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1993-02-24 第126回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 井上 普方君    理事 井出 正一君 理事 金子 一義君    理事 額賀福志郎君 理事 山本  拓君    理事 竹村 幸雄君 理事 安田  範君    理事 遠藤 乙彦君       甘利  明君    衛藤征士郎君       尾身 幸次君    奥田 幹生君       古賀 一成君    古賀 正浩君       田原  隆君    谷川 和穗君       中島洋次郎君    真鍋 光広君       増田 敏男君    江田 五月君       大畠 章宏君    後藤  茂君       清水  勇君    鈴木  久君       武藤 山治君    安田 修三君       吉田 和子君    和田 貞夫君       長田 武士君    春田 重昭君       小沢 和秋君    川端 達夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君  出席政府委員         公正取引委員会 小粥 正巳君         委員長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局経済部長         通商産業大臣官 清川 佑二君         房審議官         通商産業省産業 熊野 英昭君         政策局長         通商産業省立地 堤  富男君         公害局長         通商産業省基礎 牧野  力君         産業局長         通商産業省生活 高島  章君         産業局長         工業技術院総務 松藤 哲夫君         部長         資源エネルギー 黒田 直樹君         庁長官         資源エネルギー         庁長官官房審議 末広 恵雄君         官         資源エネルギー 林  康夫君         庁石油部長         資源エネルギー 稲川 泰弘君         石炭部長         資源エネルギー 荒井 寿光君         庁公益事業部長         中小企業庁指導 三田 義之君         部長  委員外出席者         運輸省運輸政策         局総合計画課エ 福本 秀爾君         長         建設省住宅局建 羽生 洋治君         築指導課長         自治省財政局公 坂田 隆史君         営企業第二課長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  エネルギー需給構造高度化のための関係法律の  整備に関する法律案内閣提出第一六号)  エネルギー等使用合理化及び再生資源の利  用に関する事業活動促進に関する臨時措置法  案(内閣提出第一七号)      ――――◇―――――
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出エネルギー需給構造高度化のための関係法律整備に関する法律案並びにエネルギー等使用合理化及び再生資源の利用に関する事業活動促進に関する臨時措置法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  3. 金子一義

    金子(一)委員 我が国は、元来脆弱なエネルギー供給構造にある中で、最近における国内及び途上国中心とする海外におけるエネルギー需要の増大、こういったような事態というのは、我が国エネルギー需給の安定に大きな影響を与える可能性を秘めておると思っておりますし、また加えて、近年、地球環境問題への国際的な認識が非常に高まっている。そういうエネルギー問題だけでなく、さまざまな環境問題としても大変緊急な取り組みを要する問題であると思っております。  ただ一方では、七三年オイルショック以後、いわば市民権を得ました省エネというのは既にもう死語となってしまっている感も非常に強いと思っておりますし、また、非常にエネルギー需給も安定をしている。電力も非常に低位な価格で推移をしてきている。そういう中で、環境問題、経済成長、そしてエネルギー需給安定、三つを一緒に、整合的にこれに取り組んでいこう、かつ、個々企業、また、消費者国民全員に真剣にこれを継続的に取り組んでもらおうというのは、ある意味で大変難しい課題でもあるかと思っております。  そういう中で、まず通産省に、世界全体のエネルギー需給見通しと、そしてまた、我が国の今後のエネルギー需給見通しについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
  4. 黒田直樹

    黒田政府委員 世界全体のエネルギー需給状況、あるいは我が国状況ということでございますけれども、まず、世界エネルギー情勢でございますけれども、現在のところは比較的、表面波静かという感じがあろうかと思うわけでございますが、今後、世界エネルギー需要、例えば、国際エネルギー機関、IEAの予測によりますと、二〇〇五年時点まででございますが、一九八九年に比べまして、発展途上国エネルギー需要の急速な伸びというものを背景といたしまして、大体一・五倍ぐらいになるというような見通しがあるわけでございます。  今申し上げましたように、この大きな要因は、発展途上国経済発展あるいは国民生活の向上に伴いましてエネルギー需要が大幅に伸びていくということでございまして、発展途上国の場合には、今申し上げました、一九八九年から二〇〇五年までの間に大体一・九倍ぐらいになると予測されているわけでございます。他方で、先進国の場合には一・二倍ぐらいということでございまして、両者総合いたしますと一・五倍ぐらいになるというような見通しがなされているところでございます。  他方供給面でございますけれども、これはいろいろな供給源があるわけでございますが、特に、国際的なエネルギー供給の中で今なお一次エネルギー消費の約四割を占める石油について例えて申し上げますと、御案内のようにこのところは国際石油市場は比較的需給がバランスしている状況かと思うわけでございますけれども、例えば、御承知のように、旧ソ連地域における石油生産というのは、この数年、大幅に減退してきているわけでございます。  また、世界石油需要伸びてまいりますと、石油埋蔵量の三分の二というのは中東地域に集中いたしておりますので、また石油中東への依存というものがどうしてもやはり高まっていく状況にあるわけでございます。御案内のように、中東の場合にはいろいろ、経済的あるいは社会的あるいは政治的な不安定な要因も抱えているわけでございます。そういったことから、石油につきましても改めてこの中東への依存度が上昇していくということになりますと、そういった不安定な要因を内蔵しているということは言えるのではなかろうかと思うわけでございます。  また、例えば世界の一次エネルギーの二割強を占めます天然ガスの場合でございますけれども、こちらの方も世界需要が徐々にふえていく中で、本来天然ガスの場合には中東依存ということではなく、供給源が比較的分散はしているわけでございますけれども、需要伸びに応じましてだんだん開発条件というものが厳しくなってきている。例えば、非常に極寒の地域であるとかいったように開発条件が厳しくなっている、あるいは天然ガスは産出するんだけれども、あわせて炭酸ガスが非常に悪い地域とか、だんだん開発条件が厳しくなっているような状況にあるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたこれからの大幅な需要伸びに対応していくためには、中長期的な国際エネルギー情勢というのは一段と厳しくなっていくのではないかというふうに予想されているところでございます。  一方、我が国状況でございますけれども、もう申し上げるまでもないことでございますが、エネルギーの大宗を海外からの輸入に依存しているということでございまして、極めて脆弱なエネルギー供給構造であるわけでございます。二次にわたるオイルショック以降、石油への依存というのが当時八割弱であったものが、省エネルギー推進あるいは代替エネルギー推進ということで石油依存度の減少、つまり一つエネルギーに過度に依存する体質というのは徐々に是正されてきているわけでございますけれども、なお今、依然として五十数%、六割弱が石油依存している状況でございまして、今後やはり引き続き需要の面で省エネルギーを進めると同時に、供給構造の面でも、今申し上げました一層の石油依存度の低減、それから今、金子委員からおっしゃいましたように、最近では地球環境問題といった大きな問題も出てきているわけでございますので、そうしたものに非常に配慮しながら、非化石エネルギーウエートの上昇といった面でエネルギー需給構造を改善していく必要があると考えているわけであります。  また同時に、依存度が減少したとはいえ、例えば、石油の場合にもなおかつ五十数%の依存をいたしているわけでございますので、個々エネルギー源についても、例えば今申し上げました石油について申し上げれば、安定供給を確保する観点から、産油国との連携を強化するとか、石油備蓄推進するとか、あるいは石油自主開発推進するとか、諸般の対策を講じていく必要がある、こういうふうに認識しているところでございます。
  5. 金子一義

    金子(一)委員 今回の法案背景となりました、昨年の十一月に出ました産業構造審議会等々のいわば昨年の答申環境保全成長そしてエネルギー需給安定、これを取り組んでいこう、方向として、今度の法案でこれを実現するために、自主的な積み上げ、そうしてそれを支援していこう、こういう方向が出たわけでありますけれども、答申議論の中では、課税による方法というのも議論されたやに拝読をしております。いわば環境税という問題であります。これについて、学者、エコノミスト、まあ学者でも一橋の石先生といったような方もこういうものを非常に強く主張されておられる。こういう意見もあるわけでありますけれども、今回そうでないもう一つ方法、つまり自主的に積み上げて削減の努力をしていこう、また、これを支援していこうという選択をされた背景、これは簡単で結構でございます。それから、世界の中でもいわゆる炭素税ということを実施されている国が、ノルウェー、スウェーデン等々既にあると思うのですけれども、この中でちょっと絞りまして、EC委員会がかつて提案されたのですが、最近の状況ECの統合とあわせてどういう動きになっているのか。もう一つアメリカクリントン大統領が今度石油増税を発表されましたけれども、これと環境との関係をどういうふうに理解をされているのか。ポイントだけで結構でございますので、お願いをいたします。
  6. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  この炭素税というのでしょうか、環境税の問題につきましては、いろいろ議論があったわけでございます。こういう形で地球温暖化にどのように対処するかという手法を、昨年通産省でも三合同審議会を開きまして、いろいろ勉強したわけでございます。  それで、大きく分けますと三つ分類になっております。一つは数量的な規制をするというような規制的な手法、それから税・課徴金によるような手法、それから助成的手段によるような方法三つ分類をしたわけでございます。  数量的規制というのは割り当てをするということでございますが、残念ながら従来のNOx、SOxのような公害問題と異なりまして、排出の中から炭酸ガスを取り除く技術もないというような状況の中で規制をするということは非常に大きな市場介入になると同時に、これを監視するだけでも大変なコストになるというようなことから、規制的措置というのはなかなか難しいのではないか。  それでは税・課徴金による手法はどうかということでございますが、ここで考える場合には規制代替になるような、炭酸ガスを抑制するような手法ということでありますので、おのずとその税の率は、特に日本のような省エネ先進国におきましては非常に高くなる。場合によりますと、エネルギーの倍ぐらいの一〇〇%とか一五〇%の税をかけないと、これは抑制する効果がないのではないかという考え方もございますので、かけるとなると非常に高率になるということがございます。それから、後で御報告させていただきますが、一カ国のみで炭酸ガスの問題をやりましても、日本は、きのうの御審議にもありましたとおり世界の四・七%の炭酸ガス排出量でしかないわけでございまして、そこ一カ国だけでやることについてはかなり問題があるのではないか、そういうことをいろいろ研究をしないといけないし、さらに高率な税を課すと日本産業に大きな影響があるというようなことになるのではないかということで、さらに継続的に検討をしようという考え方になっております。  助成的手法については、いろいろな国で同様な手法をやっておると同時に、今までもこういう手法はとったわけでございます。特に今回の場合には、事業者に対してこれをやっていただくという意味では今回の法律の二つの、管理的な手法と助成的な手法を兼ね合わせたような、車の両輪となって企業の自主的な努力を促すというような体系がこの炭酸ガス地球温暖化問題に対処するのには一番いいのではないかという考え方で、今回の法律、二法の形になったわけでございます。  諸外国状況、特にECの御質問でございましたけれども、ECの方でも、これは主として炭素税というよりはややエネルギー税に近い形ではございますけれども、そういうものをEC委員会提案がありました。しかし、これはEC委員会提案ということでとまっておりまして、これが各国でどうなるかという状況は、提案された当時よりも経済情勢が非常に悪化しておる、特にドイツの情勢が悪化しておるというようなこともございまして、全体としては非常にネガティブでございますし、さらに、ほかの国がやることを条件とするということをECの場合には特に明記をしておるわけでございます。  最後の御質問でございますが、アメリカエネルギー税は、これは大統領提案をしたわけでございまして、これから実現までには紆余曲折がございます。しかし、このエネルギー税というのは、それではここに言う完全な意味での経済的手法あるいは環境税そのものかというと、いろいろ定義的にいきますと、炭酸ガス排出することを専ら目的としたものではないということもございまして、まず環境税の範疇に本当に入るのかどうかという議論が必要かと思います。  さらに、これはエネルギーとして、負担の状況を見ますと、現在の日本アメリカエネルギーに対する課税の問題でいきますと、現在の状況アメリカは六分の一くらいの課税の率でございます。今回もしクリントン大統領提案が、そのまま実行されるかどうかというのはこれから紆余曲折があるわけでございますけれども、されたとしても、まだ日本エネルギーに対する課税から見ますと、二・三分の一くらいではないかという推察もございます。  したがいまして、これが本当の意味での環境税そのものになるかどうか、それから、アメリカが今までおくれていたものを今追いついてくる過程にあるのではないかという考え方を持っておるわけでございます。簡単でございますけれども……。
  7. 金子一義

    金子(一)委員 この炭素税もしくは環境税議論というのは、お話がございましたように全世界共通議論であると思っておりますし、また、我が国も現状では国民のコンセンサスというのはとても得られるという状況ではない、そういう時期が来たときにまた改めて議論をさせていただきたいと思っております。  もう一つ原子力の話なんであります。  これについて、昨日、先輩の江田委員からもお話が出てまいりました。赤松書記長の最近の御発言で、既存の原子力発電所更新について新規建設を認めるという御発言、まあ更新を認められる。今までの議論原発に一〇〇%安全はない、危険である、こういう非常に情緒的な取り上げ方をされてきた。私は時々これは言っているのですけれども、ちょっと余談ですが、明治維新の直後、これは文明開化のときでありますけれども、そのときのエピソードで、当時庶民火打ち石を使っていた。ところが、外国人マッチを普及させようと申し込んできた。その外国人マッチのことをファイアと言ったのです。そうしましたら、通訳が非常に御丁寧にファイアもと、つまり火事もとマッチ火事もとだ、こう訳しちゃったものですから庶民はびっくりしちゃいまして、そんな江戸の花のもとになるものが使えるかというのでマッチが全然普及されないで庶民は依然火打ち石を使ったと、こういうエピソードがあるのであります。言葉というのは生きているんだろうな。ですから、原発に安全はない、危険であるというふうにあおられていきますとそれ自身が言葉として生き続ける。そういう意味赤松発言について、昨日大臣も、政治家として将来を見据えた勇気ある発言という評価をされましたし、また江田委員も、自由濶達国民議論としては非常にいい発言であるという評価をされていたことに対して、私も非常に意を強くしたところであります。  ただ、需給見通しで、一九九〇年の需給見通し原発、二〇〇〇年には五千五十万キロワット、二年前の需給見通しては立てられているわけですけれども、現実に建設され、稼動されて、稼動が見込まれているもの、これを見ますと、稼動四十一基、二〇〇〇年までに稼動してくるのを含めて四千六百万キロワットということが見込まれているようです。そうしますと、どうも原発換算でいいますと百万トンクラスが四基ないし五基ぐらい、二年前につくられました計画に比べておくれているのか、そうすると、その分需給見通しが、ちょっとエネルギー全体として不足してくるのか、その分、では化石で賄うのか、こういう話になってくるのかと思うのですが、ちょっとそれを、簡単で結構でありますので、お願いいたします。
  8. 黒田直樹

    黒田政府委員 御指摘のとおり、二〇〇〇年度の目標は五千五十万キロワット、現在までに運転中、建設中、それから着工準備中の原子力発電所は、合わせて四千六百万キロワットということでございまして、このまま推移いたしますと、おっしゃるように四百万キロワット強不足するという形になります。(金子(一)委員「その分は」と呼ぶ)その分は、したがいまして、もちろんこれは、そのときの需要がどういうレベルかということになろうかと思いますが、ほかの電源ということでございまして、化石燃料なりあるいは水力なりといったほかの電源で賄われることになろうかというふうに考える次第でございます。
  9. 金子一義

    金子(一)委員 冒頭に申し上げましたように、とにかく七三年直後はともかくとしまして、いわば石油というエースがいた。野球に例えますとエースがいたものですから、余りそう心配ない。大体そのエースに任せておけば試合は勝てたという状況が続いてきたのだと思うのですけれども、どうも今の環境問題、それから先ほど冒頭にいただきました北海油田はどうも危ない。東南アジアを中心として後進国もこれから七倍のスピードで使ってくる――一・九倍だったですかね、それから、ソ連もこういう状況ですから、当然ソ連供給量というのも相当に低下してくる、そういうような問題。それから、環境問題というのでいわばエースがちょっとひじが痛くなってきた、こういう状況かという気もしているのですけれども、一方で原子力大変大型新人、これは中継ぎなのか完投型なのか議論が分かれるかと思いますけれども、風子力を監督が起用しようとすると、やはりスタンドからやじも飛んでくる。ちょっとチェルノブイリでは大暴投もやらかしてしまったのか、こんなことだと思いますけれども、これ、大型新人を育てなきゃいけない。  一方、ほかの新人ですね、有力ないわば新エネルギーと言われるものについて、太陽熱関係地熱関係、幾つかあるかと思うのですが、これも簡単で結構でございます、どんな開発状況なのか、どの程度でめどがつくのか。この中に長嶋一茂、いるのですかね、教えてください。松井選手
  10. 黒田直樹

    黒田政府委員 電源供給構成の将来見通しに関する御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように諸要請を考えますと、やはりできるだけ非化石燃料ウエートをふやしていくというのが大きな方向になるわけでございまして、そういう観点から申し上げますと、今金子委員おっしゃいましたように、原子力中継ぎとおっしゃったわけでございますが、既に我が国発電の二七、八%を占めているわけでございまして、立派なエースになっていると、ますますその重要性は高まっていくものと私ども認識している次第でございます。  ほかの非化石燃料供給源の問題でございますが、御承知のように、水力地熱あるいは新エネルギーといったようなところがあるわけでございます。水力につきましては、なおいろいろ一生懸命開発促進努力を行っておりますけれども、これは非常に小さくなっていく、もう開発の余力は小さい。地熱も一生懸命やっておりますけれども、これもそれほど大きな供給力はない。それから、新エネルギーにつきましては、技術開発あるいは実用化に向けての努力というのを一生懸命やっているわけでございますけれども、どうしても当面は経済性の面でまだまだ相当劣るということ、あるいは量的な規模あるいは自然条件に左右されるといったようないろいろな問題もあるわけでございまして、引き続き努力はいたしますけれども、ウエートといたしましては、どうしても原子力に期待していかざるを得ないというのが実態ではなかろうかと思っている次第でございます。
  11. 金子一義

    金子(一)委員 原子力の昨日の議論に戻りますけれども、そういうことで江田委員だけではなくてほかの方からも、同僚議員からも学校教育をやろう、そして、学校でこういう原子力というものを現場に行って見てもらおうよというような御提案があったと私は理解しているのですけれども、そういうことでこれからもいわば安全性、もちろん講じていかなければなりませんけれども、育てていっていただきたいと思っております。  さて、エネルギーの、今回の法案の中でいろいろ省エネルギーを進めていこう、そういう中で産業、民生、運輸、これはいろいろ法案で盛り込まれておりますけれども、結構大変だ、産業部門エネルギー消費全体で五二%を占める。これの部分のエネルギー消費、このまま伸びると大変だからと、何%エネルギー換算で削減しよう、こういう御努力をされていますけれども、これはきのう局長がGNP原単位生産の原単位で直しますと三六%、七三年から進んできたのとほぼ同じ程度をこれからもやるのだというお話がきのうあったのですけれども、その実績があったじゃないかとおっしゃられたのですけれども、産業部門はかなりぞうきんをぎゅっと絞ってこられた。鉄鋼で言えばもう一トン当たりのエネルギー単価、二〇%削減させてしまった。自動車の鋼材使用量も三割削減させてしまった。新幹線の新型車両、あれの重さも六四年に比べて七割にしてしまった。橋梁関係もそうなんですね。東京タワー、あれは四千トン鉄鋼を使っていますけれども、今の技術でいえば三千トンでできてしまう、そういうことでかなり絞ってきている。一方、これからさらに頑張っていこうということになりますと、一方で環境として大変な障害ができてきているだろう。  ある会社のボランタリープランというのを、ちょっとお話を伺ってみたのですけれども、今まだ夏の冷房を十分入れていない。作業環境を改善していかないと人手不足で大変だ、作業環境の改善。それから、やはり省力化投資をしなければいけない、ロボットを入れなければいけない。ところが、ロボット一台一千万するのですけれども、従来は二交代でやりましたから、いわば二人分の効果があった。ところが、これ、今は昼間の一交代といいますか昼間だけ、そうすると、今まで省力化投資、大概ロボットを入れますと二人分の効果があったのですけれども、今一人分になってしまっている。それから、当然千八百時間のいわば労働短縮という問題、そういう中でも、しかし頑張らなければいけないということで、毎年一%ずつ原単位生産単位を減らしていこう、十年で一〇%、そのための省エネ投資をどの程度やらなければいけないか、試算してみたら十年間は全部試算できないけれども、当面三年間計画してみましたら、全体の設備投資の四〇%の省力化をやってようやく原単位での年一%弱の低減ができそうだ。これは全体の設備投資をやって四割も省エネ投資をやらなければいけない。これは大変だ。そういう中で、拝見しますと、今回いろいろ施策を講じていただいているのですけれども、既存設備の廃棄をどうしてもどこかで進めていきませんと省エネという意味での効果はなかなか上がってこないようです。だから、今いろいろ施策を挙げていただいていますけれども、課題としまして、特別損失というものをどこかで検討していただかなければいけないのではないか。ぜひやってほしい。低利融資、今かなり安い金利が出ております。これもいいのですけれども、そういう特別損失が必要だ。  それからもう一つ、これは別の会社なのですけれども、今度はコジェネレーションというのを一つのポイントに、つまり、個々の設備、機械から、全体として面的に省エネシステムを進めようという今回の方向だと思うのですけれども、ところがある会社の場合、都市ガス地域とLPG地域と同じ工場の中で二つに分かれてしまっている。そうすると、LNGとLPG、これは容量が違ってくるものですからコジェネレーションをやろうかと思ってもなかなかやれない。これは、こういうところがなかなか難しいね。ですから、今回、全体の省エネをやる努力を阻害する要因を排除する仕組みの整備もうたっておられるわけですから、こういう点も検討していただければ、きょうお答えいただくのは難しいと思いますので、それもぜひお願いを申し上げたいと思っております。  それからもう一つ、フロンの問題なのですが、これも大変なのです。  今までフロン設備というのは五・五メーターぐらいの、五メーター強ぐらいのスペースで済んだのですけれども、フロンをやめまして水系の洗浄装置でやりますと長さが六十メーター要るわけです。六十メーターかかりますと今までのスペースでは足りませんから、全然別のところにレイアウトする。そうすると、部品を買って、六十メーターのところまで、新たなところまで洗いに出す。それを元に戻して、それからまた加工したり組み立てたりするということで、大変行ったり来たりが出てくる。洗浄時間も、今フロンでやりますと一分、水系で洗いますと十倍の十分強かかるといったようなことで、なかなか大変だな。  ただ問題は、フロンを使っているのは、ユーザーの七割がどうも大企業みたいですね。ところがもっと問題なのが、いわゆるトリエタンで洗っているもの。これは逆に大体七割が中小企業で使われている。ある靴の下請メーカーなのですけれども、工場が下町で、住宅街に密接している。さっきも申し上げましたように、水系の洗浄装置はスペースが非常にかかりますので洗えない、使えない。今までだったら本当に狭いところで済んだのですけれども、そういうスペースがとれない。ではアルコール系にかえようかと思ったら、消防法でだめだと言われてしまう。これは困ったねという話がありましたし、それからもう一つは、水系で洗浄いたしますと、水には表面張力があるものですから非常に細かいところ、例えば針の穴みたいなところは表面張力が邪魔してしまって洗えない。仮にそこを洗ったとしても、それを乾かさなければいけない。乾かしているうちにさびてしまうということが出てくる。もう一つは、水系で洗いますと、結局洗い流した後の水質汚濁の問題、これは防止装置をつけなければいけないよ。だから、トリエタンで切りかえると、そういうような設備の問題、スペースの問題と同時に、最後の公害防止の、水質汚染の設備までやらなければいけないねというので、本当に大変だね。しかも、水系で使いますと当然電力消費も大きくなりますから、トリエタンをやめてしまって電力を使うと、これが本当に地球に優しいという話になるのかねと言って、中小企業の皆さんからもいろいろ出てくる。こういう問題がフロンに絡んでトリエタンについても、トリエタンの方がかえって大変だろう。  しかも、もう一言言わせていただきますと、これはたしか九五年までにやめるのですね。そうだったですね。そうすると、この三年間で全部需要を切りかえなければいけない。三年間で需要を切りかえますと、全体でどのくらい需要があるかというと、まだよくわかっていないらしいのですけれども八万台から十万台切りかえなければいけない。ところが、これをつくっている業者が全国で七十社あるのだそうですけれども、年間の供給力というのが今のところは全体で一万台ぐらいしかないらしい。そうすると、八万台、十万台というのが本当に九五年までにちゃんと達成できるのだろうか。こういう切りかえの問題というのもどうも出てきそうだ。  そういう問題があるものですから、産業界全体のぎゅっと絞る話、そういうフロンの話、こういう問題、通産省いろいろ取り組んでおられると思いますけれども、これも簡単で結構でありますから、一言コメントがありましたらお願いをいたします。
  12. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  実際の状況、現場の状況を踏まえて御質問でございますので、我々も大変勉強になりました。今回の支援法の支援措置というのは、我々もそういう御苦労を想定しながら大変レベルの高い支援措置にしておるわけでございます。利子補給をするということも実は大変なことでございますし、設備を導入する際の税額控除もなかなかこれは一般的には広く認められている制度ではございませんけれども、そういう支援のレベルとしては大変高いものをお願いしておりますのも実はそういう背景を理解してのことでございます。  今お話のありましたそれぞれの業種の御苦労、その需給関係、あるいは設備の需給関係等につきましても、実際の運用の段階ではぜひ十分配慮してやらせていただきたいと思っておる次第でございます。
  13. 金子一義

    金子(一)委員 ぜひそういうような点に御配慮いただきながら、当然やっていただいていると思 いますけれども、さらにお進めいただきたいと思っております。  また、もう一つ、民生用ですとか運輸部門、これは民生用なんですけれども、どんどん需要がふえてきてしまっているし、多分これからも、女性の社会進出ですとかお年寄りがふえるということで、さらにふえる。こういう中で今度の中では、特定機器の中に、原単位どのくらいかかりますよ、例えばクーラーなどおやりいただくようでありますけれども、クーラーは一体どういう表示になっているのかと思って私、電気屋さんに行きましていろいろパンフレットを見てきたのですね。そうしましたら、八畳用十五万円、消費電力八百ワット。一時間当たり幾らというのがちょっと書いてないのですね。なかなかわかりにくいのですが、私も初めて勉強したのですけれども、八百ワット消費電力、二十四円で計算しますと一時間十九円、大体そんなものでいいのでしょう。これはずっとつけっ放しにしておくと値段がまた下がっていきますから多少は下がるのでしょうけれども、一時間十九円といいますと、ああそんなに高くないのかな。いや、そうなんですよ、あら余り高くないわね。これは月間に直しますと、一日十時間つけてくると四、五千円かかってしまう。四、五千円かかってしまうと結構高いのだろうなと思うのですけれども、時間当たりだとそうそう高いと感じないみたいなんですね。米の例がそうなんですね。米というと通産大臣も専門でありますけれども、主婦の皆さん十キロ単位で買う。十キロで五千円とか六千円というと米高いわねと言うんですけれども、あれ、ちょっとかみ砕いて、じゃお茶わん一杯幾らとこうやりますと二十円か二十五円換算になるんですよね。で、一日一杯、今都会の方せいぜい二杯くらいきり食いませんから、そうすると主食の米五十円。五十円というと、まあ主食でもって五十円というとそう高くはないわね、だけれども全体として、確かに米屋さんで十キロ五千円、六千円というとあら高いわねと言うんですけれども、そんなことで表示つけてもう単位当たりでこれを見てくるとそう高いなという感じがやっぱりしない、そうですよね。六十三年以降たしかまだずっと今電力、価格据え置きだったですよね。そういう状況ですから、なかなかそう高いと感じない。ちなみに冷蔵庫は幾らかと私ちょっとまた調べてみましたら、月間で八百四十円になっているんですよね、月八百四十円。余り高くない。案外これも安いんですよね。  そういうことで、さらに豊かな生活を実現しょう、こういうことですから、こういうやはり一部屋ごとにクーラーつけましょうみたいなことをこれはなかなか言えないんだろうな。しかも七三年以降の省エネ、ここのところで非常に燃料効率というのも上がってきている。エアコンは七三年一〇〇とするともう今は五七くらい、冷蔵庫も三分の一くらいになっちゃっている、こういう話なんですよね。そういうことになりますと、今電力が非常に安い中で、しかも豊かな生活を目指そうと言っているものですから、なかなかそれを我慢しろと言ったって長続きはしないんだろうね。ですから、こういうような状況の中で民生用、住宅関係、ビル関係も、いわば新しいものについてはいろいろ規制かけていこうというわけですけれども、既存のものは必ずしもまだ全部が厳しい規制がかっているわけじゃありませんから、これは案外なかなか難しいのかな。  運輸部門もいろいろ輸送機器、自動車ですとか燃費効率というのを向上させようというような御努力をされていると思うんですけれども、運輸部門、どうなんでしょうね、やはりこれは省エネを考える上でいろいろ御提案されたもの以外に、全体の運輸効率を向上させる仕組みというのはやっぱり全体としてつくっていかないと、単に輸送機器単体の燃費効率を向上させるということだけじゃなくて、それを実現する社会の構造というのをこれはつくっていかなくちゃいけないんじゃないのかな。特に、よく言われますのが渋滞と炭酸ガス関係。今、都内の平均速度、皆さん時速十八キロで走っている。これをあとたった七キロ速く走れるようにする。まあ二十五キロですけれども、七キロ速く走れるようにしていけば炭酸ガスは二割排出量が減ってくる、二〇%。大きいですよね。もうさっきの産業界をぎゅっと絞るよりもそういうような速度を上げてくるというのは大変大きな要素なのかな。  もう一つ、積載効率というものでありまして、今、都内の小型貨物、あれ、積載効率、昭和四十五年が三割、つまり三台に一台は空で走っていた。ところが、もう最近どんどんどんどんそれが進んじゃいまして、平成二年ですけれども、積載効率、都内を走っている小型の貨物車ですけれども、これは一八%に落っこっちゃった。ということは、逆に言えば、要するに都内を走っている小型車は五台に一台だけ荷物を積んでいる、あと四台は空車で走っている、こういう話でありまして、そうするとその四台は都内平均速度時速十八キロメーターですから、CO、もえらいまき散らしてこうやって走っている。こういう状況というのはやっぱりつくり変えていく。そのためにこれはただ東京、大阪ですとか、例えば大臣の地元の金沢、小松、こういう大型普通貨物、これで積載量七割積んでいる。  あと長距離で、じゃ鉄道と自動車がどっちが有利かみたいな議論も既に行われておりますけれども、長距離になりますとトラック、鉄道と余り効率は変わらない。例えば、一キロメーター一トン運ぶのにどのくらいのエネルギー、キロカロリーが要りますかというと、長距離の場合にはトラックで百三十キロカロリー、鉄道ですと百二十キロカロリー、こんな状況のようでありますけれども、いずれにしましても、そういうことで鉄道、トラック、それから人の問題もありますけれども、そういうような空港、駅、港、そういうもののアクセスみたいなものを含めて、そして東京だけじゃなくて地方都市も含めましたいわば流通基盤整備みたいなものをつくっていく。こういう建設省のモーダルミックスですとか運輸省もモーダルシフトという、いろんなあれもありますけれども、そういう社会資本整備というもの、それから流通、都内に入ってくる前にいわゆる物流基地をつくって、そして小口に仕分けして都内の先ほどの積載量を減らしていくといったような、こういう長期的な課題というのに取り組んでいきませんと民生用、運輸用というのも、民生用というのは特に運輸用でありますけれども、大変なかなか難しいのかな。いろいろ御質問もあるんですけれども、その中で通産省も物流についていろいろお取り組みになっているとお伺いしているんですが、簡単で結構でありますのでちょっとお願いいたします。
  14. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 先生の御質問大変広範な御質問でございますが、確かに炭酸ガス地球温暖化問題を考えていきますと、我々の文明がいかにあるべきかというような非常に大きな議論になるわけでございます。ただ日本の今の状況を見ますと、一人当たり二・五六トンの炭酸ガス排出量でございますが、これはアメリカの五トンとかカナダの五トンあるいはドイツの三トンなどと比べますとかなり効率の高い社会であるわけでございまして、確かに今の御指摘のように幾つかのむだがまあ炭酸ガスの面から見てあるわけでございますけれども、そういうものをどう直していくかということを考えつつも、また現在の日本状況は非常にトップレベルにあるということも御認識いただければと思っております。  一方で、この炭酸ガス問題というのは今は二〇〇〇年において一九九〇年と同じにするという安定化の問題というふうにとらえておりますが、実は世界の問題で考えていきますとこれは大変な問題でございます。今ざっと計算しましても世界じゅうで百三十億トンくらいの炭酸ガスが出ておりますが、ほうっておきますと百年後にはこれが三百四十五億トンぐらいになるという、三倍くらいになるわけでございまして、学者はどうしろというふうに言っているかというと、これを約五十億トンに減らしてほしいということを言っているわけでございまして、地球温暖化の二〇〇〇年安定化というのはある意味で一里塚でございまして、将来百年後を考えますとこれを八分の一くらいにしなければいけないという非常に厳しいことでございます。そういう意味では日本の社会をどうするかという問題に加えまして、我々も地球再生計画という名前で出しておりますけれども、この将来五十億トンにする社会というのはどうしたらいいかということもあわせて頭の中で考えなければいけないと思っております。そういう意味では日本省エネあるいは炭酸ガスの最低の量で最高の成長ができるということの模範例をつくらなきゃいかぬと思っていますし、その技術世界に広めていくということも非常に重要なことではないかと思っております。  その中の一つとして御質問ありました流通問題につきましては、確かに物流という問題はソフト、ハードの両面から問題がございまして、積載量の低下というのもいわば発注形態というソフトの面からもアプローチをしなければいけないという問題もございます。一方で、現在あります都内に大型車が走っているという状況を少しでも減らすためには中間基地で積みかえをして小口で配送するというような形に直すことも一つの物流合理化ではないかということでございまして、今回の国会におきましてぜひ物流合理化の問題につきましても通産省としては御提案をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  15. 金子一義

    金子(一)委員 大臣一つお願いを申し上げます。  七三年オイルショックを契機としましたこういう石油価格の高騰というのはいわば非常に単純明快、わかりやすい、価格機構を通じてそしてそういう省エネ代替エネルギーというのが進んできたと思っております。  ただ、冒頭に申し上げましたように、今のような状況の中で、これは一生懸命取り組んでいただいていますけれども、啓蒙という言葉、残念ながら少々死語になりかけてきている。そういう中で、今お話しいただきましたように、地球環境問題、炭酸ガスといったような問題、ですから、いわばこれからやろうとしている省エネというのは前回とは大分異質の省エネ、異質のものだろうなと思っております。ただ、そういう意味で地球環境問題というとどうしても何となく精神面のものが強調されまして、必ずしも国民の中に切迫感があると思わない、なかなか難しい面があるだろう。それゆえに市場原理とか市場任せでなかなか解決できない問題もあるのだろう。  こういう議論をしますと、評論家の中には、もう環境の保全ですとか資源の節約のために欲しいものを辛抱するのじゃなくて、快適なエアコン空間からもう外に出て暑い夏に汗をかくこと、これを誇りに思うような、そういう客観的な、充足する社会をつくっていこうやというような評論家ですとか、また、ぜいたくは格好が悪いという、昔ヒッピーいたでしょう、ヒッピーはあらゆる文明を拒否していって、あれは昔は格好よく映った、そういう美意識に訴えよう、そういう社会をつくろうといったような、そういう評論家も、考え方もあります。しかしながら、我々政治家としては、それ、さあ、そうだねということも必ずしも言えない。そういうことで、本法律の確実な実行というものを当然強力に進めていかなければいけないと思っております。そういうことで、二十一世紀に向けてのエネルギーの将来展望とあわせまして大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。  ちょっとその前にもう一言だけ。リサイクルの関係で、これはきのうもう随分議論が出たのですけれども、リサイクルというのも、もうどうも市場に任せておけばひとりだけで進んでいくというものではない。例えば一つの例を申し上げるのですけれども、家電の発泡スチロールの回収、大型テレビ、冷蔵庫、今あれの回収状況は、販売店から小売店に持っていく、そのときに発泡スチロールを回収すればいいのですけれども、ところが、通産省はそれいいよねと言っているのですけれども、厚生省が、その発泡スチロールを回収していこうとすると、それは産業廃棄物処理の処理業者の許可が必要だということでなかなか回収がみずからやれない。小売店に持っていったところが、発泡スチロールそのまま引き取って持ってこれない。そういうことで、結果としてまたその業者が回収している、空車が走り回っている、こういう例もあるのですけれども、通産、厚生もやはりこういうところは両省間で話し合っていただきたい。  また、スチール缶、これはかなりうまくいっているのですけれども、スチール缶についても、選別、回収、そして缶をつぶす、その処理するところまでは、これはあくまでもごみだというので厚生省の所管だよと。それで、ごみから処理をされて、それから今度は電炉メーカーなり鉄くずのところに持っていく、ここは通産省の所管だよと。両方がうまく話し合っていろいろやっていただいているのですけれども、需給のバランスが今のように崩れてしまうと、厚生省と通産省とがせっかくうまく役割分担を果たしていただいても、結果としてどうもちょっと最近とまってしまっているみたいなところがあります。  そういうことで、いわばそういう規制緩和の問題、社会資本の整備といったような長期的な課題、そういうものも含めまして、通産省のみならず政府全体として、七三年のときと違った新しいエネルギー対策、省エネ対策というものに取り組んでいかなければならないと思っておるのでございますけれども、最後に大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思っております。
  16. 森喜朗

    ○森国務大臣 金子さんの大変御勉強ぶりを今約五十五分にわたって拝聴させていただきました。これはエネルギー庁も、それから通産省立地公害局も大変教えていただいたことが多かったなと思っております。そういう金子さんに私からお答えをするということはかえって御無礼かなと思っております。  ただ、オイルショックお話が出ましたけれども、やはりその当時は確かに、ローマ・クラブなどの資料などが出て、もうこれで本当に地球上にある資源というものが先細りしていく、将来どうなるのだろうかな、そういう空気が出た、国民の中にもかなりそういうことに対する不安感も募ったのが、例の大阪を中心にした洗剤あるいはトイレットペーパー不足という考えられないようなことが起きてくる。つまり人間というのはいかに弱いものか、一つの情報によって右往左往してしまうということから、やはりエネルギーの安定的な供給というものは、これはもう政治家にとって大変大事なテーマだということを改めて教えられたというふうに思っております。  先生にも御協力いただいておりますが、私は我が党の核融合推進議員連盟の会長というのをいたしておりまして、土岐のところで大変お世話をいただきました。名古屋大学のプラ研だったと思いますが、見ましたら、もう町工場みたいなところでやっている。それが、先生の御尊父初め先生にも大変御理解をいただいて、今土岐で立派な研究所になっている。あるいは、昨年は筑波で、これは日本アメリカEC、あるいはその当時のソビエトもそうでしたが、それぞればらばらにやっていることもやはりむだといいましょうか、そういうことで昨年四極でITERというのがスタートいたしました。あるいは、大阪大学でしたかレーザー、少し影が薄くなったような感じもしますが、京都大学にはヘリオトロンというのがある。これはまさに私どもはわからない難しいものである。一体何だと言うと、もう一つ地球上に太陽つくるんですよというのが学者のわかりやすい説明だ。しかしそれはいつできるんだ、それさえできれば今いろいろな当面のエネルギーの問題が解決できますがということですが、学者といえどもあと何年先とは言いにくい、まさにそれこそ、赤松書記長お話も出ておりましたが、三十年などというものではない。しかし科学技術が進歩していけばそれもまた人間によって意外に短い研究の推進開発が実ってくるような気も私はいたしますけれども、それにしてもやはり半世紀先ぐらいだろうなというのが常識だ。ということであるならば、やはりそれまでの間に安定的でしかもクリーンなエネルギーを何としても開発するというのは、これは日本だけではない、世界全体の問題だというふうに考えておかなければならぬと思います。  そんな意味で、テニスが好きな金子さんだと思っておりましたが、えらい野球がお好きなようであります。やはり本格的なピッチャーがシーズン投げ切るといっても、これは甲子園の春の大会か夏の大会なら一人のエースで何とか投げ切れるかもしれませんが、やはりプロ野球はシーズン通さなきゃならぬ。学生野球は学年進行で、大体三年、大学なら四年で卒業してしまう、プロはそうはなかなかいかない。そういうことを考えますと、エース級のものほかなり育てておかなければならぬわけでありまして、そういう意味で、先ほどから黒田あるいは堤両政府委員がいろいろお答えを申し上げておること、また先生から御指摘ありましたことが、やはりこれからいろいろな意味での本格的な投手を幾つも育てていく、そのためのエネルギー需給構造の改革、これもまた抜本的なエネルギー対策を講じていくということであろうと考えております。  御指摘ございましたように、産業、民生、運輸のあらゆる分野においてエネルギーの有効利用の徹底を図っていく、第二に、廃熱等の最大限の活用を図るための地域における省エネルギー型のエネルギー供給システムの構築を促進する、第三に、原子力、新エネルギー開発の導入の推進を図る、これらのことが重要であろうと考えておりますし、また、エネルギー需給構造の改革をやることは、我が国のことだけではなくて世界にとっても重要なことだというふうに先ほど申し上げましたが、進んだ省エネルギー、新エネルギー技術海外への普及に努めるということもやはり地球レベルにおける日本の国際貢献の大きな役割だというふうに考えております。  いろいろな意味できょうは御指導をたくさんいただきましたが、……(金子(一)委員規制緩和」と呼ぶ)規制緩和、これについては後で事務当局から少しお答えをいただきまして、私は総論申し上げておきますが、なお、長島は余り当てになりませんので、やはり松井を育てることが大事だというふうに思います。  あと細かなことは……。
  17. 金子一義

    金子(一)委員 以上で終わります。
  18. 井上普方

    井上委員長 川端達夫君。
  19. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。まず初めに、日本は全体にかかわるといいますか、国全体の問題として、エネルギー関連でございますので、エネルギーがなければ国民は生活できないという中で、いろいろな方面から通産省もその主管として御努力をいただいていることは重々承知をしておりますが、その中で、とりわけ省エネルギーということについて、総括的にまずお尋ねをしたいと思います。  今回もその省エネルギー観点、そしてエネルギー確保という観点から、非常に大きな枠組みの中で対策を講じられようとすることは大きく評価をするところでございますが、エネルギー消費を見ますと、平成三年度で産業部門が五二%、民生部門が二五%、運輸部門が二三%というふうに言われておりまして、民生部門の中で家庭用が一三%、業務用が一二%と分かれるということで、私たちが個人的に実際の生活をするといういわゆる家庭消費ということに我が国の総エネルギーの一三%を消費しているというのは大変大きな数だなということを改めて考えさせられたわけですが、家庭用の省エネルギーということに関して、果たして政府としてはどのような観点で今まで取り組んでおられたのかなというふうなことをお尋ねをしたいと思います。  家庭用のエネルギー消費というのが一番そのエポックメーキングであったのが、いわゆる第一次オイルショック、第二次オイルショックだったというふうに思うのですが、こういう第一次オイルショック、第二次オイルショックという節目を経ながら、家庭用のエネルギー消費というのはどのような変遷をたどってきているのかということを第一にお尋ねしたい。  それから、そのことに対して、いわゆるみんなで省エネを心がけましょうとかそういうふうなかけ声というふうな運動ではなくて、家庭に省エネルギー促進、定着させるということについてどのような施策をとってこられたのかということについて、まずお尋ねをしたいと思います。
  20. 黒田直樹

    黒田政府委員 家庭部門のエネルギー消費あるいは省エネルギーについての御質問でございます。  まず、家庭部門のエネルギー消費は、一次オイルショック以降第二次石油危機前後の一時期を除きまして比較的堅調な伸びで推移をしてきているわけでございまして、全体の最終エネルギー消費オイルショックの七三年度から最近時点の統計でございます九一年度までの十八年間におきまして、全体が年率一・二%の伸びであるのに比べまして、家庭部門のエネルギー消費は年率平均三・五%と相対的に高い伸びを示してきているのが現状でございます。  この堅調な伸び要因といたしましては、核家族化の進展などによりまして世帯数が増加してきている、エネルギー消費する単位がふえてきているということ、それから、家電機器の普及率の向上あるいは大型化などによりまして、世帯当たりのエネルギー消費の原単位が上昇してきているということが挙げられるかと思うわけでございます。  今、対策としてかけ声だけではなく何をしてきたのかということでございますけれども、私ども一般家庭の省エネ推進するために、従来から国民各層への広報活動、啓蒙活動に取り組んできたところでございますが、このほか今回この改正をお願いしております省エネ法の現行法に基づきまして、例えば住宅の断熱化の推進のための基準を策定いたしまして、これに対して住宅金融公庫からの低利融資を実施するといった住宅面での対応、あるいは先ほども御議論ございましたけれども、省エネ法に基づきます特定機器ということで、家電製品のうちの冷房用のエアコンあるいは電気冷蔵庫につきまして、そのエネルギー消費の効率を改善するための基準を策定する、それを守ってもらうというというような機器面での対応を行ってきているところでございます。また、この特定機器の家電製品につきましては、エネルギー消費効率の表示についての製造業者に対する義務づけなども行っておりまして、消費者の方々の選択のための情報の提供をいたしているところでございます。  また、このほか財団法人の省エネルギーセンターにおきまして、優秀な省エネルギー機器の表彰事業を実施する等によりまして、やはり消費者に対する情報提供、選択の際の重要な基礎資料を情報提供をいたしている等の各種施策を実施してきているところでございます。
  21. 川端達夫

    ○川端委員 例えば第二次オイルショックのときでも、これは一番きついオイルショクだったと思うのですが、家庭用のエネルギー消費は確かにそのとき少し減ったのですね。しかし、全エネルギー消費の中に家庭用消費エネルギーが占める割合はむしろ減少した。要するに、あれだけオイルショックで大変だということになっても、全国的なエネルギー消費は減ったけれども、家庭用も、減ったけれども比率としてはむしろ大きくなった、差が拡大したということは、家庭用というのはなかなか減らすのが難しい。今いろいろお話しいただいた部分で、非常に多岐にわたってきめ細かくやっていただいているのは承知をしている。ただ、例えば電気製品の省エネタイプをつくるとかいうことは、むしろ産業界の指導の範疇に入るのではないか。そういう部分では、啓蒙というのも、最近環境問題だ、地球を守ろうというのが非常に議論されて世論としても大きくなっているというのに比べれば、省エネもっとやろうという、具体的にこういうことをやりましょうというふうなことも含めて、政府のその姿というのは見えにくいのではないかという印象を持っております。  およそ製造業、各産業は、みずからがつくった製品を、皆さんこんないいものですから買ってください、買ってくださいというコマーシャルをテレビでするのですが、日本の中でただ一つ、余り買わないでくださいとテレビで宣伝しているのが電力ですね。電力会社の人なんかに、自分でつくったものをできるだけ買うなという宣伝をしているのは珍しいなといってよく笑い話が出るのですが、電力会社自身は省エネに努めてくださいというテレビのコマーシャルをしている。啓蒙ということだけをとらえても、公共の広告機構でいろいろやっておられるとはいえ、政府として、そんなに国家的な課題であるのに、真っ正面から家庭の皆さん省エネをとことんやってくださいというふうに言っておられる姿は正直言って見えないと思うのですね。  そういう部分で、国民運動なんかも含めて政府みずからが具体的な形で国民に訴え、そして指針を示していくという姿をやるべきだというふうに私は思うのですが、今、先ほど言われた部分だけではなくて、もっとそういう真っ正面からやろうというふうなことをお考えなのか、お考えしていただけないかということについて、簡潔で結構ですので姿勢をお尋ねしたいと思います。
  22. 黒田直樹

    黒田政府委員 家電部門のエネルギー消費伸びが非常に高いということで、私どもも全力を挙げてこの面での省エネ推進についても取り組んでいきたいと考えているところでございます。ただ、民生部門の省エネルギー、今川端委員が非常に難しいという観点もおっしゃったわけでございますけれども、ある意味でゆとりと豊かさを求めていくというライフスタイルの問題とも関係してくるわけでございまして、そういった豊かさの、何と申しますか、質の転換と申しますか、そういった面では法律の問題として取り上げていくというのはなかなか難しい面もあるわけでございまして、そういったことから、個々の便益を得るためのエネルギー消費が減退をされていくという意味におきまして、先ほどから申し上げておりますような特定機器の消費効率を改善していくとか、そういった面は今後のこの法律の運用におきまして広げていきたいと考えているところでございます。  ただ、今おっしゃいましたように、民生部門の省エネルギーを進めていくためには、そういったハードウェアの面だけでなく、おっしゃるようなライフスタイル等の面も含めまして、やはり広範な、消費者の皆さん、国民の皆さんの意識を変えていただくことも非常に重要なことでございまして、これは一般的に、言葉で申しますと広報ということになってしまうかもしれません。私ども、そういった意味で、広報対策には、来年度の予算におきましても抜本的な強化を今お願いいたしているところでございまして、今回御審議をお願いしております法案が実行に移される段階におきましては、私どもといたしましても、この法律にない事項につきましても、今申し上げましたようないろいろな面で、国民的な省エネの運動と申しますか、活動が展開されるように対策をいろいろ考えてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  23. 川端達夫

    ○川端委員 豊かさを求めるという部分でエネルギー消費がふえる。本当にエネルギーが大変だという時期が予想されるのであれば、ある程度豊かさというものと、いわゆる環境エネルギーという部分は相反するものでありますので、国民にそれなりの、我慢してよという言葉はちょっと差し支えがあるかもしれませんが、限度というものがあるのではないか。地球環境を、そして自然環境を究極的に守るためには、人間が裸で、原始の生活をするのが一番いいということに、極端に言えば尽きるんだというふうに思います。そういう中での接点というのは確かに難しいことがある。  しかし、今、豊かさの部分とむだの部分というのは相反するものではないというふうに私は思います。そういう意味で、いろいろなテレビの広告なんかでも、いない部屋の電気は消しましょうというのは最近かなりふえてきたコマーシャルでありますけれども、法律事項であるとか予算が云々とかいうこと以外に、ということだけをやっていればいいんだということではなくて、いわゆる国の施策として、エネルギーがこれだけ大事だということであれば、大変難しいけれども、逆に言えば、国民生活の少しの心配りというもので変わるという意味で、政府として、こういうことをみんなが本当にやってくださいよという協力を求める姿勢が今見えないというところに一番の問題があるのではないかというふうに私は思います。これは要望としてお願いをしておきたいと思います。  それから次に、いわゆるそういう部分でエネルギーと同時に環境問題というのも非常に地球的な規模でいろいろ議論がされております。そういう中で、日本はいわゆる環境技術先進国ということでその対策技術、防止技術というのは世界の最先端にあると私は考えております。そういう部分で地球の温暖化、オゾン層の保護等々の問題で常に議論になりますのがいわゆる開発途上国環境問題、公害問題ということだというふうに思います。我々がいろいろな技術先進国として開発途上国とかかわるときに、いわゆる途上国環境問題というのを無視するわけにいかない、積極的にそういう技術も、いわゆる物をつくる技術だけではなくて途上国技術移転をしていかなければいけない、こういうことが常々言われておりますし、この委員会でも議論がよくあることでございますが、そういうときに、実態を言いますとなかなか、例えば立派な製造装置は移転をされたけれども日本で動いているのに比べて向こうは公害防止装置が日本に比べると随分違うものしかついていない、あるいは何もついていないというふうなことがよく指摘をされます。その部分で、現実にそういう途上国への公害防止なんかの技術移転に関してネックになっているのはどういうこととお考えか、まず御認識をお伺いしたいと思います。
  24. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  発展途上国への技術移転の必要性はつとに言われておるわけでございますが、具体的にやりますと、幾つか先生のおっしゃるような意味でのネックがございます。まず一番最初のネックは、発展途上国の公害なり環境の問題に対する認識の問題というのがございまして、そういうものが必要であるということを、しかもお金をかけてやることが必要であるという認識を持つまでがかなりの時間がかかります。それから、せっかくそういう認識を持っていただいた後の問題点といたしては、当然資金の問題それから人材、技術の問題というようなことがございます。  そういう意味からいきまして、そういうものを解決した後、今度は我々として具体的なその協力をする場合の問題点、配慮といたしましては、発展途上国の発展段階に応じたような技術を移転できるかどうか、それから、発展途上国の自助努力をいかに具体的に出していただけるか、全部面倒を見るというわけにいかないというところをどう解決していくかというようなところが問題点ではないかと思っております。
  25. 川端達夫

    ○川端委員 今局長お話されましたように、当事者の認識という部分は、これはいろんな努力で解決しなければいけないことですし、理解が得られることだというふうに思うんですが、そのときの資金の問題あるいは人材、技術の問題ということに関して、やはり日本のこういう状況としては可能な限り、何か公害技術までもが商売のネタみたいな部分というのがややありますので、そういう部分に関しては、政府としての、ODAも含めて幅広い支援というのが必要であろうというふうに思いますし、そういう中で、つくっているいわゆるメーカーというか、そういうところから見ますと、手間暇かけて、金もかけて開発したいわゆる知的所有権に所属するものが軽々にそういうふうに出されては困るというふうな背景もあるわけですね。ですから、そういう部分で非常に幅広く全体的に眺めながらということで今まで御努力いただいていると思いますし、私も勉強しておるんですが、たまたま「通産ジャーナル」に局長が中間技術論ということを対談の中でお触れいただいて、非常に興味がありましたので、ちょっと御説明を簡単にしていただけたらありがたいと思うんですが。
  26. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 先ほど申し上げましたように、発展途上国に対する公害環境技術の移転に関してはいろいろ問題がございます。その中で特に大変になりますのは、日本の公害技術というのは世界でも最も厳しい基準をつくり、その基準に適合し、しかも、非常に競争の激しい社会の中で磨き上げた技術でございますので、これそのものをそっくり発展途上国に移すとなりますと非常にお金もかかるし、一方でメンテナンスの費用もたくさんかかるというようなことがございまして、発展途上国の現状を考えますと、そういうものではなくて、中間技術論というのがございますが、発展途上国の発展段階に合ったもの、そういう技術を出すべきではないかということでございます。  具体的に申し上げますと、例えば脱硫装置につきまして、日本のような一基当たり八十億円もするようなものを出していくということではなくて、むしろ効率は三分の二ぐらいになってしまうかもしれないけれども値段が半分で済む、しかもメンテナンスが非常に簡単であるというようなものを出すことによって、先ほどの認識を高めた人たちにそれが使っていただけるようになる、なりやすいということで、我々としてはそういう中間技術あるいは適切技術という言い方もいたしますが、そういうものを発展途上国に対する技術移転の中で我々としては考えていくべきではないかというふうに考えている次第であります。     〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕
  27. 川端達夫

    ○川端委員 私は、先ほどの問題点の指摘と今の局長の中間技術論、非常にいい考え方だろう、お金の問題、それからメンテナンスの問題、それからこれはいわゆる知的所有権の問題に関してもかなり出しやすいということで、こういう形でいろいろ転換を図るということが現実には一番いいのかなというふうな気がいたしております。そういうことも含めて、いろんな知恵を出す中で、途上国含めての環境問題というのに、あるいはエネルギー問題、日本がイニシアチブをとっていくべき立場だというふうに思います。そういう部分で、これは一省庁だけにかかわらず、日本政府としてのそういう強力なリーダーシップというものが問われるわけですし、そういうことに関して一番中心通産省大臣という意味で、通産大臣の御所見を簡単にお伺いをさせていただきたいと思います。
  28. 森喜朗

    ○森国務大臣 先ほどから川端さんのいろんな御意見を伺いまして、金子先生同様、大変この問題に対しまして、一方ではエネルギー需要供給ということに対し取り組まなきゃならぬし、一方においてはそれに対する省エネ、さらには地球全体からいえば環境問題、絶えずそのことを念頭に置いた施策を進めていかなきゃならぬということを改めて痛感いたした次第でございます。  我が国は、昭和四十年代以降、産業公害問題やエネルギー問題を経済発展を達成しつつ克服をしてきた経験を有している国であるというふうに私どもは承知をいたしております。我が国は、こうした経験と高度な技術力や経済力を生かして、人類共通の課題である地球環境・問題の解決に向けて、みずから率先して一層の省エネルギー推進エネルギー環境技術開発に取り組むとともに、発展途上国に対する技術移転等により地球環境の保全に努めるということは、国際貢献の観点からも極めて重要であると認識をいたしております。  このような観点から、我が国といたしましても、エネルギー環境技術開発とその発展途上国等への移転によって、長期的かつ地球規模での経済発展環境保全の両立を目指すべく、そのための具体的なプログラムでございます地球再生計画についてサミットの場において提唱してきているわけでございます。我が国といたしましても、環境エネルギー対策先進国として、かけがえのない地球を将来の世代に引き継ぐため、今後ともエネルギー環境分野における国際的な貢献に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、先ほど川端さんから、一般消費者に対して省エネをやれ、一方では通商産業省としては産業の発展もやっていかなきゃならぬ、一番いいことは、何もしないで昔のように農耕民族のように生きているのが本当は一番いいのかもしれませんけれども、しかし、こうした便利な世の中に我々は生まれ、そして子供たちにも君らの時代はもうそんな時代ではないんだよというのは、やはり大人としての責任を回避することになる。同じように、やはり外国においてもそうでございまして、これから中進国、発展途上国がやはり便利性あるいは豊かさを求めてきて、私たちがアメリカのように、あるいはイギリスやフランスのようにと求めてきた同じような子供たちの時代から考えて、今度はそうした国々に対して、地球環境エネルギーから考えたらおまえらもうそんなことするな、便利で生きるのは欧米先進国日本だけでいいんだよということはやはり言うべき問題ではないということであるとするならば、そういう意味では、世界のそれぞれのこれから発展していく国々に対して、我々が苦しんだこと、我々が体験したことを適切に指導していく、指導という言葉は少し口幅ったいかもしれませんけれども、協力をしていくということは私は極めて大事なことだと思っております。  一方においては、やはり科学技術が進んでいますから、最近では珍しくなくなりましたけれども、最近ホテルでは、ドアのかぎをドアをあけたところにこう置きますと、部屋じゅうのテレビも電気もみんなつきますね。部屋を出るとき、そのかぎを持っていってしまいますと、部屋じゅうの電気が全部消えるわけですから、ホテルの物すごく省エネになっているわけですね。これが仮に将来家庭にも、川端さんが宿舎を出たらもう全部消えてしまう、部屋も人がいなくなれば――最近、警備保障の話などを聞いてみますと、だれもいないはずのところに人が入っている、その人体でブザーが鳴るといいますか、そういうふうにできるんだそうですね。したがって、だれもいないときに猫がいたらどうなるのかということで、この辺が大変難しい問題だというふうに安全保障の警備会社では言っておりましたけれども、どんどんそういう意味では省エネに対する科学技術も進んでいく、いろいろな体験の中から人間は新たなものを創造していく、そういうことに対して通産省としてもやはり積極的に取り組み指導していくということが大変大事かと思います。  事前にお許しいただいておりますが、予算委員会の質問一つございますので、これで失礼をいたしますけれども、いろいろと御指導いただきまして、ありがとうございました。
  29. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、大変御丁寧にありがとうございます。  大臣と一緒に去年ドイツのホテルヘ泊まりましたときに、ホテルのタオルがいっぱい洗面所へ置いてあります。その横に立て札がありまして、できる限りこのタオルを使わないでほしい、少しずつ使わずに一つにまとめて使ってほしい、なぜならば、このタオルを洗うためにどれだけの洗剤が要り、どれだけの水が汚れるかということを考えてほしいと書いてあります。そういう部分でのいわゆるむだをなくすということは、大変また心がけていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。  それでは、エネルギー需給構造高度化のための関係法律整備に関する法律ということの中身に対して少しお尋ねしたいと思います。  エネルギー需要が各方面で、大型利用者特に企業の大型利用者などが大変な省エネルギー努力していただいているにもかかわらず、需要自体は伸びている、そして供給側では、原子力発電等が実際的には非常に厳しい環境の中で、建設というものが遅々として進まない、こういう状況にあるわけです。  いわゆる省エネルギー法第三条で、平成二年六月に策定された長期エネルギー需給見通し等を勘案して、エネルギー使用合理化に関する基本指針を策定する、こういうふうになっているわけですが、この長期エネルギー需給見通しというものを見ますと、今から七年後の二〇〇〇年で、太陽光発電、水素エネルギー、バイオエネルギー等の新エネルギーによるエネルギー供給が原油換算で一千七百四十万キロリットル、ちなみに一九八九年度実績で六百五十万キロリットル、二倍、三倍近くふやそう、原子力利用による供給が五千五十万キロワット、一九九二年九月現在稼働中のもの四十二基、三千三百四十万キロワット、建設中のもの十二基、一千二百十二万キロワットというふうになっているわけです。  二〇〇〇年というのは間もなくの話であります。そのときに、現在のエネルギー需要供給の見通しの中で新エネルギー見通し、それから原子力発電による需給見通しという部分で、これは見通しということですから、こういうことになりそうだ、だからエネルギー需給計画をこれからつくろうということのベースになっている数字でありますが、この見通しエネルギー供給が可能と考えておられるのかどうか、まずお尋ねしたい。
  30. 黒田直樹

    黒田政府委員 御指摘の長期エネルギー需給見通しに基づきます新エネルギー等あるいは原子力についての供給の見通してございますが、まず、新エネルギー等につきましては、現状は、数字で申し上げますと大体六百五十万キロということでございますけれども、現状では残念ながら、まだその供給力の内訳といたしましては、廃熱とか廃材とか、あるいはいわゆる太陽熱を利用した温水機、あるいはソーラーシステムというのが主体でございます。もちろん、これらにつきましても今後伸びを期待いたしているわけでございますけれども、今後の問題といたしましては、この委員会でも累次御議論ございます、いわゆる自然エネルギーであります太陽光発電であるとか、あるいは風力であるとかいったような新エネルギー、まさにこれはクリーンなエネルギーでございまして、エネルギー安定供給の確保、あるいは地球環境保全観点から、極めて有効なエネルギーとして期待されているものでございます。  ただ、一般的に、この自然エネルギー自然条件に左右されるわけでございますし、また、現時点ではコストが割高であるといったような問題もあるわけでございます。そんなことから、例えば太陽光発電につきましては、私ども、サンシャイン計画などに基づきまして従来から技術開発を非常に推進してきているところでございまして、太陽電池の変換効率の向上であるとか、あるいはコストダウン等のために、昭和四十九年以降、およそ八百五十億円の予算を技術開発等に投入をいたしてきているわけでございます。先ほど申し上げましたように現時点ではまだ割高ではございますけれども、やはりそろそろ実用化への素地をつくっていかなければならないということで、今年度から、太陽電池につきましても、実際の公共施設等に配備してそのフィールドテストを実施するという観点から、補助金制度も設けてその推進を図ろうといたしているところでございますし、また、こういった予算については、来年度大幅な増額を要求しているところでございますが、さらに来年度におきましては、この公共施設等での実証試験と同時に、住宅につきましても太陽電池を導入をいたしまして、実際の住宅での実証を行うための予算も要求をいたしているところでございます。  そういうことで、私ども、まだ経済的に割高である等のいろいろな問題もあるわけでございますけれども、二〇〇〇年の見通しを目指して、いろいろな技術開発あるいは導入促進に最大限の努力をしているところでございます。努力の成果、今後まだ七、八年あるわけでございますけれども、かつ、二〇〇〇年だけではなく、これは将来にわたる問題でありますので、今後とも、この目標を達成するように最大限の努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。  また、原子力につきましては、二〇〇〇年の目標が五千五十万キロワットということで、現在のところ、運転している発電所、あるいは建設中のもの、建設準備中のものを合わせますと、四千六百万キロワツトぐらいでございまして、四百万キロワット強、単純にいいますと、今のところの状況では不足しているということでございます。原子力の場合にはかなりリードタイムが長いわけでありますので、実際問題としてこの二〇〇〇年の目標というのは非常に難しくなってきているのは現実でございますけれども、ただ一方で、最近、昨年の八月でしたか、久方ぶりに、電力会社の方で新しい原子力発電所の地点としていろいろ考えている中で、青森県の東通におきまして中核の漁業協同組合と補償協定がまとまったというような明るい材料もあるわけでございます。こういった面も加えまして、私ども従来からいろいろな支援策も講じてきているところでございますけれども、地域との共生といったような問題も今後あわせて考えていきながら、この五千五十万キロワットの目標の実現に向けまして最大限の努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  31. 川端達夫

    ○川端委員 いろんな新エネルギー開発に関して本当にきめ細かく努力をしておられることは重々承知をしておりますし、御努力いただいていることを評価もしたいというふうに思います。ただ、現実に原発の今の建設中のものを含めて四千五百万から四千六百万キロワット、果たしてそれ以降、あと二〇〇〇年までで実働に入る部分で五千五十万キロワットになるのかなと言われれば、原子力発電関係者に聞けば、それは極端に言えば不可能な数字であるというのが常識だと思うのです。あるいは新エネルギーの問題でも、いわゆる新エネルギー、そういう廃熱とかではなくてというものを含めて千七百四十万キロリットルというものは、これは大変な数字であります。そう簡単に実現できるとも思えない。これに努力をすることはもちろん非常に大事なこと、逆に言えば、これに全精力を注入しなければいけないという現状にあるわけです。という意味では、この長期エネルギー需給見通しというのは正しくないのではないか。長期エネルギー需給期待値とか目標値、目標がなともちょっと思う。目標というのは達成できる目標でなければいけないですが、そうあってほしいということではないのかな。そういう意味で、その需給見通しをベースにして、基本方針でエネルギー使用合理化のために努力義務を利用者に義務づけるというふうないろいろなことをやるというこの枠組み自体は、何か一番のベースを、どこかブイの上に乗っているような感じで、いま一つ迫力に欠けるような気が非常にいたします。そういう部分で、これはそういうものだということであれば、省エネをしなければいけないということ自体はもう当然のことだからということではいいのですが、この需給見通し自体は、この法案だけではなくて、いわゆる政府の見通しですから、いろいろなところにこの数字自体がひとり歩きをしていくということになっているわけですので、そういう部分ではもう一工夫、表現、中身を含めて見直されるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。     〔安田(範)委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 黒田直樹

    黒田政府委員 確かに、現実の動きをよく踏まえて考えていかなければならないことは当然でございますけれども、ただ、今川端委員おっしゃいましたように、これは見通しというのか、政策努力の目標というのか、私どもとしてはやはり政策努力の目標といった意味でとらえているわけでございますけれども、そういうことで、多少の数字を入れかえるというよりはまずこの方向でぎりぎりの努力をしてみること、それがやはり第一ではないかと思っている次第でございます。
  33. 川端達夫

    ○川端委員 誤解を受けないようにだけはひとつ御注意をいただきたいと思います。  現在の省エネ法の十八条、二十条で、現在特定機器に指定されている自動車には、性能、つまり燃費について性能の向上に関する判断基準を定める旨の規定がございます。これは当該自動車を製造する事業者のすべての生産台数についてそれを重量別に区分し、それぞれに基準となるべき十・十五モードでの燃費を定めているというふうに聞いているわけですが、最近この基準が改正になりました。ただ、この自動車のいわゆる燃費効率というのですか、基準を通産省でお決めになっているわけですが、これが、例えばこの車種の車、この車種の車という決め方ではなくて、何キロから何キロの重量の車という決め方をされているというふうにも伺っています。ごく最近に、一月二十七日にこの基準値が更新をされたようでありますが、すぐでありますのでこの目標値ということに対してのクリア度というのはまだまだ低いと思うのですが、現時点でこの新たな基準をクリアしているものというのは、大体何%ぐらいもう既にクリアしているのかということをお聞かせをいただきたい。
  34. 黒田直樹

    黒田政府委員 御指摘のとおり、この自動車の燃費効率の基準につきましては重量区分で、結果的には各自動車メーカーにおきまして、国内向けに出荷するガソリン乗用自動車の車両重量区分ごとに出荷台数で加重して調和平均した燃料消費効率がその区分に掲げられた数字を下回らないようにするということで基準を定めているわけでございます。したがって、その全貌はまだわからないわけでございますが、私ども自動車メーカーにヒアリングをいたしているところでは、現在の乗用車の車種ベースでいえば、メーカーによっていろいろ違いますけれども、全体の二、三割程度の車種で改正後の基準を達成しているのではないかというふうに承知をいたしているわけでございます。
  35. 川端達夫

    ○川端委員 ことしの一月二十七日で改定される直前というのは当然ながら一〇〇%その基準をクリアされたということで、かなり、七%から一一%ぐらい基準を上げたのが新たに出された。その部分も、このクリア自体も自動車会社自身の非常な努力があったと思うのですが、新しい基準をつくって一月二十七日に出して既に二、三割は達成をしているということで、これからいろいろ、なかなかだんだん難しくなってぐるのでしょうが、技術開発が進んでいくと思うのですが、この基準は平成十二年度中に達成すればいいということで理解をしてよろしいのかどうか。  そして、十二年というとかなり先の話ですね。一月に改定されて二、三割達成で、私は技術的なことは詳しくわかりませんが、基準を約一割ぐらい上げたもので既にクリアしているのが二、三割あるというときに、十二年までということだと大分暇があるなどいう感じがするのですが、これは途中でもっと頑張ってやってくださいというふうな、何か前倒しみたいなこともあり得るのかどうかということもお尋ねをしたい。
  36. 黒田直樹

    黒田政府委員 まず、この基準を達成する難しさでございますけれども、全体の平均といたしましては、現在の車種構成を考えますと、八・五%ぐらいの改善を目指しているわけでございます。このために、自動車メーカーにおきましては、他方で安全の要請というのもあるわけでございまして、したがいまして今後いろいろ安全対策によって例えば重量がふえていくといったような面もあるわけで、そういったものも加味した、プラスとマイナスを加味した車体設計を見直していく必要があるわけでございます。やり方によっていろいろあろうかと思いますが、希薄燃焼エンジンとか超高張力鋼板などの新技術とか、あるいは新材料を導入していくとかいうのを考えていかなければならない、あるいはいわゆるNOx規制の対策等、今後の環境規制対策と燃費とのトレードオフの関係があるわけでございますので、その辺も解決していかなければならないといったいろいろな技術的な課題があるわけでございます。既に一部の車種が、その単体をとれば基準をクリアしているからその全販売車の加重平均で本基準に適合するというのは、これはなかなか難しい問題でございますが、さはさりながら、この現下の要請を踏まえてこういったお願いをいたしているわけでございます。  それから自動車の生産の実態と申しますか、ガソリン乗用車の場合、大体四年ぐらいでモデルチェンジをいたしていくわけでございます。これは、今の自動車は黙っていても直らないわけでございまして、やはりモデルチェンジを機にこの燃費の改善を図っていくというのが実態でございます。したがって、四年程度のモデルチェンジのサイクルがどこで来るかという問題もあるわけでございます。厳密に言いますと平成十二年度まで、あと七、八年ということでございまして、四年程度のモデルチェンジを考えますと一回ないし二回ということになるわけでございます。したがいまして、今クリアしてなくて、かつモデルチェンジがかなり先にあるものにつきましては一回でやらなければいかぬというようなケースも出てくるわけでございまして、そういった実態。しかも全車種が一回でクリアするというのはなかなか難しいものですから、そういうことで二〇〇〇年までの目標として基準値を掲げているわけでございます。  ただ、メーカーの車種構成によってもいろいろ違ってこようかと思います。あるメーカーは、例えばこの分類で、かっ今申し上げましたようなモデルチェンジも比較的早く来て、平成十二年まで待たなくてもこの加重平均した目標が達成しているか達成していないかがわかってくるようなケースも場合によってはあろうかと思います。そういう場合には、当然いろいろな勧告と申しますか、そういった指導はいたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  37. 川端達夫

    ○川端委員 よくわかりました。  ただ、そういう中でいろいろ工夫もされているということで、例えば自動車のカタログを見ますと、主要諸元一覧表というのを見ますと、ぱっと黄色で線を引いてあるのですね、そこから見えるかどうか知りませんが。この燃費のところだけひときわ目立つようにこのカタログが書いてある。これはなぜかなと思っていろいろ調べてみたら、ちゃんと法律に書いてあるということで、「二―一に規定する表示事項の表示は、その乗用自動車に関するカタログに記載して行うこと。この場合、二―一ホに掲げる事項は、アンダーラインを引き、活字を大きくし、文字の色を変える等時に目立つ方法を用いて表示すること。」と細かく書いてあるということで、確かにあけたらすぐに目につく。これは非常にいいことをやっておられる。ただこの基準自体が、先ほど冒頭言いましたように重量別に書いてあるということと同時に、ですからこれを見たときに、車種別ではないわけですから、これとの対比がよく見ないとよくわからないということが一つと、自動車メーカーも総力を挙げてこういうことを努力しておられて、この一月であれば全部達成した、今また努力をしているんだというときに、例えばこの車の燃費は八・五とか書いてありますけれども、これが運輸省の、わざわざ「燃費(運輸省審査値)」とまで色づけて書いてあるわけですが、運輸省のこの基準値というのを載せればこれはクリアしている車だとか、もう少したとか、そういうことで、政府の姿勢もメーカーの努力も、これを見る消費者に対して、こういうことでおのおの努力しているし、省エネの車なんだなということが、あるいは省エネというのを意識しなければいけないなということにつながっていくのではないかということで、政府の示した基準燃費もこういうところにあわせて表示するということも私は大事なことではないかなというふうに思っております。これはお答えというよりも一度また御検討をお願いしたいと思います。  それから、この燃費に関していいますと、おのおの、重量別のランクでいいますと、区分の一が八百二十七・五キロ未満のものが燃費でいうと七・三%向上、千五百十五・五キロ未満が八・三%、千五百十五・五キロ以上の乗用車が一一%というふうに大きい車の方が燃費の改善率が高い目標設定になっている。これは、省エネという観点から見てもむだであれば余り大きい車に乗らない方がいいという部分でも、それから実際に燃費が低いということでももっともな設定だとは思うのですが、今国際的な、特に日米間の部分で自動車問題というのも非常に大きな、アメ車の輸入というのが問題になっているときに、向こうから見れば、何か向こうは大きい車がほとんどですから、そういうときに、日本の基準値が今度改定になったら、何か大きい車がどかんと厳しくなったというふうなねらい撃ちをされたみたいな誤解を受けるということがあると、また困ったことだなというふうに思います。このことについては何かアメリカサイドとのヒアリングとか感触とかいうのはどのような認識あるいは調査をされたのか、参考のためにお聞かせいただきたいと思います。
  38. 黒田直樹

    黒田政府委員 今回の燃費基準の改正に際しましては、国内で非常に、学識経験者あるいは輸入業界の代表等にも入っていただきまして、一年半ばかり検討を重ねた上、それを参考にして決めたものでございますけれども、同時に今川端委員から御指摘のような、国際的な問題もあるわけでございまして、具体的にはガットのスタンダードコードに基づきまして所要の手続で関係各国の意見提出の機会を求めたところでございますが、米国はもとより外国からの御意見というのはございませんでした。そういうことで、ガット・スタンダードコードに基づきます所要の手続はとっているところでございます。  また、今回の法律の改正案におきまして、この燃費基準、特定自動車に限らず、特定機器の性能向上の目標の基準に関しましては現行法でも勧告ができることになっているわけでございますけれども、この勧告の対象も少し限定していこうというふうに考えているわけでございまして、そういう面も含めまして、要するに生産量あるいは輸入量のウエートの少ないところというのは勧告の対象から除外することも、今回の改正法案では考えているところでございますので、この面から国際的に問題が生じることはないものというふうに考えているところでございます。
  39. 川端達夫

    ○川端委員 まだこの法案、いろいろお伺いしたいことがたくさんあるのですが、時間がほとんどなくなってしまいましたので、次に、エネルギー等使用合理化及び再生資源の利用に関する事業活動促進に関する臨時措置法案について、基本的なことだけお尋ねをしたいと思います。  資源のリサイクルということなんですが、いわゆるリサイクル法案ということで、本委員会でも資源のリサイクルの検討を先般いたしました。そういう中で、政府挙げて資源の有効利用、リサイクルということに取り組んできているわけでありますが、十一月二十七日の報道を見ましたら、「分別回収費が″ゴミ″になる」「東北六県 空き瓶結局埋め立て処理へ」ということで、いわゆる分別回収を自治体がやって、空き瓶を集めた。ところが、それが、いわゆる瓶の原料メーカーが受け取りを拒否したということで、せっかく家庭が協力して分別回収した瓶をまた結局のところごみ捨て場に捨てに行った。回収に自治体はいろいろ何百万円か使って、お金を使って助成をして集めて、さあ引き取ろうと思ったら、引き取れずに捨ててしまったというふうな報道もありました。  あるいは、少し前ですが、平成四年十月の報道では、神奈川県の逗子で主婦グループが、要するに瓶回収を今までずっとやってきたけれども、業者に受け取ってもらえないということで、やめてしまったというふうな報道もありました。非常にこの記事自体の見出しとかは、「分別回収費が″ゴミ″になる」というふうなちょっとセンセーショナルな書き方でありますけれども、要するにリサイクル法等々、いろいろな運動の中で瓶はいっぱい集まった、ところが、需給バランスが崩れて瓶の値段が下がってしまった、だから業者としてはそれを集めて運んでいく費用も出ないから受け取らないということで、集めた瓶が宙に浮く、こういうことなんですね。  こういうことが現実に一部で起き出している。古紙の問題もそうなんですが、結局、排出されて回収、再利用されるというふうな、リサイクルというのはつながっているからリサイクルである。ところが、それが今一部で切れてしまっているということになっているわけです。  一昨年の三月六日の商工委員会で、私はこのリサイクル法に関連して、いわゆるリサイクルというサイクルの輪というのをきちっとつくろうというときに、一カ所経済原理で動く部分を持っている、だから、これを経済原則でフリーに任せていたら、需給バランスとかいろいろな市況の変動によって必ず切れることがある、だから、それをどうするかというのがこの問題の一番のポイントではないかということを質問をいたしました。当時、立地公害局長は「経済原則だけにゆだねていたのでは十分成果が上げられないというところから、この法律により強力に再生資源の利用を推進する」云々ということを御答弁されました。つまり、経済原則だけに任せてはいけない部分があると御認識はされていると思うのです。  ところが、実際やっていくと、こういう報道が出てくると、ああ、やはりかということで難しいと同時に、これはおととしの三月の話ですから、もう少しいろいろな知恵はないのだろうかというふうに感じるわけですが、御認識と、こういうことに対する対応を今日までどのように考えてこられたのか、お尋ねさせていただきます。
  40. 高島章

    ○高島(章)政府委員 御指摘がございましたように、ガラスくず、いわゆるカレットあるいは古紙につきましてはいずれもいい形のサイクルが機能して、最終的に再資源化が進むということが基本であるわけでございます。したがって、今申し上げました三つのそれぞれにおいて合理的な行動が行われ、また必要な施策の厚みをつけていくことが基本であろうかと思います。  先ほど冒頭に御指摘がございましたガラス瓶の件でございますけれども、リサイクル法に基づきまして非常に再資源化が進んできておりますが、平成三年で五一・六%、カレット全体の利用率が上がってきているわけでございます。平成元年から見ましても、四%も全体は上がってきているわけでございますが、新聞記事との関連で申し上げますと、実はガラス瓶の中には色によっていろいろ利用の度合いが違っております。緑色とか黒色といったものは、いわゆる白色、茶色のものに比べまして瓶全体の生産量が少ないためになかなか困難な問題がございます。したがいまして、在庫を抱えて非常に困っているというようなことも出てくるわけでございますが、これの一つの解決方法は、やはりカレットの処理がメーカー段階でうまくいくように、その設備等につきまして税制、財投でのいろいろな支援を厚くしていくことだと思いますので、こういった支援策の強化を図ってきているところでございます。  また、さっき、白色とか茶色のものに比べて使いにくいこういった緑色とか黒色のカレットにつきましては、ガラス瓶以外の別の需要にこういうものが役立ちますように、例えば住宅の断熱材等でございますとかこういうものに活用されるように、いろいろな利用の促進努力をしているわけでございます。  また、古紙でございますが、さっき申し上げましたサイクルで申しますと、集めること、うまく回収すること、それからメー力ーが技術開発もとにいたしましてどんどん古紙の利用を上げていくこと、そして、それにも増して重要なのは、その再生紙を使おうという需要部門で意識も高まり、実効も上がっていくことであろうかと思います。したがいまして、その回収とそれからメーカー段階での利用、そして最後の需要者のところ、それぞれにつきまして、やはり支援策の厚みをつけていくことが重要でございます。  まず、その回収のところにつきましては、その回収業者に対して税制、金融面での優遇措置も講じておりますし、あるいは回収した者が持って行きます卸売段階でも各種の税制、金融上の措置が必要であろうかと思います。さらには、古紙を置いておきますとこれまたコストがかかりますので、そのための低利融資制度につきましても新たに設けたところでございます。そして、最後の利 用者が、最終需要者がもっと再資源に対して認識を深めていただくためにいろいろ国民運動につながるような啓蒙普及活動に力を入れているところでございます。
  41. 川端達夫

    ○川端委員 まだいろいろ聞きたいことはたくさんあったのですが、時間が来てしまいました。  このサイクルの問題というのは、今局長がおっしゃったような観点がもちろん非常に大きく効いているわけですが、まだまだほかにも当局としてもやっていただきたいこと、それから省庁、通産省だけではなくて、何か仄聞いたしますと、瓶の問題であれば、カレット、ガラスのくずは通産省だけれども、酒瓶は大蔵省で、いろいろな食料品の瓶は農水省とか、何か変な話で、本当に資源を再利用しようという観点でやるとなれば、縄張りみたいな話はなして議論をして対策を講じていただかなければいけない問題も時々聞くようなことがございます。  またの機会に質問をさせていただくことにして、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  42. 井上普方

    井上委員長 鈴木久君。
  43. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 大臣が予算委員会の関係でまだこちらへ来ておりませんので、冒頭法案全体の問題で大臣質問をしようと思いましたけれども、まず各論から質問をして、締めくくりに大臣の方から答弁をいただくようにしたいと思います。  まず、法案の中身からお尋ねをしたいと存じますけれども、今回の法案の中身は、省エネ推進する、そのために、一つエネルギーをたくさん使用する事業所等に対して合理化目標計画を出させて、それをきちっと行政がチェックをする、さらにはリサイクル等その他ではいろいろと支援策を通じて省エネ推進する、こういうスタイルの法律になっていると思います。  そこで、実は議論を何度かされてきておりますけれども、これまでの省エネ法がつくられて今日まで進められてきました。先日の質問だったかもしれませんけれども、この法律の段階では、特定事業所を指定していわゆる省エネの判断基準をつくって、それを指導、勧告するというスタイルだったのですね。これが、法律を執行する立場の通産省としては、勧告や指導というのは一度も行ってこなかった、行われなかったというのがこの間の議論の中で明らかになってまいりました。それはどうしてなのかということを改めてお伺いすると同時に、今度の法律ではさらに一層、合理化計画を提出させて、不十分な場合には公表、命令までする、こういうことになりました。そうすると、前よりはずっと厳しい法律になると思うのです。それで、この間省エネ法でほとんど行政指導的なものをやってこなかったものを、今度はこの新しい法律になったらそういうものが十分に行われるのかどうか、特に十分なチェック体制が図られるのかどうか、この辺のところをまずお尋ねしたい。  特に、旧法でやらなかったのが今度改めて新法でできる体制も含めて十分にあるのかということを多少私は疑問に思っているものですから、あくまでも、ただ目標として法律がそういうことを企業や何かにやりなさいよという、精神訓話的に法律が存在するのではなくて、今度の法律はもう少し行政が、そういう判断基準を下回るような、あるいは合理化計画を著しく損なうような企業があれば厳しくする、こういう精神だろうと思うのです。そういう体制も含めて十分にありますか。
  44. 黒田直樹

    黒田政府委員 省エネ法の指定工場等につきましての現在の規制のこれまでの状況でございますけれども、御指摘のように、現行法に基づいて勧告を行ったという実例はございません。ただ一方で、指導助言という規定がございますけれども、私ども、省エネ法に基づきます施策、特に工場、事業場につきましては判断基準の公表というのを行っているわけでございますけれども、こういうものにつきましては、道宜、従来から業界団体等に対する説明会等を通じましていろいろ指導をいたしてきているところでございます。  現行法のもとで勧告の実績がございませんのは、法制定後、エネルギー使用合理化のための投資が全般的に進んだために勧告の必要性が乏しかったことがあるわけでございますが、近年におきましては、効果の大きい対策の一巡という実態変化によりまして、種々の業種、業態にある各事業者に国がこういうことをするという具体的なことを勧告するという現行法のスキームよりは、むしろ各事業者が判断基準等に照らしまして、こういうプロセスを改善する、こういうシステムを改善するといったような自主的な取り組みをまず基本に置いた方がいいのではないかということで合理化計画をつくっていただくようなシステムにいたしたわけでございます。  これがまたどうしても、そうケースが多いとは全く思っておりませんけれども、自主的な合理化計画がつくられない場合であるとか、それが全体の中で、ほかの企業等、あるいは同業種に属する同じような状況にあるほかの企業等に比較いたしまして、全体の省エネエネルギー使用合理化を阻害するような著しく不十分なものがある場合には、そういうことで合理化計画の変更なり、あるいは命令という強い手段を用意をいたしたものでございます。  ただ、あくまでやはり一方で、支援法におきまして企業の自主的なエネルギー使用合理化のための活動を税制あるいは金融等を含めまして支援しているということからもおわかりいただけますように、とにかく自主的な取り組みというのを基本に置いていることは私どもここで申し上げられるわけでございまして、あくまで全体の努力の中にあって自主性にゆだねていては改善が期待されないような事業者が仮にあった場合にそういう強い手段にも行き得る体制にした、こういうことでございます。  従来個々企業省エネの実情につきましては、個々事業者から御報告いただくというよりはむしろ必要に応じて通産大臣から報告徴収をするということであったわけでございまして、これがまたなかなか、確かに実態を定期的に把握し得なかった状況でもあったかというふうに思うわけでございます。私ども、最近時点において現行法に基づきまして現行の判断基準がどれくらい守られているだろうかというところでは、いろいろな項目によって違いますけれども、八、九割程度は大体守られているということでございますけれども、こういった状況を今後常時把握していくために今回定期の報告をお願いしようという改正案を御提案申し上げているわけでございまして、こういった定期報告を通じまして実情をよく把握し、今申し上げましたような企業の自主的な取り組みを促進してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。  また、これは現行法の運用にもなりますけれども、工場等の判断基準につきましても、最近時の技術進歩等を踏まえまして、この法案が成立した段階ではこの判断基準の見直しということもやってまいりたいと思います。  この段階では、従来この判断基準はいろいろ定量的な目標もあります。例えば、ボイラーあるいは工業炉の空気比等の定量的な目標もあるわけでございますが、この辺につきましても、すべての事業者に守ってほしいいわばミニマムの遵守すべき基準といったものと同時に、望ましい努力目標といったものもきちっと決めて、先ほど申し上げましたような定期報告等々あるいはいろいろな今後の実効担保措置の運用等の関係でもその辺を明確にするように努力していきたい、このように考えているところでございます。
  45. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 少し答弁を簡略にいただきたいと思うんです。質問通告いっぱいしてありますので、その辺はどうぞよろしくお願いします。  そこでこの法案で、いわゆるエネルギー消費レベルで考えますと、産業レベルで消費している部分、運輸部門で消費している部分、あるいは家庭で消費している部分というふうなことで、産業レベルの話では、今度の法律である程度合理化目標を出させて判断基準をつくって努力をさせる、 そして従わないものはそれなりに公表したりペナルティーをかける、こういうことでしょう。  もう一つエネルギー消費でいえば、二三、四%ある運輸部門がこの法の網にかぶさっていないというふうに見ていいんだろうと思うんですね。きょう運輸省、お見えですね。運輸省は運輸省なりに独自にそれなりの省エネ努力をされていることは私も十分承知をいたしておりますし、日本の自動車やそういうもののエネルギーが大変効率よくなってきていることも十分承知をいたしております。しかし、運輸全般のエネルギー効率という問題を考えたときに、まだまだやらなきゃならないことがたくさんある。例えば、端的に言いまして空を飛んでいる飛行機の燃費、それから輸送に限ってみても陸上を走っている自動車、それから鉄道のレールの上を走っているいわゆる鉄道の運輸コスト、エネルギー消費量、それから船、こういうふうに考えてみてまだまだ改善する余地があるというふうに思うんですね。  ですから、運輸省にお尋ねしたいのは、まず通常のそういう貨物を輸送する輸送手段、それぞれありますけれども、最もエネルギーでいえば省エネ効率が一番いいのは何かということですね。そして、最近どうも省エネをするという方針よりもむしろ、貨物自動車の場合、今二十トンくらいの線でそれ以上の積載を認めてない、これを今度二十五トンにしよう、三十トンくらいまで認めようじゃないか、こういう方向へ一方でステップしようとしている。それは私から言えば、逆に大型の貨物はむしろレールの上で運んだ方がはるかにそれはエネルギー消費のレベルからいってもいいはずですね。そういう問題について逆の方向を歩もうとしているんじゃないだろうかということも含めて実態をまず御報告いただきたいというふうに思います。
  46. 福本秀爾

    ○福本説明員 お答えいたします。  今、貨物部門におきます各輸送機関ごとのエネルギー効率といいますか、そういうことについて先生御質問だと伺いました。私どもの方で一トンの貨物を一キロメートル運ぶのに消費いたしますエネルギー量というものを各輸送モードごとに試算をいたしたものがございまして、いわゆるエネルギー単位と称しております。それを見ますと、やはり先生御指摘のとおり鉄道が百十八キロカロリー、一トンの貨物を一キロ運びますのに必要なエネルギーが百十八キロカロリーだ。一方、海運が、ほぼ同様でございますが、百二十一キロカロリーということで、鉄道と海運は大体同じくらいエネルギー効率がいいということでございます。一方、トラックでございますが、トラックもいろいろございますけれども、いわゆる私どもの青ナンバーといいますか営業用のトラックが六百二十キロカロリーということでございまして、大体鉄道の五倍強エネルギー消費しておる。さらに、そういう意味で大変エネルギー消費しておりますのは自家用のトラック、いわゆる白ナンバーのトラックでございまして、これが同じく二千十二キロカロリーということで鉄道の約十七倍のエネルギーをお使いになっておるということでございます。
  47. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 それで重ねてお尋ねしますが、燃費の改善のためにいろいろ努力されてきていることは承知をしておりますけれども、日本の場合、燃費の基準が一九八五年に改定されたままだ。アメリカにはCAFEという法体系があって、いわゆる貨物自動車当たりの燃費の効率その他の基準を定めていろいろ方策をいたしております。日本の場合、これからそういう燃費の効率を改善するための方策というのは運輸省独自で何か今後の方針をお持ちでございますか。
  48. 福本秀爾

    ○福本説明員 お答えいたします。  今、車単体のエネルギー効率といいますか燃費ということについて、今後の改善のめどといいますか目標といったようなものがあるのかという御質問がと思います。それにつきましては、今回の法律体系の中でもあるいは従前の省エネ法の中でもいわゆる燃費の判断基準というものを私どもと通産省さんと御一緒につくらしていただいておるということでございまして、先生御指摘のとおり、ガソリン乗用車につきまして既に燃費が出ておりますし、今般、西暦二〇〇〇年を目標に八・五%程度の燃費の改善を図るという新しい判断基準というものもつくらせていただいたということでございます。ということで、当面乗用車ということでございますが、今後はやはり、先生も御指摘のとおり、貨物自動車につきましても何らかの基準の策定というものに向けて取り組んでいきたいというぐあいに考えております。  ただ、一方で、これも環境問題、なかなか厳しゅうございまして、いわゆるNOx新法に基づきまして、NOxもやはり減らしていかなければならないということで、ディーゼル乗用車からいわゆるガソリン乗用車への転換というそういう問題もございまして、そういうことになりますと燃費は若干悪くなるといったような問題もございまして、なかなか難しい問題でございますが、一生懸命検討してまいりたいと思っております。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  49. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そこで、もう一度法案に戻って、今度の法案で、いわゆる運輸部門のそういう問題についてどうして法的網をかぶせなかったのか。産業部門と家庭、リサイクル、そういう問題についてはある程度省エネ法で、さっき言ったようないろいろなことをやる。立法は運輸省でやっているからいいのだ、こういう考え方に基づいてこの省エネ法がつくられたのかどうか。もしそうだとすると、この省エネ問題というのはいわゆる、後でちょっとお話ししますけれども、長期見通しの問題を含めて全体として相当の省エネをやろう、そういうときに、やはりこのエネルギー全般の問題についてこの法案は作成すべきだったのじゃないだろうかというふうに私は思えてならないのです。どうしてこういう形になっていったのか。あるいは、今後この法案をより省エネのために有効に働かせていく、そういう場合に、今運輸部門についてほとんどチェックがかかっていないことについて、さらに法律の中で再検討していくとかそういう方向はあるのかどうかも含めてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  50. 黒田直樹

    黒田政府委員 御指摘のように、運輸部門、ウエートはかなりあるわけでございますし、全体のエネルギーの大体四分の一ぐらいあるわけでございますし、その省エネルギーを進めていかなければならないこと、今運輸省からの御答弁にもあったとおりでございます。  省エネルギーというのは非常に、ある言葉意味と申しますかあるいはやり方という面で申しますと、先ほど来も御議論がございましたように、例えば民生部門におきましても、単に機器だとか住宅の断熱材だけではなくて、ライフスタイルの変更の問題であるとか社会システムの変更であるとか、いろいろな問題を含んでいるわけでございます。  運輸部門におきましても、今お話がございましたように、具体的な運輸手段である自動車という単体をとらえているわけでございますけれども、このほかに、今御議論がございましたようなモーダルシフトの問題であるとか、あるいは物流の効率化の問題であるとか渋滞の解消の問題であるとか、いろいろな問題を含んでいようかと思うわけでございますけれども、この法律の中では、具体的に、ある意味で科学的と申しますか合理的な手法によって、そのもののエネルギー使用合理化していく、そういうものを対象に考えて、法律制度としてこの法律体系の中で考えているところでございます。  ただ、現在の運輸部門でのエネルギー消費の八五、六%というのは自動車によるものでございまして、そういう意味におきましては運輸部門のエネルギーの大宗をつかまえている、機器としてはつかまえているというふうに考えているところでございます。  ただ、具体的には自動車の燃費の改善ということで、先ほど運輸省からも御説明ありましたように、当面は、一月の末にガソリン乗用車について燃費の基準というものを二〇〇〇年の目標を公表いたしたわけでございますけれども、自動車と申しましてもまだガソリンのトラックあるいはディーゼル車というのもあるわけでございます。そういう方向への燃費基準の策定の範囲を拡大していくといった作業は今後とも全力を挙げて努力してまいりたい、このように思っております。  ただ、先生おっしゃいましたように、モーダルシフトであるとか積載量の問題であるとか、いろいろな輸送部門についても省エネルギーの余地というのは大変大きいわけでございますし、また進めていかなければならないる面は多いと思うわけでございまして、こういう点につきましては、この法律とは別にと申しますか、実際の行政面で関係官庁、特に運輸省その他といろいろ協力しながら一層の施策の推進努力してまいりたい、このように考えているところでございます。     〔竹村委員長代理退席、安田(範)委員長     代理着席〕
  51. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 それは、運輸省とよくこの省エネ問題では連携をとって、法的な意味での措置はとれなかったけれども、今後省エネ政策の中で十分に対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  大臣が戻りましたので、ちょっと需給見通しを含めた基本的な部分でお尋ねをいたしたいと存じます。  今度の法案提案する背景の中に、一つはいわゆる環境保全の問題、それからもちろん経済見通し、それからエネルギー、これは三位一体で考えていかなきゃいかぬということをおっしゃっております。同時に、この持続的可能な発展と言われることが大きなテーマになってまいりました。成長率は、今度のいわゆる需給見通しの問題でもGNPを三・五%に見ているということがありますね。いわゆる「生活大国五か年計画」の中では、年平均三・一二%くらいというふうなことになっております。  もう一つは、この経済成長が三・五%、これが本当に持続可能な発展にふさわしい成長なのかどうかという問題も多少これからの大きな課題になってくるのではないかと思うのです。というのは、地球規模でいつでも経済発展の制約要件としては、もう通産省みずからが、環境エネルギーはいわゆる制約条件になってきている。ですから、三位一体でうまくやらなきゃならないけれども、・大変難しい課題だというふうに思うのです。  もう一つ環境問題でいえば、二〇〇〇年以降、いわゆる国民一人当たりのCO2の排出量を一九九〇年のレベルで安定化をさせるということでございますから、これは日本だけでなくて地球レベルで考えますと大変な経済制約要件になってくるのじゃないだろうかと思いますね。いろいろな資料を見ましても、これは本当に世界経済全体にとっては大変な制約条件になるというふうに私は思っております。  それで、まずお尋ねをしたいのは、GNPの三・五%、これがいわゆる持続的可能な発展という意味で、あるいは環境経済成長エネルギーが三位一体だというレベルで考えてみて、そういう成長が望まれるという意味ではいいのでしょうけれども、エネルギー長期見通しの場合は実質的に向こう十年間こういう形に設定をしております。ですから、そういうことが可能なのかどうかということを、まずマクロ経済のレベルからお尋ねをしたい。  同時に、最終エネルギー消費の数字が出ております。私は、この数字はちょっと大きな目標としては、先ほど政策努力目標なんだ、こういう話を長官が答弁されておりましたけれども、どうもこの目標というのはどういうふうにしてはじかれたのかという、そこのところを資料を含めて私は要求したいと思っている。いわゆる指標をどういうふうに置いたか、ここのところを我々この需給見通しの数字は見させていただいているけれども、そのはじいた数字、それはGNPだけじゃありません、これだけの数字をはじくためには、あらゆるレベルで経済問題も含めた指標を用いなければできないだろうと思うのですね。今ここでその議論をする気はありませんけれども、例えば石油の価格、為替レート、それから世界の貿易の問題、あるいは自動車の保有台数の問題等々、あるいは産業レベルでの国内の生産額の問題ないしは消費レベルの話も含めて全体的に絡まってくるものですから、そういう指標というのは、恐らく主要な指標はちゃんと目標を二〇〇〇年なら二〇〇〇年に置いて立てられたのだ、こういうふうに思うのですけれども、それは私どもに提出していただけないかどうか。これは、きょうその問題で議論をする時間はありませんが、今後いずれ需給見通しの問題を考えていく場合にどうしても必要になってくる問題でございます。ですから、その指標の資料が私どもに提出していただけるかどうかを含めて御答弁をいただきたい。
  52. 森喜朗

    ○森国務大臣 鈴木委員のせっかくの御質問でございましたのに、予算委員会から出席要求が出ておりまして、大変順序等に御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げる次第です。  今御質問いただきました点、事務的な問題、資料等につきましては後ほど長官からお答えをさせていただきます。昨年六月に閣議決定をいたしましたいわゆる「生活大国五か年計画」は、環境と調和した内需主導型の経済構造を定着させることを我が国の基本方針といたしておるところでございます。そういう中で、適切な政策運営のもとで、計画期間五カ年の経済の姿として実質経済成長率を年平均三・五%程度と見込んでおります。一方、エネルギー面におきましては、政府は、エネルギー安定供給の確保、地球環境問題への対応を目指すべくエネルギー需給見通しを示されているとおり、今後大幅な省エネルギーあるいは非化石エネルギーの導入の促進を図ることといたしております。  これらの経済成長エネルギー需給見通しの達成は、いずれも我が国にとっては重要な政策課題でございまして、当省といたしましては、経済成長エネルギー環境保全の三位一体の考え方もとエネルギー需給構造の改革に全力を挙げる考えでございまして、かかる対策が社会経済システムに十分に浸透すればこれらの目標はともに達成し得るものである、このように認識をいたしております。
  53. 黒田直樹

    黒田政府委員 一九九〇年六月の総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しのいろいろなベースになる指標というお話でございますが、これにつきましては別途御相談をいたしまして、主要なものについて報告させていただきたいというふうに考えております。  ただ、考え方といたしましては、このエネルギー対策を進めていく前提といたしまして、二〇〇〇年度の最終エネルギー消費を原油換算で三億九千五百万キロリットル、二〇一〇年では四億四千四百万キロリットルと見通しておりまして、当時は一九八八年度というのが最新の実績データであったものですから、これを初めといたしまして、二〇〇〇年度までを年率一・六%、それから二〇〇〇年から二〇一〇年度までを一・二%の伸び率を想定いたしたわけでございます。これは、いろいろ御指摘のようにデータに基づく積み上げをやっておるわけでございますので、主要なものについて、御指摘を踏まえましてまた御相談をさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、マクロ的な問題といたしましては、経済については、一般的な考え方を申し上げれば、内需主導の経済運営のもとで引き続き堅調な経済成長率を維持するということでございますが、長期的には次第に安定成長になっていくという前提を置いているわけでございます。  また、国際石油情勢につきましては、中長期的には発展途上国中心需要が非常に伸びていく一方で、OECD諸国における原油生産の減少が見込まれることを背景に、また中東依存度が高まっていくということを前提に、石油需給が逼迫化し原油の価格が上昇していくというIEAの一般的な見通しを前提といたしているところでございます。  いずれにいたしましても、定量的な問題につきましては別途御報告をさせていただきたい、このように考えております。
  54. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 ぜひこれは、きょうの議論だけではなくて、これからいわゆる大きな問題ですから、我々が議論する場合に一番大事なベースになるデータでございますので、ぜひお出しいただきたい。大臣、ぜひこれは、長官もそういうお話ですから、我々もこれからの議論を進めるために必要な指標だ、こう考えておりますので、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、今度の省エネ法を推進をして、いろいろ努力をして、その結果としていわゆる数字が示されておりましたね、四億二千万から三千万キロリットルを三億九千百万キロリットルくらいのレベルにいわゆる省エネをするということでございますね。これの数字は、差し引きますと大体四千万キロリットルから五千万キロリットルくらいになるのですけれども、主にどの部門でこのくらいの省エネ効果が上がるというふうに考えておられますか。それは大きなところで結構です、細かい数字は要りませんから、大体、産業分野、民生分野あるいは運輸分野、こういういろいろな分け方があると思いますけれども、どの分野でどのくらい省エネをされるというふうに考えているか、まずそれをお答えください。
  55. 黒田直樹

    黒田政府委員 私ども、今回の両法案を御提案するに先立ちまして、総合エネルギー調査会それから産業構造審議会等の合同会議でいろいろな現状分析あるいは施策の方向について御検討いただいたわけでございますが、この御議論の過程での試算によりますと、今後二〇〇〇年までに三千万キロリットル以上の省エネの余地があるのではないかということが試算されておりまして、部門別には、産業部門で千三百万キロリットル以上、民生部門で八百万キロリットル以上、運輸部門で九百万キロリットル以上、こういう数字が見込まれております。
  56. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 大臣にまたお尋ねしたいのですけれども、そういう目標を立ててこれから一生懸命省エネ努力をする、こういう格好になろうと思うのです。今まで、反省点をいえば、エネルギーはどちらかというと、使い捨てを含めて大量消費をしておったという反省の上から、こういう形に今地球全体でもなっておるわけだと思いますね。  省エネを考える場合に、それはいろいろな方策があろうと思います。ですから、そこで、先ほど運輸部門はこの法案に税の網はかぶっていないということで議論のやりとりをいたしましたけれども、産業部門で千三百万キロリットル、運輸部門で九百万、民生で八百万というお話でございました。まず、これを、このくらいの省エネ効果を上げるのに、どこに一番重点を置いて省エネをやっていくかということですね。  それは、もちろん消費の絶対量を抑制するということが一つあろうと思うんですね。もう一つは、エネルギー効率を上げるという方法があると思います。あるいはリサイクルを推進するという方法があろうと思います。あるいはまた、新しいクリーンエネルギーを導入していって、熱効率のいいものを導入していく等々、たくさんの方策があろうと思いますけれども、環境問題も絡み、この省エネ法というのは大変難しい課題を抱えておるだけに、どういう形でどこを重点にこれだけの省エネ効果を上げるかということについてお尋ねをいたしたいと存じます。
  57. 黒田直樹

    黒田政府委員 数字的な見通してございますので、私の方からまずお答えをさせていただきます。  産業部門千三百万キロリッター以上の余地と申し上げたわけでございますけれども、これはまさに今回お願いをいたしております両法案の成果が主体になるわけでございます。具体的には、現行法でも決められております工場、事業場等についてのガイドラインを全面的に見直すことを運用の問題として検討いたしているところでございまして、この法施行に合わせてその見直しを実施し、基準を強化していきたいというふうに考えているところでございますけれども、これと同時に支援法の方では省エネルギー投資を中心に進めていただきたいということで、いろいろな支援策も用意をいたしているところでございます。今後これは、二〇〇〇年と申しますと七、八年でございますが、来年度だけの予算ということではなく、今後ともその支援策の強化あるいは拡充を含めまして、私どもとしても大いにこれを支援していく努力をいたしたいと考えております。  また、この法律にはございませんけれども、中小企業などでは工業炉とかボイラーとかいうことで、非常に古い年代のものの効率の悪いものが多く使われているのがまだ実態でございますけれども、こういったものにつきましては、予算措置によりましてリプレースを促進していくための利子補給などもバックアップ措置として用意をいたしているところでございます。  こうしたものを通じまして、産業部門における一層の省エネを進めてまいりたい。産業部門、累次御議論がございましたけれども、日本の場合にはオイルショック以降相当省エネが進んできているわけでございまして、それ自体のレベルというのは、全部を平均いたしますと世界に冠たるものがあろうかと思うわけでございますけれども、なお一層の省エネを支援してまいりたい、このように考えているわけでございます。  また、民生部門あるいは運輸部門、先ほど申し上げましたように一つ大きなのは個々の機器を通じてのエネルギー消費効率の向上ということでございます。  先ほど申し上げましたように、自動車についてはガソリン乗用車について基準を公表いたしているところでございますけれども、今後その対象範囲の拡大を含めまして、運輸部門のエネルギー使用の八五%を占めます自動車についてその向上を期してまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。  また、民生部門につきましては、民生と申しておりますけれども半分はいわゆる業務部門でございまして、ビル、建築物につきましては今回の法律におきましても、一方で工場並みのと申しますか、工場に準ずるような建築物についての判断基準の遵守の指示とか公表という制度をお願いいたしているわけでございますし、また支援法の方ではそういった大きな建築物についての省エネルギー機器の導入についてやはり支援をする制度を設けているわけでございます。そういった面でビルの省エネを徹底的に推進していきたいと考えているわけでございますし、またいわゆる家庭部門については電気製品等の性能の向上につき自動車と同様の措置を講じていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  58. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そこで具体的にお尋ねいたします。  特にこれは特定の、電気事業にかかわることですけれども、ここでかなりの石油やガス、そういうものを使って発電をして、それでエネルギーを供給している、かなりの消費をしているわけでございまして、ここの熱効率あるいはエネルギー効率を上げるということは省エネにとって極めて大きな問題であろう、こういうふうに思っております。  そこで、例えばLNGをたいている発電、ここでは今ガスタービン、コンバインドサイクルなどが導入されてかなり熱効率が上がってきております。あるいはまたリパワリングといって、いわゆるこれまでの蒸気タービンにさらにガスタービンをつなぎ合わせて両方で発電をするというふうなこと、あるいはまた流動床ボイラーなどを使って、これもまたガスタービンを組み合わせるというふうな方法等々、いわゆる熱効率を上げるための努力というのはかなりされていると思っています。ただ、またそれが全部進んでいるわけじゃありませんので、そこで、こうした熱効率を上げるための電力業界の努力というのは私どもそれなりにわかるわけでございますけれども、それをさらに一層推進をするということが大事だとすれば、この法律ではどういうふうに扱うか、私はよく承知をいたしませんけれども、そういう効率化のための計画というのを一定程度出させてそれをチェックしていく、ないしはそれを推進していく、そういう方策を積極的にとるべきなのではないのか、こういうふうに思うのです。今度の合理化計画の範疇に入るのかどうか、私はよくわかりません。しかし、もし入らなくても、そういう問題については通産省としては積極的にやるべきである、私はこういうふうに思いますが、いかがでございますか。
  59. 黒田直樹

    黒田政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在、火力発電所の発電効率三八、九%かと思いますけれども、今御指摘のように、例えばLNG火力発電所につきましてはいわゆるコンバインドサイクル発電方式、あるいは既存の発電所についてのリパワリングというのは重要な課題であるというふうに認識しているわけですし、また、既にいろいろ、一部実用化に移されていることも御指摘のとおりでございます。また石炭火力発電所につきましても、飛躍的な効率向上を目指しまして加圧流動床ボイラー複合発電方式等の技術開発あるいは実証を進めているところでございます。  こうした動きを踏まえまして、電気事業者、電力会社におきましても、いろいろな計画を持っているわけでございますし、また、最近電力会社から発表されておりますボランタリープランの中におきましても、個々発電所あるいは全体としての熱効率の向上といったものを目標に掲げているケースがほとんどでございまして、電力会社においても自主的な取り組みがなされているところでございます。熱効率の向上というのは非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましても、支援策をいろいろ融資の面、税制の面等で講じると同時に、この法律におきましても、今後工場等の判断基準の中でそういった問題も取り上げてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  60. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そこで、次に分散型エネルギーの問題を中心に幾つかお尋ねしたいと思うのです。  これまで、どちらかといえば、日本の電力の関係でいえば、大規模集中立地型と言った方がいいでしょう。そういうレベルで大体発電を行っている。しかし、今いろいろ言われている、あるいは新しいエネルギー開発ということを考えてみると、コジェネ、燃料電池あるいは風力、新エネルギーでいえばヒートポンプを使ったいろいろな熱供給事業あるいは太陽光発電等々、これからいろいろな新しい分散型のクリーンエネルギー開発というのが大事な時期を迎えていると思っています。そういう意味では私は、むしろ分散型元年と言ったらいいくらいの状況に今来ているのだろうと思うのです。ですから、そういう点でこの活用を積極的にすべきだというふうに思います。  そこで具体的にお尋ねしたいのは、太陽光発電についていろいろ推進をするのに系統連系は電力会社の方でオーケーを出した、しかしコジェネの場合はまだ系統連系について電力業界では了解をしていないというふうなことがありますね。こういうものを推進していくのに大事なのは、余剰電力をいつでも系統連系をして電力に買ってもらう、それも安定的に買ってもらうということ、ないしは足りないときには系続から供給してもらう、そのシステムが確立しなければ分散型のエネルギーを普及させるのには大変厳しい側面があるというふうに思うのです。どうして太陽光が系統連系できてコジェネがやれないのかというのはどうも不思議でしょうがなかったのです。技術的には太陽光レベルでできるとすれば、前はかなり高圧レベルのものしか系統連系はなかなか難しい、こう言われていた。しかし、最近は低圧の太陽光レベルでも十分に系統連系ができるということは技術的に立証されたのですから、どうしてコジェネでやらないのかというのはどうも納得がいかない。コジェネはかなりいろいろな地域で、今は特に都市部を中心にどんどん進められてきているわけです。これを推進するのにはむしろ絶対的な条件がなというくらいに私は思っているのです。前にも一度質問をしたことがありますけれども、例えば幕張の地域状況を見ると、どうもそういう系統連系がうまくいかないための際路があそこに象徴的にあらわれているような気がしてならないのです。  どうでしょう、これから皆さんが地域型、省エネエネルギー供給システムを今度は新しくつくってバックアップしようというときなのだから、まずコジェネの問題についてはっきりと今後の考え方についてお示しいただきたい。
  61. 黒田直樹

    黒田政府委員 系統連系の問題の技術的なガイドラインの問題でございますけれども、高圧の専用線と連系する場合等のガイドラインにつきましては既に整備を終えているところでございますが、現在、高電圧の一般配電線と逆潮流がある状態で連系する場合のガイドラインについて早急な整備を目指して鋭意作業中でございます。例えば、新エネルギー、太陽光発電につきましても、実は平成五年度末を目指していたわけでございますけれども、大幅に繰り上がりまして今年度末を目途に技術のガイドラインを作業中でございます。  今御指摘のいわゆるコジェネと申しますか、回転機型の発電設備に係るものにつきましても鋭意作業中でございまして、ほぼ同時期を目途に作業をいたしているところでございます。  なお、このガイドラインができるまで、策定前におきましても、電力会社におきましては、系統との連系につきまして積極的に個別対応をする旨の公表をいたしているところでございますけれども、いずれにいたしましても、ガイドライン、まず直流発電設備に係るものは年度末に、ほぼ同時期を目指してコジェネ等につきましても鋭意作業をいたしているところでございますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  62. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 年度末というのはいつですか。もうすぐ、この三月末という意味ですか。
  63. 黒田直樹

    黒田政府委員 ことしの三月という意味でございます。
  64. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 ぜひそれは早急に実現をしていただいて、こうした分散型のエネルギーが系統とうまく組み合わせていただいて推進できるようにお願いしたい。  そういうことであるとすれば、皆さん方がこの法案提案をしております地域省エネエネルギー供給システム、これは恐らくコジェネなどをそこに組み込んでその地域の熱供給事業や電気の供給事業というものを行うことになるのだろうと思うのです。その場合も余剰電力の購入の問題、売買の問題、系統連系を含めたそういうものが見込まれているのかどうかということが一つ。そして、もしそれが見込まれていないとすれば、この地域省エネエネルギー供給システムというのは少し問題があるかな、こういうふうに私は思っているのです。  これは、先ほど幕張の話をしましたけれども、そういう地域レベルでこういうものをやる場合には、どうしても電力と熱と両方一緒に供給してやらないとならない。それを熱は熱だ、電気は電気だということをやると、大変効率の悪いことになるのです。ですから、特にコジェネを利用する場合には、両方どっちにしてもできるわけだから、電気もできるし熱供給もできるわけですから、そういうことを地域省エネエネルギー供給システムというのは見込んでいらっしゃるのかどうか。そのイメージをちょっとお知らせいただきたい。
  65. 黒田直樹

    黒田政府委員 省エネルギー型の地域エネルギー供給システムといたしましては、今おっしゃったような大規模なコジェネというのが一つの典型的な例になろうかと思いますし、あるいはコンビナート等におきまして熱を多段階に利用する、いわゆるカスケード型の利用の、高温、中温、低温といったような、業種によっていろいろ使い方はございますから、そういったものなどを典型的な例として念頭に置いてあります。  ただ、今先生おっしゃいましたような、具体的に熱と電気がどういう組み合わせになっていくのかということにつきましては、まだ具体的な案件が固まっているわけではございませんので、今後よく精査してまいりたいと考えているところでございます。
  66. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 それと、民間会社で特に多量にエネルギーを使っているところ、法律で言う特定事業所になろうと思いますが、こういうところで自家発電をやっているところがたくさんあると思うのです。この自家発電についても、今までの悩みは、自分たちで使うものだけ、系統との連系が十分にいかない、ないしは売電にしても難しい、こういういろいろなことがあって、余剰電力問題については悩みがあったような気がいたしております。  これは今後どういうふうに扱われていくものなのかということをお尋ねすると同時に、将来、今すぐとは言いません。後でごみ発電の話もちょっといたしますけれども、電気事業法との絡みで、分散型を推進する場合にいわゆる特定供給の問題でいろいろぶつかってまいります。ここを将来法改正を含めて考えておらないのかどうか。私はむしろ、この分散型のエネルギーを電力会社が導入する場合だったり、あるいはまた民間が導入する場合であっても、そこに踏み込んでいかないとならない時代が来るのではないか、こんなふうに思っているのですが、いかがでございますか。
  67. 黒田直樹

    黒田政府委員 電気事業法との関係につきましては、今先生御指摘のように特定供給との関係がと思うわけでございますけれども、この特定供給を無秩序に緩和していくということになりますと、一般電気事業者の合理的な事業運営に支障が出てくるわけでございます。具体的には、一般の需要家へのしわ寄せと申しますかコストアップと申しますか、そういったものが懸念されるわけでございますし、また特定供給を受ける需要家の保護といった問題もあるわけでございまして、そういうことから、この法の運用におきましては、余剰電力を供給する事業者使用者との間に特殊かつ密接な関係がある場合に限って例外的に認めることといたしているわけでございます。  ただしかし、他方で、今も議論になっておりますような余剰電力の問題もあるわけでございまして、そういったものの購入についてはやはり電力会社としても有効利用の観点からできるだけ活用していくということはまた必要なことでもございますので、そういったことから、昨年の四月以降、余剰電力の購入について電力会社におきましてもメニューを整備し、実際に購入を開始いたしているところでございまして、そういう実態をよく見守って今後いろいろ考えていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。当面、直ちに電気事業法を改正する必要があるとは考えておりません。
  68. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 この議論はこれ以上やめます。ただ、分散型をどんどん推進できるような方向をきちっとぜひ進めていただきたいということを強く要望しておきたいと私は思うのです。  もう一つ、我が党が今提案をいたしておりますごみ発電法の問題と絡んでお尋ねをしたいと思っております。  このごみ発電問題については、いわゆるごみの焼却余熱を有効利用して発電を行うという意味では、まさに省エネないしはエネルギーの有効利用にかなったものである、こういうふうに考えておる次第でございます。  そこで、まず、自治省おいでですね。自治省が二月十九日付で地域エネルギー事業推進に関する調査会の研究報告というのを出されました。これを見ますと、文字どおり、このごみ発電推進するためにスーパーごみ発電、いわゆるガスタービンと連結してもっと効率のいい発電をやって、それを売電して上げた利益などを中心に、大体ごみの焼却場というのは地域では歓迎されない施設でもあるために、地域にもいろいろそういうもので還元をしようということなどを含めた大変すばらしい構想がこの調査会から出されてきております。今までも厚生省は、いわゆる自分たちの施設の中で使う部分の発電については補助金を出しておりました。そして、自治省はこの間ごみ発電について起債を認めてくるようになりました。問題はやはりそこから先、幾つか隆路があるのですけれども、この指摘でも、第三セクターなどを含めて県やそういうところ、自治体でどんどんごみ発電をやっていくべきである、こういう指摘がなされていると思います。そこで、これを受けて今後の方策をどういうふうにするのかということをお尋ねすると同時に、ごみ発電というのは一体どのくらいの潜在能力、潜在的発電可能性があるのかということを含めて御回答いただきたいと思います。
  69. 坂田隆史

    ○坂田説明員 お答えいたします。  先般研究会の方で御報告をいただいたところでございますが、まず、ごみ発電、スーパーごみ発電につきまして推進方策ということでございます。自治省といたしまして、地方公共団体におきます廃棄物の焼却廃熱を有効利用しなければいけないということで、積極的に支援していこうということで平成四年度からごみ発電につきまして電気事業債の対象といたしているところでございます。さらに、平成五年度に新たにスーパーごみ発電、これは先ほどのリパワリングを利用したスーパーごみ発電事業でございますが、これを電気事業として地方債措置を講じていくということで支援をさせていただきたい、このように考えているところでございます。  それから、潜在能力ということでございますが、これは試算等なかなか難しいところもございますけれども、現在どのような状況になっているかということでお答えいたしますと、元年度末で全国で約二千カ所のごみ焼却場がございます。このうち平成三年度末で発電をしておりますのは百十三ございます。最大出力の方で三十五万キロワットというような状況でございますので、このうちに余剰電力を売電しております設備容量を持っているところにつきましては五十二カ所というような状況になっております。ただ、これらの施設につきましてはほとんどが焼却施設内の自家消費というようなことを主としておりまして、比較的低いレベルにとどまっております。まだまだ相当な余力があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  70. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 前に私ども発電法をつくるときに自治省にお尋ねしたところでは、三百万キロ以上の能力があるというふうな数字をいただいたことがございます。ですから私は、これを推進すればかなり大きな電力を、余剰電力含めて利用していわゆる売電も可能だ、こういうふうに思うのです。  そこで、これはエネ庁にお尋ねしたいのですけれども、私どもがごみ発電法を提案した中に、結局これを推進するのに大事なのは、今のような行政のバックアップ体制も必要でしょう。同時に、この余剰電力を一定のきちっとした価格で買い入れていただく、このことが必要だ。私どもはいわゆる買電義務を法律では課しております。それは、一般の民間の事業とは違って、私どもが提案した法律の中ではいわゆる自治体が行う、第三セクターないしはそういうところで行う安定的な電源ということに、それなりの範囲をきちっと設定した上で買電義務を実はこの法律の中に書き込みました。そのことがどうも法案に対する一万の厳しい指摘になってこの法案に対する反対の意見がある、こういうふうに私は認識をいたしております。  ですけれども、そろそろ自治省がこういう研究会をやって報告を出してこれを推進しようというレベルまで来ました。恐らくこれはどんどん進むと思う。このときにやはり必ずぶつかるのはそこです。価格の問題含めて安定的に電力の側に買ってもらえるかどうかということが今回一番問題だったのです。それで、この問題で我々は全国歩きました。そして、最初は五円くらいの価格で買っておったのですね。それがいろいろな動きの中でこれが十円になり、最近は買い取り価格がかなり上がってきたことは私も承知をいたしております。しかし、本格的にこれを推進するとすれば、その辺のいわゆる保証というか、安定的な価格で購入していただけるという条件がもう一方で必要なんだろう、こういうふうに思っているのですけれども、いかがでございますか。
  71. 黒田直樹

    黒田政府委員 ごみ発電の能力がだんだん大きくなってきていること、あるいは今おっしゃいましたような余剰電力の購入の要請が非常に強まってきていることを背景といたしまして、電力会社は平成三年の一月にこみ発電の余剰電力を幅広く導入する方針を明確にしたわけでございますけれども、さらに昨年の三月には、購入の具体的な条件を定めて公表したところでございまして、廃棄物発電の余剰電力の購入は今のところ着実に進んでいるのではないかというふうに見ているところでございます。  先ほど数字的な御説明が若干自治省の方からあったわけでございますが、先ほどの数字と若干違いがあるかもしれませんけれども、私ども、平成三年度末で全体が百十一、この中で売電、余剰電力を電力会社に売っているのが五十一でございまして、その後、最近のものを加えると五十三になるのではないかと思いますが、この五十一のベースで申し上げますと、余剰電力を電力会社に販売をいたしている量が六億キロワットアワーということでございまして、余剰電力を販売しているごみ発電の主体から申しますと、発電量の四割強を電力会社に販売しているのが実情でございます。  それで、この余剰電力の購入の価格、電力会社が自主的に決められておられるわけでございますけれども、購入の考え方といたしましては、電力会社がみずから火力発電でたさました場合あるいはつくった場合のコスト見合いというふうに考えているわけでございまして、具体的には、平日の昼間の安定的な電源につきましては、電力会社によっていろいろ差はございますけれども、大体キロワットアワー当たり十一円、それから安定的でないもの、夜間のものといったようなものにつきましては、平均でキロワットアワー当たり約四円というのが現状でございます。実態、先ほど五十一の廃棄物発電施設から電力会社が購入していると申し上げましたけれども、今の累計で申しますと、五十一のうち約半分の二十六施設につきましては、安定的なものとして買電をしている、これが現状でございます。私どもといたしましては、そういうことで、現在、電力会社の自主的な取り組みのもとに着実に進んでいるというふうに見ているわけでございますので、法律で余剰電力の購入を一律に義務づけるということになりますと、電力会社の場合には、一方で低廉かつ安定的な電力供給の責務を果たすということが求められているわけでございまして、当面はその運用状況を見守ってまいりたい、このように考えております。
  72. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 私は法律を通してもらうために提案をいたしておるわけでございますから、それは一日も早く成立を願っているわけでありますけれども、今のようなお答えでございますので、せめて最低でも、当面、ガイドラインをきちっと示して、それなりの価格できちっと買っていただけるような条件というのを整えてほしいということだけは申し上げておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、資源リサイクルの問題についてお尋ねをしたいと存じます。  まず、今度の法案の中でもリサイクルをバックアップするという意味での法体系になってございます。問題は、先ほども議論ありましたように、リサイクル法ができました。そして、この間空き缶の問題やら紙の問題やらいろいろリサイクルでは逆有償の状態などが出まして、大変難しいいろいろな問題が噴き出たのでございます。そこで、リサイクルを本当にきちっとするためにどうしても必要なことという中で民間の回収業者、これは紙にしても空き缶にしてもかなり大きな役割を担っていただいております。この存在がなければリサイクルそのものはもう機能しないというふうに言って言い過ぎでないと思っております。もしそういう民間のリサイクル業者が経営が厳しくてやめてしまうようなことになったら、それを代がえとして例えば自治体がやろうといったって膨大な金がかかってリサイクルは恐らく機能しなくなってしまうだろうというふうに言われておるわけでございまして、そういう意味でこの役割の重要さについて私はぜひ認識をしていただきたい。  ところが、最近のこういう状態の中で、経営的に厳しくなって廃業する事業者が多くなっている。とりわけ首都圏、関東圏を中心に、こういう地域で回収業をやるというのは大変難しい条件があるそうでございます。例えば土地が値上がりする、そうすると自分たちで持っているストックヤードなどはとてもじゃないが固定資産税がどんどん上がって厳しい経営状態になるということなどを含めて、大変そういう悩みを持っております。そこで、東京都ではこうした業者の悩みを聞くためにこの間実は業者に対するアンケート調査を行ってきております。恐らくこのアンケート調査が集約をされていけばそういう問題が次々に指摘をされてくるんじゃないだろうか、こういうふうに思うんです。そうなりますと、恐らく東京都はそれに対してやはりそれなりの支援策を講じることにもなっていくだろうというふうに思います。そのときにリサイクル法を管轄をしている通産サイドでそれをきちっとバックアップしていただきたいという立場から私は幾つか申し上げたいと思います。  まず一つは、こういう中小業者に対しては、今度のリサイクル法では支援策がないに等しいんです。実際は支援策がないんです。構造改善事業に該当している部分というのはまあ直納問屋くらいなところまででしょう。あとの民間の一番肝心な役割を担っている人たちに対する支援策というのはほとんど見当たらない。これであってはならないと思うんです。一番大事なところをこのバックアップ体制の中で忘れてしまっているんじゃないだろうか、こういうふうに私は思うんです。  ですから、そこで具体的にお尋ねしますけれども、こうした民間回収業者に対して、特にストックヤードとかあるいは遺産を相続していくときに相続税がかかってもう畳まざるを得ないというようなことがあって、固定資産税の問題、遺産相続の問題、そういう点でも大変悩みが多いようでございます。ですから、これを持続させていく、あるいは経営を安定させていくという意味でそういう措置はとれないものかどうか、まずお答えをいただきたいと思います。
  73. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  回収業者の重要性については、鈴木委員と我々の認識は全く同じだと思っております。そういう意味で、東京都が特に関東圏の回収業者の悩みをアンケート調査でくみ上げていただけるということは大変時宜にかなったものだと我々は思っておりますし、その結果がまとまり次第、私たちの方にも報告をいただけることになっておりますので、その結果、我々にも参考になることが必ずあるとは思いますが、それを見て必要な対策をバックアップしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。  今回の新しい法律、支援法の中には確かに回収業者に対する施策そのものはないわけでございますが、ある意味では、従来から回収業者に対する施策は、業種ごとにいろいろ差はございますけれども対策を講じてきておるわけでございますし、一般策といたしましても、回収業者の設備あるいは承継税制というような一般的な形で応援をしているという面もあるわけでございます。ただ、この支援法は、それでは回収業者に対して全く考えなかったのかということに対しては、実は回収業者の現在ぶつかっている問題というのが、いわば紙なりガラスがどんどん集まってしまった結果、それを使ってもらう人がいないという、静脈と動脈の真ん中にあります心臓に位置しますところの紙のメーカーあるいはガラスビンのメーカー、そういう人たちにもっと再生原料をたくさん使っていただくということをさらに進めることによりまして、全体としてのリサイクルがさらに増進するというようなことを大きくねらったものでございます。その結果、必ず回収業者の荷物の扱いというのが、今後需要が拡大することにより現在のマクロ的な景気対策もあわせまして必ずや効果があるのではないかと思っている次第であります。
  74. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 それは一つ方法だとは思いますけれども、今や文字どおり一番大事な分野を担っている回収業者の人はもっと深刻なところで悩んでいらっしゃる。ですから私は、この際、東京都が調査をして、そういう問題が浮き彫りになった段階でも結構です、これは。今すぐその問題を措置しろと言っても、なかなか難しいと思う。だから、例えば事業税の問題、固定資産税の問題、相続税の問題などは一番、ああいう業者にとって一定の施設、ヤードを確保しなきゃならないという意味で本当に深刻な悩みのようでございますから、これらに対する支援策というのをぜひ検討していただきたいというのが一つ。もう一つは、ストックヤードを官民一体で確保する方法というのを考えなければならない時期に来ていると思うんです。その場合に、やはり行政のバックアップ、支援策というのが絶対的に必要だというふうに私は思います。特に、今首都圏、関東圏の場合は用地を確保するだけでも大変だ、物すごく高いという地域でございますから、官民一体でそういうものを確保して、そのリサイクルのシステムが機能する、こういうふうな方向を考えるのにも、ぜひ支援策をしていただきたいというふうに思うんです。これが二つ目。  もう一つは、これは空き缶の問題で具体的に申し上げますけれども、この間逆有償になって大変な事態を一時招きました。最近まあ少し鉄くずの価格が上がってきておりますけれども。そのときにいろいろ議論になったのは、空き缶のいわゆる再利用の場合に電炉メーカーがリサイクルでそれを使うということになると思いますけれども、それだけでは不十分なので、高炉メー力ーでも技術開発を進めている。少しずつそれができるようになったというふうにもお伺いをいたしております。ここをもう少し計画的にやっていただいて、せめて空き缶を回収した者がほうり出されるようなことのないような受け皿をつくっていただけないのかというのが業界の方の強い願いです。いわゆるリサイクルしている、あるいは一生懸命ボランティアでそういうものを集めている人たちにとってみれば、まさに大きな問題でございますので、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  75. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 前半の回収業者に対する対策、特にストックヤードの対策につきましては、我々も大変問題が大きいものと認識しております。東京都のアンケートの中にも、周りじゅうから批判を受けているのではないかとか、承継税制が大変じゃないか、税の負担が大変じゃないか、この辺の状況が浮かび上がるに従いまして、具体的な施策を講じてまいりたいと思っております。  それから、空き缶の問題でございますが、これは確かに、先ほど申し上げましたように、空き缶を集めたものが実際に使ってもらえるようにする、従来は電炉メーカーだけだったものが、通産省のいろいろ指導もありまして、高炉メーカーも技術開発をし、さらにその購入を高めている、しかもそれを長期契約の形で買うというようなことを進めておりますが、こういうこともあって、実は、空き缶の回収、スチール缶の回収利用率は大変近時上がってきているわけでございます。今後ともこういう状況が続きますように努力をしてまいりたいと思っております。
  76. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 大臣、今リサイクルの話いろいろ申し上げましたけれども、リサイクル法をつくって、その後むしろ、かえってリサイクルが機能しなくなった。それは、鉄くずの問題、紙の問題、逆有償になったことなど含めて、いろいろな問題が出ました。それで、今のような課題がむしろ明らかになったのですね。ですから、これからそういう都道府県でやっていること、地域でやっていること、ボランティアの皆さんがやっていること、そしてもちろん、それを使用していただける方の推進も含めて推進をしなきゃならない。  例えば、再生紙を使うという場合、政府の省庁で一体どれだけ再生紙を使っているんだろうか。例えば、白書を出しますね、そういうときに、どの省庁は再生紙を使っているか使っていないか、あるいは予算書をつくるときにあれだけの膨大な紙を使う、そのときに使っているか使っていないかということなど含めて、私は、リサイクル全体のシステムが本当に機能するように、リサイクル法をつくった、そこに魂を入れるために、もっときめ細かな対応策といいましょうか、システムが機能するような方向通産省を挙げてやっていただきたいというふうに思うのです。この間、むしろいろいろな逆有償があったためにいろいろなことがわかりましたので、そういうことを参考にしながら、改めて決意をいただきたいと思います。
  77. 森喜朗

    ○森国務大臣 たびたび申し上げておりますが、このかけがえのない地球を廃棄物による環境の悪化から守りまして、快適な生活水準と経済活動を長期的に維持するためには、今まさに先生が御指摘なさいましたように、リサイクルを組み込んだ経済社会への転換を進めることが必要であるというふうに考えております。また、リサイクルは、深刻化する廃棄物処分場の不足を解消する観点からも、また省資源、省エネルギーにも資するという観点からも重要なものでございまして、なお一層推進が求められております。  リサイクルは、回収する段階、再生資源を利用して製品を製造する段階、再生資源利用製品を販売する段階から構成されておりますが、その一翼を担う回収業者の役割も、当省としては極めて重要と認識をいたしております。通産省といたしましては、このような回収段階も含めたリサイクルの各段階の特徴、性格に応じたきめ細かな施策を講ずることが重要だと考えておりまして、平成三年十月に施行されましたリサイクル法と、現在御審議をいただいております省エネ、リサイクル支援法とを車の両輪として、従来から講じてきた施策と相まってリサイクルの一層の推進に努めてまいりたい、このように考えております。
  78. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 次に、NEDOの業務を新しくこの法律では追加をして、省エネ技術開発と導入促進ということ、海外石油代替エネルギー技術あるいは省エネルギー技術の導入促進という新たな業務を追加いたしました。そして、何回か議論をされておると思いますけれども、特に途上国などにおけるところの省エネ技術推進するというためにいろいろ仕事をしたい、こういうことだろうと思います。  そこで、途上国に対する支援というレベルではODAの援助というのが大宗を占めておるわけでございます。改めて今度、技術導入推進というレベルでNEDOが新たな役割を果たすということになるわけですけれども、そのODAの支援とNEDOのこの新たな事業というものの垣根といいましょうか、そこのところをきちっとしておかなければならないと私は思うのです。ですから、その辺のところについてまずお尋ねをしたいというふうに思っております。
  79. 黒田直樹

    黒田政府委員 今回の御提案申し上げております法改正におきまして、NEDOの業務で、国際業務といたしまして、石油代替エネルギーあるいはエネルギー使用合理化に関する技術海外での有効性の実証という事業を追加しているわけでございますが、これはあくまで我が国エネルギー安定供給というものを確保する観点から、これらの地域におきまして省エネルギー技術とかあるいは脱硫技術であるといったものの有効性をモデル事業として実施をすることによって、その地域におきまして自律的普及の基盤づくりを行おうとするものでございます。  ODAの方は、むしろこれを一般的に相手国の経済開発経済の向上という観点から実施するものでございまして、一般的な大きな考え方といたしましては、NEDOで行う事業というのはODAよりも前段階のモデル事業、こういうふうに認識をいたしておるところでございます。
  80. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そうすると一般的な新事業ではなくて、モデルをつくって、それが後、その国で推進をするために必要ということであればODAで援助をする、そういうふうに受けとめてよろしいのだろうと思いますが、そういう意味であるとすれば、これは本当にしっかりとそういう技術移転をして、特にCO、の問題でいえば、途上国がこれから大変排出をする量が多いということなどを含めて考えますと、極めて大きな役割を担っていただけるのだろうと思うので、ぜひ推進をお願いしたいと思います。  この際、さらにお尋ねをしたいのですけれども、ODAの関係で、太陽光発電について実はいろいろお尋ねをしましたところ、日本は一回パキスタンにODA援助をして、それ以降ちょっとトラブルがあって一切やっておらぬ。むしろ、太陽光発電生産量は日本世界一。この日本生産した太陽光発電をカナダが買って、ODAの援助を別な国にやるなどということも実は起きておるわけですね。この間、その日本独自のODAの支援として、かなり要望の強い地域が東南アジア等にあります。どうしてこれをやらないのかということを含めて、ちょっとこの辺は私はどうも納得のいかないところがあるので、御答弁をいただきたいと思います。
  81. 黒田直樹

    黒田政府委員 太陽光発電、累次の議論でもございますように、まだコストが高いわけでございますけれども、遠隔地であるとか離島であるとかいった電力網の未整備地域における村落電化用の電源であるとか、あるいはがんがい用の水ポンプ用の電源としては、現段階でも条件によっては適切な用途が考えられるわけでございまして、具体的な要請に対応する形で技術協力を実施いたしているところでございます。  これまでに実施したものあるいは実施しているもの、今先生御指摘のパキスタンの例あるいはインドネシアでも村落の電化等に二件行っておりますし、またキリバスであるとかタイ等においても実施をいたしているところでございます。今後とも具体的な要請に応じて支援は考えていきたい、こういうふうに思っております。
  82. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 この際ですから、国内の普及の問題についても一言お尋ねをしておきたいと思うのです。  太陽光発電、燃料電池の普及のために、今公共施設を中心に実証フィールド試験をやってございます。これはかなり拡大の方向で取り組まれている、こういうふうに認識をいたしておりますけれども、今後の進め方、同時に、これを実証フィールド試験の後、コストの問題等々で大変、まだまだ解決をしなければならない問題がたくさんあることは十分承知です。しかし、これは普及をさせなければコストも下がらないのでして、ほかのドイツや何かの場合は、もう、ソーラーハウス、そういうものに対してかなりの援助をしてこれを普及させているということがございます。ですから、どうなんですか、これから、太陽光発電についての実証テストの拡大はもちろんですけれども、この推進の方策というか、少し長い、長期的な意味でどんなふうに考えていらっしゃるか、この際、御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  83. 黒田直樹

    黒田政府委員 太陽電池の公共用施設等でのフィールドテストの事業でございますけれども、今年度から八億五千万程度の予算で開始をいたしているところでございます。来年度これを十二億強に拡充を御提案申し上げているところでございますけれども、今後とも拡充の方向努力していきたいと考えております。  今年度の予算の実行の問題といたしましては、十一件程度の公共用施設を対象に実証を開始しつつあるところでございますけれども、これ、フィールドテストという意味におきまして、いろいろな地域、つまり、日照がいい地域であるとか、積雪地域であるとか、寒冷地域であるとか、いろんな地域のタイプがまず必要でございますし、また、公共用施設等につきましても、いろいろな類型を考えながら、実証フィールドテストの効果が最大限に上がるように、かつ、技術開発から本格的な導入への基盤、素地をつくっていくという意味におきまして、今後とも拡充に努力してまいりたい、このように考えております。
  84. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 時間が来てしまいました。そのほか、LNGや脱フロンの問題、ピーク時対策等で通告をしておったのですけれども、時間が参りましたのでこれで終わらせていただいて、今後、別の機会にこの問題については質問させていただきたい、こんなふうに思います。ありがとうございました。
  85. 安田範

    安田(範)委員長代理 後藤茂君。
  86. 後藤茂

    ○後藤委員 エネ庁長官は食事をしましたか。一してませんか。それじゃ、先にしばらく大臣にいろいろ御質問を申し上げたいと思いますので、また、長官にかかわる問題については留保しておいて、食事をしていただかなければ、途中で倒れたら困りますので、どうぞ。本当に、どうぞ。  最初に、政策面におきましても非常に高い見識と理解を持っておられる大臣に、全体的な問題についてどう考えていったらいいかということで、質問なり、あるいは私の考えなりに触れながら、申し上げてみたいと思うのです。  まず最初に、急激に大変な円高に入ってまいりました。先週から今週にかけて、その動きがとまらないで、一ドル百十円ぐらいになるのではないかというような観測さえ出てきているわけであります。これは東京サミットなり、あるいは二十七日からですか、ロンドンにおけるG7をにらみながら、急激な円高の動きというものが、円高圧力を背景に持っているのではないだろうか、こういう観測もなされておりますけれども、貿易黒字に対する是正策がとられていかない、決め手がないとしますと、一ドル百十円前後くらいまでが常態化していきはしないだろうかな、こんなふうにも実は考えるわけです。これはメリット、デメリットもあるわけでありますけれども、この円高の問題を最近の状況としてどういうようにごらんになっているか、大臣の所見をまず最初にお伺いをして、これに対する対応等の私の考えを申し上げてみたいと思いますので、まず、その点をお聞きしたい。     〔安田(範)委員長代理退席、竹村委員長     代理着席一
  87. 森喜朗

    ○森国務大臣 むしろ、当委員会で大変御専門の後藤委員であります。最初に、長官に食事を与えている間に私を少し面接テストをしよう、そのようにおぼしめしかと思いまして、大変緊張いたしてお答えを申し上げたいと思う次第です。  今も予算委員会に出席をいたしておりまして、やはり御堂の委員と林大蔵大臣との御議論も聞いておりましたが、やはり今回のこの急な円高というのは、これは基本的に思惑が働いているというふうに私は見ております。  それは、見方はいろいろあるかと思いますが、一つは二十七日からロンドンで開催されますG7におきまして、昨年の千三百二十六億ドルにまで上った我が国の貿易黒字に対して、やはり円高誘導策が協議されるのではないか、そういう思惑が浮上しておるということ、あるいはクリントン米大統領がかなり抜本的な経済政策というものを打ち出しておられました。その中で増税策というのがございました。これが今アメリカの景気回復の牽引的役割をしております個人消費を圧迫するのではないかという懸念が出てきておること、あるいは具体的な財政赤字削減が出ておりますので、それから出ましたことからのドル金利が低下しているということ、さらにもう一つ大きいのは、二月十九日になりますが、ベンツェン米財務長官が一層の円高が望ましいということを、明確に円高期待を表明をした。そういうことがクリントン新政権の周囲あるいはまたホワイトハウス内でむしろ円高を希望しておるのではないかという、そのようなことがやはり背景として、思惑として浮上してきているものだろうというふうに思います。  いずれにしましても、このドル・円との関係というのは、その国のいわゆるファンダメンタルズ、基礎的な経済条件というものが正しく反映をされていかなければならぬことでございまして、こういうふうにわずか二週間で、きょうは少し戻したようでございますが、まあ、七円以上なんという動きというのは、これは決して容易なことではございませんし、いろいろ円高というのはメリットもデメリットもあることは、今、後藤先生お話しのとおりでございますけれども、こういう面では、我が国産業界、いわゆる中小企業等を含めて、まさに景気回復のために今最大限の努力をしておりますときだけに、このようなことの思惑で大きな変化があるということはやはり景気回復の足を引っ張ることになるということで、大変私どもとしては、端的に申し上げて非常に困る状態であるというふうに申し上げてもよろしいのではないかと思います。ただ御指摘のように、どのような影響、どういうふうになるかということについては今まだ正確には読み取っておりませんけれども、早速事務当局に命じまして、そして中小企業等どういう影響をこうむってきているか、今直ちに緊急の調査を指示をいたしておるところでございます。
  88. 後藤茂

    ○後藤委員 予算委員会でいろいろ議論がなされていると思いますので、この委員会で中身についていろいろ議論をしたいとは思っていないのです。ただ、こういう急激な円高、しかも七円前後とか十円くらいとかというのが仮に五円、三円になったといたしましても、一説によると、例えば大手自動車等は四十億円くらいの損失になるのではないかというような話もあるわけですが、そういう輸出産業はともかくといたしまして、輸入をしている、いわゆる円高差益の問題が当然また、これはしばらく続いてまいりますと議論になるだろうと思うのです。  かつて円高差益還元の問題が起こったときに、社会党も、それは消費者に還元すべきであるということで、当時わずかな還元をそれぞれの家庭にした経緯があるわけです。私はこのやり方というものは必ずしも賛成しなかったのですけれども、やはりたとえわずかでも家庭に還元されるということは喜ばれるだろう、こう思ってやった。政治の世界はどうもその辺が大変不都合な面がございまして、円高差益等はもっと有効に使っていくべき面があったのではないかと後で反省をする意見等もたくさん出ていると思うのです。  これからしばらくこの円高が続いていくということになりますと、当然円高差益還元の問題が国民の中からも生まれてくるだろうと思うのです。そうしたものに備えて、円高の差益還元というようなことについて大臣がどのようにお考えになっているか。これから私も御質問申し上げますけれども、エネルギーの問題というのは大変重要な政治課題でございますし、その解決のためにどのように有効に使っていくかということを知恵を出していく時代に入ってきている。しかも、それは三年、五年というような短期の見通してはなしに、二〇〇〇年とか二〇一〇年とか二〇五〇年とかというようなことで言われておるわけでありますから、これから円高差益というのが出てくる、どうもしばらく円高は百十五円前後で続いていくということになってまいりますと、これに対する考え方の整理を今から通産省としてもぜひ考えておくべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  89. 森喜朗

    ○森国務大臣 今、後藤先生御指摘のとおり、私どもも前回のときにいろいろな経験をいたしたわけでございますが、先生も個人的にはすぐそれを還元にというのはいささかどうかなというお考えを今お示しになりましたが、私も当時そのようなことで随分議論もいたした経験を持つわけでございます。  基本的には、これは前回の経験もあるわけでございますから、余りヒステリックに考えない方がいいと、先生のおっしゃるように将来のエネルギー供給、すべて含めて慎重に考えていくべきだというふうに、私は基本的にはそんな考えを持っておりますが、この急激な現在の円高状況については、今申し上げましたように少し先行きを重視していかなければなりませんが、必ずしもこれは先行き透明ではございません。年間をならして、円のレートの落ちつきもまだ不明という状況であろうと考えております。  そういう中で、電力とガスについていえば、仮に今後一ドル百十六円の事態が一年間続いたといたしました場合でも、現行料金織り込みベースと比べまして、為替レートの円高によるプラスは電力で大体九百億円程度、ガスで百三十億円程度というふうな数字が今出されております。一万原油価格の実勢は、料金織り込みのベースに比べましてバレル三ドル程度の上昇をいたしておりまして、これによる年間を通しましたマイナス面の影響は、電力で二千億円前後、ガスで三百億円程度というふうになります。  このように見てまいりますと、マイナス面の影響が大きくかつ円レートの先行きが必ずしも透明でないという現状から見まして、電力、ガスにつきましては円高差益還元を云々できる状況ではないというふうに現時点では考えております。
  90. 後藤茂

    ○後藤委員 どうしても私ども国民の皆様方の声を大切にしなければなりませんけれども、そういう世論に押されていって政策が判断を誤る場合もあるわけです。特にエネルギーの問題につきましては、こうしたものをどのように対応していくかということはしっかりと検討をしておいていただきたい、有効に使っていくということを考えておいていただきたいということを、政調会長も長くやられた大臣でございますから特に要望を申し上げておきたいと思います。  退席してよろしいですかというのが来ておりますが、それじゃまた、長官が早々ともう食事をされたようですから、どうぞ。  それじゃ長官、まだこなれてないでしょうけれども、立地公害局長もいらっしゃいますので、主としてお二人にいろいろ御質問を申し上げてみたいと思うのです。  クリントン・アメリカ大統領が十七日、財政赤字削減の一環として広範なエネルギー源課税する新エネルギー税の導入を発表いたしました。この新エネルギー税というものに対してどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたい。これまでは、ついこの間までアメリカはそういう税は考えないということを言っておったのですが、突如新エネルギー税を導入したいということを発表しているわけであります。後にまた御質問申し上げますけれども、環境にかかわる問題では必ずしもなくて、増税の一環として新エネルギー税ということを考えているようでありますし、また日本のいろいろなエネルギーの税制から見ますとアメリカの場合は、どうなんでしょうか、日本よりもエネルギーにかける税というのは相対的には若干低いのかどうか。したがって、国民の反応というのもある程度いけることを見越してこういう新エネルギー税を創設していくという考え方をお持ちになってきたのかどうか。この辺を、クリントン米大統領一つ考え方に対して、今どういうようにごらんになっているか。どちら、長官ですか。
  91. 黒田直樹

    黒田政府委員 今お話がございましたように、二月十七日の一般教書演説におきまして、アメリカクリントン大統領が各エネルギー源の熱量に応じて課税する新たなエネルギー税、いわゆるBTU税と言っておりますが、この導入を打ち出されたわけでございます。  この教書の発表に先立ちまして、クリントン大統領当選後いろいろ、環境色が強まるのではないかとか、あるいはガソリン税は上げられるんじゃないかとか、また現に議会には、石油課徴金と申しますかそういったもの、あるいは炭素税とか、いろいろなものの法案提案されているように聞いているわけでございます。この二月十七日の一般教書演説でこのBTU税が提案されたわけでございますけれども、基本的に、もともと、今後藤委員がおっしゃいましたように、エネルギーに対する税負担というものがアメリカでは小さい中で非常に大きな財政赤字の削減を目的といたしまして広範なエネルギー課税を実施しようとするものでございまして、税金によりエネルギーの価格が、これは転嫁されれば上がることになるわけでございますから、副次的に省エネルギー等にも資するという期待はあろうかと思います。  いずれにいたしましても、このBTU課税、現在伝えられているような税率と申しますかレベルとかいうもの、あるいは考え方としていわゆる環境税ということで抑制型のもの、あるいは炭酸ガスの含有量に応じて行う炭素税といったものとは趣旨を全く異にするものであるというふうに理解いたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、現時点でこれがどういう法案化されてというのはまだこれからの話でございまして、詳細は今後を待っ必要があるわけでございます。  また、アメリカの国内でも、恐らく議会はもちろんのこと、関係業界の中には、特にエネルギー業界を初めといたしましていろいろな反対論もあるようでございまして、いずれにいたしましても、今後の動向を注意深く見守ってまいりたい、このように考えております。
  92. 後藤茂

    ○後藤委員 今の長官の御答弁の状況であろうと思うのですけれども、二つの問題があると思うのです。一つは、エネルギー消費抑制、需要抑制の役割を果たすのではないか。もう一つは、消えたり出てきたりいたしておりますいわゆる炭素税ですか、CO2が一体どういう要因地球温暖化の原因になっているのか、果たしてCO2だけがその元凶なのかどうか、いろいろな不確定な要素はございますけれども、しかし、人間あるいは経済が動いていく限りにおいては、炭酸ガス、CO2を発生していくわけでありますし、それが決して地球環境にいい影響を与えているというものではなくて、非常に悪い影響を与えてきているということは、これは昨年の国連環境会議におきましても明らかにされてきているわけですから、いずれこのCO2の問題につきましては、何らかの吸収策なり抑制策というものをとっていかなければならない。  そこで、この炭素税的な動きに対して、今世界各国がどのような対応策をとっているのか。一説によりますと、北欧等においては相当積極的に動いている。あるいは旧ソビエト、アメリカ等は大変消極的だとか、ECも積極的な方向になり始めてきたとかということで、まだまだこれは細かく詰めていくということになりますと、議論はいっぱいあると思いますし、経済成長とのかかわりなりにも大きな影響はあると思いますけれども、世界の動きが今どういうようになってきているのか、そして、これからこの問題に対してやはりどうこたえていったらいいのか、もし検討しておるところがあったら、これは立地公害局長、堤さんの方でしょうか、お伺いしたい。
  93. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 お答え申し上げます。  まず、環境税というものについてのいろいろ、認識にやや混乱があるようなところがあろうかと思います。環境の目的のために国際協力をするために、例えば広く薄くという消費税のようなものを挙げてというような議論があると、これも環境税であるというような議論もあります。  それから、例えば今、日本でもかけておりますがソリン税のようなものも省エネに資するから環境税であるというような考え方もありますが、どうもいろいろ純粋理念系での環境税というのは、むしろ環境に負荷を与えるものについてある特定の目的を持ってその抑制を図る、その結果、財源に興味があるわけではなくて、むしろその抑止をするというところに非常に目的を鋭く持った制度を、俗に言う環境税というふうにどうも考えているようでございますが、これがOECD等でも議論されているものでございます。  そういう意味でいきますと、現在環境税という形で世界的にどこの国がやっているかということになりますと、御指摘のありました北欧の五カ国、北欧及びオランダ等を含めた五カ国については実施をしております。ただ、その過程でその財源は全部一般会計に入れるとか財政ニュートラル型にしているところもございますが、そういういろいろな形で使われております。  他方ECにおきましては、EC委員会一つ提案をいたしまして、これはどちらかというとエネルギー課税に近い形を念頭に置いているようでございます。原子力なんかにもかけるという考え方を持っておりますので、そういう意味ではエネルギー課税的なところがございますが、これも提案をし、一つの大きな条件としてほかの国が同じようなことをやることを前提とするということを言っておるわけでございます。その後のECの検討状況は、EC経済情勢が大変悪いこともありまして、各国ベースではむしろ反対が強くなっている。ドイツの中でもこういうことについての関心が大変高まっていた時代があったのですが、やや、最近の財政の悪化を背景にしまして、この辺についての問題を感じ出しておるようでございます。  また、OECDでもこの環境税について議論をしておりまして、二年間勉強しておりまして一応区切りがついた形で報告書が出ることになっておりますが、これはただ中間報告的なものと我々は認識しておりまして、さらに、今回の委員会を閉じる際におきましても、さらに二年間勉強しようということになっておる状況でございます。  そういう意味環境税の有効性、それが非常に役に立つ可能性というものについては大変議論があるわけでございますが、これを実際に導入することにつきましては、世界の大勢はまだこれをどんどん導入するというような形にはなってきていないのではないかというふうに認識しております。
  94. 後藤茂

    ○後藤委員 これは私の個人的な考えでございますけれども、やはりこうした省エネルギー政策というのは大変困難な課題でございまして、今回提案されている法律に基づいて施策を講じたといたしましても、その実行は大変であろうと思うのですね。  それで、これまではどうしてもエネルギー消費のライフスタイルになれ過ぎてしまっておる、個人個人というのはなかなか難しい。今度の法律におきましても、機器であるとかあるいは工場であるとかあるいはいろいろな運輸関係、建築関係等についてはある程度効果が上がっていくようなスキームになっているわけです。しかし、個人はなかなか難しいということになりますと、やはり特に化石燃料というのは有限でありますし、これを使っていくということは、地球人類が未来永劫に生きていくということだとすれば、この化石燃料消費というものに対しての抑制をしていく、また、エネルギーというものには大変コストのかかるものなのだという認識を私たちは持っていくということになりますと、この化石燃料に対して消費をするのに、使用する制約をどうつくるかということは、遠い将来を考えてまいりますと、真剣に議論をしていくべき課題ではないか、私はそういうように思うわけですから、その意味一つは、もちろん地球の温暖化に炭酸ガス、CO2がどういう影響を与えていくのか、これはもっと研究していかなければならない課題が一つありますし、それからまた、一国だけがこれに対してしたといたしましても、これは経済のボーダーレスの時代に入ってきておりますから、その方式を抑制策をとっていくとかあるいはエネルギーの税を課するとかということをしなければ、それだけ競争力は強くなるわけでありますから、むしろそのCO2の拡散につながっていく心配もあるわけですけれども、国際的な協議の場でこの地球温暖化に対して、あるいは地球環境に対してどのようにエネルギー消費抑制を進めていくための方策をとるかということについて、もう一度長官、これからちょっと時間をかけて真剣に、当面の問題だけを、一年、二年をクリアするための政策ではなしに、長期にこの問題はひとつ考えていく。そして、税でやっていくのか、政策でやっていくのか、あるいは意識革命でやっていくのかということは別といたしまして、これに対する検討をしっかりと進めておいていただきたいなということを考えるわけです。とりわけ経済成長とのかかわりは大変大きいと思いますので、こういった点もひとつ検討の課題としてこれから考えていただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 黒田直樹

    黒田政府委員 税金による手法でございますけ れども、今立地公害局長から御答弁申し上げましたように、ECでもいろいろな検討がなされている状況にあるわけでございますし、また国際的にもいろいろ利害得失の議論が行われているわけでございます。  私どもといたしましては、今回エネルギー関係の二つの法律を御提案申し上げるに先立ちまして、私どもの諮問機関でございます総合エネルギー調査会あるいは産業構造審議会等の合同会議の場におきまして温暖化問題の解決のためにどういった政策手法が適切かということで、長期にわたって議論を重ねていただいたところでございます。  こういう中で、税、課徴金だけで二酸化炭素排出量の抑制に十分な効果を上げようといたしますと、我が国の場合には特に省エネルギーも進み、エネルギー需要の価格弾性値というのは諸外国に比べて非常に小さくなっているものですから、相当エネルギーの価格を、場合によっては倍とかそういったレベルに上げないと炭酸ガスを抑制するような効果はないわけでございますけれども、しかし、一方で、こうした大幅な価格上昇というような、税金ないし課徴金というようなことになりますと、一方で物価上昇とか経済成長とかいろいろな面で悪影響が出てくるという問題があるわけでございますし、また後藤委員今御指摘のとおり、国際的な整合性ということがないといろいろな意味でむしろ環境を悪化させていくというような問題もあるわけでございまして、現段階では国民的なコンセンサスはとれていないということで、引き続き慎重な検討が必要という御結論をいただいているわけでございます。  そういうことで、今回私どもこうした省エネルギー関係の二つの法律によりまして、いわば企業省エネルギー投資であるとか省エネルギー技術、そういったものを促進していくような方向でこの問題に対応していこうということで二つの法案の御提案を申し上げているわけでございます。  今先生、今後こういった法案でやっても非常に難しいのではないかという御指摘があったわけでございますけれども、二〇〇〇年という時点を考えましてもこれからまだ七、八年あるわけでございまして、来年度の施策だけではなく、今後追加的に、省エネルギーの実態、エネルギー需要の実態あるいはエネルギー供給の実態等も踏まえまして、今後必要に応じ、また追加的な対策も必要があれば考えてまいりたいと思っているわけでございまして、そういった税金等の手法につきましても、今後も国内外の状況を考慮に入れながら継続的、総合的な検討が十分行われていく必要はあるというふうに考えているところでございます。
  96. 後藤茂

    ○後藤委員 これは要望ですから、長官今御答弁になりましたような、この問題は避けて通れないこれからの課題になると思いますので、ぜひ慎重な論議をする場所を設けて議論を深めていただきたい。いろいろな影響なり効果なり、あるいは国民の合意を得ていかなければならぬ問題なり、特に税にかかわってまいりますと、どんな税でも新しくつくられるということに、いやそれは結構だということはなかなか出てこない。仮に税の方向に行くとすれば、国民に対して相当な説得力のある税制になっていかなければならぬわけですから、慎重な論議を今から深めていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  そこで、長期エネルギー需給見通しの問題ですけれども、これは一九九〇年につくられた後、改定の作業、部分的には一部手直しをされているようでございますけれども、つくられた時代、相当長期に議論をされたのだと思いますけれども、その後若干整合性の問題なり、あるいは時代にそぐわない問題等、さらにはまた当時はエネルギー消費型の経済構造を炭酸ガス排出抑制型のシステムに変えていく努力がなかったのではないか、当時の新聞なり雑誌などを見ておりますと、当初そういう批判も出ておった。まだ炭酸ガス排出抑制に対しまして今日ほど深刻でなかったのかなというようにも考えるわけでございますけれども、いわゆる地球環境に優しいエネルギーというものを十分に織り込んだ長期エネルギー需給見通しをもう一度作業していかなければならぬのではないかなという気もするわけでありますけれども、長期エネルギー需給見通し、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。長官、お答えください。
  97. 黒田直樹

    黒田政府委員 総合エネルギー調査会におきます長期エネルギー需給見通し、一九九〇年六月に報告が出されたわけでございますが、実態的にはその前一年間ぐらいをかけて検討をされ、報告が出されたものでございます。  いわゆる地球温暖化の問題、炭酸ガスの問題あるいは地球環境の問題、昨年六月のブラジルのリオデジャネイロにおきます国連環境開発会議というのが一つの頂点であったわけでございますけれども、この数年来この問題が国際的には議論され始めていたわけでございまして、当時一九八九年から九〇年にかけまして総合エネルギー調査会で需給見通し議論しました際にも、従来のエネルギーをめぐる環境変化という意味におきまして最大の課題として議論をいたしていたわけでございます。そういう意味で、基本的な情勢におきまして、この長期需給見通しを検討していた段階と今とで地球環境問題に対する認識というのが、ウエートづけが違っていたということはないと私ども思っております。  現に、一九九〇年六月に総合エネルギー調査会で長期エネルギー需給見通しが出された後の十月に、政府といたしましては、環境関係閣僚会議の決定によりまして、地球温暖化防止行動計画というものを決定いたしているわけでございます。この地球温暖化防止行動計画の前提となるエネルギー状況につきましては、これと整合性を持ったものとして石油代替エネルギー供給目標というものをほぼ同時期に閣議決定をいたしているところでございまして、相互に、炭酸ガスの問題も十分に頭に置きながら当時需給見通しを考え、地球温暖化防止行動計画を決定し、また石油代替エネルギー供給目標を決定している、こういう関係になるわけでございます。  その後二年余り経過いたしているわけでございまして、実態として、エネルギー消費が、当時は長期の路線として二〇〇〇年までは一・六%ぐらいの趨勢を考えていたわけでございますけれども、実績が九一年度はこれを上回る二・七%ぐらいだったと思いますが、出ているわけでございますし、そういう意味エネルギー需要の趨勢線の足元が上がってしまっているという乖離は出てきているわけでございます。  また、この委員会でも累次議論がございましたように、供給面でもいろいろ難しさが出てきているのではないかという御指摘はあるわけでございますけれども、私ども、今申し上げましたような背景もとにつくった需給見通してございまして、当面はこういう政策努力目標、それが内外のいろいろな要請にかなうものであるというふうに考えておるわけでございますから、まず実行面でぎりぎりの努力をすることが先である、こういうふうに認識している次第でございます。
  98. 後藤茂

    ○後藤委員 二〇〇〇年ぐらいで大体排出量はほぼ横ばいぐらいになる見通しというものは立てられますか。
  99. 黒田直樹

    黒田政府委員 総量で横ばいというのはなかなか難しいことでございまして、したがいまして、今申し上げました一九九〇年の十月に策定されました地球温暖化防止行動計画におきましても、一人当たりの炭酸ガス排出量をおおむね九〇年レベルで二〇〇〇年以降安定化させるということでございまして、おおむねの範囲はいろいろこれは議論があろうかと思いますけれども、できるだけ近づけるということで最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  100. 後藤茂

    ○後藤委員 CO2を発生をさせないという努力と、発生したものをどのように処理をしていくかという技術の面は今どのようになっていますか。  ちょっと一説によりますと、排出したCO2を百気圧で圧縮して液化して千メーターくらいの海底に沈めていくとこれは動かないんだ、炭酸ガスが液化したのは水に溶けにくいから環境影響を与えないんだというような説を言う人もいるわけなんですけれども、こうした除去したCO2をどのように環境排出をしていかないようにするかというのもこれから大変な課題だと思うのですが、今そういうのはどのようになっているのか。ただ単に、CO2は光合成で循環をしていくのがだんだん森林等も荒廃されて難しくなってきているということで、排出を抑えていく。このことももちろん大切でありますけれども、排出をしていくのを、先ほど長官も言われた地球温暖化防止計画ということの中にこうしたものをどのように固定して、単に環境に出ていかないようにするかという技術は、これは工業技術院などでもやっているのですか、NEDOなんかもやっているのですか。その点をちょっとお聞かせいただきたい。
  101. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 温暖化問題というのは大変大きな問題だと思っております。現在我々の試算では、年間世界で百二十一億トン、これは炭酸ガス炭酸ガスと同じ効果を持つものも加えての計算でございますが、百三十億トンぐらい出ております。学者によりますと、これをどのぐらいに減らさなければいけないかというと、要するに五十億トンぐらいまで下げないと実際上の地球温暖化の進行がとまらないということでございます。そういう意味では、現在地球温暖化防止行動計画でやっております二〇〇〇年以降安定化という目標はある意味で一里塚でございまして、その後どういうふうにやってこの五十億トンにするかということは実は大変なことでございます。  今先生の御指摘の技術開発炭酸ガスを固定化あるいは炭酸ガスをもっと有効に再利用できないかというお話でございますが、この研究は実は今回のこの法案と同時に一斉にいろいろな場所で、NEDOあるいは工業技術院あるいは財団法人等を使いまして徹底的にこれから勉強するということになっております。ただ、それが実用化できるのは二〇〇〇年というような近時点ではございませんで、恐らく十年ではなかなか難しくて二十年、三十年かかるのではないか。  ただ、先ほど申し上げましたように、最終的な科学的な勉強から出てきております五十億トンにするという事態では、何らかの意味でそういう今までにない技術を新しく生み出して、これを世界に広めていくということをしない限りは、発展途上国の人口問題さらにはエネルギーの利用がふえてくるという状況を考えますと世界に対応できないということで、通産省では地球再生計画という考え方技術開発と、その開発した技術世界に広めるということを百年間にわたって努力を続けないと、この地球温暖化問題は必ずしも克服できないのではないかという考え方もと技術開発を一生懸命やっている次第でございます。
  102. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣がまた予算委員会の方に行かれるわけですか、後で、私の質問時間中に……。大丈夫ですか。
  103. 竹村幸雄

    ○竹村委員長代理 四十分から。
  104. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣がおられる間に二、三ちょっと御質問をしたいと思うのですけれども。  一つは、いわゆる技術移転なつ国際協力につきまして通産省としても予算措置を講じておられると思うし、またこれからは日本エネルギーが、単にエネルギー政策というものは日本国内の問題だけではなしに、送電線こそ引かれておりませんけれども、外国からエネルギー源はほとんど輸入するという状況でありますし、また世界各国の技術の発展というものは日本に返ってくる、日本技術の進歩というものもまた返していくという状況にあるわけでございますから、国際的なこの協力に対しまして、通産省としてはどのような考え方としてこれからの予算措置なり法制度なりというものは考えてこられたのか、この点について、まず全体的な国際協力についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  105. 森喜朗

    ○森国務大臣 我が国は御承知のように、エネルギーをむしろ外国依存をする比率が非常に高い、これがそういう日本の国の宿命でもあったわけでございます。それだけに四十代以降、産業公害問題とかエネルギー問題を経済発展を達成しながら克服してきた、そういう面では世界で有数の先駆的な役割をしてきた国であるというふうに、これは我々の先輩たちがやってこられたことでもございますが、評価をしなければならぬと私は思っております。  こうした経験と高度な技術力、そして経済力を生かしながら、人類共通の課題である地球環境問題の解決に向けましてみずから率先をして一層の省エネルギー推進やあるいはエネルギー環境技術開発に取り組んでまいりますとともに、発展途上国に対する技術移転等により地球環境の保全に努めることは、国際貢献という観点からも大変重要であるというふうに認識をいたしております。  先般、日本EC閣僚会議に出席をいたしました際も、ハンガリーあるいはイタリー、イギリスにも立ち寄りましたけれども、やはり日本のそうした環境というものに対する評価は極めて高くて、そういう意味では、中欧、東欧、またロシア、NIS等々、そうしたこれから発展していかなければならない国、そうしたところの環境支援に対して相当日本に対する大きな期待も込められておるということをいろいろな国々で肌で感じてまいった次第です。  先般、カザフの政府の方もお見えになりました。そのときのお話を伺っておりましても、やはり環境問題というのは非常に重要に考えておられまして、そういう面でも日本の得た技術というものをこれからいろいろな角度で世界の貢献のために駆使していかなければならぬ、このように考えております。  予算面でどのようにするか、細かな問題につきましては、必要がございましたら事務当局からお答えさせていただきます。
  106. 後藤茂

    ○後藤委員 原子力発電所の運転管理者等の国際研修事業等の予算化も今度なされているわけでございますけれども、その中身の説明、これは簡単で結構ですから、御説明をいただきたいと思います。
  107. 黒田直樹

    黒田政府委員 原子力発電の安全の関係の国際業務でございますけれども、今年度から原子力発電の管理等の国際研修ということで、十年間に千人研修、こう言っているわけでございますけれども、平成四年度で二億二千万円程度、それから平成五年度におきましては五億四千万円程度の要求をいたしております。  また、原子力発電のこの研修の延長線上といたしまして、旧ソ連型の発電所の安全というのが国際的にも問題になっているわけでございますけれども、来年度の予算におきまして、ロシアにこの原子力発電の運転技術センターを整備すべく、二十億四千万円程度の予算を要求しているところでございます。
  108. 後藤茂

    ○後藤委員 これの財源は一般会計ですか、別に引き出すわけでしょうか。
  109. 黒田直樹

    黒田政府委員 電源開発促進特別会計で要求をいたしております。
  110. 後藤茂

    ○後藤委員 石油代替エネルギー供給目標を閣議決定をされたのが平成二年ですか、その中で、一つは、省エネ努力によって需要の最大限の抑制をしていく。それから、石油依存度の低減を図る。そして三つ目に、原子力を初め非化石エネルギーへの依存度を向上させていく。  しかし、大臣、最近は大臣のところも志賀原発、今建設中に入っておりましょうか。今建設しているところでとまっているのですね、増設なり建設であと新規が非常に難しくなってきている。  それで、この電源立地というのは、いろいろな要因もおろうと思いますけれども、一つは、政府なり政治の場で、これからの将来のエネルギー源として原子力発電というものが非常に重要な役割を果たしていくのだという姿勢が足りない面がある。したがって、立地に非常に困難を来しているわけです。ですから、チェルノブイリのようなああいう事故が起こってまいりますと、なお一層立地を確保していく上において非常に難しいわけでございまして一数なんかも一体どのようになってきているのか気になるところでありますけれども。  こういうのが、いや、なるほどチェルノブイリで、あるいは旧東欧圏、旧ソ連圏等の原子力発電というのは大変心配だ。それをある程度技術的なレベルを高めてくることによって、立地条件がよくなっていく。影響は私はあるだろうと思いますよ。また、そのことはしていかなければならぬと思うのですけれども、大臣、これはぜひひとつ一般会計で、あるいはODAでやるべき国際交流、国際技術移転の政策ではないかと思うのです。とりわけ大臣は政調会長もやっておられたわけですから、それだけの実力を持っているわけですから、これからの日本原子力発電を進めていく上においては、国際的な技術の協力なり移転なりというもの、これが大変大切であるとすれば、国の政策の中に位置づけて、そして一般会計の予算でやっていくということをしていくべきだろうと思うのですけれども、これが電源特会等で使われていることに対して、私は若干疑問を持っておりますが、大臣、いかがでございましょう。
  111. 黒田直樹

    黒田政府委員 おっしゃいますように、原子力発電所の立地、なかなか難しくなってきていることは事実でございまして、私どもも来年度におきましても、地域共生型の発電所の構想であるとか、あるいは交付金の増額であるとかといったような措置を講じ、予算案として計上をさせていただいているところでございますけれども、ただ、この原子力発電所の立地の問題というのは、もちろん予算も重要でございますけれども、やはり国民の皆様方あるいは地元の皆様方の理解と協力を得ていくことが重要でございまして、そういう意味からも、予算面だけでなくいろいろな面で各般の施策を今後とも充実していかなければならないというふうに考えている次第でございます。そういったところから、今後個別時点ごとに問題点への対応というものも考えてまいりたいと思っているわけでございます。  そういう大前提といたしまして、当然この原子力発電所の場合には、原子力発電所安全性の確保、そしてそれに対する国民の皆様方の理解をいただくことが重要であるというふうに考えております。今、後藤委員から御指摘ございましたように、一九八六年に発生いたしましたチェルノブイリの事故というものは、世界的に原子力発電安全性に対する不安感を増大させたわけでございまして、そういう意味原子力発電施設の立地を阻害する要因となっているわけでございますが、こういった不安感を払拭していく施策の実施というのも極めて重要であるというふうに思っているわけでございます。  そういう意味におきまして、私ども先ほど申し上げましたような今年度予算あるいは来年度予算案で、旧ソ連・東欧型の原子力の安全の関係の予算を計上をさせていただいているわけでございますが、そういう意味で、国民原子力発電に対する不安感を払拭し、さらにこの原子力立地を推進するという意味におきまして、二つばかり非常に重要な理由があろうかと思います。  一つは、やはりこういった研修事業等を通じまして、相手国における運転管理技術の現状とか問題点について把握することも可能になるわけでございまして、これをいわば技術の交流として、これを我が国の運転管理面での安全性の確保にまた役立てていくということも可能になるわけでございますし、また我が国がこうした事業を実施するということは、我が国原子力安全技術の高さを国民にアピールする効果もあると思います。チェルノブイリ事故等に起因いたします原子力発電安全性に対する不安というものを、こうした我が国原子力我が国が協力していくのだという技術あるいはその姿勢によって不安感の払拭につながっていくものであるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味から、ODAとか一般会計ということではなく、むしろ電源立地を促進していくという観点からこういう施策を実施していく必要があるものというふうに考えている次第でございます。
  112. 後藤茂

    ○後藤委員 若干説明に飛躍があると思うのです。世界各国の原子力発電施設が効率よく安全に運転をされていくということが、また日本原子力発電なりあるいはその立地をよりスムーズに行かせる環境をつくるということは確かだと思います。しかし、長官、この財源が、額はわずかでありますけれども電源特会から出されてくるということに対して、私は若干疑念を持っているわけです。  御承知のように、電源三法がつくられたとき、これは大変な議論になったところで、議事録を見てみましても大変議論しているのです。しかし、この発電用施設の周辺地域整備法をつくり、さらに電源特会法をつくり、その電源特会法に電源開発促進税法で財源の手当てをしていく。これの中身を見てみますと、「電源三法のねらいは、電気の安定供給の確保が国民生活経済活動にとってきわめて重要であることにかんがみ発電建設による利益を地元に還元することによって、地元住民の理解と協力のもと発電所の建設を円滑に進めうるようにすること」にねらいがあるんだというのは、この当時の通産省の方の解説書を見ても出ているわけであります。  ここに通産六法を持ってきてみたのですけれども、この通産六法で電源開発促進税、これは「原子力発電施設、火力発電施設、水力発電施設等の設置を促進する等のための財政上の措置及び石油代替するエネルギー発電のための利用を促進するための財政上の措置に要する費用に充てるため」に一般電気事業者に「電源開発促進税を課する。」と、こうなっているわけです。それを電源開発促進対策特別会計、いわゆる電源特会の中にこれが入れられているわけですね。電源特会におきましても、この「発電用施設の周辺の地域における安全対策のための財政上の措置その他の発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置で政令で定める」、こういうのが、これが昭和四十九年につくられている。  したがって、私は、この法律の趣旨というのは、ここにも出ておりますように、電源の多様化対策の一環として、この電源立地をよりスムーズに進めていくためにまず電源特会をつくり、そしてそれに促進税で税金を投入してやっていくんだ、今それに対する、地元における努力というものが大変足りないのではないか。そこへ持ってきて、ちょっと国際交流のための、旧ソビエトとか東欧の技術者を呼ぶ。私はこのことは大変大切だと思うのですよ。思いますけれども、今のところは東欧なり、あるいは旧ソ連、ロシア等に限定しているようでありますけれども、もし、例えば中東なり、あるいは東南アジアなり中南米等がこれから技術者養成をしたい、技術的な訓練もお願いをしたい、こういうふうに言ってまいりますと、この電源特会でこれを見ていくということにするのでしょうか。今、どのぐらいあるのか、後でちょっと長官にこの電源特会が今どのくらいファンドがあるのかお聞きしたいのですけれども、もし新しい地点が合意されていくということになりますと、これは一遍に五百億、六百億の金が要るやに聞いているわけでありますから、やはりこれはODAなり一般会計の中で進めていくべきであろう、そのくらいの努力をしなければならない対象であると思うのですよ。  ところが、今は電源立地が余り進まぬ。幸いといいますか、ここに、特会の中に一定の、相当多額のファンドがある。ではこれを使わせてもらいましょうというのは、私は、少しこそくに過ぎはしないか。なぜこの電源特会に書かれているような、一応の制約の中でこの支出が読めるのかどうか、私はこれは大変無理がなされていると思いますので、長官、もう一つここのところをお聞きしたいと思います。
  113. 黒田直樹

    黒田政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、原子力発電所の運転訓練のための研修、技術交流あるいは運転訓練センターの整備、もちろん炉型が違ったりいろいろな設計思想も違うわけですけれども、相互の技術交流を通じて我が国の運転管理面でも資することもございますし、また先ほど申し上げましたように、我が国技術水準の高さをアピールすることによって国民の不安感を払拭することも可能であるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味から、委員が今おっしゃいました、この電源開発促進対策特別会計法第一条第二項の「発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置」として、これを支出することは妥当なものであるというふうに私どもは考えているわけでございます。  ちなみにこの旧ソ連発電所の安全性に関連いたしましては、このほかにもいろいろな要請があるわけでございまして、例えば個々発電所の補修のための費用を出せとかいろいろな要請があるわけでございますけれども、私どもはあくまでこの電源立地対策特別会計の範囲で、今申し上げました我が国発電用施設の設置の円滑化に資するものであるかどうかという判断をいたしまして、今申し上げましたような、現在、平成四年度の予算あるいは平成五年度の予算で要求をいたしておりますものは、この電特会計法の一条の二項に規定する措置として、電源立地勘定において予算を支出することは妥当なものであるというふうに考えている次第でございます。
  114. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、私は大変無理があると思うのです。  この三法のときは中曽根通産大臣のときに非常に議論をしてこれがつくられて、大臣の趣旨説明の中におきましても、「発電所等の立地を円滑化し、電気の安定供給の確保に資するため、発電所等の周辺地域において住民福祉の向上に必要な公共用施設の整備事業を推進する」ために発電用施設周辺地域整備法というのができているわけですね。  今長官が言われましたように、なるほど、第一条第二項に、電源開発促進対策特別会計法の中に「発電用施設の周辺の地域における安全対策のための財政上の措置その他の発電用施設の設置の円滑化に資する」、この「円滑化に資する」というところをどうも拡大解釈をしている。この法律を出すときに内閣法制局とは御相談になられたのでしょうか。これはちょっと読みにくいよと言われるのではないかと思うのですね、法制局から言えば。そこのところは、いや、もう円滑化というふうになったら何でもよろしい、そこから幾ら金を出してもよろしいということになっているのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  115. 黒田直樹

    黒田政府委員 今の電特法の、法律的には第一条の二項で、「発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置」でございますが、これはこの後に「であって」「政令で定めるもの」ということで、政令で具体的には事業を決めていくことになっているわけでございます。  この政令に関しましては、電源開発促進対策特別会計法施行令の第一条の第六号に掲げてある事業でございますけれども、 「民法第三十四条の規定により設立された法人が行う本邦外に設置された原子力発電施設の安全性の確保に関する業務に従事する者との原子力発電施設の安全性の向上に関する技術の交流に宴する費用に係る補助金の交付」ということで、政令で決められているところでございます。そういう意味では、この政令に関しましては、当然のことながら内閣で決定されたものでございます。
  116. 後藤茂

    ○後藤委員 私は、その「政令で定める」というので政令がどこにあるかということを実は調べてみたのです。そうしたら、今各省にも、あるいはいろいろな法令を、整備の参考にするような場所には、皆、法令何というのですか、全書ですか、あれがあって、その都度政令とか法律が変わるたびに差し込みが入ってまいりますね。これが私が見たときにはないのですよね。今長官がお答えになったのが見つかりまして、これが昨年の十一月二十六日にこれを、政令を変えているのですね。私は、この政令を変えるということ自身が大変、この本法から、法の趣旨を拡大解釈しているのではないか。  なるほど、今長官おっしゃったように、「本邦外に設置された原子力発電施設の安全性の確保に関する業務に従事する者との原子力発電施設の安全性の向上に関する技術の交流に要する費用に係る補助金の交付」というのが昨年の十一月二十六日の政令の中に書かれている。恐らく予算要求の中で、大臣大臣はそのときにまだ大臣になっていらっしゃらないと思うのですけれども、国際協力していかなければならない、そのことが回り回って日本電源立地を円滑にしていく道につながるということで、最初は恐らく大蔵省、概算要求の折衝の中でも一般会計以下、ODAの中でこれを対応策を講じたいということで折衝されたのではないかと思うのですね。ところが、シーリング枠の中でもしそれをやると一般会計の全体の通産予算に響くとか、あるいはODAの方もなかなかとれない、まあ二十億や三十億ぐらいなら電源特会があるわけだからこれを使ったらどうだということで、逆に政令に来ていると思うのです。四十九年にやっているわけですよ。四十九年にやっておって、そういうような国際交流があるとすれば、本法の中でこれは整理をしていくべきことだろうと思うのです。あるいはいよいよこれから、旧ソビエトあるいは東欧の方の技術者の技術水準を高めていかなければ、日本電源立地は非常に難しい、とりわけ原子力発電は難しいということであれば、このときに、この本法の修正といいますか、整理を先にしておくべきことではないか。これは大臣、そんなに反対のあるものじゃないと思うのです、国際的な、日本技術を交流していく、移転をしていくということについては。だから、それが読めるような本法の整理をしておくべきだろう。  そして、世界各国から、単に東欧圏だけではなしに、先ほど言いましたように中南米とかあるいは東南アジアとか中近東とか、そういうところからこれから原子力発電化石燃料に頼らないクリーンなエネルギーを確保していくためには原子力発電所をつくっていきたい、しかし技術者の訓練がなされていない、ぜひ日本の高い技術を学びたいというようなことに対して積極的に対応していくためには、私は、やはりODAあるいは一般会計の中でやるべきだと思うのです。もっと日本原子力発電がスムーズに立地できるような、円滑にできるような環境に対して、もっと全面的に努力をしていくべきだ。そこのところを怠っているから、今電源特会にある程度のファンドがある、じゃこれを使わしていただきましょうというのは、やはり私はどうも拡大解釈なりちょっとこそくな手段ではないかというように考えるわけです。  大臣、この点はひとつ政治家として、何も憲法第九条をどうするという問題じゃないのです。やはり時代に合わない状況になっておっで、しかしそれをするためには財政措置が必要である。一体どこから持ってくるかということについて知恵を出していくべきだと思うのですが、どうも政令のつくり方もこそくでありますし、本邦外とはまたうまく言ったものだと思うし、それから発電用施設の設置のための財政上の措置ということなら、長官、恐らく読めないでしょうね。これがもし電源特会の第一条の二項が発電用施設の設置のための財政上ということなら読めない。ここに「円滑化に資する」という言葉があって、これしめたと思ってこれに飛びついたんだと思うのですけれども、これはもうこれ以上私は申し上げませんが、法律の整理をしていかなければならぬと思うのですよ。  大臣、これは政調会長をやられておりまして、いろいろこういうものには当たっておられると思うのですけれども、将来のことを考えていっていかがでございましょうか。今すぐに見直しということは答弁はできにくいかもわかりませんけれども、法の整備をもう一度見直していくということをぜひ私は申し上げておきたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  117. 森喜朗

    ○森国務大臣 今先生お調べになられましたことなども伺っても、恐らく電源促進をしていくという観点で、どちらかといえば国内の電源立地を推進していくということからまずスタートした問題であろうと考えておりますが、今日のように先ほども申し上げましたように我が国のいわゆる技術がこれだけ進んでまいりました。そしてまた、世界のそうしたことに対する支援というのは当時はそんなに多くはなかった。そのことはそう私は念頭にはなかったのではないかなと、そんな推量をいたしております。  したがいまして、まあODAそのものも見直すべきだという意見もございますし、これからの国際貢献についてもいろいろと検討を加えていかなきゃならぬことでございます。それは当然世界の、世の中の大きな変化、国際情勢の変化によって、やはり我が国の国際貢献やODAというものも十分検討してみなければならぬだろうと考えております。今すぐどうしろと言っても恐らく長官初めそれは答えようもないと思う。当然財政上の問題もございますから、大蔵省との関係もございましょう。私どもとして、今先生のお話しになりましたことは、将来ともに十二分に考えてみなければならぬというテーマとして大事に勉強させていただきたい、このように思います。
  118. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣が予算委員室の方に出発するのでということが書いてあります。一つだけ大臣にちょっとお願い申し上げておきたいのですけれども、特に原子力発電所の立地というのは非常に今難しい状況にあるわけです。しかし、こうした原子力発電所の立地されている地域というのは、大臣の志賀もそうですし、珠洲なんかもこれからの問題ですけれども、大体電源県というのは遠くに離れているところにあるわけです。そして大都市がこれを長い送電線を引いて消費しているわけです。普通ならやはり、あいさつと言ったらちょっと言葉がよろしくないですけれども、自治体がいろいろな角度で、自治体のいろいろな問題でサミット等もやっているように、やはり電源立地県に対しまして消費県の自治体が出かけていって、そして、将来のエネルギーを安定的に供給し、消費をしていくというためには、お世話になっているわけですから、そこがあくまでも拒否と言ったら、これからエネルギー需給にどんなに難しい問題が起こったとしても、これはもう対応できなくなるわけです。  したがって、例えば石川県なんかに大阪や京都やあるいは兵庫のところの自治体が出かけていって、エネルギー安定供給需給安定のためにどういうようにしていくかというような、そういう話をしていっていいのではないか。ひとりその立地県が、知事なり自治体なりあるいは地域住民の皆さん方がもう苦労をし、努力をしておる。そしてぬくぬくと消費県は、まあぬくぬくもしてないでしょうけれども、全く無関心でいるというのは、これからのエネルギー消費安定供給需給関係を円滑にしていく上において大変大切なことだと私は思うのです。恐らく、東京都知事が福島へ出かけていって、そして、皆さんにいろいろ御苦労かけているけれどもというような話は、寡聞にして聞いたことがないのです。  大臣、いかがですか。おい、知事、どっかへ行って、ひとつうちの県知事のところへ行ってあるいは自治体のところへ行って、ぜひ御意見も聞かせていただきたいし、我々もぜひ御協力申し上げたいというようなことをやらせるというのが、これが政治だろうと思うのですが、いかがでしょう。この件だけでどうぞ。
  119. 森喜朗

    ○森国務大臣 今委員お話の中に私の郷里の石川県の名前が出てまいります。たまたま志賀にいたしましても珠洲にいたしましても私の選挙区ではないのですが、今少しお疲れでお休みになっておられますが、山本拓さんの福井県などはまさに電源立地の模範的推進県。亡くなられました熊谷太三郎先生などもそのことについては大変命をかけておられた。また、山本さんも県会議員のときからこのことについては大変大きな見識を持っておられました。当選されて間もないときから、いわゆる地下埋設の原子力発電所という提起をして、いささか電力会社や、恐らくエネ庁もそうだったと思いますが、みんなちょっとびっくりをしたわけですが、何も今すぐそうしろというのじゃなくて、そういうことを検討したらどうかということで、大変電源推進をしている県の政治家らしいいろいろな取り組みをしておられるなと思って私も大変感服をして、その議員連盟の一員に今なっておるのです。  ですから、今確かにおっしゃるとおり難しい問題だと思います。先生の方がもう御専門でよく勉強しておられるのだと思いますが、よくこんなこともございました。どの県だということは申し上げにくいのですけれども、知事あるいは市町村の立場からいえば、そもそもこれはある意味では電力会社の営利事業ではないか、だからそのことについてなぜ県や市がそんなふうに地元の皆さんの人たちの説得をしたりしなければならぬのかということを平然と言う知事さんもかつてありました。かといって、では、国がエネルギー政策を進めていく意味で、今度は通産省なりエネ庁が直接進めてまいりますと、やはり東京から地方に対して高圧的に出るのではないか、そういった面から見れば、やはり地方の市長、村長さんにお願いをするあるいは県当局にお願いをするというのが筋だろうと思いますが、そういういろいろな見方があるのだろうと思うのです。電力会社が積極的にやれという面もあるでしょうし。それはやはり地域によって、その地域の実情によっていろいろな工夫をしていかなければならぬということだと思うのです。  基本的には、原子力発電推進というのは、もう安全確保というものはこれは最大の問題でございますし、もう一つ我が国には、やはり原子爆弾というものを世界でただ一つ落とされた国だということに対する、国民全体から見て原子力というものに対しては相当なやはりシビアに物を考える国民性である。私はそのこと自体は決して間違ってはいないと思いますがいろいろな条件がやはり日本原子力推進――先生も外国のをごらんになったと思いますが、私も幾つか外国原子力発電所を見たりあるいは処理の後始末を見ておりましても、こんな野方図にやっていていいのかなと思うようなことが随分外国ではございますが、日本人の非常にきちょうめんな性格からいいまして、いろいろな形で説得をし、またお願いをし、条件整備していくことにあると思います。だから、私がこれは福井県で一度聞いた話でありますが、確かに今先生おっしゃったように、こんなに福井の皆さんが苦労しておられるのに、何で大阪の連中はのんびりしておるんじゃというような意見も随分やはりありました。よく話をすれば大都市の皆さんもそのことはよく理解をされるのだろうと思いますけれども、逆に言えば、私も党におりまして、まあ比較的北陸と関西は近うございますから、関西経済界が中心になっていろいろな総合開発計画を進めますと、都合のいいときは応援しろと言いますが、新幹線などのことについては案外大阪も京都も冷たいというようなことが、特に福井や石川、富山からよく聞こえてくる声でございました。確かに、そういう面で行って謝ると、かえってまた何か大阪や京都のためにやっておるのかいとこういうことにまた逆になってもいけないわけでありまして、そういう精神を大事にして、今先生が指摘されたようなことを大事にしながら、そしてやはり日本全体のエネルギーの供給というものをみんなでひとつ大事に維持していくんだという考え方を多くの皆さんに理解してもらう、いろいろな角度から理解をしてもらうことに努力しなければならぬというふうに、私は今の先生のお話を伺って、また、今まで私自身も能登のことに関していささかお話をしに行ったり説得したという立場もございます。  それから、ちょっと長くなって恐縮ですが、やはり今一番問題は、その都度そのことが首長の選挙に使われるといいましょうか、原子力推進するのの是か非かで結果的に地方選挙を問うということになりますと、なかなか地方の自治体が継続的な政治行政が進んでいかないという面での非常に弊害というものもやはりあります。  いずれにしても、大変難しい問題でございます が、またいろいろと先生から御指導いただきながら、通産省またエネルギー庁としても十分に先生のおっしゃりたいという意、お考えはよく私どもわかりますので、十分に受けとめて努力してまいりたい、こう考えております。いろいろ御指導ありがとうございました。
  120. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣は予算委員会に入られるようですから、幾つかまだお聞きしたいこともあるのですけれども、どうぞ結構でございます。  時間がなくなってしまいまして、端折って一、二ちょっとお聞きしたいと思うのです。  今の原子力発電所の立地の問題なりあるいは電源立地の問題については世間も注目をいたしておりまして、それぞれが努力をされていると思うのですけれども、一つ欠けている面がある。今も大臣の答弁の中で、いやそれはもう電力会社がやるべきことだという意見の人もいるということの話もあるわけです。それの最たるものが、私は送電線等については案外関心を寄せていないと思うのですね。この間六ケ所へ行ってまいりましたけれども、あそこは濃縮なりあるいは低レベル廃棄物処理場もきちっとでき上がり始めている。大変スムーズに動いているわけでありまして、ああいうのを見ますと安心感を持つわけですね。ですから、これから今度東通の方に原子力発電等を立地していく上において、ある程度環境が少しよくなってきていると私は思うのです。ところが、ではあそこに大規模の発電所ができ上がってくる、送電線を一体どのくらいの容量でどういうように引いていくか、どこをどう通っていくかというのは、一体通産省はどう承知しているのか。それは送電線を引くところが考えていけばいいんだ。電源立地の場所も難しいですけれども、やはり山越え野を越え行く送電線を引くというのはこれまた大変厄介な仕事で、それぞれの関係者は地域の了解を得ていかなければならないわけでありますから、この点を一体どう考えておるか。  ちょっと調べてみますと、電源開発に対しては、例えば電源立地促進対策交付金であるとか、水力発電施設周辺地域交付金、電力移出県等交付金、原子力発電施設等周辺地域交付金、電源地域産業育成支援補助金、電源地域振興促進事業補助金、こういうようなのがあるのですよね。ところが送電線等については、どうなんですか、ほとんどそういうものはないのでしょう。恐らくこれからは、送電線、五十万から百万ボルトなんかになってまいりますと、相当な用地とそれからその費用もかかっていくわけでありますけれども、こういった点について、長官ですか、どういうように考えていらっしゃいますか。やはり助成措置といいますかその対応策というものは必要だと思うのですが、いかがですか。
  121. 黒田直樹

    黒田政府委員 今おっしゃいましたような発電所の立地についてはかなり地元への交付金等があるわけでございますが、おっしゃるように、送電線等についてはそういったものはないわけでございまして、電力会社が設置することについての融資というものは用意をいたしているわけでございますけれども、現在のところはございません。  ただ、おっしゃいますように、今後いろいろな、原子力発電所を含めまして立地というものがかなり遠隔化したような場合に、あるいは共同で何かやっていかなきゃいかぬような場合に、基幹的な送電系統がまた新たに大規模に必要になってくることも想定されるわけでございまして、こういった問題につきましては、今後ともそういった実態を踏まえながら、かつ、それをやはり政策的にプッシュしていく必要があるような状況であるのかどうかを十分に判断をいたしまして、検討をしてまいりたいと考えております。
  122. 後藤茂

    ○後藤委員 要望として申し上げておきたいのですが、長官、これからの広域運営というものはどうしても進めていかなければならないし、そのためには、やはり特に送電線建設等についても先行的な計画推進や着手が必要になってくると思う。やっと発電所ができ上がってさあこれから送電線を引くといっても、後からだとなかなか大変ですから、あわせてこれの指導というものが必要であろうということを要望として申し上げておきたいと思います。  時間がなくなって、まだ幾つか申し上げたいことがたくさんあるのです。  コジェネレーション、これが口で言うほどもう一つスムーズにいってないように思いますので、電熱併給に対しましてはどのようにこれから対応していこうとしているのか。幾つかの細かいことになりますと、資料を見ておりまして、私も図ででも説明しなければならぬところもたくさんあるのですけれども、そういう説明をしている時間がございませんが、いろいろな制約要件がまだ大変強いようであります。集中型電源を今日まで明治以来ずうっと、電力というものは大規模集中発電による安定、安価な電力供給を中心とした方がいいんだ、こういう歴史的経過を持っておりましたから、法律にいたしましてもあるいは電力会社の姿勢にいたしましても、どうも分散型電源に対してはその蓄積なりあるいは物の考え方なりというものが足りなかったのではないかと思うのですけれども、コシェネに対しての今まだいろいろな制約があるようでありますけれども、どのようにこういう問題を解決をしていくかということについて簡単に御説明いただければありがたい。
  123. 黒田直樹

    黒田政府委員 コジェネレにつきましては、熱と電気を効果的に組み合わせるということで一般的には効率の向上が期待されるわけでございまして、私どもも推進してまいりたいと考えているところでございます。  現在までのところは、個別のコジェネ施設についての税制上の措置だとかあるいは低利融資等を支援策といたしているわけでございまして、御案内のように、民生用では大体三十四万キロワット、それから産業用では百九十万キロワット程度のコジェネが現在稼働をいたしているところでございます。  これに対しまして、今先生の方から電力会社も対応が鈍かったのではないかというようなお話があるわけでございますけれども、昨年の四月から、いわゆるコジェネの余剰電力の購入につきましてメニューを整備いたしているところでございます。また他方で、この委員会でも特定供給の問題につきましていろいろ御議論があったわけでございますけれども、当面は、今電力会社の余剰電力の購入の状況等を見ながら、かついろいろな海外での状況であるとかそういったものも参考にしながら、具体的な支援策はまた検討してまいりたい。  それから、今回の法律におきましても、NEDOにおきまして地域省エネルギー型のシステムをモデル事業として実施していく、そのための補助をしていくというようなことも加えているわけでございます。今後、状況を見ながらいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  124. 後藤茂

    ○後藤委員 せっかく建設省来ていただいているので、一言だけ申し上げたいのですが、私は、共管事項ですから政府委員が来るんだと思っておったら、課長だから、課長だからというわけじゃないが、説明員のようなので……。  私の考えていることをちょっと申し上げていきたいと思うのですが、今度の法律の中で、建設にかかわる壁面であるとかあるいは空調であるとかというものについての一応指導なりあるいは指針なりというものが出されていくわけですけれども、物の考え方ですけれども、恐らく建築基準法というのは、私よく勉強しておりませんが、安全とかあるいは快適な条件とかが中心につくられているんだろうと思いますが、やはりこういった建物に対する省エネ観点からいきますと、つい半世紀ちょっと前くらいまでは暖房はこたつでありますし、それから冷房はうちわと外気だったわけですよね、風だったわけです。それがアルミサッシ等が入ってまいりまして、国連ビルと同じような、そういう見た目、大変スマートで美しい建物になってしまった。そのためにどれだけエネルギー消費しているかわかりません。  歴史的な建物が、見ておりますと、それぞれの風土なり自然環境に合うような建物になっている のですよね。私も中東へ、サウジアラビア、クウエートあるいは湾岸諸国に二回行ってまいりましたけれども、あの建物なんかを見ますと、やはり知恵を出しているわけですね。ひさしを出しているとかあるいはベランダをつくるとか、そして直接日光が入らないようにしている、あるいはカーテン一つ引くだけでも違うわけですけれども、今の日本の建築を見ておりますと、そういった昔の人々の自然や風土に合うような知恵を出してない。全く近代建築で、安全でさえあればいい、強度が十分保たれればいい、耐震設計はしていかなきゃいかぬというくらいのことでありますけれども、これから、若干のコストがかかったとしても省エネ構造をどうつくっていくか、それを日本の風土なり自然環境に合わせてどうしていくのかということも知恵を出していく必要があるだろう。法律をどうこうすることはともかくといたしまして、建設省の指導というものが入っていかなければ、今度こういう法律をつくったといたしましても魂が入らないのではないかというように考えますので、その点の見解を聞きたいと思います。
  125. 羽生洋治

    ○羽生説明員 今先生御指摘のように、建築基準法は、国民の生命、健康、財産の保護を図るために、安全上、防火上、衛生上等、建築物に必要な最低の基準を定めておるという性格を持っているものでございます。したがいまして、強制的な法規でございますので、その中の快適性というところまではなかなか入ってこないという面がございます。  また、実際の建築物の、どういう設計を行い、どういう建築物にしていくかということについては、これは発注者なり設計者という者の考え方にゆだねられるというのが一般的なものでございます。ただし、そういった建築設計を行う資格者というふうなものを、建築士法というようなことで、同じような観点からその質の確保を図っているところでございますが、どういった建築物を建てるかは、まさに発注者と建築設計者ということで決まってくる面がございます。  また、先生の御指摘のように、日本の古来からの建築様式、自然環境マッチしたような建築様式というのがあって、それが忘れられているのではないかという御指摘につきましては、最近のように大変大都市になってまいりまして、都市内部の密集した市街地というふうなことになってまいりますと、やはり昔、例えば江戸で大火があったり関東大震災におきます火事がありましたり、そういったいろいろなこともございまして、防災、不燃化というふうなことも図ってまいらなければいけませんし、土地利用の整序を図るという観点から、都市計画法、それから建築基準法のうちの集団規定というものに基づきまして市街地を形成していくという必要がある、そういう面での規制があるわけでございます。しかし、その中でどういった、先と言われましたような日本式の、日本的な様式をどういうふうに取り入れていくかということは、先ほどから申し上げておりますように発注者や設計者ということでございます。  そういう観点から、今度の省エネルギーという観点につきましても、建築物の断熱性能とか、それから空気調和設備でいいますとその空気調和のための効率性がどのぐらいあるかという数値について、今までも定めてきて、それを努力義務として守っていただいているというようなことでございます。そういう意味で、今度の改正後におきましても、さらに設備を、給湯とか照明を追加いたしまして、よりその徹底を図っていきたいというふうに思っているわけでございます。  そういう場合に、また別の面から見ますと、先生御指摘のような今までの建築様式、木造に対する見直しですとか古来からの日本の建築様式上取り入れられているいろいろな知恵を、例えば伝統建築物を初めとするいろいろなものに対しての見直しの動き、再評価する動きが出てきております。そういう観点は今後とも強くなってくるのではないかというふうに思っておりまして、そういう法規上の措置とはまた別に、できる限りそういうものが、今のあり方に合致した形で取り入れられるものについては取り入れていくように、私どもも一般的な意味での指導なり相談というものをしていきたいというふうに考えております。
  126. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が来ましたので終わります。     〔竹村委員長代理退席、安田(範)委員長    保代理着席〕
  127. 安田範

    安田(範)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  128. 安田範

    安田(範)委員長代理 速記を起こしてください。  小沢和秋君。
  129. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず、この高度化法、支援法、二法案提案理由を改めて大臣から確認しておきたいと思うのです。  私は、この二法案は、かけがえのない地球環境を守るために二〇〇〇年以後の一人当たり二酸化炭素排出量をおおむね一九九〇年の水準に抑えるという目標を実現しようとして提案された、これが一番肝心のところだというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。
  130. 森喜朗

    ○森国務大臣 引き続き予算委員会に呼ばれましたので、大変おくれて参りまして、申しわけございません。今小沢委員の御質問に対してお答えを申し上げます。  たびたび当委員会でも申し上げてまいりましたように、人類の共通の課題でございます地球環境問題を克服してかけがえのない地球を将来の世代に引き継いでいくということにつきましては、これは現世に生きる我々の責務である、このように認識をいたしております用地球環境問題、中でも化石エネルギー使用に伴う地球温暖化問題、廃棄物問題などにつきましては、人類の日常の経済活動さらに国民生活から不可避的に発生するという側面を持っているわけでございまして、このためにも、これに取り組むに当たっては、経済成長エネルギーさらに環境保全、三位一体とした総合的な視点に立って、企業国民省エネルギー、さらにリサイクルの推進のための自主的な努力を支援することによりまして、新たなエネルギー環境問題に対応した経済社会構造への転換を目指していくということが重要であろうと考えております。  通産省といたしましては、このような認識のもとに、エネルギー対策における法的枠組みを拡充整備するとともに事業者の自主的な取り組みを支援すべく、今般の二法案提案をさせていただいたということでございまして、御審議を合いただいておるところでございます。
  131. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、日本の国際貢献ということがいろいろな形で問題になっておりますが、経済大国として大量の二酸化炭素を排出している日本がこの程度の目標ではまだ足りないという声もありますけれども、それだけに、景気がどうあろうと、あるいは石油価格が今後も引き続いて安かろうと、地球環境を守るために少なくともこの程度のCO、排出量の抑制は必ず全世界に対して果たさなければならないというように私理解しておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  132. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 この二〇〇〇年安定化という目標は、淵源をたどりますと、リオ・サミットでもございました気候変動枠組み条約というものがあります。その中では、特に先進国の責務として二〇〇〇年安定化ということが書いてございます。そういう意味では、これは国際的な意味では一つの道義的な目標だと考えております。ただ、条約上の確たる目標かということになると、これは条文では、ある意味ではそういう二〇〇〇年に安定化することが非常に重要であることを認識した上でいろいろな政策をとることが必要である。我が国におきましては、御存じのように地球温暖化防止行動計画をつくっておりますので、その目標に向かってこれから最大限の努力をするということが必要かと存じております。
  133. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、エネルギー需給見通しの問題で次にお尋ねしたいのですが、二〇〇〇年の一人当たり二酸化炭素排出量が九〇年の水準と同じになるような計画になっておりましょうか。 これは同じでなければ理屈が合わないと思うのですけれども、念のためお尋ねいたします。
  134. 黒田直樹

    黒田政府委員 ただいま御指摘の地球温暖化防止行動計画は九〇年の十月に決められたものでございますけれども、エネルギー需給見通しもその直前に報告がなされておりまして、他方石油代替エネルギー供給目標というものを代エネ法に基づきまして決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、両者が整合性のとれたものとして決められておるものでございます。
  135. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この見通しで一番問題なのは、非化石燃料として原子力発電を飛躍的にふやすということになっている点であります。二〇〇〇年に五千五十万キロワットを達成するためには八九年より二千百十万キロワットふやさなければなりませんが、この見通しをつくってから現在までに何カ所完成をしたか、また計画中と工事中それぞれ合わせるとどれぐらい既に見通しがついたか。今の私の感じではそれが全部できでもかなり足りないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 黒田直樹

    黒田政府委員 このエネルギー長期需給見通しは、需要面と供給面の双方から、今おっしゃいましたような地球温暖化防止行動計画との関係で整合性のとれたものにしているわけでございます。そういう意味で、今回この二法案省エネルギーを進めようということでございますが、今お尋ねの原子力発電所につきましては、その後現時点では三千四百六十万キロワットぐらいになっております。それから、こうした運転中のものを含めまして建設中あるいは建設準備中の原子力発電所を合わせますと、その能力は四千六百万キロワットになっております。そういうことからいたしますと、現時点ではまだそういう運転中あるいは建設中、着工準備中のものでないものについては四百万キロワット強ということになろうかと思います。
  137. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると二〇〇〇年には四百万キロワットぐらい足りないということになるという御説明だと思うのですが、そうするとその四百万キロワット足りないものについてはどうするお考えなのでしょうか。
  138. 黒田直樹

    黒田政府委員 二〇〇〇年度と申しますとまだ八年ぐらいあるわけでございますから、必ずしも四千六百万キロワットしかないということではございません。今はっきりしているのが四千六百万キロワットむしろあるということでございまして、これはできる。しかしあとの四百万ができないということではございません。ただ、現実問題としてリードタイムが原子力発電所の場合に非常に長いわけでございますから、非常に困難な情勢になっていることは事実でございますけれども、今四千六百万キロであとはどうするんだということには必ずしもならないと思います。  それから、炭酸ガス排出量との関係でございますけれども、今の目標である五千五十万キロワットといいあるいは今確保している四千六百万キロワットといい、これは最大電力でございまして、当然のことながら炭酸ガス排出量影響してくるのは、原子力発電所発電することによって、その発電の電力量がふえることによって、逆に相対的に化石燃料発電所で発電する発電電力量が減ずる、こういうことで、要するに最大電力の問題ではなくて電力量の問題であろうかと思います。こういう点につきましては、もちろん需要の動向に応じ、また設備の稼働の状況という問題があるわけでございまして、そういう面でも五千五十万がないと四百万キロワットが不足して約一割不足するではないかということには必ずしもならないわけでございます。
  139. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今もう四千六百万キロワットまでは保証されたようなお話ですけれども、私は各地の反対運動などの動きを見れば、今計画、着工済みを合わせて、最大限うまくいってそこまでというのが現在の見通してはないかというふうに思うのですが、それについてあえて論争しようとは思いません。  それで、次のお尋ねなんですけれども、来年度予算案を見ますと、原発建設関係が飛躍的にふえるわけであります。どういう内容でどの程度ふやすのか、それは何のためかということについて御説明ください。
  140. 黒田直樹

    黒田政府委員 原子力発電所の立地関係での予算の増加あるいは増加の項目でございますけれども、一つは、来年度、地域共生型原子力発電施設立地緊急促進交付金ということで新しく五億円の要求をいたしております。これは新規の項目でございまして、従来原子力発電所というのは非常に隔離された存在であったわけでございますけれども、地域のために活用する資源というのもこの原子力発電所には別の見方をするとあるわけでございまして、例えば温排水であるとかあるいは蒸気といったようなもの、あるいは広大なスペースといったようなものを活用する方法はあるのではないかということで、発電所を核といたしました地域振興事業を強力に推進するために、原子力発電所の新増設が見込まれます地点の存在する市町村等に対しまして、調査とかパイロット事業とか、あるいは施設整備事業を今後進めていこう、そういうものに要する費用を充てるための交付金でございます。  それから、第二に、原子力発電施設等周辺地域交付金ということでございまして、原子力発電施設等の周辺地域におきまして、一般電気事業者から電気の供給を受けている者に対しまして給付金の交付に要する費用あるいは産業の近代化事業に要する費用に充てるための交付金を都道府県に対して交付いたしておりますが、平成五年度におきましては、原子力発電施設等の新増設を促進するために、平成五年度以降着工の施設について交付金の割り増し措置を講ずるということで増額の要求をいたしているところでございます。  このほか、電源地域への企業の立地の促進等のためにも所要の増額をいたしているところでございます。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そのほかにも、原子力発電安全対策などというような名目でも相当大きな予算の伸びもあります。全体として、この立地の促進のため、それからまた安全だということで国民の中でキャンペーンをしたりするための費用というのが非常に大きく伸びるのですけれども、これは、私が今申し上げた、原発について思うように目標に向けて前進がないということで、今のCO2の排出量を抑えるためには、この原発がクリーンエネルギーだということで大宣伝しながら一挙にそのおくれを取り戻そうということで、こういうようなあっちでもこっちでも原発関係の予算をふやして、いわば攻めに出たのじゃないだろうか、こういうふうに見ますが、いかがですか。
  142. 黒田直樹

    黒田政府委員 今回、もちろん今おっしゃいましたような地球温暖化防止の問題、あるいは内外でエネルギー伸びが最近非常に大きいといった問題等から、やはり我が国としては長期的にエネルギー需給構造というものを改革していかなければいかぬということでございまして、こういう観点から原子力についても所要の対策を講じているところでございますし、また供給面では、そのほか例えば太陽エネルギーについても大幅な増額をいたしているところでございますし、他方需要面では省エネルギーのための対策といった面について抜本的にその予算についても拡充をいたしているところでございます。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 きのうここで原子力発電は過渡的なもので将来は廃止すべきだというような議論も行われましたけれども、私どもの考え方は違うわけでありまして、原子力は人類の英知が生み出した貴重なエネルギーであり、長期的にはこれを活用していくのは当然だと考えております。しかし、現在の原子力発電技術的に未確立てあり、安全面で重大な弱点を持っているので、我が党は安易に新増設を認めることはできないというふうに考えているわけです。  そこで、大臣にこの機会に一言お尋ねしておきたいと思うのですけれども、少なくとも原発がまだ安全面で未確立てあることへの謙虚さを我々は忘れず、その確立のために最大限の努力を注ぎ、その安全性について関係住民や国民の納得を得なければならないと思うのです。今のようなCO2の排出を抑制しなければいかぬということから、原発をつくる、そのための押しまくるチャンス到来というようなことで今の状況を考えてはならないのではないかと思うのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  144. 森喜朗

    ○森国務大臣 原子力発電推進に当たりましては、安全確保の最大限の努力を払っておりますし、そして、国民の理解と協力を得ることがまず何といいましても不可欠である、このように考えております。  このため、通産省といたしましては、原子力発電安全性と必要性について正確かつわかりやすい広報を行っていくとともに、原子力関係情報の適切かつ積極的な提供に努めているところでございます。具体的には広く国民からの疑問に直接答える電話窓口の設置や事故トラブル等の情報を国民が直接アクセスできるパソコン通信のネットワークの開設など、国民一般に対する広報のほか、オピニオンリーダーや女性あるいは青少年といった特定層に応じたきめ細かい広報を実施をいたしております。今後とも原子力発電安全性と必要性に関するわかりやすい広報を実施し、原子力発電に対する理解の増進に努力してまいりたいと考えております。  今委員から御指摘のように、今がチャンスだ、そのような考え方は全く持っていませんので、なお一層国民に理解をいただけるように我が省としては推進をしていきたい、このように考えております。
  145. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 同じ非化石系のエネルギーでもいわゆる新エネルギー、太陽光とか風力とか、こういうようなものをもっと積極的に活用していくべきではないかと思うのです。この点で、日本は諸外国に比してこれらの活用では技術的には非常にすぐれたものを持ちながら、普及の面で大きくおくれているというようなことがしばしば報道されておりますけれども、政府の姿勢はいかがですか。
  146. 黒田直樹

    黒田政府委員 地球環境等の問題を考えますと、非化石燃料ウエートを高めていくことは非常に重要なことだというふうに考えているわけでございまして、そういう中で今御指摘のような太陽あるいは風力といったようないわゆる自然エネルギー石油代替するクリーンなエネルギーでございまして、エネルギー安定供給の確保あるいは環境保全観点から極めて有効なエネルギーであるというふうに認識をいたしております。  ただ、一般に当然自然条件に左右されるわけでございますし、現時点では相当コストが割高であるといったような課題を抱えているわけでございます。こういった課題を克服いたしますために、私どもといたしましても、従来からサンシャイン計画等を通じまして、新エネルギーについての技術開発に努めると同時に、いろいろなモデル事業の推進であるとか、あるいは税制上の措置などを講じまして導入促進策を推進してきているところでございます。  具体的に、例えば太陽光発電、太陽電池の場合でございますけれども、技術開発という意味におきましては、第一次のオイルショック直後の四十九年から私どもその技術開発に取り組んできているところでございまして、これまで、平成四年度まででいいますと、累計で八百五十億円ぐらいの予算を使い技術開発推進してきているところでございます。この結果、コストも非常に下がってきているわけでございますけれども、しかしまだなおいろいろな条件がありますから、試算ということになりますけれども、太陽電池単体だけでキロワットアワー当たり七十円ぐらいの発電コストを要するわけでございます。ただこれは、単体だけでと申しましたのは、太陽電池のパネルだけという意味でございまして、パネルのほかに当然これを固定する架台であるとか、あるいは直流と交流を変換いたしますインバーターであるとかいったような補足設備が必要でございますし、また使い方によってはバッテリーも必要になってくるということでございまして、したがって、現段階ではキロワット当たり百何十円というようなコストになっているのが現状でございます。  しかしながら、そういったことから引き続き私どもといたしましても技術開発に取り組んできているところでございまして、太陽電池の太陽の光をエネルギーに変える変換効率、これは平均的には今一〇%ぐらいでございますけれども、これをさらに上げる、あるいはコストダウンをする、そういった意味での技術開発をいろいろ推進しているわけでございます。  ただ、そういったコストが割高ではありながら、しかし一方で本格的な実用化への素地をつくっていこうということで、平成四年度、今年度から太陽光発電を具体的に公共施設等に設置いたしまして、フィールドテストをやってみようということで、三分の二を国が補助するというような形で本格的な導入のための補助金を用意いたしているところでございます。これは今後とも、太陽電池の場合には、先ほど自然条件と申し上げたわけでございますけれども、日本の中でも日照がいい地域あるいは積雪地域あるいは寒冷地域といったようないろいろなタイプ分けをいたしまして、また設置する施設につきましても、太陽電池でございますから昼の需要の多いような施設、学校であるとか公民館であるとか、そういったものを選びながらフィールドテストを実施していきたい。そのための予算も来年度について大幅に増額を要求しているところでございます。  また、電力会社等の対応におきましても、太陽電池から出てきた電気を家庭なりそこで使うだけではなくて、余ったものを電力会社に売るということもまたあり得るわけでございまして、そういった場合に、太陽光発電あるいは風力の場合には、電力会社が小売する電気の料金と同じ料金で購入するというようなメニューも電力会社側では用意されているわけであります。  そういったことで私どもも、一つのクリーンエネルギーでございますから、大いにこれを推進するために努力をしているところでございます。
  147. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 原発計画がおくれ、そして新エネルギー開発も思うように進まないということになると、二〇〇〇年の石油依存度を下げるという目標が達成できなくなるおそれがあるのじゃないかと思うのですね。そうすると、国際的な公約ではないかと私が言ったら、いや、これは道義的な責任程度だというふうにさっき言われたようなんですけれども、そういうことでこれは達成できなくても仕方がないというようなことになるのかといったら、私は、今の世界状況から見たらそんないいかげんな態度では済まないのじゃないかと思うのですよ。その辺はどういう見通しですか。答弁は簡潔な言葉で頼みますね。
  148. 黒田直樹

    黒田政府委員 今、目標に向けて最大限努力していくのが私どもの使命だというふうに考えておりまして、供給面需要面双方で最大限の努力、ぎりぎりの努力をしていくということが重要であるというふうに考えている次第でございます。
  149. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、省エネ問題に今度は入りたいと思うのですが、五十四年の省エネ法の制定以来、今日までの努力によってどういう成果があったか、簡潔にお答えください。
  150. 黒田直樹

    黒田政府委員 五十四年の本法制定以降、本法を機軸といたしまして省エネ推進が図られてきたところでございますが、具体的には、工場、産業部門関係いたしましては、この法律に基づきまして判断基準の策定、公表、あるいはこれに基づく指導を行ってきたところでございます。また、一定以上のエネルギー使用している工場におきましては、この法律に基づきましてエネルギー管理士が選任されて、エネルギー管理が徹底されてきているわけでございます。最近調査いたしましたところでは、この時点での判断基準の内容というのは、項目によって違いますけれども、八割から九割方遵守されているという報告を受けております。  また、建築物におけるエネルギー使用合理化につきましても同様に、この法律に基づきまして 判断基準の策定、公表、あるいは建築主に対します指導助言等を行ってきたところでございます。  また、特定機械器具につきましては、特定機器とされてきましたガソリン乗用車、エアコン、冷房用のエアコン、それから電気冷蔵庫につきまして判断基準が策定されてきたわけでございますけれども、いずれも目標時点でおおむね達成しているというのが現状でございまして、現時点では改めてまた、電気冷蔵庫はもう特定機器からの対象外となり、ガソリン乗用車につきましては、最近時点で新たな判断基準が策定されて、二〇〇〇年に向けて事業者において努力されているところでございます。  こうしたものをバックアップいたしますために、他方で金融税制上の措置といたしまして、政府系金融機関による低利融資あるいはエネルギー需給構造改革投資促進税制による税制上の優遇措置を講じてまいったところでございます。  こうした省エネ法の成果あるいは金融税制上の措置あるいは企業努力が相まちまして、一九九一年度におきましては、もう少し前からになりますが、オイルショック以降、つまり一九七三年度以降、エネルギー消費のGNP原単位で見ますと約三八%の改善が日本国全体として見られているわけでございます。     〔安田(範)委員長代理退席、竹村委員長     代理着席〕
  151. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 かなり前から見ればそういうふうに下がってきているということは私も認めるのですが、最近、八六年ごろを転機にして省エネどころか石油消費量もどんどん伸びてくる、それから原単位という点で見ても停滞ないしは悪化をするという状況になっているわけです。私は、そういう停滞をしている決定的な原因というのは、石油価格が長期に低迷してきたためにもう省エネをすることにメリットを感じなくなってきたからではないかというふうに思うのですが、それに間違いないでしょうか。
  152. 黒田直樹

    黒田政府委員 八〇年代後半から、今おっしゃいましたように、エネルギーのGNP原単位が下げどまり傾向にあるというのは事実でございます。この要因はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり一つには今おっしゃったような価格の要因もあろうかと思いますし、それから、ちょうどこの時期は内需主導型の景気が非常によくなってきたわけでございまして、そういった面もあろうかと思いますし、また、典型的な省エネルギーの大型投資というのが一巡してきたといった面もあろうかと思います。いろいろな要因があると考えております。
  153. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いろいろな要因がというふうに言われるけれども、私はやはり石油価格が長期にわたって非常に安いという状況がここのところずっと続いているということが決定的ではないかと思うのです。実際、私は当局の方から「鉄鋼業の省エネルギー投資の推移」という資料をいただきましたけれども、これはまさにそういう石油価格の動向と省エネ投資の努力とが本当にぴったり一致していると言っていいくらいの状況なんです。七九年、これは第二次オイルショックですね、この年に省エネ投資が全体の投資の中で占める比重は一五・二%だったのですが、その直後は、八〇年二四・九%、八一年二六・九%とどんどんふえてきたんですよ。ところが、そのころで大体石油価格の暴騰がもうめどが見えてきたというせいでしょうか、八二年以後を見ると二一・六%、二〇・五%というふうにずっと下がって、最近はどうかといったら、八八年は九・〇%、八九年は五・九%、九〇年はちょっと盛り返してはいるけれども一〇・〇%というふうに、かってと比べたら全くお話にならないくらい、設備投資全体の中で省エネ投資というのは上がったり下がっているのですね。だから、これは価格の動向にほぼ見合った動きじゃないですか。
  154. 牧野力

    ○牧野政府委員 今委員が挙げられた数字はそういうことであろうかと思いますけれども、ただ、パーセンテージでお挙げになりましたが、ここ数年鉄鋼業におきましては、表面処理鋼板でありますとか冷延鋼板でありますとか、非常に新しい需要が出てまいりまして、それに対する設備投資が非常に多かったということもありますので、ちょっと今絶対額がございませんが、絶対額として省エネ投資ががっくり落ちたということは必ずしも言えるのかどうかということがございますし、それから先ほどエネ庁の長官が御答弁いたしましたように、やはりここ数年省エネルギー設備の一応の普及によりまして省エネ投資が一巡をしたというような事情もあろうかと思います。
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 技術的には今考えられる手段というのは一わたりやり終わったというお話のようですけれども、果たしてそうなのか。私はきのう当局の方から、今後考えられる省エネ対策として鉄鋼業の場合どういうことが考えられるかということで資料をいただいたら、例えばコークス炉調湿炭装置、乾式高炉炉頂圧回収発電設備、密閉式転炉ガス回収設備、直送圧延とかいろいろ挙げていただいたのですが、これは私の知るところでは、技術的には既に今まで開発をされてきたものの大体延長線上にあるもう一つ上の技術ということであって、何か画期的な技術をこれから、全然今までやったことのないようなものを取り入れるというようなものではないのですよ。だから、そういう意味でいうならば、努力をする気があって引き続いてこういうようなものを入れてきておったら、鉄鋼についてもエネルギー消費単位が頭打ちないしは上がってしまうなどというようなことは起こり得なかったのじゃないですか。
  156. 牧野力

    ○牧野政府委員 お説のとおりでございまして、私も、省エネルギー技術がここで技術的に頭打ちになったということを申し上げたわけではございません。今御指摘のような技術が今後省エネのために非常に有効であり、これを導入するためにいろいろ努力をしておるところでございまして、今回御提案をいたしておりますこの支援法によりまして一段と」ういう技術の導入に進みたいということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、ここ数年、先ほど来長官が挙げましたようないろいろな要因によりまして省エネ投資が一服をしていたということについてはそのとおりだろうと思いますので、これを今後気を引き締め直しましてより加速しようというのが私どもの考え方でございます。
  157. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 石油価格の高騰などで企業がほっておいても省エネに必死になっているときには国の特別の指導というのは要らないんじゃないかと私は思うのです。国の省エネ行政の真価が本当に問われたのは、企業の取り組みが、石油価格などがずっと下がってその衝動が減ってきたまさに八六年以後の時期だったのではないかと思うのです。結局この時期、私は今鉄鋼だけを例に挙げましたけれども、全体としてエネルギー消費単位などが頭打ちあるいは停滞してしまったというようなことというのは国の努力不足だったというふうに言っていいのでしょうか。
  158. 黒田直樹

    黒田政府委員 私ども先ほどから申し上げておりますように、省エネ法に基づきましてガイドラインの設定等を行い、省エネの啓蒙あるいは省エネに関する指導あるいは省エネにつきましてのいろいろな税制、金融上の措置、インセンティブを講じてきているところでございますが、なかなか大きな投資については一巡してきたということで、そういった結果があるわけでございます。しかしながら、今御議論ございましたように、まだまだ余地はあるわけでございまして、我が国産業界の場合には、先ほどの全体のGNPの原単位という形で申しますと、この二十年間ばかりの間に三八%改善したわけでございますが、製造業の場合にはさらに四十数%改善しているわけでございまして、そういう意味で、ある意味では先ほど御議論ございましたけれども、さらに乾いたタオルを絞るくらいの努力が必要かと思いますけれども、一方で、その背景となる実情というのも、石油の輸入が量的に不足してしまうとか途絶えてしまうといったような危機感というのではなくて、今の状況というのは、表面はエネルギー情勢は安定しているわけでございますけれども、中長期的に考え、また地球環境問題への国際貢献といった、ある意味で日々の私どもの肌ではすぐに火がついたような感じにはなってないこともまた事実でございます。  そういう意味から、私ども広報等に力を入れると同時に、今回こうした二法案をお願いし、かつその運用に当たりましても企業へのインセンティブ、企業を誘導していくためのいろいろな手段というのも用意をいたしているところでございまして、そういう意味で、全体を合わせまして一層の努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  159. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これまでも国は企業に対し必要に応じ、省エネヘの取り組みをチェックするための報告を徴収したり勧告ができたわけであります。こういう権限をまさに今、私が先ほど来申し上げているように、企業の取り組みが緩んだような時期にこそ駆使して取り組みを強めさせるべきだったのではないかと思うのですが、聞くところによれば、そういうような勧告などというのは今まで出したことがないんだということなんですけれども、そうでしょうか。この時期、そうするとほとんど努力はされなかったということですか。
  160. 黒田直樹

    黒田政府委員 勧告自身は例はございません。ただ、先ほど申し上げましたようにガイドラインを設定していろいろ指導してきたわけでございますけれども、そういう中で、項目によっていろいろ違いますけれども、先ほど申し上げましたように八、九割の目標値は達成されているということでございますし、特定機器等につきましては、自動車とか家電製品の性能向上目標については一〇〇%達成されているわけでございまして、そういう意味で勧告の必要はなかったということでございます。  ただ、先ほど来御議論ございますように、大きな投資が一巡したり、いろいろ状況の変化があるわけでございまして、そういう意味で従来は従来の目標として守られてきたわけでございますけれども、私どもこの法改正の施行を機にいたしまして、また新しい判断基準の見直しであるとかいろいろな施策の強化に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  161. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の法改正で報告を義務化し、指示、公表、命令、最後には処罰と、五段階もの強力な権限を持つことになるわけであります。  私は、今までの指導が甘かったということを反省して、厳しい省エネの課題をどんな困難を押してでも実現するためにこういうような罰則まで含む権限を求めたのではないかというふうに理解をしたいのですけれども、そういうふうに受けとめていいのか、その決意も含めてお尋ねをしておきたい。
  162. 黒田直樹

    黒田政府委員 今回の改正法案におきましては、省エネルギーの徹底を図るという観点から、実効性の担保措置につきまして一定の、今おっしゃったような強化を図っているわけでございますけれども、省エネルギーというのは、基本的にはエネルギー使用いたします事業者あるいは国民の皆さんの自主的な取り組みによってなされることが重要であるというふうに考えているわけでございます。  ただ一方で、したがって、今回、支援法に基づきまして各種の支援措置を設けまして、省エネルギーに向けての自主的な取り組みをプッシュしていこう、バックアップしていこう、こういうことで二本の法律をお願いをいたしているわけでございますけれども、全体の努力の中にあって、自主性にゆだねていたのでは改善が期待されないような状況というのが出てくるということがありますと、やはり全体に及ぼす影響もあるわけでございますので、最終的には今おっしゃいましたような指示、公表、命令というような仕組みを設けているわけでございますけれども、私どもといたしましては、これらの措置も実際に発動すること自体ではなくて、この事業者の自主的取り組みを引き出せるようにうまく活用しながら、この所期の目的であるエネルギー消費の低減に努力していきたいということでございまして、処罰をしようというのが目的ではなく、むしろ最終的にはそれくらいの強い姿勢をもって省エネルギーを進めたい、こういうことでございます。
  163. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は先ほど来申し上げておりますように、景気後退の中で、そして石油の価格が長期に低落を続けているというような状況で、企業としては余り省エネに気合いが入らないというような状況の中で、この省エネの目標を達成させるというのはかなり厳しい課題だと私は思うのですよ。だからこういう権限を設けられたのだと思うし、私も何もみだりにそういうのを振りかざせとは言わないけれども、しかし私は、必要なときには断固としてこれを発動する決意を持たなかったら進まないという状況に今あるんだということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  次に、判断基準の問題でお尋ねをしたいのです。  この判断基準は、先ほど来言っております、二〇〇〇年に一人当たり二酸化炭素を九〇年とおおむね同水準という目標とリンクしたものでなければならないと思うのですが、そういう立場から、この法改正に伴って、工場それから建築物、特定機器の判断基準というのもそれぞれ見直したりする必要が起こってくるのではないかと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。
  164. 黒田直樹

    黒田政府委員 基本的には、おっしゃいますように、全体の私どもの今念頭に置いております姿というのが、長期需給見通しで示されたような方向需要を低減し、また供給の面でもできるだけクリーンなものをふやしていく、こういう方向でございますから、それを念頭に置いて考えているわけでございます。  判断基準、いろいろあるわけでございますけれども、現行法の運用の中で、建築物のうちの住宅の断熱化の基準につきましては、昨年二月に改定がなされております。それから、特定機器のうちガソリン乗用車の燃費の基準については本年一月の末に見直しを行って、新しい告示を公表しているところでございます。今後、工場の判断基準につきましては、今回の法改正を機に見直しを行うことを考えているわけでございまして、現在鋭意作業を行っているところでございます。  これ以外につきましても、あるいは特定機器の新しい追加とか、いろいろあろうかと思います。また事情に応じ、判断基準の対象の拡充とかあるいは既存の判断基準の見直しは行ってまいりたいと思っております。
  165. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最近、産業以上に民生、運輸関係エネルギー消費伸びが大きいわけであります。この法律では、すべてのエネルギー使用者、つまり全国民省エネ努力義務を課しております。今多くの国民が、程度の差はあっても、大量生産、大量消費、大量廃棄という生活スタイルに巻き込まれておりまして、単なる啓蒙キャンペーンでは民生分野などでの成果は多くを望めないのではないかと思うのです。そういう視点で政府としても総合的に取り組んでいく必要があるのではないかと思いますが、その点ほどう取り組んでおられますか。
  166. 黒田直樹

    黒田政府委員 まず、この法律の体系の中での施策といたしましては、運輸部門につきましては、先ほど申し上げましたように、ガソリン乗用自動車が燃費の向上のための判断基準の対象として既に指定され、今二〇〇〇年に向けての目標が策定されているところでございますけれども、この自動車というのが運輸部門のエネルギー消費の八五%を占めているわけでございますので、今後とも対象の自動車の範囲の拡大あるいはその基準といったものについての作成について努力をしてまいりたいと思っているところでございます。  家庭部門におきましても、特定機器の対象といたしまして現在は冷房用のエアコンのみが対象になっているわけでございますけれども、家電製品あるいはもう少し広い業務部門の中でのOA機器等も検討対象に広げまして、今後判断基準の策定に向けての努力をいたしたい、こういうふうに考えているところでございます。  以上がこの運輸部門あるいは民生部門のハードウェア、機器からのアプローチでございますけれども、今先生御指摘のように、運輸部門におきましても、例えばこの委員会でもずっと議論になっておりましたモーダルシフトの問題であるとか、物流の効率化の問題であるとか、渋滞対策の問題とか、いろいろな問題があります。また民生部門につきましても、国民の価値観の問題あるいはライフスタイルの問題、いろいろあるわけでございまして、総合的にと言っておりますとこれは時間がかかってしまうわけでございますけれども、できるものから私ども、また関係省庁とも連携をとりながら、できるものは実効に移していけるように努力をしてまいりたい、このように考えております。  なお、そのバックボーンといたしましては、今回の法改正案におきまして基本方針というものを策定できるような条項の改正を行っているわけでございまして、こういったものをバックに積極的な広報活動あるいは省エネ対策の一層の強化に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  167. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、支援法の問題でお尋ねをしたいと思うのです。  省エネに取り組む企業にはすべてこの支援法を適用するというような甘い運用をしてはならないと私は思うのです。もともと省エネ法に金融、税制の支援の仕組みがあり、これについて、これまでにどの程度の実際の支援をしてきたかということをきのう当局から資料をいただいて私なりに計算をしてみましたら、年平均で融資では七百九十二億円、それから減税という点では五百七十二億円やっております。支援法はそれにさらに上積みをするわけですから、努力指針ではかなり高い基準を打ち出して、それに適合するものにだけ支援をするということでなければいかぬのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  168. 黒田直樹

    黒田政府委員 省エネの目標のレベルにいろいろな段階があろうかと思うわけでございますけれども、工場等についての判断基準で定めますレベルというのは、ある意味でみんながやってほしいことというようなガイドラインになるわけでございますけれども、御指摘のように、支援法によって設備投資について利子補給を受け、あるいは新しいエネルギー使用合理化促進税制の対象というものになるためには、このガイドラインを守っていればいいということではなくて、ガイドラインを相当上回るレベルの省エネと申しますか、エネルギー使用合理化を行うものを対象に考えていきたいと思っております。
  169. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私も勉強してみて非常に手厚い支援策だというふうに思いました。融資は特利の五、だから利率が五・〇%という最も有利な低利でありますけれども、それに加えてさらに、工場の場合〇・八%もの利子補給をする、その上債務保証をしてもらうし、税金の減額まで受けるわけであります。この恩恵を受けるのはほとんど大企業に限られるのではないかと思うのです。省エネでその企業もコストダウンなどの利益を受けるのに、これでは余りに至れり尽くせりではないかというように感じますけれども、そういう感じはしないか。これらの支援策に大体年間どれくらいの予算を投入することになるのですか。
  170. 黒田直樹

    黒田政府委員 とりあえずは、これは初年度でございますので利子補給枠については五億円程度を予定いたしております。また債務保証の方は、これは産業基盤整備基金、債務保証のための基金ということでございますので、これは一年目に全部食いつぶされてしまうという意味ではございません。これについては二十二億ぐらいを要求いたしております。あと、税制については今後の実情を見ていく必要があろうかと思っております。
  171. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 各国とも二酸化炭素の排出抑制、地球環境保全のために取り組みを始めていると思うのですが、これほど企業に対して手厚い手法で援助をしているのかどうか、他国の立法動向はいかがですか。
  172. 黒田直樹

    黒田政府委員 他国の例、詳細に最新時点はよくわからないと申しますか、少なくとも最近物すごく助成制度を手厚くしたというような情報は得ておりませんけれども、我が国制度と同様に、省エネルギー投資に対する税額控除であるとか低利融資であるとか、債務保証あるいは省エネ技術開発等への補助といった措置がヨーロッパ、アメリカで講じられているというのが一般的であるというふうに承知をいたしているわけでございます。欧米の最新の制度、よくわかりませんけれども、少なくとも、地球温暖化問題に関連いたしまして気候変動枠組み条約が署名されました昨年の六月以降、大幅にこの省エネ政策の助成が強化されたということはまだ聞いておりません。
  173. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、似たような手法のやり方はやっているけれども、日本は非常に手厚い方だというふうに今言われたように思いますが、そういうことですか。  それから、っいでですからもう一つお尋ねしますけれども、私は、中小企業に対しても金融や税制などでかなり手厚い支援措置を別に用意しておられるということは、これはこれで評価をしております。この関係の予算は大体どれぐらい用意してあるのですか。
  174. 三田義之

    ○三田政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、中小企業につきましても、従来から中小企業金融公庫等を初めとしまして低利の融資をしてきたわけでございますが、融資規模といたしましては、過去のちょっとアバウトな数字になりますが、おおむね一千億円程度融資をやってきております。
  175. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、過去の実績をお尋ねしたのじゃないのですよ。今度、こういう非常に手厚いメニューを用意したということを私は評価をして、今後どれくらいの予算をこのために投入するという考え方なのですかとお尋ねしたのです。
  176. 三田義之

    ○三田政府委員 お答えいたします。  今回の場合につきましては、中小企業金融公庫等におきまして利子補給を含めました低利融資をやる予定にしております。さらに、中小企業保険法によりまして保険限度額の枠の拡大、さらには近代化資金によります融資等を考えておりますが、規模につきましては今現在ちょっと把握しておりません。
  177. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この機会に、省エネについての個人の努力についても支援策があってしかるべきではないかということを私申し上げたいわけであります。今も省エネ住宅をつくったりする場合には借り入れの上積み措置などがあるというふうには聞いておりますけれども、例えば太陽電池などを取りつけるというような場合も支援してよいのではないでしょうか。また、それによって電力に余剰が生じ、電力会社に売電するというようなことも問題になってまいります。ドイツ、アメリカなどでは、ほかにもあるようですが、国が援助を制度化して一定の普及を見せているようでありますが、日本でもそういうことを考える時期に来ているのではないでしょうか。
  178. 黒田直樹

    黒田政府委員 太陽光発電、先ほど申し上げましたように、まだまだ非常にコストが高いということで、割高なものですからそうまだ個人ということでは例がないかと思いますが、従来から税制の優遇措置は適用が受けられることになっているわけでございます。  また、今おっしゃいました余剰電力の購入につきましては、昨年の四月から電力会社におきまして、ちょうど個人が家庭用の電灯料金として払っている電気と同じ値段で余剰電力を購入してもらえるという方針を各電力会社が打ち出しておりまして、電力会社によって電力料金いろいろ違いますけれども、大体キロワットアワー二十四円程度で余剰電力は購入している。太陽光発電あるいは風力による電力につきましては、そういった値段で購入することといたしているわけでございます。これまで太陽光発電の余剰電力を電力会社が購入したケースは六件、合計で最大電力で五十キロワットの購入実績があるわけでございますけれども、このうち個人住宅では二件、ただ、規模は小そうございまして約五キロワットという実績でございます。こういった制度を活用し、また、今後本当に太陽光発電が本格的に実行される過程でますますこういった制度の重要性が出てくると思いますけれども、そういった状況を踏まえながら支援策については検討してまいりたいと思っております。
  179. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私、まだあとリサイクル関係について質問をするつもりでおりますけれども、ちょうど切りがよいので、時間も参ったようですから、これで終わりたいと思います。  きょうは、皆さん、昼飯抜きで答弁に当たっていただいたそうで、最後に、大変御苦労さんでしたと申し上げたいと思います。
  180. 竹村幸雄

    ○竹村委員長代理 次回は、来る二十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会