○辻(第)
委員 そういう中で、陸運支局の指導というのは、その労働条件改善の具体的
内容は、一、時短ですね、週四十四時間を十月一日から
実施をする。二、勤務日数を月二十五日から二十四日に短縮をする。三、値上げによる増取水揚げの八三%を労働条件の改善分に還元をする。こういうふうに聞いております。
もう時間がありませんので詳しくは言えませんけれ
ども、その背景は、今タクシー労働者が非常に不足をしている。不況で幾らかふえたのかもわかりませんけれ
ども、基本的には非常に不足をし、しかも高齢化しておりますね。殊に、若年の
運転者を補充をすることが極めて重要になってきていると思うのですね。そのためには、労働条件の改善をするということはタクシー事業者にとっても社会的な責務ではないかと思うわけであります。安全で快適なタクシー輸送を
確保する上でも、大変大事なことだと思うわけであります。それで、当然、その値上げの認可条件は厳正に遵守しなければならないと思うのです。
ところが、奈良市のあるタクシー会社ですね、従業員百人、具体的に名前を言いますと服部タクシーという会社でありますが、この運賃値上げに伴う労働条件の改善をまともに
実施されていないということであります。また、奈良労働
基準局からのたび重なる是正命令や指導事項というのがあるのですが、これについてもほとんど改善がされていないというのが
実態でございます。
運賃値上げ後の経過を申しますと、九二年八月に運賃値上げがされて、十月に奈良労働
基準監督署から、安全衛生法七十一条の二
違反で休憩室の改良、同二十三条
違反で男女別トイレ、累進歩合制から一律歩合制への改善、これに是正命令が出ているのですね。それから、奈良労基署から、割り増し賃金と最大拘束時間の十六時間オーバーについて是正命令というのが出ています。期限の十一月もおろか、現在も残業手当の支払いがされていないという
状況であります。十二月になって、値上げ後四カ月たつのですが、本来早期に陸運支局に提出されるべき、運賃値上げの
前提条件である労働条件の改善計画書というものが出されていないというふうに私は聞いております。休憩室はほんのわずか改良されたようでありますが、こういう
状況で、是正命令を受けながら、残業手当の支払いや拘束時間オーバーの是正や違法な累進歩合制から一律歩合制への改善、こういうことをやらない、時短を含む運賃値上げの条件である労働条件改善にも着手をしない、こういう
状況が続いております。賃金面では、この会社は歩合給をノースライドとしておりますが、陸運局の
自動車部長もノースライドだけでは不十分としておられるわけで、賃金面の改定も急務であります。
こういうふうに、是正勧告あるいは是正命令が遵守されず、労働条件が改善されないところから、労働者は生活を守らにゃいけませんから、職場ではやはり長時間労働ということになるのですね。頑張って無理をして、水揚げ百万円を超える人もあるそうです。そういうことがあるというのですね。長時間の過密労働ですから、体を壊すし、家庭も大変な
状況になりますし、それから
交通安全上、
事故に結びつきかねないという
状態になるのですね。長時間労働の例は、百三十時間から二百六十時間超過勤務をやるという人が一割ほどおられるそうです。そんな事態なんですね。通常は二十五時間程度の残業を含めて二百二十時間の実働で、いろいろなものを引きますと手取りは二十二万円程度にしかならないというのですね。ですから、生活維持のために、こういう仕組みの中では長時間労働をやられるということになるのですね。
そういう中で、それ以外に会社側の
道路運送法の
違反事項がいろいろあるのですね。運輸規則の二十一条過労
運行の
防止、二十二条
運行管理者の常時配置、これは西大寺車庫、生駒車庫に常時配置されていないようであります。二十四条では点呼、二十九条地図の備えつけ、四十四条月一回の消毒、五十条
運転者への周知徹底
義務、こういうことがいろいろ守られていないということのようであります。こういうふうに、この服部タクシーというのは、運賃値上げの際の条件であります労働条件の改善を実行しないばかりか、労基局の是正命令も現実、無視をしているということです。ところが、この会社というのは、タクシー協会の運賃
委員会の副
委員長さんとか県地労委の
使用者側参与
委員を出しておられる、業界には大変大きな影響力を持っておられる会社であります。こういうところがこういうことをやっておられるのですね。
私もこういう問題で近畿運輸局の
自動車部へ何回も、この問題だけじゃありませんが、一連の今度の運賃値上げても二回ほど行きましたかな。こういう問題、くれぐれも労働条件改善をきちんとやってくれるようにというお話をしてきているわけです。ところが現実、いまだこういうところがあるのですね。第一線の陸運支局の輸送
課長さんやら苦労してはりますね、ほんまに。関西弁になってしもうてなんですけれ
ども、もう一生懸命、少ない人数でっしゃろ、よう御存じのとおり。少ない人数で物すごいたくさんの業者、しかも言うこと聞かぬ業者、こう言うと業者の人に悪いけれ
ども、まあ全部とは言いませんが、こういう悪いところがあるのです。それは物すごく労基なんかと連携をとって努力されております。かわいそうなみたいな気がします。しかし、言うこと聞かぬのです。もうあなたにこんなこと言っても気の妻やし、それ以上余り言いませんけれ
どもね。こういう、
免許業者が当然しなくてはならないことをなんぼ指導してもやらぬというようなことになれば、きちっとした対応が要るんじゃないでしょうか。僕に言わしたら、
運輸省なめられているのです。何でなめられているのかちょっとそこは申し上げかねますけれ
ども、僕に言わしたらそういうことです。第一線の方が本当に苦労されている。もちろんそのために労働者も大変な
状況におられるわけであります。第一線と言ったのは、陸運支局の方のことをさっきは言ってたんですけれ
どもね。
そんなことですので、この問題についてはほんまにきちっと対応していただきたい、こういうふうに
考えるのですが、答弁を伺って
質問を終わりたいと思います。