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1993-04-06 第126回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月六日(火曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 貝沼 次郎君    理事 北川 石松君 理事 前田 武志君    理事 森  英介君 理事 山崎  拓君    理事 志賀 一夫君 理事 時崎 雄司君    理事 倉田 栄喜君       伊藤宗一郎君    加藤 六月君       渡辺 栄一君    小森 龍邦君       新村 勝雄君    長谷百合子君       寺前  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村喜四郎君         国 務 大 臣 井上  孝君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁長官官房 藤原 和人君         長         国土庁長官官房 藤田  修君         会計課長         国土庁長官官房 加藤  昭君         水資源部長         国土庁計画・調 糠谷 真平君         整局長         国土庁大都市圏 内藤  勲君         整備局長         国土庁地方振興 秋本 敏文君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 市川 一朗君         務審議官         建設大臣官房会 木下 博夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省河川局長 岩井 國臣君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調 平林 英勝君         整課長         国土庁土地局次 原  隆之君         長         法務省刑事局総 鶴田 六郎君         務課長         大蔵省主計局調 田村 義雄君         査課長         大蔵省主計局主 東垣外洋三君         計監査官         国税庁課税部所 古出 哲彦君         得税課長         国税庁調査査察 藤井 保憲君         部調査課長         厚生省年金局資 吉武 民樹君         金管理課長         会計検査院事務 佐藤 恒正君         総局第三局長         住宅金融公庫総 高橋  進君         裁         決算委員会調査 山本  正君         室長     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     寺前  巖君 同月十九日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     和田 静夫君 同月二十五日  辞任         補欠選任   和田 静夫君     日野 市朗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管国土庁)、建設省所管住宅金  融公庫〕      ————◇—————
  2. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより会議を開きます。  平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管国土庁建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、井上国務大臣中村建設大臣及び住宅金融公庫当局概要説明並び会計検査院検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————    平成年度歳出決算に関する概要説明                国 土 庁  国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は、二千三百七十九億三千二百八十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額十六億四千九百八十四万円余、予算補正修正減少額三億九千五十八万円余、予算移替増加額一億三千百十三万円余、予算移替減少額千百二十九億五千四百三十五万円余、前年度繰越額二十億千四百二十一万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は、千二百八十三億八千三百八万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百三十五億四千九百八十万円余、翌年度繰越額四十二億四千五百五十八万円余、不用額五億八千七百六十九万円余となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費四百十七億七千四百九十二万円余、水資源開発事業費二百四十一億九千八百七十九万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百一億四百万円、国土庁百六十七億六千六百六十一万円余、国土調査費八十億千二百四十四万円余、国土総合開発事業調整費七三二億千四百二十七万円余、小笠原諸島振興開発事業費十九億七千四百三十九万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十四億五千百万円、離島振興特別事業費五億八千百七十九万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費二十二億六千二百七十七万円余、水資源開発事業費十八億二千八百六十一万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、水資源開発事業費四億千六百二十四万円余、防災集団移転促進事業費補助金五千四百十六万円余等であります。  以上が平成年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    平成年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明             会計検査院  平成年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項は ございません。     —————————————    平成年度建設省所管決算概要説明                 建 設 省  建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済歳入額は、一般会計四百六十二億四千七百万円余、道路整備特別会計三兆三千四百三十二億三千四百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、四千七十七億千九百万円余、治水特別会計治水勘定一兆千八百七十九億五千二百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、千七百三十七億千六百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千七百十九億六千四百万円余、都市開発資金融通特別会計千十五億九千百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、七十八億六千九百万円余、となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済歳出額は、一般会計四兆九千六百十二億七千百万円余、道路整備特別会計三兆二千四百十九億八千七百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、三千九百八十九億千百万円余、治水特別会計治水勘定一兆千五百六十億四千五百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、千七百十五億七千七百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定二千五百五十四億千七百万円余、都市開発資金融通特別会計千九億四千七百万円余、うち、「日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、七十三億二千三百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分四百九十億五千六百万円余、となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第七次治水事業五箇年計画の第三年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十二河川中小河川改修事業七百五十九河川について工事実施し、ダム事業では、直轄五十八ダム補助百七十四ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三十一水系及び十地区補助四千五十渓流及び九百六十二地区工事実施いたしました。  海岸事業では、第四次海岸事業五箇年計画の第四年度として、直轄十二海岸補助八百十四箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、第二次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の第二年度として、二千四百三十一地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第十次道路整備五箇年計画の第二年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道改良三千五百四十六キロメートル、舗装三千五百五十七キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設等整備事業維持修繕事業等実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第四次都市公園等整備五箇年計画の第四年度として、国営公園十二箇所、都市公園等二千二百十九箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第六次下水道整備五箇年計画の第四年度として事業実施し、管渠三千七百四十一キロメートル、終末処理場施設二百二十八万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百五十地区事業実施いたしました。  都市開発資金貸付事業につきましては、五十一箇所の用地の買取り等に対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第五期住宅建設五箇年計画の第四年度として、公営住宅三万五千五百九十三戸、改良住宅千七百七十戸、住宅金融公庫融資住宅五十五万五百五十戸、住宅都市整備公団住宅二万千五百四十二戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等建設を推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百箇所の工事実施いたしました。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、平成年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことは、誠に遺憾であります。指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算建設省についての検査概要に関する主管局長説明             会 計 検 査 院  平成年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項八件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一七〇号から一七七号までの八件は、補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事設計が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、補助金を過大に交付していたりしていたものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、住宅新築資金等貸付事業における宅地取得資金の貸付けに関するものであります。  建設省では、歴史的社会的理由により生活環境等安定向上が阻害されている地域環境整備改善を図るため、住宅の用に供する土地取得に必要な資金貸付事業を行う市町村に対し、貸付事業に必要な財源の一部として国庫補助金を交付しております。宅地取得資金は、自ら居住する住宅の用に供するため、土地取得を行おうとする者に対し貸し付けられるもので、借受人には、貸付けを受けた日から二年以内に貸付対象土地において自ら居住する住宅建設に着手しなければならない義務等が課せられております。  しかし、市町村において、貸付対象土地取得及び住宅建設状況把握指導を十分に行っていなかったこと、建設省において、市町村における貸付事業の適正な運営が図られるよう十分に指導監督を行っていなかったことなどにより、借受人貸付対象土地取得していなかったり、取得した貸付対象土地を無断で処分していたり、貸付対象土地取得していても住宅建設に着手していなかったりしている不適切な事態が多数見受けられました。  したがいまして、建設省におきまして、市町村が、これらの事態について是正措置を講じるとともに、貸付対象土地取得及び使用の状況住宅建設状況を把握できるような手段を講じるなどするよう指導監督を行うことにより、貸付事業の適切な運営を確保し、もって国庫補助事業の目的の達成を期するよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    平成年度住宅金融公庫業務概況           住 宅 金 融 公 庫  住宅金融公庫平成年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金付け五兆九千八百九十一億四千万円、関連公共施設等資金付け五十億円、宅地造成等資金付け一千八百一億八千万円、財移住宅資金付け三千億円、合計六兆四千七百四十三億二千万円でありましたが、その後、資金需要変動に伴い、貸付契約予定額住宅等資金付け六兆一千四百二十七億八千七百万円、関連公共施設等資金付け三十七億八百万円、宅地造成等資金付け一千百八億二千五百万円、財移住宅資金付け二千百七十二億三千八百万円、合計六兆四千七百四十五億五千八百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金付け六兆一千四百二十七億四千百十四万円、関連公共施設等資金付け三十五億四千九百四十万円、宅地造成等資金付け一千百八億一千九百二十万円、財移住宅資金付け二千百七十二億三千六百八十万円、合計六兆四千七百四十三億四千六百五十四万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、平成年度貸付契約に係る分三兆二千九百八十九億三百万円、前年度までの貸付契約に係る分二兆六千九百六十三億七千三百万円、を合わせた計五兆九千九百五十二億七千六百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計六兆三千九百七十六億二千四百万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金五兆五千十三億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金八百八十五億円、民間借入金一千二百三十二億円、財移住宅債券発行による収入一千六十七億八百万円余、住宅宅地債券発行による収入四百二十二億二千万円のほか、貸付回収金等から五千三百五十六億九千五百万円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金付け六兆八百三十八億六百八十四万円、関連公共施設等資金付け二十八億六千百九十万円、宅地造成等資金付け一千二百六十八億三千三百四十五万円、財移住宅資金付け一千七百四十八億七千二百二十二万円、合計六兆三千八百八十三億七千四百四十一万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、二千七百八十九億六千七万円余、率にいたしまして、四・六パーセント増となっております。  また、年度間に回収いたした額は、二兆四千九百六十六億八千五百四十八万円余でありまして、前年度に比べますと、六百九十四億八千五百四万円余、率にいたしまして、二・七パーセント減となったのでございます。この結果、年度貸付残高は、三十七兆七十五億三千三百七十一万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、三兆八千九百三十一億三千百八十九万円余の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、平成年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、二百十八億一千七百一万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、百九十億一千三百十九万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、平成年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千四百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千百六十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、九百十九億六千八百二十四万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額二兆七千七百億三千八百八十万円余に対し、二兆七千八百九十一億七千三十九万円余となりました。支出済額は、支出予算額二兆二千二百二十一億四千七十三万円余に対し、二兆二千百七十三億一千六百八十七万円余となり、支出より収入が、五千七百十八億五千三百五十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益二兆八千二百二十七億七千三百五十六万円余、総損失二兆三千五十二億二千五百二十九万円余となり、差し引き五千百七十五億四千八百二十六万円余の利益金を生じましたが、これは住宅資金融通事業に係る利益金五千百六十三億六千万円、住宅融資保険特別勘定利益金十一億八千八百二十六万円余によるものであります。  このうち、住宅資金融通事業に係る利益金は、住宅金融公庫法附則第十四項の規定により、特別損失を埋めるため一般会計から受け入れた交付金により生じた利益金でありますので、同法附則第十五項の規定により特別損失を減額して整理するとこととし、住宅融資保険特別勘定利益金は、同法第二十六条の二第三項の規定により同勘定積立金として積み立てることとしました。  なお、昭和六十二年度までの特別損失については、補正予算において交付金を四千六百九十五億六千万円増額して、一括整理することとしました。  以上をもちまして、平成年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    平成年度決算住宅金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明             会 計 検 査 院  平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
  4. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  5. 北川石松

    北川(石)委員 平成年度建設省国土庁決算審査に当たりまして質問の機会を得ましたことを深く感謝いたします。  最近、決算委員会が非常に軽くあしらわれているということを感ずるのでありますが、私は、国民の血税を使う決算委員会というものが一番大事なものではないか、こういう観点に立つものでありますが、両大臣はいかがお考えでしょうか。
  6. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生のお説、私も全く同感です。
  7. 井上孝

    井上国務大臣 非常に重要な御審議をお願いする決算委員会でございますから、一生懸命務めさせていただきます。
  8. 北川石松

    北川(石)委員 今両大臣が非常に重要だというところをお答え願ったので、私もまたこの決算委員会というものが重要なものであると考えております。  そこで、過日の、国民の声が国会に反映されていないというアンケートが七〇%以上のものがあるということを聞きます。また、知って、これではよくないと思っております。そういう観点から見ますと、私は、平成二年の十二月の二十五日だったと思うんですが、当時の佐藤国土庁長官に水の利用はどうなっていますかということをお聞き申し上げて、来年の春、三月ごろには出ます、こういうふうに答弁を願ったと思うんですが、その後つい最近、このなにが発表されたと聞いておりますが、国土庁長官はどう思われますか。
  9. 井上孝

    井上国務大臣 今北川先生おっしゃいましたように、平成二年の十二月の二十五日でございますか、閣議環境庁長官として北川先生から御発言があったことは私も伺っております。そのときに当時の佐藤国土庁長官年度内、すなわち翌年の三月中に木曽川フルプランも作成いたします、 こういう御返事をなすったことも伺っておりますが、実は、先生御承知だと思いますけれども、木曽川水利用につきましては、フルプラン地域が三重県の方に拡大するとか、あるいは、工業用水としてかつて予定をいたしておりましたものを水道用水、特に愛知用水で供給いたしておりました地域知多半島方面にも水道用水長良川から持っていくというような大きな計画改定がございましたので、大変作業がおくれました。ようやく去る三月二十六日に閣議決定をするという運びになりまして、二年ばかりおくれてしまいました。  今私が申し上げましたように、景気等も非常に変動をしておりますし、その作成に非常に時間がかかったということをどうか御理解を願いたいと思います。
  10. 北川石松

    北川(石)委員 フルプランを発表されまして幾多の矛盾点を感じますし、四十二年、四十三年でしたかな、閣議決定で、日本の経済の発展の中で水が必要だという決定をしている。今日までいろいろの紆余曲折を経てまいりました。私が環境庁長官のときに、今四日市も桑名も水は要らぬと言っておるし水の必要がない、水需要の必要はもう減少されたんだということを申し上げて、長良川河口ぜきは百害があって一利ないということを申し上げた途端に、これは治水のために必要ですと言う。何の治水のためだと言って、長良川をしゅんせつすると、探掘りすると塩水が遡上して塩害が出てくるというが、矛盾している。  こうなって、もう治水のためだ、治水のためだという声で大臣室に三百二十名の署名を持って、私のところへ早くやってくれと来たんだ。早くやりたければ建設省に行きなさいと僕は言った。違うんだ、あなたが反対されると困るからこれだけの署名を持ってきたんだ。それにお二方、両大臣署名をしていらっしゃった。僕は全部見たんだから。もう一遍見せましょうか。そのときの三百二十名の名前がこれにちゃんとあって大臣室に来ておる。これは、私は圧力と全然感じなんだ。治水のためにこれだけ気を使ってくれているんだな、こう思った。そこで、治水というものについては僕は淀川、大和川の治水対策委員長のときに河野建設大臣と討論をしたことがあるんだと言ったら、まあまあ頼むと帰ってしまわれたが、私はそういういろいろな観点から見て、建設省水利用が必要だという閣議決定したダム治水のためにだといって幅五メーター、長さ二十メーター、十三本くいを打ったら必然的に水圧を呼んできよる、治水じゃない、こういうことを力説したんですが今日まで工事が続行されておる。  この点について、水利用だと言われてこういうふうに変えて、そしてまたこの間フルプランを発表された。ところが、その水というものに対しては徳山ダムを初めいろいろなところの検討をすると、その発表に対して矛盾点を非常に感ずる。この点について両大臣はどう思われますか。
  11. 井上孝

    井上国務大臣 先ほど申し上げましたように、先般木曽川フルプラン閣議決定をさせていただきました。これはもう先生御承知と思いますが、平成十二年度を目標として水需要に対処するためにいかに水資源を開発すべきか、利用の合理化をどうすべきかというようなことが書かれておるわけでありますが、中部圏といいますか名古屋地方は、今後さらに発展することが期待されておる地域でございまして、また関係県からも、将来の発展や都市化の進展に伴う水需要増加というものに対処するために、水資源開発の促進が非常に強く望まれております。したがいまして、今回の計画におきましては、従来からやっております味噌川ダムあるいは長良川河口ぜき、さらにそれに加えまして長良導水事業というようなものも加えてフルプランをつくったわけでございまして、私どもとしてはあの地方におきます水需要、将来にわたる水需要に対してこういった事業が必要であるということを確信をして作成したものでございます。
  12. 北川石松

    北川(石)委員 ちょっと委員長のお許しを得て、このパンフレットを大臣初めみんなに配ってもらいたい。よろしくお願いします。
  13. 貝沼次郎

    貝沼委員長 ばい、了解しました。
  14. 北川石松

    北川(石)委員 では、お配りを願います。  今国土庁長官から御答弁を受けたんですが、その矛盾点を、私が入手したものによって一応御検討願っておきたい。これは当面形にならないだろうが、皆さんにも御承知を願っておきたい、こう思っておる次第であります。  そこで、岩屋ダムとか徳山ダムとかいろいろなダムが上流にありまして、上水道を初め工業用水、いろいろなものに寄与しているんですが、長良川河口ぜきが水に貢献できるということは私は感じない。感じない。しかも、こういう矛盾点がありながら河口ぜきを強行することは非常に好ましくないという観点に立ちます。それは、最近の日本の政治というものが国民の信頼を失ってきている。失うんじゃない、嫌悪の感まで抱かしめるようにいろいろの問題が惹起されて、まさに国会というものがこれでいいのか、私は法は正義なりという教えを受けておりますが、法をつくるべき国会が国民の信頼を失ってしまっては成り立っていかない。そういう観点を見ますときに、国民の信頼を得るためには、このように矛盾点の多い、国民の血税を使った河口ぜきというものはこの際私は考え直す必要があるんじゃないかと思いますが、両大臣はいかがですか。
  15. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えいたします。  先生のこのことに対するそういった姿勢、お考えがあるということは私も前から承知はしておりますが、このたび建設大臣に就任をいたしまして私も現地を視察させていただきました。そして現地の方々からもいろいろの御意見を聞かせていただきましたし、また、このことに対しましては地元の三県、あるいは一市八町一村、その他民間団体、農業団体、水防の関係者、たくさんの方々がこの河口ぜきの一日も早い完成を願っているということも一方で事実でございます。  今年度予算すべて消化を終わりますと九十数%が完成するといった状況でございますので、建設省としては、本計画に基づいて河口ぜきを初めとする水資源開発事業促進に努めて、中部圏の発展のために必要な水資源の確保と、木曽川水系の頻発する渇水、あるいは治水、こうした問題に地域の皆様方の要望にこたえていくために、予定どおり事業を進めさせていただきたい、このように考えております。
  16. 北川石松

    北川(石)委員 憲法の中で、第三章の十五条に、我々にこうしなくてはいかぬよということを規定している言葉がございますが、御存じですか、十五条。その中に、このように教えを受けておりますが、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民国有の権利である。 すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こういうようにうたっておる。私はこのことは非常に重要であろうと思いますし、建設省あるいは国土庁が一部の奉仕者であってはならない。ましてやこの公務員というものは代議士を指して言っている。「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」こういうふうにうたっておるのです。このことを心するならば、私は、両大臣とも国民に選ばれた優良な代議士であると思います。  その点に立って長良川河口ぜきについて、昨夜も私が駅で東京新聞を買いましたところ、梅原先生はこのように言っているんですね。「思うままに」と書いているところに「政治改革の第一歩」として、「浪費され続ける血税」というところに長良川河口ぜきを取り上げていらっしゃいます。そして、長良川河口ぜきの中止から国民の血税の浪費は助かるんだというふうに言われている。そういう観点から見ますと、当初二百三十五億の予算計上が千五百にふえ、現時点ではまさに二千億をオーバーしようとする、この膨大な予算長良川河口ぜきに消費するよりも、この際決断を持って一応中止する、そしてその予算を国全体の中で潤いのある社会奉仕に投資したらどうだろうか、私はこういうふうに思いをいたしますが、いかがですか。
  17. 貝沼次郎

    貝沼委員長 岩井河川局長。(北川(石)委員「いや、大臣だよ。こういうのは大臣だもの。ならぬ。大臣。こんな重要な、国民奉仕のことを言っているときに」と呼ぶ)
  18. 岩井國臣

    ○岩井政府委員 技術的な話がありますので……。(北川(石)委員「質問者が言うんだよ」と呼ぶ)
  19. 井上孝

    井上国務大臣 北川先生に今さら申し上げるまでもないことでございますが、水資源の開発というのは、その地域あるいはその河川の河状によって非常に限定をされたものでございます。例えばダムをつくる地点も非常に少のうございますし、せきをつくる地点も非常に少ない。そういうところが、今の経済効率のもとでいろいろな施設をいたしますと二度とやれなくなる。土木工事全般にそういうことが言えるわけでございますけれども、この木曽川につきましても、特に長良川河口ぜきのところにおきましては、あるいは目標年次において水需要をオーバーするようなキャパシティーのものができるかもしれませんけれども、それはさらにそれより先の将来に向かっての需要に対応するために、現状では大き過ぎる、過大だというようなものも、やはり二度と開発、建設ができませんから、なるべく将来にわたって需要を充足できるような施設をつくるということから、こういうものが目標年度におきましては需要をオーバーするということも、こういった土木工事においては許されていいのではないかと私は思っております。その点、先生とはちょっと見解が異なるのかな、こういう感じで承っておりました。
  20. 北川石松

    北川(石)委員 いや、見解の相違点をあなたから言われるけれども、私は、水の需要ということと将来を考えたら、いろいろの角度から先見性を持って、水の確保ということは重大なことである。どうですかな。ぞうお思いになるでしょう。水確保は重大である。しかしながら、長良川河口ぜきについてはいろいろの矛盾点があるじゃないか。先ほどグラフをお配りした。こういう矛盾点を承知しながらやるということは好ましくないということを申し上げておる。  特に私は、政策の転換ということは重要である。過日も委員会で申し上げましたが、占領当時マッカーサー司令官が昭和天皇の御徳、御稜威、そして御みずから私こそと言われた、それに感激して大転換をしたのが今日の日本の繁栄を来しておる。もしあのときにマッカーサーが占領政策をそのまま実施したならどうなっておるか。今日の日本はないじゃないか。こういうことを考えますときに、長良川河口ぜきは、中村建設大臣が大英断をもって一時中止してでも再検討する必要があろうと思う。  ということは、水利用一つについても今日まで明確な結論が出ていない。せかないんだよ。せかなければ一応工事を中止して再検討して、その政策の転換をやって国民の負託にこたえてこそ国会であり、各行政庁であろうと私は思う。国民の血税を、ただ予算が通ったから唯々諾々として使う、それは害があって益がない。そんなものに国民の血税を使っていくならば、国会としてこれを許してはならない。それが決算委員会である。国民の血税をいかに使ったかということを審査しながら、これはよくない、よくなければやめなければいけない、大蔵省予算をつけてはいけない。それを、長年の風習の中で唯々諾々としてやっていくならば、マンネリの中で政治というものは疎んじられ、「年を経し糸のみだれのくるしさに」となってしまう、音読みで言って悪いけれども金竹小と言われるような形の中で、国会の汚職問題が出てきて不信を生んでおるじゃないか。  これを思うときに、私は、この際両大臣が謙虚にそして真摯に、先見性を持ってこの点について再検討していただきたい、このことを申し上げておきたい。御決意を聞かせていただきます。
  21. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  北川先生とは、五十一年に一緒に当選させていただきまして、日ごろから先生の御意見に対しては非常に敬服しておりますが、この問題につきましては若干、先生と私の考え方に依然距離があるということが否定できないわけでございます。  と申しますのは、客観的な条件として、我が国のゼロメートル地帯の中で濃尾平野は、先生御承知のとおり三五%を占めているわけでございます。こういった水に弱い地域であり、そしてそのはんらん地域に住む方が人口で約六十七万人、資産にして三兆八千億円の資産があるわけでありますので、こうした治水事業を進めながらこの地域の人たちの生命と財産を守らなければならないということも非常に大きな課題であると私たちは考えておりますし、また、御指摘をいただきましたように、大体一千五百億円、先ほど二千億というお話がございましたが、一千五百億ぐらいの予算てほぼ完成に近づいてきている、このように思っておりますので、先生の御意見は一つの意見として参考にさせていただきますが、この計画を基本的に進めさせていただきたい、このように考えております。
  22. 井上孝

    井上国務大臣 北川先生の御意見、私ども謙虚に受けとめさせていただきます。しかし、先ほども申し上げましたけれども、やはりこの地域の発展のためには将来を見越して、先生のおっしゃいます先見性を発揮して、こういった施設が必要であると確信を持ってやっておりますし、また、それは私どもが軽々に決めたわけではございません。木曽川フルプランにつきましても、水資源審議会において長い間、先ほども申しましたが二年もかかって、予定よりも二年も余計かかって審議を尽くして決めたものでございます。私どもは、このフルプランに沿って水資源開発の仕事をやっていくという決意でございます。
  23. 北川石松

    北川(石)委員 先ほど局長が答弁されようとしましたが、大蔵省、どうですか。こんなものでも引き続いて予算計上をしていく考えはありますか。大蔵省、ちょっと答弁してください。
  24. 田村義雄

    ○田村説明員 ただいま両大臣から御答弁ございましたように、私ども大蔵省といたしましても、平成年度予算編成に当たりましては、自然環境の保全に万全を期しながら、治水、利水上の緊急性にかんがみて、地元とも十分連携をとりつつ事業を進めるという従来からの基本方針に従いまして、環境保全には万全の対応を図りつつ工事実施すべく適切な予算措置ということでこの額を認めたものでございまして、今後とも十分関係省庁と連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。
  25. 北川石松

    北川(石)委員 大蔵省がそういうあいまいなことでは、国の財布を任すことに非常に悲しみを覚えると言わざるを得ない。これは大臣が見えておられないのでまたの機会にそれは質問するとして。  過日、三月三十一日に、伊藤さんから大臣と、差し押さえの裁判が出ておりますね。これは御承知ですか。伊藤昌幸さんから申し入れ書が建設大臣、そして裁判としてこれを、差し押さえのなにを出しておる。これはどういうことですか。——では、先に進みます。そのことを調べておいてください。  ちょっとこれは先ほど来のなにがありますので申し上げておきたいが、前の近畿地方建設局長は定道さんでしたか、そして、昨年といいますか平成四年六月五日に東京第12チャンネルから、秦野章元参議院議員、この方と山崎建設大臣が、ここにおられないが、テレビ番組で名を出して、元環境庁長官北川石松という名を出しながらの放映をしたことを、建設省は認めますか。
  26. 中村喜四郎

    中村国務大臣 実は、この質問が出まして私初めてそういうような事実があることを知ったという状況で、大変申しわけなく思っておりますが、報告によれば、山崎前大臣長良川河口ぜきの必要性、緊急性について秦野章氏と対談をされたと聞いております。北川委員環境庁長官在任中の平成二年十二月十八日に河口ぜき問題に関する環境庁長官の見解を出され、翌日建設大臣と会談をされたことは承知しております。それに基づいて三年度環境の追加調査が実施されたと報告を受けております。
  27. 北川石松

    北川(石)委員 私は、みずからの悪口を言われ て、私みずからが頭から小便かけられてもいつかは肥やしになる、関東軍でも半殺しにされるほど殴られてきた男だから、少々のことは笑って過ごしてまいりました。また今もその気持ちでありますが、名前を出して差別とかいろいろ言われているときに、いやしくも、省がですよ、代議士の名前を出して、あの答弁。大臣はまだあのテレビを見ておられないんだよ。あのテレビを見られたらどのように感じられるか。ここらを一遍説明してください、建設省局長。このことについて、山崎大臣みずからがこれを仕組んだのか、建設省が故意によってこのような放映をし、一代議士を公のテレビの前でこれを——これこそよくないと思うが、どうですか。
  28. 岩井國臣

    ○岩井政府委員 ただいまの御質問にお答えいたす前に、先ほど仮処分申請の話が出ましたので、その点についてちょっと答えさせていただきたいと思います。  去る三月三十日に津地方裁判所四日市支部に対しまして、南松ケ島漁業組合の組合員等が水資源開発公団を相手取りまして、長良川河口ぜきを建設し、せきゲートを閉鎖してはならないというようなことを求めまして仮処分申請を行っておられます。  申請の理由は、債権者などの漁業に関する権利について正当な補償が行われないまま河口ぜきが建設中であって、このままでは河口ぜきの建設と完成によって債権者らの漁業に関する権利が侵害される、そういう理由からでございます。  若干補足させていただきますと、河口ぜきの着工に当たりましては、昭和六十三年二月までに関係する二十二のすべての漁業協同組合から着工同意をいただいておりまして、現在までに二十一組合と補償契約につきましても妥結済みでございます。問題の南松ケ島漁業協同組合につきましても、昭和六十二年一月に着工同意をいただいておりまして、漁業交渉をずっと行ってきておるわけでございますけれども、組合内部でちょっと紛争があるようでございまして、組合側から交渉の一時中断の申し入れがございました。現在補償交渉そのものにつきましては中断しておるということでございます。  今後、訴状の内容を検討の上、長良川河口ぜき建設の重要性を踏まえながら適切に対処してまいりたい、このように考えております。  さて、先ほどのテレビ放映の件でございますが、一般的に申し上げまして、私ども行政府が施策の内容について国会議員の先生方にいろいろ御説明をする、御意見を賜るというようなことはあるわけですが、かりそめにも圧力をかけるというふうなことはあろうはずもございません。したがいまして、放映の件につきましても、私ども建設省としては一切関知していないところでございます。
  29. 北川石松

    北川(石)委員 言葉はどうでも使えるけれども、関知していないと言うなら、いやしくも現職の大臣が12チャンネルで放映しておるんだ、日本全国。こんなもの、建設省は関知していないと言ったらおかしいじゃないか。そういう物の言い方を決算委員会で答弁することは、それは官僚意識であるならば民主主義とは言えない。時間がないので非常に残念だが、それは後日、再総括において総理を初め全員に、大蔵省にも質問したいということを申し上げておきたい。  なお、裁判されておることについては、漁業補償その他について非常に矛盾点があるのです。これはきょう委員長も皆さんも初めて聞かれる方があると思うが、その補償費トータル、あるいは輪中の改良事業だ、いや一つは県補償だ、どこだ、皆組合全体に反対の機運の高いときに、水資源公団が出した金は何ぼだということを私が平成三年の十月三日の決算委員会で大塚建設大臣に聞いたって、プライベートだといって言わない。決算委員会というものは、国民の血税をいかに使ったかというところを審議するこの会において当所管の大臣が答えられない。  どうですか、事務局。微細にわたって答弁できますか。じゃ、どこに何ぼ、どこに何ぼ、そのトータルは何百億ということを答弁してみなさい。
  30. 岩井國臣

    ○岩井政府委員 水資源開発公団におきましては、昭和三十七年に閣議決定されております公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものに基づきまして、関係漁業協同組合とも十分話し合いを行いながら適正な補償を行っているところでございます。  しかしながら、先生指摘の補償金額の問題あるいは算定根拠を明らかにするということにつきましては、一つは、その内容が被補償者の財産及び営業内容等のプライバシーにかかわるものを含んでおるというようなこと、それから二点目には、まだ未解決の組合が残っておりまして、任意交渉を前提に行っている補償交渉に支障を来すおそれがある、また他の同様の公共工事への波及も懸念される、以上、主として二点のことから従前より公表を差し控えることとしておるので、御理解を賜りたいというふうに思います。
  31. 北川石松

    北川(石)委員 通り一遍の、決算委員会だけを何とか時間を過ごして終わった、それだけで済まされるものじゃないということを申し上げたい。  持ち時間がないということでここにそちらから持ってこられたので、きょうは時間を守らなくちゃいけない。この苦しさの中において重ねて申し上げておく。あいまいもこたるもの、しかも矛盾点の多いもの、しかも国民の血税をいかに使うかということ、東北新幹線百三十億は大変有意義に使われる、こういういろいろの点を指摘しながら、総括において再度ただすということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  重ねて申し上げておく。両大臣に、この工事を一応中止して再検討していただくのが、日本国全体、国民に対し、また世界的にもこれは問題にされておる、このことをあえて指摘をし、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  32. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、小森龍邦君。
  33. 小森龍邦

    ○小森委員 まず建設大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今日、政治の面において大変大きな問題となっております建設業者の政治家に対する献金、こういうことに絡みまして、建設業者が多額の金を政治家に献金という形てつぎ込むということの一つの大きな条件といたしまして、指名競争入札、それに対する政治家の介入、指名競争入札でありますから、当然その指名に入る業者の数が限定されておるし、言うなれば、顔見知りの者ばかりということで談合がやりやすい、こういう状況があると思いますが、指名競争入札ということについてこの際、今日の政情にかんがみて建設大臣はどういう考えを持っておられるのか、お知らせ願いたいと思います。
  34. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  公共工事につきましては、物品の購入と異なりまして現地の組み立て作業とかあるいは単品受注等の特殊性から、施工能力の劣る業者の方が仕事をとるということが誠実な業者を排除するという、また疎漏工事の防止を図る、そういった点で現在まで指名競争入札をとっているところでございます。  このことにつきましては、イギリスにおいても以前指名競争入札から一般競争入札に変えたこともございましたが、その後、先ほども申し上げましたような問題が起こりまして、一九六四年にバンウェル委員会報告によって指名競争入札を採用したという経緯もございます。  こうしたことで、御指摘をいただきましたような現在の指名競争入札の問題点を平成四年十一月に中建審において、一層透明性と競争性を高めていかなきゃならないという課題も一方にあるわけでございますので、このことにつきまして答申があり、昨日、建設省の方から、五年度から大規模で技術的な高度な工事七十一件につきまして技術情報募集型指名競争入札方式及び施工方法等提案型指名競争入札を導入するということを発表したわけでございます。このことによりまして、建設業者みずからの意欲に応じて幅広い入札参加がで きるということ等、一般入札方式の長所を最大限に生かすことになる、このようなことで良質な施工を確保することもできるということで、従来よりも、仕事を公開することによってその中で技術に応じた参加できるようなチャンスが生まれてくるということは大きく確保できた、このように考えております。  その上に、現在建設省の内部におきまして、全局長をメンバーにいたしました入札手続改善検討委員会というものをつくりまして、大体一カ月ぐらいの間に結論をまとめようということで今作業を進めておるわけでございます。そうすることによって、さらにこの手続の段階での透明性というものも確保することによって公共事業のなお一層適正かつ厳正な執行に努めていきたい、このように考えております。
  35. 小森龍邦

    ○小森委員 建設大臣は、現在の段階で建設業関係者、つまり指名競争入札に参加する業者の間において競争の原理が生かされておるという認識を持っておられますか、それともまたその逆ですか、どちらですか。
  36. 中村喜四郎

    中村国務大臣 私は、現在法律にのっとって適正にそうしたシステムが運用している、このように考えております。
  37. 小森龍邦

    ○小森委員 大臣が言われるように本当にそれが適正に行われておるというのであれば、例えば入札をする業者間における入札価格というものに相当程度開きがなければ本当に競争しておるということにはならぬと思いますが、そういう点については、例えば一つの工事について建設大臣はそれを見ようと思えば見れる立場にありますが、そういう数字的なことから見て本当に適正な競争ができておるというふうに思われていますか。
  38. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 お答えさせていただきます。  個別具体の入札のあり方、結果については私どもその都度公表させていただいております。そういったことでオープンになっておるわけでございますが、今先生の御質問にまとめてどうかと言われますが、大体大宗的には予定価格に対して九十数%から一〇〇%に近い間でもって札が入れられ、落札をしているという状況でございます。それに至るまでの間には一回あるいは二回でというふうな入札の回数を数を踏むことが間々ございますが、いずれにしましても、私どもは、予定価格の設定並びに入札の手続については厳正にやらせていただいている、こう確信いたしております。
  39. 小森龍邦

    ○小森委員 今、九十数%から一〇〇%の間に入札の札がある、こういうことでありますが、世間一般のその他の業界において、本当に入札で落札を期待しようと思ったらそういう幅の狭いところへ入札の札が集中すると思いますか。
  40. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 率直に申し上げまして、一遍で予定価格をクリアして落札者が決まるというケースもありますが、今申しましたように、間々二回、三回ということもございます。そうすると、御案内のとおり、業者の方はより高いところからより低い方へ、こういうことになってまいりますので、その幅が何%だから適正な競争があっなかなかったかとかという判断は、一概には申し上げにくい。  いずれにしましても、先ほど申しましたように、入札のプロセスというものは全部私ども公開させていただいておりますということで、先ほどの透明性については、そういう答弁をさせていただいた次第でございます。
  41. 小森龍邦

    ○小森委員 これはひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。  確かに、最初は予定価格よりも高いところで入札するでしょう。これは業者の間ではそういうやり方をどういう言葉で表現しておるかというと、つまり、ちょっとさわってみる、どの程度のものか味を聞いてみるという意味で、ボーリングという言葉が使われておる。わかりますか、大臣。ちょっとボーリングをしてみて、当たるか当たらぬかやってみるということです。そして結局、手探りをしながらいって、ここらだ、こういうのもありましょうし、あらかじめ予定価格というものを何らかの形で察知して、そして一遍に落としたのでは談合が明確になる、こういうことで何回か芝居をするために、そういうふうな入札の仕方をする者もいるのです。  あなたはそういう事情を知っていますか。大臣、ちょっと答えてみてください。
  42. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生から御指摘をいただいたボーリングという言葉も、私、正直言って初めて聞く話でございまして、今のようなお話も今まで一度もまだ聞いたことのない話で、大変申しわけなく思っております。
  43. 小森龍邦

    ○小森委員 ボーリングという言葉は二通りの使い方がありまして、官公庁に対してそれとなくいろいろな話を持ちかけて、おおよそ底値がどのくらいかということを知る方法もボーリングという言い方をしておるのですよ。それから、徐々に入札価格を下げていって、そして大体のところの探りを入れるというやり方もボーリングというのです。  そんなことを、今官房長がいかにも公正にやられておるのだと言われるけれども、事情を知っておる者が聞いたらばからしくてかなわぬです。今、公正な競争が行われていない日本の業種の中では、その最たるものは建設業ですよ。つまり、公正な競争が行われない制度的な問題点というのは、いわゆる指名競争入札ですよ。  先ほどちょっと私はよく聞き取れなかったけれども、その指名競争入札について今どういうことを考えておられると先ほど答弁されたのですか。何かちょっと手直しをするようなことを言われておりました。もう少し明確に言ってみてください。
  44. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  今回から大規模かつ技術的に高度な工事七十一件について、技術情報募集型指名競争入札方式及び施工方法等提案型指名競争入札方式を導入する、このようなことをお話しを申し上げました。このことによりまして、業者の方が、七十一件、十億以上の仕事が昨日公表されましたので、その中で、自分の会社の技術力に応じて応募をし、そして厳正な審査が行われ、その結果、決まった業者または外れた業者に対してはどういう理由で外れたかということも明確に説明をしながら、こうした入札制度の透明性、競争性を確保していきたいということが一つでございます。  そのほかに、入札手続改善検討委員会というのを現在省内につくりまして、入札手続の透明性というものをさらに増していくために、一カ月以内に結論をまとめるように、今これを取り組んでおるということを先ほど答弁させていただきました。
  45. 小森龍邦

    ○小森委員 指名競争入札というものも、あえて説明すれば、その会社の技術力とか、その会社のいわゆる工事完成高とか、これは国もそうだし地方公共団体もそうでありますが、ランクを決めて、そして説明からいえば公平にやっておるという説明が返ってくるのですよ。しかし実際には、今回の金丸の事件でもわかるように、政治家が電話を入れて、だれも落とさぬようにしてくれとか、だれをひとつどうしてくれとかいうことの介入があって、しかも表向きはランクによって公正にやっております、こういう説明が成り立つのです。  だから、今大臣が答弁されたように、多少技術力だとか、いや提案型だとかと言っても、この提案がよかったとか悪かったとかということについて、やはり先ほどのような権力側の恣意が働くでしょう。私は、そういうことの方がむしろ恣意が働くと思いますよ。君のところの設計はここがうちの行政庁からすれば気に入らぬからだめなんだ、そういうふうな、つまり建設省の、指名をする側の権力の恣意、そういうものが働く可能性が一層大きくなるとは思いませんか。
  46. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げさせていただいたことに尽きるわけでございますが、今度私どもが新しく導入する技術情報募集型指名競争入札制度というものについて、今 先生の御懸念を賜ったところでございますので、少しく詳しく申し上げたいと思います。  私ども、具体的にはもう既に七十一事業を公表いたしました。言うなれば、今年度この七十一の事業については新しい方式でやりますよということを、情報として広く提供させていただいたわけでございます。  そういった上に立って具体的にどう進めるかということでございますけれども、まず発注者は、指名行為をやる前に工事内容を掲示してオープンにいたします。二つ目に対象ランク、これは十億円以上の工事ですからランクはおのずから高い方になりますけれども、すべての登録業者がこれに対して対応できるようにということが基本でございまして、みずからの意思でもって、過去の実績、あるいは配置予定の技術者、その工事の現場にどれだけの予定技術者をつけるか、あるいは施工方法、こういったもの等々を示す技術資料を提出していただくということで、いわば参加希望を表明していただくということが次のプロセスでございます。  それに対しまして、今度は私ども発注者側でございますが、技術審査会というのを、端的に言うと各地方建設局単位、発注機関単位につくらせていただきまして、これは複数の合議制のものでございますので、ここで厳正に審査を行うという手続をとらせていただく。しかも次に、不合格の者が出てまいりますので、これは不誠実な行為がない限りは指名する、逆に言えば不誠実な行為をした者は不合格にせざるを得ない、こういうことです。しかも、その不合格者に対しましては、非指名の理由を求めに応じて説明する、こういったかなり丁寧な手続を踏ませていただくことで手続を具体化しようとしているわけでございます。  そういった意味で、先生の今の御懸念、いわば行政の側、発注者側の恣意が働くのではないかということでございますが、私どもとしては、こういった合議制等々の機関も設けながらオープンなシステムでやるというところには毅然たる厳正な対応をしていきたい、こういうことで御懸念の点については排除できるもの、こう考えておるところでございます。
  47. 小森龍邦

    ○小森委員 そういう事前にみんなに物をわかるようにする、そうなると余計に今度はだれとだれが入れるということが業者にはすぐわかるでしょう。そうすると、すぐに横の連絡がとれてまたやるじゃないですか。談合をまたやるじゃないですか。もっと厳密な意味で談合をやろうとしてもできないような制度は考えられないのですか。
  48. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先ほど来申し上げております新しい方式というのは、本当の意味でやる気があり技術を十分駆使できるという企業は、積極的意思があるものは全部指名させていただくということでございますので、今先生がおっしゃった談合問題と絡められますと、私どもちょっと次元が違う話になってしまって恐縮でございますけれども、少なくとも直轄の現場においてこういうことを徹底してやってみたいということが今回の本意でございますので、その辺ひとつ冷静に見守っていただければ、このように思う次第でございます。
  49. 小森龍邦

    ○小森委員 今日の状況では、あの工事は何々建設がとるとか何々組がとるとかということは、もう三カ月も五カ月も前から田舎では、地方ではばあっと通っておるのです。そして、あの人がとるからといって、まだ落札せぬうちから下請の話が次々進んでいくのですよ。下請、孫請、ひ孫請ぐらいまで進んでいくのですよ。そういう現状を知っておる者から言うたら、あなた方が言われるようなことは信用できないよ。  本当に談合というものをなくさない限り、公正な競争という民主社会の秩序が実現できないし、そこからつまり政治家との変な問題が生まれてくるわけでしょう。本当にぎりぎりの競争をしようと思うたら、やみ献金なんかできないですよ。生き残れるかどうかというようなぎりぎりの商売をしておって、やみ献金なんかできないですよ。つまり、先ほど言ったように、落札価格と、底値というか敷札というか、いわゆる落札予定価格ですね、それとの間に非常に接近したものがある、また接近したような形で落札できるというところに、少々金を出したってそれは保険金を掛けたようなものだ、こういうことになるわけでしょう。  そういうこれまでの問題点を考えた上で再度、建設大臣、あなたは今日の現状をどの程度深刻に受けとめられておるのか、ひとつ説明してください。
  50. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  私も、今日の現状は非常に深刻な状態だ、このように考えておりますので、国民の公共事業に対する信頼を回復しなければならないという非常に大きな危機感を私自身も持っておりますし、また建設省も、この機会に一層緊張し、そうした国民の不信を招くことのないようにさらに体制を強化しなければならない、このような基本的な考え方は先生と全く同感でございます。  私が今答弁させていただきました中で、平成年度建設投資が全体で八十二兆円ございます。その中で、政府関係投資が全体の三二・六%、二十六兆九千億円でありますが、ちょっと細かい話で恐縮でありますけれども、公共事業関係費が十五兆一千億円であります。そしてその中で、直轄関係が二兆八千億円ありますが、建設省分が一兆四千億円でございます。そうなってまいりますと、地方単独、補助事業その地合わせて十九兆円のうち、建設省関係のシェアというものは全体で一兆五千億円でありますから、五・六%ではありますが、このことが今回実施されることによって、関係省庁も建設省の新しい考え方というものを当然採用し横並びにしていくことができるならば、かなりそういった面での透明性、競争性は確保できる。  このように考えておりますので、その上は、自治省を中心とした都道府県知事、市町村、こういったところまで、いかにして透明性、競争性を確保できるかということについて御理解と御協力をいただくことは、先生指摘をいただいたような問題の解決の具体的な方法であろう、このように考えております。
  51. 小森龍邦

    ○小森委員 官房長の答弁に関係して、官房長、再度あなたにお尋ねしてみますけれども、あなたは私の質問に対して、今日の段階において入札というものは公正に適正に行われておるという意味のことを先ほど答弁されたでしょう。それが官僚的答弁というものですよ。今大臣は、非常に深刻な憂慮すべき状態だと言ったでしょう。どういうことなんですか、あなたと大臣の答弁の違いは。
  52. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 公共事業のいわゆる入札一般について申し上げたとすれば、私の答弁、いささか舌足らずということでお許しいただきますが、私申し上げましたのは、建設省が行っております直轄工事については私ども職員一丸となって本当に襟を正す、あるいは緊張して入札事務に当たっているということから、私は先ほどそういう御答弁を申し上げた次第でございます。
  53. 小森龍邦

    ○小森委員 建設省の職員が堕落しておるというようなところまで私は言っているんじゃないですよ。それは中には、わからぬですよ。例えば、わからぬように大体の見当がつくように予定価格を漏らしておる者がおるかもわからない。それはそういうことがずっと行われれば、やがてはれて刑事事件にまで発展すると思うけれども、今の段階で私はそんなことを言っているんじゃないのですよ。  問題は、指名競争入札という今日の制度において、業者が横の連絡をとって、やれ研究会だとか、いや何とかの会合だとかいうことをやって、今度はおまえがとる番だ、その次はわしたというようなことが、既に順番が決まっておるというようなことが問題なんですよ。そこを言っておるわけで、それはあなたの先ほどの、今言いかえた答弁ならそれはそれで筋が通りますけれども、余り官僚的な答弁はやめなさいよ、これほど国民が今心配しておるのですから。本当にこれは深刻な問題として受けとめてもらわなければならぬ。  それから、今度の入札制度はこういうふうにす るんだということについても、私は大きな懸念を持っています。何となれば、日本の権力の構造というもの全体が極めて恣意的ですから。だからランクを求めたときも、恣意的な指名競争入札をやってはいかぬからランクという制度ができたのですよ。しかし、そのランクという制度ができても依然として同じじゃないですか。ランク内で何をやるかわからないじゃないですか。ということだから、これはひとつ本当に、言葉だけでなく腹の底から深刻な問題として受けとめてもらわなければいかぬ、かように思います。  今日の問題がいかに深刻であるかということを明らかにしたいと思いますから、現在の段階で入札予定価格と実際の落札価格というものがどういう状況になっておるかということを、余り細かいことまで言われないと思うけれども、限られた時間ですから、ちょっと可能なところを言ってみてください、どのくらい接近しておるか。今、九十数%から一〇〇%の間ということを言いましたが、ちょっと簡単に説明してみてください。
  54. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先ほどちょっと御答弁させていただきましたけれども、予定価格自体が秘密であるということからしまして詳しいことは御勘弁いただきたいと思います。  そうは言いながらも、予定価格に対します落札価格の割合というものは、正直言いましてこれは個別事案ごとにさまざまでございます。そこで私ども、先生の御質問を賜るということも含めまして、最近の事例についてある地建の例を調べてみましたところ、平均的には九九%近いものになっております。ただ率直に申して、事案ごとには九六%から一〇〇%にかなり近いものがある、こういうことでございまして、そのことを先ほど私、九十数%から一〇〇%近くというふうに御答弁申し上げた次第でございます。
  55. 小森龍邦

    ○小森委員 積算の基礎というか積算の能力というか、それは今日、官僚が一つの工事に対する設計書をつくって、そしてそれに単価を入れて積算をするということと、大企業、建設会社がそういうことを積算するということはそんなに能力的に違わないから、だから九九%だってその面からだけ見たら決して不思議じゃないのですよ。  問題は、競争の原理から見て九九%ということはあり得ないのですよ。これは談合しておる証拠なんですよ。そこをまじめに官僚側が受けとめて問題の解決をしなかったら、幾ら先ほど提案されたようなことをやったって、結局は競争の原理が働かずに、一割とか二割とか余計な税金の食いつぶしになるじゃないですか。そして、それが税金の食いつぶしならいいけれども、それだけにとどまったらまだいいけれども、やがては政界の腐敗と堕落じゃないですか。これはきょうあなたがそういうふうに九九%という言葉も出されたので、私はますます談合をしておるという確信を持ちますよ。この点は、政府部内において本当の意味でここを追及するという気持ちがなかったら、幾ら制度を変えたって同じですよ。  だんだん時間が迫るから次の問題に移りますが、今日段階においてJVというものが、もとを言ったら、これは大企業と中小企業の仕事の分野、中小企業がなかなか大きい仕事に参入できないということで大企業と組んで、そして中小企業の仕事の分野も確保しようではないか、そして、次第に会社の内容も充実できるような工事の経験もしようではないか、私はそういう意味だったと思うが、最近はどうですか。それは田舎の地方自治体の工事については、あるいは名目的にJVを組んでおるところもありますよ。しかし、これは事実上のJVじゃない。下請関係です。今どうですか、このJVについてはどういう評価をしておられるわけでありますか。大企業と大企業同士が組んで、言うならば一つのものを二つに分けて食べる、談合をするためには、一つのものを一つとしておったのでは談合の順番が来ないから、それを二つに分けて、あるいは三つに分けて談合の調整弁みたいになっていませんか。そこをちょっと答えてみてください。
  56. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  ジョイントベンチャー、共同企業体でございますが、これは先生指摘のとおりでございますけれども、当初は、建設工事における技術の拡充強化とか、経験の増大とか、工事施工の確実性の確保というようなことから大と大でまず組み合わせが始まって、お互いの技術交換みたいなことが始まったわけで、それは二十五年ごろから導入されまして、以来活用が図られてきておりますが、その途中経過におきまして、御指摘のように、単に受注機会を確保するための共同企業体といったようなものがある程度行き過ぎみたいな形で事例が散見されるようになったわけでございます。  そこで、昭和四十一年ごろからはこのようなジョイントベンチャー、要するに受注機会を確保するためだけのジョイントベンチャー、そういったものは行うべきではないというふうに指導してきたところでございます。  こういったことを受けまして、昭和六十二年八月にジョイントベンチャー、「共同企業体の在り方」という中央建設審議会の答申をいただきました。その中では、公共工事はなるべく発注は単体発注を原則としてほしい、基本としてほしい、どうしても共同企業体を活用する場合には二つの場合に限定してほしいということに答申ではなっておりまして、一つは、特定建設工事共同企業体という大規模の工事の組み合わせでございまして、大規模かつ技術的難度の高い工事の施工につきまして、技術力等を結集することによって工事の安定的施工を確保する、そういう結成の仕方というのを一つ出しております。それからもう一つは、中小建設業者が継続的に協業関係を結ぶジョイントベンチャー、そういうことによりまして経営力、施工力を強化するという目的で、これを経常建設共同企業体といっておりますが、この二方式にしてほしいというふうに言っております。  特に大手が組み合わせいたします特定建設工事共同企業体につきましては、大規模な工事でなくてはいかぬということで、価格が少なくとも二ないし三億円程度を下回らない、要するに二、三億円以上のものにするとか、技術的難度の高い工事にするとか、構成員の数は原則として二ないし三社とする、こういうような一定の基準を設けたところでございます。  したがって、単に受注機会を確保するためのジョイントベンチャーは考え方としては認められてないわけでございますが、このようなことにつきましては、建設省としては、直轄工事では極力励行するようにしておりますが、これも先生指摘のとおりでございますけれども、この答申の基本的な考え方が必ずしもまだ浸透してないというところが問題でございまして、これにつきまして、極力指導、徹底周知していくという努力をしているところでございます。
  57. 小森龍邦

    ○小森委員 ジョイントベンチャー、大企業同士が組んでおるというのがよく看板などで、自動車で道路を走っておってもよく目につくのですが、田舎においては、時たま大きな工事が出る、そうすると、地場の中小企業がその工事に参入したい、大きな業者に頼んで名目上のジョイントベンチャーを組ませてもらって、実際は下請なんですね。それでどうかというと、最後の収支決算を見たらこんなばからしいことはない、しかし信用度を高めて名前をとりたい、こういうことで田舎の中小企業はだんだん経理的にもうまくいかなくなって、そして犠牲になっているのですよ。だから、いろいろと体裁よく言うことはできると思いますが、これも現在の段階では建設業の談合を促進するいわば調整弁、こういうことになっておるということを指摘しておきます。  もう余り時間がありませんから、ちょっと国税庁の方にお尋ねしたいと思います。  最近、今回の金丸事件を契機に、使途不明金ということが盛んに言われるようになりました。これは、国税庁とすればどの程度の使途不明金というものがあったのか、特に建設業にかかわってどの程度あったのかということを知らせていただきたいと思います。
  58. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  使途不明金につきましては、私ども、原則として資本金一億円以上のいわゆる大法人につきまして実際に調査を行ったものについて計数を把握してございます。  これについて最近三年間の状況を申し上げますと、平成元事務年度におきましては、全体の一六・四%に当たります四千八百六十件の調査を行いまして、そのうち五百九十八法人から使途不明が把握されておりまして、その使途不明金の総額は五百六十二億円、うち建設業は七三%に当たります四百八億円。  以下、平成二事務年度におきましては、四千九百八十三件の実地調査を行いましたもののうち、把握されました法人が五百八十五件、使途不明金の総額は四百七十六億円、うち建設業は六四%に当たります三百五億円。  平成三事務年度におきましては、四千七百二十二件の実地調査を行いまして、使途不明金を把握しました法人数は五百五十四件、使途不明金の総額は五百五十八億円、うち建設業は六八%に当たります三百八十二億円。  以上でございます。
  59. 小森龍邦

    ○小森委員 そういった使途不明金が税法上の扱いとして現実に動いておるから、したがって金丸とか生原とか、わかったところだけでも何十億という金が数年間のうちに、表面に出ただけでも動いておるということがわかるわけでしょう。だから、使途不明金がこういう形で出てきてよそへ流される、この余裕は何から来るかといったら、九九%から来るのですよ。予定価格に対する落札価格九九%というまことに有利な、競争の原理とは全く異なったことが建設業界を横行しておるから出るのですよ。そこを考えてください。  そこで、私はこの際、国税庁に尋ねておきたいと思いますのは、使途不明金という税法上の扱いは、何か税金を納める納税者に対して、そういう使途不明金という取り扱いをすることによって、厳密にその使途不明金を追及するよりは使途不明金という形でぱっと処理する方が、社会の秩序の安定のために、税制上何かプラスになることがあってやっておられるのか、それとも極めて消極的に、やりようがないからこういう処置をしておるんだと言われるのか、それはどういうことになりますか。
  60. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  私ども国税当局といたしましては、真実の所得者に課税するという税務行政に課せられた役割から見ましても、使途不明金は課税上大変問題があるというふうに認識いたしております。したがいまして、その解明に特段の努力を払っているところでございます。  ただ、解明のために最大限の努力をいたしましても、なお法人がその使途を明らかにしない場合があることも事実でございまして、そうした場合には、やむを得ない措置といたしまして、法人がその使途を明らかにすれば損金となるべきものでありましても損金算入を認めず、法人に対して法人税を課している、こういう扱いをさせていただいておるところでございます。
  61. 小森龍邦

    ○小森委員 いや、それで納税者のどういう正当な権利を守っているということになるのですか。例えば一例を言うと、そこから先追及したらプライバシーの侵害になるとか、ほかに考えられる何らかの民主社会における納税者の権利を守るという意味で使途不明金という制度があるのか、そういう取り扱いがあるのか、あるいはやむを得ないからそういう消極的に処置をしておるのか、一体これはどちらなんですか。
  62. 藤井保憲

    ○藤井説明員 やむを得ない場合の措置というふうに考えております。  私ども税務調査を行うわけでございますが、この税務調査はいわゆる任意調査を基本としておりますことから、使途不明金の使途の解明は極めて難しいということも事実でございます。しかしながら、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、使途不明金は大変問題があるという認識のもとに、調査に当たりましては使途不明金の使途の解明に最大限の努力を払ってきておるところでございます。今回の国会でも種々御議論をいただいております。今後とも徹底した調査を行いまして、その使途の解明に全力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  63. 小森龍邦

    ○小森委員 使途不明金の追及というようなものを全力を挙げてやるというお話でございますが、税金を払う方の側の、これは朝日新聞に出ておりましたけれども、経団連の房野専務とか、あるいは秩父セメントの諸井虔会長とか、これは言葉、言い回しはそれぞれ違いますけれども、こんなもの廃止した方がよい、使途不明金制度なんというものは廃止した方がいい、納税者の方が言っているのですよ。国民のために公平に税金を徴収しなければならない国税庁がそんなあいまいなことでいいのですか。そのあいまいさというものが今日の政界の腐敗と堕落を導いておるのですよ。再度答えてください。
  64. 藤井保憲

    ○藤井説明員 使途不明金の制度というものはございませんで、私ども、もちろん税法にもそういう定義はございませんで、法人税の基本通達で、「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないもの」ということがございます。全力を尽くして使途の解明に努めてまいりたいと思います。
  65. 小森龍邦

    ○小森委員 こういうやりとりの場合に、時間が迫ってきたときに、また同じようなことを繰り返したら、結局は繰り返して逃げた方が得というようなことになって、決算委員会の本当の任務を果たしてないということになるのです。したがって、私はそういう言い方では満足しない。これはいずれまた機会を得てやりたい、こう思っています。  そこで、最後に申し上げておきますが、建設大臣、先ほどのようなことではまた同じことを繰り返しますよ。一面透明性が出たようだけれども、その透明性が確保できたように見える裏側に非常に権力の恣意がはびこる余地ができてくるのですから、単純でなくなるのですから、また問題が出てきますよ。それから、今の国税庁の場合も、ここのところを徹底的にメスを入れなければ、幾らでも献金しなさいという、その余裕を悪いことをしようとする業者にずっと与え続けるということになりますよ。これでは政界再編とか政治改革とか言ってみたところで、根源はここにあるんですから。以上、二点を指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。
  66. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、時崎雄司君。
  67. 時崎雄司

    ○時崎委員 建設大臣に冒頭、先ほどの同僚の小森委員の発言に対する答弁で確認をしておきたいことがございますので、申し上げたいと思います。  現在の建設省直轄工事については適正に行われている、こう言いながら、今日の現状については相当危機感を持っているということでございました。そうすると、危機感を持っているのは建設省直轄工事以外の工事について危機感を持っているということなのか、その持っている危機感とは具体的に何なのか、もう少し説明していただきたいと思います。
  68. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先ほど私舌足らずでもしかしたら少し誤解があったかと思いますが、私が申し上げたかったことは、今日建設業界が捜査の対象になり、そして、その他今日いろいろ国民的な関心事に建設業界の実態というものが置かれているということに対して非常に大きな危機感を持っている、このようなことで申し上げたわけでございます。
  69. 時崎雄司

    ○時崎委員 そうしますと、直轄工事の方にかかわる、今言われておりますような捜査を受けたというようなこと等を含めて業界全体にかかわる問題、そしてそれがひいては公共工事等々にかかわる問題として、その中には建設省直轄工事は入らないということなんですか。建設省直轄工事を受けた中にも直接、間接的にそういう今の業界の問題、これからるる申し上げますけれども、そういう問題もあるということなのか、ないということなのか。何か建設省だけがいい子になって、 業界の問題というのは公共事業にかかわる問題も多分に含まれているわけでしょう、それに関して、どうも政府委員の方からも、建設省直轄工事については何ら問題なく適正に行われている。どこが問題になっているんですか、そうすると。もう少し具体的に言ってください。  私は大臣に聞いているんですよ。大臣から政府委員に答弁させるなら結構ですが、私は大臣に質問しているんですから、委員長大臣と言っている間は大臣が答弁しなさいよ。細かい点で政府委員でなければわからぬことは、どうぞあなたから、政府委員に答弁させますと言うだけでもいいですから、やりなさい。
  70. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生の御質問の趣旨が私に今ちょっと正確に理解できませんので、政府委員に答弁させていただきたいと思います。
  71. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 お許しいただきまして答弁させていただきます。  先ほど私申し上げましたのは、その契約事務について直轄の私ども現場職員、厳正にやらしていただいているということを申し上げました。大臣のお言葉の中であるのは、要するに、広く建設業界の今日というものについての危機感を持っておる、その限りにおいては、直轄の仕事を行うのもやはり大手業者等も含まれているわけでございますので一体のものでございます。ただ私が申し上げたかったことは、建設省の発注工事については厳正に行わせていただいているという趣旨で御答弁申し上げた次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  72. 時崎雄司

    ○時崎委員 それでは、具体的に今問題になっておりますことを若干申し上げたいんですが、原則としては一般競争入札というのはこれは建前でありますけれども、ほとんどが指名競争入札というやり方になっているのが現状だと思うんですね。これは建設省直轄工事も含めて考えてそういう理解をしてよろしいと思うんです。  その指名競争入札で今までいろんなことが指摘されてきました。先ほどの先輩の議員の質問にもございました。指名競争入札は、これは談合がしやすいという制度なんですね。いかんせん数も少ないですからね。これは、一般競争入札のようにだれでも一定の登録をしていれば入札に参加できるという制度じゃありませんから、談合がしやすい。先ほど来聞いていると、九六%から一〇〇%の間で落札をされている、こんなことも言いました。そしてボーリングという言葉もございました。一度目が落ちなくたって、仮に二十社入札に参加して、一度目が落ちなくて二回、三回、四回とやっていって一万円ずつでもだんだん下げていけば、初めからだれが落とすかというのは決まっているわけですから、そういうやり方でいけば一番予定価格に近いところで落札ができるわけでしょう。こんなこといつも業界ではやっているんじゃないですか。そういうことがまず一つあるということ。  それから、指名するときに何か基準などがあるんですか。  例えば、この工事をやろう、この工事をやるときにはこういう業者を指名するんだという指名の基準というのですか、一つの物差しになるようなものを一度も見たことがないですね。これは発注する側が、自由裁量でどの業者を選ぶか指名をしているんでしょう。それは一定の規模に対して、実績その他を加味して例えばランクづけはされているだろうと思いますが、そのランク内だったら特にその仕事について基準が我々に公表されている、国民に公表されているかといえばそうではないというふうに思うんですね。であるからこそ、政治家があの会社に指名をかけてやれやということになるんではないですか。そして、仮に指名がいただけない業者が、例えば異議を申し立てて、私をなぜ指名から外したんですかという救済措置のような機関もないわけでしょう。これでは、政治家と役所がくっついて幾らだって恣意的に業者を選定することができるだろうと思うんです。  それから、もっと現実的なものを申し上げたいんですが、業者の方にしたって、指名に入れば何回かに一回は順繰りに仕事が落ちる、もらえるだろう、こう思っているわけですから、役人の天下り先なんか見たら建設業界はぞっくりでしょう。これは違いますか。以前も国会で、北海道開発庁の仕事の関係でも同僚議員が指摘したことがあるのですけれども、建設業界の役人の天下りはすごいんじゃないですか。そうなれば当然、指名をすることによって役所では天下り先も見つけられるし、また政治家にも恩を売れるということになるわけですね。だから、この指名競争入札というのは私は根本的に談合がしやすいだろう、こう思っているんですよ。  そういう点で、後ほど抜本的に改革についてお尋ねしますが、私はどうもこの指名競争入札のほかに、最近、合理化その他で行政改革等で職員も大分減っておりますから、設計事務などは民間に委託してお願いするケースが多いんですね。当然それは積算基礎も含まれるでしょう。そういうところからもし積算の基礎が漏れるようなことがあった場合、公務員の場合は法律で決まっていて、秘密を漏らしてはならないという法律がありますけれども、民間の場合、委託されて設計を担当した、それが民間に漏れた場合どういう法的処分ができるんですか。  建設大臣にこれをお尋ねします。
  73. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生の御質問はちょっと広範囲にわたっておりますので、先ほどの、まず最初に指名基準というものが明確にされていないという御指摘でございましたが、八項目にわたりまして公表させていただいております。ただその中身が、不誠実な行為の有無あるいは経営状況とか地理的条件、技術的適性、安全管理の状況、労働福祉の状況等、こうした抽象的な部分がございますので、今回入札手続改善検討委員会におきまして、その具体的な透明性、客観性というものを明示したい、このようなことで取り組んでおりますので、この結果につきましては近いうちに公表できるような状況になる、このように考えております。  また、天下りのお話と民間の話は若干専門的なことでございますので、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  74. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 まず一点目、天下りのことについて御指摘でございます。  これはもう一般的なことで御理解賜りたいと存じますのは、まず、国家公務員をやった私どもの同僚たちが五十数歳にして退職をするということになったときに、その経歴の中で培われた知識、経験等々はやはり広く社会に有用に活躍する必要がある、また求められているものである、こういう認識でいわば民間企業への再就職ということがなされているわけでございます。ただその際に、当然のことでございますが、厳正な倫理観というものが必要であるわけでございまして、当然のように私ども手続的には人事院の御承認をいただいてそういった再就職をさせていただいているということでございます。  平成二年一月一日から平成四年十二月三十一日の三年間の数字をちょっと申し上げさせていただきますと、これは人事院承認を得ている者は建設省関係で七十六名ございます。ただその中で、いわゆる建設業界に就職した者ということになりますと、二十二名という次第でございます。建設業以外にも幅広く活躍の道を選んでいただいている、こういう次第でございますので、御理解いただきたいと思います。  それから、今の設計のいわば外部委託のことでございますが、お話しのように、私ども、累次にわたる定員削減あるいは片方で事業量の増大、こういった中で単純なというか、設計事務等について外部に委託することをよく行わせていただいております。いわゆるコンサルヘの委託でございますが、この際大事なことは、私ども役所が設計の基本は行うということを守らせていただいておりますので、いわば補助的な業務について具体的なコンサルにお願いする、こういうことでございます。その際に秘密を守るということは当然大前提でございまして、これに違背するということに なった場合、違背したことをまた活用した場合等については、これはまさしく不適切な行為ということになるわけでございますので、私どもは当然のようにその後の指名等々について厳しく対処する、こういうことで厳正な対応をしているつもりでございます。  いずれにしましても、秘密の保持、厳守ということについては徹底しているつもりでございます。
  75. 時崎雄司

    ○時崎委員 私の尋ねたこととちょっと今の官房長の話は違うんですが、秘密の保持について徹底しているということと、法律的に何らかの措置をとれるのかということとの違いですから、恐らく公務員法に基づく秘密を漏らした際の規定は適用できない、こういうことでしょう。そう答えていただきたかった。まあ、うなずいていますから、いいです。  次に、建設会社、その他業界からの献金問題について、最近新聞を見るたびにもう、きょうも、前田建設工業の前田社長が金丸被告を初め自民党の十名の国会議員にやみ献金をしておった、その金の出どころはまた例によって使途不明金から出した、こういうようなことですね。少し前にさかのぼると、東急建設の五島社長が同じようなことを言っておりましたし、ある建設会社では、献金をする際にSAとかAとかBとかランクづけをして、建設大臣は何番に入っておったか記憶はしていないんですが、そういうことまでして政治献金、裏献金を重ねている。それから、日経連の副会長が石川日商会頭にけじめをつけなさいという発言などをしたという新聞報道もございますし、先般二日の参議院の予算委員会で濱刑事局長が、金丸、生原被告の脱税事件の中間報告で、大手建設会社、さらには山梨県内の建設業者から提供された資金の一部が原資として割引債券購入に充てられておったというようなことも、これは参議院で報告をされておるわけです。そして、先ほどの使途不明金の額でも、年度を追っていっても六十数%以上だ。  こういうことですから、建設大臣は、なぜこんなに建設業界というのは政治家にお金を出したがると思いますか、率直に聞かせてください。
  76. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  今般日建連あるいは全建が申し合わせを行って、会員企業が一丸となって企業倫理の確立のために決意表明をしたことは、建設省としては評価しているところでございます。業界における献金の実態について建設省として承知しているところではございませんが、業界は国民の厳しい批判を受けているということを重く受けとめまして、三月二十九日に大臣談話と建設省の対応方針を発表させていただきました。その中で、企業倫理の確立を強く求めたことであり、今回の団体の決意表明はこれに対応したものであると認識しております。今後この内容が会員全員に対して速やかに徹底して、このことが守られることを私は期待しております。
  77. 時崎雄司

    ○時崎委員 私の聞いているのはそういうことじゃないですよ。例えば、このたび日本建設団体連合会が三月三十一日にやみ献金の全廃を申し合わせたなどというのは、大体今ごろやっている方がおかしいので、あなたのように評価なんかしてないんですよ。こんなことを申し合わせなければならないような業界なんだということでしょう。やっていなければ申し合わせなくたっていいわけですからね。やっていることを認めて今回申し合わせをしているわけでしょう。よその業界なり団体にこんなことをやっているところは今ありますか。先般シール談合事件なんというのもありましたけれども、業界がこぞってやみ献金全廃を申し合わせる、申し合わせたから評価する、これは国民感情とは大分離れていますよ。こういう団体である。建設大臣だって指導その他を含めて一定程度の責任は感じていなければならないと思うんですね。  私の聞きたかったのは、なぜ建設業界というのは政治家に政治資金規正法に基づく表の献金以外にもさらにこういうやみ献金をするような団体なのかということを聞いているんです。あなたのお考えはどうです。どう思いますか。
  78. 中村喜四郎

    中村国務大臣 せっかくの先生の御質問なんですけれども、ちょっと私、先生のおっしゃられていることの趣旨というものがよく理解できないわけでございます。
  79. 時崎雄司

    ○時崎委員 まあいいでしょう。理解できないということでは答弁をいただくわけにもいかない。  それじゃもう少し話を変えてお尋ねしますが、先ほど例を挙げたように、政治家に多額のやみ政治資金が流れているということは多く言われているんですが、たしか私の記憶では、国会で建設大臣は、政治資金について広く薄く大臣自身もいただいている、それはやみかやみでないかは別にして、いただいているというような答弁も先般ございました。そこでお尋ねしておきたいんですが、広く薄くという場合に、広さはどの程度で薄さはどの程度ですか、あなたの場合。
  80. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  建設業界からの企業献金につきましては、先日衆議院の本会議で社会党の委員の方から御質問いただきまして、そのときにも答弁をさせていただきましたが、私の政治信条として、広く薄くということで今まで政治献金をちょうだいしてまいりました。この点につきましては、建設大臣としても現在もこれからも変わらないという基本的な考え方でございます。建設業界を含む企業からの献金について報告を受けました結果、複数の企業から献金を受けているということは報告を受けましたが、いずれも政治資金規正法等によって適正に処理されているという報告でございました。  そして、清水献金のリストについては私は全く関知しておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 時崎雄司

    ○時崎委員 大臣、私の聞きたかったのは、金丸被告が逮捕されて、従前は佐川からの問題では五億円という金額でございまして、それでも国民は大変な怒りを持ったわけですね。それがあともう一つ丸が余計になるほどのお金の問題が出てきたわけですね。だから、政治家の言う薄いというのは国民一般から見てとの程度のことを指すのか、実は聞きたかったんです。  あなたのおっしゃる薄いというのは、まあ金丸さんが五十億だの六十億というんですから、それより薄いとして、ずばり言って百万ですか、一千万ですか。一千万でも届ければできることかどうか知らぬけれども、どの程度のことを薄いとお感じになっているのか。私は、百万だったらば一般国民から見たら相当厚い、薄くなく厚いと感じると思ったものですから、ちょっと聞かせていただきたいと思うんです。あなたが受けているその薄いというのはどのぐらいのことを指すんですか。
  82. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたしますが、その前に、先生はたまたま同じ茨城県でございますので、直接の答弁にならないかもしれませんが、私の基本的な政治姿勢として少し御理解をいただけるのではなかろうかと思いますが、私は今まで政務次官を二度、そして今度閣僚を二度させていただきましたが、十七年間の活動の中で、パーティーとか出版記念会とか祝賀会とか、そうした活動は一度もやっておりません。そして、大臣になるならないということとは別に、そうした活動というものに対しては自分に厳しく律していこうということで今までやってまいりましたので、そういう面で薄く広くやってきたということで、すべて適正に処理されているということで答弁にかえさせていただきたい、このように思います。
  83. 時崎雄司

    ○時崎委員 大臣の立場で金額を明示することはなかなかできなかったのでしょうが、政治資金というのか、お金が政治なり選挙にたくさんかかる、こういうことから、自民党の若手の方々のユートピア云々という発表などもあって、平均で年間億を超えるような政治資金が必要だ、こういうようなことも一般に公表されているわけですが、今回、政治改革関連法として自民党も野党も今改革法をそれぞれ検討して国会へ出されると思うんですが、自民党は、選挙制度については小選挙区制というものを検討されているようです。党 議で決定されたと思うんですが、そのときに言われるのが、今の中選挙区制では、選挙戦が政策論争ではなくて、どちらかというとサービス合戦になってしまう、こういうことから、一政党一人だけ立候補できるような小選挙区制がベターだ、そのことによって、政治資金を必要としない、選挙に余り金をかけない、そういう制度にした方がいい、これが自民党さんの言う小選挙区制の一般的な主張だというふうに私は理解しているんですが、建設大臣もそう思っておられますか。
  84. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  今の選挙制度の問題でございますが、御指摘がありましたように、自由民主党の中で政治改革の問題について、選挙制度の問題、政治資金の問題を含めまして、四法案を一括して今度、政治改革の抜本改革案として提出していくということについては、私も基本的な考え方としては同じでございます。  ただ、もっと基本的な問題として、制度ばかりではなく、一人一人の政治家の基本的な政治家としてのモラル、そして政治にかける信念、情熱、そうしたものはやはり国民に最も求められているものである、このように考えておりますので、両々相まっていかなければ、本当の政治改革というものは成果を上げていくことはできないと思っておりますので、個人的には今申し上げました後者のこと、そして党としてまとめた案は国会の中で議論されて成案としてまとめられることを私も望んでおります。
  85. 時崎雄司

    ○時崎委員 時間の関係もありますので、次に進みます。  今言われておりますような公共事業の入札制度について、私が若干考えてこのようにしたらいいのではないかということを幾つか申し上げてみたいんですが、まず業者を登録する段階で、過去の実績とかいろいろなものも含めて、やはり過去に手抜き工事をやったとか談合をやったとか、問題の多い業者は最初から外してしまったらどうですかね。例えば、御徒町でぼんといっちゃったという、あれは幾らですか、停止した期間は。だから、極端に言えば、公共事業からもう永久に追放だ、このぐらいのことをやらない限りは手抜き工事とか談合は後を絶たないと私は思うんですよ。そういう点では、まず業者指名の段階で厳しい態度で臨むということが一つ必要なのではないか。  それから、先ほども出た、技術的に云々というが、仕事はとってどんと丸投げしてしまうやり方をしているような場合もある。丸投げというのは、指名業者、落札した業者が仕事をするんじゃなくて、ほとんどだれか子会社にぼんとやっちゃうとか、こういうこともあったり、さらには、丸投げではなくても相当部分が下請、孫請、言葉は悪いがひ孫請なんというものまで出てくる。事故に遭っているのを見ると、東北の方とか北陸の方の出稼ぎ者が実際に事故の犠牲者になるような場合が多いんです。手繰っていくと大体が孫請とかそういうところになっていってしまうんですね。そういう実態は建設大臣だって御理解いただいておると思うんです。そういう点で、仕事が一社に集中するからそういうことにもなりかねないわけですから、やはり公共事業は、一定の手持ちというものがあるとすれば、それを一つのところに、また、一つというのか数社に集中的に発注をしないというような規制ができないのかということ。  それから、手抜き工事などに関しても、発注した方にも専門家がいるわけですから、人が減らされちゃって手抜きをやっていることに目が通らないとか、監視、監督ができないなどというのは理由にならないんですからね。だから、やはりそういう厳重な監督というのが必要なのではないか。  そしてもう一つは、やはり公開するということですよ。国民の前にたくさん見せていくということですよ。きょうのどこどこの入札工事はどこの会社に落ちると電話でもってある新聞社に連絡が入った、朝刊を見たらそういうことが書いてある、翌日になったらうちで言ったとおりになりましたという、こんなことが日常茶飯事に起きているんじゃないですか。だから、建設省は、いや、うちの直轄工事は適切に行われていますと言うかもしれないが、では建設省直轄工事だけが入札その他が適切にやられている、これは不思議ですね。調べてみれば、よそには談合されたりなんかする問題が随分あるんじゃないですか。  そういう点で、先ほど言われるようなその検討、一カ月ぐらいかけてもっと検討するというのなら、ぜひ今申し上げたようなことも検討材料にしていただきたいなと私は思います。大臣の考え方を。
  86. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先生から御指摘をいただいた点、少し広範囲にわたっておりますので、全部がその検討の対象になるかどうか明確に申し上げることはできませんが、先生の御意見を一つの意見、参考として検討させていただきたい、このように考えております。
  87. 時崎雄司

    ○時崎委員 突然で申しわけないんですが、井上長官にもちょっとお尋ねしたいんです。  私初めてお会いするものですから長官の経歴などを政策時報社というものの「政官要覧」で見させてもらったら、以前事務次官をやられておったという。そのプロフィールの中に、次官中には談合問題などというものは全くなかった、こう書いてありますしばしばいろいろな話題はあったけれども、井上先生が事務次官をやられている期間には談合はなかった、こう言っているんですね。何か妙案があればひとつ、こういう不正な談合などが行われたり建設業界にかかわる不祥事が起きていない、こういうことですから、何か長官の妙薬でもあればお聞かせをいただきたい、こう思うんです。
  88. 井上孝

    井上国務大臣 私、長く建設省に勤めておりまして、いわゆる地方建設局長の経験もいたしました。発注側に立った経験がございます。私が事務次官をやっておりましたのはわずか一年でございますけれども、その間は全く談合問題なんかはなかったと記憶しておりますが、私が実はバッジをつけて国会に来させていただいてから一年目でございましたか、静岡で例の、先生も御記憶があろうかと思いますが、談合事件が起きまして、あのときに随分独禁法と建設業という問題の勉強をさせていただきました。  率直に申し上げまして、調整行為といいますか、そういうものが現実に行われておるということは認めざるを得ないとあのときは思いました。しかし、当時建設業界は大混乱になりまして、どこでも大変なことになりましたので、公正取引委員会とも御相談をして、公正取引委員会でわかりやすいガイドラインというのをつくっていただいて、建設業界が独禁法に触れないで入札行為ができるようにということを、とりあえず、私も下働きではございましたが、公取と相談なんかをいたした経験がございます。  ただ、今回起きておる問題につきましては、所管が建設省でございますから、建設省で中央建設審議会というものを通していろいろと検討中でございますので、建設省の結論を私も関係者として注目して見させていただいておる次第でございます。
  89. 時崎雄司

    ○時崎委員 突然の予告なしの質問で大変申しわけございませんでしたが、ありがとうございました。  次に、環境基本法にかかわる件について、建設大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  環境基本法は既に三月十二日に国会に提出されました。これから審議が行われるわけでございますが、その中に「環境影響評価の推進」という項がございまして、「必要な措置を講ずるものとする。」こういう文言になっておるわけです。実はその後、三月二十九日の新聞報道によりますと、環境庁と関係省庁との間に、今回の環境基本法の制定に当たっては環境影響評価に関する法律については法制化は見送るという合意ができて、何か覚書というものが取り交わされていると大分大きく報道されたわけでございます。その内容は後にして、建設大臣としてはこの環境アセス法と一般的に言われる環境影響評価法、この法律をつくることについてどういうお考えを持つそいるか、お 聞かせをいただきたいと思います。
  90. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  環境と調和した住宅社会資本整備を進める上でアセスメントは重要であると私も考えております。建設省としても、閣議決定要綱に基づいて百五十八件の環境アセスメントを実施してきているところであります。アセスメント制度のあり方につきましてはさまざまな意見があると思いますが、建設省としては、基本法案の要旨を踏まえて、閣議決定要綱に基づいて、アセスメントの内容の一層の充実等、的確にこれを実施していきたい、このように考えております。
  91. 時崎雄司

    ○時崎委員 私がお尋ねしたのは、環境アセスについて法制化することについて大臣はどうお考えになっているのか、ここを聞かせていただきたかったんですね。アセスの重要性とかそういうものは当然のことだろうと思いますが、法律でこのアセスに関するものをつくるということについてお考えがありますか。
  92. 中村喜四郎

    中村国務大臣 その前に、先ほど先生のお話がございました新聞報道によればということで、環境庁と建設省の間で当面行わないという合意があった、こういうような御指摘がございましたが、そのような合意はございません。そして、繰り返して申しわけございませんが、先ほど申し上げました建設省としての基本的な考え方は、閣議要綱に基づいてアセスメントの内容の一層の充実を図って、的確にこれを実施していきたいというのが現在の基本的な方針でございます。
  93. 時崎雄司

    ○時崎委員 私、環境基本法の提案を冒頭申し上げたんですよね、三月十二日に政府から環境基本法がもう既に出されておりますから。そして、その中でアセスに関しては、先ほども言いましたように、「必要な措置を講ずるものとする。」これは一般的に言えば、従来からあるような閣議決定、それから法律、その他政令を含めて、そういう制度だろう、こう思うんです。この環境基本法の案の中にあるその「措置」というのは、建設大臣として、法律までつくるという考えを持っておられるのかどうか、その辺をお尋ねをしているわけです。
  94. 中村喜四郎

    中村国務大臣 少し専門的なところでございますので、政府委員に答弁をさしていただきたいと思います。
  95. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答え申し上げます。  環境基本法の第十九条に書いております「必要な措置」といいますのは、先生がただいま御指摘ございましたように、いろいろな措置の内容が考えられ得ると思う次第でございます。ただ、先ほど大臣が御答弁申し上げましたのは、今まで閣議決定された要綱に基づいて実施してまいりましたアセスメントの内容につきまして、より内容の充実を図りながら対応していくという形で参ることで環境基本法案で言う「必要な措置」が一応満たされているというふうに建設省としては考えておるということを御答弁したと理解しておる次第でございます。
  96. 時崎雄司

    ○時崎委員 そうすると、建設大臣は、従前からあった、閣議決定をされたアセス、これをより内容を充実していくというのがいい、仮に環境基本法ができて、その法律に基づいてアセス関連のいろいろな方法がある、「必要な措置」というだけですからいろいろな方法がある、その際は閣議決定で今あるものより内容をよくする、こういう考え方だということですか。
  97. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先ほどから答弁をさしていただいておりますが、建設省といたしましては、現在の中でできることを一つ一つ環境のプラスになるように積み上げていくということが基本的に必要だ、このように考えております。
  98. 時崎雄司

    ○時崎委員 どうも答弁が、私の聞きたいことと違うんですね。  大臣、では、ずばり聞きますが、過去に閣議決定されて、今現在生きてい各アセスに関する決まりというのをあなたは知っていますか。これは一項目から十一項目まであって、実はほとんどが公共事業でやるような大型のプロジェクトだけですよね。例えば、道路新設、高速道路、国道、一般道、阪神、首都、指定都市高速道路、ダム新築、その他河川工事、鉄道建設、飛行場、埋め立て、干拓、土地改良区画整理事業云々、それも面積が百ヘクタール以上とか、ほとんどが公共事業でやる分だけがアセスの対象になっているんですよ。だからそれ以外、民間でゴルフ場つくるといったってアセスメントの対象になりますか。何かよくわかりませんけれども、現状はそうなっているんですよ。だからこそ、もっとしっかりしたものをつくり、法律でもってしっかりした方がいいという意見も出てきているわけですね。  内容をより充実して云々、そして今聞いたらば、前向きにとかどうとかという現状のことを言っているんですが、この環境基本法で今回改めて「必要な措置を講ずる」、こう明記したわけですね。これについて建設省としては、法律によるのがいいのか政令がいいのか、さらには従前どおり閣議決定事項ということでいいのか、どの辺を考えているかということをもう少しわかりやすく説明いただきたいと思います。
  99. 中村喜四郎

    中村国務大臣 その点につきまして、政府委員の方から答弁差し上げたいと思います。
  100. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答えいたします。  環境基本法案の第十九条によります「必要な措置を講ずる」という内容につきましては、いろいろな内容が考えられるわけでございますが、少なくとも建設省関係につきましては、従来から閣議決定されました要綱に基づきまして、先ほど大臣も御答弁いたしましたが、既に百五十八件の環境アセスソンドの実績を持っております。今後そういった手続の中で、まず御指摘がございました事業の範囲の問題も内容の改善策としてはあろうかと思いますし、またさらに、具体的なアセスメントを実施するに当たりまして、環境影響評価の具体的なやり方につきましての技術的な改善策とか、そういったような問題もあるわけでございまして、法律によるとか要綱によるとか政令によるとかという手続的な面もあるいは重要なのかもしれませんが、私どもとしては、内容の充実こそむしろ重要であるという考え方に立ちまして、そういった内容の充実に努めながら一層の的確なアセスメントを実施していくということが肝要なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  101. 時崎雄司

    ○時崎委員 時間もありませんから余り長く時間どれませんが、少なくとも閣議決定をしてこの法律案を国会に出したわけでしょう。憲法の六十六条には行政権の行使、すなわち法律を出すことも行政権の一つでしょう。これは連帯して国会に責任を負うということになっているんですね。それは建設という一つの枠内での審査だから建設大臣なり、また国土庁の関係で出てくる。少なくとも連帯で負うというのは、総理大臣の代行ですよ、皆さんは。何か、聞いていると、政府委員の方は——私は、法律によるのか政令によるのか閣議決定によるのかと聞いているんですよ。どれですか、こう言っているんです。いや、まだ決まっていなければ決まっていないでいいんですよ。失礼な言い方をするじゃないですか、今の政府委員の方、何という方だか知らないけれども。法律によるのか政令によるのか閣議決定によるのかと言ったら、それよりもこっちが重要だというのはどういうことですか。どれによるかは重要でなくて、中身の方が重要だと今答えているわけでしょう。私は中身のことはまだ一切聞いていないんですよ。手続として、法律によるのか政令によるのか、従前のとおり閣議決定で行うのかと聞いているんであって、それが何か重要でないみたいな言い方、私の質問、重要でないんですか。むかっときますよ、これ。建設省としてはそのうちのどれがいいと思っているかと聞いているんですよ。もしくは閣議でどれがいいと決まったのか、議論されたのか、それを含めて聞いているわけですよ。何ですか。私が聞いたのは重要でないというんですか。
  102. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答え申し上げます。  答弁の表現に非常に不行き届きな点がございまして申しわけございませんでしたが、私どもの考 え方といたしまして、内容の充実を図ることが極めて重要だというふうに考えておりますことを強調する余り、やや不適切な表現があったように思っておりますが、もちろんアセスメントのやり方につきましてどういう手続でやるかということも極めて重要な問題点だと思っておりますので、先ほどの答弁につきましてはお許しいただきたいと思う次第でございます。
  103. 時崎雄司

    ○時崎委員 大臣、どれでいくつもりなんですか。どれというのは、法律か政令か従前のような閣議決定か、どれでいくというお考えをしているのか、建設大臣は。また、閣議の中でそういう話し合いがなされたのか。
  104. 中村喜四郎

    中村国務大臣 現在の状況で、若干長期的な課題として閣議決定でやっていきたいというような方針を、今報告を受けております。
  105. 時崎雄司

    ○時崎委員 それは、建設大臣としてはそう思っているということで理解していいのか、そうではなくて、この法律案を国会に出す際に、政府として従来の閣議決定でいいと確認をされていると理解していいのか、どちらですか。
  106. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えいたします。  建設大臣としての考え方を申し上げました。
  107. 時崎雄司

    ○時崎委員 それから、新聞に大きく出された環境庁と関係省庁、私は建設省との間に文書を結ばれているという言い方はしませんでした。関係省庁との間で環境庁が法制化見送りの覚書を結んでいる、こういう新聞報道でございました。そこで、「関係省庁ではこれはどこを指すのか。「「覚書は、法制化問題の慎重な取り扱いを、環境庁が約束したもので、(法制化は)当分の間、ありえない」としており、実質的に法制化の道を閉ざすものともいえる。」こう報道しているんですね。  そうすると、こういう覚書はないと先ほど答弁がありました。覚書でなくて、メモとか口頭確認とかというのはあるんですか。
  108. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答えいたします。  今私も手元に平成五年三月二十九日の新聞のコピーを持っておりますが、このような環境庁との取り交わしはしてございません。
  109. 時崎雄司

    ○時崎委員 官房長、聞いていることにしっかり答えていただきたいんです。取り交わしはございませんというのは、私が聞いたのは、文書での覚書というものはないけれども、メモとか口頭確認とか、そういうものもないんですねと聞いているわけです。取り交わしはないというのは、それは先ほど大臣の方から文書での覚書というものはないと聞いたんです。それ以外のものでそういう約束事はあったのかなかったのか、もう一度答弁願いたいと思います。
  110. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答えいたします。  法案作成の過程で、原案作成の環境庁と建設省との間でいろいろなやりとりはございました。しかし、こういった内容の覚書を交わしてはございませんということを申し上げた次第でございます。
  111. 時崎雄司

    ○時崎委員 余り時間もございませんので、国土庁に最後にお尋ねをさせていただきたいと思います。  私は、以前も国土庁長官に、特にリゾート、ゴルフ場の開発、国土利用計画法という法律に違反をする事例について再三お尋ねしたことが過去にありますが、どうもよくわからないのは、国土庁というのはどういう仕事をなさっておる省庁なのか、極端に言えばあってもなくてもいい省庁なのではないか、三年間の国会議員経験で短いんですが、そう感じておるんです。いや、そうではない、国土庁は立派な仕事をしておるということをきょうはひとつ宣伝をしていただきたい、また、私を納得させていただきたいと思います。まず任務について。
  112. 井上孝

    井上国務大臣 国土庁は昭和四十九年にできまして、政府の中では一番新しい役所でございます。私も、先ほど申しましたように長く建設省におりましたので、その成立のときのいきさつもある程度は存じておるつもりでございます。  今、我が国の政府は縦割り行政でございます。これらを総合して調整をするというのが国土庁の一番大きな任務ではないかと思います。例を挙げますと、例えば社会資本整備、公共事業執行につきましても、各省が縦割りでやりますとどうしてもその間に足らないところができたり空白ができたり、あるいは進捗状況が一緒にならないというようなちぐはぐが出てまいります。これに対しましては総合開発の調整費というのがございまして、百数十億持っておりますから、その予算をつけて足らないところを伸ばすというような調整をいたしております。  それからもう一つ、土地問題でございます。土地問題というのは所管は実はそれまではなかったわけでございます。農林省とか建設省とか、道路用地は建設省河川用地は建設省、林野とか農地は農林省というようなことでございまして、土地政策というものを一貫してやる役所がなかったわけでございますが、国土庁におきましてこの土地政策を一貫してやる。先生も御承知のように先般地価公示をいたしましたが、こういった地価の暴騰を抑えるというようなことも、平成元年の暮れに土地基本法を国土庁所管でつくっていただきまして、それにのっとって今土地政策を進め、現在は地価の高騰を何とか鎮静化させようという努力をしております。  それからもう一つ、たくさんございますので時間がかかりますが、もう一つ重要なことを申し上げますと、防災局というのを持っておりまして、これは、いざ災害になりますと、この間釧路沖地震が起きましたが、実は関係省庁が二十あります。二十省庁がそれぞれの所管で災害対策をし、救助をする、こういうようなことでございますので、これもやはり調整してやらなければいかぬというので、国土庁では防災局というのを置きまして災害を所管する。例えば雲仙の普賢岳のときもそうでございます。なかなか各省の足並みがそろわないものを国土庁で全員集めまして、釧路沖のときもすぐ翌日二十省庁の担当を集めまして対策を協議して、遺漏のないようにしたわけでございます。  そのほか調整行為というのは相当たくさんございますが、時間がございません。例を挙げて御説明を申し上げました。御理解を賜りたいと思います。
  113. 時崎雄司

    ○時崎委員 短時間での説明ですので、どんな重要な仕事をやっておるのかなというその主なものだけでございましたが、防災、地価の高騰の抑制、さらには調整ということですが、国土利用計画法の第五条に、全国計画をつくらなければならないという規定になっておりますね。私のところに国土庁から最近のものをいただいておりますが、昭和六十年十二月十七日付で第二次国土利用計画、すなわち全国計画というのが、これは恐らく閣議決定をされたのだろうと思います。それから昭和六十二年六月に第四次全国総合開発計画というのもありますから、これもその全国計画の一つということだろうと思うんですね。この第四次の総合計画の中に、これは国土審議会等にかけて、その答申を受けながらつくられたものということなんですが、多極分散型国土を実現する、そのために幾つかのことをやる、こう基本に書かれてあるんですね。  この第四次全国総合開発計画平成五年末には新たなものが検討される時期にもう来ていますね。ところが、残念ながらこの第四次の総合開発計画にのっとって事業を進めても、多極分散どころか一極集中が今我が国に起きていることは御案内のとおりだと思うんです。なぜ国土利用計画法に基づいて全国計画を立てながら運営をしても一極集中がとまらないのか。時間もございませんので、ずばりその主な原因についてお聞かせをいただきたいと思います。
  114. 井上孝

    井上国務大臣 先ほど国土庁の役目を申し上げるので、一番大切なのが四全総で、全国総合開発計画でございますが、それを申し上げるのを忘れておりましたが、いずれ御質問があると思ったものですから。  四全総につきましては、御承知のとおり昭和六十二年につくりまして、その中心テーマは東京一 極集中を是正して多極分散型国土を形成する、こういうことでございまして、そのために国土庁といたしましては、四全総に基づきまして、先般の国会で平成四年、昨年の六月つくっていただきました地方拠点都市法、それから昭和六十三年の多極法に基づく振興拠点地域、あるいはテクノポリス法、頭脳立地法といろいろな施策をやってまいりました。さらに、昨年の暮れには国会等の移転に関する法律、それから大阪湾ベイエリアの開発整備の法律、いろいろな手段を講じてきておることは御案内のとおりでございます。  結果といたしまして、今先生指摘のように、東京一極集中は、例えば人口で申しますと昭和六十二年には東京は社会増で十六万人一年間にふえました。それが平成三年には八万人弱で半減したわけでございますから、東京一極集中がやや鈍化してきたとは言えるのじゃないかと思いますけれども、まだ一極集中は継続しておると言わざるを得ません。  したがいまして、一方では大都市における住宅、通勤問題等、過密の弊害が出ておりますし、一方では地方では人口が減少して活力が低下する、こういうような状況になっておりますので、私どもといたしましては、四全総が今五年を経過したところでございますが、おっくりいただきました、御審議いただきました国土審議会に調査部会というのを設けていただきまして、昨年からこの点検をいたしております。今まさに先生のおっしゃったように、どういうところに原因があり、どういうところが足らないかというような点検をずっとやっていただいておりまして、ことしの末ごろまでにはこの点検作業を終わっていただく、必要あれば四全総の見直し、またさらに必要あれば改定をして、第五次全国総合開発計画ということになるかもしれませんが、それはまだ私の口からはっきり申し上げるわけにいきませんけれども、今御指摘のようなことで四全総を総点検をしておる、作業中であるということを御理解賜りたいと思います。
  115. 時崎雄司

    ○時崎委員 原因の点検については早期に行って、次の施策のための資料にしていただきたいと思います。  これは思いつき的な感じで申し上げますと、東京都では今、臨海副都心計画、バブル崩壊で若干おくれるとかどうとかというのが新聞にもありますけれども、また、これは人口何万という計画を立てているようですし、千葉県の方でも幕張を中心とした開発が進み、それから横浜の方ではみなとみらい21とかいろいろな大型の開発が進んでいっておる。そういうような自治体における開発ともやはり調整をしなければ、国の直接やる事業だけが調整しても、例えば国の機関を東京からどこかへ出す、これもなかなか進んでいないようですが、そういう国自体がやる事業だけではなくて、自治体がやる今の副都心計画などというのは何兆という金を使った膨大な長期にわたる計画ですから、一極集中排除をして多極分散型国土をつくっていこうと今国土庁長官言われておっても、現実を見ているとどうもそうではない、こんな気がしてならないわけでございます。  したがって、この原因の点検をやる際にはぜひ、国の方の立場というのか、国が直でやる部分だけではなくて、自治体がどういうふうになって動いていっているのか、どういう計画を持っているのか、今後どうなるのか、ひとつそこまで含めた大がかりな点検をしていただいて以降の対応に資していただきたい、このことを強く申し上げまして、時間でございますので私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  116. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、志賀一夫君。
  117. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 建設事業をめぐる汚職事件は今日まで数多くありまして、ただいまもいろいろな角度からお話がございました。過去に言えば静岡の問題等もありましたし、また埼玉での談合問題もありました。また、国内だけではなくて日米構造協議の中でも、日本の企業の排他的な行為が指摘をされておるわけでありまして、特に関西新空港への土砂納入問題では、やはりこれまた公取から談合問題として取り上げられてまいりました。そればかりではなくて、横須賀米軍基地談合事件が発生をいたしまして、この問題で米国から、それに参加した何十社という企業がとてつもない、約五十億という談合に伴う賠償金として支払いをしたという、かつてない初めてのそういった事件があったことは御承知のとおりだと思います。そういうことでありましたし、また最近では、社会保険庁のシール印刷に絡む談合事件が公取から摘発される。  こういうことに加えて、御承知のように金丸前自民党副総裁の大変な多額の脱税事件あるいはまたやみ献金というようなことで、国民の皆さんから強い強い政治に対する不信感が、もうこれ以上どうにもならないと思えるようなほどまで、国民の皆さんが厳しく批判をされているということであります。  そういう中で私は、やはりたびたびいろいろな角度からお話がございました公共事業についての、今後このような不祥事件ができないようにするための手だてをどういうふうにするかということは、まさに全国民が注目しておることであろう、そういうふうに考えますと、まずここで、その辺に対する建設大臣の決意と今後の対応といったことについてお聞きをしておかなければならないと思います。
  118. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先生の御指摘をいただきました点につきましては、先ほどから答弁させていただいておりますが、指名競争入札は、少なくとも建設省が設置された昭和二十三年ごろから行っているところでございます。そして、この指名競争入札制度は、御案内のとおり、物品の購入とかするのと違いまして、現地で組み立て作業、単品受注等の特性があることから施工能力というものが非常に重要だというようなことで、不誠実な業者を排除して疎漏工事等の防止を図っていく、このような考え方で今日まで行ってきたわけでございますが、しかし一方、入札・契約制度の基本的なあり方については、中建審におきまして昨年十一月に答申をいただき、その中で改善すべきところは、競争性、透明性を高めていく必要性がある、このような考え方で、その答申を踏まえまして、昨日でございますが、本年発注予定の十億円以上の事業七十一件について事業を公開いたしまして、これに対して技術情報募集型指名競争入札、施工方法等提案型指名競争入札の導入を図ることにしたわけでございます。  このことが透明性、競争性を直轄においてかなり確保することができる、このように確信しておりますし、さらに、入札手続の検討委員会を設置いたしまして、約一カ月程度のうちにはこういった手続の中での客観性、透明性を高めていくという作業も、今、省内で技監を中心といたしまして全局長委員になって、この成案をまとめるための作業をしているところでございます。  いずれにいたしましても、公共事業のなお一層の適正かつ厳正な執行に努めていかなければならない、このように考えております。
  119. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 さらに大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  中村大臣は金丸さんの御指導が多々あって今日の地位を占められたのではなかろうかと推測しておるところでありますが、今度の金丸さんのいろいろな事柄が次から次と出てくる中で、建設関係にかかわるいわゆる族議員の名前も、何か新聞の報道では五十七名も出ているというふうな報道があります。その中で、特に竹下派からは十数名というふうに出ておるわけでありまして、大臣の名前もその一覧表に載っかっている、こういうことでありますけれども、これについてはどうお考えになっておられるのか。火の気のないところに煙は立たないというふうなことも聞いておりますが、一体どうなのか、きちっと国民の前に明らかにしてほしい、そんなふうに思います。
  120. 中村喜四郎

    中村国務大臣 私自身の金丸前副総裁との関係について御指摘をいただきましたが、御指摘のと おり、確かに私は以前、今でも経世会でありますが、旧竹下派というグループの中で、金丸前副総裁が会長であり、そのメンバーであったことは紛れもない事実でございます。そして、そのほかに族議員という御指摘を今いただきましたが、その族議員という意味がちょっと私、新聞ではよくそういう活字を拝見するわけでありますが、私は、建設行政というものは、日本の国民が豊かさというものを享受するためにはもっともっと国民の期待にこたえられるように大きく発展していくべきである、このような考え方で、公私のけじめをつけて、そして政治家として、そうした行政に対していささかも誤解を与えるようなことがないように、自分自身を厳しく律して建設行政の発展のために今日まで取り組んできた一つもりでございます。  そして、その中で私の基本的な政治姿勢として、政治献金につきましては、薄く広くということを基本的な方針にして今日まで適正に浄財をちょうだいし、適正に処理してきたということでございます。
  121. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 新聞報道によりますと、清水建設から各政治家に配られたというお話でございますが、それはどうなんですか。
  122. 中村喜四郎

    中村国務大臣 この間の衆議院本会議で社会党の議員の方からこのことについても御質問がございましたが、私は、そのランク表なるものを一切関知しておりませんので、そのことに対して答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  123. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 関知してないということですけれども、しかし今後、金丸問題が発展する過程の中では、そういった新聞報道が既になされている以上、あるいは具体的に出てくる可能性もなきにしもあらずではないかというふうに思いますが、もしそういうことになったらいかなる対応をされるおつもりですか。
  124. 中村喜四郎

    中村国務大臣 今答弁させていただいておることを繰り返して申しわけないのでありますが、ただいまの御指摘の点につきましても、またこれからのお話につきましても、仮定の話でございますので、私としてはこのランク表というものは全く関知しておりませんので答弁ができない、このような状況でございます。
  125. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 関知してないという意味はどうもよくわからぬけれども、政治資金規正法で受けて届けてあるよ、こういうことの範疇に入るのでしょうか。そのことをひとつ答えていただきたいと思います。  それから、金丸前副総裁が議員を辞職された後、その後を継いで自民党道路調査会長にあなたがなられた。多分、これは金丸さんのお声がかりではないかと想像いたしておるわけでありますけれども、この道路調査会長というのは、建設、運輸、通産、大蔵、あるいは警察庁というふうに大変顔がきく役職で、自民党にとってはだれも垂涎の極めて重要な役職だというふうにも聞いているわけでありますが、その後、金丸さんの金塊が出てくるころに及んで急遽やめられたというふうにお聞きいたしております。その辺の御事情は何なのか、明確にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  126. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  政治献金につきましては、先ほどから申し上げさせていただいておりますように、薄く広くちょうだいしているということで御理解いただきたいと思います。  二番目の質問でございます、自由民主党道路調査会長に金丸さんの後を受け継いでなったではないか、そしてその後、いろいろ事件が出てきたら急にやめたではないか、こういうようなお話でございますが、一部の雑誌にそのような報道があったということに対して、事実と違う報道をされておりまして、私は内心大変遺憾に思っておるわけであります。道路調査会長には確かに数カ月間なりましたけれども、その後、建設大臣を拝命いたしましたので、自動的に道路調査会長をやめるということは党の規則として当然のことでございます。そして、道路調査会長は党の正式の政調の機関でございまして、政調会長から指名をいただいてお預かりしたわけでございますし、また、こういったポストというものは、ポストがその人の影響力を大きいとか小さいとかいう評価をするのではなく、その政治家個人の持っている能力なり影響力というものほかなり差があるということは先生も御承知のとおりでございます。私と金丸前副総裁とは、年齢的に見てもキャリアの面からいっても、すべての面で大きな差があるわけでございますので、私が自由民主党の中でそのような大きな影響力を持っているという評価は自分自身もしておりませんし、他からもそのような評価をいただいているとは承知しておりません。
  127. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ここで、資料を要求いたしましたが、どうも私の期待するような資料が出てきませんでしたので、ちょっと明確な方針をお聞かせいただきたい、そんなふうに思います。  それは、先ほども官房長から入札のプロセスについては公表をなさっている、こういうふうに言っているわけですね。私は、事務当局がいろいろ作業をするのに大変だろうからということで、この入札の公表している部分について極めて限定をしてお願いをしておったわけであります。しかし、その公表をするという言い方とは裏腹に、そのことについては全く言を左右にして出そうとしない。そして、いろいろ努力をしまして、その資料が、一週間、十日も前に言っていた資料がゆうべ七時近くになってようやっとやってきた。それで見ましたけれども、これは全く質問に使えない資料、入札のプロセスは公表していると言いながら、その公表とは全く関係のない、関係のないというか、ほんのちょっぴり一部分を出しているにすぎないということでありますが、一体これはどうなっているのでしょう。官房長の言っていることと実際事務当局が対応していることは全く違いますね。これはどうなんですか。
  128. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、私ども直轄事業につきましては、入札結果は閲覧方式で公表いたしております。具体的には過去一年分、これはその発注期間において閲覧可能、こういったことでございまして、そういった意味で私は公表しているということを申し上げた次第でございます。  今先生おっしゃったように、先生からの資料要求、確かにいただいておりますが、率直に言いまして事務的には、具体的には山梨県内の実績、こういうことでございましたけれども、これは時間的にも差し迫っていたのと、それから、何分とも大変な作業を伴うということがございまして、今先生に御不満をいただきましたけれども、きょう理事会でお決めいただいた線に沿って提出させていただいた次第でございます。  いずれにしましても、委員会での資料要求ということがなされたことにつきましては、私ども委員会の御判断をいただく中で積極的に前向きに取り組んでいきたい、こう考えております。ただ一言申し上げさせていただきますと、先生方からいただく御要望でございますけれども、資料は物によっては大変な作業を伴うということは率直に言って御理解いただきたいと存じます。  そういった意味で、この膨大な事務量ということの中で、私どもの事務処理体制ということがかなり限られておるということも御賢察いただかなければなりませんわけですから、おのずからそこには一定の限度があるということもやむを得ないことかな、こう思っておりますので、いずれにしましても、今後委員会のお裁き、御判断をいただきながら、私ども前向きに取り組ませていただきたいと思います。  くどいようでございますけれども、閲覧という格好で一年間公表させていただいているという意味で申し上げさせていただいたものです。
  129. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 その説明では納得できませんね。ちゃんと入札で公表している部分をということで、私は極めて遠慮をしながら、その一部のものに限定をして、しかも山梨県内における仕事ですよ。これに出ている件数で言いますと、せいぜい三十件そこそこですね。これだけの作業をする のに、当然公表している入札のプロセスというものを何で明らかにしない。何十日もかかるんですか。私は十日も前から言っているんですよ。こんなことを対応しようとしないところに、先ほども言われたように建設省の体質が、役人の体質があるのじゃないですか。これを直していただかないと、この決算委員会での審査ができませんよ。必要な書類を出せ、出すということが当然のことだと私は思うんです。大臣、どう思いますか。
  130. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 大変御無礼があったのかもしれませんが、私どもが事務方に確認してみますると、十日も前というふうに伺ったのは違う件の資料として伺ったというふうにこちらは受けとめておりまして、山梨県のことについては木曜日の夕方というふうに承知いたしております。そうなりますと、金曜日、土、日が休みというようなことで、私ども職員、今、早期発注等のことで本当にがたがた大変忙しい中でございますが、そういった面も御理解いただきたいということです。先生のお申し越しを軽視して無視したということでは決してございませんので、御理解をいただきたいと思います。そういった中で、今後委員会の御判断を仰ぎながら、私ども前向きに取り組ませていただきたいと思います。
  131. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 そんなことで、それでいいですかということではいけませんよ。この審査に間に合うように出してほしいということで、しかも十日前に言ったのは、それは福島県内の事業所のことですが、それは多いだろうなというふうに思ったから、今度はまた方法を変えて、山梨県内の事業に、直轄工事に絞ってやったんです。三十件足らずですよ。ここに書くのに、手書きしたって一時間やそこら見れば可能なことですよ。それをやらない、やろうとしないあなた方の体質が問題なんです。そこに、先ほどの小森先生じゃないけれども、やはり談合を生む素地がある、こう断言してもいいと思うんですが、決算審査にこういうことでは今後極めて問題だと思いますので、大臣、どういう考えで対処されますか。これは公表しているとはっきり言っているんですから、それと裏腹に、公表しているというものを出さないなんて、そんなばかな話ありますか。
  132. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  実はそのお話、資料の要求に対しておくれたということに対しておしかりをいただいたことについて、私、今初めてわかりましたものですから、どうしてそういう状況になったのか、後で少し事情を聞いてみたい、このように思っております。
  133. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 大臣、事情を聞くというのはいいけれども、こんなわずかなもので、これを見てくださいよ。だれか持っていって大臣にこれを見せろ。見せてください。これだけのわずかな工事の、何社、一回の入札に当たって、せいぜい十社でしょう。それを一回、二回、三回と入札をやっている。その中身を明らかにできないと言って、そんなばかな、忙しくてできない、なかなか大変だ、そんなことはここで理由にはなりませんよ、できないなんて、
  134. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 本当に何遍も申し上げて恐縮でございますけれども、私ども過去一年間の分は全部閲覧公表させていただいている。二年前、三年前のものについては、正直言って閲覧公開はもう期限が過ぎて別途の措置をしておりますものですから、先生の御要望等について的確におこたえするには相当膨大な資料をいわば点検しなければいかぬ。点検というか……(志賀(一)委員「膨大じゃないよ」と呼ぶ)そういうことで、いずれにしても、まとまった資料として整理させていただいて提出するということになりますと、私ども整理作業というものは当然必要でございますものですから、そういった中で、くどいようですけれども、今回御要望の線には十分こたえられなかったかもしれませんけれども、私どもとりあえず一億円以上ということで出させていただいた次第でございます。
  135. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 このことで議論していても私の質問できなくなりますので、これはぜひ理事会で議論をして、国民の皆さんの期待にこたえられるような公正な審議ができるような条件をつくっていただくというのは、これは我々が真剣になって国政に審議権を持って参加するという意味があるわけですから、ひとつ理事会でお諮り願いたいと思います。
  136. 貝沼次郎

    貝沼委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
  137. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 では、質問に移りますが、金丸問題で捜査を受けた大手十八社というふうに新聞報道されておりますけれども、これらの各社の売上高及び利益金のトータルはどれくらいになっているのか。それからまた、各社の交際費、寄附金もまたトータルで幾らになっているか。さらに加えて、この使途不明金は総額及び三カ年一社当たりどれぐらいの額になっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  138. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  マスコミで報道のございましたゼネコン十八社についてのお尋ねでございますが、私どもとしては、特定の企業または少数の企業の特定の項目についての答弁は、税務行政の性格上、差し控えさせていただきたいと思います。  そこで、私どもの公表いたしております会社標本調査結果に基づいて申し上げます。  資本金一億円以上の建設業で、利益を計上いたしました法人の一事業年度当たりの調査所得金額は十八億二千九百万円でございます。  次に、寄附金についてでございますが、同じ会社標本調査結果で、資本金一億円以上の建設業の寄附金支出をいたしました法人数が千百三十七社、寄附金の支出額は四百十億円でございますので、一社当たりの寄附金の平均支出額は三千六百万円でございます。  また、同じく一億円以上の建設業の交際費につきましては、千六百三社が支出しておりまして、交際費支出総額は二千七百八億円でございますので、一社当たりの交際費の平均支出額は一億六千九百万円ということになります。  次に、使途不明金でございますが、平成三事務年度におきまして国税当局が実地調査を行いました、これも原則として資本金一億円以上のいわゆる大法人について把握した使途不明金について申し上げますと、五百五十四社の法人から合計五百五十八億円の使途不明金が把握されておりますが、このうち建設業につきましては、使途不明金を把握しました法人数が約百八十社でございまして、使途不明金総額は三百八十二億円、建設業一社当たりの使途不明金の平均額は約二億円ということになっております。
  139. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 この数字を今いろいろお聞かせいただいたわけでありますが、今のゼネコンと言われる各社も相当な利益を上げて、かつその上で交際費、寄附金あるいはまた使途不明金、こういう名目で大変なお金を使っておられる、こういう事実が明らかになってきているわけであります。  実は山梨に、今度のゼネコンと言われる会社の中で捜査の対象になりました十一社が、山梨におけるリニアモーターカーの実験工事をすべて受注しているというふうに見ているわけでありますが、こういう捜査活動を受けている各社がやはり今回の金丸事件と極めて密接な関係がある。そういう中で、やはりこの疑惑があって捜査を受けているという実態だと思うのでありますが、この件について大臣はどのように把握されておられるのか。  それからまた、山梨県内におきまする建設省直轄工事費で、三カ年間の中でわずか三社で五十三億九千万円というダントツの事業を受注しているということが明らかになっている。先ほどの問題になりました資料でそれだけは明らかになっているわけでありますが、こういったことについてどのような見解をお持ちか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  140. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えいたします。  具体的な御質問でございますので、政府委員から答えさせていただきたいと思います。
  141. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 今先生お話しの中で、リニアモーターカーの建設工事に関する部分もござい ましたけれども、これについては、御案内のとおり、建設省関係ではなくて運輸省サイドの発注工事でございますので、ちょっと答弁いたしかねますので、よろしくお願いいたします。  今のお話しの建設省直轄工事、具体的には山梨の工事事務所の発注した工事について、大手三社というふうにおっしゃられましたが、これは、今これだけの資料を見ている限りで特に不自然かどうかということを私もコメントできる状況にございません。また同時に、今お話しのように、これらが政治献金等との関係でいろいろと報道されているというお話でございますが、そういったものとのかかわり等は、私どもは基本的にはあり得ないものと考えているということだけ申し添えさせていただきまして、これ以上の答弁、私ちょっといたしかねますということで、よろしくお願いします。
  142. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 先日の新聞等で見ますと、大成建設、あるいは飛島建設、鹿島建設の大手三社が国税局の税務調査を受けて、十八億八千万円を所得隠しということで認定されたということが報道され、重加算税で総額六十二億二千万円の追徴金を取られておることが明らかになりました。  こういった実態を見るときに、大手のみならず建設会社が多額の利益を上げて、しかも、交際費とか寄附金あるいは使途不明金という形でたくさんのお金をやみからやみに葬っているという実態を見ますと、やはり一つは今の建設業協会の体質がこれでいいのかという問題点がありますし、また、多額の利益金を上げるこれらの各社はかなり高い公共事業を請け負っているわけでありますから、そういたしますと、かなりな利益金を上げるということになると、どうも国の公共事業の積算が甘いのではないか、私はこういうふうに思わざるを得ないのですが、このことについてどのようにお考えになっておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
  143. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 公共工事の積算についてのお尋ねでございますので御答弁させていただきますけれども、これはもう先生も御案内のとおり、私ども予決令に基づきまして、実例価格に沿った予定価格をつくるということが基本でございます。  予定価格というものは具体的に言えば、直接の工事費、それから共通仮設費、それから現場管理費、プラスして一般管理費等、こういう四つの要素から成っておりますが、直接工事費というのは文字どおり、資材費であり労務費でございます。  この資材費というのは、もうちょっと詳しく言わせていただきますと、公益法人であります財団法人建設物価調査会、あるいは同じく財団法人の経済調査会、こういうところが毎月物価資料を公表しています。これは一般に市販されているものでございますが、そういったものでいわばリアルタイムの価格を反映するということを基本にして資材価格は積算する、材料費は積算する。  労務費につきましては、最近では単価は毎年似通っておりますけれども、建設、運輸、農林三省が共同で実態調査、これは個々の労務者の賃金台帳にまで戻って点検して、その上に立って賃金がどうなっておるかということを調査し、大蔵省と協議して単価を決める。それからもう一つは、この単価に通常の場合労務費全体は歩掛かりというのが掛け算して出てくるわけでございますが、これも過去の実績から私ども精査したものでもって歩掛かりを決めている。こういったことで積み上げさせていただいておるのが直接工事費でございます。  それから、共通仮設費というのは、現場での工事の準備費用、あるいは機械の搬入費用、あるいは材料試験等に要する費用でございまして、これも現場での共通的なものについては一定の率を厳密に積算する、あるいは、道路工事のような場合には状況で大分変わりますものですから、積み上げも行うということを厳正に行っているところでございます。  現場管理費は、労務安全管理等に関する経費でございます。あるいは福利厚生に関する経費ですから、これを積み上げ計上をさせていただく、こういうことでございます。  さて問題に、多分御関心をお持ちなのは一般管理費等というのでございますが、これは、本支店におきます従業員給与、あるいは広告宣伝、交際費、税金、配当金等々でございますが、これは建設業法に基づきまして、私どもで財務諸表を各企業から提出していただきまして、これを分析して決めておるというものでございます。その際に注意しなければならないのは、建設業者というのは、多くの場合民間の工事もたくさんやっておる。場合によっては不動産業、デベロッパーとしての仕事もやっておるというのが実態として多うございまして、そういったものは除外して考えなければならぬ。あるいは広告とか交際費、こういうものについては、公共事業の場合は一般的には必要ないわけでございますので、そういうものを全部捨象して一般管理費等の経費の率をはじかせていただいておるということで、私どもとしましては、これは非常に厳正にやらせていただいているつもりでございますが、今お話しのようなこと等も踏まえまして、さらに今後引き続き積算のあり方については念査をし、よりよりしっかりしたものにしていく努力はしてまいりたい、こう考えております。
  144. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 御説明としてはわかるわけです。しかし、現実に公共事業にかかわっている問題で、談合でいろいろな事件が相次いで出ているという今日の姿、そしてまたそれと絡んで政治家が暗躍をしてうまい汁をすする、こういうような実態というのは、やはりうまみがあるところにたくさんのアリが集まってくるというようなものだろうと私は思うのであります。そういう点では、もし採算がとれないものであればそんなにたくさんの会社が群がるように寄ってはこないと思いますと、やはりこの辺で抜本的な見直し、そういうものを検討しなければいけないのではないか、そういうふうに私は思うのです。  今詳しいお話がありましたけれども、公共事業はどうも積算が甘い、甘いからこういうところに人が、業者がたくさん寄ってくる、こういう実情だと思いますが、大臣はどうですか、検討しようという考えはありませんか。
  145. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先ほどから政府委員が答えさせていただきましたように、御指摘の点も含めまして、今回省内にできました入札手続検討委員会におきまして、さらに透明性、競争性、客観性を具体的に御理解をいただけるような環境づくりに今取り組んでおりますので、先生の御意見を一つの参考として検討させていただきたい、このように考えております。
  146. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 会計法第二十九条の三及びこれに関連する予算決算令あるいは調達令では、一般競争入札が本則で決められていることは御承知のとおりだと思います。指名競争入札は単にただし書きで決められているにすぎないのでありますが、いつからいかなる理由でただし書きの指名競争入札を今日まで実施してきたのか、その辺について御説明いただきたいと思います。
  147. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 一般的なことで申し上げさせていただきますと、我が国で明治二十二年に会計法が制定されているようでございますが、このときには、どちらかというと一般競争入札の考え方であったようでございます。その後、明治三十三年になりまして、言うならば政府の工事、この調達につきまして、今風に言えば発注者にとって不利となるときには指名競争に付することができる、この考え方は今の会計法にも引き継がれている、こう考えております。建設省におきましても、先ほど大臣が御答弁させていただきましたが、昭和二十二年に建設省が発足して以来ずっと指名競争入札制度を採用させていただいている、こういう経過でございます。  なぜかという御質問でございますが、今までもしばしば御答弁させていただいておりますが、端的に言うと、一般競争入札では、公共工事の契約というのは、契約の段階ではまだ物ができていな い現実がございます。ですから、そういった意味で、現地での組み立てであり、あるいは単品受注であるということからすると、発注する国なり地方公共団体の立場から見ますと、予定している質を予定されている工期の中でかっちりと仕上げていただく、こういったことをどう担保するかということがこの契約制度について終始つきまとっている大変重要な問題だ、こう認識しております。  そういった中で、昭和五十八年それから昨年というふうに、中央建設審議会でも大変な御議論をいただいて今日に至っているわけでございますが、基本としては指名競争入札だという御結論をいただいておりますが、一方で指名競争入札についての問題点もいろいろとあるということを御指摘をいただき、より透明性、競争性を高める、こういった観点から、先ほども大臣が御答弁させていただきましたけれども、そういうふうな具体的な改善の取り組みに私ども今、省を挙げて取り組んでいる、こういう状況でございます。
  148. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 経過としてはわかりますが、会計法二十九条の三を無視して今日までやってきた、その指名競争入札という制度のあり方が相次ぐ談合事件や不祥事件を起こしているという実態を考えれば、抜本的な改正をすべきだ、こういうふうに私は思うのですけれども、これについて建設省では、今なお談合はない、そういう認識なんですか、まあ幾らかはあるよ、こういうとらえ方で対応しているのですか、いずれですか。
  149. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 指名競争入札制度と談合とのかかわりという御質問になるわけでございます。  中建審等でも言われておりますが、不透明性というものが問題の一つとして指摘されている、そういった中で、一般論でございますけれども、指名競争入札制度についてもより透明性を高めるということは、今先生がおっしゃったようなことを懸念しての御意見、こう私ども受けとめております。私は建設省の立場でスタンスだけ申し上げさせていただきますと、直轄工事について我々常に言っておりますことは、談合というか、いわゆる独禁法に触れる行為は決して許さないというのが建設省の基本姿勢でございますし、終始変わらないところでございます。  そういった意味で、指名競争入札制度だから談合がどうというふうに私どもは必ずしも受けとめていないところでございますが、一方、運用あるいは業者のモラル等も含めて一般論で言うと、その種の問題も現実には広く各方面でないわけじゃないということも注目いたしますと、私どもとしては、この指名競争入札の運用についてもより厳正な姿勢を堅持していかなければならぬ、こういう気持ちで現在おるわけでございます。
  150. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 実は、きょうもしその資料をいただければ、大体一日すれば、当初から落札業者が決まっておって、そして形式的な入札を三回やる、こういうふうになることは恐らくだれしもわかることだろうと私は思うのであります。設計価格の〇・九九七掛けがやはり予定価格に対する落札予定業者の入れる価格だというふうに聞いているわけです。かつては落札予定者が全部三回分の、十人いれば三十人分の入札価格を封筒に入れて配る、そういう方法でやっていたそうであります。今は電話で前の日に、落札価格がこれだけだからということで連絡をして、それで皆さんがそれより高い価格で入れる、こういうのがむしろ半ば慣例的になっているというのが現実の姿だと思うのでありますけれども、やはりこの辺でこういうやり方を変えていくためにはどうしたらいいのかを真剣に考えるべき時期に来ている、そういうふうに思うのですが、どうですか。
  151. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 今先生から、予定価格の〇・九九七でございますか、そういうようなお話が、何か常識だというふうに承りましたが、私ども実はこれは大変ショッキングな御質問、御発言と受けとめさせていただくしかありません。というのは、予定価格は、もう言うまでもありませんけれども厳秘、少なくとも相手方等には一切知られるべきものでないということで、私どもこれは本当に真剣に取り組んでいる最も基本的な部分でございまして、そういった意味で○・九九何がしというようなものについて、私どもはあり得ないと思っております。  先ほども御答弁させていただきましたが、念のために、私ども最近の事例をある地方建設局について調べたところでは、〇・九六から一〇〇に近いものがございました、単純平均すると〇・九九でございましたということを、そのある地建のサンプル調査だけに限った話でございますが、いずれにしましても、ある一定の率がまずありきで、それでいわゆる入札談合等が行われるということについては、私どもこれは発注者の基本倫理にかかわる大変重要な部分を今御指摘いただいたと受けとめさせていただいて、本当にこれは絶対あり得ない、こういうふうに申し上げさせていただくほかございません。  いずれにしましても、入札事務、契約事務については、先ほど来大臣も申し上げておられるように、私ども本当に、こういった時期に改めて、特に建設省直轄の仕事というのはいろいろな意味で公共団体の仕事に対しても大いに参考になる、また学んでいただくべき必要もあるところでございますので、今、省を挙げて取り組まさせていただいておる、こういうことでございます。
  152. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 大変きれいな答弁ですが、しかし現実にはそうではないのですね。やはりそういったことで行われておりますので、一般的に天の声が聞こえるとかいうことがあるわけです。ですから、現場で、末端で、建設協会のある支部長がいるということになればその支部長と、地方では県の出先との間の予定価格についてのやりとりがあって、そしてそのもとで入札がされるというのが、私どものいろいろなことで聞いている実態だというふうに思っているわけです。ですから、あなた方が知らないのか知らないふりをしているのか、いずれかわかりませんけれども、現実にはそうだ、こう言わざるを得ないと思います。  これで議論していますともう時間がなくなりますのて、実は最近山梨県に参りまして、山梨県での公共事業等をめぐっての問題をいろいろお聞きしようということで、行ってまいりました。私どもが行きまして見た範囲、お聞きしたりなんかした範囲では、やはり執行当局あるいはまた業界とのなれ合い、こういうものは歴然として存在するわけですね。ですから、その結果として、新聞にも出ておりますけれども、何か勝ち組と負け組があって、今までほんのわずかであったものが、勝ち組になると一遍に十一・九倍の受注高になるとか、今までかなりもらってきた各社が、負け組になるともう本当にわずかな受注しかさせてもらえない、こういう結果が、これは新聞に出ております。  それと、私ここに資料を持っておりますけれども、いわゆる勝ち組のある建設会社は、本当に同じランクでですよ、平成四年三月から平成五年二月二十六日までの間ですが、その間、発注する公的機関から出されたものを百九件も実はもらっている、以前はかなりもらっておった会社が負け組になったために一年間にわずか十三件しかもらってない、こういうこともあります。それからまた、勝ち組の特定会社に受注が集中いたしました。そして、負け組で極端な例を申しますと、何億かを年間もらっていた会社がわずかに三千万程度しかもらえなくなってしまったということもありますし、全くゼロだという会社も、会社名はここで申し上げませんが、実はそういう会社もあるわけです。  ですから、こういう実態を見てまいりますと、果たして公正、公平な公共事業の発注が行われているのかどうかという点になりますと極めて疑問だ、こう断定せざるを得ない。こういうふうに考えますが、建設省として、このような実情にある山梨県の実態調査をして、きちっと公平、公正に行われるような公共事業の発注について指導をする考えがあるかどうか、改めてお聞きをしたいと思います。
  153. 伴襄

    ○伴政府委員 山梨県の話は、私も報道等では勝 ち組、負け組とあるような話は承っております。実態がそのとおりだと大変ゆゆしい話だと思っております。  ただ、今発注のお話だとすると、それは山梨県当局あるいは山梨県下の市町村の発注の話でございまして、建設省直轄工事につきましては責任を持って対応できるわけでございますけれども、それはそれぞれ発注当局の判断の問題でございますので、その辺までの対応はしかねるところでございます。  問題は、特に山梨県の建設業の協会との関係等も言われておりまして、そういったことが公益法人である協会の活動として行われているとは思えませんけれども、問題は問題でございますので、私ども、こういった協会のことも含めまして、その事業活動の実態だとか、例えば会費の徴収方法とか、会計処理はどうなっているかということは調査してみたいというふうには思っております。  いずれにいたしましても、山梨県の協会は山梨県知事の認可の団体でございますので、まずは山梨県当局を経由するか、あるいは一緒になってやるというようなことで、調査方法は工夫してみたいと思っております。いずれにいたしましても、関心を持って建設業団体の指導育成という立場から調査してみたいというふうに考えております。
  154. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 協会の指導はそのような答弁で結構だと思いますが、やはり県に対しても、当然国がかなりな公共事業費を山梨県にやっているわけでありますから、総体で一千億円くらいの大変な事業費を使っているというふうに聞いておりますから、これは県だから関係ないよというのではなくて、当然建設省でしかるべき指導があっていいのではないかと思いますので、ぜひその辺はきちっとやっていただきたいというふうに思います。  公共事業をめぐる汚職事件で大変問題になった千葉県では、今ランク制、同じランクにおる企業については、例えばAランクならAランクの発注については全部自由化させる、こういうことでかなり成果を上げているというふうに聞いております。また、岡崎市あるいは静岡市の両市では、十年前から今申し上げたような一般入札的な方向でやっているというお話を聞いておりますが、まあこれらを十分参考にしながら、公共事業をめぐる汚職事件が二度と起きないような抜本的な入札制度の見直しをやるべきではなかろうかと私は思いますが、いかがでしょう。
  155. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 お説のとおり、今回のもろもろの問題というものの背景にはいろいろなことがございましょうけれども、契約制度というものについても一つの課題がある、あるいはまた、その運用のやり方についてもいろいろ課題がある、こういった基本的観点に立って、今省を挙げて考えさせていただいておるさなかでございます。  今先生からお話のありましたように、県においてはいろんな工夫をしているんではないかということを私どもも承知をしておりますが、ちょっとこれは手前みそになるかという感じを与えるかもしれませんけれども、実は千葉県なり埼玉県でおやりいただいているという方式は、建設省直轄においてモデル的に二年前から取り組んでいる一つの成果というものもございまして、そういったこと等もむしろ公共団体にいい評価をいただきながら、これを導入していただいているということでございます。それを踏まえて、私ども技術情報公募型というものを、平成年度からは七十一工事についてあらかじめ一年間のプロジェクトも公表しながら積極的にやっていこう、こういったことでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  ともあれ、公共工事の発注というのは、直轄、公共団体発注ともどもが取り組まなければならぬ、こういうことでございますので、私どもも一生懸命頑張らせていただくという姿勢でございます。
  156. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 会計検査院法第二十三条一項の七によって、公共事業の効率的な実施をしているかを検査しなければならない、こういうふうになっておるわけでありますが、これら入札の現況等について、今日まで会計検査院でどんな検査をやってきたのか、また、その中で問題になったのはどんな点があったのか、お聞かせいただきたい。
  157. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が申し上げられたのは、会計検査院法二十二条第一項の七号の規定によりまして、私ども、工事の請負人についても検査ができるということの関連で御質問があったのかというふうに承っておりますが、私どもの検査は、基本的には、発注官庁から契約等会計経理に関する帳簿や資料の提出を受けまして、それらをもとに説明を受けるなどいたしまして検査を行っているところでございます。その結果、請負人に対しましても調査をする必要が生じた場合には、従来から、請負人の自発的な協力によりまして関係書類等を提出していただきまして検査しているところでございます。今後も、事態によって必要があると認められる場合におきましては、請負人に対しましてもこの二十二条第一項七号の規定によりまして検査してまいりたいと考えておるところでございます。  今まで契約に関してどのような指摘があったのかということでございますが、私ども契約に関しましては、会計法令にのっとって適正な契約がなされているかどうかということを検査の一つの主眼点にして今まで検査いたしております。その結果、今まで契約に関して大きな問題と申しますか、そういった問題を指摘したということは、今まで各地方公共団体の。補助金検査に関しまして、各地方公共団体でロ一アーリミットというようなものも設けておりまして、ローアーリミットが設けられている関係で不当に契約価格が高額になっているというような事態指摘したことがございますが、こういった指摘が何件かございます。これが契約に関する指摘でございます。
  158. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 こういう検査院法二十三条の一項という規定があるわけでありますから、公共事業について公正、公平な入札が行われているかということをきちっと検査する、そういうことが大事だと思いますので、ぜひそれはやっていただきたい。そして、あなた方は談合だという判定を下すところではありませんので、そういう可能性が見えたときには当然にしてこの集中排除法によって公正取引委員会に通告をして、しかるべき処置をしていただく、こういうことをするのは当然のことだと思うのですが、その点についてどういうお考えがありますかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども、国なり補助金を交付している地方公共団体の契約価格が適正かどうかという点で検査しているわけでありまして、談合云々という問題になりますと、私ども入札した全契約相手方と申しますか、建設業者を調べなければなりませんし、そして、建設業者に対しましては、国の契約相手方に関しては調査権限があるわけでありますけれども、その他の業者に対しては調査権限もございません。また、私どもの調査権限と申しますのは、司法当局の有しておられる強制調査権限とか公正取引委員会の持っておられる立入調査権限といった権限もございませんし、当然、権限上の制約もございます。したがって、これが談合が行われているというようなことを実を申しますと発見できないというのが実情でございます。したがいまして、先生が今御指摘になられたような、談合を発見した場合に公正取引委員会に通告するというようなことが、私、今の立場ではできかねるというところでございますけれども、もしそういった事態を確信するようなことができました場合には、当然そういったような措置もとり得る場合があろうかと考えております。
  160. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 どうもありがとうございました。
  161. 貝沼次郎

    貝沼委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後三時三分開議
  162. 貝沼次郎

    貝沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。倉田栄喜君。
  163. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。  本日は、平成年度決算ということでございますが、まずこれに関連して、既に平成年度検査報告書も出ておりますので、会計検査院の方にまずお伺いをいたしたいと思います。  検査報告書は、まず「不当事項」というところがありまして、「補助金」という項目から始まっております。  そこで、いわゆる建設省補助事業につきまして、この補助事業の総額、平成年度平成年度会計検査院として承知をしておられるかどうか、承知をしておられればその額をお伺いしたいと思います。
  164. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども、決算の確認ということを職務としていたしておりまして、当然決算金額ということで建設省所管国庫補助金の総額も把握しております。一般会計特別会計を合わせまして、平成年度は三兆七千五百七十九億八千九百万円、それから平成年度が四兆七百九十四億三千九百万円でございます。
  165. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それからもう一点、建設省でいわゆる直轄工事をされておるわけでございますが、この直轄公共事業の総額、これも平成年度平成年度検査院として承知をしておられますか。
  166. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 一般会計特別会計を合わせまして、平成年度が二兆四千百八十九億六千四百万円、それから平成年度が二兆五千五百七十億五千六百万円でございます。
  167. 倉田栄喜

    ○倉田委員 検査院の指摘では、まずこの補助金の過大交付について、元年度七千五百四十万円、それから二年度は少し少ないみたいですが、三年度になりますと六千四百三十六万円という過大交付についての指摘がございます。  今のお答えいただきました補助事業、それから直轄公共事業の総額五兆から六兆強、これだけの総額があるわけでございますけれども、ここに検査院が指摘されておられるのは、まず補助事業についての指摘しか今ございません、手元にあるのは。この直轄の公共事業について、検査院として不当事項あるいは不正事項として承知をしておられること、あるいは検査をされたことがあるかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  168. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもは、まず主要な任務として国の会計経理に対する検査ということが課されておりまして、当然建設省直轄事業についても検査を行っているわけであります。そして、直轄事業について今まで指摘がないのかという話でございますが、直轄事業に対する不当事項指摘は甚だ少ないわけでございますけれども、昭和五十九年度検査報告に積算過大の指摘例がございます。  このように補助事業直轄事業とにかかわらず、私ども同じように力を入れて検査しているわけでございますけれども、なぜこのように直轄事業に対する指摘が少ないのかということを、私の考えを述べさせていただきますと、建設省の場合は非常に専門的な能力を持った専門家集団でございまして、工事実施体制とか専門的能力等が補助事業等に比べましてややまさっているのではないかというような印象を受けておりますけれども、このような点から直轄事業に対する指摘が少なくなっているものというふうに私は考えています。
  169. 倉田栄喜

    ○倉田委員 直轄事業に関しては後でまた、今マスコミ等で騒がれておりますいわゆる建設業界の献金問題と絡んで、もう一度お伺いをいたしたいと思いますが、検査院のこの報告書を拝見させていただいておりますと、いわゆる不当事項あるいは補助金の過大交付が、先ほど申し上げましたように元年度七千五百四十万ある、三年度は六千四百三十六万ある、こういうふうに指摘をされているわけですが、見ましたときに、例えば補助金の総額が幾らで、あるいは直轄の公共事業の総額が幾らで、この件数がこれくらいあって、検査院としてこの中からどれだけ取り上げて、検査したものが幾らあって、その検査したものの中で指摘された事項はこれくらいであった、例えばパーセンテージで言うとこういうふうな割合であった、そういうふうに書いていただくとわかりやすいし、それで、推測するというのもどうかとは思いますけれども、こういうものかと読めると思うのですが、今の報告書だけのあり方では、全体の枠の中で考えるときに、これがこれぐらいのものなのか、あるいはこれはちょっと大変なことなのかというのがよくわかりにくいな、実はこういう感想を持ったわけでございます。  国民の皆さんの目から見て、検査報告書の記載のあり方、もっと工夫の余地がないものかどうか、これをお伺いをしたいと思うのですが、いかがですか。
  170. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、確かに事業費が幾らで、そのうち検査院の指摘が幾らだという記載が一目瞭然とは現在の検査院の検査報告にわからないようになっておりまして、その点、あるいは御指摘のように改善の余地があるのかなとも考えておりますけれども、今までこのような形式で検査報告ということを世間に対しまして報告させてきていただいておりますので、それがずっと続いてきたということでございます。  改善の点につきましては私の一存では答えられませんので、とにかく今までそういうふうなことがずっと続いてきたということで御説明をさせていただきたいと思います。
  171. 倉田栄喜

    ○倉田委員 国民の血税をどのように使ったかということでは、午前中からも指摘をされておりますとおり、決算委員会の重みというのは重要なものでございますし、また、決算という意味から、国民の目から見てああなるほどと納得できるし、わかりやすい報告でなければならないだろう、こういうふうに思います。私どもが決算委員会でいろいろ質問させていただくのも、会計検査院のこの検査報告書というのは一つの基礎となるものでございますので、ぜひもっとわかりやすくというか、いいものを、そういう報告のあり方はぜひ検討していただきたい、このように強く要望をしておきたいと思います。  そこで、今、国民の血税がどう使われたかということを申し上げました。きょうは建設省所管ということでございますけれども、建設業界の献金あるいはやみ献金、国民の皆様方にとっては不信の非常に大きな的であろうと思います。そこでまずこの点に関連して、金丸脱税事件について、きょうは法務省、国税庁にもおいでいただいておると思いますので、お伺いをしたいと思います。  金丸脱税事件というふうに呼ばせていただきますけれども、法務省では相当な資料を押収をされました。この金丸脱税事件について、その資料を今鋭意精査をされておられるのであろうと思いますが、この捜査資料を調査された結果、さらに捜査が進むということがあり得るのかどうか、また、この事件に関連をして追起訴ということも可能性としてあり得るかどうか、まずこの二点をお伺いをしたいと思います。
  172. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査はおおむね終了したものと聞いておりまして、これまでのところ、金丸前議員につきましては、起訴した以外の年につき訴追するに足る所得税法違反の事実が認められた、そういった報告には接しておりません。  なお、今後の見通しということでございますけれども、これは捜査当局が判断すべき事柄でございますので、法務当局からあれこれ申し上げるべき事柄ではないかと思うわけですが、今先生も御指摘になりましたとおり、今回の捜査では多くの証拠物などを押収しておるわけでございまして、検察当局においても、公訴維持等の観点から、今後必要に応じこれらの証拠物を分析、検討すると思われるわけでございます。ただ、これは相当日 数を要する作業でございまして、現段階で、検察当局が今後どうするかといった見通しにつきましては、何とも申し上げられないということで御了解いただきたいと思います。
  173. 倉田栄喜

    ○倉田委員 押収をされた証拠資料というものは、確かに公判維持ということで押収されたのだとは思いますけれども、その資料の中からこれは犯罪だなと思われる端緒、きっかけがあれば、これは捜査当局としてもまた鋭意その解明に努めていかなければならないであろう、これは当然のことだろうと私は思います。それがどのようになっていくかは、まさにその資料の分析を待たなければいけないのだろうと思いますのでその点は待ちたいと思いますが、関連してもう一点、今回の捜査の中で、山梨県以外に全国各県の建設業界を捜査された事実があるかどうか、あるいは、もう捜査を終了されたという善言葉だったのでどうかと思いますが、今後建設業界について新しい犯罪の端緒が見つかることがあり得るかもしれませんし、そういう意味からすれば、全国の建設業界を今後捜査する予定があられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  174. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  検察当局としては、去る三月六日に強制捜査に着手して以降、八次にわたりましていろいろなところを、合計約九十四カ所ですが、捜索、押収といった措置をとってきたわけですけれども、それ以上詳しいことになりますと捜査の中身になるわけでございまして、その内容につきましてはちょっと御容赦いただきたいと思うわけでございます。  それからまた、今後の予定ということも、先ほども申し上げたとおり、あくまで捜査機関が判断すべき事柄ですし、その性質上あらかじめ公にするべきものではございませんので、その点も答弁を差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  175. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どこの質問のときも大抵、捜査中であるとか捜査の中身の問題でありますということで、お答えをいただけないわけですけれども、これは明らかにできる機会があれば何らかの形できちっと明らかにしていただきたい。明らかにしていただきたいというよりも、明らかにする必要があるのではないのか、こういうふうに強く要望をしておきたいと思います。  そこで法務省に、一般論としてお聞きをしたいと思います。  金丸さんは党の元副総裁であったわけでございますが、この党の副総裁が公共工事の発注に関して各省と、例えば建設省でもよろしゅうございますが影響力を行使した、この影響力を行使した場合に、いわばどのような場合に汚職となるか、一般論としてお答えいただけますか。
  176. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  あくまでも一般論ということで答えさせていただきたいわけでございますが、政党に所属する政治家の方々につきましては、そういう立場で行政当局に、いわゆる政治力と申しますか、そういうものを行使した、あるいは各省に働きかけを行った、それだけでは犯罪は成立しないのではないか、こういうふうに理解しております。  なお、申し上げるまでもないところでございますが、政治家が、例えば国会議員その他の公務員である場合には、公務員としての職務に関しまして利益を収受するというようなことになりますれば、これは収賄罪が成立するでありましょうし、また収受した利益がその地位にある公務員自身の職務とは関係しない場合でありましても、請託を受けまして、他の公務員をしてその職務上不正な行為をなさしめ、または相当な行為をさせないようにあっせんすることまたはしたことの報酬としてわいろを収受すれば、あっせん収賄罪というものがある、ごくごく一般論で申し上げれば、そういうことでございます。
  177. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は今、汚職が成立しない場合をお聞きしたのではなくて、成立する場合を端的にお答えいただきたかったわけですが、その後段の部分に、いわゆるあっせん収賄罪のお話をなさいました。  御答弁は刑法の条文どおりお答えをいただいたわけでございますが、そのあっせん収賄罪に関連して、例えば自民党副総裁が各省庁に影響力を行使した場合、どのような場合にそのあっせん収賄罪というものが成立するのか。これも一般論の範囲としてお聞きできることだと私は思いますので、御見解をお伺いしたい。
  178. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、あっせん収賄罪というのはどういう要件があれば成立するかということを申し上げますと、一つには、贈賄者において請託をなす、収賄者たる公務員においてこれを了承することが必要でございます。二番目に、請託の趣旨が、収賄者が他の公務員の職務に関し当該公務員にあっせんすること、これが要件でございます。三つ目の要件は、贈賄者と収賄者の間で利益の授受またはその要求もしくは約束があったこと。四つ目の要件としましては、その利益の授受の趣旨が、収賄者が他の公務員をして当該公務員の職務上不正な行為をさせ、または相当な行為をさせないようあっせんし、またあっせんをしたことに対する謝礼であること。この四つの条件が充足されればあっせん収賄罪が成立する、こういう法律関係になっております。
  179. 倉田栄喜

    ○倉田委員 一般論でお聞きをしたわけでございますけれども、例えば政治家の場合、今回の場合も適法、適正に処理をされた献金もありますでしょうし、あるいは裏献金と呼ばれる場合もあったわけでございますが、その金を受け取った、そして政治的影響力の行使もあった、さらに今請託というお話がありましたけれども、この請託は、具体的に特定をされないと今の要件に当たらないのかどうか。また、献金と政治的影響力の行使が、具体的な事実に関して結びついていかなければいけないのかどうか。この点についての御見解もお伺いをしておきたいと思います。
  180. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  一つ目の御質問は、わいろと政治献金に関係するような事柄だと理解しましたので、そのようなことから一般論として申し上げますと、例えば国会議員の場合には、公務員たる国会議員としての立場と政治家としての立場を兼ね備えているというふうに指摘されておるところもあるわけですが、わいろと政治献金との関係では、かつて大阪タクシー汚職事件の控訴審におきまして次のように判示されておるわけでございます。  すなわち、献金者の利益を目的とする場合でも、献金者の利益にかなう政治活動を一般的に期待してなされたと認められる限り、その資金の贈与は、政治家が公務員とする職務権限の行使に関する行為と対価関係に立たないものとしてわいろ性は否定されることになる、こういうふうに判示しておりまして、最高裁もこの判断を肯定するような判示をしておるわけです。  そういうところから考えますと、一般的ですが、献金に際しまして何らかの思惑、期待があったということが直ちに刑法上のわいろ性を意味するということは断定できないのではないか。いずれにしろ、職務に関するわいろか職務に関しない純粋の政治献金がは、事実認定の問題でございますので、収集された証拠により判断されるべき事柄だろうと思うわけでございます。  それから、請託の意味につきまして、具体性あるいは特定性が必要ではないかといった御質問ですが、基本的には、そういうものでなければ請託があったということにはならないのではないか、こういうように考えております。
  181. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私も今御答弁いただいた趣旨はよく理解できるつもりでおるわけでございますが、いわゆる政治家と金、これは国民の目から見たら非常にわかりづらい。それが一つの政治不信の大きな原因になっている。今回のいわゆる建設業界の献金の問題あるいは政治家の影響力の行使、こういう問題について果たして刑法の発動はないのかどうか、こういう点からの国民の関心も非常に高いだろうと思います。刑法というのは構成要件きちっと決まっているわけでございますので、その 枠を広めるようなことがあってはならないと思いますけれども、しかしこれも、きちんと国民の目から見てわかるようにお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、次は国税庁にお伺いをしておきたいと思いますが、献金があった、あるいは裏献金があった場合、その献金を受けた方で、受けたけれども政治資金として使用されなかったという場合については、これは課税をするというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  182. 古出哲彦

    ○古出説明員 一般論としてお答え申し上げますと、政治家個人に対して提供されました政治資金は、政治資金規正法または公職選挙法の規定に違反するものであるか否かにかかわらず、所得税の課税上は雑所得の収入金額として取り扱われておりまして、その政治資金収入金額から雑所得の必要経費として政治活動のための費用を差し引いて、残高がある場合には所得税の課税の対象となっております。  この場合に、政治活動のための費用の認定につきましては、単に領収書等の書類の有無のみで判断するというものではございませんでして、その納税者の私的消費や私的財産の形成の状況も含めまして、個別のケースにおいて総合的に判断して処理することとしているところでございまして、その結果、政治活動のために使われたという事実認定ができなかったものについては、必要経費としては認めないというような取り扱いをいたしております。
  183. 倉田栄喜

    ○倉田委員 国税庁として、いわゆる政治資金の使途、これは具体的な事件が起こったケースではなくて一般論の、課税申告の時期において、あるいは申告をそれぞれ政治家がするときに、その政治資金の使途あるいは雑所得の経費等々、これはどういう形で今調査をしておられるわけでしょうか。
  184. 古出哲彦

    ○古出説明員 今議員の方から、政治資金の使途、その費用として認定する場合にどのような調査をしているかということでございました。先ほどちょっとお答え申し上げたのでございますけれども、現実に領収書等があるかどうかというのももちろん一つの基準ではございますけれども、ただ、事業所得者の場合にも、現金取引等もございますし、領収書等の書類の提示がないといったような場合もございます。また、その支払い先の説明を拒否する場合もございますが、そういう場合におきましては、その納税者の私的消費の状況も含めまして、個別のケースにおいて総合的に判断して処理するわけでございます。具体的には、先ほど申し上げましたように、財産面から総合的に調査を行うといったような手法も持っております。  税務調査におきましては、御承知のように、国税当局の方には質問検査権が与えられておりますから、その質問検査に対しましては、納税者はこれに対しまして答弁し、または検査を受ける義務が課されているところでございます。したがいましては、個別のケースにおいて、その質問検査の過程において事実認定を行っていくということになろうかと思います。
  185. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の建設業界の献金の問題については、いわゆる企業の使途不明金という点も非常に大きな問題となっているわけでございます。午前中のお答えの中にも、百八十社、三百八十二億円の使途不明金があった、そして、これは一社当たり二億円くらいに当たるという御答弁もございました。  使途不明金というのは、結局、どう考えても何に使ったのかわからない、こういうものなんだろうと思うのですけれども、利益の追求を第一の基準とする企業が、一社当たり平均二億円もの使途不明金があるということ自体が大体おかしいと思うのですけれども、国税庁が使途不明金と認定するについて、大体どういう、ああ、これは使途不明金てしょうがないですねと言っておられるのかどうか、その辺の使途不明金についての認定のあり方ということをまずお聞かせ願いたいと思います。
  186. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  国税当局といたしましては、真実の所得者に課税するというのが税務行政に課せられた役割というふうに考えておりまして、その観点からいたしましても、使途不明金は課税上大変な問題があるというふうに認識をいたしております。したがい、まして、その解明に特段の努力を払っているところでございまして、ぎりぎりまで調査をいたしまして使途の解明に当たっているというのが実情でございます。  ただ、解明のために最大限の努力をいたしましても、なお法人がその使途を明らかにしない場合があるということもこれまた事実でございまして、そうした場合の取り扱いといたしましては、法人が使途を明らかにすれば損金となるものもあるわけでございますが、そうした場合であっても損金算入を認めずに、支出法人に対して法人税を課しておる、こういう扱いをいたしておるところでございます。
  187. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まさに今お答えの中にありましたように、法人自身は使途をわかっておったとしてもその使い先を明らかにしないというケース、これは国税庁の方にしても多分おわかりになるんじゃないのかなという気がしてならないわけでございますが、使途を明らかにしない、実際に実情を、これを何に使ったのか本当にわかりませんということだったら納得はできるし、そういう金額はそんなに大きな金額ではないんだろうと思うのですが、わかっていて説明できないというケースに対しては、やはり現行の使途不明金という項目に対する処理の仕方よりも、もっと何か違う、使途不明金というのは基本的にはなくしていきましょう、こういう方向で、これは制度の問題になるかもしれませんが、課税をもっと厳しくするとかなんとかいろいろあり得るんだと思うのですが、この点について国税庁としてお答えをいただける点がありましたら、お答えを願いたいと思います。
  188. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先ほどお答えいたしましたように、その使途の解明に全力を挙げるということが最も重要なことというふうに考えております。ただ、午前中にもお答えいたしました使途不明金として把握しました数字の中でも、最終的に約八割につきましては使途が解明できない、こういうことになっております。そういった状況にはございますけれども、今国会でもいろいろ使途不明金についての御議論をいただいております。そうしたことも頭に置きまして、さらに使途の解明に全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。執行当局としては、現行税制のもとでできる限りの厳正な処理をしておる、こういうふうに考えておるところでございます。
  189. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そこで、建設業界からのやみ献金あるいは使途不明金の処理ということに関して建設省にお伺いをしたいと思いますが、建設業界からのいわゆる政治献金の実態について、建設省としては、建設業界の事業活動状況あるいは会計処理方法などを調査したい、こういうお答えで、その実施方法を詰めているという答えをされておられると思います。それは、独自に調査をされるというふうに聞いていいのだろうと私は思うのですが、大体いつごろをめどに、どういう手順で進めようとされておられますか、お答えいただきたいと思います。
  190. 伴襄

    ○伴政府委員 建設業界からの政治献金の問題でございますが、これはまさに現在捜査当局でも捜査中というか、精査中の話でもございます。また、政治資金規正法そのものは建設省の所管する法律でもございませんし、しかるべき部署で担当されている法だと思っております。しかも、この政治献金につきましては、個人、法人を問わず、その自発的意思に基づいて適法に行われている限りは正当だということもあろうかと思いますので、建設省として何かするにしても、今一般的に先生指摘のような話がございますので、やはり企業倫理の上でどうか、企業モラルの上でどうかという観点から調べてみたいというふうに考えているわけでございます。  したがって、とりあえずは建設業者団体からのヒアリングもございますし、また、関係の個別企業からもヒアリングを行いたいと思っておりますが、先生指摘のとおり、事業活動の実態とか会計処理とか、あるいは会費の納入方法といったことを調べてみたいというふうに思っております。仰せ、これに関しての強制捜査権も押収する権限もないわけでございますので、やるといたしましても、この建設業を一般的に育成、指導するという立場からやりたいというふうに考えておるところでございます。  体制につきましては、極力、調査の中身とか実施体制とか受け入れ側の受け入れ状況、そういうことを詰めておりますので、おただしてございますけれども、これはできる限り早目に実施着手に入りたいというふうに考えております。
  191. 倉田栄喜

    ○倉田委員 建設大臣にお伺いをしたいと思います。  大手ゼネコンからのいわゆるやみ献金問題というのがマスコミの新聞紙上で騒がれております。建設大臣、この大手ゼネコンのやみ献金問題についてどのような御認識であるか、お伺いをしたいと思います。
  192. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  政治献金につきましては、個人、法人等の自発的な意思に基づき適法に行われるものである限り正当であると考えております。建設省としては、建設業界がやみ献金を行っているのではないかという国民の厳しい批判を受けることになって、重く受けとめておりますので、三月二十九日に大臣談話等、対応方針を発表し、その中で建設業界に対して、ただいま政府委員説明をさせていただきましたように、いわゆる会計処理とか団体の会費とかそういったものも含めまして、そうしたものがきちっと整理ができるように、企業倫理の確立を強く要請しているところであります。日建連あるいは全建におきましても、国民の批判を真摯に受けとめて、今後、団体に所属する企業が一丸となって企業の倫理の確立に努めるとともに、政治資金規正法に違反する献金は一切行わないという決議をいたしましたので、自主的に表明したということを高く評価し、その内容が速やかに会員の会社に徹底されるように指導していきたい、このように考えております。
  193. 倉田栄喜

    ○倉田委員 清水建設が作成した政治家五十七人を五ランクに分けた政治献金リストが公開をされたわけでございますが、建設大臣はBランクという位置に位置づけられているという形で報道されておられました。このメモというか、このランクそのものについては大臣は関知しておらないので全くコメントはできない、こういう御答弁でございましたが、この清水建設から建設大臣は政治献金を受け取られたことが現在までにございますか。
  194. 中村喜四郎

    中村国務大臣 私は、政治献金というのは薄く広く企業から受けて浄財としていただくということでやってまいりましたので、建設業界複数の会社から政治献金を今までいただいております。
  195. 倉田栄喜

    ○倉田委員 恐らくお答えの趣旨は、薄く広く建設業界からも献金を受けておる、こういうことですので清水建設も中に入っておるのだろうと思うのですが、その薄く広く建設業界からどの程度もらっておられるか、あるいは、その中の一つとして清水建設から幾らもらっておられるか、これは大臣として自分の政治団体あるいは後援団体、承知をしておられますか。
  196. 中村喜四郎

    中村国務大臣 この問題につきましては、先日の衆議院本会議、また新聞記者会見でも質問をいただきましたので、調査をいたしまして、調査した結果、いずれも適正に適法にちょうだいをしているということで確認ができております。
  197. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いずれも適法、適正に処理をされておるということでございますので、一番最後にこの問題はもう一度、建設大臣のいわゆる政治資金の透明性という観点からお伺いをしたいと思いますが、その前に、建設大臣は公共工事の主管大臣であるわけでございますが、ゼネコンから献金を受けられるということは、これは記者会見で、閣僚就任後も、薄く広くということでしょうけれども、お受け取りになっておるということを明らかにされておられるわけでございますが、大手ゼネコンから、あるいは建設業界から建設大臣が献金を受けるということ自体について、例えば、やはり職務にかかわる献金、職務にかかわるお金だと誤解されやすいのではないのかとか、そういうことも批判としては出ると思いますが、大臣としていかがでございますか。建設大臣としておられる間であっても、薄く広くということであれば今後も、建設業界からの献金はお受け取りになるつもりでございますか。
  198. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  先ほど答弁をさしていただいたことに繰り返しになりますが、建設業界を含む企業からの献金については、これまでも適法に薄く広くちょうだいしてまいりました。この点につきましては、建設大臣の立場である現在も、また今後も変わらないというのが基本方針でございます。ただ、企業献金のあり方につきましては、いろいろ議論があることは承知しております。これまでも法令の定めに従って適正に処理してまいりましたが、今後、今回の政治改革問題の抜本的な改正あるいは政治資金の規制の強化、こうしたものが決められるということになれば、これに従うのは当然のことでございます。  ただ、御指摘をいただきましたように、現職閣僚という立場を考えれば、公私の区別をはっきりつけるということは当然必要なことであると考えております。献金の有無にかかわらず大臣としての職員を毅然として全うすることは当然であり、行政の筋をいささかも曲げることなく、特に最近一部で報道されているような公共工事と政治家の関係について疑惑を招くことのないように、みずからを厳しく律していきたい、このように考えております。
  199. 倉田栄喜

    ○倉田委員 関連してまた最後にお伺いをしておきたいと思うのですが、その前に、いわゆる公共工事の発注の問題について、これは公正取引委員会建設省にお伺いをしておきたいと思います。  一九九〇年から例えば十年間公共投資四百三十兆やりますという対外的公約があります。この四百三十兆もの公共工事、その額、見積もりあるいは執行予定を含めて公共工事のガラス張りの執行というのが今後ますます強く求められることになると思います。これは新聞報道ですが、池田内閣のもとで臨時行政調査会の委員だった花村忠元検事総長が、新幹線や縦貫高速道路は国の事業予算の大体半値くらいでできると私は思うと同じ委員の太田薫元総評議長に語ったんだ、これは伝間ですので事実がそうなのかどうかわからないけれども、こういう報道がありますと、ますます国民の皆様方の、いわゆる公共工事とそれから現在の指名競争入札制度のあり方というものについて関心を呼ぶし、これはきちんとしていかなければいけないんだろう、こう思います。  そこで、現在の指名競争入札制度、さまざまもう議論が出ておりますけれども、これは公正取引委員会にお尋ねをしたいと思います。  それなりの理由が存して現在の指名競争入札制度になっているんだろうと私も思うのですが、制度的に考えるとやはりもう疲労を来しているのではないのか、これが談合や腐敗を生む温床になっていないのかどうか。済みません、まずこの点を建設大臣にちょっとお伺いをして、その後公正取引委員会にお伺いをしたいと思います。
  200. 伴襄

    ○伴政府委員 現行の指名競争入札制度についてのお話でございますが、指名競争入札制度というのは、不要な工事を排除いたしましたり工事施工の質を確保するというためには、信頼できる施工業者を選定して指名という行為でもって質を確保するという点で非常にすぐれている制度だと思います。ただ、一般競争と比べますと、入札参加意思のある業者に対しまして広範な参加機会の確保を図るといういわゆる競争性の点からは改善すべき点があるのではないかと考えております。  そこで、指名競争入札制度は公共工事の質の確保という点では有効な制度だと考えますけれど も、この一層の透明性、競争性を確保する、あるいはアップするということが大事かと思いますので、その点で改善を進めていきたいというふうに考えておりまして、今指名競争が談合の温床という話がございましたけれども、競争入札の形式によって談合が多いか少ないかということは必ずしも言えないんじゃないかという気がいたしますのは、例えばアメリカは有名な一般競争入札方式をとっておりますけれども、これも年間数十件の入札談合に関する刑事訴追が行われているというふうに聞いております。だから一定の競争者が決まりますとそこでカルテルが行われる可能性があるということは否定できないわけでございますので、そういう意味でいいますと、必ずしも入札方式と談合の発生が結びつくものじゃないという考え方でございます。  ただ、申し上げましたように、この指名競争入札がやはり透明性が欠けるんじゃないか、競争性が不十分じゃないかというふうな御指摘がありますので、この点については改めて改善していくということが必要かと思いますので、これにつきまして大臣からも強い指示がございます。早速やるものは実行しておりますけれども、検討すべきものは一月以内に結論を出すというようなことで、できるものからやっていくという姿勢で臨んでおるところでございます。
  201. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣にも少し御認識をお伺いしたいと思います。
  202. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  ただいま政府委員が答弁したことと重複いたしますが、指名競争入札と一般競争入札については、アメリカにおいては一般競争入札、ボンドを中心としたものが行われて、その中で何件かの談合も起こっておる、こういうようなことでございますし、また、イギリスなんかにおきましては、指名競争入札から一般競争入札に変わって、その後やはり疎漏工事等が起こって指名競争入札になっていった。あと、フランス、ドイツ、こういったところも、全部ではありませんが指名競争入札の制度というものが採用されているということから見れば、指名競争入札の透明性と競争性、あとは客観性、公開性、こうしたものをやはりきちっと整理をしながら問題点を排除するように努力するということは必要なことだろう、このように考えております。
  203. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公正取引委員会の方に、現在の指名競争入札制度、いわゆる談合の温床になっていないかどうか、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
  204. 平林英勝

    ○平林説明員 御説明いたします。  公共工事におきましてどのような入札制度が望ましいかという問題につきましては、第一義的には発注官庁がまず検討すべき問題ではないかというふうに私どもは考えております。公正取引委員会といたしましては、一般競争入札でございましても、また指名競争入札でございましても、入札制度か適切に運用されまして、入札参加者間において公正かつ自由な競争が確保されることが重要ではないかというふうに考えております。  先ほど御説明ありましたように、建設省におきまして透明性、競争性の確保の観点からいろいろ改善措置がとられるというふうに聞いておりますので、公正取引委員会といたしましては、このような措置が着実に実施されて、建設業者間の公正かつ自由な競争というものが一層確保されるということを期待しているところでございます。
  205. 倉田栄喜

    ○倉田委員 会計検査院にもう一度お伺いをしておきたいと思うのですが、現在の公共工事の発注手続が適正であるのかどうか、これは予定価格、例えば見積もりをされるときに、通称電話帳と呼ばれる基準価格をもとにして予定価格を立てていかれるのだろうと思うのですが、この点も含めて予算というものが、公共工事の見積もりというものがまず適正なのかどうか、それからその発注手続も適正に行われているのかどうか、こういう点は会計検査院としてお調べになっておられるのかどうか、あるいは調べたことがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  206. 佐藤恒正

    佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども当然、契約制度が適正に運用されているか、例えば国の公共事業においては指名競争契約制度がとられておりますけれども、これが法令にのっとって適正に行われているか、こういうことについては当然検査しております。そして、今見積もりとおっしゃいましたけれども、予定価格の積算が適正に行われているか、これはもとより、予定価格の積算が積算基準や市場価格等に照らして適正な価格となっているかというのは私どもの主要な検査観点でございまして、これももちろん当然事細かく検査しているわけでございます。
  207. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、公共工事の発注の問題については、指名競争入札制度自体の問題、それから予定価格のあり方の問題が指摘をされているわけでございますが、そのほかに、いわゆる共同企業体の問題、さらには企画設計の見積もり、インハウスというのですか、官庁でやっておるというこのインハウスの公開の問題、こういう点も指摘をされておると思います。  建設省は、まず共同企業体の問題に絡んでいえば、建設省建設業法第二十二条で禁止をされている一括下請の禁止の徹底を図るため、たしか昨年の十一月十七日ごろ、どういう形の通達かわかりませんけれども、要請をされておると思います。建設省として、いわゆる一括下請、丸投げというふうにも言われているんだそうですが、この実態をどんなふうに認識をしておられるのか。それから、この共同企業体の関連でいえば、いわゆる金丸脱税事件において、金丸氏関連企業が公共事業を請け負ったという事実はないのかどうか。  この点については、建設省とそれから法務省にもお尋ねをしたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  208. 伴襄

    ○伴政府委員 まず一括下請の問題でございますが、これは建設業法二十二条というので禁止しているわけでございますけれども、せっかく受注した建設工事を一括して下請に請け負わせますと、発注者が当該業者に寄せた信頼を裏切るというようなことで施工責任が不明確になるとか、工事の質が低下するとか、労働条件の悪化を招くといった問題があります。したがって、建設業の健全な発展を阻害するという意味でこれを禁止しているわけでございますけれども、これがなかなか実は実態としては不分明なところがございます。ただ、刑事事件等でこれが浮上してくる場合がございまして、まあそのときによく言われますのは、どうなれば一括下請になるのかといったようなことがよくわからないということがございました。  一般的にはそういった違反に対しましては、監督処分をやったり、あるいは、建設業の構造改善の中でも、不良、不適格の業者は排斥するという意味で一括下請を禁止しているわけでございますけれども、それをもう少しわかりやすくするという意味で、今先生指摘の昨年十一月の運用基準で、一問一答形式でマニュアルをつくりまして、こういう場合には一括下請になるよということをはっきりさせまして、その趣旨の徹底を図っているところでございます。現在、財団法人の建設業適正取引機構というのをつくっておりますので、その講習会等を通じまして、この一括下請の禁止につきましてその徹底に努めていきたいというふうに考えております。  それから、ジョイントベンチャーのことにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、公共工事におけるジョイントベンチャーは、基本的にはなるべく単体で、ジョイントベンチャーを避けるように、ただ、二つの場合がありまして、大型の工事の場合には危険分散とかいうような意味もありまして、大型工事の場合に二、三社でジョイントベンチャーを組むこと、あるいは中小企業で経常的に組むことということをジョイントベンチャーのお薦め品としておりますけれども、ただどうも、受注機会の確保、拡大のためのジョイントベンチャーというのが蔓延しているようでございまして、それを何とか整理し縮小していくということを我々今努力しているところでございます。
  209. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先生からちょっと積算のこと、インハウスのこと、あるいは金丸関連企業のことを御質問ございましたものですから、簡潔に御答弁させていただきます。  積算のあり方については、先ほど来御答弁させていただいておりますのでくどくど申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしましても、資材価格については、今先生電。話帳といみじくもおっしゃいましたが、具体的には財団法人の建設物価調査会なり経済調査会が毎月発行しております全国的、地域別の物価資料、これを使うということで、最新の価格を反映させるということでやらせていただいております。  また、労務単価につきましても、建設、運輸、農林三省が共同で毎年、まあ二回最近ではやっておりますけれども、賃金実態調査、これを踏まえまして大蔵省とも協議の上、労務単価を決めさせていただいて、それを積算に使っているということでございます。  なお、一般管理費につきましても、先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、私ども毎年のようにいただきます企業から出す財務諸表等を分析いたしまして、その際に、民間工事あるいは不動産事業等入っておりますので、こういったものを除き、あるいは公共事業というものについては交際費、広告宣伝費等要らないという観点から、非常に厳格ないわゆる一般管理費等の比率を決めさせていただいているということで積算の正確さ生きを期している、こういう次第でございます。  なお、その設計に当たりましては、御指摘のとおり、私ども直轄事業、また公共団体の場合でもそうでございますけれども、いわゆるインハウスでやらせていただいております。これは正直言って長い伝統の中で建設省自身も大変大きな技術者集団でございます。そういった中でインハウスでやるということになっておりますが、ただ昨今、いわゆる補助的な部分、単純な部分については秘密厳守の上で民間のコンサルタント等にも委託しているといった事実はありますけれども、いずれにしてもこれによって契約事務、積算事務がゆがめられることのないように、私どもこれはもう細心の注意を払ってやらせていただいておる次第でございます。  なお、金丸前議員の関連企業についての御質問でございますけれども、率直に申しまして、どのような企業があるか私ども承知いたしておりません。そういうことできょうの答弁はお許しいただきたいと思います。
  210. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  脱税事件の捜査の過程で金丸前議員自身の関連企業が公共事業を請け負っていたかどうかといった御質問がと思いますが、関連企業に関しましてはいろいろ報道がなされていることは検察当局も承知していると思いますけれども、何分にも御質問は捜査の過程でどのような事実を把握しているかといった問題でございますので、先ほども同じようなお答えをしてきたとおりで大変恐縮でございますが、そういった内容についてはお答えを御容赦いただきたい、このように考えております。
  211. 倉田栄喜

    ○倉田委員 共同企業体の問題でいけば、確かにお互いに技術力を補完し合うという意味での共同企業体のあり方は適正かと思うのですが、ただ単に名目的に大手の企業と地方の業者とが合体をしてどこかで手数料だけ取ってしまう、そういうあり方であってはならないだろうと思いますし、そこからいわゆる政治資金が裏に流れるということもまた、国民の皆様から見れば不信の大きな一つであろう、こういうふうに思いますし、先ほどのインハウスの問題にしても、見積価格の問題、果たして公共工事の総額が本当にこれだけかかるのかどうか、これも厳正にこれからやっていかなければいけないのだろう、こういうふうに思います。そこで国民の皆さんの目から見たその金が政治家に流れているのではないのかということが、非常に大きな不信の日なのであろうと思います。  もう時間も少なくなってまいりましたので、最後にもう一度建設大臣に、建設大臣御自身の政治資金の透明性、御自身の一般論として適法、適正に処理をされているというふうにお答えになりましたが、建設大臣自身の政治資金の透明性、御自分でどのようにきちんとできているとお考えになっておられますか。あるいは、その透明性を御自身でこれからどのように確保していくとお考えでしょうか。
  212. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えをいたします。  今、国民の政治に対する不信の高まりは、今日の民主主義のあり方の根底を問われるような厳しい状況になってきている、このように考えております。政治改革を考える上でも最も重要なことは政治腐敗の防止であり、そのために政治資金の公正性と透明性を高めることはぜひとも必要であると私は考えております。このような観点から政治資金規正法改正案を党がまとめたわけでありますので、緊急な課題であり、選挙制度の問題と密接に関連しておりますので、関連している提出された四法案が一括して早急に議論されることを基本的な考え方としております。  そして午前中も私自身の政治活動について若干触れさせていただきましたが、私は今まで十七年間政治活動をさせていただいてまいりましたが、その間に、いろいろ支障があるかもしれませんが、パーティーとか出版記念会あるいは祝賀会、こういったことを、現職のときはもちろんでありますが、議員のときもやらないで、そういう面では自分の政治活動というものには非常に厳しくしていかなければならない、このような考え方で自分としては今まで政治活動をやってきたつもりであります。
  213. 倉田栄喜

    ○倉田委員 建設大臣のいわゆる政治団体、これは官報に掲載をされている分でございますが、その資料、これで全部なのかどうかちょっとわかりませんけれども、一応私は拝見させていただきました。その中に今回の建設業界からの献金の問題、大臣は適法、適正に処理をされているというふうにお答えでございますが、この大臣御自身の後援会あるいは政治団体においていわゆる大手ゼネコンの名前は一社も出てこないわけですね。間違っているのかどうか、私が大臣御自身の政治、後援団体を調べた範囲では、ともかく年間百万円を超えるという形で報告をされているのは一つもない。茨城県の建設業界は何社かございましたけれども、いわゆる大手ゼネコンからの政治献金としての形は、名前はあらわれてこないわけです。そうすると、適法、適正に処理をされているという大臣の御答弁のままですと、そして受け取っているということであるとすれば、いわゆる小口に、年間百万円以下に分散されているとしか考えられないわけでございますが、これでは果たして大臣自身の政治資金の透明性は確保されていると言えるのかどうか、非常に疑問だと思うのです。  私の今の質問、大臣御自身の後援会あるいは政治資金団体において大手ゼネコンの名前が一社も出てこないというのが事実かどうか、大臣どのように御認識になっておられるかをお伺いし、最後に、今大臣御自身、政治改革関連法案の実現を期する上で政治資金の問題も解明していきたいという話もございました。この問題は今国会で実現すべきだとお考えになるのかどうか、この点もお答えを願いたいと思います。そして最後の問題は国土庁長官にもお伺いをしておきたいと思いますので、ちょっと時間を超過してしまいますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
  214. 中村喜四郎

    中村国務大臣 政治資金の問題につきましては、先ほどから答弁させていただいていることを繰り返して恐縮でありますが、私の信条として広く薄くという考え方で対応してまいりましたし、今後もその基本方針を貫いていきたい、このように考えております。そして今後とも、建設大臣として、また一人の政治家として、厳しく襟を正して、国民の皆様方から信頼される行政、政治の実現に向けて誠心誠意努力をしていきたい、このように考えております。  そして政治改革関連法案につきましては、現在自民党として政治改革関連四法案をまとめて国会に提出しているところであり、早期に審議をいただけるものであると考えております。四法案は抜 本的な制度改革に取り組もうというもので、自民党としてはベストなものであると考えておりますし、国会においてもいろいろな立場から論議がなされていくだろうと考えておりますが、政治に対する国民の信頼を一刻も早く回復するように、速やかに成果が得られることを望みたいと考えております。大いに議論をして与野党が歩み寄る中でこの問題が解決されるように、私も閣僚の一人として最大の関心と努力を払わなければならない、このように考えております。
  215. 井上孝

    井上国務大臣 私も、今国会で政治改革関連四法案をぜひ通していただきたい、これが国民の政治不信を解消する第一歩だと思っております。  なお、私は参議院議員でございますので一言申し上げますが、参議院はただいま与野党逆転でございます。野党の方が多いという状況でございます。ただいま建設大臣がおっしゃいましたように、与野党間で十分お打ち合わせの上しかるべき成案を送っていただきたい、こう思っております。保
  216. 倉田栄喜

    ○倉田委員 建設大臣の御答弁でございますが、建設大臣御自身の後援会あるいは政治団体、その透明性はどうも必ずしも確保されてないな、こういうふうな印象を受けてなりません。お互いに政治家として政治と金の問題をすっきりできるように、国民の皆さんの目から見ても政治家が裏と表をつくることがないように、そういう政治改革、今回の法案をぜひとも議論をしながら国民の皆さんに説明できるものをつくり上げていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  217. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、寺前巖君。
  218. 寺前巖

    寺前委員 せっかくゼネコンをめぐる話が出ておりますから、幾つか引き続き私も聞かせてほしいと思います。時間の都合がありますのでいろいろ聞くわけにはいきませんが、しかし、金丸前議員の巨額脱税、不正蓄財事件に端を発したゼネコンのやみ献金の問題というのは、建設省として、あるいは国土庁としても、検察の問題は検察の問題、みずからの問題はみずからの問題としてメスを入れていただく必要がある、私はそう思っております。  四月二日の東急建設の五島社長の記者会見を読んでいたら、こういうのが出ていました。金丸氏に対して一番大きな提供だったのが九一年二月の山梨県知事選挙に際しての献金で、「選挙前に金丸氏側から数回要請され、巨額な金を出した。やむなく使途不明金として処理した」と述べているし、鹿島建設の宮崎社長も同日の記者会見で、「東京地検に調べられたのだから、使途不明金として処理されている献金もあったと思う」。皆こうやって、ゼネコンが使途不明金でもって莫大な金を出しているということが次々と今明るみになってきていると思う。  ですからそういう意味では、主管庁としての建設省が、建設業法に基づいて主管するわけですけれども、やみ献金をやっているところの事業体に対して公共事業の指名入札などといって仕事をやらせていいもんかいな。地方の小さい自治体だったら、もう即決のごとくにしてそういう問題に対する対応をしていると思うんです。ところが国の場合にそういう問題がすかっとしない。これはもう国民が疑問に思っている一つであろうと私は思うんです。さっきも、建設省、何か調査をやるみたいな話をしておるけれども何かすっきりしない。  問題は、建設省だって八四年三月二十九日に、地方支分部局所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領というのが出されていますよ。この通達の別表第二の十を見ると、「業務に関し不正又は不誠実な行為をし、工事の請負契約の相手方として不適当である」、こういうふうにちゃんと明確に書いてある。これだけの大問題になってきているときだから、そういう立場からゼネコンの分野について、捜査当局とは違いますといってもこういう気迫を持って臨まなかったら、この立場に立つところの調査をやらなかったら、国民の批判は避けて通ることはいつまでもできないと思うのです。かって三井建設の問題で大問題になった、そのほかいろいろ問題になってきているだけに、いつまでも続くこの体質を基本的に正そうと思ったら、中村建設大臣のときにそういう決意をやって、そして調査をやったんだということが明らかになってこなければあかんと私は思うんです。  このゼネコン各社のやみ献金が政治資金規正法などに抵触するようなことになっていくならば指名業者としての停止をするんだという立場から、調査を建設大臣おやりになりますか。いかがですか。
  219. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 指名停止のことについて御質問ございましたものですから、ちょっと私からお答えさせていただきます。  指名停止、先生指摘のとおり私ども通達を出しております。これは、中央関係省庁なり公団等がメンバーになっております中央公共工事契約制度運用連絡協議会、私ども中央公契連と申しておりますけれども、こういったところで共通的なモデルをつくりまして、それによって指名停止要領というのを策定して具体的な発動をしております。これは御案内でございましょうけれどもいわゆる行政処分ではないわけでございますが、当然のように相手方に大変大きな影響を及ぼすということから明確にその理由を列記しておりまして、それに該当する場合に指名停止を行う、こういった仕組みであるわけです。  そういったことで、先生もう御存じですから省略いたしますけれども、特に別表の十号に「不正又は不誠実な行為」というのがございます。ただ、これをごらんいただきますとわかるとおり、業務に関し不正または不誠実な行為を行ったというときをその事由にいたしておりまして、今の御指摘のような問題が業務に関してというふうに言い切れるかどうかということが一つ基本的にあります。それから、なおもっと言わせていただきますと、この問題について現在まだ具体的な結論が出ていない、こういう次第でございますので、私どもとしましては今後の推移を見守りながら、業務に関してかどうかということも含めて念査しながら対応していく必要がある、こんなふうに考えておるところでございます。
  220. 寺前巖

    寺前委員 大臣が余計おったら困るんやわ。私は大臣に聞いておるんや、話は。事務を聞いているのと違う。要するにどういう態度で今の事態の問題に対処していくんだということを聞いているんです。事務的に処理をこうしていますのやということを聞いているんじゃない。  そこで大臣に。さっきも言ったように、東急建設の社長にしたって鹿島建設の社長にしても、ゼネコンの社長さんたちが次々と、今の使途不明金という形で処理してきましたんやということを言っているんだよ。ごまかしをやってきましたということや。だから、ごまかしをやってきたということを言われていて、そういうところに公共事業を発注するのかい。そんなことではおかしいじゃないか。いずれにしたって指名を拒否するという気迫でもって調査をしなかったら、調査調査いったって何を調査するんやということになるじゃないか。はっきりする必要あるよ。  といって私は、ないしょでやったことを全部すべてどうのこうの、それはもう法にはひっかかりませんとかいろいろあるのでしょう。あるだろうから、そこはそれこそ建設大臣としてちゃんと事務的に処理して、こういう範疇からは指名入札はもうさせぬというような基準をつくってやるとか、調査の仕方も何かそういう気迫がなかったならば国民は納得しませんよということを言っているんです。大臣、どうですか。
  221. 中村喜四郎

    中村国務大臣 お答えいたします。  建設業界が不正な政治献金を行ったのではないかという厳しい批判を受けているということは建設省としても重く受けとめております。御指摘をいただいた会社の献金が政治資金規正法違反の献金となるかどうかは、しかるべき機関が判断する問題であり、私としてはコメントをできる立場にはございません。ただ、今般日建連、全建では政 治資金規正法に違反する一切の献金を行わない旨表明しているところであり、私としては、今後その内容が会員企業に速やかに徹底されることを強く期待しております。  そして、三月二十九日に建設大臣談話及び建設省の対応方針を発表いたしましたし、その中で、業界に対して企業活動の適正化、企業倫理の確立を強く要請したところでございます。今後建設省としては、建設業を一般的に指導育成するという立場から、団体、関係企業に対して、事業活動の実態、会計処理、会費の徴収方法等についてヒアリングを行い、その結果を踏まえて業界の企業倫理の確立のために指導していきたいと考えております。できるだけ早い機会にそのことを実施していこう、このように考えております。
  222. 寺前巖

    寺前委員 それではもう一度大臣に聞くけれども、いわゆるやみ献金の政治資金規正法にひっかかるようなことをやっている場合には、それはこれから指名入札から外しますな。その点はどうです、大臣
  223. 中村喜四郎

    中村国務大臣 建設省の調査は、先ほどから政府委員が答弁さしていただいておりますように、個別の事項の事実関係の究明のために行うものではなく、事業活動の適正化や企業倫理の確立等、一般的な指導のために行うものであり、個々の献金の実態まで調べることは考えておりません。なお、個々の建設業者が政治資金規正法に違反したかどうかについては、しかるべき機関が判断すべきであり、その判断を踏まえて必要な対応を図っていくべきである、このように考えております。
  224. 寺前巖

    寺前委員 必要な態度として、指名の停止も含まれているというふうに理解してよろしいか、今大臣がおっしゃったのは。
  225. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 先ほども御答弁申し上げたところでございますけれども、現在私どもが持っております指名停止要領というのはかなり厳格なものである、こう理解いたしておりますが、それであるがゆえに、いわゆる措置基準というものがはっきり書かれているわけです。先ほども申しましたけれども、業務に関し不誠実な行為、こういうふうになっているわけでございまして、これをむやみやたらに拡大運用することがいいかどうかという問題が一つ基本にございます。  先生の今のお話はお話として承らしていただいているわけでございますが、私ども建設省としましては、これまで何遍も御答弁さしていただいておりますけれども、今省内に入札手続改善検討委員会、こういったものをつくって、全省的な研究、検討に取り組ましていただいております。そういった中で、どういうことがあるのかな、できるのかということを真剣に考えさしていただきますが、いずれにしましても、指名停止要領を直ちにこの条項で適用するということについてはかなり問題がある。  なお、先ほど申しましたように、本件については、まだまだ事態がどういうふうになるのか正確なところを承知していないということも含めまして、これからもろもろの問題、幅広く研究さしていただきたい、こう考えております。
  226. 寺前巖

    寺前委員 真剣に考えると言うのだから考えてもらうことにしましょう。しかし、本当にこれだけ続いてきているのに、建設省がメスを入れることをみずからの責任としておやりにならなかったら、国民の批判はこれで済まないと私は思います。なぜ国民的に不信がいつまでも消えないのか、私は、積極的に打って出ようとしないという姿勢があるだけに、この際に改めて強調しておきたいと思うんです。  三月二十六日の新聞を読んでおりましたら、ゼネコンの大手の清水建設が、毎年盆と暮れに百人近い政治家に対して、額を五ランクに分けて献金をやっていたというような記事が載っていました。中村大臣はBランクやということが書かれておりましたけれども、清水建設とのおつき合い、献金を含んで、あるんですか。
  227. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先ほどから答弁さしていただいておりますように、私は、政治活動を政治献金含めまして薄く広くということで、この点については、大臣としての現在もこれからも変わりございません。献金につきましては、報告を受けた結果、複数の企業から献金を受けているということで、いずれも政治資金規正法に基づき適正に処理されているという報告を受けております。  なお、報道された清水建設のランク表については、私としては全く関知しておりません。
  228. 寺前巖

    寺前委員 私はそんなところまで聞いておらへんのです。BランクにするかAランクにするかは清水建設の側の問題でして、大臣の知ったこっちゃない、私はそう思いますよ、それは。  国土庁長官は、建設事務次官や自民党の道路調査会副会長などを歴任してこられました。一般的に建設族というふうに見られているお一人じゃないかと思いますけれども、ゼネコンとのおつき合いはあるんですか。
  229. 井上孝

    井上国務大臣 私は、国会に出させていただいたのが昭和五十五年でございますが、そのとき以来、政治団体を二つ持っております。そのうちの一つの新政策研究会というところに、ゼネコンを含む建設関係の業界が多数、会員として入っていただいておりますが、一口月一万円ということでございますが、三口以上はいただかないということで今日までずっと続けさしていただいております。
  230. 寺前巖

    寺前委員 それで中村大臣にちょっとお聞きしますが、知ったことじゃないかもしれませんが、薄く広くおつき合いをしておられるようですから、それじゃ、この献金額は一体何ぼもらっておられることになっておるんですか。
  231. 中村喜四郎

    中村国務大臣 繰り返しになって本当に申しわけないのですけれども、私は、政治献金は薄く広くということで今までもいただいておりますので、これからもその考え方は変わらないでやっていきたいと思っております。
  232. 寺前巖

    寺前委員 Bランクというと、報道によるならば三百万円と書いてあるんですね。そうすると、一社で出すのは、限度額は、政治団体には百五十万が上限ということになってくると、違法献金ということになるんじゃないだろうか。これ一体何は出しておられるのか、もらっておられるのかということが気になる。同時に、あなたの政治団体を見ると、自治省届け出の方では、喜友会とか長期医療政策懇話会とか大喜会とかいうのがあります。この政治団体のどこで処理されたんだろう。ちょっと探してみたんだけれども見当たりませんので、そこはどうなっているんですか、金額といい、それと……。
  233. 中村喜四郎

    中村国務大臣 先ほどから答弁させていただいておりますように、清水建設のリストなるものについて私は関知しておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  234. 寺前巖

    寺前委員 しかし、ああやって報道までされた以上は、内容的には、国会とかいろいろなところでもおっしゃっていますけれども、やはり国民の前に明らかにしなかったならば疑惑は残っていく。しかも、建設業界を所管するところの建設大臣である以上は、建設業界との関係において、ここからこういうふうにもらっていますんやということを明らかにしなかったら不信はますます募るんじゃないでしょうか。これからも引き続きもらっていかれるつもりなんだろうか、そんなことで主管大臣としていいんだろうか、これは国民が率直に思う点ではありませんか。いかがですか。
  235. 中村喜四郎

    中村国務大臣 政治資金規正法に基づいて適正に処理してまいりましたし、献金の内容については同法に基づき報告も行っており、それ以上の点について申し上げる必要はないと考えております。
  236. 寺前巖

    寺前委員 何ぼの金をどの団体に入れてあるさかい、ここを見てもらったらわかりますと言うんだったら、ああそう、なるほどね、適正におやりになってますなということになるでしょう。しかし、あそこまで新聞に書かれてしまって、ランクのところに名前まで書かれてきたら、みずから明らかにしななんだら、しかも建設業界との関係、ゼネコンとの関係が出てきた以上は、それはみずから明らかにされるのは当然だ。私は、反省を強 く求めたいと思います。  ちょっと時間の都合がありますので、あと十分余り違う問題についてお聞きをしたいと思います。  厚生省、お見えですか。——これは厚生省が所管し、監督している公益法人の一つで、財団法人日本分栄協会というのがありまして、きょうは私、国土庁がお見えになっているから、国土庁の問題に限って聞きたいと思うんですが、しかしそれだけ言うとってもわかりませんものですから、ちょっと御紹介しておきますと、「業務内容」というパンフレットがあるんです。このパンフレットを見ておりますと、昭和四十二年二月に設立されて、原口さんというお方はなかなかの希望を持っておやりになったようです。勤労者のための豊かな生活環境をつくり、良質で低廉な住宅の供給を目標に地道な努力を重ねてきて、二十年間に約七十六万平方メートル、約一千戸の宅地造成、住宅供給を実現させることができました、このように書いてある。  そこで調べてみると、年金福祉事業団を通じて約二百三十七億円、九一年度末の貸付残高が百三十一億円となっているんですね。  私のところに問題を持ち込まれた方は、同協会のサンライフ春日居事業について問題を持ち込んでこられた。何を言われるかというと、山梨県の東山梨郡春日居町にサンライフ春日居というのを建設して現在販売していると階建て一棟九十七戸の分譲マンションをめぐっての問題なんです。  何かというと、この請負事業をやっておられるのは、金丸事件で東京地検の捜査を受けた準大手ゼネコンの佐藤工業、その佐藤工業の下請が山梨県の井尻工業、井尻工業というのは望月県政誕生の勝ち組企業として十二年間に急成長した企業だ。井尻工業の河野氏と太平物産の山野氏、YKと呼ばれて、金丸氏を含めてYKKと呼ばれ、県発注公共事業の采配を振るっているということで、東京地検でも最近捜査を受けておられるわけです。  捜査の関係とこれとは関係ないんですが、日本分栄協会のサンライフ春日居事業をめぐって、この土地を提供している地権者Y氏と日本分栄協会との間の土地売買を見ると、契約年月日は平成三年四月十五日、契約金額は三億三千三百万円、内訳は、土地が二億四千五百五十万円、工作物が三百万円、鉱泉源が八千四百五十万円。地権者への契約金支払いの形式は、地権者Y氏に対して、平成三年四月十二日に第一勧銀の四谷支店にある協会の口座から第一勧業銀行甲府支店の協会の口座に振り込まれ、四月十五日に同甲府支店発行の小切手に換金されY氏に渡ったというふうになっているわけなんですね。  それで、この問題をめぐって聞きたいんですが、そこまでの私の認識は間違いございませんね、厚生省。
  237. 吉武民樹

    ○吉武説明員 お答え申し上げます。  日本分栄協会は、ただいま委員のお話ございましたとおり、昭和四十二年に設立がされまして、年金の被保険者のための分譲住宅を、年金福祉事業団から融資を受けまして、良好な住宅を供給するということで設立された公益法人でございます。  それから、日本分栄協会に対しますこれまでの融資実績でございますが、昭和五十一年以来十五カ所の分譲住宅事業につきまして約二百三十七億円の貸付決定を行っておりまして、三年度末現在の貸付残高は百三十一億円でございます。  それから、ただいまお話がございました日本分栄協会が整備しておられますサンライフ春日居の事業につきまして、用地を取得いたしました際に、日本分栄協会と地権者の方との間の売買契約でございますが、平成三年四月十五日に売買契約が結ばれたというふうに私どもは承知しております。その内答につきましては、(寺前委員「私の提起した問題、間違いがあるかないかだけ言ってください」と呼ぶ)その価格でございますが、総額三億三千三百万円でございます。  それから、私どもの方でも、昨年来先生の秘書の方からもお尋ねがございましたので、日本分栄協会の方からもいろいろお話を伺っておりまして、私どもの方では日本分栄協会から御提出していただきました普通預金の通帳で確認をいたしておりますが、平成三年四月十二日に山梨の支店の方に日本分栄協会の支店の方から三億三千三百万円の資金の移しがございまして、平成三年四月十五日に振りかえで三億三千三百万の支出がされております。銀行振り出しの小切手により地権者に対しまして支払われたものというふうに聞いております。
  238. 寺前巖

    寺前委員 だから、わしの言っておるのは間違いないやないか。そう言ってくれたらええ。  それで問題は、平成三年四月十二日に第一勧業銀行四谷支店にある協会口座の原資になった三億三千万はどこから振り込まれたか。聞きたいのはそれなんだ。——知らないんだったら知らないでいいんだよ。
  239. 吉武民樹

    ○吉武説明員 私どもの方では、そこの原資まで把握をいたしておりません。
  240. 寺前巖

    寺前委員 そこで、内部告発じゃございませんけれども、関係者が持ち込んできたものを見ると、三和銀行大塚支店の普通預金通帳の写しを私も見せてもらっているわけですが、その預金口座に春日居事業のために設けたと見られるものがちゃんと出てくるんです。預金口座には平成三年四月十二日に三億三千万円が振りかえ出金されている。つまり、この三和銀行大塚支店の口座から、私が先ほど説明した第一勧業銀行四谷支店の口座に三億三千万円が振り込まれているということになるわけだ。  ところが不思議なことに、同じ日の口座を見てみると、三和銀行大塚支店の口座の中に、そこから出金振りかえをやっているのに一億四千七百万円という金が出てくる。それで関係者の間では言われているんです。何が言われているかというと、このお金は裏金としてY氏に渡っているんだ。  知っていますか。
  241. 吉武民樹

    ○吉武説明員 私どもは承知しておりません。
  242. 寺前巖

    寺前委員 知っていたら大変なことやと私は思うんです。  というのは、一億四千七百万円の、地権者Y氏に何でそういうことをしなければならないのかというと、ここで国土庁がかんでくるわけなんです。協会がこのような手の込んだやり方をするのは、高い価格の土地取引を行うことができないように山梨県の知事から勧告通知が出されないようにするために、すなわち国土法の不勧告通知の金額を上回る額の取引ができないわけなんだ。だから、三億三千万円だったらいいけれども、それ以上の金を回すということになると国土法違反という問題にひっかかってくるんだ。  国土庁にお聞きしますけれども、不勧告通知金額以上の土地取引が行われていれば明らかに国土法違反になると、常識的に私はそう思うんですが、間違いありませんわね。
  243. 原隆之

    ○原説明員 お答えいたします。  国土利用計画法による届け出勧告制度と申しますのは、土地に関する権利の移動に関する契約をしようとする場合に、あらかじめ当事者の氏名それから契約の締結の予定価格等をお届けいただきまして、利用目的の観点、それから価格の観点から、適正かどうかを都道府県知事において判断しようとするものでございます。  したがいまして、一の契約予定の事柄に関しまして届け出をなします、それに対しまして不勧告の通知が審査の結果なされます、それと別の契約をしようとするのであればもう一度届け出をしていただくというのが法律の趣旨でございます。
  244. 寺前巖

    寺前委員 そこで、私の調査の範囲では、明確に国土法の不勧告通知金額以上の土地取引が行われておる、私はそういうふうに思うので、国土法違反のままで、厚生大臣指導監督している年金福祉事業団の公的資金を使って事業をやっているということを許しておくならば、これは大変な問題だ。預金通帳など資料に基づいて私も調査した結果を言っているんですから、厚生省として調査 をして、そしてこの問題について私は明らかにしてほしい。  問題はこれだけじゃないんです。引き続き私は決算委員会の厚生省の部門のところでまた他の問題も問題にしますが、八四年四月二十五日の衆議院決算委員会でこの団体の問題は問題になっているんですね。常識外れの交際費使用や空出張、年金福祉事業団元課長に対する接待、贈答問題などいろいろあったんです。  だから、その問題についてはまだの機会にさせてもらいますけれども、いずれにしたって、きょうせっかく建設省国土庁決算の分野であったから、この国土法をめぐるやり方として土地の高騰を抑えるためにそういう申請制度までやって、そして進めているものを、裏金で高い金額にして売っておったということになってくると、事は非常に重大だし、そしてその結果は入居者の分譲価格にも影響してくる問題ですので、私は、厚生省としてこの問題についてはぜひ調査をやってほしいということを提起をしたいと思うんですが、いかがですか。
  245. 吉武民樹

    ○吉武説明員 既に昨年の九月以来、先生の秘書の方からそういう旨のお話がございまして、私どもは労労協会から何度も話を聞いております。そこで現在まで私どもが聞いておりますところでは、日本分栄協会は決してそういうことはないということをおっしゃっておられますが、なお念のために、今先生のお話もございますので、もう一度よく事情を聞いてみたいと思っておりますが、私どもの今まで聞いておりますところでは、そういう事実はないというふうに聞いております。
  246. 寺前巖

    寺前委員 もう時間ですからやめますけれども、その預金通帳などを見てもらったら明らかに別に出ている金の問題が出てきますから、だからそういう点を含めて調べられたら、これではなということにお気づきになるはずです。あえて問題を提起して、終わらせてもらいます。
  247. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次回は、来る十二日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十三分散会