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小川(国)
委員 先ほど外国との比較があったわけでありますが、私は、例えばアメリカとイギリスの
所得税の体系と日本の
所得税の体系は、そも
そも税体系が全く異なっているんじゃないか、また
課税の最低
限度額というものはやはり物価水準、賃金水準、そういうものの推移によって決められるものではないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、もしことし非
課税限度額も、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の
限度額も百万円に据え置くということになると、
昭和五十九年から見ると九年で一割の物価上昇率しか見なかった、こういうことになるので、欧米の
制度と我が国の
制度の背景、体系が異なるわけでありますから、その点ではやはり日本独自な物の見方をしていただく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。
それで、今また厚生省が申されましたように、今までの
金額が年々改定されて、既に百万で横並びになったところから百十万、百二十万、
平成五
年度は百三十万という形で予算計上をしているということは、収支の
実態を見ながらも、一つは経済変動というものの要素を十分加味しているということを考えると、この点やはり
大蔵省にも十分お考えいただかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
最近、私の知り合いの方でパートで働いている主婦の方が朝早く電話をかけてきたわけです。
小川さんの法律
税務の相談日はいつでしたか、いや十日でございます、ちょっと日があるのですが至急に相談したいことがある。どういうことですかと言いましたら、税理士さんをご
紹介してください。中身は何ですかと
伺いましたら、実はパートで働いていて百万円よりもわずか二千円オーバーして働いてしまった、大変なことになってしまったのです、ずっと計算をしていったのだけれども、ボーナスになって百万円から二千円オーバーになったという結果になってしまった。夫にもしかられて、何で二千円余計働いたと言われて、返しに行っても職場でそれを受け取ってもらうわけにはいかない。それで源泉徴収票を見てそのことがはっきりした、こういうわけなんですね。これは本人の勉強不足もあると思うのですけれども、たしか
大蔵省のおっしゃるように百万円を超えても百三十五万円まで配偶者特別控除があるので、配偶者特別控除は全部なくなってしまうわけではない。ないのですが、びっくりして相談をかけてきた。
それは一体何だろうがというふうに考えてみましたら、結局御主人の家族手当が切られるという問題が一つあるわけですね。私がその問題をきっかけに調べてみますと、これは産業労働
調査所の
平成四年の
調査でございますが、約九〇%の企業が何らかの家族手当を支給しているわけです。その支給する企業も前回の
調査と比べて約一割ふえているそうでございますが、妻の収入の一定額を基準として家族手当の支給を制限している企業というのが五〇%以上、従業員千人以上の企業では七〇%を超えて、大企業ほどその傾向がはっきりしているわけです。それにこの収入制限の基準について見ると、何と約九〇%の企業が税法上の配偶者控除基準額、すなわち現在ではその基準額が百万円になっておりまして、百万円を超えると夫の家族手当が大幅に減額される、この問題があったわけです。だから、そのパート主婦の方が心配して来た問題は税法上の問題。保険、年金の問題は百二十万になっているから心配はないわけです。税金の方も配偶者特別控除はあるわけです。しかし、御主人の家族手当が切られる、こういうことが最も大きな心配の一つであったのではないかと私は思うわけです。
そうしますと、
大蔵省の定めているこの税法上の基準というものが民間の大多数の企業の家族手当の支給の基準額になっている。百万円を超えると家族手当を減額される、こういう
状況が起きている。やはり社会的影響が非常に大きいわけでございます。こういう点もやはり
大蔵省当局に考えていただかなければならない問題と私は思うわけでありますが、こういう実情についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お
伺いしたいと思うのであります。