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1993-03-24 第126回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月二十四日(水曜日)     午後零時十分開議 出席委員   委員長 春田 重昭君    理事 岩村卯一郎君 理事 河村 建夫君    理事 久野統一郎君 理事 鴻池 祥肇君    理事 萩山 教嚴君 理事 北川 昌典君    理事 永井 孝信君 理事 伏屋 修治君       井出 正一君    岡島 正之君       加藤 卓二君    古屋 圭司君       増田 敏男君    柳沢 伯夫君       井上 一成君    石井  智君       遠藤  登君    竹村 幸雄君       吉田 和子君    草野  威君       辻  第一君    高木 義明君       和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員 村田敬次郎君         会委員長)  出席政府委員         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房 垣見  隆君         長         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室 賀耒  敏君         長         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         文部省体育局学 近藤 信司君         校健康教育課長         運輸省鉄道局保 豊田 榮次君         安車両課長         運輸省自動車交 春田  謙君         通局旅客課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 樋口 忠夫君         技術企画課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 下平  隆君         整備課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 小杉 昭夫君         保安・環境課長         消防庁救急救助 朝日 信夫君         課長         特別委員会第一 吉田  稔君         調査室長     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任          補欠選任   伏屋 修治君      草野  威君   和田 一仁君      高木 義明君 同日  辞任          補欠選任   草野  威君      伏屋 修治君   高木 義明君      和田 一仁君 同日  理事伏屋修治君同日委員辞任につき、その補欠  として伏屋修治君が理事に当選した。     ————————————— 三月十七日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号)      ————◇—————
  2. 春田重昭

    春田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。村田国家公安委員会委員長。     —————————————  道路交通法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、運転免許行政実情に応じ、運転免許証有効期間について優良運転者に係るものを延長するメリット制を導入し、普通免許等を受けようとする者に対して講習を受けることを義務づけ、外国免許取り扱いを改善し、指定自動車教習所制度整備するとともに、最近における交通事故及び交通渋滞実情等道路交通をめぐる情勢にかんがみ、警察署長等違法駐車車両に対する車輪め装置の取りつけ、過積載車両に係る積載物重量の測定及び措置命令等を行うことができることとすること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、運転免許に関する規定整備であります。  その一は、優良運転者免許証有効期間について、一定高齢者に係るものを除き、現行の三年から五年に延長するものであります。  その二は、普通免許または二輪免許を受けようとする者は、自動車等運転に関する講習及び応急救護処置に関する事項等に関する講習を受けなければならないこととするものであります。  その三は、公安委員会は、外国免許を有する者に関し運転免許試験の一部を免除することができる場合を明確にし、特定の外国免許証を所持する者は、本邦に上陸した日から起算して一年間、その免許証に係る自動車等運転することができることとするものであります。  その四は、指定自動車教習所制度に関し、技能検定員資格者証または教習指導員資格者証交付を受けている者のうちからそれぞれ技能検定員教習指導員を選任すること等について定めるものであります。  その他、免許関係事務の委託、臨時適性検査実施免許の取り消しまたは効力の停止に係る書面の交付及び免許証保管等について所要規定整備を行うこととしております。  第二は、交通事故防止等に関する規定整備であります。  その一は、公安委員会は、違法駐車行為が常態として行われている道路区間であって、車輪め装置の取りつけの措置によって違法駐車行為防止を図ることが適当なものを、車輪め装置取りつけ区間として指定することができることとし、警察署長は、道路または交通状況から判断してその区間における違法駐車行為防止するためやむを得ないと認めるときは、その区間における違法駐車行為に係る車両車輪め装置を取りつけることができることとするものであります。  その二は、警察官は、過積載をしていると認められる車両積載物重量を測定することができることとするとともに、過積載をしている車両運転者に対し、過積載状態を解消するための必要な措置を命ずることができることとするほか、過積載をしている車両運転に係る刑を引き上げ、積載物重量制限の二倍以上の重量積載をして大型自動車等運転する行為を非反則行為とする等過積載車両に関する規定整備するものであります。  その三は、速度超過に係る反則金限度額の引き上げを行うこととするとともに、高速自動車国道等における速度超過四十キロメートル毎時までの違反行為反則行為とするものであります。  その他所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律施行日は、公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  4. 春田重昭

    春田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 春田重昭

    春田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴻池祥肇君。
  6. 鴻池祥肇

    鴻池委員 近年、交通事故が増加いたしまして、とりわけ昨年は、道路交通事故による死者数が一万一千四百五十一人となりました。これは、昭和四十九年以降最悪の状況となっておるわけであります。こうした状況のもと、今回、国民生活に直結する道路交通法を当委員会交通安全の観点から審議するということは、まことに意義深いものであると考えております。  今回の改正は、第三次行革審答申を受けて検討されたと聞いていますが、まず初めに、同じように行革審答申されている自動車整備についてお伺いしたいと存じます。  昨年暮れに、運輸技術審議会自動車部会の小委員会は、欧米諸外国現地調査をしたと承っておりますけれども、諸外国状況を簡単に御説明いただきたいと思います。
  7. 樋口忠夫

    樋口説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、昨年の十二月に運輸技術審議会自動車部会の小委員会委員先生方海外調査実施していただいたところでございます。この審議会における調査といいますのは、今回の審議で必要となる資料を収集するために調査を行っておりますが、その一環として行ったところでございます。  その現地調査の結果によりますと、まず検査関係について申し上げますと、例えば自家用乗用車の場合ですと、ドイツでは初回三年、次回以降二年、イギリスにおきましては初回三年、次回以降一年となっているなど、我が国初回三年、次回以降二年、車齢が十一年を超えたものについては一年となっておるわけでございますが、そういった点を比較しますと、おおむね同様となっているということがわかってございます。  また、点検整備につきましては、諸外国では使用者義務として自動車を常に良好な状態に維持しなければならない旨規定されておりますが、一般的には自動車メーカーの定めたマニュアルに沿って、ユーザーの自主的判断により点検整備実施されております。一方、我が国におきましては、自動車を常に良好な状態に維持するために必要な最小限の義務として、定期的に点検すべき時期及び項目を法令で定めているところでございます。
  8. 鴻池祥肇

    鴻池委員 仄聞いたしますと、自動車整備不良が関係している事故ドイツは三%から三・五、イギリスは六から八%、アメリカは〇・五から三・五%、我が国は○・〇四%、こういう比較が出ておると聞いております。こうしたことを考えれば、我が国整備制度交通安全に大変寄与をしていると思いますが、いかがでございますか。
  9. 下平隆

    下平説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたとおり、自動車整備不良が関係しております事故割合でございますけれども、諸外国では、国によって違いますが、数%ぐらい発生しているというふうに私ども把握をいたしております。一方、我が国では、これは警察庁の方の交通事故統計によりますけれども、全事故のうち、第一当事者でかつ整備不良が第一原因であるという事故についての割合でございますけれども平成三年で○・〇四%という状況になっております。  これらの統計は国によりましてとり方が違うものですから、直接に比較するということはなかなか一概に言えないというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、我が国におきます自動車検査あるいは定期点検整備制度自動車の適切な保守管理を促しまして、結果といたしまして安全の確保あるいは公害防止に寄与しているものというふうに考えております。
  10. 鴻池祥肇

    鴻池委員 昨年の第三次行革審答申を受けて、運輸技術審議会自動車部会審議を開始されておるようでありますが、いわゆる整備業者などの意見では、今回のこの見直しについては国民負担軽減ということが目的にされておって、点検項目削減だけでは交通安全あるいは公害面からは後退しているのではないか、こういう意見があるようでありますが、今の交通状況考えれば、交通安全、公害防止という面をおろそかにすることなく答申すべきだ、このように思いますけれども、この審議状況及び今後の方向や展望につきまして、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  11. 下平隆

    下平説明員 お答え申し上げます。  運輸技術審議会での審議状況でございますけれども、昨年六月に行革審から定期点検項目削減等指摘を受けまして、昨年の七月、運輸省から運輸技術審議会に対しまして、今後の自動車検査及び点検整備あり方について諮問を行ったところでございます。  審議状況でございますけれども、同審議会におきましては、担当の部会でございます自動車部会のもとに小委員会を設置をいたしまして、この場で、各種の調査の結果あるいは関係団体からの意見聴取というふうな結果を踏まえまして、これまで審議をしている状況でございます。  御指摘をいただきました、この審議が安全あるいは公害の面をおろそかにするのではないか、こういう点でございますけれども運輸技術審議会におきましては、最近の自動車技術の進歩あるいは使用形態の変化などを踏まえまして、自動車の安全の確保及び公害防止前提としつつ、今後の自動車検査及び点検整備あり方について御審議をいただいております。かつ、審議に当たりましては、整備工場におきます整備実施状況調査、あるいは整備事業者団体を含めます関係団体からの意見聴取、あるいは国内外における検査整備現地調査等というふうな結果を踏まえまして、実態を踏まえた議論を現在進めていただいております。  このように、運輸技術審議会におきましては、自動車の安全の確保及び公害防止前提といたしまして、実態を踏まえた技術的、専門的な審議が進められておりますので、答申に当たりましても、自動車の安全の確保あるいは公害防止をおろそかにするというようなことはないものというふうに考えております。
  12. 鴻池祥肇

    鴻池委員 道交法に関して御質問を申し上げたいと思いますが、今回の道交法改正で、免許更新メリット制を導入して、優良運転者有効期間を五年に延長するとしておるようでありますけれども交通安全に寄与している実感が本当に感じられるような、交通事故の減少につながるような制度にする必要があるのではないかという観点からお伺いしたいと思います。  そこで、優良運転者については政令で定めることにしているが、その範囲はどうなっているか、これが第一点であります。  その次に、五年間無違反者ということであれば、本当に交通マナー交通マインドが確立された方で交通社会模範たる人ではなかろうかと思うわけでありますけれども、こうした人たちが単に更新延長の特例を得るだけではなく、何らかのメリットを感じられるような制度というものは考えられないのだろうか。  この二点でございますが、私の持ち時間は十分でございますので、これをもって質問にかえたいと思いますので、答弁だけよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  13. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申します。  優良運転者範囲についてのお尋ねでございますが、優良運転者につきましては、更新日までに継続して免許を受けている期間が五年以上である者でありまして、あとは政令で定めることとしておりますが、五年間無事故違反といったような、他の模範となるような立派な運転者ということを範囲として考えております。全体として、全ドライバーの六〇%ぐらいの方がこれに該当するのではないかと考えております。  それから二点目の、そういう模範たる人たちに対して、更新延長のみならず他に何かメリットを与えるといったような仕組みを導入できないかとのお尋ねでございます。この優良運転者について五年間と更新期間延長することによりまして、他のドライバー方々優良運転者を目指して交通安全意識向上を図るということを期待するというのがこの制度の第一点でございますが、このほかに、現在は諸外国例等をも参考といたしまして、免許証に若干工夫をすることを検討しております。優良ドライバーの方についての免許証とその他の一般ドライバーの方の免許証について、色彩等差違を設ける等でございます。  なお、法律上のその他の点についての差違という点で規定されているところは、その免許証優良運転者である旨を優良運転者免許証については記載をするという点、この点を一つの特徴ということとしております。
  14. 鴻池祥肇

    鴻池委員 終わります。
  15. 春田重昭

  16. 萩山教嚴

    萩山委員 ただいま大臣からも、道路交通法の一部を改正する法律案趣旨説明がございました。その中の目玉と申しますか、この法案目玉免許証の問題だと私は思っております。  第一問に、優良運転手についての免許有効期間、今回は五年と定めたのはなぜか、この問題についてお尋ねいたします。
  17. 関根謙一

    関根政府委員 優良運転者免許有効期間につきまして、今回五年と定めることといたしましたその理由でございますが、この道路交通法の一部を改正する法律案についての資料の後ろの方のページ、関係資料の五ページ及び六ページにございますが、昨年の六月十九日に臨時行政改革推進審議会答申がございまして、優良運転者については免許有効期間を五年とするようにしたらどうかとの提案がございます。これに対しまして、政府といたしまして昨年十二月の閣議決定におきまして、同趣旨制度を早期に導入することとするといった趣旨決定をいたしております。  こういう政府の方針に基づいているというのが一つ理由でございますが、これには合理的な理由がございます。私どもといたしましては、免許有効期間につきましては、事故防止に資するような期間であると同時に、運転者にとって負担軽減することができるような期間ということで、この二つの要請を満足する期間ということで従来三年ということを考えていたところでございます。しかしながら、メリット制ということで、負担軽減という観点事故防止という観点の調和を図るという観点から、特にすぐれた運転者については五年で十分であろうという考えから、このような五年という期間を結論としたわけでございます。  諸外国の例を見ますと、世界最大自動車王国と言われておりますアメリカの多くの州では、有効期間はおおむね四年でございます。三年という州もあり、五年という州もございますが、大部分が四年。それから、カナダなどは三年以下等でございます。こういった例も参考にし、またヨーロッパにおいて、一定年齢に達するまでは更新の必要がないという制度等もあること等を考慮しつつ、このような五年という期間を定めることとしたものでございます。
  18. 萩山教嚴

    萩山委員 はい、理解いたしました。単純に三年を五年に延長するというのではなくて、優良運転者に対するメリット制と位置づけたことは大変いいと私は思うわけであります。  そこで、優良運転者基準を定めているについては、運転者優良とされたことに誇りを持てるようなものとすべきではないだろうか。余り多くの者が優良とされてしまったのでは、優良さが薄れてしまうということも考えられるわけであります。この点どのように考えられるのか、それもお聞かせ願いたい。  また、基準として五年間無違反であるということと聞いておりますが、これによってどの程度の割合の者が優良運転者として位置づけられるのか、このことについてもお聞かせ願いたいと思います。
  19. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、優良運転者として他の一般ドライバーと区別するに足る運転者ということであるためには、余り多くの方がこれに該当するような基準というのはその思想にそぐわないところがあると存じます。他方、臨時行政改革推進審議会答申の中には、優良運転者については、運転者安全意識を高める方向で定めるようにしなさいという答申部分がございます。そういったところを勘案して、五年以上の期間免許を持っている人が過去五年間無事故違反ということであれば、優良運転者と称するに足りる資格のあるドライバーであるということで、そのように定めることとしたいという考えでございます。  この基準で、現在六千四百万ほどのドライバーにつきまして何パーセントぐらいが優良ドライバーに該当するであろうかというのを試算してみますと、大体六〇%ぐらいの方がこれに該当するという推定でございます。
  20. 萩山教嚴

    萩山委員 次に、七十二歳以上の方は優良運転者であっても有効期間は三年までという取り扱いをすることといたしておりますが、そもそも一定年齢以上の高齢者については、もっと短くする方が高齢者の保護にもつながるのではないかということも考えられるわけであります。また、特に違反の多い者には年齢関係なく有効期間を短縮していく考えもあるか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
  21. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のようなお考えも十分成り立ち得ると存じます。しかしながら、私どもいろいろな立場を代表する方々から御意見をいただきまして、我が国の場合、七十五歳くらいまでの方は優良運転者ということで五年間、その間更新をしなくてもいいということを考えていいのではないかということで、七十五歳というのを一応の基準といたしまして、七十歳の方については七十五歳まで五年間、七十一歳の方については七十五歳まで四年間、七十二歳以上の方については三年という基準を定めさせていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。  それから、余り立派でない運転者については逆に短縮をしたらどうかとの御意見でございます。確かにそのような御意見も成り立ち得るかと存じますが、現行が三年ということで、私ども立派なドライバーもそうでないドライバーにつきましても三年ということで更新の際にチェックすれば、事故防止観点からも国民負担軽減という観点からもバランスのとれた期間ではないかということで現在定めさせていただいているものでございますので、それをさらに短縮するという点についてはちゅうちょを感じているというところでございます。
  22. 萩山教嚴

    萩山委員 では、免許更新に行って初めて視力の低下に気づくドライバーも多いと聞いております。また、法律改正内容についても更新の際には確認できる。このように、三年に一度はある更新は、安全運転の意識づけの唯一の機会と言っても過言ではないと思います。安全教育必要性が今ほど強く議論されている時代はないわけでありますが、その意味においても免許更新重要性は増加していると考えられます。  今回、有効期間を三年から五年にすることによって更新機会が減少し、視力を初めとする身体のチェックや安全運転の意識づけがおろそかになるのではないかと懸念される面もあるわけであります。それらに対する対応をどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  23. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のように、更新機会というのはいろいろな身体的適性をチェックする機会でもあり、また安全運転意識向上を図るよい機会でもございます。  現在の制度では三年の更新でございますが、毎年大体二千万人くらいの方々更新に参ります。その中で三%くらいの方が、身体的に適性を欠くということで、六十万人くらいの方が視力等についての適性を改めて自覚していただくという機会になっております。さらに全体の〇・五%、十万人くらいに当たる方々につきましては、その矯正措置あるいは条件等によっては適性確保することが不可能であるということで、運転免許を返していただくということになっております。ということで、免許更新期間というのは、安全運転を心がけていただくような機会という点と、それから不適格な方に交通社会から退いていただくという機会二つの点で非常に意義があると考えております。  それを、優良運転者に限り今回三年から五年ということにするわけでございますが、優良運転者でございますので、主として身体的な適性が懸念されるわけでございます。こちらの方につきましては、臨時適性検査機会を現在よりもさらにふやすことができるようなシステムを設けていただきたいということで、これで対応できるのではないかと考えております。  それから、安全意識向上という点につきましては、更新時の講習内容の充実ということで対応してまいりたい、このように考えております。
  24. 萩山教嚴

    萩山委員 以上をもって終わりますが、この法案が一日も早くドライバー方々のためになるように、そしてまた国民に広く一般にこれが浸透できるように、ひとつ警察の御尽力をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 春田重昭

  26. 北川昌典

    北川(昌)委員 過積載運行の解消につきましては、交通問題あるいは社会問題としてこれを解消しなければならないという長年の懸案事項でございますが、特にこの過積載運行は、ここにも出ておりますけれども、この前首都高速道で四時間にわたって大型トラックが故障を起こして渋滞をした、こういう記事も載っております。交通渋滞に大きな影響を持っておりますし、同時に、一たん事故があれば重大なことにつながる。これは茨城でもございましたが、二・五トン車が四倍の積載をしておって、その荷物が落下してお年寄りが亡くなる。あるいは私の地元の日之影町でも、木材を積んだトラックが人家に突っ込んで人命を亡くする、こういう事故にもつながっております。当然ながら道路破損を早める。こういう交通悪の最たるものである、このように考えるわけでございますけれども、今回、過積載車両の規制の改正がなされました。一日も早い実効が上がるよう期待するところでございますが、そういったことを含めながら質問をしてまいりたいと思います。  まず一つは、過積載車両に対する措置の中での五十八条の三関係でございますが、アとして「警察官は、過積載車両運転者に対し、過積状態を解消するための応急措置を命ずることができることとする。」このようになっておりますけれども、この「応急措置」とは何でございましょうか、どういうことを指すのでしょうか。
  27. 関根謙一

    関根政府委員 応急措置として私ども考えておりますのは、その違反の現場において、過積載をしている車両から過積載状態を除去するような措置ということを考えております。  具体的には、その過積載である部分の荷物をその場でおろしてもらうことでありますとか、あるいは他の車両を持ってきてもらってそこで積みかえてもらうということでありますとか、そういった現場での措置ということでございまして、これは言うべくして実際にはなかなか難しい問題ではなかろうかということで、その点は十分意識した上での規定ということで設けさせていただいたものでございます。
  28. 北川昌典

    北川(昌)委員 次に、イの項で「アの命令では当該過積載状態を解消できないと認められる場合には、当該運転者に対し過積載の程度及び道路等を勘案し車両の通行の区間及び経路等、警察官の指示した事項を遵守して当該車両運転し、及び過積状態を解消するために必要な措置をとることを命ずることができることとする。」この「必要な措置」とはどういうことになるわけでしょうか。
  29. 関根謙一

    関根政府委員 これは、五十八条の三の第二項の規定についてのお尋ねでございます。  先ほども申し上げましたように、応急の措置、要するに現場措置というのは、過積載車両について実際に行うことはなかなか困難な場合が多いということを念頭に置きまして、そうであれば、その場では手当てはできないがどこか別の場所まで行ければ手当てができるというような場合には、その別な場所までいろいろな条件、例えば速度を制限してもらうとか、区間、経路を指示いたしまして、その指示した経路とおりに走っていただくということであれば、交通の安全と円滑の観点からそれほど大きい問題は生じないと認められるような場合には、過積載状態で走ってもいいという考えを導入したものでございます。その場合には、その行った先で過積載状態をできる限り早く取り除いてもらうような措置を講ずべきであるという考えから、「必要な措置をとること」という表現を用いたものでございます。
  30. 北川昌典

    北川(昌)委員 ということは過積載、いわゆる荷積みオーバーのまま目的地まで運行をさせるということもあり得るということになるわけですね。
  31. 関根謙一

    関根政府委員 まあ常識的な判断によるところが多いかと存じますが、その目的地がごく近くである場合にはそういうこともあり得ると考えます。  なお、このような考え方は、実は道路交通法上は先例がございまして、それは故障車両についての扱いでございます。故障車両道路交通法運行してはならないことになっておりますが、しかし、実際に故障車両道路にあって見つかった場合、これは経路ですとか区間ですとか速度等を制限する等いろいろな条件、制約のもとに、故障車両を直すことができるところまで走っていいという規定がございます。この道路交通法の思想をかりまして、違反状態の車ではあるが、その状態を解除することができる必要最小限の区間に限って違反状態のまま走ってもいいという思想を導入したいということでこのような規定を設けさせていただきたい、こういうことで考えているものでございます。
  32. 北川昌典

    北川(昌)委員 内容はわかりますが、やはり運用の面でおっしゃられるとおりいくのかどうかといいますと、大きな疑問が残るわけなんですね。仮に、目的地まで遠いところ、途中でおりてという、警官そのものがおろす場所を十分熟知しているかどうか、そういった面では非常に運用面では難しさがあるのではないか。こういった点はさらに御検討いただくということも大事だろうと思いますので、その点は申し上げておきたいと思います。  次に、「過積載車両に係る指示」となっておりまして、今私が質問申し上げましたアとイの命令がされた場合において、「当該車両使用者が当該車両過積載防止するため必要な運行の管理を行っていると認められないときは、公安委員会は、当該車両使用者に対し、過積載防止するため必要な措置をとることを指示することができることとする。」こう書いてありますけれども、この「必要な措置」とは、前の関係とどうなるのでしょうか。
  33. 関根謙一

    関根政府委員 先生お尋ねは、自動車使用者に対する公安委員会の指示の点についてのお尋ねかと存じます。  これは車の使用者、多くの場合会社でございますが、ある会社の自動車がいつも過積載で走っているということがわかった場合に、その会社に対しまして、その後退積載で走らないような措置をとってくださいということで公安委員会の方で指示を発することといたしまして、その指示にもかかわらずさらに一年以内にまた同じ会社の車が過積載状態で走っているということがわかった場合には、その車について三カ月以内の期間を定めて、その車を使ってはいけないという使用制限命令を発することができるという仕組みを設けさせていただきたいということでございます。この考え方は、放置車両について平成二年の道路交通法改正の際に設けさせていただきました第七十五条の二の規定を、過積載車両についても準用することとしたいということで規定を設けるということで御提案を申し上げておるところでございます。
  34. 北川昌典

    北川(昌)委員 これは昨年の十二月二十六日の新聞でございますが、「首都高速は過積載天国」、こういう記事が載っております。その中で、自家用トラック二十六台を保有している建設会社の場合、軸重計で指摘された重量違反は昨年度だけで四千五百七十五回、昭和六十三年度からの四年間では計八千七百回もの違反を繰り返していた、こういう記事が載っておりますが、昨年の過積載車の取り締まり状況はどうなっておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  35. 関根謙一

    関根政府委員 平成四年中に過積載違反ということで取り締まりました件数は、全国で七万七千七百九十三件でございます。
  36. 北川昌典

    北川(昌)委員 その件数のうち、オーバーが五割以下、あるいはまた五割から十割、十割以上、こういうオーバー状況があると思うのですけれども、その状況はわかりますか。
  37. 関根謙一

    関根政府委員 平成四年での比率で申し上げますと、十割以上、つまり二倍以上積んだという違反形態が二九・七%、二万三千百七件でございます。それから、五割から十割未満が四〇・七%、三万一千六百三十三件。それから、五割未満が二万三千五十三件で全体の二九・六%。ざっと見まして、五割から十割未満が四〇%、十割以上が約三〇%、五割未満が約三〇%というような比率でございまして、これは平成三年も同様でございます。
  38. 北川昌典

    北川(昌)委員 今数字を示していただきましたけれども、これはごく一部ではないかと思うのですよ。先ほど読み上げました、一年間に四千五百七十五回も違反を繰り返したけれども、この会社は運行停止処分や警察の摘発を一回も受けていなかった。先ほど申し上げました数字は、もちろん高速道でのいわゆる道路管理者が調べた結果だと思いますので、警察が直接調べたわけではないので摘発もなかったと思うのですけれども、このような数が見過ごされておるということは極めて重要な問題であると思うのです。したがって、こうした高速道において計量した段階で違反車がこれだけ出てきた、そのことは警察は十分承知していない、こういうことになるのではないかと思うのですが、これまでこうした問題について、警察と高速道道路管理者との連携といいますか情報交換といったものはとられておったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  39. 関根謙一

    関根政府委員 建設省の藤井道路局長も出席しておりますのであるいは御答弁があろうかと存じますが、私ども道路管理者とはこの問題、非常に重要な問題だということを意識して、何とかこの過積載車両対策ということを道路管理者、それから交通管理者、私ども一体となって対策を講ずることができないかということで、研究会等を設けていろいろと研究中でございます。そういうことで、私ども道路管理者側からもそのような実態をよく承っておりますし、私どもといたしましても、現在の法律のシステムの範囲内で可能な限り取り締まりを強化してきたというところでございます。
  40. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  今、交通局長からお答えがありましたように、私ども高速道路の場合には高速交通警察隊というのがございます。それがゲートのところで御一緒に、同じ建物の中で連係プレーをとっております。  この過積載防止については、私どもいわゆる重量計というのを設置いたしております。重量計というのは、定置式では車重計、軸重計、それから可搬式の車重計といろんなものがございます。高速道路の場合、大ざっぱに言いまして大体三十キロに一カ所ほどはもう設置ができております。そういうことで、こういうものを使いながら、私ども交通警察と合同取り締まり等々、連係プレーを密にさせていただきながらやってきておりますが、時に私どもだけで情報を収集するというか状況を収集する場合もあると思いますけれども、そういう場合でも重大ないろんな状況になりましたらすぐに御連絡申し上げて、いずれにいたしましてもこれは一緒にやっていくという姿勢が大事でございますし、私どもそれを原則といたしておりますので、先生の御指摘は十分さらに私どもの今後に生かさしていただきたいと思います。
  41. 北川昌典

    北川(昌)委員 今お話がございましたが、やはり違反のやりほうだいではこれはいつまでたっても解消できませんので、今度こうして法律的に規制されますけれども、やはり警察も目が届かないところもございましょう。そういった面では、高速道に関しては道路管理者の方でそういう今お話があったように重量計ございますので、そことの情報交換あるいは連携を密にしていただいてこういった過積載運行を断ち切る、こういうことに努力いただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  次に、五十八条の五の関係で「過積載車両運転の要求等の禁止」、こうありますが、その中で「自動車使用者等以外の者は車両運転者に対し、過積載車両運転の要求及び過積載となる積載物の売り渡し等の行為をしてはならないこととする。」こうなっておりますが、「自動車使用者等以外の者」、これは何を指すのでしょうか。
  42. 関根謙一

    関根政府委員 私どもが念頭に置いておりますのは、荷主さんでありますとか荷受け人の方々でございます。自動車使用者につきましては、これは運転者の雇用者である場合が多いわけでございますが、そういう上下関係がある使用者につきましては、現在は道路交通法の七十五条の規定によりまして、その使用者運転者に対して過積載で走れということを命令したり、あるいは過積載で走って捕まった場合にはおれの方で反則金を払ってやるよというように容認するというようなことがあった場合には、下命容認ということで使用者を罰することができるという仕組みがございます。そこで今回は、その使用者以外の者がそのような要求でありますとか、まあ要求というところまではいかないにしても、情を知りながら事実上売り渡したり引き渡すということで過積載車両を走らせることになるという場合を禁止するようなシステムを設けさせていただきたいということで、五十八条の五という規定を設けさせていただくように御提案申し上げているところでございます。
  43. 北川昌典

    北川(昌)委員 実際に車を運転しておる皆さん方が実態調査をいたしておりますけれども、その報告書によりますと、過積載運転は会社から指示された、それを断り切れない、拒否できないというのが三八・八%、それから荷主からの強要、これまた拒否すると後、仕事が渡らないということで仕事を取り上げられるというのが三一・二%、さらに歩合制の賃金なので過積しないとペイしない、こういうのが一〇%、こういうことで、もちろんこの歩合制も荷主から支払われる運賃が安いということにも起因をするわけでございます。このように、過積載の大半が会社または荷主の指示、強要によるもの、こういうふうな報告が出ておりますが、こうした状況で、先ほど御報告のありました七万七千七百九十三件のうち、荷主とかあるいは事業者とか会社とか、こういった背後責任の人たちが責任を問われた件数は何件になっておるんでしょうか。
  44. 関根謙一

    関根政府委員 まず、会社の方から下命容認をしたということで道路交通法七十五条一項違反、下命容認の罪で検挙した件数が二千百七十七件、これは平成四年中の数字でございます。それから、過積載を教唆幇助をしたという件数が百五件ほどでございます。  で、現在の過積載を取り締まる法のシステムのもとにおきましては、会社が下命容認をしたという事例につきましては、実際に命令したり容認したりしたことが証明された場合にのみこの罪が成立するわけでございまして、その下命容認が証明できない場合には会社に責任が及ぶことはございません。今回、先ほど御説明申し上げました七十五条の二の規定で、放置駐車に関するシステムを準用させていただく規定を置かせていただくようにお願いしたいということを申し上げましたが、そのような場合には、下命容認の事実が証明されなくとも、ある特定の会社の車両が何回も過積載状態で走っているという場合には、その状態に着目してその会社に対して警察の方で指示を出し、指示にもかかわらずなお過積載で走っている場合にはその車両の使用をとめてしまうという仕組みでございますので、こういう仕組みを設けさせていただければ、会社の下命容認と申しますか、そういった関係違反はさらに多く取り締まることが可能になると考えております。  それから、過積載の教唆幇助の関係でございますが、これもまた厳格な刑法総則の規定に従って証明がされた場合でございます。今回は、先ほど申し上げました使用者以外の者が過積載で走ることを要求したり、あるいは情を知りながら売り渡しあるいは積み込むということをした場合に責任を追及することができるような仕組みを設けさせていただきたいということで御提案申し上げておりますが、そのような仕組みができますと、教唆幇助によることなく、そちらの規定で取り締まることができるということで、これまたそういう背後責任の追及という点ではかなり有効なシステムになるのではないかと期待をしているところでございます。
  45. 北川昌典

    北川(昌)委員 結局、下命容認の場合は、繰り返すと、三カ月に限った期間の中で車の使用を禁止する、こういうことになるわけですが、車は動かないですけれども、下命容認をした本人に対する罰則というのはどうなるのですか。
  46. 関根謙一

    関根政府委員 下命容認の罪につきましては、下命容認であることが証明された場合には、現在道路交通法の七十五条の規定がございまして、その下命容認をした自動車使用者は、下命容認を受けて過積載車両運転した運転者と同じ罪に処せられるという仕組みがございます。しかしながら、今回お願いをしております、下命容認であることが証明されないが、ただ指示違反であるという場合には、指示違反についての罰則というのはございませんで、指示違反でなお過積載車両をさらに運行させたという場合には使用制限という行政処分のみで対処をすることとしたい、こういう仕組みでございます。
  47. 北川昌典

    北川(昌)委員 運転者は断り切れない、断れば仕事をとめられるとかおまえは首だとかいう形で仕事を失うわけです。もう強制、強要されてやむなく積んで走った、ところが検挙されて行政処分を受ける、こういうことになるわけですね。ところが、その強制した、強要した荷主なり会社側の当事者は、先ほどおっしゃるように、それが確認できなければ車の使用停止、これだけで終わるということになりますと、これはもう働く運転手の皆さんは踏んだりけったり、こういうことになりかねないと思うのですね。  やはりそういった面からいきますと、根を絶つためには、今まででもそうなんでしょう、この新聞に載っておりますが、何千回か違反を繰り返しても、運転手は罰金を取られる、しかしそれは会社持ちということで、まあまあ会社には全く罰金を払う——立てかえて弘ってはおりますが、運転手さんは罰金払うだけでなくて免許の取り消しということも当然出てくるわけで、そういうことでしわ寄せが運転手だけに来ておるというのが今までの実態なんですね。会社は一台とめられますと、それは打撃になるかもしれませんが、やはりそういった大もとに対しての罰則というものを、これはやはりなかなか確認できぬでしょうが、現認しなければ、現行犯でなければなかなか検挙できないでしょうからね。そういった面では難しいでしょうけれども、もう少しこういった下命容認、当事者に対しての罰則、取り締まりというものを強めていただかなければ、いつまでたってもこれは根絶できないのではないだろうかと思うのですが、そういう面からいくと、刑事とか行政処分に問われた場合は、その背後責任者としての荷主とかあるいは事業主に対しての処分を科して、運転手にはこれを免除する、こういうことにはならないのかどうかですね。
  48. 関根謙一

    関根政府委員 過積載車両過積載車両であるということを承知しながら運転するという場合には、やはり道路交通法上、大変危険でございますので、そういう行為をした人に対して不利益な制裁を科するということはやむを得ないことと存じます。  ただ、そういう状態にしむけたという人たちに対する背後責任の追及と申しますか、そういう事柄につきましては、これは私どもの運用に係る部分がかなり多いという感じもいたします。過積載車両がどういう事情で走っているのかということを関係機関、団体、いろいろな方々と一緒に研究をいたしまして、過積載車両が走って交通上危険を及ぼすということのないように何とか運用上努力をしてまいりたい、このように考えます。
  49. 北川昌典

    北川(昌)委員 これは管轄が違うかもしれませんけれども、やはり強要されたのを拒否できない環境にあるわけですよ。したがって、その強要を拒否したとき不利益な処分を受けないように保護するようなものも、これは大事じゃないだろうかと思うのですよね。これはちょっと所管が違いますので意見だけ申し上げておきたいと思いますけれども、ともかく要求禁止というものがうたわれておりますから、これを徹底してもらうということをお願いしておきたいと思います。  次に、戻りますが、五十八条の二の関係で、積載物重量の測定でございます。アで「警察官は、過積載をしていると認められる車両運転されているときは、当該車両を停止させ、運転者に対し自動車検査証等の提示を求め、当該車両積載物重量を測定することができることとする。」こう書いておりますけれども、この測定は限られた箇所でなのか、どこでも交通障害にならないところでは測定できる、こういうことなのでしょうか、どっちですか。
  50. 関根謙一

    関根政府委員 先ほど建設省道路局長の御答弁がございましたように、現在は高速道路等で特定された場所にそういう車両重量を計測する仕組みを設けまして、そこを私ども道路管理者と一体となりまして利用させていただいているところでございます。しかし、今回御提案申し上げております改正法五十八条の二で考えておりますのは、そのように固定したものだけではなしにもっと弾力的に、必要な場所で計測できるようなそういう測量の機材、これを使って計測ができるようにしたいということを念頭に置いての規定でございます。
  51. 北川昌典

    北川(昌)委員 先ほど道路局長さんの方で答弁がありましたように、高速道では三十キロメートルに一カ所ということで、比較的測定が可能な状況にあるようでありますけれども一般道では、これは主要幹線でもスペースの関係等でなかなか測定できない、したがって見逃さざるを得ないという状況も起き得るのではないかと思いますが、こうした積載量の確認をする方法として、高速道以外の一般道にも重量をはかる施設というものを何カ所か、距離は別にしましても、必要なところには設置をすべきではないかと思うのですが、そうでないと、高速道はわかりますが、一般道ではなかなかこれが、一番危ないのですよ、一般道の方が、事故につながるわけなんです。そういった面で、その点どのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  52. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 トラックが道路を走ってきまして、その道路上で車両重量をはかりますと、どうしてもそこで停滞をいたします。そうすると、混雑、大混乱が起きます。ですから、どうしても道路の外側にそういうヤードを設けまして、そこへ誘導いたします。そしてそこではかる、こういうことをとらないと、なかなか一般道路はできません。したがって、そういう意味で、私どもいわゆる定置式の車両重量をはかるための車重計、こういうものを一般道路でも、国道等と県道でもございますけれども設置しておりますが、どうしても場所が限られます。それから、同じ全体をはからなくても軸重だけははかる定置式のものも設けてあります。それ以外に、いわゆる可搬式、持ち運びが自由なところで著しく問題があるところについては、そういうマット式の計量装置を設けましてやるわけですが、いずれにいたしましても誘導したりしなければいけませんから、これは道路管理者だけでは現実に非常に問題があります。  したがって、警察当局と御一緒になって、事前に御相談してやらせていただくというのが実態でございます。一つ間違いますと大混乱が起きますので、どうしてもそういう実態とのはざまの中でこれをやるものですから、しかも道路の際というのはなかなか場所もとりにくいところがございますので、今後こういう道交法改正趣旨を生かすようなことを十分考えながら、こういう箇所をどうやってふやしていくか。例えば道路際に残地ができたときには、そういうところを積極的に買収してそういうものに充てるような工夫をするとかいろいろな工夫を、先生の御趣旨を十分生かすような形で今後研究させていただきたいと思います。
  53. 北川昌典

    北川(昌)委員 そういったことも進めていただきながら、当面積載量を確認する一つの方法として、トラックに自重計を構造的に装置するということはできないのか。今ダンプカーにはあるようでありますけれども、これは取り調べだけのことを言ってもおかしなことになりますが、重量計というものが作動しないとなかなかわからないらしいのですね。  それとまた、今運輸省でございましょうか、トラック協会でございましょうか、自重計についての研究がかなりされておるというふうにもお聞きしておりますけれども、これについて今現状はどうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  54. 小杉昭夫

    ○小杉説明員 ただいま先生指摘のいわゆる自重計につきましては、既に平成元年十二月でございますが、貨物自動車運送事業法の制定に際しましても、積載重量計の研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図る旨の附帯決議もなされているところでございまして、これを受けまして、運輸省におきましては平成三年十二月、関係者によります大型トラック積載重量計の調査研究委員会、これを設置しまして、現在ストレーンゲージ式あるいは先ほどお話がありましたようにポータブル式、いわゆるマット式の積載重量計に関する調査研究、実用化の可能性などにつきまして鋭意検討しているところでございます。  今後、この検討結果がまとまり次第、ただいま先生指摘の点も踏まえまして所要の対策を講じてまいりたいと考えております。
  55. 北川昌典

    北川(昌)委員 今、鋭意研究中ということでございますので、できるだけ早くこれが研究成果が出るように進めていただくことも要求しておきたいと思います。  また一つには、こういう方法もあるのじゃないかと思うのですけれども、荷主なり運送を依頼する側が、積み荷の伝票を運転手の方に渡して送り主の方に届けることは通常的にありますね。こういったものを義務化して、常に運転手が携帯しておるということにすれば、その運送中は携帯している、取り調べのときもそれを明示すれば、もしそれがうそであって計量してみたらこれは過積載だったということが判明すれば、その荷主が下命容認ということになるわけですから、それで取り調べる側もその送り状によって大体のことを調べることができる、こういう点があると思うのですけれども、こういった輸送状といいましょうか送り状と申しましょうか、こういったものの義務づけというものはできないのか、どうなんでしょうか。
  56. 賀耒敏

    賀耒政府委員 ただいま荷主が重量を、いわゆる輸送状で運転する者に交付したらどうかという御指摘でございますが、いわゆる大きな荷物をオーバーして運ぶということは総務庁としても交通安全上大変だというようなことで、ただいま先生の御指摘いただきました御意見については大変興味を持っております。従来、関係省庁の連絡会議で数次にわたりいろいろ話し合っている中にも、以前にそういう話も出たことがあるわけでございますが、今回、過積載につきまして荷主等、いわゆる背後責任の追及を強化するという改正がなされまして、これによってかなり進むんじゃないか、そういう意味では期待しておるものでございます。  ただいま具体的にお話しいただきました輸送状につきまして、従来の一般論でございますが、これを全部の荷主さんに義務づけるとなると、法的にもまた技術的にもかなり難しい問題があるように、今までの意見等が出ております。と申しますのは、運送業者だけであれば荷主さんが運送業者に渡すということは比較的可能な場合もあろうかと思いますが、荷物を運ぶのは自家用で運ぶ場合もございますので、荷主であると同時に自分も運転者であるというようなケースも社会の中にはございますし、またもう一つは、これは私の私見でございますが、どこの荷物を運ぶ人にも、そんな大きな重量計を個々に確保できるんだろうかというような技術的な問題もあるように思います。それと、今日の我が国のような自動車輸送というか物流がこれだけ進んでおる段階で、すべての荷物にそういうようなシステムができるか等々考えますと、なかなかこれはすぐ結論の出る問題ではないので、我々よく関係省庁の御意見を聞きながら検討し、一生懸命考えていかなければならぬと思います。  いずれにいたしましても、現に国内で多くのいわゆる過積載の荷物が運搬されておるのも事実でございますので、やはり関係省庁を通じまして、いろいろな官庁が荷主に対して指導をする所管がございますので、より多くの荷主さんに影響力のある官庁との連携を保ちまして、まず社会全体的にそういう違法なことをしないように、引き続き指導すべく努力いたしたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
  57. 北川昌典

    北川(昌)委員 常時運搬を依頼しておる側は、何も重量計がなくても大体同じ品物でございますからわかるんですよね。ここまでなら大体何トン、ここなら何トン、木材なんかでは生と枯れたのでは違いますけれども、勘というか量的にわかるんです。そういった面でいきますと、何も重量計を一々設置しなくても、これは大体何トンということになると思いますが、これはここで議論してもしょうがないことです。  ただ、違反でも容認範囲というのがあると思うんですが、例えば二・五トン車が四倍も積んでおるというのは、これはもうあれですけれども、大体何%までが容認範囲なんですか。荷物というのはやはりぴちっとはいきませんので、若干重さが切れませんので、そこあたりどのように考えておられるのかですね。
  58. 関根謙一

    関根政府委員 取り締まり基準についてのお尋ねかと存じます。  私どもといたしましては、過積載の程度が高くて交通上危険性の高い過積載車両から順に取り締まっていくという考えでございまして、比較的軽微な過積載車両、あるいは小さな車で危険性がそれほど高くないといったようなものについては警告にとどめるということで対応しているところでございます。  ただ、大型トレーラーの場合でありますとか大型トラックの場合でありますとかは、過積載の程度が比較的高くない場合でも危険だという事態が生ずる場合ございます。他方、小さな車の場合にはそれほどでもないということもございますので、一概にはちょっと申し上げかねるというところでございます。
  59. 北川昌典

    北川(昌)委員 次に、産業廃棄物運搬車というのは、これは特別な認可を得ている車なんでしょうが、より多く積まれる設備がされておるというふうに聞いているんです、名前はちょっと忘れましたけれども。これが、運搬認可を受けておる物質といいますか、それ以外のものが、容量が多うございますから運搬には非常にいいんでしょうけれども、かなり横行しておると新聞等でも報じておりますが、それが過積載車両として動いているわけでして、こういった点どのように把握されておるのか、お尋ねしたい。
  60. 賀耒敏

    賀耒政府委員 いわゆる産廃車両過積載をしている実態等はどうかというお話でございますが、産廃車両で一番問題になりますのは、土砂等を運んでいる場合じゃないかと思います。  御案内のとおり、本来産廃車両というのはいわゆる廃プラスチックだとか、本来産業廃棄物を運ぶものでございますので、そういうものは土砂等と比べますと比較的軽いものであろうと思います。したがいまして、この車両というのはそもそも最初からかなり底が深いと申しますか、外から見るとかなり高さの高いものになっている。そういうものは、もともとそういうものを運ぶ、軽いものを運ぶという前提で認められておりまして、いわゆる道路運送車両法の一般の保安基準に適合すれば使えるというものである。一方、いわゆるどの車両を対比するかいろいろ考えられるんですが、典型的な問題になりますのはいわゆる土砂等を運ぶ大型ダンプ、これを今申し上げましたように深く積めば物すごい重量になりますので、これは交通安全上その他いろいろ問題が出てくるわけであります。  これにつきましては、ダンプカーの規制法に基づきまして、本来の道路運送車両法の保安基準を満たすのみならず、いわゆるダンプにつきましては、本来の基準に該当するほかは、ダンプ規制法によりまして運輸大臣に届け出をし、しかもそういうものを運ぶ車両であることがわかるように、表示番号、背番号をつけるというような形になっている。そういうようなものがもし差し枠するなど、どうも産業廃棄物に似たような深いものであれば、最大積載量を超えるものとして禁止されておるし、またそのように改造すれば当然車検も通らないということになっております。そもそも、産業廃棄物のような車両でやってはいかぬ土砂等を運ぶけしからぬ車があることが問題であります。これにつきましては、ダンプ規制法違反にもなりますし、道路交通法違反にもなります。その種の車は、本来のダンプ規制法のダンプというのは全国で十七万ほどありますが、産業廃棄物の車両としては全国で十二万ほどございます。  それで、私ども関係省庁との調整する立場といたしましては、産業廃棄物車両には本来の産業廃棄物を運搬するように、ダンプでは本来のダンプ法の規制に従ってするように指導しておりますし、特に産業廃棄物につきましてはそういう傾向が見られますので、関係省庁にも十分にお願いをし、指導、取り締まりもしていただいております。さらに、必要な産業廃棄物の問題点等につきましても研究会を設けているところでございます。
  61. 北川昌典

    北川(昌)委員 それから次に、これは車両重量の規制緩和でございますけれども、何か二十トン車が、これは制限ですけれども、二十五トン車に総量規制の緩和が今検討されておる、こういうふうにお聞きいたしておりますが、これに対して道路なり橋梁構造上問題はないのか、そこあたりお聞きしたいと思います。
  62. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生指摘車両重量の問題、これは実は国際物流という立場でもいろいろと大きな課題になっております。  ヨーロッパでは、先生指摘のように二十五トン程度が、大体EC各国でございますが、なっております。我が国の場合、正直言いまして、橋梁が市町村道も合わせますと全部で十二万余ございます。県道以上でも四万余ございます。この橋梁は、二十トンでの総重量で設計しているものがその中の約七割弱でございます。それから、県道以上でございますけれども、県道以上であっても三割は十四トンで設計しております。それが現実でございます。  こういうことなので、現在より重い車が常時走るということになりますと、現在過積載ということで通っているじゃないかという御指摘もありますが、私よく別の例で申し上げますと、一晩や二晩の徹夜はもつけれども、三百六十五日徹夜すればその人間は倒れてしまうというのと、橋梁の寿命というのが同等になろうかと思います。そういう意味で、私ども現在、これを直そうじゃないかということで、第十一次五カ年計画の中の課題として考えております。  しかし、ではどうしたらいいのかということもございますので、去る一月に道路審議会にも、これからの二十一世紀に向けた道路構造のあり方ということで、必要に応じて道路構造令の改正も含めて御討議、御審議をいただいております。その中で、橋梁の補強、かけかえといったような、あるいは車両の諸元の制限緩和といったような問題も考えております。当然のことながら、今申しましたように、場合によって相当な補強、場合によってはかけかえ、老朽橋などですとかけかえをしなければなりません。そういうことで今、個別に当たっております。一方、この大型化は、実は排ガスとか騒音とか振動とか、もう一つ別の側面も出てまいります。そういうことで私ども、単に重量だけでこれに対処するのではなくて、あるいは交通安全という意味では制動距離の問題もあります。そういう意味で、自動車自体の性能の問題もあわせて将来的には御議論いただかなければいけないということもあります。  しかし、そうはいうものの、国際的に見ても我が国運転手さんの労働市場が非常に厳しくなっている、こういう状況も踏まえまして、やはり前向きにこの問題に対処しようということで、五カ年計画内にはこの問題で具体化しよう、しかもさらに、それが五カ年間何もしないでいいのかということもございますので、ではいわゆる暫定的に何ができるか、例えば路線を指定して、その路線だけはある程度こういう、二十五トンまではいかないまでも、とりあえずこういう走行状態ならば通ってもいいんじゃないかというようなことのチェックをやっております。  しかし、さらにもう一つどもその際にお願いしておりますのは、この数年間に平ボディーのトラックカーから、いわゆるバン型といいますか、御承知のように屋根がついているトラックが非常にふえてまいりました。このために、事実上積載重量が一トン半ぐらい減っております。問題なのは重量の問題よりも、積載量が多くないとなかなかこの物流の問題に対処できないということでございます。冷凍車になりますと二トンぐらい重くなります。ということは載る荷物が減ってしまう、こういうことでございます。そういうことでございまして、自動車業界もその中で軽量のリアボディーを導入するとか、いろいろな工夫はしているようでございますけれども、私ども、やはり総重量の議論と同時に、積載量をふやすための車両のいろいろな技術開発、こういうものもあわせる中で、私どものこの総重量問題に対しての具体的な橋梁補強を含めた対応をさせていただきたいと思っております。  そういう意味で、通産、運輸、警察等々関係省庁とも十分協議をしながらこの問題に対処していきたいと思っております。
  63. 北川昌典

    北川(昌)委員 次に、交通事故防止対策として一、二点お尋ねしたいと思います。  交差点事故が非常にふえておるというのは近年の特徴でございますけれども、この事故の起きる原因というのを素人なりに見てみましても、シグナルの関係があるのじゃないかと思うんです。と申しますのは、昔の青と赤と黄、この三つのシグナルが、高速には入りませんけれども、普通の一般道では多いんですよ。ところが、右折をするときに直進車との事故がある。人間、せっからしいものでございますから、どちらかが早く出たり遅く出まして、そういうような状況で、今矢印の右折信号もできておりますが、これだとかなり、渋滞もないし事故も少ないというふうに私は見ておりますけれども、その実態はどうなんでしょうか。  それと、赤、黄、青の信号は、もう今の実態にそぐわない部分も場所によってはあるんじゃないか。したがって、必要なところはやはり矢印の信号に変えていくべきではないかと思います。同時にまた道路管理者の方も、右折レーンを積極的に取り入れていただいておりますが、まだまだ充足してない部分もあるようでありますが、そういった点いかがなものでございましょうか。
  64. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のように、右折車両と直進車が衝突をして重大な事故に至るという事例はかなりございます。そういう事態を回避するために右折矢印信号というのは非常に有効でございますし、そういう事故防止のみならず、交通の円滑化という観点からも大変有効であると考えております。  現在、こういう右折矢印を設けております信号機、全国で約一万ほどございます。ただ、これは常に道路管理者と御相談をしながら、一体となってこういう工夫をする必要があるわけでございまして、右折矢印を設けるためには、まず右折車が端に寄っておりませんと直進車が走れないことになります。そこで、右折レーンというものが同時にあるところで初めて右折矢印信号が可能になるということで、道路管理者ともども、一体となりましてこの種の施設整備に努力をしているところでございます。
  65. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 右折レーンの設置につきまして、ちょっとお答えいたします。  私どもの勉強した成果だけでいいますと、全交通事故の約六割、死亡事故の約四割が交差点やその付近の事故というような感じになっております。そこで、私ども従来から、事故多発交差点というものをある程度考えまして、こういうものを中心に、今交通局長からお話があった信号機の高度化等との連携を図りながら、右折レーンの設置等の交差点改良を行う。さらに、夜間では照明も設置するということですが、この右折レーンは、先生指摘のように、私ども三十七カ所の事例調査をいたしましたが、右折レーンをつくったことによって事故件数が設置前の四分の一に減った、こういう一つの経験を持っております。  そこで私ども、第四次の昭和六十一年から平成二年までの交通安全五カ年計画では四千カ所以上の交差点改良をやってまいりましたが、現在の第五次では五千カ所以上の交差点改良を行わせていただきたいと思っておりまして、今やっております。平成四年度はもとより、五年度においても重点的に改良させていただきたいと思います。
  66. 北川昌典

    北川(昌)委員 ぜひ地方の道路にも多く設置いただくように、お願いをしておきたいと思います。  時間がございませんので、信楽高原鉄道事故、もう二年近くなりますが、この前運輸省調査結果も出ましたし、警察庁の方も出ました。これを教訓にして、鉄道事故がないように、再発防止対策を十分とっていただくことを要求しながら、一つ地元の問題としてお聞きしておきたいと思います。  JR日南線、これは南宮崎から鹿児島の志布志まで約九十キロの単線でございます。今度七月一日からJR九州の中で、日南鉄道事業部として、独立なのか切り離されるのか、そういう経営形態になっていくということで、そのための整備を今進めてもらっておりますが、その中には二十その駅がございます。その中で、委託駅が七カ所ぐらいでしょうか、無人駅が十七、あとはちょっと数がいませんが、大体そういうことでしょう。そういう線でございまして、この点からいきますと、信楽の二の舞にならないような十分な保安体制というものは整えていただかなければならないと思うのです。  南部の方に、今リゾート開発が進んでおります。観光地でもございまして、今はスピードが四十五キロ、「のぞみ」は何キロでございましょうか、望み果てないというような感じのする日南線でございまして、また特に待ち時間といいますか、行き違うときに待つ時間が十五分もある、こういうような状況でございます。したがって、線路ができまして三十年もたっておりますので余り手も入ってないと思いますから、そう大きなスピードは無理がと思いますけれども、待ち時間をダイヤの編成によっては変えて短くするとかいうことで時間を短縮できると思います。そういった面をひとつ十分七月に向けて配意を、運輸省の方から指導方をお願い申し上げておきたいと思います。  もう一つは、九十キロの間の真ん中ぐらいの駅が、職員が集約されておりますからほとんど無人駅ということで、もし仮に踏切事故とかそういったものがありまして列車がおくれる、ところが発車時刻に合わせて乗客は来ておる、なかなか連絡もない、来ないという状態も無人駅では今までもあったわけですが、そういったことがないように、これは乗客サービスという面でございましょうか。どこかでそういうおくれを察知したならば各駅に通達できるような放送、昔は有線放送というのがございます、今でもありますけれども、そういった施設で乗客に対しての告知、そういった知らせというものができる体制というものをつくっていただきたいと思うのですけれども、その点いかがなものでございましょうか、整備も含めてお尋ねしたいと思います。
  67. 豊田榮次

    ○豊田説明員 日南線のことにつきましては、もう先生御地元でございますのでよく御承知かと思いますけれども、まず一つは保安の関係でございますが、なかなかお客さんの数が伸びない中で輸送を確保していくということで、JR九州におきましてもいろいろ安全を確保しながら省力化を進めるということで苦労してきております。先般の無人化の際には、通常電子閉塞と言われている装置でございますけれども、安全の確保運転手自身が行っていきながら、進路をちゃんととって安全を確認してというふうな装置を導入して無人化しているわけでございまして、その辺は安全を確保しながら輸送を維持しているという努力を続けているところでございます。  それからスピードにつきましても、現在私どもが認めております最高速度、出せるところでは出しておりますけれども、どうしても曲線が多うございまして、そういうところを曲線を改良するとか、あるいはより性能のいい車両を導入するということになりますと、いずれも多くの費用を要しますのでなかなか難しいのかなというふうにJR九州でも考えているわけでございます。  それからダイヤにつきましても、確かに現行ダイヤで見ますと、十四分ほど行き違いのために停車する列車が一本ございます。その他はおおむね十分以内となっておりますけれども、確かにそういう点で、ダイヤをさわるとしますと、対向列車との行き違いのほか、ほかの列車あるいは日豊本線への接続、それから行き違いの駅の配置の間隔の問題もございますし、部分的な変更が難しいものがあろうかと思います。それからまた、先ほど先生おっしゃいましたように、無人駅でお客さんにどういうふうな情報連絡をすればいいのか。例えばそこに業務用の電話を置きまして、お問い合わせに答えられるような体制もとれないかどうか、そういうようなことも考えられるわけでございます。  いろいろな状況を踏まえましても、私ども運輸省といたしまして、運輸政策審議会から、地方線区においても利用者の状況等を考慮した上で輸送サービスの改善を行えということを言われておりますので、そのような方向で引き続き努力するようJR九州を指導してまいりたいと考えております。
  68. 北川昌典

    北川(昌)委員 高速自動車道におきまして身体障害者の車は料金の割引があるのですが、これは身体障害者の方が運転をする車に限られておると思うのです。中には運転ができない身体障害者がいらっしゃいまして高速を利用される方があるわけなんですが、そうした免許を持たないがゆえに、もちろん車を持たないわけですが、しかし高速道は通る、こういった身体障害者のために高速料金の割引制度はできないものか、お尋ねしたいと思います。
  69. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生の御指摘の点、私ども昨年の道路審議会での答申で、具体的な適用要件も含め、この適用範囲の拡大について検討する必要がある旨の御答申をいただいております。また、去る百二十三国会におきまして、その趣旨と同様な趣旨の請願が採択されたことも承知しておりますので、これを踏まえまして今現在検討いたしております。  ただ、問題点は、料金収入によって道路の建設等に要する費用を償うものでございますので、料金の割引は他の利用者に負担になりますから、そういう意味での御納得をいただかなければいけない。それから、鉄道等と異なって、一人一人の特定ができるような切符じゃなくて、今度は一台一台でございますから、バスだとかいろいろな形のものがございます。そういう場合の、自動車を対象として料金を徴収することはどうしたらいいか、こういう難しさがございます。  そこで、私ども拡大の対象とすべき障害者の具体的な範囲、それから介護者運転の場合における介護者や自動車の要件などの範囲の限定方法、対象自動車範囲、それから障害者の本人確認、例えば福祉事務所との関係もございます。それから自動車の確認等いろいろな手続等、具体化のために必要ないろいろな検討を今関係機関と進めております。これらの検討結果がまとまれば、所要措置を講じたいと考えております。
  70. 北川昌典

    北川(昌)委員 時間が来ましたけれどもちょっとおかりしまして、せっかく長時間お座りでございますので長官に一つお願いをしたいと思うのですが、これは私の要望ではなくて、現場で交通事故をなくすために大変苦労いただいておる警察官の代弁としてお聞きいただきたいと思うのですが、ここ数カ月の間に警察幹部の、どことは申しませんが事故を起こして、その事故隠しの状況がマスコミで報道されました。また、交通を担当する係長さんでしょうか、この方が酒酔い運転か酩酊運転で新聞に載りました。また、これは警察官で、交通関係がどうか知りませんが、ひき逃げ事故を起こしたということでマスコミに取り上げられたわけですが、本当に現場で寒さに耐え、雨の日も頑張っておる警察官、悪質な違反者を捕らまえても、その悪質者に限ってそういった面での嫌みを言う、本当にやりづらい状況があるということで、取り締まりの士気にも交通達反をなくそうという運動のあれにも非常に障害になっておる、こういう声を現場の警察官から聞きました。  したがって、新聞に載ることが悪いとかそういう意味ではないが、やはり職務という立場で厳にこういった事故が起きないように、長官としてひとつぜひ警察官全員に要請をしていただきたいと思います。これは、私自身のでなくて現場の警察官の声でもございますので、申し上げまして終わりたいと思います。
  71. 城内康光

    ○城内政府委員 警察がその仕事を効果的に進める上で、今御質問にございましたように、国民の信頼を得るということが大変大事だというふうに認識しております。たとえごく一部にせよ、法を執行する立場にある警察の職員が不心得な行為をいたしまして国民警察に寄せる信頼を傷つけ、それによって他の多くのまじめに仕事をしている警察官が大変仕事に差しさわりがあるというような状態になりますことは、私どもも大変困ったことだというふうに考えております。  このことにつきましては、私どもも昨今のいろんな事例から大変深刻に考えておりまして、ただいま御質問趣旨を踏まえまして、今後とも一線を強く指導させていただきたいと思います。
  72. 北川昌典

    北川(昌)委員 では終わります。
  73. 春田重昭

    春田委員長 吉田和子君。
  74. 吉田和子

    吉田(和)委員 私は、今改正のうちの運転免許に関する規定整備について、細部にわたると思われますけれども細かに御質問をさせていただきたいと思います。  運転免許の保有者数が平成四年度末で六千四百万人に達して、そして毎年二百五十万人以上が取得を新たにしているというふうな数の大きさにも比例をしているんだろうと思いますが、昨今ドライバー年齢構成といいますか非常に変わってきているなと思いますことの一つに、若い女性が業務用の大型車を運転をして仕事に当たっているということを町の中で見かけまして、ああ時代が変わっているんだな、そして国民意識の変化というのも大変大きいんだなということを感ずるわけでございます。高齢化社会に入ってまいりまして、高齢者ドライバーども本当に見受けるわけでございます。そういう時代背景の中で、今改正が本当にきめ細かに時代に反映をしたルールになるように願っているわけでございます。運転免許に関する規定に関しましては、利便性とそれから運転者教育の質的な充実をあわせて行おうというふうな考えは、大変知恵を絞られた内容ではないかなと評価をしているところでございます。  まず最初でございますけれども政令で定める優良運転者基準とは何かをお伺いいたします。
  75. 関根謙一

    関根政府委員 優良運転者につきましては、現在御提案を申し上げております第九十二条の二第一項の表の[「備考」の一号の2というところで定義がございまして、「更新日等までに継続して免許を受けている期間が五年以上である者であって、自動車等運転に関しこの法律及びこの法律に基づく命令の規定並びにこの法律規定に基づく処分の遵守の状況優良な者として政令で定める基準に適合するもの」という定義でございます。  お尋ねは、この「優良な者として政令で定める基準に適合するもの」、その「基準」とは何かという点であろうかと存じます。私どもは、優良運転者として称揚するに値する立派なドライバーたる基準ということで、その更新日等以前五年間に無事故、無違反である者という基準を現在考えているところでございます。
  76. 吉田和子

    吉田(和)委員 なぜ五年という数字が出てきたのでしょうか、お伺いしたいわけでございますけれども、そもそも免許というのは資格を与えられるわけでございまして、そこの意味からいえば無制限であってもいいのではないかというふうに考えるところもあるわけでございますけれども、五年というその期間の長さについては、どのような基準で判断をされたのでしょうか。
  77. 関根謙一

    関根政府委員 この五年ということにつきましては、昨年六月の臨時行政改革推進審議会答申及びこれを受けての昨年十二月における閣議決定におきまして「運転免許について、優良運転者に係る運転免許証有効期間更新時に五年とする制度の早期導入を図る。」というような政府の方針が示されたところでございます。これが形式的な理由でございます。  実質的な理由といたしましては、あくまでも運転免許制度趣旨にかんがみ、免許有効期間事故防止を図る観点から適切な期間であり、かつ各ドライバーにとって重い負担とならないような期間という基準で、おおむね五年程度ということを考えたところでございます。この五年という程度を考えるに際しましては、もちろん、諸外国制度も十分にしんしゃくした上ででございまして、特に自動車王国であります。アメリカ、カナダといった国々における諸制度アメリカでは大部分の州が四年、カナダではほとんどの州で三年以下というような事情もございますので、そういった点も考慮し、また現在、ヨーロッパ各国での動きといたしましても、逐次免許更新制度を導入するような方向、あるいは期間を短縮するような動きがあるように見受けられるといったところもしんしゃくいたしまして、実質的に五年という期間を定めさせていただきたいということで御提案を申し上げているところでございます。     〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
  78. 吉田和子

    吉田(和)委員 私も免許証を取らせていただいておりますけれども運転をするのは交通状況のわかる範囲と道のすいている土、日に限らせていただいておりまして、いわゆるぺーバードライバーの一人ではないかというふうに考えているわけでございます。私どもにとりましては、五年間無事故、無違反ということに関しては、十分注意を払っていき、交通ルールを守っていけば、さほど長くはないかなというふうに感ずるわけでございますけれども、車を運転する機会が大変多い方、車で仕事を行い、なりわいとしていらっしゃる方にとりましては、特に私ども東京都内で生活している範囲の中では、その五年間に無事故、無違反を守り通すことは大変厳しいのではないかというお声も聞かれるわけでございます。  九一年の一年間に交通取り締まり件数が九百二十六万四千九百四十件、一日に二万五千三百八十三件の違反切符が切られているというふうな数字もございます。私のようなぺーパードライバーとか、その日に事情で運転しない皆さんとかいろいろ加味しますと、その件数というのは私にとっては何か大変大きい数のように受け取られるわけでございます。本来の意味で優良ドライバーを受けるべき人たちにそのメリット制が導入されなければならない、本当の優良ドライバーを優遇する制度にならなければならないと考えるわけでございますが、この点の問題につきまして、長官はどのようにお感じになられるというかお考えになっておられるでしょうか、状況というのをどういうふうに把握されているでしょうか。
  79. 関根謙一

    関根政府委員 技術的な点でございますので、私からお答えさせていただきたいと存じます。  先生指摘のように、今回の優良運転者という仕組みは、ぺーパードライバーみたいにほとんど運転されない方も、二種免を持っていらっしゃる方々のように非常にしばしば自動車運転される方も、同じように扱うという仕組みでございます。実は、優良運転者ということで実質的な基準ができないものかということもいろいろ検討したわけでございますが、そういたしますと、しばしば運転される方については更新機会がしばしばあって、適性検査を受けるような仕組みの方が望ましいのではないかというような意見もございまして、コンセンサスを得ることがなかなかできませんでした。そこで、そういう方々もすべて等しく、いわば形式的な基準優良運転者というものを定めさせていただくこととしたわけでございます。何か実質的な基準というものが可能であれば、それもまた今後の課題として研究してまいりたいと存じます。
  80. 吉田和子

    吉田(和)委員 素人考えでは、運転から日ごろ遠ざかっている者ほど、例えば法のきめ細かな改正がどんどん行われているわけでございますので、改正内容だとか今のルールが変わっている状況だとか、交通事情が変わっている状況だとかというのをむしろしばしば受けるべきなのは、ぺーバードライバーの方ではないかというふうな御指摘もあるわけでございます。そういう意味で、いろいろな検討がなされたというお話でございますし、ぜひ統一性、透明性というものの確保ということが必要ではないかということを御指摘をさせていただきます。  次に、その細かなケースについてお伺いしたいわけでございますけれども、例えばスピード違反反則金を支払って行政処分がくる、そしてその後一年が過ぎて行政処分が消えたというふうな場合は、これは無違反になるのでしょうか。
  81. 関根謙一

    関根政府委員 これはまだ「政令で定める基準」というその政令ができておりませんので、現段階では私どもの現在の考え方ということでお答えをするわけでございますが、現在のところ、そのような方は免許更新日等以前において過去五年間無事故、無違反であるという基準に当たらないと考えております。
  82. 吉田和子

    吉田(和)委員 それから、取り締まりを受けた方が取り締まりは不当であるということで係争中になっている場合については、いかがでしょうか。
  83. 関根謙一

    関根政府委員 係争中であるという場合に、まず行政処分が先にありまして、その処分について争っているという事態でありますれば、その「政令で定める基準」には該当しないという考えでございます。しかしながら、その争った結果、主張される方の方が法律上正しいということが判明した場合には、改めて該当する者として優良運転者として取り扱うこととする、こういう考えでございます。
  84. 吉田和子

    吉田(和)委員 わかりました。  次に、高齢者が七十五歳を基準として、優良運転者としてのメリット制を受けるのは七十五歳までというふうな規定だろうというふうに思われますけれども、これから高齢社会にもはや入っているわけでございますし、高齢者が特に自分の足として車を使われる、運転をするということはむしろ必要な時代にも入ってくるわけでございます。高齢者年齢での基準というのは、ほかでは余りまた先駆けてやられていない状況の中で、特に七十五歳を高齢者基準としたというふうな理由を今回はっきりしておくべきではないかというふうに考えるのですけれども、その基準というのは何でしょうか。
  85. 関根謙一

    関根政府委員 実はこの基準につきましても、いろいろな有識者の方々からの御意見をいただきまして、その結果コンセンサスが得られた年齢ということで、七十五歳が適当なのではないかということで御提案を申し上げているところでございます。  ただ、そのコンセンサスを得るに至った理由でございますが、これは運動神経、動態視力、その他いろいろな基準から考えまして、七十五歳くらいから急速に個人差が出てくるということがございまして、全体としては徐々に落ちてまいりますが、全体として低い中でさらに個人差が出てくるということがございますので、制度といたしましてはひとまず七十五歳という基準で、七十歳の方については七十五歳までの五年間の有効期間を持つ免許証を取ることができ、七十一歳の方については四年間の有効期間を持つ免許証、七十二歳以上の方については三年間ということで基準を設けさせていただくこととしたものでございます。  ちなみに、諸外国年齢制限を挙げている例でありますと、イタリアの場合には五十歳というのが基準にございまして、五十歳以前の者については有効期間十年なのでございますが、五十歳を超える者の免許有効期間については五年、それからアメリカの一部の州では七十歳以上の者の免許有効期間は二年、その他ニュージーランドは更新制度が本来ないのですが、七十一歳になると更新が必要になってくるといったようなぐあいで、大体七十歳というのが一つの目安になっているというのが諸外国の例でございます。我が国は、諸外国にさらにすぐれた長寿社会でございますので七十五歳、七十歳よりも五歳多い基準ということになったのではないかと考えております。
  86. 吉田和子

    吉田(和)委員 更新のたびに動態視力検査というのがあるわけでございますし、今肉体的な年齢といいますかそういうものが非常に躍進的に年齢が伸びているというか、個人差が非常にあるというふうに思われるわけでございますけれども、これから高齢社会の中で、基本的にはお年寄りも安心して運転ができるような、そういうゆとりを持った交通社会であればいいなというふうに思っているわけでございます。  免許有効期間延長の問題でございますけれども優良制度を導入すれば要するに期間が長くなるわけでございまして、必要であった書きかえのときの講習内容の質的な充実を図らなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、このことに関してはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  87. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘のように、有効期間というシステムは、その期間の終わりのところで更新のための講習でありますとか、身体適性についてのチェックをすることにより交通の安全を図るという機能を持たせた制度でございます。今回三年から五年に延長されるわけでございますので、その適性検査の点につきましては、臨時適性検査の仕組みを拡充いたしまして、従来よりも幅広くいろいろな機会適性検査を受けていただくようなシステムを設けさせていただきたいということで対応したいと存じます。  他方、講習の方でございますが、これにつきましても、その充実を期するためにいろいろ具体的な仕組みの改善と申しますか高度化を図る必要があるということで、現在検討を進めているところでございます。具体的には、講習に来る方々優良運転者である方々やらそうでない方々、若い人、高齢者、女性、いろいろな特性を備えた方々が見えますので、それらの特性を備えた方々に応じたクラス編成をしまして、その同じクラスの者同士で討論をして安全意識を高めるといったような参加型の講習の手法でございますとか、シミュレーターやらいろいろな高度の適性検査の資機材を用いた講習の進め方といったようなものも導入してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  88. 吉田和子

    吉田(和)委員 優良運転者免許有効期間の特例についての御質問の締めくくりとして、せっかく長官がおられますので、優良運転者政令で定めてメリット制を持たせるわけでございますけれども、これまでの御答弁でございました形式的なものから実質的な基準を加味していって優良運転者規定するというふうな方向にぜひ持っていっていただきたい、確保していただきたいというふうに考えておりますけれども、そこら辺のところの透明性のお考えなどをぜひ長官の方からいただきたいと思います。
  89. 城内康光

    ○城内政府委員 ただいまも交通局長から御答弁いたしましたように、今回のメリット制の導入というのは、安全な交通社会をつくるために優良運転者の方へ一般ドライバーを誘導しよう、そういう前向きな施策でございます。こういうものを実現するということにつきましては、私どもも実際に本当にそのような安全な社会、より安全な社会にするように、いろいろな点で内部管理あるいは内部の教育、そういったものを含めて間違いのないように努力をしていかなければならないと思います。  考えてみますと、交通事故というのは国民の一番身近な危険でございますので、こうしたものについては私ども警察の立場において最善の努力をいたして、またそういうことの行政について国民の皆様方から指弾を受けることのないように、十分管理を徹底してまいりたいと考えております。
  90. 吉田和子

    吉田(和)委員 次に、普通免許等を受けようとする者の応急救護の処置等に関する講習の受講の義務づけについて、九十条の二につきましてお伺いをしたいと思います。  私も、大変身近に痛ましい交通事故状況を見ているわけでございます。その中で何とかならないかなと思いましたのが、私どもの地域はトラック業界といいますか、大型のトラックが頻繁に住宅のところにまで出入りをすることが大変多い地域でございまして、私も大変仲よくしていた小学校一年生の男の子が業務用のトラックに本当にちょっとしたことでひっかけられてしまって、身につけていたものがひっかかったのだろうと思いますけれども、大変大きなものに巻かれてしまいまして亡くなったわけでございます。  そのときに、業務用で日常頻繁に運転をなさっているその運転手さんの対応について、そのときは何ともないと思っていた、外傷が全然なくて軽傷で済むのではないかというふうに思っていたというふうな状況の証言でございました。しかし、あっという間に肺がつぶされていて亡くなったというのが、後で調べていただいた結果の内容でございます。本当に事故の後の数分間の対処の仕方で、一命は取りとめたのではないか。頻繁に運転をする人がそういう救急の救護の処置について学んでいなかったのだなということが、本当に当然もっと知っているべき人たちがたくさん必要とされているのだなというふうなことを痛感したわけでございます。  そういう意味では、本当に国民の一人一人が常に身につけていなければならない内容だろうというふうに考えるわけでございます。その中で、新規に免許を取得する者だけが義務づけられるということでは、実効性が担保できないのではないかというふうに考えるわけでございます。免許更新時の講習において実施をする、これまで免許を取られている方にも実施をするというふうな考えはないのでしょうか、実効性についてお伺いをいたします。     〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 関根謙一

    関根政府委員 今回私どもがよき運転者のマナーとして身につけておくべき技能ということで、応急救護処置の知識、技能を法律上のシステムとして身につけていただくように法律改正をお願いしているところでございますが、これは先生指摘のように、最初の五分間で人の命が大きく運命を分けることになるという事態がしばしばあるということから、何とか対応できるようにしたいという考えからでございます。  当面、これから免許を取得しようとする者からこの義務規定を適用することとしたいと考えておりますのは、何分にも数が多いというのが一つ理由でございます。新規に免許を取得しようとする方は年間大体二百六十万人くらいございます。そのうちの二百五十万人ぐらいが指定自動車教習所の教習カリキュラムを経て免許を取得される方、十万人くらいの方が公安委員会に来て免許試験を受ける方、こういうくらいの区分でございます。今回の改正は、教習所における教習カリキュラムの全面改正を行い、そこで応急救護処置を研修の課程の一環として取り入れていただくということを前提とした上で、その公安委員会の試験を最初から受けに来る方について応急救護処置講習を受けていただくというシステムを設けたものでございます。  このシステムは、法律上のシステムとして応急救護処置を広く一般方々に身につけていただくという仕組みとしては最初のものでございます。私どもは、これによって運転者のみが応急救護処置の知識、技能を身につけるということを期待しているわけではございませんで、むしろこういうシステムが法律上初めて設けられることにより、応急救護処置というものが広く国民方々の間に知れ渡り、その波及効果としていろいろな方々がいわば市民のマナーとしてこういう応急救護処置についての知識、技能を身につけていただくようになるということをも期待しての上のことでございます。  ということで、現在六千四百万人のドライバー方々がおられるわけでございますが、この方々については運転の能力、道路において自動車等運転することができるという能力を制限してまでそういう応急救護処置を身につけていただくということは余りにも負担が大きいのではないかということを考えるということとあわせまして、ただいま申し上げましたような応急救護処置というものが今後いろいろな形で広まってきてその過程で身につけていただくことを期待いたしまして、現在のところ新規に免許を取得する方から身につけていただきたい、こういう仕組みをお願いしているところでございます。
  92. 吉田和子

    吉田(和)委員 更新時の講習の時間というのが二時間という大変限られた時間の中で、いろいろな方面からの講習の中に入れていくのはやはり技術的に難しいし、大変国民負担が重くなるというお答えであったわけでございます。現実の問題もあろうかと思いますが、その点は大変厳しい交通戦争と言われる状況の中、これからの推移も見ていかなければならないと思いますが、基本的には国民負担をしてそういうマナーは一人ずつが必ず身につけておいていいものなわけでございますので、引き続き推移を身守りながら論議をしていくべきだというふうに考えているわけでございます。  指定教習所における教習カリキュラムの全面改正というお話が出ているわけでございますけれども、全面改正に伴う教える側の指導員の養成というのはだれがどこでどのようにやるのか、簡単で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
  93. 関根謙一

    関根政府委員 お尋ねは、教習所におけるカリキュラムの全面改正に伴い、応急救護処置の教習を行う際の指導員の養成についてのお尋ねかと存じます。  この指導員の養成につきましては、応急救護処置に関する専門家等有識者の方々で構成されております「運転者に対する救急教育の在り方に関する調査研究委員会」というものを私どもの諮問機関として御意見をいただいているわけでございますが、そういう調査研究機関の提言を踏まえ、また、都道府県ごとに指定自動車教習所協会というものがございますが、そういった団体が中心となって、救急医療の専門家の方々などの御協力を得つつ、教習所における教習指導員となる人について、その提言に係る時間、内容といった事柄について必要な講習を受けていただくということを予定しているところでございます。
  94. 吉田和子

    吉田(和)委員 いろいろと細かい内容をお伺いして申しわけありませんが、要するに、免許取得者が受ける救急救護の講習内容はどういうものでしょうか。それから、時間はどのくらいを考えていらっしゃいますでしょうか。現状の今の教習所の中で講習を受けているほかのものとの兼ね合いというのは、どういうふうに受けさせると考えておられるのでしょうか、お伺いします。
  95. 関根謙一

    関根政府委員 教習の内容といたしましては、講義形式のものと実技と二つに分けまして、講義形式のもの五十分、実技百分程度のものを考えております。内容といたしましては、観察とか移動の方法、体位の管理といったようなことから始まりまして、まず気道確保、それから人工呼吸、心臓マッサージ、止血法といったごく基本的な技能で、医薬品も使用せず、医療器具も使わない、だれでもどこでもできる、しかしそれを知っていれば、救急車が来るまでの間その手当てをすることによって人命を救うことができる、そういう技能をマスターしていただくようにということを考えております。(吉田(和)委員「時間はどのくらい」と呼ぶ)時間は、講義が五十分、実技が百分でございます。これは、時限数にしまして大体三時限に相当いたします。  教習所の料全体系は、こういう講義形式のものといいますか、大勢の方が参加して一定の時間内に授業が進むというのは比較的に低料金でございます。自動車に乗車する実技みたいに、そういう機材を使い、しかも一人の教習生に一人の指導者が当たるというものは比較的料金が高くなりますが、この救急蘇生法教育につきましては人形を使う程度でございまして、大勢の人が同時に教習を受けることができるということで比較的低料金、これはそれぞれの教習所の経営方針にもかかわることでございますが、それほど高くない、一時限千円ぐらい、そんな程度のものを考えております。
  96. 吉田和子

    吉田(和)委員 実効性ある講習を本当に私自身もぜひ受けてみたいし、いざとなったときに本当に教えられたとおりのことができるのだろうかなと心配もするわけでございます。さわっちゃいけない、こういうふうにしてはかえって危険というふうな講習の仕方も、一方では運転者、当事者であればもっと動転をしておりますし、通行中に事故を発見してあれする場合もあるでしょうけれども、むしろ教えられる内容によっては、素人が手を出して危険なのではないかなというふうなことも感ずるわけでございます。  この救急救護の処置をする講習義務づけというふうになりますと、ドライバーにとっては、例えば事故を起こしてしまったときにその行為義務づけられるというふうな受け取り方をされるようなことはないでしょうか。例えば先ほどの例でもありますけれども、生死の境にいる方に救急救護の処置が施せなかったドライバーは、それなりにその義務を怠ったんではないかなという心配もするでしょうし、自分が処置をしたことがむしろ死に至らしめたということを御遺族の方から責められるというか、そういうふうな責任というかがその場になると発生するのだろうかということを心配をするわけでございますけれども、まずそういうふうな義務づけがあるかないか、責任が生まれるかどうかということをお答えください。
  97. 関根謙一

    関根政府委員 今回の義務づけは、よきドライバーのマナーとして応急救護処置に関する知識と技能を身につけていただくという点を義務づけているのみでございまして、それをもって負傷者がいた場合に応急救護の技能を負傷者に対して施しなさいという義務づけはしておりません。その点につきましては、道路交通法の七十二条一項という規定がございます。ここで、交通事故があったときは当該車両運転者等は負傷者を救護しなければならない旨の規定がございまして、これは一種の義務規定でございます。  この負傷者の救護ということで何をすればいいかという点でございますが、これは何もせずにそのまま自動車に乗って行ってしまうということを禁止している規定でございます。その場によって、様子を見たり一一〇番をしたり、何らかの可能なことをし、あるいは事故が発生した旨を警察官に通報するということでも、この義務を履行したということになるわけでございます。要するに、ひき逃げに当たるという事態以外の事態であれば、常に救護の義務を果たしたということになりますので、先生指摘の動転して何もしなかったという場合に、そのまま逃げてしまうということでもない限り、義務違反には当たらないということであろうかと存じます。
  98. 吉田和子

    吉田(和)委員 やったことによってその責任が発生するというか、訴えられるというようなことにならないのでしょうか。
  99. 関根謙一

    関根政府委員 これは現行法のもとにおいても同様の事態があるわけでございまして、その場合には民法の一般規定、不法行為法でございますが、故意または過失により他人の権利を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずる旨の規定がございます。故意、過失ということが相手方から証明されない限り、民事上の責任を受けることはないと存じます。問題は民事上の責任の方でございまして、刑事上の責任というのはちょっと考えにくいところでございます。
  100. 吉田和子

    吉田(和)委員 まだまだ細かいことでお伺いをしたいわけでございますけれども、次に免許関係事務の委託についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、「総理府令で定める法人」に委託をする。その「総理府令で定める法人」とはどこであるか、そして今なぜその委託をしなければならない状態にあるのかをお答えください。
  101. 関根謙一

    関根政府委員 免許事務の委託の点についてのお尋ねでございます。  免許事務は、六千四百万人ドライバーを対象とした膨大な行政事務でございます。その中で公権力の行使に当たる行為、例えば免許の取り消し、停止あるいは拒否、保留といったような事務は、行政機関でなければできない事務ということで、当然公安委員会に留保されるべき事務でございます。そのほかに、例えば免許台帳の管理でありますとか仮免許証の作成、仮免許証と申しますのは自動車教習所で路上教習を行うために六月間効力を持つ公安委員会が発給する免許でございますが、こういった免許証の作成、こういった事務につきましては、別に行政機関が行わなくとも、もっと合理的で研修生あるいは免許者にとって適切な機関があればそこに委託をして事務を行っていただくということも、行政の簡素合理化という観点からも一つの方法であろうかと存じます。  現に、免許台帳の管理といいますか免許証記載事項、要するにあるドライバーについてその方がいつ免許を取得され、住所はどこで年齢は幾つでといったようなものが記載された資料がございますが、このような資料の管理は現在コンピューター管理でございまして、そのためにコンピューター会社にその管理を委託している例がございます。ところがその内容は、個人のプライバシーにわたる事項でありますとかいろいろ秘密を守っていただく事柄もあるわけでございますので、今回は、まあ免許事務の委託がしやすくなるように、そういう委託を受けた法人等で守秘義務を持っていただく、国の側からいいますと守秘義務を課するような仕組みを設けていただきたいというのが、免許事務委託関係規定整備についての趣旨でございます。  その委託先でございますが、これはコンピューター会社もございますし、仮免許証の作成ということであれば指定自動車教習所等もございます。そのほか、免許の窓口事務みたいなものであれば都道府県の交通安全協会といったものも考えられるわけでございます。いずれにしましても、国のといいますか都道府県の免許事務の一部、もちろん公権力の行使に当たる事務ではない、単純、機械的な事務ではございますが、そういった事務についても委託される機関でございますので、しっかりした根拠があり、十分そういう委託事務を処理する能力のある法人ということで、それぞれの都道府県ごとにそれぞれ適当なものがあればそこに委託してもいい、その場合に委託された機関は守秘義務がある、そういう仕組みを設けていただきたいというのが今回改正をお願いしている趣旨でございます。
  102. 吉田和子

    吉田(和)委員 委託をする事務の範囲を伺いたいわけでございます。事務の中身なので細かいですけれども、ちょっとお伺いをします。
  103. 関根謙一

    関根政府委員 条文で申し上げますと、百七条の十一というところでございます。ここで、委託すべき事務を括弧で除く形で範囲を定めることとしております。「この章に規定する免許に関する事務」といたしまして、(免許の拒否及び保留、免許の条件の付与及び変更、運転免許試験及び適性検査の結果の判定並びに免許の取消し及び効力の停止に係る事務その他の政令で定める事務を除く。次項において「免許関係事務」という。一こういう定め方でございまして、要するに免許保有者あるいは免許を保有しようとする者の権利義務といいますか、権利、利益に関係のある事務を除く単純、機械的な事務というほどの意味でございます。
  104. 吉田和子

    吉田(和)委員 例えば安全協会に委託をした事務の内容というふうにしますが、窓口に出てきて対応するというふうなことなどはあり得るのでしょうか。
  105. 関根謙一

    関根政府委員 更新書類の受け付けですとか窓口案内、どこに行けば適性検査が受けられるといったような事務は、当然委託が可能である事務だと考えております。
  106. 吉田和子

    吉田(和)委員 公益法人への委託が無原則に拡大をされるというふうなことはあり得ないわけでございますけれども、そういうふうに疑念を持たれるというふうなこともまたよくないわけでございます。非常に拡大されてきているのではないかという御指摘をする団体もあられるわけでございます。その点についてはどういうふうにお考えになっておられますでしょうか。
  107. 関根謙一

    関根政府委員 公安委員会が行っている事務は、すべて公権力の行使に当たる事務に該当するとは限りませんで、単純、機械的な事務も多々あるわけでございます。そこで、そのような免許の申請者あるいは免許更新に来る免許保有者といった方々の権利、利益に直接かかわりのない事務という極めではっきりした明確な基準を設けて、その範囲内であれば事務を委託してもいいというようなシステム、これは行政のシステムとしても国民の利益に合致するものではないかと考えております。
  108. 吉田和子

    吉田(和)委員 守秘義務を課するというふうなことになれば、委託がどんどん拡大をされていくのではないかなと感ずるところもあるわけでございますので、そういうことについても明確にしていただいて、内容を明らかにしていくことが大切だろうと考えております。  済みません、次にいかせていただきます。臨時適性検査、百二条についてお伺いをいたします。  現在では、公安委員会では精神病、そして身体障害、中毒者等に臨時適性検査を行えることになっているわけでございまして、さらにこれに対象を加えるというふうなことが、想像をしますと、ちょっとどういうケースがあるのだろうなと思われるわけでございます。加える必要性に迫られているのはどういうケースであって、そしてどういうような人を考えておられるのでしょうか。
  109. 関根謙一

    関根政府委員 現在の臨時適性検査は、先生指摘のように、欠格事由に該当する人を発見する一つの手段ということで規定が設けられているものでございますが、今回私どもが御提案申し上げております制度は、そういう欠格事由に該当する人を見つけるというだけではなしに、御本人は気づかないけれども身体的適性にやや欠陥があって、例えば眼鏡をかけていただくとか、そういうことを自覚してもらえるような機会を提供するための適性検査というものを考えております。  具体的にどんなふうに運用することを考えているかと申しますと、例えば高齢ドライバーの方が信号無視の違反をしたりあるいは事故を起こしたといったような場合に、もしかすると視力が衰えているためではないかというような場合に、受けたらどうですかというふうに勧告ができるような仕組みをお願いしたいということで、優良運転者制度というものを設けさせていただくこととしますと、当然生じてまいります高齢ドライバー方々身体適性についてのチェックの機会が少なくなるわけでございますので、いわばそれを補うための制度ということで、それを念頭に置いて御提案申し上げているものでございます。
  110. 吉田和子

    吉田(和)委員 特段加える必要に今迫られているのでしょうか。そういうケース、例えば何かこの人の運転はおかしいというふうなことに、現場でケースとしては非常に多くぶつかっているとかいうことが現在あるのでしょうか。  それから、現場で的確にそれを判断するのは、だれが判断をして、どういうことの判断というきちっとした基準があるのでしょうか。
  111. 関根謙一

    関根政府委員 その基準もまた「政令で定めるところにより、免許を受けた者について、臨時に適性検査を行うことができる。」ということで、政令ではっきり規定させていただくことにしたいと考えておりますが、やはり事故を起こしたか、あるいは正常の身体適性の方であれば犯さないような違反を犯したというような事態があった場合に、しかもそれが高齢者の方であるとか、一見して身体適性があるいは関係があるのではないかなという点が推測できるような方について、こういう適性検査を行うことができるように制度を設けていただきたいということでございます。  これは、先ほども申し上げましたように、今回更新期間を五年に延長するということに伴い、しかもかなり高齢の方々まで五年ということを考えているところでございますので、それを補完する意味でこういう制度事故防止観点からぜひお願いをしたい、こういうものでございます。
  112. 吉田和子

    吉田(和)委員 先ほどから随分高齢者基準年齢のお話もしてきたわけでございまして、更新時に的確な検査と指導をするということにより七十五歳というふうな基準が出てきているという、これまでの議論の中でのお答えだったというふうに思われるわけでございます。そういう意味で、それを補完するために追加をするというのがどうも何か納得がいかないわけでございますけれども、その「必要があると認めるとき」というその基準の中身は、どういうふうなものをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  113. 関根謙一

    関根政府委員 これはたびたび御答弁申し上げておりますように、事故を起こした、それが身体適性に原因がある事故ではないかと思われるような場合、あるいは交通達反をしたが、それが身体適性に係る違反ではないかと思われるような違反があった場合ということを考えております。
  114. 吉田和子

    吉田(和)委員 現場で当たられている警察官の方が判断をするわけですか。
  115. 関根謙一

    関根政府委員 この定め方は公安委員会適性検査を行うことができるという規定でございますが、現場の判断を十分尊重することになろうかと存じます。ただ、あくまでも基準政令で明確であるように、その基準が現場の警察官でもよくわかるように、はっきりしたものにしたいということを考えております。
  116. 吉田和子

    吉田(和)委員 次に、「免許の取消し又は効力の停止に係る書面の交付等」についてお伺いをいたします。  要するに、違反をしていながらきちっと処分を受けずに逃げ回っている人に対する処置と、それから多分処分が不服であるというふうなことで争っている人というのを、区別して考える必要があろうかと思います。悪質者に対しては、もちろんその処置というのは当然のことなわけでございますけれども、その処分不服の者というふうな確認が、わかった段階ではどういうふうな処置になるのでしょうか。
  117. 関根謙一

    関根政府委員 この百四条の三の規定を設けさせていただきたいと考え理由は、現在行政処分、運転免許の取り消し、停止の処分でございますが、これを受ける方が年間に約百七十万人ほどおります。免許の取り消し処分に当たる方が五万人ほどでございまして、百六十五万人ぐらいの方が免許の停止処分を受ける方でございます。  この取り消し、停止の効力が生ずる時点は、その公安委員会の処分の書面を受け取った時点でございますので、受け取らない限り効力が生じないということがございます。そこで、逃げ回っている方も含めまして現在、その年間百七十万件の処分対象者のうち七万人くらいの方がその処分の書面の交付を受けないという事実がございます。その中で三万人くらいは、これは書面の交付を受けないという場合に、警察官がその住所地まで行って渡そうとするわけですが、そのときにはもう住所がなかったというような方が三万人くらいおりまして、とにかくそういう行政処分対象者が、処分を公安委員会が判断したにもかかわらず効力を生じないということで、非常な不公平が生じております。  しかしながら、そういった方々でも、また事故を起こしたとか違反をしたというようなことで警察官がその方を認知することがございます。そういった場合に、現在はその具体的事故なり違反を処理するだけで、その人の免許証を取り消しだから預かるとか、停止だから取り上げるといったようなことはないわけでございます。そのまま返してしまうわけでございます。それで、いつまでたっても処分の効力が生じないという事態がございます。そこで今回、そういう事故の場合ですとか違反の現場で行政処分対象者を認知した場合には、その免許証を取り上げるといいますか保管いたしまして、かわりに保管証を預けて、保管証の期間、十日なり二十日なりの期間内に出頭してもらうという仕組みをお願いしたいというのが、今回の百四条の三を御提案申し上げております趣旨でございます。  先生お尋ねの行政処分を争っているという方につきましては、これは別に逃げ隠れしているわけでも何でもございませんので、争っている方というのは、処分の効力が生じていてその処分の効力の取り消しを求める。例えば行政不服審査法の規定による不服申し立てでありますとか、あるいは行政事件訴訟法の規定による抗告訴訟、処分の取り消しを求める訴えを起こすとかという形で争っているわけでございますので、この百四条の三の規定が働く余地はないという方だと理解しております。
  118. 吉田和子

    吉田(和)委員 その現場では、そういう効力が生じている人だということは、現場からの照合できちっとわかるというふうなことでございましょうか。
  119. 関根謙一

    関根政府委員 事故なり違反なりの処分の場合には、すぐわかるようなシステムになっております。
  120. 吉田和子

    吉田(和)委員 違反をしたというふうにとがめられて、そうではないと言って係争をしているときというのは、御本人はそれが決まるまではそのままの状況免許証というのはきちっとあるわけですね。それは、そのときにはわかるというようなことでございますね。
  121. 関根謙一

    関根政府委員 行政処分の効力を争っている場合には、行政処分がまずあるわけでございます。行政処分が存在していることを前提として、その効力の取り消しを求める訴えを起こすなり不服申し立てを行うということでございますので、例えば取り消し処分が行われて効力が生じているという場合には、免許証はその人の手元にないというのが通常だと存じます。
  122. 吉田和子

    吉田(和)委員 まだまだたくさん細かい点をお伺いしたいわけでございますけれども、時間の範囲で聞ける—— あと一分ぐらいありますか、ちょっと中途半端になったんですけれども、もし時間があれば一つだけ最後にお伺いをしたいと思います。  九十九条なんですけれども指定自動車教習所制度整備で、ちょっとよく私もわからなかったのですけれども、これは確認をさせていただきたいのですけれども、こういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。九十九条で技能検定員の審査というのは、これまでが総理府令で行われていたのが変わったというふうに考えてよろしいのでしょうか。  それから、九十九条の六で、文書提出をさせていたものが立ち入りになったというふうな理解でよろしいのでしょうか。ちょっとそこの点だけ、時間の範囲で教えてください。
  123. 関根謙一

    関根政府委員 技能検定員については、実質的に変わるところはないと考えております。  それから検査関係でございますが、現在も、立入検査という書き方ではございませんが、現行法の九十九条の七項の規定でございますが、一定規定に従って自動車教習所が運営されているかどうかを検査し、設置管理者に対し必要な報告または資料の提出を求めることができる旨の規定がございます。ここで、指定自動車教習所に関する一定規定に従って指定自動車教習所が運営されているかどうかを検査するというのは、立ち入らなければできない検査でございますので、現行法でも立ち入って検査はしているわけでございます。その辺を明確にしただけという理解でございます。
  124. 吉田和子

    吉田(和)委員 ありがとうございました。時間が参りました。
  125. 春田重昭

    春田委員長 草野威君。
  126. 草野威

    草野委員 大臣が少しおくれるようでございますので、若干順序が逆になるかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。  第二次交通戦争、このように言われたのが平成元年というふうに聞いております。これは、当時の金澤長官が、全国の警察本部の交通担当課長会議、こういう場所でそういう言葉を使われた、このように伺っておりますけれども、あれから何年かたちました。その当時の状況というのは、交通事故の死者が一万人の大台に乗せて、そして平成元年には一万一千人に迫ろう、こういう時期にそういう言葉を使われたと思っております。あれから何年かたつわけでございますけれども、現在では第二次交通戦争という言葉すら完全に風化してしまったような、そういうような感がしてなりません。間もなく第三次交通戦争なんという言葉が出なければいい、このように期待しておりますけれども、そういう中におきまして今回、道路交通法の一部が改正されたわけでございます。  やはり何といっても大きなポイントは、新規に免許取得時に応急救護処置、こういうものの事項が義務づけられた、それからもう一つは、免許の書きかえ期間が二年延長された、これがやはり大きなポイントではないかと思います。大体そういうことを中心にして、きょうはお尋ねをしたいと思っております。  初めに、その更新期間に関連したことでございますけれども、この更新期間の問題につきましては、昔からいろいろと議論が行われたようでございまして、例えば昭和二十八年の地方行政委員会、ここで現法務大臣の後藤田さんが説明員として答弁をされたことがございますが、そのときの質問のやりとりというのは、免許有効期間がたしか二年、それに対して三年にしたらどうか、こういう質問があったようでございます。占領後の日本では五年だったのが占領軍の命令によって二年にされた、こんなふうにも聞きましたけれども、その二年を三年にしなさい、こういうような質問に対して、当時の後藤田説明員は、それはだめだと、そのだめな理由は何かというと、二年ごとに更新検査をやっても、当時は道路交通取締法ですか、今とは違いますけれども、ともかく二年ごとにやっても身体の障害者が非常に発見をされるのだ、三年延ばすことなんかとんでもないと——とんでもないとはおっしゃっていませんけれども、そういうような御答弁をされている。それから間もなく、その直後に三年に実際には延びたようでございますけれども、いずれにしてもあれから四十年を経過したわけでございまして、いまだにまた更新期間の問題についてはさまざまな機会に議論がされているわけですね。  きょうのこの委員会におきましても話が出たようでございますけれども、毎年二千万人の人が更新検査を受けている、そのうちで欠陥者が六十万人、それから適性確保困難、矯正不能、このように言われる方が十万人いらっしゃる、こういうような御答弁もあったようでございますが、まずこの十万人とか六十万人、これは、お話は伺いましたけれども、この中身をもう少し詳しく御説明をいただきたいと思うのです。
  127. 関根謙一

    関根政府委員 身体適性観点から眼鏡をかけた方がいいとか、聴力が困難であるといったようなことがわかった方が六十万人ほどおられるということで、それからもう目がほとんど見えないということで、矯正によっては運転をすることがとても危険だという方が十万人くらいおられるということでございます。
  128. 草野威

    草野委員 これはきちっとした統計をとったその数字でおっしゃっているのでしょうか、それともサンプリングか何かでやった数字なのか、そこら辺のところをひとつ。  それから、適性確保が困難だ、矯正が不能だ、これが十万人いらっしゃるというのですね。これは本当なんですか。確かに、何かの理由で目が見えなくなった方はいらっしゃると思いますけれども、そういう人は更新検査など行くわけがないですよ。中には死亡した方もいらっしゃる。そういうことも全部含めて十万人になっているのか、そこら辺のことがはっきりしないのですね。ですから、私が伺いたいことは、適性検査において本当にこの人は欠陥がある、こういって完全に不合格にされた人が本当に十万人いるのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、六十万人の欠陥、これも視力等が主だというのですけれども、四十年前から同じようなことが繰り返されているのですね。私も昨年更新検査に行きました。そうしたら、やはり目がだめでした。これからは眼鏡をかけないと大型の車は運転をしてはいかぬ、そんなことを書き込まれました。だけれども、そんなことを別に言われなくても、僕は自分でだんだん視力が衰えてきたなと思えば眼鏡をかけます。年をとっていけばどこか体が悪くなっていくのは決まっているのですから、それに応じたことを自衛手段としてドライバーの方もやっているのではないかと思うのですね。それをわざわざまことしやかに十万人だとか六十万人だ、こういう数字を出している。こういうやり方に対して、適性検査は確かに法律で決まっておりますけれども、本当にこれが必要なのか、正しいやり方なのか、そういう気がしてならないのですけれども、いかがでしょうか。
  129. 関根謙一

    関根政府委員 六十万人あるいは十万人と申し上げましたのは、サンプリング調査からの推計数でございます。サンプリング調査の結果、全更新者の三%ほどの方が身体適性に欠陥があるということで、さらに〇・五%の方が運転不適格であるということからの推計でございます。
  130. 草野威

    草野委員 繰り返し質問しませんけれども、この点については、私がこういうふうに申し上げたことだけは覚えておいていただきたいと思います。  次に、優良運転者の問題でございますけれども、私も本当は最低でも十年ぐらいには延びるのかな、こんなことを実は期待していたのですけれども、五年ということでがっかりしております。五年に落ちついた根拠、それから優良運転者基準政令で定める、このようになっておりますけれども、この内答について正確に、これから決めることでしょうけれども、どういう方向で決められるのか、お尋ねいたします。
  131. 関根謙一

    関根政府委員 優良運転者更新期間を五年としたことにつきましては、形式的理由と実質的理由とございます。  形式的理由といたしましては、昨年六月の臨時行政改革推進審議会における答申及びこの答申を受けた昨年十二月の閣議決定に基づく政府の方針がございまして、そこで運転免許について、優良運転者に係る運転免許証有効期間現行三年を更新時に五年とする制度メリット制の早期導入を図る旨の決定があったわけでございます。  実質的な理由でございますが、これも、優良運転者ということで他のドライバー模範となる立派な方ということから、過去五年間に無事故、無違反であるような方ということでありまして、その方について更新期間を五年間として、それをメリットとし、他のドライバーがそれを目指して努力するようになりたいと考えるようなメリットだと考えたのが理由でございますが、これは余り長期間更新なり講習なりから遠ざかっておりますと、事故防止という観点からいかがかという点がございます。他方、メリットとして魅力のある制度ということで、他の方々が自分もそうありたいと考え期間ということ等を勘案いたしまして、五年ということを考えたわけでございます。そして、この期間を定めるに当たりましては、諸外国の例も十分に参考として、このように定めることとしたいということで御提案を申し上げている次第でございます。
  132. 草野威

    草野委員 この政令で定める内容でございますけれども、ただいまのお話では無事故、無違反というお話でございましたけれども、そこまで厳しくやるのか、それともある程度の点数までは認めるとか、それはこれからお決めになると思いますけれども、やはりメリット制という観点からいけば若干のゆとりは持たせた方がいいのではないか、私はこのように思います。  それから、次の問題でございますが、ただいまも第三次行革審答申を受けた、こういうお話でございましたけれども、この議論の中で交通局長さんはこういうお話をされているようでございます。免許更新時の教育、また情報の提供、こういうものは交通事故減少のために有益であるけれども期間延長するということは教育の機会を減らすことになるので、そのかわりを設けない限り問題が残る、こういう意味の発言をされていらっしゃいますね。そうなってくると、今度三年から五年に延ばしたということは、これはかえって事故が起きるから心配だ、このように局長さんは今心配をされているのかどうか、これをきちっとお伺いいたしたいと思います。  それから、免許更新期間の問題でございますけれども我が国の場合は現在三年というふうに決まっておりますけれども、この三年と決めた根拠、これはどうしても私はわからないのです。なぜ三年なのか、また、更新期間について国際的な定説というものがあるのかどうか、お尋ねをいたします。
  133. 関根謙一

    関根政府委員 私の発言として御指摘をいただきました発言が、どこで私がいたしたのかちょっと定かではないのでございますが、恐らく臨時行政改車推進審議会意見を申し述べる機会を与えられた際に、一連の諸制度の持つ意味について述べたくだりではないかと存じます。その時点では、恐らくまだ優良運転者に限り期間延長するという思想はなかったのではないかと思いますが、一律に何年以上延ばせということであれば、それは事故防止上やはりそれだけでは危険であるから、それを補うに足る講習が必要であるという考えは、私は今でも変わらない意見でございます。  それから、三年ということについて何か客観的な基準、定説があるのかとのお尋ねでございます。これは、それぞれの国がそれぞれの国情に応じて、その国民に合った一番いいシステムということで経験的につくられたものと理解しております。そうでない限り、例えばアメリカの州のように、大部分の州は四年でありますが、一部の州は三年であり、他の州は五年であり、極端な場合フロリダみたいに六年ということもあるというような、こんなにばらばらであるということの説明が難しいという気がするからであります。したがいまして、各国ともそれぞれの国情に応じ、自動車交通の発展の状況あるいは混合交通あり方、その他の交通手段の頻度、交通の頻度等を勘案して、それぞれの国の歴史的事情も恐らく入っていようかと思います。ヨーロッパの国で免許更新制度を導入していない国が幾つかあるわけでございますが、こういったところは歴史的理由に基づくのではないかなという印象もございます。ということで、それぞれの国情、交通事情、歴史的事情、国民性、そういったものから経験的に割り出された年数ということではないかというのが、これは全くの私の私見でございますが、そういう感じでございます。
  134. 草野威

    草野委員 この件について、もう一点お伺いをいたしたいと思います。  今、諸外国の問題も出ましたけれども、この諸外国の例と比較して、例えば免許更新期間我が国の場合といろいろ違うわけでございますけれども、この免許有効期間事故率の関係、こういうものを諸外国の例と比較しますと、我が国の場合はどのようになっておりますか。
  135. 関根謙一

    関根政府委員 直接に事故件数と免許有効期間とを対比した資料を手元には持ち合わせておりませんのですが、例えばフランスは免許更新期間がないところでございます。そこで、フランスでは人口五千六百万でございますが、三十日換算で死者数は一万一千四百七十六人、我が国はフランスの二倍以上の人口でございますが、死者数は三十日換算で一万四千四百十二人ということで、これで見る限りは、この点はドイツあるいはイギリス等を見ても同じような印象を持つわけでございますが、ヨーロッパ諸国に比べれば我が国の方がまだ事故率は低いと言うことができようかと思います。  他方、ではこういう制度をとっていれば必ず事故率が低いかということになりますと、例えば名前を挙げてはいかがかと存じますが、お隣の大韓民国は三年でございます。その大韓民国は人口が四千二百万余り、我が国の三分の一程度でございますが、やはり三十日換算で死者数は一万一千五百六十二人、我が国は韓国の三倍ぐらいの人口がありながら一万四千四百十二人ということで、要するに無期限の制度をとっている国でも事故は多い。他方、我が国と同じような制度をとっている国でも事故が多いということから見ますと、直接の制度の影響はあろうかと存じますが、いろいろな有効期間を補完するその他の制度ということも関連があって事故件数というものが出てくるのではないかというような推測をしているところでございます。
  136. 草野威

    草野委員 確かに今おっしゃられたとおりじゃないかと思うんですけれども、ただ私、この第三次行革審を出して恐縮でございますけれども資料として出ているものですから読ましていただいたわけなんですが、この中で質問をされて、その答弁の中で関根局長さんはこのように答えていますね。人口十万人当たりの死者数を見た場合に、アメリカだとかイタリアだとか西ドイツだとかフランスだとか、こういう国々の例を取り上げて、そしてこういう国は日本より期間も長い、そして事故率も非常に悪い、こういう意味のお話をされておりますね。だけれども実際に、これは警察庁からいただいた資料ですけれども、この資料を見ると全然そんなことないんですね。関係ないわけですよ。  例えばこの表の中に入っている幾つかの国を見てみますと、少ない国の順番から申し上げますと、イギリスは制限がないわけですね、期間の制限がないわけでしょう。それで十万人当たり九・七人という数字。それからスウェーデンは、これは十年という有効期間がありますが十・六人。日本が三番目で、三年という制度で十一・七人。イタリーは十年ですが十一・九人。ドイツは全然ないわけですけれども十二・九人。スイスも全然ないんですけれども十三・九人。こういうことで、有効期間の長短とこの十万人当たりの死者数、この因果関係はまるっきりないんじゃないかと思うのです。ありますか、それとも。あなたは第三次行革審の中で、こういうことだから日本はこうなんだ、要するに少ないんだ、こういう説明をされているようですが、だからちょっと私はこれに矛盾を感じたんですけれども、どうなんでしょう。
  137. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘でございますが、確かに最近のところではそのとおりでございます。少し前までは、我が国は確かに少なかったということはあるわけでございまして、それが私があるいは我が国交通事故死者数が人口当たりで見た場合に他の国に比べて遜色がないということを申し上げた理由ではないかと存じます。
  138. 草野威

    草野委員 第三次行革審の諸先生方は、警察庁交通局長さんが説明されれば皆そのとおりだと思うのですよ。だからそういう間違った説明の仕方は、これはひとつ御注意していただきたい、このように申し上げたいと思います。  それから、長官にお尋ねしたいと思います。  前にこれは警察庁の方から伺ったのですけれども、世界じゅうの交通事故の死者というのは年間でもう七十数万人に今上っているんだそうですね。そして近々もう百万人を突破するんじゃないか、こういう予測すらあるという話でございます。現在、世界各国の自動車の数、これは警察庁資料によりますと六億数千万台あるんだそうですね。その中には、我が国から輸出されておる車もたくさん入っているんじゃないかと思います。この七十万とか百万とかいう数字を聞きますと、戦争による犠牲者、これをもうはるかに上回るような大変な数字だと私は思います。先ほども冒頭に申し上げましたけれども、第二次交通戦争という、そういう言葉すら三年か四年たっちゃうと風化をしている時代なんです。それほど交通事故、また交通事故による死者ということについては、これは余り何とも皆思わなくなってしまった。大変私は恐ろしいことだと思います。  で、先ほどの御答弁の中にもありましたように、交通安全対策というのはそれぞれの国が国情に応じて決めるものだ、こういうお話もございました。私もそのとおりであると思いますけれども、やはりここまで、交通事故による死者が地球上で一年間に毎年これから百万人も死んでいくということは大変なことだ、このように思うのです。そこで、やはり交通先進国である日本を初め幾つかの国で、例えば交通安全に関する国際会議、こういうようなものを我が国が提唱したらどうかな。もちろんこれは先進国と話し合った上でのことでございますけれども、ぜひこういうものを開催して、そして少しでも交通事故の減少というものに努めるようにならないものだろうか。  日本におけるこの交通事故状況の中で、例えば四万四千人ですかの外国人が免許証を持っておられるが、毎年二万人が交通達反をして免許取り消しになったり停止処分を受けたりしておる。六千四百万人のうちのそういう違反と、わずか四万四千人しかいない外国人で二万人がそういう違反をやっておる、ルールを知らないからです。教えようともしていないでしょう。また当然いろいろな事故、死者の方も出ておられます。また日本人が外国に行った場合でも、資料によりますと年間数百人の方が亡くなっておられるという統計もございます。やはりこれも、やむを得ない事故もあったと思いますけれども、ルールを知らない、マナーがわからない、いろいろな理由があると思います。そういうことを含めて国際会議というようなものを提唱されたらどうかな、こういうふうに思いますけれども、長官の御見解を承りたいと思います。
  139. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  まず、今の御質問お答えする前に、ただいま交通局長が御答弁いたしまして、交通局長の答弁が間違っているというような御指摘がございましたけれども、私は聞いておりまして、私の理解では間違っているとは思わないわけでございます。交通局長の申しましたのは、各国で事故が起きるということは、更新期間の長さ、短さだけでなくていろいろな条件があって、それで結局、今先生統計資料で申されたように、私もうろ覚えてありますが、先進国、ある一定の人口当たりあるいは一定車両当たりでやってみると、大体同じくらいの事故になっておるということだと思います。  ただ、交通局長が申しますのは、行革審などで申し上げたことだと思いますけれども、それは日本において、その期間、ほかの条件が皆変わっていないわけでございますから、そういうのが変わらないという前提のもとで更新期間を長くすることによって、そういう身体的な条件のチェックだとか、あるいは法令等の改正についてのアップ・ツー・デートな知識の供給とか、そういう面での措置を長くすると、その面では事故を増加させることになりかねないということを申したのじゃないか、だからそこには矛盾はないのではないかな、私はこういうふうに理解をしておったわけでございます。  早速ただいまの御質問についてでございますが、御指摘のとおり交通安全対策は世界的課題でございます。まさにそれはボーダーレスになっておるということでございます。各国ともその対策にいろいろ苦心をしておるところでございます。警察庁といたしましても、いろいろ諸外国が開発している技術とかシステム、そういうものをどんどん施策の中に取り入れてやっていこうとしておるわけでございます。  国際的な会議の開催のことでございますが、平成二年六月に全日本交通安全協会と国際交通安全協会による交通安全世界会議が日本で開催された例がございます。また本年十月には、社団法人の日本交通科学協議会が主催いたします夜間事故防止をテーマにした国際会議が開催される予定になっております。各国とも大変な問題である、年間七十万の人間が死んでおるわけでございますので、そういう厳しい認識をしておりまして、いろいろな面で技術あるいはシステムの交流を図っております。この面につきましては、御承知のとおり日本はかなり得意とする分野でございますので、そういった面でもいろいろ世界的な面で果たす役割が多かろうと思います。さらにそういった面について努力をいたしたいと考えております。
  140. 草野威

    草野委員 さらに努力をされますことを要望したいと思います。  次に、上位免許の問題につきまして一点だけお尋ねをしたいと思います。  上位免許は、高度な技術、経験をもとにして人命を預かる高度な免許証であります。一たん事故が起きれば大事故につながり、多数の犠牲者が出ます。大臣の所信表明におきましても、交通事故の抑止はまさに国民的課題であり、多発している交通死亡事故に効果的に対処していくためには、運転者一人一人の資質の向上を図ることが極めて重要だ、このように述べていらっしゃいます。前回の質問におきましても局長さんは、かなり高い水準の機関にゆだねる、このようにおっしゃっておられました。  そこで、この上位免許の取得に当たっては、現行制度というものを堅持して運転免許試験場で厳正な審査の上、合否を決定し、免許を与えるべきだと思いますけれども、重ねて御見解を承りたいと思います。
  141. 関根謙一

    関根政府委員 二種免許等の上位免許につきまして、現行制度と申しますのは、ただいま先生の御指摘がありましたとおり、旅客自動車で旅客を運送する目的で自動車運転しようとする者についての免許であり、大勢の人命を預かることにかんがみ、運転に関し特段高い資質、能力が求められるというところから、試験の課題も高い水準に設定されておりまして、その試験を行う機関としては、一般免許のように他の機関にゆだねることなく、公安委員会が直接技能試験を行っているところでございます。  しかしながら、他方この二種免許につきましても、高度な教習能力を持つ技能指導員を置く機関が存在するということを前提として、技能検定の対象としてはどうかという意見も出されているところでございます。私どもとしては、まだそういう意見があるということを念頭に置きつつ検討をしているという段階でございまして、今後いろいろな方々の御意見を伺いつつ、コンセンサスの落ちつくところに従いたいというように考えているところでございます。
  142. 草野威

    草野委員 ぜひ現制度は続行していただきたい、私はこのことを強く申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってきましたので、次に移りたいと思います。  応急救護処置に関する受講の義務づけの問題でございますが、端的に伺います。指定校の場合は今回は除外されるわけでございますけれども、この指定校が約千五百ぐらいあると伺っておりますが、そうしますと指導員の数というのはどのくらい必要になるのでしょうか。また、その指導員の基準だとか養成計画だとか、それからいつからそういうことを実施するのか、この点をまずお伺いいたします。
  143. 関根謙一

    関根政府委員 指導員につきましては、一校二、三人程度ではないかなという目測でございます。その指導員を養成する養成の仕方につきましては、専門家の方々の御参集をいただいて設けております諮問機関の御提言に従いまして、必要な時間、必要な教習内容について、専門の医師の方々の指導を受けて養成をしたいと考えております。  ではいつごろ実現するかとの点でございますが、これは法律の施行が、もしこの法律を通していただけますれば、それから一週間ぐらいで公布されると存じます。公布の日から起算して一年以内で政令で定める日ということでございますが、恐らくぎりぎりいっぱいぐらい準備が必要なのではないかというように考えているところでございます。
  144. 草野威

    草野委員 一校当たり二、三人の指導員を予定している、こういうお話でございますが、この提言なんかを拝見いたしますと、やはりこういうような講習というものは二十人くらい単位で、それでその一つの教室に二、三人必要である、こういう意味のことを提言の中に書いてありますね。そうすると、今の局長さんのおっしゃるのは、一つの学校で二、三人というのですか。一つの学校で二、三人というと、これは大変大勢の人たちを一遍に集めて教える、こういうことになりかねないわけですね。  先ほど同僚委員質問の中でもおっしゃっておりましたけれども、いわゆる講習料、これは大勢に同時に受講させることができるから安く済むんだ、一時間当たり千円もあればできるんだ、こういうお話だったですね。そうすると、提言の中では二十人くらいのそういう小単位で、そして器材を使って二、三人の指導員がついてそれで教える、そうじゃないと三時間ぐらいではきちっと教えることはできない。今の御答弁ですと、何か知らぬけれども一つの学校で二、三人いればいいのだ。もしそれが事実だとすれば、今までと余り変わらぬじゃないですか。今までということは、今教則に載っているような教え方ですよ。ただ先生がすらっと読んじゃって、やっている方は聞いているだけですよ。そんなことはだめだから、二十人くらいの小単位でそこに二人くらいの指導員がついて、器材を使って三時間も時間をかけてきちっと教えていこう、それが今度のやり方でしょう。一つの学校で二人くらいいればいいんだ、二、三人いればいいんだ、それで済むのですか。
  145. 関根謙一

    関根政府委員 教習所で年間二千人ぐらいの教習生を出すわけでございますが、その人たちにつきまして今度六十時限以上の教習時限が予定されるわけでございますが、その時限の中で三時限はどこういう応急救護処置教育に当たっていただくということになるわけでございまして、仮に二、三十人ずつであったとしましても、一日にかなりの数は教習、教育することができるということで、私どもの試算では、一所当たり必要な指導員数というのを各県別にとってみたわけでございますが、二人というのが非常に多くて、確かに三人というのはございませんが、あと四人、まあやはり二、三人というところで指導員の数は足りるというのが各県の現場からの声ではございます。
  146. 草野威

    草野委員 指定校で応急手当てというのですか、こういうものを受講したとき何か修了証みたいなものが出るのでしょうか。
  147. 関根謙一

    関根政府委員 現在、指定校で教習を受けた方につきましては、卒業証明書が法律上効力が結びつけられている書面でございまして、卒業証明書があればこれで技能免除ということの効果を生ずるわけでございます。  したがいまして、このほかに、応急救護処置の受講修了証といったようなものを出した場合に、それが法律効果に結びつくものかどうかという点でまだ検討を要する余地がございますが、例えば指定教習所の課程を修了しないで応急処置だけの教習を受けたというような方については、そういう受講修了証があれば、これを持って試験場の直接試験を受けた場合に受講免除の効果を結びつけることができるというようなことも考えられますので、その点については今後前向きで検討してみたいと考えております。
  148. 草野威

    草野委員 文部省にお尋ねをしたいと思いますけれども、学校における交通安全教育、その中で、平成六年から心肺蘇生法等の応急処置の意義と方法について理解をさせる、このような方向のようでございますけれども、具体的にどのようなことを考えていらっしゃいますか。
  149. 近藤信司

    ○近藤説明員 お答えをいたします。  先生指摘のとおり、応急処置は大変重要な事柄であると私どもも認識をしておりまして、従来から中学校の保健体育におきましては人工呼吸法を含む応急処置について指導してきたところでございますが、今回の学習指導要領の改訂によりまして、高等学校の教科、保健体育におきまして、心肺蘇生法等の応急処置の意義と方法を指導内容に新たに盛り込んだところでございます。  高等学校は、今御指摘のとおり新しい学習指導要領が平成六年度から学年進行で適用されるわけでございますので、それに向けまして、平成三年度より三年計画で各都道府県におきまして高等学校の保健体育の先生方を対象にいたしまして、心肺蘇生法を含む応急処置の技能等を習得していただくために、応急処置研修事業というものを予算化をいたしまして現在実施をしておるところでございます。まず、そういう教えていただく学校の教員の方々に心肺蘇生法につきましての正しい知識と技能を身につけていただく、こういうことで研修を実施しておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、今後ともこういった施策を通じまして、学校における心肺蘇生法を含む応急処置に関する指導の充実に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  150. 草野威

    草野委員 消防庁にお尋ねをいたします。  消防庁では応急手当て指導員の資格認定制度、こういうものの創設について三月中に実施要綱を策定する方針、このように伺っておりますけれども、恐らく指導員になる方は消防署の関係者ではないかと思いますが、その資格を取った指導員の方々が住民に向けて講習を行い、そして修了証を発行するのだ、こういうふうに伺っております。何時間ぐらいの講習をされるのか、また、その修了証というものはどこが発行されるのでしょうか。
  151. 朝日信夫

    ○朝日説明員 お答え申し上げます。  消防機関では、かねてから応急手当ての普及啓発活動に取り組んでまいっておりますが、御承知のように我が国の場合、特に救命にかかわる応急手当ての普及が進んでいない、その習得が少ないということで、傷病者の救命効果を高めるためにも、そうしたものに重点を置いた応急手当ての普及啓発活動を効果的に行う必要があるというふうに考えております。このため、お話にもございましたように、近く消防庁といたしまして、消防機関の行います普及啓発活動の実施要項といったものを定めまして、それによって各消防機関で積極的、効果的に取り組んでいただこうというふうに考えております。  具体的には、住民の方に対する普及講習でありますが、これは救命にかかわります心肺蘇生法等の実技習得を中心といたしたいということで、そのためには密度の濃い講習を行う必要がございまして、標準的には大体三時間程度の実習を主体とした講習を行う必要があろうというふうに考えております。また、その修了者に対しましては、自信をつけ、そしていざとなれば実践するという自覚を持っていただくためにも、これは講習を行いました消防本部が発行いたしますが、消防機関としていわば共通の修了認定証といったものを出していきたいというふうに考えております。  また、講習の指導者につきましては、これは既にいわば応急手当てのプロとも言えます消防職員、特に救急隊員等を擁しているわけでございますが、やはり効果的な教育方法というものを身につけまして、それで取り組んでもらおうということで、特にそのための講習を行った上で指導員の認定制度というものを設けていきたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  152. 草野威

    草野委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回の道交法改正によりまして、新規免許取得条件に応急救護処置義務づけられたわけでございます。ただし、指定教習所の場合は免除になります。それから、先ほどもお話ありましたように、今後は学校においても交通安全教育の一環として応急処置を教えていく。それから、消防庁においても住民に応急手当て法を積極的に普及をさせていこう、こういうような今お話でございました。そこで、指定校とか消防署の指導員から一定講習を受けた者には、権威ある公的機関が行っている講習と同等またはそれ以上の内容であるならば、統一された資格証明書あるいは修了証というものを発行して、応急救護処置の方法をマスターした者として認定をする、こういうような制度にされたらどうかと思います。それが一点です。  それから、当然のことでございますけれども、そうなると病院だとか保健所だとか、それからお医者さん、指定校、消防署、これからいろいろなところからそういうものが発行されるわけでございますけれども、証明書をやはりある統一された権威あるものにしていった方がいいんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。  それにつけ加えて一つなんですけれども、今いろいろお話を伺っている中で、この応急救護処置という言葉を警察庁は今度初めて使われたわけなんですけれども、今まで伺っておりますと、消防庁はどっちかというと応急手当てという言葉を使う、それから文部省は応急処置という言葉を使っている。そのほか、何とか救急蘇生法だとか、この救急に関していろいろな言葉があるんですね。やはり用語をこれから統一した方がいいんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、あわせて御答弁をいただけたらと思います。  以上です。
  153. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 お答え申し上げます。  草野委員質疑、非常にこちらで承っておったところでございます。  まず、各行政機関においてそれぞれ救急法の教育が推進されるということは、まことに結構なことであるというふうに思料しております。しかしながら、免許の取得時に応急救護処置講習を受けさせることは、安全意識の啓発の上からも重要なことであるから、法律義務づけることとしたものでございます。法律上に根拠のない救急法教育を受けることをもって直ちに法律上の受講義務を免除するという法律効果を与えることについては、慎重な検討が必要と考えられます。  救急法教育の位置づけは、役割分担等につきましては関係機関とさらに検討を続けてまいる所存でございます。
  154. 関根謙一

    関根政府委員 用語の問題についてのお尋ねでございます。  私ども応急救護処置という用語をもちまして、具体的中身としては、気道確保、人工呼吸心臓マッサージ、止血法といったような初歩的な応急手当てのことを指し示す言葉として使わせていただいているわけでございます。その理由は、道路交通法の現在七十二条に、運転者等が交通事故があったときは負傷者を救護する義務があるということがございますので、その応急の救護のための処置についての知識、技能ということで、この救護という言葉を中心に言葉を使わせていただいているという理由にございます。  しかしながら、先生指摘のように、これは法律上の用語としては私どもが最初に使った用語なのではないかと存じます。こういう用語の統一につきまして、法律上今後どう扱うかにつきましては、改めて法制局等と相談をしてまいりたいと存じます。
  155. 草野威

    草野委員 ぜひとも検討を進めていただきたいと思います。  以上で終わります。
  156. 春田重昭

    春田委員長 辻第一君。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 まず、道路交通法改正案に関して質問をいたします。きょうは第一日目でありますから、改正案の内容について伺います。  今回の改正案は、大変多岐にわたる改正が行われております。当然必要な改正でありますが、それを含めて、問題のある改正も少なくないというのが私どもの基本的な認識であります。  さて、それぞれの改正点について伺います。  まず最初に、応急処置に関する講習あるいは自動車運転に関する講習でありますが、この講習はどこで、どのように実施をするのか。また、教習所においてはどのように行われるのか。いずれの講習も実技や実習が必要なものと思いますが、いかがですか。
  158. 関根謙一

    関根政府委員 今回の応急処置講習あるいは運転者講習等は百八条の二第一項に規定を設けさせていただきまして、公安委員会の試験を受ける方についてその受講を義務づけるというシステムを設けさせていただきたいというものでございます。したがいまして、この対象となる方は、指定自動車教習所の教習課程を経て技能試験免除になる方を対象としてはおりません。でございますので、この方々につきましては、原則としてその試験を行います公安委員会の場で教育を行うことができるようにしたいと考えております。ただ、それだけでは受験生にとっても不便だということもあろうかと存じますので、設備の十分整っている指定自動車教習所に委託することもあろうかと考えているところでございます。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、車輪め装置の取りつけの問題であります。  この指定区間について、指定の際の基準は何か、具体的に示していただきたい。また、全体としてどの程度の区間を指定するつもりなのか、尋ねます。
  160. 関根謙一

    関根政府委員 現在の違法駐車に対する取り締まりの手段はレッカー車による移動でございますが、特に大きい車でございますとか長大なトレーラー等につきましては、レッカー移動によっては交差点が曲がれないとか、いろいろな理由でレッカー移動が物理的に難しいということがございます。そのような事態に、ではそのままほっておくというのもいかがかと存じまして、逆に車を動かさないようにして反省を促すという処理の仕方をとらせていただくよう御提案を申し上げているところでございます。  そこで、お尋ね区間等でございますが、これは、そういう制度趣旨にかんがみまして、かなり厳しい違法駐車に対する措置考えますので、そういう措置を行われてもやむを得ないと国民方々が納得されるような、交通達反が常態となっているような場所でありますとか、どうしても駐車違反があっては困るというような場所につきまして、広く一般方々に十分に広報をした上で区間を定めて、ここは車輪め装置取りつけ区間ですよということで、そこへの駐車は当然違法になるわけでございますが、その違法駐車は遠慮していただくように広報したい、このように考えているところでございます。  具体的に、ではどのくらいの場所が現在そういう対象となり得るかということでございますが、百万都市を含む十二の都道府県について見ますと、現在違法駐車の取り締まりの重点地域というものが約六十カ所指定されております。この辺でありますと、例えば六本木地区でありますとか赤坂、銀座地区といったようなところでございますが、こういったところはこの車輪どめ取りつけ区間になる可能性があるのではないかと考えております。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、いわゆる過積載の問題であります。  私も、もう八年ほど前だったと思うのですが、それ以後二度ほど過積載の問題を取り上げてきたのですけれども、今第二次交通戦争と言われているような状況の中で、この過積載行為の根絶ということは、交通安全の上からも極めて緊急で重要な課題だというふうに私ども考えております。しかしこの問題は、ドライバーだけの責任とは言いがたい構造的な問題を含んでおります。特に、事業者や荷主の具体的な、また暗黙の過積載要求に対し運転者が拒否し切れない、いわば弱い立場におられるわけであります。今回、使用者や荷主に対する措置も盛り込まれました。これで車の使用者といいますか事業者、それから荷主の責任が明確になったということでしょうか、尋ねます。
  162. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、過積載の問題は当委員会でもしばしば御指摘をいただきまして、私ども関係行政機関と一体となって、いろいろとその対策について協議をしてきたところでございます。  今回の過積載対策は、大きくは四点、強いて言いますと五点ございます。  一つは、まず警察の側に、過積載車両があると認めた場合に、その車の重量をはかる力をお認めいただきたいというのが一点でございます。  第二点は、過積載車両運転する運転者に対するシステムでございまして、基本的にはその現場でおろしてもらう必要がありますが、それが無理な場合には無理におろせと言わずに、おろせるところまで走っていいという、過積載状態で走ることを認める仕組みを設けさせていただきたいという点でございます。  三点目は、運転者を使用している使用者に対する責任追及の仕組みでございまして、現在は下命容認という七十五条の仕組みが証明された場合に使用者の責任を追及することができますが、証明されない場合にも、そういう事態、状態に着目した措置をとることをお願いしたいというのが三点目でございます。  四点目が、荷主さんあるいは荷受け人の方々に対する手当てでございまして、過積載で走ることを要求したり、あるいは情を知って積み込みあるいは売り渡しをすることのないようにするような仕組みをお願いしたいということでございます。  五点目は、罰則の引き上げということで、今まで過積載に対する法律の評価が低かったところを少し引き上げていただきたいという手当てをお願いしているところでございます。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 発言の自由を抑えるつもりはありませんが、短い時間でございますので、お尋ねをしたことに的確に簡潔にお答えをいただきたい。とにかく時間がないのです。  次に、事業者など自動車使用者に対する措置をどのように徹底をしていかれるのか、また荷主の要求行為とはどういうものなのか、お尋ねをいたします。
  164. 関根謙一

    関根政府委員 事業者に対する自粛措置等につきましては、通産、運輸その他の関係機関と一体となって、この法の趣旨に適合するような行動をとっていただくようにお願いをしてまいりたいと存じます。  それから、要求行為とはどんなものかということのお尋ねでございます。例えば一日に一往復しかできないような距離的な条件のもとで、その一日のうちにトラック二台分の貨物を運搬するように要求するといったような行為でありますとか、あるいは九トン積みのトラックであることを承知していながら二十トン売り渡すなり積み込みをするような行為、そういうような行為がこれに該当しようかと存じます。     〔委員長退席、北川(昌)委員長代理着席〕
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、五十八条の五のところですね「過積載車両運転の要求等の禁止」、こういう中で、過積載となるのを知りながら、積載させるために売り渡し、または当該積載物を引き渡しすること、このように書かれておりますが、これではダンプの荷物を受け取る例や、車持ち労働者のダンプに対して実態的に過積載を要求している側であります生コンプラントや建設現場や大手ゼネコン、こういうところに規制が及ばないことになり、実態的にしり抜けになるのではないか、こういう心配が聞こえるわけであります。この点について、いかがですか。
  166. 関根謙一

    関根政府委員 先生指摘の点は、この改正法律案の五十八条の五の一項第二号の規定からかと存じます。この規定、一号がございまして、「車両運転者に対し、過積載をして車両運転することを要求すること。」これが禁止されております。この要求行為に荷受け人の方が要求することも当然含まれるという理解でございまして、実質的に、先ほど申し上げましたような要求行為と認められるような行為があれば、これによって対処をすることとしたいと考えております。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、過積載の問題を何点がお尋ねをしたわけでありますが、殊にダンプを中心に、もちろんトラックもそうですが、過積載行為がよくないことを知りながら、ダンプ労働者というのですか、大体九割までが一人一車というふうに聞いていますが、全体でダンプというのが十六万を超えるというふうに聞いておるのですね。ですから、このダンプのいわゆる労働者というのは、日本の社会資本の建設などに本当に大きな役割を果たしていただいていると思うのですが、そういう中で支払われるいわゆる単価ですね、あるいは運賃というのでしょうか、あるいは賃金というのでしょうか、本当に安いですね。今の単価だとか運賃では、きちっとした積載のままではもう採算が合わない、経営ができない、もちろん生活ができない、こういうことで、心ならずも多く積んでおられるというふうに私どもは認識をいたしております。  そういう中で、ダンプ運転者の組合、運輸一般ダンプ部会などは過積載をなくすことに賛成です。「定量積載で生活できる単価を保障し、ダンプの過積載をなくし、交通安全の確立を」、こういうことをスローガンにして運動をされております。しかし定量積載で生活できる単価でなければ、これはもう過積載をやめよと言われても、これは言ったら絵にかいたもちというのでしょうか、とても実現できない、そういうことになるわけですね。先ほど来お話がありましたように、使用者やあるいは事業者、荷主ですね、こういうところの背後責任を今度は追及をしていただくという大きな前進はあるのですけれども、しかしこれで事簡単に、わかりました、単価上げましょうとか、そういうことにはなかなか実際問題としてはならない。これはもう本当にそれぞれの、運輸省も建設省も、それから通産省ですか、そういうところも協力していただいて、本当に強力にやっていただかないと解決しない、なかなか難しい問題だと思うのですね。私はそういう点で、いうなら病原ですね、病気の根本にメスを入れないで、まあ少しは入れられたのですが、十分入れたという状況のないのに、第一線のところで末端の症状について罰則を強化をされるとか、取り締まりを強化をされるとかいう形になりはしないかということを非常に心配をしているわけであります。  そういうことで、違反の悪いことはもう言うまでもないことでありますが、なくすことの方向は当然でありますが、しかし現実そういう事態でありますので、そこのところを本当に根本にしっかりメスを入れていただくということが一番大事だということと、そのために御努力をいただきたい。それから、取り締まりのための取り締まりでなく、指導を優先して過積載をなくしていく、そのために御尽力をいただきたい。このように考えるのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。     〔北川(昌)委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど来の辻委員の御質疑、そして政府委員の御答弁を承っておりまして、非常に納得のいく面が多いかと思います。  交通の指導取り締まりは、交通の安全と円滑を確保するために不可欠な交通警察活動でございます。取り締まり活動の方針は、原則として悪質性それから危険性の高いものから順に取り締まるということといたしまして、軽微な違反については警告、指導にとどめるというようなことにしております。  過積載の取り締まりに当たっても、今おっしゃられましたいろいろな関係機関との連携を緊密にして、関係機関と一体となって過積載をしないように関係者に対して指導を行うことを優先的に行うとともに、取り締まりに当たりましては、過積載の過積重量の超過割合が大きく、危険性の高い違反から順に取り締まりを行うというようにいたしまして、めり張りのある指導取り締まりを推進することを今後過積載の根絶に向かうことについての指導方針としていきたい、どこまでもそういった方針で向かいたいと思います。御質問趣旨はよくわかります。
  169. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、法案とは直接関係がないのですが、交通安全に深いかかわりのあるタクシー労働者の労働条件の改善の問題でお尋ねをいたします。  全国的にタクシーの運賃が近年上げられたのですが、奈良県のタクシーの運賃も八四年の値上げ以後六年を経過し、九〇年の六月に九・八%、九二年八月に一一・四%と相次いで値上げが実施されました。運輸省は来ていただいておりますね。特に二年という短い期間で二回の値上げをされたのですが、これは時短を含む労働条件の改善で良質な運転者確保するという条件で認可されたと承知しているのですが、間違いありませんね。
  170. 春田謙

    春田説明員 お答えいたします。  今の先生おっしゃられましたような改定率あるいは改定の時期で改定が行われたものでございますが、このいずれの改定につきましても、御指摘のように時間短縮を含みますところの労働条件の改善ということが申請の理由となっておりまして、私ども近畿の運輸局長から奈良県のタクシー協会の会長に対しまして、運賃改定に当たりまして、労働時間の短縮を含むところの労働条件の改善を図る、良質な労働力の確保に努めるということを指導しているところでございます。
  171. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういう中で、陸運支局の指導というのは、その労働条件改善の具体的内容は、一、時短ですね、週四十四時間を十月一日から実施をする。二、勤務日数を月二十五日から二十四日に短縮をする。三、値上げによる増取水揚げの八三%を労働条件の改善分に還元をする。こういうふうに聞いております。  もう時間がありませんので詳しくは言えませんけれども、その背景は、今タクシー労働者が非常に不足をしている。不況で幾らかふえたのかもわかりませんけれども、基本的には非常に不足をし、しかも高齢化しておりますね。殊に、若年の運転者を補充をすることが極めて重要になってきていると思うのですね。そのためには、労働条件の改善をするということはタクシー事業者にとっても社会的な責務ではないかと思うわけであります。安全で快適なタクシー輸送を確保する上でも、大変大事なことだと思うわけであります。それで、当然、その値上げの認可条件は厳正に遵守しなければならないと思うのです。  ところが、奈良市のあるタクシー会社ですね、従業員百人、具体的に名前を言いますと服部タクシーという会社でありますが、この運賃値上げに伴う労働条件の改善をまともに実施されていないということであります。また、奈良労働基準局からのたび重なる是正命令や指導事項というのがあるのですが、これについてもほとんど改善がされていないというのが実態でございます。  運賃値上げ後の経過を申しますと、九二年八月に運賃値上げがされて、十月に奈良労働基準監督署から、安全衛生法七十一条の二違反で休憩室の改良、同二十三条違反で男女別トイレ、累進歩合制から一律歩合制への改善、これに是正命令が出ているのですね。それから、奈良労基署から、割り増し賃金と最大拘束時間の十六時間オーバーについて是正命令というのが出ています。期限の十一月もおろか、現在も残業手当の支払いがされていないという状況であります。十二月になって、値上げ後四カ月たつのですが、本来早期に陸運支局に提出されるべき、運賃値上げの前提条件である労働条件の改善計画書というものが出されていないというふうに私は聞いております。休憩室はほんのわずか改良されたようでありますが、こういう状況で、是正命令を受けながら、残業手当の支払いや拘束時間オーバーの是正や違法な累進歩合制から一律歩合制への改善、こういうことをやらない、時短を含む運賃値上げの条件である労働条件改善にも着手をしない、こういう状況が続いております。賃金面では、この会社は歩合給をノースライドとしておりますが、陸運局の自動車部長もノースライドだけでは不十分としておられるわけで、賃金面の改定も急務であります。  こういうふうに、是正勧告あるいは是正命令が遵守されず、労働条件が改善されないところから、労働者は生活を守らにゃいけませんから、職場ではやはり長時間労働ということになるのですね。頑張って無理をして、水揚げ百万円を超える人もあるそうです。そういうことがあるというのですね。長時間の過密労働ですから、体を壊すし、家庭も大変な状況になりますし、それから交通安全上、事故に結びつきかねないという状態になるのですね。長時間労働の例は、百三十時間から二百六十時間超過勤務をやるという人が一割ほどおられるそうです。そんな事態なんですね。通常は二十五時間程度の残業を含めて二百二十時間の実働で、いろいろなものを引きますと手取りは二十二万円程度にしかならないというのですね。ですから、生活維持のために、こういう仕組みの中では長時間労働をやられるということになるのですね。  そういう中で、それ以外に会社側の道路運送法の違反事項がいろいろあるのですね。運輸規則の二十一条過労運行防止、二十二条運行管理者の常時配置、これは西大寺車庫、生駒車庫に常時配置されていないようであります。二十四条では点呼、二十九条地図の備えつけ、四十四条月一回の消毒、五十条運転者への周知徹底義務、こういうことがいろいろ守られていないということのようであります。こういうふうに、この服部タクシーというのは、運賃値上げの際の条件であります労働条件の改善を実行しないばかりか、労基局の是正命令も現実、無視をしているということです。ところが、この会社というのは、タクシー協会の運賃委員会の副委員長さんとか県地労委の使用者側参与委員を出しておられる、業界には大変大きな影響力を持っておられる会社であります。こういうところがこういうことをやっておられるのですね。  私もこういう問題で近畿運輸局の自動車部へ何回も、この問題だけじゃありませんが、一連の今度の運賃値上げても二回ほど行きましたかな。こういう問題、くれぐれも労働条件改善をきちんとやってくれるようにというお話をしてきているわけです。ところが現実、いまだこういうところがあるのですね。第一線の陸運支局の輸送課長さんやら苦労してはりますね、ほんまに。関西弁になってしもうてなんですけれども、もう一生懸命、少ない人数でっしゃろ、よう御存じのとおり。少ない人数で物すごいたくさんの業者、しかも言うこと聞かぬ業者、こう言うと業者の人に悪いけれども、まあ全部とは言いませんが、こういう悪いところがあるのです。それは物すごく労基なんかと連携をとって努力されております。かわいそうなみたいな気がします。しかし、言うこと聞かぬのです。もうあなたにこんなこと言っても気の妻やし、それ以上余り言いませんけれどもね。こういう、免許業者が当然しなくてはならないことをなんぼ指導してもやらぬというようなことになれば、きちっとした対応が要るんじゃないでしょうか。僕に言わしたら、運輸省なめられているのです。何でなめられているのかちょっとそこは申し上げかねますけれども、僕に言わしたらそういうことです。第一線の方が本当に苦労されている。もちろんそのために労働者も大変な状況におられるわけであります。第一線と言ったのは、陸運支局の方のことをさっきは言ってたんですけれどもね。  そんなことですので、この問題についてはほんまにきちっと対応していただきたい、こういうふうに考えるのですが、答弁を伺って質問を終わりたいと思います。
  172. 春田謙

    春田説明員 お答えいたします。  運賃改定の関係でちょうど今お話ございましたように、タクシーの運転労働者の労働条件というのは他の産業に比べますと非常に劣悪な状況にございます。年間の労働時間で比較いたしましても、平成三年の実績でございますけれども、全産業平均が二千三百時間というのに対しまして、タクシーの労働者の方は二千六百時間というようなことでございますし、また年間の賃金の額にいたしましても、全国ベースで一般の産業全体では五百三十万という水準に対しまして、タクシーの運転労働者の賃金というのは四百三十万ということでございます。  そういう中で、今お話ございましたように、タクシー運転労働者の労働力の確保というのは今大変厳しい状況にあるわけでございます。タクシーの安定的な良質なサービスというものを提供していくというためには、運転者確保というために労働条件の改善ということも必要である、こういう中で御指摘のような運賃改定も行われてきた、こういうことでございます。したがいまして、こういう状況のもとに、このような目的のもとに行われております運賃改定というものにつきましては、私ども運輸省の方でも、原則といたしまして、改定後一年間の実績を見まして増収分が運転者の労働条件の改善に充てられているかどうかということについて調査を行いまして、問題がある事業者の方につきましては改善を指導するというようなことで運賃改定の趣旨が確実に実施されるように努力をしている、こういうことでございます。  奈良県の昨年の八月の運賃改定の関係につきましても、現時点ではまだ運賃改定による増収分の運転者への還元というのが十分把握できている状況ではございませんけれども調査結果がまとめられた時点で、問題のある事業者につきましては必要に応じまして指導するということにしてまいりたいというように考えております。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
  174. 春田重昭

  175. 高木義明

    高木委員 道路交通法改正案につきまして若干のお尋ねをいたします。  私どもも、この法案につきましては真剣な議論をいたしております。既にお尋ねがありました件につきまして重複する点もあるかと思いますが、その点についてはあらかじめよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まずは、運転免許証の有効期限でございます。この点につきましては、昨年五月の第三次行革審、世界の中の日本部会答申、いわゆる国民負担軽減国民利便の増大を図るため、運転免許証有効期間メリット制を導入し、優良運転者については更新時に五年に延長すべきとの報告をいたしております。この議論の中身はいろいろな立場から行われておると思いますけれども、まず私は、ここで改めてこの五年とした根拠は一体何であるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  176. 関根謙一

    関根政府委員 優良運転者につきまして、現行更新期間三年から五年に延長することとしたいと私ども考えております理由は、実質的な理由と形式的な理由二つでございます。  形式的な理由の方は、ただいま先生指摘いただきました臨時行政改革推進審議会答申と、それに対する政府の応答になります昨年十二月の閣議決定でございます。ここで、「運転免許について、優良運転者に係る運転免許証有効期間現行三年)を更新時に五年とする制度メリット制)の早期導入を図る。」旨、政府として方針を示したものでございます。これが形式的理由でございます。  実質的に私ども法律のシステムとして優良運転者に限り五年とすることが現下の交通情勢のもとにおいて最も適切であると考えました理由は、まず優良運転者として五年以上免許を持ち、かつ更新日前五年間無事故違反であるというような立派な方であれば、五年間経過した後における更新時の講習でありますとか更新時の運転適性のチェック等で十分交通安全の仕組みは図ることができ、かつまた、五年ということで他のドライバー方々がいわばその優良運転者たることを目指すに足るメリットであるということ、主としてその二つの要請から五年が適当であるというように考えた次第でございます。なお、諸外国免許更新期間の例も十分に参考とさせていただいております。
  177. 高木義明

    高木委員 優良運転者に限り五年ということになりますと、対象者が全ドライバーの六割ということでございます。もちろんその中には当然ぺーパードライバーと言われる方が含まれておりまして、一般ドライバーにとってはこの五年というのは大変厳しい措置ではないのか、厳し過ぎるのではないか、無事故違反では。私どもも、日常の経験からいいますと、例えばシートベルトを忘れていた、おりたり乗ったりする頻度が非常に多いときに忘れていた。あるいは、あってはならぬことでありますが、免許証の携帯をしなかった、気がついたときにはなかったという場合だってあります。また、知らぬ土地に行って運転をしますと、一方通行であるにもかかわらずたまたまそこを入ってしまったということだってあります。これはもちろんそれぞれ違反でありますが、人間失念ということもございます。こういうことが一回あって優良運転者でないという定義づけをされると、それは大変酷ではないかな。  したがって、もちろん交通三悪、悪質な違反については、あるいは事故についてはこれはもう言うまでもございませんけれども、原則五年だ、ただし悪質な例えば免停等については三年だ、こういったことを今後やっていくべきだと思っております。もちろん三年から五年にするということはむしろいいことであろう、あるいはまたメリット制を入れることもいいことであろう、私はこのように思うわけでありますが、その中でそういう実態を見据えたときに、そういう運用といいますか取り扱いがなされてしかるべきではないか、この点についての考え方をお聞きしておきたいと思います。
  178. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘のような御意見も十分に成り立ち得るということは重々承知しているところでございます。  この優良運転者というシステムを導入するか、あるいは原則五年ということにしまして欠陥のあるドライバーについて三年というふうにするかは、これは立法技術的にはいずれも可能ではないかと思います。しかしながら、あえて優良運転者というメリット制を選択した方が現下の交通情勢に一層適合していると私どもが判断いたしました理由は、原則五年ということになりますと、すべての運転者は普通の運転者であるかあるいは悪い運転者であるということになってしまうような感じがいたします。今の仕組みですと、すべての運転者は普通の運転者がすぐれた運転者かであるということになりまして、優良運転者ということでやはりそれなりに交通社会に貢献したということについての評価があるような仕組みであるように、これは全く気分の問題でございますが、そういうところもあろうかと存じます。  優良という点には規範的な意味がございまして、普通の運転者はあくまでも優良ではございません。そこで、他の模範とするに足る運転者優良運転者ということで、その条件、やはり無事故違反であって六〇%ぐらいの人というあたりが適切なのではないかと現在のところ考えているところでございますが、しばらく実態を見まして、必要があればその時点でまた検討をすることも必要なことではないかと考えております。
  179. 高木義明

    高木委員 ぺーパードライバーでも、五年何もなかったら優良ドライバーということになるわけです。しかし、その安全性を見てみると、たまたまシートベルトで違反をした。あるいは、一方通行を入ってならないところに知らない土地でそれをやった。また免許証を、たまたまきのうまで着ておった背広を脱ぎかえたとき忘れる。そういうことから見ると、そういう方々優良でない運転者だと言われると、これは非常に、何といいますかそれぞれの安全プライド、まさに安全性からいえばぺーバードライバーの方が極めて安全度は低いわけでございます。そういうことがございますので、私はこの点は強く、まあきょうは時間がございませんので、そういう形にしていただきたいと思うのでありますが、簡単でいいですから、いかがでしょうか。
  180. 関根謙一

    関根政府委員 当面は無事故違反という考えでございますが、先生の御意見につきましても十分検討させていただきたいと存じます。
  181. 高木義明

    高木委員 次に、救急蘇生法講習義務づけについてでございますが、この義務づけについては、自動車教習所の体制、指導員の養成などが主でありますが、それなど、あるいはまた自動車教習所に入校しないで直接免許を取得する方々の対応、あるいはまた今後、平成六年度より高等学校で実施される救急蘇生法との関連、こういったことを考えますと非常にいいことだろうとは思うのでありますが、すぐにそういうものが実施できる体制があるのか、まだ不十分ではないか、なかなかその辺が見えてこない。それからまた、既に免許を取っておる方々更新時に一体それをどうするのかという問題も重要な問題になりますが、こういうことについては私は賛成だと思っておりますが、導入はまだ早いのではないかという声も強くあることも事実でございますが、この点についていかがお考えでしょうか。
  182. 関根謙一

    関根政府委員 この応急救護処置法律上のシステムとして導入する時期として、現在はまだ早いのではないかとのお尋ねでございます。  私どもは、国際的な応急救護処置といいますか、救急蘇生法の知識がよきドライバーのマナーとなりつつあり、かつ、よき市民のマナーでもあるという国際的な動きに応じて、私どもといたしましても、法律上の仕組みとしてそういうものが顔を出すという時期としては、今が一番いい時期なのではないかと考えております。もちろん私どものこのシステムを、これはドライバー、それも試験場にやってくる運転者に対する講習義務づけというような形での顔の出し方でございますが、このような法律上の仕組みは必ずや大きな波及効果を持って、広く国民の間に応急救護処置についての知識、技能を身につけることが市民として必要なマナーなのだという意識づけに広がっていくものと確信をしております。  それで、私どものシステムといたしましては、ただいま申し上げましたように、ドライバーに対する応急救護処置についての知識、技能を身につけていただくという仕組みだけでございますので、教習所における教習指導員一定の講義内容を身につけていただくべく、関係の医療機関等の指導のもとに指導員を養成していくということで十分に準備は可能であると考えております。そのような考えでございます。
  183. 高木義明

    高木委員 少し元気を出してください。  私は、自動車教習所のカリキュラムが改正されるということになりますと、当然受講者にとりましては、いわば広い意味の生活者にとりましては、時間にして五時間ないし十時間ふえるのではないか。そうしますと、相場で勘定すれば大体二万円から四万円の負担増加になるのじゃないか、こういうことも言われておるのです。したがって、もちろん救急蘇生法も大切でありますが、いわゆる高速道路時代におけるテクニックといいますか、安全運転の教育強化というものも重要な問題でございますので、そういうものも含めてなんでありますが、そういう意味で、今自動車教習所カリキュラムの問題についてはいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの考え方に立って、必要なことは新しく入れる、しかしもうこういう時代になって不必要なもの、あるいはもう既に到達をしているようなものがあるのじゃないか。きょうは具体的なことはございませんけれども、そういうスクラップ・アンド・ビルドについてどのように考えておられるのか、その辺の御見解を賜っておきたいと思います。
  184. 関根謙一

    関根政府委員 カリキュラムの全面的な見直しをするに際しまして、従前の教習のシステムのうち、不必要な部分はやめて新しいものを導入することにより、全体として最低の時限数で最高の効果を上げるように工夫したらどうかという御意見かと存じます。  私どもも全くそのような考えでございまして、いろいろ工夫をすることとしております。一つは、学技一体という考えでございまして、そのような思想のもとで教習指導員という考え方を導入いたしまして、従来の学科指導員、技能指導員という考え方を改めることとしております。それから、いろいろな新しい研修方法を取り入れることといたしまして、その場合の思想といたしましては、従来の教習の思想が運転操作の教習というところにありましたところから、その思想を変えまして、運転操作の教習から安全運転の教習べといった思想でカリキュラムの見直しを行うこととしております。いずれにしましても、これによって教習生の負担が不必要に大きくなるということだけは絶対に避けるようにしたいということをあわせて考えております。
  185. 高木義明

    高木委員 この問題につきましては、ぜひ不要なカリキュラムがないのかどうかといったリストアップも、恐らく十分調査をされてはおると思いますけれども、その点についてきょうは時間もありませんからちょっと割愛をさせていただきますが、とにかく医学的に見ましても、専門家の間にも積極派、賛成派と慎重派の方々がおられますので、その辺は十分御配慮いただくべきことだろう、このように思っております。  次に、過積載の問題についてお伺いします。  この過積載車両に係る措置命令、あるいは車両使用者への指示、使用制限命令、運転の要求等の禁止、また運転にかかわる罰則など、こういったことを強化する、こういうことでございます。これは、基本的にこのような交通事故、重大災害が起きる背景の中で過積載によるものが多いとされているものがたくさんあるわけでありますから、それは私はいいことだと思っております。したがって、私たちは過度な運転者に対する責任ということは避けなければならぬと思っておりますし、また経済的に弱い立場の方々でありますから、そういう方々に一方的に責任を負いかぶされる、そういうことはあってはならぬと思っております。そういう意味で、使用者とかあるいは荷主等の背後責任、そういうことにならぬような環境づくり、このために私はもっとびしびしやるべきだと思っておりますし、また自重計の設置だとか、あるいはそういう違反者がおった場合にそういうものをすぐ取り締まれるようなハードな意味の対策、これは私はどんどんやっていかなければならぬと思っております。  しかし、そういうことになるわけでありますけれども、この過積載車両運行防止に最大の効果を発揮するのは、やはり何といっても現実のところ運行する運転者に対する違反点数を強化する、こういうことが私は効果が一番あるのではないかと思う一人でもあるわけです。また、そういう意見を言われる方もたくさんおられます。したがって、そういうことが一般的な風潮になりますと、むしろ背後責任である方々がそういうことをさせない、させてはならぬ、こういう雰囲気づくりになって、結果的に運転者が守られていくのではないかというふうに思っておりますが、この点いかがお考えなものかということを御所見を賜りたいと思います。
  186. 関根謙一

    関根政府委員 今回の過積載車両に対する対策の一つとして、過積載車両運転した者に対する罰則を、従来といいますか現行三月以下の懲役、五万円以下の罰金、そして実態としては反則行為でございまして、大型トラックが何倍過積載しても一万五千円以下の反則金というシステムを改めまして、罰金、罰則を二倍に引き上げまして、六月以下の懲役または十万円以下の罰金とすることとし、あわせて大型トラック等が二倍以上貨物を積載した過積載車両については、これを反則行為としないで、いきなり刑罰というような仕組みを導入することとしたいと考えております。これによりまして、いきなり刑罰ということになりますと、反則点数、行政処分基礎点数、これが原則として六点以上ということになりますので、現在は五割以上積んだ場合が二点、五割未満が一点という違反点数でございますが、これが大幅に変わってきて、大型トラックが二倍以上の過積載をした場合六点ということになりますと、以下それに準じた扱いになるのではないか、このように考えているところでございます。
  187. 高木義明

    高木委員 次に移りますが、救急バイク、いわゆる赤バイクの問題であります。  この救急バイクは、さきの救急蘇生法とも関連は出てまいりますけれども、この構想が日本交通科学協議会でなされ、いわゆる実験的なことがなされておりますが、私はこれはむしろ推進すべきではないかと思っております。特に、首都圏の高速道路等の渋滞地点におきましては非常に有効なものではないかと思っておりますが、この導入について、消防庁として基本的にどのように考えておられますか。
  188. 朝日信夫

    ○朝日説明員 オートバイを用いましたいわゆる救急バイクでございますが、これはお話にありましたように救急現場への到着時間の短縮を図り、応急手当てのいわば早期開始を図るという上での一つの試みであろうというふうには受けとめてございます。  ただ、じゃ全国的にこれを進めるか等につきましては、やはりそれなりに相当いろいろと検討を要する問題もあろうかな。私どもは、救急の場合ですと、通常の救急隊に加えまして別途こうしたオートバイ隊ということになりますと、やはり相当の人の手当てを伴ってくるものでありまして、またやはりそれに見合うだけの効果というものも考えざるを得ないし、また全体としてこの運用の効果のほどといったものにつきましても、やはりよく検討を要する点があろうと考えています。お話にもございましたように、交通科学協議会等でのそうした試験的な事業も行われておりますので、そうした結果につきましても十分見守ってまいりたいなというように思っております。
  189. 高木義明

    高木委員 東京都の東久留米市では既にこういう体制が発足をしたというふうに聞いておりますが、問題は、このバイクがいわゆる緊急自動車に当たるか当たらないかというところが論点になっておるわけでありまして、いわゆるこの赤バイク、救急バイクが道路交通法上合法になるようにするお考えはございませんか。
  190. 関根謙一

    関根政府委員 警察庁といたしましては、関係機関の意見等も踏まえて、関係機関からの御要請があれば、そのような規定について所要整備を図ることとしたいと考えております。
  191. 高木義明

    高木委員 時間もございませんので最後の質問をいたしますが、実は原動機付自転車の速度規制の問題でございます。  この速度規制につきましては、もう御案内のとおり、道路交通法の第二十二条あるいは道路交通法施行令の第十一条に触れておりまして、「原動機付自転車にあっては三十キロメートル毎時とする。」ということがございます。この決定をされました経緯とか根拠についてはそれなりのものがあるかと思いますけれども、今日現在、バイクというのは生活の中にかなり密着しておる。東京の都市圏ではなかなか見当たることも少ないのでありますが、地方においては交通渋滞の解消、マイカーの自粛にもつながっておりますし、あるいは幹線道路におきましては、時速三十キロで行けばかえって路線バスやほかの交通の円滑を阻害することになるのではないか、この時代においてもう既にこれは四十キロぐらいに上げるべきであろうと私は考えます。もちろん、試験制度は今のままでそういうことをしてもいいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  192. 関根謙一

    関根政府委員 原動機付自転車の制限速度を三十キロといたしていた経緯は、要するに、これは技能試験を受けることなく学科のみで乗ることができるということで、だれでも気軽にたやすく乗れる乗り物ということで、そういう乗り物の性格上、制限速度を三十キロとすることがよろしいのではないかということから定められたものと理解しております。  そこで、これの制限速度を四十キロということにいたしますと、それでは自動二輪車との違いがどのくらいになってくるかとか、いろいろな問題が出てまいると存じます。そこで、いろいろな方々の御意見も伺い、免許制度に反映させる必要があるかどうか等も勘案して、この問題について十分検討してまいりたいと存じます。
  193. 高木義明

    高木委員 よろしく御検討いただきますようにお願い申し上げまして、終わります。
  194. 春田重昭

    春田委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 春田重昭

    春田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事伏屋修治君を指名いたします。  次回は、来る四月一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会