○
山口(那)
委員 書いてないもの、定められてないものはできない、こういう当然のことだというお話だったと理解をいたします。
さて、そこで休止という概念も一応明らかになったのですが、今のお話ですと、一時的な休止、つまり実施要領で定めてある休止というのは極めて一時的なものである、こういう印象を持ちました。しかしながら、一時的な休止では
対応できないような
状況というのもあり得るだろうと思うのです。例えば、その本来の
活動をする拠点を中心とする周辺の地域は地域ごと危険がかなり差し迫っている、あるいはその他の事情で任務の遂行が非常に妨げられる、こういう地域であれば、果たしてその地域で
活動を続けなさいということが妥当なのかどうかという疑問が起きてまいります。そうした場合に、休止ということだけで
対応し切れるのかどうか、この点が問題だろうと思うのですね。
ちょっと視点を変えますけれ
ども、一般論で申し上げます。五原則の中に、停戦の合意それから紛争当事者の同意、また中立的な
活動、こういう三つの前提があるわけでありますが、従来、停戦の合意につきましては、一部の停戦違反があったとしても合意が直ちになくなるものではない、こう
説明されておりました。
カンボジアにおいては一部の停戦違反は確かにあるけれ
ども、全土にわたって全面的な内戦状態に逆戻りした、こういう
状況ではないから停戦合意はいまだに存在をする、こういう
説明をこれまでずっとしてきただろうと思うのですね。しかし
現場の
状況は、そういう
説明を繰り返しているにもかかわらず、地域的にはかなり停戦違反が頻発をしたり広がったりする地域が出てきている、これもまた事実であります。それに対して、このような五原則あるいはこの法律の解釈だけで
対応できるかどうか、これが疑問視されるだろうと思うのですね。
よく誤解されているのは、停戦合意が崩れた、こういう表現がマスコミその他でも横行しているわけであります。しかし、崩れたという話感からいくと、一角が崩れた、つまり一部の停戦違反があっても、崩れたというふうに受け取られやすいわけであって、
国民には相当な誤解が蔓延しているだろうと思うのですね。しかし、法律では停戦の合意が確認されて
協力隊員の
活動が始まった、その後は停戦の合意がなくなった場合に、任務を、仕事を終了する、こういう枠組みになっているわけであります。ですから、合意が存在しなくなった、これが終了する要件であります。
それと、存在しなくなったかどうかという認定は難しいわけでありますが、明示的に合意を破棄する意思表示があればこれは当然のことでありますが、これがない場合には破棄したにも等しい停戦違反があった場合というふうに見るべきだろうと思うんですね。その
意味で停戦違反が全土に広がるような
事態というのが原則的に
考えられるんだろうと思うんです。しかし、必ずしも全土に広がるとは限らない、しかし一部の地域では明らかに停戦の合意が維持されているとは判断しにくい、こういう場合もあるだろうと思うんですね。
例えば私は三つぐらいの場合が想定されると思います。
一つは、停戦の合意にかかわった当事者が一
部分裂をした。一方は停戦の合意は守る、そういう
行動を確かにとっているけれ
ども、他方はこれを翻して、その分裂した一部当事者間においては停戦の合意がなくなる、こういう
事態も
考え得るだろうと思うんですね。
二番目としては、その停戦合意の当事者が、
カンボジアを例えで使えば、一部地域に偏在をしている。このグループが停戦合意を破棄する
行動、全面的な停戦違反に出た。その場合に、やはり一部地域に集中するわけでありまして、必ずしも全土に広がるとは限らない、こういう
状況も想定されるだろうと思います。
三番目としては、一たん停戦の合意は確認をされた。確かにある期間守られた。しかしその後一部地域から停戦違反がどんどん続発した。全部なくなったかどうかはわからないけれ
ども、一部の地域では明らかな継続的停戦違反がある、こう見られる場合もあるだろうと思うんです。ほかにもいろいろな
状況が
考えられるかもしれません。
そうしますと、単なるオール・オア・ナッシングで、PKOの展開する全地域において全面的な停戦違反が広がらない場合であっても、一部地域にそれが集中することによって、その一部の地域における停戦合意の不存在が確認された、これを前提にいたしまして
我が国の平和
協力業務の中断ですとかあるいはその一部の終了とか、こういうことも一般論としては
考え得るだろうと思うんですね。常識的には、あっちの地域で合意があってこっちの地域ではなくなる、これはあり得ませんから、当事者の合意というのは不可分、一体のものと
考えるのが通常だろうと思いますけれ
ども、例外的には、私が今三つの場合を申し上げましたけれ
ども、一部地域における停戦の合意の不存在、これが認定できる場合もあり得るんじゃないか。そうだとすれば、それを前提として業務の中断あるいは一部の終了、こういうことが法の運用の中で出てきていいのではないか、このように思うわけでありますけれ
ども、いかがでしょうか。まず
協力本部に
お願いします。