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1993-04-20 第126回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十日(火曜日)     午前十時七分開議  出席委員   委員長 井上 普方君    理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君    理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君       甘利  明君    岩村卯一郎君       尾身 幸次君    古賀 正浩君       田原  隆君    谷川 和穗君       真鍋 光広君    増岡 博之君       増田 敏男君    渡辺 秀央君       江田 五月君    清水  勇君       鈴木  久君    武藤 山治君       安田 修三君    吉田 和子君       長田 武士君    春田 重昭君       小沢 和秋君    川端 達夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君  出席政府委員         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         通商産業大臣官 江崎  格君         房総務審議官         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         中小企業庁長官 関   收君         中小企業庁計画 桑原 茂樹君         部長         中小企業庁小規 井出 亜夫君         模企業部長  委員外出席者         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  商工会及び商工会議所による小規模事業者の支  援に関する法律案内閣提出第二六号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤(山)委員 今回通産省は、商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、二法案をただいま審議しているわけでありますが、いずれも今回の政府景気対策経済対策の項目に皆入っておるようでありますのでありますから、景気全体をいかに底上げするか、対策を講ずるか、その一環と見ていいと思いますので、それにかかわる事項として、法律そのものからは少し離れますが、大臣並びに企画庁見解最初お尋ねをしてみたいと思うわけであります。  最初は大ざっぱな、政治家としての、また通産大臣としての見解で結構なのでありますが、現在の景気動向景気はどんな状況にあるという御認識でございますか。大臣認識をまず先に伺いたいと思います。     〔委員長退席安田(範)委員長代理着席
  4. 森喜朗

    森国務大臣 武藤委員からの、今の景気をどのように見ておるかということでございまして、御承知のように、新しい景気対策を講じたときと、日米首脳会談が行われたことからまたいろいろな変化がございますので、全体的に少し甘い見方になることをお許しをいただきたい。甘いというのは、甘い辛いをシビアに見てないという意味ではございませんで、何となく少し大まかになるのかなということをお許しをいただきたいのでありますが、明るさが見られるというのは、鉱工業生産出荷乗用車販売など一部に回復兆しを示す動きが徐々にあらわれてきているのは委員も御承知だと思いまして、これは事実確かなことでございます。ただ、在庫調整が進展している中で二月の鉱工業生産季節調整前月比プラス二・一%ということでございまして、これは五カ月ぶりプラスでございます。それから出荷季調前月比プラス二・二%ということで、これも二カ月連続のプラスになっております。また乗用車販売も前年比プラス三・三%ということで、これは実に二十五カ月ぶりプラスになっているわけでございます。  こうしたところが明るさの兆しというふうなとり方をここしばらくされていたことは事実でございますが、しかしこれらの指標につきましては、通産省としてはこれは基本的に決算対策動き影響しているという考え方をいたしております。かなり押し込み的なものもあるのではないかなというふうに見ておりまして、明るいこうした動きが長続きするのかどうか、なおこれは慎重に見ていく必要がある、こう考えております。  他方、GNPの四分の三を占めると言われております個人消費設備投資は依然として低迷が続いておりまして、最近の急速な円高景気に与える影響も懸念せざるを得ないわけでありまして、このように、我が国経済はまだ予断を許さない状況にあることから、政府としまして、景気足取りを確実なものにするということで、総規模十三兆円を上回る新総合経済対策を策定させていただいたわけでございます。  今後、経済対策効果民間部門在庫の圧縮、あるいは経営革新などの努力が相まって、我が国経済内需主導経済成長に徐々に移行していくものと考えておるわけでございます。このための経済対策効果が一日も早くあらわれるように、対策早期実施に向けて最大限の努力をしてまいりたい、このことがまた一番重要なことではないだろうか、こう思っているわけでございます。
  5. 武藤山治

    武藤(山)委員 企画庁見解ではもう景気は三月で大体底をついた、そう言い切れる程度数字が見られるのか、いやまだまだ底をついていない、そういう状況なのか、この間企画庁長官は宇都宮で、景気に明るさが見えてきたという表現で演説をしたのが報道されているわけでありますが、大体三月いっぱいで底をついたのかな、そんな印象を与えたわけでありますが、その辺はどう把握しているのか。  それから、住宅金融公庫の金利を極端にずっと引き下げまして、住宅建設がかなり増加の傾向になっているのだろうと私は見ているのでありますが、その辺はどう見ているのか、余り遠い数字でない、直近の数字があればその動向をちょっと知りたい。  それから、個人消費が一、二月ごろはまだ大変低迷していますが、どうでしょうか、三月の動向、最近の状況は幾らかいい方向動きつつあるのかどうか、その辺のごく近いところの感じはどうでしょうか、企画庁
  6. 土志田征一

    土志田政府委員 まず全体的な現状認識についてでございますが、まだ現在の段階におきましては、引き続き日本経済調整過程にありまして低迷をしているという感じでございまして、底ばい の状態というのが私どもの現状判断でございます。  先ほど通産大臣からもお話がございましたけれども、公共投資あるいは住宅回復動きに加えまして、最近新車登録台数とか生産出荷動向、明るい数字が出ておりますけれども、やはり国内需要大宗を占める消費設備投資動向について見ますと、消費については伸びが低いわけでございますし、設備投資は依然マイナス、減少しているというふうに判断をしておりまして、こういった明るい兆しの見える指標が今後先行きについては広がっていくということを期待しておりますけれども、現時点では低迷しているという基本的な判断を変えるようなところまではいっておりません。  それから、ちょっと最近の消費動向についてお尋ねがございましたけれども、三月の数字というのは、出ておりますのは新車登録台数が前年比三・三%増、二十五カ月ぶりプラスになっているということと、他方百貨店販売額は東京一一・四%減、大阪一二・六%減と二けたの前年同月比のマイナスになっておりまして、そういうことでは消費動向について全体として変わったという判断はまだできないというふうに見ております。
  7. 武藤山治

    武藤(山)委員 企画庁バブルのときの三、四年間、超成長を遂げ消費が激増した、その当時と比較して今の水準というのは、それの前の一九八六年ごろと比較するとある程度納得のいく好ましい水準じゃないのかな、一九八七、八、九、この辺と比較するとかなり低い水準だけれども、あの三年間というのは異常なとにかく伸びを示した時期なのですね。身長でいえば、一メーター五十しかない身長で七十キロ、八十キロの体重になってしまったという感じで、これをスリム化してやはり適正体重の五十キロぐらいにしなければ内臓がどこか傷む、そういう状況だったのが今一生懸命スリムになろうとしているので、個人消費とか設備投資が過去のああいう全盛期の、三、四年間続いた様子と比べて不況不況だと言うのは当たらないと思うのでありますが、その辺は企画庁はどう見ているのですか。どの程度水準にいけば、まあまあという我慢どころだな、日本経済全体の規模からいって。そういう消費水準とか投資水準というのを何か目安というのを考えているのですか。それとも、とにかく前月比なり前年比で落ち込みが激しいからこれは大変なのだということだけで処理しようとしているのですか。好ましい日本経済全体の姿というものを描いて、その場合の個人消費なり投資のあるべき姿を、ノーマルな経済状態のときはこの辺でいいのではないか、そういう青写真というのを企画庁は持っていないのですか。
  8. 長瀬要石

    長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘を賜りましたように、昭和六十年から平成二年の六年間につきまして、個人消費の実質の伸び率というものを単純に平均をいたしてみますと、四・一%程度というかなり高いものでございまして、その後御高承のように、平成年度には二・六に落ち、さらに四年度にはこれがさらに下振れをしてきている、このような状況でございまして、昨年の十−十二月期の個人消費につきましては、前年同期で〇・三%のプラス、あるいは前期比で申しますと〇・六%のマイナス、このようなことでございますから、いわば平成景気のもとでの高い消費伸びに比べれば相当に下振れをしたところにある、このような現況かと思います。  他方におきまして、御指摘を賜りました民間設備投資につきましては、昭和六十二年度から平成年度までの間に、その間三年間にわたって二けたの高い設備投資がありましたのを含めて平均をいたしましても、一三%前後という高い設備投資でございまして、その高い設備投資の後のストック調整が現在進んでいる、こういうことかと思うわけでありまして、平成年度の二・七%の後四年度にはマイナス、こういう状況になっているわけでございます。  こういうことでございますから、民間需要大宗を占めます、先ほど通産大臣からお話がありました国内需要の四分の三を占めます消費投資というものが、いわば平成景気の反動という面もございまして、さらにはまたバブル崩壊に伴います資産価格下落影響もございましてかなり低迷しているという状況であること、これは率直に申し上げなければならない現実だと思います。  しかしながら、中長期的に見ますと、昨年の六月に策定されました「生活大国五か年計画」でも示されておりますように、中期的には三%台半ば、内需について申しますと三カ四分の三というような成長というものが日本経済にとってこれから先々の中期的な望ましい一つの姿ではないか、このようにも思っているわけでありまして、そのような成長を支える消費なり投資というものがこれから必要ではないか。今そのような巡航速度成長に向けての移行プロセスにある。ようやくそういう中での回復の素地が徐々につくられつつある中で今般の対策が講ぜられている、このように理解をいたしております。
  9. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、やはり十三兆円程度事業規模経済政策を新たに追加しないと政府経済見通しの三・三には達しない。今回の不況というのは循環的な景気変動の周波の一つであると同時に、中期的に見ると構造的な不況原因というものも並行して起こっている。この循環的な景気回復の問題については、いつごろなら調整期が終わると見ているのですか。今、調整過程である、ことしの何月ごろ、景気循環の方の問題についての調整は大体終わる、あとは構造的な金融の問題とか証券の問題とか土地の買い過ぎの問題とかいろいろありますが、そういう問題については解決策はもっと先になると思うのです。しかし当面の景気循環という視点から物を見たときには、その調整期というのは一体いつごろ終わると見ているのですか。
  10. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございましたように、今回の景気後退局面というものが一方におきまして従来型の循環的な側面を持ちますとともに、他方におきましてバブル崩壊に伴います資産価格下落、そのような従来ない要因があるわけでございまして、この両者が相絡み合って現在の局面をもたらしていると思うわけでございます。したがいまして、循環的な側面だけを取り出してというふうに申し上げるのはなかなか難しいかと思いますけれども、これら複合した要因のもとで生じております現在の後退的な局面につきましては、昨年三月の緊急経済対策あるいは八月の総合経済対策、そしてまた今般の新総合経済対策というようなものを通じまして、我が国経済が、本年の後半に入ってまいりますといわば民間内需消費でありますとか投資というものが徐々に回復足取りを確実なものにするという方向をたどりまして、年度後半になってまいりますと景気回復感というものが広がっていくというふうに考えておりますし、またそのような方向での政策的な推進を図っていくことが今の日本経済に期待されていることだと考えております。
  11. 武藤山治

    武藤(山)委員 年の後半。後半というのは何月ごろを指すのかね。
  12. 長瀬要石

    長瀬政府委員 厳密に何月というふうに申し上げることもなかなか難しいかと思いますけれども、姿といたしましては、本年の前半の時期は何と申しましても公共投資、これは御高承のような昨年暮れの補正予算の成立がございまして、その上に平成年度予算前倒し執行が行われますので、本年度上期はそれらが内需を下支えする働きをいたしますとともに、民間住宅投資が、政策的な支援も相まちまして内需を支えていくと思われるわけであります。しかしながら、民間内需自律回復力というものも強くはないという面があるわけでありますので、本年度後半につきましても切れ目がないような公共投資執行という観点から、今般、総合経済対策におきましても公共投資等の追加がなされたところでありまして、年度全体を通じて公共投資切れ目のない執行がなされる中で、年度の後半に入ってまいりますと消費が 徐々に回復をし、また設備投資も緩やかながら回復方向に向かい、次第に民間内需成長の前面に出てくるという形ではないかと思いまして、何月というふうに申し上げる点につきましてはお許しをいただきたいと思いますけれども、年度の後半に入ってまいりますとそういう姿に移行していることを期待し、またそれを推進していかなければならないと考えております。
  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 調整局長専門家ですから、論争してもかなわないと思うから余り論争したりしませんけれども、円高問題で、過去において一九八五年一ドル二百五十円だった円が、二年間で、八六年の終わりごろには一ドル百五十円になったのですね。二年間で百円の円高、そこで政府はその当時、円高対策、これはもう大変だというので、プラザ合意の八五年九月二十二日、ドル高是正ということから一挙に円高になりましたね、そこで日本経済に大打撃を与えるというので、金利は安くするわ、公共的にも政府資金を出せるだけ出すわでやった結果がバブルになって、ついにバブル崩壊をする。またここでバブル崩壊後の経済が大変だ大変たで昨年からまた今度は十三兆円の対策を講ずる、こういうことで、オオカミ少年にぶったまげて余りやり過ぎた結果がまた変なことにならないのか。前のバブルほどじゃないが、自由経済というのは業者が自己責任で自発的に自主的にそれぞれ経済の営みをやって目に見えない糸でうまく調和がとれるというのが自由経済の大原則でありますから、政府はできるだけそういうものに干渉しない、介入しないというのが最も望ましいわけなんですね。しかし緊急避難的にやむを得ないというのでモルヒネ注射を打つわけなんでありますが、モルヒネを打ち過ぎた後は必ず後遺症が出てくる。そういうことを調整局としては常に十分関心を持って、この程度までのモルヒネなら後遺症を残さない、そう心配はないという線を常に考えなければいかぬと思うのですね。そうすると、現在の対策程度ならばそういう心配は全くしなくていいよと言い切れるのですか。それをちょっと見解を教えてください。
  14. 長瀬要石

    長瀬政府委員 ただいま賜りました先生からの御指摘は、経済運営に関しまして常に心しなければならない非常に重要な点だと思っております。  ただ、現在の状況先ほど通産大臣から御答弁がございましたように、まだ予断を許さないような状況でございますが、とりわけ民間内需自律回復力というものが決して楽観できるほど強くはないということがあるわけでございますし、また、六十二年当時と比較をいたしましても、マネーサプライでございますとか、あるいは株価でございますとか、さらには地価という面でありますとか、そういった点で六十二年五月の緊急経済対策策定当時とはかなり経済の地合いというものが異なっているというふうに思われるわけでございます。同時にまた、あの経験を踏まえて地価高騰への対応というような面からさまざまな税制その他の監視区域制度等対策が講ぜられているところでございます。  そういうことでありますので、現時点ではバブル再燃というような状況にはないとは思いますけれども、しかしながら、この点につきましては今般の対策の中におきましても、景気回復足取りに細心の注意を払いつつ、機動的かつ適切な実施を図もことが不可欠だ、こう述べておりまして、この「適切かつ機動的な実施」という表現合意は、他方においては御指摘のような、これは先々でありますけれども、仮にもバブル再燃というような兆しがあるならばこれに機動的に対応しなければならない。そういう中で円滑な軌道に乗せていく、こういうことでございます。第一次石油危機の際の教訓が第二次石油危機に生かされたと同じように、やはり先般のバブル経験というものが今回も十分生かされながら政策運営がなされていくということは大変重要なことだと思っております。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 長瀬調整局長には、期待をしておきたいのはやはり市中金利動向ですね。これが、五月終わりごろまでに短期金利動向がどうなっていくかということに十分注意をしておかないと、やはり前の繰り返した過ちを結果的に引き起こしてしまうことになりはしないか。これは大蔵省の守備範囲でありますが、金利動向には企画庁としても十分目を光らせて、対応をおくれないようにしてほしいという希望を申し上げておきたいわけであります。  それから大臣にちょっとお尋ねいたしますが、この間宮澤総理クリントンとお会いしたときに、報道によるとクリントン大統領は、日本輸出について数量的に規制しよう、目標値をつくろう、日本はできるだけアメリカの物を買うように数字で示していきたい。例えば半導体や自動車部品のように量的規制まで、あるいはシェア数字で押しつけていこうとしたらしい。しかし、宮澤さんはそれはばんと断った。前に森通産大臣自動車部品についてはノーと言って帰ってきた。そのことが、クリントン大統領がどう受けとめたかなんですが、彼のブレーンと彼自身は、よし、そういう目標値の設定に日本が応じないならば、それを管理貿易と言うならば、よし、為替でやっつけてやろう。ちょうどヨーロッパの欧州評議会が一ドル百円まで日本を追い詰めようということを一応決めた、あれと同じような発想をクリントンは持ったのかな。そこで、プラザ合意のときの例を引用したにすぎないんだと宮澤さんは言うけれども、クリントンの本心は、よし、これならば円高誘導日本輸出がしづらいように攻め立てよう、そういうことでスタッフの進言に恐らく同調してああいう発言になったのではないかなというふうに勘ぐっているのであります。  まあそうかどうかなんというのは大臣に聞いたって答えられないので、それはうっかり大臣クリントン批判になるから言えないとは思うんだけれども、いずれにしても、首脳会談をやった翌日にああいう誤解を受けるようなことを発言して、そして円が一挙に一日で二円も上がる。今まで十円の円高になるためには、前回は四年七カ月かかっておるんですね、十円上がるために四年七カ月。今回は七カ月なんですね、十円上がるのが。前の百十二、三円から百十一円台に入るのが。そうするとこれはかなりスピードが速い。そういう影響から日本産業はかなり痛めつけられるなという印象を与えた結果、昨日は株価が大変な下落ダウ平均三百六十何円下がりましたね。二万円を割った。二万円台に乗ってやれやれとほっとしたという状況になったのでありますが、またこれに水を差してしまったわけであります。  この円高の基調について、自由経済なんだから、管理貿易的な目標値を定めて、あるいはシェアを決めてアメリカの物を買わねばならぬという取り決めをするよりは、円高の方がよりましだ、よりベターだと思うのか。どちら側の方が日本にとって被害が大きいと考えるのか。国益を考える大臣という立場から判断したときにどういう判断になりますか。
  16. 森喜朗

    森国務大臣 武藤委員、実に難しい選択を私に求められました。委員も随分いろいろな角度からお話しになりましたので、ちょっと時間をいただきまして……。  クリントン大統領は、宮澤首相との会談の際にはこの為替の話題には直接触れてはおられないわけです。これは御承知のとおりだと思います。日米首脳会談後の記者会見で、貿易均衡是正につながるものの一つとして、幾つか挙げられた中の一つとして円高を挙げられた。そのことがこの今のような、また急激な円高動きが見えるわけでございます。ただ、この発言はこれまでの円高の推移について述べられたものでございまして、今後の一段の円高を容認したものではないというふうに我々は推察をいたしておりますし、きょうも総理からそのことについては繰り返し我々閣僚に対してもそういう当時の経緯をお話がございました。  いつもここで申し上げておりますように、また委員ももう御専門家でありますから私から申し上げることもございませんが、円のレートというのはその国の経済の基礎的な条件というものを反映 するということでございますし、ただ、思惑動きというのは、これも常について回るものでございます。したがって、また近く開かれるG7でありますとかこれからのいろいろな一連の通商関係の会合、あるいはサミットまでの間に何かそういうことが話し合われて調整をされるのではないかというような思惑が動いておるということは間違いがないというふうに我々は推測しております。  基本的に言えば、やはり合せっかく景気が、先ほど冒頭に武藤さんのイントロ部分は、少し明るさが見えてきたのにとおっしゃった。せっかくここへ来ておりますのに、しかもなおかつこうした経済対策をきちんと補完的にまた講じたところでございますから、この時期にこういう急激な、しかも思惑で動くということは、これもまさしく日本景気回復に対して足を引っ張ることになることは言うまでもないことでありまして、そのことは結果的に、日本景気回復内需を拡大して輸入を促進していこうというのが基本的な対策でありますから、日本景気回復がおくれれば、これがまた停滞をすれば結局アメリカにとってもプラスにはならないんだということを我々は強く発言もいたしておるわけでありますし、総理もその点については強くコメントをされておられるわけでございます。  もう一つ、個別的なお話がございました。  これはもう先ほど委員からもございましたように、私どもも、管理貿易につながるようなことだけはしてはいけない。結果的に、今度の対日支援などもそうなのであって、そういういわゆる計画経済的な、管理貿易的なことはやめましょうよということで対日支援をマクロで相談をしておるのに、その仲間のアメリカが一方において自国のことについては管理貿易につながるようなことをしていこうという、こんな矛盾をクリントン大統領ともあろう人がお考えになるはずがない、私はそう思っております。ただ、武藤さん御指摘のように、やはり周辺にはこういう考え方を持った人がいるんだなということは十分推測されるわけでありまして、そういう方々の言い分をある意味では代弁をされたのかな。私が実はカンターさんにお目にかかりましたときに、半導体の問題でこうしたことを強く否定を申し上げておられました。あるいはアンチダンピングの鉄鋼の問題も申し上げましたら、カンターさんもブラウンさんも私に対して、いや、これはみんな弁護士なんだ、こういうふうなお話でございまして、弁護士というのは頼まれたことを、それを代弁するというのも弁護士業務みたいなところがあるわけでございますから、やはり十二年ぶりに政権を獲得された、その選挙の過程あるいはこれまでの間にアメリカの中の経済界の中あるいは産業界の中にそうした声が非常に強い、そういう声をやはり代弁をされたというように受けとめられるのではないかなという感じも実は私は感想として持っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、どちらがいいのかということは論ずるべきではございませんで、両方ともあってはならないことであるし、ただ、為替につきましては、長い将来を見て日本経済状況に見合ったものになっていくこと、最終的には円高というのはむしろ日本経済にとってはプラス面であるということはこの際申し上げておきますが、ただ、今のような思惑で急激な変化というのは、日本景気足取りをさらに悪くさせる、アメリカ景気もはかばかしくない、輸出につながらない、そのことは世界経済全体にも影響する、このように申し上げさしていただいて、大変難しい御質問でございましたが、どうぞ御賢察を賜ればと思います。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 通産省、今、日本輸出で円建てで取引をしている割合、どのくらいになっているのでしょうか。ドル建てと円建て、どのくらいの比率になっていますか。——調べている間に、次、企画庁。  十円円高になると日本貿易輸出の、損というよりも引き取り額にどのくらい影響があるのでしょうかね、十円動くと。業界は百二十四円ぐらいで大体本年度の契約予想、そういうようなものを立てて経営しているようでありますが、百十一円台ということになりますとかなりのマイナス面が出てくると思うのですが、金額にしてどのくらい十円で輸出産業に打撃を与えますか。算術計算的に申し上げるとどういうことになりますか。
  18. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  円高が一〇%進みますとどのぐらい経済に対して影響を与えるかという点につきましては、私どもの世界経済モデルによる試算が可能でございますけれども、ちょっと手元に今、貿易関係、輸出入、国際収支についてどのような影響があるかという数字を持ち合わせておりませんけれども、実質GNPに対しましては〇・四%強と申しますか、これはいろんな需給関係そのほかによって変わってくると思いますけれども、そのような影響があるのではないかというようなことがあろうかと思います。  そういう中にありまして、国際収支ということになってまいりますと、短期的には円高になってまいりますから、いわばJカーブ効果と申しますか、ドル建ての価格が上がってまいりますので黒字が増加をする、こういうことになるわけでございまして、したがいまして、景気がようやく回復の素地が生まれつつある中でこのような円高という状況になってまいりますと、一方では、国際収支の面では、むしろJカーブ効果によって国際収支の黒字が短期的にはふえながら、他方では、輸出産業に対して影響を与えて、国内経済に対してこれを押し下げると申しますか、回復に対してやや水を差す、そういう方向に働くということは定性的に申し上げることができるかと思います。
  19. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 輸出の中のドル建て比率は、昨年の秋ごろの統計で見ますと四七%ぐらいでございます。他方、円建てが四〇%ぐらいでございまして、それ以外の通貨建てのものが残差になろうかと思います。  それから、輸入について見ますと、やはり去年の秋ごろの統計でございますけれども、約七五%がドル建てになっております。円建ての比率は一七、八%ではないかと思います。
  20. 武藤山治

    武藤(山)委員 今の数字を見ると、円高でも輸出の方は円建てが四〇%あるということは、日本としてはかなり強みですね。できるだけ円建てに業者はどんどん変えていくようになるのだろうとは思うのでありますが、アメリカのドルが、財政赤字と貿易赤字がなかなが解消できない、とどのつまり、何年先かわからぬが、ドルが国際通貨としての機能を果たさない、ドルの廃貨、かつてイギリスのポンドが廃貨されてドルにかわられたように、やはりアメリカが本気で財政再建と貿易の改善ができないとなるとドルは世界通貨からおりざるを得なくなってくるんではないか。ドルの相場が幾らぐらいになったときに国際的信用を失墜するかは大変難しい見方でありますが、もし企画庁あたりでそういう研究をしている人がいたらしゃべってもらいたいのでありますが、その場合に、やはり円、マルクあるいはECU、今度のECの新通貨、そういうようなものに取ってかわられるのか、それとも、IMFで国際通貨を一応つくりましたので、バスケット方式でそれぞれの国の通貨指数を出して国際通貨というものに置きかえていくのか、それとも、このドルというものはまだこれから五十年、百年もつんだ、資源がたくさんある国だし、国の面積は広いし、ポンドのような運命をたどることはあり得ない、そう見るのか、長期的に見た場合ドルの運命いかん、これは企画庁どう答えるかな。
  21. 土志田征一

    土志田政府委員 お答えいたします。  私どもで特に研究をしている例は最近ございませんけれども、基本的な方向としては、多極通貨化といいましょうか、少しずつドルの役割のウエートが下がっていくだろうというのは一般的な見方ではないかというふうに思われますが、完全にポンドと同じようにというふうな見方は、また逆にないというふうに考えております。
  22. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうだよね。役所がここでドルは終わりになるよなどと言ったらアメリカとの大変な問題を起こすから言えないと思うのでありま す。  大変時間が経過しちゃって本論の方に、遅くなりましたが、中小企業の倒産状況です。今回出している法案は、いずれにしても小規模事業者、中小零細業者というものにもっとてこ入れをしてやろうという趣旨でありますから、中小企業さらに小規模事業というものに通産省としていろいろ努力している証左だとは思うのであります。そういう努力に対しては賛意を表し、応援をしたいと思います。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいのは中小企業の倒産状況です。これを見ますと、円高不況のときあたりは一万件を超える倒産件数が、平成元年七千二百十八件、平成二年六千四百四十一件、平成三年になりますとがくっとふえて一万六百四十九件、平成四年、昨年が一万三千九百六十件、金額にして負債総額が六兆八百九十億円、こういう状況で推移してまいりました。現在の推移の状況は、この一月が九百六十九件、二月が千百十三件。さて、件数は増加傾向になるか、平成四年の十二月ぐらいで頭打ちという読みをするのか、ことしの中小企業の倒産の動向については通産省はどう見通しているわけでありますか。
  23. 森喜朗

    森国務大臣 今委員から御指摘がありました数字は私どもも持っております。少し違いもございますが、大体大筋は同じでございます。中小企業のこういう厳しい景況を背景といたしまして、やはり倒産は増加傾向にあることは今数字から出ております。四年度中の中小企業の倒産件数は約一万四千五百件、円高不況時の昭和六十一年度以来の高水準になっておりまして、最近の月ごとも、今委員から一月、二月のお話がございました。三月も千三百十七件で、比率でまいりますと三三・六%でございますので、そういう数字を見ますと対前年同月比では総じて大幅な増加を続けておるところでございまして、倒産というのは景気の波よりも少しタイムラグがあっておくれているというようなことから考えてまいりますと、倒産件数も増加傾向がとまったという気配は現在のところ見出しにくいというのが実情であろうかと思っております。こうした状況で、ぜひ通産省としても各種倒産防止対策や今般の総合的な経済対策に基づく中小企業対策等によりまして中小企業の倒産防止に万全を期したい、このように考えておるところでございます。
  24. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで、中小企業の関連倒産の場合に共済制度をつくったのは、これはほらを吹くようでありますが私の提案で、当時の福田総理予算委員会で私の案を承認してくれて、翌年法律ができた、そういう制度がこの中小企業倒産防止共済制度なんですね。私の提案は共済制度じゃなくて、関連倒産で自己責任でない場合は国が一時手形を全部買い上げてやれ、そして十五年年賦とか十年年賦で国に返済をさせる、そういう制度を提案したのですが、それはちょっと無理だというので、通産省はこういう掛金制度にして運営をしているわけでありますが、これが十分機能しているのでしょうか、現在この制度が。これは兄貴のいる前でいい答弁をしなくちゃならないな。よろしく。
  25. 井出亜夫

    井出政府委員 お答えを申し上げます。  中小企業倒産防止共済制度の共済の貸し付け状況でございますけれども、平成年度におきまして、件数といたしまして三千九百十一件、金額にいたしまして約三百十億円の貸し付けが行われたわけでございます。その後の展開を見ますと、三年度におきましては七千百九十四件、五百九十六億、四年度におきましては一万八百七十件に対しまして金額としては八百六十億ということでございまして、景気が悪くなるに従い、また倒産件数がふえるに従い、この貸し付けの額も件数も多くなっておりまして、今回の不況におきましてもこの制度は有効に機能しておるというふうに判断をしております。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 武藤山治

    武藤(山)委員 確かに件数、金額ともふえていますね。三年度が七千百九十四件で五百九十六億、四年度は一万件を超え、八百六十億ですからふえてはいるのですが、全体の負債総額が六兆もある中で比較してみると金額が随分少ないんだな。というのは、受付窓口がうるさくて条件が整わないとか、あるいは掛金が一カ月おくれたとかという不誠実な点があるというのでふるい落とされるとか、大変審査が厳しい点があるのじゃないかという一、二の業者から陳情を受けたことがあるのでありますが、その審査の日数とか、申請があったら迅速に対処するというシステムがこれはきちっとできているのでしょうか。八百六十億というのもちょっと今の倒産の状況からいくと、六兆円も負債総額がある中小企業の倒産の中で自己責任でない関連倒産というのは少ないんだなという印象なんですけれども、担当部長とうでしょうか。
  27. 井出亜夫

    井出政府委員 審査の日数等についてでございますが、基本的には二週間以内ということで処理をしております。  それから審査の条件でございますけれども、これはある程度共済のお金を預かっておるわけでございまして、中小企業者相互の相互扶助の制度でございますので、そこの管理というものは十分にやらなければならないということで、そこの管理にやはり不備があってはいけないというふうに考えております。しかし一方、例えば夜逃げでございますとか、どうも現在の共済事由には当たらないというふうな御指摘もございまして、こういうものについてもう少し共済事由を拡大すべきではないかというふうな御意見も承っておるわけでございますけれども、例えば夜逃げというふうなものについて見ますると、事後におきまして銀行の取引停止処分となるという客観的事実が発生する事例が多うございましで、そういうことで十分な対処ができるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この共済制度そのものにつきましては少なくとも五年に一度ぐらいは法定でこれは見直し、検討ということを求められておりまして、私どもも中小企業政策審議会におきまして、平成年度、それから中間的には昨年秋に、掛金の額でございますとかあるいは共済の事由というふうなものについて御検討いただきましたが、当面のところこれを大きく変える必要はない、しかし事態については、事態の進展というものを十分見て、倒産動向をにらみながら今後も引き続き検討していくべきであるというふうな御指摘をいただいておりまして、そのとおりにやっておるところでございます。  それから、倒産の額に比べまして余りにも貸付件数が少ないではないかというのはおっしゃるとおりでございますけれども、現在件数にいたしまして約四十三万件というのが加入の件数でございまして、若干ダブリで加入をしておられる方もおられるかと思いますけれども、全体の事業者の数が六百五十万とかというふうなことから見ますと、そもそもこの共済制度自身に加入されておられる方というのが非常に割合が少ないものですから、全体の額との比較におきますれば小さな割合になるわけでございます。
  28. 武藤山治

    武藤(山)委員 わかりました。加入者が少ないのではしょうがないわね。理解できました。  それから、もう時間があと七分しかないので一問だけしかできませんが、今回の法律で小規模事業者支援促進を図るのが目的でありますが、この促進によって従来の小規模企業者の位置というものが上がるのか、地位が上がるのか、また件数などから見て幾らか数字に変化が起こるような支援策が出てくるのか。メリットの問題でありますが、この調査室の作成してくれた資料を見ますと、小規模事業所の産業別事業所数あるいは事業者数、こういうのを一つ見ましても、小規模事業の非第一次産業シェアでいうと、昭和五十三年に七九・九、それが年々減ってまいりまして五十六年が七九・二、六十一年が七八、平成元年が七六・八、それが平成三年になりますと七四・九、五%減っているわけですね。それから一人当たりの年間販売額を見ても、大企業五十人以上を一〇〇と計算をしてみると、一人から二人のところは 三二・四、三人から四人が四八・一、だから五十人以上のところの半分ぐらいしか一人当たりの販売額がない。非常に格差が大きいわけですね。通産省の指導と目標は、小さければ小さいほど効率が悪いわけですからこういう格差はやむを得ないのでありますが、このかつてのシェアからだんだんだんだん低落をしていっているわけでありますから、どの程度を歯どめとして、あるいは好ましい目標として、この程度におさまることがいいのだがという目標というのはやや考えられるのかどうか。それとも、やはり自由競争で自然淘汰なんだからつぶれていくものはつぶれていく、やむを得ない、また新たなるノウハウを持った者が新事業を始める、そういう開拓者精神が生かされる、それが自由経済のいい面だ、だからだんだん減少していくのはやむを得ないのだと見るのか。それとも、いや今度のような法律でこれを最小限に食いとめて活性化を図っていくのだ、だとすれば一定の目安があってしかるべきだな、こう思うのですが、その辺はあるのかないのかということが一つ。  それから、もう時間がありませんから、今回のこの支援促進の法律で小規模事業者にどんなメリットがあると考えるのか。通産省が行う施策によってこんなメリットが出ますよと自信を持って言える内容は何なんだ。この二つを聞いて、時間ですからやめますが、お答えいただきたいと思います。
  29. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  私ども、まず小規模企業が我が国経済に占めます位置、これは非常に重要なものだと考えております。一つは、これまでもいろいろな市場環境の変化に対応いたしまして新しい商品、新しい技術を提供して市場を活性化してまいりました。あるいはまた地域におきましてはその経済の主役でございまして、そういった意味で地元経済にも大変大きなウエートを持ってきたわけでございます。  ところが、先生指摘のとおり、最近の経済環境の変化によりまして企業規模が減少する、あるいは大企業と比較いたしました場合の生産性も下がっていくという非常に深刻な事態にあるわけでございます。一方、こういう経済環境の厳しさを反映いたしまして、小規模企業におきましては廃業率が開業率を上回るといったような事態もあるわけでございます。そこで、今申し上げましたような非常に重要な役割を果たしております小規模企業の今後の経済のあり方につきましてソフト面、ハード面で思い切ったてこ入れを、地元の経済活動のいわば中心的団体でございます商工会商工会議所の機能を活用して強化していこうというのが今回の法律のねらいでございます。  今先生、具体的な数字の目標はあるのかというお尋ねでございますけれども、じゃ企業数が幾らであればいいのか、あるいは生産性の格差がどれぐらいであればいいのかという具体的な目標までは実は現在私ども持っていないわけでございますけれども、とにかく経済環境の厳しさ、生産性格差の拡大を食いとめまして、いろいろな意味で差をだんだん縮めていくということをぜひ目標にしてまいりたいと思っているわけでございます。  二番目のお尋ねは具体的なメリットということでございますけれども、私どもは現在の小規模企業をめぐります各種の経営環境の変化に対応いたしまして、ハード面、ソフト面でのいろいろなお手伝いをさせていただこう。ハード面と申しますのは、例えば共同工場でありますとか共同店舗でありますとか、そういった事業の場あるいは福利厚生施設でありますといったような事業環境を改善するための施設、あるいはその集客能力を上げるための施設といったハード面の設備設置、それに対するお手伝い。それからまたソフト面では、最近の経営のあり方というのは非常に高度化いたしておりますから、その状況の変化に応じまして高度な専門的経営指導でありますとか、そういうことが受けられるようにぜひしたいと思っておりますし、あるいはまたそういった形でいろいろ開発されました新商品が全国で売れるような、そういった村おこし事業的なもの、販路の開拓といったようなことも含めまして、大ざっぱに申し上げましたけれども、ハード面、ソフト面で小規模企業の方が今後さらに新しい展開をなさる場合に直面いたします困難を克服して目標を達成することが可能になるような各種の事業を、それぞれの地域、小規模企業の実態を十分踏まえて講じてまいりたいというのが今回の法律をお願いいたしております趣旨でございます。
  30. 武藤山治

    武藤(山)委員 時間でございますから、以上で終了いたしました。
  31. 井上普方

    井上委員長 長田武士君。
  32. 長田武士

    ○長田委員 思い返してみますと、昭和六十一年の暮れに円高不況を脱しました後に、堅調な個人消費と二けたを超える設備投資が続く中で内需主導景気拡大を続けてきたのでありますが、国内需要の一巡に加えましていわゆるバブルの崩壊によりまして、平成二年の暮れごろには減速過程に入りまして、昨年の半ばには景気低迷がはっきりとしてまいったわけであります。それまで景気の後退期入りを認めようとしなかった政府がようやくこれを認めたわけでありますけれども、去る四月八日の政府の月例経済報告では、「我が国経済調整過程にあり、引き続き低迷しているものの、一部に明るい動きがみられる。」このように述べておるわけであります。  こうした時期に、やや遅きに失した感があるにせよ、小規模事業者や中小企業の極めて厳しい経営の改善、金融の円滑化を図るため本日ここに両法案が審議されることは大変意義の深いことであろう、私はこのように考えております。そして一日も早くこの実施がされることを強く望むものであります。  両議案の内容について審議に入ります前に、中小企業を取り巻く経済、金融等につきましてお伺いしたいと考えております。  四月の月例経済報告でも述べておりますように、一部に明るい兆しも見えてきております。三月二十三日に発表されました景気動向指数のうち、一月の先行指数が十カ月ぶりに五〇%を超えたということ。第二番目には、二月のマネーサプライが六カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。そして第三番目には、三月の乗用車新規登録台数が二十三カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたこと。それから次は、二月の鉱工業生産が前年比で五カ月ぶりプラスになったこと。それから、民間設備投資の先行指標と言われておりますところの機械受注が、一月に続きまして二月も前年比でプラスになったということ。次に、住宅着工数が二月に前年同月比で六・三%増と半年ぶりプラスに転じました。次に、マンション販売の月間契約率が首都圏で二月まで五カ月連続七〇%を超えたこと。所定外労働時間のマイナス幅の減少や、公共工事請負金額が今年に入りましてから急増していること。これは、昨年の十二月の補正予算の成果ではないかというふうに考えております。次は、半導体の受注がふえてきております。それから、二月の大口電力需要が対前年同月比で一年ぶりプラスに転じたこと。また株価が、きのうはちょっと下落したのですけれども、二万円台を持ち直しました。二万円を回復したということ、これにはいろいろ異論があると思いますけれども、こういう指標などを挙げることができると考えます。  これに加えまして、平成年度予算が三月末に成立をいたしまして、公共事業の前倒しの執行も既に決定をいたしておるところでございます。去る四月十二日の、十二兆二千億円に上る新総合経済対策は、史上最大だと言われております。  一方におきまして、円高は昨日百十円台に突入をいたしました。平成年度我が国経済は、四−六月期から十−十二月期まで国内需要マイナスが続いておりました。にもかかわらず、GNPはやっと横ばい状態を保っておったわけであります。これは結果的に国際収支で年率一千億ドルを超える黒字、つまり外需が相当効いておるということが数字によって如実に示されておるところであります。それが円高によりまして、外需の寄与が減るようなことになりますれば、私は十三兆 二千億円の総合経済対策という効果も減殺されてしまうのではないか、このように心配をいたしておるところであります。平成年度の三・三%の成長の期待も帳消しになるのではないかという心配が出てまいりました。  先ほども申し上げましたとおり、平成四年四月から十二月までの我が国経済は、内需マイナス成長であったのに、外需の寄与によりましてGNPはやっと横ばい程度に推移したわけでありますから、特に内需の後退というのは、昨年の総合経済対策政府の景況判断のおくれや参議院選挙に続く佐川急便事件の発覚で補正予算の成立が十二月にようやく成立をした、そういうことが強く影響しているのではないか、このように考えております。  また、最近明るい見通しが見えておりますけれども、そういう中で平成年度経済成長政府改定見通しの一・六%の達成には果たして十分であるかということを私は心配をいたしております。ことし一−三月期に前期比で三・一%以上の成長を達成しなければならない、当然これは達成できないということで大蔵省の首脳も言っておるわけでありますけれども、果たしてこれは達成されたのかどうか、六月にならないとわからないと恐らく言うでしょうけれども、その見通しについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  33. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘を賜りましたように、平成四年のGNPにつきましては、四−六月が〇・〇、七−九月はマイナス〇・六、十−十二月が〇・一というプラスでございまして、そういう中にありまして内需マイナス、これを外需がカバーする、こういう形でございました。そういう内需の中で、民間内需がとりわけマイナスでございますが、これを公共投資を中心といたします公的需要がカバーするというような形で御指摘のような姿になっている、こういう現状がと思います。  そこで、平成年度経済見通しにつきましては、これは三・五%から一・六%に昨年十二月に下方修正をいたしたわけでございますけれども、しかしながら昨年十−十二月期のGNP統計が公表されまして、これは〇・一%の前期比、こういうことでございます。  このように、私ども予想以上に循環的な要因に加えまして、先ほど来御議論がございますような資産価格下落、こういう状況もございまして、国内の民間内需を中心といたしまして低迷している我が国経済の姿というものをあらわしている、こういうことかと思います。  そういう中にありまして、昨年八月の総合経済対策効果が、御指摘がございましたように、本年初めから実体経済効果をあらわしていく、こういうことがあるわけでございますけれども、さはさりながら御指摘を賜りましたように、一・六%を達成いたしますためには、一−三月で三・一%という前期比、こういうことにならないと一・六%にならないということでございまして、現段階で確たることは申し上げられないということではございますけれども、実績見込みでございます一・六%達成という点につきましては、これは率直に申しまして容易ではない、大変厳しい、そういう状況にある、このように認識をいたしております。
  34. 長田武士

    ○長田委員 統計が出るのが大体六月ということでありますけれども、どうも経企庁としては余り自信がないようでありますけれども、どうかひとつ、早急に発表できるようにしていただきたいと思っております。  それから、今年度の問題でございまして、今回の総合経済対策は新聞報道によりますと、平成年度の名目成長率を二・六%押し上げる効果を持つということを試算いたしておるようでございます。実質成長率の押し上げ効果は〇・五%から一%であろう、大体民間の調査機関はこのように試算をいたしております。日本経済新聞では、今回のGNPの押し上げ効果を実質では〇・九%といろいろ試算をしているのです。これは個人消費はわずか〇・一%増、それから設備投資は一・三%増、これは依然としてマイナス成長です。それから住宅建設は〇・六%増、それから公的資本形成は一〇・七%増で、合計しましてGNPを〇・九%押し上げる、こういう試算であります。その結果、平成年度の実質的な経済成長率というのは二・四%にとどまるであろう、このように試算をいたしております。この点、ちょっとまだ始まったばかりで早いのでありますけれども、平成年度経済成長率、GNP三・三%は自信がございますか。
  35. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘を賜りましたように、新総合経済対策の与えます効果につきましては、もとよりこれは経済情勢いかんにもよりますし、それによってはまた効果が異なるということはあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今回の対策の総規模が十三兆二千億円ということでありまして、この対策規模自体がGNPに対して二・八%、こういうものでございます。この波及効果というものも考えますと、相当程度大きな影響というものを実体経済に与えるのではないか、このように考えているところでございまして、そういう中にありまして、御指摘がございましたようにその対策の中で需要を追加する措置といたしましての公的な支出、これは事業規模といたしまして十三兆五百億でございますけれども、これをベースにその波及効果も含めた一年間の効果ということで申すならば、御指摘のとおり名目GNPを二・六%程度押し上げるぐらいの効果を持ったものではないかと思うわけであります。実質GNPに対する影響という点はちょっと私ども計算をいたしておりませんけれども、それよりはわずかに下がる数値ではないか、このように思っております。  そういった今回の対策が昨年八月の対策に加えて講ぜられてくるわけでございますので、そのような昨年三月からの三次にわたります対策効果が実体経済に次第に好ましい影響を与えることを通じまして、公共投資、さらには回復基調にあります民間住宅投資に加えまして、年後半になってまいりますと個人消費設備投資回復に向かっていく、そういう中で内需を中心といたしますインフレなき持続可能な成長経路に次第に移行していく、このように考えているところでございます。  五年度年度が始まったばかりではございますけれども、したがいまして五年度成長率が全体としてどのような姿になるかはこれからではありますけれども、このような対策効果というものが、回復の素地が生まれつつある中で講ぜられるということを通じまして、経済見通しにおきましてお示しをいたしております三・三%という実質成長率につきましては達成が可能なものではないか、このように見ているところでございます。
  36. 長田武士

    ○長田委員 さて、新総合経済対策の目的は、内需を振興すること、そして景気回復いたしまして輸入をふやす、そして国際的に調和のとれた経済を軌道に乗せよう、こういうことを目的としたものであると考えます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、日本経済新聞を初め民間の研究機関等の試算によりますと、公的固定資本形成はかなり伸びるであろうというふうに見ております。しかし民間最終消費支出を初めといたしまして、他の内需項目はわずかな伸びにとどまるというふうに試算をいたしておるわけであります。その結果、GNPの押し上げ効果は〇・五%から一%ということであります。  この新総合経済対策の中に、新社会資本整備を初めといたしまして中小企業対策、各般にわたる施策が盛り込まれておるわけでありますけれども、私はその点については評価はいたします。しかし、ちょっと考えさせられますのは、公共工事に偏重した経済対策かなということを強く感じます。  私はバブル経済時代を称賛するわけではありませんけれども、民間最終消費支出は、実質で、六十一年度は三・八%、六十二年で四・一%、六十 三年で五・五%、平成元年三・七%、平成二年が三・六%と順調に伸びておるわけであります。ところが、同じGNP統計を見てまいりますと、平成年度ごろからは様相が変わってまいりました。同年度は三・五%の実績見込みに対しまして実績が二・六%となりまして、四年度は三・七%の当初見通しに対しまして実績見通しは一・五%と大幅に落ち込んでおるわけであります。平成年度のGNP政府改定見通し、先ほどから論議が出ておりますところの一・六%の達成が困難ということになりますれば、個人消費低迷がやはり大きな要因ではなかろうかと私は考えます。ですから、平成年度三・三%の達成のためにも我々は大幅な所得減税を要求したわけでありますけれども、残念ながら平年度ベースで一千七百二十億円のミニ減税に終わっております。これは教育減税、特別扶養控除、これは十六歳から二十二歳、四十五万円が五万円プラスされて五十万とわずかな教育減税、その他住宅ローン減税、これを合わせて千七百二十億円でございます。民間設備投資の方は実質で二けたの投資が三年も続いた後でありますからペースダウンするのは当たり前であろう、私はこのように考えております。個人消費の急激な落ち込みはなぜこのようになってしまったか、それを考えてみることが大事だろう、私はこのように考えております。消費性向は七七%を割れたことは実はなかったのですね。主要経済指標を見てまいりますと、平均消費性向、昭和四十九年には七六%とちょっと悪かったのですけれども、五十年から十一年間、昭和六十一年まで、七七%を割ったことはございません。そして昭和六十二年から平成三年まで、この五年間というのは七七%を割っております。平成年度平均消費性向は、これを見てまいりますと七四・五%であります。今回の対策の、消費を向上させるその対策が、ちょっとこれでは乏しいのではないかということを私は強く感じます。  経企庁に伺いますが、本年度の民間最終消費支出、実質で二・八%は本当にできるのかどうか。そして消費性向の落ち込みは、なぜこのような現象が起きておるのか、回復の見込みはあるのかどうか、この点についてお尋ねをします。
  37. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  個人消費は、ただいま御指摘がございましたように平成年度二・六%となりました後、平成年度はさらに落ち込む、こういう状況でございます。これは一つにはやはり景気の減速の中にありまして所定外労働時間が大幅に減る、そして雇用者所得の伸びが低下するというような所得の要因がございましたほかに、消費性向が御指摘のように落ちてきたということがあろうかと思います。  消費性向がこのように低下をした要因は三つほどあろうかと思いますが、一つは何と申しましても昨年の夏ぐらいまで株価が急激に下落した、その逆資産効果影響しているということもあろうかと思いますし、また平成景気のもとでかなり大幅に家計が購入いたしました耐久消費財のその後のストック調整ということがあったようにも思われますし、また景気後退が深刻化する中で消費者のマインドも慎重化した、このようなことが重なり合って消費性向の低下がもたらされた。そして所得の低下と消費性向の低下が相乗することによりまして消費低迷するという状況が生まれたのではないかと思うわけであります。  それではこれから先二・八%ということが達成可能かという点になってくるわけでございますけれども、何と申しましても物価が大変安定をいたしておりまして、一%台半ばという消費者物価の現況でございます。そういう中にありまして所得の面に着目をいたしますと、これから徐々に景気回復過程に向かってまいります中で、所定外労働につきましてもむしろこれからふえていく方向ではないか。そういう中で企業の生産が徐々に回復をしてまいりますならば、所定外労働の減少が一巡をいたしまして増加という方向に転じ、雇用者所得の伸びに寄与をしていくというふうに、逆に作用していくというふうに思われるわけでございます。同時にまた消費性向という面からいたしましても、最近の株価にもうかがうことができますように金融資産の伸び回復して逆資産効果が徐々に薄れていくということもあるわけでありますし、何分にもこれまで長い間耐久消費財のストック調整が行われてきたわけでありますけれども、そういう要因も徐々に緩和していく、あるいはまた景気足取り回復し徐々に確実なものになってまいりますと、消費者のマインドというものも少しずつ和らいでいく。こういうことで所得と消費性向両面から、逆に平成年度年度が進んでまいりますとその両面から消費を支えていく要因になっていくというふうに思われるわけであります。  そういう中にあって、今般の総合景気対策というものがそのような経済の好ましい自律回復に向けての方向を加速をする、こういうことによりまして個人消費につきましても徐々に民間内需大宗としてその役割を果たしていくのではないか、このように考えております。
  38. 長田武士

    ○長田委員 今回の総合経済対策には、通産大臣がかつて政調会長時代からの御主張だった新社会資本整備、つまり国立大学、研究所、病院、社会福祉施設などの施設整備や公立学校へのパソコンの普及、電線の地中化などの民間によりますところの社会資本整備事業を応援するための開銀融資など盛り込まれた模様でありますけれども、概要と金額はどのようになっておるかということであります。それから、この新社会資本整備につきましては来年度予算からも恒常的に要求されるつもりなのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。  これは経企庁と思いますけれども、通産大臣、大変御熱心にやられましたから、何かございましたら御答弁をいただきたいと思います。
  39. 森喜朗

    森国務大臣 数字につきましては後ほど事務当局から御説明をいただくことにいたしまして、先ほどから社会党の武藤委員、また今公明党の長田委員、いろいろ日本景気に対しまして広範囲な御意見も踏まえて御質問いただいておりますことをずっと拝聴させていただいておりました。確かに今いろいろな数字が飛び交っておりますけれども、先ほど私が武藤委員にもお答え申し上げましたように、日本景気はまだもう少しこの推移を十二分に注視をしていく必要があるだろう、こう申し上げておるところでございます。  したがいまして、従来でございますと即効的な景気の下支えをしていくには当然公共事業が一番効果があるわけでございます。これは昨年の緊急対策あるいは総合経済対策、さらに国会での補正予算が少しおくれたということもございましたけれども、そうした補正予算の裏打ち、さらに皆様のおかげで年度内に平成五年の予算が成立をしたこと、こうしたことが、恐らくこれからも公共事業がいい意味で波及効果をあらわしていくことは間違いないと私ども考えております。  しかしながら、昨年私は党でこの仕事をいたしておりまして、その結果をずっと追い続けてまいりますと、いささか言いにくいところもございますが、やはり土木中心の公共事業の必要性はございますが、これは県によっても、あるいは地域によっても消化し切れないという面がある、そういう声も事実聞きました。それから、この波及効果の範囲というのは、道路でございますとか河川でございますとか港湾でございますということはやはり波及効果がどうしても偏っていくのではないか。従来の公共事業でいきますと、大体施設が一で土木中心のものが七というような数字になっておったと思います。  そうなってまいりますと、先ほどから先生がおっしゃいましたようにもう少し消費マインドが起きてくる、もう少し幅の広いいろいろな産業の中に効果をあらわしていくことは何がいいんだろうか。どうして公共事業に建物がもう少しふえてこないんだろうか、こんなところをいろいろ分析してまいりますと、どうしても公共事業による施設費というのは結果的にまた人件費が必要になってくる、あるいは設備や機械を入れなければならぬということになる。そこで、この設備や機械を公 共事業の対象にならないものなんだろうか、もう少し端的に言えば建設国債の対象にならないものなんだろうか、こういうことを、私、立場は政府でございますので我が党の政調会長にお願いを申し上げて、この点を少しおまとめいただけないか、こういうふうに今回の景気対策の柱を立てていただいたわけでございます。したがいまして、これは予算執行される、そしてさらに当然今回の新しい経済対策補正予算が伴うことでございますが、このことによって従来と違った幅の広い、すそ野の広い公共事業による消費というのは起きてくるんではないかということが一つございます。  それからもう一つは、何といいましても輸入を促進しなければなりませんので、そうなりますと従来の公共事業ではなかなか輸入促進ということにはならない。新しい今回の社会資本という考え方でいけば、医療機械でございますとかその他情報機器でございますとか、当然外国の商品が日本においてビジネスチャンスといいましょうか営業の一つの目標ができてくるわけでございますから、特定の国から特定の物を入れるということは日本としてはとり得ませんけれども、内外無差別そして透明公平にこれを進めていけば当然外国のそれらの商品も輸入が促進されていくであろう。これが今回の新しい経済対策の二つ目の大きな柱でございますし、我が省としてもう一つ強く立てましたのが中小企業対策ということでございます。  それから減税につきましては、所得税減税については先生方の御意見とは若干異にいたしましたけれども、財源の問題もございましたし、それからこのこと自体についてはまだこの国会中与野党協議が続けられるということになっておりますから、住宅でございますとか当面今、特に長い間、私が文部大臣をしているころからでございますが、公明党の皆さんからは教育減税というお話がございました。そういうことを含めた政策減税を取り入れたということになるわけでございまして、こういう施策が進められていきますならばかなり景気回復への基調があらわれてくるのではないか、こう期待をいたしておるところでございます。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕  それからもう一点、このことの新しい社会資本が今後も続けられていくのかというのは大変大事なところでございまして、政府といたしましては、この問題の定義の問題もございますし、それから、新しい社会資本を積み立てますよという話が出ました途端に各省からどんどん便乗と言うと失礼でございますが、いろいろな項目が出てまいりますと、こういう項目が果たして社会資本なんだろうか、新しい社会資本整備なんだろうかということがやはり意見がいろいろ分かれたところでございます。電線の地中化もございますし、さらに新しい社会資本と考えていきますと、いろいろな方面から要望が出ておりますけれども、例えば道路が公共事業でどうして人を乗せる電車の鉄路が公共事業じゃないんだ。あるいは、船を買うのは国債で買えるのに何で飛行機は国債の対象にならないのかという、随分いろいろな矛盾がこの中で、政府・与党の内部にも随分出ておりました。したがって、そういう例えば新幹線などの建設というものについてはこれはやはり新しい社会資本ではないのだろうかというような意見もございましたし、したがってこの社会資本の範囲についてはこれからもう少し議論をしていく必要があるのではないか、このように考えております。  いずれにいたしましても、党といたしましては新社会資本の整備というふうに項目を立てましたけれども、政府としましては「社会資本整備の新たな展開」という形でございまして、これは当然そのことと相一致をいたしております。党の呼び方と政府の項目のつけ方とちょっと表現の違いはございますけれども、これを決定いたしました経済対策閣僚会議でも総理みずから、大変いいことなのでぜひこれからもやはり進めていくべきだろうというような御発言がわざわざあったほどでございまして、これから与党としても新しい社会資本というのはどういう範囲にしていくものなのかということも当然検討を加えて、いずれ補正予算が出てまいりますと予算委員会でこの論議が出てくるだろうと思いますし、さらに来年度予算編成の際の概算要求時までには、やはりこの新しい社会資本というものを一体どういう範囲でどういう柱を立てていくのかということは当然議論になってくるところではないか、こう考えておりますので、どうぞそういう意味で委員の御支援をぜひまたお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  ちょっと長くなって恐縮でございましたが、あと数字は事務当局からお答えをさしていただきます。
  40. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 いわゆる新社会資本あるいは今回の総合的な経済対策におきます立て方といたしましては、第三項におきまして「社会資本整備の新たな展開」ということで、ただいま大臣から詳しく御説明申し上げましたように、社会経済情勢の変化を踏まえつつ景気現状に的確に対応していくという意味からこういう考え方が盛り込まれているわけであります。したがいまして、新社会資本という言葉についてその厳格な定義をしているわけではございませんので、その規模について正確な数字を申し上げるということは困難なわけでございます。物の考え方として、新たな社会資本整備の新たな展開という考え方が示されたというふうに御理解を賜ればと思います。  なお、中身といたしまして、通産大臣が従来からいわゆる新社会資本整備としていろいろ例示的に申し上げてまいりましたものには、研究開発基盤あるいは文教施設、医療、福祉施設等いろいろな施設の整備費というものを申し上げております。これが、前回の景気対策におきましては五千五百億円の規模でありましたけれども、今回はその二倍以上の一兆一千五百億円の規模が確保されておるわけであります。それからまた、いわゆる一般公共事業でありますとか地方単独事業について申し上げますと、総額で二兆三千億円のものが計上されているわけでありますけれども、これらの中にもこういった同種のいわゆる新社会資本あるいは社会資本の新たな展開に該当するものもあると思いますので、全体として見れば相当の規模になっておるものと理解をしているところでございます。
  41. 長田武士

    ○長田委員 今回の総合経済対策で再びバブルが起きたりすることはないだろうかと心配する向きも実はあるわけであります。  過去を振り返ってみますと、昭和六十年のプラザ合意以来、円高不況がずっと進む中で、一方では国際収支の黒字が非常にふえました。そこで貿易摩擦が激化するわけでありますけれども、六十一年には前川レポートが出されました。六十二年五月には、政府内需拡大と対外不均衡の是正を図るために、事業規模六兆円を上回る緊急経済対策を決定をいたしました。そして七月には補正予算も成立をいたしまして、その結果、対外不均衡の方は徐々に是正をされまして景気回復したのでありますけれども、一方、地価の高騰それからまた株の急騰、こういうバブル要因というものが実は発生をいたしました。当時は、昭和六十二年二月に日銀が公定歩合を二・五%に引き下げたすぐ後でありまして、マネーサプライは前年比一〇%を超えるという高水準にありました。物価は非常に落ちついておりましたけれども、こういう時期に六兆円を超える緊急対策が打たれたわけでありますけれども、これは後になってわかることでありますが、景気循環の基準日付で見てまいりますと、景気は既に六十一年十一月に底を打ちまして、六十二年には拡大期に入ったわけであります。内需拡大を図るための緊急対策判断に誤りがあったのではないか、それがどうもバブル発生の契機を与えたのではないかというふうに私は考えておるわけであります。  今回の対策についても、既に景気は一−三月期に底入れがあった、四−六月期以降拡大期に入るというふうに民間エコノミストは見ておるわけで あります。最近の急速な株価の上昇はまさにミニバブルだというふうに見られる向きもなくもありません。現在、公定歩合も二・五%であります。土地についても、公共用地の先行取得、国と地方を合わせまして一兆六千億円ということでございます。これが地価を刺激することはないのか。公共事業につきましては、本年度予算のほかに、昨年の総合経済対策の本年度への繰越分が一兆五千億円程度あると言われております。今回の対策での追加が国、地方合わせまして六兆円弱、それに教育、研究、医療、福祉の施設整備、住宅公庫の枠の拡大が合わせて三兆円弱、これらのことを考えてまいりますと関連資材の値上がりということが非常に心配であります。実は、材木の角材、板材それから合板が急激な値上がりをしているのですね。私もいろいろ調べてみたのですけれども、米ツガ正角、九二年平均で一立方四万二千七百円だったのです。これが五万八千円になってしまっていますね。それからヒノキの正角、九万八千二百円だったものが十万七千五百円、杉の小幅板というのですか、これが五万四千九百円だったものが六万円、合板の一類でありますけれども、これは一枚ですが、千十三円から千四百四十五円、大変に値上がりが顕著であります。  そこで、私は、公共事業などの関連業者がこれらの関連資材というものの在庫の積み増しにどうも走っているのではないかということが考えられると思います。これらの心配に対しまして経企庁はどうこたえられるのか、あるいはどういう対策を講じていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔竹村委員長代理退席、安田(範)委員長     代理着席〕
  42. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  まず最初に、昭和六十一年当時の緊急経済対策が講ぜられましたころと現時点との比較について申し上げたいと思います。  資産価格の面について申しますと、六十一年の十−十二月期で東証株価指数は既に四四%程度対前年上昇いたしておりましたが、株価につきましては三月末の時点でも前年比〇・九、そういう状況でございました。それから地価につきましては、六十二年の時点で住宅地は前年比七・六、商業地は一三・四、こういう上昇でございましたけれども、本年一月の時点で住宅地はマイナス八・七、商業地はマイナス一一・四、このように資産価格状況は六十二年当時と今日ではかなり違っているように思われます。  同時にまた、金融面につきましても、マネーサプライ、御指摘のように既に六十二年当時二けたになっておりましたけれども、現時点ではまだゼロ近辺、こういうことでございますし、あるいはまた金融機関の貸出残高、これも六十一年暮れには既に一二%程度になっておりましたけれども、本年の年初の時点でも二%台、こういうことでございまして、金融環境というのもかなり違っておりますし、企業収益の面でも、数字は申し上げませんけれども、相当今回は落ち込みが大きいというような点からいたしまして、六十二年当時と今日とではかなり状況が異なっていると思われるわけであります。そういう中にありまして、御指摘がございましたように一部に資材の価格等の上昇という面があることもまた事実でございますけれども、この点につきましては今回の新総合経済対策の中におきましても、特に公共事業の執行に当たりましては労務あるいは資材等の面で支障が生じないように価格、需給という面について十分留意をし、実施をしていく、こういうことにいたしているところでございます。また地価につきましても、公共事業の円滑な執行を図りますために地価動向に十分配慮しながら公共用地の先行取得等を行っていく、こういうことでございまして、新総合経済対策実施過程におきましても御指摘のような労務、資材、地価等に十分配慮して、そういう点での問題が生じないような対応を関係省庁と連携しつつ図ってまいりたい、このように考えております。
  43. 長田武士

    ○長田委員 いつもそうでありますが、経済対策が発表されますと一体真水は幾らなんだということが問題になるわけであります。この間もテレビでやってました。今回の十三兆二千億円も、真水ということになりますと幾らか私たちもよくわかりにくいものであります。日本経済新聞によりますと、翌年度に支払いが残る分や、あるいは用地費を勘案いたしまして、これを差し引きまして大体五兆四千億円だと言われておるわけであります。同様に、昨年度総合経済対策の真水は四兆二千四百億円と言っております。しかし、昨年の真水の三割から四割は工事のおくれで今年度に繰り越されるであろう、このような見方もあります。実際に真水と言われる部分が幾らなのか、私たちも非常にわかりにくい面がございます。政府も明確な発表を避けておるようでありますけれども、経企庁、今回の十三兆二千億円の総合経済対策の真水はどのぐらいになるのでしょうか。
  44. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  今回の経済対策の中で真水がどのくらいか、こういう御質問をいただいたわけでございますけれども、真水につきましてさまざまに議論がなされております。真水とは何かということにつきましては明確な定義というものが必ずしもございませんで、論者によってその使い方もまちまちでございます。したがいまして、全体としての規模効果というものを考えます際に、政府といたしましては真水というような概念を用いておりませんで、いわゆる真水というのがどのぐらいかというような形での整理というものはいたしておらないわけでございまして、主体、対象、そのほかによってさまざまな切り口があろうかと思います。そういうような意味合いもございまして、真水が幾らかという点につきましての整理はいたしていないということにつきましては御理解を賜りたいと思います。
  45. 長田武士

    ○長田委員 次に、今回の総合経済対策政府系の中小企業金融機関等の融資規模を一兆九千百億円追加することになっております。通産省平成年度予算におきまして、中小企業対策の柱といたしまして、一つは中小企業金融公庫と国民金融公庫の貸付規模をそれぞれ六%と大幅に拡大した。この六%というのは大きく書いてあるのですね。それから第二番目には、昨年八月の総合経済対策の一環として行われました中小公庫と国民公庫によりますところの緊急特例限度貸し付けの適用期限を六カ月間延長した。第三番目には、小企業等経営改善資金融資制度、いわゆるマル経ですね、設備資金については五年の貸し付けを六年に延長し、運転資金については三年を四年にそれぞれ延長した、そうして貸付期限の延長は、前者は七年ぶり。これも大きく書いてあるのです。それから後者については十三年ぶりだ。僕は近眼ですけれども、こんな大きい字を書かなくたってよく読めるのですよ。えらく誇張しておるのですね。これはふだんやってないということでしょう。さらには、本日の議題でありますところの中小企業信用保険の限度額を五年ぶりに大幅に引き上げる。五年ぶりというのはこんなに大きいんだよ。この四点を強調しておるわけであります。  私は、中小企業向けの政府系機関の融資規模として、最近の民間金融機関の、今経企庁からお話がございましたとおり大変金融を引き締めております中にありまして、中小企業の売り上げ不振、それによりますところの運転資金の不足、資金規模というのは大変需要が大きいのではないかということを考えるわけであります。そこで、今回の経済対策におけるところの一兆九千百億円の実行というのは非常に時宜をかなえておる、このように考えておりますけれども、この中身はどのようなものであったか、ひとつ簡単に説明いただきましょうか。
  46. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 一兆九千百億円の具体的な中身でございますけれども、今後さらに詳細な詰めを行う必要はあるわけでございますけれども、我々の現在のところの見込みでは、中小企業金融公庫が六千五百億円程度、それから国民金融公庫が七千億円程度、その他、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫、中小企業信用保険公庫等で五千 六百億円程度、合わせて一兆九千百億円程度になるものと思われます。
  47. 長田武士

    ○長田委員 中小企業金融公庫の調査によりますと、中小企業の資金繰りは相当悪化しております。その理由としては、たくさんありますけれども、売り上げの減少というのが七七・三%、その次に多いのが企業借入金の返済の負担が非常に重い、これが四〇・五%、その次には採算が悪化しておる、仕事をやっても利益が上がらぬというのが三三%、次に設備代金の支払い増、これが二一・一%、このように中小企業は相当経営が悪化をいたしております。  平成年度の本予算での資金枠六%の拡大に続いて、今回一兆九千百億円の追加ということであります。銀行、これは地方銀行も含めてでありますけれども、BISによる八%の自己資本基準の達成ということもありまして、どうも金融機関が貸し渋りをしておる。私も長い間銀行におりましたけれども、相当大蔵省や関係当局から圧力がかかっておるのですね。これは間違いない。実際、都市銀行を初めとして地銀、第二地銀あるいは信金、信用組合の中小企業に対します融資を調べてみますと、大変な落ち込みであります。これは通産省予算委員会に提出した資料でありますけれども、平成三年三月現在での残高は、都市銀行が中小企業に対する貸し付けは九十一兆二百七十九億円、これが一年後、平成四年三月になりますと八十九兆二千七百九億円、二八・八%、平成三年三月が三一・六%でありますから二・八ポイントというシェア下落も最高であります。先日、日銀がことし三月末に銀行の、これは地方銀行を含めた五業種でありますけれども、貸出残高の伸び率を発表したわけでありますけれども、これは前年同月比で一・三%、過去最低という数字であります。こういうことでありますから、四年度の中小企業向けの融資のシェアは一層落ち込むのではないかということを私は心配をいたしております。  こういうことを考えてみますと、政府系金融機関の役割は極めて大きいものがある、私はこのように考えております。通産大臣は本予算の六%アップと今回の一兆九千億円の上乗せで資金手当ては十分であるとお考えでしょうか。この点について御答弁をいただきたいと思います。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 森喜朗

    森国務大臣 結論から申し上げれば、今回の金融対策として万全の対策ができ得たもの、このように確信をいたしておる、まず結論からこう申し上げるわけでございます。  今先生からいろいろと細かくお話をいただきました。具体的には、通産省としましてはまず第一に中小企業金融公庫等の限度額の倍増、七千億円程度という思い切った貸付規模の中小企業運転資金特別貸付制度の創設、二千億円程度の貸付規模の追加を前提とした緊急経営支援貸付制度の拡充、返済資金緊急融資制度の創設などの運転資金を中心とした資金調達の円滑化、二つ目には中小企業信用保険法の特定業種の弾力的指定、政府関係中小企業金融機関等からの融資に対する信用保証協会の保証の弾力的活用、マル経制度の貸付枠の拡大など信用保証の充実等、この二つを大きな柱として今回思い切った対策を講じたわけでございます。  これも当委員会あるいは予算委員会の御審議の中で各党の皆様の御意見を十分頭に置きながらこうした施策を講じたものでございまして、これらの措置と今御審議をいただいておりますこの中小企業信用保険法の一部を改正する法律案による信用保険の付保限度額の引き上げ措置とが相まって、中小企業の金融対策としては先ほど申し上げましたように万全が期されているものであろう、こう確信をいたすところでございます。
  49. 長田武士

    ○長田委員 バブル崩壊後、昨年あたりから中小企業の倒産というのは非常にふえておるのですね。中でも今議題となっておりますところの小規模事業者支援法の対象となる小規模事業者は、大規模や中規模の事業者がふえていることとは裏腹に、わずかこの二年間で二十万も実は減っちゃっております。この数字を見てまいりますと、小規模は五百九万から四百九十万に減っております。大規模は五万から六万にふえております。中規模も百四十八万から百五十八万、このように実は小規模というのはこの二年間で二十万も実は減っちゃっております。政府系金融機関の役割というのは、私は本来中小企業の信用力や担保不足などを補完をして融資をする機関でありますから、中小企業信用保険も民間金融機関の中小企業向け融資が円滑に進むように、信用力、担保力を補充する制度でありますから、信用保証協会の保証スタンスとしては、経済的な合理性に余り走らないで、むしろ社会的合理性を重視してぜひ実行していただきたい、このように私は考えております。  そうは言っても、貸し倒れというか代位弁済がふえてしまうのではないか、ふえる傾向にあるのではないか、そういう指摘が実はございます。確かに資料によりますと、全国の信用保証協会の代位弁済は、平成年度は件数、金額とも前年度よりもやや減りましたけれども、三年度は二万一千件、金額は九五・六%ふえまして一千七百十七億円と、代位弁済は大変大きな数字を記録いたしております。そこで私は、平成年度の中小企業信用保険公庫の損益計算書と貸借対照表を通産省からいただきまして調べてみました。保険金の支払いが中小企業信用と機械類信用の両保険で九百八十七億円支払われておりますね。これは両保険の保険料収入八百五十三億円を上回っておりますが、一たん保険で支払った代位弁済の回収されてきたものが八百十七億円ありますから、保険制度としてはもう十分ペイしているように感じておるわけであります。こうしてもうかった、もうかったと言っては申しわけないのですけれども、このお金が保険準備基金などに積み立てられまして、これを原資として中小企業に融資したり、資金運用部へ預託したり、国債で運用したりしておるのでありますが、これらの利息や運用益が三年度に六百五十八億円となっておりまして、公庫の資産は非常に膨らんでおります。ちなみに三年度末の公庫の資産、つまり貸付金、国債などの合計は一兆一千八百五十九億円となっております。  私は、公庫がもうけ過ぎているということを言っているわけではありませんけれども、民間金融機関も今後リスク管理の強化とともに収益を重視いたしまして、中小企業などのリテール分野への融資を一層志向してくるのではないか、やはり金利が高いものですから、そちらにどうしても焦点が当たるのではないか、このように考えますが、それとは別に公庫の任務は一層重要になってくるなという感じを私は強く抱いております。  これは昨年の総合経済対策によりまして設けられた制度でありますけれども、一つの例を申し上げます。緊急経営支援貸付制度というのが実はございます。国と県が信用保証協会を通じまして一%の金利で金を貸すのですね。そして民間金融機関に二千億円の預託をいたしました。金融機関はこれを長プラよりも低い三・八%程度で貸し付けるわけであります。保証協会の保証があれば一千五百万円までは担保が不要であります。昨年十二月十四日から一年間の期限つきで始めたわけでありますけれども、一月末までには三百億円を消化をいたしております。  したがって、条件さえよければ中小企業の資金需要というのは旺盛であるというふうに私は考えております。ですから、私が言いたいのは、融資枠もさることながら、保証条件も少し緩和することはできないだろうかということであります。保証限度額はこの法案によりまして引き上げられておるわけでありますけれども、保証料の引き下げは何とかなりませんか。東京都の場合の資料を私はいただいてまいりましたけれども、○・四%から最高一%になっていますね。長プラ程度で中小公庫、国民公庫も実は貸しておりますけれども、それでも保証料を含めますと中小企業にとっては実は非常に負担が重いのですね。それだけじゃありません。保証条件の緩和が保証協会の利用率を引き上げ、民間金融機関のリテール志向とも相まちまして中小企業への一層の円滑な金融を図るこ とになると思うのであります。  また、それと同時に、各都道府県の保証協会の保証業務による保証料等の収入と、代位弁済等によりますところの支出との収支が実は非常に悪化をしているのです。各都道府県の、五十一ありますけれども、私全部調べてみました。不況が続けばなおさらそれが拡大される、そのように懸念をされております。都道府県によりましては、そのマイナスを地方自治体で補てんをしているということも実はあるのです、都道府県で補てんをする。これも、各協会が公庫に納める保険料を少し引き下げてあげるとか、あるいは公庫による代位弁済分の公庫による補てん率を、今七〇%ですけれども、それをもうちょっと上げてあげるとか、何か工夫が必要ではないか、このように考えるわけであります。  通産大臣、保証料を含めまして、保証条件の緩和とか公庫と保証協会との関係の改善につきまして、ぜひもう一度検討し直していただきたい、この点いかがでしょうか。
  50. 関收

    ○関政府委員 今先生から二つのお尋ねがあったと考えております。  一つは、信用保証協会が中小企業の方に保証いたします場合の条件の問題、それからもう一点が、今度は保険を付保いたします信用保険公庫と保証協会との関係、この二点かと存じますので、この点についてお答え申し上げたいと思います、  まず、信用保証協会の保証料率の引き下げについてのお尋ねがございました。実は、基本的に今保証協会の保証料率は借入額の一%ということになっておるわけでございます。しかしながら、実際にはその政策目的に沿った制度保証、あるいは小口の保証につきましては、この基本保証料率よりも低い保証料率が適用されるケースが多くなっておりまして、私どもの計算では平成年度におきます保証料収入の保証債務平均残高に占める割合は〇・九程度ではないか、すなわち私どもの試算では、実際に保証を受けられます方の七割程度はこの安い保証料を適用されておるものと思うわけでございます。  保証料率の引き下げにつきまして、私どももいろいろ検討いたしておるところでございますけれども、一つ先生も御指摘のとおり、保証協会の経営というものは基本的にこの保証料で成り立っておるわけでございますので、現下非常に経営状況が厳しいということからなかなか難しいという現状でございます。ただ、申し上げましたように、具体的な政策項目に合うものにつきましては安い保証料率が適用されておるわけでございます。それから、私どもとしては、この保証協会の経営基盤を強化いたしますために、毎年一定の保証協会基金等につきましての補助も行わさせていただいておるところでございます。  次に、信用保険公庫でございます。これは、保証協会が保証いたしますためにほぼ自動的に保険を付保するものでございまして、これは中小企業信用保険公庫において引き受けをいたしておるところでございます。  今先生黒字ではないかという御指摘がございました。実は昭和五十一年度から六十一年度までの十一年間に大変事故が多く出ておりまして、実はその間は資本金を取り崩すという形で対応いたしているわけでございます。幸いにいたしまして、その後は景気回復もございまして保険金の支払いが減少いたしましたので、大分埋め合わせをいたしました。実際は、六十一年までの十一年間で約三千二百億円の資本金を取り崩したわけでございます。その後景気回復によりまして大分カバーいたしましたが、現在なお千九百三十億円資本金を取り崩しているという状況にございます。  一万最近は、先生御案内のとおり、代位弁済が大変な勢いでふえておるわけでございまして、代位弁済の増加に伴いまして、保険金の支払いもふえておるわけでございます。平成年度におきましては、保険金の支払いが千八百三十七億円ということで、前年の同期に比べまして九〇%もふえておる。平成年度もさらに大きくふえるのではないかと見込まれておるわけでございまして、保険公庫の経営状態もかなり厳しいものであるということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。  そういったようなことで、私どもとしては、保険公庫が景気状況によりまして単年度で赤字になるあるいは黒字になるということはございますけれども、保険料率やてん補率の設定につきましては、信用補完制度の根幹に関するものでございますので、中長期的な観点に立って全体の保険設計の中で、また信用補完制度が安定的に運用されるという観点から設定されるべきものと考えておりまして、先ほど申し上げましたような事情から、現在の状況ではまだ資本金の取り崩しが二千億円近く残っており、またそれがさらに今後保険金の支払いがふえるという現状では、当面保険料率の引き下げやてん補率を変更するということは極めて厳しい状況にあるものと理解しておるところでございます。
  51. 長田武士

    ○長田委員 資本金の取り崩し等はそれは十分わかっていますけれども、当期利益金でも八百二十三億八百五十二万四千三百七十三円出ているのですよ。こういうのを十分考慮していただきたい、このように考えております。  バブル崩壊後の不況によりまして、最近代位弁済が非常に、今お話がございましたとおり急増いたしております。協会全体の平成年度の求償債権は四十四万件でありまして、一兆二千九百億円と聞いております。回収作業というのは、私は経験をいたしておりますけれども非常に大変だと思いますけれども、今何といっても不況でございますから、中小企業から無理やりに全部とってしまうようなことのないように十分ひとつ配慮していただきたいのですけれども、この点よろしくお願いします。人間性を持ってやってください。
  52. 桑原茂樹

    ○桑原政府委員 代位弁済が急増しているということは、中小企業がそれだけ非常に厳しい状況にあるということであろうかと思っております。私どもとしましては、そういう状況をよくよく踏まえまして、各信用保証協会が単に早期回収ができればいいということではなく、人間性を持ちまして債務者及び保証人の実情をよく把握し、再起、更生に配慮するということを基本にしてやってくれということで指導をしておるところでございます。  具体的に申しますと、例えば、保証人への請求に当たっては、本人からの回収を第一義的に考えたらどうかというようなこともございます。また、借入人、保証人とそれから信用保証協会と三者でよく協議をしまして返済計画をつくる、そういう返済計画にのっとりまして借入人の立ち直りというものを前提に長期的観点から回収を行うように配慮するということもございます。また、回収金の処理に当たりましても、一般の金融機関でございますと、まず回収金を金利に充当して、しかる後に元本を引くという形をとっておるわけでございますけれども、信用保証協会におきましては、まず元本へその回収金を充当するというようなこともやっておるわけでございます。  以上総合いたしまして、先生のおっしゃるとおり、中小企業によく配慮したやり方で回収金の回収を行うように指導していきたいと思っております。
  53. 長田武士

    ○長田委員 中小企業の「資金繰り状況」の中で「資金繰りが窮屈な理由」そういう中に「既応借入金の返済負担」これが非常に重いということで四〇・五%、「売上げの減少」に続いて第二位なんですね。そういう点で、どうかひとつ十分な配慮をしていただきたいと思っております。余り取り立てをせっつかないようによろしくお願いします。  次に、民間金融機関は景気がよくなったときには、つまり晴れたときには傘を貸そうと言います。景気が悪くなったときには、つまり雨が降ってくれば傘を取り上げるという、これが町の声。私も銀行にいてこういうことを言ってはまずいのですけれども、そういうことを一般が言っているという意味であります。晴れても降っても愛情を持ちまして的確に対応してくれる、これは何といっても政府系金融機関であろう、私はこのように 考えておるところでございます。今後とも的確な対応をお願いして次に進めたいのであります。  次に、小規模事業者支援法について質問を行います。  この法案の趣旨は、商工会商工会議所が従来小規模事業に対しまして、金融、税務その他経営全般にわたりまして相談や指導を行いましたり、あるいは研修を行ったり、あるいは地域の未利用資源の調査であるとかあるいは開発などを行う、これは村おこし事業というわけでありますけれども、そういうものをやってまいりました。この法案では、商工会議所等の役割事業をさらに進めまして、主体として位置づける、共同店舗あるいは駐車場、展示施設、体育、健康施設、共同工場、会議所などを設置し、これを運営させようというものでありまして、これに対しては、中小企業事業団が有しておりますところの約一兆円の高度化資金を無利子で、建設費八割までを貸し出しをしよう、また商工会に対しまして、債務保証を行い、税制についても特例で非課税にする、これが法案の骨子であると思いますけれども、そういう認識でよろしいですか。
  54. 関收

    ○関政府委員 御指摘のとおりでございまして、一言つけ加えさせていただければ、我が国経済や地域経済に占める小規模企業の持つ意味の大きさ、役割の大きさということを加味しながら、一方、今小規模企業をめぐります経営環境は極めて厳しいという状況にかんがみまして、今先生指摘のような数々のソフト面、ハード面での振興策を商工会商工会議所実施していただこうということを内容とした法律であることは御指摘のとおりでございます。
  55. 長田武士

    ○長田委員 まことに結構なお話でございます。ただ、心配なことが実は幾つかあります。と申しますのは、商工会には通常複数の商店街や企業が所属しておるわけでありますから、商工会の進める事業計画で会員の間で利害が衝突する場合も実は結構あるのですね。この利害調整がなかなか難しいというのが第一点であります。  それから、大店法が来年見直しをされる、こういう状況でございまして、ショッピングセンターやディスカウント店が今よりも出店しやすくなる、こういう状況だろうと思います。この法律によりまして、いろいろな施設ができたといたしましても大資本との競合という点で果たして勝ち抜けるかどうか、そういう点が非常に心配でありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  56. 井出亜夫

    井出政府委員 お答えを申し上げます。  まず最初に、こういう商工会商工会議所が新しい法律によっていろいろな施設をつくるという際に利害調整がうまく行われるか否かという点でございます。  今回の法律でお願いをしておりますのは、基盤施設事業ということで、共同店舗でございますとか、あるいは共同工場でございますとか、あるいは展示場等々ということでございますけれども、こういう基盤施設といいますものは、従来の経営改善普及事業のいろいろな指導というものと相まちまして地域の小規模事業者の経営基盤の充実というものを目指すものでございます。当然のことながら、たくさんある商工会商工会議所の中にこれを実際に行える力のあるところとあるいはもう少し努力をしなければならないところ、いろいろあると思います。しかしながら、意欲のある商工会あるいは商工会議所がリーダーシップをとっていただきまして、地域全体で取り組むべきそういう性格の事業ではなかろうかと思うわけでございまして、先生指摘のように、地域における合意の形成というものは極めて重要でございます。  この実際の基盤施設事業以外に、商工会におきまして、私どもは、今回地域振興ビジョンの作成の費用でございますとか、あるいは従来地方公共団体が実施した事業というふうなものをもう少し具体化する、そういうソフトのビジョン作成の経費というふうなものも御希望に応じて計上しておるわけでございます。そういうソフトの事業を通じまして、地域内における合意形成というものを十分やっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、事業計画の認定というものを通産大臣が行い、これは具体的には都道府県知事に認定をお願いすることを考えておりますけれども、商工会商工会議所の中での合意形成ということはもちろんのこと、地域全体としての合意形成ができているかどうかというふうなものを十分審査をしていただきまして、合意形成がないようなものができまして、建設がうまくいかなかった、事業がうまくいかなかったというふうなことのないような体制を十分にとりたいというふうに考えております。  それから、もう一つの御質問で、果たしてこういうものによって大店法というものの見直し等々に対応できるかということでございますけれども、これを含めまして、さまざまな商店街の活性化の事業でございますとか商店街のあり方、あるいは個別の商店の経営の向上というふうなものにつきましても今年度予算でいろいろな拡充策をお願いをしてありまして、そういうものが相まって、大店法の展開というふうなものが新たに起こりましても、地域の商店街あるいは小売商業というものがそういう中で十分うまい展開ができるような形を今後とも考えてまいりたいと思っております。
  57. 長田武士

    ○長田委員 先ほど来御答弁をいただいておりますけれども、この際第一線で商工会議所あるいは商工会の業務に日々携わっていらっしゃいます皆さん方から御意見も伺いませんと片手落ちになりますので、私は先日東京のある区の商工会議所の事務局長さんにお会いをいたしました。いろいろお話を伺ってまいりましたので、その問題等を含めましてこれから質問いたします。  その際、出ました諸問題について何点かお伺いするのであります。  そこで、先日お会いした事務局長さんが一番訴えておられましたことは経営指導員の絶対数の不足問題でありました。経営指導員の絶対数不足という問題は相当深刻ですね。経営指導者というのはテリトリーを決めまして一軒でも多く巡回指導を心がけておるわけでありますけれども、この絶対数の不足のために行き届いた指導がまんべんなくできないと嘆いておりました。こうした状況でございますから、どうしても受け身の指導になってしまいまして、会議所本来の目的でありますところの巡回指導までには十分行き届かないという点でございます。これに対しまして中小企業庁は、平成年度の小規模事業対策では経営指導員が全国で十二名、補助員が三名の増員しか認めていない。これではとても根本的な解決には至らないと嘆いておりました。確かに指導員の数さえふやせばよいというものではないと私は思いますけれども、事実、中小企業庁は指導員の質の向上を図る施策も相当進めているようでありますけれども、私が申し上げたいのは、不足している中でもバランスのとれた指導員の配置をぜひ的確に行うべきであるということが私の実感であります。この点、中小企業庁はどのような認識をお持ちなのか。また、何が原因でこのような指導員の不足の状況を招いてしまったのか。あわせて、今後経営指導員の増員についてはどのような対応をされるというふうに考えておるのか。この点について短く御答弁をいただきたいと思います。
  58. 井出亜夫

    井出政府委員 御指摘いただきましたような、今年度予算について申し上げますと、経営指導員につきましては例年並みの純増でございまして、経営指導員、全国で十二名、それから補助員三名というのが国の予算で計上されておるものでございます。  それから同時に、これは先生承知のとおりでございますけれども、都道府県の経営改善指導について、都道府県が予算をつけるというものに対しまして国が予算の範囲内でお手伝いをするという仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、両方が相またないとなかなかふえないということでございます。  経営改善指導員につきましては、既に臨調の答申におきまして増員の抑制というのが一般的に言 われておりまして、国の財政事情非常に厳しい中、そういう臨調答申がある中ではございますけれども、そういう中におきまして私ども極力各地の御要望を伺いつつ増員を図っておるところでございます。  それから特に、小規模事業者の数に比べまして経営指導員が少ない現象というのは大都市の地域において起こっておるわけでございますけれども、ここにおきましては大都市の支部の設置でございますとか、あるいは小規模事業者と経営指導員との橋渡しをする役割を担っていただく小規模企業振興委員という者を地区内に配置をいたしまして、経営改善普及事業が効率的に行えるような体制を同時に組んでおるわけでございます。  普及員の増員につきましては、私ども今後も心がけもいたしつつ努力もいたしたいと思いますけれども、そういう中におきましてこの小規模企業振興委員の活用でございますとか、あるいはまたなかなか経営改善指導員御自身が一つ一つはできないというものにつきまして、講習会でございますとか研修会でございますとかというふうな多数の人たちを対象にした指導も図りながら、最大限の努力をして経営改善の発展を支援してまいりたいと考えております。
  59. 長田武士

    ○長田委員 今回この法律が成立したといたしましても、肝心な現場が指導員が不足しておるということになりますと、小規模事業者に周知徹底できないのではないか、そういうことを実は私は心配をいたしております。小規模事業者の事業活動の促進を図るためにも、指導員の増員をどうか重ねてお願いをいたします。  この問題に関連をしてお伺いしたいのでありますけれども、商工会商工会議所のPR活動でございます。  先ほども申し上げましたが、どんなにすばらしい制度、政策であっだといたしましても、それをPRして国民に周知徹底されなければ宝の持ちぐされてある、このように私は考えます。そのよい見本が倒産防止共済制度であります。私もよくテレビ、新聞等で宣伝されているのを拝見いたしますけれども、この効果は非常に大きいと思われます。というのも、実は何人かの地元の中小企業の社長さんにお会いしましたときに、倒産防止共済制度に入ったおかげで連鎖倒産から免れましたという話を伺ったことがあります。聞くところによりますと、その社長さんたちは、テレビ、新聞等の宣伝を見まして制度に加入したそうでありますけれども、実際、統計上でも危機回避率は、平成年度で七六%、同二年七八・九%、同三年七三・四%、非常に高くなっておるのですね。こうした数字に見るように、PR活動による宣伝効果というのは一目瞭然であります。こうした意味で、商工会商工会議所も定期的にテレビや新聞等にPRを行いまして、中小企業庁も財政的なバックアップを含めまして積極的に推進すべきではないか、このように思いますが、手短にお答えを願いたいと思います。
  60. 井出亜夫

    井出政府委員 御指摘のように、商工会商工会議所におきまして、ポスター、パンフレットによる経営改善普及事業の広報、それから県連のニュースの発行、あるいは講習会等々による小規模企業共済でございますとか倒産防止共済でございますとかいうふうなものの積極的な普及を今後とも続けてまいりたいと考えております。  それからまた今回の法律の中で、小規模事業者の経営改善発達を支援するための商工会商工会議所等々に対する基本的な指針というものを中小企業近代化審議会でお決めいただくことになっておりますものですから、そういう基本的な指針等々につきましても、積極的なPR、単に経営改善普及事業だけではなくて中小企業政策全般のPR活動を今後とも図ってまいりたいと考えております。
  61. 長田武士

    ○長田委員 商工会議所の事務局長さんといろいろ話している間に、驚いたことに組織率の低さが挙げられました。私は小規模事業者は大体一〇〇%近い組織率だろうと考えておりましたところが、これは全国平均で三三・三%なのですね。東京に限って申し上げますと一三%だというのです。余りの低さに私はびっくりしたのでありますけれども、何でこのように組織率が低いのか、この点、中小企業庁はどうお考えでしょうか。  もう一つ、今回の法律案小規模事業者支援を目的としているわけでありますけれども、このような低い組織率で当初の目標が果たして達成できるのかどうか、私は疑問であります。例えばこの組織率の中で今回の法案が施行されますと、会員、非会員の間に特典を受ける不公平というものが生じないだろうか、この点が懸念されます。  この二点について手短にお答えいただきたいと思います。
  62. 井出亜夫

    井出政府委員 お答え申し上げます。  組織率につきましては、全国平均商工会につきまして約六五%、商工会議所につきまして三三、四%ということでございます。東京都におきましては、御指摘のように、全国の商工会議所平均よりもかなり低い数値になっております。都市といわゆる農村との間に非常に組織率の違いがあることにつきましては、商工会議所地域につきましては商工業者が非常に数多いということがまずもって指摘されるわけでございますけれども、それを農村と同じような形で組織率を高めるというのはなかなか大変なことであります。  同時にまた都会におきましては組織への参加につきまして農村とは違ったある種の傾向といいますか、態度というふうなものもまた見られるのかと感じておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても組織率の向上自身が、政策の普及という観点、政策の効果をあらわしめるためにも大変重要なことでございますので、今後とも組織率の向上に向けて役員あるいは事務局の組織を挙げまして、未加入の人たちに対して組織への参加要請を継続的に行ってまいりたいと思いますし、先ほど申し上げました小規模企業振興委員制度などもそういうふうなものに役立つのではないかと思っております。  それからもう一つ、そういう中で、今度の非常に低い組織率の中でこういうふうな事業をした場合に、会員と非会員の間に不平等が起こらないか否かという点でございますけれども、従来からこの点につきましては、この事業の運用に当たりまして、地区内の小規模事業者に対しては会員、非会員を問わず公平に施策を普及させるということを徹底をいたしておりまして、組織率の低さ即施策の普及の低下ということを招かないような指導を行っておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後新しい法律ができましても、従来と同じように会員、非会員の中にその事業をめぐってトラブルが起きるとかあるいは不公平が大きく生ずるというふうなことのないような指導体制を深めてまいりたいと考えております。
  63. 長田武士

    ○長田委員 私は、組織率の低いという点は、やはり金融、お金の調達、そういうケースしか商工会とか商工会議所を利用していないという部分が実はあるのですね。そういう点でいうと、私は、もう少し経営陣をしっかり、経営陣というか指導員の体制をしっかりつくりまして、さらにこれの振興を深めれば組織率が上がるのではないか、このように思いますので、どうかひとつ頑張っていただきたいと思っております。  それでは、最後に質問いたします。  経営指導員が巡回指導をする中で、相談を受ける一番深刻な問題が後継者問題であるということを私は伺いました。大企業の労働環境に比べましてすべての点で劣る中小零細企業は若者から嫌われ、近年、後継ぎがいないからとの一点でやむを得ず閉店を余儀なくされ、その件数が増加の一途をたどっていることは御承知のとおりであります。  この問題について、中小企業庁も毎年の施策の中で、若手後継者等育成事業の拡充という項目で、平成年度で十六億八千五百万円の予算を計上しておりますが、特に商工会商工会議所関連でも、地方の一商工会会議所当たり約五十万円程度なんですね、予算配分が。青年部、婦人部の 活動に寄与しておるわけでありますが、ただ、ここでこのような金額では何もできないというのが実情です。実は、先日中小企業庁の方にこの問題をお話ししましたところ、この既存の青年部の活動、育成について話をしていました。しかし、本来の後継者問題は、親の仕事を嫌い、店や会社を継ごうとしない若者に対しまして、どうしたら親の仕事を継ぐように説得できるかを真剣に考えることが大事ではないでしょうか。確かに、現在小規模事業に携わっている青年部を育成することも大切ではあります。しかし、私にはどうしても消極的な後継者育成としか受けとめることができません。現場の経営指導員には親の仕事を継がない若者の相談が多く持ち込まれておるわけでありますけれども、中小企業庁はよくこの点については認識をしていただきたい。こうした中小企業庁認識のずれというものがどうも施策の後追いとか過ちにつながっているのではないかということを私は強く感じました。そういう意味で、中小企業庁の担当官もぜひそうした現場に足を運んで、肌で感じ、その目で確かめる、そういう中での施策こそ大事ではないか。やはり政治は生き物です。そういう意味で、どうかひとつ足を運んでいただいて現場の生の声を聞いていただきたい、そして施策を講じていだだきたい、私はこれを強くお願いするところでございます。この点につきまして通産大臣の所感をお述べいただきまして、終わりといたします。
  64. 森喜朗

    森国務大臣 戦後四十年を超えまして、高度成長期からまた約二十年が経過をいたしたわけでございまして、こうした時期に創業されました多くの中小企業が世代交代期を迎えている、このように見ることができます。さらに、我が国経済の全体的な豊かさの向上と意識変化もございまして、後継者問題は中小企業にとって重要な課題となっているというふうに認識をいたしております。  もとより中小企業の後継者の選定、育成は、これは中小企業が自主的な努力によって行われるということは当然基本であろうかと思いますが、通商産業省といたしましても、こうした努力を人材養成面などから支援をしてまいりたいと考えます。例えば商工会商工会議所におきまして、若手後継者体験研修を実施いたしておりまして、今年度からは全都道府県で行いますように拡充いたしたところでございますし、また、中小企業大学校におきましても、経営後継者研修の着実な実施を図っているところでもございます。今後ともこれらの施策を通じ、そしてまた、今先生からもいろいろ御指摘ございましたように、もう少しきめ細かくそうした人たちのお話もよく伺うことも極めて大事なことだと思います。  私は、この間ちょっと秋田へ参りましたときも、三十人ばかり使っておられる中小企業の方でしたが、息子が後を継がぬといって困っているんだとおっしゃるから、東京の大学なんか出すからだめなんだと私はちょっと冗談にそう言いましたら、いや、そうじゃないんだよ、自分のやってきた苦労を息子にまたさせるのかと思うと、やはりなかなか息子にさせたくないという気持ちも自分は正直言って、ある。そうすれば、やはり親として最低大学は出しておいてやりたいと思うので出したんだよ、こういうお話でございまして、それなりのいろいろな意味での親の気持ちもございますし、また、やはり何といっても御本人が成長過程の中にあるわけでございますから、そうしたお父さんの仕事、そしてそれによって地域経済、地域社会に対して貢献をしておられる姿、大学を出るころの物の見方と、それから社会などに入って企業に勤めてから、また自分たちの親のやっている仕事というものの判断というのはかなり変わってくるところもございますし、そういうようなことも、やはりこれから中小企業育成について教育面で十分考えてみる必要があるのではないか、私はこう思っております。  時間がございませんので、先ほど先生から、この法案の提案に対しまして、予算面のことあるいは指導員の充実のこと、PRのこと、さらには利害の調整のこと、組織率のこと、各方面に分かれまして、いろいろと先生自身が足を運んでお調べになったことなども御開陳をいただきまして、大変ありがたく思っております。通産省としても中小企業庁といたしましても、今後ともこうした商工会商工会議所の活動のあり方、中小企業の育成に対しまして、十二分に心していきたい、こう考えて、お答えとさせていただきます。
  65. 長田武士

    ○長田委員 終わります。     —————————————
  66. 井上普方

    井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております両案の審査のため、明二十一日午前十時から参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 井上普方

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、明二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会