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1993-04-15 第126回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十五日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 田邉 國男君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 中西 啓介君 理事 野田  毅君    理事 浜田卓二郎君 理事 左近 正男君    理事 堀込 征雄君 理事 伏木 和雄君       石井  一君    衛藤征士郎君       大野 功統君    大原 一三君       奥野 誠亮君    佐藤謙一郎君       自見庄三郎君    塩谷  立君       島村 宜伸君    武村 正義君       津島 雄二君    戸塚 進也君       額賀福志郎君    葉梨 信行君       深谷 隆司君    穂積 良行君       細田 博之君    増子 輝彦君       阿部未喜夫君    池田 元久君       岩垂寿喜男君    大畠 章宏君       菅  直人君    鈴木喜久子君       田並 胤明君    土井たか子君       日野 市朗君    細川 律夫君       三野 優美君    井上 義久君       鍛冶  清君    河上 覃雄君       北側 一雄君    渡部 一郎君       木島日出夫君    三浦  久君       川端 達夫君    中野 寛成君  出席政府委員         自治大臣官房審 谷合 靖夫君         議官         自治省行政局選 佐野 徹治君         挙部長  委員外出席者         議     員 伊吹 文明君         議     員 石井  一君         議     員 小渕 恵三君         議     員 塩川正十郎君         議     員 武村 正義君         議     員 津島 雄二君         議     員 西岡 武夫君         議     員 額賀福志郎君         議     員 深谷 隆司君         議     員 小澤 克介君         議     員 佐藤 観樹君         議     員 早川  勝君         議     員 細川 律夫君         議     員 松原 脩雄君         議     員 井上 義久君         議     員 北側 一雄君         議     員 日笠 勝之君         議     員 渡部 一郎君         衆議院法制局第 内田 正文君         一部長         衆議院法制局第 臼井 貞夫君         一部副部長         衆議院法制局第 小菅 修一君         一部第一課長         自治省法制局選 松尾 徹人君         挙部選挙課長         自治省行政局選 中野 正志君         挙部管理課長         自治省行政局選         挙部政治資金課 大竹 邦実君         長         特別委員会第二 田中 宗孝君         調査室長     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     塩谷  立君   自見庄三郎君     大野 功統君   小林  守君     三野 優美君   後藤  茂君     鈴木喜久子君   細川 律夫君     日野 市朗君   井上 義久君     鍛冶  清君   渡部 一郎君     河上 覃雄君   木島日出夫君     三浦  久君   川端 達夫君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   大野 功統君     自見庄三郎君   塩谷  立君     佐藤謙一郎君   鈴木喜久子君     後藤  茂君   日野 市朗君     細川 律夫君   三野 優美君     小林  守君   三浦  久君     木島日出夫君   中野 寛成君     川端 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案梶山静六  君外二十三名提出衆法第六号)  衆議院議員選挙画定委員会設置法案梶山静  六君外二十三名提出衆法第七号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案梶山  静六君外二十三名提出衆法第八号)  政党助成法案梶山静六君外二十三名提出、衆  法第九号)  公職選挙法の一部を改正する法律案佐藤観樹  君外二十四名提出衆法第一〇号)  衆議院議員選挙画定等審議会設置法案(佐  藤観樹君外二十四名提出衆法第一一号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案佐藤  観樹君外二十四名提出衆法第一二号)  政党交付金交付に関する法律案佐藤観樹君  外二十四名提出衆法第一三号)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  梶山静六君外二十三名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
  3. 野田毅

    野田(毅)委員 私は、この政治改革法案審議するに際しまして、まず今私たちがどういう時代環境の中にあるかということをお互いに再確認認識をし合いたいと思います。三つの大きな変革の中にあるだろうと私は思っておるのです。  そのうちの一つは、少なくとも冷戦構造が終わった。このこと自体は大変結構なことなんでありますけれども、しかし現実の世界は逆に、当分国際社会は不安定さが増すという環境にあることは、だれしも認めておるところであります。そういった中で日本がどういう行き方をしていくかということが、今最も緊急、切実な課題として出てきておるわけであります。  御承知のとおり、宗教あるいは民族あるいは領土あるいは資源、いろいろな形で、いろいろな地域で、紛争の種は多いわけであります。世界の各国が、そういう混乱から世界の平和が攪乱されないようにどうすればいいかということで今必死になって、ある意味では危険を顧みず平和確保のために必死になって頑張っておるということであります。先日、カンボジアで日本中田青年が不幸にして亡くなりました。私はそのときに、お父さんが必死の思いで、自分の息子が国際平和を実現するために日本人として身を投じたということを誇りに思うという、私はこの言葉を聞いて感動しない国民はいないと思います。  私は、そういう中で、我々政治家がいつまでも政治不信のあらしの中でこういう状態を続けておって本当にいいんだろうか。私は、今こそ我々国会がもっともっとこういう問題に真剣に議論を闘わすということが今一番なすべきときではないか。本当に申しわけない気持ちでいっぱいであります。世界が危険を冒して頑張っておるときに、日本だけが危険な仕事はよその国にやらせて、そして危険がなくなった後楽な仕事だけを日本が引き受けるという、こういうやり方で本当に、真にこの日本国際社会の中で誇りある国づくりができるということが言えるんだろうか。もう多くを言いません。これらのことを考えると、我々は肩を怒らしてやるのではなくて、いわばワン・オブ・セムの一員として当たり前のことを、責務を果たしていくという角度の中でしっかりとした議論が行われなければならぬ、まずこのことが第一点だと。  それから第二点は、御承知のとおり、既に昨年一年間生まれてきた子供が百二十万人程度であります。二百万を超えておった我が国の将来を支えるそういう若者たちが極端に少なくなる少子社会。裏を返せば、極端な高齢化社会に突入をする。そういうことになると、我が国経済の活力は一体いつまで持続できるんだろうか。あるいは年金や医療、こういったものをどうやって支えていくんだろうか。社会資本はまだまだ地方に行けば大幅な立ちおくれというものが目立って仕方がない、こういったこともやらなきゃならぬ。我々は、もはや財源の手当でなしに減税だけ、甘いことだけを訴えていくような政治には限界が来ておるんだ、そういう時代は過ぎ去っておる。もっと本格的に、痛いこともつらいこともあわせて、実際に国民に問いかけて一緒になってやっていくという、次の時代への責任を我々はどうやって果たしていくかということを真剣に論議しなきゃならぬ。こういう時代環境にある。  あるいはいま一つは、国・地方を通じて長い間にいろいろな行政システムというものが、相当コレステロールがたまってきた。国の関与の仕方、民間の責任あるいは国と地方団体役割分担、こういったものをもう一遍オーバーホールをして、見直していかなきゃならぬ。これは、口で言うのは簡単だけれども、よほど思い切った政治リーダーシップがなければこれらのことはやっていけない。  今申し上げた、大きく分けて三つ意味での大きな変革期に我々は直面をしておる。このどれをとっても、政治家がそのリーダーシップを発揮しなければ解決できない問題ばかり。そのときに、少なくとも国民政治家に対する信頼感をなくしたら、これらのことは一体どういうことになるんだろうか。私は、そのことを今最も恐れておる一人であります。この日本の国を一体どうやるんだ、まさにこのことを論ずるべき今はタイミングにあると思っております。  今、率直に言って、国民信頼を我々政治家はから得ておるんだろうかということを考えますと、残念ながら否と言わざるを得ない環境にあることであります。相次ぐ政治スキャンダルや、あるいは時代が変わっても相変わらず古い発想から脱却できない、恐縮でありますが野党の一部の皆さん方、あるいは昨年のPKO国会での牛歩で見られたような古いパターンの対立、こういった姿を見て、国民は今の政治のあり方全体に対して憤激をして、白けておる。もはや古い政治家政党には期待ができない。何かしら新しいものにしか期待ができない。そういう環境になってしまっておる。このままで本当にいいんだろうか。しかし、新しいからといっていいというものではない。一体この日本をどのようにしようとしているのか、それが全くわからないままで、ただ憤りの余りにもしそういう選択を国民がすることになるなら、この日本丸は一体どこへ行くんだろうか。大海の真ん中で漂流するだけの姿になってしまう。我々は今こそそういった国民不信を払拭しで、そして信頼を回復して、やはり日本丸の航路を正しいところに戻していかなければならぬ。今我々はそういう重大な岐路に立っておる、こう認識をいたしておるわけです。  そのためには、やはり今回政治改革論議、我々今やっておりますけれども、決して今始まったわけではない。今まで何度もそういう機会はあった。だけれども、その都度期待は裏切られてきた。海部内閣末期のときもそうであります。そして今回も、国民の多くは、本当にできるんだろうか、いやできないだろうという人の方が実は多い。それくらい不信は高まっておるということを認識しなきゃならぬ。私は、今回この法案を、自民党だけではなくて、社会党公明党一緒になって改革法案をお出しになったことは、大変高く評価する一員であります。しかし、ただ単にこれらのことを与野党が出したからそれでいいというものではない。議論さえすればそれでいいというものではない。何としてもこれをやり遂げるのだ。しかも、今国会中になし遂げるという断固たる決意がなければ、茶番に終わってしまう。この論議を始める前よりももっと厳しい政治不信の中に我々はほうり込まれるということを考えなければならぬ。  そういう意味で、今国会、何としてもこれをやり遂げるのだ、こういう断固たる決意をぜひこの機会に表明をしていただきたい。まず自民党、それから社会党公明党、順次お願いをいたしたいと思います。
  4. 塩川正十郎

    塩川議員 野田さんの烈々たる気迫に、私たちも非常に心強いものを感じました。従来、政治改革議論されましてから五年経過してまいりました。その間確かに、一時期におきましては政治改革はできればやろうかという程度の、いわば消極的な面なきにしもあらずであった、そういう時期もあったと思いますけれども、しかし、この五年間ずっと流れてくる基調を見ますならば、やはり時代の転換に即した体制を、そしてその制度を改正していかなければならぬという意欲は非常に強かったけれどもお互いにこれは機が熟さなかったということも一つの要因ではなかったかと思っております。ところが、時代の進展は余りにも急激でございますし、特に世界情勢変化、そして一方国内におきましては、経済構造なり財政構造変化というものも、これも我々が想像せざる以上に激しい勢いで変わってまいりまして、確かに世の中が変わったということになります。そうなれば、この際に、今まで日本が支えてきた政治の安定という上の繁栄のみにこれを求めるということではなくして、これからの政治は刺激がやはり必要であるという、そして政治リーダーシップ国民が確実に選択し得るような、そういうシステムに変えなければならぬということ。それが今回の佐川事件等にまつわりますところのいろいろな疑惑事件、このことが一つ火つけとなりまして、さらに一層燎原の火が燃え盛ってきたのが現状ではなかろうか。  したがいまして、この機会を失しては私は政治改革の抜本的な改正が非常に後におくれてしまうような感じがいたしますので、この機会、つまりもう政治不信国民の中に燃え盛っておるこのときにこそ、それに的確にこたえていく姿勢を、そして対策を決めなければ、私は、国民不信が消え去らないし、またこのチャンスを生かし切れないと思いますので、私は不退転の決意でこれに取り組む覚悟でございます。それがために過去何回となく我が自民党内におきましては案を練り、そして想を重ねて我々とともに勉強し提出した法案を関連四法案として提出させていただいた次第でございますので、どうぞこれをよく御審議していにだきまして、この国会で何としても与野党双方こもが審議をし尽くした上で決着をつけたいと、う思って実現を図りたい、こう思っておるところであります。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 野田議員とは全く同世代の人間といたしまして、我々政治に身を置く者として、今日本が持っております課題世界におきます日本役割あるいは戦後五十年近くたって日本のもろもろの諸制度というものが大きな壁に来ているという問題、あるいは高齢化社会を迎えつつある問題に対するいろいろな対応、挙げていけばたくさんの課題があると思います。まさにそういった政治が改革していかなければならぬ課題に今大きく直面をしているという認識は、私も一致をするわけでございます。  おのおののテーマにつきます対策につきましては、大きく違ったり、ほとんど一緒だったりすることもございますが、今はそのことはさておきまして、しかし何をやるにいたしましても、これだけ政治家不信政治に対する期待絶望というものに取り巻かれておったのでは、私たちは何もできないと思うわけでございます。金丸前自民党副総裁のあの巨額脱税事件のときに、私もちょっと中小企業節税団体をやっておるのでありますが、それであれは三月六日で、三月十五日の税の確定申告ぎりぎりの日だということで、公共事業を扱っておりますゼネコンが献金をしているということは、結局自分たち税金のピンはねではないか。こんなことならば、とても私たち税金を納める気にならない。まさに私たち政治不信の真っただ中。そして、絶望のがけっ縁に国民皆様方を立たしているという状況だと思っております。  したがって、私たちといたしましては、ぜひとも審議を尽くして、今国会、これも後のことを考えましても、これから小選挙区をつくる審議会等々、それから周知期間、具体的になさいますと、来年の二月までしか我々の任期はないわけでありますから、そういった後の日程を考えてみましても、これは今国会中に成立をさせなければ、この機を逸したら私たち国民のこれだけ盛り上がった世論に対してこたえることができないのではないか、こういう決意で我々も公明党さんと一緒法案を出した次第でございます。
  6. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えいたします。  先生が先ほどお述べになりましたように、現在も政治的な諸問題が山積しており、その問題の背景にあるものは国民政治との間の断絶であり、その断絶を来したものは強度なる積み上げられた不信であるという点につきましては、全く意見を同じくするものでございます。  これからそれに対してどういうふうに対応していくか、恐らく論を進められると存じますので、そこからまたお答えをしてまいりたいと存じますが、私としても、この政治不信を取り除くための最初のきっかけは、深い反省から生まれる議員の信義でなければならぬと存じております。そしてそれは、対決を求めて争うのではなく、次の時代を目指してお互いに知恵を出し合い、よきを学びつつ統合していく能力が問われているのではなかろうかと存じますので、よろしくお願いしたいと存じます。
  7. 野田毅

    野田(毅)委員 何となくからっとした答弁が、それぞれいまいちどうかという感じもするのですが、本当に、もう一遍答弁を求めませんが、確認をしておきたいのですが、それぞれ自社公三党とも今国会で何としてもこの改革法案をともにまとめ上げるという、この決意お互い共有しておるということを確認をさせてもらいたい。うなずくだけで結構です。それぞれうなずいておられると思いますから、よろしいですな。  そこで、これは本会議でも既に議論がなされておることだと思いますが、あくまでこれは一部分だけを、まとまるものからやろうというようなことではなくて、パッケージとして四法案を一括してやるのだ、このことに変わりはないですね。それぞれ一言でよろしいですから、イエスかノーかで答えてもらいたい。
  8. 塩川正十郎

    塩川議員 イエスです。もちろん一括であります。
  9. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 当然、これは一括して成立させるべきそういう連関性のある法案であると私たちも思っておりますし、今国会、ぜひ成立させなければいかぬ、こう思っております。
  10. 渡部一郎

    渡部(一)議員 四法案につきましては、社会党との協議の上で、断固この国会におきまして一括して処理するのが最上の策だと存じております。政治ですから、余り協調を欠いて、ごたごたする場合には別の結論が出るかもしれませんけれども、そういうことはあってはならぬ、断固やるべきである、こう思います。
  11. 野田毅

    野田(毅)委員 余りそれ以上深くは言いません。  そこで、率直に言って、内容審議をする前に余り出口論をするのはまだ早いと思います。しかし、ただ国民はよくみんな見ているのですよ。だから結局、それぞれ各党なりに大変な論議を積み重ねて、各党それぞれにベストと思う案を提出をしておるわけです。したがって、それが、参りましたというような、さらにそれを超えるような案が出てくればともかく、そう簡単に自分たちの案よりも相手の案の方が上だということは、これはなかなか難しい。そうすると、これはどうしても平行線ということにならざるを得ない。そうすると、建前はやるんだと言いながら、結果は意見相調わずで平行線のままで終わりましたということになるんじゃないかと、みんなそう見ているのですよ。その際に我々は、(発言する者あり)今やじも出ているけれども、すぐ相手が悪いということをお互いが言い合って、責任のなすり合いをして、結局責任の所在をうやむやにしてしまっておるという、こういう姿にみんなあきあきしているわけです、実際。  だから、本当にこうやってやるということでスタートした以上は、やはり最後においていろいろな十分な議論を尽くして、謙虚にそれぞれの立場考えをも聞きながら、最後は大胆な妥協をやらざるを得ないという場面も私はあり得ると思っております。そういう点で、それぞれそういう大胆な妥協をやる用意があるのかないのか、この点をまず社会党公明党、伺いたいのです。
  12. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 御指名でございますから私の方からお答えをさせていただきますけれども、おととい本会議で初めて審議に入ったところでございます。  野田先生の言われることはわからぬわけではございませんけれども、私たちは数段自民党さんの案よりもいいというふうに国民皆さんに御理解いただける、極めてこちらの方が民主的な案だと私たちは自信を持っているわけでございまして、これからさらに国民皆さん方によりわかっていただければ、おのずと行くべき結論のところは決まってくるのではないか。つまり、併用案の方がよりいいのではないかというふうに私はなるだろうと確信を持っておりますので、特に大いに反省をいただかなければならぬ自由民主党さんにおかれましても、より、そう言われるならば私どもの案に御理解をいただきたいということを現時点では申し上げる以外、私は言えないと存じます。
  13. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えさせていただきたいと思います。  委員のただいまおっしゃったことにつきましては、ある意味で本院全体の議員たちが何回も考えていることだろうと私は思います。それはいずれにせよ、いつか答えは出さなければならぬ問題だと存じます。  確かに、今議論が始まったばかりで、私ども提出しました法案内容皆様方全部に十分わかっていただけたかどうかわからぬ点がございますから、これから何回もお話しさせていただきたいと存じます。そして、自民党案につきましても、相当わかったつもりではおりますけれども、いろいろ聞かせていただきたいと存じております。最後には、おのずからそういう結論が生まれてくるのではなかろうか。私は、非常に善意に満ち満ちて、また楽観的であると誹謗されるかもしれませんけれども、そういう立場で進めてまいりたいと思っておるわけでございまして、今委員がおっしゃったことに対して拒否するとかどうだとかいうような立場はとりたくない、こう思っておるわけでございます。  小選挙併用型比例制選挙法につきましては、民意を一〇〇%反映する極めて優秀な制度でございまして、三〇%の得票の政党は三〇%の代表を出すという意味では、我が国の史上初めてと言われるほどの立派な制度である。その基本的なところは私は皆さんも十分お認めになった気配を感じておるわけでございまして、今後ますますその点は丁寧に何回も御説明をしたいと存じておるわけでございます。  小選挙区制についてリーダーシップをという、自民党議員もたくさんこのところ拝聴したわけでございますが、リーダーシップをという言葉の裏に、少数しか票をとっていない者が大多数の議席を一挙に占拠するという、まるで何か昔の政治のような感じをたくさん受けておることは事実でございまして、それについては全くどうも理解ができておりませんで、その意味ではまた妥協できるかと言われてもちょっと言いにくいかな、こんな感じがしておるわけでございまして、この辺にとどめたいと思います。
  14. 小渕恵三

    小渕議員 政治妥協であるという言葉もございます。しかしながら、我が党といたしましては、四年半にわたりまして数百回の検討を加えましてつくり上げた単純小選挙区でございます。この際、国民皆さんにもその法律案の趣旨につきまして御理解を賜りたいことでございます。  残念ながら、一般的に選挙制度につきましてはなかなかわかりにくい点もございまして、よく新聞にも出ます併用制とか並立制とかという言葉がございますが、一字違いだから似ておると、こういうお考えを持たれる向きもありますが、並立併用の間だけでも根本的な政治制度の違いがあるわけでございます。  今日、私どもの案と社公の案は、これは水と油だ、こういうことを言われる向きもございますが、私も代表質問のとき申し上げましたように、我が党の案は長い間の研さんの結果国民に主張いたしておることでございますし、半世紀、一世紀にわたって日本の民主政治の根本にかかわることでございますから、自信を持って提出をいたしておるところでございます。今後、我が党の案に対して国民理解を求めると同時に、ある意味では謙虚に社公の案につきましても勉強させていただいた上で我々としては結論を出すべきものだ、こう考えております。
  15. 野田毅

    野田(毅)委員 私は、審議、これから中身についてそれぞれのメリット、デメリットなどをもう少し掘り下げてやった後でそういうことを聞くべきであったかもしれませんが、ただ少なくともこれを何とかまとめようということであるならば、答弁者の皆さんは提案者ですから、自分たちが出した提案がベストだということを一生懸命主張しなければならぬ立場にあるのはよくわかります。しかし、最後にまとめようということになれば、それはそれとして、やはりどこかで妥協せざるを得ないということは、これは当然だれが考えても当たり前の話なんですよ。  だから、そこのところをよく頭に置いて対処していかなければだめなんだ。でなければ、この論戦を通じて、お互いの弊害だけをあげつらって、対立点を深めて、広げて、溝を深めていくというようなやりとりをしておるのなら、何のためにやっているかわからない、これは。そういう意味で、そこのところは我々も十分注意をしていかなければなりませんが、答弁をされる皆さんもしっかりそのことを肝に銘じて、やはりまとめる一員なんだということを肝に銘じでやってもらいたい、こう思うわけであります。  そこで、それぞれの制度については順次お伺いをしていきたいと思うのですが、それに先立って、今回少なくとも共通しておる最大のポイントは、少なくとも選挙制度にしても、あるいは政治資金の制度にしても、今までとは違って、いずれも政党を中心にする制度に改めるんだ、この思いは自民党案でも社公案でも共通をしている。この点が、この前の、二年ぐらい前になりますか、あのときと違った環境になっている。そういう点では、一歩も二歩も社会党公明党も前進された。あのときは、少なくとも中選挙区制における抜本是正ということを譲らなかったわけですね。それをよくぞそれから卒業して、制度改革そのものに踏み込んだということを、私はその点は敬意を表したいと思いますね。だから、ただそれにはいろいろな産みの苦しみもあったと思うんだけれども、なぜ中選挙制度をこれではだめだということに立ち至ったのか。言うならば言葉は悪いけれども、宗旨がえをなされたのかということをこの機会にちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  16. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 御承知のように、今の中選挙区制において自民党さんがたびたび言われますように、複数候補者をたくさん百三十選挙区全部立てなきゃいかぬ。無所属の候補者もその中で立たれる。その中では、結局政策の争いではなくて金の争いになっているし、これが今日の腐敗を招いたというのが自民党さんの御事情でございましょう。私もわからなくはありません。  我々にとりまして中選挙区制の場合には、戦後第一回目のときには、大選挙区制で連記制でございましたけれども、総定数に対しまして七五%の候補者を戦後第一回目に出しておるわけであります。しかし残念ながら、左右統一をいたしまして、三十年以降、あのとき百六十六名当選したわけてありますが、それ以降は総定数に対しまして五〇%以下の候補者ということになってしまって、これがいわば自民党さんの方は候補者をとにかく金の裏づけがあるにしろたくさん立てて、それで政権を維持している。私たちの方はどうしても共倒れということが起こって、次の選挙は一人に絞ってとにかく議席を回復しようということでやってきた。この悪循環が私たちが今の政治腐敗を招いた一つの原因である。  そういう意味で、私たちとしてはやっぱり政権交代ということを考えるときには、私たち自身がもっと候補者を出せるような選挙制度というものに変えていかないと日本政治はきれいにならない。こういうことで、私たちといたしましては、中選挙区制、まあ御承知のとおり世界でただ一つやっている国でありますけれども、これは言うまでもなく政党本位、政策本位のものに変えていくことによって政治をきれいなものにしていく。根本的には政権交代が起こるような制度に変えていこうということで、公明党さんと一緒法案提出した次第でございます。
  17. 北側一雄

    北側議員 お答えいたします。中選挙区制を廃止しなければいけないということで、三点我々は考えました。  一つは、今政治改革政治改革というのが言われておるわけですけれども政治改革の眼目というならば、これはやはり日本政治を、政権交代可能な日本政治にしていく。間違った政治をしたならば、政権がかわる。このような腐敗事件が起こったならば一政権がかわる。このような緊張感あるそういう政権交代可能な日本政治にしなければ、今の日本の腐敗政治を根絶できないといつふうに認識しております。この現行の中選挙区制で果たして政権交代が可能なのかといいますと、私はやはりこれは、これまで昭和三十年以来、自民党社会党の五五年体制ができ上がってから四十年近くたっておりますけれども、政権交代が現実としては起こってこなかったわけですね。また前回と前々回の選挙結果等を見ますと、自民党の前回の衆議院選挙におきます得票率は四六・一四%です。にもかかわらつ、議席数は五三・七%というふうに民意が必ずしも正確に反映してない側面もございます。この一点、政権交代可能な日本政治にするためには、もっと民意を正確に公正に反映した選挙制度にするならば政権交代可能な日本政治にできるだろう、これが第一点でございます。もう一点は、やはり選挙というものは政策本位また政党本位のそういう選挙制にしなければいけ払いと思うわけでございまして、現行の中選挙区制をとっている以上は、政権党になっていこうと思っているような政党は当然複数立候補しなければいけません。同士打ちが起こってまいります。そうしますと、この政策本位、政党本位の選挙というのにもやはり問題点があるんではないか、こう考える次第でございます。  以上でございます。
  18. 田邉國男

    田邉委員長 自民党への質問はよろしいんですか。
  19. 野田毅

    野田(毅)委員 答弁者は私の方から要求しますので、どうぞ御放念ください。  今佐藤委員、ちょっといろいろ余談の方が多かったんで、もう一つ選挙区がなぜだめであったのか。これはやっぱり率直に言って、社会党の中でも我々の党でもそうですよ。だって我々は現在、今の中選挙制度の中で上がっているんですから、実際住みなれた家なんですよ。この住みなれた家を壊して、次にどういう家が建つかわからぬところにみんなで出ようというんでしょう。それはやっぱりこの先自分選挙がどうなるかということを考えたら、これは大変な決断が要るんですよ。大変な議論がある。いまだにやっぱり住みなれた方がいいと思っている人も多いんですよ。  それをあえて捨てて新しい制度に行こうというには、やっぱり中選挙区はだめだったんだと。それはそれなりの役割を果たした時代はあるけれども、もはやこの時代には合わないんだ。極端に言えば、今日のもろもろの原因はやっぱりこの中選挙制度にあるんだということがお互いにあったからこそ、こういう提案を社会党公明党自民党も我々は出している、こう思っているんですよ。そういう点で私は、公明党北側さんがいろいろ具体的にお話しになりました、よくわかります。  そこで、我が自民党でも随分とこの論議を続けてきました。若干重複するかとは思うんですが、やっぱり国民皆さんにも、選挙制度ということはどういう形で有権者が選ぶかということにかかわるわけで、やっぱり有権者にももう少しよく理解をしてもらわなきゃいけない。なぜ今の制度が悪いんだと。メリットは決してなくはないんですよ。どんな制度でもメリットとデメリットはつきものです。それは今回じ政党で同士打ちということは非常に弊害をもたらしているんだけれども、逆に言えば、同じ政党でも有権者から見れば、やっぱり好く好かぬというのはあるんですね、タイプがどうとか。そうすると、品ぞろえが多いから、選ぶ側からすると非常に選択肢が広いわけだから、いいじゃないかという議論だって片っ方ではあるわけです。だけれどもやっぱり、そういうメリットがあるかもしれないが、それを超えるデメリットが多過ぎるんだということを自民党内でも随分論議をしてきた。その点で自民党の方から現行中選挙区の弊害、具体的に少し列挙してもらいたい、こう思います。
  20. 石井一

    石井(一)議員 中選挙制度が七十年も続いておりまして、国民皆さんも非常になれておられると思います。これが本当にわかりやすい制度でもございますし、もう自分の支持者はこれだというふうなお気持ちを持っておる方が、このテレビを見ておられる方もたくさんあると思うのでございますが、ただ申し上げたいことは、基本的なことを少し申し上げさしていただきまして我が党の事情を申し上げたいと思いますが、まことに唯一無二、世界でただ一つこの制度をやっておるのは我が国制度でございます。これは政治的には非常に悪いと言われておるのでございます。今から申し上げますから、ひとつよく聞いてください。  そこで、政党制度としては、釈迦に説法かもわかりませんが、単独の独裁政党、それから二大政党、それから最後に多党政党、こう三つの分類に分かれると思います。日本の場合は自民、社会、公明、民社、共産とあるんですから、多党の政党であるというふうに御認識になりますが、内容はそうじゃございません。これは、日本制度は一カ二分の一政党制度とも言われておりまして、二大政党になってない。それはどこに問題があるかと申しますと、与党がただ一つあり、政権担当能力を持っており、それが国民政党である。野党の社会党、野党の第一党に始まって他の四党は、政権担当能力も意思もなければ、まあ能力もない生言えばいけませんけれども、そういうふうに理解をされておるわけでございます。だから、よく聞いてください、ちゃんと申し上げますから。きょうはこれは非常に議論するところですから、反論があれば反論してください。  それはどういうことかと申しますと、今佐藤さんも申されましたように、立てるような選挙制度にしてくださったら立てるんだけれども自分の党は立てないと、こう言われるのでございます。だから二百名ぐらいの小選挙区にしたら立てるんかなと思うんですが、それじゃ社会党のために政治はあるんではございません。要するに、政権をとるためには過半数の立候補、全選挙区においても過半数の者を立ててそれをとるという姿勢を見せないと、それはネズミをとらぬ猫なんて大変申しわけございませんけれども、そういうことに客観的にはなってしまうのでございまして、野党は冒頭から、のっけから政権をとる意思がないと国民から見てもいたし方のない状態であるということは、現実の事実ではないかと思います。  そこで、それでは政策の議論が小選挙において行われるのかという問題なんでございますが、与党は政権をとっておりますのである程度のことを主張するけれども、野党はもう最初から政権をとる意思がないのでありますから、結局、無責任なんであります。結局、総花的に何でも言われるということになるのであります。要するに、平和はやる、不況は克服する、減税は行う、そして消費税はやらない、福祉は大きくするとか、これはもうできないところへ来ておるのであります。ところが、野党は自分がすぐに舞台の上へ上がって仕事をするという気構えがございませんから、結局何でも並べる、こういうことになってくるわけでございます。国民の方は、そうなるのかなと思って見るけれども、まあどうせ野党の言うことだったらいたし方ないな、こういう判断になってしまうのであります。これが一カ二分の一政党。これは選挙制度の基礎であります。  それから、与党の方も問題があるのでございます。与党の方は完全に過半数をとる意思があり、そして政権を担うというそういう立場にありますだけに、同じ政党で同じ政策を言うべき者がまた違うことを言うのであります。野党も違うことを言われますけれども、与党の方も、消費税は党は、賛成しておるけれども自分はひとつ反対してみせるとか、PKOはこうだとかと。こうなったら、この中選挙区制というものはお互いに無責任ががっちゃんこになりまして、全く国民から見れば政策不在の選挙を四十年間、五十年間繰り返してきておる。これは本当に我々は、中選挙区の弊害として、十分肝に銘じなければいかぬところではないかと思うのであります。  そうして、自民党の中には、これも反省の念を込めて申し上げますけれども、まさに個人の後援会の組織づくりとサービス合戦の戦いになる。しかしそれをやれば、政策不在であっても、野党さんはどうせ政権とられないんだから我々は勝ちゃいいんだ、もう無所属でも何でもいい、こういうことになってきておるのでございます。そうして、その後ろに派閥というものが連動してきておる。これはますます問題の病根を深くしておる、私はそういうふうに認識をいたしておるわけでございます。  この中から基本的な問題を変えていかなければいかぬのでございますけれども、私本会議でも申し上げましたけれども、過去二回、この中選挙区が定着した大正十四年と昭和二十二年というのは、やはりこういうふうに四党か五党ありまして、それらがお互いに生き残るためにつくった。これは、我々この際、第三回目の過ちをしてはいけないということを強く考えるわけでございます。大正八年に中選挙区が導入されまして、しばらくこれが続きましたけれども、そのときに床次内務大臣が発言をしております言葉がございます。これはもう今も生きておると思いますので、ひとつお聞き取りをいただきたいと思います。  大正八年二月のこの当院における発言でございますが、「選挙費用の多くかかるということは、けだし選挙界に立つ者何人も争うことのできない最も大きな事実であります。」「次に大選挙区たるがゆえにこれは中選挙区のことでございますが、「お互い選挙場裏に立って最も困難を感ずることは、同士打ちの弊害であります。」そして「今日の制度は、名ばかりは大選挙区でありますけれども、各候補者はおのおのの根拠地を擁し、そして私設選挙区を設けているのが実情であります。」これはこういう中選挙区の中で拠点を設けておる、これは自民党がそれだけもう多くやっておるということであります。「この事実は我が国選挙制度が小選挙区たらざるべからずということを証明しておるものであります。」こういうことでございまして、七十五年、八十年前からこの弊害が主張され続けておるのにかかわらず、我々議員が自律と反省がなく今日に至っておるということを私は反省いたしております。
  21. 野田毅

    野田(毅)委員 答弁がみんな大分長いので、だんだん予定する質問が全部できるかどうかちょっと懸念を覚えますので、できるだけ簡潔にポイントを得てお願いをしたい。それから、やはりこの場は何とかまとめようというための委員会ですから、答弁者もできるだけそういうことを頭に置いてやってもらうように、両方見て言いますが、できればお願いをいたしたいと思います。  それで、大事なことは、現在の中選挙制度ということが、諸悪の根源という言葉は悪いのだけれども、やはり非常に問題だと。本当は僕は石井さんからは、まだまだもう少し有権者にわかりやすく中選挙区の弊害について、同士打ちの話だとか、それがいずれ必ず、これはどうしても政権党というのはそういう宿命になってしまうのですね。政権とるためには、五人区であればどうしても三人以上出さなければならぬわけです。だから、本当に社会党が政権を目指すのなら、やはり五人区で三人以上立てなければならぬわけです。たまたまそれだけの、それ以上は言いませんが、対応をされなかったので、事実上野党の皆さんはどんな選挙区でもほとんど、例外はありますけれども、一選挙区一人しか候補者を出していない。事実上小選挙区という姿になってしまっていた。  そういう意味で、政権を目指す政党は、宿命的にこの中選挙制度のもとでは同士打ちをせざるを得ない。同士打ちということになれば、政策がそっちのけになって、より人間的な関係だとか、情実だとかサービス合戦ということにならざるを得ない。政策よりも冠婚葬祭の方が重要にならざるを得ないということ、これは必然の帰結なんだ。あるいはそれに伴って派閥的なこともあるし、金の話も出てくるのじゃないか。  あるいは、最近政治全体がおもしろくないという中には、やはり世襲化という問題もある。やはりこれはハードルが低い。したがって、特定の後援会を中心の選挙になるわけですから、後援会の中でいえば、血のつながりが最もカリスマ性があるわけですね。だからその家族とかだけではなくて、その秘書とか系列の県会議員とか、系列の業界とか、それは自民党だけでもないのですね。例えば労働組合だとか、やはり似たようなことになってしまう。だから、これだけどんどん多様化した社会の中では、もっと新しい人材が、どんどん有能な人材が政治世界に入ってこれるような、そういうことをこの中選挙区制は妨げておる面もあるのだということも実は、やはり本当はそういうのを指摘してほしかったのです。  私は、あるいはいろいろな不祥事を起こす、不祥事を起こした場合に、いろいろ罰則を強化しろとか、これも一つの方法でしょう。だけれども私は、民主政治世界の中では、それも必要かもしれないが、単に罰則強化するだけが万能ではないと思っているのですよ。基本は、やはり有権者が、不祥事を起こした人間は次の選挙では上げないということが大事なことなんです。ところが、そういう点からすれば、この中選挙区制というものはハードルが低いのです。五人区でいえば、無競争ならば五分の一ですから二割だ。だけれども大体七人から八人、あるいは十人という候補者が出てくる。そうすると、その得票率が十数%で当選できるのですね。しかも、投票率を考えれば一〇〇%ではないわけですから、そうするとやはりもう本当に一割そこそこでハードルを越えることができるのです。これは後で小選挙区制のメリット、デメリットの中でもぜひそのことも論じていただきたいと思うのです。これは小選挙区なればハードルが高くなることは確実なんです。  特に、二大政党制に移行するということになれば、半分近い支持率がなければ当選できないということになる。今のままなら、八割の人間がだめだと言っても、一割の人間がかたい支持さえしっかり持っておれば必ず当選できるのですから、やはりそういうこともこの中選挙区制は秘めておるということを本当は指摘してほしかったということなんです。  私は、ここで大事なことは、いずれにしても今の制度は、自民党にとっても社会党にとっても、あるいは公明党にとっても決していい制度ではないということを先ほど来いろいろ承りました。であるとするならば、さっきお話しをしたように、古い家はもう随分柱も腐った、もう土台も腐った、屋根も腐ってきたんだ。であれば、この家を我々は壊して、一緒に新たな家を建てなきゃならぬ。そのためには、次の家ができるまでやっぱりここにおりましょうというと、どうしても決断が鈍る。そういう意味で、渡った橋を焼き切れ、渡った橋を焼き切れ、次には戻らない。  そういう意味で、中選挙区廃止宣言というものを、あるいは中選挙区決別宣言を、我々はこの際、それぞれ各党ごとに考えていいんではないか。この点について、まだいまだに未練があるということでは、後ろ髪に引かれてやっぱり戻っちゃう。であれば、ぜひこの際、各党ごとに中選挙区決別宣言をおやりになる意思はあるのかないのか、聞かしてもらいたい。  いつもの政府のあれからいくと、自民、社会、公明党なんですが、大体私は逆に、今回政治改革一つは、常に自民党が何かを言って案を出して、それに社会党公明党が何かを言うというこのパターンを変えてみるということも大事なことなんで、だからあえて今回は、これに対する答弁公明党社会党自民党の順番で聞きたい、こう思います。どうぞ。
  22. 井上義久

    井上(義)議員 野田委員の御質問にお答えいたします。  私どもは、中選挙区制が制度上劣っている、これは抜本的に改めるべきであるということで、今回、小選挙併用型の比例代表制を中心とした関連の法案提出したわけでございまして、中選挙区制に逆戻りする考えは全くございません。  ただ申し上げたいことは、この古い家はもうだめだ、したがって新しい家をつくらなければいけない、だからともかくこの古い家を壊しちゃえという議論であっては、やっぱり新しい家は随分遣うんだということを明確にして、古い家を壊さなければこれはいけないわけでございまして、新しい家は何でもいいんだ、古い家はともかく壊すんだということは余りにも乱暴な議論ではないか、こういうふうに思うわけでございます。  それで、私たちの提案しておりますこの小選挙併用型の比例代表制というのは、いわゆる選挙制度の一番基本である民意を正確に反映をする、この基本を一番柱に据えて、しかも今、この選挙制度改革に求められておりますいわゆる自民党の一党支配を打破する。そして、政権交代可能な民主政治日本にもつくるんだ。この突破口を切り開くことのできる私は選挙制度だと思いますし、あわせて政党本位の選挙、あるいは政策本位の選挙というものを担保する。こういうことで、令ともかく古い家は壊さなければいけない、この古い家の悪いところ、ここを直さなければいけないんだという問題を私は十分にクリアしているし、案だと思いますので、ぜひ自民党皆さんにも御理解をいただきたい。必ず結論は出る、こんなふうに確信をしておる次第でございます。
  23. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 本問題にお答えする前に、石井委員からの鋭いといいましょうか、我々に対しまして大変批判的な御答弁がございましたけれども、まず一つ申し上げておきたいのは、自民党さんも選挙で過半数をとられて、それは過半数をとられておらない方もいらっしゃいますけれども、得票率からいいますと五〇%を超えたことなんてないわけでありまして、余り大きな、七割も八割も国民の方々の支持をいただいているような言い方で物をするのは問題なのではないか。そしてその裏には、今腐敗の極に達するぐらいまで潤沢なる政治資金というものを持ってやってきた。私も選対委員長を五年やらしてもらいましたけれども、まあ感覚的には百対一という感覚の中で我々はやっているということも、ひとつ国民皆さん方にわかっていただきたいと思います。  それから、中選挙区制の問題につきましては、制度論の問題として先ほど公明党北側委員の方からもさらにお話がありました問題、あるいは野田さんの方から御指摘がありました中選挙区制の精神、制度そのものにつきましては、私も全く同感でございます。  ただ別に、だからといって賛成するつもりはないのですけれども、少なくも皆さん方が出された単純小選挙区制よりは民意を比例に近い格好で中選挙区制というのは反映をする、そこだけは申し述べておかなければなりませんが、さりとて、私たちは中選挙区制に戻るつもりはありません。ここで法案を出したことによって、しかもあなたから冒頭に決意を聞かれまして、今国会で成立させようといった決意で中選挙区制に戻るという橋は断ち切られているということで、既におわかりになることだと存じます。
  24. 塩川正十郎

    塩川議員 野田さんのおっしゃること、我々も全く同感でございまして、また法案提出する経緯等も十分御存じだと思っておるのでございますが、制度が変わるということを前提にして議論をしてきたこと、これは十分御存じだと思います。その上で法案提出したのでございますから、やはり中選挙区制ではだめだ、新しい制度を求めようということに乗り出してきたということは、これはもう間違いございませんので、しかも野党の方々も、今回は中選挙区制ではだめだ、この一点では私は一致しておると思うのであります。  それでは、これからどういう家を求めるか、どういうところを制度として定着させるかということが、まさにこれからの議論でございます。おっしゃるように、橋を焼き切って渡ったのかというこの気持ちは十分に酌んでいただかなきゃいかぬと私は思っております。  そこで、我々もこの国会で必死になってこの政治改革を実現させたいと思っておりますので、こいねがわくは、私はマスコミ等におきましても勝った負けたという議論、これがやはり国民には、私は、おもしろいかもわからぬ。おもしろいかもわかりませんが、政治家がこれだけ与野党ともに同じレベルにおりて悩んでおるんだということから見ますと、勝った負けたという問題ではない。この点が一番この法案の処理の難しいところだろう、こう思います。これが一点。  それから、もう一つ。願わくは、野党の皆さん方が教条的にならないように、ひとつやはり現実に即した議論をしていただくということにしたい。我々も、そのかわり自由民主党も、自由民主党は哲学を大事にする政党でありますから、哲学をきちっと踏んまえた論点に立って議論をしていきたい。そしてその上で、ぜひひとつこの実現を図っていきたい、こう思っております。
  25. 野田毅

    野田(毅)委員 改めて各党ごとに中選挙区決別宣言をするかどうか、それは各党自身で御判断をいただかなければなりませんが、少なくともここまでお互い法案を出して、そしてまたもとへ戻っちゃったということになったら、冒頭言いましたようにやっぱり茶番だということになりますよ、これは。そのときは、今の政治不信も大変だけれども、そのときの政治不信は天を覆うことになる。国政の紊乱きわまるということをお互い今からしっかりと肝に銘じて対処しておく必要があると思うのです。  そこで、先ほど来いろいろ聞いていると、基本は小選挙区と比例代表のそれぞれメリット、デメリットなり長所、短所の話になると思います。先ほど来盛んに佐藤さんも強調し、公明党渡部さん初め井上さんが強調しておられますが、少なくとも得票率に応じた議席数ということを、いわゆる代表理論、これに忠実にやるのが一番いいのだ。これが最大、唯一最大のお話だと思いますね。それはそれで確かに私は一理あることを認めますよ。一理なんです。一理なんです、それは。じゃ、日本国憲法をしっかり考えていますか。もともと日本国憲法をつくるときに、GHQの方は一院制を主張した。それは御存じでしょう。だけど、日本は二院制を主張したのです。それはもちろん貴族院の流れがありますから、廃止するわけにいかない。じゃ、そのときに、実質イギリスでもドイツでも事実上一院でしょう。だからこそ代表理論というものがあるわけです。  日本の場合、なぜ参議院をつくったか。最大の大義名分は、第一院が、いわば衆議院はバランスを欠くことあり得べし。その歯どめをするために、単なる補完ということではないんだ、言うならバランサーとしての参議院という制度を、だから解散のない参議院という制度が置いてあるわけですね。だから、政権をとった政党が単独で何でもかんでも自由勝手、独裁ができないように参議院という制度をつくってあるわけでしょう。これは憲法制定経過をよく見てみなさいよ。(発言する者あり)だから、あなた方、後で自分たちの質問のときにそれしなさい。そのことをやはりしっかり考えておいてもらいたい。  だから、その代表理論だけでいく場合には、率直に言って参議院無用論につながりませんか、基本的に。しかも、衆議院の選挙の最大の特徴は何か。ほかの地方選挙やら参議院の選挙とは最も違う最大の特徴は一体何だ。それは、まさに政権を選ぶ選挙なんですよ。政権そのものを選ぶんだ。民意とは関係ないんだ。それは関係がないというのは言い過ぎかもしれない。だけど、つまり衆議院の選挙というのは、代表者、政府が提案する議案を審議するだけが衆議院の役目ではないんだ、当然のことながら。最大のポイントは、政権をつくるという選挙なんですよ。そうでしょう。だからこそ解散があるんですよ。  そういう点からすれば、代表理論だけでいくということなら参議院は要らなくなっちゃうんだ。ドイツの場合は、事実上一院だからそうなっているんだ。そうでしょう。アメリカは大統領制じゃないか。だからイギリスはそういう、事実上一院でもなおかつ小選挙制度をつくっている。それはやはり労働党が——佐藤さんが本会議で、小選挙区になれば、イギリスだって保守党が何回かとっちゃってるよ、だからいけないと言うんだ。それは国民が保守党の方を労働党よりも選択したからそうなったんだ。だからといって、じゃ労働党は、今度こそは自分たちが政権をとるんだと言っているんですよ。負けたから、もう自分たちの政権をあきらめて中選挙区にしようなんて労働党は言っていませんよ。  つまり、そういう政権を選ぶ選挙なんだということを考えた場合に、参議院の本当に代表理論だけをやっていると、存在意義なり、これは一体どういうことになるのか、私は一遍聞いてみたい。どう思いますか、参議院のあり方を。代表制に持っていく、比例代表に持っていった場合に、参議院はどういう選挙制度を前提としますか。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 イギリスの国の場合には、貴族というのがある国であり、またドイツの場合には、御承知のように第二院というのが連邦政府の代表が来るわけでありますから、簡単にドイツは全く一院だというのはどうかなと思います。  そこで、参議院につきましては、野田委員の御指摘のように、我々が言いますように衆議院を併用制にした場合に、確かに比例と小選挙区があるというタイプ、参議院の場合には小選挙区じゃありません、一名区のところもあれば二名区、三名区、四名区のところもありますが、比例とそういった選挙区があるという、タイプが非常に似てくると思います。そこで、私は参議院無用論をとらないのでございまして、日本の民主主義が戦後四十何年ここまで来ましたのは、この両院があって、衆議院におきます委員審議、衆議院の本会議、参議院の委員会、参議院の本会議というものがあって、なるがゆえに自民党さんも警職法を初め、いろいろなファッショ的な法案というものはなかなか難しかったということもあって、参議院の意義は非常に大きいというふうに思っております。  あわせまして、衆議院を今度変えた場合に、どういうふうにあるべきかということにつきましては、自民党さんは自民党さんのお考えもあるだろうし、我々も我々の考えはありますが、いずれにしろ今、野田委員言われましたように、衆議院というのは政権をつくる場であるということは、私も場という表現が正しいかどうかわかりませんが、野田さんの言われる意味におきまして、衆議院というところから一つの政権をつくるということは私も否定をしませんが、しかし、そのつくるところの、土台であるところの議院の議席というものが国民の民意と全くかけ離れたところからできた内閣であるならば、それは全く虚構の内閣になるわけであります。  したがって、私たちは、参議院の場合にはもう少し地域性を加味をしたらどうかとか、いろいろ議論もあります。これから、本来ならば衆議院と参議院のあるべきものを議論をして、そして衆議院をこう変えるんだったら参議院はこう選挙制度を変えるべきであるという議論を本当なら私は並行してやるべきだというふうに思いますが、今やそんな事態、極めて切迫しておるという状況でございますので、私たちとしては、まず衆議院の改革をやろう。あわせて、そういう中で参議院はどうあるべきかというのは引き続き議論をしていかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
  27. 井上義久

    井上(義)議員 今、衆議院を比例代表にした場合に参議院の役割がなくなるんじゃないか、一院制になるんじゃないか、こういう御質問だったんですけれども、私どもは、日本は議院内閣制の国でございますから、やはり政権を第一義的に選出をいたします衆議院こそ一番民主的でなければならない。したがって、選挙で示された国民の民意というものがやはり衆議院の議席に正確に反映することが最も民主的な議会であり、その民主的な議会が最も民主的に政権を選出をするということになるんだろうと思うわけでございます。  その前提に立って、私は、参議院の問題というのは、今委員御指摘のように実は政党化していること自体が実は問題である、こういうふうに思うわけでございます。やはり参議院は私どもは良識の府であるという観点から、衆議院は民意を正確に反映をした比例代表、参議院についてはやはり人を選ぶ選挙ということが私は重要なポイントになるのではないかということで、試案といたしましては、ブロックによる大選挙区でやはり国民の良識を代表するにふさわしい人を選ぶ、個人を選ぶ、こういう選挙制度に抜本的に改めるべきである。そのことによって、衆議院と参議院、民意を正確に反映した衆議院が政党政治で、政党が中心に政権を担って政治を行う。そして参議院が良識の府として、国民から選ばれた、そういう国民の良識を代表する個人が日本政治をチェックしていく。こういう仕組みができ上がることが日本の二院制の一番理想的な姿ではなかろうか、このように思っているわけでございます。
  28. 野田毅

    野田(毅)委員 今の井上さんの参議院へのビジョンというのは、私はそれで一つの見識だと思います。ただ、実際に個人を選ぶ選挙ということになると、またいろいろ難しい問題、中選挙区で我々が感じたような非常に難しい問題がある。憲法上やはり選挙で選ばなければならぬということになっておるものですから、どうしても政党とのかかわり合いということを否定できなくなってしまうということだと思うんですね。だから、そうなるとそこのところが非常に難しい、率直に言って。我々も真剣にこの問題を論議しなきゃならぬと思います。しかし、今の御説明では、それはそれで私は一理あると、確かにそうだと思うんです。  ただ、ちょっと佐藤さんが、小選挙区だと虚構の政権だという話があったけど、それはやはり取り消した方がいいと思うんですね。イギリスは現に小選挙区でずっと政権担当しているんですからね。そうなると、小選挙区でできた政権がみんな虚構の政権だということになると、ちょっと言葉が過ぎるんではないかな、私はそう思いますね。ですから、この点はちょっと指摘だけしておきます。  私はさっきから言うように、本当に衆議院の選挙というのは、なぜ衆議院に解散があって参議院に解散がないのか。やはりそういう参議院のバランサーとしての役割、参議院の役割を重視すればするほど、多少衆議院がバイアスがかかった方が本当はいいんだ、逆に。そしてそうでなければ、代表理論でいくとこれ、おのずから連立政権を、結局はそこへ行かざるを得ない。連立政権をつくる、そこを目指すための単なる一つの理論構成にしかすぎないと私は思っていますよ。いろいろ本会議からの論議を聞いていて。言うならば、単独政権型を目指すのか、連立政権型を目指すのかということの分かれ目に私はなっていると思うんです、基本的に。  問題は、そういう中で、少なくとも小選挙制度ということは単独政権型を目指すんだ。そして、比例代表というのは結果として連立政権を常態化するということになる。これはもう、世界が比例代表を用いていればそうなっていることは、現にそういうことで明らかでありますね。じゃ、この比例代表理論に基づいて、単独政権をあなた方は想定しているんですか。まず、これは公明党さんに伺いたい。それは、少なくとも連立政権になろうというんなら、実際に基本政策が合致しないでそんなことができるんだろうかということなんですよ。  これはもう少し後ほど聞きたいと思うんだけれども、まずその前に、単独政権を想定しているのか、連立政権を想定しているのか、ちょっと答えてもらいたい。
  29. 井上義久

    井上(義)議員 野田委員のただいまの御質問でございますけれども、私は甚だ疑問に思うわけでございます。  要するに、私どもは、やはり民意というものが、国民選挙で示した民意というものが議席に正確に反映される、これを基本というふうに考えておるわけでございまして、単独政権になるのか連立政権になるのかというのは、やはりこれは選挙の結果によると思うんです。国民は本当に単独政権を求めるのであれば、やはり一つ政党に過半数の支持を与えるでしょうし、過半数の支持を与えるような政党がなければ、これは結果的に連立政権になるんだろうと思うんです。もし自民党が単独政権を目指す、我々ももちろんそうですけれども、それはやはり国民の過半数の支持を得るような努力をすることが、これは単独政権を結果的にもたらすということであって、比例代表であるから必然的に連立政権になるんだということは私は言えないと思うんです。  それと、要するに小選挙区であれば、例えば四〇%の得票率で八〇%、九〇%という議席を得ることができる。したがって、単独政権になる。全くそのとおりだと思いますけれども、果たして四〇%の国民の支持しかない、少なくとも六〇%が否定をしているような政権が立法府の議会において八〇%、九〇%も議席を占めてしまっている、これが果たして民主的と言えるかどうか、私は率直にお伺いしたい、こう思うのであります。
  30. 野田毅

    野田(毅)委員 少なくとも、代表理論に基づいて比例代表をやっている国々が現実に連立政権を避けられないという、これはお認めになりますね。そうでしょう、現実問題ね。だから、論理として一〇〇%そうなるとは言いません。しかし、国民が決めているとはいえ、それが現実の姿なんですね。幾ら理屈を言ったって、現実の姿はそういうことなんです。一つは、そういうことを言っておきたいですね。  それから、まず、なぜ連立政権になると我々が問題にしておるかということを言いたい。それは今、得票率が少なくて政権をとるのはおかしいという話があった。そうではないんです。(発言する者あり)いや、だけれどもそうでしょう。そう言わなかったですか。五割を切った得票率で、そして単独政権をとるのはおかしいという、あなたはそういう理屈をおっしゃったように思う。私はそうではない。それよりもむしろ大事な問題は、衆議院の選挙というのは政権を選ぶ選挙なんですよ、基本的に。そうでしょう。そしてその中で、政権をとらせたいと国民が願う、最も票を投じた政党が政権をとるというのが当然の話じゃないですか。そうでしょう。  現実にはじゃどうなっているんだ。イタリアの場合は、三党、第四党がキャスチングボートを握る、第七党の党首が総理になったりと、こういう歴史もある。じゃ、有権者は政権をどの党にとらせたいと思って選挙に投票したんだ。そうでしょう。もともと選挙は、有権者に向かって、自分たちが政権をとるとこういう政策を実現しますということを訴えて選挙するんでしょう。そしてその結果、でき上がった政権が連立になるときには、それは選挙民に公約したその公約が、その政策がどういうことになるんですか。第三党、第四党がキャスチングボートを握る結果によって必ずそれが曲がるじゃないですか。  あるいは、それがよくない、とんでもない、選挙で訴えたことを、選挙が終わってから、自分たちが政権に参画するためにその政策を途中で遂行を断念したり変更したりするということが、それで本当に、ちょっと黙っていなさい。それで本当に、ではそのときの選挙は何を有権者は選んだんですか。私は、それなら選挙をする前から、最初から、当選すればこの政党、この政党と連立をしますということを訴える、そして有権者に投票を迫る、選択を迫る、これは当然じゃないですか。それが、選挙が終わって、それぞれがみんな好き勝手な約束をして、さて多数の政党が誕生しましたよ。そしてそれが、選挙が終わった後自分たちが政権に入るということで、自分たち選挙民に公約したことを棚上げにして、勝手に談合をやって決めていくということは、今勝手な議会の調整機能と言ったけれども、それは野合そのものじゃないですか。そうでしょう。一体、有権者との関係でこの連立政権というものが本当に誠実な政権を選ぶ選挙であるのかどうか、私はその点についてちょっと考えを聞かせてもらいたいと思うのです。
  31. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 野田先生に逆にお伺いしたいのですが、自由民主党もたくさんの議席を持っていらっしゃるけれども、それじゃ自由民主党の選挙時に公約したことが全部一〇〇%絶えず実現しているか。必ずしも、予算の問題その他のこともあって、そうならない場合もあり得るわけですよ。今、野田さん心配をされましたが、あなた方の言うのは、全部何か実現をしていると言われる。したがって、選挙の結果、あるいは野田さんの御心配になることを言えば、事前に例えば、今はここができておりませんが、社会党公明党、民社党さんで、ひとつこういう政策でこういうことをやります。この前の衆議院選挙のときも、社公民、社民連で、四党で政策をつくり、それから候補者は、過半数を十名多い候補者でやっているわけですよ。  ですから、野田さんが心配されたように、選挙の結果そういうふうになる場合もあるだろうし、選挙以前にそういう協定をつくってやる場合もあるわけです。その際に一定の、当然のことながら同じ方向の政策ということがあるわけですから、もちろんその間にはいろいろな調整をして政策を実現をしていくことがあるわけでありまして、どこの党が一〇〇%物が実現をしなければ政治にならないということではないと私たちは思っております。
  32. 野田毅

    野田(毅)委員 私は、そんな、お互いできれば、きょうはお互いのそういうことを言うまいと思っているんです。それは社会党も消費税廃止を公約して、できていないじゃないかとか、お互い今そういうことを答弁でおっしゃったから、私はあえて言ったわけです。  だから、そういう話をしないで、制度論としてどうなのか。だからそういう中で大事なことは、では基本政策、それは経済政策のいろんなこととか、あるいは技術的なことだとか、あるいはそれを早くやるとか少しおくらすとか、当然あると思いますよ、政治世界ですから。だけれども、野党が連合することはできるんですよ。テーマごとにできるんだ。だけれども政権は、テーマごとに政権はつくれないんですよ。テーマごとには政権づくれないんです。今ヨーロッパの話を出しているけれども、ではなぜヨーロッパで、ドイツをよくお出しになるが、それはドイツは社民党が基本政策を完全に変えたからできているんじゃないですか。そうでしょう。  それじゃ聞きますけれども社会党は自衛隊が、もう合憲だとか違憲だとかそんなことを論議を超越して、当然のこととして合憲論になっているんですか。まだ違憲論から卒業できないでいるんでしょう。そうでしょう。まだ議論しているんだよ。エネルギー、原発問題もそうなんだ。そうでしょう。あるいは日の丸。いわゆる国歌・国旗の問題についてだって、率直に言って今大変な産みの苦しみをしていることはわかっている。だけれども、まだ産みの苦しみの段階なんですよ。そういう意味で、国家の基本政策というものが合致しないで連立政権ができるんだろうか。これは僕、公明党に伺いたい。本当に社会党が今のままの基本政策を掲げて、それで公明党社会党と連立政権組めますか。どっちに合わせるんですか、基本政策は。
  33. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答え申し上げます。  公明党がどの党に行くのかについて、先生は大変御心配しておられるのだろうと存じます。その御心配、ごもっともと存じます。  政権協議については、いまだまとまっておりません。というのは、今までは、小選挙区比例代表制のような、まあたかだか四〇%そこそこみたいな票で一党でぽんと政権をおつくりになっていたわけですから、そういう面倒な手続は不要であった。私たちが衆議院に公明党として出てまいりましてから二十六年過ぎておるわけでございますが、その間において私たちはじっと見ておりますと、五〇%を超す得票を自民党が得られたことはなかった。それで政権というのはとれるものだなというのは、私たちの素人っぽい驚きであったわけでございます。その驚きのまま二十何年たってしまった。そしてそこにほこりが積んできた。これはだめだなと私たちは率直に思うわけであります。したがって、汚職だとか腐敗だとかということを横にどけましても、政策的にも一党でやっておりますと相当のゆがみがあることを、私たちは横で見ていてしみじみと感じているわけでございまして、社会党とはタイプが違いますけれども日本を憂えることについては人後に落ちないところでございます。  そこで、今後はどういうことが必要なのか。私は、今見ておりますと、この二十数年の経験を見ておりますと、日本国民は、一党に過半数を与えるということは全部否定し続けてこられておられる。そうすると、日本国民が選ばれるところは、当然、何を選ばれているか。過激な政権の変更とか政策の変更を求めておられるのではなくて、穏当な、連合による政権を志向しておられるなということは私たち感じておる。ただ感じているだけであって、そこの選択を私たちは迫っているわけではないのです。今度の選挙制度において、連合というやり方になるか、一つの党が五〇%を超してやるかは、選挙をやってからの話だ。その民意に快く従おうではないかと言っておるのであります。  そして、例えば一党と二党、第七党が政権のトップを占めたというお話をひどくおっしゃっておられるわけではありますが、きのうも本会議場で申し上げましたように、私どもは残念ながらそういう余り外国のことをよく知っているわけではありませんから、外国の国名を挙げて言うときはその国の罵倒にならぬようにお互いに気をつけてまいりたいと思うわけでございますが、たとえその国が第七党が首相になることを選択したのであれば、それはしょうがないことであって、その国の問題だと私は思います。  そして、ヨーロッパにおきましての例を先生はもう十分御承知の方でございますからまことに失礼でございますが、ヨーロッパの場合はどういうふうに選択してきたか。政権に加わりそうな政党は、組んだらどうなりますということを最近は事前にお話し合いをされて選挙戦に臨むのが普通でありまして、それを全然言わないで選挙戦に臨むなんということは、まずない。したがって、何とかグループとかかんとかグループとか、右派のグループとか左派のグループだという言い方をしながら、事実上の政権連合の話し合いをしたグループごとに選挙戦は行われているわけであります。  私は、余り知恵はございませんが、これだけでも随分、我が国に適用すればいいお話し合いになるのではないかと思っているわけであります。自民党社会党がお話をされることもありますでしょう。自民党公明党がお話をするケースもございますでしょう。自民党と民社党がお話をされるケースもございますでしょう。共産党ともあるかもしれません。そして、私ども社会党とお話をすることもあるかもしれません。その中で選挙戦の前に、連合してこういう政権つくるよというお話をしないで選挙に臨んだとしたら、それは怠慢というもので、これは国民の非難を受けることにつながるでしょう。  したがって、私どもは、そういう意味で善意ある国民の民意というものに従う、民意を大切にしていくという意味でこの併用制、小選挙併用型比例代表制というのはよろしいものではないか、こう思っておるわけでございまして、原則的なお話をまず委員に申し上げた次第でございます。
  34. 野田毅

    野田(毅)委員 私が聞いたことへの端的なお答えが余りなかったので。  私は、社会党が、社会党公明党と足して過半数を占めるという姿に比例代表でなったときに、そうなったときに社会党の基本政策が今のままであって、そして公明党は連立が組めるのでしょうかということを聞いているわけです。だからということが、つまり、これは非常に大事な話なんですよ。これがないと、現実の日本政治がどう動くのかというと、社会党の基本政策が変わらない限り、大きなお世話じゃないんだよ。これが一番大事なんだよ。そうでない限り、結果として比例代表制度ということは、やはり自民党の単独ではないかもしれないが、自民党を核にして、自民党プラス公明党とか、自民党プラス民社党とか、そういうことを志向するということになるんではないですかということを私は公明党に聞きたかったわけです、基本的に。  まあいいや、大体さっきの答弁の中で何となくニュアンスは出ておりますから、これ以上は言いませんが、ただ一つ気になることは、先ほど来、自民党の得票率が四割程度、五割以下で常に云々という話があるんです。しかし、ただ得票率ということは、候補者を何人立てるかということによって随分遣うんですよ。たまたま例えば民社党の場合は、全選挙区に候補者を出していないから得票率という点では少ないかもしれない。そうでしょう。共産党は皆出しているから得票率は高いかもしれない。だから、全選挙区に全部候補者を出しておる政党と特定の選挙区にしか候補者を出していない政党があるわけですから、当然得票率と議席の数が異なるのは当たり前の話なんです。そうでしょう。自民党がみんな出したところで、あなたは——あなたに聞いてないんだから。いいや、まあついでに言いますよ。  自民党の場合にも、全部は当然ですよ、政権をとる意欲があるんだから。そうでしょう。だけれども、やはり当選をさせようということもあって、ある程度立候補者を絞っておることも確かなんだ。それはやはり選挙技術の話なんです。我々が得票率がもっと欲しいというんなら、もっと候補者を立てたって構わないんです。そのかわり同士打ちがひどくなって、当選の確率が少なくなるかもしれない。したがって、得票率ということと議席の数ということが決してパラレルな話ではないんだよということは、これは子供だってわかる話なんですから、それはしっかり頭に置いておいていただきたい。これが大事なポイントなんですよ。  そこで、もう時間があるんで、後できれば中西議員に譲りたいとは思うのですが、基本的にこれは小選挙制度のメリット、デメリット論にもう少し突っ込んでいきたかった。どうも先ほど来、私は、社公の皆さんが小選挙区についてのデメリットを、最大のポイントは得票率と議席数の話、その一点に絞っているような気がしてならないのですが、そのほかに何か、それを超える何かがあるなら、ごく簡潔にポイントだけちょっと言ってくれませんか。もう演説は要らない、時間の関係があるから。小選挙区のデメリットをあなた方は具体的に何が問題なのかということを、少しポイントを絞って言ってください。
  35. 日笠勝之

    ○日笠議員 私たちは小選挙区制の実験者じゃございませんから、今まで寡聞にしてしか聞いてない範囲ではございますけれども、まずその中で一つだけ例がありますね。奄美群島。ここの例を見ていただければ、そこに全部の欠点が集積されているのではないか。私の方から、いいことがあったといったならば野田委員の方にお聞きしたいと思うのです。全部ああいうふうになるだろうという推測、それから死に票が多いということとか、それから、しこりが残りますね。恐らく野田委員のところでも、知事選であるとか市長選挙、町長選挙の後を見て、勝ち組が負け組の一切の仕事も人事もやってしまうとか、小選挙区制で一人しか選ばない選挙、こういうことになれば、そういう過去の事例が物語っているんじゃないかと思います。  先日アメリカヘ行ってまいりました。アメリカの下院は同じく小選挙区制ですが、金曜日、土曜日、日曜日、月曜日、週四日間は審議ができない。全部地元に帰らなければいけない。地元サービスをしなければいけないんだ。こういうことで果たして、先ほどからおっしゃるように国会議員として天下国家、世界が論じられるのかどうか、こういうようなことを感じておるわけでございます。世襲制もあるであろうというようなこととか、いろいろ欠点の方は幾らでも言い並べることができますが、残念ながら長所はちょっと言いがたいというわけでございます。
  36. 野田毅

    野田(毅)委員 自民党、お待たせしました。今いろいろ小選挙区のデメリットの御指摘がありました。それぞれについて反論の機会をこの機会に与えますから、ひとつ逐一反論をしてください。そして、あわせて小選挙区のメリット、今デメリットが指摘されましたから、それに対する反論とあわせて小選挙区のメリットということを、今メリットがないなんということを言っていましたから、逆にメリットをこの機会に、今テレビで映していますから、国民はしっかり聞いていますから、やはりこれが一番大事なポイントなので、この点についてどうぞ。
  37. 深谷隆司

    深谷議員 ただいま野党の答弁の中に、小選挙区制の例として奄美群島の例が出されたのですが、これは全く形が違うんですね。我々が考えている一選挙政党代表一名の当選者を決めるというのは、政策で論議して、イデオロギーで議論をして国民の支持を集めようということですから、同じような思想、同じような考えで争っている奄美群島の例を持ち出すというのは、形が全く違うという点をまず指摘したいと思うのです。  それから、一選挙区で一名選ぶという仕組みは、例えば知事選挙とか市長選挙あるいは市区町村選挙で実際に行われているんです。そこでは四〇%で当選している首長がいるんですね。それは民意を反映していないという野党の発言を私は聞いたことないのであります。それは民意を反映しているということでありますから、そういう意味では、小選挙区制で、イデオロギーを持ち、政策を議論しながら一名の代表を選ぶというのは、民意を反映しないと頭から否定するのはまことにおかしいと思う。  それで、小選挙区制の一番いいところというのは、やはり政権政党国民が選べるという点です。さっきいろいろ皆さんは申されて、連立政権を考えるとおっしゃったんですが、選挙のときに連立を志向して、改めて政策やその他で協調して出してくるとするならば、これは連立政権というよりは政党化現象なんですね。そういうような政党化現象で政策で争う野党の集団ができるとするならば、単純小選挙区制でも十分勝ち得るわけであって、今の比例代表制にこだわることはむしろおかしいのではないか。小選挙制度というのは、あくまでも国民がどの政党に政権を持ってもらおうとしているのか、それはイデオロギーであるとか政策であるとかいう面について国民が選択をするという、それが最大限可能であるのが単純小選挙区制だと私は思うのであります。そしてまた、いわゆる政権交代についても、可能性はむしろ比例代表よりもはるかにある。それはただいま申し上げたように、野党が政策協定をして政党化していくという形がだんだんに進んでいけば、これは政党政党の、つまり二大政党志向型になっていくわけでありますから、これはむしろ我々が望む道ではないだろうかと思います。  それからもう一つは、安定的な政策が打ち出せるという点です。これは先ほどから議論が出ましたけれども、イタリアの例をとるまでもなく、少数分立てこれを連合政権つくるというときに、時間がかかる、あるいは一番の党よりも二番、三番、四番、つまり政党政党の交渉でキャスチングボートを握ったところが政権の中心になっていく、それは必ずしも国民の求める方向とは違った形になっていく。そういう意味では私は、自由民主党なら自由民主党がイデオロギーと政策を掲げて単純小選挙区制の中で戦って、国民の支持を得て、これが議会で内閣を構成し、そしてその内閣が国会の多数の力を得てイニシアチブをとって、その公約や政策を実行していく、こういう形の方がはるかに国民の民意を反映し、安定的な政権が維持できる、そのように考えているということを申し上げたいと思います。
  38. 石井一

    石井(一)議員 先ほどから得票率とそれから議席数の問題でいろいろ御指摘がございまして、自民党は五〇%を割っておると。しかし五〇%を割っておるから政権がとれないのかと申しますと、これは大変違った考え方ではないかと思うのであります。例えばイギリスの場合、労働党、保守党は大体一千二百万から一千三百万を上下しておりますが、自由党が三百万ぐらいとっておりまして、どちらも過半数割れで政権を維持しておるということでございます。日本の場合は、大体我が党が二千五百万から三千万、社会党は一千五百万でありますが、イギリスのように一党の対立政党と一党の野党だけでなく、我が党は一党に加えて社会さん、公明さん、民社、共産、こういうような状況の中で四十数%を獲得しておるということは、もう既に国民自民党に政権を渡してもいいという意思表示だ。いかにも五〇%を割っておるからどうだこうだと言われますが、世界の例を見ましても、これは十分政権担当の資格を国民から負託されておる、このように認識をするべきではないか、こう思います。
  39. 野田毅

    野田(毅)委員 時間がそろそろ参りますので結論に入りたいと思うのですが、確かに選挙制度というのは、やはりその時代環境、そのときの政治がどういうものを求めるかということによって、常にそれらのものは金科玉条ではなくて、見直すということは必要なことだと思います。そういう点で、今我々が置かれておる時代環境を冒頭言いましたけれども、そういった中でいえば、私は我が党が出しておるのが一番いいと率直にそう思っておるのです。ただ、どんな制度でも必ずメリットとデメリットというのは、それは必ずつきものです。どちらかが百点満点で、どちらかが零点ということはあり得ないと思います。そういう点で、これからさらに議論を尽くして何とかこれをまとめていくということは大事なことだ。  ただ、その中でもう一つ大事なことは、やはり社会党さん、野党第一党なんですから、できれば自民党におれたちが取ってかわるんだ、この気迫が欲しいと私は思っているのです。まさに小選挙区制なら、この前それはある試算がありますね。平成元年の参議院選挙、あのときのあれでいくと、たしか五百議席であれば四百二十三議席社会党がとれるという試算があるのです、実際。今まぐれという話がある。まさにそうかもしれない。しかし、そのまぐれが大事なんだ。  つまりこれは、もし政権側が不祥事を起こした場合には一気に政権がひっくり返るという、極めて政権党にとってはリスキーなんです、率直に言って。それよりも今の中選挙区の方が、むにゃむにゃしながら、結果的にはお互いの議席配分比率が余り変わらない方が、自民党にとっては居心地がいいのかもしれない。しかしあえて我々は、もう今はそういうことを言っておる時代ではないんだ。場合によっては、もう一遍不祥事が起きたら我々は政権からずり落ちる。そういう思い詰めた、そのリスクをあえて今回考えようじゃないか、そういうダイナミズムをこそ今必要としているんじゃないか、我々はそういう考えてこの小選挙区制というものを提案をしておる。  それに対してぜひ野党の方も、よっしゃわかった、おれたち自民党に取ってかわってやるぞということを、社会党さんがまずしっかりしなきゃだめ。だから、それでは社会党はだめ。ちょっと黙りなさい。ちょっとうるさい。今の案でいえば社会党は、公明党の先ほどの御答弁もあったけれども社会党が基本政策を変えない限り、社会党が政権に参画する展望は出てこないんですよ。そうでしょう。だから、もう少し社会党が勇気とロマンを持って政治にダイナミズムを取り戻す、そういうことをぜひこの機会にお願いをしたい、こう思います。  それであと最後に、ちょっと御静粛に願います。委員長、ちょっと注意してください。
  40. 田邉國男

    田邉委員長 静粛に願います。
  41. 野田毅

    野田(毅)委員 実は、選挙制度というのは決して国会議員だけが論ずるものでもないでしょう。その中で、やっぱり有権者の理解というものがぜひとも必要なんです。どういう基準で投票をされるかということ、このことをこの機会にもう一遍私どもから言うのは大変言いにくい。我々は投票してもらう側ですから、余り偉そうなことを言うと、その言う資格あるかということになるかもしれない。しかし、少なくとも我々は、地方議員地方役割分担がある、国政に携わる者はやっぱり国政を論ずるということが最大の役割なんだけれども、現実の投票行動においては、どちらかというと、より身の回りのこと、より地域のこととか、その延長線で国政選挙の投票行動も決まってるケースが多い。やっぱりそういう役割分担、衆議院の選挙というのは自分たちの地域の代表、身近な人を出すんだということだけでなくて、政権を選ぶ選挙なんだと。やっぱりこの意識がぜひ有権者の皆さんにも欲しいものだな、その理解がなければ、私は、どんな選挙制度をしいたところで、率直に言ってなかなか我々が理想とするそういう姿は出てきにくいのではないか、こんなことを思うものですから、この機会に申し上げさせていただいて、ぜひ有権者の御理解、御協力もいただきたい、こう思いまして申し上げた次第であります。  あと、残余の時間を我が党中西議員に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 ただいま野田委員から激励をいただきましたので、私たちの方の考え方も述べさせていただきたいと思いますけれども、政権を担える党へということで私たちも大変努力をしているわけでございます。  選挙制度の絡みにおきましては、先ほど平成三年の例で、シミュレーションによると四百九十二社会党がとれるじゃないかというお話がございました。しかし、私たちは、結果の問題ではなくて、この制度で、単純小選挙区でやって、そして四百九十二をとる、このこと自体は決していいことだと思ってないわけであります。死に票というのはおかしいという御発言が本会議でありましたけれども、やはり有権者の意思が議席に結びついていかない率が余りにも高いということは、これは私はいい制度ではないと思っております。  今、大変政治が腐敗をしておるわけでございますので、私たちとしても緊急改革政権ということで、ひとつきれいな政党で、まずとにかく政治不信を取り除く政権をつくろうではないかということで今呼びかけをしておりますし、また御心配いただきました基本政策につきましても、今懸命に九三宣言ということで努力をしておるわけでございます。  ただ、野田先生との議論を通じましてつくづく思いましたのは、これはヨーロッパはもう連合の時代、連立の時代というのが流れになっているわけですね。日本だってそうなっていくわけであります。
  43. 田邉國男

    田邉委員長 佐藤議員に申し上げます。  簡単にお願いをいたします。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 そのことを全く否定をして、三割なり四割の支持率をもってそれを拡大させて、そして政権を維持していこうと。今までの議論を聞いていますと、どうも自民党皆さん方は過大代表によって政権をつくろうと、そういうふうにしか私たちは思えないわけでありますので、そのことを申し述べさせていただきたいと思います。
  45. 田邉國男

    田邉委員長 中西啓介君。
  46. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 私は、久方ぶりに税制改革特別委員会のとき以来の質問でございます。今ここに立って、ある種の感動みたいなものを覚えております。  ちょうど三年前の総選挙の直後、私は、小沢幹事長のもと、副幹事長に命ぜられまして、副幹事長就任直後、小沢幹事長から政治改革の担当をやってもらう、こういう命令を受けました。それで、海部総裁、小沢幹事長が話し合われて、とにかくもう待ったなしである。この政治改革を最大にして最優先課題に海部内閣で位置づける。そして早速大事に入りまして、伊東正義部長後藤田正晴本部長代理、羽田孜選挙制度調査会長というようなトリオができて、きょう前におられる皆さんとか、それから若き五十六名の同志が結集されて、いよいよ政治改革実現に向けての作業が始まった。私も、おそらく後にも先にもあれだけ一つのテーマにエネルギーを傾注したのは、あれが一回きりだと思います。とにかく公式な会議だけでも二百二十一回、団体、マスコミ、全国行脚等を入れますと三百回。それは一口に二百回、三百回と言いますけれども、それはもう大変なことでして、もう伊東さんなんかは、持病の糖尿病をお持ちでありますけれども、とにかく角砂糖をかじりながら全国行脚に行ってくれた。後藤田さんも黙々とやってくれた。  それで、粗削りではありましたが、政治改革法案国会に出した。ところが、三週間足らず審議されて、あたかもごみ箱に紙くずをぽいっと捨てられるような感じ審議未了、廃案になった。そのときに、政治改革というこの川を挟んで向こう岸に、今みずから求めて政治改革部長におなりになられた宮澤総理はもとより、自民党の大半が、大半でもないかな、半数以上は向こう岸におられた。それで、そこにおられる社会党公明党、民社党、共産党の野党の皆さんもおられた。まさに多勢に無勢なんですね。だから、結論はやむを得ない結論になったわけでありますが、そのときに、本当にこの若き同志の中に、もう目を真っ赤に泣きはらして、悔し涙にかきくれてバッジをたたきつける人もいたわけです。そのときに羽田さんが、みずからも涙を浮かべながら、とにかく今までのこの苦労は必ず報われる日が来る、頑張ろう、そういうふうに説得して慰めた場面を今思い起こして、本当にそれが今もう全党、まあ共産党だけは相も変わらず現行でいこう、これは別に驚きもしませんけれども、とにかく本当に隔世の感があるわけです。  それで、きのう、おとつい、本会議を通じて、本当にマスコミの評価もまあまあの評価であった。大体、代議士というのは、民衆にかわって議するとと書いて代議士と言うわけでありますから、本来こういう姿が国会の姿なんですよね。だから、政治改革の第一歩がいよいよ始まったな、まさにそんな感じを私も持って議論を聞かせていただいておりました。  そこで、これから私に与えられた時間、午後一時から二時までの間あるわけでございますが、十分な時間ではありませんので、私も言語明瞭に努めます用意味も明瞭に質問をするように心がけますので、皆さん方も言語明瞭に、意味も明瞭に要約してひとつ御答弁をいただければ幸いでございます。  今、各種のマスコミが鳥肌の立つようなショッキングな世論調査というかデータを連日我々に報道してくれておりますが、まさに自由民主党人気急落中なんですね。真っ逆さま。そういう今自民党なんですが、なぜ野党が自民党にとってかわって政権をとれないのか、また過去とれなかったのか、その点をひとつお答えください。
  47. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 先ほども答弁させていただきましたけれども、中選挙区制というものに一つの大きな原因があったことも私たちも認めておるわけでございます。  自民党さんの方は、豊富な資金の中で大変な候補者を出し、かつ無所属も出られるという中で戦ってこられて過半数をとられている。うちの方は、それなりの努力をしてきたわけでございますけれども、残念ながら、共倒れをなくしていこう、共倒れがあった場合にはその次の候補者を一人に絞るということもありまして、候補者の数がだんだん減ってきてしまったというのが、率直なところ社会党選挙の歴史であった。このことが悪循環となり、自民党さんは万年与党、我々の方は万年野党になってしまった。これがこの政治腐敗の一つの大きな土壌をつくってしまったということも、私たちとしては反省をしておるわけであります。  したがって、もちろん我々の言う政策においても、組織においても、運動においても、いろいろなことがまだまだ足らざる点はありますけれども、ここでやる改革というのは、資金の面においても情報公開の面においても、いろんな面でひとつ自民党さんとイコールフッティングしていこうじゃないか、対等にしていこうじゃないか、そして国民皆さん方に選択を仰ごうじゃないか、これが今度の私は改革の大きな意義だというふうに思っております。
  48. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 政権をとる意欲だけは十分ある、こういうことですね。  公明党さん、なぜ政権がとれなかったか、何が欠けていたか、また何が必要か、お答えください。
  49. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えいたします。  先生承知のこの私どものデータを見ていただくと、委員も御承知のとおり、参議院におきましては与野党が逆転しているわけでございまして、多年にわたる努力が実ってきたなと実は思っているわけでございます。したがいまして、政権をとる意欲も十分ございますし、着々手も打ってまいりましたし、参議院では実りましたし、衆議院でも何とかやりたいな、こう思ってきたわけでございます。  しかし、制度上の問題が、これは幾ら中選挙区制の中でやったといたしましても、被害というか制度上のきずが多過ぎる。そして、それは国民にとって決してプラスにならないということは、先ほど野田委員がもうたくさんの例を挙げられまして日本政治の問題点を論述されました。その論述された問題のことごとくが、この選挙制度のだめな点と政治資金に関する不備な点が原因になっておる。これは政権をとってから片づけるんだよなどという代物ではない。むしろ土俵を先にきちんとしてからでなければならない。私どもは、言ってみればこうした形で国民信頼を取りつなぐことができなければ、たとえどんな形で選挙運動に勝ったとしても、その前に日本国民の離反のために日本は簡単に言うとつぶれてしまう、団結して物をやる能力を失ってしまう、こういうふうに考えているわけでございまして、自民党の支持率の急落という点だけ挙げられましたけれども、私は政党全部、政治家全部に対する信頼の急落現象を深刻に受けとめなければならないのではないかと存じます。  先日、NHKのテレビで行きましたときに、御出演者の与党の方が、実は自分選挙区でもバッジをつけては歩けないんだということをぽろりと言っておられました。有力な議員ですらもバッジをつけて道を歩けないなどということを放置していていい代物ではない。これはもう深刻にやらなきゃならないし、一回きりのチャンスしかないのではないか。もしここのところで失敗してもとへ戻ってしまったりしたら、私たちはおわびのしょうがないのではないか、こういうふうに深刻に考えているところでございます。よろしくお願いします。
  50. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 大体お話を聞いていって、私自身の政治改革の必要性というか基本的理念は、いずれにしても政権交代のできる、迫力のある緊張感にあふれたいわゆる政治環境をつくること、それからみずみずしい力を持った、まさに立法府としてのその機能、本当の機能を発揮できる、そういう国会にすること、またその国会に所属する政治家である、代議士である我々自身が、本当に誇りを持って自信にあふれて充実した日々を送れる、そういうやっぱり状態にすること、これがひいては国民、国家に対して十分こたえ得る、また、その激動するすさまじい嵐の中をしたたかに生き抜いていける日本の土台をつくる原動力になるいわゆる改革だ、そんなふうに私自身信じてこれからの改革に全力を挙げて取り組んでいこう、そう決意しているわけでございますが、そこら辺について御異論ありますか。立法府の人間として充実した、自信にあふれた日々を皆さん今送っておられますか、お答えください。
  51. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 今、中西委員言われましたように、この政治改革というのは、私は政治システムの改革だけじゃないと思っているんです。社会構造そのものを、いわゆるぐう、ちょき、ぱあの関係といいますか、政官財の癒着の関係も含めて総ざらい、本当に日本のもう一度構造自体を全部変えていくようなものにしていかなきゃならない。ただ、それを一挙にといってもいかぬから、まずとにかくその中心であるところの政治改革をひとつやっていこう。そのために国会自身の改革もしていかなきゃならない。  いみじくも、きょうこうやって議員同士が法案をめぐって議論をするという人タイル、先ほど消費税の問題で中西さんも言われましたけれども、やはり憲法の問題いろいろありますけれども自民党さんの方もひとつ、予算の関連の法案自民党さんが出して、そしてうちの方も出して議論をするというような、国会審議自体を活性化させることも含めてやっていかなきゃならぬ。それによって初めて私は、今中西さんが御指摘になりましたように、国会議員自身が本当に国会に出てきて責任を果たし、まさにみずみずしい仕事ができる、こういうふうになっていくんじゃないかというふうに思っております。
  52. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 じゃ公明党さん、お答えください。時間が余りありませんので、簡潔にお願いします。
  53. 渡部一郎

    渡部(一)議員 大変充実してやっております。  それと申しますのは、もう二十数年私も国会議員をさせていただいたわけなんですけれども、これほど日本政治の最大のガンという問題に対して改良するチャンスが与えられた、それはもうまことにありがたいことであって、今までその扉の向こう側に追い出されていた問題に手をつけることができたことは、皆様に感謝したいと存じております。そしてそれは、少なくともこのチャンスを逃すことがあったら大変な損になるし、私どもだけではない、私たちの子供や孫に何と説明していいかわからないと考えるからでございます。私たちここに参加しております委員として、あるいは質問者として参加しております者だけではなく、公明党全党としても、このチャンスを本当に国民のために生かしたいと思っております。
  54. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 時間がありませんので、最後自民党に今の私のコメントについて印象をお聞きして、午前の部の質問を終わりたいと思います。
  55. 石井一

    石井(一)議員 私は挑発的なことを申し上げたくないのでございますが、今お二人の答弁を聞いておりまして、おやっと思いました。国民の皆様にも御注目をいただきたいと思います。  佐藤議員は、今政権がとれなかったのは自分たちはお金がないんだ、こう申されたわけでございますが、そういう一面もあろうかと思います。これをこの国会反省すべきだと思いますが、基本的な問題は、国家の基本的な方向、外交なり安全保障なりそのほかの問題について、社会党国民が納得する政策がなかった。例えばドイツの社民党、イデオロギーから脱却をいたしました。憲法問題等についても整理をいたしまして、PKOに対してもああいう対応をしております。イギリスの労働党、国営政策を廃棄しまして、いわゆるマーケットエコノミーというものを持ち込んだということも御存じのとおりでございます。私は、こういうところが欠落しておったというところが社会党が政権をとられなかったという基本ではないかと思います。  また、公明党の御意見も納得できるところがあるのですが、制度的な問題だけに起因されておるわけでございますけれども制度と申しますよりも基本的な問題、ここが与党と野党との大きな違いという国民認識であります。  ただ、我が党自民党は、長年の政権に腐敗の構造ができ、そして派閥の構造ができ、金の問題が指摘され、ここに大きな問題になっておるということも同時に申し上げさしていただき、この際、すべてを大掃除して、一括して、新しい家を野田さんの言われるようにつくって、そこへ確実に移る、そして後ろは完全に断ち切る、こういうことが国民期待にこたえるものだと思います。  以上であります。
  56. 田邉國男

    田邉委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  57. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西啓介君。
  58. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 午前がもうほとんど時間がなかったわけでございますが、まずしかし社会党公明党皆さんの大体の感じは、単独で政権をというところまではとてもまだほど遠い感じはありますけれども、まあしかし連合というような感じででもいいから、とにかく政権に近づこうという意欲は十分にじみ出ていたと私は思うのです。そういう意味では大変結構なことだ。ですから、国民皆さん期待のされる、本当に堂々と機能のできる立法府をつくり上げていこう。また、その立法府に所属する政治家として十分胸を張っていけるような環境にもしていこう。あわせて、迫力あるというか緊張感のある政権交代可能な制度に、より一歩近づいていこう、そういう認識でおおむね一致できたのかな、そのための改革なんだという認識で足並みがほぼそろいつつあるのかなという意味では大変結構なことだ、意義のあることだ、私はそんな印象を抱かせていただきました。  それでは、これから二時まででございますが、午後の部の質問をさせていただきたいと思います。  テロが起こるとき、内乱が起こるときの条件というのは御存じですか。四つあるのです。一つは、経済が非常に低迷しているとき、不況のときですね。まあもちろんこの不況も世界的な要因というものも存在することは事実ですが、やはり政治がいろいろな局面で打つ手がおくれたというような側面も否めないと思うのですね。それが一つ。それから、政界にいわゆる汚職、不祥事、スキャンダルが連続すること、御案内のとおりのような不祥事でございました。特に金丸副総裁の件につきましては、副総裁をいただく自民党の人間として、また会長としていただいておりましたかつての経世会に所属していた人間として、私たちは心から率直におわびを申し上げたいと思います。しかし、弁明はいたしません。その反省のあかしとして、もう真一文字にこの政治改革を断行して、その行動によって国民皆さん方に証明をしていきたい、私は今そんな心境であります。それが二つ目の原因です。そして、政治に著しくリーダーシップを欠くとき。そして四番目に国民が白けるとき、激しくいら立つとき。この四つの条件が満たされたときには、もう歴史をひもといてみていただいてもわかりますが、内乱、テロが続発しているわけです。まさに日本は今ぴったんこの条件下にあるのです。  やはり自民党は本当に過去国民皆さんに支持をいただいて、もちろん四割しか支持をとっていないのに六割の議席をとったとかというようなそういう理屈は別にして、いずれにしても政権政党の座を与えていただいて、それなりに本当に懸命の努力をしてきて、天井に張りついたわけですね、頂点に。そしてマクロに見れば、世界でもこれだけ経済が活発に豊かな国は断じてありませんし、またこんな自由を謳歌している国もないし、四十年も五十年も戦争に無縁というか関係なく平和な日々を送り続けている民族もないし、また何よりもやはり世界じゅうのいろいろな国々の中で男性も女性も最も長生きのできる国になった。そういう、マクロに見れば、オリンピックでいうと主要種目で大体金メダルを独占しているといってもあながち間違いでないと思うのです。そういう功績は確かに自民党にあったと思うのです。  しかし、天井に張りついて、それてそのままパターンとしては持続的にいわゆる水平飛行していくか、それができなければ、上り詰めればもう下るしかないのですね。今の世論調査を見ても、どんどん下っている以外の何物の証明でもない。自民党に投票する人、ある新聞社の調査によれば一七%。一七%というのは、議席に置きかえれば八十数議席ですよ。もう鳥肌の立つ思いですね。  かつて三木武吉さんが提唱されて原動力となって、三十有余年前、自民党が保守合同して生まれたわけです。今日の自民党は原点がそこにあるわけですね。そのときに松村謙三さんが、もし保守合同をして行き詰まったときに、社会主義を標権する政党に政権を渡すのかと。大変なことですよね。そうしたら、その保守合同が行き詰まったときに日本の運命を託する、そういう政権を担当する能力のある政党がいてくれれば国民もハッピーなんです。しかし今、自民党がドーンと天井に突き当たって、どんどんと今もう急降下でおりている。そのときに、託したいけれども見渡したら全くない。いや、ないじゃないですか。その証拠に、自民党が下がったら社会党初め野党の支持率が上がるのが当たり前でしょう。同じように下がっているじゃないですか。これはもう何よりも論より証拠。お互い反省しましょう、謙虚に。  そういう状況の中で、ひとつぜひ皆さん方に聞いていきたいと思うのですが、私はこの間選挙区で、名前は言いません、社会党を支援する、むしろ左だと言われている労働組合の幹部と議論する機会があったのです。それで、何であなたの組合と仏とが敵対しなければならないのか、特に選挙のときに。一遍政治理念について話をしようと言って、我々の政治理念は自由主義だ、民主主義だ、基本的人権の尊重だ、平和外交だ。あなたたちの理念を言ってくれ、こう言ったら、同じだと言うのです。全く同じだ。経済理念は。市場経済の導入だ、自由貿易体制だ、全く一緒だねと。  もう少し、きょうは何か社会党はあれですか。社会党改革議連、もう発足されたんですか。まだですか。いやいや、関連があるんだから。  それで、その協会派と言われる労働組合の幹部に、さらに私は聞きました。韓国はどうするのですか。それは一衣帯水の隣国だし、韓国とは緊密な外交をしていかなければそれは日本としてはどうもぐあいよくないでしょうねと、韓国を容認するんです。原発はどうですか。理想のエネルギーが見つかるまでは、十分安全性に配慮しながら原発を是認しなければしょうがない。全く一緒なんですよ、これも。自衛隊は違憲なんですか。いや、やはり自衛隊はもう違憲なんてことは言ってられないですねと。全く自民党と、社会党の右派じゃないですよ、その方は左派と言われる労働組合の幹部なんですが、全然政治的にも経済的にも、理念的に異和感がない。  そこで、もう東西冷戦の構造も終わったわけですから、だから私の持論は、私どもは今自民党というとりでの中に囲まれている。皆さん方社会党というとりで、塀の中におる。公明党、民社党、共産、それぞれおるわけですね。まあ共産党はちょっと別かもしれませんけれども。だから、もうお互いにイデオロギーで対峙している、対立している必然性というのはもはや全くと言っていいくらいなくなっている。だから、どうですか。とりでを一遍取っ払って、それてどうしても自衛隊は違憲だ、原発は認められない、こういうマルクスとかレーニンとか、まだホームシックにかかっているというか、そういうような郷愁を感じている人とはちょっと線を引かせていただいて、あとは一遍がらがらかきまぜて二つの拮抗する二大勢力をつくる。  そしてお互いに、これから国内の問題だって大変ですよ。例えば年金の問題、皆さんどうしようとされているのですか。僕もまだ全然いい考えは浮かびません。年金をもらう人の方が掛ける人よりも多くなっちゃったんですよ。こういうふうな問題。あるいは人口、出生率に関して、もうあと七百年か八百年かしたら、このままの出生率だと日本人は一人もいなくなる。今までは三人も四人も子供がいたから、高学歴社会で大学を卒業しても、商社に入った、銀行に入ったといっても、だれかが、全国いっぱいある商店街の跡取りがいた。しかし、これから一人っ子ですよ。商社へ入って、銀行く入ったら、おれはもう田舎へ帰って文房具屋はやらぬよ、そういうふうな問題をこれから乗り越えていって、世界にいろいろな形で貢献を果たしていかなきゃならないプレゼンスをもう日本は持ったわけです。そういう状況の中で、そういう政治の仕組みをつくっていく。だからとりで論、こういうのはもう開放しようということについて、一遍御意見、お答えください。
  59. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 全体的な認識は、かなり中西さんと私は一致をしていると思います。  それで、ただそれじゃ自民党と私たちと完全に一致しているわけではないのであって、例えば国民皆さんから見ると、自民党の今の現状というのは大変腐敗しているな、腐敗している人が多いなという問題が一つ。  それから、やはり経済政策においても、生産者側といいましょうか、個々のことは申し上げませんけれども、そういうところにウエートを置いている。それは企業献金等と関係あるのかなという感じもしたり、そういった個々の部分においては立脚する立場が違っている。ただし、国という意味での共通項でいえば、かなり似ているところがあると思うのであります。  細かくは、前の政審会長の早川勝君がいますから、さらに補足をしてもらいますけれども、中西さんが言われまして、なるがゆえに、まさにイデオロギーの対立という時代は、あるいは体制の選択という時代は、私は今大きく変わりつつある、それはもう中西さんの言われるとおりだと思うのです。  したがって、私は、選挙制度をする場合には、非常に今福祉の問題を言われたし環境の問題も言われたし、そういった問題別にどうしていくかという、そういうグループになっていく。したがって、私たちは、なるがゆえにこれから連合の時代であり、連立の時代であり、また、それに合うやはり比例代表という選挙制度をすべきであるというふうに考えておるわけでございます。  私たちも今大変努力をして、現実に政権を担えるようにいろいろな政策を今詰めておるところでございますので、もし、先ほど申しましたように、私たちもとりあえず、今は信頼お互いになくなっちゃっているわけですから、きれいな政権をつくろうということで、私たち公明党さんや民社党さんにも、日本新党さんにも働きかけをして、緊急にとにかく自民党さんとかわる政権をとりあえずつくろうではないかということを申し上げておりますので、どうぞひとつ中西さんもよければ我々の方に入っていただきますように、仲間も連れてきていただきますことも、ひとつ自民党を離れてしていただきますことも、要望申し上げさせていただきまして、答弁にさせていただきたいと存じます。
  60. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 どうぞ、公明党さん。
  61. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えいたします。  ただいま議論になっておりますのは、選挙制度に関する問題を討議しているわけでございますが、ここのところで一番大切なのは、民意が正確に反映するかどうかの問題に焦点を絞って今議論を進めているわけであります。したがいまして、中西委員がおっしゃいましたように、さまざまな問題がある、年金を初めとする問題が。それを信頼を失った政権がどういう形で取り扱おうとも、その信頼を回復することができない。信頼されない者が何を決めてもみんなが支持しない。みんなが支持しないようなものは、たとえ相当の良策をもって決着をつけたとしても、その施策というものは国民の支持するところにならない。私は、その意味で危機的な状況にあると思うわけであります。  したがいまして、この選挙制度を速やかに安定的なものに切りかえていく、国民が納得できるものに切りかえていくということさえまず突破できるならば、今委員のお示しになられましたような諸問題は的確に処理することができるのではないかと私は思うわけであります。信頼を回復する道というものは、そう多くはない。年金制度の問題を先に取り扱ったとしても、ここは大失敗にならざるを得ない。  私は、その意味では、私たちは冗談を言っている時間がないのであります。したがって、どうしても先生にお願いしたいことは、この問題を応酬していく場合に、選挙制度の改正についてどういう制度が民意を一番的確に反映しているかというのが、国民にひどくあっさりとわかるものでなければいけない。私どもが小選挙区制に大変難点を見出しておりますのは、小選挙区制という制度それ自体が大変たくさんな死票を生み出してしまう。選挙区においてはごうごうたる非難の声が起こってしまう。それに対して比例制というのは、完璧に国民政党支持あるいはそうした政治勢力に対する支持の度合いが明瞭にあらわれてくるわけでありますから、何人もこれに抵抗することができない納得性というのを持ち合わせておるというところで私は秀でておると思うわけであります。  したがって、この問題をどうか最初に合意していただきますならば、城とかあるいはとりでとかあるいは塀とか塔とか、たくさんおっしゃいましたが、そういうものは全部もうふすま程度に全部開きまして、そしてお互い協調したりあるいは組み合わさったりしつつ、あらゆる難問に取り組んでいくことができるのではないか、こう思うわけでございまして、ぜひとも御理解をいただきたいと存じます。
  62. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 自民党さんにひとつ印象を。要するに、とりでを取っ払うこと。
  63. 塩川正十郎

    塩川議員 私は、現在のように世の中が多様化し、そして非常に進歩が激しいときでございますから、今までのそれぞれの政党がその理念なりあるいは特別な事情にこだわっておっては、国民のニーズに的確にこたえ得られないことも多々あろうと思います。したがいまして、そういうとりでとおっしゃる一つの枠の中にはまってしまうということは、これは時代の流れには適応しないように思いまして、でき得れば柔軟な姿勢でその場その場におきますところの最良の政策をやはり遂行していく能力をもって当たっていくべきだ、こう思っております。
  64. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 私は、その解党的出直しを図るのが理想だ、一番いいんじゃないかということをちょっと申し上げたかったわけですが、渡部先生のおっしゃる意味もよくわかるのですよ。佐藤先生意味も。民意の反映というのは、これは政治のもう極めて重要な要素であることは事実です。しかし、自民党も激しく、総裁をつくろう。そのたびに派閥が選挙にも前面に出て、いい面もあるのですが、ちょっと弊害が最近の傾向としては目立ち始め過ぎてきているのですね。その弊害がそんなふうに目立ってきたというのは、私はやはり一つには、自民党の総裁がすなわち内閣総理大臣になる今の仕組みですから、やはり政治家はそれぞれみんな政策を持っている。夢、理念を持っている。それを具現化していく。政策を絵にかいたもちにしているだけじゃ何にもならぬわけですね。そいつを具現化して初めて国民にも喜んでもらえる。だから、派閥で総裁をとって総理をつくり上げて、その政策を実現化していくところにロマンを感じて、総裁づくりに励んできたという一面もあるのですね。  だから、民意だけ反映したって、イタリアの例を挙げたらまた左近さんに怒られますけれども、この間参考人を呼んで聞いたときも、参考人もおっしゃっておられたですよ、六十も七十も政党があると。グループに分けると、数百のグループに分かれる。そうしたら、お互いがそれを集約するのに何カ月も時間がかかる。それで結局日本でも国対政治と、こう言われて、それはある面国対も必要ですよ。調整していかなきゃならぬ部分もあるわけですから。ところが、足して七十で割るのか八十で割るのか知りませんが、わけのわからぬ、それでほとんど効果のないような形で国民にはね返ってくるというようなところに大変な不満があるんだ、だから最大の欠点なんだ、こういうふうな指摘も参考人としてこの間言われた方もあったわけです。  だから、それはもちろん大事なことだというのはわかるのですが、それを最大公約数の線で民意をまとめて、それでそれを集約化して実現していく、具現化していくというところがやはり政治にとって一番大事なところなんじゃないかなと僕は思うのですね。  そういう意味で、自民党の言っている小選挙区の、単純小選挙区制というのを提唱されているわけでありますが、そこら辺はまあ何とかひとつお互いに、これ我を張り合っていても、妥協をしなければ相打ちになっちゃって、やめましょう、もうこんな制度はいけません、決別しましょうと言っている制度に立ち返るしかない。こんなナンセンスな話というのは、理解してもらえるわけがないのですね。だから、これから徹底的にお互い議論をして、角突き合わせて、最後お互いにいいところを最大限取り入れて、必ず知恵を出せるはずだ。もう現行でやめようという点では一致しているし、併用とか単純とかはあるけれども、小選挙区という部分でも共通項としてくくれるポイントなんですから、お互いに知恵を出し合っていけば、私は何とか案は出せると、そういうふうにみずからを慰め、信じて、これからの努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。  そこで、さらにお伺いをしていきますが、今八割の有権者がこの政治改革に対して、それはもう何としてもやってもらわにゃならぬ、待ったなしだ、こう言っているのですね。しかし、まあやろうらめのことだからできるかねという感じで、八割はできぬだろうという結論を出しているのですよ。要するに自けちゃっているわけですね。さっき私はテロ、内乱の条件の一つに言いましたが、もう白け切っている。この白けている八割の国民に対して、何としてでもこの政治改革をやり遂げるんだという決意表明を、まず社会、公明、自民の順で結構ですから、簡潔に表明してください。
  65. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 日本政治がまさに危機的な状況にある中、お互いに本院に議席を持って今最大に果たすことは、この汚れた政治状況、政治不信というものを一日も早く払拭する。そのための政治改革関連法案を十分お互いの意見を交換をする中で今国会で成立をさせる。このことが我々に課せられた最大の国民皆さん方に対する責務であると、こういう決意で臨んでおるわけでございます。
  66. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えいたします。  先日のテレビの討論会の席上のことでございますが、不退転の決意とか抜本的改革とか、そうした言葉の用語についてわからないという視聴者からの問い合わせがあったのであります。これは言葉がわからないのではなくて、今まで長い間にわたってそうした言葉、最近では血を流す決意などというのがはやっているわけでありますが、こういう何か大げさな言葉ばっかりが横行しておりますのに、具体論では何一つ解決していない。それこそまさに国民が白ける理由ではないかと存じます。  決意表明と言われましたが、私どもは行動でおこたえしたいと存じます。そして、それをもって国民の今政治を見詰める目におこたえしたいと公明党としては思っておるわけでございます。
  67. 塩川正十郎

    塩川議員 今回の政治改革は、断固としてこの国会中で議論をし尽くして、必ず成案を得たいという気持ちでいっぱいでございまして、これは先ほども野田委員の方から御質問ございましたように、新しい法案提出した以上はその川を渡ったことになる、川を渡った以上はそのもととなる橋を焼いて渡れと、こういうお話がございまして、自由民主党としては、言葉はいかにいたしましても、やはりこの際、不退転の決意でと総裁が言っておられますごとく、これによって象徴されておりますごとく、この国会でぜひ新しい制度への移換、これについての決意は変わるところなく実現いたしたいと思っております。
  68. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 三党の決意を承りましたが、要するに、それじゃ主張はしていく、説得にも徹底的にベストを尽くす、しかしそれが不可能な場合は妥協をする、いわゆる合意をする、そういう意味だと受けとめてよろしいですな。
  69. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 私たち決意を申し上げましたけれども、当然のことながら、それは自民党さんの言われるような五百名を単純小選挙区でやる、こういうことでできることではない。それから、妥協云々ということを言われますけれども、これはこれから審議をする中でお互いにさらに深めていく話であって、そういう中に国民皆さん方のいろいろな意見も聞いた中で、やはり一定の方向性を私たちは出すべきだろうと思っております。  ただ申し上げておきたいのは、私たちは、皆さん方が言う小選挙区というその制度、我々の言う併用案の中の小選挙区とは少し意味が違いますけれども、小選挙区というのはちゃんと二百組み込んであるわけでありますから、既に皆さん方のことを含んで私たちとしては制度をつくっておるということは、十分御理解をいただいているものと思っております。
  70. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 まあ、わかりました。議論は人を分けるといいますけれども、要するに実践、妥協は共感を生んでいくわけですから、そういう意味でも大体の合意というのが今示されたわけでございますから、お互いに全力を尽くして頑張っていきましょう。  それじゃ最後に、決意をもう一度承りますが、そこまでたんかを切られたわけでありますから、もしこれが廃案になったとき、どんな恐ろしい環境が待っていると思いますか。そして、そのときは皆さんどうされるおつもりですか。三党の御意向をお聞かせください。
  71. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 今国会で何としてでも成立をさせようというときに、廃案になったらどういうことになりますかというのを答えるのは、これは極めて矛盾したことになると思います。私たちは重大な決意を持って、このときにやらなければ日本政治は大変なことになる、国民不信はもういやが上に増すであろうということを十分踏まえて、ぜひ今国会成立をさせたいということで答弁になるんじゃないかと思います。
  72. 渡部一郎

    渡部(一)議員 仮定の質問にはお答えしかねるということを政府がいつもおっしゃっておられますし、中西委員からも伺ったことがあったような気がいたしますが、それじゃ答弁にならないだろうと思いますから申し上げますが、ここのところ実際問題として、これがまとまらないようだったら議会の機能はそれこそ果たされていないという、全面的な国民不信を頭から浴びるだろうと思います。そのとき、議員バッジをつけて歩ける人がいるとは私は思えません。そしてまた、政党の看板がそのままかけ続けられるとも思っておりません。そのときは潔く皆さん一緒に議院から退出をされまして、全面的にやり直すしかないと私は思います。それぐらいの決意が、これは個人的な決意ではございますが、あってしかるべきだろうと私は思います。
  73. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 ありがとうございました。  自民党さん。
  74. 塩川正十郎

    塩川議員 この国会中で成立せしめるという決意につきましては、社会党さん、公明党さんがおっしゃっているのと全く一致いたしております。この点は見事に一致しておるから、ですから必ずできるものと信じております。
  75. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 政治はだれのためのものでもありません。政党のためでも、政治家のためのものでもないのは当然のことであります。国家国民のためであるというのは、もうこれはだれしもが理解をしているとおりでございます。  そこで、この機会国民皆さんにもぜひ私はお願いをしておきたいのが、どうもあきらめ主義みたいなものもあるし、お任せ主義みたいなものも国民の中にあると思うんですね、今まで。だれかがやってくれるだろうとか、それからできなきゃやっぱりできなかったか、しようがねえなみたいな、そんな感じ日本人の特性としてあるような気がするのです。だけれども、今度こそはもう何としても政治改革を絶対やらせるのだという不退転のまさに決意を持って追い込んでいただきたい、政治を。そして思い切り怒ってもらいたい。そういうこともぜひ国民皆さんにもこの機会にお願いを申し上げたい。  それからまたもう一つは、政治国民のためのものであるという観点からもお願いをするのですが、ぜひひとつ寛容な精神も持って、度量といいますか、そういうものを持ってこの政治改革というものも見ていただきたい。  私は、地元の知事や市長にも申し上げたこともたびたびあるのです。例えば土曜日とか日曜日はもう原則的には英気を養う、気力を養うことに専念してください。読書してくれてもいい。散策してくれてもいい。あるいは孫と遊んで気分の和らぐようなひとときを持ってくれてもいい。そして月曜日からは、市民、県民のいわゆる最高責任者として政治行政をリードしていかなきゃならぬ知事であり市長であるわけだから、もうよれよれになって、精神的にも肉体的にも、いい決断ができますか。いいアイデアも浮かんできますか。それこそ市民や県民のためにならぬ結果につながるじゃないですか。  だから、やはり私は、政治家もそういう意味で毅然とした態度を持ってやるべきだし、有権者、国民の側ももう少し政治家をうまく活用するというか、この機会に有権者の意識改革ということも私は絶対必要だ。  きのうの本会議でも、佐藤さんでしたか、演説の中でお金のくだりがございました。確かに、集会を一つ開くにしても、小さい、ミニ集会でもいいですよ、五十人、百人の。会場費、たかだかの数千円かもしれませんが、かかる。来る人にお茶も出さなきゃ、缶ジュースも缶コーヒーも出さないというわけになかなかいかぬですね。コーヒーも出ないのかとかなんとを言うわけですから。だからそういうのも、ちりも積もれば何とやらで、いや、缶コーヒーみたいなものでも、ウーロン茶みたいなものでも現実に出しているでしょう、皆さんだって。  そういう効率的で、ダイナミックな政治を実現していくためにも、またきれいな政治あるいは清潔な選挙といいますか、そういうものを実現していくためにも、やはり有権者、国民政治家とが一体になって初めてできるんだということもぜひ再認識をしていただきたいと思います。  それから、具体的な御質問をさせていただく前に、最後に、選挙というのは、制度というものは、私は完璧な制度というのは絶対存在し得ない。必ず長所、欠点、どの制度にだって持ち合わせている。それで、今先進各国を見渡しても、大体三十年から四十年か、その制度でずっとやっているわけですね、いろいろな制度で。ところが、みんな行き詰まって制度疲労をして、どの国でも何とか違う制度に切りかえて、何とかこの欠点を、いろいろな出てきた弊害を埋め合わせていく、なくしていく制度に改めようやということでやっているわけですね。ですから、制度というのは私は相対的なものだと思うのです。  そういう意味で、前回の、私は政治改革本部に所属してやった人間の一人としていろいろ反省点はありますが、ちょっと制度の問題にお互いに理論的になり過ぎた。少し理屈を言い過ぎた。だから、そこはそれとして、大事なことは状況に合わせて改善をさせていく。絶えず相対的なものですから、時代環境もありますし。そういう点だけ、自民党はもとより各党社会党公明党、民社党、共産党の皆さんも含めて、お互いに腹の中に置いて、これからの一つの大きな目標に向かって進んでいこうという点で、ひとつお互い確認をし合おうではないですか。異存はございませんですね。反論がないわけですから、異存がないのだろうと、こういうふうに思います。  それで、お金の話ですが、個人的には献金の話というのはどうしてもうさん臭い話が出てきたりもするわけですから、私個人的には、企業、団体あるいは労働組合からの献金も一切なしならなしにしてもいいと思うのです。しかしながら、民主主義を本当に維持していくためにはかなりのコストがかかるのですね。だから、そのためにはやはり余裕を見て、公費でコストを負担してもらう。その算定を出すのはまた大変な苦労だろうと思いますが、しかし公費で我々も政治活動も含めてやらせてもらうような状況になれば、選挙違反も政治資金規正法違反も含めて、極めて厳しい罰則を取り入れる。今まではどうしてもやり得みたいな法律だったわけですね。選挙違反だって、政治資金規正法違反だってそうでしょう。だから今度は、やったら損をするというぐらいの、まさに違反をしたら政治世界からほうり出される、参加できなくなるのですよ。政治生命と引きかえに違反なんということになると、なかなかそれは性悪説でいろいろやるのは悲しいことかもしれませんが、それぐらいの厳しい罰則にしてもいい。  そのかわり、選挙もサービス合戦なんかに明け暮れなくてもいいような、お互いに、例えばこれからの日本の福祉をどうしていくんだ、あるいは日本の今一極に集中している、中央官庁に権限が集中し過ぎているこの状態をいかに整理していくんだ、その点については我が党はこういうやり方でやる、いや、我が党はこういうふうにやるというような形で、幾らでも競い合うというか、争点にするような問題点は山ほどあると思うのですよ、国内的にも。だから、そういう一つの議席を争う、いわゆる政党間同士の争いにしていけば、おのずとサービス合戦から政策中心の戦いにもなっていかざるを得ないし、いきなりそれは理想の姿にはいかぬかもしれませんが、やはり少なくともそういう方向だけは向いていくのではないか、そんなふうに思うわけです。  そういう意味について、社会党皆さんあるいは自民党皆さん公明党皆さん、今度の小選挙区になって、それは自民党の案と皆さんの案とは違いますが、やや少し弾力性を持たせて、どれくらいの資金があれば、例えば一年間、まあ一カ月でもいいですよ、政治家政治活動をやっていけるか、ちょっとそこら辺、具体的におっしゃってくれませんか。
  76. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 それは、今政党本位になっているわけではないので、なかなか各人によっていろいろ違うと思います。この前NHKが調べたもので、今ちょっと手元に数字ございませんけれども、野党の方が大体一千万以下が大半、自民党さんの方は一千万から五千万、一億という数字が出ておりましたね。これが一つの実態をあらわしているのかなという感じがします。  しかし、いずれにしろ今中西さんが言われましたように、小泉純一郎さんが、どうだ一カ月全議員一千万ずつ出すことにして、企業・団体献金全部やめたらどうだろうかということを言われました。年間一億二千万になりますが、私はこれは一つのいい考え方だと思うのであります。本当に今中西さん言われましたように、金の面ではひとつ対等に、イコールフッティングでやっていこうではないかと。もう金集めの苦労ではなくて、政策の争いの勉強にひとつ苦労するということにしていくことはまことにいいことではないか。  ただ、現実にそれでは落ちている人をどうする、それから県会の方々どうする、地方議員の方々どうするという問題が起こってまいりますので、なかなかそうはならない。ただ、言われましたように、私たちは、選挙違反や政治資金のやり得というのは、公民権の停止やあるいは立候補制限ということできちっと抑えていくということは、ぜひ必要だと思います。
  77. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 公明党さん、いかがですか。
  78. 井上義久

    井上(義)議員 今、政治のコスト、どのぐらいかかるのか、こういうお話でございました。現行が中選挙区制ということでございますけれども、例えば私の選挙区とかほかの議員皆さん方を見ていましても、やはりどうしても自民党皆さん、要するにお金がかかるというよりも、やはりお金をかければそれだけの効果があるのでお金をかけ合う競争になっちゃっている。それに対して我々は、それほどお金が集まりませんから、やはりどうしてもお金をかけないやり方をする。例えばポスター張ること一つにしても、やはりお金があるわけじゃありませんからボランティアをお願いする。自民党皆さんはお金があるので人を雇ってポスターを張るという形で、私はいつもお金をかけ合うという競争をやめたらどうですかということをかねがね申し上げてきたわけでございまして、私は、今回選挙制度を抜本的に変えることによってやはり政党本位、政策本位の基本的な争いにこれがもう移行するわけでございますから、幾らかかるというよりもやはりこれだけのコストでやろうじゃないかと、こういうことを我々の合意としてやることが必要なんじゃないか。  そのコストは、やはり企業・団体献金、これはこれまでの政治腐敗の温床になってきたわけでございますから、これを全面的に禁止をして、やはり個人献金、個人の政治を何とかよくしたいというそういう個人の皆さんの浄財というものと、それと最低限必要な公的助成というもので基本的な政治のコストを賄っていく、そういう方向に政治を我々が持っていくんだ、こういうことをやはり今我々が決意をして、国民皆さん理解をしていただくということが必要なのではないか。現状これだけかかるんだからこれだけのお金を集めなければいけないというような発想を今逆転しなければいけないのじゃないか、このように思っているわけでございます。
  79. 津島雄二

    津島議員 中西委員と私は一つの共通の時期を持っておりますね。私どもは、昭和五十一年の初当選です。そのときは、ロッキード事件のみそぎの選挙でありました。自来私どもは十数年国会に籍を置いてまいりましたけれども、この問題についてこれほど国民不信感を招いていたということについて、恐らくこの委員会の同僚委員は私どもと気持ちを同じゅうしていると思います。  そういう反省の上に立ったときに、なぜこういうことが起こるのか。例えばこの間与野党議員にどのくらいかかるかと聞いたときに、これは野党の提案者の方からもお話がございましたけれども、格段の資金の違いがあるのはなぜかといえば、やはりその一因は今の中選挙区制に起因すると言わざるを得ない。私どもは、同じ選挙区で同じ党の者同士が同じ政策をもとに金をかけ合っているということがこういう事態を招いているのではないか。そういうところに思いをいたしますと、今、中西委員の御質問でございますけれども、どのくらいかかるかという発想をする前に、どのようにしてその仕組みを変えていくかということをまず考えなければならないと思うのであります。  私どもは、今度提案をいたしました公私の峻別、すなわち政治家個人は一切金銭による献金を受けない。それから、企業献金を中心として政党中心の政治資金の調達に変えていく。これは、そのような選挙の仕組みを変えるということと一体としてこれをどうしてもやらなければ、これまでの私どもの悩みは解決できないという思いがこもっておるわけであります。  そのような立場に立ちますときに、我々は、次の新しい制度の中で資金がどのように賄われるかということを実は真剣に検討いたしました。中西委員も、実は前の三法を出すときに一緒に御検討をいただいた。そのときの感じで、今私どもが提案をしております政党助成とそれから政党に対する献金をある程度お認めをいただく、それから個人は個人として会費程度の献金で賄っていくということの中で、何とかやっていけるだろうというぎりぎりの線が今度の提案であるということを御理解をいただきたいと思うのであります。  それで、今国民皆様方にわかっていただきたいのは、今既に日本政治資金をめぐる規制は世界で一番厳しいのでございます。世界の主要国の政治資金の規制は、主としてその支出の面について厳しく規制をしておりますけれども、その調達の面についてはやはりかなり自由なのでございます。それは政治資金の利用の面におきまして不測のことがあれば、それは直ちに有権者によって裁かれるという前提であり、そして政治資金をきちっと明瞭に正規の手段で集めるということは民主政治の基本であるという考え方に基づいているわけでございます。  そのような意味で、今私どもはさらに、昨年の緊急是正で既にでき上がっているこの厳しい規制をさらにもう一歩厳しくしよう、それをもたせるためには選挙制度自体を変えなければならない、こういうことを申し上げているわけでございまして、委員のどのぐらいかかるかという御質問に対しては、むしろこういう形でお答えするのがいいかと思っております。
  80. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 私が申し上げました心は、せっかく今これから抜本的に改革をしようとしているわけですね。ですから、例えば服をつくるときに、少しでも格好よくしたいみたいなことで、こんなおなかしているのに、そこをおなかをへこませて寸法をとってズボンをつくるような無理をする必要はないんじゃないですか。やっぱりありていに国民皆さんにもこの機会に、実態はこうなんです、だからこういうことだけはぜひ満たしていただかなければやれないんですというようなことをお聞きしたいために、あえてそういうことを私は御質問を申し上げたわけでございます。  そこで、政治資金に関連してもう一つだけお聞きをいたしますが、とにかく今のこの政治不信、八割、九割がもう本当に今の我々政治に対してそっぽを向いちゃっている。だから、この信頼を取り戻すという意味も大変大事なことなんですね。だけれども、私は信頼を取り戻すということは、あくまでもこれは手段であって、政治の本来の目的ではないというふうに私は認識しているんです。それは大事な要素ですよ。政治に力を持ってみずみずしい政治を行っていくためには、信頼というものが前提になる。そういう意味では物すごく大事な要素でありますが、これはやっぱり手段として位置づけるべきであろう。そういう意味で、やっぱり突き詰めていけば選挙制度という仕組みが極めて重要な問題点として浮上してくる。  そこで、この選挙制度の問題が一番時間も割いて議論もされているわけでございますが、この選挙制度を出すのには、相当結論も、結論というか、非常に苦労もするわけでございますが、巷間一部言われているように、選挙制度はやっぱり多少時間をかけてでも、まあしかしせめて政治資金規正法と罰則強化の部分だけは、もしできない場合は切り離してでもやらなきゃいかぬなみたいな議論も一部あるのですが、私はそれは断固反対である。それはもうある意味ではまやかしというふうに受けとめられても仕方がないんではないかというぐらいの気持ちを持っているわけですが、そこら辺は特にどうですか。一体不離の改革として、制度改革どこの政治資金の問題も含めて、一体になってワンパックで、ワンセットでやるということに対しての決意、そのとおりでよろしいのですか。お答えください。
  81. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 これは申すまでもなく、既に法律自体がすべてそれに組み込まれている格好になっておるわけでございまして、選挙制度自体を政党本位あるいは政策を中心にするということで初めて政党の活動に対して公的な助成が入れられるという根拠ができることであります。あわせまして、それだけ政党が中心になってやるんだから、違反をした者につきましては公民権の停となり、政治資金規正法の違反者に対しましても公民権停止、あるいは選挙違反の場合には立候補制限という厳しいものをかけるんですよということで、まさにこれは一体になっての改革でございますので、一括成立をさせるべき一体化したものである、こういうふうに当然のことながら私たち考えておるわけでございます。
  82. 北側一雄

    北側議員 午前中も私答弁さしていただいたのですが、今回の政治改革の眼目というのは、やはり日本に政権交代可能な日本政治をつくっていく、一党支配に終止符を打つ、ここがもう最大の眼目でございまして、ここを抜きにしての抜本的な政治改革なんか私はあり得ないというふうに思うわけでございます。その意味で、もう選挙制度の改革というのは不可欠である、政治腐敗を根絶をしていくためにもこの選挙制度の改革を私はしないといけないというふうに思うわけでございます。  また、現実的にも分離処理をして本当に企業・団体献金の禁止という、これは腐敗防止の方の一番の骨格であるというふうに思うわけなんですけれども、この企業・団体献金の禁止が分離処理をして果たしてできるのか、そういう私は問題点もあるというふうに思うわけでございます。ですから、もう分離処理というのは現実的にもあり得ない、一括して処理をしなければいけない、そういう強い決意でおるところでございます。
  83. 深谷隆司

    深谷議員 我が党が出している四法案は、それぞれ深いかかわりを持っていて、これが一体となって成果を上げるという内容でございます。つまり、政治資金規正法でいえば、個人の献金から政党中心にしていく。公的助成もその意味で行う。したがいまして、選挙も個人中心から政党・政策本位にしていく。そのようなすべての関連がございますから、一括で処理するというのは当然の方法であろうと思っております。
  84. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 大体基本的な部分だけ私は質問をし、確認をさしていただいたわけですが、政治改革は何としてもやろう。そしてその中の選挙制度の問題も、全くまた水と油というような感じも否めない部分もございますが、まあしかしどんなことがあっても結論を出そうという点でも、各党の力強い決意も承らせていただきました。また、政治資金あるいはまた罰則強化の部分だけ取り出して、積み残していくみたいなことも一切それは前提に考えてない、一括方式だというお気持ちも、三党からしかと確認をさせていただきました。  それでは、時間もまだ十分ぐらいあるわけでございますが、さっき民意の反映は非常に大事だ、こういうふうに言われたのですけれども、例えばドイツなんかでは極右の台頭も指摘されているわけですね、同じような制度ですから。あるいはイタリアでもファシストの台頭が取りざたされておる。こういうふうな面での心配というのはなさっておられないのですか。
  85. 小澤克介

    ○小澤(克)議員 お答えいたします。  ドイツの制度では、まさにそのようなことを心配して五%条項というようなものを設けたというふうに聞いております。ただ、私ども公明党と共同して出しております案では、ブロック別に比例代表を選ぶという形になっておりますので、ごく少ない票で議席を獲得するということは事実上困難であろうと思いますので、それから政党要件につきましても一%という制限を設けております。したがいまして、御心配のようなことは当たらないというふうに考えております。
  86. 井上義久

    井上(義)議員 今小澤議員の方から御答弁があったとおりでございますけれども、ただ私は、民主政治というのは、いかなる主義主張の持ち主であっても、それが合法的な存在である限り、その人たちを支持する民意があればそれは当然尊重してしかるべきであろう、もし議席を得るような民意を得られる政党であれば、それは国会に議席を得て当然である、このように思うわけでございます。  ただ、私ども併用制は、先ほどから申し上げていますように、基本は比例代表でございます。各党のとった得票数で議席が決まるということが基本になっているわけでございますけれども、あわせて、いわゆる小選挙区というものを併用しているわけでございます。小選挙区を併用したことによりまして、民意の集約ということを自民党の提案者の方おっしゃるわけでございますけれども、あわせてその民意の集約ということがこの小選挙区の部分で行われていくということは当然予想されるわけでございます。  したがって議席は、民意がきちんと正確になる形で議席に反映されてきますけれども、政権をどう構成するかというレベルにおいては、これは小選挙区を併用しているわけでございますから、ここは当然一人を選ぶということになりますから、ほぼ政権を担い得る政党が二つできるであろうということは、これは当然予想しているわけでございます。  そういう意味で、民意が正確に反映し、なおかつそういう民意の集約というものが制度の中できちっと行われていく、こういう制度でございますから、私は自民党皆さん、かつて単純小選挙区じゃない並立制を出されて、比例代表についても一部理解を示されたようでございますし、ただ、最近聞いておりますと、前回並立に反対なさった方がなぜ今回賛成なさったかと聞きますと、前回は比例が入っていたから反対したんだ、今回は単純だから賛成なんだ、単純小選挙区じゃなければだめなんだというふうに固執されている方がおるわけでございまして、これは結果的に現行制度を維持してしまうことになるわけでございまして、自民党皆さん御提案のそういう民意の集約という面も、この併用制の中ではきちっと担保されているということをぜひ御理解いただきたい。  そういう意味で、よく勉強していただければ必ず賛成を得られる法案である、このように思っておるわけでございます。よろしくお願いします。
  87. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 そこら辺、自民党、何かありませんか。
  88. 石井一

    石井(一)議員 選挙制度は、繰り返して申しておりますように長短がございます。しかし、大きな流れが二つあると申し上げてもいいでしょう。  結局、民意の反映か民意の集約ということを議論いたしておりますけれども、民意の反映ということは、多党制を助長し、比例制を導入するという選挙制度から出ておるというのが世界の現実でございます。民意の集約というのは、二大政党をつくり、そういう中で小選挙区制から出ておるというのが基本的な方向でございます。これに対します批判を持ち、そこで向後のニュージーランドにおきましては、二大政党を多党制に変えようという議論がございますし、今度はその反面、イタリアにおきましては今の比例制を変えて二大政党にしようという議論が起こっておるわけでございまして、我が国におきましても、これをどう判断するかというのがここにおける非常に貴重な議論ではないかと思うわけでございます。  そこで、私が申し上げたいのは、政党というのは国民政党であって、幅広い国民の意思を統一しながら、選挙において政権の選択をしていきたいというのが私たち考え方であります。例えばアメリカの場合は、二億の国民がおりまして、人種も宗教もあるいはそのほか言語も、あるいはあちらからこちらから集まってまいりました東洋人もたくさんおられます。しかしながら、これを二大政党にまとめておるというところに民主主義の妙味があると思うのであります。  我が国の場合は、単一民族でございますし、言葉も単一で一つでございますし、そしてそんなに大きなイデオロギーの差、対立はもうございません。しかも、五五年体制が崩壊いたしまして、東西の冷戦構造も変わりまして、日本国民はほとんどの人々が中産意識を持っておる。こういうような状況の中に来ておりますので、ここでばらばらの意見をたくさん集めて、ここへ出してくる必要はないのであります。共通の舞台というのは我が国の中に基礎的にできておる、このように考えたら私はいいのではないかと思います。これは、今聞いていただいております国民皆さんの良識ある御判断をいただきたいと思うのでございます。  私は、先ほどからきょうの議論を聞いておりまして、公明党皆さんからも非常に理解のあるお話をされておるように私には伝わってなりません。場合によっては、自民党がもうちょっとまじめにやるのなら我々も一緒にやるよ、こういう気持ちを持っておられるように思います。しかし、どうも硬直したお考えを常に繰り返しておられるのは、社会党ではないか。野党の第一党として、もう少しこの辺を真剣に考えていただきたい。今中西さんが言われましたように、ガラガラポンなんという言葉はいいのか悪いかわかりませんけれども、要するに従来のイデオロギーなり枠を超えて、我々はここで新しい日本の国家の形態において、政党の今後の新しい方向が何かということを決める、その原点にあるのは選挙制度ではないか。  私が今、以上申し上げましたことを、皆様というよりも国民の皆様に訴えさせていただきたいと思います。
  89. 渡部一郎

    渡部(一)議員 ちょっと申し上げたいと存じますが、見るに見かねまして、ちょっと発言させていただきたい。  それは、単一民族だから政党一つでいいというふうに今のお話は聞こえました。この論法は、ヒトラーが昔、一つの民族に一つの党と輝ける言い方でおっしゃったのと同じせりふでありまして、ちょっと私らの世代の者にとりましてはぎくっとせざるを得ない。こういうのはちょっと乱暴じゃないか。それから、日本は単一民族だと不用意におっしゃいましたが、決して単一民族でなくて、人権上も、北海道のアイヌの方々に対しては特別の配慮を政府は行ったはずであり、これもまたちょっといかがなものかと存じております。  私どもは、それを除きましても、ばらばらの意見をまとめるのが政権をつくるために大事だとおっしゃいますけれども、その政権の選択に夢中になって、そしてそれを抹殺してしまうのはよくない。特にシミュレーションによれば、第三党以下は抹殺する。そうすると、今のレベルで言うと公民共というのはいなくていい、自社だけでいいかなんというようなことは、それは白昼公然たる虐殺でありまして、余りいい意見ではないな。私は、もう少し立派な意見を吐かれるようにお願いしたい。
  90. 中西啓介

    ○中西(啓)委員 ありがとうございました。  時間が参りましたのでこれでやめますが、いずれにしても相当の、各党の意欲だけは十分感じ取らせていただきました。ですから、これからはやはりお互いに争点、違いを徹底的に追求するということも大事ですけれども、やはり合意点といいますか一致点を見出すべく努力をしてまいりたいということをお願いを申し上げたいと思います。  それから、最後に総理に、おられませんが、英国も腐敗防止法を通したときに、同時に小選挙区制という法律も通して物の見事に政界が浄化されたわけですが、あのときのグラッドストーンという総理大臣は、まさに政治改革の鬼と化して物すごい執念、情熱を政治改革に傾けたことがやはり成功した最大のかぎだということを、英国に行ったときに保守党の幹事長にも話を聞いたことがございます。総理の強力なリーダーシップ最後期待して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  91. 田邉國男

    田邉委員長 この際、提出塩川正十郎君から発言を求められておりますので、これを許します。塩川正十郎君。
  92. 塩川正十郎

    塩川議員 私は、昨日の本会議におきまして、社会党さんに対しまして答弁いたしましたが、私の真意が十分に伝わらなくて、改めて真意をお伝えいたしたいと存じます。  社会党法案の賛成率は九割を超えていることは事実であり、私の答弁が誤解を与えたことはおわびいたします。
  93. 田邉國男

    田邉委員長 質疑を続行いたします。日野市朗君。
  94. 日野市朗

    日野委員 では、私の方からいろいろ議論をさせていただきたい、こう思っております。  政治改革についての議論がこのように行われていることを、私も時宜を得た非常にすばらしい一つの試みだ、こう思っております。まさに今、日本の国の置かれている状況というのは大変な状況でございますね。今さら私もここでちょうちょっと申し上げるつもりはございませんが、何しろ冷戦の崩壊ということ、これはもう世界のいろいろな状況について大変な影響を及ぼしておりますし、我が国の内部においてもいろいろな、政治状況を初め多くの状況に影響を及ぼしております。それと同時に、これは特に政治家その一人一人についても非常に大きな影響を及ぼしているのではなかろうか、そんなふうに私感じているところでございます。私ども、こういう非常に重大な時期に当たってこれからの政治をどうしていくのかということを論じているわけでございますので、これからの政治が国をどのように変えていくかということについて非常に重大な影響を持つということから問題を提起をしてまいりたいというふうに思います。  まず、冷戦の崩壊というのは、単にソビエトを初めとする東欧諸国が瓦解をしたというだけではないのですね。西側も、今までの敵がなくなってしまったという、非常に大きな価値観の転換を迫られているわけです。特に、政治家にとってこのこれは非常に重大な問題であるというふうに私今考えております。我々も、今までの冷戦構造のような物の考え方、発想から大きく転換しなくちゃいかぬ、こう思っております。既に社会党、手前みそを少し並べさせていただきますが、社会党はもうとっくに古い社会主義、または共産主義と言った方がいいでしょうか、そういったものの価値観というものは捨てているわけです。  ところが、きのう、おととい、本会議でのいろいろな議論を聞いておりまして、私は、自民党というのはえらくこれはイデオロギー的な政党であるなと思いました。今、塩川さん、本会議における発言を訂正されましたけれども、私はこれは本気になって訂正したのではないなと実は思っているわけです。議論を聞いておりますと、加藤紘一さんの議論なんかでは、社会主義を捨てなければだめなんだなんという議論もしておられましたし、何か小渕さんの発言の中にも、やはりそういった社会主義的な物の考え方に対する全面否定のような考え方があったような感じがいたします。我々が今社会党を名のり、社会主義と言っているのは、ソ連型、東欧型の社会主義なんというのは、これはもうとっくの昔に捨てておりまして、今我々が目指す社会主義というのはいわゆるヨーロッパ型の社会主義でございます。ヨーロッパの我々の党と同じような党というのは、フランスであるとかスペイン、イタリア、オーストリア、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、こういう国はずっと政権をとり、または政権に非常に近い距離にいる、そういうところなんですよ。それを塩川さん、加藤さんなんかも、あたかもソ連的社会主義を我々がとっているかのように言われる。これは非常に大きな間違いだということを私ここで申し上げておかなくちゃいかぬ。  我々が掲げている今の考え方というのはどういうのかといえば、これは人間中心主義であります。自民党のイデオロギーというのは、これは企業中心でありましょう。企業が発展していけば、そうすればその波及効果が国民一般に及ぶ、経済全体に及ぶというような考え方をとっておられるのでありましょうが、我々はそうじゃありません。今国民の一人一人が幸せに過ごしているのかどうか、満ち足りた人生を送っているのかどうか、こういうことに我々はきちんと焦点を当てていかなくちゃいかぬと思っているわけですね。ですから、今度の景気対策なんかでも、私どもは所得税の減税ということを言ったりするわけであります。  今、我々こういう政治の中で生きていて、国が今までのイデオロギーというところを超えた大きな変動期、こういうところに差しかかっていて、我々は今この政治改革に取り組もうとしているわけでございますね。私は、この冷戦の崩壊、これは国の中でも大きな影響を政治家一人一人にまで及ぼしている。今、日本がじゃこれからこういう大事な時期にどっちに向いていこうとしているのかということについて、政治家それぞれが考えをきちんと持っているか、また国民皆さんがそれぞれみんなそういう考えで、どういう方向に進んでいくかということについて自信がおありになるかどうかということについては、私はこれは持っていないと思います。  私は、宮澤さんとこの問題についてお話をしたことがございますが、宮澤さん自身も、じゃどのような方向に日本をこれから導いていくのかという私の質問に対して、それにはお答えになっていないのですね。答えておられません。そのとき宮澤さんはどのようにお答えになったかということをちょっと御紹介を申し上げますけれども、  ちょうど五十年足らず前に食う物もなくて戦争に負けました。どうやって生きていこうかといって一生懸命お互い一に、お互いにと言っては失礼ですが、多くの人が考えた。人生五十年を超えましたから、まだその当時の経験を持っている人はたくさんいて、今五十年たって、ここでさあこれからどうするのだろうというふうに今お互い考えているのだと私は思います。こう言っておられるのですね。今考えているんだ。そして、さらにこのようにも言っておられます。  やはり貧しい時代には貧に処する道徳というのをお互い親から習って知っておりました、貧しくても人に分から与えよと。しかし、豊かになったときにどういう道徳が大事かということはだれからも習っておりません。そういう日本がなかったものですから、入り用がなかった。それを今、我々が身につけなきゃならない。こう言っておられるわけですな。  これからは日本がどのように進んでいくのか、このことについてのコンセンサス、こういうものは日本の中にあるとお考えですか。いかがでしょう。
  95. 西岡武夫

    ○西岡議員 お答えいたします。  日野議員御指摘の今日の世界情勢また日本の置かれている状況につきましては、私も全く同じ認識を持っております。それだけに、今御議論になっております政治の改革、政治に対する信頼を取り戻すということが、私どもが何よりもまずやらなければならない基本的な出発点である、このように考えております。しかし、それはあくまでもこれからの将来の日本をどのように持っていくかということを具体的に検討するための前提条件でありまして、それだけに今この場でそのことを、その前提の問題を私ども議論しなければならない事態を招いているということに対して、私自身も深く反省をいたしているところでございます。  そこで、ただいま議員御指摘の日本の将来の問題でございますが、私どもは、ただいま議員御指摘のように、新しい時代を迎える中で自由主義社会そのものも大変な大きな問題を抱え込んでいるんだ。皮肉なことに、冷戦構造が終わったという状況の中で世界全体が新しい問題を抱え込んでしまったという、そういう状況下にございます。一方、国内におきましても、いろいろの多くの問題を抱えております。次の世代のためにこの日本の自由主義社会を活力あるものにつくりかえていかなければいけない、そういう役割を私ども政治に携わる者一人一人が大きな責任を負っていると思います。  その中でも大事なことが幾つかあるわけでございますけれども国民一人一人がそれぞれの持てる能力をでき得る限り発揮できるような条件をどのように整えていくか、そのことを考えますときに、やはりいろいろなところに多くの問題が生じてきているのではないか。こうしたことも、政治が取り組まなければならない本当の公正な競争、一人一人の国民の能力を可能な限り引き出していけるような社会の条件がつくられるような社会をつくり上げていくということが、国内的には大きな問題の一つであると考えております。  それは、平等な条件をつくるということも大きな目標の一つでありますし、また、もう一つの大きな問題は、教育という問題にも多くの問題を抱えているわけでありまして、そうした一つ一つの根本的な制度の改革に速やかに私どもは二十一世紀に向かって取り組んでいかなければいけない。そうして、国内においてそういう施策を一つ一つ進めていく中で、世界の中でどのような役割を果たし得る日本であるかということを、具体的に行動をもって示していかなければいけないということが今私どもに課せられている大きな使命である、このように考えております。
  96. 日野市朗

    日野委員 全く御立派なお考えだろうと私は思います。  ただ、おととい、きのう、きょうですね、この議論を聞いていて、私が非常に気になって気になってしょうがない一点がございますね。それは、政権党のリーダーシップ、それから機敏な決断という言葉がいっぱい出てくるわけですね。そして、選挙制度というものは政権党をつくるための制度であるというような言葉がどんどんどんどん飛び交っている。私は、このことを非常に注意をして聞きました。  リーダーシップを持つことも結構でしょう。機敏な決断をやることも必要でしょう。しかし、今こういう非常に混乱した、さあこれからどういうふうに進んでいくかわからないという時代の中で、これは国内、国外両方同じだと思いますが、そういうような時代の中で、国民のコンセンサスなしに政治が突き走る、突っ走っていくということは、私はこれは厳に避けなければならないことだと思うんです。これからみんながさあどうなっていくんだろうと考えているときに、私は、そういうときにこそ少数意見、そういったものもきちんと耳を傾け、それに対して政治がこたえていかなければならないんだと思うんです。そうでなければ、これから何年も先、その何年も先の、まだまだ激動し揺れ動いていくであろうこの世界の中で、どうして我々はその少数意見に対して責任を負うことができるのか。  少数意見というのは、私はほんの小さいマイノリティーのことを言っているんじゃありませんよ。まず、少なくともこの単純小選挙区制によれば五〇%の得票を得られないで成立するであろう政権党、そして、そのリーダーシップが強力に発揮されていく。そして、そこで機敏など称していろんな決断が行われていく。それが間違ったらどうしようかというその恐れを我々政治家というのは常に抱かなければならないんじゃないんでしょうか。そのとき、国民に対する謙虚さ、そういうものを常に我々は抱いていなければならないのではないか、私はこう思うんですね。  単純小選挙区制で、これは皆さんは、少数の声も大事にいたします、こうおっしゃいます。しかし、私はそうは思いませんね。やっぱり選挙をやる身になって選挙戦を戦うということになれば、一番大事にするのは自分を支持してくれる人たちでありましょう。違いますか。私は、そういう観点からしたら、これは少数意見に対する尊重、少数意見に対する謙虚さ、恐れ、そういったものというものがなくなってしまう、こう思っているんですが、いかがお考えになっておられるでしょうか。
  97. 西岡武夫

    ○西岡議員 お答えいたします。  私ども自由民主党は、これまで少数意見のみならず、棄権をされておられる方々の物言わぬ批判に対しても謙虚に耳を傾けてきたつもりでございます。少数意見の皆様方の御意見に耳を傾けずして、これだけ長い間政権を預からしていただいているということはあり得なかったであろう、私はこのように確信をいたしております。  それともう一つ、ぜひ日野議員にお聞き取りいただきたいのは、小選挙区を導入することによっていろいろな問題が起こるというお話がございました。私自身のいろいろな経験の中から痛感をいたしておりますのは、残念ながら、我が国におきましては本格的な討論というものがまだ育っていないということを痛感をいたします。私はたまたま、小学校のころでございましたが、初めて学校の場に討論あるいは級長の選挙というようなものが導入をされたわけでございます、敗戦後に。そういう中で、最近の若い世代の皆さん方の間には、討論というものがかなり身についてきておられるであろうと思うわけでございますけれども、討論をするということ、徹底的に討論をしていくという習慣は、まだ我が国の場合、残念ながら成熟をしていないということを痛感をいたします。  小選挙区が導入をされた場合に、一つの事柄をめぐって徹底した政党政党との間の意見を闘わすということを通じて、最終的に国民皆様方の判断をいただくということがその中から生まれてくるであろう、私はこのように考え、小選挙区を導入するということが事柄を明確にしていくことにつながっていくであろう、このように確信をしているものでございます。
  98. 伊吹文明

    ○伊吹議員 日野先生御指摘のとおり、少数意見を尊重しなければいけないというのは、どのような選挙制度であっても、民主主義のもとにおいては当然であります。  ただ、少数意見を尊重するという形をどのような形で担保をしていくかということでありまして、社公両党の御提案では比例という形で、まあ得票に応じて議席を配分することによって担保をしていきたい、これも私は一つのお考えだと思います。これは、いい考えてあるという一面と、同時に、先般来いろいろ御意見が交わされておりますように、船頭多くして船山に登るというか、個々の政策については協定はできても、政権としては一つの意思決定が非常に難しいという欠点があります。  単純小選挙区の場合は、互いに緊張感を持って、もし少数意見を無視し間違ったことをすれば、次の選挙で必ず政権を失うんだということによって少数意見が担保され、また、死に票という言葉で言われておりますが、それだけの反対票があるんだということをいかに政治家として認識しながら活動をするかという、政党政治家の人格の問題として担保されていく、私はかように思っております。
  99. 日野市朗

    日野委員 単純小選挙区制で、これは恐らく、一党が圧倒的な多数を持ったということになれば解散なんということはなかなか行われなくなるでしょう。そして四年という時間、これがどの程度の時間がということを我々はよく考えてみなければならない。今こんなに世の中が激動し時代がどんどん先に進んでいくという中で、四年間というのはこれはかなり長い時間であるというふうに我々考えなくちゃいかぬのだというふうに思いますね。  そして、その次の選挙でまた政権が入れかわるかもしらぬ、皆さんそういう可能性を指摘されます。確かにダイナミックな政治的な現象が起こった場合、例えば我が党の土井さんが委員長だった当時、これは確かに我々は選挙で勝ちました。そのときはリクルート・スキャンダルがあり、消費税の問題があり、また土井さんの個性というものもあったのでございましょう。そういうダイナミックな出来事があった場合、それはかわり得る。それはあります。そういう可能性というものは、これは非常に私は強いということを否定はいたしません。しかし、それと同時に考えなければならないこと、単純小選挙区、これが政権交代を可能にする、それを担保していく制度だと皆さんがおっしゃったとしたら、これは私は大きな間違いだというふうに思います。イギリスで、労働党と保守党の間で、しばらく政権交代が行われていないという事実もございます。  それともう一つ、私こういうふうにも考えるのですよ。例えばアメリカをごらんになっていただきたい。アメリカもこれは小選挙区でやっておりますね。そこでの現職議員の落選率というのは、まことに微々たるものなんです。そして、議員たちはみんな自分選挙区にしょっちゅう帰って、そして選挙区サービスをやっているというのが現状でございますね。さっきもどなたかから出てまいりましたね。実際に私も見ておりまして、アメリカの議員たちが一生懸命選挙区サービスをやっていて、その弊害が、なかなか会議すら開けないというような状態になっていることをよく知っています。それからまた、そういう小選挙区から出てきた人たちが地元の利益、これを言い募って数々の問題を起こしている。このことを皆さんもう御承知でございましょう。やれ金属バットだとか靴だとかそんなことから、あとは牛肉、それから米まで、あれはやっぱりそういうアメリカにおける政治的な制度の背景というものをこれはちゃんと見なくちゃいかぬ。日本だって、私は、そうやってもう恐らく小選挙区から選ばれてきた議員たちはそっちにしょっちゅう帰って選挙区サービスをする。これは必ず強くなります。強くなる、これは。  こういう現象、現に単純小選挙区をやっているそれぞれの国に起きている現象、それから我が国にそれがもたらされた場合どうなるかということをいろいろ虚心に見てみれば、私は、この単純小選挙区というのが政権交代を担保する手段であるとは思えないのですよ。どのようにお考えになります。
  100. 武村正義

    武村議員 私は、必ずしも欧米の小選挙区の国がそういう実態で一色だとは思いません。お互いまた各国の状況を勉強していきたいと思いますが、少なくとも日本のこの中選挙区制における我々の選挙区に対する関心の深さ、かかわりの深さに比べれば、まだアメリカも軽くてうらやましいなという認識を持っております。  いずれにしましても、民意の反映ということが一番けさからの論点になっておりますが、一つは、皆さん全国集計で得票を計算をされて衆議院の議席数にぴったり合ってないという点を終始指摘をされておりますが、私は、選挙というのは一つの仕組みでございますから、今の中選挙区は中選挙区、小選挙区になれば小選挙区という、その場その場でどう民主的に代表を選ぶかということが論議の基本だろうと思うのです。少なくとも小選挙区制は、知事選挙、市町村選挙、参議院の一部の選挙区等々でなじみの選挙システムでもあります。三〇%、四〇%で相対多数で知事に当選することも少なくないわけでありますが、そういうときに、過去どれほど反発あるいは選挙の後違和感があったのか。少なくともこの選挙では一番たくさん票をちょうだいした人が全体の代表になる、有権者がきっちりそのことを認識してこの選挙戦に臨めば、結果については、割合日本の有権者は賢明でございますから、それに対して不満を云々される方はほとんど見られません。ですから、単純小選挙区の場合も、あるいは皆さんの提案されている二百の小選挙区の選挙のルールも、相対多数で一番たくさん票をちょうだいした人が唯一代表だという認識でこの選挙をスタートをするならば、それはそんなに問題のないことだ。その結果が全国で五百人集まって、全国の得票率との差が出ることは、一つのルールをきっちり認識をされればそれほど問題のないことだというふうに思います。
  101. 深谷隆司

    深谷議員 ただいまの答弁でいいと思うのですが、あえて蛇足を加えますと、今イギリスとアメリカの結果について、つまり新陳代謝、交代が余りないと指摘されたのですが、今イギリスの国会議員の平均年齢は四十八歳。間違いなく、議員は新陳代謝しております。アメリカで言うと、例えば五年前、十年前に当選した議員の残存率というか残っている数を見ますと六〇%ぐらいですから、かなり交代しているのです。ですから、これから政権をとろうとする小選挙区制で出された政党が、どういう候補者を出して新陳代謝を常にしながら新しい体質に変えていくかというのは、まさに政党の器量と国民に対するこたえ方ということに帰着する問題ではないだろうかと思います。  なお、もう一つだけ。小選挙区になると地域の利便ばかりを図るだろう、こうおっしゃったのですが、確かに冠婚葬祭等に追われていくという弊害は除去しなければなりません。しかし政治家というのは、私は二面性があっておかしくない。その地域の抱えている問題を国家的な問題としてとらえて、国全体の整合性の中で議論していくという面があって少しもおかしくない。私どもの地域で言うならば、中小企業が非常に多い地域であります。中小企業の問題について声を大にして、一番実情を知った者が意見を言うのはむしろ民主政治の中で必要なことであります。問題なのは、地域で選挙に勝つために冠婚葬祭等でその地域ばかりにこだわることはいけないというのであって、政策の面でいけば、その地域のことを一番知っている者が国会の場で議論して、国全体の整合性の中で答えを出していくということは、私はむしろ当然のことだと思っております。
  102. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 今までの自民党さんの答弁を聞いていますと、極めて異なこと、私には理解できないことがあるわけです。死に票というのを使うのはおかしい、こう言われるわけですが、死に票というのは政治用語として、自分の投票した一票が議席に結びつかなかったものを死に票と言う政治用語なんですから、それが議席に結びつかなかった者の意見はだれかが議院の中で反映してくれるだろうという、こういう推測を持って物をやることはおかしい。これは私が例を挙げましたように、山梨県の建設業協会ではございませんが、知事選に負けた方は、負け組は一つ仕事をもらえない、勝ち組は仕事をとってきたと同じことで、発言権は全然ないわけでありますから、その死に票という考えはおかしいというのはおかしい。  それから、武村先生の御発言でございますが、これもまた武村先生とも思えないので、知事選挙、首長選挙の場合の一つを選ぶ、これは執行者でありますから、執行責任を持ってやる話と議員という発言権を持ってやる話とは、これはシステムが違うのですから、これはおかしな議論だと思います。  日野委員から冒頭お話がございましたように、やはり民主主義というのは少数意見を尊重していかなければいかぬ。小選挙区ではその少数意見が反映しにくい、むしろ圧殺してしまうじゃないか。五一%の人が四九%の意見の人を、暗にそれはそのことが頭にあるかもしれませんが、議会の中でそれは発言にならないわけであります。したがって、私たちとしては、少数意見も尊重する。あわせて、自民党皆さん方が心配をするような政権の核ができないのではないかということについては、ちゃんと顔が見えるように二百の小選挙区を設けて、そして、そこの戦いの中で、ディベートがないというお話がございましたが、二百の小選挙区の中でディベートが行われて政権の核ができるようなシステムになっているわけでありますから、さすがドイツ人が考えたような極めて合理的な案を参考にさせていただきまして、社会党公明党でできたのが日本流のブロック別にこのことを行うというやり方でございますから、極めて合理的な案であることをよく御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  103. 日野市朗

    日野委員 今私ちょっと反論しようかと思ったら、佐藤さんがずっとしゃべりました。  ところで、私は単純小選挙区制で気になって気になってしょうがないのは、それぞれの党の得票と議席数が余りにも連動しなさ過ぎるではないかということが非常に私気になってしょうがないところなんですね。ちょっと一例、これはイギリスの例で申し上げましょう。  一九二四年に保守党は七百三十八万票とって四百十三議席をとりました。そしてそのとき労働党は五百四十八万をとって百五十一議席にとどまったのですね。そして、一九二九年に労働党は今度は八百三十六万をとって二百八十七議席なんですね。さっき保守党は七百三十八万で四百十三とったのですよ。そして今度は労働党が八百三十六万とって二百八十七議席なんです。そして一九一二年に労働党はそれから二百万票ぐらい減って六百三十万票になった。そうしたら何と五十二議席におっこっちゃった。  それから、もっと私納得できないなこれはと思うのは、一九五一年に保守党は四八%の得票率でありました。そして三百二十一議席をとったのです。労働党は四八・八%、保守党を〇・八%上回る得票を上げました。そして議席数は何と保守党を下回る二百九十五議席にとどまっているのですね。これは労働党は勝ったのですよ。しかし、議席数では負けた。それから、一九七四年二月の選挙ですが、保守党はこのとき三七・八%をとりました。そして二百九十七議席です。そしてそのとき労働党はといいますと、三七・一%。これは保守党より少ないのですな。ところが、保守党の議席を上回る三百一議席をとっているのですな。  これは、こういう結果はちょっと納得できない結果ですね。それは制度から必然的に出てくる結果だと言ってしまえばそうなんですが、こういう結果が出るような選挙制度はいかぬというふうにこれは考えなければならない。私は、やはり国民政党に対する支持率は議席にきちんと反映できる、これの方がすぐれているじゃありませんか。どうですか。
  104. 伊吹文明

    ○伊吹議員 私も四年ばかり英国に住んでおりましたのですが、その当時の、今、日野先生おっしゃったのは、小選挙区に特有の五一%と四九%で議席が決まるという理由も一つあると思いますが、それ以上に、私が当時勉強したり人から伺った話では、いわゆる人口に対する議席の配分、これが必ずしも十分でなかったというふうに伺っております。つまり、北の方の人口はずっと南、ロンドンを中心に移動してきておりまして、それに応じて定数が完全に、今で言えば一対三とか、そういう配分がうまくできていなかったということにも私は一つ原因があると思うのです。  先生のおっしゃる議論を完全に満たすということであれば、全国、国一つを大選挙区にして、投票によって配分すればこれは一番先生がおっしゃるとおりになるわけですが、それが果たして国民が一票を行使する選挙制度としていいか悪いかということを政治家としてこれから議論していく、これが私は大切なことだと思っております。
  105. 日野市朗

    日野委員 いずれにしても、これは非常に希有な例だと伊吹さんおっしゃいますが、しかし、希有な例にしても、これは非常に納得のいきかねる結論であることだけは間違いないことでございますね。それに比べて、我が党及び公明党が提案している比例制を組み込んでいったならばこういうことはまず起きない、このことだけは間違いないですね。これは、国民の現実に示した意向と議席の数がこんなにも食い違ってはいけません。やはりこれは社公案の方がはるかにすぐれているなというふうに私はここで指摘をしなければいけないのですね。  それともう一つ、単純小選挙区のことで私が気になるのは、皆さん、単純小選挙区制でやれば同士打ちが起きないとか、それから金がかからなくなるとか、こんなことを言っておられるわけですね。しかし、私はそうは思いませんよ。もちろん無所属候補が立候補することを禁止するわけにはいかないのでして、無所属候補がどんどん小選挙区に出てくるということは、これは考えなければいかぬですわな。そこでは同士打ちというのは必然的に起こるじゃないですか。こういう同士打ちがなくなるとは私は思わないし、ややもすると無所属候補というものは際限もなく金を使うという傾向がある。そういうことになりますと、私は、小選挙区というものに対して我々としては非常に警戒感を持たないといかぬと思う。  さっき石井さんが何か読み上げられましたな。床次内務大臣の小選挙区についての提案理由を読み上げられた。私もその議論の経緯というものはよく知っています。そして、我々と同じような問題意識を持ってその当時小選挙区が提案されたことを私よく知っています。そして、現実に小選挙区が実現したわけですね。そこで一体何が起こったかということをよくこれはみんなで考えてみなければいけません。全く金を使い、政府が選挙に干渉し、暴力ざたはもう数え切れないくらい起こり、そういうことがいっぱい起きたわけですな、小選挙区で。この小選挙区についての検討はいろいろなところで行われておりますが、ここでは私もちょっと小選挙区についての一つのコメントを、さっき石井さん読み上げたから私も読み上げさせていただきますわ。  これを書かれたのは吉村正先生です。吉村先生の薫陶を受けなかった方はここには恐らくおられないくらい非常にすぐれた方でありますが、こういうふうに言っておられるのです。   いずれにせよ、この原内閣の小選挙区制の採  用およびそれによる最初の選挙は、およそ選挙  に伴うあらゆる弊害を暴露した、いわば展示会  のようなものであった。ゲリマンダーは行なわ  れる、政府の干渉はある、運動は激烈をきわめ  て、血戦となる、買収その他の不正は半公然と  行なわれて、選挙費は一度に膨張した。全国的  に名の知れた大物が落ちて、ごく狭い地方の名  声家にすぎず、したがって、議会に出てきて  も、まったくのイスの番でなんらの意見ももた  ない議員が当選し、結局、与党の絶対多数を導  き、総裁原をして、ただ力をふるわしめること  となった。ちょっと飛ばしますが、  大正九年の選挙を境として選挙政党が膨大  な金を費やすようになり、やがて、その資金の  調達について大規模な不正が行なわれ、また大  財閥はもちろん満鉄その他の植民地機関がこの  資金関係を通じて、政府とよこしまな結びつき  をもつようになり、それが世の非難をうけるよ  うになって、政党の信用がガタ落ちとなり、そ  こに軍部が台頭して、民主制が凋落し、太平洋  戦争へと突入したのである。これは吉村先生の見解。私もほぼ同じ意見であります。  この小選挙区制、これは私は決して昔のことだったと言うことはできない。今の世の中もこれと同じような事態が十分に予想され、現に奄美大島の問題などが取り上げられ、奄美大島はそうではない、事情が違うという方もいるが、私は事情がそんなに違うとは思わない。また、それぞれの選挙区で金権選挙がばっこしている現状を見て、今ここで吉村先生が摘示されたような指摘、これが全然おそれのないものだというふうに私は考えない。石井さん、どうですか。さっき石井さん、この点について述べられた。ちょっと短く答えてください。
  106. 石井一

    石井(一)議員 簡単にお答えしたいと思いますが、長く続いて恒久的な真理と、時代の変遷とともに大きく変わっておる問題と二つあるように思います。  イギリスの場合は、問題として出されましたのは、一九二四年、一九三一年。これはかなり古いデータでございます。現在は、保守、労働が千二、三百万を拮抗しておりまして、自由党が二百万程度でございます。御存じのとおりであります。問題は、六分の一の自由党が議席が五十分の一だ、こういうところが問題でありまして、私は、全体的な大きな流れとしての問題はそうではないというふうに思っております。  それから、私も床次内務大臣の例を出しまして申し上げたのでございますが、それは大選挙区、中選挙区を小選挙区に変えるときのいわゆるイントロダクションであったからそう申し上げたのでございますが、今おっしゃいました中で、例えば財閥、例えば軍部、例えば政府の介入、こういうふうなものはまず現代の社会では考えられないのではないか。  金の問題についてどうかということになりますと、首をかしげると思うのでございますが、ただ私が申し上げたいのは、金は使っておりますのは、率直に反省いたしまして、自民党議員同士の同士打ちでございます。社会党なり皆さんのことを批判しておりません。その同士打ちの中で一〇%、一五%をとるために激しい仲間の争いをやっておるのを排除したいということでございまして、小選挙区制になりますと五一%、四九%を分けるという戦いでございますから、政党は勝たせようと思えば、通る候補者を出さざるを得ない。金をまくような者を現代の教育の高い国民が許すわけはない。私は、この点は大きく時代の推移を考えるわけでございます。  なお、最後にもう一点、少数意見の問題でございます。私は、非常に重要だと思う、少数意見を尊重するということは重要でございますけれども、少数意見にあぐらをかくということもあるのであります。要するに、だれかが反対すれば何もしないということによりまして、地方の財政が赤字になった例もございます。ここはあくまでもバランスをとるべきだ、こう申し上げたいのであります。  以上であります。
  107. 日野市朗

    日野委員 では今度は、石井さんも金の話をされましたから、私も金の話をいたしましょう。政治資金につながっていく話であります。  とにかくこの政治不信というものは、原因は一つにはとどまりません。いっぱいあるでしょう。国民政治に対する不信感を醸成してきたものというのはいっぱいあると私は思う。ただその中でやはり最も大きな問題は、金の話でございましたね。  これは私も、ちょっとことに新聞の記事、ざっと引っ張り出してきた。そこでの見出しだけ言います。これは朝日新聞です、大体。「金丸もうで業界の常識 ゼネコン役員証言 礼金、受注高の3%政・官・財根深い癒着権限拡大に”力”利用 切れぬ関係、「次」模索も」として、この記事はちょっとおもしろいから。   「受注の謝礼に受注額の一定割合を出すのは、  田中角栄さんが確立したスタイルだった。ここ  数年は、相手が金丸さんに一本化されていたの  で、有り難かった。どうせ、別の人が出てくる  んだろうが、今はだれも小沢一郎さんとは思っ  ていない。これからが大変だ」と、あるゼネコン  の役員。  「ヤミ献金「リニアもよろしく」」その記事を見たら、リニアモーターカーの試験区間ですな。これの発注先、受注先が全部きれいに決まっている。これなんか「献金相手間違えた 東急建設社長「裏」の実態淡々と 鹿島社長「蓄財…アホくさ」」全くこれはこっちがあほくさくなりますよ。一体今の政治はこれは何だと。  そして、私は、これは金丸さんに関する事件でありますが、それに対する報道でありますが、これは金丸さんのことだけだとは思っていません。皆さんも御存じでしょう、皆さんの地元の県会議員たちが何をやっているか。県会議員たち、ごらんになってください。皆さんよりもでかでかとしたパーティーをやって、金集めでしょう。そして、皆さんぼやぼやしていると、小選挙区だなんて言っていると、そういう連中が金を握って乗り込んでくるんですよ。私は、この自民党政治にはこういう体質がすっかりしみ込んできてしまった。  私は、これがかつて日本が苦しかった時代にある産業を伸ばしていこうということで政府がそれを、その産業を支持し、そこに資金をつぎ込んでいった。そして日本経済を伸ばしていったという効能があったこと、私はそういう効果もあったことを否定しようとはしません。いいとか悪いとかは私はここで今それは言いませんが、しかし、それがどんどん進んできて、今新聞の見出しに躍ったようなそういう体質にすっかり自民党がなり切っている。このことだけは私は皆さんに面を冒して言わざるを得ない。  随分皆さん政治資金をお使いになるようです。私はこんなこと宣言うからには、自分政治資金、どのくらい使うかお話しをしてから物を言いましょう。私は、今まで六回選挙をやりましたが、ただ一人も選挙違反者を出したことはない。そして、私は、この間NHKからの調査、アンケートがありましたね。一体、年間どのくらい使いますか。政治資金どのくらい使いますか。私は一千万円以下、どうもそれより下がなかったものですからそれに書いた。  ちょっと伺いましょう。塩川さん、どのくらいにお書きになりました。差し支えなければちょっと教えてください。あなたにはどのくらいの政治資金がかかっているのか、年間。
  108. 塩川正十郎

    塩川議員 私は、年間で大体一億四、五千万円要るでしょう。日野さんはどのぐらいお使いになるのです。
  109. 日野市朗

    日野委員 私は、年間一千万円以下です。
  110. 塩川正十郎

    塩川議員 そうですか。それはしかし、党が選挙をやってくれておりますし、党が中心となった政治活動をやっておられるからそういうことで、党と個人とを合わせた場合の合計額というのは、合計幾らになりますか。
  111. 武村正義

    武村議員 恐れ入ります。  日野さん、こういうことで余り言い合いはしたくありませんが、私どもは、月七十五万円、文書通信交通費、締めて一年間九百二十万円、秘書二人の人件費の補助、これは約千数百万円、立法調査費は、個人を対象に出ているものでございますから、党で管理している場合も多いのですが、これも七百八十万円、国鉄のパスも含めますと大体三千万近く、共産党の皆さんも含めて、一年間に公費が政治活動費として出ております。  私ども、かつてユートピアで発表したときもそういう経費を含めて発表をしておりまして、あのときもテレビでいろいろ批判を受けましたが、大体歳費を入れますと、歳費は政治活動費ではありませんが、少なくとも公費として議員一人一人に一年間出ている経費は約五千万近い額になっているわけです。お互い、共産党も含めて我々国会議員はそれだけの公費を毎年受けて、まだ足りないと言っている。  社会党さんの場合は、加えて、どうでしょうか。やはり私ども地元で見ておりましても、我々は自民党は同士打ちですから、自民党の支部や県連がございますが、衆議院の選挙は全くこれは機能いたしません。みずからの事務所を置きます。秘書を置きます。そうしますと、社会党は、うらやましく思いますのは、やはり党の建物が使えますし、党の職員も使える。加えて、主な労働組合の専従の職員とか、組合の事務室とか電話とか、特にポスターなんか張る場合にはそういう組合の皆さんが、まあボランティアでしょうが、いずれにしましても大量に動員されてサポートをされる。これをもし自民党と同じように計算をすれば、やはりほぼ自民党と同じぐらいの年間数千万円ぐらいの経費になるのではないでしょうかね。私どもはそういう疑問を持っております。
  112. 日野市朗

    日野委員 アンケート、もう時間がなくなってきたので余り触れませんが、あそこで意識されているのは、立法調査費とか秘書の給与とかそういうことはなしで考えているわけです。  現に皆さん、労働組合だの党だのというけれども、私は労働組合でもない。選挙なんかは全部自費とカンパでやっているということ。私は大体、これはもう皆さんにはっきり申し上げておく。私は、法定選挙費用よりも少ないとは言わぬ。しかし、法定選挙費用を上回ったって幾らも上回ってない、これだけは断言する。そうやって選挙はやれるのだ。  それで、私ここで聞いておきたいのは、政治資金というものが流れ込んでくる。その政治資金は一体何の目的で流れ込んでくるかということを、皆さんにきちんと認識をし、これに対して厳しい対処をしてもらいたいと私は思うのです。  我々は、もう一切、企業それから団体から政治献金は受け取るべきではないという案を出しております。これは、党に入る分はいいのだという自民党さんのお考えですが、私は、こうやって党がゼネコンを初めとするいろいろな企業から縛られている、その姿というものを予算の中にはっきり見ることができるような気がする。これは党が縛られていると言わざるを得ない。  今ちょっと私、公共事業関係の予算、一九八〇年の分と一九九〇年の分の対比を申し上げる。いいですか。  住宅関連一一・三%、これが八〇年。九〇年にも一一・三%。下水道等の環境衛生施設、これは八〇年に一四・五%、九〇年に一六・一%。それから港湾漁港空港等、これは八%、それが九〇年に八・二%。農業基盤、これが八〇年に一三・五%、九〇年に一三・八%。林道工業用水等、これが八〇年に二・八%、そうして九〇年に二。六%。道路整備、これが八〇年に二八・七%、九〇年に二九・二%なんです。  全くその間の比率、ほとんど変わっていないではないか。その間にずっと世の中は動いてきたはずだ。その間にはすぐれた技術革新もいっぱいあったはずだ。何でこういうものがこういう公共予算に反映されないでこのままずっと来ているのですか。まさにこれは、自民党の族議員自民党が予算の編成に当たって強力な影響力を行使して、シーリング方式などというものでずっと縛ってきたからではないか。これを見たら、日本政治はほとんど動いていない、そのことをよく示しているじゃないですか。私は、このことは皆さんによく考えていただかないといかぬと思う。  大体、政治献金をしようとする人は、企業という場合、これは商売人なんです。商売人が自分の利益を求めずに献金などを出すはずがない。もしそれが利益に結びつかないことがはっきりわかっているのなら、その政治献金を決めた役員たちは株主たちを裏切っていることになるのですよ。  私は、この一事を見ても、今の政治資金のあり方、この政治資金から企業、団体を一切シャットアウトすべきだ、こういうことを強く皆さんに要求をしたい。そして、これこそが世の中を悪くしている、政治を腐敗させている元凶だ、こう思います。
  113. 津島雄二

    津島議員 党財政に係るお話がございましたが、日野委員自民党の財政の中身については余り御存じないと思うのでありますよ。  まず第一に申し上げますと、毎年の公共事業の比率ということをおっしゃった。率直に申しますと、昭和五十年以来、寄附限度は、もう全く一銭も動いてない。ですから、私は党の経理局長をやりまして大変苦労をいたしましたが、ここ十何年も前から党に対する正規の献金というのはほとんどふえようがないのであります。そして、その党に対する献金はほとんど全部国民政治協会に対するものでございまして、これは党がそれを使わせていただくときには、何々業界の何々というような色は全くついてないのでございます。  今回私どもが提案しておりますのは、いわゆる量的制限を超えた裏献金はいけない。であるから、第一に、いわゆる公私の峻別をして、政治家個人は受けないようにしよう。第二に、政治家個人に対する献金は、一年に会費程度のもので、しかもたった二つの資金調達団体に限ることにいたしましょう。あとは全部政党に対するきれいな献金にしていただきたい。こういうことを申し上げているのであります。  それで、もし政党の財政についていろいろ御議論があるのなら、私は幾らでも御答弁をいたします。それは、先ほどから社会党の提案者も言っておられるように、社会党がなかなか半数以上の、過半数をとれなかったのはお金がないからとおっしゃったのだから、社会党も党財政を強化する必要性はあるのでしょう。それであれば、明朗な党財政の強化の方法について本当に胸襟を開いて語り合おうじゃありませんか。  以上であります。
  114. 日野市朗

    日野委員 ちょっと津島さん、そこにいなさいよ。すぐあなたに聞くから。  あなた、私は知っていますよ。党の財政そのものが額はずっと抑えられているというのはそうでしょう。しかし、あなた、こぼしたじゃないですか。このごろの企業は党に入れないで個人の議員に渡したがる、このごろの若いやつもそれを受け取る、それは困ったものだと。あなた、言ったことがあるでしょう。ちゃんと刊行物にそれは載っている。私たちそれを知っているのですよ。あなた、それは今までやみで処理をされてきた。やみだったわけですよ、今まで。それが今までの選挙を腐敗させてきた。  そこで、私が言いたいのは、小選挙区制というものが必ずしもその選挙にかかる経費をすっかり抑え込む制度的保証たり得ない以上、そういう習性を持った自民党の諸君がまた隠れた金を集めて、そしてまたこの小選挙区を汚していったならば、将来に対して重大な禍根を残すことになる。どのように考えますか。
  115. 田邉國男

    田邉委員長 簡単にお願いします。
  116. 津島雄二

    津島議員 誤解を避けるために一言でお答えをいたします。  政治家個人に対する献金が非常に求められましたのは、まさに中選挙区制があるからであります。それは私どもが本当にこれまで苦労してきた大きな問題点でございますから、この問題を真に解決するためには、どうしても選挙制度にさかのぼって変えていただきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  117. 日野市朗

    日野委員 終わります。
  118. 田邉國男

  119. 土井たか子

    ○土井委員 討論をするということになってまいりますと、やはりそれ相応の雰囲気というのは非常に大事だなと思いますね。  今私ども一人一人、政治家に対して向けられております国民皆さんからの目というのはもう言わずもがなでありますが、先日テレビを見ておりまして、世論調査の結果、今の政治家を信用できないと言われた方々が九一%なんですよ。そうして、それでも信用できるとおっしゃる方が四%なんですね。四%と申しますと、議席五百十二、定数で換算して約二十人ぐらいじゃないでしょうか。きょう、その席にお座りの皆さん、その二十人のうちの一人だとお思いになっていらっしゃるかもしれないけれども、それは私どもももちろん含めて議員全体に対してですから、こういう世論調査の中身は与党、野党はありません。議員全体に対してです。  ただ、そういうときに、状況は非常に圧倒的な国民不信の中で、重要課題が次から次から決定されていっているのですね。国会はやはり立法機関ですから、立法の機能というのを一日も怠るわけにいかない。考えてみますと、このこと自体が非常に大きなひずみをどんどんどんどん増幅していっているという形になるということをやはり自覚しなきゃいけないなと私は思うのです。  きょうは、自民党の方が提案をされておりますから、自民党皆さんに対して、いわゆる金権汚職構造というものに対してえぐり出したいと私は思っておりますが、しかしまた、片や私どもの方に対してもそれはえぐり出すということにもなるということをしっかり考えた上で話をさせていただきたいと思うのです。  私は、四月十四日の日に新聞を見て、胸をつかれました。今申し上げたような政治状況の中に一人一人の今議員がいるわけですね。政治家がいるわけです。片や、カンボジアから中田厚仁さんの遺骨を胸に抱かれたお父さんが大阪空港に到着をされた。その場面のことが報道になっているのですが、内閣総理大臣と外務大臣から厚仁さんに贈られた表彰状を受け取られた後で、お父さんである武仁さんは「恒久平和を願う憲法の前文の精神を生かし切ったものとして、ありがたくお受けしました」と語られた。これはやはり私、胸をつかれます。  今の国会の状況がこう、一人一人の議員の状況がこう、その中でこのニュースというのは、私は、日本の姿かたちというのは、国際間で見られた場合、非常にこれは対照的なものになっているんじゃないか。多くの国民皆さんも、一体この問題に対して、中田さんのことに共感を持たれると同時に、それだけに、政治家のふがいなさということをさらに思われるに違いないと私は思うのであります。  本当に政治を変えたいと思うのだったら、身を切る覚悟でないとこれはできないですよ、本当に。そうして今まで、この二十年来、汚職に次ぐ汚職を重ねてきて、その都度問題になりながら、また立ち消え。案はつくったけれども、お蔵入り。国会審議にしても、これは私どもが反対をするのじゃないのですよ、自民党内で協議調わず、空中分解、こういうことが続けられてきたんじゃないのですか。  そういうことを考えていくならば、私はまず、一番今不信を買っているのは何か。これはもう申し上げるまでもない、政治と金の関係でございます。さっき、もう既に少しお答えになったのですけれども武村さん、武村さんはこれ、リクルート問題で国民政治不信が高まったときだと思いますが、あのユートピア政治研究会の座長として随分これは勇気を奮われたと思うのですよ。勇気を奮ってこういうことを決断して出されたと思うのです。自民党内ではいろんな御意見がこれに対してあったであろうと思うのです。だけれども、よく出されたと私は思いますよ。出されるに当たって逡巡されたに違いないと私は思いながら、記事を通じて平均年額一億二千万というのを見ました。これは、内訳も大体のところは記事として出ているのでございますけれども、野党の人の中には年間平均一億二千万使っている人たち、ないと思うのです、本当のところ。ないと思う。  私は、九二年度の収支計算を少し見て、持ってきてみたのです。持ってきている。それは、私の場合はもうどこに行ったって公然たることでございますけれども、お金がないので有名なんです。そして、しかも先輩の市川房枝さんからは、土井さん、お金を使う選挙をやるようになったらやめなさいと私は一回当選のときから言われ続けてきた。これは肝に銘じなきゃいけないと私は思って、今日まで私なりの努力をしてきたつもりでございますけれどもね。  収入の方は一千九百四万二千三百七十七円。支出は、人件費、家賃というのは、私はこれはアパート倍りているのです。狭い狭いアパートを借りている。そうして、今に至るまで、残念ながら私は自分のマイカーを持つことができない、維持費とか人件費とかいろいろ考えますと。事務所と住居、それから交際費、通信費、行動費、生活雑費、事務所の雑費、これは東京の方ももちろんですけれども選挙区の方の事務所の雑費、全部含めまして千八百五十万円です、年間。そうすると、武村さんのあの勇気を奮ってお出しになったところからしたら、まあ大体どれくらいになるのでしょうかね。軽く見積もって、八分の一が。  そういうことを考えてまいりますと、武村さんは、あれを発表されてから後、どういういろんな反応がございましたか。それをちょっとお聞かせくださいませんか。
  120. 武村正義

    武村議員 あれはもう四年前でございましたが、私ども、リクルート事件が出来をしまして、数多くの尊敬してまいりました自民党の有力者がこの未公開株の関係者になられ、厳しい批判を受けることになりました。しかし、我々には幸い話がなかったんでありますが、もし未公開株の話があったらどうしただろうと自問自答してみました。大方の、私もそうですが、手を出したんではないか。株ですからね、そう法律に違反するわけじゃないという認識もありましたから、きっと手を出したんじゃないか。そうすると、リクルートの問題は、まあきれいごとに映りますが、まさに我々自身の問題だと。  で、若い代議士で会をつくりながら勉強会を始めたんですが、事の真相がどうこうというよりも、我々の問題として、一体一人一人が幾らくらい年間金を使っているのか、その金はどこから入ってきて、何に使っているのかまず調べようじゃないか、恐る恐る出し合って、ああいう結果になりました。私はあの一億一千六百万という数字を大変恥ずかしい思いで、最初はオープンに発表する気はなかったんです、新聞記者に知られてしまって発表せざるを得なくなったんでありますが、いささか自虐的な発表というふうに当時も申し上げたんでありますが。  さて、あのときには、土井さんちょっと比較するときにごらんいただきたいのは、公費も入っているんです。ちょっと今より額が少ないかもしれませんが、歳費は入れるべきかどうか議論して、これは生活費だ、外そう、だけれども文書通信交通費や立法調査費や、これは自民党の場合は渡っておりません、少なくとも秘書二人の人件費はこれは入れるべきだ。だから、それが恐らく二千数百万ぐらい入っていますからね、これは土井さんも、野党も一緒ですから。今土井さん千九百万とおっしゃいましたが、まあ三千万ぐらいはプラス公費をオンしてほしいんです。だから、それに歳費を入れれば土井さんも七千万近い金を今使っているとおっしゃってもおかしくないんで、それとの比較で、やはり公費も党からもらう金も、当時私ども派閥からもらう金も最大限全部調べましたから、それで一億一千六百万でございましたので、きのうからの論議も、野党の皆さん自民党に比べれば百分の一だとか、一千万以下だとかおっしゃる気持ちはわかります。自民党の方が平均すればたくさん使っていることも、これも認めざるを得ません。そのことを私どもは、よくない、何とかしてそうならない政治選挙制度の、政治資金の制度に変えていこうという今気持ちでいるわけでありますが、現実はそうです。  で、かなりの金をお互い使っているというその現実から出発をして、どう反省し、どう直して金のよりかからない選挙政治に変えていけるのか、そこをぜひ今国会真剣にお互い議論をしていきたいというふうに思っております。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 今武村さんからるる御説明があったんですが、収入といいますと、私は政治献金も受けないし、ましてや裏金があるはずもないし、公然たるものでございまして、歳費と、雑収入というのは原稿料とか講演料とかで入ってきた中身をプラスしてこれは収入と申し上げているのであります。  それから、支出の点についても、これはもう人件費というのは、確かにおっしゃるとおり、公費でもって認められている二人の秘書の人件費は入ってはおりません。しかし、それを入れて全部を総合して出すとなっても、おっしゃるようなことには余りならない。これはかなり精査して私は出てまいりましたから。  ただ、私は非常にそこで気になるのは、これは正直だから私はいいと思うんですよ、大変正直だからいいと思うんですが、公職選挙法で禁止されている選挙区内での寄附というのも、やはりかなりの額出していらっしゃるんですよね、これは。これはやはり競争になるんじゃないですか。だから、避けて通れないということになって、わかっちゃいるけどやめられないといったぐいでおやりになっているという部分も私はあると思うんだけれども、これは違法行為ですから、自治省や都道府県に提出する政治資金収支報告書にはお出しになっていらっしゃらないだろうと思いますが、どうですか。
  122. 武村正義

    武村議員 お答えを申し上げます。  実は、寄附の額が確かに人件費に次いでかなり大きい額でございました。私ども、ですから、この寄附を退治しよう、減らすことができないだろうかという議論自民党の中で真剣にいたしまして一それが三年前のその後の寄附行為の禁止、というよりも、罰則をつける法改正になっていったわけでございまして、この発表はですからそれ以前の数字でございますから、おかげさまであの法律が通った後は、一年ぐらい後お互い確認し合ったんですが、かなりこれで減ったと。でもまあ全体では二千万か二千五百万ぐらい減ったということで喜び合っておりまして、こういう努力は一層政治改革で徹底をしていく必要があるなという気持ちでございます。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 私がお尋ねしたことにはお答えにならなかったようですが、収支報告書にはそれは出ない部分でしょう。
  124. 武村正義

    武村議員 それは、それぞれ収支報告書には出しているはずでございます。(土井委員「全部、明らかに」と呼ぶ)はい。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、これ、法律から考えたら、本来はやってはならないという、そんな感じなんですね。だから、それからすると、やはりこの点は報告をなさるときに大分抵抗を感じながら出したに違いないなと思うんですが、いかがですか。これはいつの収支報告だから触れなかったとおっしゃっているんですか。
  126. 武村正義

    武村議員 これは法律に違反するかしないかの論点でございますからもう一度言い直しますが、発表をいたしましたのはもう四年余り前でございます。ですから、法律が通って施行されたのは三年前の二月一日でございますから、それ以前の数字でございまして、むしろ、この数字を私どもは深刻に見詰めながら改正の努力をしたというふうに思っております.ですから、法律違反にはならないというふうに御認識をいただきたいと思います。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 しかしこれは、武村さんの場合は正直になすっていらっしゃるんだけれども、いろいろな収支報告書を初めとして、税金の申告などについてやはりもう大変疑惑のまなざしで見られているということは事実ですね。  資産公開を今度はいたしますが、先日それが決まって、出すわけですけれども、資産公開を一生懸命努力して出したとしても、国民皆さん方からごらんになったら、これは正直だ、間違いないとお思いになるかどうか。そこのところなんです、問題は。どうでしょう。
  128. 津島雄二

    津島議員 土井委員お答え申し上げます。  資産公開につきましては、幸か不幸か我が党の同僚委員の相当数が、政務次官、閣僚になるために既にやっております。私も、三年前の閣僚のときの資産公開と今回報告とを比べまして、まことに整合性がとれておって、完全に説明できるということをみずから確かめてうれしく思っておりますが、これは続けて公開することが大事でございまして、ずうっと続けてまいりますと、実態との乖離がもしあればおのずから明らかになるということだと思います。  先ほどからの委員の御指摘で非常に感じましたのは、党首の立場におられた、私の尊敬する大政治家土井先生でございますが、個人としての政治資金がそのくらいでとどまるのは、やはり、一つは立派であるが、同時に、高い地位、党の代表という地位で有形無形に党の全体としてのPR活動をおやりになっていけるということが幸いをしているわけでございまして、これは先生、若い、中選挙区で一人で徒手空拳で戦わなければならない政治家の苦労というのも、土井委員の高い立場からひとつぜひ御理解をいただきたいと思うんでございます。  そして、先ほど寄附はとおっしゃいましたけれども、実は、政治資金の中で、これは日本議論のボタンのかけ違いなんですけれども、使わなければならないところに使う原資がないという悩みがあるわけですね。私はしばしば申し上げておりますけれども、草の根の有権者の方に、各党の各政治家の毎国会における行動とそれから法案の説明等は本当はぜひとも報告しなければならないんですけれども、それは今は実は公費では全くできない、自分で集めなければならない、そういう事情もぜひ御高察をお願いしたいと思います。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 お断りを申し上げておきますが、急に委員長になったからこのような額で済むというわけではございませんので。だから私は最初に申し上げたとおり、議員を志し、議員になった以上は、選挙でお金を使うようになったらやめなさいと言われた市川さん、先輩の言葉というのは大変に貴重な言葉だと思っているんです。  ただいままで私のところは同じ党から複数区で競合して出る選挙区ですから、厳しいといえば厳しいですが、私はお金の型の選挙はいたしておりません。したがって、日常でもお金を使うという、事前運動に血道を上げるということがどういうことなのか、よく理解できないのです。何にそれだけ必要なのかというのがわからない。だからましてや、それはもう悪循環であって、どこから政治献金を集めてこようかとか、あわよくばそこでのリベートということが問題にならないかというふうなことが、どうも私たちからいたしますと理解に苦しむんです。  政治にはお金がかかるとおっしゃるけれども、かかるんじゃない、かけておられる。しかも、それはかけてはならないかけ方をされているんじゃありませんか。そこが問題なんですよ。     〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕
  130. 津島雄二

    津島議員 かけてはならないところに入り込まなければならない立場というのはしばしば大変厳しいものだと思いますが、例えば委員長選挙区、兵庫二区を見させていただきますと、大変立派だと思いますのは、社会党で今まで二議席を大体どってこられたんでありますけれども、前回も、党首クラスの方がおいでになる地元で公認がやっぱり大変難しかった。二人を党として両方とも挙げようということにはなかなかならないというのが、これは社会党でもそうでございまして、これが私どものように三人、四人おりますと、それは非常に苦しい立場だということはどうか御理解をいただきたいと思います。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 全く無関係な、これとはまさしく関係のない問題を津島さんはおっしゃっているわけで、結局はそれで一人になれば問題は別ですが、御心配御無用です。結局二人が立候補することに相なりました。それは御心配をいただいて、まことに感謝にたえないわけですけれども。  さて、今私は、国民の目から見たら、申告をしたりそれから報告をしたりする中身というのが、やはり事お金の問題に関しますと信用していただくことがなかなかこれは難しいばかりじゃなくて、それが不信の的になっているというのは、もう申し上げるまでもございませんけれども、金丸さんの大手ゼネコンの問題でございます。  これは、やはり民間の政治献金とわけが違うのは、公共事業に対してそこからのキックバックといいますか、そこからの、三%ぐらいなんて言われたりしておりますけれども、一工事についてですね、キックバックされるという問題がでてきたからであります。これは何といったって、やはり国民税金に対してそれがキックバックされる、特定の政治家の懐にということになると、これは穏やかな問題じゃございません。  それと同時に、申告をなさる際、これもちょうど逮捕をされましたときに大きくニュースに出たのでございますけれども、あの脱税問題で逮捕をされましたその時期がどういう申告状況であったかというのが国民皆さんの目の前にも明らかに出ました。大体税額一千万円、いずれも推定申告所得というのは二千万前後ということになっている、あるいはそれ以下なんですね、とてもとてもこれでは、それはだれも信ずることができないばかりか、それは怒りを覚えられて当然ではないかなと私は思うんですよ。これはいろんなことにまつわって、単にこのゼネコン問題だけではなくて、いろんな部面で私はあると思ってにらんでおりますけれども自民党さんとされましては、国民協会、それが表向き、それで裏は、やはりいわゆる裏からの献金ということが二本立てになって今日まで来たということであろうと思いますけれども津島さんの場合は、そういうことに対してどのように国民皆さんが怒りを込めてお尋ねになったらお答えになりますか。
  132. 津島雄二

    津島議員 私も、事の真相はこれから公式にだんだんと裁判で明らかになるかと思いますけれども、まことに不都合であると考えております。これがどういう原因から来たか、いろいろ考えてみますと、幾つかございますけれども、やはり一つ言えることは、長い間政権交代がなかった。世界の主要国で四十年前後も政権交代がないというのは本当にこれはもう希有なことでございまして、私は土井委員長時代にほとんどこれは来るのではないかと思った時期もございましたけれども、残念ながら、衆議院になりますと過半数もお立てになっていただけないものですから、政権交代が起こらないわけであります。これがもう何といっても大きな原因の一つであります。     〔野田(毅)委員長代理退席、中西(啓)委     員長代理着席〕  それから同時に、これは土井委員がいみじくもおっしゃった、派閥の存在がございます。それで派閥というのは、これは政治資金規正法上から申しますと、実にその何というか、扱いにくい存在でございまして、政治資金規正法というのは、政党に対するものとそれから政治家個人に対するものを基本の柱に据えているわけでございますから、派閥に対する特別な制度というのはないのですね。これをまたつくれといっても、派閥は国民が選択できないものですから、これをつくれということは言えない。そこで、これは派閥をやめさせないと、そういう問題は残る。派閥をやめさせるためには選挙制度を変えなければならない。私どもは、ここは本当に魂を込めてお願いを申し上げている次第であります。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの派閥というのは、中選挙区制によってつくられてきた派閥なんでございますか。お金によってつくられてきたのでしょう。それから、ポストを目指すためにつくられてきたんじゃないんですか。そこのところをどうも的を外して、中選挙区がすべて悪いような物の言い方をされるというのは、これは間違っていると思いますよ。どうですか。
  134. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 今の津島先生の説明は極めて正確を欠くと思うのでありますけれども、派閥といえども複数の候補者を推薦している団体は、それは本来ちゃんと政治資金規正法上届け出なきゃいかぬのでありまして、どうも津島さんほどの方がああいう御答弁をなさるとは私たちとしては理解しかねています。
  135. 塩川正十郎

    塩川議員 それは土井先生、私は大変な偏見だと思いますね。と申しますのは、自民党はやはり派閥で苦しんでおるということは、十分御賢察のとおりだと思います。というのは、中選挙区制というのはどうしても派閥を生むように、これはそう宿命づけられておるというところがございます。  だって、社会党さんはやはり労働組合を主体としてつくってこられた政党、でき上がってきた政党でございますから、いわばその選挙母体というものは単一化されてきておりますから、候補者の連立ということは、いわば並立ということはなかなか難しい。だから一選挙区で一人という、絞ってこられるということは、これはやらざるを得ない大きな宿命であろうと思うのです。つまり社会党一つ選挙区で二人以上出すということは、自民党一つ選挙区で一人に絞れというのと同じで、とてもではない、できない、宿命的な問題だろうと思うのです。  で、自民党はやはり一つ選挙区で、政権政党、二つ、複数以上を出そう、半数以上を出そうということになりますと、どうしてもそこに同士打ちが起こる。同士打ちが起こるということは、それぞれの者が当選を期して仲間は一つの勢力をつくっていく。これが派閥につながってくる。ですからして、金のために派閥ができたのではなくて、派閥ができざるを得なくなって、その派閥をやはり強くし、一人でも多く当選さすためにということでやはり資金を集める、こういう構造でございまして、因果関係は逆だということでございます。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 イタチごっこと申しますかね、卵と鶏と申しますかね、どこまで行ってもこれがつきまとうのなら、選挙制度を変えたってつきまといますよ、これは。だから、選挙制度に問題があるのじゃないのであって、金権体質に問題があるんじゃないですか。そこをはっきりさせなければだめだと私は思う。  今おっしゃっているような問題は、私たちはやはり基点を持たなきゃいけないと思うのですが、二つあると思っています。  一つは、不正を克服するということですよ。あと一つ不信を解消するということですよ。不正を克服する、不信を解消する。いずれも今回真っ先にやらなきゃいけないことは、選挙制度を変えて勝つか負けるかという問題で競い合ってどうのこうのじゃないのであって、いかにして金権をなくすか、腐敗構造をなくすかという問題じゃないですか、どこまで行っても。  これを考えましたら、今、先ほども閥の問題がありましたが、派閥の問題がありましたが、もう一つ、やはり族の問題もあると思うのですよ、自民党さんの中じゃ、これ率直に申し上げて。族の問題。運輸族あり建設族あり商工族あり水産族あり、いろいろあるわけでしょう。この族というのが家族の族でなしに山賊の賊だと言う人もあったりするんで困るんですけれども、しかし、本当にこの族議員という立場で、やはりそれが資金集めに有利であるという構造が展開されているんじゃありませんか。  一つここで申し上げて、提案をして、これに対してどうお考えになるかということもお聞かせいただきたいのです。  つまり、お金が物を言うというのは決してよいことではない、今までの状況も褒められたことではない、そういうふうに思われるならば、それに対してやはりわかるような反省とか清算とかけじめというのがあってしかるべきだと思うんですよ。どうも一向にそれが見えてこない。国民がどんどんどんどん怒りを募らせて、不信の塊になられたというのはその問題もあるんですよ。  さあそこで、少し私はこういうことをどのように考えたらいいかということを申し上げたいんです。つまり、お金が入ってくるというのは、出す側があるから入ってくるんです。入ってきたらこれをどう使うかという問題があるんです。入ってくるところと、さらに出るところと、議員にとっては両面あるわけですね。つまり、これを出し入れというふうに言っていいと思うのですが。しかし、その議員に対して出す側があるから議員のところに入ってくるわけです。いろいろそれにはタイプがあると思いますが、その中で一番昨今問題になっているのは、例の使途不明金であります。  使途不明金の中身は、これも私は資料に当たっていろいろ見てみたんですが、国税庁の、昨年六月までの一年間、資本金一億円以上の企業の一部を調べた。五百五十八億、これが使途不明金なんですが、このうち二十四億が政治献金に使われているというのです。同じ国税庁は九〇年度五百八十五社に対して調べて、四百七十六億円の不明金がある、その六四%が建設業であるとなっているのであります。これ、国税庁が発表されている中身ですから。その六四%が建設業です。  使途不明金といいますけれども、これは不明金というよりもむしろ隠匿金と言った方が正確かもしれないなと私は思っているんです。こういう使途不明金、これがやみ献金の財源になる、そうして使途秘匿金になる、こういうつながりを持って事は動くであろうと思います。これは出るところで何とかしなきゃいけない、まず。受け取るまでに、出るところでしなきゃいけない。つまり、今使途不明金というのを用立てようとされている方々に対しての取り扱いを厳しくしていくということを考えないとこれはいけないと思うのであります。  今から、さあ何年前でしょうか、七八年ごろだったと思いますけれども津島さんなんかよく御存じでしょう、大蔵省の方がこの使途不明金に着目されて、これをなくすために超重加算税の研究をお進めになったはずであります。ところが、これが進んでいる間に、いつの間にか、やはり族議員役割があったんでしょうか、それがうまく進まないで終わってしまったといういきさつがあるようでありますが、やはりこの重加算税のあり方、いろいろこれも立場があるでしょうけれども、今は、現在本税の三五%、本税と合わせた支出額に対する割合は五〇%程度になっております。政治資金規正法での届け出のないやみ献金であっても、税制上は政治資金として扱っております。必要経費として認めております。この辺非常にひっかかるのですね。  したがって、この税率を一五〇%程度に強化しようという、いわゆる悪魔の税率と言われるのを考えてみる必要があるのじゃないかという声がちまたにございますが、どうお考えになっていらっしゃいますか。
  137. 津島雄二

    津島議員 使途不明の実態につきましては、先ほどお述べになった数字は私はかなり実態に近いものであろうと、私自身税務行政をやった経験ございますから。  建設業が多いのは、率直に申しますと、建設業者は、工事を施工していくときに周辺対策とか、それから、先生方いろいろ地域の事情でおわかりのような、いわゆる対策費というのが意外にかかるのでございますね。ですから、使途不明金というものを全部政治献金だというようなこと、これは全く事実に反するわけであります。仮に、ここで言われているように、例えば五百五十八億のうちで二十四億政治献金であるということが明らかになったといたしまして、こういうものをどうするか。私は土井委員と全く同意見なのは、これはなぐすべきだと思っています。これはやはり退治しなきゃいかぬと思っています。  それから、株主に対する重大な利益侵害になる。だから商法の側からいっても、今検討しておりますけれども、ぜひとも対策を講じていかなきゃならぬと思いますが、税務だけでやれとなりますと実は二つ問題がございまして、一つは、質問検査権がそこに及ぶか。例えば、今の税法上の質問検査権によって質問検査をいたしますね。そうしますと、私はうそを申しません、これは実は払い出しちゃったんだ、払い出した先はわかりませんと言う場合に、先がわかる場合には反面調査をかけられるのですよ。わかりませんと言われたのを、これをしゃべらせるというのはそれこそ普通の税務行政では難しい。そこで、それでは経費としては認容しませんよと言って否認をするというところでとまってしまうわけであります。  そういう税法上の非常に難しい問題がございますから、直ちにこれに重加算を課しろというのは、恐らく立法政策上難しい。ですから、例えばいろいろな手段を使って、行った先を究明をしていく努力を税務当局もしていただく。それから、何よりも企業の側が株主の利益に反するような使途不明金を出せないような、例えば監査制度の強化とか、そういう両面で進めていかなければならないというふうに思っております。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 それは、おっしゃることは当然だろうと思いますが、さあ、そこへもってきて、もう一つ覆いかぶさるような問題というのは、これは建設業界をめぐる問題になるのですけれども、建設省の工事入札件数というのを見ておりますと、指名競争入札というのが圧倒的に多いですね。そして、法上はこれ自身を原則として考えなければならない一般競争入札というのはございませんよね。この指名競争入札というのがふえればふえるほど、これ自身があってはならない談合の温床になっている。  しかも、ここで政治家が絡む。そしてさっき申し上げたようなバックペイというのが出てくるというふうな問題が動いていっているわけであることはもう御賢察のとおりなんです。だから、事あるたびごとにこれは取り上げて言われるわけでありますけれども、建設省のこの工事の入札なんかをめぐって政治家が絡み、そして企業とそれは一緒になってやり、さらにお役人が絡む。つまり政官財の密着した構造というのが天下り指定席、こういうことで出てくるのです。やはり建設業界に対して地建局長の天下りが一番多いですね。如実にこれは出ている生言わなければいけない。  だから、非常にこれが利害がお互い一致するところで手に手を携えてやっておられるわけでありまして、今おっしゃるような監査をもっと厳しくするとか、できたら、やみ献金ということに対して、使途不明金というものに対してなくしていく努力をすると言われますけれども、根は深いですよ、これ、既に構造的だもの。だから、その構造的になってしまっている部分をどのようにして打ち壊すか、断つかということが私は実は一番大事な努力のしどころではないかと思うのであります。  例えば私は、自民党の方々の、さっき私におっしゃったからお返しを申し上げますけれども、参議院選の前になるとにわかに党員の方々の数がふえるのですれ。それは、うわさには聞いていた。しかし、じかに資料を取り寄せて、官報掲載されたのを見てみますと、果たせるかなそのようでございます、はっきり。急にふえる。選挙が終わるとまた減るのです、でんと。選挙の前になるとわっとふえるのです。  これは何かといったら、党員から党費をという、党員というのも私の近辺では全くあずかり知らない間に党員になった人もあるくらいですから、大変無理に無理を重ねておやりになるんだけれども、しかし党費でもって成績が決まる。つまり比例代表の順位決めのときにこういうことが出ているということが明々白々で、これも正面切って、選挙に対して人材をとか、適材適所をとか、そして何よりも資質として政治家として何が大事かということを考えているとか、そういう問題じゃないので、お金が物を言うというところが問題なんですよ。  これを何とか断つということをお考えにならないと、私は今回の改革案について、それは三法案出されようが、四法案出されようが、基本的なそこのところをどうなさるのですかということを私は、私たちも同じ政党の人間として、自民党さん、社会党さん、公明党さん、お互い政党人としての立場責任がありますよ。でも、ここまで来た汚職とここまで来た腐敗の構造の中で政権がつくられて、政権が維持されて今日まで来たんですから。お互いの間では、政権党の責任たるや重かつ大だと言わなきゃいけないのです。  だから、政権党としてこういう問題に対してどうお取り組みになるか、具体的にこれに対しての対応ということをしっかりお示しになって努力をなさらないと、私たち法案をどれほどここで血道を上げて、懸命になって、努力をして何とかしようといったって、私は最初のところが、入り口のところが違うと思いますよ。  例えて言えば、ガス管をずっと引きますね。元栓のところで閉めなきゃどうにもならないくらいガス管がぽろぽろになっている。だけれども、その元栓を閉めないで、手前のところの栓だけを閉めたら、やはりガス漏れというのがこのホースの中からどんどんあるだろうと思うのです。今その元栓をどうするかという問題なんです。いかがお考えになりますか、これは。
  139. 津島雄二

    津島議員 まず、現在の政財官界の癒着と言われているところから出てくる諸問題について、今度の改革案ではどのように対処するつもりか、覚悟はあるのかというお話でございます。  私は、土井委員の御指摘のもうほとんど大部分について全く同じ気持ちを持って今これに取り組んでおるわけでありますが、それでは何をこれからやるのかということにつきましては、それこそまさに、今度政治家個人が政治献金をみずから受けないということが一つと、それから企業献金については、党に対する正規のものを除いては、会費程度以外のものは一切認めないということに思い切って踏み切ったわけでございまして、しかも資金調達団体は二つに限る、しかも二十四万を限度とするということでございますから、私は大変な我々の決意であると理解していただけると思います。  もう一つ、ぜひお忘れいただきたくないのは、昨年の十二月の緊急是正の内容でございます。昨年の緊急是正までは、いわゆる量的制限違反、大体裏献金というのはみんなこれになるわけでありますけれども、これが言ってみれば二十万円の罰金で済んじゃったということであったことに省みまして、今度は禁錮刑の対象にする、しかも禁錮刑になれば公民権の停止になる、おまけに、せっかくそういうことをやったけれども、それが発覚すれば没収になる、これだけのペナルティーは実は諸外国にないんですね。これでもやるほど私は我が国国民、企業、政治家は堕落してはいないと思っております。  私は、昨年の緊急是正でこの問題については新しい時代が始まったというふうに思っておるわけでございまして、昨年の緊急是正と今回の改正と加えて、これは土井委員におかれまして、私どもの本当の切なる決意というものを御理解いただきたいと思います。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 こういう場所で決意をよく聞かされるんです。決意決意決意決意と言って、決意を聞かないときはない。だけれども、見られているのは、どうなさるかということですよ。どうですか。
  141. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 津島先生の話を聞いていると、はあっと思うのでありますけれども、肝心な点はよく国民皆さん方にわかっていただきたいと思うのでありますけれども津島先生の方では、党にお金を入れればそれはいいんだという基本的な考え方があるわけですね。  しかし、先ほど土井委員からもお話がございました、あるいは先ほど日野委員からもお話がございましたけれども、まず一つは入りの問題で、今度の解決策だって、従来ある族と言われるものについては何ら手が触れられない。従来の格好で、族議員という人が、先ほど日野委員が例に挙げたように、公共事業の比率は全く変わらないというのは、族議員が全部それに介入してやっているわけであります。今度、出の方では、きのう加藤紘一議員の本会議におきます質問にもありましたように、三千人集会、五千人集会ということをやりますと、細かいことは別として、一千万かかるというお話がございました。  今度は皆さん方の案では、小選挙区で一人しか自民党という方はいらっしゃらないわけですから、今度は形を変えて党でそのお金を取って、党に集めて、そして党という、後援会ではなくて、党という形で三千人集会、五千人集会をやる。そのために、今まで法律で、集めていた党へのお金につきましては二倍にしようというのでしょう。それが、今まさに土井さんが言われますように、金権腐敗とすぐ言っちゃうけれども、金の力で今度はまた大きくできる。しかも、これは津島さん、盛んに一団体二十四万円、少額と言われるけれども、これは六年かかる。六年目からだ、六年目から。  一体、中選挙区制だからだめだ、そして小選挙区制、単純小選挙区制にしようと言っておいて、金の方は今までより多く自民党の周辺には徘回する。これがまさに、津島さんの御答弁はこう言っていますと、とてもそれは国民皆さん方が納得できないだろう、私たちはこう考えております。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 要は、制度をどう考えるかということも大事なんですけれども、それ以前に新しい制度考えるという資格があるかどうかというところがまず第一に問題だろう、本当に。  現在、これは、私も一八八〇年といったら議場におりましたが、政治倫理綱領と行為規範を……(発言する者あり)いや失礼しました、一九八五年ですね。訂正します、 一九八五年。おりましたが、これを決めたんですよね。決めたばかりじゃなくて、これは毎日皆様お持ちになっていらっしゃると思いますけれども、毎年新しく配られる衆議院手帖の中には憲法と国会法と政治倫理綱領と行為規範、これだけが入っているんですね。これは、守るために決めたんです、お互いお互い守るために決めた。決めて、しかも決めただけではいけませんから、毎日検証することのためという意味があるんでしょう、この手帳の中に入っているのを持って歩いているんですよ。みんな持って歩いている。ただ、持って歩いているけれども、残念ながら守って歩いていないから問題なんであります、これは。  例えば、公私の別をはっきりさせなきゃいけない。これは行為規範の中にきちっとございますし、それから政治倫理綱領の中には「政治家の良心と責任感をもって政治活動を行い、いやしくも国民信頼にもとることがないよう努めなければならない。」という前書きから始まって、その三項目は「われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。」こうなっているんです。ただいまの献金の実態なんか見ておりますと、ちょっと首をかしげたくなるんですが。その次に「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とあるのですよ。まことに、このたびの疑惑に対しての解明も、自民党さんは消極的だったということをだれよりも御存じは国民皆さんです。  今の状況のままで、ここで審議をしているその法案について、どんどんどんどん審議をすることがまず大事であって、そしてこれを成立させることが大事であって、こういう問題は関係ないことだと言い切れるかどうかなんです。これ、基本的なことだと思いますよ。  一つ委員長に申し上げたいのは、国会の中に、佐川の問題を初めとして今の汚職構造、それから金権腐敗の体質、こういうことに対して徹底的にやはり討議できるような委員会を設けるということは非常に大事だと思いますが、これ、御検討願えませんか。
  143. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 理事会で一遍それじゃ検討はして、私、今委員長代理で座っておりますので……。  じゃ、どなたかお答えになりますか。いいですか。
  144. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 委員長、もとい、土井さん御指摘のように、我々が持っております政治倫理綱領、これを守ることは当然であり、また、佐川の追及のために、あるいは金丸巨額脱税の事件のために特別委員会をつくって、国会国会としての自浄能力をつくっていくということは、ぜひ私たちは必要であります。  あわせまして、私たちは、今国会に改めて政治倫理委員会、これは常任の委員会をつくって、今の審査会よりもさらに厳しく、証人喚問もどんどんとできるというような委員会をつくろう、そして国会法もそのために改正をしようということを提案していることをこの際改めて表明をさせていただきたいと存じます。
  145. 津島雄二

    津島議員 上井委員に、事実関係だけひとつ御理解いただきたいと思います。  党に対する政治資金の流れとそれから族議員に対するものとを一緒に御議論いただいておりますが、私の経験に照らしましても、これは全く別でございまして、先ほども申し上げましたように、党に対するものは国民政治協会を通じてフィルターをして、直接業界の利益が及ばないようにしておるということでありますが、族の方は、今度の改正で一番厳しいのは、政治連盟と称する、つまりある業界が団体をつくりまして、そこへ企業献金を集めて、そして若干特定の政治家に献金をするということはできなくなるのです。これは非常に大きな、革命的な変化だと言われております。それは、専門的な方はみんなびっくりしておるのであります。ですから、そこまで私どもやっているということをひとつよく御理解をいただきたいと思います。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことをおっしゃいますが、過去の総裁選挙、または大臣のポストに就任される際、あるいは委員長のポストに就任される際、いろいろと疑惑に富んだお金が動いてきたという問題があるのですよね。これは疑惑だけでなくて、事実あったのをそれじゃ申しましょう。  これは、当衆議院の予算委員会の平成四年二月二十五日、鈴木善幸元首相が参考人として出られておりますが、そのときに自民党の方の御質問に答えられまして、一千万円の問題ということでお尋ねでございますけれども、「平成元年の九月ころであったと思います。」ということから始まって、云々あって、ここで問題になったのは、阿部沖縄・北海道開発庁長官が就任されたときの問題なんです。  ただ、ひっかかっているのは、この鈴木元総理の方は水産族ですね。「私が水産議員としてリーダー的立場にございましたものですからことはっきりおっしゃっているのです。そういうことを通じて、これは恐らくこの金銭の授受というのがあったに違いないと思いますが、結局は、お預かりしておりますという御発言であったというのは世に有名な話であります。私は、すべての方とは言いませんよ。だけれども、こういう問題がやはり一件たりともあるというのは、これはやはりおかしな話なんですよ。  ましてや総裁選挙のときにお金が物を言うというのが、もうこれは公然とやはり取りざたされている。そうなると、これは問題は……(発言する者あり)終わったところを見せてください、それじゃ。それは、相変わらずというのがつい昨今まででしたから。だから、その辺を考えましたら、これはやはりどれほど身ぎれいにするかということを、身を切らなきゃいけないんですね、本当に。  こういう中で、それじゃできることがあるかと聞かれたら、私はあるとお答えします。例えば国会でいろいろ証人喚問をするときに、画面が全然動かないで、国民の皆様からすると、これは電気紙芝居という一名があるのは皆さん承知のとおりですが、やはり議員について言うならば、お金の授受は議員同士はこれは禁物ですよ。当たり前の話です。だけれども、こういう問題は、やはり国民に対して知らせるということが大事なので、国民皆さん不信を買っているというのは、わからない、何もわからないというところに一つあるのですよ。隠密裏にこそこそという問題くらい不信を買うことはないのです。何がどう起こっているかというのは、この議会というのは国民の場所ですからね、国民の信託を受けて私たちは出てきているわけですから、逐一やはり知らせるという必要があるんじゃないでしょうか。だから、この証人喚問のあり方についても証言法をつくり変えるとか。  それからさらにもう一つ言わせていただきますけれども、私を先ほど委員長委員長と間違って呼んでくださいますが、山花委員長です、ただいまは。私は五年近くいたしました。五年足らず、四年十一カ月くらいでしたが、その間総理が四人がわったのです。四人がわりました。閣僚になると、くるくるくるくる猫の目のようにかわられた。私は、内にはこういう疑惑を招き、外に向けてはただいまの国際関係でございますから、お互いの交流、折衝というのは大変大事です。そういう点からすると、くるくるくるくるかわるというのは、当事者としてやはり折衝のときに支障を来すんじゃないんですか。私は、一内閣一大臣というのであってほしいなと思っている一人ですよ。それが本来の姿だろうと思う。それは即刻できることじゃないですか。恐らく皆さんの中に内閣総理大臣になられる方があったら、それはぜひとも実行をしていただきたいと思う。  余りくるくるくるくるかわられると、やはり派閥次元ですねとか、族議員ですね、お金が動いていますねとか、なるほどそういうことのためにあの派閥は大きくなったんですねと。その派閥から遺産相続をしておられる方々が、それに対しての清算もけじめもつけないで、改革とおっしゃる改革とは何ぞやというのがただいまの国民の声であります。ここのところをはっきりしていただくということを、私は繰り返しになりますけれども申し上げさせていただきたい。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 塩川正十郎

    塩川議員 土井先生、非常に熱弁を振るっておられますが、その根本の問題にちっともお触れになってないで、現象面を非常にたくさん言っておられます。  確かに我々も、だから国民には謝らなければならぬいろいろな不祥事件を起こしました。これは私たちも率直に認めます。けれども、それじゃそれは自民党全部がといったらそうじゃないと先ほどおっしゃった。中にはと、こうおっしゃる。中にそういうのがおったということは、これは我々仲間としてはおわびいたします。ならば、社会党さんの中にも、つい最近参議院議員の中で一人出ているじゃありませんか、同じような者が。それはございますし、それから公明党さんの中でも、リクルート問題のときにちょっとございましたし、だから、お互いに長い政治活動を続けておりますと政党の中にそういうような不祥事が出てくること、これは数はどっちが多いかということ、それは別の問題として、あることはあるんです。  それはどこからくるかとおっしゃったら、一つは族議員だ、こうおっしゃる。確かに族議員というのは私はいいことではない。これはやはり変えなければいかぬ。族議員を変える根本は、いろいろな制度を変えるよりも、政権交代をやるということなんですよ。政権交代をやれば族議員は発生しない。というよりも、簡単に言いますと、いつでももうずっと日本政治自民党かということになっていますと、どうしても一般の人はやはり自民党とだけ接触しようということになりまして、社会党さんに余り接触しない。私は現に予算時期になりましたら、社会党さんの議員の中から、ちょっとはおれのところにも陳情持ってこい、こうおっしゃることをよく聞きます。ということは、結局国民は、ずっと自民党の永久政権が続くであろう、こう見てしまっておる。なぜ永久政権が続くかというと、現在の中選挙区制がこんな状態で続くならばやはり自民党の政権になるのだろうな、そうならば自民党とのパイプをいろいろなところへ入れておかなきゃいかぬ、そのパイプの入れ方の一つが族議員になってしまった、こんなことなんですね。ですから、ひとつここを改める、今度改正するというのがこの改正の一番の趣旨でございますので、どうぞいい制度に変えていこう、これだけは前へ踏み出してください。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 承れば承るほど、企業と団体の政治献金はやめにするということをはっきりした方が、これは何を言うよりも説得力があるし、お互いの身の潔白をただしていくことになると思います。そして、違法行為であるということがはっきりした場合には責任をとるというのは当然じゃありませんか。だから違法行為を犯した議員というのはやはり政治の場所から去るということがお互いの心得事であって、この二つをはっきりさせるということが私は大事だと思います。  最後に、自民党にも、皆さんの先輩の中に立派な方が私はおられたと思っているのです。私は尊敬している松村謙三先生とか尾崎行雄先生とか、そして最近私が見ておりました本の中に吉田元首相のお書きになったのがあるのですが、その一文の中に、高知でございますから、向こうの商工会議所の会頭である西山さんが書かれているのです。「私に投票したのは高知県民だが、当選の瞬間から国会議員です。県内の問題は、知事や県会議員仕事です。」と吉田さんはずっと言われた。  私どもの党にも先輩に鈴木茂三郎さんあり、河上丈太郎さんあり、羽生三七さんがあります。どこからどう言われても、清廉であって、そして見識高く、そして職員に対しての自負心というのもしっかりあって、努力されてきた先輩があるということを忘れずにこれはやろうじゃないですか。きょう私が申し上げた前段のところです、これは。まずこれは、法案以前の問題です。そこをしっかりしようということを私は申し上げます。  ありがとうございました。
  149. 田邉國男

    田邉委員長 鍛冶清君。
  150. 鍛冶清

    鍛冶委員 公明党国民会議を代表いたしまして、提案されている法案に対しまして質疑をさせていただきます。  午前中からの議論をお聞きしておりまして、私は質問通告を差し上げてございますけれども、いろいろと新たなお聞きしたいことも出てまいりましたし、若干外れたり、新しい問題で質問をすることがあると思いますが、その点は御容赦をお願いいたしたいと思います。  政治改革案につきまして、これを必ずやり遂げるというその決意につきましては、午前中から何 人かの委員が、答弁席に座っておられる各党の代表の皆さんにお聞きになりました。必ずやり遂げるという決意のほどは承りましたので、このことをお聞きすることは重複するので私はやめますけれども各党のあの決意は、本当に国民皆さんの前で確約をされて、必ず実行される決意である、こういうふうに私は理解をさせていただきます。  そこで、その前提に立ちまして質問に移りたいと思いますが、最初に、午前中からのいろいろな質疑をお聞きいたしておりまして、特に自民党皆さんがいろいろとお答えになりました、または御質問になりました。その中で非常に気にかかる心配な点がございます。  それは、この政治改革を一生懸命やろうという気迫は感じられはしますけれども、本当にこういうことに立ち至った根本原因は、午前中また一昨日、昨日と本会議場でも各議員から指摘のありました汚職事件やら、それこそ政界を覆いましたもう目を背けるほどの、私どもも中におりましてびっくりするような状況が現実にあったというその問題を踏まえて、国民皆さんの怒りが頂点に達したためにこの政治改革に取り組まなければならない、それが午前中の決意にもつながったというふうに思うのですけれども、その前に、本当に起こったことに対する真の反省といいますか、深刻な反省の上に立ってこの制度を果たして出されておるのかどうかという点について、私は午前中からの議論をお聞きしていまして、今非常に疑問に思う点が出てまいりましたので、その点をお尋ねしたいと思っております。  まず、これは汚職の問題については、いろいろ議員が御指摘になりました戦後の疑獄事件につきまして、私はここで一つずつ名前をちょっと挙げてみたいと思います。一九四八年、昭電疑獄、炭鉱国管汚職、それから五四年には造船疑獄、五七年には売春汚職、五八年にはグラマン・ロッキード事件、それから六一年には武州鉄道疑獄、東海道新幹線汚職、六七年には大阪タクシー汚職、六八年には日通事件、七四年には田中金脈の事件、七六年にはロッキード事件、七九年にはグラマン・ダグラス事件、KDD事件、さらに最近はリクルート事件、それから共和事件、佐川急便事件等でございます。一九四七年からの戦後の疑獄事件、これはイミダスという本に載っておるわけですが、この中で主なものを今読み上げさせていただいたのです。  これを読み上げさせていただいたという真意は、もう一遍ひとつ、深刻なとういうものを国民の怒りを受けて根底から変えていく、そういう思いの中でこの法案審議もしていかなければならぬと思いますし、やり遂げていかなければならない、必ずまとめなければならない、こういう思いの中で申し上げるということを御理解しておいていただきたいと思います。  とにかく、このイミダスから出ました、四七年から挙げてありますものだけでも、何と四十六年の間に八十一件という汚職が、疑獄がここに挙げられておるわけです。最近になるほどだんだんこの内容が非常に深刻で、金額も大きくなり、大変な問題になってきておる。最後には、何と政治資金として集められたものが、裏金もございますが、個人の懐に入っておったという考えられないようなことまで起こってきたのです。  これは、私ども野党としまして、政権の一端に携わってきたわけでございますから、私ども野党にも責任がないとは申しません。心から私どもも深く国民の皆様にはおわびをいたすものでございますけれども、これは自民党皆さんは、反省はしておるとはおっしゃっておられますけれども、もう一つ本当に心からの反省の上からこれに取り組んでいただきたい、こういうことでございます。  一昨日でしたか、これは塩川先生、私は文部大臣のときから存じ上げておりまして、個人的には私は好きな、大変いい先生だと思っておりますが、しかし、本会議場でのこの汚職に対する発言をお聞きして、答弁の時間も少なかったかもわかりません、今ちょっとおわびということが出ましたけれども、こういうようにおっしゃっているのです。汚職事件、その都度浄化を図ってまいりました、しかし、なくなりませんでした、その理由をどこにあるかと一生懸命党で調べたところが、制度にあったというのです。そして、それは政権交代がなかったからである、緊張感がなかったからである、こういうことをおっしゃったのです。  その中で、きょうお座りになっている中では塩川先生が一番代表の立場でいらっしゃるのだろうと思いますけれども、その塩川先生から、冒頭にやはり心からその件に対する国民皆さんに対するおわびがあってしかるべきであった。西岡先生も存じ上げておりますが、西岡先生はおわびということをおっしゃいました。きょうは中西先生もおっしゃったようでございますけれども、やはり本当に心から思っておれば、それは私はこういう大事なときには真っ先に出てくるのだと思うのです。その姿勢がないところに私は非常に心配しております。  特に制度制度とか、それから政権のことを盛んにおっしゃるわけですね。自民党さんは、今まで政権をずっととってこられましたから、そういう意味では、過去に引きずられてなかなかそこから抜けられないのかなというふうに私は感じておりますけれども、そういう意識を含めて、皆さん方が御答弁いただいたときに、野党の我々には過去を引きずるなということをおっしゃった。これはそっくりそのまま自民党先生方にもお返し申し上げるし、お考えをいただきたい、こう思うのです。  私は教育をやっておりましたから、よく教育の問題で考えるのですけれども、偏差値というのがあります。これはよくないという悪者扱いをされておりますけれども、偏差値そのものにはいいも悪いもないのですね。この使い方なんです、問題は。いい先生は、本当にこの偏差値を使って、そして生徒の一人一人の半年なり一年なりの結果を偏差値で見て、この次の半年間どうやってこの子をしっかり成績を伸ばし、いろいろな立場からアドバイスをどうしようかということを、それこそ骨身を削る思いをして偏差値を活用しておられるわけですね。ところが、それがだんだんなれてきて、便利なもの、ですからそういう生徒と先生との間で安易に流れて、ただ偏差値の結果だけを利用して生徒指導とかいろいろな進学指導等を軽く扱うという、それが大変な問題になっているわけでありまして、一番やはり人というもの、その集まりが自民党皆さんでありますから、制度とかそれからそういう政権云々とかいうことよりも、その根本にそこの反省をしていただきたい。  そういう意味を含めまして、お金の問題が出てまいりましたので、政治資金規正法、これは自民党さんもお出しになっているし、社公の方の我々も出しておりますが、自民党さんの方にお尋ねをしたいのですが、この両方の政治資金規正法ですね、この法案の違い、それからこれはどういうふうにまた評価をされておるのか。特に、社公案に対してどういう評価をされておるのか。この点について、まず自民党皆さんにお聞きをしたいと思います。
  151. 塩川正十郎

    塩川議員 政治資金の関係は、またそれぞれ専門の先生方がおりますので答弁いたすことといたしまして、冒頭に、本会議の説明の中で、私の答弁の中で反省の色が足らなかったとおっしゃる。御指摘いただいて、私はありがとうございましたとお礼申し上げたい。私も本会議答弁でちょっと緊張しておりましたので、そういう前段のところを申し上げるのは抜けておった、これは私は申しわけなかった。  御指摘いただいたとおりでございまして、自由民主党が長い間政権を担当してまいりました。政治は非常に立派な政治をしてきたと私たちは自負しております。誇りに思っております。しかし、その間に、やはり長い政権が続いてまいりますと、いろいろな事件が起こってまいりました。そのことは非常に国民に対して不信感を与えた、申しわけないと、私は同僚として、そういうことが起こってきた党として、私もおわび申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。  そうであるだけに今回は、抜本的な政治改革法案を出して制度を変えていこうというところに結びついたものでございますので、この法案提出ということはその反省に立っての上であるということ、これは十分御理解いただきたいと思っております。
  152. 額賀福志郎

    ○額賀議員 鍛冶先生の御質問にお答えをいたします。  社会党公明党案と我が党の案で最大の違う点は、企業献金の問題でございます。  我が党は、企業献金、団体献金につきましては、これはいろいろな規制をいたしますけれども、公明、社会党がおっしゃるように政治献金、企業献金は悪である、個人献金だけがいいものであるという考え方はとりません。それはなぜかと申しますと、これは憲法上にもあるいは法律を見ましても、企業の政治活動は自由ということになっておりますから、その意味では企業の献金は保障されておるという考え方をとっております。  また、もちろん企業の献金には節度を持って当たっていただかなければならないということで、企業献金に対しましては我々は政党中心に移行していこうという考え方でございまして、政治家個人に対しましては二つの資金調達団体というものをつくりまして、しかもそれぞれ二十四万円を限度として、相当入金を細くいたしておるわけでございますから、企業献金の腐敗の問題については、我々はこれをもって、政治家自身の自覚も相まって一掃されるものと確信をいたすものであります。
  153. 鍛冶清

    鍛冶委員 社公の方で今の発言に反論等ございましたら、どうぞ。
  154. 松原脩雄

    ○松原議員 社公案は、企業・団体献金の全面禁止という点を非常に大きな特徴といたしております。  これまで、企業・団体献金に対する一定の規制がありましたが、すべて実効性がない。そして、繰り返し腐敗現象を起こしております。この腐敗現象をなくすためには、企業・団体献金を一律に禁止をする、その措置も憲法上は許されるというのが私ども立場であります。これに対しまして自民党案は、企業・団体献金についてこれの存続を認める。そしてさらに、政党への集中という点を立てておられますが、政党への献金枠は従来に比べて二倍になるという非常に野放しの、新しい腐敗現象を生む状況をつくっておるという点であります。  さらに罰則でありますが、私どもの場合には、厳重な規制をするという意味で、政治資金規正法に違反して罰金刑に当たった場合にも公民権の停止をするという極めて厳しい措置をとっておるわけであります。この点が大きな相違であります。
  155. 鍛冶清

    鍛冶委員 では、次に進ませていただきますが、もう一つここで大きく私は問題にいたしたいのは、民意ということでございます。  我が党、社公案は、民意というものを大切にする。これはとりもなおさず、国民皆さんのお考えなりまた意見というものに我々は耳を傾けて、そして政治の上にもこれからは運営をしていかなければならない、また選挙制度もこしらえていかなければならない、こういう立場で私どもは社公案というものをつくり上げてきたわけです。  ところが、昨日、一昨日の本会議並びにけさからのいろいろな議論をお聞きいたしておりまして、特に自民党皆さんがこの民意ということを非常に軽々しく扱っておられるというふうに私は聞こえてなりませんでした。ある委員の方は、こういうふうにおっしゃいました。政権をつくるということは民意とは関係がない、最大のポイントは政権をつくることだ、この選挙制度考えるについて、単独政権型を目指すのか連立政権をつくろうとしているのか、ここのところが一番大切なところではないか、こういうことを言っておられるわけです。これは私は大変おかしな話ではないかと思いますよ。  だから、政権というのがまず来るわけですね。本当は、これだけの汚職をし、これだけ国民皆さんの批判があるわけですから、民意というものを、いわゆる原点に返る、原点というのは、私は政治であろうが何であろうが、やはり国民皆さんの声であり民意である、こういうふうに思うのですよ。第一、政権だ何だと言ってみても、国民皆さんの声がなくて、選挙に一票を投じてくれなければ、我々は議員にすらなれませんし、また国会もなければ政権だってないのです。一番大もとは民意じゃないですか。この点を私は忘れられているのじゃないか、その上でのどうも議論でいろいろ組み立てをなさっておられるというふうに思えてなりませんが、これについてどうお考えですか。
  156. 深谷隆司

    深谷議員 今鍛冶委員がおっしゃったように、政治で一番大事なのは、国民の意思をどう反映させるかということであります。民意を大事にするという点では、あなたのおっしゃることと全く同感であります。  ただ、民意を反映する場合に、どちらがわかりやすく国民に語りかけ、国民の声を反映させられるかと考えた場合、それは、政権政党としてイデオロギーであるとか政策を明白にした小選挙区制の戦いの中から民意を吸い上げるのが最適だ、こう考えているわけで、民意を大事にするという点では全くあなたと違いはありません。
  157. 鍛冶清

    鍛冶委員 そういうふうにおっしゃるけれども、今ある委員の発言も御紹介しましたけれども、ほかのいろいろな発言の中でも、そういう民意とかなんとかいうのにも及ばないような変な立場での判断をなさっていらっしゃるんじゃないか。これは変と言うと悪いかもわかりませんけれども、政権政党にずっとおられて、その影を引きずる中でこういうことの判断をされているんじゃないか、選挙制度考える、政治改革考える。  こういうことをおっしゃっている方もおられましたよ。最初から野党は政権担当能力がない、また担当しようとする気持ちもない。これは野党に対する侮辱ですよ。本当に我々は、やはり政権をとりたいということで一つずつ前進をしていっているのでありまして、それを目標にしてやっているわけです。  ところが、この小選挙区制というのを選ばれた中で、これは政権担当ができるからいいんだ、安定ができるからいいんだということばかりおっしゃるんですね。私は、それは必ずしもそうではないというふうに思うんですね。  それと違った角度からちょっと申し上げてみますと、私はそういう小選挙区制、単純小選挙区制ですが、これに固執されるのは、私はちょっと意地悪な見方をすみというか、まあひょっとしたらうがった見方になっているのかもわかりませんが、ちょっと申し上げさせていただきますと、どんなに政治改革をし、選挙制度を変えても、政権からは離れられないような法案考えて、それを提案しているんじゃないかというふうにどうも考えられるんですね。類推されるんです。  そうでないと思われるかもわからぬ。だけれども、やはり臭い中と言うとしかられるかもわかりませんが、中におると臭いのがわからないように、御自分方は確かに国民皆さんの意を体して真剣に政治改革をやるんだ、こういうお考えになっているのかもわかりませんけれども、やはり気づかないうちに今までの長年政権をずっと担当してきたその影を引きずって、これは社公案も出てきたけれども、それに乗ってしまったらどうも政権がどうなるかわからないというふうなこと。  それと、もう一つは、やはり野党に政権担当能力がないのならば、この際、まあ確度から言って非常に自民党さんが過半数を制する可能性の高い小選挙区制をひとつ提案して、これをもってやろうじゃないかというふうにお考えになっているんではないかというふうに、ひょっとしたら私の見方、間違っているかもわかりませんが、どうもそんな気がしてなりません。こういうことは、これは結果としてどうなるかわかりませんけれども。  昨日も毎日新聞に政党の支持率、それから内閣の支持率の調査結果が出ておりました。そうしましたら、自民党さんは三五%、社会党さんは一〇%、我が公明党は四%、共産党さんは二%、民社党さんは二%、日本新党は九%、こういうことで出ているわけです。内閣支持率が一〇%台でむしろ下がっているようですが、自民党さんは支持率がちょっと上がった。新聞読みましたら、上がってよかったと言っている。それはそうでしょう。我が党でも上がればよかった、こう思いますから。思うのはそうでありましょうけれども、しかし、これは今既成政党に対する不信があります。しかしその中でも、これは各党がそういう状況が国民皆さんからあるわけで、その中で、悪い中でも小選挙区制を導入して選挙をやったときには、この世論調査の結果どおり出るとは限らないと思いますけれども、まずまず大半の予測は、自民党さんが三五%の支持率があったら八〇%、九〇%の議席を占められるんじゃないでしょうかね。そういうふうな感じがするんです。  だから、私の邪推ならばいいんですよ。だけれども、そういう中で、私は、地元でいろいろ自民党支持の知り合いの方もおりますから、いろいろと何人かの方と話し合ってみました。その方々も言われるのは、もしそうなったときに、そうなるということを言われる人が多いんですね、小選挙区制やりましたら。そうなったときに、これはいろいろやり過ぎることをやられたら怖いということをおっしゃる方がほとんどでございました。  これは本当にひとつ頭に入れておいて、しっかりこれからの議論の中でいろいろと取り組みを自民党皆さんにもお願いをしたいと思う意味でこういうふうに申し上げているわけですけれども、その点はひとつどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  158. 伊吹文明

    ○伊吹議員 鍛冶先生、うがち過ぎかとおっしゃいましたけれども、まことにうがち過ぎじゃないかと私は思います。自民党は、政権を担当し続けたいと思ってこの制度を出しておるわけではありません。担当し続けたいとすれば、むしろ今の制度の方がいいかもわかりません。問題は、この制度であれば、むしろ自民党も政権の座から間違ったことをすれば引きずりおろされるのではないか、引きずりおろされれば困る、国民のために自民党が、失礼ですが、政権を維持していた方がいいから、間違ったことをしないようにしたいと思って実はこの制度を出しておるわけです。  同僚の方々がもし野党の皆さんに政権担当能力がないという発言をしたとすれば、私は心からおわびをしたいと思いますが、むしろ申し上げているのは、政権を担当する意欲がないということだと思うのです。それは、今までの中選挙制度のもとで五百十二の衆議院の過半数つまり二百六十を立候補させておられないという事実を申し上げておるわけですから、数字上の話でございますから、御了承をいただきたいと思います。
  159. 鍛冶清

    鍛冶委員 政権担当ではございませんが、きょうこうやって野党の皆さん、我が党の議員も含めて、代表が一昨日からこのひな壇に座って答弁しております。これは与党の皆さんに比べて、私どもは、ひいき目がもわからぬけれども、なかなかよくやっていると思うのです。この例一つを見ても、これは野党ができないということじゃない。政権とは違うと言うかもわからぬけれども、やってみなければわからぬじゃないですか。最初はぎくしゃくしたって、国民のためにというその一点で真剣であれば私はできないわけはない、こういうふうに思うのです。そういうところを皆さん方は言わずに、それはつい、わあわあ言う中で本音が出て、ああいう発言に私はつながっているんだ、そういうようにしか思われないのですね。  もう一つこれを、民意という点で申し上げてみたいと思うのですが、実は、平成元年に自民党皆さん政治改革大綱というのをまとめて、これを基本に政府としても八次選挙制度審議会に諮問して、平成二年に審議会答申が出た。この答申に基づいて当時の海部総理は、小選挙区比例代表並立制という法案国会に出されたわけですね。ところが、これはそのときには最良の選挙制度であるということで私は出されたと思うのですが、その審議会の答申の中を読んでみますと、小選挙区制にも問題がある、いい面もあれば悪い面がある、比例代表制にもいい面もあれば悪い面もある、それを折衷して、特に少数政党の意見とか、それから民意を入れ込むために比例代表制を入れて並立制とする。要するに、折衷案をこの報告の中で提案しているわけですね。  並立制併用制ということはそのとき言われていたわけですけれども、私どもは確かに、これはまだまだ完全ないい法案でないということで当時反対をいたしました。けれども、民意を酌むという点では単純小選挙区制よりは私はすぐれておった、こう思うのです。ところがそれが、今回こういうふうな事態になって、自民党皆さんの案として出てきたときには、その民意に近寄る方の部分が切り捨てられて、いわば自民党さんには有利ではないかと思われる、選挙すれば有利ではないかと思われる単純小選挙区制というのが出てきた。この点についてどういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  160. 武村正義

    武村議員 一昨年の案は政府提案でございまして、もちろん自民党議論をして合意をしたものでございますが、政府が審議会を設置して、各方面の専門家にお集まりをいただき、何回も議論をいただいて、国民的な立場からの答申として並立制をお出しをいただいた。自民党、いろいろ意見がございましたし、当時も単純小選挙区の方がはるかに多かったわけでありますが、やはり野党の立場考えた答申を尊重して、並立制に合意をして、政府として提案をいただいたものであります。  今回は、もう一度自民党立場で最良の案を議論をし直そう、そういう再出発に立ちまして、自民党としては、この案が最良のものであるという結論を出した次第であります。
  161. 鍛冶清

    鍛冶委員 今の答弁の中でいみじくもおっしゃいましたが、政府が提案するには、自民党皆さんが合意していなければ、これは出せるわけがないと私は思います。ところが、その合意したものを、中はそうではなかったというようなことは、言い方としては大変ひきょうじゃないですか。決めたんなら決めたんで、自民党さんの責任じゃないですか。それが明らかに後退してきた、私はこう思うのですが、この点もう一度お答えをいただきたい。
  162. 武村正義

    武村議員 野党の皆さんいろいろおっしゃいますが、もうお互い共通の認識として、選挙制度には完全無欠なものはまだこの人類の歴史の中にはありません。したがって、私ども、今回の案もこれが完全無欠で百点満点とは思っておりません。そしてまた、皆さん併用案にも、既にいろいろ答弁ございましたように、政党単位の全国的な民意の反映という点では一歩譲る、すぐれた点があることも、これも率直に評価をしていいと思っています。しかし、もう一つの大きな柱である、目的である、安定した政権、この大国日本責任をどう果たしていくかというその衆議院の選挙制度としては、致命的な欠点を持っている。連立政権になって、小党分立になって、責任の所在が大変あいまいになる、ここのところを大変心配をいたしているわけであります。お互いそういう立場で、両方の案については長所短所があることを率直に認め合いながら論議を深めていきたいと思うのであります。  先ほどの答弁でありますが、今回は、自由民主党としましては、党の最も信じ得る最良の案として単純小選挙区制をまとめたわけでありまして、ある意味では、前回野党の立場、小党の立場考えた政府案が野党から一顧だにされなかった、完全に無視されたことを考えますと、ここは自民党としての最良の案を出し、国会与野党で真剣な議論を重ねて最終の案を決めていこう、こういう判断をとったわけであります。
  163. 鍛冶清

    鍛冶委員 今挙げた例も、どう答弁なさろうとも、私は民意から外していったというふうに受け取らざるを得ないのです。  もう一つ重ねてあえて申し上げますと、戸別訪問の禁止ということをなさっておられるわけですね。これは当時、新聞報道によりますと、自民党さんの原案の中では、戸別訪問は解禁する、要するにいいというふうに出ておられたようです。ところが、法案自民党総務会での議論の中でこれは消されたということですね、ということになっておるわけです。これも、やはり私は民意を尊重していない一つのあらわれではないかという考え方を持つものです。  というのは、小選挙区制をとっているところでは、特に代表的なアメリカとイギリス、こういったところでは戸別訪問こそが草の根民主主義の根幹である、こういうふうに考えられておりまして、これによる市民参加の選挙運動が盛んに行われておる、こういう事実があるわけです。したがって、こういうことを踏まえられて、恐らくは自民党皆さんも、良識ある方が原案で、これはやはり戸別訪問は解禁すべきだというふうに原案としてつくられたんだと思うのですけれども、これがつぶれた。新聞報道によって、そのときの状況が自民党総務会の主な発言として出ているのですけれども、やはり何人かの方が真っ先におっしゃっているのは、これは野党を利することになるからだめだ、こうおっしゃっている意見が強かったということですね。  選挙制度というのは、私はきれいごとは言いません。各党が出したって、自分の党に有利な選挙制度をつくるというのはこれは当たり前のところがあるだろうと思います。だけれども、こういうような状況の中で、我が党から代表の委員がたびたび答弁申し上げているように、身を削るような思いの中で、たとえ自分の党に不利になってもまとめなきゃならぬという状況の中で、これは特に民意というものを大切にしなきゃならぬ。  そうであるならば、こういうものは、野党に利するからやめろというような議論でやめちゃうというのは、これはちょっと行き過ぎだ。本当に選挙制度を、正しく国民皆さん立場に立ってこういうものを考えておるというふうにも私は受け取れなかったわけですが、一連、そういう感じのことを感ずるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
  164. 石井一

    石井(一)議員 私が、長時間にわたります選挙制度調査会を主宰し、また総務会におきましてもこれの報告者となったわけでございます。一部にそういう意見もございましたし、それから新聞報道もございましたことはそのとおりでございますけれども、それよりも重要な問題は、我が党の中でも非常に意見が対立いたしまして、この際自由化をするべきだという意見も相当出たわけでございます。悩み抜いた結果、そういう結果にしたわけでございますが、そこに決着に至りました最大の理由は、選挙区が、これまでだと百万前後あるいはそれ以上というものが、大体二十五万を基準にしたものになってまいりまして、そこで戸別訪問の競争というふうなことが起こりましたら、これは選挙民の皆さんのサイドに多大の御迷惑をかけるということになるのではないか。  民意を踏みにじるということでなしに、民意を尊重するというふうな考え方から、今回自由化に踏み切ることをしなかったということでございますけれども、新しい民社党の案でございましたか、本人を認めるとか、人数を制限するとか、いろいろ意見がございますので、こういうことにつきましては、今後与野党でひとつ十分御協議を続けたい、そのように考えております。
  165. 鍛冶清

    鍛冶委員 ここでちょっともとに戻って一つ質問申し上げますが、国民皆さんの怒りというのは既成政党に対するもの、特に私は自民党に対する怒りが強いと思うのですが、政党に対する怒りは当然ですが、これは戦後ずっと続きました一党の独占体制の中での政権に対する怒りもある、したがってこれを変えてほしいというのが国民皆さんの声であると思いますが、この点とういうふうにお考えでありますか。
  166. 伊吹文明

    ○伊吹議員 自民党が長期にわたって政権を維持している中で、おごりであるとか失敗がいろいろあるということは、私ども反省しなければなりません。しかし、自民党が長期にわたって政権を維持し続けたのは、自民党の政策がよかったということもあるでしょうが、野党の皆さんが五百十二の過半数二百六十を立候補させ、当選をさせて、政権を担ってくださらなかったというところに私は一つの原因があると思っております。
  167. 鍛冶清

    鍛冶委員 私は、やはり他に責任を転嫁するようなことはやめていただきたいのですね。かつて連立政権を、新自由クラブとではございましたが、おつくりになったこともあるわけです。そして、新しい血を入れるということになれば、連立の方法もあるわけですから、その中で、やはりこれは党利党略は働くんでしょうけれども、解散なさるについても、解散権は政府が持っていますから、自民党さんに一番有利なときに解散なさる、野党に不利なときにやるとか、いろいろなことがあるわけですよ。だから、そこらあたりでごちゃごちゃ言えば切りがありませんけれども、私は民意というものは、これは本当に大切にしてやらなきゃいかぬじゃないか、  特にこういうふうに、あえて私の考えを申し上げれば、中選挙区制というのは、どなたか今言われていたふうに、四〇%台の得票率で議席は五〇%台を超す、過半数を超すということをずっと続けてこられたわけですね。そして政権をとってこられたことに対する国民皆さんの怒りが強い。ところが、今度お出しになった単純小選挙区制は、それ以上に、得票数よりも議席の方が大幅にこんなに離れた形で多数党に有利になるという形をとられている。そういうことになると、これは国民皆さんが許すはずがない。だから、私どもはこういう重大な、ただ政権をとってきて、いいことをやってきました、これも私たちは必ずしも悪いことばかりじゃないということは認めますけれども、しかしそれを乗り越えて、今度の政治腐敗というものは、もう怒り頂点に達して国民皆さんからの御意見が出ているわけですから、こういうときには、私は一番物事の原点、最初に返るべきである。ということは、国民皆さんのありのままの姿を反映させて、その上で国民皆さんが、既成政党の我々を含めて、新しい政党も出るかもわかりませんが、含めて、どういう審判をなさるのか、これは深くそれを受ける。  そして、その結果によってどういう政権の担当をするかという組み合わせをつくる。あるいは単独で、どなたかがおっしゃっていたように、過半数を占める党が出てくるかもわかりません。それは、そのときはそうすればいいじゃないですか。そして、どうしてもそうでなければ、連立ということを考えてもいい、こういうふうに私は思うのです。裸にならなきゃいかぬ。裸になるのは私は勇気が要ると思いますけれども、それが本当の勇気であって、皆さん方が、野党が政権をとる意欲がない、気迫がないとおっしゃるのは筋違いの言い方である、こういうふうに私は思うのですが、その点、いかがでしょう。
  168. 石井一

    石井(一)議員 最近いろいろのシミュレーションというのがございますけれども、今彼に社公民が協力をいたしまして、小選挙区制のもとに選挙をし、自民党の従来四五、六%とれるものが五%ダウンしましたら、確実にもう野党政権ができる、こういうシミュレーションもあるわけでございまして、ここは現在の制度選挙の時期を考えながら現実的に御対応を公明党もしていただきたい、こういうことでございます。責任を転嫁しておるわけではございません。  ちなみに、前回どういうデータであるかを申し上げますが、自民党の候補者は三百五十名、無所属を入れますと大体自民党は四百名出ております。ところが、社会党は百五十名、公明党は六十名、民社党は四十名でございます。共産党のことはちょっと外へおきまして。そうしますと、今の三党で二百五十名しか出ておられないのです。自民党は四百名出ておるわけでございまして、もう既に始まるときから過半数に近いものは自民党だというふうに決まっておるわけでございますから、ゲームに参加をされておらないという現実もひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  169. 鍛冶清

    鍛冶委員 それでは、今のことに対して、何か渡部さん、御意見があるようですから、どうぞ。
  170. 渡部一郎

    渡部(一)議員 お答えさせていただきたいと存じます。  野党側が政権に対して熱心でないということが繰り返し繰り返し指摘されておりまして、そして、自民党側からの激励の言葉とありがたく受け取っておきたいと存じます。  しかしながら、これは話が逆転いたしておりまして、私たちの知るだけでも、この三十年にわたって選挙制度が決定的にゆがんでおる。ゆがんでいる選挙制度に乗っかって政権ができておる。新しく参入する方も、自民党へ入れば大臣になる、あるいは族議員になれる、あるいはお金が豊かに選挙運動ができるという状況のもとでは、雪崩を打って自民党に入る志望者が多くなるのは、申しわけない話だけれども、これはもう理の当然と言わなければならない。その証拠は、一つ申し上げておけば、官庁からの出身者というものが大々的に自民党へ寄ってくる。また、御自分でもおっしゃっておられましたけれども、二世議員の方々が続々と自民党のお父さんのもとに同じ道を歩もうとする。それは明らかに奇妙な流れと言わなければならないのであります。したがって、土俵がゆがんでいて大相撲がとられたと同じ状況が生まれているのであります。  その意味で、完全に平等な、そして公正な制度の上に立って選挙運動をやったとしたら、もう即時に政権は移動するわけであります。何も立候補者の数が少ないとかなんとを言われる必要はない。今二百五十名余の候補者が全員当選することだってあり得るのでありまして、そのことは全く問題がない。私の方から見るならば、むしろ比例区を導入することによって自民党議席が大幅に削減することを自民党の方はどうやら恐れておられるなということが先ほどからの印象で、質問者と同じ言い芳して恐縮でございますが、そういう印象を受けて仕方がない。そんなに野党を激励したいのならば、どうか正しい土俵でひとつ選挙をやっていただきたい、即日政権は交代してごらんに入れたい、こう思っているわけでございます。そこのところはひとつお間違えのないようにお願いしたい。  そうでないと、私は社会党ではありません。公明党であります。第二党の社会党が政権に対して意欲がないと、自民党が一生懸命丁寧に何回も激励の言葉を浴びせておられる。それは、その激励の言葉にこたえる素地が社会党の方はなさそうであって、というのは、今まで実数においてなかったという事実がある以上、それは説明のしょうがない。だけれども、ここのところで政治のゆがみを直そうとするんだったら、選挙法というゆがみを直す、そして政治資金に関する規制というゆがみを直す、これはやらなければいけないと思うのでございます。その点から論議をもう一回再開していただきたい。  そして、私は、政治資金についても申し上げておきますけれども政治資金についても自民党案は、余りにも今までの既存の献金方式を温存し過ぎておられる。政党献金が今まで一億が上限だったのに二億にする。しかも、入りについて、一遍入ってしまったら、あと出の方はほとんど問題ない、わからなくなってしまうなどという状況があるにもかかわらず、ひたすら二十四万円の指定団体二つだけということを連呼しておられる。二十四万円の指定団体が二つなどといったって、それは経過措置五年がついておる。そして、経過措置五年などというものが正確に守られるかどうかなどという保証は全くない。そうすると、自民党の言う政治資金に関するいろんな説明というものは、少なくとも私は、これはどういうものなんだろう、テレビの前で初めて見られる国民の方々に対して説明不十分のまま通り抜けようとされているのは、事態を正確に認識していただいてから行う民主政治としてはいかがなものかなと、私は先ほどからけげんな顔をして拝見しておったわけでございます。もう少し論議は正確にしていただきますよう、ぜひお願いしたい。  もし政権を本当に譲りたいとおっしゃるのでございましたら、もう喜んでお受けいたしますから、本日私たちの案に御賛成いただければ安全確実にかわることだけは保証させていただきたいと存じます。
  171. 小澤克介

    ○小澤(克)議員 先ほどから、議会は民意を忠実に反映すべきである、そのための選挙制度であるべきであるという趣旨の立場で御質問しておられます。まことに、全く賛成でございます。  それについて感じましたことは、けさほど、あるいは本会議も含めまして、自民党所属の委員あるいは答弁者の発言の中で、議会の機能それから議院内閣制について基本的な認識の誤りがあるのではないかということでございます。議会は何よりも立法府でございまして、国民にかわって代議して、法律をつくるところでございます。そして、国権の最高機関でございます。とすれば、民意を忠実に反映することが当然でありますし、そのような選挙制度こそがあるべき選挙制度でございます。  確かに、議院内閣制のもとでは議会が行政府の長を選ぶことになっております。しかし、それは議会の機能の、重要ではありますが一部にすぎません。自民党の立論では、あたかも政権をつくり出すことが議会の構成員を選ぶことであり、選挙の機能である。これは全く、一部をもって全体を論ずる基本的な誤りだと思います。  以上です。
  172. 額賀福志郎

    ○額賀議員 ただいまいろいろと御指摘もございましたけれども、今回の改革法案の最大の問題は、この改革で我々が政治と金の問題について国民皆さん方にいかに信頼を取り戻すかということでございます。そのために、我々は政治献金につきまして政治家個人を通らないような仕組みをつくるということが一つでございます。それからまた、もう一つは、企業の皆さん方の献金がいろいろと誤解を生んでおりますから、この問題につきましては、個人中心主義から政党中心主義に移していこう、こういうことで透明性を図り、そして国民皆さん方理解を得ようということであります。  企業の政治献金というものは、これは諸外国におきましてもほとんどの国が認めていることでございます。我が国議会の先進国、モデル国であったイギリスでもドイツでも政治献金というものは認められておるのであります。我々は、今度の一連の政治改革をもって、そして国民皆さん方にきっと理解を得、信頼を取り戻すことができるというふうに確信をしているのであります。御理解を得たいと思います。
  173. 鍛冶清

    鍛冶委員 ところで、反論があればひとつ言ってください。
  174. 早川勝

    ○早川議員 鍛冶委員のお話を伺っておりまして、そしてまたけさほど以来の野田委員、中西委員の質問等、そしてまた答弁等を伺っておりまして、やはり私たち考えている民主主義についての考え方と若干違うんじゃないかなというふうに感じました。  きょう出た議論の中で三つだけそれに関して触れさせていただきたいと思うのですが、一つは、民意の反映をどのレベルで考えるかということなんですね。先ほど来議論ありましたように、民意の反映と政権の安定で、非常に連立政権に対して否定的でございましたけれども、やはりそれは民意の反映として尊重すべきだということが一つですね。  それから、企業献金の問題についても、投票権を持たない企業に対してある意味での政治への参加を認めるということはやめた方がいいと思うのですね。やはり個人がそれをきちんと意思決定として、政治参加の道として献金をする。そして先ほど出ましたように、政治と金という問題から国民不信が高まっているわけですので、そしてそれは企業献金というところにあるものですから、やはり個人という問題に考えた方がよろしいと思います。  それからもう一点、戸別訪問の問題が出ましたけれども、やはりこれも民主主義の問題で、民主 主義の原点というのは一人一人の個人を非常に尊重しなくてはいかぬ。その人間が自分政治への参加の仕方として、政党支持のためにあらゆる人間に、有権者にアピールする、働きかける。当然のことだと思うのですね。それを規制するということは、やはりある意味で民主主義を制限するというふうに私は考えますので、ぜひ原点を考え議論をしてもらいたいという考え方でございます。
  175. 鍛冶清

    鍛冶委員 いろいろ今までのことで議論は尽くされてきておるとは思いますけれども、またお尋ねをいたしますと、小選挙区の比例併用制ですけれども、政権交代などはできるわけがない、また安定もしないというようなことをおっしゃっておられるわけですね。特に、石井先生はそういうふうにおっしゃっておりましたが、この点は間違いありませんね、そういうふうにお考えなのは。
  176. 石井一

    石井(一)議員 併用制におきましても並立制におきましても小選挙区制におきましても、政権の交代というのは可能であります。当然そのときの選挙民の選択、そして議席の出方によりまして、当然それは可能であります。
  177. 鍛冶清

    鍛冶委員 安定はしないというお話でしたね。
  178. 石井一

    石井(一)議員 安定をしない、そういうことは申しておりません。
  179. 鍛冶清

    鍛冶委員 たしか私がメモしたのでは、一昨日の中で、政権交代は比例代表制ではしにくいし、それから安定はできない、連立というのは特に安定はできないというようなことを間違いなくおっしゃっていましたよ。
  180. 石井一

    石井(一)議員 序列といたしまして、小選挙区制、並立制併用制ということになりますが、併用制の場合に最も問題なのは、結局政権が非常に不安定である、そして国民にはどの政権になるのか顔が見えない、非常に短期である、責任の所在が非常に不明である等々のいろいろの欠点があるということは、御高承のとおりだと思います。
  181. 鍛冶清

    鍛冶委員 社公の方で、今のに対する反論がございましたら、どうぞ。
  182. 渡部一郎

    渡部(一)議員 政権の安定ということと選挙の安定ということをごちゃまぜにして議論されているものと存じます。選挙の安定というものは、国民自分たちの意見を本当に忠実に反映した議会構成になったぞと認めるときに行われるものでありまして、今日のような大問題、大課題日本じゅうが抱えているときに、三〇%の得票率しかないものが九〇%の議席を占めるなどというのは、恐ろしくてとても国民の耐えられるところではない。  例えてみるならば、もしですよ、これは例で申し上げましょう、もうこうなったら。自由民主党が昔、我々の方から見れば、憲法を改悪しようという動きが大変あったとこちらで思っているとします。そのときに、九〇%の議席を差し上げたら、それは、憲法改正でも靖国神社の参拝でも一発でいくじゃありませんか。そのような恐怖感を伴うものに議席を上げるほど自民党信頼というのは高くないと私は思います。  逆に、今度はこちら側の方へ来て、そうしたら、自民党の汚職議員を全員ブタ箱へほうり込む法案をつくろうなどという過激なことを言った方がございますけれども、もし政権が現在の野党側の方へ移動したとして、全員逮捕、百何十名逮捕なんということになるとしたら、皆さん方はどうされますか。  私は、そういう両方過激な法案というものについて、選挙の安定性というものと政権の安定性をごちゃまぜにするから変なことになるんだと思うのです。政権の安定性を図るためにはどうしなければいけないのか。国民が、そのでき上がった政権というものを信用するのでなければならぬ。その信用度がないところで何をやってもだめなのではないかと申し上げているわけであります。
  183. 鍛冶清

    鍛冶委員 じゃ、もう一つちょっとお尋ねしますが、選挙予測報道の自粛という問題があります。  これも私は、民意というものと関連して、もう一つつけ加えさせていただけば、そういうことにつながってくる問題だと思うのですね。どうも先ほど申し上げましたような小選挙区、単純小選挙区制そのものが、先ほどからるる説明もあります、私もそう思っておりますが、国民皆さんの投票した得票率とそれから議席数というものほかけ離れたものになる。こういう問題、これはやはり民意を無視しているんだというふうに言わざるを得ないのではないか。  さらに、海部総理のときに出しましたあの法案が、並立制が、民意のところが削られたような形になって、単純小選挙区制に今回引っ込んで出てきた。さらには、戸別訪問の問題も、先ほど申し上げましたように、やはり国民皆さんと一人一人突き合わせて話し合いをする。それが小選挙区制の一番大切な草の根民主主義の根本であるという、このアメリカ、イギリス等で取り上げて、大いにこれをやらなければいかぬとやっているものをとめてしまうというようなやり方、こういうもの。それに加えて、選挙の予測報道の自粛ということも、私はあえてつけ加えれば、それの一連につながるものじゃないかなというふうに思うのです。こういう姿勢というものは根本からやはり改めていっていただきたいと思うし、この選挙予測の報道についてどういうふうなお考えをお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  184. 武村正義

    武村議員 鍛冶議員も御承知だと思いますが、昨年、緊急改革をまとめるときにこの問題がテーマになりまして、協議会、実務者会議で何回か論議をいたしました。そこでは、最終的には立法に野党は反対をされましたが、少なくとも、協議会の文書が残っておりますが、選挙に関する報道の実態には、公正の観点から見て種々問題があることで認識は一致をしたが、しかし、報道その他の問題があって今回は時期尚早である、こういう結論に達したわけでありまして、少なくとも選挙の予想報道に対しては種々問題があるという認識では、与野党幅広く認識が一致をしたことを御記憶いただきたいと思います。  自民党としましては、その後慎重に検討いたしまして、もちろん表現の自由、報道の自由、これは最大限だっとばなければならないことでございます。しかし、同時に、国民の代表をお選びいただくという、一人一人の有権者がみずからの自由意思で信じてお選びをいただくという、いわば選挙は聖なる行事でございます。そこに何らかの予断、予想が、情報が混乱を与えるようなことがあるならば、これは困った事態である。少なくとも新聞等の報道においては慎重な配慮をいただきたいという訓示規定を今回は設けさせていただいた次第であります。  以上です。
  185. 田邉國男

    田邉委員長 質問時間は、一分であります。
  186. 鍛冶清

    鍛冶委員 今まで申し上げましたように、私はこの民意というものを本当に大切にするべきである。特に、何回も申し上げたように、これは前代来聞の、戦後の政治の中で前代来聞の政治改革を取り上げなきゃならぬときですから、そういう自党に少しでも疑いを持たれるような、有利になるというようなことは捨てて、そして民意を率直に反映し、それが、得票率がそのまま議席につながる併用制、これを実施することによって、国民皆さんの審判をまず仰ぐ、その結果によって政権担当をどうするかを決めていく。そして、二大政党がいいのならば、その復そういう方向にまた流れというものはできていくでしょうし、つくればいいだろうと私は思います。  そういう意味で、改めて自民党皆さん考え方について、単純小選挙区制に固執するのではなくて、それを捨てて、民意に本当に沿った形の併用制皆さん方が歩み寄って、そしてこの政治改革の中での大切な問題である選挙制度の問題を、これを何とかまとめるという方向に行っていただきたいと思いますが、一言、最後にその御決意のほどをお聞きしたいと思います。
  187. 深谷隆司

    深谷議員 我が党は、民意を反映するのは単純小選挙区制だと思っておりますから、これからもその正当性を皆さん議論して、国民皆さんの支持を仰ぎたいと思っております。  なお、比例代表制の小選挙区制について、たまたまドイツから最近農業問題で議員団が訪れまして、その人たちの会話の中で、こんなジョークが出ました。犬はしっぽを振るが、この制度だとしっぽが犬を振る。小さい政党が多数出て、その中の特に小さい政党がキャスチングボートを握るとあべこべの結果になる、こういうような状態がいいかどうか、日本議員考えるべきだということを申したことをつけ加えておきます。
  188. 鍛冶清

    鍛冶委員 いみじくも民意をこれは踏みにじるという形が出たと思います。
  189. 田邉國男

    田邉委員長 もう時間でございます。
  190. 鍛冶清

    鍛冶委員 これは改めていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  191. 田邉國男

    田邉委員長 三浦久君。
  192. 三浦久

    三浦委員 自民党にまず最初例質問を申し上げたいと思います。  今大変な状況になっていることは御承知のとおりです。今この国会が何をしなければならないのか、国民は一体何に怒っているのか、そして何をこの国会期待しているのかということをやはりよく真剣に考えてみなきゃいかぬと思うんですね。  金丸脱税・不正蓄財事件、これに国民が怒っておるわけです。そして、その七十億円にも及ぶと言われている不正蓄財の原資が、東京佐川急便また山梨県のあの建設業界からの献金、そしてまた大手ゼネコンからの献金ですね。公共事業を請け負ったそういう企業からの見返りとして不正蓄財をやっておったということですから、これは税金の横流してあります。国民が怒るのは当たり前だというふうに言わなければならないと思うんですね。  そうすると、今我々は何をしなければならないのか。金丸氏が逮捕されたのは三月の六日です。今度の国会では、金丸氏を証人喚問していないんです、この問題で。ですから、金丸氏をこの国会に証人喚問をして、そういうゼネコンとの関係、また金を配った先、こういうものを詳細にやはりこの国会国民に対する責任として明らかにしていくということがまず一つ重大な問題だと思います。  もう一つは、企業からの献金があるからこういう大きな汚職事件が起きるんだ、企業献金を禁止する、こういうこともやはり今、国会に課せられている課題だと私は思います。  津島議員は、NHKの放映を見ておりましたけれども、あなたは、企業献金は一切悪いという法律をつくっている国はない、こういうふうにおっしゃいました。しかし、アメリカではティルマン法がつくられて以後ずっと企業献金は一切条件をつけずに禁止をされてきた。特にそれは、大統領選挙、連邦議会選挙についてであります。これは、そのとおり間違いないんじゃないですか。
  193. 津島雄二

    津島議員 三浦委員は、アメリカで今の政治資金規制法ができた後の最高裁判決をしっかりお読みになりましたか。しっかりお読みになりましたか、原文で。もし何ならここで私が翻訳してさしあげてもいいのですが、いわゆるバックリー判決で、最初につくった規制法のうちで、献金の規制に関する部分は連邦の職員の管轄権の範囲に限ると明確に判示をしております。  そのことは、要するに州法の管轄の部分は、最高裁の判示で全部退けられているのです。もし何ならここでお見せしますから。その州法におきましては、企業献金は広く認められております。
  194. 三浦久

    三浦委員 問題をすりかえていますね。大統領選挙、副大統領の選挙、上院、下院の議員選挙、これについては、今までこのティルマン法ができた一九〇七年以降、いわゆるこのティルマン法自身はなくなっている。しかし、腐敗防止法に引き継がれている。そしてまた、連邦議会選挙法にそのまま引き継がれているじゃないですか。そして、そのティルマン法を引き継いだものによれば「いかなる会社も、」いかなる会社もですよ、「下院議員選挙、大統領および副大統領選出人選挙または州議会が定める上院議員選挙に関して献金をおこなうことは、違法である」これだけです。そして、あとは罰金が科せらているだけじゃないですか。これがずっと今まで継続して行われてきているじゃないですか。
  195. 津島雄二

    津島議員 ここで三浦議員に米法について講義をする時間は余りありませんけれども、私はよく知っております。アメリカの法律は、法律について書いてございましても、その法律の適用や管轄権について最高裁の判決がおりれば、それに従って適用されざるを得ないのでありまして、あなたが今お読みになった条文はそうなっておるけれども、その適用の実態というものは、最高裁の判決を読んだ上で解釈をしなければならないわけであります。
  196. 三浦久

    三浦委員 これはこのままずっと継続されて、今でもちゃんとやられているのですよ。冗談じゃないですよ。  そして、この企業献金の禁止の問題について、このティルマン法の契機になったのがパーキンズ事件でしょう。そのパーキンズ事件ではどういうことが言われていますか。要するに、企業というのは社会的存在だけれども、企業献金をするというのはその社会的存在の目的を超えているんだ、そしてある政党に対して寄附するのは個人の選挙権を侵害するものだ、こういう考え方からティルマン法というものができているわけですよ。そして、今日にまで及んでいるというのが実態じゃないですか。  ところが、何で自民党は、こういう企業献金の禁止の流れというものが今出てきていますよ。フランスでは昨年政府が企業献金の禁止の法案を出しましたけれども、反対でつぶされましたけれども、しかし政府自身が提案をせざるを得なかった。それは世論の力でしょう。そしてまた、イタリアでも今いろいろとやられているじゃないですか。全面禁止の方向で検討が議会で行われていますでしょう 朝日新聞の世論調査、これは日本ですけれども、ここでも、何の条件もつけずに一切企業献金は禁止すべきだという人々が六五%にも上っているじゃありませんか。自民党は、こういう企業献金を一切禁止すべきであるという、そういう国民世論を一体どういうふうに受けとめているのでしょうか。これはもう無視してしまうということなのでしょうか。
  197. 津島雄二

    津島議員 まず、外国の法律、ティルマン法についていろいろおっしゃいましたけれども、それは、その法律に提案者であるティルマンさんが書き込んだ、そして、そのときのアメリカの議会で承認をされた法律でありまして、それが今どういうふうに適用されているかは先ほど私が申し上げたとおりです。  外国の例をいろいろ言われましたが、むしろ私から申し上げたいのは、制限しているケースが一つもないということを申し上げたい。ドイツなどは、企業献金に対しては税法上の優遇措置がついているのです。イギリスは、企業献金は事実上全部認めておりますが、ただそれは、事実上政党に対するものに限られておるようであります、これは慣行といたしまして。  でありますから、企業献金をどう扱うかということは政治の根本にかかわることでございまして、共産党のように事業収入で非常に大きな収入がおありになりまして、国会議員一人当たりの収入は、私どもびっくりするくらいたくさんの収入がおありになる政党の場合は別でありますけれども、私どもは、広く企業からの御協賛もいただいて、国民の自発的なコストの負担というものをいただきながら、民主政治国民の参加のもとで進めていかなければならない。  しかしながら、この企業献金というものが政治をゆがめてはいけないということで、今度思い切って政治家個人に対する企業献金は禁止をすお、そして、二つの資金調達団体に対して会費程度のものを認める、あとは政党に対する国民政治協会を通ずる献金にしてください。政党に対する献金はほとんどフルに公開義務を果たしておりますし、その支出の方は、五万円を超える支出は全部公開をされるということでございますから、ここは政党の公党としての公的責任においてきちっと対処をしていく分野であろうと思います。  私は、政党の正規の政治資金について、皆様方がいろいろ言っておられるような問題は起こったことがないと思っておるところであります。
  198. 三浦久

    三浦委員 共産党の政治資金が非常に豊富であるというようなことを言われましたけれども、確かに収支報告では自民党よりも上であります。しかし、その中身を見てほしい。中身は、機関紙の発行の料金ですね。そして、あとは経費がほとんどかかってしまう。何にも残らないのです。ですから、我々が自民党よりも政治資金、活動資金が豊富だというのは、これは不思議だ。自民党、第一党である自民党自身が隠しているのじゃないか、うそを言っているのじゃないかというような疑いすら報道されているくらいじゃありませんか。  ですから、我々はどういう資金でもって活動しているかといえば、まず党員と党費です。それから、機関紙活動で若干の利益があるかもしれない。それと、あとは個人献金です。それだけでやっているということですよ。  それで、私は言っておきたいのですが、今、企業献金について、これを肯定される発言をされました。しかし、企業には選挙権がありますか。企業には選挙権がないんじゃないですか。先ほど来聞いておりますと、企業にも政治活動の自由がある、こうお話しですけれども、私はとんでもない話だと思う。企業自身に何で政治活動をする自由があるんですか。企業というのは営利を目的とするものでしょう。商法でちゃんと決まっていますよ。法人になるためには、公益を目的とするか営利を目的とするか、その二つしかないわけです。ですから、営利を目的とするわけです。  そうすると、営利を目的とする企業が特定の政党、それも対立する政党がいっぱいある中で特定の政党を選んで献金をするということは、見返りを要求するのだということです。そうして、たくさん集めたお金で、そしてその献金で結局有権者の投票活動に影響を与えていくという。そのことは、憲法十五条で言う公務員を選任する権利というのは国民のみに存するのだ、国民だけが公務員を選定したり罷免したりすることができるのだ、ということは、結局、国の経済のあり方、政治のあり方、そういうものを決定するのは企業じゃないということです。一人一人の主権者である国民だということなのです。  それで、献金をする企業がどういうことを言っているのか、ちょっと御紹介いたしましょう。  これは八九年です。亀井正夫、当時の住友電工会長です。「企業献金は、それ自体が利益誘導的な性格を持っている。企業が無制限にカネを出したら、役員は背任罪になりますよ。世間のおつき合い程度という限界があるわけだがこういうふうに言っていますね。また、経済同友会の石原俊代表幹事、彼は、これも同じく八九年六月三日付の日経ですけれども、「投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。」こういうふうに言っているわけです。  こういう企業が見返りを期待するのは、政党に対して献金をする場合も同じじゃありませんか。同じじゃないでしょうか。政治家個人にやる場合には見返りを期待するけれども政党に対しては見返りを期待しないというようなことは私はあり得ないと思うのですが、その点とういうふうにお考えですか。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  199. 津島雄二

    津島議員 三浦議員理解されると思うのですけれども、企業というのは、団体もそうでありますけれども、有権者であり得る個人の集まりであります。これは企業ばかりでなくて、いろいろな団体があるわけであります。そういう社会的存在、つまり、有権者である人間の集まりである社会的存在がそれらの人々の意思によって行動をする、政治に参加をするということが認められているわけでありますから、直接、法人というものが投票所へ行く行かないというのは別の話であります。  そこで、もう一つ申し上げたいんだけれども、企業をやっている人、事業活動というものが政治と一切がかわってはいけないというのは、これは異な話なんですね。例えば個人で事業をやっている方、たくさんありますよ、商店街の。この方々は自分たちの毎日の仕事をかけて、この仕事をうまくやるためにはやはり政治に参加をしたいと思うのですね。それはいろいろな仕事の、企業の形態がありますから、政治に参加をするのは法人企業の場合もあるでありましょうし、個人企業の場合もある、そういうことは御理解をいただきたい。
  200. 武村正義

    武村議員 企業献金の是非論でありますが、そうしますと、共産党は、最末端で、会社の経費を、カンパとか、あるいはパンフレットの購入だとか、あるいは赤旗の購入等で受けているということが全くないでしょうか。  私は、最近矛盾を感じていますのはポスターでありますが、ぜひ野党の皆さんも賛成してほしいと思っていますが、自民党は一定期間事前ポスターの禁止を提案いたしておりますが、私の県も、共産党の今度公認決定されたある候補のポスターでもうあふれております。ある町へ行きましたら町長が、武村さん、せっかく町の美観とか景観に随分金使ってやっているんだけれども、こんなにポスターがはんらんしたんでは、もはやめちゃくちゃですと、よそから来た人が本当に共産党の町じゃないかというふうに誤解をすると、こういう苦情を聞いたことがあります。  大体あのポスターは、皆さん、我々も事前に張ったことがありますが、一枚百円か百五十円しますよね。滋賀県全県にあの程度張ると、やはり十万枚ぐらいになるんです。それだけで、ですからもう一千万、一千数百万共産党は使っておられるというのは一体どういうことなのか。ポスターというのは、全く政策本位の選挙活動とは言えません。そういう意味でも、少し金を使わない努力をお互いにすべきじゃないかと思うのであります。
  201. 三浦久

    三浦委員 候補者が自分の演説会をいつやるか、そういうことを知らせるとか、また演説会だけではなくて、自分の政見、こういうものを知らせるために費用をかけるというのは当然じゃありませんか。当たり前のことでしょう、そんなこと。それを非難されるいわれはない。  津島さんもよく言っていましたね。七十万の有権者に国会ごとに一回ぐらいは国会報告やりたいんだと。だけど、一回やると七千万もかかる、二回やったら一億四千万だ、政治には金がかかるんだ、そういうことを言われていましたでしょう。だからそんな、それはまさに金のかけ過ぎなんですよ。私たちは、そういう配布活動というのは郵送でなんかしない。それはそうです。我々は機関紙活動をやっていますし、また党員もおりますし、そしてまた後援会の人々もおりますから、そういう人々の手をかりて、そしてやっているんです。自民党皆さんのように、どなたかをアルバイトで雇って、そして配ってもらうとか、または郵送するとか、またポスターを張るとか、そういうようなことは我々はしてないんです。ですから、金がかかるといっても、それはもう全然自民党さんとはけた外れにお金のかけ方が違うということです。  ですから、我々はそういう意味で、今度皆さん方が二億円に企業献金を引き上げましたよね。これは実際びっくりしている。あなたたち政治改革の基本方針を見ていますと、今度小選挙区制で全国を五百にいたしますね、議席を。選挙区を五百にする。そうすると、その五百の一つ一つ政党の支部をつくると書いてあります。そして、その地区の小選挙区の議員の後援会をそのまま支部に移行すると書いていますよ。  そうすると、どういうことになるんですか。要するに全国に五百の支部をつくって、企業からどんどん二倍にはね上がった金を集めていこう、こういう話ですよね。これは大変なことだ。片一方には、政治パーティーの枠がある。これは枠がないんだな、枠がない。政治パーティーは自由にやる。ただ報告だけだ。そしてまた政治献金の大枠は二倍に上げる。総枠は二倍に上げる。そうして今度は支部を五百つくって、それで政党政党だ、政党本位だ政党本位だ。しかし、中身は個人後援会だ。これは一体どういうことなんですか。こんなことでは国民は納得しないと思うんですよ。政党本位だなんといったって、なに今までの議員さんの後援会じゃないか、表が変わったって全然中身は同じじゃないか、こういうことになるのじゃないですか。そんなことでは私は国民は納得しないということを申し上げたいと思う。
  202. 伊吹文明

    ○伊吹議員 三浦先生、地域の支部のことをお答えする前に、先ほど武村君からお話がございましたポスターの件です。先生がおっしゃるように、おのおのの政治活動、演説の日にちを教えることは、全く今の法律のもとでは自由であります。しかし、共産党が貼付されているポスターは、それを教える日をはるかに過ぎても、なおかつ平然と放置され、そしてまた、それが繰り返されているという事実だけはお認めいただきたいと思います。  それから、今一番大きな問題は、個人あるいは個人の政治団体にお金を寄附される。それによって個人の後援会、個人の広報活動を賄っていく中に、まことに残念なことでありますけれども、心の弱い人、公私の峻別ができない人が恥ずかしいことをやっている。これは個人として、その人の人品骨柄の問題も一つ確かにあります。しかし同時に、制度として、政権を担う政党も、皆さんと同じように、一つ選挙区から一人ずつ立候補させて政見で争うようにしたいと考えておるわけですから、今もお話のあった、おのおのの選挙区支部というところに入ってくるお金というのは、個人のスキャンダルを惹起するお金ではありませんし、また、そこで金まみれの選挙が行われるというような事実がもしあるとすれば、そんな政党に負けるというほどの共産党ではないだろうし、そのことを平然と見過ごしていくような国民のレベルではないと私は信じております。
  203. 三浦久

    三浦委員 ポスターの張り残しとか、そんな瑣末なことをここで論議してもしょうがないじゃないですか、そんなことを。まじめに選挙制度の問題、また政治資金の問題を論議すべきじゃありませんか。これは時間稼ぎをやられているようなものじゃないですか。  あなたたちが今小選挙区制を出してきた。小選挙区制を出してきた理由として、同士打ちがあるということを言っているのですね。複数立候補の場合に同士打ちがある、それで金がかかる、だからと言う。これは、そういうことをよく恥ずかしげもなく私は言うなというふうに思いますね。国政を担当する衆議院議員でしょう。それを二人、三人出たらお互いに同士打ちをする、そうしてそのために、同士打ちをするために金まで使うというのでしょう。これは、民主的な政治常識では考えられないことじゃないですか。  我々もそれは京都では二人出していますよ。しかし、やはり政策を訴えて、そうしてお互いに協力して当選をしよう、こういう立場をとっているじゃないですか。我々は今衆議院議員選挙では京都だけですけれども、しかし、地方選挙ではもうどこでも出しています。どこでも出しています。ですから、そういう同士打ちだなんという恥ずかしいことを小選挙区制を導入するための口実にする、全くもってのほかだと思うのです。  そうして、これ自身はあなたたちの党内問題じゃないですか。けんかしなきゃいいんでしょう。仲よくやったらいいんじゃないですか。党内問題じゃないですか。ですから、あなたたちが出している「選挙制度の基礎知識」という、内部資料と銘打っていますけれども、公になっている。これで、あなたたちがいろいろとこれをもとに答弁をされていますけれども、これによれば、小選挙区制の長所として挙げられています。「同士討ちがなくなる」ということ。「しかしこの同士討ちは党内の事情である。」とちゃんと書いてあるのですよ。これは自由民主党選挙調査会、発行は自由民主党広報委員会です。両者が発行している。そうすると、「この同士討ちは党内の事情である。その党内事情の同士討ちをなくすために小選挙区制にしようというのでは、党利党略のそしりはまぬかれない。」こういうふうに書いてありますよ。  それからもう一つは、あなたたちは、民意がよく反映する、小選挙区制は民意がよく反映する、こう言っていますけれども、このあなたたちの内部資料によれば、「小選挙区制は死票が多く、国民の意志を適正に反映しない。」と書いてある。死に票という言葉を使うのは失礼だとか、そんなことを何か言っていた人が本会議でおりましたけれども、あなたたち自身がちゃんと使っている言葉なんです、死に票というのは。そして……
  204. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 三浦君、時間が参りましたので、お願いします。
  205. 三浦久

    三浦委員 はい。  この死に票をあなたたちは敬意を表していますとか、批判票として尊敬しますとか、大事にしますとか、いろいろ言っていますけれども、この内部資料によると、政治安定のためにはこの死に票を犠牲にすることが必要だと書いてある、ちゃんと。犠牲にすることが必要だ。だから、あなたたち自身も、ここで答弁しているように、この小選挙区制が民意を反映しているというふうには思っていないんですよ。それはそうでしょう。四〇%の得票率があったら九〇%以上の議席というものをとってしまうんですから。こんなものが何で民意を反映したものかということを言い、私は、皆さん方がこの小選挙制度を撤回してもらう……
  206. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 時間ですから、どうぞ厳守お願いいたします。
  207. 三浦久

    三浦委員 このことを強く要求して、質問を終わりたいと思います。
  208. 石井一

    石井(一)議員 政党が何のためにあるのか、政権をとるということが最も重要な目的であり、問題意識だと思いますけれども、それをかなぐり捨てて、みずからの身を切って制度を変えようとしておるのが我々の姿であります。あなたの方は中選挙区でないと、昨日言い合ったように、もたんという政党になり果てておる。それも党利党略でしょう。これだけ申し上げておきましょう。
  209. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 それでは、中野寛成君。
  210. 中野寛成

    中野委員 政治改革が大きく叫ばれており、きょうからこうして委員会で実質的な審議がなされるようになりました。国民待望の審議ですから、期待にこたえたいと思います。  沿革をまずたどってみたいと思いますが、私の記憶によりますと、平成元年、参議院選挙におきまして自民党が大きく負け越しました。その原因は、消費税やリクルート事件や、そしてセックススキャンダルなど重なったということが一つの理由だと言われております。  そして、その後、自民党は首班指名を変更し、海部内閣が誕生をいたしました。その際、言うならば国民の批判に対して自民党はどうこたえるか、総理をかえ、そして政治腐敗を防止する制度ではなくて、むしろ選挙制度を選ばれる側に都合のいい制度につくりかえることによって、その責めを糊塗しようとする姿が見えました。そして、その後、平成二年、衆議院選挙が行われ、時の小沢幹事長が財界に二百億とか二百数十億の金を要求したなどと報道されましたけれども、いずれにせよ、自民党としては金銭も含めて全力を挙げて戦われたその成果として、ある程度の議席の復活が衆議院選挙においてなされました。しかし、制度を変え、また資金を豊富に使っての選挙制度をやってきたけれども、もはや疲れ果てた。その中で、何らかの手を打たなければならないという魂胆が我々には見え過ぎるわけであります。  一方、野党はどうしたか。まず、腐敗防止の法律をつくろうではないか。私もタッチして社公民等の共同の案などもつくり、また提案もいたしました一また一方、政権交代の可能性も含めて、まず定数是正を行うべきだ、こういう主張を野党そろっていたしました。なぜならば、既に戦後数十年間たっておりますけれども、一票の重みを一対二以内にして定数是正をしっかり行っておれば、与野党が衆議院においても逆転した選挙は数回を数えるに至っております。  しかし、それも、自民党にとって都合のいい定数制度をそのまま今日まで維持してきた。しかし、ここでもうこれ以上維持し続け得るかどうかわからないという事態を迎えて、このような単純小選挙制度を提案してきたと私も思いますし、また、国民の多くの皆さんがそういう気持ちで疑問を持っていると言って過言ではないと思います。  そこで、本来、選挙制度等については、民主主義の原則をしっかり踏まえて、民意を的確に反映するという原点に立って、選挙制度のあり方を考えなければいけないと思うのであります。その民主主義の原則とは、まず民意が的確に反映されるという主権在民のシステムであります。二番目には、少数意見をしっかりと聞き取り、最後には多数決原理を尊重するということであります。三番目には、個人の自由で主体的な判断によって選挙が行われるということであります。四番目には、国民政治参加を保障するということであります。この視点に立って、我々は政治改革そのものを考えていかなければならないと思います。  投票価値の平等の要請、すなわち一票の重みの問題でありますが、小選挙区制を含む制度は常に区割りの必要性が起こってまいります。我が国の経験では、定数是正は容易なことではないことを既に証明しました。私どもは、あくまでも比例代表制に徹することによって、小選挙区制を含まず、各選挙区の定数は自動的に決定されるというそのようなシステムを今提言させていただいております。各党案では区割りの委員会をつくることになっておりますけれども、これとても、法律で決定するとなれば、最終的には国会で決めなければなりません。国会を果たしてきちっと拘束できるのでしょうか。  二番目に、少数意見の尊重という原則を私は明らかに無視している現在の提案だと思います。  国民意思の公正な反映は、少数意見をもまた尊重するという謙虚な姿勢がなければなりません。小選挙制度は、言うならば、白か黒かという二つの鋳型に国民の気持ちをはめ込んで選択をさせるという、少数意見を切り捨てるという、民主主義の大原則に反する制度であります。我が党の比例代表制では、議会に国民の意思を公正に反映することを第一に重要な課題考えております。そして、一昨日の本会議における公明党渡部一郎議員答弁にもありましたが、三割の得票率では三割の議席、五割の得票率では五割の議席、このことを力説されましたが、感銘深く聞きました。  三番目に、個人の自由で主体的な判断がなされることが民主政治の基礎であります。  全力、権力、暴力の三つで、今の日本の民主主義の原則が破壊されようとしていると私は考えております。すなわち、金丸事件に象徴されるように、今日まで繰り返し起こってきた金にまつわる政治腐敗が全力の問題であり、二つ目は、許認可や補助金行政に見られるような権力を利用した利益誘導であり、三番目の暴力は、先般来、竹下元総理と右翼、暴力団との関係が取りざたされたことによっても証明されたと考えております。小選挙区制は、そのような中で、今日の中央集権と膨大な許認可、補助金の行政システムを前提とする限り、利益誘導の選挙が最も行いやすいシステムであると言わなければなりません。  四番目の原則は、間接民主政治のもとで、国民政治参加を最大限に保障するというシステムでなければなりません。我が党は、都道府県単位の非拘束名簿方式による比例代表制選挙を提案いたしております。都道府県単位でありますから、候補者の顔も見えます。非拘束名簿方式でありますから、国民が当選者を決定する権利を有します。比例代表制でありますから、当然国民の支持率に応じた議席配分がなされます。まして、その得票率によって全国で比例代表部分を決め、これを都道府県に割り当てる。その得票数においてその割り当てが決まっていくことを考え合わせますと、これは明らかに投票率が高まる。投票率が高く、得票数が多いほど議席にそのまま反映されるシステムであります。  こう考えますと、私どもは、もう一度、とりわけ小選挙区制に固執する自民党考えを変えていただきたい。米国の場合は確かに小選挙区制でありますが、国民、とりわけ有権者に開かれた予備選挙システムがあることも忘れてはならないと思います。この民主主義の原則にのっとった本当の民主的な選挙制度考えるとき、小選挙制度は既に時代おくれであり、また、国民の要請に反するものだと考えますが、どうお考えでしょうか。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  211. 石井一

    石井(一)議員 まず、民社党がいろいろと研究をされました後に非拘束の制度を提示されましたことを私も昨晩勉強させていただきまして、評価をするべきところも非常に多いと考えております。  ただ、小さい区画を三倍、五倍に広げまして、そこで政党なり個人のどちらを書いてもいい、こういう制度にいたしましても、既に今我が党の多数の議員の中の同士打ちを拡大する、こういう一点は問題が解決できないわけでございまして、また選ぶ方の側からいたしましても、そこで当選していない者が全国なり広い地域で当選をしてくるということに不可思議な考え方を持つというふうな面でも、今後検討をしていくべき課題ではないか、そう思うわけであります。  それから、民主主義の原理につきましての基本的な御見解、私は、これも非常に筋の通った意見でございますが、結論から申しまして、それじゃ今二大政党を持った小選挙区制を持っておる国は全部非民主主義の国か、こういうことにも逆説的にはなるわけでございます。アメリカやらイギリスはこういう制度をとっておりますが、どこの政治学者に聞きましても、今中野議員が仰せられましたように、小数意見を聞かないとか参加の自由意思を否定するとか、そういうことは申しません。これは、一つの見識あるエスタブリッシュされた制度として今日十分認知されておる制度ではなかろうかと思います。  その反面、皆様が御指摘になっております民意の反映という意味で、比例の多党化を志向する制度もある、これを国民がどちらを選ぶのか。我々がここで、国民の前で議論をしてどうするかということが一つの焦点ではなかろうかと思うのであります。また、選挙の民意を集約して選ぶというだけでなく、もう一つ重要な点は、政権を選ぶという問題でもございます。  イギリスの憲政論において政治学者バジョットは、比例代表制が首相の選出という議会の最も重要な機能を果たしがたくさせているという重大な欠点を指摘した。また、政局の堅実な運営を可能とするためには、多数代表制によって安定した機能する多数派、ワーキングマジョリティーの形成が肝要であるとして比例代表制導入論を退けた。これはあなたも御存じだと思いますけれども、ロバート・マッケンジーにいたしましても、こういう見解を持っております。  したがって、これは今後、細かい問題はどちらにも長所が、短所がございますけれども我が国の二十一世紀の政治考えて、どちらを選択するべきか。私たちは、やはりここで民社党のような立派な党は政権に参画をしていただきたい、十五名や二十名でずっととどまってもらいたくない、公明党のようなお方にもそういうお招きをして、全体の政治構造を変えたいということを申し上げておる。これを申し上げたいと思います。
  212. 中野寛成

    中野委員 選挙区が広がもことによって同士打ちが生じる、こう言われましたけれども、私どもは、同士打ちという形になるとは考えておりません、我が党の案においては。確かに選挙区は広がります。広がりますが、公営選挙、党営選挙中心になるシステムを我々も政治資金規正法また公職選挙法考えているわけでありますから、これは選挙区の大中小によって党営選挙、公営選挙で行われる限りは、選挙資金は同じはずであります。また、そうでなければ意味がありません。  それから、同士打ちの問題でありますが、これは同じ県、同じブロックから仲間を引き連れて当選しませんと、政権を維持したり、また、政治の主張を大きくしたりすることはできないのであります。また、一人の人がたくさんとれば、二番目の人もその人の得票によって救われるわけであります。ゆえに、それは同士打ちではなくて、むしろ共存的な競争ということが生まれるわけでありまして、同士打ち、言うならば、お互いに同じ政党の所属候補者同士で批判をし合えば、その政党の得票を減らすのでありますから、そのような同士打ちという細かい状況というものは生まれない。むしろ、それはお互いに控えざるを得ない、こういう仕組みがあることを指摘しておきたいと思います。  また、英米の小選挙制度をとっているところは非民主的かと極論を言われましたけれども、私はさっきも申し上げました。米国においては大統領制度がとられて、言うならば、議院内閣制ではありませんことが一つ。それによって、大統領とそして議会の構成とは、時に、先般までのように逆転することもあります。そういう歯どめがかかる、チェック機能がかかるシステムがあるということと、候補者を決めるまでに有権者が参加する予備選挙制度というものが確立をされていること等を忘れてはならないと思います。  それからもう一つ、イギリスにおいて御指摘がありましたけれども、イギリスの場合で小選挙制度が事実上確立したのは一八八四年、八五年にかけてでありました。そのときには既に二大政党制が確立をし、自由党のグラッドストーンと保守党のディスレリーが交互に政権を担当していた時期でありまして、そういう環境が既に整っていたということを忘れてはならないはずであります。  ちなみに、そのイギリスにおいて、アメリカにおいて、小選挙制度制度疲労を起こしていると言われております。すなわち、アメリカの場合、現職議員の過去十年間における再選率は実に九〇・二%であります。議席が固定化するということであります。また、イギリスにおいては、常に当選者が決まっているような選挙区すなわち安定議席、これは一九五五年には七六%、その後三十年たった一九八七年には実に八七%が動かない安定議席となっているわけであります。言うならば、もう選挙が始まったときには、だれが、どっちが当選するということが実質上評価されてしまって、選挙にならない。だから、残りの激戦区、残り保守党か労働党かが拮抗している。そこにすべての勢力が集中をされることによって、言うならば、手段を選ばない激戦ということが起こってくるわけであります。そういう中で、イギリスにおける制度疲労が指摘をされているわけであります。  外国の例だけではありません。日本の統一地方選挙の例を申し上げましょう。道府県選挙、一昨年の道府県議会議員選挙の一人区、四百六十三選挙区ありました。このうち、実に四七・七三%、すなわち半分に当たる二百二十一選挙区が無投票であったこと、このことも忘れてはなりません。小選挙区というのは、そのような結果を生むというシステム制度上の性格がもともとあるのだということを忘れてはならないと思うのであります。  次に、政権交代の必要性、また政権の安定についてたびたび自民党皆さんが触れられました。  私は、民社党は結党以来政権獲得の意欲だけは満々と燃やしてまいりました。しかしながら、数の上での能力はまだありません。当然、今回よりも次回、次回よりもその次、努力をして少しでも議席を伸ばしたい、そういう努力はしていきたいと思いますが、小選挙区制のもとで、民社党はもとよりのこと、今新しく生まれた新党も含めて中小政党は事実上抹殺され、将来性も展望もなくしてしまうわけであります。そのようなシステムが実質上の単純小選挙区制だと言わなければなりません。  あらゆる考えを持つ人に開かれたシステムをつくるのが本来の民主政治システムだ、こう考えなければいけないわけでありまして、まして連立政権になると不安定だなどという御指摘もきのうされておりました。そして、失礼ながらイタリアの例が挙げられておりました。しかし、イタリアは、少数乱立になっていることは事実であります。それは、その少数乱立にならざるを得ないシステム、すなわち阻止条項、小党乱立を防ぐ阻止条項が存在しないのであります。  ちなみに、社公案におきましてもブロック別に比例選挙を行い、そして一ブロックの平均定員を四十名程度にしておりますから、二・五%程度の議席獲得要件を有しておりますし、これも小党乱立の歯どめが社公案にはかかっております。また、我が党案においても各選挙区ごとの法定得票制度が存在をいたしますから、これまたそれを防ぐことができます。  ちなみに、しかし、そのイタリアはいろいろなスキャンダルが起こっておりますけれども、あれは、小選挙区制でもし特定の政党が過半数を占めるようなところであれば、あのスキャンダルは暴露されたでしょうか。むしろ、連立政権があるからこそ、お互いに牽制し合い、暴露し合うことによっていろいろな真実が起こってくるということもあり得る。私たちは、言うならば、安定ということは、圧倒的多数を一党で制することによって、そのような事件を押さえ込む。例えば、今日本においても佐川事件の真相を解明するために証人喚問を要求しても、自民党の圧倒的多数の力でそれを妨害する、させない。そのことが原因になって、先般来の国会の混迷が起こったではありませんか。私たちは、連立政権というものをそういう形で批判するということは当たらないと言わなければならないと思うのであります。  そのことについて、次に野党の、社公両党の御意見をお聞きします。
  213. 佐藤観樹

    佐藤(観)議員 中野議員のお話につい聞きほれておりましたが、まさに、言われるように政権が腐敗をする、チェックする機能がなくなってくる、これはやはり一党が長いこと政権にあったことだと思っております。そのために私たちとしても、今委員御指摘のように、随分いろいろな場面で特別委員会の設置その他を要求してきたけれども自民党の厚い壁、過半数の壁に阻まれてきた。この積み重ねが今の国民皆さん方政治不信の土壌になっている、フラストレーションがもうたまりにたまってしまった、これにつながると思います。  したがって、今私たち併用案ということを言っておりますけれども、これが一番そういう意味においても、連立あるいは連合になってくれば、やはり国民に対する腐敗というものは、政権を維持するというだけの問題ではなくて、やはり不正は不正として、腐敗を取り除く装置として私たちはそれが機能するであろうという確信を持っておるわけでございます。
  214. 中野寛成

    中野委員 そこで、あわせまして、社会、公明両党にお尋ねをいたします。  両党案は比例代表制をベースにしておられますので、私どもも基本的には同じであります。そういう意味では評価をいたしますが、恐らく、我が党もそうでありましたが、ドイツの選挙制度を随分勉強し、参考にもされたのではないかと思います。このドイツの選挙制度で、私どもは、取り入れたいことと取り入れたくないことと分けさせていただきました。  すなわち、ドイツにおいて、比例名簿からの当選者の約九割が小選挙区では落選しているという事態を生じさせ、一体小選挙区で示された地域住民の意思とは何であったのかという極めて本質的な問題が生じます。二番目に、比例名簿が拘束式のため、当選者の決定が国民の意思ではなく、政党の意思により決められてしまうということがあります。これは、自民党の方からそうだという声がありましたが、小選挙区制になりますと、候補者を一人に絞るためにより一層の弊害が生まれることを指摘しておかなければならないと思います。三番目に、区割り変更を必要とすることであります。そのために委員会を設けるという提案をされております。四番目に、超過議席が発生をするということであります。  そこで、ところが、私ども勉強させていただきまして、我が党案にも取り入れさせていただいた部分があります。それは、各州、いわゆるラントと言いますが、ごとに名簿を提出し、選挙を行い、これは日本ではこの各州を都道府県ごとにと置きかえさせていただきましたが、その各州ごとの得票を全国集計し、比例配分で各政党の議席数を決定させ、その議席を各党ごとに各州に比例配分するという当選配分の方法であります。選挙区での候補者と有権者とのつながりは、都道府県ごとの選挙をやりますから保たれます。また、全国での各党の支持率と議席数がほぼ一致いたします。また、各州、日本で言えば都道府県への議席配分数は、その都道府県の得票率と極めて密接な関係を有しますから、投票に参加する割合が高くなるほど有利になります。ゆえに投票率が高くなります。昨日か一昨日、自民党さんの方の答弁で、これからは投票率が心配なんだとおっしゃっておりましたが、この制度こそ投票率を高める制度であります。  このように考えますと、我が党案は、皆さんによって、残念ながら議席数の都合で正式の提案権がありませんから、皆さん委員会で御説明を申し上げただけにとどまっておりますけれども、真剣に御論議をいただきたい内容でありますが、御見解をお尋ねしたいと思います。
  215. 井上義久

    井上(義)議員 ただいまの質問、多岐にわたっておりましたので、私から幾つかの点、答えさせていただきたいと思います。  まず、小選挙区で当選しなかった人が比例名簿で当選をしてくる、国民感情として理解できないんではないか、このような質問でございますけれども委員承知のように、私どもの小選挙併用型の比例代表制は、比例代表を基本としているわけでございまして、各党の得票率によりまして各党に対する配分議席が決まる。その上で、小選挙区を併用した理由は、いわゆる直接候補者を選びたい、あるいはまた無所属等の候補者にも立候補の道を開くという観点から小選挙区を併用したわけでございまして、小選挙区における選挙の結果というのは、いわゆる比較多数をとった人を優先的に当選者にするということでありまして、一般的な意味でのいわゆる当落とは意味が違うということをぜひ御理解いただきたいと思います。  西ドイツの例でも、昨日も申し上げましたけれども、例えばコール首相あるいはゲンシャー外相、前々回までは一度も小選挙区では比較多数をとりませんでしたけれども各党の党首として比例名簿で当選をなさっておるわけでございます。  それから、二つ目に、拘束名簿もしくは小選挙区ですと、いわゆる政党が候補者を決める、国民が直接選べないのではないか、このような御指摘でございますけれども、確かにそういう一面はございます。  そこで、私どもといたしましては、やはり各党提出いたします名簿、あるいは小選挙区の候補者につきましては各党が選定の手続、候補者をどのように選定したかという手続をあらかじめ届ける、そしてその内容を自治大臣が公表する、こういう仕組みにいたしておりまして、各党がどのような手続で候補者を選んだのか、その手続は適正であったのかということを国民が判断できるようにいたしておるのが私どもの特色でございます。  それから次に、民社党さんの案では、県別の非拘束名簿で各党がとった得票数を全国集計してそれを配分するということで、全国の得票率がそのまま議席に反映される、また投票率が上がるのではないか、こういう御指摘でございまして、私どももその点非常に評価すべき点だというふうに考えておるわけでございますけれども考えましたのは、一つは、どうしても都道府県別でございますと小さな県がたくさんございまして、比例の意味が余りなくなってしまうのじゃないかということと、それから、県ですとやはり県という利害にどうしてもとらわれてしまう、もう少し広域的に、やはり国政を担うわけでございますから、ブロックというような、例えば東北とか北海道とかというような広域的なところからこの名簿によって代表を出した方がいいのではないか、このように判断したわけでございます。  それから、全国集計をしなかったという理由でございますけれども、これは私どもとしては、それぞれの有権者はそれぞれ各党が出したブロックの名簿に投票するわけでございますから、自分たちの投票した票が、自分たちのブロックの候補者だけじゃなくてほかの候補者の当選にもそれが移行していくというようなことについて、国民理解が本当に得られるかどうかという点を考えましてブロック別の小選挙併用型の比例代表制、このようにしたということでございます。  ただ、比例代表という点では基本的な認識は一致しておるわけでございますので、ぜひ民社党の皆様にも御理解を賜りたい、このように思っておる次第でございます。  もし足りないところがございましたら、補足させていただきたいと思います。
  216. 中野寛成

    中野委員 基本的には比例代表制ですから、社公案とは私ども気持ちは一致するわけであります。  ただ、選挙の方法論とはいえ、小選挙区制を導入するということにつきましては、やはりその候補者の選び方について、確かにいろいろな工夫の余地はあるでありましょう。しかしながら、今日までの日本政治土壌等をも考えますときに、国民の目の前ではっきりとその候補者選考というのがなされるのか、むしろドライというよりもウエットな国民性ということも考え合わせますと、なかなか難しい状況があるはずであります。  それは政党の中で決めるよりは国民に決めていただく、投票によって決めていただくという制度にしなければ、むしろ公職選挙法等が適用されない裏の金、裏の権力、裏の手法というものが動きかねない。それは、もちろん政治資金規正法その他でこれからはいろいろ制約も厳しくしていくのでありますけれども、しかし、党内の出来事はなかなかそれを見破るということは難しいわけでありますから、そういう意味で、でき得る限り念には念を入れるという意味からも、国民に参加をしてもらい、そして国民に選んでいただくというこのシステムだけは崩してはならない、こう思うわけであります。  そういう意味で、社公案の小選挙区制の部分について、大変残念である、遺憾であるということを申し上げ、ましてや自民党案に至っては言語道断であると申し上げて、終わりたいと思います。
  217. 田邉國男

    田邉委員長 次回は、明十六日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四分散会