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1993-02-24 第126回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 粕谷  茂君     理事 石川 要三君  理事 小杉  隆君     理事 鴻池 祥肇君  理事 佐藤 信二君     理事 中川 昭一君  理事 串原 義直君     理事 中西 績介君  理事 松浦 利尚君     理事 草川 昭三君        相沢 英之君     愛野興一郎君        浅野 勝人君     粟屋 敏信君        井奥 貞雄君     臼井日出男君        内海 英男君     衛藤征士郎君        越智 通雄君     大石 千八君        狩野  勝君     亀井 善之君        倉成  正君     高鳥  修君        戸井田三郎君     原田  憲君        原田 義昭君     真鍋 光広君        増子 輝彦君     松本 十郎君        光武  顕君     村山 達雄君        森  英介君     綿貫 民輔君       宇都宮真由美君     関  晴正君        竹内  猛君     富塚 三夫君        楢崎弥之助君     堀  昌雄君        松前  仰君     三野 優美君        水田  稔君     目黒吉之助君        元信  尭君     石田 祝稔君        遠藤 乙彦君     二見 伸明君        宮地 正介君     児玉 健次君        菅野 悦子君     古堅 実吉君        中野 寛成君  出席国務大臣         法 務 大 臣 後藤田正晴君         大 蔵 大 臣 林  義郎君         文 部 大 臣 森山 眞弓君         厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君         通商産業大臣  森  喜朗君         郵 政 大 臣 小泉純一郎君         労 働 大 臣 村上 正邦君         自 治 大 臣         国家公安委員会 村田敬次郎君         委員長         国 務 大 臣         (内閣官房長官)河野 洋平君         理         国 務 大 臣 鹿野 道彦君         (総務庁長官)         国 務 大 臣 中山 利生君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 船田  元君         官)         国 務 大 臣 井上  孝君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一 津野  修君         部長         国際平和協力本 柳井 俊二君         部事務局         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 秋山 昌廣君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁総合 田中 章介君         計画局長         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁長官官房 藤田  修君         会計課長         国土庁長官官房 加藤  昭君         水資源部長         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         国土庁大都市圏 内藤  勲君         整備局長         国土庁地方振興 秋本 敏文君         局長         法務大臣官房司 濱崎 恭生君         法法制調査部         外務省アジア局 池田  維君         長         外務省条約局長 丹波  實君         外務省国際連合 澁谷 治彦君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁次長   瀧川 哲男君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部省学術国際 長谷川善一君         局長         文部省体育局長 奥田與志清君         厚生大臣官房総 瀬田 公和君         務審議官         厚生省健康政策 寺松  尚君         局長         厚生省老人保健 横尾 和子君         福祉局長         厚生省児童家庭 清水 康之君         局長         厚生省保険局長 古川貞二郎君         厚生省年金局長 山口 剛彦君         社会保険庁運営         部長      佐藤 隆三君         兼内閣審議官         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         通商産業省機械 坂本 吉弘君         情報産業局長         中小企業庁長官 関   收君         郵政省貯金局長 山口 憲美君         労働省職業安定 齋藤 邦彦君         局長         労働省職業安定         局高齢障害者 坂根 俊孝君         対策部長         自治大臣官房総 遠藤 安彦君         務審議官         自治省行政局長 紀内 隆宏君  委員外出席者         衆議院事務総長 緒方信一郎君         衆議院法制局長 和田 文雄君         参議院事務総長 戸張 正雄君         国立国会図書館 加藤木理勝君         長         最高裁判所事務 仁田 陸郎君         総局経理局長         参  考  人         (日本国有鉄道 杉田 昌久君         清算事業団理         事)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     森  英介君   越智 通雄君     狩野  勝君   唐沢俊二郎君     原田 義昭君   倉成  正君     亀井 善之君   中山 太郎君     増子 輝彦君   浜田 幸一君     井奥 貞雄君   柳沢 伯夫君     浅野 勝人君   二見 伸明君     遠藤 乙彦君   菅野 悦子君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     真鍋 光広君   井奥 貞雄君     浜田 幸一君   狩野  勝君     越智 通雄君   亀井 善之君     倉成  正君   原田 義昭君     光武  顕君   増子 輝彦君     中山 太郎君   森  英介君     臼井日出男君   遠藤 乙彦君     二見 伸明君   古堅 実吉君     菅野 悦子君 同日  辞任         補欠選任   真鍋 光広君     柳沢 伯夫君   光武  顕君     唐沢俊二郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成五年度一般会計予算  平成五年度特別会計予算  平成五年度政府関係機関予算      ―――――◇―――――
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所仁田経理局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 粕谷茂

    粕谷委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  5. 元信堯

    元信委員 私は、今度の国会の課題の一つであります政治改革、その基礎をなします国会改革を進めるために、国会調査能力の強化、そのためにどういうことができるのかということについて幾つか質問をいたしたく準備をしてまいりましたが、事の性格上、国会予算にかかわる部分が多いわけでございまして、説明者といたしまして、答弁者といたしまして、国会衆議院議長さんの出席お願いをいたしました。しかし、拝見をいたしますと、議長さんの見なれたお姿はここになく、私の希望はかなえられなかったわけでありますが、まずそのあたり、どういう理由なのかどなたか御説明いただけますか。
  6. 粕谷茂

    粕谷委員長 委員長からちょっとお答えをさせていただきます。  元信委員のお申し出がありましたので、いろいろと調査事務当局にさせました。ただいまの議長出席につきましては、委員会から議長、副議長に対して御出席をいただく立場ではないというふうに御了承をいただきたい、こういうふうに思います。
  7. 元信堯

    元信委員 いろいろ討議をしたとかいうようなことでは到底納得しがたいのでありまして、具体的にこういう理由議長は議員などには物を言わないものであるということなのか、それとも何か具体的理由があってここに来れない理由があるのか、はっきりさせていただきたいと思います。事務方相談をしたのなら、相談をした事務方からでもこの際は答弁してもらいましょう。
  8. 粕谷茂

    粕谷委員長 具体的に申し上げますが、かつての国会でも元信委員のような御要請がありました。そのときの取り計らいは、院の中において、例えば予算委員長がほかの委員会に呼び出されてそこで答弁をするということはないことだというようなことが事例に挙がりまして、議長はこの予算委員会にお呼びするということはないようにしよう、こうなったようでございます。
  9. 元信堯

    元信委員 そのあたりは、いつのどういう事例に基づいてそうなったか、具体的に説明してください。
  10. 粕谷茂

    粕谷委員長 いや、事例ではありません。そういう話し合いで決定をしたわけです。それが事例です。
  11. 元信堯

    元信委員 委員長が先ほどおっしゃったのは、私の前にもそういう要求をした人があって、そのときに話し合ってそう決まったのであるから今回もそうする、こういうふうに伺いましたが、そこは間違いないですね。
  12. 粕谷茂

    粕谷委員長 そういうことでございます。
  13. 元信堯

    元信委員 そうだとすれば、その前の人というのはだれで、いつのどの場合であったか、明らかにしてください。
  14. 粕谷茂

    粕谷委員長 もう一度調査をいたしますが、やや間違いないと思いますが、三十三国会であったわけです。
  15. 元信堯

    元信委員 三十三国会のどなたが、どういう用件で、なぜ呼ばれたのか、そしてなぜお断りになったか、明確にしてください。
  16. 粕谷茂

    粕谷委員長 後ほどそれは調査して御報告をさせていただきましょう。
  17. 元信堯

    元信委員 それがお返事がなければ、私の委員会への議長出席お答えになっていないと思いますから、ここで質問を中断します。
  18. 粕谷茂

  19. 緒方信一郎

    緒方事務総長 私からお答えするのがいいのかどうかあれでございますけれども、存じていることだけ申し上げさせていただきます。  法規的な問題でございますけれども、委員会でのいろいろな方々の発言についてはそれぞれ根拠法規がございます。国務大臣とか政府委員につきましては、国会法で、みずから、要するにこれは議長あるいは委員長通告をした上で出席をしましていろいろ自分で発言する、呼ばれなくても出てきて発言する権限があります。そういう権限があると同時に片方、「委員会は、議長を経由して国務大臣及び政府委員出席を求めることができる。」という規定がございまして、御本人が希望してなくても委員会意思で呼び出せる権限委員会はお持ちでございます。  片や、議長については、国会法の第二十条に「議長は、委員会出席し発言することができる。」という、こういう権限がございまして、これは通告することなく出席できるということでございます。ただ現実には、出ておりますのは、御承知のように議院運営委員会出席しておる、過去の例でいうと懲罰委員会に出て発言したことがある、そんなようなことでございまして、出席要求についての規定はございません。したがって、委員会が、議長が必ずしも出ないと言っているものを無理に、無理にという言葉はあれですが、要するに権限として議長を呼び出すという規定国会法上にはございません。そういうことでございます。  それから、三十三国会について、私もちょっと手持ちの資料ありませんので記憶しておりませんが、委員長のおっしゃるような何かそういうことが議論されたことは一遍あったようでございます。
  20. 元信堯

    元信委員 それでは、議長自分の御意思出席することはあり得る、その御意思というものはどういうふうにして形成されるかという問題になるわけですが、委員予算委員会でぜひ議長さんの御高見を承りたい、こう申し上げているということであって、議長さんがどうお考えになるかというのはまた議長さんの方でお考えになることでありますから、伝えていただくことはしていただかなきゃならぬと思いますが、今回は私はそういうふうにお願いをしたということについてお伝えをいただいたかどうか、伺います。
  21. 緒方信一郎

    緒方事務総長 そういうお話があるということは耳にお入れしてございます。
  22. 元信堯

    元信委員 それでは、もう一つ伺いますが、今法規的な御説明事務総長からいただきました。 要求があれば国会に出てこなければならないのは大臣政府委員である、そういうことを今承りましたが、国会衆議院事務総長がお出かけになっているのはいかなる根拠に基づくものでしょうか。
  23. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会職員でありますとか、それから俗に説明員と呼ばれております各省の政府委員でない職員が来て便宜説明したりしておるという実態があるわけでございますけれども、これは国会慣例上、先例としてそういうものが認められておる、こういうことでございます。
  24. 元信堯

    元信委員 今の御説明だと、事務総長説明員として出席をしている、こう聞いてよろしいわけですか。
  25. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会職員出席して発言した例があるという先例によるわけです。説明員というのは、これはまた別でございまして、これは説明員というものもありますけれども、これもやはり慣例で認められておる、法規上明文の規定があるわけではないけれども慣例上認められておる、こういうことでございます。
  26. 元信堯

    元信委員 そうすると、説明員というのも慣例上のものであり、そして国会職員出席して説明するのも慣例のものである、同じ慣例だからいいじゃないか、こういう御趣旨なんでしょうか。
  27. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ちょっと御質問趣旨が十分理解できませんけれども、根拠規定もないのに何で出てきたかという御質問であるとすれば、それは先例によって事務総長出席して説明するという例があるということでございます。
  28. 元信堯

    元信委員 平成五年度一般会計予算、こういうものがきょうの会議討議題材として供されているわけですけれども、これの中に国会所管というものがありまして、ここの部分について説明するのは第一義的にはどなたの責任でしょうか。
  29. 緒方信一郎

    緒方事務総長 予算案全体は大蔵大臣が統一的に掌握しておられますので、全体のお話ということになれば大蔵省ということになると思いますけれども、御承知のように各省庁別分科会等で従来御質疑をいただいておりますけれども、その場合には、国会所管についてはそれぞれ衆議院事務総長参議院事務総長国会図書館長等出席をして御説明を申し上げております。
  30. 元信堯

    元信委員 そうしますと、今の御答弁では、国会所管予算の詳細についても大蔵大臣答弁の衝に当たる、こう理解してよろしゅうございますか、大蔵大臣
  31. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 予算につきましては、憲法六十九条だったと思いましたが、六十九条で内閣予算編成権がございます。これに基づきまして財政法でいろいろ規定がございまして、大蔵大臣国会その他行政機関以外のところからの意見を聞いて予算をまとめて出す、こういうふうな形になっておるというふうに了解しております。
  32. 元信堯

    元信委員 財政法それから予算決算及び会計令、この問題は後ほどやや詳しく討論をいたしたいと思いますので……(発言する者あり)もし訂正があるならどうぞ。
  33. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ちょっと条文間違えまして、恐縮でございました。八十九条でございます。――失礼しました。どうも済みません。憲法八十六条でございます。
  34. 元信堯

    元信委員 今度はいいですね。  それでは、その問題はちょっと後でまた角度を変えて御質問することにしまして、国民の皆さんがこの前から佐川事件その他で非常に国会に対する関心が強くなっている。しかし、必ずしも国会国民疑惑解明に十分こたえているかといえば、さまざまな意見があるというのが現状だろうと思います。そのためには、国民の信頼にこたえていくためには、国会自身の、何というのですか、調査能力と申しますか情報能力と申しますか、真実を突きとめていくという能力もまた必要である、ここはどなたも争いないところだと思います。そこで、国会に対して、何といっても行政省庁が大きな情報能力を有しているわけでありますから、この協力なしには国会だけでできることというのは非常に限定的である、このことはどなたも御異論ないと思います。  そこで、情報能力といいましてもさまざまあるわけでありますが、私はきょう、二つばかりのことを題材に挙げて議論してみたいと思うのですが、国会会議録検索システムというものがありますね。通称データベース、こう言われておりますが、これが国会国会図書館として運用しておる、総務庁総務庁として運用しておる、二本立てになっているということは国会でしばしば指摘をされているところでありまして、総務庁においては、これは総務庁の都合でやっているんだから国会などにがたがた言われる筋合いはない、まあ平たく言えばそういう答弁を今までされてきているわけなんです。  そのことについてちょっと伺いたいと思いますが、まず、総務庁国会会議録検索システムというのを運用されているようでありますが、その詳細、一体どれくらいの金をかけてつくったのか、毎年運用するのにどれぐらい金がかかるのか、あるいはアクセスの数、どの程度利用されているのか、そのようなことについて御答弁ください。
  35. 増島俊之

    増島政府委員 国会会議録検索システムでございますけれども、昭和五十四年度からこの運用をいたしております。これは各省庁のいろいろ必要性、ニーズにこたえまして、この事務を迅速、的確、効率的に行うことを目的としまして、各省庁の御協力を得て開発したシステムでございます。  このシステムは、衆議院参議院両院国会会議録を必要なキーワード等により必要とする会議録の所在というものを検索いたしまして、そしてその会議録の本文、そういうものを出力するものでございます。このシステムは、防衛とかあるいはまた経企、公取あるいは農林水産、そういう分野、十九分野に分けてファイルしておりまして、この利用をいたしておるわけでございます。  運用経費は、平成四年度の場合ですと七千九百万円でございます。これはデータの整備費、それから入力経費でございます。  利用件数でございますが、平成三年度の場合ですと四千八百五十件ということでございます。
  36. 元信堯

  37. 増島俊之

    増島政府委員 構築経費システム開発経費でございますが、ちょっと手元にございませんので…。
  38. 元信堯

    元信委員 きのう通告してありますよ。
  39. 増島俊之

    増島政府委員 すぐ調べて御報告いたします。
  40. 元信堯

    元信委員 調べてくれなければ質問できない。きのう通告してあるからね。
  41. 増島俊之

    増島政府委員 まことに申しわけございません。法令検索の場合ですと、システム開発経費というのは一億五千万円ほどでございますけれども、至急調べまして、御報告いたします。
  42. 元信堯

    元信委員 委員長、どうしてくれるのですか。通告しておいたことを答弁できないという場合はどうしてくれるのですか。
  43. 粕谷茂

    粕谷委員長 総務庁質問通告があったようですが、答弁できませんか。――行政管理局長
  44. 増島俊之

    増島政府委員 運用状況ということでございますので、運用状況の概要といいますのをお答えしたわけでございますけれども、まことに申しわけございませんが、ただいま至急調べまして、御報告させていただきます。
  45. 元信堯

    元信委員 この後の議論はそれを問題にしようと思っているのに、肝心の経費のことが出てこない。何かわざとそうしているんじゃないかと思うのですけれども、そんなことはないでしょうな。それでは、きょう私の質問が終わるまでに必ず、いいですね。  それでは、今度国会図書館に伺いますが、国会図書館においても国会会議録検索システム構築運用されておりますが、同様のことについて御説明をください。
  46. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 国立国会図書館で現在構築し運営しておりますのは会議録検索システムであります。したがいまして、現在は索引をつくっているというだけで、全文を出すまでには至っておりません。この全文につきましては、今 後の問題として今検討中でございます。  この索引構築経費は、機械化予算の総額が五億五千万円、現在まで五億五千万円でございますので、そういうように御理解いただければいいのではないかと思います。  以上でございます。
  47. 元信堯

    元信委員 行政管理局長国会図書館システムとあなた方が運用しているシステムはどこが違うかということを端的に説明してください。
  48. 増島俊之

    増島政府委員 国立国会図書館におきましてつくっておられます国会会議録検索システムというのがあるということは聞いておるのでございますが、その詳細につきまして私どもちょっとわからないわけでございます。把握しておりません。
  49. 元信堯

    元信委員 わからぬなら私が申し上げますが、要するに同じことをやっているわけなんですね。キーワードをつけて分類をして、そうして国立国会図書館でやっているのは、何年何月にこのページにありますということがわかれば、それを見に行って、それをコピーして読む、こういうシステムである。行管庁がやっておるのは、キーワードで探して、そうしてそれにヒットすると、光ファイルというものに記憶をされておって、これがひとりでにファクシミリみたいなものから吐き出されてくる。この違いであろうかと思いますが、以上の認識で違うかどうか、わかる人。
  50. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 まさにそのとおりでございます。
  51. 元信堯

    元信委員 そこで、問題なのは、つまり同じようなシステムを二つ運用しているということなんですね。  総務庁は昔行政管理庁と言われた機能を持っているわけですね、行政のむだを防ぐという、こういう機能。同じことをするのに、さっき運用経費が七千九百万円とおっしゃいましたが、この経費の大部分キーワードつけなのです。ここに会議録がありますが、この会議録を読んで、どの言葉キーワードとして収録するかということを全部、今はしょうがないから手でやっているのですね。機械でやる方法も後から言うけれどもありますが、今のところは手でやっているのです。それを同じ仕事、この前私見学に行きましたが、国会図書館だとかなり広い、ここから向こうぐらいの部屋に三十人ぐらい女性がいて、それを専ら朝から晩まで入力しているのですよ。恐らく総務庁でもそういうことをなさっていると思う。こっちでやり、こっちでやり、同じものを両方つくっておって、出力の方は総務庁の方が便利なのです。光ファイルから出てくる。図書館の方は書庫まで見に行かにゃならぬ。この差はありますけれども、そこまでは同じことなのですね。同じことを二つやるということは、これはむだと言わないですか、どうですか。
  52. 増島俊之

    増島政府委員 国会図書館がつくっております、どういう作業というのは実は存じ上げてないわけでございますけれども、冒頭にも申し上げましたけれども、こういうデータベースをつくりますときにそのユーザー、各行政機関でございますけれども、この行政機関自分行政目的のために最もふさわしい、使いやすい、そういうものをつくるということがやはり基本でございます。したがいまして、先ほどのいろいろなキーワードのつくり方ということにつきましても、自分たちの所管のその行政あるいはその行政目的のためにふさわしい、一番使いやすい、そういうものをつくるということでございます。  したがいまして、この詳細、国会図書館の場合はわかりませんけれども、国会図書館としての、あるいは国会としての立法活動あるいはその他のお仕事のためにその一番使いやすいものをつくられているということではないかというふうに考えております。
  53. 元信堯

    元信委員 あなた、図書館がどういうことをしているか知らないけれども、知らないけれどもうちの方が、うちではうちのが使いやすいと言うのはおかしいじゃないですか。知ってて、これは不便だからというならわかるよ、それは。  国会図書館は各省庁に支館といいましたか、支館という名前で全部省庁に端末を配置をして、どうぞ皆さん使ってください、こういうシステムがあるのですよ。そのことを承知していますか。もしあなたが知らないようなら、長官に聞きましょう。
  54. 増島俊之

    増島政府委員 各省庁の図書館が国会図書館の支部であるということは承知いたしております。
  55. 元信堯

    元信委員 そこに検索システム、NORENという大きなデータベースの一部になっているのですけれども、それが配置をされていて、使えるという状態になっていることを御存じですか。
  56. 増島俊之

    増島政府委員 まことに申しわけございませんが、私自身としましては、余りよくその辺存じ上げておりません。
  57. 元信堯

    元信委員 知らないのであれば、こっちの便利のためにやっているだなどというようなことを言わぬ方がいいと思いますよ。  私がきょうこんなことを言っているのは、一つは伏線的な問題として、副次的な問題として、大いなる行政のむだじゃないかということも申し上げたいわけですね。しかし、システムとして便利なものであれば、これは便利なものに統合していくというのが道理だろうというふうにも思いますので、かねてから国会でも、行管庁システムキーワードのつくり方がどうかということはわかりません、使ってないからわかりませんが、しかし、光ファイルからじかに取り出すことができるというのは甚だ便利でありますから、これを国会へも利用させてもらえぬだろうかということが再三にわたって要請をされておる。あるいはNORENと、キーワードのところだけ別にして、あとの読み出しシステムを共通化するということは簡単なことだと思うのですよ、機械的には。そういうこともお話あったと思うのですけれども、総務庁は、これは行政の利便のためであって、三権分立の建前上国会協力することはできぬ、こう言っておるのですが、真意は何でしょうか。
  58. 増島俊之

    増島政府委員 この会議録検索システム、あるいは各省庁で非常に今用いられております法令検索システムもそうでございますけれども、昭和四十三年の閣議決定というのがございまして、各省庁による電子計算機の共同利用というものを推進をする、そういうことを決めまして、そしてそのために設置されているものでございます。したがいまして、たびたび申し上げておりますけれども、各省庁のニーズというのに適合した内容のシステムとして開発して、そして専ら各省庁利用に供している、そういうものでございます。  で、国会からいろいろな御要求がありまして、これこれの情報を打ち出せというようなことにつきましては、もちろん当然そういうことで対応を今までもいたしてきておりますし、そういうわけでありますが、先生の御質問は、いわば端末を結んで直接に利用することができないかという問題意識で御質問なさっているんだと思いますけれども、これに対しましては、たびたびお答えもしてきているんでございますけれども、一つは、これはまことに繰り返しであれなんですけれども、情報システムといいますものは、やはりそれを利用する機関のニーズ、目的、そういうものに適合して開発、利用されることが最も適切であるわけでございます。このことを外しますと、大きなデータベースをつくってもそれが利用されないというような状況に必ずなっていくわけでございます。それが一点。  それから第二点は、当庁の共同利用施設の処理能力というもので見まして、各省庁の共同利用が非常に今されておりまして、そういう処理能力の限界から見まして、この国の行政機関のニーズを超えてこれ以上の利用にこたえるということはなかなか難しい。今端末というのは、二百五十一台の端末があります。そして利用していただいておりますので、各省庁は一応二十台までということになっております。しかし、同時にアクセスすることを認めますともうパンクしてしまいますので、今利用制限をいたしておりまして、同時にアクセスするのは五台までということにいたしております。いずれにしましても、処理能力の限界と いうことが第二点でございます。  それから第三点といたしましては、いろいろ施設の事情によりまして、データの誤りあるいはシステムダウンあるいはそのことに伴ういろいろ処理制限の事態というのがあり得るわけでございます。そういう場合の責任、そういう調整などの問題がございますので、直接御利用に、立法機関が行政機関の、行政府のものを直接自分のいわば道具として御利用になるということの体系になりました場合に、そういう責任の問題、そういう調整の問題という問題もあるわけでございます。これらのことにつきましては今までも申し上げてきたところでございますが、いずれにしましても、国会でいろいろシステムをつくる場合の御協力、いろんな、例えば法令磁気データでの提供とか、その種の御協力はもう最大限いたすつもりでございます。先ほど申し上げましたように、国会図書館といいますか立法府におきましても大きな電子計算機も持たれ、それからスタッフもおられるというふうに聞いておりますので、やはりその種のことでそういうシステムをつくる場合には、国会としての利用目的に応じたそういうシステムつくりになる場合につきましての私どもがもしできます御協力というのは最大限いたす、そういう考えでございます。
  59. 元信堯

    元信委員 どうもばかに長い答弁で困っちゃうんだけれども、処理能力なんということは、このごろのコンピューターの進歩を考えれば、そんなことは幾らでもクリアできることなんですよ、そんな難しいことじゃない。あるいはまた目的というようなことでも、立法府に協力するのもまた行政府の目的でしょうが。行政府は行政府で完結的にやっていくんじゃないんだ。役所のために役所があるんじゃない。そういうことを考えれば、国民の代表である立法府が協力せよと言えば、協力する方向で努力するのが筋だと思うのですよ。あなたが言っていることはその逆に、あたかも国会国会でやりなさい、我が方は我が方でやります、二重投資やむを得ぬ、こう聞こえるのですが、これは二重投資せよという意味なんですか、そこのところ、もう一つ。別に持てということなのね。
  60. 増島俊之

    増島政府委員 二重投資というむだをというような考えは全くありません。先ほど申し上げましたように、例えばデータの基本であるデータの提供、これをインプットいたします。そのデータの法令磁気データにおける提供というような形が将来いろいろ問題があれば、そういうその種のことはありますし、いずれにしましても、先ほど冒頭に申し上げましたように、こういうデータベースの利用につきましてはそれぞれの目的に応じたそういうものがございますので、そしてそれがつくられているということであると思います。各機関のやっぱり必要といいますものは、組織、人、金、情報、そういうものがやっぱり基本であるわけでございますので、それぞれのそういう目的に応じてそういうものは備えられるべきであるという考え方で申し上げているところでございます。
  61. 元信堯

    元信委員 法令のことなんか何も聞いちゃいないんだよ。あなた、ちょっと頭混乱してやせぬかね。それは次の質問であって、今の質問ではない。  ちょっと頭を冷やす意味で大臣と問答してみにゃいかぬと思いますが、大臣、大体おわかりになったかと思いますが、国会の方は、データを提供するというのは、国会があなたに提供しているんだからね。会議録のデータなんぞは国会から出ていて、別に総務庁がつくっているわけじゃない。わかっていますね、そこのところは。こっちからデータを提供をして、そうして、しかも国会の組織の一部である国会図書館からは端末も配置をして、それなりに使えるようにしてあるわけですよ。それじゃ使い勝手が悪くておもしろくないというので役所が相談をしてまた一つ似たようなものをつくった、しかしそれは国会には提供できない、こういう話なんですね。国会行政省庁というふうに、三権というから、そういうふうに分けてみれば、非常に敵対的なやり方ですよ、これは。国会の便宜は供与してもらうけれども、行政省庁は、ああだこうだと機械のことまで持ち出して難癖つけて協力しようとしない、こういう態度に見えて仕方がない。  将来のことをちょっと考えてみましょうか。後からこれも、時間がありそうもないが、議論をするフルテキスト・データベースということを考えています、国会は。全部の文章を、今私がここで言っているようなこともすぐ活字に翻訳をされ、それが電子符号に変えられてデータベースに載る、コンピューターに収録される、そういうことを考えているわけですが、もしそうなった場合にも、総務庁は、今のような考え方でいくと、二本立てのデータベースを構築するということを考えるのか。そういうことまで展望して、今の態度というものは僕は改められなければならぬと思う。最大限協力するとなぜ言えないのか。これは大臣からちょっと答弁してください。
  62. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 ただいままで局長の方から答弁申し上げてきたわけでありますけれども、いわゆる行政ニーズに対応したところのシステムを開発をしてという、こういうふうな目的なわけです。そういうふうなところにやっぱりそれぞれ目的の違いもあるんじゃないでしょうかと。もう一つは、処理能力というふうなものに限界があるということも説明をいたしました。そういうふうなこと。それから、もし誤ったようなものになった場合には、これも考えられないことないわけでありますから、どこが責任をとるのかという問題等々もあると。そういうふうなことで、やはり今日までいろいろと御答弁も申し上げてきたわけでありますが、決して二重のというふうなことでなしに、それぞれの目的を持った一つのシステム開発というふうなことではないでしょうか、そのそもそもの出発点は。  ですから、私どもが国会の方に御協力をしないというふうな基本的な考え方じゃなしに、いろいろとこれからは国会としてのそういうふうなシステムをおつくりになられるというふうな場合のノウハウ等々については、今日までの経験等々からできるだけの御協力もさせていただきますよ、こういうふうなことを申し上げさせていただいておるのであります。
  63. 元信堯

    元信委員 このことを長く言っていても仕方がないからこれで切り上げますが、あなた、将来のことを言わなかったですね。ノウハウを教えてもらうことなんか何もないのですよ。それから、情報の間違いなんて言っても、今のは国会会議録として入っているものをイメージとして、写真として張りつけているだけですから、間違いなんかありようがないんです。あるとしたら国会の方の間違いなんです、わかりますか、そこのところ。機械の処理のことを言えば……
  64. 粕谷茂

    粕谷委員長 元信委員、マイクの方へ少し寄ってお話ししてください。記録が入りませんから。
  65. 元信堯

    元信委員 機械能力のことを言えば、国会だってそれはアクセスが多くなってくると厳しいんだけれども、各省庁にまでそれを置いているわけですね、端末を。あなたみたいな考え方だと、それじゃ国会国会で、機械は大事だし、金はもったいないし、誤りがあれば困るし、責任問題にもなるし、行政国会はそんなことでぴしゃっと分けちゃうと。じゃ、国会の方の端末は全部引き揚げるということになりゃせぬですか。将来のことはどうなるんですか。将来は、恐らくフルテキストというようなことになれば、今あなたが言ったような問題というのは大部分解決されることになると思うんですよ。その場合どうするんですか、もう一遍答弁してください。
  66. 鹿野道彦

    ○鹿野国務大臣 決して御協力をしないとかというふうなことについてじゃないということは今申し上げたわけですけれども、将来、今後、国会国会として、立法機関としてこういうふうな問題をどうするかということを当然お考えを、今先と言われたような形でいろいろ行われていくでしょうし、いわゆる今日の状況の中では、今申し上げたような、いわゆる行政ニーズに対応したところのシステム開発をというふうなところからの目的 の中で出発をしておるところでありますし、また、実質的には一省庁に二十以下というふうに制限をしているという、処理能力というふうな問題等々も現実の姿なんですよと、こういうふうなことから、今日の実態等を御説明申し上げて、私ども、御理解をいただくべく申し上げさせていただいておるということであります。
  67. 元信堯

    元信委員 押し問答だから打ち切りますが、説明をしてくれと言っているんじゃないんですよ。あなたが政治家として、長官として今お聞きいただいたような実態を踏まえて将来どうするかと。一省庁二十といっても国会に二十も要るとは限らぬのですよ。衆参に一台ずつでいいのかもしらぬ。一省庁分ぐらいふえたとしても知れているのですよね。それぐらいの協力、なぜできぬと、こういうことなんです。  じゃその次の、今度は法令検索システムのことについて議論すればもうちょっとはっきりするでしょう。  法令検索システムというものをこれまた総務庁運用されているようですが、あらまし、簡単に説明してください。
  68. 増島俊之

    増島政府委員 法令検索システムでございますが、昭和五十四年度から運用を開始いたしておりますので、このシステムでは現行の憲法、法律、政令、勅令、そのすべてですね。そして、総理府令。平成五年一月一日現在で四千七法令をファイルしておりますので、このシステムのもとで指定した用語が用いられている条文の検索、あるいはまた法令間における引用関係の検索などの検索サービスを提供いたしております。  このシステム運用経費につきましては、平成四年度の場合ですと千三百万円でございます。利用件数平成三年度で五万三百件でございます。  そして、開発経費でございますが、初期投資、ちょっと手元にないのですが、一億たしか五千万の程度だったと思います。  で、先ほどのお尋ねありました国会会議録でございますが、初期投資でございますが、ちょっと申しわけございません、ちょっとメモを――申しわけございません。国会会議録につきましては、五十一年度、五十二年度の初期投資、詳細設計、システム開発の経費、合計しまして四千五百万円でございます。
  69. 元信堯

    元信委員 この法令データベースの検索が年間五万三千件ということになっておりますが、この法令データベースというものは、ちょっと後からも伺いますが、非常に便利なものですね。あるいはなくてはならないものだと思いますが、ところがこれがまだ、立法府には利用させない、こう言って総務庁は頑張る。法律をつくるところ、法律をつくったところが、自分たちがつくった法律をデータベースとして検索できない、こういうのですが、それはまた例の、行政の用に、便利に供するためだけであって立法の便に供するためではない、こういう理屈が出てくるのでしょうか。いかがでしょう。
  70. 増島俊之

    増島政府委員 先ほどお答えいたしましたとおりでございます。
  71. 元信堯

    元信委員 立法する上である用語を使うというときに、この用語はこの法律ではこの意味に使い、この用語は同じ用語をこの法律では全然別の意味に使うというようなことはあっていいことでしょうか、法制局長官。
  72. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答え申し上げます。  それぞれの法令に即してその用語が解釈されるという場合は時としてございます。ただ、法令用語全体としては同じ言葉が違った意味にいろいろ使われるということは、これは法令の体系としても適切でありませんので、法令用語の統一ということについては立法の段階、立法作業の段階におきましてもいろいろ工夫をし、あるいは努力をいたしておる、こういうことであります。
  73. 元信堯

    元信委員 かつてのPKO国会のときにそのことはさんざんやりましたね。平和維持隊を国連が統括するという統括の意味は、防衛庁長官が自衛隊を統括する意味とは違って、ネズミ講の親ネズミが子ネズミを統括する、こういう意味だとあなたはおっしゃった。そういうことは余り好ましくない、こういう御答弁と承りますが、今度の国会でそれにかかわる法律が提出されていますね。法令用語の一般化という内容を含んでいる。法制局長官は法制局でごらんになったと思いますから覚えていると思いますよ。
  74. 大出峻郎

    ○大出政府委員 国会に政府が提出をいたします法案はかなりの数今提出しておるところでありますけれども、なおまだこれから提出予定でこれから審査をする、あるいは審査中であるというようなものはございます。ただ、今先生おっしゃいました法令用語の統一ということに関連した法案というのは、今のところ出ていないと思います。行政手続に関する法案というようなものはいずれの段階で提出したいということで、今いろいろ準備中ではございます。
  75. 元信堯

    元信委員 その準備中の行政手続法の中で、ある用語がさまざまの法律の中でばらばらに使われておる、この用語を統一するために全部洗い出して一本化しよう、こういう条項がございましたね。大体幾つぐらいありましたか。
  76. 大出峻郎

    ○大出政府委員 これにつきましては、国会に提出すべく準備中であるわけでありますが、まだその審査というのは余り進んでいない、まだ作業中ということでございます。  それで、今の法令用語の統一とおっしゃいましたが、そういう観点ということではなくて、行政手続法というものができますというと、いろいろな個々の法律に関連を持ってまいります。関連を持ってきた部分について、どのような用語に統一をして各法律の整理をしていくかということの検討は行っているところだと思います。
  77. 元信堯

    元信委員 一般に、ある用語が幾つ、全法律体系、今四千七とおっしゃいましたけれども、どこにどういうふうに使われているかということを知るためにはどういう方法がありますか。
  78. 大出峻郎

    ○大出政府委員 これはまず第一点としましては、それぞれの法制局の参事官が担当して法案の審査をやっておるわけでありますが、その参事官のところで関係のある法令というものをいろいろ調べながらある法案の審査をやっていく、こういうことであります。  それから、原案というのは、各省庁から原案を持ってきていただいて私どもの方で審査するわけでございますが、各省庁において原案を作成する過程においてそのようなものについていろいろ調査をするということは当然のことながらあり得ることだと思います。  その方法というお話がちょっとございましたけれども、その方法に関していいますというと、先ほど言いました関係法令をつぶさに調べるという作業が一方においてあると同時に、先ほど来お話のありました法令検索システムというものもございますので、時としてはそれを利用させていただいておるということであります。
  79. 元信堯

    元信委員 実際には六法全書の端から端まである言葉を求めてくまなく見るなどということは不可能なことでありまして、実際には法令検索システムの端末をたたいて探す、こういうことになるわけですね。  きょうは衆議院の法制局長さんにもおいでをいただいておりますが、衆議院の法制局ではそういう場合どうやってやりますか。
  80. 和田文雄

    ○和田法制局長 お答えいたします。  今内閣の法制局長官が申されたやり方を私どもも大体踏襲しておりますが、ちょっと現実的に申し上げますと、関係法令を中心に探す、それでもなお何となく不安が残れば検索システム等を利用してさらにつぶさに調べる、こういうやり方でおります。
  81. 元信堯

    元信委員 衆議院法制局では検索システムはどういうふうに御利用になっていますか。
  82. 和田文雄

    ○和田法制局長 私どもの法令検索システム利用につきましては、かねてから利用できるとありがたいというふうに思っておりましたが、国立国会図書館等の御協力もいただきまして、一昨年の八月以来図書館の方を通じまして学術情報センターの法令検索システム利用するようになって おります。
  83. 元信堯

    元信委員 今おっしゃったことは、衆議院法制局はみずから端末を操作をして必要な法令検索をすることができない、こういうことを意味しているのですね。内閣法制局長官がおっしゃったことは、これは内閣法制局においてそういうことができる、こういうことなのですね。要するに法令検索システムというのは総務庁が管理運用しておって、国会ではこれを利用することができない、こういうことなんです。何度も私はこれを申し上げました。今お話ありましたように、便法だということだと思いますが、一昨年から文部省の学術情報センターのデータベースに組み込まれましたLAWというデータベースになりまして、それを使わなければならぬ。当然総務庁からじかに来るわけではありませんから、学術情報センターを経由して来るので、ケーブル、回線費用などもかさみまして、ただではございません。金を払って調べる、こういうことになっているわけであります。しかも、国会議員もそうでありますが、法制局でも同じことだろうと思います。直接操作をすることはできませんから、人を介してこれとこれとこれとをやってくださいな、こういう利用のやり方になるわけであります。  そこで、総務庁に伺いたいと思いますが、学術情報センターには情報を提供できるわけですね、アクセスをさせることができる。さっきは機械が容量がなくてとてもできぬということだったと思いますが、今回はそういうことではなさそうですね。法令に関しては全部提供している、接続しているということですから可能だと思います。なぜそれを国会になさらないのか。例えば国会ですと、図書館がNORENというデータベースシステムを持っています。それとアクセスができるようにしておけば機械的な負担はほとんどなしに国会図書館の端末があるところでは使えるようになる。つまり、国会の衆参法制局を初め必要なところにはそれが行き渡ることになると思うのですが、なぜそれをなさらないのか、総務庁からお答えください。
  84. 増島俊之

    増島政府委員 学術情報センターからの御依頼で御協力というか、しているわけでございますが、これは法令の磁気データ、それを提供しているわけでございます。オンラインで結んでとかそういうことではございません。
  85. 元信堯

    元信委員 国会図書館から磁気データの提供を求めればそれに応じるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  86. 増島俊之

    増島政府委員 先ほど申し上げましたように、幾つかの難点の一つの中にエラーの問題とかいうようなこともありますけれども、全体として申し上げまして、私どものできます御協力の一つとして当然そういうものは含まれるというふうに考えております。  具体的にいろいろな検討をしなければならない点があるかと思いますけれども、そういう点につきましては当然御協力すべき、そういう方向で考えるべきものであるというふうに考えております。
  87. 元信堯

    元信委員 国立国会図書館長に伺いますが、今お聞きのとおり磁気テープで協力をするとおっしゃっております。当然、国会図書館のデータベースシステムの中にこれを取り入れて、国会においても速やかに法令検索ができるようにするべきではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。
  88. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 早速総務庁の方とも御相談をして利用できるように努力したいと思います。
  89. 元信堯

    元信委員 ぜひ実現方について御努力をお願いをしておきたいと思います。  ただ、これを実現する上でネックになるのはお金だと思います。――文部大臣せっかくおいでをいただきましたけれども、ちょっと学術情報センターのことで引っかかればと思ったので、もう結構でございます。ありがとうございました。  国会予算が需要に見合うだけなければ、これは幾ら情報提供があっても絵にかいたもちになる、これはそのとおりですね。  そこで、国会予算の編成過程について幾つか御質問したいと思いますが、まず、事務総長が御答弁になるのでしょうか、衆議院予算の編成過程について御説明ください。
  90. 緒方信一郎

    緒方事務総長 衆議院予算の手続について御説明を、現在やっていることを御説明を申し上げます。  まず、概算要求手続でございますけれども、議院関係の主要事項につきまして議院運営委員会の庶務小委員会にお諮りをいたしまして、検討を経た後に、小委員長の指示に基づきまして、八月の未までに作成をいたしまして財政当局に提出をしておるのが例でございます。  その後、予算編成過程におきまして国会意思を反映するため、財政当局との間で十分意見調整を行いまして、最終的には両院の議院運営委員長等と財政当局との、いわゆるトップ会談と申しておりますが、そういう調整の場を設けまして、そこで実質的に国会予算の中身を決める、こういうことをいたしております。  その後、手続としましては、予算書形式の予定経費要求書等をつくりまして、これを両院の議院運営委員会にお諮りをいたしまして、協議決定を経た後に、財政法にのっとりまして両院議長名をもって大蔵大臣に送付をしておる。これを受けまして、大蔵大臣国会の初めに、ほかの独立機関あるいは各省庁からの予定経費要求書等とあわせまして、閣議の決定を経て国会に提出をする、こういう運びになっております。
  91. 元信堯

    元信委員 今、まず実態的な予算の編成過程について御説明をいただきました。これは、法律的には財政法予算決算及び会計令に基づいて行われることになっていますが、財政法と予決令の当該する条項に定めた手続について説明してください。
  92. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 お答えいたします。  財政法及び予決令は、いわば憲法内閣予算編成権が与えられているということと、国会等のいわば独立機関の地位を有しておられる機関の予算要求とのいわば調整を図るという規定から、財政法規定あるいは予決令の規定があるわけでございます。  例えば財政法十七条では、衆議院議長等の独立機関の長は、「毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出」等の「見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。」ということが書いてございます。  これを受けまして、十八条は大蔵大臣がいろいろな総合調整をすることを決めておりますけれども、内閣は、そういう決定をしようとするときには……(元信委員大蔵大臣」と呼ぶ十八条の一項でございますね、「大蔵大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、」云々というのがございまして、その次の二項に、「内閣は、前項の」――閣議に諮るわけですが、その閣議には独立機関の長が出席をしていないということもありまして、内閣は、そういう閣議の決定をしようとするときには、国会等の歳出の概算については、あらかじめそれぞれの議院の長、例えば衆議院議長等に対し、「その決定に関し意見を求めなければならない。」という規定をしておるわけでございます。  その後十九条には、内閣が、そういういわば意見のそごがありまして、そういう独立機関の見積もりを減額した場合には、国会にいわばそういう歳出見積もりについてその詳細を付記しろというようないわば調整規定、二重予算規定と称しておりますが、そういうものもあるわけでございます。  それを具体的な手続として決めておりますのがいわゆる予決令でございまして、それには、その具体的な手続、例えば八月三十一日までにどうしろというような細かい手続規定がそれに沿って置かれているということでございます。  私ども、実際にはこのようなことでやっておるわけでございまして……(元信委員「いやいや、 そこまでで結構です」と呼ぶ)ああそうですか。
  93. 元信堯

    元信委員 今大蔵省から御説明がありましたのと、衆議院事務総長から御説明がありました実態との間にはかなりの乖離があると言わざるを得ませんね。財政法及び予決令によれば、衆参と会計検査院の長は、独立機関の長は八月三十一日までに予算の見積もりを調整をして、内閣にそれを送付をし、そうして、内閣はそれに減額の措置をすることがあってその他云々と、こういう仕組みになっているわけですけれども、八月三十一日に見積もりを調整をして内閣の長に送付しているかどうか、この辺について伺います。
  94. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ただいま申されましたように、財政法では内閣に送付をしろという規定がございます。現実の取り扱いは、先ほど申し上げましたように、従来からの慣例によりまして概算見積書を、財政当局に便宜こういったものを持ち込んでおるというのが現在の実態でございます。
  95. 元信堯

    元信委員 これは明確な法律違反ではないでしょうか。財政法にはその他のやり方があり得るというふうに規定があるでしょうか。
  96. 緒方信一郎

    緒方事務総長 財政法……(元信委員「あるかどうかを聞いているわけです」と呼ぶ)便宜的な規定というのは明文にはないと思います。ただ、慣例上そうしておるということでございます。
  97. 元信堯

    元信委員 私が衆議院議長のお出ましを願いたいと言ったのはまさにここのところなんです。明らかな法律違反がされているじゃありませんか。慣例でもって法律を無視していいということが通るのであれば、我が国の法体系というのはまさに崩壊してしまうじゃありませんか。なぜ法律に定められたとおりにしないのか。私は、衆議院議長出席を得て答弁いただかなければ。じゃ、事務総長衆議院議長の指揮監督のもとに法律違反をなさっているのだと思いますから、明確なお答えはいただけないと思うのですがね。
  98. 緒方信一郎

    緒方事務総長 事務総長議長の監督のもとに事務を統理しておりますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  財政法の一連のいわゆる二重予算規定が、先ほど主計局長が申されたような規定はあるわけでございますけれども、これは意見が対立をした場合の調整規定というふうに私どもは理解しておるわけでございます。したがいまして、対立をしないで財政当局と国会との間で調整がついた場合には、必ずしもこの規定をこのとおり、文字どおり運営する必要はないというふうに従来から理解されておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、トップ会談というものは、これは財政当局と国会とのいわゆる政治的な調整の場でございまして、そこで調整がついて、円満に話し合いがついておるということで、こういうような、一々この規定をぎしぎし動かさなくていいという、これはもう従来からの考え方でございまして、最終的に予定経費見積書というものを作成しまして、これは公文書をつけて正式に提出をしておる、これで法的要件はかなっておるというふうに私どもは理解をしております。
  99. 元信堯

    元信委員 国会は、三権の最高機関である、国権の最高機関である、こういうふうに我々理解をいたしておりました。これは間違いございませんね。どなたもよろしゅうございますね。意見のある人、いないですね。  そういたしますと、この三権の長が、国会予算はこうあるべきであるというふうにみずから定めて財政当局に通告をするというのが法の趣旨であって、財政当局が、財政状況から勘案をして、それがそうならないときに限って減額をする、あるいは二重予算というようなことも想定されているわけでありますが、所定の措置をとらないで、あらかじめこんなところでいかがでしょうかと提出をするというのは、まさに三権の長たる国会の権威をおとしめるものではないか。財政的に言えば、大蔵省が、主計局が三権の長である、国権の最高機関は大蔵省だということを、俗説よく言われるわけでありますが、それを実際に裏づけているのは、国会事務総長、あなたがやっていることじゃありませんか。  なぜ法律のとおりにやらないのですか。法律のとおりにできない理由を言いなさい。
  100. 緒方信一郎

    緒方事務総長 お答えいたします。  財政法の一連の二重予算趣旨でございますけれども、これは私どもから改めて申し上げるまでもなく、一つは、三権分立というのが憲法上の原則、要請でございまして、行政府が予算を通じまして国会の活動を、要するに干渉するというようなことがあってはならないということの一つの要請がございます。  他方、先ほど大蔵大臣が申されておられましたように、内閣予算編成権というものを持つということで、要するに三権のチェック・アンド・バランスということで国政というものを動かすというのが憲法上の一つの要請でございまして、いずれか一方の意思が無条件で、要するにそのままそうなるというのは憲法上予想していない形であります。  それで、ただいま申し上げました三権分立て行政府が不当に立法府を干渉しないという要請と、それから内閣予算編成権というものと調和させるための規定として財政法の一連の規定がある、こういうことに理解をしております。  したがいまして、いろいろ両者の話し合いがつかないといいますか、意見の一致が見られない場合にこういう規定が発動されるということでありまして、従来から、要するにそういう調整がついておる場合にはこのとおり発動するというものでは、予想してない、こういう解釈でおりますので、私どもは違法なことをやっているというふうには考えてないわけでありまして、先ほど申し上げましたように、トップ会談というもので要するに政治的、政治的といいますか、立法府と内閣との間で調整をあらかじめつけて、その上で提出をしておる、こういうことでございます。
  101. 元信堯

    元信委員 あれこれそんな難しいことを言っているわけじゃないんですよ。  財政法の十七条には、「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明計費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。」そう書いてあって、予算決算及び会計令の第八条第一項、「財政法第十七条第一項の規定により、内閣に送付すべき書類は、大蔵大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを内閣に送付しなければならない。」「内閣は、前項の書類の送付を受けたときは、これを遅滞なく大蔵大臣に回付しなければならない。」こう書いてあるのです。そのほかのことの規定は全くないんです。あなたが今再三言われたような、対立をしないようにとかそういうようなことは法律には全く予定されてないことなんですよ。その他の方法があるというなら、それはそれで結構。しかし、これは明確な法律違反じゃないですか。そんな答弁じゃとても質問続けられませんよ。法律違反を認めるのかどうか、そこなんです。主観的な問題じゃないんだよ、客観的な問題なんだよ。
  102. 緒方信一郎

    緒方事務総長 御指摘のように、財政法第十七条に規定する手続を一部省略をしている形にはなっておりますけれども、概算要求議院運営委員会の庶務小委員会で検討されたものでありまして、国会意思を反映しているものと認められていること、それから内閣の中で予算に関する調整機能を有します財政当局と十分に協議をして合意を得るようにしているということ等にかんがみまして、同規定趣旨には抵触していないというふうに考えております。
  103. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 今衆議院事務総長がおっしゃられたことと基本的には同じことでございますけれども、国会の御意思衆議院議院運営委員会というところで決められるわけでございますが、その議院運営委員会のいわば中に庶務小委員会というところがあって議論がされて、その庶務小委員長の承認のもとに予算要求書が出されてお りますので、実質的に国会意思がきちんと概算要求に反映されて、それを内閣の、いわば予算編成を預からしていただいている大蔵大臣が預かるということで予決令の趣旨は満たされているものと考えているわけでございます。
  104. 元信堯

    元信委員 大事なことは、趣旨が生かされているかどうかということで、そういう主観的なことではなくて、客観的に法律が守られているかどうかということだと思いますね。  法制局長官、予決令、予算決算及び会計令というのは、これは法律なんですか、どうですか。
  105. 大出峻郎

    ○大出政府委員 財政法は法律でございますし、いわゆる予決令は、これは政令でございます。したがいまして、法令の一つであります。
  106. 元信堯

    元信委員 法令というのは公務員によって遵守されることを期待されてますか。
  107. 大出峻郎

    ○大出政府委員 当然のことながら遵守されるべきものであるというふうに思います。
  108. 元信堯

    元信委員 趣旨においてそれが貫かれているということが遵守されているということとは全く違う、これは当たり前のことですね。みんな法律違反をやらかして、そうして趣旨においてはわしは守ったつもりだったと。五億円もらって二十万円というのも、そういう考え方があるから出てくるんじゃあるまいかと、これは邪推かもしらぬが、そう言いたくはなる。  法令を遵守するということに関して、法務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  109. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 法令の遵守はすべての者がそのとおりやらなければならぬ、こういうことでございます。
  110. 元信堯

    元信委員 行政府ではそういう御意見であります。直ちに立法府を拘束するのかどうか。ぜひ衆議院議長、参議院議長事務方、よく相談をされて、あなた方がやっていることは法令を遵守しておるとは言えない。恣意的にこれをねじ曲げて、結果を、趣旨を生かしているなどと言って言いわけをしているにすぎぬということをこの際申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんから、次へ行きます。  次に、国会予備金の問題について参りたいと思いますが、国会予備金というのはどういうものか、まず簡単に説明してください。今までどういうふうに支出されたかもあわせて簡単に。
  111. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会予備金は、国会法の第三十二条の規定に基づきまして、予算の成立後に国会予算に不足が生じた場合に国会の活動が制約を受けないように余裕財源として計上されているものでございます。  実際の使用例を見てみますと、議院の弔慰金でありますとかそんなようなことに使われてきておりまして、昭和四十八年度以降には、実際には予算計上していますけれども使われておらないという実態でございます。
  112. 元信堯

    元信委員 国会で何があるかわからぬからというので、国会自身行政府に制約されずに使える金として予備金が設定されているわけですね。ところが、今御答弁あったように毎年不用額として捨てられている。弔慰金、弔慰事項が発生せぬわけでもないけれども、弔慰金すらここから出されていないということであると、一体この制度というものは何であるかということが問題になると思います。  それで、発足当時のことなど詳しく申し上げている時間はございませんが、国会行政府から独立しているということの財政的裏づけがこの予備金制度であるというふうに理解して間違いないかと思いますが、しからば、予備金を使わずに予備費を使ったことがあるかどうか、これをちょっと伺います。
  113. 緒方信一郎

    緒方事務総長 弔慰金につきましては、現在、予備金ではなくて本来の予算に計上して、必要があれば支出をしていくということでございます。(元信委員「だれが死ぬかわかるか」と呼ぶ)それは大体見積もりをして、適当に見積もってやるということで、足りなくなれば予備金ということになると思います。  それで、予備費の方でございますが、実際問題としましては予備費を使用していることの方が多いわけでございます。いろいろ当初予測しがたい経費が出てきた場合にどうしているかということですけれども、基本的には、予測しがたいものが出ないようにといいますか、できるだけ予測をして網羅的に必要なものを当初予算に盛り込むということをいたしておるわけです。どうしてもやむを得ないものが出てきた場合には、現在では、一つは既定経費の不用額を流用するということで対応しております。それから、それでとても対応し切れない数字が出てきた場合には予備費を使用しておりまして、これは、例えば退職金が不足した場合ですとか、例えば全然予測しない解散が行われて総選挙が行われる場合、そういうことで予備費を使用しているのはしばしばございます。
  114. 元信堯

    元信委員 国会がみずからの自主財源である予備金を使わずに大蔵大臣管下の予備費を使っているということは、国会の自主性のみずから放棄であるまいかというような気がします。先ほどの予算編成過程を見ても、いたずらに、出そうと思えば出せるにもかかわらず、これでよろしゅうございましょうかねと大蔵省主計局の鼻息をうかがいながら、お許しをいただける部分についてのみ調整をして出すという、こういう態度も、これじゃ国会は国権の最高機関どころか省庁の一つに、横並びにすぎぬ、こういう感じすら実際にはするわけでありまして、まことに今の答弁を含めて遺憾に存じます。しかし、そのことを詳しく言っている時間はありません。  国会の中から予備金を支出をしてはどうかという声がありませんでしたか、これまで。どうですか。
  115. 緒方信一郎

    緒方事務総長 私ども一番主眼といたしますのは、要するに国会として必要な経費が確保できるということでございまして、その確保の仕方について、形式に必ずしもこだわっていないと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、事実上確保することがまず第一であるというふうに存じております。したがいまして、予定しがたい、当初予算で対応できない財政需要というものがその後発生した場合には、先ほど申し上げましたように既定経費の不用額を流用するとかあるいは予備費を使うとかということで、事実上予算が足りないことによって国会の活動が阻害されないということを眼目にして運用してきておる、こういうことでございます。
  116. 元信堯

    元信委員 そういうことを聞いているのじゃなくて、国会の中からこの予備金を使って何かするべきだという声が実際になかったかということを聞いておるわけであって、返事をしたくなければこっちから先に言うと、当国会でも、去年だったかな、去年の国会で、労働委員長から、衆議院の労働常任委員会委員長から調査にそれを充当すべきであるという意見があって、事務総長がお断りになったというふうに聞いておるが、いかがですか。
  117. 緒方信一郎

    緒方事務総長 社会労働委員会が分割をしましたときに確かにそういう問題はお聞きいたしました。ただ、それもお金がありませんから何も活動できませんということではないわけでありまして、要するに既定経費の流用その他で十分対応して御活動いただくだけの経費は確保したつもりでおります。
  118. 元信堯

    元信委員 既定経費の削減その他は年度末にいってみなくちゃわからないわけであって、その前に予備金があるのであれば予備金をまず使うのが筋ではないか、予定されてないものはそれを使うのが筋じゃないかと思います。もしどうしてもそう言い張って予備金というものを使わない、毎年七百万円、額はわずかでありますけれども全部不用額にして流すというのがこのごろ例になっているわけですから、それならこんなものはやめてしまった方がいい。先ほどの財政法もついでに改正をして、各省庁横並びで大蔵大臣あるいは主計局に査定をしてもらうように変えればいい。実態に合わせて変えるべきじゃないですか。どうですか。
  119. 緒方信一郎

    緒方事務総長 予備金につきましてはいろいろ 制度創設以来の趣旨がありまして、これは国会法規定がありますから落とすわけにはいかないと思います。  財政法を実態に合わせて改正をしたらどうだというお話でございますが、私どもは財政法に、さっき申し上げましたように十七条を一部省略している点はありますけれども、趣旨においては別段問題ないと思っておるわけでございまして、その他の二重予算等の規定については、先ほどたびたび申し上げておりますように、要するに意見が調わない場合の調整規定ということでございまして、要するに今あえて発動するに至っていないというか発動する必要がない状態で編成が行われておる、こういうふうに理解しております。
  120. 元信堯

    元信委員 法律を一部省略するなんということがあるのですか、これ。僕は初めて聞きました。立法府の議長にかわる人がお出ましになって、法律は時として一部省略される、こういうようなことがここの論議でまかり通っておったのでは、これは何をかいわんやですわな。どんなことを立法したって都合によっては一部省略。政治資金規正法だって省略している人はたくさんある。これは私は一部省略したのであって趣旨は生かしたつもりであるというようなことがあれば、これはしかし法治主義の崩壊じゃないですか。  本来ならばそんなような答弁はまことにけしからぬ、質問続行できないと言いたいところだが、時間も終わってしまったもので、これはまた場所を改めて、これはもう国会全体の問題ですから、与党の皆さんもぜひ注意をしていただいて十分議論をしていただきたいということを申し上げて、実はきょうもそのほかにもいろいろ質問を用意しておったこともあるのですが、大部分触れられません。  最後に一つだけ聞いておきたいと思いますが、今の財政法を条文どおりやってうまくいかなかったと我々思っているのですが、例というのが昭和二十七年度裁判所予算にあったかというふうに思います。いわゆる二重予算権の発動というやつですね。そのときのてんまつについて、最高裁きょう来ていただいておりますから承りたいと思うのです。
  121. 仁田陸郎

    仁田最高裁判所長官代理者 昭和二十七年度の予算につきまして、裁判所の営繕費でございますけれども、内閣の御決定なさったことと裁判所の要求との間にそごがございました。そういう関係で、調整が不調に終わりまして、二十七年に当時の大蔵大臣から私ども最高裁判所長官に対して減額通知が行われました。これを受けまして、私どもは、最高裁判所長官が大蔵大臣に対して予定経費の増額要求をいたしたということがございます。  ただ、出しました後、実はその後の経緯というのは、四十年も前のことでございますので必ずしもつまびらかではございませんけれども、財政当局と私どもの間で話し合いがつきまして解決をした、こういうことでございます。
  122. 元信堯

    元信委員 必ずしもつまびらかでないとぼかしておっしゃいましたが、私ども聞いておる話では、大蔵省意見と食い違ったために裁判所が営繕費、これは裁判所の官舎の建設費だったと思いますが、土地の問題その他で大蔵省からいろいろと御注意があったというようなこともこれあり、結局裁判所がみずからこれを取り下げてチョンと。自後、こういうことをするとこういうてんまつになるのが関の山であるから気をつけるようにと。それ以来こういうことは発動されない、こういうふうに承知をしておるわけでありますけれども、しかし、法律が定めているところについては必ずこれは省略をしたりすることのないように、趣旨を生かしているなどというような勝手な言いわけをしないように、だれにでもわかるような運用をしていただきますように強く強く御要望を申し上げます。  国会の権威の危機であると私は思いますね。国会改革の大きな眼目であるということ。財政自主権を確立するということ。方法としては二つ、財政法の発動、もう一つは予備金の活用、ここのことについて全体に御注意を喚起して、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  123. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて元信君の質疑は終了いたしました。  次に、富塚三夫君。
  124. 富塚三夫

    ○富塚委員 最初に、円高問題。勢いがとまらない。一昨日は百十五円台、きのうはやや持ち直して百十六円台になっていますが、史上最高値を更新をしている。これはアメリカを初めとしてヨーロッパが、日本が大幅な貿易黒字を出していることを理由にして円高を容認するという姿勢が出ていると言われています。  それで、長引く不況にさらに円高攻勢ということになったのですけれども、大蔵大臣はさきにアメリカを訪問してベンツェン財務長官と会談をされた。そのときにはこういう想定は、アメリカ側のクリントン政権の新しいこういった一つの政策、流れということについてはほとんど感じなかったわけですか。
  125. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 富塚議員の御質問お答えいたしますが、私が先々週ベンツェン財務長官にお会いしましていろいろお話をいたしました。そのときには、日本の京都でバーグステンというアメリカの元財務省の役人をしておられました人が円高というような話をされたという話がありまして、若干の為替の動きがありましたことは事実であります。そうした話でありましたけれども、お互いで話をいたしまして、特にアメリカ側が意図的に円高に持っていくとかなんとかという話は一切ありません。私の方はそういうふうに思っておりますし、また、私たちは基本的にファンダメンタルズによって為替相場というものが安定的に動いていくことが必要であろう、こういった共通な認識は得たものだと私は理解をしております。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  126. 富塚三夫

    ○富塚委員 政府は大蔵省を中心にして円高はやや行き過ぎたという懸念を表明しているとも言われていますけれども、当然こういうクリントン政権になって貿易黒字を解消させるために円高誘導というものをアメリカがやはり考えるということの問題は、もっと政府は正確に受けとめて私は対処することが必要なんじゃないかという点で、どうも円高が勢いがとまらなくなると、政府も今度はびっくりしたような形で、じゃどう対応するかということの問題を考えているように思われるのですが、二十七日ですか、ロンドンで開かれる先進七カ国の大蔵大臣会議あるいは中央銀行総裁会議などで当然大きな問題になると思うのですが、政府は基本的にどのような対応をされようとするんでしょうか。
  127. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 まだ私がどうなるかというのは決まっておりませんからどうだということは申し上げませんが、このG7会議におきましては、今回はイギリスの大蔵省からやろうという話がありました。それだけ。あと強いて決まっているといえば、会議終了後にコミュニケは出さないということが決まっておるわけでありまして、内容等についてはどういう議論をしましょうとかという話もまだいただいてないところでございますが、仮に為替相場の問題について話が及んだ場合には、我が国といたしましては、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えておりまして、各国とも私は同じような意見ではないかなというふうに考えておるところであります。いずれにいたしましても、人為的に円高誘導をするといった話になることはあり得ないものだろう、こういうふうに考えております。
  128. 富塚三夫

    ○富塚委員 長期不況に追い打ちをかけられた、今度は円高ということになって、内需拡大政策がさらに重要になってくる。さらに重要になってくる。実は、クリントン大統領と渡辺外務大臣の会見の中で、サミットまでに三%成長達成見込みがないときには追加の措置を、景気対策をとらなければならない、とるというふうに約束した、こう伝えられているのですけれども、まさにこの内需拡大政策を今度の七カ国の蔵相あるいは中央銀行総裁会議で、G7でここのところを強く日本が相 手に要求されるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  129. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 渡辺外相が何かお約束をされたというふうなお話がありましたが、私はそういうお話は聞いておらないところでありますし、日本は今一生懸命景気に配慮した予算の審議をこのようにお願いをしておりまして、この予算をやっていき、いろいろな金融政策、対策その他のいろいろな問題もありますが、総合経済対策を昨年の八月に決めまして、それを着実に実施していき、予算を成立をしていただければ、必ずや安定的な経済成長路線に入っていけるものだということを私たちは確信をしておるところでございまして、そういった形で各国にも日本の立場は御説明をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  130. 富塚三夫

    ○富塚委員 政府・与党は、円高問題に対処するために、この予算が成立した後にさらに総合景気対策を急がなければならないといういろいろ相談に入っているということを伝えられている、一部報道で伝えられておりますけれども、一体この事態をどういうふうに見ているのか。  経企庁長官、こういった円高攻撃という新たなそういった流れは当然想定されておったと思うのですけれども、そういうことがアメリカの、あるいはヨーロッパなどのそういった日本に対する円高攻撃といいましょうか、そういう問題に対処するということを考えておらなかったのでしょうか。経企庁長官、どうなんでしょう。今、本予算を議論をしている、もう円高問題が出てきたらざらに景気対策を政府は、自民党は考えなければならない、しかもこの国会中に補正をつくらなければならないというふうに言われて、余りにも政府が無策というか、見通しが甘いというふうに言われてもしょうがないんじゃないでしょうか。どうでしょう、経企庁長官。
  131. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えをいたします。  今富塚委員御指摘のような円高の状況、これは為替相場が思惑等によりましてこの一、二週間、短期間のうちに大きく変動する、こういう状況でありまして、先ほど大蔵大臣からお答えがありましたけれども、私どもとしては為替相場というのは基本的には経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移をすることが望ましい、こういうことでございます。そして、今までのようなこの急激な動きというのは、これはやはり経済にも悪影響を与える可能性があって、これは好ましくない、このことも既にお話をしているわけでございます。  ただ、この円高の傾向が一時的なものであるのか、それとももう少し中長期的なといいますか恒常的なものになるのであるかどうか、この辺はまだ状況として完全に固まっていないということもございますので、これから先の動きというものを本当に我々は注意深く見ていかなければいけない、こう考えております。  基本的に申し上げますと、円高が進むということが、これはすべて経済にマイナスということではありませんで、もちろん数量効果ということで、輸出が減り輸入がふえる、こういうことで黒字が解消していく可能性ももちろんあるわけでございますが、同時に、輸出産業というものに対する影響というのもやはり片方で考えておかなければいけないわけでございまして、その辺、今後の推移を十分に見守りながら機動的に経済運営に対応していくべきであろう、こう思っております。
  132. 富塚三夫

    ○富塚委員 政府の態度は後手後手を踏むというか、やはりこの予算案の総括質問の中でもいろいろなやりとりがあって、とにかく政府はこの予算で成長率達成にも努力をする、やれる、やってみたい。ところが、新たな円高問題が出てくると、さらに消費不況に、新たなそういう攻撃は輸出産業に大きな影響を与える、さまざまな影響を勘案してすぐに景気対策と、こう出てくるんですけれども、我々野党は、内需拡大のために減税を、所得減税をさまざまな問題で論戦を張ってきたんですけれども、もっと政府は先を見て積極的にこの予算案を修正して、新たな対応を考えていくということはできないんでしょうか。どうも何か我々、政府が予算案を出して我々に審議をさせて、また今度は次のことがあるにもかかわらず、依然として何かだんまりを決め込んでいるみたいな、そういうやり方というのはどうかと思うのですが、余りにも政府のそのやり方が後手後手を踏んでいるような感じがするんですが、どうですか。
  133. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 私どもの方といたしましては、八月につくりました総合経済対策で十兆七千億というまれに見る金額の需要喚起策を行いましたし、平成五年度の予算におきましても、景気に配慮した予算を組んで、公共事業、また財政投融資、また地方単独事業等々をやりまして、相当に私たちは景気に配慮をしてやってきておる、こういうことでございます。正直申しまして、その予算を組んだから、きょう予算を組んだからあしたからよくなるなどということでは正直言ってないと思います。それは、予算の執行がだんだんされて、それで需要がついて、それから品物が動いてきて、すると給料が払われるというような格好でございますから、経済の動きというのは、きょうやったからあしたすぐにというような話ではない。私は、そういった形で経済が必ずやよくなってくるものだ、こういうふうに信じてやっておるところでございまして、後手後手とおっしゃいますけれども、余り風説に惑わされてやるのもいかがかな、お互いやはり十分先を見て私たちはやっていかなければならないのがお互いの政策ではないかな、こう思っているところでございます。
  134. 富塚三夫

    ○富塚委員 与党の政審会長は投資減税とか住宅減税のことを盛んに今随所で言っておられるのですけれども、我々は所得税の減税、野党の修正案を恐らく出すことになると思いますけれども、その減税問題について、どうなんですか、大蔵大臣、もうそろそろそのことを真剣に考えるという気持ちにはならないのですか、与党の中のそういう議論も踏まえて。どうなんですか。
  135. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 いろいろと新聞に出たりなんかしておりますけれども、私の方にどうだというお話はまだないわけでありますし、今現在こうして予算案の審議をやっていただいておるところでありますし、私どもはこの予算がおかしいとかなんとかというお話は聞いていないわけでございまして、これをまず成立させていただくことが当面の一番の大きな問題ではないか、こういうふうに考えていることを改めて申し上げておきたいと思います。
  136. 富塚三夫

    ○富塚委員 大蔵大臣、この国会中に新たな補正、予算が成立して新たな補正予算考えるということは全くない、あり得る、どうでしょう。どういうふうに考えておられますか。
  137. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 経済というものは生き物だと申しますか……(富塚委員「一般論じゃなくてね」と呼ぶ)はい。でありますから、どんな事態になるかということは私は予測つかないと思います。例えて申しますならば、先ほどありました円高の方の話でも、あれは全くの思惑でありまして、思惑まで私たちが予測するというのはどうかな、こう思ってやっているわけであります。いろいろな場合がありますから、適時適切な対策は一般論としてとっていかなくちゃなりませんが、私は、今のところの状況でいくならば、新しい追加的な施策は必要でないというふうに考えております。
  138. 富塚三夫

    ○富塚委員 今の情勢から見ると、新たな景気対策を想定しなければならない、そういう一つの流れになっておって、しかも先進国首脳会議が七月に想定される。大きな経済問題が議題になる。内需拡大政策が要求される。そして、補正予算という問題は全く考えないなどと言って、そのときに補正予算ということを新たに考えるなんてなったら、大蔵大臣、おやめになるのですか。
  139. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほどもお話ししましたように、経済の運営を預かっている、財政を預かっているわけでございますから、それはそのときにいろいろなことは考えていかなくちゃならない。しかしながら、今現在で申し上げますならば、先ほど申し上げましたように、今のところはこの予算 を成立させていくということが一番大切なことである、そういうふうなかたい信念でやっておるところでございます。
  140. 富塚三夫

    ○富塚委員 いや、私は、ベンツェン財務長官とあなたが会った、会ったときにアメリカのそういうことが察知することができなかったのか。渡辺外務大臣はクリントン大統領と会った。サミットまでに三%達成見込みがないときには新たな追加措置をやる。それは本来なら政府の問題として議論されなければおかしい問題。特定の大臣が行ってぼろぼろ何か感想だけ述べているような状況ではないんじゃないんですか。どうなんですか。そこのところがちぐはぐでいったら、一体予算案を審議している我々は何なのか。盛んにいろいろな問題を提起してやっているわけですけれども、どうですか、経企庁長官。あなたは統計だけとっていればいいというんですか。まあ、大蔵大臣
  141. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 私もクリントン大統領にもお会いいたしましたし、お話も申し上げました。クリントンさんから、アメリカと日本と一緒になって協力していろいろな点でやっていかなければならない。私から、アメリカ経済がやはり競争力を持って強くなってもらわなくちゃなりません。もう一つは、財政再建というような話もありましたから、ドルは強い通貨であってもらいたい、健全通貨であってもらいたい、こういうふうなお話は申し上げました。特にベンツェンさんとまた話をいたしました中で、アメリカから、先ほどお話がありましたような円高誘導を人為的にやるなどというような話はこれから先も出てなかった。お互いがファンダメンタルズを中心にして安定的な形で動いていくという話を私の方から申し上げましたから、それはそのとおりだと私は理解をしておるところでありますし、その辺につきましてアメリカが別のことをやろうというふうに考えているとは私は思っていないところでございます。
  142. 富塚三夫

    ○富塚委員 後手後手を踏んできた、景気対策、政府の姿勢、それはそれなりに政府も認めておられる。それで、今度は先進国首脳会議がある。紛れもなく日本の貿易黒字解消問題が大きな問題になる。それはイコール内需拡大政策の問題に要求をされることが決まっていると思うのですけれども、最も常識的な今の置かれている状況だと思うのですが、何か財務長官と会ったり大統領と会って慰め合って帰ってくるだけの問題ではそれは……。  だからそこのあたりが、せっかく訪米をされて、この事態になることがなぜわからなかったのかというのは、僕は、こういう円高攻撃の問題、円高容認をする問題などがなぜわからなかったのかということを非常に変に思うのですけれども、やはりもっと積極的にこの局面を解決するために野党の意見も聞く、修正案も受けて立つ、さまざまな広い視野で議論をしてみるというふうなことはできないんですか。重ねて。
  143. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 まずアメリカでお話をいたしましたときには、既にベンツェンさんの方でも円高の思惑が出ておるという話は知っておられましたが、先ほど私が申し上げましたように、ファンダメンタルズを反映してやる、こういうふうな話です。正式の会談の場所じゃなかったと思いますけれども、ベンツェンさんが言っておりましたのは、バーグステンという人が話をしておりまして、バーグステンとベンツェンというのは英語で言うと発言が非常に似ているので間違えられて困るんだというような冗談まで私に言っておったようなこともあります。そんなこともありますから、私は、思惑をどうだこうだということではないと思います。しかしながら、一般にいろいろ新聞等で伝えられておりますような話はあるいはアメリカの中にはあるかと思いますが、私どもはそういった形のものを持ってない、お互いが政策協調をいろいろな形でやっていかなければならない。そういったことについての話し合いを、今度のG7で話し合いをしていくということになるかと思いますけれども、私は、先ほど来お話を申し上げたような格好で対処してまいりたい、そういったことでございます。  そんなむちゃくちゃな状況になってきているということはないんではないかな。新聞でいろいろなことを言われておりますけれども、私は、やはり昨年の総合経済対策、あれだけのものを出したわけでありますから、その効果が全然出てこないなどということはありようがない話だろう。それから今度平成五年度でも、一〇%以上に上がるところの政府公共投資というものが出てくるわけでありますから、これもかつてないような形でありますから、そういったものが効果が出てこないはずがないと私は思ってやっておるところでございます。
  144. 富塚三夫

    ○富塚委員 ぜひひとつ、置かれている日本の経済環境というものをしっかりと政府は受けとめて、閣内の統一を図って、きちっとした展望を持つべきだと私は要望をしておきます。  通産大臣がお忙しいそうなので、実は私は二〇二〇年をピークとする高齢化社会の対応について、主として政府にただしてみたいというふうに考えておるのです。  御案内のように、今日は成熟社会とも言われる中で、環境あるいは女性、生活、生涯教育問題を含めて高齢化社会の問題が大きな問題になっています。私は総括質問の中でも、冷戦構造崩壊後の世界の流れを受けて、日本も平和の配当として福祉政策重視へ政策や予算を転換をしていくべきではないのか、その時期に来ているのではないのか。厚生大臣まだお見えになりませんから、そういう中で、社会保障制度審議会の社会保障将来像委員会が中間答申を出されたことなども後で質問をいたしますが、特に年金と雇用の関係からして、通産省が取り組んでいるメロウ・ソサエティ構想、情報化円熟社会構想というものについてどの程度検討が進んでいるのか、つまり高齢者の健康や生きがい、就労などを支える社会システムの改革あるいは雇用や人材活用、能力開発、さまざまな観点からこの問題を提起をされているのですけれども、一体どの程度この構想の検討が進んでいるのでしょうか。通産大臣にお伺いします。
  145. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま御指摘のメロウ・ソサエティ構想につきましては、高齢化社会を迎えまして高齢者の方々の積極的な社会参加あるいは健康な生活、こういったものを実現していくために、現在大変技術的に進んでおります情報技術をできるだけ活用しょう、こういう趣旨で始めているものでございます。現在まだ、いろいろなシステムがどういうふうに活用できるかということにつきまして、いろいろな構想に基づいて調査並びに研究を行っているところでございます。例えて申しますと、ボランティア活動への高齢者の参加の機会をどうふやすか、あるいは生涯学習の機会に関する情報、また健康の問題が大変重要でございますから、そのための健康・医療情報のファイリングシステムの開発といったようなこと、さらに情報化時代に大変大切なことだと思っておりますのは、いろいろな機械、機器、これらを現在よりは非常に使いやすくする、高齢者が非常にアクセスしやすいような機械も開発しなければいけないだろう、こういったようなことを含めまして、現在幾つかのシステムにつきまして調査研究を行っているところでございまして、フィージビリティースタディーが現在中心になっております。これらの検討結果を踏まえまして、例えば今後モデル都市のようなものを選びまして、そこでこういった構想を、現実の技術を応用したネットワークの実験その他をこれから行っていきたい、こういう段階にあるわけでございます。
  146. 富塚三夫

    ○富塚委員 企業がいかに構造の改革をしていくのかという点で、やはり雇用問題のとらえ方をしっかりと位置づけてやらないと、今の話ですと、何かこう柱を立てて議論をしている。後でまた六十五歳支給と雇用の問題というのはどうなるのかということを尋ねてみたいと思うのですけれども、もっと企業の構造改革という点では、やはり積極的に雇用問題を通産省が取り上げていくという姿勢にないとだめなんじゃないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  147. 森喜朗

    ○森国務大臣 今先生から御指摘ございましたよ うに、今後社会の高齢化が急速に進んでまいります。そういう中で、労働力の確保の観点だけではなくて、高齢者自身が勤労を通じて生きがいを持つという観点からも、企業におきます高齢者の雇用の促進が大変重要な課題になっているというふうに私どもも考えておりまして、富塚委員の御指摘のとおりでございます。  通産省といたしましては、同様な認識に基づきまして、学識経験者等から成ります懇談会を開催をいたしまして、平成三年五月に、高齢者等の多様な勤労観に対応できる雇用システムの確立や高齢者の能力開発の促進等を内容とする提言をいただいたところでございます。  企業におきます雇用は、基本的には労使間において自主的に決定されるべきものでございまして、当方からとやかく申し上げるものではございませんけれども、通産省といたしましては、引き続き関係省庁との連携をとりながら、高齢者の積極的な活用に向けた産業界の啓発にさらに努力をいたしたい。そして、企業が高齢者を雇用しやすい、例えばわかりやすい情報機器の開発を進めるなど、そうした新しいメディア、情報機器にこれからの高齢者の人たちも親しめるような、そういうような開発も進めて、環境の整備に努めてまいりたい。そういうことを通産省としては各産業界にも指導していきたい、このように考えております。
  148. 富塚三夫

    ○富塚委員 一つだけ要請しておきたいのは、これから年金の支給時期と雇用の関係というのは大変な問題になるのですけれども、同時に、高齢者の生きがいを追求していくための就労方式とかさまざまな問題について、やはり通産省の側も、企業をどういうふうに指導するかという点で積極的に取り組んでいっていただくことだけ注文をさしていただいて、大臣所用のようですから、結構です。  そこで、厚生大臣お見えになりました。さきに社会保障制度審議会の社会保障将来像委員会が、社会保障の理念等の見直しについて答申をされた。しかし、これは評判が余りよくない中間答申になっているように見受けられます。基本理念は非常に立派に書かれておっても、各論の問題になると整合性がなかなか出ていないというふうに思うのですが、この答申について、これから本答申に向けてさらに審議をされていくやに聞いておりますけれども、非常に官僚的な作文になって、何かこう形式的な答申みたいになっているのですけれども、これでは実際に社会保障将来像というのが出てくるような形になるのでしょうか、どうでしょうか。厚生大臣の所感を伺いたいと思います。
  149. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 厚生委員会が同時並行でございますので、おくれて参りましたことをまずおわびを申し上げます。  高齢化社会におけるいわゆる福祉のあり方という点につきましては、先生も前々から大変御勉強なさっておりますように、いろいろな議論があるわけでございます。問題は、給付と負担のあり方、ここをどこに求めていくか、こういうことであります。つまり、国民の皆さん方から見まして、高福祉高負担なのか、あるいは中福祉中負担なのか。この辺の接点をどこに求めていって、まさに国民の皆さん方の御理解を得られるような社会保障のあり方というものを今後検討していかなければならない。そのためにも、先生がかねてから御指摘なさっておりますように、国民から幅広くいろいろな形を通じて議論に参加していただきまして、今後の社会福祉のあり方について検討を進めていきたい、このように考えております。  その文章が非常に抽象的かどうかということにつきましてはちょっとコメントを差し控えたいと思いますけれども、医療であるとかあるいは年金の分野においては、より具体的ないわゆる将来像というのを今後示していきたい、このような決意でございますので、御理解を賜りたいと思っております。
  150. 富塚三夫

    ○富塚委員 理念論争に終始して国民に具体像が見えてこない。それはその財源の問題、裏づけの問題をどうするかということについて、今もおっしゃいましたけれども、高福祉ストレート高負担、あるいは高福祉、国家の補助、助成、そして適正な負担、応分の負担、そういう問題をどうしていくのかということの基本的な筋道を立てて、同時に財源をどういう裏づけを考えていくことにするのかということに踏み込まないで、いつまでも理念論争をしていても私はこれは進展がないのではないかと思うのですが、どうも厚生省と大蔵省がにらみ合いを続けて、ケース・バイ・ケースの解決策だけで来ておって、将来像というのは見えてこないというふうに思うのですが、どうですか、大蔵大臣、厚生大臣
  151. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 厚生省予算というのは本年度十三兆一千七百億円でございます。特にその中で大きな比重を占めますのが、医療費関係が五兆円、そして年金関係が四兆円、こういうことで、大変高齢化が進むに従いまして莫大な予算の捻出が要求されておるわけでございます。そういう中で、私どもといたしましては、要求すべきものについてはきちんと要求をしなければならないわけでございますが、とにかく財源に制約があるわけでございます。今回の予算の編成につきましては、一般財源化等を通じまして、大変苦しい中で厚生省予算を編成したわけでございますが、結果的には私どもが十分に満足できるような予算編成ができた、このように自負をいたしておるわけでございます。  今お話のあった問題につきましては、当面というよりは、私は率直に申し上げて、中長期的に見て医療に対する国民の、いわゆる税金の国庫補助はどのぐらいあるべきか、あるいは年金の給付に対する国庫の補助はどのぐらいあるべきか、こういうものをきちんと整理しなければならない、このように考えている次第でございます。
  152. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 委員御指摘のように、高齢化社会へ向かって福祉社会をどうつくり上げていくかというのは大変大きな問題でございます。私は明るく活力のあるところの長寿福祉社会というものを実現をしていくというのが目的だろうと思いますし、それに果たしています社会保障制度の役割というのは大変なものがある。また、この社会保障制度、この制度に対するところの国民の信頼を確保しつつやっていかなければならない。また、一方では国民に負担を求めるわけでありますけれども、これは経済の発展、社会の活力を損なわないという点でやはり考えていくということが必要だろうと思っております。  具体的には、今現在、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」という形で必要な施策につきましては重点的に配慮を行ってきているところでありますが、年金制度、保健制度、医療保険制度等を将来も揺るぎなく安定したものにしていくためには、やはり運営の効率化を図っていくということも必要でありますし、それと同時に、これらを通ずるところの給付と負担の公平化というものも図っていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  153. 富塚三夫

    ○富塚委員 公的年金の一元化について五十九年の二月閣議決定されておりまして、平成七年には実施したい。さきに社会保障制度審議会の年金数理部会が一元化への三つのモデルをまとめた。それは、すべての制度を統合一本化する、二番目には民間と公務員に分けて制度をまとめる、三番目には制度間の財政支援措置を延長するということなんですけれども、どうなんですか、厚生大臣平成七年にこれをまとめていくことができるのですか、一元化問題は。それでまた各論で言うと、民間と公務員に分けて、つまり、厚生年金や鉄道共済など民間グループと国家・地方公務員共済の公務員グループと分けて制度をまとめたほうが非常にうまくいくんじゃないか、やりやすいんじゃないかと言われているのですが、平成七年までにできるのですか。
  154. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 私どもは年金改正のスケジュールといたしまして、平成六年の財政再計算時にいわゆる厚生年金の支給開始問題について決着をつけて、平成七年を目途にして公的の一元化を図っ ていかなければならない。これは率直に申し上げまして、先生の専門分野でございますいわゆる鉄道共済等大きな問題を抱えておるわけでございますけれども、どの職業についても年金というのは等しく給付を受けるべきだ、こういうような観点から立ちまして一元化というものは避けて通れない、このように考えているような次第でございます。  現在私どもの方では、年金審議会でこれを検討いたしておりますけれども、私自身の考え方といたしましては、先生からも御指摘がございましたように、年金の一元化に当たりましては官民の格差を残したことでは国民の皆さん方の支持を得ることができないのではないか。それからもう一つは、各保険者の公平を図っていく、こういうことを念頭にしながら、とにかくすっきりしたわかりやすいような年金の一元化を目指していきたい、こういうような考え方に立つものでございます。
  155. 富塚三夫

    ○富塚委員 厚生年金中心、六十五歳支給問題が一応延び延びになって決まっていませんよね。  それで、どうなんですか。現在六十歳定年制というものを一つの目安にして雇用問題も考えられているわけですけれども、最近は不況の中で、管理職は五十過ぎるともう全部肩たたきに遭うとか悲惨ないろいろな状況が出ているようですけれども、労働大臣、定年制というのは一体六十五まで上げる可能性というのはあるのですか。六十歳すらなかなかまとまっていない状況なんですが、雇用の展望というか、そういう点の定年制の一つの展望についてどういうふうに見ておられるのですか。
  156. 村上正邦

    ○村上国務大臣 お答えします。  本格的な高齢化社会を迎える中で活力ある経済社会を維持していくためには、高齢者の高い就業意欲にこたえ、これまで培われてきた知識経験を生かしていくことは、社会全体の発展のためにも必要なことであり、また企業にとっても貴重な財産である、このような考え方に立ちまして、積極的に六十五歳までの雇用の確保を図っていきたい、このことは非常に重要なことである、このように考えております。
  157. 富塚三夫

    ○富塚委員 僕の質問は、何も抽象的に決意表明をお聞きしているのじゃなくて、どの程度のいわゆる定年制の今の企業の実態になっているのかと、労働省が把握していることについてお尋ねをしているのです。どうですか。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 齋藤邦彦

    ○齋藤(邦)政府委員 現在までの定年制の状況でございますが、平成四年四月一日現在で調査をいたしましたところ、六十歳以上定年を実施している企業の割合は七六・六%ということになっております。また、定年の改定を決定あるいは予定しております企業を含めますと、九割以上の企業が六十歳定年ということになっております。  ただ、六十歳を超えた高年齢者の方になりますと、いろいろと体力、能力その他個人差というのがございまして、六十歳までの雇用とは若干異なる面があるということでございますので、それ以上の方につきましても定年延長も当然あり得るわけでございますけれども、いろいろな多様な形態での雇用の確保というのが必要になってくるだろうというふうに思っております。  ただ、現在私どもが当面重点を置いておりますのは、六十五歳ぐらいまでは何とか継続して雇用していただけるようにということで、継続雇用の推進に全力を挙げているということでございます。
  159. 富塚三夫

    ○富塚委員 大蔵大臣、公務員とか警察官とか消防官というのは、定年を延長させるということは可能なんですか。どういうふうに大蔵大臣として見ていらっしゃるのか。公務員とか消防官とか警察官の定年というものをさらにこれから延ばすことの可能性というのはお認めになりますか。
  160. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 これは雇用問題全般の議論との関連で検討されることだろうと思いますけれども、私どもとしてそういうものを具体的に検討しているというような事実はございません。
  161. 富塚三夫

    ○富塚委員 結局、六十五歳支給にしないとなかなかこれから大変な時代になるという考え方は政府も持っている。しかし現実には、雇用問題など考えてみると、連動する、セットにするなんということはとても考えられない。しかも、公的年金一元化などといっても、公務員や消防官や警察官がそんなに定年を上げていくなんて簡単にできる問題ではないと私も思いますよね。  そうすると、一体、この公的年金一元化という方針は出ているけれども、やはりもうちょっと、六十歳支給なら六十歳支給で新たな選択方法を考えるとかいうふうにしなければ、つまり、さきの六十五歳案というものは撤回をして新たにやっていくべきだと思うのですが、どうですか。
  162. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御理解賜っておるわけでございますけれども、問題は、公的年金制度というのは給付とそれから保険料率と支給開始年齢、この三つが重なり合って初めて成り立っていくわけでございます。現在のいわゆる給付というのは、労働者の平均賃金の大体六九%程度を維持しておるわけでございますが、この六九%程度の給付を維持しながら考えてまいりますると、保険料率が現在一四・五%でございますが、これが、六十歳のままでいきますると三一・五%まで、これは実は平成元年の推計でございますが、その後もさらに出生率の低下等によりまして上がっているのじゃないかと思いますけれども、三一・五%まで上がってしまう。  こういうことになりますと、実際問題としてなかなか負担し切れないのではないか、こういう大きな問題を抱えておるわけであります。そこで、私どもといたしましては、厚生年金の支給開始を六十歳から六十五歳まで引き上げて何とか二六%前後まで抑えたい、こういう前提があることをまず御理解を賜りたいと思っております。  問題は、先ほどから労働省の政府委員からもお話がございましたし、また大蔵省政府委員からもお話がございましたけれども、六十歳定年というところまでは大方定着しつつあるわけでございますが、六十歳から六十五歳までの間が実際問題としてなかなか困難な問題を抱えておるわけでございます。六十歳以上で勤労意欲がありながら職につけない人や十分に賃金を確保できない人、こういう人に対しましては私どもは救済策を講じながら、そしていずれにいたしましても不安を生じないような年金制度というものを考えていかなければならない、このように考えている次第でございます。
  163. 富塚三夫

    ○富塚委員 ぜひ、雇用と年金給付の年齢をどう連動させるかという問題は、そんなに簡単な問題じゃないのですから、もっと実態を見て、通産省にも、企業の行動というか、企業にどう対処するか、いろいろな問題を含めてひとつこの問題は十分検討、再検討をしてもらいたい。  それから、厚生年金は今六・六人で一人を支えて、成熟度は一五・四、あるいはJRの年金は一人で一・六人、一七三・八%の成熟度で、まさに各公的年金制度の沿革も違うし、経営も別々に行われてきた中で果たしてうまくいくのかという問題は、これは大変なことだと思うのですね。個々の制度や成熟度の違い、個々の制度の運営努力だけではできないのだから、やはりそこは政府としてどう考えるかということの問題をぜひ検討してもらいたいと思いますことと、鉄道共済年金について、百五十億減額して制度間調整を今回も措置をするというふうになりましたけれども、前回、特例減額措置、これを平成五年に見直す、こう言っていた問題がずるずるとまた先行きわからない状況になっているのですけれども、私は、この特例減額措置を解除してもらいたい。  というのは、現にこの年金というのは、政府も言っているように、給付と負担の公平、そして財政の健全ということをもちろん考えていかなければなりませんが、給付と負担の公平という観点からいっても、一たんこの問題は戻すべき問題だと思いますけれども、これはどうですか。厚生大臣と清算事業団、ちょっと考え方を聞かしてください。
  164. 杉田昌久

    ○杉田参考人 先生のただいまのお話につきまし て、私ども鉄道共済といたしましては、他制度にいろいろ援助をお願いするという立場にありますと、逆に援助される方から、おまえたちのところ自助努力をしっかりやれと、こういうふうなことに対しまして、その辺のところを勘案いたしますと、私どもとしては、先生の御指摘のような受給者あるいは現役の抱える問題はわかっておりますけれども、そこら辺のところはどういうふうに全体としてバランスさせるのか、私どもから一方的にお願いするという立場にないことを御理解いただきたいと思います。
  165. 富塚三夫

    ○富塚委員 厚生大臣、やはりその財源事情にして制度間調整いろいろやられてきたわけですけれども、給付がやはり著しく不公平になっているという問題で、この問題はもとに戻して、そして再出発をしていくべきだというふうに考えますので、時間の関係がありますから、厚生大臣、そのことを強く要請をしておきます。  それから次に、いわゆる高齢化社会が到来をすることの中で、出生率、つまり子供さんを産んでいくという問題で、日本は合計特殊出生率が一・五三人で、大変これから心配になる。それで、西暦二〇二〇年にはまさに、団塊の世代と言われた時代に生まれた人たちも七十歳代に入って大変になる。スウェーデンがやっている少産化対策、これを参考にすべきだということが盛んにちまたで言われているんですけれども、育児休業法の施行というもの、まあそれなりに日本も考えたのですけれども、まだまだこれはもう穴だらけで、結局、一歳半までは休業を両親の一方ができる、また八歳や小学一年生までは一日労働時間を四時間か六時間に短縮するといったように、やはり日本の場合にも出生率を回復、克服するには、この育児休業法で、つまり女性が非常に産みやすいといいましょうか、子供を産みやすい、安心して産んでいくことのできる環境づくりをしていくということが私は非常に重要な問題なんじゃないかと思うのですが、どうですか、厚生大臣
  166. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先生御指摘のように、出生率が年々低下いたしておりまして、最近の調査ですと一人の女性が生涯に産む子供さんの数は一・五三ということであります。  そこで、私どもといたしましても、子供を産んで育てたいという女性の方々が社会生活の中で安心して子供を育てられるような総合的な環境づくりというものを行っております。最近、女性の職場進出というものは大変目覚ましいものがあるわけでございます。そういう中で昨年、育児休業制度の確立を図りました。また、職場内における保育所の充実を図る一方、児童手当の拡充、こういうような諸施策を行ってきたわけでございますし、また平成五年度の予算におきましては、子供のためのショートステイ、子育て相談の施策などを通じて、健全な子供の育成と、その結果、結果的に子供さんの数がふえる、こういうような施策というもので出生率の歯どめがかかる、こういうようなことを期待して数々の施策を行ってきたような次第でございます。  それで、富塚委員御指摘のスウェーデンの事例でございますけれども、私どもも今後の課題といたしましてよく検討していきたいと思っておりますけれども、率直に申し上げまして現時点においては、育児休暇制度におきましてもまだまだいろいろな点の議論が、事業主との関係で保険料率をどうするかとか、こういった問題も残っておるわけでございますし、いまだ率直に申し上げましてこれが直ちに我が国に導入されるような環境に熟しておらない、こういうふうに考えております。
  167. 富塚三夫

    ○富塚委員 日本の育児休業法は、まだまだそれはいろいろな穴があり、穴だらけで実際にはとても国の保障として、あるいは企業が保障してそういう環境をつくれるなどという状況にあるとは見ていないので、まず出生率を克服するという問題もひとつ政府は真剣に考えてもらいたい。  医療制度の問題について、まあ年々医療費がかさんでいくこと、それは今の状況ですけれども、平成四年七兆円と予測される老人医療費のうちに、二兆円くらいは薬づけでむだな医療費になっているのではないか、一部でそう言われているわけですね。それで、医師の診察、そして薬の治療、どうも薬優先で薬づけになっていく、これは古くて新しい問題ですけれども、お医者さんのモラルといいましょうか、この薬づけ問題をどう克服するか。二兆円のむだを在宅福祉に回すと五十万人の特別養護老人ホームができると。どうも最近は病気を治すというよりも診て薬をやるという形のものに医療制度がなりがちなんじゃないかという一面の見方もやはりあるんですし、そういう点をどう克服するか、これは大変な問題だと思いますけれども、これも高齢化社会の対応の大事な問題だと思うんですが、どういうふうに厚生大臣は見ておられますか。
  168. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先生御指摘のように、国民医療費のおよそ三分の一を薬が占めておる。こういう中で、いわゆる薬づけということが社会的にも大変指摘されておるところでございます。  そこで、私どもといたしましては、いわゆる薬業界における流通改善によって、いわゆる薬価差益によってこれまで病院の経営というのは成り立っていたのではないか、こういうような姿勢を改めていただくためにも、流通改善というものを行ったわけでございます。  それから、その一方で、老人病院におきましては、いわゆる投薬であるとか検査であるとか注射であるとか、こういうものを総括的にマルメ方式と呼んでおりますけれども、定額払い方式によりまして、こういうものを導入することによって過剰な薬の使用をひとつ抑えていこうではないか、こういう方針を打ち出しております。その結果、各地区の老人病院では、むしろ、こういうようないわゆる定額制の導入によって薬がある程度抑えられたこと等によって、かえってお年寄りが大変お元気になった、食が進んだ、いわゆる生活能力が向上した、こういうような結果も出ておるわけでございますので、今後ともこういうような基本方針にのっとって推進していきたいと思っております。
  169. 富塚三夫

    ○富塚委員 介護を必要とする高齢者が二〇二〇年になると二千五百万人とこうなる。私は総括質問で、ゴールドプランの問題の見直しということの観点は、まあ政府は政府なりに努力して、四年目に入るんでしょうか、四年目に入ったんでしょうか、それで問題は、地域の実情に合った介護のシステムというものをやはり考えていくことが必要なんじゃないかという点で、中央が画一的に決めて落としていくというやり方じゃなくて、地方の寝たきり老人をなくしていくあるいはそういった介護の施設を考えるとかという問題は、地域の事情に合ったやり方に変えていく必要があるんじゃないか。私の神奈川で、川崎が在宅介護のリリーフ役ということを始めて、あるいは湘南鎌倉病院では、訪問看護の体制強化ということで、千人に一人から三人にした。それぞれ皆工夫をしてやっている実情があるわけですね。これにはやっぱり国も県も市町村もこういうことを積極的に取り上げていかなければならない。ところが、現実に何か高齢者を抱えておる地方自治体ほど余り関心がない、やり方が非常に遅い。だから、もっと地域介護制度がもう地域の実情に合ってできるような仕組みに変えていくということを私は検討をしてもらいたい、こういうふうに思うんです。いろんな創意工夫をしてやっている箇所がたくさんあるわけですから、その点を考えていただきたい。  それで、次は、社会保障制度を補完する生命保険の役割。生命保険、簡易生命保険は、不慮の事故や病気の備えあるいは老後の生活資金を確保する保障、つまり死亡保障とか老後保障とか医療保障として総合的な生活保障を手段として、国の社会保障制度を補完しているというのは御案内のとおりであります。  連合なども、国民の九割以上の世帯が加入しているんだし、人生八十年、二十一世紀に向けて安心とゆとりある社会を目指して福祉税制として生命保険税制を考えてみたらどうか、あるいは政策福祉減税というものをいろいろ提起をしているん ですけれども、これも一つの課題として、今後問題としてひとつ検討してもらいたい、こういうふうに思うんですが、今、生命保険控除の限度額が昭和四十九年から十七年間五万円で据え置かれたままになっているんですね。毎年取り上げられるけれどもまだ、つぶれてしまうというか実施されてない。五万から十万に引き上げていくべきだ。家庭収入と物価はもう二倍に、あるいは年間保険料払い込みも四十八年と比較して四倍になっている。所得税、地方税それぞれの所得限度額の実質価値を維持するためにも引き上げは当然だというふうに我々は考えているんですけれども、どうですか、この問題について。
  170. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  生命保険料控除五万円が据え置かれておる、状況が時間の経過とともに変わってきておるからこれを引き上げたらどうかという御指摘かと存じますけれども、生命保険料控除をめぐりましてはいろんな論議がございまして、一つの論議としましては、利子課税のかつて見直しが行われました際の論議としまして、他のいろいろな金融商品とのバランスから見て、なぜ生命保険料控除だけをああいう形で優遇し続ける必要があろうか、あるいは、生命保険料控除ができました当時は普及率も低かったと思いますけれども、今は相当な範囲で普及してきておる、すべての制度というものはその状況に応じて見直されなければならないけれども、まさにそういう意味においては、あれこそ見直すべき必要性が生じておるのではないかというような指摘が一方にございました。他方の議論といたしまして、個人年金に関連いたしまして新しいニーズが起こっておる、そういう面において生命保険料控除というものの働きというものは将来ともより大きな意味があるという論議がございました。  そのいろいろな論議の結末といたしまして、年金保険に係ります部分につきまして特別に増枠をするということが前回見直しのときの結論でございまして、議論といたしましては、どちらかといいますと、そういった新しいニーズヘの対応ということが是認されつつも、生命保険料控除本体、従来の本体につきましては、外国の制度などと比べました場合でも、果たして今のままでいいんだろうかという感じの議論が政府税制調査会などの議論におきましてもかなりあったというふうに記憶いたしております。  そういう論議の背景がございますことを御報告申し上げておきたいと存じます。
  171. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、例えば鉄道共済年金の給付凍結の問題でも、今のような問題でも、やはり正すべきところは正して、新しい高齢化社会に対応する政策の柱を立てて、イコール財源の問題をどうするかということをやはり国民的なレベルで議論をしていくべきだということを考えているわけですが、ぜひ、大蔵省も問題意識は十分持っていらっしゃると思うんですが、前向きにひとつ考えていただきたい、こう思います。  それで、最後に、この問題で二つの提案なんですけれども、一つは、行政組織が、例えば高齢化問題は老人福祉課という一つの部局だけでやっているという時代ではない。もう財政も保険も職業教育という関連部局が連携する形でのシステムをつくっていかなければならない、私はそういうふうに思うんです。そして、政策づくりや行政の対応が中央型中心でなくて、地方自治体やボランティアとして活動していた地域の民間組織なども十分組み入れて、そして動かしていくようなシステムをつくっていくべきだ、これが第一の問題であります。  もう一つは、高齢化社会に対応する福祉財源をどうするかということの問題で、これは年金制度は世代間扶養の仕組みで運用されておりますから、世代と世代の契約という性格を持っているために、国民全体の合意をやはり取りつけていく必要があるし、今のように、制度審議会とかどうとか、それぞれの省庁のいわばケース・バイ・ケースの政策の裏打ちとなるような審議会答申を受けてやるんじゃなくて、もっと国民諸階層の参加によって、いわゆる先ほどから申し上げましたように、雇用と年金の支給の時期、中身の問題あるいは出生率の対処の問題あるいは医療の問題、そういった課題に向けて、これは私は、高福祉をするなら当然国家の助成、負担と応分の国民の負担、そういうことを考えていくという点で、具体的に国民の間に政府は責任を持って柱を提起をして、そして財源をどうしていくのかということをやはり問うことが必要なんじゃないか。矛盾点は全部解消していく、そしてそういう時代に乗る、与党も野党もない、革新も保守もない。高齢化社会にはどう対応するかというのは、私が言うのは、高福祉であり国の助成であり適正負担という問題を、柱を立てて、高福祉高負担だけの問題じゃなくて、やはりいろんな角度から問題を提起して、政府が政策の柱をつくって、財源はどうあるべきかということを、これは単に中央の省庁を中心とする審議会なんかじゃなくて、各地域の、あるいは中央ももちろんそうでしょうけれども、いろんな諸階層が入って、徹底した議論の中にコンセンサス形成を私は図っていくべきではないのか。それがないと、高齢化社会への対応というのはばらばらになって、後手後手になって、大変日本の前途が暗いものになりはせぬかという点で、私はその点について問題を提起をしているわけです。  どうですか、大蔵大臣、厚生大臣。決意をぜひ。
  172. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 一般論と具体論と二つございましたから申し上げておきますが、一般論といたしまして、福祉社会をどうつくり上げていくか、私はこれは、お互いの置かれたところの、今一番大きな問題の一つだろうと思います。  二〇二〇年には高齢化人口がもう四分の一にもなる、こういうふうな話でありまして、そのときまでにどういうような形を考えていくかというのは、お互い本当に議論をしていかなければならないところでありますし、先生の御指摘にもありましたけれども、高福祉、こういうことでありますが、高福祉という形になれば、やはりだれかが負担をしていかなければならない。今の、やはり私は社会保障制度というものがありまして、やはり保険システムでやっている。年金にいたしましても、また医療にしましても、保険システムというものを中核としてやっているところでありますし、また、これをさらに国民の負担を求める、こういうことになりますと、政府の方と国民の負担、こういうふうな話がありましたが、政府の方の負担というのはしょせんは国民の負担でございますから、私は、その辺をどういうふうにやっていくかというのは大きな課題だろう、こういうふうに考えております。  私は、やはり社会保障制度に対する国民の信頼を、今まで私はあると思いますから、その信頼をやはり揺るがないようなものにしながらこれからの仕組みを考えていくことが必要だろうと思っておりますし、大蔵省も厚生省も、またそのほかの省庁も、一体となってこの問題に取り組んでいかなければならないものだろうと思っております。  それから、民間組織でというような話もありました。確かに私は一つの御見解だろう、こう思いますし、私なども地元でいろんなお話をいたしましたときに、今先生からお話がありましたような、こんな病院やったらどうだとか、いろんなことをやはりやっておられるのですね。私のところでもやっておりますのは、病院でボランティアサービスをやった人については後でその病院で面倒見てあげましょうというような話がありましたり、いろんなことをやっておりますから、私は、そういった形の、民間でやはりやっていくというようなことがあると思いますが、制度全体の問題をそんなところで議論をしていくというのは、一体なじむものかどうかな、もう少し考えてみなくてはならぬ話だろうと思います。  私は一般的に、社会保障の制度というのは社会全体の話でございますから、特にお年寄りをどういうふうな形で守ってあげるか、老後の世界を豊かなものにしてあげるかというのはお年寄りだけの問題じゃなくて若い人たちの話でもあるだろ う、こう思いますから、そういったことも何か考えていかなくてはいけないが、さあそれじゃどんなことを政府の方として考えたらいいのかなということもありますので、少し考えさせていただきたい、こう思っております。
  173. 富塚三夫

    ○富塚委員 時間の関係がありますから、私はきょうは、高齢化社会の問題でさまざまな観点から、やはり政府は一元的といいましょうか政策の総合化を図っていくという点で問題提起をきちっとしていただいて、財政当局といわゆる片方の厚生省とぶつかり合って、それでその場限りのケース・バイ・ケースでいくような対応ではなくて、考えて提起をしていただきたいというふうにお願いをいたします。  それで次に、そういう中で防衛庁長官防衛費を削減をする問題について少し前向きに検討してもらいたいという点で、防衛計画大綱の見直しと防衛費の削減の問題についてまず御質問をいたしますけれども、昭和二十九年以来、六十兆円に及ぶ防衛費を日本国民は負担をしてきている。その後自衛隊の増強、米軍の日本駐留または軍事訓練や――いいです。経企庁長官もいいです。日米共同の防衛研究などを進めてきていますけれども、紛れもなく旧ソ連を仮想敵国とみなして有事のシナリオをつくってきたというふうに思うのです。これがまさに情勢が変わってきたのですから、やはり基本的に防衛計画大綱を見直していくべき時期に来ていると思うし、中期防の問題でも、若干削減している問題は評価をしていますけれども、やはりその点をどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  174. 中山利生

    中山国務大臣 富塚委員御指摘がありましたように、米ソ両超大国の対立といういわゆる冷戦構造というものは崩壊をいたしましたし、その後、やはり平和に向けてのいろいろな努力が行われているということは確かでございます。  しかし、今我が国の防衛計画の大綱が考えておりますことは、もう私が申し上げるまでもなく、この周辺のいろいろな混乱、また我が国に対する不正の侵害等に対して最小限度の防衛力を整備していく、そのことが直接、戦闘ということではなくて、我が国がそういう防衛力を、一定の装備をして、我が国が国土の防衛についてきちっとした決意を形の上で示す、そういうことが、力の空白をもたらすことによってこの地域に不安定要因をつくらない、そういうことが防衛計画の大綱の考え方でございまして、大綱策定からかなりな年月がたちまして、その間における世界の変化というものは非常に大きいわけでございますが、しかし、大綱そのものの精神というものはそう大きく変わっていない。  しかも、御承知のように、防衛予算というのは調達に三年とか五年とかかかる、長期間かかる装備がございますし、人件費などが非常に大きなウエートを占めている。しかも、日米安保条約であるとか基地対策であるとか、非常に固定的な科目が多いわけでありまして、削減といっても非常に難しいものがあります。  しかし、おっしゃいますような変化もありましたことでありますので、いわゆる中期防、防衛計画の大綱の中の五年間の整備計画をつくる中期防におきましては、時期を繰り上げて見直しをいたしまして、中期防の中において五千八百億円という削減をしたわけであります。  しかし、これから、ヨーロッパの方は崩壊後の安全保障体制の合意がある程度きちっとできたというふうに考えておりますけれども、我が国の周辺においては、それぞれの国家間においても、まだまだそこまで将来に対する平和機構の構築というものがしっかりできておりませんし、御承知のようないろいろな問題を抱え、ある一部には軍事力の増強などをしている国々もあるということも聞いておりますし、防衛計画の大綱の見直しが、この中期防の間に見直しを行うということになっておりますので、あと二、三年様子を見ながら、この変化に柔軟に対応をしながらこの問題をきちっと見詰めて、努力をしていきたいと思っております。
  175. 富塚三夫

    ○富塚委員 今、長官言いましたけれども、昭和五十一年の十月二十九日の国防会議及び閣議で決定をした防衛計画大綱というやつは、「国際情勢及びわが国周辺の国際政治構造並びに国内諸情勢が、当分の間、大きく変化しないという前提」に立って計画を立てます、こうなっているんです。あなたは、冷戦構造は崩壊したという事態を認めているわけです。情勢は全く変わったという基本的な認識に立つならば、抜本的に防衛計画大綱を考え直すというのが当然ではないでしょうか、あなたは前段でお認めになっているわけですから。  それで、宮澤総理は昨年来、仮想敵国を設けずに最小限度のものを整備するという考え方だと、こう言っているのですけれども、防衛庁の事務次官は、基盤的な防衛力整備構想をどうするかは、まだ今は今のままでいいんじゃないのかというような発言をされたように、非常に政府のとろうとする態度があいまいになっている。一言で言うと、防衛庁長官が言ったように、二、三年模様を見ようみたいな。だけれども、防衛大綱をつくるときには、情勢は変わらない、ソ連を仮想敵国と見ているという考え方が基本で、ずっと流れがある。有事のシナリオもそれでつくってきた。変わったんだから、だから見直して防衛費を減らしていくというのは、これは当然なんじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。あいまいな形じゃなくて、もっときちっとした態度をやはり政府はとってもらいたいと、こう思うのです。
  176. 中山利生

    中山国務大臣 考え方は宮澤総理も同じだと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、基盤的な防衛力、大綱の考え方から出発した現在の装備、防衛体制というものは、今現在大きく変える必要はないであろう。しかし、私どもも認識を同じくしておりますように、国際的な情勢というものは大きく変化しつつある、まだ変化の最中である。もう少し様子を見ながら、大綱の見直しということになりますと、ある程度中長期の、見直し以降の防衛体制というものを確立していかなくてはならないというふうに思っておりますので、先ほど申し上げましたように、大綱の見直しはこの七年、中期防の見直しの中で一緒に行うということになっておりますので、タイミシグとしてはその辺がいいのではないかなというふうに考えているところでございます。
  177. 富塚三夫

    ○富塚委員 昨年、ブッシュ前大統領も一九九五年まで軍事費を五百億ドル削減をすると、アメリカではそういうふうに宣言をしているわけですよね。世界的にどの国も軍事費を今やはり削って、そして、いわゆる福祉とか生活環境をよくすることに回していこうという時代の流れであるときに、日本だけがなぜ今度の予算で一・九%またふえたのかということは一・九五%ふえたのですか。だからちょっとやはり、これも筋道の立て方をやはりきちっと、二、三年模様を見てとかというのじゃなくて、やはり冷戦構造崩壊後の情勢を受けて、日本も積極的に軍縮に、そして防衛大綱を見直して、中期防を見直して、そしてその財源を福祉なら福祉に回していくという、そういう考え方に立っていくべきじゃないか、こう申し上げておきます。  そして、何か最近、自衛隊の幹部のOBの方と極東ソ連軍の幹部が懇談をしたりいろいろな交流もしている。あるいはエリツィン大統領も日本を潜在的同盟国と言ってみたり、いろいろなことを言われていますけれども、やはりソ連との信頼関係を回復して――経済援助の問題もあります。やはりここのところに目を向けていかないと、いつまでも仮想敵国、そういうふうなことで模様を見ようというのじゃなくて、積極面をやはり持っていただきたいというふうにお願いをしておきたいというふうに思います。  防衛庁長官、ありがとうございました。  最後に大蔵大臣、私のところに持ち込まれている問題で、興銀、日本興業銀行、今ある雑誌にもすっぱ抜かれて大変バブルの傷は深いというふうに言われているのですけれども、何か大阪の料亭のおかみさんに三百億を貸して取れないとかいろいろなことを言われていますが、昨年、日経新聞 にも出たのですけれども、日本興業銀行の系列のノンバンクに興英コーポレーションというのがあって、一九八一年設立して、都内を地盤に不動産担保ローンを中心に急成長したノンバンクと、こう言われているわけです。これがこのBという会社と契約をして、北海道の五カ所ぐらいのゴルフ場の開発を契約して、興銀から二百五十億ぐらいの金を出した。そして、何とこの契約書には、事業利益のうちの半分は還元するのだ。そのBという会社と、それとノンバンクと、それを還元するのだ、それは銀行にも当然還元をするのだ、こういう契約書を結んでいるわけですね。それで、つぶれちゃったわけです。いわゆるバブルでうまくいかなくなってしまった。  その後始末の問題で、十分にそのBという企業と話し合って興英コーポレーションがやった方がいいのじゃないかと、銀行局の課長補佐の手も煩わしたり、いろいろ言っているのですけれども、これは裁判でやるとか一切応じないとか、全然拒否する態度で話し合いを一切しようとしないのですよね、本来。  これを見ておると、全くバブルという中での、一つは銀行のあるべき姿という問題が、こんなことまでやって金をもうけようとしたのかという点について、私は非常に疑問に思っているのですけれども、この問題についてぜひひとつ話し合い解決をするように、私は大蔵省に重ねてそういう行政指導をきちっとしてもらいたいと、こう思うのですが、どうですか。
  178. 寺村信行

    ○寺村政府委員 いわゆるバブル期におきます銀行の業務運営や経営姿勢につきましては、銀行が安易に業容の拡大や収益第一主義に走り過ぎたのではないかという御批判もございまして、当局としてもそれは謙虚に受けとめるべきものと考えております。  それで、一昨年の夏、大蔵省は金融機関に対しまして内部管理体制の総点検や、公共性、社会性の観点からの経営姿勢あるいは業務運営を見直すということを要請しているところでございます。  ただ、ただいまの個別の取引から生じました問題につきましては、基本的には取引の当事者が決めていくべき事柄でございまして、行政当局が関与するのはちょっとできないのではないかと考えているところでございます。
  179. 富塚三夫

    ○富塚委員 大蔵省は、例のバブル問題の後始末のやり方のときに、私も大蔵委員をやっていた、それで、問題があれば行政指導はきちっとしますというふうに何回も言っておられるわけですよね。もちろん当該企業間の話し合いでそれは解決する問題ですが、私が言っているのは、そういう話し合いもしないで全然拒否をして、そしてこの問題の、何でしょうか、いわゆるお客を泣かせるみたいなそういうやり方は、やっぱり大きな銀行がやるのはよくない。その系列の銀行、興銀から全部人事を派遣してやっているわけですからね。だから、そういう点は行政としてやっぱり指導するように、きちっとしてもらいたいというふうに思うんですよね。
  180. 寺村信行

    ○寺村政府委員 同じお答えになるのでございますが、これは金融機関の取引先とさらにその第三者との取引から生じたトラブルでございます。一般的に、民間企業同士の利害関係が対立するようなトラブルが生じましたとき、その解決方法は、そのトラブルの内容によりまして、まあ話し合いを含めさまざまな方法があると思うのでございますが、そのどれかが適切であるということを行政当局が関与すべき立場にはない、このように考えておるところでございます。
  181. 富塚三夫

    ○富塚委員 何も私は行政が介入しろと言っているんじゃないんですよ。やっぱりこういうバブルの結果の後始末の問題で、積極的に話し合いをさせていくということについては、行政のそういう指導があったっていいんじゃないのかと言っているわけです。どうですか、大蔵大臣
  182. 寺村信行

    ○寺村政府委員 先ほど申し上げましたように、バブル期の金融機関の行動につきましてはいろいろな御批判があり、またそういうものにつきましては謙虚に受けとめるべきだ、こういう趣旨で、金融機関の内部管理体制の総点検あるいはその公共性、社会性の観点からの経営姿勢なり業務運営のあり方の見直しを強く要請しております。その観点からの指導は当然していくべきものでございますが、その先の先のトラブルにつきましては
  183. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は何も、中身の問題は当事者間でやることなんだけれども、積極的に円満にいくような指導をするのは行政当局は当たり前ですから、そういう観点でぜひやっていただきたいというふうに思います。  以上で私の質問は終わりますけれども、当初申し上げました円高問題に対処する今度の会合では、ぜひひとつ日本の立場をどう考えるかという点で大蔵大臣に奮闘していただきたい、そして政府は早目に積極的に総合経済政策あるいは財政的な裏づけをどうするかをひとつやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わることにいたします。  ありがとうございました。
  184. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて富塚君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二分休憩      ―――――◇―――――     午後二時二分開議
  185. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田祝稔君。
  186. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 まず最初に大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、二月の四日に公定歩合が三・二五%から二・五%に引き下げられまして、九一年七月からいいますと六次の下げになるわけでありますが、二・五%ということで過去最低に並ぶ公定歩合になったわけであります。  いろいろな新聞を読みますと、この公定歩合の引き下げに伴って、いわゆる家計部門からおよそ二兆円の所得が企業・金融部門に移る、こういうふうな記事もあちこちで出ております。これはやはり家計の方にはマイナスであって、企業・金融部門にはプラスの公定歩合の引き下げではないか、いわゆる企業救済ではないかということも言われておりますけれども、大蔵大臣として、今回のこの公定歩合の引き下げ、どのように評価をされておりますか。
  187. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 この前、二月四日にやりました公定歩合の引き下げでありますが、国内の景気や金融市場の動向などを総合勘案して行われたもので、時宜を得たものだというふうに考えております。  我が国は現在景気の調整過程にありますけれども、住宅投資には回復の動きが見られますし、公共投資も順調に進歩をしている。我々としては、総合経済対策及び平成五年度の予算が順調に成立をしていただけるならば、景気は持続的な拡大の方向に行くものである、こういうふうに思っておりますし、この公定歩合の引き下げも内需中心の持続的成長に大きく寄与するものだと考えております。  今、家計に対してはマイナスになり企業についてはプラスになる、こういうふうなお話がありました。私は、公定歩合というものは、金利メカニズムを、日本銀行が公定歩合を決めることによっていろいろ影響するところでありますから、影響が出ることによって景気刺激になるあるいは景気抑制的に働くというのが公定歩合の本来の役割であろう、こう思っております。  そうした意味で、いろいろなところに影響が出てくるということは当然といえば当然のことでございますが、どちらかといえば不利になる、こういうのは年金生活者でありますとかというようなところの方々で預金を持っておられる方々のところには、当然に公定歩合が下がってくれば預金金利等も下がっていくということになるわけでございますから、それらのこともやはり考えていかなければならない。  しかしながら、一方で企業活動に対しましては、公定歩合の引き下げによりまして、安い金利でもっての資金調達ができる、こういうことでございますから、私は、そういった面においてはプラスになってくるものであろう、こう思っておるところであります。特に不利に及ぼすようなところに対しましてはいろいろな施策を講じてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
  188. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 プラス、マイナス、いろいろな部門にあるということもお答えの中にございましたけれども、株価等を見ましても、どうも公定歩合を下げても余り株価にいい影響はなかったんじゃないか、一万七千円に届いておりませんし。  そういう意味で、今過去最低の金利にもちろん並んでいるということでありますけれども、財政を預かる大蔵大臣として、これで二・五%に下げて思ったほどの効果が出なかった、我々が考えているほどには日本の景気刺激に有用ではなかった、いわゆる十の効果を期待しておったんだけれども、五、六ぐらいでとまっているんじゃないか、そういった場合、大蔵大臣としては、公定歩合、さらに下げた方がいいというふうにお考えになりますか。
  189. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 公定歩合が二月四日に下がりまして、まだそんなに日にちもたっておりませんし、金利の引き下げというのは、及ぼすのはじわっと効いてくるわけでございまして、下がったからすぐにさあっと全部という話ではないと私は思います。経済の動きというのは、そういった形で市場メカニズムを通じてこれらが順次浸透してくる、こういうことだろう、こう思っておるところでございまして、私はこれから必ずいい方向に影響が出てくるものだろう、こう思っておるところでございます。  いろいろな点をこれからも総合的に勘案してやっていかなければならないと思いますし、公定歩合というのは金利でございますから、確かに過去最低ということになっていますが、これは今まで最低だったということで、それから先がないというものではない、論理的にはですね。論理的にはそれから先がないというものではない。理屈の上ではまだまだということもあるでしょうが、実際には、今お話がありましたように、過去最低のところへいっているのですから、相当思い切ったこの前の引き下げをしたものだというふうに御理解いただければありがたいと思います。
  190. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 最初に大蔵大臣も、年金生活者等にも影響がある、こういうお話でございました。  大体一世帯当たりの平均貯蓄保有額というのが約一千二百万というふうにいろいろな統計で私、承知をしておりますが、例えばこのお金を、普通預金で預ける方は余りいないと思うのですけれども、例えば普通預金で預けたとしますと、公定歩合が六%のときの郵便貯金の金利、郵政大臣お見えになっておりますけれども、これが三・四八%でした。ですから税引き後で二・七八四%。一千二百万も普通預金に預ける人もいないと思います。これは理屈からは預けられないのですけれども、これを預けられたと理論上仮定しますと、税引き後の利子が約三十三万四千円になるのです。今回の二・五%で、これからお聞きをしようと思っておりますが、一・五六%に郵貯は下がります。そうしますと、これが約十五万。ですから、差し引き十八万四千円の税引後の利子がある意味ではなくなる。これは数字の計算ですから、私は間違いないと思うのですが、一月約一万五千円強、これが年金生活者の個人のいわゆる失敗とか判断ミスじゃなくて、いわゆる全然関係ない部分で、政策上の問題として、いや応なく影響を受けてしまう。ですから、公定歩合を下げて、企業の景気がよくなったといっても、年金生活者にはこれはある意味では関係ない部分になるわけですね。そういう部分で、一万五千円、一カ月減っていく、こういうことに私は計算上なろうかと思います。  それで、いろいろとお話をそういう方から伺っておりますと、例えば一千万円、一千二百万円貯金があっても、その元本は崩せないというわけですね、だんだん減っていくと心配ですから。ですから、その元本は何とか置いておいて、利息で、例えばお家を持っている方は固定資産税を払うとか、いわゆる国保の料金を払うとか、そういうことをされておるようであります。ですから、そんなに貯金があったら、貯金も崩して賄えばいいじゃないかという理屈はなかなか個人のレベルになると難しいと私も思います。  ですから、こういう形で、年金生活者には、今回の公定歩合の引き下げというのは、先ほど申しましたように、約一年半のうちに六回も引き下げられているわけですから、非常に影響が大きいと思うんですけれども、そういう年金生活者、また、預金、預貯金の金利の利子で生活を補っていらっしゃる方に対して、どういうふうな手だてを考えていらっしゃるのか。これは大蔵大臣と、それから郵政大臣にもお伺いをしたいと思います。
  191. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今の数字のものは後で事務当局から御説明申し上げますけれども、一般的なことで申し上げますと、公定歩合の引き下げを行いまして、普通ならばこれに連動して下がる、こういうことでありますけれども、預貯金金利の引き下げ幅は少し抑え目にいたしまして、公定歩合が〇・七五%の引き下げに対しまして、二分の一強の〇・四三%ものにいたしました。また、福祉年金等のものにつきましては、従来からの、引き下げ前の金利の四・一五%をそのまま続けていく、こういうふうなことにいたしておるところでございます。高齢者を初めとする社会的経済的弱者に対する影響というものも我々としては配慮していかなければならないものだというふうに考えておるところでございます。
  192. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 郵政省としては、これまでも、預貯金金利の改定に当たりまして、景気動向に与える影響とかあるいは市場金利の動向に加えて、預金者への影響も十分念頭に置き対応してまいりましたけれども、引き続き、高齢者を初めとする社会的弱者とかあるいは年金生活者等に与える影響も十分踏まえて、今後適切に対処していきたい、そういうように考えております。
  193. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大蔵大臣、先ほど配慮していかなくちゃならないというふうにおっしゃいました。これは公定歩合が〇・七五下がったんだけれども、預貯金の、預金の金利ですか、〇・四三%の下げに抑えているんだ、こういう意味での配慮ですか。ほかに何か配慮されていることあるのですか。
  194. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今申し上げましたように、当面、預貯金金利を下げるということと、それからもう一つは福祉定期預金、こういうことでございまして、今のところはそれだということで御理解いただきたいと思います。
  195. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今福祉定期預貯金の話がありましたので、若干そちらの方でお伺いをしたいと思うのですが、これは銀行といわゆる郵便貯金両方あるのですが、それぞれ現在の対象者と利用人員、預け入れ金額をお願いをしたいと思います。対象者は全部でも構いませんけれども、それぞれお答えいただきたいと思います。
  196. 寺村信行

    ○寺村政府委員 利用対象者は、老齢福祉年金、障害年金、遺族年金等の受給者五百五十万人でございます。昨年の十二月末の民間金融機関の利用者数は五万四千人でございます。それから一人当たり平均預入額が百五十三万円でございます。  以上でございます。
  197. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 郵便貯金についてお答えを申し上げます。  対象者は全く同じでございますので五百五十万ということでございますが、今回、昨年八月十七日から実施しております関係で申しますと、本年一月末現在において預入件数が三万五千件、それから総金額が三百七十一億円。それから一人当たりの利用金額というのは、申しわけございませんけれども把握をしておりません。一件当たりの平均金額で申しますと百六万円ということになっております。
  198. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今御報告いただきましたが、現状を申しますと、五百五十万人対象者がいて、両方合わせて利用されている方が八万九千人、こういうことですね。それから平均は、それぞれ銀行が百五十三万、郵貯は百六万、こういうふうな報告ではございましたけれども、現状は預け入れ限度額というのが三百万円ということになっております。利率は今何%でしょうか。
  199. 寺村信行

    ○寺村政府委員 この三月一日から新たに一年間に限りまして新しい取り扱いをすることでございますが、利率は四・一五%を予定しております。
  200. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 四・一五%で来年の二月の二十八日まで募集をする、預け入れ限度額は三百万、こういうことですね。  それで、過去の福祉定期預貯金の金利を、私、資料をちょうだいしまして調べてみますと、公定歩合が二・五%で同じときが、昭和六十二年の二月二十二日から平成元年の五月三十日までが二・五%です。そのときの福祉定期貯金の利率は五・五なんですね。今回は二・五に下がったんだけれども四・一五のまま据え置きますよ、こういうことなんですが、若干過去と比べると低いのではないか。それは下げないということが最大の配慮だというふうにお考えかもしれませんが、もともとちょっと過去の例と比べて低かったのではないかという気もするのですが、この利率の設定についてはいかがお考えでしょうか。
  201. 寺村信行

    ○寺村政府委員 これは、そのときどきの情勢によりまして福祉定期を中断する場合もございますし、それから再度導入する場合もございまして、今回の措置は昨年の八月に公定歩合の引き下げに伴いまして新たに導入いたしまして、そのときの預金金利が四・一五%でございまして、そのときの金利を下げないということで昨年の八月から導入したものでございまして、今回はそれをまた、もう一回金利の引き下げがございましたけれども、その水準を維持しようというものでございます。
  202. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 非常に私は配慮していただいているとは思いますけれども、過去と比べて非常に金利も低い水準にとどまっているんじゃないかというふうに私は思います。  それで、先に厚生大臣と郵政大臣に確認をしたいのですが、この福祉定期預貯金に対して枠の拡大を要求したということが、報道で私見ましたけれども、そういう事実はございましたでしょうか。
  203. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどから先生御指摘のように、金利の低下に伴いまして年金の受給者への影響を配慮いたしまして、私といたしましては、福祉定期預金の利率の延長と枠の拡大を大蔵大臣に申し込みいたしました。
  204. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 私ども郵便貯金に関しまして御説明を申し上げますと、今回の一連の措置の中でやはり対象者の拡大を図ってはどうかというふうなことを考えまして、政府部内でいろいろ検討をしたというふうなことでございます。
  205. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 貯金局長、もうちょっとはっきり言っていただけませんか。政府部内でいろいろと検討したということですか、それともちゃんと大蔵省大蔵大臣にそうしてもらいたいと言ったんでしょうか。
  206. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 郵政省としては、この際対象者の拡大を図ってはどうかというふうな立場でお話をした、こういうことでございます。
  207. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 普通それは要請をしたこういうことになると思いますが、枠の拡大ということは、一つは対象者のもちろん拡大ということと、もう一点は預け入れ限度額の拡大、通常考えられるのはこの二つだと私は思いますが、特に、厚生大臣、これはどちらを要求されたのですか、両方ですか。
  208. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 対象者の拡大でございまして、私が特にお願いをいたしましたのは、老齢年金を受給していながら所得のない方に関してこういうような救済策、枠の拡大をお願いできないか、こういうことについてお願いを申し上げました。
  209. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 厚生大臣もそういうふうにおっしゃって、郵政省としてもお願いをした、こういうことでありますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。私は、対象者だけではなくて、金額の枠も拡大してもらいたいと思っているのですが、とりあえず政府部内で対象者の拡大をしてもらいたい、こういうお声があるようですが、大蔵大臣としてはいかがでしょうか。
  210. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お話を厚生大臣からお伺いしたことは事実でございますが、今老齢福祉年金は、老齢福祉年金をもらっている方及び障害年金等々につきまして指定になっております。これらは割とだれがということの確認ができる、こういうことでございますが、これの範囲を広げますと、一体どこまで広げるのかという問題がありますし、この人であるという確認ができないとなかなか難しいという問題が私はあると思っております。  それから、枠の拡大ということでもう一つ申し上げますなら、現在の利用実績が先ほどお話がありましたように百万云々と、こういうふうな話であります。それをまたさらに拡大をするのは、一体どういうことであれ、実績をまず見てやっていくことも必要ではないかな。いたずらに声のみ大きくしても、実際の実情がどうなっているかというのをもう少し把握しないと、私は本当に効果のある制度にならないのじゃないかな、事務的に今一応検討しているところは、以上のようなことでございます。
  211. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大蔵大臣、お言葉を返すようですけれども、たしかこれに似たような議論がありましたですね。マル老ですか、三百から三百五十万に上げるときに枠を全部使い切ってないじゃないか、こういう全く似たような議論があったように私は思います。これは枠を使ってないということ、もちろん天井までいってないということはありますが、それ以上にいわゆる銀行または郵政省、五百五十万の対象者がいて、八万九千人しか利用してないんですね。これは多分PRが足りないんじゃないか。  かく言う私も、恥ずかしい話ですけれども、今回こういうことになってこの福祉定期預貯金というものをぐっとクローズアップされるまでは、どういう制度かは、はっきり申し上げて存じ上げておりませんでした。それは私だけかもしれませんけれども、少なくても余りみんなが知っているという制度ではないことは私は確かだろうと思うのです。金利が普通のより高いわけですから、これは預けないという人は私はいないと思うのですね、知っていれば。  ですから、枠を使い切ってないとか利用状況がどうだということよりも、まずこういう制度があるということに対してちゃんと周知徹底、ある意味では知らしめる、そういう方途を積極的に行っていたのかどうかということが、私は大きな問題ではないかと思うのです。これは現状、今までどうだということを追及してもこれはしようがありませんが、今後どういうふうに進めていかれるのか、大蔵大臣と郵政大臣からお伺いをしたいと思います。  厚生大臣はPRをやっていただけますか。――まあ、うなずいていただいているようですから、大蔵大臣と郵政大臣でひとつお願いします。
  212. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 この福祉定期預金制度というのは、昭和五十年以来必要に応じて導入されてきている制度でありまして、先生は御存じなかったとおっしゃいますが、長いことやっているわけでございますから、相当に私はPRもきいてきておるのだろうと思っておったのです。だけれども、今のようなお話もございますし、もう少し宣伝をしたらどうかというふうなことでもございますから、今までも各金融機関に対しまして福祉定期預金の導入、延長の都度、制度の内容などにつきまして店頭に提示するよう銀行を指導してきたところでございます。これからもそういった形のことを必要があるならばやっていったらどうだろうかな、こう思っておるところでございます。
  213. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 こういう商品があるということを知らない人のためにどういうPRがいいか、省 内でもよく検討して、もっと知ってもらうような努力をしていきたいと思っております。
  214. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはぜひそういうPRといいましょうか、知っていただくような方策を今後お願いをしたいと思います。  それから、厚生大臣、年金のことでちょっとお伺いをしたいと思います。  平成六年に財政再計算をやられる予定になっておりますが、年金を、いわゆるどういう形で将来、例えばどれだけのパーセントでちょうだいをするかとか、支給額をどう決めるのか、これの計算の基礎の上で、いわゆる人口の推計ですね、将来人口がどうなるかというこの推計の位置づけは、どういうふうにお考えでしょうか。
  215. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 これまで財政再計算時においては、厚生省の人口問題研究所の推計統計、これに基づいて行ってきたものでございます。御案内のように出生率が極めて低下いたしておりまして、現在一人当たりの御婦人の生涯に産む子供さんの数は一・五三まで来ておるわけでございます。私どもが想像していた以上に低下しておるわけでございますことは、紛れもない事実でございます。平成六年には財政再計算が行われるわけでございますが、こういった点を十分に配慮しながら実施を行っていきたい、このように考えている次第でございます。
  216. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 社会保障制度審議会の中の年金数理部会が第三次報告書を出しまして、この中でこういうふうに言っております。「世代間扶養の考え方を取り入れている公的年金においては、後代」、後の代の「負担の担い手となる被保険者数の長期的な動向が費用負担面における重要な要因となる。」こういうふうに一つの考え方を述べているわけであります。  ですから、私は、これから先日本の人口がどうなっていくのか。例えば外国の方を受け入れるとかそういうことなしに、日本国内、閉ざされた空間として考えたときに、どういうふうな人口構成になっていくのかというのが非常に大事だと思うのです。それで、こういう「日本の将来推計人口」という資料もちょうだいしまして、私も見さしていただきましたが、厚生省としては、年金の数理計算のもとになる人口の数字、これを使っていらっしゃるのでしょうか。
  217. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 そのとおりでございますが、当然のことながら見直しもあります。
  218. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それで、先般、医師会の方が研究を依頼されたということで、日大の人口研究所の人口推計が出ました。これが必ずしも厚生省の人口推計と一致しないのですね。例えば総人口のピークというのを見ますと、厚生省の推計では高、中、低と三つに分けてやっておりますけれども、中位推計で二〇一一年一億三千四十四万、日大の方は二〇〇七年にピークが来て一億二千八百六十四万人なんですね。ですから、ピークの来るのが日大の方が、研究では早い、厚生省では遅い。それから合計特殊出生率、これは一人の女性の方が一生の間に何人の子供さんを産むかという数でありますけれども、これが最低になるのが厚生省推計では一九九四年、来年ですね、一・四九五。日大の研究では一九九七年の一・四九九。そして二〇二五年のこの合計特殊出生率は、厚生省の中位推計が一・八、日大の研究では一・六九六。ですから、一人の女性が一生に出産する子供の数がどれだけになるか、これは二・一を切ると人口が減っていくというふうに言われております。その中位推計をとっても、厚生省の一・八よりずっと低いんですね。ということは、人口が厚生省の考えているほどふえない。ちょっと低いカーブでピークを迎えて、さらに厚生省の曲線より低い曲線でずっと下がっていく、こういう数字なんです。  私は、以前から厚生省の人口推計、ちょっと合計特殊出生率も高目に出しているというふうにこれは聞いたことがございます。これは純粋に学問的に追求されてそうなったんだろうと思いますけれども、一つの考え方としてこれをそういう数理計算の基礎にされているときに、これは余り高いところで見ておったら間違いが起きるんじゃないか。この八九年のときのいわゆる一・五七ショック、またその次の一・五四、それから平成三年ですか、一・五三。私は必ずしも厚生省のこの研究は当たってなかったと思います。  ですから、そこのところをどういうふうに数字を位置づけられておるのか。さっき見直すこともあるというふうにおっしゃっておりましたけれども、まあこれが今の公式の統計なわけでしょうから、これを使ってやられるのか、それともさらに精度の高いようにして再計算に備えられるのか、これはいかがでしょうか。
  219. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先生が御心配いただいております年金の問題でございますけれども、平成元年度の推計で、現在その保険料率が一四・五%、この現行の給付水準を維持するとすれば、六十歳で三一・五%になる、こういうような数字を出したわけでありますけれども、実は、率直に申し上げまして、これも大分出生率の低下に伴ってそれより上回るのではないか、こういうようなことが非公式に明らかになっておるわけでございますので、当然のことながら近々この数字は国民の皆さん方の前に明らかにして、ひとつ来年の財政再計算時においてはそれをもとにしてまた新たな年金制度のあり方について考えていきたい、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  220. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひ数字は見直し、見直しをしていただいてやっていただきたいと思うんです。  それから、もう一つ疑問があるんですね。厚生大臣、高位、中位、低位推計とこう三つ並べているんですよ、いろいろな数字を。高位推計、中位推計、低位推計、一体これのうちのどれを使っているのですか。全然違う数字なんですよね、これは。
  221. 瀬田公和

    ○瀬田政府委員 お答えいたします。  厚生省の人口問題研究所が行っております将来人口の推計につきましては、晩婚化の傾向とか生涯未婚率、それから結婚した女性が産む子供の数などによって、一定の前提に立ちまして推計を行っているものでございます。  このたび、今度平成四年の九月に行った将来人口推計につきましては、その前に行った推計よりもさらに近年の出生率の低下傾向というものを十分に踏まえて行っておりまして、より正確に近いものというふうに考えております。  それから、先生の御質問でございますが、中位の数を使って考えさせていただいております。
  222. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひ御検討いただいて、正確な数字で計算をしていただきたいと思います。  続いて年金の問題でお伺いをしたいのですが、六十五歳支給問題、午前中も取り上げられておりましたけれども、これは以前、一九八九年、改正が見送られました。私は、時間の関係で簡単にお伺いしたいのですが、見送られた要因と、その見送られた要因は現在解決しているのかどうか、そういう問題は解消しているのかどうか、この二点についてお伺いします。
  223. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 私も実は先生ともども、あの当時は社会労働委員会でございますが、この問題について勉強をしてきたわけでございますが、あの当時は、率直に申し上げまして、公的年金制度のあり方、つまり公的年金制度というのは世代間の支え合いによってなされておる、こういうことが必ずしも十分に国民の皆さん方の間に理解されていたかどうか、この点を私は深く反省をするわけでございますが、その後この年金制度というのは各方面で大きく取り上げられまして、十分にこの点につきましては国民の間で理解されつつあると思います。  それからもう一点でございますが、やはりあの当時問題となりましたのは、六十歳から六十五歳まで引き上げた場合のいわゆる雇用と年金の連動の問題でございますけれども、この問題につきましても、六十歳の定年というのはほぼ定着しつつあるわけでございますけれども、率直に申し上げまして、六十歳から六十五歳までの間で、働きたくても働く職のない方、あるいは賃金が少ない 方、こういった方の問題が大きな課題となっておるわけでございますので、こういった問題について私どもは救済策を検討していかなければならない、このように考えているような次第でございます。
  224. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大臣、済みません、私聞き漏らしたかもしれませんが、そういう見送られた要因は、現在そういう問題というのは解消したというふうにお考えでしょうか、まだ問題あるとお考えですか。
  225. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 すべて解消したかということはちょっと難しいところでございますが、大きく前進したと思っております。
  226. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この問題はまた議論させていただく機会があろうかと思いますので、次に移りまして、老齢福祉年金についてお伺いをしたいと思います。  この年金は、昭和三十六年に国民皆年金になったときに五十歳を超えておりまして、制度としてはじき出されたと言った方が正確だと思うのですね、本人が入ったくても制度として入れなかった、こういう制度でして、現在対象者の方の最低年齢は八十一歳になっていると思います。この方のいわゆる御本人の所得によって制限をされているのでしたら私も納得できるのですが、いわゆる扶養義務者の所得制限、これがございまして、これが昭和五十年から一円も上がっておりません。ですから、十八年間据え置かれたままで、ですからある日突然今までもらっておった年金が自分の知らない、まあ知らないと言ったら語弊がありますけれども、扶養義務者の給料が上がったことによって翌年からぱったり来なくなった、こういう事例があるわけですね。これは私としても、国の制度として全国民加入をつくっておいて、年齢がいっているということで入れられなかった、そういう人に扶養義務者の所得制限を設けて十八年間もそのままにしておくというのは、これは理屈に合うかどうか、非常に私は疑問なところでありますけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。
  227. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 老齢福祉年金の扶養義務者の所得制限は、たしか昭和五十年で八百七十六万でございます。昭和五十年当時の八百七十六万というのはこれは随分高いなという思いもしますけれども、一方で八十歳以上の方々が三万円ちょっといただくのに、幾ら子供さんが、まあ子供さんというか扶養義務者の方々が所得があったからといってそれを取り上げるのもいかがかな、こういう感じがいたしまして、私は率直に申し上げまして、内心非常にじくじたるものがございます。  この問題につきましては、ほかの福祉関係の諸手当との関連も十分に考慮しながら、今後関係方面と協議していきたい、このように考えております。
  228. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大蔵大臣、いかがでございますか、最後お金の話になってきますから、大蔵大臣がうんと言ってくれないとなかなか難しいと私は思うのですが。
  229. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御指摘のようなことであるならば、何か、どうするのか。ただ、その老齢福祉年金というのが一体これからどうなるのかという問題も私はあると思います。御指摘のように八十一歳ぐらいのお年寄り以上の方でございますから、これをどうするかというような問題もあると思いますが、どうしたらいいのか、少し検討させていただきたい、こう思っております。
  230. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 では、検討いただくというお答えをちょうだいしましたので、厚生大臣、結構でございます。  続きまして、若干時間もなくなってまいりましたので、国際平和協力手当についてお伺いをしたいと思います。  総理府と防衛庁、来ていただいていると思いますが、支給の現状について教えてください。
  231. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、国際平和協力手当につきましては国際平和協力法第十六条にその支払いの根拠がございまして、具体的なことは政令で定めるということになっておるわけでございます。これに従いまして、昨年我が国から隊員を派遣するに先立ちまして、カンボディア国際平和協力隊の設置等に関する政令を定めました。  その中で、カンボジアにおきましては、最高額を一日当たり二万円、一番低い額で四千円とした五段階の額を支給することといたしたわけでございます。現在、私ども総理府の方から手当を支給している対象者は、停戦監視員の八名の方々と文民警察要員の七十五名の方々でございまして、実際の配置先、勤務日数等がいろいろございますので一様には申し上げられませんけれども、現在、二万円の手当を受け取っている者から八千円の手当を受け取っている隊員までございます。
  232. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 カンボジアに派遣されております施設大隊の隊員に対する国際平和協力業務手当の支給状況でございますけれども、大半の隊員に対しまして現在国際平和協力業務に従事した日一日につきまして一万六千円の手当が支給されております。ただ、連絡要員ということで専らプノンペンに滞在している隊員につきましては、法令の規定によりまして一日につき八千円という支給になっております。この国際平和協力手当は一月分をまとめまして翌月の俸給支給日に支給をするという形をとっております。  それから、支給状況でございますけれども、ただいま事務局長の方からも話がありましたように、隊員一人一人状況が違いますので一概には申し上げられません。単価が違うということ、あるいは今派遣されている隊員は第一次先遣隊、第二次先遣隊、それから本隊という三班に分かれて参りましたものですから、該当日がそれぞれ異なります。それから休暇のとり方によっても異なります。  ただ、そういう異なった状況はございますけれども、各月の一人当たりの平均支給額というものをちょっと計算してまいりました。九月分は、ちょっとこれは第一次先遣隊で非常に数が少ない、日数が少ないということもございまして、平均いたしますと一人当たり四万三千円でございます。十月分が三十四万円、十一月分が四十二万四千円、十二月分が四十四万八千円、一月分は、これは休暇があったのだろうと思いますが、三十六万八千円というのが平均的な支給額になっております。
  233. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今、手当の支給状況をお聞かせいただきましたが、防衛庁の方で九月、十月、十一月、十二月とあらあら計算をしますと大体百二十万ぐらいになりますね。  これは大蔵大臣、これらの方も、調べてみましたらやはり年末調整を、これを一つの所得税の対象として、しているわけですね。ですから、たしかPKOの協力手当の議論をしたときに、そういう大変なところに行くのだから手当を出したらどうか、こういうことで一致をしてこれは出したと思うのですね。ですけれども、もらって行った方、実際行かれて、ああ大変だけれども、自分たちが行って、お役に立てるし、なおかつ手当もいただける、そういう反面、頑張ればお金もちょっと残るなという気もあったと思うのですが、実は税金がかかる。これで、私は、所得が、収入が百二十万もふえたらどうなるだろうか。これは百二十万入っているからいいと思うのですが、いろいろな影響が出てくるのですね。  例えば、行っていらっしゃる自衛隊の隊員の方々もお子さんがいると思うのですが、児童手当がもらえなくなるのですね、これは。多分私は特例給付にももうひっかかるのではないかと思います。ですから、子供さんの児童手当はまず出なくなる可能性がある。それから、駐屯地の近所の幼稚園、保育園に通わせている場合も所得制限にひっかかりはしないか。いろいろな問題が出てくるのじゃないかと私は思います。これは、精査をしてみなければわかりませんが、児童手当は間違いなく私は影響が出る人が、数はわかりませんけれども、出ると思います。  ですから、大変なそういうところに、国の命令、法律で決まったので行くということで手当をつけて、それで、ちょっと所得税は何かほかに考 えようがないかなと私は思いますが、この件につきまして考慮の余地はないのかどうか、もう法律の解釈どおりでいくのだ、それは法律の解釈としてはそうでしょうが、変えようがない、変える気はない、それはどうなんでしょうか。
  234. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  勤労者が受けます種々の手当などにつきましては、その名目はさまざまでございますけれども、給与収入の一部を構成すると考えられますものにつきましては、ひとしく所得税の課税対象とさせていただいておるということでございます。例えば旅費でございますとか通勤手当でございますとか、そういったたぐいの金品の支給を受けました場合には、これは明らかに実費弁償の性格を持つ場合があると思います。そういう場合にはこれを除外して考えるということになっておろうかと思います。  御指摘の国際平和協力業務につきましても、いろいろ御議論がございましてこういうものの手当が設定されたわけでございますけれども、これはいわゆる特殊勤務手当というものに類別されるものと考えられておりまして、その限りにおきましては、これは給与の一部として支払いを受けたものとせざるを得ない。そういう意味におきましては、他と同列に課税に服するということになろうかと思います。特殊勤務手当と申しまして、例えば潜水作業に従事されておられる方、爆発物の取り扱いをしておられる方、そういう方に対する手当というものがございますが、そういったものと同様に、ある危険にさらされておられる、その危険というものをしょって勤務に従事しておられる、そういう立場の方々に同様に支給される手当でございまして、同様な扱いとせざるを得ないというふうに考えられます。
  235. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 時間も参りましたので、関連で遠藤議員に譲りたいと思います。  通告をしておって質問できなかったこともありましたので、おわびをしたいと思います。
  236. 粕谷茂

    粕谷委員長 この際、遠藤乙彦君から関連質疑申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。遠藤乙彦君。
  237. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私は、現下の最大の課題であります不況対策を中心にお伺いをしたいと思いますが、その前に一つ国際関連で、モザンビークPKO参加問題につきまして、これは外務大臣代理、官房長官にお願いをしたいと思います。  モザンビーク、過去十六年間内戦が続いておりまして、やっと最近停戦が合意をされたと聞いておりますが、今、各国が至急このモザンビークのPKO展開に参加を開始している。四月から本格的なPKO活動が開始されると聞いておりますけれども、我が国の場合どういう方針なのかということをお伺いしたいわけです。特に、今のモザンビークの場合は、いわゆるPKO参加五原則、この観点から見て条件を満たしているのかどうか、これが第一点。その上で、政府としてはどういう意向なのかということ、この点につきましてお伺いをしたいと思います。
  238. 澁谷治彦

    ○澁谷政府委員 紛争当事者の停戦合意につきましては、昨年の十月、ローマにおきまして停戦合意が成立しております。その後若干の衝突はございましたけれども、現在では平静が維持されておりまして、戦闘は全く行われておりません。  それから、紛争当事者である政府側、反政府側も日本の要員が参加してくれるのであればそれを歓迎するということを申しております。
  239. 河野洋平

    ○河野国務大臣 国連局長お答えしたとおりでございます。停戦の合意もできておりますし、当事者からの日本への要請についての同意もございます。つまり、五原則は満たしているというふうに見ております。五原則を満たしていると見ておりますが、五原則を満たしたということが自動的にそれに参加をするということではない。五原則を満たしておれば、それから政治的判断をして参加するかしないかを決める。現在は国連の状況、現地の動向等を慎重に調査をして、検討をしている段階でございます。
  240. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 五原則を満たしているということは、政府がそういう認識を持っておるということは理解いたしました。  もちろんこの五原則を満たしているだけで自動的に参加するかどうかが決まることではないことはそのとおりですけれども、他方、いろいろ国際的な要請もあり、我が国の地位からいっても前向きに考慮しなければならない点ではないかと思いますけれども、具体的に今五原則の問題のほかにどういう点がクリアされれば参加をするのか。調査団を派遣されると聞いておりますけれども、特に調査団の調査のポイント、それからどういう点、基準が満たされれば参加をするか、具体的にお答えをいただければと思います。
  241. 河野洋平

    ○河野国務大臣 調査団を出すのも一つの手順として必要ではないかというふうにも考えております。  それ以外に、国際貢献について我が国の世論が成熟しつつある、その成熟しつつあることのあかしが、PKO法案に議員各位の御理解と御協力があって法律が成立をして、現在カンボジアで多数の日本からのPKO参加者が活躍をしてくださっているということを見てもわかると思います。しかし、このことを踏まえ、なおかつさらに次のPKOに参加をしていくために一体どういうことが必要かということを、私どもも国民の世論の動向なども踏まえつつ、それから現地の状況も、日本からどういう人たちがどういう仕事に参加をすることが果たして適切かどうかということなども詳細検討したいと思っているわけです。  この問題については、参加をしてほしいという要請があったということは、先般、外務省の柿澤政務次官などが現地へ行って確認をして戻ってまいりましたけれども、参加をしてほしいということと、参加をするためにはどういう問題があるか、自然的条件あるいは社会的条件、政治的条件がどういうふうになっているかということをさらに詳細検討する必要もあるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  242. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 確かにまだ我が国のPKOは試運転の段階でありますので、慎重にいくべきは当然だと思いますけれども、他方、国際貢献の必要性それから世論の動向、いろいろな要素があると思いますので、ぜひ国民に十分納得のいく形でこの問題は検討を進めていただきたいと思っております。  それでは続きまして、通産大臣はまだいらしてないですね。それじゃ先にちょっと、これは大蔵大臣にお伺いしたい件でございます。  現在、我が国は大変金融システムの危機ということが言われております。いろいろな要素を含んでおりますけれども、特に戦後最大の金融システムとしても困難にあるということは、大蔵省もそういったことを認めておられるわけですけれども、当面この三月期の決算で幾つかの金融機関が赤字に転落をするのではないかということが言われておりまして、これがさらなる信用不安を起こすのではないかと危惧をされております。このことに関しまして大蔵大臣としましてどのように現状を把握しておるか、あるいはどのように対策を考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  243. 寺村信行

    ○寺村政府委員 四年度の金融機関の本決算についての見通してございますが、これは当局から見通しを申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  一般論といたしましては、昨年の「金融行政の当面の運営方針」でも述べておりますけれども、金融機関の不良資産克服には相当の期間がかかるということでございまして、その間に金融機関が着実に不良資産の処理を進めていく必要がある、そういう方向で本年度決算にも臨んでほしいということでございます。
  244. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 余りにも一般的なお答えで、ちょっと理解をしがたいのですが、もう少し具体的に、もちろん個別の名前を言う必要はありませんけれども、一般的な傾向としてそういった赤字決算に転落する可能性がどれほどあるのか、お答えいただきたいと思います。
  245. 寺村信行

    ○寺村政府委員 金融機関の決算は、個々の経営 内容もございますが、株式市場の価格とかあるいは為替市場の為替レートなどの外部要因によっても大きく影響されるものでございまして、今当局が具体的に決算についての見通しはちょっと述べることができないというふうなことでございます。
  246. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 非常に不十分なお答えだと思いますけれども、先に進ませていただきます。  通産大臣にお伺いをいたします。  不況対策との関連での中小企業対策でございますが、私の地元も、大田区、品川区でございまして、中小企業の中心地の一つでございます。実際に現場を日々回りますと大変厳しい声が聞こえてまいりまして、今、国レベルで、マクロレベルで議論しているよりははるかに実は厳しい声が聞こえてまいりまして、中には下請、孫請、さらにその下にいきますと大変厳しい状況です。例えば、通常に比べて受注が四割、五割以上落ちている、あるいは昨年の暮れ以来一切仕事が入ってこない、こういった状況でございまして、まさに生存をかけた苦闘が今続いていると言っても過言ではないと思います。  こういった状況につきましては通産大臣が一番御存じかとは思いますけれども、昨年の総合経済対策におきましてかなり思い切った中小企業対策が行われたことは評価をしておりますけれども、やはり今の現状、さらに不況が長引くのではないかということを考えますと、このままいきますと相当な倒産件数の増大が予想されるわけでございまして、ぜひとも中小企業に対しまして追加的な対策がやはり必要であると私は痛感をいたしております。  特に中小企業の方々からの要望、何よりもこの景気それ自体の回復がもちろん最大の要望でございますけれども、対症療法的な当面の救済策として、やはり緊急融資枠の大幅な拡大であるとかあるいは利子率の一層の引き下げ、例えば三・五%ぐらいにしてほしいというような要望も強くあります。また、既往の債務、既に抱えた債務の負担の軽減、利子補給であるとかあるいは債務の繰り延べ、こういったことに対して大変強い要望が寄せられておりまして、ぜひともこれはお聞き届けをいただきたい。  そういった意味で、こういった状況を踏まえまして、通産大臣として現下の不況下における中小企業の状況をどのように認識をしておられるか、それを踏まえてどのような追加的な中小企業対策を考えておられるか、ぜひお話を伺いたいと思っております。
  247. 森喜朗

    ○森国務大臣 お答え申し上げます前に、遠藤議員から冒頭に出席要請が出ておりましたが、委員も在籍をされております商工委員会、今法案の審議をいたしておりまして、ちょうど質問が私に与えられておりましたので、少し遅参をしてまいりました。お許しをいただきたいと思います。  今遠藤さんいろいろと具体的なこともお述べになりましたし、この予算委員会の中でもそうした中小企業対策に対する、また中小企業の現状についても各委員からもお話がございました。もちろん私どもとしても、今中小企業庁を中心にいろいろ調査をいたしておりますし、私自身も地方に遊説をいたしたりいたしますと、非常に端的な、率直な、今委員がおっしゃったようなことなどを含めて陳情などもございますので、十二分にそのことは承知をいたしております。  今評価をしてくださったわけでございますが、一応こういう厳しい景況に対処するためには、先般の総合経済対策にはかなり思い切った中小企業対策というのは織り込んだつもりでございます。低利融資制度の創設あるいは一兆二千億円の貸し付けの枠を追加等いろいろな対策を講じましたけれども、確かにそういう意味では今回のこの不況感といいましょうか、特に中小企業に対するいろんな問題はまだまだやはり解決し得ないなという感じを私も実は持っております。  そこで、政府関係中小企業金融機関における返済猶予等につきましては従来から意を用いておるところでもございますし、昨年の三月、それから十一月と、通達による指示をいたしておりますし、現実にも昨年七月から十二月に前年比約二倍の、そうしたケースが事実二倍の実績になっているということなども、我々としても十二分に努力をしておるところでございます。いずれにいたしましても、今のこの平成五年度の予算の中にも中小企業対策については種々織り込まれておりますので、まずはこの予算を年度内に何とか成立をしていただきたいなということが一番大きな私どもの願いでもあるわけでございます。  さらに、全体の景気といたしまして、やはり今結局いろんな論議がございますし、これは党派を超えてこの景気というものに対して、総理も冒頭にここでお答えになっておられましたように、やはりいろんな意味で予期せざることもあったということも事実だろうと思いますから、そういう意味で、とにかく今の景気の、私どもは診断をすれば最終需要というのは動かないということですね。特にいろいろな在庫調整は、生産財や資本財ではかなり進められておりますけれども、やはり耐久消費財が全く動かないということでございますので、そこをどうやったら需要創出ができるのだろうかということ、そのことが結果的にはやはり中小企業に対するすそ野まで、我が国の産業の特徴でございますから、すそ野産業まで動いていくということになるのだろうと思いますから、その一番大事なところの景気浮揚策、そしてそれまでの間の個々のいろんな中小企業あるいは零細企業の要望に対しては、十分に私どもは意を用いていかなきゃならぬと考えております。  まだ私どもは、事務的な自分の、私の個人的な考え方としては、やはり今は設備資金というものを借りたいという、そういう余裕のある企業はまだいないのじゃないか。むしろ運転資金ということに大変大きな希望があるわけでございまして、そういう意味からいいますと、やはり中小企業金融対策についてはもう少し根本的に考えてみなければならぬ問題はたくさんある。特に無担保、無保証人などというものも、今の制度でいきますと、国民金融公庫だけでございますけれども、さらに中小公庫等がいろいろそれに対して考えていくということはできないかどうだろうか、あるいは貸し付け枠についてもどうだろうかということは、さらに今の予算とはまた関係は別に中小企業庁として十分考えるように、検討するように今私から長官にも指示をいたしておるところでございます。なお一層努力してまいりますことを申し上げて、答弁とさせていただきます。
  248. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひ大臣の力強いお言葉どおり、一層の、さらなる中小企業対策を御配慮いただきたいと思っております。  続きまして、今度は円高問題の関係ですけれども、これは大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  円高問題、既に何度か質問が出ているとは思いますけれども、今回の円高傾向、ベンツェン財務長官の発言を機に出てきたわけでございますけれども、私は、今回これはかなり根が深い、背景がかなりあるということを考えていくべきではないかと思っております。  恐らく諸外国、日本を取り巻くアメリカ、ヨーロッパ等の国々から見ますと、我が国の抱える一千億ドルを超える膨大な経常黒字、それから特にいわば外国からの見方としては、このバブル期にバブルによって資金を調達して膨大な設備投資を行っている、恐らく八五年から九一年ごろにかけまして四百兆円を超える設備投資が行われたであろう、これがフル稼働すればフランス一国の生産力に等しいぐらい生産を生み出すということでございまして、しかも今日本は非常に深刻な不況下にあるということでして、この膨大な過剰生産能力が輸出ドライブとしてこれから世界各地に被害をもたらすのではないか、こういった危惧が醸成されているように私は受けとめておりまして、そういった非常に深刻な危惧を背景にこういった円高の動きが出てきたわけであって、単なる一過性の市場の気まぐれというよりも、そういうかなり構造的な要因あるいは危惧というものが背景にあると思うわけでございまして、これはかなり本腰 を入れて我が国としても対応していく必要があると思います。  特に、さらにこの円高が進行すれば、輸出の面ではもう極めて厳しい状況に置かれますし、不況をますます悪化させる要因になります。もちろん輸入コストの低下ということは若干ありますけれども、それ以上にこの不況をさらに深刻化させるという面が強いかと思います。そういった意味で、大臣として今回のこの円高問題についての見方、我が国としてはどう対応するか、またこの週末にはG7にも行かれると聞いておりますけれども、どう対応していくのか、そこにつきましてお聞きしたいと思います。
  249. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 遠藤議員からお話がございまして、円高が構造的なものだというお話でございましたが、私は構造的なものかというのについては若干疑問を持っておるわけでありまして、今回の円高が急速になってきた、七、八円ほど急に上がってきたというところを見ると、やはり思惑的なものと思わざるを得ないところでありまして、もしも今お話のありましたような構造的な話になればもっと早くからずっと上昇基調にあってもよかったのだろう、それでなくて急になったというところはやはり思惑だというふうに私は見ざるを得ない、こう思います。本来ならば為替相場というものは一国のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えておりますし、従来以上に為替相場の動きを我々も注視をしていかなければならない。遠藤議員からのお話もありましたから、そういった点も頭に入れながら私はやっていかなくちゃならない、こう思っておるところでございます。  近々G7の会合がある、こういうことで、まだ私がどうなるかというのはわかっておりませんけれども、我々の方としましては日本の立場は十分に説明いたしたい。私としては、私たちの方の立場といたしましては、今申しましたように、ファンダメンタルズを反映して安定的に動く、これは私は現在のところでは国際的な通説になっているのじゃないかな、こう思っておりますし、そういった形で対処していかなくちゃなりませんし、また我々としても内需拡大というか景気に配慮した予算をつくり、また昨年来の総合経済対策などであらゆる対策を実施しておるところでございます。そういった形で、当面の問題に対しましては、私は為替相場の安定を図ってまいるために適時適切に対処してまいりたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  250. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 予算委員長にこの際要望しておきたい点があるわけですけれども、これは大蔵大臣のG7出席の問題と絡んで、予算委員会との関連なんですけれども、今度の土曜、日曜、G7の会議がロンドンで行われるわけですけれども、当然大蔵大臣出席の意向であると思いますけれども、本委員会の終了時間が遅くなると出席は不能になるとただいま我が党の理事から聞いたわけでございます。これは大変重要な問題でございまして、こういうときこそぜひ政府専用機を使って参加したらどうかと思うわけでございます。民間機でしたら、やはりいろいろスケジュールがございますので、なかなか時間の調整が難しいかと思いますけれども、こういうときこそこの政府専用機があるのではないかと思うわけでございます。  しかしながら、伺いますと、今の政府専用機の使用については政令等で非常に利用が困難、特に大蔵大臣が使うことは困難と聞いておりますけれども、委員長として、この際、予算委員会とG7の出席の両立のためにぜひとも努力をお願いをしたい、このことを要望しておきます。
  251. 粕谷茂

    粕谷委員長 ただいまの遠藤乙彦君のお申し出は、大変温かい御配慮のあることだなと思って肝に銘じております。承りましたので、しかるべく私としてなすべきことをさせていただきます。
  252. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 委員長の温かいお言葉を多といたします。  そういったことで、大蔵大臣も、今御配慮申し上げたわけですけれども、それと引きかえということではないのですけれども、今野党間で合意された大規模減税、これをぜひやっていただきたい。現在、我が国は戦後最大の不況下にありまして、これからどう脱却するかは、これはもう与野党を問わず超党派的に取り組むべき課題であると我々は認識し、努力をしております。本当に国民の英知を絞って、政官民すべてが協力をしてやるべきであって、我々は決して単に党利党略からこういったことを言っているわけじゃない、あくまで景気回復をいかにしたらいいかということを、知恵を絞って、今こういう野党間の大規模減税の案を固めたわけでございます。  既に詳細御存じと思いますけれども、何よりも所得税の減税を柱として、標準世帯当たり十万円として約二兆八千億円を戻し税として行う。それからまた、昭和六十三年度以降の物価調整分として本年の年末調整において約一兆円の所得減税を行う。これに加えまして、政策減税として住宅減視、教育減税、中小企業に対する減税といったことですね。そのほか、減税ということではありませんけれども、特に福祉対象世帯の可処分所得をふやして消費を浮揚するために福祉一時金、一人当たり二万円程度支給をすること。こういった点を柱とした約四兆数千億円に及ぶ減税のパッケージを今、社会、公明、民社の野党間で合意をしたわけで、本日政府に申し入れたと思うわけでございますけれども、何よりも今の景気、ますます深刻化をしつつあるという認識に立って、ぜひとも追加的な大規模な対策が必要かと思います。ぜひ大蔵大臣の前向きの取り組みをこの際強くお願いをしたいと思います。  この大規模減税に対しては、特に政府側からその効果につきましていろいろ議論がある。例えば、公共事業と比べて乗数効果が非常に小さい、効果が少ないものにやるべきじゃないといった議論がありますが、そう決めつけるのは早計ではないかと私は思っております。  特に、乗数効果といっても、限界消費性向がどういう数値をとるか、これは心理的な要因が非常に強い。国民の方々が減税を受けて、その上で将来の景気動向はさらに厳しいものであって、この際たんす預金をした方が賢明である、そのように判断するか。あるいは政府が本気で取り組んでいる、そこでこの減税が行われたのであって、ぜひこの際、趣旨を理解をして景気よく追加的な所得、可処分所得を使おう、そういうことであれば限界消費性向も高まる要素もあるわけであって、今回の景気対策、景気については心理的な部面が非常に強いということがあるわけですから、余り信頼できない経済モデルを使って乗数効果云々ということを言う前に、もっと政策的に国民に訴えて、今回の減税がいかに重要な景気を転換するための施策であるか、ぜひとも理解をいただき、協力をいただいて実行する、それによって限界消費性向が高まれば乗数効果も高まるわけですから、ぜひそういうもっと主体的な姿勢を持って国民に訴えていく必要があるのではないかと考えるわけでございます。  また、何が何でも公共投資でやればいいということじゃないと思うわけでして、やっぱりいろいろな問題点もあります。公共投資も、地域の配分もあれば、今非常に固定された配分構造になっておりまして、特に都市部の住民にはほとんどこれが直接のメリットがないということもあるわけでして、そういった公平性の観点からも、あまねく国民に直接この効果が感得される減税をぜひこの際やるべきであると強く大蔵大臣に要請をしたいと思っております。こういった要請に対しましてどのようにお答えになるか、大蔵大臣の回答をお願いしたいと思います。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  253. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 遠藤議員から大変温かい御配慮をいただきまして、私のロンドン出張まで御配慮いただきましたことを心からまずお礼申し上げます。  実は、終わってから行くということになりますと、三日で一泊もしない、こういう旅行になるわけでございまして、寝る暇がない、こういうよう な飛行機でございますが、お国のためですから、私も一生懸命、もしもお許しがいただけるならば、そういった形で努力をさせていただきたい、こう思っておるところでございます。  今、野党共同要求であるところの減税の問題についてお話がございました。  遠藤先生から非常にいろいろな点につきましてお話がございましたが、この減税の問題につきましては、私がたびたびこの席でお話を申し上げておりますことの繰り返しになるかとも思いますけれども、戻し減税あるいは年末の物価調整減税等につきましては、まず第一には、それをどういった財源でもってやるか、こういうことが問題になるだろうと思うのです。現在の我が国財政は大変窮屈な状況でございまして、出すならば、やはり見返り財源をどこから持ってくるかというのが一つの大きな問題であります。後世に負担を残してはならない、安易なる赤字公債の発行というものは厳に慎むべきであるというのが私どもの考え方でありますし、恐らくやこれは各党の皆さん方も共通して持っておられるところの考え方だろう、こう私は思うのです。現在にあるところの政治家が安易なることをやって後世に負担を残すということはやっぱり避けなければならない。これは財政なり政治の節度の問題だろうということでございます。  そのほかに、今もお話がありました乗数効果などというものも考えてみたら、こういうことでございますが、私は、現在の状況を見ますと、それだけ、十万円ぐらいの所得税減税を仮に出すにいたしましても、一体どれだけの効果があるかというのは、乗数効果その他のものを考えて、やはり冷静に考えていかなければならない、総合経済対策をやるときにもいろいろな話がありましたのですが、そのときにもやはり、単なる所得減税、こういうことではなくて、公共事業をやっていく方がお国のためになるのではないか、いろいろな形での社会インフラとかというようなものをこの際こそ整備をしていった方がいいんではないか、まあこういったような考え方でやってきておりまして、私どもは今そういったような考え方でやっておるところでございます。  それから、そのほか住宅減税あるいは教育減税等につきましても簡単にお触れになられました。住宅減税につきましても、先ほど申しました一般論としての財源をどうするかというような問題のほかに、現在既に住宅減税につきましては相当大きな形の減税をやってきているわけでありまして、今住宅減税二十五万円ということになっています。これは六百二十万円ぐらいの中堅サラリーマンが払うところの税の額と同じである。これをもしも五十万ぐらいにふやすという話になりますと、恐らく相当高いところの方々のやはり減税ということになるわけでありまして、それじゃ低いところの方々は一体どういうことになるんだ、我々はそれだけしか減税がないのに高い人は余計減税されるという形で、かえって私は不平等が出てくるんではないだろうかな、こういうふうに思っているところでございます。  それから、教育減税の問題につきましても、既に現在十六歳から二十二歳までの扶養親族につきまして、これはそういった子供を持っているところにつきましては一般の扶養控除三十五万円を四十五万円にふやしてやっておるわけでありまして、こういった形でのもので今やっておるわけでございますから、これでやっていくのが私は限度いっぱいではないかな、こう思っておるところであります。  教育減税とかなんとかという形で学校の入学金であるとか授業料をやるということになりますと、今度は学校に行かないところの人はどうするのかというような問題も出てくるでありましょうし、そういったような諸点を考えていかなければならないだろうと思っております。  さらにもう一つ申し上げますならば、お話のございました中で、生活保護とかあるいは年金等の引き上げ、こういうことでございますが、特に年金の問題は、やはり年金制度が定着しておりますから、これをすぐに不況対策でどうだこうだというのはちょっと論理の飛躍があるんではないかな、まあ年金は年金としてやはり確固たる制度でもって動かしていかなければならないんじゃないかなというふうに考えておるところでございます。  以上、大変お答えしにくいような話であります。せっかく遠藤さんからのお話でございますから何かということも考えたんですが、今のところでは私は今の予算で十分やっていけるものだ、こういうふうに考えていることを改めて申し上げまして、お答えとさせていただきます。
  254. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私も非常に言いにくい点もあるのですが、この今回の平成不況をどうとらえているか、ここがちょっと違うんではないか。この平成不況の、今までにない特に金融面からの縛り、それからこの深度、相当深刻であるという深刻度の認識において大臣と私はちょっと違うような気がいたします。  もちろん我々もこの赤字国債等を一般的に容認するわけではありません。もちろん本来ならば健全財政主義でいくべきですけれども、こういう異常事態、背に腹はかえられぬ事態には、やはり財政が積極的に出動して、赤字国債やむなしというところまで我々も苦しい決断をしたわけでございまして、余り健全財政にこだわって、不況が深刻化しようが、失業がふえようが、また諸外国からいろんな経済摩擦がふえようが、健全財政さえあればいいんだというのはちょっとバランスを欠いた議論であって、思い起こすと一九三〇年代、大恐慌の時代に、まだこのいわゆるケインズ理論が知られていないころ、先進国政府の財政当局が健全財政にこだわったがために大変この不況の傷を深くしたという歴史的前例があるわけでございまして、平成不況につきましても、悪い意味での名前を大蔵大臣が残さないように、ぜひこの積極財政というものを、今回の不況の深刻さと、また積極財政の意味というものをぜひまたお考えいただきたいと、これは要望いたしたいと思っております。  それから、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、今申し上げました平成不況の見方ということにつきまして、これは経企庁長官にまずお伺いしたいと思いますけれども、今までの政府の今回の平成不況の見方、在庫循環、それから投資循環といいますか資本ストック調整、この二つで見ているというのが非常に私の印象でございまして、むしろ今回の不況は非常に資産デフレ、バブルの生成と崩壊に基づく資産デフレ、債務の累積、これが大変深刻なデフレ圧力を及ぼしているということが私が一番重視している点でございまして、どうもこの点政府の見方、ちょっと違うのではないかという気がいたしております。  そこで、特に具体的な問題でお聞きしたいんですが、マネーサプライの動向をどう見るかという点です。余りこのマネーサプライの動向については議論が行われていないようでございますけれども、今までの日本経済を見てみますと、このマネーサプライの伸び率と名目国民所得は極めてきれいな相関関係にあって、このマネーサプライの変化に応じて、タイムラグを置いて名目国民所得も同じように変化をするというのが今までの大体経験的な状況でございます。  そういった中で、このマネーサプライはずっと順調に一〇%台で伸びてきているわけでございますけれども、この月例経済報告によりましても、六十二年度から平成二年度までは大体一一から一〇の間で順調に伸びてきている。それが三年度に至って二・六という、まるで急ブレーキを踏んだような変化になる。また、平成四年度は月別で見るとむしろマイナスに落ち込んでいるような状況もあって、こういったマネーサプライ、この指標の変化をどう読んでいるか。私の場合、マネーサプライというのはやはり総需要の動向を最も端的にあらわす指標であると受けとめておりまして、もう少しこのマネーサプライの動向というものをしっかりと見ていく必要があるのではないかと思っておりますけれども、この点につきまして、 経企庁長官にお伺いしたいと思います。
  255. 船田元

    ○船田国務大臣 遠藤委員お答えいたします。  確かに委員御指摘のように、このマネーサプライ、低迷が続いておりますけれども、その背景として、基本的にはまず資金の需要面から考えますと、言うまでもなく景気の低迷ということで、企業等の借り入れ需要が低迷をしている、貸し出しが低い伸びとなっているということが主因ではないかと思っております。また同時に、これは制度的な問題でありますけれども、M2プラスCD対象預金から対象外金融資産、いわゆる広義流動性と呼んでおりますけれども、それによってとらえられる部分、そちらに資金のシフトが見られる。これもやはりマネーサプライ全体を減らしている一つの要因ではないか。  あるいは供給面からいいましても、先ほど資産デフレというお話もございました。そういうことで、やはり金融機関の貸し出しの能力がやはり悪化した、あるいは銀行の貸し出し態度が慎重化してしまった、こういうことも影響としてあるのではないか、こう分析をいたしております。  しかしながら、このところマネーサプライの動向も、確かに四年の十一月がマイナス〇・六、これが最大のマイナス幅でございました。それが十二月にはマイナス〇・四、それから平成五年の一月、またこれは速報値でございますが、マイナス〇・三、こういうことで、徐々にではありますけれども、マイナス幅が縮小している、ある意味では下げどまりの兆しが出てきたかなというふうに感じておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、このマネーサプライの動向というのは景気に対するさまざまな影響、これは当然考えなければいかぬわけでありますが、私どもとしてはやはり内需拡大策、これをきちんとやった上でその実体経済がよくなっていけば、それがやはりマネーサプライの伸びの回復ということにつながっていくものであろうというふうに考えております。  いずれにせよ、今後ともマネーサプライの動向には十分注意をしてまいりたいと思っております。
  256. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 時間が非常に限られておりますので、ちょっといろいろ議論したい点が時間がなくなってしまいましたが、最後に一点だけ、この不良債権問題、これを大蔵大臣にお伺いをします。  私の言いたい点は、大蔵省の発表によれば十二兆三千億ですか、これが不良債権であるという発表になっておりますが、これは非常に恣意的な定義、利息延滞が六カ月ということで、かつ銀行の申告に基づいたものであって、決して全体像を把握したものではないと私は思っております。特にマクロ経済的な意味を考えますと、特に今の不良債権、あるいはバブルの生成と崩壊による信用創造の収縮過程が日本経済に及ぼすデフレ圧力、これをはかるためには極めてこれは不適切な定義であり、また把握ではないかと考えておりまして、私自身の見方ではむしろ百兆円くらいのオーダーで、定義にもよりますけれども、潜在的な担保割れの銀行貸出残高、あるいは名目国民所得の伸びから外れた部分のバブルの部分のいわば貸出残高というのは大体百兆円規模ぐらいになるのではないかという感じを持っております、もちろん定義にもよりますけれども。  そうしますと、私の個人的な考えでは、信用創造の収縮という点では二〇%ぐらいのデフレ圧力がかかっているわけであって、これくらいの視点でとらえていかないと現下の平成不況の深刻度を見落とすのではないか、またはこれを相殺していくぐらいの財政出動がなければなかなか今の深刻な不況の脱出は困難ではないか、そういう見方をしております。  もちろんこれはいろいろな議論があり得ると思いますので、もっと別の機会で議論をしたいと思いますが、今の十二兆数千億という、余りにも少な過ぎるし、非常に恣意的な定義であって、これではバブルの生成と崩壊が今の平成不況に及ぼす影響をマクロ経済的にとらえることは非常に不十分であると私は考えておりまして、こういったことをもう一回きちっと、理論的にもまた実際的にも見直していく意向はあるかどうか、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  257. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 大蔵省がこの前発表いたしました数字、六カ月以上の延滞債権、うち担保、保証のないもの云々、こういうふうな話で出しました。これにつきまして少な過ぎるのではないか、あるいはその範囲が明らかでない、こういうふうな話がありましたが、いろいろとマスコミなんかで言われておりますが、まさに委員御指摘のように不良債権とは何ぞやというのが私は一番問題だろうと思いますし、そこの明確な定義がないということも確かにそのとおりでございますし、根拠も必ずしもはっきりしていない、こういった点がありまして、不良債権のディスクロージャー問題というのをやっていかなくちゃいけない、こういうことがありまして、金融制度調査会に検討をお願いしているとともに、利息が六カ月以上延滞となっている貸出金、すなわち六カ月以上の延滞債権に着目したヒアリングを行ってその概況をとりあえず発表したところでございます。  そういったことでございますから、これがどうだこうだといって議論をする――一つの数字で私は出した、こういうことでございます。余り大きなものがあるということになるとかえっていたずらなる不安感をもたらしたりなんかすることもございますし、私はそれほどのことにはなっていない、何とかやっていけるのじゃないかな、まあやっていけるからこそ今こういうふうにいろいろとやっているわけでありまして、これをいろいろな形でやっていかなくちゃならない。  この委員会でも私がたびたび申しておりますけれども、今回の不況はいわゆる従来型の景気循環的なものじゃなくて複雑骨折みたいなものでありまして、特に金融・証券市場でそういったような問題が出てきている。その辺は遠藤議員と私も認識を同じにしておりまして、単に実物経済的なものじゃなくてファイナンス、金融的なものが今回の大きな不況の原因であろう、これをどうしてやっていくかというのが一番大きな課題だろう、私はこういうふうな認識を持っていることは申し上げておきたいと思います。
  258. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、一言だけ。  昨年六月、政府は「生活大国五か年計画」ということで閣議決定をもって発表いたしました。その中で、平成四年から八年にかけて五年間、実質成長率を三・五%と決めるということでありまして、これはインフレなく、かつ雇用も十分、設備も十分に稼働させて無理なく達成できる、潜在成長力を適切な総需要管理で実現をする、そういう決意のあらわれと私は受けとめておりまして、経企庁長官、見通しについて、それから実際に総需要管理の手段を持つ大蔵大臣、これは大変重大な政治的責任を持つということでありまして、これが実現できないと大変なことになるという認識を持っていただきたいと思うのですね。  余り短期的な見方ではなくして、我が国がこういった生活大国に移行する、この平成不況を脱して生活大国に移行する、大変重大な経済戦略を考えなきゃならないときでありますので、重大な責任を感じてこの三・五%の目標の実現に全力を挙げて取り組んでいただきたい、そのことを要望いたしまして、私の質問にさせていただきます。
  259. 石川要三

    ○石川委員長代理 これにて石田君、遠藤君の質疑は終了いたしました。  次に、堀昌雄君。
  260. 堀昌雄

    ○堀委員 本日は、少し長い私どもの日本の将来というものを視野に入れながら現在の、明治四年の廃藩置県以来、今日の地方行政制度というものは既に百年以上経過しているわけでありますけれども、当時の日本と現在の日本というものは大変大きくすべての点で変わっていると思うのであります。そうして、経済圏というものが次第に発達をしてまいりまして、東京を中心とするもの、あるいは名古屋を中心とするもの、京阪神を中心とするもの、あるいは北九州を中心とするもの、そ の経済の範囲というものは単に一自治体にとどまらず大きな実は範囲になってきているわけでございます。  本日六時半から大阪湾ベイエリアに関する集会が東京で持たれるわけでありますが、私も社会党の責任者としてこの大阪湾ベイエリアの法律の作成に参加をしたわけでありますが、この大阪湾ベイエリアということになりますと、もう兵庫県から大阪府、和歌山県、徳島県、こういう沿岸地帯はもちろんでありますけれども、その後背地帯になっておるところの奈良県あるいは滋賀県、京都というような地域を含めて非常に大きな実は問題を抱えているわけであります。  そこで、社会主義、資本主義という一つの座標軸がなくなったわけでございます。私自身は社会党としていろいろやってまいりましたけれども、政策審議会長をやりました当時から、どうもソ連の社会主義のあり方では限界があるのではないか。要するに、労働者が一定のノルマを果たせばそのノルマに見合った賃金が与えられる、こういうことになっておりますと、一体生産性というのはどうなるんだろうか。労働者の数がふえなければ生産性は上がらない、こういうことになりかねないわけでありまして、そこに疑問を持っていろいろ勉強をいたしまして、党として初めて、要するに競争原理というものがなければ経済の発展は期待できないのではないか、要するに人より多く働けば多くの賃金が支払われるということがやはり日本の今後を発展させるためには重要な一つの部分である、私はこういう考えをいたしまして、今日はそうなっておりますけれども、党の中での経済政策というのは、やはり競争原理は一つ重要である、同時に市場の問題、市場経済というものも極めて重要であるということで、今日では社会党の経済政策と自由民主党の経済政策は、ベースにおいては変わらないところまで実は参ったわけであります。  日本を見ておりますときに、どうも日本は縦型社会でありまして、上から下へというのは非常に早く問題の処理が進むわけであります。なかなか横向けには広がりにくいというのが日本の体質の一つの特徴だと思うのでありますが、これは今の制度は中央集権ということで、それで東京がこのような一極として非常に大きなことになってきた、四全総その他でいろいろと政府がお考えをいただいてもなかなかこれは改まらない、こういうことでございます。  私は、そういう意味で、これからひとつ座標軸を今の資本主義、社会主義から中央集権か分権かという座標軸に移しかえたらどうだろうかというのが今の私の、二十一世紀、二世紀を展望しての日本の今後のあるべき政治構造、社会構造としてこれからみんなで勉強していく段階に来ているのではないか、こう考えまして、きょうはまず最初にこの中央集権から地方分権へという問題を取り上げたいと思います。  それはまさに、私は日本の政治を見ております場合に、非常に欠落しておりますのは、戦略がないということであります。大体どこの国でも多くはそれなりにその国の戦略、ストラテジーというものがあるのでありますけれども、どうも日本では長期の展望に立った戦略がない。ですから、宮澤総理も海図なき航海というような言葉もお使いになっているようでありますけれども、非常にこれは私は、せっかく国民がいろいろと努力をするときに、戦略があればすべてのものがその方向に収れんしながら問題が発展できるのでありますけれども、要するに何か出来事が起きたらただそこでそれにだけ対応するというだけでは、せっかくの国民のエネルギーはかなりむだに使われる部分が出てくるのではないか。  そこで、その座標軸の一つとして、本日は今の中央集権から分権化という問題を取り上げたいのでありますけれども、いろいろと勉強いたしてみますと、いろいろなところでいろんな意見が実はたくさん出ておるわけであります。ですからきょうは私は問題提起をさせていただいて、今後の日本の進むべきそういう政治のあり方についての一つの戦略の問題提起をさせていただき、あわせて委員長にもお願いをしたいのでありますけれども、ここで私が一時間半しゃべってみたところでそれで終わりになったのでは大変むなしいことでございますので、ひとつ国会の中に、この今の日本の政治制度の改革、私はこの前は今の国会のあり方について申し上げましたけれども、これは極めて部分的なことでありますが、きょうここで申し上げるのは長期にわたって日本を改造していこうという実は戦略でございますので、国会の中にひとつ、まあ国の制度と地方の制度のあり方についてといいますか、名称は何でもいいのでありますけれども、要するに、中央集権をできるだけ分権に、言葉をいろいろ使われておりますけれども、道州制と連邦国家というような言葉も実はいろんなところで使われておりますが、端的に言えばそういう道州制、一つの高度な自治力を持った自治体、それとそれの連合体である連邦政府というような形のものを、これから国会の中に特別委員会をつくっていただいて、三年かかるか五年かかるかわかりませんけれども、それをひとつ国会の中で皆さんの英知を集めながら、あるべき日本の将来についての政治制度のあり方というものを、ひとつこの私の質問を契機に国会の中につくっていただきたい、こんな気持ちがいたすのでありますが、きょうは総理はおいでになりませんから、官房長官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  261. 河野洋平

    ○河野国務大臣 お尋ねの件は、もとより国会の問題、立法府の問題でございますから、政府がこれについてつくっていいとかつくって悪いとかということを申し上げる筋の話ではないと思います。国会におきましてそういう御判断がございますれば、その御議論に政府としてはできるだけ必要な御助力は申し上げるのは当然と心得ております。
  262. 堀昌雄

    ○堀委員 政府としても賛意を表されましたので、委員長におかれましてはひとつ今後当委員会理事会等を通じて、これは何も一年二年の話ではございませんから、長期にわたる日本の制度改革の問題の委員会をぜひつくっていただいて、二十一世紀、さらには二十二世紀にわたる世界における日本のあり方ということをひとつ御検討いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  263. 石川要三

    ○石川委員長代理 ただいまの堀委員の御提案につきましては、委員長としてこれを真摯に受けとめさせていただきたいと思います。
  264. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、私がそういう問題を考えるに至りましたもとは、実は私は兵庫県の尼崎市というところに、昭和十二年に大阪の大学に入りますためにそこに下宿をいたしまして、そうしてそのまま今日に至っておりますから、約六十年近くこの地にいるのでありますが、ここに阪神上水道という水道がございます。この阪神上水道というのは事務組合でございますけれども、淀川の水をとって尼崎でこれを浄化をいたしまして、そして阪神上水道ということで尼崎市やあるいはさらに西の方にも、神戸に至るまでこの阪神上水道は使われておりますし、琵琶湖の水というのは現在琵琶湖の南部の皆さん、そして京都市の皆さん、これも琵琶湖の水を水道水として使っておりますし、大阪市もほとんど全部がこの琵琶湖の水を使っているわけであります。  ところが、昔は大したことはなかったのでありますが、だんだんと時間を経るにしてこの水道水がまずくなってきたわけですね、だんだんとまずくなってきた。そのだんだんまずくなってくる理由は、今の琵琶湖周辺にいろいろと住民もたくさんふえました、事業所もふえました、その排水が全部琵琶湖の中に流し込まれるわけですね。おまけに、京都は琵琶湖から直接水をとっていますけれども、京都の下水は全部淀川に流れ込む。ですから、琵琶湖周辺と京都の下水を大阪市あるいは阪神間の我々はこして飲んでいるということでありますから、時代が移るに従って水質はどんどん悪くなってきた。  そこで、私はもう議員になっておりましたから 大蔵省の諸君と話をして、琵琶湖の周辺に流域下水道をつくって、琵琶湖周辺の住民や工場の排水はその流域下水道に全部入れて、淀川というのは側承知のように幅が広くて水はそうたくさん流れていませんから、そこへひとつ流域下水道を入れる。京都市も、とってきた下水はその流域下水道へ入れて、要するに下水は下水で大阪湾の近くで下水処理をして瀬戸内海に出す、飲用水は滋賀県の皆さんも京都の皆さんも我々も直接琵琶湖からとるようにしたいという話を当時の大蔵省の主計の幹部といたしてみました。そうしたら彼らが言いますのは、先生、今のお話を聞いていると、確かに滋賀県の皆様にもプラスですけれども、多くのプラスを受けるのはやはり京都とか大阪とか兵庫とか、滋賀県に関係のない人の方が非常にたくさん恩恵を受ける、先生、これはそういう話をしても今の府県の制度ではなかなか難しいんじゃないでしょうか、こういう話でございました。そのときに私は、ああ、それならば大きなブロックである一つの近畿州というようなものをつくって、広域で物を考えて対応するということが必要だなと。もうそれから約二十年がたつわけでございます。  今度は、最近見ておりますと、東京もどうやら利根川水系の水がだんだん不足をし始めてきた。そこで、新潟の信濃川の分水ができないか、こうなるのですが、これがまた府県制度ですから、新潟県にすれば何も信濃川が流れているのを分水して東京や関東に流す理由はない、こういうことになっているようでありまして、いずれもそういう生活の問題から見ても、私は、もう大きなそういうブロックが問題を処理する形になるというのは極めて重要な段階に来ているのではないか。交通や通信も非常に発達をして、そういう意味では、過渡的に府県を残すといたしましても、私は、まず地方にひとつ州という名のつくような広い範囲の広域自治体をつくるということを考えたらどうかとまず第一に考えているわけであります。これが一点ですね。  そういう州が幾つできるかは、これはまた、皆さんや、そして国土庁長官にも今御出席をいただいておりますが、これは国土のいろいろな情勢を勘案しませんと、何となくここはと、こういうわけにはいきません。それにはやはり国土庁としては地理的な関係あるいは過去の歴史的な問題、いろんな関係を国土庁その他もひとつ検討をしていただいて、そうしてひとつ……。  どちらかというと、兵庫県に私ども住んでおりますが、兵庫県というのは瀬戸内海から日本海まで実は広がっておりますので、日本の中では割に幅の広いところですけれども、両面にある。そうでないところがたくさんあるわけですね。ですけれども、やはり日本の場合には、中国の場合は大体皆瀬戸内海とこちらにありますけれども、場所によってはそうならないところもありますから、できればそういうふうに関東州というのを考えるときは新潟県を入れて、要するに関東地方がこうなれば日本海にも出口がある、こちらの太平洋側にも出口があるというような形で適当なブロックが一つつくられるということになり、そこに一つ、それをまあ一応州、こういうことにいたしますと、その州に主要な行政権をひとつ移譲する。そうしますと、残ってくるのは州の連合体でありますところの一種の連邦政府が残ってくるわけでありますが、この連邦政府というのは当然やはり、例えば外交の問題であるとか防衛の問題であるとか、裁判所も地方に移せとかいろいろありますけれども、そう何でもかでも一遍にやればいい話ではございませんので、やはり順を追って、そういう州の成長といいますか、そういう発展の過程に応じて考えるべきものは考えるとしても、やはり司法の制度とか、税の問題も大体各ブロックに国税局がありますから、要するに税は国税局で取って、そして一義的には今の州の財源に使うということで、段階的な処理をやるということが必要でしょう。そして当然、県はしばらく残っていますが、やがて県がなくなる時期というのは、皆さんいろいろなところに書いておられますけれども、やはり基本自治体というのは、まあ三十万ぐらいの自治体でありたいというのがいろいろな報告の意見でありますので、今の市町村というのを少なくとも三十万ぐらいの一つの自治体にして、その自治体と州で、やがては県はなくしていく。そのかわり州議会というものがきちんとでき、州の知事というのも今の県の知事と同じようにその州の有権者が投票によって選び、州議会もそういうふうにしてできる。ただその場合には、今の税の問題とか司法の問題とかというようなものはまだ残しながらその問題の処理をしていくというような、実は発展段階に応じて物を考えていくというような形で一遍考えてみたらどうか、私はこう思うわけであります。  まず最初に、一番関係のある自治大臣から、今の私の構想についての感想をひとつ伺いたいと思います。
  265. 村田直昭

    村田国務大臣 堀先生から非常に広範な国家的な視野に基づいてお話がございました。傾聴しておったところでございます。  御指摘にありましたように、明治初年に現在の市町村制そして府県制度の基礎ができたわけですね。当時は市町村は七万ぐらいあったといいますが、その後、戦後に市町村合併をやりまして一万五千から現在の三千余りになったわけでございます。これが基礎的な地方自治体。  それから府県は、御承知のように戦前の府県は、これは私はドイツやフランスの大陸法系を模範にした中央集権的な制度であったと思います。したがって知事は国の任命でございました。戦後、直接公選という制度に改められました。そして、今御指摘になられたような道州制等のいわゆる広域行政ということが非常にやかましく言われ出したわけでございます。  したがって、先生の御指摘になった国家制度の変革からいえば、徳川時代を通じて三千万以上には人口がなったことないんですね。ところが明治以降、現在では一億二千万でございます。したがって、江戸時代にいわゆる食糧の制度から三千万という人口の上限があったわけでございますが、今はまさに民主主義というか自由主義というか、先生のお言葉をかりればいわゆる資本主義の発展に伴って一億二千万の人々が養えるようになった、これはもうまさに食糧制度の大幅な改変でございます。  したがって、現在の社会経済制度に対応するような地方自治制度をどういうふうにしていくか、これは非常に広範な問題で、私は先ほど来お話を傾聴しておったのでございますが、戦後、地方制度調査会あるいは行革審その他でいろいろこの問題を検討しています。第二十三次の地方制度調査会では広域連合ということを言い出したんですね。昭和三十年代に、私の記憶が正しければ、府県合併であるとか道州制であるとかという考え方が出だして、そして、考え方はあったけれども、道州制についての検討は今までそれほど進んでいなかった。したがって、先ほど御提案になったような道州制の提案が国会で進められることになれば、広域行政が大いに進んでいくだろうと思います。  そこで、市町村は基礎的な地方公共団体でございますから、これは本当に住民に直結した行政をやる。それから、府県は地方自治体という今の制度であれば当然広域的なものを行う。だから、御指摘にありましたような阪神の上水道であるとかあるいは下水道の問題であるとか、そういうことになってまいりますれば当然に府県がそれを現在やっておるわけでございますけれども、御指摘のように京阪神地域あるいは名古屋を中心とする中部地域、東京圏、そういうところでは文字どおりもう四十その都道府県の枠を超えて広域行政が進行しております。  それならば全国的に広域行政が進行しておるかと申しますと、進行はしておりますが、大変程度の差がございますね。例えば鳥取やあるいは島根や、私は鳥取におりましたからよく知っているのですが、そういういわゆる農業をまだ非常に主体としておる県では、必ずしも四県なり五県なりで 道州制をしくという基礎はまだできていない。  したがって、これは今後の堀委員の御指摘のような議会の検討にまたなければなりませんが、もし地方自治体としての道州制を設定するならば、これは私は将来構想として非常におもしろいと思います。検討の余地が十分にあると思います。  ただ、今すぐ全国的にそれをやるには時期尚早ではないか。明治以後百数十年がたった現在でも、四十その都道府県という今の実態を一挙に変える全体的な社会経済制度の変革はまだ来ていない。そして、もしこれを国の官治団体として道州制を設置するなら、これはまさに地方自治の背反でありまして、堀委員が御指摘になったような地方自治、地方分権ということにはなりません。  したがって、そういう広域的な考え方に立って今後大いに勉強さしていただきたい、このように思っておりまして、私も実は自治省採用の人間でございますから、長い間地方制度を研究してまいったのでございますが、今後、道州制なり市町村のあり方なり、あるいは地方制度調査会で言ったような広域連合の制度なり、あるいは今の自治法では一部事務組合による共通組織がございますね、こういうものをよく考えてみなければならぬ。これはまた議論の進展によっていろいろとお答えを申し上げることがあろうかと思っております。
  266. 堀昌雄

    ○堀委員 国土庁長官にお伺いしたいのでありますが、地方行政という立場では今のような御答弁がありまして、私はいろいろな問題の提起をこれまでさせていただいておりますけれども、早急に結論を出そうという気はいつもないのであります。要するに、我々の社会というのは、お互いの人間が自分たちで納得をして、そうしてその上でこういうふうにしようという意思が固まらない限り、そしてその意思を持った人たちが一定の広がりになって初めて民主的に一つの物事が動いてくるわけでありますから、私は時間を限っていついつまでにという気はないのであります。しかし、ちょうど経済社会体制が変わってきたこの時期からスタートをして、そうしてやはり一番大事なのは地方から問題が始まってきませんと、上から物を処理するんじゃだめなんですから、地方から始まるのが必要なんです。  もう一つ大事なのは、やはり国土の全体的な立場から見て、最も国土庁として有効な地域の一つのブロック、州というのがどういう形であったら、国土庁としてはこういう面のプラスがあって、しかしこういう面のマイナスがある。一つの物事には常にメリットとデメリットあるわけですから、それを勘案してメリットの多い方を選択するというのが民主的な手続だと思うので、国土庁長官の方からひとつ、もし国会の中でこういう委員会ができて、そうしてそれに皆さんに協力していただくためには、自治省も非常に重要なファクターでありますが、あわせて国土庁も重要な参加の位置におられると思うので、御答弁をいただきたいと思います。
  267. 井上孝

    ○井上国務大臣 先ほど来堀先生の示唆に富むお話を伺いまして、国土行政上大変参考になる御意見だと思って拝聴をいたしておりました。  いわゆる道州制につきましては、今自治大臣からもお話がございましたが、行革審でも取り上げられて、我々にさらに検討するようにという指示が出ておることも理解をいたしております。特に、道州制の導入につきましては、その具体的内容がまだはっきりいたしませんけれども、最近におきまして特に社会経済上広域行政のニーズが非常に高まっておる、あるいは地方分権が非常に高まってきておりますので、一つの手段としてそれが有効ではないかな、こういうふうには思っております。  いずれにしても、道州制につきましては、自治大臣も御答弁になりましたように、今後中長期的な観点から多角的な検討をしなきゃならぬということでございますが、国土行政、特に堀先生お挙げになりました琵琶湖、淀川の総合開発というのは国土庁の所管でございますし、それから冒頭おっしゃいました大阪湾ベイエリア、これも前国会で成立をさしていただきまして、きょうその祝賀会があるようでございますが、これも国土庁のとりあえず主管でございます。これはいずれも都道府県でいいますと数府県にまたがるということもございますが、実はいろんな役所にも関係をする、縦割り行政のいろんな役所にも関係するということで、国土庁がとりあえずの窓口主管、こういうことになっておるわけでございます。  この道州制につきましては、国土庁としてさまざまな問題がございますけれども、十分関心を持って今後検討してまいりたい、こう思っております。
  268. 堀昌雄

    ○堀委員 戦争が終わりましたときにアメリカが日本の占領をいたしまして、そこでできてきましたのが、要するに公安委員会というのが自治体に設けられることになりまして、警察は実は自治体警察と、こういう時期がございました。それから、教育委員会というのが設けられまして、この教育委員は公選制の教育委員会でございました。東京都の中野区で今のような上からのそういう教育委員会に対して教育委員の準公選というようなものが行われておるというのは、かつて歴史的に教育委員会の公選が行われてきたということに対する一つの市民の皆さんの、民主的な教育委員を選びたいということのあらわれだと思っているわけですね。  要するに、アメリカは御承知のような州の連合体でございますので、当然その発想は州の自治。アメリカは、私も実は常にそう思うのでありますけれども、子供のときに大変西部劇をよく見に参りましたけれども、西部劇を見ておりますと、何もなかったところに移住者のぼろ馬車がやってきて、そうしてそこに小さな集落をつくる。その小さな集落をつくると、その集落の治安を維持するためにシェリフをひとつ置こうじゃないか、シェリフを置くためには金が要る、それじゃみんなで金を出し合ってひとつシェリフを置こうという、これが私はアメリカの民主主義の原点だと思っておるのですね。アメリカでは、ですから税というのは自分たちのいろいろなものを果たすための会費だという認識になっていますから、封建社会を経過してきた欧州や日本は、税というものは上から権力で召し上げられるものだ、前にもここで申し上げましたけれども、税に関する言葉は、漢字の言葉は、皆そういうことになっているんですね。税を収納するという、収というのは下から取り上げられる方でありまして、納の方は下から納める、みんなこれ上下の関係になっているのですね。しかし、アメリカではそうではなくて、会費ですからみんなで集めよう、こうなっているんで、ですからそこに私はアメリカ民主主義の原点がある、こう思っているんです。  やはりそのためには、もう一遍できるだけできるところからやるということになると、ひとつ警察を一遍また昔の、今も公安委員会というのはあるのですよね、公安委員会はあるけれども、それは知事が任命したりいろいろ上からこうやっているわけですから、そういう今ある制度の公安委員会のようなものを、もう一遍ひとつ最初にあった公選で公安委員を選ぶとか、教育委員も公選で選ぶとか、例えば道州ができればそういうものは、今は文部省で教科書は、それは文部省が決めてるっていうんじゃないという表現もあるんでありますけれども、まあまあそれは形式であって、中身としては文部省が決めているようなものですが、それは今度は州が教育委員会をつくって、その州に見合ったそういう教育の制度があってもいいんじゃないか。そういうことで、まず一番大事なのはまず下から始めていくという、かつてそれも占領当時に一回あったことをもう一遍おさらいをしてみるというようなことが、私はこの国会でいろいろ議論する場合に現実の一つのデータとして役に立ってくるんではないだろうか。それには、今国家公安委員長でもある自治大臣に、教育の方は今、きょうは文部省呼んでおりませんけれども、一遍お考えがいただけるかどうかちょっと伺っておきたいと思います。
  269. 村田直昭

    村田国務大臣 堀委員が御指摘になりましたよ うに、警察の制度は、先ほど申し上げた戦前に比べて最も変わったものの一つだと思います。いわゆる大陸法系であった日本の社会が、アメリカあるいはイギリスを模して非常に民主主義になったわけでございまして、したがって、私は国家公安委員長でありますが、現実に全国の警察官を指揮監督するという、指揮するという立場ではございません。それをするのは警察庁長官であり、都道府県の県警本部長でございます。  今の警察制度あるいは教育制度も含めて、これはもう私自身の所見を申し上げることになりますが、非常にアメリカ的な形で民主化されたと思っております。したがって、今、堀委員の御指摘になりました公安委員の公選制、教育委員の公選制をとるかどうかというのは一つの議論があると思いますが、例えば、例え話を申し上げます。  私は今自治省の大臣室に入っておりますが、これはかつて内務大臣の部屋だったんですね。その当時の、内務省のあったころの内務大臣というのは、中央集権の府であったわけです。ところが、現在の自治大臣というのは、文字どおり地方自治、地方分権の府でありまして、戦前と戦後ではそういう地方自治の制度がすっかり変わっておる。だから、堀委員の御指摘になられたような公選制による教育委員、公選制による公安委員、そういうものが果たして現在これから必要になってくるかどうかというのは一つの検討課題であると思います。  それと同時に、道州制は先ほどの規定によればこれは地方自治体である。だから、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカとはやや違いますね。ユナイテッド・ステーツ・オブ・ジャパンになるかどうか、ニッポンになるかどうかというのは、これはもう根本的に違うと思います。したがって、この非常に面積の狭い、人口の過密な日本においてとるべき自治制度、地方分権の制度というのはまさに考えなければいけないと思うんですね。  先ほど井上大臣がおっしゃいましたが、いわゆる今の日本の形は一極集中でございます。東京に人も、金も、物も、情報も皆集まってしまう。これは先ほど私が指摘申し上げました明治初年ではそうじゃなかったんです。東京の人口はわずか百十五万だった。今は千二百万で、東京圏が三千万です。だから大変な差がその間に行われたわけで、農業を中心とした生産形態からいえば江戸でもギルド制社会であって、いわゆる手工業的工場制であった。それが今大工場の資本主義に変わったわけでありますから、文字どおり一千万以上の大都市が出てる令社会経済的な基礎があるわけであります。したがって、そういう社会経済的な基礎に立ってこれからの日本を考えるということになれば、道州制は先ほど申し上げましたように、過渡的には四十その都道府県を前提としながら、堀委員が御指摘になられましたような三年、五年の長期をかけて、あるいは二十一世紀以降の世界に向かって、よく考えなければならない根本的な民主制度というものがあると思います。  したがって、これからいろいろと教えていただいて地方分権なり地方自治なりの問題を考えていかなければならぬと思いますが、その基礎は、井上長官がいつも言っておられますが、三全総、四全総は、東京への一極集中を避けて多極分散型の国土をつくるのだ、だから日本国じゅうにいろいろな、都市もあり農村もあるというきらびやかな真珠のネックレスのような配置をするのだ、そういうことであろうと思います。したがって、四全総はいわば国是でありまして、多極分散型の国土をつくるという方向に従って我々は地方制度も検討しなければならないと思っております。
  270. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実は三全総、四全総、いろいろあるのですけれども、ちっとも動かないのですね、現実問題としては。もう少しこれは動くのでなければ、百年たっても、私は、今のいろいろ考えていらっしゃることはできないのじゃないだろうかと思う。  今要するに国会の移転だとかいろいろな問題が出されておりますけれども、単発的に国会の移転をやるといっても、今御努力いただいている方には大変申しわけないけれども、非常に難しいと思うのですね。全体を変えるという意味で、例えばそういう意味では、要するに今の関東州の中にどこか、新しい政府はここへ行くとか、何か全体像の中で考えませんと、ただ首都だけをどこかへ移そうなんというような発想では、私はこれは百年たっても移せないのじゃないかと思う。だからやはり全体をどういうふうにするかというマスタープランをまずつくって、そしてそのマスタープランの中で、何はどこに、こういう格好の位置づけができてくればそれなりに全体として納得ができる姿ができるのじゃないだろうか。  国土庁長官、そういう意味で、決して私は三全総、四全総がむだだとは言わないのですよ、むだだとは言わないけれども、どうもインパクトが少なくて、皆さんがいろいろやっていらっしゃることがもうひとつ実は具体的なコースに沿っていないような感じがして仕方がないものですから、ちょっとその問題を伺いたいのですが、いかがでしょうか。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  271. 井上孝

    ○井上国務大臣 堀先生御指摘のように、四全総は昭和六十二年からやっております。その中心テーマは東京一極集中を是正して多極分散型国土をつくる、これが中心課題でございます。今まで約六年近くたっておりますが、昭和六十二年には、東京への社会増ですか、移入してくる人口が十六万人あったのです。平成三年には八万人、またこれはプラスでございます。我々はマイナスを目指したのでございますが、鈍化をしたとは言えますけれどもまだプラスだということでございまして、先生おっしゃるように何にもやっていないということではないと思いますけれども、ひとつその辺はお認め願いたいと思います。  ただ、一体それではどうしてこんなに目指した中心課題の達成がおくれておるのかということで、私ども昨年から国土審議会の中に部会をつくりまして、そこで今四全総の総点検をやっていただいています。非常に熱心に、真剣にやっていただきまして、恐らくことしじゅうには結論を出していただけるのじゃないかなと思っております。  それから、四全総の線に沿いまして東京一極集中を排除するという意味から、もう先生御承知の、先生が御主張になりました大阪湾ベイエリア、これも、東京、大阪というのは二眼レフでいこうと思っていたのに、大阪の方がやや落ち込んできておる、東京ばかりふえてきているということをどうするかというのがテーマだったと思います。これも一つでございます。  今御指摘になりました国会等の移転も、これも一つの課題として取り上げよう、進めていこう、こう思っておりますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  272. 堀昌雄

    ○堀委員 国土庁長官、結構でございますから、どうぞ。  そこで、時間も大分たちましたから次の問題に入りたいのでありますけれども、厚生大臣はもう入っていますか。入っていますね。  昨年私は国民年金についてこの委員会で論議をさせていただきました。そうしてその結果、要するに国民年金の年金保険料を支払う方がだんだん減ってきているということを取り上げて、果たしてこのままでいいのだろうかという問題を提起させていただいたわけでありますが、最近における国民年金の、要するに国民年金は御承知のように所得の少ない方は免除という制度がございます。その免除の方の上に未納があるわけでありまして、昨年データを挙げて実は詳しく申し上げたわけでありますが、一体、私が昨年申し上げてから、国民年金のそういう保険料の免除それから滞納の状態がどうなっているか、政府委員で結構でございますから、ひとつ答弁をしてください。
  273. 佐藤隆三

    佐藤(隆)政府委員 ただいま御質問国民年金の免除と保険料の未納率でございますが、平成二年度の未納率でございますが、これは検認率との差でございますが、平成二年度一四・八%でございましたのが、平成三年度一四・三%となってお ります。それから、免除率につきましては、平成二年度一二・六%でございましたものが、平成三年度は一四・〇%となっております。
  274. 堀昌雄

    ○堀委員 今の話を聞いておりますと、要するに未納の方は少し減ったようでありますけれども、免除をふやしている。免除をふやした分ほどそれでは未納が減っているかというと、そうじゃないということですから、結果的にはやはり未納がふえつつある。これは私はどう考えても非常に、何といいますか、今の単一年金制というものが極めて逆進性が高いですから、今九千七百円ですが今度は幾らになるのですか、ことしのどこかで一万幾らになるのじゃないですか。
  275. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 一万五百円でございます。
  276. 堀昌雄

    ○堀委員 昨年も申し上げたのでありますけれども、要するにこれから毎月一万五百円国民年金の保険料を払う。この場合には、商売をしていらっしゃったりいろいろする方は毎日お金が入ってきますから、まあ何とか、夫婦二人あるいは子供が二人くらい年金対象者があるとすると四万円は払えるかもしれませんけれども、農業で特にお米のようなものをやっていらっしゃる方というのは、不断に毎月現金収入がどんどんあるわけじゃありませんから、どうしても、今の保険料というのがどんどん毎年高くなっていく、高くなれば高くなるほど未納率がふえてくるのじゃないか。それでは国の制度としての年金の用を果たさない。  私、今度少し外国の年金制度を調べさせていただきました。いろいろとイギリスその他の国においても工夫がされておりますね。日本のような単純な一律年金でやっているというようなことはないのですね。ですから、今の国民年金、何かひとつ抜本的に、諸外国の賦課金制度とか業者別団体の何だとか、いろいろあることを私今度資料で勉強してみまして、もう少し外国の被用者でない人たちの年金制度を厚生省としては研究をして、もう少し何とかならないか。  この前、山口年金局長にちょっと来てもらって、彼は若いころからずっと接触をしているものですから話しておりまして、私が、国民健康保険は所得階層でかなり所得割もあるしいろいろなっているのにどうして年金だけそうなっていないかということについては、国民健康保険の場合には異動があっても割に短期の処理ができるけれども、国民年金はどうもそれができないという点で非常にいろんなことがやりにくいという話なんですが、しかし私は、イギリスやその他の国がやっている制度をもう少し日本流にうまくアレンジをして、もう少し単一というのは逆進性が一番強いわけですから、ともかく所得の高い人から見たら今の月に四万円は何でもないでしょうけれども、所得の低いところからしたら四万円なんて毎月とても払えない、その結果が未納になっている。未納になったら将来の年金計算はゼロになるわけですからね。国の制度としてこれほど私はある意味では公平を欠いた、憲法十四条に言う「法の下に平等」という概念から遠い制度はないと、こう思っているんですね。  この点について、だからこれからひとつ国民年金に対する新しい方策を検討して、どういうふうにすれば今の、免除はこれは仕方がないとしても、未納をなくするために厚生省はもうちょっと真剣にやってもらいたい。これは一年たっていますけれども、全然何にも変わりがないんですね。予算委員会でわざわざ昨年三十分時間をいただいてやりましたけれども、全然進歩がない。これはひとつ厚生大臣、非常に重要な今後の問題です。  これから二〇二五年には老齢比率二五%を超えるという、世界で一番高い老齢化の時代が来るんですから、そのためには今日から少なくともそれに対する準備はきちんと行わなきゃならないと思うんですけれども、この一年間何にも行われていない。これじゃ予算委員会で論議をしても意味がないということになりますので、厚生大臣、ひとつ責任を持って、来年はそういうことについてお答えいただけるような勉強をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  277. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず堀先生御指摘の、国民年金制度にいわゆる所得比例保険料を導入すべきだと、こういう考え方でございまして、一つの見識といたしまして私ども受けとめておるわけでございますけれども、国民年金の先生御案内のように被保険者というのは、率直に申し上げまして、どちらかというと低所得者が非常に多いわけでございます。ですから、もし仮にこういうものを入れた場合でも、所得比例が現実的になじむかどうかという問題が一点挙げられるのではないかと思っております。  それからもう一つは、これはいわゆる自営業者について、こういうことを私が申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、いわゆるクロヨンと言われるように、所得であるとか税の把握というものが非常にしにくいわけでございます。そういう中で確実な徴収をどうやって行っていくか、こういうことが大きな課題となっております。  それから、国保のことについて御言及がございましたけれども、年金は全国一律でございます。国保につきましては、御案内のようにおのおのの市町村が独立しておる、こういうことでございますが、今最後に御質問ございました未納率の問題につきましては、率直に申し上げまして、私どもも頭を痛めておるわけでございます。これまでもいろいろな機会にPRをいたしておるわけでございますけれども、ひとつ有効な手だてを講じまして先生の御期待にこたえていきたい、このように考えております。
  278. 堀昌雄

    ○堀委員 私が所得を勘案しろという話の問題は、国民健康保険で見ますと、かなり所得階層は離れているわけです、実は。それは各自治体が者やっていることでありますから、恐らく国民年金、国がやっているものですから、細かいそういうあれができないと、こうなっているんだと思うんですが、やはりそこは私は今の自治体の国民健康保険の資料を十分とりながら、やはり国民健康保険はちゃんと払う。  しかし、年金は払わないというのは、年金は要するに、払っても余りプラスがないという今の年金のシステムなんですね。あれならかえって民間の年金に入っている方がより高い年金が得られると。だから裏返して言うと、民間の年金と国民年金というものの競争の中で、国民年金は完全に置いてきぼりを食っているというのが私は実情ではないかと。しかし、これは憲法十四条に言う「法の下に平等」であるということからいきますと非常に問題がある。  私は、今クロヨンの話が出ましたけれども、一九八五年に当委員会でEC型付加価値税というものの提案をいたしました。EC型付加価値税の提案をしたのは、この間もちょっと申しましたけれども、営庶業の皆さんや農業の皆さんが余りにも税の申告が不十分で、申告漏れが多過ぎる。片一方は、九二%の所得税というのは実は源泉徴収のサラリーマンが納めていて、これ一〇〇%払っているわけですね。もう根っこで取られているわけですから、ごまかしょうがないわけですから。要するに、サラリーマンは一〇〇%取られていて、片方は非常にその点で、ともかくもう徴収漏れが二四%ぐらいあるとか所得の脱漏が二二%あるとかという、クロヨンというほどではありませんけれども、かなりのそういうものがある。  そういう実態を正すために、私は、インボイスのついたEC型付加価値税というのを導入しましょうと。それは何も私は税金を取るためにあそこでEC型付加価値税の提案をしたのではなくて、インボイスをつけることによって、営庶業、農業の皆さんが、要するに生産者から農協なりあるいは卸に、卸から小売にというところの経過がインボイスによって国税庁にインプットできるようになれば、かなりそういう税を正しく納めていただけるということになるのではないかと。そのときに私は、それを、税収は全部目的税として基礎年金に入れようと、こう言って提案をしたのですが、その後に売上税が出、消費税が出て、今やもう消費税なるものは何のために取っているかわけのわからぬような間接税になっているというの が私は実態だと思うのですね。  ですから、そういう意味では、もう一遍ひとつ、これは大蔵大臣でありますけれども、この今の私が提案したもとに、原点に返ってもらって、まずEC型付加価値税のようにインボイスにひとつ戻してもらいたいと。営庶業の皆さん、それでなくても税が脱漏している人たちのためにさらにフェーバーを与えるものだから、消費税でも、実は四〇%近い消費税の脱漏ができているというのが国税庁の資料でも明らかになっているわけでありますから、これは何としてもここの部分を正すためには、大蔵大臣、今の消費税の中にインボイスを導入をするということをひとつきちっとやって、物の動きを完全に把握して、それをコンピューターで国税庁にインプットしておけば、何も一々やらなくても、資料が国税庁に入っているんならちゃんとした申告をしなきゃまずいなということになって、営庶業の皆さんもちゃんとしてくれる。ちゃんとしてもらえば、それにこたえて年金その他の問題もひとつ国はちゃんとしましょうと、こういうことにならなきゃ、要するに悪い方へ悪い方へ回らしているんじゃ、これは国としての責任を果たしていないと思うのですね。だから、そこは今私がそういう気持ちで提案をしたので、何とかひとつ今度インボイスをつけることが一つ。  それから、イギリスヘ行ってこの間調べてみますと、御承知のようにイギリスは食料品はゼロ税率なんですね。その他も実は税率については、軽減税率が食料品の場合は多いのでありますけれども、大蔵省の諸君と話をしますと、私が食料品――食料品というのは、今はっきり私はこう言っているのでありますけれども、この間も申し上げたかと思うのでありますが、要するに私どもが食べる生鮮食料品、生鮮食料品を乾燥したもの、塩蔵したもの、冷凍したもの及び食料用の穀類、これだけに限って非課税にするという形にして、少なくとも今後社会保障の費用をふやすためには、これはどうしても付加価値税を増税をする以外にないのですよ、それは何も国が得する話じゃないのですから。  要するに、国が消費税で集めたものを今の一番不遇な状態に置かれておる国民年金対象者に、それが未納にならなくて済むような制度をつくるためにそちらの方にひとつ回して、憲法十四条に言うひとしく国民が不安のない老後が送れるようにするというのが、今の私たち、まだ老齢人口はそこまで来ていませんから、二〇二五年ということはまだあと三十二年ほどあるわけですから、その間にちゃんとしなければ、それから先はもうどんどんふえるわけですから、そこのところは今の私たち政治家の大きな責任だと考えておりますので、ひとつきょうは大蔵大臣の方で、今申し上げたことは要するに、いつかは付加価値税を増税をしなければならぬときが来ると思うのです、実は。それは社会保障の問題が、どんどん高齢化が進めば、天から金が降ってくるわけじゃありませんから、国民の皆さんの負担によってそれをカバーしていくということにならざるを得ない。そのときには、しかし食料品だけはイギリスでもそうやっているんだから非課税にするとか、あるいは場合によっては三%にストップして、それから後は軽減税率でもう上げないとか、何らかの工夫をやはり私は今の付加価値税でやって、そのかわり、これは全部社会保障目的税で、年金、医療、老人福祉に限定して、皆さんからいただいたものは全部皆さんに返しますと、こういうシステムをもう一遍確立するために大蔵省としては真剣な努力をしていただきたいと、こう思うのでありますけれども、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  279. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 堀委員から広範な点につきましてお尋ねがございました。堀委員は、長年この方面の御専門家でありますし、実は消費税ができる前の売上税のときからそういった御議論をしておられたことを私も拝聴をしておるところでございます。  確かに、国民年金について免除される者あるいは脱漏している者があるというような形の問題からの御提言でございまして、この辺をどうかしなければならないという点は、私も問題意識としては持っておるところでございます。しかしながら、それではすぐに今の消費税を直してインボイス方式を改めてやるかどうかということになりますと、私は、そのこと自体につきましても問題があるところだろうと、こう思っておるところでございます。  それは委員御指摘ありましたけれども、売上税というものが最初にありました。そのときに伝票方式というような話でやったのでございますけれども、そこでいろいろ問題が出てきた。それで今の帳簿方式というものをやって消費税というような形にしたという経過もございますし、どちらがよろしいかというのは、いろんな問題が私はあると思いますし、また、この問題をやっておりますと、簡易税率制度であるとかいろんな控除制度であるとかというようなものを今設けておりますから、そういった問題とどう関連をしていくかということもやはり考えていかなければならない、税の仕組みとしてどうだろうかという問題が私はあるだろうと、こう思います。原点に立ち返ってというのが堀議員のお話かと思いますが、今のところそういうふうな形になっているということでございますし、これをすぐにどうこうするというのはなかなか問題だろうと、こういうふうに私は思っております。  と同時に、イギリスのお話でございまして、食料品についてはゼロ税率であるとか免除をすると、こういうふうなお話がございました。こういった問題をやるということにつきましては、実はイギリスのゼロ税率その他の問題につきましては、ヨーロッパの中で、ECの中でも非常に批判のあるところでございます。  もう一つ申し上げますならば、消費税、日本では三%と、こういうことでございますが、ヨーロッパでは一五%から二五%ぐらいまでのところの高い消費税率をやっておるわけでありまして、その中であるいは軽減税率とかというような話の問題が出てきておるわけでございます。しかしながら、そのゼロ税率というような話になりましたならば、これは制度としてどうだということは、どちらかというと、税のあり方としては非常にこれは問題じゃないかというのがどうもヨーロッパでの私は一般的な考え方ではないかなと、こう思っておるところでございます。  そうした意味で、飲料品、食料品、全段階非課税にするというような話につきましてもやはり問題があると思っていますし、高い税率になっていったときの若干段階をつくるというような話であるならば私はまだまだ議論をするなにがありますが、三%とか何%とかというところでやるような問題ではないんじゃないかな、まあこういうふうに思っておるところでございます。  もう一つ申し上げますと、なぜそういった堀先生のような御議論が出てくるか。我が党でもいろいろ議論をしたときにもそういった問題があったんです。消費税、一律にパーセンテージを例えば三%または五%かける、こういうことになりますと、いわゆる税の累進性というものが損なわれる、比例性になるんではないか。どちらかというと、貧乏な人にもというようなことで今のような御議論が出たと思いますが、私は、やはりこうした問題というのは、全部のいわゆる支出税的な考え方でやっていく、こういうことでございまして、やはりだれもみんな払っていくと同じような比率である。消費というのは、やはり金持ちの人がたくさん消費をするわけでありますから、やはりそこで比例的なものが私は出てきているのではないかなと、まあこう思っています。そういったようなこともいろいろと私はこれから考えていかなければならない問題だろうと、こういうふうに思っておるところでございます。
  280. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がありませんから余り詳しいことは言いませんけれども、この付加価値税を提案したのは、八五年に私、社会党の副委員長として初めて当予算委員会で提案をしたわけなんですね。 その後、政府は売上税というのを提案されました。売上税というのは、これはインボイスもついておりましたし、制度としては一つの私の提案に近かったのでありますけれども、問題は例外をどんどん広げちゃったものですから、これでつぶれたんですね、実は。  そこで、私は、今山中貞則さんが休んでおられるので大変私も残念に思っておるのですけれども、山中さんに、どうせこれ、付加価値税をもう一回やらなければいかぬと。だからひとつ山中さん、基本的なところだけひとつ詰めましょうという話をいたしました。そのときに私が提案したのは、売上税のように例外がああなったんじゃどうにもならないから、次の付加価値税は、まあ消費税でもいいんですが、例外なしにしましょうという提案をいたしました。そうしたら、山中さんは私にこう言われました。堀君、私は長年税金やっているけれども、一つの税の哲学があるんだ。それは、人間が生きるために必要なものには税金かけないというのがおれの哲学なんだと。そうすると、食料品も課税するというんじゃおれの哲学にちょっと反すると、こう言われたわけです。私はそういう意味で、党の中で水利税という話が出てきたけれども、水は人間が生きるためにどうしても必要だから水利税はだめだと言って外した。だから、そういう意味で食料品は考えてくれと、こうおっしゃったんです。しかし、食料品を最初から考えたら、またこれは範囲が広がってだめになります。だから山中さん、それなら米だけいきましょうと。私も医者でございますから、要するに米というのは、でん粉もたんぱく質も脂肪もミネラルもビタミンも、あれ一粒の中に全部入っているんですね。塩と水と米があれば生きられるから、山中哲学を尊重するんなら、米だけで、あと例外なしということならいいですよという話をいたしました。  そうして、もし例外なしにするのなら、私はここでEC型付加価値税については五%の税率を提案したのですが、そのときの日本のCPIの上昇率は一%以内なんです。アメリカは四・二%、欧州はドイツを除いて四・五から四二二ぐらいのCPIの上昇なんです。そうすると、日本は一%以内のCPIの上昇だから、三%にすればよそのCPIの上昇率の範囲内だから、新たに増税したということには、ならなくてもいいんじゃないでしょうか。三%ですと言ったら、山中さん、よし、それでいこうと。こういうことで三%、例外なしというのが、実は今の消費税のベースとして私と山中さんとの話し合いで決まったわけです。大蔵省が後になって五%にしてくれと言ったようでありますけれども、山中さんは、おい、堀君な、五%と言ってきたけれども三%で突っぱねたぞということで、今のは三%になっているわけなんですね。  ですから私は、そういう意味でこうなっておりますので、私が言いたいことは、やはりその中で一番問題になるのは、食料品というのは今の所得の階層によって、これは家計調査年報を見ていただけばよくわかりますけれども、やはり食料のウエートは低所得の方に厚いわけなんです。ですから、要するに私は、これかもどうしても、今の直間比率から見てもこれ以上所得税をふやすのは無理がありますから、社会保障というのはすべての国民が恩恵を受けるわけでありますから、やはりスタイルとしては付加価値税のような、すべての国民が負担をする税のシステムの方が社会保障の目的税としては理にかなっている。  しかし、皆さん、この三%を次に上げるときが問題なんですよ、実は。上げるときに国民が、まあ仕方がないな、社会保障のためにと言うためには、食料品の問題を無視してこの税率を上げるというほど、私はうまくいかないと思いますね。三十年私はこれをやっているのですから、三十二年私は国会の中におりましてこの問題を専一にやってきて、これからの問題です、先の問題です、まだ。しかし、先の問題でも今からそういう準備をして、皆さんに負担をしていただきやすいようにするためには、食料品をひとつ非課税にしたらどうか。  というのは、税率を上げるという問題に関係があるわけです。一%上げますと二兆円増収になるわけでありますから、実は極めて大きな問題です。大体三%というのはよくないのです。計算しますと、〇・五下へ下がっちゃうのですね。偶数の方が税率がいいのです、必ず。しかし、さっき申し上げたような理由で三%になったのですから、次に上げるときは六%にするといい。三%上げますと、三掛ける二ですから六兆円税収が上がってくるわけですね。その税収が上がったときに、私は国民年金を何らかひとつ、その資金をもって国民年金の皆さんが安心して掛けられるような制度に直さなければ、日本の将来に大きな禍根を残すのではないのか、こういうふうに考えておるものですから、なるたけそんなことは言わない方が選挙や何かにはいいかもしれませんけれども、それでは政治家としての私たちの使命を全うすることができないのでありますから、やはり長期の展望に立って、私どもは勇気を持ってやることはやらなきゃいかぬ、こう考えておるわけであります。  官僚の皆さんは、いる時期はちょっとしかいないのですよ。今の主税局長だってもう一、二年したら主税局長じゃなくなるわけでして、しかし私たち議員は、私も今三十二年三カ月か何かになっているのですけれども、何十年どこの仕事をやるわけですから、国民に責任を負うのは官僚じゃなくて我々政治家なんですよ。どうかひとつ勇気を持って、林大蔵大臣の今後の善処をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  281. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 堀委員と山中さんとのお話は、私も山中さんから大変よく話を伺っておりまして、堀さんからこんな話がありましたよ、どうだと言って私も話を聞いて、さすが堀先生だな、こう思ったところでございます。ただ、この問題はもう先生に私がくどくど申し上げるまでもない、いろいろないきさつがございまして、食料品の問題につきましては、平成三年に税制問題等に関する両院合同協議会というのがあって、そこで提案されたけれども、とうとう合意に達しなかったというようないきさつもあるわけでございまして、こうした立法府の御意見を踏まえながら、行政府としてはいろいろなことをやっていかなければならない問題だろう、こう思っておるところでございます。  将来どうするか。消費税を今上げるとかなんとかというふうなことは、まだ私の口からは申し上げる段階ではないと思いますけれども、いろいろな点はやはり考えておかなくちゃならない。先ほど来いろいろな話がありましたような諸問題、いろいろありますから、私は考えていくのがやはり政治家としての役割だろう、こう思っておるところだけ申し上げておきたいと思います。
  282. 堀昌雄

    ○堀委員 次に、防衛問題をちょっとやらせていただきます。  防衛庁は、何か長官は都合が、渉外事務で何とかというので、事務方いますね。  厚生大臣、結構です。自治大臣も結構です。  防衛庁にお伺いをいたしますけれども、一九五七年のイギリスの陸海空軍の兵員数及び一九九一年の陸海空軍の兵員数は幾らか、答えてください。
  283. 高島有終

    ○高島(有)政府委員 お答え申し上げます。  一九五七年のイギリスの総兵員数は七十三万五千ということでございますが、そのうち陸は三十七万四千五百、海が十一万六千五百、空が二十四万四千ということでございますが、九一年にはこれが総兵力で二十九万八千百ということになっておりまして、そのうち陸につきましては十四万七千六百、海が六万二千百、空が八万八千四百というふうに承知いたしております。
  284. 堀昌雄

    ○堀委員 イギリスは御承知のように海に囲まれた島国でありますから、日本も海に囲まれた島国でありますから、防衛問題を考える場合には、やはり同じような条件の国がどのような防衛をとってどういう変化があったかということを調べてみることは、我が国の防衛上極めて重要な課題だ、 こう私は考えておりまして、かねてからこの問題に実は取り組んできておるわけであります。  そこで、今答弁がありましたように、実は一九五七年には陸は三十七万四千五百が一九九一年には十四万七千六百と、約二十三万人ぐらい陸上部隊を減らしているのですね、今日。海の方は十一万六千が六万二千でありますから、これも約五万ぐらい減らしている。空の方は二十四万四千が八万八千四百でありますから、ここは十六万ぐらい減らしているということでして、ただここで非常におもしろいのは、イギリスのこの編成は、海と空の兵員数の和が陸の兵員数に大体合っている、こういう格好になっているわけであります。そこで、実は一九五七年も一九九一年も同じような形でありまして、海空を足したものは十五万五百でありまして、陸は十四万七千六百でありますから、ほぼ似たようなことになっている。そこで私は、日本もやはり島国でありますから、こういう形でいいのではないか。  私は実は大学を出ましたのが昭和十六年三月、ちょうど開戦の年であります。そのころ医学部を出た者は陸軍か海軍に全部とられた。そこで、私は父親が海軍の軍医でありましたから、海軍の二年現役軍医科士官を志願をいたしまして、九月十五日に軍医中尉に任官して、そうして戦争に直ちに参加した。カムラン湾で二月に駆逐艦に乗って、それからマレー作戦、あるいはインド洋作戦、その次にはミッドウェー作戦、そして最後に八月二十六日からガダルカナルの輸送作戦に川口旅団一木大隊の兵員一千二百を乗せて、駆逐艦四隻に三百人ずつ乗せて、実はガダルカナル島へ直行をした。そのときに、我々がトラック島を出て動いていきます途中に、アメリカの水上艇が我々の行動を捕捉しているわけであります。そこで私は艦長に、孫子の兵法に「敵を知り己を知らば百戦全し」ということがあるが、向こうはもう我々のことを知っていますよ、我々はガダルカナルなんというのは地図で見ただけでどんなことになっているかわからない、一遍ブーゲンビル島にあるショートランドの基地に寄ってどういう状況かを調べていった方がいいのじゃないでしょうかということを、私は軍医中尉ですけれども、艦長に進言しました。  私がそんなことを言えるのは、海軍というのは精密兵器を使って、要するに一万メートルぐらい離れたところで艦隊が動いているときに、その間風もいろいろ吹く中で、大砲の弾を撃って一万メートル先の船に当てようというわけですから、極めて高度の高等数学計算をやっているわけですから、要するに学問というものに対する、科学というものに対する信頼が非常に高いわけです。私は大学を出て軍医中尉で初めてその船に乗ったのですが、要するに士官室で、大尉の先任将校から中尉からいろいろいますけれども、大変私を大事にしてくれるわけです。どうしてこんなに大事にしてくれるのかなと思って聞いてみたら、あなたは大学を出ている、我々は大学を出ているというのは大変なことだと思っている、だから尊敬をしておるのだと、こういう話でございまして、大変温かく処遇をされました。  そういうことの中で艦長にその話をしましたら、艦長が、君はしゃばから来たからわからぬだろうけれども、軍というのは命令があったら命令には従わなければならぬのだ、今勝手にそんなところの基地へ行って様子を聞くというようなわけにいかぬのだ、こう言われましたから、それは仕方がありません、私はまだ軍人になって半年もたっておりませんから、そのことはよくわかりませんけれどもと、こういう話をしたわけであります。  ガダルカナルの六十海里のところで、駆逐艦四杯に川口旅団一木大隊の人三百人ずつ乗せて千二百人参りましたら、四十機ぐらいの攻撃機がうわっとやってまいりました。そうしてそのときに、駆逐艦というのは最高速度が三十六ノット出るんです。三十六ノット出るということは、一秒間に十八メートル走るんです。相当なスピードですね。それが不規則に動くと船と船とが衝突するものですから、信号旗を上げて、赤赤という信号旗が上がったら船が四十五度回頭する、青青というのが上がったら今度は九十度回頭するといって、機械的に動くんでないと危ないというので、そういう信号で空襲に対応することになっていたんです。ところが、たまたま私の乗っていた三番艦の艦長は先任艦長といって中佐で、ほかの艦長は皆少佐ですが、この人だけが我単艦退避すと言って信号を上げて、この列から外へ飛び出しちゃったわけです。そうすると、飛行機から見たら一番艦が曲がれば二番艦、三番艦がこう曲がる、その決まった行動するところへみんな集中した。私の方は、一杯だけがもう不規則にその隊列から飛び出して走り回るものだから、私の船には弾が一つも当たらなくて生きて帰ることができた。そこで、私がそれまで乗っていた二番艦というのは轟沈をして、私が一緒に長くいた同僚はみんな戦死をした。一番艦は司令塔に当たって、司令以下、艦長以下皆戦死している。四番艦は航行不能になって、そいつを曳索で引いて私どもはショートランドまで帰った。こういう極めて厳しい戦闘に参加をしておりました。  そのガダルカナルでの戦闘を、十一月の終わりまで輸送作戦をやって、大変幸運にも、三杯行けば一杯沈む、四杯行けば二杯沈む、必ずその空襲範囲に入ったら、四十機も五十機もの飛行機がやってくるわけですから、やられるわけです。それは飛行機と駆逐艦じゃどうにもなりませんからね。幸いにして生きて内地へ帰って、また三月にこの船は第八艦隊というラバウルの基地に行きまして、私は三月に大阪警備府に転勤になりましたから今日生きてここにおるわけですが、それに乗ったままで行けば、そのときに死んでいるわけですね。  そのときにわかったのは、制空権のないところでは要するに島は守れないという、これがもうはっきりしたわけです。船で行こうにも飛行機でやられたらもうどうにもならない。そうすると、海空は島国の防衛では必要ですけれども、陸というのは何でしょうか。上がってきてから戦をするのが陸でしょう。この陸の戦をやるときには、もう向こうが上陸してきているわけだから、大変大きな国民の被害を伴うわけです、この日本の国土の中で戦闘するというようなことは。だから、そういうためには海空は一定の防衛力が必要でしょうけれども、陸はちょっと私は多過ぎるということを要するに八五年のときから言ってきたけれども、なかなか党の中で言いにくい条件がございましたが、今日ははっきり言えるところへ来ましたものですから。  だから、そこで少なくとも今のイギリス並みに海空を合わせた数にすると、十五万五千を九万に減らせるわけです。六万人減らせるんですよ。いいですか。その六万人減らすというのは一遍には減らせませんから、三年かかるか四年かかるか幾らかですがね。一体これ、例えば毎年二万人ずつ減らすとしたら予算上どのくらい負担が楽になるのか、ちょっと答えてください。
  285. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 陸上自衛隊の現在実員十五万人ほどおりますが、これを仮に九万人体制に削減した場合の経費はどうかということになりますと、これは大変計算が難しいことでございまして、今まで検討したことございませんのでお答えをいたしかねるわけでございます。  しかし、毎年御要求がございまして、自衛官一人当たり一年間維持するのにどのくらいの経費がというのは算出しておりまして、出してございます。この範囲内での回答ということでお許しいただきたいと思いますが、御審議いただいております平成五年度予算案によります陸上自衛官一人当たりの維持的な経費は六百八十五万八千円でございます。したがって、今おっしゃいました仮に二万人ということにいたしますと、一年間で約千三百七十億円ほどになろうかと思います。
  286. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私はこの問題を一九八五年の委員会で取り上げようと思ったのです。当時私副委員長でありまして、石橋委員長と話をしましたら、それは堀さんやってくださいと。ところが、当時 は防衛費をGNPの一%以内に抑えるという、一生懸命防衛族の皆さんやってましたものですから、私がそれをやっちゃうとがたっと下がるんで、ちょっとひとつ我々の立場もあるからというので延ばしてきたんですが、今日はもうそういう状態はありませんから申し上げるのです。  これを私が申し上げているのは、PKOの問題に関係しているわけなんですよね。要するに、PKOというのを私どもは自衛隊以外の別の部隊でやろうということをかつて党としてやったことがあるのですが、うまいことまとまりませんでした。しかし自衛隊を、これから陸上の自衛隊六万人どんどんやめていく人たちを、そのまま皆さんどうぞ社会にというのは、せっかくのいろいろな経験のある方ですから、この方たちを要するに国際救援部隊という一つの部隊を編成して、これだけの費用があるわけですからその費用で、例えばアメリカのC5でありますか、タンクを運んだりできる大型の軍用輸送機がありますね、ああいうのを四機とか五機とか備えて、国際的にどこかに地震があったとか災害があったりしたら直ちにそういうブルドーザーとかなんとかを積んで、それがさっと世界のどこへでも行って救援活動をやるというようなことができるような一つの国際救援部隊というものをこの自衛隊をやめられた皆さんに、これだけの費用があるわけですから、要するに徐々に減らしていけば、さっきのお話でいえば大体年間一万人削減すれば六百八十五億ですから、六万人削減すれば四千百億円もある。それだけあれば、今のような要するに別の国際救援部隊というものが組織できるだろう。  ずっと見てますと、メキシコ地震だとかなんとかありましても、日本が行くのは一番最後ですよ。要するに、みんな先へ行ってやっている中に日本は最後から行ってやっているというようなことで、これで国際的に貢献ができると言えるかというと、それは私はできないと思うんですね。そうすれば、今の陸上自衛隊を減らすことによって浮く予算とその人員を有効に活用してそういう部隊をつくる。それなら、この人たちは自衛隊におられた方ですから十分いろいろなことがわかりますから、この人たちでPKOの処理をしてもらうということになればいろいろと今の、この前払、カンボジア問題で外務大臣質問をさせていただきまして、今のこの五原則、いろいろ調べてみますとだんだん難しくなりつつありますね。  これちょっと河野大臣お答えをいただきたいんでありますけれども、それは私がこの前申し上げたように、要するにクメール・ルージュの諸君がともかくも今の選挙を拒否しているわけですから、これは政治的な背景なんですから、五月に近づくにつれてこの問題は大変複雑になってくる、こう思うわけですね。今の問題は非常に難しくなるのですが、そういうときに自衛隊でない部隊をということになれば、これは私は対応の仕方がまた変わってくる、こういうふうにも思っておるものですから、これは長期的な問題で、すぐあしたできる話じゃありません、何年か先ですけれども。しかし、国際貢献をするためには、私は、自衛隊よりもそういう別の部隊で、そういう今の大型の輸送機でどっと行って、災害に対してもいろいろなことに貢献できるような道を開くというのは極めて重要だ、こう考えているわけでありますね。  ですからそういう意味で、ひとつこれは防衛庁長官がいないから、官房長官に答弁してもらいましょうか。官房長官ひとつ、外務大臣代理だから。
  287. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ただいまの御質問に直接お答えする前に、今お話ございましたので二点ぐらいちょっとお答えさせていただきますが、第一に、陸上自衛隊、島国においては陸上軍というのは非常に少なくていいと、イギリスの例を引かれてお述べになりました。これは一つの見方かとも思いますけれども、しかしながら、おっしゃるように、御指摘のように、島国の場合に洋上ないし水際においてまず対処する、その意味で海空が重要だということはそのとおりでございまして、これは陸上自衛隊においても最近は洋上ないしは水際において対応しようということで、いろいろと防衛力整備を考えておるわけです。しかしながら、これはすべてがこれで、洋上、水際で撃破されるというものではなくて、幾重にも対応を考えておきませんと、漏れた場合に問題なく上がってこられてしまうという問題がございますのと、それから、陸上自衛隊がいるということがそもそも侵攻を抑止するという抑止力になるということもございまして、陸上自衛隊のその意味の重要性については変わるところはないのではないかというふうに我々は考えているところでございます。  それから二点目に申し上げたいのは、それの問題とは離れまして、我々としても、むしろ若年人口が構造的に少なくなってきつつあるという事実を踏まえまして、何度か御答弁申し上げておりますとおり、中期防の中にも書かれておりますとおり、防衛力のあり方を全体で検討するという中で、当然その陸上自衛隊の定員の問題も含めまして答えを出したい、こういうふうに考えているところでございます。  そこで、今の御質問についてでございますけれども、緊急援助隊の法の改正を昨年六月お願いをいたしまして、成立いたしました。それによって自衛隊が新たに緊急援助、国際的な緊急援助に参加する形になったわけでございまして、そういうときに、御指摘は自衛隊とは別の組織ということでございましたけれども、私どもといたしましては、自衛隊の長年培ってきました豊富な知識、経験、組織的な力というものを生かしてこれで対応するのが一番いいということから、この緊急援助隊法を改正して自衛隊が参加し得る形にしたところでございまして、別の組織ということは、その意味で必ずしも適当でないというふうに判断したところでございます。  その緊急の対応ということでは、その場合に、先遣隊が四十八時間以内に出られる、それから五日以内に本隊が出られるということを確保する態勢を今整えているという状況にございまして、おくれをとるということをまさに回避するためにこそ自衛隊をそのように参加する形にしたところでございます。
  288. 堀昌雄

    ○堀委員 官僚答弁ですから、これはもう自衛隊のことをよく言わなければ彼のポストなくなっちゃうわけだから、政治的な発言できないわけですよね。  官房長官、あんな話、私初めから聞こうと思っていないわけだ。なぜかといったら、長年訓練された自衛隊員が退職して新たな任務につくときに、いろんなことは、編成なりその他を同じようにきちんとすればできる話でして、何ら自衛隊である必要はないので、そこらのところは、これは政治判断だと思うのですよね。  だから要するに、今私が言っているように、これは陸上が、イギリスですら三十万いたのを十四万幾らに減らしているわけでしょう。それを日本がまだ十五万五千も置いているなんということは、一体日本を攻めてくる国あるんですか。かつてはソ連を仮想敵と思っていたけれども、もうそんなものはなくなっちゃったわけでして、だからもう少しそういう意味では、きょうは防衛庁長官は何か渉外業務があるからというから、私はまあよろしいと防衛庁長官に配慮したけれども、あんな答弁を聞こうと私は思っていないわけです。だから官房長官、政治家としてやはり納得のできる答弁をひとつお願いしたいのです。
  289. 河野洋平

    ○河野国務大臣 担当でないものですから、どういう御答弁を申し上げればいいか少し迷いますが、私の考えを申し上げれば、現在の国際情勢は極めて流動的、これは堀先生もよく御承知のとおり。立場上どこがどうという具体的な名前を挙げて申し上げることはできませんが、必ずしもアジア一帯が極めて安定した状況であるというふうには言いにくい部分もあることは御承知のとおりでございます。  こうした流動的な状態、まだはっきりと国際社会の、とりわけ日本近辺の平和秩序というものがはっきり確立をされていない状況にあって、防衛 計画の大綱を見直すということには慎重でなければならないということもまた御理解いただけるのではないかと思います。  一方で、国際社会に対する貢献は、極めて国際社会から日本に対して期待が大きゅうございます。この大きな期待に対して、我々が現在の体制ですべてこたえられるかどうかということには、まだまだ我々は研究の余地があるだろうというふうには思います。しかし、これは早急にどう組織を変更して対応するというところまでまだはっきりとした見解はないのでございます。  先生の長年にわたる御経験を御開陳をいただきましたが、そうしたお考えも一つのお考えとして受けとめて、来るべき国際情勢の変化、そうしたものがはっきりと安定した状況になったというふうに多くの人たちによって認識をされ、組織的な新たな変化ができるというときには、そうしたお考えをひとつ生かしていけるように考えたいと思います。
  290. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵大臣、これは財政上の問題でもあるんですね。要するに、むだな人間を国民の貴重な税源によって置いておくというのは、私は非常に大きな問題があると思っているんですね。そして、私が今言っていることは、あのイギリスが三十万からいたものを十四万に日本よりも減らしているときに、日本がこの状態の中でこれまでどおり十五万五千でいいんだなんていう話は、だれが考えてもおかしいですよ。国民の税金のむだ遣いです。  それと同時に、労働力がこれからどんどん減るんですよ。老齢人口がふえるということは、裏返せば労働力人口が減ってくる、労働力人口が減ってくるから要するに外国の皆さんが入ってくる、こういうことになっておるときに、この有能な自衛隊の諸君を、日本の経済や産業やあらゆる意味で有効に働いてもらえる場所をつくることも、私は財政当局として当然考えてもらわなきゃならぬことだ、こう思うのであります。  答弁要りません。答弁を求めると、また苦しい答弁になると気の毒でありますから求めませんが、意のあるところを酌んで、財政政策の上でもひとつ考えていただきたいということを望んで、質問を終わります。
  291. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて堀君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会