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1993-03-02 第126回国会 衆議院 科学技術委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月二日(火曜日)     午前九時五十四分開議 出席委員   委員長 小澤  潔君    理事 光武  顕君 理事 宮路 和明君    理事 村井  仁君 理事 森  英介君    理事 山本 有二君 理事 川島  實君    理事 関  晴正君 理事 近江巳記夫君      小宮山重四郎君    古賀  誠君       佐藤 敬夫君    塚原 俊平君       中谷  元君    簗瀬  進君       秋葉 忠利君    新盛 辰雄君       竹内  猛君    斉藤  節君       吉井 英勝君    菅原喜重郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長 中島  衛君         官)  出席政府委員         科学技術政務次 渡海紀三朗君         官         科学技術庁長官 井田 勝久君         官房長         科学技術庁長官 笹谷  勇君         官房審議官         科学技術庁長官 興  直孝君         官房会計課長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術政策局長         科学技術庁科学 島  弘志君         技術振興局長         科学技術庁研究 石井 敏弘君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         科学技術庁原子 佐竹 宏文君         力安全局長         科学技術庁原子 工藤 尚武君         力安全局次長  委員外出席者         科学技術庁科学         技術振興局研究 今村  努君         交流課長         文部省学術国際 長谷川正明君         局学術課長         文部省学術国際 高  為重君         局研究機関課長         工業技術院総務 上杉 勝之君         部研究業務課長         工業技術院総務 青木 信也君         部技術振興課長         科学技術委員会 松尾 光芳君         調査室長     ————————————— 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   今井  勇君     中谷  元君   小沢 一郎君     井奥 貞雄君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     小沢 一郎君   中谷  元君     今井  勇岩     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  新技術事業団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)      ————◇—————
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出新技術事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本案審査のため、本日、参考人として新技術事業団理事長赤羽信久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小澤潔

    小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 小澤潔

    小澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
  5. 秋葉忠利

    秋葉委員 先日の川島委員質問に継続する形で、何点かについて質問をしたいと思います。  それに先立って、先日、二十二日だったと思いますが、私、科学技術政策全体について質問をいたしました。その中で、例えば個々の政策について優先順位をつけるといったような形で、科学技術政策の全体像がわかるような形で、きちんと科学技術庁として、あるいは政府としての政策提示が必要ではないか、そういったことが前提になって政策議論がきちんと行われるのではないかといったような問題提起をいたしました。一例としてその中で挙げたのは、エネルギー政策に関して、原子力対新エネルギー、その研究については、例えば現行が十対一ぐらいであるのだったらそれを十対三ぐらいの予算配分にしようというような、前向きといいますか、青写真を描くような形での政策提示が必要ではないかという提言をいたしました。  それに関連して、原子力というのは一つの例ですから、これは政策の全体像、そういった観点から申し上げたわけですが、その後森英介委員が私の発言に言及して、さらにこれを発展させるといったような形で質問をされました。森委員にまずそのことに感謝をしたいと思いますし、同じような形で、つまり政策の中身についての議論がこの委員会できちんとできる、そういった本当に実のある委員会審議にぜひこの委員会をしていきたい、そのことについて委員長のリーダーシップを初め理事皆さん方の御努力、これまでもあったと思いますが、なお一層のそういった方向へのイニシアチブを発揮してくださることをお願いしたいと思います。  実は、森委員と私と同じような考え方、例えば政策についての優先順位等同じようなことをたまたま考えていたわけですが、なぜそういったことが大事だというふうに考えているのか、私なりにちょっと振り返ってみたのです。森委員と私との間に共通しているのは、現場の感覚ではないかと思います。森委員工学部出身ですし、現場研究者として具体的に科学技術研究に当たってきた。私も、大学の中ですけれども、教育と研究というところで現場の声というものを知っている。その現場の声を反映させたというような形ではないかというふうに思います。  実は、その科学技術政策に関連して、こういった現場の声もありますし、あるいは先日ここで議論いたしましたように、私たち委員会の中の委員の声もあるわけです。それから質問主意書といったような形で国会議員からの、あるいは市民からの声が出てくる。そのほかにも、例えば総務庁が出している科学技術に関する行政監察結果に基づく勧告などというのもありますし、あるいはさまざまな調査、それからマスコミを通しての主権者たる国民あるいは市民からの声、そういったものもありますし、各党の部会における議論、そういったさまざまな声が出てきている。それが科学技術の場合には当然科学技術政策に何らかの形で反映されることが望ましいと思いますけれども、なかなか私たち考えているほど、例えばここで新米国会議員として私たちが当選して初めて考え たことは、国会議員という立場になったのだから、有権者の声をかなり正確に、しかも直接国の政策の中に反映することができるんじゃないか、そういった形での期待を抱きました。残念ながら、この委員会審議の中でもなかなかそういった形になりませんし、国の政策全体についてもちろんそういったことになかなかならない。  そういった現実はわかるのですが、同時に専科学技術政策に関しては、科学技術庁としては、こういったさまざまなインプットというのがあるわけですが、こういったものをどういうふうに考えていらっしゃるのか。つまり、すべての意見をそのまま政策に取り入れるということは不可能です。矛盾した意見も当然あるわけですから。その中で当然取捨選択をしなくてはならない。その取捨選択をする際に、一体どういう考え取捨選択をしているのか。例えば受け付け順にやる。最初に聞いたものからどんどんやっていって、そのうちに時間がなくなったらもう後はだめというやり方ももちろんあるわけですし、あるいは優先順位というのが一応あって、その上で、政策優先順位に従ってさまざまな意見を聞いていくということもあるかもしれません。あるいは力のある人の声はよく聞くけれども、力のない人間の声は無視するといったやり方があるかもしれません。あるいはそれ以外の基準があって、例えばその発言内容のメリットに従って、事実に基づいた発言、あるいはきちんと理由が述べられて説得力のある内容意見といったものには重きを置くけれども、ただ単に感情的な意見であるとかあるいは事実と反するような意見、そういったものは無視をするというような考え方もあると思います。  いろいろな可能性があって、今申し上げた以外にも、こういった科学技術庁の外から、そしてもうちょっと広く言えば、科学技術庁の中からのさまざまなインプット、それを政策形成過程科学技術政策を形成しそれを運用するプロセスにおいてどういうふうに生かしているのか、その基本的な考え方というところをまず伺いたいと思います。
  6. 長田英機

    長田政府委員 科学技術政策立案につきましては、先生がおっしゃいましたように、各界意見を十分踏まえて立案をする必要があるのは言うまでもないことだと思います。こういう点から、私ども、これは各省庁も同じだと思いますけれども、いろいろな日常の行政活動においていろいろな情報収集に努めているわけでございまして、今先生お話にありました党の意見あるいはマスコミ意見、あるいは行政監察あるいは民間におけるいろいろな団体等意見、そういうものも踏まえて情報把握をしているわけでございます。  こういう情報把握をしておりまして、これを具体的行政あるいは政策に結びつけていくというふうに考えます場合、再三議論がございましたように科学技術会議の答申とかいろいろな計画とか、そういうものを一つ頭に置きまして、こういうものの枠にはもちろん入っていなきゃいけませんが、そういう枠のもとにおいて、具体的な問題についての政策的な重要性とかあるいは現在の研究体制がどうなっているかとか、あるいは技術レベルとか資金の規模とか、そういう問題からどの程度で実現をするんだろうか。あるいは私どもが、行政官必ずしも専門家じゃない場合には、関係者意見を伺うというようなことをやりまして、どこに重点を置くのかということでございますが、一言で申しまして、非常に総合的な観点から行政判断をいたしまして、役所やり方からいいますと、予算要求をしたりあるいは具体的な行政上の措置をとったり、そういうことをしております。  例えば科学技術庁の一例で申しますと、大体年が明けますと、役所の内部でチームをつくって議論を始めます。そしてその議論におきましては、いろいろな各界情報を持ち寄りまして、次の、来年度はどういう政策をやろうかという議論を始めます。そして、結果的には八月の末に予算要求をするわけでございますから、約半年ぐらいの間非常に練りに練った議論をして、その結果予算要求として出てくる。ということで私どもは、関係方面情報等をよく踏まえながら、適切な行政判断をやっていくように努力をしているところであります。
  7. 秋葉忠利

    秋葉委員 一般論としては大変よくわかるんですけれども、まあ抽象的に今のお答えですと、どういうことをやっていても今のお答えの範疇の中に入ってしまう、そういう気がいたします。やはり重点をどこに置くのか、どこに焦点を置くのかということがある程度はっきりしないと政策そのものが見えてこない、そういううらみがあると思います。  特に私が感じておりますのは、例えばこういった法案審議の場合ですけれども、こういう表現をしていいのかどうか疑問に思いますけれども、極端なことを言ってしまえば、法案さえ通れば後は野となれ山となれ、その法案を通すためにある程度の妥協はするけれども、その後のフォローはしない、通ってしまえばこっちのものだ。まさかそんなことはお考えになってはいないと思いますけれども、事実としてそう考えられてもしょうがないような、そのフォローのされ方があるんじゃないか、そんな気がいたします。  そういった点について、実はもう少し具体的な例を引いて申し上げたいのですけれども、なぜそういったことを申し上げるかといいますと、委員会の時間というのは非常に貴重ですし、やはり本質的な議論をしたい。それは行政官庁として建前以上のことがなかなか出にくいということがあるかもしれませんけれども、しかしながら本当に実のある議論をするためには、委員会あり方も含めて、さらには科学技術庁あり方も含めて、抜本的な見直しをする必要があるのじゃないか、そういう観点から申し上げているつもりです。  まず第一番目の例を申し上げますと、昨年、研究交流促進法というのが通りました。そのときに、少なくとも私が非常に大事な問題だと思って提起をした問題がございます。それで、それなりお答えをいただいたというふうに私は理解をしております。  その中で提起した幾つか重要問題がありますけれども、その一つは、知的所有権の問題です。研究交流促進法の中では、国とそれからそれ以外の研究者あるいは研究所が共同研究をする際に、その共同研究をする相手外国籍外国人の場合には、本来であれば国が当然所有すべき伝統になっている特許権を例外的に海外研究者に譲渡することができるというような一項がありました。それは海外研究者に対しては確かにすばらしい措置ではあるけれども相手日本民間企業あるいは研究者といった形の場合には、同じような特典がない。つまり、最終的には外国人外国企業優先政策になってしまっている。それは本来の形からいっておかしいのではないか。  さらに、より基本的なことを言えば、国が委託をして行った研究成果、それが特許法の精神である発明者特許権を得るという原則に反して、国が委託をすれば国がその特許権を保有するということになってしまっている。それも、やはり現状とは合わないのではないか。そういった問題提起をいたしました。問題提起をして、それはそもそも国の制度を変えることでもあるし、今まで長い間行われてきた慣行を変えることでもあるから、それは時間がかかるのはわかるけれども、何らかの見直しが必要だろうという形での私はフィードバックをいただいたつもりでおります。  それから約一年たったわけですけれども、今のお答えですと、六カ月間という期間は、十分に科学技術庁の中で政策議論するのに、その政策を練るに足る時間であるという内容のことを今長田局長はおっしゃったわけですけれども、一年というのはその二倍ですから、抜本的な問題であれともかく再検討をする、あるいは少なくともその努力を始めるということを昨年言われたわけですから、その後一体この知的所有権の問題について科学技術庁としてどういう問題提起を行い、例えば勉強会を始めたとかあるいは調査を行って、この問題の改善のためにどういった方向でどんなことをやってきたのか、その実績を伺いたいと思いま す。
  8. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 この問題は、国が委託費によってある意味では買い求めた研究成果、それは国有財産である、したがって国有財産管理一般ルールに従うべきである、こういう立場と、それから、委託ではあっても受託者等の貢献を評価をして受託者等に対して一定の権利を認めるべきであるという、そういう立場との兼ね合いといいましょうか、調整の問題でございます。  御案内のように、この件については昨年の研究交流法改正において、国際共同研究を促進する、あるいは海外とのハーモナイゼーションという観点から国際共同研究のみについて措置されたところでございますけれども、私どもは率直に言って、そもそもの問題に対して一歩進めた、こういう認識でおります。  ただ、当然のことながら、御指摘のようにその結果として国内研究者研究機関に対するものとの差が生じたということでございまして、これはその際の国会審議においても、それから先ほども言及がございましたが、行政監察という場においても取り上げられ、その是正措置が求められているということでございます。  私ども、これは先ほど申し上げましたように一歩進めたという立場といいましょうか認識をしておりまして、残された問題というのは引き続き非常に重い宿題だというふうに受けとめております。これは引き続き、研究交流促進連絡協議会といったような場もございまして、そういう幹事会等の場で重い宿題と受けとめましていろいろ検討、また理解を得ながら進めてまいりたい、こういうことでございまして、重い宿題と受けとめているということを申し上げさせていただきます。
  9. 秋葉忠利

    秋葉委員 それが重い問題であるという点については、昨年もそれは重い問題でしたし、一昨年も重い問題でした。昨年の研究交流促進法一部改正ですけれども、そこではその重い宿題のほんの一部が改善されたということが現実として起こりました。それはそれなりに評価できることだと思いますし、国際的な共同研究というのは確かに大事ですし、それによって障害の一部が除かれた、確かにいいことだと思います。  しかしながら、今のお答えではまるっきり答えになってないというのが事実です。その時点で既にこれは非常に大事な問題なんだから、もっと抜本的な再検討を始めるべきではないかということを申し上げているわけです。一年前です。今のお話ですと、半年という時間が一つの節目になっているような感じがいたしました。予算を計上するに当たっても、半年間十分に練りに練った政策予算の形で計上するのだということをおっしゃったわけですから、半年あればいかに重要な問題であっても、少なくともその一番最初の出だしぐらいは何とか考えられる期間だと私は思います。それが一年あるわけですから。昨年出た宿題をことしになってから重い宿題だと思いますと言われても、それは一年間何をやってきたかという答えにはならない。仮になるとすれば、一年間何もやってこなかったという答えと受け取るしかないと私は思いますけれども、そういうふうに解釈してもよろしいのでしょうか。  あるいは、そうではないという具体的な事実があるのであれば、私が二度同じ質問をする手間を省いて、一度目の質問のときに私は実績を伺っているわけですから、実績をきちんと答えていただきたい。なければないで、それはそれできちんと事実を報告すべきなのではないでしょうか。なければないで、それは事実として認めるし、一年間何もやらなかったことに対するある意味での責任はあるわけですけれども、じゃこれからどうしましょうというふうに事実をもとにして議論ができると思います。しかしながら、何もやってこなかったことをあたかもやって、宿題をうちに忘れてきた、これからとりに行きますというのは小学生がよく使う手ですけれども、そういうことを言われたのでは全く議論ができない。議論を始めるために、事実として本当に実績があったのかどうか、きちんとお答えいただきたいと思います。
  10. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 率直に申し上げまして、研究交流法上のいろいろな論点というのがあるわけでございまして、これもその重要な一つでございますけれども、それ以外にもいろいろございます。それはずっと我々の脳裏を去らない点でございまして、やはり我々の立場からすれば、実態的な問題、それから理論武装というものも固めてまいってそれなりの交渉を始めなければいかぬ。そういう論点であるということはずっと承知をし、そういうふうに常に考え続けているわけでございまして、そういう意味ではもうずっと検討し続けているというふうに申し上げた方がよかろうかと思っております。  ただ、率直に申し上げて、研究交流法上の改正というのも、それまで長い期間をかけていろいろな論点を詰めに詰めて、制度官庁側ともいろいろな折衝をして、その結果一歩前進のものもあるし積み残したものもあるし、あるいは運用で処理できるものもあるというような形のものを昨年の時期に御提出をして御審議いただいたと、こういう経緯になっているわけでございまして、そこで積み残された問題というのは、私どもとしては、繰り返すようですけれども、重い宿題と受けとめて、宿題は今初めて宿題と思って慌てて勉強しようということではなくて、ずっと思い続けて、そのためには実態面からの説明、理論武装というのもしなければいかぬ。率直に言いまして、積み残された問題になればなるほど壁が高くなってくるわけでございまして、それなりのことを考えなければなかなかブレークスルーはできないというものが多うございます。そういう意味で、常日ごろ考えておると、こういうことでございます。どうか御理解をいただきたいと思います。
  11. 秋葉忠利

    秋葉委員 常日ごろ考えているとおっしゃっていますけれども、それでは常日ごろ考えている問題を全部列挙してください、科学技術政策上の問題。一日一人が持っている時間は二十四時間です。一年三百六十五日、寝る間もずっと考えていたとしても有限の時間です。その間ですべてのことを同時進行的に考えるなんてことは不可能です。聖徳太子だって、そんなことはできない。だから、やはり意識的に時間を区切って、人手をきちんと配置をして金をつけて、重要な政策に関しては時間をとって対応するということが行われてきているわけじゃないですか。ずっと考えているというのは、まるっきり答えになりません。少なくともこの委員会ではなっても、例えば小学校で先生宿題を出して、これはあしたまでにやってくるんですよ。そのあしたになって子供が、先年その宿題はとっても大事だと思います、私はずっと宿題のことを考えていました。いい子だ、いい子だとは言ってくれません。宿題というものはそういうものだと思います。ですから、この問題については何もやってこなかったというふうに解釈してよろしいですね。  もしそうでないんだったら、例えば次のようなことをもっと具体的に幾つかの点を挙げて質問しますからお答えください。  例えば特許権に関して、あるいは知的所有権に関しての昨年の法案審議以後、これは六月ですけれども総務庁行政監察に基づく勧告が出た後、科学技術庁としては、庁内のきちんとした勉強会といったような組織をつくって、勉強会ではなくてもいいですけれども、そういった組織をつくって、この問題の洗い直しのための基本的な方針を策定しよう、そういった努力を行いましたか。行いませんでしたか。
  12. 長田英機

    長田政府委員 特許権ハーモナイゼーションの件だというふうに考えますが、特許権あり方につきまして、昨年の法案附帯決議あり方検討しろということになりまして、私どもは、政策局としましてはそのとき以降すっと、いわゆる特許権の問題について、ガットあるいはWIPO、そういうところで議論がされておりまして、そういう状況をよくフォローしながら対応しているところでございます。こういう国際機関におきましていろいろ特許制度統一化の問題というのが議論されて、結論もだんだん出つつありますもので すから、それを見守りながら対応している、そういうことでございます。
  13. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みません。ハーモナイゼーションの問題というのは国際的な問題で、通常ハーモナイゼーション、そもそも英語が使われているというのはこれが国際的な問題だからで、バーモナイセLションというふうに言った場合には、端的に言ってしまえば、アメリカ式の先発明主義とそれから欧州や日本でとっている先願主義との間の問題点、それを国際的にどう解決していくかという問題がハーモナイゼーションの問題だというふうに私は理解しています。それも問題です。  ですから、それについても第二弾で私は質問するつもりでしたけれども、今問題になっているのは、国とそれから民間との間の委託関係において特許権がどちらに所属するかという基本的な問題です。国内の問題です。国内の問題について勉強会をしたのかしないのかということを聞いたのに、国際的に議論をしている全く別の問題について慎重に考慮していますみたいなことが何で出てくるんですか。まるっきりとんちんかんじゃないですか。  だから、私としては、科学技術庁は昨年この委員会において特許権の問題については再検討をすると言ったにもかかわらず、何もしてこなかったと断定せざるを得ない。今のお答えでは全く、勉強したのか、勉強会を一度でも開いたのか。私は、この問題についての最終的な解決策勉強会だとは思いません。しかしながら、少なくとも勉強会ぐらい開いて問題の現状把握を行うというぐらいはやっていても、一年間もあるんですから、しかもこういう公式の場できちんと約束をしているわけですから、そのくらいやったって罰は当たらないと思います。それもやっていないということじゃないですか。それはやはりゆゆしき問題だと思います。  ということは、今回の法案についても全く同じことが当てはまる。これからの委員会審議すべてに同じことが当てはまるんです。我々が幾ら真剣にここで議論をして問題提起を行って附帯決議をつけても、少数党である限り、野党である限り、我々の提言、我々の発言というものは結局法案が通ってしまえば一顧だにされない。そんな状態でまじめに議論ができますか。そういうことがあるからこそ、例えば野党としては、法案を通さないというようなことを言ってだだをこねてみたりあるいは審議をストップするというような、そういった手段をとらざるを得ないわけじゃないですか。まじめに議論をしてくれて、まじめな問題について、しかもそちらが合意をした問題については、きちんとした責任を果たしてもらえれば議論が前に進むじゃないですか。じゃ、特許法はどうするんだという議論ができるじゃありませんか。今みたいな態度だったら、そういった議論まるっきりできない。こちらは、なぜ我々が提言をしそちらが約束をしたことが尊重されないのかということで、これまた今もう既に、三十分にはなりませんけれどもかなりの時間を費やしてしまっている。こんなくだらない問題になぜいつまでもかかわっていなくてはいけないのか。そうなると、今後の法案審議やり方というのを我々も考え直さざるを得ない。そういう意味で今申し上げています。  この問題については、結論は非常にはっきりとしていますから、これ以上追うことはやめますけれども、もう一点。  特許権の問題については、今も島局長の方から言及されましたように、行政監察結果に基づく勧告にもはっきりと出ていることです。しかも、一カ所ではありません。二カ所にわたって出ている。その二カ所にわたって言及されている特許権についての総務庁行政勧告、相矛盾する点があるわけですけれども、その矛盾点について総務庁とどのような話し合いを科学技術庁はされましたか。科学技術政策の全体について、いわば調整役を行わなくてはいけない、そういうふうに私は科学技術庁の任務を理解していますけれども、その矛盾点についてどういうふうに総務庁と話し合い、どういった形でこれを解決しようとしているのか、その点を伺いたいと思います。
  14. 今村努

    ○今村説明員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の点は、行政監察の中で、大学における特許の取り扱いの問題とそれから国立試験研究機関等における研究成果、あるいは国の委託研究成果としての特許の帰属の問題との間に若干のアンバランスがあるんじゃないかという御指摘かと思いますが、私どもといたしましては大学の問題については特に関与いたしておりませんので、国の委託研究における特許の問題につきまして、先ほど局長が答弁申し上げましたように、この問題の指摘を受けとめて目下検討中であるということを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  15. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は今の問題に関しては、非常に模範解答というのが存在するわけですけれども、その模範解答を申し上げますと、確かに二つの相矛盾する勧告は出ているけれども、どちらについても何もやっていないから、矛盾があってもなくても同じことだというのが模範解答として非常に説得力のある解答ができるのですけれども。  皮肉はさておいて、わかりました。今のお答え、一応行政官庁の管轄というところからはそのとおりだと思いますけれども、しかしながら総務庁行政監察で言及しているのは、一方においては先ほど私が申し上げてきた国の特許権の問題、これは国立大学も含む原理原則としての話です。ですから、片方は国の委託で片方は国立大学だから、領域が全然違うから相矛盾しないという答えでは納得がいきません。具体的にここで国立大学の研究に関して総務庁が言及している点についても、これは形の上では国が委託研究を行ったという形でしか契約が行えないようなケースも含まれています。ですから、今のお答えだけでは私は十分ではないと思いますけれども、少なくともやはり特許の問題についてきちんと再検討するということを昨年の初めに言われた。その後にこのような、内容において同一方向ではあるけれども相矛盾するような勧告総務庁から出てきている。それに対してやはり何らの手も打っていない。少なくとも六カ月たって何の手も打っていないというのは、これは行政官庁として怠慢と言われてもしょうがないんじゃないですか。  この問題についてはこれ以上お答えをいただいても同じことだと思いますので、今のお答えに基づいて、やはり特許の問題について大方針の転換ということが必要であるかどうかも含めて、私は必要だと思います。しかしながら、百歩譲って必要であるかどうかということも含めて、さらには国際的な特許権についての考え方の変化ということも踏まえた上で、特許庁その他と協議をした上できちんとした対応をしていただきたいというふうに思います。  それでは、もう一つ例を取り上げたいと思いますけれども、これはやはり同じようにさまざまな形でのインプット科学技術庁に届いているはずだけれども、それが科学技術庁政策にどういうふうに反映されているのかあるいはいないのかという例として、もう一つここで挙げたいと思います。  それは、先日我が党の竹内議員も言及した問題ですけれども、「筑波研究学園都市研究機関等職員の意識調査結果報告書」というのが出ています。この報告書、筑波において研究をしている非常に多くの研究者、国立の機関だけではなくて公立あるいは民間研究所等も含んでいるわけですけれども、この研究所において一体どういう研究環境あるいは日常生活の環境があるのかということを、自分たちの間の小さなグループをつくって調査をした結果ということだと思います。これが出たのは、昨年の十月に報告書が出ているわけですけれども、まずこの意識調査結果をどういうふうにとらえているのか、この結果をこれまでの間とう科学技術政策の中に活用してきたのか、あるいはこれからどう活用しようとしているのか、その点を伺いたいと思います。
  16. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 先生の御指摘は、筑波研究学 園都市研究機関等連絡協議会に置かれました精神衛生対策専門委員会意識調査報告書のことだろうと受けとめさせていただきます。この調査は、いろいろなことを調査しておりますけれども、ポイントは研究者の心の健康といいましょうか、そういう点に焦点を当てたものだというふうに受けとめております。私どもとしては、学園都市という大変ユニークなそういう職住空間の中で勤務し、生活をする研究者、そういう人たちの心の健康という点に焦点を当てた調査としては、大変貴重なものだというふうに受けとめております。それから、取りまとめをいただいた委員長の方が所感の中でも述べておられますけれども、大変重たい課題だなというふうに受けとめております。  実は、筑研協と略して言っておりますが、この筑研協の実質的な事務局は、私ども振興局が筑波で研究交流のお手伝いをするということで研究交流センターという出先を持っておりますが、そこが実質的な事務局を務めておりまして、そういう意味ではいわば仲間のやった調査ということでもあるわけでございまして、そういう意味で、この調査結果というものをそれぞれの研究機関の運営に十分取り入れていただく、配慮していただくということを念じて、研究機関の運営者等に周知徹底を図るといったようなことをやってまいりました。それからまた、こういう心の健康という専門家の方の講演会を開きまして、皆さんに参加をしていただいて取り組んでいただく、こういうようなアレンジ、お世話もしております。  さらに、何を私どもなすべきか、それからあるいは何ができるかということについては、検討させていただきたいというふうに思っております。もちろん、研究者の処遇の改善でございますとか、それから研究環境を活性化していい成果を出していただくというようなことでは、今までさまざまなお手伝いを私どもしております。そういったことは、多分心の健康という観点から言うと、プラス・マイナス両方に作用するというようなこともあるわけでございまして、少なくとも率直に言って、私ども研究者の心の健康という点に焦点を当てた取り組みというのはやってまいりませんでした。  ということで、地域の行政専門家の方、あるいはこういった分野の専門家の方々、あるいは研究機関の運営の責任に当たっておられる方々の御意見も十分ちょうだいしながら、私どもは一体どういうお手伝いができるか、何をなすべきか、あるいは何ができるかということについて検討してまいりたい、このように思っております。
  17. 秋葉忠利

    秋葉委員 この意識調査ですけれども、これは実は第二回目ですね。第一回目が行われたのが一九八七年だと思います。昭和六十二年。昭和六十三年、一九八八年にはその報告書が出ています。私は、その一回目の調査の報告は見ていませんけれども、二回目の調査でそれに対して言及しているところを見ますと、問題の本質はそれほど変わっていないということは言えると思います。幾分かの点について改善が見られる、それから幾つかの点についてはちょっと前より悪くなったかなというようなところもあるけれども、全体としては方向が変わらないということだと思います。  そうしますと、少なくともこの問題について、精神衛生の問題あるいはそれ以前の問題としての研究者の生活環境の問題、特に世界に誇る筑波と言われているわけですけれども、その筑波における生活環境の問題というのは、この五、六年の間、少なくとも問題があるということを認識していた人たちはいたわけです。それを科学技術庁としてはどういうふうに今まで把握し、それに関してどのような行動をとられてきたのか。今回の調査まで、そういったことについては、精神衛生の問題についてはとても手が回らないという状態だったのか。あるいはその存在そのもの、こういった調査そのものについての取り扱いのレベルが低くて、責任のある立場の方々の目には触れていなかったのか。いろいろな可能性があると思いますけれども、この五年間、第一回目の調査以降どのような取り組みをされてきたのか、されてこなかったのか、どういうふうに問題を把握されてきたのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  18. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 先ほども申し上げましたけれども研究者の心の健康という点に焦点を当てた取り組みというのは今までやっておらなかったと思います。ただ、御指摘のように、この二度の調査でよくなった点もあるけれども悪くなった点もあり、基本的にはどうも不変であるということで、この地域の抱える構造的な問題というふうに認識してよろしいかというふうに私個人は思っております。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、何をなすべきか、何ができるかということについて、それぞれの関係の方々の御意見もちょうだいしながら、真剣に、まじめに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  19. 秋葉忠利

    秋葉委員 ということは、第一回の調査結果も、それから今回の第二回目の調査結果も、科学技術庁の責任ある立場におられる方が目にしていないというふうに考えてよろしいですね。というのは、実は非常に簡単な問題提起をしたいと思うのですが、精神衛生の問題というと非常に難しい問題、レベルの高い問題、そういった印象を私たちどうしても持ってしまうわけですけれども、そのこと自体一つ問題だとは思いますが、この調査結果を見ると、精神衛生と言うのも恥ずかしいような問題がはっきりとわかるのです。そういった問題にはすぐ手をつけることができる問題だというふうに私は同時に思いました。  そういった問題があるからこそ、今ここでこの調査について言及しているわけですけれども調査結果をごらんになったことがない。そして筑波学園都市についての非常に基本的な、初歩的など言ったらいいのでしょうか、そういった問題についても余り認識を持たれていないというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  20. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 今回の調査結果については、私自身目を通しております。  それから、お答えになっているかどうかあれでございますが、先ほど申し上げましたように、例えば研究環境の整備とかあるいは研究者の処遇改善といったようなことについては、私どもそれなりの取り組みをしてきたというふうに思っております。ただ、それが心の健康という点になりますと、プラス・マイナス両様の作用をするであろうというふうにも思われますし、心の健康という点だけに着目した取り組みは、申しわけないのですけれども、今まで取り組んではこなかった。その点について今後検討を深めたい、こういうふうに申し上げている次第でございます。
  21. 秋葉忠利

    秋葉委員 恐らく生のデータといいますか、それはごらんになっていないのじゃないかと思います。見た、見ないというところが問題ではなくて、非難をする、見てないからけしからぬということではなくて、問題を認識していただくことが中心ですので申し上げたいのですが、実は私もこの問題については専門家ではありません。  しかしながら、この意識調査の結果を見ると、非常に驚くべき結果が出ているのです。グラフまで一緒に添えてあるわけですけれども、この意識調査の中で、ほとんどの問題はグラフにすると波形になって多かったり少なかったりするのですけれども、突出している点が幾つかあるのです。それはすごく目立ちます。それを見たら何が問題かというのは一目瞭然だと思うのです。それは少なくともこの調査を見る限り、項目で言いますと大体三つぐらいのことが非常にはっきりとあらわれている。それははっきり言って、精神衛生の問題ではありません。  一つは、こういうことです。非常に多い。これはほとんど九〇%近い人、八五%ぐらいの人が答えているわけですけれども、「映画等催し物に出かけることは少ない」というところに八五%の人が答えている。これは物すごく多い数だと思います。それから、これは九〇%の人が答えているのですが、「家庭でパーティをすることは少ない」。それから、もうちょっと減りますが八五%ぐらい、「近所の人同士の集まりに参加することは少ない」。 つまり、人とのつき合いがないし、映画なんという簡単な気晴らしもほとんどないということです。  それから、もう一つ。これに対する答えはここにいらっしゃる皆さんはほとんどお持ちだと思います。こにいらっしゃる皆さんも、ほとんど映画なんか見る時間がない、その時間徹夜で仕事をしていらっしゃる方というのはたくさんいらっしゃると思うので、仕事に生きがいを感じているのかというのを見ますと、「仕事に夢中になることはあまり無い」「仕事や研究は順調でない」というのが七割ぐらいいるのです。だから、仕事もうまくいっていない、気晴らしも何にもない、隣近所とのつき合いもない。これは精神衛生以前の問題だと思います。これに関して、やはり何か手を打たなければいけないだろう。これはだれが見たって、こんな状態でいい研究ができるわけはないということは、この調査を見ればはっきりします。  その問題について具体的にデータを持っていらっしゃらないわけですから、見ていらっしゃらないわけですから、今までに考えてきたこともないと思いますけれども、これは少なくとも私の知っている限り、この意識調査だけではなくて、マスコミを通して、あるいは研究者がいろいろなところに書いているものを通して、外にも伝わってきていることです。こういった問題についてこれから何かやろうという気があるのか、あるいはこれまでにも十分手を打ってきたのか、その辺のところをぜひお願いしたいと思います。
  22. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 今御指摘の幾つかの点について、私どもがお手伝いできるとすれば、気晴らしとかつき合いというところではなくて、多分、まさに取り組んでおられる研究という仕事に充実感を持ってやっていただくという、そういう環境をつくるということで、その面でのお手伝いをすることだろうというふうに思います。その点では、今まで私どもなりにいろいろなお手伝いをしてまいったというふうに思っておりますけれども、もちろんそれが十分だとは思っておりません。今後も努力すべきことだろうと思っております。  それからもう一つ、これはこの中で触れられていたことだと思いますけれども、国立研究所の場合に、研究職の方よりもむしろ事務職の方々が生きがいかないというか、そういうような意味、たしか比率が高かったような記憶がございます。私も、研究機関の比較的そばで仕事をしておりました経験もあるものですから、その点はいろいろ痛感をしております。  ただ、この点については、それぞれの省庁によっては既にいろいろなイニシアチブがとられつつあるようなところもございまして、この問題もかなりというか、大変重要な問題ではなかろうかというふうに認識をいたしております。
  23. 秋葉忠利

    秋葉委員 そうですね。一、二カ所では確かに、研究者の方が仕事の不満という点では差が出ています。それはおっしゃるとおりだと思います。ただ、問題の本質は、だからといって変わるものではないというところは御理解いただきたいと思います。  これはもう一つ伺いたいのですけれども、これまた常識のレベルの考え方だと思いますが、こういうふうに精神衛生という形でくくってしまうと非常に難しくなる。だから、そこで何か改善をするよりは、それ以外の研究環境といったところで具体的に科学技術庁が何かやるべきだというふうにおっしゃっています。それはそれなりにわかるのですけれども、しかしながらやはり研究というのは人間があってできるわけですから、人間というのはそう簡単に、ここからここは仕事で、ここからここは仕事ではないというふうに分けられるものではありません。特に研究者の場合には、寝ても覚めても研究のことを考えているという人が非常に多いわけですから。  そういう点から伺いたいのですけれども、常識的に考えて、例えば筑波のような研究学園都市というものをつくって、そこに若い研究者をたくさん移住させるというようなことを行った場合に、だれしもが非常に考えなくてはいけない問題というのは幾つかあると思いますが、その中でも、だれが考えても幾つかの問題の中の一つに入るような問題が私はあると思うのですが、常識的に考えて、例えばどんなものがあるというふうにお考えになりますか。
  24. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 想定しておられるお答えともしかしたら違うかなと思いますが、若い人であれば、まさにさっきおっしゃったいろいろな、遊んだりあるいはショッピングをしたり、そういう施設というものが充実しているというのが特に最近の若者、自分たちの若者のころは余りそういうことに関心を持たなかったような面もあるのですけれども、大事なことではないかなというふうに思います。
  25. 秋葉忠利

    秋葉委員 実はだんだん年をとってくるとこういうこととは縁遠くなってきますから、私も同じカテゴリーに入るのですが、若い研究者の場合、しかも独身の研究者あるいは技術者が多い場合には、こういうことで一番問題になるのはやはり結婚の問題だと思います。あるいは男女の交際といいますか、セックスも含めてそういった問題ではないかというふうに思います。実はこの意識調査の中には、そういった問題が一つも触れられていない。それはやはり意識調査としてはおかしいんじゃないか。健康の問題について、体調がすぐれているかどうかなどということももちろん大事です。しかしながら、例えば結婚適齢期になって、結婚する相手が周りにいるのかどうか。あるいは仮にいたとしても、ああいう暗い研究者なんというのは嫌だというふうに周りの人がほとんど考えている。そういう状況だったら、やはりこれは環境としてはよくないということをおわかりいただけると思いますけれども、そういった問題があるということについてすらこの意識調査には上ってきていない。恐らくそのことは科学技術行政の中には考えられていない問題ではないか、そんな気がいたします。しかし、やはりそれは大事な問題ではないか。そういうふうに考えているのは、実は私だけではありません。  これはいつもお送りいただいていますが、「科学技術ジャーナル」という科学技術庁で発行しているジャーナルがあります。いつもきれいなカラー写真がたくさんあって、目には楽しいのですけれども内容はすばらしいときもあるし、それほどでもないときもありますが、たまたま最新号にこの問題について二つ関連するエッセーが出ていました。一つは、共同通信のつくば通信部の大島さんという、これは女性記者ですが、「科学技術のイメージアップと結婚難」ということで、まさにこの意識調査で当然出てくるべきであったようなことをその現場にいる記者の立場から非常に明確に書いています。さらに、なぜそういうことになるのかという長期的な、教育的な問題と関連して、これは科学技術政策研究所の遠藤さんという特別研究員が、「理工系は社交ベタで読み書き嫌いでいいのか」という、これも科学技術庁で行った理工科系志望の若い人たちの好き嫌いを調べた結果ですけれども、その分析結果を報告しています。  ですから、具体的にはやはりどこかで問題提起はされているのです。だけれども、その問題提起のされ方というのが、これはジャーナルが出たばかりですから、この結果を見てすぐということは無理ですからそのことを申し上げているわけじゃないのですが、これに限らず、いろいろな形で問題提起がされている。先ほどから申し上げているのは、この委員会発言する内容ももちろん考えていただきたい。だけれども、こういうさまざまな形で、いろいろなところで問題提起をされている事柄をやはり十分考えていただきたい。  ただし、そこで私が申し上げているのは、私は科学技術委員会委員だから、私の申し上げていることをまず優先して聞いて、ほかの人のことは聞かなくてもいいよということを申し上げているわけじゃないのです。限界があるわけですから、有限の時間の中でどうしてもこれはやらなくてはいけないということもあるし、あるいはこれはもうちょっと待っていてもいいかなという問題も恐 らくあるはずです。私が仮に問題提起をしても、それは優先度の高い問題ではないという判断はあり得るわけです。そんな問題まで私が言ったからということで、委員会発言を先に取り上げるということを言っているのじゃないのです。ただ、私が申し上げているのは、こういうふうに例えば「科学技術ジャーナル」に非常に大事な問題提起がある、この委員会でも同じように大事な問題提起がある、両方はどうしてもできない、そういう状況のときに、じゃ科学技術庁としては、政策として一体どういう基準でもってどれを選んでいるのですかということです。  ですから、さっきの特許権の問題にしても、私は大事な問題だと思っています。しかしながら、それ以上に今科学技術庁としてはどうしてもやらなくてはいけない問題があるんだ。例えば資源エネルギーの開発というのは物すごく大事なんだ、だからそのために全庁取り上げて一年間やりました、だから特許の問題は残念ながら先送りになったんだと、そういう説明はあり得ると思います。恐らくそういった説得力のある説明があれば、私は特許権の問題についても納得すると思います。しかしながら、今までの説明ではそういった方針が、大方針がない。科学技術政策についての全体像が描かれていない。その中ですべての発言について、いろいろな問題について、重い問題ですというふうに取り上げていますしょっちゅう考えています、そういう答えはある。しかしながら、現実一つ一つ伺ってみると、どの問題についてもほとんど何もやっていない。それでは日本科学技術が本当にこれから直面しなくてはいけない世界的な大問題に取り組めないのじゃないか、そういう危惧を覚えます。  これは、科学技術庁の問題だけではなくて、日本の政治全体の問題だと思いますけれども、ともかく日本の政治全体を変えるには、例えば科学技術庁の中でも、新しい方向で政治をやっていこうよという声が上がり、自民党の中でも社会党の中でも同じような声が上がり、あるいは大蔵省の中でも同じような声が上がって、全体として大きな世論ができ上がるときに、政治が新しい方向に向かうと思います。そういう意味で、私はこの場をかりてもこういう問題提起をしているわけです。  そこで、先日も伺いましたけれども科学技術庁としての政策の全体像、一体科学技術庁の主目的は何なのか、どういう方向日本科学技術をこれから引っ張っていこうとしているのか、二十一世紀に非常に重要な問題が山積しているけれども、そういった問題にどういうふうに取り組もうとしているのか、改めてこの問題について長官に伺いたいと思います。  それから、次官にも。政務次官は、これまではいわば科学技術委員として、我々の同僚として、こういった問題をこちらの側からいろいろと考えられ、質問もされ、政策立案にも携わってこられたわけですけれども、今度は科学技術庁の内側。立場が変わって、ではどうなんだ、事によったら我々の立場から見えないような科学技術政策についての全体像、その策定過程についての問題なんていうのをお感じになっているかもしれない。  そういった意味で、長官とそれから政務次官、お二人のこの問題についての基本的なところ、哲学といいますか、そのあたりを伺いたいと思います。
  26. 中島衛

    ○中島国務大臣 今、秋葉先生政府委員との論争を聞いておりまして、何を重点にするか、また優先順位をつけてどれからやるかというような非常に大事なお話し合いがありまして、いろいろ参考になりました。特許権の問題とか筑波学園都市の問題、これら具体的に御提案をいただきましたし、もう相当前からの懸案でありますから、きょう御指摘をいただきましたので、関係事務当局でもう少し具体的なお答えができるように検討させていただきたいと思います。  それから、昨年四月、科学技術政策大綱が閣議決定をされたわけですが、その大綱の中で、「地球と調和した人類の共存」、二番目に「知的ストックの拡大」、三番目に「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」という三つの目標を掲げて、積極的に科学技術政策を展開していくべきであるという答申をいただいております。そして、この三つの目標の実現のために、「人材の養成及び確保」、「研究開発投資の拡充」、「研究活動の活性化と創造性の発揮」、「国際的な科学技術活動の強化」等七つの重点的な施策が示されておりますし、重要分野の研究開発として三領域十六分野を挙げております。このような大綱の示すところに基づいて、関係省庁と連携を図りつつ、科学技術政策を積極的に推進してまいらなければならない、総合的にはそういうふうに考えております。  例えば平成五年度、科学技術庁はどういうことを重点的にやるのかというようなことを具体的に問われた場合に、我々がきちっと答えられるようなものをつくっておかなければいけないのではないかというように思っております。予算配分上で見れば原子力とか宇宙とかいうものが大きいのですが、原子力にしてみれば、今こういう時期にありますから、ある程度研究開発投資というものは必要になってきておると思いますし、宇宙もそうだと思いますが、予算の大きさだけではなくて、将来を見て、今こういうものを準備しておかなければならないというようなものは、予算は小さくても芽を出して研究を始めた、これは将来にとって必要だというようなものもあると思いますし、我々過去の継続もありますし、総合的に判断をしていかなければいかぬと思います。今、科学技術庁はこういう仕事をしておりますから、ひとついろいろな意味で御意見もいただきたいし、応援もしてくださいというようなはっきりしたものをきちっとあらわせるようにしていかないと、本当はいけないというように私は思っています。  少し庁内で、科学技術庁政策のPRもし、そして国民の皆さんの協力もいただくという意味で、ちょっと今秋葉先生お話を参考にしながら、新しいものをつくり上げてみたいなと思っているのが今の感じです。
  27. 渡海紀三朗

    ○渡海政府委員 大臣から今全体的な流れについてお答えがあったわけでありまして、私も役所の方の立場に現在立たせていただいておりますので、そういった意味では、さまざまな詳細にわたる問題というのは、むしろ外から見ていたときよりもいろいろな苦労があるのだなということを実は感じておるのが、昨今の私の心境でございます。  ただ、先生が御指摘になりました問題点というのは、実は私も従来から、政策にプライオリティーを持たせる必要がむしろあるのではないか、決められた予算の中でございますから、そういう中でこれもやる、あれもやるということであれば、思う存分十分な研究ができないのではないかというような疑問を持っていた時期があるわけでございます。  御案内のとおり、我が国は科学技術立国でございます。そしてまた、その中でこれだけの少資源、そして小さな国土を持ちながら、人的資源を有効に活用してこの経済的発展をなし遂げだということを考えますと、科学技術の振興というものが今後の日本の将来にとっても欠くことができないということは、さまざまな議論の中で明らかなことでございます。そういった点から考えますと、やはり予算の枠組みの中で、これは同じ答弁になるわけでありますが、大臣がおっしゃいましたように、単に額だけで判断することはできないのではないかな。  あともう一つは、さまざまな分野という縦のプライオリティーと、今回大綱等で示された中から政策決定をしております横の部分ですね。例えば人材育成という横のテーマを一体どういうふうにしてやっていくか。また最近、よく中心になっております基礎研究の強化ということを各分野においてどういうふうに位置づけていくか。こういったことが大変重要ではないかなというふうに私は思っておりますし、平成五年度予算の中におきましても、きょうは予算委員会審議ではございませんけれども、例えば振興調整費といったような、本来科技庁がつくられましたときのいわゆる調整官庁であるという、こういった色彩の強い予算を かなり強化するなり、私も、実は当時はむしろ我々の党の中の科学技術部会という立場でいろいろとやらせていただいたわけでありますが、そういった努力もさせていただいておるところでございます。  いずれにいたしましても、国民の要望にこたえるという意味から、日本は民主主義でありますから、秋葉先生御指摘のように、さまざまな意見を聞きながら政策決定をしていかなければいけないということ、これはもちろんでありまして、科学技術会議またその他のさまざまな委員会等が代表者を選び出しまして、そしてそういった意見を集約する、そういった意見等にも耳を傾けると同時に、先ほどおっしゃいました筑波の研究会ですか、私も実はまだ読んでおりませんけれども、そういったものの情報を十分に収集して、今も長官がお話しになりましたように、国民にもっとわかりやすい、そしてこれが重要なんだということがしっかりと示せるような広報活動、PAを今後しっかりとしていかなければいけないということは常に私も庁内で言わせていただいておることでございますから、さらに努力をさせていただきたい、そのように考えております。
  28. 秋葉忠利

    秋葉委員 大変前向きなお答えをいただきまして、ありがとうございます。  それで、実は筑波に関連しては、例えば先ほど申し上げました「科学技術ジャーナル」に一つ解決策というのが載っておりますので、ついでですから御紹介しておきますけれども、ここでこの共同通信の記者が提案しているのは、例の宇宙飛行士のも利さんを講師に呼んで、学園都市で「魅力的な人間になるには」という題で講演会をするのがいいのじゃないか。恐らくこれは科学技術の発展とは関係ないというふうに考えられるかもしれませんけれども、そのあたりのつながりについては、やはり魅力的な人間が魅力的な仕事をしているというようなイメージをつくる必要があるという観点からこういった提案が出てきています。  それから、筑波の意識調査でもう一つ非常に問題なのは、交通手段、交通が不便であるということですから、これはまたより大きな問題ですけれども、しかし、きちんとしたプランニングがあれば解決できる問題です。  それについてもう一つ実は思いついたことがあるのですけれども、それは私が大学院のときに、マサチューセッツ工科大学におりましたけれども、毎週金曜日の夜というのは非常ににぎやかな会がありました。それは金曜日の夜、学内の大講義室の一つを使って毎週映画会を催すのです。かなり新しい映画で、そうすると町の映画館に行かなくても研究の合間にその映画を見にくる。映画が終わったら、また御飯を食べて研究室に戻って研究をするというような形で、物すごくたくさんの学生、それから研究者、教授陣が集まってくる。そういう名物の映画会。これは大学が主催したわけではありません。そういう愛好会みたいなのがあってやっていたわけですけれども、そんな簡単なアイデア一つでも、大学の中の雰囲気を変えるのに物すごく役立つという一つの例だと思います。  それをだれがが始めなくちゃいけない。だれかが始めなくちゃいけないというところで科学技術庁を持ち出すこともないのですけれども、実は先ほど申し上げました理工科系の研究者の性格調査といいますか、そういったものを読んでみますと、結局、理工科系の研究者情報の発信能力が非常に弱いということが認められているわけです。つまり、自分に不満があってもなかなかその不満をほかの人に伝えることができない。あるいは自分ではこういうことをしてもらいたいなと思うことがあっても、それを形にしてあらわしてこういうことをやってくださいというふうに言うことがなかなかできない。そういう傾向があるわけです。  ですから、この意識調査のような形で出てきた結果は、やはり通常のもの以上に尊重しないとうまくこれは動かないことになる。あるいは解決策を自分で考えて、それを提案していって、何とかそれを実現してしまうというようなことはなかなかできにくい人たちの集団なんだから、やはりいいアイデアがあったときには、そういうことができる立場にいる人、そういうことを実行するのが好きな人がその役割は分担した方がいい。研究者にはいい研究をしてもらうし、映画会を開く興業みたいなことが好きな人にはそういった役割を分担してもらうというようなことが必要なのじゃないか。そういう意味で、例えば科学技術庁がある程度そのイニシアチブをとってボールをどこかに投げるということはできるのじゃないか。そういう意味で、具体的な例としてお願いをこれはさせていただきます。  それから、済みません。前段が長くなって、今回の法案について余り時間がなくなってしまいましたけれども。この法案審議に関してまたいろいろと注文が出たりしているわけですけれども、お願いしたいことは、やはりここでの発言それなりにきちんとした対処をしていただきたいということ。優先順位が低いのであれば、それはなぜなのかということを説明をして納得のできるような、こういう大事なことをやっていますという形で、ほかの優先順位の高い問題についての具体的な実践といいますか、政策の施行といったようなものを示していただきたいというふうに思います。  そういう条件つきで、新技術事業団の追加業務について一点確認しておきたいのですけれども、これは科学技術特別研究員事業の中で、私の理解では、平たく言ってしまえば、これまでは特別研究員を雇う、ある一定の期間任期つきで雇うにしても、国家公務員としての資格で雇わざるを得なかった。それが非常に制約の多いものなので、新技術事業団という、国家公務員とは条件等は大体同じであるけれども、その資格として国家公務員ではないという意味研究員にある程度の自由度がふえる。そういう形で、研究者にとっても新技術事業団がこの特別研究員事業を行うということ、交流事業を行うということに意義があるというふうに私は理解しているのですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。特に、国家公務員で研究をしている人とそうではない、例えば事業団において研究をする人との待遇の違いあるいは自由度の違いといいますか、そういったところをどのように把握されているのか、お教えいただきたいと思います。
  29. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 科学技術特別研究員の身分を非常勤国家公務員から新技術事業団職員へと変更をさせていただく。それに伴って研究のスタイル、研究実施面、処遇面、給与その他は基本的に変わらない。むしろ弾力性が付与されるとか、あるいは日常生活面でのお世話も新技術事業団がある程度できるとか、あるいは社会保険を一月分だけ負担しなくて済むとか、有給休暇が増加する可能性があるといったようなメリットがあるということについては、委員の御理解のとおりだというふうに思っております。
  30. 秋葉忠利

    秋葉委員 それから、異分野研究者交流促進事業、それから研究協力者海外派遣事業というのがありますけれども、この二つをあわせて実は先日も問題提起いたしましたけれども、今までとはまるっきり視点を変えた研究あるいは共同研究の促進をするなどということが可能ではないかと思います。科学技術庁としてある程度指導あるいは協力、協議等を通して、あるいは新技術事業団として例えば特定の方向研究を奨励するということ、それは可能だと思いますが、その中に、先日申し上げたような途上国からの視点、そういった視点に立脚した研究開発を行う、そういうものを入れることは可能なのか、そういったことを積極的に考えてみようというだけのお気持ちがおありかどうか、伺いたいのです。  ちょっと抽象的ですので、一、二例を申し上げますと、先日申し上げました例としては、これは我が国の中の研究ということになりますけれども、途上国に技術移転をして、鋳物なら鋳物の技術を移転をしてもなかなか精度がよくならないから、それをこちら側が、日本側としてまた再び買って非常に精密な機械の中に使っていくという ことは困難である。しかしながら、精度が悪くてもある程度フレキシブルな製造工程というものをこちらでつくって、精度の悪いものでも使っていくというようなシステムをつくれば非常に役に立つのではないか。そういった方向での研究一つある。  それからもう一つは、現地における途上国側において、必要な技術というものを開発する。例えばどんなものがあるかといいますと、これは昨年国連の周辺で行われた環境と開発についての会議の中で提案されたものですけれども、サハラの周辺地域では、木が生えているけれども、それを煮炊きのため、つまり食べ物を煮たり焼いたりするために切らざるを得ないような状況があって、それが砂漠化をなお一層進めている。そういったところでどういうものが必要かというと、太陽光ですね。ソーラー発電によって簡単に、常にそれを夜まで蓄電しておいて、煮炊きなんというのはそんなに熱量が必要なわけではありませんから、一、二回分の料理ができるようなそういうソーラーかまといいますか、土なべではありませんけれども、そういったような太陽光利用の簡単ななべをつくるなんということができるのではないか。それは恐らく我々が日本にいては考えつかないことだと思いますけれども、そういった途上国側の必要性にマッチしたような研究開発ということが当然考えられると思うのです。  そういった形で、新たな視点をつけ加えた意味での異分野間の交流あるいは途上国への研究員の派遣といったこと、少なくとも検討ぐらいはしてみてもいいというようなお考えはお持ちなのかどうか、それができるのかどうか伺いたいと思うのです。
  31. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 私、前回の秋葉先生の御議論を伺っておりまして、個人的には非常に共感を覚えて承っておりました。というのは、私自身もそういうことを叫んでいたときがございまして、例えば具体的に言いますと、国際的なスタンダードと国内のスタンダードをそれこそハーモナイゼーションしようというときに、具体的に出てくる問題としてそういう問題もあるわけでございます。  私は、半分冗談で、悪いものを使っていいものをつくるというのこそが立派な技術なんだから、現地に進出している企業の場合にはそういう取り組みをせざるを得ないような状況になっておって、そういう技術もあるはずだから、むしろそういう技術こそ国内にトランスファーしてもらってやったらどうかねといったような話もしたことございまして、基本的には非常に共感を持って聞かせていただいておりました。  今度の新しい事業の中でそういう考え方が具体的に展開できるかどうかということでございますが、基本的にはそういった視点も入れながら考えてまいりたいと思いますけれども、ただ私どもは、境目ははっきりしないのですけれども研究協力と技術協力というのは多少ニュアンスが違う。どちらかといえば、研究協力といった面に重きを置いておるというような点、それから現地の必要に基づいていろいろやるというのも、もちろんそれは大原則なのですけれども日本研究者はそれに関心を持って、あるいは自分たち成果にもなるようなテーマでないと共同研究というのは成立をいたしません。  そういうような意味で、二つの例をお出しになりまして、二つとも非常に共感を持って聞かせていただいておりまして、今度の共同研究のあっせんであるとか、あるいは海外の派遣であるとか、さまざまなプログラムの中でそういう基本的な考え方を踏まえて指導してまいりたいというふうに思います。
  32. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。今のお答えを伺って、百万人の味方を得たような気がいたします。  それでもう一度、国家公務員でさまざまな研究をしている立場の人、国立大学の教官というのは別にして、ちょっと考えたいのですけれども、少なくとも私がこの新技術事業団の所管に研究者を置くことに大賛成な理由の一つというのは、国家公務員では研究をする上に非常に制約が多いということを日ごろいろいろな人たちから聞いているということがあるのですけれども、特別研究員という資格ではありますけれども新技術事業団に所属して研究ができる人は、ある意味ではその制約が幾分かはとれて自由に研究ができるということになって、これはいいことだと思うのです。しかし国家公務員であり続ける人もいるわけですし、例えば国研の研究者なんというのはそういう立場になるわけですけれども、実はそういった人たち研究環境を整えるということもやはり重要なのではないか、そんな気がいたします。  具体的に、これは出してしまうと何だそんなことと言われるようなささいなことなのですけれども、しかしながら一つ一つがやはり重なってくると非常に問題になってくるようないろいろな制約が国家公務員であるためにつきまとっているという現実があると思うのです。その幾つかについて申し上げたいのですけれども、そういったことの改善が可能なのか、あるいは検討を始めるような時期に来ているのか、そういったことを伺いたいのです。  例えば、研究というのは余り時間に縛られるとなかなかうまくいかないようなところもあるのですけれども、やはり国家公務員という性格上どうしても時間に縛られざるを得ない、そういうことがあると思います。時間的な制約を、研究者には例えば研究職というような特別なカテゴリーを設けて、ある程度外すというようなことが可能なのか。  それから、これもささいな例と言われてしまえばそれまでなのですが、海外への出張、学会に出張するというようなケースがあるわけですけれども、その場合に公の出張にならないケースが多い。自分で休暇をとって出張する際にも、公用パスポートでないと出張ができない。しかも、その公用パスポートというのは一時旅券だから、出るたびにとらなくてはいけない。確かにささいなことですけれども、それを研究の合間に、忙しい中に、しかも国際学会に出られるような人というのは、ある程度業績もあって時間的な制約が多い人がたくさんいるわけですけれども、そういう中でこのことを一回一回やらなくてはいけないというようなこと。それに対する解決策としては、公用旅券で行ってもいいから数次旅券を発行するというのも一つあると思いますし、それから一般旅券で行かせるというのがもう一つあると思いますけども、そんなつまらないところでもなぜ制約を設けなくちゃいけないのか。こんなつまらない問題を提起しなくちゃいけないというのは、そもそもそんなつまらない制約があるからなので、取っ払っちゃえばいいというふうに思うのですけれども、そんなところはどうなのか。  あるいはまた、これもささいな例で申しわけありませんけれども、国際学会に地域から、地方から出張する場合には国内の旅費が出ない。だから、例えば北海道あるいは九州から学会に出ようと思っても、北海道から成田までの旅費というのは自分で出さなくちゃいけない。  そういう例があるわけですけれども、今申し上げたような具体的なこと、ささいなことだけれども、その一つ一つを自分の手でやらなくてはならない立場にすれば、本当に煩雑になって、それが重なることによって重荷になってくるような問題について、恐らくこれだけではないと思いますから、研究職というようなカテゴリーをつくることによって一挙にほとんどすべての制約を外してしまう、そういったことは考えられないものなのか。もしそれができないのであれば、これも現場主義といいますか、研究者からの声を大切にして、不必要な制約というものは取っ払ってしまう、そういうことができないものかどうか、お教えいただきたいと思います。
  33. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 今さまざまな御指摘がございました。要するに、研究者からすれば当たり前のことがなかなか通用しにくい。それは先ほども研究交流法のところで申し上げましたけれども、一般的な制度というものと研究の論理というものと の兼ね合い、調整の問題というのが多々あるわけでございます。  一点、少し措置したというふうに言わせていただけるものを言えば、例えば時間に縛られている。確かに研究公務員というのは、原則として午前八時半から午後五時までというふうに非常にリジッドに決められていたわけでございますけれども、これは私ども研究現場の声を踏まえて人事院の方に要望いたしまして、これは毎年一回必ず長官が人事院総裁まで足を運んでいただきまして、人事院総裁と面談をして要望を伝えるということをやっておるのでございますけれども、その一項目にフレキシフルタイム、フレックスタイムというものを実現しろということをお願いいたしました。人事院もそれを踏まえて報告が出まして、フレックスタイムというのは一定の条件下でございますけれども研究職に限ってやってよろしいということで、本年四月からそれぞれの研究所の実態に応じてスタートするのではなかろうかと思っておりますけれども、そういったような改善が図られたようなケースもございます。  旅券、旅費のお尋ねもございました。私ども理解では、旅費については、海外出張の場合に、成田といいましょうか東京までの費用というのは、国立研究所の場合でございますけれども、それぞれきちっと手当てがされているというふうに原則として理解をしているところでございます。  それ以外にもいろいろな点がございまして、このうちのかなりのものは、例えば研究者の時間内研究を許したらどうかとか、そういったような問題は、これは研究交流法上の大論点でございます。先ほども何か全然考えてないのじゃないかというふうにおしかりをいただきましたが、ちょっとそういうことを言われますと——私どもで担当課長がおりまして、研究交流課という課なんでございますけれども、そこがまさにこの問題を中心として考えようとしているところでございます。形に見える格好では検討しているということを申し上げられませんけれども、だからこそ日ごろから脳裏を離れず勉強しているんだということを申し上げたのでありますが、それは逃げ口上で申し上げていることではございません。  それから、研究交流法も制定をし、一度改正をいたしましたけれども、これでピリオドを打つということではないのです。むしろ積み残し案件になればなるほど壁が高くなりまして、なかなか困難なんですけれども、私ども幾つかの論点が積み残されているということは十分承知をしておって、それを去年改正してまたすぐことしというわけにはなかなか実際問題まいりませんけれども理論武装や実態把握などをしながら大方の納得をいただけるだろうと思われるものについては鋭意交渉に当っていきたい、そういう意味で日ごろから勉強をしているということを申し上げたわけでございます。  もちろん、研究交流法上の問題だけじゃない、そういう論点でない問題も多々あることは私どもも承知をしておりまして、一つ一つ解決に向けて、御支援もいただきながら努力してまいりたいというふうに思っております。
  34. 秋葉忠利

    秋葉委員 何もやってないのじゃないかという印象を持ったのは特許権についてのことですから、研究交流とは違いますので、そこまで暴言を吐くつもりはございませんし、もしちょっと表現が過度になり過ぎて正確ではないところがありましたら、その点についてはおわび申し上げます。  今の国際学会参加の際の国内旅費についてですけれども、国研についてはきちんと出ている。わかりました。そうでないケースがあった場合には、議事録をもってきちんといくように伝えておきますが、文部省の場合、国立大学の場合には、少なくとも実例で私が知っている限り国内旅費は出ていないと思うのですけれども、これを改善することはできないのでしょうか。文部省の方に来てもらっていますので、お願いします。
  35. 長谷川正明

    ○長谷川説明員 研究者海外へ行きまして学会に出席したりあるいは研究調査をするということ、これは学術研究の実施上大変有意義でございまして、それは先生御案内のとおりでございます。  特に、海外の国際学会へ行って我が国の研究者研究発表をしたり、あるいは向こうの研究者と接触をすることが、その研究者研究能力を高めるとともに、我が国の学術研究の現状なり水準というものを正確に海外理解していただく意味でも大きな役割を果たしておりまして、大学の研究者がそういうところへ出席できるようにするための事業というものについては、特に私ども力を入れてその充実に努めているところでございます。  今先生が御指摘になりましたけれども、そのような海外へ国立大学の研究者が出かけるためのスキームというのは幾つかございます。大学の研究事業費の中に組み込んである場合、あるいは在外研究員と申しまして、半年なり一年なり外国の大学で研究をしてくる、あるいは今申し上げました国際学会へ出かけていくケース、あるいは科学研究費によって研究海外で行う、こういうようなスキームがございますけれども、例えば国際研究集会という派遣の事業というのがございまして、これは海外で行われる非常にすぐれた研究集会、学会あるいはワークショップ、そういうところに出かけていって発表したりする重要な役割を担う場合にそれの旅費を支給するケースですけれども、これは文部省におきまして国立大学から申請を受け付けております。先生方は大学を通じて、こういう学会にこういう役割で出かけるんだということで申請をしてまいります。それについて私ども審査をいたしまして、これはぜひ行っていただかなければならぬということで、当選者につきましては、その先生が所属する大学に経費を配分するということになっております。  この場合に、文部省から直接配分される経費には、海外での滞在費、日当、宿泊料それから航空賃ということで、その場合に最寄りの国際空港から現地までということになっておりまして、その他国内での移動に要する経費は、別途大学に配分されております教官研究旅費というのがございます。それを工夫してやりくりしていただいて出かけるというのを一つ考え方にしておりますけれども、今先生が御指摘になったケース、これは大いに考えられるのは、国内研究旅費、これの充実については私ども努力はしておりますけれども、まだまだ需要に比べて大変少ない面がございまして、そこのところは日本国内の学会に出席されようとする研究者の方々でかなりのお金が使われるということで、海外に行かれる研究者の場合、大学によっては、そこは何十万もらうんだから、じゃ国内の方は何とかその中でやりくりしよう、自分の同僚のだれだれ先生国内の学会へ行っていただく旅費を削ってまでというふうな感じも多分あるのだろうと思います。  それで、今のようなケースも生まれることも十分考えられますが、私どもそれが正常とは考えておりませんで、国内の旅費についてもこれまで以上に努力をしなければならない、こんなふうに考えておりまして、来年度予算におきましても総額八千八百万増の七十数億のそういう一般的な教官の研究旅費を措置する、あるいはそのほかの工夫をいたしまして、国内での旅費の充実、これについては御指摘のように努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  36. 秋葉忠利

    秋葉委員 大変長い御説明をいただきましたけれども、ぜひこれは早期に改善をしていただく必要があることだと思います。  その理由は幾つかありますけれども、今おっしゃった国内の旅費の分については、要するに国内における研究旅費といいますか、そういったものをこっちに充当しろみたいなことをおっしゃいましたけれども、それはとんでもない話じゃないですか。これは実際には研究に行くのではなくて、自分の住んでいるところから空港まで移動する費用ですよ。それと研究旅費というのは、やはり区別してもらわなくちゃ話にならないと思います。そもそも外国に行くときに、自分の住んでいるところから空港に行って飛行機に乗っていくというのは常識じゃないですか。住んでいるところから飛行場までの旅費は出さないで、その先出すから 行きなさいなんて、何か高跳びでもできない限りちょっと無理な話だと思います。そういうみみっちいことをなぜやられるのかというのは、まるっきりわからないわけです。  それともう一つ。そういう方針をとられた結果、現在でも存在している中央偏重、そして地方の軽視というのがなお一層助長されているということがあるわけです。東京に住んでいる研究者にとっては、文部省のその方針は痛くもかゆくもない。だから自分たち国内研究旅費はそのまま使えるわけです。それが、地方にそもそも住んでいる人は国内旅費でも、大体学会というのはいろいろな学会がありますけれども、学会の大きなものは持ち回りにするにしても、いろいろな研究学会というのは大体東京とか大阪とか大都市で開かれることが多いわけでしょう。そういうものについても、地方の大学の研究者というのは国内旅費を使わなくちゃいけない。しかも、国際学会に行くときまでも同じところから出さなくちゃいけない。東京あるいは大阪といった大都市の研究者というのは、そもそも国内旅費を使う頻度が少なくなっているわけじゃないですか。だから、経済的には余裕がある。余裕があるところにもってきて、今度は外国に出張する際にも、その自分たち国内旅費から一銭も使わずに済むというようなシステムになっちゃっているわけじゃないですか。  最初からそんなことは考えてみればわかることだと思います。それを今までほっておいたというのは、国立大学の中でも地方は軽視してきたという、これは文部省の体質だというようによく言われていますけれども、私はその実質はわかりませんけれども、本当に文部省というのは巷間で言われているように地方を軽視しているんだなというふうに、もう一つその証明が加わってしまったような感じがいたします。それは早急に、センター・オブ・エクセレンスなんということも文部省では当然お考えになっているわけですから、センター・オブ・エクセレンスじゃなくてもいいですから、とりあえず常識的なことができるような施策というのを地方に関して始めていただきたい、そういうふうに思います。  あと幾つか、実は通産の資源エネルギー庁の方、特許庁の方に来ていただいていたのですけれども、申しわけありません。時間がなくなってしまいましたので、大変申しわけありませんけれども、また後日質問をさせていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  37. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  川島實君。
  38. 川島實

    川島委員 私は、ただいま議題になっております科学技術行政及び研究開発の二点についてお尋ねをしていきたいと思います。  ただいま予算委員会がとまっておりまして、本会議もどのようになるか、今難しい情勢になっているようでございますが、一応午前中は私どもまだ質問が続いておりますので、続けさせていただきたいと思います。  私は、我が国の科学研究費の八割以上が民間企業が負担をしていると、こう言われておるわけでございますが、このため研究はどうしても我が国は応用開発に偏ってしまう、我が国の今日の繁栄が欧米の基礎研究にただ乗りになっている、こういう批判の背景にもなっている、こういうふうに思われておるわけでございます。ちなみに我が国の政府負担の研究費の対GNP比は○・五四%。これがアメリカは一二一七、フランスは一・一五、イギリスは○・八と、こういうふうに非常に極端に我が国は低い。こういうことが指摘をされておるわけでございます。  こうした中で、先ほども秋葉委員からお話がございましたように、総務庁行政監察の問題に対して、科学技術庁としてどう対応をされて、どのように是正をされているか。こういうことについて科学技術という行政が問われる問題でございますので、この辺のところをきちっとひとつ明快な御答弁をいただきたいと思うわけでございます。  一つは、国立大学の施設を利用した企業の約三割、それから研究機関の施設を利用した企業の五割、こういう人たちが利用上、施設を利用するについていろいろな手続面等を含めて問題がある。約五百社の企業にアンケート調査をしてとったその六割の企業が、施設や整備の積極的な開放を唱えておるわけでございますが、これら総務庁の指摘とあわせて、どのような取り組みをして今日に至っておるのか、お伺いをしたいと思います。
  39. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 国立研究機関を念頭に置いて申し上げたいと思いますが、国立研究機関の施設設備というものの中で、どこにもあるというようなものでないものはぜひ民間もお使いになりたい、こういう要望があるということは承知をいたしております。  したがって、研究交流法改正その他で、少し安く利用できるようにというような措置を講じたところでございますけれども、今おっしゃるような手続の問題もございましょう。それから、国立研究機関にとっても研究交流が促進されるというメリットはもちろんあるんですけれども、一方で予算面とかあるいは要員確保面とか、そういったところで余計な負担がかかる。余計と認識してはいけないという議論もあるでしょうけれども、実際問題そういうことでございまして、議論もあるようでございます。  こういうことで、私どもも国立研究機関の施設設備の外部開放という基本的な方針のもとにいろいろやっておりますけれども、まだまだ解決しなければいけない問題があるということで、この二年間ほどかけまして、研究施設を所有する国立研究機関、それから利用する企業、大学などを対象に調査を現在実施しているところでございまして、共同利用の実態とか関係者意見の把握等に努めているところでございます。  そういう意味で、まだまだ解決しなければいけない問題がそういうところからも浮き彫りになってくると思っておりますので、その結果を踏まえて措置をしていきたい、検討していきたいと考えております。
  40. 川島實

    川島委員 二年間の調査、そして研究、対応、これは結構なことだと思いましてぜひお進めをいただきたいと思いますが、当面は、総務庁から指摘を受けた事項について、総務庁の言っていることが事実かどうかということで二年間調査をするという受けとめ方にもなるし、そうでなくて、指摘を受けた事項に対してどう取り組んできたかということを実はお伺いをしておるわけでございまして、この点について、ひとつ簡単にお答えいただきたい。
  41. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 総務庁行政監察で御指摘を受けた件は、これにとどまらずいろいろあるわけでございますけれども、この点について言えば、私どもも大いに反省をというか、そのとおりだというふうに思う点があるものでございますから、調査をし、どこに問題があるか、何を手がければうまくいくかということについて、問題点を洗った上で措置をしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  42. 川島實

    川島委員 次に、国立大学の研究情報やデータベースの利用をしたいという企業が六〇%、国立試験研究所の研究情報のデータベースを利用したいという企業が五六・三%、こういうデータが出ておるわけでございます。一般的に非公開とされている研究情報データベースの開放を求める声が非常に高まっている。このことに対して、対応の仕方と申しますか、どのような対応をなされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  43. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 これも国立研究機関を念頭に置いて申し上げたいと思いますが、確かに研究データやあるいは実験データといったファクトデータベースといいましょうか、そういうもので外部に公表されてないといったものもかなりあるようでございます。また、そういうことに対してぜひアクセスしたいという要望もあるように、それは事実だと思っております。  科学技術庁として何ができるかという、全部が全部私どもの守備範囲というふうには思っておりませんけれども、それ以外の情報については、今まで日本科学技術情報センターのネットワークに 乗っけるといったようなことでやってきておりますけれども、今のファクト情報の非公開のものを公開してもらうという話については、それぞれの省庁が責任を持ってやっていただく話だと思いますが、私どもとしても、横断的な、フォーマットを統一するとか、あるいはそういった科学情報の流通基準といったようなものを今までも策定し、あるいはその普及に努めてきたというようなこともございますものですから、勧告をいただきまして、各省庁で構成されております連絡会議もございますものですから、これもなかなかワークしておらぬという御指摘もいただいておりますが、そういうことではなく、意見交換を始めているところでございます。
  44. 川島實

    川島委員 さきの施設の問題、今の研究情報それからデータベース、これは文部省もお見えになっておりますので、大学のそういう研究施設についてお伺いをしておきたいと思います。
  45. 高為重

    ○高説明員 二点御質問があったと思いますので、お答えを申し上げます。  御指摘の行政監察の「国立試験研究機関における研究施設・設備」の勧告に際しまして、それらの共同利用について、国立大学関係につきましては、「文部省所管の国立学校については、」「大学共同利用機関として研究所等を置くことが規定され、大学の教員その他の者の共同利用が予算面、定員面においても措置されており、大学関係者以外にも当該研究機関の業務に支障がない範囲内で広く利用されている。」という説明が勧告の中にもなされておるわけでございますが、近年における学術研究の発展、特に研究手段の高度化や大型の研究プロジェクトの大規模化に伴いまして、多くの研究分野において研究者が共同して研究を進める必要性というのはますます増大しております。さらにまた、経費や人材の効率的な活用を図る観点からも施設設備の共同利用を積極的に推進するべく、文部省といたしましても、国内はもとより国際的にも広く開放されたこれらの研究所等の整備を推進してまいりたいと思っております。  それから、研究情報、データベースの公開の件についてでございますが、文部省では、大学におきます学術情報の流通促進に資するため、大学共同利用機関である学術情報センターを中心として、各種の学術情報データベースを全国の大学等の研究者に提供しているところでございますが、現在、学術情報センターが提供するデータベースの利用者は、原則としてそうした観点から大学等の研究者となっているということでございます。  そうした点を踏まえまして行政監察もあったのでございますが、昨年の行政監察結果に基づきます勧告、それから私どもの方の学術審議会の答申の趣旨も踏まえまして、現在、文部省から学術情報センターに対しまして、大学以外の研究者等へも広く公開する方向で具体的な改善方策を検討するよう、指導をしているところでございます。
  46. 川島實

    川島委員 私の質問に対して、科学技術庁は二年をかけて調査中ですね、この二点について。文部省はこれからいろいろやっていくと。  この指摘を受けて今日まで一年近くたっているのじゃないですか。そういう時期にあるにもかかわらず、具体的なそういう取り組みの指摘をされた事項、ただいまの二点だけについて思われることは、やはり行政側としての取り組みが非常に不十分。せっかくいろいろな提言を受けておきながら、その対応の仕方がきちっとなされていない。  例えば民間企業ですと取締役会なり、民間団体の場合は監査役なりからいろいろな指摘を受ければ、次の機会には、具体的に項目を組んでどう取り組んできたか、その成果、どれだけできたか、できなかった分はなぜできなかったのかというのは、一年以内にはきちっと明らかになされていく。これがやはり一つ組織の運営上の問題ではなかろうかと思うわけで、そういうことがなければやはり活発な研究開発というのはできないのじゃないかという気がするわけでございますけれども、そのような項目別の一つずつのチェックを受けた事項についての日ごろの取り組みというか、チェックの体制というのはどういうふうにお思いになっているのか。文部省、ひとつよろしく御答弁いただきたいと思います。
  47. 高為重

    ○高説明員 先ほど具体の点についてはお答え申し上げたと思いますが、勧告を受けまして必要な措置につきましては、その勧告を精査し、大学・研究所の方で対応をお願いすることにつきましては、重ねて勧告を御説明するとともに、その改善策等について検討を依頼し、あるいは既に着手したもの、改善をしたものもございます。
  48. 川島實

    川島委員 非常にわかりにくいのですね。具体的に指摘を受けた研究機関幾つ、そして具体的な形で何月にそういう形の改善命令を出したとか、施設の場合ですといろいろ不備な場合については予算をつけてこうやっているとか、いろいろな具体的にわかりやすい答弁を実は求めているわけですが、あなたが言っているのは抽象論で、はっきり受けとめられないわけですよ、どれだけやれたのか。具体的に何回そういうふうに対応、相手情報というか告知をしたのかということまでわからないわけですが、具体的にどういう形でなされたのですか。
  49. 高為重

    ○高説明員 御質問のありました科学技術に関する行政監察の結果に基づきます勧告につきましては、勧告を受けました後、昨年の八月三十一日付で学術国際局長から、関係の大学あるいは共同利用機関等につきまして、監察の結果を踏まえて適切な処置が講じられるよう、お願いを申し上げております。  具体的には、勧告の中にございました文部省関係の指摘事項でございますが、国立大学における実験動物、遺伝子資源等の分与規程の整備についてということ、それから国立大学等における共同研究、受託研究の受け入れについて、それから国立大学等の組織研究体制見直しについて、それから国立大学等における研究評価のシステムの導入について、それから国立大学等における特許権等の取り扱いについて、以上が五点について具体のお願いを申し上げておるところでございます。
  50. 川島實

    川島委員 次に、研究助成費の関係についてお伺いをしたいと思います。  企業の皆さんは、契約書類や送付する書類が多過ぎるという問題を挙げております。さらにまた、契約の決定が遅くて、研究へ入るまでのそういう打ち合わせが長過ぎて、いざ研究といったときに与えられた期間というのは短くされてしまう、こういうことも言っているわけでございます。だから、国はもっと利用者の立場に立って、そうした問題についての改善が必要と思われるわけでございます。  さらに、国が出資する研究開発法人の問題についても同じようなことが言えるわけでございますけれども共同研究における企業の声というのは、改善してほしい点として、研究期間ないし出資期間終了後の会社運営、成果の活用などに関する指針が非常に不明確だ、きちっとした形で確立をしてもらいたいという声も上がっております。それから、出資期間が終わった後、会社の清算方法としてのそういう清算の仕方について非常に不明朗だから、明確に権利といいますかそういうものを明らかにしてもらいたい。それから、会社運営の助成策というものについてももっと確立をしてほしい。こういう要望も出ておるわけでございますが、これらの点についてひとつ御所見をお伺いしておきたいと思います。
  51. 島弘志

    ○島(弘)政府委員 行政監察では、研究助成制度について、いろいろたくさんあってなかなか理解しがたいので、一括した一覧のようなあれをつくるべきじゃないかというようなことと、今先生おっしゃったように、委託研究契約なんかの場合の手続が非常に煩雑で、研究者はなかなかその研究に専念する時間が少なくなってしまうので、そういう手続を改善しろと、こういう面での御指摘があったかと承知をいたしております。  御指摘の手続の面でございますが、当庁におきましても、委託研究をお願いするようなそういう制度がございまして、これについては勧告をいただきました後、もちろん適切に委託契約が結ばれ るということが大前提ではございますけれども、不必要に研究者の負担ということにならないように、様式の簡素化とか、それから記載内容についても必要最小限のものにするとか、それから回数を四回やらなければいかなかったのを例えば一回でどうだろうかといったような、そういう事務手続の簡素化について、現在見直しについての検討に入っているところでございます。
  52. 川島實

    川島委員 きょうは通産省の方も来ていただいておりますので、今議論をしてまいりました三つの点について、企業側という形から企業を振興し、指導してみえる通産省としては、これらの問題について総務庁から指摘を受けた事項は非常にたくさんございますけれども、現在時点でこういう三つの問題について改善が進んでおるという受けとめ方をしておみえになるのかどうか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  53. 上杉勝之

    ○上杉説明員 お答え申し上げます。  初めの、民間企業における研究所の施設の利用の点でございますが、我々通産省の工業技術院の試験所は、この間の行政監察では、一応全般的な規則は整っておるというふうな触れ方はいただいております。  具体的に申し上げますと、工技院の国立研究所では、「工業技術院依頼試験、分析および設備の使用規則」というものを定めておりまして、これに従いまして国研の設備及び施設を民間に開放してございます。本規則というのは昭和二十四年にやっておりまして、それ以来運用しているわけですが、具体的には、民間企業は、研究課題目の内容の概要を研究所長に提出しまして、それで所長から許可証を得て、有償で国研の施設を使用するということでございます。もちろん、これを減額でやるというような場合も想定しております。  ただ、近年におきましては、企業の設備が格段に、急速に充実してきておるということが一つございまして、したがいまして、本件は昔二十年代、三十年代、大企業でも設備はなかったのですけれども、その当時はそういう大企業の便宜に付したということがあるわけですけれども、最近に至っては、あるとしても中小零細企業の援助。むしろ大企業に方に当たりましては、そういう設備の増強もありまして、しかも一般的に研究が基礎研究で高度化していますので、むしろ施設の開放、利用というよりも、我々としては、具体的に研究者に来ていただいて技術指導を行うとか、それから共同研究を行うというような形での民間企業への技術移転、指導というものに努めておるところでございます。  以上のような考え方でやっております。
  54. 川島實

    川島委員 通産の関係で、研究交流を促進するための施設が十三機関あると受けとめておるわけですが、これが広く利用された実績というのはわずか三機関だ、こういうふうに指摘を受けているわけですね。これに対してどのような対応をして、開放といいますか、こういうことが行われたかということをお伺いしたいわけですけれども、いかがでございますか。
  55. 上杉勝之

    ○上杉説明員 指摘の十二は、実は数字としては間違いで、当時の指摘では十六が正解でございます。  いずれにしても、十六の機関の中で具体的に使われておるのが、機技研の試走炉、それからあとは風洞実験とかイオン施設でございますが、我々としては、そういうふうに今後とも新しい施設を整備いたしまして、今後とも先導研究に対応できるような形で民間の方の施設利用が図られるように努力しているところでございます。  特に、最近はそういう大きなものというよりも、むしろ依頼試験・分析といったような形での指導がございまして、もう一つは技術指導というような形がございます。技術指導に至っては年間千件にわたっておりますし、依頼試験・分析その他による民間へのそういう貢献というのは、一省で数十項目以上指導しておるところでございます。
  56. 川島實

    川島委員 私がお伺いしているのは、指摘を受けた事項に対して、通産省所属の研究機関が開放が非常に少ないと指摘を受けておるわけですね。さきの国会で、国の研究機関のそういう研究交流についていろいろ開放策が法律で改正になっているわけですけれども、一向に進んでいないのか、それとも前向きに、そういう指摘を受けた以後こういう形で努力をして開放が進んだという受けとめ方をしているのかどうかということを実は聞きたいわけなんですよ。私ども質問をこれだけやっても、なかなか実感として、調査中、検討中ということで、まだばちっと返ってきてないんですね。こういう我が国の研究開発というか、技術を研究をする行政側がそういう姿では、非常に将来の見通しがお先真っ暗のような気がするわけでありまして、その取り組み状況等をもう少しひとつ真剣に、日ごろおやりになっていることを答弁として出していただきたいと思います。
  57. 上杉勝之

    ○上杉説明員 指摘を受けまして、我々としても各研究所で、民間企業の方の技術相談を受ける窓口として技術相談所というのがございますが、そういうところ、並びにそれを技術交流センターというような形に拡充いたしまして一総務庁からの指摘の、そういう開放施設をよりもっと多くできるような形での民間企業の要請に対する対応という組織的なものを努めております。技術交流センター、技術相談所という形で強化しております。
  58. 川島實

    川島委員 さらに、これは国研、国立大学とも問題点として非常に多く言われておりますのは、共同研究委託研究研究員の派遣が企業に強制される、こういう実態がある。企業としては押しつけられているという受けとめ方をしているというのですが、この辺のことについてはいかがでございますか。
  59. 青木信也

    ○青木説明員 私ども工技院といたしましては、今先生御指摘になられたような点は実感として持っておりません。企業の了解を得て委託等の研究をしておるところでございます。
  60. 川島實

    川島委員 研究交流における企業からの研究委託は八三・一%というデータが出ております。国立大学は六七・四、私立大学が四八%、それから国研が二九%。それから企業からの派遣研究者は、国立大学が七三・五、海外の大学や研究機関が四三・三、国研が三七・四、こういうデータも出ておるわけです。だから、こういう声が上がっているということについてそうでありませんと、こういうことでございますけれども、ちまたではそういう報道もなされていますし、私どもの耳にも入ってきているわけですから、このことについてどう受けとめておりますか、お伺いをいたします。
  61. 青木信也

    ○青木説明員 先生御指摘の点につきましては、私ども実態をよく調べまして、企業に無理強いしている、そういうことのないよう十分注意して、今後委託研究等を行っていきたいと思っております。
  62. 川島實

    川島委員 午前中は一応十二時近くなってまいりましたので、これで質問を打ち切りまして、あと午後に継続をさしていただきたいと思います。
  63. 小澤潔

    小澤委員長 御苦労さまでした。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕