○
内閣総理大臣(
宮澤喜一君) 何百年に一度という歴史的変動の中にあって、
我が国の国際環境あるいは
国民意識は大きく変化をいたしております。我々は、この時代に対応した変革をなし遂げ、新たな発展の礎を築かなければなりません。これに関連いたしまして、大内委員長から、新しい時代に向けて新しい
政治が目指すべきものとして、四つのポイントをお挙げになりました。いずれも時宜を得た御
指摘と思います。
第一に言われました
政治改革について、
経済社会システム全体の変革を求められております今こそ、
政治がそのリード役を果たすことが
期待されておるわけであります。その
政治が一日も早く
国民の
信頼を
回復し、
期待される機能を発揮するためには、抜本的な
政治改革を断行しなければならない、まさにきょうの問題であるというふうに思います。
それから、第二の、
生活先進国を目指し、官僚主権から
消費者、
生活者主権への
転換という点につきまして、
生活大国についての御説明でも申し上げましたが、
国民の意識が、ゆとり、安心、公平あるいは公正というようなことを重んずるものへ変化しつつございます。
経済運営の重点ももう少し、より
生活の質の向上の方に向けることが求められつつありまして、「
生活大国五か年
計画」は、まさしくこのような需要に応じて、
個人と
企業の意識や行動の変革を通じて
生活者重視の
社会づくりを進めたいと
考えておるわけでございます。
第三の、
国際貢献国家への脱皮につきましては、冷戦後の新たな平和秩序の構築の時代にあって、
我が国としては、その持っております
経済力、技術力を活用し、また、人的
貢献やノウハウをもって
国際社会の抱えるもろもろの問題の解決について、その
責任と役割を積極的に果たしていかなければならないと思います。
第四に御
指摘になられましたのは、大胆な地方分権の問題でございました。
振り返ってみますと、
我が国は明治以来、富国強兵ということで中央集権が行われ、戦後の復興の時代にもまた国土が荒廃いたしておりましたから、中央が地方の世話をしなければならないことは多々ございました。しかし、今やここへ参りまして、
国民生活の基盤でありますいわゆるシビルミニマムというものは全国に行き渡ったのでございますから、中央がそれほど干渉がましいことをせずに、むしろ
生活に身近な行政は地方の創意と工夫によって進められる方がいい、いわゆるふるさと創生というようなことが非常な歓迎を受けておるのも、私はそういうことであろうと思います。そういう事情から、今後とも地方分権、地方自治の確立に最大限
努力をすべきであると思います。
次に、佐川急便事件についてでございますが、
国会において今後証人喚問等々をお進めになる、その問題につきましては
国会において御判断をいただくべきものと存じますが、いわゆる佐川急便事件について、一部には
関係当局が捜査、調査を続けている部分もございます。また、裁判所において公判係属中の事柄もございます。いずれにしても、真相
解明は重要なことでありまして、
さきの臨時
国会におきましてもそれに向けて各党が大変な御
努力をされました。また、
自民党におきましても、その節御説明申し上げましたように、
自民党独自の事情聴取をいたしました。この点は、その後記者会見が行われておりますので、
国民の前にその結果は明らかになっておると思います。
政府といたしまして、今後とも真相
解明のために可能な限り協力をいたす所存でございます。
次に、
選挙民によって選ばれた
議員の
責務は、
選挙民から
信頼され、その
負託にこたえて国政に従事することでございますから、
選挙民の
信頼がなお健在であるかどうか、また
選挙民の
負託にこたえて
活動ができるかどうかは、最終的には御本人によってのみ判断されることであると思います。したがって、
議員の身分に関することは
基本的には
議員自身が判断すべき問題と思います。
小
選挙区は、各政党が一人の候補者を立てて
選挙を争いますから、自然に
政策中心の
選挙となります。また、政権を選択するについても、有権者にとっては極めて選択は簡単でございますから、有権者の意思が明確な形で示される、そういう特色を持っております。わかりやすい制度だと思います。現行中
選挙区制度を抜本的に
改革するとすればこの
導入が最も望ましいものと思います。
御
指摘になりました都道府県単位の非拘束比例代表制。比例代表制は、多様な民意がそのまま
選挙に多様なままに反映をされる、そういう意味で少数勢力も議席を
確保し得るという特色を持ちます。また、御
意見のように、それが都道府県単位の非拘束式であれば、いわゆる顔の見える
選挙になる。顔の見えない
選挙でなく顔の見える
選挙になるという、そういう特色を持っていると思いますが、比例代表制の
一つの問題点として、小党分立となりやすい、そして連立政権となる
可能性が非常に大きい。でございますから、政権は常にそういう意味では不安定になりやすい、そういう問題点を持っておると思います。
いずれにいたしましても、
選挙制度の
改革はいわばお互いの土俵づくりの問題でございますので、各党ともいろいろな御
意見をお持ちになっておられます。したがって、各党問で十分論議を尽くしていただいて、
合意点を見出していただくべきものと
考えます。
それから、二兆円以上の
所得減税、あるいは住宅等の
政策減税についてお話がございました。
前
国会でもこの点についてはいろいろ申し上げたところでございますが、昨年、
総合経済対策を八月にいたしました。先般、
補正予算を通していただきまして、今回御審議いただいております
平成五年度
予算はその延長線上にありまして、
公共事業関係費では四・八%、財投では一二・四%、地方単独
事業で一二%、住宅、下水道、環境衛生等は七%以上の前年度に対する
伸びでございます。したがって、
政府投資額で申しますならば、
補正後の
平成四年度よりもこの五年度の
予算は九・五%
伸びておりますので、これは相当大きな
政府投資でございます。これから何カ月間かに必ずそれだけの効果を持つものと
考えております。
ただしかし、今度の
不況は、御存じのようにかなりいろいろ、殊に金融
関係、証券
関係等々、いわゆる
バブルが壊れました、そういう部分がございますし、また、それが家計にも、これは
消費ということに結びつきますが、
企業にも、それは投資に結びつきますが、そういう影響を与えておりますだけに、よほど注意をしていかないといけないと思っておりまして、
政府といたしまして、殊にこれから数カ月、この
景気の動向には絶えず注意を払っていかなければならないと思います。そして必要に応じて対応していかなければならないと思っておりますが、
減税の問題でございますが、結局、財政がある負担をいたしますときに、それを
減税という形で負担をするか、あるいは公共投資等という形で負担をするか、いずれが
景気回復に役立つかという、そういう判断の問題になっておったと思います。
平成五年度では投資、先ほど申しましたような公共投資を中央地方を中心にやることの方が有効であろうと
考えたわけでございますが、なおもう
一つ財源の問題もございまして、公共投資であればそれらの投資効果が将来資産として残ります。しかし、歳入補てん公債でございますとそれが残らない、いわゆる赤字公債になるという問題もございました。そういうこともございまして先ほど申しましたような選択をいたしたわけですが、しかし、
経済の動向には絶えず注意を払ってまいる必要がございます。事態は、私
ども決して安易に
考えておりません。
それから、住宅
対策等を柱にした二兆円の
減税でございますが、御
承知のように既に住宅取得促進
税制がございます。これは相当大きな住宅取得のための促進の
税制を、恩典を与えておるわけでございますが、そのほかに
勤労者財形のときの貯蓄非課税、あるいは新築貸し家住宅に対する割り増し償却等々、たくさんの住宅取得に対する
税制上の
措置を既にいたしておりまして、それらは相当に住宅促進に役立っているものと思います。
それから、行革について
一つの五カ年
計画のようなものをつくったらどうかというお尋ねでございました。それも
一つのお
考えでございますけれ
ども、今現実に
政府は、例えば
平成五年度行革大綱を閣議決定しましたが、この行革の大綱は
平成五年度だけに
実施するというものではございません。中長期にわたって取り組むべき
課題を盛り込んでおりますから、そういう意味で、中長期かつ
計画的に
改革に取り組んでおるという意味では、御
指摘と
基本的に同じ効果を生むのではないかというふうに思います。
それから、一極集中を是正して地方分権を強力に進めよということについては、冒頭にも申し上げました理由から、地方分権を推進する時期であると思います。中央から地方に対して行財政の再配分を行うべきときであるというふうに
考えて、一層推進をいたします。
それから、
土地等の譲渡について、御
指摘の宅地化すべき農地を含め、優良な住宅地供給のための軽
減税率や特定住宅地造成
事業等のための
特別控除が認められ、
税制上、住宅地供給の促進のための
優遇措置が講じられております。
なお、
平成五年度改正におきまして、ただいま申し上げました軽
減税率が適用されることとなる開発許可対象の
土地につきまして、現在、その範囲
拡大の作業を
考えております。御
指摘のように、これは大変に効果のある
施策と思いますので、適用範囲を少し広げたい。開発許可の対象面積を、つまり緩くする、仮に千平方メートルであったものを五百平方メートルにするといったようなことにつきましての政令を改めることを今
考えております。
それからなお、住宅取得を促進する観点から、住宅取得のための借入金の一定割合を
所得税額から控除する制度がございますことは御存じのとおりでありますが、最大は年間二十五万円、六年間にわたりまして控除する制度がございます。これは今の
税制上の
措置としては恐らく最大限の、私は限度きりぎりではないかと思います。これ以上この制度を、年間に二十五万円という税額でございますから、
拡充いたしますと、住宅を取得してない人との間の一種の不公平につながるのではないかと思います。これは限度いっぱいのことをやっておると思いますが、なお、家賃につきましては、以前にも申し上げたことがございますけれ
ども、食費あるいは被服費等々と同じような意味での生計費ではないかというふうに思われますから、家賃だけを取り出して特別の控除をするということは、やはり
税制としては
基本的な問題があるのではないかと思います。
それから、中小
企業事業の承継
税制につきまして、これもよくお尋ねがございますが、相続税につきましては抜本的な
減税を昭和六十三年に行いました。
平成四年度の
税制では、
事業用の小
規模宅地等の相続税の課税の
特例を
拡充いたしました。また、今年度の
税制改正では、不動産等に係る延納
利子税の
引き下げ措置を講ずることにいたしました。これらは主として中小
企業の
事業承継の円滑化を
考えてのことでございます。
なお、御
指摘のありました
個人事業税における
事業主控除額は、
平成五年度から引き上げたいと
考えております。御
指摘のように引き上げたいと
考えておりまして、現在そのための
法案の提出を準備をいたしておりますことを申し上げます。
それから、ウルグアイ・ラウンドにおきましては、米につきまして
政府は、
国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを
基本方針としてこれまでやってまいりました。交渉は最終段階に入っておりますけれ
ども、やはり輸出補助金に比べまして国境
措置の取り扱いにバランスを欠いておるということは事実であると思います。我々はそれを実は
指摘をしておりますので、いずれにいたしましても、従来の
基本方針のもとで対処をしてまいりたいと思います。
農政ビジョンにつきましては、「新しい食料・農業・
農村政策の方向」いわゆる新
政策によりまして、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産を担う、そういう農業の
あり方を
考えてまいりたいと思っております。
次に、最近、国連のガリ事務総長がいろいろ提案しております「平和のための
課題」という中の国連の平和維持
活動あるいは平和執行
活動についてどう
考えるかというお尋ねであったわけでございます。
ガリ事務総長が、国連の仕事がこれだけ非常に大きくなりまして、そういう中でイニシアチブをとらなきゃならない、それについてはあれもこれもと
考えておられることは、それは評価をいたしますけれ
ども、例えば平和執行部隊と言われるもの、この提言は、従来国連がやったことのない新しい
考え方でございます。また、今まで国連の平和維持
活動として我々が理解しておったものとも違います。国連が新しくそういう役割を果たすかどうかということについては、加盟国の間で議論を尽くす必要があるであろうと思います。
政府としては、したがって、そのイニシアチブは評価いたしますが、引き続き検討すべき問題であるというふうに申し上げておるわけでございます。
なお、先般、マケドニアからの要請がございまして、そこで国連組織の事前展開が紛争の未然防止に役立ったという例はございます。これは在来の関連国からの要請に基づく問題でございますので、安保理において
我が国もこれに賛成をいたしました。
そのような新しい国連の平和維持あるいは平和の創設とでも申しますか、ピースメーキングと申しておるわけでございますが、そういうことにつきまして、いろいろな議論に
我が国も積極的に参画をしていきたいと思っておりますけれ
ども、
我が国自身がどのような任務に参加し得るかどうかということは、これはもう
一つまた次元の異なる問題であるというふうに
考えています。
集団的自衛権について、国際法上集団的自衛権というのは持っておる、これは当然であるけれ
ども、憲法九条下において許容される自衛権の行使にはおのずから制約があるというこの
考え方、
政府は長年そのような
見解を積み重ねてきておるのでございます。要するに、
武力行使というものを海外において行うということは、やはり
我が国の自衛、国土が侵された場合の自衛ということとは異なるのではないか。海外において
武力行使を行うということはやはりいろいろな、戦争への危険に極めてつながりやすいという現実のそういう判断から、今年まで
政府は、今に至りますまでそういう
見解を積み重ねてきたものであるというふうに
考えます。
それから、国際平和協力法でございますが、
国会で成立をお認めいただきまして、最初にアンゴラ、次にカンボジアにおいて業務の
実施をいたしております。現在、自衛隊初め多くの諸君が、七百人の諸君がカンボジアの国づくりに汗を流してくれておりまして、これは
国民からも支持を受けておるものと
考えます。
なお、昨年の
国会審議の際、いわゆる平和維持隊本体業務については、別に法律で定める日まで
実施しないというふうにお決めになられたところでございます。今の段階で、実際の協力が開始されてまだ間ものうございますので、現在の法律による協力の実績を積み重ねていくことが重要であると思います。法律の
見直しを行うに当たりましては、このような経験を踏まえてさまざまな議論が行われていくものと
考えます。
大内委員長の御
指摘になられましたのは、
我が国の
国際貢献の
あり方に触れる本質的な問題提起というふうに承りましたが、いずれにしても今この時点では、将来の法律の
見直しについて予断を与えることをせずに、現実に自衛隊の諸君のやっていてくれる仕事に対する
国民の理解、受け入れ方等々をもう少し注意深く見てまいりたいというふうに
考えております。
次に、PKOへの参加を凍結したままで常任理事国としての
責任を果たせると
考えるかどうか、そういう趣旨の御
指摘であったと思いますけれ
ども、
我が国が常任理事国になるという問題、これは仮定の問題でございますが、それとPKOの問題とを直接結びつけて
考えているわけではございませんが、国連憲章に照らしてだけ申すなら、常任理事国は必ずPKFへの参加をしなければならないということは別段ございません。ただ、常任理事国になりましたらやはりそれなりの
責任と地位を持たなければならないということは、これが御
指摘の趣旨だと思うのであります。
この国連憲章の問題は、
我が国として現実に国連加盟国の中では過去七回非常任理事国に選ばれておりますし、現在もまたそうでございますが、このような地位と
責任を自覚をしながら国連に対する一層協力を強化しなければならない、そういうふうに
考えるとともに、こうやって重い仕事をにわかに担うようになりました国連、殊に安保理事会の改組の
必要性を我々としても訴えてまいりました。
この安保理の改組の問題につきましては、昨年十二月の国連総会において、
我が国も共同提案国になりまして安保理議席の衡平配分と
拡大に関する決議が全会一致で可決されましたので、
国際社会の関心が高まることになりました。そして、本年六月三十日までにこの総会決議を受けて具体的な
意見を各国が提出をすることになっております。それから国連の場において議論が深まっていくことになると思いますが、いずれにしても、これは国連憲章の改正を必要といたします。
そういたしますと、国連憲章は非常に古くなっておりますから、実は随所に改めるべきところが出てくるであろうということは必然だと思いますし、その間にかなり複雑な問題がいろいろ出てくるであろう、したがいまして多少これには時間がかかる、時間がかかりましても取り組んでいかなければならない問題だ、こういうふうに
考えております。安保理事会が機能を失うことなくしかも、
国際社会の
期待に沿うようなどのような改組をしていくかという問題であるというふうに
考えております。
クリントンさんに対しては、両国合わせましてGNPの四割を占めておるわけでございますから、世界の平和と繁栄のために協力していたすべき仕事は多うございます。当選されて早々に電話でそういうことをお話をいたしましたけれ
ども、先方の御都合がつくようになりましたら、できるだけ早く会いまして、話をいたしたいというふうに
考えております。
エリツィン
大統領が突然訪日をおやめになったということはまことに遺憾なことでございますが、私に対しましては、電話で、これはロシア内の国内事情によるものである、決して
日本の事情ということではないということを言っておられましたけれ
ども、極めて遺憾なことでございました。本年、これは御本人から
お答えがあるかもしれませんが、一月の十三日にパリで渡辺
外務大臣とコズイレフ・ロシアの外相が会われて、エリツィン
大統領が
早期に訪日を
実現することが日ロ
関係に弾みをつけるために有益である、こういう
合意があったというふうに伺っております。そのようなことを希望をし、
期待をいたします。
ロシアに対する
経済援助の問題でございますが、昨年の人民代
議員大会後、ああいう人事異動がございまして、新しい首相が選ばれました。その後、ロシアの
改革路線がどのようになるのか。一応ことしの四月に
国民投票があるということ、その辺のもう
一つ詳しい
内容がはっきりいたしませんが、それに向かってどのように
政治情勢が変わっていくのか。あるいはIMFとの
協議、密接な
関係は我々の
援助のためにどうしても必要だと
考えておりましたけれ
ども、それも余りはかばかしく進展をしていないというようなことがございますので、内政、
経済、外交の全面でややどうも
見通しが明白でない、そういう
状況にございます。我々としては、開放
改革路線に入っていってほしい、そのための支援はいたしたいというふうに
考えておることに変わりはございません。
なお、東京
サミットにエリツィンさんを招待するかどうか、これは
我が国が
議長国になったばかりでございますので、まだ
関係国の
意見も聞いておりません。これから決定をいたすべきことであります。
それに関連いたしまして、インドネシアのスハルト
大統領が、非同盟百八カ国の
議長として非同盟の
考え方をこのG7に伝えたいと言われますことは、これは理由のあることと思います。どういう形が可能でございますか、その非同盟のせんだっての
会議の
考え方を何かの形でこの
サミットの
機会に反映をさせたい、そういう
努力を、何かの方法を探したいと思っておるところでございます。
それから、最後に、アジアにおきましてこれからどういう安全保障の機構が
考えられるであろうか。ヨーロッパにおいてはCSCEのようなものがある、アジアにおいても、こういう御
指摘でありました。
ヨーロッパの場合には、かつてソ連といういわば脅威がございまして、それに対してNATOというようなものができておりましたから、CSCEというものがその上に
成長していく、いわはそういう同質性、連帯性があったと思いますが、アジアの国々はそういう意味では大変に開放的であり、多様的である。それがまた強みでもございますが、そういう意味で、簡単に
一つの傘と申しますか、総合的な安全の仕組みが急に短絡的にできるというふうにはなかなか
考えにくい。ただ、これらの国々も世界の
情勢を反映して自然に
政治・安全保障の対話について関心を持つに至りました。例えば、ASEANの
拡大外相
会議等がそういう関心を持つようになりました。
ロシアにつきまして将来どういうふうにこの安全の仕組みに関与してもらえるかということは、これからの問題だと思います。
そうして、AP
ECは本来
経済協力を目的としてできた場でございますけれ
ども、オーストラリアのようにこの首脳
会議を
考える国もございます。いずれにしましても、こういう問題については、主としてASEANの国々が自分たちの問題として自分たちの地域の安全保障、そういう対話の中で議論をしていってもらう、
我が国もそのような議論に積極的に入らせてもらう、イニシアチブはこの域内諸国にとってもらう、そういうことが大事ではないか。
大内委員長の言われましたこの問題意識は、私も十分に持っております。このたび四カ国を訪問いたしましたときにも、そういうことを頭に置きながら話してまいりましたが、やはりこれから対話を重ねていって、ともに
考え、ともに行動するというような種類の、一番いわば高次元の問題ではないかというふうに
考えております。(
拍手)
〔
国務大臣渡辺美智雄君
登壇〕