○山元
委員 私は、全体的な
海外へ出ていく人たちの
状況をどう把握しているかということを
お尋ねしたがったのですけれども、文部省の資料の中にも相当詳しく出ておりまして、例えば今申し上げました短期の学習旅行というのは、昭和六十三年に一万七千人ほどであった。ところが二年後の
平成二年には三万人を超しているわけです。およそ倍近く高校生がどんどん
海外へ出ていくようになった。そういう中で、今ありましたようにトラブルが非常に多くなっているわけですね。
海外旅行そのものは、子供たちにとっては、
海外の学校で勉強する、あるいは家庭生活だとかあるいは地域の人たちと交流するという非常にたくさんの経験を広げるわけでございまして、私どものは有意義だというふうに思っている。
そういう立場でいうと、ふえていくことはいいわけですけれども、トラブルの発生は大変多くなっているし、質も悪くなっているわけですね。そのために、文部省も研究協議会などをつくってその対策を考えていらっしゃる。あるいは運輸省は業者の認可などについての検定を検討していらっしゃる。それはいいのですけれども、きょう
お尋ねしているのは、
外務省としてトラブルにどういうふうに
対応するかということでございます。
今おっしゃいますように、すべて通報しているものではないわけですけれども、私どもの手元に今、たくさんの方から何とかしてほしい、あるいはいろいろな訴えがあるわけです。
一つ二つ例を申し上げますと、例えば
一つはロサンゼルスでのことですけれども、
一つ上級の学校に行くのでホームステイを変わるということで、
現地のスチューゲントアドバイザーの勧めでホームステイの場所を決めた。ところが、行ってみたらおばさん一人住んでいる家が割り当てられてあって、十四日間も旅行中だと。その子は十日間もラーメンとスパゲッティだけで済ましていた。ところが、そのおばさんが帰ってきて何だということになって、外へ出ていかざるを得ぬようになった、そういうトラブル。移って入った家がそういうことであって、この高校生が大変困って、そこでロサンゼルスの領事館に訴えた。けれども、その態度はひどいものです。最初私が、領事の名前が書いてありますけれども伏せて、領事に電話したときも、そのような個人的なことはタッチをしないのだというふうに返ってきた。どうしようもなくて十日間泣きながら暮らした、こう言うのですよ。
あるいは、これはオーストラリアで、ホームスーテイの家族の人が運転をする車で事故が起こって重傷を負った。ところが、退院してきたら、滞在先の家族の人から迷惑がられて非常にひどい仕打ちを受けた。そこで、例えば
日本でいうとキャンベラにあるオーストラリア
大使館に訴えた。パースにある領事館にも訴えた。あるいはオーストラリア
政府の観光局にも訴えた。けれども、親切に
対応してくれたのは、返事をしていただいたのはオーストラリア
政府の観光局だけだった。
日本の領事館、
大使館両方とも親切にはしてもらえなかった。帰ってきてこの人は、我慢がならぬので裁判に訴えているわけです。これもやはり領事館、
大使館がその場で
対応してくれたらほっとして帰れただろうと思うのです。
サンフランシスコの例をもう
一つ。娘が金を盗んだといううその告げ口をされていじめられているとか、食事がひどいのだ、レタス一枚だという例もありますけれども、いろいろそういうひどい目に遭っているからといってお母さんのところへ電話して、お母さんが、それは娘をひとり旅に出している親にしてみればそんなことで電話がかかってきたら大変だ、けれどもサンフランシスコへ飛んで行くわけにいかないわけですから、そこの領事館に電話をしたけれども、どうしようもありませんという返事しか返ってこなかった。これはサンフランシスコの例。
あるいはこれは、
外務省、関心を持ってごらんになったかもわかりませんが、アエラに出ました。これはおととしの三月十二日です。時間がなにですから簡単に言いますと、かみそりでけがをしたら、その処置がおかしいということで、自殺未遂だということで精神病院に入れられてしまった。そんなのと違うんだと言っても、しゃべればしゃべるほど弱い語学力ではどうにもならなくて、助けてもらえなかった。お母さんが飛んで行くわけですけれども、これはきょう申し上げる時間がありません。また後で、文教
委員会で文部
大臣とも話をしなければなりませんけれども、非常にきつい誓約書があるわけですね。行く者には一切権利がない。旅行業者の思うがままになるような誓約書を書かされて行くわけです。ですから、病院から親が大学の
現地の
先生に助けてもらって助け出そうとするけれども、どうしてもその
現地の業者はうんと言わない。そこてしようがないから、両親からもう一遍全権を弁護士に任すということで委任状をとって、そして争った、やっと病院から連れ出した。
そういうトラブルで、この書いてある気持ちは、病院から救出することができたけれども、在外
日本領事が救済の窓口になってくれたらこんな大変な手間をかけなくても済んだのに、これがもう最後の結論みたいになっている。業者も業者ですけれども、そういう駆け込んでいる場合、今部長がすべて通報するわけでないからと言っていらっしゃったけれども、通報があっても個々の人についてはタッチをしないのだとか、どうしようもありませんとか、あるいは一切ナシのつぶてだ、こういう例がいかにも多いわけです。
そこで、私は、これは個々の領事だとか
大使館を責めているわけじゃないのですよ。そういう
体制であるということも、先ほどの、あと百人
増員しなければならぬという実態からもわかるのです。わかるのですけれども、こういう泣く人、本当にいい経験をするといって楽しみにして
海外へ行って、そして帰ってきて、何やといったら、ひどい目に遭うた、そして恨みは
日本の
大使館、領事館へ残るというようなことは、これは何とかしなければいかぬことだろうというふうに思うのです。留学制度の内容とか、そういう制度とかいうものは文部省の努力が必要だろうと思うし、先ほども言いましたように、旅行業者の認可等については運輸省でしょうけれども、こういう実際に被害に遭った、トラブルが起こったときの窓口というのは、これはやはり
在外公館でなければならぬのと違うかというふうに思うのです。どうですか、それは。