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1993-05-12 第126回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月十二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 亀井 久興君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 笹川  堯君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 石田 祝稔君       赤城 徳彦君    今枝 敬雄君       植竹 繁雄君    金子原二郎君       小林 興起君    谷垣 禎一君       虎島 和夫君    原田 義昭君       深谷 隆司君    増田 敏男君       松岡 利勝君    森  英介君       阿部未喜男君    田中 昭一君       田並 胤明君    武部  文君       山下洲夫君    吉岡 賢治君       近江巳記夫君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    塚本 三郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員        郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君         郵政省通信政策 松野 春樹君         局長         郵政省電気通信 白井  太君         局長         郵政省放送行政 木下 昌浩君         局長  委員外出席者         文化庁文化部著 伊勢呂裕史君         作権課長         厚生省社会・援 松尾 武昌君         護局厚生課長         自治省行政局選 中野 正志君         挙部管理課長         逓信委員会調査 丸山 一敏君         室長     ————————————— 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 五月十二日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     増田 敏男君   谷垣 禎一君     金子原二郎君   上田  哲君     山下洲夫君   坂井 弘一君     近江巳記夫君   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     谷垣 禎一君   増田 敏男君     佐藤 守良君   山下洲夫君     上田  哲君   近江巳記夫君     坂井 弘一君   塚本 三郎君     中井  洽君     ————————————— 四月二十七日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  身体障害者利便増進に資する通信放送身  体障害者利用円滑化事業推進に関する法律案  (内閣提出第二七号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)      ————◇—————
  2. 亀井久興

    亀井委員長 これより会議を開きます。  身体障害者利便増進に資する通信放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
  3. 佐田玄一郎

    佐田委員 やっと審議が再開されるめどが立ってきたわけでございます。審議に先立ちまして一言大臣に御質問をさせていただきたい、かように思うわけでございます。  去る一月二十二日に第百二十六回国会が召集されて以来、四カ月近くを経過した今日に至るまで、郵政省から提出の八法案審議に入ることができませんでした。これまでの経緯をかいつまんで申し上げますと、小泉大臣には昨年十二月に就任して以来、マル老見直し発言を初めとして郵政行政の根幹にかかわる一連発言をされたわけであります。これがため我が逓信委員会では、本年一月二十日の閉会中審査、二月十八日、二十二日両日にわたる大臣所信に対する質疑、また四月二十一日の一般質疑などを通じて大臣姿勢、あり方を問うてきたところであります。  このような経過の中では、三月二十五日、NHK予算審議に入る前に大臣より訂正の発言がなされたわけであります。しかしながら、大臣のお考えと私を含めた逓信委員のそれとの間に違いがありまして、隔たりを埋めることには至らなかった。  私たち国会議員主権者である国民の信託を受け、全国民を代表して国政審議に当たるという重要な職員を担っております。すなわち、議員は、国会法規則等の定めるところにより、法律案決議案提出し、国政全般について内閣質問し、議案等について質疑をし、討論をし、また評決に加わり、その正しいと信ずるところに従い、何ものにも拘束されないで自由に意見を述べることにより、その任務が果たせるわけであります。  そこで、委員長中心として逓信委員会正常化に向けて努力されてきたところ、去る四月二十八日の理事会において亀井委員長より我々理事会メンバーに対し、次のような報告があったわけであります。  すなわち、前日の四月二十七日、小泉大臣には亀井委員長を訪ねられ、ここが大事なんでありますけれども、「大臣就任以来今日まで私の一連発言とそれに基づく報道により逓信委員会の皆様に御迷惑をかけたことはまことに申しわけなく、おわび申し上げます、今後発言は慎重にして、かつ、十分配慮し、法案審議全力を尽くしたいと思いますので、審議促進をよろしくお願いいたします。」このように申し入れられたわけであります。私ども理事はそれを了解いたしまして、本日の法案審議に入ることになったわけであります。  委員長のこのお話でありますけれども、このこと、このとおりでしょうか。そしてまた、このような経過をどのようにお考えになりますか。まず、質問をさせていただきます。
  4. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そのとおりであります。  そして、お互い意見の違いはあったとしても、いろいろ国民生活にかかわる法案審議全力を尽くしていかなければならぬということで、これから協力してこの法案成立に向けて努力していきたいという気持ちでおります。
  5. 佐田玄一郎

    佐田委員 ありがとうございます。  実は、きょう毎日新聞で記事がありまして、大人の判断というふうなお話を聞いたわけでありますけれども、何といっても国民のための法案づくりであります。そういうことを考えるならば、ぜひとも円滑な審議をお願いも申し上げる次第でございます。  それでは、法案に入らせていただきます。  身体障害者利便増進に資する通信放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律案について質問をさせていただきます。  急速な技術革新などに伴って我が国の情報化は今飛躍的に進展しています。郵政省は、これまでこの動きに対応して、新しい通信放送事業支援地域情報化あるいは人材の育成に取り組んできたと思うわけでございます。今回の法案もその一環のものと理解していますが、まず、高度情報化進展に対応して通信政策を展開するに当たっての基本的な考え方をお伺いいたしたい。
  6. 松野春樹

    松野政府委員 先生も今御指摘いただきましたように、情報化が急速な進展を見せつつありまして、産業面におきましても、それから国民生活面、または国際面等いろいろな分野におきまして情報通信の果たす役割が増大してまいってきております。こうした状況の中で、情報通信が国際、国内経済等に貢献しながら、また国民生活の向上にもお役に立つためには、いつでもどこでもだれでも通信利用できることが重要であり、私ども政策もそこを目指して取り組んでまいりたいと思っております。  これまで基礎的な通信ネットワークの構築は、民間事業者方々の御努力でほぼ完成してきたと言ってもよかろうと思います。今後は、例えば光ファイバーを中心としましたより高度な情報通信ネットワーク整備でありますとか、技術の進歩や利用者のニーズを背景とした高度な情報通信サービス開発が必要になってまいります。また、移動体通信の面でありますとか、衛星通信分野衛星放送等分野発展も大変重要な課題であるというふうに認識いたしております。  したがいまして、これらの課題の解決に向けまして積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、忘れてはなりませんのは、その一方で地域間の格差是正でありますとか、今回御審議をお願いしています法案もその一環でございますが、利用者間の格差是正して均衡のとれた情報化を進めてまいりたいというふうに存じております。
  7. 佐田玄一郎

    佐田委員 ありがとうございます。  今の回答の中に、地域間格差そしてまた利用者間格差是正ということがありましたけれども均衡のとれた情報化配慮は非常に重要なことであろう、かようにも私も思っているわけでございます。いろいろな場面において格差是正を行っていかなければならないわけでありますけれども地域間格差是正についてはこれまでどのような取り組みをしてこられたんでしょうか。
  8. 松野春樹

    松野政府委員 情報通信というものが生活大国の実現でありますとか国土の均衡ある発展を図っていく上で極めて重要であるという認識に立っておるわけでありますが、これを通信の面でとらえてみますと、地域間の情報通信格差是正ということがあわせて大変大事な問題であると存じます。  地域振興施策をこれまでもいろいろやってきておりますが、特に最近におきましては、平成三年度からいわゆる生活関連枠ということで公共投資分野に道が開けまして、電気通信格差是正事業を開始いたしております。現在、自動車電話等移動通信サービスをできる限りどこでも使えるようにする事業でありますとか、テレビがどこでも見えるようにする事業等を行っておりまして、平成五年度の予算におきましても、これらの既存事業拡充原因者特定が困難ないわゆる都市受信障害地域を解消する事業などを含めまして、公共投資として総額三十二億七千二百万円が予算に盛り込まれておるところであります。  これからもこの地域間の情報通信格差是正につきまして、その措置拡充等に一生懸命努めてまいりたいと存じております。
  9. 佐田玄一郎

    佐田委員 先ほども申し上げましたように、地域間格差、これを是正していくということは、まさに今多極分散型の方策の中においては非常に重要なことであるな、そしてまた、いつでもどこでもだれでも、そしてまた、今多極分散型の中で、人、物、情報があまねく流布するようにやっていかなければならない、わけても情報というものは非常に大事なものであると私も感じておるわけでございます。  そういう中におきまして、先般、特定通信放送開発事業実施円滑化法というのがあると思うのですけれども、これも私の記憶するところによりますと、難視聴地域に対するいろいろな、民間に対する補助であるとか、いろいろな条件がたしかあったと思いますけれども、この法案進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  10. 松野春樹

    松野政府委員 いわゆる円滑化法と申しておりますが、平成二年六月に成立させていただいた法律でございますけれども、二つの面で事業をやっております。通信放送分野に属するという前提でありますが、一つは新たな役務を提供する事業、それから、地域に初めて導入されるニューメディア等に対しまして通信放送機構出資あるいは債務保証利子補給等支援を行いまして、情報の円滑な流通を図ることを目的とする法律でございます。これは御案内のとおりでございます。  現在の支援状況でありますが、平成三年二月に、衛星系による音声多重放送、俗にPCMラジオ放送と申しておりますけれども、この事業通信放送新規事業といたしまして認定して、通信放送機構から出資債務保証を行っております。また、平成四年三月に、文字や図形によるパソコン通信サービス事業も認定いたしております。それから、地域ニューメディア関係でありますが、地方のCATV事業等に対しまして低利融資に見合う利子補給も行っておりまして、この件数は相当多うございます。平成四年度は新規に十四件でございまして、これまでの累計は四十三件でございます。  これらの事業につきまして、今後の通信放送分野発展とともに増加してくるというふうに考えておりますが、今後とも具体的事案について適切に判断しながら、必要な支援措置をとってまいりたいというふうに存じております。
  11. 佐田玄一郎

    佐田委員 地域間格差、これをなくしていくということは非常に今の時宜にもかなっておるのじゃないか、かようにも感じておるわけでございます。  本題に入ってくるわけでありますけれども、本法案は非常に重要なことだなと私も感じておるわけでございます。ちょっと話がずれますけれども、これはもうあらゆるところで議論もし尽くされておりますので、そういうことではなくして、私は私見を述べさせていただきたいと思うのでありますが、いわゆる老人マル優関係でありま・す。  この老人マル優でいろいろな議論がされましたけれども、六十五歳以上の方々、これはもちろん、日本高度成長時代にまさに非常に少ない給与の中から預金し、そして、それがまた投資に回って今の経済大国日本があると言っても過言ではない、そういう方々に恩返しをしていく、これは非常に大事なことじゃないか。これも進めなければいけない。  ただ、私は、この中で、老人マル優対象者、六十五歳以上の方々は、大変私も議論をさせていただきましたけれども、この中にいわゆる母子家庭人たちも含まれているということであります。この方々は、いわゆる遺族年金受給者である被保険者の妻であるとか寡婦年金受給者、そしてまた児童扶養手当受給者である児童の母であるとか、そしてまた同じく対象者でありますけれども、今回のこの法案にも関係しますが、身体障害者皆さん方大変ハンディを背負われても、まさに社会のために一生懸命努力をして貢献されている方々であります。こういう方々は、身体障害者手帳の交付を受けている者、そしてまた障害基礎年金受給者、こういう方々も、繰り返しになりますけれども母子家庭方々は百二十一万人いらっしゃいます。そしてまた、なおかつ身体障害者方々は百三十五万人おるわけです。しかしながら結局、この方々は六十五歳以上になりますと、いわゆる六十五歳以上の方々千六百万人の中に含まれるわけでありますから、実際の数からいえば非常に多いわけであります。そういう方々にまさに我々は恩返しすべきは恩返しし、そして守るべきは守っていく、これは政治の大きな課題じゃないか、かようにも私は感じておるわけでございます。  そしてまた、政治だけではなくて行政においても、厚生省だけではなくて、今回の法案のように郵政省の方から障害者法案提出されたということは非常によいことだ、私はかようにも思うわけでございます。わけても郵政事業推進し、直接国民サービスを提供する省として、障害者配慮することは当然のことでありますけれども、今回の法案の重要なところは、事業部門ではなくてこれは通信行政部門によって行われるということに、私は非常に意義を感じておるわけでございます。  まずは、そうした郵政省としての事業行政を通じた障害者への配慮について、全体像というか、その辺をお聞かせ願いたい。
  12. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 先生指摘のように、郵政省といたしましては、郵政事業あるいは情報通信行政、そういう郵政行政全般を通じます立場から、障害者障害を持たない人々と同様に生活をし活動できるよう、事業行政を通じましてこれまでも積極的に障害者対策に取り組んできたところでございます。  具体的な例を少し申し上げさせていただきたいと思います。  例えば事業という観点でございますが、郵便局舎等整備というような観点では、局舎の出入り口の段差を解消する、あるいは自動扉を設置する等々の施策をやってまいっておりますが、さらには身体障害者用の筆記用具を郵便局お客様ルームに置く等々の施策もやってまいっております。  事業部門でのサービス改善というような観点では、定額郵便貯金等貯金内容及び簡易保険契約内容、そういったものにつきまして、点字によって通知をするというようなこともやってまいっておりますが、さらに、点字が読める、あるいは手話のできる職員の養成というようなことにも努めております。さらにまた、点字による郵便不在配達通知カード、こういったものも取り入れてやっているところでございます。  さらに、ただいま御指摘のありました、行政部門を通じたサービス改善ということについて申し上げますと、放送分野で、例えばテレビ放送による字幕放送あるいは手話放送、さらにはNHK受信料の免除というような施策電気通信という分野では、障害者に対します加入者電話設置負担金の分割払い、あるいはNTTによります福祉電話機器開発等、こういったことについても努めてまいっているところでございます。  私どもといたしましては、障害者対策に必要な施策については今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  13. 佐田玄一郎

    佐田委員 そういうふうな方々のために一生懸命、垣根を越えて、省庁ではなくて、縦割りではなくて、まさに各省庁が一丸となってやっていただく、私も歓迎しておるわけでございます。  さて、今回の法案身体障害者向け通信放送サービス充実させるというものでありますけれども、現在、障害を持つ方々通信放送利用の面でどのような問題、そしてまたこの法案背景目的というものについてお伺いしたいわけであります。関係者から要望も寄せられていると思うわけでございますけれども、その状況もあわせてお伺いさせていただきたいと思います。
  14. 松野春樹

    松野政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、社会経済情報化進展してくる、通信放送サービス利用社会生活の上で不可欠なものになってくるということになればなるほど、実は、だれでもが通信放送サービスを容易に利用できるような機会を確保するように努めるということが大切になってまいってくるのであろうと思います。  現状を見てまいりますと、例えば視覚障害聴覚障害などの身体的な障害のある方々通信放送サービスを十分に利用できているかというと、必ずしもどうもそうでもないようである。例えますと、在京の有力な民放のテレビ放送五社の例でございますが、もちろんコスト面等幾つかの理由があるようではありますけれども聴覚障害者のための字幕放送が一日平均で三十六分程度、それから、視覚障害者のための解説放送も一日平均で三十一分程度という状況にあるわけでございます。  こうしたことから、かねてから関係の諸団体から、字幕放送解説放送拡充その他につきまして再三御要望をいただきました。また、国会におきましても、当委員会附帯決議や御質疑を賜ってきたところでございます。本法案は、このようなことにかんがみまして、主として字幕番組解説番組制作の助成などの支援措置を講ずることによりまして、通信放送役務利用に関する身体障害者方々利便増進を図ろうとするものでございます。
  15. 佐田玄一郎

    佐田委員 今お聞きいたしましたところですと、字幕放送が一日三十六分、そしてまた、解説放送が一日三十一分。これは私は、非常に少ない数字だなと思う。実は、我々も視察に行ってまいりまして、NHKと、そしてまた、字幕放送であるとかその制作過程を私ども拝見させていただいたわけでございますが、これは大変な仕事であるわけであります。しかしながら、何といっても、そういう方々に均等に、そして公平に情報を提供するというのは大事なことであると私も感じておるわけでございます。文字多重放送が開始されて十年になるわけでありますけれども、そういうふうな形で、なかなかサービス充実しない。  私は、これは民間に任せておいてもなかなか難しいんじゃないか、そういうことを考えますと、郵政省としてこれまでこうしたサービス充実に取り組んできたとは思うのですけれども、その過程というか、それをお聞かせ願いたい。
  16. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 郵政省におきまして、字幕番組あるいは解説放送充実ということについて制度的にいろいろな点で今まで実施をしてきておりますが、まず経緯を申し上げますと、昭和五十七年の放送法改正によりまして、テレビジョン放送事業者が、テレビジョン音声多重放送あるいはテレビジョン文字多重放送、これによって字幕番組解説番組放送充実に資することになるわけでございますが、これを、同時に放送されるテレビジョン放送放送番組内容を補完するような放送番組をできる限り多く設けるよう、努力義務を設けでございます。  それから、解説放送を行うための放送局でございますが、音声多重放送設備でございます。これは、おおむね順調に普及してきておるところでございます。しかしながら、字幕放送を行うための文字多重放送設備につきましては必ずしも順調に普及しているとはいえない状況にございます。これを促進するために、昭和六十一年から文字多重放送設備整備に対する財政投融資による低利融資制度を導入をいたしております。  さらに、放送事業者字幕放送を行う場合における負担を軽減してその普及促進を図るというために、平成三年に放送局開設根本基準を改正いたしまして、それまで毎日放送しなければならないという義務づけをしておったわけですが、それでは文字多重放送をこれからやろうという意欲がなかなかわいてこないという意見もございまして、毎日放送しなくてもいいから文字多重放送の免許を取得できるように措置して、さらに一層全国のテレビ会社皆さん方文字多重放送設備を設けるように、できるように措置したところでございます。  しかしながら普及はまだ順調とはいえないわけでございまして、今回の法案実施によりまして、これが呼び水となりまして、有効に活用されて普及に弾みがつくことを期待をいたしております。
  17. 佐田玄一郎

    佐田委員 大変な努力は私も感謝するところでありますけれども、それだけの条件整備をしているにもかかわらず、なかなかこれは整備されない。放送事業者サイドでは、今度同じように取り組んでいるのか。郵政省の方でもお調べになっていると思うのですけれども民間側に立って考えた場合には、事業として利益を上げなくては、なかなかこれはいかない。不採算部門というのはやはり切っていかなくちゃいけない、そういうふうな考え方もあるわけでございます。そういう中において、今放送事業者サイドのそういう取り組みについて、郵政省は把握されておるのでしょうか。
  18. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 現在の放送事業者皆さん方に対しまして、私どもは、視聴覚障害者方々にとって字幕放送解説放送重要性ということにつきまして、機会あるごとに理解を深めるべく指導をいたしているところでございますが、現在の民間放送経営状況等からいたしまして、設備に経費がかかり過ぎるという点、それからまた、受信機がまだ十分に普及していないという点から、採算性の面からなかなか積極的に取り組むという姿勢になってないことも事実でございます。私ども、これから機会あるごとに、積極的にこの問題について取り組むように指導してまいりたいと思っております。
  19. 佐田玄一郎

    佐田委員 いずれにいたしましても、民間事業者に対しましても、やはり我々としてもそれなりの、例えば事業税の軽減であるとか、こういうことをしておるわけでありますから、それなり指導郵政省の方からもしていただきたい、かように思うわけでございます。  きょうはちょっと時間がなくなりましたけれども、私も調べさせていただきましたら、アメリカであるとか、海外ではかなりの時間を例えば文字放送であるとか、そういうものに費やしておる。そういうことを考えますと、ぜひとも日本においてもこれは推進していただきたい。  私は、この間視察に参りまして感じたのは、手話でありますけれども、この手話によって即時的にニュースであるとか、こういうものは流せないのかなとつくづくと感じたわけでございます。今、うちの手前みそで恐縮でありますけれども、群馬テレビという地方局があるのでありますけれども、そこに聞きましたら、ニュース等については手話によって放送されておる。私も実際見たことがありますけれども、確かに見づらい部分はありますけれども字幕放送制作であるとかそういうものを考えてみますと、これは非常に大変なことである、即時性がなかなか実現できない。  そういうことを考えた場合、手話については、これからニュース等、こういう緊急性を帯びたものについては、手話についてお考えがあるのかどうか。そしてまた、今度の助成対象になるのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  20. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 ただいま御指摘のように、手話放送につきまして、字幕放送と同様に聴覚障害者の皆さんにとって極めて有益な放送であるというふうに認識いたしております。ただ、手話放送につきましては、民放百十七局中九十四局で実施いたしております。しかしながら、まだ字幕放送は十四局にすぎないということでございまして、また、視覚障害者向けの解説放送実施している放送局も三十局にすぎないということでございまして、放送時間数はともかくといたしまして、手話放送につきましては百十七局中九十四局で実施しているという状況。  こういうことからいたしまして、また、財源の問題もございまして、さしむき字幕放送解説放送充実を図ることとしたいと考えておりますが、手話放送につきましても本法案支援対象になっていることはそのとおりでございまして、その具体的な支援のあり方につきましては、他の施策との関連等も勘案しながらさらに検討してまいりたいと思っております。
  21. 佐田玄一郎

    佐田委員 私、地元で手話をやられている方々にお会いして聞きましたら、ボランティアでもやられている方も随分いらっしゃる。私は、そういうことを考えますと、本法案においてもぜひとも該当させていただいて、そういう方に対してもやはりそれなりのことをしていただきたい。そういうことによってまたこういう考え方を広げていっていただきたい、かようにも思うわけでございます。  もう時間もなくなってまいりましたので、最後にですけれども、また大臣にお伺いしたいのでありますけれども、今後情報化社会が一層進展する中で、逆に身体障害者方々情報を得ることが相対的に難しくなるおそれがあると思うわけでございます。身体障害者方々通信放送サービス利用環境を整備していくことはさらに重要な課題となってくると私も思うわけでございますけれども、この辺について大臣にお伺いしたい。
  22. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 御指摘のとおり、情報重要性というのがますます高くなっている時代において、障害を持っている人も持っていない人も同じようにできるだけ情報が得られるような利用環境を整備していくことは大変重要なことだと認識しておりまして、その方向に向かって鋭意努力をしていきたいと思っております。
  23. 佐田玄一郎

    佐田委員 終わります。
  24. 亀井久興

    亀井委員長 次に、武郎文君。
  25. 武部文

    ○武部(文)委員 今回提案されました身体障害者利便増進に資する通信放送、この関係法案は我々は大賛成でございまして、むしろ遅きに失したのではないかとさえ思っております。  実は私ども社会党は、昨年に「人にやさしい情報化社会をつくる」というシンポジウムを開催いたしました。  言うまでもなくその内容は、今日の情報社会というものが急速に進展をいたしまして、特に放送網あるいは電話の普及というのは、我々がかつて経験をしたことのないような状況になってまいりました。特に電話は千人に五百台、言うならば二人に一人日本では普及しておる。インドは千人に八台ということを聞きまして、いかに日本の電話の普及が世界の中で進んでおるかということを承知をいたしたわけであります。さらに、これから光ファイバーもどんどん技術革新が進みまして、我々は髪の毛一本で六千回線ということを聞いて驚いたのですけれども、現実にNTT,KDDは既に髪の毛一本、光ファイバーで十三万回線の実験に成功した、こういう驚くべきことを聞いたのでございまして、これからの我が国における情報化社会、特に通信発展は驚くべき状態が到来するのではないだろうか。大変結構なことだと思うのです。  それだけに身障者の皆さん、特に難聴の皆さんはこの技術革新なり進展でむしろ重荷になっておるのではないか、そんなようなことを考え、いろいろな御希望を聞いておりましたので、そうした身体障害者の代表の皆さんにもおいでをいただき、どういう要望があるか、さらにはこれに対する行政を行っておられる厚生省郵政省さらには企業の側ではNTT,KDD,NHK、こうした人においでをいただきまして、約三百人ぐらいお集まりいただきましたが、大変いいシンポジウムが開催できました。その際、貴重な意見を我々は承知をいたしまして、また要望もたくさんございました。  そういう中でこの法案提出されたわけでございまして、きょうこれからわずかな時間ですが、私は、質疑というよりもむしろそういう人たちと話し合った中で、これからこの法律が通っていよいよ実施される場合にはまだまだ多くの問題点を抱えたままで進むだろう。その際ぜひひとつ、これから申し上げることを参考にしながら、この法律がさらに有効な発展を遂げるように要望がございますので、その点が主になるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。  そこで、この法律の題名は、さっき申し上げたとおりですが、通信放送、こういうことになっておるわけですが、出されました内容は主として放送であります。ほとんど放送でございまして、文字放送あるいは解説放送、そういうことが主でございますし、また予算内容の説明を聞きましても、まあこれだけのわずかな予算の中ですべてができるものじゃございませんから、まず第一歩としてここからということはよく承知はできます。しかし、それはそれとして、通信関係についてはどのように考えておられるか、これを最初にお伺いしたい。
  26. 松野春樹

    松野政府委員 前提といたしまして、民間出資などによる通信放送機構によります信用基金の積み増し状況というものを判断しなければいけません。それから金利情勢などの財源の状況も見ながら今後対処したいと思っている内容でございますが、一つには、これは視覚障害者のために、文字情報ではわかりませんので、この文字情報を音声や点字に変換して通信するサービス開発という面がございます。この開発に取り組む事業者が出てきた場合に、出てくることを望んでおるわけですが、このような事業者に対しまして助成を行っていくということを予定いたしております。さらに、このようなサービスが実際に開発されまして提供されます場合には、そのサービスにかかわる費用に対しましても助成を考えてまいりたいと思っております。  また、いわゆる公衆電話ボックスの問題でありますが、車いす用の公衆電話ボックスの整備につきましては、当面NTTによる整備の動向を見守ることといたしたいと存じておりますが、その進捗状況と、これまた財源の関係でありますが、財源との兼ね合いを見ながら今後助成につきましても検討してまいりたいというふうに存じております。
  27. 武部文

    ○武部(文)委員 冒頭申し上げましたように、わずかな予算の中で何から始めるかといえば、先ほど同僚委員からございましたように、我々もそういうものを見さしていただいて、手っ取り早くやれるところはといえば、これだ。それはよくわかります。しかし、これから申し上げますように、通信の問題というのは大変幅が広うございますので、これから申し上げることをお聞きいただきたいと思います。  そこで、この身体障害者の対象ですが、身体障害者といいましても、これは聴覚から視覚から肢体不自由とかいろいろございますが、その中で特にきょう問題にしたい聴覚障害者の数はどのぐらいというふうに見ておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  28. 松野春樹

    松野政府委員 平成三年度に厚生省におきまして調査したデータがございます。身体障害者実態調査及び身体障害児実態調査でございますが、十八歳以上の聴覚言語障害者の数が約三十五万八千人となっております。それから、十八歳未満の聴営言語障害児の方が約一万一千人であるというふうに承知してございます。
  29. 武部文

    ○武部(文)委員 三十五万八千人というのは厚生省が発表した数字のようでございまして、これは言うならば法律上、身体障害者福祉法で手帳を交付されておる方、言うならば七十デシベル以上の聴覚の困難な方、これが対象になった数字だというふうに理解をするわけであります。問題は、この七十デシベル、両耳の聴力がそういう人でないと障害者の福祉法の対象となって手帳を受けられない、そういう人が、三十五万八千、これが実際問題として現実の難聴の方の的確な数字であるかどうかについて、私は一つ疑問を実は持っておるのであります。  話は前後いたしますけれども、アメリカでは大変立派な障害者法ができまして、アメリカ障害者法という法律のようでございますが、いよいよことしの七月からこれが実施に入るわけであります。御承知のように、アメリカの人口は二億三千万人。このアメリカ障害者法の対象の障害者の方は、実に四千三百万人というのであります。二億三千万人に対してこの法律対象者が四千三百万人ということは、五人に一人は何らかの障害をお持ちになっておる。それをこのアメリカ障害者法によっていろいろな面で、交通機関あるいは公的施設あるいは電信電話、そんなもので救済しようという大変立派な法律のようであります。  そこで、今三十五万八千人ということをおっしゃいましたが、確かに厚生省社会・援護局が作成いたしました資料によると、言語障害、聴営言語障害の方が三十五万八千人、そのほかに肢体それから視覚障害、いろいろな重複した障害を持っている、全部合わせて二百七十二万二千人と書いてございます。これが厚生省の発表されておる数字であります。二百七十二万二千人。一億二千三百万人の日本の人口から見れば四十五人に一人障害をお持ちだ、こういうことになるわけであります。アメリカでは五人に一人を対象にしておる、この大きな違いはどこから来るだろうか。  問題は、身体障害者の、これは広いことを言ってもいけませんから、私は具体的なことを申し上げますが、今の聴覚言語障害ということが三十五万八千人とおっしゃいました。これは法律上確かに七十デシベル以上聞こえない人が対象でございますから、何か三回ぴっぴっぴっといってそれを平均とって、そのランクで六級とか五級とか四級とかに格付されるようでありますが、いずれにしても三十五万八千人しか手帳を交付されていない。それがいろいろな意味で、これからあと申し上げますが、行政からの援助とかの基準になるわけであります。  ところが、聴覚障害者の方に聞くと、七十というのは基準が高過ぎる、普通、一メートル離れて聞こえない、こういう状況の、ようやく聞こえるという状況は四十デシベルというのであります、四十デシベル。そういう人を身体障害者の、特に聴覚言語障害の対象にして行政をやっていただきたいものだ、そうでなければ、七十ではとても手帳の交付にならぬ人は一切救済の対象にならない、こういう強い要望があります。  そうなると、四十デシベル以上聞こえない人が一体どのぐらいおるのか。これは身体障害者、特に聴覚障害者の方の全国団体がございまして、調査の結果では約五百万、五百万人ぐらいは対象におる、こういうことを言われておるのであります。そういたしますと、アメリカの大体四千三百万というのは、そういう人たちもやはり対象にしてこのアメリカ障害者法というものがつくられたものかな、これはもっとよく調べてみなければわかりませんけれども、いずれにしても四十五人に一人の障害者日本にはいる。あっちでは五人に一人を対象にして障害者法律をつくっておる。日本とアメリカは一緒にできませんけれでも、こんな大きな差があるのは大変不自然に私は思うのです。  したがって、これからのことでございますけれども、やはり難聴の方がおっしゃるように、今難聴の方の家に行きますと、電話器に増幅の、めいりょう電話ですか、めいりょう電話という名前で使っておられるようですが、確かにあれはよく聞こえます。ちょっと押さえてくるくるとあれを回しますと、十八倍までなりますよ。やってみました。私どもから見ると、びっくりするような音が出ます。それでようやく彼らは通話ができると言うのです。そういうものも実は四十デシベル以上の者には欲しいのだと、しかし、これも高いし、なかなか手に入らぬというようなことを言っていました。  したがって、今おっしゃった三十五万八千人というのは七十デシベルで計算をした法律に基づく対象者の数ですが、潜在的な人たちが五百万人もおるのだということをぜひ頭に入れていただいて、これからの行政の中でひとつ努力をしていただきたいということを最初に申し上げておきたいと思います。  時間がわずかです。あわせてあと上田君に関連質問がございますので、私は少ない時間になりますが、話が前後して恐縮でございますが、今度は文字放送です。  文字放送は、御承知のようにアダプターをつけなければ見ることができません。アダプターは十万円程度かかるわけでございます。この十万円は、各自治体が補助をしたり給付したり、いろいろな形をして自治体ごとにてんでんばらばらな補助をしておるようですけれども、我々の調査では、全国的にまだまだ普及が少ないわけでございます。東京は非常に進展をしておりまして、アダプターの普及には東京が一番状況がいいようでございますけれども、そのほかは全国で三つか四つの県しか補助がされておらぬ。それも本人が三分の一、地方の自治体が三分の一とか県が三分の一とか、そんなようなことでようやくアダプターを買ってそれで文字放送が見られる、こういうことでございまして、普及状況が非常に遅いわけでございます。  これはぜひ今度の法律で、一般会計の補助金から二千八百万円を支出してデータベースで情報を提供するということがございますが、この中に、そういうようなものを即刻やっていただいて、アダプター購入のためにどういう地方自治体が補助をしておるか、こういう内容を全国の自治体に周知をしていただいて、全国の自治体がみずからの自治体の中に住んでおる難聴者の皆さんに、ほかの自治体がやっておるようなことを右へ倣えするようなそういうことを即刻やってもらいたいものだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  30. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 端的なお答えになるかわかりませんが、ただいま御指摘がございましたように、一部の自治体においてそういった補助をいたしております。東京都以下、県単位は四県でございます。市町村単位で幾つかやっているところがございます。しかしながら、ほんの一部でございますので、こういった助成がもっともっと各自治体で、さらに多くの自治体で制度が導入されることが望まれるわけでございます。  そういう意味で、ただいまおっしゃいましたように、データベースの中にそういった情報を取り入れていくということは非常に重要な課題であると思いますので、これから検討してまいりたいというふうに思います。  同時にまた、こういった各自治体で積極的な取り組みを期待する立場から、私どももこれから各自治体に対する周知も努めてまいりたいと思いますが、例えば、郵政省で毎年開催いたしておりますが、自治体の情報通信担当者にお集まりいただいての打合会の機会もございますので、本日の御議論状況についても説明して理解を求めていきたいというふうに考えております。
  31. 武部文

    ○武部(文)委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  そこで、今回の法律の改正というのは、送る側の方の問題点が中心であります。確かにこれは一つの送るものがなければ意味をなさぬわけですから、それはわかりますが、送っても受け取る側が体制がよくなかったらこれは何にもならぬわけであります。双方が、送る側、受ける側、そういうものが完備して初めてそれは効果が上がるわけでありまして、文字放送を出したってアダプターがなければ見えることができませんから、そういう面ではやはり受ける側の体制を整備することを同時にやらなければならぬ、こう思います。  アメリカは、先ほど申し上げましたようなアメリカ障害者法によって、十四インチ以上のテレビには全部内蔵型でそういう機械をつけなければいけないという法律が出たわけですから、これは全部内蔵型で十四インチ以上のテレビには全部アダプターがついておるわけです。日本は全然つかないで十万円出さなければ買えない。しかも、日本のアダプターのついたテレビというものはどんどん減ってきて、現在七十七万台ぐらいしかないのです。ドイツなどは六百万から七百万、九百万台になったのです。  そういうことを考えると、よその国はどんどんふえるのに日本は内蔵型がどんどん減る。こういうことは一体どういうことだろうかと私は不思議に思うのですが、何か郵政省はそういうことについて御存じでしょうか。
  32. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 お答えいたします。  大変悪循環になっている向きがあると思います。受信機の数がふえないからメーカーも精力的にならない、精力的にやらないからまた受信機の価格も低下しない、普及しないという悪循環になっている気がいたしますが、いずれにいたしましても、その一つの大きな原因として、受信機の価格がかなり高くならざるを得ないというところにあると思うわけでございまして、そういう意味で、これからメーカーに対しても、今までもやってきておりますが、多様な機種の受信機の生産あるいは価格の低廉化等につきまして努力を求めてまいりたいというふうに思います。  同時に、いろいろなところにどういう問題があるかということについて十分関係者の間で意思疎通ができているかどうかということについても疑問があるわけでございまして、そういう意味で、文字放送普及策に関しまして、受信機の問題も含めまして、放送事業者あるいはメーカーの皆さんにお集まりいただいて意見交換の場を設けることも考えているところでございます。
  33. 武部文

    ○武部(文)委員 私は先ほどめいりょう電話のことを言いましたけれども、この人たちが我が家におるときはいいんですけれども、外出して公衆電話に行ったときに使えないんですね。公衆電話に声が大きくなるような設備がしてあるんです。あるんだけれども、全国で公衆電話は八十三万台というんですが、そのうち二万一千台しか声が大きくなる公衆電話がないんですよ。その公衆電話がよく壊されるわけです。ふえるどころか減っておるんです。そういう状況がありまして、八十三万台に二万一千台ですからね、これは難聴者の皆さんには非常に喜ばれておる電話機で、外出したときに自分の家まで帰らなければ聞こえないんです。大きくすることが不可能なんです。その公衆電話を探すのに大変だということを言っておられるわけです。  そこで、公衆電話の声が大きくなるめいりょう電話、シルバーホンというんだそうですが、それをふやすような方法をNTTとも協議してもらえないものだろうかな、こういう要望がございます。  それと同時に、今度はファクスの問題であります。このファクスというのは難聴の皆さんにとっては生活の一部みたいになっておりまして、これがあるから非常に便利になったということをおっしゃるし、また技術も非常に進歩して、重くない、軽いものもできるし、非常に精巧なものもできたりして、ほとんどの人がこれを用意しておるんです。  これは、先ほど申し上げた障害者福祉法で二級以上の者に無料貸与ということになっておって、今度ようやく三級まで拡大されているようです。しかし、皆さんから見れば、せめて福祉法で手帳をもらっている六級まではファクスを貸与してほしいものだ、一時的にはできないかもしれませんけれども、二級が三級になったわけですから、これを四級、五級に拡大をしていただきたいものだという声が非常に強い、これが一つです。  もう一つは公衆ファクスです。これは出たときに、特に駅、空港で用事を思い出した、家へ連絡をとるときに公衆ファクスがない。公衆ファクスというものをぜひふやしてほしい、こういう要望が非常に多かったのであります。  先ほど落としましたけれども、公衆電話というのはどのぐらいあるかと思って調べてみましたら、私の町にはたった二台しかないんです。十台ほどあったのが、壊されたらそのままになってしまって二台。ところが、隣の町に行きますと、人口は同じですけれども十何台ついておるんですよ。ですから、同じNTTの支店でも非常に多いところと少ないところとばらばらになっておるようですね。これはNTTによく話をしてみなければならぬと思っておりますが、障害者の皆さんは特にめいりょう電話というものを期待しておられるようですから、これはぜひNTTと御協議いただきたいものだと思います。  それから公衆ファクス、これがまた非常に少ない。我々は去年池袋の駅を調査に参りました。御承知のように池袋は四つの線路が入っておりまして、JRに地下鉄に東武に西武、一日に三百万人が利用しておる大きな駅ですね。このターミナルに公衆ファクスがたしかあるというので探したんだけれども見つからぬ。とうとう見つけました。たった一台。それも全然わからないようなところに一台ありました。これでは全く用をなさぬのです。三百万人の人が出入りする池袋に公衆ファクスがたった一台。しかも、その目印も何もないんですよ。これでは全くどうにもならぬ。こういう事実を我々は池袋に調査に行って見ることができました。  今、割合普及しまして、例えばクロネコヤマトは大きなスーパーに自分で機械を置いて商売をやっていますよ、公衆ファクスを。そして、そこから注文を受けるのですよ。よく考えたもので、企業としてはこれはもうけにつながるわけだから、そこへ置いておけばクロネコヤマトに注文するわけですよ、そこで買ったものをどこへ送れと。これは自分の商売のためにやっているのですけれども、難聴の方から見れば非常に便利だ。ところが金額は高い。百七十円かかるというんです。これを使うと百七十円。これは高過ぎる、何とかならぬか。何とかならぬかといっても、あっちも商売だからそうはいきません。ですから、公衆ファクスというものを一カ所でも多くつくって、せめて難聴者が利用できるようにしてもらえないかという要望が非常に強い。このことをぜひ郵政省としても頭の中に入れてこれからの行政に資してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がないために、私たくさんお願いしたかったのですが、次に申し上げたいことは、一つお聞きしたいのですが、平成三年三月六日の当委員会において例の基盤充実法を可決いたしましたときに附帯決議をつけました。あの中に身体障害者のことが入っています。「電気通信基盤充実事業実施に当たっては、家庭や中小企業、心身障害者もそのサービスを十分享受できるよう努めること。」こういう附帯決議がついてあの基盤法が通ったのですが、基盤法と今度の法律とはどういう関係になるのか、これをちょっとお聞かせいただきたい。
  34. 松野春樹

    松野政府委員 さかのぼって見てみますと、ただいま先生指摘のいわゆる基盤法案が成立しましたとき、平成三年三月六日に御指摘のような内容附帯決議がされております。それから、その前の年の平成二年五月でありますが、いわゆる円滑化法と申しておりますが、このときにも、表現は若干異なりますが、やはり心身障害者の立場に立ったシステムの構築に努めるようにという附帯決議をいただいております。  そこで、今回の法案とのかかわりですが、法案自体で申し上げますと、今回の法案は主として身体障害者のための放送通信サービス充実させようとするものでございまして、基盤法で目的としております高度通信施設の整備あるいは専門技術者の能力の向上を促進するということとは直接の関係はないというふうに思います。ただ、本法案の趣旨は、そのときの附帯決議にございますように、心身障害者の方もサービスを十分享受できるように努めることとした決議を踏まえた措置一環であるということは申し上げられると思います。
  35. 武部文

    ○武部(文)委員 その関連がわからなかったものですから、このことだけはきちんとお聞きしておきたかったのであります。  先ほどの中にちょっと落としておきましたけれども障害者の方の要望を二つばかり申し上げておきたいと思います。  その中で、特に毎日の生活の中で携帯用のファクスというものが自分たちには必要なんだ。ところが今の状況じゃやっぱり重いわけですけれども、だんだん進展してきて小さくなって軽くなってくるので、携帯用のファクスというものをぜひひとつ開発し、また我々に支給してもらえぬだろうか、こういう要望があったことをつけ加えておきたいと思いますし、また、電話機やファクスにベルや音ではなくてフラッシュで、ぱっぱっとつくやつですね、そういうものが特に難聴者の皆さんには希望が多いようでありまして、ぜひこれは要望にも、大臣あてに何回か要望書が出ておりますね、この視覚の方あるいは聴覚の方から大会の決議として郵政大臣あてに何回か出ておるようですから、ぜひ検討していただいて、その問題等についても前進をするようなことを考えていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  それから、いずれこれは我々は要望書を提出したいと思っておりますが、二つだけ要望をいたしたいと思います。  一つは、今度は視覚障害者です。御存じのように選挙の投票通知、これがやってきますけれども、目の見えない人はわからぬわけです。で、そのままになってしまう。そこで点字通知書をもらいたい、そして同時に投票もそれに類するようなことをしてもらえぬものだろうか、こういう非常に強い要望が、私どもは何カ所かでこれを要望として受けておるわけであります。基本的な人権の行使は選挙権の行使からだ、こういうことになるだろうと思いますが、ほとんどそれがわからないままに棄権になってしまっておる。そこで、もらった人がこれは何だか見てくれといって来られたので見たら、これは選挙の投票の通知ですよ、こういうようなことが何回かあったようですが、そういうことのないためにもぜひ点字を採用してもらえないか、こういう要望であります。  これはまあ自治省の関係だろうと思いますけれども、前の郵政大臣がはがきの下に切手、これ、裏表がわかるように、上下がわかるように、これは大変評判がよかったんですけれども、まあそれに類するようなことになると思いますが、ぜひひとつ点字の問題というものをお考えいただきたいものだ、こう思います。  目の見えない人の数はこの厚生省の数字にも出ておりますけれども、これ以上の人たちがほとんどこの通知書をそのままにして棄権に回っている可能性が強いということですから、これもぜひひとつ点字の入場券、通知書というものを検討してもらいたいものだ、このように思います。  もう一点は、手話通話であります。政見放送についての手話の通話を、手話をそれに併用してもらいたい、こういう要望があります。この手帳を持った人はさっき言ったように三十五万八千人かもしれませんが、現実に耳の聞こえない人はそういう意味では約五、六百万人おるというんですから、その人たちは政見放送何やられたってわけわからぬと言うんですよ。したがって、我々もその経験者ですから、政見放送は五分三十秒ぐらいですね。したがって、政見放送のあの横の方に手話を入れてもらえれば我々も政見放送を聞くことができる、こういう要望がかねてからございましたが、ぜひそれを御検討いただきたいものだ、このように思うんです。  確かに昔ならば手話というのは特異な職業でございまして、難しいし、なかなか、一斉にやるわけですからあれは、放送が、民放もやりますしNHKもみんなどこも我々行かなきゃいけませんが、どうしても困難ならばNHKだけでもひとつまず始めてみる。それから、今地方には手話の方が割合たくさんおられまして、私どもがやる場合にもいつも手話の人が立っておられるようですね。ですから、昔と違って手話の専門の方がふえたようでございますから、すぐといってもなかなか困難かもしれませんが、ぜひひとつ、この政見放送手話を入れてもらいたいという要望が大変強いことでございますし、これは投票権という大変大事な権利を行使するためにもいいことだと思いますので、これは自治省なりその他とも協議が必要だと思いますが、ぜひ主導権をとってやってもらいたいものだ、このように思うのであります。  これは要望でございまして、私はまだたくさんの要望を用意しておりますが、時間も参りましたので最後に大臣にひとつ特に要望をしておきたいと思うんです。  大臣は厚生大臣も歴任されたわけですから、今申し上げたように、この障害者福祉法の制定なりその内容がどういうものであるかということを御存じだと思うんです。したがって、手帳をもらった人はそういう意味では何がしかの恩恵も受けておるわけですけれども、手帳のない人が非常に多い。その人たちは紙一重のところで全然それを恩恵を受けられないわけですから、そういう点についてぜひ六級まではいろんな意味での枠を拡大をしてもらいたい。  それから、手帳以外の、さっき申し上げた四十デシベルの人たちがもうほとんど困難だ、一メートルくらい離れたらもう聞こえぬわけですから、そういう人たち障害者としてアメリカに準ずるような取り扱いに向かって努力してもらいたい。今の縦割り行政ではなかなかそれが難しい。ネットワークは郵政省、機器は通産省、そしてソフトは厚生省と、こういうことではてんでんばらばらで前進はない、こう思うんです。したがって、縦割りではなくて省間の垣根を越えてこういう問題は解決することが必要だし、それをぜひ、せっかく法律提出された郵政省ですから、これをひとつ先導的な役割をぜひ果たしてもらいたいものだ。そうすれば、今私は全部きょうはしゃべりませんでしたけれども、いろんな難聴者の皆さん、特に視覚障害の方もおられるわけですが、そういう人たち要望が少しでも前進するんじゃないだろうか。私はこの法律というのはそのための第一歩だというふうに理解をしておるわけです。  金もかかるし時間もかかるでしょうけれども、これは難聴の皆さんにとってはもう大変なことで、特に私は難聴の人が言われたことを忘れませんが、こういうことをおっしゃるんですよ。目の見えない人は白いつえを持っておられれば、あああの人は視覚障害者なんだということがわかる。車いすの人はああこれは身体に障害を持っておられる方だということがわかる。しかし難聴の我々はコミュニケーションが通じぬと言うんですね。相手が見られても聞こえるのか聞こえぬのか全くわからぬ。ここにちょっと入れておられればわかりますけれども。今小型のものができまして、ひょっと見たってわからないんですよ。しかもこれには、難聴には度がありますわね、重度とか軽度と。ですから受け答えが全くうまくいかぬと言うんですね。相手の人は、あれは何でおれに愛想も悪い、物を言ったって返事もせぬ、こういう人たちが難聴の中には非常に多いし、それでコンプレックスを感じるとおっしゃるんですよ。  まさに私はそのとおりだ。目に見えないんですよ、聴覚の人は。それに大変な差がある。そういう点をやっぱり我々健常者の者が考慮する必要があるなということをその人から聞きまして私は初めて感じました。よくわかりました。そのとおりだと思うんです。  したがってひとつ、今申し上げたように省庁の垣根を越えて、郵政省がせっかくつくった法律ですからこれを土台にして、せめてあの人たちの希望が一歩でも前進できるような、そういうことを主導権をとってやってもらいたいものだ、私はこれを最後に大臣要望したいと思うんです。いかがですか。
  36. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今までいろいろ幅広くいろいろな障害の方に対しての問題点とか、御要望、御指摘されましたが、一々ごもっともだと思います。今難聴の方の例を挙げられましたけれども日本の場合は統計的にも低いということを考えましても、あるいは御本人が気づかないでそういう面もあるかと思いますが、これは郵政省だけの問題ではありませんけれども、厚生大臣在任中にもノーマライゼーションといいますか、障害を持っている方も完全参加あるいは平等の精神でできるだけ実生活に支障のないような環境をつくっていこうというこの趣旨というものは、これからの時代にますます大切だと私は思っております。各省庁と連携をとりながら、今言われたいろいろな問題点検討して、その精神に向かって環境を整えていく責任があると思っております。
  37. 武部文

    ○武部(文)委員 私の質疑は終わりますが、関連して上田君に譲ります。
  38. 亀井久興

    亀井委員長 上田利正君。
  39. 上田利正

    上田(利)委員 武部委員の関連で質問をさせていただきます。  大臣、きょう理事会におきまして委員長の御理解もいただきまして、実はこの委員会室のあちらの方に難聴者がお二人きょうは傍聴にお見えになっていただいておりますし、そしてその補助者という形の中で手話通訳者がお二人来ていただいて佐田委員質問から傍聴されております。私も国会経験の中で、こういうふうに身障者の皆さんが傍聴に来られて、しかもきょうは一日傍聴されるということでございます。そして手話の方がついてきていらっしゃっていただいておるということで、それだけにやはり郵政省に対する期待というものがあるのじゃないかと思うのです。経験の中でも、本委員会の中でも手話通訳者が入って難聴者の皆さん方が傍聴されたということはそう例がないと思っておりますし、また国会全体の中でも余り例のないことだと思うわけでございます。それだけに身障者の皆さん方が、この法案に対する期待、そしてこれを中心にしてさらにこのような身障者に対するさまざまな対応策を政府や国会に求めているのじゃないかと思うわけでございますけれども、私も、今、後ろの方におられる難聴者の皆さん、それから手話通訳の皆さんに敬意を表する次第でございますが、大臣としてのコメントがございましたら一言最初にお聞きをしたい、こう思います。
  40. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 きょうの委員会の傍聴者の方々、そしてまた手話通訳の入った委員会というものもこういう形でやるのは私も初めてだと思うのです。それだけにこの法案に対する関心が高い、また障害者にとって切実な要求なんだなと感じて、こういう方々にどういう対応ができるか今後とも皆さんと一緒に検討して前進していかなければならない、そう思っております。
  41. 上田利正

    上田(利)委員 そこで、御答弁は結構でございますけれども大臣要望しておきたいのです。  身障者の皆さんあるいは、きょうは難聴者の皆さんでございますけれども、難聴者の皆さん方は、傍聴しようとしても一人で来ただけでは、あるいは十人で来ても手話通訳者がいなければどうにもならないわけでございますから、そういう意味合いの中では、国会全体という中で手話通訳者を可能な限り配置して、そういう人たちが傍聴に来られたら国会手話通訳がそれを通訳する、こういうことも今後許される限りやっていかなければならないのじゃないか。きょうのこの実態の中から、わざわざついてこられるということになると一日自分がボランティアで全部やるわけですから、世間がそれで保てればいいんですけれども手話通訳者の皆さん方もなかなかそれはできないと思うんです。  ですから、そういう意味合いの中で、これを機会に大臣が力量を発揮していただきまして閣議等におきましてもそういうふうな芽が出てくるようなことについてぜひ大臣に期待をしたい、こう思いますので、御要望としてお願いを申し上げておく次第でございます。  それでは関連質問の中に移らさせていただきます。  三点ほどございますけれども、実は、ひょうたんからこまというと怒られるかもしれませんが、佐田委員が申しましたように四カ月ぐらい本委員会法案審査ができなかった、そういう中で私どもは、漫然としておってはいけないということで、亀井委員長を先頭にしまして、四月十五日でございましたけれども、実はこの身障者法案に関連をするということで視察に参りました。まず最初に行きましたのは、社会福祉法人で聴力障害者情報文化センター内にございます字幕制作共同機構というところを委員長以下視察をさせていただき、非常に勉強になりましたし、また、郵政省松野局長あるいは官房長以下も同席させていただきまして、それぞれ私ども委員も、あるいは郵政当局の局長、官房長なども非常に勉強になったと言っておられました。その工程を全部見せていただき説明をいただきましたが、一つの三十分の字幕番組をつくるのに、予算も非常にかかりますけれども、非常な工程を積んでいかなければあの字幕が出てこないというのです。アニメの番組を視察させていただきまして説明を現地で受けたわけでございますが、実はその中から字幕というのは大変だなと感じました。  確認の意味もございますけれども平成五年四月一日現在における字幕制作共同機構でつくっておられます字幕番組NHKと民放別にどのようになっておるのか、またその制作費は月額との程度なのか、私ども説明は聞いてまいりましたが、役所としてどのように把握されておるか、まずこれからお尋ねしたい、こう思うわけです。
  42. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 お尋ねの字幕制作共同機構の問題でございますが、四月現在でございますけれども、ここで制作している字幕番組が、定時番組、一週間のうち必ず定時に放送されている番組だけを拾ってみたわけでございますが、NHKが週九番組、六時間三十二分、民放の番組が週三番組、一時間五十四分となっております。合計で十二番組、八時間二十七分であります。もっとも、このほかに臨時に入ってくるものも若干プラスアルファはございます。今申し上げましたのは定時番組でございます。  さらにまた、お尋ねの四月における月額の制作費用についてでございますが、NHKが支払っておりますのが千百五十万円、民放が約四百四十万円でございまして、合計約千六百万円でございます。
  43. 上田利正

    上田(利)委員 木下局長から御説明を受けましてよくわかりました。私も番組の内容視察の際にいただいて把握してあるわけでございますけれどもNHKに比較しまして民放の方が週三番組ということで非常に少ないわけです。したがってそこを含めて援助をしていこうという法案の趣旨でございますが、予算の関連から申し上げますと、局長、総合計で一カ月千六百万ということでしょう、今度の法案で見ますると、全体的に二千八百万円、いわゆる通信放送機構の衛星放送受信対策基金三十億円の使途拡大という中から、データベース構築のための通信放送機構への補助金ということで、補助金が二千八百万円ということでございます。ですから、二カ月足らずということに実は総体的にはなるわけでございます。  予算規模から見まするとそういうことになるわけでございますけれども、もう少しこれを拡大をするということの考え方はないのでしょうか、どうでしょうか。
  44. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 字幕放送制作のために助成する金額につきましては、十億円の基金の利子相当分ということでございまして、これは五千三百万円予定をいたしております。委員指摘の問題は別の視点かと思っております。
  45. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。私がデータベース関連だけを見ましてそういうふうに言ってしまいまして、局長の御答弁で理解いたしました。ありがとうございました。  それで、次の質問でございますけれども、実は私も承知しておりますけれども、今度の助成金については、解説番組やいわゆる字幕番組放送している放送事業者、今言ったNHK、民放、こういうことでございますけれども、具体的にはNHKには補助は当面できない、一応枠には入っているけれども、まあ空手形みたいなものでございましょうか。  ということで、民放を重点的にということで、そのことはわからないわけではございません。民放はまだ週三番組だけだということでございます。それを補助しながらやはり解説番組なりあるいは字幕番組を多くしていただこう、こういう趣旨でございますからいいんですけれども、しかし、NHKが先駆的な役割をしてきておるのでございますけれどもNHKは御案内のように受信料によって成っているわけでございまして、個々人見ておる人たちのいわゆる拠出した金で字幕番組へ、今言ったように週千六百万円も投資をしているというんですか、かけておるということになるわけでございますから、NHKに対しましてもできるだけ早いうちに対応策を考えなければいけないのではないかと思うんですが、この点ほどうなんでしょうか。
  46. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 この法律は、御指摘のとおりNHK、民放いずれで放送される番組でありましても、法律上、字幕制作あるいは解説番組制作を行う者に対しまして助成を行うことは可能でございます。御指摘のとおりでございます。  しかしながら、最近の、何といいますか、民放の実施状況NHKに比較しますとまだまだ不十分であるというふうに理解しておりますが、民放の場合には、こういった経費が多額の製作費が要するにもかかわらず、市場採算性が乏しいということで、なかなか充実がおくれているというのは事実でございます。そういうことで、もう一つは、全体の予算規模といいますか、財政状況も考慮いたしまして、さしむきは民放において放送される字幕番組解説番組制作を行う者に対して助成をしていきたいというふうに考えているところでございます。何とか当面はこの民放を中心にやらせていただきたいと考えております。
  47. 上田利正

    上田(利)委員 さしむきの件について局長からの答弁、わからないわけじゃございませんけれどもNHKも御案内のように自分のところにお金があるわけじゃございません。いずれ字幕番組を多くしていこうということになりますと、受信料にはね返ってくるということになるわけでございます。それは視聴者の皆さんの御理解をNHKはいただいてということをやらなければならぬと思うのでございます。したがいまして、さしむきについては子といたしますけれども、さしむきをできるだけさしむき短くしていただいて、そしてNHK含めて民放全体が、解説番組それからこのような字幕番組がより多く放映されるように御努力をされるように御要望を申し上げておきたい、こう思います。  そこで、最後の問題でございますけれども、この社会福祉法人、いわゆる字幕制作共同機構へ参りましていろいろと聞いてまいりましたけれども、この字幕制作共同機構そのものに、この法人に対しまして助成金の交付というものもあるのかどうなのか。これも対象になるのかどうなのか。時間がございませんから、字幕放送機構のスタッフや人数やどうやっているかということを全部視察の中でお聞きしてまいりましたけれども、経費がかかるわけでございます。ペイできるかどうかと言ったら、NHKと民放でいただいている金だけではなかなかできないということもございまして、いろいろな努力をしておるということでございまして、この字幕制作共同機構そのものにも助成金は出せるのかどうなのか。出していただけるのかどうか、これをお尋ねしたいと思うんです。
  48. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 法律上の仕組みでまいりますと、字幕番組等の制作を行う者であれば特に限定なく本法の助成の対象となるわけでございます。具体的な助成対象につきましては、財源も限られておりますので、助成事業の効率的な運用を図るという観点から今後検討していくことになろうかと思いますが、法上の建前を申し上げますと、限定なく、字幕番組等の制作を行う者であれば対象になるということでございます。
  49. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。  時間の関係も来てしまいましたから最後に大臣に申し上げたいのでございますけれども、本委員会この法案審査に入る前に、佐田理事の方からそれに先駆けてということで、今までのこの逓信委員会が四カ月も開かれなかったということについて御提起がございました。大臣からも御答弁がございました。いろいろとマスコミ、とりわけ週刊誌などからいろいろなことを言われてきておりましたけれども、私どもは週刊誌が書いたから云々という考え方は毛頭持っておりません。ただ、私自身を含めまして本当に反省をしなければならぬ点は反省していかなければいけない、こう自分自身にも言い聞かせております。この四カ月間でやりとりをいろいろやってまいりました。大臣との間でもやってまいりました。やはりこれを他山の石と受けとめてお互いにやっていかなければいかぬじゃないか、こう私自身も自問自答いたしております。  最近の週刊誌がまた同じようなことを書いておりますけれども、私、コメントする気持ちは毛頭ございません。言いたければ幾ら言ってもいい、こう思っておりますし、別にこれに触れようという考え方もないんですけれども、しかし、私ども大臣を責めたわけでもないし、大臣は、委員会がつぶれようがどうしようが、法案なんか通らなくてもそんなのは構わないと思ったことでもないわけでございますから、やはりお互いに国民に選ばれて、そして国会議員として政治家としてやっていかなければならない、また、小泉郵政大臣郵政大臣としての立場から国民生活に寄与していかなければならぬ、こういう立場であつだろうと思うし、今日もそうだと思うんです。ですから、そういう点は一致しておるわけです。  ただ、言論の府でございますから、さまざまた言論は取り交わしていった、そういう結果が、時間はかかりましたけれども、しかし私は、このことが無意味であったとは思わない。これが今後有効に効力を発していくんじゃないか、こう実は思っておるような次第でございますから、どうか言うべきことは言う、やるべきことはやっていく、こういう視点に立って、私どもこれからも国民の負託にこたえて逓信委員会の中でもやっていく決意でございますから、そんな私の気持ちも披瀝させていただき、いろいろな俳句で申し上げたこともございますし、失礼な言葉も申し上げたこともございます。ただ、人間社会、いろいろあるけれども、感情を持ってはいけない、そういうことをお互いの胸の中に入れながら、これから大臣も頑張っていただく、私どもも頑張る、こういうことで質問を締めくくっておきたいと存じます。大変ありがとうございました。
  50. 亀井久興

    亀井委員長 次に、田中昭一君。
  51. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先ほども御紹介がございましたように、社会党としては、人に優しい情報通信をつくろう、こういうことをスローガンに掲げまして、いろいろと取り組んでまいっておりまして、そういう意味では、問題認識などについてそんなに大きな隔たりがあるわけでございませんから、若干ダブる点などもあると思いますけれども、数点にわたって質問ないしは御意見を申し上げたいと思います。  まず第一点は、今次、この通信放送障害者利肝円滑法案提案に当たっての基本的な考え方について、前段、御意見などを少しお聞きしたいと思っております。  私どもも、この法案の提案がなされたということについては積極的にこれを受けとめまして、賛成の立場でございます。  私たちは、テレビなどの放送あるいは電話とかファクスなど、さまざまな情報通信機器を通じて、今、生活全般にわたるさまざまな情報の中で生活を営んでおる、こう思っております。今申し上げましたように、今日の日本平均生活情報通信ネットワークの上に成り立っていると言っても過言ではない、こういうふうに思います。しかし反面、先ほども御提起がございましたように、ハンディキャップを持った方々はこれらの情報化の利益から隔絶されている、こう言ってもいいんではないかな、こう思っております。  身近な例で申し上げますと、テレビが私たちの日常生活の基本的な情報手段として、もうなくてはならないものになっております。それから、私たちの生活を形成する文化の面でもその一翼を担っておる、こういうふう匡言ってもいいと思いますが、そういう今日ですら、聴覚に障害を持たれる方々のアクセスというのは阻まれている、こういう状態が現実に続いている、こう私は思っております。字幕放送普及などでこの問題の大部分が解決をされるはずだ、こういうふうに私は思いますけれども、後ほど御提起をいたしますけれども字幕放送普及の点でも極めて不十分な状態が実態だ、こう思います。  それから、電話が日常生活の必需品となっても、これを生活の中で使用できない方々に対する対応も、私どもが少し人間らしい配慮をすれば大部分の問題について解決ができるだろう、こう思いますけれども、これも極めて不十分であるというのが実態である、私はこう思っております。  このように、情報通信の機器そしてシステム、ネットワークが鋭くスピーディーに発展する中で取り残されている方々がたくさんおられる、このことを私たちはもっともっと真剣に考えなければいけないんじゃないかな、こう思っております。とりわけ超高齢化社会が進む我が国においては、それがまさしくみずからの問題でもありますし、だれもがハンディキャップを持つことを前提としてそのような社会づくりを急ぐことが今日極めて必要だ、こういうふうに私は思っております。  ですから、先ほど申し上げましたように、日本社会党のシャドーキャビネットなどで、微々たることではございますけれども聴覚障害者のためのファクス電話帳を発行した。普通の方々のところには無料でこんなぶ厚い電話帳が届くわけです。その電話帳を引けばどこにでも電話をかけることができるわけです。それから、電話帳がなくても電話番号を問い合わせることができるわけです。しかし、ファクスで日常的に情報手段として使っている方々については、ファクスで通信しようとしても、ファクス電話帳というのがないんです。こういうふうにいろいろやはり問題点があるわけで、社会党がファクス電話帳を、東京都内しかできませんでしたけれども、なぜつくったのかというのはそういうところにあるわけでありまして、今申し上げましたような立場に立つ場合に、やはり今申し上げましたようなことについてもっともっとお金も使うし気も使う、そういう態度が今日極めて必要ではないかな、こういうふうに思います。  そういう意味では、今回のこの法案の提案については先ほど申し上げましたように積極的に賛成でもありますけれども、これにとどまっておったんでは、これはもう仕方がない、こう思います。  この立場から、私は、まず第一点として、今後この種の問題についてどのような基本方針で郵政省としては対応されようとしているのか。特に、この基本の問題については厚生大臣の経験もおありの大臣に少し見解をお聞きをしたいと思います。
  52. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 情報の時代において今いろいろな事業が行われていますが、特に、情報過疎をなくすとかあるいは格差をなくすというような事業も今盛んに進められております。今回の障害者法におきましても、ますます情報というものが必要になってくるときに、障害を持っている方が情報の過疎の場に置かれてはならないと思うのであります。  障害を持ってない方というのはどちらかというと情報過密の傾向もある中で、そういう障害を持っている方が必要な情報が入らないということではならないということで、今回も障害を持っている方に対してどういう手段があるか、特に通信放送に関しまして、そういう持っている方も必要な情報に触れるような利用環境をできるだけ整備していかなければならないという趣旨に沿っていろいろな施策を講じていきたいという趣旨でありまして、特にその背景には、これから日本社会も豊かになってくる、人に優しい社会といいますか、障害を持っている方のいろいろな事業に参加してくる、これは障害を持ってない方でも非常に大きな刺激を与えると私は思うのであります。お互いが、障害を持っている方も持ってない方も一緒にいろいろな事業に参加し、平等の観念でお互いの社会を形づくっているんだという意識を持ってお互い相助け合いながらやっていく社会を築く上におきましても、今委員が御指摘のような視点も踏まえて、これからも十分に取り組んでいきたい。郵政省としても、単に郵政省だけの問題ではないと思いますけれども、各省庁と連絡をとりまして、そういう障害を持っている方の利用環境を整備していきたい、そう考えております。御協力をお願いしたいと思います。
  53. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。今後の郵政省としての御努力を特にお願い申し上げておきたいと思います。  あと、基本的な問題とか条文にかかわる問題について順序立てて質問するのが妥当だと思いますけれども、きょうは私は午前と午後と二つに分けて質問するようになっておりまして、著作権の問題で文部省の方にも実は来ていただいておりますが、文部省の方がちょっと午後御用がおありだ、こういうことですから、ちょっと順番が飛びますけれども、まず、聴覚障害者用のビデオ制作にかかわる著作権の問題について少しお聞きをしたい、こういうふうに思っております。  これは順序が逆でございまして、字幕放送をまずやります。我が国における字幕放送が、いろいろNHK郵政省努力どもございまして、だんだん拡大はしておりますけれども、後ほど申し上げますように、なかなか思うように進まない、こういう状況の中で、やはりこれだけでは聴覚障害者のいろいろな意見などを取り入れていくということは非常に難しい、こういうことで、ビデオの制作という問題があるわけです。字幕、いわゆる手話入りのビデオの必要性が増加をしている、こういうふうにお聞きをしておるわけです。このビデオライブラリーの貸し出しというのは、一九八九年から始まった障害者社会参加促進事業のビデオライブラリー事業によって、ほとんどの都道府県で実施をされている、こういうふうに聞いております。  そのタイトル数を見てみますと、東京の聴力障害者情報文化センター、これは先ほど質問がありましたように、厚生大臣によって設立認可された社会福祉法人ですけれども、ここで八百五十タイトルしかないわけです。これは、視覚障害者の場合、いわゆる視覚障害者情報提供施設である点字図書館の蔵書、本の数が、例えば私の選挙区でいいますと、熊本県のみでも一万タイトルあるわけです。これと比較してみますと極端に少ないわけですね。今申し上げましたように、けわゆる視覚障害者の場合には、点字図書館でいろいろ翻訳された蔵書が熊本だけでも一万ある。ところが、聴覚障害者のビデオというのは、東京の一番大きいところでも、今申し上げましたように八百五十タイトルくらいしかない、こういうことになっているわけで、極端に少ないというふうに聞いているわけです。  それはなぜかといいますと、いわゆる字幕ビデオの制作に時間がかかる、そう簡単ではない、こういうこともありますけれども、ネックは著作権の問題だ、こういうふうに実は聞いているわけです。これはもう私が言うまでもなく、視覚障害者は著作権法第三十七条第一項で自由に点字図書の制作ができるわけで、その二項で、点字図書館及び関係施設で制作する録音図書は制限を受けない、こういうふうに著作権法で明確になっているわけです。ところが、聴覚障害者用のビデオに関する著作権の例外規定というのは、これがないわけで、すべて著作権者の承諾が必要になっている、こういう実態になっているというふうに聞いているわけです。  これは、身障者福祉法の改正で視覚障害聴覚障害の施設が横並びになったにもかかわらず、著作権法で視覚障害者の方だけしか例外規定を認められていない、こういうことでありまして、これは明らかに矛盾だろうと思います。それは、横並びがそう簡単にできないということについて、理解できる点もないことはないのですけれども、しかし基本的には矛盾だろう、私はこういうふうに思っております。  この問題は、過去国会でも取り上げられまして、文教委員会においていろいろ議論がされて附帯決議が採択をされた、そういうふうに聞いております。その結果、先ほどから申し上げております、東京にある聴力障害者情報文化センターが主宰をする字幕ビデオ共同機構が制作するものについては、この著作権処理が簡単にできることになったそうでありますが、逆にその他の施設が制作するものは一切認められない、こういうふうになったそうであります。  したがって、先ほど申し上げましたように、身障者福祉法に基づく情報提供施設というのは全国にたくさんあるわけでありまして、法制定以前から聴覚障害者用ビデオ制作の実績のあるところも何カ所かあります。熊本の場合にもそういう実績のある施設になっているわけです。これからは各地に情報提供施設がつくられ、どこでもこの字幕、手話入りビデオの制作が行われることになると思うのですけれども、著作権の問題が解決しないと事業自身ができない、こういう問題点がある、そういうことを私は実は聞いておるわけでありまして、強い要請として著作権法の改正は不可能なのかどうなのか、こういう問題提起がございます。  それから、著作権法の改正というのが簡単にできないとするならば、法改正ができるまでの間、各地の施設が制作するものについて、先ほど申し上げましたように、著作権処理がスムーズにできる方法がないのかどうなのか。先ほど申し上げましたような字幕制作機構、ここでやっておりますように著作権の処理が簡単にできないのかどうなのか。この二つについての強い要請がございます。  私はこの内容についてよくわからない点もございますけれども、しかしよくお聞きをいたしますと、聴覚障害者視覚障害者の著作権法上の問題の中で、聴覚障害者方々のビデオ制作などが十分にできない、こういう点についてはやはり考えて問題解決をしなければならないのじゃないか、こういうふうに思っているわけでありまして、この点について、きょうは文部省の方もお呼びをいたしておりますから、著作権法との関係について少し御意見をお聞きをいたしたい、こういうふうに思います。
  54. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂説明員 お答えいたします。  著作権法の問題でございますけれども、著作権法上は、視聴覚障害者情報提供施設、盲学校の学校図書館などの、盲人の福祉の増進目的といたします施設におきましては、「盲人向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。」というふうになっております。  一方、聴覚障害者のための字幕ビデオの作成につきましては、このように無許諾で行うことは認められておりません。  この理由といたしましては、一つは、視覚障害者のための録音テープの場合には、録音というのは原文のまま行う、または翻訳したものをそのまま録音するということを前提としておりまして、一方、聴覚障害者のための字幕入りビデオにつきましては、せりふの要約とか省略というものが必要になります。そういう場合には著作権法上の翻案権というのが働きます。また、著作者の人格権でございます同一性保持権というものも働くわけでございまして、著作者側の了解を一切とらなくていいというような制度改正は非常に難しいのではないかということが考えられます。  二つ目には、字幕入りビデオについては、聴覚障害者という特定の用途を超えて、一般にも利用される可能性があるのではないかというようなこともございます。  それから三つ目に、国際的な状況を見てまいりましても、聴覚障害者のための字幕ビデオ作成を自由としている国は少ない。また、ユネスコとかWIPOの方でそういう視聴覚障害者のための著作権問題というのを検討したことがあるわけですが、昭和五十八年ごろでございますが、ここにおきましても、聴覚障害者のための字幕入りビデオについては翻案権が働き、同一性保持権も働くことから、著作権者の許諾なく作成できるとすることは、国際条約とか多数の国の国内法に適合しないというような報告が出されております。  そういうようなことで、聴覚障害者のための字幕入りビデオの作成につきましては、視覚障害者のための録音とは異なる事情にあるということを御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。  現在は、こういったことから、個々の著作権者からの許諾ということを行っておるのではありませんで、そういった個々の著作権者からの許諾ということに要します時間とか手間を、簡便な手続で権利処理するということで、権利者側の方も権利処理を一本化する、それから聴覚障害者の方も、利用者として窓口を社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに一本化をいたしまして、低廉な使用料で包括的な権利処理というような契約が結ばれておるわけでございます。これが字幕ビデオライブラリー共同機構と呼ばれている事業でございますけれども、これにつきまして、聴覚障害者方々または地方の機関の方々の方から、作成されるビデオの数が少ないとか、番組の選定について要望が受け入れられないというような意見が一部にあるれけでございます。  そういった考え方背景といたしまして、各県市においては、権利者と直接交渉をして字幕ビデオの作成を行えるような、そういうような要望があることは承知いたしております。しかし、これらの点につきましては、権利者側はいわば包括的な許諾を行っておりまして、すべての番組などにつきまして自由に字幕ビデオの作成を認めているということでございまして、これは共同機構の体制の方の問題に起因する問題の部分もあるのではないかというふうに思っております。すなわち、字幕の作成とか挿入には専門的な技術を有するスタッフが必要でございますけれども、そういった人材養成というのは時間を要するということから、すべての地方機関においてビデオを作成することは事実上困難だというような状況があるのではないか。そのために聴覚障害者要望にすべて対応できないという場合が生じているというふうに推測されるわけでございます。  したがいまして、この点につきましては、共同機構の体制の整備とか運営において今後配慮いただきたいというふうに考えておりますけれども、共同機構の方では専門的能力を有しましたせりふの要約者の育成に努めているというふうに聞いております。それによって聴覚障害者がより多くの字幕ビデオを利用できるようになることを期待しておるということでございます。  また、仮に各地方機関におきまして字幕ビデオを作成するということになりますと、そのための施設設備なりスタッフ等の整備が必要でございます。それから、総体としての経費も上昇するということになります。権利者との契約という点に限定いたしましても、包括的な許諾契約をする以上、現在の共同機構との契約の額、これを各県とか市に払ってもらわなければいけないということになるわけでございます。こういった状況だと認識しております。  ただ、著作権者の側におきましても、すべての権利者が包括的な許諾を与えるシステムというふうにはまだ完成いたしておりません。特に映画の著作物の分野において、アニメなんかの場合ですが、個別の権利処理を行わなければならないというような場合もあることも問題になっております。そういった問題につきましては、文化庁としても、引き続き関係権利者に対しまして、権利処理手続の合理化といいますか、そういったことについて指導してまいりたいと思っております。
  55. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 いろいろ聞いていたのですが、なかなか難しい問題だと思うのですが、法改正はなかなか難しいということですね。これはそれなりにわからないこともないわけですね。それで今すぐここで法改正の方向について検討するとかいうことは難しい問題が内在しているということについては、それなりに理解をいたします。  それで、いわゆる聴力障害者情報文化センターが主宰する字幕ビデオ共同機構ですね。共同機構については、先ほど言ったように、文教委員会議論などを通じて、著作権処理が簡易にできるということで、法改正はできないけれども字幕ビデオの制作がかなりスムーズにできる、こういう状況になった、これは大きな前進だと私は思います。  ところが、同じように全国全部、たくさんあるわけじゃありませんけれども、私が聞いておるのは、七カ所か八カ所あるというふうに聞いているのです、そういうところでも、今まで共同機構と同じように地方で一定のスタッフをそろえて字幕ビデオの制作をやっておったところが、逆にできなくなった。こういうことから困った、こういう要請が強く来ているわけですね。ですから、一定の、それなりのレベルに達しているといいますか、どういう水準がなかなか難しい点もあると思いますけれども、一定の水準、レベルに達しておるような、そういう施設については、共同機構がやっておるように、著作権処理がそんなに複雑な手続ではなく、時間もかからないような形でできるという、そういうことについては工夫をする余地があるのではないかな、ここはできるのではないかなというふうに思うのですが、この点についてもう少し御見解をいただきたいと思うのです。
  56. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂説明員 先ほどお話し申し上げましたように、そういった要望があるのは承知いたしております。まあ、共同機構の体制の中で、その辺はどのようにやっていくかというのは検討していただきたいな。実は、権利者の方にとりましては、各地方機関から直接要望といいますか、自分のところで権利処理をしたいということはまだ権利者の方に要望はないわけでございまして、そういった共同機構の内部の、何といいますか、いろいろ、各地方機関というのは共同機構の一支部みたいなものになるわけでございますが、そういうところでやる、または共同機構でまとめてやるというのは共同機構の方で検討してもらったらいかがかなというふうに思っております。文化庁の方からどうこうという話はなかなかしにくい部分だというふうに思っておりますので、共同機構の方で検討していただければというふうに思っております。
  57. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 それでは、今まで地方でつくっておったビデオ制作、これは、共同機構総体としての著作権処理ができるようになっているわけで、したがって、共同機構内部の機構的な形で包括的に、今共同機構がやっておるような簡易なといいますか、著作権処理をやるということは可能だ、これに対しては、文部省といいますか、法的にはいろいろ問題指摘するものは何もない、共同機構の中の問題であって、ですから、共同機構全体が、一定のレベルにあるそういう地方の施設で行うビデオ制作についても包含して一括著作権処理ができるということについては、内部的に工夫すれば可能だ、こういうふうに理解をしていいですか。
  58. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂説明員 熊本県の場合でいいますと、共同機構の支部に入っておりまして、そういう意味では、共同機構の内部の問題としてそういう形で処理していただければ構わないのではないかと文化庁は考えております。
  59. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。きょうはこの程度にいたしておきまして、また改めて、この点についてなかなか実施上問題がある、こういう場合にはまた別途お尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思います。  あと一分ですから、あとは午後にいたします。
  60. 亀井久興

    亀井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  61. 亀井久興

    亀井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  62. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 午前中と主客転倒になるわけですが、次に、字幕放送の問題について若干御意見などを申し上げたいと思います。  今回の法案は、聴覚障害者へ向けての字幕放送視覚障害者へ向けての解説放送などを充実するために提起をされておるわけで、人に優しい放送というテーマからしても、むしろ積極的により拡充をしていただきたい、こういう立場で字幕放送について御意見を若干申し上げたいと思います。  日本聴覚障害者が完全に、生活上欠かすことのできないテレビからも取り残されているのは先ほど私が申し上げたとおりであります。耳の不自由な方がテレビを見るのに字幕放送というのは欠かせないもので、したがって、欧米などでは国からの極めて積極的な対応もあって、多くの番組が楽しめるようになっていると思います。我が国の場合、統計は若干変わっておると思いますが、一週間平均放送時間は、特別のものを除いてNHKが十時間を若干超えておる。関東地方の民放五局を合わせても約二十時間未満。その内容は、アニメであるとか時代劇が中心になっておりまして、地域格差も極めて著しいものがあると思います。  先般のNHK事業計画の議論の際にも私申し上げまして、NHK会長からは、今後は一歩二歩の努力でなくて三歩四歩の努力NHKとしてもしたい、こういう御答弁をいただいたわけで、私は、三歩四歩まで行くなら五歩か六歩ぐらいまで行ってほしい、こういう御要望を申し上げたわけです。  アメリカの場合、週平均放送時間は五局で二百十五時間、最大ネットでは、午後七時から午後十一時までの全番組が字幕つき、しかも、ニュース、バラエティー、それからドラマ、おおむね全番組がこの字幕放送で楽しめる、こういう実態にあります。  時間がありませんから簡単に申し上げましたけれども、十分御存じだと思いますけれども、今回この字幕放送充実ということが法案として出されておるわけですけれども、どの程度の差が詰められていくのか、郵政省としては当面との程度の水準を考え努力をしようとしているのか、この点について、まず第一としてお聞きをいたしたいと思います。
  63. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、アメリカ初め諸外国に比べると、文字放送の我が国の実施状況はまことにまだまだ十分とは言いがたいわけでございますが、今回提出申し上げておりますこの法律実施によりまして、字幕放送の助成につきましては、三十分の字幕放送の増加及び解説放送の三十分の増加ということが、十億円の基金に基づいて五千三百万円の利子に相当する額によって措置されるものと考えておるところでございます。
  64. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私どもが聞くところによりますと、字幕放送の費用は、三十分番組で二十万円以上、週一回のレギュラー番組では年間一千万円以上かかる、こういうふうに聞いているわけです。この費用は放送局負担となっていると聞いておりまして、民放の各局では、事情についてはよくわかるけれども拡大は困難だ、こういう意見が非常に強い、こう聞いているわけです。アメリカの場合は、字幕制作経費の約四割は政府が負担をする、放送局が三割を負担する、残りを基金とか民間からの寄附で行う、こういうふうに聞いているわけでありまして、今回の法案で一定の措置ができると思いますけれども、まだまだ極めて不十分ではないかな、こう思うわけであります。  したがって、今後における費用負担のあり方などについて、今申し上げましたようなアメリカなどの例を考えながらもっと積極的な努力をすることが必要ではないか、また、そのシステムをつくることが必要ではないか、こう思うのですけれども、この点についていかがですか。
  65. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどちょっと言葉足らずでございましたが、三十分番組を民放五局で、一週三十分番組一本という意味で、週合わせますと五本可能だというふうに考えておりますので、補足させていただきます。  それから、ただいまの御質問でございますが、確かに欧米、特にアメリカにおきましては、国からの助成あるいは民間からの寄附金等によりましてかなりこの措置充実したものになっておるわけでございますが、日本の場合には、アメリカと違いまして、社会的な状況も異なりますし、同じようにはまいらないと思いますけれども、私どもも欧米の先進国の実情についても十分調査しながら、何がやれるか、私どももこれからさらに精力的に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  66. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今回提案のこの事業実施するための予算についてですが、衛星放送受信対策基金の使途拡大とデータベース構築のための機構への補助金、こうなっていると思います。受信対策基金は、たしか難聴者対策のためだと私は思っておるわけですが、本来の目的達成に支障は出ないのかどうなのか、この点をお聞きをしたいと思います。  また、この受信対策基金の運用益の利益と若干の補助金の使用ではやはり極めて不足するんじゃないかな、心もとないんじゃないかな、こういうふうに思うんですが、この点について再度お聞きをしたいと思います。  それから三つ目として、今回の法案というのは私は恒久法であると思います。しかし、受信対策基金という暫定基金を財源にしているということについて問題点があるのではないかな、こういうふうに思うんですが、この点についてお聞きをしたいと思います。
  67. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 ただいま三点お尋ねでございますが、一点目と二点目についてまず私からお答え申し上げます。  受信対策基金の使途拡大を行っても本来のこの目的達成に支障はないかということが第一点でございました。  当初、御指摘のとおり、NHKの地上波のテレビ放送の難視聴世帯、当時の状況では十万世帯あるというふうに想定しまして、その中で既に衛星放送受信設備を設置しているものが一万世帯あるということで、九万世帯の難視聴世帯に対して、一世帯当たり衛星放送受信設備を十万円の四分の一を助成して十年間で解消するということで、平成元年に補正予算で三十億円を創設したところでございます。その後、難視聴実態調査を行いました。難視聴世帯が約七万世帯に減少をいたしておりまして、さらに、そのうち、既に衛星放送受信設備を設置している世帯数が一万四千世帯と推定をされまして、それに基づいて計算いたしまして、現在、本基金助成対象世帯数は、当初の九万世帯から五万六千世帯に減少しているということから、本法律案が成立しましても受信対策業務に支障はないというふうに判断いたしているところでございます。  第二点につきまして、この十億円をもとにした基金で助成するのでは少ないではないかというお話でございました。私どももこれが多いとは思っておりません。もっともっと欲しいところでございますが、とにかく、現在の財政状況のもとで、ひとまずこれでスタートさせていただいて弾みをつけたい、こういう思いでいっぱいでございます。
  68. 松野春樹

    松野政府委員 三点目についてお答え申し上げます。  字幕放送解説放送などの身体障害者向け通信放送サービス充実という施策につきましては、郵政省としてこれに常に取り組むべき課題でありまして、暫定法で措置するのは不適当であるとまず判断いたしました。一万御指摘のように、この法律によります施策の財源としまして暫定の基金であります。平成五年から考えますとあと七年間ということになりますが、この衛星放送受信対策基金の運用益の一部を充てることになってございます。  そこでまさに御指摘のとおりでありますが、いずれ将来御指摘の点が出てまいるわけでありますけれども、その時点時点で知恵を出す必要があろうかと存じますが、関係の各方面に理解と協力を求めながら、継続的な財源の確保に今後努めてまいりたいというふうに考えております。
  69. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 積極的な今後の努力をお願いしたいのですが、関連をいたしまして、通信放送機構の性格について簡単にお聞きをいたしたいと思います。  今回提案の法案に基づく通信放送障害者利用円滑化事業という事業については、通信放送機構の業務の特例として行う、こういうことになっていると思います。通信放送機構の業務というのは、同法の二十八条において、第一項から第八項まで業務が決められておると思います。そのうち、御承知のように、第一から第三は衛星の関係になっているわけで、したがって、強いて言うならば最後の項目に該当するのじゃないかな、こう思います。  しかし、御存じのように、特定通信放送開発事業実施円滑化法が提起をされた際も、特例業務の追加、こういうことに実はなったわけで、特例業務の追加というのが余りにも多くなってくるのじゃないかというふうに思いますし、極めて便宜的ではないか。通信放送衛星機構ができた趣旨からしても、特例業務の追加が重なっていくということについて、どうなのかなという疑問を実は持ちます。  したがって、機構本来の性格をこの際再度明確にしていただきたいということと、今回の業務についても、機構の特例とした理由についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。そして、今後もこのようにして次から次に機構の業務の特例がふえていくということになるのかどうなのかなとも含めまして、通信放送機構の性格などについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 松野春樹

    松野政府委員 三点にわたってお尋ねがございました。  最初に、まず今回の業務を機構に行わせることとしたのはなぜかという点について簡単に申し上げますと、一つには、郵政省通信放送行政との整合性ということになりましょうか、機構が郵政省所管の認可法人ということでその業務を行っているということから一つ判断いたします。それからもう一つは、機構自体が、先ほど先生の御指摘にもございましたように、本来の機構法に基づくもの、それから円滑化法や基盤法等による業務を通じまして、通信放送分野の専門的な知識を蓄積しているということも加味して、今回の業務を実施するのに適当な法人であるというふうに判断いたしました。  そこで、特例業務とした点についてはいかがであろうかという点でありますが、今回の業務は、民間事業を資金面で支援する施策でございます。従来から、例えば利子補給のようなケースでありますが、利子補給のように機構が間接的に民間事業を資金面で支援する施策を行うという場合には、機構の特例業務として特例法で措置してきているために、本法案もこれに倣ったものであります。  ところで、この点につきましては昨年までもいろいろこの委員会で御議論ございまして、昨年、研究開発業務につきまして、本法を改正して本来業務としてお認めいただいたという経緯もございますが、この機構に何でもという考え方はもちろん私ども持ち合わせてはおりません。何にしても、通信放送分野の発達に伴いまして今後も新しい行政ニーズが発生してくるものというふうに予測されますので、その施策の性格を慎重に判断しながら今後対処してまいりたいということでひとつ御理解をお願いしたいと思います。
  71. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  横に少し飛びましたけれども先ほど字幕放送に、もとに返りまして若干お聞きをいたしたいと思います。  御存じのように、アメリカでは字幕デコーダー法というのが成立をいたしまして、たしか、ことしから十三インチ以上のテレビには字幕受信装置の内蔵が義務づけられたというふうに聞いているわけです。これで二千万台のテレビ市場が拡大をした、こういうことも聞いておるわけです。この字幕受信装置内蔵のテレビというものめうち、七〇%が日本製のテレビでもある、こういうふうに実はお聞きをいたしておるわけです。  我が国でも六十三年ごろからこの内蔵型テレビの生産販売がございまして、当初はかなりふえたわけですけれども、最近は非常にペースがダウンいたしておりまして、生産が非常に見合わせられておる、こういうふうにも聞いておるわけですが、アメリカでこの字幕デコーダー法に基づいて字幕受信装置の内蔵が義務づけられたということなどについて、先進国である日本としてもやはりこの法制定を求めるべきではないかな、こういう意見が非常に強いわけですが、政府は極めてこの点についてはまだまだ消極的だ、こういうふうに聞いているわけです。この点についての考え方をひとつお聞きをしたいと思います。
  72. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 アメリカでは御指摘のように、デコーダー回路法が一九九〇年に成立いたしまして、一九九三年、本年の七月一日に発効する予定でございます。今の御指摘のとおり、十三インチ以上のテレビジョン放送受信機につきまして、字幕放送を表示するためのデコーダー回路を内蔵しなければならないというふうな規定が主な内容でありまして、そういった規格に従わないテレビジョン放送受信機については、州際交易、製造、組み立て、輸入を行ってはならないという非常に厳しい内容のものでございます。  これにつきまして、私どもも、確かに、義務づけるということは文字放送普及に非常に効果的であろうというふうには思います。しかしながら、日本文字多重放送の場合には、日本語の特性等によりまして、アメリカの方式に比較いたしまして複雑にならざるを得ないというようなところがございまして、現在の技術では、文字多重放送受信機能の内蔵によりましてやはり数万円の価格の上昇が生じるというふうに言われているわけであります。したがって、義務づけをすれば、これをすべての消費者に御負担をいただくというような問題が生じることになるわけでございまして、確かに文字多重放送受信機普及という点からは利点があるわけでございますが、片やそういった問題もございますので、やはり今後長期的な課題として検討してまいる必要があろうかというふうに考えております。
  73. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 経済大国である我が国が、アメリカでできることが日本では長期的に検討しなければできない、こういう答弁では全く私は納得できない点がございます。もう少し技術的な改良なども必要だということについてもそれなりに理解をするわけですけれども、やはり積極的な対応が必要ではないか。その場合に、情報通信分野における指導的な役割を果たす郵政省の責務、任務というのは極めて大きいのじゃないか。こういう立場から、今後さらなるこの問題についての検討と努力を、長期的と言わず短期的、どうしても長くても中期的ぐらいには目的が達成できるように努力をしていただきたいということを一つとして申し上げたいと私は思いますが、いかがですか。
  74. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 法制的な義務づけの問題については今申し上げたとおりでございますが、この文字放送受信機普及の問題につきましては、ただいろいろな要素があると思うわけでございます。この文字放送自体の普及のために、メーカーそれから放送事業者、それぞれ関係する諸団体を含めまして、私ども郵政省が音頭をとりまして、どういうところに問題があるのか、何を解決したらいいのか、早急に検討を始めたいと思っております。
  75. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、これに関連いたしまして、きょうは厚生省の方からも来ていただいておりますから、ひとつ御意見をいただきたいと思うのです。  今申し上げましたテレビは、内蔵型とアダプター型があると思います。これを厚生省の身障者の日常生活用具として給付等の実施要綱の別表に追加をすることができないのかどうなのか。例えば東京都を含めまして一部の地方自治体では、わずかですけれども実施をしているところがありますけれども先ほどから再三申し上げておりますように、テレビというのはまさにもう生活の必需品である、こういう立場に立つ場合、身障者の日常生活用具として給付など実施要綱の別表に追加をする、もうこれぐらいの努力はしていいのではないかな、私はこういう気持ちを実は強く持つわけですけれども、この点についての厚生省の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  76. 松尾武昌

    ○松尾説明員 お答えいたします。  日常生活用具の給付品目の取り入れにつきましては、これまでも関係団体等の御要望をお聞きするとともに、その必要性、緊急性等を総合的に勘案じまして、予算措置により優先度の高いものを選定して毎年取り入れてきております。例えば聴覚言語機能障害者関係では、平成三年にファクス、あるいは平成四年度に携帯用の意志伝達装置、平成五年度は、補装具でございますが、骨導式補聴器等を新たに追加したところでございます。  先生御提言のデコーダー内蔵テレビを日常生活用具に取り入れることにつきましては、関係団体からの要望があることは承知しております。ただ、各障害種別に数多くの要望がございますので、大変厳しい検討が必要ではないかというふうに考えております。  それから、デコーダー、デッキをという問題につきましては、非常に特殊性がございますので、またこれは検討させていただきたいと思っております。
  77. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 厳しいとおっしゃるわけですが、私は、再三言うように、まさにテレビというのは生活必需品だと思います。そういう意味ではもう少し積極的な御検討を、厳しいと言うだけじゃなくて、していただきたい、こういうふうに強く申し上げておきたいと思います。  それから最後の発言ですけれども、アダプターは検討に値するけれども内蔵型はちょっと難しいというニュアンスの御答弁なんですが、これはまさに官僚的発想ではないかなと私は思うんです。ここはやはり乗り越えることが必要じゃないかな、こう思うんです。内蔵型はテレビそのものだからいけないという発想だろうと思うんですけれども、これは中に入っておるか外にあるかの違いであって、ここのところで迷うということは余り常識的ではないんじゃないかな、こう思うんですが、この点もうちょっとお聞きをしたいと思います。
  78. 松尾武昌

    ○松尾説明員 日常生活用具はその器具そのものを給付、貸与するという仕組みになっておりますので、テレビ全体を日常生活用具として給付に取り入れるというのは、その予算の粋なり、あるいはこれから検討するにしましてもいろいろ議論があるだろうというふうに理解をしておるわけでございまして、それはむしろ厳しい状況にある。アダプターでございますと、まさにそのものを必要な方に給付をするということでありますし、聞くところによりますと今は非常に高額でございますが、大量生産になればこれもぐっと下がってくるというふうに聞いておりますので、そういう意味で検討としても非常に我々取り組みやすい、こういうことでありまして、テレビ全体につきましては、ある意味ではもう少し時間をいただきたいという意味でございます。
  79. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先ほど申し上げましたように、もう少し積極的に実現ができるように御努力をいただくように強く申し上げておきたいと思います。  あと時間もございませんが、最後に、先ほど武部委員からなどもいろいろ提起があったと思いますけれども情報通信分野だけをとらえても、このようにハンディのある方々の立場に立っていろいろな施策を講じよう、こういう場合、情報通信分野の中でも郵政省だけではこれは対応ができない。厚生省との関連もある、それから自治体、自治省との関連もある。  例えば、一例ですけれども、公衆ファクスが欲しいという要望が非常にございます。私たちも調査に行きました。例えばあの広い駅構内にどこを探してもファクスというのがない。隅っこの方に一つあるけれども、置き場所もわからない。しかし、電話がかけられない方は、例えば自宅に連絡をするにしてもこういう公衆ファクスが必要だ、こういう意見が出てくるのは当然なんです。その場合には、それは一体どこがやるのか。公衆ファクスというものを設置をして、そこに案内板をつけて、そして聴覚障害者方々が駅に来て連絡をしたい、どこに公衆ファツスがあるかという場合、探す。  こういう問題については、郵政省が一生懸命知恵を働かせてやらなければいけないのか、あるいは厚生省の問題なのか、あるいは自治体の問題なのか、あるいは運輸省の問題なのか、あるいは駅に入っている営団地下鉄とかJRとかそういうところの責任なのか、これはよくわからないわけで、そういう意味では一つ一つ取り上げてみますと、先ほど冒頭申し上げましたように、ファクスの電話帳をつくるという場合に、ファクスがあっても電話帳がないから使われないという場合に、どこがそれじゃ責任を持ってファクス電話帳をつくるかといった場合に、それは郵政省の仕事なのか、NTTなのか、NCCなのか、あるいは地方自治体がつくるべきなのか、これもはっきりしていないというようなことがございまして、私は、今日の縦割り行政の中で、やらなければならないという認識については全部合いますけれども、一つ一つの問題になりますとやはり縄張りがあってなかなか難しい、こういう問題があるとつくづく考えておるわけで、そういう意味では、今後この種の問題については縦割り行政を乗り越えて、横の連携を強めて乗り越えていく、こういうことが必要ではないかと思っております。  アメリカではアメリカ障害者法、ADA法というのができて、こういう問題についても乗り越えておるわけで、私は、日本の場合にも、AD法に倣ってJD法ぐらいのものをつくることが必要ではないか、こういうふうに実は思っておるわけですが、この点について、最後に大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  80. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 確かに、郵政省だけではなくて、障害者という立場を考えると厚生省もあると思います。あるいは今のファクスの点を考えますと、JRとかあるいはNTTの協力を得なければならない。それで、どういう形でやっていくか。各省の連携が必要でありますので、この点は、通信放送分野においては郵政省ですけれども、多面的な面から各省連絡をとってやるような対策が私は重要だと思っておりますので、通信放送分野におきましては郵政省も一生懸命やりますが、その他いろいろ関連する問題につきましてはやはり政府間でいろいろ連携をとりながら、障害を持っている方が通信放送はもちろん情報社会において少しでもいろいろ利用できるよう、環境整備に一生懸命努力をしていきたい、そう思っております。
  81. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間が参りましたので終わりますが、郵政省も頑張っていただきたいと思いますが、横の連携をとるだけではなくて、その連携をとったことについて、どこが総括的に責任を持ってやるかという責任の所在をきちんとすることが必要だ、私はこう思いますから、その点も含めて今後の御努力を強く要請を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  82. 亀井久興

    亀井委員長 次に、石田祝稔君。
  83. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今からお時間をいただきまして身体障害者利便増進に資する法案質問させていただきます。この法案は大体二カ月以上前にやる予定で私も準備をしておりましたが、大分準備はしたのですが、改めて見てみると非常に行き届かない点もあったりで、ちょっと質問内容もまた変わってきたりしておりますので、二カ月前の問題意識と若干ずれた質問になるかと思います。また、問題点等が比較的絞られておりまして前の委員の方とダブるところがあるかもしれませんけれども、そこのところはよろしく御答弁の方をお願いしたいと思います。  まず、基本的な考え方をお伺いしたいのですが、郵政行政として、これからの、例えばこの身体障害者の問題とか、まだまだたくさん残されている問題があると思うのですけれども、そういう問題に対してどういうふうなかかわり方をなさろうとしているのか。これは大きな未来の問題になると思います。  例えば私の選挙区、高知県でありますが、そこにもちょっと離れた島に住民の方もいらっしゃいます。そういうところは、例えばお医者さんがいない。そこで考えられているのは、そこに高度情報通信利用してお医者さんがその場にいるのと同じような形で診断をするようなことも考えられないか、情報通信利用してできないだろうか、こういうふうな案も実は出てきております。  そういう意味で、大臣のお考えとして、福祉政策または医療政策、大きく言えば厚生行政とのドッキングというのでしょうか、そういうものに対して郵政省としてどのように今後かかれっていくお考えがあるのか、どういうふうにしたいと思っていらっしゃるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  84. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この障害者に対する施策というのは、今いろいろなお話を聞いているうちに、どこが主管であって連携をとるかという話もありましたけれども、基本的には厚生省がな、今お話を伺っでそのような気がしております。特に、障害を持っている方も一般市民と同様に生活できるような生活環境をつくっていこうじゃないかというようなノーマライゼーションの観念、これがやはり基本でなくてはいけないと思います。  そういう観点から、郵政省としては、通信放送分野において、特に情報の面において障害者のためにもできるだけ利便を図るような環境をつくりたい、その一環として今度の法案提出して今御審議をいただいているわけですので、基本としてはいわゆるノーマライゼーション、完全参加、平等の形でどうやって障害者が一般市民とできるだけ活動をともにすることができるかという観念から、郵政省としてできる措置考えていきたい。  と同時に、いろいろ午前中からの御審議にもありましたように、また御意見にもありましたように、これは郵政省だけではできません。また厚生省だけでもできない。基本的に厚生省が主導する場合においても、各省が意見を持ち合って、縦割り行政の弊害を是正しつつ連携しながら、一歩でも二歩でも前進していくような施策を講ずることができれば、そういうふうに考えております。
  85. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続いてお聞きをしますが、この法案の名称について私は若干疑問がございまして、「身体障害者」というふうになっておりますけれども障害を持っていらっしやる方はたくさんいらっしゃるわけです。これは身体障害者という形でまとめますと、障害を持っていらっしゃる方でそれ以外の方が非常にその網の目からこぼれる可能性があるわけですね。ですから、私は、なぜ「身体障害者」ということにしているのだろうか。  過去の郵政省法案附帯決議等を見ましても、午前中にも通信政策局長の御答弁がありましたが、電気通信基盤充実臨時措置法の附帯決議も、この場合は「心身障害者」というふうになっているんですね。心の障害の方も入っております。ですから、そういう形で附帯決議がなされておって、なぜ今回、身体というふうに具体的になってしまったのかな、そういう、ヘルプするというんでしょうか、利便に資する範囲を狭めてしまったのかな、これが私の疑問点なんですが、これはどういう経緯なんでしょうか。
  86. 松野春樹

    松野政府委員 今回の施策は、これも朝方来いろいろ御説明申し上げておりますように、視聴覚障害者などの身体上の障害のために放送通信サービスを十分に利用できない人々につきましてその利用を円滑化しようとする趣旨であり、また、その趣旨を明らかにするために法案の名称に身体障害者という用語を用いたという経緯になっております。  御指摘のように、平成五年度の予算編成過程におきまして、当初身体障害者や高齢者などというふうを言い方をしてまいりました。これは実は高齢者を対象から外すという趣旨ではございませんで、確かに今日的な状況を見ますと、厚生省さんで調べられたデータを見ましても、六十五歳以上の五割以上の方が何らかの身体障害をお持ちになっている。特に視覚障害聴覚障害に至りますと、六〇%近い方が高齢者即身体障害者という重複した現象が今進行しているふうなことも勉強しております。したがって、身体障害者という対象にすることによって、実は高齢者の中で視覚障害聴覚障害をお持ちの方々も当然施策の対象としては含んでおるという認識で私ども対応してまいったわけであります。  それから、心身障害者の場合ですが、これも実は法律をつくる際の一つの制度的な、技術的な側面もあるのですが、極力法律目的法律の題名に具体的に書くということを心がけてきておるわけです。今回の施策はいわゆる精神に障害のある方々を直接は文字放送それから解説放送では対象とせずに、むしろそちらの方の対策というのはわかりやすい放送番組をつくるという趣旨からの対策の方にゆだねるべきものである。それはそれとして大変大事な問題で今後努力しなければいけませんけれども、そんなことで今回の法律のタイトルには「身体障害者」というふうになった経緯がございます。  説明が行き届かぬ点もあると思いますが、ひとつ御理解をお願いします。
  87. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 高齢者のこともお聞きしようと思ったのですが、局長の御答弁だと身体障害という中に高齢に伴う体の障害も入っているんだ、こういうことですから、私はそれはそれで結構だと思うんですが、そうすると、体の方の障害のある人と心の方の障害のある人、これは明確に分かれておりまして、両方合わせて心身障害という形で呼ばれているわけですけれども、そういう心と体両方の問題もこれからやっていきますよというのが、たしか平成三年のときの附帯決議の趣旨であろうと私は思うんです。そのうちの一つの体の方の障害の人は今回の法案で一歩前進をさせよう、これはよくわかりました。  そうすると、今回この法案で漏れているというふうに私は感じますけれども、そういう精神に障害のある方、心の障害の方は今後また新しい施策をお考えになって、さっきおっしゃったような例えばわかりやすい放送、そういう形で進めていかれるのかどうか、これは今後の問題でありますが、そういうお考えがあって今後やられるのかどうか、それだけお聞きをしておきます。
  88. 松野春樹

    松野政府委員 御指摘のように、いわゆる心身障害者情報通信のかかわりということになりますと、私どもの今回の法律案身体障害者を対象にしているということで一歩前進ということになろうかと思います。それで、通信放送利用される方々というのはさらに範囲が広うございますので、今御指摘のような点も十分踏まえて今後行政を進めてまいるべきものというふうに思います。私、先ほど例として、例えば放送番組内容を大変わかりやすくやることが実は精神に障害を持っている方々にとっても大事なことであると申し上げましたのは、そのこと自体も大変大事な私ども行政の役割であろうということを念頭に置いて申し上げたつもりであります。一生懸命努力してまいる分野であろうと思います。
  89. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、今後の課題ということでぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、この法案が成立をしますとどのくらいの人が恩恵を受けるか、これは計算をしていただいていると思うんですけれども、具体的に数字が明確でありましたらお答えいただきたいと思います。
  90. 松野春樹

    松野政府委員 お答えの仕方が若干難しいお尋ねであろうかと思いますが、平成三年の十一月の厚生省におきます調査によりますと、字幕放送利用する可能性のある聴覚言語障害者が三十五万八千人でございます。それから、解説放送利用する可能性のあります視覚障害のある方が三十五万三千人というデータがございます。それらの方々が今回の施策で恩恵を受ける可能性があるというふうに理解するわけであります。  また、先ほどお話が出ましたが、一般的に高齢者の方々にとっても十分利用できるものであろうと思います。ただ、機器を保有する必要があるという面もあるわけでありまして、厳密な意味での正確な数字ということになりますと、どのくらいの人が恩恵を受けるかということにつきましては大変お答えが難しいのでございますが、今申し上げましたような数字でひとつ御理解をお願いしたいと思います。
  91. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは、厚生省の数字の三十五万三千人、または聴覚言語障害の三十五万八千人、これらの方が恩恵を受ける可能性がある、こういうことであろうと思います。  先ほどからも質問が出ておりましたが、身体障害者用の電話ボックスですね。私もあっちこっち回りますけれども、余り数がないように思います。例えば数が少ない上に健常者が使っておったり、いろいろな意味でなかなか使いにくいんじゃないかな、こういうふうに思いますが、この身体障害者用の電話ボックスの現状と今後の設置の見通しですか、これは具体的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お願いします。
  92. 白井太

    ○白井政府委員 お答え申し上げます。  車いすに乗られた方が車いすに乗ったまま公衆電話が利用できるというような電話ボックスの設置をNTTにおきましては昭和四十九年以降進めてきておりまして、昨年度末で二千五百台というところまでまいりました。この電話ボックスというのは、車いすに乗った方が使われるということを頭に入れておるものですから、扉が非常にあけやすいとか、あるいは電話機が比較的手の届きやすい低い位置にありますとか、あるいは床面積を広くとってありますとかいうようなボックスでありますけれども先生お話のように御要望もかなりあるようでございまして、NTTとしては本年度さらに百台の増設をするという計画を持っていると聞いております。
  93. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は、これはやはりまだまだ数が少ないと思いますので、今年度百台というのは、まあ今年度の予算ということもあろうと思いますが、もう少しふやしていただくように、これはもうぜひ御指導いただきたいと思います。  それから、続きまして、字幕放送解説放送についてお伺いをしたいのですが、三月に質問をする予定で資料をちょうだいしましたその資料と、若干延びましたので新たに四月現在の資料をいただきますと、解説放送等は若干ふえておりますけれども、この中で、一週当たりの時間数、解説、字幕、それぞれ今何時間になっているでしょうか。
  94. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 放送時間数は地域によって異なりますけれども、ちなみに関東地区におきましてNHK及び民間テレビジョン放送事業者全体の一週当たりの放送時間は十五時間五十分でございます。字幕放送でございます。解説放送実施しているのは、NHK及び民間テレビジョン放送、三十社でありますが、同様に関東地区におけるNHK民間テレビジョン放送一週当たりの放送時間を見ますと、九時間十九分になっております。
  95. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この資料は五月の数字だと思いますが、私が去年の段階でということでいただいたのよりも大分ふえております。私はこれは非常に結構なことではないかと思いますが、先ほどからも同僚の議員も御質問をされておりましたけれども、まだまだ諸外国と比べてどうかな、これは素朴に率直に感じる点でありますけれども、御質問ダブるかもしれませんが、例えばアメリカなどはどのくらいの数字、一週間に字幕放送解説放送行われているのでしょうか。
  96. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 アメリカは字幕放送は大変よく実施されておりますが、三大ネットワーク、公共放送局、ローカルテレビ局、それからケーブルテレビ局等におきまして一週間当たり延べ五百時間以上実施されております。三大ネットワークのプライムタイムの定時番組はすべて字幕がつけられている、字幕が大変よく行われておる。また、解説放送につきましては、公共放送局によりまして一週間当たり約十四時間実施されていると伺っております。
  97. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は、アメリカは五百時間、こういうことで大分時間数も差があると思いますので、局長おっしゃったようにアメリカはプライムタイムほとんど入っている、こういうことでありますから、これはぜひとも時間数がふえるように御努力をお願いしたいと思います。  私はその後、手話放送についてお伺いをしたいのです。  実は手話放送の時間数も資料をちょうだいいたしましたが、手話通訳つき番組の放送時間は、昨年の十二月段階で関東地区では二十三番紹十三時間二十五分、こういう資料でありましたが、今回改めていただきますと、二十番組、十二時間五十分、こういうことで、番組数が三、時間数で三十五分減っております。こういうことで、これは若干郵政省の意気込みとは逆な方向にこの手話放送に関しては向かっているのじゃないかという気がいたしますが、この事実関係はこれは間違ってないでしょうか。
  98. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 現在手話放送実施している放送事業者は、平成四年八月現在で見たところでございますが、NHK民間テレビジョン放送事業者、九十四社が定時番組を実施しているところでございますが、このうち関東地区につきまして手話放送実施している放送事業者は、NHK民間テレビジョン放送事業者八社でありまして、その放送時間はただいまお話しのとおり、一週間当たり全体で十二時間五十分というふうに伺っております。  前と減っているではないかというお話でございますが、具体的にどういう番組がどうかということについてさらに調べてみないとわかりませんが、現在数字としては十二時間五十分となっております。
  99. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私のいただいた資料には番組名全部載っているんです。私も精査をせずに、どの番組というふうにチェックしておりませんけれども、いただいた資料の中でも明確に三番組減っているということでありますので、これはせっかくこういう形で法案審議しているわけですから、ぜひこれは、放送事業者の自主性ということはもちろん一番大事なことでありますけれども、これは協力を依頼していただく以外にないと思うんですね。また今回、こういう形で補助金とかいろいろな利便に資することをやろうとしているわけですから、ぜひこれはふやす方向で御努力をいただきたいのですが、これはいかがですか。
  100. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 私ども手話番組がふえていくことを期待しておるわけでございまして、放送事業者に対して機会あるごとに指導してまいりたいと思っております。
  101. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これからは手話について若干お伺いをしたいと思っているんですが、先ほども、午前中各委員からもお話ありましたが、NHKにも私視察に行かせていただいて、手話でやっているのを実際見せていただいたりいたしまして、大変だな。きょうも午前中からずっと手話で傍聴をされている方もいらっしゃいますし、いろいろな意味で、これからそういう方たちの利便を図るためにもぜひお願いをしたいと思います。  それで、手話通訳のことも、厚生省、きょう来ていただいておりますので、お伺いをしたいんですが、この手話通訳は今試験を行っておりますが、手話通訳で試験に合格された方、何名ぐらいで、全国的にどういうふうな分布になっているか、ちょっと教えていただけますか。
  102. 松尾武昌

    ○松尾説明員 お答えいたします。  平成元年度から、手話通訳でも高い技能を有するということで手話通訳の公認試験を実施しておりまして、四回ほど実施しておりますが、現在五百十三人がこの公認試験に合格しております。全国的にはばらついておりますが、全くいない県というのは一県だけでございまして、まあ平均的に分布しておりますが、特に東京都は多いという状況にございます。
  103. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そういう形で四回試験をして、手話通訳の試験で今五百十三名合格された方がいるわけですが、これで、きょう自治省にも来ていただいておりますので、私は政見放送についてお伺いをしたいと思います。  いろいろな方がお話も聞かれておりましたけれども、自治省に政見放送という観点でお伺いをしますが、まず、選挙の際の政見放送において障害がある人々のために何か利便を図っているかどうか、まずそのことを教えていただけますか。
  104. 中野正志

    ○中野説明員 お答えします。  選挙における政見放送について、身体障害者への利便を図るためどのような施策を行っておるかというふうな御質問でございますが、まず、聴覚障害、いわゆる聴覚と言語に障害のある方が立候補された場合でございますけれども、そのときには、政見放送の録音、録画に際しまして便宜を図るために、あらかじめ候補者から提出された原稿につきまして、その放送事業者が録音したものを候補者が使用する方法により、その政見を伝えることができるようにしたところでございます。
  105. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ということは、具体的にはやっておられることは、そういう不自由な方が立候補するに際して、その預かった原稿を代読する、こういう形のみということであります。これは立候補するという被選挙権の行使、この観点からやられていると思うんですが、じゃ、選挙権の行使という観点から、例えば耳の不自由な方は何をしゃべっているか結局わからないわけですね。そういう観点で、非常に大事な選挙権の行使ということに際して手話放送、こういうものができないだろうか、こういうふうな気が私はするんですが、これはいかがでしょうか。自治省の課長さん、これはできますか。
  106. 中野正志

    ○中野説明員 お答えいたします。  政見放送手話通訳を導入できないかというふうな御質問でございますが、手話通訳の導入につきましては、昭和六十一年から学識経験者から成ります政見放送研究会を設けまして、その調査研究を進めておるところでございまして、現在まで十回の研究会を開催いたしまして、政見放送手話通訳を導入するとした場合に解決しなければならない課題について具体的に検討を進めていただいておるところでございまして、現在その結論を待って対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  107. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは政見放送研究会における検討を待ってということでありますが、六十一年から七年間もかけてずっと検討していただいているわけでありますけれども、その政見放送研究会の結論を待たなければならない。この問題は非常に大事な問題でありますので、ぜひともこれは前向きに検討していただきたいと思うんですが、問題になっているというのは具体的にどういう点が結局ひっかかるわけでしょうか。  我々考えたら、手話通訳の試験を厚生省がして、厚生省が認めたような形での能力のある人が全国で五百人いる。そういう中で、例えば選挙は一時期にどっと重なりますので非常に大変かとも思うんですが、そういう方々に御苦労いただいて、これはレベルがある一定に達しているから試験に合格するわけでして、そういう方々にお願いして手話通訳で、どういう政見を持っているのか、どういう考え方を持っているのか、そのことを広く知らしめて、そういう不自由な方に選挙権を立派に行使をしていただく、これは非常に大事なことだと私は思うんですが、これは手話通訳との関係でできないものなんでしょうかね。そういう試験に合格している人が五百人ぐらいいるわけですから。  その点、厚生省の方の問題もあるかもしれません。人数がちょっと少ないということもあるかもしれませんし、その点、厚生省、自治省、いかがでしょう。
  108. 中野正志

    ○中野説明員 お答えいたします。  先ほど厚生省からもお話がございましたように、現在試験に合格されておられる方が五百何名いらっしゃる。ただ、その中身を見ますと、各県ごとに非常にばらつきもありますし、また、一人もいらっしゃらない県もあるというようなこともお聞きしたところでございます。  政見放送手話通訳を導入するかどうかという問題には種々あるわけでございまして、一つが、元ほどからお話がございましたように手話通訳士の確保の問題、これが一つあるわけでございます。  そのほかに、手話通訳自体から生じる問題というものもございます。例えば、公職選挙法の百五十条一項には、政見は、その候補者の政見をそのまま放送しなければならないというふうなことになっておりまして、手話通訳そのものが政見に当たるかどうかというような問題もあるわけでございます。  そのほかに、手話通訳士自体に関する問題ということもございます。例えば、手話通訳士の属性、性別とか年齢、容姿、あるいは著名度とか、あるいは技術力とか、いろいろ候補者間に不公平を生じないかどうかというようなことも検討しなければいけないということもございます。  それから、手話通訳の確保の問題と同時に、画面処理の問題、いわゆる技術上の問題でございますね。  こういう問題もいろいろございますものですから、それらをあわせて、政見放送手話通訳を導入することについての諸問題につきまして、現在政見放送研究会で検討をしていただいておる。その結論を待って対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  109. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 厚生省の方は。
  110. 松尾武昌

    ○松尾説明員 手話通訳士につきましては、選挙以外でもあらゆる場面で手話通訳の不足がございますので、我々といたしましては、三つの方法によりまして養成を緊急に行っているところでございます。  一つは、都道府県、指定都市で行います養成事業、それからもう一つは、全日本聾唖連盟に対しまして、その養成事業を行う指導者の養成をお願いをしております。それからもう一つは、国立身体障害者リハビリテーションセンターに上級課程やら中級課程等の手話通訳の養成課程を設けております。こういうことで手話通訳の養成確保に努めているところでございまして、先ほど申し上げました五百十三名は、まさに最高の技術を持ちます手話通訳士の資格を取った者が五百十三名というわけでございまして、むしろこういう最高の技術を持つように、大いに養成、研修を行っていきたいと考えております。
  111. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは、手話通訳士の合格者というんでしょうか、そういう資格を持つ人の拡大とともに、聴覚障害の方の参政権の一環として、ぜひこれを私は前向きに取り組んでいただきたいと思います。ですから、そういうものに対してもこの法案が援助になるようにぜひ考えていただきたい、私はこういうふうに思います。  それでは、この法案、特に反対する理由もございませんし、私は非常に結構な法案だと思いますが、逐条的に、わからないところがございますので、ぜひこれはお聞かせをいただきたいと思うんです。  特に、第三条の基本方針、ここのところで、郵政大臣がその他の行政機関の長に協議しなくてはならない、そういうことが書いてあるわけですけれども、この行政機関の長はどういうものを、どういう方々を言っているのか。また、私、素直に考えますと、なぜ相談をしなくてはならないんだろうか、こういう疑問点があるんですが、これは大臣が相談しなくてはいけないということですから、大臣の方から御答弁をいただければいいと思います。
  112. 松野春樹

    松野政府委員 少し事務的に説明を要する点がありますので、私からお答えさせていただきます。  第三条の基本方針を定めたり変更する場合の協議の条項でありますけれども、結論的に、「その他の関係行政機関の長」と第三条にあります内容は、大蔵大臣を予定いたしております。  この考え方でございますが、基本方針の策定に当たりまして、事業推進に密接に関連する施策を所掌する省庁との間での協議を行い、より効果的な施策推進を図ることが適当である、これが基本でありまして、厚生大臣と通産大臣は名前を挙げてそこに列記してあります。ただ、大蔵大臣の場合には、通信放送機構の金融関連業務を監督するという観点から、利子補給業務という点につきましての部分的な共菅大臣という扱いになっております。大蔵大臣と協議を行う必要があるのですが、そこら辺に思いをいたしまして、あえて名前を挙げないで「その他の関係行政機関の長」の中に含めるということで対応したわけであります。  それから、協議をしなければならない理由ですが、厚生大臣につきましては、これは、厚生省の所掌いたしております身体障害者の福祉の増進等が我々の事業内容と密接に関連するため、調整が必要になるという観点がございます。それから通産大臣でありますが、この通産省の所掌にかかわります電気通信機械器具の生産、流通の面でございますが、これらが今回の法案で予定しております事業内容と密接に関連するため、やはり調整が必要になるという観点から協議が必要であるというふうに規定しているものでございます。
  113. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして、この法律で、この法律目的達成のため、通信放送機構に業務を行わせるということになっております。これは、私も読んだときに、なぜこの通信放送機構にやらせなくちゃならないのか、ほかに適当なのはなかったかというのが率直な疑問点なんですね。  こう見ていきますと、通信放送機構というのはたくさん事業をやっていて、また新たに追加をすると、当初の目的からどんどん外れていっているんじゃないかな。また極端に言えば、どんな仕事も通信放送郵政省ですから通信放送ということになるわけですけれども、そういう形でどんどん仕事の受け皿として、何でもそこにやらせればいいんじゃないか、ですから、通信放送機構自体が非常に変質してくるのではないかという危惧も持ちますけれども、なぜこの通信放送機構にこの業務を行わせるようになったのか。  この通信放送機構でなくてはならない理由は何かあるのか。これは素朴な疑問でございますけれども、これはいかがでしょうか。
  114. 松野春樹

    松野政府委員 今回の法案で予定しております具体的な支援施策といたしまして、助成金の交付でありますとか利子の補給等を予定しておりますが、これらの業務をなぜ通信放送機構に行わせることとしたのかということでありますが、一つは、公的支援を行うために、私ども郵政省本体の通信放送行政との整合性というふうなものを図ることが必要になる。そこで郵政省所管の認可法人にその業務を行わせることが適当である。ここで少しコメントが必要ですが、郵政省は、物心ついたときには実はこの機構しかこの種の情報通信関係の公的な特殊法人というのはございません。したがって、どうしてもこの機構を活用してきたという過去の歴史がございます。これは蛇足でございますが挙げておきます。  それからもう一つの理由は、本来の機構法、これは本来業務でございまして、昨年、お力添えによりまして法律を改正して、研究開発業務も衛星管制業務等に並べて本来業務として規定していただきました。大分すっきりしたと思っております。それ以外に、特例法でいわゆる円滑化法でありますとかいわゆる基盤法等による業務を通じまして、この機構そのものが通信放送分野の専門的な知識を蓄積しているという事情がありまして、そこで今回の業務を実施するのに最も適当な法人ではないかというふうに判断したわけであります。  御指摘のように、いろいろなことをすべて何でもかでも受け皿として機構という考えはこれはとらないところでありますけれども、これからは、通信放送のこの種の支援のあり方、政策支援のあり方というものが時代の発展といいますか、今後の要請に合わせまして、ますます。あるいはニーズが出てくるかもしれませんので、私どもとしても、その辺のところは省内においても慎重に判断をしながら今後対処してまいりたい、適切に判断してまいりたいというふうに存じます。
  115. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 若干この通信放送機構についてお伺いをしたいのですが、説明に来ていただいたときにも、この法案のスキーム図ということでちょうだいをいたしまして、ここでわからない点が幾つかございました。  まず、データベースをつくる、こういうことで一般会計補助金から二千八百万円を入れるということになっております。これは、まず第一番目に疑問点は、当初データベースにかかわる補助金四千三百万円を予算要求していたと思うんですね。それが査定で削られたのか二千八百万円、千五百万円ダウンしたわけであります。これは具体的に、四千三百万円で計画しておったものを二千八百万円で支障がないのかどうか。データベースですから、例えば外注するなりなんなりしてサービスのノウハウ等そういうものを提供するということだと思うんですが、これは千五百万減っても大丈夫なんですか。
  116. 松野春樹

    松野政府委員 御指摘のように今回のデータベースの構築につきましては、その構築のための補助金を当初四千三百万円を要求しておりました。最終的には二千八百二万二千円ということに相なったわけであります。これの舞台裏の御説明になってしまいますけれども、当初要求の額のほぼ三分の二程度の額に圧縮されたわけでありますが、判断いたしましたのは、現下の厳しい財政事情の折でもありますし、また積算の中身の中で必要なコンピューター類の機器の見積もりの見直しでありますとか人件費部分で効率化を図ることによりまして、当初の目的に沿ったデータベースは構築できるものというふうに判断した次第であります。  このデータベースで何をやるかということであります。これもごく簡単に申し上げますと、この中の情報内容といたしましては、障害者通信放送のニーズに関する情報でありますとか障害者向けの通信放送実施状況、必要な技術やノウハウに関する情報、それから諸外国の状況、これらのものをデータベースにおさめまして、今後この種の対策に取り組む際の御参考に供したいというねらいでございます。
  117. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 データベースでもう一件お聞きをします。  先ほど言いましたように、これは当初四千三百万で予定をしておって、それと同額の民間からの寄附金をたしか予定をしておったというふうに私承知をしておりますが、今回二千八百万になったということで、民間からの寄附金も同額を予定しているというふうに聞きます。そうすると、当初四千三百万ですから八千六百万から五千六百万、こういうことになるわけですね。この民間からの寄附というのは具体的に、我々から見たら当てがあるかないかわかりませんけれども、そういうものを見込んで計画を立てる、そうすると事業をやるためにはどうしても無理に寄附をお願いしなければならない、こういう形になってくるのではないか。  これは、身体障害者利便に資するということで、ある意味でいえば出さざるを得ない、なかなか反対しにくい、こういうことだろうと思うんですが、そこの民間の寄附の部分を同額を当てにして計画を立てている、ここのところで、集まりぐあいと言ったらおかしいんですけれども、具体的にそういうめどがあるのかどうか。なければ計画自体が非常に厳しくなるし、計画を実行しようとすれば非常に厳しい、ある意味でいえば寄附の割り当てみたいな形になるのではないか。  こういうことも感じられるんですけれども、ここのところはどういうふうに予定されているんですか。
  118. 松野春樹

    松野政府委員 今回このデータベースにかかわる補助金というのが、今回の法案がいわゆる予算関連になっておる理由なのでありますけれども、この補助のスキームが、これは一般的な例でありますが、二分の一ということでありますから、御指摘のように事業規模といたしましてはこの二千八百二万の二倍ということになります。したがって、残りの寄附を予定している部分につきましては、これはやはりきちんと計画どおりいくことが望ましいわけでありますが、一面で先生おっしゃるように、現下の経済情勢その他考えまして、やる施策につきましてはいい施策であるということで御異論はないだろうと思いますけれども、そこに無理があってはいけないという点は、重々頭に十分置きまして対処したいと私は思います。  また、この法案が成立しました後この種の関係民間とのいろいろな御相談は進めるつもりでありまして、今具体的に見通しがどうかということはまだ申し上げる段階に至っておりませんけれども、私自身の、責任者は私でありますが、私自身の考えでは何とかいけそうではないかという判断だけは持っております。トラブルが極力ないように努力してまいりたいと思います。
  119. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはこれからの問題になると思うんですけれども、私の感じとしましては、これだけの、法案としては、考え方としては非常に結構な今回の法案でありますから、そういう寄附をとにかく同額くらい当てにして計画を立てて御無理をお願いしなければならない、これはもうちょっと考えていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。これはある意味でいえば、その同じ額を集めてこなければ当初の目的を達成できないということにもなると思うんです。それは四千三百万から削られているわけですから、最初の目標よりさらに厳しく査定をされているわけですから、さらにそこからまたへっこむようになると本当に当初の目的どおりできるかどうか非常に危倶をされるわけですので、そこのところは、寄附をいただく方にも絶対御無理を押しつけてはいけないと思いますし、こういう計画の立て方自体これは今後考えていただくべきことじゃないかな、これだけお願いをしておきます。  それから、受信対策基金と信用基金というところから運用益が行くようになっておりますが、この受信対策基金は当初三十億円分のうちの十億円、これを使途を拡大するということでこの基金をつくるというふうに聞いておりますが、そういう理解でいいんでしょうか。
  120. 松野春樹

    松野政府委員 受信対策基金が三十億円ございます。実際には、その後の経理の状況で三十億円と端数が少しついているわけでありますけれども、その運用益の三分の一を文字放送解説放送等の拡充に充てるという仕組みになってございます。
  121. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ということは、やはり十億円分ということですか。
  122. 松野春樹

    松野政府委員 基金的に言いますと十億円部分ということになりますが、法律上はその運用益の三分の一という表現になっております。結果的には同じことであろうと思います。
  123. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それではもう一件お伺いしますが、信用基金です。信用基金というところもありますが、この信用基金は幾らぐらいを基金としては予定をされているのですか。
  124. 松野春樹

    松野政府委員 これは現在、通信放送機構に既に円滑化法等に基づきます基金がございます。ここからちょっと御説明したいと思います。  現在機構が抱えております基金のうち今回の事業対象としての、まあ基金として活用できるのが、民間企業からの出資、出捐分としての約三十・五億ということになろうかと思います。ただ、これは既に円滑化法等の実は使う当てがある基金でございますので、これに加えまして何がしかの、これまた先ほど先生の御指摘もございますが、民間からの新たな寄金というものが必要になってくるというふうなことであります。いろいろ現在の機構の経理状況その他を調整いたしまして、私どものこれは期待額ということでお許しをいただきたいと思いますが、年間二億円相当程度の基金が、結局基金の運用益が実は大事でありますが、基金としては二億円分ぐらいこちらの方に活用等できないかなというのが当面の私の期待額でありますが、今後これは少し調整しないと断定的なことはまだ申し上げられません。  以上でございます。
  125. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうすると局長の答弁をまとめますと、受信対策基金からの三十億円の運用利子のうちの三分の一、いわゆる十億円相当分の受信対策基金から基金をつくる、そして信用基金からは約二億円程度の基金をつくる、それの両方合わせた果実と、それから一般会計の補助金からの二千八百万、それと寄附を同額二千八百万お願いして五千六百万ですね。そうすると五千六百万円とそれから受信対策基金からの運用の果実と信用基金からの運用の果実、これで今回の事業を行う、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  126. 松野春樹

    松野政府委員 データベースにつきましては一過性でございまして、今回の措置で完結いたします。それで立派なデータベースを構築しようと思っております。他の内容につきましては、先生が御指摘のとおり、まずスタートはそこからやりたいと思っております。ただ、先ほどの信用基金の、私二億円と申し上げましたが、例えでひとつ御理解いただきたい、これは五カ年ぐらい続けてやりたいということで、五年後には十億円分ぐらいそこから基金として出るようにしたいというふうな、単年当たり二億円程度期待したいなという内容で申し上げております。若干、今後の推移によりまして数字は変わってまいりますが、おおむねは先生指摘のとおりでございます。
  127. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 時間もございますので、ちょっと私、この信用基金、また後日いろいろとお伺いしたいと思います。  最後になりますけれども大臣に今後の通信放送充実に向けての取り組みについてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  128. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 重複すると思いますが、これからの情報の重要さというものはもう理解していると思いますが、障害を持っている方に対してもできるだけそのような情報提供の環境の整備利用しやすいような通信放送環境、この整備に一層努力して取り組んでいきたい。同時に、郵政省だけではできない分野もたくさんあるものですから、関係省庁とも連携をとりながら、より一層、いわゆるノーマライゼーションといいますか、障害を持っている方も一般市民と生活するのにできるだけ不便を感じないような環境整備というものをつくっていこうというその背景、これに沿って郵政省といたしましても関係省庁と連携をとりながら、検討し、努力していきたい、そういうふうに思っております。
  129. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 終わります。
  130. 亀井久興

    亀井委員長 次に、菅野悦子君。
  131. 菅野悦子

    ○菅野委員 私どもも、障害のある皆さんへの支援策ということではこの法案、賛成でありまして、むしろ遅いぐらいだというふうに思うわけであります。二年前の本委員会でも、私は、進歩している通信技術を、障害者社会参加を広げて、高齢者が安心して暮らせるための技術としてやはり活用すべきだということを指摘いたしましたし、文字多重放送を実用化するときの放送法改正でも、障害者のための字幕放送の実現が大きな理由になっていたにもかかわらず、民間任せで進んでいないというふうなことも取り上げてまいりましたので、こういう法案ができたことを非常に歓迎しているところであります。  しかし、この法律による助成で実際に字幕放送がどれだけ広がるかということで、まだまだその点では不十分なのではないかということを感じているところなんです。  そういう点で、法案について幾つかお聞きをしたいと思いますが、せんだっての同僚議員質問の中でもありましたが、私も、この法律の名称が、身体障害者利便増進に資する通信放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律ということで、法律の名前に身体障害者というのが二回も出てくるということがあるわけですね。  そういうことで、考えてみたらこの間、とりわけ国際障害者の十年ということがありまして、ことしの一月二十一日に中央心身障害者対策協議会というところで、十年以降の障害者対策のあり方についてという意見具申が出ているところなんですけれども、そこでこの点での指摘があるのです。「従来、情報提供に当たっては、精神薄弱者本人に対する十分な配慮がなされてこなかったが、今後は精神薄弱者にも分かりやすい情報提供について十分な配慮を行うべきである。」というふうな指摘もございまして、その後、総理を本部長とする政府の障害者対策推進本部というのが三月に策定した新長期計画では、精神薄弱者にもわかりやすい情報提供のあり方について検討を進めるというふうなことがあるわけです。  そういうことで言いますと、ちょっと今度の法案身体障害者身体障害者ということで、精神薄弱者など精神障害者の皆さんに対するこの点、こういう人たちが対象になっていないということで、郵政省としての視野といいますか、この法案の対象というのが随分狭いな、この答申なんかから考えてもちょっと狭いなというふうに思うわけですけれども、その辺のところについては御検討があったのかどうかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
  132. 松野春樹

    松野政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、当委員会附帯決議でも指摘されております心身障害者という範囲に比べまして、今回の私どもの御審議をお願いしております法案で言う身体障害者の範囲は、狭いと言えば狭いのでありますけれども、ただ、今回実施しようとする施策であります字幕放送解説放送等の施策から見まして、身体障害者という定義でこれは、今回の法案についてはこれで十分であるというふうに考えておるわけです。  ただし、御指摘にもありましたように、精神に障害をお持ちの方々に対する通信や、放送の世界におけるこれからのいろいろな努力といいますか、そういうものはまた別にそういう意味ではあろうかと存じます。
  133. 菅野悦子

    ○菅野委員 それでは、今もおっしゃいました法案の主要な内容である字幕放送字幕放送の対象、このとらえ方という問題についてもぜひお聞きをしたいと思うんです。  この点も先ほどから同僚議員からいろいろ出ておりますが、狭い意味での身体障害者だけでなく、耳が遠くなり不自由をしていらっしゃる多くの高齢者にも広げて対策を考える必要があるのではないかということを、私も同じように思うわけです。厚生省の言う聴覚障害者というのはいわゆる七十デシベルという、ここを基準にしてみますと三十七万人、要するに障害者手帳を持っている方なんですけれども、ところが、アメリカ、ヨーロッパ並みに四十デシベルという基準で見ますと、高齢者など耳の聞こえにくい方というのは六百万人ということでぐっと対象が広がるわけなんですね。  それで、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会というところが六十五歳以上の難聴者の実態調査を行った内容が四月十六日付の朝日でも報道されているんですけれども、その五四%が重度障害者と同じように非常に不自由しているということを言っていらっしゃる、そういう結果が出ているわけなんです。ですから、字幕放送普及考える上でこの対象をどうとらえるかという点でも、私はこの点は非常に大事な点ではなかろうかというふうに思うんです。  先ほど来、字幕放送の現状の問題で悪循環という答弁もありましたが、番組数が非常に少ない、受信機普及しない、普及しないから値段も下がらないし、その番組もふえないというこの悪循環の問題が、先ほども御答弁にも出ていたわけなんですけれども、こういうときに思い切ってやはり対象を大きくした普及策を考えることが、だからこそ必要になっているのではなかろうかというふうに思うわけです。  番組に字幕をつける制作費は変わらないわけですから、聴覚障害者を対象として支援策を進めるのと、高齢者も含めた対策として支援策を進めるのと、これはぐっと対象が広がるわけですから、その点をぜひ考えていただきたい。特に人間はだれしも年をとるわけですから、字幕放送普及させるということは、ある意味では国民全体を対象にしたものというふうな考え方をしてもしかるべきではないかというふうに思うわけなんです。  高齢化社会というのが近いというふうに言われておりますが、それは障害者社会とも言われております。テレビの音が全く聞こえないというほどではなくても、年をとっていらっしゃる方には、耳が遠くなってテレビを見ていても音が聞き取りにくいから何を言っているのかわからないというのが非常にあるということが言われています。例えば、あるお年寄りがたまたま字幕スーパーつきの洋画を見て、久しぶりに映画を見たというふうにおっしゃったというんですけれども、そういうことから見ても、これから年をとればまさに国民みんなの問題なんだというふうなとらえ方が必要ではなかろうかなというふうに思うわけなんです。  それで、ニュースなどの情報でも字幕と合わせて情報に接することによって理解が格段と高まりますし、緊急の情報を逃す危険も低くなるわけですから、そういう字幕放送聴覚障害者だけを対象とする事業というふうな印象を与えるのは、普及の上からも実際の問題でも狭過ぎるのではないかなということでやはり私は名称の問題にこだわったりするわけなんですけれども、そういう点で、非常にスタンスの幅広いものを対象とした法案という位置づけという考え方でいらっしゃるのかどうか、その辺もちょっとお聞きしたいと思います。
  134. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 御指摘のとおり、高齢化社会を迎えまして、高齢者の方々も数の上で人口の中に占める割合が高くなってきているわけでございますが、私どもは、文字放送普及ということは、御指摘のとおり、広くこういった高齢者の方々にも利便が及ぶものということで、そういう観点から字幕放送充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  現在の我が国での実施状況は十分とは言えませんけれども、これからこの法案支援措置を呼び水として積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  135. 菅野悦子

    ○菅野委員 ですから、私は、せめて法案の名称を身体障害者でなく障害者等にするぐらいのお知恵を出していただきたかったかなというふうに思うわけです。  それでは、郵政省として字幕放送をどこまで普及させるのかというふうな点での目標をちょっと具体的にお聞きしたいというふうに思うんです。  例えば、先ほどから出ていますけれども日本では週約十四時間。ところがアメリカなどでは週五百時間、国が八十億ドル支出をしているという話も聞いているわけですけれども、このように、すべての放送番組に字幕をつけるぐらいの大きな目標を持って、ニュースなどの生放送にも対応できるような日本語を迅速に字幕にする技術、システムの開発、それから受信機普及、番組制作への支援、そういうふうなものとして進めていくのか。どういうふうな目標の具体的な姿勢、具体的な内容といいますか、その辺をお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  136. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 字幕放送といいますか、テレビジョン文字多重放送実施している民間放送事業者は少ないわけでございますが、少なくとも、私ども放送普及基本計画におきましては、標準テレビジョン文字多重放送につきましては、標準テレビジョン放送一系統につきまして一つ以上の普及を目標にいたしております。なかなかこの実現が現在至っていないわけでございますが、これが望まれる姿として目標に置いているところでございます。  また、字幕放送実施に係る設備投資及び実施経費につきまして、相当程度放送事業者負担になると考えられますので、放送事業者経営状況等も勘案しながら着実にその推進を図っていくことが好ましいと思っております。今回の法律の助成の支援措置も有効に活用いたしまして、さらにまた、受信機普及の面につきましてはメーカーの協力を要請する尊いたしまして、文字多重放送に参入しやすい環境を整備していくことも重要かと思っております。  先ほどお触れいただきましたが、受信機普及率の低さ、それからソフトの不足あるいは採算性の低さ等々が悪循環になっていることがあるわけでございますが、そこをこの施策を呼び水にしてどこかでこの歯車をかみ合わせていきたいというふうに考えるところでございます。
  137. 菅野悦子

    ○菅野委員 ぜひ積極的にやっていただきたいと思うんですけれども、確かに私この問題を考えたときに本当にこれは障害者あるいは高齢者の皆さん方の権利の問題だということをつくづく痛感するわけですね。情報に接する権利、文化を享受する権利というのは、基本的な権利であるとともに今の社会で生きていくために不可欠のものだと思うわけなんです。  ある難聴の方の実体験としてお聞きした話なんですけれども、例えば、せんだってアメリカのブッシュ前大統領が倒れたときに、パトカーが走り回る、そしてアナウンサーが非常に緊張した顔で何か言っている、しかし耳が難聴の方にしてみたら何が起こったかさっぱりわからないというふうな状況があるわけなんですね。また例えば、東京で震度五の地震が起こった、そしてガスの自動遮断装置が作動して自動的にとまってしまったわけです。電話がばあっとガス会社に殺到した。テレビで解除方法をずっと放送しているんだけれども、難聴の方には何が何だかさっぱりわからないというふうな体験が語られておりました。  このように、電気通信技術の飛躍的な進歩によって技術的には大きく前進しているにもかかわらず、政治のおくれによってその権利が保障されていないという現状を私は郵政省としてもぜひきちんと認識をしていただきたいと思うわけです。  テレビに字幕をつけるということもそうですし、また、全盲の方が、パソコン通信を使って普通の商用データベースから一日分の新聞を取り出して点字プリンターに打ち出すことによって、毎日の新聞に載る情報を受け取ることが技術的には可能になっているわけです。しかし、これをやると通信費とデータベース使用料だけで約四千二百円なんですね。ですから、一部百円の新聞が視覚障害者には四十倍以上の値段になる。もちろんパソコンも点字プリンターも非常に高額なわけです。ですから、視覚障害者が毎日の新聞に載る情報を受け取ることは技術的には可能になっているけれども社会的には可能になっていない、こういう現状があるわけです。  そこで、私ぜひ大臣にもお聞きしたいんですけれども、これを社会的に実現するのが政治の仕事ではないかというふうに思うんです。情報化社会と言われている今日において、障害があることを理由に必要な情報も受け取れない、あるいは発信できないということは、完全参加と平等を図る上で欠かせない問題であると私は考えるんですけれども大臣はどうお考えになるか、御所見をお聞きしたいと思います。
  138. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 午前中からのいろいろな御意見と、ただいま委員が御指摘の問題点、完全参加と平等等、そういういろいろな観点から、できるだけ障害者に対して、通信放送分野におきましても、一般健常者と比較して大きなハンディを負っているわけですので、そういう障害を少しでも緩和していきたい、あるいは取り除いていきたい、利便を図っていきたいという趣旨でこの法案提出させていただいているわけであります。  今御指摘のように、一気にとはいきませんが、少してもいい方向に進むように、この法案がその促進剤となればなと思っておりますので、今後ともいろいろな御意見、きょうの御審議の間で承った御意見を参考にし、また検討し、各省庁と連携をとりながら、少しでも完全参加と平等の社会に向かって郵政省としても努力をしていきたいと思っております。
  139. 菅野悦子

    ○菅野委員 では、放送行政上の問題でもお聞きをしたいんですけれども文字放送の免許状況、民放においては、大都市圏以外、あともうちょっと一部あるようですけれども、ほとんど取得していない。そのため、東京キー局で字幕をつけても地方では字幕がつかない。したがって、通常の番組はキー局からNTTの回線で地方に送るのに、字幕部分だけはわざわざ切り離してフロッピーディスクにして送ったりしている。そして文字放送の免許を取っている地方局ではまたそれをテレビ電波に乗せる作業をしている。二重、三重にむだをしているんではないかというふうに思うんですね。  私はこれ、解決は簡単で、字幕放送だけ免許を切り離し、テレビの免許の一部とすればいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、この字幕放送は音声を文字にするだけで別の放送をするわけではないわけですから、その方が合理的だし、この字幕放送普及する上でも重要だと思います。この点すぐやるべきだと思いますけれども、その辺いかがでしょうか。
  140. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 文字多重放送実施するためには、テレビジョン放送の免許とは別に、御指摘のとおりテレビジョン文字多重放送の免許を取得することが必要でございます。民間テレビジョン放送事業者百十七社のうちでテレビジョン文字多重放送実施しているのは十四社にとどまっております。その理由といたしまして、民間放送事業者を対象にしたアンケートを実施しましたところ、採算性が低いということ、設備投資負担が過大であるということなどが挙げられておりまして、免許手続が大きな負担になっているというふうには言えないと考えているところでございます。  しかしながら、字幕放送実施しやすい環境をできる限り整備する必要があるという点では私も同感でございまして、関係者意見も勘案しながら、免許の方法も含めましてさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  141. 菅野悦子

    ○菅野委員 本当にそれは先ほどおっしゃっていた悪循環の結果の話だと思いますので、ぜひ努力していただきたいと思うんです。  それから、その受信機普及の問題で大きな問題になっているのは、この文字多重放送で送られてくる字幕放送を受信できるアダプターですね、これが先ほどからいろいろ論議になっています。アダプターで十万円、内蔵型テレビでも一般のテレビより数万円高くなって、しかも現在メーカーがつくっている内蔵型テレビというのは、これは大型画面の値段の高い、そういう機種しかないというところで、なかなかその普及が広がらないという状況があるわけで、この点では先ほど厚生省の方がアダプターの問題については支援というふうな部分もちょっとお話があったかと思うんですけれども、私はこれ、郵政省としてもこの受信機の購入への支援はできるんではないかというふうにも思うんです。  といいますのは、通信放送機構による難視地域ですね、これは衛星放送受信設備を購入する際に各家庭に直接の補助、これが国と自治体から出ているわけなんです。しかも同じ基金の運用益なんですね。今度の法案では、この三十億円の基金のうち十億円分の運用益で字幕や解説放送への補助とし、二十億円で引き続きこの衛星放送受信設備への補助事業ということになっているわけなんですけれども、だからしたがって、この基金をふやして、番組制作とともに受信設備の設置に対しても郵政省としてもここから支援を行うということはできるのではないかというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  142. 木下昌浩

    木下(昌)政府委員 文字放送を受信するためには受信機内蔵のテレビあるいは専用のアダプターが必要であるわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、内蔵型テレビは普通のテレビより数万高い。また内蔵型テレビを生産、製造しているメーカーも少なくなってきているということはそのとおりでございます。また、アダプターも十万円以上となっておりまして、これを購入する場合に多大の負担を視聴者が負うという格好になっておるわけでございますが、私どもは、現在の法案考えております助成を進めることによって全体の文字放送普及が進んでいく、その過程の中でこういったアダプターなりテレビ受信機というものも低廉化されていくのであろうという、そういう方向を志向してまいりたいと考えておるところでございます。
  143. 菅野悦子

    ○菅野委員 同じこの基金で難視の場合には各家庭に直接補助しているということがあるわけですから私はぜひ、この基金、同じ基金を使っての支援なんですから、番組制作の一般的なそういうものだけでなくて、そういう受信設備の設置に対しての補助、これもぜひ考えていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいというふうに思うんです。  それで時間が余りございませんので、続いて最後にダイヤルQ2の問題でも少しお聞きをしておきたいというふうに思いますが、東京都でつくっております精神薄弱者・痴呆性高齢者権利擁護センター、ここに、知的障害者がダイヤルQ2の仕組みを理解できないまま使用して百二十万円をNTTから請求されたという相談があった。ほかにも、精神薄弱の方がダイヤルQ2で二百四十万円の高額請求をされたという事例もあるわけですね。  ところで、三月二十二日にはこの問題で大阪地方裁判所で、親の知らないうちに子供が使ったダイヤルQ2の料金について、情報料とともに通話料も加入者には支払い義務がないとする判決が出ているわけなんですが、郵政省としてこの判決をどのように受けとめておられるのか。この点についてもちょっとお聞きしたいと思います。
  144. 白井太

    ○白井政府委員 いわゆるダイヤルQ2と言われるサービスに関しまして三月に大阪地方裁判所の判決が確かにございました。この事案は利用者の方が裁判を起こしたものでありまして、ダイヤルQ2の情報料とそれに係る通話料について支払い義務がないということの確認を裁判所に求めたものでございますが、結果としては、ただいま先生お話ございましたように、原告の方が勝訴いたしましたので、まあNTTの方が敗訴したという形になっております。  ところが、これにさかのぼります約一カ月前に、やはり大阪でありますが、大阪のこちらはまあ簡易裁判所でありますけれども二月に、今度は逆の判決が出ておりました。と申しますのは、訴えた方は実はNTTの方が訴えを起こしたケースでありまして、NTTの方として通話料と情報料を払ってもらいたいという趣旨の訴えを起こしたわけでありますが、大阪の簡易裁判所の方はNTTの方が勝訴いたしまして、加入者の方に支払い命令を出したという判決が出ております。  実はこの二つの件につきましていずれも控訴されておりまして、上級審でさらに審理が進められるというような段階になっておりますものですから、私どもとして、極めて生々しいこうした問題について法律的な立場でのお話を申し上げるのはどうかというような気持ちもいたしますので、私どもとしてのお考えを申し上げるということについてはお許しをいただきたいというふうに思います。
  145. 菅野悦子

    ○菅野委員 この判決でも示されているように、だれもが使う電話とそれからダイヤルQ2はもう明確に異なるというふうに考えるべきではないかというふうに思うんですね。電話は、子供からお年寄りまで使用する、生活に非常に密着した公共性の高いものである。そこにダイヤルQ2という高額な料金になるシステムを乗せているということに問題の根本があるのではないかというふうに思うわけなんです。ダイヤルQ2はさっきの例のように非常に高額な料金になりやすいんですね。  NTTの東京支社が昨年九月につくったダイヤルQ2関連滞納状況という一覧表があるんですが、これを見てみますと、東京支社だけで十三億六千七百三万八千七百九十五円もの滞納があるんです。件数が九千八百四十九件ですから一件当たりの平均が十四万、こういう滞納なんですね。だから、六秒で十円の番組だと一時間で六千円、月に二十日使えば十二万、大体このあたりが滞納の平均額かなというふうにも思うんです。  ですから、電話というのはだれが使おうが料金は加入者が支払うことになっているわけで、これは百年来続いてきたことだし、電気とか水道とかガスなどの公共料金も同様だと思うんです。こういう料金徴収システムが成立している前提には、電話料金は家庭では月にせいぜい数千円から多くて一万円という程度だというサービス内容が均一であるということがあるのじゃないか。ところがダイヤルQ2の場合は、〇九九〇を回すだけで一挙に料金が三十倍にはね上がる。例えば、水道でも蛇口をひねったら水が出るから、それこそ安くてだれでもどこにでもついているというふうにあるわけですけれども、蛇口をひねってビールの出るようなそういう水道が出てきたらこれは扱いが全然違うはずだと思うんです。  そういうふうなことから考えても、高額なサービスを通常の電話サービスを前提にした料金徴収システムに乗せることに無理がある。だから、日本弁護士連合会を初め多くの消費者団体が、ダイヤルQ2を申し込み制にすべきだというふうに意見を出しているわけですけれども、私はこれは本当に妥当だと思うんです。  これはダイヤルQ2にとどまらない。情報通信技術の進歩に伴って電話回線を使った新しい多様なサービスが検討されていますでしょう。例えばホームバンキングとか、株の売買とか、それから在宅医療などなど。これらは当然高額な料金になるし、契約者以外の者が、家族や従業員といえども勝手に利用したらやはり大変なことになると思うんです。ですから、電話という基本的なサービスとそこに上乗せする付加サービス、これをはっきり区分しておかないと社会的混乱が起きるのは当然だと思うんです。  ですから、ダイヤルQ2のように加入者が特別にブロックしてくれと一々申し出ないと、どの家庭の電話からでも、どの会社の電話からでも高額の付加サービスにアクセスできるとしたら、これは大変なことになると思うんです。ですからやはり付加サービスは、申し込み制にして暗証番号を使うなど利用者特定することを基本にして対処しないと、せっかくの技術の進歩も社会に受け入れられなくなるというふうに思うんです。  ダイヤルQ2については、これらの経過から考えて当面申し込み制にすべきだと私は思うんですけれども、そういうふうには考えられないのかどうか、その点を最後にお尋ねしたいと思います。
  146. 白井太

    ○白井政府委員 いわゆるダイヤルQ2サービスというのは平成元年に始まったサービスでありますけれども、このサービスにつきましては、確かに一部の情報サービスの中に青少年の非行の原因になるようなサービスがあるとか、あるいは、非常に高額の情報料を取って長時間利用させるというようなサービスがあったりもしたために、いろいろな問題が提起されたということは承知をいたしております。  そのようなこともありまして、NTTとしては何度がにわたりましていろいろ、できるだけそのような弊害を少なくするようにということで、例えば、あるサービスについてはもうこれからは提供しないようにするというようなことをやってみたり、あるいは、ある種類のサービスにつきましては情報料の最高限度額というのをうんと安くしてしまうというようなこともしたりしてきております。またさらに、これは先生お話にも出ましたけれども、お客様からの申し出によりましてダイヤルQ2のサービスが受けられないようにするというようなことの手だても講じたりしてきております。  ダイヤルQ2サービスというのは、先生先ほどお話がありましたけれども、非常に身近にあります電話というものを使いまして極めて簡単に情報を得ることができるというようないい面もあるわけでありまして、そのようなことが、非常に青少年の非行とか、あるいは先生お話の精神薄弱者の方に非常に迷惑をかけるというようなことになるのは、これは確かに大変な問題ではあろうかと思いますが、他方、今申し上げたような情報を入手するという面では非常に便利な手段でもあるということでもありますので、できるだけ弊害を少なくするように、お客様への周知を徹底いたしますとか、いろいろな手だてを講じでできるだけ問題のないようにしていくということをやっていただきたいということで、NTTの方にもお話をしているところでございます。
  147. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう小手先ではだめな段階に来ているのではなかろうか、やはり抜本的な再検討の時期だということをぜひ強調しておきたいと思うのです。  終わります。
  148. 亀井久興

    亀井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  149. 亀井久興

    亀井委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  151. 亀井久興

    亀井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、佐田玄一郎君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐田玄一郎君。
  152. 佐田玄一郎

    佐田委員 ただいま議題となりました身体障害者利便増進に資する通信放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律案に対する附帯決議(案)につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     身体障害者利便増進に資する通信放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、情報通信利用機会の均等化を促進し、身体障害者、高齢者等の利便増進を図るため、次の各項の実施に努めるべきである。  一 解説番組字幕番組等の普及の促進を図るとともに、放送事業者等が解説番組字幕番組等を制作するに当たっては身体障害者、高齢者等の意向を十分考慮することとなるよう配慮すること。  一 身体障害者、高齢者等が文字多重放送等を円滑に利用できるよう受け手側の立場に立った各種の支援措置についても検討すること。  一 身体障害者、高齢者等があまねく公平なサービスを受けられるよう情報通信事業者における各種サービス開発普及の促進に努めること。また、電気通信技術開発をさらに促進し、その成果を早期に享受できることとなるよう努めること。  一 本法の運用に当たっては、必要な資金の確保等各種の支援措置の一層の拡充に努めるとともに、衛星放送受信対策に支障のないよう十分配慮すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案にかかわるものでありまして、案文は当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  153. 亀井久興

    亀井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. 亀井久興

    亀井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、小泉郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉郵政大臣
  155. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 本委員会の御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  156. 亀井久興

    亀井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 亀井久興

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  158. 亀井久興

    亀井委員長 郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。小泉郵政大臣。     —————————————  郵便貯金法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  159. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内客の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金の預金者の利益の増進を図り、あわせて金融自由化に的確に対応するとともに郵便貯金事業の健全な経営の確保に資する等のため、定額郵便貯金の利率は、市場金利を勘案して郵政大臣が定めることとするとともに、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の範囲を拡大すること等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、勤労者財産形成貯蓄契約、勤労者財産形成年金貯蓄契約及び勤労者財産形成住宅貯蓄契約に係る郵便貯金の一の預金者の貯金総額の制限額を五百万円から五百五十万円に、これらの郵便貯金のうち勤労者財産形成年金貯蓄契約に係るものを三百五十万円から三百八十五万円に引き上げることとしております。  第二に、定額郵便貯金の利率は、政令で定めるところにより市場金利を勘案し郵政大臣が定めるものとしております。  第三に、定額郵便貯金を担保とする貸付金の利率は、政令で定めるところにより郵政大臣が定めるものとしております。  第四に、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の範囲に、法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形等を加えることとしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしておりますが、勤労者財産形成貯蓄契約等に係る郵便貯金の貯金総額の制限額に関する規定については平成六年一月一日から、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の範囲に関する規定については公布の日からといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内客の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  160. 亀井久興

    亀井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会      ————◇—————