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1993-06-01 第126回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月一日(火曜日)    午前十時五分開議 出席委員    委員長 平沼 赳夫君    理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君    理事 御法川英文君 理事 簗瀬  進君    理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君    理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       内海 英男君    大原 一三君       久間 章生君    高村 正彦君       鈴木 俊一君    中谷  元君       鳩山由紀夫君    星野 行男君       松岡 利勝君    宮里 松正君       有川 清次君    石橋 大吉君       遠藤  登君    志賀 一夫君       田中 恒利君    辻  一彦君       野坂 浩賢君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    山口 鶴男君       倉田 栄喜君    藤原 房雄君       藤田 スミ君    小平 忠正君  委員外出席者         参  考  人         (日本生活協同 片桐 純平君         理事)         参  考  人         (主婦連合会副 和田 正江君         会長)         参  考  人         (日本有機農業 澤登 晴雄君         研究会代表幹         事)         参  考  人         (東京中央青果 田中 卓巳君         株式会社専務取         締役)         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林物資規格化及び品質表示適正化に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第五  九号)      ――――◇―――――
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人四名の方々に御出席をいただき、御意見を承った後、質疑を行うことになっております。  ただいま御出席いただいております参考人は、日本生活協同組合連合会常務理事片桐純平君、主婦連合会会長和田正江君の両名であります。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  片桐参考人和田参考人の順に、お一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。  それでは、片桐参考人にお願いいたします。
  3. 片桐純平

    片桐参考人 日本生協連片桐でございます。  いわゆるJAS法改正という問題について、私ども日本生協連考え方について若干申し上げさせていただきたいと思います。  このJAS規定しておる状況を含めまして、商品に対する適正な表示というものが、消費者が安心して商品を選択する、そういう権利を保障する最も基礎的な条件である、そのように考えておるわけでございますが、その立場からいたしまして、今回のJAS法改正については基本的に歓迎をするという立場でございます。  最初の問題は、いわゆる特定JASと言われている問題でございまして、製造過程での特徴についてJAS格付する、こういう問題でございます。特に、この問題につきましては、先般発表されました青果物等特別表示ガイドラインというものとの関連で、各方面幾つかの議論がされているかというふうに思います。最初にその問題について触れたいと思います。  このガイドラインが示しております幾つかの、主に四項目かと思いますが、表示、特に有機農産物にかかわる表示内容をきちんと確定しようということがございます。従来、この分野につきましては、表示内容を担保する根拠が非常に不明確なままで、不当に付加価値を求める表示がはんらんするという状況があったかと思います。その点では、今回のガイドラインスタンダードを示した、しかも、有機農産物という分野について申しますと、かなり厳しい内容でそのスタンダードが提示されたと考えておりまして、大変な前進であるという認識でございます。  ただ、ガイドラインガイドラインでございますので、それでは十分な認証の体制、あるいはこれに違反した場合の罰則等制度的な条件が不整備である、それをきちんとするべきであるということを、このガイドラインが提示されて以降、日本生協連としてはずっと申し上げてまいりました。その意味では、今回のJAS法特定JASというのがそれに対応する形で運用されることになれば、そのことはそのことで大変好ましいことであろうというふうに考えてございます。  ただ、ガイドライン自身については、これも各方面議論されているところでございますが、特に、農薬を減らしたとか使っていないとかということに関連する無農薬あるいは減農薬といった表示について、いかがなものかという議論があることも事実でございますし、私ども日本生協連会員生協のところでも、この分野について、このまま受け入れて表示に使うというような動きは現実には余りございません。特に無農薬というものについては、消費者にとって、農薬を使っていないということがすなわち農産物農薬が残留していないことであると誤認させる危険がございまして、多くの生協の場合は、現在、余り無農薬と言わずに、農薬散布というような言い方をする方が主流になってございますし、あるいは減農薬ということにつきましては、非常に相対的なものですから、どの程度それを有効性のあるものとして認めるか、あるいは本当に根拠を持って提示できるのかというようなことがございます。  実際は、ただ、私ども日本生協連が扱ってございます農産物が今六十アイテムぐらいございますが、これを現実減農薬というようなことでチェックをして、今回ガイドラインが提示いたしておりますような形で表示しようとするのは非常に難しいことでございまして、そういう意味でいいますと、これもまた非常に根拠なく農薬にかかわる表示があるのがかなり整理されるのではないかというふうには思ってございます。その意味では、いろいろあいまいな点がございますし、より改善をする必要があるかというふうには思いますが、このことが消費者にとって現実デメリットになる、あるいは消費者にとって権利のマイナスになるというような認識はいたしておりませんで、スタンダードミニマムという意味では、この程度規定でも現状ではやむを得ないかというふうにも考えでございます。  また、今回の問題は表示の問題でございますので、表示行政という意味での前進だというふうには認識してございますが、もともと、有機農業であるとかあるいは農薬を減らすとかいったような問題というのは、それ自体が非常に大きな政策課題でございまして、その点で、国が財政的な裏づけを含めて、どれだけこの有機農業やあるいは農薬を減らすということで頑張っておられる生産者方々を激励し、この政策を推進させていくかという意味での政策が本来前提にあって、それとリンクした形でこういう表示行政が進められるということが実際はベターである。その点では、少々順序が逆になっているかというふうには思います。ぜひ、この表示行政上の前進をより意義あるものにするためにも、有機農業等の促進に対する国の諸施策を積極的に充実させていただく、そのことを期待したいというふうに思うわけでございます。  もう一つ特定JASの問題については、ただいま申しましたように基本的にはいいことだというふうに認識しておりますが、もともと、今回の改正趣旨説明等を拝見いたしましても、いわゆるメリット表示ということでございますけれども、高付加価値ということについて非常に意識された提案がございますが、非常にその点は運用上注意してやっていただかないと、消費者にとって大きなデメリットを発生させるおそれがあるというふうに考えてございます。  有機農産物というようなものにつきましては余り議論のないところかもしれませんけれども、そもそもこの高付加価値というのは何をもって高付加価値と言うのかというのはそれほど簡単な問題ではないわけで、たまたまある生産物について主観的に生産方法を変えて、そのことにJASがちょうちん持ちをして、消費者側が非常に価値のあるものとして誤認をして非常に高く物を買うというような状況は、どうしてもこれは避けていただかなければならないというふうに考えてございます。  最初に申しましたように、表示と申しますのは、消費者商品を選択するための基本的な権利を保障しているものでございますので、その点では、もともとが消費者のためにどう表示がされるかというのが原点でございまして、生産者の利益のために表示があるのではないということでございます。ぜひ適切な運用を図っていただくということ、特にその点では、JAS格付にかかわる各調査会専門委員会等がどれだけ自立的にこの運用をしていただけるかということが私どもとしては大変関心のあるところだということでございます。  もう一つの問題は、いわゆる対象品目範囲拡大の問題でございます。このことについては、もともと私ども日本生協連といたしましても、現在の我が国状況が、日本表示というのは、JASもその一つでございますけれども食衛法その他さまざまの表示にかかわる法規定があって、それが必ずしも秩序立っていない、かつそれがすべての表示について網羅しているわけでもない。現在、私どもが一般的に主張しておりますのは、FAOあるいはWHOの国際食品規格が定めている表示項目、これについては、少なくとも加工食品については完璧に我が国においてもフォローするべきであるというふうに考えてございまして、その意味では、今回の対象品目範囲拡大というのは、その方向に沿ったものとして明らかな前進であるという意味で高く評価したいと思います。  ただ、ただいま申しましたように、食品表示にかかわる法体系というのは非常に複雑でございまして、かつ各省庁間での責任関係も非常に不明確な要素が大変ございます。その点は、かつて日弁連等も主張しているかというふうに思いますが、ぜひこの法体系を整備する、一本化する、そして、その上で表示内容全体を充実させていくということについての施策を、これは各省の典型的な縦割り行政現状を反映しているかと思いますけれども、この問題は、ぜひ今回の前進の上に立って一層促進していただかなければならないというふうに思ってございます。  その点、実は先ほど特定JASの問題につきまして、表示上のスタンダードが整備されるという意味で評価したいというふうに申し上げたわけでございますけれども、本来これがJASにおいて規定されるべきなのかどうかということについては、我が国表示にかかわる法規体系がもう少し整備されていますと、もうちょっと対応の仕方が変わったかもしれないという認識もございます。  ところで、この特定JAS問題等に絡めながら、一言JAS運用について最後に申し上げたいわけでございますが、従来このJASというのは、特に私ども生活協同組合等が進めております添加物の排除というようなことについては大変冷淡でございまして、率直に申し上げまして不当な扱いをしてきたというふうに認識をしてございます。先般もちょっと問題になったわけでございますけれども発色剤、一般には亜硝酸塩でございますが、これを排除しているハム、ベーコンはJASでは認めておりません。あるいは、これは非常に古い問題になりますが、かん水は使わないラーメンはJASとして認めない、こういうふうなことになってございます。添加物を使用しないとJASにしないなどというのは、いろいろな経過があるのは事実でございますし、認識はしてございますが、直ちにJAS規格が変更されるべきだというふうには思います。  もっと基本的な考え方で申しますと、今回の例えは有機農産物についての認識というのは、いわゆる高付加価値農産物が云々という問題ではなくて、有機農業の普及というものが、個々化学物質人間に対してどういう影響を与えるかというようなレベルを超えて、化学物質総体をどういうふうに減らしていくか、そのことによって地球環境を含む人間の暮らしの環境をどれだけ健全なものにしていくかということに、本来基づいた考え方でなければならないというふうに思うわけでございます。  その意味では、添加物というようなものにつきましても、個々添加物人間の体にとってどうであるかという議論ももちろんございますが、それ以上に、総体としてこの食品添加物をどう減らしていくのか。たしか昭和四十七年でございましょうか、食衛法改正の際に、衆参両社労委員会で、食品添加物を総量で減らしていこうというような決議も上がってございます。そういう精神から申せば、今回のJASあるいは特定JASというようなものを機会にいたしまして、食品添加物を排除するというようなものについて、積極的に国がそれを推進するものとしての運用をぜひやっていただければというふうにお願いいたしまして、私の発言にさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  4. 平沼赳夫

    平沼委員長 ありがとうございました。  次に、和田参考人にお願いをいたします。
  5. 和田正江

    和田参考人 主婦連合会和田でございます。  JAS法の一部を改正する法律案について意見を申し上げます。  今回の改正案は、特別な生産方法または特色ある使用原材料に着目した特定JAS規格新設、それから品質表示基準制度拡充の二つになっております。品質表示基準制度拡充につきましては、消費者にとりまして望んでいる表示適正化方向として評価いたしますけれども特定JAS新設につきましては、特に生鮮一次産品対象とすることはいろいろの問題があり、主婦連合会など多くの消費者団体が疑問を持っております。  特定JASの想定される品目として、有機農産物、平飼いの鶏卵、地鶏などが挙げられておりますけれども生鮮一次産品について、生産方法基準をつくる場合に、地域差それから自然条件気象条件、そのようなものがあり、生鮮一次産品に関する全国統一的な基準が一体できるのかどうか、それから改正案には格付方法規定しておりますけれども、これで生鮮一次産品生産過程の検査の実効性を保証し得るのだろうかというような疑問がございます。  具体的な品目有機農産物につきましては、昨年十月に有機農産物などの表示ガイドラインの通達が出され、四月一日から施行されております。このガイドラインにつきましては、検討の段階から私ども意見を申し上げ、主婦連合会など十五の消費者団体が何回か申し入れを繰り返してまいりましたけれども、私たち意見は余り反映されないまま施行されてしまったという経緯がございます。  ガイドラインにつきまして、私たち考え方を細かく申し上げる時間的な余裕はございませんけれども、大きく三つに分けて、有機農産物、これは三年以上化学合成農薬化学肥料を用いない栽培方法、堆肥などによる土づくりを行った畑で栽培されたものということで、細かい部分では不十分なところがございますけれども欧米などと比べてもほぼ妥当と言えるのではないかと考えております。  しかし二番目の、無農薬、無化学肥料、これは当該農産物、例えば対象コマツナならコマツナ、それをつくった栽培期間だけを問題にしているわけで、その期間農薬または化学肥料を使わなければ、無農薬あるいは無化学肥料表示できるということになっております。初めの有機農産物が三年以上と非常に厳しい条件がつけられているのに対しまして、緩い条件になってしまっている。ところが、アンケートなどを見ますと、安全性の面から消費者がどういう受けとめ方をしているかと申しますと、無農薬の方がむしろ有機栽培よりも強いインパクトを受けているというようなことが明らかになっております。そうしますと、無農薬あるいは無化学肥料というようなものが、特に無農薬の場合に、有機よりもむしろ優良であると誤認しかねないような問題を抱えております。  それから、減農薬減化学肥料栽培につきましては、その地域の一般的な使い方に比べて五割以下となっておりますが、例えば農薬の場合、毒性であるとか残効性の強弱、それから散布の時期、こういうものに一切触れないでおりますので、比較する妥当な根拠とはなり得ないと考えております。また、消費者にとりましては、今まで十回散布していたものを五回に減らしたものと、二回散布していたものを一回に減らしたものとが、買う立場からしますと、同じ減という表示で店頭に並ぶことになり、消費者として正しく比較することができないというような問題を抱えております。ちなみに、欧米には無農薬あるいは減というような基準はございません。  それから、天然栽培自然栽培など有機栽培と同じような、いわゆる類似語扱いが明確でないということも問題だと思います。  これは「表示禁止事項」の中で、「有機農産物等表示をした場合の「天然栽培」、「自然栽培」等の有機農産物等表示と紛らわしい用語」、これを禁止しておりますけれども、「ただし、従来からの明確な基準による農法自然等表示を冠する場合で一括表示枠外表示した場合を除く。」というただし書きがございます。この「有機農産物等表示をした場合」の「等」が入っておりますので、有機農産物だけではなく、減農薬あるいは無というようなところにまで及ぶことだろうと思いますけれども、その場合の天然栽培あるいは自然栽培、これが従来からの明確な基準による農法であれば、一括表示枠外であれば書いてもよいということを認めておりますが、私ども今までいろいろ伺いました範囲では、この明確な基準がどういうものなのかというような、私たちが納得できるような説明をお示しいただいておりませんので、非常にあいまいなままになっております。今後、こういうところが、一括表示枠外とはいいながら、商品を選ぶ消費者といたしましては非常にあいまいな点があるということを懸念しております。  農水省は、ガイドラインの施行に当たりましてパンフレットを配布しておられますけれども、その中に、無農薬栽培について、「ただし、当期作においてのみ農薬又は化学肥料を使わなかったということであって、有機農産物と異なり、前作までの農薬等使用状況は問いません。」と説明が加えられております。このような説明を加えなければ消費者に明確に意味が伝わらないようなガイドラインというものは、やはり問題があると言えるのではないかと思います。  消費者団体は、今までの申し入れの中で、表示が適正か否かの確認と情報の収集・公開のための公的窓口が必要だということを申し入れておりますけれども、私たちは、有機農産物特定JASのような表示規制のみでとらえるのはどうかなというような疑問を感じております。有機農業農政の中にきちんと位置づけて、有機農産物生産、流通、消費にわたる施策によって有機農業を推進していくことがまず先決ではないだろうかと考えております。欧米の事情は、いろいろ資料によって知るだけでございますけれども農政の中できちんと位置づけられ、その上で、例えば有機食品生産法などを定めて、そこから表示というものがおのずから規制されるという形になっているように考えられます。  以上申し上げましたように、いろいろ問題の多いガイドラインについて、農水省一定期間を経てから見直すとしていますけれども見直しが必要であるような品目を想定して、なぜ今特定JAS新設を急がなければならないのか、消費者としては理解できない思いでございます。  なお、今回の改正につきましては、JAS制度の枠組みをつくるだけであり、具体的な品目、それから具体的な規格については今後十分に議論を尽くしてとのことでございますけれども、今までJAS規格審議に私自身がかわってまいりました立場といたしまして、また今回のガイドライン制定経緯を見ても、消費者の意向が十分に反映されるかどうかということに非常に疑問を持っております。  JAS消費者にとって大変身近な制度でございます。JASができました当時は、食品が非常に品質が悪いものも多うございましたので、私も記憶しておりますけれどもJASマークを見て買いましょうというのが一つの運動のような時代もございました。最近になりますと、品質はほぼ一定と申しますか、いろいろと大体いいものがそろうような時代にはなってまいりましたけれども、私たちにとりまして身近な制度のこのJASについて、いろいろ問題があり注文もつけてまいりましたが、消費者に役に立つと思えばこそ注文もつけ、それから規格制定調査にも協力してまいりました。今回の法案審議に当たり、十分に時間をかけて消費者の支持を得られるような内容とされますように、強く要望いたしたいと思います。  それから、食品表示そのものについて先ほど片桐さんからもお話ございましたけれども表示というのは、私ども商品を購入する場合の一番基本的な選択の基準になるものでございます。そしてこれが、例えば食品で申しますと、JAS法あるいは食品衛生法それから景表法といろいろな法規にわたり、それから行政官庁もいろいろな官庁にわたっておりますが、本当に望ましいのは、その食品に関しまして、これは表示だけではございませんけれども、一本化した法律というのが一番望ましいわけではございます。いろいろに分かれておりましても、分かれておりますのがむしろ多くの目が行き届くというのでプラスの方向になるならよろしいのですけれども、ともいたしますと、私どもが望むようなことがすとんと落ちてしまうところがあるかと思いますと、縦割り行政というようなものの弊害を感じるときもございます。  昭和四十五年の改正のときの、衆議院の農林水産委員会附帯決議の中に何点か述べられておりますけれども、「すみやかに統一的食品規制制度を検討し、そのさいは、食品製造基準表示方法等についてあらためて統一的に強化する」ということが出されております。それから、「農林物資規格基準について再検討し、その引上げなど適切な措置をとること。」ということも述べられております。先ほど申し上げましたように、JAS規格、非常に私どもに身近な存在でございますけれども、今ありますJAS規格をすべていろいろの方面から見直しをしまして、本当に消費者JASを見て買いましょうということが言えるようなJASになってほしいという気がいたします。  それから、最後にもう一点申し上げますけれども、今回の法律案提案理由説明の中で、有機農産物付加価値食品ととらえておりますけれども有機農業振興策を実施することなく有機農産物付加価値食品としてとらえることは、消費者として、有機農産物のまがいものが横行することにもなり、その上、不当に高い価格で買わされることにもなつかねない、このような問題も含んでおります。  どうぞ、私どもに身近なJAS法でございますので、ゆっくり時間をかけて、本当に私どもの疑問が払拭されて、消費者にとって支持できる内容となるような審議をお願いしたいと思います。  以上で終わらせていただきます。(拍手
  6. 平沼赳夫

    平沼委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野行男君。
  8. 星野行男

    ○星野委員 自民党の星野行男でございます。  お二人の参考人から、御多用の中御出席いただきまして、ただいま貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。  まず、片桐参考人にお伺いをさせていただきます。  いわゆるJAS法が、農林物資規格制定に始まりまして、昭和四十五年の大改正品質表示基準制度が創設をされました。今回の改正では、さらに消費者の健康や安全に対するニーズの高まりや本物志向などを受けまして、農林物資生産行程まで踏み込んでの基準制度化しようとするものでありまして、消費者の利益保護あるいは農林物資品質の向上の観点から見まして、画期的なものであろうと考えております。  そこで、まず基本的なことで恐縮でありますが、二点お伺いをさせていただきます。  まず第一点は、今までこのJAS法が果たしてきた役割について、参考人はどのように評価しておられましょうか。それから、生協さんの扱っております食品の中で、いわゆるJASマークのついているものと、いないものとの割合はどのくらいのものでございましょうか。まず、お聞かせください。     〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
  9. 片桐純平

    片桐参考人 まず最初に、お尋ねのJASの役割ということでございますが、先ほどもお話ございましたように、JASが、一つ我が国食品品質の安定ということに対して果たしてきた役割は、特に初期の段階で非常に大きかったろうと思っでございます。これが第一点です。  それから二番目は、多くの食品の基本的な表示にかかわる問題というのはJASに依拠しているところが非常に多うございまして、ただ先ほど申しましたように、JASがフォローしている範囲は非常に少ないですから、それを、例えば東京の場合でも都条例がございますが、あるいは業界の自主基準であるとか、いろいろなものが実際は補完してはございますけれども、基本的にはJASが示している表示基準で、これが基本的な日本表示行政の軸になってきた。その点でも、やはりJASの役割がもう一点大変大きいだろうと思ってございます。  それから二番目の、どの程度JASマークがついているものが扱われているかということでございますが、ちょっとデータを持ち合わせておりませんが、多分、一般的に流通している食料品でJASのついているものというのは、ほとんど扱っているのではないかと思っております。
  10. 星野行男

    ○星野委員 それでは二番目でございますが、お話がございましたように、生鮮一次産品につきまして、最近の健康食品ブームとか自然食品ブームというような中で、有機栽培とか生鮮食品あるいは自然食品、無農薬、いろいろな表示が使われているということでありますが、そういう言うなれば必ずしも実態が判然としない物資について、そういういろいろな名称が付されて市場に出回っているということは、消費者としても選択に迷うことになるのではないか、そんなふうに思うわけであります。参考人からも評価いただきましたけれども、今回、有機農産物等につきまして青果物等特別表示ガイドラインが設定されたわけでありますが、これについて、改めてもう一度参考人の評価をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 片桐純平

    片桐参考人 先ほども申しましたように、この分野について私どもから申せば、明らかに不当な表示がはんらんしておるという実態がございました。その点で、ガイドラインスタンダードを示したという点は大変な前進であろうというふうに考えてございます。  率直に申しまして、先ほど申しましたけれども幾つかの瑕疵があるのは事実でございますけれども、こういったものは、一たんとにかくスタンダードを決める、その後から改善をしていくというふうに問題を立てざるを得ないのだろうというのが私ども認識でございます。
  12. 星野行男

    ○星野委員 さらに重ねてで恐縮でありますが、ガイドラインでは、有機農産物あるいは転換期間有機農産物あるいは無農薬栽培農産物あるいは減農薬栽培農産物化学肥料も含まれるわけでありますが、四つのジャンルを設定しております。  そこで、生協が取り扱っている生鮮一次産品の中で、この四つのジャンルのうち、どのジャンルが一番多いと思われますか、お聞かせください。
  13. 片桐純平

    片桐参考人 率直に申しまして、まず有機農産物ということで今回のガイドラインがお示しになったものに到達している分野というのは、非常にごくごく限られているかというふうに思います。  それから、農薬散布しないということにつきましては幾つかございまして、もともと農薬を使っているものを全く排除するというケースと、多くの場合、もうほとんど、そうですね、例えば寒い時期のホウレンソウは、今ほとんどの場合、ちょっと努力すれば農薬を使いませんから、厳密に言いますとそういうようなレベルでのと、少々段階を変えて言わなければならないと思いますけれども、そこを少々大ざっぱに言えば、農薬散布しないケースというのはかなりふえてはきているかというふうに思います。ただ、毎年それをやり切れるというような体系が確立しているかどうかということは、少々不安定でございます。  その点で申しますと、農薬を減らしているという実態が一番多いかというふうに思います。
  14. 星野行男

    ○星野委員 そこで、最後でありますが、生協さんでは、そういういわゆる有機農産物等をどのようなルートで入荷を確保しておられるのか、お差し支えなければお聞かせをいただきたいことが一つ。  もう一つは、生協さんの方で、そういうたぐいの一次産品について、消費者の信頼を確保するという観点から、何か講じている手だてがございましょうか、もしありましたら。  それから最後、三点目でございますが、問題は、そういう場合の生産行程、農薬を使ったのか使わないのか、あるいは堆肥をどの程度使っているのか、いろいろなチェックのやり方があると思うのでありますけれども、問題は生産行程の確認、チェックが重要と思います。そういうことにつきまして、何か御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。  以上三点、お願いします。
  15. 片桐純平

    片桐参考人 有機農産物等をどう確保するかという問題でございますが、特に最近の生協の場合、非常に規模も大きくなってございますので、かなり最初から圃場を計画的につくっていきませんと、消費者に安定的に供給するものはできません。そういう意味では、今かなり多くの生協で実験圃場をつくりまして、それにかかわる生産者方々と協力をし合う、そして、ことしはここまでやろう、来年はここまでやろうというようなことで少しずつ積み上げて蓄積をし、生産物を確保する。  しかも、特に有機農産物というふうに申した場合には、多くの場合、すべての組合員に供給するということが余りできておりません。ですから、非常に限定的に、この時期はどこどこ産地のこれがこのお店では有機農産物として扱えますというような、限定的な提供をしているという状況でございまして、有機農産物を常に安定的に消費者に供給するという基盤をつくるのにはかなり時間がかかる。そのためのプランが現在私ども日本生協連にもございますし、幾つかの生協でそのための、例えばフードプランというような言い方もございますが、それに沿って一つ一つそういう園地を拡大しているというのが現状がというふうに思います。  それから、非常に難しいのですけれども、実際は、こういう問題について私ども生産者の方と契約する場合には、まず一般的な、例えば防除であるとか化学肥料の使い方についての契約をいたします。その後、それについて記録をずっととっていただく、その記録を私どもが追いかける、こういうようなやり方になってくるわけですが、実際、このことを生産者の方がやるのは大変なお仕事です。たしか農協さんも、農薬に関しての農薬防除日誌をお米のケースでかなり特定した農家の方につくっていただいて、その日誌を送っていただいて農協さんで分析するというようなお仕事を、今大手町でやられているかというふうに思いますけれども、それをこなしていく生産者は非常に、ごくごく限定されております。逆に申しますと、そういうことを本当に取り組んでいただける方ですと、私どもとしてはかなり安心して、信頼してその生産者方々のレポートについて認めていく、こんなふうになっているかと思っております。
  16. 星野行男

    ○星野委員 では、和田参考人にお尋ねをさせていただきます。  先ほどのお話を伺いまして、無農薬、無化学肥料あるいは減農薬、減化学肥料というような基準の設定は極めてあいまいで、余り意味がない、むしろ有害というか、それによって高い食品消費者は買わされるというようなことにもなるんじゃないかというお話もございましたが、日本のように温暖多雨の気候の中で、少しでも農薬あるいは化学肥料を減らすということで努力をしている生産者の努力も評価してあげなければならないのではないか。お話しいただいたように、国の政策有機農業をもっと奨励し、推進していくことは必要だと思いますけれども、一朝一夕にできるわけではございませんから。  そういうことから見ますと、やはりこういう有機農産物等、いろいろな表示のもとで市場に出回るのを放置しておくよりも、ガイドラインを設定して、それに法律の網をかぶせて、基準に違反した、あるいは表示に違反したものは罰則をかぶせるというようなことは大きな一歩前進じゃないかと思うのでございますが、重ねてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  17. 和田正江

    和田参考人 今お話がございましたように、確かに市場では今いろいろ野放しで勝手に表示をしているという状況の中で、ガイドラインによって一歩前進ではないかというお話もございました。  お話を伺っておりますと、確かにそういう面も感じないではございませんけれども、やはりそれは、先ほどもお話しいたしました繰り返しになりますけれども有機農業の推進ということと両輪相まって、そして表示の問題あるいは製品の規格の問題というようなこととつながっていく。余りにも、有機農業の推進ということがきちんと農政の中で位置づけられていないのではないか。今回示されております新政策の中で、環境保全型農業ということが出てはおりますけれども、実際に有機農業という言葉が出ておりますのは、私もよく覚えておりませんけれども、中山間地域振興策一つとして、たしか一カ所登場するだけではないかなというふうに考えておりますので、まだまだその辺のおくれがあるだろうと思います。  それから、少しでも減らすことへの御努力ということに対しましては、政策の面で、そういう努力をされておられます生産者の方へのいろいろな援助の方法ということもあるだろうと思います。  私どもといたしますと、やはりこれが今まで野放し、あるいは今回、言ってみればお墨つきで出てきた表示というものが新たな混乱を招きかねないというような懸念を抱いております。
  18. 星野行男

    ○星野委員 ありがとうございました。終わります。
  19. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 佐々木秀典君。
  20. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 社会党・護憲民主連合の佐々木でございます。  きょうは、参考人のお二人、お忙しい中をお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。大変貴重な御意見をいただきまして、私ども随分参考になりましたわけですが、ただいまの御意見に関連をいたしまして、若干のお尋ねをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今、お二人のお話を伺いました。また、今星野委員からもお尋ねがございましたけれども、お二人のお話の中で、これからの農産物生産方法としてのいわゆる有機農産物の位置づけ、これについては大変評価されておられて、これをこれからの基本に据えていくべきだということについては、御両所とも大体意見が一致しているようにお聞きをしたのですけれども、それに関連して、先ほど片桐参考人から、スタンダードをつくったガイドライン、これの役割は積極的に評価しながらも、しかし有機の位置づけということをもう一つ考えた場合に、和田参考人の方は特にこれを強調されておったと思いますけれども、まず有機の位置づけが先だ、順序が逆になっているんじゃないか。これについては片桐参考人も、あるいはそうであったかというように受け取れる発言があったように思いますけれども、その順序が逆だというあたりについて、それぞれ御両所から、もう少しこれを補足するように御意見をお伺いできればと思いますが、いかがでございましょう。
  21. 片桐純平

    片桐参考人 先ほど申しましたように、逆と申しますか、連動してないというふうに認識しております。  ただ、有機農業をどういうふうに進めていくかという問題と、どう適正な表示をするかというのは、もともと区分されるべき議論ではあるだろう。その点で、今回のJAS法というのが表示行政という意味前進しているのは事実で、そのことはそのこととして認めたいというふうには思いますが、先ほども申し上げましたように、日本の現在の有機農業の実態というのは、発展のレベルからすれば実に微々たるものでございまして、それについて本当に革新をしていかないと、せっかくこのような表示基準を決めましたけれども、むしろ、あれに該当する有機農産物というのは日本でどの程度この世に存在するのかというような実態ではないかというふうに思っているわけです。  したがって、かなり有機農業というようなものの実態が前進をしていて、そのことを背景にして適正な表示が行われる、農政という側からいえば、本来こういうふうにあるべきではないかというふうに認識をしておるということでございます。
  22. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 和田参考人からもお願いいたします。
  23. 和田正江

    和田参考人 先ほどから申し上げておりますことの繰り返しになると思いますけれども、確かに表示というのは、私ども商品を選ぶ場合の最大の選択の基準といたしまして大事なものではございますけれども、今回の有機農産物に絞って考えますと、有機農業がきちんと推進をされて、私たちが期待するような有機農産物というものが実際に生産されるという状況の中にあって初めて、有機農産物規格であり表示でありというような問題というのが出てくるだろうと思います。今のように、余り有機農業というものがきちんとした位置づけを持たないままで、有機農産物が高付加価値食品というようなとらえ方のみ先行いたしますと、うっかりすると先ほども申し上げましたようなまがいものが出てきかねない、あるいは不当に高値で売られるのではないか。これは有機農産物だけではなく、そのほかの生鮮一次産品につきましても懸念されるところでございますけれども、そのように考えております。
  24. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今のお答えを要約すれば、本来有機農業というものが基本に据えられて、そうやってできるものが一般に当たり前にならなければいけない。それがそうじゃない。今度のJAS法というのは、これは表示の問題だけれども有機産品の位置づけだとかつくり方だとか、そういうことについてまで連動して考えているわけではないではないか。だから、本来基本になるべき有機産品というのが何か特別のものとして扱われたり、そうすることによってまがいものなんかがかえって横行するのではないかという心配がある、こういうようなお話なんですね。  これは申し上げるまでもなく、農産品は、あるいは食品でもそうですけれども消費者生産者との間の関係で申し上げますと、何といっても一番消費者にとってのニーズというのは安全性にあるだろうと思うのですけれども、その安全性を担保するものは何かということになると、一つは信頼関係だろうと思うのですね。生産者消費者との間の信頼関係。それが目に見えるものであれば、その信頼関係というのは非常に濃いものになるだろうと思います。  実は、私は北海道の旭川というところですけれども、周辺の農村地帯、例えば東川などというところでは特別栽培米というのが大変最近ふえておりまして、それで消費者の皆さんが生産者方々と直接に契約をして、そしてまた実際に生産現場にも行き、その様子などを見ながら、農業の使い方などについても何回とかどういうものを使うかというようなことで約束をして、だんだん農薬なんかも制限していく、あるいは無農薬農法をやるというようなことで、コミュニケーションを深くしている。  こういうことになっておりますと、非常に信頼関係というのは深まるわけですし、それからまた、生活協同組合などの皆さんもおやりになっているような直販などの体制で、生産者消費者がつながる、それを組合などが媒介をするというようなことで、信頼関係を高めていけるというところはいいわけですけれども、しかし、そういう関係を持たない大都会のごくごく一般の消費者などが、デパートだとか、それこそスーパーなどで物を買うということになると、どうしても信頼性ということについては間接的にならざるを得ない。そこで一定の機能を果たすのがこの表示ということになる。  ですから、この表示というものを決して無理はできない。全員が直販体制の中に組み込まれればいいのですけれども、そうはいかないところに問題があるだろうと思うのですね。その中で、情報としての表示JASマークの値打ち、値打ちというよりも価値ですか、あるいは機能ですね。これはやはり相当重要なものがあるだろうと思うわけですね。  片桐さんは、問題はなしとはしないけれども一つは一歩前進ととられている。それから和田さんも、こういうものが、例えば特定JASについても全くなくてもいいんだということを言われているのではないのでしょうね。あってもいいけれども、あり方が問題だ、こういうことになるのでしょうね。  そして、先ほどのお話の中でも、それから従来いただいております資料の中でも、一つ生鮮一次産品に対する全国統一的な基準に、今度の場合なるのかという御指摘があります。これはお考えになって、確かに農産品にしてもそれぞれの地域性、特性というのは非常に違う。そんなことから、例えば農業政策そのものもそうだと思うのですが、私たち社会党では地域農業振興法というのを出して、それで地域の特性というものも十分尊重してそれを生かしていくような農政でなければならないということを言っているのですが、この生鮮一次産品に対するお考えなども同じようなお考えだろうと思うのです。しかし、全国統一的な基準がもしも難しいとすれば、例えば表示と連動させるにはどんなことが考えられるか、何か御工夫あるいはお考えなどを和田さんお持ちでしょうか。
  25. 和田正江

    和田参考人 これはあくまでも、今私が考えました私個人の考えとお受け取りいただきたいと思いますけれども、やはりその地方地方の特色というようなものがございます。それから気象条件であるとかいろいろな条件がございますので、とにかくそれぞれの地方の特色を生かしたというのでしょうか、そういうものがまずあって、それが全国的に見た場合に統一的なもの、だれが見ても妥当な全国統一的な基準ができるということになったときに初めて、そのような考えで物事を進めていくのが手順ではないかなというふうに考えております。  いきなり全国的な基準というのが生鮮一次産品の、特に生産方法についてということになりますと、ちょっと無理があるのではないか。どういうようなものができるかということをいろいろ想像しましたときに、少々無理があるのではないかという気がいたしております。
  26. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 重ねて、今のお答えに関連して御意見をお伺いしたいのですけれども、御趣旨のようなことだと、全国的な統一的な基準というのを、すとんと納得できるような基準をつくるというのはなかなか難しいのじゃなかろうか、そんなふうにも思われるのです。  そこで、その地域の特性、気象条件ですとかいろいろ自然の条件だとか、その他社会的な条件も違う特性の中で一つ基準を示す。その地域の特性を生かしながらの基準づくりということになると、例えばJASマーク地域版というようなものですね。それぞれの地方自治体などが何らかの手だてで責任を持ちながら、地域的な、JASマークに準ずるようなものをつくることなどについてはお考えになられたようなことはありましょうか。
  27. 和田正江

    和田参考人 すぐにJASマーク地域版、地方版という考えでいいかどうかというのはいろいろなとらえ方があると思いますけれども、それぞれの地方で、その地方の人たちが全部納得して、生産者もそれから消費者も納得するような基準ができれば、それを一つ基準としてしばらく使っていくというのも一つ考え方ではないかなというふうに考えております。
  28. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 それから内容的な面のほかに、消費者団体の皆さんは、このJAS法では手続面についても行政裁量が非常に大きい、消費者だとかそれから有機農業関係者の意見がどれだけ反映されるのか、むしろその反映される制度的な保証がないのではないか、こういう御指摘がある。  確かに、このJASの目的も消費者の保護ということにあるとすれば、消費者意見あるいは消費者の心配、消費者のニーズというものが、この運用に当たってもどれだけ生かされるか、取り上げられるか、配慮されるかということが非常に大事になってくると思うのですけれども、仮にこの法律案が成文になったとした場合に、運用の面でそれを生かすためには、今のような手続的な面でどういうようにしたらいいか、あるいは今出されている法律案については、消費者のニーズあるいは声を生かすためにこれだけでは困る、どうしてもこうしてもらいたいというようなことがあるかどうか。これについてお二人の御意見をそれぞれお伺いしたいと思うのですが、まず片桐参考人からお願いできますか。
  29. 片桐純平

    片桐参考人 先ほど食品添加物の問題でもちょっと申し上げましたけれども、一たんJAS規格が決まりますと、それを変更するとかというのは非常に大変なことでございまして、しかも実態的には、多くの場合、現在は加工食品分野でございますからあれですが、加工食品のメーカーさんの団体、こういったところからかなり積極的な提起がない限り、まず動かないというのが実態かというふうに見ております。  そういう意味では、利害関係人ということについての範囲をどう広げていただくかということでもありましょうし、だれから提起されるかということについては、少なくとも実態的にはもっと緩和していただかないと、生活協同組合がこのことについて申し上げるということが制度的に受けとめられるものなのかどうか、いわばそういうことについてもう少し緩めていただかないと、ちょっと困るなというふうに思っております。
  30. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 和田参考人にもお願いいたします。
  31. 和田正江

    和田参考人 加工食品をメーンにいたしましたJAS規格審議の場合に、消費者として参加できますのは消費者専門委員会あるいはJAS調査会、それぞれの場がございますけれども、今までの経緯をいろいろ考えてみましても、私ども発言というものが十分に生かされていない面がある。それから、片桐さんもおっしゃいましたように、今できているJAS規格見直しということが非常に不十分である、食品が日々これだけ変わっている中で非常に不十分であるということも痛感しておりますので、ぜひ今後は、どういう品目ということにかかわらず、消費者意見が十分に反映されるような形をとっていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
  32. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今の、形をとってもらいたいという形ですけれども、具体的にこんなことにしたらどうかという御提言はありませんでしょうか。
  33. 和田正江

    和田参考人 形と申し上げましたのは、逆に申しますと、今消費者専門委員会、さらにはその前に原案をつくるところの委員会、それから最後規格調査会と、三つの場に、人数は違いますけれども消費者が出る形はできております。しかし、そこでの発言がなかなか生かし切れないということでございますので、形を変えなければならない面もあるかと思いますけれども、さらには消費者発言をそこで十分に反映していただく。大変抽象的な言い方で申しわけございませんけれども、だれを参加させるとかそういうことだけではなくて、消費者発言を十分に生かしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  34. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 つまり形と実質、これは両々相またなければいけないわけですね。形でそういう消費者の代表の方が入っても、その発言が後に生きてこないというか、ただ単に聞きおく程度になっていたのではだめなのだ、そういうことを含めておっしゃっておられるんですね。これはこれからの運用の問題でもありますので、私どもも、行政の方に強くその点は申し述べて督励をしてまいりたい、こんなふうに思っております。  時間が少なくなってまいりましたが、片桐参考人、先ほどガイドライン一定の評価をなさっておられるわけですけれども、例えば今度の法律改正がなければガイドラインと合体した効果というものは上がらないのか、あるいはこの法律がなくてもガイドラインだけで間に合うじゃないかというようなお考えか、この辺はどうでしょうか。
  35. 片桐純平

    片桐参考人 先ほど申しましたように、ガイドラインはあくまでもガイドラインでございますので、あそこで言っているものすべてをJASとして受けとめるべきかどうかというのは別にいたしまして、少なくとも認証する、あるいは違反した場合に罰するというようなことについての制度的な裏づけがないと、実効性は非常に乏しいものだというふうに思います。
  36. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 和田参考人はいかがですか。
  37. 和田正江

    和田参考人 今までの御説明の中で、今のガイドラインが将来、もしそのままこの特定JAS品目となった場合であっても、そのまま規格として出てくるわけではないというお話は承っておりますけれども、先ほど申し上げましたようないろいろ問題があるガイドラインでございますので、せっかく農水省自身見直しということを言っておられますので、実際に出ております表示、それから消費者の受けとめ方を見て、ガイドラインを少しでもいいものにしていくというのがまず先決だろうというふうに考えております。
  38. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 わかりました。  それでは、時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、消費者のニーズあるいは消費者安全性に対するお考え、こういうものに即するようにということで、今この改正が考えられているはずでございますけれども、お聞かせいただいたようにさまざまな問題点があることは、十分私ども認識をいたしました。まだこれからの質疑の中で、問題点として御指摘いただきましたような点について、また行政の方にも確かめたりして、何とかこれを生かす方向でつくり上げられないものか、あるいはどうしてもこれでは妨げになるというようなことがあるとすれば、これはまた削っていかなければならないだろうとも思っておりますので、そのことを心にとめながら審議に臨んでいきたいと思います。  お二人の参考人、貴重な御意見をどうもありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
  39. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 藤原房雄君。
  40. 藤原房雄

    ○藤原委員 きょうは片桐参考人和田参考人、御多忙の中貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げる次第であります。  JAS法質疑がきょうから始まるわけでございますが、先ほど来お話ございましたことを中心としまして、二、三お伺いをしたいと思う次第でございます。     〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕  JAS規格というのは、消費者にとりまして、やはり商品を買いますときの選択の大きな基準になるわけでありますから、非常に重要であることは先ほど来参考人からもるるお話があったとおりでございます。  片桐参考人最初にお伺いしておきますが、先ほどこのJAS法につきましては歓迎というお話でございました。また、ガイドライン等の問題につきましても、このガイドラインスタンダードを示したものとして前進というお考え、これと今度の法律改正、こういうことについての御意見がいろいろあったと思うのであります。  私は、このたびのこのJAS法改正につきましては、特定JAS規格ということでのつくり方JAS、こういうことでの規格を導入するということであり、またもう一つは、生産行程を検査の上で規格に合格したものに特定JASマークを付与する格付機関、こういう問題も今度のJAS法改正の中には含まれておりますし、また対象品目範囲拡大ということが今度の改正の中に込められておるわけでありますが、農業は一年ですぐつくり方を変えるということはなかなか難しい産業であるわけですから、私どもも、本当に安全なもの、そしてまた消費者が本当に望んでいるものをという気持ちでおりますけれども、年度年度の作付の中でそれがどれだけ消費者に沿ったものに変えていけるのか、こういうこと等を絶えず念頭に置きながら考えておるわけであります。  先ほど参考人からもお話ございましたが、最近は農薬もだんだん減少方向に進んでおるというようなお話もございました。総体的に今そういう方向に進んでおるのかという認識をいたしておりますが、要するに、今度のこの特定JASの法的な改正とともに一番問題になるのは、やはりこの運用ということなのだろうと思うのであります。先ほど何点がお話ございましたけれども、特に時間も制約がありましてお話しになれなかった面もあろうかと思いますが、この適正な運用という、今後のあり方、運用のあり方の中で特にお気づきになった点がございましたら、ここでまたお述べいただければと思うのですが、いかがでしょう。
  41. 片桐純平

    片桐参考人 特定JAS運用問題でございますが、今回の提案趣旨そのものがそういうところがございますが、高付加価値という農産物あるいはその他の一次産品をというニュアンスが非常に強うございます。しかしながら、率直に申しまして、特に最近の我が国の農業の状態が、例えば果物が極端に極わせ化している状態であるとか、あるいは幾つかの農産物におけるブランド主義であるとか、消費者にとって本当にそれが有効な意味があるのかどうか必ずしもはっきりしない、そういったものが非常に高い付加価値をつけて販売されるというようなことがございます。確かに、それはそれなりの理屈なり根拠を持ってやられておるわけでございますけれども、そういったことを取り上げて、これが高付加価値のものとしてJAS格付をするというようなことは、何としてでも避けていただかなければならないというふうに思ってございます。  それで、今回の場合でも、有機農産物についてはともかくといたしまして、例えば地鶏についての検討がされておるようでございますが、地鶏というようなものについて正確に表示をさせるということは非常に重要なことなのですが、しかし、地鶏というものが消費者にとって商品価値としてどういう意味を持っているかというのは、また全然別個の問題でございますので、そういうことについての扱いをかなり丁寧にしていただかないと、消費者にとっては非常に商品価値についての混乱が起きるということが私などの最大の危惧でございます。
  42. 藤原房雄

    ○藤原委員 これは同じように和田参考人にも、お話の中にも今後の運用面につきまして何点が御指摘はあったのですけれども、特に強調なさる点についてお伺いしておきたいと思います。
  43. 和田正江

    和田参考人 今の片桐さんがおっしゃっていましたことと重なりますけれども、確かに運用面について一番懸念いたしますのは、付加価値食品というとらえ方をされております点でございます。  例えば平飼いの卵であるとか、それから有機農産物でもそうですけれども、今までの農業、それから近代的な農業をどこで仕分けするかというのは難しいと思いますけれども、平飼いの卵というのはこれはもう従来からそういう飼い方をしてきたのであって、最近の工場生産のような卵の生産方法の方が、これはある意味では特殊な生産方法と言えるだろうと思うのですね。それを、平飼いの卵というものをとらえて高付加価値であるというとらえ方。これからどのような品目が出てくるかわかりませんけれども消費者にとりまして、それが高付加価値なんだ、言ってみれば値段が高くて当然なんだというような運用がされるのではないかなという懸念が非常に強うございますので、まず第一に、そのような点についての運用について御配慮をいただきたいと思います。消費者としても、その辺が一番気がかりな点でございます。
  44. 藤原房雄

    ○藤原委員 片桐参考人にお伺いいたしますが、先ほど、確かに高付加価値ということの消費者に与える安心感といいますか、それがどの程度のものかという物差しがないと言いながら、その持つ言葉の意味というのは非常に大きな意味を持っておるわけでありますからあれですが、これはこれから消費者方々の利用によりまして、また生産者の現場の様子等が知られることによりまして、だんだん啓発されていくことになるかもしれませんが、確かに、どういう形でどうやっているか、どういう生産方法であるのかということ、それがまた消費者にとっていかに大事なことなのかということを確認するといいますか、そういうことからいいますと、格付といいますか、それを認証するシステムというのは非常に重要なことになるんだろうと思います。今度の法律の中身もそのことについては触れておりますけれども、実際的には、格付機関といいますか、そういうものがそう厳格なものではないのじゃないかという危惧も抱いておるのです。  今日までいろいろな表示等につきまして携わっていらっしゃったと思うのでありますが、検査機関、格付機関、こういうもの等についてのあり方、または運用とかそれにまつわる問題について、今日までの経験を通しましてお考えがありましたら、お伺いしておきたいと思います。
  45. 片桐純平

    片桐参考人 具体的に、今回どういうふうにこれが制度として確立するかはまだ見えてございませんので、何とも申し上げられません。  ただ一般的に、今回出されている特に一次農産物生産過程について、そうそう簡単にできないのではないかというような御意見幾つかあるようですけれども、私ども必ずしもそういうふうには考えておりません。その点は、そういうことについて管理をできる人たちというのはかなり育っているだろうというふうに思いますし、制度的な確定さえすれば、その点はそんなに不安には思ってございません。むしろその前提として、何を格付するかということについての方が問題として大きいのではないかという認識でございます。
  46. 藤原房雄

    ○藤原委員 同じことを和田参考人にもちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、消費者団体方々は、生産地でいかに生産をしているかということについては非常に関心を持っていらっしゃることだろうと思いますし、今お話がございましたように、今回のこの法律で何がどうだという具体的なことに対しましては、まだ明確にならない点も確かにあろうかと私ども認識はいたしておりますけれども、こうあるべきだとか、今日までの経験を通しましてお考えがございましたら、この格付といいますか表示のもとになりますこの問題について、お考えをお聞きしたいと思うのです。
  47. 和田正江

    和田参考人 今お話がございましたように、今回出されておりますものの格付が実際どうなるかというのは、今後の問題ともなるかと思います。お尋ねに対しての全部のお答えにならないかもしれませんけれども、例えば有機農産物で考えた場合に、有機農産物という一点に絞りますと、割とそういう格付というようなものも見やすいのではないかなというふうに思いますけれども減農薬というようなことになったときに、果たして消費者が信頼できるようなチェック体制というのができるのかどうかというのは、今の段階では非常にまだ消費者としては不安がございますし、どういうことになるんだろうなというような感じを持って見ております。
  48. 藤原房雄

    ○藤原委員 和田参考人から、先ほど地域差とか自然条件気象条件、こういうものの中でも統一的なものができるかどうかというお話がございましたが、その気象条件の中で、特に特色あるといいますか、その農産物が非常に適したところですばらしい、いいものができるということもあるわけでございます。これはまあ積算温度とか土壌とか水質とか、いろいろなことがあって、そういうおいしさの違いとかいろいろなものが出てくるのだろうと思いますけれども。そういうことからいいましても、どこどこでつくられた何ということが非常に最近は消費者方々も関心を持ちますし、またそれが非常に評価を高める意味、こういうことから、産地というようなものに対しては非常にまがいものがあるみたいに言われておって、私どもも、北海道なんか非常に広いものですから、各地でいろいろなことを聞かされておるわけであります。  しかし、確かに統一的な規格というのは非常に難しいという一面はあるかもしれませんけれども、最小限度といいますか、全国的な一つ規格というものを定めることについては、これはやはり一つ方向性というのはお認めになっていらっしゃるんだろうと思います。非常に難しいことだという認識は私どもも同じだと思いますけれども、しかし、こういうことを定めるには一つ方向性というものを見出して、そして最低限そういうミニマム的な表示ということの中で消費者に御選択いただく、こういう考え方なんだろうと私どもは思っておるのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  49. 和田正江

    和田参考人 それぞれの地域の特性を生かした、私どもにとっても歓迎するような食料品が生産されているのは事実だと思います。ただ、それと今回の特定JAS、いわゆる生産に着目したJASというのとを、すぐそこで結びつけるということはどうかなというような考え方ております。  それぞれの生産地、こういうような生産方法でつくったものだという正しい情報であれば、私たち商品を選択する際の一番大事な情報として使わせていただきたいなとは思いますけれども、くどいようでございますけれども、それが必ずしも特定JASでなければならないのかどうか、その辺については疑問がございます。
  50. 藤原房雄

    ○藤原委員 時間もありませんので長いお話はできませんが、食品安全に対する関心というのは非常に高まっておりまして、そういう観点からしますと、食品衛生法ということになりますと、厚生省とか他省庁との関係性がいろいろ云々されまして、先ほど参考人御両人から、統一的なものをというようなお話がございました。  今日まで高度成長に伴います生産過程におきましては、腐敗を防止するための薬剤とか、いろいろな添加物が使用されるようになってまいりました。私どももこういうことに対しまして、品質の純粋さといいますか、こういうことに対しては非常に関心を抱いてきておるわけでありますが、私どももそういうことでは党内でもいろいろ議論をいたしておりますし、あれですが、他省庁にまたがるものを統一的に、消費者にわかりやすくということになりますと、これはそう容易なことではないんだろうと思います。  消費者方々が物を買うときに選択する中で主要なものということで、皆様方現場にありまして、消費者立場から、また生協さんとして物を売る立場から、こういうモデル、こういう形のものの表示ができればという、今まである他省庁のものを一つにするということはなかなか難しいことだと思いますけれども、最低限のこういう表示のあり方について、お考えといいますか、今日までいろいろなお話の中でそういうものがありましたら、ぜひお伺いしておきたいと思うのです。  これは他省庁にまたがることですから、なかなか難しいことだと思います。しかしながら、消費者としてはこういうことでありたいというものは、非常に重要な意見として私ども参考にしなければならぬだろう、こういう気持ちでお伺いするわけです。
  51. 片桐純平

    片桐参考人 我が国表示につきましては、先般食品衛生法改正されまして、食品添加物についてはかなりきちっとした表示がなされるようになったわけであります。それから現在、日付問題について議論がされておりまして、これについて多分何らかの確定がされてくるだろうというふうに思うわけです。ところが、この食料品の最も基礎になります品名でありますとか原材料でありますとか、こういうものについては、現在流通している商品がすべて網羅されているという状況ではございません。ですから、消費者が物を買う場合に、どの品名をなどということは最も基礎の情報なわけですが、これすらも我が国法体系の中では全部フォローされてないというのが実情でございまして、多くの場合、これは今回のJAS対象品目拡大ということでかなりクリアされるだろうというふうに期待はしてございます。  それから、実態は、なぜこの問題が消費者から問題として出ないかといいますと、多くの場合は、それは業界の自主基準であるとかあるいは都道府県の条例であるとか、こういうものがこれをカバーしているから問題となっていないのであって、国はその点は全く責任を放棄しているというのが実情かと思います。ですから、これは多分この委員会でもお取り扱いいただける分野だと思うのですね、品名とか原材料表示というようなところは。ぜひ御論議をいただきたいというふうに思っています。
  52. 和田正江

    和田参考人 思いつくままでございますけれども、やはり少なくとも食品である以上これだけのものは表示してほしいというのは、法律に関係なく消費者として求めていきたいと思います。  急なことでございますので落ちがあるかもしれませんけれども、品名あるいは商品名の問題というのが、これも大変大きな問題でございます。それから、原材料の書き方の問題もあると思います。どのくらい入っているのかという、含有率の問題まで含めての問題があると思います。それから、今問題になっております製造年月日を含めての日付表示の問題。それからあとは、製造業者の住所、氏名、それから今はいろいろ問い合わせることも多うございますので、当然のことですが電話番号。それから保存方法。  それから、今消費者の間で関心を持っておりますのが、いろいろな国から輸入食品が多い、それから原材料を入れて日本で加工する、あるいは別な国で原材料を調達して人件費の安いところでつくるというような、いろいろな複雑な製造行程がある中での原産国表示の問題。それから、今消費横ばいという中で、付加価値表示、強調表示というのが次から次へと出てまいりますけれども、その辺の問題もぜひ今後の問題として取り上げていただきたいというふうに考えております。
  53. 藤原房雄

    ○藤原委員 終わります。
  54. 平沼赳夫

    平沼委員長 藤田スミ君。
  55. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まず最初に、和田参考人にお伺いをいたします。消費者の代表として、特に表示問題で消費者権利実現のために御奮聞いただいておりますことに、私はこの場をかりて心から敬意を表しておきたいと思います。  今回のJAS法改正というのは、政府の説明によりましても、消費者のニーズにこたえていくためにというのを大きく掲げておるのですが、にもかかわらず、主婦連さんを初めとして多くの消費者団体が、現在行われている青果物等特別表示ガイドラインに対しても多くの問題点があるとして、農水大臣に対してその施行を行わないように要望してこられた。しかし、その施行が行われるようになって、加えて今回、そのガイドラインを法的に担保する特定JAS制度の導入を進めていくということになった。こういう点では、先ほどの御意見でもわかりますように、本当にいろいろな問題点を指摘されるのは当然のことだと私も思っています。  そこで、まず最初に二点お伺いいたしますが、政府の方は、今やもう欧米ではこうした有機栽培農産物に対する表示というのは一つの大きな流れになっているのだ、例えばフランスではラベル・ルージュ制度、それからアメリカでは有機農業法等、そういうものが制定されているのだ、有機農産物に対する一定の規制があるのだ、こういうふうに言うわけでありますけれども、私は今回の、今行われようとしているこの措置、それからいわゆる国際的潮流と言われているそれと、端的に逆さまではないかというふうには思っておりますが、もう一度そこのところをお聞かせいただきたいわけです。  それからもう一つの問題は、これはさんざん御意見を聞かせていただいた後で恐縮ですが、本当にJASは身近なものです。先ほど和田参考人は、今回の法改正の問題については十分な審議時間を持って消費者の疑問にこたえていただきたいというふうにおっしゃいましたが、その消費者の疑問、それを箇条的で結構ですから、もう一度整理をしてお聞かせください。
  56. 和田正江

    和田参考人 初めのお尋ねに対してお答えいたします。  確かに、国際的に見まして、有機農産物というものに対する表示というのが進んでまいっております。世界のどの国でどういうことになっているというのは、私自身調べたということではございませんで、あくまでも資料を拝見したりお話を伺ったりという範囲ではございますけれども、先ほど申し上げました繰り返しになりますけれども、あくまでも長い有機農業という歴史の中で、生産者の方たちがまず有機農産物というものをどうとらえるか、有機農業というものをどうとらえるかという中で、生産者の方たちがまず御自分たち生産方法というところからスタートされて、それが例えばアメリカの場合ですと各州ででき上がり、それがさらに全州統一的なものになっていくというような、長い年月をかけて生産の場からスタートして始まっているというように認識しております。  ところが、今回のガイドラインの場合ですと、表示行政、今の売り場の表示が大変乱れているというのは事実でございますから、これを何とかしてほしいという消費者の声が出ているのは事実でございますけれども、野放しは問題があるということは私どもも認めておりますが、今施行されておりますがイドラインには、先ほど幾つか申し上げたような大きな問題点が残ったまま施行されてしまった。さらに今後の見直しが必要だということも痛感いたしております。そういう面で、外国でこのような流れがあるということと、日本での有機農産物についての表示表示規制というものは、入り方が、表示規制のところから入っている面が余りにも強いのではないかというような気がいたします。  それから第二点につきましては、生産方法についての基準をつくるということが、一体どのようなものができるのかというのがわからない中で、今回枠組みだけなのだから、将来、品目なり規格についてはそのときそのとき十分に審議を尽くしてというお話でございますけれども、今まで示されました有機農産物あるいは平飼いの鶏卵、地鶏というようなものを考えますと、どのような規格ができるのだろうかというような、わからない面が多いままで枠組みのところを認めていくことに対する消費者の不安ということを申し上げておきたいと思います。
  57. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私もそう思うのです。枠組みだけで、中身が全くがらんどうで、さあこれだと言われても、表看板の消費者のニーズにこたえてというのだけがむなしく揺れ動いているような気がいたします。だから、農水省もそのことをいろいろと詰めているわけですけれども、今回農水省は、この法改正を受ければ具体的にはJAS調査会意見を十分聞いてやっていくから問題はないのだ、こういうふうに言うわけです。  これもさっきからさんざん聞かされておりますが、本当にそんな楽観的な見方ができるのでしょうか。とりわけ、調査会に参加なさっていて、消費者意見というものがこれまで十分反映されてきたというふうに言えるのかどうか。そこのところをもう一度お答えください。
  58. 和田正江

    和田参考人 先ほども申し上げましたように、消費者がこの審議に参加できる機会というのは、一番初めの案をつくるとき、それから消費者専門委員会、さらには規格調査会と三つの段階がございますけれども、やはり消費者としては、全く素人の立場でそこに参加するわけでございまして、なかなか問題が難しいというようなこともございます。科学的な数値とかそういうものが妥当なのかどうかということの判断が難しい点もございます。  それからもう一点は、JASというのが、今さら申し上げるまでもなく、強制ではなくて、受検しようと思うメーカーが受検してJASマークをつけるということでございますので、私たちとしては少なくともJAS規格JASマークのつく製品であるならばこの程度規格であってほしいというようなことを望みましても、実際に売られておりますような市販商品品質を大体見まして、余りにも厳しい規格であれば、実際に受検をしてJASマークをつけて売られるものはほとんどないというような、ある意味でのJASの宿命と言ってはいけないのかもしれませんけれども、私どもが望むような、少なくともJAS規格だったらこの程度、例えば添加物の使用にしてもJAS規格のつくものならこれとこれとは減らしてほしい、あるいは、とっさの場合で適当な例が浮かびませんけれども、いろいろなもの、ハンバーグとかカレーとかビーフシチュー、そういうものに、家庭だったならばこれくらいお肉を使うのにな、それよりもずっと少ないのだなというような気がするときもあるわけです。やはり、それは厳しい規格をつくったら、受検して実際にJASマークのものが出にくいというような点もあります。  いろいろなJAS審議の議事録、どこまであれかわかりませんけれども、それを調べても、消費者最後まで反対したけれども通したという形には出てこないかもしれませんけれども、いろいろと意見を申し上げて、最後には、本当の意味では納得というのではないのですけれども、半分あきらめと言ってはいけませんけれども、そのような思いをしたことも何度がございます。  今ある規格についてもっと改めてほしいというようなことを積極的に申し上げても、なかなか取り上げられないというような具体的な例として、時間をとりまして恐縮ですが、一点だけ大変わかりやすい例で申し上げますと、JAS規格、それからこれは公正競争規約もございますが、おそばの中にそば粉が何%入っているか御承知でいらっしゃいますかどうか、失礼でございますが、そば粉が三割入ればそばという表示が使えることになっております。つなぎの方が七割というものが今まさにお上のお墨つきで言われております。三割のそば粉では、おいしくない、そばの香りもしないそばが流通するのは当然でございまして、これは二十何年前でしょうか、つくられたときのそば粉の現状とかいろいろ技術の面からやむを得ないことだったのかもしれません。今七割とか八割とかそば粉を使っているものが、たくさん使っているものはこちらから頼みませんでも表示いたしますので、七割とか八割とか書いてございますけれども、その三割を少なくとも少しずつ上げてほしいというようなことを私は折に触れて発言しております。もう十年来、またあのことをあの人は言っていると言われるほど、飽きもせずあきらめもせず発言しておりますが、一向に取り上げられないというような現状でございます。  思いついたまま一点申し上げましたけれども、やはり形としてはできているけれども、なかなか実質的には、消費者意見というものが本当に反映されにくい現状になっているということを申し上げておきたいと思います。
  59. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 よくわかりました。  片桐参考人にお伺いをいたしますが、生協というのは産直の開拓者だと私は思っているわけです。産直の当初は、消費者が産地を訪れまして生産者と交流することによって、自分の目でそれを確かめて、そして農薬使用状況生産状況を見た上で、生産者消費者が相互の信頼関係を積み重ねていきながら取引も拡大をしていったのではないかな、私はいずみ市民生協におりますので、そんなふうに当初から思っているわけです。だから、表示によって安全性を担保するという、そういう考えは入る余地もなかった、私はそんなふうに思うわけです。  先ほどから、生協の皆さんに求められる有機農産物等を安定的に供給していくプランをつくっていらっしゃる、こういうお話でございました。一昨年の七月に農水省有機農業の実態調査をやっておりますが、全国で集団、個人を合わせましてわずか一千七十八事例しか出ていなくて、その中でまことかどうか、とにかく無農薬それから無化学肥料ということで取り組んでいる農家は三一%ですから、今回の表示で一体どれだけの人がいわゆる資格というのですか、そういう対象になる農家があるのか。そういう点では、本当に安定的供給になり得るのかという点が一点です。  もう一つは、有機農産物だという認証は、商品自体からの検知法はあると言えるのか、そしてまた、本当に消費者がそれを信頼していいというふうに考えていらっしゃるのか。  二点お伺いいたします。
  60. 片桐純平

    片桐参考人 今の御質問でございますが、最初安全性を担保するという問題でございますが、生協について申し上げておきますと、生協はそういうことについてきちんとしておりますので大丈夫なのですが、しかし、世の中全体を生活協同組合が規制するわけではございませんので、その点では、昨今の状況は非常に問題が多かったというふうに認識しております。また、生活協同組合自身は、先ほど申しましたようにもともと自主的な基準を確立してやってございますので、それはただし限定された世界の話だということでございます。  第一点の有機農産物を安定的に云々という問題でございますけれども、大変困難な問題だというふうに認識してございます。したがいまして、私どもがこれから手がけていくフードプランというようなものの場合も、先ほど申しましたけれども、非常にやはり部分的、限定的にせざるを得ないですし、その場合も、完全にこれはもう有機と申し上げていいというものにはなかなかならない。そのためにはやはりかなり時間をかけてつくり上げていくわけですけれども、基本的には日本の農業構造全般の問題ですから、それを私どもだけで安定的に展開するのにはなかなか無理があるということは率直に申し上げたいと思います。  それから、商品から云々という問題でございますけれども、ほとんど不可能だというふうに思います。商品そのものからこれが有機であるか云々ということを判定するということは、科学的には無理だろうというふうに思っております。ただその意味では、どうなんでしょうか、こういったものについて、いわば生産過程そのものについての価値を認めるということはあっていいものだというふうに考えております。
  61. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 さっきも、有機農産物の確保という点では非常にやはり限定されたものだということをおっしゃったわけですが、そう考えてみますと、はっきりしているのは、輸入の有機農産物、それから、この間、キューピーマヨネーズの、電気とそれから化学肥料をまぜた水だけで栽培している野菜工場に行きましたが、どうして電気と水で野菜、野の菜と言うのかなというふうに思ったくらいですが、こういうふうなものが表示と相まってどんどんふえていくのじゃないかと思いますが、その点、片桐さんにひとつ最後に簡単にお答えいただいて、終わりたいと思います。
  62. 片桐純平

    片桐参考人 今のキューピーの例もございましたが、確かにいろいろなところでその実験が行われておりますし、私ども幾つかそういうことについて取り上げ得るかどうか検討したこともございますけれども、実際問題としては、あれのメリットというのは、大量生産した場合は非常に安定した農産物が季節と関係なく安定的にできるということで、しかもなかなかレベルの高いものができるのですが、コストが高過ぎてちょっと、当分消費者に提供できるようなものにならないのではないかというふうに思います。あれを使うための地面と設備投資というのはかなりのものでございますので、今のところはどんなものかというふうに思っております。
  63. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたから終わります。どうもありがとうございました。
  64. 平沼赳夫

    平沼委員長 小平忠正君。
  65. 小平忠正

    ○小平委員 私は民社党の小平忠正です。  本日は、片桐参考人和田参考人には大変お忙しい中での本委員会への御出席、そして貴重な御意見、まことにありがとうございました。今、各党からそれぞれ御意見に対して御質問ありましたけれども、私からも感ずるところを申し上げながら、さらにお尋ねしていきたいと思っております。  私は、このことを論ずるについてちょっと、例えば、正確じゃないかもしれませんけれども、お薬で漢方薬、そしていわゆる西洋の薬といいますか、そういうことはよくありますよね、東洋医学とか西洋医学とか。有機質、有機栽培、こういうものについて、確かに利点は大いにあると思います。しかし、私の意見としては、一概に有機栽培万能じゃないと思うのです。  といいますことは、もう少し話を広げますと、農家の皆さんは、農業というのはまず土づくりである、そこからである。何をつくるにしてもまず土づくりである。そういう中で、特に堆肥というのはよい土づくりには有効な素材になりますので、常に努力をいたしております。しかし反面、今農業というのは規模拡大を要求されていますね。特に、海外からのいろんな農業に対する外圧が強まる中で、要するに規模拡大をして、そしてコストダウンをして単価を下げる。そうなりますと、なかなか堆肥中心ではやっていけない。やはりそこに適切なる化学肥料を投入することによって、生産をさらに上げられますし、また作業効率も強まっていく、そういうことがあるわけですね。そういうのが今の実際の生産の場での状況でございます。  そして、今度は消費者の皆さんの側から見ますと、食品安全性ということが今大きく取り上げられております。確かに、そこにきちんと表示を設け、また基準を設けていくことは、今までどちらかというと野放しというか基準があいまいな状況の中では、私は、今回のガイドラインの設定とかJAS法改正は一歩前進である、こう評価をいたしております。しかし、そういう中でいろいろな表示が出ておりまして、確かに消費者の皆さんは混乱というか錯覚をしておりますよね。先ほども意見の中で、有機栽培と無農薬を並べられたら無農薬の方を選んでしまうというお話もございました。確かに基準もあいまいであり、またその中身が消費者に徹底しておりませんので、そういう混乱もあると思います。  お二人にまずお伺いしたいのですが、こういう状況の中で、有機栽培を初めとした生産方法に対する表示がいろいろはんらんしていますね。これらについてはどう認識をされて、今後どういうふうに一致していくのが一番よろしいか、基本的なお考えをまずお聞きしておきたいと思います。まず片桐さんから、どうぞよろしくお願いします。
  66. 片桐純平

    片桐参考人 大変難しい御質問なものですからあれですが、先ほど申しましたけれども、特に日本の現在の農業の置かれている状態が、全般的に有機というような農業に早急に転換していくというふうに考えることは、大変難しいところがあるかと思います。ただ、化学肥料あるいは農業等含めて、全体としてケミカルをどう減らしていくかということについては、単に安全な食糧という問題としてだけではなくて、昨今言われる地球環境の問題ということを含めて、やはり日本の農業構造そのものを変えていく一つ政策的な軸として位置づけなければいけないのだろうと思うわけです。そういう意味では、今回のJAS法有機といったものについていわば公的にオーソライズするということは、現在各地で頑張っておられる方にとっては、やはりそれは大変勇気づけるものだろうと思っているということでございます。  ただ、先ほど無農薬有機というのが消費者の中でどうだというようなお話もございましたけれども、そういう意味では、有機というようなもの、そういう意味で農業の構造を変えていくことが本当に消費者を含めた国民のコンセンサスになるということがどうしても必要で、現在、率直に申し上げまして、例えば農産物安全性農薬をなくす、こういうような議論が私ども生協の組合員の間でもすぐに行われるわけですが、このことは、実は必ずしも消費者が本当の意味で、現在の農業のあり方や農産物安全性ということについて正確に認識をした上で議論をしているわけではないという実態もあるわけです。  生活協同組合等はそれらに対していろいろな形で勉強する機会を提案しておるわけでありますけれども、そういう意味では、より本質的な消費者教育というようなことを一方でやはりつくっていかないと、今回出されているような法の意義を本当に果たそうとしても、なかなか十分な効果はあらわれないのではないか、そんなふうにも考えているところでございます。
  67. 和田正江

    和田参考人 確かに、今お話ございましたように、明日から有機農業へ転換するというようなことがすぐにできるということは、全然考えておりません。特に日本のように高温多湿の土地ということもございまして、いろいろな困難はあるだろうと思いますけれども、一方、先ほどからお話に出ております表示を整理するという意味において、有機農産物ガイドラインということが出されたときに、やはり消費者の視点からは消費者が誤認をしないような、そして正しく使える基準であり表示であるということが何よりも大事だということに尽きるだろうと思います。  ですから、私ども有機農業ということに対しまして、今もお話ありましたように、本当に有機農業に長年取り組んでこられた方々の御意見も伺いながら、さらに流通の問題、これは市場の問題もあると思います。それから、規格の問題とか取引の問題もいろいろ見直しが必要だと思います。規格については、野菜について少し見直しが始まっておりますけれども。それから、消費者が三百六十五日いつでも、四季を問わずにいろいろなものがあるのが当たり前というような認識を改めるというようなところまで含めて、やはりきちんとその辺まで問い直していくことが必要だということを痛感しております。
  68. 小平忠正

    ○小平委員 確かに私も、お二人は消費者のサイドの代表といいますか、そういう買われる側の立場で、状況は十二分に把握されていらっしゃる中での御意見だと思います。おっしゃるとおりだと思います。  しかし、今いみじくも和田さんからお話がありましたように、じゃ生産者側でいいますと、特に消費者の皆さんは、野菜やあるいは果物等を例にとりましても、まず色、つやとかあるいは形、この外見上の見ばえというものを非常に今まで重要視されてましたよね。そうなると、まず絶対に虫がついちゃいけない。害虫ですね。ところが、現場で感じることなんですけれども、これ以上もう農薬散布する必要はない、でもこれを出荷前にもう一回農薬散布しないと害虫がつく、あるいは形状がおかしくなる。そこで農薬散布する。それは言うなれば消費者の要求に、ニーズに合わせたこともあるわけですよね。ですから私は、今こういう食品安全性ということが特に重要視されておる中において、やはりこれからは消費者の皆さんが、余り形状というか形にとらわれない、そういうふうな意識をひとつ消費者サイドからもつくっていくことがこの食品安全性に大きく寄与してくるような気がするのですよね。そんなふうに感じています。  ところで、先ほど片桐さんがおっしゃいました中で、和田さんもお話ございましたが、食品添加物安全性ということを言われました。そこで、今私が申し上げたのは、生産途上のことを申し上げました。ところがお二方は、いわゆる生産後の流通過程における添加物ですね、それらも指摘されたと思うのです。これらの安全性ということは、やはり生産過程においても、それから生産後においても、流通後の中においても、国民の皆さんの強い関心事だろうと思うのです。  そこで、これらについて、せっかくの機会ですから、政府に対して何かそういう強い要求、要望事項がございましたらお聞かせをいただきたいと思うのですけれども、まず片桐さんからお願いいたします。
  69. 片桐純平

    片桐参考人 JASとの関係での食品添加物ということで申し上げたいと思いますが、先ほど申しましたように、とにかくJAS規格というのは実は非常に硬直したものでして、一度決まりますとなかなか変わらないのですね。ですから、例えば私どもが現在生協で主に販売しております無塩せきのハムと発色剤を使わないハムというようなものは、確かにハムのJASが出たころには余り想定されていなかった技術なんですね。ですから、それが例えばソーセージの場合には、実はこれは添加物を外したものがJASの概念にくくられているのです。それは、ソーセージのJAS規格を決めたときにはそのことに気づいていたからなんですね、ああ、この添加物外したものがあるなと。そういう意味でいいますと、一たんできますとそれはなかなか変わらない。  これは添加物の問題もございますけれども、最近はいわゆる健康ということがございまして、例えばジャムの糖度を非常に下げたものがございますが、JASでは、糖度のブリックスは一定基準以上でないとJAS格付はできませんので、糖度を半分に減らすとジャムがJASでなくなるのですね。  こういったのは、要するにJASで一たん決めたものについて、といってもそのときの技術を前提にしておりますから、どんどん世の中変わっていくわけです。それに対応した革新ということができないと、これはどうにもならない。JAS範囲で申せば、そういうところでの柔軟な運用ということができる体制さえ整えば、JASとの関係での添加物の問題というのはそんなに起こらないだろうと思うというのが第一点でございます。  その上で、そもそも例えば、これもきちんとした決め方をしなければいけませんけれども、世の中で一般的に添加物が非常に使われているというものについて、一つの技術でもってその添加物を完全に取り除いた製品を提案することができたメーカーに対して、そういったものを例えば特定JASというような感覚で、概念でくくることができるのかどうかというようなことが、今後JAS問題で検討するとすれば議論としてはあるのではないか、そんなふうに思っております。
  70. 和田正江

    和田参考人 お尋ねに対してのお答えになるかどうかわかりませんけれども安全性に関しまして今消費者が一番関心を抱いておりますのは、例えば添加物であれそれから農薬の問題であれ、いろいろございますけれども、国際基準に対しての平準化ということで、いろいろな添加物なり農薬基準なりがどちらかというと緩められようと、られようというよりも、緩められている現実がございます。これはやはり世界的に見て、基準が同じ物差し、どこの国にとっても納得のいくような厳しい基準の共通の物差しができれば問題ないわけですけれども、どちらかというと、強い国それから輸出国の主張というものが強く押し出される形で今緩められつつある。  もう日本のように世界最大の輸入国になっておりますと、いろいろな基準が緩められて、いろいろな輸入食品、これは安全に関しては輸入食品だけではございませんけれども、そういう問題からいいまして、国際平準化というのは、やはりその国その国の風土であるとかそれから食生活であるとか衛生状況であるとか、そういうものをお互いに認め合うのが本当の国際平準化ではないかなと思いますけれども、なかなかそれがそうはいかないのが現実で、私どももいろいろな運動はしておりますけれども、その辺のところをぜひ根本のところから御検討いただきたいというふうに考えております。
  71. 小平忠正

    ○小平委員 まさしく安全性の問題なんですけれども、私は、生産方法の中で一番安全なのは自然栽培だと思うのですね。言うならば、それはもう有機栽培でもない、あるいは化学肥料を使った栽培でもない、実際全然手を加えない、まるっきり山の中で自然に、言うなれば山菜とか、これはまさしく安全だと思うのですね。しかし、今の環境を考えるとき、じゃあ果たして水の汚染をどうだとか、あるいは空からの、例えば酸性雨ですとか、いろいろありますよね。ですから、今この地球上では、本当に環境問題というものを度外視しては、ただ食品だけ基準を設けてやっていってもだめだと私は思うのです。やはり環境というものをきちんと論じていかないと、その中で農業もどうあるべきかという、そういうふうに連携、つながりがあると思うのですね。  そこで、私も時間が来ましたので、今和田さんおっしゃったように、国際的な平準化、非常に難しいと。確かにこれを国内に転じましても、地域差あるいは地帯によっては自然状況も違いますから、国内においてもなかなか全国統一的な基準を設けるのは困難だと思うのです。しかしそういう中でも、やはり今よりは基準一つ一つつくっていくことにおいて、これから一歩、二歩前進をしていってあるべき姿に到達するために、私なりに今回は、このJAS法改正についてもあるいはガイドラインの設定についても、先ほど申し上げましたようにそれなりの評価はしているのですが、おっしゃったことをこれからの委員会審議の中でも十分に考慮しながら、配慮しながら進めていきたい、こう思っております。  時間が来ましたので、御答弁は結構です。本当に貴重な御意見をありがとうございました。
  72. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分開議
  73. 平沼赳夫

    平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、引き続き参考人から御意見を承った後、質疑を行います。  ただいま御出席いただいております参考人は、日本有機農業研究会代表幹事澤登晴雄君、東京中央青果株式会社専務取締役田中卓巳君の二名であります。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  澤登参考人田中参考人の順にお一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。  それでは、澤登参考人にお願いをいたします。
  74. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 澤登でございます。  実は私は百姓でございまして、七十七歳ですが、もう七歳ぐらいのころから百姓をやっておりまして、そのころは農業というものは全部有機農業で、化学肥料とか、それから稲なんて消毒するということは少しも考えたこともなかったのです。考えてみますと、本当に、父祖というところか人類が始まって以来ずっと有機農業だったわけなんです。それで、今の化学農法と言われておる化学肥料と化学合成薬品が主導的な農薬が本当に技術として確立したのはつい最近、むしろ技術としてまだ確立しておりません。見事に破壊したのです、破綻したのですよ。だから有機農業が問題になる、その点をひとつ皆さんと御一緒に考えさせていただきたいと思います。  まず第一に、私ども土のことを考えます。私どもは、本当に長い間、自然にある土の力にプラス、人間が堆肥をつくったり、牛や馬を飼ってその厩肥をやったり、それから人間が食べたものそのものも全部畑の作物の中に循環しておったのですね。これが正しい人間の生き方であるし、生物の生き方だと思っております。その中に農業が全部あったわけです。ですから、農業の農産物というものは、もうこれは言うまでもないわけですが、あくまでも人間の生命を守る一切の根源であると思っております。その生命産業の農業が、今のJASということになると徹底的に物なんですね。JASは、物として見ておるのです。命あるものとして見ていないのですよ。そこに一つの問題点があると思います。  それからいま一つは、農業は本来有機農業であるべきであって、今の近代農業は既に滅びておるのです。だから、いろいろな御飯を食べて、しかも輸入をして、一千万トンの食糧を捨てておりながら病人がいっぱい出てきております。アトピーが出てくるし、もう現代医学でも解決できないものがあって漢方に行ってみたり、そういう病気がいっぱい出てきております。その点をしっかり踏まえて、有機農業というものが実は単なる商品としての付加価値をつけるという物の観点ではないということ、それが根底にある中で御質問もお願いいたしたいと思っております。それがなければ私ども答える必要はないのです、はっきり言いまして。何のためにここへ来ているかということですよ。それが第一点です。  その次は、私どもしみじみ考えまして、有機農業だと生産が落ちるという御心配があるのですが、落ちないのです。だんだんふえるのですよ。有機農業をちゃんとやって地方をつけていけば今の状態から五割はふえてくる。それは理論的にも、今の化学農法で地方が落ちて土中の微生物がなくなって、そのために減産になったという話があるわけです。それがために病気の作物が出て、だから仕方ないから消毒する、そういうことの問題なんです。そのことをしっかりまた踏まえないと次の問題が出てきません。ですから、有機農業によって、後々お答えいたしますが、完全に増産できます。生産力を心配したことはございません。人類がふえていく場合には、今の化学農法でやれば滅んでいくより仕方がないのですよ。人口制限するよりしょうがないのです。  ところが、悲しいかな有機農業をやっている方々は最も苦労しております。苦労しているから、その苦労に報いるためにJASをやって、時には、付加価値農業というのですか、特定の栽培をしたものには価値があるから、そういうことで一つ商品としてのグレードアップというのでしょうか、そういうことをしようというふうに受け取られて、一面ありがたいのです。ところが、こんなありがたくないものはないのですよ。これは、農業が滅びるのですから、ひいては民族が滅びるのですから、人類が滅びるのですから。だから、私は、このことはやってはだめなものだと、命をかけてこの問題に徹底的に反対いたします。こんなばかなことをやるなら、日本人を殺すということを今この現場で皆さんが決めるということになると思っておるから、あえて申し上げます。  それから、その次は、労力がかかるだろうと言われます。その御心配もごもっともだと思います。事実かけておるのですよ。かけざるを得ないのですよ。それはこういう問題があるのです。今の品種、私はブドウをやっておりますが、ブドウなんか最もひどいものですが、ブドウにしてもそれから何の作物にしても、化学農法でやって、そして病気が出たら消毒するという、その技術体系の中から生まれている品種なんです。そうでないと育たないのですよ。そして、過去の立派なよい品種なんかがあったものを全部なくして、そういうものを高く売っておる。そして、それが時によると、これは差し支えがあるかもしれませんが、市場とセットするような形で、この品種をこうつくりなさい、これにはこういう化学肥料を使いなさい、こうしてこうすればこう買ってあげます、こういうものを出しなさい、こういうことに相なっておるわけなんです。時には、遺憾ながら消費者もその中に組み込まれてしまうのですね、嫌々ながら。そうでないと売ってないですから。  率直に言って、曲がったキュウリの話がよく出ますが、私どもは、生産したものは提携でやっております。提携の説明もまた後ほど申し上げますが、本当にできるだけ狭い範囲で、一番簡単な話は、私がつくって隣の人が持っていけばもうJASもヘチマもないわけなんですよ。それを少しずつ拡大していくことが正しい生命を維持する農業生産の本質なんです。そこを間違って、市場の、しかも今の化学農法でやって、そして、それでないとできない品種をつくって、しかも消毒する。それで次々と消毒する新しい薬が出てくる。消毒するために本人も、それで死んでしまった人もいっぱいおります。そして、とうとうそのためにお金もなくなって、私の知っている方で山梨でブドウをつくっている方が一年間に二百二十万消毒費にかけたというのですよ。かけざるを得ないのです。これがいい、あれがいいということになる。  しかもまだ、今度は資材の方もこういうことですよ。土が悪くなります。そして物がよくできません。すると、それを改良する資材があるのです。これはピンからキリまでありますが、その中に、ちょっと振れば治るなんというものを物すごく高く売っているところだってあるのですよ。それでつい買ってしまうのです。それを、一回かけるより二回の方がいいだろうなんて思いまして何回もやって、とうとう本当に破産した人もあるのですよ。それに農協なんかがお金を貸してくれるのですよ。まことに、そういうことがあって、今度の高付加価値ということでやっていきますと、そういうこともいっぱい出てきます。  もう時間がないから申し上げられないのですが、そういうことで問題になりますのは、そういうことの現場の研修が、私も初めてこちらに来た資料から見たのですが、生産行程管理者というのがあるのですね。そういう方がどんなことをしても、そういうことまで見抜くことはできません。もう七十年近くやっている私でさえわからぬのですから、それは見抜けたら不思議ですよ。それはもう生産者のモラルと、それと生産者はやはり消費者の命を保障するということで生産いたしております。それから、消費者生産者の生活を支えることでやはり提携しております。その関係が成り立たぬとこんなものはできないということなのです。それは人間の生きる原点なのです。もう皆さんに申し上げることはおかしいのですが、我々はそういう信念を持ってやっております。  そして、その立場に立ては、土の地方はますます上がり、労力も少ない方法がいっぱい開発されました。稲だってそうです。今の半分の労力でもできます。それから、私なんか、ブドウなんか品種を選べば今の十分の一の労力でもできます。  そういうものが開発されても、一つの問題点は、それを弾圧するのです、政府当局が。私は、どのくらいそういうことで苦労している人を知っているかしれません。あんなものはばかがやることだとか、あんな古いことをやっているとか、汚いとか、本当にののしって、陰ではののしって、ただし正面、正対すれば褒めております。それは今の世の中と同じですよ。有機農業、だれも悪いと言うことはないが、あんなものは、こう言う点が実際あるのです。私の友人で自民党の山本富雄さんと話をしても、おれはいいと思うと言うのです。おれはやらなくちゃならぬと思うが、みんなやってくれないし、理解されませんからねと言う。苦労ですよと言う。これは本当です。  ですから、私ははっきり申し上げますのは、自民党の枠、外してくれませんか、自民党が与党として提案した政府法案ですが。そして、もっと自由なあれをやってくださいませんか。それができないようならば、こういうことは、有機農業はできないのです。本当ですよ。そのことをあえて申し上げます。そんな根性の方々が自民党の中にいないはずなんですが、いたら、もうできません。そんなこと言わぬ方がいいですよ、実際は。この手の方は、農村へ行って、農民のためになんて言わないでもらいたい。はっきり申し上げます。  ですから、余計なことを少し言い過ぎたのですが、承知して多少申し上げております。年とっておりますから。しかしながら、あえてここで言っておかないとどうにもならぬところへ来て、JASというものが入ってますますがイドラインで、今は何年間か様子を見ると言いながら、こっちへ行ってしまう。そして、それが何が行くかわからぬという一つの枠を持って、それは法律ですから、しかもその法律、枠をつくってしまえばこれは省令でどうにもなるのです。  そして、先ほど和田さんがるる申し上げられたように、率直に言って、そういうときに消費者の声を聞くとか生産者の声を聞くと言って、今まで聞いたことがありません。遺憾ながら、はっきりこの席上で言うのもはばかりますが、官治主義ですよ。今官僚が自由にしておる世の中ですよ。皆さんのところへ申し上げて申しわけないが、そうじゃないと言われるか知りませんが、そうじゃないと本当にありがたいです。そうじゃない方々はこれを否決してください。  そういうことをあえて申し上げまして、時間も来ましたからやめ岩せて小ただきます。また後ほど何でも聞いてください。私がやってきたことをそのまま申し上げます。  ありがとうございました。
  75. 平沼赳夫

    平沼委員長 ありがとうございました。  次に、田中参考人にお願いいたします。
  76. 田中卓巳

    田中参考人 御紹介を賜りました田中でございます。  本日は、参考人といたしまして、中央卸売市場の卸売会社の立場から、有機農産物ガイドライン、さらにはJAS法改正等にかかわる一連の考え方、または過去の取り組み、経過について御報告を申し上げたいと思います。  現在はありとあらゆる食品が充実してまいりまして、消費者方々はみずからの好みや必要に応じて購入可能の状態に相なっておる時代と申せると思いますが、事青果物に関しましても全く同様の展開でございます。このような環境の中で、消費者方々の食を通しての健康や安全の考え方が高まりつつあるのもまた事実でございます。いわゆる安全志向、健康志向、さらには本物志向の高まりでございます。  心ある産地、農家におきましては、既に二十年以上も前から農薬化学肥料を使わない有機肥料のみでの青果物の生産に取り組んでおりました。そして、その新たな試みに至る動機は、安全な食べ物をつくる、おいしい農産物をつくる、そして環境保全を考えるというような原点でありまして、まさに健康、安全を願ってやまない消費者の願いと、これを生産する生産者の持つ願望は一致しているものでありまして、二十年以上を経ました現在の現代的課題と申せます健康、安全と環境保全が見事に合致をいたしておるものでございます。  もちろん、生産者みずからの健康の保持も大変大事なことであったでありましょうし、地力の低下防止や連作障害の回避問題等、経営戦略上の理由も確かにあったとは存じますが、ややもすると、つくりづらい、労力が要る、収量が少ない、外観が悪い等々、いわゆる言われるところの障害を乗り越えて、消費者の希求する問題解決のために営々として努力をしてこられましたこの道の先駆者に大いなる敬意を払いたいと存じます。  また、それと同時に、このような生産者の物心ともに支えとなってこれを育て上げてきた消費者や共同購入機構あるいは宅配等の関連の方々の努力もまた評価に値するものであろうと考えております。  この間、御承知のとおり昭和五十年には厳しい農薬規制が行われまして、当時のエンドリン、エルドリン系や砒酸鉛さらにはBHC、水銀系等の農薬はことごとく廃棄処分となりまして、全国の農家は、これらの農薬について売らない、買わない、使わないの三ない運動を展開した経過がございます。しかしながら、許可された農薬を厳正な管理と施用基準を厳守する形となりましたが、この時点でも有機栽培が急激な伸長を来したという記憶はございません。ただ、土つくり運動は全国各地にこれを契機として拡大をされたことは事実でございます。  私ども卸売市場は、御高承のように国の認可を受けまして都が開設者でございますので、絶えず新鮮で安全でおいしい青果物を消費者に提供する責務を負わされておるわけでありますが、それに加えまして、十分な品ぞろえを要求される立場にございます。その観点から申し上げますと、従来は事有機農産物に限ってはその役割を市場は果たしていなかったというそしりも現実にはございます。  しかしながら、卸売会社といたしましても決して努力を怠ったわけではありませんが、現在通常の青果物の流れが、生産者、農協、経済連という線に見られますように、これが主流になっておるわけでありますが、有機栽培方々の場合、同志としての消費者とのきずなが大変強いのが通常でございまして、市場を通ずることなく直接固有の店へ、市場、店を通さず直接消費者へ、特定のサークルの方に対する供給、あるいは特定の信者の方々等に対する供給等々の、当初から生産者から直接消費者へとの理念が強く働いておるように思えます。  そしてさらに、生産者方々は、商品の値決め等についても直接消費者と交渉して決定することができる、あるいは泥つきや無選別等、市場出しに比して選果に労力を食わない、また通い容器等の活用もし得る、あるいはまた、同じ希求を持つ生産消費両者の方々が産地や消費地で交流の場を持つ機会が多々ある、あるいはまた、生産が概して小規模の場合が多いものですから、大量継続出荷を求められる市場出荷には向かないというような理由で、いわゆる有機野菜の産地は当初から市場離れの感が強かったわけでございます。  かくするうちに一般世論の盛り上がりは徐々に高まってまいりましたし、当然のことながら、量販店や小売店の方々から、消費者の声として、有機野菜はどこへ行ったら買えるのかということが市場にもフィードバックしてまいることが多くなってまいりました。すなわち従来の産消提携ののりを越えての進展でございます。そこで、当社といたしまして、この商品の取り扱いについて入念な調査を重ねた上で、個性化商品コーナーを設置いたしましたのは平成三年でありまして、多くの問題はありますものの、とにかく継続をモットーとし、積み重ねを大事にしようということで現在に至っております。  このコーナー設置の理由は、さきも申し上げましたが、卸売市場の立場から、品ぞろえの義務感が一つございます。あるいは社員が全国の産地訪問の時点で産地側から、販売に要する経費や労力がかさんできたことや、生産物の増大に対しまして特定の受け入れ側のみでは消費し切れないという危惧等があるという声を聞くことが多くなってまいりました。群馬県の倉淵村等についてはそういう例でございます。あるいはまた、試験的に市場出荷をした場合、ある程度の量をこなせることや、その評価においてもおおむね期待できるものであり、市場における仲卸、小売等が有機に対する評価や理解を示しつつあることを確認できたということもございます。それに伴いまして、各種の消費市場の商品情報等が市場側より提供されたり、品種、品目について相談が可能になったということ等で、従来のような市場に対する見方が徐々に変化してくるにつれまして取り扱いも増加をいたしてまいりました。卸売会社といたしましては、その責任を果たすべき機会が生じてきたことと同時に、このことを大事に育てていく必要があると感じております。  この取り扱いにつきましては、卸売会社としての問題点は多々ございます。通常出荷の市場への青果物は、系統組織を中心とした共選共販体制下にあります。したがって、市場の要求に対しまして比較的容易に品目、数量、内容品質等の確保が可能であります。しかし、有機栽培農家は全国に点在をしておりますし、個人であり、個人の集まりであり、農協内の有機の部会であり、全国的な組織の中の一人、あるいはグループ、または宗教的な集いのグループ等、その様態はさまざまでございます。また、現在の市場では、野菜を例にとりましても、一つ品目を年間を通じて生で供給をできる体制下にあります。そこで、有機のみに固執された場合には、この体制ではいわゆるリレー出荷は不可能と思われます。あるいは価格の決定につきましては、通常出荷と異なる個性化商品として、予約相対を初めとする相対売りあるいは競売ということで取り扱いをいたしておるものでございますが、もちろん消費者あっての生産でありますので、産地の過大な価格設定には限りなく応じることはできません。  先ほど申し上げました平成三年時の私どものコーナー設置時においての心配は、一つには、産地の格付の確認はどうするのか、あるいは第三者による確認が必要ではないのか、あるいは所定の規格に外れた商品の出た場合の責任はどうとるのか等々でありまして、今後解決すべき問題は多々ございますが、ガイドライン制定、さらにはJASの確認等が進んでまいりますと、解決には弾みがついてくると存じます。  有機農産物における表示ガイドライン制定とその反響について、市場の立場から申し上げてみます。  このことは、我々卸売会社や産地、消費者に多大の関心を呼んだことは確かだと思います。消費者は、従来あらゆる呼び名の有機表示の渦中の中で、どれを信じたらよいか迷い、しかもそれぞれの商品内容についての理解もできにくいということ、また、産地は、健康や安全を考慮に入れ、環境保全という崇高な理念を掲げながら生産をしておりながらその努力が報われないということ、生産消費両面にわたる不満があったのは事実だと思います。そういう中でのガイドライン制定は、それ自体強制力やペナルティーはないものの、有機の判定に対する枠組みや消費者の理解を増進する上で大きな進歩を示すものでありまして、一歩前進と考えてよいと思われます。  ただし、減農薬、減化学肥料の段階はわかりにくいとの意見が寄せられておりまして、地域差や施用量の差を云々する向きもあるようであります。また、転換中圃場の問題もあるようですが、このガイドライン生産消費をともに満足させ、あわせて環境保全の効果も期待をされているとすれば、施用する農薬化学肥料の回数あるいは量が大幅に減少するという事実はぬぐえない事実であります。ガイドラインに基づいて、また有機に向かって努力をするであろう生産者の芽を育成する意味からも、転換中の栽培に対しても理解を示すことは必要であろうと思われます。  また、一方におきまして、従来まで真剣に取り組んでこられた先駆的な役割を果たされてきた生産者方々には、このガイドライン制定によって、従来どの産地もとの商品有機と銘打てはという傾向の中で、真の有機を実践してきた価値がにわかに再評価され、いわゆる本物としての認定を確保でき、独自の評価を受けることとなり、反面において、まがいものはみずからの座をおりざるを得ない立場となることと存じます。四月一日以降、大変はんらんをいたしておりました天然、有機、自然、健康等の呼称、表示を行う商品が急激に減少いたしまして、逆に、ガイドラインに沿った表示を添付、内蔵して出荷されてまいっております。これに対して、市場内での仲卸、小売も従来よりもより多くの理解を示してきておることもまた事実でございます。  次に、有機農産物に対するJAS法適用の問題について申し上げます。  有機におけるガイドラインが四月一日制定されて以来、生産消費における関心の高まりは大きいものがございますことはさきにも申し述べたとおりでございますが、さらに引き続き、JAS法改正による特定JAS範囲にこれを組み込んでいくということにつきましては、一部には、少し時期が早過ぎるのではないか、もう少しガイドラインの行方を見定めて、しかる後にJASへと移行する方がよいのではないかという意見もあったようにお見受けするところでございます。  私は、有機に対するJAS法の適用の方向としては、将来に対する枠組みの設定を今からしておくということでありまして、ガイドラインがそのまま適用されるわけではなく、個々品目についてはその都度国及び関係者で十分協議の上に決定される問題であると承知をいたしておりまして、その際には、あいまい性は当然のことながら排除され、本物志向の消費者は従来以上に保護されることでありましょうし、苦労を重ねて今日に至った先駆者的立場に立たれる正しい生産者は、国、都道府県等のライセンスを受けた形となりまして、反面、認証を受けなかった方たちも努力をいたしまして、この現代的な課題への挑戦を試みることもありましょうし、さらに、表示に違反が仮にあった場合には、その方々は淘汰される運命になると思われます。  最後に、この有機栽培青果物の生産が全国で限りなく増加するかということにつきましては、これをにわかにしかりと言うことは難しいと思われます。戦後の野菜園芸の急速な発展は、たゆみない農家の方々の御努力と栽培技術の向上と、生産資材の面では、皮肉にも化学肥料の発達、農薬の発達、そして種子の開発、ビニールの開発等に負うところが非常に多いと言われております。また、それは集約農業であればこそ可能であった部分もあったと思われますし、鮮度を必要とする野菜は特に国内の生産に負うところがまことに多かったがゆえにであったかもしれません。また、日本における気候の特異性にもあると思われます。  アメリカのコロラドにおいて有機栽培が大々的に行われておると聞いております。雨量が大変少なく、そのかわりかん水設備は完備しておるということであります。実はこのことは、空気が乾燥し、植物が求めてやまない水は適正な水管理を人工的に行うということでありまして、この環境は野菜にとっては願ってもない条件であります。日本は年間雨量は千四百ミリを超えまして、絶えず湿度が高い、風水害はまともに受ける、さらぬだに、病気や虫害に絶えず悩まされる、雨が降れば病害の防除を必要とし、風雨の後もダメージの回復のための配慮が必要であります。害虫も発生します。最高の条件のアメリカと日本生産条件は大きく異なります。そして、その面積と機動力です。同じ物事を行うにも状況が全く違うのでありますが、このような悪条件の中で、十分な技術を体得した生産者は別といたしまして、安易に有機栽培で収量を上げ、収益を期待をするのは難しいのではないかと考えるものでございます。  以上、報告を終わります。
  77. 平沼赳夫

    平沼委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  78. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子徳之介君。
  79. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 澤登参考人田中参考人には、時節柄まことにお忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、感謝をいたしたいと存じます。  私は、戦後の我が国の食糧自給の歴史をひもといてみますと、飢餓の時代から増産時代、そして現在の飽食の時代、それぞれ社会あるいは消費者から求められたニーズにこたえながら、この農業生産というもの、食糧というものが農村において、中山間地やあるいは平地でも、都市化、混住化の進む中で営々として続けられ今日に至った、なかなか多難な農業経営の歴史であろうというふうに思っております。そこの中で、先ほど澤登参考人から、有機農法について今まで積み重ねてこられました力強い自信あふるる御意見を拝聴しまして、私も多くの共感を覚えました。  といいますのは、私は農業改良普及員上がりでございまして、そして、私も百姓です。水田農業、果樹農業をやってまいりました。そこの中で、ある時期首長をやっておりまして、五十三年から五十六年に地域農業の複合化技術開発試験というものを、これは官側、県の果樹試験場にお願いをしました。どうしても土地生産力が維持できなくなってきた。私は福島県の県北の桃の主産地のど真ん中で育った者ですが、全国一の桃の生産量を誇っておったわけです。御地の、澤登参考人の地元は山梨県でいらっしゃいますね、山梨県が生産量で全国一位、二位が福島県でございます。私どものところでございますが、そして福島県の一七%を生産するのが、私が首長をやっておりました保原町でございます。  そうした観点で、毎年品質が落ちていく、なぜなんだろう。御存じのように、桃とかブドウはどちらかというと土壌水分がやや少な目の排水のいい場所によく生育する、そうしたことで、私も土壌学を専攻した立場で、どうも土壌の土壌膠質の単粒化が極度に進んでいる、その原因は何か。これは化学肥料一本やりのそうした栽培を続けたからだということで、養豚や畜産の堆厩肥サイクルをそこの中に入れることはできないだろうかということで、堆厩肥をつくり、それを土壌還元しながら生産量を維持して今日にまいってきておりますけれども、どうしても、労働力の不足ということになりますと、無機化学肥料あるいは有機混合化成肥料といったものに依存しながら、そして数多い防除をしながら、コストの高い桃生産を続けてまいったわけであります。それがゆえに、澤登参考人が農業者の一人としてのその激情あふるる御意見の吐露には、数多くの共感をする部分があるわけであります。  しかし、そこの中で、これは改めて考えていかなければならない問題もあるな、これはどうしてもひっかかってくるものは、参考人が資料として前もって私どもにお示しいただいた中で、いわゆる産消提携という形、これを先ほど読ませていただいて、有機農産物が産消提携の中におさまり切らなくなってきたことも事実だし、産消提携にもいろいろな課題が生じてきておるという現況を率直に認めながら、今後の提携のあり方を見直すということでございます。おさまり切らなくなった場合に、それでは今後市場とのアクセスをどうしていくのかという問題が、これは食糧全体を眺めた場合に、日本の食糧自給率ということを考えた場合に、これからどのような方策にそれの突破口を見出すかということが非常に気になったわけであります。  したがって、特に自給率について触れられましたが、日本の農業が全部有機農業でやっていけるものかどうか、日本の農業を全面的に有機農業にすれば、先ほど田中参考人からアメリカのコロラド州の農業立地条件のお話がございましたけれども日本の場合はその反対に高温多湿、病虫害の発生率が高い、また土地生産性については、そういうような条件整備に非常に困難な場所が多い。そういった中で、例えば除草をどうしていくのか、非常に多くの労働者や何かを、後継者が少なくなった中でどうしてやっていくかということを考えますと、収量の面と自給率の面、これがちょっと心配なものですから、まず澤登参考人からその点についての御意見等をお聞かせいただきたいと思うのです。
  80. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 お答えします。  一つ目の産消提携は、実は我々も本当に悩んでいることなんです。しかしながら、これは社会体制がそうなっておらないということの方が大きいのですよ、そこからくる圧迫の方が。事実問題として、例えば生活協同組合が本当に産地との産消提携でやってきておったものを、今はだんだん大きくなったら産消提携ではもうやっていけない、大きくなったことが問題なんです。できるだけ小さい間でやるということで、これで足りないところをいま一つ、大きな輪へ持っていくということ。  また、非常に特殊なもので、福島の圃場へ私は何回も参りました。大石先生にもお会いしたし、役場にもごあいさつに行ったことがありますが、そういうところでも一番果樹なんか苦しいのです。果樹、桃を今もいわゆる農薬ゼロでやっている人もあるのです。そういうときは草をつくるのです。そして草をつくることは、むしろ本当の意味でよいものができることなんです。今までは草はつくってはいけないということだったのです。そうすると、後は少しの農薬なり、農薬は使わなくて、私どもは、例えばけさも、木酢液へ、キトサンや核酸を入れまして、さらにドクダミやそういうものを絞ってきて、それを煮た。オオバコからいろいろあります。その絞り汁を入れて、これを葉面散布すると、木がずっとしっかり育って大きくなる。上へかけるとよくなります。そういう技術があったわけですよ。そういうものをちゃんとやっていけば、もっと安くよいものができるということがありますし、それを確認してくれる方々範囲でまずやって、私は生協もその範囲でできることがまず第一歩だと思うのです。しかし、その第一歩を着実に踏んでおらない、踏ませないという政策があるところに問題があるのじゃないでしょうか、一つは。  ですから、産消提携のその気持ちを動かせば、幾らでも現代的な方法があるはずです。それで知恵を絞れば出てきますよ、それは。出てこないなら滅びるのです、はっきり言いますと。それをしっかり考えていただきたい。  それからいま一つ、食糧自給の問題は、こちらに随伴人として金子さんが来ておられますが、率直に言いまして、有名な霜里農場の金子さんは、一軒で大体十人を支える力はまずあると言うのです。そうすると、それから計算すると、ここに資料もお分けしましたが、やはり大体できるのですよ。これはまだ現況の二町歩という一つのことでやっておるし、そういうことなんですが、これはまだまだ、そこがいま一つは我々が研究しなければならぬ開発のあれですよ。  人間がいるのですから、人間がやはり同じ生物として、作物と一緒に生きておる人間がここにおる以上は、もっと作物にすみよいところをつくってやって、そして今まで、あれは今の収量でやっていますから、今の一〇%なり二〇%ふやせば、もっと人口がふえても自給できます。  そして、先ほど金子先生が言われた中で、飽食の時代なんですが、これは外国のものを入れて飽食なんですね。そして、それを一千万トン捨てて飽食なんですよ。そうしてくると、ちゃんと食の質をしっかりやって、玄米をやっておれば、今の三分の一で大体栄養は足りるのですよ、玄米で。戦前からやっております、二木先生についたりして。ずっとやってくるとそうなんです。そういうような問題もあると私は思うのです。  だから、その辺をしっかり踏まえていけば、完全に自給できます。私は百姓なんです。百姓が言うのですから、本当にできるのですよ。できない政策をちゃんととっておるのです。皆さん検証すれば全部出てきます、それは。私もどのくらい、現地で泣いた人を知っておるし、それで死んだ人まで知っているのですよ、実際に。それを平気でやっておるという農政なりそれに問題があると思うのです。  率直に言って、この品種をつくらなくては補助金をくれないということをやるのです。このやり方をやらなければ何億の補助金がむだになるから、町長さん御存じでしょうが、泣く泣くのんだということがどのくらいあったでしょうか、実際に。私は、その現地で何回も聞いておるのですよ。国東半島に行ったら、五百町歩の開墾をしたが今は百町歩しか残っておらぬ。自分でやったのはちゃんとあれができておるが、あとはもうだめなんだという。そして、とうとう逃げちゃって、大阪の商人がそれを買い占めて、今後そこで何とかの観光をやるんだという話まで出てくるのですよ、実際に。そのことを推進したのじゃないですかね、皆さんの先輩が。遺憾ながらそうですよ。それに涙して我々はここへ来ているのですよ。そんなことをやっておったら国がつぶれます。  ですから、有機農業でしっかり――今、一つ農薬を開発するために何億かかるそうですね。ところが、例えばキウイの芽を摘んだり、ブドウの芽を摘んだり、オオバコをとってきたりしてジュースにして、それを木酢液でやれば、実際とれるのですよ、本当に。ある人は一反歩十万かけているのです、農薬代を。それでは二、三千円で足りるのです。  だから、なぜそういうことをやらないのでしょうか。なぜそういうことを弾圧するのでしょうか。弾圧しているのですよ。あんなばかなことをなぜやるかと何回私は言われたかわからないです、はっきり言って。そして、私が品種改良をやれば少し補助金を出すから何とかしろという話がいっぱい来るのです。ばかばかしい、やらぬ。そんなことをやれば何にもならぬのですが、そういうことをいっぱい見て、農民の目からは品種改良をやることはできないのに、かつては米も取り上げたじゃないですか。民間育種はできないという法律をつくったんじゃないですか。  多雨の話をしますが、雨が多いから日本は病気が多い、ところが逆なんです。雨が多いから木が育つのです。それに応じた木がない、品種がない、それが問題なんですよ。日本は今それをやるべきときですよ。それをやれば日本は確かに世界一の立派な国になります、平和な国になります。それに徹底的な精力を注いでごらんなさいよ。完全に今の五割増収はできますのできないことがうそなんです。そういうふうに思っております。  それから、確かにこの提携の問題は本当に苦しいのです。苦しいが、ここを突破しなくてはならぬことなんですよ。知恵を出せば突破できるのですよ、実際。そのことを申し上げます。
  81. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 大変ありがとうございました。私も今御指摘のありました大石俊雄先生、大石プラムの育種を地元でやっておられますが、名誉町民に推戴をし、そして土の会のメンバーでございます。そういった面で、参考人のお気持ちというものが心から伝わってまいります。  次に、田中参考人にお伺いをいたしたいと思います。  有機等の表示がなされた産品は市場に現在どれぐらい入荷しているか。それからまた、有機あるいは無農薬のうちどのようなものが特に多いのか。また、価格の状況。そして、四月一日からガイドラインが設定されてからどのような変化があったか。先ほど概略はお伺いしたわけでありますけれども、時間がございませんので簡単で結構でございます、その数字でお示しいただければ幸いです。
  82. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  率直に申し上げまして、先ほど来申し上げておりますような事情もございまして、市場に入ってくるいわゆる有機農産物につきましては、まがいものは別といたしまして、本当の意味有機農産物について私どものコーナーで扱っておりますものは、全入荷量の一%程度でございます。私どもの一日の野菜の入荷量が約四百トンから六百トンぐらいですが、先日の入荷量は四百トンでございまして、有機農産物は四トンということでございます。  それから価格のことでございますが、この価格につきましては大変難しいことでございまして、機械製品と違って対比がなかなか難しいものでございます。同一の段階で同一の条件で出てきたものとの対比ということになりますと大変難しいわけですが、一口に申し上げまして、今の私どもの取り扱いの段階では一、二割高いかなという感じ。でございます。有機の全部の数字をとったことがございませんのでそのぐらいしかお答えはできないわけですが、まず大体一、二割ということでございます。  ただ、需要の面からいきまして、消費者方々の需要がその商品に対して強烈である場合はもうちょっと高い場合もあります。逆に同じこともあるわけですが、要は、青果物はいわゆる商品そのものが前提にございまして、その後有機ということが考えられるように私は考えております。
  83. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 重ねて田中参考人にお伺いをいたしますが、この有機農産物として高付加価値という表現がありました。あるいはそれぞれの表現がされているわけでありますが、特別な表示ということでプラスの面とマイナスの面があるというようなことでありますけれども、この表示が正しくチェックされなければ本当の意味での市場価値形成というのは難しいだろうと思います。  そうした意味で、このチェックを果たしてどこでだれがやるのか。これはあくまで消費者生産者の信頼関係において初めて成立するものであり、今回のJAS法の中でも、私ども生産者のこと、消費者のことを考えながら、特に市場メカニズムの中でどのようにそれを望んでおられるか、それを伺います。
  84. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げましたが、私どものコーナーをつくる段階におきまして一番悩んだのは、今金子先生がおっしゃったことでございます。どうしてそれでは、産地はこう言っているけれども、我々はどう受けとめて信頼していいのかということが一つ大きくひっかかりまして、そのことがガイドライン制定によりましてある程度、制約ということではありませんけれども方向づけができましたので、それにのっとってまじめに生産をしていただける生産者を私どもが確実にとらえ、あるいは相談をしながらコーナーの中で販売をしてきたというのが、今実績としてつながっているわけでございます。  チェックの問題につきましては、確かに御本人がそう言ってもそうでないと言われればそれまでということであってはなりませんので、これらはやはり将来考えられる国または第三者による認証等が添付されることによってその生産者生産をした価値の発揚、それから消費者が最大の信頼をもってこれを購入することができるということにつながってくるとは思います。
  85. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 質疑の時間が終わりましたのでこれで質問は終わりたいと思いますが、澤登参考人並びに田中参考人に心から厚く御礼申し上げまして終わります。ありがとうございました。
  86. 平沼赳夫

    平沼委員長 有川清次君。
  87. 有川清次

    ○有川委員 有機農業で全力を挙げて頑張っていらっしゃる澤登参考人、先ほどもお話を伺いまして、かねてからのいろいろな努力にも敬意を表しておるわけでありますが、時間の制約もありますので、私も手短に質問いたしますので、ひとつ手短にお答えを願いたいと思います。また、田中参考人につきましては、先般現地調査をいたしまして大変お世話になりました。含めて、それぞれの方からお伺いをいたしたいと思います。  今回、青果物がJAS法で加えられることになったわけですが、この中でガイドライン内容は、有機農産物、無農薬栽培農産物減農薬、こういう栽培農産物の三区分になっておるわけです。それぞれの問題を含んでいると思いますけれども法律の目的で求めるような信頼できる表示、こういうのになるとお考えなのかどうなのか、その辺の考え方について御両名からお伺いをしたいと思います。  とりわけ田中参考人については、先ほどもちょっとございましたが、個性化コーナーというのができて、今一%の取扱量、こういう状況にあるということでありますが、そういう展示をしながら取引をされる場合に減農薬というのが取引としてうまくいくのかどうか、そういうのを含めて、またこれもお伺いしたい。よろしくお願いいたします。
  88. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 一番先に、特にどの点をお答えしてよいかわかりませんが、ガイドラインにつきましては、御承知のように我々反対しておるわけなんです。特に、有機農産物というものが独立してほかのものと違うものだということの認識を得るようにという親心で当局はやられたようですが、実際問題としては混同してしまいまして、無農薬とかそれからそういうものがずっとむしろやりやすくなってきているということが実際の問題なんですよね。それで、本当に紛らわしいものがいっぱい出てくるという、そこにかなり問題があると思います。  それから、生産現場の中ではこれが実際ちゃんとしたものがどうであるかという、生産行程管理者というのがこの法の中に出てきておりますが、それだけのことはできません、実際には。これは生産者がみずからならできる、その良心に従えばできるのですが、第三者がこれをやるということは、農業、特に青物生産のあの中では、これは私どもは不可能だと見ております。これは信頼関係のみが出てくるのです。ですから、たとえ市場へ行くにしてもこれはあくまでも提携ということが基本原則にないことにはできません。  ですから、私どもはそういう場合は、強いて市場原理を入れるとなれば、今本当にその反動としてというのか補いとして、市町村で朝市なんかやっておりますよね。ああいうものは自然発生的に出てきておるのです。それを中央市場へという法律をつくりまして、そして入れたものは出すことがないのですよね、あれは。値を決めたとおりに売らなくちゃならないのですよね、法律で。こんなことは自由の弾圧ですよ、実際が。それではどうにもならぬから、それの言うとおりのものをつくるようなことになってしまって、消費者にあるんじゃないのですよ、その中間の流通する方々の御都合のよいように実際生産をされておる、せざるを得ない。そうすると、そこへ規格が入るからなおひどく一層それが促進されてきて、本当に悪いものが平気で、しかも悪いものの方が大手を振って通るということが一つ出てきます。  それからいま一つJAS規格をつけますと、私どもも実際困っておるのは、有機農業ということがこうなってくると、これはピンからキリまでありますが、本当にまじめな消費者の団体もあるし、消費者中心の協同組合もありますし生協もございますが、本当にもうけということを中心にやる方々もないじゃないと思われます、実際見ておって。そうして、あれをつくれこれをつくれ、こういう薬をかける、紛らわしいものが、高いのが出てくるのですよ、こういう肥料を使えと。その両面をやっておる。実際我々はそういう苦情を聞きます。私どものところへも、有機農業研究会などということで、そこへ行けば売れるだろうなんて来る方々があるのですよね。本当に困ってしまうようなことがありますから、そういうことが事実行われるということがありまして、私は、JASをやると一層そういうことが、とにかく生産のチェックができない。それから、消費の方は、聞きますと、先ほど生協の方、片桐さんですか、私傍聴しておりますと、製品のチェックはできませんと言っていましたよね。できないのです。だから、できないものにどうしてそのJASをつけるかということが私はわからないのです。ますます乱れますよ、両方できないものが。  ですからこれは、私は、頭で考えるとあれになるのです、現状認識を中心に考えるとあれになるのです、いろいろなものがあるから。しかし、根本的なものを考えたら、あれは最も悪い法律なんですね。最も混乱させていく法律です。人間の生活も何も全部低い方へ低い方へと持っていく法律なんです。そうならざるを得ないのです。できるのです、それは。味を考えずに無農薬なんということは幾らでもできるのですよ、実際が。無化学肥料も幾らでもできる。しかしながら、質を考え、味を考えるといろいろと研究しなくちゃならぬのです。それが生産者としては当然ですよ。  だから、そういうことを考えますと、実際のことを言って、今のあれでいくと、もう生産行程が完全にちゃんとした正しいものであるかどうかという固定ができませんし、今度は消費の方でいったらなおできない。しかも、小分けというものを何かはっきり是認することになりますと、小分け業者が一生懸命良心的にやっても、隣に格好のよいものがあるとうっかりしてまぜてしまってその表示をつけたということさえあります。ありがちなことだと思いますよ。自分だけでできないから人も頼む、アルバイトに頼むとそんなことの危険性というのはいっぱいあるのですよ、それは意識しなくても。そういうことを内蔵したものを法律でやる。しかも私が心配になるのは、法律でやって、しかも今やっておいて後でいつか入れるという、しかし、入れ物だけつくって何を入れるか全然わからないということですね。どういうことかと私どもは思うのです。  そんなことでよろしゅうございますか。まだ足りないことがあったら申し上げますが、よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
  89. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  せんだっては御指導いただきまして大変ありがとうございました。  先ほど無農薬というのが入っているかどうか、またそれは確認できるのかというお話でございましたが、試しに、ここに数字をちょっと申し上げたいと思いますが、平成五年五月二十四日、当社の構内に入ってまいりました野菜は全部で三千九百八キロ、いわゆる有機野菜ですね、約四トンでございます。その中で区分けをいたしますと、有機農産物表示をされたものは二千三百四十四キロ、転換期間有機農産物千五百二十四キロ、無化学肥料栽培農産物四十キロということでございまして、現在、減農薬並びに減化学肥料表示のあるものは入ってきておりません。将来は別といたしまして、現在はございません。  以上でよろしゅうございますか。
  90. 有川清次

    ○有川委員 時間が余りありませんので、次に移りたいと思います。  田中参考人にもう一つお伺いいたしますけれども、先ほどの質問でもちょっとあったのですが、私は現地にお伺いしたときに、人が見える生産者、これの場合に、会社の方で現地に十二名でしたか派遣をして、農家と折衝しながら信頼をとってというお話があったと思うのです。先ほどは、これからはいろいろな認定をする機関がというお話でしたが、今度のようなJAS法がいけば、消費者の場合に、中央青果の場合にそれらを確認するのは非常に難しくなってくると思うのですが、その辺の見解を一つ。  それからもう一つは、価値が高くなる、そういう商品ということが有機農業の場合は言われておるわけですが、今、澤登さんの方からも消費者の信頼を得るには評価をきちっとする、なかなか信頼を得るのは難しい、こういうお話があったわけですけれども消費者の信頼を失ってしまえばこの法案が根本から崩れる、そういうものに思うのですが、有機農業振興発展のためにそうした阻害するものをしてはならぬということで、それでは澤登さん、どのような形をお考えなのか、それが一つ。  さらに、田中さんの方からは、そういう有機農産物についてまがいものが淘汰されるというお話がさっきちょっとあったのですが、逆には、澤登参考人の方からは、まがいものを出してそういう付加価値の高いものだということで売っていく、こういう心配がある。二つの意見が相反するわけですけれども、その辺をちょっとそれぞれお聞かせください。
  91. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  個性化商品コーナーを設けましたときに私が大変悩みに思いましたのは、先ほど申し上げたとおりの、判定が難しい、我々が言ったとおりに受け取っていいのかどうかという一つの良心からくる疑問があったわけであります。したがいまして、それに伴いまして、先ほど先生からおっしゃいましたように、十二人の連中を全部産地へ派遣をいたしまして、その人たちの作物をつくったり、施肥をしたり、化学肥料をつぎ込んだりするような作業行程を全部お伺いしたり、あるいは対話を繰り返したりしながら、これだけやっていらっしゃるのなら、それなら信頼をしていいだろうということで、このJAS法制定以前の問題でございますから、そういうことで商品を確認、確認といいますか一応了承をいたしまして、そのコーナーの中で販売をした、こういうことでございます。  したがいまして、規格がはっきりできますれば、もちろん産地との交流は当然しなければなりませんけれども、それなりの基準が示されるということになりますと、我々の心配あるいは消費者における心配というのはなくなるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  それから付加価値の問題でございますが、商品の判定は基本的にはやはり商品がいいか悪いかということが一番先に前提として出てくると思います、ほかの工業規格の製品もそうであろうと思いますけれども。それに有機の野菜を欲しいという消費者の願望が合致したときに、同じ商品が並んだ場合、同じ評価がなされた場合、これは有機のものですと言ったときに有機を欲しい人がいらっしゃった場合は、それはそれなりの消費者自身価値観によって評価が高くなるのであろう、量が少なければその割合は高くなるだろうというふうに考えるわけで、わかりづらい表現で大変申しわけないのですが、今の段階では、数字的に確実に二割、確実に三割高いというようなことにはなっておりませんので、場合によっては通常出荷のものと同じか、あるいは一〇%か二〇%高いくらいの程度がなというふうな受けとめ方、そして現実でございます。  それから、いわゆるまがいものと申し上げましたのは、どういうふうに言ったらよろしゅうございますか、産地によりましては有機とつけてくれば何でも高く売れるというような考えのある産地もあったわけでございまして、有機を全く使っていない生産はないと思いますけれども、その有機の投入の大小は全くわかりませんで、ただ有機有機ということを箱にべた書きにしてくる産地が比較的ふえてきてしまった。そこで本物との区別はどういうふうにしてつけるのかということになりますと、先ほど申し上げましたように、現地に行きまして、いろいろ検査と言うと語弊がありますけれども、信頼関係を醸成しまして、お互いに努力しようという形で来たわけであります。  ですから、先ほど申し上げましたように、有機とつければ高く売れるというような感覚は今後はなくなってくるというふうに思いますし、また、有機栽培でないものを有機としてつけてくること自体には全く問題があるわけでありますから、これらが急激に減少をしている、そのかわりに正規の手続を、ガイドラインの手続を踏んだものが出てきておる、こういうことでございます。  よろしゅうございましょうか。
  92. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 お答えします。  このことは、農政の根本が変わらないと、基本的に有機農産物が当たり前の農業である、本来の農業であると、それが変わらないと、本当のことを言ってどうにもならないと思うのです。あくまでも付加価値で、法律の中の説明の中にもうたってあるように、特殊な栽培をすれば価値が上がるという、その考え方に問題があって、価値が上がる栽培というのは、だれもいつもやらなくてはならないことですよ。当たり前のことなんですね。だから、そのことが大事だと思うのです。その認識がないと、いつになってもこれはもうイタチごっこでどうにもならぬし、まがいものが出ない方が不思議になってしまうのです。  まがいものであるかないかという判定ができないですから、できないものへ印をつけるということは、私はどう考えても論理が、ロジックが合わないというのが本当のことなんです。ですから、あくまでも徹底的に、多少我々の仲間の中でも、ではそれを化学肥料をどう使った、何をやったということを添加物と同じように書いたらどうだという言い方まであるのですが、それはもうとても、ネギ一本に書き切れませんからね。  ですから私は、基本的な信頼関係ですよ。徹底的に農政方向なり国民の考え方方向が意欲的でないと、本当に民族が滅んでしまう、本当に農村はがたがた人が減っておって、跡取りがないですからね。有機農業でやれば、まだ救いはあるのです。まだということから始まりまして、逆に言うと、積極的に言えば有機農業でなければもう農業はやっていけないところに来ておるのですよ、実際には。その認識を皆さんが持っていただけば、おのずから解決することでございます。それがなくて、まず付加価値でつって高く売れるからやるとなると、それはまがいものが入らぬ方が今の世の中ではおかしい。そこで、今やったらまがいものをはんらんさせる一つのお墨つきをやるようなことになるということが、これが私は一番の認識の基本になると思うのですが、いかがでしょうか。
  93. 有川清次

    ○有川委員 もう時間がありませんが、それぞれ一つずつお伺いいたします。  田中参考人に、けさ小平委員片桐さんにちょっと聞かれた中で、今消費者の方が、形のいいもの、曲がってないもの、光ったものとか、いろいろ要求がある、消費者教育こそ大事ではないかという問題が言われました。まさにそのとおりと思いますが、市場を担当しながらそれをどう考えていらっしやるのか。  それから澤登さんも、時間がありませんので簡潔にお伺いしたいのですけれども有機農業振興策がまず底辺にあって日本農政方向を変えてやることが先決だ、こういうふうにおっしゃるわけです。そういう面が多々あると思いますけれども、今実際体験をされまして、普通の農作物から有機に変える場合、どうしても種の問題も改良の問題やらいろいろありますね。病気も幾らか入るだろう、害虫も最初はあるだろう、そういうのに対して、本来ならゆっくりいろいろな苦労談を聞きたかったのですが、財政的な面でもっと思い切って政府なりは援助をしてそういうのを振興させる方がいいんじゃないか、財政的にそんなものなくてもやれるよということなのか、その点を簡単にそれぞれ。
  94. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  規格の問題につきましては、この問題とは別に今の園芸生産並びに販売につきましては大変問題になっておることであります。ということは、労力が非常に減少してきておる、農家でも後継ぎが余りいないというような現状の中で、生産に十分精力を尽くしていただくということ以外にさらに夜まで選別にかかるというような形は、決して将来的にいい方向ではないだろうということを現在私ども認識しております。したがいまして、今までのように形の真っすぐなもの、秀品オンリー、鋳型にはめてつくったようなものというような形ではなくて、それなりの商品の個性を備えておるものについて選別規格を非常に簡素化をいたしましてやっていこう、労力を減らそうという形に向かっております。野菜、果物とも数品目ずつ、そういう段階で、日園連、全農を通じまして現在やっております。  したがいまして、それに伴いまして有機農産物についても、先ほど申し上げましたように、泥つきとかあるいは無選別とかそういうものの受け入れについても、市場としてはそれなりに受け入れ、販売をし、そしてそれが価値あることだということで理解をいたしておるのが現状でございます。  以上でございます。
  95. 平沼赳夫

    平沼委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
  96. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 簡潔に申し上げます。  はっきり有機を目指して品種を変えると、果樹なんかは三年、五年大変ですね。技術的には高接ぎとか根接ぎとかいろいろありますが、そういうときの所得方式ということをJASじゃなくて農政の中でやっていただく、そうすればそれはできるはずですね、これは。ありがとうございました。
  97. 有川清次

    ○有川委員 お二方、どうもありがとうございました。  これで終わります。
  98. 平沼赳夫

    平沼委員長 宮地正介君。
  99. 宮地正介

    ○宮地委員 公明党の宮地正介でございます。  本日は、大変に御多忙の中を田中参考人並びに澤登参考人には当農林水産委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をちょうだいいたしまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  二十分間という限られた時間でございますので、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  最初に澤登参考人にお伺いいたしますが、参考人は、まさに生命産業が有機農業であるという農業の基本的な原点と哲学を述べられ、またみずからが農業の体験者として七十七歳という御高齢の申、信念に基づいて有機農業の振興をされていることには、私は心から敬意を表したいと思っております。  本日の当委員会における皆様方の御意見は、まさに新しい農業のこれからの日本の活性化の中で、昨年六月農林水産省の事務次官が中心となってまとめたいわゆる農業の新しい政策、新農政、これをどうやって法律化し、今後農業の発展に結びつけていくか、こういうことで、今国会におきましては十一本の法案の中でも特に新農政の中核となる農業三法、そして本日のJAS法改正案が農林水産省から出されてきたわけであります。  この新農政は、環境保全型農業が基本になり、これからの農業を活性化していくためには法人化あるいは大規模化を志向していくのだ、そして農業の担い手の少ない中、若い後継者にも魅力のある農業、生産性の上がる農業をつくり上げていくために、生涯所得二億円から二億五千万程度の所得が得られるような農業づくりをしていこう、こういうことが報告書の中で書かれ、そして本日のJAS法改正案審議になっているわけであります。  新農政の中でいわゆる有機農業についての活字を探してみましたら、一行だけありました。今参考人が、生命産業であり大変重要なこの有機農業というものは日本農政の根幹に置くべきである、こう主張されております。しかし今、政府は、環境保全型農業でいくべきであるという基本に立って新農政がつくられております。我々国会議員として、日本のこれからの二十一世紀に向けての農業の活性化、発展をしていく中で、この両方の大変隔たった乖離を少しでも埋めて共存共栄ができないのか、あるいはお互いのいい面を生かして日本の農業の活性化のために役立たせることはできないのか、ここに大変苦慮しているわけでございます。  澤登参考人の御意見を伺いまして、参考人として参考人の哲学、理念、私は敬意を表しますが、一方においてはやはり生産性という問題も決して避けて通ってはならない重要な課題であります。この共存共栄は可能なのかどうか、この点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  100. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 私どもは実は可能だと思っております。また、可能にしなくてはならぬし、そこに人間がおるのですから、可能にしないなんということが言えた義理じゃないですよね、同じ生物の仲間として。そしてそのことば、私は有機農業ということは単なる言葉でなくて、やはり植物と我々または環境と我々、お互いに有機の関係があると思うのです。消費者生産者有機の関係があって、その有機的に結びつくという意味有機農業という言葉がいろいろな中でずっと皆さんの中に浸透してきたと思っておるのですよ。  そういう人間関係なり植物と人間の関係、そういうものをずっとしておって、一つの問題点は、例えば南方の焼き畑農業になってみたり、それから日本でもゴルフ場をやってみたり、これは徹底的な環境破壊ということはよくわかっていることなんだ。ところが、実際ゴルフ場を推進してきたのはだれだと言いたくなるのですよね。ゴルフ場の中で何とかの政治の話をしたのはだれだろうか。そこで次の総理大臣が決まったということになったら困ってしまうんですね、これは実際。ところが、遺憾ながら、そうしてそういう人が、人というと困りますが、そういう集団が日本をリードしてきたことも事実ですから、まずそこが一つは問題になると思います、大きい意味では。  それから、具体的に、技術的に言えば、我々の有機農業の定義の中でも、環境を破壊することなくと、消極的ですが、そういう文句を入れております。今後はよりよく環境をつくるという立場有機農業があるということを私どもはやらなくちゃならぬと思っています。  そのことは、御承知のように、もうこれは語り尽くされていることなんですが、除草剤をやって、人間が死ぬし虫も死ぬし、それから牛や馬がそれを食べて死んだ話がいっぱいあるわけですよ。それが川へ流れていって魚が死んだ話もいっぱいあります。そして最後に海まで残っていって、またその魚を人間が食べて害がある。そういう問題がいっぱい出てきますよね。そのことを農業は一回まず断ち切っていくということが一つあります。農業の問題では特にあります。  肥料でもそうですよね。特にこれは、先ほどの規模拡大の問題と続きますが、日本の農業の今の技術の中の基底にあるものは、西欧の先進地と言われているところのドライカルチャーの思想がずっと入ってきているのです。平たんなところで機械化でやろうという思想がずっと入ってきて、それがよいことだという考え方、これは日本人の中にずっとあります。  今になっても、例えばキウイフルーツが、日本のキウイフルーツがうまいんですよ、ちゃんとやれば。ところが、それにニュージーランドというレッテルを張った方が高く売れる。そこにまたJASの問題点があるけれどもJASというものはどんどん張れるんですから、幾らでも張れるんですよ、小分け業者が張り出せば。本当に笑い話です、実際。だから、それをやろうというでしょう。これはちょっとJASになってしまいましたが、それはやはり環境とくっついていきます、率直に言って。ですから農業は、私ども環境保全をやりながら農業をやっていく。  ですから、私は特に一番私の身に近いことを申し上げますと、私は冬は自分のブドウ園の草の中にいるんです。今はもう草が生えてこのくらいになりますよ。自分の通る道だけは草のないようにして。そうしますと、冬の太陽のエネルギーをむだにしているわけですよね。草が生えるとバイオマスでずっと草が生えできます。草を今まで邪魔にしたんですが、そうじゃないんです。この草があることによって有機物が自分の園で自給できるのです。労力もずっと、草が耕してくれるから耕さなくてもよいのですよ。あとは少しの、一つの足りないもの、例えば海のもの、海藻類とかそういうものを少し補えばどんどんブドウも育っていきますし、果樹なんかどんどん育っていきます。その方がはるかにうまいのです。理論的にも、雑草がないと菌根菌が繁殖しないということがはっきりわかりました。  というのはどういうことかというと、火山灰土が多い日本では、菌根菌がないと燐酸を吸収することができないのです。菌根菌の内生菌、外生菌があってできるのです。そういうことが今わかってきて、今までは草を取れと言った山梨県の果樹の指導者が、最近は夏にできるだけ雑草を生やせということになっている。差し支えない限りは雑草を生やせということ、そのことは、一つ環境保全につながってきます。  それに似たことが、一つの例を申し上げたが、いっぱいあります。例えば水田だって、水田に除草剤をまけばどうにもならぬが、私どもの関係者はもう最近は水田を耕起しないんです。そうするとずっと楽になるんです。一つは、まず耕起するトラクターの金だけで大変ですから、それももうなくなる。それから、そこへレンゲソウを植えるとそれが肥料になる。それで有機になる。それから、土の中へ生えるとそれが耕してくれるから、耕起しなくてもよいのです。それで除草もしなくていいのです。あるときに水をかけてレンゲソウを植える前に土の中へやると表面にぴったりつきますから、草が生えてこないのです。また、もっと上の人は、今度はそれにコイを飼います。またコイもとれるのですよ。それから、さらにもっともうかった人は、ドジョウを飼ったらドジョウの方が一反歩二百万になったという笑い話のような困ったようなありがたいような話があるのです。アイガモもそうなんですよね、九州なんかで。そういう問題がいっぱいありますから、まだまだ開発面が出て、環境をよくする問題がいっぱい出てくると思います。  ですから、今の技術体系からいけば農薬環境破壊のものです。しかし、有機農業でいけば環境をよくする、助長する産業なんです。私どもはそうであらなくちゃならぬと思っております。そういうふうに思っておりますがね。よろしゅうございますか。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、田中参考人にお伺いをしたいと思います。  今回のこのJAS法改正一つの重要な柱がいわゆる特定JAS規格の導入、俗称つくり方JAS、こういうふうに言われているわけですね。まさに今国民のニーズは、まず健康、生命に安全なものである、そして新鮮なものである、そしてなお、おいしいものである。また、日本の場合は大変に形もよく、またそれにプラスになっておりますが、新鮮で安全でおいしいもの、こういう国民のニーズにこたえて、大変田中さんも青果市場の中で御苦労されている。  先ほどの御報告を伺いますと、有機農産物は四百トンくらいで、全入荷量の一%ぐらいである。そして、新しい有機農産物のコーナーを設けておられる。価格は少し、一割か二割高いという傾向にある。こういうお話を伺いまして、私、率直にいって妥当なところかなという感じがしているわけです。  ただ、やはり今後気をつけなければいかぬのは、まがいものですね。まがいものというのは悪徳商法になるのですね、本物じゃありませんから。特に最近いろいろまがいものがはやって、国民をだますということで、これはむしろ悪徳商法、こういうことです。このまがいものを退治しなければいかぬと思うのですね。そういう意味で、つくり方JASの導入というものは本当にまがいものを除去することができるんだろうかどうか、これがやはり一つの大きなポイントだと思いますね。やはり消費者のニーズにこたえるためには、そうした問題は大変重要な問題である。  現場にいる田中さんとして、今回のこの特定JASの導入によってまがいものが除去できる、そうしたことに貢献が高い、こういうふうに評価されておるのであれば、その辺についての現場の状況をちょっと御報告いただければありがたいと思います。
  102. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  今先生がお話しをいただきましたことがやはり一番重要な課題だというふうに受けとめております。先ほどもちょっと申し上げましたように、今の、特に野菜の栽培において有機を全く使わないという栽培はほとんどないと思います。したがって、大なり小なり有機は使っておりますから、有機を使っていますよというようなことで容器に有機というふうに書いてきておる人たちもいると思うのです。  ですから、本来の、ガイドラインでも有機とはこういうものですということをガイドラインとしてお示しを願っておるわけでありますから、JASについて、ガイドラインをそのままJASに移行するということではないように承っておりますが、その審議の過程の中で完全な格付をされるということでございましたら、それは大変な効果が生まれてくると思いますし、生産者消費者もそれなりの大きな保護が受けられるんじゃないかというふうに考えております。
  103. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、時間が参りましたからもう一度田中参考人に伺っておきたいのですが、ガイドラインが昨年の十月につくられ、本年四月から実施をされました。消費者の皆さん、我々もそうですが、有機と書いてあるのと無農薬と書いてあるのと減農薬、これはなかなかわかりづらいのですね。特に無農薬有機、むしろ無農薬というのは農薬を一切使っていないじゃないか、だからこれはいいのじゃないかという消費者の感じが強いのですね。有機だと逆に何かちょっとという感じがまだあるわけですね。このわかりづらいというところは今後農水省にも十分検討してもらって、見直し規定もあるわけですから、これは見直しをしていかなければいけないなと思っているわけです。  率直に言って、見直しをスピーディーに処理した方がいいのかどうか、この点について御感想をお伺いして終わりたいと思います。
  104. 田中卓巳

    田中参考人 お答え申し上げます。  先生が今おっしゃったことについては、わかりづらいというのは、無農薬が一番いいのじゃないか、有機よりも無農薬の方がいいのじゃないかというような考え方のそごが若干あるように感じます。ですから、これは消費者の皆さんにこの差をわかってもらうような説明をすることが一方においては必要だと思いますし、あるいはそういうわかりづらさを何らかの方法で解決できるものであれば、またそういうふうに考えていただくということだと思います。すべては今後の問題ということで課題になると思います。  以上、終わります。
  105. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは限られた時間で大変にありがとうございました。参考人の皆さんもこの法案の改正に伴っていろいろまた御苦労も多いと思いますが、あくまでも国民の、消費者のニーズ、また生産者の、澤登先生のような生命尊重という立場から農業を活性化していくべきであるという大変すばらしい哲学、そうした理念を生産性の向上、今後の活性化にどうつなげていくか、私はこれも大きな課題であろうと思います。先生方の御活躍をお祈り申し上げ、お礼にかえさせていただきます。  本日は大変ありがとうございました。
  106. 平沼赳夫

    平沼委員長 藤田スミ君。
  107. 藤田スミ

    ○藤田(スミ)委員 参考人の皆さん、本当にきょうはありがとうございます。  私は、まず最初に澤登参考人にお伺いをしたいと思いますが、今回この法案の審議に当たりまして、日本有機農業研究会にもお邪魔をいたしまして大変勉強をさせていただきました。きょうもまたお話を聞かせていただきまして、問題点のほどが大変よくわかったつもりでございますが、先生が日本の農業は本来全部有機だったのだとおっしゃるように、私も食べ物は命の大もとなんだから、もともと全部安全だったのだと思うわけです。ところが、このごろは安全な食品を求めるために高いお金をあえて出していかなければならないということになっておりますことに大変怒りを感じております。  いろいろお伺いをしたいわけでありますが、先ほどのお話の中でも、要するに、今は日本有機農業に対する位置づけがないじゃないかということをおっしゃいました。今具体的に御意見を伺いたいわけですが、有機農業をやっていらっしゃる農家の皆さんに、それじゃどうすることが大事なのか、それから、総合的な政策を進めていかなければいけないということは、その柱はどういうものなのかということを少し簡潔にお伺いしたいわけです。
  108. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 大変な質問でございまして、これはきっと農林大臣でも正確な答弁ができないようなことだろうと思います。  ただ、私ども本当は、まず当たり前のことをやるということだと思うのです。当たり前の農業と私どもいつも申し上げておるのですが、やはりそれは日本の食糧を自給しなければならぬという意欲がないといけないと思うのです。それがなくて、その考えがなくて、もうかればよいということになったらどうにもならない。もうからなくても食糧の自給だけはやろうということを農民自身は本当は覚悟しておると私は思うのです。覚悟しておるのに、もうかるものを、こっちへえさをぶら下げるような表示をやるからこんなことになる、私はそう思うのです。  だから農民は、私どもは戦前から日本を支えておるんだ、日本の食糧は我々がやらなければだめだという、つの誇りを持っておりましたよ。ところが、今市場原理とか国際何とかといって、それは本当の市場じゃないのですよ、強者の論理なんですよ。アメリカの論理が日本に入ってきてみたり、日本においても一部の、例えば農業の中でも、種苗メーカーがあって、その種苗をつくらなければ補助金を出さぬということさえ実際あるのですよ。そういうことが実際行われております。それから、その上にこの肥料を使えということも出てきておるのです。そして、この機械を使えば補助金をと、機械なんか本当に補助金があった。  私が秩父の農業指導をしておったときに、消毒の機械がないと言うのですよ。本当にないのかと思ったらば、大きい機械が倉庫にあるのです。あそこの何とかさんという有名な代議士さんがいて、その補助金をとってくれるからということで買ったけれども使い道を知らぬと言う。本当に実際そういうのがいっぱいあったのです。本当に笑いたくなってしまうんだけれども、本当にそんなことがいっぱいあります。それが農協の倉庫にあったのです。農民の組織である農協がそうで、それでうちには消毒の機械がないと言う。まあ使い道を知らぬから無理もないですが、そういったようなことがある。それが一つ、最も当たり前でないことだと思うのです。  それからいま一つ、これは私どもの大先輩の一楽さんという農業農政界の天皇と言われる方が、農林省の言うことは何もしないでくれ、されたらかえって困るんだとよく申しておったのですが、そういうことを言いたいということなんです。例えば、有機農業対策室ができたときも先生は反対したのですよ。あんなものができると何をするかわからぬから、やるならば調査だけやってくれ、今の農林省のやり方であれをやれ、これをやれということは言わないでくれと言っておられました。それは一つの真理だと思うのです。ですから、農民のことはまず農民に任せてくれ、そのかわり農民は日本人の生命を維持するだけの、生命を育てるだけの義務があるんだということを農民はみずから実際感じておるのですよ。それがないことにはどうにもならぬ。一般論を申し上げて申しわけございませんが。  そして、具体的には私は何をやるかという問題になれば、けさ来るときも、朝七十何分早く起きて、今言ったようなことをやってきます。それから、私のところでいろいろの事情で研究生がいないようになったから困ったと言ったら、町の小学校の校長先生も手伝いに来てくれたり、奥さんも手伝いに来てくださったりしております。そういうようなことの中で、ひとつその理解を消費者がやってくださいませんか。今の形で、悲しいかな、優秀な人間は全部月給取りになったのです、安定しておりますから。そして、いわゆる第三次産業がいっぱいふえてしまって、悪く言えば、遊んで食ったり伝票のやりとりで食っているような人がいっぱいふえてしまって、まじめに働いている人が本当に少なくなりました。  だから、こちらの担当局長さんが私の農場へ来て見たいなんて言われるから、ぜひ来ていただきたい、そのかわり、作業服を着て、三日、四日泊まり込みでやってください、三日、四日じゃわからぬのだけれども、そのくらいでないとできませんよ、農業のことはわかりませんよ、机の上でどんなに考えてもわからぬと。ですから、これは一生懸命やったと思いますよ。そして、その中で、一生懸命なんでしょうが、今の無農薬とか減農薬とか、ああいうものを入れてしまって、それをガイドラインだと言っても、先ほどの田中さんのお話を聞くと、余りそういうのが出てこないと言うんです。当たり前ですよね。  そういうことをえらい苦労してやって、議論対象にまでなってしまったんです。それで、議論対象でも、農林省の東京の第一線の方々は、無農薬はやめましょうやと言われました、私どもにも。それは本心ですが、今度も実際はこういうことを言われましたよ、本当の担当の方は、ガイドラインを出しておって、今どうしてJASをやるんですかと。それは農林省の内部から出ましたよ。名を申し上げると首になってはいかぬから申し上げませんが、本当はその人が功労者ですが、そういうことを私にしみじみ申されました。それが本当ですよ。そういうことをあえてやるという体制が、これは率直に言って日本にあるんだね。体制があるんですよね。その体制の一番の親方が、御承知のように金丸さんだったかもしらぬ、象徴的に。象徴的にですが、そういう体制なりあれが全部、これは自民党ばかりでなくて、きっとあらゆる中にある。我々の中にもあると思いますよ。そこを反省した中でやらないと、私はどうにもならぬと思います。  飽食の時代といっても、五〇%の食糧エネルギーすら持っておらなくて何が飽食だということですよ。最も貧乏なんですよね。それを豊かだと思っていることに間違いがあります。豊かということは、やはり食べるものがちゃんと正しくあることが一番よい。そこに価値のある、楽しい食べ物があって、楽しい家庭があるものを、今のところあれでしょう、大きなマンションだか何かに住んで、幼稚園に入れるのにも予備校があるという話にまでなってきて、いい学校を出てずっとやって、東大へ入って出てきた方々がと言っては申しわけないが、象徴的な話ですから、そういう方々が鉛筆をなめなめ計画を立てていただいたら、農村がつぶれない方がおかしいですわね、実際が。これで生きたら、世の中とうにもならぬですよ、それは実際が。それが農政の基本的な、本当に当たり前のことで、常識的なこともやらないということに問題がある。  だから、今度なんかまずやらなくて、有機農業が本当の農業だという腹を決めれば、それに応じた技術はいっぱいあるんです。先祖が持っておりました。我々も苦労して、弾圧の中でつくりました。そういう品種もつくりました。先ほど、雨が多いから確かに病気がふえることはあれですが、ヨーロッパのアルカリ土壌で、三百ミリか四百ミリのところで育った品種を持ってきて、それは病気にならぬ方がうそですよ、酸性土壌で雨が多いところで。  ところが、私は、シルクロード、ソ連側へも昭和三十八年に、まだ国交がないときに参りました。それからパキスタン、アフガニスタン、それからインドの方も歩きました。それから中国の方も許可されてから何回か行ってみたんですが、苦労してだんだん持ってきたものを、日本には元来あったものは、野菜でも原生のものはミツバぐらいしかなかったというんです。それを、スイカなんて西のウリと書いたり、キュウリだって胡のウリと書くわけでしょう。そういうのをみんな向こうから持ってきた中で、順々に改良していったんですよ、知らない間に。それが、私どもは母に言われたり父に言われたり、それから先生に言われたことは、品種にまさる技術なしということを言われたんです。  ところが、先ほど言われたように、今の品種は、化学農業、化学農法を中心とした、化学肥料をうんとかけて、それにも耐えるような、耐肥性の稲というものをつくった、私はそれのちゃんとした記録を見ましたよ、農林省の。肥料にうんと耐えるものをつくれ、こういうわけです。肥料をうんとかけろというわけですよ。  それから今度は、病気が出たら次々と新しい薬を使う。実際に、有機農業で今農林省の許可されている薬を使えば、ほとんど大丈夫なんですよ。それは硫黄とか石灰とか硫黄合剤とかボルドー液とか除虫菊を使えば、かなりのものはいくんですよ。ところが、私が農業会社に話をしたら、澤登さん、そうだけれども、それじやおれたちがもうからぬ、大体、大学を出た人を幾人も入れておくのには、とてもそんなことでなく、もっと何とかというあらゆる研究をして、何とかカメの甲がくっついたようなものをやれば、それはもうかって、そして耐性が出てくるからわかるから、三年使ったらもうだめになるという薬を使えばまたもうかると言うのです。今度は次のこちらの薬を使うのです。品種もそうですよ。そういうことを言われて、私、ほとほと参ったですよ。
  109. 平沼赳夫

    平沼委員長 澤登参考人に申し上げますが、まだ質問がおありのようですから、簡潔に……。
  110. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 簡潔でなくて申しわけございませんが、以上ですが、いいと言われると調子つきますからね。しかも、自民党の方に言われれば本当にうれしくて、今度は自民党の方が否決に回ってくれると思うので、ぜひやってください。  私は本当に山本さんと話したらこう言うんですよ。おれはいいけれども、澤登さん、本当にどうもみんながな、こう言うんですよ。どこへ行ってもみんなが、おれはいいけれども、みんながなという話ばかりで、だからあれはあった方がいいなんて、先ごろも私の後輩の国土庁の次官のところへ朝早く行ったら、本当におれもそう思うけれども、どうもみんながな、筆頭理事だったですね、あの方、杉浦さんね、そんな話に相なるわけなんです。  ですから、この際私は、全部今がらがらで新しく新体制の政治体制をつくるそうですから、全部そういうことにこだわらずにひとつこれはやってもらえば、必ず否決されて、本当の農業の生きる道が生まれてくると思っております。  余り長くなると怒られますから、これで失礼します。ありがとうございました。
  111. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 残り時間わずかになりまして、田中参考人にちょっとまとめて恐縮でございますが、私ども、野菜産地に参りましていつもびっくりするのは、卸売市場に野菜を出荷した後、卸売市場で虫が野菜から出てきたり見つかったりすると、値が全くつかなくなるんだという訴えを何度も聞かされているわけです。したがって、野菜産地では虫の混入に大変気を使いまして、農薬の徹底的な散布ということにもまたなっていくわけでありますけれども、どうして虫の混入があったときに値がつかなくなるのか。消費者――消費者と言われると、これまた消費者の一人として、そうじゃありません、こう言いたくなるわけでありまして、こういう要するにばかげた商習慣というようなものは改善できないものか、この点が一点です。  それから、今回のJAS法改正のきっかけになったのは、先ほど参考人自身がおっしゃったかと思いますが、公取委が有機農産物や無農薬などの不当表示に対する警告を行って、そしてそのことから始まってきたというふうに思いますが、いずれにしても、あの警告以降、不当表示が大分減ったのではないかと思います。一罰百戒ということではありませんが、公取が不当表示だということで摘発をしていったら、改めて今回の法改正を行うことなく不当表示はなくなっていくのじゃないか、また、産地の自主規制をもっと厳格に行うことが、かなりそういう不当表示を解決する大きなかぎになるのじゃないかというふうに考えます。この点が二点目です。  恐縮ですが、もう一点だけせっかくですから御意見をお聞かせください。  先日、大田市場でアメリカのコロラド州の有機農産物を大規模に経営している関係者の方が講演されまして、今回のJAS改正がなされたら、日本市場に大量の有機農産物を輸出したいという希望のほどを得々と述べられたと聞いておりますが、そういうこれからの動向についてどう見られるか、三点です。
  112. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  第一点は、虫が出ると市場において全く商品価値が失われて買いたたかれるというような御意見でございます。  ほかの商品でもそうでしょうけれども、本来その商品がもっておる特性、形状、色沢その他は備えておるということがやはり一つ商品条件ではあろうと思います。したがいまして、虫食いが、例えばキャベツのしんの中まで虫がいっぱいいてどうしようもないというような状態ではなくて、先生おっしゃるのは、一匹や二匹いるケースがあるとそれはだめだということだと思います。私どもは、そういう話に対しては、虫が一匹ぐらいいるのは、虫が住んでいるくらい安全なんだ、おいしいんだというようなことを言っておるわけでございまして、価格的に軽微な虫食い等についてはそう大きく問題にしてはおりません。壊滅的なものについては、もう論外だと思います。  それから、公取が不当表示の問題を提示したら違反者が減少した、こうおっしゃるわけでございます  農業生産物につきましては、一連のガイドラインからの流れもございまして、つくり方の表示という新しいタイプを今お考えになっておるわけでございますから、それは、枠組みとしては一応その中で検討をし、新たな表示をするということについては私は反対しないところでございます。  それから、コロラドの問題でございますが、確かに大田市場で講演が行われまして、先生いらっしゃったそうでございます。  いずれにしても、向こうの段階では、もうからないものはやりません、そして喜ばれるものをつくりますというようなことでございまして、日本有機の、例えばJAS法制定をいたしましたらどんどん送り込みたいというお話だったように思うわけでございますが、全くその可能性がないというわけにはいかないと思います。これは青果物でございまして、相場ももちろんあるわけでございまして、アメリカの価格と日本の価格との差というものもあるわけでございます。あるいは商品性の問題からいきまして、腐敗するものについて、かなりのコールドチェーン等を使いましても問題があるものについてはやはり制約を受けてくるのじゃないかと思います。ただ、原則論からいけば、全く来ないということはないというふうに思います。したがいまして、今考えられているJASの特定につきましては、有機については共通の形をとっていらっしゃるのじゃないか、そういうふうにお考えいただいているのじゃないかと考えております。  以上でございます。
  113. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ありがとうございました。  ぜひ卸売市場の方で、小さな、虫眼鏡で探さなければならないような虫がいたからどうの、いなかったからどうのという商習慣を本当に改めてほしい。その責任が何か全部消費者の選択の方にあるかのようなことを言われると、それでは一体、有機栽培でいっぱい虫食いのあるものを好んで食べている消費者はどういうふうに考えるのだ、こう言いたくなるわけでありまして、その点は重ねて申し上げておきたいと思います。  せっかくの機会で、もっといろいろとお話を聞かせていただきたかったのですが、時間が参りましたので、これで終わります。本当にどうもありがとうございました。
  114. 平沼赳夫

    平沼委員長 小平忠正君。
  115. 小平忠正

    ○小平委員 私は、民社党の小平忠正であります。  田中参考人、澤登参考人、お二方には、大変お忙しいところの本委員会の御出席、そして貴重な御意見、まことにありがとうございました。私からも何点がお尋ねをいたします。  まず私は、午前中の参考人への質問でも触れたことですけれども、この問題は、消費者と同時に生産者、両サイドがきちんとうまくいくことが大事だと思います。この時間は特に生産者立場での御意見を開陳いただきましたが、特に澤登さんには、有機栽培有機質農業万能、そういう御主張でございます。私は、それも一つの立派なお考えであって、確かに、そもそも農業はそこからスタートしましたし、それによって良質で安全な農産物、食糧を提供してきました。その後、御承知のように、いわゆる規模拡大によっていろいろな諸条件が加味されて、また機械化等も進むことによって、今度は化学肥料というものが主体になってきた、これも歴史の事実でございます。  そういう中で、私は、農家の皆さんもただむやみやたらと化学肥料を使っているのではないと思います。本心は、できるならばそういうものは使いたくない。今時に消費者に対してもこういう安全性の問題、また費用の面からいいましても、できるならば、それを使わないで済むならば使いたくないというのが皆さんの本音だろうと私は思います。しかし、必要に迫られて、また生産性の意味からも化学肥料農薬を使っている。  そこで、私は思うのでありますけれども有機栽培、これは確かによいと思います。しかし問題は、有機栽培だから、有機質肥料を使った農産物だから絶対に安全だということは言えないと思うのです。問題はその有機質、いわゆる堆肥を主体にしたものでございますが、それがどのように使われているかということ。例えば、有機質が万能だからといって、有機肥料が万能だからといって、これを多用したら決してよくないことは御存じですね。これは、堆肥が完全に腐熟をして、そしてその土壌に合った、またその生産物に合った適切なる使用をして初めておいしくて安全な農産物生産につながると思うのです。そうなると、ただ有機という指定でこれがすべてよいと決めてしまったら、そこに危険があると思うのです。家畜ふん尿による地下水汚染、例えば硝酸塩汚染の問題も現に出ておりますし、これは一つの公害にもなっております。  さて、そういうところで、安全性という面からいうとわかりますけれども、もう一つは、農業は何であろうと土づくりです。その土づくりをするためには堆肥が一番いいということは事実であります。それと、今私が申し上げたこととはちょっと別だと思うのです。  したがって、安全性安全性ということを言うならば、一番理想は、有機の上にあるものは、これは午前中も私申し上げましたけれども、いわゆる自然栽培というか天然栽培というか、人の手をそこに全然投入しないで、自然の恵みの中で生産されたもの、これがやはり一番安全だと思います。しかし、今のこの地球環境の中では、だからといって、水の汚染の問題あるいは空から降ってくる雨の汚染の問題等々で、それだって一〇〇%安全かというと、それも今は安全だとは言い切れません。  そういうようなことを考えますときに、これはお二方にお聞きしたいのですが、まず澤登さん、この有機農業とはどういう要件を満たす農業なのか、特に有機農業は本当に安全なのか、それに堆肥の安全性ということも加味されて御見解をお聞きしたいと思います。それと、田中さんにもこの件について御見解をお聞きしたいと思います。簡潔にお願いします。
  116. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 率直に言いまして、有機農業で今の堆肥のくれ過ぎ、それから特に硝酸態の窒素の問題というのが問題になります。何でもかんでも有機質がよいのだということはなくて、やはりくれるものの選択ということが大事になってまいります。そのことは一つの研究課題で、ずっとやっております。ただ、そういう誤解があるということも事実ですよね。ですから、それが第一。  それから、環境の問題との関係なんですが、ですから、有機農業の私どもの定義は、環境を破壊しないということ、土地の生産力を下げないということ、そういう意味有機質を中心に持っていく。ただ、特に合成された化学物質というのはまだまだ歴史も踏んでもおりませんし、危ないこともいっぱいあるということなんです。まず安全だということを第一にやっておりますが、有機質も危ないものはいっぱいある。特に畜産なんかの関係の中には本当に困って、畜産公害ということを言われているのですが、それに例えば、いろいろのものを使っておるような飼料の中に問題があって、そういうのを拒否しております。ですから、家畜のふん尿を使うのもそういうことをやっております。ただ、これについては、もっともとを正して、畜産の中でちゃんとした有機農業的な考え方、ですから、有機農業というのを単なる狭められた有機農業の作物栽培ということだけでなくて、もっと私どもは広い意味の生活全般の中での考え方、生き方の問題として考えておりますので、そういうことは重々考えながらやっております。  自然のものがいいということは、そのとおりだと思います。しかしながら、これはやはり人間の生育に必要なだけなかなかとれませんし、ですから、私ども今一番大事なのは、山をちゃんとしたものにするということは有機農業運動の大きな使命だと思っております。造林ということを国で補助金を出してずっとやってきたことが裏目に出ておる、環境破壊にまでなっているということがいっぱいありますよね。だから、自然の広葉樹を中心としたものを生かしていく、そういうようなやり方もいたしております。  そんなことで、いろいろの手を尽くして、安全ということには最も意を尽くしていることも事実です。特に率直に、自然にある山の中にも毒のものもありますし、いろいろこれは単純には解決できないが、ただ方向性をそういうふうに持っていっている、そういうふうにご理解いただければありがたいです。
  117. 田中卓巳

    田中参考人 お答え申し上げます。  有機農業の定義につきましては既になされているわけでございまして、化学肥料農薬を使わないということ、さらに減農薬の問題、範疇も有機生産物に組み入れられているわけでありまして、私どもの段階では、生産者ではございませんので、一つ基準が設けられてそれを生産者が守っていただく、そしてそれに認証が加わってくるということにおいてそれを安全と認める、こういうことになろうかと思います。  現在私どもが取り扱っております野菜につきましては、すべて農薬基準に基づいて、施肥量も回数も生産者方々が確実に守ってやっていただいておるということを信じておりますし、ですから、有機野菜が安全であって一般通常出回りのものは全部だめという全否定の段階という立場はとっていないわけでございまして、さらに安全の度合いを高めた有機につきましては、それなりの需要に応じて供給をしなくてはならないというふうに考えております。  以上です。
  118. 小平忠正

    ○小平委員 私としても、今回のこのガイドラインの設定なりまたJAS法改正、これは一つ基準を設けるという意味においては一歩前進である、こう考えています。しかし、今私として申し上げたいことは、今御意見を拝聴いたしましたが、確かに有機栽培のよいところは私も認めております。  重ねて言うようでありますけれども化学肥料とか農薬を使っておる農業、農産物が害だとか悪だというふうに決めつけてしまうと、現に今主流はそういうことで農業がされているわけですが、これで誤った、誇張された概念というか、そういうものが消費者に蔓延、浸透してはいかぬと私は思うのです。大事なことは、有機質だろうと無機質だろうと農薬だろうと、要するに化学肥料を適切に使用すること、そして特に、農薬化学肥料というのはいろいろな検査機関において人畜に有害であるということがいろいろと検査もされておりますけれども、やはりそういうのを排除しながら、人間に害のないそういうものを使用して、そして堆肥が持っている土づくりという大きな役割、これを基礎的に考えながら、まず土づくりをして、そしてよい農作物をつくっていく、そこに農業の基本があると思うのですね、安全性の面からいいましても、それから質の面からいいましても。そういうふうに私は考えておりますのでお聞きしたわけであります。  そこで一点、先ほどもちょっとお話しされていたのですけけども農水省が出しておりますがイドラインの中で、いわゆる有機栽培表示できるための農薬化学肥料もありますね、農水省が設定している。要するに、有機栽培だからといってまるっきり農薬、まあ農薬と言っていいのでしょう、あるいは化学肥料と言っていいのでしょう、例えばさっき言われたような硫黄だとかそういうものは、特に澤登さんのお考えになっていらっしやる有機農法と、農水省のいわゆる農薬化学肥料の設定とは合致しているのですか、それとも少し御意見が違うのでしょうか。
  119. 澤登晴雄

    ○澤登参考人 私ども有機農業と言っていることが、しかも有機農業の運動なり方向性ということを言っておることが一つあるのです。それで、化学合成というもの以外は基本的には長い歴史があるから一応安全だという、それと、今までの例えは石灰硫黄合剤とか、しかしそれも多く使ってはいけない、それから石灰ボルドー液とか歴史的なものがあるのはやはり認めているわけですね。それから、植物の自然体のものとかそういうものも認めているわけです、炭とか幾つかありますが。だから、その中には無機のものもあると思います。それに対しては、そういうふうな狭いことじゃない、ただ方向性ということを申し上げたい。  それから、いま一つは、化学合成のものは特にわからないのですよ。一番私どもが身にこたえておるのはDDT、BHCですね。これは本当に戦後は一つの驚異的な薬でした、実際が。シラミそれから畑の虫がころりと死ぬのですからね。それはよいのだということになっておったのだが、もうこんな悪いものはないということで禁止になりましたが、そういう問題はいっぱいあるのですよ。農林省の指導の中でも、例えば有機燐剤の中でもどんどん消えていったものがあります。  だから、私は、むしろそういう方向性のことを基本的に言っておりまして、何でもかんでもしゃちほこ立った意味でのことを言っていなくて、それは正しいと思いますね、そのことは。ただし、それに重点を移してしまうと問題があるということが問題じゃないでしょうかね。技術的にはそういうふうに私ども理解してやっております。
  120. 小平忠正

    ○小平委員 それでは、最後田中さんにお伺いいたしますが、先ほど、平成三年に有機野菜のコーナーを設置した際に、産地の格付の確認、第三者による確認等の必要性を強く感じられる、こういうふうな御発言がございましたが、今回のJAS法改正の中において、新たに生産行程管理者を置いて生産方法のチェックをする、そういうことがうたわれております。そこで、今のお話の中で、この生産行程管理者を置くことによってそういう今抱えている問題は解消されると思いますか。  それと同時に、この格付、これは生産行程管理者に格付の業務の一部ですとか、あるいは格付表示の添付等を行わせることとしておりますね。また、生産行程管理者の資格要件としてはどういうふうに考えておられるのか、この問題について最後にお伺いしておきたいと思います。
  121. 田中卓巳

    田中参考人 お答えを申し上げます。  先生もおっしゃいましたように、私どももその問題については、ガイドライン以前の問題でございますから、大変悩みました。そういう中で、お互いの信頼感に基づいて、産地に出かけ、産地とも話し合いをして、この産地ならということであのコーナーの中に取り入れて現在に至った、こういう経過でございます。  確かに、これは先生おっしゃいましたように、生産行程管理者という立場は、今後、そういうことになりますと大変重要な役割に当たると思います。どういう方がなられるかということについては、私もよくわからないわけではございますが、少なくとも現在、消費者も、生産者も、この問題についてはお互いに大変慎重な形で、しかも将来に向けて前向きに考えている現状でございますから、国といたしましても、極めて適切な人を選んでいただいて、みんなが納得できるような形で御指導をいただければ幸いである、私ども流通業者もそれにのっとりまして仕事ができる、安んじて仕事ができるということに相なってまいると思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  122. 小平忠正

    ○小平委員 時間が来ましたので終わりますが、貴重な御意見、まことにありがとうございました。
  123. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して心から御礼を申し上げます。  次回は、明二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会