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1993-04-21 第126回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十一日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員   委員長 井上 普方君    理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君    理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君       甘利  明君    岩村卯一郎君       尾身 幸次君    奥田 幹生君       古賀 正浩君    田辺 広雄君       田原  隆君    中島洋次郎君       真鍋 光広君    増岡 博之君       増田 敏男君    宮里 松正君       森  英介君    柳本 卓治君       山本 有二君    有川 清次君       江田 五月君    大畠 章宏君       後藤  茂君    清水  勇君       鈴木  久君    中村 正男君       吉田 和子君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    長田 武士君       権藤 恒夫君    春田 重昭君       小沢 和秋君    川端 達夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君  出席政府委員         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 江崎  格君         房総務審議官         通商産業大臣官         房商務流通審議 細川  恒君         官         通商産業大臣官 石黒 正大君         房審議官         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         中小企業庁長官 関   收君         中小企業庁計画 桑原 茂樹君         部長         中小企業庁小規 井出 亜夫君         模企業部長  委員外出席者         大蔵大臣官房企 森本  学君         画官         大蔵省銀行局中 墳崎 敏之君         小金融課長         参  考  人         (日本商工会議 谷村 昭一君         所専務理事)         参  考  人         (全国商工会連 辛嶋 修郎君         合会専務理事)         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     宮里 松正君   谷川 和穗君     山本 有二君   村田 吉隆君     森  英介君   渡辺 秀央君     柳本 卓治君   清水  勇君     有川 清次君   武藤 山治君     中村 正男君   安田 修三君     渡辺 嘉藏君 同日  辞任         補欠選任   宮里 松正君     古賀 一成君   森  英介君     村田 吉隆君   柳本 卓治君     渡辺 秀央君   山本 有二君     谷川 和穗君   有川 清次君     清水  勇君   中村 正男君     武藤 山治君   渡辺 嘉藏君     安田 修三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  商工会及び商工会議所による小規模事業者の支  援に関する法律案内閣提出第二六号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  不正競争防止法案内閣提出第六七号)(参議  院送付)      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  本日は、参考人として日本商工会議所専務理事谷村昭一君及び全国商工会連合会専務理事辛嶋修郎君の御出席を願っております。  本日は、御多用のところ、ありがとうございます。  参考人各位におかれましては、委員質疑に対し、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木久君。
  3. 鈴木久

    鈴木(久)委員 法案審議に入ります前に、消費者問題で一言だけただしておきたいことがございますので、お許しいただいて質問をさせていただきます。  最近、継続的役務サービスの問題では、私ども法案の準備もいたしておりますけれども、そのトラブルや、いわゆる霊感商法問題で問題になったり、変額保険では、バブル崩壊後多額の負債を抱えて自殺者まで出るような状況があったり、あるいはまた資格商法ということで、この資格が取れますよというふうな問題で大変これも苦情が殺到いたしております。  もっと深刻なのは、多分あすあたり営業開始をするんだ、こんなふうに言われております、アメリカマルチ関係商法と言われるニュースキン日本営業を始める、こういうふうな話が伝わってきております。  そこで私は、これらの問題が、常に法の網をくぐって、あるいは法と法の間のすき間をうまく利用して消費者をだましたり、あるいはまた一獲千金を夢見る人々を抱え込んで大変あくどい商法をやったり、被害者を出したりしてきた歴史がございます。もちろんこれには訪問販売法とか各種の法案をつくって規制をしてまいりましたけれども、なかなか全体をきちっとするわけにいかない状態が続いておるわけです。最近、バブル崩壊して経済が低迷しているせいか、なおさらこういう商法がまた蔓延をしかねないという感じを強くいたしております。これは緊急に対応していただかなければならないために私は今ここで申し上げておるわけです。  その一つは、資格商法の問題でございます。  これは、何々の資格が取れますという、どちらかというと誤った宣伝内容を含めてパンフレット家庭に送って、後その業者は家庭電話をする、それで電話で予約をとる。これにはクーリングオフもありません。いわゆる訪問販売法で言うクーリングオフにもひっかからない。通信販売の範疇にも入らない。グレーゾーンなんです。これが今一番消費者被害が多いと言われて苦情が殺到いたしております。  この問題について、今後訪問販売法という法律通信販売に関するいろいろな規制を法的に加えるべきなのか、あるいはまた別な消費者教育という形で推進をすべきなのか、いろいろな議論があると思います。しかし、このまま放置しておくことは、これはもう限界がある、こんなふうに私は思っておりますので、このグレーゾーンの中で悪いことをしほうだいしている者、こういう者についてのいわゆるこれからの対応の仕方について端的に、これは商務流通審議官にお尋ねをしたいと思う。
  4. 細川恒

    細川政府委員 御質問電話によります資格商法の問題でございますが、御指摘のように、私どものところの消費者相談室で受け付けております電話によりますもろもろの商法の中で、御指摘資格商法でございますが、一番ウエートが大きいと考えております。  先ほどお話がございましたように、このようないわゆる資格商法をめぐりますトラブルでございますが、それは、民間の任意資格であるにもかかわりませず、近く国家資格になるとか、あるいは国家資格の取得が容易になるというようなことを言いましてトラブルが起こっているわけでございます。  年齢で見ますと、二十代から三十代の働き盛りの男性のサラリーマンからの相談事例が最も多く寄せられておるという状況にございまして、このような状況を踏まえまして、本年の三月には日本経営者団体連盟日本商工会議所に対しまして、傘下企業新入社員社員教育を行う際に、いわゆる資格商法につきまして改めて注意喚起を行うよう協力を要請したところでございます。  なお、電話によります取引規制そのものにつきましては、密室で直接対面をしている訪問販売とは違い、電話を切ることによりまして勧誘からの離脱が容易である、また、通信販売に比べますと、対話によって契約内容を確認することも可能である。さらに、通信技術の進歩によりまして、今日は御存じのように商行為通信に依存しておるという度合いも非常に多うございまして、契約締結方法が多様化しておるのが今日の社会でございます。こういうことで、規制そのものということをいきなり考えますのも、なかなかその影響が大きいとも考えられるものでございますから、慎重に今後検討しなければならないと思っております。  こういうことを踏まえまして、当省といたしましては、引き続き、消費者啓発消費者教育のほか、契約に関する情報の提供など、きめ細かな消費者相談に努めるということをやってまいりますが、加えまして、トラブル状況を見ながら、御指摘の点につきましてさらなる対策の充実を検討していきたいというふうに考えております。
  5. 鈴木久

    鈴木(久)委員 ぜひ私は、訪問販売法という法律でもどちらの法律でも規制できないような状況になっていることは事実でございますので、特にクーリングオフを含めて対応できるような方向というものを検討していただきたいということを要望しておきます。  それからもう一つ、いわゆるマルチまがいネズミ講に近いような形で、ニュースキン日本での営業という問題が今マスコミや何かでも大変問題になってきております。あすあたり開業するんだというような話もお伺いをいたしております。  これまで東京に、昨年の三月ごろだと思いますけれども支社を設けておりますけれども営業はしていない、開業もしていないという状態が続いてまいりました。この過程で、いわゆるニュースキン代理店と称して、秘密のクラブが半ば公然と行動を開始して販売員募集をしている、こういうことでございました。この会社は、アメリカでも何度かトラブルを起こして、実は訴訟問題を起こしている会社でございます。  私がいろいろなこの関係資料販売貝を集めている資料を見る限り、とてもこんなことはあり得ないだろう。トップレベルの人は月に大体九百万円くらいになる、こういう誇大広告、いわゆる収入面をオーバートークしてディストリビューターというか販売員を集めるという商法、そういう宣伝をして人を集めている。販売方法や、あるいは会員資格の問題、そういう行為規範の問題を含めて不明確なままです。会社の方は、おれの会社は知らぬ、こう言っておりますけれども、実際は公然と人集めをやっているという事実がございます。  これはまさに商行為からいってもどういうふうに扱っていいかわからない。通産省でも多分その点では頭の痛いところだとは思うのですけれども訪問販売協会に言っても、協会の方は、今の時点でこの問題について協会に入会を認めるなどということはとてもできないということをはっきりおっしゃっております。  ですから、今後どういう形でこういう問題が表面化してくるかよくわからないところがたくさんありますけれども、今手を打っておかなければならないことがたくさんあると思うのです。その辺のところで、通産省として、これまでニュースキン関係との触れ合いとか情報の収集とか今後の対応とか、そういうものについて幾つか恐らくやってこられたと思うのです。今後の対応を含めて、端的にお伺いをしておきたいと思います。
  6. 細川恒

    細川政府委員 御指摘米国企業ニュースキンでございますが、近く日本営業を開始する予定であることは私ども承知をいたしております。  この会社でございますが、最近二回にわたりまして当省を訪れておりまして、担当課からは、訪問販売法連鎖販売取引について説明をした上、仮にこれに該当することになった場合には、当然のことでございますが、広告勧誘行為書面交付等に係る同法の規制が適用されること、また、契約後十四日間のクーリングオフが認められなければならないこと、さらに、以上の規制に違反すると、業務停止命令や罰則が適用されることとなるなどの説明を行っております。  いずれにしても、組織の末端に至るまで法律を遵守し、消費者との間のトラブルが発生しないよう、また、発生した場合には速やかに解決するように指導を行ってきておるところでございます。当省としては、引き続きまして、関係省庁とも連絡をとりながら本件について注視をしていきたいというふうに考えております。  当省では、今月になりまして各通産局の消費者行政担当課長東京に招集いたしました際に、最近の消費者関連情報の交換の一環といたしまして、本件に関する報告を行っておりまして、改めて、ニュースキンに限らず、いわゆる紹介販売につきまして、訪問販売法の施行を担当とする都道府県を含めて、今後法の一層厳正な適用を指導したいというふうに考えております。  加えまして、この種の契約取引をめぐります消費者トラブルを防止するためには、その物やサービスが自分にとりまして本当に必要かどうか消費者みずから判断することが大切でございます。このために、従来から行っておりますところですが、テレビ、パンフレット、ビデオなどさまざまな手段を通じまして消費者啓発を行ってきておるわけでございますが、関係省庁協力も得まして、学校への消費生活専門家の派遣を初めとした消費者教育にも積極的に今後とも取り組んでいきたいというふうに考えております。  先ほど申し上げましたことに関連しますが、最近では、この三月に経団連及び商工会議所に対しまして、傘下企業新入社員教育を行う際には、いわゆるマルチ商法資格商法につきましても改めて注意を喚起するように要請を行ったところでございます。今後、契約をめぐる消費者トラブルを減少するよう法の厳正な運用と消費者啓発教育に努めてまいりたいと考えております。特に、御指摘ニュースキンにつきましては、その行動につきまして注視をしておるということを改めて申し上げておきたいと思います。
  7. 鈴木久

    鈴木(久)委員 同じような商法で既に十年間営業しているアムウェイというのがございます。この間、その内容についても私それなりに聞いてまいりましたけれども、ここの営業実績を見ても、一カ月に九百万円にもなるとかそんなことはあり得ないことだ。完全にもうおかしい。これまでのアムウェイ実績を見ると、その販売員の全体の三割ぐらいは収入が二十万以下です。トップレベルでは年間で二千六百万円くらいの人がいるという。これはもうその意味でいえば会社社長クラスだというふうに言っておりますので、まさに誇大宣伝での会員募集をしておると思いますので、しっかりとしたこれからの対応をしていただきたいということだけ申し上げておきます。  さて、法案審議に入らしていただきますけれども、最近のバブル崩壊あるいは最近は円高で追い打ちをかけるということで経済が低迷をいたしておりまして、そういう中で中小企業小規模事業者経営状況も大変厳しくなり、あるいはまた極めて深刻な雇用問題も含めて事態が進行いたしていると思います。しかし、日本のこの経済の中で果たす役割というのは極めて重大なだけに、中小企業小規模企業者を育成、振興する、こういう政策というのは極めて重要だというふうに私ども認識をいたしておりまして、本法がそういう意味でその役割を十分に果たすように、そういう意味で私はしっかりとした対策をしなければいけない、こんなふうに思っております。  今度の本法の中で商工会議所商工会基盤施設事業やいわゆる支援事業といいますか連携した事業を行う内容になってございます。同時に、新しくそういう直接事業をやるか、第三セクターでやるかは別にしまして、そういうものの債務保証商工会議所商工会連合会等でおやりになる、こういう新しい事業が入っておりますので、その役割は今までになく重要になってきている、こういうふうに思っております。  その意味で、きょう商工会議所あるいはまた商工会連合会から参考人でお見えいただきましたので、特に専門的な立場でございますので、私は、率直に御意見をいただきたい、こんなふうに思っております。  ただ、私は、日本商工会議所石川会頭さんに本来ここに参考人として来ていただきたいというお願いをしておりました。残念ながらきょうは会頭さんがお見えいただけませんでしたので、その点ではまことに残念だ、こういうふうに思っておる次第でございます。  商工会議所商工会連合会にお尋ねする前に、通産省にまず基本的な考え方をお伺いをいたしたいと思います。  商工会議所及び商工会運営原則は、法律で明確にうたわれております。これは営利団体ではない、そして、特定政党のために利用してはならない、まさに厳正中立商工会商工会議所運営というのはしなければいけないというのが法の精神であろうと思いますし、日常の運営もそうあるべきである、こういうふうに思っております。  実際、現在全国五百幾つかある商工会議所あるいは商工会の場合はもう本当に町村単位にもっと細かくありますので、そういうところで現在のその法の精神に基づいてしっかり運営をされているかどうかということが一つです。  もう一つは、今度、基盤施設事業や新事業を行うということになりますね。これは直接、間接含めて行うことになる。その場合に、いわゆる営利団体ではないという位置づけと矛盾するところがないのか、あるいは今後そこを来すことがないのか、ここのところをしっかりとまず御答弁をいただきたい。
  8. 関收

    関政府委員 先生指摘のとおりでございまして、商工会組織等に関する法律第六条の第一項におきまして、「商工会は、営利目的としてはならない。」また商工会議所法第四条第一項におきましても、「商工会議所等は、営利目的としてはならない。」、こういう規定がございます。私どもといたしましては、この規定に従い、商工会商工会議所営利目的とした事業を行っている事実があるとは承知していないところでございます。  そこで、「営利目的としてはならない。」営利とは何かということになるわけでございます。いろいろな考え方がございますけれども、通常言われておりますのは、利益の分配を行うことを目的とする行為、こう言われておるわけでございます。  ただし、商工会商工会議所におきましても、いろいろな施設使用でありますとかあるいは事務の代行等々の業務を行っておりまして、それらについて手数料を徴収することは認められておるわけでございます。これは営利目的としてはならないということとはまた別の次元の話かと思うわけでございます。  具体的には、商工会組織等に関する法律第十二条におきまして「商工会は、定款で定めるところにより、手数料及び使用料を徴収することができる。」と規定されておりますし、商工会議所法におきましても、第十四条におきまして「商工会議所は、定款の定めるところにより、使用料又は手数料を徴収することができる。」こうなっておるわけでございます。したがいまして、例えば今回の法律規定をいたしますいろいろな事業公益事業を行う場合に、手数料等を徴するということはございますけれども、そのこと自体は、先ほど申し上げました大原則でございます営利目的としてはならないという規定には反しないというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この法律が幸い御承認いただきました場合におきましても、この大原則が十分に守られますように私どもも指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 鈴木久

    鈴木(久)委員 後でこの施設事業とかなんかについては詳しくお尋ねしたいと思います。  もう一つ、「特定政党のために利用してはならない。」という規定がございますね。これは、実際これをどういうふうに解釈するのかという問題もいろいろあろうと思います。公務員法のように的確に、公務員がいろいろ政治活動に参加するごとにかなり厳しく規定をしておりますけれども、この場合に、しかし一つ法人として成り立っているそれぞれの会、商工会議所あるいは商工会、ここの役員をやっておる会頭さんとか会長さんとかいろいろございますね、こういう人々は少なからず法人としての顔だし、あるいは法人運営していく責任者である。こういう立場からいえば、特定政党特定選挙に、その選挙責任者になったり後援会会長さんになったりするのはいかがなものかなと、私は常日ごろずっと思ってまいりました。現実としてそういう問題が全国には幾つかありますね。幾つかありますと言うより、幾らでもあると言った方がいいかもしれない。そういうことは一体この商工会議所商工会の言っている精神との関係で、厳密にどうこうということは言えないのかもしれないけれども、どうも会頭とかそういう名前の上にそれをおやりになるとすれば、それはまことにこの精神に反するのではないか、こんな気もいたしておりますけれども、そういうことについてどんなふうにまず考えていらっしゃるか、お答えいただきたい。
  10. 森喜朗

    森国務大臣 商工会及び商工会議所は、現行の商工会組織等に関する法律第六条第三項及び商工会議所法第四条第三項におきまして、それぞれ「これを特定政党のために利用してはならない。」このようにされておりまして、商工会商工会議所には政治的中立性の確保が求められているわけでございます。したがいまして、通産省といたしましては、商工会及び商工会議所に対しまして、選挙ごと政治的中立の保持に努めるように通達をもって指導いたしております。  また、今御指摘ございましたように、選挙のときに商工会あるいは商工会議所役員の肩書では応援活動を行っている事実はないというふうに承知をいたしております。  商工会あるいは商工会議所におきまして、御指摘のような活動が実施されているような事実を承知はいたしておりませんけれども、仮にそのような事実があれば、実情に応じ、是正措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  11. 鈴木久

    鈴木(久)委員 大臣、それはそういうふうにおっしゃいますが、実際は、地域へ行ったら、商工会議所会頭さんとか商工会トップの方というのはその地域の中で経済界の一番リーダーですから、みんなわかっているわけですよ。そしてそれが、今言った例えば知事選挙であるとかあるいはそれぞれの選挙であるとかというときに、そういう後援会や選対の中に一番頭に名を連ねるということはたびたびございます。ですから、これは個人資格ですよ、こういうふうに言われても、とてもそういうふうには思えない現実幾つもあるということだけは、私は指摘をしておきたいと思っております。  きょうはそれぞれの専務さんお見えですから、それぞれの立場から、商工会議所運営あるいはまた商工会連合会運営運営原則を厳しく守って今日まで活動を続けている、そういうふうにそれぞれ自信を持っていらっしゃると思いますけれども、御見解を賜りたいと思います。
  12. 谷村昭一

    谷村参考人 商工会議所専務理事をいたしております谷村でございます。日ごろ、大変委員会先生方にはお世話になっておりまして、この機会に厚くお礼を申し上げたいと思います。  今御指摘の点でございますが、大臣がお答えになりましたように、我々の商工会議所は政治的にあくまで中立立場をとるべきものだと十分認識をいたしておりまして、組織として政治的な活動をするということは許されていないと存じております。  ただ、個人資格でいろいろ政治的な活動をされることは、これは別問題でございまして、これは許されておる、こういうふうに認識いたしておりまして、日本商工会議所それ自体といたしまして政治的な活動をしていることはもう一切ない、自信を持って申し上げたいと思っております。  以上でございます。
  13. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 全国商工会連合会専務理事辛嶋でございます。本日は発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  先ほど大臣答弁になりましたように、政治的中立につきましては、商工会に対しましても私ども常日ごろから指導しております。商工会、御承知のとおり地域の総合経済団体で、公益性の非常に高い団体でございますので、そのようなことがないように、毎度、一生懸命指導している次第でございますので、よろしくお願いいたします。
  14. 鈴木久

    鈴木(久)委員 では、商工会議所谷村専務に重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  私はきょう、先ほども申し上げましたけれども石川会頭さんにここにおいでいただきたい、こういうふうに思っておりました。でもおいでいただけませんでしたので、率直に申し上げたいと思います。  日商の会頭さんという重責と、ゼネコンのトップ企業である鹿島建設の会長さんという、それも代表権を持った会長という責任ある立場にいらっしゃいます。今回、佐川スキャンダルから金丸事件と言われるいわゆるやみ献金問題、裏金問題、こういう問題が大きくクローズアップをされて、政治腐敗問題が、まさに国民の政治信頼を大きく失って、現在国会の中でも国民に包囲されたような形で政治改革あるいはまた選挙制度の改革をも含めた抜本改革をしよう、しなければいけない、待ったなしの状況になっております。まさにその意味では、厳しい国民の批判が私どもに浴びせられているということを承知をしなければいけないと思っております。  この金権腐敗の構造的内容と言われている中に、いわゆる政界、官界、財界の癒着という言葉で表現をされますけれども、自民党の長期政権が続く過程の中で、金丸事件に象徴されるようにゼネコンを含むいわゆる建設業界からのやみ献金といいましょうか、裏金といいましょうか、そういうものが今度は本当に国民の前に明らかになりました。これは長い間こういうことが行われてきただろうというふうにも想定をできるわけでございまして、まさに最大の責任は政界にあると思います。私どもが厳しく戒めなければいかぬと思います。しかし同時に、ここと深くかかわってきたいわゆる建設業関係、ゼネコンの裏金という問題についても、これは厳しく問い直さなけれはならないことであろうというふうに思います。  しかし、正直申し上げまして、いまだにその真実、全容が解明されているとは思いません。これは政治資金規正法に違反しているばかりではなくて、いわゆるやみ献金と言われるものが一方では業界の中の使途不明金から出ている、こういうことも言われておりました。これが自主的に自民党を中心とする長期政権を支えてきた、水面下で行われてきたという事実も明らかであります。そういう意味からすると、この日商の会頭さんも、この問題が表面化をしたときに、いろいろなマスコミの報道の限りで言っても、進退問題を含めてかなり責任を感じていらっしゃるというふうに私は思っておりました。日経連やその他、同じ財界、経済界の中からも、進退も含めてかなり厳しい批判があったことも事実であります、  そういう意味で、一つは、商工会議所トップにいわゆるゼネコンの鹿島建設の会長である石川さんをいただいているという立場から、こうした事態をどういうふうに御認識をしていらっしやるか、専務さんに率直に御意見伺いたい。  同時に、私は正直申し上げまして、本日ここに石川会頭がお見えになっていただいて、自分が今考えていることについて述べてほしかったというふうに思います。どうしてきょうはお見えになれなかったのか、その事情も含めてお答えをいただければと思います。
  15. 谷村昭一

    谷村参考人 本日、会頭がお伺いして申し上げるべきことかもしれませんが、ちょうどきのうそういうお話がございましたが、日程の都合もございましたし、かつまた小規模事業対策を中心として御議論いただく委員会だということでございましたので、私がかわって出席させていただきました。  今御指摘の点は、会頭自身も大変悩み苦しんでおられると思いますが、去る四月十五日に開催いたしました日本商工会議所の正副会頭会議、それから常議員会、議員総会におきまして、私から出席されました全員に対しまして、ひとつフリーに御意見を言っていただきたいということを申し上げましたところ、出席の各位は、先ほど御指摘ございましたように大変経済環境が厳しい、特に中小企業が苦境に立っておるこの現状を踏まえて考えますと、今後とも会頭が全力を尽くしてその公的立場を踏まえて職務を全うしてほしいという意見が全員一致の意見として採択されたわけでございます。会頭も、そういう意見を謙虚に踏まえまして、日商会頭としての務めを引き続き果たすことが会頭に課せられた責務であるというお考えのもとに現在推移しておるところでございます。  私自身といたしましても、会頭が非常に苦しい立場におられますことは重々わかっておりますが、この厳しい環境下におきまして、ぜひ会頭に引き続きその公的職務を尽くしていただきたいと願っておるところでございます。
  16. 鈴木久

    鈴木(久)委員 いわゆる進退を含む人事問題については、それは直接日商さんでおやりになることだというふうに思います。それはその責任で考えるべきことだろうと思いますので、私どもがその問題をとやかく言うのは筋違いかもしれません。しかし、今この問題についてはまさに国民的な意味での厳しい御批判がある。それは同じ財界の中からもそういう問題提起がされている。  そういうことだけに、もう少し詳しくお尋ねをしたいのですけれども、これは四月四日の新聞でしょうか、かなりいろいろ進退問題がマスコミに出たときに、会頭から専務にこういう意思表示があったということで、全国商工会議所の皆さんの信託を受けた責任ある公的な立場であるので、今後とも全力を尽くしていきたいということを述べられて、それを受けた専務全国商工会議所会頭はおやめになりませんよという御通達をお流しになったそうでございますけれども、これは正式にこの段階で商工会議所として、会頭のそうしたいろいろな御批判がある問題について、何か進退問題についても含めた会議というのはおやりになられたのでしょうか。  それから、いずれこの問題は、政治資金規正法等法的問題を含めて今それぞれ取り調べをいたしている内容でもあろうと思います。そういう意味からすると、私ども直接これに抵触するかしないかということを言える立場ではありませんけれども、今度のいわゆるゼネコン全体がやった裏金問題というのは、だれが考えたって政治資金規正法以前の問題ですね。断じてやってはならないことでありまして、それはもう法に問われる以前の話だということで、道義的にも極めて大きな責任があるというふうに私は思えてならないのです。  日経連の方のそれぞれの立場の方々も、政治資金規正法などに抵触するのであればそれは当然進退問題だというふうな話まで飛び出しているようでございますけれども、そういう御批判に今後どのように、責任の所在、けじめというものを考えていらっしやるか。  これは自主的な意味での判断というのが一つと、もう一つは、法的にきちっとした見解が出る、こういう事態になった場合、一体どのように対応するおつもりなのか。これは会頭自身でありませんから、専務さんがお答えするというのは難しいことかもしれませんけれども、いずれにしても、それは組織の一番頭にいる人の問題でございますので、専務さんの立場から率直にお答えいただければと思います。
  17. 谷村昭一

    谷村参考人 今御指摘になりました私の名前のファクスを全国五百九ございます商工会議所あて発送いたしましたことは事実でございます。当時、新聞紙上でいろいろ取りざたされておりましたし、会頭の真意をお伺いして全国商工会議所会頭に事実関係を申し上げた、こういうことでございます。かつ、その前にも、東京商工会議所の常議員会等も開かれておりまして、各方面のいろいろな御意見会頭自身も十分お聞きの上お考えになったことと存じます。  今後の問題は、今お話しの点は、これは私は正直申しまして、商工会議所専務理事でございまして、鹿島建設とは全く無縁でございますので、これがいかなる進展を見るか、現段階で私から予測をすることは極めて不可能に近いと思っております。  商工会議所はあくまで法的に定められた極めて公的な性格の団体でございますので、そういう役割を十分踏まえて、専務理事といたしましては、今後会議所の運営には十分留意してまいりたいと存じております。
  18. 鈴木久

    鈴木(久)委員 お言葉をちょっと返すようになるかもしれませんけれども、日商の会頭さんという立場と、その立場におつきになる条件なんというのはおかしな話でしょうけれども、鹿島建設の会長、代表権を持つ会長であるということとの関係はかなり深いものがあると思いますね。そういう立場でなければ日商の会頭におつきになるということはないのじゃないかということを含めて考えますと、別な法人格だからいいというだけの問題ではないというふうに私は思っております。  ですから、この問題が具体的にさらに進展をしていく、こういうことになった場合は、当然国民の批判やそういうものにこたえなければならない立場にあるのじゃないか。先ほど申し上げましたけれども、特にいわゆるやみ献金とか裏金とかという問題が今の政治腐敗とどうかかわってきたのかということを考えますと、これはかなり重大なことなんです。商工会議所厳正中立運営をしていくということを冒頭御確認をいただいたこと、これからもそうしたいという決意を述べられましたけれども、そういうことを考えますと、どう見てもそれは、国民から見れば厳正中立なのかどうかということを含めて疑問に思わざるを得ないのじゃないだろうか、こんな気がしてなりません。  そういうことが一つと、もう一つ、時間がありませんので端的にお伺いしますけれども、今この重大な政治改革問題が議論になっている。財界の皆さん方も、政治改革は抜本的にしなければいけないという御意見を随分いただいております。これらについて、率直な御意見を含めて、もう一度専務から見解を賜りたいと思います。
  19. 谷村昭一

    谷村参考人 こういう席で恐縮でございますが、会頭は、私日ごろお仕えしている身でございますが、非常に公平無私なお方でございまして、少なくとも今まで商工会議所運営につきまして、鹿島との関連でどうこうということをされたことは全くないと思っております。今後とも、商工会議所会頭としての役割十分認識して御尽力いただけるものと信じておるところでございます。  同時に、今御指摘の政治改革の問題でございますが、これは財界のみならず、国民会員が政治改革を遂行していただくことを強く希望しておることは間違いない事実だと思いますが、現在、これは先生方十分国会内部で御議論をいただいておりまして、いろいろな案も出ておる段階でございます。私どもがその中身につきましてどうこう申し上げるというのはまことに僭越でございますので、この機会に政治改革を十分遂行していただくことをお願いをしておきたい、こう思うわけでございます。
  20. 鈴木久

    鈴木(久)委員 専務さんの立場からはそういうお答えになるのかもしれません。ここでこれ以上参考人とやりとりをしても解明できない問題がたくさんあると思いますけれども、私は最後に一点だけ申し上げておきたいと思います。  これはお伝えいただくことも含めて申し上げておきたいのですけれども、公的な立場にあればあるほど、今日批判されているような事態がこれから、私はいずれ明らかになるものと思っておりますので、その意味では、これからやる事業の問題、ますます商工会議所商工会連合会役割が大事になってきているときだけに、まさに厳正中立、批判を受けないようなそういう立場商工会全体が運営をしていくとすれば、そういう意味でのトップの責任は極めて重大だ、こういうふうに思いますので、私は今後の推移をこれからも見守っていきたい、こういうふうに思っておりますので、信頼されるような商工会議所運営というものがだれから見ても行われている、こういうふうになるように、私は強く要望しておきたいと思っております。  辛嶋参考人さんにも:言お尋ねをいたしますけれども、これは法案の中身の問題でございますけれども、今度の小規模事業者支援法律を具体的に実行していく場合に、私は、どうもこういうことを言うと大変口幅ったい話でございますけれども地域商工会のところを歩いておりますと、専従の事務局長さんもおらぬ、あるいはまた職員の体制も不十分だという商工会はたくさんございますね。この間、通産省もそういうところを強化をしようということでいろいろな対策を考えておりますけれども、特に強いのは、事務局長専従をしてほしいという願いが私どもの耳にも届いております。今回、この法律をそれぞれ実施をし、あるいはそういう具体的な事業をやるためのノウハウを蓄えていったりするために、どうしてもそういう体制の確立というものが大事だと思うのですけれども、連合会の立場から現在どのような考え方を持っていらっしゃるか、率直にお尋ねをしたいと思います。
  21. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 先生指摘のように、商工会地区は、商工業者が約百七十万なんですけれども、そのうち百五十万、約九割が小規模事業者でございまして、そういう意味では、非常に先生御心配のとおりだと思います。そのために、商工会には経営指導員やあるいは事務局長というのを置いて一生懸命地域振興あるいは経営指導に当たっておるわけでございますが、今般の施策につきましては、事務局長につきましては、現在のところ二千八百ある商工会のうち、今年度中ぐらいに約千八百ぐらいできますし、これがことしは二百カ所ぐらいずつ事務局長が増設されておりますので、このベースでいきますと、事務局長は五年ぐらいたては全部配置されるのではないかというふうに確信しておりますし、また、こういう施設づくりをやる場合は、地元のコンセンサスづくりが非常に重要でございまして、そのためにも地域振興支援づくり、地域振興プログラムというものを作成するために一カ所二百万円の予算をこのたび新しくお認めいただいておりますので、そういうものを活用しながら地域づくりをやっていきたい、こう思っております。
  22. 鈴木久

    鈴木(久)委員 今参考人の方からもお話がございましたけれども、これは通産省の方でことしも大分努力をされましたけれども、今後その商工会の事務局長専従というふうなことを含めた体制確立のためにどういう考え方を、計画といいましょうか、計画をお持ちなのか、端的にお示しいただきたい。
  23. 井出正一

    井出政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘のように、商工会における事務局長の存在というのは大変重要な存在であると認識をしておりまして、私どもは今年度と同じように来年度以降も事務局長の数をもっともっとふやし、できれば各地の商工会議所商工会すべてに事務局長が配置されるような、そういう努力をしてまいりたいと考えております。
  24. 鈴木久

    鈴木(久)委員 次に、基盤施設事業支援事業の具体的なお話で御質問申し上げますけれども、この実施主体は、直接おやりになる場合と第三セクターのような形でやるんだ、こんな話を承っております。この経営責任といいましょうか、そういう問題を具体的に、特に基盤施設事業の場合の経営責任というのはいずれ問題になってくると思うのですね。それで、これが赤字経営になったり、あるいは倒産をするというふうなことなども考えられないことはないという場合の、債務保証もあるからいいんだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、その体制というのは十分にとってあるのかどうかということを端的にお尋ねをしたいと思います。
  25. 井出正一

    井出政府委員 基盤施設事業の実施に当たりましては、まずその事業としての適格性というものが非常に大きなポイントになろうかと思います。同時に、事業の適格性と同時に事業としての確実性というものもまた十分チェックをしなければならないのではないかというふうに考えております。  先生指摘のように、その実施主体につきましては、商工会商工会議所みずからが行う場合と、あるいは場合に応じてそれをより的確に実施するためには、商工会商工会議所以外の会社でございますとか、あるいは公益法人というところにおいて事業実施をするという場合と両方あろうかと思いますけれども、どちらの形態をとるかというのにつきましては、事業計画の段階で十分ふさわしい形態をとっていただきたいと考えております。  それからまた、特に商工会商工会議所がみずから行う場合というのにつきましては、商工会商工会議所事業に対しまして、日本商工会議所あるいは全国商工会連合会が保証を行うというふうな体制をとってまいりたいと考えております。  それから、会社、公益法人等が行う場合については特別にそういう保証の規定はございませんけれども、他の同類のこの種の事業が行われる場合にリスクが十分に背負えるかどうか、あるいは連帯保証という形でさまざまな保証形態をチェックをしていきたいと考えております。
  26. 鈴木久

    鈴木(久)委員 私の地元の市は日本一広いいわき市というところなんですけれども、ここには、商工会議所はもちろん中心的な役割を担っていただいております。その周りに実は商工会がたくさんございます。昔の旧市町村の市でも商工会のところがあったり、もちろん昔の村のようなところも、十四市町村が合併したものですから、まさにそれで一つの行政区になってございます。こういうことを考えていきますと、今後いろいろな事業を行う場合、問題が起きるかなという心配をいたします。というのは、商工会議所がやっている地域は大体町の中心地域を区域としてございます。どちらかというと小規模事業者商工会議所に入ってございません。ほとんどなどと言うと怒られますけれども、入っていない人の方がかなり多いと言った方がいいと思います。逆に、周辺部の商工会があるところは小規模事業者がほとんど会員であるという形になっております。こういう事業をやる場合、商工会がおやりになる場合であっても、商工会議所がおやりになる場合であっても、あまねくそこの地域にいる小規模事業者がそれなりに公平に、こういう事業が行われてその恩恵を受けるということが大事ですね。  そこで、商工会の中でも力の差がある。商工会議所関係ではかなり違う。こんなに違う。そして、私どものような田舎の地方は本社がない、本社は東京にあって工場があるというところは我々の地域にはたくさんあるのです。そういうところは商工会議所にも入っておらない、しかしそういう工場や会社はその地域の中心なんですね。こういう問題が出てまいります。そうすると、会員ではないということを考えますと、全体の視野でこの事業を見ることはなかなか難しい、商工会単位、商工会議所単位で物を見ると。私は、むしろそういう意味では、この事業は市町村がやった方が小規模事業者全体をちゃんと見てやれるんじゃないかと正直言って思っているのです。しかし、もう法案が提案されている以上、それはできない仕事かもしれない。しかし、だからなおかつ私が申し上げたいのは、そういう力の差があったり問題があったりすることを埋め合わせるだけの努力を今後しっかりやれるのかということについて、保証できるような体制があるかどうか、これはしっかり御答弁いただきたいと思います。
  27. 井出正一

    井出政府委員 御指摘いただきましたような小さな商工会あるいは隣接する商工会議所商工会との間にうまい連携がとれるかどうかということにつきましては、本件基盤施設事業を実施するに当たりまして、既に策定されております地方公共団体等が行いました地域振興の計画づくりとか、あるいはまた、今年度から予算上の手当てをいただいておりますビジョンづくりとかというふうなものを十分に踏まえまして、地域の合意が形成され、基盤施設事業地域全体から祝福されて実施できるような体制を十分に考えてまいりたいと思います。同時にまた、これは一つ商工会だけではなくて、隣接する商工会が共同して事業を行うというふうなことも場合によっては必要になってくるのかなと考えております。  いずれにしましても、この種の点につきましては、今回の御提案申し上げている法律の中に定められました基本指針でも、中小企業近代化審議会の御意見等も伺いつつ、そういう点に十分な配慮を、目の行き届きができるようにいたすとともに、また具体的に認定の段階でも、これは通産大臣が認定をするというふうになっておりますけれども、委任の段階で都道府県知事にお願いすることを考えておりまして、そういう認定の段階でもそういう点が十分確保できているかどうかというものを認定のチェックポイントにもしていただきたいと考えております。
  28. 鈴木久

    鈴木(久)委員 時間があと二、三分しかありませんので、中小企業信用補完制度といいましょうか、この保証制度の問題について端的に三点ほどお尋ねいたしたいと存じます。  今度、それぞれの分野で貸付限度額を引き上げることになりました。その最大の理由は何かというのが一つでございます。  それからもう一つは、これは大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、保険公庫にしても、都道府県レベルの保証協会にしても、運営基盤は大変脆弱でございます。そして、特にこの間の景気低迷の中で代位弁済も大分多くなったし、あるいはまた貸し付けもどんどんふえてきている。こういう状況で、必要なことは、国レベルで言えば公庫に対して資金を出すということ、都道府県レベルで言えば協会に対する出損金を強化をしていただかなければこれはなかなか運営が難しくなるのじゃないか、こんな気がいたしております。いわゆる今後のそういう助成に対する考え方。  三点目は、信用保証制度そのものの意義が、民間の金融機関その他でなかなか保証していただけない、だから保証制度をつくって中小企業や小規模企業が借りやすい条件をつくるという意味での役割は極めて重要です。その意味で、今後小規模の事業者などが借りやすくなる条件を整える意味でも、この保証制度のあり方は、柔軟に運営をしてほしいというのが事業者のかなり強い要望です。しゃくし定規に全部切られたのでは、とてもじゃないが金融機関と同じじゃないかという意見も強いのです。実際はそれを救済する意味の信用保証制度でございますので、その辺を補完する役割を忘れないできちっとしていただきたいということ、そういう決意を含めてお尋ねしたいと思います
  29. 森喜朗

    森国務大臣 政府といたしましては、信用補完制度の円滑な実施を進めてまいりますために、中小企業信用保険公庫に対しまして毎年出資を行いますとともに、信用保証協会の経営基盤の強化を図るために、都道府県等に出捐の呼び水になりますように信用保証協会基金補助金を毎年交付をしているのは御承知のとおりだと思います。  この五年度の予算におきましても、中小企業信用保険公庫に対しまして出資を百九十五億円確保いたしております。信用保証協会基金補助金につきましても二十七億円を措置をいたしております。さらに、この十三日に決定されました総合的な経済対策におきましても、信用保証協会の保証つき融資を拡大するなどのために、中小企業信用保険公庫への出資を行うことも予定をいたしております。  今後とも、今委員から御指摘がございましたように、そうした心配がないように、中小企業信用保険公庫、信用保証協会の経営基盤の強化を図ってまいりたい、このように考えております。  なお、残余のことにつきましては、中小企業のいわゆる金融の実態を見ておられますので、事務当局からお答えをさせていただきます。
  30. 関收

    関政府委員 先生お尋ねの三点のうち、第二点は今大臣から御答弁申し上げました。第一点と第三点についてお答え申し上げたいと思います。  今回の引き上げの理由でございますけれども、実は、前回昭和六十三年度に引き上げをいたしました。それから五年間を経過いたしまして実際に保証の状況を見てまいりますと、上限に張りついている企業の割合がだんだんふえてきておりまして、そろそろ限度を引き上げなければいけないかなという時代になったというのが一つでございます。第二点は、それらをも踏まえまして中小企業の方々から、限度の引き上げについての要望も大変強くなっておるわけでございます。第三点は、最近の景気低迷下で中小企業の方々の信用力、担保力が低下するという事態からこういった信用保証につきましての制度の充実が必要である。こういったような考え方からお願いをいたしておるものでございまして、普通保険につきましては一億二千万から二億といったような形、それから無担保保険につきましては千五百万円から二千万円、特別小口保険につきましては四百五十万円から五百万円に引き上げるという形で、現下の中小企業の皆様の御要望にこたえ得る内容になっているのではないかと考えておるところでございます。  それから第三点でございますけれども、保証協会業務中小企業の信用力、担保力を補完するということによりまして金融機関からの資金調達の円滑化を図ることが目的でございまして、あくまでも中小企業の方々の立場に立った運用に心がけるべきことは先生の御指摘のとおりだと思っております。最近におきます景気の状況にかんがみまして、私どもでは昨年の三月未に緊急経済対策が策定されました際に、一つ中小企業の皆さんの業種別、地域別の実態に十分配慮しつつ適時適切な保証を行うこと、また担保の徴求に当たっても経営の実情に応じ弾力的に行うよう、信用保証協会に対し通達を行いました。また昨年の暮れ、十一月末にも同様の通達を出しまして、その徹底を図ったところでございます。各保証協会におきましては、この通達を受けまして先ほど申し上げましたような精神でやっていただいておると思いますけれども、今後とも職員の一人一人の方々がこのような精神中小企業の置かれた厳しい状況を認識しまして、中小企業立場に立ったきめ細かな保証業務を行いますように、引き続き指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 鈴木久

    鈴木(久)委員 どうもありがとうございました。
  32. 井上普方

    井上委員長 清水勇君。
  33. 清水勇

    清水委員 両法案の中身に入る前に、一週間前でしたか、政府が策定をした新総合経済対策、その中身は両法案で提案をしている施策の趣旨と不可分の内容を持っている、こういうふうに見ておりますので、初めにその点に触れて若干所感を述べながらお尋ねをしてまいりたい、こう思います。  率直に言って月例報告などでは景況に明るい兆しが見えている、時間がありませんから一々数字は私の方から挙げません。しかし、問題はGNPの大宗を占める個人消費あるいは設備投費が御承知のように依然として冷え切っている。ですからこのままでは、政府はさきに決まった予算は最善のものであると胸を張って述べておられるわけでありますけれども、とても三・三%などという実質成長はおぼつかない。  実は予算編成の段階あるいはことしに入って予算審議の過程で、どうも政府の景気の見方は甘いのではないか、こういうことを指摘をしながら我々は、例えば景気刺激、とりわけ消費マインドを刺激をし消費を起こすという意味で大きなかぎを握っている所得税減税など四兆円規模の予算修正を求めたわけであります。どうも野党から言われてこれを取り入れるということは政府のこけんにかかわる、そんな気持ちがあったかないかそれはわかりませんが、そういうつまらないメンツにこだわって結局原案どおり予算を通す、通してはみたけれども依然として申し上げたような深刻な冷え込みが続いている、そこでこの際十三兆円規模の景気対策を追加をせざるを得ない、こういうはめになったのではないかというふうに見ているわけであります。しかし、静かに考えてみますと、通常国会中に補正を組むなどという前例は私の記憶ではない、ある意味で政府の景気対策についての不見識というものを立証したような格好なのではないのか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。その辺について、経済閣僚の雄たる森通産大臣の所信をまず承っておきたいと思います。
  34. 森喜朗

    森国務大臣 清水委員の率直な御意見も踏まえての御質問になるわけでございます。  当初予算を審議をしております。その中で、予算委員会の審議中にもう既に追加的な景気対策を次にまとめなければならぬというのは、確かに異例なことかもしれません。そういう意味では、清水さん先ほどおっしゃいましたように、野党からいうと与党はメンツがあるだろう、こうおっしゃいましたが、そういうメンツとかそういうことではなくて、やはり実体経済というものをよく見て経済対策、景気対策を打っていかなければならぬという、非常に素直なまじめな自由民主党政府の態度だった、私はこう思っております。また、そのために二十二年ぶりに年度内に予算が成立したということは、これはまさに与野党ともにこの景気に対して深刻に議論をし、そして現況を受けとめていたそのあらわれだろうと思います。私がアメリカに先般参りましたときも、向こうの閣僚なども、年度内に成立したそうですねということについては大変やはり評価をしておられました。ということは、日本の国会のあり方、そういう面から見ましても、単に予算を修正すれば、修正しただけまた時間がかかったり、またいろいろな手続になってくるわけですから、まずは年度内に予算を通していただくということがやはり大事だったと思いまして、そういう意味で社会党初め野党の皆さんの御協力、御見識に心から敬意を表して感謝も申し上げたい、私はこう思っているところでございます。  さてそこで、これは予算委員会やこの商工委員会でも何回も議論が出ましたが、確かにGNPの七割以上を占めるというふうにおっしゃいました個人消費、設備投資が冷え込んでいる。それに対して、即効性があるのは確かに所得税減税という御意見はございましたし、これは与野党ともにいろいろな意見がございますし、きょうお見えの財界なども経済団体なども、そういう声もあったことも承知をいたしておりますが、今委員からおっしゃいましたように四兆円というような話になってまいりますと、やはり財源をどうするんですかということになる。赤字国債を出してもやれという意見、これは与野党にもございます。両方ともその中にはやはり反対の意見もございます。そういうことを考えますと、むしろこの景気動向を見てまいりますと、やはり消費マインドが動く、あるいは民間が生々はつらつと、企業が営みを動かしてくれるということがやはり大事でございますので、まあどちらが効果があるかということで、今回の新たな、従来の公共事業にプラスしてもっと幅広くいろいろなところに波及するような、そういう景気対策を踏まえた、新しい社会資本の整備という立場でこうした予算措置をしたものでございますし、もう一つ、柱はやはり貿易のインバランスをどうしても解消しなきゃなりませんので、外国の製品が日本に輸出がしやすい、日本からいえば輸入がしやすい、そういう市場といいましょうかマーケティングのチャンス、ビジネスのチャンスをつくり上げていくということがやはり大きな柱。それからもう一つは、今いろいろと、きょう御審議もいただいておりますように、中小企業に対して思い切った措置をしていこうという、この三つの柱でこの景気対策を組ませていただいたわけでございます。  ただ、確かにおっしゃるとおり、やはり決め手は所得税減税じゃないだろうかというお気持ちは私にも理解はできますが、そうなればやはり財源の問題ということになってまいりますから、この点につきましては、今与野党間におきまして、今会期中に引き続き協議を続けていくということで了解されているというふうに伺っておりますので、その推移を見守ってまいりたい、こう考えております。
  35. 清水勇

    清水委員 今大臣は素直な気持ちで云々という言葉を述べておられるわけですが、実は素直な方は野党側でありまして、いみじくも二十二年ぶりと今述べておられるように、この深刻な不況にどう対応するか、そういう意味で思い切った決断をして予算の年度内成立にいわば賛意を表する、こういう態度をとったことは記憶にとどめておいていただきたい、こう思います。  さてそこで、今度の対策、十三兆円規模、これを通していわゆる経済成長を二・六%押し上げる効果があるというような見方を政府はされておる。しかし御承知のように、民間の調査機関、多くのエコノミストあるいは平素自民党を支持する立場にある各業界、一々申し上げません、期せずして一致していることは、今度の対策に所得税減税が盛り込まれていないことはまさに画竜点睛を欠く、こういう指摘をされている。民間調査機関のごときは、政府は二・六%と言っているけれども、恐らくは実質で一%程度のプラス要因にしかならないのじゃないか、到底三・三%は無理であって、今年度実質成長二%そこそこにとどまりはしないか、こう言っているわけですね。  そういうことを思うと、例えば平成四年度についても大幅な下方修正をして一・六%、しかし今や一%すらあるいは割り込みやしないか、こういうことが懸念されているのです。そういうことをも思い合わせると、やはりこの際は消費マインドを刺激をし、個人消費を喚起をする、こういう政策を選択しなければ、例えば金融対策を緩和をして設備投資を促そうとしても、物が売れないところに設備投資が起こるわけがない。  したがって私は、くどいようですけれども、単に見守るなどというような消極的な姿勢ではなしに、大臣も責任ある経済閣僚としてこの深刻な事態をどうするかという立場に立って、所得税減税等についても閣議等で思い切った所信を披瀝をしてもらいたい。どうもここまで来ると、所得税減税は必要かなと思うこともございますなんて、そんな後ろ向きのことを言っているのじゃなしに、私はそうやるべきではないか。まあ大臣の所信なり、経企庁からもおいででありましょうから、見解を承っておきたい、こう思います。
  36. 森喜朗

    森国務大臣 経企庁がお答えをする前に私から……。  素直に、積極的にという、これはまた清水さんの私に対するお励ましたと、こう思って大変恐縮をしております。私はかなり積極的でございまして、昨年私が党の政調会長をいたしておりましたときは、どうしても必要なことであるなら赤字国債を仮に発行してでも所得税減税をやらなきゃならぬ、それは一つの政治決断だ、私はそう申し上げてきたのです。もちろん今はこっちの政府の立場におりますから、その税の問題についての判断というのは私の所管ではないわけでございますが、ですからこそ、普通でございましたら野党の皆さんにおしかりをいただいたようなことを、予算委員会の審議の中でも、先ほど清水さんがおっしゃいましたように、まだ審議しているのに次の追加的な景気対策をやらなきゃいかぬよということを私が言い出しておるわけです。あるいは、従来の公共事業型ではいかぬということも私が言い出したわけです。  それはやはり絶えず、今おっしゃったように、経済官庁としての通産省は特に日本の産業というものを、企業というものを十分に見ていかなきゃならぬということで、在庫調整というのがどうもはかばかしくないとか、あるいは鉱工業生産指数もよくないとか、そういうような数字から、もっと波及的な効果があるものをということで実はこの新しい社会資本などを中心にした事業を党にお願いをしてまとめていただいたものでございまして、私はどちらかといえば極めて積極的な対応をとっておるつもりでございます。  ただ、減税につきましても、そういうお気持ちはよくわかっておりますが、先ほど申し上げましたように、これは与野党間の協議ということでございますから、それを見守るということは決して私は後ろ向きなことではないわけでありまして、そういう必要に応じたという、与野党間で十二分にその御議論をしていただきたいし、そのことがまとまる前に、景気が動いているわけでありますから、やはりそれを補完的にきちっきちっと手を打っておくことが必要だろう、こう思っております。  したがって、今回の新しい景気対策についてもできるだけ早く補正予算を組んで、そして国会でお願いをしていただきたいということも党の関係者にも今申し上げ、予算委員長にも昨日私お目にかかってお願いを申し上げているところでございます。  あとの見通しについては経企庁から……。
  37. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま清水先生から御指摘を賜りましたように、景気の見方という点につきまして御批判ありといたしますと、私どもそこは謙虚に受けとめていかなければならない、このように率直に思っていることをまず申し述べたいと思います。  既に、現在一部には回復の兆し、このような動きも見られるところでございますけれども、何分にも今回の景気の後退は、循環的な要因のほかにバブル崩壊に伴います影響というものがございまして、御指摘のように依然として低迷している、いまだ予断を許さない状況にあることは私どもそのように認識をいたしております。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕  そういう中にありまして、御指摘がございましたように、個人消費なりあるいは民間設備投資の落ち込みということがございまして、これは通産大臣からもお答えがございましたように内需の大宗を占めるわけでございますけれども、その自律回復力というものが弱いということがあろうかと思います。そういう点に着目をしながら、昨年の二回にわたる対策あるいは今般の新たな対策というものが講ぜられてきた、このように理解をしているところでございます。  こういう中にありまして、公共投資に加えまして既に回復の動きがございます住宅投資が相まちまして、これらが景気を支えながら、さらには年度後半に入ってまいりますと、個人消費なり設備投資も回復に向かってまいりまして、次第に持続可能な成長経路へと移行していくものと私ども考えているところでございまして、政府見通しでお示しをいたしております三・三%、このような実質成長率につきましても達成可能なものではないか、このように考えているところでございます。  特に、消費について御指摘をいただいたわけでございますけれども、特に昨年度を中心といたします消費の低迷は、一つには時間外手当の減少に伴います所得の低下と、いま一つは所得の中からどれだけ消費に振り向けるかという消費性向の低下ということがあった、このように思うわけでありますけれども、平成五年度を展望いたしますと、徐々に所定外労働時間の下げどまりという状況が生まれ、やがてこれが所定外労働の増加に結びつくというような所得面の要因、それから消費性向という面からいたしましても、株式市場の動向等を見ましても逆資産効果の影響というものが次第に薄れていくということでございますとか、あるいは長期にわたります家計部門のストック調整も徐々に緩んでいくということでありますとか、あるいは消費者のマインドも次第に好転をしていくことが考えられるということで、そういうことからいたしますと、個人消費の足を引っ張っておりました要因というものが徐々に解消していく、このように思われるわけでございます。そういう中にありまして、所得税減税の問題についての御指摘を賜ったわけでありますが、この点につきましては通産大臣からただいま御答弁があったとおりと考えております。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 清水勇

    清水委員 あわせてこの機会にちょっと大臣に、時間の関係もありますから、簡単に聞きますから簡単に所信を述べてほしいと思うのですが、今度の対策の目玉はいわゆる新社会資本整備にある。ところが、あの対策というものを細かく吟味してみますと、ほかの各項については数字を挙げ具体的な事業規模なども設定をしている。ところが、いわゆる新社会資本整備というくだりになりますと、教育、研究施設であるとか医療、福祉施設であるとか、これを整備をする、コンピューター等を導入してソフトの面に力を入れようというような文言は踊っているけれども、では具体的にこのくらいの規模でこうするというようなものが実像というか姿としてはっきり映ってこない。ですから、この点は各省庁との連係プレーもあるのでしょうから、通産大臣だけが言えるかどうかわかりませんけれども、どういうことであるのか。  それからいま一つは、従来の景気対策というと土木を中心としたいわばハード型の公共事業が中心である。しかし、今度この新社会資本整備なるものに着目をしたという意味は、従来のハード型を転換するというようなそういう発想もあるのかな、結構なことだな、こう思っているわけでありますが、その辺はどうなのか。  加えて、今回限りの一過性のものでは非常に意味が薄いわけですから、これが来年度予算に連動をされるのかどうか。  またもう一つは、今度の対策の展開を通じて、対策ということは新社会資本整備という点で聞いているわけですけれども、要するに、どれほど中小企業対策という面で波及効果が期待できるのか、期待しているのか。この辺、できればかいつまんでお答えをいただきたい。
  39. 森喜朗

    森国務大臣 かいつまんで申し上げますにはちょっと項目が多過ぎて、お許しをいただきたいのでありますが、いわゆる新社会資本という言葉につきましては、これは厳格な定義がまだございません。そこで、御承知のように、この予算を、予算といいますか景気対策をまとめましたときには、党の方は新しい社会資本ときちっと書いてございますが、政府の方はいろいろな意見もございますし、各省またさまざまな、端的に言えば、この考え方がいけそうだということになりますとどんどん入ってきますとかいろいろありまして、これを新しい社会資本と位置づけられるのかなという意見もあったものですから、そういう意味では、これは経企庁が社会資本の新たな展開というようにしていただきました。そういう意味で、具体的な数字、どこにどれだけ入ったのかということを申し上げることはなかなか困難でございますが、全体の中にそうした思想、考え方を織り込んであるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思うのです。今回の対策の中で独立した項目を設けた上で社会資本整備に関する新たな考え方を示されたということは大変大きな意味がある、このように考えております。  それからまた、従来から整備を進めるべきであったという主張をしてまいりました研究開発施設や文教施設あるいは医療、福祉関係施設の整備につきましては、前回の対策の二倍になっておりますので、これが五千五百億から一兆一千五百億円という規模に確保されておりますし、特に自治省が大変努力をしてくれまして、地方単独事業にこの種のものが随分織り込まれておりますので、これもお調べいただけば、また別に資料をお持ちしてもいいぐらい、よく村田自治大臣の方で配慮をしていただいたわけでございます。そんな意味でございまして、まずこの額を具体的に明示はできませんでしたけれども、今回の公共事業というのはかなりこの種のものが多く含まれている、このように御理解をいただきたいと思います。  そこで、それじゃ公共が少し土木からこっちへ変わるのか、シフトが変わるのかということのお尋ねでございますが、確かに従来はどちらかといいますと施設が一で土木の方が六か七というような数字は大体ずっと見ておりますとそうなっておりますが、これは一つには、私が言うべきことじゃないのでしょうけれども、どうしてもやはり施設の方に金を回しますと、公共ですから、そうすれば人も人件費もかかる、あるいはそれに伴う設備が要る、そのためのまた経費がかかるということで、どちらかというと確かにそこについては消極的だったと私は思います。しかし、だからこそそれをやることが景気がすそ野の広い幅広い分野に及ぶということでございますから、今回はそこにウエートを置いたわけですが、今後これを変えるのかということの議論というのはまだ起きているわけではございませんし、まだまだ道路、港湾その他基盤整備等々、公共土木でやらなければならぬ仕事はたくさんあるわけでございますから、これはこれからのまた論議でしょうが、道路などは既に五カ年計画ということで定められておるわけでございますから、そこからとってきてほかへ持っていくということの考え方は私はないだろうと思います。  さて、それでは次、来年はどうなのかということであります。これは、新しい社会資本整備をするということは、景気回復ということもございますが、もう一つはやはり生活大国を実現していくということ、それから世の中の変化に、さまざまな変化がありますから、それに対応して社会資本を整えていくということでございますから、清水先生にも随分御苦労いただき、お手伝いをいただいております。例えば新幹線なんというのも、私は本来は、道路が公共でできるのなら電車を走らせる道が何で公共じゃないのかな、こういう議論が出てくるわけでありますから、こういうことも含めて、これは井出さんも御関心があるし山本さんも大変御関心のあるテーマでありますから、私はこういうことは大いに与野党で論議をしていただきたいな、これは政府の立場で言うべきじゃないのでしょうけれども、整備新幹線促進議員連盟会長という立場もございますから、そんなことも私は、日本の新しい社会資本というものを十分考えていく、そういう場を設けていかなければならぬだろうな、こう思っているわけでございまして、またぜひいろいろな意味で御指導を賜りたい、こう考えております。
  40. 清水勇

    清水委員 だんだん時間がなくなってまいりましたから、少し本題に入っていきたいと思うのですが、その前に、今言われた自治省関係とか文部省関係資料がありましたら届けてくれるようにお願いをいたします。  さて、今度の法案による施策を通じ、あるいは対策を通じて、深刻な資金繰りにあえいでいる中小企業、その信用保証の弾力化を図る、このことはかねて我が党が政府に対しそうすべきであるということを訴えてきた経過から見て、おおむねその内容を評価したいという気持ちでございます。  そこで、大蔵省来ていますか。——きょう大蔵委員会があるので銀行局長なり審議官が来れないという話がありましたからやむを得ませんが、実は保証つきの融資というものは、第一にリスクがない、いわゆるコストもかからない、だから当然のこととして保証つき融資についての金利というものは引き下げられて当たり前とだれもが思っているわけでありますが、都銀、地銀、信金等々見てくると、特に都銀あたりに問題を感ぜざるを得ないわけですけれども、私の見ているところでは、せいぜい〇・三%程度しか下げていないんじゃないか。これはちょっとひどいんじゃないか。私は数年前、円高不況の折だったと思いますが、予算委員会で銀行局長にこの点をただしたことがあるんですが、積極的に指導いたしますと言っておられましたが、どうも改善されていない。そこで、大蔵省銀行局としては保証つき融資についてできるだけ金利を下げる、〇・七%くらい下げたっていいんじゃないか、せめて当面〇・五くらいは下げるべきである、こう思っているわけでありますが、いかがでしょう。
  41. 墳崎敏之

    墳崎説明員 お答えいたします。  今先生指摘のとおりでございまして、金融機関が信用保証協会の保証つきで貸し出しを行う、こういう場合には、保証つきでない貸し出しに比べますと当然のことながら貸し出しリスクが回避されます。また、担保の管理ですとか処分費用がかからない、その負担が軽減される、さらには貸し出しに当たりまして金融機関の場合には信用調査を行うわけでございますが、その信用調査も簡便化できる、こういったことが考えられるわけでございます。したがいまして、保証つき貸出金利につきましては通常の貸し出しに比べれば当然金利が下がってしかるべきである、こう私ども考えておりまして、従来から各金融機関に対しましてはその引き下げを極力行うように、こう指導してまいったところでございます。  現在のこういう経済情勢でもございますし、引き続きこの点、各金融機関に徹底してまいりたい、こう考えております。
  42. 清水勇

    清水委員 大臣、大蔵省でもそう言っているわけですから、しかし都銀は、銀行局の言うことを聞くのか聞かないのか、なかなか改善されない。ですから、これは大臣から大蔵大臣にも話をしてもらって、少なくとも課長が今言ったとおりのことを実行に移されるようにしかと指導をしろというようなことを言っていただきたい。よろしいですね。
  43. 森喜朗

    森国務大臣 これは絶えず、この国会が始まりましてからも大蔵大臣には正式な会合でも、あるいはまた個別的にも、そうした指導のお願いをいたしておりますし、さらにまた大蔵大臣によく申し上げておきたいと思います。
  44. 清水勇

    清水委員 さて、今度の対策絡みの話でもありますけれども、政府系中小企業金融機関に低利の運転資金貸付制度というものを創設する、これは結構なことだと思います。また、下請中小企業円高の影響、特にきのうはついに百十円二十五銭、けさのワシントンからのレポートをテレビで聞いておりましたら、さらに円高が加速をするのではないか、ドル安の状況は続くのではないか、こう言っているわけでありますから、そうした影響を受ける事業者に緊急経営支援特別貸付枠を設ける、これも結構なことだと思います。  さてそこで、ちょっとただしておきたいのでありますが、最近親企業がリストラ、リストラといってあれこれのしわ寄せを下請に及ぼす、こういう傾向が募っております。そこで、この貸付枠というものはそうした下請事業者等にも対象として適用されるべきものではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  45. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 御指摘のとおりでございます。今回の総合経済対策におきまして、緊急経営支援貸し付けを充実するという一環といたしまして、下請あるいは円高で影響を受ける企業に別枠で制度を設けるということにしたわけでございます。御指摘のように、いわゆるリストラで影響を受けるような下請の中小企業に対しまして優先的にこうした緊急支援貸し付けの対象になりますように、これから運用をしていきたいと思っております。
  46. 清水勇

    清水委員 次に、最近の経済をめぐる環境の深刻化というようなものを反映して、返済猶予を求める件数が激増していると承知をしているわけでありますが、そういう状況に対して、既往の借り入れ返済のための新規の融資制度、これを新たに施策化される。ただ、この場合に、よく事情をのみ込んでいない中小企業者の間には、新規が借り入れに伴う担保などというようなことを言われたってないよ、こういう懸念がある。弾力的な運用というのは、例えば担保力のないような中小企業者に対してどのように適用されるのか。難しいことを言われるならば、むしろ返済を繰り延べしてもらった方がいいというような認識もなしとはしない。この辺はいかがでしょう。
  47. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 既往の高金利による貸付債務残高を有しておりまして、赤字の企業である、そういう非常に困っている企業に対して、今回、返済資金緊急融資制度というものを設けることにしたわけでございます。  御指摘のとおり、こうして困っている中小企業でございますから、担保もない、あるいは非常に少ないというような状況にあるところが多いのではないかと我々も思っております。したがいまして、この返済資金を融資するに際しまして、担保徴求につきましても、個別企業の実情に応じてでございますけれども、普通に新たに金を借りるというときに比べますと、格段に弾力的な形で取り扱いをしていきたいというふうに考えております。
  48. 清水勇

    清水委員 弾力的に取り扱うという意味は、場合によれば、担保力がない企業の場合には、担保がなくてもというところまで考えているということですか。
  49. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 具体的にはこれからいろいろ検討さしていただきたいと思いますが、御指摘のような点も踏まえてこれから具体的な制度として形づくっていきたいと思っております。
  50. 清水勇

    清水委員 さて、資料によりますと、平成三年度末、全国五十二協会の保有する求償債権は四十四万件、一兆二千九百億円というふうに報告をされている。これは平成四年以降もいわゆる代弁が急増をしているというふうに認識をしており、これにかかわる回収額あるいは回収率は年々落ち込んでいるのではないかというふうに思います。  さてそこで、第一線の協会業務の円滑な推進を図るために、政府としては、例えば公庫へ出資金を思い切ってふやす、今度の予算で百九十億オーダーの増資というものがありますし、また各協会に対する補助、加えて地方公共団体にも出捐金等で協力を求めるといったような一連のてこ入れが行われないと、これは大変な事態になりはしないか、こう思います。  また同時に、第一線の協会の皆さんに伺うと、いわゆる信用保証の弾力化ということで、できるだけ中小企業者の切ないニーズにこたえるように付保をする、どんどん拡大をしていくわけでありますが、さてこれが二、三年先になっていよいよ返済をめぐって心配が起こらないだろうか、こういう懸念があるわけでありまして、現状をどうするかということと相まって、将来にわたってのフォローをどうするか、こういう点が大変大事なことだというふうに私は思うのでありますが、いかがでしょう。
  51. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 御指摘のとおり、現在各保証協会を通じまして代位弁済が急増しておりまして、求償権も相当ふえてきております。一万回収の方は、こうした経済状況でございますのでかなりその額が減ってきておるのは事実でございます。しかし我々としては、こうした事態にありましても、厳しい状況にある中小企業というものを考えまして、各信用保証協会が極力弾力的にいろいろな形で中小企業を助けていくようにということを言っております。その結果、先生御心配のように信用保証協会の経営基盤というものが大丈夫であるかという懸念が出てくるわけでございますけれども、我々としては、従来から国の補助等々を通じまして信用保証協会の経営基盤の強化に努めてきておりまして、ただいまのところは信用保証協会の経営基盤というものはしっかりしているというふうに考えております。  今後二、三年後に現在いろいろやっているもののツケが出てきた場合にも大丈夫かという御質問でございますけれども、この辺につきましても、今後とも信用保証協会の経営基盤のために我々も努力いたしますことによりましてその辺に問題が起きないように対処していきたいと思っております。
  52. 清水勇

    清水委員 次に、いわゆる小規模事業者支援法絡みのお尋ねをしてまいりたいと思います。  釈迦に説法ですから、そんなことを言う必要はちっともないのですけれども、今日の日本経済を支え、その発展に寄与、貢献をしてきた中小企業、なかんずく全事業所の八割を占める小規模事業者の果たした役割というのは非常に大きい、私はそう思っているわけでありますが、そうした中で、近来さまざまな要因を背景にしながら、とりわけ小規模事業者の衰退ということが懸念をされている。小規模事業者が趨勢として衰退していくということは、日本経済の上にいわば暗影を投げかけるというようなことになるわけでありますから、その点では例えば平成元年から三カ年間、まだバブル崩壊というものが本格化しない以前の段階で倒産や廃業絡みで十九万事業所が減っているということは非常に深刻だと思います。  特に最近の趨勢は廃業が開業を上回る、こういう状況でありますし、流通やサービス、つまり卸、小売、飲食店等々を見てまいりますと、昭和六十一年以来の五カ年間に実に九・六%もその事業所が減っている。要因はいろいろあると思います、スーパーだとか大型店の影響もありましょう。いずれにしても、この辺のところをどう見ているのかお聞かせいただきたい。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕
  53. 関收

    関政府委員 先生指摘のとおり、中小企業の我が国経済に占める位置は極めて大きなものでございましたし、これからも非常に大きなものだと私ども確信をいたしております。特に先生が御指摘の点にさらに一つつけ加えさせていただければ、地域経済におきましてはもうほとんど小規模企業は主役と言っても過言ではないわけでございます。  一方、そういった中で御指摘のように廃業率が開業率を上回るという状況、したがって小規模企業の数が御指摘のように減少しているということでございまして、これは我が国経済の活力という点からも、地域経済という点からも極めて懸念される事態であると考えておるわけでございます。  そこで私どもは、なぜこういう事態になったかということでございますが、新たな開業を進めることが可能になるような諸環境の変化、これは時代とともにさまざまな可能性をまだ秘めているのではないかと考えております。例えば最近におきます高齢化社会でありますとか女性の社会進出といったようなことでいろいろなニーズも出てまいります。あるいは消費者の需要もいろいろ変わっているところで、そこに新しいニーズが出てまいります。あるいはまた技術革新が進むということで、その技術を活用した新たなビジネスというものも出てまいりましょうし、また国際化の進展でありますとかあるいは資源エネルギーの制約といったことの中に新たなビジネスチャンスということも実はあり得ると思っております。また、これらを事業化したいと考えております、いわゆる企業精神も旺盛なものが結構あるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。  しからば、なぜなかなか開業が進まないかということでございますが、新たに開業いたすに当たりまして必要とされる経営資源が非常に高度化しておる。資金におきましても、技術におきましても、また労働力におきましても、そういった求められる経営資源が非常に高度なものになりつつある、そこでなかなか開業ができないというような事情にあるのではないかと考えておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、従来から開業に当たりましての資金についての貸付制度の運用でありますとか、あるいは本日も御審議をいただいておりますが、信用保険制度の中で新事業開拓保険といったものを設けておりますし、本年度におきましても、今回御審議いただいておりますこの小規模企業支援に関する法律案が幸い御承認いただきますならば、この計画に従いまして地域の小規模企業の方が新たな事業展開をする、あるいは創業なさる場合のいろいろなお手伝いができると考えておりますし、また中小企業設備近代化資金制度、設備貸与制度というのがございますが、これにつきましても今年度から創業枠というのを設けることにいたしているわけでございます。また、中小企業事業団が行います共同施設につきましても、この対象としてそういった今回の法律に基づく事業を加えようというようなことで、さまざまな努力によりまして、そういった実際の潜在的な御希望がありながら、求められる経営資源が高いためなかなか開業できないといったような問題について、できる限りのお手伝いを強化してまいりたいと考えておるところでございます。
  54. 清水勇

    清水委員 さてそこで、中小企業庁が、今長官言われるような発想でいろいろな資料等々をまとめておられるわけでありますが、調査なくして施策なしという発想でさまざまな調査もなさっておられる。「平成四年小規模企業総合実態調査」、そういう調査によりますと、「小規模事業者が考える成長の条件」というくだりで、「地域全体の振興発展」を二八・七%の事業者が求めておられる。これはこれでよく理解ができるわけなんでありますが、同時に私が着目をするというか注目をしたいと思っているのは、「十分な労働力の確保」「優秀な後継者の育成」「従業員の質の向上」といういわゆる人材確保にかかわる、トータルをして三八・五%という数字が出ている。これは大変大事なことではないかと思っておるわけです。  例えば、私なりに廃業という状態を分析をしますと、いろいろな要因はあります。ありますが、例えば後継者がない、従業員が得られない、先行きの見通しも立たないということがあって廃業という決断をせざるを得ない、こういうケースがある。小規模といえどもその事業に魅力があれば、おのずから後継者も得られるし、従業員も集まる。だから、どう魅力をつけるのか、これが何といっても一番の課題だろう、こう思うわけでございます。その点、人材確保とのかかわりでどのような認識と対応を考えておられるか承りたい。
  55. 関收

    関政府委員 御指摘のとおり、優秀な人材の確保あるいは後継者の確保ということが、先ほど来御説明申し上げております創業でありますとか事業の継続という観点から極めて重要な課題だと考えているわけでございます。  そこで、最近はちょっと景気の状況もございましてそういった人手が得られないといったような問題はやや減少しているやに伺っておりますけれども、中長期的に考えますと、これからの生産年齢人口の構造的減少といったようなことを考えます場合に、この問題は将来にわたっても極めて重要な問題だと思っております。  そこで、私どもさまざまな対策があり得るかと思っておりますが、おっしゃるように、一つは魅力ある職場、これをつくることが非常に大事でございます。これは大企業などに比べて、本人の、働かれる方の創造力でありますとか個性を十分に発揮し得る可能性があるわけでございますので、そういったことが生かせるような職場であるかどうか、これは経営者の方にもいろいろ考えていただく必要があるところでございます。  私どもサイドといたしましては、そういった観点から中小企業労働力確保法というのがございまして、この法律に基づきまして、労働時間の短縮でありますとか、職場環境の改善でありますとか、福利厚生の充実でありますとか、募集方法の改善といったようなことについてそれぞれ、中小企業の皆様が取り組まれる場合にこれをお手伝いする施策を展開いたしておりまして、今日段階で約二百七十の団体がもうこれを適用していただいておるわけでございます。  それからもう一つは、優秀な人材を確保するという観点から、人材の育成、研修ということがまた極めて重要な課題ではないかと思っております。これは先生御案内の中小企業大学校等による研修あるいは都道府県による研修のほかに、商工会議所商工会等々におきましてもさまざまな形で研修の事業もやっていただいておるわけでございます。これからはこういった事業もさらに拡充をし、構造的に非常に深刻化すると思われます優秀な人材の確保ということについて中小企業の方が取り組まれる場合に私どもがお手伝いする施策を拡充してまいりたいと考えているところでございます。
  56. 清水勇

    清水委員 さて、全国商工会連合会辛嶋専務もお越してありますが、長野県の場合を十分御認識だと思うのですが、百余りの商工会がある。一番小さいのは会員三十二人、会員が百人以下というところも二十余りある。加えて、それぞれが事務局長以下経営指導員、職員、御苦労いただいておりますが、何といったってスタッフが余りにも少ない。そこで、そういう弱点をフォローする意味で、長野県連の場合には四つの支所を設け、郡単位に支部を設け、十八の商工指導センターを置いて、広域的な指導等を行うことによって効果のある商工会活動の展開を図っている。  そこで、基盤整備と称するさまざまな共同事業を今度の法律を通じてやろうというのでありますけれども、力の弱い商工会という部隊だけではこれはどうにもならない、広域指導という立場に立ってもなかなか思うようにいかない、必然的に可なり村なり地方公共団体との提携を通じて村おこし、町づくりといったものを、これは推進せざるを得ない。だから、その限りにおいては通産省は自治省などとも深く連携をとりながら、末端自治体における、自治体地域におけるそうした基盤整備事業が円滑に促進されるような行政上の配慮も払って商工会活動をフォローするということがなければならない。そのためには、商工会が小さいところは過疎化が進んでいて、村の財政も御承知のように非常に弱いわけですよ。商工会などと言ってみても、何人もスタッフがいない。そこで、あれもやれ、これもやれと言ったってなかなかできない。ですから、例えば地域振興に当たるとか基盤整備事業をフォローするとかという立場に立つ専門職を配置してもらう、これは商工会に配置してもいいと思うけれども、いずれにしても、そういうものに対する助成、財政的にも心配をするといったような血の通った手だてが講じられなければ、幾ら法律をつくったって、これは絵にかいたもちで終わってしまうのじゃないかという懸念が一つ。  それからいま一つは、申し上げたような状況ですから、商工会は日常の業務だけでも手いっぱいでしょう。そこへ新たにいわゆる共同事業を推進をしよう、仮に、その場合、他の日常業務に支障を来す、影響を及ぼすということがあったのでは全体の会員に対するサービスが低下をするということになるわけですから、この点はある程度人的な面での配慮が伴わないとうまくないのじゃないかと思います。いかがでしょう。
  57. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 先生指摘のとおり、商工会は非常に規模が小さくて脆弱なところが多々ございます。私どもは、商工会は二千八百あるのでございますが、会員が二百人以下のところを小規模商工会と称しておるのでございますけれども、それが約八百くらい、三分の一くらいございまして、こういう商工会では確かに職員数は三人くらいとか、非常に大変な状況になっております。また、こういう商工会は人口も減少しておるとか、そういう過疎的な状況も示しておりまして、スタッフという面では問題を多々抱えております。  このため、こういう事業を実施していただくに当たりましては、そういう意味で非常にいい事業でございますので、まず計画づくりとかそういうことが大きな課題になってくるわけでございまして、今般の予算におきましては、商工会が共同して計画づくりをするとか、そういう新しい予算を認めていただいたり、あるいは地域振興プログラムをつくるとか、そういう予算も認めていただきましたり、また事務局長の数を、今までは五十ぐらいずつしか増加していなかったのですが、それを二百にふやしていただく、そういうようなことをやってきましたので、これらの予算を活用しながらうまくリードしていきたいと思っている次第でございます。  それから、地方公共団体との提携というのは全くおっしゃるとおりでございまして、地方公共団体の提携がない限り地域振興プログラムはできませんので、そういうコンセンサスづくりを十分にやった上でこういう支援事業を活用していきたいと考えている次第でございます。
  58. 清水勇

    清水委員 質疑の時間が終了いたしましたという紙を今もらいましたが、委員長のお許しをいただいて、あと一問だけさせていただきたいと思います。  せっかく日商から谷村専務もおいでをいただいておりますから、石川会頭絡みの話はさっき同僚委員がなさっておりましたから、専務の胸にしっかり刻んでいただいて、これは会頭にしかと反映していただくように私からも希望を申し上げておきます。  さて、そこで、組織率を見てみますと、商工会関係は六四・八%、まあまあと思われるわけでありますが、会議関係は三三・八%という数字をちょうだいをしております。特に商工会議所関係で言うと、三分の二が会議所地区で未加入、未組織ということになっております。私が推察するところでは、その大半は小規模事業者ではないか。長野県下の場合などは土地柄もありまして、割合に小規模の会員会議所に入っておりますけれども、この数字から見ますと、趨勢としてはそういうことじゃないか。その場合に、この法律を通じてどう会議所として支援をするかと言っても、いわゆるアウトサイダーに多い小規模事業者への積極的なサービスということよりも、会員事業者に対する本来のサービスという点に会議所の業務がウエートを置かれるというようなことは当然なことだと思うのですね。ですから、こういう点について会議所としてはどのようになさろうと考えられているか。  それから、ついでに、これは大臣に聞いた方がいいのかもしれませんが、指導員等の人件費の補助が打ち切られて一般財源化をされる。言うまでもなく、自治省との間で相談があったのでありましょうけれども、都道府県にはそれぞれ自主権があるわけですから、通産から簡単に言われたからといって、いわゆる公務員並みの給与が将来にわたって不安なく保障されていくのか、どうしてもこの点がひっかかるものですから、その点をお聞きをして、私の質問を終わることにいたします。
  59. 谷村昭一

    谷村参考人 今御指摘の点の中で組織率のお話がございました。大変貴重な御指摘で、我々としても組織率を高めていくということが目下の最大の課題だと思っておりますが、それを眺めてみますと、都市規模が大きくなりますほど組織率が低くなっているというのが実態だろうと思います。これは実は大都市ほど業種別の組合とかその他いろいろな商店街組合等は組合単位で商工会議所に入っているというような実情もございますので、一概に都市部の組織率が悪いということは言えませんが、御指摘のように、今後この組織率を上げていくということが我々に課せられた非常に大きな課題だと存じております。  ただ、現実商工会議所全国会員総数は、おかげさまで現在百五十万企業が加入いたしておりまして、その中で中小企業が約百二十七万企業、これは九一・三%でございます。その中でさらに小規模事業者が百十六万ということで、七七・四%、八割弱のものが商工会議所では小規模事業者会員となっておるという実態にあることもあわせて御報告申し上げたいと思います。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 関收

    関政府委員 先生お尋ねの第二の点でございますが、今年度から三年計画で単会の指導員の人件費の一般財源化ということをお願いいたしておりまして、今年度はその初年度ということで十分の一につきまして一般財源化をお願いいたしておるところでございます。今後におきましても、この結果として、私どもとしては小規模企業対策に後退があってはならない、また指導員の処遇等について後退があってはならないということを考えておりまして、この予算編成の過程で累次にわたりまして都道府県、知事会等にも御説明し、また自治省とも十分打ち合わせをさせていただいておりまして、そういった御懸念がないように今後とも最大限の努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  61. 清水勇

    清水委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  62. 井上普方

    井上委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後零時四十二分開議
  63. 井上普方

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小沢和秋君。
  64. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず大臣にお尋ねをいたします。  今回の日米首脳会談のために、日本はわざわざ十二兆二千億円の不況対策を打ち出しました。しかし、クリントン大統領はこれをほとんど評価せず、逆に幾つかの個別分野について日本側の具体的な輸入増を迫り、円高容認の発言まで行っております。これを契機に円高がさらに進み、ついに一ドル百十円台に突入いたしました。ヨーロッパ各国もこれを当然としていると伝えられております。この事態は何を示しているか。日本が、口では内需主導型に経済を転換すると言いながら、実際にはその体質の改革をせず、相変わらず輸出で貿易黒字を稼ぎまくっている状態への厳しい非難ではないでしょうか。特に、輸出関係企業の長時間低賃金労働を抜本的に改善し、下請中小企業いじめをなくし、減税など国民の消費購買力引き上げを抜本的に行うことがいよいよ重要な課題になってきたのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  65. 森喜朗

    森国務大臣 今回の日米首脳会談、小沢委員は余りアメリカ大統領は日本の景気対策に対し評価をしていないということでございましたが、伝えられているのとでは、恐らく御承知のことでおっしゃっておられるのだと思いますが、少なくとも、私もあのG7のときにベンツェン財務長官あるいはクリストファー国務長官御一緒のときもございましたが、大変評価をしてくださっておりまして、日米ともに協力をして、そして世界の平和、繁栄、あるいは経済の発展のために努力し合おうということでお互いに確認をしておられるわけでございますので、御承知だと思いますが、委員からおっしゃったこと、そのまま黙っておりますと認めたことになりますから、その分だけ最初にちょっと申し上げておきます。  大統領が、宮澤総理との会談の際には、為替の話題にはこれは直接触れておられません。しかし、日米首脳会談後の記者会見で、貿易不均衡の是正につながるものの一つとして円高を挙げたということなどを背景として円高が進んでいるわけでございまして、ただし、この発言はこれまでの円高の推移について述べられたものでございまして、今後一段の円高を容認したものではないというふうに我々は推察をしております。  こうした思惑による急激な円高は、我が国経済が厳しい状況にある中でせっかくいい方向に向かいつつありますだけに、この景気回復の芽を摘むというおそれがあるのではないかということで、強く憂慮をいたしておるわけでございます。円高が及ぼす悪影響に対しましては内需の拡大を図るということがもう何よりも必要なことでございまして、そういう意味では一番の処方せんだと考えておりまして、そのためにも今回の総額十三兆円を上回る新総合経済対策の早期実施が重要である、このように考えておるところでございます。
  66. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の円高が始まった直後に、通産省は輸出型中小企業地域を一応調査しておりますが、ここまで円高が急速に進んでくると、そういう地域や輸出関係企業の下請中小などの状況について改めて調査する必要があるのではないでしょうか。
  67. 関收

    関政府委員 御案内のとおり、二月の第三週ぐらいから急速に円高が進んでおりまして、私どもはその時点で、輸出型の産地、これは具体的には輸出比率が二〇%以上、企業数が三十以上の産地二十五を対象に調査をいたしたことは御指摘のとおりでございます。その後、円高はさらに最近におきましては進んでおりますので、私どもとしても必要に応じて、その状況、どういう影響が出ているのか、またどういう対策が有効なのかということについては不断に調査を続けることが必要だと考えておるところでございます。
  68. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、まず中小企業信用保険法の改正案に関係する質問幾つかいたしたいと思います。  今回の不況ほど市中銀行などの中小企業に対する貸し渋りが問題になったことはありません。その改善を要請する通達も何回か出されております。本年に入ってからも、二月だったと思いますが、大蔵省の通達が出されております。私は、昨日関係者に、この二カ月ぐらいの間に幾らか改善をされたかどうかと問い合わせてみました。指導は行われているようだがほとんど変化はないとの回答でありました。実際はどういう指導がやられてきたか、今全体としてどういう状況にあるというふうにお考えか、お尋ねをいたします。
  69. 関收

    関政府委員 私どもといたしましては、民間金融機関の貸出残高の伸びが低下をしておりまして、その背景には、企業の資金需要の低迷に加えまして、民間機関におきましても、バブル期におきます過剰融資等の反省から、金融機関の審査姿勢が消極的になっておる例もあるのではないかと考えております。この点につきましては、金融機関が、過度に消極的な融資姿勢に陥ることなく健全な経済活動に必要な資金を円滑に供給するよう適切な対応をなさっているものというふうに承知をいたしておりまして、先生今御指摘のように、先般二月四日に公定歩合が引き下げられました際に、大蔵省から民間金融機関に対しまして金利引き下げなどの中小企業に対する金融の一層の円滑化について指導を行いましたことは、私ども立場からも大変評価されるべきものと考えておるところでございます。  当庁といたしましては、その後それがどうなっておるかということにつきまして、政府系の金融機関へのアンケート調査等によりましてフォローいたしておるところでございます。去る三月の中旬に調査いたしました結果によりますと、二月四日以降の短期金利がおおむね短期プライムレートの引き下げ幅に準じた形で引き下がっておりまして、全体としては好ましい方向に向かっているのではないかと考えております。しかしながら、さらに中小企業をめぐる金融情勢についてはこれからも注視をしてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、先日決定されました総合経済対策の中でも、「健全な経済活動に必要な資金の円滑な供給を図るため、金融機関に対し、融資体制の強化を要請する。」とされておるところでございますので、この措置の実効が上がることを期待をいたしているところでございます。
  70. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 銀行などの融資姿勢を何としても改めさせなければなりませんが、そういう現状があるだけに、政府系中小金融機関の役割は重大だと思います。  十三日に決定された新総合経済対策に我が党の主張してきた政策幾つか織り込まれております。「政府関係中小企業金融機関等に低利の中小企業運転資金特別貸付制度等を創設する」、「緊急経営支援貸付制度の融資枠を拡大」する、「下請中小企業円高等の影響を被っている中小企業に対する特別枠を創設する。」等と書いておりますが、それぞれの規模など、概要について御説明ください。
  71. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 十三日に総合的な経済対策の重要な柱として中小企業対策を決めたわけでございますけれども、その柱は三つございまして、一つは、運転資金の調達の円滑化、二番目が信用保証の充実でございます。三本目が設備投資の促進でございまして、これら三本の柱で、トータルとして貸付枠の追加が約一兆九千億円、予算といたしまして七百六十億円を予定をいたしております。  その中で、今御指摘がありました、一つは、国民公庫、中小公庫等の「政府関係中小企業金融機関等に低利の中小企業運転資金特別貸付制度等を創設する」というのが一つございますし、それからもう一つは、従来行っておりました「緊急経営支援貸付制度の融資枠を拡大し、」さらに「下請中小企業円高等の影響を被っている中小企業に対する特別枠を創設する。」というのがあるわけでございます。  おのおのの対策内容でございますけれども、政府系中小企業金融機関によるところの中小企業運転資金特別貸付制度につきましては、総額約七千億円程度を予定をしたいと思っておりまして、金利といたしましては、まだ決まっておりませんけれども、財投金利である四・四%を下回る金利を用意をしたいというふうに考えております。  また、緊急経営支援貸付制度でございます。これは御承知のとおり、昨年度の秋の補正予算におきまして実現した制度でございまして、その当時、二千億円という枠があったわけでございます。今回新たにこれに追加したトータルの枠が二千億円でございまして、その中に、特に下請中小企業円高等で影響を受けている中小企業に対する特別枠を設定し、そうした中小企業が優先的に緊急経営支援貸付制度の恩典を受けることができるように措置したものでございます。貸付利率は今行っているのと同様でございますが、三・八%を中心といたしまして、上下一%の範囲内で都道府県が定める金利ということになっているわけでございます。
  72. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次の項に「返済資金緊急融資制度を創設する」とありますが、これについてもその規模など概要を説明していただきたいと思います。  これは「国民金融公庫、中小企業金融公庫等に対する中小企業の債務返済の負担の軽減等を図るためことありますが、この「等」には一般の金融機関も含まれるのか。私のところには、高利の借金をしているので、何とか低利のものにこの際切りかえたいという相談が時々ありますが、これはそういう業者にも利用できるものと理解してよいかどうか、お尋ねします。
  73. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 今回新たに設けることになりました返済資金緊急融資制度につきまして御説明をいたします。  本制度は、「国民金融公庫、中小企業金融公庫等」ということでございますけれども、「等」と申しますのは商工中金が対象になっているわけでございまして、いわゆる民間の金融機関を対象としているものではございません。  内容といたしましては、中小企業金融公庫等政府系の金融機関に対しまして高金利の貸付債務残高を有する赤字企業で、その元利の支払いに困難を来しているものがおりますけれども、こうした中小企業に対しまして、元本と金利支払いに必要な資金を返済期限が到達する都度に新たに融資を行う。したがって、現在の金利でございますので、従来借りておる債務残高に比べると相当安い金利で新たに返済資金の融資を行う。しかも、個別企業の実情に応じ、できる限り弾力的に担保徴求等も行うことにするということでございます。  なお、この制度によりますところの融資制度のトータルの額という点はただいま検討中でございまして、決まっておりません。
  74. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は数日前、地元の福岡県庁に参りまして、中小企業金融について話を伺ってまいりました。同県では、さきに県単独で中小企業経営安定緊急特別貸付を行っておりましたが、国の枠を受け入れて、新たに中小企業緊急経営支援貸付も実施いたしました。  ここにその両方の要綱を持ってまいりましたが、この二つの制度は、融資限度額、期間、利率などはほとんど同じなんですが、融資対象がかなり違っております。一つは、県単独が「最近三カ月間の売上高が、前年同期と比較して一〇%以上減少している」こととしているのに対し、国の資金を受け入れた側は「一五%以上」となっていること。もう一つは、「中長期的には、その業況が回復し発展することが見込まれるとして、」云々と、さらに「取引金融機関等の支援が確実に見込まれる者」等の条件をつけていることであります。国は昨年十二月十四日に出した通達に合わせたためにこういうことになったと言いますが、ほかの県を調べてみましても、大体同じように国の方が非常にきつい条件を出しているということになっています。なぜ県よりこんなに厳しい条件をつけなければならないのか、県の条件に合わせるように運営をすべきではないか、お尋ねをします。
  75. 関收

    関政府委員 昨年の景気対策に基づきまして、緊急経営支援貸付制度を設けさせていただいたわけでございます。  この制度は、御存じのとおり、国と都道府県とが協調して低利融資を実施するものでございまして、私どもとしては全国状況等々を勘案いたしまして貸し付け条件等を決めさせていただいているわけでございます。金利条件等は、今先生指摘のとおり、おおむね同じといいますか、国の方が安いケースもあろうかと思いまして、必ずしも一致をいたしていないわけでございますが、私どもとしては、例えばこの具体的な対象の認定に当たりましては、困窮度の高い中小企業の方々を優先するといったような配慮もしていただくようにお願いをいたしているわけでございます。  先生指摘の二番目の点でございますけれども、ぜひ御理解いただきたいと思っておりますのは、この制度は国と県とが協調してやる制度でございまして、その中で極力県の自主的な判断というものを重んずる形で運用していただくようにお願いをいたしているわけでございますけれども、やはり基本的にはこれは金融でございますので、金融としてのぎりぎりの、これだけは確保していただきたいということを私どもとしてはお願いをいたしているところでございます。  しかしながら、実際に今先生指摘のような項目について、それに該当するや否やということの具体的な事例の判断につきましては、従来から申し上げているとおり、これは県の自主的な判断ということで運用させていただいているわけでございます。私どもとしては、個々の中小企業の実情に応じまして県が総合的に判断をしていただくことが重要ではないかと考えておるところでございます。
  76. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、ちょっと確認しておきますけれども、こういうふうに対象についてはかなりの違いがあるような表現になっているけれども、県の自主的な判断でかなりそこのところは弾力的にやってもらってもこの趣旨に反しない限りはいい、こういうふうに理解しましたが、いいですか。
  77. 関收

    関政府委員 私どもとしてお願いいたしたいと思っておりますのは、中長期的にその業況が回復し発展することが見込まれること、また取引金融機関等の支援が確実に見込まれるものということでございまして、これは先ほど来申し上げておりますように、金融としてこの制度を実施いたします上でのぎりぎりのお願いでございますので、この基準に該当するものを対象としていただくようにお願いをせざるを得ないわけでございます。  しかしながら、私どもが直接個別の中小企業の方々のお話を伺うわけでありませんので、そういう要件に該当するかどうかの判断は県の方にお願いをしているということを申し上げた次第でございます。
  78. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、信用保証の充実についてお尋ねをします。  今回の新総合経済政策で述べられております、「担保不足等により、資金繰りが悪化している中小企業支援するため、中小企業信用保険法の保険限度額が倍額となる特定業種の指定」、これが現在三十九業種行われていることは承知しておりますが、労働省の雇用調整助成金などは既に百十九指定されております。この通産の側の制度についても今後業種指定をふやしていくということでありますけれども、どういう業種をどれぐらいふやしていく考え方か、お尋ねします。
  79. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 中小企業信用保険法の第二条によりますところの一定の要件に該当する業種につきましては、御案内のとおり各種保険が倍額まで限度額がアップするという制度になっているわけでございまして、御指摘のとおり現在この特定業種が三十九ございます。我々としては、現在のような景気低迷下にありまして、こうした特定業種の数を指定の弾力化を通じまして増加をさせていくということを今回決めたわけでございますけれども、具体的にこれが幾つぐらい増加になるかというような点については現在検討中でございまして、現在答えられる段階に来ておりません。
  80. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の改正で付保限度額を引き上げるのは改善だと思いますが、特別小口が四百五十万円から五百万円へと一一・一%のアップにすぎないのに対しまして、普通保険のアップ率六六・七%、無担保のアップ率三三・三%、かなりの開きになっております。前回も前々回も、限度額を一番ふやしたのは普通で、次いで無担保、一番冷遇されているのが特別小口ということになっております。最も零細な信用力のない部分に援助の手を差し伸べるべき信用保険の原点からずれてきているのではないかという感じがしますが、どうしてこういうことになったか、お尋ねをします。
  81. 関收

    関政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、今通常の保険制度としては三つのものがあるわけでございます。一つは普通保険でございまして、これは保証協会が保証いたします場合に担保を徴求するというものでございます。それから無担保保険につきましては、これは担保は徴求いたしませんが、保証人はお願いをする。それから、先生指摘の特別小口保険につきましては、無担保・無保証で保証をさせていただくというものでございまして、今回五年ぶりにこの限度を引き上げようということでございます。  引き上げます背景は、先ほども答弁申し上げましたが、一つは、かなりこれまでの限度の上位に張りつくもののウエートが高まっていること、また中小企業の方々からの御要望も大きいこと、あるいはまた現下におきます中小企業経営状況から、特に信用補完面での手当てが必要だといったようなことから改正をお願いいたしているところでございます。  先生指摘の特別小口保険でございますけれども、いわば担保が要らない、保証人も要らないということでございまして、金融としてぎりぎりのところのものでございまして、保険料につきましても優遇をされているものでございます。  ところで、この限度額を決めるに当たりましては、やはり保証協会でありますとか保険公庫の収支ということも念頭に置く必要があるわけでございまして、今三つの保険の中で申し上げますれば、普通保険につきましては黒字でございますけれども、無担保保険、特別小口保険につきましては赤字でございます。特に、特別小口保険につきましては、事故が起きました場合の回収率が非常に低くなっておりますし、考え方として、収入一に対して支出が二というような状況でございます。そこで、今御指摘のように、付保限度の引き上げを行いますと、特に経営状況に懸念のある協会につきましてはどうしても逆にそういったようなもの、に対する保証について消極的にならざるを得ないという面も出てくるわけでございまして、今回そういうことを総合的に勘案し限度額のアップを決めさせていただいたわけでございまして、私どもとしては現在の中小企業におきます資金需要あるいは保証協会等の収支状況を考えましたぎりぎりのラインであるということで決めさせていただいたことをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  82. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の説明では納得できませんので、私としては後でこの限度額の修正案を提出する考えでおります。  そこで、今の説明を聞きますと、特別小口保険、いわゆる無担保・無保証人の融資は、事故が起こったときになかなか回収ができないということでありますけれども、しかし事故率という点で考えたら、私はほかの保険とほとんど違いがない。だから、担保も保証人もなくても、やはり借りた人はまともに返そうとして同じように努力をするという点では変わりはないということがこの事故率にあらわれているのではないかと思うのです。  ところが、そういうようなことを信頼できないからじゃないかと思いますけれども、私調査してみますというと、この特別小口の利用率というのはわずか三%にすぎない。同じ無担保・無保証人融資であります小企業等経営改善資金、いわゆるマル経資金は、平成三年度、国金の扱い件数十八万六千件の中で十二万二千件、六五・六%まで占めております。だから、素直に自由に利用をさせたら、これほど需要が強いのではないですか。それを三%に抑えているというのは、これは私は利用のさせ方としても到底納得ができませんが、なぜこういうことになるのでしょうか。
  83. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 特別小口保険にかかわる保証に関しましては、各信用保証協会がその対象でありますところの小企業者の保証ニーズを踏まえまして適正な保証をおのおの行うように指導しているところでございまして、御指摘のように信用保証協会なり中小企業信用保険公庫が故意にこれを使わせないようにしているというような感じのことは全くないということをまず申し上げたいと思います。  最近の利用状況を見てみましても、平成四年度、四月から十二月の実績で見てみますと、この特別小口保険の利用状況は前年同期比で二四%増になっておりまして、現在も非常な高さで伸びております。これは、最近の中小企業をめぐる厳しい経済状況を反映しているものと我々は見ているわけでございますけれども、特別小口保険の利用につきましては、今後とも我々として需要に合った適正な引き受けというものが行われていくように努力していきたいと思っております。
  84. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今故意に使わせないというようなことはないというお話でありました。私は福岡県内のことを調べてみたのですけれども、この無担保・無保証人の融資を申し込みますと、金融機関の窓口でほとんど、保証人をつけなさい、つけないと審査が長引いたりして難しくなると言われております。だから、それでも無担保・無保証人でというのはなかなか言いにくくて、ついつい何とか保証人をということになっている。全国でそういう状況ではないのでしょうか。政府がそういう運用になるように指導しているということはないのかどうかお尋ねをします。  私は、やはり政府としてもこの無担保・無保証人、今もお話があったように、焦げついた場合回収しにくいという点は確かにあると思いますけれども、しかし、そういうことはわかった上でこの特別小口保険を創設しているわけであります。しかも、保証の対象も、小口が、引き続き六カ月以上県内で同一業種の事業を営んでいることとしているのに対して、より厳しく、一年以上とする、これは福岡の場合ですけれども、そういうようにより信用できる相手でなければ認めないようにしているわけです。だから、こういう条件に合うような業者から申し込みがあったら、その窓口でほかの無担保保険に切りかえさせようとするようなことをせずに認めるのが当然ではないでしょうか。
  85. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 特別小口保険の利用状況でございますけれども、我々の理解といたしましては、大都市部において相当利用があるというふうに思っているわけでございまして、たまたま手元に御指摘の福岡県の特別小口保険の利用実績の表がございますけれども全国的に見ますと、都市部であるというようなことでございましょうか、相当特別小口保険が利用されている県の一つであるというふうに実績が出ております。  さっき御指摘のあったような例につきましては、そういう例が全く皆無であると申し上げるつもりもございませんけれども、今後とも、特別小口保険という制度がいろいろな形で、こういうものが利用できるんだということを、銀行の窓口も含めまして理解が進みますように努力を重ねていきたいと思っております。
  86. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、確認しておきますけれども、今福岡県下で広範に行われている、窓口に無担保・無保証人の申し込みに行くというと、保証人をつけなさいと言われるのがもう当たり前になっているような状態はおかしい、だから、ちゃんと資格のある人からきちんと申し込みが出ればそれは受けるようにさせたい、こういう趣旨ですね。
  87. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 個々の例で、どういう条件の企業がどういう資金用途で金を借りに来たときにどうなるということは、いろいろ複雑でございますので、一概に申し上げることはできないかと思いますけれども、少なくとも特別小口保険の対象になり得るケースで申し込みが来た場合にはそれを受けることができるようにするというのは当然のことであろうというふうに思っております。
  88. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、基本保証料率は年一%が全国共通のようでありますが、金利が全体として下がり、多くの業者が不況でますます苦しくなっている中では一%でも非常に重い負担に感じられております。引き下げを検討すべきではありませんか。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  89. 関收

    関政府委員 保証協会の基本保証料率でございますが、御指摘のとおり、現在一%でございます。  保証料率につきましては、実はこの一%の中身と申しますのは、申し上げるまでもなく、信用保証協会が負いますリスクでありますとか、調査のための費用等々であるわけでございますけれども、従来はこの一%を超えていたものを、長年にわたりまして引き下げ努力をして、昭和五十八年度から一%にしたものでございます。基本料率は一%でございますが、一定の政策目的に沿った制度保証や小口の保証につきましては基本保証料率よりも低い保証料率が適用されるケースがございますので、平成三年度における保証料収入の保証債務平均残高に占める割合は〇・九%となっておりまして、ここ数年低下傾向を示しているところでございます。また、昨年夏から秋にかけて都道府県等において創設された中小企業向け緊急融資や、平成四年度補正予算で創設しました緊急経営支援貸付に係る保証についても基本保証料率より低い保証料率が設定されるなど、保証料率を引き下げる努力が行われておりまして、結果としては平成四年度の二月までの保証承諾実績の約七〇%はこの一%を下回る低保証料率の適用を受けているというのが実態でございます。当庁といたしましても、緊急経営支援貸付制度の創設に当たりましては、金利面での思い切った配慮、すなわち三・八%プラスマイナス一%ということでございますので、保証料の支払いと金利の支払いを合わせた中小企業の方々の実質負担は大きく軽減されていると考えているところでございます。  一方、最近の景気低迷を反映いたしまして代位弁済が急増いたしております。こり結果として、信用保証協会の収支は悪化傾向にございまして、平成五年度は平成四年度よりもさらに厳しいのではないかと危惧されるわけでございます。こうした状況のもとで保証料率の一層の引き下げを行いますと信用保証協会の収支のさらなる悪化による経営基盤の弱体化を招き、これがひいては保証協会の保証態度の慎重化につながり、真に保証を必要とする中小企業者の保証のニーズに安定的におこたえすることができなくなるおそれもあるわけでございます。したがいまして、現状においては保証料率の引き下げは極めて困難な状況にあることを御理解賜りたいと存じます。
  90. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、この問題の締めくくりに大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  保険公庫の経営が苦しいという話が今出ましたけれども全国の何百万という零細な業者の経営を資金面で支える大きな役割を考えれば、私はこの程度の出資、国の援助は当然ではないかと思います。私はこれが都市銀行などの経営にも大きなプラスになっていることを指摘したいのです。数年前、大企業が自己資金の調達力を高め銀行離れを起こしたとき、銀行が中小企業への金融にどんどん進出できたのは、この制度で一〇〇%弁済を保証されていたからではないでしょうか。最近も、BIS規制を心配せずに中小企業に融資できたのもこの保証のおかげではないかと思うのです。私は、保険公庫の果たしてきた役割をこういう面も含めて評価すべきであり、国としてもこういう大きな役割にふさわしく、もっと出資の努力もし、保証料率の引き下げにも取り組むべきではないかというふうに考えますが、大臣いかがでしょうか。
  91. 森喜朗

    森国務大臣 委員からのいろいろな御指摘につきまして、事務当局から、考え方、また今後とも積極的なそうした小企業に対する融資等についてお答えを申し上げたとおりでございます。  当然私といたしましても、先ほどの御質問にもございましたけれども、信用補完制度の円滑な実施を行うためにも、中小企業信用保険公庫に対しまして毎年出資を行いますとともに、信用保証協会の経営基盤の強化を図るために、都道府県等の出捐の呼び水となりますように、信用保証協会基金補助金を毎年交付いたしております。五年度のこの予算に際しましても、中小企業信用保険公庫に対します出資は百九十五億円を確保いたしておりますし、信用保証協会基金補助金につきましても二十七億円を措置しております。  さらに、このたびまとめをいたしました総合的な経済対策におきましても、信用保証協会の保証つき融資を拡大するなどのために中小企業信用保険公庫への出資を行うことといたしておりまして、今後とも着実に中小企業信用保険公庫、信用保証協会の経営基盤の強化を図ってまいりまして、いろいろと委員から御指摘がありましたことに対応してまいりたい、このように考えております。
  92. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、次に小規模事業者支援法案についてお尋ねをいたします。  今日零細業者が大変な危機に陥っていることは、業者数がどんどん減り、時間とともにそのテンポが速くなっているということを見ただけでも明らかだと思います。今回の支援法案では、その傾向に歯どめをかけるために商工会商工会議所を活用し、従来の経営指導や講習会開催をほかと連携していろいろな事業ができるようにし、さらに基盤施設の設置、維持、運用なども行えることにしているわけであります。私は商工会等がこれらの事業を行うことはそれなりの意義を持つと考えます。しかし、これが危機的な状況にある零細業者をてこ入れする決定的な手段になるものかという点では、重大な疑問を感じざるを得ませんが、いかがでしょうか。
  93. 井出正一

    井出政府委員 小規模企業対策につきましては、従来の小規模事業指導費補助金というものに加えまして、今年度から商業基盤等施設整備事業補助金、これはハードの補助金でございます。これを合わせまして五百二十五億円というものを計上いたしまして、経営指導員等の補助対象職員の充実というものを行うとともに、今回から、地方財政について、経営指導員の人件費の一般財源化ということを行っていただきまして、地方財政において措置した七十五億円というものを加えますと、実質的には対前年度比で一二%増というふうな大変大幅な予算手当てをしたところでございます。  特にまた、指導の体制強化ということにつきましては、従来の指導というものがともしますと経営指導員の個別の指導ということであったわけでございますけれども、最近の指導の内容というものが非常に多様化し、また高度化をしているという、そういう指導ニーズに対応いたしますために、経営技術強化支援事業ということで、専門家、エキスパートを登録していただきまして、そういう専門的なあっせん、指導というものを行うような体制を強化いたしました。  それから、さらに加えまして、小さな商工会等々におきましては、経営改善普及事業が効率的に行われるべく、広域指導改善普及事業というふうなものも創設をしたわけでございます。さらに加えまして、商工会における指導が強化できますよう事務局長の設置というふうなことで、この面におきましても予算上大幅な強化を行っておるところでございます。  今日の小規模事業者の置かれた状況といいますのは、単に小規模事業者個人の努力だけでは十分でなく、地域経済全体の発展というふうなものがまさに小規模事業者の発展のためにも必要であるということでございまして、このための地域振興のビジョンづくりというふうなこともできるような、そういう体制をとったわけでございます。私どもといたしましては、この事業というものを拡充することによりまして、小規模事業者の経営というものがこういう状況の中で改善するように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  94. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 商業基盤等施設整備事業で思い出すのは、大型唐の進出に対抗できる魅力、集客力をつくり出すために平成三年度から実施されている同じ事業の現状であります。これは、商店街振興組合などを組織し、自力で取り組む力と意欲がある商店街などが対象でありますが、平成三年度当初予算百六億円に対し、執行できたのは百十九件、三十八億円、平成四年度当初百十九億円に対し、百二十五件、四十二億円にとどまっております。平成四年度は補正で三十八億円減額したが、それでも三十八億円余らせております。かなり力も意欲もあると見られるところでもこういう難しい状況であるのに、今度はそれよりもっと力の弱い商店街などを対象にするということになれば、これは一層困難ではないかと私は思うのです。  私は、この法案について意見を聞くため、福岡県庁のほか、地元の直方商工会議所、小竹町商工会にも伺いました。特に、現場の幹部の皆さんからは、商業基盤施設などの設置、維持、運用については、全く手がけたことのない分野であり、その体制や財政的な力もない、これをどう解決したらよいのかとの不安が表明されておりました。当局はこの問題をどう解決するつもりですか。
  95. 井出正一

    井出政府委員 先生指摘の商店街につきまして、その活性化を図るための事業というものがなかなか行われていないではないかという御指摘でございますけれども、平成三年度から平成四年度にかけまして、全国各地で設けていただきました商業等の活性化の基金につきまして、整備計画が現在のところまでに、商店街を中心としまして三百九十二件の計画づくりというものを行っております。それで、ショッピングセンターでございますとかそういうハード事業になかなか直ちに結びつかないというのは、計画づくりにはやはり若干の時間というものがかかるわけでございまして、私どもはそういう計画づくりを十分にやっていただき、それからまた、今回用意をいたしました地方のビジョンづくりでございますとかいうふうなものの予算も十分お使いをいただきまして、地域の振興のためにハードの事業ができる体制というものをつくってまいりたいと思いますし、各地におけるいい事例ができますれば、それを全国的に普及をさせる。こういう地域ではこういういい事業ができ、非常に成果が上がったということを、全国の都道府県あるいは市町村あるいは商工会等を通じまして各地に普及をさせ、その経験というものを全国的に教示をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  96. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 直方商工会議所は、町のイメージアップのため、春にはレディースロードレースという女性ばかりのロードレースを既に何回も開いております。ようやく行事として定着し、ことしは七、八百名参加をいたしました。しかし、これは会議所の単独の事業で、資金集めが大変だ。こういうイベントを国や県にもっと後援してもらったら随分町おこしや商店街活性化の力になるという声を聞きましたが、どうか。  ちょっと、持ち時間が来たという紙が来ましたから、あと質問を全部してしまいますので、簡単にお答えいただきたいのです。  小竹町商工会では、自分たちのところのような旧産炭地は、過疎化と高齢化が進み、かつての中心商店街も次々に閉店して商店街の形さえ崩れかけている、今さら基盤施設といっても、この町にはその対象さえない、だれか自分の商売を継いてくれる者はいないか、それが最大の悩みだという悲痛な訴えも聞きました。政府は、こういう業者にはもう手のつけようがないと考えているのか。少しでも力になりたいと考えているとすれば、どういう施策を用意しているか。  最後に、大臣にお尋ねをしたいのですが、今回の支援法で商工会議所商工会事業分野を大きく広げることになれば、これらの組織地域の業者だけでなく地域全体の影響力をさらに持つようになります。だから、一層政治的中立を守ることが重要になると思います。こういう時期に、会頭という日商のトップの要職にある石川鹿島建設会長が、自民党にやみ献金をしていたという、特定政党との癒着が問題になっております。こういう反社会的行為をしたような人物が日商会頭にふさわしくないことは明らかではないか。改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。  以上です。
  97. 井出正一

    井出政府委員 まず最初に、地域のイベント事業につきまして御説明を申し上げます。  各地におきまして、さまざまな地域の観光資源でございますとかいうふうなものを利用しましてイベント等を行うことは、地域振興のために大変役立つことではないかと私どもは考えております。商工会商工会議所におきましても、生涯学習振興事業でございますとか、あるいは地域伝統芸能等の活用行事推進事業でございますとかいうふうな予算を用意しております。これらの補助制度につきましては、今後もこれを継続拡充をしてまいりたいとは思いますけれども全国的にやはりいろいろなところでこれをモデル的に使っていただいて、その成果というものをできるだけ広範に活用していただいて普及をさせるということが大変大事だと考えておるものですから、予算の適用等々につきましては、新しく定着したところについてはそれを続けていただくということで、新しくまた未経験のところでこの予算上のてこ入れを使っていただくというふうなことを考えております。  それからもう一つ、非常に新しい法体系によっても、そもそもそういう基盤のないところについてはどうするかということでございますけれども、そういう地域の経営資源でございますとかあるいは地域経済状況全体というのがどういう状況であるかとかというふうなことも含めまして、ビジョンづくりでございますとかというふうなことをやっていただいた上で的確な対応策を考える必要があるのではないかというふうに考えております。
  98. 森喜朗

    森国務大臣 本法律案に基づきます事業者の実施者といたしまして商工会商工会議所を選定をいたしたわけでございますが、何といいましても、商工会商工会議所の有しております全国に展開した組織構造、さらにまた、三十年余にわたりまして小規模事業者に対します経営改善普及事業に関する経験や知識に比肩するそうしたものを持つ組織は、まず皆無であるというふうに私どもは考えまして、商工会商工会議所を設定をさせていただいたものでございます。  本法律制定後の施行に当たりましては、この委員会等の御審議、いろいろ御意見がございましたが、十分踏まえまして、本法律商工会法及び商工会議所法規定に基づきまして、公正かつ厳正に事業が行われるように万全を期してまいりたい、このように考えております。  なお、日商の会頭の問題につきましてのお尋ねでございますが、たびたび申し上げておりますように、今回の建設業をめぐる諸問題に関連しまして、石川会頭会長を務める鹿島の名前が新聞等で取り上げられていることは承知をいたしておりますが、この問題につきましては、事実関係がまだすべて明らかになっておりませんので、今の段階で何も申し上げることはできないわけでございます。  なお、商工会議所法上、日商の会頭の選任、解任は、議員総会におきまして行われることとされておりまして、通産省の監督権限はこれに及んでいないわけでございまして、進退につきまして通産省として云々すべきことではないと考えております。
  99. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  100. 竹村幸雄

    ○竹村委員長代理 川端達夫君。
  101. 川端達夫

    ○川端委員 中小企業関連二法案が議題となっております。まず初めに、商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案について若干のお尋ねをしたいと思います。  まず、この法律によりますと、通産大臣商工会等に対し、小規模事業者の経営改善等を支援するための基本指針を策定し、公表すること、こういうふうになっております。しかし一概に、「小規模事業者」と書いてあるわけですが、業種あるいは地域特性、そういうものによってその業態あるいは経営環境というのは実に多種多様、個々に全部違うというふうになっているのが実態であります。そういう部分で、この経営改善を支援する基本指針というものをお出しになるというときに、そのおのおのの地域あるいは業種によって当然役に立つ指針でなければならないということになると、共通的かつ具体的という部分では非常に難しいなという感じをしております。そうかといって、抽象的なものでは余り指針にもならない、参考にもならないということでありますし、具体的にどのようなことをイメージされているのか、お出しになろうとしているのかをお聞かせいただきたい。
  102. 森喜朗

    森国務大臣 川端委員にお答えを申し上げます。  基本指針は、商工会商工会議所がその機能を活用して小規模事業者の経営の改善発達を支援していく上での基本的なガイドラインともなるものである、このように考えております。各商工会商工会議所が実行いたします事業内容は、各地域で当然異なってくるものでございますが、基本指針におきましては、可能な限り事業の効果を全国一律のものとするために、中小企業近代化審議会の意見をも聞きつつ、小規模企業対策の必要性、目的原則、問題の解決を実現する方法、内容、実施体制等につきまして、各商工会議所商工会等が十分参考とできるような共通の指針にいたしたい、このように考えております。  なお、具体的な、どのようなイメージを描いておるかということにつきましては、必要がございましたら事務当局から答えさせます。
  103. 井出正一

    井出政府委員 具体的には、中小企業近代化審議会等と、それからまた都道府県等々の御意見も聞きながら立派なものを策定したいと考えておるわけでございますけれども、ここでとりあえず申し上げることができますのは、例えば基本指針におきまして、小規模事業者共通の経営上の問題点につきまして、現在その取り巻く環境を踏まえまして、どういうふうな形でそれぞれの問題を解決し克服していったらいいかというふうなことにつきましてまず一つ考えてまいりたいと思いますし、また、近代的経営管理方法を用いた小規模事業者の経営管理のあり方と申しますか、あるいはそれに対する指導のあり方、あるいはさまざまな新しい事業の展開というものに必要な情報の提供でございますとか、あるいは事業の共同化のためにはどういうふうなことをやっていったらいいかというふうな、もろもろの問題をできるだけ現実に即した形で方向を出したいと考えております。  それから同時にまた、商工会商工会議所が単に小規模企業者対策としてだけではなくて、地域経済団体として一般的な仕事をするわけでございますけれども、そういう一般的な仕事と、小規模事業者対策との関連といいますか、有機的連携というものをつけながらやっていく必要があると思いますものですから、そういう点につきましても検討課題にしてまいりたいと考えております。
  104. 川端達夫

    ○川端委員 可能な限り具体的に、そしてきめ細かく指針のおまとめというのをお願いをしておきたいと思うのですが、そういうものが出てきたというときに、実は商工会商工会議所の数は非常にたくさんあります。そして、その規模もまさにまちまちでありますし、財政基盤が脆弱な小規模な商工会現実には非常にたくさんあります。  今回のそういう指針に基づいて、この法律の趣旨が遺憾なく発揮されて、順調にそういうふうに機能すれば、この不況下に苦しんでいる小規模事業者あるいは地域経済の再活性に非常に大きな貢献をするということが期待されるわけですけれども、いろいろ通産省の方で大臣指針ということで、こういうことの方針の中で具体的にこういうことをやっていかれたらどうですかというのをきめ細かくお出しになる。それを消化しようというときに、そういう基盤が非常に脆弱な小規模な商工会が、この法律小規模事業者の経営改善を総合的に支援する主体としてやりなさい、こういうメニューですよ、こういう方針ですよというふうに言われる。  商工会で、会員を除いた従業員、いわゆる専従者ですね。これの資料を見ますと、「商工会会員における従業員規模別割合」、従業員規模ゼロ人というのが四七・五%。一人から二人が二四・八%。要するに、そこに毎日いる人が二人までしかという人で、商工会の主体として、役員さんは別ですよ、おのおの商売しておられるわけですから。七〇%を超える商工会が、実態としてはそういう状態であるという中で、いろいろな指針できめ細かくお出しいただいて、こういうことでやりなさいよという部分の主体として、そこがしっかりやりなさいと言われても、わかっていてもできないという状況を来すのではないか。それでは本当に何のためにやるのかという部分で、ここの支えをどう考えていくのかということが非常に重要ではないかなというふうに思っているわけです。  この点に関して、それは商工会会員独自がいろいろ切磋琢磨し勉強してやるというのが趣旨ですけれども、その集まってきておられる小規模な事業者に対しての経営改善を主体的に指導しなさいということですから、その人たちがこういう要員状況であるという部分では、商工会の場合、実際には地方自治体とかいろいろあると思うのですけれども、どういう仕組みでそれを支えるかということをお考えなのかお聞かせをいただきたいのと、全商連の辛嶋専務、考えとしては非常にいいことなんですが、それを実際にそういうことで、小規模事業者の皆さんの経営改善というので主体としてやっていくということに関してどういうお感じをお持ちなのか、そのことも含めて御意見も賜りたいと思います。
  105. 井出正一

    井出政府委員 先生指摘のように、いわゆる小規模商工会等々におきましては、補助対象職員以外の一般職員というのがなかなか確保できないというのが現状がと思います。  そういうことでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけそういう事務局体制というものも各商工会で独自な努力をしていただくことも一方では期待をしておるわけでございますけれども、他方では、こういう小さな規模の商工会に対しましては、例えば複数の商工会が集まって事業を行う広域経営改善普及事業というふうなことで、幾つかの商工会がまとまった形で事業を展開をしていただくこと。あるいは、都道府県商工会連合会といいますのは、各商工会の指導をするのが一つの大きな任務になっておるものですから、都道府県の商工会連合会支援体制の充実強化というふうなこと。それからまた、商工会の職員だけですべてをなかなかこなし切れないものでございますから、むしろどういうふうな形で事業等々を実施するか。ある種の有機的オーガナイザーとなって、すべてを一から十まで商工会の職員がやるわけではなくて、いろいろな方々を例えば勉強会の委員会に入っていただくとかいうふうなことで、外の知恵を有機的に活用するような体制づくりというふうなものもまた必要がなというふうなことを考えておりまして、そうしたもろもろのやり方を通じまして、御提案申し上げておりますような中身のものが、各地におきまして各地の実情に応じた展開を図るべく努力をしてまいりたいと考えております。
  106. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 ただいま御指摘のございましたように、商工会議所地区は非常に小規模事業者が多うございます。商工業者が全体で百七十万おるわけでございますが、そのうち百五十万と、約九割、通常八割と言っておりますが、九割も先生先ほど御指摘ありました零細小規模企業でございまして、それらの方々の御意見をいろいろ聞いておりますと、商工会二千八百あるわけでございますけれども、そのうち何と一千八百は人口減少地区でございます。  御承知のとおり、この小規模事業者は、製造業というよりも、むしろサービス業とか商業とか小売業とかそういう地元に密着した企業が多々ございまして、人口が減少していくので非常に困る、そのためにはどうしたらいいだろうかというと、やはり村おこしといいますか、そういう地域おこし、地域振興ということが重要じゃないか、そのためにはやはり商工会はぜひ頑張ってくれという声が多々ございまして、確かに商工会の事務局体制は脆弱ではあるわけでございますが、地元における地域経済団体の企画者としてこれをぜひ活用していきたい、こう思っておる次第でございます。  そういうこともございまして、こういうことを実際実施する場合には、地元の小規模事業者のコンセンサスづくりというのが非常に重要な課題となってくるわけであります。そういうために、一カ所二百万円の地域振興プログラム作成という予算をつけていただきました。その予算をもとにしながら、いろいろ地元の、地元のみならず、県、そういう学識経験者の意見なんかを交えながらつくっていきたいな、こう思っております。  また、そういう仕事をやりますと、経営指導員に対する負担というのが非常に多くなるということもございまして、小規模商工会につきまして今まで事務局長というのがなかなか予算要求してもっかなかったのでございますが、従来五十ずつぐらいしか増加しなかったのでございますが、今年度は二百認めていただきました。そうしますと、二千八百ある商工会のうちの一千八百ぐらいには今年度中には事務局長が配置される。二百、二百、二百でついていきますと、五年ぐらいたちますと全部の小さな商工会にも事務局長というのがつくことになりますので、長い目で地域振興を図っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 川端達夫

    ○川端委員 基本的には商工会の皆さんが御自身で努力をされる部分に成果はかかっているんだと思いますし、そういう前向きにおとらえいただいているということで心強い限りですが、今専務がお話しになりましたように、過疎地域で、何とかここでてこ入れをして持ち直さなければいけないというところに実はこの法律の本当の生かさなければいけないところがあるというときに、こういう要員の問題、そしていろいろな外からの知恵を組み入れてというときのそういう仕掛けも含めて、またマンパワーが非常に必要なという部分でもあると思います。そういう部分で、通産省でもせっかくこういうお知恵をお出しいただいて仕組みをつくっていただくという限りは、その実態がどういうふうに推移していくか、そしてまた、足らざるところを補うというふうなフォロー体制というものをしっかり見ていただきたいなということを御要望申し上げておきたいと思います。  それから、基盤施設事業についてお尋ねをしたいのですが、異業種交流と地域中小企業のネットワーク化というのは、本当にうまくいっている例もありますし、成功すれば参加企業だけではなくて地域経済全体に非常に発展の寄与が大きいということはかねがね言われております。しかし、異業種交流というものは随分言われて久しいわけですが、地方自治体なんかで一生懸命やられた異業種交流というのは、ブームが去ったというのですか、かなりいろいろやってこられた中でマンネリ化して、そういうグループは時々一杯飲んでゴルフをするという会にだんだんなってきているというのも見聞きをします。それで、今回商工会等が主体になって進めをされる箱物を中心とする基盤施設事業も、本当にそのニーズに適合してきっちりやっていかないと、よほどうまくやらないと、何年かたつと、何か実態は余り伴っていないなというふうになる懸念も持つわけです。  そういう部分で、これは両参考人にお尋ねをしたいのですが、今まで、商工会議所それから商工会ともにそれぞれのお立場で異業種交流という部分をいろいろ御努力されてきたというふうにも伺っておりますが、そういう部分での御経験の中で、こういうところはやはり難しいというふうなこと、あるいは、箱物を中心として商工会等々でこういうものをやるというときに、行政の立場通産省立場でこれから特にこういうことにはいろいろ配慮してほしいというふうなことがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  108. 谷村昭一

    谷村参考人 今のお尋ねの件でございますが、異業種交流につきましては、商工会議所は、最近の経済の発展の状況、今後の発展を考えますと、中小企業のいろいろな面での発展の一番重要な一つの手段だと思っておりまして、積極的に異業種交流の場を設けて現在推進をいたしておるところでございます。  しかも、この異業種交流によりまして、いろいろな方々が集まってお互いに話し合う場から、いろいろな新しい技術ですとか新しい商品ですとかということも開発できる段階になってまいりました。  そういう意味で、この異業種交流を今後も大いに推進してまいりたいと思っておりますが、これはむしろ、商工会議所のいろいろな研修の場でございますとか、そういう場を通じて自主的に推進していきたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  109. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 先生指摘の異業種交流についてでございますが、商工会地区と申しますのは、主として町村単位でもって設立されている狭い範囲でございます。私どもは、そういう狭い範囲で異業種交流をやっても余り意味がございませんので、県連といいますか、県単位でもってその異業種交流を進めております。経営者同士の交流、あるいは従業員同士の交流、あるいはほかへの見学をするとか、そういうようなことをやっております。さらには、共同研究開発まで進めばそれにこしたことはないということで進めております。  どちらかといいますと商工会地区の事業者というのは、ある意味では、先ほど申し上げましたようにある特定地域に存続しておる場合が多うございますので、ほかの地域あるいはほかの業種ということでなかなか見るチャンスがございません。そういう意味からいいますと、大都市の例えはスーパーマーケットを見た、そうすると、こういう経営をやっておるのかというようなことで非常に勉強になって参考になる、こう申しておる次第でございます。
  110. 川端達夫

    ○川端委員 それで、そういう部分で、異業種交流の中でメリットもあるけれどもマンネリ化もしているという部分も含めて、私は、背景としてこういう基盤施設事業みたいな考え方が出てきたのではないかなというふうに思っているのですが、その中で、私は、この基盤施設事業とか共同工場あるいは共同店舗というものは、ある部分で非常にそういう企業創業というのですかね、新しい業界をつくっていくとか、そういう部分では非常に大きな役割を担っていけるのではないかなと。  ただ、最近、いわゆる地域インキュベーターというのですかね、何かだんだん難しい言葉がはやってよくわからないのですが、いわゆる企業創業という部分で日本経済を支えてきたいろいろな中小企業というものが、時代の変遷、業種の変遷で移り変わってきているけれども、やはりその時代に合わせでいろいろ新しい企業がどんどん生まれてきているという状況日本経済を今日まで支えてきた。ところがそれがどんどん減少する傾向に入ってきた。  これは、関満博先生の「中小企業地域インキュベータ」という本からの引用なんですが、  日本の最大の工業都市の一つである東京において、円高と異常な地価高騰を挟んだ一九八三年から九〇年の七年間の間に、約二万工場が消失していった。その結果、東京都の工場数は八三年の約十万工場から、九〇年には約八万工場へと後退していったのである。この減少した二万工場という数字は、千葉県全体の工場数を上回り、地方の県であるならば、四県分ほどの数になるというものである。事実、日常的に東京中小企業を観察している我々の実感としても、特に、鋳造、鍛造、メッキ等の公害発生型企業の減少は目を覆うばかりであり、また、独立創業の焦点になっていた機械加工、鈑金等の職種での新規創業の停滞が認められる。そうした現象は、中小企業による厚みのある技術の集積構造を形成し、産業全体のダイナミズムを基礎づけていたという従来型の発展構造を脆弱化させるという意味で、日本産業の将来に大きな懸念を残すことはいうまでもない。 こういうことで、これからの部分で、日本経済のダイナミズムという部分でも、中小企業が維持発展されると同時に新しく生まれてくるというエネルギーがなければもたないのではないか。  ところが、今減る一方になっているという状況の中で、企業創業という観点でとらえたときに、今こういう独立開業の数というのは統計的にも随分減っていますね。九一年の中小企業白書でも新規開業率の低下を取り上げられております。白書で、八六年から八九年の中小企業の開業率、同期間の開業数の中小企業事業所数に対する比率は企業種平均で四%程度と六五年以降の最低水準にまで落ち込んでいる状況であるというときに、これをどうしていくのかという非常に大きな問題があるときに、共同工場あるいは共同店舗というのは一つの受け皿的なものとしては非常に期待ができるというふうに思います。  ですが、この事業主体を商工会議所等がおやりになる。商工会等の会員がおられる組織なんですね、これは。そういう部分で寄り集まって新たな企業というのは、それはそれで意味があるのですが、企業創業、新しく企業を興していくという部分でいうと、会の性格上、会員の人たちのためにやるという部分に少しネックが生じるのではないかな。やはり今いる人たちのためでない、新しい人のためにという部分が、理屈としてあるいは感情として乗り越えられるのかなという懸念を持っているのですけれども、こういうことに関して何かお考えが当局としてあるのかどうか、それからこういう創業支援という問題自体はどのようなお考えを今お持ちなのか、お聞かせをいただきたい。
  111. 関收

    関政府委員 今先生から東京都の例を伺いまして、私どもも、全国で多かれ少なかれそういう現象が出ていることを大変懸念をいたしておるところでございます。  実は、アメリカとかヨーロッパにおきましては、今から二十年ぐらい前にやはり企業数が非常に減って社会の活力に問題が生ずるのではないかという懸念が出まして、いろいろな対策を講じたという例も我々は知っているわけでございます。日本の場合には、これまで幸い非常に旺盛な開業が行われておりまして、そういった活力という意味での心配はなかったわけでございますが、先生指摘のように、最近におきましては開業率が恒常的に低下をしてきておりまして、一万廃業率は、景気動向等によって変わるわけでございますが、最近時点においては廃業率が開業率を上回る、すなわち企業数が減ってくるという事態は、我が国経済全体の活力という点からも極めて懸念されるところではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、私もたびたびお答えを申し上げておるわけでございますが、しからば我が国の企業精神でありますとかあるいは新たなマーケットニーズというものが減ってしまったのかというと、私はそうではないと考えておりまして、今、私から申し上げるまでもなく極めて内外の情勢が急激に変化している中で、新しい産業の課題というものも非常にたくさん出ていることが指摘できるのではないかと思っております。私の知る限りでも、例えばこれから進みます高齢化社会でありますとか人手不足でありますとか女性の社会進出、そういった社会構造の変化に伴う新たなマーケット需要、あるいはまた消費者の方の需要も、これまでの物を買うというところからサービスでありますとか余暇、健康といったものに向かう需要に対する対応、あるいはまた、これから九〇年代において相当華々しく展開されるであろうと見られます技術革新をシーズといたしました産業の発生、あるいはまた国際化でありますとか資源エネルギーの制約ということに関連して出てくる産業需要、こういった新たな産業の可能性、ニーズの発生というものは非常にたくさんあると思うわけでございます。  そこで、なぜ開業ができないかということでございますけれども、私ども中小企業白書でも分析をいたしておりますとおり、なぜできないかということにつきましてアンケート等いたしますと、先発企業に比べて優秀な人材の確保が難しい、資金力が乏しい、あるいは設備でありますとか機械器具の調達が難しい、技術力、販売力がなかなかないといったようなことが先発企業との間でいろいろ格差があって新たな開業がしにくいといった状況にあるかと思うわけでございます。  そこで、私ども、我が国の経済の活力をまた取り戻し、また特に地域におきましては小規模企業地域経済の主役を担っていただいているわけでございますので、そういった中で新たな創業をお手伝いする施策もさまざまな形でとらせていただいておりますし、今回のこの法律でお願いいたしておることにつきましても、新規開業ということについて非常に大きな役割を果たすのではないかと考えております。前にも御紹介を申し上げましたけれども、金融でありますとか信用補完等々で既に手を打っておりますが、今回の法律に関連いたしまして、いろいろな新しい事業を展開する場合に今申し上げましたような経営資源上の問題を解決する手がいろいろ打てるのではないか。また、この法律とは直接関係ございませんが、設備面の問題として、設備近代化資金でありますとか設備貸与制度につきまして今年度から創業枠というのも設けようということにいたしているわけでございます。そういった中でこの新しいいろいろな需要の変化、シーズの変化に対して新規事業を始める環境づくりをさせていただきたいということでございます。  それで、今先生のお尋ねの後の方の問題でございますが、今度は地域という観点から見て、商工会等が新たな基盤施設等をなさる場合にそれが既存業者活性化型なのか、あるいは新規開業振興型なのかというようなお尋ねもございました。  私ども、そのそれぞれがあり得るでございましょうし、またその混合型のものもあり得るのではないか。やはりそれぞれの地域の実情に応じましてその地域状況から最もいい形を選んでいただいて、それをまた地域商工会商工会議所のメンバーの方が利用していただいて、先ほど最初から御説明申し上げておりますような新規開業あるいは既存事業の新たな発展といったような方向に新しい道を開かせていただければありがたいと思う次第でございます。
  112. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。  本当に経済の根幹にかかわる部分だと思います。いろいろお知恵を出す中で頑張っていただきたいというふうに思います。  せっかく参考人においでいただいておりますので、この場をかりて現状と御要望を言っていただけるとありがたいなということでお尋ねをいたします。  経営指導員というのは非常にその地域において大事な役割を果たしていただいていると思うのですが、最近おのおのの企業自体の抱える問題、経営環境の問題も技術的な問題も含めて非常に多岐にわたり複雑化している、そしてハイテク、OAだということでレベルも上がっているというときに、そういう部分に会員の皆さんのニーズにこたえて経営指導をしていく一相談に乗っていくということ自体大変な御努力が要るというふうに思います。先ほどもちょっとありましたけれども、そういう部分での人的な確保、マンパワーの確保と、それからそういう人たちのレベルアップというのですか、資質の向上という部分に関して現状どういうふうに思っておられるのかということと、いろいろなバックアップとかいう部分で何かこういうことがあればなというふうに思っておられることがもしおありでしたら、この機会にお聞かせをいただきたいと思います。
  113. 谷村昭一

    谷村参考人 今先生が御指摘の点が一番重要な点だと認識をいたしておりますが、現在経営指導員につきましては、定期的に中小企業大学校での経営指導員研修を受けさせていただきますとともに、各都道府県で実施します経営指導員研修に参加の義務が課されておるわけでございます。また、商工会議所自身におきましても、この経営指導員につきましてはいろいろな形で研修機会を与えるように努力をいたしておりまして、日商主催の研修会あるいは商工会議所県連主催の研修あるいは先進商工会議所での事例研修というようなことも活用いたしまして、時代の環境変化に対応していく人材養成ということを重点で進めてまいりたいと思っております。また、経営指導員の専門知識を修得させることも極めて重要でございますので、各地商工会議所で独自に自己研さん奨励のための制度を設けておりますほか、いろいろな国家資格の取得についても経営指導員がみずから努力をして取得をするというチャンスもふえておるようでございます。  今後の我々考えております一つの課題といたしましては、先ほど先生も御指摘ございましたが、非常に高度な専門的な相談もあり得るわけでございまして、こういう経営指導員で対応できない高度な専門的相談につきまして、エキスパートバンクというような形での専門指導体制も整備してまいりたい、かように考えております。
  114. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 経営指導員のレベルアップあるいは人材確保の問題につきましては、今、日本商工会議所さんがお話しになりましたようなことを私どもも同様に実施しております。それ以外に私どもは、商工会及びその商工会の上にあります県連合会でございますが、その県連合会での研修会、あるいは全国連では経営指導員協議会というものがございますので、その経営指導員協議会の研修を通じたりして、逐次資質の向上に努めている次第でございます。  経営指導員の方々のお話をいろいろ聞きますと、どうも給与体系が全般的に低いのではないか、こういうような話もございますし、また今般こういう基盤施設設置事業をやるということになりますと、なかなかいい人は集まらないのじゃないかというような話もございます。ところが、ことしはおかげさまで今年度予算におきましてその格付をアップしていただきまして、経営指導員制度が始まって以来の制度を今回予算でお認めいただきまして、各経営指導員喜んでおりますので、あわせて申し上げさせていただきます。
  115. 川端達夫

    ○川端委員 いろいろありがとうございました。  もう時間がなくなってしまったので、次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思うのです。  まず、今の景気の動向ということについてお尋ねしたいのですが、現時点で中小零細企業の方々が一番求めておられるというのは、不況が何とか抜け切るまで運転資金として使える、担保も要らないあるいは金利の低い融資が欲しい。これは都道府県なんかで、いつか前にもお尋ねしましたが、その後政府の緊急経済対策でフォローしていただきましたが、そういう部分のニーズが非常に多いというのはやはりそこに端的にあらわれている。そういうときに、信用保険法の改正で中小企業が民間金融機関から運転資金を得られたとしても、こういうことでいろいろ借りやすくしよう、保証も上げようというときに、いつまで不況が続くのかということが実は大変な懸念になっているわけでありまして、ここまで我慢してこれでお金をつなげば何とかいけるというのか、これが相当長いのかということが実は最大の問題になってくるわけです。  そこで、最近株価が二万円台に戻ったとか、いろいろな政府の経済見通し等々も少し底を打ったというふうなニュアンスもあるわけですが、今大変な思いをして企業を守り、運転資金をそういういろいろな形でお支えをいただいて借りている人たちに、大体このあたりまでが我慢のしどころよという景気見通し、運転資金までとにかく借りなきゃいけないというふうな状況に対して、これは非常に難しい話ですが、どのくらいのレンジと今見ておられるのかなということをお尋ねしたいと思います。
  116. 森喜朗

    森国務大臣 どの程度のレンジで見ておるのかということになりますと、これは率直に申し上げて、私どもは一日も早い回復をさせたいということに尽きるわけでございます。  このところ、鉱工業の生産、出荷、乗用車販売なども一部に回復の兆しを示す動きも徐々にあらわれてきております。これらの指標につきましては、しかし私どもはもう少し慎重に見る必要がある。つまり、年度末でもございましたので、決算対策の動きが影響しているのではないかと考えておりまして、明るい動きが長続きするかどうか、なお慎重に見ていく必要がある。また、たびたび申し上げておりますように、個人消費や設備投資費は依然として低迷が続いておりまして、そこにまた急速な円高の傾向が景気に与える影響も懸念せざるを得ない、このように我が国の経済はまだ予断を許さない状況にある、こういう見方をいたしておりまして、そういう中で景気の足取りをぜひ確実なものにしたい。需要拡大効果がさらに各産業により広範にかつ直接的に、即効的に及ぶことが期待をされるもの、またある意味では貿易のインバランスも解消できるもの、こういうことをいろいろと工夫いたしまして、社会資本整備の新たな展開、また中小企業の活性化、企業の省力化や合理化に対する投資を促進するための税制措置等を含む総合的な経済対策を立てたわけでございます。  こうした対策によりまして、年度を通じまして高水準の公共投資が行われ、景気を下支えいたしますとともに、住宅投資の回復も着実なものとなって、さらには個人消費、設備投資も緩やかな回復に向かうものと考えております。さらに、民間部門の在庫圧縮や経営革新なども、これはぜひ努力をまたしていただかなければならぬわけでございますので、そうした各企業の努力なども一層お願いを申し上げて、我が国経済はまさに内需主導の経済成長に徐々に移行させていくものである、こう考えておりまして、いずれにいたしましても、冒頭に申し上げましたように、この経済対策の効果が一日も早くあらわれるように、対策の早期実施に向けて今最大限の努力をしたい、こう考えておるところでございます。
  117. 川端達夫

    ○川端委員 そういう状況であるからこそ、金融機関もいろいろな環境の中で融資がなかなか難しい、そういう姿勢の中で大変苦しい中小企業に対して信用力、担保力の補完ということでこういう信用保証制度がそもそもあるのだと思いますし、今回もそういう経済見通しであるからこそ拡充しようと御提起になっているのだと思います。  大蔵省にお尋ねしたいのですが、中小企業の金融の円滑化ということでいろいろ御指導もいただいているのは承知をいたしておるのでありますが、現在中小企業への民間金融機関の貸し付けは総額で大体二百二十二億円程度で、この信用保証制度の利用率は、平成三年から四年九月までの数字ですが、少しずっこの保証の利用率が上がっている。保証債務残高も随分上がっている。ところが、総額的には中小企業への民間の金融機関の貸付額というのはほぼ横ばいなんですね。ということでは、結局信用保証制度を頼る部分がどんどんふえているという実態の中で、マスコミの報道などでも、担保余力があるのに金融機関が貸してくれないとか、預金の積み増しなど新たな融資条件を出してきたとか、いろいろな形でお金がまだまだ貸し渋りの状況である、そして、金融機関自体も、いわゆる長プラの優先順位というのですか、枠の中で企業の力の部分で評価をして、結局中小企業の方なんかにはどんどん枠が外れてしまうというふうに、やはり今なお中小企業、弱いところに対する融資というのは非常に問題が多いのではないか。幾ら信用保証を国の方でこういうものでバックアップしよう、その枠を広げようといっても、肝心のもとで貸してくれるものがなければ絵にかいたもちにしかならないという部分で、大蔵省として、特に中小企業に対する金融の実態としての民間企業の、余りいい言葉ではないかもしれませんが、今の貸し渋り状況というのをどのように認識されているのかだけ最後にお尋ねをしたいと思います。
  118. 森本学

    ○森本説明員 先生質問の、中小企業向けの銀行の貸し出してございますが、現在、全国銀行の貸し出し全体の伸びが大体二、三%という伸びになっておりまして、そうした銀行の貸し出しの約六割を占めます中小企業向け貸し出しも大体前年比二、三%程度の伸びとなっております。この点につきまして、先生指摘の金融機関側の事情、いわゆる金融機関の融資対応力が低下するようなことによりまして、健全な経済活動に必要な資金の供給が阻害されるようなことがあってはならないと私どもも考えております。  このため、昨年の夏以降、自己資本の充実策、その他金融機関の融資対応力を確保する施策を講じてきております。特に中小企業金融につきましては、先生も御指摘のように、二度にわたりまして通達を発出いたしまして、中小企業金融の円滑化について配慮するように要請したところであります。また、今般の総合経済対策におきましても、融資体制の強化ということを金融機関に要請しておりまして、先生指摘のような厳しい経営環境に置かれております中小企業に対する金融が円滑化するよう今後とも努力していきたい、そのように考えております。
  119. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいましたので終わりますが、そういういろいろな御努力をされた結果で、報道でも東京中小企業家同友会調べで、先ほど言ったような、いろいろで余り貸してくれないという不満が大きいという報道があるという部分で、なかなかそれは借り手と貸し手の問題というのはいろいろな見方がありますけれども、なお一層の御努力をお願いして終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  120. 井上普方

    井上委員長 和田貞夫君。
  121. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 まず、森通産大臣に緊急な円高の問題について質問いたしたいと思うのですが、宮澤総理が十三兆円の土産を持って渡米されて日米首脳会談が行われたわけでございますが、その結果、クリントン大統領の発言、これがきっかけとなって円高が急速に進んだのではないかと思うのです。昨日の終わり値が百十円二十五銭、これはまさに政府の、アメリカ側の貿易不均衡の是正についての結果重視、これに対する認識の甘さであったのでなかろうか、こういうことを指摘したいわけであります。  そこで、この円高日本経済への影響を心配するわけであります。円高によりまして消費者の皆さんに、国民の皆さんにどのようなものが還元できるか等々も考えなくちゃなりませんし、円高不況は避けなければならないというように思うわけでございますが、既に私たちが政府の方に要求いたしております消費税の食料品全段階非課税、所得税の大型減税、これを速やかに行って、今与野党の協議の最中でございますが、この円高不況が加わるというようなことをぜひとも避けるようにやってもらわなくてはならないのじゃないか、このように思うわけであります。また過日、政府がお決めいただいた、恐らく来月の中旬には補正予算が追加上程されるということも聞き及んでおるわけでございますけれども、この経済対策は輸入の促進ということが非常に高く掲げられておるわけです。この急激な円高というものはただでさえ輸入の拡大を促すことになるのでございますが、これは政策として掲げることによって円高による不況が極めて加速されるということを非常に心配いたします。  したがって、円高によって犠牲になるような中小地場の輸出産業あるいは輸入ラッシュにさらされるようになる農林水産関係地域産業の救済策、これは政府としては急ぐべき必要があるのじゃないか、こういうように思うわけでございますが、この機会にこれらの問題についてひとつ対応策をお聞かせ願いたい、こういうように思います。
  122. 森喜朗

    森国務大臣 お答えを申し上げますが、大変広範囲にわたっての先生の御意見も踏まえての御質問でございましたので、すべてに的確にお答えができるか、その辺は御理解をいただきたいと思います。  まず、順を追って申し上げさせていただきますが、今回の総理の訪米につきましては、今委員から見通しの甘さというふうに御指摘をいただきました。アメリカの新政権が誕生いたしまして、日米両国の首脳が初めて顔を合わせたわけでございまして、日米間のさまざまな問題等に関しまして率直な意見交換を行う、同時にまた、個人的な信頼関係も構築されたということでございまして、私どもは極めて有意義であったと考えております。  それで、そういう中で、大統領からやはり年に二回は会おうじゃないか、こういうお話もあったくらいでございますから、そういった意味で、日本側に対して、日本の持っていきました総合経済対策など、そうしたものの甘さというようなものを指摘されたものではないと私ども承知しておりますし、先ほどもこの委員会で御質問がございましたけれども、先般の緊急G7の際も、アメリカの財務長官、国務長官、いずれも私もお目にかかりましたけれども、今回の新しい総合経済対策に対しまして大変評価をしていただいておりまして、このことを少しでも早く実現をしていくことがまずは一番大事だ、こう考えております。  また、今回の、大統領が貿易不均衡の是正のための具体的な方策として円高を挙げたことを背景として円高が進んでいることは事実でございますが、これは、そういう話し合いを両首脳の中で行ったのではなくて、終わりました後、大統領が円高の推移について記者会見で述べたということがいろいろな形で思惑的に今動いているものだ、私どもはこういうふうに理解をいたしております。そういう意味で、まさに産業界が今景気低迷の中で苦しんでおりますだけに、為替レートが思惑等によりましてわずか二カ月間で十三円以上というような急激な変動をいたしておりますことは、せっかくここまでやってまいりました内需主導の景気回復の足を引っ張り、内需拡大による貿易不均衡の是正にも実は悪影響を与える。まず日本の景気がよくなって内需拡大して、そして輸入を促進するという体制をとっていかなければならぬのに、ここでまたこういう形になりますと、結果的にアメリカにとっても何もプラスはない、私どもはこのように、強く政府としても、また個人的にも申し上げておるところでございまして、まだ円高の推移についてはもう少し時間を見て、その推移を注視をしていかなければならぬ、こう思っております。  なお、円高日本産業に与える影響は今委員からいろいろと御指摘をいただきました。円高が及ぼすこのような悪影響に対しましては、先ほど申し上げたように、内需拡大を図り国内景気の早期回復を図ることが一番の処方せんでありますけれども、今般の総合的な経済対策の早期実施等を通じまして一日も早い回復を実現させたいと考えておりますし、また、経済対策におきましては、中小企業者に対し特に配慮し、都道府県と国とが協力して実施しております緊急経営支援貸付制度なども拡充し、最近の円高による輸出減等の影響を受けて経営に不安定を生じております中小企業者等に対しまして特別枠を創設をしたところでございます。  落ちているところがあるかもしれませんけれども、余り長くなってはいけませんので、この程度のお答えにさせていただきます。
  123. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 円高によるところの不況の加速化というのを心配するわけでありまして、不況対策を政府の方も立てられておるわけでございますが、なお一層、そのために私たちも政府の方にお願いをしておる所得税の減税ということを、与野党で協議はいたしておりますが、政府みずからも景気対策としてひとつぜひとも取り上げていただく努力をしてもらいたい。あるいは、円高によって犠牲になる、これに打ちかつ大きな企業は別といたしましても、中小の地場の輸出産業というのは大変なことに追い込まれるのじゃないか、こういうように思うわけでございますので、これらについての対応策というのは緊急にひとつ考えてもらっておかないと困るのじゃないか、こういうことで指摘させていただき、お願いしたわけでございます。そういうことでひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、委員長、私はきょうはこの法案質疑に当たりまして、日本商工会議所あるいは全国商工会連合会それぞれの会頭会長が、極めて直接関係のある法案でございますから、私は、その団体の長にぜひとも参考人に来てもらって、ひとつお尋ねしたいこともあるし、御意見具申し上げたいこともあるので要請しておったわけでございますが、私の意に反して会長会頭が来てもらえない、これは一体どうしたことですか。
  124. 井上普方

    井上委員長 お答えいたします。  和田君のみならず、そういうお声がたくさんございましたので、昨日商工会議所の、片一方の方は電話しなかったな、商工会議所会頭のところに電話しましたら、お電話に出てまいりません。常務理事の方が出てまいりまして、たくさん用事があるんだ、こうおっしゃいますので、その用事は一体どんなのだと言ってお聞きしましたら、これも十分にお答えがございません。いろいろと用事があるのだそうでございます。そこで、まあきょう言ってあしたといいますとそれはいろいろと御用事があろうと思いますから、専門家を出す、こうおっしゃる。しかし、専門家を出すと言ったところで最高責任者が出てきてでなければこういう問題は論議ができないぞということを強く申しましたところが、いやいや私どもには専門家がおりますので、こう申しますから、日本の国会においては専門家というのは局長であるとか部長であるとかいうのが専門家だ、しかしながら最高の責任者である大臣がおらなかったら質問ができぬのだぞ、こういうことを考えて、日本商工会議所法という法律がある、以上からして、ぜひとも商工会議所会頭が出てきて答弁すべしということを私は申し上げたのですが、何分昨日のきょうのことでございますので、用事があると言えば、まあお葬式もあったり結婚式もあったりすることでしょう。ですから、そのことについては、きょう出てこないことについては私は了解をいたしましたが、その際強く商工会議所の方に申し上げましたのは、時間を見て我々が要求するときには次には必ず出てくるようにということを強く要求いたしておいた次第でございます。  以上です。
  125. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 努力してもらったことはわかりますが、俗に言う経済四団体というのがございますね。経済団体連合会、経済同友会、日本経営者団体連盟、それにこの日本商工会議所ですね。この経団連なり同友会なり日経連というのは、これは法定団体じゃないのですからね。今委員長が言われたように、都合で来れぬと、これはしょうがない。しかし、日本商工会議所なり全国商工会連合会というのは、これは法定団体です。しかも、その法定団体にかかわる議案をこれから審議すると言っているのに、任すという通産省にも質問したいし、任されようとしておるこの団体の責任者質問ができぬということは、これは極めて遺憾です。  こういうことについては、私はもうどちらかというならばこの法案審議は来てからというように言いたいわけでございますが、しかし片方ではやはり中小企業の皆さん方が待っておられる信用保険法があるので、これはやはり一日も早く通さなくてはならぬので、きょうのところは辛抱いたしますが、私はこの法案以外にきょうは聞きたかったのは、後で述べますが、いわゆる中小企業の白書というのが中小企業庁から出ておるわけでございますが、これに伴うところの中小企業の労働者にかかわる問題、中小企業者の人材育成の問題、中小企業者の基盤を強めるために質問をしたかったわけです。したがって、この法案はきょうは成立いたしましても、今申し上げましたようなことがございますので、きょう来ておれば質問ができたのですけれども、私の質問をできないわけでございますから、ぜひとも改めてその場をつくっていただきたいことを要求しますので、ひとつ委員長、責任持ってもらえますか。
  126. 井上普方

    井上委員長 和田君にお答えいたします。  私も和田君と同様の意見を持つものでございます。したがいまして、日本商工会議所に対しましては、この商工委員会に必ず出てくるように強く私は要求するつもりでございます。  以上です。
  127. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 よろしくお願いいたします。  それでは、本題に入りたいと思います。  そこで、法案一つ中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、これは貸し付けの上限を広げるということでございまして、私たちはもう少し上限を高くしてほしい、こういう希望も持っておるわけでございますが、これらの問題を含めまして、我が日本社会党のシャドーキャビネットの経済政策のこれらに関係する問題が大方取り入れられておることでございますので、これはひとつ了承したいと思うわけであります。  しかし、つけ加えて申し上げますならば、今日本対策の中で、通産の抱える今次の八つの法案の用意をされておる中で、これこそが一番大事な法案である。これを今ごろ持ってくるということは、大体けしからぬ。イの一番に持ってきて、イの一番に中小企業の皆さん方に安心してもらう、こういうことでなかったらいかぬじゃないかというふうに私は思っておったのです。そのことを厳に、中小企業庁の遅きに失したことについて強くおしかりを申し上げて、そんなことのないようにひとつよくこれから気をつけてもらいたい、こういうように思うわけでございます。  さて、二つ目の小規模事業者支援法律であります。  これは中小企業の皆さん方、特に小規模事業者に対するところの支援策でございますが、内容は、いろいろと検討してみましたら、なぜ事務局長を意識的に配置をするというようなことが必要があるのかというような問題等々があるわけでございますが、先ほどからいろいろと議論を聞いておりましたら、それなりの御答弁を通じて考え方を知り得たわけでございます。  私は、これらの問題については了とするにしても、本来行政機関がこのような施策を遂行するに当たって、行政機関としての府県なり、あるいは市町村というれっきとした行政機関があるにもかかわらず、そこに業を託すというようなことをしないで、日本商工会議所全国商工会連合会を通じて単位の商工会議所あるいは商工会にこの事務をやらせる、委託するというようなことは、どうも不可思議でならないわけです。なぜ自治体にこのような問題を取り組ますように仕向けないで商工会議所商工会にこの業務を委託しようとしたのか。ひとつ本質的な考え方についてお答え願いたいと思います。
  128. 森喜朗

    森国務大臣 この法律案におきましては、地域の総合経済団体といたしまして全国に展開された組織構造を有するというのはやはり商工会あるいは商工会議所でございまして、それだけの組織構造を持っておる団体であるということ。さらに、三十年余にわたりまして、経営改善の普及事業を通じまして小規模事業対策に経験や知見を持っております。こういうことが商工会商工会議所を改めて小規模事業対策の担い手として位置づけをさせたものでございます。  この法律案における小規模事業者のための支援事業、特に基盤施設事業は、経営改善普及事業とも相まちまして、地域小規模事業者の経営基盤の充実を目指して、意欲ある商工会商工会議所がリーダーシップをとって地域全体で取り組むべき性格の事業でございまして、地域におきます合意形成ももちろん極めて重要である、このように考えております。この基盤整備事業の実施に当たりましては、商工会等が地域振興にかかわるビジョンを作成し、また地方公共団体等が既に作成をいたしました地域振興計画、産業ビジョンなどを踏まえた地域振興支援のための行動計画を作成するなどの事業を行う過程を通じまして、地域内の合意の形成が促進されるということが期待をされているわけでございます。  ただ、事業構想の段階から地方の公共団体とも十分連携をして地域内の合意形成に留意することは重要であるというふうに認識をいたしておりまして、事業の適切な運営がなされますようにこれからも指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  129. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この事業を行うについて、経営指導員の人件費を地方財政計画の中に組み入れて、そして自治体の方にこの経費を、地方財政計画の中で自治体を通じて経費を賄っていく、そのかわりに従来からのこれらの財源をこの支援活動に充てるということは、これは積極的な中小企業対策のやり方として私は非常に敬意を表するわけです。しかし、一方では、例えば私どもの大阪府とかいう不交付団体は、これは持ち出しですよ。不交付団体は金を持っているんだからというけれども、不交付団体は不交付団体なりの悩みがあるんですよ。こういうようなことを含めて、やはり地方の持ち出しというようなことは起こっておるわけでございますから、これらに見合う何かのものを、損得からいうならばひとつ考えてもらわぬと、これは私たちはどうも不満である、こういうふうに思います。金でできなければ何かで補うというようなこともひとつ考えてくださいよ。  そこで、この支援策について、商工会議所あるいは商工会に仕事を委託するんじゃなくて地方自治体にやらせなさいという理由は、自治体の場合は、これは行政機関でございますから、極めて社会的にも市民の皆さん方あるいは商工業者の皆さん方がやはり安心もしてもらえるし、あるいは政治的にも申立てあるし、これは当然のことでございます。しかし、商工会商工会議所の場合は自治体と異なる面がある。先ほど大臣やあるいは商工会議所商工会連合会の方から、そんなことはないとか、そんなことはあるとか言っておられますが、そういう建前を言ってもらっても困るわけです。先ほどから我が党の委員指摘をしておるのは、現実の問題をとらまえて指摘をしておるわけです。実情を把握して質問しているわけです。それを打ち消すような建前の答弁だけをいただくようなことじゃ私は承知できない。そういうことを繰り返すのであれば、きちっとその証拠を持ってひとつ議論したいという気になりますよ。やはり現実の問題をとらまえて、実態をとらまえて言っておる以上は、そういうことは改めさすなら改めざす、指導するなら指導するということをここで明確に言ってもらわないと、私は承知できないわけなんです。  そこで、一つ、二つ、私は申し上げたいと思うのであります。  一つは、政治的な中立の問題でございますが、先ほど大臣の方から、今申し上げましたように商工会議所会頭という肩書で特定の候補者を支援するというようなことはないということを断言されたわけでございますが、これは現実にあるのです。あるから指摘しておるわけでございますから、具体的なことは申しませんが、あるということを指摘した以上はないようにしてもらわなければいかぬ。そういうことで、ひとつもう一度お答えいただきたいと思います。  あるいは、会のそれぞれの総会、商工会議所の会や、あるいは商工会の集会や連合会の集会や総会、これには特定の政治家を招待しておるでしょう。それはないのならないということをひとつお答え願いたいと思うのですよ、両者に。  それからさらには、経営指導員というのがありますが、この経営指導員の総会で、必要な議事が終わった後、ちょうど選挙の時期でございましたので、特定の候補者を支援するという決議を現実にやっているじゃないですか。やっていないというのであれば、参議院に我が党の吉田達男というのがおりますが、これは経営指導員をやっておったのです。だから、やっているということを言うた以上は、やっていないということを言わないで改めるということを両方にお答え願いたいと思うのです。  この三つの点について、それぞれからひとつ御答弁をお願いしたいと思うのです。
  130. 森喜朗

    森国務大臣 具体的なことにつきましては参考人がお見えでございますからお答えをいただくことにいたしまして、先ほども他の委員の御質問に対してお答えをいたしましたが、商工会及び商工会議所は、現行の商工会組織等に関する法律第六条第三項及び商工会議所法第四条第三項においてそれぞれ、「これを特定政党のために利用してはならない。」こととされております。商工会商工会議所には常に政治的中立性の確保が求められているのは御承知のとおりでございます。御指摘のとおりでございます。  したがいまして、通商産業省といましましては、商工会及び商工会議所に対しまして選挙ごと政治的中立の保持に努めるように通達をもって指導をいたしておるところでございますし、御指摘のように、選挙時に商工会あるいは商工会議所役員の肩書で応援活動を行っている事実はないものであると承知をいたしております。商工会あるいは商工会議所において御指摘のような活動が実施されているという事実は承知しておりませんけれども、仮にそのような事実があれば、実情に応じ是正措置を講ずることとなるわけでございます。また、是正措置内容といたしましては、是正のための指導、警告、さらには警告にもかかわらず是正されない場合の認可の取り消しなども考えられるわけでございます。
  131. 谷村昭一

    谷村参考人 今大臣が仰せられましたように、我々商工会議所は政治的に中立を保たなければならないということは十分わきまえて行動しているつもりでございます。  具体的に言えということでございますので、日本商工会議所では毎年三月、九月に会員総会を開催しておりますが、慣例といたしまして、三月の総会は総理大臣、通産大臣、政府代表の方々をお招きをいたしておりまして、また九月の総会では、この両大臣のほか広く各党代表の諸先生方にも御案内をして、野党委員長もおそろいで御出席いただきましてごあいさつをちょうだいをいたしておりまして、大変感謝をいたしているところでございます。また、九月総会終了後のパーティーには、各党幹部のほか衆参両院の正副議長、商工委員長、商工委員理事等にも御招待状をお送りしているところでございます。
  132. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 お答え申し上げます。  私どもは、先ほど大臣からお話がございましたように、常に政治的中立性が維持されるように心がけて行動してまいっております。  そういう中におきまして、私ども小規模事業者に対する支援を手厚くしていただきたいということで各種の運動をしております。例えば小規模事業者に対する予算を手厚くしてもらいたいということで、中小企業庁の原案ができる前には中小企業庁にお願いに行ったり、あるいは大蔵省の原案ができるときには大蔵省にお願いに行ったり、あるいは政府と自民党が協議する際には自民党にもお願いに行ったり、あるいは国会に予算案、法案が提出されれば先生方にもお願いに行ったり、いろいろな活動を通じてしております。  先生の御指摘の点は多分商工会全国大会の話だと思いますが、商工会全国大会は十一月に開催されまして、その節は、予算獲得のためにいろいろな方々をお呼びしておりまして、決起大会という形でもって開催しております。招待は、そういう十一月、予算獲得のためということもございまして自民党国会議員が中心となっておりますが、自民党以外の政党関係者につきましても、各政党の代表者を招待いたしまして祝辞をちょうだいしておりまして、全国大会資料のメッセージとしている次第でございまして、厚く感謝している次第でございます。今後ともよろしくお願いしたいと思っております。
  133. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今あなたが自民党主体と言っておるじゃないか。そうでしょう。自民党主体で各党の人もばらばも来ていただいておりますがと言っている。認めておるじゃないか、あなた。私は、この連合会よりも全国の各県の連合会、あるいは商工会議所の単位の会議所、このことを言っておるのですよ。もっとひどいじゃないか。明らかに法律違反じゃないか。政治的な中立が保たれておらない。だから、こういうところに業務を委託をするというようなことじゃなくて、自治体がちゃんとあるのだから、自治体の方にしなさいということを言っておるわけです。  さらに私はつけ加えて申し上げますならば、お二人にひとつお答え願いたいと思いますが、これは流通新聞の記事でございます。  一つは、商工会地区は市町村単位で、複数の商店街がある、例えば業務が委託されて施設をつくるのに、複数の商店街のどちらにつくるかというようなこと、これで利害関係が伴って、役員側、役員でない側というようなことで争いというものが起こってくるということを指摘しています。あるいはこの中で、「商工会の機能強化は年内にもある総選挙とからむという見方もある。自民党の意向を感じとって、「商工会は今まで自民党の集票マシンとして働かなかったが、」」これはうそでございますが、「「このままではいけない」と話す商工会役員もいる。」というようなことを記事は書いておる。そういうようなことで業務が委託されて、この記事のような御心配がありませんか。どうぞお答え願いたいと思います。
  134. 辛嶋修郎

    辛嶋参考人 今回の法律に基づきまして基盤施設設置事業を行う場合には、できるだけ地元のコンセンサスをとるように地域づくりがされると思っております。御承知のとおり商工会は、地域の総合的な経済発展ということを目的としておりますので、その意味でコンセンサスづくりが最大の事業でございまして、それに従って事業が実施されるということを確信しております。  また、政治活動に問題を起こすのではないかというようなことがございますが、私どもとすれば、ますますこういう重要な課題というのを商工会が担うわけでございますから、政治的中立性というのが厳守されるように徹底していきたい、こう思っております。
  135. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 さらに私は指摘したいと思います。  改正される前の大店法の時代であります。事業活動の調整、これも、市町村に調整を委託しておったらよかったのに、この法律では商工会議所に調整を委託しておった。そのために、調整機能を果たすについて非常に不公平な取り扱いを今までやってきているのですよ。  なぜかというならば、商工会議所に加入されておる商業者、これは商店街連合会あるいは振興会という形で商工会議所に加入されておる。商工会の場合は法律地域の商工業者の過半数をもって組織するということになっておりますが、商工会議所はそうなっておらない。だから、商工会議所に入っておらないで、任意の商店街あるいは個々ばらばらの商売をなさっておられる方々があるわけなんです。ところが、その調整機能は、商工会議所に加入されておられる協同組合を対象に調整をしておるものでありますから、商工会議所に加入しておらない、商店街にも加入しておらない、個々ばらばらの商売をやっておられる方々や、あるいは任意の商店街は置いてきぼりの取り扱いをされてきたという経緯があるわけなんです。もう既に法律が改正されてそういう調整機能はなくなったわけでありますから、公平のためによかったと私は思うのであります。  そういう例を挙げましても、商工会商工会議所というのは自治体が行うこれとは若干異なる問題があるから、この業務は自治体に任すべきであるということを私は言っておるわけであります。ひとつお答え願いたいと思います。
  136. 関收

    関政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、今回、地域小規模企業者の発展のための事業を推進する主体として、商工会商工会議所業務を拡充するということにいたしております。実はそれは、過去三十年間にわたりまして、最近では毎年六百万件くらい、小規模企業者の経営のいろいろな問題の御相談に応じたり、指導申し上げたりした経験がございまして、その経験に基づいて、その地域の小規模企業のあり方についていろいろ考えていただくのが一番適しているのではないかということ。もう一つは、実は私ども昨年の初めに地域中小企業者の方にアンケートをいたしました。アンケート調査におきましても、商工会商工会議所に対する期待の一番大きなものは、地域経済全体の発展のための役割を果たしてほしいということでございました。そういったこともございまして、商工会商工会議所の機能を拡充するという方向をとったわけでございます。  ただもちろん、この法律の実施に当たりましては、例えば、法律通商産業大臣の権限になっております各種の計画の認定等の業務につきましては、地元の広域的な行政を担当しておられる都道府県知事に委任をさせていただく予定でございます。それからまた、この事業を実施いたします場合の計画策定等に当たりましても、地元の市町村のいろいろな都市計画でありますとか、その他の計画との連携が不可欠でございますので、十二分に連携をとるということによって今回予定をいたしております事業が最大限の実効が上がるように、そういった考え方でできておるものでございますので、ぜひその趣旨を御理解いただきたいと思う次第でございます。
  137. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間もあれでございますから、余りしつこく言いませんが、そういう考え方が実際に実行できるように、しかとお願いしたいと思うのです。  それから、辛嶋さんも先ほどはしなくも言われたでしょう、自民党を中心に、これでは政治的中立じゃないです。末端の意見はもっとひどいということを私は言っておるのですよ。商工会議所も同じことですよ、日本商工会議所だけじゃなくて。だから私は言いたいのですよ。  だからやはり、法律に基づく商工会議所商工会運営がなされて、政治的に申立てある、しかも野党の皆さんを含めて、あるいは地方議員の皆さんを含めて、商工会商工会議所運営協力をする、こういうことになっておれば私はこんなこと言わぬのです。一日も早くそういうようになってほしいと私は希望したいわけであります。したがって、ぜひともそういうような指導を含めてやってもらいたいということを強く私は求めておきたいと思います。  大臣、先ほど若干言われたのですが、建前は建前としても、現実にこういうことを認めておるわけでございますから、ひとつ万遺憾のないように、この法案の施行に当たって責任を持って、これを機会商工会議所商工会運営については政治的中立を守らせるように指導していくということを、大臣の方から御答弁を願いたいと思います。
  138. 森喜朗

    森国務大臣 先ほども申し上げましたように、今また委員からも御指摘ございましたように、この法案の趣旨に沿いまして、商工会議所商工会に厳正、中立的な態度をとって進めるように、そして多くの皆さんから理解を得られるように、商工業を育成していく団体として皆さんから喜ばれるような団体として成長していきますように、私どもからも十分指導してまいりたいと思います。
  139. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それではひとつその点をよろしくお願いいたしたいと思います。  そこで次に、中小企業白書が三月に出ておるわけでございますが、これは、一つは労働環境の整備と人材育成、二つは国際化の進展と地球環境問題への対応、三つは構造変化に対応する産業基盤の充実ということで結ばれておるわけでございます。  いわゆる労働環境の整備、人材育成、私はやはり中小企業が今日まで日本経済の発展に果たしてこられた役割というものは偉大なものであったと思うのです。ところが、そこに働いておられる労働者の皆さん、経営者の皆さん、大変だったと思うわけであります。ここにうたわれておるように労働環境を整備していく、人材を育成していく、そして中小企業に進んで参加する、進んで勤めるということになるようにしていくためにはどうしたらいいかということになってくるわけであります。  かつては大企業中小企業には賃金の格差がございました。しかし、この労働力不足の中でどうしても賃金格差を縮めなければならないということで中小企業の経営者の皆さんが精いっぱい頑張ってこられて、今日では中小企業と大企業の賃金格差は徐々に狭められつつあるわけであります。  しかしなお、大企業中小企業との格差というものは、一つはやはり労働時間の問題にあると思うのです。一つは年金格差の問題があると思うのです。一つは福祉格差の問題があると思うのです。この三つを解決しなければ、いかに賃金の格差が縮まっても中小企業で進んで働こうという意欲は起こってこないというように思うわけであります。おのずから、貴重な人材の育成というものもできないというように私は思うわけであります。  そこで、今国会に上程されておるところの労働基準法の改正案、今労働委員会の方で審議をされておるわけでございますが、さきの改正に当たって、日本の労働者が諸外国と比べて非常に労働時間が長いということで、千八百時間を目標に労働時間を短縮していこう、あるいは宮澤内閣自体も、「生活大国五か年計画」の中で千八百時間を目指して、こういうようにうたわれておるわけであります。  ここで私はお断りしておかなければなりませんが、この千八百時間というのは、これは最終目標だというように誤解をされたら困るわけなんですよ。当面千八百時間に向けてということであって、ドイツやフランスでは年間千五百時間なんです。だから、やはりもっともっと短縮をするというところに努力をしなければいかぬ。これも一つ経済摩擦にもかかわっておるわけであります。  そこで、やはり中小企業の皆さん方がそういうように近づけるようにしていかなければいかぬ。ところが、労働基準法の改正に当たっては、あるいは政令をつくるについては、ちゃんと中央労働基準審議会というのがあるのです。そこで物事をやっていかなければいかぬ。ところが、今回の改正に当たって、いわゆる三月三十一日限りになっておった中小企業の皆さん方の労働時間の短縮の猶予期間、これをさらに百人以下の企業については一年間延長するというように政令改正が、労働委員の不参加の中で決められておる。その決めたのはどこかというと、これは中小企業四団体が通産省に働きかけたりあるいは自民党の商工部会に働きかけたりする中でこれが決められていったということは、まことにけしからぬ話であります。  その中小企業四団体というのは一体どことどことどこなんですか。お答え願いたい。
  140. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 中小企業四団体といいますのは、日本商工会議所全国商工会連合会、それから全国中小企業団体中央会、それに全国商店街振興組合連合会の四つでございます。
  141. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃあなたのところの言うことを聞くところばかりじゃないですか。中小企業庁の言うことを聞くところばかりじゃないですか。これが全国中小企業の団体の代表と言えますか。例えば自動車工業会なら自動車工業会というのがありますよ。自動車工業会に関係する労働組合もありますよ。そこは、日産だとかトヨタとかいう大きな会社ばかりじゃないのですよ。部品をつくったりあるいはいろいろな関連の中小の企業がある。そういうところが言っておらないのですよ。電機も同じことなんです。そういうようにもろもろの中小企業があるわけです。何もその四つの団体が日本を代表する中小企業の代表じゃない。それを後生大事にして、これこそが中小企業意見だというようなことで働きかけをされるから間違いが起こってくるわけなんです。何ですか、これは。
  142. 関收

    関政府委員 お答えを申し上げます。  最初にお断り申し上げたいと思うのですが、私ども、今のような状況下で中小企業におきましても時間短縮を図ることの必要性は非常に痛感をいたしておるところでございます。また、中小企業の経営者の方におかれても同様のお考えをお持ちだと思っておるわけでございます。  そこで、しからばいかにしてこれを達成をするかということでございまして、私ども中小企業庁立場では、そういうことが可能になるような環境条件を整えるのに数年前からいろいろな形で努力をさせていただいているわけでございます。時間の関係で詳しくは御説明申し上げませんが、労確法に基づく諸措置、これは既に二百七十以上の組合がその計画をつくっていただいております。また、時間短縮をいたします非常に大事なポイントになりますのは省力化機械でありますとかロボット等の導入による省力化でございますので、その辺に対しまして金融上、税制上の措置も講じているところでございます。また、中小企業の場合には下請関係に入っておる企業は製造業の場合大体半分ぐらいでございますから、親企業との関係が改善されなければならないということで、先生も前にお尋ねいただきましたけれども、下請関係の改善、あるいはさらに今後進めるための技術開発の推進、さらには中小企業の場合どういう形でやることが時間短縮のために有効であるかといったことにつきましてのいろいろな成功例などにつきましても白書等々を通じて御紹介し、参考にしていただくといったような努力を続けておりますし、この努力は今後とも続けたいと思っておるわけでございます。  そこで、先生指摘の今回の労働基準法の改正につきましては、労働基準法と申しますのは私から申し上げるまでもなくいわば強行法規でございますので、今申し上げましたような時短を促進するという観点と、現下の極めて厳しい経済情勢の中での中小企業の実態も配慮するという二つの配慮が必要ではないかと私は考えているわけでございます。そういった観点で、私どもとしては法律案を出す前の段階で、政府部内で今の中小企業の実態についていろいろ意見を申し上げたことは事実でございます。もちろん、その際に四団体からの要望書も参考の一つにはさせていただきましたけれども、私どもは、同時に、過去長期にわたりまして労働環境、労働条件の問題について勉強し、その実態を調べておるという実態も十分踏まえた上で協議をさせていただいたということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  143. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは猶予期間の延長ということだけでなくて、ずっと今日まで進んでまいりました所定の時間外の労働に対する割り増し賃金率の問題であるとかあるいは有給休暇の付与日数であるとか、そういう問題にまで口出しをしておるじゃないですか。そういうところまで口出ししていませんか。
  144. 関收

    関政府委員 先生がおっしゃる口出しという意味がどういう意味か私よく存じませんが、法律を閣議決定いたします場合に、申し上げるまでもなく政府部内での意見調整がございます用意見調整の過程でそれぞれの各省の立場意見を申し上げるということは、いろいろな機会、あらゆる法律についてあるということはぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。  それで、その場合に、さっき申し上げましたように時短を促進するという観点と、今の中小企業が置かれている厳しい実態という両面に対する配慮は必要だという観点の意見を申し上げたことは事実でございます。
  145. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 やはり機関というのがあるのですから。労働基準法を改正するに当たっては、政府としては、労働省としては諮問している機関があるのです。政令を改正するにしてもその諮問している機関があるのです。中央労働基準審議会という機関があるのです。あなたのところもあるでしょう。通産がいろいろな通産行政をやるについては各種の審議会があるじゃないですか。そこへ諮問しているでしょう。労働省もそこに諮問しておるのです。諮問しておるにもかかわらず、その機関が開かれるまでに今まで進めてまいりましたことをひっくり返す、それが中小企業庁であり通産省であり画民党の商工部会だということになれば、これはひん曲げているじゃないですか。やはり、決められたら決められた法律に基づく機関に諮ってその結論を得て行政というものは遂行していく、こういうことでなければならないのです。今言われているような、そういう横車を、ねじ曲げて、法を曲げていくというようなことは、私は口出しということを言っておるのです。そういう口出しは私はしてほしくないということを強くひとつ戒めておきたいと思います。  以上で終わります。
  146. 井上普方

    井上委員長 参考人各位におかれましては、御多用中のところ大変ありがとうございました。  これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  147. 井上普方

    井上委員長 まず、商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 井上普方

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  149. 井上普方

    井上委員長 この際、本案に対し、井出正一君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議日本共産党及び民社党五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。安田範君。
  150. 安田範

    安田(範)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 基本指針の策定に当たっては、商工会等が支援事業を計画し、実施する際に十分参考となる明確な基本指針が示されるよう努めること。  二 商工会等が基盤施設計画を作成する際、地域の実情やニーズに応じ、隣接する商工会等との共同事業の推進、他の地域振興策等との有機的な連携、会員のコンセンサスの形成等が適切に行われるよう十分な指導・助言に努めること  三 全国団体が、債務保証を行うに当たっては、基盤施設事業運営について的確な審査を行うとともに、全国団体の保証業務が円滑に行われるよう業務処理体制の整備について適切な指導を行うこと、  四 商工会等に配置されている経営指導員の資質の向上、有為な人材の確保に資するため、その勤務環境の整備に引き続き努めるとともに、人件費補助についての制度変更により、小規模事業者対策が後退することのないよう万全を期すること。  五 商工会及び商工会議所が、商工会法、商工会議所法に定める原則に従って、適切な活動を行うよう引き続き指導すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  以上です。
  151. 井上普方

    井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本案に対し、附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  152. 井上普方

    井上委員長 起立総員。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、森通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森通商産業大臣
  153. 森喜朗

    森国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。     —————————————
  154. 井上普方

    井上委員長 次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  本案に対し、小沢和秋君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。小沢和秋君。     —————————————  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に   対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 日本共産党を代表し、修正案の趣旨を御説明申し上げます。  今、不況が長期化し、一層深刻化するもとで、運転資金などの融資を求める中小業者の要求はますます切実なものとなっております。ところが、大銀行などは、政府の再三にわたる要請にもかかわらず、大口優先、優良顧客優先で、中小零細業者への貸し渋りを改めていません。  こうした状況下で、地方自治体の無担保・無保証人融資制度は、中小零細業者の頼みの鋼となっています。しかし、その裏づけとなっている特別小口保険の限度額が五年間も据え置かれたため、無担保・無保証人融資の限度額も引き上げられていません。そのため、中小業者が無担保・無保証人融資を申し込んでも、保証人を要求されて融資を受けられない事態がしばしば生まれ、特別小口保険の利用がますます少なくなる結果ともなっています。実際、中小企業信用保険の利用実績を見ますと、保険全体に占める特別小口保険の比率は、一九八三年度の一・四%から九一年度の〇・八%へと大きく低下しているのであります。  無担保・無保証人融資の限度額をもっと引き上げてほしい、これは不況の影響を最も深刻に受けている中小業者の切なる願いであります。その願いを実現するためには、特別小口保険限度額の大幅な引き上げがどうしても必要です。我が党国会議員団の不況問題調査においても、地方自治体からその必要性が訴えられています。  しかるに、今回の改正案では、特別小口の限度額は現在の四百五十万円をわずか五十万円引き上げているにすぎず、極めて不十分と言わざるを得ません。  以上の理由により、改正案の内容をさらに中小企業・業者の要求に沿って改善するため、ここに修正案を提出する次第であります。  修正案は、地方自治体の無担保・無保証人融資の限度額を一千万円まで引き上げ可能とするため、特別小口保険の限度額を、改正案の五百万円から一千万円に改めるものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。  以上です。
  156. 井上普方

    井上委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  157. 井上普方

    井上委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、小沢和秋君提出の修正案について採決したします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 井上普方

    井上委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 井上普方

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 井上普方

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  161. 井上普方

    井上委員長 次に、参議院送付内閣提出不正競争防止法案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。森通商産業大臣。     —————————————  不正競争防止法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  162. 森喜朗

    森国務大臣 不正競争防止法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  不正競争防止法は、知的財産の保護と競争秩序の維持に関して重要な一翼を担う法律でありますが、昭和九年に工業所有権に関するパリ条約ヘーグ改正条約に加盟するために制定されて以来、基本的枠組みを変えておりません。  この法律案は、多様かつ巧妙化する近年の不正競争に的確に対処するため、現行不正競争防止法の全部を改正するものであります。  なお、この法律案は、産業構造審議会において平成四年七月から慎重な審議が重ねられ、昨年十二月に提出されました同審議会の中間答申であります「不正競争防止法の見直しの方向」を踏まえた内容となっております。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、不正競争の類型の拡充であります。具体的には、既存の類型に加え、物まね商品の被害を防止するため他人の商品の形態を模倣した商品の販売等を行う行為を、また、自社イメージの維持向上に係る企業努力を保護するため著名ブランド等を無断で使用する行為を、さらに、サービス業界における公正な競争を確保するためサービス内容等を誤認させる行為を、新たに差しとめ、損害賠償等の民事請求の対象とすることとしております。  第二は、不正競争により営業上の利益を侵害された者に対する救済面の充実を図ることであります。具体的には、不正競争による損害額の立証を容易にし、被害に対する適切な救済を図るため、不正競争による損害の賠償請求に関し、特許法等と同様に、損害額の推定規定及び損害額の計算に必要な書類の提出命令規定を新たに設けることとしております。  第三は、不正競争に対する十分な抑止効果の確保であります。具体的には、罰金額を引き上げるとともに、特に、法人業務活動に関連して行われる不正競争に対する抑止効果を確保するため、証券取引法、独占禁止法の例に倣い法人重課規定を設け、法人に対する罰金の限度額を引き上げることとしております。  加えて、法の目的及び不正競争の定義を明らかにし、国民にとってよりわかりやすい法律とするため、目的規定を新たに設けるなど所要の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  163. 井上普方

    井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る五月十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会