○正森
委員 私も
市場経済の効果を重んずることについては、
総理とは違った
意味ですが、人後に落ちないというように思っております。また、金利政策が
景気の点で非常に重要な局面があるということも理解を持っているつもりでございます。しかし、現在の局面は、金利を下げたからそれで
資金需要が高まって、それが投資とか
経済の拡大に向かうという局面ではないのではなかろうか、だからマネーサプライもふえておらないということで、もっと別の観点が必要ではないかという最初の問題提起として申し上げたわけであります。
二番目に、他党の議員もお聞きになりましたが、私が申し上げたいのは所得
減税の問題であります。
総理も我が党の
予算委員会の
議論をお聞きになって御理解賜っていると思いますが、非常に失礼な言い方ですが、我が党は、同じ野党でも社公民三党とは違いまして、
減税の財源を赤字国債で貯えというようなことは言っておりません。社公民
各党の政策、
減税についても拝見いたしましたが、四兆二千幾らの
減税額のうち実に四兆一千億円、九五%以上は赤字国債で賄うということになっております。
私
どもは、これは将来の
国民に対する非常な負担でありますし、第一、財政法四条にも違反することでありますし、赤字国債の発行が財政上、
税制上非常に大きなゆがみを与えてきたということはよく存じておりますので、赤字国債の発行は避けて、しかるべき財源
措置と不要不急の、お気に召さないかもしれませんが、防衛費等、冷戦
構造が崩壊したとかソ連が崩壊したとか言われるときに、こういう点にメスを入れるべきであるというのが私の主張であります。
しかしきょうは、世界観の相違ということにもなりますので、その点を
総理にお聞きしようと思っているのじゃないのです。同じ土俵の中で、所得
減税の
景気浮揚効果について若干お話を申し上げたいと思っているわけであります。
総理は、きょう
伊藤委員の御質問にお答えになって、所得
減税そのものをだめだとかいうようには思っていないという趣旨に受け取れる御答弁がありました。そこで、
考えていきますのに、私も
予算委員会に時々
委員として入らせていただいたり傍聴しておりまして、その中で
大蔵省や経企庁が言っておりますのは、所得
減税というのは
景気浮揚効果が遅いあるいは少ない、それに対して
公共事業というのはこれが即効的であって、しかもその効果が大きいというのが繰り返し述べられていることだったと思います。かてて加えて、赤字国債で所得
減税を行うというのはもってのほかだ、こういう二段論法、三段論法になっていたと思うのです。
そこで、
経済企画庁は何をもって
公共事業は
景気浮揚効果が大きいが所得
減税は少ないと言っているかといいますと、世界
経済モデルというのを使っているのですね。そこで私は、経企庁の専門の担当官に来ていただいて、その点についてのレクチャーを受けました。それによりますと、確かに、GNP、付加価値がどれだけふえるかで
考えておりますが、
公共事業というのは相当押し上げて、
減税の場合の二倍から三倍になるという数字が出ております。
しかし別の研究所、日本総合研究所というのがあります。日本総研と呼ばれております。これも念のために申し上げておきますが、我が党の研究機関ではなしに住友系の財界の
シンクタンクですね。そこが研究しておりまして、ここについても、私は研究論文を取り寄せて、直接それの執筆者にも連絡して多少勉強させていただきましたが、ここでは産業連関表の逆行列表というのを使っておるのです、御承知の方がおられると思いますが。この分野でこうなればどういう効果があらわれているかというのを調べているわけであります。
それで調べますと、一兆円
減税した場合の生産誘発額、GNP、付加価値ではなしに生産誘発額で見ておりますが、生産誘発額は一兆四千三百億円、公共投資は一兆五千六百億円という数字を日本総研は出しておりまして、決してそう低い数字ではないのですね。
それに加えて、ここにその論文のコピーを持ってまいりましたが、それを見ますと、公共投資の場合にはどれくらい生産誘発効果があるか調べているんですが、
金丸さんのことを申すわけではありませんが、
建設業関係に非常に大きな付加価値、浮揚効果があらわれるわけです。ところが、それ以外は比較的少なくて、特にサービス業、卸、小売業、運輸・通信業などというのは非常に低いのですね。皆さん御承知のように、今は第一次産業、第二次産業の我が国
経済に占める比率が下がりまして、第三次産業が六〇%を占めていることは、
国民経済計算でも明らかであります。
そこで、そういう点ではどうかといいますと、例えばサービス業だとか、卸、小売業とか、運輸・通信とかあるいは
金融・保険・不動産などでは、所得税
減税の生産誘発効果は断然
公共事業よりも高いんですね。それらを総合しますと、生産誘発効果では、所得税
減税は一兆四千三百億円、一兆円
減税したとしてもね。公共投資は一兆五千六百億円、こういう数字を出しておるんです。
さらに、そのことによって就業入口がどれだけふえるかということを、これまた産業連関表等で、そのほか労働省の資料等で調べておりますが、それによりますと、所得税
減税は十四万三千五百人の就労労働者の増加をもたらす。公共投資は一方的に
建設業等に偏って、その就労人口の増加は十三万五千二百人で、所得税
減税に比べると、逆に劣るという結果が出ているわけであります。
そういう点からいいますと、決して所得税
減税の生産誘発効果というか、
景気に与える影響は
公共事業に比べてそうそう劣るものではないということで、お断りしておきますが、私
どもは
公共事業をやめろというようなことは言っていないのです。
公共事業と所得税
減税のバランスをとることが必要ではなかろうか。
特に
公共事業の場合には、
予算委員会でも御答弁があったようですが、大
規模なプロジェクトのみに集中しますと、それは大きな
企業だとか、鉄鋼、セメント等に生産誘発効果が偏りますが、生活関連の住宅とか学校とかあるいは福祉関係の施設とか生活道路に回しますと、それは中小
企業にも仕事が回って、そういう
意味で違った効果を発揮する。両々相まってやはり
景気浮揚を目指すというような選択肢も必要ではなかろうかということで、特にきょう私が申し上げますのは、日本総研という財界の住友系の研究論文でもそういうことを言っているということを申し上げまして、私
どもは残念ながら除く共産党で入っていないようでありますが、所得税
減税について三月末ないしは四月初めから間もなく
協議が開始されるということのようでございますから、
総理のお
考えの一端に私が今申し上げたようなこともインプットしていただきまして、
総理も共産党の赤旗に載っておる何かでは御採用しにくいかもしれませんが、住友系の日本総研も言っておるということでは多少心も和らぐのではないかということで、あえて申し上げた次第であります。
時間が参りましたので、御感想を承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。