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1993-04-14 第126回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 井上 普方君    理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君    理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君       岩村卯一郎君    古賀 一成君       古賀 正浩君    真鍋 光広君       増岡 博之君    増田 敏男君       村田 吉隆君    渡辺 秀央君       江田 五月君    大畠 章宏君       鈴木  久君    安田 修三君       和田 貞夫君    長田 武士君       春田 重昭君    小沢 和秋君       川端 達夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 船田  元君         官)  出席政府委員         公正取引委員会 植松  勲君         事務局取引部長         経済企画庁調整 長瀬 要石君         局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         通商産業大臣官 江崎  格君         房総務審議官         通商産業大臣官 石黒 正大君         房審議官         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         通商産業省機械 坂本 吉弘君         情報産業局長         資源エネルギー 黒田 直樹君         庁長官         中小企業庁長官 関   收君  委員外出席者         労働省労働基準         局賃金時間部分 上村 隆史君         働時間課長         労働省職業安定 野寺 康幸君         局雇用政策課長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 本日の会議に付した案件  商工会及び商工会議所による小規模事業者の支  援に関する法律案内閣提出第二六号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨説明を聴取いたします。森通商産業大臣。     —————————————  商工会及び商工会議所による小規模事業者の支   援に関する法律案  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 森喜朗

    森国務大臣 商工会及び商工会議所による小規模事業者支援に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国事業所の約八割を占め、日本経済の発展に大きな役割を果たしている小規模事業者は、近時、経営資源高度化等により、厳しい経営環境に直面しており、その事業所数が減少するとともに、大企業との付加価値生産性の格差も拡大しております。  しかしながら、小規模事業者は、企業規模が小さい上、事業共同化等に関する知見にも乏しく、自助努力や組合の結成を通じてこれらの経営環境の変化に対応していくことが困難な場合もあります。  このため、政府といたしましては、商工会及び商工会議所が、三十年余にわたる経営改善普及事業の実績に基づき、みずからの組織及び機能を活用して小規模事業者経営改善発達支援する事業を総合的に促進するための法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明いたします。  第一に、通商産業大臣が、商工会等小規模事業者経営改善発達支援する事業について、基本的な指針を策定することとしております。  第二に、商工会等は、基本指針に則して小規模事業者経営改善発達支援する経営改善普及事業を実施すると同時に、小規模事業者事業共同化等に寄与する施設を設置する基盤施設事業及び研修、展示会等事業であって商工会等以外の者が商工会等と連携して実施する連携事業について、それぞれ事業計画を作成し、通商産業大臣認定を受けることができることとしております。  第三に、認定を受けた事業計画に従ったこれらの事業の実施に当たり、商工会等に対する支援策として、資金の確保、全国商工会連合会及び日本商工会議所による債務保証等措置を、また、商工会等以外の者に対する支援策として、中小企業信用保険法特例措置中小企業近代化資金等助成法特例措置等を講じることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業信用補完制度は、中小企業者信用力担保力を補完し、その事業資金の融通を円滑にすることを目的とし、信用保証協会債務保証を行い、これについて中小企業信用保険公庫保険を付すものであり、保証債務残高平成四年十二月末現在で二十三兆円を超える規模に達しております。  最近の中小企業は、資金需要大口化に加え、景気低迷局面において、売り上げの減少等により資金繰りが悪化するという状況に直面する一方、資産価値下落等により信用力担保力が低下している実態にあります。  政府といたしましては、こうした状況の中、中小企業者資金調達円滑化を図るため、中小企業信用保険の一中小企業者当たり付保限度額引き上げを行うための法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明いたします。  まず、一般的な保険である普通保険について、現行一億二千万円の付保限度額を二億円に、物的担保が不要な保険である無担保保険について、現行千五百万円の付保限度額を二千万円に、無担保、無保証人による保険である特別小口保険について、現行四百五十万円の付保限度額を五百万円にそれぞれ引き上げることとしております。これらは昭和六十三年以来の引き上げとなります。  また、公害防止に要する費用に係る保険である公害防止保険付保限度額を二千万円から五千万円に、省エネルギーまたは石油代替エネルギーの導入に資する施設の設置の費用に係る保険であるエネルギー対策保険付保限度額を一億円から二億円に、それぞれ制度創設以来初めて引き上げることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 井上普方

    井上委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 井上普方

    井上委員長 次に、通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  6. 安田修三

    安田(修)委員 まず初めに、森通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、今御案内のように、金丸信自民党総裁へのやみ献金をめぐりまして、財界内部でもいろいろな意見が渦巻いてまいっております。特に、国民課題として、政界の浄化、そして政治資金を透明にするということが最大の課題でありまして、きのうからもいよいよそれらの一連のうちの一つとして選挙制度等をめぐる改革、さらにはもろもろ政治資金その他の法案がそれぞれ、自民党を初め、また社公党案を中心にして論戦が始まりました。  そこで、きょうお尋ねしたいのは、日本商工会議所石川六郎会頭は、出身業界はもちろんのこと、出身企業金丸信自民党総裁へのやみ献金提供企業一つといたしまして検察当局捜査対象となってまいったのでございます。この問題は、実は財界そのもの体質を今社会的に問われておりまして、それだけに、財界内部からもこの石川六郎会頭出処進退が問われているということになるかと思います。  私は、鹿島建設の相談役として鹿島建設そのものやみ献金捜査対象になり、さらには使途不明金、九〇年度には十五億九千万円、九一年度には十六億円という膨大な使途不明金がありまして、これ自身、実は国税当局の問題からしますと表面的には解決されているということになりますが、いわゆるこれ自身やみ献金の温床になっているのではないかと、これまた社会的に指弾されているところであります。こうして、出身企業出身業界等の、出身業界はもちろん土工協の問題がございますが、これらをあわせて考えましたときに、石川六郎氏が日本商工会議所会頭職にあること自身、私は社会常識に反するのではないだろうか。今そのこと自身が、いわゆる事犯にひっかかる、ひっかからないということよりも、社会的な倫理の問題として今財界そのものを、いわゆる政界のバックグラウンドとしてなっている財界そのものはみずから襟を正しながら、従来からやみ献金その他も出してきた体質を変えていかなければならぬ、そうしたときに、石川六郎会頭が今日なおかつ平然としておられるのは不思議でなりません。  たまたま先般、この進退問題をめぐりまして、久米副会長所見発表があったときに、通産省棚橋次官が、これは私も正確に今ここで言うということになりますと語弊がございますので、テレビ報道で聞いたところによりますと、この問題については差し支えないのじゃないかというような談話を私は聞いております。しかし私は、御案内のように、日本商工会議所に対しましては通産省から七億六千一百万円の大きな補助金の出ている団体でございますし、法的にも実は規制されている団体でもございます。そうしますと、いわゆる会頭職そのもの出処進退の最終の決定はもちろん商工会議所自身にあるわけでございますが、しかし監督権限のある通産省として、これは好ましいか好ましくないかということは当然判断があってしかるべきではないかと思うところでございまして、そういう点で大臣所見をお伺いしたい、こう思います。
  7. 森喜朗

    森国務大臣 安田委員お話、私自身はよくわかりますし、それから、先生のお考えに対して、私は、それはいいとか悪いとかとやかく申し上げることではございません。先生お話はよく私はわかります。しかし、今私の立場から、通産大臣という立場から申し上げさせていただきますと、今回の建設業をめぐる諸問題に関連をいたしまして、石川会頭会長を務める鹿島の名前が新聞等で取り上げられている、そのことについて会頭職をやめるべきではないか、こういう御意見であろうというふうに私は承っております。  しかし、この問題につきましては、今捜査中ということでございますし、もちろん新聞等にはいろいろな表現も出ております。また、関係者のいろいろなコメントも出ております。このことも承知をいたしておりますが、しかし現実問題として、今はまだ事実問題がすべて明らかになったわけではございませんので、今の段階通産大臣としては、このことについて何も申し上げるということはできない、こう申し上げざるを得ないわけでございます。  なお、商工会議所法上、これも先生十分御承知のことでございますが、日商会頭選任あるいは解任というのは、これは会員総会において行われることになっておりますし、通産省監督権限は、会頭役員選任とか解任についての権限はそれに及ばないわけでございますので、進退につきまして通産省として今云々すべきときではない、このように申し上げざるを得ないわけでございまして、個人的ないろいろな考え方とかいろいろございますし、個人的な考え方で申し上げれば、石川会頭自身、私自身よく存じ上げておりますし、大変立派な方だし、また、商工会議所総意でおなりになったということで、今日までの御活動またそういうお立場商工会議所の運営について大変な御努力をされておるということは承知もいたしておるわけであります。ただ、この事件の、もう少し帰着といいましょうか、それをきちんと見てから申し上げることが適当なのではないかな、こんなふうに個人的には考えておるところでございます。
  8. 安田修三

    安田(修)委員 今大臣おっしゃった会頭職そのもの進退のけじめというのは、それは私も初めから申し上げておるように、これは当然、商工会議所自身内部で、規約に従って決められるべきことでございますから、とやかく言うことではございませんが、私言っているのは、一つは、今日、そういう政治モラルの問題が問われて、その背景にやみ献金問題がある。それが今社会的な課題になっている。そうしたときに、いわゆる通産行政として監督権限のある通産省としては、そうしたもろもろの仕組みの中に立った頂点の石川さん自身出身企業捜査対象であり、その母体になっている業界土工協も今指弾を受けている、こうした中にあって好ましいかどうか。  もう一つは、先ほど言いましたように、七億六千一百万円の補助金を出している団体である、法人であるということ、そうしますと、当然、通産省はその出処進退は問わないにしても、監督官庁として、それは余りいいことではないなとか、それは当然言えることでありまして、私は、今の森大臣発言は余りにも政治的過ぎるのではないか。逆に言うと、本来は政治的でない発言なんですが、あなたの場合は、それは逆に政治的過ぎるんじゃないか。いわゆる申立てある官庁とすれば、今それはちょっとおかしいよと言える立場じゃないか。さっき言いましたように、棚橋次官発言なんというのは、逆に言うと居座っておってもいいじゃないかという、これは私の聞き取り方ですので、もし間違いがあれば訂正しなければなりませんが、そういうぐあいに実は聞こえました。ですから私は、そういう点からしますと、むしろ好ましいことではないな、それは日商として当然今後のことについて対処してもらいたい、それは出処進退関係なく、ということが言えるんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  9. 森喜朗

    森国務大臣 日本商工会議所会頭進退問題につきまして私は余計なことを申し上げたかもしれませんが、余りにも政治的過ぎるという御指摘、御批判をいただいたわけでありますが、最初の前段は通産大臣としての立場を申し上げました。後段は、私は個人的な気持ちを申し上げたわけでございます。そういうことで御理解を賜りたいと思いますが、この進退問題については、日商会頭として行った行為の責任を問われているわけではないわけですから、そういう意味で、私として、通産省としてコメントを差し控えさせていただきたい、こう申し上げたわけでございます。  今後の捜査とか事実関係というのはもう少ししたらきちっと出てくるだろうと思いますから、やはり会頭としてどうあるべきかというのは会頭自身が御判断されることであるし、また、商工会議所役員皆さん会員総意を受けてお考えになることというのが私はやはり一番正しい進め方ではないかな、こう思います。いろいろなケースがやはり出てくると思いますから、その都度、通産省として今の段階で云々を申し上げるということはやはり差し控えた方がいい、このように判断をしておるわけでございます。
  10. 安田修三

    安田(修)委員 大臣の後のお話からすると、商工会議所内部の良識によって判断、処理されるものを期待しておるというふうに、これは私の解釈ですが、私はそういうぐあいに聞き取りましたのですが、ぜひこの際、政界挙げて政治改革に取り組んでいるときでございますから、両輪の関係にある財界もみずからそういう点では襟を正していく、そういう点で大臣所見はそういうところにあったんではなかろうかと私は思いますので、以上をもってこの問題はやめます。なお、通産省としても、この問題については、内部に手を突っ込むということはいろいろ向こうの自主性がありますのでできませんが、重大な関心を持っていただきたい、こう私は思います。  さて、もう一つは、資源エネルギー庁プルトニウム広告掲載問題をめぐりまして新聞報道された事件でございます。私は、この問題は、実は広告中身そのものをここで問題にするわけではございません。問題になりました紙面それぞれを見でみまして、そこで広告掲載された三紙の広告内容からしますと、私もうかつなのか知りませんが、広告とは実はわからなかったわけであります。  そこで、広告掲載をめぐりましては、御案内のように日本新聞協会倫理綱領があり、それに基づいた掲載基準もございますが、しかし、それは各社を拘束しているわけではございません。一つモデル案として、各社がそれぞれの基準をつくっていくということになっております。ただ、ここで私は重大な関心を持ちましたのは、通産省は実は消費者行政も扱っております。誇大広告その他については、絶えず通産省も公取とともに国民のために重大な関心を持って見詰めておる官庁でもございます。たまたま今度の資源エネルギー庁広告では、そういう点で広告掲載主が掲示されなかった、また、明らかでなかったという問題が出てまいりました。  そこで、こうなりますと、実は消費者保護行政等を扱いながら、通常は広告問題については極めて重大な関心のある行政官庁として極めて遺憾である、こう私は思うわけです。それで、この点につきまして通産大臣所見を伺いたい、こう思います。
  11. 森喜朗

    森国務大臣 通産省といたしましては、国の原子力政策について国民理解を得るために原子力関係情報の適切かつ積極的な提供に今努めているわけでございます。  国民理解を得る方法というのはいろいろなやり方はあるわけでございますが、今回の新聞のこの特集も、いろんな形で国民理解を得るというその方法一つの形態である、このように申し上げさせていただきたいと思います。  当省といたしましては、原子力政策につきまして広く国民にまず読んでもらって、そして正確な理解判断の一助にしてほしい、こういう考え方を各新聞社にお伝えをしたものでございまして、その紙面をどのようにつくるか、どういう内容でやるか、どういう体裁でやるのか、あるいは座談会の企画、出席者進行等、それも含めて、これはすべて各新聞社判断によってなされるものでございまして、そのいわゆるノウハウにつきましては、これは新聞社にお願いを申し上げたものである、このように御理解をいただきたいと思います。
  12. 安田修三

    安田(修)委員 いや、大臣のその見解ですと、重大な誤りがあると私は思うのですね。大臣も何か、答弁要旨、メモにえらいこだわって御答弁なさっているようですが、私はこれは役所答弁よりも、一つ基準が流れているわけですから、そうしたそれぞれの規範なり基準に従って当然判断して、大臣としての答弁をしていただきたいと思うんです。  というのは、例えば、日本新聞協会の「新聞広告倫理綱領」制定の趣旨の中に、「本来、広告内容に関する責任はいっさい広告主署名者)にある。」これは当然なんですね。そうでなければ新聞編集権が守られないわけです。例えば、今回、五千五百万、三紙出されたそうですが、では、ある会社が五千五百万出して、そして広告主の隠れた内容広告を出した場合に、新聞社編集権がいわゆる広告者によって奪われるということになってしまうわけです。ですから、広告掲載責任というのは、だれが広告中身を編集しようと、これはもう最近は、御案内のように、いわゆる広告代理店その他が編集して新聞社に持ち込む場合、広告局広告制作局が直接つくって、広告主に見せて承認を得る場合、いろんなケースございますが、その最後の責任はすべて広告主にあるわけです。大臣だって選挙やっていらっしゃるんですから、新聞広告、ちゃんと選挙のとき出すわけでしょう。新聞社がつくった広告だから私は知りませんではいかないのです。それだったら、いろんないわゆる掲載された事項について訴えられた場合に、だれに責任があるか。あるいは、虚偽中身を言っているじゃないか、例えば隠れ掲載で、そうした虚偽があるじゃないかといった場合に、いや、あれは違う、おれは知らなかった、あれは新聞社がつくった広告なので知りませんよというわけにいかない。それは、全部こちらの方で見て、広告主としての責任があるわけです。これが今の場合に欠けておるわけですね。いわゆる広告主掲載がないということ。  それから、いわゆる新聞広告掲載基準、これはもちろんモデルでございますから、私は今度掲載された三紙がどのようなものでやっていらっしゃるか知りませんが、ただ、ここに流れているものは、各社掲載基準にはあるはずです。私も、別の社のものもとってみましたが、これは重要な柱であります。  例えば、この中に、「以下に該当する広告掲載しない。一、責任の所在が不明確なもの。」それからその「三」の中には、「虚偽または誤認されるおそれがあるもの。」誤認というのは、それはいろいろケースがあります。例えば新聞社が出したと誤認する場合、あるいは別の事実関係を誤認する場合、いろんなことがありますが、それにも該当してまいるわけであります。それから、「編集記事とまぎらわしい体裁表現で、広告であることが不明確なもの。」今度の場合もこれに該当いたします。  したがいまして、私は、新聞社、いわゆる広告中身についての、制作された新聞社がどのようであろうとも、新聞社がここでどうのこうのという場面、委員会ではございませんので、それは触れません。片方の責任者である広告主責任として、これが適切であったかどうかというふうになりますと、今の大臣答弁は極めて不適切である。全くこうした社会的基準に合致しない答弁であって、それがまかり通るということであればこれは重大なことであると思うし、特に、私は初めから言っておりますように、消費者保護等の問題のために誇大広告その他で最も大きな関心を平生払っていらっしゃる通産省としては、極めてこれは不適切だ、こう言わざるを得ません。そういう点で私は、大臣は最もこういうことに広くうんちくのある方でございますから、もっと大臣らしい答弁をしていただきたい、こう思います。
  13. 森喜朗

    森国務大臣 うんちくを持っているかどうかというのはどういう観点からおっしゃったのかわかりませんが、安田さん、多分御存じなのでおっしゃったのでしょう、私も新聞記者を少しやっておりました。新聞というものをよく承知しております。ですから、余り個人うんちくを傾けない方がいいと思ったので、役所の基本的な考え方を申し上げたわけで、これが不適切だと言われれば、それもまたやむを得ないのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、通産省としましては、原子力政策というものをできるだけ国民皆さん理解をしてもらいたい。  つまり、原子力安全というものを大前提にしていることでございますが、この非化石エネルギーとしての原子力発電というものをやはり進めていかなければなりません。それには、日本にはいろいろな意味で、国民の中にはいろいろな考え方があるわけですから、それについてぜひ御理解をくださいよということで、常にやはり政府としては広報、いわゆるでき得る限り国民皆さんに広く理解を求めるための立場広報をするというのは、これは当然なことでございましょう。  ですから、我が省としては、原子力はぜひ理解してください、安全をきちんとやっていますから、ぜひよく皆さん知ってくださいよということをパブリシティーをするわけですね、PRをしていくわけです。先生は今個人のお立場で、どういうお立場かは別としまして、プルトニウム原子力はだめなんだよと言いたい方から見ると、この記事は何だよと言いたい、そういう気持ちになられるのは私はよくわかると思うのです。しかし、通産省としては、広くその理解をさせていただく方法として新聞社にお願いを申し上げたわけであります。  ここによく普通、広告と書いたケースがございますね。そういう場合は、やはり今先生が御指摘のように、広告として出した場合の責任は当然広告主は持たなければならぬということも、これは新聞協会の今先生が指摘された点に、規範というのでしょうか、それに当たってくると思いますけれども、そういうような方向での、ぜひ座談会なり何かいろいろな方法をお願いしたい、それについて新聞社がそのやり方を、私も三紙大体見てみましたけれども、みんな違っているわけであって、同じものをつくってそれを全部一斉に載せてくださいといったのなら、これは確かに問題になるかもしれませんが、どういう学者さんを呼び、どういう意見の闘わせ方をしたか、そういうのはそれぞれ三紙全部違っているわけであります。ですから、つまりそれは、その新聞社判断をして編集をされたものでありまして、その判断新聞社がされるべきである。  また、この当時、朝日新聞がそれを批判的に書いてございますけれども、三紙が掲載して、二紙は断ったと書いてありますが、つまり三つの新聞はそのことが、そういう編集でやれば構わないということでおやりになったんだろうというふうに私は理解をいたしておりまして、先生のお立場からいえば不見識だとおっしゃるかもしれませんが、基本的に申し上げれば、広報活動は通産省としては積極的に進めていく、そしてその方法について新聞がどのような作り方をするかは、これは新聞社の編集の権限であるというふうに、私は分けて考えざるを得ない、こう思います。
  14. 安田修三

    安田(修)委員 大臣大臣何か勘違いしていらっしゃるんじゃないでしょうか。というのは、さっき大臣広告とそして編集は、こう言われるが、これは政府が五千五百万円金を出して、広告として依頼しておるんですよ。政府がPRのために、こういうことを新聞社さん報道してくださいと言っておるんじゃないのです。だから私は、編集の中身は立派な先生方が対談していらっしゃるので、それから資源エネルギー庁長官も出たり、部長さんも出たり、対談やっていらっしゃるから、中身は言いませんよ、それは別。問題は、政府が五千五百万円のお金を出したんですよ、広告料を。それが広告の銘を打ってないというのは、いわゆるこれはまず一つ重大欠陥でしょう、私、先ほど新聞協会の倫理綱領その他を挙げまして言っておるように。それから、よしんば、そういうものを全部抜きましょう、こう考えたときに、原子力行政というのは、あの新聞の中にも、一部、広告の中にも言っておりますが、国民がわかるように透明な原子力行政を期待したいという言葉もあるのです。とかく何でも隠すという、そういう目から見られがちなんですね。ましてこういうことになりますと、やはり隠しているのかとこうなって、なお政府は窮地に陥るのではないですか。  ですから大臣、先ほど、広告掲載に五千五百万円を出している、そのように開き直られますと、これ、しゃばは通用しますか。大臣、ちょっと勘違いなさっているのじゃないでしょうか。その点、どうですか。
  15. 森喜朗

    森国務大臣 広告としての依頼をされたか、どういう形でしたのか、その辺については事務当局にお尋ねをいただきたいので、私も今の段階では定かに詳細は承知しておりません。  ただ、そのことの中身が問題なのであって、その中身新聞として、中立的な、第三者的な立場である新聞紙面としていいのかどうか、このことを記事のような形でつくり上げることがいいのかどうかというのがやはり新聞社の編集の判断だろう、私はそう思うのです。ですから、その考え方はもちろん必ずしも先生と一致しないかもしれませんが、新聞社によってその判断をする。私どもとしては、でき得る限りのパブリシティーを進めていきたいという考え方でお願いをしたものであろう、このように思うわけでございます。
  16. 安田修三

    安田(修)委員 大臣、全然それは重大問題。森大臣からこういう意外な発言を聞こうとは私は夢にも思わなかったのです。  御案内のように、これはいわゆる資源エネルギー庁の委託事業として、原子力機構に五千五百万円、三社に広告分として出して、そこから出ておるわけですね。そこで、先ほど言ったように、森大臣は一番先に、本来は一番御存じのはずであって、新聞広告倫理綱領の中には、「広告内容に関する責任はいっさい広告主にある。」、いわゆる署名者広告主にあるということがまず第一点。そしてここに、「責任の所在が不明確なもの。」は載せない、「誤認されるおそれがあるもの。」も載せない、それから、「広告であることが不明確なもの。」も載せない、それは、「編集記事とまぎらわしい体裁表現で、広告であることが不明確なもの。」は載せない。これらは、いわゆる新聞協会のモデルだ。基準ではあるがモデルで、各社がやるんだ。しかし、これらの表現は違っているけれども、各社はそれぞれにやっているのですよ。それで、各社が持っていく最後の広告主が、いや、これは実はおれのところの名前が入ってないじゃないか。この判断はあなたの方にあるわけです。あなたの方がそれをやらなかったということは、あえて隠して出したということなんですよ。  ですから、お金が出してなくて、いや、政府のPRだからお願いしますと言って、新聞社がこのような記事をやったのならそれは別です。そうじゃないのです。お金、五千五百万円出ているのですから。あれを見て、三紙を見て、いや、これは普通の広告であると思った人があれば、私はお目にかかりたいなと思います。その点、大臣新聞を見られなかったんじゃないですか。もし見ていらっしゃらないのなら、私、また十六日に質問やりますので、そのとき改めてお伺いしたいと思います。恐らく見ていらっしゃらないのじゃないかと思うんですよね。
  17. 森喜朗

    森国務大臣 全部、詳しく見ておりませんけれども、もちろん見ました。それから、私が見たそのときの判断では、なかなか細かくきちっとこういうことを対談していただいてありがたいな、私はそう思いました。その後この問題が出ましたので、三紙みんな同じような形でやっているのかなと思った。やはり一番感じたのは、三紙とも同じような形でやるのならこれは一つの形、広告の形でつくったものになりますし、三紙どういうふうかなと思って改めて見直してみましたけれども、三紙とも違った企画であったので、一つ編集権というのは守られているなというふうにその当時判断をしました。しかし、いろいろと先生と私との間で、御答弁申し上げでまた先生のおしかりをいただいてもいけませんので、その当時の経緯を一遍事務当局から説明させたいと思いますので、それをまず一度お聞き取りをいただければと思います。
  18. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 大臣から御答弁申し上げましたように、この新聞の特集記事と申しますか特集は、私どもの広報の一環として実行いたしたものでございます。  大臣からも御答弁申し上げたところでございますけれども、広報のやり方にはいろいろな手段があるわけでございまして、この特集につきましては、私どもできるだけプルトニウム利用についてあるいは原子力について幅広く、かつわかりやすいように取り上げてほしいということで、単なる一方的な記事ということではなくて、例えばいろいろな方による座談会形式というような形式がとれないかということで、広告代理店を通じて新聞社の意向をお伺いしたわけでございます。ただ、その企画の内容各社判断でお願いしたい、こういうことで広告代理店を通じてお願いをいたしたわけでございまして、そういうことで、広報の一環としてこういう形で掲載された、こういうふうな経過でございます。
  19. 安田修三

    安田(修)委員 私、そんなことを聞いているのじゃないんですよ。私、そういう役所答弁というのは困るのですよ。だから、黒田長官のおっしゃるのは、私はそれはみんな先に言っているのです、中身は問わないと。だから、そういう編集的なやり方でやるというのは、あなた方はいい。それは雑誌の中に随分あります。あれ、これ、こんな記事かと思ったら、最後にPRのページとか、それから上に小さくPRのページとか、ちゃんとあるのです。ですから、中身の問題は私は問わないと言っているのです。問題は、いわゆるだれが広告を出したかという、五千五百万円、皆さん役所から、国民の税金から金が出たんでしょう。堂々と通産省資源エネルギー庁として、私たちはこうでございますという、そこには対談があってもいい、いろいろなものがあってもいいが、なぜそれを出せなかったのですか。それを聞いているのです。  これは私は、大臣もこれをちょっと見たとおっしゃるが、これは一遍通産で協議していただきたい。私も十六日、また別の法案で質問が参りますので、改めて私はお聞きしたいと思う。こんなばかな、おざなりの答弁をいただいて、はい、そうでございますと言うわけにはこれはいかない。大体、こんな日本の大新聞がやっている、そこら辺のちょっとしたマスコミ紙じゃない、大新聞が入って、倫理綱領をつくって、そして倫理基準をつくって、それがちゃんと日本の社会を律してきているものを、通産が破って、そして我々が、国会が、はいと言うわけにこれはいかないですよ。やはり悪かったら悪かったというけじめをつけてもらいたい。我々は過去のことを問うているのではない。今後通産が気をつけるなら気をつけるということをちゃんと言ってもらいたい。こんなばかなことをしゃばが承知しないですよ。中身は私は問いません。それはちゃんと政府が、方針があって原子力行政を進めているのですから、それは堂々とやっていただきたい。ただ、広告主を隠さなければならぬというのはおかしいというのですよ。それを言っているのじゃないですか。これは十六日、改めてもう一遍質問しますから、通産でよくそれを話し合っていただきたいと思います。  さて、次は、きょうは下請中小企業関係の労働時間問題で少し、前段でこれをちょっとやったものでちょっと長引きましたので。  そこで、中小企業の労働時間短縮というのは、これは全体の労働時間短縮を図る上で実は最大の課題になってきているわけでありますけれども、労基法改正に関しまして、中小企業の労働時間への猶予期間をめぐって連合から厳しい注文がついてまいったことは皆さん既に十分御承知でございますし、私たちもそれは同感でございます。  ただ、労働時間短縮というものは、やれるものはやれということでは制度としての意味はなさないわけでありますし、今日の日本をめぐる国際社会における立場からしますと、あらゆる障害を克服して労働時間の短縮はなさなければならない課題でありますことは、これはもう通産の中小企業自身いろいろなPRでも言っていらっしゃるところでございまして、私たちもそういう点では日常敬意を払っているところでございます。また、過去二回にわたる石油ショック、円高不況におけるいろいろな経験を、日本と同じ経験をした当時の西ドイツと比較いたしました場合に、まあ西ドイツはあの当時労働時間短縮その他でショック問題等の吸収をやってきたわけでありますが、それを日本と比べて、これからの日本経済が中成長の中で構造を変えていかざるを得ないということを予測しますと、労働時間短縮を絡めて人の確保でありますとか、あるいはまた企業経営の革新などのために当然時短というのは必要である、こう言わざるを得ません。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕  そこで、時短を促進するについては、労働省の行政指導はもちろん当然でありますが、中小企業庁においても種々の施策を試みられておるところであります。また、私たちにとりましては反面、業界事業者から余り拙速に時短を行わないようにという要望のあることもこれまた事実でございます。そこで、今日の中小企業の実情からしますと、私たちはそれぞれの立場理解するわけでありますが、しかし前段言いましたように、実はこの時短問題というのは中小企業にとって、とりわけ若年労働力の確保にとってはアキレス腱でもあります。そういう点で、労働時間が長いから人が来ない、人が来ないから残業や休日出勤や仕事をせざるを得ない、こういう悪循環の繰り返しで結局は零細規模の、力のない企業というのは消えていかざるを得ない運命をたどっているものもたくさんございます。そういう点で、今日の社会全体のシステムを変えながら中小企業の時短を進めていかなければならぬという実は重大な節目にあるかと思います。  私は、中小企業庁の施策がそういう点で今こそもっと大きく取り上げられて、そのための予算措置やいろいろな関連立法というものはあっていいのじゃなかろうかと実は思うわけです。今年度の中小企業対策の重点という中で、中小企業庁では中小企業が直面する労働時間短縮、労働力確保等の構造的課題に一層積極的に対応するため、時短促進に困難が伴う中小企業事業者等を対象とした対策事業、雇用管理の改善に取り組む中小企業組合に対する補助事業小規模事業者の労働環境改善事業等の諸施策を行う、こういうことが挙げられております。しかし、後ほども触れますが、予算面からしますと、私は大変寂しい思いを実はするわけです。  そこできょうは、まず初めに下請振興基準、ちょうど二年前になります。三年前から中小企業近代化審議会の下請部会等を中心にしていろいろな各方面の議論を取り入れながら下請振興基準の改正ということが行われたわけでありますが、このときの改正の趣旨というのはどういう点にあったのかということをまず先にお伺いしておきたい、こう思います。
  20. 関收

    ○関政府委員 先生御指摘のとおり、私どもも中小企業におきます時間短縮は極めて重要な課題だと考えておるところでございます。その中で私ども中小企業庁として取り組むべきは、労働省のお立場もございますが、私どもとしては中小企業が時間短縮に取り組めるような環境条件の整備、そういう条件を整えるということは私どもの役割ではないかと考えておるわけでございます。  先生お尋ねの振興基準でございますが、先生案内のとおり、昭和四十五年に下請中小企業振興法という法律が制定されまして、その第三条第一項によりまして「下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準」、これを振興基準と通称言っておりますが、これを定めることになっておるわけでございます。そこにおきましてはさまざまなことが規定されることとなっております。具体的に一つの項目として親事業者の発注分野の明確化、発注方法改善に関する事項を決めるということになっておるわけでございます。これに関しまして振興基準が定められておるわけでございます。  一方、時間短縮というのは、先ほど来先生御指摘のとおり、現下の我が国のいわば国民課題、国家的課題と申し上げても過言ではない重要テーマだと私ども考えておるわけでございます。その中で、実は下請企業と申しますのは我が国の中小製造業約六十八万企業ございますが、その約五九%に当たります三十八万企業が何らかの意味で下請関係にある企業ということでございますから、この下請関係における時間短縮ということは中小企業における時間短縮を進める上で極めて重要な意味を持つ、ウエートを持つものであるということが申せるわけでございます。  そこで、この時間短縮を推進するために、平成三年の二月に、今先生御指摘の下請振興基準を改正いたしました。どういう項目かと申しますと、大きく三つのことが申し上げられるかと思います。一つは時間短縮の妨げとなる発注等の抑制、具体的には週末発注週初納入でありますとか、あるいは終業後発注翌朝納入でありますとか、あるいは発注内容の頻繁な変更、これはぜひ避けていただきたい。二番目には、下請中小企業計画的な生産あるいは発注の平準化ができるような協力をしてください。それから三番目には、納期の長短でありますとか、あるいは納入頻度の多寡でありますとか、あるいは発注内容の変更等に配慮した単価の決定をしていただく。その他いろいろございますけれども、そういったような内容を盛り込んだ振興基準の改正を平成三年の二月にさせていただいたというのがこのたびの改正の趣旨でございます。
  21. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、今下請取引関係改善措置が前回の基準改正で盛り込まれたと。経営者、事業者だけにとどまらず、これは社会的な課題でありますし、行政あるいは働く人、使用者一体となって取り組むべき国民的な課題であります。  そこで、改正後ほどのような効果が出ているかという点についてお尋ねしたいと思います。
  22. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  平成三年の二月に振興基準を改正いたしました後、私ども定期的にそれが実効が上がっておるかどうか調査をいたしておるところでございまして、具体的には、一昨年の秋と昨年の秋にそれぞれ約一万三千企業の下請企業の方にアンケートをいたしまして、今申し上げましたような振興基準の改正の実効状況について調査をいたしておるところでございます。  昨年の秋に実施いたしました調査によりますと、終業後発注翌朝納入につきまして、「ほとんどない」あるいは「全くない」というお答えが全体の八二・五%になっております。一昨年の調査は、「ほとんどない」「全くない」が七七・三%でございますので、わずかではございますが改善はされておるわけでございます。それからまた休日前発注休日後納入につきまして、「全くない」「ほとんどない」というのが五二・八%ということになっております。一昨年の調査ではこれは五〇・二%でございまして、これの見方でございますが、改善の兆しが各方面の御理解を得て見られることは事実だと私ども思っております。しかしながら、現下大変不況で厳しい時期ではございますが、こういったレベルにとどまらずなお一層改善するために各種の努力をする必要があるという評価をいたしておるところでございます。
  23. 安田修三

    安田(修)委員 取引関係の実態について改善の兆しはあるものの、今おっしゃったようになかなか余り進みがたいというのが実情でありますが、それではその改善のなかなか進まないという阻害要因というのは一体どこら辺にあるのでしょうか。
  24. 関收

    ○関政府委員 私どももどういう事情で改善が進まないかということについて必ずしも明確な分析を自信を持ってする状況にはないわけでございますが、申し上げられますことは、一つは、振興基準を改正いたしましてまずこれを親企業、下請中小企業皆さんあるいは担当者の方まで十分理解し、認識していただいているかということが一つあろうかと思いますが、この点については従来も努力をしておりますが、今後ともさらに努力を強めてまいりたいと思うところでございます。  それからもう一つ、この振興基準を策定されました以降、先生案内のとおり非常に景気の状態が悪いわけでございまして、そういった中で、親企業もそうでございますし、下請中小企業経済上、経営上大変困難な問題に逢着いたしておりまして、コスト面でもなかなか厳しい状況にあるということも一つの理由ではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも私どもの立場でできる範囲で、この振興基準の達成に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  25. 安田修三

    安田(修)委員 いろいろな阻害要因についてお話がありましたが、私は、そこで、例えばこういうことも言えるのではないか、これは皆さん自身の、こういう振興基準を改定される過程でいろいろな、市議会その他で意見聴取されたり、また各界の意見等をまとめる中に、実はこういう意見もあります。  例えば、下請企業の時間短縮には、これは下請企業側においても労働時間が長くて納期が間に合うよう働いて代金もらうだけで、ということで一生懸命やってくる、しかし、そういう状況だけではだめなんだ、下請企業においても意識改革が必要だ、こういうことを実は下請企業振興協会関係の人たちや、その他下請企業にいろいろつき合っておられるそうした事業主の方からもそういう声が公式の場に出ている場面もございます。また、いわゆる親企業側からも実はこういうことが言えるかと思うのです。例えば発注者側で、これは大企業の側から言っていらっしゃることに、こういうことがございます。例えばお客さんのニーズにこたえてサービス向上という点から短納期化が要請されてくる。これは時短のいわゆる今の阻害要因の一つになっているということをはっきりおっしゃっているわけでありますが、そこで、短納期化というよりはむしろ親企業の無計画な発注による生産計画の混乱が一番の原因である、これは実に大企業の方がそういうぐあいにおっしゃっているというのもあります。  したがいまして、私はそういう意識、いわゆるやらざるを得ないということで追い詰められてきている下請中小企業の人たち、それだけでぐるぐる生きるために回っていくという、しかし、それだけではだめなんだという点で、意識改革をしながらやっていかなければならぬ場面、また、それをやらざるを得ない宿命をつくってきている親企業の側自身も、実は今言ったように、無計画発注その他そういうものをやめなければならぬ、そういう点について、実は私は、中小企業庁も各般のいろいろなPRをやっていらっしゃいますが、やはり振興基準を周知徹底する、さらには、それに基づいた施策を周知徹底するということが、これは一つの大事な課題ではないか。  中にはこういうことをそこで言っていらっしゃる方があります。例えば、親企業のトップの人たちは、いろいろと下請対策についてよく理解しているけれども、実際に下請企業に発注している担当者は余りよく理解していない。そこで、いわゆる窓口担当者を教育してほしい、実際の窓口担当者まで浸透していないということを中小企業の代表の方がおっしゃっている場面もあって、これは皆さんの公式の会合の中にも反映されているはずでございます。  したがいまして、こうした各般のもの、いろいろ皆さんの施策、私、予算を見ましても、商工会商工会議所あるいは中小企業団体中央会、後ほど予算面になりましたら触れますけれども、細かい予算がモデル事業その他についておりますけれども、しかしそれから下が問題になってくるわけですね。それは恐らく金がない、人手もないということが私は原因だろうと思うのです。しかし、今度はでんと森通産大臣がついていらっしゃるのですから、そこはひとつ中小企業庁もどんと予算をもらって、そして施策を、時短をやるなら時短をやるような施策をやらなければという点で、私は今言ったそれぞれの点で周知徹底にはどのような施策を行っていられるのかということを、まず先にお聞きしておきたいと思います。
  26. 関收

    ○関政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この振興基準を各担当者の方まで十分御理解いただくことが非常に大事だと考えておるわけでございます。  私どもがこれまでにやっております施策あるいはこれからやろうとする施策をちょっと御紹介させていただきますと、先ほど申し上げましたように、一昨年と昨年、実施状況について二回調査をいたしましたけれども、先ほど申し上げましたのは評価でございますので、なお一層の努力が必要であるというふうに考えておりまして、昨年の二月及び十二月の二回にわたりまして三百六十の親企業団体に対しまして、私、中小企業庁長官と私どもの産業を所管いたします機械情報産業局長でありますとか生活産業局長の連名で、この振興基準の遵守徹底について協力要請をいたしました。  それから、先生御指摘ございましたような、担当者までぜひ御理解をいただくということのための施策が必要だということも、我々全く同様に考えておりまして、これまでさまざまな形で講習会等をやってきたわけでございます。  例えば、これまでも十億円以上の資本金を持っておられる親企業に対しまして昨年は十三カ所で、それからまた、一億円から十億円の資本金を持ちます親企業に対しましては、公正取引委員会と分担いたしまして全国三十三カ所でそれぞれ講習会をやりました。それぞれ数千人の担当者の方に出席をいただいているわけでございます。  平成五年度におきましては、今十億円以上と一億円から十億円ということを申し上げましたが、今度は一億円未満の資本金の会社で新企業であるものにつきまして県に助成をいたしまして、この周知徹底のための講習会を開催していただくというのを、本年度から新たにスタートするように予定いたしておるわけでございます。  なお、講習会というのは場所とか時間が限られておりますので、いつでもこれを見ていただくことが可能になりますように、本年度におきましては、社内教育用のビデオも作成いたしまして、それぞれの御都合のよろしいときに理解していただくような手段も講じたいと思っておるところでございます。
  27. 安田修三

    安田(修)委員 いろいろ御苦労されている話が出ました。周知徹底ということではいろいろなことをやっていらっしゃるのですが、こういう十億円以上あるいは一億から十億までの企業別に、そして、ことしはまた県を通じての助成、PRをやる1  そこで、実態として連合と連合総研の調査によりますと、中身まで知っているというのは一四%という調査結果が出ておるわけです。改正になって基準があるということは知っているのですけれども、実は中身は知らない。それが先ほど言ったように、どこかでとまっていたり、あるいは商工会とか中小企業団体中央会とか商工会議所あたりの中二階でとまってしまっているとか、だがあるよということはわかっているが、忙しくてそこまで中身は見れないのか、あるいはそういう機会がないのか、いずれにしても、なかなか知られない。  そこで、個別ということになりますと、今いろいろなことをやって、VTRその他ということになるのですが、しかし、私、予算面を見て、これだけ今おっしゃったようないろいろなことがあるのだけれども、予算そのものからすると余り大きいものがついておらない。  先ほどおっしゃったいろいろな中身からして、例えば補助事業の中にも事業者等時短促進対策事業の創設、ことしは一千万円。五百万円が四団体二分の一、国二分の一、都道府県二分の一で中小企業団体等を通じて単価五百万で四団体、二分の一補助ですからそこで一千万円。それから、事業者等時短促進対策モデル事業の創設、新規で九百万円。これも二分の一補助で中小企業団体等を通じて単価九百万円で二団体。あとは労働力確保促進事業の環境整備等いろいろなので、関連するものがございます。中小の場合はもうほとんどどれをやっても私は時短に関係すると言わざるを得ないと思うくらいですが、れっきとして時短として上がってくるのはこの二つということになるかと思います。それに、先ほどおっしゃったVTRですね、VTR関係が出てまいります。  そうしますと、私はやはり、これは狭い列島とはいいながら、これだけたくさんの企業があって、世界の中に冠たる地位を占めておる経済大国が浸透するには大変だなと言わざるを得ません。そういう点で、先ほど言いましたように、金と人の相談になるんでしょうが、もっと進める方法はないんでございましょうか。ばたばたと投網で魚を一括にとるようなわけにはいきませんか。
  28. 関收

    ○関政府委員 せっかくのお尋ねでございますので、先ほど来申し上げました私どもの使命でございます下請企業の方が時間短縮を実施できるような環境条件を整える考え方、私どもは四つないし五つあると思っているわけでございます。  一つは、労確法に基づきまして、どうやったら時間短縮ができるかを中小企業の方が組合なりあるいは個々に考えていただいて、それに基づいて施策を講ずるという労確法の運用でございます。これにつきましては、皆さんの御理解を得て、最近は毎月十件ぐらいずつ新たな計画が出てくるということで、大分御理解を得始めておるわけでございます。  二番目には、私ども大事だと思いますのは、そういうことを可能にするために省力機械の導入でありますとかロボットの導入、そういった投資面の対策があり得るかと思います。これにつきましては、実は補助金といいますよりは金融でありますとか税制というものが非常に有効になるわけでございます。これについては金融上、税制上で、金融につきましては非常に低利のお金を融資するような制度ができておりまして、これを相当御活用いただいておるわけでございます。税制につきましては、先生案内の昨年秋の景気対策で投資減税に新たな設備が追加されておりまして、これらの設備を導入した場合には特別償却または税額控除の措置が講じられたという金融、税制上の措置がございます。  三番目には、先ほどもお話しいたしました親企業との関係におきます下請取引の改善といったような問題があろうかと思います。  四番目には、これからさらに時間短縮を進めるために必要な技術開発を進めていくというようなことが必要かと思っております。  五番目と申しましょうか、これに関連することでございますけれども、中小企業経営者の方に伺って非常に印象的なことは、時間短縮に成功しておられる企業の具体的な例を参考にすることが非常に有効であるというお話をよく伺うわけでございます。私どもとしては、こういった時間短縮をうまく実行しておられる企業の例を、例えば私どもの白書でありますとか、あるいは中小企業事業団におけるデータベースでありますとか、そういうものを活用して必要な方にお知らせするというような施策を講じておるわけでございます。  そこで、今先生、予算が非常に少ないという御指摘をいただきました。そういうことでございますので、一般予算だけではなくて、金融でありますとか税制、あるいは私どもの日ごろの行政といったようなものを通じてもこれが行われているわけでございまして、そのようなところはぜひ御理解をいただきたいと思いますが、一般会計予算だけで申しましても、平成五年度におきましては約二十八億の予算を確保しておりますし、金融、税制等々につきましては必要な資金が確保できるように所要の措置が講じられておるということをぜひ御理解賜りたいと思います。
  29. 安田修三

    安田(修)委員 今そういう金融関係その他で予算が少ないといえどもそちらでということで、それは確かにそういう金融措置があるのです。私は金融措置もそういう点で非常にいいと思います。ただ、中小企業、下請というのは、皆さんのいろいろな中でも意見として中小企業、下請の代表が述べられておるわけでありますけれども、中小企業振興施策として低利の制度融資というのは相当行われておる。これはみんな認めているわけです。あります。しかし、これはいずれは返さなければならぬ。当然なんです、人様のお金を借りたんですから。ただ、中小企業の場合は増資や外部の低金利の貸し付けが難しい。結局は利益の中から返さなければならぬ。  そこで、価格決定の問題です。親企業と下請の関係では、下請代金法上の支払い遅延というのはない。しかし、価格の決定形態については大きな問題があって、この点が解決できなければどうしようもない。こういう点で役所支援を頼みますよということが言われておるわけです。問題は、これはどうしようもないということなんでしょうが、金は貸していただいたが、しかし中小企業の場合には大企業のようにぱっぱかともうけて返せない。合理化して生産性が上がれば、そのまま単価を抑え込まれる。ここにもそういう点が述べられておりますが、それを何とかしてくれ。そこで、皆さんの方で単価決定その他についての基準等も協議するようにいろいろと基準で言われておるわけでありますが、そういう悩み事があるからということで、やはり時短についてはもっと予算投入が必要だということを一点、皆さんもお考えになっていることではあると思いますが、ぜひそこにさらに重点を置いていただきたい、私はこう思うわけです。  さて、先ほど労働時間短縮の障害について、休日前の発注でありますとか休日直後の納入、あるいは終業後の発注、翌朝納入、こういう無理発注、それから急な発注内容の変更ということが言われておるわけです。これは先ほどから皆さんの方からも述べられておるとおりです。  ちなみに、休日前発注休日直後の納入という点の関係調査では、今言ったようなことを含めて、この種のものは時々あると答えているものが、連合と連合総研のデータでは四九・一%、中小企業庁の調査では四四・九%。これは、平成四年に発表されたものでは四四・九%。平成四年三月のものではなくて、後段の方で発表されたものです。それから、この影響はどのように処理しておるか。連合の調査では、残業だけでなく休日出勤も多くやって処理しているというのは三八・九%、休日出勤よりも残業が多いというのは二三・二%、残業することも時々あるというのは二八・五%。  それから、終業時刻後発注翌朝納入では、連合調査で一八・二%、中小企業庁では一五・三%。しかし、昨年の三月に発表になった一昨年のものでは一八・七でありますから、ここら辺の数%というのは調査対象もそれぞれ違いますので入り組みがあると思いますが、このように大体一五%から二〇%近くあるんだなという概念でとらえていけばいいのではないかと私は思うのですが、こういうぐあいになっております。これに対する労働時間への影響は、残業することが多いというのは五一・一%、残業することも時々あるというのは三八・一%、これは連合調査の中にあらわれております。  発注内容の変更は、連合調査では六八・五%、中小企業庁は四〇・六%、かなりの開きがありますが、これもそれぞれの客体が多少違うということにあるかと思います。これの対応は、連合調査では、残業、休日で処理するのは一七・六%、残業、休日も時々あると言われるのは五七・九%、中小企業庁の調査では、残業、休日で処理しているのは二五・四%、こういうことになっております。数字で多少変動があったり、よく似たりしておりますけれども、いずれにしましても、このような無理発注、それから急な発注変更ということによっての下請へのしわ寄せが随分出ておるわけです。  そこで、先ほど言いましたように、その阻害要因として、大企業の代表からは、それは大企業の方がもうちょっと計画的にやらなければならぬ、中小の方は、やはりそこら辺はよく我々の事情も聞いてくれと言っておるわけです。遺憾ながら、人とその系列下にあるところはなかなか対等な話し合いができないという今日の問題。  しかし、中小企業庁もいろいろな場面で言っていらっしゃるように、行政指導は国がやりますと非常にけなげなことを実はおっしゃっておるわけです。したがって、ここらあたりさらに皆さんはどういうぐあいに突っ込んで解決しようと思っていらっしゃるか少しお聞きしたいと思います。
  30. 関收

    ○関政府委員 私どもこの下請振興基準の達成のためにさまざまな方法があると思いますが、一つは担当者の方が、親企業側もまた下請中小企業側の担当者の方もこの振興基準をよく守っていただくこと、また取引の内容につきましても、経済合理性にかなった形で値段でありますとか条件が決まるような契約関係になるということが非常に大事であると思っておるわけでございますので、私ども、これに加えまして平成五年度からは、例えば下請取引相談員といったような制度を新たに委嘱をいたしまして、いろいろ下請企業の方が親企業には直接申し上げられないようなことを相談していただくというような制度もつくりたいと思っておるわけでございます。  さらに中長期的な観点で申し上げれば、最近中小企業白書などでも分析されておりますが、この下請関係というものが従来はピラミッド型といいましょうか、親企業と一対一の関係で取引をするようなケースが多かったわけでございます。最近は、技術力のある下請企業におきましてはネットワーク型と申しましょうか、多数の取引相手とその強い技術水準を持って取引をするといったようなケースも出てきておりまして、まあ一つの姿かなと我々も思っておるわけでございます。その結果として親企業との取引の力関係改善されていくわけでございまして、これはなかなか一朝一夕にはまいりませんけれども、今のようなリストラの状況下でこういうニーズも出てきておりますので、私どもとしては加えて、その下請企業の方の技術力でありますとか商品開発力でありますとか、そういうものを強化する施策もこれからは充実をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、もう一遍また下請振興基準の方をお聞きしますが、下請振興基準というのはこれはあくまでガイドラインでありますので、それに違反しても罰則はございません。いろんなコストにはね返る問題については下請代金遅延防止法という中に規制その他ございますが、労働時間関係にしわ寄せされる発注については何らチェックというのはないわけです。まあ中に、業者団体その他からもそこらあたり何とかしてもらえぬだろうかという話が出てまいりますし、まあ基本契約その他でもう少しがっちり、下請振興法の中で基本契約に盛り込むことなどを少しきっちり書いてもらえぬだろうかという要望もあるようでございますので、この点、私は、何でも法規制というので全部やるというのは好ましいことではございません。できたら業界が自主的にきちっとやってもらえば一番いいわけでありますが、日本の場合はなかなかそうはいかない。もう少し一歩突っ込んで何かそこら辺の関係がスムーズにいく方法がないか中小企業庁の方で考えておられるだろうと思いますし、ちょっとお聞きしたいと思います。
  32. 関收

    ○関政府委員 先生も今お触れになりましたけれども、基本的にこれは商取引の世界でございますので、個々の取引につきまして私ども行政官庁が介入するのはいかがなものか、今の市場経済のもとでどうかというのが私どもの基本的な考え方でございまして、下請企業振興法に基づきます振興基準によって御理解を得てやる一方、下請企業の実力も培っていくということが大事だと思うわけでございます。  ただ、先生も御指摘のように、そういった中でやはり親企業と下請中小企業との関係から余りにも不当な取引が行われるというようなケースについては、先生御指摘のように支払代金遅延等防止法に基づきます規制がかかるわけでございまして、今の時間短縮に関しましても、一般的な取引関係、これにつきましては、今申し上げましたのは市場経済ということを前提とします限り、これは基本的には個々の企業の間の方々の話し合いということが原則になろうかと思いますけれども、例えば短納期または多頻度の小口納入、その場合には当然費用がふえるわけでございますけれども、そういったケースの場合に費用の増加を考慮しない単価を押しつけるといったようなケースが出てまいりますと、これは支払代金遅延等防止法によりましていろいろな手続を講ずることも可能であるわけでございます。ですから、私どもとしては基本はやはり両当事者間のお話をベースにする、それが問題となるようなケースについて、支払代金遅延等防止法に該当するようなものにつきましてはこれによる対応をするという考え方でやってまいりたいと思うわけでございます。  この点に関しましては平成三年二月に振興基準を改正いたしました際に、いわばこういうことをやりますと代金法のあれにかかりますよということを、法律の条文だけですとなかなかわかりにくいものですから、やや具体的なケースをお示しして御理解を深めていただくという観点から運用基準というものがございますけれども、その運用基準の中でこの振興基準に合わせまして、例えば納期の長短等を反映しない単価の買いただきケースでありますとか、あるいは無理な納期に伴う納期おくれの受領拒否、減額といったようなものは代金法の規制に違反することがありますよということについては、具体例として運用基準に追加するなど対応をいたしておるところでございます。
  33. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、買いただきの話が出ましたが、親企業による買いただき、値引き、これはちょっと調査結果があるわけでありますが、いわゆる下請代金遅延防止法の違反行為、この関係では買いただきというのは違反件数二・四%、まあ実際違反として上がってくるのは非常に少ない。しかし実際問題としては、これは違反として現実そういうぐあいに摘発されるのは、あるいは皆さんの方にいろいろと申告があって、そして事件処理されるというのは少ないのでございましょうが、実態は非常にひどいんじゃないか。日本の社会の中ではなかなか言いがたい、またわかりがたい、こういうことがほとんど蔓延しておるんじゃないかと思います。そこで、連合の調査ではいわゆる買いただき、値引きという問題について、買いただきは七五・七%、こういう答えが実は返ってきておるわけです。  で、恐らくかなりの範囲で実際問題としては買いただきというものは行われているんじゃなかろうか。じゃあどこまで買いただきかという問題があります。振興基準に言われている協議が単に形式的なのか。これはよく労使間でも労働協約の協議という概念をめぐりましていろいろとかつて議論になってきたところでありますが、何回話し合ったら協議なのか。一回か二回か三回か五回か、なかなか協議が調わないじゃないかという話が出てまいりますが、そういう点でこの買いただきというのはやっぱり、優位にある今日の日本の親企業立場からしますとどうも買いただきという問題についてはこれはなかなかなくならない現状。  で、皆さんの方のいろんなPRされているものを見ますと、買いただきについては随分詳しく、そして私たちが見ましても、ここまでちょっとしたことにかなりこれは買いただきとして目を光らしていただいているんだなということがわかるくらい出てまいっております。そうしますと、私の方ではまあ買いただき、大方は今の社は買いただきに遭っているんかなという感じをせざるを得ないわけでありますが、皆さんの方でこの買いただきの現状について把握しておられることについて私はお伺いしたいと思います。
  34. 関收

    ○関政府委員 振興基準におきまして、その単価の決定方法については、合理的な算定方式に基づき下請中小企業の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう下請事業者及び親事業者が協議して決定するものとする、こう書かれておるわけでございます。そこで、その合理的な算定方式とは何か、適正な利益とは何かというのはなかなか実は難しい。第三者がこれは適正であるとかないとか、なかなか難しい世界であることは間違いないわけでございます。そこは御理解いただきたいと思うわけでございますが、一万私どもとしては、公正取引委員会でもやっておられますけれども、下請代金支払遅延等防止法、これの運用をいたしておるわけでございます。  私どものケースについて御説明申し上げますと、毎年親事業者及び下請事業者約三万五千の事業者の方にそれぞれアンケートをさせていただき、また一方、これが明らかに支払遅延等防止法に違反するといういわば下請事業者の方からの申し出があった場合、こういった場合について立入検査でありますとか書面調査等々で調査をいたしておるわけでございます。そこで、調べてまいりますと、その違反の件数の非常に多くのケースは、書面不備といいましょうか、書面を交付しないというようなケースが多いわけでございますが、中には買いただきということで、これを改善してくださいということで指導させていただいている例もあるわけでございまして、平成三年度におきまして私どもが指導いたしました件数は三十件となっておるところでございます。
  35. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、問題は単価の決定ということになるわけでありますが、単価の決定、今もおっしゃったように非常に難しい問題、しかし、この難しい問題が下請の人たちに言わせると、例えば時短を進めるについても時間当たりの生産性向上にかかってくる、そこで、従来からの取引慣行からすると、せっかく下請事業者が生み出した付加価値というものを親事業者が吸い上げていってしまう、そこに大きい問題があるのだ、だから、中小企業努力をしないのではない、やっているけれども、その成果は全部親企業に吸い上げられるのでその点の歯どめをしていただきたい。今長官おっしゃったように、これはまことに難しい問題、難しい問題だけれども、これを解決しなければならない。  そこで、例えば下請代金遅延防止法の第九条に、「報告及び検査」という項の中に立入検査権があります。中小企業庁それから公正取引委員会、これがもっと活用できないものかな。まあ新たに法を立法していくということになりますとこれまた大変。しかし、余り何でもかんでも縛りつけるというのもこれまた困る課題が出てくる。現行法あるいは行政指導で適切にできないか。そうしますと、この第九条で実効を上げるような方法はないのだろうかなという感じも持ってきて、まだ余り研究もしていないのですけれども、そこで、皆さんの方でこの運用をどういうぐあいに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  36. 関收

    ○関政府委員 先ほど申し上げましたように公正取引委員会の方でもいろいろ実施をいたしておられますけれども、私ども中小企業庁の例について申し上げたいと思います。  先ほども御報告申し上げましたように、今、毎年大体それぞれ三万五千の親企業、下請企業の方にアンケートを出して調査をいたしておりまして、その結果問題がありそうだと考えられました件数が、平成三年度で申し上げますと約九千件ございます。この九千件に対しまして、私どもまず書面等々によりまして調査もいたしますが、それだけで不十分な場合には立入検査ということも実施いたしておるわけでございまして、平成三年度におきましては千七百二十三件について立入検査を実施いたしました。それで、書面での調査及び立入検査、それから、場合によりましては来ていただいて具体的にお話を伺うといったような措置をとりました結果、ほぼすべてにつきましてその結果として改善をされたというのが現状でございまして、これからも必要に応じましてこのような対応を続けてまいりたいと思っておるところでございます。
  37. 安田修三

    安田(修)委員 やはり立入検査というのは非常に有効であるということは、今長官の説明の中にあらわれておったように私は思います。これらは立入検査したら全部解決されたということでありますので、ぜひこれを十分活用していただいて、そして適正な取引ができるように、そして協議ができるようにしてもらいたいと私は思います。  そこで、下請相談員の話が先ほど出ておりました。これの人選について何らかの基準というものは考えておられますか。
  38. 関收

    ○関政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、平成五年度の新しい施策として下請取引相談員制度というものを設けたいと思っておるところでございます。これにつきましては予算措置もとられておるわけでございます。  それで、私どもとしては、全国で六百人ぐらいの方をこの相談員にお願いをして実行してまいりたいと思っておるところでございますが、また、その人選につきましては、幸い平成五年度予算も成立をいたしましたので今着手をいたしたところでございます。  私どもの考え方としては、基準としては例えば次のようなものを考えておるところでございます。一つは、下請中小企業経営者などであること、それから二番目は、中小企業関係団体役員などであること、三番目には、中小企業施策について理解と識見を有され、下請取引関係適正化に対して熱意を有する者であること、こういったような基準で、今回のこの制度の特色は、実際に下請企業経営されておられ、また業界の指導的な立場で下請企業経営者の方の御相談に応じながらいろいろアドバイスしたり対応を御相談したりということをお願いする方でございますので、そういったような基準で選ばせていただきたいと思っておるところでございます。  なお、付言させていただきたいと思いますが、昨日策定されました総合経済対策におきましても、この下請相談員の人選、この事業を早くスタートするということがうたわれておりますので、私どもとしても人選を急ぎまして、できれば五月下旬くらいから事業を開始できるようにしたいということで今準備をいたしておるところでございます。
  39. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、下請相談員は、これは任命権が通産大臣に、中小企業庁長官にあるわけですか。
  40. 関收

    ○関政府委員 この下請相談員の委嘱でございますが、各県にございます下請企業振興協会からの御推薦をいただきまして、その御推薦に基づきまして通商産業大臣から委員を委嘱をするということにいたしておるところでございます。
  41. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、委嘱されてからの相談員は、いわゆる相談員が指揮を受ける、あるいは相談員に指導助言するというのは、これは通産大臣ということになるのでしょうが、日常はだれが中間的に管理するのでしょう。
  42. 関收

    ○関政府委員 非常に立派な方になっていただくわけでございますから、それぞれの識見あるいは御経験でいろいろ相談に応じていただくわけでございますが、日ごろのいろいろな御連絡とかあるいは事務的な打ち合わせ等をさせていただくのは、各通産局の中小企業担当課が担当するという予定にいたしております。
  43. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、下請振興協会との関係ですが、この協会の方は、実は今度下請相談員ができますと、もちろん今おっしゃったように人の推薦もするということですが、私は、これとの関係も何らかされるだろうと思うのですが、その辺と、それからもう一つは、協会そのものを何かもう少し突っ込んで活用できるような方法はないかな、こういう感じもするのです。今までのところは下請取引のあっせんですとか、いろいろなそういう関係の指導に限られておるのでありますけれども、もう少しこれが有効に突っ込んで活用できないかなと思うのですが、その点どうでしょうか。
  44. 関收

    ○関政府委員 先生御指摘のように、下請振興協会は各県に置かれておりまして、あっせんでありますとかあるいは苦情の処理等々の仕事に当たっていただいておるわけでございます。  この関係で特に御報告申し上げたいと思っておりますのは、最近の経済の非常に厳しい状況のもとで仕事量の確保ということが下請企業の場合に非常に大きな課題となっておるわけでございます。この点で、実は昨年の秋から全国の下請企業振興協会をオンラインネットワークで結びまして、他の県にまたがる仕事のあっせん、例えば長崎の事業者の方が大阪の方の仕事を受注するというようなことが可能になるような制度を順次整えておりまして、全国の協会をネットワークいたしまして、圏域の異なる発注者と受注者との中継ぎをするというような事業も昨年から始めておるところでございます。  また、先生御指摘のように、個々の取引条件その他につきましての御相談にも応じておりますので、今貴重な御指摘もいただきましたので、この相談員の方にこれから活動していただくに当たりまして、下請協会との密接な連絡、協力というようなことも十分念頭に置いて運用してまいりたいと思っております。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、あとちょっと簡単に大臣にまとめてお尋ねしますが、現行の労働基準法の猶予措置がさらに一年延長されまして、これがいろいろと先般来物議を醸してまいったところでございます。中小企業の実態に配慮した、こう言われておるわけでありますが、私たちからしますと、むしろ日本の場合はいわゆる親企業に配慮されておるのじゃないかという皮肉な見方もするわけです。  事実、親企業の中でこうおっしゃっている人もあります。それは、親企業というのは二十四時間体制だ。それで、翌週初めというのは日曜の夜から始まり、人手不足が顕著な中小企業にとって非常に困った問題だ、それは仕事が追っつけないものだから。ですから、これらのものはある程度取り決められた事項だけれども、やはり親企業が強いので、納入要請があればこたえなければならぬ。実に、親企業の側の体制に合わされてしまうということが、どうしても中小企業にとっては宿命的。それで、我々は弱いから言えないということが、るるこの下請関係部会、近代化促進審議会の中の部会でも各方面から言われているところです。  そういう点では、私たちはいろいろな陳情等あってそうだなと思いながらも、今の力関係を見たときに、やはりこれは、裏で見えない親企業というものは変えていかなきゃならない。それは先ほども言ったように、大企業自身の方がそういう点でみずから言っていらっしゃるところなんですね。そういう点で、実はこの猶予問題というのは、一つ日本の今日これをなぜ猶予していかなきゃならぬかということを考えたときに、この双方の関係を厳しく見ながら、私たちはその解決に向かっていかなきゃならぬと思います。  そこで、いみじくも、中には中小企業の人たちが皆さんの公式の会合にも、おっしゃっている中にあらわれておりますけれども、過当競争の現在の中で、親企業、大企業、中小、下請企業、この取引関係の中で労働時間問題を解決するには、法による一律規制というものはやはり最も有効ではないか。しかし、それをやるにはやはり中小企業支援策というものを大々的に行うべきではないかと私は思います。とにかく、競争関係があるからどうしてもなかなか踏み切っていけない。それからまた親会社、大企業の方でも、それだけにまたそういう関係に甘んじているところがあるのじゃないかと私は思います。  そういう点で私は、もう法の一律規制というものに向かって、この際考えるべき時期ではなかろうか、こう思うのですが、通産大臣所見をお伺いしたいし、それから労働省の方からもきょうはお見えでありますので、お聞きしたいと思います。
  46. 森喜朗

    森国務大臣 安田委員いろいろ御熱心に、時短の促進をしていかなきゃならぬということと、もう一つは、やはり大事な中小企業、下請企業立場先生は富山県、私は石川県でして、本当に機械工業関係の下請零細企業というのは非常に多いわけでありまして、確かにいろいろな問題をよく把握をしておられて、長官との間の議論、大変私もいろいろと、いろいろな角度で伺わせていただきまして感銘をいたしました。  お話がございましたように、中小企業における労働時間の短縮というのは、これは基本的にはゆとりある生活の実現を図るということと労働力の確保を図るという上で極めて重要な課題であるということは言うまでもございません。通産省といたしましても、先ほどから長官が答弁をいたしておりますように、従来から中小企業に対しまして各種の支援策の利用を促しながら、時短の促進を積極的に助言、指導して今日まで来ておるところでございます。  中小企業におきます時短を、今委員がおっしゃいましたように法的な規制によって一律に進めることについてということでございます。一つ考え方またいろいろなケースから見ると、そうしてもらった方がかえって進めいいという面も、私もそういう話を聞いたことがやはりございます。しかし、この労働基準法が実は罰則を伴う法律である、これも委員承知のことだと思いますが、罰則を伴うわけでございますので、同法の施行に当たりましては中小企業における労働時間の実態を踏まえながら対応していかなければならぬということも必要であろうかというように思います。  通産省といたしましては、中小企業の時短促進のために、先ほど長官が述べましたように総合経済対策に基づきまして省力化投資の一層の促進のための低利融資制度の創設の措置を講じたところでもございますし、また今年度予算におきましても、中小企業労働力確保法に基づきましての補助事業の拡充、事業主、小規模事業所の時短を促進するための事業の創設をいたしたところでございまして、これらを通じてきめ細やかに今後とも強力な中小企業支援を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  47. 上村隆史

    ○上村説明員 労働省でございますが、先ほど先生からお話がありました今回の猶予措置の延長でございますが、厳しい経済情勢のもとで、特に中小企業につきましては非常に厳しい状況にありますことから、また中小企業庁からも強い要請もございまして、今回、この四月からでございますが、緊急避難的なやむを得ない措置といたしまして延長を行った次第でございます。御理解をいただきたいと思います。  しかしながら、延長されましたこの猶予措置対象事業につきましても、漫然とその猶予の状態に甘んじまして時短に取り組まれないということは適当ではございませんので、これらの事業につきましても早期に週四十四時間制に向けて努力されるべきでございますし、また努力がなされるものと考えております。労働省といたしましても、このような事業に対しましてきめ細かな指導援助に努めていく考えでございます。  それから、法的規制の問題でございますが、労働基準法、もう先生これは十分御承知お話でございますけれども、労働条件の最低基準を定めているものでございますので、この最低基準を罰則をもって強制しているものでございます。したがいまして、実態と余りに乖離した基準とすることは適当ではございませんので、円滑かつ速やかに今後時短を進め、法定労働時間としましては週四十時間労働制への移行に向けまして、時短の、労働時間の実態がおくれております規模、業種について猶予措置を講ずることは時短の進展を図る上ではどうしても必要ではないかというふうに考えておりますので、御理解をいただければと思っております。
  48. 安田修三

    安田(修)委員 終わります。
  49. 井上普方

    井上委員長 小沢和秋君。
  50. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 きょうは専ら大臣にお尋ねをいたします。  昨日、政府は新総合経済対策を発表いたしました。これは前回大臣自民党政調会長としてまとめた十兆七千億円の対策をさらに上回る過去最大の十三兆二千億円の規模になっております。しかし、その中身は、相変わらず公共事業の拡大や前倒し、民間設備投資の促進などの大企業へのてこ入れが中心になっております。ここには、公共事業が金丸流の金権腐敗、利権の温床になったという反省などおよそ関係がありません。その一方で、不況の最大の被害者である中小企業や一般の国民への対策は全くおざなりであります。  そこで、まず大臣にお尋ねしたいのは、この対策が十六日からの日米首脳会談への手土産だと報じられていることであります。あなた自身が首脳会談の先乗りとして先日訪米した折、カンター・アメリカ通商代表から、新しい景気対策に外国製品の大規模政府調達を盛り込むよう期待すると言われていたとのことでありますが、昨日、あなたは閣議後の記者会見で、私の感触では前回の二倍以上になる、つまり五億ドル以上になるとの見通しを示しておられます。私は真の日米友好を願うものではありますが、こういうアメリカの圧力に迎合して、とにかく政府調達を二倍以上無条件にアメリカにふやすというような態度が正しいのか疑問に思っております。こんな施しのようなことを誇り高いアメリカの国民は願っていないのではないでしょうか。まずお尋ねいたします。
  51. 森喜朗

    森国務大臣 幾つかずっと御指摘がございましたが、まず、私は昨日の記者会見で記者の方から具体的な、輸入あるいは外国からの政府調達の額は示さないのか、なぜ示してないのかというお尋ねがございましたので、日米関係のみならず日欧すべてでございますが、この数字というものはどうしてもやはりひとり歩きをしてしまいます。  例えば、半導体の期待値でございました二〇%の問題もこの委員会で何回か御議論があったところでございますし、先生方、いろいろな方からも御質問がございました。これはあくまでも期待値であって目標値でもなければ、それが最低値ということでもありません。ただ、先般、私が渡米をいたしました際も、引き続きそのことについてそういう意見が出たことも事実でございますが、私はそのときにはきちんとお断りを申し上げました。こういう数字が示されると、やはりどうしてもこのことが、期待感が出てくるということ、あるいはまた、このことがひとり歩きをしてしまって、あくまでもそれが何か日米との政府の約束のようになってしまうということは、結果的に二国間の管理貿易ということになるということでよいことではない、そういう見解を私はアメリカでも申し上げてまいりました。  したがいまして、そのようなことの例も触れまして、幾ら、どれだけ政府で調達をするんだということを言ってしまいますと、結局、その額が、またひとり歩きを数字がしてしまうということの危険性がある。しかし、今日本に求められているものは、やはりこの貿易の黒字、こうしたインバランスを解消するということであって、その基本的な問題は、やはり内需を拡大し、輸入を促進するということにある。しかし、今回の、いわゆる新しい社会資本の整備など、もう少し幅広く、従来の公共事業と違って、もっと幅広くいろいろな角度で、景気というものに対していい波及効果があるであろう、そういう中から輸入というものが期待されるものもかなりあるのではないか。私は先般の渡米の際も、そういう場合には、どうぞひとつそういうビジネスチャンスがありますから、堂々とひとつ闘ってください、どうぞから取ってください、こうアメリカに申し上げましたし、先般、イギリスのハード外相がお見えになりましたときも、バンゲマンEC委員がお見えになりましたときも同様のことを申し上げておるわけでございまして、決してそんな屈辱的な、アメリカの国民が怒りますよというような、そんな屈辱的なことを私は一言も申し上げていないということだけはぜひ御理解をいただきまして、まずは内需拡大、そして輸入の促進をして、その中で世界の皆さんが内外無差別、透明公正の中で堂々と営業を営んでいただきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。そういう基本的な考え方に立って私は記者会見でそうした発言をいたしたということでございまして、前回こういう額が出ておるということならば、今度の経済的な波及効果からいって倍ぐらいは期待されてもいいのではないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  52. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 さて、今回の対策で日本経済に本当の活力が取り戻せるのかという問題であります。  公共事業関係の大企業では早くも一部で過熱ぎみのところも出ており、その素材を供給する鉄鋼、セメントなどにもプラスになっていると思いますが、その波及効果はやはり限られているのではないでしょうか。けさの新聞では、昭和六十二年にバブルを引き起こすきっかけになった政策とよく似ているという論評もあらわれております。  もう一つの設備投資も、膨大な遊休設備を抱え、少々の融資や税制上の優遇ではとても新たな投資に動き出すような状況ではないと思います。結局、これまでと同じ手法では大企業のてこ入れにしかならないのではないか。これでは、大企業は確かに潤っても、中小企業や一般国民にとっての不況打開策にはならないのではないか。この点をお尋ねいたします。
  53. 森喜朗

    森国務大臣 先ほどの小沢さんの御質問の中にも、大企業優先ではないかというお話がございました。  この国会での予算審議、また、この商工委員会でも、景気について各党の皆さんからいろいろな御意見、建設的な御意見もございました。通産省といたしましては、やはり景気動向を見るということにつきましては、やはり鉱工業生産指数あるいは資本財、生産財、耐久消費財などを含めた在庫調整というものをやはり見ていくということが大事だというふうに考えております。したがって、このところの景気の私どもの今見方は、鉄鋼業の出荷、乗用車販売など一部に回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきておりますものの、基本的にはやはりこれは決算対策のあらわれ、そういう動きが影響してきているのではないか、したがって、この明るい動きが長続きするのかどうかということはまだもう少しやはり慎重に見る必要があるというふうに私ども考えております。  そういう中で、GNPの四分の三を占めております個人消費がやはり低迷している。それから、設備投資の減少が依然として続いておる。引き続き厳しい状況にあるというふうに私ども見ておりまして、さらにバブル経済の崩壊の影響や最近の急速なまた円高が景気に与える影響も懸念をせざるを得ない。我が国経済はいまだ予断を許さない、そういう状況にあるという形で、今回の政府経済対策はあくまでも景気の足取りを確実にするもののため、こういう考え方をいたしておるわけでございまして、大企業優先という考え方は私どもはとっておりませんし、中小企業等につきましても、従来にないぐらい細かく対策は講じてあるわけでございます。これを申し上げておりますと、先生の御質問の時間に御迷惑かけますから、必要がございますれば、長官からもお答えをさせたいと思います。
  54. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、今回の対策で決定的に不足しているのが国民消費を刺激する施策だと思うんです。我が党はかねてから二兆円の所得税減税実施を要求してまいりましたが、今回の施策では教育、住宅、中小企業の政策減税が合わせて千五百億円あるだけであります。なぜ所得税減税を見送ったのか。かねがね議論になっておりますけれども、大臣も公共事業の方が景気浮揚効果が大きいというふうにお考えかもしれませんが、私は所得減税の方が直接の景気刺激効果ははるかに大きいと思うんです。実際、公共事業の効果はどうしても経済全体の中で偏りますし、全く及ばない部分もあります。ところが、所得減税は全国ほとんどの世帯に直接効果が及びます。現に、過去の景気対策を振り返ってみると、昭和五十八年十月にも、六十二年五月にも政府自民党は不況対策として所得税減税やっていみわけであります。すると、これは間違いだったということになるのかどうか。この点、お尋ねします。
  55. 森喜朗

    森国務大臣 減税等も含めて経済対策というのはやはりそのときの経済情勢や、また、国民の意識、いろんな環境なども含めて総合的に考えることであって、かつてとった所得減税は間違いだったのかという短絡的な考え方は私としてはとるべきではないと考えております。  ただ、この委員会でもそうでしたし、予算委員会審議でも私も御答弁申し上げましたが、総理初め皆さんもおっしゃっておられましたけれども、所得減税ということになってまいりますと、やはり財源の問題が出てまいります。したがって、赤字国債を発行してまでやるべきことなのかということについては、それは財源をどうしますかということについて、かなり今度は各党皆さん際立っていろんな発言があったことを私承知しております。恐らく各党の皆さんの中にもいろんな意見が分かれたところだろうと思います。  そういう中で、一つには財源の問題、もう一つ、やはり効果の問題。今小沢先生は、効果がその方がはるかにあるんだ、こうおっしゃっておられるわけですが、私はやはり、今の時点でこの所得減税による効果があるのかどうかということよりも、先ほどるる最初の御答弁で申し上げましたように、いわゆる低迷した最終需要というものをもう少し、いわゆる最終消費、それから民間の設備というものを動かしていく策をとった方がより効果的ではないかというふうに申し上げたわけでございます。  今回の政府の対応もそうした一つ考え方によってつくられたものでございまして、なお、税につきましては今後とも、この国会の間に与野党で引き続き協議をするということになっているわけでございまして、政府としましては、その与野党間の協議の推移を見守っていくというふうな立場を私どもは今とっておるところでございます。
  56. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 経済企画庁の国民経済計算によりますと、国民総支出の中で民間最終消費支出の占める比率がこの数年の間に大きく下がってきております。一九八六年といえば、円高不況で消費が落ち込んだ時期でありますが、そのときでも民間最終消費支出は五九・二%ありました。それが一九九一年、まだバブル消費景気が残っていた時期に五六・八%と、二・四%も下がってきております。この間に大きく伸びたのは何だったかといえば民間設備投資で、一六・四%から二一・五%に、五・一%も伸びております。この数年、どんなに猛烈な設備投資が国民の消費を犠牲にして行われたのかがここにはっきりとあらわれております。だから、つくっても、それに見合う購買力がない状態が生まれているわけでありまして、この消費の落ち込みを回復しなければ日本経済は本当の活力を取り戻すことができないのではないか。そういう意味で、私はどうしてもこの所得税減税が必要ではないかと申し上げているわけですが、もう一度お尋ねいたします。
  57. 森喜朗

    森国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、やはり在庫調整というものを通産省はよく見ておかなければならぬと思うのです。その中の生産財でありますとか資本財というのは、ここが委員からいえば大企業にウエートを置いているということになるかもしれませんが、やはり産業が生々はつらつと動くということが大事なのでありまして、そういう意味での景気対策というのは一つ大事だと思う。  もう一つは耐久消費財でございますが、これについては私もここでずっとお話を聞かせていただきまして、各党の皆さんの御意見は、いろんな意見がございました。例えば、もう買うものがなくなったのではないかとか、あるいは品物が技術的にも非常にいいし耐用性も長いので買いかえという気持ちにならないんだとか、いろんな議論がたくさんありました。ですから、そういう意味で、耐久消費財というものがどうしてこれからさらに伸びていくのかということをやはり考えていかなければならぬのだと思います。  そういう意味で、だからこそ所得減税だ、こう小沢委員はおっしゃるわけでございますが、委員から今御指摘ございましたけれども、GNPに占めます設備投資の推移というのは、やはり高かったり低かったり、その都度激しく、企業でございますから、なだらかな線を描くものではございません。しかし消費の伸びというのは、これは大体、わずかながらでありますけれどもずっと順調に伸びていくわけでございまして、そういう面から見ますと、全体のGNPの比率の中でのグラフの線でございますから、消費が伸びていないという理由は今委員の御指摘の点もあろうかと思いますけれども、むしろ私どもは、消費の進め方については別の角度からやはり考えていかなければならぬ策だというふうに考えております。  そういう意味で、先ほどの繰り返しになってまことに恐縮でございますが、今回の所得税関係では、教育等の諸出費がかさむいわゆる中堅層の所得税負担の軽減に配慮するというふうにさせていただき、あとは投資減税でありますとか、住宅減税でございますとか、むしろ設備投資が進んでいきますような、そうした景気の浮揚になるような、そういう観点での政策減税を重ねたわけでございまして、所得減税につきましては、先ほど申し上げましたように今会期中の引き続きの与野党間の協議を見守らせていただきたい、このように思う次第でございます。
  58. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 減税を見送った一つの要因としては財源問題があるだろうと思うのです。この点については、私たちはかねてから、東西の冷戦が終わった情勢に見合って軍事費を削ることもできるだろう、大企業に対する税制上の優遇を見直すごとによっても財源を生み出すことができるということを申し上げてまいりました。きのうも、私は、貿易保険保険料率が世界一安いということを申し上げたのですけれども、きょうはもう時間がなくなりましたから申し上げることはできませんけれども、減価償却にしても、あるいは内部留保にしても、大企業を世界一いろいろな面で優遇をしている、こういうようなものを見直せば減税の財源も捻出することができるということを、改めてきょうは指摘だけしておきたいと思うのです。  最後にもう一つ、一言お尋ねしますが、先ほど来言われておりますけれども、数日前に、共産党を除く与野党間協議でいわゆる政策減税ということで一応の合意をして、新聞などは、今回はこれで一応の決着を見たというような報道をされておりますが、先ほど来大臣は、今後の協議を見守りたいというようにおっしゃっているのです。とおっしゃる意味は、新聞などが報じているように事実上これで決着ということじゃなくて、今後もそのことについて協議してもらいたいし、また、その結果によっては所得税減税はやらなければいかぬというお気持ちもあるというふうにも聞こえるのですが、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  59. 森喜朗

    森国務大臣 景気全体から見まして、おかげさまで、皆さんの御協力もいただいて二十二年ぶりに平成五年度の予算が年度内成立をし、既にもう執行態勢に入っているわけでございます。ですから、その効果も当然見ていかなければなりませんし、それから前の総合経済対策、そして補正予算、その結果も今少しずついい形であらわれてきておるわけでございまして、この状況を見ながら、一方では、やはり消費者のマインド、企業のマインドというものがございますから、今回の新たな十三兆を超える新しい経済対策、こういうものがどういう形で消費にも、あるいは企業にもマインドとしていい方向を求めていくだろうかということがこれから注目をしていくことでありまして、通産省としましては、そのことの推移を、動向を見きわめていかなければならぬ、こう思っております。  今お話ございました与野党間の協議というのはもう決着ついたか云々ということは、これは私の知る限りではありませんで、新聞が勝手に書いていることだろうと思います。しかし、与野党間でどういうお話があり、どういうことの御協議があったということは、これは私ども関心は持っておりますけれども、その内容については私どもはまだ関知せざるところでございます。まあ、小沢さんおっしゃるように、期待はしておるのですか、こう言われると、それはどういう形の結論が出るか、やはり大変期待を持って見守っていきたい、こういうふうに申し上げておきたい、こう思います。
  60. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  61. 井上普方

    井上委員長 遠藤乙彦君。
  62. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私からは、経済見通し並びに総合経済対策を中心に質問をしたいと思います。  まず、景気の見通してございますけれども、平成四年度の当初の目標が三・五%だったのが結局一・六%に下方修正をした。それがまた、今回実現が極めて難しい状況になっております。平成四年度の十月から十二月の経済成長率は前期比○・一%にとどまったわけでございまして、四年度の実績見込み一・六%を達成するにはこの一月から三月期が成長率三・一四%がないと不可能なわけでして、これも全く見通しがないわけでございまして、恐らく一%をさらに大きく下回るのではないかということになっております。  経企庁長官には今国会の最初の所信表明のときにも、なぜこの三・五%が一・六%に狂ったかという質問をしたわけですけれども、再びこのような質問をせざるを得ないのは非常に残念ではありますけれども、なぜこの極めて短期の予測が狂ってしまったのか、これに対して経企庁長官としてどういう責任を感じておられるか、御質問をしたいと思います。
  63. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えをいたします。  遠藤委員御指摘のように、この三月に発表されました国民経済計算速報、いわゆるQEの十−十二月期でございますが、○・一%の伸びということで、極めて低い伸びにとどまっているという状況になりました。  これは、この前の御答弁でも申し上げたところでございますけれども、一つは循環的な要因がある。しかしながら、そればかりではなくて、資産価格の下落があり、それが逆資産効果というものを生んで、消費者の側でも、買い控えといいますか、新たに物を買うという消費マインドがやはり落ち込んでしまった。あるいは、投資を行う、設備投資なども、やはり企業家のマインドが落ち込んだということで、これまた冷え込んでしまっている。さらには、資産価格の下落ということが金融の融資対応能力を低下をさせたということもかなり影響があったんだというふうに私は思っております。そういうこともあって、国内の民間の需要、最終需要を中心として引き続き低迷をしてしまっているという現在の我が国の経済、厳しい現状というものを○・一%という数字が率直に反映をしたというふうに理解をしているわけでございます。  実績見込み一・六%の達成という点につきまして、これはどうか、こういうお話でございますけれども、もうその期は既に現実としては終わったわけでありますが、実際は、この一−三月期のQEについては大体六月にその数字の発表ということになるわけでございまして、今いろいろな、非常に多くの指標からその数字を算定するわけでありますが、その指標が少しずつ入りつつあるということでございますが、具体的にはやはり六月にならないとわからないという状況でございます。  ただ、私どもとしては、昨年の八月の総合経済対策、これが、補正予算の成立が若干おくれたということもありまして、その効果が実際にあらわれ始めたのはことしに入ってから、年初からというふうに考えておりますし、一−三月期における八月対策の効果というものは私は非常に大きいものがあるだろうな、このように期待をしているわけであります。しかしながら、どんなにこの四半期頑張っても、一・六%に届くかどうかという点については、率直なところを言いまして大変厳しい状況である、このように理解をしているわけでございます。しかしながら、この景気の回復、そして経済成長率を適正な水準に持っていくということは、常にこれは大事なことでありますし、私どもとしては、このことをやはり大きな教訓として考えていかなければいけない、心して経済運営に取り組んでいかなければいけない、このような気持ちで今後とも機動的な運営を続けていきたい、このように思っております。
  64. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 経企庁の予測といえば、最も情報が集まるところであって、国民としては本来非常に信頼して見ていたわけですけれども、それが誤差の範囲を超えて大きく狂う、しかも何度もたびたび狂うとなりますと、これはもうだれも信用をしなくなる。最近、企業家等はやはり自分の目でしっかり考えなければいかぬという空気が出ておるようでございまして、一度あることが二度ある、二度あることが三度あるとなりますと、これは経企庁の信頼性に大変かかわる問題でございますので、ぜひ、その点深刻にちょっと考えていただきたい。  前回も指摘したわけですけれども、経企庁が依拠する経済モデルの基本的なところに問題があるのか、最近の構造変化、成熟化社会といった変化を十分反映したものになっていないのではないか、この点についての見直しが必要ではないかという点。もう一つは、モデルは、経企庁自身判断はいいとして、やはり各省間で、発表するに至るまでにいろいろなバイアスがかかって、希望的観測あるいは政策的誘導のためのそういったバイアスがかかってしまうのか。どちらかだと思いますけれども、政府の発表する予測、特に短期の予測が余り大きく狂うと、これはもうだれも信用しなくなるわけでございまして、長官の今のお答えは、前回も同じようなお答えを実は聞いたわけでございまして、やはりもう少し深刻に経済の構造変化というものを見詰めて、もう少し予測のあり方を抜本的に見直しをしていただきたい。強く要望したいと思っております。  続いて、今後の景気動向の判断でございますが、最近の政府首脳、経済閣僚の皆さん発言等を新聞等で拝見をしておりますと、景気が緩やかに回復している、そういった判断に立っているように思われるわけですけれども、一体どういう根拠によるのか。確かに、若干の、一部の指標に変化はあるかと思いますけれども、基本的な点ではそうではないという感じもしておりまして、一体どういう判断で景気が回復しつつあるという判断に立っているのか、お聞かせをいただければと思います。
  65. 船田元

    ○船田国務大臣 お答えをいたします。  今、景気が緩やかながら回復ではないか、こういうことの御指摘がございましたけれども、私どもとして景気が回復をしているという考え方はまだとっておりません。まず、そのことは申し上げておきたいと思います。  もちろん、御指摘のように、新車の新規登録台数、これも年の初めから前月比でプラスを続けております。それから鉱工業生産動向、これも出荷につきましては、これまた年初から前月比でプラスを続けている。さらにはマネーサプライがございますけれども、これもここ半年余りずっと前年比でマイナスを続けておりましたが、やっと二月におきまして○・二%プラスということになったわけであります。これらの指標は、確かに明るい兆しを示す指標ということでありますけれども、しかしながら、我が国の経済の大宗を占めております個人消費あるいは設備投資、こういったものは依然低い伸びであったり、あるいはマイナスを続けているという状況でございまして、このようなことを見ても、やはり景気が引き続き低迷をしているという基本的な情勢には変化がない、こう私どもは理解をしております。底を打ったという話、これもまた時期尚早であるということで申し上げている次第でございます。
  66. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 基本的には私も今の長官の見方にほぼ同意でございまして、まだ底入れをした、景気回復に入っだということは言えないということでございまして、引き続き慎重な見方ないし大規模な対策というものが大事じゃないかと思っております。  そこで、今度は通産省にお聞きをしたいと思うのですが、今まで我が国の経済成長をリードしてきた、よく御三家と言われます自動車、家電、コンピューターとあったわけですけれども、今いずれもこの御三家が大変な深刻な不況にあえいでいるというのが今次不況の特色でございまして、今後の景気を見通し、さらに中長期の経済成長の将来を見るにも、特に自動車及び家電産業、このセクターの動向というものを把握することがやはり大変大事だと思うわけでございまして、そういった点、特にこの自動車、家電産業の低迷の要因並びに今後の中長期的に見た需給動向、これにつきまして通産省の方から御見解をお聞きしたいと思います。
  67. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のように、今日まで我が国経済の中核的な産業でございました自動車と家電の二つの産業におきまして低迷状況というべき事態が継続をいたしております。  これにつきまして、まず要因をどう見るかという点でございますけれども、一口に申しますと、右肩上がりで伸びてまいりましたこの二つの商品の需要に低迷状況が九〇年ごろから出てきたわけでございます。  まず、自動車につきましては、一般的な個人所得の増加を当然の背景といたしまして、新規あるいは複数保有層というものが八〇年代の後半に急速に拡大した、あるいは各種の制度変更、物品税の廃止とか自動車税の引き下げ、こういったものが八〇年代後半に大きく需要を拡大いたしまして、私どもの見ております、いわゆるトレンドから過大な消費が発生したというふうに見ておるわけでございます。現在は、九一年、九二年、いわば過剰な消費の修正過程、ストック調整ともいうべき状況に入っておりまして、本年これが最後の年になるのじゃないか、ここで調整が行われて、その後八〇年代後半に売れた車の代替需要、そういったものがことしの宋あるいは来年あたりから出てくるのではないか、私どもといたしましてはこういうふうに思っております。  ただ、中長期的な傾向といたしましては、人口の増が減少いたします。そういったこともございまして、いわば免許保有人口というものの伸びが鈍化する、あるいは複数保有というものの伸びが鈍化する、こういったことを考えますと、正常な需要の回復過程に入ったといたしましてもその伸びはかなり緩やかなものにとどまるのじゃないか、こんなふうに自動車については見ております。  次に家電でございますけれども、八〇年代後半に自動車と同じように大変旺盛な需要がございまして、大きな伸びを示したわけでございます。ただ、現時点におきましては、いわば買いかえ需要のサイクルの谷間にあるのじゃないかということが一つ。それから、過去の不況期にはこれを回復するようなVTRでございますとかビデオカメラといったような大型商品が出まして、これが不況局面を克服してまいったわけでございますが、今回の不況時におきましてはこれに相当するようないわゆる大型の商品が事実上余り見当たらないわけで、小型のものではかなりヒット商品と言われるものもあるのでございますが、全体を上向かせるようなものがないということが現状でございます。  今後の家電の見通してございますけれども、正直言って、果たして全体の需要を大きく上向かせるような新機軸あるいは新技術の商品がどういったところにあるかという点についてはまだ模索中の段階でございます。例えばハイビジョンが将来普及するというような状態が来ましたり、あるいは一部に言われておりますマルチメディア、まあ情報家電といったようなものが期待はされているわけでございますけれども、まだ価格が高いとか、あるいはそれの普及のためのバックグラウンドが必ずしも整備されていないというようなことを考えますと、現時点におきましては急速な回復というのがなかなか見通しにくいのでございますが、業界の方におきましても消費者の嗜好に即して新しい需要を掘り起こすべく懸命に努力はしているところでございまして、これの回復について、余り急速な回復が起こるというふうな状況にはない、総じてそんなふうな見方をいたしております。
  68. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今局長から個々のセクターについて慎重な見通しの御説明があったわけでございます。私も基本的には同じような見方をしております。自動車、家電産業がかつてのようなリーディングセクターとしての役割を担うことは非常に難しいという感じを持っておりまして、むしろこれにかわる新しいどういうリーディングセクターを見つけるかということが今後の経済成長のために大事じゃないかと思っております。恐らく住宅産業ないしそれに関連した生活関連社会資本というものが、今後の国民生活の質を高めるというニーズが非常に高いことからしても一つの着眼点じゃないかと思っておりますが、そのためには相当な制度改革、土地問題等の解決が必要でございまして、経済成長政策の上からもそういう幅広い視点を持って今後のリーディングセクターを育てていくということが大事じゃないかと思っております。  続いて労働省にお伺いしたいと思います。  雇用調整の問題。今回の不況は既に三年目に入っておりまして、今までのところは各企業は生産調整、在庫調整でしのいできたわけですけれども、もはや持ちこたえられなくなって、昨今雇用調整の動きが非常に活発化をしておりまして、ある意味では非常に不気味な動きである。もしこのまま不況が長引くと我が国経済が戦後経験したことがないような大規模な失業あるいは倒産といった事態もあり得べしという危機感を持っておるわけでございます。また、各企業におきましても百万人の企業内失業といったようなことも指摘をされておりますけれども、最近の雇用調整の実態並びに見通しはいかがなものか。こういった点につきまして労働省から御説明をいただきたいと思います。
  69. 野寺康幸

    ○野寺説明員 雇用調整の問題でございますけれども、景気の低迷を反映いたしまして、雇用の中心的指標でございます有効求人倍率は一段と低下しております。また完全失業者の増加も続いている状況でございます。  それで雇用調整それ自身でございますけれども、労働省の労働経済動向調査、最新時点は二月の調査でございますけれども、それによりますと、製造業全体で四一%という企業が雇用調整を実施しているわけでございます。この数字は円高不況期をしのぐような状況になりつつあるということでございます。特に中高年齢者を対象とした希望退職でございますとか、あるいは勧奨退職でございますとか、そういった手段によりまして今後も雇用調整が続いていくというふうに考えております。  特に今お話ございました自動車とか家電の部門でございますけれども、同じ調査によりますと、輸送用機械では四四%、電機関係では五九%の事業所が雇用調整を実施しているというふうに出ております。また各都道府県から特別にヒアリングをやってみますと、例えば電機産業を抱えます地域で、ごく一部でございますが、輸出増で明るい兆しが見えている地域もございますけれども、全体的には一時休業でございますとか希望退職等で厳しい雇用調整が行われているというのが現状でございます。今後につきましても、景気の動向、一部明るい見通しも出てきたということでございますが、全体として、新たな円高の動きがございますし、雇用の回復は従来から景気の回復に若干おくれるという傾向がございます。そういう意味でしばらくはこういった厳しい状況が続くのではないかというふうに考えております。
  70. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて通産大臣にお伺いをしたいのですが、円高の問題でございます。  今まで円高傾向は一時的と言われておりましたけれども、再びここのところ円高、しかも急激な円高が定着しつつありまして、百十円台、場合によっては百円台まで行く可能性もあるという見方も広がっております。特に我が国一国のみが千三百億ドルを超える貿易黒字を蓄積しておりまして、国際的にも非常にこういった円高傾向へのプレッシャーがあるわけでございまして、我が国としても、特に景気回復において消費もだめ、設備投資もだめ、さらに輸出もだめとなりますと非常に厳しい状況になるわけでございますが、今後のことも考えながらこの百十円に対応した産業政策を進めるべきではないかと思いますけれども、この点につきましていかがでございましょうか。
  71. 森喜朗

    森国務大臣 たしか昨日も当委員会で円高についての御質問がございました。今の委員とは角度が違っておりまして、メリットについての還元論などが出ておりました。そのときも申し上げましたけれども、円高という、つまりこれはまさにそれぞれその国の持っております経済的な要因を反映する市場原理というものを反映していく。したがって、今の円高がこのまま定着をするかどうかということ、これはまだそれを容認するというわけには私どもはいかない、これは委員も十分おわかりのとおりだ、こう思っております。  そういう中で、前回もそうでございましたが、今回もまた次のG7で円高へのそうした話し合いが行われるのではないかとか、あるいは今週にも行われます日米首脳会談等でそういう話が出るのではないかということに対する思惑が働いている。そのほか、いろいろと我が国の経済の要因もいろいろあるだろう、こういうふうな見方ができるわけでございます。  したがいまして、円高をある程度認めるといいますか容認するということは、かなりの、やはり長期の期間がどうしても必要になってまいりますので、現段階におきまして円高に対する対応をきちっととるということは、これはむしろ避けなければならない。実は、きのう新しい経済対策を決定をいたしました。その後の記者会見でも、円高対策が入ってないじゃないかという御指摘がございましたが、今と同じようなことを申し上げておりますが、しかし中小企業対策につきましては、そうしたことも、十分織り込んだことも施策の中に入れてあるわけでございます。  基本的なそういう考え方をこれは改めて委員に申し上げる必要はなかったわけでございますが、八〇年代の半ばからこの円高局面以降、前川レポートなどにも出ておりましたように、輸出指向型の経済構造から内需主導型への転換を今進めてきておるわけでございまして、また、昨年六月に閣議決定をいたしました生活大国五か年計画におきましても、国際的に調和のとれた内需主導型経済構造を定着させることを政策運営の基本的な方向としているわけでございます。昨日の、そうした総合的な経済対策も、まさに内需主導型の経済構造への円滑な移行に持っていきたい、このように考えておることでございます。  最近の円高につきましては、その動向を注視をいたしておるところでございますが、産業政策につきましても、各産業、企業の対応、努力に対する環境整備などの観点から、必要に応じて検討していかなければならぬというふうに思っておるところでございます。
  72. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 では次に、経企庁にお伺いをしたいと思います。  昨日、十三兆二千億円の、見かけ上は大規模な対策が発表されたわけですけれども、真水がどの程度かということはまた別問題なわけでして、子細に検討すると、その効果のほどはまだ評価し切れない点があるわけでございますけれども、今回の対策によりまして、平成五年度の目標成長率三・三%は達成できるのか、あるいはどれぐらい貢献するのか、ひとつずばりお答えをいただければと思っております。
  73. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  昨日御決定いただきました新総合経済対策でございますが、これにつきましては総規模十三兆二千億円ということでございまして、GNPに対する比率がおよそ二・八%程度ということでございまして、その波及効果というものも考えますと、相当程度の効果を我が国の経済に及ぼすのではないか、このように考えているところでございます。  それが実体経済にどの程度影響を与えるかということにつきましては、そのときどきの経済情勢によっても一義的に言えないということはあるわけでありますけれども、今回の対策の規模というものが、総規模では十三兆二千億円でございますけれども、こうした中でGNPベースに置きかえて定量化可能な額というものを基礎といたしまして、波及効果を含めますと、一年間の効果ということで、むしろこれは一つの目安として御理解いただきたいと思いますけれども、名目GNPをおよそ二・六%程度押し上げるといいますか、その程度の規模の最終需要効果を持つ、そのようなものでは。ないか、このように考えております。  そこで、そのような対策と三・三%との関係ということになるわけでございますけれども、この点につきましては、先ほど森通産大臣並びに経済企画庁長官が御答弁申し上げておりますように、まだ予断を許さない状況にあります我が国の経済を、経済見通しが想定しましたような成長経路に持ってまいりますために景気の足取りをより確実なものにしていく、そのためのリスクでありますとか、あるいは不確実性というものを軽減しながら、我が国経済を、内需を中心といたしますインフレなき持続可能な成長経路に移行させることをより確実なものにするという意味で、三・三%という成長率の達成はこのような対策を通じて可能になっていくものではないか、このように考えているところでございます。  もとより、今回の対策の効果の発現というのは、補正予算の成立等を待たなければならない部分が相当あるわけでございまして、直ちに三・三%と、先ほどのような二・六%というような一つの目安とを比較することはできないと思いますけれども、いずれにいたしましても、このような対策を通じまして、我が国の経済を安定的なインフレなき成長経路に移行させていく、そのための大きな政策的支援になる、このように考えているところでございます。
  74. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私どもの試算では、今回の対策では三・三%実質は無理という判断をしております。私どもの試算では、四兆円規模の大規模減税を含めて総額十五兆円の、かなり真水のたっぷり入った規模をとって、やっと三%に到達するかどうかという判断をしておりまして、今回の対策だけでは不十分、たとえ今国会で補正予算が成立をしたとしても無理だろうという見方をしております。特に、大規模所得減税が欠けているのが今回の対策の画竜点睛を欠くわけでございまして、個々の点では評価すべき点もありますけれども、大変遺憾に思うところでございまして、早期に野党が共同提案しておりますような大規模所得減税をすべきである、それを強く主張をしたいと思っておりまして、この点につきまして長官の御意見をまず聞きたいと思います。
  75. 船田元

    ○船田国務大臣 所得税の減税の話でございますが、これも以前から御答弁申し上げておるわけでございますが、確かに今回の景気低迷の大きな特色として、消費がやはり落ち込んでいるということが大きな特徴である、これは言うまでもないことだと思います。  この原因としては、やはり消費性向というものが従前に比べて下がっている、その原因として資産デフレ、それが消費者のマインドを冷え込ませるとか、あるいは耐久消費財をかつてのバブル期においてかなり買い込んだケースがある。そうしますと、家計におけるストック調整というのがまだ終わってないではないか、そのようなこともあるということで消費が落ち込んでいるということになるわけでございます。  これに対して、直接働きかけるものは何か、こういうことを考えるわけでございますけれども、なかなか現段階においてその所得税減税という直接的な刺激を消費に与えるということによる効果というものが、果たしてほかの公共投資の追加なり、ほかの景気刺激策に比べて特段に効果があるものかどうかという点については、なお私どもとしては議論をしていかなければいけない、検討しなければいけないことではないか、こう考えておるわけであります。  それともう一つは、やはり財源ということも当然議論としてはやらなければいけない。赤字国債の発行というものを必然的にこれは表裏一体として考えていかなければいけない。そういうときに、財政の健全性という点からいってどのようなものであるか。さらには税全体のバランスという問題もあるわけでございまして、これはやはり短期的な考え方のみならず総合的、そしてあらゆる角度から検討していかなければいけない問題であろうというふうに思っています。  なお、現在与野党間で引き続き今国会中の前向きの協議ということが続いておるわけでございまして、その状況を私どもとしては注意深く見守っていかなければいけない、こういう気持ちでおるわけでございますが、現段階としてはなかなかこれは難しいことかな、慎重に考えていかなければいけないなということは申し上げざるを得ないと思っております。
  76. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 質疑時間が終了してしまいましたが、最後に森大臣に、前自民党政調会長として、この所得減税につきましての個人的な御見解並びに今回の対策で中小企業対策、十分な対策がとられているかどうか、御所見をお聞きしたいと思います。
  77. 森喜朗

    森国務大臣 中小企業対策につきましては、正直申し上げて、今度の新しい経済対策は極めて細かく、しかも盛りだくさんに盛り込んでございますので、これを申し上げる時間がございませんが、ぜひ御理解をいただきまして、そうしたことも含めていずれ国会での補正予算をお願いすることになると思いますので、ぜひ御協力をちょうだいしたいと思います。  中小企業に対しましては、先ほどから関長官の顔つきを見てくださるとわかるわけでありまして、きのうから非常にいい顔をしておられるわけでございまして、ぜひ御支援を賜りたい、こう思う次第です。  今、昨年のことをおっしゃられたわけで、実を言いますと、これは委員会の席で申し上げるのはどうかと思いますが、私は当時政調会長として総合経済対策をつくりましたときの反省が一つございます。それは、やはり補正予算を早くやっておけばよかったなというのが私の反省なんです。端的に申し上げて、当時財政当局と大分やり合いました。しかし、円高のときも大蔵省は十月三十一日だというふうに言っておりまして、それ以上早めるということは適当ではないというお考えでございまして、つまり、特に人事院勧告もまだ出ておりませんし、災害というのもございますということでありました。  そこで、私は、これは恥じ入っておるわけですけれども、妥協と言うと変でありますが、そのかわりすべてのことをいろいろな意味で大幅に盛り込んだものにしていただきたいということで実はああした対策をしたわけでありますが、考えてみると、やはり補正予算をできれば九月か十月に国会を開いておればちょうど一番大事な十、十一というところに、いささか国会の事情もございましたけれども、補正予算がおくれた。そのことが先ほど船田長官からもお話しのとおり、十−十二月のQE、あるいはこの一−三月のQEはもちろん六月でなければ出ませんけれども、そういうところに必ずしも肌で感じた景気の回復が見られないというところも、そこにあった多くの要因の中の一つではないかなというふうに思っております。  そういう意味で、私、今度通産省に入りまして、国会審議という予算審議の大事なときでございましたが、どちらかといえば私は積極的に補正予算らしきことを答弁の中で申し上げて、普通ならこんなことをやったら国会で怒られるところでございましたけれども、ここは今の景気、経済というものを与野党ともに非常に大事に見ていただいてくださった、その一つの大きなあらわれが二十二年ぶりに年度内の予算編成が成立したということもそうだったと思います。  そういう意味で、私は就任早々、事務次官以下、次に何をなし得るのか、うまく進まなければどういうことがあるのか絶えず考えておくようにということを指示いたしました。その結果、先ほど長官からもございましたように、これから後のことも十分考えて今の経済対策をつくったというのはそういう意味があるわけでございまして、総合経済対策への裏打ちの補正予算、さらに年度内に成立いたしました五年度の予算、そうしたものは必ず効果を上げてくるだろう、こう思っておりますし、さらに昨日決定をしました考え方経済界、産業界あるいは国民の中にもいい方向でのマインドが出てくるということも期待しておるわけでありまして、そういう意味で、所得減税は先ほど申し上げたように大がかりであればあるほど財源を赤字国債に頼らざるを得ないことになるわけでございまして、そのことがいいか悪いかということの判断よりも、速効性のある景気回復の数字を期待した方がいいのではないかというのが私どもの考え方でございます。しかし、先ほど船田さんもおっしゃったとおり、与野党間で十分このことについては今国会中で御協議をいただくことでございまして、その推移を私どもは見守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  長くなりまして恐縮でございます。
  78. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 以上で終わりますが、大規模減税に向けての両大臣の御尽力を心から期待をしたいと思います。  残余の質問につきましては、時間の都合でできませんでしたので、あしからず御了承いただければと思います。  以上です。
  79. 井上普方

    井上委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会      ————◇—————