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1993-05-12 第126回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年五月十二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 野中 広務君    理事 大野 功統君 理事 金子原二郎君    理事 杉山 憲夫君 理事 野田  実君    理事 石井  智君 理事 山内  弘君    理事 平田 米男君       植竹 繁雄君    大石 正光君       金子 一義君    金子徳之介君       川崎 二郎君    木村 守男君       坂本 剛二君    萩山 教嚴君       光武  顕君    宮里 松正君       柳本 卓治君    山本 有二君       木間  章君    貴志 八郎君       渋沢 利久君    渋谷  修君       松本  龍君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君       米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村喜四郎君  出席政府委員         建設政務次官  東   力君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 鹿島 尚武君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調 平林 英勝君         整課長         公正取引委員会         事務局経済部団 田中 信介君         体課長         公正取引委員会         事務局審査部管 上杉 秋則君         理企画課長         法務省刑事局刑 大泉 隆史君         事課長         国税庁調査査察 藤井 保憲君         部調査課長         建設大臣官房技 小野和日児君         術審議会         自治大臣官房地 伊藤  廉君         域政策室長         参  考  人         (日本道路公団 山下 宣博君         理事)         建設委員会調査 杉本 康人君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     坂本 剛二君   萩山 教嚴君     柳本 卓治君   谷津 義男君     宮里 松正君 同日  辞任         補欠選任   坂本 剛二君     塩谷  立君   宮里 松正君     谷津 義男君   柳本 卓治君     萩山 教嚴君     ――――――――――――― 四月二十七日  有料道路通行料身体障害者割引制度に対する  内部障害者等への適用拡大に関する請願(伏木  和雄君紹介)(第一八〇八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  流通業務市街地整備に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第五四号)(参議院送  付)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として、日本道路公団理事山下宣博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 野中広務

    野中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
  5. 山本有二

    山本(有)委員 今、政治改革が叫ばれまして、特別委員会でも終盤の様相でございます。これはまさしく戦後の政治制度疲労でございますし、また国家のすべての制度が疲労してきでおるというようにも思えるわけでございます。そんな昨今の中で、実は連休、新聞を見ておりましてあっと気づくようなそんな漫画がございました。今月の五月二日、日曜日の日本経済新聞第十面でございます。これ、ちょっと委員長のところへ……。その第十面に、「端午ならぬ「談合の節句」」こういう記事でございまして、クマに金太郎さんがずっとしがみついておるわけでございます。  それで私が感じましたのは、政治改革というものが一方で叫ばれておりまして、そしてその一方で、国民はまだまだ政治不信を抱いておる。特に、この漫画を掲載した紙面のどこに、この端午ならぬ談合というような関連記事があるかな、こう見てまいりますと、一番下の隅っこに、「建設・自治省が入札透明化協議機関設置を発表」、こういう記事でありまして、いわゆる「ヤミ献金問題を契機に、入札制度への不信感が高まっていることに対応した」、こう書いてあります。すなわち、もう政治とお金の不正について断とう、そういうことが政治改革委員会でも改革方向として、また一方で建設省及びこの入札をめぐる問題をしっかりと透明化して国民信頼を得ようという方向が今、国会のトレンドであろうというように思います。  そこで本日は、国民信頼を得られる政治でなければならない、また建設業界でなければならない、さらに国家機関でなければならない、そういうような意味で、業界を指導監督し、また政治と非常にかかわりの深い建設省、そのほか関係機関にこの問題について御質問をさせていただきたいと思います。  特に、建設大臣が三月二十九日、談話を発表いたしております。この談話は、三月二十七日の金丸前衆議院議員起訴、それに伴う一部大手総合建設業者等に対して家宅捜索等が行われた、それに基づいて、とにかく入札契約制度運用に不透明な点があったのではないかという指摘が行われたことについて、残念である、それでいよいよ所要の改善措置を実施に移す所存であるというこの談話に基づきまして、建設省対応方針を発表しております。それは、一つには透明性競争性ある入札方式導入をしよう、こういうことでございましで、さらにその中で、指名基準具体的運用基準の策定、こういうことを検討されてきております。  私も、たまたま本屋で手に入れました本で、「三年後の建設業界浮沈の構図」、三月二十五日のこの本の一文の中にこんなことを書いてあります。「「建設省開闢以来の出来事」――入札制度見直しに着手」、「”トンカチ官庁”が、二〇世紀も押し詰まって、遅ればせながら政策官庁への脱皮を図っている。もとより外圧に背中を押されてのものであるが、それでもやらないよりはまし。談合の排除についても、いっこうに改めようとしなかった入札制度見直しに着手した。」この本は批判的な、少しいわば与党的でない方向の本でありますけれども、しかしかなりの評価をしておりまして、初めて入札制度にメスを入れたという意味では画期的だというような評価をしております。そこで、そういうような検討の成果も本日お聞かせいただきたいと思います。  さて、談合というのは許されざるところであると一般に言われておりますけれども、明確に法律でちゃんと罰則を設けて規制をしております。まずは刑法、そして次には独禁法二つ談合というものは許されておりません。刑法九十六条ノ三、談合罪というものがありまして、これを明確に厳しく運用していけば談合というのはないわけであります。  そこで、法務省にお聞きをいたします。  談合罪の罪によって検挙してきておると思うのですけれども、その検挙件数の近年の推移についてまずお伺いいたします。
  6. 大泉隆史

    大泉説明員 刑法談合罪につきましては、委員指摘のように刑法九十六条ノ三に競売入札妨害罪、その一つとして定められておるわけでございますが、私どもとしては、その刑法九十六条ノ三第一項のいわゆる競売入札妨害の罪と第二項の談合罪とを区別して特定した統計をとっておりませんので、全体での起訴件数でお答えさせていただきたいと思います。近年の私ども統計としてとっておりますのは平成三年までのところをとりあえず把握しておりますが、過去十年間におきますこの両罪全体を合わせての起訴件数は、合計二百四十一件となっております。
  7. 山本有二

    山本(有)委員 二百四十一件ということでございますが、果たしてこれが多いか少ないかということは別として、国民は、談合しているからとにかく不正だというような、そんな頭でございます。したがって、捜査を十分にやっていただいて、もうこれで不正な談合、罰を受けられるべき談合というのはこれだけだというところを示していただければ、これで後はきれいになるわけでありますから、そんな意味実態把握を十分していただきたいと思いますけれども、現在のその実態把握についてもう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  8. 大泉隆史

    大泉説明員 いわゆる談合という行為一般化しているということがよく言われておることは私どもも承知いたしておりますけれども、法務、検察当局といたしましては、そうい事実が広く行われるかどうかという点につきまして、私どもとしては、具体的な事件についての証拠に基づいて認定できるかどうかという点になるわけでございますが、そういうことになりますと、私どもの立場としては明確にはお答えできかねると言わざるを得ないところでございます。
  9. 山本有二

    山本(有)委員 しかし、国民はそれを期待しておるわけでありますから、もしそういう事実等があれば、厳正に対処をしていただきたいと思います。  次に、公正取引委員会にお伺いいたします。  刑法談合罪というものと、独禁法三条あるいは八条の一項、こういうもので取り締まっております談合というものはおのずから違うと思います。そこで談合の定義、あるいは許されるべき談合というものがあるのか、そしてまた許されざる談合というのはどういうものなのか、そこのあたりをまずお伺いいたします。
  10. 上杉秋則

    上杉説明員 御説明申し上げます。  刑法九十六条ノ三に規定する談合罪というものは、いわば公の競売とか入札に関してその公正性確保することを保護法益とするというふうに承知いたしておりまして、これに対比いたしまして独占禁止法で禁止いたしております入札談合行為というのは、一定取引分野における競争実質的制限をもたらすような共同行為というものを禁止するものでございまして、自由かつ公正な競争という競争秩序保護しよう、そういう観点からの規定でございます。  これをもう一度、どういう行為をいうかということで説明いたしますと、官公庁等入札を行うに当たりまして、入札参加者側が、あらかじめだれが受注するか、いわば受注予定者を決定いたしまして、その受注予定者受注できるように協力する、そういう行為を行うことをいうものでございます。したがいまして、このような要件に該当しない場合には、独占禁止法で禁止する入札談合行為には該当しないということになるわけでございます。
  11. 山本有二

    山本(有)委員 大体わかったわけでありますけれども受注者をいざなうようなそういう談合は許されない。  そこで、こういうような談合について厳正に取り締まっておいでのところであろうと思いますが、例えば統計上の暗数というような観念がございます。暗い数、すなわち把握できない実態があれば、それはどんなものか、あるいは全体として公取から見たこの談合というものはどういうものが現実社会であり得ているのか、そのことについでお伺いいたします。
  12. 上杉秋則

    上杉説明員 私どもでは、先ほど説明いたしましたような入札談合行為というものにつきまして、独占禁止法に違反するものであるという観点から、積極的に情報収集に努め、その摘発に努めでいるところでございまして、平成四年度に、法律に基づく措置といたしまして、私ども、三十四件の勧告という措置をとっているわけですけれども、そのうち二十件がいわゆる入札談合行為という類型に属する行為類型でございました。  それで、建設業、これは電気工事等を含む広義の建設業ということで説明いたしますと、課徴金制度導入されました昭和五十二年以降、二十四件につきまして審決等法的措置をとっておりまして、これまでのところ、延べ六百三名の事業者に対しまして総額三十四億五千十二万円の課徴金納付を命じているところでございます。いわゆるゼネコン等が属する一般土木建築工事業というカテゴリーがあるわけでございますけれども、そういう範囲内で見ますと、法的措置をとったものが五件でございまして、延べ二百二十四名の事業者に対しまして総額十五億八千三百九十四万円の課徴金納付を命じでいるところでございます。現実にどの程度の談合行為が行われているかにつきまして、私どもとして、審査部で持ち得る限りの情報収集に当たっておりまして、そういう具体的な情報に接した場合には、法律に基づいて厳正に対応しているところでございます。
  13. 山本有二

    山本(有)委員 なかなか手厳しい取り締まり、そして処置、そういう決意も見られる数であり、また御意見でございました。  ただ、ここで公取に再度確認しておきたいことが一つございます。それは、現在の公共事業等入札制度指名競争入札という方法をとっておりますが、しかし一方で、会計法等一般競争入札というものを原則にしておったりするわけでございましで、一般に、指名競争よりも一般競争の方が談合がないのではないかというようなことが最近とみに紙上、雑誌等に掲載されておるわけでありますけれども公取から見た入札制度、特に一般競争指名競争、そこで、談合との親和性、どっちが談合により近接していくのかというようなお考えあるいは評価がありましたらお聞かせください。
  14. 平林英勝

    平林説明員 御説明申し上げます。  公共工事におきましてどのような入札制度が望ましいかということにつきましては、第一義的には発注官庁がまずお決めになる問題ではないかというふうに考えておりまして、公正取引委員会といたしましては、一般競争入札でございましても、また指名競争入札でございましても、入札制度が適切に運用されましで、入札参加者間におきまして公正かつ自由な競争確保されることが重要と考えている次第でございます。建設省におきまして、一昨日、新たな入札方式導入とか入札手続改善等入札制度改善措置が早急に実施されるというふうに発表されたところでございますけれども公正取引委員会といたしましては、このような措置が着実に実施されまして、建設業者間の公正かつ自由な競争が一層確保されることを期待しているところでございます。
  15. 山本有二

    山本(有)委員 いわゆる入札方式一般指名かということだけで考えられるものではないというような御意見であろうと思います。公正取引委員会にも、以後、談合の不正に対して厳しい目で見ていただいて、健全な業者、そしてまじめにやっている公共事業に携わる人たちにあらぬ誤解や、あるいは社会資本整備をしようという気持ちに対して水をかけるようなことのないように、一層頑張ってやっていただきたいというように御期待申し上げます。  次に、建設省の方々にお伺いさせていただきます。  全部の建設土木工事は、日本国内で現在八十兆円あると言われております。そのうち、約三分の一が公共工事と言われるもので二十四兆円、その二分の一が国、公団といった機関発注するもので十二兆円、残りは地方分でございますけれども、さらに、その十二兆円のうち建設省発注分が約四割で五兆円、日本の国の抱えます建設土木工事全部の約六%から七%が建設省発注であるわけであります。建設業者というのは五十二万社あるわけでありますから、この建設省が直接携わる、発注に係る五兆円に五十二万社が関係しているかというと、極論を言えばそういうことになるわけでありますけれども建設省はまさしく公共工事の総元締めでございまして、この建設省考え方が八十兆円すべての建設土木工事発注方式等に影響をもたらすと思われますので、建設省がそのやり方についてこれからどういう考え方をされておるかということが非常に重要になるだろうと思います。  そこで、談合等がないようにあるいは公正にやられる方法はどうか、国民の前に、とにかく公共事業というのはきれいにやっているのだ、そして、政治家信頼できるし、建設省信頼できるし、公共工事信頼できるし、業者信頼できるということになって初めて生活大国のための社会資本整備というところに移行できるだろうと思います。そんな意味で、これから公共事業入札について明らかにしていただきたいと思うのですが、まず、公正取引委員会にお聞きしたと同じように、公共事業入札指名競争入札が現在採用されておられるわけですけれども、このままでいいのか、この点についてお伺いいたします。
  16. 伴襄

    伴政府委員 今、公共工事入札方式でございますけれども指名競争入札ということによっているわけでございますが、会計法上では指名競争とか随契のもの以外については一般競争による、ただ、一般競争入札に付することが不利と認められる場合には、指名競争入札によるものとする、こういう規定になっておりまして、二つの場合があるというふうに理解しておるわけでございます。  公共工事につきましては、一般の物品の購入なんかと違いまして、すべてが現地産品現地で組み立てていく、しかも単品で受注していくというようなことでございましで、でき上がっていく過程を逐一見ていればともかく、どんなものができ上がるかというのはなかなかわからないわけでありますので、でき上がりを確保する、質を確保するということが非常に重要なものかなと思っております。したがいまして、施工能力の劣る建設業者あるいは不誠実な建設業者が入ってきては困る、そういう方がまた疎漏工事をしてもらっては困るというようなことがありますので、そういうことを防止するということが一番重要かと思います。そういうことを防止することが大事なので、一般競争にすると発注者、あるいはひいては国民にとって不利になる、こういう理解のもと指名競争入札をとっているというふうに考えているわけでございます。  ただ、入札契約制度も当然ながら一般競争がございますので、それとどちらがいいのかというようなことは絶えず議論してきているわけでございますけれども、過去二回ほど、昭和五十八年、それから平成四年、それぞれ中央建設業審議会の方でもいろいろな意味で御議論をいただきまして、その中で、やはり一般競争入札制度についてはいろいろな問題点がある、こういうふうにその場でも指摘されているわけでございまして、例えば一般競争でやりますと、当然一定客観的条件を付する、そしてそういう条件を満たした人だけが一般競争しますよということになるわけですけれども、そういう条件では施工能力の劣るあるいは不誠実な建設業者を排除する、完全に排除するというのは極めて困難である。  したがって、疎漏工事とか、工期の遅延などを招きやすいという心配があるわけでございますし、それからやはり価格オンリーの競争になりますので、価格競争にさえ勝ては落札者となるというようなことになりますと、過当競争、いわゆるダンピングというようなことが起こるというようなおそれがあります。そこで、ひいては一部有力業者受注の偏りを招いてしまう、せっかく公共工事でありますから受注機会確保公平性を保とうと思ってもそれができない、ひいては中小企業保護に欠けるといったようなこともあろうかと思います。  それから、やはり建設業者指名によって工事をするということにしますと、なるべくいい工事、良質な工事をやろうというようなことで、そういうことで発注者信頼を得る、そしてまた次回の指名に期待するといったようなところもあるわけでございまして、そういう取引関係信頼関係が継続していくという中で、質のよい工事確保するという点も期待できるわけでございます。さらには、いろいろこういう疎漏工事やら問題のある工事を防ぐためにどうするかといえば、やはりその審査施工監督を厳重にする必要がありますけれども、そうしますと、一般競争でそれをやりますと大変な事務量になるといったようなこと、数々の問題があるわけでございます。  そんなことで、指名競争制度につきましては、その裏のメリットがあるからとっているわけでありますけれども、ただこの指名競争入札につきましてもいろいろ問題点があるし、特に一般競争メリットみたいなものがあるわけでありますから、なるべく一般競争メリットを取り入れていくというようなことを心がけるべきだろうということでございます。  先般、建設省の方でも出しました改善策というのは、そういう観点指名問題点はやはり指名者恣意性というのが問題であるということですから、その恣意性を排除する。そのためには、やはり手続透明性あるいは公平性客観性というようなことを確保する必要があるので、その意味改善措置を講じているというようなことで先般発表したところでございます。
  17. 山本有二

    山本(有)委員 指名競争入札をこれからも堅持し、またその方がいいのだという局長の御意見でありました。しかし、諸外国は必ずしもそうでないというように聞いております。  そこで、諸外国について、特にアメリカ等では一般競争の方がいいというように判断されておるようでございますので、そのあたり、諸外国方式についてお伺いいたします。
  18. 伴襄

    伴政府委員 諸外国入札方式でございますけれども、特に欧米主要国でございますが、必ずしも正確に、詳細に承知しているわけではないのですけれども、やはり欧米主要国でもいろいろなタイプ、いろいろな入札契約方式をとっているというのが実態でございまして、もちろんアメリカのように一般競争を採用している国、それからイギリスのように指名競争を、日本と同じでございますけれどもやっている国、あるいはベネルクス三国のように随契でやっているというような国もあるわけでございまして、各国特色があって一様ではありません。  ただ、具体的に言いますと、例えばアメリカ一般競争でございますけれども、これにつきましては、御案内のとおりいろいろありますけれども、長年の歴史を有します保証制度ボンド制度というものをもとにしておりまして、いわばこの入札参加者資格審査実質民間ボンド会社がやっている、民間保証会社にゆだねる、こういう仕組みでやっているということで理解しております。  それから、イギリスはかつては一般競争をやっておりました。ところがいろいろ問題がありまして、特に工事の質の確保というような点で非常に問題があるというようなことで、ある時点から誠実で十分な資質と能力を持った業者によって良質な工事確保しよう、そのためには指名制度でやるべきだというようなことで指名制度に切りかえておって現在に至っております。  それから、フランスでございますけれども、これは最も多用されている方式は、制限つき提案募集による契約、アペルドッフルと言っておりますけれども、でございまして、これは公募を行いまして入札参加者を何社か選定しまして、その後で、日本の場合ですと価格だけで落札者を決めますけれども入札価格だけでなくてそのほかの要素、例えば維持費とか、技術的な価値とか、工期とか、そういったことも勘案して、たとえ価格が一番低くなくても、そうでない者でも落札して決めることができるといったような制度をとっております。  ついでに、ドイツでございますけれども、これも制限競争入札一般でございますが、これは公募とか指名で行いまして、そして事前の資格審査で過去の工事実績とか技術等審査いたしまして、入札参加者を何社か選定する。これはフランスと同じように価格だけではなくて、いろいろな技術的要請等も勘案しながら落札者を決める、こういう方式をとっております。いずれにいたしましても、各国さまざまでございます。  日本指名競争イギリス制度とほぼ類似、ドイツ、フランス公募、選定という形でやっておりますから、選定を行うという点では共通する制度かと思います。  一方、アメリカでは一般競争でありますけれども、これは審査ボンド会社にゆだねるという制度でございますから、欧米の中では必ずしも一般的な制度ではないというふうに理解しております。
  19. 山本有二

    山本(有)委員 聞いておりますと、指名でも一般でも、やはりそこには公正を保とうという何らかの工夫が凝らされているというような感じを受けるわけでありますが、一方の雄であります一般競争入札をとっているアメリカ、これが日本と極端に違うところだろうと思うのです。  そこで、アメリカにおいて、そのボンド方式をとることで一般競争入札をしっかりやってそれで談合が排除できているのか。もう一つは、指名競争入札と比べて一般競争等の談合の発生件数等が多いとか少ないとか、もしおわかりであれば、この点について言及をお願いします。
  20. 伴襄

    伴政府委員 先ほど申し上げましたように一般競争、米国でございますが、アメリカはそういう一般競争をボンドによる裏づけでやっているわけでございます。この一般競争入札方式を採用している米国でございますけれども、これにおきましても、私どもの手元でも年間約数十件の入札談合に対する刑事訴追が行われている。年によって違いますけれども、三十件ぐらいから七十件ぐらいの幅でここ数年刑事訴追が行われているという資料が手元にあります。したがいまして、その入札方式、例えば、一般競争だからあるいは指名競争だから必ずしも談合発生と結びつきやすいということはないのではないかという気がいたします。いずれも、ある入札行為をするときにメンバーが決まれば、その中でカルテル行為が行われればそれは談合ということになるわけであります。したがって、一般競争あるいは指名競争が、特に指名競争談合と結びつくという証左には必ずしもならないという気がいたしております。  くどいようでありますけれども日本では指名競争というのをとっているわけでありますけれども、この点で一般競争をとる点を言えば、特にその競争性という点だろうと思いますので、その辺につきまして、なるべくその技術力による競争性を高めてもらおうというようなことを一般競争メリットとして取り入れていこうというのが我々保の姿勢でございます。
  21. 山本有二

    山本(有)委員 アメリカでも公正取引委員会の力は強くて、一般競争入札だから談合がない、こういうわけにはなかなかいかない、そう私も理解しております。そのとおりであろうと思います。  そこで、今までは全部公共工事発注、そして契約についてお伺いしてきました。民間では、やはり企業経営という意味からコストをできるだけ下げで、そしてできるだけ能率よく、そしてできるだけ品質高く、こういうような建設発注等があろうと思います。  そこで、一般競争入札民間でとっているのかどうか。また、民間発注のパターンというのは大体どういうものが主なのか。それについてお伺いいたします。
  22. 伴襄

    伴政府委員 民間工事の場合、どういう発注方式をとっているかということでございますけれども一般に、民間工事においては、やはりその施主あるいは発注者といたしましては、良質なものをつくってもらいたいということが当然一番大きな目的でございましょう。したがって、信頼できるような建設業者を選ぶ、そしてその人と契約をするというのが主流でございまして、いわゆる特命随契、随意契約ということが多いと聞いております。  たまたま、この建設会社をどういう理由で選んだのかというような研究報告がございますが、それを見ましても、会社を選んだ理由は、やはり過去の建築した建物のできばえがよかったからというようなこととか、あるいは人から建設会社のよい評判を聞いた、だからその会社を選んだとか、あるいは以前から懇意にしている建設会社だったからとか、あるいは維持、修繕、そのサービス体制、でき上がった後のサービス体制、それが整備されているからといったようなことを理由にして選んでいるようでありまして、やはり過去の注文経験とか人づての評判とかいうようなことで随意契約で結んでいるということのようであります。  大手なんかでも、どういう形で民間工事について選ばれたかというのも調べてみましたが、やはりほとんどが特命随契でございまして、その特命随契以外ですと、例えば見積もり合わせですね、数社からとってやる。いわば数社からとって、普通だとその中で一番安い人を選ぶわけですが、いわば指名工事みたいなことで、指名してやるという指名形式でございますが、ほとんどが随契で、一部指名があるといったような感じでございます。
  23. 山本有二

    山本(有)委員 企業経営をする民間会社でもほとんどが随意契約で、一般競争入札なんというものはとっていないというようにお伺いできたわけでありますが、そういう意味におきますと、指名競争入札の中でやって、しかも公正を担保できれば、客観性を担保できれば、むしろ公共事業もその方がいいというような感想を私も持ちました。  次に、ここに、私も一般競争指名競争がいろいろ考えておったのですが、談合をする要因というもののおもしろい報告がありまして、これはOECDの制限的商慣行専門家委員会というところの報告なんですけれども、なぜ談合建設業、土木事業であり得るのかということを報告されております。  それを簡単に言いますと、五点ぐらいございまして、一つは、高いビルや大きな橋、これをつくるためには技術が非常に高いものが必要であり、高額な準備、例えば設計や見積もりや大変そういうものが必要である。そうすると、市場性がほとんどないのではないか。瀬戸大橋なんかつくるときには、五十二万社のうち一体何社技術があるだろうか、こういうことを考えていきますと、市場性が乏しいということがまず第一点。  第二番目には、業界というのは、もう本当に中小企業がたくさんあるわけでありまして、五十二万社もあるわけでありますから、過当競争一般的である。そこでダンピング、いわゆる出血受注、これが多いということで、だから話し合いイコール談合につながるんだ。だから出血受注、こういうところが第二番目。  それから第三番目は、これは注文者側、今までは受注者側の話でありましたが、注文者側の利益としましても、粗悪工事が多いんだ。とにかく粗悪工事だから、こっちもきちっと対処するために、注文者側もある程度絞って発注をさせる。一般的な一般競争にすると粗悪工事になるから、だから指名してある程度絞ってやる。絞ってやるから、だから話し合いをしていく可能性がある。粗悪工事一つの原因だ。  それからもう一つは、粗悪と関連をして、工期遵守が守れない。一般にいろいろなところに頼むと工期遵守が守れない。そこで、この工期遵守をさせるためにある程度特定すると、そこで話し合いが行われる。  そして、五番目にあるのが請負工事の片務契約性というものでありまして、買い手独占市場、すなわち、役所側の方が非常に強い、受注者は非常に弱い、そういう立場にあるので、どうしても受注者の方が対抗カルテルを結ぶ。対抗カルテルを結んで発注者と対等になろうとする力が働く、こういうようなことがOECDの報告でございました。  なるほどと思いましで、一つ一つ、市場性の問題、ダンピングの問題、粗悪工事の問題、工期遵守義務の問題、買い手独占市場の問題、これを検討していきますと、指名競争でも一般競争でも、これは変わりない。全く変わりない。むしろ、どちらをとるにしましても、もっと別な観点で明らかにしていく必要があることがあるのだろうというところでございます。  そこで、非常にクリアにそのことを指摘しておるのが去年の十一月の中央建設業審議会の答申の中の改善策、そこのテーマが透明性競争性と対等性、この三つを大きなテーマに掲げてありまして、なるほどこの透明性競争性、対等性というのはいい話だな。  さっきの談合を誘発する五つの原因というものと照らし合わせてみましても、例えばダンピングをするのではないかとか市場性が乏しいのではないか、これは競争性を高めればいいわけでありまして、そしてそのダンピングの問題というのも、これは競争性プラス透明性、こういうもので明らかに、クリアにしていくことによって大丈夫だし、さらにもう一つは、ダンピングだけについてちょっと触れますと、原価は伸縮自在だからダンピングするというところに対しては下請へのしわ寄せということがあるけれども、下請というのは、下請代金遅延等防止法とか取引上の地位の不当な利用とか、公取が言っているそういうものでもこれは改善できるわけでありまして、そういうようなことを考えていきますと、入札制度の改善、中央建設業審議会のこの三点に基づいた改善ということが何より大事だろうというように私も思いました。  そこで、建設省入札にこの三点をどう確保するようにしたのか、これについてお伺いいたします。
  24. 伴襄

    伴政府委員 今入札契約制度、特に今御指摘のありましたような三点の視点は、この中央建設業審議会の答申で指摘されているわけでございまして、すぐできるものは対応をいたしておりまして、そのことを三月二十九日の建設大臣談話という形で、あるいは、そのときの当面実施する事柄の中でうたわせていただいておりますし、また先般五月十日に、この入札手続改善検討委員会というものを設けておりましたので、それの結論という形でまとめさせていただいたわけでございます。  三点というお話がございましたが、一つ透明性確保ということでございます。透明性確保ということがやはり指名権者の一方的な恣意性を排除する大事な点でございますので、そのために、一つには現行の指名基準をより具体化しようといったようなことを打ち出したわけでございまして、先般の五月十日の報告書でもそのことをまず大きな柱として出しております。  現在、例えば建設省の直轄工事におきますと八項目の指名基準がございますけれども、例えば不誠実な行為があるかどうかとか、経営状況はどうかとか、工事成績はどうだったかというような非常に抽象的な八項目でございましたので、これをより具体化、明確化した運用基準を決めた。極力それでもって客観的にも判断てるような、あるいは、指名権者独自の判断でだけでなくていろいろな情報、要素も入れて判定できるような、そういうものにいたしました。  それから、この透明性観点では、指名業者とか入札結果等の公表ということが大事でございます。今この工事についてどういう人が指名されたか、それがどういう経過を経でだれに幾らで落ちたかといったようなことを公表することが大変大事なことかと思いますが、それを今ガラス張りにするという意味で、公表ということを、これは直轄工事はやっておりますけれども、この辺はまだなかなか公共団体の方では十分に浸透しでいないというようなことがございますので、この点につきましては、自治省などと協議会をつくりまして、自治省とタイアップしながら、特に地方公共団体に対するこういう措置を徹底しでいこうといったことを措置として考えております。  それから、競争性の確保という点でございますけれども、これは、今指名競争制度ではありますけれども、それをいろいろ工夫いたしまして新しい契約方式を打ち出しておるわけでございます。既に三月二十九日に新方式二つ打ち出しまして、これにつきましては、すぐに平成四年度当初から実行にかかっております。これは、技術情報型等々と言っておりますけれども、要は技術と意欲、それを買って、そういうものに技術審査をして指名するというものでございまして、これは大型の工事についてやっております。  今回五月十日の報告書では、それに加えまして、もう少しBランクの工事のような規模の小さな工事につきましても試行をしてみようということで、それにつきましても、意向を反映させていただこうということで、簡易な技術情報を出してもらって手を挙げてもらう、その中から指名する、もちろん技術審査をして指名するといったようなことを試行してみようということもやっておりまして、このような新しい方式でひとつ技術力の的確な評価あるいは反映させたものの競争をやってもらおうということでございます。そのほか工事費内訳書を出していただく等々のことも、この競争性の確保かなと思っております。  それから、対等性の確保ということは、これは甲乙などといいまして、上下関係というか、対等関係になっていないことが非常に大きな問題でありますので、これにつきましても、例えば予定価格を適正にするとか、これも既にいろいろな中で取りかかっております。ただ、予定価格につきましても、いろいろな御議論がありますので、これにつきましては、第三者機関をつくりまして、建設大臣もとに置かれる機関としてそこでいろいろチェックしてもらおうと考えておりまして、これはいろいろな、例えば会計検査院のOBの方とかあるいはマスコミの方とか等にも入っていただいて、そういう第三者機関でチェックをしていただこうということを考えておるわけでございます。  そのほか、入札の辞退の自由がないとか、これはそういうペナルティーがないよということ、これは繰り返しやっておりますけれどもやったり、あるいは見積もり期間を十分に見るとかというようなことで極力対等性の確保にも努めているといったようなことでございまして、おおむね昨年十一月に出ました中央建設業審議会の答申、そういう観点で成り立っておりますので、それを実施する、しかも、それは前倒しに、早目にやるといったような姿勢で臨んでおるところでございます。
  25. 山本有二

    山本(有)委員 去る十日にまとめられました入札手続改善検討委員会、この報告書がございます。この委員会のメンバーは、委員長が技監で官房長やら局長さん、官房技術審議官さんまで、ずっと十名近い方々で構成されておられる。そういうエキスパートが指名基準を具体化した。今まで八項目、抽象的な言葉だけでやられておったのが、これを具体化されたというわけでありますけれども、これで客観性を持たし得るのかどうか。  指名競争のときにだれを指名に入れるかということが大変重要でありまして、このことに対して、いわゆるお手盛りがあったのではないかとか、どうしておれたちが指名から外されたのだとか、こういう不平、不満がいっぱいあるわけであります。ここを客観的にすることによって、それこそ公共の契約信頼性がぐんと高まっていくわけでありますけれども、この点、この客観性にどれだけのものがあるか、これをお伺いいたします。
  26. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 基本的にはただいま建設経済局長から御答弁申し上げましたものですから、繰り返しを避けたいと思いますけれども、おっしゃるとおり、私どもの改善検討委員会、技監をキャップにしまして一カ月余り精力的に取り組んでまいりました。このときの最大のポイントは実は二つ押さえているところでして、一つは言うところの競争性をいかに高めるか、そのために具体的な制度的な面でいかに改善措置を講ずるか、これが一点でございます。  もう一つは、どのような制度をつくりましでも運用の問題があいまいでは不透明になり、いろいろな問題を提起する根源になる、こういった観点から、言うところの透明性を極力上げる、こういった取り組みをしたわけですが、とりわけ透明性の問題では、今先生おっしゃった指名基準というのを私ども持っておりますが、これが果たして今のままでいいだろうか、わかりやすいだろうか、客観性があるだろうかということを最大の関心事としてやったつもりでございます。  なお、ついででございますが、先生さっきおっしゃった御発言の中で、公共団体の発注あるいは建設省の直轄の発注割合をお話しになりましたけれども、公共団体の発注割合は大変人きゅうございます。建設省も結構やっておりますが、公共団体は実際七割ぐらい発注をやっております。建設省は五、六%、こういうことですが、特に公共団体まで含めて見たときに、客観的基準、指名基準といったものが実はないところもあるわけですね。建設省の場合には、今までいわば八項目を決めて、しかもそれを公表させていただいておりますが、その中で、一例を申しますと、不誠実な行為の有無、これが一つの項目としてあります。  これは、それなりにわかりやすいといえばわかりやすいのですが、見方によればこれはまことに意味不明であるということで、そういうそれぞれの項目について、より具体的に明確化を図ろうじゃないかというところに私どもは力点を置いたつもりでございます。したがって、これは建設省直轄の指名基準として早速にも実行に移すわけでございますが、当然のようにこの流れは公共団体においても広くいい意味での影響をもたらし、具体的な活用をしていただきたい、こういう思いを込めているものでございます。  端的に言いましで不誠実な行為の有無、今まで言った問題についても一例を申し上げさせていただきますと、指名停止期間中のものは不誠実だからだめだ、これはもちろん当たり前でございますけれども、そのほかにもさらに、発注者の指示にも従わないで疎漏工事等不適切工事がなかなか直らない経過があったとか、先生今ちょっとおっしゃいましたけれども、下請代金についても支払いがなかなか思うようにいっていないということでこれについての注意等が喚起されている企業などなどを指名しない。  あるいは経営状況は、手形交換所で取引停止になっている、これはもう当然だめ、あるいは一方では工事成績等、私どもは二年間精査してやっておりますが、今まで工事成績ということを言っているだけでして、この工事成績の評定は実は現場の関係者が点数によって採点をしております。過去二年間の平均が六十点未満のものは指名しないとか、八十点以上のものは逆に積極的に指名を考慮するなどなど、私どもとしては、今現在でできる限りでの客観性をより持たせようということをやらせていただいたつもりでございます。  繰り返しになりますけれども、配慮して、要するに指名をしてはならない要素あるいはマイナスの配慮を含めて総合的に考えるという面もありますけれども、むしろ積極的にプラスに評価するべき要素等も区分けいたしまして、そういった中で基準を明確にした、こういうことでございます。建設省としては、これを早速にも徹底いたすのは当たり前でございますけれども、このことはむしろ発注機関にも広く周知、御努力をお願いしたい、こういう気持ちでございます。
  27. 山本有二

    山本(有)委員 なかなか御努力の跡がうかがえる力作だろうと思いますので、あとはこれに基づいて、余り苦情も出てこないし、トラブルも起こらなかったし、まさしく政治業界の癒着だとか言われることがもう二度とないというような運用をお願いいたしたいと思います。  この指名基準の具体化というのが一つ透明性の問題であるならば、もう一つ競争性で目玉というのが新たな発注方式ではないかなと思うのですが、この新たな発注方式について、どのようなものなのか、そしてこれにどういう特徴があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 小野和日児

    ○小野説明員 新しい方式につきましては、先ほど伴局長がアウトラインを御説明申しましたけれども、多少重複するかもしれませんが、御説明させていただきます。  新しい発注方式といたしましては、技術情報募集型指名競争入札方式、施工方法等提案型指名競争入札方式、さらに意向確認型指名競争入札方式、この三つを実施あるいは試行することといたしております。このうち、技術情報募集型入札方式と施工方法等提案型入札方式は、建設業者がみずからの意欲に応じで、幅広く入札参加ができるという一般競争入札方式の長所を取り入れまして透明性確保を図るとともに、良質な施工をより確実にするために必要な技術的要件等の事前審査を行うことによりまして競争性の確保もあわせて行うという方式でございます。また、意向確認型入札方式は、入札参加者の参加意欲を尊重いたしまして、技術的適性をより的確に評価するために、類似工事の実績あるいは配置予定の技術者などの簡易な技術資料の提出を求めまして指名の参考とする方式でございまして、これは指名に先立ちまして入札参加者の意思を確認するという点で、先ほど伴局長も御説明いたしましたイギリス制度に大変類似したものでございます。  これらの新しい方式は、受注者にとりましては、やはり参加意欲を表明することができるというメリットが一番大きいかと思いますが、これに加えまして、技術的に同種工事の実績あるいは施工を担当する技術者の資格、経験などによりまして、それぞれの企業が有します技術力を直接評価していただけるということのメリットもあろうかと思います。  また、技術情報募集型と施工方法等提案型につきましては、大規模かつ技術的に高度な同種工事の実績、あるいはそういった工事の中で独自に開発いたしました各種施工技術についても評価を受けるということでメリットがあろうかと存じます。また、発注者側にとりましても、当該工事に対する各企業の技術的適性をより的確に評価して指名することができますので、より良質な施工を確保することができるという長所を持っておりまして、このように三万式ともより競争性を高めた方式であろうかと考えております。  以上でございます。
  29. 山本有二

    山本(有)委員 新しいその方式で、なお実を上げていただきたいと思います。  建設省の直接発注が五兆円と聞いておりますが、それの倍以上、十二兆円が地方公共団体からの発注だということであります。そこで、今回のこういう御努力をいかに地方公共団体等の発注機関に徹底していかれるのか、その点について、その御工夫、そしてこれからの方針をお伺いいたします。
  30. 伴襄

    伴政府委員 今回いろいろ打ち出しております措置につきまして、まずは建設省直轄工事みずからやる、あわせて、この趣旨をできる限り広く広げてできればというようなことでございまして、特に、御指摘のように、公共工事全体に占めるウエートの高い地方公共団体発注工事に具体的にその周知徹底をするということが必要かと思います。ちょっと先ほど申し上げましたけれども、地方公共団体の契約事務を監督しているのは自治省でございます。そこで、自治省との間で協議会を設置いたしまして、個々の地方公共団体はいろいろ実情があろうと思いますので、実情に応じた具体的な推進策、普及策、徹底策を講じていきたいというふうに思っておりますが、まずは自治省の協力も得ながら、現在地方公共団体ではどういう入札実態になっているか、そういう実態を把握することが大事だと思いますので、それをしっかり調査いたしまして、それと並行しながらいいものあるいはできるものからどんどんと採用してもらうということをやりたいと思っております。  加えて、既に今発注者同士でグループができておりまして、連絡会議ができております。中央にも、各省庁あるいは各公団との間で中央の発注者の連合体ができております。それがブロック単位、地方単位にもできておりますし、それから県単位にもできておりますので、そういったところの発注機関相互の連絡調整の場も積極的に活用して、この改善内容の周知徹底あるいは情報交換というものを密にして広めでいきたいというふうに考えております。
  31. 山本有二

    山本(有)委員 今回の一連の国民政治不信の中で言われておりますのは、公共工事とお金、特に政治家へのお金、その中で特にやみ献金、すなわち建設業者の使途不明金というところでありまして、そこでこの使途不明金の実態を国税庁にお伺いしたいと思います。国税庁はその使途不明金が建設業界に多く発生しているという事実についてどうお考えなのか、国税庁お願いいたします。
  32. 藤井保憲

    藤井説明員 お答え申し上げます。  使途不明金につきましては、私ども、原則として資本金一億円以上のいわゆる大法人のうち、実際に調査を行いましたものについてその計数を把握しておるわけでございます。この計数に基づいて使途不明金の総額、私どもが把握しております総額、そのうち建設業の金額、その割合、これを最近の年度について申し上げますと、平成元事務年度におきましては把握しました使途不明金総額が五百六十三億円でございまして、このうち建設業が四百八億円、率にいたしますと七三%でございます。平成二事務年度につきましては同様に使途不明金の総額が四百七十六億円、うち建設業が三百五億円で、率は六四%。平成三事務年度につきましては使途不明金総額は五百五十八億円でございまして、うち建設業が三百八十二億円、割合としては六八%でございます。  この使途不明金につきまして、ただいま計数を申し上げましたが、どういうものかということでございます。リベートとか手数料とか交際費その他に充てられていると思われるわけでございますが、私ども、ただいま申し上げました使途不明金総額のうち約八割については、最終的にも使途を解明するに至っておりませんで、その内訳を確たることを申し上げることはできない、このような状況にあるわけでございます。
  33. 山本有二

    山本(有)委員 いろいろな会社がありますけれども建設業という産業だけが使途不明金が多額であって、その使途不明金の中身は八割わからないということなんでありますが、それがすべて政治家に流れでいるというような、いわば誤解を受けているような気がいたすわけでございます。建設省にその中身を精査いただいて、これが果たして本当に政治家に流れでおるのか、あるいはどういうことでこの業界だけがこれほど大きいのか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  34. 伴襄

    伴政府委員 今国税庁の方からもお話がありましたように建設業界のウエートが高いわけでございますけれども、これにつきましては、なるべく安易な使途不明金の処理にならないようにするということが大変大事かと思っております。建設業者に多い理由といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども建設業というのは単品受注現地生産というようなことで、ある会社なんかは、大手ですと例えば全国に二千カ所ぐらいの工事現場を持っているわけでございまして、そういったところでいろいろな問題があるわけでございます。  例えば、工事施工に際していろいろな迷惑がかかるということで工事迷惑料があるとか、あるいは地域ごとに周辺住民の同意を得るためにいろいろな費用が要るというようなことで、周辺住民対策とか近隣対策、地域対策というようなことで金が支出されている面があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  そういったことで多くなっているのじゃないかという気もしますが、しかしながら、使途不明金は望ましいことではありませんので、建設省といたしましても、できる限り経理を明確にしてほしいというようなことで、そのことが社会的、経済的信頼確保するためにも重要だというようなことで、ひとつ企業会計原則にのっとって適正な経理処理が行われるように指導するという姿勢で臨んでいきたいと考えております。
  35. 山本有二

    山本(有)委員 この使途不明金は本当に請負業というものの片務性、つまり、現地生産、そして用地買収のときに発注者から出せないから受注者の請負業者がそれをかわって出したとかいうようないろいろな事実があると思うのですよ。そういうことが積み重なってくるにつれて、業界不信がだんだん出てくる。そうすると、会社経営上も問題がありますし、世間の評価も問題がありますし、それがちょっとした事件によって政治に対する信頼までかかわってくるわけでありますから、この使途不明金というものがないような業界、そしてできるだけ会社経理、帳簿上のクリアな、ほかの産業と大体似たようなことになるような御努力、指導をやっていただきたいと思います。  とにかくこの公共工事が正確に、客観的に国民信頼を受けられるようにやっていただいて、政治不信も解消して、政治とお金の問題に対する不明朗な、あらぬ誤解を受けないような、そういう国家機関にお互いがなることによって幸せな国づくりができると思いますので、今後の御努力を期待いたしまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  36. 野中広務

    野中委員長 次に、貴志八郎君。
  37. 貴志八郎

    ○貴志委員 五月一日付の全国日刊紙で一斉に、アメリカ通商代表部、USTRが四月三十日に、公共事業入札などで日本アメリカ企業に対して不当な差別を行っていると認定し、一九八八年のアメリカ包括貿易法の政府調達条項に基づく制裁対象に指定する旨日本政府に対して通告をしたと伝えられております。そして、今後六十日間交渉し、解決しない場合は、政府の公共事業から日本企業を締め出す制裁措置をとることになるだろうと報じられておるわけであります。  これに対して、建設省は反発の声明を出し、宮澤総理は不快感を表明いたしたのでありますけれども、一体建設省は、このUSTRの出した通告に対して、本質はどこにあるのか、核心はどのようなところにあるのか、どういう把握をしておるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  38. 伴襄

    伴政府委員 USTR、米国通商代表部が、今お話しのように現地時間の四月三十日に、一九八八年包括貿易法という法律がございますけれども、そのタイトルセブン、第七章ということでしょうか、政府調達条項に基づきまして年次報告を議会に提出したわけでございますが、この中で我が国のことで、建設、設計、エンジニアリングサービスの調達についで、日本国内の方で米企業を差別的に扱っている国だというふうに認定したという報告になっているわけでございます。  核心、背景というようなお話でございますが、同じ報告書の中では、「タイトルセブンの背景」ということで記述されているわけでございますけれども、その内容は、「長期の交渉と二国間の合意にもかかわらず、日本建設市場は基本的に外国企業に閉鎖的である。」というようなものであります。今まで我が国の建設市場は内外無差別、国内企業と特に米国企業を差別するというようなことはない、特に建設業の許可を得れば建設業活動できるわけでありますので、そういうことでありますし、しかも、日米合意に基づきまして、特にアメリカに対しましては、市場習熟トレーニングのためにいろいろな特例措置をやっておりまして、それを日本側としても誠実に実施しておりますし、そのことでアメリカの企業は日本市場で相当な実績を上げているという中にあるわけでございます。  しかも、現在、その日米の合意につきましてのお約束でありましたので、レビューをやっているということでございまして、そういうレビューをやっている最中にどうしてこのような決定を行ったのか、我々は理解できないわけでございまして、そういう意味では、その背景等につきましては詳細な説明がないわけでございます。したがって、その意味では明確ではないのですけれども、いずれにしても、今回のUSTRの措置、これは日米建設レビューが継続している中で行われているわけでありまして、今申し上げたような米国企業の実績等を踏まえれば、私どもとしては予想外、理解に苦しむと言うしかない状況でございます。
  39. 貴志八郎

    ○貴志委員 まあ、驚いたとか反発を感じるとかいうふうなことでありますけれども、特にアメリカとの日米構造協議が持たれてかなり久しいわけでありまして、この日米の間でこういうふうな突然などか我々が予想もしでいなかったとかいうふうな事態が起こってきておるというところに私は異常なものを感じるわけなんです。それは正常じゃない。なぜそんなことになったのか。外交的な十分な手段がなかったのかということについて疑問を持つわけですが、いかがでしょう。
  40. 伴襄

    伴政府委員 先ほども申し述べましたように、日米間でこの問題につきましては一昨年の日米建設合意がございましたので、それに基づく、一年後にレビューするという約束でございましたから、昨年の八月から、相手は商務省でございますけれども、米国商務省との間でレビュー協議をやっているわけでございまして、既に三回会合をやって、現在も継続しているわけでございます。  今申し上げたように、この特例措置日本側は誠実にやっているし、アメリカは相当な実績を上げている、こういう流れからいたしますと、今回商務省でない米国通商代表部が出てきたわけでありますけれども、USTRが出てきたわけでありますが、その措置は全く唐突でありまして、予想外であったわけでありますが、日本側としましても、ワシントンに当然日本国大使館があるわけでございまして、そういったところ等を通じまして普段より情報収集に努めておりまして、特に今回情報収集に欠けるところがあったとは思われないわけであります。  米国政府内のいろいろな内部事情等々があって今回の措置になったのかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、情報収集、大変大事なことでございますので、一般的な意味では情報収集に今後とも万全を期すように努めていきたいというふうには考えております。
  41. 貴志八郎

    ○貴志委員 いずれにしろ、結果はこのような結果が出でおるわけでありましで、今までの体制が十分でなかったということが、結果から見ればそう言われる、そうそしりを受けるのはやむを得ない部分があるんじゃないかと思うのです。  しかし、それはさておきましても、アメリカでクリントン政権が誕生をいたします、ちょうどそのころに、日本の佐川急便事件やらいわゆる建設マネー問題が日本の政界や日本の国の世論を大きく揺るがしている、こういう問題が発生をしてまいりました。クリントン政権は、片や日本政府との間で例えば建設業界の参入の問題などで話し合いをいたしながらも、しかしこの不正の事実を目の当たりに見て、これは日本業界はただものではない、これは日本業界にはいろいろ問題がある、不公正だ、不明朗だ、こういう観点に立って今度の通告に発展をしたのではないか。  我々国民の目線からいえば、アメリカの目線だって同じところに据えられているのではないか。むしろ日本のこの土木の公共工事に関するさまざまな疑惑、これは日本国民だけが持っているのではなしに、世界から同じような目で見られているという自覚があって、日本がそれに対してどう対応するか、みずから自浄能力を発揮するかというところを今問われている、非常に重要な局面に来ておるんだということを、そういう自覚を今持っておるかどうかということを確かめておきたいと思うのです。
  42. 伴襄

    伴政府委員 今回の米側の措置が何を意図しているのかというのは、先ほど申し上げたように必ずしも明らかではないわけでありますけれども、さまざまな推測はできるわけであります。  しかし、少なくとも、例えば現在日本入札制度につきましていろいろな検討をし、改善もするべきところはするというようなことでやっておるわけでありますが、例えば今指名競争制度のことが問題になっておりますけれども、少なくとも現在日米間で合意によって実施されている特例措置がございます。  これは交換公文の形で交わしているわけでございますが、これにもきちっと書いてありますけれども、両政府は公共事業の調達手続に関する国際的合意が欠如しているという状況にあって、調達手続が国により相違があることを認識し、お互いの調達制度を尊重することに合意しましたというようなくだりがございまして、これは例えばガットの政府調達ルールなんかできるというような状況に今ないわけでありますから、工事部門につきましては。  要はアメリカボンド制度を、裏づけとしては一般競争をとっている、日本公共工事につきましては指名競争を原則的にやっているということはそれぞれの国の調達手続だ、相違は認めよう、ただ、それにつきまして、それぞれいろいろな習慣、慣行、制度等、参入するのにいろいろ障害があるので、それになれてもらうためにアメリカに対しましてその習熟のための特別対象プロジェクト、三十四プロジェクトを選んで対処しているといったようなことがございまして、お互いの調達制度を尊重するという前提で導入されているわけでございます。  いずれにいたしましても、アメリカ側の意図というのはこの段階でわかりませんので、継続中の日米建設レビュー協議が開催される暁には、この米国通商代表部の意図というのをきちんとただしたいというふうに考えております。
  43. 貴志八郎

    ○貴志委員 私がお尋ねをしたいのは、今日本で起こっている不祥事件、脱税問題を含めた建設マネーの流れ、こういったことに対して日本の国内でも不信を買っておる、アメリカも同じような目で見てそして今度の通告に至ったのではないか、そういうことに対する反省があるのか、検討があるのか、そんなことは関係ないというのか、それをお答えいただきたいと言っているわけです。
  44. 伴襄

    伴政府委員 日本の今の入札契約制度につきましては、いろいろな形で検討し、新しい改善策も出しているわけでございまして、アメリカ側が日本制度についで、特に、例えば運用面についてもいろいろ意見があるかもしれません。  したがって、例えば私ども三月二十九日に方針を出し、それから、去る五月十日にも改善策を出したわけでございますので、こういった事柄は、アメリカに言われるまでもなく国内の問題として今やっているわけでございますけれども、交渉の過程の中で、必要があればきちんと説明するということはしたいと思っておりますし、今ねらっておりますのは、指名競争制度運用競争性、透明性を高めるという観点でございますので、そういったことは、アメリカ側からすれば期待している面でもあるかもしれませんから、そういった点についてはきちんと説明したいというふうに考えております。
  45. 貴志八郎

    ○貴志委員 きのうですか、おとといですか発表になりました改善の方策というものを拝見をいたしましたが、これは指名競争入札制度の本質そのものをいじるというのではない、その一部について見直しを行うという程度のことであります。  たしか私の記憶に間違いかなければ、静岡県における独禁法違反事件が起こりまして、建設省はこれに対応するために指名競争入札制度を変えずに、制度そのものをいじくらずに、指名業者を当時十社程度であったものを二十社にふやす、こういうことでお茶を濁すわけです。いつの間にやらまた十社になってしまう、何というみずからの自浄努力、自浄作用ということに対するあいまいな取組みなのかというふうなことを私は当時から思っておった一人でありますけれども、後で具体的な問題に触れながら今の日本のシステムの問題、公共発注工事のシステムの問題についてここで触れていきたいわけであります。  私はその前にちょっと申し上げたいと思いますのは、この間の委員会でも私はお伺いをいたしましたが、要するに建設省のおやめになった方、あるいはそのまま出向された方などが業界に網の目のごとく就職をなさっている。私は、それぞれの生活権があるわけですからやみくもにそれはけしからぬと言うのではありませんけれども、実際にはこれからいろいろな形で触れてまいりますけれども、それがいろいろな意味日本の内外で大変な疑惑を受けている、事実ある種の機能を果たしている、こういうことはぜひ改善をしてもらわなければならぬ問題なのです。  天下りを業界の方が希望するのは、最低限指名を外してもらいたくない保険、あるいは先々の工事の予定情報、それから予定価格の金額の収集、そういったことが一つの大きな問題になるわけですから、企業の方では事務能力があるとかないとかよりも、できるだけそういう意味で影響力のある人の天下りを要望しておるというふうなことになるわけであります。  また、政治家への献金だって、利益を追求する企業がメリットもないところに献金をするわけはないのでありまして、そういうときに、どうしてもこの工事に入りたいというときには口きき料が要る。落としたときには謝礼が一%から三%、できれば、全国の各事業所でうまく費用を生み出した裏金として、落とした金額の大体一%から三%の謝礼を出す。選挙のときには、後援会の会員になってくれということでなってもらって、後援会費を会社に立てかえてもらうというふうなさまざまな問題があるわけです。  ここで申し上げたいのは、そういう背景の中で日本談合組織というものが全国津々浦々に網の目のごとくできておるということです。これはもう私が言う、みんなもそうだと言う、マスコミもそうだと言う、そうではないと言うのはお役所の方だけでございます。まさかお役所の方でそうであるとわかっておりながら発注はできないでしょうから、それはそういうことになるのだろうと思いますが、長らく我が国の土木工業会のいわば裏の顔と申しますか、あの静岡県の問題があったころから絶えることなく経友会なり、その実務組織である同友会なりがそれぞれ運営をされてきたというふうなことについて皆さん方は篤と御承知のとおりだと思うのです。そこで具体的に、私は東京湾横断道路の問題点について若干の質問を進めていきたいと思います。  東京湾横断道路につきましては、大方の皆さんも御承知のとおりに、今日我が日本の国の中で行われておるプロジェクトの中では最大級のものであり、これは東京湾横断道路株式会社が設立をされて、道路公団が三分の一出資、七地方自治体が三分の一出資などで、合計六百億円の出資金ということになっておるはずであります。昭和四十一年に建設省が東京湾横断道路調査を開始いたします。それより五年後の七月に建設促進を民間から応援するという目的で、東京湾横断道路研究会が設立をされておるようであります。鉄鋼や自動車、金融、電機、建設などの各社がこれに入り、ゼネコンがその中で十社入っていたということであります。ゼネコンの方では、この画期的な大プロジェクトの工法などを勉強するために技術検討会というものを設立して、各社の技術の粋を集めて検討に入ったということであります。その後、昭和五十一年、建設省から道路公団調査が引き継がれるわけですが、先ほど申したゼネコン十社による技術検討会ではシールド工法の研究にかなりの精力を費やす、こういうふうな経過をたどっておるわけでございます。  そこで、質問を申し上げたいのは、昭和六十二年八月に先ほど申し上げた道路公団から第三セクターへ、すなわち道路会社の方に移行していくわけであります。この出資金は、公団、七地方団体のほか、民間でどれくらいの会社が、あるいは個人が出資をしておるのか。あるいはこの会社に、建設省をやめられた方など、役員にどれだけお入りになっておるのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  46. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  まず東京湾横断道路株式会社の出資構成に関してでございますが、先生先ほど御説明いただきましたように、六十一年にこの横断道路に関する法律ができました。それに基づきましてこの東京湾横断道路株式会社ができたわけでございますが、そのできる際に民間、地方公共団体及び日本道路公団が一対一対一という三分の一ずつの出資金、すなわち総額六百億円でございますから、二百億円ずつを出資してこの構成が成っております。  その際、この会社が東京湾横断道路の建設に関する特別措置法に基づきまして道路公団と協定を結んで工事を実施するというものではございますが、会社の性格上は一民間会社でございます。したがって、民間企業が出資者となっているその内容につきましては、会社の内部の情報であるということ、及び、会社及び株主の利益を守るという必要から、私どもの立場では発言する立場ではないわけでございますが、私どもが入手しております公式の資料といいますと、証券取引法に基づく有価証券報告書が公表されております。この中で大株主として日本道路公団、それから地方自治体として千葉県、東京都、神奈川県、川崎市、横浜市、茨城県、埼玉県、それ以外に民間企業といたしまして新日本製鉄、東京電力、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立製作所、日本鋼管、川崎製鉄、株式会社東芝、日産自動車、松下電器、住友金属工業、この十社の名称が挙げられております。これ以外につきましては、私どもの立場で申し上げるものではございません。  次にこの会社の役員構成でございますが、民間会社でございますから独自に選任をする性格のものでございまして、私ども建設省に報告を受けるべき事項には当たらないわけでございます。しかし、やはりこの有価証券報告書に公表されております。その中で役員について記載されているところによりますと、常勤役員としては代表取締役社長岡昭、代表取締役副社長大城ほか六名、その他非常勤取締役十八名となっております。  そのそれぞれの役員のここにおいでになる前の状態がどうであったかということに関しましては、個人のプライバシーに関する事項でございますので、有価証券報告書には載っているかとは思いますけれども、私ども建設省の立場としてはお答えすべき事項ではないと考えております。
  47. 貴志八郎

    ○貴志委員 見解についてもいろいろ相違があるので、その点についてただしたいと思うのでありますが、もう少し具体的な内容に入ってからその点の議論をしていきたいと思います。  念のために申し上げますが、六百億円の出資金、総工事費が一兆一千五百億余でございますから、調達するお金は資本金の二十倍近くあるわけでおりまして、事業の様子から見ますと政府が保証することになっている金額、あるいは道路開発資金などを合わせますと、半額以上はやはり政府関係を重要な資金源としてプロジェクトが組まれておるということになるわけでありまして、これに対して全額出資の道路公団の方が三分の一おる、そういう形のものに、建設省が、いや、国民の目線で物を知りたい、我々の納めた税金が形が変わってこういうふうなことになっているけれども、ここの部分は一体うまく公正にやっているのだろうかという疑問に対して答えられるシステムがなければいかぬ。民間会社であるからそれは我々として結果的に知る由もないんだということで、これから申し上げるようなことについて国民に対して申し開きが立つのかということを私は申し上げたいのでございます。  しかし、それはともかくといたしまして、具体的なことで聞きたいと思いますが、この会社ではシールド工法を採用されました。このシールド工法を採用するに際してどのような手続を踏まれておったのか、道路公団でも建設省でも、そういった経緯について、知る必要もないし知る由もなかったということになるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  これも先生先ほどおっしゃられましたように、この東京湾横断道路、四十一年から五十一年にかけては建設省で直接調査をいたしました。五十一年から六十一年まで道路公団調査をして事業化をいたしました。その間、当初の計画では、これは十五キロちょうどございますけれども、真ん中が沈埋トンネルという、今首都高遠の東京湾沈埋トンネルと同じ工式で箱を海の底に沈める、こういうことを前提とし、その両サイドは橋梁、五キロが橋梁、そして沈埋トンネル、そしてまた橋梁という構造を前提に検討が進められておりました。  ところが、東京湾は大型の船が非常にふくそうする、しかも環境問題、漁業問題のこともあるということから、五十三年から五十七年までについては船舶航行に関する調査委員会をつくり、さらに五十八年以降は海上交通安全委員会というものでいろいろと検討いたしてまいりました。その結果、五十四年からはトンネル構造の検討委員会、こういうものも道路公団で設置いたしまして、東京湾横断道路の設計、施工に関する技術的検討を行ってまいりました。  シールドトンネルについては、五十六年からこういうトンネル構造検討委員会の中で、今言ったシールドというのは先生御承知のように、海の中を底を掘らないで、常時船は通ってそして海水も汚濁しない、そういう工法でございますので、これは非常に環境、漁業そして航行にもいいじゃないか、これはできないだろうかということも含め、しかし我が国には大型のそういう経験もないから、相当研究しなきゃいけないということで検討してまいったわけでございます。  そういうこれらの検討を踏まえまして、六十年に、船舶航行のふくそうする川崎側から十キロは全部トンネルにしましょう、橋をやめましょう、こういうことにいたしました。そして、関係者の御同意もいただいてきたわけでございます。しかし、木更津側の五キロは橋梁、こういうことになっているわけでございます。  こういうことを前提に六十一年の概算要求におきまして、道路公団が要求をいたしました。私どもがもちろん国として要求したわけでございますが、そして事業化が認められた。事業化が認められましたのでそこで今度はいよいよ事業化するわけでございますが、その実施に当たりましては、六十一年にでき上がった法律に基づいて東京湾横断道路株式会社が道路公団建設協定を締結いたしました。そして、この横断道路株式会社において、日本道路公団が示す設計基準、基本設計に基づきましで、工事を実施するため必要となる詳細な構造、施工方法の検討、言ってみれば詳細設計を行って現在に至っているわけでございます。  したがって、この方法そのものは、当時の六十年代における、六十年の当初における民活導入という大きな政策転換の中で、民間の資金、民間の技術力、民間の経営力、こういうものを大いに活用する中で公共事業の執行をやる。国の財政が困難だ、こういうようなところから生まれた法律でございます。そこで、私どもはそれに基づきまして今現在事業を執行させていただいている、こういう状況でございます。
  49. 貴志八郎

    ○貴志委員 先ほどちょっと申し上げましたように、昭和四十六年に東京湾横断道路研究会というものが設立をされ、その中に技術検討会というものがつくられまして、民間のベースでシールド工法を十社で研究してきた、こういう経過があるわけです。道路公団の示した基本構想と申しますか基本設計と申しますか、それは、道路公団だけでそういう基本構想を持ち得る、そういうふうな技術水準ではなく、道路公団がどこかへこの基本設計について外注をして出させておる、こういうふうに思われるのでありますけれども、その辺はいかがですか。
  50. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、東京湾横断道路研究会におけるいろいろな活動でございますが、この研究会は、御承知のように昭和四十六年ころに東京湾横断道路に関する、この東京湾、東京周辺の、東京一極集中のスプロールを解決するためには房総半島あるいは三浦半島を含めた総合的な開発が必要である、そのためには何らかの形の東京湾を直接結ぶ構造が必要だということで多くの御提案がなされてまいりました。  そういう中でこれらを、なかなか国の事業だけでは難しいだろう、経済性、経済効果、社会的な効果を見れば、民間も大いにこれらについて参画しながら知恵を出そうじゃないか、こういうようなムードの中で昭和四十七年に、私ども、この東京湾横断道路研究会の会報によりますと、こういった必要性について広く社会の認識を得ること、あるいは、もしこういうものをつくるとすればどういった技術が必要になるか、我が国でああいうヘドロの、三十メーターにも及ぶヘドロがたまっているところでございますからいろいろと難しい問題がございます。それをその当時の技術では解決できませんので、こういったものはどういうものが必要になるかということを幅広く検討しようじゃないかということで任意に設立された民間の団体でございます。その中でいろいろな勉強が任意に行われておられたわけでございます。  そして私どもは、それとは並行的に、建設省そして道路公団がそれぞれの調査をやってきたわけでございますが、そういう中でやはり技術的にはいろいろな問題があります。そこでそういうことを、当初は沈埋トンネルならどうやったらいいかとか、橋梁の基礎を本当にどうやったらつくれるのかとか、人工島は本当につくるとしたらどんな人工島ならつくれるのか、これは皆目当時の技術の限界ではわかりませんでした。それをそれぞれの立場で勉強しようというムードの中で勉強が始まっていた、こういうわけでございます。そこで道路公団が、今度は責任者でございますから、みずからの責任においてこういう調査を行う、その一環として、この横断道路研究会の研究成果というか、こういうものについても十分そしゃくさせていただくというか参考にさせていただく、こういう形で現在の結果に至ってきている、こういうふうに理解をいたしております。
  51. 貴志八郎

    ○貴志委員 それがごく自然な形、いいとか悪いとかは話は別でございまして、この会社ができるまでの経緯などを調べてまいりますと、これは業界の技術陣も挙げて協力をするというふうな形になって、そして現在の状況になっただろうと容易に想像できるのです。ここで、私が先ほどちょっと申し上げましたけれども、先々の、五年先の受注を希望する、そんな場合、談合団体の経友会に入札希望の工事ということで申し入れを行うようになっているわけですね。五年先でも十年先でもあるのかどうか知りませんけれども、この場合は二十年先に予測ができておる。それに十社がかなり先進的に取り組む。  いろいろな意味でそれは、国が挙げて行うプロジェクトに企業も協力する、それは私はある意味では民活のためのいい姿であるという側面があるかもわかりませんが、同時にそれ以外の会社との落差というものが生まれてくるわけでありまして、実際の工事受注するということになってまいりますと、そこで大きなハンディキャップをその他の業者は背負うということに結果的になってくるわけであります。  特に具体的設計などが外に出されて行われるということになりますと、ここのところが、小さなところでもそうですが、大きなところでも予定価格の算出などをする場合の基礎は、やはり設計書をつくったところで、最初は金抜きの設計、それから金入りの設計ということになるわけでありますが、いずれにしても、設計書を組んだところがその算定方式に基づいて予定価格をはじき出すこともそれほど不可能なことではない。こういうことが情報を得るための政治家の役割だとか天下りをした方々の仕事になってくる。現在勤めておる者は、将来、自分の先輩の言うこと等を聞いておかなければ、また同じような扱いを受けるのではないか、そういうことになっていくということに対する問題点になるわけでございます。しかし、時間もありませんから、そのことばかりにこだわっているわけにもいきませんので、では具体的にもう少しはっきりとした問題に入ります。  トンネル工事は八工区に分割をされまして、九二年二月から、要するに昨年の二月から一部入札を開始をいたしました。東京湾横断道路会社でも道路公団が入ってやっておる方法に基づいてやっておるわけですから、この工事請負業者選定については、いわゆる建設省の出しておる「事務処理要領」に基づいて行うということを当然のこととして指示しておると思いますが、いかがでしょうか。
  52. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  たびたび申し上げますけれども、この横断道路株式会社は東京湾横断道路の建設に関する特別措置法に基づいて事業を実施しておりますから、入札指名方法等については、民間会社の主体性を発揮するという観点から、会社が独自に決めるべきものでございます。しかし、そうはいうけれども、東京湾横断道路事業の公共性、こういうものにかんがみまして、会社において、公共事業において一般的に採用されている指名競争入札により契約しているというふうに理解をいたしております。  特に、この東京湾横断道路は、六十三年五月以降、日米建設協議に基づく特定民間プロジェクトの一つというふうにされておりますので、七億円以上の工事発注に当たりましては、国内企業のみならず外国企業に対しても、より開かれた、透明性の高い発注手続を採用している、こういうことになっておりますので、こういった国の考え方を会社の方に御説明し、御協力をいただいている、こういうふうに理解しております。  その具体的なことを申し上げますと、まず日刊業界紙に、新聞に募集公告を掲載いたします。そして、三十日間にわたって希望業者から応募を受け付けます。そして、その間に工事概要の説明会を実施します。そして、応募した業者の中から、必要な条件一定条件を設け審査した上で指名業者を決定し、これをまた日刊業界紙に公表いたします。そして、六十日間の十分な見積もり期間を確保いたします。その上で、最終的に競争入札により契約者を決定している、こういうことでございます。またさらに、指名基準の入手機会、指名されなかった場合、落札できなかった場合の理由に関しても、それぞれの業者情報を入手することもできるようにしてあります。
  53. 貴志八郎

    ○貴志委員 手法はいろいろとられておるということはよくわかるのですが、その指名競争入札をとっておる業者選定についての一つの事務処理として、国が定めておるところの要領を援用するということになっておらなければ、国が行っている公共事業業者選定についてもおかしいということになるわけでありまして、当然国がやっていることを道路公団も、特別措置法によってつくられた会社でありますけれども、これだけ公共事業の要素の深いものについては、同じような形で選定をされていたと理解するのが極めて常識的であります。  例えば、ここの事務要領の中にある、経営状況が著しく不適当なものは指名を行わないということに入っておるわけですが、こういうふうな項目は、当然公団としてあるいは建設省として会社に対して、こういうふうなことについては、公共的な工事であるだけに厳に審査をしなさいというようなことを言わないはずがないと思うのですが、いかがですか。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  54. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず先に、昭和六十一年四月九日のこの建設委員会におきまして、当時の萩原政府委員から、この会社は随意契約方式契約することも理論的には可能でございます、そういう性格だということを御説明させていただいております。したがって、この横断道路株式会社、基本的には随意契約も可能で、民間の主体性を発揮するというもので、会社がその契約方式を独自に決めることのできる性格は持っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、会社において、この事業の公共性にかんがみまして、私ども一般公共事業で採用いたしております指名競争入札方式の準用を、会社の判断でやっていただいているというふうに理解しております。  ただ、もう一度繰り返し申し上げますが、六十三年五月以降いわゆる日米協議に基づく特定民間プロジェクトの一つになりましたので、この段階では、私どもも会社に対して、こういうふうな一つのプロジェクトになりましたから、機会均等という形で、国でいろいろとやろうとしている物の考え方を十分理解していただきたいという御説明はしているわけでございます。しかし、それはあくまでも御説明、御要請でございまして、決定は会社が独自に行う、こういう性格でこの事業を実施いたしております。
  55. 貴志八郎

    ○貴志委員 そこで、大変残念ながら申し上げなければならぬのは、この会社、TTBは、赤字会社を指名しでいるわけですね。言わすと知れた、新聞等ではっきり名前が公表されておりますから私も申しますが、「飛島建設は」「関係不動産会社への不良融資を抱え、九二年三月期決算では四百四十二億円の当期損失を計上、長短の借入金も五千億円を超えた。」と報道されております。  土地のバブルということについては、これは国民的な感情としては、バブルをあおったものは悪だというふうな気持ちが強いわけです。特に庶民感情からいえば、これだけの土地の値上がりをさせたのは、こういう大手の民間ディベロッパーがいろいろやっておるからだというふうな強い怒りを持っておるわけです。そのバブルの元凶が赤字を出した。大変な赤字を出している。その赤字会社を何で指名したのか。落札いかんはともかくとして、指名をするという段階で、これに対して何らのチェックも行われなかったというのは極めて不可思議であります。  その辺のところについて、一体どのような経過があってどのようなプッシュをしたのか、アドバイスをしたのか、サジェスチョンをしたのかということについてお答えをいただきたい。
  56. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 何度も申し上げて恐縮でございますが、東京湾横断道路は、先ほど申しました特別措置法に基づく第三セクターという形で出ております。そういう性格の株式会社の方から、指名に関していろいろな御説明ということは全くございません。しかし、日米協議に基づく問題については、こちらから御協力をお願いしたいということを申し上げているわけでございましで、赤字であるかどうか、こういった問題につきましても、これは東京湾横断道路がみずからの責任において判断すべき事項でございます。特に、先ほど申しましたように日刊業界紙に指名業者については掲載をいたします。そして、そういう掲載という公的な制度もとでやっていくわけでございますから、当然のことながら、その企業がどのような形のものかということはその会社の判断できちっと、しかるべき適格者であるというふうに御判断なさったんだと思いますが、おやりになったと思っております。そこで私どもは、そういう会社の判断をそのまま受け取っておる、こういうことでございます。
  57. 貴志八郎

    ○貴志委員 ここは新聞報道によりますと、赤字会社の指名はまずいとTTBは当初難色を示したとあるのですね。ところが、ここです、飛島建設の名誉会長植良さんとおっしゃるのでしょうか、これは先ほど来何回か申し上げましたが、土工協会の裏の顔、経友会、すなわち談合組織を主宰されておった方でありまして、静岡県のあの独禁法違反事件が表面化いたしまして、そうして独禁法を強化しなければならぬというふうなときに、この植良さんが先頭に立ちまして当時の金丸さんのところに参りまして、ガイドラインをつくって協議をするなら構わぬ、金額を決めるところまであるいは落札者を決めることはいかぬ、こういうふうな意味でのガイドラインをつくるときに大きく役立った方でございます。  この方が金丸さんを通じて、TTB副社長と申しますと大城さんでございますか、副社長の方に頼み込んで九二年四月には入札指名を受けた、こうあるわけですね。念のために、生原秘書のメモの中に、飛島建設の副社長が九二年に四回も永田町の金丸事務所を訪れたと記されておるということであります。仮にそういうふうなことが、まず大変な赤字会社であったということですから入らないというものを入れてもらうためにいろいろな工作をしておるというふうなことが今日になって明らかになっておるわけでございますけれども、先ほど道路局長は、これは特別措置法に基づいてつくられた会社であるので、我々のそういったところまでの指導なり関与なりは難しい、こういうふうにおっしゃるわけでございます。  今日まで建設省がさまざまなところに、例えば全国の市町村などに対しても、補助金の割合いかんにかかわらず、かなり積極的な行政指導を行うことができるというふうに我々は受け取っているわけですが、この会社に関する限り、なぜか行政指導が及ばないというふうな御答弁でございます。私は大変不満でございます。こういった問題は、やはりこの委員会で真実を明らかにさせていくという姿勢を持っておるならば、当然この場所にTTBの役員を参考人として出席をしてもらって明らかにさせなければならぬ、それが我々委員会の務めではないか。  国民の目線で言えば、それは出資はしているけれども別な法律でつくられた民間会社であって我々の監視の目が届かない、議会の調査だって質問という形だけでは届かないというのであれば、議会で、委員会で証人としての喚問あるいは参考人としてのこの場所への御出席を求めなければ、私は今のような状況では問題は明らかにならぬし、今の業界と政界との癒着の体質なんかも国民の前にはっきりしない。ですから委員会として、このTTB、東京湾横断道路株式会社の責任者をここに証人あるいは参考人として来ていただく、そして、我々の質問に答えていただくというふうな措置委員長としてとっていただくことを要請申し上げたいと思うのです。
  58. 大野功統

    ○大野(功)委員長代理 委員長代理として申し上げます。  本件は、後刻理事会で取り扱うこととさせていただきます。
  59. 貴志八郎

    ○貴志委員 それではよろしくお願いをしておきます。  そこで、これは報道でもはっきり載っておるのですから、これを聞いた後でもなお何らの調査もしていないということであればちょいと問題があると思うのです。特に、本命と言われたゼネコンの副社長、新聞には名前が載っているわけですが、談話として、「ボスの政治家がボタンを押すと役人はその通りにし、順番が完全にひっくりかえった」、これは飛島建設が結局、九月ですか、入札で最も大きな工区を落としたときにそのような談話を発表し、そのことについて語っておるわけです。  私も、飛島が入ったこと、落としたことについてさまざまな疑問を持つのです。それは、冒頭に申し上げたようなシールド工法の研究会に各社の粋を集めてどんどん研究、検討しておるときに、飛島は蚊帳の外におったのです。技術が特別にここがあるというわけではないということは明確なんです。そういう当初の計画の段階からいろいろと協力をしていた、その協力をしていたというシステムがいいのか悪いのかは別にして、赤字で蚊帳の外におってだれも本命と思っていない飛島が、この本命になって落とした。案の定、本命と言われたゼネコンの副社長がこういう談話を今日になって発表するに至った。  これは公共工事に対する国民の疑惑を集める本当に基本になっておる。こんなことについて建設省なり道路公団なりが大なたを振るって、民間であろうが何であろうが国のプロジェクトでありますから、こんなことを措置法でつくった民間会社だから絶対手をつけない、聖域だというふうなことは国民が許しませんよ。
  60. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 何点か先生から厳しい御指摘を受けたと思います。  まず、申しわけありませんが、赤字会社の指名に当たって云々の御指摘がございました。これにつきましては、東京湾横断道路からは、指名に関して外部からの働きかけを受けたという事実は全くないというふうにお聞きしておりますので、これは御報告を申し上げておきたいと思います。  そういう中で、この事業を実施する際に、先ほど言いました日米建設協議におけるこの方式をずっと一般的にとっておりますので、こういう中で、シールド工事等大型のものについては、応募受け付け業者の中から、施工に必要な一定条件を設けて適格と判断した業者指名して競争入札する、こういう形でやっておることは聞いておりますので、適切な発注が行われているものと私どもは理解はいたしております。  それから、赤字会社の問題を御指摘をいただきました。この赤字という問題についてはいろいろな物の考え方はございますけれども、私ども一般公共事業におきましても、単に赤字である、ある年度に赤字の決算を出したということをもって指名から除外をしているということではございません。全体的な、企業の持っている社会的信用性等々を総合的に判断するわけでございまして、これらの判断につきまして総合的に会社が判断をいたして、的確な指名行為を行ったものというふうに理解をしているわけでございます。  それから、三点目に、シールド工事の技術を有する会社は我が国で現在三十三社ございます。そういう意味で、当時このシールドというのは、この数年の間に急激に技術開発されて伸びてきた技術でございまして、その中には飛島建設もシールド技術を持った企業として入っております。
  61. 貴志八郎

    ○貴志委員 いずれにいたしましても、国民の目で見れば不可解きわまる問題であります。先ほど委員長の方で御処置をいただくようでございますので、このことについてそれ以上は触れませんが、一つだけこの問題の最後にお尋ねをしておきたいと思います。  さきのアメリカのUSTRの制裁通告の根にこういった、今私がたった一つだけ例として取り上げました東京湾横断道路の指名をめぐる、あるいは落札をめぐるさまざまな憶測が飛び交っているということがアメリカの今度の通告に発展をしたのではないか、日本建設業界は不明朗だという印象をアメリカに与えてしまったのではないかということを私は大変心配をするわけです。ですから、せめて委員会なり建設省がこの問題について真っすぐ受けとめて、問題の所在を明らかにする、核心を明らかにする、そういうことが必要ではないかということを私は特に提言をしておるつもりでございます。  時間もないから次の問題で、同じような課題に入るわけですが、公共投資が合理的かつ公正に行われておるかということでございます。  一般的に、力のある政治家の出身県に対しては、予算の配分が厚いというふうにとられている部分が多いのでございます。そういうことが現にあるとしたら、公共投資の予算配分の段階でもはや政治家の介入がある、それを使う段階で、すなわち発注する段階でその政治家意見が通らないはずがない、したがって、不明朗な契約ということになっていく、そういうシステムがあるというふうに受けとられる、そういう大もとになっていくのではないかということを思いますので、具体的な点について御質問をしたいわけなのです。  まず、自治省から「行政投資実績」をまとめられております。これを拝見いたしますと、全国レベルに比べて、金丸前副総裁の山梨県、竹下元総理の島根県、田中角榮元首相の新潟県は全国平均をはるかに上回っておりまして、公共投資、県民の一人当たりの投資額、これは国、県を合計したものであるようですが、島根県に至っては、ここのところ大体、毎年一人当たりの投資額は全国で一番ですよ。そういう一人当たりの投資額が、今象徴的に申しましたが、田中、竹下、金丸、この三名の出身県が平均よりもかなり上回っておる。これでいいのか。隣の島根県と鳥取県と、よく似たところですが、なぜこんなに差が出てくるのだろうか、だれでも持つ疑問でございます。  きょうは、お座りになっている皆さん方も、自分の地元は一体どういうことになっているんだろうか、中村大臣はにやりと笑われましたから、かなり高いのじゃないかとお察しを申し上げますけれども、そういう数字の結果について一遍、自治省きょうはお越しいただいているのですから、ちょっと概略、この「行政投資実績」から見て、私は、低いところのはなかなか上へ上がっていくのは難しい、一たん上へ上がったものは今度はなかなかおりられないというふうな傾向にあると見ているのですが、その辺は自治省の方ではどういうふうに、この数字を含めてちょっと感想を聞かしておいてください。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 伊藤廉

    ○伊藤説明員 自治省におきましては、毎年、関係当局の御協力をいただきまして、国なり地方公共団体が行う投資的経費を都道府県ごとに集計いたしまして、「行政投資実績」として取りまとめ公表しているところでございます。平成二年度の一人当たり行政投資額を見ますと、全国平均で二十九万九千円となってございます。  地域別に比較する場合、さまざまな考え方がございます。委員は一人当たりで比較されましたけれども、一人当たりで比較をすることについての妥当性もいろいろ指摘なされているところでございますが、仮に一人当たりで都道府県別に見ますと、国土保全とか農業基盤投資など、地理的、自然的条件の反映されたものが含まれていることから、一人当たり投資額で見ますと、地方圏の、多い順で申しますと、島根県、高知県、北海道、それから鳥取県、福井県等続いているところでございます。御指摘の三県につきまして見ますと、島根県は四十四万七千円、新潟県は三十四万七千円、山梨県が三十四万四千円となっているところでございます。  なお、これを人口以外の例えば総投資額で見ますと、当然のことでございますが、人口の多い東京都、神奈川県等が上位を占めているところでございます。さらに可住地面積当たりで見ますと、先ほど申し上げました県におきましても全国以下というところもございます。  以上でございます。
  63. 貴志八郎

    ○貴志委員 丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。  いずれにしても、全国平均二十九万九千円に対して、四十四万七千円とか三十四万七千円とか三十四万四千円というのは、まことにうらやましい限りでございまして、こういった数字は何よりも雄弁にさまざまな今日の日本の状態を示してくれておるように思うわけです。  この公共投資、さまざまな実態があるということを言われますけれども、公共投資の配分について僕は機会あるごとに、例えば高規格道路の延長あるいはその事業化された部分の予算の合計、そういったものをちょっと出してみて随分でこぼこがありますねというふうなことを言ってまいりました。確かにあるわけですね。この公共投資の計算、そういう全国的なバランス、産業の状態だとか人口の過疎化だとか自然保護だとかさまざまな観点で公共投資のでこぼこをやはり調整せないかぬわけですが、それは一体どういうことになっておるのか。それは大臣がお持ちになっている保留分で御調整をなさるのか、それはその保留分で調整するのは自分のお国のことだけになるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 まず、先ほど来先生から出ております公共投資の一人当たりの多さ、少なさということをめぐってよく巷間報道もされ、御意見も賜るわけでございますが、先ほど自治省の方から御説明ありましたように、私ども一人当たりの投資額というものについて、一つのメルクマールとしてある種の意味を持つという面はあると思いますけれども、これがその公共投資配分の本来あるべき姿をゆがめているかどうかということについては、大変に議論のあるところだと思っております。  端的に言いますと、これは先生もう釈迦に説法でございますが、公共投資の、行政投資の配分の一人当たりの額の統計は、御案内のとおりいわゆる直轄事業あるいは補助事業、あるいは地方単独事業、さらに公団等財投事業、こういったものトータルの行政投資額をベースにしながら人口で割ったものがよく伝えられているわけでございます。私ども、今先生配分とおっしゃいましたので、端的に言うと補助事業の配分について御答弁させていただきたいと思いますけれども、この考え方は、人口が一人当たりいわばイーブンになるようにというふうな考え方は、一言で言ってそれほど重みのあるものと思っておりません。  むしろ公共投資の配分に当たって大事なことは、言うまでもありませんけれども、私どもの預かっている公共事業でいいますならば、国土の均衡ある発展を実現する、あるいは生活環境を具体的に改善する、あるいは地域の活性化を具体的にある一定の目標のもとに進める、こういったことですべて具体的な事業展開というものを頭に置いておつき合いさせていただくというのが基本でございます。当然ながら、そのためには前提として当該地方公共団体等々、直轄事業の場合も相当関係しますけれども、主体的には、補助事業で言うならば当該地方公共団体のいわば行政の進めるかじ取りの軸がどこにあるかということを反映した御要望等を踏まえながら配分させていただく、これが通常のパターンでございます。  そういった意味では、単に人口のみならず、場合によっては面積あるいは地形、地質等の状況等々が大きく響きますし、もっと言いますならば社会資本のそれぞれの分野での整備の状況、大変おくれているか進んでいるか、こういったこと等をにらみながら進ませていただいておるということでございます。一言で言うと、地域のニーズ、こういったものを基本に踏まえながらやらせていただいておるということでございます。  なお、さらにここでちょっと申し上げさせていただきますと、そういった中ではございますが、私ども常に戒めていますことは、いわゆる総花主義というものについての反省というか、これは慎重でなければならぬということを当然踏まえておるところでございまして、どちらかというと活力ある地域づくりの中心となるような先導的役割を果たす事業、あるいはここで一年でも二年でも早めることによって、投資効果が目に見えて出てくることで地域活性化あるいは生活環境改善に波及した形でもって効果が早く出る、こういった事業は特に重点的に取り扱わせていただくというふうな構えを貫いているわけでございます。  こういった場でございますので、一言で、口頭で申し上げるのにはなかなか限界がございますけれども、いずれにしても、私ども公共事業の補助金の配分に当たりましては、基本的に公共団体からの御要望、御要請というものを非常に大事にしながら、限られた予算枠というものをにらみながら的確な、厳正な事務処理に努めさせていただいておる、こういったものでございますことを御理解いただきたいと思います。
  65. 貴志八郎

    ○貴志委員 さて、何度も言うようでありますけれども、先ほど申し上げた三名の方のところが多いということを裏づけるように、実は五月十日の、新聞社のインタビューに答えた前の建設大臣、地元の事業などに上積み、大臣裁量枠がある、こういうふうなことを、これは告白をされていると見たらいいのですかね、そういうことが載っております。望月官房長は反発したお話をされておりますが、大きくは「大臣裁量枠」ということで載っております。そして、これは元と違うのですよ、前の建設大臣、山崎大臣が、談合政治家が天の声、これもおっしゃっておるわけです。  これは一体、先ほども言いましたが、公共投資の予算の振り分けの部分から力のある者が関与をする、力のある者が今度その使うところにも関与をする、それが今日の政治のゆがみの基本ではないか。この部分をもっとガラス張りにして第三者が、要するに国民が納得できる、そういうふうなシステムをきちっとつくるべきではないか、こういうふうに私は思うのです。ここいらあたりで一遍建設大臣の御意見をお伺いしたいものですが、いかがでしょうか。
  66. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  一部の報道で、大臣裁量枠ということが報道に載っておりましたことは私も承知しておりますが、建設省といたしましては、大臣裁量枠なるものは存在しておりません。予算の大部分は当初に配分するわけでありますが、事業間調整の保留分あるいは災害関係の保留分、こうしたものは予算の一部として保留しておりますが、この配分に当たりましでも公共団体のニーズ、また緊急性、そうしたものを踏まえまして、事務当局が長年真摯に努力をして積み上げてきたものを報告を受けて、その中で了承しておりますが、事務当局の案と全くかかわりなく自分の思いのままに箇所づけするようなことは断じてありません。  なお、五年度保留額につきまして参考までにお話をいたしますと、政策保留が三百九十七億、災害、除雪関係保留が三百四十三億、指導監督事務経費保留として百六億、全体の一%弱に当たるわけでありますが、このような状況になっております。  そして、先生から御指摘をいただきました、前建設大臣だというようなお話もございましたので、この点につきましては前建設大臣から、事実関係に認識に誤りがあり、表現に不適切なところがあり大変御迷惑をかけた、このようなことで、私のところにそのようなお話があったということもつけ加えさせていただきたいと思います。
  67. 貴志八郎

    ○貴志委員 建設大臣の方に前の方から釈明があったということでありますが、これは天下の公器でこういうふうな発言をされているわけですから、我々はそんな釈明は全然聞いていません。聞いてないから、その本人がおらないからやむを得ず現職大臣にお尋ねをしているわけです。しかし、ひょっとしたらそんなことはあるんやないかいなというふうに思われる基礎資料としては先ほど申し上げたような数字もあるじゃないか、そういうふうなことをもっとガラス張りにできるようなシステムを考えた方がよろしいということを私は申し上げているわけです。  もう時間が余りございませんので、それに余りこだわっておってもどうかと思いますので、最後にちょっとだけ、公益法人の問題について触れてみたいと思うのです。  実は、建設省所管の公益法人、これは一枚に、ひい、ふう、みい、四件あるのですが、これだけあるのです。大変な数字なんですが、この公益法人の中には、いろいろな事業をやる、例えばコンサルタントの仕事をやる、かなり利益を上げて脱税をやっておる、そういうところに限ってというとちょっと語弊がありますが、そういうところにも建設省をおやめになって行っている人、天下っている人、退職して第二の就職をしている人、さまざまでございましょうが、そこにたくさんの先輩がいらっしゃる。  地方の、私のところ、公共投資工事に係る不正一一〇番というのを全国的に設置しました。何と来るわ、来るわ、大変な情報が我々の手元に来ているんです。ちょっと思いつきでありますけれども建設省も一遍これをやってごらんなさい。それはいっぱい情報入ってきますよ。ひょっとしたらそういう情報は、我々のようにそれはけしからぬとかいうふうな立場で集めた情報もさることながら、建設省がそのことを全国的な視野で一遍、そういう不正一一〇番のように苦情を受ける、業者からも一般からも苦情を受けることをやってみたら、それはたくさん入ってまいります。ここにある熊本県一県だけでも、わずか十日の間に四十数件入っているんですよ。  その中には、私どもの得た中には、やはり多いのはコンサルタントに関する問題です。先ほどもちょっと言いましたね、コンサルタント、公益法人でそういう仕事をやっておるところ、地方の県あたりで、ここは、あそこは技術があるからここへ設計を出しなさいという天の声があるんです。そういう場合が多い。私らも知らなかったのですが、これは事実かどうか。  ここでもう少し時間があればいろいろ確かめてやりたいのですが、例えば道路公団なんかは設計はほぼ一〇〇%外へ出しているんだ、その他のところでも大体七〇%は外へ出す。実態は、こういう公益法人でやっておるところを経由して、そしてAという公益コンサルタントがあるとすると、AからBに回る。Bが実際に仕事をやるメーカーなり工事業者との間で契約が成立して、もう実務はそっちの方でやって、Bがやる、こういうふうなシステムになっておるというのですね。そういうコンサルタント関係の垂れ込みというか、情報提供が非常に多い。  公益法人をこうやって見ておりますと、その職員が十名がそこら、役員がかなり多いわけなんですが、中には何十億という予算を使うところもあるし、わずかな人間で十億近い予算を使っているようなところもあるわけなんですが、これに脱税が多発する。いろいろな事業をやって脱税が多発するということは、これは仮にそこへ建設省のお役人がやめられてから後就職なさって、そこでそういう仕事をなさっておる、それが一つの、仮に我々のところへ入ってきたような悪の温床になっておるとするならば、これはやはり改革をせぬといかぬ。私らも第二の就職を阻もうというふうなことではないのですが、それにはおのずからやはり一つの節度というものが必要じゃないか。  建設省ではありませんけれども、ある省庁から建設会社へ、今までその省庁にほとんど工事を受けていなかったところに天下りをする、そうすると途端にその省庁とその業者との取引が始まる、要するに指名に入って落札をする、そういうふうなケースは山ほどあるわけです。そんなことも私どもの方に具体的な氏名入りでいろいろと届いておるわけなんです。そんなことがあるからこそアメリカで疑惑を、不信感を持たれるんじゃないか。  さっき申しました公共投資の関係の配分の問題にいたしましても、政治家がそこまで発言権を持っているのかという問題もアメリカ側で確かに持つだろう。東京湾横断道路にいたしましても、これは直営であるとかは別にいたしましても、これはもう日本の行っている土木工事じゃないかということはみんなわかっているわけですし、アメリカなんかも、こういうところに何だかおかしな契約に至る経過がある、手続上の問題がある。さらにいろいろと当たってくると、海岸の問題については、あるいは雪の問題については、それぞれ専門的にその協会があって、そこを経由をしなければなかなか設計ができ上がってこないというふうな感じのもので、仮に言っているようなもので、僕は一遍これは徹底的にそれぞれのものについて調べたいと思うのですが、そういうふうなものを、やはりこれは言われて姿勢を正すというのではなしに、みずから正すという方向をとってもらいたい。  出されております競争入札に関する是正の方向は、これは私は効果がないとは言いませんけれども、実際にはこんな小手先の手直しだけで世界の、少なくともアメリカの信用を取り戻すことはできないのではないか。アメリカの信用を取り戻すことができないということは、日本国民の信用を取り戻すことができない。今起こっている事態を建設省自身どれだけ厳しい問題として受けとめておるんだろうか、日本政治は果たして二十一世紀、こんな状態で続いていっても日本日本たり得るのかというふうな危機感を我々は持って、今政治改革に立ち上がろうといたしております。  建設省自身も、日本の政府自身も、みずからを改革することに血を流すことを恐れてはならぬ、そんな気持ちで私は強くきょうの幾つかの問題提起をいたしました。権限がどうであるとかそんなことよりも、どうすればそれがよくなるのか、正せるのか、国民が納得できるようなことになるのか、そういう視点に立ってひとつ頑張ってほしいということを強く申し上げます。  最後に、建設大臣の御意見をお伺いして、終わりたいと思います。
  68. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただきましたように、政治改革の問題も含めまして、今国会で非常に活発な御議論をいただいているわけでありますが、公共工事をめぐる、国民にいろいろの御心配をいただいている点につきましては、建設省といたしましては、私が大臣談話を発表いたしまして一カ月間でこの問題についての報告をまとめたわけでございますが、このことですべてが足りているとは認識しておりません。今後もフォローアップを重ねながらさらに改善を重ねて、それこそ、御指摘をいただきましたように、我々の行政の中でも、耐えがたきものを耐えながらもこの改善に対して全力を尽くして取り組んでいくことが建設省の使命である、このように考えておりますので、御指摘をいただきました点につきましては十分参考にして、今後取り組んでいきたい、このように考えております。
  69. 貴志八郎

    ○貴志委員 終わります。
  70. 野中広務

    野中委員長 午後一時三十分より委員会を再会することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  71. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木間章君。
  72. 木間章

    ○木間委員 最初に、委員長に一言のお礼とお願いを申し上げておきたいと思います。  予算成立後、法案審議が精力的に続いておりますし、まだ残った法案もありますが、去る四月七日、そして本日も質問の時間を設けていただきまして、私も参加をすることができまして、心から委員長初め各党理事の皆さんに敬意を申し上げるところであります。  そこで、御要請を申し上げたいのでありますが、けさほどの理事会でも、参考人を呼んでの集中質疑については御協議をいただくということのようでございますが、やはり現下の政治不信一つに、公共工事をめぐる契約のあり方、あるいは施工過程における政治家とのかかわりが問われておる問題があるわけであります。かねてより我が党の山内、そして石井両理事から、建設委員会においてもぜひ公共工事の請負契約のあり方などについて集中審議の開催を要請してきたところでありますが、きょうも一般質問という枠内にとどまっておるところであります。  申し上げるまでもありませんけれども、我が国の契約は、会計法では一般競争入札を原則としておるのであります。しかし、政府は今日まで指名競争入札制度をとってきました。もちろん、入札方式はいずれをとるかは発注者が決めるのでしょうが、このように汚職絡みの温床になっておるのではないだろうかと問われておるときに、立法府も無関心であってはいけないと思っております。ですから、一般競争入札がいいのかあるいは指名競争入札がいいのか、今日、私ども立法府にもその判断が求められておるのであろうと私は考えるものでありまして、したがいまして、参考人その他を呼んでぜひ集中審議を必要とするのでございます。そのときには、例えば議員と建設省の幹部の皆さんだけとのやりとりではなかなかお互いに真意を言い尽くせないのでありまして、そういった点では、契約のあり方について日ごろから研究されておる学識経験者の皆さんの出頭をお願いをする、あるいは、一班に地方自治体では一般競争入札導入して成果を上げておるところもありますから、そういった代表の方、あるいは現に公共工事を請け負っておいでる方々の代表、そういった皆さんに集まっていただきまして、お互いに議論をし合うのが極めて大事だろうと考えておるところであります。  そこで、けさほどの理事会の空気もお聞きはしておりますけれども、ぜひ委員長においても何分そういった日程をとっていただきますように御要請を申し上げておきたいと思います。
  73. 野中広務

    野中委員長 お申し出の参考人の問題につきましては、理事会で協議をいたします。
  74. 木間章

    ○木間委員 それで、午前中の貴志委員の質問とも重複するわけでありますが、先日マスコミでは、建設省の予算の箇所づけと申しますか、予算の配分については大臣の裁量権があるという報道がなされたわけであります。私は今日まで、予算の配分といいますか、箇所づけは、大所高所に立った判断でなされておるであろうと信じてまいりました。具体的には、各地方から要請があったときに、十分に担当者とのヒアリングを交わされて、予算の配分がなされておると信じ切ってきたわけでありますが、これも午前の答弁で大臣その他からの答弁もあったわけでありますが、重ねてその所在について明らかにお示しいただきたいと思っております。
  75. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先ほど大臣から貴志委員の御質問に対して御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますが、もう一遍ちょっと繰り返させていただきます。  一部新聞報道でそのようなことがなされたわけでございますが、率直に申しまして、私ども事実に反している、こういうことで断言させていただきます。あの紙面でも私自身の発言の一部が載っかっておりますが、一言で言って、大臣の自由裁量によって配分箇所づけができるという予算は、仕組みとして私どもは持ち合わせておりません。これは何もきょうきのうの話でなくて、そういう枠は持っていないということをはっきりと明言させていただきたいと思います。  それで、申し上げるまでもありませんけれども、予算の執行の最終権限は大臣でございます。これはもう当然のことでございますが、現実建設省の予算の配分箇所というのは数万カ所に及ぶ大変膨大なものでございます。一日二日で簡単に出せるものではなくで、今委員おっしゃったように、長い月日をかけまして、地元の要望を受けとめながら、真摯なる協議、打ち合わせ、ヒアリング等を重ねて、私どもトータルとしての適正な判断をし、的確な予算配分をしている、こういった仕組みでございますので、そういったものはございません。  ただ、先ほど大臣も御答弁させていただきましたけれども、いわゆる政策保留というものは、これは事の性質上、当然若干でございますが、残させていただきますということが通例でございます。あわせてまた、先ほども災害の話、雪寒の話等が出ましたけれども、災害といっても、年度途中に大きな災害が出た場合には当然予備費等でやる話でございますので、そういった意味で、国庫負担法による災害復旧事業というほど大きなものではございませんけれども、事業の進行過程ではいろいろと出水によって崩れたとかもろもろのことがございます。あるいは負担法の対象にならないような災害箇所も出てくるわけでございまして、そういったものについて的確に対応するという意味での保留、これをひっくるめて八百四十六億円、大体一%弱でございますが、それだけの保留をしているということでございますが、いずれもそういった政策保留ということでございますので、これを念査の上で適時適切に箇所づけする、こういう仕組みでございます。
  76. 木間章

    ○木間委員 事務方の官房長としてはなかなか言い切れない面もあろうと思いますけれども、大臣いかがですか。
  77. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  午前中にも貴志委員に答弁させていただきましたが、大臣裁量というのは常識的にあってはならないことでありますので、建設省は極めて常識的に対応しておりますので、そのようなことはないと私も確信しておりますし、今後もそのようなことが起こり得ることは全くない、このように考えております。  ただ、前山崎建設大臣がマスコミにそのような答弁をなさったということにつきましては、大変事実関係に誤認があり、表現にも極めて不適切なところがあって御迷惑をかけたということについて、私の方に改めてそのようなお話があったことも午前中に答弁させていただいたとおりでございます。
  78. 木間章

    ○木間委員 少し苦情、苦言を申し上げておきたいと思いますが、貴志委員の答弁では、政策上あるいは災害などにという答弁であったと思うのです。私は、先ほど休憩中に建設省の方に、災害費目があるじゃないか、だからなぜそんな答弁をされるのか、だれが文章を書いたのか、こう実は苦言を呈しておきました。ですから官房長の答弁は少し変わったと私は思うのですね。だから、災害関連は、それは確かに国庫負担法ありますから、私はそこで対応されてきたもの、こう思っておりますが、ただ、大きい災害の場合に、負担法の発動なのかどうか、小さいものなら既定の予算で処理をされてこられたのかどうか、この点を念を押しておきたいと思います。  もう一つは、私も地方の市におりましたからわかるのでありますけれども、例えば入札差額金みたいな不用額があったときに、あるいは年度末に若干の判断もあるんじゃないだろうか、そう貴志委員の答弁に対して私は思っておったのですが、そこのあたりどうなんですか、正直に答えていただきたいと思うのです。
  79. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 大臣も私も隠すところなく正直に実は御答弁させていただいているつもりでございますが、正直申しまして、今の災害の点、これは先生御指摘のとおり、年度の途中で大きな災害が出ればこれは予備費等で対処する、あるいは補正予算で対処する、これは当然のことでございます。ただ、現実の問題として、工事をやっていく過程で、それを待てない、あるいはそれを待つほどでもないもろもろの災害、いわゆる公共施設の損傷ということは出るわけでございまして、そういうものに対して緊急に対応するという需要もある。金額的には大したことはございません。専ら除雪、積寒、積雪地域の問題、こういうことで御理解いただきたいと存じます。  それからもう一つは……(木間委員「不用額、年度末の」と呼ぶ)不用額のお話、これはおっしゃるとおり、予算を箇所づけしてみても、実際に工事を執行する前の段階にまだ、例えば用地問題が十分解決しなかったとか、その他の事情によって予定どおり執行できないというケースもないわけではございません。そういったときには年度の途中で私ども箇所間流用ということをやらせていただいております。しかし、それはいわゆる大臣の保留枠がどうとかいう話と全く違う話でございますし、そういった意味で、くどいようですけれども、大臣に自由裁量をもっての執行ができるという意味でのそういう枠、こういったものは私ども全く持っておりませんということを重ねて御答弁させていただきます。
  80. 木間章

    ○木間委員 建設省の事業は鉄筋コンクリートの塊をつくられるところでありますから、やはりかたいような気がしてならぬのでありますけれども、いずれにしても、いろいろ不審を抱くようなことがあってはなりませんし、ぜひ公正公平に、私どもも心がけますが、皆さんにもお願いをしたい、こう思っておるところであります。  それで、おとといですか、新しい請負契約のあり方に対して皆さんが一カ月間ほどの苦労をかけて発表されたわけであります。私は、これをどう評価すればいいのか、正直言って迷っております。と申し上げますのは、一つは、今指名競争制度をとっておるわけでありますが、新たな一般競争入札制度をとろうとするときにも、急激な変更というのはやはり慎まなければならぬと私は思いますし、何分にも工事件数が多いということと、請負業者も五十三万社近い方々があるということで、一気にできないと思うのです。ですから、そこへたどり着くまでの一つの過程なのかな、こう実は考えておるわけでです。いま一つは、問題が起こったから、あるいは世間に対してでも何かをしなきゃならぬ、こういうような思いでこのような段階へ踏み込もう、こういうことなのか、いずれが正しいのか、私は実は判断に困ります。  午前中も貴志委員の方から静岡の件が持ち出されました。静岡の案件は私子細には存じ上げていないのでありますが、そのとき過ぐれば後は何とか、のど元過ぐれば熱さを忘れる、こういうことなのかな、私はこのいずれなんだろうかと、正直言って判断がつかぬわけであります。皆さんにそういう質問をしていてもいい返事は出てこないと思いますけれども、官房長、いずれの方が正しいのでしょうか。局長でもいいです。
  81. 伴襄

    伴政府委員 今回出しました措置につきましては、三月二十九日に当面すぐできるものを出し、それから五月十日には、一カ月間専門の委員会をつくって急遽詰めた事柄で、すぐできること、あるいは問題を残したことを発表させていただいたわけでございます。  いずれの点につきましても、現在入札制度について不透明というようなことで言われている事柄が出たからということよりも、もともとやはり今の入札契約制度、特に指名制度を中心としてやっておりますこの入札契約制度運用につきまして、このままではなかなか、例えば国際化が生じているとか、あるいは民間の技術力がついているとか、あるいは不公正な取引が行われているとかというようないろいろな批判の中で、いろいろな工夫、改善を重ねていく必要があるというようなことで、実は十一月に中建審、中央建設業審議会が答申を出しておりますが、その一年半前に実は諮問いたしまして、どうあるべきかということを諮問したわけでございます。その結果が、その結論が昨年十一月に出ているわけでございまして、問題が起きたからというようなこととか、あるいはこういう問題が過ぎればすぐもとに戻るのかといったような御懸念のような感じも受け取りましたけれども、もう基本的にそういうことで見直す時期に来ているということもあって審議会の答申をもらったわけでありまして、その実行を着実にやっているということかというふうに思っております。  指名競争制度一般競争制度とそれぞれメリット・デメリットがあるわけでございますけれども、その中央建設業審議会の一年半の中で、制限つきであっても一般競争できないかというようなことももちろん議論していただいたわけでございますけれども、最終的には、いろいろな状況判断を考えますと、やはり指名競争を基本とせざるを得ない、ただし、指名競争にもいろいろな問題点がある、特に一般競争メリットを取り入れるというようなことも大事なことだというようなことでございまして、したがって、同じ指名競争ではありますけれども、例えば新方式、かなりこれは一般競争に近づいた、かなり近いものだというふうに理解しておりますけれども、そういったものも取り入れたわけでございます。  いずれにいたしましても、我々は根本的にこれを見直さなければいかぬというような姿勢のもとに中建審の答申をもらい、またはそれを実行に移していく、その実行に移すタイミングを、いろいろなこともあって早めたりあるいは広げたりしたということかというふうに理解しております。
  82. 木間章

    ○木間委員 伴局長の言葉じりをつくようになって大変恐縮なんですけれども、確かに中建審の答申が議論の結果昨年十一月二十五日に出されました。そして今度の見直しに入られたのは四月一日とお聞きしております。年末年始は皆さんも御家族のことなどありましょうから作業にはなかなか入り切れなかったと思いますけれども、四月一日から始動されたということについては、私いささか疑問に思う一人であります。ですから、余りにもこの問題が表に出て大急ぎで取りかかられたような気がするわけであります、大変恐縮なんですけれども。そういう意味では、私は今の局長さんの答弁がすとんと胸に落ちない。  後ほどまた時間をかけて申し上げてみたいと思いますが、前回の委員会でも私は申し上げたのでありますが、ちょっと言葉はきついようでありますが、諸悪の根源はやはりこの指名競争入札制度にあるんじゃなかろうか、こう申し上げるわけです。やみ献金、天下り、談合、そして果ては税金のむだ遣いなどなど、そしてそれに政治家発注官庁建設業界の仕組みが絡んでおる。ですから、おととい発表された中身はその範疇を脱し切っていない、こう言わざるを得ないのでありまして、これは私だけではない、こう思うものであります。やはり、どうしてもひっかかるのは、十二年前の静岡のことでなかったろうかな、これをどうしても引き合いに出さざるを得ぬのでございます。  それで、今の指名競争入札制度というのは、これもきついようでありますが、前時代のあしき習慣でないだろうか、むしろ皆さんもいつもおっしゃっておいでるように、自由市場社会なのだからそれに反するのじゃないだろうか、こう指摘せざるを得ません。また、競争のない社会は発展しないことは言うまでもございません。  きょうの新聞に出ておりますが、運輸政策審議会は、タクシー運賃の多様化をきのう答申をいたしました。この多様化がいいかどうかのコメントは私は持っておりませんけれども、やはり時代は刻々と変わっておる、こういうことをお互いに認識をしなければならぬのではないだろうか、こう思う一人であります。  正直申し上げまして、当委員会にかけられた法案がまだ幾つも残っておれば、私どもはそれを一つの盾にして頑張ることもできるわけでありますけれども、もう空つぼの状態であります。となりますと、例えば残念でありますが、外圧にお願いをしようかと思ったり、あるいは臨調にぜひ入札制度のあり方について見直していただくような提言もしてみようか、実はこう思っております。これは答弁は求めませんけれども、私の心境は、本当に自前でこれらの克服ができないという思いをしておりまして、来る日も来る日もこういうことでちんたら議論をしなければならぬのかな、まあ与えられた時間でありますから力いっぱいやりますけれども、そういう寂しい思いをする一人であります。  次に移らせていただきますが、私は四月七日の質疑で、透明性、適正化を図るには、やはり一般競争入札が一番公平公正だということを申し上げました。建設大臣も幾つかの理由を挙げられながら一般競争入札は困難だ、こういうことで否定をされたわけであります。そこで、くどいようでございますが、もう一遍お尋ねをしたいのでありますが、まず疎漏工事やダンピングを挙げられたと思います。二点目に事務量の増高といいますか、これを挙げられました。そして、三点目に中小企業受注機会確保を挙げられたのであります。  私はこの間、一般競争入札を施行しております愛知県の岡崎市を訪ねて実情を尋ねてきました。岡崎市の一般競争入札制度は、昭和五十六年に採用されまして既に十二年目に入っておりますけれども、先ほど申し上げたような大臣の理由は一つも心配はない、こういう担当者の証言があるわけであります。例えば、手抜き工事などありはせぬか、こういうことでありますけれども、それは設計書に基づいて工事を進めておりますし、当然中間検査あるいは完工検査といいますか、そういったものを十分やればそういうことはありません。万々が一何かがあったときには保証人をつけておりますので心配は全くない、こういうことであったわけであります。  それで、もう一遍恐縮なのですけれども一般競争にできない本当の意味は何なのか、指名入札にこだわられる理由は何なのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  83. 伴襄

    伴政府委員 特に公共工事につきまして指名競争運用の原則としている理由でございますけれども、先ほど先生の方から三点お話がございました。  再度若干敷衍させて説明させていただきたいと思いますが、今会計法では二十九条の三というのがございまして、第一項と第三項がございまして、第一項のところには、指名とかあるいは随契を除いたものについては一般競争に付する、こう書いてございまして、第三項のところにこの指名競争規定がございまして、ここは一般競争入札に付することが不利と認められる場合には指名競争にする、これを原則と例外というふうに見るかどうかという点もございますけれども、条文としては並列で並んでいるわけでございますが、一般的に不利と認められる場合には指名競争と書いてあるわけでございます。  その不利というのは何かということだと思いますが、やはり公共工事というのは物品の購入なんかと異なりまして、でき上がったものを目の前で見でそれを買うか買わないかというようなことを決めるわけにはいかない。全部現地で組み立てでつくるものでありますし、一品ずつ違うものでございます。しかもそういうものはでき上がった姿だけでは判断できないので、例えば中でいろいろな手抜きや何かがあって何年かたってから事故が起こった、そのときはもう遅いわけでございますので、したがって目に見えないところまできちっと仕上がっているということが必要なわけでございます。しかも、これは工期という点も大変大事なことでございまして、やはりある一定の、例えば堤防ですと出水期までに間に合わなければいけないし、学校ですと学生が来る四月までに間に合わなければいかぬというようなこともありますので、工期も大事だといったようなことになりますと、そういう質の確保ということが大変大事なことでございます。  ところが、今の一般競争、特に会計法原則の一般競争でありますと、それは価格オンリーで競争することになります。質のことは考慮されていないわけでございます。そこで、質の確保をどうするかというと、それは信用のある、施工能力のあるあるいは誠実な建設業者を選定する、指名するということでもって確保している、それでもって疎漏工事の防止を図るというのが指名競争入札制度を採用している理由じゃないかというふうに思っております。  したがって、逆に言いますと、一般競争をやる場合にはどういう弊害があるかというと、一般競争しますと、やはり客観的な一定条件を、こういう場合には一般競争で入りますよということを当然のことながら掲げるわけでございますけれども、幾ら書いても、例えば施工能力の劣る不誠実な業者、こんなことを言ったらあれですけれども、例えば暴力団その他アウトローの方を、微妙な判断のあるのをそういう条件の上で書いて外すということは非常に難しい、ほとんど不可能に近いというような点もございます。  また、価格だけの競争になりますと、過当競争、ダンピングという問題がありますし、何よりも今先生御指摘がありましたけれども、一部の有力な業者受注が偏ってしまう。今指名の大事なところは、受注が余り偏らないように、これは税金でやる公共工事でございますので、極力受注の機会を公平にするというようなことで、余り偏っている場合には指名でもってそれを操作するといったようなこともやっているわけでございまして、そういうことが一般競争ではできない。  それから、今工事は本当は四六時中監督していればいいわけでありますが、それができません。先ほども目に見えないところでいろいろなことがあるというようなことを申し上げましたけれども、何といっても中まできちんとした良質な工事をしてもらうということが必要なわけでございますが、そのためには発注者が見でいなくでもそれをきちんとやってもらう必要があるわけでありますけれども、そのためにはやはり施工業者の方でも良質な工事をやる。要するに、発注者信頼にこたえるという関係が望ましいわけでございまして、そのためにはそういう契約関係、信頼関係が継続している中で、次回以降の指名に反映されるかされないかといった中で工事するのが、優良な工事を行うインセンティブになるのではないかという点も、大事なことかというふうに思っております。  加えて、一般競争になりますと、審査のときあるいは施工監督のときに相当膨大な事務量が要る、人員が要るといったようなこともありますので、そういったことを考え合わせますと、やはり指名競争というのを原則にせざるを得ないのじゃないか。  しかもこれが日本だけだとあれですが、別に外国、例えばイギリスの例もございますし、ヨーロッパも似たようなことをやっている。フランス、ドイツ等を見ますと、決して指名競争をとることが特異な制度ではないということもありますし、また今岡崎等のお話もございましたけれども、私どもの調べでは、今岡崎、静岡あるいは盛岡などでやっていると聞いております。やはりそれも最初は、特に岡崎とか静岡につきましては全面的に一般競争でやってみたそうでございますけれども、さっき私が申し上げたような問題点が出てきまして、一般競争が一部になっている、指名制度が復活している分野があるというようなこともございますので、やはりそういう先進事例等を見ましてもいろいろな問題があるのではないかなということを感じているわけでございます。ただ、くどいようでございますが、指名競争もいろいろ問題点があるし、一般競争メリットがあるわけでありますから、それを取り入れる工夫も今回いろいろな形でしたということかと思っております。
  84. 木間章

    ○木間委員 岡崎市では、今局長おっしゃったように併用でやっております。土木工事では四千五百万円まで一般競争入札、建築工事では九千万まで一般競争入札、併用でやっておられるわけです。市内に二百九十五社があって、これは住所も市内の方、準市内の方含めまして二百九十五社なのですが、この十二年間やってこられて当初は戸惑いはなかったかといえばうそになります、こうおっしゃっておいでになるのです。しかし、今日ではみんながこれになれ切っておる、こういうお話であります。もちろん業者の不満も全くありません、こう言い切っておられました。ですから、事務量のお話も今いただいたわけでありますが、やればできるのじゃないだろうか。  事務量の問題を申し上げますと、先般の質疑の中でも申し上げたのでありますけれども、行政改革の大波に揺れまして建設省も同じような結果になったわけでありますが、私は行政改革は不必要だとは言いません、ですから、必要なところには逆に増員をすることだってあっていいのじゃなかろうか、こう実は申し上げてきました。また、二年前に本委員会理事会で、各党それぞれ意見交換をしていただきながら満場一致で増員要求をしようということにもなったことを記憶しておるわけであります。ですから、疎漏あるいは事務量の云々、業者が多い少ないなどなどは、冷静に見ますと言いわけでないだろうか、私はひねくれておるかもしれませんけれども、こうまた言わざるを得ないのであります。  特に、後ほどまた申し上げたいと思いますが、富士大学の前田邦夫先生の講義を受講いたしました。やはり今日このような状態なのだから一般競争入札が一番とるべき道なんだということを私は教えていただいたわけであります。ですから、私はそういったことが今でも強く残っておることを申し上げておきたいと思っております。答弁は要りません。  次へ移りますが、岡崎で予定価格と落札価格の状況はどうですか、こういう質問を申し上げました。予定価格の公表はもちろん岡崎でもされていないのであります。それは当然でございます。いろいろお尋ねをいたしましたら、私の感触では最低でも五%、多いときには一〇%の間隔があるといいますか、すき間があるといいましょうか、落札状況であったわけであります。岡崎市では、例年年間の総事業量二百五十億円程度でございましたが、平成五年度は二百九十億円に大幅に増高しております。その理由はいかん、こうお尋ねをいたしましたら、下水道の流域処理もできましていよいよ本格的に取り組みますと。現在の普及率はとお尋ねいたしますと、一七%というお話がありました。確かに一七%で、三十二万都市でありますから低いことはそのとおりでありまして、大急ぎで下水道の整備をしなければならぬので二百九十億円になりました。  それはそれといたしまして、仮に五%といたしましてでも、十五億円の、どう言いましょうか、予定価格から見ますと不用額が、予算残が出るわけであります。あるいは平均をとって七%といたしましても二十億円の余剰財源が出るわけであります。もっとも為政者は、やはり公共事業でございますから、少しでも国民の皆さんに行き渡るように、そして社会資本が整備できるようにやらなければならぬわけでありまして、私はやはり金銭的な面から見ても、指名競争入札よりも一般競争入札国民の期待にこたえるためには一番近いのだ、こう指摘せざるを得ぬのであります。このことについていかがでしょうか。
  85. 伴襄

    伴政府委員 今、岡崎の例でお話がありました。多分御趣旨は、岡崎は一般競争をしているから、落札残というのか、それだけ価格が低く落ちついているのではないかというお話かと思いますけれども、それだけではちょっと断定しかねるところがあるのと、先ほどちらっと私の方から申し上げましたけれどももともと岡崎は、とりあえずはまず全面的に一般競争でやってみたわけでございますが、これはやはりいろいろな問題が出てきたわけなんで、そこで今先生もお話しのように、指名と共存させているわけでございます。指名一般の共存でありますから、今の率がどちらが寄与しているということはちょっと不分明でございます。  岡崎は、私の方の把握しているところでは、特に市内業者を相手にしているわけですね。だから、この点では大変すぐれているというか、意味があると思うのですけれども、市内業者、先ほど二百九十五社とおっしゃいました。これは土木建築だけではなくて、いろいろな電気とか管とか舗装とか、こういう専門工事も入っているわけでありますから、例えば土木工事なんか見ますと、市内業者というのは大体八十社程度でございます。私の闘いでいるところでは、特に一般競争の場合は額の小さい方を一般競争に出す、額の大きい方は指名競争に出す、こう聞いておりますので、額の小さい方では一般競争に出すのですが、そのときに細かいランク分けをする。八十社を対象にして、私の聞いた範囲では六ランクに分けると聞いております。ということは、一つのランクに十社ちょっとぐらいのところで細かく市内業者をランク分けしておるということになろうかと思います。したがって、特に市内業者対策というのでしょうか、地場業者対策ということでそういうことができるようなのは、特に市の方針が地元業者保護育成というようなこともあってやるということなら、あるいは意味があるかもしれませんが、例えば直轄のように何千社と相手にしてやる場合には、なかなかそこができにくいという点は、御理解いただきたいと思っております。  特に私ども聞いている範囲では、最初一般競争を全部にやっていましたら、やはり一部の業者に偏るとか、あるいは指名行為ということで後がインセンティブがないものですから、手抜きとは申しませんけれども、どうしても合格点すれすれ、余りよいできばえの工事にならないといったようなデメリットもあるといったことも闘いでおるわけであります。そんなことで今のような形、特に指名一般の共存、そのねらいは市内業者保護育成といったようなことである、そのこと自体については決して否定するものではありませんけれども、それが一般化する、特に直轄とか大規模な工事についてまで一般化するということはなかなか難しいのではないかなというふうに私どもは理解しております。
  86. 木間章

    ○木間委員 確かに、岡崎市は五事業部門について入札制度をやっております。土木、建築、電気、管工事、舗装、そのほかの事業は、例えば造園業、造園事業あるいは水道、上水道事業があるということであります。じゃ、一つ入札案件に対して何社が参加されますか。一般競争入札の場合におよそ二十社であります、こういう説明もいただいたわけであります。ですから、確かに建設省あるいは公正取引委員会も三年ほど前に実情調査に入られたお話も聞いてきておるわけですけれども、やはりいいものはいいとして採用していただくというのが今の時代に合ったやり方でないだろうか。とりわけ自治体のことでありますから、市内業者を最優先にしたい、もっと育てていきたい、そういうこともそのとおりでありましょうが、三千三百の自治体を抱えておるわけでありますから皆さんの指導も、一般競争入札あるいは指名競争入札、随意契約、そういったものを織りまぜてやるように指導されたらどうですか。そのことを申し上げますと、それはまた建設省の所管ではございません、自治省の所管ですという返事しか返ってこないと思うんですけれども、皆さん方も、いい面は生かしていく、そういう姿勢を私はぜひお願いをしたい、こう思っておるところであります。  諸外国の例も少し述べられました。この答申書にも幾つか出ておるわけでありますが、私は、前田先生からお聞きした範疇で申し上げますと、イギリス指名制度をとっておるということのようでございますが、ゆうべも一生懸命文献その他を読み返してみましたけれども、余りよくわかりません。前田先生のお話では、イギリスのやり方は一般競争入札なので日本のやり方とは全く違う、こういうことを実はお聞きしたわけであります。  この件についてはもう少し私も勉強をしてみたい、こう思っておりますから特に申し上げませんけれどもイギリスの場合は、もう少し申し上げますと、例えば特殊工事、技術を要するような工事については、過去の経験者の中で、経験を持った方に手を挙げていただいて、さらにその中からやる気のある業者に手を挙げていただいて、そしてそこで一般競争入札をしておる、こういうことであります。ですから、はたから見ますと、まずトンネル工事ならトンネル工事で過去に経験があったかどうかで一つはふるい分けられます。さらに、やる気のある業者手を挙げなさい、そこでまた二段階目のふるい分けがあるわけでありまして、はたから見てみますと、あたかも指名制度のような印象は私はぬぐい切れないと思うのでありますけれども、前田先生は、全く違う、こういうお話でありました。  ですから、冒頭委員長にもお願いをしたのでありますけれども、私どもだけではなかなか外国の例などわかりませんから、前田先生の場合は大手ゼネコンにも在籍しておられましたし、そしてまたアメリカにも渡られまして実際に経験もされております。ですから、ぜひそういった皆さんを参考人に呼んで、そしてみんなで議論をする場をつくっていただきたい。委員長は、理事会でまた相談してやろう、こういうことでありますから、私は、自分たちのことが絶対間違いないんだ、言い切れる姿勢はそれで多とするわけでありますけれども、必ずしも一概にそうは言えない時代に入っておるのではないだろうか、私はこう実は思うわけであります。  次へ進ませていただきますが、工事保証制度について私の考えを申し上げたい、こう思っておるわけであります。皆さん方の方も改善策をとった、こういうことでありますが、私は、このとられております保証制度はいま一つすっきりしない、こう思っておるのです。  端的に申し上げますと、我が国の工事完成の保証は同業者間で保証をし合うといいますか、そういう慣習の中で運営をされておるのであります。それでこの問題について、昭和二十四年に建設業法が施行されまして、二十五年に大臣の諮問機関として中央建設業審議会が答申をいたしました。答申というよりはむしろ勧告といった方がいいかと思いますが、それは、建設工事請負契約保証制度導入しなさい、そして二点目は保証業務は経験、危険の分散を考慮して保険会社で行う旨の勧告がなされておるわけであります。これを受けまして昭和二十六年に保険業法の改正があって、第一条に入札保証制度、履行保証保険を明確にしておるのであります。これを受けて昭和二十七年に予算決算及び会計令の改正の経過をたどっておるわけであります。  そこで、先ほども申し上げましたように、こういった法律制度は整っておりますけれども、普及しないで、同業者による相互保証、こういうことが定着をしておるわけであります。受注者工事保証人、これは同業者でありますから、もともと指名にせよ、一般入札制度にせよ、ライバルだったんですね、落札するまで。ライバルだった者同士がお互いに保証をし合う。いささかどうか。そういった保証制度の面から見ででも、今日運営されておるやり方というのは、どうも腑に落ちない一人であります。いかがでしょうか。このことをぜひお考えを求めたいと思うのです。
  87. 伴襄

    伴政府委員 今の工事完成保証の問題でございますが、現在公共工事の請負契約の締結に際しまして、もしその請け負った人が債務不履行に陥った場合に備えまして三つの方法がございます。一つは金銭保証人という形でお金だけで保証する方法、それから今先生がお話しの工事完成保証人というのをつけて、それがかわってその工事完成保証人が工事を仕上げてしまうという方法、もう一つは、今先生のもう一つお話がありました昭和二十五年ですか、それの中建審の勧告等に基づいて履行保証保険という制度ができましたので、その履行保証保険でやる、この三つのタイプがあろうかと思います。通常はこの三つの保証措置のうちどれをやってもいいわけですけれども、現在のところは工事完成保証人を立てるというのが通例でございます。  ただ履行保証保険も、地方自治体の一部ではこれをやっているところもございます。その場合、もちろん工事完成保証は要らないわけでありますが、そういうところも地方自治体の一部ではございますけれども、おおむね工事完成保証人でやるという方法になっております。  この工事完成保証人がなぜこのように三つの方法がありながら一番普及しているかということでありますけれども、金銭保証とか履行保証保険の他の二つ方法は、いずれも金銭的な補てんでございます。工事施工そのものを担保してない。さっきちらっと申し上げましたが、やはり公共工事工期ということが非常に大事でございます。きちっとある一定の時期までに仕上げていただくということが大事なわけでありますから、工事の施工そのものを担保するという特徴を持ったこの工事完成保証が一番広まっている。加えて言えば、他のものにつきましては保険料その他の金銭的な、費用も要るということがございまして、工事完成保証の場合は、そういう費用も要らないということもまた普及している原因かと思っております。  問題は、その工事完成保証の運用のときに、御指摘のように、例えば相指名になった業者から工事完成保証人を選べといったようなことがありますと、大変これは望ましくないことでございますので、そういうことであってはならない。だから、そういう相指名業者から選ばなければいかぬといったことを義務づけているものが間々あったものでございますから、そういうことはするな、発注者としてその的確な選定に配慮しろといったことを指導してきておりまして、特に平成三年六月にはわざわざ通達を出しまして、周知徹底したところでございます。  昨年の十一月の中央建設業審議会答申におきましても、この工事完成保証人のあり方につきまして、いろいろ議論がございました。その中で、ここに一部出でおりますけれども、特にこの工事完成保証の場合には相指名業者に限定することのない幅広い選定措置の徹底をしるというのが一つ出ております。ですから、相指名業者でなくても、例えば同格というか同程度の能力、技術水準を持つ工事完成保証人でいいではないか、それで十分ではないかという措置をとれということを周知徹底しているところでございます。  いずれにいたしましても、中建審の答申でもございますけれども工事完成保証人のあり方につきましては、全般的なあり方についてはまだ検討するいろいろな課題があるということで、別途検討を行うということになっておりますので、今先生御指摘のいろいろな問題点を含めまして、今後ともこの問題については十分詰めていきたい。ただ、当面大きな問題である相指名業者に限って工事完成保証人にするといったことはしないように、これは十分公共団体等も通じてしっかり周知徹底していきたいと考えております。
  88. 木間章

    ○木間委員 私は、昭和二十五年の勧告の中身も申し上げたわけであります。それ以降、もう四十数年たっておるわけでありますから、中建審のメンバーももちろんかわっておられます。大臣以下、官房長以下役所の皆様もかわっておられます。ですから、ぜひ二十五年の記録をもう一遍引っ張り出していただいて、こういった保証のあり方についても再検討するということでありますから、ぜひ引っ張り出していただいて御検討をお願いしたいな。長いスパンで見ますと、お互いに持ちつ持たれつみたいな印象をどうしてもぬぐい切れません。だから、かねて言われております談合の余地がこういったところにも存在するのかな、こう指摘せざるを得ないのであります。  公正取引委員会の方が来ておられるだろう、こう思っておりますが、こういった相指名同士が保証し合うというのは談合をはらんでおるのではないだろうか、私はこう指摘をするわけでありますが、公取の御判断をお尋ねしたいと思います。
  89. 平林英勝

    平林説明員 御説明申し上げます。  どのような者が工事完成保証人になるのが適当かという問題につきましては、基本的には工事の適正な履行をどう確保していくかという問題にかかわるわけでございますから、これは基本的には発注官庁が御検討いただくべき問題ではないかと私どもは考えております。  公正取引委員会としましては、先ほど建設省の方からも、今後そのあり方について検討していくということでございますので、この工事保証人制度を含めまして、入札制度が適切に運用されて、入札参加者間におきまして公正かつ自由な競争が促進されるということが重要ではないかと考えておる次第でございます。
  90. 木間章

    ○木間委員 どうもすとんと胸に落ちないのですけれども、何が公正なのか、何が公正取引委員会なのかと言いたいくらいなんですね。だから、発注官庁にお任せではなくて、公取なら公取でみずから判断を下すということでないと、公取の存在は意義がない、薄かろう、私はこう指摘せざるを得ないのであります。  あとの関係もありますから少し飛ばしますけれども、前回の私の質問に対して局長は、山梨の例は余りにも突然のことで、こういうことでありました。そして、早速県当局を通じてあるいは全国業界団体を通じて状況を調べてみたい、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、その後調べられたかどうか。  それとあわせて、新聞紙上に載ったことでありますが、大手ゼネコンなどからの事情聴取に取りかかられた、こういう記事を読んだわけでありますが、この二件についてどのような調査をされたか、御説明をいただきたいと思うのです。
  91. 伴襄

    伴政府委員 山梨の方の話がまずございました。  建設省としましては、一般的に建設業の健全な発達を促進するという立場から建設業団体等からのヒアリングを行いたいということを申し上げました。これは先日御答弁申し上げましたところでありますが、その後、四月三十日に山梨県に対しまして、それまで、まず連休前に建設大臣所管のというか、認可の団体七団体ございますけれども、それにつきまして、それぞれ業界団体のヒアリングをずっとやってきましたが、そういった中で、山梨県に対しても、日建連、土工協を初めとする中央の業界団体と同様の調査事項についてやってもらうということで、こういった内容で調査してくれということを依頼いたしまして、県は五月七日に協会からヒアリングを行ったと聞いております。現在、ヒアリング結果について県と連絡をとって整理しておりますけれども建設省といたしましては、山梨県、あれだけいろいろな問題がありましたが、このヒアリング結果を踏まえて、山梨県と協議しながら、まず県、協会という関係が大事でありますけれども、必要があれば山梨県建設業協会に対して、県を通じて事業活動の適正化について指導してまいりたいと考えております。  それから、ゼネコンの関係でございますが、これは今団体のヒアリング結果を取りまとめ中でございますけれども、これから順次ヒアリングを始めたいと思っております。これも個別の、個々の事案どうこうということじゃなくて、建設業界の事業活動の適正化、企業倫理の確立という観点で、今後の指導に生かせるような前向きの立場の調査をしっかりしたいと考えております。
  92. 木間章

    ○木間委員 鉄は熱い間にたたかぬといかぬのでありまして、時間を稼いではいけないのは言うまでもございません。調査結果がまとまりましたら、ぜひまたお示しをいただきたい、こう思っております。  これも新聞記事で大変恐縮なんですけれども、福岡県糟屋郡新宮町が生涯学習センター建設工事入札を行いました。どの業者を選択するかという判断になったわけでありますが、住民の感情も配慮せにゃならぬ、こういうことなどから、大手ゼネコンを指名から外したということが記事に載っておったわけであります。私は、至極もっともだろう、こう思っております。ですから、建設省発注工事にだってそういう英断があっていいのじゃなかろうか。それは、疑わしきは罰せずという刑法上の運用の問題もないわけじゃございませんけれども、李下に冠を正さず、こういう格言だってないわけではございません。私がお尋ねしたいのは、建設省工事施工上のいろいろの事件その他が今まででもあったわけでありますが、どういう事故なり事件があったときに指名を停止するのか、中期、短期ということもありましょうが、どういう場合にに指名停止の措置をされておるのか、運用その他の内規もあろうと思いますが、御説明いただきたいと思います。
  93. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 福岡県新宮町の発注のことにつきましては、いつも申し上げていますけれども、こういう公共団体の発注行為というのは当該公共団体の固有の事務である、こういったことからして、私どもがとやかく申し上げる立場にないという性質のものでございます。したがいまして、これがどうであるかということについては、感想を含めてコメントは差し控えさせていただくほかございません。  さて、そうなると、同じようなことを建設省直轄工事でもどうか、こういう御指摘になります。これについては、私どもも、先生も御案内と思いますけれども、いわゆる指名停止というのについては、事柄は決してそう軽いものではないという観点から、やはり一つの基準をもって対処しているというのがこれまでの経過でございます。具体的には、各省、公団等から成ります中央契約制度運用連絡協議会、こういったところでモデルをつくっているわけでございますけれども、いわゆる中央公契連モデル、こう言っていますけれども、そのモデルに準拠した指名停止要領、こういったもので指名停止措置を講じている、こういう次第でございます。  これが具体的にはどんなものをやっているかということでございますけれども、今の要領で措置基準として決められておりますのは、まず当該企業、法人が贈賄で逮捕されたとか役員が逮捕されたとか、あるいはまた独禁法違反行為談合、それからその他不正または不誠実な行為、こういったふうなことが個別に決められております。  ただ、ここで申し上げたいことは、これらについて指名停止措置を具体的に講ずるということになりますと、やはりある程度客観的事実、これを踏まえて措置すべきもの、これが基本と存じます。そういった意味では、具体的な法令違反による逮捕、書類送検あるいは公訴提起、こういったことがなされたときに、その時点で指名停止を行う、これをもって私ども基本とさせていただいている次第でございます。  そうなりますと、今福岡県の新宮町のようなことをどうかという御指摘に関しましても、私どもは、率直に申しまして、何らかの法的判断が今現在示されているわけでない、こういう段階で軽々にそういった対応をすることについては極めて慎重でなければならぬ、こういう基本的構えでございます。  私どもとしましては、事実関係が明らかになった時点で、しかもそれが指名停止理由に該当するかどうか、これを具体的に見きわめて適切に対処する、今こういう姿勢でおるということだけ申し上げさせていただきます。
  94. 木間章

    ○木間委員 今後金丸事件がどのようになっていくのか、私も関心を持って推移を見詰めたいと思います。そしてまた、建設省の皆さんの対応も冷静に見させていただこう、こう思っております。いずれにいたしましても、税で進めでおる工事に関するものでありますから、毅然とした態度で臨んでいかなきゃならぬということは言うまでもないことでありますが、ぜひお願いをしておきたい、こう思っております。  それで、少し話題を変えまして、平成三年に成立いたしました新しい生産緑地法の問題について若干お尋ねをしておきたい、こう思っておるところであります。法施行から生産緑地の指定がなされたわけでありますが、三大都市圏でいかような状況になっておるのか、最初にお尋ねをしておきます。
  95. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 三大都市圏の特定市の市街化区域内農地につきましては、ただいま先生仰せのとおり、昨年十二月を目途に都市計画におきまして、宅地化すべきもの、そしてまた保全すべきもの、二つの区分に分けて作業が行われたわけでございます。その結果、三大都市圏の特定市の市街化区域内農地、約五万ヘクタールございますけれども、これから約百三十六ヘクタール、市街化調整区域に逆線引きという形で編入されたものを除きまして、約三割に当たります一万五千ヘクタールが生産緑地として指定されたわけでございます。その残りが宅地化農地ということに相なったわけでございます。
  96. 木間章

    ○木間委員 約三割の生産緑地指定、こういうことでありますが、これは、当初皆さんが見込んでおられたといいますか、予定されておったような中身で終わったのでしょうか。少し皆さんの胸のうちといいますか、評価をお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、野田(実)委員長代理着席〕
  97. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 今次の三大都市圏の指定市におきます生産緑地地区の指定につきましては、農地に対する課税の適正化に伴いまして、都市計画上の手続のおくれから農地所有者の方々に不利益が及ぶことのないようにということで、農地所有者の意向を十分に把握した上で、ただいま申し上げましたような仕分けを都市計画上行ってまいったわけでございます。そこで、私どもといたしまして、かねて改正されました生産緑地法の御審議の過程におきましても、その指定の見込みについて申し上げておったところでございますけれども、おおむね三割ぐらいになるんではないかなということで御答弁を申し上げてまいった経緯がございます。実際、結果が出ますと、およそ三割ということでございますので、おおむね妥当なものというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
  98. 木間章

    ○木間委員 後ほどまた触れてみたいと思うのですけれども、各県別のデータもかなり前にちょうだいをいたしました。平均的に三〇%、こういうことでございますが、茨城県では生産緑地は九%、愛知県では一七%、こういうことであります。残ったところは市街化区域になっていくわけでありまして、この法の立て方といたしましても当然宅地並み課税がなされる、まあ固定資産税でありますが、そういうことになるわけであります。となりますと、茨城県では九一%が宅地並み課税、愛知県が八三%、千葉県が八一%、総じて七〇%が宅地並み課税になっていくのでありますが、ところが実際にふたをあけてみますと、なかなか買い手も来てくれないなどの理由から、引き続き営農を続けておるというのが非常に多いわけであります。三〇%が生産緑地でありますが、その一・五倍に当たる四五%にも及ぶという調査結果があるわけであります。  引き続き営農されておる、こうなりますと、本人が選んだ道なんだと言い切れるかどうか、こう私は思うのでありまして、逆に、営農されておる農民の立場からいいますと、営農意欲があったにもかかわらず、皆さんの方から、都市化をしよう、そういうことなどから一方的に押し込まれていったんだ、私どもに対するそういう陳情もあるわけであります。だから、私は、これをどう理解をすればいいのかという疑問に実は今ぶつかっておるところであります。もちろん当時、住宅事情等々もこれあり、最終的には私たちはこの法案に賛成をした経過もございますから、なかなか言い切れない、そういう気持ちも幾らかは持っておるわけでありますが、私は、やはりどんぴしゃり抑え込むのはいかがなものか、こう一つは考えているのであります。  それで、もう一つ、五百平方メートルの一団の扱いの問題でございますが、この五百平米の考え方について思い浮かべてみますと、他人の農地等を合わせて五百平方メートルという説明がありました。いま一つは、この中に農道、水路を含めて五百平方メートル、私はこのように実は伺ってきたのでありますが、平成三年九月に、法施行と同時に皆さんがこういう「改正生産緑地法の概要」を発行されております。これを読み返してみますと、この一団の農地の中には、介在する道路、水路は面積要件には含まれません、こういう説明がありまして、また、現地でもそのような立場で指導をされておるやに陳情を受けるわけであります。  蒸し返すようで大変恐縮でございますが、成立したこの新法の五百平米の中に道路が入るのか、水路が入るのか、あるいは除外をしておるのか、現状どうなっておりましょうか。
  99. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 一団のものの区域の定義につきまして物理的に一体的な、地形的なまとまりがある農地の区域、そういったものをとらまえて考えていこうという趣旨でございます。したがいまして、道路とか水路といったようなものが農地を分断しているような場合につきましては、これを一団のものとして扱うというようなことは実は考えてないわけでございます。そうは申しましても、道路、水路等が農地を分断している場合でありましても、道路、水路等が幅員六メートル程度以下の小規模で、かつこれらの道路、水路、農地等が物理的に一体性を有しているというふうに見られるようなものであれば、これを一団の農地として取り扱うことはさわりはないということでお願いを申し上げておるところでございます。
  100. 木間章

    ○木間委員 そのような御説明であれば、当時ヒアリングを受けたとき、あるいは委員会会議録も読み返してみて、そのような御答弁があるわけです。ところが実態は、現地では農地だけ五百であるかどうか、これがせめぎ合いになっておるのであります。ですから、皆さんは法をつくって産みっ放してはいかぬのでありまして、実際、現地ではそういったもので随分と今の御答弁とは違う指導がなされておるわけであります。ですから、その点はひとつきちっと整理をして指導してやっていただかないといかぬのではないだろうか、こう私は申し上げておきたいと思うわけであります。ぜひそのことについて、現地でトラブルのないように要請をしておきます。  次に、法施行後、現場では生産緑地と宅地化農地とが隣接をしておるのも、これまた想像していただいてでもおわかりだろう。つまり、モザイク状になっておるのであります。このことから、当然営農をしようと生産緑地の選択をしたわけでありますが、通風、日照、水利の面で不可能にする例が頻発をしております。また一方、いろいろ判断の結果、やむなく宅地化を選んだ場合でも、都市化の施策が不十分で、道路なり下水道なり水道などがないという状況も多発をしております。ですから、当然そこにはスプロール化がどんどん進んでおりまして、都市計画法の大改正にもあったような形を生んでおるのであります。このスプロール化に対してどのような指導をやっておられるのか、これからもやられていくのか、そのことをお示しいただきたいと思うのです。
  101. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 市街化区域内の農地を活用いたしまして計画的な市街化の促進を図るために、昨年九月でございますけれども、私どもは三大都市圏の特定市における市街化区域内農地に係る計画的な市街化の推進及び住宅宅地の供給の促進について通達を出させていただいております。この中で、いろいろ先生が仰せられましたとおり、モザイク化している状況等にかんがみますと、これを適正な市街地として形成していくためには基盤の整備というものがやはり何としても必要であろうという理解のもとに、整備プログラムというものを早急に策定していただくように都道府県知事等あてにお願いを申し上げたところでございます。この策定しようとする整備プログラムにつきましては、農地所有者等の土地利用の意向等を的確に把握をしながら、それに配慮した計画的な市街化のための基盤整備等の計画、そしてまた事業スケジュール等を具体的な内容として進めようというようなものでございます。  そこで私ども、この整備プログラムを踏まえまして、計画的市街化のため、市街化区域内の農地を対象といたしまして補助・幹線道路等の先行的な都市計画決定を進めていきますとともに、幾つかの施策というものをそろえまして計画的な市街化整備の推進を図ろうということを考えておるわけでございます。  一つは、土地区画整理事業等によりまして、その地域全体をとらえまして面的な整備を進める。もとよりその中身は基盤施設の整備というところが大きくなるわけでございます。  それから二つ目は、農地の宅地化に資する街路事業等の推進ということで基盤の整備をいたしまして、その土地利用につきまして利用を向上させようというようなことでございます。  そしてまた三つ目に、地区計画等をこの地域にかぶせることによりまして市街地の整備を誘導していこうというような考え方でございます。  特に、昨年末までに行われました特定市の市街化区域内農地の区分の状況を見てまいりますと、生産緑地と宅地化農地が混在しているというような地域が見られるわけでございますので、両者の交換分合によりましてそれぞれ適切な、例えば集約化を図って機能的にその地域を整備していくということが必要であるわけでございます。このために、特定土地区画整理事業、住宅街区整備事業によりまして集合農地区等の制度を積極的に活用するというようなことにより適切な集約化を図ることによりまして、計画的な市街地の形成というものを進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  102. 木間章

    ○木間委員 いろいろの手法を考えておられるようであります。新たな区画整理事業なども一つの方策であるという御説明もいただいたわけでありますが、区画整理事業にも莫大な資金投下も出てくるわけであります。私は、やはり生産緑地、良好な緑を残すということからいいますと、基盤整備もさることながら、むしろ最後でおっしゃった配置分合が必要でないだろうかと思うわけであります。これはことしの三月五日の農業新聞なんですが、大阪府では積極的に交換分合の相談所を設けて取り組んでおられます。ですから、こういったいい事例もあるわけでありますから、せびこの三大都市圏の各地方に対しましてそういう御指導を積極的に進めてやっていただきたいなと思っておるところでありまして、よろしくお願いをいたします。  もともとこの制度は、昭和六十年代初めからの地価高騰の際に、土地対策の落とし子と言っては表現はきついかもしれませんけれども、そういう制度であったろうと思うのです。つまり地価高騰は、市街化区域内農地の宅地化がおくれたとして農地を法制度で宅地化しよう、こうして始まったのであります。ですから、選択も、農家本人に生産緑地を選ぶか宅地化を選ぶかさせたわけでありますが、ところが、法律が提案をされた時期、そして院を通過した時期はまだバブルのさなかであり、あるいはバブルの終わりごろであったろうと思いますが、今日このようなはじけた状態ではなかったのであります。ですから、今宅地化を選んだ各地域を見ましても、土地取引はほとんどないという状況があります。また、自家転用で自前でやろう、駐車場をつくろう、あるいは貸し工場をつくろう、マンションを建設しよう、こういっても借り手が見つからない、率直にこういう状況も御判断いただけるだろう。ところが一方では、固定資産税がどんどん宅地並み課税になっていく。ですから、これは宅地化を選んだ農家の皆さんも苦難の連続の状態の陳情を受けております。  ですから、状況が変わったわけでありますから、何かこういったものに対する救済の措置が考えられないだろうか。例えば宅地並み課税の若干の延期をするとか思い切ったものを考えてあげないと、せっかく皆さんの意を体して市街化の道を選んだ農家の皆さんも大変行き詰まっておるわけであります。こういったことについて、建設省はどのようにお考えになっておるのか、率直な感想を聞かせていただきたいと思うのです。
  103. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 まず、この宅地化農地とそれから緑地として保全すべき農地と仕分けをするということにつきましては、農地所有者の意思を十分にただして今日まで進めてきていただいたわけでございます。ただ、その過程におきまして、例えば農地を保有される方と小作される方との間の訴訟があったとかいうような例外的なケースにつきましては、私ども、ことしの初めに、一部そういったところにつきましては見直しもあってしかるべきだということで地方の方にお願いをいたしたところでもございます。ただ、全般的にそういった状況にございますので、これを直ちに見直すというようなことにつきましては、今のところ考えておらないところでございます。
  104. 木間章

    ○木間委員 鹿島局長、まだできたてのほやほやの法律でありまして、今直ちにどうのこうのということはなかなかできない相談であろうということも知りながらお尋ねをしておるわけでありまして、この件に関しましては、きょうを入り口にいたしまして、これからずっとこれらの対策を私も考えでいきますから、ぜひ皆さんにも考えてやっていただきたいな。売れるだろうと思って皆さんの仰せに従って宅地化を選んだのでありますが、どうにもこうにも手のつけようがないという状況でありますので、ぜひその点の御配慮をしてやってもらいたい。固定資産税のお話もしましたけれども、三十年の縛りだって、十年ごとに見直すということだってあってもいいのではなかろうかと思っておりますが、これはまたおいおい問題提起もさせていただきながらただしていきたいと思っております。  最後に、買い取りの問題で少しお尋ねをしたいのでありますが、私も最初は思い違いをしておりまして、市街化の道を選んだ人には自治体を含めて買い上げが直に及ぶのかなと思っておりましたが、法文の中で取り上げておるのは、営農を続けて三十年、生産緑地を続けて三十年たったら買い上げてやろう、そういう配慮の条文があるわけであります。もとよりその間、農業従事者が亡くなられたとき、あるいは病気になられたときの配慮もないわけじゃございませんけれども、先ほど申し上げましたように、手の打ちようがないわけでありますから、やはり自治体も住宅難に四苦八苦の近郷の自治体でありますから、持っておいでるだろう。ですから、自治体もこの間、手の打ちようのない市街化の土地について積極的に買い上げていくべきだろうし、あるいは法施行後今日まで、もしそういった買い上げた事例があれば、少し教えていただきたいなと思うわけです。     〔野田(実)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生仰せのとおり、生産緑地法の規定によりますと、買い取りの申し出というのは、第十条の規定によりまして指定後三十年を経過してから、あるいはまた農業従事者が亡くなられたり、農林漁業に従事することを不可能にするような故障が生じているといったような場合に、農地所有者の方が市町村長に対しまして買い取りの申し出を行うことが可能であるというふうに規定されているわけでございます。買い取りの申し出があった生産緑地につきましては、それを適切に、適正に保全をするというような法の趣旨から、市町村長が積極的にこれを買い取るべきであるというふうに考えるわけでございます。  その実態につきましてのお尋ねでありますが、現在、指定後まだ時間を余り経てないものですから、正確に承知をしてない状況にございます。今後、調査等を通じまして把握をしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 木間章

    ○木間委員 いずれにいたしましても、いずれかの道を選んだわけです。その選ぶ道もたった二つしかなかったわけでありますから、営農に精を出されようとしていても営農活動がスムーズにいかない、あるいは市街化にしようといっても買い手も見つからないという状況下でありますから、ぜひ選んだ道が間違いでなかったということにしていかないと、この法の精神からいってもそごを来すわけでありますから、今後とも十分お互いに知恵を出しながら、かつての農家の皆さんを含めて道に迷わないようにぜひしてやっていただきたいなと思っております。  以上をもって終わります。ありがとうございました。
  107. 野中広務

    野中委員長 平田米男君。
  108. 平田米男

    ○平田(米)委員 まず、業界団体及びゼネコンに対してヒアリングを行っておるというお話がございました。さきの委員会でもそれが大きな話題になったわけでございますが、どのようなヒアリングの状況になっているのか、それをまず御報告いただけますでしょうか。
  109. 伴襄

    伴政府委員 建設省といたしまして、建設業者団体、関係企業からヒアリングを行うということはここでも申し上げたところでございますが、まず建設業者団体対象にということで、四月の二十一日から二十八日にかけましで、まず団体を対象にやっておりまして、事業活動の実態とか会費徴収方法とか、あるいは事業活動の適正化に対する取り組み方針、そういったものにつきまして中心にヒアリングを行いました。現在その内容を整理しております。  このヒアリングは業界一般的な実態をまず把握しまして、今後の適切な指導に役立てようということで実施したわけでございまして、個々の団体についてどういうことだったかということは公表することは差し控えたいと考えておりますけれども、このヒアリングの結果を検討して、必要があれば、その業界の事業活動の適正化とか企業モラルの確立というものに向けて適切にそれを生かしながら指導していきたいというふうに考えておりますので、その際当然、例えばそういう通達等とか何かやるわけでございますから、その指導が必要になった背景や事情については、説明をできる範囲で明らかにしていきたいというふうに考えております。今、とりあえず整理中でございます。
  110. 平田米男

    ○平田(米)委員 いつごろ取りまとめができるのでしょうか。
  111. 伴襄

    伴政府委員 実はこの次にゼネコンに対するヒアリングを、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、個別企業に対するヒアリングを行いたいと思っております。団体、それからゼネコンという、個別企業という形で分けてやっておりますので、団体だけで完結するものじゃないと思いますので、ゼネコンに対するヒアリングも含めてその結果を踏まえてやりたいと思っておりますが、そういう意味でこれからのゼネコンのヒアリングの結果もあわせ勘案しながらやっていきたいというふうに考えております。
  112. 平田米男

    ○平田(米)委員 ゼネコンに対するヒアリングはいつごろ始まるのか、また、その対象はどういうゼネコンを考えでおいでになるのか、これについてお答えいただけますか。
  113. 伴襄

    伴政府委員 個別企業に対するヒアリングでございますけれども、これはまず時期は、もう既に実施しました建設業者団体のヒアリング結果の整理を終え次第始めたいと思っております。  それから、個別企業に対するヒアリングの対象でございますけれども、これはいろいろ個々の企業名が出ている企業もございますけれども、それに限定しないで広目に個別企業につきましては対象にして、幅広くヒアリングを行いたいというふうに考えております。いろいろなタイプのゼネコンがあると思いますので、そういったことを幅広く対象を選んでヒアリングをいたしたいというふうに考えております。
  114. 平田米男

    ○平田(米)委員 ゼネコンに対するヒアリングの項目及びそれを終了するのはいつごろのめどでお考えになっておいでになるのか、これをお答えいただけますか。
  115. 伴襄

    伴政府委員 団体で申し上げましたけれども、事業活動の実態というようなことがまずありますので、これは先ほど団体でございましたが、個別企業の活動の実態だとか、あるいはその事業活動にそれぞれどういうふうに適正化に取り組んでいるかというようなこととか、それからいろいろ下請等の問題等もございますので、そういったことも広げて聞いてみたいというふうに思っております。  対象範囲をまだ確定的にきちっと決めたわけではありませんので、少し時間をかけて調査したいと思っておりますので、いつ終わるのかというのは、こういう問題でありますからなるべく急ぎたいとは思っておりますけれども、その対象をきちっと選んで、それからヒアリングに臨みたいというふうに考えております。
  116. 平田米男

    ○平田(米)委員 個別の団体及び企業の状況については公表できないというお話でございましたが、業界団体及びゼネコンに対するヒアリングを終わって、総合的な評価あるいは結果についての公表は行っていただけるのでしょうか。
  117. 伴襄

    伴政府委員 ヒアリングのねらいが、今後の業界団体あるいは個別企業の事業活動の適正化、あるいは今非常に厳しく指摘されております企業倫理の確立というようなところにございますので、当然このヒアリング結果を総合した上で、それをいろいろな形で指導に生かしていきたいというふうに思っております。その指導が、例えば通達というようなことになろうかと思いますし、あるいは団体の方あるいは代表の方を呼んで話をするとか、いろいろなことが指導の態様としてあろうと思いますけれども、当然そういう指導が必要になったときには、どうしてそういう指導をする必要があるのかといったような背景とか事情を説明する必要があるわけでありますから、そういった場面で、個別の団体あるいは個別の企業というわけにいかないかもしれませんけれども、その説明できる範囲で明らかにしていきたいというふうに考えております。
  118. 平田米男

    ○平田(米)委員 この問題はまた今後どう発展をしていくか、国民は非常に注目をしているものでございますので、大臣談話のお話のとおりに官民一体となって国民信頼を回復できるように鋭意努力をしていただきたい、これをお願いをして、次の質問に移ります。  アメリカでは四月の三十日、こちらでは五月の一日になるのだろうと思いますが、アメリカ政府が包括貿易法年次報告を行いまして、その中で公共事業に関して政府調達の問題を報告をしておるわけでございますが、その報告内容について建設省はどのように理解をしておいでになりますか。
  119. 伴襄

    伴政府委員 米国政府のその議会に対する報告でございますが、私どもの承知している範囲では、一九八八年包括貿易法というのがございまして、それに政府調達条項というのがございまして、それに基づいて毎年年次報告するわけでございます。その年次報告の中で、日本建設、設計エンジニアリングサービス、その調達がアメリカの企業に対して差別的である、そう認定されるというようなことを議会に報告されているわけでございます。  これに対しまして、私どもといたしましては、そのときに建設省のコメントも出させていただきましたけれども、我が国の建設市場は内外無差別ということで、例えば韓国のように外国の企業は入れないというようなことにはなっておりません。建設業の許可を取れば日本国内で営業活動できるわけでございまして、そういう内外無差別になっている。しかもアメリカに対しましては、特に日米合意というのに基づきまして、市場になれてもらう、市場に習熟のための特別措置を既に二回にわたって改定をして実施し、しかも誠実に実施してきている。加えて、米国企業はこの措置によりまして着々と相当な実績も上げている、こういう状況であるわけです。この日米建設合意につきましては、定期的に見直すというか、レビューするということになっておりますので、その約束に従って去年からそのレビューを始めているわけでございまして、それも三回、ワシントンと東京でそれぞれ、一回はハワイだったかもしれませんが、アメリカ日本でそれぞれ会議を開きまして続行中のそういう時点であった、継続中の時点であったわけでございます。  このような点を考えますと、今回突如USTRの包括貿易法の政府調達条項に基づく年次報告という形で措置が出されて、しかも一定期間過ぎれば制裁もあり得べしといったようなことが出たわけでございまして、我々としては全く、特に建設公共市場の分野については予想外なことでありまして、しかもそういう順調に進んでいる中でありますので、まことに遺憾であるというふうに考えているわけでございます。  いずれにしても、現在レビューという形で米国商務省とレビュー会合をやっていくわけでございます。進行中であります。引き続きアメリカ側としっかり議論したいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今のように一方的な制裁圧力に基づいて交渉を行うといったような考えは持ち合わせておりません。そういう中での交渉はするつもりはありませんけれども、この建設サービスのレビューという形、日米建設レビューという形ならば、それでしっかりと言い分を闘わし合って調整したいというふうに考えております。
  120. 平田米男

    ○平田(米)委員 アメリカが態度を豹変したという言い方を建設省がおっしゃっているということを新聞報道では伺っておるわけでございますが、これまでのレビュー、建設協議の中では特段こういう要求はなかったにもかかわらず、今回突然このようなことを言ってきたその理由は何であるかというふうに認識してみえますか。
  121. 伴襄

    伴政府委員 今回のUSTRのこの制裁対象指定通告というのでしょうか、こういうことになったのはどういうことかというのは、実はこの包括貿易法の年次報告を見ているわけでございますけれども、この中でもはっきりいたしません。なぜ我が国がこの建設サービスの調達についてアメリカ企業を差別的に扱っている国と認定したのかわかりませんが、ただ、この報告書の中の「背景」という部分がありまして、政府調達条項の背景という記述がございます。そこには、「長期の交渉と二国間の合意にもかかわらず、日本建設市場は基本的に外国企業に閉鎖的である。」こういうふうに書いてありまして、なぜこのような認定になったのか、詳細な説明はそれ以上のことはないわけです。したがいまして、その背景については必ずしも明確でないわけであります。  くどいようでありますけれども、日米建設レビューそのものが淡々と継続している、しかも米国企業は実績も上げているという中で全く予想外のことでありますけれども、こういう商務省との建設レビューというのが持たれました暁には、そのことをしっかりと、どういうことだという核心に触れた背景を聞き出したいというふうに考えております。
  122. 平田米男

    ○平田(米)委員 レビューとしての協議は今後もやっていくんだ、こういうふうなお話がございました。しかし、一方的な制裁圧力のもとでの交渉は行う気がない、こういうふうにもおっしゃいました。今度日本で会合を開く場合に、制裁圧力のもとで行われる会合なのか、単なるレビューなのか、この辺はどのように確認をされるお考えなんでしょうか。
  123. 伴襄

    伴政府委員 五月一日に建設省のコメントを出しましたが、そこにも申し述べておりますけれども、一方的な制裁圧力に基づいて、しかも期限を切った形での交渉に応じるつもりはないというのを基本的なスタンスにいたしております。これが一方でどういう形で交渉するのかというのは、実はいろいろな形で外交チャンネルで今接触等を始めておりますけれども、現在、日米建設合意に基づくレビュー会合というのを三回やって、四回目をこれからやろうという継続中なところでありますから、このレビューにおいて引き続き米側と議論を行うというなら、そういう用意はいたしたいというふうに思っております。  その制裁圧力だとか、あるいは期限とかというのをどう外すかということでありますけれども、これはまだ実は次回のレビュー会合の時期が設定されておりません、外務省あるいは在米の日本大使館等でいろいろ外交チャンネルを主として調整をいたしておりますけれども、その日を決める、あるいはそういう会合が具体化なりましたら、その辺もきちっとやりたいと思っております。恐らく、今後の対応としましては、次回以降のレビュー会合で日本側の考え方、そういう考え方をしっかり米国側に伝える、米国側はそれでわかったとか、あるいは理解するというようなことは言うかどうかわかりませんが、少なくともそういう前提で、もし交渉をやるなら始めるということにいたしたいと考えております。
  124. 平田米男

    ○平田(米)委員 よくお答えがわからないのですが、あれですか、レビュー会合なのかそうではないのかということは、どうやって認識をされるのか。向こうに念を押した上でやられるのか、それはお互いに心の中でお決めになるのか、その辺はどういうことなんでしょうか。
  125. 伴襄

    伴政府委員 このレビュー会合というのは、もう既に相手も決まっております、商務省で、今のところは担当課長が出てまいりますけれども。この日米建設合意に基づくレビューかどうかというのは、それはおのずと相手その他からわかると思います。そのときに、今申し上げたような一方的な制裁圧力、あるいは期限を切った形での交渉は、そんな形では応じませんよということは、それはやはり会議に応じる前に言うし、それから会議が始まればその冒頭でも言うということで、しっかりとこちらの意思を伝えて会合を持つということになろうかと思います。
  126. 平田米男

    ○平田(米)委員 そうすると、レビュー会合でないという認識をしたならば席をけって出てくる、こういう決意でおいでになるということですか。
  127. 伴襄

    伴政府委員 大体こういう会議の形になりますと、その事前に相当、私どもだけじゃありませんが、外務省を中心といたしまして専門家の、まず事前の折衝が十分に行われるはずでございます。したがいまして、やってみたらそうでなかったというようなことは万々ないと思いますけれども、したがいまして、事前の、何というのでしょうか、会議に入る前のしっかりした整理ということは十分やっていきたいというふうに考えております。
  128. 平田米男

    ○平田(米)委員 それから、向こうが一方的な判断に基づいて制裁措置を発動すれば、日本としてどういう対応をされるお考えなのか、これはいかがですか。
  129. 伴襄

    伴政府委員 向こうがどういう対応で出てくるのかというのは、実はまだ不分明なところが大いにあるわけでございます。例えば制裁と言われても、その制裁だってどういう内容かということもはっきりしない状況でございますので、私どもの基本的姿勢としては、あくまでこのレビュー会合が淡々と続いてきたわけでありますので、このレビュー会合における協議によって、米国側に日本側の今の考え方あるいはやっていることにつきまして理解を求めていく姿勢で臨みたいと思っていますが、例えば向こうが、米国側が何か制裁措置を具体的に動かす、発動するといったようなときには、日本側の対抗措置も当然考える必要がありますけれども、これは米国側が一方的に制裁措置を発動した場合の対抗手段でありますので、米国側がどの時期にどんなことをやるのか、その制裁措置の実際の内容によってその時点で判断すべき問題だと思いますので、今の時点でどうこうということははっきりは言えないと思っております。前提がわかりませんので、そういう段階かと思っております。
  130. 平田米男

    ○平田(米)委員 新聞報道によりますと、公共事業を目玉にしてアメリカに対して新たな市場開放をしよう、サミットでそれを発表しようという政府の動きがあるという報道がございました。もう既にアメリカのおどしに従ってこちらがよろけ始めている、こういうような印象をその新聞報道では受けたのですが、そのようなお考えはあるのでしょうか。
  131. 伴襄

    伴政府委員 今の先生御指摘の話は、どういう内容が、よくつまびらかにしませんが、少なくとも我々としてはそんな考えは持っておりませんし、そんな用意をしたこともございません。
  132. 平田米男

    ○平田(米)委員 そういう考えがないというふうにはっきり言っていただければ結構でございますが、最近、日米の関係というのは非常にぎくしゃくしております。特に、クリントン政権にかわって最初の日本に対する外交的な方針を打ち出した、こういうとらえ方を私はいたしておるわけでございますが、クリントン政権というのは、日米は対等の関係であるという姿勢でさまざまな要求を今後も出してくることが予想されるわけでございますが、やはり交渉事は対等にきちっとやらなければいけないと私は思います。本来、制裁をちらつかせて交渉をやるなどということは外交上やるべきことではない、私はそのように思います。この公共事業に関する日米関係の進展は、場合によれば今後の日米関係全般にわたって影響を大きく与えるものである、このように思っておるわけでございますが、今局長のお話を伺っておる限りは、そもそもアメリカに対してこのようなことを言われる理由はない、断じて日本の主張を展開する、こういう印象でお話を伺ったわけでございますけれども、これは一つ建設省だけの問題ではなくて、日本の姿勢そのものが問われている非常に重要な外交課題ではないかというふうに思うのですが、大臣自身、この問題についてどのような姿勢で臨んでいかれるお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  133. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 お答えをいたします。  先ほどから政府委員が答弁しておりますように、我が国の建設市場は内外無差別でございますし、特に米国に対しましては、習熟期としての特例措置というものも設けてまいりまして、相当の実績を上げてきているわけでございます。  若干具体的で恐縮でありますが、平成四年度の段階で、建設業許可取得企業は、米国法人十三社、米国系法人二十四社、合わせて三十七社、この三十七社の業者の方が、一九九一年に我が国において公共事業受注額が三百七十一億円であります。我が国が同じ年に米国において公共事業として受注した額が三百六十一億円でございますので、この数字からも、非常にバランスのとれた状況になってきている、このように考えておりますし、さらにその建設レビューというものを重ねていく中で今後の対応を考えているところに、今回、USTRからこのようなことが出てまいりましたので、非常に遺憾に思っております。  我が国と米国との間において、今後、先生の御指摘をいただきましたように、対等な立場で相互の理解が深まり、こういった問題についてレビューを通じて我が国の立場を明確にしていくことが非常に重要である、このように考えております。
  134. 平田米男

    ○平田(米)委員 日米関係というのは日本にとって極めて重要な関係であることは間違いございません。そういう関係であるからこそ、きちっとしたものにしなければいけない、両国民が納得する、また満足する関係でなければならないと思うわけでございまして、そういう観点で、毅然たる態度で今後も協議を続けていただきたい。やはり両国の対話なくして相互理解はありませんので、対話は継続していただきたいと思いますが、しかし、毅然たる、断固たる態度というものを、こちらの自信というものを持ってやっていただきたいことをお願いしておきます。  今回のUSTRの要求に対してはいろいろな評価がございまして、一つは、アメリカ建設関係というのはどちらかというとコンサルタント業務、しかし日本はインハウスで、ほとんど官庁が設計等もやってしまう、管理もやってしまう、こういうような事態がございましで、まさにアメリカのねらいは、そのインハウス、これまで営々と国及び地方公共団体が築いてきた技官のピラミッドを崩そう、そういうねらいがあるのではないかと言われているわけでございますが、その辺についで建設省はどのように見ておいでになるのか。また、そのインハウスの問題を言われたときに、このインハウスの問題についての問題点をある程度お考えになっておいでになるのか、この辺はいかがでございましょうか。
  135. 伴襄

    伴政府委員 今お話しのようなことが今直接こちらにあるというわけではございません。先ほど答弁申し上げた中でございますけれども、今回、日米それぞれの入札契約制度、それは対象分野も含めまして、例えばアメリカにインハウスがあるかないか、日本にあるかないかというようなことも含めまして、それぞれの現行制度を前提としながらアメリカ日本建設市場でトレーニングしてとこうというのが今の特別の交換公文の真意でございますので、したがって、今のこういう日本発注形態というのか、発注体制というのか、そういうものを前提の上で今やっておるわけでございます。したがって、今のインハウスの問題も、今の日本のこの体制を前提にして、アメリカがもし日本建設市場に参入するならば、それを前提として入ってきてもらうということでもって今まで交渉がきておりますし、これからもそういう姿勢で臨みたいというふうに考えております。
  136. 平田米男

    ○平田(米)委員 ヨーロッパも、ECの統合の中で、発注方式というのはそれぞれの国の現状を容認した上で行っていく、こういう方向になっておるわけでございますが、しかし、そこまで踏み込んだ要求がアメリカから出てくることも十分考えて対応をお考えになっておられないと、予期せぬ結果、予期せぬ問題が生じてくるのではないか、私はこんなふうにも思いますので、局長が今おっしゃったような前提だけでお考えになっていることには非常に危惧を抱きます。ぜひひとつ、いろいろな方面についての目配りをしていただいてこの対米交渉をやっていただきたいことをお願いしておきまして、次の質問に移ります。  きょうは公正取引委員会に来ていただいているかと思います。きょうは入札問題、談合問題が大きな焦点になっているわけでございます。それで、公取からは「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」というのを出していただいているわけでございますが、これが、どうもなまぬるくて談合を許容しているのではないかという御批判がるるございます。公取にお伺いいたしますと、いや、そんなことはない、よく中身を読んでください、こういうふうに言われるわけでございますが、ここの中で、これが抜け道じゃないかと言われている部分がございますので、それについてお答えをいただきたいと思うのです。  事業者団体は情報提供活動をすることができる、こういうことでその中身を具体的に書いているわけでございますが、事業者団体の構成事業者が他の構成事業者に、特定の公共事業受注希望、入札をしたい、あるいはぜひ受注を受けたい、こういう希望を伝えること、あるいは他の構成事業者から公共事業入札価格、応札価格と言うべきなのでしょうか、入札する価格を聞いたり、あるいはそれを伝える行為、これはこの指針に言う情報提供活動で禁止されているのですか、禁止されていないのでしょうか、容認されているのでしょうか、これはどうでしょうか。
  137. 田中信介

    ○田中説明員 明確に建設業ガイドラインで適法か違法がということを説明するのは一言では難しいと思いますけれども、要は入札に際して事前に情報活動を行いまして、その情報交換を通じて入札談合につながる暗黙の了解ができるということになりますと、独禁法上は違反になるということでガイドラインの運用をしているところでございます。
  138. 平田米男

    ○平田(米)委員 お答えにならないわけでございますが、要するに今申し上げたような行為受注規模を伝えるとか、あるいは入札価格は幾ら幾らです、こういうことを言うことは、それの部分だけ取り上げれば、その受注予定者入札価格を決定する、こういうことにはなりません。しかし、それは当然一連の行為になるわけです。受注者入札価格の決定の準備行為、こういうふうにとらえられると私は思うのですが、その点いかがでございますか。
  139. 田中信介

    ○田中説明員 情報交換活動そのものだけでは独禁法上違反となるということにはつながりませんけれども入札談合ということに決定的になるということになった場合には、独禁法上は当然問題になるということでございます。
  140. 平田米男

    ○平田(米)委員 談合の結果が出なければそれは当然情報交換活動そのものを否定することは恐らくできないのでしょうけれども、しかし談合の事実というのはなかなかつかみにくいわけです。つかみにくいときにそういうものが行われている、すなわち準備活動的なことが行われている、また行われることは望ましいか望ましくないのか、こういう視点でこういう問題は考えていかないと、談合の根絶というのはできないのではないのかというふうに思うのです。  今公取は非常に建前論でおっしゃいました。説明員のお立場ではそういうことしかおっしゃれないのかもしれませんが、公取がそういう姿勢でいると、やはり国民の疑惑、国民不信というものをますます大きくすることにもなるわけですし、またアメリカからとやかく言われる、こういう結果ももたらすわけでございまして、もっと踏み込んで考えていかなければいけない。大体事業者団体の中で、うちはこれを今度落札したいのだ、ぜひ受けたいのだ、あるいはこのくらいの金額でやるつもりです、こんなことを言うことは、それはもう談合行為の一部じゃないですか。それはみんなの合意が成って初めて談合になるわけですが、談合行為中なわけですよ。こういうのを放置しておいて、談合の合意そのものが問題でございますと言っておるだけでは、談合問題というのは解決しない、そこがまさにこの指針についての批判があるのではないかというふうに私は思うのです。  公取委員長の発言として、四月二十四日の日経新聞には将来的には指針の見直しの可能性もある、こういうふうにおっしゃっておいでになるのですね。まずこの辺、このお言葉が本当だとするならば、こういう問題点を十分御認識の上におっしゃったのではないか、こんなふうに私は思うのですが、課長さんのお立場でどこまでおっしゃれるのかわかりませんが、この辺どうなのですか、どのようなお考えで委員長がおっしゃったのか、説明できるなら説明していただけますでしょうか。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  141. 田中信介

    ○田中説明員 新聞情報については正確に承知しておりませんが、要は建設業のガイドラインについては、当面は現在のガイドラインについて普及徹底を図っていくということを基本にしているということで委員長も含めて考えでいるところでございます。
  142. 平田米男

    ○平田(米)委員 全然答えになっていないですね。要するに、公取というのはこの程度しかやらないという印象をますます強める答弁であって、答弁されなかった方がよかったのかもしれません。  要するに、談合までいかないけれども談合に直接付随するこういう準備行為はだめなのだとはっきり公取がおっしゃれば、談合禁止に向けて大きく前進をすることは間違いないわけなのです。その点、そういう前進をするお気持ちがあるかないか、この一言だけ伺っておきます。どうでしょうか。
  143. 田中信介

    ○田中説明員 入札談合の防止に向けて、引き続き検討については前向きにやってまいるということにしております。
  144. 平田米男

    ○平田(米)委員 前向きだと一言おっしゃいましたので、この程度にしておきたいと思います。  建設省は直接この指針については権限を持っておいでにならないわけでございますが、きょうの毎日新聞にも東京の港区の心身障害者福祉センターの基本・実施設計の落札業者談合でもう決まっている、こういう報道がなされて、急遽その入札が中止になったというような報道がなされております。事業者団体が任意でおつくりになって、それぞれ事業活動に資するために活動されるところまでは制限はできないと思うのですが、談合をやってはいかぬことは間違いないわけでございまして、今申し上げたような談合準備行為に当たるような、応札希望を述べるとか、あるいは入札価格を伝える、あるいは聞いたりするなどということは、建設業者としては、公共事業入札を希望するものとしては、私はやるべきじゃない、こんなふうに思うのですが、建設省はその辺どのようにお考えでございましょうか。
  145. 伴襄

    伴政府委員 いわゆるガイドラインでございますが、公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動というのは、やはり独禁法上でもいろいろ特異性がある、諸特性があるというようなことでこういうガイドラインが五十九年二月にできたのだというふうに理解しております。特に、その公共工事に係る建設業というのは、何度も申し上げて恐縮でありますが、みんな単品受注請負でございます。したがって、単品で受注生産でありますから、それを計画的な受注に結びつけないと、なかなか企業の存立、発展にとってもぐあいが悪いわけでございまして、どうしたら計画的な受注をしていけるかということが一番大きな問題じゃないかなという気がします。  したがって、いろいろ営業活動を行うときにもやはり計画性を持って受注行為をする、あるいは営業活動をすることがあるというような特殊性があると思います。しかも、建設業そのものがほとんど中小企業で、競争も激しい、それから採算性を度外視した安価での受注があるというようなこともあって、もう一つはこの官公庁の競争入札指名制度、予定価格制度を内容とするといったようなこともあって、そういうもろもろの諸特性を勘案してこういう特例が建設業実態に合わせて決められたというふうに理解しているわけでございます。  この指針で一番大事なことは、この指針が談合を容認しているわけではなくて、きちっとこういうルールでやれと書いてあるわけでございまして、特にその前文のところに、一定のルールを定める等により受注予定者または入札価格を決定したりするような行為独禁法違反になるのだよということをしっかり書いてあるわけでございまして、この辺がどうも私どもの周知徹底も十分でないところがありまして、誤解をして、今先生おっしゃったような情報交換とかいろいろなことがこのガイドラインで大っぴらにできるのだと理解されがちなところがございまして、この前提の、前文のところを見逃している嫌いが非常に多いわけでございます。  そこで、この指針を正確に理解してもらう、正確に理解した上で遵守してもらうということが最も大事じゃないかと思っておりまして、それが独禁法の未然防止につながるという理解でございました。  私どもは、公取の方からも公私その他いろいろな御協力を仰ぎましで、何とかこの指針を中心として独禁法そのものの正しい理解をしてもらうということで、建設業団体、あるいは都道府県知事に対しまして、いろいろ形でこの普及徹底を図っているわけでございまして、その一環で、昨年十月には財団法人建設業適正取引推進機構というのをつくりました。独禁法だけじゃありませんけれども、特に独禁法の遵守、徹底を大きな目的とした財団法人をつくったわけでございまして、こういった機構のそういう活動の中で、例えば全国的に講習会を開くといったようなことで、公取からも講師を派遣していただいて開催するといったようなことを繰り返しやってきているわけでございまして、この独禁法の趣旨、ガイドラインの正確な理解というふうなことをきちっと周知徹底していくということにしっかり力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  146. 平田米男

    ○平田(米)委員 残念ながら真っすぐにお答えをいただけなかったので非常に遺憾でございますが、私はその準備行為もだめなのだというふうにやはり建設省もはっきり言わなければいかぬと思うのですね。何も談合と関係なく受注希望を言うとか、あるいは入札金額を伝えたり、聞いたりするなんということはあり得ない話なので、これはだれが考えたって違反に決まっておるわけなのです。談合近接行為なわけですから、談合近接行為を明確にだめですよということを建設省もおっしゃい、また、公正取引委員会もおっしゃることが、業者に対する厳しい姿勢を示す、模範を示すということになるのじゃないかと私は思いますが、残念ながら伴局長からはその明確なお答えはいただけなかった。この辺がやはり国民のこの入札制度に対する不信感を払拭させない理由があるのではないかというふうに思います。  力を入れられるのは計画的受注だというふうにおっしゃいます。計画的受注のためには、いろいろな情報交換もしなければいけない。でも、もっとその前に言わなければいけないのは、税金が適正に使われる、すなわち、談合が行われないようにできるだけの手を打つ、それが第一条件なのであって、その後にそれは業者保護ということも必要でしょう。しかし、どうも今の局長の話を伺っておりますと、その順位が違うのではないかというような印象を受けました。これは私の聞き違いなのかもしれませんが、今お話を伺った限りでは、国民もそのように聞かれるのではないかというふうに危惧をいたします。建設省、もっと毅然たる態度をぜひおとりいただきたいということをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  入札制度が問題になっておりまして、五月十日、建設省は一応の文書を出していただきました。大変御努力をいただいたということは、私も認めるところでございますが、どうしても制限つき一般競争入札には踏み込めない、答申もあることだからということなのだろうとは思うのです。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、愛知県の岡崎市で、木間委員からもお話がございましたが、制限つき一般競争入札をやっておるわけでございますが、これをやっておることについては、どのような評価建設省としてはしておいでになるのでしょうか。
  147. 伴襄

    伴政府委員 公共団体で一般競争入札をやっている例として今岡崎の話がございました。今回崎の自治体でやっているやり方でございますが、昭和五十六年から一般競争を始めたというふうに聞いております。五十六年から始めで三年程度経過したところで、それまでは一般競争を全面的にやったわけでございますけれども一般競争は市内優先の工事に限るというふうに限定いたしまして、例えば大手の入るような大規模工事でなくて、規模の比較的小さい工事について、市内優先の工事に限ってやる。しかも、それは一般競争だけでなくて指名競争と併用するというふうに変わったというふうに聞いておるわけでございます。  そういうふうに一般競争オンリーであったのを指名競争併用というふうな形に切りかえたのは、一つは大きな工事、技術力が必要な高度な工事は、市内業者では無理というようなことがあって、市外業者の入るものについては、やはり指名行為でやらざるを得ないという判断があったのだと思いますのと、それから、市内業者同士でも、やはり業界の一部にかなり受注の偏りがありまして、受注機会の偏りがあったということで業界からも反発の声があったのでそういう形にしたというふうに聞いておるわけでございます。  したがいまして、現在やっております一般競争は、規模の比較的小さいところを一般競争しているわけでございますが、私の手元にある資料で見る限りでは、例えば土木一式の工事、一番メーンというのか、代表的な工事でございますけれども、これでいきますと、例えば市内の業者が八十二おりますので、八十二の業者を六ランクに分けまして、だから平均十社があるいはそれより少しというふうな形で市内業者をランク分けいたしまして、そのランクごとにその中で一般競争するという形の一般競争をやっているというふうに聞いておるわけでございます。  この一般競争の市内業者保護、育成という観点では大変評価できる制度かと思いますけれども、こういういろいろな経緯とか、それから岡崎の、そういうところだからこそできたというような状況を見ますと、総合的に考えれば、一般競争を整々として大いにやっているというふうには受け取れないわけでございまして、ほかにもございますけれども、これが一つの先進例、実施例がな、我々が一般競争指名競争を議論するときに大いに参考になる事例がなと我々としては認識しておるわけでございます。
  148. 平田米男

    ○平田(米)委員 岡崎がやっておいでになることを、端的にこんなことはやめるべきだとお思いになっているのでしょうか、どうでしょうか。
  149. 伴襄

    伴政府委員 八十二の業者を六ランクに分けてやるという一般競争のやり方、そのことは一つ方法だと思います。したがいまして、私はこのことについでとやかく批判するつもりも毛頭ありませんし、それは一つの行き方である。発注業務というのは、これは先ほど官房長からも答弁ありましたが、地方の自治体の特に固有の業務でございますので、しかも会計法と同じような形で地方自治法ができているわけでありますから、そこで一般競争をとるということは当然できるわけでございます。それは発注者がそれぞれ選べばいい話であります。そのことについてとやかく言う必要はないし、それはある面では評価できるものがあるのではないかという気がします。ただ、こういうふうな一般競争、岡崎でやっておりますけれども、それに倣ってあっという間に普及するという状況にないことは間違いないと思っております。
  150. 平田米男

    ○平田(米)委員 岡崎の御努力しておいでになることは評価していただいておるわけでございますが、今回、十日に出されました「入札契約制度及び手続の改善について」建設省入札手続改善検討委員会が出されました報告書の六ページに、「技術情報募集型指名競争入札方式導入」、こういう項がございまして、その冒頭に、「一般競争入札の有する広範な参加機会を確保しうるという長所を最大限に活かすためこということで、名前は指名競争入札であるけれども事実上の制限つき一般競争入札として技術情報募集型指名競争入札方式導入する、こういう趣旨のお話がございます。制限つき一般競争入札、名称は一般競争入札とはいいませんが、事実上このように指名というワンクッションは入れますけれども、技術情報募集型でやられたということは、私は大変いいことではないかと思うのです。  そうしますと、建設省制限つき一般競争入札というものはやはりそれなりのメリットがある、こんなふうにお考えになっているというふうに私は理解をしているのですが、今岡崎のことについても、自治体の考えでもあるし、それなりに評価するとおっしゃっていただきました。そういうふうに建設省お考えだというふうに理解してよろしいわけでしょうか。
  151. 伴襄

    伴政府委員 今度の技術情報募集型入札方式でございますが、これにつきましては、御指摘のとおり一般競争、これはいろいろなメリットがございます。デメリットは先ほどくどくど申し上げましたけれどもメリットもあるわけでございまして、特に競争性が高いということは大変なメリットであります。そういった本人の意欲を買いながら競争率を高める、そういうメリット指名競争の変形という形でこういうふうにしたというのは、当然のことながら一般競争のいいところを学んで取り入れた新方式を編み出したということでございます。
  152. 平田米男

    ○平田(米)委員 私は前回にも制限つき一般競争入札を基本にすべきだと申し上げてきたわけでございますが、公共事業全件に直ちに適用するなどということはどだい無理なことだと思うのです。ですから、建設省が、指名競争入札という名称を残しながらも技術情報募集型でそういう考え方を取り入れられたというのは、一歩前進だと思うわけでございますが、岡崎の例なんか見ますと、技術情報募集型以外にも、こういう自治体で、岡崎も人口三十万ちょっとでございまして、制限つき一般競争入札をやるには、業者の数とか地域性という条件がある程度満たされなければいけないのかなというふうに思うわけでございますが、そういうことができるところは、試行錯誤的でもいいので、できるだけやるようにしていったらどうなのかなと思うのです。  これは直轄工事のAランクだけでやるということなわけでございますが、そうではなくて、これから自治省とも協議会を開いて入札制度については周知徹底方をお願いするということになっているわけでございまして、岡崎が十二年間一生懸命努力をしてやってきた実績というのは、これから地方分権という話もございまして、地方自治の創意工夫を大事にしていくというのは、国にとっては非常に大きな責務ではないかと私は思うのです。国だけで勝手に考えでこうだというふうに決めつけるのではなくて、自治体が一生懸命努力をやってきた成果をしっかり受けとめてあげて、それがよいものだったら、できるだけ全国に普及させるというような姿勢を国が持っていく、これはやはり権限の移譲と同時にお互いの姿勢の中で極めて重要なことではないかと思うのです。そうしたときに、今回の報告書は非常に物足りないなと思うのです。  岡崎の問題については当初からは少し変わりましたとおっしゃいました。しかしながら、やはり一般競争入札制度を励行しておりまして、落札件数からいきますと一般競争入札で五二・二%を占めているのですね。確かに落札金額では一九・六%で小さな工事が多いことは間違いありません。しかし件数としては大きな位置を占めております。半分以上なわけです。そしてこれを行うことによって業者がどんどん伸びている。今まで下請しかできなかったところが直に市の仕事を受けられるようになった、こういう報告も岡崎から私は聞いております。昭和五十六年度から平成三年度までの間に土木一式工事一般競争入札参加資格者は六十一業者から九十九業者までふえております。五割もふえている。各工事別の合計ですと、五十六年度は百八十八業者だったのが平成三年度では二百九十二業者にふえている。これはやはり業者を育てるという意味で成果を上げていると私は思うのです。  そういう意味で、今申し上げたような地方自治を大事にするということと、その結果が大変いい。いろいろな問題があって創意工夫をしております。最低入札価格というのも置いたりしてダンピングさせないようにしている。私はそういう意味で、霞が関で全部一律に決めてしまうのではなくて、こういう事例もありますよ、よろしかったら積極的に取り入れてください、こういうお話をしていただきたいと思うのですが、もう時間が来ましたので、一言だけお返事をいただいて終わらせたいと思うのであります。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 伴襄

    伴政府委員 直轄の例として方針を打ち出したわけでございまして、特に今新方式につきましては、A型、超A型の大きな工事でございますので、直ちにそれが公共団体までそのまま普及できるような状態ではないかと思っております。  ただ、今回打ち出している一連の方針はこれだけではございません。直ちに公共団体でできればまねしてほしいなと思うのは、指名基準の具体化とか、入札結果の経過の公表とかそういったことができていないところがございますので、そういうところはぜひともまねしてもらいたいと思っております。  なお、この岡崎の方式につきましては、先ほど申し上げたように、非常に細かいランクを分けておりますので、メンバーが固定してしまっている、十数社で固定してしまってその中での競争になるということも、問題点もいろいろあるわけでございますから、全面的にいいというわけではないわけでございますが、別に岡崎の例が悪い、これをまねするなというようなことを決して指導したり言っているわけではありませんので、これはこれでまた、そういう地方自治体でも先進例があるわけでありますから、それをそれぞれの発注者メリット・デメリットを見ながら、採用するなら採用する、まねるならまねるということで臨めばいいのだろうというふうに思っております。  とりあえず、我々の姿勢としましては、今指名競争制度に求められている公開性、透明性ということでいろいろな施策を出しております。これを公共団体だけではなくて、他の発注者、国あるいは公団、事業団、そういったところを含めて、しっかりと考え方を普及し、できればまねできるものはまねでいただく、普及させていただくということで努力したいというふうに考えております。
  154. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 今政府委員が答弁をしたことでございますが、先生からの御指摘をいただきました地方の実態につきましては、今回建設省と自治省の間に協議機関をつくるわけでございます。そこで、まず入札手続実態把握ということが非常に重要である、このように考えておりますので、その実態を把握した上で、その中で私ども考え方、参考にしていただけるものの改善に取り組んでいただきたい、こういうようなことで、今後自治省との関係においてそういった実態把握が成果あらしめるように努力をしていきたい、このように考えております。
  155. 平田米男

    ○平田(米)委員 都市局に対する質問ができなくて失礼いたしました。  終わります。
  156. 野中広務

    野中委員長 辻第一君。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 前回に引き続いて、大手建設会社やみ献金事件に関連して質問をいたします。  大手建設会社から自民党の金丸前副総裁や生原秘書を初め多くの政治家の手に驚くべき巨額のやみ献金が渡っていることが明らかにされ、国民の税金であります公共事業を食い物にする犯罪的な行為として、やみ献金問題はいわゆる政官財癒着の構造として、また金権腐敗のきわみとして、国民の厳しい怒りと政治不信、かつてなく高まっているのが現状でございます。  三月二十日に、東京地検特捜部が西松建設など大手建設会社の家宅捜索、事情聴取を始めてから既に五十日余が経過いたしました。この間に、建設側の発表はなくても、実態解明は新聞報道などでかなり明らかになりました。関係者の内部証言が次々と報道にあらわれております。大手建設会社の献金リストの存在、これは政治家用リストとともに、秘書用リストも明るみに出ております。送った側のゼネコン幹部の証言、例えば東急建設、前田建設工業の社長はやみ献金を認め、その他各社役員も匿名でほぼ事実を認めております。また、受け取った側の自民党政治家秘書の証言といいましょうか、発言といいましょうか、これは元代議士秘書が朝日新聞夕刊で発言をしておる。それぞれの証言内容、発言内容を吟味してみますと、それぞれリアリティーがあって、相当程度の事実を推定することができます。やみ献金の事実と政官財癒着の構造は、今日国民の常識にまでなっているということだと思います。  私は、この前四月七日の質問で、大手建設会社からのやみ献金の実態、また、やみ献金の原資調達にかかわって使途不明金やあるいは下請からの吸い上げなどの実態について政府に調査を要求いたしました。  そこで、建設省にお尋ねをするのですが、四月七日当委員会で質問をしてから、もう一カ月以上たったわけでありますが、どのように事実を調査されてきたのか、今わかっている結果について報告をいただきたい。
  158. 伴襄

    伴政府委員 業界に対する調査というか、ヒアリング等の経過でございますが、まず、建設業者団体を対象に四月二十一日から二十八日にかけましてヒアリングをやっております。事業活動の実態、団体でありますから、会費の徴収方法、事業活動等の適正化に関する取り組み方針等々につきまして聞いておりますので、その内容を今整理しております。  あと、これからゼネコンというのでしょうか個別の企業に対しましてヒアリングをしたいとは思っておりますが、いずれにいたしましても、目的は、その業界一般的な実態を把握しよう、それを今後の適切な指導に生かそうというようなねらいでやっておるわけでございます。もちろん、今回の成果は、そのヒアリング結果を踏まえた上で、業界の事業活動の適正化あるいは企業モラルの確立という形の指導に結びつけたいと思っておるわけでございます。  そこで、やみ献金等の使途不明金の状況のお話もございましたが、この問題につきましては、やはりこのヒアリングの場で調べるという性質のものではなくて、むしろやみ献金、使途不明金に該当するかどうか、これは我々の判断、調査できる範囲の分野の問題ではございません。やはりしかるべき機関においで調査されるべきものだろうなというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、ヒアリングを行う際、団体もそうですけれども、これから行います個別の建設業者の事業活動についてのヒアリングを行う場合でも、政治活動についての一般的な考え方とか経理方法、そういうことについて聞くことはあっても、個別の政治献金の額だとか相手方、あるいは経理処理、税務処理をどうやったとかいったことは我々のできる範囲でもありませんし、また今回の調査の目的ではないので、そういうことは聞く考えはありませんが、いずれにいたしましても、将来の前向きな業指導の生かせるような、そういう意味調査はやっていきたいというように考えております。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 端的に申しまして、非常に残念であります。私は、いろいろな御事情があるし、いろいろななにがあるのはわかるのですが、事の重大性、深刻さ、そういう問題から考えてみれば、もっともっとしっかりした対応をやられるべきだ、こう思います。極端な言い方をすれば、今建設省建設業界、火がついているのです。これは消さなければいかぬのです。私は、今の対応や答弁に大変遺憾であります。本気でやる気があるのか、私は今そのような思いがいたしております。  そこで、それなりに業界にヒアリングなんかされたようでありますが、こういうやみ献金のこの行為、極めて遺憾な重大な行為であります。これに対する大手建設会社の認識の程度、反省の程度はどうなのか、建設省の認識を伺いたい。
  160. 伴襄

    伴政府委員 今回のことにつきましては、建設業界も大変厳しい国民の批判を受けている事態でございますので、それを厳粛に受けとめておりまして、日本建設業団体連合会とか土木工業協会あるいは全国建設業協会等々の業界団体におきましては、挙げて企業モラルの確立に努める、そういう旨の申し合わせを行っております。また、現在、その趣旨を会員企業に遵守徹底するというようなことに努力をしておるところでございます。例えば日本建設業団体連合会、日建連でございますが、申し合わせを会長名で会員企業にきちっと郵送いたしまして、その周知徹底を図る。それからあわせて、日建連の中に企業行動検討特別委員会、これは仮称のようではありますけれども、そういう委員会を設置いたしまして、申し合わせの遵守徹底、これはいろいろな、申し合わせしただけではないか、本当に守れるのか、どう徹底するのかということが問われているわけでありますので、その具体の遵守徹底方策について委員会でもって検討しているというところだと聞いております。  いずれにいたしましても、大手建設会社というのは特に建設業界の全国的な指導的な立場にあるということでございますので、そのことを十分に認識いたしまして建設業界に対する国民信頼確保あるいは回復に向けて率先して努力してもらいたいというふうに我々も期待しておりますし、そういう方向に持ってまいりたいというふうに考えております。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、業界は厳粛に受けとめておるというようなお話でありましたけれども、我々はとてもそんな厳粛に受けとめるというような状態ではないと思うんですね。大手ゼネコンがやみ献金について説明を拒んだり、献金疑惑を指摘されながら財界のトップの座に居座っている、こういうことは本当に許されない問題だと私は思うわけであります。  そこで、九三年四月二十九日の日経新聞は、次のような社説を掲げております。  建設業界はいま、企業倫理が問われている。  自由主義経済は、市民としての自覚や倫理を持った企業の公正な競争を前提としている。どのような企業も国民信頼なしには存立し得ない。大手企業がヤミ献金について説明を拒んだり、献金疑惑が指摘されながら財界トップの座に固執したりする業界はこの認識が極めて甘い、と言わざるを得ない。  建設業界は、これまでの慣習と経済風土の中でつくられてきた体質を清算して、出直し改革に取り組むべきである。それにはまず、トップをはじめ、社員の再教育を実施すべきである。談合刑法独禁法に触れる犯罪行為であり、社会のルールとして許されないとの意識を社内に徹底する必要がある。このように述べております。  私は、この主張はもっともな主張であるな、このように考えるわけでありますが、建設省はどう考えられるのか、また建設省としてそのような方向で適正に指導をされるべきであると考えるが、その点について答弁をいただきたい。
  162. 伴襄

    伴政府委員 先ほど業界の側の話をしました。建設省といたしましても今回の件に際しましては、業界国民の厳しい批判を受けているということを重く受けとめまして、去る三月二十九日の大臣の談話におきましても業界に対して企業倫理の確立を強く要請したところでございます。これに呼応して、先ほど申し上げましたような日建連、全建等の申し合わせ決議があって、その遵守徹底の方策はやっているということは先ほど申し上げたところでございます。  一般的に建設業界の事業活動の適正化あるいは企業倫理の確立ということは大事なことでございますので、特にそういったことを目的にいたしまして、先ほど御紹介申し上げました建設事業者団体あるいは関係企業からのヒアリングを行っているわけでありまして、一つには、このヒアリングの結果を踏まえて業界の事業活動の適正化あるいは企業モラルの確立というものについてしっかり指導していきたいというふうに思っております。  それから、独禁法を初めといたしまして、最近は暴対法とか建設業法そのものもございますけれども、そういった建設業に関する、もろもろの取引に関する法令をきちっと厳守していただく、守っていただく、遵守していただくということは、業者としては当然のことでございます。建設省として機会あるごとに社員の末端に至るまで関係法令の遵守の徹底を図ってほしいというふうに指導しているわけでございますが、特に昨年十月に設立いたしました財団法人建設業適正取引推進機構はそういう役割を担った財団法人として誕生しているわけでございまして、この機構を通じましで全国にわたって研修等を行っていきたいというふうに考えております。  平成三年には一万五千人ぐらいの方に対して研修会を全国的にやらせていただきました。最近も、この機構ができてからはいろいろなブロックでこの研修会をやっておりまして、例えば昨年度は全国十ブロックで二千名を対象にそういう講習会をやってきておるわけでございます。本日も東京都におきまして約五百人を対象にこの財団法人建設業適正取引推進機構の講習会を開催いたしておりまして、そこの場で独禁法とか暴対法とかそういう遵守徹底、それから今回のいろいろな入札制度の改善、そういうことをPRしておりまして、地道ではありますけれども、この業界に対する事業活動の適正化とか企業倫理の確立の取り組みをしっかりやりまして、業界に対する国民信頼の回復に努めていきたいというふうに考えております。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、今度は建設省自身の問題について尋ねます。  これも日経新聞なんですが、九三年四月二十六日、「ズレていないか 政治改革」、これは金指という編集委員の方が書いておられる論説でありますが、  建設省が金丸前自民党副総裁へのヤミ献金事件に関連して建設業界の諸団体から事情を聴いているという。この記事を読んで「よくもまあヌケヌケと」「盗人だけだけしいとはこのこと」と腹立たしく思わなかった人はいなかったのではないか。  冗談もいい加減にせよ、といいたい。自民党、とりわけ田中-竹下派という特定派閥集団に深くかかわり、選挙マシンをつとめ、金権政治を支えてきたのが建設省であり、建設官僚であったことは天下周知の事実である。  金丸前副総裁はじめ建設族のボスのところに入りびたり、公共事業情報をアウンの呼吸で流したり、政治献金をとりもち、資金集めパーティーの台所を手伝ったり、はては業界団体に天下り、業界をバックに政界入りをはたすなど、いわゆる政官財の癒着構造の要(かなめ)として、金権政治の仲立ち役をはたしていた。こういうふうに言っておられるわけであります。  大分厳しい話でありますが、建設省の権威も地に落ちたな、まことに残念な事態だという思いであります。今度のこういう問題で、我々野党の者も政治家一般として非常に厳しいですね。建設委員をしているというと、私も何かもらったのではないか、そういう厳しい目がやはり一般にあるんですね。そういう事態なんです。そういう中で建設省はこういうふうに見られている、こういうことなんですね。  そこで官房長に聞きますが、建設省職員が金丸前副総裁や建設族と呼ばれる政治家のところに出入りをし、公共事業情報をあうんの呼吸で流したりしたことがあったのかどうか。建設省幹部が金丸前副総裁を初め自民党議員の政治献金を取り持ったり、資金集めパーティーの手伝いをしたりしたことがあったのかどうか。お答えをいただきたい。
  164. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 御指摘の紙面を初め、折々に建設省にとって大変口惜しいといいましょうか、残念な報道がなされていることを私も十分承知させていただいている次第でございます。  ただ、その報道されている内容の一々についてここでどう申し上げたらいいかでございますけれども、今先生御質問のことについて申し上げさせていただきますと、いずれも事実とかなり離れたことがたくさんある、あるいは事実と離れたような認識を国民の皆様方に持たせるおそれのあるような報道がなされておるんじゃないか、こんなようなことも感じさせられる次第でございます。もとより、私ども断固いささかの批判も受けるべき立場にないなどということを申し上げるつもりは決してございませんけれども、個別具体のことで今御指摘ありましたことについては、はっきりと申し上げさせていただかなければならぬ、こんなふうな思いでございます。  それで、今特定の政治家情報を流す云々というお話がございました。これについては、私ども建設行政は、いつも申し上げることでございますけれども、大変国民の皆様方の関心の深い分野を直接担当させていただいておる、こういった行政の性格上、情報はできるだけ広く皆様方にお伝えできる、またしたい、こういう構えで取り組んでいる次第でございます。  そういった意味では、情報の公開については、かなり積極的に努めているつもりでございます。が、一方で、御案内のとおり、公務員には守秘義務のあることは、私ども当然十二分に認識しているところでございます。守秘義務と情報公開との調整ということの兼ね合いの中でできるだけ幅広く情報を御連絡申し上げる、あるいは意見を交換させていただく、こういったことは何も、特定の政治家という御指摘が今ございましたけれども、私どもは幅広くやらせていただいておる、こういうことを御理解賜りたいと存じます。  それから、パーティー券のお話でございました。特に業界団体のパーティー券等の購入について、あるいは政治団体への献金についで、建設省として何らかの関与をしているのではないか、組織的に対応をしているのではないか、こういったことでございますが、これについては全く否定させていただきます。  それから、あと政治への転出等の問題が紙面等ではございましたようでございますけれども、これはいつも申し上げていることでございますが、かつて私ども建設省の職場に籍を置いた政治家、確かにおっしゃるとおり十七名くらいいらっしゃいます。これは言うまでもありませんけれども、それぞれの先生方におかれましては、行政の場で十分蓄積された御経験あるいはお持ちの御見識、こういったものを本当に国政の場で生かそうあるいは生かすべきであるという、いわば国民といいましょうか、バックアップしてくださる国民の皆様方の意を受けてそういった道を選ばれている、こういったものでございますので、これについては、私どもは決して反省する必要もないし、むしろ大いに結構なことではないか、こんなように思っている次第でございます。  ただ、言えることは、そういった政治への道を志す過程で、建設省職員として在任中に、政治志向の中で、いわば政治活動等々に地位利用をするというようなこと等々があっては全くならないということについては、私ども日ごろ十二分に戒めているつもりでございます。今後とも、そういったことについては、引き続きの一層の戒めに努めながら、しかし大いなる活躍も御期待申し上げる、こんな次第でございます。
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 官房長としての立場とか気持ちというのもわかるのですけれども、今おっしゃったほどきれいごとではないと思いますね。火のないところには煙が立たぬということでありまして、これはその中にいろいろな問題があった、そういうものがこういう形で報道されている、そういうふうに私は認識をするわけであります。  今、例えば大手建設会社上位二十一社の取締役などの役員には、公共工事発注責任者であります地方建設局長など、そういうことを歴任されて建設省から二十一名、道路公団から十八名、住都公団から十四名などがいわゆる天下りをされているという、これは私どもの赤旗日曜版の四月十八日の報道でありますが、そういうことだと思います。  そして、建設省出身の国会議員が十七名おられるということですね。それから、いわゆる旧竹下派の方が十二人ということでありますね。それらの方は、もう大体業界をバックに出られたと言って過言でないということだと思いますね。そういうことを改めて指摘をしておきたいと思います。  それからさっき、それは絶対にないみたいに言いはったのは、パーティー券のことでしたかな。これは、私がじかにその人に会って話を聞いたわけじゃありませんが、朝日の夕刊の「裏道 永田町」という北碕渉という人の名前で出ている記事でありますが、その元代議士秘書が言っておられるのは、一枚二万円の券を友人、知人、政治団体、派閥にお願いしていって、「四番目は、建設業者、メーカーなどに「公共事業受注」を担保に大量買いしてもらう。二十五枚目から五百枚目まで差はあった。好景気の時は、五百枚目が二、三社あったと思う。五番目は、中央官庁の審議官クラスに永田町世話役がいて、外郭団体や業界に話をつけてくれる。いわばお墨付きで、単位は小口でも、電話一本で売れるから実入りはいい。楽だ。」こういうふうな記事があるのですね。こういう話は、この記事だけじゃなしにそれ以外でももっと、数年も前から私は聞いておりますね。どこでどう聞いたかというとそれはなんですけれども、そういうこともたくさんの中にはあるということだと私は思うのですね。  また、この元代議士秘書は、建設省と自民党の政治家の癒着の証言というのですか、「最大の金脈は公共事業で、自分とひも付きの建設業者をうまく結び付けるのが、政治家の腕の見せどころだ。」「建設省予算の中に運動公園というのがあり、かなり大きなものまでできる。」「この種のものは、全国で年に二、三カ所の予算しかないと、建設省の担当課は言っていた。」「「懇親」の名の下に、市長ら市の幹部と建設省幹部の宴を、東京・赤坂に張ったりした。費用はオヤジさんがもった。一年くらいして、「来年度予算に計上できる」という情報が入った。」こういう記事も載っているわけであります。  建設省の幹部の皆さんが自民党の政治家の方々とどのようにつき合いをされているのか、議会対策や政府部内調整などで大変な御苦労をいただいていると思うのですが、国民信頼こそが建設省の仕事において最も重要な課題だと思います。国民の税金による公共事業受注する大手建設会社が、特定政治家と結んで、やみ献金、政治献金といういわゆるわいろを使ってその会社の事業拡大を図り、一層の利潤追求に走るような事業活動が今日の日本社会では許されないことであることを業界に徹底し、業界への再教育を進める、また、建設省自身が襟を正していただく、こういうことが極めて必要だと思うわけでございます。建設省職員の皆さんは、人手不足の中で、定員を減らされても国民のための良質な社会資本整備に全力を挙げている、残業で家庭も犠牲にし、過労死になるまで頑張っておられる、こういう状況もあるわけであります。  そこで、再度官房長にお尋ねをいたします。政治家からの夜の懇親会などの招待は今後さっぱりと断るべきだ。また、永田町の世話役、政治家のパーティー券の面倒を見て外郭団体や業者に話をつける、こういうことは絶対許されない、許してはならない。建設省の幹部の皆さん方が、与党の政治的圧力をはね返すには勇気が要ること、そのように思いますが、ひとつ国民信頼にこたえていただきたい、このように考えます。官房長から短く。
  166. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 今、先生のお話を伺いながら、一つのシナリオとして伺いますと、これは建設省は袋小路に入って全くどうにもならないというくらい、全く妙な気分になるようなお話として承りました。  端的に言うと、例えば運動公園の問題とパーティー券などなど、こうなりますと、正直言いまして、私ども公共事業の執行そのものが国民の疑惑の目にさらされるそのものであるということで、非常に残念でございます。  いずれにしましても、そんなことはここで言うのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、過ぎたところはお許しいただきますけれども、いずれにしましても、私どもとしては厳正な行政の執行に努めたい、これがすべてでございます。二万四千職員を挙げてその道を歩んでいるつもりでございますし、そういった中で、今回の一つの問題提起、また率直に聞くべきところは聞いてまいりますが、ただ先ほど申し上げましたように、いわゆるパーティー券の問題あるいは先生おっしゃった夜の会食など、聞けば非常におどろおどろしいような雰囲気を受けるわけでございますが、私どもとしましては、党の関係あるいは政府関係、省庁との関係も含めて、やはり情報交換、連絡調整、あるいは御指導賜る、申し上げるべきところは申し上げるということは、日ごろ常に必要なことでございますので、行政の充実と円滑な展開のためには必要なことは当然今後ともやらしでいただきますが、いやしくも、今先生御指摘のことに尽きるかもしれませんけれども国民の目から見て疑惑を招かないようにということについても、今後とも一層気持ちを引き締めて、職員一丸頑張ってまいりたい、かように思っております。
  167. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 今官房長から答弁したことに尽きるわけでありますけれども、先生から御指摘をいただいた点につきましても、パーティー券の話についても具体的な話として出ていたわけでありますが、私も経世会と言われるグループに所属しておりますけれども、私自身もまた頼まれたことはございませんし、そのようなことで建設省の職員に依頼したことも全くありませんので、その点につきましても、建設省の基本的な姿勢として御理解をいただきたいと思っております。  また、議員と職員とが接触するということは大変結構なことだ、私はこのように考えております。ただ、それが度が過ぎて行政の公平、公正性を失うような、疑惑を持たれるようなことはあってはならないということで、国民に疑惑を持たれることがないように、職員を戒めて、今後指導していきたい、このように考えております。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ましたので終わります。
  169. 野中広務

    野中委員長 次に、米沢隆君。
  170. 米沢隆

    ○米沢委員 最後の質問になりましたので、けさからの同僚議員の御意見や御質問と重複するところがあると思いますが、お許しをいただきまして、三十分だけ時間をいただき、御質問したいと思います。  御案内のとおり、金丸事件に端を発して問題化しております公共事業をめぐる不透明性の問題や業界談合体質、あるいはやみ献金体質というのか、そういうものを是正しようとの名目で今回の入札制度改善策が出されてきた、こう理解をしているわけでございますが、いわゆる金丸事件の再発防止という観点からは、この出された入札制度改善策は一体どう読めるのか、どう生かされてくるのかということがちょっと不透明といいましょうか、余りにも不完全といいましょうか、そんな感じがするのですが、どうお思いですか。
  171. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 答弁さしていただきます。  今回、建設業界に対して国民の皆様方から、入札制度そのものについての不透明な点があったのではないかという指摘があり、検討委員会をつくって、登録、積算、指名、見積もり、入札に至るまでの手続について、一層の透明性競争性を確保するということで具体策をまとめたわけでありますが、その一つとしては、具体的な指名手続に対する明確な運用基準を策定し、そして質の高い施工業者で、新たな入札方式として意向確認型の指名競争入札を試行していく、そして積算について、いろいろ国会でも御議論をいただきましたので、今後は積算体系、手法の整備を図るために、外部有識者による評価・検討の委員会を設けて、今後このことについて検討していく予定でございます。  さらに、公共事業は七〇%地方が発注するわけでございますので、自治省を通じまして地方公共団体の入札手続実態についてまず正確に把握をすること、その上で公共団体に対しましても、ぜひ新しいシステムについて前向きに取り組んでいただけるようにお願いをしていく、このようなことを考えているわけでございます。  しかし、どのような制度をつくったとしても、やはり関係者のモラルというものが確保できなければ、先生御指摘をいただいたようなものにはなっていかない、このように考えておりますので、これから建設業界あるいは発注する立場の官の方々、そして我々政治家一人一人が、この機会に襟を正しモラルを確立するということによってこうした問題の再発を防いでいくことが大切ではなかろうか、このように考えております。
  172. 米沢隆

    ○米沢委員 確かに今度の入札制度改善策等については、かなり透明化を図られる、あるいは競係争的な条件が環境的によくなるという意味で、我々も何もこれを評価しないという立場ではありません。しかしながら、先ほど申しましたように、今度出された入札制度改善策は、昨年から中央建設業審議会等で温められたものであって、金丸事件を契機に逆に加速されて早く出てきたという性格のものだという感じがしておるわけでございまして、再発防止という観点から、一体この制度が、全然役に立たないと言うのじゃありませんよ。少々は環境的にはよくなるかもしれません。  しかし、金丸事件的なものの再発をどう防止していくかという観点からは、もっと別な角度から、制度的にあるいはまた物事の考え方において、何かこれにプラスされてしかるべきではないかなという感じてこの建設省の持ってこられた文書を見ていたわけでございます。  確かに今回の入札制度改善策というのは、建設省にしてみれば相当思い切った譲歩だという面も正直言ってあると思います。まあしかし、指名競争入札制という根幹は変えないということでございますから、結局、どの業者入札させるかといういわゆる役所の裁量というのはやはり常に残るわけですよね。ということは、依然として天の声が言うことを聞く範囲内での改善策にすぎない。政治家が介入する機会がそのまま温存されたままの入札制度でしかない。国民が求めているのは、天の声を封じる手法の制度化だと私は思うのです。そういう意味で今回の入札制度改善策は、再発防止という観点から、どうも大事なところが欠けておるんじゃないかなと思うのです。再度御答弁いただけませんか。
  173. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 先ほども答弁さしていただきましたように、一カ月間という短い期間でございましたので、今回、当面する対応方針としてまとめさしていただいたわけでございます。しかし、これですべてかというと、先生御指摘をいただきましたように、まだ業界あるいは発注受注のあり方の中で、よりよき改善をしなければならない問題もたくさんございますので、今後フォローアップを重ねながらこうした問題に対して対応していかなきゃならない、このように考えております。  ただ、先生から御指摘をいただいたお話は、制限つき一般競争入札というようなものも視野に入れて考えてみたらどうかというような御意見が、このように思いますが、公共事業はやはり品質と工期というものが第一であると私は認識しております。このことは、企業経営面からコストの引き下げを第一とする民間企業が、建設工事発注に当たっても、本来でしたらば価格第一主義として発注するということも考えられるわけでありますが、私どもが調べた結果においては、大多数が品質確保を第一条件とした匿名の随契によって契約を裏づけられているということもこのことを意味しているのではなかろうか、このように考えております。そういう面におきまして、公共事業国民の長期にわたる共有財産を形成していくわけでありますので、品質の確保というものは今後とも最重点の課題であると認識しております。しかし、良質な施工を確保するために指名によって選定していくという方針は確保しながらも、一般競争入札のいいところをできるだけ取り入れていく、こういった考え方が基本でございますので、今回の新しい方式はそういう線に沿ったものである、このように考えております。  また、一般競争入札導入するということになりますと、技術、能力等においていろいろと問題のあるアウトロー的な方が入ってくるということも、落札する可能性も否定できませんので、そういった面で、今後こういったことを防止するためには、やはり審査施工監督をもっと厳格にしていかなければならないということは、定員削減というこの時代においてそれをやっていくということはなかなか難しい、このように考えておりますので、今回の制度改革において一つの前進といたしまして、さらに問題点を洗いながら、現実的に将来にわたって問題が再発しないような制度面の改革を進めていきたい、このように考えております。
  174. 米沢隆

    ○米沢委員 既に答弁の中にも入っておりますように、公共事業入札につきまして、指名競争入札の根幹は変えたくない、同時にまた、一般競争入札制度は採用しがたい、それぞれ理由があることは、いろいろな説明の文書等を見たらよくわかるのでございます。ただ、今問われているのは、指名競争入札にまつわる談合が出やすいというものを本当は除去していくという方向性をある程度プッシュしていこうとするならば、私は、入札制度の抜本改革というのは、指名競争入札制度の延長線で問題点を是正していくという面もありましょうが、逆に、一般競争入札を根幹にして、そして問題点を除去していくという工夫に一回飛び込んでいくことも今必要なのではないかなという感じがするわけでございます。  先般の質問でもちょっと申し上げたのでございますが、少なくとも、そういう意味では一般競争入札を頭から否定するのではなくて、一般競争入札についても、例えばかなり工事金額の高いものについでは一回試行的にやってみるとか、そういうことを通じてでき得る限り公正な入札というものを求めて制度改革を行っていく、そういう方法論もチャレンジしてみる必要があるのではないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  175. 伴襄

    伴政府委員 ただいま大臣から答弁がございましたように、今、指名競争一般競争かというのは、大変大きな問題だと思っております。これは、実は今の会計法規定では、一般競争随契指名競争がそれぞれ契約方式としてあるわけでございます。入札契約方式としてあるわけでございますけれども、これをどれを採用するかというのは、それぞれのメリット・デメリットを勘案しながらやる。我々の考え方は、一般競争発注者にとって、ひいては国民にとって不利になるという会計法考え方から指名競争にしているわけでございます。  一般競争をやるときにどういうデメリットが出るか、今大臣から話がございましたけれども、我々も、例えば一般的な一般競争は難しいかもしらないけれども、それを制限するあるいは工事の大規模なものについてやってみるといったようなことももちろんあるわけでございますので、それを我々は制限つき一般競争と言っておりますけれども、これもやれないかというようなことも、いろいろメリット・デメリットを十分に検討してきておるわけでございます。  先ほど十一月末の中建審の答申のことを先生から御紹介いただきましたけれども、実はこれも一年半ぐらいかけてこの答申をまとめたわけでございます。その中の大きなテーマは、一般競争というのを制限つきでもいいから、一部でもいいからやれないかということを随分議論したわけです。それが一番大きな焦点であったといってもいいぐらい大きな問題でございました。その結果は、いろいろあるけれども、結局は制限つき一般競争であってもどうしても乗り越えられない問題点がある、したがって、指名競争を原則とせざるを得ないという結論になっているわけでございます。その過程で、制限つき一般競争をやる場合にどういう前提条件があるか、それに対してどういう対策をとったらいいかといったようなこともいろいろシミュレーションをしております。  そのときに制限つき一般競争で一番大きな障害になると思われますのは、一つは、大臣からも話がありましたけれども、不適格な業者の介入ということでございます。この辺につきましては、例えば暴力団の関係者等々いろいろな不誠実業者の例が考えられるわけでございますけれども、そういったことにつきましては、一般競争条件で排除するというのは非常に難しい。やはり積極的に排除した残りを指名するというような形にしないと、そういう微妙なところはなかなか採用できないというようなところが一点ございます。  それから、やはり良質な工事確保するということが非常に大事なことでございます。現在、一般競争指名競争もそうでございますけれども価格だけの競争になっております。こういう公共工事のような現場で一品ずつ組み立てるものにつきましては、特に質がどうなのかということが最も大事なことでございまして、その質の確保を、実績のある誠実なあるいは技術力のある業者を選定する、指名するという形で確保しているわけでございます。  その選定して質を確保するというのはどういう形でやっているかというと、やはりその指名した業者の方は今後の取引関係あるいは信頼関係が継続する、そういう中で良質な工事確保できるということが期待できるわけでございます。ですから、もし指名という行為がなければ、合格点はとるでしょうけれども、合格点すれすれのところで工事をやってお茶を濁す、それでも次は一般競争なら大体入れる、こういう形になるわけでございますので、そういった良質な工事確保できるという点でも、やはりこの指名ということはどうしてもやらざるを得ない、浅さざるを得ない、今の状態だとそういうことではないかというふうに考えているわけでございます。  さらには、もう一点ございまして、特に税金を使う工事でございますので、受注機会公平性ということが非常に大事でございます。今公共団体の一部で試み的に、試み的にと言っては申しわけないかもしれませんが、一般競争を採用しているところもございますけれども、そういうところを見てみましても、やはり力のあるものがかなり偏って受注してしまう、そのことが問題になっているというのが多いわけでございます。やはり強者が常に落札し得るという可能性が強い、そのために受注が偏る、中小企業保護にならない。  これは中小企業だけでなくて、超大手あるいは準大手のところでも同じ問題があろうと思いますけれども、同じような技術条件を持っている、能力を持っているものにつきまして、一方のものに偏るというのはやはりまずい、それはこの指名という行為でもって調整する必要があるのじゃないかという気がするわけでございます。  こういった各種の問題点を抱えているわけでございますので、そこで指名というのをとる。ただし、指名についてももちろん今いろいろ批判がございます。特に問題は透明性ということだと思います。発注者の恣意でもって指名がされる、そこにいろいろな第三者の介入があるといったようなことが大きな問題かと思いますので、何とかその発注者恣意性を排除するというのが一番大事だと思います。そのためのいろいろな改善策はぜひとも講じたいということで、いろいろな施策を出しているわけでございます。  例えば発注者の判断をするときの判断基準でございますけれども、それをよりわかりやすく具体的に客観化するということが大事かと思います。その一つが、今回打ち出しております指名基準の具体化ということでございます。それから、いろいろな入札手続とかそういうのをガラス張りにするということも必要かと思いますので、例えば指名基準をきちんと制定して公表するとか、指名の、あるいは入札の結果、経過について公表するとかということをやるべきだと思っておりますし、特にこの辺は公共団体に十分浸透していない、これをぜひともやりたいというようなこととか、第三者の意見を反映するとかということをやりまして、今までのように一方的な指名でなくて、入札参加者の希望とか技術力とかを競ってもらって、そういう形の指名をするといったような新方式も入れたりというようなことをいろいろ工夫を重ねているわけでございまして、そういうことによって、何とか恣意的な指名というようなことを言われないようにしたい、そういう制度的な仕組みを構築したというつもりでございますので、ぜひとも御理解を賜りたいというふうに思っております。
  176. 米沢隆

    ○米沢委員 指名競争入札という根幹は譲れないとするならば、じゃ、その前提として、いかにして談合体質を排除していくのか、あるいはまた、不正な事件が起こらないようにしていくのかという視点が一番大事だと思うのですね。  今御説明いただきましたような面で今回前進したことに関して評価するにやぶさかではないわけでございますが、例えば、今回指名基準を明確にするとか、指名業者入札結果等の公表についてもやるとか、いろいろな工夫は見られるわけでございますが、談合や不正事件なんかに参加した企業については、もっと厳しい姿勢があってしかるべきではないか。確かに、今そういう事件を起こしたところは指名停止にして、その間は指名しませんよというのは当たり前なことでございますが、例えば、仄聞しますところ、イギリスあたりも同じような制度をとって、そのかわり、談合や不正事件を起こしたところはかなりの期間指名停止する。期間が全然違うのですね。  日本の場合、大体一カ月か三カ月なのかな、大体一カ月平均ぐらいじゃないでしょうか。その間、公共事業が出てくる時期は大体決まっておりますから、痛くもかゆくもないと言ってもいいぐらいの軽微に済むこともあるわけで、厳罰に処すことが全てというのではなくて、厳罰をセットすることによって抑止力にするという意味では、例えば指名停止期間あたりは、二年でも三年でも本当にやったらやりますよというぐらいの決意を示すことの方が本当は大事なのではないかな。実質的に今一カ月ぐらい指名停止にして、その間じっとしていれば次はまた二カ月後にはうまくやれるなんというのでは甘過ぎる。せめて、今度の場合、指名競争入札を前提にされるならば、そういうところまで踏み込んで提示されるところがなければ、何か小手先なものになっていくのではないかという感じがするという感想を私は述べさせてもらいたいと思います。  そういう意味では、指名競争入札の停止期間等、実際の不正事件との勘案で決まるものだとは思いますが、もっとそこらは厳罰に処する、逆にそういう抑止力をつくる、悪いことをしない抑止力にするというぐらいの踏み込みがあってしかるべきだと思うのです。その辺どうでしょうか。
  177. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先生から大変大局的な御見地から総合的にごらんになっての一つの御意見として承りましたが、指名停止については、先生も御案内のとおり、私ども中央公契連、中央省庁合同の連絡協議会の場を通じてモデルを一つ持っておりまして、それで現在建設省指名停止制度を持っているという経過でございます。これについても、今御指摘のとおり、期間が短いのじゃないかという御意見も確かにございますが、実はこれは平成二年に、私どもそれまでの停止期間を若干引き上げて延ばしておるという経過もございます。  今おっしゃったように、さらなる抑止力を高めるための視点からの検討というのはないのかというお話でございます。私ども正直に言いまして、指名停止というものについて今後どうあったらいいかということは常に視野に入れていることでございまして、今回の事件のみならず、そのほかのもろもろの事象というものもあるわけでして、そういったものを踏まえながら、今後の検討課題の一つには位置づけなければならぬな、こんな思いでいますけれども、当面、今いつごろまでにどうこうということは、まだこれからの状況等を精査、念査をしながら詰めさせていただきたい、こんなふうに考えている次第でございます。
  178. 米沢隆

    ○米沢委員 もう一つ大変問題だと思っておりますのは、これは難しい話かもしれませんが、公共事業発注官庁が、工事の設計から管理までシステムをみんなひとり占めにするというところが本当は問題でないのか。確かに今までの長年の慣行もあり、そうすることがいい工事をするという意味では最良の選択だといってやってこられたのだと思いますが、しかし、発注官庁が設計から管理までずらっとやるというところに、特にアメリカあたりが文句を言うのはそのあたりじゃないかという気もするのですよね。また同時に、そのあたり民間に出して、そういうものは民間にやらしたらどうだという声も実際にあることはある。  そういう意味では、完全にできないことでもない、しかし難しい話ではあるという感じはするのでございますが、やはり工事の設計から管理まで、予算の積算までやるというのは日本独特のものだと聞いておりますが、外国あたりではそれをどうやっておるのか。私は、そういうものもある程度参考にしながら、発注官庁がもう少し民間ベースに仕事を分け与えて、その中でスムーズに仕事をしていく、そういう発想も今日の段階では非常に必要なのではないか、そのあたり談合を生む背景があると言う人もおる。同時にまた、アメリカあたりが問題にしておるのはそんなところにもあるのではないかという気がするのですが、その点御見解を聞かせていただきたいと思います。
  179. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 いわゆるエンジニアリングインハウスの点をめぐって昨今いろいろとまた御指摘賜っているところでございますし、先生から今それを言われたと思いますが、おっしゃるとおり、我が国の国のみならず地方公共団体を含めて、公共事業の設計、発注はいわばインハウスで賄っている、こういう経過でございます。  確かに、そのことをめぐって、諸外国と比べてどうかという御議論は常にありますが、私どもとしては、この基本的な構図というものは本当に、世界に冠たると言っては言い過ぎかもしれませんが、世界的に見てもこういった技術集団がすばらしい設計、施工を実現してきた、こういった経過は尊重されなければならぬし、今日なお重い存在である、こう思っております。と同時に、もう一つ考えなければいかぬことは、私ども設計、積算、発注という行為一つとったときに、実はそれをやる過程で大変大事なことは、地元の地域との調整、あるいは最近で言うならば、いわゆる環境影響調査等々、本当に計画をつくる過程で、行政がみずから幅広い行政的視野との調整を図りながらやらなければいかぬという課題がむしろふえている面があろうかと思います。単にある一つの単体を設計し発注するという単純な部分から非常に行政的課題がふえているということもありますので、そこらのところはぜひ御理解いただきながら、私どもも誤解を招かないような事務の執行には努めさせていただきたい、かように思っておるところでございます。
  180. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。      ――――◇―――――
  181. 野中広務

    野中委員長 次に、内閣提出、参議院送付、流通業務市街地整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。中村建設大臣。  流通業務市街地整備に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  182. 中村喜四郎

    ○中村国務大臣 ただいま議題となりました流通業務市街地整備に関する法律の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、貨物自動車交通の増加、物流関連施設の立地の広域化、物流形態の多様化、高度化等、物流を取り巻く経済社会情勢は大きく変化しております。  この法律案は、このような状況の変化にかんがみ、地方都市を含めて、経済社会情勢の変化に対応した新たな視点に立って流通業務市街地整備を促進することにより、流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図るため、流通業務市街地整備に関する法律の一部を改正しようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、流通業務市街地整備の対象都市を拡大することとしております。  第二に、主務大臣は、流通業務施設の整備に関する基本指針を策定することとし、これに基づき、都道府県知事が、流通業務施設の整備に関する基本方針を策定することとしております。  第三に、流通業務地区内に建設することができる施設の立地規制を緩和することとしております。  第四に、流通業務地区内において流通業務の効率化に資する一定の事業を行う者に対し、産業基盤整備基金による事業資金の借り入れに係る債務保証等の助成策を講ずることとしております。  その他、これらに関連いたしまして、関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  183. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明後十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会 ――――◇―――――