○
関政府委員 今
先生から
東京都の例を
伺いまして、私
どもも、
全国で多かれ少なかれそういう現象が出ていることを大変懸念をいたしておるところでございます。
実は、
アメリカとかヨーロッパにおきましては、今から二十年ぐらい前にやはり
企業数が非常に減って社会の活力に問題が生ずるのではないかという懸念が出まして、いろいろな
対策を講じたという例も我々は知っているわけでございます。
日本の場合には、これまで幸い非常に旺盛な開業が行われておりまして、そういった活力という
意味での心配はなかったわけでございますが、
先生御
指摘のように、最近におきましては開業率が恒常的に低下をしてきておりまして、一万廃業率は、景気動向等によって変わるわけでございますが、最近時点においては廃業率が開業率を上回る、すなわち
企業数が減ってくるという事態は、我が国
経済全体の活力という点からも極めて懸念されるところではなかろうかと思うわけでございます。
そこで、私もたびたびお答えを申し上げておるわけでございますが、しからば我が国の
企業家
精神でありますとかあるいは新たなマーケットニーズというものが減ってしまったのかというと、私はそうではないと考えておりまして、今、私から申し上げるまでもなく極めて内外の情勢が急激に変化している中で、新しい産業の課題というものも非常にたくさん出ていることが
指摘できるのではないかと思っております。私の知る限りでも、例えばこれから進みます高齢化社会でありますとか人手不足でありますとか女性の社会進出、そういった社会構造の変化に伴う新たなマーケット需要、あるいはまた
消費者の方の需要も、これまでの物を買うというところから
サービスでありますとか余暇、健康といったものに向かう需要に対する
対応、あるいはまた、これから九〇年代において相当華々しく展開されるであろうと見られます技術革新をシーズといたしました産業の発生、あるいはまた国際化でありますとか資源エネルギーの制約ということに関連して出てくる産業需要、こういった新たな産業の可能性、ニーズの発生というものは非常にたくさんあると思うわけでございます。
そこで、なぜ開業ができないかということでございますけれ
ども、私
どもの
中小企業白書でも分析をいたしておりますとおり、なぜできないかということにつきましてアンケート等いたしますと、先発
企業に比べて優秀な人材の確保が難しい、資金力が乏しい、あるいは設備でありますとか機械器具の調達が難しい、技術力、販売力がなかなかないといったようなことが先発
企業との間でいろいろ格差があって新たな開業がしにくいといった
状況にあるかと思うわけでございます。
そこで、私
ども、我が国の
経済の活力をまた取り戻し、また特に
地域におきましては小規模
企業は
地域経済の主役を担っていただいているわけでございますので、そういった中で新たな創業をお手伝いする施策もさまざまな形でとらせていただいておりますし、今回のこの
法律でお願いいたしておることにつきましても、新規開業ということについて非常に大きな
役割を果たすのではないかと考えております。前にも御紹介を申し上げましたけれ
ども、金融でありますとか信用補完等々で既に手を打っておりますが、今回の
法律に関連いたしまして、いろいろな新しい
事業を展開する場合に今申し上げましたような経営資源上の問題を解決する手がいろいろ打てるのではないか。また、この
法律とは直接
関係ございませんが、設備面の問題として、設備近代化資金でありますとか設備貸与制度につきまして今年度から創業枠というのも設けようということにいたしているわけでございます。そういった中でこの新しいいろいろな需要の変化、シーズの変化に対して新規
事業を始める環境づくりをさせていただきたいということでございます。
それで、今
先生のお尋ねの後の方の問題でございますが、今度は
地域という観点から見て、
商工会等が新たな基盤
施設等をなさる場合にそれが既存業者活性化型なのか、あるいは新規開業振興型なのかというようなお尋ねもございました。
私
ども、そのそれぞれがあり得るでございましょうし、またその混合型のものもあり得るのではないか。やはりそれぞれの
地域の実情に応じましてその
地域の
状況から最もいい形を選んでいただいて、それをまた
地域の
商工会や
商工会議所のメンバーの方が利用していただいて、先ほど最初から御
説明申し上げておりますような新規開業あるいは既存
事業の新たな発展といったような方向に新しい道を開かせていただければありがたいと思う次第でございます。