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1993-04-27 第126回国会 衆議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十七日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 浜野  剛君    理事 太田 誠一君 理事 亀井 善之君    理事 田辺 広雄君 理事 津島 雄二君    理事 星野 行男君 理事 小森 龍邦君    理事 鈴木喜久子君       石川 要三君    奥野 誠亮君       鯨岡 兵輔君    塩崎  潤君       中西 啓介君    野田  毅君       松田 岩夫君    小澤 克介君       岡崎トミ子君    小岩井 清君       沢田  広君    谷村 啓介君       渡辺 嘉藏君    草川 昭三君       中村  巖君    山田 英介君       木島日出夫君    塚本 三郎君       中野 寛成君    徳田 虎雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 後藤田正晴君  出席政府委員         法務大臣官房長 則定  衛君         法務大臣官房審         議官      森脇  勝君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         大蔵大臣官房審         議官      田波 耕治君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      西方 俊平君         大蔵省証券局証         券市場課公社債         市場室長    東  正和君         国税庁課税部審         理室長     大西 又裕君         法務委員会調査         室長      平本 喜祿君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     松田 岩夫君   伊東 秀子君     岡崎トミ子君   冬柴 鐵三君     草川 昭三君   中野 寛成君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   松田 岩夫君     愛知 和男君   岡崎トミ子君     伊東 秀子君   草川 昭三君     冬柴 鐵三君   塚本 三郎君     中野 寛成君 四月二十七日  非嫡出子差別を撤廃する民法等改正に関する  請願岡崎宏美紹介)(第一七七四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一八二九号)  夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸  籍法改正に関する請願外二件(小川信紹介  )(第一七七五号)  同(大畠章宏紹介)(第一七七六号)  同外一件(関晴正紹介)(第一七七七号)  同(外口玉子紹介)(第一七七八号)  同(伏木和雄紹介)(第一七七九号)  同外二件(堀込征雄紹介)(第一七八〇号)  同(田邊誠紹介)(第一八一〇号)  同(外口玉子紹介)(第一八一一号)  同(鳥居一雄紹介)(第一八三〇号)  同外二件(佐藤恒晴紹介)(第一八五四号)  同(常松裕志紹介)(第一八五五号)  同(常松裕志紹介)(第一八六九号)  同(五島正規紹介)(第一八八六号)  同(常松裕志紹介)(第一八八七号)  同(藤田スミ紹介)(第一八八八号)  同外二件(小谷輝二君紹介)(第一九二〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一九二一号)  消費者のための製造物責任法早期制定に関す  る請願秋葉忠利紹介)(第一八二七号)  同(森本晃司紹介)(第一八二八号)  同(秋葉忠利紹介)(第一八五三号)  同(秋葉忠利紹介)(第一八六八号)  同(小森龍邦紹介)(第一九一九号)  製造物責任法早期制定に関する請願佐藤恒  晴君紹介)(第一八五二号)  夫婦同氏別氏の選択制の導入と続柄欄の廃止に  関する請願池田元久紹介)(第一八六七号  )  法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員  に関する請願木島日出夫紹介)(第一九一  八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  商法等の一部を改正する法律案内閣提出第五  二号)  商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係  法律整備等に関する法律案内閣提出第五三  号)      ————◇—————
  2. 浜野剛

    浜野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  3. 沢田広

    沢田委員 おはようございます。  今日まで各委員を通じまして商法改正等、その他もいろいろと意見があったわけでありますが、きょうばいよいよ採決を控えているわけでありますので、今までいろいろな立場から商法の今後の問題あるいは検討すべき課題等について発言もされたわけでありますが、どういう受けとめ方をして何が今後の課題となったのか、やはり整理をする意味で受けとめ方について一応お答えをいただきたいと思います。
  4. 清水湛

    清水(湛)政府委員 お答えいたします。  今回の改正案そのもの審議に関連いたしまして、監査制度あるいは株主の権利の拡充と強化というものがこれで十分であるかどうかというような御指摘がございましたので、まずこの点について私ども今後の法律実施状況に注意深い関心を払いましてこれを見守っていき、必要な改正ということ、将来検討しなければならないこともまた考えなければならないと思っております。  そういうような問題に加えまして、もともと私ども会社法の根本的な見直し作業というものを現在進めているわけでございますが、その中で、まず第一には、会社分割合併法制整備する。合併法制については、我が国では比較的整備はされておりますけれども、非常にこれも難しいというか複雑になっておるというような問題の指摘がございまして、その簡素化一つ課題でございます。  それから、分割法制につきましては、実は我が国会社法は直接にこれを定めるものがないというようなことが指摘されておりまして、例えば営業譲渡とかあるいは子会社を設立してそれに現物出資をするというような形で対応せざるを得ないというような問題がございます。そういうことから、分割法制を明定したらどうかという問題の提起がございます。  それに加えてさらに、非常に大きな会社中小会社がある。監査制度問題等につきましても、大会社における監査あり方というものについては今回の改正法では不十分ではないかという御指摘があったわけでございますが、会社の規模に応じたふさわしい法制整備する。私ども大小会社区分立法というふうに申しておりますけれども、そういうような問題。それとの関連で有限会社法全面見直しという問題が重要な課題として積み残しになっております。  それからまた、これは先般の商法改正の際にも議論された問題でございますが、中小会社計算適正担保の問題あるいは計算の開示問題。これは当委員会でもしばしば御指摘になっておられるわけでございますが、中小会社会計調査人制度採用等の問題がございます。  それからさらに、自己株式取得についての規制緩和の問題。これも今回の審議でいろいろ御指摘がございました。これについても現在問題点整理して意見照会中でございますけれども、速やかに結論が出るように私どもとしても努力をいたしたい、こういうふうに考えております。  また、今回は監査役の問題を中心に取り上げましたけれども会社経営管理機構あり方として、当委員会でも御質問がございましたけれども、例えば経営委員会あるいは常務会というようなものを取締役会の中に置くということを法制化するというような問題が実は前々から議論されているわけでございます。これは取締役会制度を非常に弱めることになるのではないか、取締役会との関係をどうするかという大変根本的な問題があるわけでございますが、そういう意見もあるわけでございまして、検討課題一つになっているわけでございます。  さらに、これらの問題を通じまして商法現代語化ということが、私どもにとりましては非常に重要な課題になっております。株式会社法につきましては、表現は古臭いのですが、累次の改正によりまして現代語化というのは必ずしも難しいということにはならないのではないかという気がいたしますけれども会社法を除く商行為法海商法保険法というような分野につきましては、これは口語化について相当研究検討を重ねる必要があるというようなことがあろうかと思います。  いずれにいたしましても、残された検討課題というのは数多くあるわけでございまして、これらにつきましては、引き続き私ども法務大臣諮問機関でございます法制審議会等にも意見を求めながら研究検討して、できるだけ速やかに結論が出るように努力をいたしたいというふうに考えているところでございます。
  5. 沢田広

    沢田委員 それがすべてだとは思いませんけれども、さらに各委員からの発言を受けとめまして整理をして、それぞれの所要の手続をとってもらうことを特にお願いをしておきたいと思います。  それから、資産評価とか世界の会計基準であるとか、やはりいろいろ言われているわけでありますから、これについても、早急にという言葉がいいかどうかわかりませんが、逐次情勢に応じ対応できるように検討をし、また結論を見出すようにそれぞれ意見を聞いて進めてもらいたい、こういうふうに思っております。これもよろしいですか。
  6. 清水湛

    清水(湛)政府委員 資産評価の問題が最近各方面で非常に議論をされておるということは私ども承知いたしております。また、自民党の法務部会の中でもそういう問題が正式の問題として取り上げられつつあるということも私ども承知いたしております。これに商法の面からどういうふうに対応していくかというのは大変難しい問題があるわけでございまして、恐らく再評価益の取り扱いというものがポイントになろうかと思います。  再評価をいたしますと当然利益が表面化いたしますので、これを配当という形で株主に払ってしまえばこれは会社資産がなくなってしまいますので、恐らくかつての資産評価法という法律と同じように再評価積立金というような形のものにしていずれ資本に組み入れるということになろうかと思いますけれども、あわせてそれに対する税制の整備、これは大蔵省の所管かと思いますけれども、そういうような面からの問題があろうかと思います。  ただ、いずれにいたしましても商法会社計算考え方が、一定の期間における収益と経費というものの対比におきまして期間の損益を計算する、その間における利益配当財源とするという建前をとっておりますので、そういうような建前を崩すということはちょっと難しいのではないか。それを崩さないままどういう形で再評価というものをうまくミックスさせていくかというようなことについて、これは相当な研究をする必要があると思います。  そもそも根本の前提問題として、今の時期に再評価をすることが適当であるかどうかという大問題があるわけでございますけれども、なかなか私ども段階だけではこれは決しがたい重要な問題を含んでいるというふうに考えておる次第でございます。
  7. 沢田広

    沢田委員 局長段階では無理だと言うのですから、大臣の方でも一応心して対応していただきたいと思います。  それから、今まで各委員から言われておりましたが、特にこれはお願い大蔵の方になるのかもわかりませんが、いわゆる株の配当ですね。日本経済のこれからの安定性をより強固にしていくためには、株の配当というものが投機対象ではなくて、やはり安定した株主としての地位を確保することにあると思うわけですね。今のように、言うなら、もう投機対象で、売って、それだけ利益を得ればいいという、ばくち的なというか、あるいは競輪、競馬のような賭博的なというか、そういう形でいる限り、日本経済の真の安定性なり発展性はあり得ないと思うのですね。しかも、企業だけの株主一般投資家が非常に少ない、こういうアンバランスな形態を直さなければならないということは非常な急務であると思うのですね。  これについては配当性をなるべく現状株価に合わせていく。簡単に提言しますと、例えば前年度の総会時期における株価に対して金利並み配当をしていくとか、利益が出たら、役員の方で三分の一、従業員が三分の一、株主が三分の一、そういう目安ぐらいにやはり考えていく。  大臣も知っているでしょうが、NTTでは、政府が出したわけですが、今配当、一株二千五百円ですよ。二千五百円というのは、五十万で二千五百円の配当で、それは高くなったら売ろうという気しか持ってないのが現状じゃないですか。  株の配当というのはやはり非常に慎重で大切な経済の基本だと思うのですね。これは大蔵局長ですが、どういうふうにこれからそれを集めて対応していくか。今のままでよくないことはわかっているのだろうと思うのですね。そのことから、今のままではよくないんだということをまず認めてもらってひとつ発言してください。
  8. 西方俊平

    西方説明員 我が国企業配当性向なり配当利回りは、今お話がございましたように、外国と比べてみても大変低い水準にあるわけでございます。例えば、平成三年度の配当性向で見ますと三八%でございますが、諸外国の場合は五六%から大きいところだと八〇%程度、また平成四年の配当利回りで見ますと〇・八八%ということで、一%を割っているような状況でございます。諸外国水準の場合は、これが二%から四%程度あるというようなことでございます。  実は、この配当性向に係る配当政策というのは基本的には企業経営判断の問題になるわけでございますけれども、やはり健全な株式市場あり方を考えますと、この配当性向向上を通じまして、個人株主を初めといたします一般投資家がいろいろな意味でこの株式投資魅力を感じて市場に参加するということは大変重要なことだというふうに私ども思っております。  これまでも、投資家利益とか株主投資魅力向上といった点を考慮いたしまして、これを一番扱っていると申しますか関係の深い経団連等の場におきましても企業要請をしてきているわけでございます。それから、証券会社引受責任の観点からも、引受証券会社に対しましても指導を行っております。また、証券取引所におきましても上場企業に対する要請を行っているというような状況でございます。一特に、御案内のことと思いますけれども、昨年八月の総合経済対策に引き続きまして、先般の新総合経済対策におきましても、安定的で活力ある証券市場の確立に向けての緊要な課題としてこの問題を位置づけているところでございます。  私ども経団連との意見交換等の場を通じまして、発行企業等に対しまして、株主投資魅力向上のための施策を講ずるよう今後とも要請してまいりたいというふうに思っております。
  9. 沢田広

    沢田委員 現在いろいろ株で割引券が出ていますね。これは現状価格割引券なんですね。後楽園だって、名前挙げるのは差し控えますが、余り人気のよくないのは二枚くれるけれども巨人軍のになると一枚しかくれないとか、そういうことはありますけれども、いずれにしてもそれは現状価格に対する配当なんですよね。あるいは、百貨店等割引を出しているのも現状価格に対して五%だとか一〇%だとかという割引をしている。現状価格なんだ。配当だけがその株券の価格配当をしているということは、これは不合理きわまりない。  だから、そういう状況のことも念頭に入れて、今あなたの言っているようなことだけではなくてもう一歩進めて、要すればその総会を開いた時点で、決算をした時点で、その株価に対しての配当率を考える。二%でもいい、一%でもとにかく最初はいいですよ。しかし、そういう仕組みをつくっていくということが大切だと思うんです。  これは時間の関係がありますから特に要望だけしておいて、こういうアンバランスが続けば結果的には投機対象以外の何物でもなくなるということだけ言っておきます。  それから、大臣に、我々法務におりまして、外へ出て、沢田さん、法務やっているんだって、こういうことになりますと、途端に出てくる話が恩赦死刑ですよ。恩赦どうするんだいというのが出てくる、それから死刑はどうするんだいという話が出てくる。沢田さん、それについて何も法務委員会ではやらないのかい。何かやらないことが罪みたいに我々とがめられるところがあるんですよ。  ここで議論しようとは思いません。現在いろいろ両論があることは事実であります。ですから、時間的には、執行したものについてもいろいろ議論もあるでしょう、これからのことも死刑については議論があるでしょう。十分慎重に国民世論のことをそんたくしながら、突然不意打ちにということでなしに、恒例化してやっているならこれはまた話が別なんでありますが、そういうことでいろいろと議論もあります。  そのうちの一番大きな理由は、刑が確定してから非常に長く時間がかかっているということが一つですね。だから、昔のどういう犯罪であったかということの事実関係が非常に不明になる、それが一つ。それからもう一つは、昔の判決で、時に間違って冤罪になってしまっているという事例もある。この二つがやはり常に方向性について、ああいうことがあったんじゃないかということが問われる原因なんですね。ですから、その点は両論にそれぞれの理屈があるような気もいたします。ですから、その他国民の意向を十分反映しながら慎重に対応してもらいたい。  それから、恩赦についても同じなんです。何か政治改革が今議論されていて、大分もうけているのもいるのにそれが無罪になっちゃうのか、すぐそういうふうに飛んでいくんですね。そういう意味で、これも今の政治改革の動向を見詰めて、ある程度厳しく政治改革が行われる見通しがつけばこれは考えてもいいと思うのですけれども、これは私個人意見なんですが、そうでない場合は、国民世論を考えて相当厳しく処理しませんとますます政治不信につながるおそれなきにしもあらずということを考慮に入れる必要があると思うのであります。これも提言だけでありますが、議論をしませんが、明敏な大臣ですから、その意図あるところは十分お察しいただけるだろうと思っております。  以上は、これは要望事項として終わります。  それから、これは大蔵省だと思うのですが、手数料というものについてはどういう理解をして受けているのかということをちょっとお答えいただきたい。
  10. 西方俊平

    西方説明員 資本市場における、特に発行段階の諸手数料につきましては、基本的には当事者の方々が自由に交渉する、こういうことになっているわけでございます。政府がこれに関与して固定制になっているということはございません。しかしながら、手数料につきましては、現在まで、特に受託手数料でございますけれども、諸外国と比べてみて非常に高いということが言われているわけでございます。この原因につきましては、受託機能というのが今まで、例えば発行会社サイドの事務にも関与するとか、それだけじゃなくて当然のことながら社債権者サイドに立った仕事もするというようなことで大変多様な機能が込められているような、あいまいな機能がその根底にあったということじゃないかと思います。  今度の社債法改正では、社債権者保護ということに受託機能純化、再構成されたわけでございますので、そういった機能というのが非常に明確になる。そうすると、余分な部分についてはよく考えてみると手数料というのは不要ではないかという部分があろうかと思います。これについては私ども、基本的に私どもが決めているわけではございませんけれども関係者方々にそういった機能純化趣旨をよく理解していただいて、手数料が諸外国と比べてそれに接近するように今後とも努力していかなきゃいかぬ、そういうふうに思っております。
  11. 沢田広

    沢田委員 手数料だけ議論してもいろいろある。じゃ、リベートという言葉になったら、手数料は今の答弁と同じになるわけですか。
  12. 西方俊平

    西方説明員 自由交渉制手数料が決められているということでございますので、例えばその場合、ロットが非常に大きいということになれば、一般的に適用する手数料よりも割引をするというようなこともあるでしょう。それから、この手数料は、ロットだけじゃなくて、社債信用力というのですか、格付が非常にいいものとそうでないものについても幅がある、そういうふうに承知しております。
  13. 沢田広

    沢田委員 自由経済の中でそれぞれお互い努力をすれば、これは明文の手数料じゃありませんが、それ相応の手数料を支払うのが社会慣行上のルールになっているだろうと思うのですね。これは税法上の問題として聞いておきますが、刑法上の問題は一応別ですが、それが一応のルールとした場合は税の上でどういう判断をしていくのですか。
  14. 大西又裕

    大西説明員 お答えいたします。  法人が支出する費用につきましては、その支出の目的、形態など、その費用の実態に応じて取り扱っているところでございます。お尋ね手数料あるいはリベートというものがあらかじめ定められた契約に基づいて支払うものであります場合には、それは支払い手数料等といたしまして損金の額に算入いたします。そうでない場合には交際費として取り扱っておるということでございます。  以上でございます。
  15. 沢田広

    沢田委員 ちょっと語尾がはっきりしませんが、定められた契約というのは、民事契約としてお互いが約束すれば、それで言うなら条件は完備する、こういうふうに解釈していいですね。
  16. 大西又裕

    大西説明員 そのように解釈しております。
  17. 沢田広

    沢田委員 今度は刑法上の問題としてはまた別の判断の基礎がある。言うならば社会慣行的に許される、あるいはその努力に報われたものだ、客観的に見て正しいという場合は、その前提条件契約がなければだめだということなんですか、も う一つ税法上で聞いておきます。
  18. 大西又裕

    大西説明員 ただいまそのような趣旨で申し上げさせていただきました。
  19. 沢田広

    沢田委員 大蔵にいるんだから後でまた細かい点は私の方で、ただ、法務の場で考えなきゃならぬ物差しというものを決めておきたいという意味お尋ねをしたわけでありまして、これはまた後で処理してまいりたいと思います。  時間的に、税法の方は終わります。  それで、いよいよ最後になりますが、今度の改正でまだ残された問題がありますが、細かい施行令、そういうものについてはいつごろと考えているのか、その点もうわかっていることだと思うので、お答えいただきます。
  20. 清水湛

    清水(湛)政府委員 この法律は、国会を通過いたしました場合には、公布の日から六カ月以内で政令で定める日から施行するということになっております。私どもの今のところの心づもりといたしましては、十月一日を施行日といたしたいというふうに考えておりますが、これはいろいろな関係方面意見も聞きながら今後検討いたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  21. 沢田広

    沢田委員 一番最終の採決の時間があるようです、その後何かあるようですから、若干早いと思いますけれども、終わる時間を考慮して、協力をいたします。  以上で終わります。
  22. 浜野剛

  23. 小森龍邦

    小森委員 先般も質問をさせていただきましたが、私の予定しておる質問の内容が途中で終わっておりますので、その続きというような意味お尋ねをしたいと思います。時間が余りございませんから、答弁もなるべく簡潔にしていただきたい、かように思います。  まず、監査役の任期の問題として、二年を三年にした。二年よりは三年の方が監査役としての立場安定性というものを確保できると思いますが、逆に言いますと三年よりも四年、五年の方がよいのではないか、こういう考え方も出てくるわけでありまして、この点について、法案を作成されるに当たってはどういう目安を入れて三年と定められたか、この点をお尋ねいたします。
  24. 清水湛

    清水(湛)政府委員 この監査役の任期は、取締役に対する監査役発言権を強化する、そのためにはやはり地位が安定していることが必要である、こういう先生御指摘のとおりの理由によるものでございます。立案の過程におきましては、任期を四年にするという考え方とかあるいは現行のように二年にしながら必ず再任を保証する、それで最低四年にする、こういうような議論とかいろいろございました。ただ、その再任を保証するということにつきましては、監査役株主総会で選ばれるわけでございますから、株主総会の決議をあらかじめ拘束するような立法は非常に難しいだろうということで、二年で再任一回四年という考え方は、早い段階で消えたわけでございます。  三年にするか四年にするかというような議論でいろいろな意見が出てきたわけでございますけれども、四年は現段階では少し長過ぎるのではないか、とりあえず三年、もしこれが再任されれば六年間は監査役の地位にあるわけでございますが、とりあえずと申しますか、大多数の意見の落ちつくところは三年ということになったわけでございます。
  25. 小森龍邦

    小森委員 大体お考えになっておられますことはわかりました。  それで、同じく監査役のことに関してでありますが、大会社三人以上ということにされまして、そのうち一人を社外から選ぶ。これも監査の公平を期すという意味で非常に結構なことだと思いますけれども、少し心もとないと思います点は、就任五年前にさかのぼってその会社関係のない人、こういうことでありますから、五年以前は関係があってもよいということになりますが、この程度の規制では、やはり会社の執行部というか、取締役の都合のよい人を幾らでもピックアップして選べるのではないか、こういう心配を私は持ちますが、その点についての見解と、さらに諸外国状況はどうか、その点をお尋ねしてみたいと思います。
  26. 清水湛

    清水(湛)政府委員 今回の改正案では、就任前五年間は会社関係があった者であってはならない、こういうことになっているわけでございますが、これにつきましても、立案の過程ではいろいろな立法論がございました。当委員会の御質問にもございましたけれども会社と全く関係のなかった者にすべきであるとかいう意見、一方では五年も少し長過ぎる、三年程度の期間にしてほしいというような意見もあったわけでございます。  いろいろな議論を積み重ねてまいったわけでございますけれども、この点も、大方の意見の落ちつくところとして、五年程度であれば、たとえ当該会社の取締役等であった者でも、これらの期間の経過によりまして現に会社の業務執行を行う者との関係というのが希薄になるのではないか、ある程度というかそれから独立した立場監査を行うことができるのではないかということで、多数の意見としてこれに落ちついたわけでございます。  しかしながら、もちろん無縁であった者の方が望ましいという意見、あるいは無縁とまでいかなくてももう少し長期の期間が必要だというような意見、これは実は当然あったわけでございます。そういうような意見もあったことを踏まえまして、私どもといたしましては、この改正法施行後、この社外監査役の制度がどういう形で運用されていくことになるのかということにつきましては、重大な関心を持って見守っていきたいというふうに実は考えておるわけでございます。
  27. 小森龍邦

    小森委員 以前から私の持論でありますが、日本の社会というのは非常に前近代性をはらんでおる社会でありまして、五年や七年前に会社と一応役職が切れたからといって、人間関係は相当深いものがあろうと思うんです。そういうことで私は大きな懸念を持っておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。  三つ目の質問としましては、監査役会というものを新たに設ける、この独任制の監査というものとの関係で、その独任制監査の持つ欠陥を監査役会という新たな制度を設けて補うとすれば、一体どの辺のところを補おうとされておるのか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  28. 清水湛

    清水(湛)政府委員 先ほどの前の質問の方で諸外国の制度はどうなっているかという御質問がございました。私、大変失礼いたしました、答弁が漏れておりますので、まずそれをちょっと補足させていただきたいと思います。  諸外国法制というのはちょっと違っている面があるわけでございまして、アメリカとかイギリスなどの英米法系の国は、監査役という機関がまず存在しないということになっております。これは、取締役会会社の業務の執行を監査するということになっておりまして、例えば一部アメリカの会社では、証券市場に上場する基準の一つとして取締役会の中に社外取締役と申しますか、そういうものを入れることが要件になっているというようなところもございます。しかし、法制化している国はございません。  それから、ドイツ、フランス等の大陸法系の国というのは、この監査役会の制度を持っております。実は、この監査役会の制度というのは、日本取締役会監査役の制度を一緒にしたような機関でございまして、非常に強い権限を持っております。この監査役会において取締役を選ぶというような非常に強い権限を持っているという意味におきまして、大変重要な機関ではございますけれども、ここではいわゆる社外監査役というような形での法制化は要請されていない、こういうふうになっております。ただ、もちろんのこと労働者の経営参加等の問題がございまして、そういう面からの問題がこれらの国においてはあるということが言われているわけでございます。  それから、今回の質問でございますけれども監査役会と独任制の監査役との相互関係という問題でございます。  今回のこの監査役会の制度というのは、複数の監査役による大会社監査が組織的かつ効率的に行われるようにする。例えば監査役会において各監査役の調査事務の分担等を決める。会社の規模が非常に大きいものでございますから、監査役がいかに独任制の独立の機関だと申しましても、全部をカバーするということは現実において不可能でございますので、そういう分担を決めるとか監査の方法について意見調整をするというようなこと、あるいはお互いに情報交換の場にするというようなことによりまして、有効かつ効率的な監査を行うことができるようにしようという趣旨でございます。  ただしかし、この監査役会の制度はあくまでも、監査役としてのいわば独任制の機関であるという性格のよさと申しますか、そういうものが持っている利点というものを否定しようというわけではございません。それぞれの監査役は、法律の規定に基づく監査役固有の権限を行使することができる、例えば訴えを提起したり、種々の行為を行うことができるわけでございます。また、最終的には監査役意見監査役会の意見という形でまとめますが、それぞれの監査役は、監査役会の最終意見と異なるときには、それぞれの意見監査役会の意見書の中に併記することができる、こういうようなことになっているわけでございます。  したがいまして、あえて比喩的に申しますと、監査役の独任制の機関としての長所を維持しつつ、かつその長所を最大限有効に発揮することができるようなシステムとして監査役会というものを考えた、こういうふうに申してもいいのではないかと思うわけでございます。
  29. 小森龍邦

    小森委員 とかく監査役が集まって何かこの政治の面で言えば党議決定みたいなものをして、これは触れまいや、これは余りつつかずに取締役の立場を守ってやろうじゃないか、こうなるとかえって変なことになるわけで、その点が心配でありますので、先ほどのようなことを御質問申し上げたわけであります。  そこで、そのことと関連をして、この監査役の選任の方法ですね。選任された者に対しては、顔色をうかがうというか、御機嫌を損ねてはいかぬというようなことが、これは前近代的な人間関係でありますが、そういうことを思いますので、その選任方法の問題と、もう一つは、会社の中の情報というものがどんどん監査役の中に流れてくるようにならないと本当の監査ができないわけで、事務の情報というか、またその情報をキャッチする、地方自治体なんかでは監査事務局というものを設けて、その自治体の規模に応じてしかるべきことをやっておりますが、細部にわたったことをお尋ねするようでありますが、その辺のところはどういうことになるでしょうか。
  30. 清水湛

    清水(湛)政府委員 まず最初の監査役の選任の問題でございますけれども、これは株主総会監査役が選任されることになっております。したがって、株主判断によって立派な監査役が選ばれるという法の建前になっているわけでございます。  ただ、現実の問題といたしましては、その株主総会の決議の対象となる議案というものを会社の方でつくって、例えば何某氏を監査役という形で議案を会社がつくりましてこれを株主総会に提示するわけでございますが、その議案は取締役会で決定するということになっております。ですから、実質的には取締役会で決定された者が株主総会の承認を得て監査役になるという形になっておりますので、監査役としてふさわしい人を選ぶことができるというふうにするために、現に監査役である者が取締役会に出席して、監査役の選任議案、候補者を決定する議案について意見を述べる権限を認める、あるいは株主総会において、なおその取締役会意見と異なる意見があるということであれば、監査役の選任等についての意見を述べることができるということにいたしているわけでございます。  もちろん、監査役会社の機関でございますから、監査役会社の執行部と常に対立関係を持つということは、会社全体のスムーズな経営という面からいって必ずしもそういう状態が常に好ましいということは言えないわけでございますけれども会社側あるいは取締役会側の間違ったそういったいろいろな提案については十分にチェックをすることができるようなシステムにはなっておるということであるわけでございます。  それから、もう一つの問題といたしまして、監査役会社から必要な情報が必要な都度入手できるようになっているかという問題がございます。  先ほど申し上げましたように、監査役取締役会に出席してそこで意見を述べることができるわけでございますが、取締役会には社長以下会社の執行部が常時営業状況を報告する、最低三カ月に一回はというような法律にはなっておりますけれども会社の営業状況を報告することになっております。そういう取締役会会議を通じて必要な情報を入手するということができるわけでございますが、そのほかにも、監査役はその職務を行うためにいつでも取締役及び支配人その他の使用人に対して営業の報告を求め、また会社の業務・財産の状況を調査することができるということになっております。  これは、かつては取締役に対してそういう営業の報告を求めるということになっていたわけでございますけれども、使用人に対して、つまり一般の社員に対してそういった営業報告を求めることができる、これは五十六年改正でございますけれども、こういうことにいたしたわけでございます。  そういうようなことから、そういう社員に対する営業報告等の請求権限の行使を制度化すると申しますか円滑にするために、最近の大手企業におきましてはいわば監査役に直属する機関として、先ほど監査事務局というような地方自治体のお話がございましたけれども、相当数の社員を監査役の指揮下に置くというような形態がとられつつあるというようなことも聞いているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう監査役の権限が非常に強く認められておりますので、その権限を行使しやすいような環境を積極的に会社の方でつくっていく。この営業の報告請求権の行使というような形で、いわばけんか腰でやるというのじゃなくて、常に営業の状態が監査役の方にも流れておるというような形でやることが、実際問題としてはこういう制度の前提として考えられているわけでございまして、そういうものがそういう制度的な保証の裏づけになるものだという認識で実はこういう営業報告調査権というものを認めたわけでございます。  そういうものがバックになって監査役のスタッフというものが現実にかなり強化をされつつある状況にあると承知しておりますが、今後ともそういうものについてはいろいろな関係機関を通じて実態を把握するように務めてまいりたいというふうに考えております。
  31. 小森龍邦

    小森委員 それでは、この辺で、今度は社債の問題の方に質問を移したいと思います。  今回の改正によりまして、社債の発行限度額を撤廃する、そのかわりに社債管理会社というものを置く、こういうことでございます。質問が、どういいますか二つの項目について一度にお尋ねするようですが、発行限度額の撤廃ということに基づく、この社債日本会社ではどういう展望があって会社の資金として使えるか、現在の状況はどうか、あるいは諸外国状況はどうかということとあわせて、社債管理会社というのがこの間からちょっと言われておりますが、利益相反という問題を持つのではないか、こういう懸念もありますので、以上の点についてお考えを説明いただきたい、かように思います。
  32. 清水湛

    清水(湛)政府委員 まず、我が国における社債による資金調達状況ということ、それから諸外国との比較においてどうかというような点でございます。  資金調達方法における社債利用度という点から見ますと、アメリカでは比較的社債の利用度が高いというふうに言われております。まず第一に社債で資金を調達する、その次に新株発行というような株式による資金調達、三番目が金融機関等の借入金というようなことが言われております。これは私ども、必ずしもそういう面での専門家ではございませんので、いろいろな資料からそういう推測をしているわけでございます。日本では、借入金が非常に大きくて、これが第一、その次が社債、最後は株式というようなことが言われているわけでございます。  最近の状況、これは大蔵省等にお伺いした方が適当かと思いますけれども、最近特に株式市場が低迷をしておるというような状況が出てまいりましたために、新株発行による資金調達というのはかなり少なくなってきておる、あるいは株式に結びついた転換社債の発行も少なくなってきておる、さらには非常に冒険的な要素がある新株引受権付社債、いわゆるワラント債なんかも発行が非常に少なくなってきておりまして、そのかわり普通社債というのが非常にふえてきておる。平成二年、三年、四年というような最近の一、二年の期間を見ますと、普通社債の発行比率が非常に大きくなってきておると思うわけでございます。  本来、資金調達の方法としては、私ども商法立場から見ますと、新株の発行かあるいは最も基本的な形態である普通社債という形によるのが企業のあるべき姿というふうに実は思うわけでございますけれども、これはいろいろな見方があるかもしれません。そういう意味では、商法の予定している制度に現在戻りつつあるのかなというような感じも率直に言ってしないわけではございません。  そこで、そういうところが最近の状況でございますが、では、そういう社債の利用状況を踏まえて発行限度撤廃というものについてどう考えるのか、あるいはそれに対して各企業はどういうふうな対応をしていくのかという問題になるわけでございます。  この限度規制の撤廃につきましては、これまでしばしば答弁申し上げておりますように、結局、現在の商法、これは、実は先進国ではイタリアぐらいで、諸外国にはこういう制度はございません。我が国の明治の初期の商法の制定者がややイタリア法の影響を受けたのではないかというようなことが指摘されているわけでございますけれども、そういうようなものがまずある。しかも、発行の段階だけ押さえておいて、発行後の状況については何もフォローというかチェックをするシステムができ上がっていないという問題。それから、社債という形では制限がされているけれども、例えば社債という形ではない企業の借り入れについては全く制限がないわけでございます。幾らでも借りることができる。全く制限がない。こういう状況でございまして、なぜこういうような社債発行規制というものがあるのかというようなことは前々から問題とされておりました。  もちろん、これについては、個別の借り入れについては金融機関等がみずから自分の債権を管理することができるからいいじゃないか、しかし社債については大衆という問題があるのだというようなことがその支えの理由になっていたわけでございます。  しかしながら、この大衆を保護するという観点から言うならばまた別な制度を、それにかわり得る制度というものは、これは十分考えられるということが、特に最近のように資本市場が発達してまいりまして、大量の大衆がそういう市場を通じて社債を取得するという状況を考えますと、むしろそういう社債市場とか一般の市場におけるディスクロージャーあるいは格付制度というようなものが、アメリカもそうなんですけれども、非常に重要な機能を持ってくるということ。  それからもう一つは、やはり社債権者というものは非常に数が多うございますから、そういう人たちの立場に立って専ら社債権者保護するというようなシステムをこの際しっかりした形でつくる必要がある、こういうようなことから、この社債管理会社システムというものを強制することによって社債権者保護を図ることができるというふうにまず考えたわけでございます。  そこで、こういうような限度額を撤廃した場合、それぞれの会社がどういうような行動をとるだろうかということがその次の問題になるわけでございますが、では発行限度額を撤廃すればそれぞれの企業がどんどん自由に、無制限に社債を発行することになるのかというと、私どもは実はそうは考えてないわけでございます。現に、現行の社債発行枠の枠いっぱい使っている企業は何十社かございますけれども、その他の大多数の企業はまだ現行法の枠にもいっていないというような実情がございます。今後、社債が大いに利用されるということになっていくのかもしれませんけれども、そういう状況にあるわけでございます。  しかも、今回の社債発行の管理会社というのは銀行、信託会社に限定しておりますので、強制的に社債管理会社になるということでありますと、しかも社債管理会社としての責任を非常に重く負わされておりますから、不良企業社債発行というようなことが問題になった場合に、恐らく銀行、信託会社社債管理会社を引き受けないといづことに現実の問題としては当然のことながらなっていくと思うわけでございます。  そういうことを通じまして、実質的には、今までも実はそうだったのでございますけれども、今までも社債を発行する場合には委託募集を受ける会社として銀行、信託会社というものがあり、現実にはすべて、信託会社は事実上ございませんから、銀行が委託募集機関になっていたわけでございますけれども、そういうことによって恐らく不良な社債というようなものがどんどん出てぐるということはまず考えられない。銀行のいろいろな厳しい業務規制という面からいきましても、その段階でかなり厳しく不良社債はチェックされるのではないか。いわゆる自己責任の原則のもとで、アメリカみたいに非常に危険な社債をどんどん出すというようなことになるということは、まず恐らく考えられないというふうに私どもは見ているわけでございます。  この辺は今後の推移を見きわめなければなりませんが、少なくとも今回の社債発行限度撤廃によって社債権者が不利益を受けるとか、従来にも増して不安定な地位になるということはない、むしろ積極的な形でその保護の強化が図られるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  33. 小森龍邦

    小森委員 その点につきましては、いよいよきょうは最後の審議日でありまして採決に至るわけですが、各党、附帯決議の意見の調整に当たって、債権者に不利がもたらされないように管理会社がしっかりとした態度をとるべきだ、こんな中身が各党間で意見の調整ができておりますので、今後の行政指導というか、そういうものについてひとつ万全を期していただくようにお願いをしておきたいと思います。  さて、社債の問題のところまで来ましたので、金丸さんのこの間の債券の問題のすぐ近くまで論理的には来ておるように思いますので、この際にちょっとお尋ねをしたいと思います。  無記名で債券を購入できるということについて、これは厳密に言えば大蔵省に尋ねるのが妥当かと思いますが、ごく常識的でよろしいですから、この無記名で債券を購入する無記名制度というものですね。それからまた、貯金に無記名貯金というのがあるのですかね。そんなことのいわば法律的な、つまり関係者にどういう利益を与えようとしてそういう制度というものがあるのか、ごく常識的でよろしいですから、お答えいただきたいと思います。
  34. 清水湛

    清水(湛)政府委員 預金について無記名というのは私ちょっと承知いたしておりませんが、社債とか債券につきましては、記名式のものと無記名式のものがございます。この基本的な法律上の違いというのは、社債の流通ということを考慮したものだというふうに言っていいかと思います。  つまり、記名社債でございますと、これを売買、譲渡をするということになりました場合に、譲渡自体は売主と買主の意思表示だけでいいのでございますけれども、これを会社に対して対抗するためには、社債原簿に改めて取得者の氏名、住所を記載し、かつその氏名を債券に記載しなければならない。実際、裏書みたいな形で新しい社債権者の住所、氏名を記載するということになろうかと思います。そうしませんと、会社その他の第三者に対抗することができない、こういうことになります。  これに対しまして、無記名社債の移転は、譲渡の意思表示と債券の交付だけで足りる。つまり、無記名のものでございますと、それを相手方に渡せばそれによって権利は移転し、しかも記名社債のように会社に備えた社債原簿の名義を変えるとかあるいは債券上の名義書きかえということは必要ではない、こういうことになるわけでございます。  そういうことからもおわかりいただけますように、記名社債ですと非常に手数がかかる。会社社債原簿を置かなければならない。一々社債会社に持っていって、社債の名義人の変更手続をとらなければならない、こういうようなことになるわけでございまして、非常に管理コストが膨大なものになる、こういうふうに言われております。  一般に、社債というのは多数の大衆に対してこれを発行するということを想定しておりますので、そういうようなものについて記名式のものをとりますと、非常にそのための時間と会社側の管理コスト、それがまたいろいろな費用にはね返ってくるというような問題も出てくるわけでございます。そこで、現実には多くの社債、金融債も一種の社債でございますけれども、一般大衆によって取得されるものについては無記名式のものがほとんど全部である、こういうような状況になっているわけでございます。  簡単に申しますと、流通性を確保する、管理コストを低減してその費用をかけないようにする、こういうことだろうと言っていいと思います。
  35. 小森龍邦

    小森委員 余り深入った議論はできませんけれども、流通経済がもたらす一つのそういう制度というものが今回の政治資金の流れをカムフラージュするというか、そこにうまく逃げ込んだということだと思います。  そうなりますと、これは制度そのもの、無記名制度という問題に手をつけるだけでなくて、やはりあれこれ、自由競走経済と言われる、最近市場原理ということが非常に強く言われておりますが、そこに大変不純なものが介在をする余地がある、私はそう思っておるのですけれども、そこまではきょうは議論に入れません。  そこで、結局はそういった制度をうまく使って社会的な不正義を行う者に対しては、検察とか警察がしっかりとした態度をとらなければならぬ、勢いこういうことに、極めて糊塗的ですけれどもなってくると思います。  そこで、お尋ねをしたいと思うことは、きのうでしたかおとといでしたか、山陽新聞に載っておる記事なんですが、これは岡山県の県会議員がやはり金丸さんまがいのことをやって、私もちょっと先ほどお尋ねしましたが、要するに家族の名義とかあるいは架空名義によって十億円の蓄財をしておった。これは県会議員なんですね。今日の我が国の政治は、中央地方を問わず、申しわけないですけれども自民党の体質というものがそういうことになっておるのではないか。これはたまたま、これがよいか悪いかわかりませんが、自動車保管場所法違反で家宅捜索をしたという、ちょっと別件的なところがこそくなやり方をしておると思いますけれども、そういうこそくなやり方でもしなければこれがまた摘発できぬという日本の今日抱えている重大な問題があると思います。  もう時間が来ましたから質問をまとめて申し上げておきますが、刑事局長、ひとつこれに限らず捜査の厳正を期してもらえるか。それから、法務大臣には、かかる我が国の中央地方を問わず政界の腐敗と堕落というものがありますが、この間ちょっとだけは議論をいたしましたので、きょう全面的な議論はできないわけですけれども、改めて法務大臣としてもこの政界の腐敗、堕落に対して毅然たる態度で臨んでいただけるか、これは刑事局長法務大臣、双方にお尋ねしたいと思います。
  36. 濱邦久

    ○濱政府委員 まず、私からお答え申し上げます。  今委員が御指摘になられました所得税法違反事件につきましては、これは岡山地検が本年四月二十三日に告発を受理いたしまして、現在捜査中と聞いているわけでございまして、この具体的事件については、それ以上の詳細に立ち入ったお答えは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、今委員が御指摘になられましたように、政治家の不正蓄財に係る刑事事件について、これに限らずと申しますか、一般的にきちっと捜査をやるか、こういうお尋ねでございますが、もとより検察当局といたしましては、その職責の範囲内で権限を適切に行使してきているものと承知しているわけでございますが、今後とも、この種の事案につきましても、犯罪の嫌疑が認められる場合には適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
  37. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 刑事司法の厳正なる運用は、これは言わずもがなの当然のことでございます。与えられた職権の範囲内においてしっかりした法務・検察の運営をやってまいりたい、かように思います。  ただ、政治家としての立場に立ちますと、それだけでは足りない、なぜこういうような腐敗現象がびまんをしておるのかといった根本にさかのぼって、基本は、政治がもっとしっかりしなければいけないということがあると思いまするので、やはり政治の抜本的な改革、そしてそれに対する国民の信頼の回復、こういうことを目指してできる限りの努力をいたしたい、かように考えております。
  38. 小森龍邦

    小森委員 これで終わります。
  39. 浜野剛

  40. 木島日出夫

    ○木島委員 きょうは、社債の発行限度枠の撤廃の問題についてお聞きをいたします。  民事局長は、諸外国でも社債発行の限度を設けている国はない、あるいは社債権者保護というけれども、発行のときだけであってその後のところまでは目配りしてないのだからということをおっしゃられました。しかし、法務省は、これまではそういう立場に立っていなかったのじゃないでしょうか。  一九九一年七月二十五日の「商事法務」の法務省民事局参事官の大谷さんの論文にはこう書いてあるのですよ。  商法による社債発行限度規制は、社債権者の  担保となるべき会社の現存資力以上の社債の発  行を抑制することにより社債権者利益保護  しようとするものである。この規制について  は、かねてから、社債以外の債務負担行為には  制限がないこと、社債発行時の規制にとどま  り、その後の会社の財務状況の変化に対応する  措置が講ぜられていないこと、比較法的にみて  も社債の発行限度を一般的に定めている例は少  なく、特に先進主要諸国においては皆無である  こと等を理由に、合理性に乏しいとの立法論的  批判がある。しかし、この規制は、現に財務内  容の悪化している会社による社債の発行を禁止  することを通じてそれなりの社債権者保護の機  能を果たしており、およそ規制としての意味が  ないとするのは行き過ぎである。要するに、財界や大蔵省筋がいろいろ理屈を述べて、こんな社債発行限度は取っ払えという圧力をかけ続けてきたのに対して、法務省は毅然とした態度で、それは違うのだ、意味はあるのだということで、社債発行限度枠に関する商法がつくられて以来一貫して守り抜いてきた社債権者保護のための発行限度枠を守ってきたのじゃないでしょうかね。今、清水民事局長が先ほど来の質問答弁していることをお聞きしますと、どうも今回の法案提出に当たりまして、法務省は大蔵筋あるいは日本の財界、大企業の軍門に下ったのじゃないかと思わざるを得ないわけでありますが、法務省が 一昨年述べていたこの基本的な立場はどうしてしまったのでしょうか。
  41. 清水湛

    清水(湛)政府委員 その基本的な立場は全く変わってないのです。実はこの社債発行限度の撤廃論というのは昭和四十年代、五十年代からありました。そのときに、まさに諸外国にはないじゃないか、日本だけだ、入り口だけしか規制してなくてあとは何もないではないか、こういう議論、それから個別の借り入れについては何も規制がない、全く明治時代の規制思想の残滓である、こういうような主張が四十年代、五十年代されました。  それに対して私どもは、いや、そうは言ってもまさに先生御指摘のように不良会社社債を発行することを入り口でとめるという機能を果たしておる、そういう状況があるから直ちにこの発行限度撤廃というようなことを言うことはできません、それはそれなりに機能があります、ですけれども、この問題について単純に明治の初期と同じように規制さえしていれば社債関係はうまくいくかというと、それはそうとは言えないということから、実はあれは昭和五十二年でしたか、社債発行限度暫定措置法という特別法をつくりまして、廃止まではいかないけれども、とにかく発行限度を二倍まで特例的に認めましょう、その前にガス、電気事業会社については四倍まで認めましょうという特例的な措置を講じたわけでございます。  と同時に、では、社債発行限度の撤廃をするというならばどういう条件を満たせば廃止することができるのか、こういう研究検討に着手したわけでございまして、単純に条文を削除すれば済むというような問題ではございませんよ、もっときちっとした整備が必要である、そのときに考えられた環境整備は、一つはそういう資本市場というか、そういうところにおけるディスクロージャーの問題と格付の問題、さらに今の社債法というものを入り口の段階で規制するだけではなくて、社債権者というものはもともと長期にわたるものでございますから、長期にわたって社債権者保護するようなシステムをきちっとした形でつくる必要がある、それが可能ならば発行限度撤廃というのは可能であろう、こういうふうに実は五十年代に考えたわけでございます。  そういうことから民間団体、学者を中心にしまして社債法研究会というようなものが組織されまして、相当真剣な研究がされまして、そういう報告もされました。そういう報告を踏まえまして、昭和六十二年から法制審議会を正式に発足させまして、そこでこれまで延べ数十回にわたって小委員会等を開催して今回の結論に到達したわけでございます。つまり、単純に先進国にはないからやめろというようなことでは済みません、きちっとしたそれなりの対応措置あるいは客観的な諸情勢というものは整備される必要がある、こういうことになりまして、今回諸般の状況検討した結果、いわば今回の改正法案の内容であれば社債限度の方は全うし得る、発行限度は撤廃しても構わない、こういう結論に到達したということになるわけでございます。
  42. 木島日出夫

    ○木島委員 長い間検討してきたことは私も認めます。しかし、一昨年の七月までそういう論理はだめなんだということを法務省の担当参事官が述べておるわけですよ。  この参事官、こう言っていますよ。いろいろ言って、いずれにしろこの証券不祥事、損失補てん問題を挙げまして、「今回の不祥事の関係者の口から市場原理の成熟とか自己責任原則の確立とかいった言葉が吐かれるとき、当分の間それが空疎に響くことは、やむを得ないことであろう。」一昨年の七月の論文ですよ、これ。そんな理屈はだめだ、規制として意味があるんだということをしっかり言っていた法務省が急転直下、証券不祥事があって、損失補てん問題があって、企業の自己責任原則あるいは社債を買った者の自己責任原則、株を買った者の自己責任原則、そんなことを言って限度枠を撤廃するのは空疎だと言っているじゃないですか。何で一昨年までそういう立場にあったのを急転直下こんな法律が出てきたのか、今の説明では私は納得できない。
  43. 清水湛

    清水(湛)政府委員 実はその大谷君は今回の社債法改正をずっと進めてきた参事官でございまして、彼は撤廃論者であり、社債権者保護論者なんです。なぜそういうことで法務省が今まで長い時間をかけて研究してきたのか、これはこういう事由があるからということが彼の言いたいところであり,私どももそう思っておるわけなんです。  問題は、その社債管理会社というものに権利を与えると同時にどういう責任を与えるかということが、まだその段階では具体化していないというような状況でございました。まだある程度内容が模索されていたという時期でございます。たまたま証券不祥事、金融不祥事とその時期が、彼が書いた時点においてそういう事件が起こったわけでございますけれども、私どもとしてはそういう事態も踏まえて、債権管理会社の責任というものはきちっとした形で法律に書かなきゃならない。  それは銀行にとっては非常につらい話であるかもしれないけれども、きちんとその責任は書かなきゃならないし、損害賠償責任というものも法定しますよということで、そういういろいろな背景というものを踏まえて最終的な取りまとめをしてきたわけでございまして、当時の担当、この社債法の全面改正に向けて彼はみずから責任者としてやってきたわけでございますから、証券界、銀行界に対しても厳しい注文を出したいという気持ちがあったことは私も当時既に局長でしたからよくわかるわけでございまして、決してその論文は今回の社債法改正法案を彼が否定的に理解しているということじゃなくて、むしろ彼としてはこういう方向に持っていきたいという意図のもとにそういう論説を発表したというふうに私は理解しておるわけでございます。
  44. 木島日出夫

    ○木島委員 財界や大企業大蔵省筋の物すごい圧力に何とか抗して、社債権者を守っていかなきゃならぬという気持ちのあらわれている論文だと私は思うのですよね。しかし、残念ながら今回押し切られてしまったというのが本質じゃないでしょうか。  社債法律的な面については商法その他に書かれておりますからわかるのですが、その経済的な意味について、大蔵省をお呼びしておりますので、若干基礎知識として教えていただきたいと思うわけであります。  平成元年から平成二年にかけてバブルの崩壊の時期であります。社債発行の内容が大きく転換しておる。それまで圧倒的に多かった転換社債あるいは新株引受権付社債が急速に落ち込んで、そのかわりにいわゆる普通社債が急速に伸びてきておるという状況であります。これは一言で言ってなぜか。その経済意味、発行企業にとって何をもたらすのか、手短に教えていただきたいと思います。    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
  45. 東正和

    ○東説明員 先生御指摘のように、平成元年と二年の間で企業の資金調達状況、さま変わりの感があるわけでございます。まず昭和六十二年から平成元年までの間におきましていわゆるエクイティー関連債の大量発行が行われたわけでございます。このような大量発行の背景といたしましては、まず当時の金融緩和基調あるいは堅調な株式市場等のもとで低水準の発行コストが得られた、そういった中で、当時の持続的な景気拡大基調を背景といたしまして、設備投資等のそれぞれの発行企業ごとの資金使途に充当すべく、その財源を賄うべくこのような発行が行われたものと理解しております。  他方で、平成二年以降の状況でございますが、これにつきましては、株式市場が低迷するもとでいわゆるエクイティーファイナンスが困難になった。そういう状況のもと、普通社債がこのような株価状況に左右されない安定的な資金調達手段として活用されてきている。さらに、金融情勢につきましても金利の低下傾向が見られたとか、あるいは普通社債そのものにつきまして年限の多様化等が進んでまいったとか、そういったもろもろの点を背景といたしまして最近におきましては普通社債の発行が盛り上がってきている、こういうふうに理解しております。  このような市場状況経済的な影響でございますが、基本的に私どもといたしましては、普通社債を中心といたしまして我が国社債市場が充実していく、自由で開かれた社債市場が進展していくという点につきましては、企業の資金調達及び投資家の資金運用、この両面におきまして効率的な手段が提供される、まさに金融市場株式市場と並び立つような効率的な市場が提供される、そういった意味国民経済的な資金循環上も望ましいのではないか、このように考えております。
  46. 木島日出夫

    ○木島委員 簡単に言いますと、株は値下がりしてもうどうしようもない、一般投資家国民も買おうとしない、それでは資金調達できぬから、やむなく日本の大手企業社債発行して社債をどんどん買ってもらおう、そちらに資金調達の道を求めた結果がこういう数字になっているんじゃないのかと思わざるを得ませんね。  ではもう一つ。資料等によりますと、昭和五十年度の数字と平成三年度の数字を見ますと、企業の資金調達状況に大きなさま変わりがある。それまでは、資料によると、昭和五十年度で八四・三%を借入金その他に頼っていた。社債はわずか九・三%であった。平成三年度は社債が二七・九%に膨らんで、銀行からの借入金その他が六九・一%に小さくなってきている。銀行からの借り入れが急速に減って社債が急速にふえているこの経済的な意味。なぜか。企業にとって経済的にどういう効果をもたらすのか。銀行にとってはどういう意味をこれはもたらすのか。大蔵省に手短に教えていただきたいと思います。
  47. 東正和

    ○東説明員 先生御指摘のように、社債と借入金等との間で大きなシフトが最近見られるわけでございます。このような動きの背景といたしましては、まず第一に、いわゆる金融・資本市場の自由化あるいは国際化の進展に伴いまして、資金調達を求める発行企業及び投資家のそれぞれにおきまして、それぞれの資金調達あるいは資金運用のニーズに即した形で、より低コストでの資金調達あるいはより効率的な資金運用といったものを求める、そういった意味でのいわゆるセキュリタイゼーション、簡単に申しますと間接金融から直接金融への動き、転換、そういったセキュリタイゼーションというようなトレンドが一般的に見られる、それがまず背景の第一として考えられます。  さらに、先ほども申し上げましたように、特に最近におきましては、なかんずく普通社債株価等に左右されない安定的な資金調達として活用されるという状況が高まってきている、こういった背景が指摘されるのではないかというふうに考えております。  次に、このようなセキュリタイゼーション等の進展が持つ経済的な意味合いでございますが、一般論として申し上げますと、自由で開かれた効率的な国内の社債市場が進展していく、そういった点につきましては、先ほども申し上げましたように、企業の資金調達それから投資家の資金運用、この両面におきましてより合理的、効率的な選択肢が金融市場及び株式市場に加わってもう一つできるということでございまして、国民経済的に望ましいと考えております。  さらに、金融機関を中心といたします金融市場それから株式市場等、このような社債市場との間で、それぞれ投資家あるいは資金調達を求める企業がそれぞれのニーズに応じてそれぞれの市場を使い分ける、逆に申し上げますと、それぞれの市場がそれぞれの機能を競い合う形でそれぞれ三つの市場がともに効率化が進展していく、こういった効果も期待されるのではないかと考えております。  さらに、我が国の貯蓄超過状況あるいは資金調達主体としてのステータスを考えてまいりますと、東京の社債市場が充実発展していくことは、国際的に考えてみましても資金循環上意味合いがある、望ましい、そういうふうに考えております。
  48. 木島日出夫

    ○木島委員 端的に、社債発行企業にとって銀行から金を借りるよりも社債発行して社債を買ってもらった方が低コストだという具体的な中身、どういう点とどういう点があるから低コストなんだ、低コストの具体的な中身について簡単に答えてください。
  49. 東正和

    ○東説明員 金融機関のことにつきまして、必ずしも担当部局の立場といたしましてはつまびらかではございません。一般論として申し上げますと、いわゆる間接金融から直接金融への転換という場合に指摘されております点といたしまして、間接金融の場合には、金融機関みずからの信用機構としての組織機構を維持する上でのコストが、直接的に投資家と資金調達主体とを結びつける場合と比較いたしますと、そのようなコストがどうしても追加される、逆に申しますと、間接金融の場合はそのように信用力がある仲介機関が存在して、コストがかかりながらもその信用力を発揮していく、そういう観点でいえば、より信用秩序の観点から申し上げましてもしっかりしている。直接金融の場合は直接的な対応関係であるという点は指摘されようかと思います。
  50. 木島日出夫

    ○木島委員 日本経済の姿、企業から見て資金調達の三本柱、銀行からの借り入れ、株式、自己資本の発行、そしてもう一つ社債、その中で急速にこの社債がふえているという状況で、これからもそういう方向だというお話であります。  もう一つ大蔵省にお聞きしたいのですが、社債がふえてくる、そうすると社債権者保護するという法的要請がむしろ非常に高まる、そうして今回法務省は発行限度枠を撤廃してしまう、ますます社債権者をどうやって守るかが重要になってくると思うのです。社債発行については商法だけではなくて証券取引法に基づく大蔵省からの関与もあるわけでありまして、社債発行基準だと思うのですが、適債基準。適債基準が緩和されてきているとお伺いしております。  この緩和の一つの例として、無担保のいわゆる普通社債についてA格相当以上が発行基準だったのが、今度はトリプルBというのですかBBB格、要するに格が低い企業も発行できるというふうに大蔵省は証券取引法の運用を大きく変えて大変な規制緩和の方向に歩み出そうとしているわけですが、この具体的な中身についてわかりやすく簡潔に教えていただきたい、そしてこれから先、どういう方向を目指そうとしているのかもあわせお聞きしたい。
  51. 東正和

    ○東説明員 先生御指摘のように、社債の適債基準につきましては、本年四月一日以降、従来の適債基準を緩和したわけでございます。  その緩和の具体的内容でございますが、まず無担保社債につきまして、従来適債基準がA格相当以上であったものをBBB格相当以上まで緩和したわけでございます。この場合のBBB相当格、こういう格付の意義でございますが、これは一般的に申しまして、通常の投資家が一般的な投資対象とすること、そういう場合を念頭に置いた場合に適格性があるような社債である、そういう投資適格性を有する社債の通常の基準といたしまして、それがBBB以上である……(木島委員「具体的に言ってください」と呼ぶ)具体的に申し上げますと、その格付と申します場合に、一つのケースといたしまして一番上の格付がAAAでございます。Aが三つございます。(木島委員「中身ですよ」と呼ぶ)この格付のそれぞれのランクにつきましては相対的なものでございまして、相対的に定性的なランクをそれぞれに位置づけている。定性的に申し上げますと、BBB以上は投資適格性がある、その中でAAAは最上の格付であるというわけでございます。  具体的な現在の格付の状況を申し上げますと、日本の格付を取得している発行体といたしまして、ざっと七百五十社ばかりあります。そのうち、AAAを取得しておる社数が六・四%、AAが一八%、Aが三八・七%、BBBが三二・三%、こういった状況でございます。これでその状況を御推測いただきたいわけでございます。
  52. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、格付をAとするか、BBにするか、BBBにするか、その中身ですよ。要するに財務内容が非常によくていいからAなのか、財務内容が悪いからBBBなのか、その中身のメルクマールを羅列していただけばいいのですよ。
  53. 東正和

    ○東説明員 格付は基本的に社債の場合、将来にわたって元利の償還の確実性をあらわすような度合いの基準といたしまして設けられているものでございまして、先ほど申し上げましたように、BBB以上であればそういう元利償還の確実性という尺度に照らして一般的な投資対象として適格性がある、そういう中でそれぞれの発行体の、発行企業の現時点での財務内容、あるいは現時点での資産のボリュームあるいは収益力、さらには将来にわたって償還期限に至るまでの間における収益の状況の見通し、そういった諸点を踏まえまして、あとは相対評価でございまして、AAA、AA、A、BBB、こういう四つの粗々のカテゴリーの中で相対的な評価づけをしている、そういったものだと理解しております。  次に、将来のあり方でございますが、私どもといたしましては、我が国社債市場の基本的なあるべき姿といたしまして、ディスクロージャー制度や格付制度の整備拡充を前提といたしまして、マーケットメカニズムが基本として働くような自由で開かれた市場、そういった市場ルールに基づいて適正な運営が確保されていく、そういったあり方が基本的に望ましいと考えております。  他方で、我が国社債市場の場合、かつて我が国市場が未成熟であったような時点で持ち込まれましたいわゆる諸慣行のたぐいがあるわけでございまして、この諸慣行のたぐいにつきましては、現時点ではもはや過度の制約になっている、こういった指摘がかねてから行われてきたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような我が国市場のあるべき姿を実現すべく、このような諸慣行につきましても、その時々の市場状況等を踏まえながら着実に緩和を進めてまいりたい、そのように考えております。  したがいまして、先般申し上げましたような四月一日以降の今回の見直しに引き続きまして、さらに二年後には基本的な見直しを行いたい、このように考えております。
  54. 木島日出夫

    ○木島委員 余り明確に御答弁なされませんけれども、将来の方向としては完全自由化する、格付その他による適債基準を、緩和でなくて、もう完全自由化という方向が打ち出されているわけですね。要するに、社債に対する元利償還の確実性がなくても社債はどんどん発行することを認めていこうじゃないかという方向だと思うのです。そうしますと、なおさらのこと、社債権者保護をどう図るかというのは非常に大事な、決定的に大事なかぎになるんじゃないかと思うわけです。  そういう目で今回の商法改正法案を見ますと、社債管理会社の創設ですね。しかし、これを読んでもよくわからないのは、社債管理会社は善管注意義務を持つ、公平誠実義務を持つという抽象的な言葉であります。具体的には、この善管注意義務、公平誠実義務、どのようなことを想定しているのでしょうか。法改正は、社債の管理とはいかなることを意味するのか。旧法でいくと社債の償還という言葉ですが、新法でいくと、弁済を受け、または債権の実現を保全するに必要な裁判上、裁判外の行為をなす権限、そういう言葉になっているのですね。今までは社債の償還と言っていたのが、今度は弁済を受け、または債権の実現を保全するに必要な行為。債権の実現を保全するに必要な行為、どこまでやらなければならぬのか、どこまでやれるのか、具体的に御答弁いただきたいと思います。
  55. 清水湛

    清水(湛)政府委員 今回の改正によりまして社債管理会社の設置を義務づける。この管理会社になるのは銀行でございます。事実上、銀行だけということになろうかと思います。ですから、銀行としてはそういう危険な社債の管理会社になるということは、恐らく銀行は拒む、結果において社債を発行することができないという状況が出てくるということは十分考えられます。そういうことを前提とした上で、銀行が発行会社の実態というものを見きわめて、社債権者のために自分たちが十分に働けるかどうかということを判断して管理会社を引き受けるということになるわけでございまして、そういう前提での管理会社の強制というのが非常に意味を持っているというふうに私どもは考えております。  そこで、具体的な細かい御質問でございますが、「社債ノ償還」という言葉を「弁済ヲ受ケ」という言葉に、社債の債権の弁済を受けという言葉に改めましたのは、「社債ノ償還」という言葉だけだと社債の利子の支払いの弁済を受けるということが入らないのではないかという疑義がある一部の方面から出ましたもので、そこは当然元本のほかに利子の弁済も受け得る権限があるんだということでそういうような表現をとったということでございます。  善良な管理者としての注意義務というのが、当然今度の新しい法律で設けられたわけでございますけれども、具体的に、例えば債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上または裁判外の行為をする権限があるということにしたわけでございますが、債権の実現を保全するための裁判上の行為とは、結局、適時適切に社債権を被保全権利として仮差押及び仮処分をするというようなことになるというふうに私どもは理解しているわけでございます。したがいまして、適時適切なこういったたぐいの債権保全行為を怠るということになりますと、善良な管理者としての注意義務を果たさなかったということにもなって、損害賠償責任にもつながってくる、こういうようなことが例えば考えられるわけでございます。  そのほか、この法律社債管理会社についていろいろな社債権者保護するための義務規定を設けておりますが、それらの義務を誠実に履行する、こういうことが要請されておる。具体的な、いついかなる時点においてどういう状況のもとにどういう行為をすべきかということにつきましては、これは個々のケースによって判断すべき事柄というふうに思うわけでございます。
  56. 木島日出夫

    ○木島委員 社債管理会社の責務は、社債を発行するときに危ない社債を発行させないというのは当然ありますね。発行させた後は、その社債を利子も含めまして完全に償還させるために目配りをするということですね、簡単に言うと。今、民事局長から適時適切なときに仮差押などの手を打つとおっしゃられました。しかし、仮差押なんかを打つときはもう最後なんですよ。そんなときにはもう会社は倒産する直前なんですね。そんなんじゃだめなんですよ。通豊からこの会社が何億、何百億という社債を発行した、利子をきちっと払えるように、そして償還ができるようにというのは、目配りをするには大変なことです。  これは、何をやらなきゃいかぬかというと、仮に不採算部門が見つかったら、この不採算部門を全部切れというようなこともやらなきゃいかぬかもしらぬ。あるいは合理化を怠った場合には、どんどん合理化して労働者の首を切らなきゃだめだ。高齢者をこんなに雇っていたんじゃ利益が上がらないから利息の償還ができないじゃないかと言って、高齢者をもっと解雇しろ。下請について甘過ぎる、もっと下請に厳しくやれ。あるいは国内ではもうだめだ、海外へ出ていきなさい。そうでなければ会社経営が守れないから、社債権者の元利償還ができない。そういうこともしっかり、私はやってはいかぬと思うのだけれども、やらないと逆に社債権者利益を全うできないのですよ。  現実に銀行は最大の貸し主でしょう、メーンバンクが大体この社債の管理会社になるわけですから、銀行はそれをやっているんですよ。今、御存じのように、大変な不況ですね。下請とは言いません、銀行から大きな金を借りている企業は、銀行からの指図によって合理化や人員整理や下請に対する圧力とか、場合によっては銀行からの介入によって取締役まで交代させられているのですよ。そういうことを管理会社社債権者利益を守るためにやることになるんでしょうか。あるいはそういうことまで目配りをしないと善管注意義務、公平誠実義務に反することにならざるを得ないんじゃないでしょうか。単なる仮差押だけの問題じゃないと思うのですが、いかがでしょう。
  57. 清水湛

    清水(湛)政府委員 恐らく社債管理会社となる銀行は、従来から社債発行会社といろいろな取引関係があって、その会社の業務内容というものは熟知していて、その上で社債をこういう形で今回発行いたしたい、こういう社債の発行自体についてもいろいろな協議を受けるというようなこともそれはあるのかもしれません。そういう状況のもとで、この会社が発行する社債であれば自分の銀行がきちんとして、管理会社になっても社債権者に迷惑をかけて銀行の名を汚すとか銀行の信用を損なうというようなことはない、こういう判断でされるんだろうと思うわけでございます。そういう意味では、いいかげんな社債の発行というものを事実上チェックする機能としての社債管理会社の設置強制というのは非常に意味があると私どもは実は考えているわけでございます。  その際、今度は逆にそういう言葉を非常に強調して、何でもかんでも社債管理会社だ、従業員利益はどうなってもいい、ほかの債権者はどうでもいいということは、これはそういうことが現実に起こるのかどうかわかりませんけれども、もしそういうような事態が起これば、これはむしろ会社更生とか別途の法制が別途働いてくるんだろうと思うのであります。その辺は、果たして社債権者だけであとは一切合財ということになるのかどうか、私はちょっとそういう場合が果たしてあるのかどうかわかりませんけれども、その辺はやはり善良なる管理者の注意義務ということで考えていくということになるのではないかというふうに思うわけでございます。
  58. 木島日出夫

    ○木島委員 どうも法務省は現実を全然知らぬと思うのですね。銀行がそんな倒産直前まで手をこまねいているはずがないのですよ。社債管理会社ではない、今の現実に金を貸している銀行がどういう態度をとっているでしょうか。ちょっとでも会社利益率が落ちただけで、すさまじい介入、支配をしてくるのですよ。株価に影響する、あるいは配当性向が落ちる、これじゃだめだ、この不採算部門を切れ、そしてそういう経営能力のない取締役はみんな去れ。そういうことですさまじい、メーンバンクは、これは担保権者であり、最大の貸金業者として、言葉は悪いけれども、金を貸した地位にある者として支配してくるのですよ。  それで、大体ぶつかっているのは、解雇事件なんかは、その労働者は、その銀行とけんかするわけです。銀行何をいうか、背後資本何言うかということで、今裁判まで行われているのですよ。しかし、今度は単なる金を貸した立場でなくて、自分の利益のためじゃないんだ、多くの社債権者のために物を申すんだということで入ってくるわけでしょう。何百億という社債権者利益を守るために、あなたたち労働者の働きが悪いから首を切るんだということで介入していくわけでしょう。それを私は防がにゃいかぬと思うのです。それを防ぐ歯どめが全くない。むしろ逆に、この法律は善管注意義務、善良なる管理者の注意義務と称して、あるいは公平誠実義務と称して、そういう犠牲を会社の労働者や下請やいろいろなところにしわ寄せするにしきの御旗を与えるものではないかと思わざるを得ません。  最後に、利益相反というのは避けられない問題ですね。メーンバンクが社債管理会社に通常なるであろうと今民事局長答弁をされました。メーンバンクはその社債発行会社に対する最大の担保をとった債権者であります。この地位と多くの社債権者利益を守る管理会社の地位とは一見明白に利益相反するわけであります。  この法律案を提起するための法制審の審議の中でその問題が論じられたようですね。この利益相反行為は避けられないから、少なくともメーンバンクは社債管理会社から外すべきではないかという議論もなされたようでありますが、社債法委員会では採用されなかったと、先ほど私が指摘した大谷参事官の小論には書かれているわけであります。  本法にも、利益相反したときには申し立てによって裁判所が特別代理人を選ぶという規定があります。しかし、こんなものが発動されるのは最後の最後であります。通常、利益相反があるわけであります。これは同じような問題を私は何度も経験いたしました。例えば金融機関が会社に金を貸す、しかし会社が倒産しそうになって自分の貸した金が回収できなくなりそうな状況を察知すると金融機関は何をやると思います。その債務者あるいは債務者の会社に対して保証人を見つけさせてきて新しい借りかえをさせるのですよ。転がすのですよ。借りかえをさせて、金融機関は自分の焦げつきになりそうな貸し金を回収して、そして保証人に犠牲を転嫁していくということはもう日常茶飯事にやられるわけであります。私は弁護士として何度もそういう苦い経験をいたしました。  今回も、金融機関はみずからの莫大な貸し金をいち早く回収するために社債をどんどん発行させて、そしてその金を自分の債権の返済に充てて、そして実際危なくなった場合の犠牲は全部多くの何も状況を知らない社債権者に押しかぶせてくるということをやはり想定しなくてはいかぬわけであります。  本法によりますと、銀行が弁済を受けてから三カ月以内に社債の利息の支払いなんかを怠る状況が生まれたときには責任を持たされる、三カ月以内にそういうことをやると銀行は責任をとらされるという法律になっております。しかし、三カ月なんてそんな間の抜けたようなことを日本の銀行はやりませんよ。一年、二年も前から会社状況がわかるわけですから、いち早く自分の債権を保全するために手を打つわけです。その保全のために社債を発行させるということだってあり得るわけでありまして、この利益相反の問題は非常に大問題だと思うのですが、法務省はどうなんでしょう。    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 清水湛

    清水(湛)政府委員 銀行がそういうようなことをするのかどうかというのは、私どもちょっと仮定の問題みたいな感じもするわけでございますけれども、実は今までも、現実に社債を発行する場合には募集委託を受ける機関として銀行が、この改正案のように明確にその権限とか責任というものは定められてはおりませんけれども、要するに社債権者のためにそういった管理行為をしていたわけでございます。  そういう状況の中で今まで銀行が社債の発行とか管理というものを通じていろいろな不当なあるいは妥当でない行為をしたかというようなことについては、私どもは必ずしもそういうふうには考えておりません。また、今回、銀行が管理会社改正法のもとでなった場合に、直ちにそれによって企業従業員なりなんなりの利益を徹底的に害することになるということはいささか論理の飛躍があるのではないかと思うわけでございます。  銀行は、もちろん企業に対して自己の立場から貸し付けをしているわけでございます。その貸付金の背後には大衆というものが控えた預金があるわけでございまして、いわばそれを銀行が中間的な機関として企業に融資しているわけでございますから、銀行は銀行としてみずからの債権を保全するということが同時に預金者に対する責任でもある、こういうことになるわけでございまして、そういう意味合いの中でいわば債権の弁済をめぐって銀行固有の債権、社債権の弁済あるいは従業員の債権、そういったものが非常に厳しい対立状況になっていくということは、私もいろいろな会社更生事件等の経験からわからないわけではございませんけれども、だからといって今回の改正法による社債管理会社が銀行であるのはふさわしくないとか、あるいはメーンバンクだったらいかぬ、こういうことには到底ならないというふうに実は私は考えているわけでございます。
  60. 木島日出夫

    ○木島委員 終わりますが、最近の金融不祥事のときの銀行がとった態度、バブル経済が崩壊して今銀行がとっている態度を見ますと、そんな甘い目で日本の金融機関を見るわけには到底いかない ということを申し述べまして、終わります。
  61. 浜野剛

  62. 塚本三郎

    塚本委員 商法改正に当たりまして、私は、約二十年ほど前でしたか、資本金十億円を五億円に下げて広く監査制度を徹底せしめるべきだという改正案のときタッチさせていただきまして、当時局長でありました香川さんでしたか、中に入れていただきまして、それは結構だ、しかし監査法人で監査をしておる企業に対しては税務の申告はやめなさいという案を私が出しまして、折り合っていただいて今日の商法改正ができておると記憶しております。  なぜならば、監査はいわば検事のような立場です。それで、税務申告は弁護士のような立場に立つ。同一の監査法人で両またかけることはよろしくないという立場に立って分離をさせていただいて、そのかわり五億円までの監査は認める、この案が成り立ったと記憶しております。  そして、今回はさらに株主保護立場から監査制度を強化すること、私は賛成でございます。したがって、もはやこの壇上に立つ必要はないとは思いますが、せっかく高名な後藤田大臣ですから、観点を変えて、本当に株主保護という立場から問題を提起してみたいと思うのです。  というのは、日本会社株主に対して余りにも配当が少な過ぎる。平均株価が一万五千円を割ってもその配当の平均は〇・九六%ということは、もはや配当を当てにできない状態の株主、これが実は日本企業のいびつの根本になっておる。銀行からの借り入れに対する利息は損金として認められる。配当金の場合は、利益処分で企業が税金を払った残りを配当に回す、株主はいただいた配当金からまた二〇%の税金を取られる。大蔵省、これは二重取りじゃありませんか。だから、ほとんど株主が銀行になって、配当金を当てにせずに高い利息を取るために実は貸付金に重点を移しておる。このいびつな日本会社制度というもの、税制を改めない限りは、株式投機であって投資ではなくなってしまっておる。だから、今は常識でないこと、世界各国の体制も日本と同じ状態ですから、しかしこのいびつさを直して、もう私は金融の時代から証券の時代に移るべきときだと思っております。  少なくとも、私たちが優良企業株主として株を買い、配当金が孫子の教育費に当たる、そしていいものならば無償でもって子が孫を生む、この将来性が株式会社の展望ではなかろうか。それを不可能にしておるのは、配当金を損金と認めない、だから損金として認められる借入金になってしまっておる。この点は、まず大臣から、今の状態の理屈はわかっております。しかし、将来の会社経営の基本に返ってみて再検討する必要があるのではないかと提起しますが、いかがでしょう。
  63. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 専門家の先生から素人の私に御質問で大変恐縮ですが、これは前から言われていることなんですね。要するに、税制上、法人擬制説に立っているのかあるいは実在説でやるのか、こういうことで、我が国の税制の場合にはたしか実在説になっていますから、やはり会社配当するとすれば、それは会社は法人として実在しているんだから、もうけた分は税金を納めなさい。株主側は、自分が投資した投資金に対する利益配当だから、それは当然個人がまた払いなさいといったような理屈は、御承知のとおりこれはどこの国にでもある理屈でしょう。したがって、それについてどうこうするというのは、これは大変な税制上の課題でございまして、今私がここでお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、御意見の中に、いかにも株式配当が〇・何%なんて冗談じゃないよ、そんな株主立場を無視したようなやり方というのはおかしいというのは、おっしゃるとおりなんです。ところが、株主の方もそこは考えていますから、投資家という立場よりは投機のお考え方で今株式投資をしている。果たしてそれが健全な姿であるかどうかといった点については、先生と同じように私は疑問に思います。また、政府経済政策の中を見ましても、配当性向についてこのままではいかぬ、やはり配当性向を高めるように将来とも政府としては指導を強めていこうではないかといったしか決定もあるわけでございます。  私がお答えできるのはそれまででございまして、税制の擬制説に立つのか実在説に立つのかは、これはきょうは大蔵省、専門家かどうかわからないです、どの係かわかりませんから。もし専門家が来ておればひとつお答えをさせたい、こう思います。
  64. 田波耕治

    ○田波政府委員 いわゆる配当金に係る二重課税の点についての御指摘でございます。  大体の考え方は今法務大臣からお答えがあったことに尽きているというふうに考えておりますけれども、若干事務的に補足をさせていただきたいと思います。  この二重課税の問題をどう負担調整するかということは、いわば基本的な所得税、法人税の間に係る問題でございますが、我が国の場合は、個人段階において配当税額控除制度というのが委員よく御存じのとおりございます。すなわち、課税総所得金額が一千万円以下の場合は配当所得の一〇%を税額控除する、それから一千万円超の場合は五%を税額控除するという形になっておるところでございます。  そこで、これをどういうふうに考えるかということでございますけれども外国の例を見てみますと、これもよく御存じだと思いますけれども、アメリカやスイスなどでは全くこの間の調整をやっておりません。片一方で、主としてヨーロッパの国で御存じのインピュテーション方式という形での調整が行われているわけでございますが、我が国の現在とっております税額控除方式というのは、一つ税務執行上非常に簡便であるというメリットを持っているというふうに思っておりますし、それから我が国の場合はずっとこの制度で調整をしてきておりますので、今これを改正するということは考えていないところでございます。
  65. 塚本三郎

    塚本委員 お役人の立場ではそれ以上踏み込んだ発言のできないことも承知しております。さればといって、林大蔵大臣をお招きしようと思いましたけれども、かえって御迷惑だと思いましたので避けさせていただきました。  そこで、実は大臣、こういうことをやっておりますとどういうことが起きてきておるかといいますと、企業はもういわゆる株主をふやさないのです。銀行だけにどかっと持たせるのです。銀行は実は配当金を当てにしないのです。筆頭株主としてどかんと貸し付けをして、金利稼ぎのために実は株を保有する。しかも、どんとしないのです。支配権を持ち得る程度にしか銀行は持たないのです。そうすると、企業はこれから、本来でいくならば増資をして、そしていわゆる資本金で設備をしておけば、不況になったときに、回転資金、運転資金だけを借り入れておけば、生産を縮小して、そして時がたてば必ず景気は早く回復する。  ところが、今のような状態ですから、銀行は設備資金までどんと貸し付けてしまっておる。資本主義に、銀行から設備の大半を借り入れてするということになれば、不況になっても御承知のとおり決められた返済と利息は払わなければなりません。払うことができなければ、銀行から社長が乗り込んできて、オーナーは全部追っ払われてしまう、こういう仕組みになっておるのです。  だから、日本上場企業のすべてが筆頭株主は銀行なんです。もっと言いますると、その銀行という株式会社の筆頭株主は全部生保なんです。諸外国の例を私は調べておりませんけれども、銀行や生保が金を持っているはずありません。大衆が生保に掛金とし、あるいはまた銀行に預金したものが生保と銀行を通って企業に実は資本金として流れていっておる。  しかも、経営者は、経営の立場を維持するためには、不況になれば、運転資金だけならばもはや生産を縮小しておけばいいのです。配当はゼロにすればいいのです。ところが、それでは必ず経営者は追っ払われて、銀行から天下りされてしまう。現に日本じゅうの大企業の相当部分は、金融機関から乗り込んできた役員が占めておることも御承知のとおりです。  だから、それを避けるためには、不景気になればなるほど返済金と利息を払うために大量生産にのめり込んで、日本企業は山が高くなるだけずつ実は不況の谷底が深くなる、そしてそのしわ寄せが中小企業に及んでおるというのがいびつな日本の経営の実態であることを軽視してはなりません。私は、大蔵省の参事官や局長さんがこれ以上の答弁をせよといっても——我ら政治家の任務じゃありませんか。私は、そういう意味で問題提起をしておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  66. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 これまた大変な御質問でございますが、企業の経営者が自己資本でやっていくのか、それとも借入金で経営するのか、要するに株式によるのか、銀行の借り入れによるのか、債券を発行するのか、こういったことでしょう。これはやはり私は、日本経済全体の中で置かれておる企業立場、お考えというのは企業経営者の経営判断の問題で、いずれがどうとは言いがたいとは思いますが、一般論的に言えば、日本企業は借入資本に少し依存し過ぎておる。やはり自己資本をもう少し充実しませんと、今おっしゃるようなまさに金融の支配になってしまう。そうすると、不況の際の対応力も弱いといったようないろいろないびつな面が出てくるおそれは多分にある。こういう点については、日本経済構造全体の中でお互い検討しなければならない大きな課題であろう。  しかし、それをどうしろ、どの程度の自己資本の割合がいいのかといったような点は、私は素人でございますからここでお答えするのは差し控えさせていただきまして、専門家がおりますから、これまた大蔵省から答えさせていただきたい、こう思います。
  67. 塚本三郎

    塚本委員 委員長、もう大蔵省はいいです。お役人だから踏み込んだ発言立場上できないことは承知しておりますから。  そこで、大臣、私がどうしてこれを言うかといいますと、私がかつて昭和三十三年、一年生代議士のときに、まだだれにも協力してあげる必要のない立場でしたから、関心を持って株を一つずつ買ったのです。新日鉄が五十円の額面で四十五円、たしか五十円の額面で六円の配当、今と同じだと思います。それから、日立が七十円、これもたしか今と同じ十一円の配当だと思いました。これは私は高くして売ったのですけれども、あの当時は勉強のために少しずつ買っておいたのです。そうすると、銀行に預金するよりも、一〇%、一二%ぐらいの配当があった。今でも忘れることのできないのは、味の素を売って、もうゼロだと思っておったら時々来るので、見たら無償増資なんです。無償増資が子から孫を生んで何百万というものになっておることに気がついたのです。私は、もう何十年前かに売ってしまって、ないと思っていたのです。投資というのはこれではないかと私は思うのです。  今や、御承知のとおり、それが投機に化けてしまっておるということが一番大きな問題だと私は思うのです。しかも、同じ投資の立場国民は株を買うのではなくして——買ってみても配当金が当てにならないのです。私は、一万五千円まで下がったときに、塚本先生は経済に詳しいから、株は今買いどきでしょうか売りどきでしょうかと言うのに、答えられなかったのです。というのは、平均株価が一万五千円になって、どう考えてみてももう買いどきだとは思いますけれども、実は配当を調べてみたら〇・九六%。そのとき大京さんが三〇%、日産が一四、五%でトップでした。だけれども、不動産は危ないから日産ならばと思ったら、日産はまた半分になってしまった。  私は、健全な投資家立場で見たら、配当性向を基準にして株を買うか買わないかを見定めていかなければ、資本主義ではないと思うのです。全部投機に走らせてしまっておる。こういう状態がいかにいびつであるかということを、これはもう局長さんとか参事官というのではなくて、我ら政治家が日本の本当に健全な資本主義を育てるとするならば、そのことを真剣に考えていかないと、悪いことをいろいろやっている、それは監査で強化することは必要です。これは大体五億から二、三十億までの資本金のところに起こりがちだと思うから、それを強化なさることは私は賛成ですし、この附帯決議もよくやってくださったと、私は初めてこの委員会に出ましたけれども、賛成し、これは感謝をいたしております。  しかし、もっともっと大事なことは、しかも先ほど申し上げたとおり、いずれも大衆からきた金でしょう。その大衆の金が生保をくぐり抜けてここでピンはねされ、銀行をくぐり抜けてここでピンはねされ、そうして行っておるという状態で、金利が、公定歩合がわずか二・五でしょうか。こういうときに、それ以下であったらもはや一体我々は将来のために何を子孫に残すべきなのか。日本の官僚は共産主義と違うかと、金を持っているやつは悪人のように言われては、私はいけないと思うのです。やはり、勤倹貯蓄ということが資源のない日本の国においては不可欠の条件だ。  若者たちは、ちょっと金があると、連休になったら全部外国へ遊びに行きます。それは外国に行けば日本の円が強いからということで、遊びになれない子は結婚してあげないというお嬢さんまで出てきておる。このときもう一遍、私は勤倹貯蓄をして、そして成長する企業に対する株主として、だから私は少なくとも例えば五%なら五%までは配当金はいわゆる金利と同じように損金として認めるような何らかの形でもって一きょうはアメリカの友人も来ていてくださるけれども、日米間の経済の基本的な違いは、第二次産業を日本が大切にしたということが日本経済を支えている根本だと私は受けとめたいと思います。  そのときにやはり資本というものは、みんなが金を出し合って、そして金利にふさわしいだけの配当を認めるためには一定の割合だけは損金として認める。それを銀行は、配当などどうでもいい、支配権を持つために貸付金で金利を取るからいい、これではいわゆる配当と金利が、税のいびつとは言いませんけれども、世界もこれになっていることも、法人説も私は若干は承知しておりますけれども、今そうなってしまう。かつて三十何年前、私が一年生代議士のときのことと比べてみると、どこからこのように株式会社の筆頭株主が全部銀行で、銀行の筆頭株主が全部生保で、そして預金者は全部株主になったならば投機で、いわゆるばくち場に誘い込まれてしまうという形になってしまったのか。これは日本経済にとってこれからゆゆしき事態になってくると私は思うからでございます。  素人的な立場と副総理がおっしゃったが、私はそう思うがいかがでしょうか。答えてみてください。
  68. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 閣僚を呼んでくる人を間違っておるのではないですか。私からお答えするのは大変難しゅうございますが、大変有益な、今日本経済が考えなければならぬ重要な点の御指摘である、かように私は認識をいたしておるわけでございます。この程度でひとつ答弁はお許しいただきたい、こう思います。
  69. 塚本三郎

    塚本委員 もちろん額面から言えば五十円です。先ほど申し上げた、私が七十円で買った日立が幾ら下がったといってもまだ十倍以上の八百円台をキープしております。新日鉄が四十五円だといいまして、いっときは千円まで行きましたけれども、どすんと下がって今は三百円前後で六倍の状態で低迷しておる。だから、六円ということは一円と同じことになっておって、これだけはやっと二%をキープしておる、こういう状態になっておるわけです。だから、この点を私は考えてみますと、本当に将来日本経済に対して、それができないものだから、そして銀行自身も不動産に今貸し付けて、一割二割は下がることがあっても、よもや半減するとは金融機関も大蔵省も日銀も予想しなかったことだと思うのです。だから、担保割れになってしまって、世上では危ない銀行さえもできておると奥方はみんなおっしゃっている。  大衆は金を持っているのです。行くところがないからみんな郵便貯金に行っている。二十二兆から二十五兆も郵便局に行って、銀行には来ない。だから、郵政大臣になった方が郵政の方とけんかしている。大蔵省と郵政省のどけんかだといって我々見ておりますけれども、本来ならば、郵便貯金に行っておる金を銀行に戻してあげるべきだ。もっと本来ならば証券市場に戻してあげて、そして健全な証券市場につくり直しをし健全な金融機関に戻してあげて、今二十二兆から二十五兆予定よりも余分になだれ込んでおるこの金が証券市場やあるいはまた金融市場に戻ったならば、政府はこんなに苦労して十兆何千億とかっさらえて——そして皆様方が景気回復に御努力していただける。金はあるんですよ。大衆は持ってみえるのです。経営者はないですよ、銀行はないですよ。幾ら公定歩合を下げてみたって貸し付けしないんだから、銀行は。何も結果はよくならない。だから、仕方なしに政府は公共事業といって一生懸命御苦労いただいておる。だから本当は、郵便局に行っている二十二兆から二十五兆という予定を超えておるこの金を証券と金融市場に戻してやれば私は業界は一度に復活するというふうに思います。  この議論法務大臣では答えにくいかもしれませんから、大蔵省から答えていただきましょうか。
  70. 西方俊平

    西方説明員 先ほどからの先生のお話、資本市場の発展をいかに図るかというお話だと思います。  今回の商法改正は、これまでのいわば直接金融がいろいろな意味で間接金融が主体であるということで制約を受けていた、そういう点に対してかなり緩和をするということになると思います。これだけじゃなくて、株式についての配当の問題、それからそれぞれ間接金融が非常に優位だった時代に、直接金融に、諸規制、諸慣行と呼んでおりますけれども、そういった規制があるわけでございます。こういったものも緩和して資本市場の発展をもっと図っていかなければいけない、そういうふうに思っております。
  71. 塚本三郎

    塚本委員 どう発展をさせるかということについてお役人の皆様方に先走った答弁を求めることは無理だと思いますが、私は、決め手は、やはり配当金をある程度損金として認めなければ、借入金と見合う状態にしておくべきだと思うのです。そうするならば、いわゆる銀行金利よりも、定期預金ぐらいの配当は最低ありますという形にしておけば、いつでも引き出すことのできる銀行とは違って、融通はできないけれども、将来に対する資産としてこれをいわゆる子孫のために残すというのが親としての責任だと私は思うのです。  そういう意味で、最近は物価が落ちついておりますから預金に対してばからしいという気持ちはなくなったことはいいことだと思いますよ。しかし、もっと大事なのは、インフレに対しても耐え得るのはやはり資本だと私は思うのです。そういう意味で、みんながいい企業に対して投資をし、そして、少なくとも株式会社であるならば大部分資本はこれは資本家の手にゆだねるべきであって、銀行の借入金で賄えば、土地の値段がぼんぼんと上がり資産がどんどんとふえていくときには、金利を上回るときにはいい、しかしそれ自身は日本の住宅政策、土地政策にとってはいびつな現象を招いておることは事実であります。  だから、私は、これを安定せしめるためにも、やはり資本でいわゆる設備というものは賄うべきだ。そして、景気がよくなってきたときにはたくさんの資材やあるいはまた人を雇わなければなりませんから、このときには運転資金として銀行からの借入金で賄う。不景気になるならば、そのときは少なくしておけば、配当金をゼロにしておけば結構なんです。それをむしろ、実は返済と利息のために大量生産しなければ会社経営者は経営の座を銀行に追っ払われてしまう。また、それを口実にして、次の支店長はどこの会社の重役におりようかとこんなことばかりねらっておる。だから、日本会社は実は銀行支配だと言われておることは御承知のとおりです。そして、ますます不景気になることによって景気が下降ぎみになるということを私は心配いたしております。  どうぞ、この問題は基本的な問題で、場所を間違えたと副総理おっしゃるが、商工委員会かあるいはまた大蔵委員会へ出張るべきでございましょうけれども、二十年前に商法改正を手がけさせていただき、我が党の担当者もきょうは私に、たまには委員会に出て、大法務大臣だから塚本先生やってくれと言われたので、私も日本将来のために問題を投げかけましたので、最後に、大ざっぱで結構ですから、所管の大臣の御答弁を伺って、終わりにいたします。
  72. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 会社経営というのは、確かに自己資本を充実をして、銀行側からお金を借りるときには運転資金程度にとどめてやるのが本当ではないかとか、あるいは税制上、配当会社の法人税ですか、二重課税じゃないか、これは考え直したらどうかとか、あるいは金融資本考え方によれば余りにも無責任しかも横暴ではないかといったような御意見、これは今日本経済が当面しておる基本的な課題を突いておる御意見だと私は思います。もちろん違う意見もあると思いますけれどもね。これはだから将来の大きな検討課題であって、有益な御意見、ありがとうございました。
  73. 塚本三郎

    塚本委員 終わります。
  74. 浜野剛

    浜野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  75. 浜野剛

    浜野委員長 これより両案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。木島日出夫君。
  76. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました商法等の一部を改正する法律案並びに商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対し、反対討論を行います。  反対の基本的理由は、本法案の主要な改正点である社債発行限度規制の撤廃についてであります。  社債発行限度に関する商法の基本的立場は、社債の公衆性に基づき、社債権者利益保護のため、社債権者の担保となるべき会社に現存する資力以上に巨額の固定債務を負担するのを抑制する必要があるとの考えに基づくものであります。  本法案は、この社債権者利益保護するという商法社債制度の基本原則を打ち崩すものであり、専ら社債発行による資金調達の可能な大企業の要求に基づき、大企業利益のみに奉仕するもので、到底認めるわけにはいきません。  今回の社債発行限度規制の撤廃は、年来の財界の要求に加えて、バブル経済でコストの安いエクイティーファイナンスを八六年から五年間で四十七兆円も累積し、その必要償還額が九三年の十一兆円を含め今後四十兆円にも達するため、この償還に社債を発行して、広く国民から資金調達をしようという財界・大企業の思惑が働いたことは厳然たる事実であります。  次に、社債管理会社の問題です。これは、社債管理会社たる銀行の支配力を、社債管理の名のもとに一層強めることにつながります。  大企業の不正を野放しにしたまま、その企業の経営が危うくなれば、その企業に融資をしている主力銀行が同時に社債管理会社という立場で、その特権を利用してさらに社債を発行させて融資金を回収する。一方では、従来、いわゆる『背後資本』という立場から、労働者への解雇、「合理化」、下請いじめなどの采配を振るい、時として労組・争議団などから厳しい『社会的責任』の追及を受けてきた金融資本が、今回の法改正によって、今度は「社債権者利益を代表」という公的べールをかぶって、みずからに対する責任追及を回避しつつ、一層労働者、下請企業への過酷な攻撃を強めてくる根拠を付与するものと言わざるを得ません。  バブルの崩壊や金融・証券スキャンダルの多発という状況のもとで、金融自由化の促進や社債の際限のない発行などにより、大企業の間でも再編が進み巨大金融資本による経済支配が進むことは自明であります。  今回の商法改正法案の中には、監査制度の強化や株主の権利の伸長など、賛成できる内容も含まれておりますが、中心点である社債制度の改変は、昨年の証券取引法改正などと相まって、金融資本による日本経済全体の支配力強化につながる改悪であり、結局ツケは国民に回す仕組みを強めるものだということを指摘して、本法案に対する私の反対討論を終わります。
  77. 浜野剛

    浜野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  78. 浜野剛

    浜野委員長 これより採決に入ります。  まず、商法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 浜野剛

    浜野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 浜野剛

    浜野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 浜野剛

    浜野委員長 この際、ただいま議決いたしました商法等の一部を改正する法律案に対し、田辺広雄君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。田辺広雄君。
  82. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文を朗読いたします。     商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。  一 会社の社会的責任の重要性にかんがみ、会社がその責任を全うすることができるよう商法上の諸制度の改善に努めること。  二 監査役の独立性を確保するため、社外監査役制度等を導入した立法の趣旨関係団体に周知徹底するとともに、第三者的・中立的な人物を社外監査役に選任するような運用がされるよう努め、その運用の状況を踏まえて監査制度の一層の改善を図ること。  三 一般株主社債権者等を保護するため、会社の業務及び会計に関する情報の開示制度等の充実・改善に努めること。  四 発行会社と取引関係を有する社債管理会社が、社債権者との利益相反状況において、社債権者利益を損なうことのないよう十分留意するとともに社債権者保護のための諸方策を採るよう啓発に努めること。  五 企業活動の国際化の進展に配慮しつつ、会社法制の適切な運用に努めるとともにその見直しを図ること。  六 商法等現代語化を図ること。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同いただきますようお願いを申し上げます。  以上です。(拍手)
  83. 浜野剛

    浜野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 浜野剛

    浜野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付すことに決しました。  この際、後藤田法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田法務大臣
  85. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  86. 浜野剛

    浜野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 浜野剛

    浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  88. 浜野剛

    浜野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会