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1993-04-01 第126回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 春田 重昭君    理事 岩村卯一郎君 理事 河村 建夫君    理事 久野統一郎君 理事 鴻池 祥肇君    理事 萩山 教嚴君 理事 北川 昌典君    理事 永井 孝信君 理事 伏屋 修治君       井出 正一君    岡島 正之君       加藤 卓二君    二階 俊博君       浜野  剛君    原田 義昭君       古屋 圭司君    増田 敏男君       柳沢 伯夫君    石井  智君       小林  守君    竹村 幸雄君       吉岡 賢治君    吉田 和子君       山口那津男君    辻  第一君       柳田  稔君    和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣          (国家公安委員 村田敬次郎君         会委員長)  出席政府委員         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房 垣見  隆君         長         警察庁警務局長 井上 幸彦君         警察庁交通局長 関根 謙一君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         総務庁長官官房         交通安全対策室 賀耒  敏君         長  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課 松田 広光君         長         文部省体育局学 近藤 信司君         校健康教育課長          厚生省保険局保 紺矢 寛朗君         険課長         運輸省自動車交 鈴木  朗君         通局貨物課長         運輸省自動車交 星野 茂夫君         通局保障課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 小杉 昭夫君         保安・環境課長         運輸省航空局飛 高橋  誠君         行場部建設課長         建設大臣官房技 城処 求行君         技調査室長         建設省建設経済 風岡 典之君         局建設業課長         消防庁総務課長 海老 忠彦君         特別委員会第一 吉田  稔君         調査室長     ————————————— 委員の異動 四月一日  辞任         補欠選任   井上 一成君     吉岡 賢治君   遠藤  登君     小林  守君   伏屋 修治君     山口那津男君   和田 一仁君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   小林  守君     遠藤  登君   吉岡 賢治君     井上 一成君   山口那津男君     伏屋 修治君   柳田  稔君     和田 一仁君 同日  理事伏屋修治君同日委員辞任につき、その補欠  として伏屋修治君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号)      ————◇—————
  2. 春田重昭

    春田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡島正之君。
  3. 岡島正之

    岡島委員 春の交通安全運動、四月六日から新学期を迎えて、いよいよ十日間行われるわけでありますが、その時期にこうして道交法改正の審議ができますことも、大きな意義があるだろうと思います。  そこで、国家公安委員長村田大臣に、交通安全対策の問題について基本的なお考えを、まずひとつお伺いをいたしたいと思います。  平成元年の十一月二十八日だったと記憶いたしておりますが、海部内閣におきまして初めて閣議決定をいたしまして、交通事故非常事態宣言をいたしたわけであります。実は、あの直前に私はこの委員会質問をいたしまして、一万人の死亡事故が二年連続で発生するような見通しでありましたから、そのためには国民運動的なことをやはりしっかりやった方がいい、その意味政府はひとつ閣議決定をして、そういう宣言をしてくれということを御提案申し上げまして、そのことが実現をいたしたわけであります。その当初には、たしか死亡事故が若干減ったということでありましたが、しかしそれ以来今日まで、四年連続一万一千人以上の交通事故死亡者が発生をいたしているわけであります。  今日、車社会の中でありますから、国民生活の豊かさを創造する中で、交通安全運動というのは極めて大きな課題だろうと私は思います。今日、環境問題が地球問題として大きな議論がされておりますが、今世界の交通事情考えましても、表向きの報告では七十万人と言われておりますが、実質的には百万人以上の交通事故死亡者がおられるというこのことを考えましても、まさに交通安全運動というのは世界的な地球規模の問題だろう、こんなふうに思っているわけであります。  そういう中で、国家公安委員長として交通安全運動事故防止対策最前線で御活躍をいただきます大臣交通安全運動に取り組む基本的な姿勢といいますか、そういうものをまずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 村田敬次郎

    村田国務大臣 岡島委員から、交通事故についての国家公安委員長としての所見ということでお尋ねをいただきました。  私は、自治省で育った人間でございまして、昭和三十五年であったかと思いますが、愛知県に赴任をいたしました。そして、交通安全対策があのころから本格化するわけでございますが、その当初のころから交通安全対策にはいろいろな形で従事をしたかと思います。交通安全対策というのは、まさに現在の非常に大きな課題一つ、また、地球規模でいいましても、地球環境問題と並んで交通安全対策が非常に重要だということは、私ども、諸外国を旅してみまして、その都度感じることでございます。  交通事故により、毎年一万人を超えるとうとい命が失われているという状況は、極めて憂慮すべきものであります。国民生活の安全を確保する上で、交通事故防止対策重要課題一つであると認識をいたしております。交通事故を防止するために、今後とも関係機関団体との連携を図りながら、各種対策を進めていくことが肝要であると思っておりまして、警察としては、まず過積載の取り締まり強化、それから違法駐車車両に対する車輪どめ装置の取りつけの措置の新設、運転者教育充実強化などを内容とする道路交通法の一部改正法律案を、今回提出させていただいたわけでございます。これら改正事項に係る各種交通安全システム運用等によって、悲惨な交通事故による犠牲者を減少させるべく最大限の努力をしてまいりたい、この分野に対してできるだけの尽力をいたしたいと思っております。
  5. 岡島正之

    岡島委員 今大臣から、今回の道交法改正を含めた内容についてお話がございましたが、いずれにしても、第二次交通戦争ということが言われてもう久しいわけでありますから、これから交通安全対策に万全の体制をひとつ築いていただきますことを、心からお願いをいたします。  次に、警察庁長官現場のことについて若干お伺いをいたします。  交通安全運動には全く特効薬はないわけでありまして、各それぞれの機関、特に行政の面で考えれば各省庁が知恵を絞り合ってやっていかなければならないわけでありますが、しかし私は、やはり現場警察官活動というもの、また交通警察と言われる警察実態、そういう中でこのことが一番大事だろう、こう思っているわけであります。街頭の指導活動あるいはまた事故処理作業、さらにはまた安全教育という、それぞれ第一線で交通警察皆さんは非常に頑張っていられるわけであります。  そんな中で、この前も私はお話を申し上げましたが、私の経験では、私のところの警察署長大変浪花節が上手だったわけでありますが、この人が老人クラブ会合を積極的に開いて、交通安全運動の啓蒙に行ったわけでありますが、そのときに浪花節を必ずやった。老人クラブ皆さんが喜んで、あの署長が来れば交通安全運動いいよど、こういうことになったわけでありますが、みんながそういう知恵を絞っているわけでありますが、ひとつ長官としてもそういう現場実態というものをさらに把握をしていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、二点ほどお伺いいたしますが、交通警察に取り組む警察官皆さんのいわば働く環境の改善といいますか、そういうものにさらに積極的に取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、私は、やはり表彰制度というものをより幅広くしていただきまして、いわば警察官士気高揚の面で積極的にひとつ方策を立てていただくということを、特に長官お願いをしたいと思います。  さらに加えて二番目には、今指導取り締まりあるいは事故処理、いろいろ機械化が進んでいるわけでありますけれども事故捜査等につきましても警察官負担軽減、こういう面からも機械化ということが極めて大事だろう、私はこう思っておりますが、そういう面についての長官のお考え方、特にコンピューター導入等の計画がいろいろ具体的にされているわけでありますけれども、それらについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 城内康光

    城内政府委員 お答えいたします。  交通行政というのは、いわば国民全体を対象にした行政でございますので、それぞれの対象に応じたいろいろな方法を工夫してやってまいらなければならないというふうに考えております。  まず、御質問の第一の表彰のことでございますが、いろいろとプロとしていろいろな業績を上げたような者についてはちゃんと褒めるべきは褒めて、しかもそのことが昇進にも結びつくようにしておるところでございます。現在は単なるぺーパーテストではなくて、要務実績を見て選抜し選考する、そういったものをむしろメーンにして昇進をやっておるわけでございます。また、そういう実績能力評価制度、これは交通交通刑事刑事、それぞれ違うわけでございますので、それぞれの分野ごとにそういう実績評価して、それが本人の処遇に結びつくようなことをしております。  二つ目機械化のことでございますが、確かに事故等がふえておりますので、一線の現場で働く警察官業務負担が大変多くなっておるわけでございます。機械化をどんどん進めていかなければならないと思います。例えば千葉県警察が開発した駐車違反に対する交通切符自動作成機、これを用いますと、一つの事件を処理する場合に何枚も同じ書類をつくらなくても済む、非常に時間の短縮ができる、そういうような、これは一つ事務合理化の例でございますが、そういったものをどんどん奨励しております。それからまた、例えば軽微な人身事故に対しましては書類を簡易な様式で対処するというようなこととか、そういう面の合理化もしておるところでございます。
  7. 岡島正之

    岡島委員 長官から今お話がございましたが、警察官現場における苦労は私どもは常に見ておりますから極めて大変だろうと思いますので、そういう若い警察官交通警察最前線活躍できていく、それに報いていくような幅広い方策をぜひひとつおつくりいただきたいと思います。また、コンピューター導入機械化の問題がございました。千葉県警では例の名簿作成導入をいたしたようでありますけれども、さらに駐車違反等システム化あるいは全国オンライン化、こんなことにつきましても取り組んでいただきたい、このことを特にお願いを申し上げておきます。  それから、今度の法改正の中で指定自動車教習所制度の整備の問題で幾つか具体的に出されておりますので、この点について若干お伺いをいたします。今、新規免許の九五%が教習所において取得されておりまして、全国では千五百三十五ですかの自動車教習所があるわけでありますけれども、この教習所の果たしていく役割というのは極めて大きいだろうと私は思います。さらにまた、加えて道路環境がかなり変化をしてまいりましたし、生活多様化、いろいろな面で対応が求められていくわけでありますが、今回の法律改正というのは、その意味では極めて時宜を得たものであろうと私は思っておるわけであります。  そこで、若干具体的にお伺いいたしますが、従来の技能検定教習検定指導員等について新しい見直しがされるわけでありますが、これらの内容についてひとつお聞かせをいただきたい。さらにまた、教育カリキュラム改正内容が出されておりますが、これらの内容についてもお聞かせをいただきたいと思います。特に、年齢の階層別死因の中で、日本社会では十五歳から二十四歳までの死因のトップが自動車事故であるという実態があるわけでありますから、そういう現実を考えましても、教習内容あるいはまたその対策というものが極めて大事であろうと思いますので、これらについてお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  まず、技能検定員教習指導員についての今回の制度見直しについてのお尋ねでございます。技能検定員教習指導員も、いずれも資格者証交付を受けた方から選んでいただくというように仕組みを設けていただきたいと考えております。従来は、技能検定員あるいは指導員、いずれも公安委員会の認定といったもので、格別に一定の基準に該当することを証する証明書のようなものの交付を受けていなかったわけでございますが、そういう資格者証交付を受けるということで全国の斉一を図ることができるようにしたいということが一点でございます。それから、指導員につきましては、学技一体という観点から、学科指導員技能指導員の区別なく一本化を図るという点が一つでございます。いずれも運転者教育充実を図るという見地からでございます。運転者教育充実を図るという見地からは、さらに教習カリキュラム見直しということを進めております。教習カリキュラムも、従来の運転操法から安全運転教習へという考え方で、道路において安全に運転できる能力向上を図ることでありますとか、教習の主体性を尊重しつつ交通安全に果たす役割責任を自覚させるといったようなところに主眼を置きまして、内容といたしましては、ディスカッション方式教習、それからみずから走行経路を設定して運転するために必要な事項教習、それに応急救護処置あるいは高速道路教習危険予知教習といったようなものを取り入れるべく検討を進めているところでございます。
  9. 岡島正之

    岡島委員 今局長からいろいろとお話をいただきましたか、いずれにしても自動車教習所教習内容等、あるいはまた指導員検定員を含めた皆さん使命感というものが私は大事だろうと思っているわけであります。  そういう中で一つ御提言を申し上げますのは、自動車教習所のこれから果たしていく役割の中で、地域交通安全運動のいわばセンター的な役割を果たしていくことが大事だということを強く考えているわけであります。全国に千五百三十五あるわけでありますから、この教習所全体が安全教育の中心的な存在として地域地域の中で活躍をしていただければ大きな成果を上げていくだろう、私はこう思っているわけでありますので、その点について警察庁、特に御指導をいただきたいということをこの機会にお願いしておく次第であります。局長のお考えがありましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘のとおりかと存じます。現在でも、各教習所におきましては、休日等を利用いたしまして、地域方々交通安全に対する意識の向上を図るという活動をいろいろと行っているところでございます。  例えば、地域の小学生を集めて自転車交通教室を開催している教習所もございます。それから、長寿社会文化協会と共催しまして、高齢ドライバー交通安全教室を開催しているという例もございます。また、企業新入社員を集めまして、運転診断を実施しているという例もございます。さらに、女性ドライバー対象に、ぺーパードライバー教室といったようなものを開催している例もございます。これらはいずれも、各教習所がその役割を十分に自覚いたしまして、地域社会において貢献をしたいというお考えのあらわれかと存じます。私どももこういう考えは大変すばらしいことだと考えまして、このような活動に対し積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
  11. 岡島正之

    岡島委員 全国自動車教習協会という組織もあるわけでありますから、そういうものを通しながら、警察庁の適切な指導をいただきながら、今局長が言われました交通安全の地域のセンター的な役割を果たしていくような具体的な対応をしていただきたいとお願いをいたします。  次に、シートベルト着用推進に絡んで幾つかお伺いをいたします。  「ドアしめて ベルトをしめて 気をしめて」、各首長がつくられました「シートベルトよ ありがとう」というパンフレットを私どもいただいてまいりました。今回の春の交通安全運動におきましても、若者の事故防止、さらにシートベルト着用というのが重点目標の中にうたわれているわけでありますが、特にシートベルトにつきましては、私どものお聞きした範囲では、平成四年の死亡者事故の中で未着用の人が三千六百七十八人おられた、そしてもしこの人たち着用していれば四〇%の人は命を落とさずに助かっただろう、こう言われているわけであります。  そんな中で、実は自民党の交通安全対策国民運動推進議員連盟という議員連盟がありますが、前の通産大臣でありました渡部恒三先生会長で頑張っておられるわけでありますが、実はこの会合で先般、シートベルト着用についてもっともっとPRを徹底的にした方がいい、こういう意見が出まして、渡部会長NHKの方へこのことをお願いに参りました、NHK放送を通してこの問題の取り扱いをしてくれと。例えて言うならば、朝の出がけシートベルトはつけましょう、その一言だけでもいいよというようなことで実はお願いをいたしたわけでありますが、NHKの方も積極的にこれを取り上げていただきまして、春の交通安全運動の期間中、これはもう全く初めてでありますが、一日十回ラジオ放送を通してこのPRをいたしますという回答を渡部会長の方へいただいているわけであります。  今後、そういう意味におきましては、やはりマスメディアを通して、少なくとも具体的にはシートベルトをつけましょうという、そういう宣伝あるいはPRをしていけばかなりの効果があるだろう、私はこう思っているわけでありますが、これらの点についてこれからどう取り組まれていかれるのか、それを含めてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 賀耒敏

    賀耒政府委員 ただいま岡島先生指摘のように、シートベルトの非着用者死者我が国には大変多いということで、御案内のとおり我が国シートベルトをしていない人が大変多うございます。民間の調査等客観的な調査によりましても、せいぜい六〇%ぐらいであるという着用率でございます。これを何とか着用していただくようにすれば年間千五百人ぐらいは命を救うことができる、またそれの数倍以上のけが人を救済することができるということで、シートベルトは現状では、我が国においては最も大事な効果的ないわゆる交通安全対策であろうと思っております。  それで、多くの国民皆さんに正しい御理解をいただくキャンペーン強化をしなければならぬということで、政府といたしまして大変責任を感じております。ただいま先生に御指摘いただき、また諸先生方の御尽力をいただきまして、春の交通安全運動につきましてはNHKの方の協力も得られるということで、大変ありがたいことだと思っております。政府といたしましては、シートベルト協議会を通じまして、さらにマスメディアあるいは企業機関誌等々、また自動車関係団体協力を得るなど、各方面にわたりまして、テレビあるいはラジオ、新聞、各種機関誌雑誌等、あらゆる手法を使っていきたいと思っております。先ほどの体験談も、本当にシートベルトをしていて助かった、あるいはシートベルトをうかつにしていなかったからこんな目に遭ったという生々しい体験談でございます。  私ども、昨年、海外の調査を少し実施したわけでありますが、欧米先進国においては、この種のキャンペーンをやると同時に、やはり警察等による指導取り締まりをうまく結びつけて効果的にやらなければならぬ。いわゆるキャンペーン取り締まりをうまく、ステップ方式とかいうような言い方をしておるのですが、やらなければならぬ。これをうまくやっておりますのはカナダ、あるいは最近はアメリカ等もかなり効果的にやっております。ドイツ等ではそういう伝統的な手法がございまして、九〇%以上の着用率ということで多くの人命を救済いたしております。もう一つ法制度の問題で、罰金が科されておるということ、また行政処分我が国より高いところもございます。  そういう意味で、キャンペーン強化し、しかも効果的なキャンペーンを行うとともに、そのような諸外国制度も見習うべきところは見習い、国政の皆様の御理解をいただき、また国民の支持をいただきながら、やはり着用率向上させる努力が必要であろうと思っております。今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
  13. 岡島正之

    岡島委員 いずれにしても、シートベルトの問題は、今いろいろとお話がございましたが、ひとつ具体的なキャンペーン活動をさらに積極的におやりいただく。同時にまた、法改正の問題がお話がございました。反則金の問題あるいはまた点数の問題、いろいろな意見があるようでありますが、いずれにいたしましても、シートベルト着用の徹底した運動展開というものがなされればいいわけでありますから、特にまたチャイルドシートの問題もあるわけでありますので、それらを含めてひとつ積極的にお取り組みいただきますことをお願いを申し上げます。  次に、交通事故によります経済的な損失統計調査という問題で若干お伺いをいたします。  実は「人と車」、全日本交通安全協会が出しております三月号、この三月号の中に専務理事の福島さんがアメリカ交通事故の問題につきましていろいろと分析をされております。その中におきまして私は注目をいたしましたのは、交通事故による経済的な損失についての内容が具体的に記されておりました。それによりますと、アメリカでは交通事故による損害が、公共機関のいろいろなコストは別といたしまして、内輪に見積もりましても年間約十二兆円の損害が出ている、そういう分析が実はなされております。  何でも金に換算すればいいということでは決してありませんけれども、経済的な損失を提示することは、いわば社会的な損失であるということを啓発する、同時にまた安全投資というものの必要性についての認識を高める、こういう効果が実は私はあるだろうと思いますけれども日本におきましては、お聞きしましたら昭和五十七年、十年前に日本でも日本交通政策研究会が発表して、当時三兆二千億円の数字を出したということでありますが、これらの統計調査というものを積極的にしながら、先ほど申し上げましたいわば啓発的な効果、あるいはまた、そのためにこうしていけばいいという安全投資というものも考えていく一つ基礎材料になるだろう、こんなふうに思っておりますので、いわば交通事故による損害損失等統計調査作業というものをよりひとつ積極的におやりいただくことがいいのではないか、こう思っておりますので、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘のとおりかと存じます。アメリカにおきましては、死者数が、これは一九九一年の数字でございますが四万三千五百人ほど、負傷者数が百六十万人ほどということで、事故経済的損失十二兆余り、これは円に換算しての評価でございますが、というようなものを出して、国民方々に、交通事故ということが単に個人の問題であるのみならず、社会的に大きな損害を与えている行為なのだということを認識させるように努めているもののようでございます。  私どもといたしましても、先ほど御指摘をいただきました昭和五十七年の事故を中心として、日本交通政策研究会道路交通事故社会的、経済的損失を計算して公表したことがございます。これも同様に、交通事故が単に個人の問題ではなくて社会的に大きな影響があり、社会損失が大きいのだということを関係の方々理解していただくためということで行われたものと承知しております。このような先例にかんがみ、私どもといたしましても、関係の機関等と御相談をしながら、同様な社会的、経済的損失といった観点から交通事故というものを見るということも研究をしてまいりたいと存じます。
  15. 岡島正之

    岡島委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、文部省と運輸省、大変失礼いたしました。次の機会にお願いをいたします。  いずれにいたしましても、交通安全運動、極めて大きな課題だろうと思います。私どももその立場でまた頑張ってまいりますけれども、各関係機関の一層の御努力、御健闘を心から念じながら、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 春田重昭

    春田委員長 永井孝信君。
  17. 永井孝信

    ○永井委員 前の委員会の一日の討議をじっくりと聞かせていただきました。若干重複することがあるかもわかりませんけれども、基本的な問題については重ねてお尋ねをしたい、こう思うわけであります。  まず初めに、大臣、もう触れられたことでありますけれども、昨年の交通事故は、発生件数が六十九万五千三百四十五件と出ておりますね。死亡事故の数だけを私どもはよく問題にするのですが、この発生件数というのは大変な数なのですね。しかもこれは、警察に届け出ないで当事者同士だけで事を済ませたというものを含めますと、もっと実数は上がってくると思うのですね。そして、この死亡者が一万一千四百五十一人、統計に出てきました数字だけ見まして、負傷者の数は把握されただけで八十四万四千三人という数字が出ています。約四十六分に一人亡くなっているのですよ。約三十八秒に一人が負傷している計算になる。そして、言われてきたように、四年連続して死亡者が一万一千人を超えているという大変な状況にあるわけですね。ことしも、既に二千人をはるかに超えています。  現代社会車社会であることはもうみんな承知しているわけでありますが、仮にも、車が多い、車社会の中だから交通事故がその数の多少にかかわらず起きるということはこれは必要悪だという、もしそういう立場で容認されることがあっては断じてならぬと思うわけですね。まずは、第二次交通戦争と言われるこの現在の難局をどう乗り越えようとされているのか、これはひとつ公安委員長として、まず冒頭に決意だけ伺っておきたいと思います。
  18. 村田敬次郎

    村田国務大臣 永井委員にお答え申し上げます。  今、事故の数値を挙げて御質問をしていただきました。まさに交通戦争という名前がふさわしいと思いますのは、例えば日清戦争で亡くなった方、亡くなった方だけが非常にはっきりしているからでしょうが、一万七千余人なんですね。それから日露戦争が八万五千余人なんです。ところが、過去五年間交通事故の死亡者数は五万五千余人、過去三十年間交通安全運動が起こりましてからをとりますと、三十五万七千余人という統計になっております。本当に交通事故、まさに交通戦争と言うにふさわしいような、新しい時代の公安委員会あるいは警察行政の大きな分野であると私は認識しております。交通事故によってこんなに大勢のとうとい人命が失われておるという状況は極めて憂慮すべきでありまして、本年に入ってからも、自動車乗車中及び高齢者の歩行中の死亡事故が多いという状況を聞いております。  国民生活の安全を確保する上で交通事故防止対策が極めて重要である、こういうふうに認識をしておりまして、交通事故を防止するために今後とも関係機関団体、各省その他の団体との連携を図りまして、各種対策を進めていくことが極めて肝要である。特に警察といたしましては、シートベルト着用の徹底、交通安全施設の整備、運転者教育を初めとする交通安全教育充実強化、違法駐車対策を初めとする効果的な交通取り締まりなどの施策を強力に推進していかなければならない、このように思っております。  さらに、効果的な交通事故防止対策の確立に資するための交通事故分析の高度化を図っていく、こういうことを考えておりまして、御質問にありましたような諸般の対策について関係各省、関係者と連携をとりながら事故の防止を図っていきたい。世界的規模においてもこの問題は重大でありますし、特に日本は、非常に経済が発展をしてまいりまして、そのことがまた交通事故にも非常につながっておるように思いますので、特に気をつけて交通事故防止のために努力をしていきたい、このように思っております。
  19. 永井孝信

    ○永井委員 毎回毎回同じようなことになるのですが、交通安全運動も実施しているし、今言われたように啓蒙活動もされているし、あるいは運転者教育についてもより充実させてきた、むなしくなるのですね。大臣、そう思いませんか。本当にむなしくなるのですね。私は交通委員会に十四年いるのですよ。その間ずっと同じようなことを繰り返してきて、もう質問するのも本当に自分自身でじくじたるものがあるのです。それだけに、今の公安委員長の決意というものが文字どおり実際の効果あらしめるように、生かし切るように、具体的に行政の末端まで取り組んでほしい、このことを冒頭にひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  その次に、今大臣も言われましたけれども、違法駐車の問題、今度の法案の改正にも出ておりますけれども、前回の改正で、私は議事録を調べてみた。私の質問について議事録を調べてみましたら、前回の改正で違法駐車を一掃する効果が期待できると、私に対する答弁で警察庁は答弁しているのですね。しかし、依然としてこの違法駐車はなくなっていない、だから今度の改正になったのでしょうけれども。  警視庁の調査というのがございまして、違法駐車だけではありません、これは道路整備が追いついていないとか車がふえ過ぎたとかいろいろなことがありますけれども、この警視庁の調査でも、違法駐車を含む交通渋滞に伴う経済的損失というものをはじき出しています。一日に十億五千五百万円だというのですね。年間で三千二百八十億円と試算しています。もちろんこれは、今申し上げたように違法駐車だけではなくて、道路整備が車の増加に追いつかないという慢性的渋滞が大きなウエートを占めているということは明らかでありますけれども、しかしいつも言うことですが、高輪の宿舎から国会へ来る道路、まずほとんど一車線ふさがっていますよ。何回言ってもこれは直らない。違法駐車でふさがっています。片道四車線あるのですね。溜池のところまでは片道三車線です。そのうち一車線が間違いなくふさがっているのだから、これじゃ道路効果がないですよね。なぜ四車線にしたのか、なぜ三車線にしているのか、そういう効果がないと思うのですが、そういうことも私は大きな原因の一つだと思います。  しかも今申し上げた数字は、これは東京都だけなんですね。ここにその資料がございます。その数字は東京都だけですから、全国的にこれを試算すると膨大な損失になると私は思うのです。新聞記事もそのことを取り上げておりますが、想像を絶するような数字になるでしょうね。そうすると、駐車違反対策だけではなくて、例えば右折レーンにもっと工夫を凝らすとか、この前も委員会でどなたか同僚議員から出ておりましたけれども、右折のための矢印の信号をもっとふやすとか。  これは体験なんですけれども、具体的なことを言ってごめんなさい。溜池から行って六本木へ曲がる道がありますね。あそこで私は六本木に曲がるときがちょこちょこあるのですが、あそこに右折レーンがつくってありまして、右折レーンに待っております。そうすると、赤信号になって右折の矢印が出るのですね。ところが相手側の車線は、これは運転者の心もあるんだろうけれども、黄信号そして赤信号になった直後も何台か突っ走っできます。そうすると、危なくて右折できない。そのうちに矢印が消えてしまうのです。だから、短い時間ですから、大体平均して右折の矢印一回で一両行けたらいいところでしょう。そういう状態がますますこの渋滞に輪をかける。渋滞するから無理してでも、赤信号を突っ走ってでも次の信号のところまで走ろうかということになっていく。そう考えると、そういう道路改善も重要だと私は考えるのですが、これは道路管理者である建設省の仕事でしょうけれども、これは公安委員長としてどうお考えになりますか。
  20. 関根謙一

    関根政府委員 技術的な点につきまして、私からお答えをさせていただきたいと存じます。  右折矢印等の効果でございますが、これは交通の円滑化対策として非常に有効な措置として効果があるものと理解をしております。ただいま先生指摘の場所における信号現示につきましては、スプリットとサイクルの組み合わせが必ずしも適切でないとの御指摘かと存じます。この点は早速検討させていただきたいと存じます。  それから、警視庁で発表いたしました交通渋滞が及ぼす経済効果の試算でございますが、確かに年間に東京だけで二百八十七億円ぐらいの経済的な損失交通渋滞によって引き起こされているという試算を示しております。ただ、この試算はこれだけの経済損失があるということを示したというよりも、むしろ警視庁でいろいろな渋滞対策、これは違法駐車対策を初めとする渋滞対策を講じた結果、一般道路において渋滞時間が七・二%、首都高速道路において一二・○%ほど減少し、その結果一日に換算して約一億円ほどの経済的な損失を抑制することができたということを国民方々にお示しをするということもあわせて考えていたものでございまして、いろいろの手当てをいたしました結果、平成二年までずっと違法駐車は増加傾向にございましたが、それ以後確実に減少傾向に転じているということは、平成二年におつくりをいただきました改正道路交通法改正保管場所法の効果一つではないかと考えている次第でございます。
  21. 永井孝信

    ○永井委員 この経済効果の関係について、そのねらいは、今局長が言われたようにいろいろなことがあるでしょう。しかし、現実に大変な経済的な損失をしていることは間違いないのだから、あるいは環境に与える影響も大きいですね。渋滞だから排気ガスの関係で汚染される率も高くなる。いろいろな面でいきますと、単に経済損失だけではなくて、環境面からももっともっと重視をしなければいかぬと思うのですね。そうなりますと、違法駐車対策を進めるとともに、全体の交通渋滞の起因となる原因を除去するためのことは、単に公安委員長だけではなくて、警察庁だけではなくて、関係省庁とも十分に連絡をとりながら効果あらしめるようにしませんと、私は絵にかいたもちになってしまうという気がするわけですから、あえてこのことを申し上げました。  そこで局長に聞きますけれども、今回新たに車輪どめ装置を取りつけることにしたわけですね。そのことによって違法駐車対策に万全を期すことは、過去の経緯からいって非常に困難だと思うのですが、率直にどうですか。
  22. 関根謙一

    関根政府委員 今回お願いをしております改正法案の中の一つのシステムでございます車輪どめ装置の取りつけは、違法駐車対策一つ手法として、その効果を私ども期待をしているところでございます。  まず大きなねらいは、従来の違法駐車対策は、違法駐車がある場合に、主として物理的にこれを排除する手法としてレッカー車による移動という手法を講じているところでございますが、大きな車両、長大な車両につきましては、レッカー移動をすることが困難であるというような事情もございます。その他いろいろな事情でレッカー移動ができないような場合に、取り締まりの公正を確保するという見地から、そういうような車両についても取り締まりの措置を講ずることができるようにしたいということで、車輪どめという仕組みをお願いしているところでございます。一定の効果は期待できると考えております。  もとより、これで万全の手当てができるとは考えておりません。ただいま先生から御指摘いただきましたように、関係機関団体等とお諮りをしつつ、根源的にいろいろな手当てをする必要があろうかと存じます。駐車場の整備ということも大事でございます。車庫の確保ということも大事でございます。荷さばき施設の確保ということも大事でございます。そういったいろいろな環境整備とあわせまして、私ども現在都市と連携をいたしまして、違法駐車防止条例というものをつくっていただくようにしております。昨日までで約四十ほどの都市で違法駐車防止条例をつくっていただいております。一番最初につくっていただきましたのは武蔵野市でございまして、武蔵野市では年間六千八百万円ほどの予算を組みまして、市民に対する違法駐車抑止のためのPRとか、具体的な違法駐車がある場合に運転者の方々に違法駐車をしないようにしてもらうような個別の活動とか、そういったものを警察ともども一体となって違法駐車抑止のため活動しているものでございまして、このような条例がさらにますますできてきて、都市と警察と一体となった違法駐車抑止のための啓蒙活動あるいは具体的な事例についての対応措置を講じることができるようになれば、今よりもさらに望ましい状態を実現することができる、このように考えているところでございます。
  23. 永井孝信

    ○永井委員 局長、申しわけないけれども、答弁はできるだけ絞ってやってください、どうも時計の針が気になってしょうがないから。今局長の懇切丁寧な答弁があったのですが、その答弁の中にもありましたように、公共駐車場の建設を促進するとか、そういうことが伴わないままに違法駐車の取り締まりだけが先行すると処理がし切れなくなる。そこで何が起きてきたと思いますか。これは東京だけではないと思うのですけれども、一般の駐車場の料金がぐんとはね上がりました。これも具体的な駐車場の名前は言いませんけれども、私がよく利用する駐車場で、東京の都心ですが、この前の道交法改正までは一時間三百円だったのですよ。今半時間で四百円、半時間刻みです。だから、物価が上がるよりもはるかに速いテンポで駐車料金が上がっていくものですから、それは駐車場の絶対数が足りないからそうなるのです。そうすると、高い料金の駐車場に入れるよりも、違法駐車でたまたまひっかかって罰金払った方が安いわ、こうなってしまうんですね。だからそうなると、この公共駐車場の建設を促進するとか、あるいは一般駐車場においてももうちょっと適正に、常識的にこの料金を設定するようなことも、これは自由経済社会ですから非常に難しいけれども、そういう配慮をした指導というものがないと、私はこの違法駐車というものをなかなか追放することはできないと思いますから、これはひとつ提言をしておきたいと思います。  もう一つは、車輪どめでありますが、これは見せしめ効果ということをこの間局長言われました、先日の委員会で。見せしめ効果を期待する余りに、罰則適用のみが優先されるようなことがないように私は配慮すべきではないかと思うのです。また、営業車両が短時間駐車することが多いのですが、これは法第五十一条の適用についても、その運用については十分に配慮をすべきだと思いますが、簡潔にお答えください。
  24. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおり、車輪どめということで、その見せしめ効果というところからこういう措置を講ずることのないように、十分に心がけてまいりたいと存じます。  営業用の車両等につきましては、現在幾つかの都市で駐車禁止を時間的に解除する措置でありますとか、あるいはパーキングメーター等を設置している場合に、そのパーキングメーターを一定の時間に限って営業用車両のみに利用させるというような仕組みもとっております。このような仕組みをさらに一般的に推し進めるような方向で今後施策を進めつつ、それと並行して、レッカー移動あるいは車輪どめの措置というものを、悪質性、迷惑性の高いものからとり行っていく、こういう方針で制度を運営してまいりたいと存じます。
  25. 永井孝信

    ○永井委員 申しわけないけれども、ちょっとようわからぬわけですが、要は法律に明記されておるように、一定時間を車どめで移動ができないようにする、そして本人が帰ってくれば通告して解除してもらう、そういう手順はわかるんですよ。わかるんだが、この車どめの取り入れによって見せしめ的な効果を期待できるという答弁がこの間あったものだから、この見せしめということだけが先行して、罰則強化だけに走らないようにしてほしいよ、十分にその運用面では考えてもらいたいということを言っているんですから、もう再答弁要りませんけれども、それはそのようにひとつ理解をして対応してください。  その次に、交通事故総合分析センター、これをこの前の法改正でつくりました。主務官庁関係と自動車関係団体からの派遣職員がほとんどですね。そして、その事故実態、原因をそこで科学的に解明してその成果をフィードバックする、こうなっているのでありますが、その成果が国民にどの程度提供されているのか、私たちは全くわからぬわけです。だからこの前に、この分析センターを設置したときの法案審議の際に附帯決議で、この分析センターについての活動はその都度報告を求めるということの附帯決議までつけたんですよ。しかし、なかなか私どもにも明らかでない。事業運営が果たして公平、公正に行われているのかということについても、一抹の不安を持たざるを得ない。一体この実態はどうなっているのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  26. 関根謙一

    関根政府委員 分析センターの職員は、現在までのところ、役員を含めまして二十五人ほどでございます。将来的な構想として六十人体制というものを考えているところでございますが、平成四年度中に二十五人体制ということができたということでございます。それから、基本財産も約十二億円ほどになってまいりました。ということで、分析センターも少しずつ本来の目的達成のための事業を進めているところでございます。その成果物は、平成四年度の成果ということで近く公表できるのではないかと考えております。現在までのところは、マクロ分析に関するものと、それからいろいろと各省庁あるいは各団体から委託を受けた調査研究事業といったものでございます。  その職員の構成からかんがみて、その職員の派遣元である企業体あるいは省庁の利益に反するような結果が出た場合に、それを公表しないこととなるのではないかという御懸念かと存じますが、この調査分析センターは、建設省、運輸省と私ども三省庁で共同で指導監督している財団法人でございますし、一定の事務の運営の仕方につきましては、道路交通法の規定によって規律をされた事業体でございます。そのような公平かっ客観的、公正な成果の公表ということを阻害することのないように、十分私ども注意をしてまいりますので、御懸念のようなことはないものと確信しております。
  27. 永井孝信

    ○永井委員 この分析センターを設置するときの委員会の審議の経過でも明らかなように、これはあくまで公正でなければいかぬ。今局長は、その危惧はないと確信するということでありますから、それを信じますから、この分析センターが当初の設置目的に合ったような成果が上がるように、ひとつ積極的に努力をしてもらいたいと思います。  その次に、これはかなり先日の委員会でも触れられたことでありますが、免許更新の期間の問題についてお尋ねいたします。  臨時行政改革審議会、第三次ですね、この行革審の中では、いろいろな討議の経過が明らかになってきておりますが、免許証は無期限でいいではないかとかいう意見とか、あるいは十年間ぐらいにせよという意見などがかなりあったというふうに承知をしているわけでありますが、そのときに警察庁の方は、三年ごとの更新時に行うこの講習ですね、これが安全教育に不可欠だという立場から、現行の三年間に強く固執をされたというふうにも承知をしているわけであります。しかし、結果的に二年間の延長ということになりました。その根拠を、この間の委員会でも出ておりましたけれども、まだちょっと私にとっては納得しかねるところがありますので、その根拠は一体何なのかということを明確に端的にしてください。
  28. 関根謙一

    関根政府委員 免許制度と申しますのは、ある行為が危険な行為として一般的に禁止されている場合に、特定の要件を備えた人あるいは施設について、そういう危険な行為を危険でなく運営できるということが証明されたときに、その禁止を解除するという仕組みでございます。運転免許制度もそのような仕組みの一つでございまして、自動車の運転が一般的に危険な行為であるということを前提としつつ、一定の適性、技能、知識を備えた方については、安全に運転できるということでその禁止を解除するという制度でございます。  これに有効期間を設けましたのは、その適性なり知識なり技能なりをどの程度の間隔を置いてチェックすれば、社会的と申しますか、当該運転者自身にとりましても安全性が確保できるかという観点から定めるものでございまして、この期間はそれぞれの国によってすべて異なっております。無期限の国というのは非常に少のうございまして、百三十一カ国ほど私ども調査いたしましたが、そのうちの三十三カ国、二五%ほどの国が期限なしという制度でございます。これは歴史的な理由があろうかと存じます。五年以下という国が八十一カ国ほどで、六二%ほどでございます。その中には、アメリカ、中華人民共和国といったような国は四年、日本、韓国といったような国が三年、さらにカナダの一部では二年、あるいは期間一年という国も二十一カ国、一六%ほどございます。  ということで、客観的に免許の更新期間というのは何年がいいのかということが、他の条件を無視して定まるというようなものではないという考えに立ちまして、私どもも、沿革的理由から今まで三年というところでありましたのを、安全性を確保するという前提のもとで、なお国民負担軽減という観点から、延長することができるとすれば何年くらいが一番いい期間であるかを十分検討しました結果、優良運転者について五年ということにして、すべての運転者が優良運転者を目指すという仕組みが現在の交通情勢下にある我が国における制度としては最もいい制度であると考えまして、そのような観点から意見を申し述べさせていただいたという経緯がございます。
  29. 永井孝信

    ○永井委員 できるだけ多くの人に優良運転者になってもらいたい、そのために優良運転者を現在の免許制度の中で摘出するというわけですね。今局長も言われておりましたけれども、本来全員を優良運転者にすることの対応が基本でなければならぬわけです。しかし、今回の法改正でいうと、現在の三年制度の中で優良運転者として認定された者を摘出して、次のときに五年間にする、こういうことなんですね。  私、その趣旨に絶対反対とかそんなことは言いませんけれども、優良運転者でないというのは、事故を起こすか違反行為を犯すかでしょう。そうですね。これはもう答弁要りませんけれども、そのとおりですね。事故を起こすか違反行為を行うか。事故を起こしたのは論外といたしまして、違反行為ということについてドライバーの皆さんは非常に不公平感を味わっているわけですよ。スピードを出して走っておっても、かつての悪い言葉で言うとネズミ取りという言葉を使ったのですが、たまたまネズミ取りにひっかかって点数を引かれた、それはおれが運が悪かったんだ、みんなスピード違反をしているのに俺だけひっかかった。また検挙されなかった人からいえば、おまえ運が悪かったな、こうなるのですよ。  だから、スピード違反にしろ駐車違反にしろ、駐車違反だって、これだけたくさんの駐車違反があるけれども、全部警察の手が届きませんよ。だから、特定のところで特定の取り締まり日をつくって検挙していくわけです。いやあ、たまたま運が悪くて駐車違反でひっかかってしまったと腹を立てるわけですね。そういう取り締まりに対して大変な不公平感がある、抜き取りみたいなものですからね。だから、優良運転者として認定するのに、違反行為がなかった、たまたまそれは運がよかったんだ、おれは運が悪くて点数を引かれた、この不公平感を助長することになりはしないか。  そうすると、本来は、五年にするならすべて五年にしておいて、全員を五年にしておいて、事故を起こしたとか、とりわけ常習的な違反行為を積み重ねたとかいう者を、一定の時点で免許の更新の通知をして、改めて短縮するとかいうことがあってもいいのではないか。どうも優良運転者を摘出するというやり方に、私はすかっと胸に落ちるものがないのですよ。  もう一つは、たんすの中へしまっているぺーパードライバーは完全な優良運転者ですよ。生涯車に乗らなくて、更新だけやっていけば絶対に無事故無違反なんだから、その人たちが本当の優良運転者なのか。あるいは、同じ運転者でも、一日に百キロ、二百キロ走る人もおれば、日曜ドライバーでたまにしか運転しない人がおる。営業の運転者は、それが仕事ですから、走行距離もどんどん長くなる。走行距離が長くなればなるだけ違反行為を犯す、摘発される件数も多くなるわけですね。そこに私は若干の公正さを欠くのではないかという気がいたしますので、ひとつその辺のところについては、きちっと根拠を国民皆さんに明らかにすべきだろう。無事故無違反等の基準については、まずは透明性を持たさなければいかぬ、統一性を持たさなければいかぬ、こう思うのですが、どうでございましょうか。
  30. 関根謙一

    関根政府委員 国民の皆様方に取り締まりが不公平であるという意識を持たれることのないよう保に、十分に注意してまいりたいと存じます。  年間千百万件ほどの違反の取り締まりを行っております。ドライバーといいますか、運転免許保有者六千四百万人でございますので、随分多くの方が取り締まり対象になっていると考えます。さらに、先ほど先生から御指摘いただきましたように、六十九万件ほどの事故を起こしたケースがございます。あれは人身事故以上でございまして、物損事故を入れますと三百万件ほどでございます。これは単純な道路交通法違反ではございませんで、実害を伴っているものでございます。  そういったいろいろな違反あるいは事故を起こさないような方を優良運転者ということで、そういう方々については、特に有効期間について利益といいますか利点を持っていただくような仕組みを設けますとともに、運転免許証につきましても、そういう方々については優良運転者である旨を明記し、その上で免許証のつくり方も変えるというようなことで、できるだけ多くの方が優良運転者になってもらうように、メリットを与えるような仕組みということが、期間を三年から五年に延長するということに伴い発生するあるべき事故を抑止するという観点から、やはり一番いい仕組みではないかということで御提案を申し上げている次第でございます。
  31. 永井孝信

    ○永井委員 五年がいいか悪いかということの議論はありますけれども、本当に優良運転者なら五年が十年であってもいいわけですよ。だから、私が一番問題にしているのは、事故を起こしたのはこれははっきりしていますけれども、違反行為を行ったとかいうことについては、今言ったようにどうしても不公平感が存在するわけですから、やはり国民皆さんがなるほどこれならと納得できるような基準を明確にすること、これをぜひひとつ政令をつくる場合も公安委員長考えてほしいと思うのですね。  時間がありませんからその次に入りますけれども、免許関係事務の委託問題についてでありますが、今度の法改正では、運転免許に関する事務のうち、免許の取り消し及び効力の停止等の公安委員会関係事務を除き所定の法人に委託することができる、こうしているわけですね。その予定される法人は、ずばり言って安全協会ですか。
  32. 関根謙一

    関根政府委員 免許事務の委託は、今回の改正法案で、百七条の十一というところで定めているものでございます。  委託先についてのお尋ねでございますが、この法律の規定を見ますと、免許に関する事務の中から、免許の拒否、保留、免許の条件の付与、変更、それから試験事務、適性検査の結果判定並びに免許の取り消し、効力の停止に係る事務、その他公権力の行使に当たる行為という考え方に該当するような事務、こういうものは一切委託しないで……(永井委員「それを聞いておるのじゃなくて、安全協会かと聞いているのだから、そのものずばり答えたらいい」と呼ぶ)安全協会も一つ考えておりますが、安全協会のみならず、例えば免許台帳の管理ということは現在コンピューターで処理をしておりますが、そのデータのコンピューター処理の事務につきましてはコンピューター会社というものも委託先として考えておりますし、さらに仮免許の免許証の作成事務等につきましては、指定自動車教習所等への委託も考えております。
  33. 永井孝信

    ○永井委員 局長お願いしておきますが、今言った免許の取り消しとか効力の停止など、法案に書いてあることはわかっているのです。そのことの説明を求めているのじゃないのだから、貴重な時間ですから、そこらをひとつきちっと質問したことにお答えをいただきたい。  もう一つ聞きますが、今自動車教習所を含めてたくさんのところに委託する対象を挙げられました。安全協会の活動あるいは業務のあり方については、警察庁として無条件にこれを支持しますか。これはどうでしょう、長官、答えてくれますか。
  34. 城内康光

    城内政府委員 お答えいたします。  交通安全協会は、交通事故を防止するために、交通安全思想の普及、高揚を図って、交通秩序の確立と交通安全の実現に寄与するということを目的として設立されている団体でございます。民間の交通安全活動の中核として、これまでに交通安全の啓発宣伝活動とか各種交通安全教育あるいは交通安全教育資料などの作成、配布というようなことをやっておりまして、大変実績のある団体でございます。今後とも、交通安全協会の活動がそういった設立の趣旨に沿って運営されますように、私どもといたしましても指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  35. 永井孝信

    ○永井委員 免許制度についても、あるいはかつて車検制度改正して、今現在新車については三年間ということになっておるわけですね。この免許制度が、車検制度にしても、局長も先ほど答弁がありましたけれども、世界の各国の状況を見ると、必ずしも共通の条件とはなっていないのですね。それぞれ違いますね、車検のないところもあるし。あえて言えば、日本制度というのは他の国に比べてかなり厳しい条件を設けている国だと思うのですね。それはそれなりに一つ効果を求めるわけでありますから、それをとやかく私は言うつもりはありません。しかし、かつて車検期間の延長をしようという動きがあったときに、車両整備事業をやっている団体から当時猛烈な反対陳情があったのですよ、車検の延長をすると仕事が少なくなるという。それは業者にすればわからぬことはないのですが、猛烈な陳情がありました。私の部屋なんかは入り切れぬほど陳情団が来たのです。免許の更新を今回も優良運転者に二年間延ばすということになったのですが、そのことについて、この免許事務に携わっている財団法人交通安全協会などからは、免許の更新を延ばしてもらったら困るとかなんとかという働きかけはありましたか。
  36. 関根謙一

    関根政府委員 一切ございませんでした。
  37. 永井孝信

    ○永井委員 ここに週刊誌の切り抜きがあるのですが、私は週刊誌の記事は何も信頼すべきものだとは思っておりません、私も経験がありますからね。全く覚えのないことで週刊誌に書かれたことがあって、抗議をして、翌週号に取り消しの記事を載せさせたこともありました。だから、必ずしも信頼するわけではありませんけれども、こういう記事が出ました。免許制度のこの二年間延長について、なぜ二年間延長になったのか、これによって安全協会の収入が変わってくる、行革審の中で十年を主張した委員もおったけれども、これを結果的に五年に縮めだというのは、この安全協会の利権を守りたいからだ、こういう趣旨の記事なんです。  今、交通局長の話によりますと、安全協会から一切の働きかけはなかった、それは私も信じます。それだけに、利権に絡むようなことがこういう免許事務についていささかもあってはならぬ。このことについて私は、公安委員長も、警察庁長官もそうでありますが、ひとつこういう週刊誌の記事を完全に否定するためにもきちっとした対応をしてもらいたい。大事なことでありますから、この決意をひとつ伺っておきたい。
  38. 村田敬次郎

    村田国務大臣 もちろん、そういったことについての違法行為が行われないようにという趣旨から、現在の国家公安委員制度あるいは警察制度ができておるわけでありまして、私どもとしては公正な行政を行う、これは当然のことでありますが、はっきりとお約束をいたします。  先ほど来からの貴重な質疑応答を聞かせていただいておりまして、非常に私、勉強させていただいているわけでございます。そして、委員がもう十五年以上この交通安全行政を担当して、非常にむなしさを感じるという告白をなさいました。私も実は愛知県の企画課長以来、もともと私は自治省の人間でありますが、三十数年間この問題にはタッチをしております。  考えますのに、これは国家公安委員会あるいは警察庁等で交通安全対策として行っていく面と、それからいわゆる経済、法律、いろいろな面があるだろうと思うのです。根本的には、道路面積が非常に車の台数に比べて狭過ぎる、車両数が過大であり過ぎる。そしてまた東京に例を挙げれば、東京は一極集中であって、ここに経済、人も物も金も情報も集中しているために、特に交通達反とかいろいろ交通事故とかいうようなことは大都市地域に起こりやすい。したがって、都市配置の問題であるとか、それからそういった交通安全の面から、あるいは以外の、例えば運輸省、建設省、自治省、いろいろ関係各省に関係する部門がまさに多い分野だと思います。  したがって、これは委員のような熱心な方が交通行政を検討していただく、県においてもそうでございますが、だからこそまだまだこの程度で終わっておるという面もあると思うのです。したがって、決して絶望を感じることなしに、前向きに都市配置問題や経済の問題やいろいろなことを考えながら、お互いに勉強させていただきたいな、こう思っておりますので、御質問の機会に所見を申し上げました。
  39. 永井孝信

    ○永井委員 もう一つだけ聞いておきますが、交通局長、ことしの三月十日に行政書士会の皆さん局長に陳情された。そのときに、今回の免許の関係について、委託する際に行政書士法に抵触するような業務は一切やらせませんという答弁をされたと聞いておりますが、その事実だけ確認したいと思います。
  40. 関根謙一

    関根政府委員 今回の改正公安委員会の事務の委託でございますので、公安委員会に免許を申請する者の事務を委託するものではございませんから、原理的に行政書士法の規定に抵触するということはあり得ないということで、御指摘のようにお答えをいたしました。
  41. 永井孝信

    ○永井委員 その次に、過積載の問題について質問いたしたいと思うのですが、時間の関係もありますので、ひとつ答弁の方も全体に簡略にお願いしたいと思うのですが、この過積載問題、私はくどいほどこの委員会で取り上げてきました。  今回の法改正で、第五十八条の五にいう自動車の使用者以外の者について、同僚の北川委員から質問がありました。どうもその答弁では具体性に欠けておったと思うのでありますが、七十五条による下命容認対象事案との関係を一つは明確にしてもらいたい。特に、荷主等による過積載の強要行為に対する法の適用のあり方をきちっと示してもらいたい、まずこれが一つ、お答えいただけますか。ひとつ簡潔にいきましょうね。
  42. 関根謙一

    関根政府委員 まず七十五条との関係でございますが、これは七十五条に規定する「使用者」でない人についての規定でございます。七十五条の規定は、車両の運転者の雇い主である人を車両の使用者ということで規定をしておりまして、その車両の使用者が車両の運転者に対して過積載をすることを下命したりあるいは容認したりする場合には、七十五条の規定違反ということで処罰されるというものでございます。この五十八条の五の規定は、その車両の使用者以外の者ということで、御指摘の荷主さんでありますとか荷受け人でありますとかを念頭に置いた規定でございます。  現在の荷主さんあるいは荷受け人に対する取り締まりのあり方といいますのは、車両の運転者に対して荷主あるいはその他の者が過積載することを教唆するかあるいは幇助するという場合に、刑法総則の規定を適用いたしまして、その過積載違反に対する教唆犯あるいは幇助犯で処罰をするというものでございます。  これに対しまして、今回の改正は、教唆幇助というのは証明がなかなか難しゅうございます。幇助の例といいますのは、例えば千葉県でございましたが、差し枠というのがございます。ダンプカーに取りつけまして、本来九トン積みであるところを三十トンぐらいまで積めるようにする構造を設けるというようなものでございますが、そういう差し枠を設けたという業者につきまして、過積載違反の幇助ということで取り締まった例がございます。それから、これは仙台の例でございますが、運送会社が子会社の運送会社の社長あるいは責任者に対して親会社の荷物を過積載で積んでいけ、もしそうしない場合には以後仕事をやらないということを言って過積載を十数回やらせたという事例が、これは運転者に対する過積載を教唆したということで処罰されたというような事例がございます。ということで、教唆幇助というのは証明が非常に難しいケースでございます。  今回の場合には、その教唆幇助ということは証明されないかもしれないが、よく見ているとどうも要求しているらしいというようなことがある場合に、その行為に着目して、警察署長が今まではともかく今後はそういうことを要求しないようにしなさいというような警告を発しまして、その警告違反に対しては過積載をした者と同じ重さの罪を適用するというような仕組みを設けているものでございます。
  43. 永井孝信

    ○永井委員 今の答弁を聞いておりますと、その背後責任を証明することはなかなか難しいということでありますから、ひとつ提案しますが、荷主等が、積載重量にかかわる問題でありますが、これを積んでいけ、そういうことの運行指示を明確にすることが運転者との関係でわかるように運行指示書の発行義務化を講ずべきではないか。そうすると、運転者はその荷主の運行指示書に基づいて運行するのでありますから、運転者だけが罰せられるのじゃなくて、むしろ背後の関係者が厳しく罰せられる。そうしませんと、運転者いじめになってしまうのですよ。これはどうですか。短く頼みますよ、時間あらへんのだから、何回も言うけれども
  44. 関根謙一

    関根政府委員 すべての車について、荷物を積む場合に先生の御指摘になられましたようなそういう指示書の発行を義務化するというのは困難かと存じますが、特定の業界でありますとか、そういう過積載が行われやすいような体質のあるところにつきまして、関係省庁と相談をしつつ、先生指摘のようなことが可能かどうか、検討してまいりたいと存じます。
  45. 永井孝信

    ○永井委員 これはやはり運行指示書ぐらいはきちっと制度化しませんと、過積みがなくならないと思うのですね。  時間がありませんから飛ばしますけれども、認可運賃制度が守られていないことも一つの原因です。これも何回も私は追及してきました。何ぼ通達を出しても守られたためしがないんだ。例えば、お前のところは認可運賃では一万円で運ぶべきものを八千円にしなかったらもうほかの業者に回すぞ、こういうことになっていくんですね。だから、そういういろいろな背景があって過積みがどんどん進んでいくわけですから、それはぜひひとつ関係省庁力を合わせて過積みになっていかないような、背後責任がきちっと明確になるような対応をしてもらいたい。  運輸省に聞きますが、現在ダンプカーはどのくらいありますか、そのうちにマル版の台数は何台ですか。
  46. 鈴木朗

    ○鈴木説明員 平成三年十二月末現在の数字でお答え申し上げますけれども、現在、営業用、自家用含めましてダンプカーは十七万四千五十六台ございます。そのうちマル販表示がしてあるダンプ一カー、これは砂利販売業の用に供するダンプカーということになりますが、そういうことで届け出をしていただいているダンプカーの数が八万一千五百九十七台、全体の四七%程度というふうになっております。
  47. 永井孝信

    ○永井委員 調査室でつくってもらった資料を見ますと、ダンプカーの関係でいいますと、過積みの取り締まりで検挙されたものは七万八千件、十割以上の危険性の高い過積みがそのうち約三割を占めている。いわゆる一人一車の零細事業者が九割以上を占めるダンプカー事業は、その報酬が出来高払いが普通であることと業界の過当競争的な体質などが相まって過積みが常態化している、こういうふうに分析も出ています。  ところでこのマル版というのは、今いみじくも言われたように砂利販売業なんだ。だから白ナンバーだ。これはちょっと資料を調べてみると、平成二年六月二十二日に私は質問しているのですが、このダンプカーでかなりやりとりしています。そのときに、このダンプ規制法に基づいて運輸省が認可するのは、砂利の販売を行う者として法律に基づいて「砂利の山元又は買主との売買契約書又は仮契約書の写し」「商工会議所、市町村等による事業内容証明書又は納税証明書」を添付して許可を受けるのです。だから、これは運送業じゃないのです。運送業なら青ナンバーでなければいかぬわけです。これを何回やかましく言ったって、運輸省は全然このことの始末ができないのですよ、公安委員長。許可するときはマル版だ、しかしそのマル版のダンプカーは、ほとんど運送事業をやっておるのですよ。だから二倍、三倍積むわけだ。このぐらいのことは法治国家ならきちっとしなさい、それをやれぬ限りはマル版の制度やめなさい、それ一言だけ答えてください。もっとやろうと思ったけれども、時間ないからそこだけ端的に答えてください。
  48. 鈴木朗

    ○鈴木説明員 委員からは、二度にわたりまして私どもに督励をいただいておるわけでございます。  今御指摘ございましたような、砂利販売業の用に供する自家用ダンプカーの営業類似行為の問題を初めといたしまして、過積載の防止活動につきましては、平成二年、三年、四年と引き続きまして、私ども関係機関協力を得まして不正改造車を排除する運動というのを全国的に展開しております。この運動で広報活動とか街頭検査の実施などを行いまして、過積載を目的とした不正改造の防止に努めているところでございますが、そのほか、ダンプ規制法による届け出の際に添付を求めております、今先生がおっしゃいました書類、このチェックを徹底するということを行っておりますし、それから平成二年十二月の貨物自動車運送事業法の施行に伴いまして適正化事業実施機関というのが設置されておりますので、その主要な事業の一つといたしまして無許可営業の防止のための指導啓発、この活動を位置づけております。これで巡回パトロールなどを行いまして指導活動などを行っております。  そのほか、土砂等の運搬には用いないことを理由といたしまして、実はダンプ規制法の届け出を行わずに、かつ不正改造などを行いまして過積載を運行する、こういう例もございますので、こういう行為を防止するために、道路運送法に基づく大型自家用トラックの使用の届け出を私どもにしていただきます際に、その受理に当たって本当に土砂等を運搬する車両かどうかということを厳格にチェックをしておりまして、あくまでも土砂を運搬しないというような車両につきましては、車体に土砂等の禁止車である、こういう表示をさせて、車検証には積載物品が土砂等以外のものですよということを記載させるなどの措置を講ずるようにしてきております。
  49. 永井孝信

    ○永井委員 いろいろ言っているけれども、自分たちがマル版で許可与えたのだから。時間の関係で余り詳しく言いませんけれども、自家用ダンプカーの使用の届け出に当たっては、少なくとも使用者が届け出た事業を真に経営しているか否か、または当該事業を経営することについて必要な資格を有しているか否かについて確認を行うとなっているのです。確認が行われていないからダンプカーが野方図に走り回るわけですよ、営業車として。白ナンバーと青ナンバーの区別がなくなってしまっているわけです。これはもう弁解要らぬから、法の定めによってきちっと対応してもらいたい。これはあえてそれ以上言いません。公安委員長、よく聞いておいてください。運輸大臣にも言ってくださいよ、きょうは来ていませんけれどもね。  その次に、自動車教習の関係について若干問題を提起しておきたいと思うのですが、今度カリキュラム改正されます。しかし、その中にたくさんの問題がございますけれども、法の九十九条の二によって、技能検定員資格者証交付を受けている者のうちから選任された技能検定員を置かなくてはならないこととするというふうに定めがあるのですね。現在、現行法の九十九条でも、公安委員会の審査に合格した者を検定員として認定し、指定しているわけですよ。そういう現行法の九十九条がある中で、さらにこの技能検定員を新たに置かなくてはならないということは一体どういうことなのか、どうもほとんど理解できないのですね。  現在の検定員技能検定を行った、それに合格した者は、これは指定教習の話でありますが、合格した者は試験場において実技試験は免除されているわけですね。実技試験を免除されるだけの検定をした検定員が、現在この技能検定員技能指導員を合わせて六千四百三十人いる。あるいは、この技能検定員学科指導員を兼務している者が九千四百六十七人いる。こういう中からあえて技能検定員をさらに選別するのかどうなのか。その場合に、現在の検定員について経過措置として全員に資格者証を与えるのかどうなのか、これも長い答弁要りませんから、局長、短く答えてください。
  50. 関根謙一

    関根政府委員 現在の技能検定員の方が資格者証交付を申請してきた場合には、この改正法案の九十九条の二の四項の一号のハに該当するものとして、要するに「公安委員会国家公安委員会規則で定めるところにより技能検定に関しイ又はロに掲げる者と同等以上の技能及び知識を有すると認める者」に該当する。つまり公安委員会が、審査に合格した音あるいは自動車安全運転センターが行う研修の課程を修了した者、これらと同等以上の技能、知識を有すると認める者に該当するということで、申請があれば、欠格事由に該当をしない限り資格者証交付するということにしております。  それから、交付を求めないという方については、現在のままの資格で技能検定の仕事をしていただいていいということを附則で規定しております。
  51. 永井孝信

    ○永井委員 要は、現在の技能検定員がある中からさらに選任されるわけですから、そこに差別が起きたりということも心配されるわけだから、ひとつ改めてそのことを確認したわけであります。  みなし指導員という関係がありますが、これは教習指導員の資格を得るために特別措置はあるのですか。
  52. 関根謙一

    関根政府委員 みなし指導員というのも、現在自動車教習所において学科教習あるいは技能教習指導を行っている方が新法のもとにおいて新法に規定する教習指導員とみなすこととして、従前どおりの仕事をすることができるようにするシステムでございます。これも附則で規定しているところでございまして、現在の指導員方々を保護する規定でございます。
  53. 永井孝信

    ○永井委員 その次に、走って恐縮でありますが、九十九条の三で、資格を得る場合に自動車安全運転センターで指導を受けるように明記されているわけでありますが、この自動車安全運転センターで指導する人はどういう資格を持っているのか、あるいはその全国教習所から水戸、私も視察に行きましたけれども、あの水戸まで全部集めるのですか。
  54. 関根謙一

    関根政府委員 自動車安全運転センターは、自動車安全運転センター法という法律の規定によって設立されている特殊法人でございます。  この中央研修所では、極めて高度の運転技能の研修を行っているところでございますが、その研修を行う指導員としては、自動車関連企業の経験豊かなインストラクターあるいはテストドライバーである人、あるいは警察のパトカーですとか白バイの運転者を訓練する技能訓練指導者である者、あるいは指定自動車教習所でのベテランの検定員、こういった人たちが実技を担当し、大学の研究者が理論を担当するというところでございます。
  55. 永井孝信

    ○永井委員 とにもかくにも、今現在いる検定員とか指導員が今度の法改正によって仮にも不利益な扱いを受けたり差別をされたり、あるいはある教習所によっては学技の一体化の資格を得なければやめてもらうぞと言って、もう既に言い出している教習所もあるそうでありますから、そこには雇用不安もつきまとってきますから、そういうことが起きないように対応してもらいたい。これは、時間をかければいいのですが、注文をつけておきたいと思います。  その次に、カリキュラムの関係で、高速路上教習ということがこれから考えられていくわけでありますが、時代のニーズとしてこれは当然求められることでありますけれども、やはり条件というものは厳格にして実施してもらわなければ困る。現在の道路交通法の施行規則によりますと、第二十一条の二で「高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路」で路上運転をすることというふうに定めているわけですね。そうすると、この規則の改正も必要になってくる、こう考えますので、ここはひとつ実態に合わせて無理のないように厳格にそういう面は配慮しながら対応してもらいたい、そのことを要望しておきたいと思います。  続けて、自動車教習所では教習時間の十分間のインターバル問題が大変問題になっておるのですよ、局長。私も局長のところへ交渉に行きました。その十分間のインターバルを休憩時間とみなして、一日の実際に働く時間をふやしていくということが今進められようとしているのです。これは大変問題でして、五十分の教習をやって、あとの十分間は、例えば教習の準備であるとか事後講評であるとか、あるいは生理的現象とかいろいろなことがあるものですから、十分間を休憩時間としてその分だけ一日の拘束時間、所定内労働時間の拘束時間を延ばすというふうな発想に立ってはならぬ。これは質の高い教習を確保するために、質の高い教習を確保しないと立派なドライバーは生まれないわけでありますから、粗製乱造を防ぐためにもこの十分間のインターバルについては、これは警察庁指導ということになっておりますので、ぜひひとつ、休憩時間ではなくて実労働時間の中に算定するように指導してもらいたい。これ、一言だけお答えください。
  56. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のように、貴重な十分間でございます。具体的なケースを見ながら、労働時間と認められる場合には労働時間としての取り扱いがされるというように、実態に合うように指導を進めてまいりたいと存じます。
  57. 永井孝信

    ○永井委員 はしょって恐縮ですが、次の問題に入ります。  被害者救済と自動車保険の関係についてお伺いいたしますが、この自動車損害賠償責任保険では、法律によって無保険車とひき逃げ事故の被害者に保障金を支払うこととなっているわけですね。過去五年間を年度別に分けて、その支払い件数と支払い額、その回収率を示していただけますか、運輸省。
  58. 星野茂夫

    ○星野説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの件につきまして、昭和六十二年度から平成三年度までの五年間実績を申し上げます。  昭和六十二年度は、支払い件数が三千六百七十四件、支払い額といたしまして四十五億二百万円、回収額は一億七千六百万円でございます。昭和六十二年度、支払い件数が三千六百四件、支払い額は四十八億二百万円、回収額が一億八千七百万円。平成元年度、支払い件数三千四百件、支払い額が四十八億一千八百万円、回収額が一億六千八百万円。平成二年度、支払い件数が三千二百十五件、支払い額は四十一億六千二百万円、回収額は二億三百万円でございます。それから、平成三年度でございますが、支払い件数は三千九十六件、支払い額は三十八億三千七百万円、回収額は二億六千四百万円でございます。  支払い額に対する回収額の割合ということで、昭和六十二年度では三・九%、平成三年度では六・九%ということで、一割にも満たないわけでございますが、支払い額のうち債務者が特定できないひき逃げの分がございます。この分を除いて計算いたしますと、回収率、昭和六十二年度で一六・四%、平成三年度で二三・二%ということで、まだ四分の一以下の水準でございます。
  59. 永井孝信

    ○永井委員 今大臣がお聞きのような状態でございまして、無保険車、ひき逃げは交通事犯としては最も悪質なのですね。その理由はともかくとして、逃げ得をさせることがあってはならぬ。保障金の回収がなされない状態では困るわけですね。  強制保険から支出している以上、一〇〇%回収が当然でありますけれども、ひき逃げ犯の関係で言いますと、私が資料請求して調べたところでは、警察庁がひき逃げ犯を逮捕したパーセントは九二%です。九二%逮捕されている。無保険車の逮捕は八七%にのぼっている。これだけ逮捕されておっても、なおかつ今言ったように一割そこそこの回収率しかない。これではまじめに自賠責の保険を掛けておる者は本当にばかを見る。ばかという言葉は余りいいことじゃないが、ばかを見るということになりますね。だから、これはひとつ断固たる態度で臨んでもらいたい。回収率がこれだけ低いということは、私はある意味では行政の怠慢だと思いますから、これは完全に一〇〇%回収するようにしてもらいたい、これが一つです。  そして、交通事故が急増してきまして被害者救済が重視されているんだけれども、加害者が自賠責のみの加入で任意保険に入っていない、こういうことから十分な保障ができないというケースが随分ふえてまいっています。したがって、自動車保有者の方々が一〇〇%賠償資力を持つためには、当然強制保険のほかに任意保険に一〇〇%入ってもらわなければいかぬ。第五次交通安全基本計画、これは平成三年三月十二日、当委員会に示されたものでありますが、その第二節の中でもそのことを明らかに指摘をしているわけですね。各種自動車共済の制度と保障機能の充実、なかんずく万全な被害者救済を含めてどのように今後努力していこうとしているのか。これはどこに聞いたらいいのでしょうね、やはり運輸省でしょうかね、総合的には総務庁だけれどもね、どこが答える。
  60. 星野茂夫

    ○星野説明員 お答えを申し上げます。  私ども運輸省保障課におきましては、自賠責の強制保険部分を所管いたしておりまして、いわば二階建ての部分でございます任意保険につきまして具体的に所管をいたしておらないわけでございますが……(永井委員「そんなのいい」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  61. 永井孝信

    ○永井委員 弁解の時間なんてもったいないからね。  だから、今私が問題にしているのは、自賠責は運輸省なんだよ。任意保険は各省庁にまたがっているわけだ。だから、幾らこの第五次の交通安全基本計画でそのことを指摘しても、明らかにしても、全然連絡はないのですよ、公安委員長。それぞれ自分の省庁の縄張りだけ守っているわけだ。だから、任意保険の一〇〇%加入率が促進できないんだ。そこを私は問題意識を持ってもらえればいいと思うのです。  昭和四十八年に自賠責保険審議会が答申しました、こういうことがあるから自賠責と任意の保険の一本化を提言しているのですよ。ここにその資料がありますけれども、一本化を提言している。一本化によって低料率が可能であり、高額保障が可能になる、だから被害者救済の目的が達せられるのではないか、こう指摘しているわけです。これは答申です。ところが、私があえて一本化をさらに提言するのは、任意の自動車共済を行っている協同組合が百団体もあるのですよ。これが各省庁にまたがっているわけです。三百万件を超える契約を扱っているわけです。当然この共済は自賠責を受諾していない事業体でございますから損害賠償に不可欠な自賠と任意の一括支払いもできずにいるわけです。また、組合によって財政規模が違いますから、基準がそれぞれ異なっているわけです。だから、同一の交通事故を起こしても、保障関係ではばらつきが起きるのです。そういう実態があるから、私どもにも非常に批判が寄せられているわけです。  このように、交通事故が多発する社会的状況の中で、私は自賠責と任意の一本化問題というものは本腰を入れて取り組んでもらいたいと思いますが、これは運輸省だけではなくて、総務庁もひとつ答えてくれますか。
  62. 賀耒敏

    賀耒政府委員 交通事故の痛ましい方々を少しでも救済することは、政府として大変重要なことであろうかと思います。  ただいまの御指摘の自動車損害賠償保険制度、それぞれいわゆる責任主体が異なっておりますが、少しでもより保障がされますように、関係省庁との連携を十分保ち、また主務官庁等との連携を保ちながら、御指摘の保障がより確立し痛ましい関係者が救済されるように引き続き努力いたしたいと思いますので、よろしく御指導賜りたいと思います。
  63. 星野茂夫

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  自賠責と任意保険、先ほどちょっと御指摘いただきましたが、それぞれ所管も違っておりましていろいろあるわけでございますが、目的、性格、それぞれの役割を担っております。現在の我が国制度につきましては、この二つの制度が機能を分担しつつ互いに補完して、全体として効果的な自動車保険システムを構築しているものというふうに認識をいたしております。  もとより自賠貢と任意の分担関係と申しますのは、自賠責限度額を引き上げてまいるといったようなことによりまして、これまでも経済社会情勢の実態に応じて見直してまいりまして、今後とも検証が必要な事柄でございます。また、昭和四十八年に自賠責審議会で御答申をいただきましたが、そのあり方について長期的視野から検討を加える必要がある、こういう御指摘をいただきました。そういう必要もあると考えております。ただ、当面は、現在の補完関係と申しますか分担関係を維持していきながら、その中で被害者救済の充実、契約者利便の増進という観点からできる限り制度の改善を図っていく、そういう方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  64. 永井孝信

    ○永井委員 具体的な中身についてここで細かく提起をする時間がありませんから省略しますけれども、既にこの一本化について、任意保険を所管している省庁と自賠責を所管している運輸省との間に協議が進められているものもあるわけです。そういうものがその自賠責保険審議会の答申の精神を生かして、もうそれから随分年数がたっているわけですから、確かにそのときは将来展望ということだったけれども、将来展望にふさわしい年数がたっているわけですから、総務庁長官が出てきておればいいんだけれども総務庁長官出てこないから、室長、あなたにもあるんだけれども交通問題の取りまとめ役は総務庁なんだから、やはりここは総務庁がむしろ音頭をとって、この保険審議会の答申の精神を生かして、任意と自賠の一本化ということについては促進できるようにしてもらいたい。  大臣は、きょう代表して公安委員長がおりますから、公安委員長はそのことを聞いているわけだから、かつて私が質問したときにそのことについては運輸大臣が積極的な姿勢を示してくれたこともあるわけで、きょうは所管の四人の大臣の代表であなたが出ているんだから、ひとつちゃんと受けとめて一本化の推進を図ってください。どうですか、どちらが答えるのか知らぬけれども
  65. 賀耒敏

    賀耒政府委員 私も、交通行政に三年八カ月携わっておりまして、保険制度というのは大変ありがたい制度でありますが、長年たっておりますといろいろと見直さなければならぬ部分があるような感じがいたしております。これは極めて高度な専門的なところでございますので、それぞれの主務官庁の知恵をかり、やはり長期的に見ますると、改めるべきところは大いに改め、また推奨すべきところは推奨しなければならぬというのは先生の御指摘のとおりでございますので、私も鋭意努力し、また上司にもお伝えいたしたいと思います。さらに努力いたします。
  66. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今、永井委員の御指摘になった自賠償と任意保険の問題の関係、今総務庁からも運輸省からも、非常に苦心の答弁をしておりました。これは私はよくわかるので、まだまだ行政行政の間に谷間があるのだと思います。  したがって、こういった交通行政のような問題はぜひ総合的に各省が相談をしなければならぬ。これは総務庁が総合的な責任を持っておられるのでしょうが、先ほど申し上げたような視点からいうと、国土庁も関連をしてくるし、経済企画庁も関連をしてくるし、総合的な問題でありまして、こういったことを統括することこそ国務あるいは政府責任だと思いますので、永井委員の御指摘については良心的に対応をいたしたいと思います。
  67. 永井孝信

    ○永井委員 その次に、これまた自賠責の保険審議会において再三自賠責保険診療のあり方について検討がされてきまして、答申もありました。それを受けて損保協会と自算会と医師会が三者協議を行いまして、いわゆる自賠責保険診療報酬基準なるものをつくったのですね。その報酬基準をつくったものが適用されているのは、私の知る限りでは四十七都道府県の中で十の府県だけなんですね。あとは実施をされていない。これはなぜ全国で実施されないのか、大蔵省答えてください。
  68. 松田広光

    ○松田説明員 診療報酬基準案につきましては、平成元年六月に日本医師会と損保業界との間で中央レベルでの基本的な合意が行われましたのを受けまして、各都道府県単位で各県医師会との間で鋭意協議が進められているところでございます。その結果、昨年末まででは十県が実施という状況でございましたが、本年一月より兵庫県で実施されまして、現在実施地区は十一県となっております。また、大阪府でも本年二月に実施に向けて合意が成立しましたことから、合意地区は現在八府県ですが順次拡大し、合意地区から実施地区への移行も順次進んでいくものと思われます。  なお、実施に至っていない地区の事情でございますけれども、例えば大都市圏におきますように医師会の会員数も多いというような事情もございまして、会員一人一人の理解を得るのに時間を要している実情にあると聞いておりますが、今後ともできるだけ早期に診療報酬基準が全国的に実施されますよう、医師会に協力お願いしますとともに、損保業界に対しましてもさらに一層努力するよう指導してまいる所存でございます。
  69. 永井孝信

    ○永井委員 今聞きますと十県が十一県にふえたということで、これは結構なことでありますが、せっかく自賠責保険診療報酬基準というものを三者協議で定めたとすると、やはり全国同一でありませんと、府県にょってばらばらということでは困ると私は思うのですね。  これは厚生省に聞きますけれども、この問題も私は何回も取り上げてきたことがあるのです。大臣交通事故に遭うでしょう。病院へ行きますね。そうすると病院は黙って自由診療をやってきたのです、自由診療で。交通事故で被害者の場合は、直接自分が診療費を払いませんね。だから、幾ら高かろうとそんなことは関知しないわけですね。これは悪い意味ではなくて、関知しないわけですね。だから自由診療でやられてきた。自由診療というのは、一般の健康保険の大体平均三倍の点数なのですよ。だから、交通事故を扱うとその病院はもうかる仕組みになっているわけだ。こんなことを言うから僕は医師会にいつも嫌われるのだけれども、現にそうなのですよ。もうかる仕組みになっているわけだ。病院がもうけては悪いとは私は言わない。言わないけれども、自由診療でばらつきもこれまたある。国立病院なんかで自由診療をする場合と、民間の病院で治療する場合と単価がかなり違うのです。  だから、お医者さんが金もうけするのもいいけれども、たくさんの金を払えば、自賠責の財政に影響してくるわけです。それが結果的に自賠責保険料の値上げになったり、ユーザーに還元することが少なくなったりしていくわけですね。だから、この自賠責の保険診療の報酬基準を三者で決めだというのは、ある意味ではそういうものが公正に扱われるようにということでこれはつくられたと私は思うのですね。  ところが、今までの質問で私は何回も提起してきたのですが、厚生省に、なぜ健康保険が適用できないか、こう言ったら、健康保険が適用できますと言われる。では健康保険が適用できるように徹底しろ、こう私が求めた。確かに厚生省はいろいろな施策を講じているのだろうけれども交通事故になっても、その治療は自賠責ではなくて自分の健康保険が使えるのですよということを知っている人は、現実に少ないと私は思う。健康保険を使えば、健康保険に定めた診療報酬しかこの点数は記載することができない、お医者さんは金もうけが少ない、こうなるわけですね。  健康保険組合に申請する。健康保険組合は一たん金を払って、今度は自賠責の方に申請をするわけだ。確かに事務手続は複雑だし、途中で経費もそれは余分にかかります。しかし、健康保険で利用できるものであれば健康保険を利用すればいいではないか、そうすると自賠責の保険料も助かるという理屈が成り立っていくわけですね。この関係について、今のような三者協議でやってきた診療報酬基準、こういうものを一定の制度化することはできないのか、あるいは健康保険が適用できることをもっと周知徹底することはできないのか、厚生省、ひとつ答えてください。
  70. 紺矢寛朗

    紺矢説明員 お答え申し上げます。  今、先生指摘ございました健康保険と自動車責任の関係でございますが、基本的な考え方といたしましては、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく保険給付の対象となるというのが基本的な考え方でございまして、この基本的な考え方に立ちまして私ども、被保険者等に対する指導というのを行っているわけでございます。  保険者、分かれておりますけれども、例えば政府管掌健康保険でございますと、第三者行為と健康保険ということで、交渉がスムーズにいかなかったり、あるいは治療に支障があっては大変であるという前提に立ちまして、通常であれば賠償が行われるわけでありますが、この賠償に先立って、健康保険で給付されるという旨を周知をしておるわけでございます。このような考え方を、政府管掌健康保険だけではなくて組合健保あるいは市町村国保などにおいても行っておりまして、先生の御指摘もございますので、今後ともこの周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
  71. 永井孝信

    ○永井委員 時間がなくなってきましたが、今私がお聞きしたことは、被害者救済を万全にするという前提でありますから、任意保険と強制保険の一本化の問題もしかり、あるいは実際に病院に治療を求める場合の扱いもしかり、結果的に被害者の救済を万全にすることと保険制度、これを有効に活用すること、こういう視点から私は申し上げておりますので、今厚生省がさらに徹底を図ると言ったけれども、労災であるとかあるいは一般の健康保険であるとか、これは全部法律によってきちっとした基準が決められて措置されておりますが、どうも交通事故だけはばらつきがあり過ぎて自由診療が多過ぎるという問題意識を持ってもらって、厚生省も大蔵省も運輸省も、それぞれ関係するところは対応してもらいたい。  これは代表してひとつ、やはり総務庁だな。
  72. 賀耒敏

    賀耒政府委員 ただいまの御指摘の問題、いろいろと勉強しておりますと、そういう問題点があるように私も感じております。そういう意味で、関係省庁とまた勉強し、そういう方向でさらに努力いたしたいと思います。
  73. 永井孝信

    ○永井委員 最後になりましたが、ちょっと時間を気にしながら走ったものですから、随分準備しておった質問を飛ばしてしまいました。残念ですけれども、これはもうしょうがない。他の委員質問の中で補完されると思いますから、それは省略いたします。  関根局長一つ申し忘れましたけれども自動車教習所カリキュラム改正考えているわけですね。これは指定教習所はそれでいいんだけれども、指定されていない教習所が随分ありますね。どこがどう違うのか私も定かではありませんけれども、どうしても指定教習所以外のところに粗製乱造の傾向があると私は見ているわけですね。なぜこれは指定されないのですか、その教習所は。どこに何が欠けておって指定されないのか、これが一つ。  それから、カリキュラムを変更するに当たっては、机上の計画ではなくて、実際に働いている自動車教習所現場意見ども十分に参考にした上でカリキュラムをつくってもらいたい。高速教習をちょっと触れましたけれども、妊婦の問題であるとかいろいろな問題がありますね。そういう人はどうするのかとかといういろいろな問題がありますので、現場意見を参考にしてやってもらいたいと思うが、どうですか。
  74. 関根謙一

    関根政府委員 非指定の自動車教習所指定自動車教習所との違いでございますが、非指定の自動車教習所につきましては、政令で定める要件に該当するという必要がございません。例えば職員の設置につきまして、技能検定員あるいは指導員等の資格を有する職員を置いているという必要がございません。それから設備に関する要件ということで、例えば普通自動車の場合、コース面積八千平方メートル以上の設備を有することとされておりますが、そのような要件も要らないということで、自由に教習生を教習することができるという点に、非指定の自動車教習所の特色がございます。  ただ、今回いろいろ改正お願いしているわけでございますが、その中で指導員につきまして、教習指導員については自動車安全運転センターでも養成することができるように仕組みをつくっていただきたいと御提案申し上げております。そういうところで養成された資格ある指導員を置いて、非指定の自動車教習所においても現在より以上にさらに充実した教習ができるようにということも、制度上配意しているところでございます。
  75. 永井孝信

    ○永井委員 カリキュラムをつくるのに、教習所現場意見を聞けと言ったのはどうなの。
  76. 関根謙一

    関根政府委員 どうも失礼申し上げました。  現在、指定自動車教習所協会等の人たちあるいは非指定の教習所の関係の方々、そういった方々、それにいろいろな学識経験者等を含めました運転免許制度研究会というようなものを設けておりまして、そこで実務に即したいろいろな御提言をいただいております。さらにそういう御提言をいただきつつ、あわせて具体的に自動車教習所で実験的なカリキュラムに基づく教習をしていただきまして、その教習効果を見きわめつつ具体的なカリキュラムを定めることとしたい、このように考えておるところでございます。
  77. 永井孝信

    ○永井委員 時間が来ましたのでおきますけれども大臣警察庁長官、やはり三悪を追放することとあわせて、死亡者一万人を切るという大目標に向かって努力をしてもらいたいし、そのための法改正だと思うのですが、法改正のときだけの鳴り物入りのPRではなくて、日常的にそのことが効果あらしめるようにきちっとしてもらいたい。  そして、その法改正の趣旨を十分に国民に周知徹底を図るとともに、今後は細切れの道交法改正ということを余りやるべきじゃないと思うのですね。毎年のようにやるのじゃなくて、変えるのなら十分に時間をかけて、全体の道交法のあり方を一から問い直すということが私は本来の筋道だと思うのですね。ここ数年ずっと細切れで改正してきておるわけですから、そうじゃなくて、抜本的に時間をかけて必要なものに変えていく、正しい適切なものに変えていくという態度をとってほしい。  これだけ申し上げて、最後に大臣なり長官なりから一言だけ、感想を含めて聞かせていただいて、終わります。
  78. 城内康光

    城内政府委員 交通事故は毎日の国民の安全にかかわる問題でございますので、法改正のときだけ鳴り物入りというようなことではなくて、日々の努力をいたしたいと思います。  それから、現在の道交法昭和三十五年にできましてずっと来ているわけでございますが、その問いろいろ暴走族問題とかあるいは駐車問題とか、それぞれそのときどきの問題がありまして、その都度手当てをお願いしてきたわけでございます。確かに、毎年やっているのはいかがかという御意見もございますし、そういったこと、今委員の御質問の趣旨をよく踏まえまして、今後のあり方についてさらに検討してまいりたいと思います。一生懸命やらせていただきたいと思います。
  79. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今、城内長官から御答弁申し上げました。  警察庁はまさに一騎当千でありまして、すばらしいスタッフでありますから、恐らく委員の御要望に対応していくと思いますし、それからまた、きょうは厚生省や大蔵省からもお答えがありました。関係各省の衆知を集めて、現在の法律でやっていけるところもありますし、それからまた欠缺した部分もあると思います。だから、そういった点については総合的な法律的対応をしていきたいと思います。良心的にやってまいりたいと思います。
  80. 永井孝信

    ○永井委員 終わります。
  81. 春田重昭

    春田委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時十分開議
  82. 春田重昭

    春田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林守君。
  83. 小林守

    小林(守)委員 社会党の小林守でございます。  午前中には我が党の永井委員が、まさに大ベテランの味を十分に発揮されまして、かなり専門的な詳しい、練りに練った質問が展開されたということで、かなりの部分、広範に質問されておりますので、重なる部分もあろうかと思いますけれども、その点はお許しをいただきたいと思います。私は、遠藤委員の差しかえということで、地方行政委員会の方から参加をさせていただいたわけでありまして、御配慮いただきました皆さんに感謝を申し上げたいと思っているところであります。  それでは、早速質問に移らせていただきたいと思います。  道路交通法の一部を改正する今回の法律案につきまして、今回の改正は、運転免許に関する規定の整備及び交通事故防止等に関する規定の整備にかかわるものであります。まず初めに、総括的な観点から質問をいたしたいと存じますが、まず最近の交通事故の発生状況と警察の取り組みについてお聞きをいたしたいと思います。特に、今年度の交通事故の死亡者数等の状況や、それから取り組みに当たっての減少目標、これについてはどのように設定をされているのか、さらに今年度の交通事故防止対策の重点課題はどういうことなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  84. 関根謙一

    関根政府委員 交通事故の情勢についてでございますが、自動車保有台数が六千四百万台を超え、また運転免許人口も六千四百万人を超えるという交通環境の厳しい中で、交通事故を減少させる、特に死者数を抑止するということが私どもに課せられた課題であると認識して、鋭意努力をしているところでございます。  また、ことしの事故の発生状況でございますが、昨日現在でございますが、昨年に比べまして百三十七人の死者の減でございます。一月、二月、三月と三カ月連続して、昨年に比べて死者数は減っております。前途は明るいという見通しで対応しているところでございます。それから、ことしの目標でございますが、これは平成三年の中央交通安全対策会議において定められました交通安全基本計画におきまして、平成七年中に死者数年間一万人以下とするという目標がございます。この目標に向けてことしも努力してまいりたいと考えております。  それから、事故防止の重点課題ということでございます。これは先ほど来、大臣長官から御説明申し上げておりますが、基本的には従来から言われております交通事故防止対策、三Eの原則ということで、交通安全施設の整備、それから交通指導取り締まり強化、それに交通安全教育充実といったところが課題でございますが、特にことしは、次の二つの点に意を用いて運営を図ってまいりたいと考えております。  その一つは、規範意識の醸成を図るという点でございます。そういう観点から、シートベルトの非着用、あるいは違法駐車、過積載といったような比較的反社会的な行為であるという意識が薄いと思われるような違反形態につきまして、これらを新しい意味での交通三悪、新交通三悪という考え方のもとに取り締まりを行い、こういった行為が実は反社会的な行為で、いろいろ社会に迷惑をかける行為なんだということの意識を醸成していただくように努力をしたいというのが一点であります。  それから二点目といたしまして、関係機関団体との連携の強化を図ってまいりたいということでございます。交通警察行政を私どもは担当しておるわけでございますが、交通事故の問題を初めとする現代の交通社会に起因するいろいろな副作用を除去するための作業というのは、決して交通警察のみで担当しているわけではございませんで、建設行政、運輸行政、通商産業行政、総務庁の行政、その他いろいろな省庁の行政と一体となって行うべきものでございます。あわせて都市でありますとか地方公共団体、それにいろいろな法人、団体等もそれぞれの立場から、交通社会から生ずるいろいろな副作用の除去について努力をしているわけでございますので、そういった機関団体、省庁と連携を図りつつ、事故防止に当たってまいりたいと考えております。  具体的には、一つは、都市と連携をして違法駐車防止条例の制定ということで、都市と一体となった違法駐車対策を図ってまいりたいということが一つでございます。それから二つ目は、自動車のディーラー団体方々と連携をいたしまして、ディーラー団体方々から自動車のユーザーであります若者等に対して、その自動車の安全な使用方法についての教育お願いしたいということで、そういう連携を図ってまいりたいと考えております。さらに、バス活性化委員会というものを昨年、各地方公共団体やバス協会、その他いろいろな団体と一緒になってつくっておりまして、これで公共輸送機関充実整備を図るという作業を行っております。これも、ことしは一層の充実を図ってまいりたい。  こういうことで、規範意識の醸成を図るということと、関係機関団体との連携強化のもとに、一体となって総合的に事故防止に取り組みたいということが、ことしの課題理解しております。
  85. 小林守

    小林(守)委員 さまざまな取り組みと、それからことしの重点課題についてお話をいただいたわけですけれども、長い間の交通事故撲滅への取り組みにもかかわらず、一万人台以上の死者数を一向に減らすことができないというような現実もあるわけでありまして、より一層効果的な交通安全対策を、ぜひ科学的、総合的な背景も含めて取り組んでいただきたい、そのように思うわけでございます。  今日までの取り組みの経過を、我々地方議員の経験もいたしておりますけれども、実際に交通事故現場で、どういう原因で起こった、そういうことに対しては、ではこうすればいいではないかというような形で、対症療法的というか現場対応主義というか、非常に現象対応交通安全対策、施設整備にしても教育にしてもとられてきたのではないか、そんなふうに思えるわけなんですけれども、それが効果がなかったとは言いませんけれども、しかし抜本的な対策には、また根本的な対策にはなっていなかったのではないか、そういう反省も当然されなければならないというふうに思うわけでありますが、そういうことも加味いたしまして、昨年、法改正によりまして財団法人の交通事故総合分析センターが発足をいたしたわけであります。  大変期待をしているわけでございますけれども交通事故がなぜふえたり抑えられたりするのかというようなことを二、三十年というような長いスバンの中で見ていった場合、第一次交通戦争と言われるのは、日本の場合は昭和四十五年が最大のピークだと言われておりまして、年間一万六千人以上の方の死亡事故が発生したということなんです。それ以降急激に減少いたしまして、しかし昭和五十四年ごろですか、その辺からまた死亡事故者数というのがふえてきているというような結果が、資料としては指摘できるわけであります。この財団法人交通事故総合分析センターでつくられましたパンフレットを見ただけで、極めて素人の考え方なんですが、世界的にもちょうど一九七〇年からそれ以降の動きにつきましては大体日本と同じように、日本で言えば昭和四十五年、そして西暦では七〇年、この辺が世界的に先進国の交通事故死者数のピークになっているわけですね。  そういうことで、これらを見た場合に、どういう原因があってこういうふえ方をして、またそれ以降減少したということなのですけれども交通事故を撲滅していくためにはやはり社会的、経済的、政治的、自然的、いろいろな条件が加味されて分析されなければならないのだろう、そのように思うわけですけれども、この四十五年の日本のピーク、第一次交通戦争のピーク、そして世界も同時にそういう形があった、これらについてどのように認識をされているのか、その辺をぜひお聞きしたいと思います。
  86. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のように、昭和四十五年、一九七〇年、この辺が世界各国、特に先進国の交通事故死者数はピークで、これを中心に前後減っているといいますか、前の方は徐々に増如してきて、七〇年ごろ、七〇年を挟んで前後二、三年でございますが、この辺から下降線をたどっているということは事実がと存じます。どうしてこういうことになったか、つまり、どうして七〇年ごろまでは増加を続けたかという点と、七〇年以降下降線をたどっているのかという点についてのお尋ねかと存じます。  ごく粗っぽいとらえ方でございますが、昭和四十五年、七〇年くらいまでは世界的にも自動車の増加台数のふえるがままに、それとほぼ並行して事故死者数がふえてきたということが言えるのではないかと思います。ピークに達したころ、ふと気づいてみますと、実に恐るべき数の事故死者数が出ているということに気づきまして、各国ともこれは大問題だということでいろいろな対策を講じてきたということがございます。一つは、まず道路交通環境の整備ということで、例えば我が国でありますれば道路の構造について工夫をしてきたということがございます。ドイツの場合ですと、自動車の構造そのものに工夫を凝らして、安全性の高い自動車を開発するように努めてきたということがあるように思います。さらに、脳外科の発達と救急体制の整備ということもあろうかと思います。それに運転免許制度にいろいろ工夫を凝らしまして、危険なドライバーを排除し、ドライバーの規範意識を高めるような教育のシステムを工夫してきたということもあろうかと存じます。さらにシートベルト着用等、ちょっと運転者に負担をしてもらえば社会損失を大幅に防ぐことができるというような仕組みに気づいて、その点の強化をしてきたということもあろうかと存じます。  そういったこととあわせまして、国際間で、この問題が一国の問題ではなくていわば地球的規模で対応すべき大きな問題だという意識が出てまいりまして、お互いにそれぞれのとりました効果的な施策を交換し合うというような環境もできてきだということが言えようかと存じます。私どものただいま先生指摘をいただきました交通事故総合分析センターはドイツの例に倣ったものでございますが、他方ドイツの方でも私ども事故防止施策から、やればできるということでいろいろな施策をくみ取っていただいております。  ということで、一九七〇年、昭和四十五年ごろに、いよいよ行政機関、民間その他いろいろな団体が一体となって、これは大変だという意識のもとにそれぞれ各国が努力をし始めたということとあわせて、各国間でそのノウハウの交換が始まったというようなことで、徐々に減少傾向にあるということなのではないかと思います。
  87. 小林守

    小林(守)委員 これからもそういう観点に立って相当深い分析というのですか、背景を分析していっていただくことが大切なのではないかな、そんなふうに考えるわけでございます。  もう一度、ドイツではその取り組みの成果があるのかどうかわかりませんが、七〇年代以降大体下降曲線をずっとたどっているわけですね。ドイツやイギリスはそういう方向なんですが、フランスもそうですね。しかし、日本が極度に八〇年代からまた上昇カーブに転じていっているということです。アメリカも、一たん全体的には減ってきているのですが、また上昇安定みたいな方向へ行っているわけですね。そういうことで、日本が特にそのカーブの変動が激しいわけなんですけれども、何か経済変動というか経済成長とか、そういうものに非常に連動しているのではないか、相関があるのではないかな、そのように思えてならいのです。  なぜアメリカ日本がほかのドイツやイギリス、フランスに比べて八〇年代以降また上昇傾向に転じているのか、それらについてどう認識されているのか、一つはお聞きしたいと思いますし、もう一点は、先ほどのお話の中で、ことしに入ってから一月、二月、三月とも前年よりは減少傾向にあるということで、明るい見通しというようなお話をされたわけですけれども、これらについては、そういう全体的な動きの中から考えるならば、いわゆる経済動向、不景気というものが大きな影響を果たしているのではないかな、それからほかに気象状況なんかも相当あるのではないかな、そういうことも考えられるわけですけれども、この二点についてどのように認識されているか。また、こういう観点に立って、交通事故総合分析センターはやはり相当のマクロの、ミクロもあわせたマクロの分析をぜひ進めていただきたいと思うのですけれども、どのように認識されているか、お聞きしたいと思います。
  88. 関根謙一

    関根政府委員 我が国におきまして、西ドイツのように常に下降傾向を示すという傾向ではなくて、途中からまた反転してややふえつつある理由についてどう考えるかとのお尋ねでございます。  私どもは、基本的には、自動車の増加台数それから運転免許保有者数等が非常に大きくなって、交通環境が厳しくなってきたということが大きな理由の一つではなかろうかと考えております。その理由と申しますのは、昨年の交通事故死者数は一万一千四百五十一人でございますが、この数字は、ちょうど三十年前、昭和三十七年とほぼ同数でございます。昭和三十七年は一万一千四百四十五人、六人の違いでございます。ところが、自動車台数を比べてみますと、昭和三十七年、三十年前は五百万台もありませんで四百七十万台余り、運転免許人口も千四百万人弱でございました。それが昨年は、自動車台数が六千六百万台余り、十三倍余りにふえております。それから運転免許人口も四・六倍、六千四百万人余りということで、まず客観的な条件が随分変わったということがあろうかと存じます。  そういったことで、条件が悪くなった、それにもかかわらず事故死者数が当時の増勢に比べればそう大きくふえていないという理由は、先ほど申し上げましたような、国際的なノウハウの交換でありますとか、関係省庁、各機関団体等と一体となったいろいろな施策が一応有効であったということの結果ではなかろうかと存じます。自動車一万台当たり死者数でありますとか運転免許人口一万人当たり死者数等を見てみますと、これは本当にはっきりするわけでございまして、昭和元年当時は、自動車一万台当たり五百二十人以上の死者を出しておりました。昭和二十年のころがちょうどその半分、二百五十人くらいでございます。そして平成四年、昨年は一・八人でございます。随分減ってきたということで、これは先ほど申し上げましたような努力の成果かと存じます。  それから、あと分析センターの活用と、景気あるいは天候と事故防止との関係いかんとのお尋ねでございます。まず、分析センターのマクロ分析の関係でございますが、これは道路に関するデータあるいは車に関するデータと運転者あるいは事故のデータとをクロス分析いたしまして、交通事故の原因を大きな傾向として把握するための分析を行うということをまず一つ行っております。それからもう一つは、ミクロ分析の方でございまして、これは事故がどういう具体的原因によって生じたかということを、そのドライバーの特性でありますとか車の特性でありますとか時間帯、天候あるいは道路状況といったものを個別に分析して要因を把握するという分析でございまして、こちらの方は平成五年度から作業を行うこととしております。その分析センターの事故分析が軌道に乗ってまいりますれば、先生お尋ねの景気との関係でありますとか気象との関係というのもだんだんわかってくるのかと存じますが、今のところは、余り景気との関係あるいは気象との関係をはっきり示すようなデータはちょっと手元にございません。  ただ、一般論として言えますのは、景気がよければ自動車はフル稼働をするであろうということで、事故の可能性も当然ふえてくると思われますし、他方、天気が悪くて滑りやすいというような状況下にあれば、道路条件が悪くなり視界も悪くなる等から事故がふえるであろうというようなことで、例えば昭和四十九年と前の年の四十八年との比較では、四十九年は大幅に事故は減っているというようなこともございますし、また一昨年でございましたか、東名高速道で二月中に随分多くの事故が起こりました。これは天候が理由でございました。それから、北海道で百八十台に余る玉突き事故でございましたか、そういうことが起こったのも天候が理由でございました。そういうことで、個別的には天候が悪ければ事故が多くなりそうだ、あるいはそういった個別の資料はございますが、全体的な傾向としてそういう傾向があると言い切るだけの資料は、今のところ手元にございません。     〔委員長退席、北川(昌)委員長代理着席〕
  89. 小林守

    小林(守)委員 平成五年度、今年度からミクロ分析も含めて相当研究が進むのではないか。その成果を生かして、やはり抜本的な経済社会への仕組みということも含めて交通安全対策の観点から変えていかないと、もう限界があると言っても過言ではないような感じがいたしてならないわけであります。例えば車一万台当たりの事故死者数を比べていった場合に、車がふえれば死亡事故もふえるというようなことになれば、じゃなくすためにどうしたらいいかというようなことになれば、じゃ車は制限するという単純なことに結びつくことになろうかと思いますが、そうはなかなかできないという問題があろうかと思うのです。いろいろな角度から、その相関の一番強い指数なり分野というか領域というものを、幾つかあるのだろうと思うのですが、やはりそういうところにメスを入れていく、対策をつくっていくことが大きな効果をあらわすのではないか。何かドイツあたりではそういうことを相当やっているのではないかなというふうに思えてならないわけでありますが、今後の研究の成果にまちたいというふうに思っているところであります。  続きまして、今回の道交法改正につきましては、先ほどもお話がありましたように、大変国民生活に直結するものでありますし、また国民の関心が極めて高いわけでございますが、第一点は、警察行政にかかわる法改正について、例えば昨年の暴対法のときなんかも強く感じたところなのですけれども、国会に出されるよりも、国会議員の方に示されてくる前にマスコミ発表がかなり先行しているようなことが見受けられるようでありますし、また、午前中の永井委員の御質問の中でも、最後の部分で触れられましたけれども、何が起こったから対応するという、機敏な対応といっていいかどうかわかりませんが、非常に細切れの法改正が積み重ねられているような気がしてならないわけであります。  例えば免許取得時の講習という観点に立って、交通安全対策という観点の中からとらえていった場合に、免許取得時の講習制度、こういうものを充実しなければならぬということになるならば、去年は原付自転車についての講習を義務化した、そしてことしは今出されているように普通免許及び二輪免許の際の応急救護処置に関する講習も含めて義務化したということなんですけれども、なぜそういうふうに二年度にわたって、免許取得時の講習制度充実するべきだということになるならば、全免許種類にわたって当然これは検討されるべき問題ではないのか。これを二年度にわたって細切れに出してくるということについては、法案の熟成と言ってはおかしいのですが、この点についてはこれだけ検討をして当面これでやっていくんだというぐらいの体系化されたものとしてやっぱり国民に示すべきではないのか。来年はこれに関連してまたこういうことが出てくるよう保だとか、これはちょっと問題ではないか。一定の定着をさせるためには五年なり十年ぐらいの、ちょっと長過ぎるかもしれませんが、一定の期間を持ってこの制度で当分やってみようというようなことが必要なのではないかと思うのです。  そういう観点に立ちますると、第一点は法改正についての法案の提示の仕方、提案の時期の問題ですね、これが大変我々地方行政部会の中でも問題になっております。これは交通関係の法律ばかりではなくて、警察行政全般にかかわるような法案の出し方にいろいろと問題が指摘されているところでありますのでその点と、もう一つは、この法改正についても細切れの問題について、特に去年どことしの分けて出した取り組みについて疑問に感じているところでありますので、お聞きしたいと思います。
  90. 城内康光

    城内政府委員 警察庁の関係の法律案の提示の時期の問題でございますが、やはりできるだけ早く御提出をいたさないと十分な御審議が願えないというようなことで、大変私どももその点についてはいろいろと作業をする際に考えてやっておるわけでございますが、一概には申せませんが、関係の向きとの相談とかあるいは内部におけるいろいろな検討とか、やはり国会に出すということの重みを考えましていろいろと慎重な検討をしておった、こういうことでございます。しかし、委員のおっしゃいますようなこと、私ども大変それは重く考えておりまして、肝に銘じていろいろとこれからやってまいりたいというふうに考えます。  それから、二つ目の細切れの改正ということでございます。実はこれも先ほども御答弁をいたしましたけれども、いろいろな事態が起きてくるものですから、その都度いろいろと改正をし、また改正したものについてはそれなりの効果を上げております。例えば暴走族に対する対処とか違法駐車に対する対処とか、あるいは車庫の問題とか、それぞれの成果を上げておるわけでございます。それについては先ほど細かく交通局長が答弁いたしましたので繰り返しませんが、そういうことでございます。しかし、委員のおっしゃいますように、熟成というお言葉を使われましたけれども、やはりまとめてやるということのよさというのは私ども十分わかります。そういった点も踏まえて、これからいろいろと私どもとしても努力させていただきたいと思います。
  91. 小林守

    小林(守)委員 重ねての質問はいたしませんけれども、そういう声が非常に強いということを重ねてお話をさせていただきたいというふうに思います。  それから、免許に関する事務が委託できるというような形の中で、今回の免許取得時の講習の問題が新たに追加されたり、あとは指定自動車教習所制度がより充実強化されるというようなことでしょうけれども、委託する運転免許に関する事務、これらについては区分がされているというようなお話を午前中聞きました。例えば、今回の普通免許や二輪免許の事務について講習を委託するという場合に、交通安全協会等が委託先として想定されているのだろうと思いますけれども、どのくらいの委託料になるのか。それから、交通安全協会というのは公益法人だと思いますが、これらについての行政の関与についてはどういう権限があるのか、これらについてお聞きしたいと思います。時間の関係で、できるだけ簡潔にお願いいたします。
  92. 関根謙一

    関根政府委員 講習の委託に関しましては、実費を勘案して定めることになろうかと存じます。応急救護処置の場合には一時間当たり一人千円前後、それから高速教習あるいは危険予知教習の場合には、自動車を使ったりシミュレーターを使ったりするということで二千五百円前後の値段になるのではないかと考えております。  それから、監督関係でございます。交通安全協会は一般的な公益法人ということで、民法の規定による所轄庁の監督に服するという関係にございますが、さらに今回の委託関係の場合におきましては、守秘義務でありますとか、法律が直接に規律をするという場面も出てまいります。いろいろな観点から公の行政の一部を担当することになるわけでございますので、厳格に公平に事務が行われるように、一般的監督の立場にある私どもとして十分心して運営してまいりたいと存じます。
  93. 小林守

    小林(守)委員 一人当たり一時間千円ぐらいというような実費の委託の基礎だというふうなお話がありました。一般的な公益法人だということでのお話なんですが、少し勉強させていただきたいと思いますけれども、民法三十四条の公益法人でよろしいですね。その場合、法的にどういう関与の権限があるのかどうか、お聞きしたいと思うのです。例えば地方自治法関係では、五〇%以上は議会への報告義務がある、二五%以上出資の場合は監査委員の監査権限がある、それから二五%以下の場合は出資の株主的な権限があるというようなお話だと思いますが、交通安全協会に対して、一般公益法人という形で民法三十四条ということなんですが、どこがどう権限を持ってどういう監査的な公表が保証されているのかどうか、その辺がちょっとわからないのです。  それともう一つは、交通安全協会といっても、地元の例でいいますと栃木県交通安全協会というのがあります。それから、私の地元の鹿沼市の交通安全協会というのがありまして、これは何か支部組織になっているのかどうか。ですから、その縦の関係でどこまでが法人の関係にあって、例えばその交通安全協会はもっと末端まで支部が結成されているのですよ。それらについてどういう仕組みになっているのか、法人としての範囲はどこまでなのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  94. 関根謙一

    関根政府委員 まず民法の規定による主務官庁の監督の関係でございますが、これは六十七条に規定がございまして、「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス」「主務官庁ハ法人二対シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」「主務官庁ハ何時ニテモ職権ヲ以テ法人ノ業務及ヒ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」というようなことがございまして、あと解散の関係ですとか、いろいろな主務官庁としての権限の規定がございます。こういう一般的な監督関係のほかに、それぞれの公益法人の規約、財団法人である場合には寄附行為、社団法人である場合には定款でございますが、そういったところの中に主務官庁の監督に服するような趣旨の規定が置かれております。ということで、監督関係はそのようなものでございます。  それから……(小林(守)委員「どこが監督するのですか」と呼ぶ)公安委員会でございます。これは、まず都道府県の公益法人、交通安全協会の場合には知事が監督の立場にありますが、それが、これは総理府令だったかと思いますけれども、事務の委任みたいなものがございまして、公安委員会関係の公益法人については、公安委員会がその監督関係については知事を補佐するという立場にありまして、そのいわば補佐権限ということで、知事が一般的に監督の立場にあるのでございますが、実際には公安委員会が補佐権限で監督をするという仕組みになっております。  それから、もう一つお尋ねの支部等のことでございますが、支部という仕組みはまずないのではないかと存じます。国に全日本交通安全協会という団体がございます。財団法人でございます。それから、都道府県に都道府県交通安全協会というのかございまして、これも全日本交通安全協会とは独立した一つの公益法人でございます。それから、警察署単位で交通安全協会というような任意団体もございますが、これは法人格を持ったものもありますし、そうでないものもあるということで、それは都道府県の交通安全協会とはまた独立したものでございます。
  95. 小林守

    小林(守)委員 そうしますと、委託先として取り扱えるのは法人になっている協会までだということでいいわけですね。ですから、任意団体の方については、あくまで免許に関する事務については委託がされないということでよろしいのですね。わかりました。その辺は、住民的な立場から見ますると何かよくわからぬ。交通安全協会、それそれの市町村段階まで下がっても、何かもうすべて事務が委託されているような誤解というか、そういう風潮というか、そういうものが十分流布されているような感じがいたしまして、その辺を明確に区分して取り扱っていただかないとちょっと問題を生じるのではないか、そんなふうに思われます。  続きまして、警察職員の定員についてお聞きしたいと思います。  交通警察官なんかの実態を見ましても、大変な過重負担を抱えられているのではないか、そのようにも言えるわけですけれども警察法五十七条の二項で「地方警察職員の定員は、条例で定める。この場合において、警察官の定員については、政令で定める基準に従わなければならない。」このように規定をされておりまして、その政令の警察法施行令の七条で、地方警察職員たる警察官の定員の基準が別表第一で示されているわけであります。ただ、この定員の基準というのは都道府県警察ごとの定員数を示すだけのものでありまして、その定員数の基準がどのように決められているのかわからないわけであります。そこで、定員基準の適正化とか公正化という観点を知りたいと思いますので、次の点について伺いたいと思います。  第一点は、この警察法施行が昭和二十九年なわけですけれども、その時点で都道府県警察ごとの警察官の定員の基準が示されたわけですが、それ以降どういうように定員の基準が変わってきたのか、また、変わったとすればどういう根拠でその定員基準が変えられたのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  96. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 都道府県警察ごとの警察官の定員の基準につきましては、各都道府県の人口とか面積あるいは地形、交通事情、さらには犯罪の発生状況、経済活動の状況、こういった治安に関係を有すると思われるさまざまな要素を総合的に勘案して決定されてきているところでございます。  お話のありました警察法が施行されました昭和二十九年には、全国警察官の定員というのはトータルいたしますと十一万三千七百六十人ということでございました。その後、その定員の基準といいましょうか、それぞれ増員措置がなされておりますけれども、それらについては、主にそのときどきの治安情勢というものを背景にいたしまして、それらを踏まえた形で増員措置がなされ、現在に至りましては二十二万一千八十五名、こういう数を数えているところであります。     〔北川(昌)委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 小林守

    小林(守)委員 それでは、警察官一人当たりの負担人口という観点に立って、最近五年間の動向についてどう把握されているのか、お聞きしたいと思います。
  98. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 警察官一人当たりの負担人口という一つの目安、メルクマールがございますけれども、これにつきましては、昭和六十三年の段階でとってみますと全国平均で五百五十五人でございましたが、平成元年には五百五十七人、平成二年が五百五十六人、平成三年が五百五十七人、平成四年が五百五十九人、こういうような動向になってございます。
  99. 小林守

    小林(守)委員 私が聞きたいのは、そういうことも一つの全体的な指標になりますけれども、都道府県別に特に重いところ、軽いところと言ってはおかしいのですけれども、要は一人の警察官が負担する人口が、例えば言われているように警視庁がそういう点では人数が一番少ないということなんでしょうが、逆に一人当たりの負担人口が多いところを都道府県別に何県か挙げていただきたいと思います。
  100. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 今お話ありましたように、警視庁の場合ですと二百八十七人ということで、負担人口としては全国で一番少なくなってございます。それに引きかえまして多いところということで、負担人口が七百人以上のところをとってみますと、北から青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長野、静岡、岐阜、三重、愛媛、この十五県につきましてはいずれも七百人を超えているという状況が続いております。
  101. 小林守

    小林(守)委員 今のとおり十五県については、どちらかというといわゆる人口の高齢化、過疎化、地域の問題が非常に課題になっているというようなところが警察官一人当たりの負担人口が多いということでありますけれども全国的に見た場合、例えば別の観点から、同じことにはなりますが、負担人口が警視庁の二百八十七人を一とした場合に、ほかの道府県についてはどのような指数になっているのか。  実は時間の関係で簡略にいきたいと思うのですが、私が聞いた範囲では、大体東京の警視庁を一とした場合に二・六倍それから七倍、二・八倍のところもあるようですけれども、その辺が先ほどのお話の負担人口の多いところと大体重なってはくるわけですけれども、そういう数字を資料としてはいただいているわけなのです。例えば負担人口の角度から見た場合、一対二・八というのは果たして適正な公正な人員配置なのかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  102. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、警視庁の負担人口の二百八十七ということでございますが、警視庁の負担人口が二百八十七であるから、これはそのほかの今お話のありましたような二・八倍になるとかそういうところの県に比べまして、じゃ警視庁楽なのかということになりますと、これは全くそうではないのでありまして、警視庁というのはやはり首都警察ならではの機能の分担をしておるということから、相当数の人員配置というものが必要になってまいろうというふうに思います。  いずれにせよ、先ほどもお答えいたしましたとおり、警察官の定員配置の基準といいますのは、その県におきます人口であるとか面積、地形あるいは経済活動の状況、犯罪情勢、交通事情、こういったもろもろの要素を総合的に勘案して決めていかざるを得ない。また、特にこれからの増員ということを考えた場合におきましても、やはり治安情勢というものを常に念頭に置きながら、それらを踏まえて、内部で合理化すべきものは合理化しながら、どうあるべきかという姿を模索していくことになろうかというふうに考えております。
  103. 小林守

    小林(守)委員 確かに御説明はわかるのですよ。しかし、一対二・八ということがどうなのかということについては答えられていないような気がするのです。総合的に考えなければならぬ、それはわかるのですけれども、実際に例えば定員基準を毎年検討されるときに、警官一人当たりの負担人口についてはすぐに資料が出るくらいデータはつかんであるわけですよ。そういうことで基準を決めていく場合に、また特定な要因によって、治安状況によって定員をふやしたり配分を変えていくというようなときに、この資料は、例えば負担人口については生かされているのか生かされていないのか、この辺をお聞きしたいと思うのです。
  104. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 負担人口の点につきましては、確かに適正な定員配置を考える場合の一つのメルクマールになるということが言えようかと思います。そして、従来私どもの方で増員の必要性を訴える場合に、確かにそれぞれの都道府県警察におきます負担人口というものを訴える際の柱にしてきた時代もありますが、昨今におきましては、むしろそういった面よりは、そのときどきのそれぞれの県の置かれておる治安情勢、警備情勢、こういったものをむしろ柱に据えながら説得力のある説明を行ってきておる、こういう実情にございます。
  105. 小林守

    小林(守)委員 単純に考えますと、一生懸命やって治安状況をよくして、交通事故の発生も少なくなってきた、それから犯罪も少なくなっている。そういうふうに、交通問題にしてもまたさまざまな防犯の問題にしても、一生懸命全県的に取り上げて頑張っているところは治安状況はよくなるわけですよ。そうしますると、そういうところは人的な配置では逆に加味されないというか評価されてこないような数値の構成になっちゃうのじゃないでしょうか。そういう形で治安状況だけで見ていいのかどうか。一生懸命やっているところを評価するというようなそういう視点については、極端に考えれば、努力すればするほど人数が少なくなるというような配置の仕方にいくのではないかなという心配があるのですが、いかがですか。
  106. 井上幸彦

    井上(幸)政府委員 おっしゃるとおり、私どもの現在抱えております警察官二十二万一千八十五人というのが、これが本当に今の治安水準を維持していく上において適正な数字であるのかどうかという場合に、必ずしもそうではないという面もあると思います。  しかしながら、現下の厳しい定員抑制の状況下においては、なかなか増員要求というのはままならないという実情にはございます。しかしながら、今後とも増員の機会というものがありますならば、今委員お話しになりましたような点というものもいろいろな角度から総合的に判断をして、やはり増員要求側としては説得力のある、またアピール力のある訴え方をして増員措置をとってもらう、こういうことになるのではなかろうかと思います。
  107. 小林守

    小林(守)委員 負担人口の数で見ますると、多い順から挙げてみますると埼玉県、次が茨城県それから我が栃木県なのですが、その次が群馬県、実はそのほかにも七百人台の県はあるのですが、まさに東京周辺の北関東の県、これがまさに負担人口が多いところなのですよ。そうかといって、治安状況がいいとか交通事故が少ないとか、これはむしろ逆に増加している傾向が非常に多いところなのですよ。埼玉なんかは相当ふえているのじゃないでしょうか。事故なんか一番多いくらいのところじゃないでしょうか。そういうことを考えますると、埼玉や茨城や栃木や群馬については、やはり相当治安状況上の課題が既にあると言っても過言ではないと思うのです。そういう状態が過去五年間にわたって放置されてきているというふうに言わざるを得ないと思うのです。千葉については、一時期非常に高かったわけですけれども、加配がされた形がとられたわけで解決はしているというか、かなり負担人口は下がってきているわけです。  そういうことを考えますると、特に東京を取り巻くところについては、このほかに例えば東京で国際的なイベント、外国要人が来るとか、それから皇室等の慶事、お祝い事、いろいろな行事についての警備、そういうことも東京では相当いろいろなことで大規模な警備体制がしかれるということになりますると、近県は便利なものですからどんどん動員されるわけですよ。そういうことが聞かされているわけであります。その実態等についてもぜひお聞かせ願いたいと同時に、実際にそういうふうに動員されますと、その間地域警察、これは住民にとって非常に大事な、また日本警察の根幹だろうというふうに言ってもいいと思うのですけれども地域警察そのものがおろそかにされている、手薄になってしまうというような問題が強く感じられるわけです。そういう点で、東京周辺の県につきましては、いろいろな意味での負担人口が多いということと同時に、動員されるという率が高いわけですよ。その辺について、治安状況上の理由が十分あるというふうに私は思うのですが、それらについてどういうふうに認識されているか、お聞きしたいと思います。
  108. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  東京は、先ほど来お話にも出ておりますように、首都という性格上、外国要人の来日や国家的な行事が大変多いわけでございまして、そのために大規模な警備を必要とすることがございますけれども、その場合でも、そのほとんどは警視庁だけの体制で対応してきているのが普通でございます。ただ、平成元年の大喪の礼、あるいは平成二年の即位の礼や大嘗祭でありますとか、そのときどきの情勢はございますけれども、特殊な大規模な警備のときには、関東近県だけではなくて全国的な規模で応援を求めて警備をやっているという状況でございます。  先生御懸念にございました、そのために応援に出した後の都道府県警察の方の後方治安のことはどうかという点につきましてでありますけれども、応援部隊は原則といたしまして機動隊とか管区機動隊とか、そういったものをもって充てておりますので、一般警察活動への影響ができるだけ少なくなるように配慮いたしております。
  109. 小林守

    小林(守)委員 時間が参りましたので終わりますが、東京を中心とした近県のそういう定員状況についてはどのように認識されているか、最後に国家公安委員長の方からお答えいただいて、終わりにしたいと思います。
  110. 村田敬次郎

    村田国務大臣 小林委員から先ほど来、非常に熱心な御質疑をいただいて拝聴しておりました。地方行政委員でもあり、また交通安全対策委員でもありますので、総合的な観点から非常にごらんになっておると思います。  まさに私は交通事故はそうだと思うのでありまして、非常に簡単な例えを申しますと、ABCDEというような定数と、それからXYZという変数との複雑な組み合わせだと思います。したがって、午前中の御質問でもございましたが、交通安全対策等の場合は総務庁が管轄をいたしまして、そして運輸、建設、自治あるいは大蔵、国土、いろいろな各省に関係ございます。したがって、総合的に見なければならない面があるので、この点は小林委員が御指摘されたとおりです。  特に、首都周辺の警備につきましては、先ほど来政府委員から熱心に御答弁を申し上げておりますように、首都であるという特殊性から、何と申しますか管区の警察の要員やいろいろなものを借りてくるわけでございますが、しかしそのために各県の治安状況が悪くならないように、そういう配備は警察庁長官のもとに精密にいたしておりまして、そういうことを総合的に考えながら交通安全そしてまた警察行政、そういうものに対応して  いかなければならないのではないかと思います。私も、御質問にありましたような点を誠意をもって対応したいと思います。
  111. 小林守

    小林(守)委員 終わります。
  112. 春田重昭

  113. 山口那津男

    ○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。時間も限られておりますので、私の方から応急救護処置について集中的に御質問させていただきます。  まず、今回の法改正で、応急救護処置を免許の取得時に講習を受けさせる、こういう制度改正をなされたわけでありますが、この普通免許及び二輪免許に義務づけた理由は何か、この制度の趣旨を伺いたいと思います。
  114. 関根謙一

    関根政府委員 応急救護処置の取得時講習を、普通免許及び二輪免許を受ける方についてのみ義務づけをした理由についてのお尋ねでございます。  この二つの免許を取得する方が最も交通事故に遣われる可能性が高いということもございますが、さらに理由を申し上げますと、例えば大型免許の場合は多くの場合、これは普通免許を持っているという人が取られるわけでございますし、大型特殊免許あるいは小型特殊免許等は、大型特殊免許の場合には大体普通免許を持っていると思いますし、小型特殊免許の場合には農耕作業用の自動車等でございますので、余り交通事故に遣われる機会も多くはなかろうといったような理由もございまして、まず普通免許及び二輪免許を得られた方から応急救護処置についての知識を得てもらうようにしたいという判断から、このようにお願いをしているわけでございます。
  115. 山口那津男

    ○山口(那)委員 現行法では、応急救護処置の知識、技能を普及させる、こういう法律上の根拠というのはなかったのだろうと思いますね。任意になされている部分はあったかと思います。そこで、今回それを法律で義務づけるようにした理由というのを改めて伺いたいわけですね。  あわせて、例えば指定自動車教習所におきましては、現行何らかのこういう応急救護処置についての教育がなされているとは思いますが、今回の法改正によって現行からどのようにこの教育内容が変わっていくのか。例えば教則本の内容が変わる、あるいはそれの教育方法が変わる、実技を取り入れるかどうかというふうな点も含めまして、あわせてお答えいただきたいと思います。
  116. 関根謙一

    関根政府委員 現在、応急救護処置について、指定自動車教習所等においてどのように教育が行われているかについてのお尋ねでございますが、これは教則本におきまして、一応心肺蘇生法でありますとか止血法についての記述、それから観察の方法ですとか寝かせ方といったようなことも記述がしてございまして、これを十五分から三十分程度座学として、一応の知識として持っていただくというような仕組みになっております。しかしながら、とにかく交通事故で心臓がとまったりあるいは呼吸が停止したりするというケースが多うございます。また、腕がもげて出血多量で亡くなるというケースもございます。そのような心臓が停止した場合、あるいは呼吸が停止した場合、これは五分間たってしまいますと脳が死んでしまいますので、その脳を生かすということで、まず人工呼吸と申しますか、他人が酸素を供給するように口から息を入れて脳を生かしてあげるという方法と、それから物理的に心臓を圧迫しまして血液を脳に供給して脳をとにかく五分間ぐらい生かすという方法、それから出血多量で亡くなることのないように直接圧迫止血法あるいは間接圧迫止血法ということで血液の流出を防ぐ。それもせいぜい五分間ぐらい待っていれば救急車がやってまいりますので、せめてそのくらいの期間素人でもできるように、そういう知識を持っていただきたいということでこういう仕組みをお願いしているわけでございます。  これは諸外国では、いわば市民としてのマナーというような観点から、広く一般にもそういう知識が普及するようなシステムがあるように聞いております。また、こういう運転免許の機会にこういう知識、技能を取得していただくようなシステムを持っている国としてはドイツがございまして、ドイツの場合には、免許取得時八時間ほどのこの種の心肺蘇生法等についての技能を習得していることを免許取得の条件としていると聞いております。
  117. 山口那津男

    ○山口(那)委員 念のために確認しますが、これまで応急救護処置については法的に義務づけるような規定はなかった、今回初めてこの義務づけが生じた、それに伴って新たに教育内容も一新、充実されて創設されたといいますか取り入れられた、こういうことでよろしいですか、念のために伺います。
  118. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおりでございます。
  119. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ところで、道路交通法七十二条一項前段に負傷者の救護というのが必要な措置の例示として掲げられておりますが、これについては、このような義務を負う者は運転者及びその他の乗務員、両方なのですね。罰則がこれにはつけられておりまして、運転者とその他の乗務員では罰則の重さが異なる、こういうことになっていますね。これは何ゆえそうなるのか。そして、それぞれのその救護義務の内容が異なることがあるのかどうか、この点を具体的に、その救護義務の内容を具体的にお答えいただいて、異なる点があれば指摘いただきたいと思います。
  120. 関根謙一

    関根政府委員 七十二条一項前段の義務は、運転者その他の乗務員に課せられております。しかし、これのいわば担保措置と申しますか不利益処分についての規定は、百十七条と百十七条の三に分けて規定されております。これは、昭和三十九年までは実は一つの規定でございまして、いずれも七十二条一項前段の規定に違反した者についての罰則が定められていたのみでございました。ところが、そのころからひき逃げ事件というのが多発してまいりまして、そこで運転者とその他の乗務員とでは責任の負い方が違うという議論が出てまいりました。そこで、現在の分け方でございますが、まず「人の死傷又は物の損壊があったとき」というのが七十二条の規定でございまして、そのときの救護その他必要な措置を講じなければならない主体は、車両等の運転者その他の乗務員でございます。そこで、百十七条の方では車両等の運転者についてのみでございまして……(山口(那)委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。その「車両等の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合」の義務違反についての罰則でございます。他方、百十七条の三の方は、まず運転者である場合には、物の損壊についてのその他の場合というのが入ります。それから、乗務員の場合には、人の死傷があった場合の救護措置というのも入ります。ということでまず区別がございます。  そして、運転者をそれではどうして重く罰するようにしたかというその思想の方でございますが、これは交通事故ということで、非常にその被害者にとっては生命の危険も生ずるというような事態があった場合に、その事故を引き起こした原因者である運転者、運転者としてはその被害者が医師なり救急車なりに引き継がれて確実な救護を施されるという保証が得られるまでその責任において事態を処理させるという思想で、その運転者について特に原因者という観点から、特に重い義務を課したものと理解をしております。
  121. 山口那津男

    ○山口(那)委員 救護義務の具体的内容について。
  122. 関根謙一

    関根政府委員 これはそういう思想からできているものでございますので、救急車なり医師なりに引き継がれるまでということで、まず引き継ぐような努力というのが救護義務の一つでございますので、いろいろな判例を総合的に分析してみますと、まず自分で医療機関まで運ぶということはこれに該当します。それから救急車を他人が呼んだ場合、この場合にはその被害者のそばにいて付き添うということをしていれば、この救護措置を講じたことになるというのが判例でございます。要するに、その被害者をほっておかない、あるいはそういう救護技術みたいなものを持っている人がそういう手当てをすればそれはもちろんそれでもいいということでございますが、とにかくその確実な救護が施されるという保証の得られるまでその被害者のそばに付き添うなり看護するなり、そういうことでその場を離れないということが救護の中身であろうと理解しております。
  123. 山口那津男

    ○山口(那)委員 しかし、法は文言上は救護しなさい、こう書いてあるわけですね。それをしなければ罰則を科しますよ、こう書いてあるわけです、文言上は。しかし、その救護義務の内容というのは、具体的に必ずしも明らかじゃないわけですね。今回の法改正によって応急救護処置というのがかなり教育される、普及するということに伴って、そういう技能、知識を身につけているんだから、なおかつ具体的な救護処置をとりなさい、これをとらなかったら罰則ですよと言われたんじゃ、これはたまりませんわね、運転者は。ですから、そうなってはいけない。つまり、作為義務を明確にするような法改正ではないということをはっきり確認したいということが一つと、そうであるならば、この救護義務というのが文言上構成要件の内容が不明確ではないか、こういう二つの点で問題があるように思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 関根謙一

    関根政府委員 まず最初のお尋ねの点でございます。応急の救護の技能について特に他の方よりもすぐれた技能を備えた人については特別の義務がかかるということにならないかとのお尋ねでございますが、これは現在でも、例えば医師の方が運転者であった場合にも別に医師が直接何らかの医療行為をするということまで義務づけるものでないということが、これは判例上確立しているということで、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、構成要件の点でございますが、これは先ほども申し上げましたように構成要件は百十七条の規定でございます。こちらの方は、昭和三十九年以来既に三十年近い長年月にわたる判例の積み重ねで中身は明確になっているものと理解しておりまして、今回この規定を直接触れることなく、ただ一般的に運転技能を持たれる方については、あわせて応急救護の知識、技能をも運転者のマナーとして備えていただきたいという仕組みを設けるのみでございますので、従来の百十七条の規定の解釈に何ら影響をするものではないと理解しております。
  125. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この点については、判例上確立したものあるいは安定した実務の運用があるのであれば、むしろ端的にそれを法文化するということでないと、ドライバーは判例がありますと言ったってわかりませんわね。ですから、そういう意味での救護義務の内容というものを明確にするということもひとつ御検討いただきたいと思います。  さてそこで、今回の救護処置の義務化に伴って漏れている点が三つあります。一つは、既に免許を保有している約六千四百万人余りの方々に対する講習を受けさせる機会というのが確保されてないということ。それから原付の場合は、これ取得時の講習はもちろん何ら応急救護処置についての講習の機会が与えられていない。にもかかわらず事故の件数というのは、平成三年の交通統計によりますと、原付一種で三万八千七百九十六件、原付二種で四千六百七十四件という数字が報告されております。これが直ちに人の負傷に結びついているかどうかというのは明確じゃありませんけれども、いずれにしても全く無視していいという数字ではないと思います。ですから、この点をどうするか。  それからもう一点は、今回の取得時講習というのは取得時に一回こっきりやればいい、こういうことですが、知識、技能というのは実際使わなければ薄れるということもありますし、それからその知識、技能が年々発展、より精緻になっていくということもありますから、再教育といいますか再講習の機会も考えなければいけないのではないか。そうした意味で、今回の法改正はかなり部分的で徹底を欠いている、こういうふうに思うわけであります。この応急救護処置というのは交通事故の負傷の救済ということに絞られてはおりますが、しかしこういう知識、技能を得るということは、一般市民からすれば幅広い応用のきく分野でもありますし、これを一般国民にもっともっと普及する必要があるだろうと思います。  それから、先ほどの七十二条一項前段、これはその他の乗務員にも救護しなさいという命令が課されておりますが、その他の乗務員は必ずしも免許の保有者とは限りません。ですから、こういう人にも救護しなさい、こういうふうに法律が書いてある以上は、運転者に限らず広く国民にこういう教育を施す、そういう必要性というのがやはりもう既に現行法にもあらわれている、こういうことであります。  今指摘しました三つの点について、義務化するかどうかはともかくとして、この教育の機会を確保する、この点についての大臣の御見解、当局の御見解を伺いたいと思います。
  126. 関根謙一

    関根政府委員 技術的な点でございますので、私からお答えをさせていただきたいと存じます。  御指摘は三点でございます。一つは、今後、これから免許を取得するドライバー以外の現に免許を持っている方々について、こういう救護処置の知識を得させる仕組みを設けたらどうかという点、それから原付の免許保有者についてもそうしてはどうかという点、さらに三点目として、一たん受けてしまえば後はいいという考えでなくて再教育も図ったらどうかとの御指摘かと存じます。いずれも大変ごもっともで、私どもも何とかそうしたいと考えているところでございます。  しかしながら今回、新規に運転免許を保有しようとする者からこういう仕組みを設けることといたしましたのは、まず何よりも、こういう仕組みを法律上初めて設けるということで、法律上に応急救護処置についての規定といいますか、そういうものが一般市民の義務あるいはよき運転者の義務として認められるような技能なのだということを明確にしたいというのが一点でございます。あわせまして、この波及効果といたしまして、一たび法律にこの種の規定が置かれますと、広く一般に応急救護処置についての関心も高まってこようかと存じます。現に、日本医師会の方々でもそのような点について御努力なさっておられますし、関係各省でも同様の動きを見ているところでございます。こういう大きな波及効果の中で、ドライバーのみならず市民のよきマナーとしてこういう急救護処置に関する知識、技能を身につけていだくという風潮といいますか、そういう動きがるようになれば、まあ第一段階と申しますか、ども期待するところの第一歩を実現できるもの大いに願っているところでございます。  それで、そうかといってそれに任せるというわけにはいきませんので、さらに私どもといたしましては、一般のドライバーの方々に対しましても、義務としてではなくても、何か任意講習の形ででも、御希望の方々についてはそういう機会を提供するように努力をしたいということで、今後検討してまいりたいと存じております。再教育あるいは原付免許の方についても同様に考えているところでございます。
  127. 村田敬次郎

    村田国務大臣 山口委員に、締めくくりという意味でお答え申し上げます。  今御指摘になられました三点については、政府委員から非常に周到な答弁があったとおりでございますが、私は行政というものの一番の原点は、人命を損傷する、人命を失うおそれのあることについてはできるだけ早く対応しなければならないという私自身の考え方をしっかりと持っておるつもりでございまして、これは全般のことについて適用されるわけでございますが、交通事故で亡くなる方を減らすために応急救護処置を広く国民に普及させる必要があるということは、もう深く認識をいたしておりますので、政府委員のお答えしたような全般的なことに従って対応していきたいと思います。
  128. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この応急救護処置の知識、技能を有するのは何も警察、公安当局の職員だけではございません。消防関係者あるいは一般に医師、看護婦等も広くそういう蓄積があるわけですから、関係機関と連携を密にしていただいて、ぜひこの制度の発展に努力していただきたい、こういうふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  129. 春田重昭

  130. 伏屋修治

    伏屋委員 山口委員に引き続きまして質問を申し上げます。  先般、警察庁の発表によりますと、交通事故死の二十四時間以内というものを三十日ということにした、その統計によると約二三%ぐらいの増加になるのではないか、こういうような報道がなされたわけでございますが、もう既に国際的には、人口十万人当たりの死者数を算出するに当たってはもうどの国も三十日以内、こういうふうな統計のとり方をしておるわけでございますが、なぜ今になって警察庁は三十日になったのかということをお尋ねしたいと思います。
  131. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のとおり、二十四時間以内死者数の統計とあわせまして三十日以内死者数の統計も作成することとし、あわせてこれを公表することといたしました。これは、国際機関との情報交換の際の基礎資料ということで、従来は推計値ということで一・三を掛けた数、要するに三〇%ぐらい多いのではないかということで、二十四時間死者数に一・三を掛けた数を日本国の三十日以内死者数ということで国際機関にお示ししたところでございますが、実数をとってみるということにしまして、実際の数字で諸外国との比較をすることができるようにしたいということでそのようにしたわけでございます。  これにつきましては、当委員会の諸先生を初めいろいろな先生方から御提言をいただいております。それで、その御提言がいかにももっともであると私ども考え、内部で十分検討いたしました結果、その御提案に従うべきだということでこのような制度をあわせてとらせていただいた、こういう経緯でございます。
  132. 伏屋修治

    伏屋委員 次に、外国免許の切りかえ制度についてお尋ねをしたいと思います。なぜ今こういうチェック制度導入するのか、そのあたりの理由等々をお聞かせ願いたいと思います。
  133. 関根謙一

    関根政府委員 現在、外国の免許証を持って日本の免許証に切りかえる方が年間に四万四千人ぐらいおります。それで、そのうちの四〇%が日本人で、日本人が外国に行って外国の免許を取得して日本の免許に切りかえるというケースでございます。残りの六〇%が、外国人が外国の免許を日本の免許に切りかえるという場合でございます。  それで、これらの事例のうち、例えば昨年の十二月一カ月間の警視庁管内での免許の切りかえ状況を見でみますと、二十八カ国ぐらいの免許証を持ってきた。これは日本人を含みますが、それで百五十件ぐらいのケースが、実際には運転できない人がそういう免許を持ってきているというケースがございまして、これは今のチェックの仕方では必ずしも十分でないということから、これからますます国際化が進み、外国の免許を持った方が我が国の免許に切りかえるという事態がふえてくるという見込みのもとに、しっかりした仕組みを設けさせていただきたいということで、今回このような案を御提案しているところでございます。
  134. 伏屋修治

    伏屋委員 国情も違いますし、また道路状況等々も違うわけでございますので、そういう面で、これで交通安全に本当に寄与できるのか、交通安全が確保できるのか、こういうような懸念を私は持っておりますので、そういう面でお尋ねいたしたわけでございます。  次に、九十七条の二の関係でございますけれども外国免許を有する者が免許を受けようというときのその条件として、いわゆる「運転することに支障がないことを確認した上で、運転免許試験の一部を免除することができる。」こうあるわけでございますが、確認の方法というのはちょっと言いにくいかもわかりませんが、どういうようなことをもってその確認にかえておるのか。
  135. 関根謙一

    関根政府委員 確認の方法は二段階ほどございまして、まず知識、技能を確認するという方法と、それから疑わしい場合に実際に乗っていただくという方法がございます。  知識、技能の点では、例えば交通標識を見せまして、この車はこの交通標識がある場合にこの道路を走っていいかどうかを聞いてみるというようなことでありますとか、こういう交通標識、道路標示の場合に車線変更していいかというようなことを、絵を示しながら簡単に聞いて知識の程度をはかるという方法が一つでございます。それからもう一つは、試験場での切りかえでございますので、実際に試験コースをちょっと走ってもらうということで、本当に乗れる人かどうかをチェックするという比較的簡単な方法でございます。
  136. 伏屋修治

    伏屋委員 交通に関する国際条約というのは、ジュネーブとウィーンと二条約があるようでございますが、ジュネーブ条約に加盟しておる国の者は、国外で一年間というのは運転できるということになっておるわけでございますが、ドイツの方が、今度EC統合によっての国内法整備によって、今までは日本人が行っても運転ができておったわけでございますが、条件として日本がそれを認めないということになれば、実技試験、学科試験あるいは応急救護処置あるいは省エネのそういう課題を課する、こういうことが日本に要望されたわけでございまして、そういう意味から今度はこういう改正ということも出てきたと私は思うわけでございますが、ドイツ以外の国にもそういうのは今まであったのかどうか、その辺お尋ねしたいと思います。
  137. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘の条約に絡む問題でございまして、ジュネーブ条約に加盟している八十六カ国につきましては国際免許証を発給できますので、その国際免許証を持ってくれば条約に従い一年間日本国で運転をすることができるという仕組みでございます。ジュネーブ条約に加盟していない国は、例えばウィーン条約に加盟している国である場合に、ウィーン条約の国際免許証を持ってこられても日本で乗るわけにいきません。  それで、従来はそのほかに免許の切りかえの仕組み、例えば御指摘のドイツの場合、ドイツの方が日本に来たときには直ちに日本の免許に切りかえるということができるようにしていたわけでございます。これは相互主義でございまして、逆に日本人もドイツに行って簡単に切りかえることができたわけでございますが、今回、御指摘のようにドイツの国内法が変わりましてそこが難しくなったということが、今回改正案をお願いしているその契機でございます。ドイツの場合には国際免許証を発給できませんので、ドイツの免許証を持ってくれば、それに翻訳文をつければドイツの免許証を国際免許証と同じ扱いをしますという対応でございます。あわせて、長期間日本に滞在するドイツ免許を持っている方については、先ほどの規定によりまして日本の免許に比較的簡単に切りかえることができるという仕組みを設け、他方ドイツにおいて、日本国免許証を持った人がドイツに行った場合には、同様の扱いをするというような仕組みを設けてもらうこととしたものでございます。  ドイツ以外に、ではそういう国を必要とするかとのお尋ねでございますが、現在までのところ免許の切りかえで対応できるか、あるいは国際免許証を持ってくればいいということで対応できるか、いずれにしてもほとんどの国が現在までのところは対応できますので、今のところこの規定の対象としようとしている国はドイツのみでございます。
  138. 伏屋修治

    伏屋委員 その今の免許の切りかえについて、百七条の二の関係のところでそれが明らかになっておるわけでございますが、その免許証を発給しでない国であってそういう日本語による翻訳文が添付された免許証を有する者は、起算して一年間運転ができる。そこには「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図る上で我が国と同等の水準にあると認められる運転免許」、こういうふうな条件がついておるわけでございますが、その水準をどこが確認するのかということが心配でございます。また、国によっては左側通行のところもございますし、右側通行もございますので、そのあたりのところをはっきりしておかないと、かえってそのことによって交通事故を多発するというようなことになりかねない、こういう心配もするわけでございますが、その辺はどうでしょう。
  139. 関根謙一

    関根政府委員 まず最初のお尋ねの点、すなわち我が国と同等の水準にある国という判断をどの機関が行うかという点でございますが、これは政令で定めることとしておりますので、内閣が判断するということに形式的にはなろうかと存じます。実質的には、運転免許行政について責任を持っております内閣の中の警察庁が実質的な判断を行うということになろうかと存じます。  それから、二点目のお尋ねは……(伏屋委員「それで結構です」と呼ぶ)どうも失礼いたしました。     〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
  140. 伏屋修治

    伏屋委員 そういうことで、我が国はジュネーブ条約に加盟しておりますので、八十六カ国どこへ行っても一年間というものは運転ができるということで旅行者の利便を非常に図っておるわけでございますが、そういう面から見まして、最近とみに国外運転免許証を受けるというのは一つの何かブームのような形になって、簡単な手続でそれがいただける、こういうことで非常にふえておるようでございます。平成三年度の数を見ましても三十二万人ぐらい、昭和四十年と比べるとすごいふえ方だな、こういうふうに思うわけでございますが、案外こういう人が海外に行って右左の通行帯に寄って、それが不明のまま信号の中で右折するところを左折してみたりというようなことで事故が多発しておるというデータも出ておるわけでございますが、大体その数がどれぐらい起こって、そういう交通事故を防ぐためにもっと具体的な施策を考えなければならないのではないかな、このようにも考えますので、その点あわせてお答えいただきたいと思います。
  141. 関根謙一

    関根政府委員 事例でございますが、外務省で出しております海外邦人援護関係統計という統計資料の中に、毎年度の海外邦人の自動車事故の状況が示されております。それによりますと、平成三年度は件数が百二十七件でそのうち死亡五十九人、負傷者百十九人、その前の平成二年度ですと百三十三件で死亡七十二人、負傷百二十六人ということで、大体過去五年間で見ますと、六十人から七十人ぐらいの方が毎年海外で自動車事故で亡くなるという数字を示しております。  そこで、海外に行かれる方に対する、事故に遭わないための具体的施策についてでございますが、例えば埼玉県警察とか高知県警察などにおきましては、海外において運転するドライバー向けのパンフレットを作成しておりまして、そのパンフレットの中でそれぞれの国の特性、右側通行の場合の注意でありますとか、マイル表示の場合の換算方法でございますとか、その他国に応じていろいろ注意すべき事項を示したパンフレットを作成いたしまして、そういうものを配っております。こういう事例も参考としつつ、海外に向かう邦人の方々事故防止の施策につきましても、今後前向きで検討を進めたいと考えております。
  142. 伏屋修治

    伏屋委員 より一層具体的な施策を進めていただきたい、こういうふうに考えます。  次に、運転免許に関する事務委託についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、総理府令で定める法人というのはどこを指しておるのか、お答えいただきたいと思います。
  143. 関根謙一

    関根政府委員 現在、公益法人その他の法人で委託に係る運転免許事務を行うのに必要かつ適切な能力を備えていると公安委員会において認める法人ということで考えております。  具体的に申し上げますと、これは各都道府県ごとで実情に応じそれぞれ異なると考えますが、例えば一番大きな事務では、免許関係に関するデータ、運転免許関係データのコンピューター処理というような事務がございます。こういった事務につきましては、コンピューター関係の企業に委託をいたしまして、そのかわり秘密にわたる事項が多いわけでございますので、守秘義務を厳格に守っていただくように監督をするというようなことでございます。それから、仮免許に係る事務等につきましては、指定自動車教習所が仮免許を出しているわけでございますので、指定自動車教習所にそういった事務は委託するということも考えております。それから、申請書の受け付けとか免許証の作成といったような免許の窓口事務につきましては、都道府県の交通安全協会でそういう事務を受けるにふさわしいところがあれば、そこに委託することも考えております。そういうそれぞれの法人を包括的に表現できるような規定ということで、先ほど申し上げましたような規定を考えているところでございます。
  144. 伏屋修治

    伏屋委員 午前中、永井委員からもこの点は指摘されたわけでございますが、そういう今お答えになった、それに該当するところは全国交通安保全協会ではなかろうか、このように私は考えますし、都道府県単位の交通安全協会だろう、このように思いますが、交通安全協会以外の法人にいろいろな事務委託をするというお考えはあるかないか。
  145. 関根謙一

    関根政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、コンピューター会社のような企業でございますとか指定自動車教習所といったような、これも企業でございますが、そういったところを交通安全協会以外の法人として考えております。
  146. 伏屋修治

    伏屋委員 そういう交通安全協会がさらにほかの団体に業務を委託するというようなことはあり得るか、もしくは、あり得るとするならばどういう業態にそういう業務を委託するのか、その辺も具体的に明らかにしていただきたい。
  147. 関根謙一

    関根政府委員 この事務の委託は法律の規定に基づくものでございますから、再委託というようなことは考えておりません。なぜならば、これは委託を受けた法人について守秘義務を課するというところが、今回お願いしている委託のシステムの大きな柱でございまして、守秘義務を免れるような、さらに第三の者に事務を再委託するということであれば、委託関係を破棄するということになろうかと思います。
  148. 伏屋修治

    伏屋委員 そういうことをお尋ねしましたのは、レッカー車等々も交通安全協会から委託を受けてレッカーしておる。また、これから出てくるところの違法駐車に対する車どめ装置、これをつけるのは警察署長となっておりますが、それは事実上はやれない、どこかへ委託するという形になってくると、委託のまた委託という形が生まれてこないか、そういうことを心配して私はお尋ねしておるわけでございます。  とかく今まで、いろいろさきに永井委員からも御指摘ありましたように、週刊誌等でかなり交通安全協会のことについていろいろな批判をしておるわけでございますし、現実に警察官をやめられた方々がそういうような部署についておられるというところから、そういう批判が生まれてきたのではなかろうかと私は思うわけでございますが、こういうような法人のあり方について、警察庁あるいは国家公安委員長がどのようなお考えを持っておられるか、その辺をお聞きして質問を終わりたいと思います。
  149. 城内康光

    城内政府委員 お答えいたします。  交通安全協会は、交通事故を防止するため、交通安全思想の普及、高揚を図り、交通秩序の確立と交通安全の実現に寄与することを目的として設立された団体でございます。民間の交通安全活動の中核として、これまで交通安全の啓蒙宣伝活動とかあるいは交通安全教育とかあるいは各種資料の作成、配布とか、そういったことについて大変実績のある団体でございます。今後とも私ども交通安全協会の活動がその設立の趣旨に沿って正しく運用されるように指導してまいりたいと思います。
  150. 村田敬次郎

    村田国務大臣 伏屋委員の先ほど来の質疑応答を、実に精密なものであると思いまして伺っておりました。  今長官からもお答えしましたような方向で、また全般について交通安全対策を一生懸命やりたいと思います。
  151. 伏屋修治

    伏屋委員 終わります。
  152. 永井孝信

    ○永井委員長代理 次に、辻第一君。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、過積載の問題に絞ってお尋ねをいたします。時間が短うございますので、どうか簡明にお答えをいただきたい。まず最初にお願いをいたしておきます。  昭和五十三年五月の参議院地方行政委員会の附帯決議で、道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、政府は「左の諸点に留意し、善処すべきである。」「積載制限違反等悪質な道路交通達反行為が、事業者、荷主等によって助長されている状況にかんがみ、すみやかに、これが防止のため労働条件の改善を含め、根源的、かつ、総合的対策を積極的に推進すること。」こういう附帯決議がされているわけであります。五十三年ですから、ちょうど十五年たつわけでありますが、基本的に状況が変わっていないな、このように考えるところです。過積載行為に対する警察取り締まりあるいは警察の権限あるいは罰則の適用、こういうものの強化で過積載の根本的な解決はあり得ないと私は考えるのですが、大臣の御見解を伺いたい。
  154. 村田敬次郎

    村田国務大臣 御質問の趣旨はよくわかります。  本改正案におきましては、車両の使用者、荷主等の背後責任の追及に係る規定の整備をお願いしているところでございますが、過積載が事業者、荷主等により助長されていることを防止するための根源的、総合的な対策につきましては、関係の省庁、これは実に広範でございますが、そういう総合的な対策を、各省庁と連絡をとりながら、今後ともこれを積極的に推進してまいる必要があると痛感をしております。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、大臣の御答弁で、背後責任の追及などということがありましたけれども、それは一歩前進として評価するものでございます。また、根源的に総合的な対策をとるということでございましたけれども、これまでの経過を見てまいりますと、本当に本気で政府がやろうとしておられるのか、疑問を抱かざるを得ないというのが偽らざる私の心境です。本当に根源的な総合的な対策をぜひやっていただきたい、まず最初に強く要望をしておきます。  まず、貨物自動車の過積載根絶のことでお尋ねをいたします。私は、三つのことを運輸省にお尋ねをいたします。  一番目は、荷主に対し出荷する貨物の発送重量を明記した輸送状の発行を義務づけ、運転者に携帯させること。二番目は、貨物自動車運送事業法制定に係る附帯決議に基づき、自重計の装着義務化を直ちに実施すること。三番目は、過積載を前提とした荷主の運賃買いただきを厳しく取り締まること。この三つの点で、御答弁をいただきたいと思います。
  156. 鈴木朗

    ○鈴木説明員 ただいまお尋ねの第一番目と第三番目の点につきましてお答え申し上げます。  私どもではトラック運送事業を所管している立場でございまして、このような立場から申し上げますと、トラック運送事業者の方が運送行為を行いますときには、運送約款というものに基づいて契約を結ぶわけでございますが、一般的に採用されているような運送約款を見ますと、実は今でも、運送人の方から荷送り人に対しまして貨物の重量を記載したような運送状の提出を求めることができる旨の規定がございます。ですから現制度でも、荷主さんからいただいた情報に基づいてトラック事業者が貨物の重量を把握するということは決して不可能ではないわけでございます。ただ、現実にその規定が活用されているかというと、なかなかそうはいかない。その事情をいろいろと聞いてみますと、荷主さんそのものが重量を正確に把握していない場合がございますとか、それから従来からの商慣習とか、あとは、日々無数の貨物の受け渡しが行われている、こういう実態からいたしまして、このような規定が十分に活用されていない面があるというふうに聞いておるところでございます。  したがいまして、このような約款の活用状況から見まして、輸送状の発行を法的に義務づける、こういうことを行いますと、荷主さんなりトラック事業者の双方にかなりの負担をかけるおそれがございますし、それから、正確なものを果たして書いてくれるかという点での実効性の問題が、ございます。それから、自家用車に対してどうするんだ、こういう問題もございます。したがって、現時点でこのようなことを法的に義務づけるということはなかなか難しい点があるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、運賃の問題でございますけれども、トラック事業者が健全に発展してまいりますためには、輸送のコストに見合った適正な運賃収受、これがぜひ必要でございます。そのためには、やはり何といってもトラック事業者の方々がそのような自覚に立っていただきまして、みずから運賃の適正収受に努めるということが第一番目に必要なわけでございます。したがって、運輸省といたしましては、定期的に監査を行いましたり、あるいは適正化事業実施機関を活用するなどによりまして事業者の方々の自覚を促す、さらに問題のある場合には是正指導を行う、こういうことを行ってきております。  さらに、運賃はトラック事業者の方と荷主さんとの間の契約に基づいて支払われるものでございますので、やはり荷主さんの側に正しいコストを負担する、こういう考え方に立って適正運賃の支払いに協力していただくということも大切でございますので、このような見地から荷主懇談会などを開催いたしまして、機会あるごとに荷主さんと事業者の適正な関係の確立に努めている、こういうことでございまして、今後ともこのような措置によりまして適正な運賃の収受ということに努めてまいりたいと思っております。
  157. 小杉昭夫

    ○小杉説明員 先生、第二点目に御指摘いただきました、平成元年の貨物自動車運送事業法制定に際しまして附帯決議がなされております。積載重量計の研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図ることという内容でございます。  この附帯決議を受けまして、私ども運輸省におきましては、関係者による大型トラック積載重量計調査研究委員会を設けまして、現在、ストレーンゲージ式及びマット式の積載重量計に関する調査、また実用化の可能性等についての検討を鋭意行っているところでございまして、この検討結果がまとまり次第、附帯決議の趣旨を十分踏まえまして所要の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、ダンプカーの問題に絞ってお尋ねをいたします。  警察庁お尋ねしますが、今ダンプカーはほぼ何台ぐらいあるのか、その大部分が一人一車という特有の業態であると認識しておりますが、いかがですか。
  159. 関根謙一

    関根政府委員 運輸省及び総務庁の統計によってでございますが、ダンプカーの車両は全国で八十七万台余り、その中でダンプ規制法の適用を受けるダンプカーの車両数は、平成三年末で全国で十七万台余りあると承知しております。  それから、それぞれの保有形態でございます。十七万台のうち五万六千台ほどの車、全体の三分の一ぐらいでございますが、これが保有者一人に一台。ただ、保有者の数からいいますと、全体の六六%が一人一車という形態になります。二台以上の者が三三%、車の台数とすれば三分の二ほどでございます。
  160. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、十七万台弱あるというお話でありました。そして、その多くが一人一車という業態ということでありますが、ダンプの労働者というのは本当に、社会資本の充実、土木建設の仕事で欠かすことのできない重要な仕事をされているわけであります。日本社会資本の充実、土木建設事業を正しく発展させるためにも、また労働者の生活や権利を守り、労働条件を改善するためにも、そしてこの委員会の任務であります交通安全を確保するためにも、合法的に経営が成り立つ、まともに仕事ができる、さらに言うならば、過積をしなくても営業できる単価の保障など、こういうことが極めて重要な課題であると考えるわけでありますが、大臣の御見解を伺います。
  161. 村田敬次郎

    村田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来、各省からもお答えを申し上げてますように、まさにこのダンプカーの過積載の問題は、運輸省、建設省それから総務庁、通産省等々、各省にまたがる総合的な行政が必要であると思います。過積載の根源的、総合的な対策の推進に当たりまして、関係省庁の連携のもとに、運転者が過積載をしなくても済むような措置について、今後真剣に検討をしてまいりたい、このように思っています。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ真剣にやっていただきたい、要望をいたします。  それで、いわゆる建設一般労働組合ダンプ部会というのがあるのですが、約一万人のダンプ労働者が参加をされております。この労働組合は「定量積載で生活できる単価を保障し、ダンプの過積載をなくし交通安全の確立を」、これがスローガンでございます。このスローガンを掲げて運動を進めておられるわけでありますが、私の知り合いにもダンプの運転手さんがおられるのですが、一人一車でございます。いわば一国一城のあるじというようなそういう存在でもあるわけでありますが、社会的に見ますと非常に厳しい存在なのですね。今の業界の仕組みの中で、非常に低い単価でありますから、結局過積をせざるを得ないという状況、しかも朝早くから夜遅くまで長時間過密の労働ということでありました。奥さんも心安いのですけれども、お父ちゃん朝早うから出て遅う帰ってくるのですが、もう事故起こさないか、警察に捕まらへんか、心配で心配てしょうがないというお話を聞くわけですね。それだけ気張って家一軒でも建ったのかというと、余り変わらぬのですな。それだけ頑張って、今さらかわりの仕事にはよう行かぬという話ですな。頑張っているけれども、あのダンプカーというのは高いのですな。ですから、そのリースや借金でやめるにもやめられへんというようなお話も聞くわけであります。  まあ大変なことだなと私は思うのですが、そういうダンプの過積載根絶のためにぜひやらなくてはならない重要な課題、二つ申し上げたいと思うのですが、一つは、公共事業における砕石、砂、生コン、骨材など骨材製品の発注単価を定量運搬を前提とした単価とすること。二番目は、政府が公共事業現場で残土運搬におけるゼネコンの不当な低価格取引をやめさせ、ダンプ労働者に必要な、殊にダンプ持ち労働者に必要な適正単価が支払われるよう指導することということであります。  そこで、この問題で具体的にお尋ねをするわけでありますが、私がダンプの労働者などからいろいろ聞きまして調べた結果でありますが、去年の四月現在の全国的な平均といいましょうか、公共事業で残土の常用単価ですね、一日八時間労働で大体六・一立米で五万五千円というのが平均であります。そこのところは多少上下があるわけでありますが、この単価は燃料やタイヤや減価償却費、労働賃金、そういうものを積み上げて計算されているということであります。ですから、これは当然ダンプ労働者に全額払わなくてはならない内容のものだと考えるわけであります。ところが、ダンプ労働者に払われる実際の額は、一日八時間で大体三万二千円前後ということなんですね。こうなりますと、車の償却それから油代、タイヤの損耗、そういう諸経費を引きますと、とてもやっていけないということなんですね。五万五千円払わなくてはならないものが三万二千円しか払われていないというのはとんでもないことだと思うのですが、そういうのは今の業界の仕組みの中に問題があると思うのですが、建設省、どのように理解をされ、どのように対応されようとしているのか、まずお尋ねをいたします。
  163. 城処求行

    城処説明員 まず、公共工事の発注に際しましての単価の考え方について御説明申し上げます。  公共工事の発注に際しましては、予算決算及び会計令によりまして、取引の実例価格に基づいて予定価格を定めるということに規定されております。したがいまして、工事の積算に用いる資材価格は市場価格を用いることといたしておりまして、公益法人が発行します物価資料あるいは公益法人に依頼した調査結果に基づいて市場の実勢価格として定めているところでございます。  なお、一般的にはそういうことでやらしていただいておりますが、もう一つお尋ねの、工事現場からの発生土の件でございましたが、発生土を運搬する場合には、適正な積載量というものを前提にいたしまして、指定された処分地までの運搬距離でありますとか交通条件を考慮して運搬費用を定めているということで、適当なものではないかというふうに考えております。     〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 私のお尋ねしたことに適切に答えていただいてない。もう時間がないので結構です。また後でもう一遍お尋ねいたします。  それから、骨材の実勢単価方式というのは、私は見直すべきではないかということなんであります。市場で現在幾らで取引されているかを調べ、それに基づいた発注単価を決める、それは建設物価とかあるいは積算資料とか、そういう調査の本が出て、それをもとにしてやっておられるようでありますが、九二年十月で砕石五号の立米当たりの単価、現場持ち込み価格は東京都内十七区で三千九百五十円、土場渡し価格は東京青梅市で二千三百円。これで東京都内十七区に運んだ場合、十トン車に十トン積むということにいたしまして、一立米当たりの単価が千六百五十六円なんですね。比重が丁六で計算しますと、一台十トン積んで六・二五立米、一万三百五十円になるのですね。大体これくらいの数字ですね。  ですから、青梅から東京までというのは大体一日二往復しかできないということでありますので、十トン車で十トン積んで走っても一回一万三百円ほどですね。ですから、二回走っても二万円ちょっとしかならぬですね。これでは、自動車の償却から燃費から言えばもう本当に収入がないということなんですね。そこでどうなるかということでありますが、まず、長時間働くということになりますね。もう一つは、過積みということになもわけであります。ですから、この実勢単価で計算をしますと、それは業者として成り立つためには過積みをしない限り成り立たぬということなんですね。ここに根源的な問題があるわけであります。これはこういうことですね。  それから、運輸省にお尋ねするのですが、後で建設省に御答弁いただきたいと思うのですが、運輸省は羽田で今沖合の工事をやっておられますね。ここのところで砕石を運ぶのですが、主に栃木から運んでおられるようであります。栃木に一番大きい採石場があって、近くは採石するところがなくて、そこから運んでいるのが非常に多いというのが実態だそうであります。そうなりますと、羽田でこの実勢価格、去年の十月で大体二千九百五十円、これは大体間違いないと思います。私いろいろと確かめたのですが、栃木の山元では千四百円、差額の千五百五十円が一立米当たりの運賃単価ということになるのですね。ですから、結局その差は九百三十九円ということでありまして、十トン積んでも九千三百九十円しかならない、こういうことなのですね。  こうなりますと、運輸省がダンプ労働者に払われる単価が非常に話にならぬですね。これで、大体栃木から羽田までは一日一回半行けないというふうに聞いていますね。それも朝早くから走って、そして前の日にまた遅く荷物を積んで、そういう形でやってもそれぐらいしかならぬ。必然的に過積載になるわけであります。これ、どうするのですか。まず運輸省、これどうするのですか、実際。
  165. 高橋誠

    ○高橋説明員 お答えいたします。  運輸省が実施をしております羽田空港の沖合展開事業に関連いたします砕石の単価の御質問でございますけれども、運輸省といたしましては、この羽田の沖合展開事業を実施しておりますけれども、私どもが工事の実施で使用いたします砕石を初めとする建設資材につきましては、その資材の単価につきまして、先ほど建設省の方での御答弁もございましたけれども、公益法人へ調査依頼をいたしまして、市場の実勢を踏まえた価格調査の結果をもとに発注しておるところでございます。
  166. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間がないので、まことに申しわけないけれども、そういうことはわかっているのだから、この実態をどうするのですか、そういうことを聞いているのです。どのように、そこのところだけちょっと答弁してくれますか。あなたのところの実勢価格でやった基準でやれば、それは一・半往復してもそれはもうほんのわずか、もう収入はほとんどないのですよ。そうなれば過積載しなければ成り立たぬじゃないですか。あるいは一日十八時間ぐらい働かにゃ成り立たぬじゃないですか。だから、具体的にこの問題をどう解決をされるのかということなんです。
  167. 高橋誠

    ○高橋説明員 私どもが採用しております建設資材の単価につきましては、先ほど先生がおっしゃられたのとほぼ同額の単価を積算に採用しております。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 それなら建設省にお尋ねします。これは先ほど言いました、建設省も同じことですね。実勢単価でやる場合はこういうことが起こります。あるいはちゃんと、この常用単価ですか、そういうことで言えば平均五万五千円ぐらいと言われているのが、実勢では三万二千円しか与えられない。これは言うなら元請、大手ゼネコンからもう多層の下請になってきて、下の段階ではこういうふうに約束された値段からはうんと減るわけですね。そういう中で過積をしなければ営業ができないというのは、もう小学校の六年の子でもわかりますがな、この計算。これ、どないするのですか。
  169. 風岡典之

    ○風岡説明員 お答えいたします。  私ども建設業者を指導、育成する立場にございますけれども、元請の建設業者とダンプ事業者の方々との間の契約ということになろうかと思います。この問題は、基本的にはもちろん民間同士の契約ということになりますが、私どもとしましても、建設工事を適切に実施するという観点ももちろんございます。それからまた、今御指摘のように過積載を避けるという目的もございますので、建設省といたしましては、実態を踏まえながら両当事者間で適正な契約が行われるように、建設業者団体を通じまして建設業者の指導というのを行ってきておりますし、ただいまいろいろ御指摘をいただきましたので、私どもさらに関係省庁とも相談をしながら指導をしてまいりたいと思っております。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変きついことを申しますけれども指導指導と言うのですが、実際実効が上がってないのですね。いつもそういうことがずっと続くのですよ。僕も嫌になるほど指導という話を聞いて、実態がよくならないということを長年の経験の中で感じますので、本腰を入れてやっていただぎたいということであります。  これは要望だけしておきます。総務庁、警察庁、通産省、運輸省、建設省、それに農水省も入っているのですかね、五十二年度に道交法改正に際して過積載防止対策関係省庁連絡会議というのをつくられていますね。それから、五十六年と六十一年に申し合わせ事項というのがあるのですが、それは詳しく申し上げることができませんですけれども、その中に、川でいえば上流じゃなしに下流、その砕石などを受け入れる側、そこに過積をした車が行った場合にはそれは買わないようにするとか、受け入れないようにするとか、そういうことがうたわれているのですね。上流だけではなしに、この下流の対応も十二分にやっていただきたい、これは要望だけをしておきます。  最後でありますが、先ほど来申し上げましたようにダンプ運転手さん、定量の積載で十分営業が成り立つ、生活ができる、こういう状態にならない限り、ここのところを解決しない限り、今のような現実に合わない実勢単価をもとにした単価、これは過積載せざるを得ない理由、内容ですね。過積載を前提にした単価と言っても言い過ぎでないと思うのです。あるいは悪い言葉で言いますと、ゼネコンがピンはねというのですか、順番にピンはねしていって、実際労働者に渡るのはもう六割ぐらいだ、これではまともな仕事ができるはずがないわけですね。ここのところにどうしてもメスを入れるということで、何回も言って、大臣、同じことばかり言ってるなというような顔をしておられるような気もするのですが、本当にここのところにきちっとメスを入れる、根源的に総合的なここのところでなにをやらない限り、これはいわゆる取り締まる権限の強化や罰則の強化だけでは解決しない問題だ、私はこう考えるわけであります。  そういうことで、きょうは修正案を提案させてい。たたいて、もう罰則の強化、こういうことはやめて、これまでどおりやってくれということを私は申し上げたいわけでありますが、その点について御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  171. 村田敬次郎

    村田国務大臣 運輸省、建設省等から、この積算の根拠等について詳細なお話がありました。辻委員の御指摘になられる点は、その積算の根拠と実態とが随分異なっているじゃないか、これでは過積載がなくならないのじゃないかということを御指摘になっておられると思います。  罰則の強化だけで解決しないことはよくわかっておりますが、総合的な問題としてこれからよく考えなきゃならぬと思います。ただ、国家公安委員長としてお答えできるのは、過積載運転は事故発生時の被害が甚大なものになりやすい危険な違反だから、現在においても何人も過積載運転をしてはならないということがはっきり決められておるわけでありまして、過積載の総合的対策を進める上で過積載運転に対する罰則の強化も欠かすことはできない、こういうふうに考えておりまして、総合的な問題につきましては関係各省でよく話し合うようにしたいと思います。
  172. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうもありがとうございました。
  173. 春田重昭

    春田委員長 柳田稔君。
  174. 柳田稔

    柳田委員 まず最初に、救急バイクについてお尋ねをしたいと思います。  消防庁、日ごろ昼夜問わず、数の少ない中と言ったら語弊があるかもわかりませんけれども、大変頑張っていられること、心から敬意を表したいし、我々としてもいろいろな面で協力をしたいというふうに思っているわけであります。  最近、救急バイクというものが出てまいりました。患者さん、けが人とかさらには病人、一分でも一秒でも早く行ってそれなりの知識を持った人が冷静に適切に処置してあげるということは、人命を守るという立場からも大変必要なことだろう。そのために救急車、いろいろなところに整備をしながら、できるだけ早く着こうという努力をしているというのもわかるわけでありますけれども、最近の交通事情を見ておりますと、やはり自動車よりもこういうふうな救急バイクの方が少しでも早く着けるのではないかな、そういうところも多々あるかというふうに思うのでありますけれども、この救急バイクについて消防庁としてどのような認識を今お持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  175. 海老忠彦

    ○海老説明員 お答えを申し上げます。  消防機関の行います救急業務におきまして、緊急通報後できるだけ迅速に救急現場へ到着することは、傷病者の救命という観点から重要なことと認識いたしておりまして、救急隊としても最善の努力を傾注をいたしているところでございます。  救急バイクの配備が救急現場への到着時間の短縮を図り、応急手当ての早期開始を図るという上で一つの試みであるということは十分理解をするところでございますが、救急バイクを配備いたしますためには、現行の救急隊に加えまして相当の増員が必要になるのではないかということ。また、オートバイに積載可能な食器材によりどの程度有効な応急手当ての実施が可能か、どの程度現場到着が短縮化され、救急効果の改善に資するのかといったようなことなどにつきまして、現在のところまだ十分な分析、検証が必要な状況というふうに考えているところでございます。したがいまして、現時点におきましては、東久留米市におきますところの運用状況とか、あるいは日本交通科学協議会で行っておられる試験走行事業というものを見守っているところでございまして、全国的な活用ということについて指導する段階にはまだ至っていないものというふうに考えております。  なお、消防庁としては、救急隊到着前におけるいわゆる空白の五分間というものに対応いたしますために、住民に対する心肺蘇生法などの全国的な普及啓発活動というものに積極的に取り組んでいくということにいたしているところでございます。
  176. 柳田稔

    柳田委員 今救急バイクについては、東久留米市ですか、実際に行われておるこの様子を見たい、また、消防庁としてこの救急バイクを全国的に導入というふうになれば増員とか器材とか、また本当に早く着くのかという分析がまだ進んでいないというふうなお答えでありました。  増員ということにまで私は踏み込んで言うつもりはないのですけれども、常識で考えて、渋滞の道路を走るときは車よりオートバイの方が速いというのは確かでしょうし、また、いざとなったときに我々素人が例えば何かしょうとしてもまず手も出ないだろう、あたふたとして消防署に電話をして、早く助けてほしい、来てほしいと言うのが関の山じゃないかなと思うのです、もし私がやったとしてもですけれども。そういうふうなことで、先ほど最初に答弁があったとおり、できれば一分でも一秒でも早く行って、適切な判断のもとに処置ができる人が行った方がいいわけですよね、これだけは。となれば、進めていった方がいいのではないかな。消防庁の方にお話を聞きますと、今そういうバイクではなくて救急車の体制でいろいろなことを考え合わせながら進めておるのでというお話もあったのですけれども、現段階では私自身としてはこの救急バイク、導入とは言いませんけれども、使った方がさらに人命を助けるという意味からはメリットがあるような気がするのです。  私としては、先ほど申しましたように、消防庁として全国展開をして導入指導しなさいと言う気持ちは毛頭ないのでありますけれども、ただ、今東久留米市で救急バイクが走っております。道交法を見ますと、この救急バイクというのは、救急車両というのですか、これには認定をされておりませんということで、制限時速以内で走らなくてはならないし、信号も守らなければならない。となれば、余り意味がないし、逆に持っておる利点を殺すことにもなるのではないかな。ということで、この救急バイクをできれば普通の救急車両と同等に道交法上としても位置づけていただければ、消防庁が全国的に展開しようというのではなくて、各地方自治体がやってみよう、そのときにはこういう道交法上救急車両として同じように走れるから、一分でも一秒でも早く患者のところに行けるではないかということにも相なるかというふうに思うのです。だから、消防庁としてやれというのではなくて、こういうふうな救急バイクを道交法上救急車両というふうに認めてもらうというのは一つの大きな意味があるかと思うのですが、その辺は消防庁としてはどのようにお考えでしょうか。
  177. 海老忠彦

    ○海老説明員 お答えいたします。  この救急バイクの道路交通法上の取り扱いの問題についてでございますが、消防庁といたしましては、現在のところ全国的な活用という指導については先ほどお答えしたとおりでございますが、消防本部によりましてはこの救急バイクというものの運用を試みたいという場合も考えられるところでございますので、このような場合に緊急自動車としての運行が可能となるような措置が講じられますように、警察庁の方にも要請をいたしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  178. 柳田稔

    柳田委員 地方自治体が率先して自分たちの力でやりたい、その一つの壁がこの救急車両でないということもあるわけであります。  そこで、警察庁お尋ねしたいのでありますけれども、この道路交通法上、今の段階は合法でない。もし合法にしていただければ、本当に一分でも一秒でも早く着けるということも御理解は賜われるかと思うのですけれども、これを救急車両に指定をするということについては、警察庁としてはどのようにお考えでありましょうか。
  179. 関根謙一

    関根政府委員 先ほど来消防庁からお答え申し上げておりますとおり、現在は東久留米市のオートバイのみでございまして、これは道路交通法の施行令十三条の規定によりましては、「傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有する」救急用車両には該当しないということで、「消防のために必要な特別の構造又は装置を有するもの」に準ずる扱いとして扱っているように聞いております。  しかしながら、ただいまの自治省の御答弁にありましたとおり、もしこれを緊急自動車としたいという御要望があれば、前向きに検討してまいりたいと考えております。
  180. 柳田稔

    柳田委員 先ほど消防庁の方のお答えの中で、そうさせていただければありがたいのではないかという御答弁があったわけでありまして、警察庁としても今御答弁があったように前向きに検討したいということでありますけれども大臣、突然振ってはなんでございますけれども、どのように御判断されますでしょうか。
  181. 村田敬次郎

    村田国務大臣 御質問でございます。  私は、自治大臣でもあると同時に国家公安委員長でもあるわけでございまして、消防庁の申し上げたこととそれから警察政府委員の申し上げたことが若干まだ間があるようでございますね。ですから、この両者を判断して対応していきたい。東久留米市の事案は聞いておりまして、それをよく見ながら、実態を見きわめた上で決断をいたしたいと思います。
  182. 柳田稔

    柳田委員 予算がとまったときに、ある方が、前向きにという言葉を入れれば動いたというのがありましたけれども、できればこれも前向きにやっていただきたいと思います。  では次に、救急蘇生法の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  今回、応急救護処置の講習の義務づけというものがありまして、局長の御答弁では、よきドライバーのマナーを身につけることがねらいでありますというお話もありました。道交法の第七十二条一項とのかかわりについて、この七十二条一項はいわばひき逃げ防止をねらったものでありまして、当事者の救護処置まで義務づけるものではないというふうな御答弁もありました。私も七十二条を読ませていただきました。法律の専門家ではなく、私は工学部出身なので専門家ではないのでありますが、七十二条を素直に読んだ感想を申し上げますと、まず第一項の前段、これは救護処置の義務づけそのものである、そして後段が当局のおっしゃったひき逃げ対策に当たるのではないか。前段に義務づけをすると書いてありますので、素直に読めばそのようになるのではないかと。  この罰則規定についても百十七条で規定をされておりまして、つまり前段の救護処置の義務づけについて、「第七十二条第一項前段の規定に違反したときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」さらに第百十七条の三でも、「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と書いてあるわけですね。後段についても同様に、罰則規定が百十九条一項の十とか第百二十条一項の十一の二というふうに規定をされておるのです。局長の御答弁と私が法案を素直に読んだ感想と違うのじゃないかな。法律上はしっかりと救護処置の義務づけが書いてあるのに、これはそうじゃなくてひき逃げ防止をするためでありますというのは、先ほどの大臣の御答弁じゃないのですけれども、少し乖離があるのじゃないかなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  183. 関根謙一

    関根政府委員 先生お尋ねは七十二条の、車両等の交通による人の死傷があったときは、当該車両の運転者その他の乗務員は直ちに負傷者を救護し、その他「必要な措置を講じなければならない。」という規定を素直に読めば、救護を義務づけているのではないかとの御指摘でございまして、これはまさにそのとおりでございます。  問題は、救護義務のその救護の中身でございまして、これは判例でもう既に固まっているように考えております。救護の中身は、みずからその被害者に手当てをするということももちろん救護の一種ではございますが、救急機関あるいは病院等に直接負傷者を運ぶことでありますとか、あるいはそこに電話をして、あとはその被害者のそばに付き添うということも十分この救護をしたことになるということが従来からの判例でございます。でございますので、いわば救護の解釈の問題ではないかと存じます。  それから、ひき逃げという言葉の用法でございますが、これは先生指摘の百十七条の規定、ここにあります「車両等の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、第七十二条第一項前段の規定に違反」する行為をしたとき、これをひき逃げということにしておりまして、ひき逃げに対しまして当て逃げという言葉がございます。当て逃げというのは、物の損壊があった場合に必要な措置を講じないで、つまり七十二条一項前段の規定に違反する行為、これを当て逃げと言っております。一種のトートロジーみたいなものでございますが、ひき逃げというのは七十二条一項前段の規定に違反する行為ということでありますので、前回そのようにお答えしたところでございます。
  184. 柳田稔

    柳田委員 今判例があるとおっしゃいましたけれども幾つぐらい判例があるのでしょうか。
  185. 関根謙一

    関根政府委員 数を直接数えたわけではございませんが、昭和三十九年以来この種のひき逃げ事件というのは非常にたくさんございまして、その都度、地方裁判所段階あるいは高等裁判所段階、場合によっては最高裁判所段階等でいろいろな解釈がされておりますが、基本とするところは、先ほども申し上げましたように、まず被害を発生させた原因者である運転者にその被害者の生命、身体を守るべく一定の義務を課しているわけでございますが、その義務の中身といいますのは、あくまでも医療機関あるいは救急隊等の機関にその被害者をゆだねるまでの間、その被害者のそばに付き添う等所要の措置を講じていることというほどの趣旨でございまして、そこから立ち去ることを禁止している趣旨というように理解しております。
  186. 柳田稔

    柳田委員 多分判例はほとんどひき逃げだろうと思うのですし、さらに、多分刑事上の訴訟かと思うのですが、民事でもこういう判例はあるのでしょうか。
  187. 関根謙一

    関根政府委員 民法七百九条の関係では、私の詳しく存じていないせいもあろうかと思いますが、少なくとも何らかの応急手当て、この七十二条一項前段の規定に基づき救護の措置を行ったために損害賠償請求をされたという事例は承知しておりません。
  188. 柳田稔

    柳田委員 多分それは救護処置ですね。  そっちの話に移しますけれども、それが原因でお亡くなりになったと、もっとさらに重体になったということを証明するのが難しいから、多分訴訟まで踏み切っていないのではないかなと思うのです。通常ですと、何もこういう知識のない、要するに救護処置の知識のない我々はぼうっと見ていてすぐ電話する、まあそれでも許されるかと思うのですけれども、例えば当事者が医者とか、そういうふうに知識のある人、資格のある人、その人がそこにいて何もせずにただ電話して見ていたという場合は、その場合でも何にも責任を問われないのでしょうか。つまり、刑事上しゃなくて民事上でもですよ。
  189. 関根謙一

    関根政府委員 まず、先ほどの道路交通法百十七条の規定に基づき責任を負うということはないと考えます。これは医師であろうと、その他の一般の知識しか持たない方であろうと、とにかく運転者として医療機関等にその保護をゆだねるまでの間、誠実に付き添い等をするということであれば、この規定違反にならないと解されるからでございます。  それから民事上の方でございますが、これは特別に医療行為を行うとの契約関係にはないわけでございますので、そのことをもって直ちに民法七百九条の規定による損害賠償の請求を受けるということはあり得ないと考えます。ただ、交通事故を発生させたという加害者たる立場で、不法行為者でございますから、そちらの立場では損害賠償請求を受けるということは十分あり得ることであろうと存じます。
  190. 柳田稔

    柳田委員 多分法制局ともいろいろ詰めていらっしゃるかと思うのですが、私が法制局に聞いたところでは、本人の能九に応じて問われますと言われたのでありますけれども、法制局とはこの辺の問題、責任ですね、本人の能力に応じて責任を問われると法制局は言われているのですけれども、どういうふうに言われておりますか。
  191. 関根謙一

    関根政府委員 法制局でどういう立場の方がどういう見解に基づいてそのようにお答えになったのか、定かではございませんが、その法制局の責任ある方がそのように答えられたというのであれば、私どもといたしましてもその見解を十分検討してみたいと存じます。
  192. 柳田稔

    柳田委員 詰められていないのですか、法制局とは。
  193. 関根謙一

    関根政府委員 もちろん、この点につきましては検討した上でこのような案をつくっております。
  194. 柳田稔

    柳田委員 ということは、警察庁と話したときには本人の能力に応じて問われないと、我々が聞いたら問われると、またここにちょっと差があるのかなと思う次第でありますけれども。  例えば、今回義務が生じますよね。事故に遭った、一応知識は持っていて、あっこれは心臓がとまっているかもしれぬとわあっと押すわけですね、我々は。ところが、やはり助からなかった。ところが、病院に連れていってみて、病院といいますか、まあ行政解剖というのですかね、いろいろ解剖してみたら、その結果、この直接的死因は心臓を圧迫というか、我々がこうマッサージしたのが原因だ、こういうのはすぐ出るのですよね、最近の医学の技術からすると。要するに、私は善意でやったのです、しかしそれが死因だったのですと言われないこともない。逆に、止血しなさいという義務があるのに、いや怖いからと、私も血を見るのは余り好きじゃないのですけれども、嫌だとしなかった。ところが、それは何にもしなかったことこそ原因ですと、あなたは知識があったじゃないですかというふうにも言われるのじゃないかなと思うのですよ、この法案では。だから、私はこういうことがないように何かの措置をこの法案でもすべきではないかなと思うのです。具体的に言いますと、七十二条の条文を変更するか、または附則を加えて対処すべきことではないかとも思うのですが、いかがでしょうか。
  195. 関根謙一

    関根政府委員 まず、心肺蘇生法の仕方についてでございますが、これは心臓がとまっている人あるいは呼吸をしていない人につきまして、呼吸がとまっていたり心臓がとまっていたりした場合には五分以内に脳が死んでしまいますので、脳を殺さないように、五分間ぐらいで救急車がやってくるわけですから、それまでの間、呼吸をしていると同じように口から空気を吹き込んで酸素を肺を通じて脳に送り込む、それが人工呼吸法でございますし、それから、血が脳に行かないとこれまた死んでしまいますから、血が行くように、物理的圧迫ということで心臓を圧迫するという方法で血を送り込むというものでございます。それによって、今まで息をしていない人あるいは心臓がとまっている人がさらに悪い事態に立ち至っだということは十分あり得るとは思いますが、しかしその場合には、民法七百九条の基本的な解釈と申しますか、故意または過失により他人の権利を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずるということで、故意過失、つまり非難可能性でございますが、これは個人的非難可能性があるかどうかということで判断されるものと考えております。
  196. 柳田稔

    柳田委員 その場に立ち会っている人は、多分頭に血が上がって何にもわからないと思うのですよ。さわってみた、本当は心臓が動いているのに動いていないという判断もするでしょうし、頭の損傷状況を見て、あっこれは動かしてはいけないのだと思うくらい冷静であればいいのですが、わからずに、血が出ているからこれはとめなければいかぬと、体をどんどん動かしてからとめた。ところが、動かしたためにということもあり得るのですよね、いろいろな事情が。今局長の御答弁は、大変冷静で的確な判断をされるからそういう御答弁ができるのだと思うのですが、多分その場に立ち会ったら、もう無我夢中で何でもやってしまうのではないかなという気がするのです。要するに、善意で一生懸命やったということまでもしかしたら罰せられるのではないかと、我々いろいろな人に聞いたらそういうふうな御判断がありましたので、考慮をするべき点ではないかなと思うことであるのです。  再度聞いても同じお答えになるかと思うのですが、要するに皆さんのお考えの解釈で物事を行う文、しかし法案を素直に読んだら実際はこうなるのじゃないかなと思う文、ちょっと開きがあるような気がするのです。さっき言った七十二条もそうなんですが、私も専門家じゃないのであれですけれども、やはり法律というのは、書いてあるとおりじゃないのでしょうか。
  197. 関根謙一

    関根政府委員 法律の解釈の仕方は。確かに先生指摘のとおり、文言的な解釈ということで、まずその言葉どおりの論理で考えるべきものでございますが、それぞれの言葉は法律の言葉である以上、規範的な意味を持っておりまして、日常用語とはもちろん違うわけでございます。  規範的な意味合いというのは、裁判所が最終的には定めます。内閣法制局も、裁判所にいく一段階前、政府部内で解釈を統一する立場にはございますが、内閣法制局の見解が最終的なものではないわけでございます。最終的には裁判所で、それぞれの法律の概念というのはおかしいのでございますが、言葉の規範的な意味を定めているわけでございまして、その規範的意味によれば、先ほど来申し上げておりますように、その直接手当てをしないということをもって直ちに七十二条一項前段違反には該当しないというのが、従来の解釈でございます。
  198. 柳田稔

    柳田委員 時間ですのでやめます。  応急救護処置の講義、私は基本的に賛成であります。さらに交通安全、一生懸命努力をしていただきたいことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。
  199. 春田重昭

    春田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  200. 春田重昭

    春田委員長 この際、本案に対し、辻第一君から修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を聴収いたします。辻第一君。     —————————————  道路交通法の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  201. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由及び趣旨を申し上げます。  このたびの道路交通法の一部を改正する法律案に盛り込まれております過積載対策は、過積載行為が車のブレーキ性能の低下など交通安全問題も多く、今回、必ずしもこれで十分とは言えないものの、事業者や荷主に対する責任の明確化などが行われるなど、その対策が講じられたわけであります。  しかし、改正案では、過積載車両の運転者に対する罰則や反則金の引き上げが行われております。  今日、過積載問題は、とりわけ公共事業における骨材製品の発注単価の設定やダンプ労働者に支払われる単価に適正さを欠くことや、ゼネコンの低価格取引などの状況のもとでなお解決されていない問題であり、労働条件や単価の改善を初めこの問題の解決など、総合的な対策が不十分なまま罰則の強化を図ることは妥当性に欠けるものであります。罰則の強化は、過積載が必ずしも運転者のみの責任と言いがたい状況の中で、運転者に対する過重な負担を強いるものであり、時として、ダンプ労働者の生活にもかかわるものであります。  こうした状況を踏まえるならば、過積載車両の運転者に対する罰則の強化は、今実施することは差し控えるべきであります。  以上が修正案の提案理由であります。  次に、その要旨を申し上げます。  修正案は、過積載車両の運転者に対する罰則の二倍引き上げ及び反則金に関する改正をやめ、従来どおりの罰則及び反則金とするものであります。  速やかな御可決をお願いし、趣旨説明を終わります。
  202. 春田重昭

    春田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  203. 春田重昭

    春田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案及びこれに対する辻第一君提出の修正案について採決いたします。  まず、辻第一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 春田重昭

    春田委員長 起立少数。よって、辻第一君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 春田重昭

    春田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  206. 春田重昭

    春田委員長 この際、本案に対し、鴻池祥肇君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。北川昌典君。
  207. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について万全の措置を講ずべきである。  一 運転免許証の有効期間の延長については、交通安全に資するよう、状況の変化に応じ見直しを行うこと。  二 学科、技能一体化教習導入に際しては、自動車教習所における検定員及び指導員の資質の向上を図ること。また、既存の検定員及び指導員の新規資格取得に配慮するとともに、雇用の不安を招かぬように配慮すること。  三 教習カリキュラムの全面見直しに際しては、内容について精査及び充実を行うなどの措置を講じ、免許取得者の過大な負担増を招くことのないよう必要な措置を講ずること。  四 実効性のある応急救護処置社会的定着を図るため、習得機会の拡大、講習内容充実に努めるとともに、交通事故現場における応急救護処置の実施者が、新たに本法第七十二条第一項前段の適用による不利益を被ることのないよう周知徹底を図ること。  五 車輪止め装置の取付けによる違法駐車の取締りに当たっては、交通渋滞の解消と違法駐車防止の観点に立ち、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置く等適正かつ妥当な運用を行うよう取締り現場に対する指導を徹底すること。  六 駐車対策を一層推進するため、公共駐車場、荷さばき施設等の駐車施設の拡充や大都市における交通渋滞解消のための施策遂行など総合的な対策を講ずること。  七 免許関係事務の公益法人への委託に際しては、委託費の収支、業務内容など、その運営について厳正公正を期するよう指導すること。  八 臨時適性検査の実施及び行政処分に係る書面の交付を受けていない者に対する措置については、適正に運用すること。  九 過積載を防止するため、運送事業者、自動車の使用者及び荷主等に対する指導強化するとともに、その責任の所在の明確化に努めるなど適切な措置を講ずるほか、重量測定機器の整備等の拡充、自重計の早期開発とその装着義務化に努めること。  十 国及び地方公共団体が発注する工事及び輸送における過積載行為を防止するために必要な措置を講ずるとともに、関係省庁による過積載防止連絡会議充実等連携の強化を図ること。  十一 本法の施行に際しては、その趣旨の国民への周知を徹底するとともに、今次法改正に伴う政令及び総理府令の制定及び運用に当たっては、本委員会における議論を十分に踏まえること。また、今後、本法の改正に当たっては、十分な期間を設けて検討を行い、体系的整備に努めること。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨につきましては、法律案審査の過程におきまして種々議論され、各委員には十分御承知と思いますので、その詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  以上でございます。
  208. 春田重昭

    春田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  鴻池祥肇君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  209. 春田重昭

    春田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。村田国家公安委員会委員長
  210. 村田敬次郎

    村田国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、大変熱心な御検討をいただき、厚く御礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議経過における御意見並びにただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、交運安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。  今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
  211. 春田重昭

    春田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 春田重昭

    春田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  213. 春田重昭

    春田委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 春田重昭

    春田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事伏屋修治君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会      ————◇—————