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1993-04-14 第126回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十四日(水曜日)     年前十時三分開議 出席委員   委員長 玉城 栄一君    理事 狩野  勝君 理事 中谷  元君    理事 萩山 教嚴君 理事 前田 武志君    理事 前田  正君 理事 山中 末治君    理事 和田 貞夫君 理事 吉井 光照君       井奥 貞雄君    小澤  潔君       太田 誠一君    佐田玄一郎君       佐藤 守良君    坂本 剛二君       長勢 甚遠君    西田  司君       真鍋 光広君    村井  仁君       村田 吉隆君    柳本 卓治君       山本 有二君   宇都宮真由美君       小川  信君    菅  直人君       小松 定男君    輿石  東君       仙谷 由人君    常松 裕志君       細川 律夫君    松原 脩雄君       長田 武士君    佐藤 祐弘君       伊藤 英成君  出席国務大臣         国 務 大 臣 井上  孝君  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏 内藤  勲君         整備局長         国土庁地方振興 秋本 敏文君         局長         国土庁防災局長 黒川  弘君  委員外出席者         経済企画庁調整 筑紫 勝麿君         局財政金融課長         経済企画庁総合 垣内 康孝君         計画局計画官         大蔵省主税局税 渡邊 博史君         制第三課長         大蔵省銀行局銀 北村 歳治君         行課長         国税庁課税部資 伊戸川啓三君         産税課長         建設省建設経済         局宅地開発課宅 松原 文雄君         地企画室長         建設省建設経済 藤田  真君         局不動産業課長         建設省都市局都 板倉 英則君         市計画課長         建設省都市局街 溜水 義久君         路課長         建設省住宅居住 徳山  直君         宅政策課長         建設省住宅局民 石井 正弘君         間住宅課長         自治省財政局地 井戸 敏三君         方債課長         自治省税務局固 堤 新二郎君         定資産税課長         特別委員会第三 平川 陽三君         調査室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  土地問題及び国土利用に関する件      ――――◇―――――
  2. 玉城栄一

    玉城委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお話りいたします。  土地問題及び国土利用に関する件、特に我が国経済社会構造と今後の土地対策について調査のため、来る二十日火曜日午前九時三十分に、参考人として日本不動産鑑定協会理事地価調査委員会委員長泉達夫君、建設経済研究所常務理事長谷川徳之輔君東京大学社会科学研究所教授稲本洋之助君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 玉城栄一

    玉城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 玉城栄一

    玉城委員長 土地問題及び国土利用に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君
  5. 萩山教嚴

    萩山委員 自由民主党を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  きょうは大臣もおいでになっておりますので大臣にお伺いいたしますが、土地対策についてお伺いいたしたいと思います。  最近、地価の動向を見ますと、大都市圏における地価は顕著な下落を示しております用地方圏においても鎮静化してきておりますことは、政府の発表あるいは報道等でも御存じのことと存じます。土地問題の解決は、生活大国実現を図る上においても重要な問題であると考えております。国民が良質な住宅と安全で良好な居住環境を確保し、真の豊かさあるいはまたゆとりを享受できるためにも、適正な地価の水準、これが実現を強く要望されておるところであります。また、今回の地価の乱高下は国民生活に多大な影響を与えてまいりました。二度とこうした事態を招来することなく、正しい行政あり方を私も希望するとともに、土地対策を着実に実施することこそが喫緊の重要な課題であると存じます。今後の土地対策について、大臣決意を冒頭にお伺いしたいと存じます。
  6. 井上孝

    井上国務大臣 おはようございます。  ただいま萩山委員指摘のように、去る三月二十六日に、平成五年一月一日現在の地価公示価格を発表いたしました。それによりますと、御指摘のように、大都市圏におきましては、地価は顕著に下落いたしておりますし、また地方におきましても、総じて横ばいまたは下落という傾向が出ております。しかしながら、大都市圏地価につきましては、勤労者世帯年収あるいはGNP等の諸指標に比べますと格差は非常に縮小してまいりましたけれども、「生活大国五か年計画」で宮澤内閣が言っております、勤労者世帯平均年収の五倍ぐらいで良質な住宅が取得できるというのに対しましては地価がまだ高いという傾向でございます。  したがいまして、私どもとしては、平成三年一月に閣議決定いたしました「総合土地政策推進要綱」、この中に具体的なことがいろいろ書いてございますが、特にその中の土地取引の監視を含む適正化それから土地税制の活用、住宅宅地供給促進、これは大体建設省主体でやっていただくわけでございますけれども住宅宅地供給促進、そういったいろいろな土地対策土地政策を今後とも引き続き推進する必要があるというふうに思っております。国土庁といたしましても、さらに今までとっておりました土地政策を続けてまいり、そして御指摘のような安定した地価というものを実現してまいりたい、こう思っております。
  7. 萩山教嚴

    萩山委員 今、大臣決意のほどをお伺いいたしました。これらの対策について行政の場で強力に推進し、もって、国民生活の豊かさを実感できる生活大国を目指して頑張っていただきたいと存じます。  時間が限られておりますので次に急ぎますが、次に土地局長にお答え願いたいと思います。  東京一極集中是正というのはもう真新しいものではございません。皆さん国民全体に浸透しております言葉でもあろうかと存じます。最近の報道によりますと、東京の昼間の人口は千四百三十万というふうに膨れ上がりました。ますます、一極集中がここにきわめりというふうに私たちも実感をするのであります。  そこで、この土地問題の解決のためには、基本的には国土構造を変えなければなりません。都市において、もちろん今大臣がお述べになりましたように、住宅問題あるいは通勤問題等の過密に伴う都市問題のこの深刻化、そしてまた地方においては活力の低下、これは政治の場でも国会の場でもいろいろと論議されておる問題点であります。  こういう問題を依然として抱えておりますことに対して、やはり国民の中でもそれは一つ不安材料として私たち政治家に反映してきております。こういった問題を考えますときに、東京圏においては人口社会増鈍化工業立地地方展開等の動きが行政の間で見られますものの、高次元都市機能へと人口一極集中は依然続いておるわけであります。二十一世紀に向けて、生活大国にふさわしいゆとりと潤いのある地域社会を実感できるために、どう行政実現に向けて取り組まれるのか、あるいは人口やもろもろの機能東京一極集中是正し、二十一世紀に向けて均衡ある多極分散型国土への構造的転換を進め、国土の均衡ある発展を図ることが我が国基本的な課題であろうと思うわけであります。  これらについて、東京一極集中是正についての局長の御見解を承りたいと存じます。
  8. 糠谷真平

    糠谷政府委員 お答え申し上げます。  東京一極集中是正いたしまして、多極分散型国土形成を図るということは、国土政策上の大変重要な課題であると認識しているところでございます。  先生今御指摘のように、東京圏への人口集中社会移動でございますけれども、一時、昭和六十二年には十六万を超える大変大きな数字でございましたが、最近、平成三年の数字では八万を切るという形で鈍化をしてきているということは事実でございますけれども、依然東京一極集中が続いているということはそのとおりだと認識をいたしております。  このため、政府におきましては、地域主導による活力ある地域づくり推進ということを基本といたしまして、地方の自立的な成長発展拠点となります地方拠点都市地域整備、あるいは多極法に基づきます振興拠点地域開発整備テクノポリス法頭脳立地法に基づきます地域産業高度化等を進めておりますし、さらには全国一日交通圏の構築を目指しました高速交通体系整備など、各般施策展開に努めているところでございます。これらを通じまして、地方圏の戦略的、重点的な整備を図りまして、東京一極集中是正をさらに進めてまいりたいと考えております。  加えまして、一極集中是正に資するということもございまして、昨年末に制定をされました国会等の移転に関する法律あるいは大阪湾臨海地域開発整備法等に基づきまして調査事業等推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  9. 萩山教嚴

    萩山委員 理解いたしました。  次に、日本海国土軸形成について大臣に御答弁願いたいわけでありますが、日本海国土軸の構想については、知事会でも私たちの地元の知事が申し述べておりますが、昭和六十三年にスタートいたしました国土庁の第四次全国総合開発計画は、東京一極集中是正し、多極分散型国土形成することによって国土の均衡を図るというふうになっておるわけであります。  真に均衡ある国土、世界に開かれた日本、豊かさを実感できる生活大国実現するためには、先ほど大臣決意あるいは局長さんの決意にありましたように、東京及びそれに連なる太平洋ベルト地帯偏重の考え方を是正しなければならないわけであります。新しい国土軸形成することが緊急の国家的課題となっておるであろうと思うわけであります。  日本海沿岸地帯は、かねてより豊かな水と土地人的資源、そして個性豊かな風土、固有文化に恵まれております。また、無限の魅力を秘めた日本海を擁するなど、極めて高い開発可能性を有しております。また、冷戦構造の終結という歴史的な流れの中で、日本対岸諸国との交流が活発化いたしております。日本海は、これまでの対立、緊張の海から友好と発展の海へと大きく変貌を遂げようといたしております。環日本海圏域における経済文化発展のポテンシャルはかつてなく高くなっておると思うわけであります。  こういう面から、二十一世紀に向けて環日本海時代という言葉が聞かれて久しいのであります。日本海沿岸活力に満ちた豊かさを実感できる魅力ある地域となり、また、我が国国際化の一翼を担う地域となることが国内的にも、国際的にも強く要請されると考える次第であろうかと思うわけであります。  そのためには、現在、全国総合開発計画の中で、日本海国土軸形成を明確に位置づけ、当地域高速交通網体系産業基盤生活基盤整備を強力に進めなければならないと考えておるわけでありますが、これについて、東京一極集中是正と多極分散型国土形成を図るためには、もちろん先ほど述べました高速交通体系整備地域産業高度化地方成長発展整備各般施策計画的かつ強力に実施する必要があるわけであります。日本海沿岸国土軸を初めとする国土主要軸形成、充実することは、国土の均衡ある発展を図る上でも重要であります。これについて、大臣の力強い日本海沿岸ベルト地帯における国土軸のお考えをお示し願いたいと思うわけであります。
  10. 井上孝

    井上国務大臣 国土の均衡ある発展を図る上で、高速交通体系整備等を通じて国土の主要な軸を形成するということは非常に重要なことだと思っておりますが、残念ながら現在の我が国におきましては、太平洋ベルト地帯山陽道で九州に至る、どういう軸がたった一本しかないという感じを持っております。  それから、先ほど萩山委員もお触れになりましたし、政府委員からも御答弁申し上げましたが、四全総を作成いたしましてから既に五年が経過しておりますけれども東京への一極集中が、四全総をつくった時点では社会増が年に十六万人。それが平成三年には八万人に半減したということで、一極集中鈍化したという傾向は見受けられますけれども、まだまだ続いておるということはまことに残念なことでございます。したがいまして、今国土審議会調査部会を置きまして、この四全総のどこに欠陥があるのか、どういう点を直さなければいかぬかということで、今総点検を、学者の先生方にお集まりいただいてやっております。  その中で、その議論の中に新しい国土軸をつくらなければいかぬということが相当大きな課題として議論されておるようでございます。したがいまして、私どもといたしましても、国土軸をどういうふうなあり方で進めるべきかというようなことにつきましてこれを取り上げていこうということで、実は平成五年度に、わずかではございますが、千二百万円の調査費を計上いたしまして、国土軸あり方についてこれから真剣に取り組んでいこうと思っております。  なお、今申しました点検作業、これはできればことしじゅうぐらいに結論を出していただいて、そして今の四全総をどうするか、少し見直して訂正、修正をするのかあるいはこの際もうすっかり、五年たちましたから、あれは十五年計画でございますがかなりたちましたので、五全総――五全総という言葉事務当局から余り言わないでくれと私言われておるのですが、必要あれば全国総合開発計画を全く改定してしまうということも、あるいはそういう結論になるかもしれません。そういうことで、先生の御指摘国土軸についても、国土庁としては真剣に取り組んでまいろうと思っております。  特に、御指摘の環日本海時代が考えられておりますし、そのためにはやはり太平洋ベルト地帯だけではなくて、日本海沿岸にも大きな国土軸というものが必要だろう、こう思っておる次第でございます。  特に、昨日発表されました自民党の緊急総合景気対策ですか、その中で、二十一世紀への基盤整備という項目がありまして、その一番初めに、新しい国土軸形成するということが初めてああいう文書に書かれております。私どもとしても、真剣にこの国土軸について勉強をし、そして、できれば総合開発計画の中に盛り込んでまいりたいという前向きの姿勢で考えておりますことを申し上げておきます。
  11. 萩山教嚴

    萩山委員 大臣の力強い御答弁を承りました。ぜひとも、表日本から見れば裏日本というこの言葉自体が私たちは矛盾をいたしておると思うわけであります。日本地図を逆さまにすれば、裏日本は表になり、表日本は裏になるわけでありますから、昔、かつて自治省事務次官をやられたお偉い方が、事務次官室に必ず日本地図を裏返しにつっておられました。そして、裏日本は表なんだという意識で行政対策を練られておられたようであります。  それが今回のこの一極集中是正、そしてまた拠点都市づくり、こういったものに弾みをつけて、日本海が日の目を見るような、いわゆる日本の表舞台に躍り出るような地域に私たちは願っておるわけであります。それがとりもなおさず一極集中是正、多極分散につながっていくものと確信をいたしております。大臣におかれましては、五全総でも結構ですが、四全総の中でしっかりとまたこの位置づけを国土庁で御発表なさるなりしていただければ、北陸の暗いイメージも払拭でき、新たな生活分野が生まれてくるものと私たち期待をいたしておるわけでありますから、どうぞよろしく、この場をかりて陳情を申し上げておきたいと存じます。  次に移りますが、各地方が持つ固有の歴史や文化というものがあるわけであります。豊かな自然、これらを生み、はぐくみ、育てながら、多様性に富んだ豊かな住民生活実現し、人々の地方定住促進することは、国土の均衡ある発展を図るためのみならず、今後、我が国がその経済力にふさわしい生活大国実現するためにも欠くことができないことであろうと思うわけであります。このためには、それぞれの地域人口定住産業振興に努め、活力ある地域社会を創造することが必要であります。  このような観点から、地方の自立的な成長促進を図り、東京一極集中是正をして、国土の均衡ある発展実現することをねらいとした、先ほど私が申し上げましたとおり、いわゆる地方拠点は極めて大きな意味があろうかと思うわけであります。その趣旨に沿って、積極的に推進されるものと考えるわけであります。  現在第二次の全国指定協議中と聞いております。この中に十八地区あるわけでありますが、その指定について急がなければならないと考えておるわけでありますけれども、今後のスケジュールは、国土庁ではどういう日程になっておるのか。そしてまた、富山県の一極集中是正のための拠点都市づくり、高岡が中心に候補地に挙がっております。これが一日も早く、第一次に指定されておればどれほど地域活力が出てきたことかなと思うわけでありますけれども、二次に向けて、その時点がいつなのか、お答えを願いたいと思うわけであります。
  12. 井上孝

    井上国務大臣 地方拠点法に基づきます地方拠点都市地域指定につきましては、昨年申し出がございました三十二地域の中で十四地域につきまして国との協議が終わり、二月の初めに知事協議終了連絡をいたしまして、大体二月中に知事による指定が行われております。  残る十八地域、現在法律に定められました各省協議をやっておのます。大体順調に進んでおりますので、できれば四月中にも、今月中にも国として異議のないという旨を各県知事さんに御連絡をし、そして後は、知事さんがこれを指定されるわけでございますから、順次地域指定がされる、こういうふうなスケジュールで考えております。
  13. 萩山教嚴

    萩山委員 大臣の御答弁、大変うれしく存じますが、四月中というのは漠然といたしておりますので、もっと具体的というか、日をおっしゃらなくてもいいですが中旬とか下旬とかそのあたりの段階は、まあ四月中に入るわけですけれども、ちょっと具体的にいつごろになるという、もう皆さんのどから手が出るほどこの指定を待っているわけでありまして、よろしくお願いいたします。
  14. 井上孝

    井上国務大臣 きょうがもう四月十四日でございまして中旬でございますから、下旬には必ずやるということ、そういう意気込みでやっておりますことを申し上げます。
  15. 萩山教嚴

    萩山委員 ありがとうございました。  北陸というのは、日本海ベルト地帯に住んでおられる方々あるいはそこから選出されておられる代議士方々、大変厳しい季節を送り迎えておるわけであります。そして、今度のバブル経済崩壊によって、通産省が指定しましたいろいろないわゆるテクノポリス指定地域、ここを初め、田舎の市長さんは一生懸命に土地の確保をして開発をしてまいりました。だけれどもバブル崩壊によって工場が来なくなってしまった、こういうことで非常に嘆き悲しんでおられます。  これは政府行政が悪いと言っているのではありません。時代経済の不安定に直撃されたような事柄が今起きておるわけであります。これから政府が大いに力を入れて、そして経済の上昇に向かって進展していることも私たちは非常に力強いものを感じるわけでありますが、昔から新産都市指定あるいは何々指定、いろいろな縦割り行政指定がございました。私たちは、代議士秘書時代に、あの新産都市指定というのはバラ色のような、地域発展するのかなと非常に喜び勇んで、指定指定地域が加わってまいりました、拡大されていきました。  その中で、富山県は振興開発というものだけが残って、いわゆる背後地埋立地だけがいまだに売れなく、残地があるわけであります。こういった問題をやはり縦割り行政ではなくて横割りの緑もつなぎ合わせて、各省庁が力を合わせてやろうという気迫がなかったら、私は、絵にかいたぼたもちになってしまうというのではまことに残念でならないわけであります。  こういった中で、一極集中是正は六省庁あわせて、今度は強力な推進母体になって国土庁建設省が一生懸命にやられるわけであります。これは、私たちは今非常に注意深く、そしてまた期待を込めて見ておるわけであります。  どうぞこれからのこの地域、十四地域がさきに指定されました。これが一体どうなるのか。一説によると、二次は五年間おくれるであろうというようなことも言われております。そんなことはないと私は言下に否定いたしておりますけれども、この十四地域行政段階でもうどういう段階まで話が進まれておるのか、御説明を賜れば幸いかと存じます。
  16. 秋本敏文

    秋本政府委員 既に国との協議を終えて、知事指定をされました十四地域につきましては、次の段階として法律に基づく基本計画策定ということが必要になってまいります。  御承知のとおり、市町村長において計画策定して、知事が承認をする、こういう段取りになるわけですけれども、十四地域のうちの一県につきましては、既に基本計画策定を終わっております。その他につきましては、ただいま鋭意計画策定に取り組んでおられると承知をいたしております。  今の先生の御指摘の中にもございましたけれども指定をすれば終わりというのではなくて、むしろ指定から始まるわけでございますので、それぞれで一生懸命工夫をしていただいて計画をつくっていただく、その計画実施について国としてもいろいろな支援施策を活用していく、こういうようなことになってくるわけでございまして、それぞれ計画策定につきましても、あるいは計画実施につきましても、国土庁、関係の省庁と緊密な連絡をとりながら、助言などを通じまして支援をするというように努力してまいりたいと考えております。
  17. 萩山教嚴

    萩山委員 局長さん、拠点都市づくりは完成は何年でやろうということなのですか。だらだらと二十年、三十年いくのではなくて、五年なら、五年だったと思うが、何年ぐらいでほとんどこれにめどをつけたいという意気込みなのですか。それをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  18. 秋本敏文

    秋本政府委員 地方拠点法によります地域指定は、今申しましたように知事が行うということでございますので、国の方で地域指定をいつやるということを決めるという立場にはございません。  ただ、それぞれの地域指定知事が行うのについて、各県大体一、二カ所を限度とするということを原則にしております。そんなことからしますと、国としては三年あるいは五年という間に地域指定が行われるのではないだろうかこういうように見ておりますが、同時にもう一つ、それぞれ指定されました地域での事業実施について、今申しました基本計画というのをつくりますが、この基本計画計画期間としては、およそ十年程度のものであろうということで考えていただきたい、こういうふうなことで申し上げております。
  19. 萩山教嚴

    萩山委員 スキームとしては、それは十年で一つの区切りをつけたいということは大変結構でございます。今の時代は非常に早いテンポで進展いたしておるわけでありますから、拠点都市法というものを、十年たったらいつの間にかそれがなくなってしまった、一部できたけれどもあるいはまた新しいものをつくらなければならぬ、こういうことでは新産都市の二の舞になってしまうおそれがありますから、ここは十分心して、短期間に集中的に、まさに拠点をつくるという意気込みで御当局はやっていただきたい、くれぐれもお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
  20. 玉城栄一

    玉城委員長 小松定男君。
  21. 小松定男

    ○小松委員 土地対策基本方針について、まず国土庁長官にお伺いしたいと思います。これは宮澤内閣生活大国の重要な柱であります。特に労働時間の問題どこの住宅政策というのは二つの大きな柱だと思いますので、その立場から、特にこの住宅に関連しての土地対策をお伺いいたしたいと思います。  最近の地価動向を見てまいりますと、大都市圏においては確かに下がってきていることは見えます。ところが、政府の言う勤労者の平均世帯年収の五倍程度での良質な住宅取得ということに対しては、なお困難な状況にあるということでもございます。そこで、この三大圏の地価の推移を見てまいりますと、昭和五十八年を一〇〇として、六十三年から平成三年ごろが大体ピークになっております。今年度、平成五年では、東京圏が一九四・二、大阪圏が二二〇・三、名古屋圏が一六五・六、地方圏においては一四七・七、こういうふうに統計上出されてきております。  そこで、お伺いしたいのですけれども政府で、国土庁長官も適正な地価水準ということを表現として述べておりますが、この政府の言う適正な地価水準の実現というのはこの十年間の統計でいきます指数でどのあたりを目標としているのか、そして、それに対する施策をどういうふうに進めていくのか、この二つについてまず伺っておきたいと思います。
  22. 井上孝

    井上国務大臣 今先生指摘のように、先般発表いたしました平成五年の地価公示を見ますと、大都市圏では非常に顕著に下落をいたしております用地方圏におきましても横ばいあるいは下落の状況でございますが、今御指摘のような「生活大国五か年計画」で一応目標といたしております勤労者の年収の五倍で良質な住宅が取得できるという目標に対しましては、地価はなおまだ高いという感じを持っております。  特に、私どもとしては、バブル経済の前でございますが、昭和五十八年におきます地価と例えばGNPあるいは勤労者の平均年収、こういうものを、五十八年時点にとりあえず戻すといいますか、その時点のバランスに戻すということを一応の目標にいたしております。したがいまして、指数等も五十八年を一〇〇としてやっておるわけでございます。  平成二年でございましたか、一番地価が高かった時代に、五十八年を一〇〇としますと、東京におきましては住宅地の地価は二五〇、それに対しまして年収は一四四、それから名目GNPは一六〇というように、地価が非常に突出して高かったわけでありますが、今回の地価公示の結果を見ますと、この二五〇というのは一九四まで下がってきております、これは東京圏の話でございますが。それに対しまして、勤労者の年収は一六四、名目GNPは一七三というように大分接近をしてきておるわけでございます。  これをもう一つ平均年収の五倍と言っておりますが、いろいろ住宅の広さとかそういうものも影響いたしますけれども、大体七十平米に換算をいたしまして、平成二年の時点では平均年収の八・五倍という数字があるわけでございます。それが現在では六・四倍まで近づいてまいりました。五倍というのが目標でございますから、大分近づいてきたなという感じは持っておりますけれども、なお今まで続けておりました土地政策、特に平成三年の一月に閣議決定しました「総合土地政策推進要綱」、ここに具体的な土地政策が書いてございますので、さらに土地政策を続けまして、そして年収五倍の範囲内に地価を持っていくというような施策を続けてまいりたいと思います。  なお、蛇足でございますが、地価が下がるだけではなくて、やはり庶民の住宅取得能力、あるいは建築コストというものも引き下げていかなければならぬということもあわせてやりたいと思っております。
  23. 小松定男

    ○小松委員 今長官は、昭和五十八年の時点のそうした地価の水準に戻したいということですから、ぜひこれはそういうことで進めていってもらいたいと思うのですね。あの当時ですと、大体私らの経験でも、普通に働いていればマイホームが普通の人なら持てたと思うのですね、十年くらい前ですから。  ところが、その後の、特にここ四、五年の異常な上昇、これが今日のこういう状況をもたらしているわけですから、ぜひ十年前の状況に引き戻すために大胆な政策をやってもらいたいということをひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、いろいろと資料をいただきまして、マンションの問題でも出ているのですが、この状況を見ましても、昭和五十八年から六十二年まで、六十二年は五・四倍ですね。それで、六十三年から平成二年までがやはりピークになっておりまして、何と八倍あるいは八・五倍、こういうふうになっております。これを平米と価格に直しますと、七十平米の価格が五千六百万円、こういうことになっているようでございます。  昨日もNHKでこの住宅問題取り上げておりましたが、勤労者はこれのローンを返済できないということで売りに出してしまう、こういうような状況も報道されておりました。そういうことが示しますように、勤労者の資金を調達する可能額というのは、とてもではないけれども四千万も五千万も調達できる状況ではありませんね。昨日テレビで見ておりましても、例えば二千五百万円の田舎の方の住宅を買うのでも、金を借りるのに、当時は二つの帳簿をつくっているというのが報道されておりました。  一つは会社とかそういうところに出す本当の実情の売買、もう一つは銀行に水増しをして出さないと、八〇%しか貸しませんでしたから。そうすると、二千五百万円で田舎の方のささやかな住宅を買うにしても、三千万円のを買ったことにしないと二千五百万円借りられない、こういうことで、当時はみんなああやっていいかげんな二重帳簿、銀行がそういうことを指導していたのですね。これは全くけしからぬ話だと思って、我々も話としては聞いておりましたが、けしからぬ話だったのですが、そういうことです。  実際に勤労者が五千万、六千万のマンションを買うということはもう本当に難しい状況だと思うのです。したがって、これも年収の五倍といいますが、八百四十万、八百七十万、こういう年収というのですが、どうですか、一般の勤労者の平均収入というのが八百四十万、八百七十万というのは、私らが聞くと大分高いような気がするのですけれども、実際には今勤労者の人もベースアップも余りないし、それから残業、かつてのようなそういう収入も少ない。したがって、差し引かれるのほかなりの部分引かれるということですから、年収そのくらいの人というのは、年齢にもよりますが少ない。  そうなりますと、とても政府の言う五カ年の、このマイホームを手に入れるのでもなかなか難しい。ましてや今の状況では、この政府の方からいただいた資料を見ましても六倍、七倍、こんなような状況ですので、この点についてのことも、せめてこれが手に入るような価格に持っていく施策を講じるべきじゃないかと私は思います。  これは国土庁というよりもむしろ建設省も含めてだと思うのですが、これはどちらで答えていただけるのかわかりませんが、ぜひひとつこのあたりも答えていただきたいと思うのです。
  24. 徳山直

    ○徳山説明員 「生活大国五か年計画」におきましては、勤労者世帯平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能になることを目指して、適正な地価水準の実現を図るための総合的な土地対策を着実に推進するとともに、住宅対策等の諸施策の充実を図るということが決められておるわけでございます。このために、まずは政府を挙げまして総合的な土地対策によります適正な地価水準の実現、それから多極分散型国土形成、それから常磐新線など鉄道プロジェクトの推進等の施策に取り組むことが重要だと考えておるところでございます。  それから、建設省といたしましては、住宅金融公庫の融資の条件等の改善あるいは住宅減税によります住宅取得能力の向上を図ること、それから既存住宅ストックの活用、その水準向上のための住みかえの促進、さらに住宅取得の困難化が著しい大都市地域におきます住宅宅地供給の一層の推進を図る、さらに住宅生産あるいは建築の合理化によります建築コストの低減等の諸施策の充実を図るということが必要と考えているところでございまして、その推進を図っているところでございます。  このために、平成五年度の予算及び税制におきましては、新たにゆったりマイホーム加算制度の創設等の住宅金融公庫融資の拡充、それから住宅宅地開運公共施設整備促進事業の拡充、技術開発及び生産供給体制の合理化等住宅に対します供給コストの低減の推進、居住用財産の買いかえ特例の拡充、税制上の特例措置の築後経過年数の要件の緩和、新築住宅に対します固定資産税の減額措置の拡充等の措置を講じているところでございまして、これらの施策を含めまして、年収の五倍程度での住宅取得の実現に向けての施策に着実に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  25. 小松定男

    ○小松委員 首都圏におけるマンションの価格なんですが、これが昭和五十九年、六十年、六十一年のころですと、この資料を見ますと、七十平米のマンションが大体二千九百万あるいは三千万、三千万、このくらいの価格だったのです。平成四年度になりますと五千六百万、三年度は六千四百万、二年度は六千五百万、約倍くらいになっているのですね、この間に。ですから、私が言うのは、せめて昭和五十九年、六十年、六十一年、すなわち価格で言うと二千九百万から三千万、これがついまだ六、七年前にはそれで購入できたわけですから、せめてこのあたりに持っていくぐらいの目標にしていただきたいということを強く申し上げているわけなのです。  この点についてはいろいろと今政策もあわせてやるということですから、ただ、今ちょっとお話を聞いたぐらいのところでは、なかなかここまでいくのかなという危惧はいたしますが、それではもう少し突っ込んで聞くと、このくらいの価格を目標にするとどのくらいのこれからの年度でできるのか、あるいは五年先ぐらいならこのくらいにしたいなというようなことの目標年次でもいいから、そこらあたりまでちょっと示していただければもっとわかりゃすくなるんだと思いますが、どうでしょうか。
  26. 徳山直

    ○徳山説明員 「生活大国五か年計画」の目標年次は定められているわけでございますが、私どもといたしましては、できる限り速やかに年収五倍程度での住宅の取得が可能になるように、その年度なりの施策の充実に努めているということでございまして、何年度までに幾らというより、さまざまな施策を通じまして計画期間内のできるだけ早い時期にその達成を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  27. 小松定男

    ○小松委員 それで、多少住宅政策に関係するのですが、現在、住宅が四千百万戸くらいあると言われておりますね、もう少しありますか。大体四千百万から二百万くらいだと思うのですが、そのうち二十年以上もう既にたっている家が約四〇%くらいあるのです。したがって、これらの建てかえなども、公団住宅の問題も今建てかえの時期にもなっておりますが、一般住宅でも二十年たっているのが約四割と言われておりますので、そういう状況だと思うのです。といたしますと、これからの住宅建設計画、新しくつくる計画が百万戸とか百五十万戸とかありますが、それと建てかえの住宅、こういう計画などについてはどういうふうに一応見越しているのか、このあたり建設省ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  28. 徳山直

    ○徳山説明員 五年ごとに行っております住宅統計調査で最新のものは昭和六十二年の調査でございますが、それによりますと、全国住宅戸数が約四千二百万戸でございまして、先ほど先生から御指摘ございました。これらのうち、現時点で二十年を経過している昭和四十五年以前に建設されました住宅というのは約一千四百二十万戸ということで、全体の約三八%、四割近くでございます。このような住宅の中で、特に規模が小さかったり、あるいは老朽化して質の低い住宅につきましてはその建てかえを行いまして、居住水準の向上とか良質な住宅ストックの形成を図っていく必要があると考えているところでございます。  このような民間住宅につきましては、住宅金融公庫によります建設資金融資を活用する、あるいは老朽化した木造賃貸住宅等が密集している地区におきましては、住宅密集地区再生事業等というものを活用して住宅の建てかえの推進を図っているところでございます。また、公営住宅とか公団住宅等につきましては、建設省におきまして平成四年度を初年度といたします公共賃貸住宅建替十カ年戦略というものを策定いたしまして、これを受けまして各事業主体において建てかえの推進を図っているところでございます。  なお、住宅建設五カ年計画等の住宅建設の見込み、あるいは公的住宅の目標に関しましては、その中に当然建てかえというものも勘案しながら計画なりを策定しているところでございます。
  29. 小松定男

    ○小松委員 今首都圏でもいろいろと問題になっております市街化区域の農地の宅地化、これが、いろいろと進めてはいるのですけれども、大変立ちおくれているわけなのです。このおくれている原因というのはいろいろあると思うのですが、税制をもう少し何とか、手放してもできるような税制措置を講じてもらいたいとか、いろいろとあるようですけれども、このおくれている理由はどんなところにあるのか、そして、それらの対策がどういうふうに講じられようとしているのかこの点について伺っておきたいと思うのです。
  30. 松原文雄

    松原説明員 市街化区域内農地の問題につきましては、実は昨年の十二月末までに、都市計画によりまして長期にわたり保全する農地、いわゆる生産緑地等でございますが、それから、今後宅地化を計画的に図っていくべき農地を明確に区分がいたされております。首都圏の市街化区域内農地、約二万七千五百ヘクタールほどあるわけでございますが、昨年の十二月末までにこのうち約七割の約一万九千ヘクタールが宅地化農地として位置づけられております。  先生、宅地化がおくれておるという御指摘でございましたが、言うなればそういった区分を終わりまして、これから具体的にそれぞれの宅地化農地につきましてプログラムをつくって宅地化を推進していこうという段階でございます。こういった区分を踏まえまして、市街化区域内農地につきましては、計画的な市街化を図りつつ、住宅宅地の供給促進を図ることが重要であるという考え方に立ちまして、関係地方公共団体に対しまして、整備プログラムを早くつくるようにという指導をいたしておりまして、そのプログラムに基づきまして、例えば土地区画整理でありますとか、あるいは住宅地高度利用地区計画とか、そういったもの、それから、地権者の皆様が賃貸住宅をお建てになるような場合に対応いたしまして、各種の賃貸住宅建設促進制度、そういったものを積極的に実施していくように各公共団体に要請をいたしておるところでございます。  平成五年度には、既存の施策を幾つか拡充をいたしておりますけれども、さらに、今後具体の問題に即しまして、制度を見直しながら、なお一層の宅地化農地の計画的な宅地化といいますか、そういったことの活用に向けて努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 小松定男

    ○小松委員 この問題については、まだそれの推進を図っている最中だし、また発足して間もないですから、また今後の推移を見て質問する機会もあると思いますので、その際に回したいと思います。  次に、これはやはり土地の高騰を抑えるために監視区域というのができまして、これが非常に一定の役割を果たしたと思うのですね。ところが、最近いろいろ不動産屋さんあるいはそうした人たちの声としては、この監視区域が土地の流動といいますか、これに非常に差し支えているというような声もあります。  しかし、やはり特にこの首都圏における、三大首都圏といいますか、そういうところはこうした監視区域がそういう役割を果たしてきたわけですから、これはさらに続行させるべきだというふうに私は考えているわけですけれども、一方では、そうした声、要望なりが恐らく来ていると思いますので、このあたりはさらに続行することでもってやっていくのかどうかということを確認しておきたいと思うのです。
  32. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 監視区域制度でございますけれども、制度自身の性格から申しますと、自由な土地取引を前提といたしまして、著しく適正を欠く価格での届け出等に対して指導や勧告を行うという比較的ソフトな仕組みでございまして、通常の土地取引を阻害する性格のものではないというように私ども基本的には認識しているところでございます。  それと、制度の運用主体でございます都道府県知事あるいは市長さんでございますけれども、ただいま委員がお話しになりましたように、大都市圏を中心といたしましてなお地価水準が高いという状況、それから、現在におきましても、窓口で価格が異常に高過ぎますという指導を受ける比率でございますけれども、この指導を受ける割合がなお三割弱ぐらいあるということで、相当高い水準であるということから、運用責任者でございます自治体の首長さんは、現時点におきましては、当面は的確な運用が必要である、こういうように認識をしておられるというように承知しております。  しかしながら、法律上の制度といたしましては、もう御承知のとおり、五年以内の期間を定めて定のエリアを定めて監視区域における届け出制というのを運用する、こういうことになっているわけでございますので、制度が恒久的なものでないということは当然でございまして、今後の地価動向に的確かつ機動的に対応する必要がある、そういう性格も持っているということは否めないことだろうと思っております。  ただ、私どもとしては、一義的にはやはり運用責任者でございます自治体の首長さんの意向を十分尊重する必要があるということで、今後の地価動向あるいは取引状況等地域の状況を十分見きわめるとともに、そういった自治体の首長さんとの連絡を密にいたしまして、運用主体が不安、懸念なく機動的、弾力的に対応できるようなそういう条件整備のお手伝いをこれから我々としてはしていく必要があるんじゃないか、かように認識しているところでございます。
  33. 小松定男

    ○小松委員 地方自治体の意見を尊重するということ、それで非常にいいと思うのですが、それでは、それとも関連いたしまして、都市計画法自体が非常に問題があるのですね。これは私たち社会党も、これまで都市計画の決定権限というのをむしろ市町村に移譲することを基本にしたいわゆる住民参加の拡大を図るための都市計画ということをかねがね主張して、法案にも一応提出をしたことがあるのですけれども、そういうことに基づいて、市町村を中心にした考え方、これをぜひ私は推進をすべきだと思うのです。これがやはり地方分権の一つの大きな具体的なことになるわけですから。  そこで、いろいろと今は現状そうなっていないということの中で非常に困った問題が具体的に出ているわけです。これはなぜかというと、今度は高層マンションの建設をめぐって、これは地方自治体にこれの権限というものがありませんので、今までも幾つか、マンション業者とそれから住民それから自治体、このあたりがいろいろ話し合ってきたり、あるいは住民の声を地方自治体が吸い上げて、余り無謀なマンション業者に対しては水道を供給しないとか、あるいはまた景観条例で対抗するとかいろいろやったところもあるようですが、結果は、裁判などでその点については自治体が負ける、こういうようなことなども幾つか例としてはありますね。  したがって、そういう状況の中で地方自治体が命求めているのは、むしろこうした都市計画法そのものがもう少し権限を移譲してもらえばもっともっとよい環境の計画の中で住宅環境もできる、こういうふうに言われているわけですね。したがって、私は、そういう立場からいたしますと、むしろ地方に対しての権限、これをぜひ今の都市計画法自身を見直すべきではないかと考えるのですが、この点についてはどういう考えでいるのでしょうか、伺っておきたいと思います。
  34. 板倉英則

    ○板倉説明員 お尋ねの都市計画の権限移譲の問題でございますが、私が申すまでもなく、都市計画というのは町づくりの最も基本的な手法の一つでございまして、地方公共団体、特に基礎的自治体である市町村が住民の意見を十分反映させながら主体的に推進していくという姿勢が大変重要であろうかと思うわけでございます。このため、都市計画の決定権限につきましては、先生御案内のとおり、昭和四十三年の現行都市計画法の施行に際しまして、従来国が行っていた都市計画決定というものを一括しまして地方に移譲いたしまして、原則として地元の事情に精通した市町村が定めるものとし、広域的、根幹的なものに限って都道府県知事が行うというふうになっているところでございます。  都市計画の権限配分の問題につきましては、従来から数次にわたりまして地方の自主性尊重の観点から、必要な見直しを行ってきたところでございますが、先回の国会で改正いただきました改正都市計画法におきましても、通称私ども市町村のマスタープランと称しておりますが、市町村の都市計画に関する基本的な方針というものを創設していただきまして、市町村の町づくりの権限の拡充に努めたところでございます。  今後とも、国と地方機能分担のあり方を踏まえつつ適切に見直しを行いまして、可能な限り地方に権限移譲が行われるよう努めてまいりたいと思っている次第でございます。
  35. 小松定男

    ○小松委員 確かに、都市計画を決める際には、いろいろと地元の市町村で計画をして、それをだんだん上げてくるのですけれども、現行の中で、先ほど若干申し上げた中の一つとして、問題点が出てまいりました。  例えば、マンションの問題で具体的な問題を申し上げますと、私が今住んでいる所沢でこういうことが、これは所沢だけではありません、各地区で起きているのですけれども、ある大手のマンション業者が、今まで住宅があったところに、たまたま畑を買収してそしてそこに十何階建てのマンションをつくる、こういうことで確かに法的にはそれはクリアしていると思うのです。  ただその中で、住民との話し合いをする、こういうことがあるのですが、それは、やってもやらなくても期間が来ればクリアしてしまうということで、いざそれの工事にかかりましたならば、大変いろいろなトラブルが起きまして、そして大きな問題になって、今、工事をやっている方と住民との間でけが人まで出てしまって刑事問題にも一方ではなっている、こういうようなことも発生をしております。  それで、市でも弱りまして、何とかしてこれを話し合いにもっていこうとするのですが、今の法律ではなかなか市町村にそれだけの権限はありません。したがって、どうしても指導ということになるわけなのですが、指導ですと、それは強引な業者ですよ、そういうものに余り耳をかさないということでもう通ってしまうということですから、なお始末が悪い、こういうことになるわけです。  ですから、そういう紛争が起きているときに、いろいろと私どもがそういう体験をしている中では、もう少し現場の市町村に法律の権限が与えられているならば、もっとスムーズに住民対業者、そして市が入りまして話し合いができるのじゃないかというふうに思うのですが、残念ながらやはり法的には合致しているということです。  ただ、今法律的に合致しているというけれども、普通の住宅のところに、わずか五十センチくらいのところに、今度は二十メートル以上の高層住宅ができるわけですから、今まで平穏にいた住宅の人たちはこれはたまったものじゃないですよ。ですから、そういうことが起きるのは当たり前なのですね。ですから、そこを話し合いでしたくてもなかなかそういう状況ができない、こういうのが現状です。建設省に言ったって、これはやはり市町村が指導して話す以外にないでしょう、こういうようなことだと思うのですね。  ならば、そういうことも含めて、市町村にもう少し権限というものを移譲した方が、市町村もそれならばやりゃすくなるのじゃないかということを考えまして、ぜひ次の法改正にはこのあたりを十分、現状、これは私が行った一カ所や二カ所の問題じゃありませんね。至るところで起きている問題ですから、ぜひひとつ今後の法改正の中では真剣にこれを考えてもらいたいということを強く希望しておきますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
  36. 板倉英則

    ○板倉説明員 先ほど具体の問題が一つ先生の方から出されたわけでございまして、いわゆるマンションの建設と都市計画というような兼ね合いのことであったわけでございますが、これは第二種住居専用地域でのことであろう、私もちょっと詳細な事情はわかりませんけれども。そういたしますと、中高層の住宅地としての環境を保護するという地域でございまして、先生御案内のとおり、ここの地域につきましては、都市計画で決めておりますのは、建ぺい率と容積率でございまして、高さについては都市計画で直接触れているわけではございません。  そこで、しからばどういう方法があるかということになりますと、ここはこういった地域について高さの制限をいたそうということになりますと、もちろん地域のコンセンサスが前提となるわけでございますが、昭和五十五年に都市計画法に導入された地区計画制度というのがございます。これは、市町村が策定権限を持っているわけでございまして、地域の特性に照らしまして地域全体の市街地像というものを頭に描きまして、それを実現する担保するものといたしまして、建物の高さとか形態とか意匠とかというものを具体に定めるわけでございます。  こういった地区計画というような手法を使っていただきますと、周辺の町並みと調和した、高さの統一のとれた町並みの形成が可能になるということでございまして、現在の都市計画制度の中でも市町村にそういった都市計画手法というのが十分付与されているわけでございまして、こういうものを十分御活用いただきまして、先生のおっしゃったような景観との調和のとれた美しい町づくりができ上がることを私ども期待するわけでございます。  いずれにいたしましても、都市計画の権限配分の問題というものは、この都市計画というのが市町村にとりまして、都市あり方を決めていく大変重要な行政分野であるという認識でございますので、先ほど申し上げましたように、今後とも逐次の見直しを通じまして、可能な限り権限移譲に努めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  37. 小松定男

    ○小松委員 この点については、いろいろと紛争が起きていることですから、またいろいろと問題点をそのときにも出す機会もあると思います。  時間も迫っておりますので、次に、大蔵省きょう見えておりますので、相続税に関連した問題でお伺いしておきたいと思うのですが、これも先週の多分日曜日だったと思うのですが、この辺あたりの、東京の千代田区あたりの問題が報道されておりましたね。わずか三十坪程度の店舗あるいは住宅、そういうものの公示価格が何億円ということですから、現行の税制の中では、相続する場合には億単位の税金を納めなければならないということで、居住している、あるいは店をやっておっても、これを売ってどこかへ行かなければならないか、とにかく、いずれにしても税金を納めることができない、こういうようなことが報道されておりましたが、これもバブル一つの大きな犠牲といえば犠牲だと思うのですね。  したがって、こういうものに対する税制上の何らかの措置、こういうものをやはり講ずるべきじゃないか。確かに、地価公示でいきますとそういうふうになるんでしょう、毎年、一年に一遍公示価格が出ますけれども、そういうことになるのかもわかりませんが、しかし、そのことによって住めなくなってしまう、店も営業もできなくなる、こういうような実態もあります。これは、何もこういう千代田区だけの関係ではなくて、特に首都圏の各地区においてもそういう傾向があります。  そこでお伺いしたいのですが、そうした小規模に対する特例措置、確かに固定資産税なんかでは若干のそういう免税というか、あるのですけれども、相続税の場合はとてもそんなものでは追いつく問題じゃないと思いますので、このあたりについての考え方、これを伺っておきたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  38. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 今御質問の相続税の関係でございますが、昭和六十三年の抜本改正の中で大幅な減税を行ったのに加えまして、平成四年度の税制改正におきましても、土地の相続税評価の適正化に伴いまして負担調整等の改正を行ったところでございます。これらの改正の中におきまして、地価水準の高い大都市圏における相続税問題にこたえるために、二百平方メートルまでの小規模な宅地などにつきましては、相続税の課税の特例の減額割合、これは昔からあるわけでございますが、これをそれぞれ引き上げたところでございまして、現在では、居住用の財産におきましては六〇%を減額する、あるいは事業用のものにつきましては七〇%を減額するということでございます。  したがいまして、仮に二百平方メートルで五億円の評価のものでありますと、事業用地であれば一億五千万に評価する、三億五千万円を減額するという措置をとっているわけでございます。このような改正も伴いまして、また、昨今地価が鎮静化の方向にございますので、平成四年度の相続税改正と相まちまして、相続税の負担はかなり緩和されているというふうに認識しております。  また、財産課税のシンボル的な存在でございます相続税をさらに軽減するということは、一方で、持てる者と持たざる者との間の資産格差の是正という問題にどうこたえるか、あるいは所得、消費、資産、全体としての税制をどう考えていくかということからいいますと、やや適正化の流れに逆行するという問題もあるということを御理解いただければと思っております。  なお、広く国民的視点からは、地価がもう一段低下することが望ましいと考えておりまして、そのことは、結果といたしまして、相続税の負担の軽減にもつながるということでございますので、政府といたしましては、今後とも総合的な土地政策を着実に推進していくということが必要であるというふうに考えております。
  39. 小松定男

    ○小松委員 最後になりますが、大蔵省、せっかく見えておりますので、地価税の関係でちょっと質問しておきたいと思うのです。  これはいろいろありましたが、バブルのときには、大企業を含めて、土地で大変もうけたところもあります。そして、企業では赤字を出しておきながら、土地だけはどんどん拡大してふえているところもあるのですけれども、そういういろいろな矛盾に対して当然地価税をかけるべきじゃないかということで最初○・五%ぐらいが、発足した当時○・二%で、ことしから○・三%、こういうことになりまして、たしか〇・二%では五千数百億ぐらいの税収があったというふうに言われております。  一方では、大企業なんかからも、この地価税を廃止すべきだ、あるいはまた軽減をすべきだ、こういう声もいろいろと、大蔵省の方やいろいろなところに働きかけもあるかと思うのです。しかし、今なお、いろいろと見てまいりますと、そういう、今度土地のいろいろな実態調査をやりますから、また、なお一層明らかに出てくると思うのですが、私はこれは続けるべきかなというふうに思っているのですが、この点についてはさらに一層進めていくことでいるのかどうかということを最後に確認をして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  40. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 先般の地価の高騰は、我が国経済社会に資産格差の拡大あるいは住宅取得の困難などのさまざまな支障をもたらしたところでございまして、これに対するために、総合的な土地対策の一環として土地税制改革が行われ、その重要な柱として地価税が創設されたところでございます。  地価税は、地価税法に沿いまして、委員御指摘のとおり平成五年から本則の税率○・三%に移行することになっておりますが、これに伴いまして、政府税制調査会では、平成五年度税制改正に関する答申では、土地政策を引き続き総合的に推進する中で、地価税創設の趣旨を踏まえ、着実な実施に努めていくことが必要であるという御指摘をされているところでございます。土地の保有に対する負担の公平を確保しながら、土地神話を打破いたしまして、二度と地価の高騰を生じさせないために、この答申の趣旨をも踏まえ、長期的、体質改善的な措置としての地価税の着実な実施に努めてまいりたいと思っております。
  41. 小松定男

    ○小松委員 終わります。
  42. 玉城栄一

    玉城委員長 仙谷由人君。
  43. 仙谷由人

    仙谷委員 先ほどから質疑をお伺いをいたしておりまして、国土庁長官の、地価の一段の下落が望ましい、こういう決意をお伺いをいたしまして、非常に頼もしく感じているところでございます。  昨日、政府の方から総合経済対策が発表をされました。拝見をいたしたのでございますけれども、私どもから見ますと、相も変わらない量的な拡大に走っておるのではないだろうか、GNPの成長率を底上げするために、量的にどうも公共投資を十兆円強積み上げるというふうな、そんな施策でないだろうかなという感じがいたします。もっと具体的に言いますと、相も変わらない産業優先の予算づけあるいは事業構成ということになっておりまして、私どもが今当面しております高齢社会に向かって、どういう社会資本を整備していったらいいのか、あるいは老人や体にハンディキャップを持つ人の生活のために、日常的な生活の利便のためにどういう町づくりが必要なのか、そういう配慮も余りなされてないような感じがいたします。  あるいは、もっと言えば、自然環境を保全し、例えばきれいな水を循環させるというふうな施策として、一般的な下水道対策ということだけに終始しておるのではないだろうかな、こんな感じを持ったわけでございます。そしてまた、これだけの財政規模の公共投資を行うということになりますと、経済理論的には円高を高進させるということになるわけでございますので、その反対の極といいますか、手当て、つまり地場産業をどういうふうにして急激な円高にさらさないようにするのかというふうな施策にも少々目が行ってないな、こんなことを考えるわけでございます。  私は日本社会党に所属をしておりますが、せんだっての四月六日に日本社会党のシャドーキャビネットで総額十二兆円強の緊急経済対策を作成して、大蔵大臣にも、あるいは経済企画庁長官にも申し入れたところでございます。私ども施策では、自然環境に配慮する、あるいはハンディキャップを持つ人々に配慮をした町づくり、あるいは文化や教育、いわば今までの土木事業に偏した公共投資から、人間を大事にする公共投資を大胆にやらなければいけない。私どもの方では、社会生活資本という新たな名称をつくって、そういう範疇に投資をしていかなければならないのではないだろうか、こういう主張をしておるところでございます。  この緊急経済対策についても国土庁長官も多少関与をされておるのではないかと思いますが、一つは、この段階でことしになっても、いまだ不動産業界等から、あるいは建設業界も含めて、地価税を廃止することが経済対策である、地価を上げないと経済対策にならないという経済をわかってない暴論、あるいはこれから我々がどういう社会にするのかということを全く抜きにした業界的議論がなされておったやに私も聞いておりますが、まずこの点だけ国土庁長官に、バランス、均衡のとれた国土形成といいましょうか、あるいはこれから我々が向かわなければならない高齢社会、国際化した社会の中で一体公共投資、社会資本整備というふうなもののベクトル、向きをどちらに向けるのかということについて、国土庁長官がもし政府経済対策の中で御主張をされたようなことがあったらひとつ披瀝をしていただきたいと存じます。
  44. 井上孝

    井上国務大臣 昨晩、政府の「総合的な経済対策推進について」というものを閣議決定をいたしました。その中には先生今御指摘の、社会資本整備と言っておりましたけれども、自民党の方では新社会資本整備、これが政府の閣議決定の中ではそういう言葉は使われませんでした。しかし「社会資本整備の新たな展開」ということの中に、御指摘のような大学研究所の老朽した施設の改善とか医療、社会福祉のための施設、あるいは通勤通学の混雑緩和を目指した鉄道の整備とかそういった新しい範疇の社会資本整備にも手をつけていくんだ、こういうことも盛り込まれておりますし、これは社会党の緊急経済対策の大綱も拝見をいたしましたが、その中にも盛られております。そういう点では、新しい施策がこれからこの総合的な経済対策の中でとられていくと思っております。  それから、国土庁といたしましてはいろいろな仕事をやっておりますが、やはり現在は地価の問題でございます。地価税につきましては、今大蔵省からも御説明いたしましたように、私どもは、短期的な税収を図るための地価税ではございません。これは土地基本法にも挙げておりますような、土地の資産価値というものを縮減させる、こういうためにつくったものでございますから、地価税を今廃止するというようなことは国土庁としては考えておりません。  なお、この昨日つくりました経済対策も、確かに公共投資をふやしていくということによって景気を立て直そうとしておりますけれども、今ちょっと見ているのですが、どこかにたしか地価の問題にも配慮をするということが、今ちょっと探して見つからないのでありますが、公共投資の用地の問題のところだったと思いますが、どこかで地価の動向に配慮するという言葉も入れていただいておる、こういうことで、ある程度配慮をされておると思っておる次第でございます。
  45. 仙谷由人

    仙谷委員 経済政策についての論争をしますと時間がなくなりますので次に進みますが、日本経済が、今ある意味で戦後史上始まって以来の資産デフレと言われるような、経験をしたことのないような不況に突っ込んでいるということは疑いもない事実だと思うんですね。それは、金融機関がこれだけの不良債権と不良担保を抱えて実質的にあえいでいるということを見てもそうでございますし、それから、ある意味で先行きの見通しのない設備投資にメーカー側も走ってしまった、今供給過剰の状態でどうやったらいいのかというような、そういう状態の中にいるというようなことも事実だと思うんですね。  それで、それを引き起こした大きな原因の一つが、我々はいわゆる土地本位制といいますけれども土地を過度の信用創造のネタにした。そのことによって融資を受けて設備投資につき込む、あるいは財テクを行う、こういうことで金融機関も一緒になって悪はしゃぎをした。そのツケの中に今私どもはいると言っても過言ではないと思います。  そうだといたしますと、この日本経済が安定的に成長していくためには、やはり問題は土地及び土地に関する私どもの意識といいますか、あるいはビジネスの世界での意識というものが変わってこない限り、もう一遍ミニバブルを起こせば気持ちのいい景色になるんだみたいな話は到底受け入れるところではないと私は考えるわけでございます。市場経済でございますので、土地についてもある程度は商品として扱われる、こういう傾向が出てくるのはやむを得ないかもわからない。やむを得かいかもわかりませんけれども土地基本的には公共財であるというこの考え方から、マーケットメカニズムをある意味でコントロールできるような施策がないと、いつまでたっても、ちょっと金融が緩んだり国際的な金融関係の環境が変わったりしますと、仮需要や投機の対象になってしまうのではないか、こんなふうに私は考えておるわけでございます。  先ほど監視区域の話が出ておりました。監視区域あるいは取引規制、金融の総量規制というふうなやり方は、私はある意味で邪道だと思います。やはりインセンティブをつけて、そこに商品として買い出動する部分についても負担が伴うというシステムがあることが、マーケットメカニズムをコントロールする手段としては正しいんではないだろうかと思うのです。  それから、先ほどからもちょっと話が出ておりますけれども土地の問題については、やはり売買規制とか監視とかということじゃなくて、利用の規制が画然となされておかないと、あくまでも期待利益、利益期待、そこのところで取引が動いていくということになりますので、そういう意味では昨年の都市計画法というのは十二分に期待をしたわけでございますけれども期待に反して、住民が参加し、住民の意思が反映するような町づくり、村づくりができるような構成にどうもなってこない。そしてもっと言えば、今中央諸官庁の縦割り行政の中で、自治体が総合的に町づくり、村づくりを進めるような権限がおりてきてない、こういうことが実態だと思うのですね。  私は都市計画法は早晩見直しをしなければいけないと思いますが、きょうはそちらの話に入るのをやめまして、そういう観点から、せんだって発表されました地価の公示、このことが持つ意味について、もう一度大臣あるいは国土庁からの答弁をいただきたいと存じます。  そしてまた、先ほど国土庁昭和五十八年時点でのいわばGNPと地価との関係ぐらいに落としたいというふうな答弁をされておったやにお伺いするのですが、今は住宅地、商業地とも、GNPあるいは世帯収入との関係でいえば、六十二年、六十三年、この間ぐらいにいるんじゃないでしょうか。そういたしますと、あとどのぐらい地価を低下させることが望ましい、こういうふうにお考えなのか、国土庁の方から御答弁をいただければ、こういうふうに考えております。
  46. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 まず、去る三月下旬に公表いたしました平成五年一月一日時点におきます地価公示の概況でございますけれども、先ほど来御議論、御説明をしておりますように、三大圏におきます地価は顕著な下落を示しておりますし、地方圏におきましても総じて横ばいまたは下落という状況でございます。  この結果、例えば一番状況が厳しくかつ国民的な関心のございます東京圏の姿でございますけれども地価高騰前の昭和五十八年と比較いたしまして、ピーク時でございますと住宅地で約二・五倍、商業地で約三・四倍ということになっておりましたものが、昨今の地価下落というものを反映いたしまして、住宅地では約一・九倍、商業地では約二・六倍という水準になってきております。  ただ、大都市圏地価は、既に先ほど来御説明しておりますように、勤労者世帯年収とかGNP等の関連する諸指標との乖離というものは縮小してまいっておりますけれども勤労者世帯年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能となる、そういう水準にはまだ高い水準にあると言わざるを得ないということでございます。  しからば、ではどのくらい乖離があるのかということでございますが、年収なりGNP、あくまでもこれは相対的な関連指標でございますので少し幅を持って見ていただく必要があるということと、それから余り短期にそれぞれの関連指標を短絡的に比較するというのも適当ではないだろう、こういう制約はございますが、一応長期的に見ますと、こういう指標と地価もパラレルに動くというように想定されるわけでございますが、そういうことからいたしますと、東京圏地価の水準は、特に相関の深い世帯収入の伸び、これに比べてまだ一割強の乖離がある、こういうように考えているところでございます。
  47. 仙谷由人

    仙谷委員 先ほどから、いわゆる収入の五倍程度で買える住宅という話がございます。政府の方も簡単にそのことを力説するわけでありますけれども、私、ここには二つの落とし穴があると思うのですね。  ちょっときょう資料を持ってくるのを忘れましたが、今五倍程度の住宅というふうに言うときに、それが買える場所が一時間半も二時間もかかるような、つまり、六十キロも七十キロも離れたところでしか五倍程度のマンションが買えないという問題があると思うのですよ。  それからもう一つは、では、その住んだ場所、地域が、住んではみたものの、その近くには図書館もなければ公園もないというような生活環境のところで年収の五倍で買える住宅が発見できたとしても、これが果たして人間的な生活と言えるのだろうか。先ほどの私の申し上げたところからいいますと、では、そこで年をとってきた場合に、車いすで生活できるような町にそこがなっておるのか、こういう問題にまで発展をするんだろうと思うのですね。  今の、年収の五倍というふうに言われておる住宅の面積も、多分七十平米以下のものを基準にしておるわけでございまして、先進工業国の中で、こんな貧しいスペースで、そしてまた建具とか壁にしても、何か、要するにベニヤ板に色を塗ったのを張りつけてあるようなそんな住環境で、年収の五倍で買えても、これは余り自慢できる話ではないのではないか、こんなことを考えるわけでございます。  土地代にまだまだ負担のかかったといいますか、住宅の価格の中で土地代の占める比率が非常に大きい、この構造というものは、首都圏あるいは三大都市圏あるいは十大都市圏というのでしょうか、こういう都市化がますます進むところにおきましては、地価がもっと下がらないと、もう一段の下落じゃなくて、二、三段の下落がないと、パブリックスペースがある程度充実をしてきたり町づくりができてきたり、つまり社会資本投資が効率よくできるというふうにはならないのじゃないか、こんなことをつくづく考えておるわけでございます。  そういう観点から、私どもは、地価税の果たす役割というのは今までよりもますます大きくなるんではないかと考えておるわけでございます。つまり、景気の大きな変動というのは、こういう仕組みが日本経済構造にビルトインされていなかったからむしろ起こったんだというふうに考えるべきで、今度の地価下落も、決して地価税の効用で下がっているんじゃないのですね。金融の引き締めとか総量規制も効果があったかもわかりません。  もっと言えば、きょう建設省からお答えをいただこうと思いましたのですが、時間の関係ではしょりますけれども、この都市部のオフィスビルの価格の下落傾向あるいは空き室率というふうなもの、建設省からいただいた資料では平成三年ぐらいまでしか出ておりませんが、こういうのを見ますと、多分に、余りにも土地の価格に連動して気分までバブルになって、高い賃料でも平気で一棟借りするような経営のスタイルがどうももたなくなった、やっぱり収益価格に近づいてこないともたないというのが今のビルの賃料等々にはあらわれておるのだろうと私は思うのですね。  しょせんバブルははじけるわけでございますけれども、二度とバブルを起こさない、地価の高騰は、国民一人一人の生活にとって大変な罪悪だというこの観点だけは忘れてはならないのではないだろうかと思います。  そこで、先ほどから申し上げておりますけれども地価税の関係でございますが、ついせんだって、地価税の公示ということが行われました。この地価税の公示からどういうことが読み取れるのか、大蔵省の方から来ていらっしゃいましたら、お答えをいただきたいと思います。
  48. 伊戸川啓三

    ○伊戸川説明員 ただいまの委員の御質問は、地価税の今回の公示の状況はどうであったかということであろうかと思います。  平成四年分の地価税の最初の申告につきましては、トラブルなく円滑に終了したわけでございますが、昨年じゅうに申告を行いました個人または法人のうち、地価税額が一千万円を超えるものにつきましては、地価税法の規定によりまして、その納税者の氏名または名称、納税地、そして地価税額、これをこの四月一日から四月十五日までの間に納税地の所轄税務署におきまして公示を行っているところでございます。  今回、全国におきましてこの公示の対象となりましたのは法人、個人合わせまして七千三百五十四件でございます。これは地価税の申告件数全体の約一八%、二割弱を占めております。また、法人だけで見ますと、公示件数は六千七百五十四件ということで、これは法人の地価税申告件数の約二四%を占めておりますが、この法人分の公示件数は公示件数全体の九割ぐらいになっております。なお、公示対象者のうち、地価税額が一億円を超える法人、個人は六百九十一件でございますが、このうち法人は六百九十件、個人は一件だけでございます。また、公示対象者のうち、地価税額の上位百位以内に入る納税者はすべて法人でございまして、これらの申告税額の合計額は一千三百九十八億円となっております用地価税額全体の二六%ということで、約四分の一強を占めているわけでございます。  今回の地価税の公示の状況のあらましにつきましては、以上のとおりでございます。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 おわかりになればで結構なんですが、この地価税によって、日本で初めてというふうに言えばいいのかもわかりませんが、企業別の土地という資産をどのぐらい持っておるのか、どのくらいの価値の資産を持っておるのかというのがいわば初めて明らかになったわけですね。これによって初めて名寄せができて、ある会社がどのくらいの土地という資産を持っているのかというのが明らかになってきた。それは、とりもなおさず各会社の、各企業の簿価との関係では含み益があるという話でございます。  地価税につきましては、こういう高額土地といいますか大資産所有の企業が、土地という資産を、大量かつ高額の土地を持っておる企業が、これは一部の業種に偏った税制であるからけしからぬという議論が出ておったように私は聞いておるのでありますけれども、果たしてその資産とそれに対する負担という関係では、つまり保有している資産と負担という関係ではそういうことが言えるのかどうなのかこの点は大蔵省いかがでございますか。
  50. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 地価税につきましては、委員御指摘のとおり、土地の保有に対する税負担の公平確保と土地の資産としての有利性の縮減を図るという観点から、保有する土地の資産価値に応じて負担を求める仕組みとなっているわけでございまして、結果として、高額の土地資産を保有しているものほど高額の負担を求めるということになっているわけでございます。  四月の公示だけではなくて、平成四年の地価税の申告実績を見ますと、地価税の課税対象となりました法人分の土地というものは、法人所有土地の約六割を占めているという形になっております用地価税の納税者となりました法人が二万八千社強でございますが、これが全法人数約二百五十万社の一%を上回るぐらいの数字でございます。それが法人がすべて所有している土地の六割強を持っているということは、法人の中で見ましても、極めて少数の法人に、土地資産額の大半が集中しているという保有の状態をあらわしているというふうに考えているわけでございまして、特定の業種あるいは特定の会社に負担を求めるということではなくて、特定の数の法人が、かなり広範な土地を所有しているという実態を反映したというのが今回の地価税の申告の実績であるというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、法人の場合にどういう負担を求めるかということは、法人税という所得に対する課税以外にさまざまな求め方があるわけでございます。例えば、法人につきましては土地を保有することによりまして資金の調達が容易になる、特に、その価格が上昇している場合にはその能力が飛躍的に上昇するわけでございますが、そのような事業経営の対応力が高まるといったメリットを享受しているわけでございます。  したがいまして、このような土地保有のメリットがある、これが経常的に得られるということを考えますと、土地の資産価値に応じて毎年経常的に負担を求めるという地価税のあり方ということが是認されるのではないかというふうに考えているところでございます。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、基本的に企業が土地を持つこと自体が悪いとか、企業がもうけるのが悪いというようなことを言うつもりは全くないのですね。  にもかかわらず、フローの面で収益が上がったらちゃんと公平な税制のもとに負担をしていただく、それから資産を持てば資産保有に応じた負担をするということがなければ、というよりも、その面がやや弱かったからこそ、先ほど相続税の話が出ておりましたけれども、個人は相続税があるのに会社という存在には、法人という存在には相続税がないものですから、個人が相続税で負担をするときに、その売った土地が法人の所有になるということが繰り返されてきた。  まさに法人資本主義の典型のようなことになってきて、株は持ち合うわ土地は買い占めるわということが、個人の生活を貧しくしてきた大きな原因だと思うのですね。だから私は、会社はどんどん土地を買っていただいてもいいけれども、やはりその分どんどん税金も払っていただかなければいかぬ、これだけの話だと思います。つまり、景気が悪くなって地価税負担分をフロー、法人の所得で払うのが苦しいからこれをまけてくれとかやめるべきだという議論は、少々逆立ちをしておるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  ところで、固定資産税の話をちょっとお伺いしたいのですが、平成二年の地価税論議のときに、やはり固定資産税が資産課税の原則であるから、この地価税導入というのは、国税でいわゆる土地という資産に課税するのはまずいのではないかという議論もあったように思います。自治省の方も、土地の評価額を時価の七割程度に上げるという話が出ておったと思うのですが、そのいわゆる課税標準額を上げるという話と、今回の負担調整の措置の問題とでどういうふうな状況になっておるか、改めて答弁をいただきたいと存じます。
  52. 堤新二郎

    ○堤説明員 お答えを申し上げます。  固定資産税の土地の評価がえにつきましては、次回、平成六年度の評価がえにおきまして、議員言われましたように地価公示価格の七割程度を目標に土地評価の均衡化、適正化を図ることにいたしております。これは、土地基本法が制定されまして、その土地基本法の第十六条の中で、公的土地評価相互の均衡と適正化を図るように努めるという規定が設けられたわけでございますけれども、この規定の趣旨を踏まえまして、固定資産税そのものの土地評価の適正化を図るというふうにしたわけでございます。  ただ、これまで地価公示そのものも、かなり地価が高騰いたしておりましたときには、投機的な要素が完全に排除し切れておらなかったのではないかなという意見もございますし、また一方、固定資産税の方も評価がそのまま負担につながるということで、どうも評価を抑制してきたのではないかなということでございまして、現在の地価公示に対する固定資産税の評価水準からしますと、地価公示の七割にいたしますとかなりの評価の上昇になるわけでございます。  そういたしますと、今回の平成六年度の評価がえはあくまで基本的に評価そのものの均衡化、適正化を図るということが主たる目的でございまして、急激に固定資産税の税負担を上げていくということはやはり問題でございますので、土地の評価の上昇が急激な税負担につながらないように、税負担については総合的な調整措置を講ずるということで、特に住宅用地につきましては、その税負担の増加に配慮をするということで住宅用地の課税標準の特例措置なども拡充をいたしておりますし、また事業用地等もかなりの評価の上昇につながりますので、これまでですと三年とか五年で評価額課税にいたしておったわけでございますけれども、今回がかなりの評価の上昇が見込まれますので、十年を超える、大体十二年程度を頭に置きました期間をかけて段階的に上げていく。  これはあくまで急激な税負担の増加を避けるということでありまして、最終的にはやはり固定資産税としても、これは資産課税でございますので、資産価値に応じた、評価額に応じた課税ということに持っていかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 税額の方で、標準的な分については伸び率が五%を上回らないようにするということになっているわけですね。とりあえず三年間それをやってみる。先ほど十二、三年の話も出ましたけれども、必ずしも今の時点で十二、三年毎年毎年五%上げていくというふうに決めたわけではない、こういうふうに私もお伺いをいたしておりますし、地価が毎年毎年五%ぐらい下がるという推論に立っても、そして今自治省さんがなさろうとしておることを前提にして考えましても、これも相当、いわゆるこれで資産に対する負担として法律どおり、つまり、公示地価に対する千分の十四の税率を課したものが、ちゃんと税額として納められるというふうになるのは極めて長期間かかるのではないだろうかということになっておるわけですね。それで現実にそういうことができるのかどうなのかというのが一つあると思います。  それから、果たして固定資産税といういわば今までなれ親しんできたものを、そういうふうな負担を課していいのかどうなのかという、これは政治的な問題もあると思うのですね。むしろ、今までそういう政治的な問題があるから、評価額を上げないとか負担調整をするということで、どうも資産税という観点から見ると固定資産税が堕落型になってきた。  そしてもう一つは、全国的な地理的な関係を見ますとどうもばらつきがあって、私が持っておる表からいいますと、京都で住むのが一番固定資産税が安くて、京都だったら固定資産税の評価額と公示価格の差が、割合が一四・二%ですね。だけど青森市であれば四三・三%、今こういうことになっておるわけですね。  これは、ある意味で首長さんの対住民対策とか選挙のこととか考えるものだからこういうふうになっているのだと僕は思うのだけれども、こういうことから考えますと、固定資産税というのは、余り自治省の方も資産税、資産税というふうに言わないで、もうこれは今やっているように応益課税だ、公共サービスに対する負担を住民の皆さん方にある種比例案分しながら公平に負担していただく、そういうふうに割り切った方がいいのじゃないですか。もう余り資産課税として資産に対する負担を求めるということを考えるのをやめたらいかがかな、私はこんなふうに思うのですが、その点について答弁いただきます。といいますのは、これは実効税率から見たら余りにもひどいですよ。ぞうお思いになりませんか。
  54. 堤新二郎

    ○堤説明員 お答え申し上げます。  ただいま委員が御指摘になりましたのは、多分最近の、平成三年度なら平成三年度の固定資産税の評価がえの評価額とその時点での地価公示との開差が地域的に非常にばらつきがあるのではないかという御指摘だったと思うわけでございます。確かに、地方団体の方でも固定資産の評価を抑えてきたという面はあろうかと思うわけでございますけれども、片一方、やはり今言いました京都とかそういったところは、あの当時バブル地価が非常に高騰いたしまして、現在、平成四年、平成五年の地価公示におきましては京都の地価公示はかなり下がっておりまして、そのばらつきというものも、乖離というものもかなり近づいてきておるわけでございまして、その評価そのものを非常に政治的に抑えたとか首長によって判断をしたとか、そういうことではあながちないわけでございますので、ちょっとお断りを申し上げておきたいと思います。  それから固定資産税を、もう資産課税というものをあきらめて応益課税に徹すればどうかという御指摘でございますけれども、固定資産税の基本的な性格といたしまして、固定資産を所有することと、その固定資産の所在する市町村からのさまざまな行政サービスとの受益関係というものに着目した税でございますので、そういう意味では、応益的な性格というものは確かにあるわけでございます。ただ、具体的な固定資産税の税額を決めます際に、その市町村の行政サービスが幾らだから幾らというふうなことではなくて、やはりそこには資産課税として、資産価値に応じた評価あるいは課税を行うべきだということは忘れてはならないと思うわけでございます。そういう意味で、今回固定資産税の土地評価につきましてもいろいろ御批判がございましたので、地価公示制度の適正化とも相まちまして、私どもは、平成六年度の評価がえからは地価公示の七割を目指して、全国一律に地価公示の七割で評価を行う。  ただ、そういたしますと、地域によってはかなり評価の上昇割合がばらつきがございますので、これを一律に税率で調整をするとかそういうこともできませんので、住宅用地の特例措置の拡充ですとか、あるいは評価の上昇割合の違いによりまして、評価が非常に上がりますところには特別の課税標準の特例措置を入れたりしながら、大変苦労をしながら、やはり資産価値に応じた、資産課税としての使命というものも果たしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  55. 仙谷由人

    仙谷委員 今、京都の話を陳弁に努められたわけでございますけれども、これは考え方が反対なんじゃないですか。やはり資産課税として甘かったから京都に買いが集中して、土地投機が集中して、京都の土地が上がって、そして今やバブルがはじけて急激に落ちている、京都の話というのはこういう話じゃないですか。  私は大体、関西の状況を見ておりまして、あるいは関西資本が我が選挙区に投下された状況を見ておりまして、そういうふうに感じるわけでございます。だから、鶏が先か卵が先かという話になるのかもわかりませんけれども、いずれにしても、あなた答弁しなかったけれども、実効税率の話からいきますと、こんなものは資産課税でも何でもないというふうに断定したいくらいのものですよ。だから、資産を保有するのにはコストがかかる、かからなければならないんだという観点からしますと、私は固定資産税を単に上げればいいという立場ではないけれども、やはりもういかんともしがたいところに入ってきたのではないだろうかということを感じるものですから、そういうふうに申し上げたところであります。  ちょっと時間の関係もございますので、次に進みます。  今度の景気対策でも、経済対策ですか、これでも、一兆二千億ですか、自治体に事業をしていただく、土地の先行取得をしていただくというのが含まれております。それから国の方は四千億でございましょうか。昨年夏の景気対策でも、地方公共団体分が一兆円、それから国の方が五千五百億、こういうことで土地の先行取得ということが挙げられておったわけでございます。もしわからなかったら結構なんですが、昨年夏の一兆円の公共用地の先行取得債でございますか、そういう地方債を発行して公共団体に、自治体に先行取得をさせるという政策、これはどのくらいの実効が上がったのか、わかりましたらで結構ですけれども、お知らせいただきたいと存じます。
  56. 井戸敏三

    ○井戸説明員 お尋ねの件でございますが、昨年八月の末に決定させていただきました総合経済対策で、地方公共団体の公共用地の先行取得につきまして、一兆円を目途に努力していただこうということでお願いをさせていただいたものでございます。御承知のように、昨年八月以降の措置でもございますので、現実に全体としてどういう状況になっているのか現在っまびらかになっていないわけでございますけれども、私ども、昨年の秋の段階で意向を確認いたしましたところ、大体一兆二千億ぐらいは取得する予定だという報告を受けているところでございます。  ただ、御案内のように、用地の問題は、用地の所有者とのいろいろな意味での交渉が最後まで煮詰まりまして初めて契約にこぎつけられるということでございますので、どうしても調整等が長引きまして年度末に集中しがちでございます。そのような意味で、現時点でその意向がどの程度実現しているのかについて明確に掌握しておりませんで、年度をまたぎましたものでございますから、今後私ども調査をさせていただきたいと思っているところでございます。  ただ、自治体が先行取得をいたします手段といたしましては、委員御指摘の用地の先行取得債を活用することにあわせまして、土地基金でございますとか、あるいは先行取得を主として業務としております土地開発公社の取得料も含めての措置でございますので、そのような意味で、私どもとしましては、秋の意向調査等を踏まえまして、つまびらかではありませんけれども、おおむねそのような数字は達成していただいているのではないかと期待はいたしているところでございます。
  57. 仙谷由人

    仙谷委員 つい最近、掛川市長の榛村さんという人に話をお伺いする機会がございました。同市長の話によりますと、この公共用地の先行取得というのが、いろいろな制約があって、もちろん起債は許可されるところではないし、なかなか難しいのだ、もちろん議会との関係もある、とりわけ、何に使うかという目的がはっきりしないと取得できないのだ、だから、その使途といいますか、使う目的といってもだんだん煮詰まるというような話も一方にあって、したがって、夏の先行取得債という制度は非常にありがたかった、こういうお話も一方でお伺いするわけでございます。  そしてまた一方で、地価税導入のときからの懸案といたしまして、この地価税収が土地対策にも使われない、もちろん所得税減税も法人税減税もなされない上に土地対策にも使われないという、政府税調答申あるいは国会決議ともやや外れて大蔵省の一般財源の懐に入ってしまった、これは大蔵省がだましたのだというふうに業界が言うような状況があって、今年度の予算を拝見しますと、にもかかわらず一千億円強は土地対策に使うような仕組みになったようでございますけれども国土庁長官、補助金絡みの問題であるとか事業の主務官庁絡みの話であるとかいうことになりますと、自治体は公共用地の先行取得をするというのは、財源的にもあるいは手続的にもなかなか容易なことではないのですね。  そこで私は、金融機関の不良債権等々の絡みで、土地を抱え込んでみたものの、これをどこかに処分しなければいけないという問題もございます。それで、そういう観点から、国土庁が総合的な調整官庁として地価税収をうまく使わせていただいて、土地という資源の適正かつ有効な配分のために土地保有の機構でもつくるというふうな施策は考えられないだろうか、何かそういう仕組みを国土庁の方でお考えになってはいかがだろうかということを考えておるわけでございます。私どもは、先ほど席におりまして帰りましたが、菅議員と、公有地拡大のための土地保有機構というふうなものを創設してはどうかという提案をしたりもしておるわけでございますけれども、あくまでも自治体が将来使うための土地を保有機構がバッファーとしてまず買い上げておくというようなシステムをお考えになれないのかどうなのか、そして、その財源あるいはコストは地価税収で賄うということをお考えになってはいかがか、こういうふうに考えますが、お考えがございましたらお答えいただきたいと思います。
  58. 井上孝

    井上国務大臣 今般の地価高騰がけさほど来住宅問題を中心に論じられておりますけれども、私は、住宅もさることながら、大切な社会資本整備、町づくりの基礎になるようなものを実施するのにもこの地価高騰が大変な影響を与えておるということはよく存じておりますし、それから、先般の予算委員会の総括だったと思いますが、菅先生から土地保有機構の御提案がございました。その際にもお答え申しましたけれども、公有地を拡大する、特に地方公共団体において社会資本整備のための基礎となる公共用地を獲得するということは非常に大切なことだと思っております。  ただ、菅先生が御提案になりました土地保有機構につきましては、民間が処分したいという土地が、また地方公共団体が公共用地として使いたいという土地とマッチするかどうか、そういう点に問題がありますので、また、機構が取得した土地を、果たして円滑に地方公共団体が利用してくれるかどうかというような問題も検討すべきであろうということを御答弁申し上げましたが、現在でもそういった点に問題がありますので、なお検討させていただきたいと思っておる次第でございます。
  59. 仙谷由人

    仙谷委員 時間が参りましたので、終わります。
  60. 玉城栄一

    玉城委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後四時二十一分開議
  61. 玉城栄一

    玉城委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。常松裕志君。
  62. 常松裕志

    ○常松委員 国土庁長官の所信に対して御質問いたします。三つの点でお尋ねをいたします。第一に土地対策、第二に首都圏の整備、第三に防災対策についてでございますので、簡潔なお答えをよろしくお願いいたします。  まず初めに、地価対策についてお尋ねをいたします。  先ほど来の議論によりまして、大都市圏地価下落が続いているとはいえ、まだ昭和五十八年当時ですかそれに比べると首都圏では平均して二倍以上ということでありまして、勤労者世帯が平均収入の五倍程度を目安にしては良質な住宅の取得にはほど遠い水準にあるということでございます。さらに今後も地価抑制を続けるべきであると思いますが、改めて長官の御決意をお承りいた したいと存じます。
  63. 井上孝

    井上国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、昨年、ことしと、引き続き大郡市圏の地価は顕著に下落をいたしております用地方圏におきましても、下落または横ばいという状況でございまして、そういう点では、今までいろいろととっておりました地価対策その他の効き目が出てきたのかな、こういう感じで受けとめておりますけれども、御指摘のように、我々が目標といたしております昭和五十八年時点と比較いたしましても、まだ地価はほかの、勤労者の収入とかあるいはGNPの比率に対しましても高こうございますし、「生活大国五か年計画」で示しております勤労者の平均年収五倍で良質な住宅を手に入れるというものに対してもまだ高いという認識でございますので、ここのところずっと講じておりました地価に対する対策を今後もなお引き続き続けてまいろう、こういう決意でございます。
  64. 常松裕志

    ○常松委員 昨日、政府・自民党の総合経済対策の決定が行われました。その中で、自治体の公共用地の先行取得のための費用として一兆二千億円追加するというようなことが伝えられているところでございますが、これが地価の下支えをするような措置になるんじゃないか。バブルで大もうけした銀行など金融機関を救済するために、地価の抑制ではなくて現水準での安定を図ろうとしているんじゃないか、こういう懸念もあります。  そこで、大蔵省に来ていただいているはずですが、都市銀行などの金融機関が抱えている不良債権、利息の支払いなどの返済が滞っているような担保は一体どの程度あるのか。また、過去一年間、土地を担保としての金融機関による新たな貸し付けはどの程度になっているのかについて、お答えいただきたいと思います。
  65. 北村歳治

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  当局がヒアリングを通じまして把握いたしました都銀、長信銀、信託銀行の三業態における六カ月以上の延滞債権の元本残高は、昨年九月末段階の概況で申し上げますと十二兆三千億円程度となっているわけでございます。そのうち担保、保証でカバーされていない貸出金は四兆円程度となっております。しかしながら、今御質問ございました担保不動産の額につきましては、私ども、残念ながらデータを掌握していない状況でございます。  過去一年の動きでございますけれども、お尋ねに直接お答えできるようなデータはございませんが、全国銀行ベースで申し上げますと、不動産あるいは財団抵当を担保といたしました貸し付けは、日本銀行の経済統計年報によりますと、昨年の三月末段階で百四十九兆円というふうになっているわけでございます。これが、その一年前の平成三年三月末では百四十兆円の貸し付けというふうになっていると理解しております。
  66. 常松裕志

    ○常松委員 いずれにいたしましても、今回の総合経済対策などを通して、決して地価の下支えをするようなことがあってはいけないと思いますので、その点ぜひひとつ長官の御努力をお願いいたしたいと思います。  次に、地価公示価格について幾つかお尋ねをいたします。  来年一月には固定資産税の評価がえが行われることになっておりまして、私の地元の市議会などでも多くの町で、固定資産税の評価がえによって大増税になるのじゃないか、あるいは、それが公団公社等の家賃の大幅な引き上げあるいは民間家賃の大幅な引き上げ、地代の引き上げなどになるのではないかという懸念から、さまざまな意見書の取りまとめなどが行われているところです。  来年の評価がえに当たっては、国土庁によって公示される地価の七割をもって固定資産税の課税評価の基準とずることになったわけでありますが、いわばそういう意味では、この公示地価について全国民が極めて注目をしておりました。この三月末に公示されました地価でございますけれども、その役割としては、土地取引価格に対する指標であるとか公共用地の取得価格の算定の際の規準であるとか、おるいは収用の際の補償金額算定の規準であるなどの役割も与えられているわけです。したがって、そういう意味では、この公示地価に対する信頼性というものは非常に求められているというふうに思っております。  そこで、従来から当委員会でもいろいろ議論がありますけれども、この公示地価の信頼性を高めるために、国土庁がどのような措置をとってこられたのかについてお尋ねをいたします。
  67. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 委員ただいまお話しのように、地価公示制度は、一般の土地の取引価格の指標あるいは公共事業用地の取得価格の規準等としての役割を担ってまいったわけでございますが、先般の土地基本法の制定及びそれを受けた「総合土地政策推進要綱」を踏まえまして、新たに固定資産税評価あるいは相続税評価の基準という役割も担うということになりまして、極めて重要な位置づけがなされているということは御指摘のとおりでございます。  こういう性格でございますので、もともと公示価格につきましては、地価公示法によりまして二人の不動産鑑定士等の鑑定評価を義務づける、いわゆる二人鑑定ということでございますし、学識経験者によりまして構成されます土地鑑定委員会が審査調整する。専門知見を有する方の中にも主観等々が入る余地がございますので、そういうものをなるべく排除しようというような制度的枠組みが、基本的にまずあるということを御理解賜りたいのでございます。  それからもう一つは、課税評価の基準ということになりますと、従来の地価公示の地点数、これでは不足するのではないかといういろいろな御意見がございまして、私ども鋭意その地価ポイントの増大に努めてまいっておるところでございまして、今回平成五年の一月にやりましたのは二万五百五十五ポイント、これは平成四年の一万七千百十五ポイントから相当大幅にふやしております。さらに、五年度予算で既に六年公示、いわゆる六年の一月一日時点では二万六千地点に大幅に地点増を図るということになっております。  それから、地価公示の実施に当たりまして、ややもすればデータにタイムラグがあるのではないかというような御議論等々がございまして、なるべく直近の取引事例等を採用するということにしておりますほか、売り希望価格なり買い希望価格等々を収集することによって市場動向を的確に把握する、こういうことに努めているところでございます。  それからさらには、委員御承知かと思いますけれども平成二年十月に新しい不動産鑑定評価基準というものをつくりまして、投機的取引と認められる事例についての排除あるいは収益還元法の重視等々を一般基準ということで定めておりまして、これらのことによりまして、売り手にも買い手にも偏らない正常な、いわゆる客観的な市場価値と申しますか、そういう価格を判定するということに努力しているところでございます。
  68. 常松裕志

    ○常松委員 その地点をさらにふやしていくなどの努力をしていただいて、一層その信頼性が高まるようにしていただきたいと思うわけでありますが、そういった技術的な問題とは別に、二、三そうした視点から御質問というか、あるいは問題提起になるかもしれません。  基本法の十六条では、「土地の正常な価格を公示する」というふうになっているわけですね。価格というからには商品であることが前提になっています。したがって、売買や賃貸することを全く予定していない住宅用の土地には、いわば商品でないわけでありますから価格がありません。  地価公示への国民の信頼を得る第一歩としては、バブルによる、投機による価格の地価暴騰の被害を、年金生活者やあるいは住みなれた土地に住み続けたいと考えている一般国民に対して、過大な相続税やあるいは過大な固定資産税や都市計画税などを押しつけるようにしないことが大事ですけれども、今の公示価格で固定資産税の評価の基準としていった場合には大変な負担ということになります。自治省においては、その激変緩和措置などをやっておりますけれども、そういうのが 現状です。  私は、これでは公示地価への国民の信頼を得ることにはならないんじゃないか。やはり住宅用の土地というのは商品でありませんから、価格を本来持たないものでありますから、したがって、公示地価というのは資産用の土地にのみ形成されるというふうにはっきりさせていくべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  69. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地基本法制定のときの国会における御議論もいろいろございまして、今委員がおっしゃったような考え方、一つの考え方としてはあり得るのだろう、私はこういうふうに考えておりますけれども、あのときの土地基本法の御議論を拝見いたしておりましても、土地というのは非常に限られた貴重な資源である、あるいは生活基盤産業基盤ということで、極めて公共的な色彩の強い財ではございますが、やはり一般的な市場価値を持ついわゆる経済実物財という性格を持っているものでございます。  確かに、自己居住用の土地というものが頻繁に売買されるということはそんなにないわけでございますけれども、そういう意思を持っているか持っていないかにかかわらず、市場で売買されるケースがもちろんあるわけでございますし、そういうことが前提になって売り出され購入されておる、こういうことも事実でございますので、居住用であろうと業務用であろうとを問わず、客観的にその土地がどういう市場価値を持っているのかということを評価いたしまして、それを公示することによって、一般の土地の取引価格に対する指標を与えるということは必要なんだろう。  しかし、このことは全く自由流通商品だから、市場メカニズムに完全に住しておけばいいということを意味するものではございませんで、やはりそういう土地の特殊な公共性ということから、正常な市場メカニズムが働きにくい特殊性を持っている、そのことについていろいろな政策上の配慮をする必要があろう、こういうことだろうと考えているところでございます。
  70. 常松裕志

    ○常松委員 余りこういう論争をするつもりはありませんけれども、例えば、鎭西さんの着ている洋服はデパートにつり下がっていれば価格があるのです。しかし、あなたが着ている限りは価格はないのです。そういうものでしょう。土地だって同じです、一般の生活用に使っている土地は売るつもりはないのですから。したがって、私は、正常な価格というからには、これはもう価格はないというふうに考えることが必要だ、これは問題提起ですから、ここで余り議論してもしようがありませんけれども、そういうことが本当の意味での国民の信頼を高めていくことになるのじゃないかなというふうに問題提起をいたしておきます。  次に、資産用の土地についてなんですけれども、これについては、私は収益価格をもって正常な価格とすべきではないか、このように思っております。先ほど国土庁は、鎭西さんは、地価公示価格には投機的な要素を排除しているというふうに自賛をなさいましたけれども、それだったら一体なぜ公示地価そのものが乱高下するのか、こういう国民の持っている、不信とまでは言いませんけれども、そういう疑問についてどう答えることになるのかという問題があります。  つい先日、三月九日だったと思いますが、これは長官もきっとお読みだと思いますが、日経新聞の紙上に不動産鑑定士の塚本さんとおっしゃる方が、アメリカで使われておりますエルウッドの公式を適用した収益価格の試算に基づく土地価格の試算が掲載されておりました。二九によりますと、都心部では土地の価格は取引事例価格に比べて四三%程度になる。大体バブル形成される前の、高騰が始まる前の価格にほぼ等しくなるというような試算が紹介されておりました。  私は、この塚本さんの文なども読み、あるいはそのほかの方々のいろいろな議論を読みながら、やはり土地所有者あるいは土地を資産として運用している方々にとっても、賃貸収入から評価する収益価格への課税なら納得はできますけれども、現実に自分が取引をしていないところで、いわばバブル形成されていった取引事例から比較検討して求められた比準価格によって地価公示価格が決められて、それを基準にして課税されてくるということでは、正直言って、土地を資産として運用している方々からも納得を得られないのじゃないか。そういう点で、そちらの面からも地価公示制度に対する不信が広がるんじゃないかというふうに懸念をしているのですけれども、そういう点について、国土庁はどんなふうに考えているのでしょうか。
  71. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 政府平成三年の一月二十五日に閣議決定いたしました「総合土地政策推進要綱」の「土地政策の目標」というところにも明確に書いているのでございますが、そこでの目標としての適正な地価水準、これは土地利用価値に相応した適正な価格ということでございます。  特に、ただいまお話のございました住居基盤としての住宅地でございますが、これは「中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準」ということに明確にされておりますので、政策的に望ましいあるべき価格というのは、今委員がおっしゃっている収益価格というものの水準に非常に近いんだろうと私も考えているわけでございますが、現実におきます商業地、住宅地の市場価値、これは、例えば売り手、買い手の特殊な要因というものを除去しても、売り手、買い手ともに将来性あるいは成長期待性というものを非常に高く評価しているようなときには、やはり客観的な市場価値というのは高くなっております。  そういうものと今おっしゃったような収益価格との間には乖離があるわけでございますが、この乖離がすべてバブルということにはならないだろうというように私どもは考えているわけでございます。  したがいまして、公示は、そういう売り手、買い手に偏った特殊な要因というものは除去いたしますけれども、市場で現時点において形成されている客観的な市場価値というものを判定、評価するわけでございますので、一般の取引の指標あるいは公共用地の取得の際の補償の規準というような考え方からいたしますと、やはり現在の地価公示の考え方というのがあるべき水準なんだろう、かように私は考えているところでございます。  したがいまして、公的土地評価の適正化、均衡化という土地基本法の考え方を受けまして、課税評価の基準としても公示価格がなったわけでございますけれども、公示価格の一定割合を課税評価にするということで、直ちにスライドアップして税額が上がってもいいというように当時考えていたわけでは御承知のとおりございませんで、それは、いろいろな負担調整措置あるいは相続税等におきます基礎控除なり法定相続人当たりの控除額等々による配慮というのが行われまして、評価額の上昇によりますストレートな税額の上昇につながらないような、そういう配慮はしたということでございます。  ただ、課税評価額と客観的な市場価値が違うことになりますと、また土地基本法制定前の状態に戻りまして、公的な保有コストは低い状態の中で高い経済価値のある土地というのが他の資産に比べて著しく優位になる。こういうことで、不要不急といいますか、直接利用を目的としない、そういう仮需というものを惹起する要因になるという状況に戻ってしまっては元も子もないわけでございますので、その点は十分御理解を賜りたい、かように考えているところでございます。
  72. 常松裕志

    ○常松委員 その点についても反論したいのですけれども、また機会を見て論争していくということで、次に進むことにいたします。  ただ、一言だけ申し上げておきたいのは、繰り返し申し上げますように、公示される地価が非常に国民の関心の的になってきている。そして、それが相続税、固定資産税あるいは公共用地の取得その他の、実際は土地取引の際の指標ともされるということがはっきり法律上に明記をされておりますと、国民皆さんから見れば、従来以上に深い関心を持ってこれを見詰めることになるわけですから、したがって、これがまた今後の地価を抑制していくということに果たしていくような政策的な役割も私はあるというふうに考えておりますので、申し上げましたような二点についての提案を、ぜひ検討してもらいたいものだというふうに思っております。  さて、固定資産税並びに相続税は公示地価の七割及び八割を基準として課税されることになったわけなんですけれども、その固定資産税などの評価額を基準にして課税される多くの税目がございます。土地計画税がそうですし、国民健康保険税がそうですし、不動産取得税がそうですし、登録免許税、印紙税、譲渡所得税や贈与税などなどがあるわけであります。  これらの説も、結局のところ、国土庁の公示する地価を基準にして、固定資産税、相続税の課税評価額が決められ、その結果として、急激に実は今高騰することになることが懸念をされているわけであります。固定資産税については自治省において激変緩和措置がとられているようでありますけれども、他の税目についてどういった措置がとられているのかという点について、お尋ねをいたしたいと思います。  一例を挙げますので、この点についても大蔵省の方でもし答えられればお答えをいただきたいのですが、これは、不動産取得税や登録免許税についてなんですけれども、これらは公示地価に連動していきますから、恐らく現在の三倍から六倍ぐらいに上がるだろうというふうに私は思っています。もう少しわかりやすく試算をしてみましたら、土地を買う場合に、買い手が登録免許税あるいは不動産取得税ということで買い値の大体八%ぐらい負担をしなければならなくなることが、これは私の試算ですけれども、そういうことに走るのじゃないかというふうに思われるのです。  こういうことですと、今まで全然想像もしなかった税額でありまして、そういう点での非常に大きなさま変わりが起こってくる。もちろん個人の住宅用の場合は軽減措置がとられると思うのです。しかし、それでもやはり、勤労者が土地が下がったからといって土地を買いにいきますと、今までに比べるとびっくりするぐらいの登録税や取得税が取られる。  一方、法人の場合ですと、そっくりそのまま八%ぐらいが負担をすることになるわけであります。例えば、仮に十億なら十億の土地をある法人が持っていて、それをその法人の関係会社に名義を移すだけでも十億の土地だとすると一億円ぐらいの税がかかる、こういうことになる懸念があるわけでありまして、こういうことになりますと、今、ある意味では景気対策の中で土地の流通を促そうとしているわけなんですけれども、そういう中でもまたそのこと自体ができなくなってくるのじゃないか、私はそんな懸念を持っています。  これは一例なんですけれども、こうした不動産取得税や登録免許税を含めて、関連する税目についてどのような措置をとろうとしているのかについて、大蔵省がお見えなはずですから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  73. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 お答え申し上げます。  不動産取得税につきましては地方税でございますので、とりあえず私の方からは登録免許税のお話だけさせていただきますけれども、現在のところ、登録免許税の課税標準は、当分の間、固定資産税の課税標準によるということになっておりますので、委員御指摘のとおり、平成六年度の評価がえにおいてかなり大幅な課税標準の引き上げが行われるということは承知しております。  したがいまして、現行の税率がそのまま適用になった場合には、まさにそこの課税標準額の引き上げ幅と同額のいわゆる税額の増大というのが生じてくるわけでございます。それをもちまして直ちに税率をどうするかということを議論する必要はないと思っておりますけれども、全体としてのトータルの税の負担がどうなるか、今委員が御指摘になりましたように、土地の流通その他の与える影響がどうなるかということも考えて、これから検討していくべき事項であると思っております。  また、不動産取得税につきましては、自治省の方におきまして、固定資産税の評価の金額がはっきりした段階で、それに対してどのように調整を行うかということを検討されるというふうに伺っておりますので、登録免許税につきましても、それと同様な見地からあわせて検討が行われるということも必要な場合が出てくるというふうに承知しているところでございます。
  74. 常松裕志

    ○常松委員 もうちょっとはっきり、検討ではなくて、これはもう現実に今予想されていますし、固定資産税の場合については具体的に激変緩和措置などがとられているわけですね。したがって、大蔵省としてこれは必ずやる、必ずやるのだ、そういうことで答えてもらいませんと、これが公示地価なりあるいは地価公示制度について信頼性を非常に失うことになるのですよ。どうですか、もう一回きちっと答弁してください。
  75. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 ただいま申し上げましたように、固定資産税の評価に乗っておりますもので、現在、不動産取得税、登録免許税、両税あるわけでございますけれども、それについてどのような形でどのような負担を求めるかということは、単にその課税標準が変わったからということではなくて、その時点においてどれだけの負担を求めるかということを全体として議論をする必要があると思っておりますので、現在の段階でどのような方策をとるということを申し上げる状況にはないということを御理解いただければと思っております。
  76. 常松裕志

    ○常松委員 長官、国民生活の中で心配されるのは、例えば国民健康保険税なんかの引き上げなのですね。これも固定資産税と連動してきているわけです。こういう場合になりますと、結局、年金生活だとかあるいはひとり暮らしの方が不動産を持っているというだけで非常に高額な保険料を払わなければならない事態が出てくる。こんなわけで、地価公示はこういうふうに非常に広い範囲の国民生活への影響が出てくるわけであります。  したがって、そういう意味では、再三申し上げていますように、公示地価への信頼を本当に高めるためには相当な努力、今申し上げましたような問題についてもやはり長官として関心を持ってもらう。それは大蔵省の専管事項、あるいは自治省の事項だ、厚生省の問題だということではなくて、長官がそういうことも含めて、あるいは国土庁が全体として視野におさめているということがやはり必要だろうというふうに私は考えておりますが、その辺についての長官のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  77. 井上孝

    井上国務大臣 今大変重要な御指摘がございました。私も正直申し上げて、そこまで実は十分な認識がなかったことをここで正直に申し上げます。これから十分検討させていただきたいと思います。
  78. 常松裕志

    ○常松委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思いますし、同時に、大前提は地価の抑制でございますので、くれぐれもその点、よろしくお願いいたしたいと存じます。  次に、国土庁所管の首都圏整備計画について二つほどの要望をさせていただきたいと思っております。  今日、障害を持つ方々との共存、共生の社会が求められております。そういう点から、町づくりを初め鉄道や輸送手段の整備に当たっても、高齢者やあるいは身体障害者などハンディキャップを持つ方々が健常者と同じように自由に利用できるような整備が求められております。第一の要望ですけれども、首都圏整備計画基本にこの観点をきちっと据えてもらえないかということであります。  確かに町づくりの中には明記されています。しかし、基本方針の中にきちっと据えてもらって、特に今問題になっておりますのは鉄道の施設整備なんですけれども、今告示されております首都圏整備計画の中には、鉄道の項にはその点は実は含められていないわけであります。しかし、エレベーターの設置とかあるいは点字ブロックの整備などは特に重視をされなければならないわけであります。  そこで、書いてないからといって、もう現実には進んでいるわけですから、それを促進していただきたいという要望と同時に、次の五カ年計画策定の折にはこうした基本方針の中にきちっと盛り込む、そして、特に鉄道整備に当たってその観点を盛り込む、こういう点についての御要望ですけれども、いかがでございましょうか。
  79. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 お答えいたします。  高齢者、身障者対応というのは、国土庁だけではなく各省がかわる話だと思いますが、先生の御質問のとおり、首都圏整備計画でどういう対応をしているかということでございます。  首都圏整備計画は、平成三年九月、一昨年の九月に五カ年の計画ということで策定いたしましたが、これは昭和六十一年の「基本計画に基づき」ということで、首都圏の関連する広域的施設の整備に関する基本を定めたものでございます。その中で高齢者対応については触れてございまして、「基本的指針」の中に、「高齢化の進展を踏まえつつ、高齢者及び身体障害者の暮らしに配慮したまちづくりに努める。」ということを基本方針に書いてございます。  鉄道の部分について特に表現がないのではないかということでございますが、そういう基本方針に基づきまして、鉄道を初の輸送手段の整備等が進められているものと考えています。  今御質問の高齢者、身障者対応というものは非常に重要でございますので、国土庁の首都圏計画におきましても、今の計画もそうでございますが、今後重要視してまいりたいと思っております。
  80. 常松裕志

    ○常松委員 内藤局長、身体障害者と高齢者というのは書いてありますね。しかし、障害者は身体障害者だけじゃないのです。障害者という場合にはもっと広く、例えば精神障害の方々なんかもその中に含まれているわけです。  私が言いたいのは、今国連の障害者年なんかでも、そうした障害者全体と共存、共生じていく社会をということが求められているわけでありまして、したがって、私が申し上げましたのは、基本計画の中に障害者全般、その中の高齢者と身体障害者というふうに言うんじゃなくて、障害者全般について共存していくという、あるいは共生じていくということを基本方針に据えてくださいという要望ですから、そういうふうに受け止めた上でもう一回御答弁してください。
  81. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 御指摘のとおり、現行の計画では「高齢者及び身体障害者」、そういう表現になっております。しかしながら、先生おっしゃいましたように、障害者はより幅広いものであるということだと思います。したがいまして、今の御指摘は非常に理解できる御指摘でございますので、今後の計画策定につきましては、そういったことを考えながら計画づくりをしたいと思っております。
  82. 常松裕志

    ○常松委員 ぜひよろしくお願いいたします。  第二の要望ですけれども、駐輪場と自転車置き場の問題についてです。  首都圏の各自治体は、駐輪場問題、自転車置き場確保の問題は非常に大きな問題、非常に頭を痛めている問題でございます。東京周辺では練馬の区長さんが中心になりまして、私の地元の各自治体なども参加をいたしまして、各自治体によりまする自転車置き場問題の連絡会議がつくられまして、その場で鉄道事業者への駐輪場設置の義務づけというようなことを中心とした要望事項が取りまとめられまして、関係各方面に力強い働きかけが行われているところであります。  これらの動きを受けて、国会の中では自転車置き場法の改正を議員立法によって目指そうというような動きも始まっておりまして、私も微力ですけれども汗を流しているところなんです。  その駐輪場問題を考える場合に、根本的には自転車というものを輸送機関の中でどういうふうに位置づけるかという問題があります。これは私見ですけれども、とにかく公害を全然出さないとか、あるいは道路の渋滞解消という点からも非常に有効であるなどの点から、国の施策の中でも、もっと公共的な輸送手段の一つとして位置づけるべきだというふうに考えておりますけれども、きょうはその問題はちょっとともかくといたしまして、政府におきまして、駅とかあるいは大規模な商店とか、公団、公社、公営住宅の建設とか、そういう場合において、駐輪場設置についてどういうふうな具体的な努力をしているのかという点について一つお尋ねいたしたい。  時間がありませんのでもう一つあわせてお尋ねしたいのは、首都圏では常磐新線とか舎人線とか、あるいは多摩都市モノレールとか、私のところでいうと中央線の立体化、複々線化とか、こういうことで新駅の建設やらあるいは改築やらが行われることになっています。こういうところで、駐輸場の設置をぜひやってほしいというのが地元の自治体の非常に強い要望なんですけれども、この点についても、建設省、来ているはずですけれども、どんな決意を持っているのか、お答えください。
  83. 溜水義久

    溜水説明員 自転車駐車場の整備につきましては、駅周辺部の歩道等に設置される自転車が歩行者の邪魔になったり、交通安全上あるいは防災上問題を生ずるおそれがあるということで、これらの問題を解消するために、ぜひとも積極的に整備しなければいかぬというふうに認識しているわけでございます。  そのため、昭和五十三年度からでございますけれども、いろいろな補助制度とかあるいは融資制度というようなことを整備してきておりまして、駐輪場整備推進を図ってきているところでございますけれども平成五年度につきましても、国としても事業費約八十六億円ほどでございますけれども、五十五カ所の補助をやるというようなこと等で積極的に進めているところでございます。今後ともそういう補助制度あるいは融資制度等を活用しながら、駐輪場整備に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、鉄道のいろいろな整備に伴います。その周辺の駐輪場整備でございますけれども、御趣旨のように大いに整備をするべきであるというふうに考えております。  その場合、やはり駐輪場整備につきましては、先生からお話がありました自転車法によりまして、責務として地方公共団体が整備を進めるというような形になっておりますので、将来の自転車需要でありますとか、放置の規制の方針等を踏まえました自転車駐車施設整備計画というもの等を地方公共団体で検討していただきまして、それに基づいた駐輪場整備についてのいろいろな施策を、公共団体を通じて展開していただくよう指導してまいりたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  84. 常松裕志

    ○常松委員 多摩都市モノレールにしても、あるいは中央線の立体化事業にしても、これは建設省都市局を中心にして、あるいは街路事業としてやっている事業ですから、こういうところの駅について自転車置き場をつくっていくということはきちっとやってくださいね。大丈夫ですか。大丈夫ですね。
  85. 溜水義久

    溜水説明員 地方公共団体を指導してまいります。
  86. 常松裕志

    ○常松委員 あと防災対策で御質問します。たくさんの方にいろいろ御質問するということで用意していただきましたけれども、時間がありませんので、二つの点に絞ってお尋ねをいたします。  一つは、原子力発電所を初めとする核施設と地震対策についてでございます。  御存じのとおり、日本列島は危険列島だというふうに言われているわけですけれども一つは地震の頻発地帯であるということと、もう一つは、その地震の頻発地帯に原発だとか巨大なダムだとか高層ビルとか、新幹線とか地下鉄網とか、あるいは臨海部の開発とか、そういう非常に高度な技術による巨大な建造物がつくられている、こういう点で危険列島というふうに言われているわけなんです。その中で一番心配されるのは、やはりチェルノブイリなどを含めて原発の関係です。  実は長官、東海村に原発の施設がありますね。あの東海村の原発が稼働し始めたのは、営業運転を始めたのは一九六六年なんです。ところが、一九六六年から十三年たってから、東京都の防災会議の地震部会というところで南関東の地震の研究をしているうちに、地震の巣の研究が行われまして、東海の周りはもう地震の巣だということが明らかになったのです。ところが、その十二年前につくられているわけですから、恐らくそういう地震の巣にづくっている人だという認識なしにこの原発がつくられているわけです。  あるいは、浜岡というところに原発があります。今四基まで稼働しています。ところが、一九七六年十一月に東海沖地震説というのが発表されました。これに基づいて中央防災会議などではその東海沖地震に基づくいろいろな対策が行われているのですけれども、そのうちの一、二号機というのはその東海沖地震説が出る前の建設ですから、したがって、東海沖地震に基づいた設計はされていない、あるいはそういうことの被害が起こることを想定した設計はされていないということが懸念されているわけであります。  こういう状況でありますから、地域の住民の皆さんも非常に不安を持っていらっしゃいますし、今申し上げましたように新しい地震学あるいは地質学、その他の諸科学の発展に基づきましていろいろな成果が上がっているわけでありますから、そういうことに基づいて、今申し上げました二つの施設以外にも、一九七八年九月以前の原子炉設置については、耐震性の見地から再点検すべきじゃないかという有識者がたくさんいらっしゃいます。  したがって、国土庁として、そうした原発の立地について、この際安全性の調査をするつもりがないかどうか。あるいはそれらの原子力発電所等において、申し上げましたような大地震の際の対処方針について適切な方針が確立されているかどうかについて、絶えず点検していく必要があると思っていますが、その点について考えているかどうかということについて、これが第一。  二つ目には、首都圏の防災計画については、昨年の八月にも、二十年以内に南関東地震があるんだ、こういう警告が出されましたけれども、その基礎になる研究が私は古いと思うのですね。東京が今みたいに非常に巨大な建造物等ができる前、一九八八年の十二月に発表されていますが、それに先立っ時期の調査ですから、どうも古いのじゃないか、これではなかなか住民の不安を解消できないのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。  したがって、東京が変貌していますから、そういう点に立った新たな被害予測やらあるいは応急対策活動要領などの策定が今求められているのじゃないかというふうに思いますが、その点ぜひ取り組んでもらいたいと思うのですが、お考えをお聞かせいただいて私の質問を終わりとしたいと思います。
  87. 黒川弘

    ○黒川政府委員 お答えいたします。  まず第一点目の原子力発電所の問題でございます。これは、先生今御指摘になりましたように、現在の審査基準は五十六年七月、それからその前の基準が五十二年の九月でございます。それらに基づいて、原子力発電所をつくります場合には、資源エネルギー庁あるいは科学技術庁あるいは原子力安全委員会等で審査がなされているわけでございますけれども先生が御指摘いただきました、例えば東海村あるいは浜岡原発の一号、二号機はその前につくられたことは御指摘のとおりでございます。  これらにつきましては、物の考え方としましては、現在の指針が中身が三つございますけれども一つは、構造そのものが地震による影響がないように岩盤の上につくること、それから二番目に、考え得る最大級の地震を想定して構造上安全な耐震設計にすること、三番目に、実際上ある一定レベル以上の地震があった場合には、原子炉を安全に自動停止させる仕組みを入れること、そういったことが中心になった制度でございます。  今先生が御指摘いただきました従前つくられたものにつきましても、考え方としては同じような考え方でなされているというふうに、担当の省庁からお聞きしているところでございます。  それから、南関東直下型の地震の問題、これは、御指摘のとおり六十三年に緊急対策の活動要領をっくらせていただき、また昨年の八月に南関東直下型の地震に対する対策の大綱ということで、各省庁それから地方公共団体あるいは住民の方々も一緒になって対策を強化し、防災訓練等を実施しているわけでございますけれども、その前提にある現在の被害想定は、御指摘のとおり六十三年につくったものでございます。  これは、活動要領をつくるための前提として各省庁あるいは都道府県と一緒に勉強したものでございますけれども、これらにつきましては、昨年つくりました大綱にも書いてございますとおり、直下型地震につきましては、具体的にどこでできるかという問題、想定としてはないわけでございますけれども、それらについて具体的に被害想定をするような方法を、今各省庁と相談してつくっておりまして、早い機会にそういったものをつくって指導してまいりたいというふうに考えております。
  88. 常松裕志

    ○常松委員 もう終わるつもりだったのだけれども、最初の原発のやつは、それは各省庁がこう言ってますというのじゃ答弁にならないのですよ。私が言っているのは、国土庁としてきちっとその責任を果たしなさい、こう言っているわけですから、そのことを申し上げまして質問を終わります。もう答弁はいいです。
  89. 玉城栄一

    玉城委員長 吉井光照君。
  90. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 私は、まず最初に、土地の共通認識の問題についてお尋ねをしたいのですが、御承知のように、我が国には今まで土地についての共通な認識がなかったわけです。これは歴史的な流れから、土地利用するというよりも、土地というものを個人の資産という対象で考えられてきたわけですが、言いかえれば、土地に対する私有権または個人利益というものが優先をしておった。  したがって、計画開発といったいわゆる公共利益というものが効果的に進まないというのが現状であろうと思うのです。したがって、こうした状況を改めるために土地基本法ができたわけでございますが、土地は持っているだけという認識ではなくて、いわゆる公共や社会福祉のために優先して利用すべきものであるという土地基本的なルールを打ち出した法律でございまして、いわばこれは宣言法であります。したがって、罰則がないだけに、こうした土地基本法の趣旨を国民の中に共通の認識としてどのように統一をしていくか、またどうアピールをしていくのか、まずこの点について長官のお考えをお尋ねしたいと思います。
  91. 井上孝

    井上国務大臣 先生指摘のとおり、土地に対する考え方、先般おつくりいただきました土地基本法、はっきりさせたわけでございます。いかにこれを国民に認識させるかということが非常に大切なことだと思っております。  そのために、ちょうどこの四月が土地月間ということでございまして、土地基本法でお定めいただいた基本的な理念を国民に知らせるキャンペーンを今実施中でございます。明日も、イイノホールだと思いますが、私も参加させていただいて講演会をやろう、こういうことを考えておりますが、そのほかにもこの四月中にポスター、パンフレット、そういうもので国民にお知らせをする、また今申しました講演会あるいは無料相談所等の実施によって広報活動を実施いたしております。  もう一つは、学校教育の中で土地の公共性に関する認識を高めるために、全国の小学校、中学校、高等学校教師向けの副読本をつくって配付をいたしております。  今後ともこういったことを一層盛んにいたしまして、土地に関する基本的な理念はこうだ、基本法でお定めいただいたことを普及、啓発活動を推進してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  92. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、今後の地価の動向でございますが、国土庁が発表した一月一日現在の公示地価、これは全国平均で住宅地が八・七%、商業地は一一・四%の下落地価公示が始まった一九七〇年以来初めて二年連続マイナスを記録したわけでございます。特に大都市の下げ幅が大きくて、九〇年のピーク時の半値以下に下がった土地もあるわけです。地方地価も、ことしは住宅地が一・七%、商業地が五・六%と下落に転じているわけですが、こうした状況を踏まえて、不動産業界や金融界の内部には景気回復に絡めて地価の下げどまりを期待するムードというものが非常に強くなってきたわけでございます。  都心から一時間から一時間半の通勤圏で低価格マンションの売れ行きが回復してきた、こうしたことを理由に住宅地の地価は底を打った、このように見る向きがあるわけですが、今後の地価動向についてどう見ていらっしゃるのか。これは国土庁建設省にお尋ねをしたいと思います。
  93. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ことし一月一日時点地価公示の概要は委員御説明のとおりでございますが、私ども地価公示時点と公表をいたしました三月下旬の時点の間に約二カ月半なり三カ月弱のタイムラグがあるわけでございますので、公表する時点において地価がどうなっているのか、あるいは当面、そんなに先の話はなかなかわかりにくいのでございますけれども、例えば夏から秋口ぐらいにかけてどういう状況になるのかということを、都道府県の土地担当部局あるいは不動産鑑定士サイドと、従来から非常に濃密に御意見を聞いておりますし、意見交換もやっております。それに加えまして、現場の感覚に非常にすぐれておられます不動産関係の実務責任者の方々あるいは諸団体等からヒアリングを行っております。  その結果によりますと、大方の見方でございますけれども、景気の先行きがまだいまいち不透明な中で、高価格帯の物件だとか商業地の取引は低調なまま推移いたすというように見ております。他方、一次取得者層の取得能力に見合った価格帯のマンション等の分譲は相当活発化してくるのではないかこういうように大方の方が見ております。  こういうような状況を踏まえまして、当面、夏から秋口ぐらいまでの状況だと御理解いただければ結構でございますけれども大都市圏住宅地は、引き続き下落傾向は見られますけれども下落幅は縮小するのではないかというように見ておられますし、商業地は、昨年同様のかなりハイペースの下落傾向を当面続けるのではないか。  ただ、今申しましたように、一時間半の通勤距離のエリアぐらいを想定していただければよろしいかと思いますけれども、一次取得者層の取得能力に見合った価格帯のマンションの売れ行きが非常にいいということで、そういうものが供給される地域におきましては、業者のマンション用地の取得意欲が非常に高まっているということで、夏から秋口にかけては、そういうエリアにおきましては下げどまるのではないかという見方もかなり多くの方がしている、こういう状況でございます。
  94. 松原文雄

    松原説明員 建設省でございますけれども、私ども住宅宅地供給促進するという立場から、地価の動向につきまして非常に強い関心を持っておりますが、私どもの方が集めております情報源も、ただいま国土庁局長の方からお話がありましたのとほぼ同様でございます。今後の見通しにつきましても、ただいま土地局長の方から御説明がありましたのと同じように考えております。
  95. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今の御答弁によりましても、いずれにしても大都市圏地価は、今までのような大幅でなくて、小幅ながら下落傾向にあるというのが大筋の見方ではないかと私も思っております。  ところが、こうした地価の急下落が、いわゆる社会、経済国民生活にさまざまな悪影響も及ぼしているわけですね。御承知のように、いわゆる遺産分割で不動産が売却できずに解決が大変おくれているとかこの最も象徴的な出来事が、せんだっても大きく報道された田園調布の夫婦が自殺をしたという事件でございます。  また、都心で、先祖代々の土地で細々と事業経営をしていた零細企業の人たちに相続というものが発生したならば、その事業経営が困難になってしまった。さらに、こうした事業者の中には、だんだん上がる固定資産税の重負担に耐えかねて、都心では生活できない、こういったケースも出てきているわけでございます。  一方、オフィスビルの賃料問題も起きております用地価が下がったにもかかわらず、大企業が貸し主の場合には、更新時家賃を引き下げない。逆に大企業が借り主の場合には、地代を下げるべきだとして、すんなり地代を払ってもらえない。こういうこともあるわけでございます。  こうした地価の動向に伴う諸問題の根本的な原因は、地価の動向に左右され過ぎる土地政策にあるのではないか、私はこのように思います。したがって、今からは、できるだけ地価の動向に左右されないような土地政策が必要ではないかと思うのですが、そのための施策として、国土庁の取り組みについてお聞かせを願いたいと思います。
  96. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地問題というときに、大きく二つの側面があろうかと思います。一つはただいま委員がお話しのように地価問題、地価の高騰をどう解消し、対応していくかという問題と、もう少し長期・構造的には、土地利用秩序の整序と申しますか、土地地域経済社会の諸条件に応じて適正に利用していく方策というような二つの面があろうかと思います。  遺憾ながら、過去三回、我が国においては大変な異常な地価高騰が生じまして、これにいかに対応し早く収束させるかということに当面の土地政策といいますか、土地対策といいますか、力点があったことは否めないことでございますけれども、より長期・構造的に、我が国国土の整合性ある利活用をするという立場から、その利用問題というのが非常に重要だろうと思います。  こういう認識に立ちまして、今回の地価高騰に対しましては、もちろん短期的な、異常な地価高騰にどう対応するかというような対策もとったわけでございますけれども、それに加えまして、土地基本法を策定し、先ほど御議論がございました土地についての基本理念というものを国民の共通の理念として確立する。さらには、長期・構造的な土地利用計画制度、あるいは供給促進策、あるいは総合的な税制の見直し等々の長期・構造的な対策を、これから息を抜かずにやっていこうとしたのが土地基本法の制定であり、それを受けた「総合土地政策推進要綱」の策定だろう、こういうように考えているところでございます。  現象面では、異常な地価高騰に振り回されて、それをどう早く解消し収束するかということに相当なエネルギーを各界各方面が講じだということは間違いないわけでございますけれども、我々はやはり、今後は長期・構造的な立場に立って、そういった対策を手を緩めずに着実に実施していくというのが土地政策の一番基本だろう、かように認識しているところでございます。
  97. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、土地情報整備の体制づくりについてお尋ねをするのですが、バブルのとき、土地対策を論議するに当たって一番問題となったことは、土地対策について論議の基礎となるところの土地に関する情報の不備が挙げられるわけでございます。  政府には土地問題に関するデータは数多くあるわけでございますが、それらの情報が、いわゆる登記部局、税務部局、国土部局、公共事業部局、こうしたものにそれぞれ分散しであるために、総合的に利活用できるシステムになっていなかった。そのために、政府土地対策が余り進まなかったのではないかという批判もあるわけでございます。  この反省に立って、国土庁は現在、専門検討委員会で検討中とのことでございますが、各調査目的の違い、またプライバシーの保護といった難しい問題もそこにはあるわけでございます。しかしながら、常に新しいデータの収集や整備、それから土地に関する情報公開の原則を含めた土地情報の統一的な連携と総合的な整備の体制づくりについて、国土庁はどのように進めていくつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  98. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地政策を的確に展開するためには、ただいま委員御指摘のように、土地の所有、取引、利用地価等に関する基礎的情報につきましてこれを総合的、体系的に整備することが必要であるということは申すまでもございませんで、土地基本法の十七条、あるいはそれを受けた「総合土地政策推進要綱」にも明確に書いているところでございます。  私ども国土庁といたしましては、こういう考え方を踏まえまして、平成四年十月には土地情報課というものを新設いたしまして、国と地方公共団体が一体となりまして、土地情報の収集、整備、利活用を推進するための体制を緊急に整備をしたところでございます。  さらには、平成四年度からは、都市計画部門あるいは公共事業執行部門、税務部門、登記部門等々さまざまな部局の協力を得ながら、全国土地所有、利用の概況を把握するための調査というものにも着手をしておりますし、それから、今年度でございますけれども予算計上させていただきまして、これも総務庁の統計部局あるいは地方公共団体の大変な御協力を得なければならぬわけでございますけれども全国土地を対象にした大規模な標本調査、私どもはいわば土地に関する国勢調査とでもいうべきものだとこう考えておるのでございますけれども土地基本調査というものを実施することにいたしておりまして、現在その準備を進めているところでございます。  今後とも、こういう形で収集、整備された情報につきまして、的確にこれを国民に提供するということも含めまして、関係各省庁の御協力も得まして、着実に土地情報の整備というものについて取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
  99. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次は、地価下落に伴うところの景気への影響について経企庁にお尋ねしたいのですが、政府は、先月ですか、土地対策閣僚会議で今後とも地価抑制を進めていくという方針を確認をしておるわけですが、一方で、金融界などからは、地価がこれ以上下がると、総額十四兆から十五兆と言われる不動産融資の不良債権というものがさらに拡大する危険がある、したがって、景気回復の支障になるのではないかという見方をしておるわけですが、こういった点について経企庁のお考えをお尋ねしたいと思います。
  100. 筑紫勝麿

    ○筑紫説明員 お答え申し上げます。  まず、我が国金融機関の不良資産の金額でございますけれども、これまでに二つの数字が発表されております。一つは昨年の三月末時点におきます数字、それからもう一つは九月末時点での数字ということでございまして、どちらも、我が国金融機関のうち、都銀、長信銀、それから信託銀行の抱える不良資産ということで、大蔵省が発表した数字でございます。  これによりますと、ただいまの部長銀それから信託、これで二十一行になりますけれども、この六カ月以上の延滞債権額というのは三月末時点で約八兆円でございましたが、これが九月末では約十二兆三千億円ということに増加しております。  さらに、このうち、担保や保証でカバーされないいわゆる不担保債権と申し上げてよろしいかと思いますが、これらの金額は、昨年の三月末時点で約二兆六千億円、これが九月末には四兆円程度ということでございまして、いずれも拡大の傾向にあるわけでございます。このいわゆる不良債権の拡大というのが、ここ数年来の地価下落を反映いたしまして、金融機関の保有する債権の一部が不良資産化したということであることは、先生承知のとおりでございます。  そこで、御指摘のとおり、これらの不動産価格の低下に伴います金融機関の不良資産の増大、これがいわば金融機関の融資対応力をそぐことによりまして、経済に対して悪影響があるのではないか、さらには、金融システムの安定性そのものについても問題が生じてくるんじゃないかというようなことが懸念されるようになりてまいったわけでございますが、この点につきましては、昨年八月二十八日の総合経済対策におきまして、まさにこの点の認識を明確にしておるところでございます。  この総合経済対策におきましては、公共投資等の拡大による内需の拡大を図るということとあわせまして、いわば車の両輪のもう一つといたしまして、金融機関の不良資産問題への対応、そして、これによる融資対応力の確保というためのさまざまの施策が講じられたところでございます。  現在、それらの施策が具体的に実施に移されてあるところでございますが、例えば一つの例として申し上げますと、この一月に株式会社共国債権買取機構というものが設立されまして、不良債権の買い取り、そして処理に当たっておるということでございます。  こういうことで、金融機関の抱えております不良資産問題の処理が進むことによりまして、日本の金融システムというのは安定性を回復し、そして、金融システムに対する国民の不安感というのは解消されつつあるのではないかというふうに私どもは認識しておりますけれども、しかし、今後ともこういう問題について万全を期するために、今回の対策、すなわち、昨日に決定されました対策におきましても、不良債権の処理について、これを早期に行うような要請をしておるところでございます。  こういうことで、確かに景気全般につきまして悪影響があるのではないかという御懸念はそのとおりであるというふうに思いますし、また、それに対して政府としてもさまざまな手を打ってきておるということでございます。
  101. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、監視区域の仲なんですけれども昭和六十二年の六月に、政府国土利用計画法の一部の改正を行って、土地取引適正化のために監視区域制度を設けたわけですが、これは、いわゆる期間と区域を定めて、都道府県知事等による価格とそれから利用目的の審査を行っているわけですが、ところが、地価下落をしていることや、また、景気回復のための不動産の流通促進の意味から、この監視区域の緩和、また解除を求める意見が出てきておりますが、この点についての国土庁の御見解はどうですか。
  102. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 監視区域制度につきましては、ただいま委員御指摘のように、地価がかなり下落、鎮静化してまいっておるという状況を踏まえまして、土地の流動化を促進するという観点から、そろそろ緩和、解除を具体的に考えていただきたいという要請が業界等々からあることは御承知のとおりでございます。  私ども、まず、この監視区域制度の性格でございますけれども、監視区域制度と申しますのは、委員御承知のとおり、著しく適正を欠く価格での届け出等に対しまして、指導や勧告を行うという仕組みでございまして、いわば比較的ソフトなものでございまして、通常の土地取引を阻害するという性格のものではないというようにまず認識しております。  それから、運用主体でございます都道府県知事なり政令市長さんでございますけれども、現時点におきましては、大都市圏を中心として地価水準自身がなおまだ高いということ、それから、現在におきましても価格の引き下げ指導を受ける割合、いわゆる指導率と言っているんでございますが、これがまだ三割弱だということで、相当まだ高いということから、現時点におきまして、当面は監視区域制度を的確に運用していく必要があるというように自治体の首長さんは認識されているということでございます。  しかしながら、法律にも明確に書いてあるのでございますが、五年以内の期間を定めて一定のエリアを定める、こういう性格のものでございますので、いわば時限的なものであるという一方の性格を持っているわけでございますので、地価動向等に的確に対応して機動的な対応が求められるという性格のものでもございます。  私どもといたしましては、一元的に本制度の運用責任を持っておられます自治体の首長さんの意向を十分尊重しながら連絡協議を行っていくことによりまして、今後の動向によりましては、自治体の首長さんが、現時点に考えておられるようなそういう懸念なり不安というものがなくなるような形の条件整備について、我々がお手伝いをするということによって、この制度が持つ本来の性格でございます機動的、弾力的な対応というものがスムーズに行われるような、そういう方向についてこれからいろいろと自治体と意見交換、連絡をしていく必要が出てくるのじゃないかな、かように考えているところでございます。
  103. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次は、きょう午前中にもちょっと論議されました地価税の見直し論についてでございますが、最近になって、地価がこれだけ下落したんだから、緊急避難的な政策であった地価税の導入の当初の目的であるところの地価抑制と資産格差の是正からすれば、既に目的は達したのではないか、こういう意見があります。  また、課税の仕組みから、地価が高い都心部の百貨店それから不動産、金融・証券など特定の業種に過重な負担を強いる不公平課税ではないか、だから廃止すべきだ、こういう意見もあるわけです。または、自民党も平成六年度の税制改正で、地価税は税率も含めて抜本的な見直しを進めていく方針のようでございますが、地価税の廃止も含めた見直し論について、長官はどのようにお考えになっていらっしゃるかお聞かせを願いたいと思います。
  104. 井上孝

    井上国務大臣 地価税を含めました土地税制の改正は、もう委員御承知のとおり、いわゆる土地神話を打破して、二度と今回のような地価高騰を生じさせないというための長期的な、そして構造的な役割が期待されてできたものでございます。  したがいまして、今回地価下落をしたからといって、それだけの理由でこの地価税を見直すというようなことは適当ではないと思っております。ただ、地価税の税法の附則に、五年ごとに、対象とかあるいは税率とかを見直す、そしたまた、国会におきます附帯決議で、第一回目の見直しを三年ぐらいでやるようにというような決議もございますので、検討するということは必要なことだと思いますけれども、現状におきまして地価税を抜本的に見直すというようなことは、私はまだ適当ではないのじゃないかと思っております。
  105. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 それでは次に、年収五倍の住宅論に移りたいのですが、まず、買いかえ特例復活の効果と地価上昇のおそれについて建設省にお伺いいたします。  平成五年度税制改正で、一億円以上の住居用資産の買いかえ特例が復活することになったわけですが、質、量ともにどの程度の優良な住宅の供給効果を考えていらっしゃるのか、まずこの点をお聞かせ願いたいと思います。
  106. 石井正弘

    ○石井説明員 生活大国実現のためには、住生活の充実を図ることが大事であると考えております。このため、住みかえによる居住水準の向上というのが、現在住宅政策上の大きな課題と相なっているわけでございます。住宅を譲渡いたしまして住みかえる場合には、実態といたしまして顕著に居住水準が向上いたしているわけでございます。  昭和六十三年の住宅需要実態調査を見ましても、私ども第六期の住宅建設五カ年計画におきまして、住宅政策上の目標でございますいわゆる誘導居住水準、西暦二〇〇〇年を目途に半数の世帯が確保すべき水準ということで決めておりますが、こういった誘導居住水準が、持ち家から持ち家への住みかえをした場合にどのようになっているかといいますと、従前は三五%程度が誘導居住水準以上であったものが、住みかえ後の従後におきましては、これが六六%、おおむね倍になっておりまして、そういった実態もあるわけでございます。  この買いかえ特例の拡充によりまして、住みかえが円滑に行われるようになることを通じまして、居住水準の向上につながっていくものではないだろうかというふうに大いに期待をしているところでございます。
  107. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、この買いかえ特例は、中古住宅の供給策及び景気対策という意味合いを持つわけですが、本来的な不動産市場の活性化の前提となるところの中古市場、それから中古住宅流通の活性化策としてはまだ十分とは言えないと思うのですね。この点に関する政策が不足しているために、買いかえを促進するインセンティブがないんだという意見もあるわけでございますが、この中古住宅の流通策についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、この点はいかがですか。
  108. 藤田真

    ○藤田説明員 お答え申し上げます。  住宅の居住水準の向上を図るためには、今お話ございましたように、住みかえが円滑に行われる必要がある、このための条件整備が必要なわけでございます。このため、先ほどお話ございましたような中古住宅の円滑な取得を促進するために税制の改正を行ったわけでございますけれども、そのほかにも、昨年八月の総合経済対策以降、金融公庫法の改正などを通じまして、中古住宅の金利の引き下げ、中間金利から基準金利への引き下げなどを行っておるところでございます。  さらに、流通市場自体を整備していく必要があるという観点から、宅地建物取引業法に基づきまして、平成二年五月から建設大臣指定流通機構というものを設けております。  全国で三十その流通機構でございまして、三大圏及び各県に一つずつの流通機構を設けておりますが、これは、売りの情報があった場合にこの流通機構に情報を登録いたしまして、売り買いの情報のマッチングを図るための機構でございまして、平成四年では全国で十六万八千件の物件の登録がなされておるところでございまして、この流通機構の整備促進と、先ほど申し上げましたような中古住宅の円滑な取得を促進するための税財政支援措置をあわせまして、中古住宅市場の活性化を図ってまいりたいと考えております。
  109. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、五倍論の根拠についてお伺いしたいのですが、公示地価が発表された去る三月二十五日の土地関係閣僚会議で宮澤総理が、生活大国の目標を何としてでも実現をしたい、このように訴えられたわけです。すなわち、「生活大国五か年計画」の目標であるところの、年収の五倍以内で、首都圏で通勤時間が一時間から一時間半、床面積が七十平米のマンションといった良質な住宅が買えるようにしたいということでございます。  今回の地価動向調査によりますと、年収の五倍に近づいたとはいっても、実際は、同じ年収倍率でも、基準とするところの世帯、それから対象とする住宅の賢いかんによっては、これが大きく変わってくるわけでございます。例えば、九〇年には、床面積が六十五・六平米のマンション価格は六千百二十三万円、このときのいわゆる京浜地区の勤労者の平均年収が七百六十七万円に対して年収倍率は八倍だったわけです。ところが、九二年になりますと、同じマンションが四千四百四十六万円に下落をいたしました。年収は八百五十三万円に上昇をいたしました。その結果、年収倍率は五・二倍に下がったわけでございます。  ところが、三十代後半のいわゆる借り家世帯主で住宅購入計画のあるサラリーマンの全国平均年収は六百四十五万円、これを基準にしますというと、九二年と同じ条件なのに、年収倍率は六・九倍の水準にはね上がってしまいます。さらに、「生活大国五か年計画」で言う良質な住宅、七十平米を対象にしますというと、九二年で七・九倍と著しく高い水準となるわけでございます。  私は、これは何が言いたいかといいますと、やはり今後の住宅政策というものを考える場合に、それぞれの階層がそれぞれのライフスタイルに合ったところの、年収五倍で買える、納得できる住宅がそれぞれにないと、やはりおかしいのではないかという気がするのです。  そもそも年収の五倍論の根拠はどこにあるのか。御承知のように、現在アメリカでは、住宅価格の年収倍率ではなくして、いわゆる住宅取得能力、年収に対するところの返済能力、これを基準にしてそういったものを計算をしておるわけですが、まずこの年収の五倍論の根拠等について経企庁のお考えをお伺いしたいと思います。
  110. 垣内康孝

    ○垣内説明員 御説明いたします。  「生活大国五か年計画」で、平均年収の五倍程度で住宅取得を目指すというふうにしているわけですけれども、この計画のフォローアップにおきましては、どうしていくかということで、住宅問題の最も深刻な東京圏を対象に把握していこうということを考えております。それで、その住宅価格につきましては、東京圏で現実に供給されている民間の新築マンション、その全体をとらえまして、その平均を用いるということにしております。  そこで、東京圏におきまして民間で供給される平均的なマンションということを考えますと、そのイメージとしまして、七十平米程度の新築マンションで、立地については通勤一時間から一時間半程度ということになるわけです。実際に数字を出していくに当たりまして、東京圏におきましては、供給されているマンションの平均床面積が減少してきております。そこで、平均価格を七十平米に換算したものを用いまして、年収につきましては、総務庁の貯蓄動向調査による京浜地区の勤労者世帯平均年収をとりまして、その年収に対する倍率に基づいて、推進状況を検討していくということにしております。  それから、五倍ということの根拠でございますけれども、これは地価高騰前の東京圏のマンション価格の年収に対する倍率というものがほぼ五倍以下であったということと、東京圏におきまして平均的な年収を得ている勤労者世帯について考えますと、持っている貯蓄を頭金にして、年収の二五%を償還に充てる、その場合、住宅金融公庫、さらに民間のローンをその二五%の返済で最大限どれだけ借りられるかということで、調達できる資金、それと頭金と合わせまして、ほぼ年収の五倍ということですので、五倍程度ということにいたしました。
  111. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 年収五倍論というのは、これはもう我が国の津々浦々にまで響き渡っているわけですよ。したがって、特に大都市圏においては、この住宅問題というのは、これは一番深刻な問題であるわけです。衣食住を考える場合、この住の問題というのが一番深刻な問題でございますが、快適な住宅年収五倍でどうにか買えるようになった、年収五倍に手が届いた、これでいわゆる住宅政策もひとまず終わったのでは困るわけでして、先ほど申し上げましたように、やはり勤労者といってもいろいろな各層各級ありまして、そういった人たちが本当に快適な住宅に住めるような、ひとつきめ細かな配慮を今後ともくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。  次は、適正な地価水準のあり方についてでございますが、まず、現在の地価水準は、政府が目標とするところの年収五倍論からするならば、まだまだ高い水準にあるわけでございます。今までは、地価の高騰で、年収の五倍で住宅を取得しようとしても買えなかった。では、地価がもっと下がれば果たして買えるのか。地価が下がって景気が悪くなれば当然収入も減るから、やはり住宅取得は非常に難しくなってくる。ここで問題になるのが、いわゆる中堅サラリーマンが取得できる住宅の適正な地価水準とは一体どうあるべきかということでございます。  政府が一昨年閣議決定をいたしました「総合土地政策推進要綱」、これには、適正な地価水準とは「土地利用価値に相応した」水準、こういうふうに書いてあるわけですが、これは具体的にはどのような水準のことを言うのか、また、それをどういうふうにして実現できるのか、ひとつ国土庁の御意見をお聞かせ願いたい。
  112. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ただいま委員御指摘のように、適正な地価水準の考え方としては、平成三年の一月に閣議決定いたしました「総合土地政策推進要綱」の中ではっきり書かれているわけでございまして、土地利用財でございますので、「土地利用価値に相応した」価格、これが適正な地価の水準だろう。  特に、生活基盤でございまして、国民が非常に関心を持たれております住宅地でございますが、これは、「中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる」そういう地価水準、これを適正な地価水準として、それの実現を図るというのを土地政策の目標の一つにしているところでございまして、考え方としてははっきりしているわけでございます。  そういう考え方を受けまして、ただいまいろいろ御議論なされております、昨年六月に策定されました「生活大国五か年計画」でございますけれども、一番状況が厳しい東京を初め大都市圏におきましても、「勤労者世帯平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能となることを目指して、できる限りこれに近づけるよう、適正な地価水準の実現を図るための総合的な土地対策を着実に推進するとともに、」住宅対策を充実する、こういうことを閣議決定したわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、利用価値あるいは取得能力というものをあらわす関連指標といたしましては、GNPなり世帯収入の伸びというものがあるわけでございますので、これとの相対関係というものをフォローアップしているのでございますが、これはあくまでも関連する諸指標でございますので、一つはある程度幅を持って考えていかなければならないという制約がございます。  あるいは、一、二年というようなことでこれが近づいたのかあるいはかけ離れたのかということじゃなくて、本来はもう少し長期にこのGNPの動きなり世帯収入の動きと地価の動きがどうなっているのかということを考える、そういう関連指標なんだろう、こう認識しているところでございますが、いずれにいたしましても、五十八年ごろ、いわゆる地価が高騰する前の関連指標と現在のそういう関連指標との間の相対関係を見ますと、先ほど来本委員会でも御議論がございますように、平成二年の秋ごろあたりをピークにいたしまして、徐々にその乖離幅というものは縮小してまいっているということでございまして、「生活大国五か年計画」へ向けて、方向としてはそういう方向に歩んでいるんだろう。  ただ、まだなお地価水準自身も高こうございますし、それから住宅取得能力、これは所得のアップとか制度金融の充実強化ということもございますし、あるいは今回の地価高騰なり非常に景気が好調だった過程におきまして、建築コストというものが上がっておりますので、この建築コストの低減、合理化努力、こういうものと相まって一層の政策努力というものをやりますれば、「生活大国五か年計画」の目標というのは現実的な政策目標として十分実現可能なものなんだろう、かように考えているところでございます。
  113. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次は、再開発あり方についてでございますが、御承知のように、バブル経済崩壊によるところの景気の低迷で、日本全国で数多く進めている再開発事業が、大なり小なり何らかの形で行き詰まりを見せております。特に大都市圏では深刻な社会問題になりつつあるわけでございます。ホテル、商業テナント、それからオフィステナント、こういった需要も非常に厳しく、ちょっとでもすきがあれば撤退をしたいということが、やはり全国的な傾向のようでございます。きょうもある新聞にかなりの部分が載っておりましたけれども。  こうした再開発事業というのは余り複雑な条件、制約を持たない比較的やりやすい地区の再開発から着手をされるために、本来開発をしなければならないところでも、条件がうるさく、難しいところは残ってしまうことが多いわけですね。さらに、再開発事業はインフラ整備だけではなくして、地域経済への波及効果というものも非常に大きい。  しかしながら、これはだれが責任を持ってやっていけばいいのか、またやっているのか。関空の問題にいたしましても、臨海副都心、また各地でも、大なり小なりこれに似たような傾向が見られるわけですが、地権者なのか、行政なのか、民間ディベロッパーなのか。いずれにしても、都市開発事業ですらそこに採算性というものがあるわけでございまして、だれがリスクを、責任を負ってやっていくのか、こういったことをもっと明確にしなければ、やはりこれは深刻な問題になってくると私は思うのですが、いかがですか。
  114. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 お答えいたします。  今例示に出されました関西空港のりんくうタウンとか、それから東京臨海部の話もあるかと思いますが、そういうことに関連してでございますが、基本的に計画実施が世の中の景気に影響されるということは否めないことだとは思います。  そういうことでございますが、りんくうタウンについては、どういう形でやっているのかということでございます。  りんくうタウンにつきましては、事業主体は大阪府企業局がやっているわけで、昭和六十二年から実施をしているわけです。大阪府の総合計画というものに基づいて実施をしているということでございます。  国はどういうことかと申しますと、りんくうタウンを含めまして、空港の対岸部の整備など関連施設整備につきまして、関係省庁も関心があり、協力していくということで、昭和六十年十二月に関西国際空港関連施設整備大綱というものをつくりました。そして、組織としては、関西空港関連施設の整備のための調整連絡会議というものを設けて支援しているということでございまして、今後の対応につきましては、そういう場を通じて調整に努めてまいりたいと思います。  東京臨海副都心のことについてちょっと触れさせていただきますが、これにつきましても、実施主体はだれかといいますと、東京都が行っているということになります。しかしながら、これにつきましても、昭和六十一年に東京臨海部開発推進協議会という関係五省庁東京都の組織ができまして、そこで基本方針をつくり、それに基づき東京都が実施しているということでございます。  なお、これからいろいろな調整事項が出てまいるかと思いますが、ただいま申し上げました東京臨海部開発推進協議会、そういう場を通じまして、国土庁といたしましては、今後の対応を調整してまいりたいと思っております。
  115. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 最後に、リゾート法の問題についてお尋ねをしておきたいのです。  国土庁の総合保養地域整備研究会が二月八日に、リゾート開発の新たなあり方を検討して、最終報告をまとめております。この報告によりますと、大規模なリゾート開発計画全国各地で行き詰まっている原因について、好景気とリゾート開発ブームの中で、自然環境保全の観点より短期的な事業の成果を重視したためだと分析をしておるわけですが、私もそのとおりではないかと思うのです。  そしてその反省から、新たな整備目標としては、年に少なくとも一回は家族そろって一週間滞在できる小規模リゾートづくりで、環境に優しく、安い費用で利用できるリゾートの整備を目指すというものでございます。企業任せではなくして、地方自治体が中心となって、地元住民のアイデアを取り入れながら、その地域の特色を生かし、みんなに喜んでもらえるいわゆるふるさとリゾートづくりが大事ではないかと思うのです。  既に三十八道府県の地域で国から開発計画の承認を受けておりますが、行き詰まった開発計画は思い切って規模を縮小して、そして家族滞在型リゾート等の発想を参考に抜本的に見直すべきでありますが、こうした場合、国としてはどのような支援をしていただけるのか。  御承知のように、リゾートとはちょっと違うわけですが、類似のテーマパーク、こうしたものも最近非常に陰りを見せております。したがって、大規模なもの、また建設中のものまでもやめてしまったり、また規模を縮小したりすることが顕著でございます。  また、環境問題としては、ゴルフ場の開発に伴う農業汚染問題が非常に深刻になってきつつあります。この問題に関しまして、山口県の宇都市では市民らによる市長リコール運動にまで発展をして、非常に長期化しておる自治体もあるわけですが、こうした事態の打開のために、国ができる協力やアドバイスというものはないものか。  さらに、リゾート開発あり方について最終報告を受けて、国土庁としては、このリゾート法の見直しを含めて、今後どのように整備の改善を進めていくのか。確かに運用でもって今からやっていくという方法もあるかもしれない。しかし、景気低迷、こうしたことから考えて、今まで考えられておった大型のリゾートというものは非常に難しいのじゃないか、私はこのように思えてならないわけでございます。  千葉のディズニーランドでさえも、あれだけ隆盛をきわめたわけですが、最近少しばかり入場者が減ってきた、こういう報告もされておりますし、やはり、一度行った人が二回も三回もそこに足を運ぶという時代はだんだん遠のくような気もしてならないわけですが、こういったことについての長官の御意見をひとつお伺いをして、終わりたいと思います。
  116. 秋本敏文

    秋本政府委員 私の方から先に一言申し上げさせていただきます。  リゾートにつきましては、今吉井委員が種々御指摘ございましたように、自然環境保全との関係の問題あるいはまた施設の画一性、料金が高いあるいは地域との結びつきが薄いのではないか、開発事業者が最近撤退をしておるという話も聞くが、そういうことはどうかそういういろいろな問題の指摘がございまして、そういった中で、これから先のリゾートの整備あり方はどう考えていくかということで、昨年の四月以来、今先生指摘にございましたが、有識者から成ります総合保養地域整備研究会というものを開催いたしまして、種々御検討いただきました。  先般いただきました御報告の中では、「国民のためのリゾート」「地域のためのリゾート」、あるいはまた、自然環境の保全との調和を図った新しい国土形成、こういう観念、そういったような政策理念に立ちながら、国民皆さんの多様なニーズにこたえる多様なリゾート整備を長期的な視点のもとに着実に推進していく必要があるとか、あるいは、そういう中でリゾート法について適切な運用を図る必要があるとか、そういったようなことが指摘をされたわけでございます。  これまでに承認を行いました基本構想におきましても、いろいろなリゾート施設、例えば一般の家族が利用しやすいようなものも当然その中にあるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような研究会の報告の趣旨に乗りながら、これからの多様なリゾート整備を進めていくことが必要であるわけでございまして、いろいろな世論調査なんかをやりましても、一般の国民皆さんのリゾートに対する需要自体は、今もご指摘ございましたように、あるわけでございまして、それにこたえるようなことが必要だということだろうと思います。  私ども国土庁といたしましても、この研究会の御報告の趣旨を十分踏まえまして、例えば大規模なリゾートでありましてもその中に多様な施設整備をしていくとか、あるいはまた、農山漁村などにおいて小規模なリゾートといったものの整備も進めていくとか、そういったようなことを進めていく。  それについて関係の省庁と緊密な連携を図りまして、法の適切な運用を図りますほかに、今委員の御指摘の中にもあったかと思いますけれども、いろいろな関連する支援施策が国にもございますので、そういったものをうまく活用するということももっとできないのかどうか、そういったようなことを含め、そしてまた自然環境との調和の問題なども含めまして、地方団体に対する種々の情報提供、助言指導などを行いまして、そして多様なリゾート整備推進について、私どもとしても支援をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  117. 井上孝

    井上国務大臣 ただいま政府委員が申し上げましたように、私といたしましても、これから労働時間短縮されますし、生活に潤いを持たせるという意味では、やはりリゾート地域開発というのは大切だと思いますが、従来のやり方ですと、ゴルフ場にホテルというような画一性のあるリゾートばかりでございました。今政府委員も申しましたように、いろいろ調べてみますと、各省でいろいろな施策がございます。  一つだけ例を挙げますと、運輸省の方ではオートキャンプですね、車で行ってとめてそこへ泊まる、オートキャンプ場をつくるというような施策もございますし、こういうものを組み合わせて、今までのようなぜいたくな、料金の高いような大規模なリゾートじゃなくて、山村過疎地帯を利用して、そういった各省の持っておる施策を総合して、気楽に行ける、ま先ほどおっしゃいましたが、一遍行ったらもう一遍行きたい、家族連れで行きたいというようなリゾート、幸い研究会の御報告もいただきましたので、そういうものをつくっていくように心がけたいと思っております。  御指摘いろいろありがとうございました。
  118. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。ありがとうございました。
  119. 玉城栄一

  120. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最初に、先ごろ発表されました地価公示で二年連続下落をしたという問題をお聞きしようと思っておりましたが、けさの冒頭の質問でもやりとりがありましたし、今も土地局長から御説明がありました。土地局長によりますと、夏から秋にかけて引き続き下落はするが下落幅は縮小するだろうとか、あるいは一定規模、一定地域のマンションは下げどまりになるのではないかというお話が、関係者から事情を聞いた見方として報告がありました。  私は、それで状況はある程度よくわかったのですが、大事なことは、そういう状態の中で、国土庁として何をなすのかという点だと思うのですね。  下がったといいましても、私は東京ですが、住宅で見ますと、八三年を基準にして一・九四倍ですかね、なお倍近い。もちろんその間所得は上がっておりますが、世帯収入の伸びは一・六倍程度ですから、まだかなり開きがあるという状況です。そういう状況でありますから、国土庁長官、これまでの長官も繰り返し言明してこられたと思いますが、今の状況でよしとせずに、なお引き下げるという方向で強力な指導が必要だろうと思いますが、いかがですか。
  121. 井上孝

    井上国務大臣 御指摘のとおりだと思います。私どもも、二年連続で下落をいたしております、いい方向には行っておりますけれども、まだ、例えば、何遍も出てまいりますが、勤労者の平均年収の五倍以内で良質な住宅が持てるような地価までいっていないという認識でございます。  従来とっておりました、平成三年一月に閣議決定いたしました「総合土地政策推進要綱」、この中にはいろいろな具体的な施策が書いてございますが、例えば監視区域による土地取引適正化あるいは土地税制の活用、それから、主として建設省だと思いますが、住宅宅地供給量をふやしていくというようなことによりまして、さらに一層地価下落し、そして安定をする、鎮静化するという施策を今後も続けてまいりたいと思っております。
  122. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 先ほどの質疑の中で、監視区域の指定を撤廃してもらいたいというような要望が一部から出されているということもありましたけれども、私はまだその時期じゃない、とんでもないというふうに思うのです。だから、緩めることなく施策を進めていっていただきたいということを申し上げて、時間の関係もありますので、山梨の問題、リニア関連ですね、これについてお尋ねしていきたいと思います。  ちょうど三年前になるのですが、一九九〇年の六月の本委員会で質問をいたしました。といいますのも、ちょうどリニア実験線のルート決定が六月八日だったんですね。それで委員会が二十二日にありまして、当時の大野運輸大臣と金丸副総理の間でルートについての決定、決着を見たという直後だったわけです。当時、既に山梨で相当地価高騰が起きておったんですね。その問題についていろいろお尋ねをしたということであります。  そのとき、当時の長官や土地局長はどうおっしゃったかというと、監視区域の指定について十分県を指導していくということと、海部総理が予算委員会だったかで答弁されたこともありまして、当時は伝家の実力、規制区域をどうするかというのが一つの大きなテーマだったんですね。それで、規制区域の適用も念頭に置いて対処したいという答弁、これは長官答弁でありましたが、そういうことでありました。  ところが、その後リニア建設にまつわる土地高騰をめぐって幾つかの事実が明らかになったと思っております。例えば、ここに持ってまいりましたが、山梨県は相当早い時期からリニアの誘致をいろいろな形で進めておられたわけです。これは「リニアモーターカーに関する調査」というのを財団法人に委嘱してまとめられたものですが、これが出されましたのが昭和六十三年、つまり八八年三月です。だから、決定以前です。山梨に決定されたのは翌年の八九年八月ですから、そのはるか一年以上前にこういうものも出して大いにPRもされた。  あるいはその年の、八八年の六月二十八日ですが、中央リニア新幹線建設促進協議会の設立総会が開かれた。そこで、来賓として出られた金丸氏が、北海道などのことにも触れながら――当時の状況は御存じですね、長官。北海道、宮崎、山梨とあって、どこを選ぶか、山梨が地形的にも最適という発言をされたとか、それからまた、その直後ですが、八月には金丸氏がリニア中央エクスプレス国会議員連盟会長に就任するというような一連のことがありました。これで期待がうんと高まるのですね、あの実力者の金丸氏が会長になってくれたから間違いなく山梨に来ると。こういった一運の動きがあったわけですね。そういう中で地価の急上昇が進んでいくわけです。この時期に国土庁として、県への指導をも含めてどういう対応をされたかという点を改めてお聞きをしたい。
  123. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 監視区域制度でございますが、御承知のとおり、昭和六十二年に国土利用計画法を改正いたしまして、比較的弾力的にきめ細かく機能できるようにということで新しくつくった制度でございまして、六十二年八月に東京、神奈川、横浜、川崎を皮切りに順次監視区域が指定されてきた、この経緯については御承知のとおりでございます。  そのころ、東京圏を中心として非常に地価の高騰が見られたわけでございまして、政府といたしまして、緊急土地対策要綱をつくりまして緊急な土地対策に取り組むという機運が各方面に出てまいった。こういう背景の中で、私どもといたしましても、この新しく制定された監視区域制度を的確に運用するために、六十二年十一月には局長通達を出しまして、いろいろな形での運用の考え方、指針を示しておりますけれども、ただいまお話しのような、例えば大規模プロジェクト等が予定されている地域等におきましては、早急に監視区域の積極的な指定を検討するよう都道府県等を指導してまいったところでございます。  その後、東京圏から関西圏あるいはブロック都市等々への地価高騰が波及する中でいろいろな方面の御意見がございまして、当時、国土庁長官が六大都市知事さんなり政令市長さんを直接お呼びいたしまして、監視区域のきめ細かい指定ないしは必要がある場合には規制区域の指定についても検討していただきたいというような御要請をし、意見交換をしたというような時期でございました。  そのころ、私どもは監視区域制度について総点検をいたしまして、その結果を踏まえて運用指針、ガイドラインと言っているわけでございますけれども、そういうものを平成二年六月には出しているという経過でございまして、そこにおきましても、大規模プロジェクト等が予定されている地域等におきましては地価上昇の可能性が高いと考えられることから、事業計画なり区域の決定等に先立ち、必ず監視区域の指定について検討するよう都道府県等を指導してまいったという経過でございます。
  124. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私、山梨のことで具体的にお聞きしたのですが、今の監視区域制度の運用指針についてというのは平成二年ですね。このリニア問題が起きましたのはもう少し前なんです。  さらに紹介をしておきますと、私も監視区域指定の一覧をいただいてきました。詳細に書いてあります。最初は八八年十二月、八九年三月に第二次、八九年十二月に第三次というふうに、ここまではまだ指定地域の拡大ですね。面積は広いのですよ、一千平米とか五百平米とか。とてもじゃないが有効な力がまだ発揮できないというようなことだったわけですが、こういう経過も承知をしております。だから、今のような国土庁の方針に基づいて監視区域の指定はある程度やられたということなんです。  しかし、現場ではなおかつ急騰を続けるのですよ。さっき申し上げましたのは八八年の一連の動きです、県の方のPR話とか金丸氏の一定の発言とか。ところが、八九年から九〇年にかけて、これも県でいただいてきた県の地価調査の一覧表です。詳細にありますが、例えば甲府圏でいいますと、これは九〇年の七月調査ですが、前年と比べて一年間で四六・四%とすさまじい地価上昇をしているのですね。  それで、これに関連してちょっとお尋ねをしたいと思いますのは、ちょうどこの時期、八九年七月から九〇年七月に四六%上がった。この時期の途中でこういうことがあったのですよ。また金丸氏が登場するのですが、リニアモーターカーモデル線建設促進期成同盟会というのがありました。これは会長が望月県知事です。その総会が九月六日に石和で開かれたのです。そこで、監視区域の拡大を県は前年の十二月にもやったわけですが、地価高騰が進んでいるというのでさらにやらなければならぬという議論が県でもあったのですね。  そういう状況の中で、金丸氏がこういう発言をされたわけです。要するに、監視区域の網を全県的に広くかぶせるのは果たしてどうか、沿線の県民が恩恵を受けることがあってもいいじゃないかという発言です。これは当時の山梨の新聞報道などでも、規制区域拡大あるいは面積を厳しくする、そういう措置を牽制した発言だということで問題にもなったことがありました。こういう発言がありまして、九日県議会でもいろいろなやりとりがあるのですが、そこは省略いたしますが、結局新たな監視区域の適用が四カ月おくれの十二月になってしまったというのが時日の経過なんですね。  私は、こういう一政治家のいろいろな思惑といいますか、そういうことで県政の厳正な執行がゆがめられる、弱められるということがあってはならぬと思うのですが、いかがですか。長官、これは難しいですか。
  125. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 その前に事実関係を。  失礼いたしました。先ほどの一番最初の先生の御質問は、当時、監視区域について国としてどういう指導を行ってきたか、その経過を述へる、こういうように理解いたしましたので、一般的な経緯を申し上げたのでございます。  具体的な山梨県におきますリニア実験線関連地域の監視区域の指定の状況はただいま委員がお話しになりましたように、実験線の始点としての駅が予定されておりました境川村におきまして、平成元年三月に初めて監視区域が指定され、その後、その他の沿線地域においても、その年の十二月までにおおむね沿線関連地域におきまして監視区域が指定されているところでございます。  さらには、平成二年八月には届け出対象面積の引き下げ等々も行われてきているわけでございます。その間に、たしか平成元年七月ごろの期成同盟ですか、その会合のお話だろうと思いますが、そういう新聞記事も私も本日拝見したのでございます。  そういういろいろな指定につきましては、地元におきまして関連業者あるいは地方議会等々からの御意見というものがございまして、これは山梨だけの例でございませんけれども、今振り返ってみますと、結果的には監視区域の指定がやや後手に回ったのじゃないか、こういう率直な反省は私どもしなければならないと思いますが、リニア関連沿線区域の監視区域の指定につきましては、県当局におきまして適切に行われ、その後届け出対象面積も引き下げられたということで、私どもとしては、その運用というのは、今から考えますと、これはその地域だけでございませんが、全般的にやや指定が後手に回ったという反省はしなければなりませんけれども、適切な運用が行われた、かように理解しているところでございます。
  126. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 適切と後手とどちらにウエートを置くかで答弁のニュアンスは変わるのですが、現実には、今申し上げたように九〇年七月に、その前一年間四六・四%という異常な土地高騰が起きている。それで、区域の面積規制を厳しくするということをやったのはその後なのですよ。九〇年の八月ですね。だから、明らかにこれは後手といいますか……。  後手であるだけでなく、私が問題にしておるのは金丸氏の発言の影響、これは、当時の現地の新聞報道とか県民の皆さんの意見とか県議会のやりとりとかを見れば明らかですね。国土庁が旗を振って、全国的に監視区域をやらなければいかぬと、東京二十三区、私の地元なんかも割合早くやりましたよ、見ておりますが。ところが、金丸氏が、いわゆるボスですね、早急にやるのはどうかというようなことを言ったために四カ月もおくれる、こういうことがあってはならぬと思うのですよ。  政治家として、長官にその辺のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  127. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 まことに恐縮でございますが、リニア関連市町村の地価の上昇でございますけれども、私、手元に地価公示の連年のものを持っているのでございます。  御承知だと思いますが、平成元年一月公示までは、境川、大月、秋山村、このあたりにおきましても二、三%の上昇であったということは委員御承知のことだろうと思います。そのころは既に東京圏におきましては、今から見ますと、ほとんどピークに達しまして高原状態に入った、それが大阪圏、名古屋圏に波及した、こういう時点でございます。  私も平成元年の七月から土地局に参ったのでございますけれども、そのころの自治体の、特に市町村長さんの認識は、率直に申しますと、東京圏があれだけ上がったのに、地方の、特に田舎の市町村の地価上昇は全くない、ようやく若干上昇したことについて、地方に光が当たってきたのだ、こういうようなことをおっしゃる方が相当おりました。私は、やはり地価が高騰する形でなくて地方開発が進むというのがあるべき姿だろうと思いますけれども、現実には、自治体の首長さんの認識がそういうところであった。  こういう中で、県の土地対策部局がいろいろな地域において非常に御苦労をされまして、この監視区域制度を今日の充実した状況にしてきた、こういう経緯があるということもまず前提として御認識をいただきたい、かように思うわけでございます。
  128. 井上孝

    井上国務大臣 先生が御指摘になったようなことは、実は私、事務当局から報告を受けておりませんので、はっきりした意見を申し上げるわけにいかないわけでございます。  ただ、先生、監視区域というのはすべて鋼事さんにお任せをしておるわけでございますので、知事さんと金丸先生との間でどういうことがあったかまでは私はよくわかりませんが、どこの地域の面積を縮小しろとか、そういうところまで国土庁が監視をするものではございませんので、私の立場としては、せっかくの御質問でございますが、感想といいますか、考えは控えさせていただきたいと思います。
  129. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ局長からの答弁とか今は長官の答弁もありましたが、私も詳細なものは持っているのですよ。その上で御質問しているので、これが非常におくれているということです。詳細に述べる余裕はありませんが、五百とか千平米の規制ではどうしようもないのです。これは同じときの私の質問に対する当時の土地局長答弁でもあるのです。百平米を切らないとだめだ、実効はないのだということをこの委員会の場で正式に答弁もしておられるのです。そこだけ申し上げておきましょう。  時間の関係がありますから、そういうことで、山梨の皆さんというのか、リニア建設をめぐって、いわば非常に地上げの犠牲になった。それは、直接一定の土地を売って潤った人もおりますよ。しかし、大半は地価高騰の犠牲になったと言えるわけですね、日本全体の問題としても。  今また、あの問題では建設談合、これは大問題になった。県内の業者から金丸氏への献金の問題とか、これは一千万単位とかいろいろな報道はありますが、そういうことで、山梨県民が大変不都合な目に遣わされているという感じがしております。今長官の答弁もあったのですが、国の重要な事業というのは一部政治家の恣意とかいうものでゆがめられてはならぬ、公明正大でなければならぬ。  そういうこととの関連で、県知事の決定事項ではありますけれども、指導するのは国土庁なんですから、決定して押しつけるというわけにはいきませんが、やはり指導責任というのは当然あるわけです。規制区域については総理にも権限があるのですね。だから、そういう機能を十分生かして、国民の被害が広がらないように対処するということで臨んでもらいたいと申し上げておきます。  それで、幾つか聞きたいことがあったのですが、もう一つ、この関係で申し上げなければならぬことがあります。それは新しい事実といいますか、当時、私が三年前質問したときには知らなかった事実がその後わかったのです。  先ほど報告をお見せしましたが、これが一九八八年ですね。これよりも七年前の八一年、随分前ですが、実は山梨県は、社団法人中部開発センターというところに「リニアモーターカー方式による中央新幹線の影響と対応策に関する調査」というのを県として委託しているわけです。その報告が翌年、八二年に県に報告されているわけです。  ここの開発センターの調査委員会というのは、名古屋工業大学の名誉教授渡辺さんとおっしゃる方が委員長で、あと山梨大、名古屋大工学部とか地域経済とか、そういう関係の五名の委員で構成されているものです。そこが、全部で百五十数ページになりますが、リニア中央新幹線は山梨県民にとってどういう意義を持つのか、あるいは山梨の産業、環境にどういう影響を与えるのか、かなり広範に調査研究された報告が出ておったのです。これが八二年ですね。だから、地価高騰が始まる五、六年前ですよ、出ておったのですが、これが長年どこにも報告されていなかった。そういう奇怪な事実にぶつかったのです。こういうかなり分厚い報告書も出されたのだけれども、これが一部局にとまって、県議会にも公表されないということがあったのですね。僕はちょっと驚いたのですが、この報告書はなかなか先見の明があるというか、よく調査分析されているといいますか、土地高騰の問題も八二年の段階でいち早く指摘しているのですね。  ちょっと部分を読みますと、「発表」というのはリニアの決定の発表のことですね。発表時と建設時と二つ問題がある。「発表によって、用地関連地域地価は急上昇する。また、路線用地や駅用地の設定によって、従来の県・市町村の土地利用計画都市計画・産業計画・自然保護計画などの諸計画に大きく変更を迫られざるをえない地域も出てくる。当然、路線周辺住民の社会的変動も起きうる。また、これをめぐって県内外土地業者等の土地買収も活発になる。総じて沿線市町村や県の従来計画変更の必要性と私企業による県土の乱開発防止の必要性が大きな課題となろう。」こういう貴重な報告、提言を八二年の段階で既にしておったのですね。  ところが、私から言えば、これが正当に扱われずにといいますか、県議会にも報告されないということで、長年やみに隠されておったということがあったのです。これは本当に驚くべきことだと私は思うのです。  そういう問題点を的確に指摘した報告書はネグられて、そしてこっちの報告書は、リニアが来たらどんなによくなるか、経済波及効果とか専らそっちばかりを書いている。地価問題などは一言も触れていない。そういう報告書なんですね。これだけが公表されるというように事態が動いていったのです。これは全く県の態度に問題があるというふうに私は思うのですが、まず、国土庁はこういう事態、事実があったことは御存じでしょうか。
  130. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ただいま委員がおっしゃられております御指摘調査でございますけれども、県内部の調査でございまして、おっしゃられたように、当時公表されたものでもございませんで、私ども国土庁土地担当部局といたしまして、その内容についてもちろん報告も受けていませんし、内容を承知していたわけではございません。  ただ、一番冒頭に申しましたように、六十二年にこの監視区域制度ができましたときに既に、私どもとしては大規模プロジェクトの開発に伴ういろいろな投機的な取引というものが集中する、そういう弊害を除去するために監視区域制度の的確な運用ということについての一般的な指導指針というものを次官通達、施行通達あるいは土地局長通達という形で出しておりまして、そういう中で一連の指導をやってまいった、こういうことでございます。
  131. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間になってきましたから、最後の質問にいたしますけれども、今の答弁を聞いていましても、国土庁は指示をする、それは当然必要なことだからやりますよ、しかし、もう少し突っ込んだフォローが必要だと私思うのですね。地価高騰というのは非常に深刻な問題なんですから。各県の大プロジェクトの場合には、こういうことは当然やるのですよ。やるものなんですよ。そんなことは官僚の皆さん先刻御承知だと思うのですね。だから、そういうことにまで踏み込んで調査、指導、相談をしていくといいますか、そういうふうにやられることを強く要望しておきたいと思います。  それで、実際にこんな被害も出ているのですね。甲府の南部に二つの工業団地をつくったのですよ。詳しい説明はする時間がありませんが、一つは、先端技術産業中心の大津地区というのがあります。もう一つは、中小企業対象の西下条団地というのがある。ところが、最初に言いました先端技術、これは大企業が入っているのですが、そこは早く着手したので、安く土地を入手できたのです。  ところが、中小企業団地の方は買収がおくれまして、その結果どういう問題が今起きているかというと、一万の大津地区、ここは甲府日本電気が入っているのですが、平米八万一千円で提供された。ところが、中小企業団地の方は分譲価格が何と十七万八千五百円ですよ。片一方は八万で片一方は十七万です。それほど格差が出ている。  だから、中小企業団地の方はそういう名目でやったんだけれども、結局当の中小業者が二の足を踏んで、満杯にならないというような状況が起きているのですね。これは例として申し上げるだけにならざるを得ませんけれども。  そこで、私の最後の懸念を申し上げておきたいのは、先日十三兆二千億円の総合経済対策が決まりました。不況対策ということで公共投資が大きな部分を占めています。十兆円以上ですね。こういうのを進めるに当たって、かなりいろいろな音が聞こえてくるわけですよ。先日も不動産協会の方々が自民党本部に要請に行かれたということがありました。  そこで言われていることは、監視区域の撤廃それから土地税制の見直し、全体として土地対策を緩やかにしてくれというこういった要望がそういう関係者から一斉に噴き上がってきている。また、一部の産業では、これを機会にまたバブルの夢を見たいというのか、そういう期待をする向きもあるわけですね。そういうことになってはたまらぬわけですよ。  現に今申し上げたように、甲府南部の地域でせっかくの中小業者のための工業団地ということで造成されたのが、高騰したために肝心の中小業者が入れないという事態も起きているわけです。  だから、今度この総合経済対策を進めていくに当たって、それは国土庁長官として厳にその点は、内閣の中にあって積極的な姿勢で臨んでもらいたいのですが、地価上昇を決して招かないようにということです。これは十兆を超えるものが投下されますといろいろなことが起きてきますよ。せっかく下落傾向ということが出てきたのだけれども、決してそれが揺り戻し、逆戻しするようなことがないように厳格な対応をしてもらいたい、する必要があるというふうに思いますが、長官、いかがですか。
  132. 井上孝

    井上国務大臣 昨日発表されました政府の総合的な経済対策推進の中にも、一般公共事業実施に当たって地価動向に十分配慮するということが明記されておりますし、私どもといたしましても、私もメンバーの一人でございますから、この総合的な経済対策、景気対策実施に当たって、地価が再び上がるというようなことが絶対にないように、バブルの再燃を来さないようにという観点から十分注意してまいりたいと思っております。
  133. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間ですから、終わります。
  134. 玉城栄一

    玉城委員長 伊藤英成君。
  135. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 長官に、地価水準に対する政府の認識をお伺いしたいわけであります。  最近の地価動向について、大都市圏において特に顕著な下落傾向もありまして、また地方でも下落または横ばいの状況にあったりするわけであります。国土庁長官の所信表明でも、二度と地価高騰を生じさせないよう、土地神話の打破、適正水準の実現など、総合的な土地対策推進する、こういうふうにあります。  しかしながら、国土庁の幹部の一部には、昨年の暮れから、地価は下げどまったとか、あるいは地価は底を打ったなどと、地価下落を歓迎しないかのような発言をしているように報道もされたりいたします。  国土庁は、現在の地価水準が、果たして国民の多くが納得できる水準が実現したと評価しているのか、現状の評価についてまず伺います。
  136. 井上孝

    井上国務大臣 先般来、御質問にお答えいたしておりますが、大変、大都市を中心に顕著な下落をいたしておりますし、地方でも下落または横ばいという状況でございますので、大変望ましいといいますか、傾向が出てきておるということは事実でございます。  何遍も申し上げておりますように、とりあえず私どもが目標にいたしております昭和五十八年時点地価とGNPとか年収とかとのバランスの問題、それから「生活大国五か年計画」で言っておりますような、勤労者の平均年収五倍で良質な住宅が持てるという観点からいたしますと、今の地価はまだまだ高いという認識を持っておりますので、今までやってまいりました「総合土地政策推進要綱」、これに従って現在やっております土地政策をいましばらくは続けなきゃならぬ、こう思っておる次第でございます。
  137. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 もうちょっと具体的に伺いたいと思いますが、三月二十五日に国土庁から公示地価が発表されました。  これによりますと、全国の平均地価は、昨年一年間で住宅地、商業地とも八・七%、一一・四%のマイナスとなっておりまして、昭和四十五年の調査以来初めて二年連続の下落となっております。特に、三大都市圏の平均では、住宅地は一四・五%、商業地は一九・二%の大幅な下落になっております。  この地価は一月一日の地価で、約三カ月のタイムラグがありますので、現在の地価はさらに下がっているんではないかと思いますけれども、このような状況を受けて、公示地価の発表後、地価に対して、まだ高過ぎると主張する人もあれば、あるいは適正水準だと主張するグループもあったりして、また新聞紙上にもそういうことがいろいろ報じられたりするわけですね。  この意見は、一つ地価水準が非常にまだ高過ぎるかどうかという話と、もう一つは、実は地価下落が現在の景気にどういうふうに影響しているか、あるいは影響を与えるかという観点で言われていると私は思うのですね。  そこで、まず最初の地価水準の問題であります。  私はいつも申し上げているのですが、現在の地価水準というのはまだまだ非常に高い。これは長官もおっしゃるとおりなんですが、政府年収の五倍で住宅所得ということを目標に掲げているのですけれども、その際の考え方は、首都圏で平均年収五倍程度、通勤一時間から一時間半、そして七十平米のマンション、こうなっているのですね。こういうことを本当に考えていていいかな。  例えば、現在の首都圏のラッシュ時ですと、それこそ混雑率も二〇〇%ぐらいあるでしょうし、あるいはそれを超しているというところもあったりする。それから、最近売り出しているマンション等はますます居住スペースが小さくなったりしております。  そういうようなことをいろいろ考えますと、そもそも通勤時間が一時間や一時間半かかってもいいんだろうか。あるいは七十平米で本当にいいんだろうか。やはり、これではそもそも前提がよろしくないんではないだろうかと考えた方が妥当だと私は思うのですね。  だから、そういう意味でまず一つは、政府が目標を、現在の七十平米から建設省が目標水準として定めています例えば九十一平米まで持っていくということを考えなくていいのか。そしてまた、九十一平米をベースにして、そういう観点から、では地価水準はどうあるべきなんだろうかというようなことを考えるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  138. 垣内康孝

    ○垣内説明員 御説明いたします。  「生活大国五か年計画」で平均年収の五倍程度でと言っておりますが、その対象とする住宅についてですけれども、これは現実に民間で供給される平均的なマンションというものを考えておりまして、東京圏におきましてはそのイメージとして七十平米程度の新築マンション、立地については通勤時間一時間から一時間半ということを念頭に置いているわけです。  この立地に関して通勤時間一時間から一時間半としておりますのは、先生指摘のように、通勤時間が平成二年で平均六十九分というようになっているわけでして、それは現に住まわれている方の平均ということなんですが、新たに供給されるマンションということも考えまして、一時間から一時間半というふうにしております。  それから、規模に関して七十平米ということにしておりますけれども東京圏で供給される新築の民間マンションの平均床面積を見てみますと、これも先生の御指摘のように年々小さくなってきておりまして、最大が昭和六十三年の六十八平米でありましたけれども、それが平成三年には六十五平米、平成四年には六十三平米というふうになってきているわけでして、供給されるマンションの全体をとらえた平均面積につきまして、七十平米程度を目安というふうにしているところでございます。  それで、建設省の目標である九十一平米という御指摘がございました。九十一平米というのは誘導居住水準、世帯人員四人の誘導居住水準だと思いますけれども、第六期住宅建設五カ年計画におきましては、西暦二〇〇〇年を目途に、全国で半数の世帯がこの誘導居住水準を確保するということを目標にして、このために、六期五計の計画の最終年度である一九九五年度において、住宅一戸当たりの平均床面積を九十五平米とするということを目標としているわけです。  これは全国でのストックベースでの目標でありまして、それをもとに、建設省における試算によりますと、東京圏における民間マンションの供給、フローの規模につきましては、五カ年計画中、民間のマンションにつきましては七十平米程度のものを供給していく必要があるというふうになっております。したがいまして、この年収五倍の対象の七十平米程度というのは、第六期五カ年計画におきます居住水準の目標というものとも整合のとれたものと考えております。  七十平米に換算した価格でも、平成四年、一年間で年収倍率が六・四倍ということでまだ高い水準でございますし、現実に供給されているマンションの平均床面積というのは小さくなってきておりますので、七十平米に引き上げていくためにはさらに努力が必要で、今後とも、関係機関との協力のもとに諸施策の充実を図っていく必要があるというふうに考えております。
  139. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 「生活大国五か年計画」の具体的なイメージについては、ただいま主管省でございます経済企画庁の方から御説明があったとおりでございまして、一番状況の厳しい東京圏においても、五カ年計画でございますので、平成八年度を目標にする現実的な政策の目標として可能なような、そういう目標を定めたというように私どもは理解いたしておりまして、それが実現するために相当の努力が必要かと思いますけれども土地対策住宅対策等々と相まって実現が可能なのだろう。  それから、若干蛇足かもしれませんけれども、これは委員御承知のとおりでございますが、経済大国にふさわしい我が国の終局的な理想の姿ということを考えているわけではございませんで、「生活大国五か年計画」の現実的なワンステップ、これをなるべく早く実現させて、さらにグレードアップした、ゆとりと豊かさのある住環境をつくっていこうというのが宮澤内閣基本的姿勢である、かように考えておるところでございます。
  140. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は先ほどもお話がありましたけれども、例えば今どんどん面積も小さくなったりしていますよね。要するに現在の状況というのは、サラリーマンが取得可能な能力といいましょうか、その能力に合わせようとするから、実はどんどん小さくなっているのですね。要するに、買えないからどんどん小さくなっているという格好になっているのです。しかも今は、もう御承知のとおり、ただ面積が小さいだけではなくて、質もどんどん低下しているというふうに言われますね。  そういう意味で、現在の地価の問題というのは、もっと下げていかないと、本当にサラリーマンが一生かかって仕事していても、住宅がなかなか買えないよというようなことを言われざるを得ないという状況でありますから、ぜひこの点を踏まえてよろしくお願いしたいと思います。  それから、先ほど景気への問題で申し上げましたけれども、ことしの一月の建設経済研究所のレポートでも出ておりました。要するに、地価下落による住宅の潜在需要の掘り起こしが景気回復にも有効なのだよと。同じように、私、野村総研の試算も見たりいたしました。野村総研の試算ですと、平成四年度に地価が一八%下落したとすると、GNPへのプラス効果も八・四兆円から十一兆円、そしてマイナス効果が二・七兆円、したがって、これを差し引くと五・七兆円から八・三兆円のプラス効果があると言われております。  そうしたときに、例えば地価下落が金融システムに及ぼす影響もあるではないかというような話もいろいろ言われたりいたしますが、私は、この問題は全然別問題というふうに考えなければならぬ。  だから、景気を回復するためには地価を長期に低い水準で安定させることが必要でありますし、そうすれば、住みかえ希望の住宅需要も出てくる、あるいは内需拡大も行われるというふうに考えるべきですよ。したがって、こういうシナリオを描くためには、景気の問題から考えて、今の地価をさらに下落させる必要があるというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  141. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 昨今の地価下落でございますけれども、総合的な土地対策推進の効果に加えまして、委員ただいま御指摘のように、今回の異常な地価高騰によりまして地価の水準自身が実需とかけ離れたと申しますか、利用価値なり取得能力と大きく乖離をしたというところに基本的な原因があるのだろうというように私どもも考えております。  したがいまして、今後とも土地対策を着実に実」施することによりまして、実需に見合った適正な地価水準の実現、これを図ることが、ひいては土地取引の活性化、あるいは関連産業の活性化にも資するのだろう、こういうように考えているところでございます。  ちなみに、一番開運の深い現在の不動産市場の状況でございますけれども、先ほど来の御議論にもございますが、一次取得者層の取得能力に見合った価格帯、この物件の需要というのは相当根強く出てまいったというようなこと、あるいは業務用地、住宅用地を問わず、実需に見合った取引というのがそろそろ回復しつつある、こういうことを受けまして、そういう用地の取得意欲というものも出てきているということで、基本的には、この実需価格帯というものに土地の価格がなるということが、不動産市場の適正化、活性化ということを通じて、我が国経済発展を底支えするということになるのだろうという認識においては、委員と全く同じ認識でございます。
  142. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 土地の使い方の問題でありますけれども、もちろん今、例えばバブルを再生させて景気回復を図ろうなんという考え方を政府も絶対にすべきではありませんし、また、地価下落の問題を一過性の問題ととちえてもこれまたいけないわけでありますけれども、いずれにしても、過去の地価高騰の反省も踏まえて、これから二度と地価高騰を招かないような本質的なシステムをつくらないといけないということになりますね。  土地そのものの認識についても、所有権を優先することから、いわば利用優先に改めていかなければならぬ、こういう議論をずっとしてきましたよね、今日まで。そして、土地基本法を制定し、土地に関する公共の福祉の優先というような話もいろいろしてきたりしているのですが、今日、日本にどのくらい本当に公共という、土地の公共性について認識は深まったのだろうか、それに一体どのくらい努力してきたのだろうかということなんですね。  そしてまた、適正な土地利用という観点からいきますと、生産緑地法の改正によって放出された市街化区域内農地を計画的に開発整備していくことが必要なんですが、例えば、三大都市圏の地区計画というのはどのくらい進んでいるのだろうか、あるいは区画整理事業というのはどのくらい本当に進んでいるのだろうかということ等を考えるわけですが、この辺はいかがですか。
  143. 板倉英則

    ○板倉説明員 市街化区域農地というのは、先生指摘のとおり、都市に残されました大変貴重な空間でございまして、その整備に当たりましては、農地所有者等の土地利用意向を的確に把握しながら、基盤整備を伴った市街化と良好な住宅宅地の供給促進が重要であり、かつ、先生おっしゃるとおり急がれる課題であるという認識でございます。  このため、三大都市圏の特定市における市街化区域農地を対象といたしまして、計画的な市街化のための基盤整備等の計画事業スケジュール等を具体の内容とします整備プログラムというものを新たに定めるように、昨年の九月でございますが、関係都道府県知事あてに指示したところでございます。  この整備プログラムを踏まえまして、市街化区域農地の計画的な市街化にとって大変重要となります補助幹線道路等の先行的な都市計画決定を行う、そしてさらに、土地区画整理事業の実施とか地区計画策定等、面的な整備手法を活用して、できる限りその推進を図っていく必要があるという認識でございます。  そこで、区画整理あるいは地区計画の実績、今後の見通しについてのお尋ねでございますが、市街化区域農地につきましては、その分布とか規模等あるいは周辺地域基盤整備の状況が大変地域性が強くて、個別性もまた強いわけでございます。さらには、こういったまとまった事業をいたそうとしますと、農地の所有者を初めとする関係地権者の意向把握ということ、さらには合意形成ということが大変重要になってまいるわけでございまして、現時点では具体的な実施見通しについては、私ども実は正確に把握するまでに至ってないわけでございます。  参考のためにちょっとこういう数字を申し上げるわけでございますが、従来土地区画整理事業は、全国の毎年度の宅地供給量のおおむね約四割程度でございます。それから、全国の市街地面積、これがいわゆるDID面積で百十七万ヘクタールございますが、その中で、施行中のものも含めまして約三割を区画整理で手がけております。  それから、昨年の夏の段階でございますが、私ども大都市圏の特定市に対してヒアリングをしました結果、今回特定市の市街化区域農地約五万ヘクタールございますが、そこで区画整理を既に終わっているものもございますが、今後計画するものも含めまして、その割合は約四割弱というような数字がございます。そういうことを見てみますと、今後その市街化区域農地につきましても、相当程度が区画整理によって宅地化されることが見込まれるわけでございます。  また、地区計画につきましては、これは五十五年に導入された制度でございますが、平成四年の三月時点で、全国で八百七十四カ所でございますが、三大都市圏ではこれまで約四百八十カ所策定されておりまして、このうち市街化区域農地等を含みますいわゆる市街化の進行しつつある地域におぎましては、この四百八十カ所の約二割程度が地区計画として策定されているわけでございまして、今後一層の活用が期待されるわけでございます。  いずれにいたしましても、特定市における先ほど申しました整備プログラムの策定過程を通じまして、農地所有者等地域の合意形成に努めることによりまして、できる限りこの区画整理とか地区計画等の面的整備手法の割合を、比率を高めていくという努力をしていく必要があるという認識でございます。  それから、この整備プログラムにつきましては、遅くとも今年度末までに策定を終了するよう公共団体を督励しているところでございまして、実効性のある的確な整備プログラムの策定を通じまして、区画整理あるいは地区計画等の推進が図られるよう指導すると同時に、建設省といたしましても、積極的に関係地方公共団体の取り組みを支援していきたい、こういう考え方でございます。
  144. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 国土庁に伺いたいんですが、現在の日本の状況について私は、地価というものが極めて重大だよと、しかしある意味ではそれ以上に、どういうふうに計画的に日本という土地利用するかということだと思うんですね。それは、非常に大きく言えば、それこそ日本国土全体をどういうふうにそれぞれ利用するんだろう。  この間の予算委員会のときに私は申し上げたのですが、マスで見れば休耕田の面積と住宅地の面積はほぼ同じくらいの状況ですよね。そういうふうに考えれば、トータルで、非常に大まかに見て、日本の使い方はどうなんだろう。そしてまた、それぞれを細かく見てみれば、今建設省の方からいろいろ説明してくれたような状況のこともある。  あるいは町の中を見てみても、例えば地上げなんかやった跡はどうなっている人だろうか、あるいは生産緑地法の問題にかかわる土地の供給は、住宅地として実際に使われるのはどういうふうになるんだろうか等々、いろいろな問題があるわけですが、国土庁として、今の日本の状態について、国土計画的に利用するという意味において、現在をどういうふうに評価しているんだろうか。いかがですか。
  145. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 委員御指摘のように、土地問題という形でつかまえたときに、地価問題と土地利用問題といいますか土地利用の整序の問題という、大きく言って二つの側面があろうかと思います。  地価問題は、我が国において過去三回異常に高騰したということを踏まえまして、どちらかというとそれを早急に解消し収束するという形での対応というのが重点になったわけでございますが、より長期的、構造的には、やはり我が国国土構造、国家構造というものを踏まえまして、土地をその地域地域の自然的、文化的、経済的諸条件に応じて適正に利用するという方向で国土を有効に活用するということが基本なんだろう、こういうように考えているところでございます。  土地基本法におきましてもそういう考え方で、土地についての基本理念の大きい一つとして、適正な利用及び計画に従った利用というものを書いておりますし、それのいわば実施法的な国土利用計画法を初めとする諸法制におきましても、そういう適正、合理的な利用の確保というものが行われておるところでございまして、ただいま委員がおっしゃったように、基本国土利用をいかに適切、有効に行うか合理的に行うかということにあろうかと考えておるところでございます。
  146. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 日本は、世界の中で見てみても、国土計画利用という意味においては、非常に劣っている国の一つだと私は思っております。きょうはこれ以上あれしませんが、そういう意味で、これはみんなが本当にこの問題について真剣に考えてやっていきたいものだと思っていますし、国土庁にはそういう意味でぜひよろしくお願いしたい、こういうように思います。  それから、私は地価に対する認識の問題について冒頭に大臣に伺ったりいたしましたけれども、監視区域制度の緩和の問題についていろいろ聞いたりいたします。今年度もかなりの数の市町村が指定期限を迎えるようでありますけれども、この辺はどういうふうにするんだろうか。  私は、この監視区域制度についてはぜひ継続することを基本的には考えてほしい。要するに、この監視区域制度が地価を抑える意味で果たしている役割は非常に大きいと思うのですね。そういう意味で、監視区域の指定解除の条件といいましょうか、こういうものを一体どういうふうに考えておられるのか伺います。
  147. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 監視区域制度につきましては、委員御承知のとおり、法律上も五年以内の期間を定めて一定のエリアを定めて、小規模取引についての届け出制をしくということでございますので、制度的には恒久的、恒常的な措置ではございませんで、時限的なものであろう、こういうように考えるのが当然のことではございますけれども、そのときに、その指定区域の解除は、どういう状況になれば解除するかということでございます。  これは法律でいいますと、指定の状況がなくなったと判断できるときということでございますが、それをやや普遍的に、いわゆる監視区域制度のガイドラインというものを私どもがつくりまして各自治体に通達をしているものでは、こういう考え方を明らかにして指導しているところでございます。  すなわち、「監視区域の周辺地域を含む当該地域において地価の安定傾向が定着している場合であって、当該地域及び全国地価動向、土地取引の状況、金融情勢、景気動向等の社会経済情勢及び地域の実情からみて地価上昇のおそれがない場合には、監視区域の指定を解除することとする。」こういう運用指針、ガイドラインを示しているところでございます。  私どもといたしましては、この地価の問題あるいは取引の状況等々が地域の実情によって相当違うだろうということから、全国的に現時点地価下落、鎮静化してきているから一律にこういう対応をすべきであるというようなことは、やはり適当じゃないのだろう、それぞれの地域の実情、地域経済動向等々を十分責任を持って把握されております自治体の首長さんの判断というのがやはり尊重されるのだろう。  ただその中にも、ただいま申しましたように、そういう時限的措置でございますので、機動的、弾力的な対応というのが必要なのだろうということでございまして、今後は私どもは、現時点において非常に慎重な対応をとられている自治体の首長さんがなぜその解除、緩和することについて慎重なのかということの実態の把握、共通認識、それからある意味では不安、懸念なくそういう機動的、弾力的な対応をとれる条件の整備というものについていろいろと連絡協議を行っていくということがこれからは当然考えられますので、そういう場合に、十分地元の意向を尊重しながら対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
  148. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 地価はこれからさらに下げねばならぬ、これは長官もそういう認識で言われたわけでありますけれども、そういう意味で活用できる手法はさらに活用しなければならぬということで、ぜひお願いしたいと思います。  時間が参りましたけれども一つだけ最後に、大蔵省来てますね。  今地価税について、廃止も含めた見直しの論議がされておりますけれども、そしてまた、来年度の税制改正の焦点ともなるかと思うのですが、これについての考え方をお伺いして私の質問を終わります。
  149. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 地価税は、土地基本法に定められました土地は公共的性格を有する資産であるという土地についての基本理念にのっとりまして、土地保有に対する税負担の公平を確保するとともに、土地の保有コストを高めることにより土地神話を打破し、地価高騰の再発を防止するための長期的、体質改善的措置として創設されたものでございます。したがいまして、当面の地価下落のみを目的とした短期的対症療法的な措置としては考えていないわけでございます。  現状、先ほど国土庁からもお話がございましたように、まだ地価の水準は高くまた一段の引き下げが必要という状況でございますし、仮に地価が下がった後におきましても、基本的に土地の保有コストを高めるということで地価神話あるいは土地神話を打破する必要もございますし、保有コストを高めることを通じまして、土地の保有そのものが値上がり期待を目的意識に持つということではなくて、先ほど委員から御指摘もありましたように、利用価値に着目して保有をするというふうに考え方を変えていくことにもつながるものでございますので、そういう意味で、間接的にも地価高騰の再発防止に効果があるというふうに考えております。したがいまして、このような創設の趣旨を踏まえれば、地価税につきましては引き続き着実な実施に努めることが重要と考えております。
  150. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  151. 玉城栄一

    玉城委員長 次回は、来る二十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十四分散会