○吉岡賢治君 私は、
日本社会党・
護憲民主連合を代表して、ただいま
議題となりました
地方税法等の一部を
改正する
法律案につきまして、宮澤
総理並びに
関係閣僚に質問をいたします。
まず初めに、
総理、
地方も
不況の波に直撃され、中小零細企業の
比率が高い
地域経済の不振は深刻な
状況に陥るとともに、
地方税収の落ち込みは明らかであります。
自治省の
平成五年
地方税収入見込みによりますと、道府県民税利子割が七千四百六十一億円の減収、市町村民税法人税割も二千五百七十七億円の減収と予想されているほか、法人事業税収見込みも五千五百五十八億円の減収とされております用
地方団体はこのようにまともに
不況の影響を受け、
地方財政は危機に直面していると言わねばなりません。
とりわけ、
道府県税は法人関係税の割合が高いため、その分
不況の影響が深刻であり、トータルとして前
年度より
減額となる
見通しとされております。にもかかわらず、
政府は、
地方税は約五千億の増収があると言い、公経済のバランスをと称して、
地方交付税四千億の
特例減額を強行したのであります。しかし、
地方団体は三千三百の団体の集合であり、税収構造や財政需要もそれぞれ異なっており、個性を持った一つ一つの
自治体に対応せねばなりません。その上、
地方税収も、
円高不況以来の低い伸び率にとどまっているのであります。この現実を直視され、今後の
景気の回復の
見通しと
地方税収の動向について、宮澤
総理の御所見をお
伺いしたいと存じます。(
拍手)
次に、大幅所得減税について
お尋ねをいたします。
今、
日本経済は深刻な
不況に覆われています。
政府も、
不況対策として、緊急経済対策、総合経済対策といった大幅公共事業中心の政策を講じてまいりました。
総理は、当初、
景気について非常に楽観視されていたようであり、これらの対策の効果が出れば
景気は回復に向かうとの
認識を示されていました、しかし、なかなか
景気対策の効果は出ず、今月には再度公定歩合の引き下げが行われましたが、このことは、年金生活者を初めとする
高齢者などの社会的弱者に大きな打撃を与えているのであります。そこで、
福祉預貯金の枠の拡大など、何らかの救済策を講じるべきであると思いますが、
大蔵大臣、いかがでございましょうか。
公共事業も拡大し、金利引き下げも講じた。
景気対策として残された手段は大幅減税しかありません。消費需要を喚起するためにも、また中低所得者の重税感を緩和するためにも、大幅な所得減税の実施が、労働界だけでなく財界からも求められており、まさに
国民の声となっているのであります。また、住民税についても、課税最低限の
引き上げによる六千億円規模の減税を行うべきではないかと思いますが、
総理の御
見解はいかがでございましょうか。(
拍手)
続いて、今回の
税制改正の
内容について、最大のウエートを占めております
固定資産税の
改正案からお
伺いをいたします。
固定資産税については、九四
年度の
評価がえにおいて、土地
基本法第十六条の
趣旨を踏まえ、地価公示価格の七割程度を目標に、宅地の
評価の均衡化、適正化を
推進するという方向で
検討がされてきました。今回の
改正案におきましては、一、住宅用地に係る課税標準の
特例措置を
拡充する、二、
評価の上昇割合に応じて、宅地についてさらに暫定的課税標準を導入をする、三、よりなだらかな
負担調整措置を講じる、四、家屋に係る耐用年数の短縮と初期減価の引き下げなどの軽減
措置を講ずることなど、かなり大胆な激変緩和と
負担調整措置が講じられております。
しかし、逆に今回の
措置は極めて複雑でわかりにくいものになっており、特に、この間、地価高騰が続いた大都市部の住民は、一体
固定資産税額はどうなるのであろうかという強い不安を抱いているのであります。この住民の不安に対して
政府はどのように対処するおつもりなのか、お
伺いしたいと思います。
また、
自治体によって財政構造、税収構造にばらつきがあることから、
評価がえそのものと
負担調整措置の結果、各
自治体税収がどのように影響を受けるのかも明らかになっていません。とりわけ、大都市と
地方との
評価の格差があることから、
地方町村では
特例措置が講じられることによって、かえって
税収減になるとの指摘もなされております。そこで、速やかに
評価がえと
調整措置がもたらす影響についてモデル的な
自治体の調査や試算を行い、審議に供するべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
次に、事業税についてお
伺いいたします。
我が党は、従来から、分割基準の
改善を行い、
地方への配分を強化することを主張してまいりました。第百二十三国会における
附帯決議におきましても、税収の地域間格差の拡大に対応し、
地方への配分を強化するための
見直しを行うことが盛り込まれており、九三
年度の
税制改正から法人事業税の分割基準を見直す
方針を固めたとの報道もございました。しかし、今回の
改正案には、なぜか
見直しが盛り込まれていません。
また、事業税については、
景気動向の影響を受けやすい
現状を
改善し、安定的な
税源化を図るため、
地方団体が一貫して外形標準課税の実施を要求してまいりました。私は、
不況下の中で
自治体の税収を
確保するためにも、外形標準課税の実施を真剣に
検討するべきと考えます。これらの点について、
自治大臣の御所見をお
伺いをいたします。
なお、事業税におきましては、いわゆるマスコミ関係七業種について、非課税
措置の廃止に伴う
経過措置がまたも示されず、社会保険診療報酬の非課税
措置も継続されています。そして、本来、九三
年度の
改正で行うべきであったはずの利子課税、株式譲渡益課税の
見直しも先送りされたままであり、不公平
税制の是正という観点からは何らの前進も見られず、極めて遺憾であります。これら懸案となっております不公平
税制の適正化などについて、総合課税への移行を展望して、なぜ今回
見直しを行わなかったのか、そして、今後不公平
税制の是正にどのような決意で臨むおつもりなのか、
自治大臣の御
見解を求めます。
個人住民税において、ふるさと控除制度を九四
年度から実施するということであります。新規
措置として、都道府県、市町村、特別区に対する寄附金を控除対象範囲に追加するという制度が盛り込まれております。例えば、都市の住民が自分の出身地の
自治体に寄附をした場合、居住地の住民税が控除されるとのことですが、私は、
地方の人にしてみれば、人材を育成するのは
地方なのに、税を払えるようになると皆都市へ出ていってしまうという不満に対する一つの方策であるとも考えますが、ふるさと控除制度を導入した
趣旨、及び寄附金を受ける
自治体と控除によって税収が減る
自治体の
調整についてお答えをいただきたいと思います。
次に、第十一次道路
整備五カ年計画の
改定に伴う
地方道路
整備財源の
確保と関連して、
軽油引取税の
引き上げについてお
伺いをいたします。
改正案においては、ガソリン税は暫定
税率を継続し、
軽油引取税の
引き上げを行うこととされ、その見合いとして
地方道路税の引き下げ、
地方道路税の都道府県と市町村の配分割合の変更を行うこととする、複雑な
措置がとられることになっています。国と
地方、県と市町村内でうまくつじつま合わせが行われたようでありますけれども、道路の延長などの客観的基準で配分される
地方道路譲与税と異なり、
軽油引取税収は事業者の集中する都市部に偏っているということから、特に道路
整備を進めていかなければならない
地方自治体にとっては減収となるのではないかと思われます。この点について
自治大臣のお考えをお
伺いいたします。
私は、
地方税制改正に当たって必要な視点は、第一に、
福祉や公共投資の増進のためにいかに
地方税源の
拡充、
地方財政の安定を図るのかということ、第二に、非課税等特別
措置の
見直しなど不公平
税制の是正を行うこと、そして第三に、住民税減税の実施を行うことであると考えるところであります。
しかし、今回の
地方税制の
改正はいかがでしょうか。既に私が訴えましたように、不公平
税制の是正
措置は遅々として進んでおりませんし、国と
地方の
税源配分の
見直し、課税自主権の強化についても見るべき前進はありませんでした。中低所得者の
負担を軽減するため、課税最低限の
引き上げによる六千億円規模の住民税の物価
調整減税を行うべきであるとの要求についても顧みられておりません。
さて、一九九五年の年金一元化と軌を一にして
税制の抜本
改正を行うということがささやかれております。
税制の抜本
見直しを行うに当たっては、
分権型社会にふさわしい
地方税制への
改革と、
自治体の自主
財源である
地方税の
拡充、そして不公平
税制の是正を住民とともに進めていくことが求められているのではないでしょうか。
そこで、最後に、宮澤
総理並びに
自治大臣に、
地方税制の
改正に対する考え方と
地方税制の
あり方についての御
見解を
お尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣宮澤喜一君
登壇〕