武装解除をしなかったということはございますが、その後もポル・ポト派は、あくまでパリ和平協定遵守をする、こういうことを言っておるわけでございまして、そのパリ和平協定に基づいてUNTACカンボジアから委任を受けて、和平プロセスを進めてきておるわけでございます。私どもは、そのパリ和平協定に基づいて進めてきておる和平プロセスに、何とかうまくいくようにということを願いながら、参加をしてきたわけでございます。
  15. 串原義直

    串原委員 次の質問総理から御答弁ください。  ある人は、カンボジア問題はドミノである。つまり最初のボタンかけ違いが次から次へとボタンかけ違いの連続になって今日に至っている、こう表現した人があります。私もそのとおりだと思う。  そこで、ただいま外務大臣から御答弁になりましたけれども、総理は、戦闘は部分的停戦違反にとどまっているとしておりますけれども、和平プロセスは守られていないとして総選挙参加せず、その妨害活動を強め、SNCの会合への参加にも消極姿勢を示し、UNTACにさえ反発を強めているポル・ポト派対応を見れば、明らかに和平協定は破られている、こう見なければならないと私は思うんですけれども、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。  今外務大臣は、パリ協定は守るとポル・ポト派は言っているのでという表現がありました。しかし、現実にはもう実質的にパリ協定は崩壊している、空洞化していると言えるのではないかというふうに思っておるのでございます。つまり、停戦合意中立性も守られてはいない、言いかえるならば、PKO協力法派遣の五原則は実質的に崩壊をした、無視されている、こう私は考えるのであります。政府責任はまことに重い。総理見解を伺っておきます。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 委員は、停戦合意が守られていないではないか、こういう御指摘でございます。停戦合意、すなわちパリ和平協定の大きな柱でございますが、先ほど外務大臣から御答弁ありましたように、パリ和平協定につきましては、再三、繰り返し各派ともにこれを遵守するということを述べておるわけでございます。選挙の投票がもう間近になって、北京におきますシアヌーク殿下呼びかけによります、非公式でございますが、SNC参加メンバーによります会合、これは残念ながらポル・ポト派は欠席をされましたけれども、ポル・ポト派を除く三派はシアヌーク殿下とともにその会議の後共同コミュニケを発出されまして、その共同コミュニケの中には、パリ和平協定遵守、そして選挙実施を確認をいたしております。そして、その北京の会合に欠席をいたしましたポル・ポト派は、その翌日、ポル・ポト派としてのプレスブリーフをいたしまして、そのプレスブリーフの中で、我々はパリ和平協定遵守する、しかし、そのパリ和平協定がむしろ厳密に守られていないことが極めて遺憾であるという意味のことを言っているわけでございます。それは、例えば、ベトナム人が完全にカンボジアから撤退していないではないか、その他幾つかの例を挙げて、こういう点をもっと厳密に守れということをポル・ポト派は言っておりまして、つまりポル・ポト派パリ和平協定遵守する、むしろもっと正確に守れということを言っているわけでございまして、一つの会合で、全体として言ったわけではありませんけれども、三派及び翌日のポル・ポト派のプレスブリーフをあわせ聞けば、四派ともにパリ和平協定遵守することをつい最近も確認をしているところでございます。  こうした停戦合意は、合意という、つまりそれぞれの意思でございますから、それぞれの合意をした四派がそれぞれの意思を確認する以上、我々がその意思四派にありと見るのは当然のことではないかと考えております。
  17. 串原義直

    串原委員 やはりこれは総理からお答えください。  私は、今の官房長官の回答、答弁は、まさに詭弁というふうに聞こえる。それは、確かにポル・ポト派パリ協定は守ろうというふうには言っているようでありますが、その中身、内容は守られていないと見るのが至当であろうと思う。パり協定の内容がきちっと守られていない、だからだめなんだ、こう言っているのであります。三派が了解しているから、一致しているからではだめなのであります。だから、さっき私は、歴史的な経過について、短かったけれども、触れてまいりました。四派全体が、カンボジア全体が一致しなければ和平はないのであります。私は、この点は厳しく検討しなければならない、判断しなければならないところだろうと思う。私は、やはり総理判断をお聞きしておきたい。
  18. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今官房長官がお答えしたことに尽きておりますけれども、さらに申し上げるならば、クメール・ルージュの立場からしましても、パリ協定そのものを否定してしまうことは決して利益ではない、そういう問題がもう一つあると思います。したがって、この協定を基本的に認めているという立場をとっておると考えています。
  19. 串原義直

    串原委員 パリ協定は守りましょうとポル・ポト派は言っているというのでありますけれども、実際は、カンボジア和平というものは、武装解除が完全に行われなければ平和でないのであります。パリ協定が完全に実施されるということは、武装解除から実は出発するのであります。それがないところにカンボジア和平国民合意、人民の合意はない、そう判断しなければいけない、こう思っているのです。いかがですか。
  20. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、武装解除が行われるということは極めて重要なことでございます。停戦合意パリ和平協定におきましても、それぞれは七〇%の武装解除を行うべし、こういう取り決めになっていると承知をいたしておりますが、それが行われていないことは極めて残念、遺憾千万なことでございます。  この点は我々も各派に自制を求めながら、そのことによって犠牲が出ることのないように自制を求めつつ、このUNTAC活動に参加をしているところでございます。
  21. 串原義直

    串原委員 お話しのように、武装解除は、七〇%解除する、これが話し合いの基本でした。ところが、ポル・ポト派は、申し上げましたように、武装解除を全然していない、合意をしていない、ここに実は出発点の大きな誤りがある。パリ協定は成立をしているとは言葉では言いますけれども、中身はそうでもありません。そうなっていないではないか。武装解除が完全に各派とも実行されたときに初めてパリ協定は生きてくる、成立する、このことを厳しく私たち判断をしていかないと誤りを犯す、既に誤りを犯しつつあるわけであります。  そこで、これは総理大臣に伺います。  日本国憲法、PKO協力法に基づけば、日本のPKO参加は武力行使に至ることがあってはならない。武力行使に至る危険なところには派遣しないということは、国会の審議に際しても再三確認されたことであります。実は私は当時のPKO特別委員会参加をいたしまして、自分も議論をし、同僚委員の議論も随分と聞いてまいりました。そのときの特別委員会委員長は今の大蔵大臣の林さんでした。激しいやりとりをいたしました。そのやりとりの中で、このことは繰り返し繰り返し確認されたことであります。  ところが、カンボジアの現状は、日本ばかりでなく、UNTAC要員等が何人か武装集団の襲撃によって殺害されるといった状況で、自衛隊の派遣部隊などは、今まで兵器を一定のところに保管するということが原則であったわけでありますけれども、その銃をこのところ携帯するようになったと聞いているのであります。これは事実であろうか。正当防衛での武器使用に限定される保証は、私は、厳しいゲリラ戦が行われている現地を考えますと、なかなかない。これによりまして、武力行使や威嚇による国際紛争の解決を禁じた憲法に反する事態も予想され、仮に業務として自衛隊が銃を携行することになったということが追加されれば、なおさら凍結されているPKF活動へのなし崩し的踏み込みにならないか。私は、まさに業務を中断して撤収する以外にない、こう考えているのであります。この判断について総理に明快なお答えをいただいておきたいと思っています。
  22. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御指摘のように、この法律案の成立過程におきまして大変に長い御熱心な、しかも厳しい御議論が両院でございまして、その結果、現在の法律ができております。  ただいまのお尋ねについて申しますならば、我が国はこのような憲法を持っておりますから、第一に、武器を万一使用しなければならない場合について法律が極めて厳しい制約を加えております。それから、もっと現実の問題としては、携帯の武器の種類について同様な目的から極めて厳しい制約を、これは現実の問題として加えておりまして、いずれの場合においても、御指摘のような武力の使用というような事態は、現実の問題としても、また法律上の問題としてもあり得ないと考えています。
  23. 串原義直

    串原委員 そこで伺いますけれども、昨日、西元陸上幕僚長は記者会見で選挙監視要員に対する安全対策を明らかにいたしました。テレビで放送もされましたし、けさの新聞でも大きく取り上げられているところであります。  報道によれば、あるいは私は若干の関係者からの文書もいただいておりますが、これによりますというと、選挙監視要員の安全確保に関心を抱いていると前置きをして、国連カンボジア暫定統治機構、つまりUNTACなどと治安情報の収集、分析、提供や意見交換、自衛隊の緊急時の対応選挙監視要員に説明をする、それからUNTACから要請があれば選挙監視要員の輸送、給水、給食活動を行う、偵察チームを編成して各投票所に毎日一回は立ち寄り、治安情報を伝える、選挙監視要員の無線送信を傍受し、フランス軍歩兵部隊とも連絡態勢をとる、部隊に医官を含む緊急医療チームを編成して待機させる等々六つの対策を立てまして行動を起こす、こういうのであります。  特に問題になりますのは、陸上幕僚長は偵察と説明していますけれども、自衛隊の施設大隊に付与された、つまり橋、道路などを建設、修理をする建設事業あるいは物資の輸送などの業務に関係のないことになっていくのではないか。必要なものと位置づけておるようでありますけれども、実質的には、つまりカンボジアのPKOの実施計画に規定がなくてやりませんと言ったはずのパトロール、つまり巡回行為になると思うのでありますけれども、これはいかがでございますか。どう判断しておりますか。そうして、このことはだれが了解をして陸上自衛隊に実施させることにしたのですか。お答えを願います。
  24. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 巡回の問題についての御質問でございます。  陸上幕僚長が昨日記者会見で述べたうちの巡回についての御質問でございますけれども、我が国の施設大隊は、実施計画、実施要領に従いまして、UNTACの指図を受けて国道二号線それから国道三号線という、いわばタケオの地域を縦断しております幹線道路の橋あるいは道路それ自体の修理の業務を実施するというミッションが与えられているわけでありますが、その道路、橋の修理の業務を行うに際しまして、修理を行うことが予想されている地域の地形等の状況、これは本格的な雨季を迎えまして状況がかなり変わっているということもございます。そういった周辺地域の状況やあるいはさらに周辺全般の治安情勢といったようなことについても事前に調査を行いまして情報を入手するということは、道路、橋の修理を行うという事業を遂行するためのいわば当然の前提となる必要な事項であるというふうに思っておりまして、陸上幕僚長の発言は、このような情報収集を行うに際して、近傍の投票所にも立ち寄って必要な情報交換を行うということもあり得るということを述べたものでございまして、その意味におきまして、情報収集のための回り歩くという行為は、いわば橋、道路の補修の前提条件として当然に要求される附帯業務といいましょうか、前提の事業として、実施計画、実施要領の予想するところであるというふうに理解しているところでございます。  それから後段の、だれの指示かということでございますけれども、総理官房長官からそういった——今私が申し上げましたのは、道路、橋の修理に伴って必要となる情報収集ということでございますけれども、同時にまた投票所に立ち寄るということは、投票所の人たちからも情報を得、かつまたこれらに対して情報を提供するという意味におきまして、選挙監視要員に対するいわば安心材料ということにも同時になるかと思います。そういう意味におきまして、総理官房長官から、選挙監視要員に対してどのような支援ができるかということを検討せよという御指示がございましたのを受けまして、私どもがそういう形で、本来の業務に必要なものであり、かつ選挙監視要員のいわば安心材料といいますか、ひいては安全対策につながるというものを模索した結果として報告をして、了解を得ているということでございます。
  25. 串原義直

    串原委員 冗談じゃないよ。今の答弁は何だ。詭弁だよ。冗談じゃありません。何だ、その答弁は。そんな適当な答弁委員会の審議になると思いますか。  私は余り興奮をして怒りたくはないが、道路の改修や建設が業務であって、二号、三号線、タケオ地域の道路の状況がどうなっているか事前に調査をする必要がある、それはそのとおりでしょう。認めよう。そのついでに投票所もちょこちょこっと回って情報を収集する、それが安心剤になる、何だ、この答弁。そのときをごまかそうというような答弁はだめですよ。私は、こういう言い方は余りしたことはない、委員会審議の中で。冗談じゃない。  それでは、きちっと答弁しろ。いいかい。陸上幕僚長は、どの程度の規模の偵察行為になるか明らかにしなかったが、百カ所ある選挙サイトを一日に一回は回る、複数の車両でチームをつくると言っているので、相当な規模、場合によっては施設大隊を挙げての巡回になるのではないか、こう判断する。幕僚長はちゃんとそういうふうに言っているのですよ。橋の巡回じゃないんだ、幕僚長がきのう記者会見した話は。いいかげんなことを言うな。明確にしろ。
  26. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 幕僚長が言っておりますのも、これから雨季を迎えるに当たって、橋、道路の状況を調査する必要があるということもはっきり記者会見で述べておりまして、それと同時に、やはり一帯の治案情勢を把握するということもまた、道路、橋の工事を行うに当たっては必要なことであるということから、選挙監視要員のところにも赴いて情報も提供し、また情報を得るということが必要である、そういうための巡回をするということを言っているわけでございまして、私、先ほど答弁したことにおいて、陸幕長の発言と何ら異なるところはございませんで、そういう趣旨で陸幕長は申し上げたということを申し上げているわけでございます。
  27. 串原義直

    串原委員 それではいいかげんな答弁で、不愉快だ。つまりこれは、重大なところだから聞きますが、防衛庁長官、いいですか。幕僚長がきのう記者会見して言明をした、投票所を回る、大体百カ所、投票所を一日に一回は回る、場合によれば複数の車両チームをつくると言っているというのは誤りであり、そんなことはない、そんなこと全然考えていない。この辺についてはどうなっているのですか。つまり、監視要員がいるということもあるでございましょうけれども、投票所、大体百カ所あって一日一回回る、こういうことは全然考えていない、こういうことなんですか。
  28. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 一日に一回、百カ所を全部回るというふうに記者会見で言ったとすれば、それは、なるべく多くのところから情報を得、多くのところに行きたいという趣旨を述べたものでございまして、別に、今具体的に一日一回全部の箇所を同時に回るということが計画されているということではございません。なるべく多くのところを巡回しながら情報を得、情報を提供したいという趣旨を述べたものでございます。
  29. 串原義直

    串原委員 そういう詭弁を弄しちゃいけませんよ、先ほど言っているように。投票所を回るということは、施設大隊の任務以外の問題になるわけですよ。  防衛庁長官に聞きましょう。明確にお答えください。これはシビリアンコントロールに抵触しませんか。
  30. 中山太郎

    中山国務大臣 串原先生がかねてからカンボジア和平達成、あるいは自衛隊員あるいはUNTAC要員の安全につきまして、熱心に御心配をいただいていることに敬意を表するわけでありますが、今回の幕僚長の記者会見での話、これは、総理もたびたび国会で御答弁申し上げておりますように、我が施設大隊に与えられたPKO法あるいはUNTACの指図、そういうものに抵触をしない範囲で、物心両面にわたってできるだけの安全対策を図る、そういうことが総理官房長官を通じまして防衛庁の方に伝えられておりますし、私自身も、かねてからそのような同じような趣旨のことを隊員に指示をしております。そういうことで、その趣旨の中で、その厳しい規制に抵触しない範囲で自衛隊あるいはUNTAC要員の物心両面にわたる安全を保持するための一つの、現場の責任者としての考え方を述べたものであろうと思っております。  巡回について御疑念があるようでございますけれども、いわゆるPKFの方で想定をされております巡回というのは、ある程度の武力を持って巡回をして、何か事件が起きたときには力で制圧をする、そういうことも含まれていたものと思いますが、今回のこういう偵察行為は、あくまでも状況を判断をする、いち早くいろいろな情報を得ることによって要員の安全を図るという趣旨でございます。私は、これはぎりぎりの判断であろうと思っているわけでございます。  以上でございます。
  31. 串原義直

    串原委員 私は、投票所あるいは選挙にかかわる要員のいるところを巡回して回る、これは絶対に容認することはできない。ということは、シビリアンコントロールに間違いなく抵触するからだというふうに考えております。  そこで、総理にも伺っておきますけれども、今まことに危険なと思われるような一歩を、施設大隊の任務を外れる、外すというような御答弁をいただきました。非常に危険だと思っているわけでありますから、そこで伺いますが、総理は、施設大隊の要員が橋、道路の修理、巡回、事前調査以外の業務、今答弁をされたような業務に携わっていくとするなら、PKFになし崩し的に一足ずつ入っていくという危険を私は感じておりますが、どう判断しておりますか。まさにこれは法の拡大解釈、大変な拡大解釈の何物でもないと思う。危険な行為を許してはいけない。総理官房長官筋からの指示もあってという答弁が先ほどありましたから、ここは明確に総理からお答えを願っておきたいと思っています。
  32. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御指摘のように、非常に緊迫した状況のもとで、私は、憲法、法律の許す範囲でベストを尽くせという指示をいたしております。指示をしたのは私でございますから、シビリアンコントロールの問題はございません。  次に、PKFとの関係で申しますならば、法案のいわゆるイ、ロ、ハのロに言います「緩衝地帯その他の武力紛争の発生の防止のために設けられた地域における駐留及び巡回」、これがPKFの業務でございます。これは、レバノン等において戦争の間で緩衝地帯を現実に設けて、その緩衝地帯をパトロールする、装備を持ってパトロールするということを言っておりますので、それはPKFで確かにロに掲げられていることでございますけれども、ただいま申しておりますように、施設部隊が実際橋をつくる、道を直すということについては、治安というものは重大な関心事でございますから、そのための情報を収集するということは、私は、本来の業務、むしろ当然の仕事であろうとすら思います。
  33. 串原義直

    串原委員 今の答弁は、私はいただけません。  それ以外の業務というのはどこで限度があるのですか。どこで、だれがそれを判断するのですか。施設大隊の業務は先ほど申し上げたとおりであります。これ以外の業務であるかないかという判断はだれがするのですか。どこで、だれがするのですか。  私は、従来の経過から見て、順次なし崩し的に行動の拡大、業務の拡大を図る、それがシビリアンコントロールに触れる、PKFに足を一歩踏み入れていく、簡単に看過できない重大な問題である、そういう立場で触れているのであります。ただいまの総理答弁は、私は絶対に承知するわけにはいかない。その他の業務というのは、だれが、どこで、どういうふうに線引きして判断するのですか、お答えを願います。
  34. 河野洋平

    河野国務大臣 今、総理の御答弁で尽きておると思います。  今御指摘の情報収集等について、それがその他の業務でだんだん拡大されるではないかという御心配があるやに承りましたけれども、まさに総理がおっしゃったように、橋をかけ道路をつくり、あるいは施設大隊の業務の中には輸送業務も含まれているわけでございますから、そうした本来の業務を行うためには、周辺の治安状況その他を知っておくということは、当然、本来の業務を円滑に進める上で重要なことであることは疑う余地はないと存じます。
  35. 串原義直

    串原委員 道、橋の修理、調査、情報収集、それはわかります。それと、間違ってはいけませんのは、投票所の管理、状況を調査するということと、自衛隊の施設部隊との業務の関連はどこにあるのか。だから私どもは、PKO特別委員会において、次から次へと業務の拡大が行われて大変な事態になることを憂慮する、厳しく厳しく厳しくコントロールしてもなかなか歯どめがきかないというのが残念ながら紛争地帯における行動であろう、こういうことを言ってきました。したがって私は、投票所の調査、監視、巡回、それと施設大隊の本来の業務とは関係ない、安全対策は別に考えられるべきものである、こう考えているのであります。したがって、この点について、総理、いま一度お答えを願います。
  36. 河野洋平

    河野国務大臣 総理大臣からの御指示は、法令の範囲内、法令の許す範囲内で行えという指示でございます。  これはタケオに百名前後の選挙監視要員の配置が決まったこともございまして、私からも防衛庁に伝えたところでございます。あくまでも法令の範囲内、本来の業務を行うという法令の範囲内においてベストを尽くせということを指示してあるわけでございまして、仮に法令を超えるようなことが行われるあるいはそういうことが予定されるということであれば、私はそうしたことは承知できない、了解できないということでこれを抑えることは十分可能でございます。
  37. 串原義直

    串原委員 じゃもう一度総理に伺います。重要なことですから、具体的に伺っておきましょう。  二、三回、私ここで触れてきましたけれども、報道されておりますように、施設部隊が百カ所程度ある選挙サイトを一日に一回は回る、複数の車両でチームをつくる、そういう行動をする、こうなったときには、施設部隊が法の範囲内で行動している、こう総理は受けとめますか。
  38. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私が指示いたしましたのは、憲法、法令の許す範囲でベストを尽くせということでございますから、その具体的な実施方法は現地において考えるべきものであります。
  39. 串原義直

    串原委員 総理、現場で判断すると仮にしても、私は今具体的に聞いているのです。幕僚長が記者会見で明らかにしたというから聞いているのです。選挙サイト、これが百カ所ほどあって、それを一日に一回は回る、場合によれば複数の車両でチームをつくって回る、こう言われているというのであります。この行為は法に触れますか、法の範囲内でしょうか、総理はどう判断しますか、こう聞いているのです。
  40. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そのことは先ほど政府委員が申し上げましたとおり、百とかなんとかということに意味があるのではなくて、ベストを尽くすということを申し上げたのだと思いますという答弁で私は十分だと思います。ベストを尽くしてもらいたいと思っています。
  41. 串原義直

    串原委員 ベストを尽くすということが、線引きは難しい、判断が難しいではありませんかという立場で私は伺っているのであります。  官房長官は、法に触れないようにして、法に触れることはやめさせる、こういうふうに先ほど言われた。じゃ官房長官、関連して、総理お答えにくいとするなら、今申し上げておるように、百カ所あるカンボジア選挙サイト、一日に一回回る、施設部隊が回る、複数の車両でチームをつくって回っていくということは、法の範囲内になるでしょうか、法を逸脱すると判断されますか。これについてお答えください。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから防衛局長からも御答弁があったように、百カ所という箇所数について、その数を特定して申し上げているとは私も思いません。多くの箇所という意味で言っておるというふうに考えておりまして、今総理の御答弁がございましたように、ベストを尽くす、法令の範囲内でベストを尽くすということの指示を受けて現場において対応するということと確信をいたしております。
  43. 串原義直

    串原委員 それでは逆な言い方をいたしましょう。  今申し上げた法令の範囲がどうかということと同時に、選挙サイト、百カ所あるところを一日に一回回って、それが複数の車両チームで施設大隊が回る、これはベストな行動ですか。
  44. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 まず、複数の車両で回るということがどうかというお話でございますけれども、実は安全性を考えまして、車両移動をするときには一般に必ず複数の車両をもって移動することということにもなっておりまして、複数の車両で移動することが安全上の観点から特に必要なわけでありますから、それが別に法令との関係で特段問題になるとは思いません。  それから、百カ所という話がございますが、これは先ほど来御答弁申し上げているとおり、なるべく多くのところから情報を得たいという意味で、なるべく多くを回りたいという意味を述べたものにすぎないということでございまして、実際に、安全状況等を確認し、みずからの安全状況等を確認したりあるいはそのときの能力といったようなことも勘案して、そういうどこまでを回れるかというのはその具体の状況に応じて決定されるということであると思います。
  45. 串原義直

    串原委員 今局長答弁された。しかし、私は自分で考えて今、回数、箇所のことを言っているんじゃありませんよ。ともかく陸上幕僚長が記者会見のときに明らかにしたことを申し上げているのであります。それは具体的ではあろうけれども、申し上げているのであります。したがって、ぜひこれは総理から答弁してください。  先ほどから申し上げておりますように、陸上自衛隊の施設大隊、これが百カ所ほどある選挙サイトを一日に一回は回る、その回る場合も複数の車両チームをつくるというふうに言っていることは、ベストな行為でございますか、対策ですか、お答えください。
  46. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから政府委員が申し上げているとおり、百ということに特段の意味があるわけではないと思います。とにかく私はベストを尽くせと言っておるのですから、それを実行してもらえばいいのです。
  47. 串原義直

    串原委員 じゃ、その百ということとかなんとかいうことには全然こだわりませんが、それじゃ、ベストを尽くすということになって、現地で判断したら、二百カ所とかなんとかという話になっても、それでもいいということなんですか。
  48. 河野洋平

    河野国務大臣 施設大隊には施設大隊の仕事があるわけです。現在でも道路の舗装をいたしておりますし、橋梁の補修もいたしております。そうした本来の業務に支障を来すようなことがあってはならぬと思います。  先ほどから申し上げておりますように、法令の許す範囲内、そして施設大隊の本来の業務に支障を来さない、そういったことも考慮されるというふうに思いますが、いずれにせよ、選挙、投票が行われる、そして選挙監視要員等がその地域にいるということになれば、そうしたものに対する関心を持つということは当然あり得るだろうと思います。そうしたことを踏まえて、しかし繰り返し申し上げますが、法令の範囲内で、本来の業務に支障のない状況の中でベストを尽くすということで、十分その行為の範囲といいますか限界はあるというふうに思っております。
  49. 串原義直

    串原委員 現場はそれほど単純なものではないと私は思う。  そこで法制局長官、あなたの見解を伺っておきましょう。  今申し上げてきたように、法の範囲内でという御答弁政府からいただきました。施設大隊がこういう行動を、橋、道路の改修、調査等以外に行動を起こしていく。具体的に幕僚長は百カ所くらいな投票所、選挙サイトを一日に一回は回る、こういうふうに記者会見で言われたようでありますが、これは私は、PKO協力法の許された範囲外である、こう考えているのであります。その点について、法制局長官としてはどういう御見解をお持ちですか。私は具体的に、幕僚長が会見をしたときに言われたということを引用して言っているわけであります。見解をお示しください。
  50. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいま引用されました幕僚長が具体的にどういうお話をなさったかということは、私は具体的には承知しておりません。  ただ、一般的な考え方として申し上げさせていただきたいと思いますが、まず施設大隊の場合には、法律、それから実施計画、実施要領によりまして一定の仕事を与えられておるわけであります。その仕事を遂行するためにいろいろな必要な調査を行う、これは当然なし得ることだろうと思います。  それからさらに、この法律の仕組みの上で申し上げますというと、四条の二項三号というところでございますけれども、国際平和協力業務の具体的な内容を把握するための調査、あるいは実施した国際平和協力業務の効果の測定、分析、その他国際連合の職員その他の者との連絡に関する、そういう事務を行うというような規定がございます。そしてそれを受けまして、この法律の十三条の二項の後段の方でございますけれども、施設大隊の構成員として派遣をされました自衛隊員につきましては、同時に平和協力隊員としての身分を持ち、そして先ほど申し上げました、四条二項で申し上げているそういう調査等を行うことができる、こういう法的な仕組みになっておるわけであります。  国際平和協力業務の円滑な実施というような観点から必要な調査を行うということは、その限りで可能であるというふうに考えております。
  51. 串原義直

    串原委員 今の御答弁はまことに明確さを欠いているわけでありまして、私は具体的なことを挙げて伺ったところでありますが、しかしこの問題は、この件は、私どもは了解するわけにはまいりません。明確にこの際申し上げさせていただきまして、この問題は集中審議等々におきましてそれぞれの立場から明確にしてまいりたい、こう考えておりますから、次に移ってまいりたいと思っています。  総理にこの点は伺ってまいります。  国連UNTACが、パリ和平協定停戦合意の枠組みは崩れていないとの認識であり、UNTACの業務中断や撤収などの判断は下していないため、それに従うとし、今後も国連の指揮を第一に日本派遣要員も行動するとしたら、政府の国会等における従来の説明とは大きく異なることになると私は思います。  当時、特別委員会の審議を通じてきちっとお互いに確認したことは、国連から指図は受けるけれども、撤収の判断日本が行うということであり、日本独自の判断で撤収するとしていたはずであります。そして、先ほども少し触れましたけれども、PKO協力隊員は安全なところに行くのであるから、それぞれの皆さんが平和的な条件をつくって安心なところへ行くのだから、安全という立場からは問題はない、全然心配はない、血を流すなんてとんでもない話だ、そんなことを今想定するなんてちょっと行き過ぎではないかというような議論まで起こって、安全である、心配ない、万が一のときには日本の部隊の責任者の判断で撤収をいたします。こういうことで国会の議論はお互いの確認を得て法案ができたはずだと私は思っているところであります。  ところが、今になって、状況判断等については国連判断と異なることはあり得ないから問題はない、UNTACが撤収しないのに日本だけが撤収することは外交上困難であろうなどと言うのは、余りにも国会や国民を愚弄するものであると言わざるを得ない。基本的な合意の上に審議が行われ、一定の方向が出された。それは今申し上げたように、安全の問題と、危険な場合には、何か事があったら、日本日本の立場で判断して撤収するということであったのに、今になって、国連が一切判断するのだから日本はそれはできないとか、UNTAC判断が下されない限り日本は動けないと言うのは、まさに私は国会を愚弄するものである、あのときの答弁は詭弁であったのか、こういうことになります。  総理から御答弁ください。
  52. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 法案の御審議中に答弁を申し上げたことと、少しも変わりはございません。
  53. 串原義直

    串原委員 それではもう一度確認をさせていただきますが、日本の部隊の責任者、派遣された組織の責任者の判断によって撤収すべきだと判断したら撤収をいたします、こういう理解でよろしゅうございますか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その判断は、本部長がいたすべきものと思います。
  55. 串原義直

    串原委員 いま一つ確認しておきます。  かっての委員会における審議等々でも議論いたしまして確認されたと思っていますが、今御答弁になった立場で、日本の憲法の枠の範囲、立場から、PKO五原則は国連に説明、了承を得ていることであるということも、繰り返し審議の中で国会で御答弁になったはずだと思っている。そのことも、ただいまも間違いございませんね。
  56. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 間違いありません。
  57. 串原義直

    串原委員 次に伺います。  報道によりますと、PKO要員の避難計画を策定したと伝えられております。輸送の飛行機、つまり輸送機を何様、どこへ配置する、あるいは輸送船艦をある港に配置するということも含めて避難計画を策定したと伝えられているわけであります。それがあったとしますならば、その内容はどんなものでありますか。この際、お示し願っておきます。
  58. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 防衛庁といたしまして、カンボジアヘの施設大隊の派遣に当たりまして、万一の不測事態に備えまして検討を行うことは当然必要であるというふうに考えておりまして、そういった問題についても検討を進めていることは事実でございますが、その内容につきましては、これは事柄の性質上、避難計画と仮にそういう名称で呼ぶといたしましても、いずれにしても、一たん何かあったときにどう安全に対処するかという事柄の性質上、その内容について公表をするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  59. 串原義直

    串原委員 検討はしているけれども、事柄が事柄だから内容はちょっと差し控えさせてくれということでありますから、これはきょうは深入りはしないことにいたしましょう。  しかし、ここで明確にしておきたい。相当具体的に検討されているのではないかと想定される、報道によりますと。といたしますと、これは当初予想していた行為ですか、対策ですか。
  60. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 これは、施設大隊を派遣をいたしまして、かなり前の段階、当初と言ってもいい状況のときに、もちろんカンボジアに施設大隊が落ちついて、作業を開始して若干たってからでございますが、その段階で指示をいたしまして、常にそういった業務を行うについて不測の事態に備えるということが必要であるということから、その段階から検討を指示し、検討が進められていったというものでございます。
  61. 串原義直

    串原委員 つまり、そのことは初めから予想していなかった、そこまで。  それから、私はあえてここで触れておきますけれども、そのこと自体はまさに国連が、UNTAC考えるべきことではなかったのか。先ほど申し上げますように、大丈夫だ、安全な箇所へ行くだけです、血を流すなんてとんでもない、それは言い過ぎですという立場で議論してきた経過から見るならば、そういうふうに私は思う。当初から予想されていなかったような事態が起きたことに、防衛庁長官にこれは聞きますが、今どういう感想をお持ちですか。
  62. 中山太郎

    中山国務大臣 私ども防衛庁といたしましては、六百名という自衛隊員、生身の人間を他国に派遣をしているという立場で、その隊員の方々の生命、健康というものについては常に配慮をしていかなければならない。事前の、PKOの発足のときにどうであったかということは別といたしまして、我々は最悪の事態に備えたあらゆる安全方策というものを検討していくという立場でございます。そういうことが実際に起きるかどうかということは別でありますし、起きないことを願っていることは間違いございません。
  63. 串原義直

    串原委員 警察庁長官、いらっしゃいますか。いますね。
  64. 粕谷茂

    粕谷委員長 おります。
  65. 串原義直

    串原委員 それでは、一言伺っておきます。  文民警察の安全性について、今になりますと、あの特別委員会等々においてもっと議論を深めておくべきであった、私の反省も含めてそう思っています。しかし、犠牲者が出た、まことに大変なことだ、痛ましいことである、こう思っているのでありますけれども、警察庁長官は、この文民警察の協力行動、安全性についてどう考えていらっしゃいますか。私は、聞くところ、文民警察官は本来の任務以外に要人の警護等々あれこれと任務がふえている、拡大されていると聞いているわけであります。そのことも含めて、長官の、安全性、業務の内容に対する判断をお聞かせを願っておきたいと思います。
  66. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  現在、我が国から派遣された文民警察隊員は、国際貢献のために大変厳しい環境の中で日夜努力をしているところでございます。安全の問題につきましては、文民警察官国際貢献が応募制、つまり各人が応募することによって始まるという形をとっております以上、国際貢献の今後における永続的な実効性を確保するためには安全確保がぜひとも必要だというふうに私ども考えております。そういう観点に立ちまして、私どもの立場でこれまで国際平和協力本部に対して必要な多くの要請をしてまいったところでございます。  また、任務のことについてお尋ねでございますが、法律上、警察行政に対する助言、指導、監視ということが書いてあるわけでございます。現実に行っている勤務の態様を見ますと、政党事務所の警備であるとかあるいはVIPの警護であるとかそういったものもございます。現地の警察の活動というものを前提にしない、つまりそれに成りかわるというような仕事というのは、法律の適用上疑義があるのではないかということで、そのことについては、所管しております国際平和協力本部の方に累次の申し出をしておるわけでございます。もちろん、この法律の解釈につきましては総理府の方で所管しておるわけでございますので、私どもの立場でそういった申し出をしてきたところでございます。
  67. 串原義直

    串原委員 長官質疑を重ねる時間はありませんけれども、ただいま答弁をいただいた立場に立って、私は、文民警察官の任務の拡大、あれこれ行われているようですね、今御答弁のように、これはいかがかというふうに思う。だから、現地というのは、事ほどさように、例えば国会で、例えば会議で想定するような安易なものではないと考える次第であります。  したがって、文民警察官の任務の範囲につきまして、どうお考えでございますか。
  68. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先ほど警察庁長官の方から御答弁ございましたことに尽きると思いますが、文民警察要員の任務は、この法律上、現地の警察行政事務についての助言、指導、監督ということでございます。具体的には、現地の警察活動が公正、中立に行われているかどうかという点の監視等を行いましたり、あるいは現地警察に対しまして捜査の方法等の指導、助言を行うというような業務でございます。  ただ、現実の問題といたしまして、確かに時としてUNTAC我が国の文民警察要員の本来の業務から見まして疑問のある指図等を行っている例も聞いておりますので、我が国といたしましては、要員の安全確保の観点、それから国際平和協力法との整合性という関係から、例えば政党事務所の警備でございますとかあるいはVIPのエスコートといったことは行わせないでほしいということを四月に、ことしの四月でございますが、在カンボジアの今川大使から明石代表に申し入れていただいた経緯がございます。  私自身もきのうまでカンボジア現地に行っておりましたが、その際にUNTACの明石特別代表と、それから文民警察の業務を直接所管しておりますルースさんという警察部長がおられますが、このお二人に対しまして同じ申し入れを重ねていたしました。  これに対しましてUNTAC側から、直接にはルースさんでございますが、政党事務所あるいはVIPのエスコートといったものは、これはむしろその直接の責任は現地の警察にあるのだ、UNTACはこれを指導、監督するものだというふうに考えているという御発言がございました。そうであるとすれば、我が国の法制上とこの点については一致するはずでございますので、ただ現場において必ずしもこれに一致しないということも聞いておりますので、そこはUNTAC側におきまして、そのような逸脱した指図を行わないでほしいということを重ねて申し入れてきた次第でございます。
  69. 串原義直

    串原委員 申し入れをされたようでありますが、これは文民警察要員本来の任務に限られて、安全性を含めて考えていきますように厳しく対処してもらうことを要請しておきたいと思います。  そこで、総理にこれも伺います。  たとえ総選挙が実施されても、ポル・ポト派抜きの選挙ではカンボジアの不安定な状態が継続することになるのは明らかだと私は思っているのであります。制憲議会が発足し、新政権が樹立されるのか、なかなかこれ、見通しは難しいのではないか。政府は、仮に総選挙が終わって新政権が発足するというような状態の後も、国連がPKOなどの形でカンボジアに関与する限り、それに参加すると今は考えておるのかどうか。そのときはポル・ポト派などの武力による反発は強まっている状態であろうと心配を私はいたしますので、かなりの装備を持ったPKFへの参加ということにならないのか、まことに私は危惧しているところであります。道路、橋などの建設工事、先ほどもいささか議論をいたしましたけれども、工事等の協力、貢献だけでは済まなくなる、これは間違いないことだと思う。どうお考えになっておりますか。  と同時に、報道によりますと、UNTACは、カンボジア三派の軍事組織を、三カ月間、UNTACと三派と協議をして軍事組織をつくって後の対処をしようと考えている、検討していると、こんな報道もありました。といたしますと、それとの関連で政府はどのようにお考えになっているのか、総理の立場から御答弁を願っておきたいと思うのです。
  70. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 将来にわたることでいろいろ予測しがたいことがございますので、考え方の基本だけを申し上げておきたいと思います。  本来、カンボジア人自分たち国づくりを自分でするのが本来でございますけれども、十三年も戦争をしておった後、それが自分たちだけでは残念ながらできないということから、パリ協定に基づきまして国連平和協力が行われております。我々はそれに対して我々の貢献をしておるわけでございます。そのやはり一番の目的は、選挙をやって制憲議会をつくって、そして彼らなりの自分たちによる国づくりをしてもらう、こういうことでございますから、UNTACの仕事というのは、この選挙を無事かつ公平に済ませることによって後の国づくりにつないでいくということである、これは私は基本的な原則であるというふうに思っております。ですから、その原則に従ってUNTACも行動すべきであろうというふうに、これはUNTACの決めることですが、私としてはそういうふうにすべきものであろうなと考えています。  つまり、本当にカンボジア人カンボジア人国づくりをする上で選挙後になおUNTACがいろいろな要請を受ける、ぜひこういうことをしてほしいといったようなことについて、国づくりの上で各派から要請を受けるということが仮にございますれば、シアヌークさんを含めまして仮にそういう要請をカンボジア人から受ける、国民的な要請を受けるということであれば、UNTACはそれにどうこたえるべきかということについて、やはりその段階判断をいたさなければならないと思います。  そういうUNTAC判断がまずございまして、その上で我が国に何を、どういう貢献を求められるかということになってくるのであろうと思いますから、やはり基本としては、カンボジア人の自分の力による国づくりになるべく早くゆだねていくというのが私は物の考え方の本則であろう、こういう判断でございます。
  71. 串原義直

    串原委員 PKO、カンボジア問題について触れてまいりましたが、以下につきましては集中審議等々も行われる予定でありますからその際に譲りたいと思っているところであります。  最後に一言触れて次に移りますけれども、私は、先ほど触れましたカンボジアの問題、カンボジアの平和の問題、基本は、今総理も少し触れられましたけれども、カンボジア人民の手で行うべきものである、内政不干渉を基本にしていくべきものである、このことは強く強調させていただきたい、こう思います。  次の問題に移ります。  外務省、戦時中の中国人労働者強制連行に関する資料が大量に発見されたと聞いておるのであります。従来は、この資料はないと言われていた。それが大量に、関係する会社、機関等々のものも含めて、発見された。これはどのような経過でこの貴重な資料が見つかったのか教えてください。
  72. 池田維

    池田政府委員 突然の御質問でございますが、私の承知いたしておりますところでは、従来、その資料はないということでございました。最近になりまして、政府以外のところでそのような資料が存在するという話が出ております。  私どもとしましては、その資料をできるだけ早く見させていただいて、それが真のものかどうかということを判断したいと考えているわけでございます。
  73. 串原義直

    串原委員 これは総理に一言伺っておきますが、これから検討すると外務省は答弁なさったのでありますが、相当といいますか膨大な資料と言ってもいいほどの資料が出てきた。出てきたことは結構ですね。したがいまして、内容を検討するという話でありましたが、資料が出てきたといたしますならば、この問題は大きな政治課題になるのではないか、政治課題であろう、こう考えております。  この点について総理はどう対処をしようとお考えになっていますか、見解をお示しください。
  74. 池田維

    池田政府委員 基本的に、日本中国との間の請求権問題につきましては、御案内のとおりでございますが、一九七二年九月の日中共同声明におきまして決着済みでございます。もちろん、そのとき日本側としましては、戦時中あるいはその前に中国国民に与えた重大な損害というものを認め、それに対する謝罪の意を表明したわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この本件資料につきましては十分に検討させていただきたいと思いますけれども、日本中国におきます法的な問題としましては既に決着しているというように考えているわけでございます。
  75. 串原義直

    串原委員 今答弁がありましたが、総理総理からも一言、この点については見解をお述べ願いたい。
  76. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 日中間の基本的な関係に影響があるものとは考えておりませんが、資料が真正のものであるかどうか、どういう性格のものであるかにつきましては、これは関心を持ちまして調査をいたさせます。
  77. 串原義直

    串原委員 公正取引委員会、いらっしゃいますか。——公正取引委員会は、山梨県の建設業協会に対する独占禁止法違反の検査を行われましたね。これは厳格に行って、きちっと精査をして、違反の事実が明らかになれば刑事告発をすべきだと私は考えているのであります。お答えを願います。
  78. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お尋ねをいただきましたが、公正取引委員会は、今月の十三日、十四日、この両日、社団法人山梨県建設業協会本部及び同支部の事務所並びに同協会加盟の建設業者の事務所、計五十数カ所におきまして、いわゆる入札談合を行っていた疑いで、独占禁止法に基づき、立入検査を実施いたしました。  今後所要の調査を鋭意進めまして、その結果、独占禁止法に違反する事実が認められれば、当然、厳正に対処してまいりたいと考えておりますが、何分調査に着手をしたばかりの事案でございますので、今後の見通し等につきまして申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  79. 串原義直

    串原委員 従来は、伝えられますところ、ともすると公正取引委員会の調査の結末は甘かったのではないかと言われている節があります。遺憾なことでございまして、ただいま委員長から御答弁願いましたように、厳しく精査をされて、正確かつ厳正に対処されることを強く要請を申し上げておきたい、こう思います。  次に、総理、我が党は当初予算の審議におきまして、景気対策としては不十分である、この予算では不十分である、したがって、社会党、公明党、民社党とともに、御承知のように予算修正を共同して要求いたしました。ところが、政府は、提案している予算案が最善のものである、これ以外のものはない、こういうことで全く修正に応じてこなかった。それでいて、予算執行もそれほど進んでいない今日の段階で、予算成立後まあ一カ月程度でございましょうか、新経済政策を、あるいは新経済対策と言うのが正しいかもしれませんけれども、具体化するために、一般会計で二兆二千億余りの公共事業を追加するなど、かなり大がかりな補正予算を今回提出をいたしました。当初予算の効果がどうなるのか、これがまだ明らかでないうちに、はっきりしない段階で、新しい総合経済対策を決定して補正予算案を提出するという理由を明確にしていただきたい。  今の段階で補正しなければならないものであったならば、当初予算の審議の際に我々の要求にこたえて修正すべきものであったのではないか。ちょっと御都合主義過ぎる、余りにも国会論議を軽視する態度であって、なかなかこれ、よろしゅうございます、こういうふうに言えない気持ちであります。やはり政府責任は少なくない、こう思っておりますから、一年に本予算と補正予算、大型のものを一カ月余りで提出をするという前代未聞の、異例中の異例と言えましょうか、こういう態度について政府責任を明確にしてもらいたい。これは総理からお答えを願っておきます。
  80. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当初予算を御審議、可決をしていただきまして間もなくの間に大きな補正予算の御審議をまた仰ぐということは、確かに異例のことでございます。こういうことがしょっちゅうあってはならないと存じます。その点ではぜひ御理解を得て御審議をいただきたい、こう感じるものでございますが、御承知のようなかって経験したことのない不況というものに対応して、当初予算はできるだけ、公共投資等々、中央地方を通じまして大きなものを組み込みまして、いろいろ御審議をいただきました。  で、当初予算を組みましたのは、大体十一月の末ごろの景況判断からいたしておるわけでございますが、その間、我が国の経済には少しずつ好転の兆しが見え始めておりますが、なおしかしながらいろんな情勢の中でかなり、いわば重い経済の病気でございますから、なおこの際経済の、景気の足取りをしっかりさせておく必要があるであろうという判断をいたしまして、今回の総合経済対策、補正予算ということに段取りをいたしたわけですが、できるならばこれは秋ということでなく、むしろ早目に対策をとり、予算を成立させていただくことが足取りをしっかりする上でも、またその効果から見ましても有効であろうという見地から、このたび御審議を仰いでおるわけでございます。  しかし、どうしてそれを本来なら本予算に打ち込まなかったかというお尋ねは、ごもっともな点がございます。また、この御審議においてそういう点のいろいろな御指摘がございましたが、何分にもやはり十一月の末の経済状況で一つの判断をいたしまして総合的な本予算を組ませていただきましたもので、そういう本予算があっての補正予算、そういう性格をこの補正は持っております。したがいまして、まず本予算の御審議をお願いし、その成立を見ました上で次のステップを考えさせていただいたということでございます。  経済状況が非常に難しい情勢であるとは申しながらこのような異例のことをいたしました点につきましては、ただいまのような理由に基づくものでありまして、その点は御理解をお願いを申し上げたいと思います。
  81. 串原義直

    串原委員 この点につきましては同僚議員から後ほどまた改めて伺うときもございます。それから、経済問題等々に対する集中審議も予定されているわけでありますから、ここで深めてまいりたいと思っております。  そこで、所得税減税問題について触れさしていただきます。  九二年度補正予算、さらには九三年度予算にも所得税減税が盛り込まれなかったために、消費の停滞が進行し、不況を深刻化させてきたと私は考えております。ところが、今回の補正予算案にも千四百六十億円の政策減税が盛り込まれましたものの、本格的な所得税減税は見送られており、欠陥景気対策と言わなければならない。政府は、たび重なる経済見通しの誤りと適切さを欠いた政策対応の失敗を反省して、個人消費拡大のために大幅な所得税減税の早期実施を行うべきである。そして、これはやっぱり認めなきゃうまくないな、いけないなということを考えるべきであると思う。景気対策の観点から、消費性向の高い中低所得者を重点にした相当規模の減税を早急に実施するよう求めたいのであります。いかがですか。
  82. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 串原議員の御質問お答え申し上げます。  本予算の成立に当たりまして与野党間の協議がございました。その中でもいろいろお話がございましたが、今お話がございましたように、所得税減税をやって消費刺激をやるべきだ、こういうことでございましたが、所得税減税につきましてはいろいろな問題があるところでございまして、私どもとしては、景気に対する効果として、いわゆる公共事業等の及ぼすところの影響の方がより景気に対して刺激的な効果を持つものであろう、こういうことでございますし、また、いろいろと言われておりますような所得税減税につきましては相当巨額の財源を必要とするわけでございまして、この巨額の財源を一体どういうふうに考えていくのかというのが一つの問題だろう、こう思っております。特に、赤字国債を出してというような話になりますと、これは非常に問題であろう、こういうふうに思うところでございます。  また、税制全体との関連でどういうふうに考えていくかというところで検討すべき課題が多いし、また克服していかなければならない問題も非常に多いと繰り返し私どもは申し上げてきているところでございますし、与野党間の協議も行われておりまして、まだ話がついてないというところでございますので、私どもはその話も注意深く見守りながら対処していかなければならない、こういうふうなのが今の私どもの態度であることを申し上げておきたいと思います。
  83. 串原義直

    串原委員 所得税減税を実施しない理由については、今大蔵大臣から答弁がありました。これは本予算審議の際にも何回か大蔵大臣からも述べられたところであります。ほとんど内容は同じ答弁でございます。  しかし、私はここで強調したいのは、今年度本予算を成立させる直前、先ほど申し上げましたように、社公民三党、予算修正案を提出、その修正案をめぐりまして与党、野党の話し合いが難航いたしまして審議が中断をした、その際に与野党の幹事長・書記長会談が行われた、これは御承知のとおりであろうと思います。そこで何回か話し合いをされた結果、梶山自民党幹事長は、所得税減税は前向きに検討する、そう約束をして、それに加えて、私のこのバッジをかけても努力をするから検討させてくれ、こういう話でありました。それはだれも、そこまで与党の幹事長が言うならば、実施するであろうことを踏まえて了解しようというので話し合いがまとまって、本予算審議に再び入り、成立をしたという経過があるわけであります。これは社会党だけではありません。公明党、民社党、それぞれそのとおりだということで話し合いをしてきたところなのであります。  にもかかわりませず、書記長、幹事長の会談を受けて、実務者会議と称して、各党の政審会長さんほか専門家が集まって、実務者レベルで協議してまいりましたけれども、この二月間一足も前進をしない。これではいけないというので、予算委員会審議に当たって各党の実務者会議の諸君が協議をして、おれたちのところはお手上げである、こんなばかなことはない、約束が違うではないかということで相協議をして、予算委員会でこの問題はけりをつけてくれ、審議をしてくれ、前進さしてくれ、こういう話があった。ああそうですかということになって、実務者会議でも御協議をいただき、その結果、五月十七日、幹事長・書記長会談が行われたことは御承知のとおりであります。  ところが、私はまことに意外に思う。これは報道されたところによりますと、と同時に私ども社会党の書記長に聞いたところ、梶山幹事長はむしろ後ろ向きとも受け取れる答弁をなさった、そのときに。報道によりますと、梶山氏は、期待感を持たしたことは深く反省するとしながらも、予算審議当時は所得減税を検討しないと不況脱出ができないとの危機感があったが、その後景気の各指数も上向いている、したがって所得税減税を現時点では検討していないみたいなことを言ったというのですね。これは、確かに与党、野党の政党の話し合いではありましょうけれども、与党によって構成されている宮澤内閣、予算審議の際にも重要な話し合いのテーマとして議論してきたこの内容を踏まえて、私は、与党、野党の責任者、つまり、言いかえるならば与党の総裁、総理である総裁、幹事長相協議の上、明確な御答弁を願いたい。  それではあのときに、簡単に言うならば、国家をだましたのか。期待感を持たして、やる気はないけれども、予算を通すために国民をだましたのか、こういうことになる。これでは私は、よろしゅうございます。そうですかとは言えない。明確な答弁がない限り、以下、質問はできない。
  84. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 串原議員のお話で、今新聞をお取り上げになりまして御説明がありました。あの五月十七日の日の書記長・幹事長会談の話につきましても、私もほぼ同じようなお話を聞いているところでございまして、まだ会期中でございますから、まだ依然として与野党間でいろいろなお話し合いをしていただくというような私は状況ではないかなと、こう思っておるところでございます。  私どもの政府といたしましての考え方は、先ほど串原議員の御質問に対しまして私からお答え申し上げ、一つも変わってない。そう私も物の考え方を変えるわけにはまいらないわけでございまして、いろんな話を私はこれからも、議論はしていただくのは結構でございますが、私の考えとしては今のような話ではないかなと、こう思っているのです。  ただ、申し上げたいのは、今回、補正予算と同時に租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案をいたすことにいたしております。その中では、いろいろとこの前の国会でも御議論になりました住宅建設促進税制につきまして、御要望がありました点を入れて、改正案を出しましたり、また、投資減税であるとかその他のものにつきまして案を出しております。また、旅行等につきまして控除の範囲を広げることであるとか、あるいは教育関係のところに及ぼすところのいわゆる扶養の特別控除制度というようなものにつきましての改正案をお願いしておるところでございまして、そういった点につきましては、いろいろと野党からの御指摘のありました点もあるわけでございますから、そういった点もやったということはぜひお酌み取りをいただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  85. 串原義直

    串原委員 では、私は、これは三党の問題でもありますから、幹事長、政府筋、総裁等々を含めて相協議の上、イエスかノーか、所得税減税についてはやるのかやらないのか、明確にお答えをいただくようにいたしまして、私は、質問時間を残して、これで終わりたいと思っている。よろしくお願いします。
  86. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて串原君の質疑は終了いたしました。
  87. 串原義直

    串原委員 いや、そうじゃないんですよ。
  88. 粕谷茂

    粕谷委員長 もう一回発言を言い直してください。
  89. 串原義直

    串原委員 質問時間は十分程度残っておりますけれども、保留をして、きょうのところは終わっておきたい、しかるべき時期までに相協議をして御答弁を願いたい、回答を願いたい。やるのかやらないのか明確にしてもらいたい、こういうことです。
  90. 粕谷茂

    粕谷委員長 そうすると、九分間の時間を留保しておく、こういうことでございますか。
  91. 串原義直

    串原委員 はい。
  92. 粕谷茂

    粕谷委員長 その趣旨によって、串原君の質疑は、保留分九分間を除き、ここで終了いたします。  次に、草川昭三君。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  93. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川でございます。  まず最初に、補正予算の提出に至った経緯から、また、周辺の経済情勢についてお伺いいたします。  政府は、平成五年度の当初予算について、過日この予算委員会で議論をしたわけでありますけれども、最適な予算だ、ベストの予算だと言っておみえになったわけであります。また、経済見通しについても、三・三%達成可能だ、こういう趣旨の発言もされてきているわけであります。当然のことながら、提出した予算はベストだ、政府見通しの三・三%は実現可能だ、こう言っておみえになったわけでありますけれども、これは実は私どもの要求もあったわけでありますけれども、総合経済対策というのを打ち出されました。予算が成立した一カ月余りしかたっていない段階で、これも三十四年ぶりでありますけれども、同一国会内で補正予算が提出をされたという事態になったわけでありますけれども、これは振り返って考えますと、当初予算というのが景気対策として欠陥があったんではないか、こういう一つの証左になるわけでありますけれども、その点について総理見解を伺いたいと思います。
  94. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 予算の方の責任者でございますから、私から便宜お答えを申し上げさせていただきたいと思います。  今まさに御指摘のございましたように、平成五年度当初予算は、異例に厳しい財政事情の中で、既存の制度、歳出の徹底した見直しに取り組む一方、内需中心の持続的成長を図るために、そのときの経済情勢を反映いたしまして、十分な景気対策をやる、こういうことで予算案を提出いたしまして御審議をお願いして、三月三十一日に成立をしたところでございます。  財政法にもありますけれども、予算の問題についてはそのときの状況を考えてと、こういうことでございまして、今委員指摘のございましたように、振り返ってみますと、予算案の審議の中では、足りないじゃないか、どうだ、こういうふうな御指摘も確かにあったわけでございます。そういったことでございますが、私どもといたしましてはそういったお話も考えましたし、またその後の状況を見ましても、もう一つはかばかしくないところがあるという感じもございますので、あえて臨時異例ということでございまして、また、二遍も予算をお願いするというのはまことに恐縮なことかもしれませんけれども、やはりやるならば早くやった方がいいではないか。特に、いろいろな点を考えますと、今からでも早くお願いした方がいいだろう、秋口になるよりは今お願いした方が景気の持続的な回復に持っていくためにはいいだろうということでお願いをしたところでございます。
  95. 草川昭三

    ○草川委員 今、その後の景気についても若干問題があるという趣旨のことを言われたわけでありますが、私どもとしましては、当初予算で三・三%の実現は不可能だ、再三この問題を言ってきたわけでありますし、社会、公明、民社三党で予算の共同修正案も提出をしてきたわけです。しかし、政府あるいは自民党は我々の要求に耳を傾けなかったわけでありまして、それでしかも予算の年度内成立こそが最大の景気対策だ、こう言ったから、私どもも予算委の理事会でその趣旨を踏まえておこたえをしたわけであります。しかし、せっかくそういう努力にもかかわらず補正ということになった。この景気というものも、一月から三月の間に急に悪くなったわけじゃない。昨年来の経済動向があるわけですから、我々はそのロングのレンジで物を見て政府に物を言ってきておるわけであります。  私は、これは本来ならば大蔵大臣の首をかけてもという、そういう責任があるのではないかと思うわけでありますけれども、これは大蔵大臣ではなくて、総理に御答弁を願いたい、こう思います。
  96. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 本予算成立直後に大きな補正予算の御審議を願うということは、まことにこれは恐縮なことでありまして、こういうことがしばしばあってはならないことと、私どももそういう意味では考えております。ただ、草川委員が本予算御審議の過程でも実は御指摘がありましたように、非常に難しい経済情勢であって、私どもが十一月に考えてつくりました本予算、多少好転の状況は経済に見えますものの、なおこれをできるだけ早い時期に足取りをしっかりさせておいた方がいいという判断に立ちまして今度の補正をお願いをいたしておるわけです。  正直を申しまして、本予算というのは、やはり一年間の国の政策全般にわたりましての骨格を定めるものでございますので、多少のアクセントをつけることは可能でございますけれども、本予算の性格から、やはりこの土台というものをしっかりしておいて、その上でかなりなアクセントを持った補正ということが、実質的には、現実の問題としてはとるべき道だという、そういう判断もございました。そのような判断に立つならば、秋を待つまでもなくなるべく早く御審議をお願いした方がいいということで提出をいたしたわけでございますが、御指摘のように、いかに難しい経済情勢とはいえ、こういう異例なことをすることは決して好ましいことではないという御指摘と思います。私どももこういうことをしばしばすべきものではないと考えておりますので、その点は御理解をお願いいたしたいと思います。
  97. 草川昭三

    ○草川委員 では、その答弁を踏まえまして次に移りたいと思うんですが、景気は一部の指標で明るさが見えるわけでありますけれども、個人消費あるいは設備投資というのは非常に深刻な状況であります。いわゆる冷え込んでいるわけです。あるいは企業のリストラというんですか再構築というんですか、それなりの努力をしているわけでございまして、雇用問題にもいささか陰りが残っているわけでありますし、また、自動車産業等々によりますと多品種生産ということを見直そうというわけでございまして、例えば部品の共通化、こんなことをやるわけであります。私どもが中小企業なんかへ行きますと、例えば金型なんというのは三分の一に減ってしまいましたよという非常に深刻な中小企業の訴えもあるわけでありまして、一日も早い景気回復に全力を注がなければいけない、そういう意味で秋まで待つわけにはいかないから補正を出されたということは、素直に私どももお受けしたいと思うんです。  そういう意味で、過日、総理は本会議で、景気は底を打ったという趣旨の発言をしてみえるわけですが、本当に底を打ったんだろうかどうか。私は、この連休日にいろいろと地元を回ってまいりますと、いささかうなずけない点があるわけであります。その点どうでしょう。
  98. 船田元

    ○船田国務大臣 総理お答えする前に、私から景気の現状について御報告をいたしたいと思います。  我が国の経済は依然として調整過程にあり、なお低迷をしているわけでございますけれども、確かに今御指摘をいただきましたように、一部には回復の兆しは見られているということは間違いのないことであると思います。私自身としても、個人的にはそろそろ底を打ちつつあるなという感触は持っておりますけれども、しかしなお、やはり景気の底入れの時期ということについては、今後発表される経済指標の動きを見て事後的に判断をされるべきものであって、現段階では確たる時期を申し上げるということは困難かな、このように感じております。  先ほど草川先生からも御指摘をいただいたように、経済における横綱と言われる個人消費、それから民間の設備投資、その辺の数字をやはり今後注目をしていかなければいけない。そこの点において明るい動きがないということでありますと、やはり底を打ったという感じにはなかなか国民全体としてもなっていかないのではないか、このように認識をいたしております。
  99. 草川昭三

    ○草川委員 今の長官答弁を聞きまして、確かに、数字を一々申し上げませんが、個人消費、設備投資、なかなかうまくいっていません。大きな問題がそうであるにもかかわらず、総理が本会議で底を打ったという趣旨のことを言われたのはどういうことなんでしょう。
  100. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 公共事業が高い水準であることは、これは当然のことで、そういう財政をやっているんでございますから。住宅は、私は比較的順調であると見ております。それから、問題は企業の在庫調整でございますが、おととしの暮れごろ始まりまして、かなりいろいろ業態によっても違いましたが、まずまず在庫調整が終わろうとしていると申し上げでいいのではないか、そのくらいがプラスの材料でございます。  ただ、今、経企庁長官が言われましたように、設備投資の方は、昭和のおしまいから平成の初めにかけまして二けたの設備投資を三年も四年もいたしておりますので、新しい設備投資が殊に製造業で急に起き上がってくるというふうにはなかなか私は考えにくいんではないかと思います。消費の方は、これはそういつまでも従来のような低迷を続けることはないだろうと思いますので、したがって、回復の態様というのは、決してV型の回復をするというふうには考えにくくて、ゆっくり、徐々にということであろう、そう考えておくべきだと思っています。  そのようなことから、底は多分間違いなく打ったであろう、しかし、これから非常に目に見えて急速な回復があるというふうに考えるのは楽観に過ぎるであろう、そういう判断を自分としてはいたしておるわけです。
  101. 草川昭三

    ○草川委員 まあ急速な回復ではない、しかし、どうやらこれが底ではないだろうか、こういう趣旨でございますが、ということになりますと、これ、秋に国会がどうなるかは別といたしまして、第二次補正というようなことも考えなければいかぬようなことになるんじゃないでしょうかね。その点はどうでしょう。
  102. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 多分それはそういうことにはなるまい。殊にこうやって早い時期にこの補正予算、総合経済対策を御審議願っておりますので、昨年のおくれ分といいますか、そういうこともございまして、累積的には非常に大きな効果がございますので、恐らくはこれで民間経済活動につないでいけるものだというふうに私は思っております。
  103. 草川昭三

    ○草川委員 では、日銀の総裁にここでお伺いをしたいと思うんでございますけれども、先ほども若干経済指標の話が出たわけでありますが、最近の指標では、若干のプラスの指標もあるわけでありますけれども、どちらかといいますと、百貨店の売上高、あるいは旅行取扱金額、あるいはまた一般資本財の出荷等々というのを見てまいりますと、マイナスでありますね。今総理お答えになりましたように、製品在庫等は若干好転、新車の自動車の登録台数も若干好転。しかし、これは三月が好転しましたが、四月が倍のマイナスというように、いろいろと明暗相半ばをしておるわけでございますけれども、これを踏まえて、今後の景気展開をどのように見ておみえになるのか、日銀からお答え願いたいと思います。
  104. 三重野康

    三重野参考人 お答えします。  今、委員が御指摘のとおり、年が改まりましてから一部経済指標にいいものが出てきたのは事実でございますけれども、まだやはり個人消費、設備投資につきましてははっきりとした動きが出ておりません。したがって、足元の経済としては、底入れを探りながら、まだら模様といいますか、明暗取りまぜた動きが続くと思います。  これから先につきましても、上期中はやはり最終需要が弱うございますから、これは公的需要に支えられた展開ということになるかと思いますが、もう少し先を考えますと、さっき総理もいろいろお話しになっておりましたが、これはストック調整、在庫調整に限りませずに、各種のストック調整がかなり進捗しつつありまして、ようやく最終段階に入りつつある。  それから、企業のリストラも、もちろん業種により企業により違うわけでございますが、いろいろ努力をしておられまして、かなり進捗しておりますので、自然に、次第に民間経済の中に景気回復への条件が整いつつあるというふうに判断をしております。  そこで、ここで御審議をいただいております二次補正等が通りますと、先日の政府の発表しました総合対策が効き出しますし、また金融につきましても、ここまで累次にわたり金利を下げてきております。この累積効果というものも出てまいりますので、下期にかけては民間需要がやや回復し、景気全体も立ち直るというか持ち直す可能性はあるというふうに思っております。  ただ、例えば円高の帰趨も見ておかなければなりませんし、いろいろございまして、特に経済は生き物でございますから、引き続きよく注意して見てまいりたい、かように考えております。
  105. 草川昭三

    ○草川委員 下期にかけては期待をしたい、こういう答弁でございますが、これは経済企画庁になるか日銀になるかわかりませんけれども、最近、貸しビルの空室というのですか空き室というのが非常に目立つわけであります。ビル全体がどんと空き室になっている場合もありますし、それから都心の中心地における近代ビルの空き室も非常に多い。これはそれなりの理由があるわけでありますけれども、その理由は別といたしまして、今後の景気動向に私は相当悪影響を与えるんではないかと思うのですが、お答え願える省庁から、お答えしてください。
  106. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、オフィスビルの空室率でございますけれども、九一年まではかなり低かったわけでございますけれども、昨年以来、特に首都圏では上昇をしております。これは、オフィス需要の方が、このところ企業収益が悪化しておりますので、減る傾向にある一方で、新規供給の方はずっと高水準で続いておりますので、その結果として需給が緩和しているということだろうと思われます。  したがいまして、民間のビル建設計画の見直しが進められておりますけれども、そういうことで建設工事受注が民間からは大幅なマイナスになっておりまして、二五%ぐらい前年比マイナスになっております。この点は今回の非製造業の設備投資の弱い原因になっているかと思われます。なかなか先行きについても、すぐにこの点は解消していくというふうには考えておりません。
  107. 草川昭三

    ○草川委員 今も答弁がありましたように、建設工事の受注の統計では、非製造業の方ではここ最近マイナス三五・七、マイナス二四・一という二けた台の非常に大きなマイナス要因になっておるわけでありますから、これも私は足を引っ張る一つの材料ではないかと思うのです。  そこで、日銀にもう一回戻りますけれども、このところ長期金利というのが非常に上昇をしてきております。アメリカも同様だと聞いておりますが、その背景は一体何か。需要があれば値段が上がります、金利が上がりますよという言い方もあるでしょうが、逆に長期金利が高くなれば設備投資意欲というのは下がるわけでありますから、そこらあたりをどういうように見ていいのか、ひとつ日銀からお伺いをしたいと思います。
  108. 三重野康

    三重野参考人 委員指摘のとおり、ごく最近長期金利がやや反騰してきているのは事実でございます。これは市場における見方でございますけれども、長期金利は年初来ずっと下がってまいりまして、公定歩合を下げました後もさらに金利が低下するのではないかというような考えのもとに低下を続けておりましたが、これまた委員先ほど御指摘のように、景気の指標が若干いいとか、株価が持ち直すとか、そういうのを見まして、それの訂正というか反動の動きがございますけれども、マーケットはやはりある程度の変動というものはつきものでございまして、いろいろ動くわけで、その一高一低が直ちに景気に大きく響くとは考えておりませんが、先生御指摘のように、今は景気回復に大変デリケートな時期でありますので、長期金利がどういうふうになるのか、注意して見てまいりたい、かように思っております。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 この次の、今から言う質問は、多分経企庁が答えるので、経企庁は答えてもらいたくないのです。ぜひ日銀総裁に答えていただきたいんですが、円高の問題なんです。  対外収支の黒字が伸びてきておるわけでありますから、急速に円高が始まった、これは事実でございますね。これが国内景気にどのような影響を与えるのか。この円高によって、経済成長率の三・三%というもの、政府の見通しがあるわけでありますが、達成が危なくなったんではないかというのが私どもの立場の質問なんですが、どのようにお考えになるのか。  あるいはまた、円高を避けつつ対外不均衡の問題を解決していくためには、これはまた後に通産大臣にもお伺いをしますが、どのような方策があるのか。具体的なことをお伺いをするわけではございませんけれども、展望について総裁からお答えを願いたいと思うんです。
  110. 三重野康

    三重野参考人 まず、円高の影響でございますが、これはもう委員も御承知のことで、繰り返すまでもないと思いますけれども、円高というものは、まず輸出企業の採算悪化を通じてデフレショックが最初に出てまいります。もちろん、中期的に見てまいりますと、円高は輸入価格を下げて企業のコストの減少とかあるいは物価の安定に役立ちますので、トータルとして見ますと決してデメリットばかりではないと思いますが、しかしながら、これも先ほどから繰り返しておりますように、ちょうど景気回復のデリケートな時期にまずデフレショックが出てまいるということは、タイミングとしては私どもにとっては大変まずいという感じでございまして、この点は十分注意して、まだどうなるかわかりませんけれども、注意してまいりたいというふうに考えております。  そして、そういったことで政府の見通しの三・三%がどうかという御質問でございますが、私は、まだ本年度に入って一カ月ちょっとしかたっておりませんので、その具体的な数字についての実現についていろいろコメントするのは避けますけれども、しかし、私が今考えておりますのは、例えば限られた年度、期間の間に何・何%が実現するということではなくて、日本の経済がやはりインフレなき、バブルなき持続的な成長路線へなるべく早く何とかたどり着かせたいという意味で、それがより重要だと思いますが、先ほどお答え申し上げましたように、標準的なシナリオとしてはそれの実現の可能性はあるということを頭に置いていろいろとこの様子を見てまいりたいというふうに考えております。  それで、最後に、黒字対策何かあるかということでございまして、これも委員も御承知だと思いますけれども、やはり奇手、妙手というものはないというふうに思います。したがいまして、地道な方法としましては、これも先ほどから何度も繰り返します、要するに内需主導の長続きする成長路線へまず着手する、これが第一でございまして、第二は、やはり日本の市場を、いろいろ外国から見ますと誤解もありますけれども、さらに一層オープンにするということを徹底する、これがやはり王道ではないかというふうに思います。  それともう一つつけ加えておきたいことは、経常の黒というのは、結局は貯蓄、投資のいわゆる構造に深くかかわり合いを持っていることでございますので、相手国もそういう構造対策も含めまして努力していただきたいということを特につけ加えておきます。
  111. 草川昭三

    ○草川委員 そこで総理にお伺いをしますが、今の御答弁もあったわけでありますが、円高の現状あるいは長期金利の上昇、経済にマイナス要因になると私は思うんですが、見解はどうでしょう。
  112. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今、日銀総裁が、大変私もそう思うという答弁をなさいました。言われるとおりだと思います。せっかくこの上昇に、回復に入ろうというときでございますので、そういうことも注意してまいらなければならないと思います。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 では、日銀総裁にあと一問、これだけで結構でございますが、このところアメリカの方で、銀行の格付機関というのでしょうか、日本の金融機関の評価のランクを下げる例が相次いでいるわけでありますけれども、その背景は一体何か。こうした動きが今後さらに広がってまいりますと、日本の金融機関に対する評価が下がるわけでありますから、当然日本経済に悪影響を及ぼすということになると思うのですが、その点、どのようなことになっているのか、お伺いしたいと思います。
  114. 三重野康

    三重野参考人 ムーディーズ等、外国の格付機関による日本の金融機関の格付が下がっていることは、委員指摘のとおりでございます。これはやはりバブルの崩壊に伴いまして、その後遺症として、金融機関にいわゆる不良資産が増加している、資産の健全性が損なわれているということが基本的な背景でございます。  また、こういう格下げが続きますということは、確かに、日本の金融機関が外国で資金を調達するときに、やや高い金利で調達するということになりますので、もちろんそれはそういう意味で影響がないとは言いませんけれども、格付が下がったからといって、そのこと自身が景気を大きく左右するようなことはないと思います。それは、むしろ先生が御指摘になったように、日本の金融システムに対するいろいろな不安が、これがもし実現したとしました場合は、大きく景気に影響が出てくるというふうに思います。  日本の金融システム全体の不安についてでございますけれども、先ほど申しましたように、不良資産が増加していることは事実でございますが、これは金融機関が自己努力によって解決しなければならない問題でありまして、既に償却その他に取りかかると同時にリストラもやっております。そういう金融機関の努力が基本でございますが、当局においても、例えば償却の仕方とか、あるいは増資その他自己資本の充実の点についての環境整備にも、昨年から対策が立てられております。私どももきめ細かく金融機関と接触いたしまして、その状況に応じ適切なアドバイスをいたしておりますけれども、今の日本の金融機関全体の基礎体力あるいは収益力からいたしますと、日本の金融システム全体が大きな混乱に陥ることはない、そういうふうに思っておりますが、しかし、これは非常に大事なことでございますので、注意して見てまいりまして、そういうことのないように最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 私は、二月から三月の予算委員会でも、住宅金融専門会社の焦げつきの問題を取り上げまして、しかもその住宅金融専門会社の焦げつきに対して一番の被害を受けているのは、親会社の都市銀行ではなくて、一番たくさんシンジケートを組んで預託をしておる各県の信用農業協同組合だ、連信だ。信連は農民の零細な預金というものを集めて運用しておるわけでございまして、非常に私はその金利の配当についても問題がある、あるいはその中央であるところの農林中金にもそれなりの被害があるのではないかということを繰り返し私は指摘をしてきておるわけであります。どうかひとつ、日銀の役割も非常に重要だと思いますので、各県段階の金融機関等についても最大の配慮を払って運営をしていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  以上で総裁への質問は終わりますので、どうぞ御退席をください。  そこで、大蔵省にもう一度戻りますけれども、史上最高の千三百億ドルというような経常収支黒字を出したわけでありますが、かって世界にそのような国はあったのかどうか、トップは一体どこか、念のためにお伺いをしたいと思います。
  116. 中平幸典

    ○中平政府委員 IMFの統計をベースにしてお答えを申し上げたいと思いますが、これまで経常収支の黒字が千三百億ドルを超えたという国はございません。  我が国につきましては、暦年ベースで申しますと、昨年、一九九二暦年の千百七十六億ドル、そして年度ベースで申しますと、この三月までの一九九二年度の千二百六十一億ドルというのが経常収支の黒字の最高でございまして、我が国以外では、一九八九暦年のドイツ、当時の西ドイツでございますけれども、これが五百七十四億ドル、次いで一九八〇暦年のサウジアラビアの四百十五億ドルということになっております。  なお、経常収支ではなくて貿易収支、国際収支ベースの貿易収支の黒字で見ますと、我が国の一九九二暦年の千三百二十三億ドル、年度ベースで申しますと、この三月に終わった一九九二年度の千三百六十一億ドルが最高でありまして、我が国以外で申しますと、一九八一暦年のサウジアラビアの八百十九億ドルがそれに次いでおりまして、さらに一九八八暦年のドイツ、当時の西ドイツでございますが、これが八百億ドルちょうどでございまして、そういうような数字になっております。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 だから、群を抜いた一つの数字が出たわけです。  そこで、アメリカの方からは日本に対して象徴的な商品の自由化を要求する度合いというのは強くなってくると思うのです。日本にしてみれば、付加価値の高いものを買ってそれを減らせばいいのですけれども、なかなかそうはまいりません。逆に、米国の方からは感情的にこの象徴的なものを要求をする度合いが深まってくるのではないかと思います。いわゆる米の自由化、当然のことながら出てくるわけであります。あるいはウルグアイ・ラウンドの決着に当たって、管理貿易に対する要求が強くなる。その歯どめのためにも、実は農業問題に対して決着をつけなければいけないような必要性というのが非常に多くなってくるのではないかと思うわけであります。この点について、どうでしょう、総理の方から御答弁願えれば幸いだと思うのですが。
  118. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御指摘のように、管理貿易といったようなものは、これは好ましいことでもなく、また可能なことでもないと考えるわけでございますが、そうすれば、より開放体制をとるためにあるいは世界の貿易量をふやすためにウルグアイ・ラウンドを推進すべきではないか、そこまでの論理は、これは当然の論理になります。  その場合、日本はウルグアイ・ラウンドでは、殊に工業部門では優等生と私は申しても差し支えない。せんだってもさらに追加のアクセスを出しておるわけでございますのですが、農業については御指摘のようにいろいろ問題がございます。  その中でしばしば言われますのは、おっしゃいますように米の問題である。これももうおっしゃるとおりで、こんなに大きな貿易黒字を出しておるのならばウルグアイ・ラウンドを徹底的に日本は推進すべきではないか。その中でという、実は計数的には余り合わない話でございます、計数的には余り合わない話ですが、一つの物の考え方として、そういうことは確かに言われております。  それについて私が思いますのは、いわゆるダンケル・ペーパーに言うところの関税化ということそのものが、輸入国の立場といたしますと、国境措置というものと輸出補助金というもののいかにもバランスのとれていない主張がダンケル・ぺーパーの基調にあるというふうに思いますものですから、これはやはり提起せざるを得ないと私は今でも思っております。  農業についてはそのほかにいろいろな問題がございます。農産加工品の問題もございます。それらも簡単な問題ではございませんけれども、なかんずく米の問題というのは、これはなかなか我々にとっても難しい問題であって、やはり主張すべきところは主張しなければならないと思いますが、おっしゃいますように、そういう細部についての議論を、そこまで気がつかない人は、ウルグアイ・ラウンドを日本はこういう黒字があれば全部そのまま推進してもいいじゃないかというような議論になりやすい。そういう批判は耳にするところですが、我々としてはできることはやはりしなきゃならぬと思いますが、しかし、筋道は通していかなきゃならぬ部分があるというふうに私は思っております。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 総理おっしゃるように、数字の上から言えば全然通らない話。だから、私はあえて象徴的な商品のという言い方を申し上げたわけであります。確かに非常に難しいところへ来ておるわけでありますが、そのままで続くかどうかという大変ぎりぎりのところに今来たような気がするものですから今のような質問をした、こういうわけでございます。  さて、ここでもう一度、日銀総裁の御答弁にもあったわけでありますけれども、地道な内需を長続きさせることが今後非常に必要だというようなお答えがございました。そういう意味で、先ほども社会党の方からも御発言がありましたけれども、所得税減税について私どもも触れさせていただきたいと思うわけであります。  この所得税減税については、本予算の衆議院の通過に際して、不況対策各党協議会、さらにはその実務者会議というような議論を経てきたわけでありますが、今回の補正予算の審議に際しまして、再度この予算委員会で議論をすべきだ。だから、政府の方の答弁も、各党協議を見守るというような答弁をしてもらっちゃ困る。とにかくこの予算委員会で議論をしようじゃないかということをあらかじめ社公民の方から自民党に申し入れをしてきているわけであります。  それで、先ほど来も各党協議の推移を見守りたいというような趣旨のお話があったやに聞いておりましたけれども、ぜひ私は、内需刺激のためにも、消費拡大のためにも、また景気をよくするためにも、経済成長を確保するためにも、やはりこの際所得税減税、こういうものについてひとつ態度を明らかにしていただきたい、こういうように思うのですが、大蔵大臣からまずお答え願いたいと思います。
  120. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 草川議員御指摘のような今までの経緯でもございますし、先ほど私も串原議員の御質問に対してお答えいたしました。政府の、私どもの持っている考え方というのは基本的には変わりないところでございまして、所得税減税をやるということになれば、まずその財源をどうするかという問題と、所得税体系の中でどういうふうに考えていくのかという大きな問題がありますので、いろいろな困難な点がある。それから、効果の問題としまして、経済に対する与える影響というのでも、私がとっておりますのは、今まで公共事業の関連でもって景気刺激をやっていこうという形の方が、いわゆる減税というような格好での直接的な消費刺激よりははるかに効果が大きい、こういうことでたびたび御説明を申し上げたところでございまして、そういったような私は基本的な考え方を持っていることを改めて申し上げておきたいと思います。  特に、いろいろお話がございました中で申し上げますならば、戻し税というような話でやるということになりますと、これはやはりいわゆるばらまき福祉ということになっておりまして、過去でもそういったことをやったことがあります。ありますが、その効果たるや極めて限定的な話であったし、そのときの評判も余りよろしくない。特に、今後におきましては、今の状況でいいますと、大体企業の方で税金は銀行振り込みという形になっています。そうすると、どのくらいのものが出て、本当に減税になったということになってもなかなかわからない、そういったようなことになりますし、また、何か小切手でもやれというような話ならば別でありますけれども、そういったことになりますとこれは物すごい手間もかかる話でもございますし、かえってその費用の方がふえるというようなぐらいの話もあるわけでございまして、私どももやはりその点はいろいろ考えていかなくちゃならないのじゃないかな、こう思っているところでございます。いずれにいたしましても、所得税減税というものにつきましては、一般的な減税というのはやらないということでございますけれども、所得税の中でも、租税特別措置におきまして、特定扶養控除の引き上げをいたしましたり、住宅促進税制につきましてやりましたり、あるいは法人税におきまして投資減税等々につきましていろいろなことをやりました。また、旅行等におきまして、通達を出しまして旅行での費用を認めていくというようなことも実際にはやろうという形でございまして、これも実は野党の方からいろいろお話がございましたものを踏まえてやったということを御理解賜りたいと思います。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 大変答弁が不満であります。ですから、私どももこの答弁については留保をいたします。  ただ、総理、ちょっと聞いていただきたいのですが、この春のときに社公民は自由民主党の梶山氏にこの旨を申し入れました。それで、前向きに対処ですね。その後、これが経緯をしてまいりますと、重く受けとめるというふうに言葉は変わってくるわけです。前向きであろうと重く受けとめるであろうと同じだとおっしゃるかもわかりませんが、言葉のあやじゃないのですね。我々が要求するのは言葉のあやではないので、そこはしかと自信を持って受けとめていただきたい、自信を持って。総理答弁してください。
  122. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 春以来のそういう御主張は、私は実は決して軽々しくは承っておりませんのです。ただ、大蔵大臣が言われましたように、大きな財源が要るがどうしようか、赤字国債になってはいかぬがというようなことがやはりございまして、しかし、決して事柄は私は軽々しく受け取ってはおりません。  殊に、以前にもちょっと申し上げましたが、昭和六十二、三年のときに抜本改正で十分し尽くしていないと思う部分もございますし、やがて年金の問題等々将来に向かっての国民の負担と給付との関係の問題もございますものですから、このところに問題があるということは私自身は思っておりますので、決して軽々しくは承っておらないことを申し上げておきます。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても、この問題は留保させていただいておきます。  それから、経済問題で最後に、経済企画庁と通産省に、円高に対する対策いかん、差益還元というのは行われるのかどうか、特に通産の場合はガス、電力等々の所管官庁でございますが、差益還元についての方針をお伺いをしておきたい、こう思います。
  124. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えいたします。  円高に伴ってやはりその効果を、プラスの効果というものもより大きくしなければいけない、こういう観点から、市場メカニズムを基本としながら、これが我が国の経済の各分野に円滑に浸透して、物価の一層の安定が図られるということによって国民が円高のメリットを速やかに、また十分に享受する、そういう状況をつくっていくということが非常に大事だ、こう私どもは考えております。  このような観点から、私ども経済企画庁におきましても、これまで輸入品の価格動向調査等を実施するとともに、この調査結果につきましても消費者等への情報提供を積極的に今日まで行ってきたつもりでございます。  また、本日の話でございますが、物価担当官会議という会議がもう現在開かれておる状況でございます。ここにおきましても、政府一体として、この円高のメリットが速やかに、また十分に還元をされるように、影響が及ぶように、こういうことで、政府一体としての取り組みについて何らかの結論をいただくというような状況で、今話し合いをやっていただいておりますけれども、私どもとしては、今後とも関係省庁と連絡をとりながら、また円相場の動向に十分細心の注意を払いながら、適時適切にこの問題について対処していきたい、このように思っております。
  125. 森喜朗

    ○森国務大臣 円高によります差益の還元に対しての御指摘、これに限って申し上げさせていただきます。  円高差益が発生するためには、これはある程度の期間が必要なわけでございまして、前回の円高のときも約九カ月間という数字を見ております。したがいまして、現時点ではまだ先行き不透明でございますし、また、政治的ないろいろな発言の思惑によって動くという面もございますので、今の段階ではこの問題について私から明確なことを申し上げるということは、これはむしろ控えておくべきだと考えております。  また、電力・ガス事業におきましては、円高の影響のみならず原油価格上昇によります影響というものも当然勘案をしていかなければならぬということも委員も御承知のとおりだと思います。したがって、今後とも為替レート及び原油価格の動向を十分に注意してまいりたい、こう考えております。  なお、御承知だと思いますが、過去の差益還元におきましては、昭和五十三年度に一家庭当たり月二百七十円の還元を行った例がございますが、このときも、我々の記録によりますと、コーヒー一杯の薄い還元だといった批判もあったことも事実でございまして、一般論といたしましては、差益還元を実施する場合には、料金引き下げをするのがよろしいのか、それとも誘発効果のある設備投資などに向けた方がいいのかということも、今後やはり検討する必要があろうかと思っております。  いずれにいたしましても、仮に、今後大幅な差益が生じるに至りました場合には、電力・ガス事業の特殊性やあるいは収支状況等をよく見て適切なる対応をしてまいりたい、このように考えております。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 では、次に、PKO問題に移ります。  PKO問題に入る前に、カンボジアでボランティアの中田厚仁様、それからまた高田晴行警部補が犠牲になられたわけでございまして、心から哀悼のお悔みを申し上げたいと思うわけであります。  そこで、まず私の立場を明確にしておきたいと思うのですが、このカンボジアのPKOの要員警護の問題に関連して、武藤外務大臣ら一部閣僚からPKF参加の凍結解除論が出ているわけであります。PKO協力法は、文民などの警護を必要とする状況ということを想定していないわけでありますし、警護の規定はないということを私まず明確に申し上げて、議論をしなければいかぬと思うわけであります。  私どもの考え方としては、警護が必要な状況が生まれるような危険な地域では任務は中断をすべきだということが基本であります。また、今PKF凍結解除を議論するのは、今の段階では的外れの議論だ。逆に言えば、この法案を成立させた経緯から言い、三党合意というのもあるわけでありますから、私は不見識な発言ではないかというように思います。  PKO任務に警護を入れるかどうかというのは、明らかにこれは法律改正の問題でありますから、襲撃を予想しての武力行使というのは、憲法の従来の政府解釈から考えても、これは疑念を持たざるを得ない、こういう立場でございますので、私はその立場から、この現存する、投票がいよいよ行われる直前でございますが、現状はどうなっているのかということを少しお伺いをしたい、こういうように思うわけであります。  それで、今、この警護の問題が出てまいりまして、昨日あるいはけさの報道等によりますと、巡回という問題も出てまいりました。先ほどの議論もあったわけであります。  そこで、まずその前提として、カンボジア情勢について、この国連平和維持活動、PKO協力法というのが、今のような状況でPKO活動を行うというようなことが予想されたのかどうか。今のカンボジア状況とは違うのではないかという私は認識を持っておるんでございますが、まず、その認識の前提について、政府側の答弁をお願いしたいと思います。
  127. 河野洋平

    河野国務大臣 PKO活動全般についてまず申し上げたいと思います。  これはもう草川委員は十分御承知のことではございますが、PKO活動は、世界各地で散見されます国内のさまざまな状況の中で、当事者間の停戦合意ができ、そしてその停戦合意を永続的、恒久的なものにするために国際社会が力を合わせて、これをコンクリートにするために協力をするということが一つの考えでございます。  そこで、こうした考え方をもとに、我が国国際貢献を行うという考え方に立って国際平和協力法ができ上がっておりますが、御案内のとおり、これはもう世界各地、それぞれの国にそれぞれのケース、さまざまな状況があるわけでございまして、カンボジアにはカンボジアの先ほども御論議がございました長い歴史的な背景があろうかと思いますし、それ以外の国でもそれぞれだろうと思います。  そこで、カンボジアの問題について申し上げますと、御承知のとおり、パリ和平協定が締結をされまして、和平プロセスというものが、プログラムがつくり上げられ、その和平プロセスを一つずつ実行していくために、国際社会が一致してこれを支持して協力するということになったわけでございます。しかし、最近のブトロス・ガリ国連事務総長の報告にもございますように、このカンボジアにおきます状況は、武装解除が不十分である、あるいはまた一部制憲議会選挙をボイコットする、こういう状況が出てまいりました。これは当初予想していたこととは違う状況でございます。  こうした状況が出てはまいりましたけれども、国連におきましても、制憲議会選挙を行う、行う べしという国際社会における一致した意見があることも事実でございまして、我が国といたしましても、要員の安全確保ということに最大限の意を用いながら、当初の目的を達成するために努力をいたしているというところでございます。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 国連のガリ事務総長が、今の選挙の状況はパリ和平協定が想定したものではないというような発言をしているわけでありますけれども、パリ和平協定の枠組みが一部崩れたというニュアンスだと思うのですが、そのときに政府国連に対して何らかの対応をされたのですか。話し合いというのですか、どういう趣旨ですかというようなこと、あるいは事務総長に対して何らかの質問をされたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  129. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 カンボジア情勢につきましては、国連の内部、例えば安保理の非公式会合の場等でいろいろ意見交換が行われております。それを集大成したような形でガリ事務総長の報告書が出されております。そういうことで、出された報告につきまして特段の質問はいたしておりません。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 非常に重要なことでございますから、例えばその枠組みが崩れたのかどうか、そういう趣旨であるのかどうか、きちっとその都度我々も確認をしておかないと、初めての問題でございますから、我々議会人としても責任があるわけでありますから、その点は明快なひとつ対応をしておいていただきたいというように思うわけであります。  そこで、このPKO協力法が想定した状況と違う状況がカンボジアに生まれた。この変化をした状況に、PKO協力法を基本にして、どう法律の運用の判断をするかというのが今の局面ではないか、私はこう思うんです。  そこで、法律適用の判断責任、権限は、明らかにこれは政府にあると思うのです。第一義的には政府がきちっとした判断を常に持っていないと、非常にこれは禍根を残すことになる。ここは非常に重要でございますので、特に最高責任者の総理は常に情勢をフォローしていただきたいと思うんですが、その点はどうでしょう。
  131. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 極めてごもっともな御指摘と思います。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 それで、私どもも協力法を推進した立場から、ただ政府に運用の判断を任せておけばいい、あるいは政府のやっていることを批判さえしていればいいという立場ではありません、これは。私も明確にそのことは申し上げておきます。私たちも一定の判断、独自の判断というものを言わなければ責任が果たせないという、そういう考え方を持っております。  私たちは、このカンボジアの今日的な状況では、選挙はやった方がいい、明らかにやった方がいいという基本的な考え方は持っておりますけれども、危険な地域については、特に文民が対象であるだけに、任務の中断を検討してはどうかということを過日来政府に申し入れをしているところであります。これは河野長官も御存じのとおりだと思うのです。  ここに来て、日本人の選挙監視員の安全確保、そのために警護という問題が出てまいりましたね。これは警護をしなければいけないという客観的な情勢があることは事実でありますから、その警護のためにPKFの凍結解除をしてはどうかという議論が外務大臣の方からも出てきたわけであります。  いろんな理屈があるでしょうね、感情的には。日本選挙監視員が外国の部隊に警護されているというのはどういうことだとか、PKFが凍結されているからいけないのだとか、あるいはPKF凍結を解除してPKFを派遣して、日本の文民あるいは選挙監視員を警護すればいい、こういうことでございますけれども、これでは昨年来の三党合意というものが全く無視されてきておると私は思うんですが、この三党合意というのがきちっとあるわけですから、我々は議会でつくったんですから、この法律を。  それで、運用を今政府にお任せしておるわけですから、私は、外務大臣のこの発言というのは基本的に間違っていると、こう思うんですが、その点はどうでしょう。     〔石川委員長代理退席、鴻池委員長代理着席〕
  133. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 たまたまこの間の十八日に記者会見がありましたときにある記者から、文民警察あるいは選挙監視要員、この安全確保のために、丸腰で働いている人たちに、せっかく現地に行っている自衛隊の隊員に少しでも守ってもらうようにするためにPKFの解除をしたらどうかと、こういう質問がありましたので、私はPKFの解除でそれができるならば、これは国会の承認も得なきゃいけないけれども考えてみよう、こういうことを申し上げたわけでございます。  しかし、早速、帰ってまいりまして、私、法律を読み直してみますと、これはとてもPKFの凍結部分を今解除してもできない、どうしても法律的に読めないということを判断をいたしましたので、今御指摘のとおり、これをもしやるとすれば法律改正そのものをしなきゃいけない、こういう立場に立ったわけでございます。  その点は、今はPKFの凍結解除ということは全く申しておりません。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 非常にそれは不見識だというようなことを申し上げておきたいと思うんです。  それで、これはぜひ議論をしていただきたいんですが、要するに警護が必要な状況というのは一体何か。それは襲撃されるということがかなり確実に予想される状況だというように理解をしなければいかぬと思うんです。  しかし、そもそもPKOというのはそういう状況で行う活動なのかどうか、そういうときは任務を中断すべきではないか、そういう理解で私どもはPKO法案をつくったと思うんでございますが、その点について、長官、どうでしょう。
  135. 河野洋平

    河野国務大臣 御審議の経過を見ましても、また法律を見ましても、業務の中断等を行うということの前提は、五原則が崩れたとき業務の中断を行うということになっておりまして、部分的に業務の中断、例えばこの地域だけは業務の中断をするということは法律の建前からは書いてございません。したがって、もしそういう非常に危険な、差し迫った状況があれば、それは一時休止という性格のものであろうと思います。業務の中断という言葉で表現をする、あるいはその法律の建前から考えるということは現在考えておらないわけでございます。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 正確には中止だと思うんですね。いわゆるマニュアルがあるわけでありますから、マニュアルで言うならば中止。しかし、言葉として今私は中断ということを言ったんですが、それは長官のおっしゃるとおりであります。だから、その中止ということがとりあえずの私どもの申し入れであった、こういうように理解をしておるわけであります。  そこで、このFの問題に戻りますけれども、PKO協力法には、そもそも警護という規定はないんですよ。そもそも警護という規定はない。だから、仮にPKF凍結ということを解除しても警護ということはできません。だから、そのPKFの凍結がよくなかったとかあるいは解除すべきだというような議論は成り立たない、私はこういうように思うわけであります。  それで、もし警護を行うということならば、協力法の中に警護という任務を新たに付与しなければ対応ができないのではないか、こう私は思うんですが、その点はどうですか。念のために長官にお伺いしておきます。
  137. 河野洋平

    河野国務大臣 委員おっしゃるとおり、警護という業務は、このPKO法にはうたってございません。  私が思いますのに、もし警護が必要な状況があるとすれば、本来は、この場合にはUNTACが第一義的に安全を確保すべきものであって、各国それぞれの法律の中に警護を書くということは、考え方としてはないのではないかというふうに思うわけでございます。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 それで、この警護問題は、深く我々も議論をしますと、PKO活動の基本的なあり方と離れて議論ができないことだと思うんです。  内閣法制局見解では、日本の自衛隊が武力行使できるのは、急迫不正の侵害があって、ほかに手段がない、その状況の中で必要最小限度の実力行使として武力行使が許されるというのが従来からの見解ではないかと、こう思うんです。念のためにちょっと長官にお伺いしたいと思います。
  139. 大出峻郎

    ○大出政府委員 憲法第九条のもとにおきまして、我が国を防衛するため必要最小限度の実力行使をするということ、すなわち我が国が自衛権を行使をするということ、これは当然認められているところであります。  そこで、憲法第九条のもとにおいて許されている自衛権の発動についてでございますけれども、政府は従来から、いわゆる自衛権発動の三要件、すなわち、一つとして、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと、二つとしまして、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、及び三つとしまして、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことに該当する場合に限られる、こういうふうに解釈をいたしてきておるわけであります。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、その後に、私どもはこれが武力行使の許される一つの限界。同時にもう一つは、いわゆる正当防衛、護身という場合に正当防衛としての行動が許される、こういうことになると思うのです。いわゆる自分の身を正当防衛として守る、たまたま偶然にそばにいた人を同時に守ったということは正当防衛の範囲内で容認をされるのではないか、ここが私は限界だと思うのですが、その点はどうでしょう。
  141. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの問題につきましてはちょっといろいろな局面があるのじゃないかと思いますけれども、問題は、現在の国際平和協力法におきましては、二十四条におきまして「武器の使用」という規定が設けられておるわけであります。これは言うまでもなく憲法九条一項に言うところの「武力の行使」というものとは性質が違うものであるというふうに考えられてきておるわけであります。これは、自己とか、あるいは自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛する、こういうために認められるものでありますが、これはいわば自己保存のためのいわば自然的権利ともいうべきものである、こういう観点から、国際平和協力法二十四条というところで「武器の使用」というものが一定の厳格な要件のもとに認められてきておる、こういうことであります。  そういう意味で、その場合の「武器の使用」というのは、これは先ほど申し上げました「武力の行使」というものとは性質の違うものとして認められてきておるということであろうかと思います。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 それで、午前中の議論の中にも若干出たわけでありますが、凍結中のこのPKFという問題がいろいろと、今外務大臣は撤回をされましたけれども、議論の中には生きておるわけですよ。実際、いろいろな議論の中には、再開をしたらどうだろうというような意見があるのでございますが、非常に私は危険だと思うのは、襲撃が確実に想定をされる、その襲撃に対して他の要員を守るということになりますと、これは先ほど自分の国を守るための自衛だとか護身のためと言ったということとは違う意味での私は武力行使になりかねないという心配があるわけであります。これは憲法の従来の政府解釈から考えても大変疑問だと思うのです。そこだけはひとつきちっと踏まえておいていただいて、そして現地で巡回という、言葉は正確ではありませんけれども、輸送業務にタッチをされるとか情報収集をされるとかいうように区別をしておきませんと、安易にそれが拡大解釈をされるということを私どもは非常に心配をするわけです。  危険ならば、襲撃をされるということが予想されるとするならば、その場合は任務の中止ですよ、それは。中止という指示があっても私は何らおかしくはないということになると思うのですが、この私の見解について、河野さん、どうでしょう。
  143. 河野洋平

    河野国務大臣 もともと施設大隊は最小限の小火器を持って行っているにすぎないわけでございます。こうした小火器で、今草川議員が御心配をいただくようなことは実際問題として難しいと。これはあくまでも自己を守るということに徹しているものというふうに考えております。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 私は大変この問題について心配をしておりますが、実は私は、平成三年の夏でございますけれども、衆議院から派遣されましたPKO調査団の一員として私も参加して、大変実は印象が一つあるのです。これは総理にぜひ聞いていただきたいのですが、国連へ行きまして、明石さんが、当時、次長でございまして、私が、その当時のことでございますから、後方支援は兵力引き離しと一体化するとの議論があるが、これについてどう思うか、こういう質問をしたのです。  そうしたら明石さんが、前方と後方の線引きはそのときどきの事態によると思う、これは今の話とちょっと違いますが、個人的には日本は安全な後方しかやらないという場合、日本はより安全でない前方には出ていかないのかという批判を受けると、大変明石さんが悲しい顔をして、私に、日本国会議員がどうしてそういう質問をするのですか、国際社会というものについての理解が非常に不足をしているという、非常につらい顔でおっしゃったことを私は印象に持っているのです。     〔鴻池委員長代理退席、石川委員長代理     着席〕  それで私の方もいろいろと党の中で議論をいたしまして、それで最終的にはPKFの問題についても凍結ということでまとめた気がするのです。だから、私の方といたしましては、非常に国際社会の平和というものはどうあるべきか、あるいはこの日本の国内における、こんなに安定した国というのはない、この安定し過ぎたということから客観的に物を見るべきではないという気持ちもあるのです。だけれども、現実に、私が先ほど来言うように、襲撃を予想せざるを得ないような事態というのは現実に起きてくる。非常に悩んでおるわけです、私自身も。  それでこういう議論をするわけでございますけれども、自衛隊による選挙監視要員の安全確保策について六項目ぐらいの何か提言をしておみえになるようでございますが、その中に、昨日来も出ておりますが、巡回という言葉が新聞に出てきておるわけであります。いわゆる警護実施へ苦し紛れの策だという報道ですよ。私も率直なことを言って苦し紛れだと思うのですよ、これは。しかし、その苦し紛れということを日本の意識で物を見る場合と現地で見る場合とは、これはもう全然次元の違う話になるわけですね。しかし、そこで一歩誤ったらこれはえらいことになる。  投票所へ行きましょう、それで情報の収集だといったときに、もし襲撃を受けて反襲でもする、そこで事故ができたということになると、これは大変なことになると思うのです。私どもが心配するのは一番その点でございます。それは総理総理が最高責任者でございますから、そういうことのないようにしてますよとはいうものの、もしもあったときの責任は私は重大だと思うのです。その点のことまでお考えになって今日の自衛隊による選挙監視要員の安全確保策をやっておみえになるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  145. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたが、草川委員もよく御理解をいただいておりますように、既に数日後に迫っております投票日を控えて、選挙監視要員が、これは表現は適当でないかもしれませんが、いわば丸腰で各地の投票所に散ろうとしているところでございます。  それは、日本から行っていただく四十一名を含めて、世界各地からおよそ千人近い選挙監視要員がカンボジア全土で投票所の監視に当たるわけでございますが、総理からは、日本選挙監視要員を初めとして、これら文民の安全のことを考えれば、我々にできることを考えておく必要があるという御指示もございました。施設大隊に対しまして、限られた法令の中でベストを尽くすということを私から指示をいたしまして、関係者は、いろいろと研究をし、その準備に当たろうとしているところでございます。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっとここで文民警察のことについて、具体的なことに戻ってまた政府の方にお伺いをしたいと思うのですが、警察庁にお伺いをいたしますけれども、文民警察隊員を募集するに際して、どのような手続で募集を行われたのか。  また、その際、文民警察の業務、特に現地の警察官の指導、こういうのが大きな役割だという趣旨のことで隊員を募集したのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  147. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 お答えいたします。  この種の国連平和維持活動への我が国文民警察の立場からの協力の重要性という認識の上に立ちまして、この要員を差し出すについてはどこから求めるかということでありましたが、やはり基本的には各都道府県の警察官であろう、こういうことでありました。  そこで、私どもといたしましては、何分にも初めての経験でありますので、PKO業務というものがどういうものかというものも定かではありません。そしてまた、志望をして、手を挙げて出てくる要員につきましても、一番の関心事は、どんな業務を行うのか、それから安全性についてはどうなのか、生活環境の面はどうなのか、こういうことであったろうと思います。  そのような立場から、私どもとしても、手元の資料というものもございませんから、昨年の七月段階派遣されました政府の調査団の報告等に基づきまして、我が国に期待されております文民警察の業務というものは、現地警察の警察行政事務に関する助言であり、指導であり、監視であるということ。それから、配置の関係でありますけれども、基本的に軍事衝突の可能性のあるような地域については、これは軍事的な対応が必要であるから文民警察は基本的に配置されないというようなこと。さらには、地雷等の敷設の問題がありましたが、これらの地雷の散布状況についてはあらかじめ把握されておりますから、通常の文民警察活動を行う上においてそれほど心配はないであろうということ。それから、生活環境の面におきましては、水、食糧の確保というのが最大の関心事であろうと思いますが、そのような面につきましてもUNTACの後方支援体制がおおむね整っておるということ、それから地域によっては現場のマーケット等によってその種のものは手に入る。  このような状況を説明して、一線の人事担当者から説明をさせたわけであります。その結果、それぞれ文民警察活動、国際貢献に果たす役割というものを十分に認識をして多くの者が参加することになったということであります。  私どもの方といたしましても、そのような立場から、体力あるいは精神力、若干の話学力というようなものを勘案しながら、適格者と認めて国際平和協力本部に推薦し、採用された、こういう経緯になっているわけであります。
  148. 草川昭三

    ○草川委員 そういう経緯にもかかわらず、実際は文民警察が現地で行動されたことは大変苦しい状況にあったと聞いておるわけであります。いわゆる現地警察行政の助言、指導、監視ということではなくて、全くの当事者になってしまったというわけでございますけれども、警察庁としては、今回の文民警察隊員が行った行動については、予定された業務以上のものとお考えになっているのかどうか、お伺いをします。
  149. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、私どもに期待されております業務というものは、法によりまして、現地警察行政事務に関する助言、指導、監視ということでございます。しかしながら、地域によりましては文民警察官が指導すべき対象もいないというような実情にあるところもありますし、また、業務の中身におきまして、先ほども議論がございましたけれども、政党事務所の警備業務であるとか、あるいは要人の警護業務であるとかというものに駆り出されたという例もあるようであります。  したがいまして、そのような点につきましては、本来業務を執行できるようなところへの配置転換あるいは本来業務を逸脱することのないようにということで、国際平和協力本部の方を通じましてUNTACにその旨申し入れているところでございます。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 外務省にお伺いをしますが、ポル・ポト派の継戦能力、その力はどの程度あるのか、内容についてお伺いをしたいと思います。
  151. 池田維

    池田政府委員 ポル・ポト派の軍事力につきましては幾つかの見方がございますけれども、大体核心の兵力は一万名から一万数千名であろう、その周りに支持者が一万名程度いる、そういうことで、全体としまして二万人から二万数千人、こういうことになるわけでございます。  それで、その継戦能力でございますが、これについてもいろいろな見方がございます。これまでに、十三年間の戦争の期間に、主として中国から供与されました武器というものをどの程度貯蔵しているかというようなことについての見方は分かれておりまして、はっきりとした情報はございませんけれども、通常言われておりますのは、今程度の規模の戦闘であれば二、三年ぐらいはもつのではないかという見方が大方の見方であろうと思います。
  152. 草川昭三

    ○草川委員 二年から三年まだ力があるというわけですから、これは新政権ができても大変なことになるわけであります。  アジア局長は、ポル・ポト派のキュー・サムファン氏と会ったことがあると言われておりますけれども、そのときにどのようなお話をされたのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  153. 池田維

    池田政府委員 私自身、一九八九年からタイの大使館の公使をやっておりましたときに、当時のカンボジア臨時代理大使を兼任いたしておりました。そして、当時日本政府が承認いたしておりましたのは、先ほども議論が出ましたシアヌーク殿下大統領といたします三派の連合政府でございまして、その中の一つの勢力がポル・ポト派であったわけでございます。そういう意味から、日本政府が承認している派との関係でございますから、私自身はポル・ポト派のキュー・サムファン議長とは、個別にもあるいは国際会議の場でも何度か会って話をしたことはございます。  その後、今回のこの我が方からの要員の派遣等をめぐりまして、ポル・ポト派停戦の第二段階に入らないのではないかということが言われ始めたのが去年の夏ごろからでございます。その段階で、日本政府としましてはあらゆる努力を使ってポル・ポト派に対して働きかけをし、そしてポル・ポト派武装解除に応じる、それから選挙参加するという方向に努力すべきだということでございまして、当時、日本政府としましては、ポル・ポト派とも非常に近い関係にありましたタイの政府と共同いたしまして、四回にわたってキュー・サムファン議長と話し合いを行いました。私はその四回のうちの三回に参加をいたしました。  そして、そのときの中身を申しますと、細かいことは外交上の問題でございますので若干控えさせていただきますが、大きなところは、もともとポル・ポト派武装解除に応ずるための条件として言ったことは、SNCの強化という点でございました。それで、日本とタイは協力をいたしまして、パリ和平協定の枠内でぎりぎりのところでSNCを強化するため何ができるのかということで知恵を絞りまして、幾つかの案を出したわけでございます。そして、その案に基づきましてキュー・サムファン議長等と話し合いを行ったわけでございます。  私の感じましたところでは、当初はポル・ポト派対応もかなり具体的でありまして、私どもは前向きな感触を得たわけでございます。ただ、第四回目の最後の協議が去年の十月に行われましたプノンペンで、このときのポル・ポト派対応は今までと様相を異にしまして、SNCの強化の問題ということではなくて、主として、ベトナム軍が存在する、あるいはベトナム人がカンボジアに数十万人あるいはそれ以上存在するというそういう問題点になってきたわけでございまして、この問題になりますとまた別の次元の問題でございます。  当時、UNTACとしましては、ベトナム軍の存在ということについては、UNTACが全力を挙げてそれを検証する、だから具体的に何か問題があればそれを指摘してもらいたいという立場をとっておりました。したがって、私どもとしましては、これはUNTACがやることである。しかし、ベトナム人がカンボジアにどの程度居住しているか、こういう問題につきましては、これはカンボジアベトナムの間の長い領土紛争とかあるいは長い関係がございますから、これはもうあの地域には両方の国民がそれぞれ混在して生活しているわけでございまして、そこのところを取り上げるということになりますと、これはもう話し合いで解決できないだろうということだったわけでございます。  そうして私どもは、日本とタイで行いましたが、このときには中国側の協力を求めました。ほぼ毎回、中国からも側面的にポル・ポト派に対して協力するようにということを働きかけてもらいました。  それから、日本とタイが行いますときには、単に日本とタイだけやっているということではなくて、国際的な支援を受けてやっている、つまり国際社会全体としてやっているという形をとるために、安保理の決議というものによって、安保理が日本とタイの外交努力支持するという形をとったわけでございます。  それで、私どもは以上のように四回の協議を行ったわけでございますけれども、結局、ただいま申し上げたような理由で結論は出ないということであったわけでございます。  ただ、結論は出なかったわけでございますけれども、まあそれだけ突っ込んでポル・ポト派武装解除条件について話をした国は日本とタイしかおりませんでした。そうして、私どもはその交渉の経緯は逐一関係諸国にも通報いたしました。  したがいまして、国際社会全体としては、ポル・ポト派の主張というものは何であるか、あるいは真意が何であるかということは非常によくわかってきたと思います。その結果を踏まえまして、やはりどちらが理不尽なことを言っているのかということになってきて、そういった意味では、日タイで行いました外交努力というものが一つの国際社会の流れをつくり出す上では有効であったのではないかというように考えております。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 草川昭三

    ○草川委員 局長がいろいろと配慮をした行動を今お聞きいたしました。その努力を多とします。  しかし、ならばどうして日本政府はこのポル・ポト派が嫌がるベトナムの首相をお招きしたんでしょう。このことは非常に外交上問題がございますから、もし問題があれば撤回をいたしますが、これだけ四回もお話しになって、ベトナムということについて異常なまでポル・ポトが物を言った、日本政府もそれを承知をしていた。ならば、我が国としてはベトナムの首相の来日についてはもっと別の配慮をすべきではなかったかと思うんですが、その点はどうでしょう。これは外務大臣からお聞かせください、もう局長は結構でございますから。
  155. 池田維

    池田政府委員 ベトナムのボー・バン・キエト首相の来訪の件でございますが、もともと、九一年の十月にパリ和平協定が結ばれまして、それまである意味では中越間の代理戦争であるというような様相も持っておりましたカンボジア紛争が、国際的な面においては一応決着をした。あとはカンボジア内部の民族和解の問題に移ってきたわけでございます。  したがいまして、先ほど申しましたベトナム兵の問題あるいはベトナム人の問題というのも、UNTACが基本的にそれを実証できるような立場に立っていたわけでございまして、ベトナムとの関係につきましては、パリ和平協定以降、やはり基本的に、ベトナムパリ和平協定遵守するということによって、既にかつて持っていたような立場ではなくなったというように判断したわけでございます。  そうして私どもは、翌年の九二年三月に柿澤政務次官がベトナムを訪問しました際に、ボー・バン・キエト首相の訪日を招請いたしました。それから、九二年の十一月には、日本の対ベトナム円借款再開を踏まえて、これはベトナム側からの早期訪日の要望もございましたので、本年の三月に呼ぶことになったわけでございます。  ただ、そういった事情でございますので、私どもといたしましては、特にベトナムとの関係におきまして、カンボジアとの要素というものを十分に考えておりましたけれども、それはそれとして、我々の立場は明白であるというように考えたわけでございます。
  156. 草川昭三

    ○草川委員 だから、私はいいとか悪いとか言っているんじゃないんですよ。今日とにかくうまくいっていないわけです。それで、ポル・ポトは大変このベトナムということについてSNCからウエートを変えておるわけですよ。そういうことは政治的にわかるでしょう。わかるならばもっとほかの対応があってしかるべきだということを言っているんです。  政治家として、外務大臣なり総理から答えてください。私の言っていることがおかしいのかどうか、素朴な疑問なのかどうか、これ、答えてくださいよ。
  157. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今局長から答弁をいたしましたように、今はカンボジアの内部の問題ということになってまいりましたし、そういう面で、それはそれとして招待をした、こういうことでございます。
  158. 河野洋平

    河野国務大臣 カンボジアの現在の状況を見てみますと、委員も十分御承知のとおり、かなりこの問題は機微に触れた問題であろうと思います。  私は、今総理からこの問題について答弁をすることは適当ではないというふうに考えますので、御答弁は容赦いただきたいと思います。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 今私が問題提起をしたことは、素朴な国民の疑問だと思います。十分な配慮をされていただきたいと思います。  時間がもうあとわずかでございますので、政治改革と公共問題をはしょってひとつ質問をします。  政治改革についてはいよいよ大詰めになってまいりました。私どもも、ここで与野党大変な真剣な議論をし、本日も地方公聴会が開かれている経緯であります。いよいよ最後は総理の決断だと私は思うわけであります。まとめるのかまとめないのか、あるいは会期延長をしてでもまとめるべきではないだろうかと思うのですが、そういう点についてどうお考えになっておられるのか、お伺いします。
  160. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御指摘のように、特別委員会におきまして、各党の間でおのおのの案につきましてお互いに極めて御熱心な御討議が進んでおります。また、公聴会も催しておられます。  私としましては、やはりお互いの土俵の問題でございます。他方で、政治不信がこれほど強まっておるということはお互いが痛いほど感じておりますから、やはりこの国会において各党の御討議、御審議の中から抜本的な政治改革案が生まれる、生まれなければならぬ。  政府としても、それに対しましてはもちろん万全の御協力をいたしますけれども、この国会においてぜひ抜本的な政治改革を成立をさせていただきたい、こう考えておりますし、まだまだ会期はそのために十分残っておると考えております。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 たまたまきのう連合の会長は、ここ十日間が最大の山だというような表現で会見をしておみえになるようでありますが、私どももそういう感じがいたします。  それで、今は総理の一般的な従来からの決意表明でございましたが、問題は、各党とも党の縛りを外してでもいいからまとめようという気になるかならぬかの問題だと思うのです。  昨日でございましたか、後藤田副総理はこの件について総理と相当なお話をされたやの報道を私は拝見をいたしました。この件についての後藤田副総理の役割というのは、従来の経緯からいうと、私は大変重要な役割の感じがいたします。かねて来から連用制についても一定の評価をなされておみえになります。あるいはまた、その都度いろいろな方々ともお話をされておみえになるようでございますが、一々細かいことは申し上げません。後藤田さんとしての政治改革に取り組む決意、あるいは昨日総理と何を話されておみえになったのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  162. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 この問題は、申し上げるまでもございませんが、各党、それからまた各党所属の国会議員の皆さん方も、今日の政治に対する危機的状況をひしひしとお感じになって、現に各党間で今濃密な議論のさなかであるわけでございます。  そこで、こういった段階政府の一員としてとかくのくちばしを挟むことは、これは私は差し控えるべきである、私自身はそう考えておりましたが、しかし、時間的なゆとりもだんだん狭まってきておるような段階でございますから、各方面の方々の御意見等も私自身は承っておりましたので、その御意見等を踏まえながら、政治改革の問題について、結果として国民をだましてしまった、言葉は悪いですけれども、そういったような結果にならないように、やはり何とかこれは各党ともお話し合いを詰めていただいて、今国会で実現をするように取り運ばなければならぬのではないか、こういうような立場に立って総理・総裁にきのうお会いをさせていただきました。  中身は無理でございます。これはお許しいただきたい。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 中身は無理だというお話でございますが、前段で後藤田さんとしての強い決意表明が私になされました。結果として国民をだますことにならぬようにしたい、そのとおりだと思うのです。私どもも全く同様であります。国民がこれだけ政治不信、強い怒りを持っておみえになるわけでありますから、私は、かねて来から言っておりますように、一括してトータルで処置をしていく、一つだけつまみ食いをする、これで終わりだということにならないようにしていただきたいと思うのです。  総裁として、宮澤総理からいま一度決意の表明をお願いしたいと思います。
  164. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この国会におきまして、トータルとしての御処置の結論を出していただきたいと私も思っております。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 では最後に、わずかの時間でありますけれども、公共事業問題について申し上げます。  前段を全部省略をいたしまして、総理にお伺いをいたしますが、総理は、三月の二十九日だと思いますが、参議院の大蔵委員会で、入札価格などに政治献金を含むのが事実なら、税金が適正に使われているかどうかに関係をする、行政としてゆゆしき問題だということを言っておみえになるわけであります。  建設省の方も入札あるいは発注等について適正に行われているかいろいろと実態調査をしていると思うのでございますけれども、こういう調査を建設省だけに任せていていいのかどうか。建設省は建設省としてやるのは当たり前でありますが、総裁としてもう少し強い指揮、指導があってしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  166. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 建設省において十分の調査をしてくれておるものと思います。しかし、それがもし十分でないというようなことでございましたら、またこれは会計検査の問題でもあるかと思いますので、とにかくその辺はきちんといたさなければならないと思います。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 これはごく簡単に一つ今事例を申し上げますが、国会議員はそれぞれいろいろな仕事をしておるわけでありますが、政治改革の中でも族議員という話がよく出ました。その省庁に大変強い議員だとかいうのがあるわけでありますが、特に公共投資についての市町村からの陳情があるわけです。議員は当然のことながらそれを、要望を取り次ぐわけです。予算がそれで決まりますね。その次に箇所づけというのがあるのです。これは専門用語ではありませんけれども、議員はお互いに承知をしておるわけでありますが、この箇所づけの結果について、箇所づけの要望を行った議員に対して、例えば建設省でも、例えば農林省でも構造改善の場合なんかそうだと思うのですが、その箇所づけ表を議員に配るわけですね。これは一般的に常識になっておるのですけれども、こういう実態について建設省はどういうように把握してみえるか、お答え願いたいと思うのです。
  168. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 お答えをさしていただきます。  おっしゃるように、いわゆる箇所づけという行為を私ども予算成立と同時にさしていただいておりますが、もうこれは御案内のとおり、予算を組み立てていく過程においては、特に補助事業の場合で申しますと、地方公共団体からの当然のような要望がございます。それを念査し、ヒアリング等を重ねながら予算を編成さしていただき、予算をお決めいただく。お決めいただいたときに私ども配分する、こういう手続になるわけでございますが、その間において、地域を代表されておられます国会議員の諸先生方におかれましても大変にやはり大きな御関心を持っているというのは間々、当然あることでございます。  私どもとしましても、そういったこと等を踏まえながら、要望をなされます何よりも地方公共団体、具体的には市町村も含めての都道府県に対しまして、予算成立と同時にいわゆる箇所づけ表を御連絡申し上げる、これが一点ございますが、あわせまして、今申しましたような意味で、御関心のあり、御要望のある先生方には私どもも同じような箇所づけ表を配分さしていただいている、こういった経過がございます。  また、あわせて申しますと、このことは決してマル秘のものではございませんものですから、私どもでいうと記者クラブに置かしていただいて閲覧に供する、あるいは随時閲覧に供する、こういうことをやらしていただいております。  いずれにしましても、そういったことで今日まで参っておりましたが、本年の場合は、私ども、何分とも大変に地元のために御活躍なさってくださっている先生方には、公共事業推進のためにお取り組みいただいている先生方の御熱意を反映して、多くの先生方がとにかく地元の事業がどうなるかという御関心をたくさんお持ちでいらっしゃいまして、私どもの今度は配分能力といいましょうか御通知能力、これとの関係もありまして、今回は建設省の方にひとつ秘書の方においでいただきたい、こういったことをやらしていただきました。  なお、もう一言だけ追加さしていただきますと、いわゆる箇所づけというのは、もう先生御案内のとおり、言うまでもございませんけれども、いわゆる工事費ではございません。用地補償費も入っておりますし、測量費も入っておりますし、あるいは国庫債務負担行為の過年度の分の当該年度の歳出化分、こういったものも入っておりますので、これは工事費とは全く結びつかないものと、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 箇所づけについては先生方にと言いますが、それは与党が優先でしょう。与党がまず優先なんですよ。それは野党が行ったって教えてくれないのですよ。それだけははっきりしておいてくださいよ、事実は。我々は野党ですからひがんで物を言っているわけですから、これは悔しかったら与党になってみろ、こういうことなんです。  問題は、国会議員が、箇所づけにより受注業者に便宜を図り、何らかの金品を受領した場合、何らかの犯罪が成立すると思われますけれども、法務省の見解はどうですか。
  170. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御指摘になっておられます箇所づけに絡んで国会議員が金品を受領した場合ということでございますけれども、いろんな場合がありましょうから一概には申せないと思いますが、もともと、具体的事案におきましてどういう犯罪が成立するかどうかということは、これはもう改めて申し上げるまでもなく、捜査機関が法に定められた手続にのっとって収集した証拠に基づいて事実を確定した上でなされるわけでございますので、法務当局からその点についてお答えをすることはいたしかねるわけでございます。  ただ、一般論としてこれは申し上げますれば、もう当然のことながら、捜査当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがありますれば適正に対処するであろうということは申し上げることはできると思うわけでございます。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 私どもは、この公共事業問題のこれはひとつまとめとして反省をそれぞれしなければいかぬと思うのですが、地元の要望はもちろん優先的に行うべきであります。しかし、その情報をいち早くその関係市町村に連絡をする、そして、時によっては自分たちのその情報をサービスをしたことを理由に業者を紹介をする、こういうのが一つの族を構成するわけであります。この点の反省なき公共投資問題はないと私は思うわけであります。ぜひこれは、別の機会でも結構でございますが、政治改革の中でもこの問題を取り上げていかなければいかぬと思っております。  最後になりますが、国土庁長官にお伺いをいたしますが、国土庁長官は、毎日新聞の取材に対して、「自分が建設省の東北地方建設局長当時、入札に際して天の声とも言える」べきことをやりましたよ、こういうことを言われたようであります。これは五月十七日の報道でございます。  これはかなり古い話になるようでありますが、約二十年前、トンネル工事があったときに、一年ごとの入札を、前年の発注工事を始めた企業は機材を運んで仕事をしておるので、別の会社に発注をしてもむだだからやめさせたという趣旨のことを認められたようでありますが、役所がそういうようなことをしているのかどうか。これは日本の建設省、日本というよりも東北地方建設局でありますが、一般的にそういうのを建設省はやっておったんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  172. 井上孝

    井上国務大臣 五月十七日の毎日新聞の記事についての御指摘で、大変恐縮に存じます。これには多少いきさつがございますので、簡単にいきさつを説明させていただきたいと思います。  実は、昨年の暮れかことしの一月の初めだと思いますが、私が国土庁長官になってすぐでございますが、「ダイヤモンド」という経済雑誌の記者が、私に長年やっておられた道路事業の計画とか実施について話を聞きたいというので、来られました。これは相当長時間にわたって御説明を申し上げたわけでありますが、そのときに道路工事の入札問題についての御質問がございました。いろいろな角度からの質問でございましたが、その中に天の声というようなことも御質問の中にあったと思いますが、そのときに私は、二十年前、ちょうど昭和四十八年でございますが、建設省の東北地方建設局長をやっておりまして、発注に携わっておりました。  そのときの経験の一部を申し上げたわけでありますが、当時まだ非常に会計検査も厳しく、建設省の発注工事も今の形態とはちょっと違う古い形態でございまして、例えばということで、トンネル工事、これは着工いたしましても二年ないし数年かかるわけでございます。それでも政府の予算が単年度予算であるというようなことも一つの理由として、業者が既に工事をやっておる、翌年も続けてやるのがまず当然だというにもかかわらず、役所の方は、随意契約という手続をとらないで、むしろ指名競争入札という手続をとっておりました。  そういうときに、その指名に入った業者が私のところへ来たようなときには、当然今やっておる業者がとるのが、まあ九十数%そういうことになろうけれども、指名競争入札というのをやっておるんだから、あなたがとるのはなかなか難しいし、とても無理じゃなかろうか、今やっておる業者が当然落札するであろう、これは予定価格もそういう人がとるような予定価格になっております、そういうことを業者に言ったことがありますよと。  これも天の声といえば天の声になるのかなと、発注者でございますから。それでは私は、そういうことで、天の声になるのかな、ただ、もう二十年も前のことだからなということを申しましたところが、一月三十日の「ダイヤモンド」に書かれました。私の談も、比較的正確に私が申し上げたことも書いてあります。継続工事ということもありますし、本来随意契約が至当なものでも一般競争入札の形をとっておりますというようなことも書いていただきました。  ところが、それから四カ月近くたった五月の十五日ですから先週でございますが、今度は「ダイヤモンド」は、道路の特集ではなくて、談合問題の特集をお書きになりました。十ページぐらいにわたる記事でございますが、私も読ませていただきましたが、そのごく一部に、井上国土庁長官が、「「時効だから言うが、私も建設省時代に”天の声”を出して、落札業者を決めたことがある」と、本誌に告白した。」こういう記事がぽつんと書かれました。  それを実は毎日新聞の記者が、その記事だけを、一月三十日のは御存じなくて、その記事だけを見て、私のところへ電話をかけてこられました。私はいきさつを詳しく、電話ですが、御説明を申し上げました。その結果、今草川さんが御指摘の十七日の、十五日の「ダイヤモンド」でございますが、十七日の記事に、私が「天の声」を認めたというような見出しで記事が書かれたわけでございまして、この間、私の真意が伝わっておらなかったというようなことは大変不徳のいたすところでございまして、恐縮に存じておるところでございます。  ただ、私がこう言っておりますように、こういう継続工事はもうなるべく随意契約でやるべきだというようなことはかねがね私主張しておりましたので、昭和五十九年の建設省の通達で、随意契約に関するガイドラインというものを通達で出していただきました。継続事業で工期あるいは経費の点で有利な場合は随契をやりなさい、こういうガイドラインを出していただきましたので、その後はほとんどこういうものは随意契約でやっておられると私は考えております。  以上でございます。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  174. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  午後一時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      —————◇—————     午後一時五十二分開議
  175. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  176. 中西績介

    ○中西(績)委員 第百二十六回国会の重要な課題は政治改革、このことを見落とすことはできないと思います。特別委員会などで論議されておりますけれども、国民の最も不信の原因になっておる金権腐敗の体質の徹底した論議がまだまだ十分ではないと思っています。むしろ議員みずからの問題として追及しなくてはならぬのに、避けようとする傾向すらも見受けられております。これでは国民の怒りと不信は増幅するばかりですから、私は、先般から報道されております問題等につきまして、その真意をただし、そしてその中から私た ち自身がどう反省し、そして政治改革そのものが国民に信頼されるようにしていかなくてはならぬと思います。そうした意味で、ぜひ、私の指摘する内容についてはいろいろ不満等もあるかと思いますけれども、十分お聞きをいただければと思っています。  そこで、私は、現閣僚である中島科学技術庁長官が建設政務次官当時、都有地払い下げに関与し謝礼二千万円を受領された問題の新聞報道に対して、身に降りかかる火の粉を払うためにも事実関係をむしろみずから明らかにすべきではないだろうか、こう思います。  そこで私はお聞きをしたいと思いますけれども、五月十日、新聞のインタビューで、企業のために政治的影響力を行使したことについて申しわけないと語っておられますけれども、相当この問題については長時間にわたっておりますから、みずからの調査も進んでおると思いますけれども、この点はどうでしょう。
  177. 中島衛

    ○中島国務大臣 毎日新聞の報道の件につきましては、国民皆様方に心配をおかけして、まことに申しわけないことだったと反省をいたしております。  また、今御質問のありました建設政務次官当時ということでありますが、私の秘書が依頼を受けて鉄建公団に業者を紹介したという件だと思いますけれども、その当時であったと秘書が言っておりますが、私は、普通の陳情として秘書が鉄建公団に紹介したことであって、職務権限を使ったとか政治的な影響力を行使したとか、そういう性格のものではないというように秘書に聞いておりまして、私はそのように理解をさせていただいておるところでございます。
  178. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、登場する人物についてお聞きをしたいと思うのですけれども、改新会というのは中島科学技術庁長官のかつての後援会だと思います。その点がどうなのかということと、その代表幹事をやられておったと言われる浅川今朝義という人は面識がございますか。
  179. 中島衛

    ○中島国務大臣 改新会というのは私の後援会でございまして、昭和五十六年五月から平成元年八月まで改新会という後援会が存在をいたしました。  浅川氏につきましては、正式に会費を納入していたわけではございませんので、改新会の正式メンバーではないと思いますが、会のメンバーをふやしていただくことに協力していただける、そういうことで会に協力をしていただいておったと聞いております。  また、浅川氏は、私の秘書が前にほかの先生の秘書をやっておりましたときに知り合いになり、その秘書の関係で私の後援会の方へ移ってきた人というように聞いております。
  180. 中西績介

    ○中西(績)委員 江東区の建設会社、太平重機工事を御存じですか。
  181. 中島衛

    ○中島国務大臣 太平重機工事は知っております。
  182. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、そこの前社長で現金長をやっておられる杉浦清、この方は御存じですか。
  183. 中島衛

    ○中島国務大臣 太平重機の杉浦さんは知っております。
  184. 中西績介

    ○中西(績)委員 この方は今、後援会の理事で、事務局長をやっておられるとお聞きしておりますけれども、御存じですか。そのとおりですか。
  185. 中島衛

    ○中島国務大臣 今現在、後援会の事務局長をやっているかどうか、私は今存じていませんので、それは調べさせます。
  186. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは、平成一年、一九八九年から発足をされたと言われる中央政経開発研究会、後援会名でありますけれども、この理事で事務局長をやっておるということを聞いています。後援会の事務局長も知らないということになりますと、私ちょっと危惧の念を持つのですけれども、いずれにしましても御存じないようですから、これはこれとして進めます。  もう一つお聞きをしておきますけれども、京葉線の工事に使用の土地の一部がこの建設会社にかかり、立ち退きを迫られたと言われておりますけれども、この点は御存じですか。場所を申し上げますと、東京都江東区潮見二丁目一の十二。
  187. 中島衛

    ○中島国務大臣 その土地は、行ったこともありませんし、私は知りません。
  188. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、先ほど言われました改新会の代表幹事浅川今朝義という方は、このような名刺をちゃんと持っておるわけですね。これは後でごらんになってください。  それから、先ほど言われた杉浦清、この方も、コピーをとったのですけれども、「中央政経開発研究会(中島衛代議士後援会) 理事・事務局長 杉浦清」ということになっています。  このように、中島科技庁長官は、御存じない、あるいは会員でないと言われるけれども、ちゃんとこれで今まで活動してきたということを私は聞いています。この点、これでも会員でなかったとおっしゃるのでしょうか。
  189. 中島衛

    ○中島国務大臣 太平重機さんはもちろん正式会員でありますが、浅川氏は、そういう意味で協力者という立場ではなかったかと思います。
  190. 粕谷茂

    粕谷委員長 名刺を確認してください。
  191. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、昭和五十八年、一九八三年から四年、五年とずっとこの土地問題が、京葉線工事が予定をされておりまして、問題になっています。そこで、この建設会社の太平重機工事というのが、最初は、東木グレーンKKというのがございまして、谷口という方が代表ですけれども、この方との契約の中で、駐車場だと言って契約を結んでおるのに、鉄骨の家まで建ててやっておるものですから、太平重機は立ち退き、告訴されてきたのですね。こういう経過があります。  ところが、昭和五十九年、八四年の十一月十七日にこの太平重機工事の営業部長佐藤という人が改新会の、先ほどお見せをいたしました浅川今朝義氏、代表幹事にこのことについての要望をいたしております。それは、土地をどこかに探してくれないかということを含めて、そこから話が始まっています。そして、いろいろ長い間かけましてやりましたけれども、結果的には、その土地払い下げ等につきましても、あるいは借用地を探すにいたしましても、見当たらなかったというのが実態であります。  そこで、私はお聞きしますけれども、小沢晧という今の秘書、この秘書を採用した時期はいつであったでしょうか。
  192. 中島衛

    ○中島国務大臣 小沢君は、前の代議士が五十八年の選挙で引退をされましたから、その後一年半ぐらいたって私の事務所へ来たと思いますので、六十年の夏ごろではないかと思います。
  193. 中西績介

    ○中西(績)委員 正式には六十年夏だと言われておりますけれども、それより以前に私的な秘書としての活動はなさっておられなかったのですか。
  194. 中島衛

    ○中島国務大臣 はっきりした記憶はありませんが、採用する前、三カ月か四カ月前に私のところへそういう話があったと思いますから、そういう期間はあったかもしれません。
  195. 中西績介

    ○中西(績)委員 私が調査したところからいたしますと、正式の秘書として採用いたしたのは六十一年、八六年の七月七日、七夕選挙が終わった後に第一秘書として登録をしたのではないかと思っています。ですから、その間、正式採用される前にそうしたいろいろな動きをしておるということをお聞きしていきたいと思います。  六十年、八五年に中島科学技術庁長官が建設政務次官に就任をされたと思いますけれども、そのときにこの小沢氏が既に動いておったということが明らかにされております、私の調査では。したがって、この点、正式秘書になる前、二、三カ月かと言われましたけれども、相当以前からこのように活動なさっておられたと私は思いますが、どうでしょう。
  196. 中島衛

    ○中島国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、六十年夏ごろだと思いますが、私の事務所へ参りましたから、六十一年の七月以前も私の事務所で仕事をしておったと思います。
  197. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、政務次官に就任をしたときに、この太平重機工事が改新会の月五万円の会員になったということをお聞きしておりますけれども、この点はどうなんでしょう。
  198. 中島衛

    ○中島国務大臣 秘書に調べさせましたら、六十年十二月から会員になり、月五万円の会費をいただいておるようであります。
  199. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、まずこの問題、派生をする大きな転機が来たと私は思っています。それは六十一年の、八六年の一月二十八日に建設省政務次官室に中島政務次官を訪問をいたしています。それは浅川代表幹事が参りまして、このときに小沢秘書から、二月の三日、公団に行けという指示がなされています。公団とは鉄建公団であります。  そして、二月三日に、改新会の会員になりました太平重機工事杉浦社長、佐藤専務、それに浅川代表幹事が鉄建公団の本社を訪問をいたしています。そのときに、中島次官の紹介状を持参をし、用地部長と面会をいたしておるわけであります。この一月二十八日、このように小沢、後には正式の秘書になるわけでありますけれども、連絡があって訪問をしたわけでありますが、必ず中島次官なり、あるいはやめた後、御本人のいるところに必ず設定をしてお会いをするという体制をとったようでありますけれども、この点はどうでしょう。
  200. 中島衛

    ○中島国務大臣 小沢君に聞きましたところ、杉浦さんを鉄建公団に紹介したことがあると言っておりました。政務次官室で紹介したか、その日にちに行ったかということは、私は小沢君にそこまで聞いてありませんので、正確なことはわかりません。
  201. 中西績介

    ○中西(績)委員 いずれにしましても、中島次官の紹介状を持参をして鉄建公団用地部長にこの太平重機工事並びに浅川代表幹事がお会いをしていることは事実であるということが大体おわかりいただけたと思います。  そこで、引き続きずっとこれから鉄建公団東京支社あたりに訪問が始まっていきます。そして、特に、お聞きをしますけれども、二月の二十日に議員会館で、先ほど言った杉浦、佐藤太平重機工事の幹部と、それから将来秘書になりますけれども小沢君、鉄建公団の東京支社用地第二部長の飯野進という人に二月二十日に会っています。その後、二月二十五日、同じように太平重機工事幹部と代表幹事の浅川、そして用地部長飯野氏を含めて、政務次官室に次官を訪問をいたしています。これは小沢君がセットをしたと言われています。この日、お会いをしたということになっておりますが、いかがですか。
  202. 中島衛

    ○中島国務大臣 私は、もう七年も前の話ですから、全然覚えておりませんし、鉄建公団の人に政務次官室で会ったなんという覚えは全然ありません。
  203. 中西績介

    ○中西(績)委員 なぜ私が、このように参加した、あるいは集まった人の氏名がわかるかといいますと、これは私も驚いておるのですけれども、昭和五十九年から六十三年まで、八八年まで五冊にわたって全部こういう記帳した日記があるわけですね。古い手帳があるのです。それをずっと見ますと、それが全部びっしり書き込まれておるのです、その日のことが。ですから、古いこの衆議院手帳だとかなんとか使っているわけです。これがもう古くなっているわけですから、その当時のことですから、新しく書いたとは思われません。そういう中に、こうして用地部長まで含んで入って話をしてあるようであります。  これはちょっと関係ありませんけれども、東京都がこれにまたかんできます。東京都の港湾局を訪問いたしまして、この浅川氏あたりが訪問した際に、開発調整課長の西沢、主査の山村という両名に会いまして、告発をされておったわけですから、この分については、早く和解書をつくれば東京都は鉄建公団に払い下げるということ、そして極端な言い方をしますと、架空の和解書をつくっても結構ですというような、こういうことまで指導を港湾局の方がしておる。こういうような条件の中で、和解書作成がこれから進んでいくわけであります。その間には、中島事務所からパーティー券をこの太平重機工事が五十枚購入だとか陣中見舞い百万だとかいろいろあります。  そうした中で、先ほど申し上げましたように、小沢君が正式に第一秘書に七月七日になっています。そうした後、絶えずこの太平重機工事と代表幹事、小沢秘書そろって、中島の代理として鉄建公団に参りましたということで、何回か支社を訪問をいたしております。  そうした中で、この太平重機工事は、立ち退き訴訟で全面敗訴をするわけであります、違約行為として。そこで、直ちに十二月二十六日控訴をし、そしてさらに裁判を続けるという状況の中から、いろいろ話をした結果、年末になりまして、公団を通じて都から土地を払い下げさせる、そして、事もあろうに、支社長の理事昇格運動などをやろうということまで含めて、この支社長安原という人が、中島科学技術庁長官と高校の同級生であるといいます。こうした話をしておるときに、私は、そういうことがあるのかなということを感じるのは、この飯野という鉄建公団用地第二部長が、金丸、竹下が後ろにいるので中島代議士に依頼をしてくれということまで、相手側から言われておる。ですから、こういうつながりというのがあるのかなということを私は強く感じました。  そこで、六十二年の年が明けまして二月二日の日に、その前の年に小沢秘書から指導をされておりまして、念書を作成をしなさい、後でがたがたしないように。その念書は二月二日の日に太平重機社長の方から代表幹事のところに持ってこられております。三枚あるのです。六十年の十一月一日、それから六十二年の一月五日、それから六十二年九月五日、三枚になっていますけれども、最初書かれてきたもの、六十年の分につきましては、   当社の移転用地払下げ購入に対し大変御世話になりました。   ここに諸経費と根回し料として左記の通り御支払する事を御約束致します  一、一阡坪購入で坪単価五拾萬円又はそれ以上の価格の場合は金弐阡萬円御支払い致します。  二、一阡坪購入で坪単価五拾萬円を下回った場合は、その差額を全て上乗せして御支払い致します。こういう最初にできた念書。  それから、今言う六十二年の二月二日に持ってきた念書というのは、これはまた、もう全部読んだら大変なことになるけれども、二枚にわたって細かく、「土地取得に関する手数料」といたしまして、  一、甲が土地五百坪取得の時、支払手数料壱阡五百萬円也を乙に支払う。 乙というのは浅川ですね、甲というのは太平重機工事。それから、  二、甲が土地七百坪取得の時、支払手数料弐千五百萬円也を乙に支払う。 それから二番目が「立退き保証金に関する手数料」として、  一、甲が立退き保証金壱億円未満を取得の時支払手数料は無しとする。  二、同左壱億円から弐億円未満の時支払手数料五百萬円 それから、同右二億円以上三億円未満のとき支払い手数料は一千万。三億円以上四億円未満のとき支払い手数料二千万円。それから、四億円以上五億円未満のとき支払い手数料三千万円。五億円以上六億円未満、手数料は三千五百万。六億円以上七億円未満のときは四千万。七億円以上八億円未満のときは四千五百万。八億円以上九億円未満のときは四千五百万円とし、一年後一千万円、計五千百万円。九億円以上十億円未満のとき支払い手数料四千五百万円と、一年後一千万円及び二年後一千万円、合計六千五百万円を乙に支払うというような調子で書かれています。  そして三枚目のものは、三百五十坪に決定した場合、「土地に関する件」については二千万とします、支払い時期、第一回目五〇%、二回目五〇%、一回目より一カ月後。五百坪で決定した場合には、五千万円、支払い、前と同様。五百坪以上の場合には一億円、支払い時期は前と同様であります。それから「補償金に関する件」については、「補償額の四%とします。」「支払い時期、補償金受領日より二日後。但し、現在、一億円までは決定済故、これに上乗せされた額を、対象とします。」こういうような中身の念書が正式に入り、印鑑まで全部こうしてつかれています。  これが、今申し上げましたように、八七年、昭和六十二年二月二日の日にこの浅川氏のところに持参をいたしています。そこで、その明くる日、二月三日の日に、議員会館で、小沢秘書、それから杉浦、佐藤、これが太平重機工事、代表幹事、ここで中島技術庁長官も同席をいたしまして、小沢と相談して協力いたします、こういうように述べられております。この点どうでしょう。
  204. 中島衛

    ○中島国務大臣 私は、そのような念書を見たこともありませんし、聞いたこともありません。このようなことで私がそんな謝礼を受ける必要もないし、私はそういうような金は一切今まで受け取ったことはないわけであります。それは事実と相違しますから、はっきり申し上げておきます。
  205. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは私言っておりますように、中島科学技術庁長官がやったのじゃありません。浅川代表幹事あてに書かれた念書であります。ですから、その点を間違えなくですね。  そして、この二月三日の日に、中島科学技術庁長官も、議員会館の自室でこういう人とお会いをして、小沢と相談して協力します、こういうことを言ったということがその記述の中に、手帳の中に残っておりますけれども、この分はどうなんでしょう。
  206. 中島衛

    ○中島国務大臣 そのようなことは一切ありません。
  207. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、そのあれを見まして、後でつけ加えたとか、そういう意味で、一連のずっとあれが、手帳がありまして、それに詳しく——もし問題があるということであれば告発をしていただくなりなんなりしていただけば明らかになることですから、全部そういう証拠がありますからね。そうしていただきたいと思います。  そして、五月の二十六日に、その間何回も、五、六回ぐらい打ち合わせがありまして、ここでまた小沢秘書と、杉浦、佐藤太平重機、それとこの浅川、それに先ほど出てまいりました。地第二部長の飯野、それから課長、これだけで話が進んでいます。そこで、この佐藤という太平重機側の人から、補償金が少ない場合は調印できない、そこで部長は、中島先生承知ならこちらは従います。こう言っておるのですね。  最初は、これは後で話をしようと思ったのですけれども、このころ中島科技庁長官は自民党国会対策副委員長に就任をいたしておりまして、この小沢君の話によりますと、国対副委員長で公共事業担当だということを言われまして、この浅川という代表幹事は、またそういう名刺をつくっているのですよ。国対副委員長、括孤して公共事業担当というものを入れた名刺をつくっているのです。こういうようにあれしまして、今までは国の金だからそうしたむちゃな支払いはできませんというようなことを、あるいは係争中だから、あるいは敗訴したからだめだと言っておったものが、だんだん話がやわらかくなってまいっています。  そして、その間、まだいろいろありますが、九月九日の日に、国対副委員長の肩書で鉄建公団に圧力をかけるようにするという、こういうことを小沢秘書が言っています。そういうものが全部、言ったものが記述されていますから。  そこで、九月の十七日になりまして、用地第二部長は、飯野という人でありますけれども、補償金はゼロだと言っておったものが、今度は、無理をしても一億八千万が最高だ、太平重機は裁判で敗訴しているので本来なら相手にできないが、中島先生の顔があるので一億八千万出すようにした、こう九月の十七日の日に用地部長は言っておるのですね。  そこで私は、運輸省お見えですか、お聞きしますけれども、裁判で敗訴または係争中の物件に立ち退き補償金などを支払うことはあるのでしょうか。
  208. 秦野裕

    ○秦野政府委員 用地の補償につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものが閣議決定されておりまして、土地の権利者、これは借地人を含むわけでございますが、土地の権利者に対しまして補償するわけでございますが、その前提といたしまして、権利関係が明確であるということが必要であることはもちろんなわけでございます。  それで、本件につきましては、鉄建公団が京葉線の建設のために必要な用地といたしまして、東木グレーンという株式会社所有の土地を取得する必要がありましたために、交渉いたしましたところ、その所有者と、借地人でございます。ただいま先生お話しの太平重機工事株式会社との間で、土地の利用形態につきまして一時係争中であったわけでございます。ただ、これは、昭和六十三年の三月の二十五日に東木グレーン株式会社と太平重機工事株式会社との両当事者間において合意が成立いたしましたので、鉄建公団といたしましては、その両当事者の合意した旨の文書を受けまして、両者の権利関係を確認した上で、昭和六十三年の四月二十二日に補償契約を行っておる、こういう段階でございます。
  209. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、まだそこまでいっていませんね、六十二年のことを私は今言っているのですから。それは六十三年にいろいろな手順を経てそういうふうに持っていっているのですよ。それはまた後で申し上げますけれども、今お答えありましたように、敗訴して、その所有権なりあるいは借地権というものが消えておるときには、これは支払い等は、契約はできないと思うのですね。そのとおりだと思いますけれども、よろしいですね、それは。
  210. 秦野裕

    ○秦野政府委員 その土地の所有関係につきまして、権利関係が確定したということを前提にして補償を行うということでございます。
  211. 中西績介

    ○中西(績)委員 あくまで権利関係が明確にならなければ、係争中だとかあるいは敗訴した場合にはないわけでありますから、この点は、この時期に一億八千万などという話が出ること自体がおかしいものなんです。  しかし、それは、今先ほどからずっと申し上げましたように、最初は一時借用でどこかを探し、それから払い下げを探す、いろいろやったけれども、全部できなかった。そうした結果、この都港湾局の人から、和解書をつくりさえすれば鉄建公団に払い下げる、こういうことができますということがはっきりしたものですから、そういう方向に向けてずっと動き始め、まだならないのにこういう金額まで出てきたということが言われるわけです。  そこで、こういうふうになってきた経過というのは、やはり粘り強いそうした交渉と同時に、今まで歯牙にもかけられなかったのに、建設政務次官という肩書、そして、お会いしていない、忘れておるようでありますけれども、本人たちは必死ですから、その覚えたものを全部書き込んだものが、何回か会い、そしてその間何十回と回を重ねながら、この鉄建公団なり、あるいは今度は都議会議員、区議会議員を通じて、この都の方に働きかけをするという、こういうことが次々に出てくるわけですね。  そこで、六十二年の十月十三日から十八日ごろになりますと、江東区から東京都に働きかけたらどうですかということをこの用地部長が指示をしていますね。こういうふうにいたしまして、結局その間のいろいろいきさつはありましたけれども、年が明けた六十三年二月二十三日、この太平重機工事の荒川という役員が浅川という代表幹事のところに、自宅にお礼として二千万円現金を運んでいます。そのうちの一千五百万円、これは新聞に出ておりましたけれども、このように国民相互銀行の六十三年二月二十二日の帯封がかかっているのですね。そして、この国民相互銀行の封筒がありまして、その中に二千万現金を入れて、そのうちの千五百万は今なおこうしてあります。これが持参されております。ところが、それに至る前に、一月には三百万だけ最初に持ってきたのですけれども、三百万は少ないということで持ち帰らせておりまして、二十三日にこのように二千万が持参されています。  その明くる日に、自民党の党本部がございますところに伊豆榮という、あれはウナギ屋だったと思うのですけれども、(発言する者あり)弁当屋ですか、ウナギ屋でしょう。伊豆榮で小沢秘書に五百万円を手渡しております。この領収書をいただけないかということを言ったところが、こういうものには領収書は書かないものじゃと、こういうように言われて、五百万円を手渡したままになっています。それから以降、小沢秘書は上積み要求を、もらっていないとかあるいは上積み要求を重機工事の方に何回か要求をしておるようであります。  そこで、代表幹事の人が一番驚き、ここから手を引こうとしたのは、三月十日の日にお会いをしたときに、佐藤という重機工事の役員から、鉄建より二十億、三十億ぐらいふんだくってやるなどという、しかも弁護士も一緒になっているのだというような話を聞いたものですから、関係者十人くらいに残りの千五百万を配ろうとしたけれども、驚き、中止をした。そして、弁護士に相談をしたところが、それはそのままに持って、帯封はついておらないとこれはあたかも使ったことになってだめになるから、ちゃんとそのようにしなさいと指導されたので、こうして持っておるということを私に説明をしております。  いずれにしましても、そういうように次々に指摘し、そしていよいよ六月七日になりますと、いろいろなところから手が入りまして、立ち退き訴訟の控訴審の和解がされております。和解をすれば、先ほど局長が言われましたように、一挙に話が進んでいくことになったわけです。  ですから、それはもうここで多くを申し上げませんけれども、鉄建公団は東京都から江東区潮見の二丁目二の六十四、宅地を一千百八十二・四四平米、買い戻し特約十年間をつけて九億八千五百五十六万三千七百四十円、平米当たり八十八万三千五百円で買い取っておるわけであります。路線価格は当時百五万から百三十万。ですから、金額からいたしますと、これは安いですね。うんと安いです。  そうして五月二十七日の日に、今度は鉄建公団から譲渡申請書が出されて、正式の手続が全部踏まれ、東京都の財産処分委員会にかけられ決定をする、こういう経過をずっとたどっています。  そこで、問題は、六十三年八月二十二日に太平重機工事は鉄建公団から土地を取得したわけでありますけれども、これは登記所で形式審査をいたしまして、太平が鉄建へ代替地を提供したという架空の文書でもって交換が認められるということになったわけであります。なぜなら、この太平重機工事というのは、そうした資産もなければ、こうした土地もなければ、何も持たないわけでありますから、それがこのようにして登記所で認められ、太平重機工事が鉄建公団から土地を取得をしたわけであります。  それで問題は、これから後が極めて問題になってくるわけでありますけれども、乙の、甲は太平ですけれども、乙は鉄建でありますけれども、東京都はこれに応じまして、結局、先ほど申し上げた都議だとか区議、それから職員等が内部に介在をいたしましてこうしたことができ上がったと思いますけれども、甲は、太平は、当時乙と当該土地をめぐって係争中であったけれども、代替地取得には和解が条件であることを東京都の職員から先ほど申し上げるように示唆されまして、和解をするわけであります。その結果、日本信販から八億借り入れをいたしまして、一億八千万円と言われた立ち退き料が三億円と言われるようになってきています。それに七億を加えまして、鉄建公団からこの太平重機工事は土地払い下げを受けるわけであります。  こういうような状況の中で土地を手に入れるわけでありますけれども、問題は、これからが非常に重要であります。  平成元年、八九年の十月にいろいろもめごとが起こってまいりまして、太平重機工事の今会長をやっております杉浦という人が、二千万出したのにつべこべ言われることはないと言って、大変なけんまくで浅川氏に抗議をしてきています。そこで、佐藤というやはり同じ役員でありますけれども、小沢さんにもやってくれないと困る、八〇%ぐらい持ってこい、こういうようなことを言われておったようでありますけれども、そこで代表幹事は、五百万渡している、それ以上は横車なんだということをこの二名の人に明らかにしたようであります。それをするために、キャピトル東急で小沢秘書と佐藤現社長と代表幹事が会いまして、この浅川代表幹事の方から、小沢さんに五百万円渡してあるじゃないかということを仲介者を置いて言ったところが、小沢秘書は、預かっている、定期に入れているので引き出せる、返せと言うのならいつだって返せる、こういうことを言っておるようでありますが、依然としてこれは返ってはいないようであります。  そこで、平成二年、今度は科技庁長官でありますけれども、九月の二十六日の日にキャピトル東急でこの浅川氏とお会いをしたと思いますけれども、この点はどうでしょう。
  212. 中島衛

    ○中島国務大臣 浅川氏とは二、三度会ったことがありますし、キャピトル東急でも一度会っておると思います。ただ、その日にち、時期というのはわかりません。
  213. 中西績介

    ○中西(績)委員 それじゃ、キャピトル東急でお会いをしたときには、何をお話ししたのでしょうか。
  214. 中島衛

    ○中島国務大臣 もう前のことではっきりいたしませんけれども、そんな重要な話はしてないと思います。
  215. 中西績介

    ○中西(績)委員 そのように新聞のインタビューでも言われておるようでありますけれども、浅川代表幹事の方から、この太平重機工事、好意的にやったつもりなんだけれども、さらにこの金額を増そうとか、いろいろその好意を逆手にとってひどいことばかりをする、したがって白紙に戻すようにしてください、こういうことを頼んだようであります。ところが中島科技庁長官は、このときに、一時間ばかりお会いをして、昼食を一緒にして、両手で浅川氏の手を握って、あなたの言うとおりにするから公にしないでください、私の政治生命が終わってしまうからということを言っておるようであります。そして、四、五日期間をもらえば、杉浦、佐藤、太平重機に納得できるように返事をするから、あす小沢秘書に具体的に連絡をさせると、こういう話をしております。  ところが、今言うように、大した話でなかったというのですけれども、こういうことを言われたというのですけれども、この点の御記憶はよみがえりませんか。
  216. 中島衛

    ○中島国務大臣 いえ、全然そんなことは覚えていません。
  217. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、一週間か十日後に、何も連絡はないものですから、高輪宿舎に二ないし三回電話をしたけれども、選挙区にいる、地元の自宅へ電話をしましたけれども、重要なことで返事をもらうことになっているが返事がないという連絡でありまして、全く伝えておりません。そこで、ある人を通じて連絡をしてもらったところが、もとに返すようにしてくれということを言ったのですけれども、中島科技庁長官にその人が連絡をしてくれたそうでありますが、公にするならした方がいい、浅川はオオカミ少年だから、こういう答えが返ってきたようであります。したがって、その後になりますと、こうした浅川氏に対しましては、議員会館で、月夜の晩ばかりではないとか、いろいろなおどし等が入ったそうでありますけれども、こういうような中身でもっていろいろ内容的に問題のある、しかもそれを自分から明らかにしないままに終えようという気がしておるわけですね。  そこで私、これから本論ですが、先ほどから言われておるように、この新聞の記事を読みましても、同僚の議員が、まじめな人が気の毒だとかいろいろ言われておるようであります。これを見ますと、ある同僚の議員はこういうようなことを言っていますね。  「企業から陳情に絡んで、その成功報酬をもらう議員は実際、たくさんいるんだ。巨悪はもっと別のところにいる」(発言する者あり)今、後ろの方で言われたようでありますけれども、  と力を込めた。国会議員としての「けじめ」に触れると、「ここまで国民の政治不信を増幅させた根本には竹下さんの問題がある。竹下さんがけじめをつけていないというのに、のっけから中島君だけにけじめをつけろと言っても、それはちょっと酷だと思う」 こういうことを同僚の議員が言っておるようでありますけれども、こうした中身で考えてみますと、私は今一番大事なことは、こういうようなことが行われておっても、一般的にこの程度であるなら大したことじゃないじゃないかという、こうした感覚ですね。あるいは、こうした問題を指摘をいたしますと、巨悪がおるじゃないかと。巨悪がおるなら、そういう人たちをみずからどうこれからしていくかということが今一番問題じゃないでしょうかね。  総理にお聞きしますけれども、このような今流れておる雰囲気あるいは今ある皆さんの考え方を是正しない限り、政治改革などということは到底私はできないと思います。この点について、総理、どうお考えですか。
  218. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまお話を伺ったことは、実は私よく注意して伺っていましたが、どういうことであるのかわかりかねましたが、一般政治に対する不信というものは、やはり政治改革を徹底することによってのみ回復することができると思っております。
  219. 中西績介

    ○中西(績)委員 中島科学技術庁長官は否定をしますね。じゃ、この五百万なりあるいは金を持ってこいと言っておるこうした問題についてはどのようにお考えなんですか。知らぬ存ぜぬと言って過ごしてしまおうというお気持ちですか。
  220. 中島衛

    ○中島国務大臣 今回こういう報道が出ましたが、私どもは一切金を受け取っておりませんし、そのような金の受け渡しの念書についても一切関知しておりませんので、そのことをはっきり申し上げます。
  221. 中西績介

    ○中西(績)委員 ただ本人が、秘書も入れて打ち合わせをし、鉄建公団に働きかけをし、しかも紹介状を書き、いろいろやってきた結果がこういう二千万問題を引き起こし、そしてなお今言われておる、先ほど言いました一億八千万が三億になっておると言いますけれども、これだって本人は、太平重機工事の場合には、そこには権利も何もなかったのに働きかけがあって一つのそういうものができて、和解をしなさい、そうすることによってできますよという教示までいたしまして、そのあっせんを全部しておるのはあなたの秘書なんですよね。しかもその話の中には何回かそうしてあなたは入っておられるという、その日の日記の中に全部出ているのですよ。それに対して全然責任を感じない、問題はないと言われるのでしょうか。
  222. 中島衛

    ○中島国務大臣 私はそのような相談に一度も乗ったことはありませんし、秘書の小沢君に聞きましたら、小沢君は太平重機さんを鉄建公団へ紹介をしただけだと言っておりますから、そのような関与は私はないと思っております。
  223. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうじゃないんですよ。先ほども申し上げましたように、中島代議士の後ろには金丸さんがおるから検察も怖くないとか、あるいは竹下、金丸両氏がおるのでというような発言がつくられるわけなんですよ。そのあれを見ましても、全部、書かれた時期、同じ文章でずっと書かれておるわけですから、こうしたことが全く秘書が知らないなどということは、しかも五百万円は、これは先ほどから申し上げますように、太平重機の役員のおる前で確認をしておるわけですから、第三者まで入れてやっておるわけですから、この点を知らぬ存ぜぬで済ますわけにはいきません。  ですから、少なくともこうした点について、科学技術庁長官は今の政治改革を主要課題とする内閣の一員でしょう。その中でこうしたことが、あなたの部屋を使われ、さらにまた政務次官の部屋を使われ、その中で話ができ上がっていき、そして数限りないというくらいに鉄建公団との、しかも鉄建公団の用地部長は中島代議士がおられるからということを言って、ゼロから出発し一億八千万ならということになり、それが後には三億にという、こうした状況にまで来ておるということを考えますと、これは全然、私はこの土地のいろいろなものを全部調べてみました。ちゃんとそのようにしてあるわけですね。当たっておるわけですよ。金額まで全部入ってそのことが認められておるということを私は確認できたわけですよ。そうしたときにあなただけが、全く秘書も知らぬ、自分も知らぬなどと言って済まされるものではありません。  あなたも新聞のインタビューの中では、申しわけないということまで言っているのですよ。じゃ、あれもまたうそだったということになるのですか。前、何か金丸さんから金をもらったと言っておったところが、それが新聞に出たところが、それは全然知らぬと言った。あるいはマージャンはしたけれども、それについてもほとんどやってないというようなことを言っておられるでしょう。やったと言って、言われるとそれを全部消していく。金をもらったと言うのに、新聞に出た途端にそれを今度は訂正をしていく、こうしたことが許されていいかということなんです。  確かに先ほど言うように、秘書がもらった金額は五百万、あるいは一千万とも言われていますけれども、その金は、額は、皆さんにとっては少額かもわかりませんよ。しかし、我々からするとこれは大金です。普通の陳情でということをあなたは言われますが、こうしたことが許されていいんでしょうか。その点どうですか。
  224. 中島衛

    ○中島国務大臣 私は、この件に絡んでお金を受け取ったことはありません。秘書の小沢君に聞きましたが、小沢君も受け取っておらぬと言っております。
  225. 中西績介

    ○中西(績)委員 いや、先ほど言うように、中島さんが受け取ったとは私は言っていませんよ。秘書はこのようにして何回も督促をしたり、それに対して余り言われるものですから、今度は複数の人で会って渡したと言ったら、それはもらったと言っているのです、本人は。定期に預金してあるから返せと言うなら返すよということまで言っているでしょう。ところがそのことは、依然として返されてないでしょう。小沢君に聞いても、もらってないと言うからそのとおりだということは、うそを言えば、何でもそのことを信用するということですか。そうなるでしょう。そのことが今どうなのかということを問われておるわけですよ、国民から見ると。たとえ何百万であろうと少額ではないのですから。  この点を私は明らかにしていかないと、それが解決されたときに初めて今度は私たちは、院の、我々の自浄作用をどうするかということがさらに問われていくでしょう。以前から、総理だってそうなんですけれども、秘書がと言うことによってリクルート問題をクリアしておると言っているわけです。国民の皆さんはそれじゃ納得しないわけでありますから。政治改革をしないから大臣を辞任するということでなしに、それより以前の問題としてこうした問題にかかわってきた、そして、しかも秘書はその中心的な役割を果たしておるということになってまいりますと、大変な中身を持っている、それに対する明快な態度をみずから今示さなくちゃならぬと私は思いますね。そちらの方が大事じゃないでしょうか。政治改革を言うなら、それを地でいくようにしていただきたいと思うのですね。どうなの、その点。答えてください。
  226. 中島衛

    ○中島国務大臣 私は、今回の件で太平重機から依頼を受けたこともありませんし、鉄建公団へ働きかけをしたこともありません。それから、金も受け取ったことはありません。ただ、私の秘書の小沢君が太平重機さんを鉄建公団に紹介したことがある、これが事実関係の全部であります。今先生のおっしゃられたいろんな資料は恐らく浅川さんから出ておるものだと思いますが、私自身のことは私のことでありますからはっきりしておりますし、小沢君もまじめな人間ですから、小沢君の言うことを私は信じておるわけであります。
  227. 中西績介

    ○中西(績)委員 それじゃ、五百万についてももらってないということを立証できますか。複数の人はちゃんと、そして本人ももらったということを言っているんですよ。本人がもらったということを言い、そして定期預金に預金してあるので返せというならそれは返せます、こう言っているんです。(発言する者あり)ふざけやせぬよ。私はまじめに話をしているんです。  どうなんですか。そのことは、それもうそだということになりますか。あなた、そのように確信を持って言われていますね。じゃ、もしそれが本当に秘書に渡り、あなたがそうしてお会いをしておるということが、私は立証したつもりです、その複数の人はみんな認めているわけですから。こうして行きました、そのことについてこうです、しかも鉄建公団の用地部長なんかは、あなたが入ったからこういうふうにしたんですというようなことまで言っておられること、こうしたことがあるということを私たちは調査してきてその結果を申し上げておるわけですから、この点がうそだと言われるなら、その点で明らかにあなたがこの公式の場で虚偽の答弁をしたということになるわけですから、そのときにはあなたは責任をとらなくちゃいけません。(発言する者あり)だから、そういうばかげたあれじゃありませんので、まじめにやっておるわけですから。  それで、総理、その点でお伺いしますけれども、このような複数の人が認め、しかも秘書はこういう問題について中に入ってやったということを認めているわけですね。金がちゃんとそうして手渡っておる。自分から認めておるのですよ、秘書は。それなのに、それはそうでないということを言い張っておるわけですが、そうなってくると政治改革を論議するこの国会、しかも改革の先頭に立つでやられようとする総理がこの問題について、たとえ金額は小さくとも、ある問題についてはずっと処理をしていかなくちゃならぬと思うんです。この前の総理答弁は、中島科技庁長官から聞くとそういうことはないと言うからそれを信じているというようなことで答弁しておるわけですからね。きょう私が申し上げたように、いろいろ指摘がありますけれども、長々とやったのは、このようなことが裏で行われ、しかも、今言うようにこの疑惑を追及せずに、こうした問題についてはかわいそうだというような意見でしょう。それが見過ごされていくということになれば、政治改革はどこからやるのかということになってくるんじゃないでしょうか。その点についての見解をお聞きします。
  228. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政治改革の問題につきましては先ほど申し上げたとおりでありますが、他方、この件とおっしゃいます今のお話は、ずっと伺っておりましたけれども、中島科学技術庁長官が何かに関与されたというふうに私にはどうも思えませんでしたので、別段私の意見を変えることはないと思います。
  229. 中西績介

    ○中西(績)委員 かかわりがないと言ったけれども、私さっき何回か、中島さんがおって、やれということを言ったり、あるいは紹介状を書いたり、そして今私はあれしますけれども、そのときのあれは、中島さんがちゃんと言われたことまで全部こうあるんですよ。そしてあなたの名刺まで入って、このようにしてそのとき手渡して握手をして、それだけは公にしないでほしいということまで言ったという、そうした中身がこうして残っているわけですね。  ですから、この点について否定をされるということになれば、これはもう幾ら追及されてもあるいは指摘をされても知らぬ存ぜぬと言いさえすれば、どのような金をもらおうと、どういう悪質なことをしようとそれは問題ない、こういうことになってしまうんじゃないでしょうか。総理もそういう感覚ですね。そのように私は理解をしますが、それでよろしゅうございますか。
  230. 河野洋平

    河野国務大臣 五月の八日に今御指摘の問題が新聞紙面に出ました。私もその紙面は読みました。今一時間にわたって委員がいろいろおっしゃいましたけれども、その大部分は新聞を通して私も見ております。  それで、その紙面を見た後で私は中島大臣に、その問題について大臣の御所見を伺おうと思っておりましたが、大臣の方から直ちに私に御連絡がございまして、新聞を読みましたかと言いますから、私は読みましたと申し上げたところ、あの新聞にいろいろ出ておりますけれども自分自身これにかかわっておりませんから、こういうお話でございましたから、私はあなたを信頼いたしておりますがそのことは本当でしょうね、かかわっておりません、それならそれで結構ですというやりとりがあったわけでございます。  私は、今の御質問いろいろお伺いをいたしておりましたが、ややもすると一方的な資料に基づいた御質問のように私には感ぜられまして、中島大臣には中島大臣としてのお立場があり、中島大臣はその一方の当事者でございますから、一方の当事者の話、一方の当事者の発言も同じように受けとめていただかなければならない。科学技術庁長官として科学技術行政の責任者として仕事をしておられるわけでございますから、余りに一方的な記事に基づいて追及をされる、一方はただただそれをそうしたことはないと言うだけで終始しているのを見て、私は非常に残念な気持ちでございます。中島大臣は中島大臣としてこの問題について御自身から、私にもそうでないということをはっきり、私がお聞きしたのではなくて御自身からそういうことを申し出られているわけでございまして、私は中島大臣のそうしたお立場を信頼をしていいというふうに思っているわけでございます。
  231. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、私が今言っているのは、一方的にと言うけれども、こうしてちゃんと中島さんの、連絡をここにしてくれということまで含めてそのときの話をしているわけですよ、このようにして。だから、官房長官は一方的と言いますけれども、この土地そのものがいろいろな手を経て、こうして太平重機工事に手渡ったというその経過は、それは一方的じゃないんですよ。裁判記録から、それからこの土地の登記関係からも全部こういうものを調べまして、そして私はこれはおかしいということから、今申し上げるように、この後援会の役員をしてある方がこうした点について特によく知って、全部日記の中に、一緒に動いている、秘書と一緒に動いているという、それが全部記録されているわけですから。ところが、それを全然知らぬ存ぜぬで私は済ますわけにはいかないと言っているのですよ。そしてしかも、五百万は本人が受け取ったということを複数の人がいるところで認め、預金してあるということを言ってあるわけですから。だから、中島長官が、秘書から聞いてみるとそういうことはないと言うけれども、複数の人がそれを認めているわけです、一人だけじゃなしに。  そして、一方的に押しつけたと言われるけれども、そうしたことが押しつけになるんでしょうか、本人が、いや、そういうことは知りませんとか、本人が、そういうことは聞いておりませんと言いさえすれば。私の方はそういうものをそろえて、こうしてやりますと押しつけになるということであれば、それはもう討論にならぬですね。
  232. 粕谷茂

    粕谷委員長 中西委員、御発言中ですが、委員長がここで聞いておりましてもちょっと理解に苦しむところが一、二あります。  例えば、そこにある資料で墨書きのもの、そこに何か名刺が張ってあるようですね。それはあたかも中島大臣がしたためたもののように、しかも金銭にわたるようなことで、これが成功したら成功報酬としてこれだけのものをもらうよと言わんばかりのものが書いてあるやに印象づけられるような御質問の趣旨のようですが、そういったものは隠さずに大臣にお見せになったらどうでしょうか。そうすれば水かけ論になりませんから。それを見て大臣が、記憶が戻らないとか、私のものじゃないとか、いや、これは私が書いたとか、そういうように議論を明確にしていっていただきたいと、こう思います。
  233. 中西績介

    ○中西(績)委員 それじゃ改めてあれしますが、今言われました問題でありますけれども、一番最後に私があれしたように、キャピトル東急で話をした、その話をしてくれという要求のこれが文書です。これは本人が見たはずです。ですから、キャピトル東急に来られたと思います。これはコピーですけれどもね。
  234. 粕谷茂

    粕谷委員長 それはどなたが書いたんですか。
  235. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは、さっき言う浅川という代表幹事がそれを要求をしたわけです。
  236. 粕谷茂

    粕谷委員長 中島大臣あてに書いたものですか。
  237. 中西績介

    ○中西(績)委員 はい、そうです。
  238. 粕谷茂

    粕谷委員長 では、それをここで中島大臣に御提示をいただきたいと思います。  科技庁長官、今の資料をごらんになってください。それでお答えしてください。そのような通信を受けましたか。
  239. 中島衛

    ○中島国務大臣 今のは、浅川氏が私に会いたいといって書いた手紙であります。それは私が受け取っておると思います。
  240. 中西績介

    ○中西(績)委員 それではもう一つ、この名刺は中島さんの名刺であるかどうか。
  241. 粕谷茂

    粕谷委員長 中西委員、ちょっと委員長のところへ先に提示してください、私が見ていないといかぬから。——科技庁長官、ごらんになってください。
  242. 中西績介

    ○中西(績)委員 今あれしました点、要請をして、その結果、一時間ばかりキャピトル東急の窓際で話をいたしまして、そして昼飯を一緒に食って、その結果、先ほど申し上げましたように、これをもう白紙に戻してもらわないと大変なことになっていく、そのことを大臣の方からしてほしいという、この要求をしたわけですね。その結果、こうして中島科技庁長官の高輪宿舎、TEL四四二の二七〇三というのを書きまして、ここに連絡をしてほしいということまで言ったわけです。それはなぜなら、あくまでもこの点について、返すか返さないかは太平重機の皆さんに連絡をします、それは小沢秘書からあす連絡をさせます、こういうふうに言ったということなんですね。  それを信頼しておったところが、全然連絡が来ないものですから電話をかけたところが、不在だとか、いろいろ自宅まで電話をしたけれどもだめだった、こう言っているわけですよ。したがって、今度は別の方に中島科技庁長官の方に連絡をしてほしいということを要請をしたところが、先ほど申し上げるように、電話をした結果、公にするならせよ、浅川はオオカミ少年だから、こういう返事が返ってきたというのですね。ですから、本人は、こんなことではもう大変なことになるということでもってこの新聞の取材に応じたということになったのですね。  それで、私は私なりにいろいろな資料を全部あれしまして調査をした結果、しかもその手帳の記述の仕方から何からしましても、それを挿入したとかなんとかじゃなくて、ずっと長い間の五年間の一日ごとのあれの中に全部こういうものが入っておるわけですよ。ですから、中島科技庁長官が、先ほども申し上げましたように、別れるときに手を握って、あなたの言うとおりにするから公にしないでほしいと、私の政治生命が終わってしまうということを本人に、浅川氏に言ったという、その言葉が真実ではなかっただろうか、こう私は思うのですね。ですから、何回かそうして現場に立ち会ったり、あるいはそうした紹介状を出したり、いろんなことをしていますから、それを知らぬ存ぜぬ、そしてしかも五百万もらっている秘書も全くそれとは関係ないという、こういうふうなことにはならぬだろうということを私は言っているわけです。ですから、ある人に言わせると、この五百万だとか、これは小物であって問題外だというようなことを言われる方もいらっしゃいますけれども、それが今問題として問われておるんじゃないか、うそと言えば何でも済まされるということが問われておるんじゃないかということを危惧をするわけなんですね。  ですから、中島長官は今こうしたことを言っておらないと言うけれども、そのときの手帳の中に全部記しておるものですから。新たにこう書いてありますということを持ってきたんじゃないんです。ですから、その点は私はこうして長々と時間をかけて言っておるんです。それは、今こそこうした問題がなくなるようにどうすればいいかということをみんなで討論をやっぱりすべきじゃないかということ、たとえそれが少額であろうとも、小物であろうとも私はやるべきじゃないか、こうすべきではないかということを考えますので、こうして長時間費やして申し上げておるわけです。  ですから、率直に申し上げて、政治改革をやらぬなら私は大臣をやめるということより前に、こういうものについて、やはり政治改革を自分がやるんだということで、みずからそのことを示していくことの方が私は大変大事じゃないか、こう思うから言っておるわけです。
  243. 粕谷茂

    粕谷委員長 中西委員委員長から答えるべきことじゃありませんけれども、私が聞いておりましても、あなたの主張に対して、そういう事実はありませんというお答えをしているわけです。ところがあなたは、いろいろ調査の結果、客観情勢からいって私の言っていることは事実のようだ、それを認めないのはうそだ、こういうふうな論調ですけれども、この食い違いは埋めることはできないと私は思いますね。だから、科技庁長官が改めて、いや、メモにあろうが何があろうが、私は一切そういうことがありませんと言ったらば、やはりそれは中島大臣の主張であって、それをあなたが覆そうとすれば、やはりしかるべき法的手続をする以外はないんじゃないでしょうか。この議論を幾ら続けていっても、認めないというのを認めるというのでは、とてもこれは話が折り合わない、こう思いますが、いかがですか。
  244. 中西績介

    ○中西(績)委員 それじゃ、本人が出向いてきて話をしたいと言っておりますし、問題提起をしたいということを言っておるわけですから、中島長官には、今後二人で対決してもらって、あるいは複数の人で対決をしてもらって、そして完全にそういう人たちとやってもらうように私は今度は手続をとろうと思いますけれども、いずれにしてもこうした問題が依然として絶えない。しかも後ろには金丸がい、あるいは竹下、金丸がいるから警察ざたにならぬとか、こういうふうなことまで言い、そして鉄建公団の皆さんは……(発言する者あり)何を言うんですか、私はもらってません。  それで、このようなことをあくまでもそうして主張をなさるなら、こうした中身について私たちはこれからはもうこの場で追及いたしません。抽象的なことで、きれいごとをどんどん言ってやれば政治改革ができるなどということは、私は絶対あり得ぬと思うのです。やはりこうしたことを、みずからが自浄作用をどう働かしていくかということが我々の中で討論され、実際にそれが実現されなければ、私たちが持っているこの衆議院手帳の後の方にある、これは我々が決めたことでしょう。これが今守られでないのが現実じゃないですか。これが守られておったら今のような問題というのは出てこないんです。守られないからこそ問題だから、こういう問題がありますよということを私たち指摘しているんです。  ですから、私は、少なくとも今度の国会というのは、こうしたことをなくしていこう、そのための政治改革をやろうと言っているわけですから、個々にやはり焦点を当てた論議が必要だということを痛感をしておるものですから、こうした問題がある、ところが本人がそれを否定すれば何にもないということで済まされてしまうとすると、そういうように政官財のこの癒着構造そのものが追及できなくなるんですよ。鉄建公団の皆さんは、中島代議士がおるからこういうふうにゼロから一億八千万にいたします、こう言っているわけですから。こうした問題をやはり私たちは明確にしておかないと、政官財のこの癒着構造というのの本格的な追及、あるいはそうしたことを解消するということにならぬのじゃないでしょうか。私の主張が間違っておるというなら御答弁ください、総理
  245. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 率直に申し上げまして、いろいろ一時間余り承りましたが、中島さんがどういうかかわりを持ったという一番大事な部分が何もないものですから、どうも伺っていても判断のしょうがないというのが真実でございます。
  246. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がありませんから、私は、中島さんが実際にいて、そこで話をして、それから具体的にいろいろ変わっていったということを申し上げたんです。それをお聞きできなかったということであればもうここでは申し上げませんけれども、実際に何回もそこにいて、それから以降すっと変わってくるわけですから。だから私はそれを見て、これはやはり問題だ。その間に今度は、今言うような、裏にだれがおるとか、あるいは中島さんが言われるんでこれをゼロからこうします、こういうようなことが次々に出てくるものですから、あなたが存在ないと言うけれども、私はあったと言わざるを得ないわけなんですね。ですから、その立場に立つ者と、私が今申し上げたようなことで、それでは、中島さんは全く白紙なんだ、清潔なんだという認識でございますから、これは幾ら言ったって縮まるわけないです。  ですから、私は、このような全く省みようとしない、しかも秘書がそうしたことを、中に世話をしたということは本人も言っているわけですからね、中島さん。ですから、中島さんが秘書のことだから知らぬと言うならば、これは今まで出てきた秘書が秘書がということと全くまた同じになってしまうんですね。そのことを私は一番恐れておるわけです。それが今国民の一番の不信の点ですから。ですからこの点を、残念だけれども全く理解いただけぬということのようです。そのように理解してよろしいですか。
  247. 河野洋平

    河野国務大臣 政治改革が重要である、政治改革を進めなければならないという決意、そういう考え方と、今委員がいろいろとおっしゃった中島大臣に関するもろもろの問題を中島大臣に認めさせようということは、全く別の問題であると思います。中島大臣は、一方の当事者として、これまでの中島大臣の政治家としての経験とそして社会的な信用をかけて、自分は関知していないとおっしゃっておられるわけです。しかし、それがそうだからといって、政治改革を重要でないとか、政治改革をこれからやろうとしていないということとは全く別の次元、別の問題だというふうに私は思います。
  248. 中西績介

    ○中西(績)委員 政府の皆さんの態度というのは、このように、本当に今問題になっておる裏金、あるいはそのやりとりの中で政官財が癒着をしていく、その構造をどう断ち切るかということになりますと、今私が申し上げた鉄建公団、東京都、そしてその中に入ってそのように推し進めてきたという中島さん、直接は中島さんが出ていって言ってはいないですよ。しかし、相談の中にはいて、そしてしかも具体化していき、中島さんが出てくる前は二年間も全然動きがなかったものが、次々に出てくるわけでしょう。こうしたことが許されていくということになれば、今、政官財のこの癒着構造を直そうなどということは私はもう到底できない、こう思います。  ですから、そのように私は私なりに、今の政府なり皆さんがお考えであるということを私なりに今度は理解します。私は理解します。したがって、こうした点を本当に明らかにできない。そして中島さんの場合は、さっきも申し上げましたように、信濃毎日で明らかになっているように、金をもらっていると言って、今度は新聞に出ると、いや、私はもらってなかったと言い、こういうことが前二回ぐらいあるものですから、私は、今言っているこのことが必ずしも——自分が認めていることを覆す、自分が認めておったことを覆すというふうなことをやっておる方ですから、私があえてこのように長く追及したというのはそういうところにあるということを理解ができなければいたし方がありません。  それじゃ、私はこの点は一応おくことにしますけれども、私の目指すのは、あくまでも政治改革をどうするか。それは、みずからの自浄作用をどう遂げていくかということなしには今の政治改革というのは到底、口先だけでやったって何もできぬ。これはもうはっきりしているんですから、このことをやはり私はきょうここにおいでの皆さんが御理解をいただかなくてはならぬと強く指摘をし、そして理解を深めたいと思っています。(発言する者あり)それだけ言いたければ、それを全部発表したら。(発言する者あり)質問しなくて、新聞記者にだって何だってやればいいんだよ。  私は、残り時間、可能な限り政府の方針なりをただしていきたいと思っています。  税収問題をやろうと思っていましたけれども、時間が足りませんので、PKOの一部だけについて質問を申し上げたいと思います。  国連カンボジア暫定統治機構、UNTACについてお聞かせいただきたいと思います。  UNTACの権限について、私たちが理解できる内容をお示しください。
  249. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 SNCからの授権により、暫定的に対外的にカンボジアを代表している機関でございます。
  250. 中西績介

    ○中西(績)委員 独立国の内政を管理監督するのは、今度のこのカンボジアにおける、例えば外交、国防、財政、治安、情報、五行政部門の管理監督能力、強力な権限を持っておると私は思うんですが、こういうことは今までなかったのではないかと思うんですけれども、この点どうでしょう。
  251. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 国連のPKOの活動の中でも、これほど包括的なものはございませんでした。
  252. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういたしますと、今度のこのUNTACという存在は世界で初めてのことだと言われるわけでありますけれども、ただ、明石代表が和平プロセスを進める際に不可欠の四条件ということを言っています。こういう権限は持っておるけれども、その四条件は、安保理はUNTACを最後まで支援をすることだ、それから紛争当事者四派こぞって協力をすることだ、UNTACの民間、軍事部門が自由に行動でき、安全が保障されることだ、国連加盟国がタイムリーに与えられた財政的義務を果たすことだ、この四つを挙げておるようであります。  ところが、私たちから見ると、このうち三条件ですね、一はまあまあ安保理がUNTAC支援するだろうと思いますけれども、あとの部分はほごになっておるのではないか、もうこうした条件というものはなくなってきたのではないかと私は判断をするわけでありますけれども、この点どうでしょう。
  253. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 ほかの三条件も基本的には整っております。財政面につきましては若干滞りがございますけれども、これも、基本的にはUNTACの経費を支えるという点については支障はないというぐあいに判断しております。
  254. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、そうした意味で資料を求めたわけですけれども、「国連の平和維持活動の財政規模」、九二年の経費に関する試算でありますけれども、十九億七百万ドルというのが出ていますね。それから、昨年の東京におけるカンボジア復興閣僚会議で表明された各国、国際機関の協力額は八億七千九百六十万ドルということになっています。  ところが、国連加盟の予算分担率というのがありますけれども、これを見ますと、日本の場合には一二・四五%、一億二千七百五万四千ドルということになっています。ところが、いろいろな報道関係でニュースが入ってくるんですけれども、この分担金一つをもってしても、これがいまだに払われてない国々がたくさんあるということ。それから、先ほど申し上げたカンボジア復興会議で表明されたこの金額、八億七千九百六十万ドルのうち、日本が約一・一億ドル払っているだけで、日本はこれは三年間で二億ドルまで払うんですか、こういうあれになっていますけれども、こういうように財政的な裏づけというものは私は今大変な状況に置かれておるんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
  255. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 国連の分担金につきまして、通常予算についての滞納額は、一九九二年の終わりまでに五億百万ドル、それからPKOの分担金の滞納額は六億六千四百万という額に上っておりまして、確かに国連の財政は年々苦しくなっているということは言えると思います。
  256. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、外国の場合には、私は言っておるとは思いませんけれども、日本が人的貢献をしないとかなんとか非難をして、金だけだというようなことで絶えず宣伝されますね。だから、人的貢献を、自衛隊をということになっていったんですけれども、私は、こうした義務的な経費等について、日本が最もまじめにやっておるということをやはり国民の皆さんには知らしめなくてはならぬのではないか。そのことが、どれだけ私たちが勇気を持っていろいろなそうした問題について具体的な討論ができるかということにかかってくると思うのですね。そういうことも十分義務を果たしていない国々から指摘される必要はないと私は思う。ですから、少なくともこういう四つの条件、三つが崩壊してしまっておるんじゃないかということを私が言ったのは、こうした裏づけになる財政的なものが今大変危機状態にあるということが極めて重要です。そして、今問題になっておるところというのは、全部かつての強国が支配をし、そして生まれてきた紛争なんですね、もちろんいろいろな、民族だとか宗教だとかありますけれども。しかし、それは全部、武器を与え、そして対立をさせ、やってきたその経過があるんですね。  こういうことを考えてまいりますと、私は、少なくともこの紛争当事者全体の協力を得るための手だてというのは、そうした国々が絶対に武器をもうこれからは輸出をしないということをまず国連でやらなくてはならぬと思うのです。そして、我々が自衛隊を出すに当たっても、敵国状態というのはまだ解けていないわけですから、国連では我々は。そこに、またその周囲の国々からいろいろ指摘をされるような軍隊をわざわざ出す必要はないと思うのです。そうした点をやはり基本的な問題としてどうこれから論議をしていくかということがこれからのあり方として、そうしないと、この前から指摘をされておる、自衛隊を派遣することだけに終始をしたと言うけれども、しかし、自衛隊が安全だということは、一般の文民警察とかいろいろなものも安全だという理解を私は今までしてきました。ですから、そのことを我々がいろいろ指摘をされる問題ではないと思っています。  したがって、こうした問題等につきまして、当事者をどう説得をするかということに私はかかっておると思いますから、これをどのようにするかということを、大国であった国々が中心になって、しかも足りないといえば、滞納金でなしに、そういうものを払ってでも、積極的に払ってでも解決をしていくということにならぬと私は困難だろうと思っています。したがって、こういう問題等についてはむしろ前面に出して論議をしていくべきではないだろうか、こう思います。  時間が参りましたのでやめますけれども、UNTACの要員の行動阻止、あるいは平和維持軍等が戦闘を始めた場合には国連の信用失墜になるという明石代表の言葉等を私たち考えたときに、もう少し冷静にこの問題についてはやるべきではないかということを申し上げて、終わります。
  257. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて中西君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  258. 児玉健次

    ○児玉委員 最初に、宮澤総理に対してカンボジアの現状についてお伺いしたい、こう思います。  国連のガリ事務総長が五月十五日になさった報告の中に、次のような部分があります。「選挙の諸条件パリ協定で想定したものでないことは今や明らかである。このことは、軍事規定を手始めに和平プロセスから次第に離れ、今や選挙のボイコットから暴力でそれを積極的に破壊する企てに移ったPDK」、ポル・ポト「の残念な態度の結果である。」  総理の御認識はこれと同様でしょうか。
  259. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この間、ブトロス・ガリ事務総長が事務総長報告をなさいました。その大体全文で言っておられることの御趣旨は、私もかねて考えておりましたところとそう遠くはございません。
  260. 児玉健次

    ○児玉委員 お尋ねしていることに答えていただきたいのですが、この部分は、ガリ報告の中の核心に当たる部分ですね。選挙の諸条件パリ協定で想定したものになっていないという点が一つ。それから、ポル・ポト派が、パリ協定が規定している軍事規定を破ることから始めていって、そして選挙のボイコット、次に、ついにそれを暴力で積極的に破壊する企てに移っている。この認識について、同様ですか、どうですか。
  261. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 事務総長の報告の中にそういう部分もございます。私の申し上げようとしましたのは、報告全体のトーン、全体で言っておられること、ほぼ私の考えておることと似ておるということを申し上げております。
  262. 児玉健次

    ○児玉委員 今のガリ事務総長の認識は、いわゆるPKO三原則、私は、その中の核心になる三原則ですね、そこのところを特に問題にしたいのですが、この報告の中で、今の箇所にとどまらず、幾つかのところで重要な指摘を事務総長はされている。例えば十四節のところで、「PDK」、ポル・ポトです、「PDKが暴力的手段もふくめて繰り返し選挙に対抗する意思を表明した」。  総理は、ポル・ポト派のさまざまな行動やその他について、全面戦争に至っていないとか、パリ協定を破棄する意思表示はしていないとか、これまでいろいろ繰り返されてきているけれども、国連の事務総長の判断というのは非常に明白で、かつ厳しいものじゃないでしょうか。いかがですか。
  263. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 事務総長は、報告の中でいろいろ述べておられますけれども、結論として、和平協定の枠組みが崩れたというようなことは言っておりませんし、圧倒的多数のカンボジア人選挙の実施を望んでいるのであるから、選挙を予定どおり実施することが安保理及び大多数のカンボジア人の意思であることは明白であり、選挙は予定どおり実施されるべきであるという結論をしておられるわけです。
  264. 児玉健次

    ○児玉委員 パリ協定というのであれば、パリ協定の現物に即して議論をすることが必要ですね。全面戦争に至っているかどうかが問題ではないのです。パリ協定の九条ではこう言っている。「すべての軍隊は、直ちに戦闘を停止し、また、すべての敵対行為」、すべての敵対行為、「並びにその支配する領域を拡大し又は新たな戦闘に導くおそれのあるいかなる配備、移動又は行動も慎む。」明白に言っています。このことは御承知ですね。
  265. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ですから、私も何度もパリ協定で予想したようなとおりにはいっていないということは申し上げておりますし、事務総長もそれを言っておられます。
  266. 児玉健次

    ○児玉委員 今のパリ協定の骨組みとは何かという点について、ガリ事務総長は、第四次報告、五月三日に発表されたものの中で明白にこう言っています。支配地域UNTACに公開するかどう か、公開していないじゃありませんか。軍隊を収容し、武装解除をするかどうかこれは拒否している。そういったことを指摘した上で、ポル・ポト派のことをパリ協定に基づく責務を拒否した武装勢力と言い切っていますよ。明らかにパリ停戦協定を、最初は政治的に拒否し、今や軍事行動でそれを拒否する勢力がカンボジアに生まれているじゃありませんか。どうしてこれでパリ協定が維持されていると言えますか。
  267. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生が読み上げられた第九条でございますけれども、まず第一文は、「停戦は、この協定の効力が発生する時に効力を生ずる。」というのが第一文でございまして、第二文が先生が読み上げられた箇所でございますけれども、要するに停戦というものがまずあって、この停戦をより確固たらしめるための措置として第二文の表現がある。  具体的には、この停戦をより確固たらしめる措置として、カンボジア和平協定の附属書二におきまして、動員の解除であるとかあるいは情報の提供とかいろいろなことが掲げられておる。そういうぐあいに、そのより確固たらしめるべき措置について守られていない部分があることは先生おっしゃるとおりですが、私たちが申し上げておりますのは、しかしながら全体としては停戦自体の枠組みは存在しておる、こういう考え方で申し上げているつもりでございます。
  268. 児玉健次

    ○児玉委員 このパリ協定を、ガリさんの言い方によれば、暴力で、戦闘行為で、事実の行動でもって拒否している勢力について、事務総長個人の考えではもちろん報告はありませんけれども、国連決議自身が全体の態度を明白に示しています。例えば一九九二年十一月三十日の国連安保理決議七百九十二、ずばりこう言っていますよ。「PDKがその義務を遵守していないことを非難する」と。以前、総理は本会議の御答弁の中で、深い悲しみと憤りを感じると言われた。その憤りをだれに向けるかという問題ですよ。パリ協定遵守しない部分を国際的に孤立させていくということが、カンボジアを平和に導く最も確かな道ではないだろうか。  そして、私たちは、カンボジアヘのPKOの派遣というのはそれ自体憲法違反だ、こう考えて、去年の六月、総理と私は本会議で議論したこともありました。私たちが厳しく反対した国連平和維持活動等に対する協力に関する法律、その中の第三条で、「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意」、失われていますね。国連自身が、ポル・ポト派が暴力でUNTAC要員を攻撃するというふうに指摘しているじゃありませんか。そして、ポル・ポト派紛争当事者として、「当該活動」というのはPKOの活動ですが、行われることについての同意をしていれば、どうしてそれを攻撃するようなことがあるでしょうか。政府がPKOを送るときにさまざまに述べられた条件が根源から既に崩れていますから、この際、本部長として、すべての要員、隊員を引き揚げる、そのことについて責任ある態度を示されることが必要ではないか。いかがでしょう。
  269. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはいろいろな機会に何度も申し上げておることでございますけれども、確かにパリ和平協定で想定した事態とは、武装解除の問題を初め選挙の不参加等々、変わった事態が出ております。それはブトロス・ガリ事務総長が言われるとおりでありますけれども、しかし、クメール・ルージュがなおパリ協定を自分は尊重すると言ってやまないのは、それはベトナム人が十分に追放されていないとか、SNCがしっかりした権力を行使していないとかいう点でございますけれども、パリ協定を否定してしまうということがクメール・ルージュにとって不利である、基本的にそういう判断が私はあるからであろうと思います。  そういう意味で、予想していた事態と違ってまいりましたけれども、そのクメール・ルージュといえどもパリ協定というものは否定していない、UNTACの活動というものを否定していないという中で選挙が行われる。一部不参加選挙が行われることは残念なことでございますけれども、四百七十万という有権者の九割の登録があるというようなことから考えますと、カンボジア人選挙によってカンボジア人カンボジアをつくろうと考えておる、希望しておることは明らかであると思いますので、それを支援することがやはり正しいことであろうというふうに考えております。
  270. 児玉健次

    ○児玉委員 主権国家として、そしてPKO本部の本部長として——私は、今派遣されている隊員、要員の生命の安全というのを深くおもんぱかるものです。そして、皆さんが派遣のときに出されていた条件が崩れている以上、主権国家としてこの点について責任ある判断を速やかに下す、そのことについて強く私は求めて、次の問題に移ります。  次の問題は、減税のことです。  宮澤首相は今月の十五日、久しぶりにお国入りなさったそうで、報道によれば、福山市において、「景気のほうはトンネルを抜けそうだなという感じがする。もう先が見えたなと思う」、朝日の報道ですが、「もう先が見えた」、多少ふるさとの発言のせいかそういうふうにお話しになっているようですね。先が見えだというのは、リストラクチャリングを強行している一部の大企業のことではないかと思いますね。  先日発表された総務庁の家計調査報告、全国全世帯の二月の消費支出は、前年同月に比べて実質三・四%ダウンです。そして、とりわけ食料品についていえば、実質五・六%の大幅減少ですね。ここのところを全体引き上げるということが国民の購売力を引き上げることに通ずる。ですから私たちは、所得減税、赤字国債を伴わずに実施することが可能だということは三月六日のこの委員会で議論したところです。  そして、九〇年の総選挙前に公約された消費税の食料品非課税、福山にお帰りになったというので、宮澤首相がこの前の選挙で地元で有権者にお配りになった選挙公報です、これは。その中でこう書いていらっしゃいますね。「このたびの消費税の実施にあたって、批判の多かった飲食料品については、すべて小売段階で免税とする見直しをきたる十月から実施したいと思います。」批判が多かったということもお認めのようだし、それをやろうじゃありませんか。いかがですか。
  271. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 税の話でございますから、総理のお話でございますが、私からお答えさせていただきたいと思います。  平成三年の税制問題等に関する両院合同協議会というのがございまして、先生も御承知のとおりだと思いますが、各党会派の意見の一致が見られなかったということで、恐らく総理もそういった形で自民党の公約で出しておられたんだろうと思いますが、その飲食料品の非課税の問題は立法府の御議論として見送られた、こういう経緯があるわけでございまして、そういったことを含めましてこれからのいろいろなことを考えていかなければならないのじゃないかな、こう思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、非課税を含めまして消費税にかかわる特別措置を考えるという場合におきましては、課税ベースの広い間接税としての消費税の基本的性格を忘れてはなりませんし、また、そうした措置が経済取引に大きな影響をもたらすようなものであってはならないと思いますから、今お話のありましたような非課税措置については極めて問題が多いところだろう、こういうふうに考えているところでございます。
  272. 児玉健次

    ○児玉委員 今の問題ですが、これは「ジャパン・リサーチ・レビュー」、一九九二年の十月です。藤井英彦さんという方がお書きになっている。その中で藤井氏は、公共投資と所得減税の効果を一定の条件で試算されています。そしてその結論として、公共投資の効果は建設業と製造業の二業種にほぼ集まってしまう。ところが所得減税の方は、以下引用ですが、「広範囲の業種にわたって有効需要および雇用を創出する効果がある」、いろいろ詳しく展開されています。現在、日本経済と国民の暮らしが求めているのはまさにその点じゃないでしょうか。これをやってほしいというのです。
  273. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今の藤井さんという方のその論文、ちょっと私も拝見しておりませんので、詳しくは存じません。後で資料をできたらいただいて、勉強させていただきたいと思いますが、私たちの方では、いわゆる産業連関表というか、いわゆる乗数効果の理論を使いまして、企画庁で世界乗数モデルというものを使ってやったところでございまして、そのことからいたしますと、公共事業でやった方が、いわゆる一般消費者についての減税をするというところについての効果は、公共事業の方でやった方が効果があるという数字が出ておりまして、伝統的に政府の方はそういったことをやっているところでございます。  と同時に、もう一つ申し上げますならば、所得税減税につきましては、やはり財源をやっていかなければならない。共産党の方は、赤字国債ということでは言っておられませんからあれでございますけれども、それではその財源をどこで求めていくかというところの議論だろうと、私はこう思っておるところでございまして、その財源をどうしてやっていくかというのが一つ大きな議論になってくるのではないかなと、こう思っているところでございます。
  274. 児玉健次

    ○児玉委員 この点はこの補正予算の論議の中で、文字どおり国民に開かれた場所で、この後、堂々と議論していきたい、こう思います。  さて、公共事業をめぐっての問題に入りたいと思います。  一九八一年、昭和五十六年ですが、九月に、公正取引委員会は静岡県内の三つの建設団体に対して立入検査を行われた。そして翌年、八二年の八月に、三団体に対して独禁法適用による排除勧告をなさった。談合の問題が当時にあっても大きな社会問題になりました。そのとき、建設業界、当時ゼロシーリングということが非常に言われていた。業界のピンチだと、そういうふうな立場からでしょうか、公共事業に対する独禁法除外の要求が強烈に提起されて、そしてそういう中で自民党は、建設業等に関する契約問題小委員会、亡くなられた玉置さんが委員長をなさったようですが、これを設置されて、さまざまな論議の末、公共事業執行の実態に即し、関係法令の改正や適用除外の措置を検討することが必要だ、こういう方針をお出しになったようです。  そういった経過の中で、建設省、業界団体、そして公正取引委員会などの折衝が行われて、一九八四年二月、公正取引委員会は、ここに持ってきましたが、「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」を発表されました。  このガイドラインは、さまざまなガイドラインと比較してみて大きな特徴があります。何かについて法を正しく適用させ、貫徹させようとする場合に、かくかくしかじかのことはやってはならないというふうに具体的に明示するのが多くのガイドラインです。ところが、八四年二月のこの公取のガイドラインはそうではなくて、「以下に掲げるものについては、原則として独占禁止法違反とならない。」ここまでやることは認められるのだという大変な構成でつくられていますね。一体これはどういうことでしょうか。
  275. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 いわゆる建設業ガイドラインですが、今委員が御指摘になりましたとおり、昭和五十六年に公正取引委員会が、静岡県下の建設業団体に対しまして入札談合を行っていたということで立入検査したわけでございますが、この事件を契機といたしまして、建設業界において入札談合の未然防止に関する関心が大変高まりを見せたわけでございます。  それで、建設業団体の中でどういう行為までが独占禁止法上許されるのかということをわかりやすく示したガイドラインを示してほしいという要望が大変強かったわけでございまして、こういう要望を勘案して建設業ガイドラインを出したわけでございますが、この建設業ガイドラインの前に、既に昭和五十四年に一般の事業者団体に対するガイドラインが出されておりまして、その中で入札談合は独禁法違反であるということをはっきり明示しているわけでございます。  それと同時に、一定の経営指導ですとか情報活動というものは許容されるという内容になっておりまして、建設業における特殊性と申しますか、単品受注請負型産業であって中小企業が大変多い、それから入札制度のもとにあるという状況を勘案いたしまして、建設業の言葉を使いまして、一般ガイドラインの中で許容されている行為をわかりやすく説明したというのがこのガイドラインでございます。したがいまして、このガイドラインが十分周知徹底されておれば入札談合の防止には大変役に立つものである、こういうふうに考えているわけでございます。
  276. 児玉健次

    ○児玉委員 その点は後から議論しましょう。やはり建設省がこの場合最も中心的な官庁だと思います。  ちょっと古い話で恐縮なんですけれども、一九八三年六月に大阪で開かれた業者の会合に、当時、建設省で計画局建設業課長、藤原良一さんという方がいらっしゃって、その方がわざわざ大阪まで行って講演をなさっている。それが記録になっておるのですが、当時の情勢を非常に率直に述べています。  「周りがそういう空気ですから、」、「周り」というのは建設業から公共事業が抑制されるとき独禁法の規定をそのとおりやられてはかなわない、周りがそういう空気だから、公正取引委員会でも経済部というところが中心になって検討を開始している、こう言った上で、「そういう業界の声、あるいは実情等も踏まえて、適切なガイドラインをつくれないか」公取はそのように考えておられるようですが、「苦労しておられるようです。」そう言って、われわれとしても、われわれとしてもというのは建設省の課長さんですね、われわれとしても「業界が受け入れられるようなものにしていかなければならないと考えております。」これでは、前に、証券疑惑のときに、大蔵省の証券局に批判が集中したことがありました。建設省自身が業界の霞が関における代表になってしまわないだろうか。業界が受け入れられるような内容のガイドラインを公取がつくれとあからさまに言っているじゃありませんか。  今回、建設省は厳しい批判の中で指名入札制度を依然として温存しようとなさっていますが、当時この課長が言われたような業界の利益第一という態度は変わってないのじゃないでしょうか。大臣、どうですか。
  277. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  先生御指摘をいただきました講演は、一九八三年の九月号の「全建ジャーナル」において、当時の藤原建設業課長の大阪での講演を掲載されたものに基づいての御質問だと思いますが、この問題は、ただいま公取の方から説明がございましたように、静岡において談合事件が起こりまして、これを契機にして独禁法に対する業界の方々の関心が高まってまいりまして、公共事業にかかわる建設業と独占禁止法の適用について混乱する等の状況が生じたために、公共工事に係る建設業の諸特性を勘案した独占禁止法上の指針を策定しようということになったわけであります。  その中身につきましては、具体的には、諸特性というのは、単品受注請負型産業であり、計画的な受注が困難である、ほとんどが中小企業であって、競争が激しくダンピングが生じやすい、指名制度や予定価格制度を内容とする官公庁の発注に係る競争入札制度のもとにあること等でありまして、御指摘の件につきましては、これらの特性が正確に理解され的確に指針に反映されるように関係者がそれぞれの立場で努力していることを紹介したものである、このように認識しております。
  278. 児玉健次

    ○児玉委員 そういう認識で何が起きたかということを、具体的な事実に即して後ほど議論をしたいと思います。  建設省が今でもそういうことをおっしゃるのであれば、一言言わなければいけない。  「全国建設業協会沿革史」というのがあります。持ってきています。その中にこういう箇所があります。  八四年一月十七日の全国建設業協会の自民党三役に対する陳情で、業界が適正な調整行為を独禁法の適用除外とするよう要望。「金丸幹事長は、」金丸さんです。「金丸幹事長は、全建の陳情団を前にして、「公取委が閣議決定(自民党見解を閣議決定している)を理解できないというなら、議員立法によって独禁法を改正する!」と言い放った。」金丸さんが言い放った。「この時の金丸発言の重みは絶大であった。」このとき金丸さんは自民党の公共投資推進議員懇談会の会長をされています。  そして、この発言の一カ月後に先ほどの公取のガイドラインが発表されているのです。だから、ガイドラインが自民党の見解に沿ったものになるというのは、経過からしてもこれは今理解できるところです。  そこで、これは委員長にお聞きしたいのですが、さっき公取は適切にそれが周知されればとおっしゃった。これは私たちが独自に入手した資料ですが、「平成五年一月二十日 山梨県建設業協会甲府支部長鈴木武」、印鑑が押してあります。「井尻工業取締役社長高岡唯夫殿」。何でも、山梨県の公共事業の入札に当たってお決まりの談合をしようとしたら、この井尻工業がその談合を拒否して、そして落札をされた。そのことに対する抗議の文章なんですが、その文章の中でこう言っている。「過当競争防止については、公正取引委員会のガイドラインにおいても、強調されているところでありますので、この点について篤と御勘考賜りたく」云々です。  だから、皆さんが許していないとされている談合を正当化する、言ってみれば論拠の一つとしてガイドラインが使われているじゃありませんか。この点については、委員長のお考えを聞きたいと思います。
  279. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 建設業ガイドラインにつきましては、ただいま経済部長からお答えを申し上げたとおりでございます。私どもは、いわゆる入札談合という行為は、これは申すまでもなく公共工事におきます入札の公正性を害する行為でありますし、また独占禁止法に明らかに違反する行為であります。先ほど経済部長からも申し上げましたように、この建設業ガイドラインの中にもそれははっきりと記されているところでございます。  それからまた、私ども公正取引委員会といたしましても、いわゆる入札談合行為につきましては、従来からもこのような行為があれば独占禁止法に基づいて厳しく対処してまいりましたし、今後ともその方針には変わりはないということを申し上げさせていただきます。
  280. 児玉健次

    ○児玉委員 今言ったような経過ででき、そして現実にこのガイドライン自身が談合を正当化する材料として使われている。もちろん、ガイドラインの中で談合をしなさいとかなんとかと言っているわけじゃないのです。それはよく承知しています。しかし、ここまでは許されるのだというやり方が、どのくらい今国民が強い不信を持っている公共事業の発注における一部業者を励ましているか、そこのところは私は委員長に厳格に見てもらいたい、そう思います。  そこで、この五月十三日、公正取引委員会は、山梨県建設業協会と加盟業者に対する立入検査をなさった。午前中のこのことについては若干議論がありましたが、どういう疑いでこの立入検査をなさったのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
  281. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 今月の十三日、十四日両日にわたりまして、公正取引委員会は、独占禁止法に違反する入札談合が行われている疑いで御指摘の山梨県建設業協会の本部それから支部の事務所、それからこれに加盟しております建設業者の事業所に立入検査をしたところでございます。
  282. 児玉健次

    ○児玉委員 委員長にお許しをいただいて、ちょっとこれを小粥委員長にお見せしたいのですが。  今建設大臣と公取委員長にお見せしましたが、私たちが独自に入手した山梨県の県工事各社別受注額、平成四年一月から十二月までというのがあります。二十の地元業者が列挙されていて、公共事業の受注額、協会費納入の基礎点数、協会費が算定されています。記入されています。  例えばナンバーワンには、株式会社早野組、受注額三十二億一千七百十八万八千円。一つ一つの工事について、例えば道路工事でいえば、側溝を何点と換算する、舗装は何点と換算する、なかなか見事な算式がありまして、それに基づいて早野組は三六三〇・四六というポイントが算出されて、協会費は五百五十万円です。二十業者の協会費は五千九百二十万円に及んでいます。これは会費なんというようなものじゃないですね。明らかに二十の業者が談合をやって、そして県の公共工事を受注して、そのメリットに応じて次の例えば政治家に対する上納金などを備蓄していく、こういう仕掛けではないかと思うのです。  建設省、こういうふうな県の建設業界の運営を建設省として推奨されているのでしょうか、どうでしょうか。お答えください。
  283. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  今の山梨県の協会の例で、ちょっと私も内容までよくわかりませんが、一般的にはなるべく協会の会費の取り方、それにつきましては、いわゆる賦金的に何か公共工事の量に応じて取られるといったような形は望ましくないという考えがございまして、現在、実は建設業各団体のヒアリング等を行っております。山梨県も行ったつもりでおりますけれども、そういったところで会費の徴収方法等を調べておりますが、もしそういう賦金的な意味合いに取られたところがあればそれは正させていただくということで指導していきたいと思っておりますが、一般的には会費は、もちろん業者もいろいろな規模がございますので、大きな規模の業者には固定的に一定額、小さい業者にはそれよりも低い額というような形で取っているのが一般でございまして、そういう形で取るのが望ましいということで指導しているところでございます。
  284. 児玉健次

    ○児玉委員 まさに今の工区別、そして工事の種別にポイントを算出して、それに応じた協会費を取っているのですから、これは建設省、厳しく指導し是正していただきたいと思うのです。大臣、どうですか。
  285. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 今、政府委員答弁をいたしましたように、そういった実態に対して今ヒアリングを行っておりますので、そういった実態が明らかになり次第是正するように指導していきたい、このように考えております。
  286. 児玉健次

    ○児玉委員 公取に伺いますが、五月十三日に立入検査をなさった。今私が具体的に指摘したような事柄を公正取引委員会は御承知でしょうか。
  287. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 本件につきましてはただいま審査に着手したところでもございます。まさに審査の真っ最中でもございますので、その詳細については、恐縮でございますけれども、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  288. 児玉健次

    ○児玉委員 審査の結果を聞いているのじゃないのですよ。こういう事実があることを公取は御存じかと聞いているのでお答えいただきたいのです。
  289. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 今どういう情報に基づいてどういう審査を行っているのかといったようなことにつきましては、恐縮でございますけれども、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  290. 児玉健次

    ○児玉委員 公正取引委員会の今回の立入調査でどうしても理解できないこと、どうしても不審でならないことは、県内の業者に対する立入検査は一定限度なさった、しかし大手の総合建設会社、いわゆるゼネコンに対する立ち入りが行われていませんね。なぜでしょう。
  291. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 今回私ども審査に着手いたしましたのは、具体的な入札談合が行われているという端緒に接したからでございます。その端緒によりますと、山梨県の建設業協会を中心とした入札談合が行われているのではないかということでございましたので、その関係者に対して必要な調査に着手したというところでございます。
  292. 児玉健次

    ○児玉委員 私たちの調査によりますと、山梨県内に、本社が県外に存在する大手の総合建設業者の二つの親睦団体があります。一つは建設部門から成っている二十日会、二十社が加盟しています。もう一つは土木部門の梨土会、三十四社です。会員は甲府市内に支店、営業所を持っている鹿島、清水、大成、青木、こういったゼネコンがずっと並んでいます。この親睦団体は会長を選んで毎月会費を集め会合を持っている。関係者が私たちにあからさまに言いましたが、二つの親睦団体は情報交換や工事落札の調整という意味で重要な場になっていた、そう述べている。  で、山梨県の県議会における工事の議決案件を見てみますと、例えば平成二年三月定例議会議案第四十八号、西松建設、井尻工業等三十億四千三百六十五万ですね、県立工業技術センター建設工事。例えば三井建設と長田土木、平成元年の十二月定例、九億四千六百五十七万、釜無川流域下水道、一々言いませんけれども、大手のゼネコンと地元の土木業者がジョイントを組んで公共事業の発注をやっています。  そのとき、県内だけは立ち入るけれども、大手業者の方はらち外というのじゃ、こういうのを片手落ちといいませんか。どうです。
  293. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 先ほど来申し上げていますとおり、今回調査に着手いたしましたのは山梨県建設業協会を中心とした入札談合の疑いということでございます。  したがいまして、それに関連する事業者がその調査の対象になっているということでございます。もちろん言うまでもないことでもございますけれども、私ども、この入札談合の問題につきましてさらなる情報が得られ、また具体的な端緒に接したのであるならば、その場合には当然その点についても調査を進めていくというのは申し上げるまでもないことでございます。
  294. 児玉健次

    ○児玉委員 疑いが明らかになれば、当然それを視野に入れるという趣旨のお話だったと思うのです。  具体的に申したいのですが、先ほど二つの県外業者団体があったと申しました。今それは姿を変えています。現在、この二つの県外業者の親睦団体は四つに分かれて、一つは緑会、十二の業者が入っています。もう一つは建友会、十四業者。もう一つが二水会、こっちは十の業者です。そして最後がダイタ会、八業者です。四つの団体に編成がえをしても、依然として親睦団体と称しながら実際は地元業者と組んでの調整を行っている、談合を行っている疑いが非常に強いのです。特に、建友会、山梨県ではこの十四の業者、十四社会と言ったりもしているようですが、名前を言いましょう。池田建設、大林組、奥村組、北野建設、クボタ建設、熊谷組、鴻池組、大成建設、大日本土木、地崎工業、東亜建設工業、東海工業、ナガノコーポレーション、それにフジタです。この十四です。  これらの十四の業者が地元の業者と結びついて、そしてこれはもう周知の事実になっていますが、山梨県では県知事選の勝ち組と負け組、そういうとき、金丸信自民党前副総裁がドンとして君臨していて、必要であれば天からの声をそこに及ぼす、そういう中でこの十四社会は知事選挙の勝敗を境にして受注額が急増しています。例えばさっき言った池田建設、北野建設、東海工業、知事が前の段階では、これも一覧表がありますが受注額はゼロです。勝ち組になったとたんにそれぞれ一億円から二億円の公共事業を受注しています。大林組は六千五百万円だったものが四億四千万に。奥村組は二億一千三百万から一挙に八億四千万に。ざっとこういうぐあいです。  十四社で構成する建友会、親睦団体とは言っているけれども、それが談合行為を行っている。地元では非常に強い声としていろいろと言われています。  公取、ここのところを視野にお入れになってはどうですか。いかがですか。
  295. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 本件に関しましては、ただいま調査をしている真っ最中でもございますし、それからまた、御指摘の具体的な事実についての事柄でもございますので、この際、コメントさせていただくことは差し控えさせていただきたいと存じます。
  296. 児玉健次

    ○児玉委員 山梨県というところにおける、これは何も山梨県に限りませんが、例を山梨県にとっているわけですが、山梨県でゼネコンの支店と地元建設業者との関連、それが非常に集中的に出ているのは巨大プロジェクトであるリニアモーターカー山梨実験線工事ですね。主要な十五工区が二月までに契約が行われました。ゼネコン各社が実に見事に、いささかも重なり合うことなくぴたりと受注しています。そして、受注業者を照らし合わせてみたら、大手建設業者の親睦団体のメンバーのほとんどがその顔ぶれの中に連なっているのです。この親睦団体の中には、金丸やみ献金問題で検察の事情聴取、家宅捜査を受けたゼネコンもそろっています。  法務省に尋ねますが、東京地検は、金丸自民党前副総裁を三月六日に逮捕してから、大手の総合建設業者の事務所等九十四カ所の捜査、合計約七千点の証拠物の押収をなさったようです。約七千点の押収された証拠物は今どのように扱われていますか。そして、国民の強い疑惑が今集中している政治家と大手総合建設業者とのやみ献金等にかかわる疑惑の捜査は今どこまでいっているか、今後どうか、お答えいただきたいと思います。
  297. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御指摘になられました金丸前議員らに係る所得税法違反事件の捜査の過程におきまして約七千点の証拠物を押収したことは、今委員指摘のとおりでございます。押収した証拠物につきましては、これは現在東京地検において保管しているものと承知しているわけでございます。  委員のお尋ねは、もちろん、この分析、検討についてのお尋ねだと思いますけれども、検察当局におきましては、公訴維持に万全を期するという観点等から、必要に応じましてこの押収証拠物の分析、検討を行っているものというふうに考えているわけでございます。  さらに、委員のお尋ねは、結局、検察当局におけるこれらの証拠物の分析、検討を通じて、今後の捜査方針はどうかというお尋ねの趣旨かと思うわけでございますが、その点につきましては、法務当局から現段階であれこれ申し上げるべきではないと思うわけでございます。ただ、これはいつも申し上げておりますように、一般論として申し上げるわけでございますが、検察当局としましては、捜査の過程におきまして刑事事件として取り上げるべきものがありますれば、適正な対処を行うものというふうに考えているわけでございます。
  298. 児玉健次

    ○児玉委員 刑事局長、今、押収した七千点を保管していると言われたけれども、保管ということはどこかの倉庫に眠っているということですか。どうです。
  299. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  私が保管しているというふうにお答え申し上げましたのは、委員のお尋ねの中に、どのようになっているかという御趣旨のお尋ねがございましたので、現在の所在を申し上げたわけでございます。  どういうふうにしているかということについては、その後に私がお答え申し上げましたように、既に公訴を提起いたしました所得税法違反事件の公訴維持等の観点から、必要に応じて分析、検討を行っているというふうにお答え申し上げたとおりでございます。
  300. 児玉健次

    ○児玉委員 後ほど法務省にはまたお伺いしたいのですが、公正取引委員会に今のこととの関連で伺いたいのですが、公正取引委員会は一九九〇年の六月二十日に、入札談合その他「国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案について、積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針である。」こういうふうに明らかにされたことがありました。  昨年五月十五日、公正取引委員会は「埼玉県所在の土木工事業者に対する勧告等について」というのを明らかにされて、その中で埼玉県所在の土木工事業者、さっきの山梨県の地元の業者と置きかえてみれば私はよくわかると思って読みました。その県内業者にかかわる独占禁止法違反疑惑事件について審査を行ってきたところが、埼玉県外に本社を有する土木工事業者六十六社に対して一定のことをやらなければいけないというふうに判断するに至った。そして拝見すると、県外の六十六社に対して、今後このような行為を行わないよう厳重に警告されたそうですけれども、どのような行為を警告の対象にされたのでしょうか。
  301. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 昨年の六月に、埼玉県における建設工事の入札談合に係る事件につきまして、公正取引委員会は審決を行ってございます。  この審決の内容でございますが、これは、今後このような独占禁止法に違反する入札談合行為を一切行わないようにということ、それからまた、今後こういう入札談合行為は独占禁止法に違反するものであり、今後一切行わないということを社内の役員、従業員に周知徹底すること、そういったような趣旨の審決を行ったところでございます。
  302. 児玉健次

    ○児玉委員 皆さんがそういう審決をなさったとき、処置が甘いという厳しい批判がありました。ともかく皆さんは厳重な警告をなさったという。今後かかる行為を繰り返すことがないようにと言われたようです。  さて、先ほど私が紹介した十四社会、その十四社会の中に、埼玉県の県外業者が相互の親睦と情報交換のためと称して実質的な談合行為を地元業者と組んで行って、公取の警告の対象になった六十六社の中に、山梨の十四社が実に十社含まれています。警告したって全然相手にされてないじゃないですか。どうですか。
  303. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 先ほども申し上げましたとおり、山梨県に係る委員指摘の事実等につきましては、この場でのコメントを差し控えさせていただきたいと思っております。
  304. 児玉健次

    ○児玉委員 私が言っているのは、昨年厳重警告をした業者が十四社会の中に十入っている。警告の効果はどうなのかと聞いているのですよ。効果があったと思うならあったとおっしゃったらどうですか。
  305. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 先ほど御説明申し上げました埼玉県における建設工事に係る入札談合事件の審決におきまして、私ども、将来こういった独占禁止法に違反する入札談合行為を埼玉県庁発注の物件に関して一切行ってはならないといったことの、いわゆる不作為命令を課したところでございます。この不作為命令は、当然のことながら法律による罰則担保のものでもございますので、適正に守られているものと考えているところでございます。
  306. 児玉健次

    ○児玉委員 守られてないからこういうことになるので、私は小粥委員長に、大手の総合建設会社の入札談合を含めて、平成二年六月二十日、公正取引委員会が出されたこの文書、方針は非常に明快に書いてあります。「入札談合、共同ボイコットその他の違法行為であって国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案」、これが一です。二番目は「違反を反復して行っている事業者・業界、排除措置に従わない事業者等に係る違反行為のうち、公正取引委員会の行う行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案について、積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針である。」この方針に従って、山梨県内で今県民の疑惑に包まれている大手ゼネコンを含めて、公取としては厳しい検査と告発に臨む態度を示していただきたいと思います。委員長、いかがでしょう。
  307. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま委員からお述べになりましたいわゆる告発方針はそのとおりでございますし、私どもその方針に従って、本件に限らず、独占禁止法違反行為に対しては、ただいま御披露がありましたような方針に基づいて判断をしていくつもりでございます。  それから、先ほど来具体的にお尋ねがございます私どもが先日立入検査をいたしました事案につきましては、審査部長から再三お答え申し上げましたように、ただいま調査に着手したばかりの事案でございますので、本件の処理についてはこれから諸資料を分析、解明をするという段階でございますので、本件についての今後の対処につきましては、現在のところお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  308. 児玉健次

    ○児玉委員 委員長、一つだけ重ねて伺いたいのですが、五月の立入調査で皆さんは大手の総合建設業者に入ることはなさらなかった。しかし、今のお話で、事案を詳細に検討していく中で大手の業者に疑いありとすれば、当然それは厳正な措置をとるということですね。いかがですか。委員長、答えてください。
  309. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 具体的な件でもございますので、私の方から恐縮ですけれどもお答えさせていただきますが、本件に関しましては、先ほど来申し上げているとおり、山梨県建設業協会に関連する事業者の入札談合事件ということで審査をしているところでございます。したがって、それに関連する事業者が調査の対象になっているというのは、そのとおりでございます。もちろん、先ほども申し上げましたけれども、仮に今後さらなる入札談合が行われているのではないかという具体的な端緒に接した場合には、これは一般論でございますけれども、それに関連した調査を行うというのはいわば当然のことでございます。
  310. 児玉健次

    ○児玉委員 これは資料を提供してくださった方との約束があるのでお見せはできないけれども、先ほど言った四つの親睦団体について、どの大手の建設業者がどこに入っているか。重複もあります。そういう資料を私は持っている。恐らく皆さんもお持ちだと思う。そして、大手の業者と県内の業者がどのように組んで公共事業を進めているかということは、これはもうほとんど調査の必要もない点ですね。  それで、もう一回法務省にお伺いしたいと思うのですが、五月に公正取引委員会の皆さんが百名以上の職員を山梨に派遣されて、多くの箇所の立入検査をなさったわけです。ところが、その場を目撃した方々からのお話として伺うのですが、極めて押収物件が少なかった。ふろしき二包みだったとか、そういう話もあります。なぜか。それは東京地検があらかた既に持っていってしまっているからです。  先ほど保管といって、一つ一つ丹念に点検しているというお話ですが、それは進めてもらわなければいけないけれども、九一年に公正取引委員会と法務省との間では「告発問題協議会の設置等について」という文書を交わされていて、その中で「検察当局からの公正取引委員会に対する独占禁止法違反に係る情報の通報について」という部分があります。「公正取引委員会は、法務省との間で、検察当局がその捜査等の過程で得た独占禁止法違反に係る情報の、」七千点の押収物ですよ、「同法の規定に基づく公正取引委員会への通報に関し、その具体的要領について合意した。」となっています。  検察庁、公正取引委員会に通報していただきたいのですが、いかがですか。
  311. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  まず、若干誤解があるといけませんので、正確を期するためにあらかじめ申し上げるわけでございますが、今委員が御指摘になられました告発問題協議会と申しますのは、これはもう申すまでもなく、公正取引委員会が特定の事案について独占禁止法違反による告発をなすことの当否につきまして、告発を受けて公訴提起後におきましては公訴維持に当たらなければならない立場にある検察当局との間におきまして、当該事案に係る事実認定上及び法律適用上の問題点について意見を交換する場として設置するものと承知しているわけでございます。そのような意味におきまして、この告発問題協議会は、今委員が御指摘にありましたような通報をなすべき場ではないものと理解しているわけでございます。  また、冒頭に今回の立入検査との関係で若干お触れになられましたけれども、一般に公正取引委員会当局の調査の経緯に関する事柄につきましては、これは法務当局が御意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  この先ほど委員が仰せになりました告発問題協議会とは別に、法務当局といたしましては、公正取引委員会との合意の趣旨に従いまして、独占禁止法違反の事実が認められる場合には、法令の許す範囲で違反事実の通報その他の御協力をすることとしているわけでございます。
  312. 児玉健次

    ○児玉委員 私はもう全く誤解していないんです。今刑事局長が言われたのは、公正取引委員会、「告発問題協議会の設置等について」の一の部分ですね。私がさっき述べているのは一の部分ではありません。  ちなみに言えば、一の部分では、告発問題協議会は、検察当局は最高検察庁財政経済係検事以下の検事、公正取引委員会は審査部長以下の担当官で構成する。そうですね。そのことを私は言っているのではないのです。  当然これはつくらなければいけないと思うけれども、その前に、皆さんが押収した七千点、もし本当にあなたがお蔵にしていなくて丹念に調べているのだとすれば、その中で大手ゼネコンの独占禁止法違反に係る疑惑だとか政治家とのやみ献金に関する幾つかのものが出てくるはずですよ。そのときまず連絡、通報してはどうかと。現に社会保険庁のシール談合のとき、ラップ事件のとき、そのときはどうだったのですか。
  313. 濱邦久

    ○濱政府委員 先ほどお答え申し上げました告発問題協議会の設置ということは、これは改めて申し上げるまでもなく十分御案内と思いますけれども、当該事件ごとに設置することになるわけでございます。  したがいまして、今具体的に委員が御指摘になられましたラップフィルムに係る独占禁止法違反事件あるいはシール談合をめぐる独占禁止法違反事件、いずれにつきましても、公正取引委員会との合意の趣旨に従いまして、独占禁止法違反の事実が認められる場合には、先ほどお答え申し上げましたように、法令の許す範囲で違反事実の通報その他の御協力をするということで行ってきているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  314. 児玉健次

    ○児玉委員 公取に聞きますけれども、どちらが先にイニシアチブを発揮するかという問題はあるだろうと思いますが、社会保険庁のシール談合のときはむしろ検察庁の方から皆さんに連絡があったと承知しているのですが、いかがでしょう。
  315. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 社会保険庁のシールの入札談合事件につきましては、法務省から独占禁止法に違反する疑いありという情報をいただきました。もちろんそれだけではなくて、他にもいろいろ情報があって、それを具体的な端緒として私ども審査事件として取り上げた、そういった経緯がございます。
  316. 児玉健次

    ○児玉委員 法務省に再度お伺いしますが、シール事件は今公取からのお答えのとおりですね。今回もそうしてくれませんか。
  317. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今のお尋ねの前、先ほど私がお答えした中でちょっと舌足らずの点があったかと思いますので、もう一度申し上げますけれども、シール談合の事件につきましては法務当局の方から通報を申し上げた、ラップフィルムの事件につきましては、これはむしろ公正取引委員会の方からの告発があった、こういうことでございます。  それから、今回の件についてのお尋ねでございます。この点につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、法務当局におきましても、公正取引委員会との合意の趣旨に従いまして、独占禁止法違反の事実が認められる場合には、法令の許す範囲で違反事実の通報その他の御協力をする所存でございます。
  318. 児玉健次

    ○児玉委員 どちらから先でも結構ですから、この点で国民の疑惑を晴らす、その点で公正取引委員会と法務省との特段の努力をお願いしたいと思います。  委員長はどうぞお引き取りください。  済みませんが、資料を配ってください。  今回の補正予算の中には、大学、研究機関の著しい老朽化に対する一定の手だてだとか社会福祉施設拡充についての部分もあります。しかし、全体として公共事業を大幅に拡大していく。先ほどからここで明らかにしてきたような公共事業の発注に絡まる疑惑を放置したまま事を進めるとすると、それを国民は許さない、私はそう考えます。  今お配りした資料ですが、これは金丸信自民党前副総裁逮捕後、検察庁の立入調査を受けた大手の建設業者から十をピックアップして、自民党に対する献金額は幾らか、大成建設でいえば三千六百八十六万、官公需の受注額は二千七百十九億、それをずっと見たものです。そして天下りは、人事院の資料でつくりましたが、伝えられるところによれば、建設省の幹部が建設業界に行くときは、持参金と称して公共事業を持っていくという話もあります。ここのところを明らかにしていくことが、ここのところをガラス張りにしていくことが極めて重要だと考えます。やみ献金の原資がその多くを使途不明金に仰いでいるということは、もう既に明らかになってきています。  大蔵省に尋ねたいのですが、この使途不明金、建設業は、企業界の使途不明金の中で金額ではどのくらい、比率ではどの程度を占めているか、過去三年間でお示しいただきたいと思います。
  319. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 私どもが、原則として資本金一億円以上の法人のうち、実地調査を行って、その中で把握した使途不明金の総額と、そのうち建設業の金額、それからその割合というものを三年度分申し上げます。  まず平成元事務年度でございます。総額五百六十三億円、うち建設業が四百八億円、割合は七三%となります。平成二事務年度でございますが、総額が四百七十六億円、うち建設業が三百五億円、割合が六四%になります。平成三事務年度使途不明金総額五百五十八億円、うち建設業が三百八十二億円、割合が六八%、こうなっております。
  320. 児玉健次

    ○児玉委員 今のお話のように、使途不明金全体の中で三分の二を大きく上回る部分を建設業が占めています。  政治改革と言うのだったら、ここのところからはっきりさせていかなければ、政治家と公共事業発注にかかわる疑惑は解明されていきません。使途不明金について私たちは何回もさまざまな委員会質問をしてまいりました。そのとき大蔵省は、使途不明金は本来あってはならないものだ、繰り返し答えてきていらっしゃる。今もその点は変わりないでしょうか。
  321. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 やはり税金は真実の所得者に課税するというべきものでございますので、使途不明金が好ましいものでないということはそのとおりでございます。
  322. 児玉健次

    ○児玉委員 好ましいものではないと。そうであれば、調査をさらに突き詰めて行って、そしてその調査の結果を企業別に公表していくことが、文字どおり今国民的な世論になっている政治改革、政治腐敗の防止が今重要だ、金権腐敗政治をどうやって断ち切るか、そこに向けての確実な一歩になりますから、大蔵省、どうでしょうか。
  323. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 私どもといたしましては、建設業者に限りませんけれども、従来から大法人に対しましていわゆる重点調査という体制をとってやっているわけでございます。一件当たり調査日数あるいは実調割合、実地調査割合、そういったものは大法人に傾斜をつけて、密度の高い調査をやってきているわけでございます。  しかしながら、どうしてもその使途を言わないということも間々あるわけでございまして、それを、言わないものをどうやって言わせるかと頑張ってはみるし、最大限の努力はしているわけですけれども、どうしても言っていただけない。その場合には、本来であれば損金性を持っているものを損金として認めないで、それで法人税を課するということで、やむなくそういう手段をとっているということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  324. 児玉健次

    ○児玉委員 業界全体で一定の調査をなさっているということは承知しています。問題なのは、ある水準をつくって、私たちは、例えば資本金一億円以上、売上高五十億円以上の法人、そういうところで線を切ってもいいと思うんです。その部分についての使途不明金を公にする。企業だからとおっしゃるけれども、労働省は学生の採用取り消しについて、この委員会のさまざまな議論なども踏まえて一部企業を発表されています。労働省ができることがなぜ大蔵省でできないか。どうですか。
  325. 瀧川哲男

    ○瀧川政府委員 私どもには、この申告納税制度のもとにおきまして納税者の信頼と協力というものを確保するため、大変重い守秘義務を課されているわけでございまして、個別の申告内容等について御答弁申し上げたりあるいは公表するということは差し控えさしていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  326. 児玉健次

    ○児玉委員 大蔵省があくまでそう言うのであれば、これはやはり政治的な判断だと思いますね。  国民の政治をきれいにしたい、特に公共事業がやみ献金の場所になるということは、これは総理も何回か幾つかの委員会でお述べになったし、私どもの不破委員長との党首会談でもお話しになったことがありますけれども、税金の一部がそっちのほうに消えていくことになるんですから、ここをきちっとしなきゃいけない。そういう意味で、政治改革を総理が口になさるのであれば、まず一定の規模以上の企業の使途不明金については明らかにしていく、その点で踏み切られてはどうかと思いますけれども、いかがでしょう。
  327. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今のお話伺っていて、私はこう思います。  まあ国税当局といいますか租税という立場からいえば、これはまあ普通考えまして、国に必要な税金を国民からちょうだいをする、それも申告納税というような、いわば納税者側の積極的な貢献ということをベースにして行政をしておりますから、仮に使途不明だというときに、そこから犯罪のにおいをかぎ出すということが本来の国税当局の務めではなくて、一番の使途不明ということに対するペナルティーは、やっぱりそれでは損金として否認いたしますと、これ以外に租税としてどうもやれることは、それ以上求めることは酷ではないかというのは、私はそれはそれで了解ができるような気がいたします。もちろん、その間に犯罪の事実等々を知り得た場合には、これは役所としての務めがまた別途ございますけれども、それを別にいたしますと。  ただ、今児玉委員がおっしゃっていらっしゃいました、その使途不明金の六割とか何割とかいう高い率のものが土建業に偏っているということは、これはまことに、まことに異常なことだと私は思いますので、そこにはやっぱり何か問題があるのではないかと考える方が私はもっともなことではないかと思います。それは、ですから租税ということではなくて、それにはやはり別のやり方もあるのではないか。  と申しますのは、土建業は土建業で一種の免許業でございます。監督官庁もございますし、その他いろいろな観点がございますから、そういうものをあわせましてここにある問題を解明するという、委員の御指摘になりました問題意識は、私は共感をいたすところが多うございます。
  328. 児玉健次

    ○児玉委員 これは正確に御理解いただいているかと思いますけれども、私が使途不明金と言うとき、損金の部分とかなんとかというのが要素としてあるということは、私たち日本共産党はよく承知しています。そのほかに、やみ献金の原資になっているところがある。そこを区分けして今すぐというのがもし無理であれば、使途不明金全体を明らかにしていくこと、これが必要ではないか。  そしてもう一つ、時間ですから最後に申したいのですが、公職選挙法とそして政治資金規正法との関係ですが、公職選挙法にあっては、公共事業を受注している企業は当該選挙についてのみ規制があるので、これは明らかに均衡を欠いていると思いますね。国から補助を受けたり利子の補てんを受けたり、そういう企業はこれは一定の制約を受けているのですから、この分野でも同様の扱いにする検討が必要ではないかと思うが、いかがでしょうか。
  329. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 お答え申し上げます。  公職選挙法の百九十九条の関係につきましては、請負関係にある者につきましての選挙に関する寄附につきましての一定の規制がございます。一方、政治資金規正法の二十二条の三ではなかったかと思いますけれども、補助金等の交付を受けておる法人等につきましての一定の規制がございます。  これらの相違でございますけれども、これらの一連の関連の改正は昭和五十年になされたものでございますけれども、請負等の関係につきまして選挙に関する寄附ということで限定をいたしましたのは、やはり請負等ということにつきまして、何と申しますか、一種の通常の経済行為の一環ではないか。そういうものにつきましては、やはり限定的なと申しますか、政治資金全体につきましての規制をするのはいかがかな、こういう考え方で現行の制度はできておるわけでございまして、やはり請負等の通常の経済行為と補助金等を受けておる法人等につきましての違った取り扱いをなされる現行制度には、それなりの理由があるのではないかというように考えております。
  330. 児玉健次

    ○児玉委員 今議論してきたこととも関連して、金丸、生原、竹下、小沢四氏、そして証人または参考人として日本土木工業協会元会長石川六郎氏を当委員会に招致していただきたい。理事会で御協議いただきたいのですが、いかがでしょう。
  331. 石川要三

    ○石川委員長代理 本件については理事会で相談します。
  332. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  333. 石川要三

    ○石川委員長代理 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、富塚三夫君。
  334. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、カンボジアPKOの問題、そして政治腐敗構造の根絶の問題を中心とした御質問をいたしたいというふうに思います。  今カンボジアPKO派遣された自衛隊の家族の皆さん、あるいは文民警察官やまたボランティアの皆さん、それぞれの家族の方々、そして国民は、一体カンボジア問題がどうなっていくのかということで、私は連日かたずをのんで見守っていると思うのです。  そうした中で、やはり政府対応は、国会の対応は一体どうしてくれるのだ、もっと真剣に論議をして答えを出してくれるべきだ、こういうふうに願望していると思います。一口に言って、政府内部の閣僚の発言も、いろいろな発言があったり、いろいろな発言があることはいいことだというふうにも一面では言われておりますけれども、これでは不安で不安でしょうがない。この国会に課せられた今重要な問題だ、そういうふうに思います。  思い起こしますと、一九九一年十一月十八日ですから、一昨年の暮れ、衆議院のPKO特別委員会宮澤総理大臣は、湾岸戦争を機会に、我が国として財政的な貢献だけでは不十分であり、汗を流さなければならないが、血を流すことはできない、そういう議論を経て、人的貢献をするという合意でこの法案をどなったのだ、こう答弁されていますね。昨年の六月十五日、我々の反対を押し切って強行採決されたわけですけれども、さらに総理は、昨年の七月二十五日、社会党などが戦場に子供を送るななんて言うのは関係がない、自衛隊がカンボジアで活動しているところをこれからのテレビでごらんになればおわかりになるでしょう、仙台でもこんなことを言われたことが新聞の記事にも載っていました。  また、当時の渡辺外務大臣は、ポル・ポト派といえども、停戦協定をした以上は守ると我々は見ている、守らなければ当然派遣はできない、九一年の十一月二十日のPKO特別委員会でそのように答弁されています。  また、当時の宮下防衛庁長官は、戦闘行為に巻き込まれるおそれのある場合は撤収する、あくまでも平和協力業務としてやっていきたい、こう明言をされているわけですね。  ところが、今のこの事態考えてみると、本当に、この法案審議のときに政府が確信を持って答弁をしてあの法案を決めたということの道筋からいうと、全く違った状況が出ているのじゃないか、こう私は思います。ですから、今、中田さんや文民警察官の高田さんが殺されて、負傷者も出て、ますますポル・ポト派の戦闘行為が激しくなっているときに、これ以上血を流すべきではないと考えるのは、これは国民だれにとっても当たり前なことだと思うのです。  ところが政府は、UNTAC村田自治大臣もおいでになりました、あるいは午前中答弁があった柳井国際平和協力本部の事務局長も行かれた、安全な箇所にできるだけ移動してもらいたい、こう要請をした。ところが、実態的には日本派遣者だけを安全な場所にやるなんていうことはできない、簡単な問題じゃない。それはUNTACの立場からいえばそうなりますよね。そういうふうになる。そうすると、本当に政府が安全を求めて、安全な場所に、安全な場所に、こういうことを幾ら言ってみても、現実に現地の状況はそういう状態じゃない、なり得ないという問題についてやはり私は答えを出していかなければならないだろうというふうに思うのです。  なるほどこのPKO法案の審議の過程では、我々も牛歩戦術やあるいは議員辞職という強硬な手段に出て、批判や意見、いろいろいただきました。しかし、私は、やはり我々が心配したような状況になったのではないか、やはりこういうことが懸念されるということをもっとなぜ真剣に議論をしなかったのか。ともあれ私たち社会党の場合も文民の派遣は提起したわけですから、文民の安全問題についてももっと議論すべきであったと私たちも反省をしていますよ。反省しますけれども、やはり自衛隊の海外派兵という問題のところだけクリアするために何か両方で過熱した議論になって結果が生まれてきたように思うのです。そこで、これからのPKOに対する政府や国会の対応は、やはり本音で議論をしていただかないといけない。どうも政府の形式的な答弁、形式的な質問だけで終始することがあってはいけないのじゃないか、ここが今問われているんだ、私はそう思っています。それがまた国会の責任であり、政府責任でもあると思います。  そういう観点から、私は嫌みで言うわけじゃありませんけれども、閣内の統一の問題、閣僚の発言の問題というのは非常に重いわけですから、そういう意味でまず質問をさせていただきたいと思います。  小泉さんも河野さんも私と同じ神奈川の選挙区ですね。五月七日に小泉郵政大臣は、文民警察官の殺傷事件を受けて、国会での議論では汗を流すことにしたが血を流してまで国際貢献していくという結論には達していないんだ、また、撤退による国際的批判は甘んじて受けるべきだと、極めて明確に閣議後の記者会見で申されています。私は、重ねて小泉郵政大臣に大臣の一人としての所信を、見解をまず聞かしていただきたい、こう思います。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  335. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 最初に湾岸戦争のときを回顧されまして政府考え方をお尋ねになりましたので、私からまず申し上げます。  その、金を出す、汗を流す、血を流すということにつきまして、私は当初から一貫した自分の思想を持ってこの問題に当たってきたつもりでございます。つまり、我が国の憲法から考えまして海外で武力行使をすることは許されない、自衛の問題は別といたしまして、と私は考えますので、したがって、血を流すことが当然の帰結である、それはもう最もあり得る事態であるというような事態、そのような武力行使というものは我が国はなしてはならないというふうに私は考えております。それは一貫して私の考え方でございますし、このたびの法律も、各党のいろいろ御議論もございましたけれども、同じ思想に立っておるものと考えます。  しかし、このたび、この法律を発動しました結果、貴重な二人の有為の青年を亡くしたことは、まことに私は、したがって申しわけないことだと思っています。このことは、我々が当然のこととして予測した帰結ではなかったということを申し上げざるを得ません。にもかかわらずそういうことが起こったことについて、私は責任を感じますし、今後そういうことが起こらないように万全の策を講じなければならないということを申し上げておるわけでございます。そういう結果になりましたことは返す返すも残念なことですが、それはこの法律が血を流すことを当然の帰結としてつくられておるということではないんだと私は思います。そういう意味では、やはり基本は、血を流すことを当然の帰結として我々は国の施策をするということは、私は憲法の建前からいって適当でないといまだに考えております。  おっしゃいますように、部隊の場合、要員の場合について十分私どもも考え切らないところがありましたし、また、武装解除が完全に行われるであろうと考えていたことにも錯誤がございました。それらは今後について大切な反省の材料だと私どもも思っておりますけれども、基本的な考え方といたしまして、金で貢献することはもちろん、汗を流すことももちろんでございますが、当然のこととして血を流すことを予想した行動というものを我々はとるべきではないと考えておりますことに変わりはございません。  なお、小泉大臣が一人の政治家として所信を述べられた、それは私はその自由は当然認めますけれども、この国会におきましてお答えをいたします方針は、所管大臣ないし私から申し上げるべきものと心得ておりますので、その点はそのように御理解をお願いいたします。
  336. 富塚三夫

    ○富塚委員 結果として血を流すことになってしまった、まことに遺憾である、私の責任である、反省しています、しかしそうならないように後したいと言って、これから先はお互いの論争のあるところで、内戦がどんどん拡大をしていく中で血を流さぬということの保証はあるのかどうか。そうなったら責任をとってあなた総理をやめるのかどうかという問題になってくるわけです。だから、安全の問題とか中断、撤収の問題とか、それぞれ議論、これからしていく問題ですけれども、私は、今総理答弁されましたけれども、まず小泉郵政大臣に改めて答弁を求めたい。
  337. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今総理が言われたことで尽きていると思います。
  338. 富塚三夫

    ○富塚委員 それで、私は、その小泉さんの発言はある意味では信念のある発言だと思います。  そこで、河野官房長官が——私は血を流された後の状況からの問題を今申し上げているのですから。それで、河野官房長官は閣議後の記者会見で、郵政大臣の発言は今撤収すべきとは言っているんじゃないんだ、要員の安全確保に万全を期さなければならないという発言だったというのは、どうもつじつまが合わないですよね。だから、小泉さんの発言にいろいろ心配をされたという官房長官の立場はわかりますけれども、やはり撤退によってあえて国際的批判を受けてもやってみよう、これ以上血を流さないようにしようじゃないかということを、私は小泉さんが、郵政大臣が言っていると思うので、これはどうも官房長官の言い方はおかしいと思うのですが、どうですか。
  339. 河野洋平

    河野国務大臣 所管の大臣として少し御説明をさせていただきたいと思います。  富塚委員はどうもパリ和平協定そのものが崩れているんじゃないかという御認識で、基本的にそういう御認識で議論を展開しておられるように思います。あるいは、さらに言えば、パリ和平協定自身に問題があるんじゃないかということもまたお考えになっておられるかもしれませんが、私ども思いますのに、パリ和平協定によって三十五万人の難民はカンボジアに戻っております。五百万人になんなんとするカンボジアの有権者が選挙登録を行っているわけです。これは、パリ和平協定によって四派が合意をし、そしてカンボジアに新しい民主カンボジアというものをつくり出そうというカンボジア国民の気持ちというものはそこに込められていて、しかもその気持ちを国際社会が一致してこれを支持して、それに向かって支援をしていこうという気持ちはそこにあるわけです。  そして、繰り返しこの席で申し上げておりますけれども、そのパリ和平協定に調印した四派は、今日に至るもそのパリ和平協定遵守すると言い続けているわけでございまして、確かに委員が心配をして、頭に描いておられるであろう、あちこちに死傷事件が起こっておる。私どもは停戦協定違反が起こっているという認識でとらえておりますけれども、そういうことが起こっていることは事実でございます。  これはブトロス・ガリ国連事務総長が言っておられるように、当初描いていた和平プロセスとは少し、当初の構想と違ってきた。武装解除が十分でない、あるいは制憲議会選挙をボイコットするという勢力が出てきたということから、当初描いていた和平プロセスと少し違うということを事務総長は言っておられるわけですが、それでもなお事務総長は、パリ和平協定が崩れたという認識はしておられないわけでございます。つまり、パリ和平協定が崩れたという認識は国際社会にはないわけです。  そういう状況の中で、私も所管大臣としてこの問題に、いわば何としても成功させたい、自分自身この問題に必死に取り組んでいるわけでございまして、各大臣から、あるいは与党自民党の中から、さらには国家の皆さんからお手紙をいただき、電話をいただき、時にはきついおしかりもいただきました。あるいは御激励もいただいております。さまざまな御意見をお寄せいただいておりまして、そうした御注意、御意見を聞きながら、誤りのないように細心の注意をしながら今作業を進めているところでございまして、小泉大臣を初め閣僚の皆様方、それぞれ、それぞれの見識でいろいろ御発言をいただき、私に対する御注意、御激励をいただいておりますが、そうしたものを本当にありがたい御注意、御激励と受けとめて、一生懸命この作業を成功させたいと思ってやっているというのが私の立場、気持ちでございます。  それで、野党の委員の方からもいろいろ御注意をいただいていることはそれなりに大変ありがたいと感謝をいたしながら、しかし今大事な、もうあした、あさってが投票日というこの場面、そしてアジアの国々は、そして世界の国々は今カンボジアを注視しているわけで、この中で我々がどう対応するかという極めて大事な場面だということをお互いによく認識しながら、この議論は進めていかなければいけないというふうに自分自身に言い聞かせているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  340. 富塚三夫

    ○富塚委員 私が聞いているのは、血を流した結果を受けて小泉さんは、やはり批判を受けても撤退すべきであると、これは現在のことを申されたと思うのですよね。それが、官房長官は、現在撤収すべきとは言ってない。今言われたように、例えばパリ協定が守られているかどうか、参加五原則が崩れたかどうかというのはまた別の議論として、それは認識の違いがあると思いますから別の問題として、現実に血を流す結果になった。宮澤総理も、そうするつもりでやったんじゃない。だから今すぐ撤収をした方がいいんじゃないか、それは批判があることを覚悟の上でやったらいいんじゃないかと言われたと思うのですよね。  そのことは、やはり官房長官、非常に苦しい立場だからいろいろ言われたとは思いますけれども、そこのところは、私は、やはり小泉さんの言った立場は明確に政府も取り上げて、議論をしっかりとすべきなんじゃないか。何かすぐ口をふさいでしまうみたいな結果というのはやはりよくないんじゃないか、私はそう思っています。  さらに、小泉さんは五月十四日、閣議後の記者会見で、政府がPKOに参加している自衛隊に文民警察官選挙監視要員を護衛させる任務はない、今までの国会の議論とは違う、こういうふうに言われておるわけです。さらに郵政大臣は、自衛隊であろうと文民警察であろうと、戦闘状態に行くという想定はしていなかった、戦闘状態を前提に対策を練るうか、自衛隊に何をさせようかというのは間違っていると、こう申されておる。  で、戦闘状態というふうには結局見てないんですか、官房長官。
  341. 河野洋平

    河野国務大臣 私自身この問題を所管いたしておりますから、自衛隊が護衛をするのはよくないという御注意もちゃんと拝聴はいたしておりますが、もともとそんなことは全く考えていないわけでございます。今回現地に行っております自衛隊は施設大隊でございまして、これは道路をつくり、橋をかけ、あるいは輸送業務に当たるということで行っておるわけでございまして、もともとそうしたことを考えているわけでございません。  それから、戦闘状態を想定しているかという御質問でございますが、私どもは、戦闘状態にあるとは思っておりません。まことに残念ながら、若い二人の日本人の命を失いました。さらに、UNTAC要員全体を見ますと、敵対行為によって命を失った人は他に十数名おられる。日本人ではございません、外国の方ですが、十数名おられるという状況でございますけれども、一つ一つの事件、事案について考えてみますと、例えば中田さん、UNVである中田さんが亡くなられた事件については調査が進んでおりまして、これは、何といいますか、リクルートに絡む、つまり就職に絡む恨みによる犯行であったのではないかというようなことも言われておるわけでございまして、これらのことが必ずしも政治的背景を持つ組織的、計画的な襲撃であったというわけではないかもしれない。これは断定はできませんけれども、そうではないという見方が強いわけでございます。もちろんそうしたものもきっとあるでしょう。何件かあると思います。しかし、すべてがそうであるという断定はできない状況でございまして、私は、少し話が長くなって申しわけありませんが、戦闘状態に現在あるというふうには見ておりません。
  342. 富塚三夫

    ○富塚委員 国民は、毎日、テレビの放映を見て、これは大変な戦闘状態だ、内戦が起きている。それが、政府も十二日ですか、本会議河野長官から政府見解が発表されて、局地的な停戦違反はあるが全面戦争にはなっていない、あるいは、ポル・ポト派パリ協定に違反しているわけではない、PKOの五原則は守られている。余りにもこれはちょっと政府の我田引水で、結局UNTACに、日本だけを何とか安全な場所にと言ってもできない、だから従わざるを得ない。だから、それを合理的に考えるためにそのような見解を出すようなことは、私は、国民の皆さんがテレビの放映を見て、新聞を見て、あの毎日のカンボジアの状況を見たら、さらに一触即発でやられてしまうんじゃないかという心配を皆持っているときに、戦闘状態ではありません、パリ協定も守られています、五原則も崩れていませんと言うのは、私は、本音の議論をしようという政府の態度じゃないんじゃないか、何かまた次の過ちを繰り返すんじゃないかという感じがするのです。  だから、そこのところはやはり素直に、やはり戦闘状態に入っているあの姿を国民は見ているわけですから、そこのところは、戦闘状態に入っていないなんという、そういう認識はないなんということは私はとるべきではない。  そこで、文民警察官カンボジア派遣されてああいう犠牲も高田さんが受けられ、あるいはけがもなされた。警察庁として、これは大変迷惑なことだ、もっと安全な対処をしてくれ、対処の仕方を考えてくれということ、警察庁としてはどうですか。
  343. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 今回の我が国の文民警察活動、法律によって、現地の警察の指導、助言、監視という目的のために赴いているわけでありますが、大変現地の情勢は厳しく、生活環境も厳しいというような状況もうかがわれるわけであります。そのような中で、本来果たすべき業務が行い得ないような、指導すべき対象の存在しないような地域もあります。  そのような場所については、本来の業務が行い得るような場所への配置転換、さらには、一部におきましては政党事務所の警備であるとかあるいは要人の警護というような、本来業務を逸脱したと見られるような業務を行わせられているという面もあるわけでありまして、そのような面の是正というものをしっかりしてほしいという立場で、私どもといたしましては、国際協力本部に申し入れ、UNTACの方にそのような立場の申し入れを行い、今後とも関係向きと連携をとりながら安全対策をしっかりやってほしいという立場で、それぞれの我々の分を務めてまいりたいというふうに考えております。
  344. 富塚三夫

    ○富塚委員 ポル・ポト派のスポークスマンが、五月七日に、パリ協定は失敗であったという声明を出しまして、総選挙をボイコットして妨害すると宣言しているということが伝えられているわけてあります。  私は、外務大臣の発言、次に村田自治大臣の発言、PKFを前倒しして、つまり、現実に危険な状態にあるから何とかしなければ、UNTACに頼んだって無理だから、要請しても無理だから何とかしなければいけないという気持ちがそういうふうなことになって出てきて、総理官房長官は、いや、それは考えてないとおっしゃっていますけれども、どうなんですか、外務大臣、本当のところの気持ち、自治大臣、聞かせてください。
  345. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私どもとしては、カンボジアの情勢の中でこれ以上の犠牲者が、特に文民警察それからボランティアの方があのような形で丸腰で犠牲者におなりになったということは、どうしても今後そのような犠牲が出ないように努力をしていかなければならないということで、UNTACにもお願いをして、できるだけ、これは日本の文民警察だけではなくて、あるいは選挙監視要員だけではなくて、危険な場所からはできるだけそういうところからの撤退を考えてもらいたいとか、あるいはまた、最近は非常に強力な防弾チョッキを支給をしてもらうとか、いろいろの手を打ってまいりましたし、また、私は私なりに外交ルートを通じて、ポル・ポト派にも自制を求め、また、カンボジア政権党に対しても自制を求めてやってまいっております。  極力そういう努力をしていかなければなりませんけれども、自衛隊が行っておられるということを考えれば、何らかの形で警護ができないんだろうかということで、たまたま新聞記者から、PKFの凍結を解除したらできるじゃないかというようなお話があったので、もしできるのならそれは、それも一つの考え方だと思うけれども、いずれにしても検討してみよう、こういうことで、私、早速法律を読んでみますと、それはPKFの今凍結になっているところを解除してもできないということがはっきりいたしました。  そこで、これはもう無理だ、そうなれば、もしそれをやるとすれば法律の見直しをしなければいけないんではないか。しかし、法律の見直しというのは、これはやはり国民の理解を得なければできない、また、国会の皆さんの御理解をいただかなければならないわけで、それには時間がかかる、こういうことをこの間申し上げたわけでございます。
  346. 村田敬次郎

    村田国務大臣 富塚委員お答えいたします。  私は、五月八日にカンボジアヘ参りまして、総理の命によって、明石代表と一時間半、誠心誠意話し合いました。そして翌日も実はもう一度会いたいという申し入れもしたところでありますが、これは、国際会議のために明石代表が会う時間がどうしてもなかったわけです。  そして十二日に帰ってまいりまして、総理が早朝八時十分に官邸でお待ちでございました。成田から直行をいたしまして、総理に詳細の御報告を申しました。担当大臣である河野官房長官も同席をされました。そして、これは誠心誠意対応しなければならないということで、ヘリコプターその他の配備、百万ドルの拠出、それからまた、UNTACとの折衝において、ヘルメットであるとか防弾チョッキであるとか、そういうことは明石代表が誠意を持って私に答えられたところでありますが、もう明石代表と会った十日の翌日、十一日には一部がもう日本の部隊に配備をされてきておりました。そして、もろもろの対応について、総理そして所管大臣である官房長官は誠心誠意対応をしておられまして、また、私は、日本人である明石代表の誠心誠意も心から信じておりますが、その後、柳井事務局長と、スタッフが配備をされまして、そして明石代表と話をしております。  明石代表は、いかなることにおいても派遣要員の安全を守るために最善を尽くすというお約束をなさいましたが、事実、ヘリコプターの配備等、それからまた投票所が千八百カ所から千四百カ所に減らされて、もっと減らすと。それから、要員の安全を図るために、ルースというオランダの文民警察官の司令官、これは准将であります、日本の山崎隊長がその配下にあるわけですが、そのルース隊長と山崎隊長とが相ともに一昨日から巡回をして、そして危険な箇所と言われるところをずっと回ってきております。  そういった意味で、いよいよあさってから投票が始まる、そのための誠心誠意のUNTAC及び日本政府対応というのに、私は本当に万全を尽くしつつあるという認識を持っておりまして、ぜひ富塚委員にもそういった実情を察知をしていただいて、お考えをいただければ幸いだと思います。
  347. 富塚三夫

    ○富塚委員 宮澤内閣の中で、小泉郵政大臣のような考え方を持っておられる人もいる。しかし、外務大臣や自治大臣が、PKFの前倒しをして何とか安全を守らなければならない、いろいろなことを考えておられる。総理官房長官は、いや、まだ戦闘状態じゃないし大丈夫だからUNTACに頼めばいい。ところが、現実に明石さんだって日本の国だけかっこよくしてやろうなんという気にはなかなかなれませんよ、行ったら。  しかし、総理、この法案を決めるときは、そうなったら潔く撤収します、させますとあなたたちは言ったじゃないですか、そういうふうに。外務大臣防衛庁長官も、みんな言ったじゃないですか。わかっていたはずじゃないですか。それが答えを出せないから、閣僚がいろいろな意見を言って、何となく今、早く総選挙を終わってくれればいいという状況に皆さんがなっているんじゃないか、私はそういうふうに思うのです。法案を決めるときはそういうふうに明言していたじゃないですか。撤収する、勇気ある撤収を、中断をするというのが、私は後で申し上げますけれども、やはりその点は内閣としてこんなに考え方が違ってくる。すべてはUNTACのその事情を考えざるを得ないというところに追い込まれている。PKOを決めるときにはそうじゃなかったんだ、そこのところをやはり私はまず問題点として申し上げておきたい、こう思います。  けさ、午前中ですね、うちの串原委員の方から申し上げましたが、今度は、だからUNTAC日本だけかっこよく避難させるとか、安全にということはできないから、官房長官は何か防衛庁にしかるべき対応策はないかと、これは新聞に書かれているのです、指示したと言われる。そうしたら、きのう防衛庁の西元陸上幕僚長はあのような発表をされた。これを見れば、まさになし崩しになって、もうどんどんどんどんだめになってしまうんじゃないか。一番大事な判断とか決断をするというところのポイントが欠けておって、百家争鳴のようにそれぞれの省庁がいろいろな意見を出してやっていたら、国民は救われませんよ。文民警察官の家族もボランティアの家族も救われませんよ、これは。そこのところをこの国会で私ははっきりさせていただきたいというふうに思うのです。  それで、SNCの議長のシアヌーク殿下も、二十日、北京の記者会見で、選挙後の情勢によっては新政権と距離を置くことにしたい、つまり、再び各派による救国暫定政権構想を提案する構えを見せている。これは恐らく、選挙で仮にプノンペン政権が再び選ばれるということになっても、シアヌーク派は、シアヌーク殿下は、また今までの提案をすると、こう見られている。  一方、ニューヨークのPKO特別委員会、三十四カ国で構成しているその特別委員会が、今後のPKOのあり方について指針となる報告書を全会一致で採択したと、こう報道されています。  それは紛争が発生する前にPKOを派遣をする、いわゆる予備展開。二番目には、ガリ提案のPKOの待機部隊構想を歓迎する。三番目には、国連憲章第七章、平和の破壊、侵略行為に関する行動などについての任務遂行に当たっての武力行使の基準を整備をする。この秋の国連通常総会で審議される、こういうふうに満場一致で報告が決まった。  これは外務大臣、このことの受けとめ方というのは、この秋の国連総会で議論される、つまりPKO問題が新たな視点で議論をされるというふうにお考えになっていますか。この問題をどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  348. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 今回出されましたPKO特別委員会の報告書の性格は、各国の一致した立場をまとめたということではなくて、ガリ事務総長が出しました「平和の課題」を中心として意見交換が従来より行われていて、その場で出された意見をまとめたものでございます。したがって、予防的展開についても確かにかなりの多くの国がそういう意見を述べた、しかし、他方、それに対して若干の疑義を呈する国もあったというような書き方になっております。  平和執行についても同様な記述が見られますけれども、我が国は、もちろんこの議論には今後とも積極的に参加してまいりますけれども、実際に、例えば平和執行機能にみずから参加するかどうかは、今後検討しなければならない問題だというぐあいに考えております。
  349. 富塚三夫

    ○富塚委員 結局、ガリ提案のこのPKOを制度的に整備するという目的は、平和執行部隊を創設をするという考え方がこの基本にあるわけですね。これはいろいろ議論の積み重ね、国連もあるわけです。  ガリ事務総長が来たときも、政府もいろいろなやり合いをしたと思いますが、結局、この秋に向けて、カンボジア選挙遂行が終わって、あるいはモザンビークがどうなるか、そういう状況を踏まえて、新たに国連としては、平和執行部隊、ガリ提案に向けて本格的な議論をしていきたいということと、日本のこのカンボジア派遣のPKOの問題とのかかわりを考えてみると、総理、これは私はあした撤収をしろとは言わないけれども、選挙が終わったら、まず英断をもって、中断、撤収をして、そして国連考える新たな平和執行部隊にどうくみしていくことがいいのか日本の立場というものは、我々からすれば憲法九条のことを大事にしたいと思いますけれども、そこのところの問題というのはどうなんでしょう、外務大臣総理大臣に。
  350. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来から富塚委員、いろいろ御意見を述べられておりまして、今直接のお尋ねにお答えをする前に、若干誤解もあるようでございますから、恐縮ですが、少し答弁をさせていただきたいと思います。  富塚委員は先ほど来、日本だけが安全なところへ行こうと思ってもなかなかできないじゃないかということをおっしゃいましたが、それはかなり誤解がございまして、村田大臣、現地へ行っていただきましたときにも、実は、何も日本だけ動かすなんということを言っているわけではないのでございます。  文民警察の方々の御苦労、御苦心は我々もよく承知をしておりまして、生活環境が著しく悪い、あるいは指導、助言、監督すべき警察が、警察機能が現地にないところがあるというような情報もいただいておりますから、そういうところで文民警察の方々がいていただくことは意味がないじゃないか、むしろ、そういう方々には文民警察の本来の職務が果たせるような場所に移動をしていただいたらいいのではないか、あるいは生活環境が著しく悪いということであるなら、それは何も日本の文民警察だけが非常に危険、非常に生活環境が悪いわけではないのですから、世界各国から来ておられる文民警察、その地域の文民警察の方々全体のことを考えていただいたらどうかということを申し上げているだけで、我々は日本だけが安全でありたいとか、日本だけが生活環境の悪いところは行かぬなどと言っているのではないので、そこはぜひひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、シアヌークさんのことについてお触れになりました。これは場合によれば後ほど総理からでもあるいは御答弁があるかと思いますが、シアヌーク殿下は恐らくこの選挙戦を極めて冷静に見ておられる。この選挙戦の結果によってシアヌークさんなりの御判断をなさる。その御判断は、今、シアヌークさんは選挙が終わったらどうするかなんということを我々は推測することはなかなか難しい。それはなぜかといえば、選挙の結果もどうなるかわからないわけですから、恐らくシアヌークさんは北京から、選挙が始まるあしたでしょうか、あさってでしょうか、カンボジアに来られて、カンボジアで静かに選挙を見詰めて、そして選挙の結果を見てどういう判断を下されるか、御自身の政治的な行動をどういうふうになさるか、それからきっと十分考えてなさることであって、今からシアヌークさんについていろいろ言うことは適当でないというふうに私どもは思っているわけでございます。  さらにまた、日本だけが独自に中断、撤収ができるのかというお話でございました。これはもう法律の建前からいって中断、撤収は日本独自の判断でできることになっております。ただし、その中断の場合には五原則が崩れだということが前提で、五原則が崩れれば中断ということが一つのこの法律の建前でございますから、そうしたことを我々は考えているわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、局地的な停戦違反はあっても、全面的な戦闘状態になっていないという我々の基本的な考え方のもとで、今申し上げたようなことを考えているということを御理解いただきたいと思います。
  351. 富塚三夫

    ○富塚委員 法案成立のときの防衛庁長官は、宮下さんは、戦闘行為に巻き込まれるおそれのある場合は撤収すると明言して国会で答弁されているわけですね。しかし、官房長官はまだその戦闘状態に巻き込まれる心配はない、そんなふうに見ているわけじゃないでしょう。そんなふうに見ていたら、それは大変なことだと思います。  だから、前の法律を決めるときはいわゆる間違いなく撤収します、危ないときは撤収しますとこう決めているんだから、それを政府が継続的に、同じ宮澤内閣なんだから、一次内閣、二次内閣であっても宮澤内閣で決めたことは守ってもらわなくちゃいけないんだ。私はわかるんです、気持ちは。総理も、官房長官もあるいは外務大臣も、UNTAC、明石さんが、日本の代表が行って采配を振るっている、何とかして選挙を成功させたい。ポル・ポト派が憎いとかいろいろわかりますよ。だから、日本だけが安全な場所にと言ったってそれは無理ですよという明石さんの立場も、今川大使の立場もわかりますよ。  しかし、そういう問題じゃないんじゃないのか。そこのところを政府がはっきりと、PKO法案の成立のいきさつから考えてみて、そこのところをどういうふうに判断をするか、決断をするかという問題は、私は、総理国連で平和執行部隊のいろいろ議論もある、改めて議論をしていくということの日本政府の態度あるいは国会の対応、そういうことも考えながら、少なくとも選挙後には中断、撤収する見込みで、今は最大の安全問題に努力したい、こういうことならそれなりの理解はできるけれども、全然野放しで先行きどうなるのかわかりません、戦闘状態に入っていません、巻き込まれるときは撤収します、そう言っていたって、これはちょっと、毎日のあのテレビを見てくださいよ。これは家族だってたまったもんじゃないよ。  ですから、そこのところを、総理どうなんでしょう、選挙が終わったところをクリアして決断する、判断するという気にはなりませんか。
  352. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 幾つかのことをおっしゃいましたのでお答えをいたします。  選挙が終了いたしました後、UNTACの現在の行為がどうなるかということにつきまして、パリ協定では一定の想定を置いておるわけでございます。基本的な考え方はけさほども申し上げましたけれども、やはり自分たちの国は自分たちがつくらなければならない、今我々はその手伝いをしている、制憲議会というもののところまで手伝いをいわばしている、そういうUNTACに我々は貢献をしている立場でございますから、基本的にはカンボジア人によるカンボジア国づくりというものが、それは結局カンボジア人によってのみしか本来的には行い得ないものでございますから、いわばUNTACの仕事というものはそういう思想の中において考えられるべきものであろうと思います。  もちろん、選挙後の状況においてさらにカンボジア人からUNTACが、ある種類の仕事について手助けしてくれと言われることはあるかもしれません。それはしかし今予測することでありませんので、なるべくカンボジア人カンボジア国づくりということに引き継いていくことが本当であろうと思います。  それから、宮下防衛庁長官の言われましたのは、これは当時防衛庁長官でしたから、自衛隊が送りました部隊が戦闘行為に巻き込まれるというようなことになれば云々という答弁をしておられます。現在私どもは、部隊が戦闘行為に巻き込まれる状態にはないというふうに判断をいたしております。  それから、犠牲が出たことをまことに残念に思いますが、これは、万全の安全策をとることによって再発を防いでいくことができる、また、そうしなければならないというのがただいまの私の判断でございます。
  353. 富塚三夫

    ○富塚委員 国連が世界各地から派遣したPKOで既に七百人の方が死亡されている、まあ串原委員も先ほど申されましたけれども。やはり私は、何か政府の態度がくるくるくるくると変わって、しかも発表が何か大本営発表的になっていくみたいな感じを国民は受けていると思います。私はそういうふうに思います。だからやはり、PKO法案を決めたときのことを冒頭に僕が言いましたけれども、あれは宮澤さんがうそを言ったわけじゃないと思うのです。外務大臣防衛庁長官もうそを言ったわけじゃないでしょう。法案を通したいからいいかげんに言ったわけじゃないでしょう、国民責任を持つ答弁をしたんだから。  やはり戦闘状態として今まだ見ていないと官房長官は言って、これは大変なまた議論のあるところですから。戦闘状態とは見ていない、単なる局地的な内戦だ。しかしそんなものじゃない。私は、五原則も崩れている、パリ和平協定も守られていない、SNCポル・ポト派が抜けてばらばらになっている、そういう実態というものはもっとやはり正確に見て決断をしてもらいたい。  総理、最後に、国連のガリ事務総長の提案をした平和執行部隊、前回ガリさんがお見えになったときは余りくみするような発言をされてなかったんですけれども、今特別委員会の中の報告ということが出てきた状況で、どういうふうにお考えですか。
  354. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私は難しいと思っています。  それは、国連があちこちでいろいろな仕事を本当にああやって引き受けなければならない状態になって、このままではとてもやっていけないという、ガリさんのいわばそういう問題意識は私はわかりますのですが、国連が重大器を持って、そうして自分でいわば戦争の再発を防いでいく、これはたまたまソマリアにおいてそうならざるを得なかったという状況がございました。  これはしかし、いわば国がないような状況になってしまいましたので、ほっておけば食糧が行かない、たくさんの餓死者が出る、途中まで仕事をしましてアメリカが撤退をする、後ほっておけばまたもとの状態になるということから、ああいう国連のいわば部隊が編成された。事実が先行したような状況であったと思いますので、であるから平和執行部隊のようなものがこれから可能である、好ましいということには私はやはりなかなかならないのではないだろうか。  もとより我が国自身がそういうものに参画できるとは私は思いませんが、議論はいろいろすることは、我々も積極的に議論には入ってまいりたいと思っておりますが、私はなかなか簡単にできることではないように思っております。
  355. 富塚三夫

    ○富塚委員 小泉郵政大臣は、私は有権者に言ってきたことを忠実に言っていると。まさに先生の選挙区の皆さんはそういうふうに、やはり責任ある政治家だと。きょうの新聞見たら、河野さんに何か毎日事務所に抗議の電話が来ているという新聞見ましたけれども、護憲派で、宮澤さんと非常に立派な考えを持っておる人が、モザンビークのPKO派遣に慎重になった人が、何かこれは戦闘状態じゃないと、まるっきりそれは心配されていない。  私はやはり本音の議論をしていかないと、PKFを前倒しにしろと言う閣僚もいれば、すぐ撤収をしろと言う閣僚もいる。そして、UNTACの事情を考えるとそうはできない。安全、安全、安全と抽象的を言葉だけでというのでは、私は、国民は、ちょっと国会は、政府は何か頼りないという気持ちを持っておることは間違いないと思いますよ。  まあ集中審議がいずれあるわけですし、あさってからまた総選挙に入っていく状況がどうなるのか、いろいろ展開があるでしょうけれども、そこのところは、宮澤さん、河野さん、もう少し本音でやはり毅然たる態度で、日本国民の一億三千万人を預かっているのですから、やはり態度をとってもらいたい。武士に二言はないのですから、一回言ったことは責任持ってもらうというふうにやっていただきたいということを、まずPKOの問題は以上だけ申し上げまして、次の問題に入らせていただきます。集中審議でいずれ我が党の先生方も積極的に取り上げていただくことになると思いますので。  二つ目の問題は、この前の予算委員会でも申し上げたのですけれども、やはり政権与党としていかに自浄能力を働かしていくのかという点で、さっぱり今の宮澤内閣の姿勢がわからない。さっきも中島科学技術庁長官の話、うちの方の中西委員が取り上げて、宮澤総理の最後の答弁は、本人がもらっていないと言っているんだからもらってないんでしょう、こういう話だよね。(発言する者あり)いや、だから私はそういう疑問があって、証拠を突きつけて一時間も問題を提起しているんだから、やはりもっと事情を正確に把握して調べてみようという気持ちになぜ立てないのか。  また、金丸事件の問題についても、自民党前副総裁、政権与党のナンバーツーの地位にあって、そしてあのようないわゆる巨額の脱税事件になって象徴される、あるいはやみ献金五億円問題なども出てきた。  ところが、何か質問されればちょろっと答えるけれども、与党の幹部の皆さん方も閣僚も、できるだけ触れたくない、触れたくないというふうな感じがしてならないのですけれども、どうですか、後藤田さん。あなたはいろいろな立場で、このままでいったのでは自民党だめになってしまうということを各地でお話しされていることを承っています。金丸さんのような、あの事件が起きて、識者の指摘などは、自民党の政治はトータル的な腐敗になっている、実力のある自民党の政治家なら、公共事業の配分に口を出して土建業者からやみ献金を取ることは大抵やっている、やみ献金を私用に流用してその分を脱税するみたいなことがいろいろなところで言われている。  それは後藤田さんが言っているわけじゃないですよ。だけれども、自民党はここで毅然としてこの危機的な状態認識して立ち上がらなければということは、金丸さんの問題も入っていると思うのです、竹下さんの問題も入っていると思うのです。  どうですか、後藤田さん。政権与党としての自浄能力を働かすという意味で、宮澤内閣はもっと積極的に自浄能力を働かしていくためにさまざまな努力をすべきじゃないのかという点で、例えば竹下さんのバッジを外す問題も野党から出ています。しかし、バッジを外す、外さぬという問題より別に、自民党員であることは間違いない。自民党を離党せいとかいろいろな意見も出ているのに、全く口をふさいでみんな物を言わないんだ。どうですか。後藤田法務大臣・副総理に聞きたいのは、あなたが言っておる自民党のそういう危機的な状況とは一体何を指して言っておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  356. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私は、今一番肝心なことは、国民に与野党問わず約束をしておる政治改革、これを断行すること、これが一番肝心だ、こう考えているのです。政治改革とは何ぞやということになりますと、少なくとも、五五年体制で今日まで来ましたけれども、内外の情勢がすっかり変わっておりますから、この時期にやらなきゃならぬことは、議会政治に対する国民の信頼回復、それがために議会政治の活性化をやるんだ、これが私は政治改革の基本である、こう考えております。  それじゃ、どこから取り組んでいくかという改革の切り口、そうなりますと、最近起きておる政治改革の発端はといえば、リクルートから端を発しておりますね。だとするならば、国民は、この政治と金にまつわるいろいろな問題がある、やはりこれを切り口にして改革をすべきだ。そのときに、それじゃ腐敗防止だけで済むのかということになると、さらに根源にさかのぼって、なぜ政治にこれだけ金がかかるんだということになると、選挙制度そのものも含めまして、一括して、パッケージとして政治の大改革に取り組むべきである、私は実はさように考えております。  それから、あれですか、全部の意見を言えと、こういうことですか、あなたの御質問全体について。そうじゃないの。PKOのお話も入っているのですか。入っているのなら申し上げますけれども、入っていないのならお断りしますから、どうですか。
  357. 富塚三夫

    ○富塚委員 もう一つ、今度は法務大臣の立場でお伺いしますけれども、田中角栄さんのあのロッキード事件と、いわゆる金丸さんの今度のやみ献金巨額脱税事件とは、どっちが悪質だと思いますか、法務大臣として。どっちも悪質ですか。
  358. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 どっちが悪質がなんというのは、それはあなた、質問が難しい質問じゃないですか。私は、双方ともお互いに反省をしなければならない極めて深刻なる事件である、かように理解しております。
  359. 富塚三夫

    ○富塚委員 政治家に金をつかませ、もうけさせるという、あるいは金をつかむともうけることができるという経済的な構造、今の問題がね。これが、一つは腐敗の歴史的な日常性という問題からいうなら、有力者に何か特別なことを頼めばお礼をしなくちゃいけない、社会的な慣習となっている、日本の政治腐敗の最大の問題の一つの慣習としてあることは言える。渡す方も受け取る方も罪悪感がないみたいな流れはある。それはそれとして、私は一朝一夕に、日本の風土をそう簡単に変えていく問題、これは意識的な変化を求めていかなきゃならぬ。  しかし、金丸さんの事件に象徴されるのは、明らかに経済構造の中に問題がある。政官財癒着の構造と俗に言われていますけれども、そういうふうに見ているわけですが、今度のその金丸事件を契機として、何か七千件くらいの証拠書類ですかを接収したと言われているんですけれども、それは一体、これからのその証拠問題を考えて、どういう展開になっていくというふうに法務省は見ているんですか、検察庁はどう見ているんですか。
  360. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員指摘になられましたように、金丸前議員らに係る所得税法違反事件の捜査の過程におきまして約七千点の証拠物を押収したことはそのとおりでございます。この押収した証拠物につきましては、東京地検におきまして、公訴維持に万全を期する等の観点から、必要に応じまして押収証拠物の分析、検討を行っているというふうに考えているわけでございます。  今委員のお尋ねは、今後の捜査方針はどうかということかと思いますけれども、検察当局における捜査、今後の捜査方針等につきまして、法務当局からあれこれ申し上げるべきではないと思うわけでございます。ただ、一般論として申し上げますれば、いつも申し上げますとおり、検察当局におきましては、いかなる案件につきましても、刑事事件として取り上げるべきものがありますれば適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
  361. 富塚三夫

    ○富塚委員 どのような展開になっていくのかというのはやはり国民が非常に関心を持っていることです。あれだけの捜査網、あれだけの証拠の接収ということで、やはり新聞論調ではないけれども、検察当局はかつてなく、あるいは国税の査察部も大変な努力をしたという意味では国民は評価しているけれども、やはり先行きどういうふうな結末になっていくのかという問題は、これをあいまいにしたらまた検察の批判にいく、私はこう見ている一人ですけれども、そこのところは別に答弁を求めませんが。  さっき後藤田副総理、いろいろ言われましたけれども、私は自民党の総裁選挙が一つは大変な諸悪の根源に、悪の根源になっているんじゃないか。共和の阿部さんの判決を見ても、判決には出てきませんけれども、大臣になるには幾ら金が要るとかどうとかみたいなことがニュアンスで伝わっていろいろと言われる。だから、総裁選挙の問題ということはやはりどうあるべきかという問題は、あるいは族議員のあり方の問題とか、株式市場の政治銘柄とか、あるいは海外利権の問題とか、さまざまなことを言われているわけですけれども、私は持ち時間が少ないですから、やはり先ほどもお話あったように、公共事業、つまり経済の事業主体は政府にある公共事業の問題について、どういうふうにこれから腐敗構造を断ち切っていくかという問題をやはりしっかりととらえて議論をしていかなければいけないと思うんですが、第一に、許可認可制の見直し、これは何か一万八百八十八件とかあるやつを一万件にしたいと、総務庁長官はこう言っているんですが、運輸省、通産省が非常に多い、問題になる点が多いというふうにも伝えられているんですが、これはどんなふうに見直しを進めようとしていくのか。一万という数字に合わせるだけの問題ではないと私思うんですが、考えを聞かせていただきます。
  362. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 官から民へというこの問題は、行政改革の一本の大きな柱でございますし、そういう中で、臨調答申、行革審答申等に沿いまして着実に規制緩和等を進めてまいりました。昨年の六月に行革審の三次答申を受けまして、昨年の十二月に平成五年度の行革大綱も策定をいたしました。その中にも規制緩和を具体的に進めていくということも盛り込まれているわけであります。  そういう中で、一方、さらに規制緩和を進めていくべきではないかという声が出てまいりました。総理御自身から私に対しまして、規制緩和、この際思い切ってやるようにという御指示がございました。四月十二日の経済対策閣僚会議におきまして、私どもの方から、今日、平成四年の段階でございますけれども、許認可件数は一万九百四十二件ございます。だんだんふえてまいりました。そのようなことで、やはり一つの目標を置かなきゃならない、こういうふうなことから、最初にこの許認可件数を数えましたのは昭和六十年でございますけれども、一万五十四件でございました。  そこで、やはり原点に返るということが大事だ。やはり時代もこれだけ変わってくるわけでありますから、この際許認可についても思い切って洗い直しが必要ではないか。このようなことから、思い切ってこの際一万件を切るというところに目標を置かせていただきます、こう申し上げまして、総理からも各省に対して御指示がございました。それを受けまして、今日各省庁の御理解の中に実務者の会議等も聞かさせていただき、具体的にどう進めていくかというもう検討にも入らせていただいている、こういうことでございます。
  363. 富塚三夫

    ○富塚委員 もう一つ総務庁長官に聞きたいのは、行政手続法というものが何か今度国会に、今、閣議で決まったんですか、今度は提案をされる。許認可事務の処理や手続を明確にして透明度を持たせる、そして許認可行使などに基準を設ける行政指導ということにしたいということなんですが、やはり行政指導は今まで法令上明文化されていないという点でさまざまな問題を抱えていたことは事実ですけれども、今度は反対に、法制化するとかえってまた役所の権限が強くなってしまって、そういう弊害が出てくることも心配される、こう言われているわけですが、行政は法律に準拠すべきであるという意味の法律の整備という問題ですね、これはある意味じゃ考えていかないと、この行政手続法の問題で透明度を持たせるといったのは十分理解できますけれども、そういう点についてどうお考えでしょうか。
  364. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 この行政手続法は、今先生申されたとおりに、行政のいわゆる公正の確保、そして透明度、透明性を確保することによって、向上させることによって国民の権利を、また利益を保護する、それに資するということがこの趣旨でございます。  ですから、このことは、今回の法案の中身につきましても、いわゆる審査基準を明確にする、あるいは標準処理期間を設けるというような今までにないことを、今まではどうなっているのかなということすらわからなかったわけでありますけれども、それも聞くことができるというようなことで、明確になってくるわけですね。それから、事前手続も設けますということで、いわゆる弁明の機会も与えられるということであります。  そして、今お触れになりました行政指導、この行政指導ということが初めてその法律の中に盛り込まれるということになりました。行革審の答申におきましても、行政指導というのはやはり円滑に行政を行うために必要だけれども、弊害があるならば是正をしなきゃならない、こういうことで、乱用とか不透明さというふうなものを是正するために今回の行政手続法というふうなものを制定するということに相なったわけでございますので、この点はこのことによって行政指導があったのかないのかということも明確になるわけでありますから、求められれば文書において交付するということでもございますので、いわゆる行政の運営の透明性あるいは公正というふうなものが確保されることになるわけでありますから、そのことは行政の信頼に結びつくもの、このように考えておるところでございます。
  365. 富塚三夫

    ○富塚委員 きのうの毎日新聞に、「記者の目」欄で若い記者の方が感想を述べられておりますけれども、「不信の明細書」、さっき中島科学技術庁長官の問題もいろいろ話題になりましたけれども、期待ができないという政界の自浄能力問題に非常に落胆されている。それで、「公共事業をめぐる政治家、官僚、建設会社の「利権構造」を取材して私たちは今、怒りを通り越して、やりきれなさでいっぱいだ。自浄能力を失ったとしか思えない政界の腐敗を正し、建設業界の「談合体質」を打ち破るには、政治家個人への企業献金の禁止や公共事業発注への一般競争入札制度の導入しかないと思う。」と断定して書かれているわけですね。  私は、全く今客観的に国民の側から見てもここのところが問題だ、政治腐敗構造、経済構造がやはり大変な問題だという中で、今許認可の問題もいろいろ申し上げましたけれども、建設大臣、公共事業入札業者の指名基準の具体化というものを今回五月十日にまとめられたと伺っていますけれども、この目的は何ですか、どういう目的でこれを建設省としては出されましたか。
  366. 伴襄

    ○伴政府委員 このほど建設省の新しい入札制度の改善策を出しました。これは、実は今おっしゃるように指名競争入札制度の運用の点につきましていろいろ不透明性があるのじゃないかというお話がありました。その指名のときに恣意性があるのじゃないか、だから恣意性を排するような方法をとるべきじゃないかという話がございまして、この指名手続は、登録から積算、指名、見積もり、入札と各手続がございますけれども、それにより一層透明性、競争性を確保しようということでまとめたものでございます。  例えば、指名手続におきます指名基準でございますが、今まで大変抽象的でございましたのを具体的かつ明確にしたというのが一点。それから、極力受注意欲とか技術力の高い人が競争してもらう、競争性を高めるということ。それから、いろいろ積算の体系が問題になっておりますので、これを第三者の方にチェックしてもらう、意見を照会してみようというようなこと。  それから、特に公共団体の発注につきましていろいろ問題でございますので、これにつきまして例えば透明性を確保するという意味で、例えば指名業者はどういうものかとか、どういう落札経過があったとかというようなことをガラス張りにしよう、それを周知徹底しようというようなことでございまして、こういったことを通じまして、特に公共団体のことでございますので、自治省と連携しながらこういう周知徹底策をきっちり図っていって透明度を高める、公開性を高めるという努力をしたいと思っております。
  367. 富塚三夫

    ○富塚委員 金丸事件が起きている大手ゼネコンとの談合、やみ献金、巨額脱税、こういう問題を克服するために指名入札制度の改善、透明性を持たせるといって出されたのですか。そうじゃなくて、一般論で出されたのですか。
  368. 伴襄

    ○伴政府委員 この入札・契約制度につきましては、いろいろ一般競争とか、それから指名競争とかございますけれども、やはり工事の質を確保するような制度としては指名競争制度が望ましいということで、これはかって一年半ほどかけまして審議会等で結論を出してもらったわけでございますが、その線に乗ったものでございますけれども、たまたま今いろいろ問題になっておりますことが、指名の不透明性あるいは恣意性ということが問題でございますので、そういったことを排除する、そういうつもりでもってこういう手続を講じた、改善措置を講じたというふうに心得ております。
  369. 富塚三夫

    ○富塚委員 歯車がかみ合わないのだけれども、「建設業界」という四月号の雑誌を見ますと、三谷浩さん、建設事務次官は、日本土木工業協会の広報委員長と対談をして、入札・契約制度の改善の経過というものをいろいろ説明をされているのですが、どうもずっと一貫して見ると、日米経済構造協議の中から出てきて、アメリカ側から指摘されたことなどを含めた改善が主体であって、いわゆる金丸問題なんかは関係ないみたいなことが、まあその時期じゃないですからね、実はこれには書いてあるわけですよ。  やはり建設省の意識の問題ですけれども、なぜそれじゃ指名入札制度の改善だけで、一般競争入札制度の問題には一言も触れていないというのはどういうことなんでしょうか。問題は、何かおざなりにこういう改善をするのですよという問題提起をするアドバルーンだけ上げて、本質的には中身を何も変えようとしないというみたいな建設屋さんの一つの城の中での発想にあるような気がするのですけれども、その点はどうなんですか。
  370. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  一般競争入札がなぜできないのかという御意見だと思いますが、このことにつきましては、五十八年と平成四年度に中建審において建議をいただきまして、その中で不誠実な業者、具体的に言うならば下請をいじめ、あるいは暴力団等、こういった業者の方が一般競争入札になった場合に入るということを排除するということは極めて困難であり、そのために不良工事あるいは工期の遅延などが発生するおそれがあり、それを防ぐためには、審査、施工監督等の事務量が膨大になっていくので、過当競争、いわゆる将来ダンピングの発生のおそれがある、中小企業もたくさん建設業界の場合はあるわけでございますので、こういったことを考え、公平な受注機会の確保を図っていく必要性がある、こういったことで一般競争入札というのは我が国の現時点においてはなじまない。  アメリカにおいては一般競争入札が確かにボンド制度百年の歴史の中で定着をしておりますが、イギリスはバンウェル報告におきまして、一時は一般競争入札をやっておりましたが、いろいろ問題があるということで指名競争入札に変わりましたし、またフランス、ドイツにおいても指名または公募を行って技術審査を経て入札参加を選定する、こういった手続も諸外国においてとられているということも先生御承知のとおりでございます。  公共工事は、公共事業そのものは単品受注であり、現地組み立てである、そして期限内に良質な工事を行う、こういったことから見て指名競争入札制度をとっているというのが基本でございます。しかしながら、御指摘をいただきましたように、競争性、透明性を高めていかなければならないということも一方の大きなテーマでございますので、今回それぞれの指名基準あるいは新しい入札方式、積算のための検討委員会、特に公共事業は七割を地方公共団体によって発注しているわけでございますので、今回自治大臣にも御協力をいただきまして、建設省、自治省一緒になりまして昨日新しい協議会を開催いたしまして、我々の考え方も地方にも御理解をいただきながら透明性、競争性を確保していきたい、こういった考え方で今取り組んでいるところでございますので、御理解をいただければと思います。
  371. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、政治腐敗根絶はどうあるべきかという立場で経済行為、談合問題にメスを入れるべきだという観点で問題を質問しているし、だから、建設省から出てきた今回の具体策というのは、何か日米経済協議の以前からつながっている問題で答えを出したというみたいな感じにとれるから、建設省も全く談合入札をなくしていくというためにどうするのかという観点に立ってこの新しい問題提起を取り上げて議論をしていく、考えていくという気にはなりませんか。
  372. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えいたします。  先生の前提となっておる、日米建設構造協議に端を発したという御指摘でございますが、構造協議そのものは、指名競争入札の中で周知期間を置いて、そしてアメリカの企業が我が国の市場に参入できるような協議を進めており、確実に実績を上げておりますので、その問題につきましては、今後もレビューを通じて我が国の方針というものを米国に理解を求めていこう、このような考え方で取り組んでおりますので、私どもは、中建審において議論をされてきたことをこの機会に具現化させるということで取り組んでいるわけでございます。
  373. 富塚三夫

    ○富塚委員 談合問題をどうなくしていくのか、そういう談合問題の中で出る疑惑、そういう金権腐敗の構造をどう根絶するかというのが大変な今課題ですよね。国民が注目している問題です。金丸事件に端を発して、よりそういう問題に目が向いてきている。  ある新聞社の調査ですと、この二年間で百十六件、工事数で二百件、全国で三十五都府県、我が神奈川県なども、横須賀市などが三十八億余の道路舗装や公園増設など、全く談合一〇〇%という状態が調べられて出てきているわけです。これは小泉さん、あなたのところだから、少しきちっとしてもらいたいと思いますが、建設省は、こういう談合の疑惑があるという実態については認めますか。
  374. 伴襄

    ○伴政府委員 国民の期待にこたえまして、その信頼を得ていくためにも、独禁法違反あるいはその疑いがある行為があるというのは、根絶するということが大事なことでございまして、こういうことをしっかり業界全体に徹底したいというのが私どもの姿勢でございます。  特に、先ほど大臣あるいは私が申し上げましたように、最近のこの新システムも、これはやはり透明性、競争性を高めてシステムの点から談合を抑えようというものでございますし、それから、加えてやはり、愚直でありますけれども、地道にこの独禁法の趣旨というようなことを徹底していくということが大事かと思いますので、幸い建設業適正取引推進機構というものがございますので、そういったものを通じて、しっかり講習会等を開いて敷衍する。  それから、あわせて、やはり再度の独禁法違反行為というようなことがしばしばございますので、そういったものにつきましては、きちっとした厳正な処分、例えば指名停止とかあるいは業法上の監督処分とか、そういう一層実効あるものとして対応していくということが大事だというふうに思っております。  そういうことを通じまして、談合を根絶するような努力をしていきたいというように考えております。
  375. 富塚三夫

    ○富塚委員 建設業者の登録は、建設省及び各都道府県で承認をされておって、二年ごとですか、それぞれ指名参加願を出す。実力者ごとに、実力によってランクづけがされてくるというのが常識になっている、こう見ます。  ところが実際に、例えば、私の神奈川の横浜のスポーツセンターを計画する。神奈川県か横浜市が施行主になる。設計事務所が計画設計をする。そして新たに設計業者、施行主が工事会社の選択をするという形が、実際は、役所で公共事業を発注するときに、設計事務所と工事会社という関係のこういうニュアンスで非常につながっていく関係になりがちだ。そして最後に、入札予定のときに二十社あるいは三十社選ぶと、実際は指名入札は談合によるケースがほとんど多いということが間違いない事実として現実にあるわけであります。  なぜ一般競争入札にできないのか。例えば、実力、能力のある業者をランクをつけて基準を選定をして、そしてその中で工事名によって、公共事業名によって入札をさせるということがこれはできないのですか。そういう、なぜアメリカのように一般競争入札はだめなんですか、建設省。
  376. 伴襄

    ○伴政府委員 建設工事の特色といたしまして、単品受注で、しかも一品ごと顧客から注文を受けてっくるものでございます。したがいまして、その質の確保というのは、契約をしてから工事にかかるわけでございますので、やはり今の点では、指名業者を優良な業者を選んで質を確保するというしかないということでございまして、したがいまして今一番すぐれた制度としては、指名競争制度ではないかなというふうに考えております。  例えば不誠実な建設業者、例えば暴力団の関係だとか、あるいは下請いじめをするとか、あるいは賃金不払いするとかといったような、そういう不誠実な建設業者を排除するというのは、指名行為でもってやっているわけでございますし、それからやはり公平な受注機会を確保する、特に税金でやる工事でございますので、そういったものは公平な受注機会を確保する必要があるわけでございますが、そういうようなものも指名でやっているというようなこともございますし、それからこの審査、施工監督の事務量が非常に多くなるというようなこともございまして、これは実は中央建設業審議会で一年半かけまして、指名がいいか一般競争がいいか議論したわけでございます。ここにはアメリカの建設業者も呼びまして意見を聞きました。いろいろな形から意見を聞きましたが、やはり今の時点では指名競争を基本とすべきだ、ただし、繰り返して申し上げますけれども、指名競争はいろいろ透明性あるいは競争性の点で問題がある、その点についてはしっかりと改善を加えようということで我々は対応しているところでございます。
  377. 富塚三夫

    ○富塚委員 指名入札は結局役人の意思が働きやすい、そして政治家が介入しやすい、関与を招きやすいという弱点があることが今問題に実はされているわけですよね。だから、今度の建設省の公共事業業者指名基準というのは具体的に検討委員会を設けていろいろやるようなことが実際に出ていますけれども、やはり公開一般入札にしていかないと、指名入札というのはしょせんはそういうことから抜け切れないという点で、問題を克服をしていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、我々は、一般競争入札を原則として、ぜひ考え直してもらいたい、こういうふうに思うのですけれども、同時に、入札参加の資格会社の選定方法という問題について、それぞれ技能の実力の度合いを見て選定しなければならぬという、その決めるときの基準というものをもっと公開をして、明らかにしていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。  それで、私は、十社でも十五社でも最後に決まって談合にならないようにするには、その実力のある業者の中で公開抽せん制度をやってみればいいのじゃないか、こう思っている一人なんです。まず抽せんでその中から決める、そうすれば談合がないというふうになると思うのです。  どうなんでしょうか、問題は、一般競争入札という問題を、今回のやつには全く出ていませんけれども、やはり建設省はこれを取り上げて、きちっと位置づけてやっていただきたい。その点、建設大臣、お願いしますよ。そうしないと、筋が通らないのです。ぜひひとつ。
  378. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  まず最初、一般競争入札になりますと談合は起こらないという前提に立たれた御質問がと思いますが、アメリカにおいても、現実に一般競争入札をやっておりますけれども、年間に数十件の談合事件が摘発されているということもございます。実際にアメリカの場合はボンドというものが定着しておりますので、そこが我が国と基本的に違うところだろう、このように考えます。  先生から御指摘をいただきました一つのアイデアとして、公開抽せんをやったらどうか、こういう御指摘でございますが、これは基本的に施工の質を確保して、信頼を得る施工業者を選定することが公共工事として必要であり、指名競争入札を基本として行っているわけでありますが、御指摘をいただきました方式は、現行の会計法においては、入札について、予定価格の制限の範囲内で最低価格で申し込みをした者を契約の相手とするとされておりますので、御提案の方式は法律上難しい、このように考えるわけであります。  透明性を著しく高めていき、そして競争性も確実に向上していくために、これからのこれらの措置を的確に講ずることによって、御指摘をいただきました公共事業の公正かつ厳正な執行に努めていきたい、このように考えております。
  379. 富塚三夫

    ○富塚委員 建設省の今回のそういう提起や今の大臣の答弁では談合入札はなくなりませんよ。なくしていくという努力政府がしてくれなければ一体どうなるのですか。やはりそこのところが、建設省がお役人の城を守るために、依然として何か形だけをつくってそういう提起をしているようにとられてもしょうがないのじゃないか。大胆に、一般競争入札の問題もあるのだから、それも取り上げて検討していく姿勢に立ったっておかしくないのじゃないですか。まあいい、それは。  それで、もう一つ、時間の関係がありますから、天下り人事。つまり、営利企業への就職の承認に関する年次報告、毎年人事院から出されていますが、平成二年を見ますと、大蔵省六十四人、通産省二十九人、建設省二十八人、農水省二十三人で、省庁全体で二百三十二人に官僚の方々の天下りがなっています。もちろん、一般の職員の方もそれぞれ退職後つかれると思います。  その天下り人事を受け入れてもらうために、公共事業枠のお土産を持って出かける。局長クラスだと十億円、課長クラスで二、三億円、係長クラスで一億円、また住宅、マンションなども準備させるとか。防衛庁ですと、米軍では、米軍住宅建設枠を十億持たせて企業に行く。農水省は、かつて林野庁のトップが林道開発の発注予算枠を持って、土産を持って行く。  そういうふうにして、建設省がそういうことをコントロールして、また予定価格をつくるという構造がある。工事の積算資材価格など、これは建設コンサルタント会社をつくって、そこで適当に上手に操ってやる、そういうことが随所で告発されているわけですね。  お土産の天下りというのはあるのですか。防衛庁長官、どうですか。
  380. 中山太郎

    中山国務大臣 残念ながら、防衛庁にはそういうようなお土産がないようであります。天下りのときに。
  381. 富塚三夫

    ○富塚委員 農水大臣、どうですか。そういう話は聞いたことがないですか。
  382. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 入札をどういうふうにしておるかということに立ち会ったことはありませんので、そういうことはないだろう、こう思います。
  383. 富塚三夫

    ○富塚委員 まあ、大臣はそういうことはあるとは答弁しないだろうと思っていましたけれども、もしそういうことがあったら、やはり明確な責任をとってくださいよね。ないと言ったのにもしあったら、事実を出したら、責任をとってくださいね。それはいいですね。それはそういうふうにそれぞれの大臣にひとつ要請をしておきます。  建設業界も全国ネットワークでいろいろかかわっている問題もあるし、いずれにしても談合入札をなくしていくという、つまり、そういう政治腐敗の温床となっているものをどう変えていくのかという問題は、やはりそう簡単に、一朝一夕に僕もできるとは思いませんけれども、もっと建設省が前向きになって取り組んでいくという姿勢をきちっとしてもらいたいのです。そういうことがないと、建設省のお役人の城だけを大事にして、そして、何かおざなりにこういうふうな改革をしますとか——だから問題は、これからいろいろ随所で議論される、各委員会でも議論される問題だと思いますけれども、ぜひひとつその点は建設大臣に、あるいは総理大臣にもそのことを要請しておきたいというふうに思います。  やはり、企業献金の問題がなぜ出てくるのかという問題、この辺はまさに本音の立場に立って議論をしていかないと、国民の政治不信がこれだけ極限に達して、あれだけ毎日の報道で談合入札問題などがいわゆる諸悪の根源のように言われているわけですから、政治腐敗構造を根絶するには、ぜひそこのことを大事にひとつ考えていただきたいというふうに思います。  最後に、厚生大臣、ちょっと年金の一元化の問題について。これは時間がないですから労働大臣はいいです。  年金の支給開始年齢を六十五歳にする、いや六十歳という問題が大変な問題にこれからなっていく。給付水準の問題、果たして平成七年の一元化という問題が、何かいろいろな分野では百家争鳴の観があるわけですけれども、これは厚生省として、今現在どういう見通し、展望に立たれているか、お聞かせください。
  384. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、支給開始の年齢の問題でございますが、平成六年の財政再計算時におきまして厚生年金の支給開始の問題は避けて通れない問題、このように認識をいたしておるような次第でございます。  と申しますのは、私からもう申し上げるまでもなく、年金というのは賃金水準と支給開始年齢と保険料率、この三つが三位一体となって回っておるわけでございますが、現在いわゆる保険料率は一四・五%であります。これが六十歳支給でいきますると三四・二%まで引き上げざるを得ない、そこで六十五歳ですと二八・八%ぐらいで抑えられる、こういうような最近の調査結果が出ておるわけでございます。それと同時に、あわせて私が申し上げたいのは、三十年後には一人の年金受給者を二人で支えなければならない、こういったような超高齢化社会がやってくる。こういうことで御理解を賜りたいと思っておるような次第でございます。  それから、年金制度の一元化でございますけれども、政府といたしましては、鉄道共済年金、先生の御出身でございますけれども、このように産業構造やいわゆる就業構造の変化に対応できない事態を避けるためにも、平成七年をめどにいたしまして、ひとつ一元化に精力的に検討を進めていくような次第であります。その検討に当たりましては、国民が加入している制度と、いわゆる給付と負担の格差が生じないようにすること、いわゆる国民間によって給付と負担の差が生じないようにすること、それから制度全体的に見まして長期的、安定的な体制を築く、このような決意でございますので、御理解を賜りたいと思っております。
  385. 富塚三夫

    ○富塚委員 公的年金の一元化は、しょせん厚生年金がどういうふうに制度を変えていくかということの問題が大きな根底の柱になることは明らかです。それで、この前も予算委員会で申し上げたけれども、財源をどうするのか。二〇二〇年の時代にピークを迎えるときに一体どうしていくのか。いろいろな、政府もまた方針が決まってない。やはり私は、もっと全体的にオープンで議論をして、一体あるべき姿はどうしていくのかということについて国民全体の議論を広めていくようにするには、厚生省と大蔵省が引っ張り合ったり、あるいはこの前年金で要請行動をしたら、JR年金などは、年金局長さんじゃないけれども、やはりJR当局に負担させなきゃだめだ。僕もそう思うのです。国家ばかりやれという問題ではない、国ばかりという問題でもない、いろいろな問題があると思うのですね。  ただ支給時期が六十だ、六十五だという論争ばかりしていたのでは、これは進まないと思うのですね、問題は。そこのところを、もっと明確にこれからのあるべき姿というものをやはり出して議論をするという作風をつくっていただきたいというふうに、これは要請しておきたいというふうに思います。  終わりますけれども、総理大臣、重ねてPKOの問題、やはり重要な局面であることは認識されている。これが、五原則が崩れたかどうかとか、あるいはパリ和平協定をどう見るかとか、SNCのあり方をどう見るかとか、いろいろな問題は出てくると思うけれども、毎日あれだけテレビ、新聞で報道されているのを国民は、派遣文民警察官の家族も、派遣された自衛隊の家族も、ボランティアの家族の人も見ているのですから、やはりそこのところは決断をするときには決断をしてひとつやっていただきたい、こういうふうに私は要請をして、私の発言を終わることにいたします。ありがとうございました。
  386. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて富塚君の質疑は終了いたしました。  次回は来る二十四日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時一分散会