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1993-06-08 第126回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月八日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 井上 普方君    理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君    理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君       岩村卯一郎君    尾身 幸次君       古賀 一成君    古賀 正浩君       田辺 広雄君    谷川 和穂君       真鍋 光広君    増岡 博之君       増田 敏男君    渡辺 秀央君       大畠 章宏君    清水  勇君       鈴木  久君    武藤 山治君       安田 修三君    吉田 和子君       和田 貞夫君    小沢 和秋君       川端 達夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局取引部長 植松  勲君         経済企画庁調整         局長      長瀬 要石君         経済企画庁調整         局審議官    柳沢  勝君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         経済企画庁調査         局長      土志田征一君         通商産業大臣官         房総務審議官  江崎  格君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       細川  恒君         通商産業省貿易         局長      渡辺  修君         通商産業省産業         政策局長    熊野 英昭君         通商産業省機械         情報産業局長  坂本 吉弘君         通商産業省生活         産業局長    高島  章君         中小企業庁長官 関   收君  委員外出席者         経済企画庁物価         局審議官    谷  弘一君         文化庁文化部芸         術課長     板橋 一太君         建設省住宅局建         築指導課長   羽生 洋治君         商工委員会調査         室長      山下 弘文君     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   甘利  明君     相沢 英之君   奥田 幹生君     高鳥  修君   古賀 一成君     綿貫 民輔君   古賀 正浩君     虎島 和夫君   佐藤 信二君     佐藤 守良君   田辺 広雄君     石原慎太郎君   真鍋 光広君     中山 太郎君   増岡 博之君     渡辺美智雄君   鈴木  久君     吉岡 賢治君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     甘利  明君   石原慎太郎君     田辺 広雄君   佐藤 守良君     佐藤 信二君   高鳥  修君     奥田 幹生君   虎島 和夫君     古賀 正浩君   中山 太郎君     真鍋 光広君   渡辺美智雄君     増岡 博之君   綿貫 民輔君     古賀 一成君   吉岡 賢治君     鈴木  久君 六月四日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     和田 貞夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 継続的役務の問題について、もう国会の会期の方も実質的に審議をする日数というのはあと七日、八日ということになってまいりました。この国会委員会における冒頭に継続的役務の問題について質問いたしまして、船田経済企画庁長官も、今通産省の方で研究会を持っておられるわけでございますが、この研究会検討視野に、新しい法律をつくる、あるいは割賦販売法改正等々も視野に入れて検討すべきであるという答弁がなされておるわけでございます。また、昨年の四月の通常国会における委員会におきましても、前の渡部通産大臣が、やはりこの被害予防策として、あるいは事後処理策として法律制定というのが必要であるという認識の上に立った答弁がなされておるわけであります。  その上に立って通産省役務についての研究会が今日まで続けられておるということでございますが、お聞きするところによりますと十一日、今週の金曜日に研究会最終的なまとめをするというようなことも聞いておるわけでございます。そこで、この機会にその研究会検討状況についてひとつお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  4. 細川恒

    細川政府委員 継続的役務取引適正化のあり方につきましては、和田先生から今お話ございましたように、本委員会におきましても何度にもわたり御質疑をいただいております。  今御質問継続的役務取引適正化研究会、当方の研究会でございますが、御指摘のように最終段階を迎えております。この研究会におきましては、これまで六回の研究会を開催いたしておりまして、業界関係者からのヒアリングを実施し、さらに本委員会で御質疑がございました点も含めまして幅広い検討を行ってきております。それで、十一日に私どもといたしましては最終の会合になることを期待をいたしておりまして、今月中旬ごろをめどに報告書の取りまとめができるというふうに期待をいたしておるわけでございます。  その報告書検討状況ということでございますので、さらに先へ進めさせていただきますと、これまでの研究会の議論を踏まえますと、私ども報告書においてまとめることができるのではないかと考えております点は、大きく分けて三点ございます。  第一点は、業界団体などにおきまして適正な取引慣行が確立されるようにガイドラインあるいはモデル約款等策定、整備すること。その中にどのようなものが盛り込まれるかということでございますが、一つは広告などにおきます表示についての基準、いわば用語の定義であるとか、あるいはその基準の統一といったようなことでございます。第二点は契約期間前払い金額等基準。第三点に消費者によります中途解約禁止する特約を締結しない旨のこと。この点は本委員会和田先生初め、中途解約ができるということを持ち込むべきであるということを御質疑の中で述べておられました。第四点は違約金損害賠償の額の基準。こういったようなことがそのガイドラインの中に盛り込まれることを期待いたしております。  二つ目でございますが、消費者に対する普及啓発活動充実。これはかねがねやってまいったところでありますが、さらにその充実を図りたい。  第三点は、この継続的役務取引民法上の準委任に近い性格を有するとの解釈が明らかにできるのではないかと期待をいたしておるわけでございます。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そこで、しつこいようでございますが、今御報告をいただきましたのは、法の制定あるいは割賦販売法改正というようなことは視野に置かれてなかった、その研究会検討課題に。そういうふうに受け取っていいんですか。あるいはそのような法の制定等検討課題にしてきたけれども、どうであるとか、こうであるとかいうことなのか。この検討課題として全く頭に置いておらなかったということなのかどうか、ひとつお答え願いたい。
  6. 細川恒

    細川政府委員 御質問の点でございますが、私どもといたしましては、その点も含めまして検討いたした結果、消費者保護を実質的にどういう形で確保するかということについて重点を置いたつもりでございます。加えまして、法律改正または新法の制定ということにつきましては、立法技術上の観点から現時点では難しいというふうに考えております。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)委員 国民生活センターあるいは全国消費生活センター、これは法制定がぜひとも必要だと。現場相談を受け、あるいは苦情を受け、処理をするに当たって、法制定、せめて割賦販売法改正によって継続的役務をその中につけ加えてもらいたい、こういう強い要望経済企画庁の方にもなされておると思うわけであります。  経済企画庁の方にお尋ねいたしますが、今、通産省研究会が間もなく結論づけようとしておるガイドラインモデル約款等策定で事足りるとお考えなのかどうか、お答え願いたい。
  8. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。  本問題に関します通商産業省研究会検討経緯等につきましては私どももお伺いをしているところでございますが、なかなか法の改正には難しい問題があるということを私どもも御説明を受けているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、継続的役務適正化のための方策として、法の改正ということも検討していただきたいなというふうには思っておりますが、しかしながら、難しいということでもございますので、今後とも通商産業省と密接な連携をとりながら引き続き対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、もちろんこのほかに、経済企画庁といたしましては、国民生活センター等を活用いたしまして消費者相談充実、特に適切な情報提供ということに今後とも努力してまいりたいというふうに考えておりまして、この件につきましては昨年の七月にエステティックについて、なお、ことしの二月には継続的役務全般について消費者相談分析情報というものを発表いたしました。また、昨年実施いたしました一一〇番の結果を今年一月に発表いたしております。こういうことで情報提供し、消費者へのアドバイスを引き続き行ってまいることによりまして、関係各省との取り組みと連携をとりながら継続的役務取引適正化を推進してまいりたいという覚悟でございます。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)委員 何を答弁されておるのかわからないわけでございますが、私には理解ができません。  そこで、時間の関係もございますので、今まで消費者保護立場に立って中途解約権法定化すべきである、法定中途解約権法律によって保障すべきであるということを私たちが主張してまいったわけであります。この点についての検討状況、今若干触れられたわけでございますが、この点が一番大事な問題でございますので、もう一度お聞かせ願いたいと思いますし、先ほどの説明の中で民法の準委任という言葉が、これも解釈上云々という説明がございました。そのようなことでつくられるガイドラインによってどのような効果が上げられるというように期待していいのかどうか、二つの点についてお答え願いたいと思います。
  10. 細川恒

    細川政府委員 二点御質問がございました。第一点は、中途解約権必要性、それをどう考えておるか、第二点は、準委任という考え方をとった場合にどういう効果期待されるか、それぞれについて御答弁申し上げたいと思います。  まず第一点でございますが、今回、検討対象といたしております継続的役務取引におきましては、約款契約書の中に消費者側からの中途解約禁止する特約がかなり見られておりまして、このことは既に委員から何度も御指摘があったところでございますが、このことが消費者トラブルを発生させる原因の一つとなっておるというのは、私ども同様の見方でございます。  中途解約権法定につきましては、一般的には契約自由の原則との関係はもとより、取引安定の要請といった観点からも慎重な判断が必要だという立場を私どもはとってきておりましたが、研究会におきます検討の中では、継続的役務取引における中途解約の取り扱いを判断するために、まず当該取引の法的な性格分析を行ったわけでございます。  すなわち継続的役務取引は美容、痩身、英会話の上達などに見られますように、一定の仕事、すなわち労務給付をゆだねる取引ではありますけれども、建築の請負や雇用者の指揮に基づく労務提供、すなわち雇用という形態とは異なりまして、あらかじめ定まった成果を約することは困難であるということ、第二点に両当事者人的信頼関係に強く依存する継続的取引であることなどの性格を強く有しておりまして、民法上は同じく当事者間の信頼関係基礎として成果を約さずに一定役務提供する委任契約、特に医療契約のように法律行為以外の労務給付対象とする、先ほど来申し上げました民法六百五十六条の準委任契約に近い性格を有する取引と考えるという考え方を示したいと思っておるわけでございます。民法委任型契約当事者間の信頼関係基礎とすることから、各当事者はこれをいつでも解除できるとしております。  研究会においてはこのような民法考え方に基づきまして、準委任契約に近い性格を有する継続的役務取引契約においても、消費者トラブルに見られるように、当事者間の信頼関係が崩壊した場合にまで消費者の意に反して契約の続行を強制することは不合理であると判断をいたしまして、当事者間の信頼関係が崩壊しているような場合には、中途解約禁止特約の有無にかかわらず、継続的役務取引契約中途解約することは有効と解すべき旨を提言する予定でおります。これが第一点でございます。  それから第二点は、その効果はということでございますが、研究会報告書におきましては、別途、業界団体などにおけるガイドラインあるいはモデル約款などの策定が提言される予定でございまして、先ほど申し上げたところですが、これらの自主ルールにおきましても契約解除は可能であるとの考え方が反映をされ、業界における慣行としてこのような特約を含まない契約が定着するということを期待をいたしておるわけでございまして、消費者トラブルの解決に資するものと期待いたしております。  なお、委員御存じのように、この委員会には工ステティックなりあるいは英会話なりそういった業界代表者も参加をいたしておりまして、この報告書内容には同意をするはずでございます。  それから、本研究会は本分野における知識経験の豊富な学識経験者弁護士に加えまして、先ほど申し上げましたように、消費者関連業界代表から成る委員で構成されておりまして、幅広い検討を重ねてきた結果として以上のような報告を取りまとめるわけでございますが、当省としては、本問題に関する以上のような研究会考え方が、今後、消費者相談の場、さらに裁判実務においてこういった考え方が適切に参照されるということを期待いたしておるわけでございます。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)委員 中途解約権の行使については今、説明によって一応理解をすることができますが、このガイドライン策定に当たって対象業種はどの程度考えておるのか、あるいは前払い金額等についての保全策はどのように考えておるのか、あるいはクーリングオフは保障されないのか、あるいは違約金の額はどのように制限をするのか、解約に伴うところの返戻金の算定はどのように考えるのか等々が今のところおわかりでしたら一応議事録にしたためるために、ひとつ御報告願いたい。
  12. 細川恒

    細川政府委員 御指摘のそれぞれの点につきましては、業界の実態によりまして異なると思いますので、業界の自主的なルールづくりの過程にゆだねたいと思っております。なお、そのようにしてできますがイドラインまたは標準約款でございますが、それをつくるに当たっては第三者の目を通したもので公正なものができることを期待いたしております。  それから対象業種でございますけれども対象業種につきましては、本委員会で特に取り上げました、かつ苦情の多いと私ども判断いたしております四業種を当面考えております。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 このガイドラインによるところの自主規制ということでございますが、まじめな業者一つ団体を形成しておるわけでございますが、これに加入してこないアウトサイダー業者、これが大体どちらかというと悪徳的な商売をやるわけですから、この業界の自主的なガイドラインによってそのようなアウトサイダー業者についてはどういうような効果が上がるようになるのかということが心配であるわけです。  さらに、この国会で先ごろ成立いたしました不正競争防止法改正役務不当表示対象として加えられたわけでございますが、この法律の活用を考えられるのかということも、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  14. 細川恒

    細川政府委員 第一問のいわゆるアウトサイダー対策でございますが、業界団体などにおきまして先ほど来申し上げておりますがイドラインモデル約款などが策定されるということになりますが、この自主ルールにつきましては、これが業界団体加盟企業を中心にある程度普及定着していくということになると思うのですが、そういうことになりますと、消費者に対する普及啓発の努力と相まちまして、消費者の適切な業者選択を可能として不当な契約慣行の排除に資するというふうにまず一般的に考えております。  加えまして、今回検討対象といたしました継続的役務取引におきましては、支払い方法としてクレジットを利用する企業が圧倒的に多いということは本委員会でも申し上げたところでございますが、このため研究会におきましては別途クレジット業界が各業界団体などにおいて策定されます自主ルール加盟店審査などに活用するということを提言することを予定いたしておりまして、したがいまして、加盟店管理の側からアウトサイダー対策ということへの期待をにじませておるわけでございます。これによりまして、今申し上げましたように業界自主規制に従わない業者、いわゆるアウトサイダークレジットの利用が可能になるように自主ルールに従ってみずからの契約内客適正化するという要因が働くものと考えております。  それから第二点でございますが、不正競争防止法目的は公正なる競争確保ということでございまして、消費者対策そのもの目的といたしておりませんが、委員指摘の点は私ども大変参考になると思います。早急に検討いたしたいと思いますが、訴訟に当たって、営業上の利益を侵害されるおそれ、役務の質、内容などについて需要者に誤認させるような表示であることなど、同法に定められました一定の要件を立証する負担というのは訴える側に存在するということがございますが、今御指摘ありましたように、本法が有効に活用されることによりまして当該役務提供事業における公正な競争確保に資するということが期待されると私ども考えます。そして、結果として消費者不当表示によるトラブルに巻き込まれるおそれが減少するのではないかと思いますので、その点については、いただいた御意見として検討いたしたいと思います。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 経済企画庁の方に私は小言を申し上げたいと思いますが、局長の方もこの国会でお聞きになっておったと思うのでございますが、二月二十六日の国会で、私は船田長官質問しておるのじゃなくて、森通産大臣もおられ、船田長官もおられ、どちらかの大臣がこの問題について、法律を新しくつくっていく、割賦販売法改正を含めて、これを視野に入れて、通産省用意をしておるこの研究会の中でひとつ検討してもらいたいということに対して、そのようにするということを船田長官の方から両大臣代表して答弁なされておるわけです。これは御存じだと思うのです。去年の国会でも、このことについては前の通産大臣が、法の制定ということはどうしても消費者保護立場に立ては必要だ、そういう意見を十分に頭に入れながら検討努力するということを国会答弁しているわけです。  経済企画庁というのは、経済の運営についての大事な問題もございますが、しかし消費者行政もあなた方の所掌事務一つの柱としてあるわけです。国民生活センターを通して、全国津々浦々に消費生活センターがあって、ここに苦情が押し寄せて、相談事があって、これを集約してあなたの耳に入っていると思う。異口同音に、消費者センター所長会議におきましても決議をして、法律をつくってほしい。それは法律がなければ救済はできない。救済できないだけでなくて、事後処理をするのではなくて、そのようなことがないように予防措置をするために法律がぜひとも必要なんだ、法律改正してほしいんだという要望があなたの方に出ていると思うのです。  そうすると、あなたの方は、通産省研究会でということで人ごどのようなことじゃなくて、そのような現場苦情を受け相談を受けておられるセンターの方々の御苦労を考えるならば、法律制定法律改正について、これは通産省だというようなことじゃなくて、みずからが進んでそのような方向に向けて走ってほしい、努力してほしいというふうに私は思うわけでございますが、何か答弁を聞いておったら人ごどのように思えてならないわけであります。私は、そのようなことでは消費者行政を担当する経済企画庁としてはまことに残念至極でならないわけでございます。  ことしの一月に、大阪市の方も消費者保護条例というのがある、その消費者保護条例で、中途解約権を認めないような契約条例の違反に該当するということで、市の方が行政指導をやって、それで聞かなければその英会話の学校を公表するというようなところまで積極的に、大阪市の消費者センターの意向を受けて市がやっているんですよ。それほど積極的にやっておる。今研究会中間報告あるいはこれからの報告を受けて通産省としてはやろうとしている点について今のお話はわかりました。しかし、それはあくまでも現時点に立って、法の制定あるいは割賦販売法改正についてはやはり法制上困難性がある、難しさがあるということで、とりあえずということであろうと私は思うわけでございます。  私は、とりあえずそういうようにしても、やっぱり弁護士会皆さんやあるいは国民生活センター皆さんや、あるいはきょうは公明党の方が参議院の方でこの法案を提出するということになっておる。我々社会党の方も週が明けましたならば法案を提案しようというように用意をしておるわけでありますが、私たち法案をがむしゃらにどうだということを言うんじゃなくて、やはり皆さん方の方から法案を提案することをまず誘い水として私たちは提案したいと思うんです。皆さん方の方から提案をしてくれば私たち法案を取り下げて、そして審議をしたい。私たちは一日も早くこの法律制定、そして割賦販売法改正、これによって、この継続的役務取引で後を絶たない被害者予防措置あるいは被害が出たときのその事後処理、これは法律がなければできないわけなんです。やはり法律ができるまでの過渡的な措置として私は一応、今御報告のあったような業界自主ルールの確立によって通産省が指導して処理をしていこうということについては一定評価はいたしますけれども、さらにこれを前向きに検討課題に新しく法律制定ないしは割賦販売法役務を追加するというようなことを含めての検討をこれからなお続けてやってもらうのかどうかということにつきまして、通産省経済企画庁にこの機会にお答え願いたいと思うんです。決して大臣答弁よりも後退するような答弁は許しません。お答え願いたいと思います。
  16. 細川恒

    細川政府委員 本日、研究会予定されております報告書の概要を申し上げたわけでございますが、今までに通達等で講じております対策及び今回出てまいります対策、総体を全体として御評価をいただきたいと思っております。一定評価をいただいたわけでございますが、ぜひ一定ということをとっていただけるよう私どもは頑張りたいと思っております。  ということを申し上げました上で、今回行います。その全体の措置によりまして私どもとしては対策は相当程度進んでいく、少なくとも相当程度進むと考えておりますが、この措置効果を十分に見きわめまして、加えまして、先ほど申し上げましたように、当面考えます。その業種は四業種でございますので、取引の実態あるいは新たな取引の形態というのが進展するということも考えられるかもしれません。そういうこともございますので、こういった取引のさらなる適正化のためにより実効性を上げるための措置、それが必要な場合には一層の検討を深めたいというふうに考えております。
  17. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  法の制定あるいは法の改正に関しましては、現在の研究会成果も踏まえまして、継続的役務取引適正化のための方策の一つとして検討視野に入れつつ、法律を所管なさる通商産業省とも密接に連携をとりながら対応してまいりたいというふうに考えております。また、経済企画庁といたしましては、さらに消費者相談充実あるいは適切な情報提供に努め、また関係各省の取り組みと十分連携をとりながらさらに継続的役務取引適正化を推進する覚悟でございます。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)委員 念のために言っておきますが、国会答弁の適切な言葉、いろいろあるんです。前向きにとか鋭意とか十分とか努めるとか配慮するとか検討するとかという言葉があなた方のこの永田町におけるところの言葉なんだ。検討するということは検討するだけで実際には何もしないこと、こういうことなんだ、こういう意味の検討じゃないでしょうな。
  19. 細川恒

    細川政府委員 本日申し上げました措置の実施を一日も早くやりたいと思っております。加えまして、先ほど申し上げましたとおり、必要な場合には今まで行いましたと同様な意味におきましてさらなる検討をいたしたいと思っております。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ何もしないということやな。するということかい。——それじゃ、するということを信じでひとつ質問を終わりたいと思いますが、なおひとつ永田町答弁じゃなくて、せっかく前向きになってガイドラインによって指導しようとしているんじゃから、それがやっぱり行き詰まるとかあるいはどうもということであれば日本弁護士会国民生活センター要望しているように速やかに法の制定に向けて、割賦販売法改正に向けてひとつ、鋭意努力という言葉はもういかぬ、必ずやり遂げる、消費者保護立場に立って恥ずかしくない前向きの行政をやるというように答弁をしてほしかったわけでございますが、私の方から一つそのことを申し添えてこの質問を終わりたいと思います。  次に、時間の関係もございますので、中小企業基本法の問題について、あるいはその中小企業の保護の関連法について御質問申し上げたいと思うわけであります。  六月三日の新聞を読んでみますと、中小企業基本法を通産省の方が改正する方針で、中小企業基本法でうたわれておるいわゆるその定義、資本金の金額と従業員の数が定義づけられて、製造業では何々、卸売業では何々、サービス・小売業で何々というようにうたわれておるわけでございますが、この資本金の金額を二倍ないし五倍の方向で検討しておる、従業員の数についてはこれは当面据え置くというような内客の改正が今検討中だという記事が載っておるわけでございます。  この中小企業基本法はちょうどことしで制定三十年を迎えるわけであります。二十年前には若干の改正が一回なされておるわけでございますが、今回改正するということになりますと二十年ぶりの改正ということになるわけでございます。法の制定から三十年経過いたしまして日本の産業の実態等も大きく変遷をしております。特にこの中小企業が置かれている立場というものは、単に国内的だけじゃなくて国際的な分野の中に中小企業の活動というものが今や置かれておるわけでございます。かなり情勢の変化があろうと思いますので、私たちも私たちなりに中小企業基本法の抜本改正ということをやりたいということで今勉強中であるわけでございます。審議会にかけられておることであろうと思いますが、若干の経過がわかりましたら御報告をいただきたいと思いますし、この新聞記事によるようなお粗末な改正しか通産省は考えておらないのかどうか、あわせてお答え願いたいと思います。
  21. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘ございましたように、中小企業対策と申しますのはいわば生きた経済対象にしている面がございますので、情勢の変化に応じて、時に応じまして見直しをするということが大事だと私ども考えておりまして、これまでも幾度かその見直しをいたしたわけでございます。  たまたまことしは中小企業基本法が制定されましてから三十年がたちまして、この間に、今先生御指摘ございましたように、経済の成熟化でありますとかグローバル化でありますとか、あるいはまた消費者の価値観の変化等々中小企業をめぐる環境も随分大きく変わっておるわけでございますので、今の施策の体系でよろしいのかどうかという点、それからまた、これまでのさまざまな御努力によりまして非常に広範な、また精密な施策をいろいろ講じさせていただいておるわけでございますが、一方で、この施策がもう少しわかりやすくならないか、もっと使いやすくならないかという御要望もあることも事実でございます。  こういったようなことも踏まえまして、私ども、中小企業政策審議会に基本施策検討委員会というものを設けていただきまして、実は昨年の秋以降検討をさせていただいておるわけでございます。実はこれは審議継続中でございまして、次回は六月の十四日に開くということでまだ結論を得たわけではございません。ございませんので、最終的にどういう御答申をいただけるのか今の段階で申し上げることはできないわけでございますが、その検討対象といたしましては、中小企業施策の理念あるいは位置づけ、あるいは今後の政策展開の方向といったようなことにつきまして、過去十二回にわたりまして、この委員会における審議、あるいは中小企業を直接経営しておられる方や組合の方の御意見、あるいはまた中小企業を日ごろから指導しておられる都道府県でありますとか商工会、商工会議所の方の御意見、こういったさまざまな方面からの御意見をいただきながら検討を続けておるというところでございます。したがいまして、まだ最終的な結論になっておりませんが、せっかくのお尋ねでございますから、現在までの審議の方向というものを御報告申し上げます。  これまでの審議経過等を踏まえますれば、この小委員会の取りまとめの方向といたしましては、現行の中小企業基本法の体系を前提としつつそのもとで新たな政策展開を求めるものでございまして、直ちに中小企業基本法の改正を要するという提言はなされない方向にあるものと私は考えておるわけでございます自私どもとしては、この答申をいただきましたならば、これに基づいて今後現下の情勢に対応する中小企業施策の展開を図ってまいりたいと思っておるところでございます。  次に、具体的な問題といたしまして、中小企業の政策の対象と申しましょうか範囲と申しましょうか、定義についてのお尋ねがございました。私どもも報道につきましては承知をいたしておるわけでございます。それで、これにつきましても実はこの基本検討委員会で御議論をいただきました。いただきまして、これもまた結論が出ておるわけではございませんが、大きな流れを御紹介させていただきたいと思います。  先生御案内のとおり、今の中小企業の定義には従業員基準と資本金基準という二つがございます。議論の方向といたしましては、従業員基準については、その後の推移を見ましても一企業当たりの従業員規模等がほとんど余り大きく変わっていないということもございまして、これについては見直すべき理由はないのではないかということでございます。  次に、資本金基準につきましては、今の定義、すなわち製造業では資本金一億円、それから卸売業で資本金が五千万円、それから商業・サービス業では一千万円ということでございます。これについてもレビューをいたしましたが、製造業につきましては今のカバレージで大体九八%がカバーされておるということでございますが、卸、小売・サービス業についてはカバレージが下がっておることは事実でございます。そこで、昭和四十八年以降の経済規模の拡大とか物価水準の上昇から見て、特に卸、小売・サービスについて見直すべきそはないか、議論の余地があるのではないかという議論の展開がなされております。特にサービス業の中で、業種によりましては非常に資本装備率が高いものあるいは業態が製造業に類似しているもの等々も最近出てきておりまして、こういうものについては見直していく必要もあるのではないかという議論もございました。  しかしながら、一方、中小企業の定義を変更いたしますと幾つかの問題が出てくることも事実でございます。  例えば限られた予算の中で施策が上位シフトするのではないかという懸念が一つございます。あるいはまた、規制法、調整法がいろいろございます。例えば下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法あるいは事業活動の調整に関する法律といったようなものがございますが、こういう法律につきましては、範囲が変わることによりましてこの行政の内容が変わってこざるを得ない。すなわち、拡大いたしました場合、今までいわば規制対象になり得たものが今度は保護対象に入ってくる、そういった問題をどう考えるか、あるいは三番目に税制との関係をどう考えるか等々多岐にわたる新たな問題が出、これらを検討することも必要になってくるわけでございます。  そこで、この範囲の改定の問題につきましては、今回の結論は、今後実態の把握に努めつつ検討を継続していくというような方向になり得るのではないかと考えておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、一部のサービス業等におきましては、その形態、業態等から製造業に非常に類似したものがございます。こういったものについては、実はサービス業につきまして基本法を直してその対応をするというようなサービス業の業態についてのある程度の明確な概念なり範囲なりについての整理がまだ十分できていない点もございます。そこで、一部のサービス業については個別施策において必要な施策の対象に加えていくといったようなことを検討したらどうかといった方向の結論になるのではないかと私ども理解をいたしております。  いずれにいたしましても、今後さらに審議会が開催されますので最終的な方向は私ども何とも申せませんけれども、今の状況は大体そのような方向になりつつあるということを御報告させていただきたいと思う次第でございます。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)委員 どうやら基本法の従業員基準はもとより、資本金基準についても改正の提言がないような見通しだ、こういうことでなお継続していく、こういうことに例えるわけでございます。  そして、今御説明がありました内容の二、三の箇所がございます。例えば税制の対策、金融の対策、調整の対策、規制の対象、だから私は、単に今のような製造業、卸、小売というような区分の定義じゃなくて、やはり中小企業もこの歴史の過程の中で、しかもあの第一次の円高の中で非常に中小企業が力をつけた部分があるわけです。しかし、それは中小企業基本法の中にうたわれておるところの中堅企業の部分であるわけです。したがって、今のままで資本金が何ぼ以下、従業員が何ぼ以下というのじゃなくて、力のついた、これからも力をつけてもらわなくてはならない中堅企業、あるいは今なお力がつかないで保護の対象の重点に置いて中小企業政策を講じていかなくてはならない小規模の企業、それに個人事業者というのがあるわけですね。資本金一億、これから仮に資本金が五億、十億というように改正すると仮定すれば、そのような企業と個人事業者とくるめて同じ中小企業対策というようなことでは、私は、実の入った、本当にかゆいところに手が届くような中小企業対策というのは講じられないと思うのです。  産地へ行けば一番よくわかるわけです。金融の面、非常にありがたい。しかし、その産地の中でこれを活用できるのはごく一部だということを、どこの産地へ行ってもそのことを言われるわけです。せっかく対策は講じても、それを活用することができないこの基本法の中での底辺の個人事業者や小規模事業者というのがあるわけです。それをやはり区分をして対策を立てていくというようなことを、税制面においても金融面においても、あるいは規制面においても調整面においても必要ではなかろうかというように私は考えておるわけでございますので、十把一からげで今のような資本金価ぼあるいは従業員が何ぼ以下というようなことではなくて、今申し上げましたようなことをぜひとも検討課題として挙げてもらいたいなという気がいたします。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕  なお、時間の関係もあるわけでございますので、例えば下請中小企業振興法あるいは下請代金遅延等防止法、この二つの点についても、これは確かに中小企業の支援措置としてつくられた法律であるわけでございます。しかし、この間労働基準法のときにもお話をさせてもらったわけでございますが、下請中小企業振興法という法律のもとに、法三条の一項によってつくられておる振興基準、この振興基準の方がずっと前向きに、しかもその具体性のある基準になっているわけです。私は、この基準こそがこの法の体系の中に入れられることによって、より実効のある法律になっていくのじゃないか、こういうように思うわけでございます。  下請代金遅払法につきましても、法律があっても抜け穴だらけ、なかなか実効性が上がらない、依然として下請企業が泣かされておるというこの実態を踏まえるならば、どのように実効性のある法律改正していくことができるかというような検討が必要ではなかろうかと思うわけでございます。  たまたまきょうの本会議で労働省所管のパートタイム労働者の法律が衆議院で可決されようといたしております。これは法律がなかった。しかし、労働省の方はもう既に二十数年前に労働省通達を出しておる。そして、その労働省通達によって地域の労働基準監督署がパート労働者について指導しておった。それでもだめだからということで労働省の指針をつくった。指針でもだめだからということで、その指針を上回る法律がきょう衆議院で可決されようとしておるわけであります。  通達あるいはこの指針あるいはこの基準というようなものは、何としてもやはり直接法の網をかぶっておらないわけでございますから、指導の基準ということであってもこの法の保護の裏づけというのはないわけです。中小企業を前向きに育成保護あるいは力をつけるというようにしていこうとするならば、やはり一歩一歩前進をするような法の改正というものは惜しみなくやっていく必要があるのじゃないか。それの基本になる中小企業基本法というものは、今お聞きいたしますと、商工会議所だとかあるいは商工会連合会だとか、中小企業代表する団体としてはまさにふさわしくない団体であると私は非常に思っておるわけです。もっと元請によっていじめられておる中小企業あるいは親企業から非常にもうけの道具にこぎ使われておるような子会社、そういうような同業、異業の業種団体というものを頭に置いた意見というものを聞くならば、今、中小企業の基本法の改正ということをやる、まさにその時期になっておるのじゃないかという答えが出てこようと思いますし、また中小企業や下請の企業が非常に苦しんでおるわけでございますし、大変な時期にあるわけでございますが、そのような関係の保護法も積極的に改正していてうという姿勢が生まれてくるのじゃないか、こういうように思うわけでございます。  時間の関係もございますので意見になったわけでございますが、もう一度申し上げますと、この機会を逃さず、せっかく三十年を経過した中小企業の基本法の制定から時期がたっておるわけでございますから、ひとつ積極的に現実に対応できるような中小企業法の改正、それから下請中小企業振興法なり、あるいは下請代金遅払等防止法なりを含めた関係保護法の積極的な実効性のある改正というものをこの機会にぜひともやってほしいと思うわけでございますが、ひとつ御意見を賜りたいと思います。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 関收

    ○関政府委員 恐縮でございますが、最初に一つ訂正させていただきたいと思います。  先ほど卸売業の資本金五千万円と申し上げましたが、三千万円でございます。訂正させていただきます。  先生数々の御指摘がございました。一つは、基本法の中での考え方で、中小企業が一まとめにして扱われているのではないかというような点がございましたが、これは先生御案内のとおり、基本法の第二十三条に、小規模企業につきましては特に、「金融、税制その他の事項につき必要な考慮を払うものとする。」という規定がございまして、小規模企業については、一般の中小企業に比べて、その特色に応じたいろいろな施策を講ずるようにうたわれておりますし、また、個々の法律におきましても、その法律目的に応じまして、小規模企業という概念あるいは小企業という概念など、それぞれ必要な概念を設けて施策を講じておるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  基本法の問題につきましては、これは中小企業の基本的な理念、考え方を示したものでございまして、先ほど申し上げましたように、基本検討委員会では、今の段階ではこの法律を前提として施策を講ずべきであるという方向になりつつあるということを御報告申し上げました。しかし、もちろんその基本法に基づいて制定されますさまざまな法律、これにつきましては、そのときどきの情勢変化、行政上の需要の変化に応じて見直していくということは当然必要だと私ども考えております。  先生具体的に御指摘になった下請関係法律でございますが、私ども、この力関係から見て、やはり是正を必要とするといったような部分については、下請代金支払遅延等防止法に基づきまして、公正取引委員会と御一緒にいろいろ施策を講じさせていただいておるわけでございます。  下請企業振興法につきましては、これはさまざまな市場経済の中での事情がある中でのどういう方向が望ましいかということを、なかなか一律にこれを決め、そしてそれをいわば法律で先生御指摘のように義務づけていくということは、実体経済との関係からなかなか難しいのではないかと申し上げざるを得ないわけでございます。ただ、振興基準そのものは下請企業にとりましても非常に重要なものでありますから、私どもとしては、これをまず発注企業、受注企業にもよく理解していただく。それからまた、具体的な取引条件等についての情報を我々は極力とるように努める。例えば、ことしから下請企業相談員制度というのを設けまして、個々の下請企業の方々の御相談に応じていろいろな問題点等を集めていただいて、私どもに教えていただくことにしたところでございます。  それから、先生前にもお尋ねございました、業種が違う、例えば製造業の工場にいろいろサービスを提供しているような企業というものに対して下請企業関係法律を適用すべきではないかというような御指摘もございましたが、それらの点について、さまざまな業態がございますので、私ども今勉強を始めたところでございます。勉強の成果に基づいて、今後どのような施策が必要なのか勉強してまいりたいと思っているところでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のように情勢が目まぐるしく変わっておりますので、その変化に対応できる施策体系、施策の実施ということにこれからも努めてまいりたいと考えているところでございます。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)委員 長官、例えば官公需の問題もあるでしょう。分野法の問題もあるわけでしょう。さまざまな問題があるわけです。今確かに言われたように個別の法律について具体に区別をしてやっておるということですけれども、例えば官公需の問題などは十把一からげではないですか、個人事業も、資本金が一億のものも、何ぼの中小企業も。分野法も同じことではないですか。だから、かたくなな態度に固執するのではなくて、中小企業基本法の抜本改正ということをもう一度、この機会を逃さず、私たちも勉強します、ぜひとも検討していただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
  25. 井上普方

    井上委員長 安田修三君。
  26. 安田修三

    安田(修)委員 それでは、先月は中小企業振興基準法を中心として、中小企業庁に買いただきその他の取引関係について質問をしたのでありますが、きょうはその関係で、下請代金支払遅延防止法のことにつきましてお尋ねしたいと思います。  そこで、きょうは公正取引委員会の方にいろいろ質問するわけでありますが、公正取引委員会では現行の下請代金支払遅延防止法の対象とならない役務、サービスの委託取引について、調査をほぼ毎年行ってまいったわけでありますが、その実態把握に努められた結果、役務、サービス等について法の適用はまだ必要はないという御判断であるのか。これは昨年も実は質問したわけでありますが、昭和四十年の当委員会における附帯決議との関係で、いわゆる取引実態に着目して検討するということが言われてまいったわけであります。その関係についてまずお尋ねしたいと思います。
  27. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまのお尋ねでございますけれども、現在の下請法におきまして物品の製造委託及び修理委託だけがこの法律の規制の対象となっているわけでございますが、その理由を申しますと、これは委員よく御承知のとおりでございますけれども、製造委託及び修理委託、そのような取引におきましては一般的に規模の大きな事業者が小さな事業者を委託先いわゆる下請にしている。それから、これらの取引が継続的であり、下請の親事業者に対する取引依存度が大きいということ。それからまた、委託を受けた物品が委託取引性格上ほかに転用されるということが事実上難しい、こういう事情があるわけでございます。このような状況のもとでは、親事業者によるいわゆる取引上の優越的地位の乱用が生じやすい。物品の製造委託及び修理委託の範囲では、取引が今申し上げましたような意味で取引性格あるいはその取引当事者が比較的定型的、画一的なパターンでとらえやすい。そういうことも大きな理由になっているように思います。  そこで、お尋ねの下請法の対象として役務あるいはサービス取引、昨今経済のいわゆるサービス化に伴いましてこの分野の取引が大きな規模になっていることは事実でございますけれども、このような役務、サービスの委託取引につきましては、ただいま申し上げましたような物品の製造委託あるいは修理委託に見られるような取引状況が一般的であると言えますかどうか。それからまた、大きい事業者から小さい事業者へと下請が行われる、このような親子あるいは事業の規模の大小、そういう関係が、現行法のように資本金によって定型的に区分する、これになじむかどうか。あるいはまた、取引が継続的であるということを申し上げましたけれども、継続的、反復して繰り返される取引を前提にした画一的な規制になじむのかどうか。私どものこれまで調査をいたしました取引実態から見ましても、製造委託及び修理委託の分野とは必ずしも同じでない、いろいろ違った状況にある、こういうところに問題があろうかと思います。  ただいま御指摘をいただきましたように、私ども昭和六十年以降、現行下請法の対象となっておりませんお尋ねの役務、サービス分野の委託取引につきまして、幾つかの代表的な業種を取り上げて調査をしてまいりまして、その実態の把握に努めてきたところでありますし、その場合、問題がある分野につきましては必要に応じてその取引適正化についての要望を私どもとして行ってきたところでございます。したがいまして、ただいまの御指摘でございますけれども、今後ともこのような対応を図っていくことによりまして役務、サービス取引の実態をよりよく把握し、委託取引適正化公正取引委員会としてさらに努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  28. 安田修三

    安田(修)委員 私は昨年四月二十二日の当委員会で、今委員長答弁なさった件でございますが、運搬あるいは建設原料資材等の納入、各種用役提供まで法適用の対象とするお考えはないかということを質問いたしましたときに、大体根本的には今のような御答弁で、具体的にはそのときの答弁では大きな運送業者が中小の運送業者を下請として利用するという状況は一般的には認められないということが主な考えとして、そしてその後のいろいろな調査をやっていらっしゃるということのお話があったわけでございます。  そこで、私は今日の取引というのは非常に多様化してまいった、事業所そのものも資本金、従業員数だけでは中小、大企業の区分そのものが困難な実態も出てまいったり、それから大企業と中小企業との関係から下請取引を見るということのできない、業種によってはそういうものも出てまいっておる。問題は、下請代金支払遅延防止法は、下請取引が適正に行われるということ、そしてその中から支払い遅延あるいは長期手形、不当返品というような、従前からの公正取引を阻害するようなものはなくしていきたい、こういうのが私は法の趣旨だろうと思います。しかし、先ほど言いましたように、多様化したという中には、現在生産なりあるいは管理なりあるいはまた省力化というものが進んで、従前の建前ではなかなか見切れない感じになってきたというのが今日の産業界の現状だろうと思います。  そういう点で、企業間の取引の実態に着目して、すべての規模の企業の間の下請取引というものについての法の対象ということを実は考えて、そして法の改正ということを検討すべきでないか。これは私は、先ほども和田さんの質問しておりました中小企業基本法、その他のいろいろな中小企業の定義でありますとかあるいは大企業の定義でありますとか、そういうものとの関係からしますと、いろいろな法の検討というものは大変複雑多岐にわたりまして非常に難しい問題がある、そこに解決しなきゃならぬいろいろな課題が出てまいると思います。しかし、下請代金遅延防止法の場合に、いわゆる従来実施してきたものとは違った展開が今産業界の中で行われてきた、したがって、いわゆる下請取引という取引実態というものに着目するようなものを一つ見直していく必要があるんじゃなかろうか。  これは、例えば中小企業対策の中に、総務庁の行政監察局がいわゆる構造転換を中心にして、構造転換法がどのように行われてまいったかということを中心にした中小企業対策についての行政監察報告を一昨年出されております。その中に指摘されておるのは、中小企業庁はいわゆる法が成立して適用されてから、例えば生産が上がってきたにもかかわらず法の対象から外すとか、あるいは生産が下がったにもかかわらずそれを指定するとかという見直しは一つも行っていないじゃないかという指摘がなされております。官庁の中にそういう悪い弊害があるのではなかろうか。  これはもちろん今年の二月二十五日で法の適用が切れたわけでありますけれども、そういう指摘というものを考えたときにも、公正取引委員会の場合でもかねがね検討調査ということでいろいろな、今委員長がおっしゃいました役務等についてもいろいろな検討が行われてまいっております。しかし、それが実際皆さんの中に、いろいろな是正指導が行われるということも言われておるわけでありますが、じゃそのことを法の中にどのように生かしていくかということになりますとどうも消極的な感じがいたします。  私は、やはり新しい社会の展開に即した、いわゆる実態に即した法の改正なりそれに対する意欲というものが必要ではないだろうか、こういう点でお伺いしたいと思います。
  29. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御指摘は、経済の実態が大変変わってきている、特にこの役務、サービスの取引規模というものが大変大きくなっておる、その内容もまた大変多様化をしている、そのような実態をよく把握して、この法律制度のあり方についても不断に見直しをすべきである、こういう御趣旨であると思いますし、その御趣旨は私。ともよく承って、私どもとして常に勉強をしていかなければいけないと考えております。  最初のお尋ねの点につきましては、私ども現段階での考え方というものを申し上げたところでございますけれども、ただいまの御指摘の点は、これは私どもとしましてよく承りまして、またこの分野は、御指摘のようにあらゆる経済取引の分野で実態の変動というものが大変大きい分野でございます。私どもとしましても、私どもだけではなくて、いつもこの分野で御協力をいただいております通商産業省、中小企業庁とよくまた連携をとりながら、先ほど申し上げましたように実態の把握あるいは委託取引適正化に今後とも心してまいりたいと考えておるわけでございます。
  30. 安田修三

    安田(修)委員 今後とも取り組んでいきたいというお話なんでございますが、皆さんのこの調査というのは、例えば貨物関係というのは随分古いのですね。今平成五年、一九九三年ですから、これは昭和六十年で、昭和に換算しますともう既に八年経過しておりますので、これそのものを引用していいのかどうか。運送業界というのは合理化や中身は随分変わって、去年も物流でいろいろな論議が展開されたように、変わってまいっておりますので、これ自身をこのまま引用していいかどうか、私もちょっとわからないのでございますが、とにかくここでは、皆さん指摘されていることで既に法の適用ということについてもう入れていいんじゃなかろうか。  ただ、今、従前の考え方、先ほどから委員長の考えで、いろいろな中で、当然皆さんで問題になってくるのは、要するに資本金等でいわゆる大きいところから小さいところ、例えば一億円以上の企業が一千万円から一億円の会社に下請に出すとか、あるいは一億円以下から一千万円以上の会社が一千万円以下の資本金の会社に下請に出すとかというようなそういう関係が見られなくて、同じ規模同士のものが受託、委託という下請取引関係というものが出てきておるという、そういう点で多少の違いがあります。しかし、現にそうしたことの中に、いわゆる受注した金額から減額されたりいろいろな課題がこの中にデータとしても出てまいっておるわけでありまして、そういう点からしますと、私はこれらをこのまま単に放置していく、あるいは皆さんのように指導だけでうっちゃっておくということがいいのかどうかというふうに思います。  それからまた、その他の役務関係で、これは我々の通常の社会で、接してはおるけれども、あるいは現実取引としては余りなじみが薄いといいましょうか、例えばテレビ番組の制作委託あるいは広告委託というのは、これは業界においては非常に規模が大きいですが、通常の市民生活からすると余りなじみの少ない、むしろ大規模小売業者の場合は非常になじみがまだあるのですけれども、これも昭和六十三年の調査でございますから、ちょっと引用するのももう五年たっているのはどうかなと思います。  そこで、平成三年がテレビ番組、平成二年が広告、ここへいきますと、例えばテレビ番組の場合に、発注内容を変更した場合の費用負担について、番組プロダクションが負担とするものが三五・七%ということで、そのほかに、費用すべて負担させられたわけではないが放送局から十分な支払いがなされなかったという、いわゆる発注内客の変更という点等についても指摘がなされております。それからまた、広告の場合にも同様な指摘皆さんの中になされておるわけです。      そうしますと、ここらあたり、確かに資本金の問題ではいろいろな関係があるのでしょうが、取引関係ではほぼこれらも、先ほど製造業というような固定したという取引関係が、ここらあたりもかなりそういう点では特定されてきている取引関係というのが見えておるのじゃなかろうかと私は思います。そういう点で、役務関係についてどうして皆さんが消極的なのか。いわゆる法が、先ほど言いましたように、この下請取引関係で公正な取引関係を維持する、そのための遅延防となり手形サイトの短縮なりいろいろなことを図っているわけですから、私は、やはり積極的にそういう面に立ち入った法改正というのを検討される必要があるんじゃなかろうかな、こういうことにつくづく思うわけであります。私たちも、そういう点ではこれは抜本的な法改正を我々自身議員立法として当然着手すべき課題であろうとは思っておりますが、まずは調査の力をもっていろいろ調査していらっしゃる皆さんの方にお聞きするのが筋だろうと思ってお尋ねしているわけでありまして、私は、改めてその点、皆さんの従前の調査の結果からしても委員長の御答弁は私は矛盾しておるんではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  31. 植松勲

    ○植松政府委員 昭和六十年以来、今先生御指摘のとおり幾つかの調査を行ってきたわけでございます。例えば、広告制作業の関係でございますと、例えば委託代金の額が書面で明らかにされていないとか、あるいは、プロダクションに責任がないにもかかわらず委託代金の減額がなされている、あるいは、制作途中または納入後に仕様の変更が多いが、仕様変更に要した費用を広告代理業者やプロダクションが負担する場合が多いといった問題が認められたわけでございます。これらの問題につきましては、それぞれ広告関係団体あるいは広告制作委託取引の正常な商慣行に努めるように、広告関係団体であります広告業協会あるいは媒体関係、広告主の団体等に対して適正化の要請をしたところでございます。  それから、テレビ番組につきましてもその後調査をいたしまして、そこでもやはり、テレビ放送事業者の都合により番組の内容変更または制作中止が指示されたにもかかわらず、変更に要した費用の支払い及び中止の指示以前に既に発生していた費用の補てんが行われていなかった、あるいは、委託代金が決定されているにもかかわらず、テレビ放送事業者の都合により当該代金を減額されたといったような問題が認められたわけでございます。これらの問題につきましても、テレビ放送事業者につきまして、今申しましたような点につきまして、留意して番組制作委託取引適正化に努めるようお願いしているところでございます。  現在また、ソフトウエアの委託取引に関する調査を今やっておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういった番組制作あるいはソフトウエアといったものにつきましては、もともと発注者側で発注内客の確定が難しくて、下請業者との話し合いの過程で具体化していくというようなことが間々見られるわけでございます。したがいまして、仕様等も途中で変更する場合が多いということで、現在の下請法によりまして画一的規制をかぶせるということが難しいのではないかというふうに考えておるわけです。まず、発注時において発注側でできるだけ明確に発注内容を記載するようにという基準なり慣行ができますことが必要ではないかというふうに今のところ考えておるわけでございます。  いずれにしましても、なお現在もソフトウエアにつきましては最近時点の調査をしておりますので、その結果に基づきましてまた問題点の把握をしていきたいというふうに考えております。
  32. 安田修三

    安田(修)委員 とにかく、問題点の把握だけをしていらっしやって、それから報告には、皆さん確かに業界にはそういうぐあいに指導なんかを要請していらっしゃるけれども、ただ私は、やはり時代に合わせて法の適用という網をそれぞれずらしていく必要があるのじゃないかと思うのですよ。これは憲法の場合の、要するに原典と違いますからね。したがって、私はやはりそういう点の作業というのは、公正取引委員会、どこの役所でも案外そうなんでしょうけれども、ちょっと薄いのじゃなかろうか。  それから調査ですけれども、これは皆さん、余り人手がないのに言うのもなんですけれども、中に小さいところなんかでは、せっかく皆さんからいただいても、これは書面調査でございますので、親会社の方にこれを全部記入してくれといって出しているのもあります。しかし、聞き取り調査も一部並行しておるというのは報告に出ておりますが、これは全部聞き取りというのは大変困難だろうと思いますので、ただ、これをどういうぐあいにいわゆる正確に回答を得るために工夫していくかというのが一つ課題だろうと思います。ただ上がってきたものだけでは実態を知るわけにはいかない。もうちょっと実態は、出たデータ以上に厳しいものがあるということを私は知っておいていただきたいと思うのです。  そこで、法第四条に規定されている行為、これは「親会社の遵守事項」でございますが、独占禁止法十九条で禁止する不公正取引のうちのいわゆる優越的地位の乱用に主として該当するものであろうと私は思うのです。それにもかかわらず、禁止行為とされずに遵守事項とされております。したがって、違反行為があった場合でも自制勧告だけというのは、私は、独占禁止法との関係では整合性に欠けるのではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  33. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、親事業者が下請法第四条各号に違反する行為をした場合には、同法第七条によりまして、公正取引委員会がその親事業者に対して、当該違反行為を中止し、原状回復措置を講ずるなどの措置をとるべきことを「勧告するもの」と規定をしていることは御案内のとおりでございます。仮に親事業者がその勧告に従わない場合、その場合には「その旨を公表する」、こういう定めがあるわけでございます。  下請法はこのような制度を持っておりまして、いわば下請法の観法であります独禁法、本法に比べますと大変簡略した処理手続をとっているのは、申すまでもなく、下請法違反行為に対して迅速に対応する、そして、違反行為によって被害を受ける側の小規模下請事業者の不利益をできるだけ早く救済する、そういう趣旨でこのような規定が設けられているものと理解をしております。  そこで、今御指摘のポイントは、このような仕組みになっておるわけでございますが、四条違反の親事業者に対して公取が勧告をする、従わなければ公表するというだけではこれはどうも不十分ではないのか、こういう御趣旨であろうかと存じますが、私ども実務をやっておりまして、もし勧告に従わなければ公表します、つまり、親事業者の名前、なぜそういうことをしたのか、それが世の中に明らかにされるということが実は親事業者の信用あるいは名誉に大変ダメージを与え得るということでございましていその不利益は、私ども実感といたしまして大変大きいと考えられます。  したがいまして、私どもの経験では、もし勧告に従わなければ公表ということになります、こういうことを告げますと、親事業者は、調査の段階でもう既に改善措置を急いでとる、あるいは、勧告を受けてなかなか従わないそぶりがありましても、もし従わなければ公表せざるを得ませんよということを申しますと、それでは何とか勧告に従って改善措置を講じますということで、結果として私どもの勧告が受け入れられ改善措置が講じられている、こういうのが実は実態でございます。それを見ましても、このような、罰則そのものではございませんけれども、勧告を受け入れない場合の公表という、この制度の申せば抑止力というものは大変実感として大きいのではないか。したがいまして、現行制度はその意味で円滑にあるいは効果的に機能している、私どもこのように考えておるわけでございます。  なおつけ加えますと、勧告に従わない、そして、仮に公表しても余り痛痒を感じないというような悪質な業者がもしもあるといたしますと、これは、本来の本法、独占禁止法によって「不公正な取引方法」、先ほど委員は優越的地位の乱用に当たるはずという御指摘でございますが、そういうことになりまして、「不公正な取引方法」の禁止規定に触れるわけでございますから、本法に基づいて、私どもとしては審決という処分を行うことができるわけでございます。この審決が行われたにもかかわらず、不公正な取引方法がもし改まらない、そのような場合には、あえて申しますと、不公正な取引方法の禁止については直罰規定はございませんが、審決が下されてなおその審決に従わない場合には、審決違反としての罰則が独禁法本法に規定されていることは御案内のとおりでございまして、これは場合によればそういう制度の発動もあり得る。しかし、下請法運用の実態といたしましては、先ほど多少くどくお答え申し上げましたけれども、勧告に従わなければ公表というこの制度が大変抑止力を持って働いているということを私どもの実感として御報告申し上げて、御理解を賜りたいと存じます。
  34. 安田修三

    安田(修)委員 大変抑止力が働いておるという委員長お話でございますので、まあ皆さんがそのように罰則がなくても事実上はそういうぐあいに是正がなされていっておるということであれば、私もすべてを法で規制するというのは本来余り好きでない方でございますので、一番いいのでございますが、とにかく厳正にひとつ対処をしていってもらいたいと思います。  そこで、下請取引関係は、被害者が申し立てすることが大変困難であることに実は特徴があります。そこで、それぞれの情報を持ち寄れますので、各種の行政機関が違反行為を調査する体制を整備するということも必要ではないか。皆さんの場合は地方事務所、それから通産省の場合は通産局ということで、余り手足の関係からいったち末端にございません。そこで、そういう点からしますと地方自治体が手足を持っているわけでありまして、法第六条の中小企業庁長官調査並びに公正取引委員会措置請求権という問題につきまして、都道府県知事に委任できないだろうか、私はこういう考え持つのですが、いかがでしょうか。
  35. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、私ども、中小企業庁と御協力をしながら、下請法に基づきましてこの分野での業務を行っているわけでございますが、当然のことながら、実態をよく把握をしておられるのは都道府県等地方公共団体であろうかと思います。したがいまして、私ども下請法を実際に効果的に運用してまいります場合に、都道府県あるいはさらに市町村等地方公共団体と密接に連絡をとりながら、あるいはその御協力をいただきながら仕事を進めている、あるいはその必要があることは御指摘のとおりでございます。  ただ、今下請法の法律上の権限を都道府県に付与する、権限移譲をすべきではないか、こういう点のお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、現在すべての都道府県がこの下請法の法的権限を適切に行使できる体制にあるとは必ずしも言えないのではないか、そういうふうに私ども見ておりますので、その点はなかなか難しい問題のように思います。  ただ、冒頭に申し上げましたように、当然この下請法の運用は、実情を十分理解し、実態に即して行われなければいけないわけでありますので、その意味で都道府県初め地方公共団体にいろいろな意味で御協力をいただかなければならないのは当然でございます。  したがいまして、私ども、昭和六十年度から毎年、例えば全国都道府県下請企業行政担当課長会議でありますとか、あるいはブロック別の担当官会議を開催するなど、都道府県との間で下請法の普及啓発に関する業務あるいは下請法に関する相談苦情の受け付けに関する業務等について十分連携、連絡体制を密にするよう努めているつもりでございますので、今後ともこういう都道府県の御協力をいただく、この協力関係を一層強めることによりまして下請法の厳正な、そして効率的な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  36. 安田修三

    安田(修)委員 終わります。経済企画庁、どうも済みません。きょうは時間がなくなりましたので……。
  37. 井上普方

    井上委員長 吉田和子君。
  38. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 あさっての十日にも景気の底入れ宣言を行われようとしているというふうに聞いています。じゃ、現場はどうだろうか、事業主の皆さん、そして消費者のところにそういった実感がまだまだないのが現状だろうというふうに思います。時間差がある、三カ月から六カ月ぐらいの、そういうふうないろいろなデータ、指数に基づいた数字であらわれるところから現場での実感との差があるのだろうというふうに思いますけれども現場では今が一番厳しい状況なのではないかなというふうに思うのです。私も消費活動の現場に行っておりますけれども、本当にいっときと打って変わって閑古鳥が鳴いているという厳しい小売の皆さんのところの現場でございます。  企業の立ち直りが見えてくるだろうというふうな明かりなわけでございますけれども、昨今の円高がこう長期に続いていきますと、中小零細など、下請の皆さんが合理化で努力をしている限界をもう超えてきているところではないかというふうに思うのですけれども、景気の底入れが見えてきたというふうなその前に、現場で実感としてとらえられている状況をどのように把握をされておりますでしょうか。
  39. 柳沢勝

    ○柳沢(勝)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、最近の日本経済の動向につきましては、昨年の厳しい調整過程を経まして、一部にやや明るい指標が見え始めているということは事実でございます。とりわけ在庫調整も、出荷の伸びによる在庫の減少という最終局面になっていることも事実でございます。  こうしたいわばマクロ的な生産活動に比しまして、企業経営は依然として厳しい状況にございますし、またリストラクチャリング、いわゆる企業経営の再編成の中で厳しい企業内での雇用調整があるということがございます。そうしたことから、個人消費あるいは民間設備投資といった最終需要につきましては、依然として厳しい情勢にあるということも事実であろうと存じます。  また、こうした中で急激な円高が進んでおりまして、円高というものは、基本的な意味で我が国の通貨である円の対外的な購買力が高くなるということでございますから、長期的には好ましいことではございますけれども、短期的、直接的には輸出産業に対しまして輸出価格が上がるということで、いわゆる円高のデフレ効果というものの方がすぐにあらわれてくるという状況がございます。  こうした円高のデフレ効果というものが、先ほど申し上げましたような最近調整が進んでおります景気の最終局面ではございますけれども、それに輪をかけましてデフレ効果をもたらしている、とりわけ中小企業にとりましては深刻な影響を与えているということは事実である、そのような厳しい状況にあるというふうに認識いたしております。
  40. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 長期的には好ましい傾向であるけれども短期的には厳しい状況も生まれているというふうなお話でございました。マスコミ等で、この円高がどこまで進むのかというふうを言い方もございます。円高不況というふうな言われ方もしているわけでございますけれども、私は、めったやたらに国民にそういう面で不安を与えてはいけないというふうに思うのです。  例えば、我が国の輸出経済力からして当然のというか、妥当な円水準というものがあろうというふうに思っておりますし、その予測ということもやはり見通して担当の皆さんのところではそういう数字が出ていたのではないか、容認をされている数字というのがあったのではないかというふうに思うのです。どこまで進むのかというふうを言い方ではなくて、現行の望ましい円水準というのがどういうところであるか、どこであるかということを国民が自覚をする、知っていくということも国民の側からは大変大きく声が出ているわけでございます。  それは知らない、予測できなかったということでは済まないぞ、当然予測はしていたはずだ、そこら辺のところを共通に国民の側は知りたい、納得したいというふうな声が聞こえるわけでございますけれども、そこの円水準を予測をしておられたかどうか、どこら辺が望ましいということを言えればお答えをいただきたいというふうに思います。
  41. 柳沢勝

    ○柳沢(勝)政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの円相場に関連してでございますが、御案内のとおり、ただいまの外国為替のレートの決定と申しますのは、いわゆる外国為替市場、マーケットにおいて決定されるということになってございます。このマーケットの規模は、一説によりますと全世界で一日九千億ドルもの取引が行われているというようなことがございまして、そうした大規模な市場における外国為替取引によってレートが決まってくるというものでございます。  こうした外国為替市場におきましてレートを決める要因といたしましては、金利差あるいは債券の動向でございますとか、あるいは国際収支の状況といったさまざまな要因がございまして、的確にその動向を予測するということは極めて困難でございます。また、市場に対しまして政府なり公的な立場のものが一定の水準について言及することは、市場に予断を与えることになりまして、好ましくない影響を与えるということがございますから、そのような点については通常の場合差し控えるということになってございます。  ただ、しかしながら、一般的に申しまして、我が国の抱えております経常収支の膨大な黒字が継続しておるということがございまして、その大幅な黒字に対しまして内外から注目が集まっているということでございますとか、あるいは、先ほど申し上げましたように当面日本経済は調整過程にございますけれども、なお相対的に外国の経済と比べまして強い成長力を持っているという評価があるということなどからいたしまして、基本的には円高基調にあるであろうという認識が市場にはあるということも確かであろうと存じます。  いずれにいたしましても、こうしたそれぞれの経済、日本経済の実力にふさわしい為替水準、いわゆるファンダメンタルズに見合った適正な水準ということが望ましいわけでございまして、それが現実に幾らのものであるかということについてのコメントではございませんけれども、そうしたファンダメンタルズに見合った水準にあるということが必要でございます。  いずれにいたしましても、最近のような急激かつ短期的あるいは若干の投機に基づく急激な為替変動というものは健全な経済活動に対しまして大変大きな阻害要因である、したがって、こうした急激かつ短期的な為替変動を避けるべきであるということは各国の極めて強い共通の認識になっておるということをはっきり申し上げておきたいと存じます。  いずれにいたしましても、適正な為替水準と申しますのは日本経済の実力に見合った水準になるべきであるということだけを申し上げておきたいと思います。
  42. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 国民とともに、本当に一丸となって新しい時代の新しい役割を担っていく日本の立場として共通のものを持っていかなければならないのではないかというふうに思うのです。  次に、円高差益の還元について伺おうと思うのです。  小売のお店に行きますと、円高差益還元ということでもういろいろなセールが組まれておりまして、牛肉だとかオレンジだとか、現場では大変安く消費者は手に入れることができているわけでございます。百貨店などは、前年度比マイナスを計上している厳しい、冷え切った経済情勢の中で、いち早く事業者の方々が円高の差益還元を実行している、そちらの方がリードしているというふうな新聞の報道もございました。しかし、消費者が円高差益還元といって一番期待をする、まず第一に考えるガソリンを初めとする油類の差益還元が行われないではないか、これだけの円高が長期に続いている中で、一体なぜこれが差益還元されないのだろうかというふうな声が上がっているわけでございます。私、そういう利益というものはどういうふうになっているのかなということで、会社四季報なんかをちょっと繰ってみますと、利益は上がっているんだけれども償却費が増で相殺され経常減益とか、いろいろと内情は厳しいんだというふうなことが書いてあるのですね。総コスト連動売上方式のために減収とかというふうに書いておりまして、なかなか消費者のところに来ない理由があるのかなというふうに思うのですけれども、こう長くなってきていればこういうものももう既に会社の中では収支とれているのではないかというふうに思うのですね。そして、先ほどのお話にもありました景気底入れの宣言を行う、そういうふうな見通しが立っているけれども、一人一人の個人消費のところでは、事業主の皆さんのところではその実感が全然ない、今が一番厳しい。こういうときに、まさに円高差益還元をガソリン類、油類に実行して消費者にその実感を与える時期がもう来ているのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、その点についてどうでしょうか。
  43. 谷弘一

    ○谷説明員 ただいまのガソリン等石油製品に対する円高差益の還元という点についてお答えさせていただきます。  企画庁は、先般、石油製品の仕切り価格、これは業者間ということになると思いますけれども、この調査結果によりますと、石油製品の仕切り価格そのものにつきましては今回の円高の進展を反映いたしまして引き続き低下傾向を示しているということははっきりつかんだわけでございまして、最近の石油製品の仕切り価格、これは、為替レートあるいは、もちろん原油の値段、こういうものの動向を、ほぼ平行してと申しますか、適切に反映したものになっている、こういう調査結果を得ているわけでございます。  問題は、それが最終消費者に渡りますところの、ガソリンでありますとか灯油等の小売価格のことを御指摘になったんだと思いますが、この辺につきましては、我々の調査いたしましたところでもほぼ横ばいに動いておるというような状況でございます。そういうことでございますが、石油製品の価格等、これは自由な市場の価格でございますので、これについては、末端価格は、今御指摘のございましたような設備償却の問題でありますとかあるいは人件費というような間接コストというものの動向、そういったものも含めた市場のメカニズムの中で価格が決まっていくということでございまして、そういう末端価格が仕切り価格をそのまま反映するというわけにはなかなかいかないのじゃないかというような側面も考えられるわけでございます。  しかし、経済企画庁といたしましては、若干のタイムラグはあっても円高のメリットと申しますか差益が末端価格に反映されていくような環境を醸成していかなきゃならぬというふうには考えておりまして、そういう意味で、今後とも、おっしゃる石油製品等の価格動向につきましては十分に注視し、それをまた消費者の皆様に情報を提供していくというようなところを進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  44. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 市場価格、市場メカニズムというふうにおっしゃったわけでございますけれども、それはどの製品についてだって同じことだろうというふうに思うのです。こちらが安くなれて石油関係だけは安くならないんだということがストレートに、国民にそれでわかるかどうかというふうに思うのです。  それと、先ほど指摘をさせていただいたのは、石油価格というのは下げるとしたってリッター当たり何冊ですか、本当にわずかであっても、円高差益還元という実感を、やはり差益を皆さんのところにお返ししているんだ、これから景気をよくする、経済活動をよくするというふうな実感を与えるという、政治的なというか、そういう考え方も、やはりこれだけ厳しい状況になっていれば当然考えていかなければならないのではないかというふうに思うのです。  市場メカニズムというお答えでございましたけれども、国民一般はそういうふうな指摘をしておりまして、盛んにそのことをぜひ国会の場でというふうな消費者の意向がございましたので伝えさせていただきます。  次に、和田委員からもいろいろ御指摘がございました、継続的サービス取引に関する被害が続出しているというふうな問題につきましてお伺いをさせていただきます。  初めに、公正取引委員会の方にお伺いをしたいと思います。  六月六日に新聞報道がございました、エヌ・エス商事という大手のエステティック業者不当表示防止法違反で排除命令を出す方針で調査に入ったというふうな報道でございます。本当でしょうか。そうとなれば、エステティック業者では初めての排除命令を出すことになるのでしょうけれども、その背景、大変いろいろな消費者からの苦情が、そしてトラブルの解決に当たって相談が持ちかけられているというふうに聞いております。その背景を伺いたいわけでございます。  私も一女性でございまして、女性は、若い人でも年をとっている人でも、やはり美しくなりたいというふうな願望につきましてはもう本当に本能的に持っております。そういうものにつけ込む悪質な業者がいる、そしてその悪質な業者を取り締まれないような法の体系であれば即刻改善をしていかなければならないというふうに思っているわけですけれども、実際にはアメリカなどでは盛んにエステティックというふうな業界、大変伸びを示していて、身近にあるそうでございます。私も、エステティック業者に行かないところでも、エステティックのサービスを大変身近なところで受けているわけでございます。  大変誇大な広告によって被害を受けている。その誇大な広告の中身は、非常に見分けのつきにくい、専門分野の内容というふうにも思うんです。物すごい科学分野で、いろいろな研究が進んでおりまして、基礎化粧品とかというものも私たちが想像つかないぐらいいろいろなものが出ておりまして、確かにそれらは適切に私たちがつけることによって効果を生むというものもたくさんございます。  そこら辺の内容については非常に消費者はわかりにくいだろうな、しかしきれいになりたいというふうな願望はすごく強いだろうなというふうに思っているのですけれども、そこら辺の背景を踏まえまして、実情をどのようにとらえて公正取引委員会ではこの大手エステティック業者調査に入られたのか、その事実をお伺いをいたします。
  45. 植松勲

    ○植松政府委員 エステティックサロンが行う痩身効果などの美容サービスの内容とか取引条件に関する表示につきましては、その表示内容役務選択の重要な要素になる、それからまた取引価格も一般的にかなり高額になるということがございますから、公正取引委員会といたしましても、景品表示法上問題のある表示、具体的には、景表法上はその役務取引についてその内容とか取引条件について、実際のものあるいは競争業者に係るものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるために不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示、これが景表法上の不当表示になるわけですけれども、こういうものがありますれば、そういった不当表示につきまして必要な措置をとり、厳正に対処してきたところでございます。  最近では、昭和六十二年九月に、美容サービスの痩身効果についての不当な表示を行っていた事業者に対しまして警告を行うとともに、関係団体に対して要望を行いました。この結果、かなり改善されたのではないかと思うわけでございますけれども、その後もエステ業界、非常に多くの事業者が競っていろいろなサービス提供をやっております。その後も私ども関心を持ってやってきておりまして、平成二年度から四年度までに十九件のエステにつきまして警告等の措置をとってきました。今後ともエステティックサロンの行う美容サービスの内容あるいは取引条件に関する表示につきましてこのような不当表示がありましたら、厳正に対処してまいる所存でございます。  国民生活センター等からもいろいろ苦情が寄せられているということで、私どもいろいろな情報もいただいております。  具体的に先般新聞に報道された件につきまして今御質問ございましたけれども、エヌ・エス商事という具体的な報道がされておるわけでございますけれども、近々その措置を講じるということにしておりますが、まだ具体的に措置を講じた段階ではございませんので、個別具体的な事件にかかわることでありますので、本日の段階ではこの事件については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  46. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 エステティックだけではなくて、長期にわたる継続的サービス取引被害についてのトラブルが非常に多発をしている実態があるわけでございますけれども経済企画庁消費者の保護のための窓口を開いていらっしゃる。その経済企画庁の方で全体としての実態をどういうふうにとらえておられますでしょうか。どんなケースが多くて、問題点ほどこにあるか、原因はどういうふうにとらえているかということをお伺いいたします。
  47. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  継続的役務に関しましては、国民生活センター、それから各地にございます消費生活センター消費者相談という形で苦情等を受け付けておるわけでございます。  中身を見ますと、エステティック、それから外国語教室、学習塾、それから資格講座というようなものが多うございまして、その中で特にクレジットを利用したものについての相談とか苦情というものがかなりふえてきているというふうに認識をいたしておるわけでございます。  原因ということになりますと、私どもといたしましては、これは対策とも関係いたすわけでございますが、やはり消費者に対する啓発でございますとか情報の提供というものが今まで必ずしも十分でなかったために、ひっかかったと申しますか、そういう問題がかなりあるのではないのかな。もちろんそれに対する対応、必要でございますが、何よりもまず、私どもとしては、消費者相談充実、情報の提供ということをしっかりやっていきたい。さらに、関係各省と十分連携をとりながら、継続的役務適正化を推進していきたいというふうに考えております。
  48. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 最大の原因は、途中で消費者解約を望んだときに業者解約に応じない点、クレジットの制度を絡めたところで大変トラブルが多発をしているというふうなことでございます。中途解約権とかクーリングオフの適用とか、さまざまな法的な整備をする必要があるということは、和田委員の方からも強く御指摘があったわけでございます。  経済企画庁として、消費者の啓蒙というお話がございましたけれども、具体的に、やはり積極的にやっていかなければならないというふうに思うのです。もっと消費者に対する啓蒙、文書で送るとか何々で見るというよりも、消費者アドバイザーのような人材をもっともっと現場におろして、何か話を、そういうふうな啓蒙をするというふうなことを、効果があるのではないかということを聞いておりますので、もっと積極的に行っていければなというふうに感じております。  時間がございませんので、私の方といたしましては、前払い金の保全措置というのをやはり立法をしていかなければならないのではないかというふうに考えているのですけれども、その前払い金の保全措置について、効果的にはどうでしょうか、最後にお答えをいただきたいというふうに思います。
  49. 細川恒

    細川政府委員 前払い金の保全措置の実効性を確保するためには、措置を講じない事業者に対しましては営業を禁ずるといった担保手段、これを講ずる必要がございます。過去の立法例を見ましても、前払い金の保全措置が規定されております事業は、許可制などの業規制、そういうことが講じられているものに限られておるというのが実態でございます。  継続的役務取引をめぐる業態を見ますと、第一に、多種多様かつ新規の業態が次々と生まれておりまして、その健全な発展が図られれば、多様化する消費者ニーズを充足する存在となり得るわけでございますが、エステティックサロンを例にとってみまして、既に一万五千軒事業所が営業しておる、こういうことで、事業者数が大変膨大でございます。こういうことを考えますと、業規制がなじみにくいというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。このような事業分野に対する許可制などの業規制の導入というのは、新規参入を制限して業の活力を減退させる、いわゆる過剰規制ということになるのではないかというおそれも感じておりまして、これを前提とします前払い金の保全措置の導入につきましては、したがいまして私どもとして慎重な対応が必要だと考えておるところでございます。
  50. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 消費者トラブルが起きないような予防のために、一刻も早い立法措置、そして各種の関連の法の改正のために、これからも追って御質問なり活動なりさせていただきたいというふうに思いまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  51. 井上普方

    井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  52. 井上普方

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤乙彦君。
  53. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、景気動向からお伺いをしたいと思います。  今、景気の動向についてはいろいろな見方がございます。慎重論、楽観論取りまぜていろいろあるわけでございますが、経企庁の判断は大変重いということで、非常に注目をされております。毎月出る月例経済報告は非常に重要な資料でございますが、今までのところの基調は、一部に明るい兆しはあるものの景気は低迷しているというものでございましたけれども、今度六月に出る六月の月例経済報告では、ここら辺の基本的な判断はどうなるのか。船田長官などは、国会答弁では個人的には底打ちしたものと思うとの印象を述べられておりますけれども、そういった点も含めまして月例報告判断はどうなるのか、お伺いしたいと思います。
  54. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えいたします。  最近の状況を見てみますと、昨年来の政策効果があらわれまして、公共投資が堅調に推移しておりますし、住宅建設も回復の動きが続いております。このほか、在庫調整の進展あるいは株式相場の上昇といったようなことで、一部に回復の兆しを示す動きがあらわれてきております。こうした中で、私どもで作成しております景気動向指数、DIの一致指数は二月、三月連続して五〇%を上回っておりますので、景気の局面が変化する可能性を示しているというふうに考えております。  しかしながら、個人消費は依然低い伸びでございますし、設備投資は引き続き減少するというようなことで、低迷を続けております。また、企業収益や雇用情勢も依然厳しい状況でございまして、この点は変わっていないわけでございます。そういった点、特に二月、三月にありました期末要因の反動といったようなことにつきまして、どういう形で出てくるかということを見守ってまいりたいと考えておるわけでございます。  お尋ねの、月例経済報告でどういう判断を示すのかということでございますが、この点は、十日に閣僚会議予定しておりまして、そのため現在検討をしておるところでございますので、その内容については申し上げることを控えさせていただきたいというふうに思います。
  55. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 十日といえばもうすぐですから、検討の状況なりとかを御説明いただいてもいいのじゃないかと思うのでございます。船田長官は底入れということをしきりに言っておられますが、他方、省庁によっては慎重論もあるようでございますし、また経団連の会長などはやはり慎重論を述べておるようでございますけれども、表現としてどうなるのか、どんな案で検討されているのか、そこら辺につきまして御説明いただきたいと思います。
  56. 土志田征一

    ○土志田政府委員 景気の見方につきましては、水準の問題とか方向の問題とかいろいろありまして、いろいろな御議論があることは承知をしております。ただ、実際にどういう表現になるかということは現在検討中でございますので、失礼ではございますがお許し願いたいというふうに思います。
  57. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 非常に今関心を集めているのは底入れ宣言をするかどうかということなんですけれども、底入れということについてどうなんでしょうか。底入れを表明するという可能性はあるのですか、ないのですか。それぐらいは教えていただいてもよろしいかと思うのですが。
  58. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えいたします。  可能性というのは、民間の方によれば既にあるということになっておるわけでございますし、また他方そうでもないという御意見もあるわけでございますので、あるといえばある、ないといえばないということになろうかと思います。その点は現在先ほど申し上げたように検討している最中であるということでございます。
  59. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは別のテーマに移ります。  継続的役務取引適正化の問題、午前中も議論をされてまいりました。私ども公明党としましても、この継続的役務適正化の問題は消費者保護の問題として非常に重視をしております。特に最近、いわゆるエステとか外国語会話教室、家庭教師派遣業あるいは塾等が急成長産業であるとともにさまざまなトラブルが続発しているということにかんがみまして、法的な観点からこれを規制する必要があるという観点から、実は本日参議院におきまして公明党としての案を提出をしたわけでございます。  法案の主な内容としましては、役務提供業者契約書面の交付義務、あるいは、役務提供に先立って前払い金を受領するときには一定の保全措置を講じなければ前払い金を受領してはならないこととする、あるいは誇大広告等一定の不当行為を禁止、クーリングオフ制度、やむを得ない理由のあるときの解約、あるいはクレジットを利用した場合の抗弁権の接続等について規定をしたわけでございます。  そういった観点から政府側の御意見を伺っていきたいと思っておりますが、まず、昨今、今申し上げました分野で大変苦情が続発をしておりますけれども、こういった実態をどう把握しておられるのか、まずその点につきましてお伺いしたいと思います。これは経企庁でしょうか。
  60. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  国民生活センター及び各地の消費生活センターで受け付けました、継続的役務取引に関する消費者相談の件数でございます。これは必ずしも全部トラブルということでもないかとは思いますが、最近年々増加をしておりまして、特にエステティック、外国語教室、学習塾それから資格講座というふうなものがふえております。その中で、特にクレジットを利用したものの相談が非常に多くなっているというのが最近の特徴であるというふうに把握しております。
  61. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは通産省の方にお伺いいたします。
  62. 細川恒

    細川政府委員 私どもの方でとらえております数字から申し上げますが、平成三年度、四年度ではなくて三年度であえて申し上げるわけです。事情は、後で申し上げますように分析をしておりますので、平成三年度の数字で御勘弁をいただきたいのです。  通産本省とそれから各地の通産局の消費者相談室、そこに寄せられました消費者相談、これは苦情相談、問い合わせ、要望、すべて入っているわけですけれども、特にトラブルが目立つと言われますエステティックサロン、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣、この四業種合わせまして消費者相談全体で百五十件という把握をしておるわけですが、それの分析を試みておりまして、以下のとおりでございます。  消費者相談の態様ですが、エステティックサロン初め各業種とも解約の問い合わせ、苦情というのがおおむね過半ないし三分の二を占めておるという実態にございます。  それから、そういった苦情の原因でございますけれども、倒産など事業者の事情変更によりますものが一七・三%を占めておりまして、消費者側の事情変更によるものも三五%強ということでございます。  それぞれの特徴でございますが、エステティックサロン、外国語会話教室では消費者の支払い不能といったものが比較的多く見受けられまして、これは契約金額が高額である傾向がうかがえるんじゃないかと思っております。また、学習塾では事業者の倒産による相談が多うございますけれども、これはたまたまこの時期に発生をいたしました特定の事業者の倒産に伴うものではなかったかと考えております。家庭教師派遣につきましては、苦情の絶対数は少ないものの、提供役務内容に関する理解の違い、それをめぐるものが多く見られた状況にございます。  あと三点申し上げますが、相談をする者の属性でありますけれども、年齢別に見ますと、エステティックサロン、外国語会話教室に関します相談では二十歳代及び未成年層といった契約にふなれな若年層に比較的集中しておりまして、学習塾、家庭教師派遣につきましては四十歳代の相談が多くなっておりますが、これは親からの相談が中心であるためと私ども分析をいたしております。  勧誘方法につきましては、エステティックサロン、外国語会話教室、それから家庭教師派遣につきまして、電話勧誘、広告、キャッチセールスなど多様な勧誘方法が行われておることがわかっております。学習塾につきましては、電話勧誘及び訪問販売によるものが多くて、内容的にはサービス提供のみではなくて教材販売を伴うものも多く見られております。  最後に、契約金額及び支払い方法ですが、四業種とも十万円以下のものはありませんで、五十万円以上のものが半数以上となっておりまして、かなり高額な契約が多いと考えております。百万円を超える取引もエステティックサロン、学習塾、家庭教師派遣では見られております。なお、先ほど企画庁の方からもお話ございましたが、支払い方法につきましては、四業種ともクレジットの利用が八割以上という実態でございます。
  63. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 通産省におかれては、継続的役務取引適正化研究会というのが発足しており、検討を重ね、近く報告書が出るものと承知をしておりますけれども、この研究会における結論、ポイントは何なのか、それから法案化についてはどういう考えなのか、この点につきましてお答えいただきます。
  64. 細川恒

    細川政府委員 二点御質問がございましたので、まず最初の研究会報告、これは十一日に私どもとしては最終検討会の会合が持たれるものと予定しておりまして、その後若干の修文をいたしまして、今月の半ばぐらいには発表できるものじゃないかと思っております。  中身でございますけれども、これまでの研究会の議論を踏まえまして、報告書においては三点重要な点が盛り込まれるかと思っております。1第一点は、業界団体などにおいて適正な契約慣行が確立されるようにガイドラインモデル約款等策定整備すること。このガイドラインとかモデル約款の中身でございますが、広告等における表示についての基準、これは例えば定義でありますとかあるいは基準の統一といったようなことでございます。それから第二点は、契約期間前払い金額等基準。第三点は、消費者による中途解約禁止する特約を締結しない旨を明確にすること。第四点が、違約金損害賠償の額の基準。こういった各項目が盛り込まれるものと考えております。  第二点は、消費者に対する普及、啓発活動の充実ということでございまして、今後関係省庁、殊のほか文部省との連絡を深めたいと思っております。  それから第三点でございますが、先ほども申し上げましたように、中途解約といいますか、解約をめぐるトラブルが大変多うございますので、その点に着目しておるわけですが、継続的役務取引契約は、当事者間の人的信頼関係基礎として成果を約さず一定の仕事をゆだねる委任契約、特に医療契約のように法律行為以外の一定の仕事をゆだねる準委任契約民法の六百五十六条に近い性格を有する取引ととらえております。この民法におきます準委任契約考え方に照らしますと、継続的役務取引契約におきましても、当事者間の信頼関係が崩壊し、その後の契約続行を強制することが不合理と考えられるような場合にあっては、中途解約禁止特約があっても契約解約は可能であるという考え方を提言する予定でございます。  このような考え方業界自主ルール策定等を通じまして業界契約慣行として普及、定着していくことを期待しておりまして、そうすることによりまして消費者保護の実が上がるものというふうに期待をいたしておりますし、また現実に発生したトラブルの事後救済に当たっても、消費者相談現場、あるいは裁判実務等において適切に参照されることを期待いたしておるわけでございます。  続きまして、立法化についての考え方はどうかということでございますので、それに触れさせていただきたいと思います。  継続的役務取引の規制に関する立法技術上の問題につきましては種々の論点がございますが、例えば個別立法によります中途解約権の導入につきましては、契約自由の原則との関係はもとより、取引安定の要請といった観点に照らしましても極めて慎重な判断が必要だと私どもは認識をいたしております。個別取引に着目をして中途解約権を導入することは、規制すべき役務の範囲とも関連をいたしまして、立法技術上極めて難しいと考えます。現に個々の法律中途解約が認められておりますのは、豊田商事事件に対応するために制定されました預託法のみではないかというふうに思っております。  さらに、法的措置によって役務提供におきます抗弁権の接続を行うことにつきましても、役務提供契約の場合、提供される役務に瑕疵があるかないかは、例えば外国語会話教室に例をとりますと、教え方が下手であるとか、あるいはエステティックサロンにおいて期待した効果がなかったといったような消費者の主観的判断、さらに場合によりましては消費者自身の努力の度合いによっても結果が大きく左右されるということでございまして、商品の取引に比べて瑕疵の存在の客観的判断が困難であるという問題があると私どもは考えております。このため、抗弁権の接続に関する法的措置の導入に当たっても、このような消費者の抗弁のすべてを接続することの是非など、解決すべき問題が多々含まれているものというふうに考えております。  以上申し上げますと大変ネガティブなように聞こえるのですけれども、今回の研究会報告に基づきまして具体的な措置がいろいろ盛り込まれておりますので、それを総合いたしまして消費者利益の実質的な保護というのが図られると思いますし、その報告書に盛り込まれる措置を一日も早く実行いたしたいと思っております。
  65. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この継続的役務取引にかかわるさまざまな問題をどう適正化を図るかという問題ですけれども一つはこの法案化という考え方、もう一つは今御説明になったガイドライン方式ないしいわゆる行政指導という形だと思います。  この二つの方式をどうするか。まあ政策判断の問題だと思うのですけれども、今の御説明を伺いまして、果たしてそのガイドライン方式、行政指導方式で実効性が保たれるのかという基本的な疑問があるわけなんです。そもそも問題となっているのは悪質な業者なわけですね。善良な業者は別に問題ないわけで、極めて悪質な業者が散見される、それによる被害が非常にあるわけでして、そういう悪質な業者をどう取り締まるかということが今般一番のポイントなわけでございます。  そもそも悪質な業者というのは、行政指導に従わないから悪質なわけであって、またこういった業界自体が組織化されておりません。今急成長のすき間産業なわけであって、ほとんど組織化されていないし、果たしてそういうガイドライン方式、行政指導方式で実効性が上がるのか、極めて基本的な疑問があるわけです。この点につきましていかがでしょうか。
  66. 細川恒

    細川政府委員 現在の取引の実態を踏まえられた大変貴重な御指摘だというふうに思いますが、私どもとしては次のように考えております。  業界団体などにおいて、先ほど申し上げました策定期待されますがイドラインモデル約款等自主ルールにつきましては、これが業界団体加盟企業を中心にある程度普及定着していくということになりますと、消費者の適切な業者選択、これは消費者側の努力ということによるわけでありますが、不当な契約慣行の排除に資するものというふうに考えているわけでございます。  確かに組織率は現在のところ非常に低うございますけれども、この研究会に現実に業者が入っておりまして、この業界団体を組織しておる代表は既にこのガイドラインまたはモデル約款というものを作成するということに同意をいたしております。このできましたガイドラインまたはモデル約款というものを、先ほど申し上げましたように支払い方法としてクレジットを利用する企業が多いということに着目をいたしまして、この自主ルールクレジット業者加盟店審査をするときに活用するように、それを提言するつもりでおりますし、また、クレジット業界もこの研究会に参加をいたしておりますので、この実行は可能だと思っております。  これによりまして、業界自主規制に従わない業者も、クレジットの利用が可能になるように自主ルールに従ってみずからの契約内容適正化していくというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  67. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の御説明はありましたが、そういったガイドラインに従う業者はまじめな業者であって、そうじゃない業者が問題なわけだと思いますね。そういう悪徳業者をどう規制するかという基本問題は解決されないのじゃないか。  また、将来消費者がそういったいろいろな情報を判断して適正な判断をすることができるようになるまで大変な時間がかかる、たとえ可能であったとしても、業界秩序が定まるまで大変時間がかかるわけであって、むしろそれまでの間のいろいろな苦情をどう処理するかということの方が問題ではないかと思うわけでございまして、そういった点からちょっと実効性という点、やはり非常に疑義があるというのが私の意見でございますが、いかがでしょうか。
  68. 細川恒

    細川政府委員 三点申し上げたいと思います。  先ほどの御答弁申し上げたところの繰り返しになりますが、第一点としては、自主ルール業界団体がつくります。その自主ルールを、先ほど申し上げましたけれどもクレジット業界がそれを使って加盟店管理をいたします。ちなみに、クレジットを使った形でやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、私ども調査では八割以上、場合によっては九割近いのが実態でございますから、クレジット業界加盟店管理ということ、今申し上げました自主ルールをつくった、それを尊重するというところだけを加盟店として使うということになると思いますので、これによって相当の効果が上がると思っております。  クレジット業界加盟店管理によって現に効果が上がるというふうに私ども思っておりますのは、昨年十月に委員御承知のように私ども通達を出したわけでございまして、この通達は、業者の倒産によってサービスが受けられなくなった場合に、引き続いてクレジット業界側の方が支払いの請求を求めないということをやったわけでありますが、この通達は大変効力を発しておるというのが私どもの見解でございます。したがいまして、それに上乗せする形で今のような仕組みをつくれば相当程度の、相当というか、大変効果はあるというふうに私ども考えております。これが第一点でございます。  それから第二点は、今国会において成立をいたしました不正競争防止法、これは消費者保護を直接の目的にいたしておりませんけれども、これを活用する方法があるのではないかというふうに考えておりまして、この延長線上を求めたいと思っておるわけでございます。  それから第三点は、クレジット業界の方に戻りますけれどもクレジット業界において問題のある業者につきましての情報交換というのを、クレジット業界企業の間でもって大いにやらせるということを考えておりますし、現に業界がその用意をいたしております。  加えまして、先ほど申し上げましたように、現在の継続的役務取引性格というのは民法の準委任に当たるという考え方を今回明らかにしたわけでございますから、それが消費者相談の場、またはしかるべき司法の場において参照されることを私ども期待いたしまして、こういうものを総合いたしますと、個別立法よりはこういうことで現実に効果が上がるものと考えております。
  69. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 さらに追加的に、法案化すべきと考える理由なんですけれども一つは、そもそもこういう継続的役務取引適正化という問題はいわば営業の自由を一部規制する話ですから、営業の自由というのはそもそも憲法上保障された権利である、それをミニマムな形であれ弊害を規制するためにこれを措置するにはやはり法律によるべきではないか、それが基本的な筋論ではないかと思いますね。これがまず第一点。  それからもう一つ、行政手続法が今問題になっておりますけれども、まさにそういった行政指導等の透明化等が非常に大事なことになっておりまして、こういった行政手続法の精神からも反するのではないかということでございまして、やはりこれはオーソドックスに法案化で対処すべきではないかという考え方に私たちは立つわけでございますけれども、この点いかがでございましょう。
  70. 細川恒

    細川政府委員 お答え申し上げます。  個別立法でということでございますが、先ほど申し上げましたところで個別立法によります個別項目、条文として予定される、あるいは期待表明をされております。その中身でございますけれども、それぞれ立法技術上の問題がございます。先ほど申し上げたとおりでございます。       加えまして、委員の方から先ほどお話のございましたクーリングオフの話でありますけれども、これを例にとってその難しさを申し上げたいと思うのですが、クーリングオフは現在の消費者保護法の中にはございますけれども御存じのとおりでございまして、クーリングオフをするということの前提は、家庭訪問をされるというふうな形で契約を結ばされる側、消費者の側に十分なる心の用意がなかったというようなことを前提にしておるわけでございますけれども、私ども実態を見てみますと、むしろ消費者みずからが契約をする場、エステティックサロンの場であるとかあるいは外国語教室にみずから出向いておりまして、加えまして数回または何カ月かやった後やめたいという例が非常に多うございまして、したがって、クーリングオフのような実態には合わないというふうに考えております。したがいまして、個別立法で対応するということにつきましては立法技術上極めて難しい問題があろうかと思います。  第二点に、行政指導上の問題でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、本考え方は、業界がみずから自主的に対応するということのための環境づくりを研究会を通じてやってきておるわけでございまして、したがって、私どもとしては問題はないものと考えております。
  71. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 政府側の御説明は承りましたけれども、時間がないので、我々の基本的な問題提起として、法案化によるのか、あるいはガイドラインによるのか、さらに突っ込んだ議論が必要ではないかと考えておりまして、通産省研究会におかれてももう一度この点を徹底した議論をして、国民に納得できるような考え方をぜひ提示していただきたい。強く要望いたしまして、この点につきましては質問を終わりたいと思っております。  続きまして、OECD閣僚理の件につきまして、先般閣僚理事会が行われたわけでございまして、サミットに向けての経済政策調整というのが閣僚理という場の主な目的と考えられるわけでございますけれども、昨今報道で見る限り、今回の閣僚理においては、各国それぞれの立場を主張しただけで、何か協調に向けての進展があったとは思えないという印象を抱いておりますが、今回の閣僚理の会合、特にサミットに向けての経済政策協調という観点からどんな会合だったと評価をしておられるか、この点につきまして、これは経企庁さんでしょうか、お聞きしたいと思います。
  72. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  今回の閣僚理事会は、OECD諸国の成長が概して緩慢である、とりわけヨーロッパを中心にいたしまして失業が社会問題化している、こういう中にありまして、各国の代表がその問題の深刻さを受けとめながら課題の解決に向けて前向きに話し合う、そのような場であったというふうに報告を受けております。具体的には、九〇年代に向けまして雇用の促進と持続的な経済成長の回復、この必要性の問題につきまして各国が協調的な戦略をとる。そのことを共同声明において宣言をした、こういうことであります。  お許しをいただいて若干その内容を申し上げますと、一つは、金融財政政策は、物価安定及び中期的財政再建の目標を損なうことなく存在し得る機会を活用すること。労働市場政策等の構造改革政策が技術進歩及び開放された国際的競争を通じ活力ある競争的で効率的な経済発展を目指すこと。引き続き貿易の自由化を進め、多角的規律を遵守、強化すること。及び本年末までにウルグアイ・ラウンドの成果をおさめること。このような国際的な協調戦略がとられることによりましてOECD地域の経済というものがインフレのない持続的な成長に向けて移行する。このような期待が込められておりまして、このようなOECD閣僚理事会の成果を踏まえながら、東京サミットに向けての各国の協調が図られていくものと考えております。
  73. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 特に今回の閣僚理では日本の方的な大幅黒字、貿易黒字が各国からの批判の対象になった、特にアメリカからの非常に強い批判にさらされたと理解をしておりますけれども、実際にはどんな議論があり、我が国としてはどう対応したのか。この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  74. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、閣僚理事会の場におきまして、アメリカから、経常黒字削減の観点から我が国において財政面からの刺激が持続されることが必要である、このような主張がなされたと聞いております。これに対しまして日本側から、これまでの財政金融両面からの諸施策の効果につきまして申し述べるとともに、日本の財政のポジションが悪化しているという事情でありますとか、過去、昨年の三月、八月、そして先般の新総合経済対策、三次にわたりまして対策をとってきたわけでありますが、さらなる刺激策をとりました場合のインフレの可能性、こういったことを指摘をし、反論をしたと聞いております。  また、アメリカ以外の参加国からは、我が国の経常収支に関しましてこのような主張が行われるというような事実はなかったと聞いております。
  75. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、通産省にお聞きしたいと思います。  この黒字削減ということは、ずっと今まで議論をされてきておりまして、政府もたびたび輸入拡大努力を表明をしてきたわけですけれども、いまだに貿易黒字という点ではこれは縮小されていないという状況でございます。むしろますます拡大しているという状況でございますが、特に通産省として、いろいろな個別的な輸入拡大措置を今まで発表され、とってこられております。例えば、大店法の輸入品売り場の特例措置の活用、あるいはトイザらスの出店、あるいは輸入促進法の運用等さまざまな個別の措置をとってきておられますけれども、こういった措置の実績、評価、どれほど効果があったのか、お伺いしたいと思います。
  76. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、八六年度をピークに毎、年順調に減ってきておりました貿易黒字が九一年度から再びまた著増し始めておるということでございまして、これの原因でございますが、これも改めて申し上げるまでもなく、景気の後退に伴います輸入の減退というのが何よりも大きな原因になっておるわけでございます。  したがいまして、貿易黒字対策の根幹といいましょうか、背骨になるところは内需の振興であるということで、三度にわたる総合経済対策で、三度目を今お願いしておるところでございます。  そんなことで、今御指摘の内需拡大対策とあわせまして、我々といたしましては、例えば累次にわたる関税撤廃とか輸入制限の撤廃とかといった市場開放政策、ジェトロのきめ細かな施策、あるいは輸入金融の金利引き下げ等々、各般の施策を講じておるわけでございます。  その中で、今先生の御指摘のありました輸入促進地域の整備をいたしますいわゆる輸入促進法でございますが、これにつきましては、そういった総合的に行う各種施策の中の中長期的な観点からの対策でございます。例えば成田とか伊丹というその二つの空港で我が国の総輸入貨物の九割以上が占められておるとか、あるいはその取扱貨物がシカゴの八倍、ドゴール空港の二十三倍になっているとか、こういったような大変な輸入のインフラがボトルネックになっておるということで、それを解消して長期的な観点から日本全体が輸入貨物を受け入れられるような、そういうインフラ整備をしよう、こういう施策でございまして、昨年七月に施行させていただいたわけでございます。これに基づきまして、ことしの三月でございますが、全国六地域から、北九州市とかあるいは大阪のりんくうとか六地域から申請が出てまいりまして、これを承認して、現在それの整備を進めておるところでございます。  お話のありました輸入促進整備基金からのそれぞれの地域の第三セクターへの出資等も順調に行われておりますし、これら全体を整備いたしました暁には、これはいずれも非常に長期のものでございまして、例えば平成三年度の航空貨物十万トンというのが平成十二年には約三十二万トンにふえるとかいった、それぞれの計画に基づいて現在着実にやっておるところでございます。  また、お尋ねのありました輸入促進税制でございますが、これは平成二年度から輸入促進のために税制上のインセンティブを与えたものでございまして、現在約二千品目につきましてその対象にいたしまして、これについて税額控除あるいは割り増し償却等をやっておるわけでございます。  これに伴います影響でございますが、こういった、先ほど冒頭申し上げましたように、全体の輸入が落ち込んでおるときでございますので、数字自体としては、それ自身は非常に苦慮といいますか、伸び悩んでおるところでございます。それでも、ちなみに平成二年度の数字で申し上げますと、総輸入が一三・二%増であったところが輸入促進税制対象品目の伸び率が一八・一%、平成三年度では総輸入が四・一%減になったときに対象品目は一・○%増、それから平成四年度でございますが、これは総輸入がO・三%増でございましたけれども対象品目は七・七%増と、いずれも全体よりもはるかに上の方に、輸入促進の効果を上げておるということでございまして、申し上げましたように、それぞれの目的に基づいて施策をやっております。それなりの効果を上げておる、かように考えておるところでございます。  あと、大店法その他は引き続き御答弁申し上げます。
  77. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは結構でございます。  最後に一つだけ中小企業不況対策ということでお聞きします。  景気が底入れということが一部言われ始めておりますけれども、中小零細企業にとってまだ大変厳しいというのが私どもの実感でございまして、まず通産省としまして、中小零細企業の視点から現在の景気の状況というものをどう判断しておられるかが第一点。  もう一点は、十三兆二千億の大型対策がとられまして、特に中小企業対策は一兆九千億円ということで、大変手厚いという印象を受けておりますけれども、ただ、これは本当に実効性があるものなのかどうか、あるいは本当にこれは活用される状況にあるかどうかということはまだ疑問でございまして、その点につきまして最大限の努力をしてもらいたいわけですけれども、この点も含めて御説明をいただきたいと思います。
  78. 関收

    ○関政府委員 二つの点にお尋ねがございます。  まず中小企業をめぐる最近の景気状況でございますが、確かに最近の調査によりますと、住宅関連でありますとか食料品あるいは電気機械等の一部でやや明るい兆しが見られていると言われておりますけれども、先ほども報告ありましたように、個人消費あるいは設備投資全体としては非常にマイナスでございますので、中小企業の景況も、売り上げの伸びあるいは利益ともに非常に厳しい状況にあるという認識を私どもは持っております。  一言で申しますと、私どもよくDIといいますか、ディフュージョンインデックスをとっておるわけでございます。最近の調査では、売り上げなどにつきましてマイナス幅が少し縮まるかなという予測を皆さん持っておられるという状況でありますが、引き続き全体としては厳しいものと認識をいたしております。特に、長期にわたる景気の低迷が続いておりますので、中小企業の方々の資金繰りが大変厳しくなっておるわけでございまして、引き続き保証協会の代位弁済とかあるいは倒産もかなり高い水準にあるわけでございます。さらに、最近におきます円高によりまして、輸出に依存している中小企業あるいは輸出商品に関連する下請企業等々は極めて厳しい状況にございまして、私どもとしては、中小企業の景況につきましてはこれからも相当慎重に注視をしていかなければならない、また必要な対策を講じていかなければならないという認識をいたしておるところでございます。  これらの状況を反映いたしまして、去る四月に作成されました総合経済対策は大きく四本の柱から成っておるわけでございます。総額は一兆九千億円、先生の御指摘のとおりでございます。  一つは、中小企業の資金繰り、特に運転資金の調達が非常に厳しくなっておりますので、中小企業の方々に低利の運転資金を融資させでいただこうというものでございます。この中には、円高で悩んでおる中小企業あるいは下請企業、リストラ下にあります下請企業に対する融資等も対象になっておるわけでございます。  二番目には、信用補完の充実ということでございまして、担保力に限界が来ておりますので、信用保証協会によります保証を活用いたしまして信用補完面の充実を図りたいということでございます。  三番目が、設備投資を促進するということで、中小企業事業団の高度化融資、あるいは今御審議をいただいておるかと存じますが、投資減税の実施でございます。  四番目が、下請企業対策、官公需対策ということでございます。  これらにつきまして、実は補正予算を伴わないものあるいは法律を必要としないものについては既にすべて実施済みでございます。補正予算、法律を必要とするものにつきましては、補正予算が成立し、また幸いに法律が通りましたならば、なるべく近い将来実行に移したいと思っておるわけでございます。  私どもとしては、こういう制度がありますことを中小企業の方に十分御理解いただくためにいろいろな手段で広報をさせていただいておりますが、補正予算、法律等が成立いたしましたならば、さらにこれを充実し、私どもは直接PRをさせていただく、あるいは中小企業の金融機関あるいは団体、都道府県等々を通じます広報等々によりまして中小企業の方によく理解をしていただき、これらを十分活用していただいて一日も早く景気が回復軌道に乗りますように心から期待をしておるところでございます。そういったことで、昨年の八月の総合経済対策も、実はその実績を見てまいりますと非常に広範に利用していただいておるところでございますので、今回の一兆九千億の補正予算その他の景気対策につきましても、広報と、また中小企業皆さんの御理解を得ることによりまして十分活用いただけるものと考えておるところでございます。
  79. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 以上で終わります。
  80. 井上普方

    井上委員長 続いて、小沢和秋君。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  81. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 本日は、日本映画の振興策について質問をいたします。  実は個人的なことを言って恐縮でありますが、私は国民映画とまで言われる「男はつらいよ」の監督山田洋次さんと大学時代に同期で、当時からよく知っております。そんなことが一つの縁で日本映画の熱心な愛好者となり、今私は国会議員で組織している映画議員連盟にも入っております。先日も松竹大船撮影所に山田監督を訪ねました。夢とロマンを生み出すはずのスタジオは随分古くなっておりましたが、そういう悪条件の中でいい映画をつくろうと俳優やスタッフの皆さんとともに苦闘している山田監督を見て、本当に日本映画の振興のために私も何かお役に立たなければと思いました。きょうはそういう思いを込めて質問をいたします。  まず、日本映画の危機が叫ばれて久しいのでありますが、最盛期の一九六〇年ごろと比べて製作本数、映画館数、観客数がどう変化したか、所管官庁として通産省は日本映画の現状をどう見ているか、お尋ねをいたします。
  82. 細川恒

    細川政府委員 業界団体によります統計資料に基づいてお答えを申し上げたいと思うのです。  まず映画館数でございますが、昭和三十五年、これはテレビの本格普及の前でございますけれども、この時点で七千四百五十七館、これが記録上最多でございまして、平成四年時点におきましてはそれが千七百四十四館、すなわち往時の四分の一弱ということになっております。  入場者数につきましては、昭和三十三年に過去最高の十一億二千七百万人を記録いたしておりますが、その後減少傾向をたどりまして、平成四年には一億二千五百万人ということになっております。  続きまして、日本映画の年間製作本数でございますが、昭和三十五年に五百四十七本と最大数を記録いたしまして、平成四年には二百四十本ということになっております。  私どもの映画産業についての認識はどうかということでございますが、映画館数、入場者数、製作本数は今申し上げましたように、娯楽の手段、余暇の過ごし方の多様化に伴いまして、往時に比べますと減少をしてきておりますが、映画は大衆の身近な娯楽として国民生活の中に定着をしているものと思っております。これを提供します映画産業は、今後とも国民の余暇活動を担う重要な文化関連産業であり続けるという認識を私どもは持っております。
  83. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今メディアがどんどんふえ、映像ソフトが不足しているというので、その確保のため、アメリカの映画会社を買収する企業まであらわれております。そういう中で、日本でも毎年すぐれた映画はいろいろ生まれているのに、このような後退を続けていることは大変残念であります。私は、米英仏独伊など映画先進国と言われる国々の状況を調べてみましたが、どこも映画振興のため国としていろいろな施策を実施しております。日本の映画産業振興策は非常におくれているのではないかと思いますが、通産省としてどのよう唐ことを具体的にやっておられるのか、予算も含めて御説明をいただきたい。
  84. 細川恒

    細川政府委員 必要がございましたら詳細申し上げますが、当省といたしましては、映画産業の振興を図るために、中小企業等基盤強化税制といった税制上の措置、それから中小企業金融公庫のゆとり創造型新規産業振興貸し付け、この枠におきます映画関連産業に対する融資制度などの金融措置などを講じております。さらに、東京国際映画祭を初めといたしますおのおのの映画祭などに対します後援名義の下付、特定の場合の大臣賞の交付、さらに映画産業など関係団体の活動に対します支援を積極的に行っております。
  85. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 東京国際映画祭などは日本映画の振興にそれなりの役割を果たしていると思いますが、問題は、通産省後援をうたいながら通産省自身の予算は全く使われておらないことであります。また、税制上の優遇措置や低利の金融も対象は中小の独立プロ等に限られておりますが、私は、今のように映画産業全体が厳しい状況に置かれているときにはあえてこれらの措置を独立プロ等に限定せず、映画産業全体に適用すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  私が振興策で特に強調したいのは、後継者の人材育成であります。  映画制作の第一線で働いている人たちは、労働条件や賃金が低いこともあり、若い人がなかなか入ってこない。そのため、高齢化が進み、このままでは早晩映画をつくれなくなると危機感を持って、自分たちなりの取り組み、映画塾をつくったりしております。しかし、そういう努力には限界があります。国として、こういう努力をもっと積極的に助成していくべきではないか、お尋ねをいたします。
  86. 細川恒

    細川政府委員 先ほど申しました税制上の措置でございますが、これは企業のいかんを問わず、御存じのように適用可能でございます。したがいまして、中小企業等基盤強化税制においては、映画産業の近代化、合理化ということのため、経営基盤を強化するための投資減税措置、それに対して適用がなされるわけでございまして、企業のいかんを問わずということを改めて申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、ビデオ自動上映装置に対する税制措置というのを今回の緊急総合経済対策の一環の中に盛り込まさせていただいておりまして、これも映画振興のために結果として資するものと私どもは考えておるわけでございます。  それから、人材のお話がございましたが、その人材の育成にも資する、先ほど申し上げました映画祭への支援等を引き紛さ積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  87. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この十年の間に、日本映画の封切り本数は、一九八〇年の年間三百二十本から九〇年の二百三十九本に減っておりますのに、外国映画の輸入本数は二倍以上に増加しております。具体的に数字でどうなっているのか、その輸入金額はどう変化したか、示していただきたい。  今、貿易全体では、日本の大幅な輸出超過、貿易黒字が大問題になっておりますが、映画ほど輸入超過になっているものはほかにないのではないでしょうか。同じ期間に、我が国からの映画の輸出金額、本数はどう変化したかもあわせて示してください。
  88. 細川恒

    細川政府委員 映画に特定をいたします公式の統計というのは実はございませんので、まず日本銀行の国際収支統計月報によります貿易外収支の推移から数字を申し上げたいと思います。これにはアニメなどのテレビフィルム賃貸料も含んでおりますので、委員質問の点とは若干ずれると思いますが、まずそれを申し上げた上で、業界の側の資料で若干の補足をさせていただきたいと思います。             最初に、今申し上げた日本銀行の統計によりますと、これは一九九二年の輸出、つまり我が国の受け取りでございますが、円ベースで百二十七億円でございます。それに対しまして、支払い、つまり輸入でございますが、これが五百六十九億円という数字が出ておるわけでございまして、御指摘のように、この面だけに限って見ますと、大幅な入超ということになるわけでございます。  続きまして、日本映画製作者連盟資料によります映画というものに着目をした数字で申し上げますと、輸出、これは映画フィルムの賃貸料ということで申し上げたいわけでありますが、一九九一年、これは二十五億円程度というふうに見られております。それから、輸入額につきましては、配給収入の三百九十億円から配給手数料と日本側の収益などを差し引いた金額、これが海外の制作会社等に支払われているというふうに思われますので、三百九十億円から若干少ない数字ということではございますが、先ほど申し上げました二十五億円からははるかに高い数字だろうというふうに思っております。
  89. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、日本に対する海外の理解を深めるためにも、日本映画の輸出にももっと力を入れるべきだと思います。かつて我が国では、黒沢明、小津安二郎、溝口健二等の巨匠がすばらしい作品を次々に生み出し、世界じゅうから名声を博してまいりました。今でもその伝統を守って立派な作品もつくられておりますが、全体として見れば、日本映画の質が低下し、世界に通用する作品が減っていることも残念ながら事実であり、それがこういう大変な輸入超過となってあらわれていると思います。通産省はこのことを真剣に考え、映画産業の復興のだか、抜本的に取り組む姿勢を改めていただきたいと思います。  ここで文化庁にもお尋ねしたいのですが、文化としての日本映画振興のためにどう取り組んでいるか、お尋ねをいたします。時間が足りないので、総論的な部分は省いて、全体として通産省よりもはるかに積極的に取り組んでいることは評価できるわけでありますが、芸術文化振興基金を発足させたのを契機に、長編映画制作活動助成金を一本一千万円から二千五百万円に引き上げております。私は、その額を今後さらに引き上げるべきだとも考えますが、現在の低金利が続けば、逆に今年度は昨年度より助成に充てる原資が減るおそれがあるのではないか。少なくともそういうことには絶対にしてはならないと思いますが、見通しはどうかをお尋ねいたします。
  90. 板橋一太

    ○板橋説明員 お答えいたします。  映画は、幅広い芸術ジャンルを包含する総合芸術でございまして、現代日本文化の一翼を担うとともに、映像芸術の中心として重要な位置を占めているわけでございます。昨今の映画館入場者数の減少などから、制作現場が深刻な影響を受けているという状況の中で、映画芸術水準の維持向上を図っていくということは、私どもにとっても非常に重要な課題であるというふうに認識しております。  文化庁では従来から、優秀映画作品賞を初めとする各種の顕彰事業あるいは映画関係団体への補助、フェローシップ制度による映画人養成事業等を行っておりますが、これらを通じて映画芸術の振興を図っているところでございます。  また、先ほど御指摘ございました平成二年に創設されました芸術文化振興基金におきましては、舞台芸術公演等への助成とともに、映画制作に対する助成事業を実施しているところでございます。先生御指摘のとおり、この振興基金は平成二年三月末に創設されておりまして、政府出資金五百億円、それから民間から拠出された約百億円の資金による運用益をもって、多彩な芸術文化活動を幅広く助成しているところでございます。  この基金によりまして平成二年度から助成を開始しているわけでございますが、平成四年度におきましては、最終的に全体で約三十億円の助成を行いまして、このうち映画関係につきましては約三億五千万円の助成を行っております。  平成五年度につきましては、先般第一次分として全体で約二十五億円の配分を決定しておりますが、このうち映画関係については約一億二千万円が入っております。今後映画分につきましては、今年度中に第二回、第三回の募集も予定しておりまして、映画以外の関係分も含めまして、昨年までの実績も考えた上で、最終的に適切な配分額が確保されるように引き続き努力してまいりたいと考えております。
  91. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、先ほど通産省に対して人材育成の重要性を強調いたしました。先日文化庁からいただいた資料では、映画人養成学校等は、大学九校、専修学校十二校、各種学校二校、鎌倉映画塾などその他八校となっております。大変心強いのは、その設立は大部分が四十年代以後であり、関係者の後継者をつくる意気込みがよく感じられます。  問題なのは、国の助成措置、施設への補助、学生への学割や奨学金が専修学校までに限られており、各種学校その他には何の援助もありません。映画人の養成は、実際の制作活動に参加したりする中で行われる面が強いわけであります。今までの学校教育という枠の中に入らなくても、文化庁がイニシアチブをとって、関係省庁と、日本文化、映画のために積極的に助成していくべきではないか。  それから、文化庁にはもう一つ続けてお尋ねをします。  私は、国立近代美術館の中にフィルムセンターが設置されていると聞き、秘書を勉強に行かせました。ただ国内、国外の映画を収集するだけでなく、映画の振興、人材の育成に非常に重要な役割を果たすものと認識を新たにいたしました。今後も積極的に拡充していかなければならないと思いますが、どういう計画、展望をお持ちか。  二つお尋ねいたします。
  92. 板橋一太

    ○板橋説明員 お答えいたします。  最初の、各種学校あるいは学校とならない塾などの民間養成機関も公的助成の対象とすべきではないかという御質問でございますけれども、各種学校あるいは塾等につきましては、基本的には民間の活力を生かして、社会の需要に応じて自由に発展をしていくということが期待されている施設でございます。専修学校と各種学校を比較しますと、例えば教育目的、教員資格あるいは入学資格、あるいは校舎にしましても、専修学校については一定基準がございますが、各種学校についてはそういう定めがございません。そういうことがございまして、公的助成についてはなかなか困難な面がございます。  一方、文化庁には、若手の芸術家が国内の専門施設で研修を行うことを支援するインターンシップ制度、あるいは海外での研修を支援する在外研修員制度というものを持っております。こういった制度を通じて、若手映画人にも国の内外でさまざまな研修の機会提供しているところでございまして、先生御指摘の各種学校あるいは学校とならない塾に在籍する者でもこの制度の対象になるわけでございますので、今後もこのような制度の充実を図っていく考えでございます。  それから、次に御指摘ございました東京国立近代美術館フィルムセンターについてでございます。  このフィルムセンターは、我が国で唯一の国立の映画研究機関として昭和四十五年に開館した施設でございます。現在建てかえ工事中でございますが、来年度完成を目途に今着々と工事が進んでおります。  同センターにおきましては、すぐれた映画作品のフィルムや関連資料等を系統的に収集、保存しまして、映画に関する調査研究を行うとともに、所蔵フィルムを中心とした企画上映を行っております。こういったことで、映画研究者や愛好者の期待にこたえているわけでございます。これまで約百五十万人の利用者を数えております。  また、より広範囲の普及活動として、全国の公立文化施設とこのフィルムセンターが協力して、名画鑑賞の機会提供する優秀映画観賞の全国ネットワーク事業や、内外の映画人を招いて映画に関する国際シンポジウム等の事業を行っております。  このような活動を通して、同センターは映画振興や映画関係の人材養成に貴重な役割を果たしているわけでございますが、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 建設省にも伺いたいと思います。  今、ミニシアター化、特にビルの中に幾つものミニシアターをつくり、気軽に多様な映画を楽しめるようにしようというマルチプレックス化の傾向が強まっております。ところが、こういうことに対して、これまでの映画館の建築基準ではいろいろ制約が多かったわけであります。今回、建設省が興業場等にかかわる技術指針を新たにつくり従来より規制を緩和したので、都道府県も条例改正して、ゆったりしたミニシアターをつくりやすくなったと聞いておりますが、現在全国的にどういう状況になっているか。  それから最後に、締めくくりの意味で、通産省にもう一度お尋ねをいたします。  文化庁からいただいた資料では、フランスでは約六十億円の映画関係予算があり、国立映画センターが映画の制作や興業まで助成をしております。イタリアは二百九億円、イギリスでも二十億円組まれております。イギリスで私が注目したのは、国立映画テレビ学校が一九七一年設立され、三年制で映画監督、シナリオライター、カメラマン等を養成していることです。アメリカでも、映画、テレビの人材育成に政府による支援が行われております。  結局、こうして見ると、日本の映画振興策が一番貧困であることは否定できません。先ほどからの議論で、所管の通産省には映画振興予算はほとんどない、わずかに文化庁に六、七億円あるだけ、一番肝心な人材育成については、そこにも予算がほとんどないという状況が明らかになっております。  きょうは残念ながら大臣が出席しておりませんので、大臣にかわって商務流通審議官に、映画の振興についての根本的な姿勢をこの際正していただきたいということを要求いたしますが、どうお考えか、締めくくりにお尋ねいたします。
  94. 井上普方

    井上委員長 小沢君にお願いします。お約束の時間を大分超過いたしておりますので、その点は御注意願いたいと思います。
  95. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これで終わります。
  96. 羽生洋治

    ○羽生説明員 建築基準についてお答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、いわゆるミニシアター等の小劇場型や複合型の興業場等が建設される傾向が強まっております。そこで、地方公共団体の建築基準条例において定められている興業場等に係る建築基準をこのような新しい傾向に対応した合理的なものとするようにとの要請を受けまして、建設省といたしましては、建築基準条例における興業場等に係る建築基準の見直しの際の指針として活用されるように興業場等に係る技術指針を策定いたしまして、これを平成三年十二月、特定行政庁あて通知して、それ以後指導を続けているところでございます。この通知を受けまして、例えば東京都においては平成五年、本年の三月、福岡においては二月でございますが、それぞれ条例改正しまして、興業場等に係る建築基準の合理化が行われたところでございます。建設省としましては、このような条例における興業場等に係る建築基準の一層の合理化が進められるように、引き続き特定行政庁を指導してまいりたいと考えております。  なお、平成四年六月の都市計画法及び建築基準法の一部改正におきまして、小規模な映画館や劇場等の立地規制の方も緩和いたしまして、客席面積二百平方メートル未満の映画館や劇場等につきましては、商業地域または準工業地域のみならず、準住居地域または近隣商業地域においても新たに立地を可能とするというような措置を講じてきているところでございます。今後とも引き続き指導をしてまいりたいと考えております。
  97. 細川恒

    細川政府委員 映画産業でございますが、通産省として重要な文化関連産業と位置づけておることは先ほど申し上げたとおりでございますが、その認識に基づきまして、例えば東京国際映画祭、これは大変幅の広い、かつ、影響するところが大きい内容を持っておるお祭りでございますが、この映画祭を通じて人材の育成等を図ってまいりたいと思っておりますし、加えまして、その映画祭の中で、昨年も行ったわけでございますが、フィルムマーケットの設置というようなことを行いまして、日本映画の輸出に向けても力を発揮させていただきたいと思っております。
  98. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうもありがとうございました。
  99. 井上普方

    井上委員長 川端達夫君。
  100. 川端達夫

    ○川端委員 限られた時間でありますので、産業政策、特に最近の不況下で大変厳しい環境に置かれている業界への産業政策の基本となる考え方について、まずお尋ねをしたいと思います。  おのおの産業界は、企業も含めまして、今日の不況を何とか乗り切りたいということで、個々にあるいは団体で懸命の努力をされているところでありますが、その中では、業種によりましては今までの業種や業態をもう維持することができかねる、新たな分野に転換をしたり、あるいは統廃合を含めて生き残りをかけるという、いわゆる今風のリストラという言葉であらわされるような努力が各方面で続けられています。  そこで、産業調整、いわゆるリストラクチャーというものを考える場合に、表現として適切かどうかわかりませんが、いわゆる欧米型のドライな、トラスチックにえいやっとやるというふうな方法と、我が国で比較的よくやられている、穏やかに、徐々に業界の統廃合、そして転換を図っていくいわゆるソフトランディングな方法と、大別すればそういうふうな方法で産業転換というものが行われるのではないかと思います。いろいろな産業経済あるいは環境問題等々を含めまして、例えば炭鉱のいわゆるリストラクチャーというものにおいては、残念ながら非常に労使が対決したというふうな部分で非常な混乱を起こしたというようなやり方も現にありました。そういう反省の中では、やはりこういう産業調整、産業転換を図っていくには、そこに良好な労使関係というのを抜きには考えられないのではないかというふうに考えております。  特にリストラ、リストラと叫ばれる今日、この深刻な不況を乗り越える中で、どうしても従業員の雇用を最大限に守る、そして、従業員だけではなくて家族や周囲の社会への影響というものも最小限にしてソフトランディングをやっていくというのは、労使の協調関係、それからふだんからの情報交換、相互信頼というものを抜きには考えられないのではないかと思います。  そこで、行政として、いわゆる産業政策局というのは、こういう手法として産業転換を図っていく、この業界はこのままでは生き残れないというときのリストラの方法として、かなりトラスチックにやる方法とソフトランディングにやろうという部分との比較においてはどのような認識、どちらの方が望ましいというふうに考えておられるのかということが一つ。  それから、産業調整における労使というものの位置づけ、どのような役割を期待をされているのか、あるいは評価をされているのかについて、お尋ねをしたいと思います。
  101. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ただいま委員お尋ねの企業のリストラでございますけれども、リストラというのは必ずしも明確な定義があるわけではないと思いますが、一般的に申し上げまして、経済の状況が厳しくなった折に、不採算部門を合理化し、他方で新しい事業部門等を開拓あるいは多角化を図っていって企業全体としての構造をいわばリストラクチャリングする、構造改善を行う、こういったふうに使われているというふうに思います。  そこで、そういった企業のリストラというのは、ただいまお話にもございましたように、欧米におゆるような方法、あるいは日本でこれまで採用されたような方法があるわけでありますけれども、それらいずれもそれぞれの国のそのときの経済環境でありますとか、あるいは長い間培われてきた雇用慣行、あるいは労働組合の役割、位置づけ、さらには社会保障制度の態様といった諸条件の中で方法が採用されていくものであろうと思います。                  そういう意味におきまして、国際的に単純に比較してどの類型がよろしいというふうなことはなかなか言いづらい点があるのではないかというふうに思います。しかしながら、我が国について申し上げますと、これまでのところ、終身雇用制度を前提にして労使ができるだけ協調して企業から失業を外に出さない、いわば企業単位での失業の発生を可能な限り避けるために種々の最大限の努力が行われるというやり方で進められてきたわけでありまして、これが大変有効な成果を上げていると思います。そういう意味におきまして、労使協調ということが我が国のこれまでの歴史の中でつくってこられた雇用の安定に果たしてきた役割は非常に大きいものだというふうに思っております。  政府といたしましても、そういう労使協調による企業単位における努力、すなわち企業からはできるだけ失業を外に出さないようにするという努力を支援するために、御案内のとおり、雇用調整助成金制度という制度を設けておりまして、積極的な活用を図っているどころでございます。労働省が主体として運用されているわけでありますけれども通産省といたしましても、その業種指定に当たりましては、関係業界の意向等も十分踏まえて労働省に対して積極的にその対応を働きかけていきたいというふうに考えております。
  102. 川端達夫

    ○川端委員 国内においていろいろな産業転換も含めて、やはり日本の経済がそういう大きいいろいろな第一次オイルショック、第二次オイルショックあるいは円高という部分の中で大混乱を巻き起こさず転換をし、今日に至っている部分で言えば、やはり健全な労使関係、労使協調というものが非常に大きな役割というよりも、これを抜きにしてはそういう状況は考えられなかったというふうに私は思います。同時に、今局長企業体としての努力をおっしゃいましたけれども、私は、企業体ももちろんですが、いわゆる産業、業種における労使の関係というものも非常に大きな役割を果たしてきたというふうに思います。  私は繊維産業に勤めておりまして、その中で労働組合の役員をしておりました。そういう中でちょっとお尋ねをしたいのですが、慢性的にといいますか、世界のいろいろなすみ分けの中で、構造的な不況と言われて、最近はまた円高に追い打ちされた繊維産業というものを例にとりますと、構造調整を円滑に行う上で大きな役割を果たしてきたのはまさに成熟した労使関係、労使一体となって産業活性化のために自助努力をしてきたということだと思います。各企業それから各労働組合のふだんの情報交換の中から労使共通の認識を生み出して、産業、企業の構造調整に際しても非常に前向きに取り組んできたと思います。こういう部分の一つの象徴として日本で初めてできたものとして、日本繊維産業会議というのがございます。昭和三十年八月に通産大臣の諮問機関として繊維産業総合対策審議会というものができました。その産業自体、政府にこういう審議会ができていろいろ指針をお出しになりというのはもちろん大事なことだけれども、自分たちの産業を本当にどうしていくのかというのはこれを支える経営側と労働側一体となって取り組んでいかなければいけない、そういう認識のもとに、翌年の昭和三十一年九月に労使百名で日本繊維産業会議というものができました。こういう産業をめぐっての労使会議として、これだけの整備をし、大規模なものは日本で初めてだったと言われております。  声明書の中でも、「日本繊維産業会議は、この”経営者ならびに労働者のたえまざる精進努力の成果・をいっそう高めるため、それぞれが大局的立場に立ち、労使の正常な関係の確立のため意思の疎通をはかるとともに、当面する諸問題について相互の理解をふかめ、繊維産業の健全なる発展を期するものである」とするとともに、「このような会議は、わが国の産業および労働界にとっては戦後最初のものであり、かつ画期的なものと信ずる。それゆえに、本会議の責務はまことに重大であることを痛感する」ということでできまして、以後三十六年たちました。  いろいろな危機がありました。第一次オイルショック、第二次オイルショックあるいは円高不況等々がありました。繊維産業を守るという立場でいろいろな問題に取り組んできました。その中で、一番の最高機関というのが、拡大本委員会というのがあるのですが、実はここ十二年間やられてこなかった。その直前、オイルショックのとき等ですと、昭和五十二年は石田労働大臣、田中通産大臣に御出席をいただいた、あるいは五十四年は中西通産政務次官、五十六年は野田通産政務次官、若杉生活産業局長等々にも御臨席をいただいて、いろいろな危機、困難に取り組む場として機能してきました。十二年ぶりに、本当に構造的な、いわゆる雪崩的な輸入を受け、あるいは円高に直面するということで、繊維産業活性化に向けての決起大会というのを近々、六月十八日ですか、開くことになりました。  繊維業界を担当される生活産業局として、こういう今日までの日本繊維産業会議の果たしてきた役割等も含めてどのように評価をされているのかということと、それから今日ただいまの時点で十二年ぶりにこういう決起大会ということで拡大委員会が開かれることをどのように認識されているのか、二点お尋ねをしたいと思います。
  103. 高島章

    ○高島(章)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、我が国の繊維産業は最近の景気低迷の中で非常に苦しい状況にあるわけでございます。かてて加えて、これも御指摘ございましたように、国内の人件費等のコストは上昇しておりますし、円高がさらにそれに加わりまして輸入品との競合の関係でも大変苦しい状況になっているわけであります。そういった中で、失業の発生防止等、いろいろな観点から実は繊維産業における労使の協調の努力というのは非常に大変なものをこれまで積み重ねてきておられまして、我々としてはその努力を十二分に認識しているつもりでございます。  御指摘ございました日本繊維産業会議、これのこれまでいろいろ果たされた役割、そしていろいろな貴重な御提言、そしてそれを受けましていろいろ我々として政策に厚みをつけてまいりました過去のいきさつ等も、我々は今後の繊維産業のあり方を考える際に十二分に考え、参考にさせていただいているつもりでございます。  御指摘の六月十八日に、本当に久しぶりにこの産業会議の主催によりまして繊維産業活性化に向けての決起大会が開催されるということを承知しているわけでございます。  まさに労使が一緒になられて業界の現状を、今後の対応策を本当に真剣にここで議論され、提言されるであろうと我々は考えておりますが、同時に、現在まさに今この時間に繊維工業審議会と産業構造審議会の合同部会が今後の繊維産業のあり方につきまして慎重な審議をして中間取りまとめをまとめようとされているところでありますが、その中間取りまとめの後に具体的な政策の肉づけをいたしまして今後の繊維政策の中身を深いものにしたいと思っておりますけれども、ちょうどその時期にこの大会が開かれて、いろいろな御提言、御意見をちょうだいできるということはいろいろな意味で時宜にかなっておりますし、我々としては十二分にその結果を踏まえまして今後の支援策の中にぜひ織り込んでまいりたいと思っておる次第でございます。  したがいまして、この産業会議のこれからの活躍あるいはいろいろな方への働きかけにつきましては、我々としては十二分に評価をし、また期待をしているところでございます。
  104. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございます。非常に高く評価をしていただき、また十八日に開かれる部分に関してもそのような受けとめをしていただくことを感謝を申し上げたいと思います。  あとはお願いでありますが、ぜひともにそのような位置づけで、きょう、今後の繊維産業及びその施策のあり方の中間報告が出る時期でもありますけれども、そういう中で高くこの大会も注目していただいているという部分でありますので、先ほどあえて過去にこういう人が出席したというのも申し上げました。通産省当局の御出席方についても、御来賓として御案内されているようであります。ぜひともに大臣局長、御出席をお願いしておきたい、私が主催するわけではありませんが、そのような意欲であれば当然そうかなというふうに感じました。  時間がほとんどありませんので、あと一点だけ。  最近、報道で非常にショッキングなニュースとして、大阪・日本橋の上新電機の経営トップの暴力団絡みのトラブルが報じられました。社長交代劇に関して暴力団にいろいろ頼んで金まで渡したということで、既に右翼、暴力団への金銭授与を理由に刑事罰を元社長ほかが受けたということは御承知のとおりだと思います。略式命令の不服申し立ても取り下げたということで確定をいたしております。また同時に、この問題をめぐる混乱の中で、従業員が会社側から、当時はその人が社長だったわけですから、不当な取り調べを受けるというふうなことで、幾つかの不当労働行為があったということで大阪地労委に労働組合は不当労働行為の救済の申し立ても起こしておられます。さらに、五月二十六日には昨年度の決算発表ということがありまして、同時にそういう不当労働行為にかなり関係すると思われる人が従来の慣行を破る形で新取締役候補として出てくるというふうな報道もされておりまして、一連の混乱というのは、一企業における経営をめぐる内紛でありますし、企業の私物化ということで非常に遺憾な事件だったと思いますが、これは報道でもやはり大きく取り上げられまして、企業トップの倫理が問われている、同時に「業界全体イメージダウン」という見出しの新聞報道もありました。「消費低迷に追い打ち」ということで、こういう電気、家電の量販店全体も非常な不況の中に追い打ちをかけてイメージダウンになったというふうな状況も巻き起こしております。  ここに勤める従業員のいわゆる会社での生活、個人生活も含めてという問題、それから企業の倫理の問題、それから暴力団が関与したというふうないわゆる暴力団新法との絡みにおける社会問題を含めていろいろな問題を惹起したわけですが、直接は関係がないと思うのですが、やはり企業が社会的に、あるいはその産業が社会的にきちっと役割を果たしていくというものが産業政策にとっては大前提だという部分で通産省も全く無縁であるとは私は思いません。  そういう部分で、今後の参考のために、通産省はこの件あるいはこういう種の件に関してどのようなお考え、コメントをお持ちなのか、あるいは方針をお持ちなのか、お聞かせいただければ幸いでございます。
  105. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま川端委員指摘のケースでございますが、一般論で申しまして、企業といえどもまた社会的な存在でございますので、事業活動が倫理的な観点から見ても健全に行われるべきである、そういうことが企業の事業活動に期待されているというふうに考えられると思います。  そういう観点から、通産省といたしましても、企業の事業の活動というものが一般的に健全に行われることを常々期待いたしておるわけでございます。  また、こういったことが当該企業の属する業界全体のイメージダウンにつながるというようなことに関しましては、現在大変不況の中で努力をしておられる他の経営者や従業員に与える心理的な影響ということを考えますと残念である、そういった角度から、こういった上新電機のケースというのは私どもとしてまことに遺憾に存じておる次第でございます。  ただ、個々の問題についての、例えば暴力団との関係、刑事罰の関係あるいは御指摘の不当労働行為の問題という点に関しましては、それぞれ個別のケースに応じて、警察庁あるいは労働省といったところで処理されるものと承知をいたしているところでございます。
  106. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。  終わります。
  107. 井上普方

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十二分散会