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1993-02-26 第126回国会 衆議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十六日(金曜日)     —————————————   平成五年二月二十六日     正午 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時六分開議
  2. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) これより会議を開きます。      ————◇—————  特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律   案(内閣提出)の趣旨説明
  3. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) この際、内閣提出特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案について、趣旨説明を求めます。建設大臣中村喜四郎君。     〔国務大臣中村喜四郎登壇
  4. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  豊かさとゆとりを実感できる生活大国を築いていく上で最も重要な課題一つは、国民住宅に対する多様なニーズに的確にこたえ、住生活の充実を図っていくことであります。  今日まで、国民居住水準は全体として着実に向上してきておりますが、借家世帯につきましては、大都市地域を中心にその改善はなお大きく立ちおくれております。特に、世帯人員が標準的な中堅所得者につきましては、これらの世帯が必要とする優良な賃貸住宅ストックが著しく不足している状況にあり、その改善が強く要請されているところであります。  このような状況に対処するためには、中堅所得者向けの優良な賃貸住宅供給が円滑に行われることが不可欠であります。このため、新たに土地取得を必要とせずに賃貸住宅供給することができる民間土地所有者及び地方住宅供給公社等による優良な賃貸住宅建設促進するための助成措置建設された住宅が適正かつ安定的に公的賃貸住宅として供されることを確保するための措置入居者居住の安定を図るための家賃減額に対する助成措置等を講ずることとし、ここに特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案として提案することとした次第であります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、賃貸住宅建設及び管理をしようとする者は、賃貸住宅供給計画を作成し、都道府県知事認定を申請することができることとしております。都道府県知事は、供給計画賃貸住宅規模構造入居者の資格、賃貸条件等に係る基準に適合するものであると認めるときは、認定を行うことができることとしております。  第二に、認定を受けた供給計画に係る賃貸住宅については、その建設及び家賃減額措置に対して国及び地方公共団体補助を行うことができることとしております。  第三に、認定を受けた供給計画に従って賃貸住宅建設及び管理が適正に行われるよう、都道府県知事が報告の徴収、改善命令認定取り消し等措置を講ずることができることとしております。  第四に、地方公共団体は、中堅所得者等対象とする優良な賃貸住宅が不足している場合においては、その建設に努めなければならないこととし、国は、地方公共団体の行う賃貸住宅建設及び家賃減額措置に対して補助を行うことができることとしております。  以上が、特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律   案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。木間章君。     〔木間章登壇
  6. 木間章

    木間章君 私は、日本社会党護憲民主連合を代表して、政府提出特定優良賃貸住宅供給促進に関する法律案に対して質問を申し上げます。  また、質問とあわせまして、日本社会党シャドーキャビネット建設委員長としての住宅政策課題基本方向について所信を明らかにしたいと思います。(拍手)  初めに、総理生活大国を掲げられておりますが、国民ゆとりと豊かさを実感できる住宅をどのようにお考えになっておるのか、お伺いいたします。「生活大国五か年計画」では、具体的な目標が示されているのは年収五倍住宅持ち家だけで、賃貸住宅については抽象的な表現しかありません。政府は、生活大国の中で賃貸住宅はどのような位置づけを与えるのか、総理にお伺いをするところであります。  その上で、目標となる具体的な居住水準家賃負担をどう考えているのか、また、良質な賃貸住宅供給ということについて、この法律がどのような位置づけをしているのか、建設大臣にお伺いをするところであります。  私は、これまでの政府住宅政策は余りにも持ち家に傾斜し過ぎてきたと思います。質の悪い、家賃の高い賃貸住宅現状改善し、国民が適正な負担で良質な賃貸住宅に住めるようにすべきであります。私は、今回の法案は、持ち家に偏り過ぎたこれまでの政策を転換し、真にゆとりのある住宅国民に保障するそのよい機会となるであろうと思っておるのであります。  公営住宅法は、第一条でその目的を「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営 むに足りる住宅建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃賃貸すること」としております。この条文は、一九五一年の制定以来現在に至るまで、一言一句変更されていないにもかかわらず、政府は、政令で入居者収入基準を次第に強化し、対象者を限定してきました。当初は、収入階層で下から八割まで、それこそ大抵の人たちが入居可能でありましたが、一九七〇年ごろになって、現在の下位三分の一程度公営住宅対象とするように限定したのであります。  住宅金融公庫、公団公営住宅という現在のような所得階層別住宅供給政策をとるようになったのは、日本住宅公団を設立したときからであります。当時の収入基準では、社会福祉的な性格の強い第二種公営住宅対象下位の約二割で、第一種公営住宅対象は中位の約五割でした。まさに、今回の法案対象とする中堅勤労者向け賃貸住宅は、かつては地方公共団体責任を持って直接供給していたものでした。  公団の設立は、直接的には住宅供給拡大でありましたが、同時に、従来公営住宅が分担していた中堅勤労者向け住宅をすべて公団に振り向けて、公営住宅の第二種を強化する方向へ、すなわち、住宅政策における地方公共団体役割福祉目的に限定することにもなったのであります。しかも、賃貸が主流であったはずの公団住宅も、六〇年代後半から分譲が主流となるなど、政府は一貫して持ち家政策推進したのでありました。  その結果、どうなったでしょうか。孫子の代まで住宅ローンに苦しみ、よその国からウサギ小屋と呼ばれるような住まいを持つことができるようになっただけなのであります。本来、持ち家に住むか賃貸に住むかは個人の考えなんですが、ゆとりのある住宅をと考えれば、賃貸は質は悪くて家賃が高い、無理をしてでも持ち家をとなるところに大きな問題がありましょう。  私は、年収五倍住宅目標も、勤労者が適正な負担ゆとりある住宅取得できる状況をつくり出すためには、大都市圏地価を引き下げることが重要だと考えます。景気対策のために地価税などの土地税制を後退させ、地価を高値で安定させるような政策はとるべきではありません。地価税などの土地税制を堅持するとともに、国土利用計画法による土地取引監視を継続するなど、引き続き土地対策を進める必要があろうと思いますが、国土庁長官の御決意をお伺いしたいのであります。  なぜなら、持ち家賃貸に限らず、住宅基本的には市場供給、配分されるべきであり、そのためには適正な市場が形成されている必要があるにもかかわらず、これまで政府はその努力を怠ってきたと思うからであります。戦後、地価高騰は何度となくありましたが、そのたびに規制を強化したものの、ほとぼりが冷めると緩和をするというパターンの繰り返しでありました。地価上昇を前提とする経済構造を温存したままで、市場メカニズムに任せっ放しの持ち家政策を続ければ、最低限度居住水準を確保することも、将来の世代に望ましい住宅ストックを形成することも不可能であります。  私は、住宅市場における供給、配分を望ましい方向に誘導するよう適切な公的介入を行うことが住宅政策課題であり、あるべき基本的な方向だと考えております。政府のこれまでの施策は、土地利用規制緩和によって住宅宅地を大量に供給すればいいのだというような単純な理屈が常に優位に立ったもので、適正な市場を形成するという考え方がなかったと思います。内需拡大住宅宅地大量供給を名目とした規制緩和は、投機を目的としたワンルームマンションゆとりある居住水準住宅を追い出し、中堅勤労者には手が届かないほど住宅宅地の値段をつり上げただけでありました。  私は先ほど、従来の持ち家偏重住宅政策を転換するよい機会だと申しましたが、それは建設費家賃に対する補助を行うことで、市場では良質の住宅を確保できない場合の支援を的確に行うシステムをつくることができるのではないかと考えるからであります。公的な援助を必要とする人に、必要な段階で公平な援助を行うことが何よりも重要だと思うからであります。  そう考えますと、この法案には不十分な点、問題点となることが多いと言わざるを得ません。以下、問題点を指摘しながら、建設大臣答弁を求めるところであります。  第一に、住宅都市整備公団は、この法律案特定優良賃貸住宅建設は行わないこととしていますが、どうでしょうか。そうだとすれば、その理由伺いたいのであります。公団賃貸住宅独立採算を原則とする以上、民間と同様に地価高騰のもとでは家賃高額化は免れないはずです。同様の状況にあるはずの地方住宅供給公社に対しては家賃補助を適用し、公団に適用しないのはなぜでしょうか。公団住宅の建てかえなどに際して公営住宅の併設が必要とされている今日のように、公団住宅居住者にも援助が必要な人は多いはずであります。公営住宅を併設する方法に加えて、援助が必要な人に家賃補助を行う方法もあわせて採用することが合理的であろうと考えるものであります。  第二に、家賃補助について伺います。一定期間を経過した後は家賃補助を打ち切るように毎年補助額減額していくのだとすれば、それはどのような根拠に基づくものでしょうか。毎年収入が上がっていく人ばかりではないはずであり、一律に家賃を上げることが望ましいと考えているのかどうか、お伺いしたいのであります。特に高齢者については、一般に所得上昇が見込まれないことから、居住の安定を図ることが最も重要だと考えます。地方公共団体は、地域の実情に応じて、援助を必要とする人に、必要な段階で、収入に応じた適切な家賃負担となるよう家賃補助を行うべきであると考えますし、そのために必要な支援を国は惜しむべきでないのであります。  第三に、地方公共団体建設する特定優良賃貸住宅は、従来の低所得者向けとされる公営住宅との違いはどこにあるのか。そもそも制度上の差を設ける必要があるのかどうか。将来、両方制度を統合することを念頭にしたものなのかどうか。私は、分譲主流の公社公団住宅公営住宅との中間の階層対象とする供給手法制度化は、公営住宅供給対象を限定し、公社公団住宅民間並みにしている現在の政策を合理化し、維持していくものであってはならないと考えます。公営公社公団民間役割分担についても、この際見直して、賃貸住宅建設費家賃に対する総合的な公的助成制度として統合する方向検討されるべきものだと考えます。また、入居者の決定に当たっては、従来のくし引き方式から、必要性に応じて待機者リストから公平に入居者を決定する方式に改めるべきであります。  以上、法案について質問いたしましたが、大都市圏では時代おくれの持ち家政策を保守するのではなく、新しい住宅政策をつくるための改革を大胆に推進するよう、シャドーキャビネット住宅政策担当者として政府に要求するものであります。(拍手)  最後に、こうした改革推進していくためにも、住宅政策における国と地方自治体の責任を明確にし、基本となる理念を確立するとともに、供給手法体系化目的とした住宅基本法を制定することが必要だと思うのであります。これまで、我が党のほか、他の野党の皆さんも含めて、こうした住宅政策基本となる法律案を何度となく国会に提出をしておりますが、政府・与党は音なしの構えてあります。住宅基本法必要性についてどのようにお考えになっておるのか、総理大臣の前向きの、そして具体的な答弁を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣宮澤喜一登壇
  7. 宮澤喜一

    内閣総理大臣宮澤喜一君) 住宅国民生活の最も重要な基盤をなすものでございますから、豊 かさを実感できる住生活実現が、生活大国実現に向けまして極めて重要であることは申し上げるまでもありません。  そのためにも、住宅の質の向上が最も重要な課題であります。公共投資基本計画において定められましたおおむね二〇〇〇年を目途にいたします一戸当たりの平均床面積をほぼ百平方メートルと目標に置いておるわけでございますが、そのための総合的な住宅対策推進しているところでございます。  この目標の達成のために、御指摘のありましたように、持ち家対策借家対策をバランスして進めていくことが必要でございますが、とりわけ、立ちおくれております借家世帯居住水準向上が重要な課題と思います。「生活大国五か年計画」におきましても、公営住宅公団住宅供給推進民間賃貸住宅借り上げ方式借地方式活用、良質な民間賃貸住宅建設促進など、各方面から良質な賃貸住宅の確保を図ることといたしておるところでございます。  それから、御質問最後の部分で、住宅基本法についてお尋ねがございました。  ただいま申し上げましたように、政府といたしましては、国民居住水準向上のために、住宅に対する国民需要にこたえつつ、住宅施策全般にわたりまして各般の法制度整備を行ってまいりました。具体的には、住宅建設計画法に基づきまして住宅建設五カ年計画をつくりまして、計画的かつ的確に良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成に努めてまいったところでございます。  これに加えて、基本法を制定するかというお尋ねでございましたが、今の時点で申しますと、住宅政策に対する各界の御意見にはかなりの差がございまして、例えば住宅政策目標、あるいは国、地方公共団体の責務の分け方、住宅費負担をどういうふうにするか、また居住水準のあり方など、これらの問題をとりましてもなかなかコンセンサスが得にくいのが現状であろうと思いますので、政府としてはもう少し幅広く各方面意見伺いながらこの問題についての検討を行うことが必要ではないかというふうに考えております。  なお、残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣中村喜四郎登壇
  8. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 木間先生お答えをいたします。  まず、質問の第一は、賃貸住宅についての目標となる具体的な居住水準家賃負担、また良質な賃貸住宅供給という観点から法案位置づけをどう思うか、このような御質問でございました。  第六期住宅建設五カ年計画において、平成十二年を目途に、全国で半数の世帯誘導居住水準を確保できるよう目標を掲げているところであります。具体的には、四人世帯共同住宅九十一平米を一つ目標に掲げております。  また、家賃負担に関しましては、世帯人員収入住宅規模立地等から見て、適正な家賃により良質な住宅が確保できるようにすることが重要であると認識しております。このために、公営住宅公団住宅利子補給等による民間賃貸住宅供給促進等により対処していきたいと考えております。  今回提案している法律案は、中堅層向けの良質な賃貸住宅供給促進するため、民間土地所有者建設する良質な賃貸住宅供給促進するものであり、新たな賃貸住宅政策になる、このように確信しております。  質問の第二は、住宅都市整備公団特定優良賃貸住宅建設を行わないこととしているが、その理由はいかにということでございます。  本法律案は、民間土地所有者等による良質な賃貸住宅供給促進し、これを公的賃貸住宅として活用する、建設に係る補助家賃減額のための補助等助成措置を講ずることとしているところであります。公団は、直接財投資金を借り入れ、適正な家賃となるよう国から利子補給等を受けているので、本法律案特定優良賃貸住宅供給主体とすることは適切でないと判断しております。なお、平成四年度利子補給金等額は、補正後一千五百七十億円に達しております。  質問の第三は、家賃補助について、その内容、毎年補助額減額する根拠、さらに高齢者の扱いはいかに、また地方公共団体家賃補助を行う場合の考え方についてという御質問でございました。  本法案は、家主が賃貸住宅家賃減額する場合に、国及び地方公共団体減額分補助することとしたところであります。限られた財源の中で、効果的に、より多くの良質な賃貸住宅供給を図る観点から、特に、家賃入居者負担能力との乖離が大きいと見込まれる供給初期において逓減的に行うこととし、補助の額については、地方公共団体が定めるところとしております。なお、市場家賃を超えるまで、最長二十年間に限る助成措置を行うこととしております。  所得の低い高齢者に向けて、従来から推進している高齢者向け公営住宅の的確な供給等により、居住の安定を図っていく考えであります。  国としては、一般的な家賃補助制度については、家賃の評価、家賃支払い能力把握等検討課題に加え、良質な賃貸住宅が不足している状況から、現時点では慎重に検討すべきものであると考えております。  質問の第四は、地方公共団体建設する特定優良賃貸住宅公営住宅の違いはいかに、将来両方制度を統合することについての考え方はいかにという御質問でございました。  本法案は、地方公共団体供給する賃貸住宅は、民間土地所有者供給するものと同様、ストックの不足している中堅層への賃貸住宅に対する需要にこたえるものであり、住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃供給する公営住宅とは、施策対象層賃貸条件等が異なるものであります。今後、それぞれの制度施策対象層に対し、制度趣旨を踏まえて、良質な賃貸住宅供給推進していきたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣井上孝登壇
  9. 井上孝

    国務大臣井上孝君) 木間議員お答えを申し上げます。  私に対する御質問は、土地対策必要性について一点でございます。  地価は、大都市圏においては顕著な下落を示しておりますけれども、勤労者世帯平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅取得が可能となるには、なお高い水準にあると認識をいたしております。  このため、宮澤内閣が掲げます生活大国実現を図る観点から、引き続き総合土地政策推進要綱に従い、監視区域制度の的確な運用など土地取引適正化地価税の着実な実施など土地税制活用住宅宅地供給促進等の総合的な土地対策を着実に推進してまいる所存でございます。(拍手
  10. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  11. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会      ————◇—————