○藤原
委員 なかなか厳しい
状況にあるわけでありますから、ひとつ積極的なお取り組みをいただかなければならぬと
思います。
次は、
価格と所得政策ということで、時間もありませんから一つ一つ申し上げることもできませんが、何といいましても、
酪農経営の安定ということからいいますと総合的な収入の安定が必要なわけでありまして、
保証乳価とか、飲用乳とかそれらの販売
価格、それとまた老廃牛や初妊牛、こういうもの等の
価格がどうであるかということ、その収入が総合的な収入として、またそれに見合うところの支出、それで所得というのは決まるわけであります。
保証乳価というのは
生産費
調査で決まるわけでありますけれども、老廃牛とか初妊牛とか、これは下げ要因ということで言われております。今回は、えさが下がるとか金利が下がるとか
生産費とか、下げ要因が非常に多いんだということです。これを中身を一つ一つ詳しく見るわけにもいきませんけれども、大まかに言って一頭当たりの乳量の増加、確かにこれは下げ要因かもしれません。しかしこれは、農家の方が、限られた中でどう収入をふやすかということのためには一頭当たりの乳量をふやさなければならぬということで、黙っていて乳量がふえたわけではない、大変な御
努力をなさって、または乳量の多い牛にかえるとか、私の知っている人たちもやはり乳量を搾る以外にない、こういうことで大変な御苦労をなさっていらっしゃる。これには大変なお金がかかっておるんですよ。
それから
生産規模の
拡大ということでありますが、これも下げ要因かもしれませんけれども、これも北海道の中核的なところですとまあそれなりに、北海道全体としては平均六十五・五頭ですか、EC並みという
状況の中にありますから、
規模拡大したための負債、こういうものが一つ大きくのしかかっているということです。
それから
生産資材
価格の安定、配合飼料とかそういうものが
低下したとか、これも下げ要因だということでありますけれども、
国内生産のものは、労働賃金が上がったとかいろいろなことで、決してマイナスばかりではないと思うのであります。
金利の
低下、それからまた円高というのは、これは農家の方々の
努力とか何かではございませんで、社会
情勢の
変化ということになるんだと
思います。
こういうことから申しますと、上げ要因といいますか、一番困っているのは、先ほど来お話ありますように子牛
価格の
低下ということです。こう見ますと、やはり
生産者の
努力によって、また負債を負いながらも、それなりの乳量の増加、
規模拡大、資材
価格、こういうものをフルに活用して乳量をふやしたということでありまして、天から降ってきてそして乳量がふえたわけでもないし、それから収入がふえたわけでも決してないのですよ。そこをひとつお考えいただかなければならぬと思うのです。
先ほど政務次官もおっしゃいましたが、
生産費
調査の数字と現実との乖離というお話がございました。その中には、労働時間も
千八百時間どころではない、二千五百時間とかそれを超えているとか、いろいろな
経営形態や何かによっても違いますから一概に言えないかもしれませんけれども、とにかく今までより過重な労働であることは間違いない。そして、とにかくたくさん搾って収入をふやす以外ないぞということ、こういうことで現在の
生産費
調査というのが出ているということからしますと、どうしてもそこには大きな乖離が出てくるのは当然だろうと
思います。
それから、乳価は毎年再
生産が償えるようにということで
価格を決定するわけでありますけれども、余り大きな変動があっては、農業というのはそんなにかじ取りが急に切れるわけではありませんから、やはり安定的な、二年、三年、漸進的な上昇なり下降なり、そういうものがなければ農業の安定
経営というのはできないのではないか、私はそう
思います。そういうことを十分に勘案して、去年どことしはもう数値は随分違うぞ、ことしはもう下げる以外ないんだというような新聞論調みたいなことを考えておるわけではないだろうと私は思うのですけれども、ぜひひとつそれは、
現状をもう少し分析をしていただいて
価格決定をしていただきたいものだと
思います。
昨年、
酪農経営安定等緊急特別
対策事業というのが行われまして四十八億の
対策がとられたわけでありますけれども、これは
平成四年度限りの「臨時異例の
措置として本緊急特別
対策事業を実施する。」ということであります。それはもう、確かに去年はいろいろな
状況がございました。しかし、去年どことしとどこが違ったのでしょう。
この
事業目的の中に四つほど書いてありますが、一つは、「
平成三年四月からの
牛肉の
輸入自由化により、ヌレ子、乳廃牛等の個体販売
価格が急激に
低下し、
酪農経営に大きな影響を与えている。」これはもう下がったままで上がっておりません。根室での個体販売の市場の
価格を私ちょっと持っておりますけれども、低迷しておることは事実でありまして、去年と変わらない現況にあることはお認めいただけると思うのです。
二番目には、「これを
状況を放置すれば、乳質
改善努力が後退するのみならず、半群・草地等の
酪農資源の維持
向上努力にも支障が生じるおそれがある。」これも去年どことし同じです。
三番目に、「このため、搾乳時の衛生
管理の徹底等の乳質
改善対策に取り組むとともに、乳牛の飼養
管理や草地
管理の適正化を図ることが緊急の
課題となっている。」これも去年どことし同じです、何も変わりません。
また四つ目には、「特に、加工原料乳供給地域は
我が国の生乳供給基地であり、将来とも安定的に国産生乳を供給しうる
酪農経営を維持
向上する必要がある。」
これは、まさしく去年、
牛肉の
自由化の影響が大変に出たということで、皆さん方も真剣にこの
対策をどうするかということで頭を痛め、
対策を講じていただきましたことは私どもよく存じておりますけれども、去年どことし、それが変わったかというと、決してそうではございませんで、環境は去年と同じ
状況の中にあるということでありまして、確かに当時としては、これはことし限りだぞということでこの
事業は始まったのかもしれませんが、しかし、今日におきましてもこの
状況を変え得る
現状には決してない。こういうことをぜひひとつ御
認識をいただきまして、諸施策についてはいろいろまた
対策、同僚
委員からもお話ございましたけれども、適切に行っていただきたいと
思います。この特別
対策事業、本年も是が非でもこれは継続をしていただきまして、
経営の安定化、
酪農経営が安定できるように、希望を持って営農のできるように、夢の持てる農業を確立することのできるように、是が非でもこれは御検討いただかなければならぬ。
今回、農業団体やまた
地方自治体のいろいろな議会の議決等いただいたのを見ますと、確かに数字的なことについて説得力のあるお話は、上げ要因としてかくかくしかじかということはないのかもしれませんけれども、やはり希望の持てる
酪農業をぜひお願いをしたい、これが非常に強い。私もいろいろな方々にお会いして、また現地も何回か
酪農家を回りましたけれども、今離農なさる方々は、Aクラス、Bクラスの比較的安定した
経営をしている人。今お金のあるうちに離農しないと大変なことになるぞ。こういうことが続くようなことになりますと、今まで三十年、
昭和三十年代から
酪農に大変に力を入れて今日の日本の
酪農を築き上げてきた
農林省、これが根底から崩れてしまうのではないかということを私は本当に危機感を持って実感として感じておるわけであります。これはぜひひとつこの
現状をつぶさに御検討いただきまして、これらの
価格決定にぜひひとつ反映させていただきたい、このことを強く要望したいと
思います。
政務次官、一言決意のほどをお述べいただきたいと
思います。