運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1993-04-22 第126回国会 衆議院 科学技術委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十二日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 小澤  潔君    理事 光武  顕君 理事 宮路 和明君    理事 村井  仁君 理事 森  英介君    理事 山本 有二君 理事 川島  實君    理事 関  晴正君 理事 近江巳記夫君      小宮山重四郎君    塚原 俊平君       簗瀬  進君    秋葉 忠利君       新盛 辰雄君    竹内  猛君       辻  一彦君    斉藤  節君       辻  第一君    吉井 英勝君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         国務 大 臣         (科学技術庁長 中島  衛君         官)  出席政府委員         科学技術庁長官 井田 勝久君         官房長         科学技術庁長官 興  直孝君         官房会計課長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術政策局長         科学技術庁科学 島  弘志君         技術振興局長         科学技術庁研究 石井 敏弘君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         科学技術庁原子 佐竹 宏文君         力安全局長         科学技術庁原子 工藤 尚武君         力安全局次長         資源エネルギー         庁長官官房審議 末広 恵雄君         官  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第三 関戸 秀明君         課長         総務庁行政監察 福田  実君         局監察官         科学技術庁原子 坂田 東一君         力局核燃料課長         外務省経済局海 伊東 喜昭君         洋課長         外務省国際連合 岸野 博之君         局原子力課長         文部省高等教育 喜多 祥旁君         局企画課長         文化庁文化財保 若松 澄夫君         護部記念物課長         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代 藤野 達夫君         替エネルギー対         策課長         資源エネルギー         庁長官官房原子 細谷 孝利君         力産業課長         資源エネルギー         庁公益事業部開 天野 正義君         発課長         資源エネルギー         庁公益事業部原 大野 栄一君         子力発電安全企         画審査課長         運輸省鉄道局保 豊田 榮次君         安車両課長         参  考  人         (動力炉・核燃 須田 忠義君         料開発事業団理         事)         科学技術委員会 松尾 光芳君         調査室長     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     秋葉 忠利君 同月十六日  辞任         補欠選任  小宮山重四郎君     坂本三十次君   秋葉 忠利君     松本  龍君   竹内  猛君     川俣健二郎君   辻  一彦君     日野 市朗君   吉井 英勝君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   坂本三十次君    小宮山重四郎君   川俣健二郎君     竹内  猛君   日野 市朗君     辻  一彦君   松本  龍君     秋葉 忠利君   木島日出夫君     吉井 英勝君 同月二十一日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     貴志 八郎君   新盛 辰雄君     武藤 山治君   竹内  猛君     安田 修三君   辻  一彦君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   貴志 八郎君     秋葉 忠利君   清水  勇君     辻  一彦君   武藤 山治君     新盛 辰雄君   安田 修三君     竹内  猛君 同月二十二日  辞任         補欠選任   吉井 英勝君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     吉井 英勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事須田忠義君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小澤潔

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 小澤潔

    小澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
  5. 光武顕

    光武委員 第二次世界大戦争が終わりまして、我が国は国土が本当に荒廃をし、そうした瓦れき、廃墟の中から、今日世界経済大国として、今我々は世界の中で誇るべき位置を占めているのであります。そうした今日の日本経済大国としての位置は、戦後いち早く傾斜生産方式によります石炭の増産、それから経済効率性を考えまして石炭から石油へと転換しましたエネルギー政策、そのことに負うところが多いと私は思うのであります。  そうした中で、これから二十一世紀に向けまして、このエネルギーの問題は感情的あるいは空理空論な理屈でもって議論をするのではなくて、本 当にこれから二十一世紀あるいはそれ以降に向かって、我が国に対しますエネルギーがいかに安定して供給されるかということが一番重要なことだと私は思うのであります。  そうした中で、原子力エネルギーというものは経済的にも廉価である、あるいはまた供給については安定性があるということで、今日まで我が国では原子力エネルギー供給についての推進を図ってきたところでありますが、さらに最近では、発電によって二酸化炭素の発生をしない原子力というものが地球環境保護という観点から見直されてまいりましたし、ますますその重要性は高まってきていると思うのであります。  その原子力エネルギーの最終的な利用形態といたしましては、プルトニウム高速増殖炉で燃やす、そしてそのことによってエネルギーを得ることにあると言われております。こうした技術開発され、体系的にこのプルトニウム利用されるということになりますと、これは石油資源の十五倍、石炭の三倍もの資源を手に入れることができると言われておりますし、また、こういった少量のウラン資源から技術によって大量のエネルギーを生み出すことから技術エネルギーとも呼ばれているのであります。したがって、私は、こうしたプルトニウムについては、その安全性について細心の注意を払い、またその開発についてはいろいろな角度で慎重でありながら、しかしまた積極的に利用していくべきであるというふうに思うのであります。  しかしながら、昨年からことし初めにかけまして、あかつき丸プルトニウムフランスから輸送してくるという過程の中で、さまざまな国の内外の反響がありました。きょうは、そうした問題をとらえつつ、プルトニウムの今後の開発利用計画等々についてもお尋ねしたいと思っているのであります。  今、我が国は、プルトニウムについてはぜひともこれを段階的に、実験炉あるいは実証炉といった過程を経ながら、慎重にではあるけれども継続して開発をしなければならないという基本方針に立っていると思うのでありますけれども、しかしながら、世界プルトニウムを取り巻く現況というものはなかなか厳しいものがあるのでありまして、例えば有名なフランススーパーフェニックス、これも現在運転再開をするところまで至っておりませんし、あるいはイギリスにおきましてもヨーロッパ統合高速炉計画から手を引いた、さらにはまたクリントン新政権は、高速増殖炉研究開発についてもその予算をカットするといったような状況があります。  その中で、日本がどうもプルトニウム利用について突出しているのではないか。例えばアメリカ核管理研究所、ポール・レーヴェンサールという人なども、ここには「日本は「患者の行進」につらなるな プルトニウム計画への警告」といったようなことでの論文も発表されておるのでありますけれども、しかし私としては、やはり今日までの日本プルトニウム開発に対する姿勢というものは間違っていないというふうに信じておりますし、またこれから先もその方向は変わりない、このように思えます。  そこで、まず科学技術庁長官お尋ねいたしたいのでありますが、これまでの我が国プルトニウム利用を進めるその基本的な考え方、これにはいささかの変更もないのかどうか、その辺をあわせて今後の問題としてお答えを願いたいと思います。
  6. 中島衛

    中島国務大臣 今光武先生から、原子力、特にプルトニウム利用についていろいろな御所見がありました。  原子力発電所で発生する使用済み燃料に含まれるプルトニウムは、技術によって生み出された我が国の貴重なエネルギー資源であります。エネルギー資源に恵まれない我が国としては、輸入したウラン資源有効利用を図り原子力発電によるエネルギー供給安定化を図るという観点から、使用済み燃料を再処理し回収されるプルトニウム核燃料として平和利用していくことが重要な課題であります。  お話のありましたように、国際的なエネルギー情勢は変化し得るものでありますけれども、一方、プルトニウム利用実用化に向けた技術体系の確立については、時間のかかるものでありますし、また、新エネルギー源の選択肢の幅を広げておくという視点からも着実に進めていくことが必要だと考えております。また、我が国のような大量エネルギー消費国技術によるエネルギー源確保を図ることは、世界エネルギー供給安定化にも寄与するものと考えております。  このような認識のもとに、安全確保に万全を期しながら、プルトニウム平和利用を着実かつ段階的に進めてまいりたいと考えております。
  7. 光武顕

    光武委員 ただいまの大臣のお示しになった基本的な考え方、私もまことにそのとおりだと思うのであります。  ところで一方、我が国プルトニウム利用についてそれを批判する意見がいろいろあります。例えば、それは平和目的であっても核の拡散につながるのじゃないか、あるいはプルトニウムは超猛毒物質であるのだ、あるいはウランに比べましても将来とも経済性がない、こういったような話はよくあるのであります。私は、いろいろな人の、例えばここでも「プルトニウム利用計画是か否か」、高木仁三郎さんと鈴木篤之さんの対談等やら、その他いろいろ反対派意見の人の内容も検討してみましたが、かなり科学的議論から離れて政治的な発言、あるいはどうもこれは科学者の話すべきことであろうかという乱暴な議論もあるやに見受けられます。  例えばプルトニウム毒性といったようなことにつきましても、確かに毒性があるにせよ、それをその辺にぼんとほうりっ放しをするのであれば、それは大変な猛毒であると言われるかもしれません。これは上野の動物園におるトラだって、あれは頑丈なおりに入っているから皆さん安心して見るのであって、仮にこれが野に放たれるとしたら猛獣はあくまで猛獣である。それをそうでないような形、これが実はプルトニウムに対する我々の安全管理というしっかりした方針につながって、今日まで一貫した政策がとられてきているのだと思います。  例えば煙感知器に使われますアメリシウムでも、単位当たりの放射能はプルトニウムよりはるかに高い。しかし、それでもやはり日常生活には有用なものとして利用されているわけでありますから、そういったことから考えましても、これから先こういった安全性についできちっと管理がされるとするならば、それは有効な有用なエネルギーとして役に立つはずである。私はそう思っているのであります。  経済性についても、いろいろと言われますが、今日は研究開発段階でもありますし、また小規模でもある。しかし、それだけでもって経済性を云々するということは、これは非現実的である。したがって、これから先の実験炉実証炉から商業炉に進む過程の中で、私が少なくとも知り得る限りでは決してウラン経済性に劣らない、こう言われているのでありますが、こういう点を総合いたしましてお尋ねをしたいと思うのですが、海外プルトニウム利用から撤退をしているという背景には、プルトニウム経済性がないといったようなことが挙げられ、あるいは核拡散につながるといったようなことがあるのでありますけれども、この点について、我が国のみがプルトニウム利用推進していると言われることについてどのような所見をお持ちであるか、お尋ねをしたいと思います。
  8. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  海外高速増殖炉開発でございますけれども、確かにアメリカとかあるいはドイツでは原型炉開発計画の中止をしたというようなことがあるとか、あるいはその他いろいろな動きはあるわけでございますけれども、フランスイギリスなどでは既に原型炉段階におきましては非常に豊富な運転経験を持っておるということもございます。  それから、フランス実証炉、スーパーフェニ ックスでございますが、今ほどお触れになりましたように、その運転、今とまっておるわけでございますけれども、運転再開に向けました努力が現在続けられておるということでございまして、全般的に見まして、ヨーロッパ我が国と比べまして段階といたしましては十年以上も進んでおる、そういう技術蓄積を持っておるということも言えると思うわけでございます。  今ほどお触れになりましたプルトニウム利用経済性でございますけれども、これにつきましては、プルトニウム高速増殖炉で用いるということを最終目標としておるわけでございまして、その実用化、すなわち高速増殖炉軽水炉経済性におきまして競合でき得るようになるためには、なお相当期間、これは三十年から四十年これからかかるとも思われるわけでございますけれども、相当期間研究開発が必要であるわけでございまして、本来このような研究開発長期的視点に立ちまして取り組むべきものであるというふうに認識しておるわけでございます。今後の研究開発の一層の推進、それから経験蓄積、さらには利用規模拡大等によりましてそれを段階的に行っていくという、そういう過程を経まして経済性が向上していくというふうに考えておるところでございます。  また、軽水炉によりますプルトニウム利用と、それから通常のウラン燃料経済性、これまたよく議論になるところであるわけでございますけれども、これにつきましては、ウラン価格の変動などさまざまな要因によりまして左右されるわけであるわけでございます。  なお、今のウラン資源の市場の状況というのは、全体非常にぐらっと緩んでおるという、そういう状況もあるわけでございます。そういう状況ではございますけれども、OECDの調査等によりますと、再処理してプルトニウム利用する場合と、ウラン燃料のみを利用いたしまして再処理を行わない場合というようなことをモデル的に比較いたしますと、プルトニウム利用の場合は若干高くなるということはあるわけでございますけれども、全体経済性において大差はないという、そういう結果が得られておるということでもあるわけでございます。実際、フランスあるいは一部ドイツを中心にいたしまして、ヨーロッパでは一九七〇年代から軽水炉におきますプルトニウム利用が実施されておりまして、現在でも相当規模で行われておる。そういう意味で、既に商業化されておるということも言えると思うわけでございます。  また、お触れになりました核拡散の問題でございます。これも非常に重要な問題であると思うわけでございますけれども、核不拡散条約の体制のもとにおきまして、国際原子力機関によります保障措置や、あるいは核物質防護を厳格に措置することなどによりまして、核不拡散プルトニウムを含みます原子力平和利用は必ず両立させることができるものと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、プルトニウムは、原子炉の中では直接燃えないウラン、すなわちウラン238が転化いたしまして新しく生成されたものであるわけでございまして、まさにお触れになりました技術エネルギーとも呼ばれる我が国にとって貴重な資源でございます。したがいまして、長期的観点に立ちまして、国際情勢動きにも十分注意を払いながら、着実かつ段階的にこのプルトニウム利用に向けました努力を積み重ねてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  9. 光武顕

    光武委員 先般あかつき丸プルトニウム輸送をしましたとき、非常に大騒ぎと申しますか、私はためにする騒ぎ方だったと思うのでありますけれども、例えばグリーンピースという団体世界的キャンペーンを張った。この団体も、かつては石油のタンカーが事故を起こして油が流れても、別にどうということはなかった。あるいはまた、今回のロシアの核廃棄物海中投棄についてどんな動きをしているか、余り私の耳には入ってまいらないのでありますが、ともかくもこういったあかつき丸輸送が国の内外に非常に関心が高かった。それは一体何であるのか、そこをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  10. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のとおりに、去年からことしにかけまして行いましたあかつき丸によりますプルトニウム輸送でございますけれども、これにつきましては内外非常に大きな関心を呼んだというところであるわけでございます。いろいろなお立場の方がいろいろな活動をなされたということがあるわけでございまして、その活動の結果といたしましても非常に大きな関心を呼ぶこととなったと思っておるわけでございますけれども、実際のところこの輸送に関連して出されました、特に海外の諸国、海外国々の疑問とかあるいは御懸念というようなものには、確かに情報不足に起因する不安定なもの、あるいは必ずしも正確ではない情報に基づきます誤解みたいなものがあったようにも思うわけでございます。  このようなことも踏まえまして、関係の国々に対しまして、輸送計画とかあるいは我が国プルトニウム平和利用計画に関します正確な情報提供に、これは私ども政府あるいは動燃、関係機関挙げて努めました結果、各国政府レベルではおおむね理解をいただいたというふうに思うわけでございますけれども、今回の経験にかんがみまして、今後は我が国プルトニウム平和利用計画等につきまして正確な情報を時宜を得て提供していく努力をさらに強化していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  11. 光武顕

    光武委員 正確な情報、そして絶えざるPRをしながら、疑いを一つ一つ消していくことが大切だと私は思うのであります。  特に、今回はいろいろ議論がありました。その中では、原子力基本法の中に公開原則があるにもかかわらず、輸送日時経路についてはっきりしなかったじゃないか、あるいは隠しでいたではないかと、実はこんな議論もあるのです。私は当然、一グラムでも大変だと言っている人もいるわけでありますから、したがってそんな危険なものをここにありますよ、ここにありますよと、こう言う必要は実際はない。それは、確かに公開原則というのは、安全管理とかそういったものについては当然公開しなければなりませんが、やはり輸送については万全を期すという意味において、今回のこの政府措置が間違っているとは私は思わないのであります。  そこで、お伺いしますが、プルトニウム等核物質輸送における日時経路等情報非公開、これは原子力法公開原則に反するという意見があるのでありますが、私はそう思いませんが、その点はいかがでしょうか。あるいはまた、プルトニウムについて厳しい情報管理があるがゆえに、管理社会がこのプルトニウムでは形成されるという批判もあるのですが、この点についてもあわせてお答え願いたいと思います。
  12. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、原子力基本法第二条には公開につきまして定めておるわけでございます。原子力活動に関します情報につきましては、可能な限り公開するというのが基本であるわけでございまして、プルトニウムなどの核物質輸送におきましても、輸送安全対策等輸送安全性にかかる情報につきましては、これを公表いたしまして広く理解をいただくように努力してきておるところでございます。  それとともに、今ほど先生お触れになりましたように、核物質防護条約とかあるいはIAEAのガイドラインとか、あるいはアメリカイギリスフランスなどの各国におきます輸送情報取り扱い等を踏まえながら、輸送の具体的な日時とか輸送経路等公開することによりまして核物質防護実効性を損なうおそれがある、そういう情報につきましては必要最小限の範囲におきましてこれを慎重に取り扱っておる、そういうところであるわけでございます。  今ほど申しましたように、原子力基本法第二条は、原子力研究開発及び利用につきましてその 成果を公開することを規定しておりまして、いわゆるこれが公開原則と言われているものであるわけでございますけれども、核物質防護や核不拡散上の要請にこたえるために一定の情報非公開とすることは、この公開原則に反するものとは考えていないところであるわけでございます。  それから、今ほどおっしゃいましたプルトニウム管理社会ということもあるわけでございます。いろいろ言われておりますプルトニウム管理社会という言葉が具体的にどのようなことであるのか、必ずしもつまびらかにはしないわけではございますけれども、今後とも核物質防護商業機密上どうしても公開を制限しなければならない情報は、これはやはり必要最小限に抑えるということでございまして、原子力情報につきましてはできる限り公開していく、そういう基本姿勢を堅持いたしまして、より一層国民の理解をいただけるように努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  13. 光武顕

    光武委員 今のような御答弁で私も結構だと思うんですが、これから先我が国はまだ六ケ所村の商業用の再処理工場が稼働するまで、フランスにも使用済み燃料の再処理、そしてそれによってプルトニウムを引き取る、こういうことになるわけですが、我が国は核兵器の不拡散に関する条約に加盟して、それを忠実に守っている。にもかかわらず、どうも世界の中で、私はためにする話であり、いささか荒唐無稽だと思うんですが、日本プルトニウムを必要以上にため込んでいる、そのことがどうもこれから先の、例えば軍事力に転換されるんではないかといったような指摘もあるわけです。私は、そういう話を聞きますと、なお政府各国に対する理解を求める努力が足りないんじゃないかという気もいたします。  そこで、こういった核物質を取り扱うことについての諸外国の懸念、そういったものに対して政府はどのような形でこれを明快にその疑念を解くような努力をなさるのか、あるいは今日どういった考え方を持っているのか、あわせてお伺いをしたいと思うのであります。
  14. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど先生指摘の、あるいは場合によっては我が国プルトニウムを軍事のために使うんじゃないか、そういう指摘も一部海外にはあるということであるわけでございますけれども、このような誤解が発生したといたしますならば、これは極めて残念なことであると思うわけでございます。  なお、同時に、我が国プルトニウムをため込むんじゃないか、そういう指摘もあるわけでございますけれども、これにつきましては私どもの説明の仕方といいますか、これにつきましても十分配慮していく必要があると思うわけでございます。例えば二〇一〇年に至りますプルトニウムの需給、これは一昨年の原子力委員会の専門部会等で議論した結果もあるわけでございますけれども、二〇一〇年までのそのときにおきます供給の累積量約八十五トン、それから需要八十トンから九十トンということでバランスしておるというふうにあるわけでございますけれども、この数字を見られまして、あたかも我が国が八十五トンのプルトニウムをため込む、蓄積するんじゃないか、そういうことをおっしゃった方もあるやに漏れ承るわけでございますけれども、これは全くそうではございませんで、まさに私どもはプルトニウム供給していく一方、それをバランスしながら消費していく、使っていく、そういうバランスをずっととりながら進んでいって、二〇一〇年までの需要供給をそれぞれ累積すれば八十五トンになるということであるわけでございまして、我が国はいささかも目的でないプルトニウムをため込むという意図は持っていない。これは国内ではもう明白であるわけでございますけれども、私ども、さらにきちんとした説明をしていくという必要があろうかと思うわけでございます。  一体、我が国は国内的には原子力基本法によりまして、すべての原子力活動平和目的に限定いたしておるわけでございますし、また、国際的には核兵器の不拡散に関する条約、NPTの加盟国といたしまして、その責任と義務を忠実に果たしてきておるところでございます。また、我が国は日米原子力協力協定など二国間協定を締結しておるわけでございますけれども、これらの協定におきましても核物質原子力の資材、機材に対します核不拡散上の規定が定められておりまして、我が国といたしましては、輸入した核物質の取り扱いには平和利用目的に限定することが求められておるわけでございます。  このような我が国平和利用義務を具体的に担保する措置といたしまして、従来から、すべての原子力活動につきまして国際原子力機関保障措置を受け入れるとともに、原子炉等規制法に基づきまして国内保障措置を実施しているところでございます。  具体的には、核物質管理に関します記録を作成する、あるいは国に対して報告を行う等の義務が課せられておりますとともに、これを確認するため、国及びIAEAによりまして査察というものが行われておるわけでございます。すなわち、いわばガラス張りの平和利用ということになっておるわけでございまして、このことからも、どこの国にも知られず、秘密裏に核物質を取り扱うというようなことは到底不可能であるということは明らかであるわけでございます。  我が国といたしましては、秘密裏に核物質を扱い、核兵器の開発を行うなどということは、当然ではございますけれども、これは全く毛頭考えるところではないことは明らかであるわけでございまして、今後とも、これまでに確立いたしました国際社会からの我が国の核不拡散に対します信頼にこたえまして、平和利用に徹しまして、原子力開発利用を進めていく所存でございます。
  15. 光武顕

    光武委員 とにかく、ためにする人の話というのは何ぼ言っても牽強付会と申しますか、そういうところがあるわけですが、それに負けないようにきちんとした説明とPRをひとつよろしくお願いしたいと思います。  先週、我が国においてG7外相・蔵相会議が開催されました。その折に、旧ソ連の解体核兵器から出てまいりますプルトニウムについて、その処理処分をどうするか。二度と核兵器に使用されないということが大切なのでありますが、そのことについては、当然我が国は高い技術レベルを持っているわけでありますので、世界の平和と安全に貢献するという立場からは積極的に協力すべきであると私は思います。  しかしながら、我が国がこれまで方針としてまいりましたエネルギー問題への対処の仕方、それと核軍縮によって生ずる核物質の後始末といったような問題は、本質的に違うのですね。例えば核管理研究所、先ほど申しましたような研究所では、そこから出てくる濃縮ウランをとにかく全部日本に持ってきて、五十年分ぐらい資源として使えるじゃないかといったような話で、いろいろ議論もあるわけですが、我が国エネルギー確保というのは、こういったロシアの核兵器解体というものの進展に左右されない。要するに、我が国我が国日本、こういう背骨、バックボーンを持ってきちんとやっているんだということと、それからそういうことに対しての協力は別であるというふうに考えているのですが、その点政府としては、今言われております核兵器から発生するプルトニウムの処分に対して我が国はどう取り組んでいくのか、また、我が国プルトニウム利用計画についてそれは影響があるのかどうか、その辺の見解をひとつこの際承っておきたいと思います。
  16. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の、旧ソ連の核弾頭の解体から生じますプルトニウムをどのように処理するかという問題は、一義的には当該核兵器保有国がまず判断すべき問題であろうかと思うわけでございますけれども、これが再び軍事目的に転用されることのないよう、また核拡散懸念が生ずることのないように適切な対応をとることは、極めて重要であることは全く御指摘のとおりでございます。  現下のロシアと旧ソ連諸国の政治的、経済的苦境を考えれば、この問題は国際社会が協力しつつ 対処することが重要でございまして、我が国といたしましては、核兵器削減の進展を見ながら、国際的な連携のもとに、我が国といたしまして貢献できる協力を検討すべきと、かように考えておるところでございます。  核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムにつきましては、その処理処分の方策といたしまして、各種の技術的オプションと申しましょうか、いろんな選択はあり得ると思うわけではございますけれども、その中で、原子炉の燃料といたしましても発電利用することが核不拡散の要件をも満たす最も効果的な、さらに建設的な方策ではないかというふうに考えるわけでございます。このような観点から、現在、我が国におきまして培ってまいりました原子力平和利用技術を用いまして、原子炉の燃料として利用する、こういうやり方につきまして技術的な検討を行っておるところであるわけでございます。  今、まさに先生指摘のように、この問題は世界の平和と安定への寄与という観点から考えるべきものでございまして、我が国の国内のプルトニウム利用計画とは全く別のものとして対処すべきものであるというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、解体核兵器から出てまいりますプルトニウム原子炉の燃料として利用する場合では、現地での利用プルトニウムが出てきた炉におきます利用というのが最も適当でありまして、我が国プルトニウム利用計画に影響を与える、そういう性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。  我が国プルトニウム利用計画につきましては、ウラン資源有効利用を図りまして、原子力発電によりますエネルギー供給安定化を図るという観点から進めておるものでございまして、一昨年八月に取りまとめられました、先ほども御紹介申し上げました原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会の報告書に示されました二〇一〇年ころまでの長期的な需給計画に基づきまして、計画的かつ着実に進めてまいりたいと思っておるわけてございます。  なお、先生お触れになりましたレーヴェンサール、最近いろいろな研究成果を上げておるわけでございます。それから、先生今もお触れになりましたけれども、何といいましても我が国の国民生活の根幹にかかわりますエネルギー供給する燃料を、例えば解体核兵器からのものに依存するということになりますと、これが一体どういうペースでどう出てくるのか、全くはっきりしないところがあるわけでございます。極めて不確定な、不確実な要素も非常にはらんだ、そういう状況下にあるものに我が国エネルギー供給の、あるいは電力供給の根本を依存することはできないということはあるわけでございまして、あちらのものはあちらのものとして、我が国の国内需給計画は需給計画として、それぞれ別に考えていくべきものと、かように認識しておるところでございます。
  17. 光武顕

    光武委員 きょうは外務省にも来ていただいていると思うので、外務省にお尋ねするのですが、このところ、旧ソ連、ロシアによる極東海域の放射性物質の海洋投棄という問題が、ロシア政府調査の結果、四月二日に白書という形で発表されましたね。  これを見て、私はもうびっくりしたのでありますけれども、ロシアという、旧ソ連でありますけれども、一体この世界の中で、原子力推進する、これは当然であるにいたしましても、廃棄物については国際的な取り決めがあって、勝手に海洋投棄するなどということはできないはずなんですね。確かに、放射性廃棄物の海洋投棄について、一定基準を守れば安全上問題なく行うことも可能ということにはなっておりますが、これもまた関係各国に十分理解をとってやる、こういうことなのでありますが、今回のロシア政府の発表によります白書は、全く常識を超えたことだと思う。  私はいろんな人に話を聞きますと、これは日本でこんなことがあったら一体どんなことになっているか、それにしては余りがんがん言う人がいませんねと、こういう話も聞くわけであります。  私は、この際外務省にお尋ねしたいと思うのですが、今日、ロシアが、カラ海、バレンツ海等の北方海域のみならず、日本海を含む極東海域において行った放射性廃棄物の海洋投棄、これはロンドン条約に違反しているのではないか。さらにはまた、ロシア自身の国内法にも違反しているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 伊東喜昭

    ○伊東説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のロンドン条約につきましては、放射性廃棄物を含む放射性物質を高レベルの放射性物質とそれ以外の放射性物質とに分けておりまして、前者の高レベル放射性物質につきましては海洋投棄を禁止し、また後者の低レベル放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、事前の申請に基づき、その都度付与される特別許可に係らしめるということとなっております。したがいまして、低レベルの放射性物質の海洋投棄はロンドン条約上必ずしも禁止されているのでございませんけれども、一九八三年に開かれました同条約の第七回締約国協議会議及び一九八五年に開かれました第九回締約国協議会議におきまして、放射性物質の海洋投棄に関する問題の検討がすべて終了するまで放射性物質の海洋投棄を停止するということが決議されました。この結果、締約国は事実上、低レベルの放射性物質の海洋投棄につきましても禁止されているわけでございます。  したがいまして、旧ソ連及びロシアが高レベルの放射性廃棄物を海洋投棄したという事実が確認されれば、これは明らかにロンドン条約に違反することになりますし、また、低レベルの放射性物質につきましても、その海洋投棄が条約上の特別許可を得ずに行われていたということであれば、同条約違反になり、また、関連の決議にも違反すると考えられます。  また、このようなロシアによります海洋投棄はロシアの国内法に違反しているかどうかにつきましては、今回ロシア政府が発表しました白書によりますと、一九八七年以降、当時のソ連邦において行われました放射性廃棄物の海洋投棄に関し、ソ連邦において承認された法的文書にさえ違反していたと明確に白書に記述されております。したがいまして、旧ソ連時代においては国内法においても違反していたということが明らかにされております。
  19. 光武顕

    光武委員 今お聞きのとおりでありまして、国際法のロンドン条約に違反している、あるいはまた国内法にすら違反している。そういうようなことが一九五九年からでしたか、これは行われているということで、全くゆゆしきことであると私は思うのであります。  このことについて、去る十七日の読売新聞ほか朝刊各紙でこういったようなことが出ている。ロシア太平洋艦隊首席報道官が十六日の記者会見の中で、「旧ソ連時代から続いていた老朽原子炉や放射性廃棄物の日本海などへの投棄について「政府核廃棄物処理の計画を策定しているが、それを実現する資金がない。核廃棄物を貯蔵する施設も満杯だ」と述べ、今後、海洋投棄の再開があり得ることを示唆した」とも伝えられている。こういうことなんですね。  大体、ロシア側は、ロンドン条約に違反して海洋投棄をしているということについては、ごめんなさいと謝罪するどころか、資金がありませんよ、それから処理するところがありません、だから捨てるのは今後もやむを得ませんなと、こういうような本当に居直ったような態度をとっているというのは言語道断だと私は思うのですね。  したがって、政府は、この問題に関してロシア側に強く抗議をするとともに、今後ロシア側が絶対投棄を行わないという厳しい態度で対処していくべきだと思うのですが、政府はいかがでしょうか。
  20. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  全く先生のおっしゃるとおりでございます。私どもも、ロシアが長年行ってきた海洋投棄は、海洋環境の保全あるいは原子力の安全利用といった観点から、極めて遺憾なケースであるというふうに認識しております。また、ロンドン条約上も問 題があるということについては、先ほど海洋課長が説明したとおりでございます。  昨年の十二月末に、この問題を調査してきたロシアの政府委員会が中間報告という形で概要を発表したわけでございますが、それ以来、ロシア側に対して即時海洋投棄を中止するように、それから実態をさらに公表するようにということを繰り返し申し入れてきております。ことしの四月二日に白書という形で投棄について発表が行われたわけでございますが、その際にも、在モスクワの枝村大使からコスイレフ外務大臣に対して、日本側の懸念と即時中止について改めて申し入れを行っております。また今月の十五日、日ロ外相会談が東京で行われた際にも、直接外務大臣から懸念を伝えて、重ねて海洋投棄の即時中止を申し入れております。  同時に、この問題について実務レベルでさらに詳細な議論をするために、日ロ間で合同作業部会を設置すること、それから投棄が行われた海域で共同調査を行うことの二点についても申し入れを行いました。これについては、ロシア側から前向きの返答が得られております。したがって、できるだけ早急に日ロ間で合同作業部会を開催し、さらに実態の解明を進めるとともに、海洋投棄の即時中止について働きかけを行っていきたいというふうに考えております。
  21. 光武顕

    光武委員 こういった海洋投棄の問題に見られるように、大体ロシアの、旧ソ連というのでしょうか、およそ安全性に対する感覚などというものは我が国の国民と相当な隔たりがありますし、今非常に経済的にも混乱していて、支援をしてほしい、支援をしてほしいと一方で我が国にその支援を求めながら、一方では、やあ、これから先も処理するところがなければ仕方がありませんなと、こういうような姿勢は、これはやはり断固として我が国としては抗議を申し続けるべきであると思いますし、看過してはならない。  こういったようなことを放置しますと、これは日本がそのことにいいかげんな姿勢をとるということは日本安全管理に対する姿勢も疑われることになると私は思うのでありまして、こうした問題について、対ロシアということばかりではなくて、国際的な枠組みの中で対処していかなければならぬ。そしてそれは、安全管理を常に原子力の中心に据えている我が国としては、それについて本当に厳しく議論していき、そしてそれなりの対応を求めるということが必要だと思うのでありますが、そうした国際的な枠組みの中でこの問題をどのようにして対処していくのか、その辺をもう一度ひとつ外務省からお聞きしたいと思います。
  22. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  海洋投棄は、単に極東海域だけではなく、カラ海やバレンツ海でも行われております。これは単に日ロ間の問題だけではなく、国際社会共通の問題であるというふうに認識しております。  このような問題意識の上に立って、単に日ロ間、バイの関係で申し入れを行うだけではなくて、例えばこの前東京でG7閣僚合同会議が行われたわけですが、そのような場においても問題提起を行い、これは国際社会共通の問題であるということで、問題意識を共有することによってロシア側の認識を変えていくというような努力もしております。また、これはロンドン条約の運用に係る問題でもございますので、ロンドン条約の締約国会議の場、そういったところでも問題提起を行っていきたいというふうに考えております。
  23. 光武顕

    光武委員 私は、かつて長崎県に原子力船「むつ」が入ってきたときのことをよく覚えております。あのときは燃料棒を、言ってみればかぎをとめて、そのかぎは知事に預けろといったような、私は当時少し荒唐無稽だと思ったのでありますけれども、そこまで本当に神経を使ってきたわけです。だから、今回のような問題はそんなものと比べますと、本当に大変な大きな問題であると私は思います。それにしては、どうも余り国内的にそういった声が出てきてない。これはやはり政府は、もっとびしっとロシアに対して我が国姿勢を厳しく示すべきだ。我が国がこれだけ努力しているにもかかわらず、そういった問題をいいかげんにするということは絶対に許せないと厳しい態度でひとつ進めてもらいたいと思うのであります。  ところで科学技術庁ですが、こういった放射性廃棄物については、例えば放射線の問題等々あるでしょう。そういう問題についてどんな対応を行ってきたのか、お尋ねをしたいと思います。
  24. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  このロシアの海洋投棄の問題につきましては、先ほども申されましたように四月二日に外交ルートを通じて白書を入手しました。これを受けまして、これまで二度にわたりまして放射能対策本部幹事会を開催いたしまして、関係省庁が協議しております。そして当面の対策としては、とりあえず日本海の海洋環境放射能調査を実施しようということを決定した次第でございます。これを受けまして、四月十八日から海上保安庁など二省庁の調査船により、一部の海洋調査が開始されたところであります。また科学技術庁も、四月二十九日から放射線医学総合研究所の研究者を海洋科学技術センターの調査船に乗船させまして、調査を実施する予定でございます。  さらに、これらから得られたデータを分析するために、科学技術庁に放射性物質の専門家あるいは海洋拡散の専門家、またそういった放射性物質がプランクトン、小魚、大魚、人間あるいは海産物に入って人間へという影響、これを食物連鎖と言っておりますが、こういった専門家、それから人体への影響の専門家などから成ります海洋環境放射能データ評価検討会を開催いたしまして、得られるデータを逐一分析して、海洋投棄の安全性評価を具体的に検討していきたいと考えております。  今後とも関係省庁とよく連携をし、話し合いを行いまして、本件に迅速かつ的確に対応していきたいと考えております。
  25. 光武顕

    光武委員 こうした海洋投棄は、ロシア側の言葉によりますとまだやるかもしれませんよ、こういう話であります。  そこで、これから先ひとつ厳しくこれに対応すると同時に、こういった不安を与えているという現状に対して、放射能対策本部の本部長は科学技術庁長官でありますが、その長官がこうした問題、旧ソ連による放射性廃棄物の海洋投棄問題に関してどういう見解と対策をお持ちであるのか、基本的なことでありますので、お尋ねしておきたいと思います。
  26. 中島衛

    中島国務大臣 旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄問題に関しましては、近隣諸国に対する配慮がなされておらず、極めて遺憾であると思っております。  先ほどお話のありましたように、外務省を通じて即時中止を申し入れておるところであります。本件については、ロシア閣僚を含む対日支援G7合同閣僚会議においても非常に懸念されているところであり、さらに検討されるべきこととして合意をされておるところであります。  一方、我が国では一九五九年より海上保安庁等において海洋環境放射能調査を実施してきているところでありますが、現在のところ、本件にかかわる特段の異状は認められていないところであります。しかしながら、本件に関する国民の関心が非常に高いことを踏まえまして、これまで放射能対策本部幹事会を二度にわたって開催をいたしまして、関係省庁と協議をしているところであります。この結果、当面の対策として、海上保安庁等により日本海の海洋環境放射能調査を実施すること等を決定し、このうちの一部については既に着手をいたしておるところでございます。  我々国民の生活、健康に影響するようなことがあってはならないわけでありまして、本件につきましては、今後とも関係省庁と連携をとりつつ、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 光武顕

    光武委員 まだやるかもしれないという話の中で、これは今までの例えば核実験とかいうものは、日にちが確定されて、そしてそれで放射能が どうなのかといったような調査が事後的にすぐ行われるわけですが、今回の場合、そういったような事態にかんがみますと、これは継続して、いつどこかで捨てているのかもしれない。ここのところが確認できない以上、そしてそれがどこで捨てられているのかということが確認できないという以上は、これはよほど我が国としてはきちんとしたこの放射能の拡散に対します対応をしていかなければならぬ。そういうことで、今後も放射能対策本部の本部長である科学技術庁長官を中心として十分なひとつ検討とともに対応をしていただきたい、重ねてお願いを申し上げておきます。  さて、これまたソ連、ロシアの問題でして、原子力安全管理に対する懸念が、これまでもチェルノブイリ事件初めいろいろロシアについてはあるわけですね。そうした中で、先般六日に、シベリアのトムスクという軍事用処理施設でウラン溶液タンクの爆発事故があったと伝えられております。こういったようなことが続けてどんどん出てきますと、言ってみればはた迷惑と申しますか、我が方としては安全な上にも安全という極めて厳しい基準のもとに原子力エネルギー開発あるいはまた運営をやっているにもかかわらず、対岸の方でこういうことがありますと、それ見ろ、やっぱり危ないじゃないかと、こういうような議論がやはり出てくるんですよ。よくわかった人は別といたしましても、そうでない人は、それ見ろ、いつ起こるかわからないじゃないか、こういうような議論は人の耳に入りやすい。そういう意味でまことに遺憾、残念なことだと思うのであります。  こういったトムスク7というのは、秘密都市であると聞いております。こういうようなところがあるところが、我々がロシアに対します援助といったようなときに何とも割り切れない思いをするのでありますけれども、そうした事故を、これはなかなか難しいと思うのでありますが、正確にひとつ把握して国民に伝えていただきたい。  ところで、今対岸の火事と申しましたが、そういう中で、我が国でも茨城県の動燃の再処理施設がありますし、また青森県の六ケ所村で商業用処理施設の計画が進められている。私は一番心配しているのは、こうした再処理施設で、例えばロシアでこうあったからというようなことで同じような事故が起きるんではないかといったような不安、懸念といったものが出てくるのではないか。特に六ケ所再処理施設については、今般科学技術庁長官の認可で事実上着工にゴーサインが出たということでありますが、こうしたロシアの事故との関連でお尋ねをしたいと思うのですが、安全の上にも安全を期していると思うのでありますけれども、我が国のこうした再処理施設でシベリアのトムスクで起きたような火災爆発が起きるおそれはないのか。それに対して本当にきちんとした安全対策が講じられているのか。この際、きちんとした答弁を承っておきたいというふうに思うのであります。
  28. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  我が国の再処理施設では、多重防護の考え方に基づきまして、次のような安全対策が講じられております。  まず、火災爆発の発生を防止するため、可能な限り不燃性材料あるいは難燃性材料を用いております。例えば核燃料施設では、いろいろフィルターがございますが、グラスファイバーを用いるとかあるいは銀製の金属のフィルターを用いるなど努力しております。それからまた、化学工場でございますので有機溶媒などの可燃性、もしくは熱的に不安定な物質を使用いたします。それからまた、精製するそういったものが生まれてきます系統ですとか機器におきましては、着火源を排除いたします。それから、異常な温度の上昇を防止いたします。それから、可燃性物質の漏えい防止などを図るように努めます。そして熱的制限値、化学的制限値を設定いたしまして加熱蒸気温度などを監視、それから供給の不必要な場合には自動停止などを行う系統を設けております。このような熱的制限値あるいは化学的制限値が設定されている機器の検知、警報装置は、中央制御室で常時監視していることになっております。  このような火災爆発防止対策にもかかわらず万々が一火災が発生いたしました場合にも、その拡大を防止いたすために適切な検知、警報系統あるいは消火設備を設け、安全上重要な施設を含む区域が火災の影響を受けるようなところでは、耐火壁とかあるいは隔壁、消火装置によりまして隣の区域に広がらないような延焼防止対策を講じております。  このような大きな方針につきましては、まず事業指定の際、施設の設置承認の際に、上述した基本設計が守られておるかということをチェックいたします。それから、設計及び工事方法の認可の段階で詳細に審査を行います。それから、使用前検査の段階では、設置いたします機器ですとか設備の仕様を詳細に確認し、正常に機器が作動いたしますことを確認いたします。それからまた、再処理施設、核燃料施設が運転開始いたしました後も、毎年一回定期検査を行いまして、正常に機器が作動することを確認しております。  このような配慮あるいは規制によりまして、我が国の再処理施設ではロシアの軍事用再処理施設で起きたような事故が起こるとは考えられません。したがいまして、今回六ケ所村の再処理施設の設計及び工事方法の認可も、このような考え方に立ちまして審査いたしまして、法令上の基準に合致しておりますので認可したところでございます。
  29. 光武顕

    光武委員 以上で私の質問を終了いたしますが、今のお話を聞きながら、我が国の再処理施設においては十分な安全管理が施されている。しかし、技術的な安全管理のみならず、これは運営、運用していくその人々の絶えざるこうした問題に対する緊張感と申しますか使命感と申しますか、そういったことがなければこれはやはり十分を期し得ないのでありまして、そうした意味におきましてぜひ今後、こうした問題に対して慎重な万全な規制、そして管理を図っていただくように科学技術庁長官にお願いをして、終了いたします。 ありがとうございました。
  30. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  川島實君。
  31. 川島實

    ○川島委員 私は最初に、世界に対して我が国の科学技術の粋を集めたと言われておりますJRの「のぞみ」の列車における安全対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在一時間に一本東京—博多を走るのぞみ号は、前宣伝と違って、これを利用した乗客のほとんどが、安全性や利便性、快適性といいますか非常に疑問を持っておりまして、運賃の値上げと相まってすこぶる評判が悪い。JRがコマーシャルとして「日本が縮む」と言っておりますが、その乗客は命が縮む、こういう声も聞こえてくるわけでございますが、運輸省はこのことをどう受けとめておるのか。  新聞報道された安全性の問題が問われているモーターの脱落とか送油管のねじの緩み、各所のねじの脱落などスピードに必要な安全性や振動に対する機種の製作に実は問題があるのではないか、こう疑わざるを得ないわけでございます。トンネルの走行、列車のすれ違い、横風に対するカーブのとき、鉄橋のときの風対策、素人が考えても問題が多過ぎるような気がいたします。このことについてどんな対策が立てられているのか、お伺いをしておきたいと思います。  さらに、国民の利用者の立場から考えますと、普通は新車になる、新しく列車を新規につくり上げる、こういうことになりますと科学技術の粋がそこへ結集されるわけです。それは今までのJRの新しい機種をつくるたびに、二階建てまでは非常に快適性等が国民に喜ばれた。利用しておっても、我々も使っておりましても非常によかったわけでございますが、現在考えますと、例えば列車の足かけが前回よりも悪くなる。長距離に対しては、ビデオテレビの放映がなっていたのがそれもなくなる。二重カーテンがなくなる。それから窓が大きくて下へ下がっておるために、走っている ときに地盤がよく見えて、それが非常に心理的に身を縮めるようなストレスにつながる。それからすべてが指定席ということで、今まで使っておった回数券等がグリーン等あわせて使えなくなっておる。そして自由席がないために、庶民が一般的に安く、しかし新しい機種だから使いたい、こういう願いに対してこたえてない。こういうことが幾つかあるわけでございますが、このことをどう運輸省が監督官庁として受けとめておるのか、お伺いをしたいと思います。
  32. 豊田榮次

    ○豊田説明員 今御指摘ございました三〇〇系、いわゆるのぞみ型の車両につきましては、時速二百七十キロで営業運転をするということでございましたので、それに先立ちまして山陽路におきましてもいろいろな試験走行を行いまして、先生指摘ございました車内の振動、騒音等も含めまして、従来の○系、一〇〇系とほぼ変わりのない結果を得て営業運転に入ったわけでございますけれども、残念ながら今御指摘ございましたように、本格的な営業運転で列車本数がふえ、また走行距離が延びている原因でもございましょうけれども、細かなところで緩み、またボルトの抜け落ち、そういうようなことが発生しているのは事実でございます。  これらにつきましては、私どもその都度原因を追求して、すぐに再発を防止するよう指示しているところでございます。現実に一部の電線の取りかえでございますとか、あるいはサイドカバーにつきましては溶接を強化するとか、あるいはパンの底板につきましては鉄板を強化するとか、そういうふうなことを恒久対策としてやってきております。そういう意味では、先生の御指摘ございましたように、細部におきまして製作上やや適切でない部分があったかとは思いますけれども、現在までのところ、幸い直接安全にかかわる部分でのトラブルというのはございません。  私ども、しかしながら列車のおくれの原因になりますとか、あるいは新幹線「のぞみ」の信頼性の失墜につながるということもございますので、JR東海並びに西日本の両社に対しまして徹底した総点検を実施するように指示いたしまして、現在連休前までに終わるということで、メーカーの協力を得ながら両社が総点検を実施しているところでございます。その中でいろいろ見つかってまいります細かな部分の緩み、そのほかにつきましては、芽のうちに摘み取ってほしいということでどんどん対策を進めておりますので、私ども初期的なものではないかと思っておりますけれども、そのような対策の実施状況を見守りながら、なお再発防止に向けて指導を強化してまいりたいと思います。  それから、御指摘ございました風の影響でございますけれども、これもすれ違い時の風圧を含めまして、理論上並びに実証上特段問題がないというふうに確認をいたしております。それの前提といたしまして、従来の〇系、一〇〇系に比べまして車両の高さも低くしておりますし、また屋根の上についておりましたエアコンなどを床下におろしまして重心を下げたり、あるいは先頭車両の形状を空気抵抗が少ないものに変えるというふうなことをやっておりますので、風に対する影響につきましても特段の問題はないものとは考えております。  それから、続けて御指摘ございましたアコモデーションの問題、それからいろいろな使い勝手の問題でございますけれども、それらにつきまして、私ども安全が主たるタームでございますが、そういうサービス面につきまして、お客様のお声を反映しながら、今後手直しができるところについては手直ししてまいりたいと思いますし、また制度面でもいろいろ勉強いたしてまいりたいと思っております。
  33. 川島實

    ○川島委員 基本的な考え方ですね、新機種ができたときの快適性、前回よりもよくなる、このことについてはどう考えてみえますか。
  34. 豊田榮次

    ○豊田説明員 サービスを提供するという面で、早く着きたいということもございますし、また、乗って乗り心地のいい旅をしたい、そういうふうなことは当然の要求でございますので、製作あるいは設計に当たりまして、そのようなことを十分に念頭に置いてつくってまいっているわけでございますけれども、やはりその中でいろいろとでき上がったものにつきまして、それぞれのお客様のお声がなかなかすべての方に御満足いただけない部分があるといたしますれば、またそういうお声を反映しながら変更していかなければならない部分もあるかと思いますが、基本的には、相対的に早く到達し、また快適な旅をするということで、それなりの成果を上げておるのではないかと私どもは考えております。
  35. 川島實

    ○川島委員 騒音問題でのぞみ号が今問われているわけでございますが、乗っている中でも非常に騒音がある。自動車でも、当初技術が未熟なときは、百キロ前後で臨界点といいますか、次の速度に入る。早く走る間に一時がたがたと揺れる時期があるわけですね。「のぞみ」がちょうどその時期だと思うのですね。それよりさらに突破すれば、それにこたえる性能が全部きちっと備わって走れるわけでございますから、ちょうどそこの時期に今「のぞみ」が走っている。だから、それに対する安全性が十分でないと私は思うわけでございますので、その辺のところをひとつ十分対応をしておっていただきたいと思うわけです。  騒音対策、さらにヒューマン・ファタターズ・エンジニアリング、インプットしていないのではないか、今こういう声がちょっと入っているわけですが、これに対していかがでございますか。
  36. 豊田榮次

    ○豊田説明員 先生今御指摘ございました自動車の例でございますと、ちょっと昔になりましょうか、そのころの車で高速道路の開適時に、途中のところでびびりがあって、それを過ぎると安定するというようなことがございましたのですが、そういう意味では、当初、設計上共振点のとり方が高速道路になじんでいなかったようなところがあるかと思います。  そういう点は新幹線車両ではございませんで、例えば共振点を通過してその先で安定するということではございません。加速の途中で多少気になる振動があるかと思いますけれども、それは強度上の問題はございませんで、「のぞみ」そのものも既に三百キロを超すスピードを出せる能力を持っていながら二百七十で営業運転いたしておりますので、そういう点の御心配はないかと思います。  それから、ヒューマンファクターの問題でございますけれども、その辺は人間工学という御指摘でございましょうか、あるいは使い勝手としての人に対するやさしさの御指摘の両面がと思いますので、それらについては十分配慮してまいっているつもりでございますけれども、なお鉄道事業者に対して、その点十分配慮しながら、これからの製作に当たるように指導してまいりたいと思います。
  37. 川島實

    ○川島委員 ひとつ十分生活者の声に耳を傾けて、改善策に取り組んでいただきたいと思います。  次に、先ほども話が出ておりました旧ソ連における放射性廃棄物の日本海への海洋投棄等、環境問題に関係をする多くの課題が今世界を揺るがしているわけでございますが、我が国としてもさきのチェルノブイリの事故について調査団を派遣いたしておりますし、さらに今回科学技術庁として現地へ調査団を派遣するわけでございますが、さきの調査団の成果というのはどのような形で受けとめておるのか。さらに、今回の調査団の派遣でどういう任務、役割というのですかを考えながら派遣されておるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  38. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  海洋投棄の問題につきましては、まだソ連に調査団を派遣するということは決めておりません。ただ、先回の日ロ外相会談で、日本側の方から調査をする場を設けろということに対しまして、ロシア側がイエスと言ったということを伺っております。  それから、かつて調査団を出しましたのは、チェルノブイル原発事故の後政府調査団を出しま して、その結果は原子力安全委員会に特別な委員会を設けまして分析し、ロシア原子炉特有の事象である、このようなことは日本の軽水型炉を中心とするような炉では起こり得ないというふうな結論を出していることはございます。
  39. 川島實

    ○川島委員 それでは、今回の派遣はトムスクだけ、こういうことになるわけでございまして、海洋投棄の問題については議論はされないわけですか。
  40. 石田寛人

    石田政府委員 その辺の状況につきまして、いささか御説明させていただきます。  海洋投棄問題につきましては、その対応、今安全局長から答弁があったとおりでございます。  それと同時に、トムスクに関することでございますけれども、これにつきましては報道にありましたように、私どもの関係職員、これは別用もございまして、モスクワあるいはレニングラード等に行っておるということもあるわけでございます。そういうこともあったものでございますから、これにぜひトムスク7の実態につきましても調査するように、そういう要請を私どもからしたわけでございまして、その行きました担当者は、ロシアの関係当局、これは特にロシア原子力省でございますけれども、ロシア原子力省ともコンタクトをいたしまして、特にミハイロフ原子力大臣は、トムスク7の実態につきましても現地へ行っていろいろ見てこられたということもあるようでございますので、その記者会見等々にも出まして、いろいろなトムスク7に関します実態認識に努めた、そういうことであるわけでございます。そういうことも含めまして、トムスク7の事故につきましても、手段を尽くしながら実態の認識に努めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  41. 川島實

    ○川島委員 常に政府は、情報収集、調査、こう言っているわけですけれども、調査をした後の、どういう目的で調査をされて、例えば我が国だけの今後の利用について安全性の助けにするためにやっているような気がして、国際貢献だとか、すぐこれらに対しての行動計画ですか、その国に対して利益を与えるような形のものが一向に見えてこないわけでございますが、この辺のところはどのようにお考えなのでございますか。
  42. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  海洋投棄の場合でございますと、海洋投棄でございますけれども、これによりまして放射性物質にかかわります汚染が起こっておる。この現状の把握とそれから汚染防止の拡大につきましては、これは何と申しましても、一義的にはまずロシア側が責任を持って対処すべきことというふうに思うわけでございます。したがいまして、先ほどからも答弁がありましたように、詳細な情報の提供と汚染拡大防止策の実施につきましては、ロシア側に対しまして強くこれを求めていくということが重要であると考えておるわけでございます。  しかしながら、例えば海洋投棄の場合でございますと、これが我が国近海でも行われておるということにもかんがみまして、私どもといたしましても、日ロの共同によります海洋の放射能調査を実施するということとか、あるいは今後海洋投棄が行われないようにするために、あるいは陸上におきます放射性廃棄物を処理処分あるいは取り扱うようなそういう施設がやはり要るのか。要るとするならば、それに関します技術的協力ということもあるわけでございます。そういうことも含めまして、今月十五日に行われました日ロ外相会談におきまして、海洋投棄の即時停止を求めるとともに、海洋投棄に関します合同作業部会の設置について合意をしたということもあるわけでございますし、今後この作業部会などを通じまして、海洋投棄の詳細な実態とか、あるいはロシア側での放射性廃棄物の管理状況等に対します情報収集にも努めながら、我が国ができる協力、支援につきましても検討していきたいと思っておるわけでございます。  なお、国際的な取り組みにつきましては、例えば先般我が国に来られました国際原子力機関のブリクス事務局長でございますけれども、このブリクス事務局長と科学技術庁長官がお会いいただきまして、我が国懸念も伝え、あるいは国際原子力機関の能力をも十分に活用しながら世界各国懸念に対処していきたいという、そういうことでお話し合いをしていただいておるわけでございまして、御指摘のとおり国際的取り組みも極めて重要と、かように認識しているところでございます。
  43. 川島實

    ○川島委員 グリーンピースの報告等によりますと、海洋投棄の問題については日本政府は昨年通告を受けて承知をしていたのじゃないかという記事があるわけですけれども、このことについてはいかがでございますか。
  44. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  通告は受けておりません。私どもは、今回外交ルートを通じて入手いたしました四月二日の白書について、その海洋投棄の一部を知ったということでございます。
  45. 川島實

    ○川島委員 さらに、グリーンピースによると、旧ソ連のこうした廃棄物処理の関係で、一九五六年から一九九三年の間に二十二回の原子炉関係事故、それから八回の原子力船沈没事故等の発生、さらにこれらを含めた事故として百二十六回、死者は五百人に上る、こういう発表があるわけですが、当局はどのようにこれらの情報をお集めになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  46. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今先生の申されたような情報は、承知しておりません。
  47. 川島實

    ○川島委員 それじゃ、政府は今回の旧ソ連における今までの一連の放射性廃棄物等に関する処理に関して環境に触れると、こういう問題についてどう扱ってみえるのですか。
  48. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  まず、これまで科学技術庁を初め関係省庁が日本海で毎年行っております調査によりますと、今のところ何ら影響はあらわれていないということでございます。  ただ、今回の白書によりましても、ロシアの投棄いたしましたものの正確なもの、例えばどんなものをどのように捨てたか。捨てる場合にも、例えばコンクリートあるいはプラスチックなどを詰めてこん包して捨てた場合と裸で捨てた場合とで、長年たちますと影響は変わってきます。また、捨てた放射性核種、それも放射能が減少してしまうようなものもございますし、長年にわたって放射能がなかなか減らないというふうな核種もございます。それから、どの海域に捨てたかというようなことがわかりません。したがいまして、そういった情報の分析評価が必要であると思っております。  ただ、先ほども申しましたように、私ども科学技術庁に海洋環境放射能データ評価検討会を設けまして、ここにいろいろな分野の専門家、放射能の専門家、あるいは海洋拡散の専門家、あるいは食物連鎖の専門家、あるいは人体に対する影響の専門家などを集めております。したがいまして、この四月十八日から既に関係省庁協力をいたしまして調査を始めておりますが、そういったところの持ち帰りましたデータをもまずここで検討したいと考えておりますし、将来、先ほど外務省が申されました合同委員会の場でまだ私どもが不明と思っておりますような情報をどしどしロシア側に要求いたしまして、それが得られればまたこの検討会で検討いたしますれば、詳細な環境あるいは人体に対する影響もわかってくるかと考えております。
  49. 川島實

    ○川島委員 日本海の汚染に対しては、水産関係者も非常に心配をいたしております。だからロシアと共同で、向こうがOKが言えれば、積極的にやはり日本がこれらの日本海の廃棄された放射性廃棄物についての除去に対してきちっと対応しなきゃいけない。だから、相手待ちでおったのではいつまでたっても解決しないわけでございますから、我が国としてどうやって今後これらを除去に向けて努力をするか、その行動計画が必要だと思うわけでございますね。今までの政府方針ですと、相手国の出方待ち、情報収集だけ。いたずら に時間がたって、一向に——いつまでに情報収集してここからどういう形で、例えば深海艇も我が国にあるわけですから、そういうものをいつ発動して調査に加わるとか、現在ロボットでつくっている一万メーター深海まで行くそれを早期建設をしてそれらの除去に加わらすとか、いろいろなアイデアも出てくるわけでございますが、こうした形に対してどう政府は対応をしようとしているのか一向に見えてこないわけですが、今回の日本海の汚染について政府として特別な対策チームをお組みになるおつもりはございませんか。
  50. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  その対策チームと申しますのが、私ども科学技術庁に設置いたしました、先ほど申しましたようないろいろな分野の専門家から成る海洋環境放射能データ評価検討会がそれに当たろうかと思います。  それからまた、投棄されたものの廃棄物の除去というふうなことを先生申されましたが、これはソ連にもっと詳細な投棄の実態を究明してからでないと云々できないかと思います。もし投棄したものがその場に安定しておれば、いたずらにそれをさわったりしてまた放射能の拡散を広げるというふうなことにもなるかと思います。いずれにしろ、どういったところにどのように捨てたかということがはっきりいたしませんと対策は立てようがございません。ただ、先ほどの日ソの合同調査委員会の場でそういったことはどしどし究明していきたいと考えておりますし、もちろん私どもも、日ソの共同による当該投棄海域の調査ということも提案していきたいと考えております。  それから、先生先ほどいろいろな、科学技術庁は深海を探索するような船あるいは機器を持っているのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、確かに持っておりますが、ただ、そういったものを使います際には、やはり極めて正確にピンポイントに、その場に捨ててあるということがわからないと調査はできませんし、また、現在科学技術庁が持っております。そういった深海の調査船、探査船というのは、そういった放射能調査を目的につくられておらないということも御認識いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、漁民の方々の不安は大変なものだと思います。したがいまして、私ども先ほども申しましたような検討会、それから各省協力いたしまして、この問題に対しまして迅速かつ的確に対応していきたいと考えております。
  51. 川島實

    ○川島委員 大臣にもちょっとお伺いをしておきたいのですが、我が国がロシアに支援がおくれているのは領土問題が絡んでいるからだという声も実は聞こえてくるわけです。アメリカの声も、例えば世界にはまだ領土問題の未解決な問題が五十カ所近くあるとCIAのゲーツ長官が議会で答弁しているわけですね。そういうことを考えながら、日本も今回二国間支援で、G7を受けて核廃棄に二十億ドル以上の無償協力をするというような中身が出てきているわけでございますけれども、大臣として、もっと国際貢献の立場から我が国の科学技術を生かして十分な支援を行うべきだと思うわけでございますけれども、今出てきておるのは、先ほどの答弁を見ておりましてもおわかりいただけますように、視察団はトムスクの事故だけだとか、直接日本国民に対応ができる日本海の多くの核関連の廃棄物についていまだに進んでない、こんなことではいけないと思うので、一日も早くロシアヘ出かけていって、向こうをこちらのテーブルに着けさす、こういう努力が必要かと思うわけですが、どのような御決意を持っておるのか、御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  52. 中島衛

    中島国務大臣 外務省が答弁すべき問題も多いと思いますけれども、私の考え方だけ述べさせていただきます。  今回の放射性廃棄物の海洋投棄の問題は、これは我が国にとりましても見過ごすことのできない重要な問題でありますから、先ほど外務省からお話のありましたように、日ロ外相会談で海洋投棄の即時中止を申し入れ、そして日ロで共同作業部会を設置し、そして共同の調査を行うというところまで来ておるわけでありますから、外務省を通じてこれらを早く実効の上がるようにしてまいりたいというように思っております。  また、領土問題と対ソ支援の関係でありますが、今回のような放射性廃棄物の海洋投棄だとか再処理工場の事故の問題だとか、これらは領土問題とは全然別の問題でありまして、即刻調査をし、実効が上がるようにしなければならないと私は思っておりますから、これらにつきましては関係省庁と迅速に連携をして対応してまいりたいと思います。  また、G7におきまして、十八・二億ドルの支援を二国間、ロシアに対して行うことを総理がお話をしたわけでありますが、その中の一億ドルはソ連の核廃棄物処理に関するものでありまして、額とかにつきましては、外務省、大蔵省と協議して決めたわけでありますが、その中身、詳細につきましては、実際は私どもの科学技術庁のいろいろな技術的なノウハウが必要になるわけでありまして、中身につきましてはこれから早速詰めまして、実効の上がるようにしてまいりたいというように考えておるところであります。
  53. 川島實

    ○川島委員 最後に一つお伺いをしておきたいですが、こうした旧ソ連の状況を見ておりまして我が国原子力発電所で心配になってくるのは、そろそろ三十年の原発の定年を迎える、こういう数が幾つか出てきておるわけでございますが、科学技術庁として、定年を迎えている原子炉に対してどういう考え方をお持ちなのか。  それからもう一つは、福井大震災以前に建てられた構造物は、鉄筋の横のフープ筋といいますか、補強するフープ筋だとか中の鉄筋量の数だとか太さだとか、そういう応力的なものが非常に弱くできておりまして、福井大震災以後建築基準法がこれらの構造的なものを全部見直しして、それにこたえられるような形のものに、柱を鉄骨鉄筋にするとか、さらに鉄筋量をふやすとか、フープの横の鉄筋のピッチを縮めて構造的に地震に対応ができるようにするとか、こういうことがなされてきたわけでございます。それ以前の構造物については、学者の中でも特に原発の構造物について危険度を唱えている人が非常に多いわけで、現実的にいろいろな学界の試験等を見ましても、構造柄地震に非常に弱い、こういうことが言われているわけですが、これらに対しての対策として、原子力安全性からいってどのようにお考えであるのか、今後の方策を含めてお伺いをしておきたいと思います。
  54. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  先生の御質問、二つに分かれていたかと思いますが、原子力発電所の安全、特に老朽化対策などについてお答えさせていただきます。  原子力開発には、安全の確保が大前提であることは言うまでもございません。そのため、原子力施設の設計、建設、運転の各段階で厳格な安全規制を実施しております。まず、第一行政庁の通産省が安全審査を行いまして、その結果を安全委員会がダブルチェックをするというふうなことで安全確保を期しております。それから、毎年一回の定期検査によりまして、また安全に万全を期しているところでございます。  確かに、一部の原子炉は相当年をとってきておりますので、そういった原子力発電所の高経年化も踏まえました対策、特にいろいろな事故、トラブルが起こりましたような場合には、それのケースごとに徹底的にそれを究明いたしまして、それに対する万全の再発防止策を講じようというふうなこと、こういった方針で事故、トラブルあるいは老朽化に対する対策をとっております。また、原子力発電所につきましては、通産省におきましてもこういった老朽化対策に対する検討会を設けて、今総合的に検討されております。安全審査会としましても、逐一それらの状況あるいは成果を報告を受けて、この問題に対処していきたいと考えております。
  55. 川島實

    ○川島委員 時間ですので終わりますが、定年の問題ももっと突っ込んでやりたいと思います。今 後ひとつまたよろしくお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 小澤潔

    小澤委員長 竹内猛君。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、今までもいろいろな委員会で質問をしてきましたけれども、筑波研究学園都市の熟成という方向で進んでいる、その中で問題になっている幾つかのことについて質問をします。  まず最初に、これは文化庁に質問しますが、小田城の問題について、これはさきの分科会で森山文部大臣からも、あるいは文化庁次長からも答弁がありましたけれども、現地でいろいろお話をいただきました。市長も話をしたし、私もこの間この報告をした中で特に重要な点が幾つか出ておりますから、その点をまず質問をしていきます。  小田城というものを文化財として昭和十年に決め、それから戦後において昭和二十五年に決めたわけですけれども、この文化財としての大事なところはどこが大事なのか、何が大事でそれを文化財として指定したのか、そのことについてまず伺いたい。
  58. 若松澄夫

    ○若松説明員 小田城は、鎌倉時代の初期に、常陸の国の守護でございます小田氏の初代となりますところの八田知家によって築城されまして、小田氏の勢力拡大とともに城域の拡張が重ねられまして、鎌倉時代、南北朝時代を通じまして守護小田氏の本拠等として、関東における重要な城として存続をしてきたわけでございます。  城そのものは、戦国時代の末、常陸を領しておりました佐竹氏が関ケ原の戦いの後に、秋田に国がえされることに伴いまして廃城となっておるわけでございますが、この間、南北朝の動乱期には、南朝方につきました小田氏が北畠親房を迎えたために、関東における南朝方の中心となったわけでございまして、この城で北畠親房が神童正統記などを執筆したということが著名であるわけでございます。  小田城は、本来、平野部に堀を掘りまして土塁を築いてつくられた平城でございますが、またかつ、廃城となってから約四百年たっておるわけでございますけれども、その間、城の跡と申しますのは、農地等といたしまして利用されてまいりましたために、その遺跡は、いわゆる姫路城や大坂城のような戦国時代末期以降の城とは趣を異にするわけでございますけれども、本丸を初めといたします多くるわ、それを区画いたしますところの堀、土塁などの遺構がよく残っておるわけでございます。  このように小田城の跡は、鎌倉時代から戦国時代に及びます時代に関東地方の有力守護の居城といたしまして重要な役割を果たしてきた域といたしまして、また、南北朝期の政治史を考える上での重要な遺跡として価値の高いものであるというふうに認識をしておるわけでございます。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それほど重要な城址が現在はどういう状態になっているか、ちょっと説明をしてもらいたい。
  60. 若松澄夫

    ○若松説明員 先生指摘のとおり、小田城は、昭和十年に当時の法律によりまして史跡として指定をされておりまして、今日まで約六十年ぐらいたっておるわけでございます。その間、先生からたびたび御指摘いただいておりますように、近年まで史跡としての保存管理が十分に行われておらないために一部住宅地化するというような状況であったということについては、文化庁としても承知をいたしておるところでございます。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは予算委員会の分科会においても、文部大臣にも見てもらったわけですけれども、ここにこの写真があります。  今、小田城というものは、ささやかな丘の上に木が植えられてあるだけで、そこには本丸の中に、本丸から約百メートルぐらいのところに中山さんという民家が建てられている。そしてまず、大事だといった城がない。それから土塁、これも全部崩してしまった。堀、これも埋められて、畑あるいは水田になっている。全くこれは荒廃した荒れ地でありますね。荒れ地だ。こういうことは、昭和十年、現在からいえば五十数年前に、あるいは戦後の二十五年からしても既に四十年もたっているこのときに、依然として、これほど大事なものを外部から見学に行っても何にも見えない。こういうようなことで文化庁が本当に文化財を保護している意味があるだろうか、こういうふうに考えられますね。  戦前は確かに皇国史観があって、南北朝の問題で北畠親房が神童正統記を書いた、これは我々も小学校のころに教えられたことだからよくわかっている。戦後においては、そういうものの歴史的価値はあるにしても、むしろ土塁であるとか、くるわであるとか、あるいは馬入れであるとか、あるいは平城であるとか、そういうものが大事であるならば、なぜ一体それに対してもう少しまともな指導ができなかったのか。町の手によって二十五年以降においても土塁は埋められ、それから堀は埋められ、そこには小学校、児童館、体育館ができている。そういうのを黙って見てきて、これで文化財を保護したということになるだろうか。これは文化庁としては手落ちじゃないか。そして、その後において強制をしているということはよろしくない。これは反省がないかね。まず反省をしてもらいたいと思う。いかがですか。
  62. 若松澄夫

    ○若松説明員 昭和十年に指定して以来今日までの間に、先生の御指摘になりましたように、戦争中の混乱あるいは戦後の混乱の中で、私どもの方から申しますと、いわゆる原状変更が、無断の原状変更などが相次いだということについて、私どもの方あるいは県、管理団体でございます市の方で行き届かない点があったということについては、私どもとしても残念だと思っておりますし、その点については遺憾であるというふうに思っております。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)委員 遺憾だったということだから、まあそれは勘弁するけれどもね。しかし、それでいいということじゃないですよ。次の方に進まなくてはならない。  この五十数年の間に文化庁が出した金は一億七千六百万円。そのうち一億六千万というのは三戸の家の移転補償でありますね。あとの残った千六百万というのは、これは六十年のその保存計画をつくった費用その他でしょうね。  金は出さない、極力抑えることはする、こういうことでは、これは行政としてはいい行政とは言えない。だから、史跡は残したいけれども今の文化庁のやり方についてはどうしても黙っていられないというのが、先般、今月の十七日ですね、小田城を考える市民の皆さんが集まって、どうしても竹内さん、一言文化庁に言ってくれ、なおあわせて行政の監察にも物を言いたい、こういうことですから、まず文化庁から先に、今遺憾だと言ったから、これちょっと言いにくいけれども、もう一遍。ささやかな金、いいですか、一億六千万というのは三軒の家の移転費ですよ。あと千何百万で計画書はつくれ。それからあと何したんですか。どういうふうにして、金は出さないけれども空手で押さえるという、そういうやり方はこれは無鉄砲だな。そういうふうに思いませんか。
  64. 若松澄夫

    ○若松説明員 文化庁といたしましては、この小田城につきましては、将来的にはこの地域につきましていわゆる民有地の公有化、あるいは発掘調査によりますところの遺構の確認などを行いまして、この城本来の姿に復元的な整備を行う必要があるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、つくば市、茨城県におきましても私どもと基本的に同じ考え方を持っておるというふうに考えておりますけれども、このような保存整備の構想、計画ということについては、地元住民の理解を得ながら検討を行うということが必要になってくるわけでございます。これまで、先生も御案内のとおり、種々の事情によりましてなかなかこの施策が進捗していないということになるわけでございますけれども、現在、この史跡の管理団体でございますつくば市の方で住民との話し合いを進めているというふうに聞いておりますので、今後全体的な保存整備の構想、計画というものが策定されまして、その中で具体的な事業の内容とい うものが明らかになってくることと考えておりますけれども、文化庁といたしましては、それらの計画作成等、あるいはそれができました後におきますところの整備等については、十分に力を注いでいきたいというふうには思っております。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 文化庁がそこまでだんだん話が進めば、それは結構なことだ。  地元のつくば市にも問題がなかったわけじゃない。つくば市というのは五カ町村が合併して一つの市になったわけですから、その前段では筑波町というのがあって、その町の町長が、茨城大学の教授をやめて町長になった。彼が町長のときに文化庁が来て、保存計画をつくった。その保存計画をつくる段階で、地元の地権者も入ったし、学者も入ったし、いろいろ来ている。これは文化庁の指導が極めてウエートが高かったように思うのですね。あの三十二ページを見てもわかるように、地権者の理解と協力を得てという形になっているけれども、地権者にはでき上がったものを説明しただけに過ぎない。理解をしてないということだから、問題が起こるわけでしょう。  その後、市になって、そして初代の市長がやや強圧的に物を進めてきたために、さらに深刻になった。当時の助役が今度は座長になって、検討委員会をつくれと言ったのが平成二年。私も文化庁とそういう話をした。平成二年に座長になって、話が整理をしかかると、横からつぶしにかかってきた。そして、平成四年に今度は市長がかわったけれども、議席、議員の数が野党が多いために一つも思うようにいかない。そういうことで、去年の十一月の選挙でようやく市政が確立をした。そして、前の筑波町長であった井坂という人が教育長に就任をする。それから市会議員であって、筑波の小田城の問題で非常に熱心にやった志村というのが理事になる。それから当時の座長の木村さんが市長になるという形で、ようやく市の体制は整った。それから地元の方も、そういう体制のもとで文化庁と一緒になって、さらに検討委員会を構築をして、再建をして、この問題について取り上げていこう。  そうすると、実施計画をつくらなくちゃならない。保存計画は、不十分だけれどもできちゃったから、これはしょうがない。一体、これも実施計画をすると、A、B、C、D地区まである。A地区というのが、これが本丸。B地区がその次ですね。そういうふうになっていて、A地区だけは何としても守っていきたい。そうすると、あそこに中山という家が一軒できてある。あるいは筑波線が廃線になったけれども、それも醜いものがある。こういうものを除去をしながら、同時に堀、土塁、こういうものを復活するためには、大体が私有財産ですからかなり金がかかる。そういう計算をしていかなければならぬのに、そのことをするのはこれはやはり委員会の仕事になろうかと思うのですけれども、これに対して、地元でそのようなものができることについて、文化庁としてはどういう考え方を持っているのか。協力ができるのか。それとも文化庁が何か別な指導をしようとしているのか。その点はどうですか。この前の森山文部大臣の話と違っては困るので、それの延長という形でひとつ答弁をしてもらいたい。
  66. 若松澄夫

    ○若松説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましては、小田城を本来の姿に将来的には整備をしていきたいという考えを持っておりますし、また、県、市の当局においても同様の考え方を持っておるというふうに思いますけれども、この史跡の保存整備の仕事ということは、先生の御指摘のとおり、地元の住民を含めた協力関係が不可欠であるというふうに考えておりますし、そういうことから市の方では現在、地元住民と積極的な話し合いを行っておるというふうに承知しておりますので、文化庁といたしましては、市による保存整備計画の検討、策定、そういう体制が整いますれば、計画内容等について文化庁として指導助言等、可能な支援を行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これには相当金がかかると思うけれども、それは「挙にはなかなか支出はできないと思うから段階的に処理をしなければならないが、少なくともあの文化を保存し長続きをさせるためには相当な費用がかかるということですから、地元で委員会をつくった場合には文化庁も入って、地権者と一緒になって話し合いをしてもらいたい。いいですね。どうですか。
  68. 若松澄夫

    ○若松説明員 先生と同じように考えでございます。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、きょうは行政監察局ですか、見えていると思うから、ここで文化庁がちょっと遺憾の意を表したから特に手を入れてもらう必要はないとは思うのですけれども、このように行政の誤りというか手落ちというものを非常に住民の方に押しつけてくる。  というのは、昭和二十七年に農地法が制定をされて、そのときに今度は、中山という家は農地法によってA地区、本丸に家を建てた。これは建築基準法にも許可を得ている。あるいは、そのころ土塁を町が崩しているんだね、二十五年以降ですね。それから都市計画法ができて、そしてA地区もB地区もC地区まで市街化地域になっている。だから、建築をしようがしまいが、それは地権者の自由になっているわけだ。ところが五十八年ころになると、土を切ったり削ったり、家を建てるには一切、文化庁の許可がなければやってはいけないという通達を出している。だから、全然動かない。そういう中で今度は、またその間に土塁を壊したり、そういうことをやらせているわけだ。  それから、六十年には始末書をとっていますね。町長から始末書をとっている。文化庁の行政の誤りを時の町長から始末書をとる。こういうようなことをするということ、これ自体はちょっとおかしいんだね。そして六十年に保存計画ができる。以降も今日まで、一切住宅をつくってはいけない、あるいは改築もいけない、手をつけてはいけない、こういうことですべて抑え込んでいるし、税金は宅地並み課税がかけられている。相続税も同じですね。それは動かさないから農地ですね。農地でありながら、草が生えているところに宅地並み課税を取られるという、こういう行政というのはおかしいじゃないか。これは行政の監察をしてもらって、文化庁に注意をしてもらわなくちゃならない。どうですか。
  70. 福田実

    ○福田説明員 お答えいたします。  まず、一般論で申し上げますと、行政監察と申しますのは、行政機関の業務の実施状況を監察いたしまして、必要な勧告を行うことによりまして広く制度、運営一般の改善に資するということを目的に行っております。それで、個別具体的な行政運営上の問題ということそれのみを単独で取り上げて指摘をして、それの是正を促すといったようなことは行っておらないということでございます。  小田城の問題につきましては、今先生が御指摘になりましたような非常に歴史的経緯のある、古くからの問題があるようでございますが、基本的には、地元のつくば市におきまして関係行政庁なり地権者などと十分協議、調整を行いながら具体的な解決を図っていくべき問題ではなかろうか、このように考えております。
  71. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうことではやはり困るのだね。基本的には私有財産ですよ、今のあそこの土地は。私有財産に対して文化庁がこれを指定をして、あるいは町が、その管理をする町が文化財を壊している。そこへもってきて今度は始末書をとり、あるいは税金も取る。だから、私有財産の場合には憲法二十九条に対する侵害であり、違反じゃないのか。適正な補償がないのにそういうことをやるということは、これは問題になる。これからも問題になる。奈良の明日香村は、これはちゃんと明日香法をつくって、国が二十一億の金を出して、その金利によってあの村を縛り上げて、ちゃんとして運営をしている。これでも明日香の皆さんは不満だ。私は、その当時建設委員会の理事をしていたから、明日香へ年じゅう入って、あの法律に対してタッチをしたからよくわかっている。しかし、明日香村ほどのところじゃないんだから、あそこは。一つの局地でありますからそう いうことはできないけれども、それぐらいの気を使っているのに、あそこのところ二十二ヘクタールあるんだから、地権者だって二百人近くいるでしょう。そういう人たちに対して、それはおかしいですよ。規制をしておいて宅地並み課税を取る、使用収益を一切上げてはいけない、こんなばかな話がありますか、近代国家で。それは行政監察がもしできなかったら、仲間と相談をしてちゃんとしたあれをしないと、これは行政不信なんだからね。だから、行政不信を回復するためにどういう手法をとりますか。裁判でしかないというなら、それは裁判にしなきゃならない。そういうことは時間がかかってしょうがないでしょう。もう少しまともな答えをしてもらわぬとまずいな。現地に行って話をするとか、あるいは相談をするぐらいの話はしなきゃ、まずいじゃないですか。
  72. 福田実

    ○福田説明員 私どもは、現地の状況がどうなっているかということについては十分詳しくは承知しておらないわけでございます。先生指摘のあったような、国民の行政に対する信頼性を確保する、そういうことで行政監察を行っているということは確かでございます。  この小田城の問題につきまして、そういう問題があるという先生の御指摘でございますけれども、これは繰り返しになりますが、私どもとしてはそういういわば個別地域的な問題、それだけを取り上げて国の監察として実施をするということは基本的には行っておらない。仮に今後全国的にいろいろ文化財の保護管理をめぐって問題が生じてくるというような事態になりますれば、それは行政監察として取り上げていくということについて十分検討していかなければいけない、こういうふうに思っております。
  73. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それ以上聞いてもだめだから、これは別なところでやるから文化庁の答弁で結構。文化庁は行政監察局なんて無視して、さっき言ったように地元と一緒になってやってもらいたい。行政監察というのは、そんな行政監察だったら要らないんだ。あってもなくてもいいや、そんなのは。もういいから、帰って。  次に、文部省にお伺いします。  前からも話はしているのですけれども、つくば市と土浦市と牛久、ここは四全総における業務核都市ですね。その都市で、人口にしたら四十万以上ある。そこには筑波大学という国立の大学もあるけれども、私立の、民間の大学というのはないですね。ソニーが工科大学をつくろうとしたけれども、これがもうだめになった。そこで先般来、この委員会の報告をする中で、つくばの市長、助役、理事、市会議員、それから土浦の助役等々寄って集まって、ここに一万人以上の公務員の皆さんがいるし、それから退職する公務員の方々もいらっしゃるし、年寄りも自分の生涯勉強をしたいという希望もあるということで、やはり民間の文科系、夜間も含めた大学をつくってほしい、こういう希望がある。文部省もこれについては承知をしているはずだから、これをつくるためにどういうことをどういうふうに調整したらできるのか、あるいは住民にこたえられるのかということについて、その手続について主要な点だけを教えてもらいたい。
  74. 喜多祥旁

    ○喜多説明員 お答えいたします。  大学の設置につきましては、大学への進学年齢層でございます十八歳人口が昨年の二百五万人をピークに今世紀末には百五十万人、そして昨年生まれました子供は約百二十万人でございまして、極めて短期間に激減いたしますことから、大学等の新増設につきましては原則抑制の方針で臨んでおるところでございます。ただ、極めて必要性の高い大学等の設置ということにつきましては、原則抑制の例外として取り扱っておるところでございまして、先生指摘の、社会人あるいは勤労学生を積極的に受け入れるための夜間教育を行う大学ということにつきましては、この原則抑制の例外として取り扱うことといたしておるところでございます。  筑波学園都市に具体に夜間教育を行う大学を設置したいという申請がございました場合には、大学設置・学校法人審議会に諮問いたしまして、その答申を待って認可するかどうか判断させていただきたい、かように思っておるところでございます。
  75. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これから現地とも相談をしていろいろ進めていきますから、これはぜひ親切にひとつ御指導を願いたいというふうに思います。  続いて、次には筑波の手当の問題について、これは予算委員会で人事院の総裁を呼びました。これも答弁が不十分だから早く帰ってくれということで帰してしまった。けれども、その前に本委員会でも第三課長に来てもらって話をしている。ほぼ同じ内客ですね。  そこで、筑波にいる一万二百十四名という公務員は、これは行(一)から行(二)、それから特別職から所長までいますから、それぞれのあれはあると思うのですね。あると思うけれども、最初は東京なり東京近辺から過疎対策の一つとして研究所やあるいは研究機関を筑波へ移すという形で、特別立法によってこれはつくった学園都市なんです。何も公務員の皆さんが行きたくて行っているわけじゃない。国策で行っているのですね。そのときに建物にくっついて人間が行った。ところが、今度国土庁の話によると、もう移るべきものはみんな移ってしまった。四十七機関移った。あとは科学技術庁の金属研究所がな、これも今建設中だからもう移るでしょうね。それから、民間の研究所も幾つか来ていますが。そういうことで移るべきものは移った。立派な建物ができましたよね。  ところが、中で働く人々の待遇については、これはいささか問題があるんだな。筑波の手当を一○%もらっている者が約六〇%いる。全然もらわないのが七・七%ぐらいいるかな。その間に八%、五%、三%という差がある。それはまあいろんな形で差が出てくるのもやむを得ないと思うけれども、これをずっと持続するということは、これは何遍も言うようだけれども、管理職としてもみんな極めてやりにくい。それから、同じ職場で働く者として不愉快でかなわない。少なくとも建物を建てることが目的じゃなくて、良質な研究とそれから国際的に誇る事業をしようというんだから、そこで働く人々に働く意欲を持ってもらうようなそういう処置をしなければ、これはどうにもならないんだ。  だから、人事院としては、平成八年に勧告をするというんだから、その勧告については、少なくとも今度はその建物を見るんじゃなくて、そこで働いている人間を大事にするという、そういう立場から物を考えてもらいたい。客観的には、まだ常磐新線ができるのは先だし、家族が三分割をして生活をしなきゃならない。単身赴任が多い。高校だって十分じゃない。医者に行くにも何をするにも金がかかる。そういうときにもうやめてしま、う、そういうことはまずい。やっぱりその点については十分に配慮してもらいたいと思うけれども、今度は第三課長、初めての登壇のようだから、初球ですね、球を投げる、登板ですね、いい球をひとつ投げてください。
  76. 関戸秀明

    ○関戸説明員 お答えいたします。  今御指摘のように、筑波研究学園都市移転手当は、当初、首都への過度の人口集中ということを緩和する、それと同時に高水準の研究教育の効率的な推進を図るといった趣旨からできました筑波研究学園都市、そこへの研究機関等の移転を円滑にするために、調整手当支給地域でございます東京から非支給地域である筑波研究学園地区へ移転するということになりますので、その異動を促進、円滑にするという趣旨で設けられた手当でございます。そういう意味では、特別立法によりまして筑波研究学園都市というものがつくられ、また移転が図られたという国策というものを配慮した手当を設けたということでございます。したがって、この手当自体につきましては移転手当ということでございまして、法律上も、当分の間支給するものと規定されております。そういうことから、基本的には研究学園都市の熟成の度合い等に応じまして収れんしていくべきものであると考えております。  いずれにしましても、またこれも先生指摘のように、筑波研究学園都市移転手当につきましては、給与法の附則におきまして、平成八年末までにその改廃に関します措置についての勧告を行うということが人事院の責務とされておりますので、今後の取り扱いにつきましては、先生指摘の点も念頭に置きまして、筑波研究学園地区の生活環境の状況ですとか研究機関の充実の状況、さらには民間の賃金、物価、生計費といった状況なども踏まえましで、また関係各方面の意見も十分に伺いつつ、その結論を得るよう慎重に検討をしてまいりたい、かように考えております。
  77. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まあ平成八年の話ですから、十分に調査をしてもらいたいということです。  それから民間の会社、研究所があそこには幾つか来ています。その民間の会社、研究所というのは、中央に本社があってもそこの支社等々についてはちゃんと中央と同じような給与を支払っているはずですから、これにも準じなければいけない。それから公社、公団、事業団もありますから、そういうものもまたそれと関連をするわけですから、前向きにその検討をしていただきたい。この点については、中島長官にも科学技術庁長官としてひとつ、建物が移ったけれども、その中に働いている人々は非常に苦労している。もうストレスが多いですね。交通事故も多い。だから本当に大変でして、人間としての、研究者としての、あるいは研究者を補佐する者としてのいろんな任務がありますから、それが気持ちよく働けるような、そういう処遇についてひとつ関心を持ちつつ、閣議の中でも十分に協力していただくようにしてもらいたいということで、一言感想をひとつ……。
  78. 中島衛

    中島国務大臣 今竹内先生からいろんなお話があり、人事院からもお答えがありました。先生の研究者を思うお気持ち、大変ありがたく感じております。  今お話しのありましたように、筑波移転手当については、人事院において平成八年末までに本手当の改廃に関する措置について勧告することとされておりますが、現行の制度は研究機関における人材確保及び人事交流上考慮すべき事項を含んでおりますことから、科学技術庁としてはこれにかわる恒久的な手当を措置する必要がある旨、人事院に対して要望をいたしておるところであります。今後とも、こうした制度の重要性にもかんがみ、関係方面と連携をとりつつ積極的に取り組んでまいる所存であります。
  79. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変前向きに考えていただいて、人事院も十分にそれをのみ込んで作業をしてもらいたいということをまず要望します。  それで最後に、時間が来ていますから宇宙開発政策について、これも時間がありませんから質問という形にはなりませんが、これから取り組む決意をひとつ表明しなきゃならない。  冷戦後にソ連が崩壊し、ロシアが今表向き出ていますね。それからアメリカ、それからヨーロッパ等々の宇宙開発は、全面的に見直しを実施している。我が国の宇宙開発も、国際情勢に応じて、だれのために何の目的でいつまでに何をどう実施するか、こういうことについてひとつ基本的なことについて質問をするわけですけれども、これについては今のところ会議がないようですから、質問主意書でただしていきますから、その主意書がつまらない回答であればまた質問して、それから現地に調査に行きます。そしてまたここのところで質問をする、こういう段階で、三段ロケットでいきますから、この宇宙開発に対して非常に関心を持っている。だから私は、現地の働く人々じゃなくて大きな世界の問題まで考えておりますから、ひとつこの点については、宇宙開発に対する今の質問に対して簡単な答弁でいいですから、ぜひしてください。
  80. 石井敏弘

    ○石井政府委員 先生指摘我が国の宇宙開発というものは、私どもといたしましても、人類の夢と希望の源というような観点、さらには具体的に国民生活の向上に大いに役立つ、さらには科学技術の発展の牽引力になるというようなことで、これまでも強力に政策推進を図ってきたところでございます。また、このようなことにつきましては、アメリカ、ロシアあるいはヨーロッパ各国、それぞれの立場で強力に推進してきた。  御指摘のように、冷戦構造の崩壊といったようなことから、一部の国等では見直しが行われておるところというような御指摘も、あるいはそのような見方もあろうかと思いますが、基本的に、日本といたしましては、これまでも平和利用観点から宇宙開発を進めてきておりまして、今後も強力にこれを進めていくということで進めてまいりたい、かように考えております。  具体的には、政府に置かれております宇宙開発委員会が定めております宇宙開発政策大綱というものに基づいて具体的施策を展開しておるということでございまして、この政策大綱も当然のことながら、我が国研究開発の動向あるいは国民のニーズ、さらには世界の動向、こういったものも踏まえ、かつ適宜必要に応じ見直しながら、時代の要請に合うように政策転換を図っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほども申し上げたように、もう時間がないわけですから、まず質問主意書から始まって、現地調査をして、その次に質問、こういうふうにやりますので、十分に準備をしていただくように要請をして、終わります。
  82. 小澤潔

    小澤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  83. 小澤潔

    小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。秋葉忠利君。
  84. 秋葉忠利

    秋葉委員 本日は、二つの問題について問題提起をさせていただきたいと思います。この点について満足のいける、納得のいくお答えがいただければ大変ありがたいと思います。第一点は、これは原発ですけれども、柏崎刈羽地区の原子力発電所、その設置基盤に活断層があるという事実が確認されたのですけれども、その点に関して安全性をどう確保していくか、その観点から事実関係の認識、さらにそれに対応した幾つかの措置についで伺いたいと思います。それから第二番目のテーマですけれども、これは先般の本委員会で質問させていただきましたけれども、あかつき丸に関する情報公開、これもやはり安全性という点から、情報公開安全性についての関係、この二点について伺いたいと思います。かなりテクニカルなところがあるのですけれども、私も素人ですけれども一生懸命勉強してまいりましたので、間違っている点は御教示の上、ぜひきちんとした御説明をお願いいたしたいと思います。  まず最初に、これはできたら中島科学技術庁長官に伺いたいのですが、安全性確保するということ、これは原子力発電あるいは原子力に関連したさまざまな政策、あるいは具体的なその政策の施行、あるいは活動に関連して最優先事項だというふうに私は考えているのですけれども、この安全性確保するために、やはりどうしても事実に基づいた対策がとられなくてはならないというふうに思います。しかも、その安全性についての考え方、これを最優先にいたしますと、常にその安全性とはどういうことを意味するのか。社会的な状況ですとかあるいは科学技術的な環境の変化、そういったことにも対応して、常に根本に戻って考え直す必要があるのではないか、そんな気がいたします。  大体その大筋についてどういうふうにお考えか、まずその安全性についての哲学、それと科学的な事実との関連についてどう認識されていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  85. 中島衛

    中島国務大臣 原子力開発利用を進めるに当たっては、安全の確保が大前提であります。  そこで、原子力施設の設計とか建設、運転等の各段階において、原子炉等規制法等に基づき、厳しい安全規制を実施しておるところであります。特にその設置等に当たっては、まず行政庁が安全審査を行い、その結果について原子力安全委員会 がさらにダブルチェックを実施することにより、安全の確保に万全を期しておるところであります。また、内外原子力施設の故障、トラブル等の教訓等を十分に踏まえ、安全対策には万全を講じてきたところであります。  今後とも、原子力安全確保には最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
  86. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。もう少し具体的に問題を設定したいと思います。  仮に、まあこれは原発でもいいですし、ほかのものでも結構なんですが、何か建設をする、あるいはそれを運行するということについて、まあだれかということもまた問題になりますけれども、ある時点で安全だという判断をだれかが下したというふうに仮定をしたいと思います。その時点では知られていなかった事実が事後的に発見されて、安全性についての判断が、以前行われた判断が正しいかどうか疑問が生じてきたというふうにいたします。そういう状況のときには、一体どういう措置をとるのが安全性という点からは正しい態度であるか、正しい行動であるかということを伺いたいと思います。これもできたら大臣にお願いしたいのですが、あるいは担当のどなたかでも結構ですが、できれば大臣にお願いいたします。
  87. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  一般的な御質問ですのでなかなか難しいことでございますが、場合によりましてはまたそれを行政庁が取り上げ、それをまた安全委員会に提出して、安全委員会でチェックするというふうな場合もあるかと思われます。
  88. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。どういう場合があるかということではなくて、しかも私は、だれかがということを申し上げて行政庁ということは申し上げておりませんでして、一般的な質問として、これは常識の範囲で私はまだ問題を設定しているのです。ということで、余り具体的じゃなかったのでお答えいただけなかったのかもしれないのですが、今おっしゃったようなそういう場合もあるというのは、確かにあると思います。  私が伺ったのは、どういう場合があるかということではなくて、そういう安全性について疑問が生じた場合にどういう行動をとるのが正しいと思っているかということを伺ったので、それはそういう場合もあるでしょう。しかし、私の伺った答えには全然なっていません。つまり、そういうことでこの委員会の議論を進めることができるとお考えになっていらっしゃいますか。
  89. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  やはり具体的な問題を提起していただかないと、お答えも具体的にならないと思います。
  90. 秋葉忠利

    秋葉委員 だから、一般的な答えを聞いていると言っているじゃないですか。具体的な答えを出せなんて言ってないです。
  91. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 ですから、一般的は、どんな安全性に対する疑問がということになるかと思います。
  92. 秋葉忠利

    秋葉委員 一般的な質問には一般的なお答えで結構です。具体的な答えをしろなんということも一言も言っておりません。ですから、きちんと質問に答えていただきたい。  それでは、もう少し具体的に申し上げます。これもまた一般論の範囲ですけれども、仮に母親が子供に日常的に食べさせているもの、いろいろなものがあるわけですけれども、仮に安全だと思っていた食べ物が実は安全じゃないという情報がどこかから入ったとします。そういうときには、普通だったらどういう行動をそのお母さんというのはとるものでしょうか。
  93. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えにならないかと思いますが、私は男ですので、まだ母親になった経験がございませんので、そのような質問にはお答えするあれはございません。
  94. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういうふうにチャレンジされるとまたチャレンジについ乗ってしまいますので、これは言わずもがなの質問なんですが、局長の周囲には、母親の立場でいろいろとそういう役割をなさっている方は一人もいらっしゃらないのでしょうか、例えば局長のお母さんだったらどうするかということは当然お考えになれると思いますし、あるいは御家族がおありでしたらそういったことでも当然考えられることがあるのではないでしょうか。  時間の節約のために申し上げますけれども、私の常識では、通常これは母親でも父親でも同じだと思います。やはり子供に食べさせているものが安全ではないということをどこかで聞いたら、まずお母さんというのは、あるいはお父さんでも構いません。局長は子供さんの面倒を見なかったようですが、私は育児の分担もいたしましたのでいささか経験がございますけれども、これはその経験とは関係ないところで、やはり親としての立場で、まず安全でないと言われたものを食べさせるのをやめさせる、つまりその可能性があるという前提に立ってその安全性をまず確保する。時間的に、短期的にその場での安全性確保するというのが第一だろうと思います。  それから、その情報が本当に正しいのかどうかということを確認した上で適切な行動をとる、対応策をとるということになるんだと私は思います。それが常識的な答えだと思いますけれども、そういったことを考えるのは、母親でないとこういうようなことは常識として考えられないこととお考えなんでしょうか。
  95. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今先生が挙げられましたような、そういった食べ物のような例ですと非常にわかりやすく、私が母親であってもそのようにしたかもわかりませんけれども、ただ一般的な問題については、それぞれ問題によりましていろいろな応答の仕方があるかと思います。
  96. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えも、要するにそれが正しいかどうかというお考えを述べていただいたわけではなくて、そういうことをするかもしれない可能性としてのお答えでございました。  私は、可能性としての答えを聞いているんじゃないんです。具体的に安全性の問題について私たちが行動をとる、あるいは官庁が行動をとる場合には、可能性の話として行動をとっているんではなくて、一つ一つの行動というのは現実に起こっているわけです。その起こっている一つ一つの行動がどのような基準によってとられているのかというところを問題にしたいから、この問題を聞いているわけです。今のお答えでは、すべて可能性のレベルの話として議論を進めている。それで本当に現実の問題として、起こっている原発の安全性というのは確保されるとお考えですか。可能性としての話でこういうことがあり得ますということだけで、いかにして原子力発電所安全性確保できるというふうに思うのか、その論理関係をきちんと述べてください。
  97. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  原子力発電所の安全問題と今申されましたけれども、原子力発電所の安全問題は広範多岐にわたっておりますので、やはりこの問題だというふうに言っていただかなければ具体的なアクションはできないと思います。
  98. 秋葉忠利

    秋葉委員 では、確認いたします。こういう問題があるという具体的な問題を提起すれば、それについては責任ある、しかも安全性の立場から、万人とは言わなくても、百人中九十九人には納得のいくような対応策を十分とっていただけるということですね。
  99. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  たびたび繰り返しますが、安全性の問題がどんなものであるか、やはり具体的に示していただかなければ、先生が納得されるようなお答えはできないかと思います。
  100. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みませんけれども、それでは地震の問題に限らせていただきますけれども、問題があらわれてからでないと安全性についてどういう対応策をするかということが答えられない。それでは地震の対策なんかできないことになるじゃないですか。地震というのは、事前に予知できないものがほとんどです。  それに関して今のお答えですと、具体的にその ものがあらわれない限り、どういうような問題があるのかということがあらわれない限り、それに対する安全についての話は一切できないという論理構造を持っています。そういう論理構造を持った上での安全性を考えていらっしゃる局長が、じゃ地震に対してはどういう基準を持って安全性確保しようとなさっているわけですか。具体的に地震が起こってからじゃなければ、私は問題の手が打てませんよと言っているのと同じじゃありませんか。
  101. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃったように理解されますと、それは私の本意ではないと思います。  地震につきましては、まず申請者であります事業者がその地点におきますいろいろな地層、地盤を検討いたしまして、それに対策を立てて行政庁に申請してまいります。行政庁は事業者の判断を調べ、また、とった対策が適当かどうかを判断いたします。そして、許可の段階あるいは事業の指定の段階で、そういったものを原子力安全委員会の方に諮問してまいります。原子力安全委員会の方では、法定で決まっております原子炉安全専門審査会あるいは核燃料安全専門審査会と申しまして、その中には地質地盤の専門家もおりますが、そういったところと相談をいたしまして、行政庁の判断が正しいかどうか、それから事業者のとっている対策が正しいかどうかといったことを判断して、行政庁に対して答申を行うのがメカニズムでございます。
  102. 秋葉忠利

    秋葉委員 問題を少し絞って伺いたいと思います。  原発を新たに建設する際に当然考慮すべき問題の一つとして、その地域、敷地内でも結構ですし、あるいはその周辺にある活断層の存在ということが非常に問題になる。当然活断層の上には原発を建てるべきではないし、その周囲においても、活断層の影響がある範囲では、その活断層の種類その他について十分な知識を得た上で決定をしなくちゃいけないということは御存じだと思います。  その活断層をどういうふうに認めるかという点に関して、先ほど申し上げた流れが当てはまるわけですけれども、柏崎・刈羽地区にあります原発ですけれども、この敷地内に活断層が最近発見されました。その事実を科学技術庁あるいは原子力安全委員会、それから通産、御存じでしょうか。
  103. 大野栄一

    ○大野説明員 私ども、直接的に原子炉設置許可を行っている立場から申し上げます。  柏崎原発の周辺におきまして、一部の地元研究家からそのような活断層が存在するという問題提起がなされたことは承知をしておるわけでございますが、発電所周辺の敷地周辺には、私どもの原子炉設置許可時に行いました安全審査におきまして、その審査の中で評価した活断層以外には原子炉施設の安全性に影響を与えるような活断層はないというふうに判断をしております。  また、ただいま先生から御指摘がございましたような刈羽村寺尾に見られる断層につきましては、私ども、地元研究グループが作成しました露頭のスケッチあるいは東京電力が作成しました写真あるいは露頭のスケッチ等を入手しまして検討を行ったところでございますが、これらを踏まえましても、当該断層は活断層ではなくて地すべり性の断層であるというふうに判断をしているわけでございます。
  104. 秋葉忠利

    秋葉委員 二つ質問いたします。  その地区における一部の地元の研究者たちというふうにおっしゃいましたけれども、その民間のいわばボランティアですけれども、研究グループ、幾つおありになるというふうに把握なさっていますか。それが第一点です。  それからもう一つ。今お答えいただいたのは、大野課長ですね。大野課長は、地質学あるいは地震、断層についての専門家でしょうか。その二点、伺います。
  105. 大野栄一

    ○大野説明員 私の知る限りにおきましては、地団研という研究会がございまして、そこに所属しております地質学者の方の中に、そういったお説をとられるという方が複数名いるというふうに承知をしております。  なお、私は、通産省の安全審査の担当課長でございまして、そういった立場に立って現在業務を遂行しているわけでございます。
  106. 秋葉忠利

    秋葉委員 地元の研究グループ、一つしかないんですね、はっきり言って。その一つのグループが研究をした結果、断層があるということをまさに発表しようとしている。論文をまとめた。ですから、それはやはり正確に言うべきじゃないんでしょうか。それは百も二百もそういった研究グループがあって、そのうちの一つが活断層があるということを認めて、あとの九十九はないよと言っているんだったら、一部の研究グループがという表現は適切だと思いますけれども、一つしかないところ、しかもその人たちが一生懸命勉強してきた結果を、一部の研究グループがと言うのは、あたかもその価値がないかのような形容詞をつけて表現をするのは、非常に不適切だと思います。  それからもう一つですけれども、私たちが図面を見て比較検討をした結果それが活断層ではないというふうにおっしゃいましたけれども、現地に行かれましたか。
  107. 大野栄一

    ○大野説明員 私ども、敷地周辺の活断層については、安全審査において十分審査をしておりますし、今回の件につきましては、露頭スケッチ等を見るのみで判断しておりますが、地すべり性か構造性がといったいろいろな断層の特徴がございます。こういった特徴を踏まえますと、地すべり性の断層であるというふうに判断をしているわけでございます。
  108. 秋葉忠利

    秋葉委員 紙を一枚見て、実際の断層も見ずに、何でどっちの結論が正しいかなんていう判定ができるんですか。それだったら、例えばコロンブスがアメリカに行ったかどうかを確定するのに、コロンブスがかいた地図と当時の法王庁がかいた地図とを見比べて、コロンブスが行ったのはインドだというのと同じようなことじゃないですか。そんなあいまいな事実の確認手続で活断層があるかどうかということを最終的に認定していいんですか。原子力の安全というのはそんなにいいかげんなやり方で最終的な確認がされているんですか。それが本当に科学的な態度なんですか。事実はどうなんですか。
  109. 大野栄一

    ○大野説明員 私ども、地元におきます露頭のスケッチについては、専門家の多数の意見もいろいろ聴取をしておる。また、私どもの専門の担当官もその検討を行ったわけでございます。  一般的に申し上げますと、当該地域には線形地形といういわゆるリニアメントといったものも存在しておりません。また、変位量と申しまして、その地層間の変位量の大きさを見ますと、いわゆる累積性が認められないわけでございます。こういったことから地すべり性の断層というふうに判断をしたわけでございます。
  110. 秋葉忠利

    秋葉委員 リニアメントがあるかないかで活断層があるかないかということが確定できるんだったら、実際にトレンチなんか掘らなくたって、全部航空写真で全世界調べればそれで済む話じゃないですか。そうでしょう。リニアメントというのは、それはわかることもある。しかしながら、わからないものだって非常にたくさんあるわけじゃないですか。わからない場合はどうするんですか。だからこそトレンチを掘って現場を調べるわけでしょう。  それから、今おっしゃった累積性があるなしということですけれども、累積性があるなしというのを紙っぺら一枚見てどうしてわかるんですか。例えばこのA断層に関して申し上げますけれども、A断層、B断層、あるいは第一トレンチ、第二トレンチというものを掘って、その中のA断層と呼ばれている断層があります。これは一番深いところにある椎谷層というところ、その上に西山層、これが原発の基盤になっている層ですけれども、さらにその西山層の上に安田層というもの、さらに一番新しいところに番神砂層というのがあるわけですけれども、そのすべての層を切っている活断層というのが存在する。しかもその活断層はよく見てみると、これは一つの断層ではない。 少なくとも二つ以上の断層が累積的に重なっているということもわかります。それから、逆断層の存在も非常にはっきりとわかる。そういったことは、これは地質学の初歩、それから断層についての初歩的な知識を持った人だったら大体わかることです。  それから、もう一つ申し上げておきますけれども、なぜ私が図面を見ただけではだめかということを一つだけ事実をもって申し上げますけれども、これは東電から四月五日付ですけれども、補足説明という文書を私受け取りました。この文書の中に、実は今申し上げた断層についての、これはトレンチBというところですけれども、断層についての断面図がかいてあります。これはこの文書では図の三ということになっていますけれども、そこで東電側がこの断層に関連して、砂層シルトだというふうに色鉛筆で色分けをしてかいてある部分があるのです。しかしながら、これは先ほど申し上げました荒浜団研グループの図によりますと、ここのところはシルトではない。中粒砂、つまりこれは粒が大体中ぐらいの砂だという表現があります。これは、例えば私のような素人が実際に目で見て判別できないような微妙な差なのかといいますと、そんなことありません。定義を見てみますと、シルトというのは大体千分の五ミリから千分の七十四ミリまでです。それをいいます。それから、その上が砂というふうに分類されるわけですけれども、それはそれ以上から大体二ミリぐらいです。そうしますと、中粒砂というのはその間で中ぐらいになるわけですから、〇・五ミリあるいは一ミリぐらいの粒がある砂を中粒砂という、そういうことになっています。それと千分の五ミリの粒というのは、これは簡単に識別できるものです。  そういうような、だれが見ても恐らくはっきりわかるであろう事実誤認がどちらかにある。どちらかということは申し上げません。私は、荒浜団研のこの調査の方がより正確であるというふうに考えますけれども、すべての方がそうは考えられないかもしれない。  しかしながら、そういった事実については、紙の上で比較をするのではなくて、やはりそれは政府としてきちんとした調査団を送るべきではないのでしょうか。調査団を送って事実を確認した上で、しかも、それが実際に活断層だという主張をしているグループ、さらにそのグループの推薦した専門の学者、それが活断層ではないと言っているグループ、そのグループが推薦する学者、さらにその双方の合意を得た上で、公平な、しかも公正な判断を下せるであろう第三者的立場のとれる専門家、そういった人を同時に派遣して、現場で議論をした上で事実を認定する、確定する、私はまずそれが第一番目に必要な手続だと思います。  そういった手続なしに、ただ紙を比べただけでこんな大事な問題を、どちらが事実だということを本当に言えるのでしょうか。数学の証明だったら、それはできます。しかしながら、これは事実なんです。現物がそこにあり、そして私たちがそれを見ることによって、事実を本当に自分の目で見ることができることなんです。そしてそのことによって、非常に多くの人たちの生命が危機にさらされるか、あるいは何らかの形でその安全が確保できるか、いわばその分かれ道になっているところです。調査団を当然送るべきだと思いますけれども、中島大臣、科学技術庁、つまり科学の精神を行政の中で生かすという役割を科学技術庁は持っていると思いますけれども、そういった科学的な手続を当然踏む必要があるとお思いではありませんか。大臣、お願いします。
  111. 中島衛

    中島国務大臣 今、秋葉先生から、柏崎・刈羽発電所付近の活断層についてお話がございました。所管行政官庁である通産省からも考え方が示されたところであります。  新しい事態が出てきておると思いますから、所管行政庁は通産省でありますから通産省で対処していただけると思いますが、必要に応じて、原子力安全委員会においても、今御提言のありました調査等も含めて、新しい事態に対処するように検討をさせていただきたいと思います。
  112. 秋葉忠利

    秋葉委員 大変ありがとうございました。やはり事実を確認した上で、事実の上に立った政策というのが私は一番の基本ではないかと思いますので、今の検討してくださるというお約束、その検討の結果早急に調査団が派遣されて事実の確認がされることをお願いいたしまして、この件についてはとりあえず、もし時間が余りましたら、実は耐震設計審査指針についても幾つかの問題点がありますので、その問題について伺いたいと思いますが、先日の科学技術委員会で私が質問いたしましたあかつき丸によるプルトニウム輸送について、幾つかの点、伺いたいと思います。  先日伺った点は、あかつき丸という船名を公開するかどうか、そこのところの問題だったわけですけれども、結局、公開された事実は、ただ単にあかつき丸という船名だけではなくて、あかつき丸の入港日、それから入港場所、そして荷揚げ状況までマスコミによって報道された、そういう事実がございます。これは当初のあかつき丸によるプルトニウム輸送についての情報公開方針とはすべての面において著しく異なった最終的な結果なわけですけれども、この点について当初の方針とは百八十度変わるような具体的に行動を科学技術庁としてはとった、その理由をまず伺いたいと思います。
  113. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生の御質問で、当初の方針から百八十度変わった行動をとったということでございましたけれども、私どもそうは認識していないところでございまして、基本的には、全体この輸送にかかわります情報もでき得るものは可能な限り公表する。他方、核物質防護観点から公表できないところのものも、あるいは慎重に取り扱う必要のあるところのものも、これは存在するということは事実でございます。その辺のバランスにおきまして、全体、今回のあかつき丸輸送に関します情報の取り扱いに対処した、かように認識しておるところでございます。
  114. 秋葉忠利

    秋葉委員 百八十度というのは、今の活断層の存在でも中粒砂がシルトになったりするのですから、百八十度が九十度くらいになっているかもしれませんけれども、それはおいておいて、それでは今回公開されたあかつき丸という船名、それから出港地、経路、それから輸送の、どの地点を大体いつごろ通るかという日時、入港日、場所、荷揚げの状況、そういったことは今後とも公開されるというふうに理解してよろしいですね。
  115. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今、先生、今回公開したのはその船名のみならず、いろいろ経路その他とおっしゃったわけでございますけれども、全体、私ども今先生がおっしゃった中で今回公に申しましたのは、出港直後におきますあかつき丸という船名は申したわけでございますけれども、それ以外のことにつきましては、なるほどいろいろな報道はあったわけでございます。あったわけでございますけれども、私ども事前にそれをかくかくしかじかのルートを通って帰ってくるとか、あるいはこういうタイミングでどうこうするというようなことにつきましては、公開というのはなかなか難しい言い方ではございますけれども、公に申し上げたことはないと思うわけでございます。
  116. 秋葉忠利

    秋葉委員 入港地、入港日時、それから荷揚げ状況、それも申し上げたつもりですけれども、じゃそれは公開したということですね。一言、確認してください。
  117. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  入港地あるいは入港日時でございますけれども、これにつきましても、これまた公開というのは難しい言い方ではございますけれども、それを事前に広く申し上げたことはございません。
  118. 秋葉忠利

    秋葉委員 プレスセンターを入港地に設けたというふうに聞いています。プレスセンターを設けることを少なくとも承認したのは、科学技術庁じゃないのですか。
  119. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生のおっしゃいましたプレスセンターと申 しますのは、動燃事業団が設置いたしました入港時の報道関係者のための連絡所というようなものであろうかと思いますけれども、これにつきましては、その連絡所というものは確かにつくったわけでございます。  ただ、これにつきましては、我々がいつ何とき、どういうことでそこに入るということは申し上げませんでしたけれども、一定の取材上の便宜が図られないというようなことになりました場合は、非常に激しい取材活動によってむしろ不測の事態とか、あるいは事故の発生等も心配されるというようなこともあるわけでございます。そういうこと、あるいは実際に入港いたしました日本原子力発電の東海港の姿その他からいろいろ判断いたしまして、動燃事業団が行いましたような便宜を供与することによりましても、実際核物質防護実効性はそれほど損なわれないものということで、入港時の報道関係連絡所というものを動燃事業団が設けたと、かように承知しておるところでございます。
  120. 秋葉忠利

    秋葉委員 ということは、マスコミで仮に報道されるにしろ、しかもこの際には事後的な報道だけではなくて、事前に例えば明日の何時ごろ入港するというような情報は、そのマスコミのセンターを通じて我々に報道されていた。したがって、事前の報道もなされていたわけですけれども、そのことを頭に置いておいていただきたいのですが、要するに、そちらで公開するしないというところにこだわっておられるのは、結果としてマスコミの人たちがそこにいることによって入手可能な情報があるけれども、それを例えば科学技術庁なり動燃の担当官が自分の口からマスコミの人たちに言わなかった、あるいは市民運動をしている人たちにそのことを自分の口から言わなかったということだけであって、例えばこういうことはないと思いますけれども、たまたま机の上に同じ情報が載っていてだれかがそれを見たというような形にすれば、それは自分たちでは公開しなかった、そういうような区別、非常に微妙な区別をされているように思うのですけれども、その公開にこだわられる理由というのがいまいちはっきりしない。結果的には公開されている。しかし、科学技術庁なり動燃なりがそれを今申し上げたように自分の口から言わなかったということが大事だというふうに認識されているわけですね。
  121. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 事前に日時ですとか経路ですとか、そういったものがわかってしまうということは、核物質防護の立場からいって好ましくないというふうに考えておりますけれども、前回の場合、マスコミの報道等が非常に熱心でございまして、その取材といいますか、事実上空から見るとか、そういう形でわかったというようなことはあろうかと思いますけれども、それはやむを得ない事態であったかと思いますが、私どもの基本的な考え方は、事前に責任ある者としてそういった機微情報は明らかにしないという原則は、やはり大事だと思っております。
  122. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。要するに、科学技術庁として情報を事前に公開しないという原則が大事だというふうにおっしゃいましたね。ところが、今回の場合には、事実としては事前にも情報が知れ渡ってしまった。それが今回実際起こったことです。実際起こったことに関しては、要するに問題はない。科学技術庁としては、公開しないのだという原則を守ったから、実質的に情報公開されてしまったけれども、それについては一切文句を言わない、実質レベルでの議論ではなくて、原則を維持するというところが一番大事なところだ、そういうふうに理解をいたしましたけれども、それを確認したいと思います。     〔委員長退席、光武委員長代理着席〕
  123. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 結果的にそういう機微情報が外に出てしまったということは、ほかのケースでもあるわけでございますけれども、それ自体はやはり遺憾な事態であるというふうに評価しております。ただ、そうでないケースもたくさんございまして、そこは責任ある行政庁のそういう原則的な態度は重要なのではないか、そういうふうに考えております。
  124. 秋葉忠利

    秋葉委員 どうもよくわからないのですが、そうすると、情報公開しない目的というのは一体何なのでしょうか。つまり、情報公開するしないということが、建前とかそういうことではなくて、あるいはお役所のメンツとか他国に対して申しわけが立たないとか申し開きができないとか、そういうレベルではなくて、実質的なレベルの話として情報公開をするしないということが、例えば安全性にかかわりがある、あるいはこの場合には核物質防護ということになっていますけれども、それに関連して非常に大きなそごを来すというようなことが目的であれば、それは皆さんがおっしゃったか、あるいはマスコミの人たちが自分たちで発見してそれを公開したか、公開の仕方は関係ないじゃないですか。  実際に、例えばそれを悪用する立場の人が仮にいたとして、そういう人たちに情報が伝わったかどうかというところが大事なので、それをだれが言ったかということは全然関係ないわけじゃないですか。今回のにせ札事件だってそうでしょう。あれが問題なのは、具体的ににせ札をつくった人がいて、それを使って機械をだまして、あるいは人間を何人がだましたというところが問題なので、その情報をどこかの銀行の内部の人が伝えたか、印刷所の人が伝えたか、あるいはどこかのマニアが一生懸命自分で調べたか、その情報の得力というのは問題じゃなくて、一番最後のところの結果というのがやはり大事なんじゃないですか。  今のお話では、その結果ではなくて、要するに科学技術庁としては、主体として意図的にやらなかったということだけを守ればいい、そういうふうに、私にはそれ以外には聞こえません。それでしたら、もうちょっと本音ベースでぜひ話をしたい。ですから、我々はこれ以上一切表立っては科学技術庁に対しては情報公開をやれなんということは言いませんから、そのかわり本音ベースでどんどん情報を出してください。ですから、表では私たち一切情報は受け取りませんというふうに言います。マスコミの人が聞いたら、いいえ科学技術庁の方とお話もしたことがありませんというふうに言いますけれども、そのかわり本当に大事な情報、市民が知らなくちゃいけない情報を全部ください。そういうお約束をしていただけるということじゃないですか、今のお答えでは。
  125. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 一定の機微な情報管理するということの目的は、特にその輸送の場合でございますけれども、その情報管理、具体的な経路とか日時とかそういった情報管理を前提にいたしまして、それによって予想されるリスクを減らす。そして、そういう前提の上に立って、さらに一定の警備をいたしまして、その予想されるリスク以上に全体の核物質防護のレベルを上げる、それによって不法行為を防ぐということが目的でございます。  したがいまして、私どもとしては、やはり結果的に情報が漏れてしまうということはあるわけでございますけれども、それはどう考えるかということでございますが、そういう予期しない事態によって情報が漏れてしまっても大丈夫なだけのレベルをその警備体制によって確保しなければならない。全体として、そういうことがあっても防護レベルを維持するというふうに考えるべきであろうと思うわけでございまして、非常に多数、何回も日本核物質輸送というものは行われているわけでございますけれども、その大部分はそういう形で、そういう原則に基づいて核物質防護が守られている、実現されている、そういうふうに考えているわけでございます。
  126. 秋葉忠利

    秋葉委員 もう少し具体的に伺いたいと思うのですが、今のお話でも、やはりある程度自分たちが想定した範囲内におけるリスクだったら、何が起こっても一応責任を果たしたことになるけれども、それ以外のところ、つまりコントロールできるかできないかというところが問題であって、コントロールしたつもりでも実際にだめになっちゃったというところに関しては責任を免れるからいいけれども、コントロールしたつもりになってな いところが起こるのは困るというので、そっちの方は目をつぶってしまえばいいというような感じですね。論理的にはそういう構造になると思います。それについてはまだ異議があるのですが、ちょっと先にいきたいと思いますので、その点についての議論はまた別のときにさしていただきたいと思います。  今のお話で、つまりある程度想定されたリスクということを当然前提にして、こういった情報公開するしないということを実際にやっているというお話ですが、そうしますと、今のお答えの中から結論として出てくるのは、公海上のリスクは非常に大きいというふうに判断を、公海、あるいはハイ・シーでも同じですから高い方でもいいですが、公海上のリスクは大きいというふうに考えたけれども、例えば入港地におけるリスクはそれほどでもなかった。つまり公海上においては情報公開しなかったけれども、入港地、東海港における情報は、皆さんの口から言ったのじゃないかもしれないけれども、実際に取材を許し、そこにマスコミの人が入ることを許したわけですから、リスクは東海港においてはより少ないという判断をされたわけですね。
  127. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 先ほど石田局長からもお答えいたしましたように、私どもが入港のときに行いましたのは報道陣に対する入港後の取材でございます。  その入港後の取材を認めたことについてどういうふうに考えているかということでございますけれども、通常は、全部輸送が完了してから取材を認めているわけでございます。これは通常のいろいろな陸上輸送の場合なんかもそうでございます。ただ、今回の場合には、先ほどもありましたような相当な混乱による危険が、かえって危険が大きくなるというような、そういう配慮もあったことはもちろんでございますけれども、それに加えて、入った港が専用港でございまして、その港から目的地まで距離的にも近いわけでございますけれども、専用道路によって結ばれているということで、実質的に通常の場合に置き直しますと、輸送が実質ほぼ終わっているような状況でございましたので、そういう今回の輸送にかかわる条件も考慮してそういう措置がとられたということでございます。
  128. 秋葉忠利

    秋葉委員 周りの状況はいいですから、結論のところだけお願いしたいのですが、結論のところは言っていただけなかったのですけれども、だからそういう説明をされたような状況があるから、公海上におけるリスクの方が東海港におけるリスクよりも高い、比較するとそういうことになるわけですね。
  129. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 我々は、その情報管理について、公海上とそれから港に入る少し前ぐらいからと分けて考えているわけではございませんけれども、そういう取り扱い、我々の考え方とは別に、客観的に見て、その公海上と港に近づいでからのリスクがどちらが大きいかということになれば、よくわかりませんけれども、あるいは先生のおっしゃるようなことがあるかもしれませんが、私どものその情報の取り扱いという意味では、先ほど申し上げましたように港に着いた後での取材を認めたということでございます。港の中にまだ入ってくる前ということではございません。     〔光武委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 秋葉忠利

    秋葉委員 そうすると、リスクについてははっきりとおっしゃってくださらない。リスクは全部、じゃ同じだということにしましょうか。公海上のリスクの方が高いから、だから公海では情報公開はしない。それから、リスクが低くなったところでは情報公開をしてもいいんだということであれば、先ほどからずっと伺っている説明と首尾一貫しているのでそれなりに納得できるんですけれども、そうじゃなくて、リスクはどこでも大体同じぐらいだという前提のもとに東海港では情報公開をした。いろいろ状況があったとは思いますけれども、それは一つの判断を示して、そのとおりの行動をとったということです。ですから、結果としてそのリスクは同じなのに、公海上では絶対に情報公開しなかったのだと誇りを持っておっしゃる。もう片っ方では、情報公開をしてしまった。残念だというような気持ちがおありかもしれません。  となると、要するにそこにおける判断の基準というのは、リスクがもとになっているのではなくて、それ以外のいろいろな力によって情報公開をしたりしなかったりする。もしそうではないのだったら、要するにいいかげんに情報公開をしていることになるかもしれないじゃないですか。そんなことでいいのですか。もしリスク以上に重要なファクターがあるのだったら、それを列挙してください。全部じゃなくても結構ですけれども、代表的なものをぜひ言っていただきたい。
  131. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 やはり一番大事なファクターは、リスクだと思います。もちろん、結果的に情報が一部出るとか予期しないことによって、今回の輸送においてもそうであったわけでございますけれども、それによってリスクの変動というものはその過程であったのであろうかと思います。  いずれにいたしましても、リスクが一番重要なファクターで、それに対して情報の最低限の管理と一定のレベルの警備というものをもってそのリスクをカバーする、そういう考え方でございますから、やはり一番重要なのはリスクというファクターではないかと思います。
  132. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは、また堂々めぐりになってしまうのですけれども、だったら公海上のリスクの方が高いから情報公開しなかったのでしょう、そういうことだったら。もしそうであるのなら、公海上のリスクというのはどういうことを想定されていたのですか。それと対比をして、東海港におけるリスクというものはどういうものを考えておられたのか。  先ほど、もう既にマスコミが取材をするために何らかの混乱が生じるかもしれない、そういうリスク、それをリスクと言っていいかどうかわかりませんけれども、混乱が生じたらやはり困るということはおっしゃっていただきましたけれども、それは事後的に発生したことで、事前にリスクとして想定されていた中には恐らく入っていなかったことだろうと思うのです。ですから、事前に想定されていたリスク、時間がありませんので簡潔に、公海上のもの、それから東海港に入ってからのリスク、どんなものを考えておられたのか、列挙していただきたい。
  133. 石田寛人

    石田政府委員 その辺の状況につきまして御説明申し上げますけれども、基本的に、これはまさに公開の問題と核物質防護の問題、そういうことになるわけでございます。基本的には、核物質防護の実を上げるためにそれぞれの最も適切なる対応策をとる。それに応じまして、情報につきましても取り扱いの慎重の度合いが違うということであるわけでございます。  具体的なリスクの評価等につきましては、むしろこの輸送に関しまして直接担当いたしました核燃料課長から、具体的な事実でございますので答えさせていただくのが適当であろうかと思いますので、よろしくお願いします。
  134. 坂田東一

    ○坂田説明員 先生お尋ねがリスクでございますので、私もあかつき丸のオペレーションに参画いたしましたので、特に公海上のリスクについて主としてどういうことを私ども考えたか、あるいは関係国と議論したかということを申し上げたいと思います。  微妙な話でございますので詳細には立ち入れませんが、一言で申し上げますと、今回の輸送フランスから日本まで長い距離を運んでくるわけでございますので、結局、国際社会におきましてこのオペレーションにどのようなリスクあるいは脅威があるのか、非常に端的な例で言いますれば、例えば国際的なテロリストがこの輸送船を襲う可能性が果たしてあるのか、理由があるのか、そういったことの分析がまず大事であったわけでございます。そういう分析評価を一定程度米国政府あるいはフランス政府と行いました結果、私どもがいろいろ措置をいたしました核物質防護の仕組みを、全体としての措置を講じたわけでございま す。もちろんその根本、センターピースといいますか、最も中核になりましたのが護衛船でございます。  以上のような考え方に基づきまして、つまり国際社会におきますこの輸送にかかわる脅威の評価をした上で、今回の全体の核物質防護措置が適切であるという判断のもとで実施を行った、こういうことでございます。
  135. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みません。東海港でのリスクというのも聞いたのですけれども。それから、リスクを大体列挙してくださいということをお願いしているので、それだけとりあえずお願いします。
  136. 坂田東一

    ○坂田説明員 すべてのリスクというわけにはまいらないかもしれませんが、二、三の例を申し上げますと、私ただいま申し上げましたとおり、国際的なテロリストによる攻撃、この国際的なテロリストというのは、いろいろ新聞紙上等でも世界のいろいろな地域にこういったグループがいるというのはよく散見されると思いますが、そういうことで御想像いただけると思いますけれども、そういう国際的なテロリストによる攻撃、あるいは具体的な攻撃でなくても、この輸送のオペレーションをいろいろな形で妨害をするということもあり得ないわけではない。そういったことに対して適切な措置がとられる形で輸送計画というものを組み立てたわけでございます。
  137. 秋葉忠利

    秋葉委員 時間がなくなってしまいましたので、これはまた次の機会に、しかも委員会以外のところでも続けて議論を重ねていきたいと思いますけれども、国際的なテロリストというのは、それは御心配なさっているのですから実際あるのでしょうけれども、具体的に放射性の廃棄物あるいは放射性物質核物質といったことの危険についてのこれまでの歴史をずっと見てくると、テロリストによる成功例というのは皆無じゃないですか。実際に、例えば事故による例というのはそれに比べで非常にたくさんある。あるいはロシアによる不法な海洋投棄といったような、政府によるこういった違法行為というのもたくさんある。しかしながら、今一番リスクの高いということで東海港においても心配をし、公海上においても心配をされている国際的なテロリストというところでは、非常に残念ながら、そのリスクを感じているだけの事実によるベースがないというふうに私は思います。  それに関連して、そうすると一体どのようなリスクがあるというふうに現状を認識するかというところからまた話を始めなくてはいけない。これはさっきの地盤の問題と同じなんですけれども、そのあたりで非常に現状の把握が違っている、現状の認識が違っている、事実の認識が違っているというところが非常に大きな問題だと私は思います。それについて、プルトニウム輸送についても、全く同じようなパターンが見られる。日本国内における原発の建設においても、やはり同じようなパターンが見られる。これはどのような原因なのか、今の時点ではよくわかりませんけれども、やはり今後の行政上の非常に大きな問題ではないかという気がいたします。  最後に、これは大臣に伺いたいのですけれども、今私が申し上げているのは、原則的には情報公開ということが安全性の面からも、それからこれはまだ詳しく議論をしていませんので私の主張は当然御存じないわけですけれども、核物質の防護といったような点からも、実は情報公開する。プルトニウム政策というものを仮に世界的に策定する必要があるとしたら、それはやはり民主的な手続によって、ただ単に専門家とかあるいは政府、そういった一部の人たちが策定するものではなくて、本当に民主的な手段によって公開された形における方向というのが正しいのではないかというふうに思っております。そういった点について、大筋の哲学的な答弁で結構ですから、大臣がどういうふうに考えておられるのか最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  138. 中島衛

    中島国務大臣 今、原子力情報公開について、秋葉先生のいろいろな御意見を聞いておりました。  原子力の研究、開発利用に関する情報公開していくことは、平和利用確保する上でも、また、安全性について国民の理解を深めていく上でも重要であると考えております。原子力基本法においては、原子力の研究、開発及び利用について、その成果を公開する旨基本方針として定めているところであります。また、この公開原則に基づきまして、従来から、核物質防護等やむを得ない理由がある場合を除きまして、政府として情報公開に努めてきたところであります。  今秋葉先生から御指摘がありまして、情報公開した方がいろいろな意味理解も得られるし、安全ではないかというお話がございました。核物質防護等の理由で公開しない方がいい、安全であるというような考え方もあると思います。これからいろいろな事例等も研究しながら、それぞれの場合、ケースにおいてどういうふうにしていったらいいかを考えていかなければならないと思いますが、原則公開という考え方は、私ども守ってまいりたいというように考えておるところであります。
  139. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。
  140. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  関晴正君。
  141. 関晴正

    ○関委員 私は、まず第一に、昔のソビエト連邦、今日のロシア、これが放射性の廃棄物を海中投棄されておったということが発表されたときに、信頼されておった国であっただけに、驚きは異常なものでございました。  海中投棄は、かつて我が日本も考えまして、たしかあのときは中川一郎科技庁長官であったと思うのですが、太平洋の諸国に参りまして、何とかされないか。だがしかし、それはやはり道ではない。こういうことで、海中投棄はすべきことではない。また、国際的な慣例あるいは条約においても、協定においても、取り決めにおいても、そういうことはすべきものではない。それをよくもまあ低中高、さらに原子炉まで含めてですよ、海中投棄をされた。これは重大な背信行為であるし、不信行為だ。したがって、これに対して私どもの日本はどうすべきか。今ロシアに対する支援対策をどうするかということでいろいろ苦労しておる。それはそれでいい。しなければならないでしょう。だがしかし、この問題は当然に、私は、海中投棄したものは撤去させなければならない、撤去してもらわなければならない。  そういう意味において、国の方としても当たらなければならないのではないか、こう思うのですけれども、そういう意味において科技庁長官なり外務省の方は、今どうしているんだろう。先般の会議のときにも幾らか申し上げたと思ったのだが、何と申し上げたのだろうか。そして、相手が何というふうにお答えになっているのだろうか。聞きっ放しで終わっているのだろうか。そういうことであってはならぬと思うのであります。  そうして、さらに再処理工場、化学工場の爆発事故もまた出てきたわけですね。今度青森県の六ケ所につくられる再処理工場と同じような性格のものだというが、しかし、この再処理工場、化学工場というのはどういう規模のものなんだろう。与えている影響は、放射能の影響はどの程度になっているんだろうか。こういう内容についても、これは即刻発表され、また報告してもらわなければならないと思うのですが、そういう点において、まず二点お答えいただければと思います。
  142. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  ロシアが旧ソ連邦時代から長年にわたって行ってきました放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、私どもも、海洋環境の保全あるいは食品の安全あるいは原子力の安全利用といった観点から、極めて遺憾なケースだというふうに認識しております。また、廃棄物の海洋投棄を規制しておりますロンドン条約に照らしても、問題があるというふうに考えております。  このような認識に立ちまして、ロシア側に対しては、政府ベースで繰り返し投棄を即時停止するように申し入れしてきております。また、実態を解明するために情報を提供してほしいということ も申し入れてきております。  このような努力の一環といたしまして、去る四月十五日、東京で日ロ外相会談が行われたわけでございますが、その席上、武藤外務大臣から重ねて、放射性廃棄物の即時停止、それから情報の提供を申し入れいたしました。それと同時に、この問題を実務レベルでさらに掘り下げて議論するために、日ロの間に合同作業部会を設けたいということ、それから投棄が行われた海域で共同調査を行うのも一案であるということを提案しました。これに対して、コスイレフ外務大臣は同意するということを述べ、前向きの返答があったわけでございます。  それを受けまして、できるだけ早い機会に第一回目の合同作業部会を開催し、さらに放射性廃棄物の即時停止、それから実態の解明について努力していきたいというふうに考えております。
  143. 石田寛人

    石田政府委員 残余のトムスクの関連につきまして申し上げます。  具体的な影響の把握等につきましては、後ほど原子力安全局長から御答弁すべきものと思いますけれども、トムスクの事故に関しましての情報の収集の状況、その努力状況でございます。  これにつきましては、事故発生すぐ、私ども外務省とも緊密に相談いたしまして、外交チャンネル等用いまして、最大限その事故の実態の把握、認識に努めたところであるわけでございます。  たまたま私どもの関係の職員、これは刷用をもありましてモスクワあるいはサンクトペテルブルク等に出かけるということもあったわけでございますので、その職員にもあわせトムスクの今般の事故の実態の把握を十分するように、あるいは望むらくはさらに専門家も送りたいということで、鋭意ロシア側とも話をしてきておるわけでございますが、これはまた先方のいろいろな状況もあるようでございます。ただ、そういうことでございますけれども、ぜひトムスクの実態をきちんと把握したいということで、鋭意努力をしてきたということであるわけでございます。  それとともに、これも今回私ども明らかになったわけでございますけれども、国際原子力機関も、これはロシアからの要請によりまして、現地周辺の影響を中心にいろいろな調査をしたということであるわけでございまして、全体の全容の解明を国際原子力機関というベースでも行っておるということがあるわけでございます。  そういうことで、各国それぞれいろいろな立場から、あるいは国際機関もその状況の把握に鋭意これ努めておるということであるわけでございまして、その影響等につきましては、安全当局から御説明申し上げるのが筋がと存じます。
  144. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  四月二十日にロシアの原子力省ミハイロフ原子力大臣が記者会見を行いました。それによりますと、四月六日、トムスク7の再処理施設におきまして、ウラン溶液を入れた容器中に硝酸を加えましたところ、容器内の有機物と反応したため容器内の熱と圧力が急に上昇し、十二時五十八分に爆発したということでございます。  事故直後、直ちに対応作業を行いました者が最大で〇・六レム被曝いたしました。また、その後の除染作業に参加した人は平均で十ミリレムから百ミリレム、この百ミリレムと申しますのは日本の法令で従業員に課しておるレベルでございますが、この程度の被曝を行ったということでございます。ただ、作業者の人体への影響はないということでございます。  また、自然放射能のバックグラウンドとほぼ同じか少し超える程度である、これが毎時十マイクロレントゲンぐらいでございますが、これ以上の放射線量率の土地が現在百三十平方メートルございます。付近の土地は、一般的には危険はないものの、高放射能のスポットが存在するため、除染作業を行うとともに子供たちを一時的に退避させたということでございます。  現在、工場は稼働しておらず、処理作業を継続しております。現在、容器の三分の一を撤去するとともに、容器から放出されました液体は除去したということでございます。それから、まだ容器に残っております液体は、今後除去する予定であるというようなことでございます。  以上が、今私どもが得ておりますトムスク事故の概要でございます。
  145. 中島衛

    中島国務大臣 旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄問題に関しましては、近隣諸国に対する配慮がなされておらず、極めて遺憾であると感じております。  本件について、ロシア外務大臣と武藤外務大臣との会談において、海洋投棄は再びしないようにという中止の申し入れをしてあることは、今外務省からお話のありましたとおりであります。またG7の会議、合同閣僚会議におきましても、非常に懸念されることであり、さらに検討されるべきこととしてG7でも深い関心を持ち、今後適切に対処していかなければならないということが話し合われておるわけでありまして、我々も、これから国際的ないろいろな連携を取り合いながら、この問題に対処をしてまいらなければならないと思っております。  また、トムスクの再処理施設における爆発事故につきましては、当庁としても重大な関心を持っておるところでありまして、今安全局長からお話のありましたようなことでありますが、四月二十日にミハイロフ原子力大臣の記者発表があったわけでありますが、そのときも当庁の職員をモスクワに派遣をいたしまして、今これらの事実関係の情報収集に当たっておるわけでありますが、ミハイロフ原子力大臣の記者発表にも参加をし、また現地の公館員とも協力して情報の直接的な把握、収集を行っておるところであります。  まことに遺憾な事故でありまして、また、我が国における再処理施設においてこのような事故が起こる可能性があるとすれば重大な問題でありますから、それらの施設のいろいろな安全対策について原子力安全局で再点検をし、我が国においてはそのような事故は起こらないということの報告を受けておりますが、細かい技術的な内容等について必要であれば、安全局長の方からお話をさせていただきたいというように考えております。
  146. 関晴正

    ○関委員 私は大臣に、そういう海中投棄をしたその廃棄物を、やはりこれは撤去しろ、そういう意味においてきちんとした要求をしなきゃならないんじゃないか。話し合いをする、協力を求める、そういうような中身が大事だと思う。どういう協力を求めるのか、どういう話し合いをするのか、難しいことは要らない。誤った海中投棄は、今後はやめてもらう、投棄された物件については引き揚げてもらう、これをきちんと言うべきだと思う。いたずらに時間をかけて、大事な話も言えないというような日本じゃいけないと思う。そういう意味においては、我が国の態度というものは話し合いをするのではなくて、用を足してもらわなきゃ、片づけてもらわなきゃならない、こう思っておるのですが、そういう点で政府の意向をロシアにきちんと申し上げる、こういうお考えを持てますか、持てませんか。
  147. 中島衛

    中島国務大臣 今、関先生のおっしゃったことはよくわかるわけでありますし、我々も同じ考え方であります。ですから、ロシアの外務大臣に対して即時廃棄の中止を申し入れたわけでありますし、それから廃棄された物質をどうするかという、即時引き揚げるという、そういうお話がありました。  これは、また当庁で技術的に検討をさせていただきますが、事実関係を早く調査して、どういう海域へどういう核種のものが捨てられておるか、そしてそれらがそのままにしておいても安全なものであるのか、何らかの処置をしなければならないのか、そういうようなことを、合同作業部会ができるわけでありますからそれでロシアから情報を得ながら、一緒に調査をして適切な対応措置をしてまいりたいというように考えております。
  148. 関晴正

    ○関委員 何か発表によりますというと、放射能で汚染されているような状態にはない、こういうような簡単な記事も出ておるのですが、腐食しないとかそのままの格好で出ていないということは それはあるかもしれません。しかし、時間がかかれば当然腐食してくるし、当然放射能漏れが出てきますよ。しかも、高レベルの放射能、プルトニウムも入っていますからね。そういう点からいきますというと、速急にその対策をやはり要求すべきことなんだ。そういうきちんとした態度を示してもらわなきゃならない。そういう意味において、閣議においても長官からも方針をきちんととるように、また外務省の方の関係の方も、外務大臣にもその点については対策をきちんと厳正にしてもらうように希望しておきたいと思います。  第二の問題は、これも実は私驚いておるのだけれども、エネ庁長官見えていますか。エネ庁長官が広告と称して出したものが広告とならないで、それぞれの出した新聞社の記事として取り扱われている。そうしてその記事に対して、三社に対して五千五百万あるいは五千三百万払ったと言われている。エネ庁がプルトニウム賛成だという立場で、プルトニウム安全だという立場でプルトニウムについての理解をさせたいというならば、そういう広告を出すならば、きちんとエネ庁の広告というものを明確にして出すのが筋じゃないだろうか。五千五百万という金、国民の税金でしょう。名前は隠す、金は隠す、広告でないようにして新聞社に責任をかける。また、新聞社も新聞社だと思うんですよ。金を取っていながら広告ともしない。何です、これ。やみ広告ですか、これは。こんなおかしなことがあって、そうして報道されておるのを見ましたときに、私は何でこんなことをするんだろう。エネ庁の態度は卑劣だと思うのです。名前を隠して、そうして安全性を強調して、そうして国民をだますと言えば言葉が悪いけれども、知らなければその方向に持っていこうというのでしょう。  でも、プルトニウムの問題についてはいろいろと問題が出てきて、国論が二分されていると言ってもいいでしょう。二分というよりも、賛成するというのはほとんどないでしょう。これを研究して進めたいという研究人ファミリーはあるかもしれないけれども、大方の人たちはプルトニウムというものの性格をわかってきて、これを将来高速増殖炉に使うということへの道がいかに遠ざかったかということ、そういう点から見ますというと、今急いでこれに取りかかるという手はないと思う。  その論はこの次にまた今の続きでやりますが、とりあえず、ああいう広告というものをしたエネ庁の長官の考え方や目的や、そういうことについてひとつ御説明いただければと思います。
  149. 末広恵雄

    ○末広政府委員 資源エネルギー庁におきましては、従来より国の原子力政策を正確、かつわかりやすい広報を積極的に行うということで、いろいろな広報を行ってきております。プルトニウム利用政策とその考え方につきましても、国民の方々の理解を得るべく、より多様な広報活動を実施するということにいたしまして、財団法人原子力発電技術機構に新聞紙面を用いた広報事業、これを委託したところでございます。  その際、当庁からはプルトニウム利用につきまして、紙面において幅広く、かつわかりやすく取り上げるよう指示したところでございます。委託先の原子力発電技術機構は、これを受けまして広告代理店を通じて依頼いたしました。その結果、三つの新聞社から当方の趣旨に呼応し、新聞社独自の判断のもとに今回のような紙面体裁広報を行うことが可能ということで、こういった広報が行われたわけでございます。  なお、今回新聞各社の独自の判断により、こういった多様な議論を展開するということがプルトニウムに対する国民の理解を促す上で重要だということで判断いたしまして、その企画を請け負いました広告代理店に対しまして正当な対価を支払ったものでございます。
  150. 関晴正

    ○関委員 私の聞いていることに何にも答えていないじゃないの。  まず第一に、私は、責任者に聞きたいと言って求めていましたよ。責任者はエネ庁長官でしょう。エネ庁長官がなぜ来られなかったのですか。どこへ行っていました、エネ庁長官、今。やはり責任ある者が来て、かく考えたと言ってほしいですね。今あなたが言ったことと同じことをきっと言うのでしょう。きっと言うのだろうけれども、この問題は普通の問題じゃないですよ。あなた方の認識はどんなところにあるかわからぬけれども、国論を二分するような大問題なんだ。だから、あなた方の名前を出すことを避けたのでしょう。なぜ避けたかと言うのです、私は。なぜ新聞社に責任をかけたかと言うのです。  新聞社は広告料が欲しくて書いたかどうか知りませんよ。でも、広告でしょう。広告というのだから、金を払っているのでしょう。広告料があと幾らあるのですか。年度末だから金が余って広告にしたのかどうか知りませんよ。ある新聞社は三月二十七日だし、ある新聞社は三月三十一日だし、私の推測では、年度末であるから余った金でちょうどよくしたのじゃないだろうかと。邪推と言えば邪推かもしれませんよ。でも、この広告の予算は、それならば幾ら残っています。あと、他の二社にも働きかけたというのでしょう。他の二社の分はきっと残っているのでしょう。不足でもそのくらいは残っている。きっともっと残っているのでしょう。いずれにしても、正々堂々とやったらどうです。自主、民主、公開というのが原子力行政の基本理念でしょう。  先ほど長官は何と言いました。安全第一主義だ、いいことを言っていますよ。安全第一主義に立つ広告なら、安全第一主義に立つ広告を出せばいい。それぞれの方々がお話ししているけれども、これはみんなプルトニウム推進者ばかりでしょう。そういう研究者ばかりでしょう。あなたの方の長官も出ていますしね。やりたいということはわかりますよ。やりたいことを広げたいというのもわかるんだ。だけれども、責任者がだれだかわからないままにしておいて、新聞社にかけるという手はないでしょう。引き受けた会社もある。引き受けない会社もある。そのときに物を考えなければならないのじゃないですか。引き受けられないというところには、引き受けられない理由があるのでしょう。それはあなた方に買収されたくないということでしょう。記事にしてくれ。その記事料をいただくなどというのも、おかしいことだと私は思いますよ。その記事を、その対談を堂々とあなた方の名のもとに出すならそれでいいのじゃないですか。何でそういうこそくなことをするのです。答えてください。
  151. 末広恵雄

    ○末広政府委員 国民の方々の理解を得る方法というのは、広報のやり方も多種多様の方法があるわけでございますが、今回の新聞特集につきましては、その中の一つの形態と私ども考えております。  当庁といたしましては、原子力政策について広く国民に読んでいただき、正確な理解、判断の一助にしてほしいという趣旨を各新聞社に伝えたものの、紙面の内容等、例えばその体裁とか、それから今回座談会形式をとっておりますが、その座談会のやり方等につきましては、各新聞社の判断のもとに編集していただいたものでございます。
  152. 関晴正

    ○関委員 これは全然反省していませんよ。悪いと思っていないですね。自分たちの金でというよりも、これは国民の税金でしょう、あなた。金の報告もしてくださいよ、何ぼ払ったのだか。広告費が何ぼ残っているのかも言ってください。五千五百万円だとか五千三百万円だとかと新聞の中には報道されていますが、どっちが本当なのかもわからない。それぞれの会社にどれだけ広告料を払っているのかという。この記事のその下の方にある広告が広告料なのか、記事が広告料なのか、これもわかりませんね。  いずれにしても、あなた方は何も悪くないと思っているなら、私はもう少し聞かざるを得ない。なぜ名を隠したのです。なぜエネ庁の名を隠さねばならなかったのです。その分と予算の分と、二つだけ答えてください。
  153. 末広恵雄

    ○末広政府委員 本件につきましては、委託先の原子力発電技術機構から広告代理店の方に約五千五百万円を支払っております。  あと、個別の新聞社との契約関係につきましては、今回は、この委託先の技術機構が今回の新聞広告に対しまして広告代理店と請負契約を結んでおりまして、それぞれの広告代理店が新聞社に対してどういった費用の支出をしたかについては、私的契約ということで、私ども承知いたしておりません。
  154. 関晴正

    ○関委員 今の予算の話、何もありませんからね。あと予算が幾らあるのか、広告料が。いわゆる断った会社もあるでしょう。やれば、ここにも金を払わなきゃならないですよ。五千五百万円の中で五つの会社に払うつもりだったのかどうか、私は知りません。でも、いずれにしてもこれ、予算でやったのでしょうから。国の予算でしょう。では、幾らあと広告費残っているのですか。広告費の中から出したのか、他のものから流用して出したのか、それはわかりませんよ。でも、金の件、明確にしてくださいよ。そうして、断った会社もあるわけだから、きっと金余っているでしょう。  それからもう一つは、やはり長官がどう考えたかということなんです。そして、断る会社が出たときにには、そうだなというような反省なり検討なり、そういうことがなかったのですか。五つになった、三つこたえた、二つが断った、その断った理由を考えるときに、これは名前をちゃんと出してやらなきゃならないなと、こう思いませんでしたか。断っているところはそれぞれ、広告主の名を掲げないままには広告に載らないというのだ。あなた方の方が、記事にしておいてくれれば金を払うからよろしくと、こう言っているのでしょう。これは何かに触れませんか。  とにかく、あと答えると言っても答えられなきゃ仕方ないけれども、金のことだけは答えてくださいよ。予算があるのかないのか、流用したのか赤字にしたのか、何の項目から出したのか、答えてください。
  155. 末広恵雄

    ○末広政府委員 当庁におきますマスメディア関係のPA予算、これは新聞広報、テレビ等々ございますが、新聞広報としての予算は一億八千万ございます。
  156. 関晴正

    ○関委員 だから、何ぼ残っているかと聞いているのですよ。あなた、答えてないでしょう。使ってしまって他のものを流用して出したのかというのです。どっちなり答えてくださいよ。年度末だからけりつけたのでしょう、これは。
  157. 末広恵雄

    ○末広政府委員 マスメディア関係の予算については、今申し上げた金額でございますが、それぞれの内訳、当初計画はございますが、実際に新聞、雑誌、テレビ等、実行段階でそれぞれ金額が変わってまいりますので、最終的にはこの予算は全部、トータルとして消化した格好になっております。
  158. 関晴正

    ○関委員 ちっともお答えになっていません。お答えになっていませんけれども、これにばっかり時間をかけたら大事なきょうの質問があとできなくなりますので、これはひとつ後でもいいから、明細なお答えができるように説明に来てくださいね。それだけは要求しておきます。     〔委員長退席、村井委員長代理着席〕  本日の本論に入りたいと思います。  本論は、六ケ所の再処理工場をなぜ許可したかということです。これを許可するためには、許可の条件が二つある。一つは、安全性の問題についてきちんとしておく。一つは、経営的基礎において、これは商業的炉ですから、実験炉じゃないのですから、経営的基礎においてきちんとすること。この二つがきちんとすることなんです。ところが、この安全性の問題にいきますというと、垂れ流しですよね。クリプトン85、トリチウムを垂れ流し。しかも、この垂れ流しの放射能は三十三京ベクレルを超えるのですよ。世界にどのくらいのクリプトンの放射能があるかというと四百京ベクレルと言われていますよね。六ケ所だけで三十三京ベクレル、八%です。そういう放射能を大気中にまき散らす。当然大気に影響を与えますよね。  先般の私の質問のときに、安全委員長がこう答えましたね。これを取り除く技術はないわけでもない、ないわけでもないが金がかかり過ぎるので云々、こういうお答えです。これは予算委員会における内田委員長の答弁ですよ。金がかかり過ぎるからやらない。それから、安全性上大した影響はないから、やけどが起こるとしても大したことないだろう、こういう考え方のようであります。  でもしかし、この地球環境に与える影響からいけば、大気に与える影響からいけば、これも天候に非常に影響しますよね。非常に影響します。CO2の問題で、原子力、原発はCO2を出さないからいいんだ、こう言いますよ。しかし、このクリプトンは大変な量になって、そうして大気に大きく影響する。その事実が今随所にあらわれていますよね。チェルノブイリの影響を受けまして、スウェーデンにおいてはそれの影響があらわれているとか、雷が多く発生したとか雨が降らなくなったとか、温暖化に非常な影響をもたらしてきたとか、生活に不快の状況が醸し出されてきたとかあります。大体トリチウムというのは、ギリシャ語で隠されたという意味があるそうですよ。なるほど危険を隠されたままでやったんだなと、こう私は思いますよ。  そういうことを考えますというと、この安全性においてクリプトンの問題をもっと責任を持って当たるべきだったんじゃないか。大したことはないということではなくて。そういう意味において、青森県で私が議会議員をしておったころには、クリプトンやトリチウムは取り除く建屋をつくることになっていましたよ。結果的にそれはわきにやられちゃった。大したことがないということでわきにやられちゃった。しかし、大したことがないということは、知ってそう思ったのか、知らなくてそう思ったのかは別としても、これはやっぱり考えなきゃならない安全上の問題だと思うのです。  二つ目は、経営的基礎ですね。幾らかけて再処理工場がつくられるんだ、どのくらいの借金がそこに出てくるんだ。そうしたら、これは十五年で返済しますよ、償還しますという答えが、これも予算委員会でやりましたよ。十五年で返済されるというんだけれども、本当だろうか、これもきちんと聞きたいと思うのです。そうして、その経営的基礎の中に、やがて再処理工場だって時が来れば解体しなきゃならなくなりますよね。解体の費用というのをどのくらい見ているんだろうか。始めるところの費用は見ているかもしらぬけれども、終わりの費用なんかはどう見ているんだろうか。先般担当者に聞いたところ、見ていないと言っていますよ。そういうふうに見てもいないで、そうして借金が十五年後に償還されますよと言って、経営的基礎も成り立っていますよというような認可に当たっての方針、態度というものは、大きく間違っているんじゃないのか。そこだけとらえても、今のような批判は私は当たっていると思うのです。  その上、もう一つ。この再処理工場からプルトニウムをつくり出して何に使うのです。高速増殖炉に使うわけでもない。電気に使うものでもない。そうして、わざわざMOX燃料にするというのでしょう。またここに金をかけるわけですね。MOX燃料というのは、最終目標じゃないでしょう。プルサーマルに使うなんというような格好で持っていくと言ってみたところで、どれだけのものが使われるのです。ですから、こういうものはつくらぬ方がいい。高速増殖炉の時代が来たというならば、これは別ですよ。いつ来るかわからないものに、来るものとしてつくった計画です。そのうちの一つの段階が大きく狂ったのだから、狂ったら狂ったなりに考えていかなければならぬではないだろうか、こう思うのです。  そういう点からいきますというと、アメリカのレーヴェンサールさんが、日本は今のうちに安いウランを五十年分買った方がはるかに得じゃないかという発表をしていますね。なるほどなとうなずける。ずっと安い。そして五十年過ごすことができるならば、電力料金だってずっと変わってくるでしょう。これを再処理の道を歩み、高速の道を歩めば、勢い電気料金の方にもまたはね上がっ てくる。ですから、はるかにワンススルーの方がいいのじゃないだろうか。ワンススルーと再処理の方とどっちが電気料金に影響を与えますか。  そういうことを見ますと、私どもはさきの計画でも、二〇三〇年を高速増殖炉の時代にしようじゃないか。商業的ベースのFBRは二〇三〇年。それはフランスがきちんとやっておった時代なんです。ところが、フランスはもうお手上げですよ。また延びるでしょう。そのかわりを日本がやって、フランスに追いついてフランスを追い越すまでやらなければならないのだと考えておるのでしょうか。とりあえずそういう点、お尋ねをしておきたいと思います。
  159. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  先生の御質問、広範多岐にわたりましたので、私は、クリプトンのこと、経理的基礎のこと、それから廃止費用の件についてお答えさせていただきます。  クリプトンにつきましては、この再処理施設から出てまいる放射性物質の放出に伴います一般公衆の線量当量が一ミリシーベルトを超えないようにと法令に定めてあります。  具体的には、六ケ所再処理施設から一般公衆の平常時の実効線量当量は、すべてを含めまして放射性物質によりまして年間〇・〇二二ミリシーベルト、法定許容値の約百分の二でございます。そのうちクリプトンに基づきますものは〇・〇〇三二ミリシーベルト、千分の三ということでございます。また、再処理施設からの放射線につきましては、これはクリプトンも含めまして年間約〇・〇〇五ミリシーベルトでございましたので、除去しなくてもいいのではないかと判断したわけでございます。  それから、経理的基礎でございますが、これは予算委員会でも申しましたけれども、十五年で十分償還できると考えております。と申しますのは、動燃の研究開発のパイロットプラントの経験を踏まえまして、必要なところを多系列化する。多系列化と申しますのは、例えば勇断機とか溶解槽とか清澄機といったような、保守作業中にも運転が継続できるように多系列化します。それからまた、動燃の経験から(関委員「計算の基礎」と呼ぶ)計算の基礎につきましては、総建設費それから借入金の額、償還の計画、欠損の累計等を判断いたしまして、十分経理的基礎が立つというふうに判断いたしました。  それから、廃棄施設の件でございますけれども、再処理施設の廃止をどのように見積もるかにつきましては、再処理施設の解体の費用と、同時にまた再処理施設がどれぐらいもつか、廃止の時期が問題になってまいります。現在、再処理の解体の技術的なことにつきましては、動燃事業団で原子炉以外の原子炉施設の解体、機器更新等のための要素技術開発を進めております。また、日本原子力研究所の方におきましても、工学的規模で再処理特別研究を対象に解体技術開発を行っております。これらの結果を見て、再処理施設の廃止措置に伴います費用を具体的に積み上げて総原価に含められるようにしていきたいと思っております。  一方、再処理施設の寿命でございますけれども、これは耐用年数というのがあるわけではございません。年一回の定期検査に合格し、また事業者が自主的に行います定期自主検査にパスすれば幾らでも運転ができるわけでございますけれども、世界各国の例を見ますと、三十年以上動いているものがたくさんございます。  こういったことから、先ほども経理的基礎のところで申しましたように、使用済み燃料受け入れ開始後、大体十五年ぐらいで欠損の累計が解消される見通してございます。廃止の費用は、その後の営業から生じます利益の中から手当てされれば足りるものと考えておりまして、経理的基礎を判断いたしました際に、この廃止の費用云々が問題にならないと考えたわけでございます。
  160. 石田寛人

    石田政府委員 残りの、特に関先生今ほどお尋ねの再処理の意義あるいは核燃料サイクルを行います意義、それからMOX燃料の考え方等につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  なぜプルトニウムを使うか、なぜ再処理をするかということでございますけれども、これは申すまでもなく、ウラン資源の持っております膨大なポテンシャルを活用する、使っていくということであるわけでございます。そういう面から、天然ウランの中にたかだか〇・七%しか含まれておりませんウラン235あるいはその近辺の世界に及ぶのではなくて、全体ウラン238をもエネルギー源化するという努力が最終の努力であり、核燃料サイクルの努力であるということをぜひ御理解賜りたいわけでございます。  今ほど先生、六ケ所村再処理工場から出てまいりましたプルトニウムは、すべていわゆるMOX燃料、軽水炉によりますプルトニウム利用ということにつながるんじゃないかということであるわけでございますけれども、これはいつも何遍も申し上げておりますように、二〇一〇年ごろに至りますプルトニウムの需給、すなわち供給約八十五トン、需要八十トンないし九十トンという数字、これは一昨年の数字であるわけでございますけれども、あるわけでございます。その中で、日本の再処理工場から出てまいりましたものは、六ケ所からのものも軽水炉で燃やすものもありますれば、それ以外、高速増殖炉等の計画に用いられるものもあるわけでございます。  それで、MOX燃料は高いじゃないかという御指摘もあったわけでございます。なるほど、これは今時点で比較いたしますと、ウランの燃料、すなわち山から掘り出しましたものを濃縮してつくりましたウランを用いる燃やし方に比べまして、ウランプルトニウム混合酸化物といたしまして軽水炉で燃やす方が、これは国際機関等の試算によりましてもその方が高い、すなわちMOX燃料利用の方が高いという試算ではあるわけでございます。ただし、その差はそれほど大きなものではございません。それから、それだけではなくて、これからMOX燃料取り扱いの技術、これは加工技術も含めましていろいろな経験蓄積されていきますならば、これまた必ず技術の向上によりまして、現在MOX燃料が持っております経済性上のウラン燃料に比べますデメリットというのは次第次第に解消していくものと思うわけでございます。本当に一言で申し上げまして、まさに核燃料サイクルによりますプルトニウム利用こそは、我々が我々の手でつくりました技術によります燃料あるいは資源ということで使っていきたい、そういうことであるわけでございます。  それで、先生指摘のポール・レーヴェンサールの指摘、すなわち、今すぐ世界の天然ウランあるいは濃縮役務を手当てするならば五十年間全くそれで安泰なのではないか、むしろ今手当てした天然ウランから濃縮を経由してできました燃料でずっとやっていけば五十年間安泰ではないかという御指摘であるわけでございます。これには幾つかの問題点があろうかと思うわけでございます。一つは、繰り返して申しておりますように、全体核燃料サイクルでやっておりますのは、五十年というのはかなり長い期間であるのかもしれませんけれども、単に一定期間低廉安価にエネルギーを獲得するということ、もちろんそれは大きな目的であるわけではございますけれども、それに加えまして、まさに先ほども申しましたように、我が国技術によってエネルギーを手にしていく努力であるということをぜひ御理解賜りたいわけでございます。  それから次に、もしも今そういう手当てを行うといたしますならば、なるほどウラン市場は現在はグラットでございます。グラットなウラン市場で一挙に大量の天然ウランの手当てをする、これは非常に市場に混乱を来すわけでございます。およそ市場にさほどの混乱を来すような考え方はとり得ないということは明らかであるわけでございます。それから、レーヴェンサールさんはいろいろなコスト比較なんかもなさっておられるわけでございますけれども、その五十年なら五十年という期間でいついかなるタイミングでお金を払っていくか、それは当然金利という概念も導入するこ とが必要であるわけでございますけれども、それも必ずしも考慮されてない、そういうこともあるわけでございます。  なお、我々がウランのみを使っていくということは、まさに天の恵みともいえますこの原子力エネルギー技術志向エネルギー技術に依存しますエネルギーという格好で使っていくというものではなくて、むしろ資源依存型のものにしてしまう、そういうことがあるわけでございます。やはりこのエネルギーは、資源依存型のものではなくて、技術によりましてそのポテンシャルを活用していくという、そういうものであるはずであるわけでございまして、そういうことから考えましても、ポール・レーヴェンサールが言っておられるウランの手当てという議論にはくみし得ない、かように考えておるところでございます。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 関晴正

    ○関委員 不十分な答弁ばかりで討論がなかなか、続けなければならないと思いますが、次回にいたします。  それで、せっかくきょうお越しいただいた動燃事業団の方と通産の方に、これは一言お答えで結構だと思うのですけれども、東海の再処理工場で再処理を今日までし続けて、そうしてどれだけの廃棄物が出たか、そうしてそれをどのように処理されておるのかということ、そして今後どこまでその処理能力があるのかという点についてお答えいただければと思います。  それから通産の方には、電源三法交付金ということで、六ケ所の村にとにかく再処理工場を持っていくためにどれほどの金がまかれていたかということです。初めからおしまいまでで結構です。何年度から幾ら幾らで結構ですから。  もう一つは、太陽光発電に取り組んでいる方々に対して一層その道を広げるようなことをしないで、去年の四月一日にはいいことをしていながら、ことしの四月一日には少し縛りをかけたでしょう。こういうことはやはりよくないと思うのですよ。このことについてはまた次にゆっくりやりますけれども、せっかくソフトエネルギーの方向に道を開くと言っていながら、去年の四月一日にはいい道を開いて、それを何で今度はかたくなに締め上げるようなやり方をこの四月一日からやったのかということです。電力会社の方とのお話がどこまでできているかわかりませんけれども、やはり緩和する、できる限り面倒を見てこれを広げていくということを私はつくってあげるべきだと思うのです。そういう点でお答えができたらしてください。  以上、お答えいただきます。
  162. 須田忠義

    須田参考人 東海再処理工場の廃棄物の件について、お答えいたします。  動燃事業団の東海再処理工場における平成四年三月末までの再処理量、再処理した量は約六百十トンでございます。それに対して、それに基づく放射性廃棄物の累積保管量は、高放射性濃縮廃液、いわゆる高レベル廃液が約四百七十立米、これはガラス固化体で約六百本程度になろうかと思います。あと、低放射性の濃縮廃液等が約二千五百立米、それから放射性固体廃棄物が二百リッターのドラム缶換算で約五万本ということでございます。  なお、これらは、高レベルの廃液等については、高放射性廃液貯蔵庫に貯蔵してございますし、固体廃棄物については各貯蔵庫で保管してございます。なおアスファルトについても、アスファルト貯蔵施設で保管してございます。  なお、これからの容量はどうかということに対しては、我々できるだけ減容化を図っていきたいというふうに今考えで努力しているところでございます。
  163. 天野正義

    ○天野説明員 電源三法の関係でお答えいたしたいと思います。  再処理施設に係りますいわゆる電源三法、電源立地促進対策交付金につきましては、整備計画に基づきまして平成元年度から四年度までの間に九十八億円が交付されております。年度別に申しますと、元年度約十一億円、二年度約三十二億円、三年度約二十二億円、四年度三十三億円となっております。
  164. 藤野達夫

    ○藤野説明員 太陽光発電の関係につきまして、現状を御説明申し上げます。  平成四年度に太陽光発電につきましては、フィールドテスト事業ということをNEDOを通じて実証を開始いたしまして、予算額は八億四千五百万ということでフィールドテスト事業を行いましたが、四年度の太陽光発電は十一件を採択しておるところでございます。それから五年度につきましては、この予算額を五割弱増の十二億二千四百万円ということでフィールドテスト事業の拡充を図っておるところでございます。  また、五年度から住宅における普及の素地を形成するために、住宅用太陽光発電の実証の予算を新規に計上いたしまして、約二億五千万円ということで計上しておるところでございます。  それから、昨年四月から買電条件のメニュー化ということを行っておりまして、基本的には、こういった太陽光あるいは風力のようなリニューアブルエナジーといいますか、そういったものにつきましては売価で買い取るといいますか、そういう形でメニューを電力事業者が公表しているところでございます。  それから、系統連系のガイドラインにつきまして、平成四年度末にこれを策定いたしまして、今後の発展の素地の形成をしているところというふうに考えております。  いずれにしましても、今後ともサンシャイン計画によります技術開発、それから御説明申し上げましたフィールドテスト、それから住宅用の実証試験を進めてまいりますとともに、税制面での措置というのもエネ革税制の中に盛り込んでおりますが、これと電力系統連系の問題につきまして、現在の基盤形成を活用しながら推進していきたいというふうに考えております。
  165. 関晴正

    ○関委員 時間を過ぎて済みません。
  166. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  近江巳記夫君。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、旧ソ連によります日本近海等放射性廃棄物の大量投棄に関する問題につきましてお伺いしたいと思います。  これは御承知のように、グリーンピースの報告書によって明らかになったということになっておるわけでございますが、政府といたしまして、この不法投棄の事実というのはいつ確認されたのでございますか。
  168. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  大統領令によって昨年の十月、この海洋投棄について調査を行うためのロシア政府委員会が設置されたわけでございますが、その委員会が昨年の十二月三十日に中間報告という形で概要を発表しております。そのときが公式に政府としてこの海洋投棄について確認した最初であったというふうに承知をしております。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨年の十二月中間報告、ほぼその時点で政府としてはつかんでおられたと思うのですね。それからグリーンピースがいわゆる報告書を出して、そしてこの四月二日のヤブロコフ大統領顧問の調査報告書公表によってこの問題が非常に大きくクローズアップしてきた。そうしますと、政府として昨年の十二月時点でほぼ入手されておるわけですね。そうであるならば、いち早く外交交渉によりまして緊急の申し入れをするとか、やはり何らかのそういう動きがあってしかるべきではないか。昨年の十二月の時点で、入手された時点でどういう対応をとられたのですか。
  170. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  昨年十二月三十日の中間報告の概要公表直後に、つまりことしの最初に、政府ベースでロシア政府に対して、このような海洋投棄の即時停止及び詳細な事実の公表の二点について申し入れを行っております。それ以降も、いろいろな機会をとらえまして同じ趣旨の申し入れをロシア側に対して行っているわけでございますが、例えば四月二日白書という形で調査結果が公表されたときに、在モスクワの枝村大使からコスイレフ外務大臣に対して、やはり同じように海洋投棄の即時停止及 び詳細な情報の提供について重ねて申し入れを行ってきております。また、十五日の日ロ外相会談のときの申し入れについても同様でございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府のその辺の動きにつきまして、一般国民には余り明確に映らなかったと思うのですね。グリーンピースのそういう報告、そしてまた四月二日の公表ということで一気にこれが非常にクローズアップされたという感がするわけです。これだけの重大事におきまして、政府としてもっと骨太の取り組みが必要ではなかったか、このように私は思うのです。その点、外務相なり科学技術庁長官なり、それぞれ所管大臣がロシアに対していち早くそれをやるべきではなかったか、このように思うのです。この点、中島長官はどう思われますか。
  172. 中島衛

    中島国務大臣 外務省が情報を入手してからの政府の対応がどうかというお話でございます。  その間、外務省また科学技術庁、連絡をとり合いながら対応してきたわけでありますけれども、最近になりまして、四月二日にロシアから白書を入手したわけでございまして、それにつきまして今外務省と科学技術庁で内容の検討を行っております。また、G7の閣僚会議にロシアの外務大臣が参りましたので、厳重に海洋投棄の中止を申し入れ、そして我が国として技術支援ができることがあれば、これから合同委員会等の場で協議をして、技術支援もし、合同調査もしてまいりたいというように考えておるところであります。  非常に我々の生活に関連するような問題に発展しては困るわけでございまして、これからしっかりした調査ときっちりした対応を、これは外交問題も絡みますので、今後、外務省と連携をとり合いながら対応してまいりたいというように考えておるところであります。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官の御答弁、必ずしも私の質問に対してお答えにはなっておられないと思うのですね。そういう点で情報を入手されたならば直ちに、先ほど申し上げましたようにこれだけの大きな問題でございますから、政府一丸となっての対応をいち早くすべきではなかったか、このように思うのです。そういう点で、非常に手ぬるいということを特に申し上げておきます。  それから、我が党も即刻この四月八日には科学技術庁長官あるいは官房長官に対して申し入れもいたしておりますが、政府もロシア政府に対して海洋投棄の即時中止を申し入れされておるわけでございますけれども、御承知のようにロシア大統領顧問のヤブロコフ氏は、特に液体については数年間続けなければならぬ、どうしようもないという旨の発言があるようでございますけれども、政府はその即時中止をしなさいという申し入れをして、その反応はどうなのですか。これはやめさせなければだめですよ。
  174. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  ロシア政府に対しては、繰り返し放射性廃棄物の海岸投棄の即時停止を申し入れております。これに対してどういう反応であるかという御質問でございますが、ロシア側は日本側の申し入れを聞きおくというのが我々の受けている印象でございます。四月二日に枝村大使からコスイレフ外務大臣に申し入れを行ったときには、先方はメモをとりながら傾聴していたというふうに報告を受けております。  それから、一つ付言いたしますと、十五日の日ロ外相会談の際には、即時中止の申し入れとともに、この問題を実務レベルでさらに詳細に話し合うための合同作業部会の設置についても申し入れております。これについてはロシア側も同意するということで、前向きの返答を得ております。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 第一回会議をそのように合意した。それはそれで外交交渉でいいでしょうけれども、いわゆる聞いておきますというようなそういう態度では、これは許せないということなんです。そうでしょう。少なくともやはり即時停止をさせる、これは完全にロンドン条約に違反しておるわけですから、もっと強い姿勢がなければだめだと思うのですよ。向こうはただ聞きおきますというような態度では、これはだめです。その間の状況についてもう一度御答弁いただきたいと思うのです。
  176. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、これは即時停止を直ちに実現すべき問題だと私どもも認識しております。そういった観点から、繰り返し今後とも申し入れを行っていきたいというふうに思っております。この点については我々非常にかたい決意でおりますので、その点はまさしく先生のお立場と同じ考え方であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、ロシア側が即時停止をいたします。そして、さらにまたこの第一回会談で向こうはそれだけの陸上施設なりなんなりまたやらなきゃならぬでしょう。そういうことについても、日本政府を初め国際的な協力も当然向こうは仰いでくるかもわかりません。それはどういう出方をしておるかわかりませんけれども、とにかくこれだけのことが事実がはっきりしたのですから、即時中止をさせなきゃならぬ。これは向こうから球が返ってきてないじゃないですか。そうでしょう。だから、事後のことについて御相談したい、ですからとりあえず中止をいたしますという返事を政府として早くもらいなさいよ。国民は皆それに対してこれだけ危惧しておるのですよ。申し入れはしておりますけれども、相変わらず垂れ流しで、日本海へほうっております、またその他の海域にもほうっております、そんなばかなことがありますか。もっと強い姿勢で出たらどうですか。これは完全なロンドン条約違反じゃないですか。その点、どうなんですか。
  178. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  強い姿勢で臨むという点については、全く同感でございます。そのような姿勢で今後とも努力を続けていきたいと思っております。  それから、ロンドン条約との関連でございますが、ロンドン条約は高レベルの放射性廃棄物については一律に禁止、それから低レベルの放射性廃棄物につきましては、特別の許可を得た場合にこれが行われるという規定になっております。他方で、八三年、八五年に開かれました締約国会議で、低レベルの放射性廃棄物についてもこれを行わないという決議を採択しております。したがって、ロシアがこれまで投棄してきた廃棄物が高レベルのものであれば、これは条約違反ということになります。それから低レベルの場合であれば、特別の許可を得ることなく行っていたのであれば条約違反、許可を得て行っていたとしてもこれは決議には反しているということになり、いずれにしても問題があるというふうに考えております。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 どちらにしても条約違反であるということをお認めになったわけですね。そんな条約違反のことを、これだけ環境問題がクローズアップされておるわけでしょう。これは、そういうことを放置さすわけにいきませんですよ。政府一体となって強い姿勢で臨んでいただきたい。長官、どうですか。
  180. 中島衛

    中島国務大臣 今、近江先生のおっしゃるとおりでありまして、我々も強い姿勢でロシアに対して海洋投棄の申し入れをいたしておりますが、これからも外交ルートを通じて、もちろん申し入れだけでは効果がないわけでありますから、相手から中止をしていただくような何らかのものを得るようにこれから努力をいたしてまいりたいというように思っております。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは強く要望しておきます。  それから、今年の十一月、ロンドン条約の締約国会議が開かれるということを言われておるわけでございますが、原潜等の軍事用船舶なども条約の中にきちっと入っておるのかどうかというような問題等々、今後この条約というものを本当に強めて、高めていかなければならぬと思うのです。そのために我が国として今どういうことをそこで主張し、それを盛り込ませていきたいと思っておられるのですか。
  182. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  ロンドン条約は、その運用につきまして毎年約一回締約国会議を開催しているわけでございま す。したがって、次回の十一月会合におきましては、私どもといたしましても、ロシアの海洋投棄の問題を単に日ロの二国間の問題としてではなくて国際社会共通の問題というふうに位置づけ、問題提起をしていきたいと思っております。先ほども申し上げましたように、ロンドン条約との関係でこれは非常に問題のあるケースでございます。したがって、そのような見地から問題提起を行い、かつ、ほかの関係国とも協力しながら問題解決の方途に向け努力していきたいというふうに考えております。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは外務省、科学技術庁等、関連各省強力なチームでもってひとつこの十一月に向けましてかたいものにやっていただきたい。強く要望いたしておきます。  それから、これだけの大事件でございますし、国民は生物による食物連鎖とかいろいろなことを非常に心配しているのですけれども、政府として当然ロシアと共同調査等も今後考えておられると思いますが、今とりあえず調査ということについてはどのように考えておられるのですか。
  184. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  これまで白書が発表されてから二度にわたりまして放射能対策本部の幹事会を開きまして、海上保安庁、気象庁、水産庁、科学技術庁放射線医学総合研究所などによりまして、日本海での海洋放射能調査を実施することなどを決定いたしまして、一部については既に調査船を出航させております。日本海の海底土につきましては、海上保安庁、水産庁において調査されることになっておりまして、既に双方とも船を出しておられます。  今回実施します調査につきましては、外交上の問題もあり、直接当該調査海域の海底土を採取することは困難でありますけれども、投棄海域と推定される海域にできる限り近いところで調査を行うことにしております。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 できる限り近い海域とおっしゃっていますけれども、それじゃ海上保安庁にしろ、政府調査というものはどんな調査をやっているのですか。表面水でしょう。せいぜいが三十センチぐらい、その辺の表面の海水でしょう。要するに、日本海、海底盆地をつくっておりますけれども、三千メーターぐらいのところに沈めておるのですよ。我が国には「しんかい」もあるんです。少なくともその辺の近くのところの海底土を採取しまして、いろいろなことを調査するのは当たり前でしょう。今政府がやっておること、表面の海水をとったって、そんなものは何の意味がありますか。形だけやって、やっております、それで国民が納得しますか。どういう調査をするのですか。
  186. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  今回の調査では、表層水、中層水、それから深海の海水も採取し、分析することになっております。その深海の水と申しますのは、先ほども申しましたように、投棄海域にできる限り近づいたところの水をとろうとしております。それから海底土につきましても、まず日本近海の海底土をとって、それから分析を始めたいと考えております。  それから、今先生投棄地点での海底土云々とおっしゃいましたけれども、投棄地点の周辺の放射能汚染状況と申しますのは、もしソ連が許しましてその投棄海域の真上に行きますれば、そこの深海水の測定によっても把握が可能であると考えております。万が一投棄地点そのものの海底土の採取を行うといたしますと、ソ連がどんなふうに捨てたかわかりませんので、現在のところ、おそれといたしましては放射性物質拡散をいたずらに招いてしまうというふうなこともございます。  ただ、私どもサンプリングというふうなことには非常に経験がございますので、ソ連の協力を得られますれば、投棄海域の具体的な状況等を勘案いたしまして、泥をとらなくても、科学的に最も有効な方法も検討できると考えております。あるいは泥もとることもあるかと考えておりますが、ただ、投棄地点そのものにつきましては、日本単独ではできないというふうに考えておりますが、合同委員会が設けられますれば、そういったことも提案してまいりたいと考えております。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 周辺のところを恐る恐る行くという、そんな態度じゃだめですよ。ソ連に強硬に言いなさいよ。そうでしょう。これだけ他国に対して迷惑をかけておるんや。ソ連に、ロシアに対して、投棄場所を直接やりましょう、我が国には「しんかい六五〇〇」というすばらしい調査船もあるんです、やりましょうということをどうしてどんと言わないのですか。同じ調査をするんだったら、乗り込みなさいよ、そこへ。早急にやるべきじゃないか、そういうことを。そんな恐る恐る近くまで行ってやります、何を考えているのですか、それは。国民がこれだけ心配しているのですよ。その点はどうなんですか。
  188. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  ロシア側との話し合いでは、投棄水域における海洋調査ということも我々問題意識として持っておりまして、他方、投棄水域がロシア側の経済水域内に入っているというような事情もありますので、共同調査をやってはどうかということで既にロシア側には打診しております。我々としては、早々に合同委員会を開催し、この問題も含めてロシア側とさらに話を詰めていきたいというふうに考えております。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、それは早急に強力に早く話を進めて、経済水域であるということはそんなことわかっていますよ。であるがゆえに、早くこれを合意に取りつけて、そこで調査を行う。これだけ国民が心配しているんでしょう。早急にやって、政府はこたえるべきですよ、これは。だから、それはそういう方向で行きたいとおっしゃっているわけですから、それはそれで子といたしますが、実現するためにはもっと強く臨みなさいということを政府に対して申し上げたい。長官、どうですか。
  190. 中島衛

    中島国務大臣 今外務省から答弁をいたしましたけれども、合同作業部会を設置いたしますし、また共同調査の申し入れもしてあるところであります。今、近江先生から御指摘をいただきましたように、我々の国民の生活にも影響を与える問題でありますので、強く抗議を申し入れると同時に、当該水域で共同調査が実施できるように進めてまいりたいというように考えております。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ長官もそういう答弁でございますから、強く申し入れをし、一日も早く実施されることを要求いたしておきます。  それから、ロシアの極東地域におきましては、聞くところ、非常に老朽化いたしましたいわゆる退役の原潜、核燃料を搭載したままのが係留してある。さらに、汚染された廃棄物運搬船、原子炉機器なども放置されておる。核の墓場の様相を呈しておるんじゃないか、こういうようなことも言われておるわけです。  そうしますと、そういう不安材料というのが非常に山積しておる。こういう処理をどうするのか。これは詰めてやらないとだめですよ。どうするんですか。これはロシアに責任を持ってもらわなければいけない。こういうような極東の状況についてはどう把握しておるのですか。どういうように今把握しておる。
  192. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  極東等の地域におきますロシアの現状でございますけれども、これは今も先生いろいろ御指摘があったわけでございます。これらにつきましては、基本的には先生指摘のように、ロシア側が責任を持って対処あるいは対策を実施していくべき問題であるというふうに認識しておるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、詳細な情報の提供、それからいろいろな意味での放射能によります汚染というものがもしあるといたしますならば、しかもあると言われておるわけでございますので、それにつきましての拡大の防止の実施につきまして、今ほど先生から繰り返しお話のありましたように、ロシア側に対しまして強く要請していくということが極めて重要かと思うわけでございます。  実際、特に海洋投棄あるいはそれ以外のロシアにおきます汚染ということに実質的に対処していくというためには、考えてみますと、例えば陸上 におきまして放射性廃棄物を処理処分していくような機能といいますか施設、あるいはそういう能力、これをきちんと身につけていく、あるいはそれを確立していくということが極めて大事なわけでございまして、その意味では今後私どももロシアとこの面におきます技術協力を強力に展開していきたいと思うわけでございまして、我が国としての協力のあり方につきまして現在鋭意検討しておるところであるわけでございます。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでお伺いしますが、もう七月には東京サミットが行われるわけです。このときには当然エリツィン大統領もお見えになると思うのです。そこで、このサミットにおきましてもこれは重要問題として取り上げる。さらにまた、これは我が国がこれだけの被害を受けているわけですから、被害というのは、それは今後調査していって全部明らかになるでしょうが、少なくとも心理的にも国民は皆大変な不安を今持っているわけでしょう。そういう点に対しまして、IAEAに対して国際的にこの問題をどうやるか、強く我が国としては申し入れしたのですか。IAEAはどういう動きをしようとしているのですか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  194. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  海洋投棄は、単に極東海域だけではなく、カラ海やバレンツ海でも行われております。したがって、これは単に日ロの二国間の問題だけではなく、国際社会共通の問題だと認識しております。したがって、先週東京で行われましたG7の閣僚合同会議の場でもこの問題を取り上げましたし、また、日本の主張によって、議長声明の中にこの問題に関する一つの文章が盛り込まれたという経緯もございます。これから東京サミットに向けての準備過程、それからサミットの場においても、引き続き問題提起は行っていく考えでございます。  それから、IAEAとの関係でございますが、IAEAにはモナコに海洋研究所がございまして、従来、北方海域における海洋調査等で実績を有しております。したがって、私どもといたしましては、そういったIAEAが持っております専門知識あるいはいろいろな調査分析の能力、そういったものも活用することによって、極東水域における海洋投棄の実態解明に努力していきたいというふうに考えております。IAEAとは、非公式にはこの話はしております。
  195. 石田寛人

    石田政府委員 IAEAのことに関しまして、いささか補足させていただきます。  今月、四月の十六日でございますが、IAEAの事務局長、ブリクス局長は、日本に来られまして中島科学技術庁長官と会談されたわけでありますけれども、そのときにもこの海洋調査につきましては、岸野課長から今お話のありましたモナコ研究所の活用ということにつきましても、お話があったわけでございます。特に、そのときのIAEAのブリクス事務局長のお話しぶりは、IAEAはもちろんこのために全力を尽くすということであるけれども、同時に、IAEAの加盟国がIAEAに何かをさせる、してもらうということではなくて、むしろIAEAを通じて各国の力を結集していろいろな調査、事に当たるということが大事だということを中島大臣あてに言われましたのが、非常に印象的であるわけでございました。  それから、今ほど先生の御質問の中に含まれておるであろうと思われますトムスクに関連いたしますことでございますけれども、これにつきましても、IAEAが現地に調査団を派遣したということもあるわけでございます。そういうことも含めまして、それぞれ関係各国が緊密な連携をとりながらIAEAの機能も十分に活用して対処していきたい、かように考えておるところでございます。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 今申し上げた点は、引き続きあらゆる機会に要請をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  それで、今局長はトムスクの話もされたわけでございますけれども、IAEAの八段階評価尺度でレベル三だ、このように言っておるわけですが、グリーンピースなどは四だ、そういうことを言っておるわけでございます。その点、政府としても調査団なりなんなり出されておるのじゃないかと思いますけれども、現時点において今回のトムスク7の被害状況をどのように把握されておりますか。それから、日本への影響はどうなんですか。
  197. 岸野博之

    ○岸野説明員 前半の問題についてお答えいたします。  外務省といたしましても、今回の事故につきましては、その原因あるいは被災状況等につき、全力で確認作業を行っているところでございます。四月二十日にロシアのミハイロフ原子力大臣が事故の状況につきブリーフィングを行っておりますので、その概要をかいつまんで御説明したいと思います。  去る四月六日、ロシア・シベリア地区のトムスク7放射化学工場内の施設において、ウラニルというウラン溶液を入れた容器に硝酸を加えたところ、化学反応による発熱反応が起き、熱のために圧力が上昇し、十二時五十八分に爆発が発生したということでございます。その結果、放射性物質が煙突及び壁の穴を通じ放出された。その後、建物の屋根に火が出たわけでございますが、火そのものほかなり早い段階で鎮火されたというふうに承知しております。  当初、事故への対応には六十名の作業員が参加したわけですが、その作業の結果被曝した放射線量が最大で〇・六レムであった。その後の除染作業に参加した人は、平均で十ミリレムから百ミリレム被曝した模様であります。ただ、医師の診断によれば、人体への悪影響はないというふうに報告を受けております。  この問題の現地調査をするために、緊急事態国家委員会と原子力省の二つの調査委員会が組織され、現場に派遣されております。現在、毎時六十マイクロレントゲン以上の放射線量率の土地が三十五平方キロメートルあるというふうに見積もられております。周りの土地には一般に危険はないというふうに承知しておりますが、他方、一部に高放射能の地点があるために、依然として除染作業が行われているというふうに承知しております。また、近くの村の子供たちが避難させられたという情報もございます。  現在、容器の処理が継続中でございます。容器の三分の一及び放出された液体が除去されております。容器内に残った液体は、今後取り除かれる予定でございます。また、事故の箇所は今後コンクリート等で閉鎖される予定でございます。また、穴があいた建物については、穴の部分がれんがで埋められるというふうに承知しております。
  198. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。後半の我が国への影響について、お答えさせていただきます。  事故発生後、従来から環境放射能調査を実施しております地方公共団体に対しまして、これまで三カ月に一回の大気浮遊じんの調査を毎日行ってくれ、放射線医学総合研究所にも毎日大気浮遊じんの調査を行ってくれ、気象庁も週一回行っております大気浮遊じんの調査を毎日行ってくれと、また、ここで事故が起こりました際、万々が一そういった廃棄物が空中を通してちょうど上空に来るような時期をねらいまして、防衛庁に飛行機を飛ばしてもらい、高空の大気浮遊じんの調査というふうなこと、また日本分析センターにおきましても月一回の大気浮遊じんの調査を毎日行ってくれと、こういった緊急放射能監視体制をお願いいたしましたが、結果はいずれも異状はございませんでした。  したがいまして、このトムスクの事故に関しまして我が国に放射能の飛来はないということで、四月十九日をもって平常の体制に戻したところでございます。なお引き続き従来の監視を行いまして、また、この件が国民の関心が非常に高いことを考えまして、これにつきましては今後とも情報収集に努めてまいりたいと考えております。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 チェルノブイリは原発だったのですけれども、今回は軍事施設ですよ。トムスク7は 秘密基地だったわけですね。ロシアにおいては、秘密基地が少なくとも十カ所以上はあるだろうと言われておりますが。過去を見ますと、五三年にはセミパラチンスクで行われました水爆実験、これではやはり付近の住民を何十人か残したままやられておる。五七年にはウラルで放射性廃液の密封溶液が大爆発をした、こういうようなこと。  だから、国際的な支援という点で、このチェルノブイリ以降いわゆる旧ソ連の、東欧諸国等の原発の支援とかいろいろなことについては取り組みされていますけれども、軍事施設についてどういうようにこれはなっているのですか。どうするのですか、政府は。まだまだこういう心配というのは幾らでも出てきますよ。どうするのですか、これは。不安だらけじゃないですか。この軍事施設に対してどうするのですか。
  200. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、こういう軍事施設の安全性、これにつきましては本当に当事者たるロシアにきちんとやってもらう、それしかないと思っておるわけでございます。しかもこれまで、今まさに先生指摘のように、これらの施設はいずれも秘密都市と言われております。そういうことでございますので、私ども情報を持っているわけでは全くございません。  なお、これに対します直接の協力ということと考えました場合でも、我が国原子力、これは全く平和利用でございますので、これに関連する技術もない、そういうところであるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、非常に多くの方々、これは我が国民のみならず世界の多くの方々が不安に思われることも事実でございます。そういうことも踏まえながら、全体軍事に直接接触しない範囲におきまして、私ども最大限できることは何かということを考えていく必要があるわけでございまして、先ほども申しましたように、放射性廃棄物を的確に処理処分していくような機能、能力ということもございます。  それから、もちろん大きな問題としてございます解体核兵器から出てまいります核物質をどうするかということもございます。あるいは旧ソ連を構成しておりましたカザフスタン、ベラルーシあるいはウクライナみたいな国々が非核兵器国としてこれからずっとやっていっていただくためにはどういう保障措置を適用していったらいいか、そういうようなことも当然あるわけでございます。いろいろな技術協力があるわけでございまして、私どもでき得る範囲におきまして、そういう技術的な協力ということも非常に大事なことであろうかと思うわけでございます。  ただ、そうではございますけれども、さらに最初に戻りますけれども、一義的にはロシアの方に自分のこととしてぜひ対応してもらいたいと強く思っておるところでございます。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはロシアのことを言っておりますけれども、例えばアメリカにおきましても、いわゆる砂漠地帯ですか、廃液の貯蔵タンクが腐食して漏れておるというようなことも伝えられておるわけです。したがいまして、この軍事核施設ということに対しては、今まで国際的に何となしに皆が口をつぐんできたという感がある。ですから、今度のサミットにおいても、あるいはまたIAEAにおきましても、いわゆる軍事核施設におけるこの種の問題につきまして、各国が本当に真剣になって取り組みをやって心配のない対策をとる、それを我が国が強力に言っていかなければいかぬ、このように思うのです。その点についてはどうですか。     〔委員長退席、村井委員長代理着席〕
  202. 石田寛人

    石田政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては、外務省と密接なコンタクトをとりながら、今後積極的に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 また核兵器の解体等、これも米ソでそういう約束もしているわけでございますけれども、これもきちっと進むような技術的な——核兵器は、我が国はそんなものは全然何の関係もないわけですけれども、応用できる技術があるならば、またいろいろな点でバックアップしてあげるべき点につきましては、これを促進さす。世界の平和という点において、不安除去という点においてやっていかなければならぬ。  それからさらにまた、頭脳流出の問題もありますね。国際的な科学技術センターですか、これに対しては我が国も応分の負担をして設置をしておるわけですが、旧ソ連の膨大な核科学者、どれだけの人をそこで民生転用ですか、そういう方向に研究者を向けることができるか。秘密基地がこれだけある旧ソ連でしょう、恐らく膨大な科学者がおるはずですよ。その国際科学技術センターで全部面倒を見られるのですか。現実に、北朝鮮へ行こうというのを飛行場で何十人か捕捉したというニュースも伝えられておる。こういう頭脳流出ということについて、政府はどう考えているのですか。もっと真剣に、いろいろな問題を国際的にもっともっと持ち上げをして対策をとっていかなければだめでしょう。またロシアに対して、また核保有国四カ国ほどあるようでございます、そういうところに対してもどうしていくのか。これは緊急の問題ですよ。どう考えていますか、政府は。
  204. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  核の不拡散は、重要な課題だと認識しております。これは単にハードウエアとしての核が拡散しないというだけではなくて、そういった核兵器をつくる技術なりあるいは能力を持った人間が世界に流出していかないようにしていかなければいけないというふうに考えております。そもそも国際科学技術センターを設立しようというアイデアが出た背景には、このような考え方がございます。  先ほど、先生、科技センターだけで十分ロシアの核兵器関連学者に職を与えられるのかという御質問がありましたが、とりあえず核の製造等に密接に関係した科学者技術者、約二千から三千と言われておりますので、そういった人たちを対象に平和的な目的のためのプロジェクトを創出し、こういった科学者平和目的活動に転向させていくということで考えております。ただ、現在直面しておりますのは、ロシア国内で最高会議の批准がなかなか得られないという問題がございまして、この点につきましてはロシア側に、これは早急に動かさなければいけないプロジェクトであるということで、再三にわたって申し入れをしてきている次第でございます。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 今の軍事施設の問題とか、科学者の頭脳流出の問題等々もっと政府が本腰を入れて、国際機関にも持ち上げをして総力を挙げて取り組みをやっていただきたい、これを強く申し入れておきます。  それから、このトムスク7で発生したような事故、これはまさに動燃の再処理で当然考えられるような問題なのです。その点、我が国は大丈夫なのですか。エネルギー庁、どうなのですか。
  206. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  再処理ということでは名前は似ておりますが、我が国の再処理施設につきましては、以下のような多重防護の考え方で安全対策を講じております。  再処理工場は、いろいろ火災爆発の可能性もございますので、そういった火災爆発の発生を防止するために、可能な限り不燃材料あるいは難燃性の材料を用いる。また、燃えます有機溶媒などにつきましては、その系統に着火源を用いない。温度を上げるときには蒸気で上げるということ。それから、温度上昇を防止する。また漏れないような対策をとる。それから、それぞれ工程に熱的制限値あるいは化学的制限値を設けまして、常時それらを監視しておるというようなことで火災爆発の防止を図っております。また、これらが異常を起こしましたときは、直ちに検知し、それを知らせるような制御室を持っております。  こういった対策にもかかわらず、万々が一火災が起こりましても、それを適切にキャッチいたしまして、区画が広がらないように防火壁とか耐火壁あるいは消化装置などを設けるなどの万全の措置をとっております。また、二十年以上にわたり ます経験がございます動燃の再処理工場におきましても、火災爆発といったようなことは、このような考えに基づきまして対策をとっておりますので、起こっておりません。また、こういった対策を、事業指定の際あるいは設置承認の際の審査で、こういった基本設計の妥当性を十分チェックしておりますし、それから建設に入ります前の設計及び工事方法の認可の段階でも詳細にチェックをいたします。さらにまた、建設段階の使用前検査の段階では、これらの機器とか設備の使用が十分に作動することを確認しております。それからまた、再処理施設が運転開始いたしました後も毎年一回定期検査を行いまして、これらの機器が作動することをチェックしております。  このような考え方、またこのような法によります対策によりまして、今回ロシアで起こりましたような火災爆発事故が我が国平和利用の再処理施設には起こらないと確信しております。
  207. 細谷孝利

    ○細谷説明員 今科学技術庁の原子力安全局長からお話がありましたとおり、我が国では規制法等に基づきまして厳重な審査が行われております。また、設計におきましても多重防護という考えがとられておるわけでございまして、したがいまして、我が国の施設でロシアと同様な施設事故が発生するということは考えていないわけでございます。  いずれにいたしましても、今後ともさらに情報をよく収集することが大事でございまして、私どもといたしましては、地元青森県等に対しましてもより適切な説明を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  208. 近江巳記夫

    ○近江委員 説明だけで安心だと、それじゃ原発なんかどうなんですか。今まで、蒸気発生器にしたって、細管の破断なんかありませんと皆さん答弁してきたじゃないですか。美浜においてだって、そうでしょう。そういうことが起きているじゃないですか。どれだけ今までトラブルが起きていますか。それと一緒ですよ。再処理工場だって、これだけのことをやっておりますけれども、最善を尽くして心配ないようにいたします。機械というものは、設備というものは一〇〇%完璧といったって、またヒューマンエラーも入ってくるでしょうし、あらゆることが心配な点が出てくるわけですから、その辺の答弁においても、完璧とは思いますけれども、一層気を引き締めてやりますという、やはりそこに決意というものが込められてこなければだめでしょう。効能書きの説明みたいな答弁じゃないかな。いずれにしても、そういうことで絶対に同種のそういう事故等起きないように、完璧なそういう段取り、また設備、あらゆるまた体制をとっていただきたいということをひとつ要望いたしておきます。  それから、エネルギー庁。先ほど関さんが新聞掲載の広告のことをおっしゃっていましたけれども、今後我が国としてはプルトを高速増殖炉「もんじゅ」等も進め、そういう平和利用でやっていこうと、政府はそのように思っておられるわけでしょう。こういうような状態になってくれば何かこそくな、何かやはりこそこそして心配なことがあるんじゃないかと、そういうことが実態は今回も明らかになったわけですけれども、なぜ堂々とやらないのですか。  だから、今後はこういうこそくなやり方ではまずいのですよ。これはかえって国民の不信感を高めますよ。堂々と皆さんが自信をお持ちになり、絶対に今後進めていかなければならないものである技術的にも心配ないんだ我々としては一生懸命やりますと、あらゆることをやはり正々堂々と話もし、それで国民がその話も聞き、判断していく問題ですよ。こういうやり方がこそくともいうべきこういう方法であれば、かえって疑心暗鬼を起こしますよ。これはまずい。こういう点について、もう一度答弁を求めます。
  209. 末広恵雄

    ○末広政府委員 今回の企画につきましては、原子力広報の一環として行ったものでございますが、広報のやり方については私どももいろいろな手段をとっております。今回の特集につきましては、プルトニウムの問題につきましてできるだけ幅広く、わかりやすく広報をするために、単に一方的な広告のような形態ではなくて、いろいろな方が出席する座談会形式ということで、代理店を通じまして新聞各社の意向を聞いたところでございます。  それで、その中でこういった企画になったところでございます。もちろん、この内容につきましては、企画の内容につきましては新聞各社にお任せしたわけでございますが、あくまで広報の一環として実施したものでございます。今後の広報につきましても、やはりいろいろな広報手段がございます。今後ともその効果等を勘案しながら、国民の方にわかりやすい広報ということに努めてまいりたいと考えております。
  210. 近江巳記夫

    ○近江委員 わかりやすい広報というのは、それは広報を皆さん、予算、国民の血税を使ってやるんだから、納得できるものをやってもらうのは当たり前のことですよ。だけれども、方法について、そういうような疑いをかけられないようなきちっとしたことをやりなさいということを言っているのです。今後そういうことを十分政府注意していただきたい。よろしいですか、中島長官。
  211. 中島衛

    中島国務大臣 当庁といたしましても、原子力開発利用推進等国民の理解と協力を得て進めることが重要な案件を持っておるわけであります。このため、政府は従来より国民の皆様に正確な情報を提供できるよう適時、的確な広報に努めておるところであります。  今回の広報については、資源エネルギー庁、通産省の問題ですから、今直接の方からお話があったわけでございますので、私の方からはこの件については申し上げることは差し控えたいと思います。  いずれにいたしましても、政府の広報に当たっては、今近江先生から御指摘をいただきしたような点を念頭に置いて、国民にわかりやすい、そしてその広報の主体がどこであるかというようなこともはっきりいたしながらやってまいらなければならないというように考えておるところでありまして、御指摘の点よく考えて、これから広報に当たらせていただきたいというように思っております。
  212. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、もう大分時間が来ておりますので、まとめてあと二問聞いておきたいと思います。  一つは、フリーダム計画の問題でございますけれども、こういういわゆる多国間でもって、国際協力でもってやっていくということについて、アメリカの財政問題というようなことがあって計画の縮小だとかなんとか、これはアメリカの責任だと言えばそれまでかもしれませんけれども、少なくとも我が国の国民の血税をつぎ込みやっていって、途中でまた変更だ。それじゃ、その担当をしておった科学技術庁は何をしているのだということですよ、国民から見れば。そうでしょう。今後どういう手順で、また国民の納得、理解の得られる形で進めていくのか。それを簡潔にお答えいただきたい。それが一つ。  それから、御承知のように一九九〇年代というのは、国連におきます防災の十年ですね。我が国は地震国であります。いつもこれは心配しておる問題でございます。そういう点で、いわゆるこの東海地域等、そういうリアルタイムの観測体制もとられているところもあるわけでございますけれども、しかし心配なところというのは随分まだあるわけです。  例えば紀伊半島東南沖、ここにおきましては、一九四四年マグニチュード七・九の大地震がございまして、死者一千人を出しておる。この辺のところも今非常に要注意地域になってきている。そういうところについてはどうするのですか。全くまた地震予知としてそういう点が対策がおくれておりますよ。地震予知推進本部長、だれですか、科学技術庁長官じゃないですか。どうするかということ。しかもまだ、茂木地震防災対策強化地域判定会長は、注意報というものを導入したらどうか、こういう提案もされておる。こういうことを政府としてどう受けとめて今後やっていくか。こ ういう空白地域というのはあるのです。全国的に心配なところについては、リアルタイムのそういう観測装置というものを早く整備しなくてはいけない。物すごくおくれています。  したがって、宇宙の問題、地震の問題、二問お聞きして、私の質問を終わります。
  213. 石井敏弘

    ○石井政府委員 お答えいたします。  第一点の宇宙ステーション計画の見直しにつきましては、アメリカのNASAにおきまして見直し検討チームが置かれて、現在作業が進んでおるという状況でございます。また、このNASAの見直しチームと同時に、大統領の諮問委員会といたしましてブルーリボンチームというものが置かれまして、この見直しチームが出してまいりますオプションについて評価をする。これらの全体の作業は、現在の予定では六月十日ごろに最終報告を出すというような形で進んでおるところでございます。  先生指摘のように、私どもといたしましても、これまで宇宙ステーション計画につきまして日本としても真の国際協力プロジェクトになるように、また我が国の将来の宇宙開発ということを考えまして、日本実験モジュール、JEMを開発するという形で進めてきておるところでございまして、これらのこれまで進めてまいりました成果がないがしろにされるということは私どもとしても耐えられないところでございまして、おっしゃるようにアメリカに対しても強くこの点は申してきておるところでございます。  具体的に、先ほど申しましたNASAの見直しチームに我が宇宙開発事業団からも職員を参加させる、さらにはブルーリボンチームにつきましても、我が国の宇宙の権威者をこのブルーリボンチームに参加させるということで、かつ、それぞれの場におきまして強く私どもの主張というものにつきまして、ヨーロッパあるいはカナダといった国際パートナーと連携をとりながら主張しておるというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、この見直しというものを通しながらも、宇宙ステーション計画の本来の意義あるいは目的が十分達成されるよう、本件見直しがそのような形で進みますように、私どもといたしましても今後、この六月までにヨーロッパ、カナダと連携をとりながらNASAと十分緊密に協議していく、かように考え、そのように対応しておるところでございます。  また、次の地震の予知の問題につきましては、おっしゃるように地震予知の水準と申しますのは、いわゆる東海大地震と言われますM八クラスの大地震以外のものにつきましては、現在の技術水準というものをもってしては予知は極めて難しいというのが現状でございます。しかしながら、私どもといたしましては、やはりいろいろな意味でこの研究開発を進めていかなければならない、また観測体制を強化していかなければならない、かように考えておるところでございまして、測地学審議会が建議いたしております地震予知計画に従いまして、関係各省の関係機関あるいは国立大学等におきまして各種の観測研究ということをやってきておるところでございます。また、これらの観測データというのは地震予知連絡会に集中され、そこで専門家による総合的な判断が行われるというような体制になっておるところでございます。  また、地震予知のための観測ということにつきましては、この地震予知連絡会が、過去の地震発生あるいは地殻活動の活発な地域等を考慮いたしまして、特に地震予知のための観測を進める地域といたしまして全国に八地域の特定観測地域、さらに二地域の観測強化地域というようなものを選定いたしまして、各種の観測事業を集中的に進めておるということでございまして、またこれら以外の地域におきましても、長期的予知あるいは短期的予知に有効な観測研究の充実、あるいは地震予知の基礎的研究の推進といった地震予知体制の充実を図ってまいりたい、かようなことで私ども努力をいたしておるところでございます。  そのようなことで私ども、非常に難しい課題ではございますが、関係各省庁、力を合わせて真剣にこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えでおる次第でございます。
  214. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  215. 村井仁

    ○村井委員長代理 以上で近江君の質問は終わりました。  続いて、吉井英勝君。
  216. 吉井英勝

    吉井(英)委員 どうも皆さんお疲れのところ、私、最後の質問者でございますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。  例の「ロシア連邦領域に接する海洋における放射性廃棄物の投棄に関する事実と諸問題」と題した報告書をいただきました。この報告書というのはエリツィン大統領への委員会報告をもとにしてつくられておりますが、また同時に削除部分がこの中にはありますが、放射性廃棄物の海洋投棄に関しても、落下衛星、飛行機事故などによる核兵器が沈んだもの、あるいはミサイル発射の失敗によるものなどは考慮されていないのだ、こういうふうにも述べておりますし、さらにこの白書は、旧ソ連及びロシアの核廃棄物の海洋投棄に関してすべてを告白しているというものではありません。また、掲げられている各種のデータは将来再確認をする必要がある、こういうことをみずから述べているわけでありますが、しかしそれにしてもなかなか重要な報告であるというふうに思うわけです。  それで中を見ておりまして、非常に何ともこれはひどいなと思うところがいろいろありますが、事前にお願いしてもなかなか仮釈が出てこないのですが、たしか村井理事はロシア語がおできになったように思うのですが、そういうロシア語のできる方なんかの応援を得てぜひ早いところ仮釈など、まあ国会議員に仮釈をやってもらうなんて大変なことですから、私は村井さんにそんなむちゃを言うわけじゃありませんが、早く仮釈などをつくってぜひ出していただきたいと思うのです。  それで、今回問題になっております極東海域における原子炉その他放射性廃棄物の処分問題ですが、これは本当に日本にとってもゆゆしき事態で、日本海側の十二府県で構成する日本海沿岸地帯振興連盟が緊急の要望書を政府に出しておりますし、私どもも十四日に官房長官にお会いして、総理あての申し入れをやりました。それから、さきのG7外相・蔵相会合の議長声明の中でも、放射性廃棄物の海洋投棄は深刻な懸念事項であると述べております。  いずれにしても、今度のこの白書の中でも、この二十六ページなどには、ロンドン条約加盟後、IAEAに対して海洋投棄はしていないとうそを言っていたということとか、ロンドン条約の基準に当てはまらないソ連の基準を設けたんだ、そのソ連の基準さえ破る内容の海洋投棄を行っていたということとか、本当に恐るべき事態を読むことができて、それだけに七二年の海洋投棄規制条約、いわゆるロンドン条約に明白に違反をしているわけでありますし、白書でもそれらが触れられているし、科技庁の方にあるこれの最後の結論部分の要約の二のところでもそういったことが触れられておりますが、私は今本当に、まずこういうけしからぬ国際条約違反に対して高いレベルでの抗議と、それからロシアに対して放射性廃棄物の海洋投棄の即時中止、これはロシアの外相が来たときに当然両方ともやっていらっしゃると思うのですが、そういう報道もありましたが、そういう抗議や即時中止の申し入れとともに、これは本当に実効あらしめるものとするための、私はこれは政府としての強力な対応が必要だと思うのです。まず冒頭に、大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  217. 中島衛

    中島国務大臣 四月十五日の日本とロシアの外務大臣の会談において、日本武藤外務大臣より、即時廃棄の中止の申し入れをしておるところであります。また、合同作業部会の設置についても申し入れ、これはロシア側も了承をしておると聞いておりますし、また共同調査についても申し入れをしておるところであります。これからも外交交渉を通じて、廃棄の中止とそれから今まで廃 棄されたものに対する調査、そしてそれに対する対応と、真剣に努力をしてまいりたいというように思っておるところであります。
  218. 吉井英勝

    吉井(英)委員 投棄した海洋における環境放射能の継続調査をロシア政府にやらせる。これと同時に、やはり日本としても、海上保安庁、気象庁、水産庁などの各省庁にまたがるかとは思いますが、調査分析が本当に今求められているときだと思います。  それで、公海のはずなんですが、先ほど来少し議論がありましたが、経済海域だということでこの調査すら妨げられるというのはとんでもない話だと思うのですよ。大体どこに捨てたかというのは、この白書の中でも北緯何度東経何度という、もちろん流されたりしているでしょうからあれですが、ずっと後ろの方に、もちろんわからないというものもありますがリストもあるわけですから、大体その点を中心にして、私は「しんかい」の海底土砂の採取も行うとかいろいろなことをやって、海水のサンプリングを含めて、何か靴の底からかゆいところをかくようなことではなくて、本当に投棄されたその現場の間近で調査をやっていただくと、そういうことが必要だと思うのです。  この点について、エリツィン大統領の訪日ということもありますし、やはりこの面でもまずこの調査に全面的に協力させる。本来これはロシアがやらなければいけない話なんですが、これは大臣としてそういう強力な姿勢で臨んでいくんだと、担当の衝に当たる大臣としての決意も伺っておきたいと思います。
  219. 中島衛

    中島国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますが、外交上の案件につきましては外務大臣初め外務省にやっていただきますが、技術的な問題で科学技術庁がやらなければならないことにつきましては、私どもでやっていかなければならないと思っております。  いずれにしても、重要な問題でありますから、抗議すべきは抗議し、また、ロシアにやってもらわなければならない調査等についてはまだ向こうでもやっていただく。そして合同ででき、我々のノウハウ、技術が役に立つようなところがあれば、それらについては的確に対応をしてまいりたいというように考えておるところであります。
  220. 吉井英勝

    吉井(英)委員 とにかく経済海域の名による非協力なんというのは断じて許せない話でありますから、これはもちろん外交上の折衝は外務大臣が主管ということにしても、しかしこの問題については、私は、外務大臣とともに特に科学技術庁長官には本当に頑張ってもらいたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。  この白書の十三ページに、諸国における放射性廃棄物の海洋投棄について載っておりますが、ロシア以外の分でずっと載っております。この表によれば、大西洋側で全体の九八・七六%が投棄されておって、その量は四・五京ベクレル、四万五千二百五十二テラベクレルというふうに出ておりまして、今問題になっているロシアの北方海域における固体廃棄物の八・五京ベクレルと大体単位が同じなんですね。ですから、私は、これはロシアの問題は大変だということとともに、国際的に随分海洋に投棄が行われているということは改めてこれは大変な事態だということを、逆にこの白書を読みながら感じました。  イギリスは三万五千七十七テラベクレルですか、この全体の七六・五五%を投棄しておったとか、十二ページの方には世界の図が出ておりますが、この機会にやはり改めて世界各国全部、どこに投棄したのかと。ロシアについては、この白書自身が述べておるように、チェックし直したらまた不正確なところがもちろんあると思うのですが、後ろの方のテーブルには、何年何月のどの分については北緯何度何分、東経何度何分という、全部きちっと、もちろん不明というものも大分ありますが、投棄した場所を示していますね。これはベルギーであれイギリスであれドイツであれ、ドイツやイタリアは少ないようですが、オランダ、アメリカ、スウェーデンも多いようですが、スイス、そして日本もそうですが、すべてのこれまでの投棄したものについて、一応きちっとしたリストを国際的に全部明らかにして出して、そして国際的な監視を強めていくと、そういう取り組みがロシア問題を契機にして、私は世界規模で今必要になってきているなと思っているのですが、科学技術庁の方では、世界各国のすべての投棄したものについてのリストはお手元にありますか。
  221. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  すべての国の投棄いたしました情報はございません。一部の国の投棄した情報については承知しております。
  222. 吉井英勝

    吉井(英)委員 これは科学技術庁の方だけで掌握しにくいということになりますと、外務当局とも協力してもらって、本当に全世界規模できちっと掌握して、そして日本が文字どおり世界に呼びかけて、この監視体制をどういうふうに実現していくかとか、既に捨てられたものについては監視体制の確立、それから今後のものについてはもうそれをさせないということ、その取り組みが大事だと思うのですよ。これは科学技術庁の方はつかめないようなんですが、外務省の方は、そういうものは協力してやってもらえますね。
  223. 岸野博之

    ○岸野説明員 調査につきましては、できる限り協力したいと思います。  ちなみに西欧諸国、ある一時期海洋投棄を行っていたわけですが、いずれも今は中止しているというふうに理解しております。それから、北西太平洋で投棄されたものにつきましては、その後定期的にモニターを行って、影響が出てないということを確認しているというふうに理解しております。
  224. 吉井英勝

    吉井(英)委員 今後させないということと、過去において捨てたものについての調査。  もう一つは、ここからが問題なんですが、現在世界で約三百隻の原子力潜水艦等がありますが、その一つ一つについては従来は軍事機密ということで、余り明らかにされてないんですね。退役した原子力艦船で港につながれているもの、原子炉を解体して陸上に取り出して処分にかかっているものとか、海洋投棄されたもの、それから事故によって沈没したものとか、実のところこれははっきりしていないんですよ。軍事評論家の方の出しているのでも、大体推測を含むというものでしかないわけです。その中には潜水艦の名前もわからないというものもあります。  ですから私は、今これを契機に、すべての原子力艦船を持っているところについても一隻一隻について現在どうなっているのか、これもリストをつくって、そして就航中のものとは別に廃船になったものについての追跡調査などを含めて、やはり廃棄物の処理についてぴしっとした体制をとっていくことが必要だと思うんですが、この点についてはどういう取り組みをされますか。
  225. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  確かに、先生おっしゃるように不明な点がたくさんございます。特に軍事関係の原子力潜水艦で沈没したもの、あるいは喪失された核兵器等あるようでございます。こういった点も含めまして、日ロの合同作業部会で、海洋投棄、海洋環境に影響を与えるようないろいろな過去の事故あるいはその投棄の実態について、まず解明していきたい。そのためにはロシア側から必要な情報の提供を受けたいということで、ロシア側には働きかけていきたいというふうに考えております。
  226. 吉井英勝

    吉井(英)委員 アメリカとは友好国であるはずなのに、実はこの種の問題になったらなかなか情報が入ってきてないですね。私は、ロシアとのこともやってもらいたいと思います。  同時に、アメリカであれ、それからフランスイギリス、中国なども原子力艦船を持っているわけですが、それらすべてについてやはりきちっと掌握をする。そうでないと、いろいろなものについて海洋投棄されたのは調べてみたが、軍事関係について結局よくわからないまま物を残しておったということでは、本当のところ、これは世界規模での環境問題とか安全問題に対応できないわけですから、これはやはり強力な働きかけをやっ ていただきたいと思います。やってもらえますね、そういうのは。
  227. 岸野博之

    ○岸野説明員 検討してみたいと思います。
  228. 吉井英勝

    吉井(英)委員 何か最初は随分元気だったのに、だんだん元気がなくなるから何とも困った話なんですが、そこで外務省に、何かお急ぎのようなのでちょっと順番を変えて聞いておきたいと思うのですが、実はロンドン条約の批准承認を求める一九八〇年の九十一国会で我が党は、ロンドン条約は海洋汚染防止に役立つということで当然賛成しました。  同時に、軍艦等を適用除外にしている条約の第七条問題をそのときに取り上げました。  そのとき、うちの野間委員の方から「軍艦とか原子力潜水艦も含めてですが、こういうものによる放射能の汚染、これについての何らかの規制が国際的にも必要じゃなかろうか」という質問をして、あのときの大来外相は「ただいまの御指摘のような点、これからの海洋の保全、汚染防止ということから見ても一つの重要な課題かと存じますので、全般的な検討をさせていただきたいと、これは外務大臣随分元気のいい答弁をしていただきました。  あれから十三年が経過しました。一つは、外務省としてどういう検討をしてこられたのかということ。それからもう一つは、ロンドン条約の締約国会議がいよいよこの夏ですか、七月ですか予定されているわけですが、原子力担当の大臣として、我が国が積極的なイニシアチブを発揮して、軍事船舶等の規制を国内措置任せにしている現行条約をより実効あるものにさせるような具体的な取り組み、検討を今こそやってもらうことが必要だと私は思うのです。それを大臣を先頭にしてやってもらったら、もうちょっと外務省の方のお答えも元気のいい答えが返ってくるのじゃないかと思うんですよ。やはりここのところは、政治的決断とか政治的取り組みが一番求められているところですから、この点は大臣の答弁。それから一点目は、外務省の方から十三年間の取り組みを伺っておきたいと思います。
  229. 岸野博之

    ○岸野説明員 お答え申し上げます。  まず軍艦に関するロンドン条約の適用除外の問題でございますが、これは確かに七条に試験免除の規定がございます。しかしその後の項目で、この条約の趣旨については各国とも守っていかなきゃいけないという趣旨の規定が入っておりますので、軍艦であるから条約を守らなくてよいという解釈は成り立たないんだろうというふうに考えております。したがって、ロンドン条約の放射性廃棄物の海洋投棄規制につきましては、軍艦であるかあるいはそうでないかを問わず、これは遵守していく、その趣旨を守っていくということで働きかけを行っていきたいと思っております。
  230. 中島衛

    中島国務大臣 昨年のミュンヘン・サミットでも話題になり、それなりの措置をしてきたわけでありますし、また国際的な大きな問題でありますし、国際的な枠組み等をこれからどういうふうにつくっていくかという重要な問題であるというように考えております。私どもの今までの蓄積した技術がどういうふうに生かせるかということもこれから検討課題だと思いますし、外務省とよく連携をとり相談をしながら、そういう枠組みづくりができるように努力をしてまいりたいというように考えております。
  231. 吉井英勝

    吉井(英)委員 大体、物事にはカキが熟して落ちるようにタイミングというものがあると思うんですよ。今回のロシアの核の投棄の問題というのは、これは非常にけしからぬことですが、国際的な世論を喚起して、そして原子炉であれあるいは核艦船であれ、そういうものの追跡もやれば、その海洋汚染などについてきちっと掌握をしていこうという国際世論をつくる上で、これは非常にいいチャンスだと思うんですよ。災いを転じて福となすとは言いますが、この災いは余り福になるような災いじゃないんですけれども、しかしこれは本当に日本政府として外交的にも働きかける。そして私がさっき提起しましたような、局長の方からはまだなかなか掌握できてないというお話ですが、すべての、これまでわかっているわけですから、各国が投棄したものについて全部白書に出てくるようなリストを出させて、そしてそれを国際的に監視していく。それから、約三百隻の原子力艦船についても、その一隻一隻が廃船になったものはどうなっているのかと全部追跡して、この点では今地球環境や人類の安全を守っていくという点で大きな取り組みをしていく。その中で、ロンドン条約会議に当たっても、大来外相はもう十三年前にこれは検討しなければいけないということも提起されたことですから、これをいわばチャンスとして政府を挙げて本格的に取り組んでいただきたい、このことを私は申し上げて、最後の質問に入っていきたいと思います。  外務省の方、何か会議があるので先にというお話ですから、私も大分段取りが狂ってきたのですが、まあどうぞ帰ってください。  それで、日本海の方で、例えば富山県の漁連の専務理事は、我が党の県会議員が申し入れを行ったときに、問題がばかでかくてそら恐ろしい、物が言えない恐怖感がある、今後長期にわたることで大変深刻な問題だ、汚染されている魚というダーティーイメージが一番怖いと。本当に深刻なお話です。それで、この点についてはさきの日沿連の要望書も、海洋投棄の中止とともに日本海海域等への放射性廃棄物の海洋投棄に関する詳細な情報を入手して公表することとか、日本海海域における海水、海底土、海洋生物の放射能の影響調査、評価を実施すること、こういうことを訴えております。  そこで、科学技術庁の方は十八日から緊急の海洋調査に出航したとか伺っておりますが、大体どういう日程、どういう体制、そして予算に基づくものなのか、調査対象の海域はどこなのか、これは事前に政府を通じて強力な申し入れもやって、経済海域というふうなことでの妨害をさせないでちゃんとそこへ入ってやれるのかどうか。そして、さらには調査目的にふさわしい体制、観測、検出機器、装備をこの際予算も組んで、ロシアを初め関係国との共同調査とか継続調査がきっちりやれるような総合的な取り組みが今必要だと思うのです。これらについての具体的な取り組みを最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  232. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  これらの相談は、科学技術庁が事務局をやっております放射能対策本部幹事会でやっております。現在、海上保安庁は四月十八日から四月三十日まで、表層水七地点、深層水七地点、一番深いところは三千六百メートルの水をとるということでございます。また、海底土につきましても七地点でとるということでございます。  気象庁は、五月上旬から五月下旬まで、表層水を六地点、深層水を四地点で、最深は三千メートルの深さの水をとるというふうなことでございます。  水産庁は、四月十八日から四月二十七日まで、また四月以降にも計画されておるようでございますが、まず八地点の海底土をとるということでございます。それから、四月以降は日本海産の八つの魚種について調査をされるということでございます。  科学技術庁は、海洋科学技術センター「なつしま」を使いまして、放射線医学総合研究所が四月二十九日から五月六日まで二点におきまして、最深約二千九百メートルの深層水をとるということでございます。また、科学技術庁の放射線医学総合研究所は沿岸、山陰沖ですとか新潟沖あるいは青森沖の三地点で魚介類、海草類を数種類とってチェックする、こういったことでとりあえず、(吉井(英)委員「いずれも経済水域外ですね」と呼ぶ)これはロシアの経済水域外でございます。
  233. 吉井英勝

    吉井(英)委員 だから、内もやれるように、その取り組みを今回ぜひやっていただきたい。
  234. 佐竹宏文

    ○佐竹政府委員 はい。そして、できるだけ漁民の方に不用な心配を与えないように努力していきたいと思います。
  235. 吉井英勝

    吉井(英)委員 では、終わります。
  236. 村井仁

    ○村井委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時四分散会