○斉藤(節)
委員 民間もかなり頑張っているところがあるようでありますので、その辺、
民間の方にも
援助してもらいたいものだな、そんなふうに思うわけでございます。
では次に、
答申の中の「
研究者の流動化の促進」の項で述べておりますけれ
ども、「
大学院と国立試験
研究機関等との間の流動化にも資するため、国立試験
研究機関等と連携した
研究指導等による
大学院教育の
推進を図る。」このようにありますけれ
ども、私は、
大学院教育は大変重要だなと思っている者の一人でございます。最近ようやく
大学院教育も
充実してきたように見受けられますけれ
ども、それでも教授のお手伝いだったり、あるいは学部学生の実験助手的なことをやっていたり、そんなようなことで、まだまだこれからではないかという点も見受けられるわけでございます。
また、もう御案内だと思いますけれ
ども、最近の新聞に大変残念な記事が出たわけでございます。ここにありますけれ
ども、これは一月三十日の朝日新聞でございます。「泣いてます「博士」の肩書」ということなんですが、「
企業は「博士」が「修士」に比べてとくに優秀とは思っていないため優遇せず、学生は、博士の肩書は実
社会ではむしろ損だと考えている」、こんなようなことを書いているわけでございます。これはどこでやりましたかと申しますと、
科学技術政策研の
調査なんです。したがって、
大学院のドクターコースに行くことは損だというふうに考えているということなんです。
それから、同じ一月三十日の日経でございますけれ
ども、これは「博士、
企業の
期待とズレ」というようなことで出ておりまして、
企業側からいいますと、「
企業から
期待を担う博士だが、
産業界の
期待にこたえているとはいえない。
民間研究所長の四七%は「人材は不十分」とみている。
企業の目からみると、トップの人材が博士課程に進学しておらず、狭い
分野には強くても
企業で必要とする
研究の統合力に欠く人が多い」、このように見ているというのですね。これは注目点だと私は思うのですね。つまり、「狭い
分野には強くても
企業で必要とする
研究の統合力に欠く人が多い」、こう言っているのですね。
それから、
大学側の方でありますけれ
ども、「必ずしも最優秀な人材が博士課程に進んでいない実情は、
大学側(工学部系)にも
指摘する声がある。
大学院の
予算が乏しいため、博士課程の学生が教授のアシスタントとして学部学生の教育や雑用に追われることが多く、
研究に十分な時間を割けない。」このようなことになっているわけでございます。「また博士課程を終えても教授になれる人数は少なくこれはもう定員制がありますから仕方ないわけでありますけれ
ども、「就職後に修士修了者と比べて賃金面で特に優遇されることもないため、優秀な学生が博士課程に進むインセンティブがない」、このような現実だというのです。「現在の博士課程は
大学の教官育成を目的にしており、
産業界がどんな人材を望んでいるかあまり考えていない。
企業側もこれまで博士養成に無関心すぎた」、こんなようなことを書いているわけでございます。
そこで、この「報告書では、
大学への
研究助成増額とともに①博士課程を対象にした奨学金の
充実②博士課程の学費を二正期間免除③教授が
企業で通用する博士像を描いて教育指導をする④博士課程にあこがれをもたせるようなシンボルタワーを
建設する」。今考えてみますと、どこの
大学を見ましても、これが
大学院だという建物がないですね。シンボルタワーがないですよ。そういう点で、やはり
大学も学部も
大学院も全く同じにしか見えませんし、
大学院がどこにあるのかわからぬというようなことで、希望も失われるかもしれないですね。
こういったことなど、「
制度面の「ハード」と
大学院生の待遇改善、養成プログラム作りなど「ソフト」の両面から博士課程の魅力作り策を提言している。」こういうわけでございます。「
基礎研究の活発な米国と比較すると、
年間百人以上の博士を育成する
大学数(理、工学)は米国が四十七校に対し
日本はわずか三校と少ない。博士課程修了後に
民間に就職する割合は、米国で四五%に達しているのに対し
日本は三八%にとどまり、
産業界が博士を活用する点では米国が先んじている。」確かに
アメリカは、特にドクターを持っている者と持っていない者の差がかなりありまして、そういう点ではやはり優遇されている、そんなふうに思うわけでございますけれ
ども、
日本の場合は、ドクターがあってもなくても余り関係ないような
状況にあるのではないかなと私は思うわけです。
そこで、
大学院の博士課程を修了して博士号を取得したいわゆる課程博士ですね、論文博士と課程博士がありますけれ
ども、課程博士については、一応
研究者として
研究していけるという資格と考えた方がよいというふうに思うわけです。したがいまして、もう完成された
研究者というのではないというようなことだと思うわけでありまして、
大学院学生の
生活面も考えた待遇を大いに改善することは大事だと私は思いますが、
アメリカのように
我が国にもポストドクの
制度はありますけれ
ども、これをもっと
充実さしていくべきであるというふうに考えるわけです。それには、特に
生活費も十分支給され、しかも伸び伸びと自由な発想のもとで
研究できる、そのような
制度をぜひつくっていくべきであろうというふうに考えているわけでありますけれ
ども、御答弁願いたいと思うわけでございます。