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1993-01-21 第125回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年一月二十一日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  一月十三日     辞任         補欠選任      井上 哲夫君     古川太三郎君  一月十九日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     木庭健太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大渕 絹子君     理 事                 沢田 一精君                 鈴木 貞敏君                 会田 長栄君                 西野 康雄君                 常松 克安君                 高崎 裕子君     委 員                 合馬  敬君                 鎌田 要人君                 佐藤 静雄君                 清水嘉与子君                 清水 達雄君                 椎名 素夫君                 南野知惠子君                 守住 有信君                 矢野 哲朗君                 菅野  壽君                 中尾 則幸君                 西岡瑠璃子君                 堀  利和君                 村田 誠醇君                 森  暢子君                 山下 栄一君                 直嶋 正行君                 古川太三郎君                 下村  泰君    国務大臣        郵 政 大 臣  小泉純一郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣  村田敬次郎君        (国家公安委員        会委員長)        国 務 大 臣  林  大幹君        (環境庁長官)    事務局側        常任委員会専門  吉田 堯躬君        員    説明員        人事院事務総局  石橋伊都男君        職員局職員課長        警察庁警務局長  井上 幸彦君        警察庁刑事局保  中田 恒夫君        安部長        警察庁交通局長  関根 謙一君        環境庁企画調整  加藤 三郎君        局地球環境部長        環境庁自然保護  大西 孝夫君        局長        環境庁水質保全  赤木  壯君        局長        国土庁地方振興  堀   一君        局離島振興課長        法務省刑事局長  濱  邦久君        外務省経済協力  黒木 雅文君        局調整計画課長        大蔵省主税局税  大武健一郎君        制第二課長        厚生省健康政策  伊藤 雅治君        局計画課長        厚生省老人保健  横尾 和子君        福祉局長        厚生省保険局国  石本 宏昭君        民健康保険課長        海上保安庁警備        救難部警備第一  野崎 典重君        課長        郵政大臣官房人  加藤豊太郎君        事部長        郵政大臣官房財  新井 忠之君        務部長        郵政省郵務局長  上野 寿隆君        郵政省貯金局長  山口 憲美君        郵政省簡易保険  江川 晃正君        局長        郵政省放送行政  木下 昌浩君        局長        労働省婦人局婦  岩田喜美枝君        人政策課長        自治大臣官房総  遠藤 安彦君        務審議官        自治省行政局選  佐野 徹治君        挙部長        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君        消防庁長官    浅野大三郎君        会計検査院事務  阿部 杉人君        総局第一局長        会計検査院事務  小川 幸作君        総局第二局長        会計検査院事務  平岡 哲也君        総局第四局長    参考人        公営企業金融公  近藤 隆之君        庫総裁     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件平成二年度一般会計歳入歳出決算平成二年度  特別会計歳入歳出決算平成二年度国税収納金  整理資金受払計算書平成二年度政府関係機関  決算書(第百二十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十三回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十三回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十三日、井上哲夫君が委員辞任され、その補欠として古川太三郎君が選任されました。  また、去る十九日、広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) この際、小泉郵政大臣村田自治大臣及び林環境庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。小泉郵政大臣
  4. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 昨年十二月に郵政大臣就任いたしました小泉純一郎でございます。浅学非才ではございますが、誠心誠意職務に精励いたしますので、皆様方の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。
  5. 大渕絹子

  6. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 昨年十二月に自治大臣国家公安委員会委員長を命ぜられました村田敬次郎でございます。何とぞよろしくお願いいたします。  決算委員会委員各位におかれましては、かねてより地方自治行政並びに警察行政推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  申し上げるまでもなく、地方自治我が国民主主義の根幹をなすものでありますが、今日、生活 大国の実現に向けたふるさとづくりや地方分権推進地方財政の円滑な運営の確保政治改革推進など解決しなければならない数多くの課題を抱えております。また、国家社会発展の基盤である治安確保につきましても、内外の諸情勢がまことに厳しい折、現在の治安水準を維持させ、国民安全確保に万全を期していくためには今後一層の努力が必要であります。  私は、これら地方行財政の諸問題の解決と治安の維持に最大限努力を傾けてまいる所存でありますので、委員各位の格別の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。  以上、簡単でございますが、私のごあいさつとさせていただきます。
  7. 大渕絹子

  8. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) 昨年の十二月に国務大臣環境庁長官及び地球環境問題担当を拝命いたしました林大幹でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  諸先生承知のとおり、環境行政は、国民の健康を守り、良好で快適な生活環境確保するとともに、すぐれた自然環境を保全し、さらにかけがえのない地球環境を保全するという重大な使命を有しております。  このため環境庁では、みずから基本的な政策企画、立案、推進するとともに、環境問題に関する各種の施策が効果的に実施されるよう、政府一体となった施策総合的推進に努めているところでございます。  特に環境問題は、近年、身近な問題から地球環境問題に至るまでその範囲を広げ、また社会経済活動そのものあり方に極めて密接にかかわるようになるなど、その対象領域は大きく広がりを見せております。国際的にも我が国が本分野で積極的な役割を果たしていくことを強く求められております。こうした中で我が国は、環境と開発の統合を目指したさきの地球サミットの成果を踏まえ、環境政策の新たなる展開を図っていかなければなりません。  こうした考え方に沿いまして、今後、環境基本法案の速やかな策定を初め所管の行政を強力に推進してまいる所存でございますので、委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえます。     ―――――――――――――
  9. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 平成二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、郵政省自治省警察庁環境庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  10. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  12. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 中尾則幸

    中尾則幸君 おはようございます。中尾でございます。  郵便貯金など、今、郵政行政をめぐるさまざまな問題、課題があろうかと思いますけれども、後ほど同僚議員の方からこれらについては質疑があろうかと思いますので、私はきょうは放送行政に絞りまして、大臣並びに当局のお考えを伺いたいと思います。  その前に、今回参議院では大臣就任後初めての質問ということでございまして、まず最初に大臣担当行政につきましての基本的な政治姿勢をお伺いしたいと思います。  大臣就任に当たりまして、省益よりも国益を優先することを基本的な方針としておられるようです。これは省益、すなわちお役所的な利権や、言葉は悪いのですが縄張り争いよりも国益国民全体の利益を大事にするというお考えのように私は受けとめております。さらに、行政あり方につきましては、官業よりも民業を優先することを大きな方針とされているようですが、まずこのお考えを改めてお伺いしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 省益よりも国益優先というのは、私は基本的な姿勢として、政治家として常に心がけていかなきゃならないことだと思っております。  それぞれの役所すべてが国民のために大事な仕事をしているわけでありますし、その重要性というのは申すまでもありませんが、国民全体のためにどれがいいかという場合には、役所の権限とかあるいは今までのいきさつを離れて、各省庁協力して国民のために一体何がいいのかという姿勢を常に念頭に置いていくということが大事だということで省益よりも国益優先であると言ったわけであります。  また官業民業、これも私はここまで日本経済発展してきたのは民間活力をうまく発揮させたそういう政治経済環境を整えてきたことにあると思っております。当初は、官営でしかできない事業もいろいろ歴史的な流れを見てみますと、民間がやれる事業は随分譲ってきて、そして官にはない知恵を民間の方々が発揮してさまざまな分野に進出しております。これからも自由経済市場経済活力を生み出すためにも、もしも民間の方が十分その能力を発揮して国民のさまざまな要望にこたえ得るならば、その民間活力を発揮できるような体制を政治の場としても整えていくことがこれから日本経済発展のために、または国民生活の向上のために重要ではないかなという気持ちから官業民業の補完にあるべきだというような考えを申し述べたわけであります。
  15. 中尾則幸

    中尾則幸君 大臣、それではくどいようですが、放送行政におきましても官業よりも民業を優先するというお考えであるという受けとめ方でよろしいのでしょうか。
  16. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 放送行政につきましては、現在、日本においてはNHKと各民放が併存競合して私は順調にともに発展しているのではないかと思います。これからもそれぞれの独自性といいますか、特徴を発揮して、相切磋琢磨しながら発展していければなと期待しているわけでございます。
  17. 中尾則幸

    中尾則幸君 国民生活優先といいますか、国民本位行政推進する、大変私も同感であります。  放送界におきましては、今大臣も御答弁ございましたけれどもNHKすなわち公共放送が、これは完全なる官業とは言えない。NHKの場合は有料放送公共放送と言った方が正しいのでしょうけれども官業に近いというふうに私はとらえております。大臣から今もお話ありましたけれども、将来にわたり公共放送民間放送の調和ある発展確保するお考えであると、今の御答弁でそう理解してもよろしいのでしょうか。
  18. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) そのとおりでございます。
  19. 中尾則幸

    中尾則幸君 それでは、続いて次期放送衛星BS4の問題を中心にお伺いいたします。  次期放送衛星BS4、我が国の将来の放送秩序につきまして大変な問題といいますか、課題を抱えているように私は理解しております。一九九七年を目途とする次期放送衛星による衛星放送事業は、我が国放送界一大変革をもたらすものと予想されております。その重要さは改めて申し上げるところでありません。二十一世紀の国民の文化や情報、また広くは国民生活経済活動にも多大な影響を及ぼすことと思います。当然このBS4問題の方針決定では、今大臣からもお話ありましたように、何物にも増して視聴者たる国民利益最大限に尊重されなければならないと私は思っております。そのためには、衛星放送あり方をめぐる論議がまず国民にわかりやすく、ガラス張りでなければならないということは、私は、 先月の逓信委員会の中でも申し述べてきたところであります。  さて、この次期放送衛星BS4の調達問題に関しまして、まず大臣のお考えを伺いたいと思います。  BS4の調達につきましては、初めから民間あるいは経団連もそうなんですが、衛星利用者によって調達すべきという意見が強かったことは大臣承知していると思います。しかし、この民間反対意見を押し切りまして、郵政省では一昨年の五月、公的法人による調達という方針を決めました。しかしながら、大蔵省などの反対もありまして、大蔵省がなぜ反対したかといいますと、御存じのように数百億円に上る資金調達確保債務保証を得ることができず、結局、公的法人による調達を断念いたしました。現在、民間法人による調達準備を進めていると聞いております。一年半に及ぶ足踏みの後、結局、当然のことだと思いますけれども民間調達という振り出しに戻ったわけであります。  こうしたいきさつに関しましては、郵政省公的法人をつくり、自分のところで主導するという省益にこだわる姿勢が見えるような気がいたします。それはそれとしまして、民間調達、すなわちかつての臨調の答申などにも盛り込まれている民間活力を重視する政策大蔵省もそう考えているようでありますけれども、そうした方針の方が大臣のお考えにもかなうかと思いますが、これについていかがでしょうか。
  20. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 委員が今御指摘のとおり、公的法人にかわる調達方法関係者検討の結果、昨年十二月にその基本的なあり方がまとまりまして、電波監理審議会に報告したところであります。今後この調達方法につきまして、次期放送衛星の円滑な調達確保され、衛星放送の健全な発達、普及が図られることを期待して、いろんな各般の意見を聞きながら決めていきたいと思います。  今委員指摘された点も大変重要でありますので、そういう点も踏まえてより明らかないい方法があればなと検討している最中でございます。
  21. 中尾則幸

    中尾則幸君 そうしますと、初めから民間協力や支援を仰いだ方が私はよかったんではなかろうかと思いますが、続いて放送行政局長にお尋ねします。  確認いたします。民間による調達法人設立の時期についてはいつになりますか。
  22. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) ただいま大臣が説明申し上げましたように、当初公的法人で一括して調達しようという構想のもとに進めてきたわけでございますが、それが実現できないということになりまして、現在、関係者といいますか、衛星放送を行っておりますNHK民間放送でございますJSB、それとハイビジョン試験放送をやっておりますのでハイビジョン推進協会、この関係者皆様方が協議をされておりまして、そして調達法人をつくるべく準備を進めているところでございます。できるだけ早くこの調達法人をつくりまして、新年度といいますか、四月以降速やかに、NHKが絡む問題でありますだけに国際調達手続に入る必要がございますので、そういう手続に入りたいというふうに考えておるように聞いております。
  23. 中尾則幸

    中尾則幸君 もう一度確認しますけれども、四月以降というふうに今お答えになりましたですか。
  24. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 具体的な国際調達手続に入りますのは四月以降になろうかと思います。
  25. 中尾則幸

    中尾則幸君 私は時期を聞いているんです、大変大事な問題ですから。  例えば、これは十二月十八日、私もいただいています次期放送衛星調達について、ここに書いてあるんですよ。衛星の打ち上げ時期については、平成九年四月までに打ち上げることが必要であると。そしてもう一つ、これは四月というふうに私は聞いているんですが、これは間違いですか。四月に調達法人を決めるということは、これは単なるうわさでございますか、確認したいんですが。
  26. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 調達法人設立につきましてはそれまでに決めていく必要があると考えております。
  27. 中尾則幸

    中尾則幸君 何かちょっとかみ合わないのですが、四月ということで私は伺っております。  そうすると、BS4のあり方についての電監審答申の時期はいつですか。
  28. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 電監審に現在BS後継機あり方について諮問をしているところでございますが、現在の予定では五月を目途答申をいただくということでございます。
  29. 中尾則幸

    中尾則幸君 そうしますと、衛星調達開始BS4に関する電監審答申に先行することになりますね。
  30. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) もともと公的性格を有する法人に一括して調達をしてもらうということは、それまでに免許人が決まらない、そういう段階での調達方法として考えられたものでございまして、そういう意味で今御指摘のとおり、電監審答申が出る前にこの手続に入るということに相なろうかと思います。
  31. 中尾則幸

    中尾則幸君 ですから、私はここの問題を言っているんです。一年半もこの大事な時期に行ったり来たり、公的法人調達をずっとやってきたために一年半のブランクがあったんです。そうすると、これは電監審あり方がおかしいと私は思うんですよ。電監審は三つの研究会があります。これが十二月十八日報告書を出しております。そして、次の放送秩序の展望や計画を出すことになっているんです。その前に調達法人を決めるということは、これは一体どういうことなんですか。  私が十二月九日の参議院逓信委員会で伺いました。当時笹川前政務次官ですけれども、私の質問に答えて、時間の誤差ができてしまったことはお認めになっております。ですから、これについて郵政当局の失政と言っている人も、これはたくさんおるんです。国民に開かれた郵政と前回の私の質問にも放送行政局長お答えになったはずでするるこの後私は言いますけれども、これについて一言答えてください。
  32. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 私ども電監審に対する諮問でございますが、先生指摘のとおり、次期放送衛星の問題は大変重要な問題であるということで御検討いただいておるわけでございますが、私ども考え方では、当初の公的法人によって調達するという手続がスムーズにいっておるならば、もっと早くこの問題について国際調達手続も始められたのであろうというふうには考えております。
  33. 中尾則幸

    中尾則幸君 この調達問題については大変失敗したということをお認めになりますか、なりませんか。
  34. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 私ども、鋭意この問題につきましては、斎藤英四郎経団連名誉会長のもとにおいて、次期放送衛星問題をどうするかという御検討をいただいて、その結果として、公的性格を有する法人による調達が好ましいという御指示を受けたわけでございまして、その線に沿って努力してきたわけでございます。それが結果的におくれたということは認めざるを得ないと思います。
  35. 中尾則幸

    中尾則幸君 これだけ聞いていると次に進みませんのですが、今伺いました斎藤英四郎会長のいろいろな御指示、あるいはそういったものは後からじかに調べて、どうであったかは調べさせていただきます。  NHKの今お話しありました衛星放送JSB日本衛星放送、これが大変不振をきわめていることは御承知のとおりだと思うんです。放送継続という口実で、国民にとって非常に重要な将来の放送秩序について議論が尽くされていない。これは今の御答弁を聞けば皆さんおわかりだと思う。調達だけが見切り発車だ。これ望ましいことじゃないんですよ。こういうことやっているからだめなんだ。  そして、私、ちょっとここでもう一つ聞きます、しつこいように聞きますから。十二月九日の参議院逓信委員会で、私は放送行政局長質問を申し 上げました。御存じのように、放送普及基本計画のことについてであります。  この放送普及基本計画によると、「我が国に割り当てられた放送衛星業務用の周波数のすべてを使用した放送を開始すること」、こういうふうに書いてある。つまり八チャンネル放送、八トランスポンダートランスポンダー専門用語ですけれども中継器を積んでBS4を打ち上げる方針には変わりありませんかと私は質問いたしましたら、行政局長は、「その方針のもとに、現在BS後継機あり方について」、つまりBS4のことですが、「検討しているところでございます。」と、これが十二月九日です。  そして、私のところにも資料が回ってきました、きちっとした資料。これは十二月十八日。もう検討している。随分早いですね、十日もたっていませんよ。こういうふうに検討しています。「衛星の仕様」、いわゆるスペックの問題。この中にこういうふうに書いてある。先ほど言ったように、私に八チャンネルと答えたのは十日前ですよ。「衛星放送継続確保の観点から、四チャンネル衛星又は三チャンネル衛星考えられるが、衛星の管制の信頼性安定性経済性、更には放送普及基本計画考え方」、これがちょっとわからないんです、「(八チャンネル放送実現)等を総合的に勘案し、四チャンネル衛星とする」。これは専門家に配ったから、わかるようなわからないような、「(八チャンネル放送実現)等を総合的に勘案し、四チャンネル衛星とする。」と。これは十日後にこう言っている。  そしてもう一つは、同じく十二月十八日です。NHKが同じような見解を出しておる。先ほど私は民業官業の話をしている。それにつながるんです。NHKはこう書いてあります。「BS-調達会社設立についてのNHK基本的考え方」、「打ち上げる衛星については、衛星放送サービス安定的継続確保のためには宇宙で十分に実績のある技術を採用した信頼性の高い衛星とする必要があることや、同一軌道上で複数衛星を管制する技術のほか、経済性等も考慮すると、四チャンネル衛星が最適であると考えます。」と。  私が十二月九日に聞いたときには、放送普及基本計画に沿って八チャンネル衛星を打ち上げると言っているんです。その後、十日から十七日にかけて会議を開き大変な検討をされたかもしれないけれども、どうも何か、仲よくするのは悪くないんですが、初めから筋書きができ上がっているとしか私は思えないんです。  NHKを批判しているわけじゃなくて、先ほど大臣お答えになったように、NHKの実績と民間放送を含めた、いわゆる公共放送民間放送の調和ある併存体制、これが四十数年にわたる放送を培ってきたわけです。これは何ですか、十二月十八日、この日は三つの研究会答申も出ている。何か十二月十八日に偏っている。私は納得できないんです。  余りこれやってもあれですけれども、続いて大臣にお伺いいたします。  今のやりとりをお聞きいただいたと思いますけれども、この衛星調達問題の混乱はさらに大きな問題を引き起こすように私には思われます。すなわち、NHK衛星放送を中心とします次期衛星だけが先行して調達される事実であります。  今申し上げたように、郵政省はかねて一九九七年を目途に国際的に我が国に割り当てられた八チャンネルすべてを使用して衛星放送を開始するという方針を掲げてきたんです。少なくとも私が聞いた十二月九日までやっていたんです。現在先んじて調達される衛星は、今申し上げましたように四チャンネル分の六機と予備機合わせて二機と聞いています。この衛星NHK衛星二波と日本衛星放送、いわゆる現在も放送を行っていますJSB一波などが使用する予定ということです。加えて、四チャンネル打ち上げるわけですから、残り四チャンネル分の後発衛星の打ち上げがおくれる見通しが強くなっております。  こうなりますとどういうことになるかというと、既にこれは視聴世帯は今のNHK衛星放送は六百万だと推定されています。視聴している世帯はこれはお金を払っていない方もいますので契約世帯とは違う。NHK資料では契約世帯は四百五、六十万と聞いています。四百五十二万、十二月現在。でも、実際に見ているのは六百万世帯と言われています。このNHK衛星放送がこれは中心になるんです。先行しているんです、ずっと。四年後の九七年ではどうなるかといいますと、さらに四チャンネルNHK中心に打ち上げてしまうと独走するのは当たり前で、肥大化するんです。  十二月十八日に出された各界の意見もそうです。特定のものに対する巨大メディアを防ぐことを考えたらいかがかと、そういう意見を申し上げている人はたくさんいるんです。その点からいいますと、これの八チャンネル、四チャンネルというのは重大な問題なんです。  これに対して民間衛星放送JSBはどうだろうかといいますと、大臣もおわかりのように、極めて厳しい経営的困難に追い込まれている。これは後ほど私は御質疑いたしますけれども。  このような情勢の中で、JSBに続く民間衛星放送事業が九七年以降にNHKにさらにおくれをとった後発の衛星でとなると、JSBだって今現在四苦八苦なんです。立ち上がりが遅くなればなるほど、いかに民活を利用するとか言っても、これはもうJSBの二の舞を踏むのは火を見るよりも明らかだと思っているわけです。NHKが将来の衛星放送で極めて優位で、かつ巨大な地位を占めるおそれがあると私は考えています。大臣のお考え方をまずお伺いしたいと思います。
  36. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 現在でもNHKの影響力は非常に大きくて、委員指摘も十分理解できるわけであります。そして、このBS後継機段階の衛星放送あり方については、衛星調達方法と切り離して現在電波監理審議会において審議中であり、本年五月に答申が行われるわけでありますが、郵政省としてはこの電波監理審議会答申を踏まえてそのあり方を決定していきたい。  そして、私もかねがね主張しておりますように、NHKと民放との関係、これが併存し相調和して発展できるようなことは大変大事でありまして、私もその趣旨に沿って適切な対処をしていきたい、そういうふうに考えておりますので、今後ともいろいろ御意見をいただければありがたいと思っております。
  37. 中尾則幸

    中尾則幸君 放送行政局長にも今の質問について一言御答弁を願います。
  38. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 先生指摘の点でございますが、一言申し上げさせていただきたいと思いますのは、確かに放送普及基本計画で定められている方針は、八チャンネルを使った放送を開始するということでございますが、それに沿って電波監理審議会でそのあり方検討していただいているわけであります。  ただ、調達の時期として間に合わないので、免許人の確定ができないから、さしむき現在やっている方々を中心にして調達していただこう、それは四チャンネルであるということでございまして、その意味で電波監理審議会で御検討いただいている将来のあり方の問題とは、ただいま大臣が申し上げましたように、切り離して考えていただきたいというふうに思うわけでございます。  そして、今後の、さしむき先行的に打ち上げる四チャンネル以外の残りの四チャンネルにつきましての打ち上げ時期につきましては、いろいろな今後の展開はあろうかと思いますが、その後方針が出て、免許の申請がどういう状況で行われるのか、あるいは免許人がいつ確定するのか、調達方法をどうするのか、いろいろあると思いますけれども、これらが順調に進めば、考え方といたしましては、当机の平成九年を目途に八チャンネル放送を開始するという放送普及基本計画考え方は、大幅な変更を来すことなく実現が可能ではないかというふうに考えておるところでございます。
  39. 中尾則幸

    中尾則幸君 私も最近、すごくしつこいようですけれども、確認をするようになりました。  そうすると、四チャンネルで打ち上げる、放送 の継続性という話もありましたけれども放送普及基本計画による八チャンネルすべてを使ってという、一九九七年を目途としてという考え方には変更はありませんね。
  40. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) そういう放送普及基本計画の中で、電監審で今後のあり方をどうしたらいいかということを御検討いただいているところでございます。
  41. 中尾則幸

    中尾則幸君 続いて、また大臣にお伺いします。  放送衛星後継機BS4、現在の後継機問題に限りませず、NHKは、先ほど申し上げましたように、衛星放送で極めて優位な立場に立っています。  すなわち、もっと具体的に申し上げますと、他に先行した放送開始時期は言うに及ばず、これは地上放送と連動した番組ソフトの効率的な運用。今、総合テレビ、教育テレビありますね。我々もその道のプロでやってきましたから、いろいろなライブラリーとか使って財産があるわけです。それを使いながら、二次使用です、我々はリメークと呼んできましたけれども、そういった優位性。さらに、地上放送を使って、これは具体的な名前を挙げるのはどうかわかりませんけれども、具体的に言いますと、一番あの「ひらり」という、私も見ておるんですが、あれは非常に視聴率が高い番組です。そうすると、八時十五分に放送が始まる。八時十四分からほとんど毎日のようにBS、現在の衛星放送のPRをしております。これができるんです。その優位性です。どれをとっても後発の民間企業が容易にまねができません。  中でも特に重要な点は、有料放送ですからお金を徴収する場合、JSB日本衛星放送と違うのは、料金を徴収するときに新たにその人材というか人員が必要ないんです。今の地上放送で料金を徴収しております。そういった問題。あるいはスクランブル、お金を払わない人に見せないようにというか、スクランブルをかけるわけです。それを解読しなければいけませんので、だれでも見られちゃいますから、そのデコーダーというのがあります。それはお金がかかるわけです。デコーダー、これも必要ない。  そんないろいろな優位性の中から、現在のNHKJSBをとってももう天と地ほどの差があるわけです。これは私が説明するまでもないと思います。こういうことでは民間はどんな形でも太刀打ちできないんです。それを私は申し上げます。果たして我が国有料放送というマーケットで、もう国民の財布は限られているんです。これ有料放送、一万も二万も月払う人はいないんです。限られている。そうした中で公共放送たるNHK民間業者を、言葉は強くなりますけれども、押しのけて独占的な地位を占めでいいのだろうか。  私は、先ほども一番先に大臣お答えになったように、もちろんNHKのあのノウハウ、これは大変高く評価しております。しかし、一方だけ巨大メディア化する、これは大変いろいろなところから指摘されているんですよ。このような格差があることをわかりながら、それを一体どうしていかなきゃいけないか。放送多メディア・多チャンネル化を推進するといっても、こうしたところのことを見逃したら絵にかいたもちなんです。  官民の調和ある発展、これにつきましては、この放送行政につきましては小泉大臣考え方を私は大変支持いたします。評価いたします。大臣のお考えをもう一度伺いたいと思います。
  42. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 委員指摘のとおり、これからの放送行政につきましても、NHKと民放、これが併存して相調和しながら発展していくという基本方針を大切にしながらいろいろな事態に対処していきたい、そう思っております。
  43. 中尾則幸

    中尾則幸君 続いて、放送行政局長に伺います。  JSBの再建問題であります。まず一つ、会社設立郵政が果たした役割、占めたポジション、これについて簡潔にお答え願います。
  44. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) JSB設立の過程におきまして、日本の主要な企業のたくさんの方々がこの申請をされまして、大きく分けて十二社になろうかと思います。あるいは十三社だったかもしれません。そこのところ私、記憶が正確ではございませんが。そういう中で、一本化調整の作業につきまして経団連の方に調整を依頼いたしまして、そこでこの一本化調整が合意になりましてJSB設立されたものと理解いたしております。  先ほど申し上げました申請者数は十二件でございます、テレビに関しまして。
  45. 中尾則幸

    中尾則幸君 十二件でございますか。十三グループではなかったでしょうか。――わかりました。  それでは、続いて伺います。  このJSB日本衛星放送の初代、それから二代目は現社長でありますけれども、この初代、二代目の出身はどちらでしょうか。
  46. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 初代は、元郵政次官をしておりました溝呂木でございます。二代目が、今現在の郵政省放送行政局長をやっておりました徳田でございます。
  47. 中尾則幸

    中尾則幸君 ということは、これは民間だと言っていますけれども、こういう形の中で、前にも私十二月九日に聞いたんですが、JSB民間だと。郵政省はその中で指導している。しかし、これは責任あるんじゃないですか、直接的な責任なくても。これが経営危機に陥っているんですよ。御存じのように、昨年十一月末現在、加入百九万件、これは収支の分岐点は三百五十万件だと言われているんです。そして、十二月二日に発表したJSBの経営危機、この中で累積損失が四百七億円、資本金が四百十五億円なんですよ。自転車操業どころか、もう自転車のタイヤがパンクしておるんです、これは。  こうした状況の中で、例えば先代、一代目の社長と二代目の社長が郵政の出身なんですよ。このJSBについての私は責任があると思うんですけれども、いかがですか。
  48. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 初代の社長と現在の社長が郵政のOBでございますが、これらはいずれも郵政から何といいますか、天下りを強要するとかいうようなことではございませんで、私ども行政の経験者として請われて、皆さんからぜひ郵政から来てほしいということで社長に就任したという経緯と理解いたしております。  JSBの経営、確かに苦しいわけでございますが、ただいま御指摘の中身でございますけれども、累積損失が昨年の中間決算の段階で四百七億円でございまして、現在の資本金が四百十五億円でございまして、これが債務超過の可能性があるということで大変厳しい現状にあることはそのとおりでございます。したがって、現在抜本的な経営改善に向けた取り組みが行われておるところでございます。今後、安定した事業経営が行われる基盤が確立されることを期待しておるところでございます。
  49. 中尾則幸

    中尾則幸君 いろいろ、もう御存じのように、これは言われているんですよ。私が言っているんじゃない。いろいろな方が書いているんです、評論家も含めて。経営感覚のなさ、テレビというメディアが全くわかっていない、そういうことなんですよ。  そして、専門家意見をちょっと、これも専門雑誌に書いてある意見を御参考までに読み上げます。これはどうしてこうなったか。これは寄り合い世帯だからですよ。だれも責任を持っていない、でき上がった会社や団体は少しずつ金を出し合うためと、これはこう書いてある。郵政省は許認可、免許というカードをちらつかせるからですよ。だから、十三も仕方なしに、今度にらまれちゃいかぬというからやるんです。これはハイビジョン推進協も同じです。放送局やメーカー、そして金融、商社、流通、情報関連などから資金を出させている。責任ある、または経済原則に乗った経営ができないのは、これは当たり前なんです。  しかし、郵政省は今も御存じのように、その会社や団体に、私は初め天下りという言葉が嫌いですから使わなかったんですが、放送行政局長が言ったのであえて使いますけれども、天下りさせているんです。事あるごとに介入している、こういう意見も聞かれているんです。こんなことで将来の、二十一世紀を担う産業ですよ。何兆円産業 と言われています。これをこういった形でやる時代はもう過ぎたんじゃないかと私は申し上げます。しかも、一方で、もうきょうは時間がないから次回にしますけれども、集中排除だの、総合編成が必要だの、有料時間は何%にするだの、一々縛っているじゃないですか。そのくらい自信があったら、事務次官を送り、そして今度放送行政局長を送った、これは責任ないとは言わせませんよ、ああ知りませんとは。こんなことをやっているからいかぬのです。  それで、これは名前は申し上げません。個人に大変かかわる問題でございますから、これは改めてやりますけれどもJSBの社員から聞きました。私はそれをちょっとまとめてあります。こう言っているんです。JSBのある社員が、経営陣の資質の問題だと言っております。郵政省が経営の根幹を全く知らない人物を自分の都合だけで社長として送り込んだのが始まり。これは名前は出しません、後から調べます。Tグループと言っておきましょう。出資関連です。Tグループは経営的には無謀としか言いようのない編成局長を送り込み、収支をわきまえず湯水のごとく番組費や営業費、交際費を使い、資本金のほとんどを使い果たしても責任をとる形勢にはないと。これは改めて逓信委員会でやりますけれども。  それから、これも具体的に調べさせてもらいます。その一つBS3の打ち上げ、現在運用しておりますけれども、私はけたが間違っていると。もう一度調べさせてください。我も我もと社員の半分の百人もの人間が種子島に行っていると。これは十人だろうと思って、ちょっと調べます。そんなばかなことはないだろうと思うんです。これについては次回に調べさせていただきます。こんなずさんな経営をやる、これは参考意見でございます。  いろいろマスメディアの集中排除の原則等も聞きたいんですが、ちょっといろいろ問題がありまして、最後に大臣、この放送行政、これは大変です。多メディア・多チャンネル、これはもう経済界をも巻き込む、いい意味で言えば大変発展していく問題です。そして、国民が電波をひとしく共有できる、そういった今の大事な時期です。しかも電監審答申が五月と。ですから、私は声を大にして言っているんです。もう遅いかもしれないんです。しかし、大臣、今のやりとりを聞きまして、最後に大臣のお考え方をお伺いしたいと思います。
  50. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 衛星放送というのは、これから将来国民生活には大変な影響を与えていくものでありますし、多メディア・多チャンネル化時代ということに備えて今さまざまな事業関係者が大変大きな関心を持ってこの分野に進出しようとしている。そういう中にあって、今委員指摘されたように、どういう公正な、適切な対処があるかということについていろいろ郵政省は真剣に考えていかなきゃならないとか、多くの方から批判されることのないような公正な対処が必要ではないかとか、しかも今いろいろJSBについても厳しい経営状況であるということは承知しておりますが、私はこの苦難な状況を乗り越えれば大いに発展の可能性がある事業だとも考えております。  そういう点も含めまして、これから鋭意検討をさせていただき、適切な対処をしていきたい、そう思っております。
  51. 中尾則幸

    中尾則幸君 きょうは、そのほかCS、通信衛星についても大変な今問題を抱えており、伺いたかったんですが、時間が参りました。  私は、郵政がどうであるというよりも、国民のために何が今大事だという観点から質問させていただきました。決してあつものに懲りてなますを吹くようなことをしてほしいとは言っていません。時には大胆な行政も必要であろうと思いますが、何よりもその前に、省益あって国益なしみたいな、しかもガラス張りでない、これだけはぜひとも改めていただきたい、そのことを一言お願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 西野康雄

    ○西野康雄君 突然ですが、林環境庁長官はゴルフはお好きでしょうか、おやりでしょうか。
  53. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) ゴルフはやっておりません。  もう少し説明しますと、他人のやっているのを見るとちょっと魅力があるんですけれども、自分ではまだそこまでいっていません。
  54. 西野康雄

    ○西野康雄君 それは大変に健康にいいと思います。私自身もゴルフはやりません。道具を持ってしばらくはやっておりましたけれども、ゴルフ場の農薬の問題あるいはスポーツの面から見ましても、大変にこれは危険度の高いスポーツです。  例えば、厚生省がスポーツの種目別の危険率を分析して、その結果を発表いたしました。私は四十を過ぎておりますから、例えば昭和五十九年からの五年間に突然死した、その四十から五十九歳の中年組ですね、百六十六人を調べた。その中で一番突然死をしているのがゴルフで、四十一人です。さらに六十歳以上、余りスポーツせぬ方がいいですね。例えばランニングの突然死の危険率を一とすると、ゴルフが最高の七・九、登山が七・四。こう考えると非常にこれは危険率の高いスポーツで、一見穏やかそうですけれども、大変なものです。  もう一点は、夏になるとゴルフ場へ行くと目がちがちかする、こういうふうなことをおっしゃる人がいらっしゃいます。これは、今残留農薬を使わないで非常に気化性の高い農薬を使っておるんです。ですから、目だとかあるいは自然に呼吸で内臓に吸収されていく、こういうふうなものを持っております。ですから、私は、機会があれば、こういう突然死だけではなくて、ゴルフ場でお働きになっているキャディーさんの肝臓の状況だとか、そういうふうなものも調べていくと大変おもしろい興味ある結果が出てくるんじゃないだろうか、こんな気がしてならないわけでございます。ゴルフ場へ行くと何か毒ガスを吸うているような、そんな気分になりまして、私自身もできるだけゴルフ場は避けるようにいたしておるわけでございます。健康のためにはランニングあるいは水泳の方がよろしいかと私は思うわけです。  さて、一九九〇年度、そして一九九一年度、ずっと全国の千五百から千七百カ所にかけてのゴルフ場の排水残留農薬調査が実施されたようでございます。環境庁の暫定指導指針どおり行った都道府県も最初の年、一九九〇年度は少なかったようなことも聞いておりますが、一九九一年度は大体ほぼ全都道府県がそろったようですけれども環境庁指導指針どおり行った県、一九九一年で結構ですが、実施率、どれぐらい実施されておりますか。
  55. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 環境庁では、ゴルフ場で使用される農薬によって水質の汚染がされているのではないかという議論が高まったので、平成二年の五月に今お話しのようにゴルフ場農薬に係る暫定指導指針というものを定めて、これに則してゴルフ場からの農薬の排水等について指導を行ってきてございます。  平成二年の五月に指導指針を出したわけでございまして、その年は初年度ということで県がいろいろ努力したわけでございますが、平成三年度もいろいろ調査をやったわけでございます。  いろいろ伝えられたところで、指導どおりであるかどうかということで回数なんかをもとに話が出たようでございますが、この回数も指導指針の中では何回ということを特定しているわけではありませんで、農薬の使用状況だとか現地の立地条件を勘案しながら、排出水中の農薬濃度が高い状態と認められるときの残留実態を的確に調査しなさいという指導をやっておるわけでございます。それは一回では不十分ではないかということで、十分な、指導どおりやっていないというような議論がちょっとなされたように聞いているわけでございますが、ちなみに我が方で都道府県でどれくらい回数実施しているかということで調査をしたのがございますが、これも環境庁で都道府県に問い合わせて調べたものでございます。  平成二年度では、一ゴルフ場当たりの調査回数 が最高一回であった都道府県というのは、我が方で聞いた限りでは十八県であったわけでございますが、これも平成三年度の調査について最高一回であるという県は十二都道府県というふうに減ってございます。したがって、前年度に比較しますと調査回数はふえているというふうなことが言えようかと思っております。
  56. 西野康雄

    ○西野康雄君 厳しく指導していただきたいと思うんです。これは今、ゴルフ場農薬使用禁止あるいは使用を停止するための裁判等々も行っております。ですから、そういうふうな部分において非常に貴重な判断材料になりますから大いにお願いをしたいと思います。  さて、その暫定指針の内容ですね。今できるだけ濃度の高いところの排水口でとるんだと、そういうふうなことをおっしゃっていましたけれども、採水の方法だとか、そういうふうなのが都道府県に徹底してないんじゃないだろうかという印象を私自身は受けるわけですね。そういうふうな採水の方法だとか、あるいは除草剤、殺虫剤、殺菌剤、気化性の高いもの、こういうふうなことを当初私は表現いたしましたけれども、具体的なことを少し述べていただけますか。
  57. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) この平成二年五月に出した暫定指導指針の具体的内容ということだろうと思うわけでございますが、これはゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁を未然防止するという観点に立っていろいろ指導内容を決めてございます。  まず、人の健康を保護する観点からのゴルフ場の排水中の農薬濃度に係る指針値を設定しているというのが中身の第一になってございます。この農薬で指針値を定めておりますのは、平成二年度は二十一農薬でございましたが、平成三年度には三十農薬にふやしてございます。次に、水質保全の面からゴルフ場を指導するに先立って、農薬の使用状況や場内の集排水系統あるいは周辺の水域の状況等の実態を的確に事前に把握しておけという指導をやってございます。それから、同時に下流の水域の出口であるゴルフ場の排水口における調査を基本にやれということを言ってございまして、そしてどういうときに調査するかということで、農薬の使用状況あるいは現地の立地条件等を勘案して、農薬濃度の高い状態になると見込まれるときの排出水中の農薬の残留実態を的確に把握しなさいという指導をしてございます。  それで、その調査の仕方や分析の仕方もいろいろ具体的に指導しておりますし、また調査の結果、指針値を超えるような値が出たというような場合には、ゴルフ場に対して農薬の使用の適正化等の措置を講ずるように指導もいたしてございます。  主な内容はこういうことでございます。
  58. 西野康雄

    ○西野康雄君 ここで、ゴルフ場は非常に賢い方法をとってくるんではないだろうかと思えて仕方がないのは、指針値を超えるとか、そういうふうなことがあります。しかし、殺菌剤だとかそういうふうなものを下げられないとなると、例えば簡単な方法は水で薄めてくるとか、そういうふうな方法をとってくると思うんです。そうすると、排水口で指針値以下ですよといったところで、実際使用されているのはそうではない。そういうものが人間の体にやはりたまりたまってくる。どこかその辺でそういうものの方法も防いでいかなければ、単に指針値だけでやっていくとだめなことが多いと思います。  ですから、まずそういうふうなところの禁止をしていく。千葉県あたりの、みずから自分でゴルファーたちが草をとっていくという、そういうふうなところも見受けられますけれども、強力にそういうふうな部分を推し進めていかなければならないんじゃないだろうか。かつて公害企業はいろんな汚染物質を垂れ流ししていた。しかし、それは基準からいうとクリアをしている。おかしいな、何をしているのかといったら薄めていたりする、そういうふうなことではやはりだめなんじゃないだろうかと思うわけでございます。  ですから、そういうふうなことできっちりと指導をしていくということ、そしてまたこれが地方の自治体で条例としてきっちりとやっていけるように、そこまで踏み込んでいかなきゃならぬのじゃないか。私自身も「ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る水質調査結果について」というのをいただいております。拝見もいたしました。しかし、じゃ調査したから一体これでどないするんだということになるわけですわな。結果出しましたで、さあ自治体勝手につくっておくんなはれというふうなわけにはいきまへんわ。やっぱりこれであんたらに条例をつくれるようにうちも指導しまっせ、厚生省や自治省にも働きかけまっせ、それぐらいのことが対応策として必要じゃないだろうかと思うんですよ。ですから、そういうふうな対応についてどういうふうなことをやってはるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  59. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) ゴルフ場の農薬に係る暫定指導指針の考え方というのは、ゴルフ場で農薬を使った場合に排出される水質の汚濁を未然防止するという目的でいろいろ指導しているわけでございまして、そういう意味では、ゴルフ場が農薬を使うには年間どういう形で使うかという事業計画なんかもつくらせて、どういう農薬を使っているかとか、いつどういうふうな形で使うかという使用計画なんかも事前に聴取している県が多いわけです。県独自に、今お話ございましたように条例なんかもつくって、いろいろそこら辺の指導体制をつくっておる、対応しているわけでございまして、具体的に県の担当部局は、ゴルフ場の農薬使用では農政部局あるいは衛生部局、環境部局、こういう各部局がそれぞれの立場で関与しながらいろいろ指導しているということでございます。例えば、農薬使用自体については農政部局がいろいろな使用についての指導をしておりますし、排水等については環境部局で調査するというような形で対応しているわけです。  いざ、先ほど言いました指針値等を超える値が出たような場合では、なぜそういう形で出ているかという原因を究明してそういう使用の仕方をやめるとか、そういう出やすいものではない農薬の使用を指導するというような形で、それぞれ県によって対応が若干違うところございますけれども、やはりゴルフ場での農薬の使用によって水質の汚染を未然に防止するという観点からいろいろな対応をしているのが実態でございまして、また、そこら辺については未然に防止されるというような趣旨が十分徹底されるような指導をやっておるところでございます。
  60. 西野康雄

    ○西野康雄君 水道水源の汚染の規制のためには水質汚濁防止法というのがあります。しかし、これは工場が主な対象です。ゴルフ場だとかあるいは田畑から流出してくるそういった農薬は規制の対象外です。しかしながら、水道水源を本当に守っていくという立場からいうならば、特にゴルフ場は田畑よりもはるかに多い量の農薬を使うわけですから、ここで環境庁が強力に指導をしていくというふうなことが一番私自身は重要じゃないだろうかなと思いますし、いろいろなガイドライン見ておりますと、厚生省は厚生省で出しておる、環境庁環境庁で出しておるというふうなことで、横の連係プレーというんですか、いわゆる縦割り行政になってやしないだろうか。その辺の連係プレーみたいなものがうまくいっているのかどうか、ちょっとお聞きしたいんですけれども
  61. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) この暫定指針を出すに当たっては、指針値をどうするかということから始まりまして、具体的にそういう指針値を超えるようなものが出たらどうするかということにつきましてはいろいろ厚生省等とも事前に相談し、かつ調査結果なんかについても公表したりして、また対応についてもこういうふうにするということを、それぞれの所管もあるわけでございますけれども、相互に連絡調整しながら対応しておるわけでございまして、ゴルフ場関係の農薬問題についてはいろいろ各省とも十分相談しながら対応しているという実態にございます。  都道府県の中でも、先ほど申しましたように、農政あるいは衛生あるいは環境担当部局がそれぞれ連絡会議みたいなことをやりつつ、飲み水に関 してでの指導であれば衛生部局がやりますし、今のような実際の排水のどういう濃度になっているかという調査は環境部局がやるということで、お互いの連携をとりながらやっているということでございます。
  62. 西野康雄

    ○西野康雄君 やっておるということでございますけれども、より緊密にやっていただきたいと思いますし、市民団体の方からは、まだ縦割り行政ではないかという批判もございますので、ひとつ環境庁環境省にグレードアップするそういうときには強力な、みずからが主体的な指導をしていかなきゃならぬのじゃないだろうか。どうも省に対して庁は及び腰ではないだろうか、そんな気がしてならないので、私は環境庁を一生懸命応援している立場からがんがんとやってもらいたいと思います。  本来、環境庁の任務の中にもありますけれども、この農薬が田畑、川に特に流れ込んだりして水辺環境、それこそ植生からあるいは魚類相に及んで随分と影響を与えているようでございます。水道水源だけではなくて、そちらの方の面でどのような施策を行っておられるのか、またそういうふうなことに対しての見解をちょっと聞かせてもらえますか。
  63. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 農薬が環境中に放出された場合に、農作物の病害虫だけではなく、他のさまざまな生物に対して影響を与えることが懸念されるということがあるわけでございますが、従来この分野の知見というのは必ずしも十分であるということではない状況でございます。このため、環境庁でも農薬の生態影響を評価する手法についての内外の知見を集積するというふうな努力もいたしております。実際にまた、藻類だとか動物系のプランクトンとか、あるいは鳥類を用いた試験を実施して試験方法検討を行ってきておるところでございます。  環境庁では、こういう知見をもとに、野生生物に対する農薬の影響を把握するために、平成五年度の新規予算でも農薬生態影響調査研究費というようなものも新たにお願いしておるということでございまして、この中で各種の生物に対する影響試験結果をもとに野生生物に対する農薬影響分類基準というようなものをつくって、また文献調査等によって野生生物の分類状況を十分把握しながら、生物の分類基準ごとに使用場所だとかあるいは使用時期等に関する農薬の使用上の留意点というようなものを作成していきたいというふうに考えてございますしばらく時間はかかるかとは思いますけれども、そういう努力をしていきたいというふうに思っております。
  64. 西野康雄

    ○西野康雄君 頑張ってもらいたいと思います。第二のトキ、第三のトキが出てくるようでは困りますし、世界から日本環境行政何をやっておるんだと、こういうふうなことのおしかりを受けるかと思います。  そして、一九九二年に宮城県がゴルフ場名がわかる形で排水の農薬分析結果を公開いたしました。水汚染の実態をきちんと把握し、そのデータを公開する、そういう施策をとるべきじゃないだろうか。この「水質調査結果について」というのを見せてもらっても、一体どこがどういうふうなことで指針値を上回っておるんだとか、さっぱりわかってこないわけですね。ですから、そういうふうなことをやってゴルフ場をぎゅうぎゅう締めつけていくという作業が私は必要と違うかなと思うんですけれども、どうですか。
  65. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 環境庁でゴルフ場農薬による水質汚濁の全国的動向や今後の指導の重点等を明らかにするために、全国で各都道府県が調査しております結果をもとに平成三年度から農薬ごとに取りまとめて公表しておるわけでございます。都道府県でも同様の趣旨で調査結果を公表しておるわけでございますが、調査自身は都道府県自身がやってございまして、ゴルフ場ごとの調査結果について、一部で先ほどおっしゃったような形で一応情報公開制度等によって公開している例もあるわけでございます。  我々環境庁といたしましては、調査主体である都道府県の意向を尊重して対応していくことが必要じゃないかということで、調査して実体的な指導もちゃんとできるという中でいろいろ運営していく必要があるというふうに考えてございます。ゴルフ場農薬に係る水質汚濁の未然防止を図る観点から、今までのゴルフ場別に公開している県の動向なんかを十分見守って対応を考えていきたいというふうに思っております。
  66. 西野康雄

    ○西野康雄君 積極的にやっていただきたいと思います。水道水源が汚染をされていく、そうすると今度は塩素を投入して飲めるようにしていくということなんですけれども、今度は浄水場に投入される塩素で有機汚染物質とか藻類の代謝あるいは分解産物としてトリハロメタンという発がん物質が出てきたりする。東京都の昭島市役所は〇・六ppbですが、参議院議員会館では三七・〇ppbというふうなことで、こんな水を私どもは飲まされておるわけでございますから、どうかひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。  環境庁が名水百選、こういうものをおつくりになりました。その趣旨はいいとするところでございますが、柿田川のわき水でトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンというものが検出された、それで汚染されているということが新聞で報道されたりもいたしました。この汚染源の特定とか、ほかの名水はどうなっているのか、そして今柿田川の湧水はどんな状況なのか、ちょっとお知らせください。
  67. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 環境庁は、昭和六十年に名水百選を選定したわけでございます。この名水の選定を通じて国民の水質保全への認識を高めることを目的としてこういうことをやったわけでございまして、そのほとんどで保存会だとか周辺住民の清掃活動等の保存活動が行われているのが実態でございます。  昭和六十三年に、今おっしゃられました柿田川自然保護の会の調査によって柿田川でトリクロロエチレン等が検出されたということでございますが、その濃度は環境庁が定めた水質環境目標値の六十分の一から二十分の一という程度のものであったわけでございますが、その後地元の自治体で継続水質調査を行ってございます。その結果、トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンはほとんど検出されなくなっているというふうに聞いてございます。また、地元の自治体でも、その水質調査と同時に水質汚濁防止法に基づきます工場、事業場への立入調査というのも行ってございます。こういうものを通じてどういうところが汚染源かということも調査したそうでございますが、現在のところでは汚染源は特定されていないというふうに聞いてございます。  それからもう一つ、他の名水で汚染の実態はどういうふうになっているかというような御質問があったわけでございますが、その他の名水の中でトリクロロエチレン等による汚染について我々が聞いたのでは、柿田川と同じころに秦野盆地の湧水群の弘法の水というのがございます。それからもう一つは、国分寺市のお鷹の道・真姿の池湧水群という名水がございますけれども、これの真姿の池からトリクロロエチレン等が検出されたというふうな報告がございます。その後も両名水とも地方自治体でいろいろ調査を継続して実施しているという状況でございます。
  68. 西野康雄

    ○西野康雄君 例えば、東京都の日の出町の廃棄物処分場で周辺の地下水が汚染されているというふうなことが報道されたりもいたしておりますし、周辺住民の方が大変に憂慮されているというふうなことも聞いております。  汚染源を今特定できなかったというふうなことでした。しかし、これはもう一挙にはいきませんけれども、汚染源をきっちり見つけていく手法だとか、あるいは常時井戸の水を採取してこれを監視していくというそういうふうなことが大変に必要じゃないだろうか、人の健康にもかかわることですから。そうすると、地下水の汚染等防止対策というものが大変に重要になってまいります。そういう手法も今考慮なさっておられるのかもひっくるめて、ちょっとお答え願います。
  69. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 地下水の汚染状況とか対策についての御質問だと思うわけでございますが、水質汚濁防止法の十五条に基づきまして都道府県知事が地下水の水質測定をやっておるわけでございます。こういうものの平成三年度の実態なんかを見ますと、概況調査の結果でございますが、トリクロロエチレン等については評価基準等を超過した井戸が見られるということでございます。特に、トリクロロエチレンとか、テトラクロロエチレン等については評価基準を超える井戸が相当数見られたということでございまして、その超過率は、ちなみにトリクロロエチレンでは〇・四%、それからテトラクロロエチレンでは〇・七%の超過率であったということでございます。  こういうふうな地下水汚染対策としては、平成元年度に水質汚濁防止法が改正されまして有害物質を含む水の地下浸透を禁止されてございます。さらにまた、地下水の水質の常時監視等の措置を講ずるように法律改正がなされたわけでございまして、この法律の的確な運用を図っていくということが必要だというふうに思っております。常時監視等で汚染が発見されたような場合でございますが、こういう場合には速やかに汚染の範囲を特定すると同時に、関係部局で連絡をとり合いながら飲用の禁止等の措置を指導しておるということでございます。特に、地域の実態に応じながらそういう地下水の拡大防止対策だとか浄化対策というようなものもやるようにという指導もしてきておるわけでございまして、こういう指導はなお徹底していきたいというふうに考えてございます。  ただ、先ほど御質問ありましたように、なかなか汚染源もよくわからないという実態もあるわけでございますので、より効果的な地下水の汚染対策を確立していくためには、そういう地下水の汚染機構の解明だとかあるいは地下水の浄化手法についての検討が必要だということで、我々も今までいろいろこういう面での検討を行ってきてございます。平成五年度には、さらに複数の汚染原因によって生じていると見られる地下水汚染に関しての汚染機構の解明だとか、経済的あるいは効果的な浄化対策手法の確立のための調査も新たにやっていきたいというふうに考えてございます。同時にまた、昨年十月に公害防止事業団法が改正されまして環境事業団というふうに名称も改められたわけでございますが、この中でも事業団の業務内容の改正で地下水浄化対策なんかについても融資対象にすることができ、また対策も一層範囲が広がっているようなことになってございます。  いろいろこういう対策を有効に活用しながら万全を期すように指導していきたいというふうに考えてございます。
  70. 西野康雄

    ○西野康雄君 地下水の汚染というと、これはもう近年ハイテク産業が随分と出てまいりました。それによって汚染をされているというふうなことで、質問通告した後、十二月三十日でしたでしょうか、新聞に水質の環境基準が二十一年ぶりに大幅に改正をされるというふうなことで、ハイテク汚染に対応するのだというふうなことでした。株大幹環境庁長官に一月中旬ごろに答申をして、そして三月中に環境基準が設定される予定だというふうなことです。やはり人の健康だとか、あるいは子供たちあるいは生物に対しての良好な環境づくりをしていくということで、長官もきっちりとこのハイテク汚染に対しては十二分に対応をしていただきたい、かように思うわけですけれども、その辺で少し決意のほどみたいなものがございましたらお伺いしたいんですが。
  71. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) 西野先生から大変詳細な各項目にわたっての御質問をいただきまして、いよいよ我々人類と水との関係をゆるがせにできないことを痛感しているわけでありますが、政府委員から説明しましたとおりでございますけれども、特に先般新しく水質の環境基準につきまして答申を受けましたので、早急に環境庁の告示の内容なども検討しまして三月ぐらいまでに基準を決定したいと思っております。  いずれにしても、我々生きている者と水との関係は、これは切っても切れない大事な関係でありますので、良好な水質を得るためには万全の努力をしていきたいと思っております。
  72. 西野康雄

    ○西野康雄君 先日、決算委員会で沖縄へ視察に行きました。その中で、できて間もない漢那ダムというところを視察いたしました。もう既にエアレーションを行っております。水中に空気を吹き込んで曝気をしているわけですね。聞くと、上流に養豚場があるからなんだと。豚舎の排水が富栄養化の原因なんだというふうなことで、そこでエアレーションをしているんだということですが、日本全国で随分とこのエアレーションをするところがふえました。  その漢那ダムを見ておって一つ気づいた点は、エアレーションをする、それだけの対策で、実はもう一つ生物的な手法というものがあるはずなんですよね。ダムの周辺には随分といろいろ植生に対して配慮をいたしておるわけです。急遽なんかもっくっておるようでございますが、ところがダム湖そのものに対しての植生というものがございません。例えば、ヨシ群落は一ヘクタールで一日にBOD換算で有機物七・五キログラムを分解していると言われております。そういうふうな生物的な手法を取り入れようとして、例えば一九六九年、当時の西ドイツはヨシ群落保存法というものをつくりました。環境庁はこれに倣うつもりはないんでしょうか。
  73. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) ヨシ群落が水質浄化機能を有するということは御指摘のとおりであると思っております。一九六九年に、お話しの西ドイツでベルリン・ヨシ群落保護法というものが制定されたことは我々も承知してございます。この法律は、ベルリン州がベルリン州にあるハーフェル湖などのヨシ群落の保護を図るために、ヨシ群落の存続成育の侵害の禁止事項を定めているということで、ベルリン州の州法でできておるものでございます。  我が国でも、もう既に滋賀県では琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例が去年の七月に施行されてございます。この条例では、琵琶湖についてヨシ群落保全区域を指定しながら、開発工事の規制等を行うと同時に保全事業を実施するということになってございます。  国全体でのこういう面での施策は、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして琵琶湖等の九湖沼が指定されてございますけれども、この指定湖沼につきましては、関係県が湖沼の水質保全計画を策定して、この計画の中で各般の水質保全施策を総合的に推進していくというようなことになってございまして、湖沼水質保全計画では、その水質保全機能を活用する観点から、周辺の自然環境の保護に関する取り組みもその中には具体的に書いてございます。この計画の中で、ヨシ群落等の保護の話も十分書きながら、既にそういうことを推進しているところもございます。  こういう制度を通じながら我々は対応していきたいというふうに思っておりますが、ヨシ群落につきましては、環境庁でも水生植物の育成、保全を目的とした調査を平成四年度から実施しかけてございます。今後ともこういうふうな自然の持っ浄化機能というものも十分評価しながら、これを水質保全のために活用する方向で水質保全対策を推進していきたいというふうに考えてございます。
  74. 西野康雄

    ○西野康雄君 琵琶湖はいささか遅きに失したかという感じはいたしております。建設省もヨシ群落の再生を目指して実験をしたんですけれども、大失敗に終わっております。そういうふうなことのないようにお願いをしたいと思います。  一九八一年に湖沼環境保全特別措置法案が国会で葬られました。その時点で我が国の湖の水辺はブルドーザーにじゅうりんされるという運命になりました。文化と自然風景が共存する国づくりを考えた場合に、この法案がよみがえってくれればと望む人も多いかと思います。環境庁としてどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
  75. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 湖沼の水質保全対策の根幹をなす湖沼水質保全特別措置法がございます。湖沼の水質の保全を図ることを目的とするわけでご ざいますが、緑地の保全や湖沼の自然環境の保護につきましては、この法律の第二十五条で「国及び地方公共団体は、」「指定湖沼の水質の保全に資するよう緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならない。」というふうな努力規定が設けられておるわけでございます。こういう努力目標規定を受けまして、先ほど申しましたとおり、具体的に指定湖沼では湖沼水質保全計画も定められておるわけでございます。  この湖沼計画の中で、具体的には緑地の保全だとか湖辺の自然環境の保護に関する取り組みが位置づけられているということで、この計画推進という形で、各地域におかれまして各種法制度の活用だとか的確な運用だとか、あるいは自然の有する機能の活用のための研究だとか、あるいはそのための基金の設立というような具体的な措置がこの計画の中で定められて、それが推進されているというような実態にございます。  環境庁といたしましても、今後ともこういう湖沼水質保全計画に基づいた実効ある水質保全対策が実施されるということで、そういう一環として緑地の保全だとか湖辺の自然環境の保護が推進されるというふうに考えてございまして、またそういう努力によって湖沼の水質の着実な改善も図っていくように関係県を一層指導していきたいというふうに考えてございます。
  76. 西野康雄

    ○西野康雄君 ちょっと弱いかな。もう一歩考えて、水質だけではなくて自然環境とおっしゃっていましたけれども、湖沼環境保全特別措置法にうたわれているようなものをもう一度検討する必要が今の時期あるんじゃないだろうか、そんな気がいたしますが、時間もございません。ひとつ頭の片隅で転がしておいてもらいたいと思います。  天然湖沼及び貯水量一千万トン以上の人口湖、ダム湖の栄養塩類に関する基準を環境庁は告示をいたしております。一九九〇年三月時点で全国で四十六湖あるということです。その他の自然湖沼、ダム湖への適用はどうなっておるのか、またその四十六湖の状況を御教示願いたいと思います。
  77. 赤木壯

    説明員(赤木壯君) 湖沼の生活環境の保全に関する水質環境基準の類型指定につきましては、政令で琵琶湖と霞ケ浦関係以外の湖沼は都道府県知事に委任しておりますが、その後の報告では、平成五年一月現在で見ますと、二水域ふえまして四十八水域、湖沼数にしますと四十四湖沼でございますが、四十八水域にふえてございまして、これについて窒素、燐の類型指定がなされておるということでございます。  こういうふうな窒素、燐の類型指定は、湖沼植物プランクトンの著しい増加の生ずるおそれのある湖沼について行うということであって、これまでも対策に急を要するところから順次類型指定が行われているということでございまして、現在もさらに幾つかの湖沼について類型指定をしようということで検討が進行中でございます。できるだけ今後とも必要な湖沼についてはこういう類型指定が行われるよう都道府県を指導していきたいというふうに考えてございます。  もう一つお尋ねのございました窒素、燐の類型指定がなされている現在四十八水域、四十四湖沼でございますが、ここでの水質の状況でございます。これの具体的な平成三年度のデータでございますが、環境基準の達成率を見ますと、三一・三%という状況でございます。  以上でございます。
  78. 西野康雄

    ○西野康雄君 環境庁が一生懸命頑張っておられるということはよくわかるわけですが、建設省の開発志向に随分と押されている部分が多々ございます。  長官が開発と環境の調和あるというふうなことをおっしゃいましたけれども、長良川河口ぜきの反対運動に携わっておりましても、反対をするということによって、初め急遽が二種類しかなかったものが四種類にふえてくるとか、あるいは全国の急遽の見直しをしたり、随分と変わってまいりました。初めから河口ぜきは認めるんだとかというふうな弱腰ではなくて、きっちりと環境庁環境を守るんだ、こういうふうな姿勢の中で建設省なりあるいは自治省なり厚生省なりとけんかをしていく、そういうふうな姿勢を僕は持っていただきたい。そうすることによって結果として守れるんだというふうなことですから、ぜひともきっちりとした姿勢を持っていただきたい。  長良川もまだまだこれは反対したら反対するほど、住民運動もいっぱい盛り上がってきておりますけれども、またいろんなところで改良がどんどん重ねられる。初めから開発と環境の調和でございますというふうなことはおっしゃっていただきたくない、少なくとも環境庁で働いている全職員を鼓舞する、そんな気持ちを僕は環境庁長官は持っていただきたい、こう思っておる次第でございます。どうか新しく就任をなされましたから頑張っていただきたいと思います。  これで質問を終えさせていただきます。
  79. 会田長栄

    ○会田長栄君 会田でございます。これから十二時まで、そして一時間の休憩、一時以降五十九分ということでありますから、何となく途切れることだろうと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず第一番目に、十二月に内閣改造があって、村田自治大臣国家公安委員長として就任されましたこと、まことにおめでとうございます。また、小泉郵政大臣林環境庁長官、御就任おめでとうございます。国民政治に対する期待というのは、まことに不信の増大とともに大きくなっている今日でありますから、精いっぱい頑張ってほしい、こう思います。  さて、私が第一にお伺いしたいのは、村田自治大臣村田国家公安委員長としての所信を要点を絞ってお伺いしたいということです。
  80. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 自治大臣、それから国家公安委員長としての所信を要点を絞って申し上げたいと思います。  一つは、自治大臣として、均衡ある国土の発展、地方の活性化、地方拠点都市構想の推進という点を私は考えておりまして、人口、産業等の諸機能が東京圏に集中をいたしました。人も金も物も、それから情報も東京圏に全く一極集中をしているという現象がございます。また一方、地方では人口が減少いたしまして、過疎化と高齢化が同時進行しておって、雇用機会が減少するというような非常に過密過疎の問題を生じております。私はかねてから国土のネックレス構想ということを申しておりまして、これは、中央にある大きな真珠の玉は東京であってよろしいけれども、大中小の美しい玉が日本全国に都市や農村としてちりばめられていかなきゃならぬ、そういう国土の発展が望ましいということを申しております。  そこで、東京の一極集中は、御案内のように、もう既にきわまっておるということが第三次全国総合開発計画でも、第四次全国総合開発計画でも指摘をされております。私は、東京の鈴木知事とも、数日前に東京都庁にお伺いをいたしまして、その前もたびたびお話ししましたが、この問題で直接ざっくばらんに情報交換をいたしました。そして、これからの国土の均衡ある発展を図っていくためには、真珠のネックレス構想のような都市、農村配置をしたい、それからまた地方自治を振興したいということを申し上げたのでございますが、これらの観点について私は、国家全体の立場から、また東京都民の立場から、ぜひ一極集中を排除して多極分散型の国土をつくるべきであると考えております。  それは一方では、地方自治地方分権をしっかりと推進するということにかかるのでありまして、この問題は非常に古くして最も新しい、私は国のグランドデザインに関係をすると思っております。そういった面から新しい自治をしっかりと追求し、地方の活性化を図っていきたいと思います。  地方の活性化というのは、御案内のように、今、国家財政、地方財政、車の両輪のように進んでおるわけでございますが、非常な不況が進行しております。したがって、その際に地方自治としていかなることをなすべきかということでありますけれども、私は、今地方単独事業がこのような不況 下にもかかわらず年々二けた台で伸びておるという事実、それから国全体の公共投資の八割近くが都道府県、市町村を通じてなされておる事実、こういうことをしっかりと踏まえまして、地方の活性化、景気の浮揚は地方からというキャッチフレーズで進めていきたいと思っております。  それからまた、恐らく御質問に出ようかと思っておりますが、地方拠点都市地域の振興、育成を進めてまいります。  自治大臣といたしましては、そういった観点に立って地方自治、それから国家行政が車の両輪のように進んでいくことを心から望んでおるわけであります。  次に、国家公安委員長としての治安行政、その問題について所信を申し上げたいと思います。  最近の治安情勢は、暴力団の活動の悪質巧妙化を初め、けん銃を使用した凶悪事犯の多発や、来日外国人に係る犯罪や薬物事犯の増加、極左暴力集団や右翼のテロ、ゲリラ事件の続発、交通死亡事故の増加など厳しさを増しております。私は、治安確保は国家、社会発展の基盤であるとの認識に立って、国民の理解と協力を得ながら暴力団対策、テロ、ゲリラ対策、けん銃対策、来日外国人犯罪対策、薬物対策、交通安全対策等を強力に推進して国民生活安全確保を図っていく所信でございます。  以上、まず先生のお問いに対して全般的にお答えを申し上げた次第でございます。
  81. 会田長栄

    ○会田長栄君 わかりました。  それでは、具体的にいわゆる地方交付税の減額と今後の対応についてお伺いいたします。  一九九三年度の自治体予算編成の指標となる地方財政計画の概要が決まりました。バブル経済後の景気後退の影響は既に地方にまで実際は及んでいます。税収の落ち込みは深刻となって今日出てきております。その分は十兆三千五百八十五億円余の地方債発行で賄うとなっております。これは規模からいうと、当初の計画で十兆円台に初めてなるわけでありまして、国の財政に寄与しているところの国債残高というのは、実はもう百八十兆円を超しております。このことについて、大蔵省は常に厳しい意見を持って今日対応してきているところであります。しかし、この体質を地方に移転するということは一体どういうことなのかという一つの疑問を持ちます。  そこで特徴的に出ているのは、この地財計画では地方単独事業、これが過去最高となってきております。自治省は、必要な財源確保はできた、景気対策と宮澤内閣の生活大国の実現を目指す、こう説明をしておりますから、これと関連をしてお聞きするわけでありますが、今申し上げたとおり、国債発行残高というのはまことに大きなものになっています。この百八十二兆円余に及ぶ国債発行ということについて、これは外国人記者は次のように言っています。  貿易黒字は確かに日本は大きい。このことを見ている限り、なるほど一面からいえば経済大国だ。しかし、一方振り返ってみて、日本国の台所事情ということを考えたら、百八十二兆円に及ぶところの国債を発行して賄っている台所ではないのか。だから、生活大国を目指すなどというのは、まことに国際的に見れば、外国の人たちから見れば摩詞不思議なところである、こういう表現も実はしているんですね。  極端に言えば、イタリアの新聞記者は、うちの国はGNPは全くゼロに近い、果てしなくゼロに近い。しかし財政問題については、国際的にはどうにもならない国だというような批判を受けているけれども、一方振り返って国民の側から見れば、社会資本などというのは日本と比べようがないほど充実している。だから、経済大国でなくても一向国民生活にはそんなに反省しなくてもいい、こういう言い方をしているんですね。  そこで、私率直にお聞きしますのは、三年連続となった地方交付税の特例減額の問題です。これは、なるほど出口では交付税減額になる。しかし、その分は逆に地方債で面倒見るというから、地方自治体にとっては入るところ、出るところでさほど影響はない、当面は差し支えない、こうなっているんです。しかし、将来を見通していったら一体これはどうなるのか。地方交付税というのは地方固有の財源のはずなんですね。そんなに時の国の政治によって左右されるべきものでは本来はないんです。しかし、結果的に九一年度は四千五百億、九二年度は八千五百億、九三年度は四千億という予定が出されていますよ。  このことにつきまして、財政投融資から借りてくればいいんじゃないかというようなことではなくて、自治大臣といたしましてのこの見通しと対応についてどうしてもやっぱり率直に聞いておきたい、こう思います。
  82. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 会田委員から全般的な非常にスケールの大きい御質問がございました。担当大臣としてこれに対する考え方を述べ、数字等について補足の必要があれば、財政局長が参っておりますから補足して説明をさせます。  まず、日本の国は一体富んでいるのかという根本的な問題でありますが、確かに日本は国土が狭い、そして人口が過大である、資源は極めて少ない、こういった条件の中で堂々と世界の大国としてまかり通っておるというのは、貿易立国であるからでございます。私は、通産大臣を経験いたしまして、日本のその貿易立国ということをまざまざと感じたのでありますが、そういった意味では、アメリカとともに、あるいはECの有数の国々とともに世界の中でも富んだ国であることは間違いないと思います。しかし近年に至って、非常に物価等が増高をしておりまして、また、委員が御指摘になったような、住宅その他非常に貧困な面があるではないかというアンバランスが目立ってまいりました。私は、十二月十一日に総理にお呼びを受けまして、そしてそのときに、村田さんは地方財政についての専門家であるから、地方財政と国家財政のことについて十分配慮をしてほしいという非常に事を分けたお話がございました。そして、その後に大蔵大臣のところへ参りまして、厚生省あるいは文部省、建設省、農林水産省等の予算について、国家財政と地方財政の関係のある面を大蔵大臣とともに御相談に乗ったわけであります。そして、宮澤総理からまたお呼びを受けまして、非常にその労を多としていただいた経緯がございます。  現在の地方財政は、会田委員が御指摘になったように、極めて国家財政とともに大きなウエートを占めてまいりました。私は、三十四年前に自治大臣の秘書官として今ある職場におったわけでございますし、自治省の財政局等々勤務をしておりまして、これらの問題についてはこの三十数年間の経緯をよく存じておりますが、大変きま変わりをしてまいりました。当時は地方財政が極めて困窮をしておりましたが、御指摘になりました地方交付税、いわゆる交付税率というものも、三税の三二%及びプラス二税ということで非常に地方交付税の総額もふえてまいったわけでございます。したがって、大蔵省とともに国家財政、地方財政を担う非常に大きな政策の府として成長をしてきたということに、私は自治省に帰ってまいりまして心から驚き、また喜んでおるわけでございます。  しかし、事態は大変大事でございますから、国家財政と地方財政協力について、ことしは御指摘になったように四千億円の地方交付税の総額を減額して国庫財政にお貸し申し上げるということになりました。しかし、御指摘のように地方債の総額は国庫債の総額に比べれば比率としてまだ低いわけでございまして、その意味では国庫財政に比べて余裕がございます。それから、正税の一定率を繰り入れるという交付税においても非常に幅の広い大きなものになっておりますから、国庫財政が極めて多端な現在としては、協力申し上げる点は申し上げなきゃならないという点で協力をいたしました。  しかし、いわゆる公共投資の国全体の八割近くが都道府県、市町村が担う公共投資でございます。したがって、地方公共団体の担う役割は極めて重大でありまして、その意味に沿って、私は景気浮 揚は地方からというキャッチフレーズを今掲げておるところでございます。  単独事業は昨年からことしにかけて一二%の伸びを示しましたし、このところ連続して地方単独事業は二けた台の伸びを示しております。まさに地方が公共投資の全般について大きな役割を果たすという段階でございます。したがって、国庫財政は、今御承知のように対米関係で四百三十兆円の十カ年投資を約束しており、また非常に多端なときではございますが、毎年毎年をしっかりと御相談申し上げながら、国全体のスケールに立って自治省としては大蔵大臣とこれを相談してまいらなければならないという義務感、使命感を抱いておるところでございます。  これが全般としての私の大臣としての所信でございますが、数字等についてもし御必要があれば担当当局からお話を申し上げます。
  83. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、端的に聞きます。  この貸し借り、貸し借りというのを三年続けているわけですね。大体今日時点で、先の見通しになりますが、この貸し借りというのは、今日の状態であれば大体また先も続くというお気持ちですか。
  84. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 地方交付税の特例措置につきましては、基本的にはただいま自治大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、この地方交付税につきましては、御案内のとおり、現在国税正税の一定割合ということで基本的に決められているわけでございますので、その年々の財政需要と国税正税の一定割合というものの間にはどうしても多少の誤差が出てまいります。また、景気等の状況によりまして国税、地方税の伸びのバランスもそのときどきによって違ってくるという場合もございますので、あるときは国から借りる、あるときは国に対して地方から貸す、こういうような形で今までも来ているところでございます。  御指摘のように、この三年間、明年度を含めました三年間につきましては国に対しまして地方が貸すという形になっておりますけれども、この地方から国に貸す分につきましては、貸すということでございますから、当然のことながらこれは後で返していただくということでございます。現在、平成六年度から十三年度までの間に分割してお返しいただくということ、これは地方交付税法の中ではっきりと明記をするわけでございまして、明年度お貸しする分につきましても、これから提出させていただきます交付税法の中ではっきりこの点を明記させていただきたいと思っているところでございます。  そういうことで、国の財政と地方の財政というものがバランスよく運営していくというためにはそういう多少の貸し借りというものはございますけれども、明年度以降もこれを続けるかどうかという点につきましては、これはやはり地方の財政の状況というものもよく勘案いたしまして決定すべき問題でございますので、現段階で明年度貸す、また明後年度も貸すかどうかという点につきましては、これはその時点時点の経済状況、財政状況に応じまして判断をさせていただきたいと思うわけでございます。
  85. 会田長栄

    ○会田長栄君 最後に一言だけ私の意見を言っておきますと、大体この国債残高も大変だ、そのしわ寄せが今度は地方債の残高に行く、一体双子で国も地方自治体もこういう債務の額でもって運営されるというようなことがあって、そして世界一経済大国だなどということで国際から求められてODA予算が次々と伸びるなどというのは私はまともでないと思っているからこの意見を申し上げているんですから、それは心していてください。  それで、ちょっと委員の皆さんには悪いんですけれども自治省との関連てきよう厚生省の老人保健福祉局長を呼んでおりますので、この局長にだけ質問して午前中は終わらせていただきたいと思いますが、お許しいただけますか。だめと言えばやめます。  それじゃ、お許しを願って、厚生省の方にお聞きするのは、端的にお聞きしますから、これは後ほど自治省と関連をいたします政策ですから、どうぞお聞かせください。  高齢者対策の骨格を簡潔にひとつ説明してください。そして、問題点ほどこかということだけは明確にしておいていただきたいと思います。  それから、高齢者の保健福祉推進十カ年戦略というのが発表されてもう五年目に入ります。ここでマンパワーの確保というようなことが相当力説されました。これとの関連で、なぜ一体マンパワーの確保をこれだけ強力に政策として訴えなければならないのか。とりわけその裏側の、ここまで強力に訴えるからには人が集まらないからこういう訴え方をしているんではないのか。だからその問題の、阻害している要因というのはどのように把握されているか、簡潔にお聞きしたい。  三つ目は、各都道府県、市町村において老人保健福祉計画策定作業というのが今進められております。究極の目的をどこに置くのかお聞かせください。  それからもう一つは、特に施設サービス、特別養護老人ホームというようなものに力点が加えられております。しかし、私が見る限り、この特別養護老人ホームなどというのは大体人里離れたところにつくられている傾向が強い。こういう高齢者福祉計画というのはあるんだろうか、こういう意見を持っているところでありますから、その点についてお聞かせください。  それから、ホームヘルパー、これは十万人にするという計画を持っています。しかし、このホームヘルパーの果たしている仕事、社会福祉施設に働いている職員の人たちの仕事、役割、この点については結構であります。この人たちの勤務、労働条件は簡潔に言えばどういう実態になっているのか、お聞かせください。
  86. 横尾和子

    説明員(横尾和子君) 第一のお尋ねの高齢者福祉対策の骨格は何かということでございます。  この骨格は、二つ大きな柱がございます。一つは、高齢者になっても住みなれた場所で安心して暮らし続けることができるための在宅福祉サービスを整備すること。二番目が、必要な場合には適切な施設利用ができるように特別養護老人ホーム、老人保健施設等の入所型の施設整備を格段に進めるという点でございます。  この点に関しまして問題点は何かということでございますが、問題点あるいは課題考えておりますが、三点を考えております。  一つは、この十カ年戦略というマクロの目標を地域地域の実情に即したもので着実に推進するという点。第二につきましては、その地域のサービスの内容が医療・保健・福祉各サービス体系が利用者にふさわしいように連携がとれているかどうかという点。第三が、これらの諸サービスを進め、支えるためのマンパワーがきちんと確保できているかという点でございます。  第二のお尋ねのマンパワー対策について、なぜそう強力に進めようとしているかという理由のお尋ねでございますが、これは一つには新しい福祉サービスを量的にも質的にも格段の展開をしょうとしているところでございますので、その量的な確保が大切であるということと同時に、こういったサービスの内容を支えるために質的にも養成内容の水準を上げたい、こういう二つの問題意識のもとにマンパワー対策を進めているところでございます。  第三番目に、このゴールドプランの究極の目的は何かというお尋ねでございまして、これは年をとってもこれまでの五十年、六十年にわたる生活を踏まえて引き続きなるべく当たり前の暮らしを安心して続けられる、いわゆるノーマライゼーションの考え方に立った老後の生活設計ということを目標にしているわけでございます。こういった目標に即して考えますれば、お話のございましたように人里離れたところに特別養護老人ホームをつくるというのは決して適切なことではございませんで、私どもも住みなれたところで施設ができること、またその施設が入所者の方々だけのサービス拠点ではなくて広く地域の方々に開放されたものであるというようなことが必要だと考え ております。そのための施策も予算等の措置を進めているところでございます。  四番目、最後のお尋ねでございますが、社会福祉施設職員、ホームヘルパーの勤務の状況はどうかというお尋ねでございまして、それにつきましては従来からいろいろとその処遇の改善に努めてきているところでございます。施設の職員については週四十二時間労働の実現、あるいは非常勤職員についても年休を拡大すること、あるいは勤務条件の福利厚生面の改善を図ること等を進めております。また、ホームヘルパーさんにつきましては、給与水準を引き上げること、あるいはチームで仕事を行うことによってお一人お一人の勤務のありようが弾力化できるような対策を講ずる等の措置を講じているところでございます。
  87. 会田長栄

    ○会田長栄君 午前中は終わります。
  88. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ――――◇―――――    午後一時十五分開会
  89. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから決算委員会を再開いたします  休憩前に引き続き、平成二年度決算外二件を議題とし、郵政省自治省警察庁環境庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 会田長栄

    ○会田長栄君 結論から簡潔に聞いていきますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。  産業廃棄物の処理問題について、私はこの委員会でも再三にわたってこの問題を提起しています。厚生大臣も、これまた産業廃棄物については排出業者に責任があるということもおっしゃっています。しかし、そのことをきょう論じようとしません。  私がきょう論じようとするのは、実は不法投棄問題について、いつぞだれが投げ捨てたかわからない、これを処理する責任というのは一体となたにおありなんでしょうかということ。そのまま不法投棄をされた現状のままにおけば、これは廃棄物そのものの材料にもよりますけれども、水質汚染をしたりあるいは自然災害を起こす要因になったりする。そこで、地方自治体は必ずみずから地方自治体の財源を使って手をつけざるを得ない、あるいはそのままほうっておくかというしかない、こういう状況に実は関東の各県もなっている。今や東北もそうなっている。これが一例です。これに自治省として一体どう対応するのか、お聞きしたい。  それからもう一点は、産業廃棄物処理業者が一手に引き受けて処理しようとしたが、いわゆる処理単価が低いために、たくさんの廃棄物を引き受けて、結果的に山に捨てたり炭鉱の廃坑に捨てたりしている。そのことが結局見つかる。しかし、廃棄物処理業者は零細業者であるために処理する力はない。そこで、住民の健康を維持するために、結果的に都道府県が強制代執行をする以外にない。ところが、そのくらいの業者でありますから、代執行しても結果的にはその費用を払うことはできない。したがって、都道府県も、また市町村、自治体も、できる限り小まめに小まめにというやり方をしている。このことを一番よく厚生省もわかっているし警察庁もわかっている。これは自治省も篇とわかっている。しかし、これに対する、地方自治体に対する手をどのように伸べているかというと、結果的には現状では伸べていない。  さて、解決されないまま産業廃棄物が広範囲にわたって今不法投棄されている状況でありますから、この点について自治省の今後の対応、対策、これを聞かせてください。
  91. 遠藤安彦

    説明員(遠藤安彦君) お答えをいたします。  産業廃棄物につきましては、最近非常に広域に移動されるといったような問題、あるいは今御指摘になられましたように、不法投棄をするといったような不適正な処理が多発いたしておりまして、おっしゃられましたように地方団体はこれにどう対応するかということに大変苦慮しているわけでありまして、私どもも市町村長さんや知事さんからそういった点をお聞きしておりますので、そういう事情があることはよく存じているつもりでございます。  基本的には、やはり産業廃棄物は排出業者の自己責任で処理するという原則になっているわけでありますけれども、実際問題として不法投棄された産業廃棄物が住民の生活環境などに非常に大きな悪影響を及ぼすわけでありますから、地方団体がやむにやまれずと申しますか、何らかの措置をしないといけないというような事例が生じてきているわけでありまして、この点をどうするのかということが御質問の御趣旨であろうかと思います。  私どもは、昨年改正されました廃棄物処理法によりまして産業廃棄物の処理に関する規制が強化されておりますし、また処理施設の整備についてのいろいろな措置が講ぜられたわけでありますから、基本的にはこの法律が的確に機能をしていけば、産業廃棄物の不適正処理の抑制には非常に効果があるんであろうというように期待をしているところであります。したがって、少し時間がかかるかもしれませんけれども、そういった方向に向かって進んでいくべきものである。それに対して、自治省として協力できることがあれば協力していくという方向をとっていきたいというように思っています。主管省庁とも今後よく連携をとりながら、適正な処理について促進していくということで的確な対処をしていきたいというように考えております。  しかしながら、現実問題としては、それまでの間不法投棄をされて原因者がわからないというような事例も非常に多く出てきているわけであります。こういったことについて、やはり原因者負担といいますか、そういう原則があるわけでありますから、本来はそういった原則にのっとって行うべきでありますけれども、原因者がわからないというような場合も多々あるわけでありまして、市町村からそういった場合には事情もよくお聞きし、財政状況等も勘案しながら、特別交付税等で適切な対処をしていくということをしていきたいというように思っております。
  92. 会田長栄

    ○会田長栄君 もちろん、廃棄物が不法に処理されている、投棄されているということでありますが、その結論です。最後におっしゃったことをもう一度はっきりおっしゃっていただけませんか。
  93. 遠藤安彦

    説明員(遠藤安彦君) 不法投棄されたものをそのままにしておくと、住民に対する健康問題でありますとか、そういうことで市町村がやむにやまれず処理をしなければならないというような現実的な事態に直面しているケースがあるというように私ども聞いております。そういった場合には、本来は捨てた原因者がわかればその原因者に費用負担をしてもらうというのが原則になろうかと思いますけれども、原因者がわからないというような場合には、やむにやまれずに措置をした市町村に対してそういった事例の内容等をよく聞く、あるいは地方団体の財政状況等もよくお聞きした上で、特別交付税の算定等に当たって配慮をしていくというようなことをしていきたいというように思っております。
  94. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、これと関連してもう一つ聞きます。」  不法投棄をする、摘発される、捨てたのはだれだかわかる。わかっても、結果的にはそれを処理する金がない、能力がない。結局、都道府県から勧告が出ても処理できない。したがって、都道府県が代執行をする。その費用を処理業者に請求する。結果的には払えない。したがって、不法投棄されたものは、絶えず都道府県が本当に住民の生活環境に被害の出ない程度だけ代執行して排除する。そして、そのまま残しておくという傾向があるんですよ。それは承知でしょう。だから、産廃法を改正して処理施設を適切につくってこれからやればいいというのは、決してそれは本筋じゃないんです。盛んに不法投棄されたものについてどう対応していくのかというところで、この問題が残っているんです。  だから、自治省が少なくともいろんな手だてを講じましたが、解決できない場合は指導して財政的に裏打ちをしていかない限り、そこの生活環境というのは守れないんじゃないかというのが私の意見なんです。そういう気持ちがありますかと、こう聞いているんです。  厚生大臣が、産業廃棄物の排出処理について最終的責任は排出業者です、だから責任があるんですなんという、そんなきれいごとではないんです、現状は。それなら、排出業者に責任ありと明確にしながら、それは法的にきちっと整備していくべきです。ところが、そこはどうしても抜ける。しかし、そういうことを議論している時間はありませんから、今ここは。  私は、現状で捨てられてそのままになっていることについて、せめて自治省が財政的に支援をしていくぐらいの決意を示したっていいんではないか、こう見ている。これはこれから大変なんです。関東北部はもう大体不法投棄の四五%ぐらいはそのままになっていますからね。それで、捨てようがなくて今度は東北に移動しているわけですから。だから、その点ではもう少し明確に温かい方向性を出してくださいよ。どうです、大臣。ちょっとは面倒を見るようにしますとか、あるものでしょう。
  95. 遠藤安彦

    説明員(遠藤安彦君) お答え申し上げます。  やはり産業廃棄物については、PPPの原則といいますか、そういったものが基本にあるわけでございまして、それを踏まえつつ先般廃棄物処理法の改正が行われ、産業廃棄物の処理施設を整備する場合に、第三セクターに対する出資等で地方公共団体も協力するような道も開かれたわけでありますから、基本的にはやはりそういうPPPの原則を踏まえつつ処理施設を整備して、不法に投棄されるといったようなことをなくするという方向でいくべきものであろうと思っております。  しかしながら、やはり委員の御指摘のように、現実問題としては、この不法投棄されているものを、しかも非常に広範囲にわたって移動をした後で不法投棄され、しかも原因者も不明であるというような問題もあり、仮に原因者がわかってもその代執行費用がなかなか徴収できないというような問題もあるわけであります。私どもは、原則は原則として前提に置いて、そしてなお地方団体がやむにやまれず処理をしなければならないといったような場合には、これはルール化するというわけにはいかないと思いますけれども、個別団体として財政事情が発生し、お金がかかっているわけでございますから、個別の事例に即してその経過や事情をお聞きし、財政負担の状況あるいは当該団体の財政事情、そういったものを総合的に勘案して特別交付税の算定等に当たって配慮していきたいというように思っております。
  96. 会田長栄

    ○会田長栄君 基本的にはPPPの原則というのを守らせるという、それはいいんです。私は当面、今最終的に御回答のあったように、現状をどうするのかというところに焦点を合わせているわけですから。これは、この意見決算委員会で出てからもう既に三年半過ぎていますから、三年半過ぎてもなおかつ不法投棄のままでありますから、こういう状況を考えたら、今の御返答をひとつ、これから恐らく自治省にもそういう意見が出てくるでありましょうから、積極的に対応してほしい、こう思いますよ。お願いしておきます。  それからその次に、これは警察庁国家公安委員会に聞いておきます。このごろ、犯罪も高速交通体系ができて以来、大変広域化、高度化、これに対応して未検挙率、要するにわからないという事件が多過ぎるようになってきたんですね。そういう意味から、先ほど国家公安委員長の所信は伺いましたが、その点で一体このボーダーレス時代における犯罪防止という問題についてどのような対策を立てているのか。対策は立てていても、要するに各般にわたるこういう高度化され悪質化した犯罪に対応する警察の体制が整っていないんじゃないのか。こういうことを含めてひとつ所見を聞かせてください、具体的に。
  97. 井上幸彦

    説明員井上幸彦君) ただいま委員のお話にありましたとおり、最近の犯罪の状況というものを見てみますと、確かにボーダーレス化というような現象が顕著にうかがわれる状況にあります。大変犯罪自体が広域化しつつあるというのも事実であります。私どもといたしましては特にそういう点を踏まえまして、数府県にまたがる警察体制を現在の現行警察法の枠内で対応できる道はないかということで、既に北関東地域に機動捜査隊的なものを創設した経緯もございますし、おいおい、それぞれ犯罪の多発化が予想されるような場所に同種の部隊等を設置してまいりたいというふうに考えております。  同時にまた、現在の警察法、御案内のとおり都道府県警察単位の警察運営ということになっておりますが、果たして警察法をいじることなくこのままでいいのかという問題もございます。したがいまして、昨年の九月には有識者から成りますところのボーダレス時代の警察を考える懇談会というものを発足させましていろいろと意見をお伺いし、将来をにらんだ警察体制のあるべき姿というものを模索している状況でございますので、今後とも幅広い意見をちょうだいしながらそのような対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、これと関連をして一つだけ例を挙げます。  子供の行方不明事件、実は意外と深刻なんですね。しかし、なかなか国民が納得するような方向が出てこない。これは福島県にも一例あるんですね、舞子ちゃん事件といって。自分の家で両親と一緒に就寝中にもかかわらず、あしたの朝起きてみたら子供がいない。どこへ行ったかわからない。随分努力していても、その問題の背景も何もわからないまままさにこれ二年過ぎようとしているんですね。  非常に国境なき犯罪がふえてきている時代なものだから、この不安というのは物すごいんですよ。だから、そういう意味では、懇談会を通じてこれから対策を立てると言いますが、私は遅いんじゃないか、もっと早急にやるべきだという意見を持っていますから、ひとつ踏まえて対応をしてほしいという意見を申し上げておきます。  それではその次に、環境庁長官にお伺いいたします。  まず一つは、簡潔に環境庁長官就任したその所信を聞かせてください。要点で結構であります。
  99. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) 会田先生の御質問お答えします。簡潔に申し上げさせていただきますけれども、簡潔が誤解を生むといけませんので、ある程度時間がかかるかもしれませんが。  私は、率直に言いまして、環境行政というのは命を守る行政だ、一口にはそういうような認識をしております。それは、単に人間だけの命ばかりではなくて、生きとし生きているものすべてこれことごとく命を持っているわけでありますので、そういう命を大事にするところからスタートすべきである。そのためには、もちろん個々の問題、水の問題も空気の問題もあるいは土壌の問題もすべて関連します。したがって、そういうような中から我々環境行政というものはいかにして命を守れるかということからスタートすべきだということが一つであります。  それともう一つは、我々の身近な空気、つまり大気や水や土壌、こういうような身近な生活基盤とともに、特に最近になりまして、といってもこの数年のことでありますが、人工衛星あるいは宇宙船、そのような宇宙空間から地球を見る、そういう技術、システムが大きく躍進しました今日は、地球環境ということが大変大きな課題になってきております。したがいまして、内においては身近な生活環境をいかに守るかということ、外にありましては地球環境をどうするかということ、この二つの大きな問題に取り組むことが環境庁の使命である、そのように私は考え就任いたしました。
  100. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは具体的に聞きます。  一つは尾瀬湿原の問題、歴代環境庁が非常に重視をして取り組んできた。にもかかわらずなかなか展望が出ない。尾瀬湿原はこのままでは二十一 世紀に滅びるとまで言われている今日であります。  そこで、関連をして二つだけお聞きします。一つは、この尾瀬湿原問題について環境庁は現状どのような対策を立てているかというのが一つです。しかし、現在の対策で尾瀬湿原というのは救済できるのかというのが二つです。その点聞かせてください。
  101. 大西孝夫

    説明員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、確かに近年、利用者の増大等によりまして尾瀬沼の水質もかなり汚濁したり湿原の生態系が変化するなど、いろいろ問題が生じております。大変重要な問題だという受けとめ方をいたしまして、私どもも実は関係県あるいは事業者ともども相携えて対策を講じていく必要があるという認識に立ちまして、一つは、水質汚濁防止という観点からは、合併処理浄化槽の整備など排水処理施設を整備するということを一つ課題に掲げております。  それからまた、利用者が余り過度に集中しないようにという観点で、これは事業者にも御努力をいただいているわけでありますが、山小屋の予約制というようなことも実施をしております。いろいろ対策を講じておりますし、今後とも関係機関の連携を一層強化しながら、適正な保存を図っていく必要があると思っております。  しかし、これで解決できるかどうかという点については、今の対策で十分とは申し上げにくいわけでございます。環境庁も一生懸命頑張りますが、でき得れば関係県、事業者とより一層緊密な連携を図りながら、二十一世紀に向かって尾瀬沼が救えるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  102. 会田長栄

    ○会田長栄君 もう一つお尋ねします。  新潟と群馬と福島の三県知事が尾瀬サミットというのを開きました。そこで、このままでは尾瀬は心配だというところで、三県共同で管理財団をつくろうではないかという話が出ていた。このことに対して環境庁も積極的に対応しようとしているのか、それは単なる話だと聞いているのか、その点所見を伺っておきたい。
  103. 大西孝夫

    説明員(大西孝夫君) 今先生指摘のとおり、この尾瀬地域が福島、群馬、新潟三県にまたがっておりますし、この尾瀬地域全体を保全するという観点からは、やはり地域を超えた統一的、効率的な保全事業の実施ということが必要なわけでありますが、なかなかそれが難しいという状況でございます。  私どもとしましては、したがいまして、この三県知事のお話し合いによりましてこういう一元的な管理団体をつくろうという動きが出てきたことは大変ありがたいと思っているわけでございまして、私どもも積極的にその設立の方向に参加させていただきまして、一体となって財団の設立努力したいと考えております。
  104. 会田長栄

    ○会田長栄君 ありがとうございます。  それでは、次に郵政大臣にお伺いしたい、こう思います。  郵政大臣就任以来何かと話題を多く提起されておりますが、私は、郵政大臣就任してのこれからの所信というものについてまずお伺いしたいというのが第一点です。よろしく。
  105. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 郵政省は、郵便局等の地域に密着したネットワークを通じまして国民の皆さんから大変郵政事業にも信頼をいただき、また地域の皆さんからも愛着を持たれ、国民生活にかかわりの深い事業を展開しております。  同時に、電気通信、放送行政等、これからの高度情報化社会、技術進歩を見据えまして、さまざまな国民の要望にこたえ得るような情報基盤の整備を進めていかなきゃならない。隣組の本当に声をかけ合うようなそういう身近なサービスから、宇宙の果てまでもまた世界の果てまでも交流できるような情報化社会を見据えながら、国民生活の向上のためにいろんな仕事がある。それに向かって私も誠心誠意これからの高度情報化社会におくれないような対応をしていきたい、そういうふうに考えております。
  106. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、郵政三大事業のうちの郵便事業に関して具体的にお尋ねいたします。  郵便事業は、郵便の損益で考えると平成三年度決算では赤字を計上しているんですね。率直に言いましてその原因を聞きたいわけだけれども、昭和五十六年一月の料金改定以来、値上げしないで今日まで十年連続して黒字を保ってきたのが郵便事業ですよ。ところが、どうも平成三年度赤字になってきた。何かこれは百七十三億円ぐらいの欠損金を出している。どうも十年過ぎたからこの辺で郵便料金の値上げなどを考えてこういう結果になったんではないのかななどという、人の悪い分析もあるんです。  そこで、一体この原因を何だと見ていますか、聞かせてください。
  107. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) お答えいたします。  先生指摘のように、昭和五十六年から十年間料金を据え置いたままやってきたわけでございますけれども平成三年度に決算で百七十三億円の赤字になりました。その原因でございますけれども、二つの面があろうかと思います。  一つは、収益面でございます。最近の景気の後退等を反映いたしまして、郵便業務収入の伸びが鈍化をしたという側面でございます。それから、もう一方の費用の側面でございますけれども、費用の面で効率化施策等私ども推進してまいったわけでございますが、最近の人手不足に伴います非常勤賃金、それから郵便物の大型化、そういったものに伴いまして諸経費が増加をしてまいりまして、その二つの、収入の鈍化と費用の伸びに逆転傾向が出てまいったということから赤字になったというのが原因だというふうに分析をいたしております。
  108. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、今後も損益は明るい見通しが出るのか、どうも見通しは暗いと出ているのか、これはどっちと分析しているんですか。
  109. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) お答えいたします。  最近の景気動向から見ますと、今の赤字傾向というのは相当厳しい状態にございまして、今年度の収入状況もなかなか私どもが思うほどの伸びになっていないという状況でございます。
  110. 会田長栄

    ○会田長栄君 さて、それではどうするんです。そこまでは考えていないんですか。
  111. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) 私ども、できるだけ収入の確保と節約に努めてまいりたいというふうに思っております。  そこで、収入の確保対策でございますけれども、まず基本的な取り組みといたしまして次のようなことを考えております。  職員の一人一人が創造性を発揮いたしましてまず安定した良質のサービスを提供すること、これが基本だというふうに思っております。それから、全職員の参画によります創意工夫を凝らした積極的な営業活動、これを展開してまいりたい。これによりまして需要の拡大を図り、業務収入の確保に最善の努力をしてまいりたいというのが、これが基本でございます。なお、この点につきましてもう少し具体的な対応といたしまして、現在本省を初めといたしまして地方郵政局等に増収対策本部、これを設置いたして体制の強化を図っております。  このような取り組みを展開いたしまして、できるだけの努力を今後も続けたいという考えでございます。
  112. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、私は、どうもこれ十年一区切りにして、何となく今日まで郵政省の職員が努力をしてきてうまくいってきた。ところが、どうもいろいろ考えてみますと、十年一区切りで損益上赤字が出てきて、そしてぽっとまた出ていくという傾向があるんですね。十年前どうだったかということを言うと長くなるから言いませんけれども、そういうことのないようにひとつ鋭意努力してほしい、こう思います。  それでは、その次にお聞きしたいのは、国際ボランティア貯金というのをやっていますね。大変国際貢献では郵政省も重要な役割を果たしていると聞かされている。この現状はどうなっていますか、教えてください。
  113. 山口憲美

    説明員(山口憲美君) お話しの国際ボランティア貯金でございますけれども、この貯金は御利用いただげる皆さん方に御理解をいただきまして、通常貯金でございますが、いわゆる財布がわりに使っていただいているこの通常貯金の利子の二〇%を寄附していただきまして、民間の海外援助団体、NGOと申しておりますが、このNGOの皆さん方にこれを配付いたしまして、そしてそのNGOの皆さん方の活動を通じまして、開発途上国ないしは開発途土地域の人々の福祉向上に役立てるということを目的といたしまして平成三年一月から取り扱いを開始したものでございまして、九二年経過したというふうなことでございます。  取り扱いを開始して以来、大変多くの方々から御支援をいただきまして順調に推移をしておりまして、お申し込みいただいた方につきましても、例えば平成三年一月に始めましてその年度の終わりの三月、これは三月間でございますが、三月の間に二百十三万人の方に入っていただき、翌平成三年四月から一年間、四年三月までの間に四百六十一万人、そして平成四年四月から平成四年十二月までに三百六万人の方に入っていただいておりまして、現在九百八十万人の方に御加入をいただいているということでございまして、間もなく一千万人の皆さん方に御協力いただけるというふうな状況になっているということでございます。これは国民皆様方の国際貢献に対する御理解あるいは関心の高さのあらわれかなというふうに私どもは思っているところでございます。  今後、一層の定着に向けまして周知施策を展開いたしまして、また開発途上国での活動の成果等も的確にお話をさせていただくというふうなことを通じましてさらに国民皆様方の理解を深めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  114. 会田長栄

    ○会田長栄君 これは日本の国際貢献のあり方ということで大分、前の国会か昨年の国会も含めまして大激論になった。しかし、国際ボランティア貯金の現状というものは余りにも議論の対象にならなかった。しかし、実際国民から見るともう既に九百八十万人が参加をしておる。ましてや、この参加の実態あるいは国際貢献の具体的な指定団体その他を含めまして、果たしている役割が相当大きく評価されている。どうもこの宣伝が少ないんじゃないかという気がしてならない。これはどういう宣伝をしているのか。
  115. 山口憲美

    説明員(山口憲美君) 国際ボランティア貯金につきましては、これはまず第一に御理解をいただくということが一番の基本でございますので、基本的には郵便局の窓口においでになるお客様に対しまして、こういった形での国際貢献ができますのでひとつ御理解いただけたら御協力いただきたいということをお話しするというのが、これがまず基本でございます。  そのほか、この国際ボランティア貯金で現実に寄附をいただいた皆さん方等を中心にいたしましてお集まりをいただきまして、そこにNGOの団体の活動をされている方においでをいただきまして、そしてそこでいろいろ活動の模様をお話しいただく報告会を各地でやっていただいておりまして、こういったことを通じまして生々しい現地の状況というふうなものを御理解いただく、そういった形で国際貢献に対する理解をまず深めていただく、そうしてその中からぜひ私もこれに協力しようというふうな形の展開をしているということでございます。  そのほか、具体的にはビデオをつくって放映をしますとか、あるいはパネルの実施をしますとか、あるいは周知用の冊子をつくって郵便局の窓口に置いて配布をするとか、そういった活動は当然ながらやっている次第でございます。
  116. 会田長栄

    ○会田長栄君 これは私の意見を申し上げておきます。  このようにアジア、アフリカを中心とした四十九カ国の国民から高く評価されているいわゆるボランティア活動に対する郵政事業の中の一つとしてやっていることについて、それは窓口でやっていると言いますけれども、あれだけの国際貢献のあり方をめぐって議論されたときにも声は小さかった。小さかったんです。ところが、意外と現地の人たちから見るとこの方式というのは高く評価されているんです。  それでなくても、けさ自治大臣のときに申し上げましたけれども、経済大国日本からどう金を引き出すか、日本をトランプのばばに例えて、意外とあの国際貢献のあり方というのは現地から高く評価されてないんですよ。こういうことが意外と高く評価されているものだから私はお聞きしたんです。どうぞ、九百八十万人も参加をしている。これを九百八十万人などと言わないで一千万、二千万と、そして高く人民から評価のできるような方式を教宣に努めて頑張ってほしいという意味で質問申し上げたんですからやってください、本当に。国際貢献云々といって丸々連れて行かなきゃ国際貢献でないみたいな時代だから、そうじゃないんだということを郵政省みずから声を大にして言ってほしい、こういう気持ちです。  それからもう一つ、これは簡潔にお聞きしますが、総合経済対策による簡保資金の新指定単の内容、そして実施状況というのはどうなっていますかというのを最後に聞かせてください。
  117. 江川晃正

    説明員(江川晃正君) 総合経済対策における簡保資金を投入する新指定単の内容といいますのは、新指定単ですから新でありまして、従来ある指定単に対して新、そういう意味でちょっと運用の条件などを変えたというところが新でございます。  その新がどういうところが新かということを申し上げますと、二つありまして、一つはその指定単で株式への運用の組み入れを一定の制限を設けていたものを制限なしにする。なしということは端的に言えば一〇〇%でよろしい、こういうことになるわけでございますが、それが一点。  二つ目は、簡保本体から事業団に運用して事業団が指定単をやるわけですが、事業団から貸したものの利子を毎年取っているわけです。それをこの新しく設ける指定単に入れたものにつきましては、利子は五年に一括して返せばよろしい、毎年でなくてよろしい、こういう五年一括払いに利子支払い、利払いを変えた、この二つが新ということでございます。  新しいという意味での端的なことはそういうことでございまして、それの運用状況といいますのは、この新しい指定単に簡保資金はトータルでH四年度で申しますと一兆二千七百億円入れております。昨年の九月に一兆円、ことし一月に入りまして二千七百億円を簡保事業団に入れて運用しておるという状態でございます。
  118. 会田長栄

    ○会田長栄君 最後に、郵政大臣にお願いをしておきたいと思います。  残念ながら、前郵政大臣は全国の郵政省職員の士気に大いに影響をした大臣なんです。それは、余りにもいろんな分野の中で不祥事件と絡まって宣伝された大臣ということではまことに有名なんです、前の大臣は。これはもう郵政省関係職員の士気に相当大きく影響したものと私は思っているんです。  そういう意味では、職員の士気にこたえるように全力を尽くして郵政大臣を初め頑張ってほしいということを申し上げて、私の質問は終わります。
  119. 南野知惠子

    南野知惠子君 これから質問させていただきます南野知惠子でございます。よろしくお願いいたします。  また、新大臣の御就任おめでとうございます。  私は、次のようなことを考えております。日本の人口動態は、国民の約四人に一人が六十五歳以上、平均寿今も八十歳という高齢社会となる二十一世紀は目前でございます。健康で生きがいを持って過ごせる社会とするためには、あらゆる観点での施策が必要となります。特に今日の健康問題は、自然な加齢現象に加え、疾病構造もアルツハイマー、難病、がん、慢性疾患、そしてエイズなどと種類、内容が著しく変化しています。それに伴い治療、看護の対応も複雑、多様化し、加えて少産化や育児不安、社会生活上のストレスの増加などもあらわれ、地域保健をめぐる問題は著し係く増 大してきております。  これらの対応のためには、地域住民のニーズを酌み取り、医療レベル並びに専門性を反映した保健、助産、看護、福祉や医療マンパワーの適正配置が必要です。近年社会問題化している性教育やエイズについては、人間教育としての性問題とかかわりが深い助産婦や、学生の健康管理を受け持つ養護教諭のマンパワーを活用する必要性の問題、また市町村業務としては、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランも四年目を迎え、在宅ケア、寝たきり老人ゼロ作戦、施設整備、生きがい対策など真剣な取り組みがなされていますが、長寿社会の実現には人の一生を通して偏りのない健康支援体制が必要であります。それには周産期のかかわりを通し健全なる生命の誕生とそれをはぐくむ健康な家庭生活なくしては幸せな長寿社会は望めません。このような状況下において、現在の行財政措置がどのように機能していくかは、働き手にとってもまた地域住民にとっても大きな影響を与えます。と同時に、私にとっても大きな関心事でございます。  本日は、まず地域保健の問題について質問させていただきます。  そこで、まず厚生省にお伺いいたしますが、地域で働く保健婦数の現状はどのようになっているのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  120. 伊藤雅治

    説明員(伊藤雅治君) お答えいたします。  地域保健におきます保健婦の果たす役割は非常に重要なものと考えております用地域保健活動に従事いたします保健婦の現状でございますが、平成二年末現在、保健所で働く保健婦が八千七百四十九人、市町村に一万一千六百七十三人となっておりまして、合計二万四百二十二人の保健婦が働いております。ちなみに、保健婦一人当たりの担当人口は約六千三百人でございました。  市町村保健婦につきましては、昭和五十七年からの老人保健事業の進展に合わせまして順調に増加してきておりまして、老人保健法の施行前、全国で四百二十一カ所ございました保健婦のいない市町村の数も、平成三年末には九十二カ所と大幅な改善を見ているところでございます。
  121. 南野知惠子

    南野知惠子君 日本では保健婦一人当たりの担当が平均六千人という数をお示しいただきましたが、アメリカでは二千九百人、イギリスでは二千五百人、カナダでは千六百人となっております。私の友人が申しておりますが、家庭訪問も七夕訪問しかできないと嘆いております。訪問回数をふやすためにも保健婦一人当たり担当人口数を少なくする必要があると思います。  さて、過去二回にわたって保健所運営費交付金の一部の一般財源化が実施されておりますが、またさらに来年度も一般財源化するのはなぜでございましょうか、お教えいただきたい。
  122. 伊藤雅治

    説明員(伊藤雅治君) 保健所につきましては、昭和二十二年の保健所法の制定以来、公衆衛生業務の実施拠点といたしまして四十年以上の歴史を経ておりまして、地方公共団体の事務といたしまして完全に同化、定着したものと考えております。こうした地方公共団体の事務として同化、定着または定型化しているものにつきましては、臨調、行革審の報告書におきましても重ねて一般財源化が求められてきたところでございます。また、全国知事会等からも自主的、自律的に対応することが適当と考えられるものにつきましては一般財源として移譲することが求められているところでございます。  保健所運営費交付金につきましては、昭和五十九年度より地方公共団体の人口、面積という客観的な指標に基づいて交付される定額補助金となっておりまして、昭和六十二年度及び平成二年度と二回にわたりましてその一部の一般財源化が行われてきたところでございます。  以上のような経緯を踏まえまして、平成五年度におきましては、地方公共団体の事務として完全に同化、定着しており、一般財源化いたしましてもサービスの低下を招くことがないという判断のもとに、人件費相当分の一般財源化を行うことにしたものでございます。
  123. 南野知惠子

    南野知惠子君 一般財源化によりまして地域保健看護の低下を招くことはないでしょうか、具体的な措置を今後どのようにお考えでしょうかということをお尋ねしたいのです。  また、こうした保健医療、福祉を担うマンパワーの確保充実は大変重要な課題であると考えておりますが、昨年十一月、看護婦等の人材確保の促進に関する法律が施行され、年末には厚生大臣、労働大臣及び文部大臣の三大臣による基本指針が策定されたところでございます。今後、この基本指針をもとに看護婦等の人材確保についてどのように取り組んでいこうとしておられるのか、御見解をお伺いしたいと思っております。
  124. 伊藤雅治

    説明員(伊藤雅治君) 御指摘の点、二つございました。  一つは保健婦の一般財源化の関連によるものでございますが、今回の措置を受けまして、今後、地方交付税措置によりまして保健婦の計画的増員など必要な人員の確保充実を図っていきたいと考えておりまして、具体的なことにつきまして自治省とも相談させていただいているところでございます。また、保健所や市町村におきます自主的な地域保健活動の積極的な推進を図るため、来年度の政府予算案におきましても保健婦を初め看護婦、助産婦などによる先駆的な活動への取り組みを支援する事業を実施することといたしまして二十二億円の予算を予算案に計上させていただいているところでございまして、またこれらの取り組みの事例収集、評価、普及、交流活動などについて促進するため、職能団体でございます日本看護協会に一億円の予算によりましてこれらの事業をお願いしたいと考えております。  以上のような措置によりまして、今後とも地域保健活動の充実に努めてまいりたいと考えております。  また、二点目の看護婦等の人材確保の問題でございますが、御承知のように、昨年成立いたしました看護婦等の人材確保の促進に関する法律及び昨年十二月二十五日に告示されました看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針を看護婦職員確保対策の基盤としつつ、対策の推進に努めていく考え方でございます。  具体的に申し上げますと、平成五年度におきましては、離職を防止するため、院内保育につきまして延長保育の充実のほか、複数の病院、診療所が共同で利用する保育所を新たに補助対象に追加すること及び都道府県の創意工夫を凝らした事業への弾力的補助の創設、また就業の促進に関しましても、ナースセンターに対しまして電算機の導入、潜在看護職員把握調査事業等の新規事業の追加などを行うこととしております。今後とも、看護職員が働きやすい環境づくりを進めるため、各般の事業推進していきたいと考えているところでございます。
  125. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  続いて自治省にお尋ね申し上げます。  地方公共団体の事務としまして同化、定着しているものを地方交付税で措置していくということは地方分権地方自治推進することで、時代の流れであるとは思いますけれども、地方交付税の査定においては十分な措置が担保されるのでしょうか。過疎地域への医療対策としては過疎四法がございますが、十分にマンパワーが活動できるためには、基準となる必要な保健婦数を交付税の算定基礎の中に明記するということをしていただきたい、保健婦の確保についての配慮をいただきたいと思っておりますが、いかがでございますでしょうか。
  126. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 明年度におきまして、ただいまお話しのとおり、保健所の運営交付金につきましての人件費相当分について、この交付金を廃止いたしまして地方の一般財源でこれを負担するということになったわけでございます。この経緯につきましては、厚生省からお話しのとおり、やはり地方団体に同化、定着いたしました事務につきましては、地方がみずから経費を負担してその責任を明確にするということが必要であるというふうに考えてこういうことをやっていただいた わけでございまして、私どももこの補助金の廃止に伴いまして生じます地方の一般財源の負担につきましては、これをきちんと地方に財源措置をしていかなければならないものだというふうに考えているわけでございます。  具体的には、地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりまして、こういう経費につきましてより具体的に算定基礎を明確にいたしまして、そして地方団体がその算定基礎に従いましてそれを基準にして行政を運営していただくということをやっていただきたいと思っているところでございます。  そういう意味で、今御指摘の保健婦さんの数なども基準財政需要額の算定に当たりましてできるだけ具体的に明記をして、そういう基準というものを地方団体に明確にお示しをしたいというふうに考えているところでございます。
  127. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。ぜひ保健婦数を交付税の算定基礎の中に明記していただきたい。お願いいたします。  今後の高齢化の進展等を考えますと、保健所や市町村で働く保健婦その他のマンパワーにつきましても今後とも積極的な増員を図っていただくべきと考えておりますが、自治省といたしましてはどのように取り組んでおられますのか、看護問題に平素大変お世話になっております、また御理解をいただいております指導的立場におられる村田自治大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  128. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 南野委員お答えいたします。  この高齢化社会、そしてまた社会福祉が非常に重要になってまいりました現在におきまして、看護問題が極めて重要であるということはよく承知をしておりまして、その意味でしっかりと対応をしていかなければならないと思います。  また、現下の厳しい行財政事情にかんがみまして、行政の簡素効率化、定員配置の合理化などを一段と推進いたしまして行政コストの低減に努める必要があるので、安易な人員の増加などは厳に慎まなければならないとまず前提として思います。そのために、平成五年度の地方財政計画におきましても国家公務員の定員削減計画に準じて職員の削減をいたしまして、七千三百二十五人を行う計画でございます。また、事務事業の徹底した見直し、組織・機構の簡素化、事務処理方法の改善合理化、事務事業民間委託等により、真に必要とされる新たな行政需要施設の新設についても、前提としては極力職員の配置転換によって対処するという予定でございます。  しかし、保健所や市町村で働いていただく保健婦の方々につきましては、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランと申しておりますが、この十カ年戦略の推進等のために極めて重要な中心的役割を果たすものと考えておりまして、真に必要となる人員については、今南野委員が御指摘になりましたように、厚生省の要望をしっかりと踏まえ、地方財政計画上の人員の計上等を通じて適正に対応をしてまいりたいと思います。  平成五年度の地方財政計画は現在その策定作業中でありまして、まだ今の時点で明確な御答弁を申し上げることは早いのでございますが、千二百人程度の増員を検討中でございます。地方財政計画は単年度主義で策定されておりまして、将来年度のことを明確に申し上げることはできませんので、平成五年度以降においても毎年度同程度の規模、七年間で約八千人と思っておりますが、八千人を超える規模の増員を行えるよう前向きに対応してまいりたい。まさに御指摘になりました看護業務等は時代の一番重要な課題であると存じておりまして、委員の御指摘をしっかりと踏まえて対応をしてまいります。
  129. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  次に、国民健康保険の財政調整交付金の不適正受給について質問申し上げます。  まず、会計検査院の方にお願いいたします。  あす国会に提出される予定であります平成三年度決算検査報告にも、国保の財政調整交付金については総額四億円余りの不正受給の指摘があるようでございますが、そうしますと四年連続の指摘になります。その額は累計で百億円にも上り、指摘を受けた市町村は北海道から沖縄まで全国的な広がりを見せているだけではなく、会計検査院が不適当事項として指摘し公表した後にも新たな不正受給の例さえあるようでございますが、検査の現状を教えていただきたいと思います。
  130. 小川幸作

    説明員(小川幸作君) 国民健康保険の財政調整交付金の指摘の状況でございますが、昭和六十三年度の決算検査報告におきまして一件、七億六百五十一万一千円を掲記いたしました。これを初めといたしまして、平成元年度決算検査報告におきましては六件、五十八億二百八十四万七千円、平成二年度決算検査報告におきましては九件、三十億四千五百八十八万四千円、平成三年度決算検査報告におきましては十件、四億二千九十万六千円。以上を合計いたしましてこれまでに二十六件、九十九億七千六百十四万八千円を指摘しております。
  131. 南野知惠子

    南野知惠子君 続いて厚生省にお尋ねいたします。  平成三年九月、厚生省は全国の都道府県に対しまして、特別指導監査の実施を通達されました。また、昨年三月には保険料の収納率に着目した管理について指導されておりますが、その結果、調整交付金の不適正受給額はどれくらいでしたでしょうか。市町村を含めて今御指摘いただいたわけでございますが、累次にわたるこのような厚生省の指摘と注意喚起にもかかわらず財政調整交付金の不正受給が新たに発覚する原因は何であるのか、厚生省の指導監督は県の担当だけでなく市町村レベルにまで十分に及んでいるのかどうか、御所見をいただきたいと思います。
  132. 石本宏昭

    説明員(石本宏昭君) 国民保健康保険の財政調整交付金は、国保財政の安定化を図るために市町村の財政力を調整するよう交付されております。国保事業において保険料の収納は事業運営の根幹にかかわることでございまして、保険料収納割合の低い市町村に対しては、この調整交付金について一定割合を減額して交付しているところでございます。  今回の会計検査院の検査報告において指摘されておりますように、一部の市町村において収納割合の操作等により調整交付金を不正受給していたことはまことに遺憾でございます。御指摘のあった指導監査結果につきましては、平成三年度までに二千四百五十八市町村に対して特別指導監査を実施し、二十市町について総額約十六億六千七百万円の不正受給を発見し、これについては既に全額を返還させたところでございます。一部の市町村におきまして調整交付金を不正に受給していたことはまことに遺憾でございますが、厚生省としては、昭和六十三年度の検査院の指摘を契機に、国保の調整交付金に係る事務処理の適正化について各都道府県に通知いたしますとともに、過去にさかのぼって特別指導監査を実施いたしました。この指導監査の結果、平成三年度までに数市町村において不正受給の事実が判明しましたが、この大多数は平成二年度以前に行われた不正受給がさかのぼって判明したものであり、これらについては既に全額を返還させております。  厚生省といたしましては、今後ともあらゆる機会を通じて調整交付金の申請事務について指導を行い、市町村レベルまで指導の徹底を図るとともに、二度とこのような不正受給が生じないよう努めてまいりたいと思っております。
  133. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  そこでまた、自治大臣にお伺いいたします。  会計検査院から毎年度同じ指摘を受け、厚生省の指導にもかかわらず、市町村による国保の財政調整交付金の不適正受給が後を絶たない現状は大変に遺憾なことでございます。加算額を含めまして、結果的に住民の負担に大きくはね返ってくることからも問題であります。交付金の不正受給は決して許されるものではないと思います。この問 題の背景には、市町村における国保財政の基盤の弱さ、特に高齢者、低所得者を多く抱える市町村の財源問題があろうかと思われます。  地方自治法第二百四十五条と第二百四十六条の規定に基づき、地方自治体の財政について指導、助言するお立場にある自治省としまして、国保財政基盤の強化という観点から、村田自治大臣の御所見をいただきたいと思います。
  134. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 南野委員から国保財政の問題について非常にシリアスな御質問をいただきました。  国保は被保険者に高齢者や低所得者が非常に多いわけでございまして、その財政基盤が脆弱であることは御指摘のとおり。したがって、厳しい財政状況にあるという認識を自治大臣としてもいたしております。このため、自治省としては、国保財政安定化支援事業というのを平成四年度に創設いたしまして、国保財政の健全化などに資するための地方財政措置を講じること等により対応してきておるところでございます。  今後とも、国保制度のあり方にかかわる基本問題を含めて、医療保険審議会がございますが、この医療保険審議会の御審議を踏まえて、国保の改善策について厚生省などとともに検討を進めてまいる所存でございまして、御指摘の問題の重要性はよく承知をしておりますし、今後とも関係地方公共団体を督励いたしまして、御要望に沿うように努力をいたしたいと思います。
  135. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  次に、環境庁にお尋ねいたします。  本朝、米国ではクリントン政権が誕生いたしました。ゴア副大統領は環境問題に造詣が深いと聞き及んでおります。環境問題についてのリーダー格としての日本あり方を本当はお尋ねしたかったんですが、今回は国内問題についてお伺いいたします。  環境庁が発足した翌年の昭和四十七年にできた自然環境保全法の第五条に国が自然環境保全基礎調査を行うことが規定されております。この調査は俗に緑の国勢調査とも呼ばれており、昭和四十八年から第一回調査が実施されました。これまでの調査の成果は具体的にどのように生かされてきたのでしょうか。環境庁は調査実施のための十分な予算の確保に向けて努力していただきたいと思いますし、また、大蔵省においてもこの点について配慮いただくよう要望いたします。また、第五回調査ではどのような点に重点を置かれるつもりなのかお尋ねいたします。
  136. 大西孝夫

    説明員(大西孝夫君) お答え申し上げます。  自然環境保全基礎調査は、今先生指摘のとおり、自然環境保全法に基づきまして五年ごとに実施しております。  まず、平成五年度の点から申し上げますと、来年度は、生物多様性保全という観点から特に重要であります湿地関係の調査あるいは動植物の分布調査ということに重点を置いて行いたいと思っております。  この基礎調査の結果につきまして、いろんな形で実は活用させていただいておりまして、もちろん報告書、地図類の形で公表、出版もしておりますが、そのほか自然環境の基礎的な資料ということで、国立公園あるいは国定公園の公園計画を策定するときにその基礎として用いるほか、環境アセスメント、それから環境利用ガイドブック、ないし国土利用計画さらには全国の総合開発計画といった計画立案のときにも利用させていただいております。また、ちょっと変わったところで申し上げれば、例えば宮崎県の日豊海岸を最近海中公園地区に指定したのでございますが、これも平成二年に実施したサンゴの分布調査を踏まえまして、このサンゴがすばらしいということで指定したという経緯がございます。  それからもう一つ、例えば先生の地元でございます屋久島、これはいわゆる亜熱帯から亜寒帯に至ります非常に幅広い植物群が垂直に分布しているということで有名でございまして、そういう点も踏まえて、今、世界遺産条約に自然遺産として登録方を申請もしているのでございますが、これについてはことし現地調査もございますが、その調査員に対していろいろ特殊性を説明する際にこの基礎調査の結果が非常に大きく役立つと思っております。また私ども、そういうことを踏まえまして、屋久島もさらに自然保護の観点から守っていく必要があるという観点で、来年度、例えば野生生物保護センターというのを屋久島につくりたいと思っておりますし、それから、花ノ江河湿原というのが実はあるのでございますが、そこの保護と島の保護強化もこの基礎調査を踏まえつつやりたいと思っております。  このような意味で大変重要な調査でございますので、先生の御激励と受けとめさせていただきますけれども、予算獲得には今後とも頑張ってまいりたいと思っております。
  137. 南野知惠子

    南野知惠子君 次に、最後の問題でございますが、本年六月には釧路市におきまして湿地の保全に関するラムサール条約締約国会議を開催するということで、世界から注目されているところと思います。環境行政は今や大きな転換期を迎えていると言われておりますが、ことしは、昨年開催された地球サミットの成果を踏まえながら具体的に何をなし得るのだろうか、環境庁としましてもその真価が問われる年になるものと思われます。環境庁においては、地球環境保全を初めとする施策の積極的な取り組みが期待されます。こうした意味で現在、政府部内で環境庁を中心に検討が進められている環境基本法案には国民の熱い期待と注目が集まっています。  そこで、環境基本法案を初め、今後の環境行政の展開に向けた長官の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  138. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) 環境行政に大変御造詣の深い南野先生の御質問お答えします。  自然環境の保護については、今、保護局長から御説明がありましたとおりでありますが、御質問環境基本法案をどう取り扱うのかということが中心だろうと思います。  そこで、これは環境庁はもちろんでありますけれども、実は宮澤内閣といたしましても、宮澤総理が既に表明されておりますように、環境基本法案はあすから開かれる今回の国会においてぜひ制定したいという熱意を持って今環境庁は取り組んでおりますが、先生御案内のように、環境行政は大変幅広い行政でございまして、今我が国の省庁の中でも十その省庁がそれぞれその省にふさわしい環境政策というものに取り組んでございます。したがいまして、先ほどの先生の御質問の中でちょっと触れられました、アメリカの新しいクリントン政権のゴア副大統領などが大変環境問題に御熱心であることは私も仄聞しておりますが、我が日本はそれに劣らない決意で取り組みたいと思っております。  特に、昨年の地球環境サミットの結果、さらにこれを具体的にどう進めるかというアジェンダ21ジャパン、こう命名されるような行動計画につきましても真剣にこれに取り組むつもりでおりますし、また、御質問にございましたラムサール条約締約国のこの六月の釧路における国際会議、これにつきましても予算の措置も十分にできておりますので、鋭意取り組んでまいるつもりでございます。  今後とも先生方の環境行政に対する御協力を賜りたいと思います。
  139. 南野知惠子

    南野知惠子君 長官が御就任のときにお申しになられました、環境庁長官のお仕事は総理大臣と同じくらい広い任務をお持ちだということをお伺いいたしておりますが、やはりよろしくお願いしたいと思っております。  ありがとうございました。
  140. 守住有信

    守住有信君 先ほどは地球に優しい環境問題、生活環境等々、野党の先生からも御指摘がございました。私は、治安維持の話、ちょっと男らしくかたくなりますが、警察庁の方々から始めたいと思います。  一昨年の六月でございますか、同じ当委員会で、あれは法務省と最高裁判所の決算の中で、あのこ ろは勝新太郎の麻薬の問題あるいはピストル、暴力団対策等々ございましたので、そういう角度で、あのときは法務省の検察庁とか刑事局、あるいはまた警察庁、海上保安庁、あるいはまた厚生省の麻薬取り締まり、あるいはまた税関、また外務省の中国課長等々、最高裁判所の事務総長にも御認識をいただきたい、こういう意味で、各省庁並んで、あれは一時間ございましたのでじっくりやれましたが、どちらかというと、勝新太郎事件なんかもございましたので麻薬の方を中心にやらせていただきました。けん銃の問題、これも今、会田委員からも犯罪のボーダーレス化とかいろいろな指摘が起こっておるわけでございますので、そういう意味も含めまして、そのボーダーレスの中での国境措置、海との接点、そして台湾ルート。  具体的に申し上げますと、この間も二度ばかり、おととしになりますか、台湾に参りましたが、中国の福建省や広東省あたりの兵器工場の中で、重機関銃もつくっておるけれども、トカレフというソ連の型にはまった短銃をつくり、そして、中国側の兵器工場は入門規制は厳しいけれども在庫管理がいいかげんで、やっぱり華僑的精神もありますので、その短銃を工場の塀の外へ投げる。そして、仲間がそれを持って、貿易の自由化も行われておりますので、福建省あたりの漁港から船の下にビニール袋にロープをつけてずっと来まして、台湾の漁船、台湾側にも昔の山口組が指導した暴力団が何組もある、それが買う。  ところが、今度は日本の暴力団は、プレジャーボートというか快速の大型の船艇ができまして、それをチャーターして台湾沖に行って、これを台湾側よりも高く買う。そして帰りまして、沖縄は飛行機に乗ってすぐばれますから、九州の小さい島々の漁港あたりに男が一人かばん一つを持って上がって新幹線その他で大阪、東京と、こういうふうな現象があっておるということを台湾側の内務大臣とか刑事警察局長とか、第七大隊といいますか、内務省に所属させた、日本で言う海上保安庁、そういう幹部諸君、あるいは末端の取り締まりの担当の専門屋からもお聞きして、これを御質問したわけでございます。  その後、最近凶悪事件が数多く発生しておりますし、かつて自民党本部に右翼が入り込みました。日本刀を持っていろんなら右翼だからわかりますけれども、これがピストルまで持っておったということで、警視庁のこれは熊本当身の捜査員が単身乗り込んで説得をした。右翼と暴力団がもうミックスになっておる、こういう現象もひしひし感じておるわけです。右翼なら右翼で、一つ政治結社、政治的な思想のもとに北方領土返還運動とかあるいはスパイ防止法とか、そういうものを盛んに運動しておりましたが、御案内のとおり暴力団とミックスになってしまっておる。そしてその中で、麻薬は資金源でございますが、ピストル、凶器がどんどん国内にはびこっておる、こういうような問題意識を強く持っておるものでございます。  そこでお尋ねでございますけれども、最近けん銃についていろいろ御苦労をなさっておられますが、摘発等々、あらわれた傾向とかいろんな特徴とか、過去の経験からお比べになりましてどのようにとらえておられるのか、まずお尋ねしたいわけでございます。
  141. 中田恒夫

    説明員(中田恒夫君) お答えいたします。  昨年、平成四年中のけん銃の摘発件数あるいはその傾向というようなことについてのお尋ねかと存じますが、昨年の一年、平成四年中のけん銃の押収丁数でございますけれども、全国で一千四百五十丁でございまして、前年と比べまして四百十八丁、パーセントにいたしまして四〇・五%の増加を見ております。過去五年間で最高の丁数になっております。  この押収の内訳でございますけれども、暴力団からの押収数が千七十二丁、右翼からの押収が二十九丁、それ以外のものからの押収が三百四十九丁でございまして、暴力団以外のものからの押収が全体の二六・一%と、前年の七・六%に比べまして大変急増しておりまして、けん銃の拡散傾向と申しますか、一般人といいますか、そこへの拡散傾向が顕著になってきておりまして、それが昨年の大きな特徴がと認識しております。  なお、押収丁数が伸びましたことは、けん銃使用の凶悪事件の防止のため、春秋の二回にわたりまして、全国規模でけん銃の特別摘発を実施したことが影響しているのではないかと認識しております。  以上でございます。
  142. 守住有信

    守住有信君 時間もございませんので、水際作戦と申しますけれども、いろいろ関係省庁が緊密な連携をとっておられますが、私はその最前線、最末端の方から見ておるわけでございまして、郵政事業も郵便局も最末端からも見なきゃいけませんけれども、同じでございまして、その水際作戦。台湾ルートの場合、海上保安庁と警察との連携と同時に、台湾とは外交はありませんけれども、台湾の省民と日本国民を同じに守るというふうな意味で、海上保安庁と台湾側の専門機関、取り締まり機関との連携連絡、あるいはまた協力と同時に最前線の情報、これをお互いに持っておるわけですからね。それで海の上、台湾の海も日本の領海も海は同じでございます。それでこう入ってくる、こういう姿でございますから、そこらあたりの具体的な仕組み、最前線での連絡連携。  時間がございませんので私のアイデアを言っておりますが、SOSの方は海上保安庁、プルトニウムの護衛から始まって海難救助に物すごく御努力でございます。成果はいっぱい上がっておるが、さてこの暴力団等を追う場合の台湾側との無線連絡。アナログだとみんな聞こえてしまいますから私が言っておるディジタル無線で、郵政省にも航空海上課もある。国際条約には台湾側入っていないけれども、事実上の関係としての台湾側の船舶、取り締まり船あるいは警察、それと我が国側の海上保安庁、警察、こことめ接点のところなんですね。情報連絡あるいは取得情報でどういう動きとか、具体的な動きをどういうふうにそこのところはなっておるだろうかというのをお聞かせいただきたいと思います。
  143. 野崎典重

    説明員(野崎典重君) ただいま先生指摘のけん銃の取り締まりの問題でございますが、当庁といたしましてもこの問題は非常に深刻な社会問題ということで認識いたしております。したがいまして、海上保安庁ではけん銃の密輸入を防止いたしますことから、南西諸島周辺海域、これを中心にいわゆる洋上積みかえ、この洋上積みかえと申しますのは、外国から荷物を日本に入れる場合に、洋上でもって船を横づけしまして荷物を積みかえて日本に入れる、こういう形態でございますが、こういった形の行為につきまして監視、警戒等の取り締まり体制を強化いたしまして、当庁の総力を挙げてこれらけん銃事犯の水際における検挙に努めておるというところでございます。  また、我が国に入港する外国船舶、これは非常に多うございますので、これらのうち特に密輸入に関与する船舶、これの発見のためには、検挙をする関係各国、地域からの虞犯船舶、虞犯船舶と申しますものはいわゆる容疑船舶でございます。こういった船舶の割り出しに資するための関連情報、これを入手することが極めて重要でございます。  したがいまして、このためにこれまで当庁といたしましては関係国、地域間の情報交換、これについて積極的に相互協力推進を図ってきておるわけでございまして、特にお話のございました第七総隊を含めた台湾の取り締まり機関との間におきましては、財団法人交流協会等を通じまして、密輸入防止等に関して必要な連絡を行ってきております。御指摘の点も含めまして、当庁としてはこれら近隣周辺諸国、地域との国際協力というものが極めて重要であるということは十分認識しておりますので、お話のありました現場での連絡のあり方等を含めまして、可能な協力方法について今後とも検討していきたい、こういうふうに考えております。
  144. 守住有信

    守住有信君 抽象的な情報交換をいろいろ組織的にやっておられるようですけれども、私が一番 あれしているのは、やっぱり実戦ですから、最前線。警察の方も最前線の取り締まりの刑事、一人の刑事ですよね。だから、船舶、貨物船とかいろいろ入港してくるやつはよくやっておられるようですけれども、そういう暴力団の乗ったような快速のモーターボートの問題、これあたりはぱくられたことはございますか。貨物船じゃなくて、貨物船の方から移して、上から落としてやっておるわな。それ以外に、日本の暴力団の乗ったやつをどこかぱくってピストルを押収したという具体ケースはございますか、東シナ海の方で。
  145. 野崎典重

    説明員(野崎典重君) 具体例でございますけれども、残念ながら近時そういった形態で当庁が検挙した事例というのはございません。ただ、幾つかそういう関連でもって情報を得ておるケースは例としてございますが、御指摘の御質問に対しては、残念ながら近時ではないというふうに申し上げておきます。
  146. 守住有信

    守住有信君 そこで、私の夢だけれども、向こうの台湾側の海上保安庁の船舶と日本の鹿児島の方の海上保安庁の船舶とがディジタル無線で、周波数を同一にして、お互いに我が領海内に入れぬのだから、それを追い合うというその最前線の具体的情報、これをぜひともやっていただきたいし、何なら私が台湾に行って向こうの内務大臣以下と、海上保安庁長官以下と結びつけてもよろしい、こういう覚悟ておりますので、ぜひともお願いを申し上げたい。  時間がございませんが、郵政大臣その他郵政省の皆さん、実は昨年の暮れの小泉郵政大臣の発言を契機といたしまして、マスコミで昔の問題ですけれども論議が盛んに出てまいりました。何かこれを見ておりますと、中にはもっともだというヒントみたいなものは入っております。  具体的に申し上げますと、日経新聞に、民間金融機関から、私から見ればこのときとばかりとしか思えませんでしたが、郵便貯金特別会計の諸経費の算出根拠が不透明であるとか、どんぶり勘定でコスト計算を無視したサービスを提供しているというふうな報道が出ておりました。もう一つは、読売新聞の社説に、「郵政省が抱える郵便貯金・簡易保険・郵政事業(郵便)の三特別会計の内容とその相互の関係など、実態が不透明なことは遺憾である。」という趣旨が社説にまで載っておったわけでございます。  私は、かつて郵政省で実は経理局長をいたしておりまして、この決算委員会郵政事業決算の報告、御指摘等も受けながらやってまいりましたけれども、こういう三事業の経費というのは、私は、明確な法的根拠に基づいて算出され、国の財務法令で定められているところに従って明確に経理され、その結果は決算として国会しかもこの決算委員会、これに報告され、そして御質疑、御審査も受ける、そしてそれは広く国民に、国会でございますから、国民の代表は国会ですから、広く公表されておる、このように認識をいたしておるわけでございますが、こういう点が社説にまで出る。民間金融機関もいろいろあげつらう。自分のところの経理の不透明とか、バブルがはじけてからのいろんな問題はこうしておいて、ちょっと憤激をいたしておりますので、財政法、会計法、特別会計法、これに従ってのこの三事業の会計制度、これについて一体どのような考え方で、また実行上も決算報告をなさっておられるのか、そこらを専門の方からお尋ねしたいと思います。
  147. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 郵政事業の会計の仕組みでございますけれども、御案内のように郵便、貯金、保険の郵政事業、それぞれ独立採算制のもとに、企業的、効率的に運営するために郵便貯金特別会計、それから簡易生命保険特別会計、そして郵政事業特別会計の三つの特別会計が設けられております。このうち、郵便貯金特別会計は郵便貯金事業の資金を経理するということ、それから簡易生命保険特別会計は簡易生命保険事業の資金を経理する、そういうためにそれぞれ独立して設けられております。  一方、郵政事業特別会計でございますけれども、これは郵便事業のほかに貯金、保険の業務などの郵政事業を一体的に取り扱い、これを一つの企業として効率的に経営するために設けられているところから、郵便、貯金、保険などの郵政事業に従事する職員の人件費とか、あるいは業務運営のための物件費、さらに設備投資のための経費、こういったものはすべて郵政事業特別会計に計上され、経理されているというところでございます。  この郵政事業特別会計の経費の計上に当たりましては、郵便貯金事業に係る業務運営経費、あるいは設備投資に必要な経費、こういった財源はすべて郵便貯金特別会計から繰り入れておりますし、同様に、簡易生命保険事業に係るこういった経費の財源はすべて簡易生命保険特別会計からそれぞれの特別会計法に基づいて繰り入れられているというところでございます。  ちなみに、この繰入額は、今先生もおっしゃられましたように、国会の審議を経た予算と同様に、その執行した結果を郵便貯金特別会計、簡易生命保険特別会計の決算でそれぞれ郵政事業特別会計へ繰り入れという形で明らかにいたしております。  郵便貯金特別会計と簡易生命保険特別会計から郵政事業特別会計への繰入額でございますけれども、その決定に当たりましては、それぞれの事業の運営に要する経費を次のような考え方によって明確に区分、経理しているところでございます。  まず、郵便、貯金、それから簡易生命保険の各事業の運営に直接必要とする経費、例えば郵便の配達に従事している職員の人件費は郵便事業、貯金のオンライン関係経費につきましては貯金事業、こういうように事業別が明らかでございますので、それぞれの事業が負担をしておるところでございます。  また、本省や郵政局の共通部門、郵便局の局長とか総務部門の職員の人件費のように各事業に共通的な経費につきましては、その経費の大部分が業務量に比例するということ、そしてその業務量は取扱要員数によって代表されるというような考え方から、原則として事業別の要員数の割合によりそれぞれの事業が分担いたしております。  このほか、例えば研修所の経費について申し上げますと、事業別の訓練人員というのがわかっておりますので、その割合によって事業別に分担する。あるいは郵便局舎の減価償却費につきましても、これも事業別に使用面積がわかりますので、その使用面積の割合でそれぞれの事業が分担しておるということでございます。  なお、貯金、保険のそれぞれの事業では業務用として郵便を使っておりますけれども、これに要する経費につきましては、貯金、保険の利用実態に応じてそれぞれの事業が分担をしておるというところでございます。  郵政事業の会計の仕組みは以上のとおりでございますけれども、これは郵政事業一つの企業体として一体的に経営するために設けられた最も望ましい会計処理方式であるというふうに私どもは思っております。  以上でございます。
  148. 守住有信

    守住有信君 抽象的に言えば郵政事業は一体的運営ですよ。具体的に言えば、小さい過疎の地域の局長一人で職員が二人とか、そういうところも三事業を一体的にやっている。郵便もやらにゃいかぬし、貯金、保険も地域に密着してやらにゃいかぬ。そして、その資金も財政投融資で、この不景気のときも、今お話しのようないろんな形で活用されているという長い大衆社会と密着した仕組み。そして、本当に特定局の過疎のあれも、しかしその経理はきちっと国の法令に定めるとおりに振り分けて、そして国会に対して決算委員会を通じて報告される。これは私は非常に公明正大な仕組みだと思う。  これ以外の方式が一体どういう方式があり得るだろうか。現行法でぴしゃっとこうなっておる。一般会計、特別会計の仕組みですね、とりわけ決算の仕組み。長い間でそういうきちっとした姿になって国民の前に、決算委員会は国会でございますから、国民の前に明らかになっておる。それが依然として、そのものは別としまして、大臣の発 言を機会に民間金融機関とか経済評論家とかいろんな人たちがぼんぼんと言って、社説までそういうのが出てくる。そうすると、これは国の決算制度そのものに何か不信を抱いておるのかなと。  まあ読売の論調は大好きでございますが、しかし読売の社説に出てくる。朝日新聞ではない。はっきり言いますけれども載っていない。どういうことだろうかと内心思いながら、もう一遍、与野党の先生方もみんな含めまして、これは大蔵省も含めて、銀行局じゃないかもしれぬが、それ以外の理財局、主計局等々も含めて一遍十分に、非常に何か一種の流言飛語的なものになってくるから、ちょっと憤激にたえないと思って、与野党の諸君、皆さん方も一緒になって、三事業を小さな特定局でも一体として進めるから、民間銀行から言わせれば、銀行だけやっておる、向こうはみんなやっておるからコストが安い、こういうのがあるかもしらぬ。  しかし、近ごろは垣根が低くなって、金融だけでなくて、銀行だけでなくていろんなものも一緒になろうとしておる。ところが、制約があって、郵便貯金の方は貸し付けは、信用創造はできないということでございますし、その間はきちっと簡易保険は保険、年金は年金、貯金は貯金、こういうふうにきちっとなっておるということから、時間もございませんので、そういう認識をお互い決算委員同士として深めながら今後やっていきたいと思いますので、皆さん方もしっかりよろしくお願い申し上げます。  以上で終わります。
  149. 常松克安

    ○常松克安君 小泉郵政大臣、この場をかりまして、かねがね心より御礼申し上げようと思っておりましたことがございます。  私、かねてより陸海空にわたり救急医療充実一本にして、命をかけ今日までやってまいりました。あの救急救命士法案、自民党内におけるところの小委員会、この救急問題をやはり大事だということで、当時その中におきます委員のお一人として、厚生大臣の経験をもとにされまして、制度がどうあろうとも法律がどうあろうとも、国民の命を守ることならば必要だと。一時期はこの法案もつぶれかけたときがございます。そのときに今日の小泉郵政大臣のそれではだめだというふうなお声がありまして、成案ここに見ることになりましたことをきちっと私は知っております。心より御礼をこの場をかりて申し上げておきます。  と同時に、新しい大臣就任になりまして、私はその政治姿勢政治信条、全く好きであります。だれが何と言おうとこうだと、論議は論議として、あるべき姿としての新しい平成変革の時代を大臣はつくっていかれようとされているが、この郵政事業の中においてどう生かしていかれるか。きょうは申しわけございません、ほかの両大臣はよく所信を言われますのに大臣はちょびっとしかございませんでしたが、少し待っていてください、どんと時間を与えてそのお考えを篤と伺うことがございましょう。  さて、もとに返りまして、救急医療充実に対しての質問をいたします。  まず国土庁に求めます。従来離島法、言うなら二百八十島、六十万の住民がおります中において、現実そういう救急患者が起こったらどういう処置をされ、財政負担の方はどうなっているか。このようにオールジャパンという実態調査を当時は要求いたしました。当時はまだ明確なそういうふうなものの把握はされていませんでしたが、その後非常にこれは重大とし、局長も全面的に受けとめていただきまして鋭意努力し、既に全国からその実態掌握をされていると思いますが、これについての実態報告及び財政処置というお考えを御報告願いたいと存じます。
  150. 堀一

    説明員(堀一君) 御説明申し上げます。  先生の御指摘を踏まえまして、まず離島における救急患者の搬送の実態について調査をいたしましたところ、離島の人口の八割程度の市町村についての中間集計ではございますが、平成三年度に島の外へ搬送いたしました件数は二千六百十七件ございました。救急患者の搬送に伴う自己負担につきましては、一部不明の点もございますが、自衛隊、都道府県所有のヘリコプター等の公的な搬送手段によらないチャーター機等の借り上げ等その他の搬送手段によった場合には、自己負担が生じているという状況でございました。  これらの実態を踏まえまして、離島等の救急患者の搬送のために地方公共団体が負担した経費に対する財政措置等について、関係省庁と詰めを行っているところでございます。
  151. 常松克安

    ○常松克安君 今大まかにおっしゃいましたですけれども、まず一つは、私も福江市に、現場に乗り込んでその実態というものを聞いてまいりました。しかし、これは全国的に非常に各地方公共団体は苦労に苦労を重ねていらっしゃいます。お金の出し場というものは、制度がないものですから市条例をつくってみたり、いろいろされていらっしゃいます。  今御指摘のある一つの例を申し上げますと、自衛隊及び海上保安庁のヘリが飛ぶ場合は無料であります。しかし、都合悪くして長崎空港からセスナ機が飛びます。そのときが問題なんです。病院の方から要請し、病院の事務局に二十万という現金を納めぬことにはセスナは飛ばないわけであります。入りました、オーケー、それから飛ぶわけです。片方は死にかけておる。こういうふうな一面これあり。そして、それをどう賄っているかというと、今御指摘があったあの小さな村や町の国民保険、これが流用されていく。毎回毎回赤字の基盤の弱い国保がそこで流用されている。そのうちの七割は国保、三割は自己が負担するとか、こういうふうになってくるわけでございます。  あるいは第二番目については、医師派遣が問題だ。お医者が乗ったら迎えには行きますけれども、そして大村国立病院あるいは長崎医大中央病院。しかし、帰りは送ってくれません、これは。そこから医師が一人抜けますと無医村になっちゃう、無診療所になっちゃうわけです。二泊三日で帰るときの旅費及び日当、これは医師往診料として国保がまた流用される。  私は、いろいろな手だて、歴史がございますから、地方公共団体の知恵として苦しい中いろいろやっていらっしゃるんだな。しかし問題は、一番明確にしたいのは、国保税というものが弱いにもかかわらずそこで運用を強いられなきゃならない。あるいはこっちの島へ行きますと、島民の皆さんが一部組合をつくって、いざというときにはそれを賄おうと、こうしていらっしゃる。実態は実態としてわかりますが、本土におきまして救急医療というものは一分を争うだけのその充実を図っております。片方はもう無理です、何ぼ時間時間と言ったところで。その上、離島、僻地というだけで人の命にかかわるような、実際飛行機で運ばれた御家庭にまで現場へ行ってまいりました。聞いてまいりました。非常に苦慮するところでございます。  当然これの解決法は、財政処置を今後どういうふうにしていくか、これなくしては論議は前へ進まないわけでありますが、それはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  152. 堀一

    説明員(堀一君) 御指摘のところを踏まえまして、現在関係省庁と詰めを行っております用地方公共団体がこういうことに関連いたしまして負担した経費に対する財政措置等につきまして、関係省庁と詰めを行っておるところでございます。
  153. 常松克安

    ○常松克安君 その省庁というのは自治省になるわけです。三千三百の団体の親であり主人である自治大臣の管轄のところで、こういうふうなところでいろいろな問題が現実に起こっているわけでございます。  さて、自治省にお伺いしますが、離島での救急患者の搬送の自治体負担は都市部では見られないような現状を今申し上げました。これに対して財政処置をとるべきである、こう私は考えますが、そのお考えはいかがでございましょうか。
  154. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 離島等におきます救急患者の搬送につきましては、自衛隊機やあるいは海上保安庁のヘリコプターなどを使う以外に、今御指摘のようにチャーターをするというような場合 が多々あるわけでございます。  救急患者の搬送だけではなしに、離島等につきましては医師の確保そのものが容易でないというようなことで地域住民の医療の確保のために大変御苦労をいただいているところでございまして、こういう現状を踏まえまして、僻地を中心にいたしました地域医療の確保の問題につきまして、一定の事業について地方財政の立場から支援する方法がないだろうか。今までも、離島関係につきましてはいろいろな財政需要を含めまして財政措置を行ってきたところでございますが、特に僻地医療、離島医療という観点から御支援をする手だてがないかということで、今関係省庁との間でいろいろと詰めを行っているところでございます。内容もだんだんと固まってきたわけでございますが、そういう中で、御質問の救急患者搬送のための地方団体の負担につきまして財政措置ができるような方策を考えていきたい。  これは、常時出るというものではございませんので、標準的な経費で算定するということはなかなか難しい経費でございますので、特別交付税の措置というようなものを検討したらいかがかなということで今鋭意検討を進めているところでございます。
  155. 常松克安

    ○常松克安君 まことに今日までの検討の結果に、対応に、御努力に敬意を表します。  やっぱり一番大事なのは、特段皆さんは常に交付税、交付税。いただいた方は一般財源ですから、首長さんはどっちに使う、こっち、どうなっているかわからぬ。しかし、こういうふうな問題を初めてすきっとして聞かせていただきました、特別交付税で処置すると。出口と入り口とはっきり違うわけですから。  こういうふうなことを考えていきますと、今局長お答えの中で、これはすごいことだなと思いましたのは、離島はもちろんであるが僻地においても本当に大事なことであります、陸地の孤島、離島と一緒のようなところ。しかし、そういうところの診療所も、お医者さんが勉強したい、あるいはここを抜けて一緒に地方病院の基幹病院に連れていってあげたい、しかし無医村になる、こういうことはどうするんだ。どうも自治医大のお医者さんは、地域に赴任されますと大体七年でバックです。しかし、バックしようというお医者さんを村挙げての陳情書で帰ってくれるな、先生とともに老後を終えたいんだという、非常に我々は胸に感動を覚えるようなお医者さんもいらっしゃる。  ところが、そういうお医者さんで一番問題は、高級な医療資器材でございます。同じテレビにおいて中央とケーブルで結んで、そしてそこで大学教授から受けたものを執刀、オペをしたい。こういうふうなものをあわせて今まで論議を私も逐一申し上げましたが、これをやるとなると百億、二百億の仕事なんですよ。しかし、いま一度お聞かせ願いたい。離島及び僻地の医療と、そういうふうに局長おっしゃいましたが、そういう論議の中でこれほど膨大にかかるほどまでの地域医療充実、救急医療充実のためにお考えがあるんでしょうか。お願いします。
  156. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 先ほども申し上げましたとおり、この離島、僻地等におきます医療の確保につきまして、厚生省などとも御協議を合しているところでございますが、御案内のとおり、都道府県におきまして僻地医療計画というものを今つくっておられるわけでございます。これはほぼ二次医療圏を単位といたしまして計画がつくられているというふうに伺っておりますが、この計画をもっと具体的に実施できるような事業実施計画といいますか、この保健医療計画の実施計画をその地域地域で関係市町村と御協議の土つくっていただきまして、そのつくっていただいた計画に基づきまして財政支援をするというような方法ができないかということで、今具体的な検討を進めております。  先ほど委員から御指摘のようないろんな問題点も含めましてできないか、特にソフト経費、運営経費の問題、これをきちっと算定していくということは、なかなかこの交付税という制度から限界もございますけれども、できるだけ的確に算定できるような内容にしたいということで、今鋭意検討を進めているところでございます。
  157. 常松克安

    ○常松克安君 国土庁さん、よかったですね。よく聞いておいてください。本当にこんな、画期的な前進ですよ、これは。ただ心配は、厚生省と自治省とあわせて僻地医療は云々あるけれども、国土庁はそこへ入っておらないんです。今あそこまでおっしゃっていただいた。どうか離島を守る国土庁地方振興局として、その中へちゃんと入っておいてくださいよ。抜けたらしまいですよ。金もらえませんよ。いや、これはまじめな話、お願いしておきます。  次は消防庁長官、ごぶさたいたしております。本当にお久しゅうございます。お伺いいたします。  平成四年三月に、消防庁として初めて公文書をもって労働省に対して女子保護規定の緩和を求める要望書を出されました。これは当然今日まで論議になっておる救急隊、このことに関しまして、まず全国の搬送の分類をしてみてください。救急患者の四〇%は女性なんです。あるいは老人の方が多いんです。子供さんも多いんです。そうしたならば、やはりでき得ることならば女性救急隊員の誕生があれば本当に行政の温かさを、安心を与えることができる、このように何回も提案してまいりました。その意を受けてやろうとするんだけれども、地方公務員の深夜勤務の制限がこっちは外されていない。こういうことで、これはいかぬ、抜本的な検討をするについてまず大きな壁というのは二十四時間深夜勤務、これのハードルを越そう、こういうふうな取り組みの意思を持って要望書をお出しになったと思うんですが、この辺の経過をお願いします。
  158. 浅野大三郎

    説明員(浅野大三郎君) かねてから、女性を救急隊員に採用して救急業務をやったらどうかというような御指摘もいただいております。確かに女性が救急業務をやりますと患者さんの方でよりソフトな感じを受けられる、あるいは安らいだ気分になりやすいというような特性もあると思います。ですから、私どもとしては、やっぱりそういう女性を救急隊員に採用するということは、これはメリットが十分期待できることだという判断をいたしております。  ただ、一つ制度的な問題としては、ただいままさにお話がございましたように、深夜労働というものができないわけでございます。これは申し上げるまでもないのでございますが、救急業務というのは二十四時間体制で待機する必要がございますものですから、深夜に仕事ができないということになりますと、チームを編成してやっていくということで非常に困難を来すというようなことがございますものですから、それで私どもとしては、昨年三月、労働省の方にひとつ救急業務、そのほかにも私は消防業務で女性が可能なものはあわせて制限を解除していったらいいんじゃないかというふうに思っておりますが、救急業務等について深夜労働の制限を解除していただくことをお願いしたということでございます。
  159. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、逆に聞きます。  労働省におきまして、漏れ承りますと、本年夏にもこういう緊急課題として女性の保護規定というものについて審議会にかけ、アンサーを受けたいと。もしもそのときの審議会の内容について、外しますよというふうな審議会の回答を得たとしたならば、直ちに女性救急隊員の制度化に対する検討会あるいは研究会に入られますか。
  160. 浅野大三郎

    説明員(浅野大三郎君) 私どもとして、いつどういう形で制度の改革が実施されるかというところまでまだ確たるお話は伺っていないのでございます。  消防関係といたしましては、全国の消防長さん方でいろいろ勉強なども常日ごろやっておられるわけですが、その救急業務に関する研究の中でやはり女性隊員を採用することについてもいろいろ勉強をしていただいております。そういう制度改革ができましたら、そういう検討にもさらに一層弾みがつくことになるのではないだろうかという ふうに思います。
  161. 常松克安

    ○常松克安君 労働省にお伺いいたします。  この件について、平成四年三月にそういう消防庁から公文書をもって要望を受けたわけでありますが、その後の検討の結論はどういうふうな流れで今日出ておるんですか。御報告願います。
  162. 岩田喜美枝

    説明員岩田喜美枝君) 昨年の三月でございますが、先生おっしゃいますように、消防庁の方から緊急隊員を含みました女性の消防隊員の深夜業の規制緩和について文書で御要請をいただいたところでございます。  先生御案内のとおりかと思いますが、現在の労働基準法の中では女子については原則深夜業を禁止いたしておりまして、その中で一定の業種あるいは一定の職種に限ってそれを解除する、こういう法律の枠組みを持っているわけでございます。こういった女子の保護規定が雇用の分野で男女の雇用機会均等を進めるという観点からしばしば障害になってきているという指摘もございますので、これを将来的には男女同一の法的な枠組みにするよう見直しをしてまいりたいというふうに思っております。  その際、働く女性、今既婚者が大変ふえておりまして、既婚の女性が家庭責任を担いながら就業できるようなそういう配慮をする必要もございますから、そういう配慮をしながら将来的には男女同一の法的な枠組みになる方向で検討をしてまいりたいというふうに思っております。このことは昨年の六月に労働大臣が策定いたしました第二次女子労働者福祉対策基本方針の中でも述べておりますし、ほぼ同時期に閣議決定いたしました新経済計画の中でも述べているところでございます。  きょう先生指摘いただきました緊急隊員の深夜業の問題も、今申し上げましたような女子保護規定全体の見直しの中で必ず検討の俎上にのせて検討してまいりたいというふうに思っております。
  163. 常松克安

    ○常松克安君 消防庁長官、これをお読みになりましたか。「女性救急隊員導入の記録」、入間東部地区消防組合消防本部、もう既に、今消防長云々と言われましたけれども、地域の消防長の英断をもちまして、看護婦さんである方三名が救急救命士の試験に合格した上、救急車に乗車してそしてその与えられた範囲内における救急業務に従事をしているんです。これから云々じゃないんです、しているんです。地域において既にこれが一つ。おと二カ所で既にもうそういう動きになっているんです。私は、これを見て政治は永田町から地方へ行く時代はもう過ぎ去った、地方から永田町の変革を求める時代に入ってきたんだなとしみじみ思います。  しかし、悲しいかな、消防士、消防副士長という名目を与えられても、この女性は救急隊員という名称は与えられないんです、法の枠組みによって。ですから、二十歳のこの若手の女性は本当に勇気ある人。しからば、私たちは与えられるにはどうするんだ。消防学校へ半年行け。ホースを持って消火訓練も、まずは消防隊員としての基礎の半年間を終えその試験を受けて、そして今度は救急隊員の初任者の方のを受け、そうして初めて救急隊員だと、こうなるわけでございます。これが法の一つのあやでございます。  一つ申し上げておきましょう。制度がいかに、ここが小泉郵政大臣の一番、自由経済の競争を阻害するものは法律がごちゃごちゃ余計につくり過ぎることだと。大臣、この次にやりましょうね。そういうことなんです。本当に私もそう思っているんです。  救急車は高規格救急車。ところが大事なのは、あのベッドの上は患者と救急隊員なんです。それが少しでもスペースを広げたい、スペースを。そうすると、あとは家族の乗る座席を小さくしたい、製造業者はそう言ってきたんです。だめだと言うんだ、運輸省は。きちんと自動車の搬送する座席は幅が何センチ、奥行き何センチのいすでなきゃだめ、こうなっておる。これでまた阻害。もう人の命の議論はどこかへ飛んでしまうんです。私はここで女性を云々と言っているんじゃない。生きるか死ぬかのようなあのストレッチャーに乗せる患者の立場になり得るならば、こういう時代の要求として考えて庶民の皆さんに、国民の皆さんに希望を与えていくのが行政の長としての長官の政治決断じゃございませんか。それを今日まで会議を重ねてここにちゃんと実行しているところがありますよと申し上げました。  例えば、東消におきまして事故が入ってくる一一九番、あの指令室におる人は発声練習をしておるんです。なぜですか。人の声といいますのは、感度がこれは男性より女性の方が一・八倍大きいんです。明確なんです。ソフトなんです。だから電話交換手さんは女性なんです。ところが男性の場合はそこを少し面倒くさがる。あるいは感情が、昨夜夫婦げんか、後で聞いておりますと、返事は変えないつもりが出てくるんです。こういうことで、あの救急患者の判定を誤ってはならないといって、アメリカは全部救急隊員の指示は女性なんです。全部女性なんです。そこに一つ深い時代の先取りというものをこれはしていただかなければならないのではなかろうか。  ある程度の決断を聞かせていただきましたが、いま一度しつこうございますけれども消防庁長官、最後のまとめとして、これは大臣には言えませんので、そっちですから。
  164. 浅野大三郎

    説明員(浅野大三郎君) 先ほども申しましたように、救急隊員に女性を採用するということは、私としてはもちろんいいことだと思っております。  ただ、あくまでも二十四時間勤務ということもございますものですから、確かに先ほどお示しの事例ございます。それはそれでよくやっていらっしゃると思うのでございますが、昼間だけということにいわばなるわけでございます。やるからにはやはり二十四時間体制がとれるという前提でやっていかなければいけないんじゃないかということがあるということでございます。
  165. 常松克安

    ○常松克安君 済みません、急いであと二問行きます。  交通局長にお尋ねいたします。  従来どおりいろいろな角度から申し上げましたけれども、西ドイツにおきましては、調査によりますと、ドライバーのうちの三分の一がいざ事故を起こしたときに人命に対するCPR、これを体験したというんです。日本の総務庁の結果だと四%なんです。これは事故多発の折から人の命に関することにおいて鋭意努力検討されているようでございますけれども、英断していただきたいのは、新しく免許を取る若手に事故が多い、こういう人たちにこそ救急処置のできる基礎のカリキュラムをその中に入れるべきだ。西ドイツでは六時間入れております。これに対する御判断をお伺いいたします。
  166. 関根謙一

    説明員(関根謙一君) 先生から、しばしば交通事故があった場合における応急の処置を講じることができるように運転者に対して教育をすることを考慮してはどうかという御意見をちょうだいしているところでございます。  私どもといたしましても、現在の法律の規定自体が交通事故があった場合には車両等の運転者は負傷者を救護する等必要な措置を講じなければならない旨の規定を置いておりますし、その他諸外国の例等も参考としつつ、救急蘇生法がドライバーの間に普及することが重要であると認識しているところでございます。  従来、そのため若干の教育を指定自動車教習所等において行うように指導していたところでございますが、このたび先生の御指摘等有識者の方々の御意見も賜り、また諸外国の例等も参考としつつ、ドライバーの方々に救急蘇生法の知識を持っていただくような仕組みを導入したいということで検討を進めているところでございます。
  167. 常松克安

    ○常松克安君 ぜひそれの実現に向けて御努力をお願いいたします。  なお、一つ要望申し上げておきます。  ここに日本交通政策研究会、「一九八二年の事故を中心として」、こういうふうに非常に警察庁としてもいろんなプロジェクトお持ちでございま す。これは何かといいますと、交通事故がこの年度に起きてどれだけ経済的な国家損失がされているか、医療費が何ぼ使われているか、補償費が何ぼ払われているか、これを克明に科学的にお出しになっていらっしゃる。お聞きしますと、十年ごとにこれは調査なさるそうです。どうかひとつ、本年は約十年になりますのでこれを改めて出していただきたいんですが、この当時は三兆二千億円になんなんとして当時の交通事故死にまつわるところの損害というものを提示いたしております。医療費というのが約四千六百億円入っております。本年になって八兆円になろうと指摘する学者もいらっしゃいますが、ひとつ局長、考慮をしていただきまして、またプロジェクト研究の御指示を願えましたら幸甚かと存じます。  お待たせいたしました、大臣。最後のこの問題では大臣でなきゃにっちもさっちもならぬのです。どないにもならぬです、これ。人の命にかかわる問題が大臣の決断いかんにかかっておるんです。  御案内のとおり、本年一月十二日、愛知県岡崎市におきまして中堀由希子さん、二十一歳、白血病患者の方、何とかして治るものなら治って歩きたい、息をしたい、町並みをこの胸に感じたい、米国から骨髄を取り寄せて手術いたしましたけれども、残念なことながら御他界になりました。しかし大臣、この中で非常に感情的な言葉かもしれませんが、中堀さんが死ぬ前において、白血病で生きるか死ぬかのこの苦しみより大事なのはドナー、提供者があらわれるかどうかな、こう毎日毎日思い続けることの心情を考えればこんな痛さは何でもない、こう言い残されて亡くなられた。  もうこれ以上深く、全部大臣はお知りですから、そして大臣が大英断を下されました。地方においては都道府県五つは既に特別休暇として提供者は休んでよし、あと十三都道府県がこれに続こうと検討中に入っています。ところが、国はなかなか一たん決めた法律は変えません。変えられない。人事院総裁がどうたらこうたら、法的根拠が、整合性がどうたらこうたらと、そう言っているうちに毎年毎年七千名の患者が出ます。上げたいですけれども、それの可能性のあるのは約一割、七百名が今日、一日千秋の思いで提供者、ドナーを待っていらっしゃる現状でございます。そのときに自治省としては、それはちょっと制度は、すぐ特別休暇はと。そうしたら、大臣はそこで一喝かまされました。何言っているんだ、法律が何だ、人道の前に法律なしだ、人の命に関係する問題だと。すぐさま、意を受けられたその職員の皆さんは、何とかこれを一時緊急避難的に、言葉は悪うございますけれども、これのできるようにと出てきましたのが病気休暇制を使えと。  ところが、こういう論議は、もう地方の県条例まで決定を受けて特別休暇制にした裏には、何で私が病気でもないのに病気休暇を申請出さなあかぬのやと。一つ、今までの既得権のある公務員、地方公務員の皆さんが、あるべきものをわざわざそれを使えとは何事なんかいな。あくまで人道的なというなら、我々は公務員であって、そんなことで全部協力しなきゃならぬという強制力もありません。本当に意のある方がそこへ行かれる道筋でございますから、特別休暇という手だてを、大臣そこまで言われたんですが、ここがやっぱり国の法律の難しいところでございます。  ただ、大臣の英断をなさいましたその中において、英断を持って即刻にも、あすと言わずにきょうにでも人事院総裁と直接面談をされた上、いち早く人道上の問題として、便法なら便法として、特別休暇制度は後ほど論議するとしてでもこの活用をしてしかるべきである。それがだめならば、国家公務員に準ずるという法律があったとしても、地方の長であるべき私が地方公務員からこの制度をまず開く、そして国を動かしていくと。  大臣のふるさとは愛知県でございます。これこそが本当に草葉の陰にいる中堀さんにとうとい贈り物じゃございませんでしょうか。そのように御決断をここで求めたいわけでございますが、言い過ぎでございましょうか。どうぞ。
  168. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 常松委員の御指摘は本当によくわかります。私はこの話を聞きまして即座に、人命に関係のあるところだから絶対前向きに対応せよという指示をいたしました。それで、それを事務当局は忠実に守りまして、間もなく病気休暇という実例を示したわけでございます。なお、病気休暇ではいかぬ、もっともっと前向きの対応をせよという御指摘もよくわかります。  ただ、この問題の重要性はよく理解しておりますが、自治省としては現状でなし得る措置を示したところでございまして、今後とも御指摘になりましたような人事院総裁を初め関係省庁と十分連絡をとりながら、人命に関係することでありますから、誠意を持って対応いたします。
  169. 常松克安

    ○常松克安君 大臣、まことに僭越でございます。本当は再答弁を求めてはならぬのがこれは常識かと存じますが、あえて大臣に向けてもう一度確認だけさせてください。  病気休暇は最終結論ではなくして中間的な措置であると認識して、これより緊急課題として今議員が指摘された方向に一日も早く実現することに決断をしたいと、このように受けとめさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  170. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 常松委員の御指摘は非常にごもっともでございます。その御趣旨をよく承って緊急に対応をしたいと思いますが、ただ根本的には国の措置というものが前提となりますために、私が病気休暇という措置をとりあえずとりました。今後とも一生懸命努力します。
  171. 常松克安

    ○常松克安君 じゃ、人事院も来ておられますが、人事院はどう考えておられますか。
  172. 石橋伊都男

    説明員石橋伊都男君) お答えいたします。  国家公務員の休暇は、御承知のとおり、年次休暇それから病気休暇、特別の事情がございます……
  173. 常松克安

    ○常松克安君 簡単に結論だけで結構、時間ないんだから。後の人が迷惑する。
  174. 石橋伊都男

    説明員石橋伊都男君) この問題につきましては、昨年来国会でいろいろお尋ねもございます。それから、厚生省等からも御要望がなされておりまして、私どもとしましても社会的関心ですとか要請が非常に高まってきておるというふうに考えておりますので、勤務条件は基本的には情勢適応の原則でございますけれども、昨年報告いたしました勤務時間、休暇に関する法制整備の検討を現在やっておりますので、その中で真剣に受けとめさせていただいて、検討を現在続けておるという状況でございます。
  175. 常松克安

    ○常松克安君 結構です。  終わります。
  176. 山下栄一

    ○山下栄一君 私の方からは、まず郵便事業の赤字財政の問題につきまして質問したいと思います。これは先ほど会田委員からも御質問あったわけでございますが、再度明確なお答えをいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  平成二年度におきましては百二十五億円の黒字であった。ところが、それが平成三年度におきまして百七十三億円の赤字になったわけでございます。そして、十一年ぶりの赤字転落ということでございまして、来年度予算におきましては一千億円程度の赤字を前提とした予算が組まれておるわけでございまして、もうこのまま続きますと郵便料金の値上げは必至であると、非常に心配になってくるわけでございます。  こういう観点から質問させていただきますが、急激な赤字転落の原因、先ほどもお話があってわかりますけれども、ちょっと不明確でございますので明確にお答え願いたい、このように思います。
  177. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) お答えいたします。  まず、郵便事業財政でございますが、平成三年度におきまして百七十三億円の赤字を計上し、平成四年度予算上四百三十億円の赤字が計上されておりますが、平成五年度におきましても予算案で一千二十億という赤字になった。  この辺の赤字の要因、原因がどうかという点でございますけれども、まず一般的事情について申し上げます。郵便事業は御承知のように労働集約的な事業でございまして、人件費や非常勤職員の賃金などの経費が総費用の約九割を占めております。したがいまして、この費用の増加といいますのが事業財政に大きな影響を及ぼしております。  もう少しこの赤字になりました直接的な原因について申し上げますと、十年間料金を据え置いてきたわけでございますが、最近におきまして収益面で景気の後退等の反映によりまして郵便業務収入の伸びが鈍化したという点がございます。  それから、もう一方の費用の面でございますけれども、効率化施策、こういった点について推進しておりますけれども、最近の人手不足に伴います非常勤職員の賃金、それから郵便物の大型化に伴います諸経費の増加、こういった点がございまして費用の伸びが収入の伸びを上回ったということが、これが事業財政の急激に悪化した原因だというふうに分析をいたしております。
  178. 山下栄一

    ○山下栄一君 そのお答えは先ほどもあったわけでございますけれども、人件費が九割を占めておるということでございます。支出削減の観点からやはり機械化、省力化を思い切ってやっていく必要があるのではないかな、このように思うわけでございますが、現在郵便事業におきましてどれぐらいの機械化が進んでおるのかということ、また今後どのような分野でどのような機械化を進めていくのか、この辺の見通しにつきましてお願いしたいと思います。
  179. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) 先ほども申し上げましたように、郵政事業、特に郵便事業につきましては労働集約型の事業でございますので、私どもは絶えずコスト高にならないように機械化、省力化、これを進めてまいっておりますが、具体的に申し上げますと、昭和四十三年に郵便番号制度を導入して以来、郵便番号自動読取区分機の配備を中心といたしまして機械化を積極的に推進してまいりました。  現在でございますけれども、配備しております主な郵便物の処理機器といたしましては、大きなものとして地域区分局を中心にいたしまして郵便番号自動読取区分機、これが二百一台、それから配達物数の多い局にあて名を読み取って区分を行います郵便物あて名自動読取区分機、これを六十三台、それから取りそろえ消印のための郵便物自動選別取りそろえ押印機、これを百二十一台、それから選別台付自動取りそろえ押印機、これを百二十五台配備しております。それから、窓口関係でございますけれども、事務機械化ということで郵便窓口の端末機を千六百二十台、郵便切手・はがき発売機、これを二千百十九台配備しております。  こういったところが現在までの機械化でございますが、今後の機械化につきましては、これらの機器類の配備の拡大、これをやりますほか、性能の向上に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。  それから今後でございますけれども、機械化が非常に今まで困難視されておりました局内におきます配達作業の機械化につきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っておりまして、現在機械処理に適した郵便物のあて名情報のコード化等について調査研究を続けているところでございます。
  180. 山下栄一

    ○山下栄一君 今ちょっとコード化について伺ったわけでございますが、バーコード方式の導入、これはいつぐらいから実施される予定になっておるかということ、見通しをちょっとまたお願いしたいと思います。
  181. 上野寿隆

    説明員(上野寿隆君) 昨年の五月に郵務局長、私の私的諮問機関といたしまして郵便処理システムの情報機械化に関する調査研究会というのを設置いたしまして、現在処理システムについての検討をやっております。  もう少し具体的に申し上げますと、郵便番号を拡張いたしましたコードのけた数、それから効率的な機械処理システムの技術開発の可能性、こういった点について種々検討をいたしておりまして、これが今春大体四月ごろになろうかと思いますが、報告書としてまとまる、そんな状況でございます。この報告書の内容を受けまして、今後私どもといたしましてはできるだけ早くこの実施ができるように取り組んでまいりたいということでございまして、これがいつごろの見通しになるかという点についてはここではっきりまだ申し上げられる段階ではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  182. 山下栄一

    ○山下栄一君 郵便事業の支出削減の観点からも省力化をもうぜひとも進める必要があると思うのでございますが、いずれにしましても、赤字であるから郵便料値上げという、こういう安易な方法だけはぜひとも避けていただきたい、このように考えるわけでございます。  大臣に御所見を承りたいと思いますけれども、郵便事業の赤字問題、これにつきましてのお考えをよろしくお願いします。
  183. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 鋭意、合理化、省力化、機械化を進めておりますし、私も就任以来、短期間ではございますが幾つか郵便局を視察させていただきまして、この機械化、省力化の進歩ぶりには実は舌を巻いております。郵便番号自動読取区分機も、先日、現場に行って見てまいりましたけれども、普通、人間だとなれた人でも一時間八百通から千通が限度だと、それが今機械化で一時間五万通が可能だというような現実。大きな封書も小さな封書も区分してどんどん手際よくやっている姿を見まして、大変な努力だなと、よくここまでやっているなという感じを受けました。  しかし、現実の経営状況の厳しさ、これからも健全経営、省力化、合理化に努めまして、できるだけ値上げしないような努力を最後まで続けたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
  184. 山下栄一

    ○山下栄一君 ぜひともよろしくお願い申し上げます。  続きまして、ちょっと地球環境問題につきましてお伺いしたいと思うわけでございます。  この環境問題に関する国民の意識といいますか、非常に高まってきておると思うわけでございます。先日、総理府が行いました「外交に関する世論調査」におきましても、国連を通した日本の国際貢献、また国際社会における日本の役割、その中で環境問題に対する国民の期待度といいますか、非常に高いわけでございますし、ある団体の調査によりましても、二十の若者で総理大臣を知らない人が一割おったとしても、政治に何を期待するか、これは圧倒的に環境問題を政治に期待すると。景気対策とか政治改革よりも、環境問題に対する政治の取り組みということが非常に若者でも意識が高いわけでございます。  その中で、昨年地球サミットも行われたわけでございますが、特に日本に対する地球環境における国際貢献に対する期待が内外ともに大変高まっておる状況でございまして、日本のリーダーシップに大変期待が高まっておるわけでございます。ただ、世界的な不況の中で、昨年のサミットにおきますリオ宣言とか、またアジェンダ21の行動計画、どれだけ本当に約束したとおり実施できるのかという非常に心配の声も高まっているわけでございます。  その中で、サミットの場で特に宮澤総理大臣が発表されました環境ODA、一九九二年度から五年間で九千億から一兆円の環境ODAを何とかやりたいという国際公約をされたわけでございますが、この問題につきまして九二年度の実績、それから来年度予算の上にどのように具体化されておるのかという点につきましてお聞きしたい。これは外務省でございますか、よろしくお願いいたします。
  185. 黒木雅文

    説明員(黒木雅文君) お答えいたします。  平成五年度のODAの実施に当たりましては、環境対策の抜本的強化を重点事項の一つとして掲げております。したがいまして、予算の枠内で優良な環境案件の発掘、形成、実施に努めていく考えでございます。  なお、JICAによる技術協力につきましては、環境関連の研修員受け入れ人数の増加、環境関連人材の拡充、環境関連調査の拡充等を予算に計上しているところでございます。  それから、実績につきましてでございますけれども我が国環境分野の援助は八九年度から三年間の実績で四千億円以上でございました。こうした実績を踏まえまして、UNCEDにおきましては九二年度から五年間で環境分野の援助を九千億円から一兆円をめどとして大幅に拡充強化するよう努める旨、総理より発表いたしました。  この目標額を単純に計算いたしますと、毎年平均一千八百億円から二千億円をめどとすることになります。金額で見ますと、円借款が我が国環境協力の大宗を占めますけれども、九二年度の実績について言えば、これまで既にメキシコ、ブラジル、タイ、インドネシア等に対し合計約二千四百五十億円の円借款の環境分野への協力対象として意図表明ないし交換公文を締結済みでございます。
  186. 山下栄一

    ○山下栄一君 九一年までの三年間の見事な実績を踏まえての昨年の首相の国際公約だったと思うわけでございますが、不況の中でどれだけ実際環境分野において実行できるのかということが非常に心配されておるわけでございますが、ここ過去三年間の平均の二倍の毎年度予算を確保していかなければならないという実は実態がございますので、ODAを供与する場合に、やはりODAの場合は途上国の側からの要請主義ということが基本だと思うわけでございますけれども、ある程度日本の方からも積極的な環境におけるその辺の交渉、プッシュがやっぱり必要ではないかなと、このように考えるわけでございますが、その点につきまして外務省に。
  187. 黒木雅文

    説明員(黒木雅文君) 開発途上国におきましては環境保全よりも開発を優先しがちでございまして、環境案件が必ずしも高い優先度を付されない場合が多いということから、委員指摘のとおり、我が国からも被援助国に対して積極的に働きかけること、すなわち途上国との緊密な政策対話を通じて優良な環境援助案件の発掘、形成、実施を積極的に進めていくことが重要だと考えております。  そうした努力の一環としまして、環境分野の援助推進に焦点を当てた日本のミッションをこれまで東南アジア、中南米、東アフリカに対して派遣しておりまして、さらには現在インドに派遣している最中でございます。また、援助の年次協議や経済協力総合調査団の訪問の際にも環境分野援助の対話を積極的に行っております。それからさらには、環境分野協力案件の形成を促進するという観点から、例えば昨年十一月から十二月にかけまして中国に対して大気汚染総合対策計画を作成するための事前準備の調査団を派遣しております。
  188. 山下栄一

    ○山下栄一君 非常に責任が問われる問題であると思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  あと残された時間でございますが、UNEP国際環境技術センターにつきまして環境庁の方にお伺いしたいと思うわけでございますが、UNEP国際環境技術センターという長い名前でございますけれども、UNEPセンターと申したいと思いますが、これは日本政府の積極的な働きかけで一昨年五月にUNEP管理理事会ですか、そこで設置が認められまして日本への誘致が決定いたしまして、昨年の十月末ですか、正式に発足した。  これは関西の大阪と滋賀に設置されることが決まったわけでございますが、このUNEPセンターにつきましては、ちょうど同時期にPKO活動の御審議もあり、また実際それがスタートしたわけでございますけれども、同じようにスタートしたんですが、なかなかこちらのUNEPセンターの方の認識が非常に日本でも低いというふうに思うわけでございます。私は大変大きな国際貢献の一環という大事な設置であると思いますし、特に環境分野における我が国初の国連機関の誘致ということで、非常にこの成否は、日本にとりましても全力を挙げて支援する必要がある、このように思うわけでございます。  このUNEPセンターを支援するために大阪に財団法人地球環境センター、通称GECと言われているわけでございますけれども、それと、滋賀県の方に財団法人国際湖沼環境委員会、ILEC、これが既に設置されておるわけでございます。  UNEPセンターの方は、これは国連機関でございますけれども、具体的に支援する組織として大阪と滋賀に地方自治体を中心にこれがあるということでございますけれども、このUNEPセンターを直接支援する二つの財団、これがやっぱりかぎを握っているのではないかなというふうに思いまして、日本にできました国際機関、UNEPセンターを支援するGEC、ILECの使命は大変重大である、このように考えております。環境庁のGEC、ILECに対する具体的な支援体制、これはもうぜひとも強力にお願いしたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。これは局長並びに大臣にぜひともお答え願いたいと思います。
  189. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) UNEPのセンターにつきましては、経緯等につきましてはまことに先生が御指摘のとおりでございます。  先生もおっしゃられましたように、私ども開発途上国への環境保全技術の移転というのは極めて重要な仕事というふうに思っておりまして、昨年六月の地球サミットにおいてもこの問題が大きなウエートの一つを占めたことも、これまた御高承のとおりでございます。  このセンターを支援することを主な目的といたしまして、大阪府、市が関西の財界等の協力を得まして、先生がおっしゃいましたGEC、財団法人地球環境センターを設立いたしましたことは、UNEPセンター誘致に大変な熱意を示してきました地元府、市の熱意といいますか、そういったものを示すものとしてまことに有意義なものというふうに私ども考えております。  環境庁といたしましては、このGECへの支援といたしまして、平成四年度より職員一名を派遣しているほか、昨年十月に、先生がお触れになりましたこのセンターの開設を記念しましてのシンポジウムなども地元自治体とともに環境庁が開催をいたしているところでございます。また、このGEC、財団法人地球環境センターとともに平成四年度から三カ年計画でUNEPセンターの環境保全技術の情報整備等への協力に既に着手をいたしているところでございます。  環境庁といたしましては、このUNEPセンターの円滑な運営のためにはGECがその役割を十分に果たされていくことが重要と考えておりまして、このセンターへの支援につきましては、UNEPセンター誘致の経緯にもかんがみまして、地元府、市などとともに、あるいは地元の経済界などとともに十分に連携をとって必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  190. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) ただいまの山下先生の御質問でございますけれども先生の御質問の中にむしろ説明も入っておりまして大変恐縮に存じますが、この問題につきましては、ただいま地球環境部長の説明のとおりでありまして、環境庁としましては力を集めてこれの充実、達成に協力するつもりでおります。
  191. 山下栄一

    ○山下栄一君 ぜひよろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。    〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕
  192. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。  私は、自治大臣を中心に幾つか御質問させていただきたいと思っております。就任早々で大変恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。また、私自身も大臣の地元の愛知県とは大変かかわりの深い一人として、今後の御活躍も祈念を申し上げる次第でございます。  最初に、自動車関係の税金について幾つかお伺いを申し上げたいと思います。  自動車に関する税金は、現在九種類の税金が車の購入段階、さらに保有段階、さらには使用段階、使用段階は燃料税という形でございますが、かかっております。しかもその税が、よく似た税がいろんな角度からかけられている。ちなみに昨年の、平成四年度でございますが、当初の税収見積 もりの中でも、これらの自動車にかかわる税金を合計いたしますと総額約七兆三千数百億の金額になるということでございまして、非常に複雑である上に、非常に負担が大きくなっている、ユーザーの負担は今や大変なものだと、私自身はこのようにも思っております。  ユーザー負担ということでちょっと国際比較をさせていただきたいと思いますが、今の自動車の税制の中で、とりわけ私が問題だなと思っておりますのは、車を持つだけ、あるいは買うとき、いわゆる車体課税というふうに言われておりますが、その車の車体に対して非常に諸外国と比べても高い税金がかかっているというのが実態ではないかと思います。  ちなみに、いろんな条件の置き方がございますが、ちょっと試算をしました。千八百ccの車を買いまして九年間使う、こういう前提で今申し上げた車体課税を計算してみますと、私の試算ではトータルで約六十四万三千円かかる、税金だけでかかるということでございます。これをちなみに外国と比較しますと、これはドイツに対しては一・八倍、イギリスに対しては一・二倍、フランスに対しては二倍、アメリカに対しては五倍という高い数字でございます。実はこの比較の数字の中には消費税、西欧諸国では付加価値税、これを含めた数字で今申し上げました。  しかし、私は本来、こういう比較の場合に、消費税を含めるというのは間違いじゃないかなというふうに思います。といいますのは、御存じのとおり消費税というのは国の基本的な税の一つでございます。したがいまして、ちょうど導入時にもさまざま議論されましたように、消費と所得それから資産に対してどういうバランスで税をかけていくかという国のいわば税制の基本政策に基づいてかかってくる税が消費税でございます。そういう面で言いますと、個々の対象物に対しては、いわば付加されてかかっている税金ということで言いますと、それ以外の税で比較するのが妥当ではないかと思います。  それで、ちなみに諸外国との比較を数字で申し上げますと、何とイギリスに対しては二倍、ドイツに対しては三・二倍、フランスに対しては七・六倍、アメリカに対しては実に二十六・五倍という極めて高い税負担になっているわけでございまして、税というのは、一つは簡素でしかも中立て公平でなければいかぬ、このことはよく指摘されますし、数年前の政府税調の答申の中でも簡素で明確な制度がやはり納税者の信頼を得る制度になるんだ、こういう指摘もなされているわけでございます。したがいまして、こうした自動車関係諸税が大変複雑でしかも負担が過重である、また国際的に見てもそれは際立って高い。こういう点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。また、あわせまして、大蔵省の方にも御見解をお伺いしておきたいと思います。
  193. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 自動車関係税につきましては、直嶋委員が御指摘になりましたように、国税だけでも御指摘の消費税、自動車重量税、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、都道府県の税金が自動車取得税、自動車税、軽油引取税、それから市町村が軽自動車税というふうに九種類ございます。そして、私も自動車関係税のことを実は調べておりまして、愛知県は御承知のように自動車の言うなれば非常に発展をしておる県でございますけれども、今まで調べておりまして御指摘の点はよくわかります。  ただ、現行の自動車関係税は自動車税を初めとして九項目にも上っておりますが、一台の自動車に九税のすべてが課税をされるというのではございませんね。御承知のように、これらの税における課税客体はそれぞれ異なるものでありまして、全体としては公平な税負担を求めることとしている、前提はそういうことでございます。そして、これらの税はそれぞれ創設の経緯や性格を異にしていること、それからその課税主体が国、都道府県、市町村に分かれていること、それから道路目的財源として使途が特定されているものと一般財源とされておるものと、こういうことがいろいろございまして、これらのことを考慮すれば税を整理統合することについて慎重に対応せざるを得ないという前提がござます。  御指摘の点はよくわかるのでございまして、特に日本は自動車関係の課税が重いという御指摘もわかるのでございますが、こういった点を考慮しながら検討を慎重にしてまいりたい、こう思っております。
  194. 大武健一郎

    説明員大武健一郎君) お答えさせていただきます。  ただいま自治大臣が御答弁なさいましたことと基本的に同じでございますが、一点補足をさせていただくという意味で御説明させていただきたいのは、先ほど消費税を含めないというお話で比較をされるというお話をされたのでございますが、日本の税としまして自動車関係諸税、消費税も含めた全体で自動車の取得、保有、燃料、消費に着目して各種の税を課すということになっておるわけでございますから、やはり国民の負担という意味では全体を見て税負担水準を見るということが必要でございますので、それは消費税、ほかの国で言えば付加価値税等も入れまして比較するのが適当ではないのかなと思う次第でございます。  それからあと、先生の係数につきましては九年というケースでやっておられまして、それは毎年毎年いわばかかりますといいますか使用しておりますから、燃料課税の影響が大変大きく出ることになるわけなのでございますが、自動車のいわゆる耐用年数というのが一応六年ということになっておりまして、それで千六百ccのケースをとりますと、先生の御指摘と少し違って、確かにアメリカについては日本よりはるかに軽い負担になっておるわけですが、ヨーロッパ諸国というのはおおむわ日本ないしは日本より若干上ぐらいの水準という感じがしておるわけでございます。
  195. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御見解承りました。  大蔵省の方にちょっと、反論するわけではありませんが申し上げておきたいんですけれども、二つございます。  一つは、消費税を含めない方が適正だという話ですが、確かに払う絶対額としてはそうですが、消費税の税率を決めるときに自動車の負担から消費税をどうしようというふうに出てくるわけではなくて、消費税というのは与件として国がトータルの中で決めてくる税金ですから、私は全く性格が違うと思うんですね。ですから、そういった一般のものとは別途、しかも車に対してはいろいろな税金がさっき自治大臣がおっしゃったようにかかっているということであります。  それからもう一点は、今のヨーロッパの方が少し高いかもしれぬというお話も、耐用年数をどれぐらい見るかによって計算は変わってまいります。しかし、私特に申し上げたいのは、車体課税が高過ぎるということをさっき申し上げたわけですけれども、この点についてはぜひ御認識を賜りたいというふうに申し上げておきたいと思います。  それで、時間の関係もございますので、特にその中で自動車取得税についてちょっと申し上げたいと思うんですが、これは実は車を購入するときに支払う税金でございまして、つまり消費税を払うし、しかも自動車取得税もユーザーは車を買うときに払うということでございます。したがいまして、これは明らかに同じユーザーに対して名目を違えて二種類の税金、つまり二重課税をやっているんではないかと思います。さっき自治大臣がおっしゃったように、実はこの自動車取得税というのは地方の道路財源になっているんです。もちろん道路整備が必要だからそれをちょうだいするということも理解はできないわけじゃないんですけれども、ただ払う方からしますと、国が取ろうが地方が取ろうが、買うときに払うわけですね。しかも、二つの税金を払う。こういうことになるわけでありまして、非常にわかりづらいし、たまらぬなというのがやっぱりあると思うんです。  そういう点から考えますと、今すぐということは難しいかもしれませんが、私はさっき申し上げたように、全体として自動車の税金が非常に負担が高いということと、さらに今申し上げたような 二重課税という性格、こういうことを考えますと、やっぱり納税者の信頼を得ていくためには、ちょっとあえて申し上げますが、この取得税の廃止も含めて見直し、整理を今後国と地方の間でなさっていくべきではないか、このように思っているんですけれども、これについてちょっと大臣大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。
  196. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 大事な問題ですからお答えします。  自動車取得税は自動車の所有者の取得に担税力を見出してその取得者に課する流通税でございます。    〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕 その税率は昭和四十九年度に自家用自動車について五%とされて以来今日に至っているものでありますが、その間の車体価格、それから物価水準、国民所得等の状況を勘案すれば、その負担水準についておおむね妥当なものと実は私は思っております。  もちろん、委員が御指摘になりましたように、アメリカ等に比べて過大であるというような御指摘もわかりますが、先ほど大蔵省側から御答弁がありましたように、消費税そのものもいろいろ加算をして考えれば、決してECに比べて過大なものとは私は考えておりません。しかも、日本は自動車というものの生産、流通等についてまさに世界的にもずば抜けておるところでございますので、そういった全体を考えていけば現在の制度でやむを得ないものと、こういうふうに認識をいたしております
  197. 大武健一郎

    説明員大武健一郎君) もう既に先生の御質問の中にもあったところでございますが、まさに消費税と自動車取得税というのは課税の趣旨を異にしているものでございますから、既に税制調査会の答申等でもそれぞれ明確に書き分けられて、それなりの妥当性があるということをいただいているわけでございます。
  198. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あえてもう一度申し上げたいんですけれども、確かに税を取る方はいろんなことが必要ですからもちろん取るわけですけれども、例えば今の二重課税の問題ですが、ほかにどんな商品が日本の中で二重課税になっておるか、私もちょっと調べてみました。一つは酒、たばこ、それにいわゆる特別地方消費税、つまり飲み食いにかかるもの、こういうものが二重課税になっているんですね。もう言うまでもないと思いますが、今自動車というのは全国で保有台数六千万台を上回って大体各世帯に一台ある、まさに国民の足なんですね。とりわけ地方へ行きますと生活必需品なんですよ。その生活必需品に対して、今申し上げたように二重に課税している。ほかにもう一つ、実はガソリンというのがあるんです。これは二重課税じゃありません。タックス・オン・タックスということで、税の上にさらに税がかかる仕組みになっているわけです。  つまり、今申し上げた五つあるうち二種類、自動車ユーザーにそういう形でかけているわけです。しかも、今申し上げたように酒やたばこという嗜好品と料理のいわゆる飲み食いのお金、こういうものにかけているような税を自動車ユーザーにかけるということ自体、私はやっぱりおかしいんじゃないかなと。大臣、総額的には妥当だというふうにおっしゃいましたけれども、さっき申し上げたような税制の仕組みの差というのが外国とございますから、私はそういう点も含めて考えると、これはお考え直しをいただかないといけないなと、こういうふうに思うわけでございます。  次に、もう一つの問題の、今お話しになった暫定税率というところにちょっと議論を移していきたいと思うんですが、今問題にしております自動車消費税は、一般消費税が三%ですが、実は一・五%の割り増しがあと平成五年度一年間続く、こういうことになっております。それから、私が今議論申し上げております自動車取得税も本則は三%の税率なんですが、自家用の乗用車、トラック、バス等についてはプラス二%で五%の暫定税率がかかっているわけでございます。これが実は昭和四十九年から約二十年近くこの暫定税率で、取得税の場合続いている。ほかにも暫定税率がかかっている自動車の税金というのは重量税あるいはガソリン税とございますが、こういう現状であるわけです。ですから、もう一度繰り返して申し上げますと、非常に税の種類が多くてたくさんかかっている、しかも負担が非常に重い、これが二つ目です。  それから、さっき申し上げたとおり、三つ目にはいわゆる二重にかかる税金がその中に入っている。しかも、ほかの商品で見ると嗜好品とか飲み食いにかかっているような形で、しかも二重に課税されている。  今申し上げたように、暫定税率で高い税金がずっと維持されてきて、その上に消費税の割り増しが乗っているというのが今の状態なんですよね。ですから、自動車のユーザーからするとこれはもうたまらぬと、そういう声になって出てくるわけでございます。ぜひこの辺は前向きな方向で、見直す方向で御検討いただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思うのですけれども、もう一度ちょっと大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。
  199. 滝実

    説明員(滝実君) 大臣の御答弁の前に、私から若干の事務的な御説明をさせていただきたいと思います。  大臣からも申し上げましたように、取得税につきましては、消費税と若干異なりますのは、流通税の性格に加えまして、やはり原因者負担と申しますか、応益負担と申しますか、そういう要素が若干ありますので、そういう意味で性格的には必ずしも二重課税と言い切れないところがございます。むしろ、性格的にはそういう意味で違うというふうに従来から議論されているわけでございます。  それから、四十九年以来暫定税率で来て、その辺のところはもういいかげんにと、こういうような御趣旨の御意見かと存じますけれども、この問題が四十九年以来続いておりますのは、基本的にやはり道路の財源と申しますか、道路の改良率なり舗装率というものが引き続き低位の水準にある、要するに水準がまだ依然として低い、そういう中ではやむを得ない、こういうような議論で今日まで至っているのでございます。そういう意味で四十九年以来随分長い暫定税率なんでございますけれども、結局道路の状況というものがこの税をまだ必要としている、こういうようなことで議論されてきておりますことを御理解賜りたいというふうに考えております。
  200. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 直嶋委員の重ねての御指摘は本当によくわかるんです。  ただ、税のことでございますから、検討いたしますとか、前向きに検討いたしますとかいう答弁は許されないと思うんです。できないことであればできないと申し上げないといけないので、これらのことについては全体の税の体系や、それから日本における自動車の問題、ガソリンの問題等の需要供給等いろいろと関連をいたしまして、私としてもよく考えてみたいと思います。ただしこれは、前向きということが税率の軽減というようなことを思われますとこれは違いますので、その点は客観的によく判断をさせていただきたいと思います。
  201. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後に一言申し上げたいと思うんですが、今私がるるお話ししましたように、これはもう私、自動車ユーザーという言い方をするよりも一般国民だと、こういうふうに申し上げた方がいいと思うんですね。ですから、国民が自分の車についてこんなにたくさんかかっている、このことについては非常に重税感がある。このことはぜひ御理解いただきたい。  それから先ほど、道路をつくるためだと、こういうふうにおっしゃいました。私も道路はまだ未整備だと思いますし、ぜひ積極的に整備すべきだと思います。ただこれも、大蔵省自治省の間でぜひお考えいただきたいんですけれども、道路というのは今例えば道路整備費用で見ますと、国の道路整備費用の九〇%以上、九二、三%になると思いますが、いわゆる道路特定財源で支出されてい るわけです。地方はまだ四十数%ですが、実は自動車税という別の一般財源を加えますとこれも六割を超えるんですね。道路というのは、確かに自動車ユーザーが便益を受けることは間違いございません。ですから、特別に負担しろと言われれば、多少は負担は必要だと思います。しかし一方では、御存じのように、東京の道路の下はみんな地下鉄が走っています、下水も通っていますし、電話も電線も通っているわけですね。一般的に言ってこれは社会資本だと思うんですね、道路というのは。  ですから、財源の問題というのは多少わからないことはございませんけれども、そういう視点に立ってもう少しこの道路費用のあり方についてぜひ御検討賜るようお願いを申し上げたいと思います。  最後にお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  202. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 自治大臣にお尋ねいたします。  まず、釧路沖地震の災害における被災者並びに被災地の皆さんにお見舞い申し上げたいと思うんですが、党の国会調査団としても現地に早速赴きました。零下十度を切る釧路市では、ガスの供給が九千世帯もストップ。標茶町では、全世帯の七五%の住宅で水道がストップ。家屋の被害は五百四十八戸。そのほか学校などの公共施設の損壊また道路の崩壊や港湾の陥没など、被害は広範囲に及んでいます。災害対策に当たって、地方自治体の財政等の負担は極めて大きくなると予想されます。そのため、まず第一に、特別交付税を初め万全な措置をしていただきたいこと。  そして第二に、釧路市では港湾被害だけでも百億円近いと言われていますが、莫大な被害額となっております。政府の災害対策連絡会議の一員でもあられますので、早急に激甚災の指定やガス、公共施設など一日も早く復旧されるように国土庁長官など関係機関にもよく働きかけて最大の努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  203. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 高崎委員お答え申し上げます。  先般の釧路沖地震につきましては大変な地震でございました。震度の大きさといい、それから関係地方団体の多さといい、私は今の御質問をそのまま受けとめることができます。  実は先般、通産大臣の臨時代理も一週間ほどやらせていただきまして、閣議におきましてもこの災害状況の報告等を申し上げたところでございます。また、北海道の方々からも非常に痛切な、切実な御陳情、御要請がございまして、私は地方交付税、特別交付税、それから地方債等についてこれらの災害に対処をしなければいけないと十分に認識をしておりますので、委員の御指摘はしっかりとお受けとめしたいと思います。
  204. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、自治省にお尋ねいたしますが、金丸氏は五億円のやみ献金をもらったことを認め政治資金規正法違反に問われたわけですが、出の分、使途については解明されていません。金丸氏側は六十人の竹下派所属議員に配ったと述べております。  そこで、政治家政治献金を受けた場合、収支報告はどのようになされるのか。そして、あらかじめ通告してあります衆参の国会議員等の平成元年度から三年までの保有金の収支報告書に、金丸氏及びあらかじめ通告した金丸氏の関係政治団体から寄附がなされた旨の記載はありますでしょうか。
  205. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 現行制度では、特定公職の候補者が個人として受けました政治活動に関する寄附に係る収支報告の方法といたしまして、特定公職の候補者がみずから保有金として収支報告をする方法と指定団体の収支報告書を通じて報告する方法がございます。  あらかじめお尋ねのございました衆参国会議員、前議員の方々につきましては、平成元年は九十一名中五十四名、二年は百一名中六十三名、三年は百一名中六十名の方々から保有金の収支報告書が提出されているわけでございます。それらの保有金の収支報告書を確認いたしましたところ、いずれも寄附者の欄に金丸前議員並びにお尋ねのございました新国土開発研究会、久親会、久親会櫛形町連合会及び税理士による金丸信後援会の記載はございません。
  206. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私は九月十七日の決算委員会で、金丸氏本人及び金丸氏の政治団体から竹下派所属議員及びその政治団体へ政治資金が渡っているかどうか自治省にお尋ねいたしまして、政治資金報告書には一切記載がないという答弁をいただきました。  そこで法務省にお尋ねいたします。  今、自治省答弁でも、今度は保有金についても一切記載がないということなんです。要するに、本来政治資金報告か保有金の届け出の二つしか方法がないのに、どちらにも一切記載がないということが明らかになったわけです。もらったけれども政治資金規正法上の手続は全くしていない。つまり、報告、届け出ができない性格の資金であるということが濃厚であるということがはっきりしたと思うんですね。六十数人はもらっていないと言うけれども、これは虚偽であるということははっきりしたわけです。ですから、ここについて厳正な捜査をしていかなければ国民としては絶対納得できないと思います。  この問題の核心というのは金丸、生原両氏が六十人に配ったとみずから認めて述べているということです。つまり、だれに幾ら配ったかということは一番この二人が知っているということです。改めでこのような状況を踏まえて二人の事情聴取を徹底して行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 濱邦久

    説明員(濱邦久君) 今、委員がお尋ねになっておられますのは、金丸前議員の五億円献金問題等に絡む告発事件の捜査の中で、特定の人物についての取り調べをすることについてのお尋ねかと思うわけでございますけれども、捜査の内容あるいは手順その他につきましてはここで立ち入ってお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、これはもう委員も御案内のとおり、金丸前議員の五億円献金問題等に絡む告発事件につきましては、さきに東京地検の不起訴処分に対する検察審査会の不起訴不当の議決のあった事件をも含めましてなお東京地検において現在捜査を続けているところでございます。
  208. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 一般論で厳正な捜査を求めているのではなくて、今、政治資金報告書でもそれから保有金でも一切記載がないという点では、幸い再起、再捜査という新しい事態を踏まえて、これは再起、再捜査になると当然、既に事情聴取をした人も含めて、必要があれば捜査としては調べる必要があるということになりますから、当然本人が一番よく知っている金丸、生原両氏を含めて捜査する、そこにも網をかけて捜査をするということだと思いますが、その点、そうですね。
  209. 濱邦久

    説明員(濱邦久君) 具体的にどういう人をどう調べるかというようなことにつきましては、これはもう改めて申し上げるまでもなく、捜査を担当しております検察当局において必要と考えます点につきましては必要な捜査方法を講ずるものというふうに考えているわけでございます。
  210. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 ということは、当然金丸、生原氏も前提にあるというふうに言われたということで、ぜひ国民の期待にこたえて厳正な捜査をされることを強く要望しまして、次の質問に移ります。  郵政省郵政大臣にお尋ねいたします。  私は郵政互助会にかかわる乱脈経営問題について伺うわけですが、あらかじめ郵政省の担当の方に資料をお願いしたんです。これは国会でも再三にわたって議論もされて、国会でも詳細に答弁もされていながら資料が出ないということですので、私、これは大臣に内部資料も含めまして今お示しいたしますので、これを見ながら私の質問を聞いてお答えいただきたいと思います。  互助会というのは、郵政職員二十五万人の会員に対し、給与の三%を掛金として退職時に給付金の支給をすることなど、職員相互の扶助を目的と して設立されました。二十五万人加入により年間の掛金は約二百四十億円に達する。この資金を運用するために互助会が出資し、子会社がつくられています。その一つに一〇〇%出資の弘信商事があるわけです。  これまで弘信商事についても国会でその具体的な中身について議論がされて問題が指摘もされていますが、サラ金業者などに融資をしている。その中で破産などにより回収困難になっているという内部資料がございます。例えば、サラ金業者のアクタスには二十三億三千六百万円の債権残高のうち二十億二千八百万円が回収困難、また、既に破産しているアキオの十二億八千七百万円など、合計二十社の貸金業者に対し、債権残高二百八十三億四千四百万円のうち実に七割に当たる二百二億九千万円が回収困難となっているわけです。これは間違いございませんね。
  211. 加藤豊太郎

    説明員加藤豊太郎君) 私どもの監督権限の及ばない民間の金融企業の問題でございますし、また取引先とのかかわりもありますので、これにつきましては御回答をお許しいただきたいと思います。
  212. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これまでの国会答弁の中ではこのような質問に対してお答えいただいているということでは、国政調査権にかかわる問題として私は極めて重視して理事会でも問題提起をしたわけですけれども、これは既に組合の内部資料等、私どもの調査の中でもわかっていることですし、組合の資料でもう既に公表されているということでは、この点答えられないということにはならないんですよね。郵政省指導監督している郵政互助会が一〇〇%出資している会社の実態であるということで、これは事実としてこのとおりなわけです。  そして次に、この郵政互助会が弘信商事に対して資金援助をこれまでやってきているわけですけれども、例えば互助会ビルの贈与で二百億円相当、これはサラ金のアクタス等への焦げつきで赤字決算を穴埋めするために行われたものです。  それから、増資を行っているわけですけれども、これは弘信商事が四年度決算で当期損益として六十八億になっています。金融部門で七十二億八千九百万円の赤字になり、ビル賃貸部門、ホテル部門で四億七千九百万円、二千九百万円の黒字をプラスマイナスして六十八億の当期損益ということになりますが、この赤字補てんのために六十八億を九二年度に増資しているわけです。この増資の関係では、八二年度に三億円だったものが、九一年度で二十七億、そしてこの六十八億をプラスして九二年度では九十五億の増資をしている。無利子の貸し付けとしては二百二億行っている。債務保証としては五百三億も行っているわけです。  そして、互助会の経営状況自体を見ますと、退職給付責任準備金が、九〇年度四十億不足が九一年度では七十七億不足、それから短期借入金が、同じく九〇年度で三十一億が九一年度で二百七十億、長期の借入金は三百二十億が三百五億、債務保証六百八億、これが五百三億という実態になっております。これらの実態を見ますと、二百億を超える回収不能の不良債権を抱える弘信商事に対する互助会の資金援助というのは実に一千億を超える莫大なものになっています。そしてその上、互助会自体の経営もバブルの崩壊によって大変厳しい状況になっているわけですけれども、この点は間違いありませんね。
  213. 加藤豊太郎

    説明員加藤豊太郎君) さまざま先生から御指摘がありましたけれども、弘信商事の経営改善に対するところの郵政互助会の支援につきましては、昭和六十一年度決算において問題になりましたところのサラ金融資から撤収するに当たりまして……
  214. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) もう少し大きい声でお願いします。
  215. 加藤豊太郎

    説明員加藤豊太郎君) 回収が困難になった債権につきまして、貸し倒れ引き当て措置を行ったことに伴いまして、債務超過を解消することを目的とした互助会ビルの出捐を行ったことは事実ですし、それから現在の厳しい金融状況に対応するために、財務体質の強化を図るために増資をしていることも事実であります。また、貸し付けにつきましても財務体質の強化のために行っているものであります。
  216. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、これは大臣にぜひ答えていただきたいんですけれども大臣のお手元にもお配りしました。ここに郵政省と全逓本部との申し合わせの内部文書がございます。  それによると、互助会は極めて厳しい経営状況にあると言い、具体的に「多額の積不足(四十億円)や借入金(短期三十一億円、長期三百二十億円)、関係法人に対する六百八億円の信用保証を行う等極めて厳しくこと、こう述べ、特に「弘信商事整理に当たって多額の出捐は必至であり、互助会の経営は益々ひっぱくするものと思われる。」と言っております。さらに重大なのは、この弘信商事整理のため互助会が「資産の売却と含み益で多額の出損を行った後、退職給付事業を継続し、会員の付託に応えていくことは極めて困難になる」と明確に述べて、退職給付事業の見直しまたは互助会の整理をも指摘しているんです。  今まで述べたように、不良債権を二百億円以上も抱えている弘信商事に互助会は一千億円の莫大なつぎ込みをやっている。その上、弘信商事を整理するため互助会としてさらに多額の出捐を行わざるを得ない、同時に、互助会自体もバブルがはじけて今言ったように極めて厳しい経営状態になっている、二十五万人が細々と掛けてきた給付事業がいわば乱脈経営によって破綻の寸前に来ているということはもう明白になっているわけです。二十五万人会員には全く責任がないわけで、乱脈経営による不利益があっては絶対ならないと、そう思います。  郵政省指導監督すべきこの互助会です。郵政省の責任は非常に重いと思いますが、この問題についてどのように指導監督しようとされているのか。そして、この会員に絶対不利益があってはならないという点について大臣としてどう考えられるのか。時間がありませんので大臣お答えください。
  217. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま委員指摘していただいたようなことが事実だとすれば、これはまことにゆゆしき事態だと思います。今言われたようなことも含めまして、事実関係等もう一度検討させていただきたい。そして、公益法人として設立の趣旨に沿って適切な運営がなされるよう、私としても十分同会に対して指導監督をしていきたいと思います。
  218. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 ぜひ厳しい態度で臨んで、期待にこたえていただきたいと思います。  次に、環境庁にお尋ねいたします。  すばらしい自然の宝庫と言われている大雪山国立公園の特別地域を通過すると幌高原道路をめぐって、二十年前の四十八年に中止していた工事がまた動き出し、今大きな問題となっています。四十年当時、厚生省はこの建設に承認を与えていますが、その当時は環境影響調査は行いませんでした。日本における最大かつ最も豊かな原始的自然環境を持つ大雪山国立公園の、しかも特別地域、これは当時は制度はなかったとしても、調査がなかった、これは大きな問題だと思います。  北海道の自然保護協会やさまざまな分野の学者、先生、研究者等が指摘しているのは、植物ではハイマツ、コケモモ、動物では生きた化石と呼ばれるナキウサギ、天然記念物のクマゲラなどなど、絶対に壊してはならない宝庫と、こうおっしゃっています。  まず長官に、貴重な環境地域としてのこの地域について、どのように認識されていらっしゃるかということが一つです。  それからもう一つ、二十年前に今の前の知事が自然保護の観点から工事を中断してきておりますが、ここにきて工事再開の動きが出てきているわけです。実は、横路知事さんが衆議院議員の当時、四十八年三月五日、衆議院予算委員会で、この道路ではないんですが、別の大雪を通る道路について質問し、環境庁は何で大雪山に道路を通さなければならない義理があるのか、一たん破壊してし まうともとに戻すのは不可能だ、現実につくられている道路、つくりつつある道路、自然を破壊している道路について環境庁としてきちんと指導すべきだと。これに当時の局長は、自然の破壊されやすい山岳道路は既に計画路線としてありますものも、全体として見直し、不必要なものは廃止していく方向だと。そして当時の三木大臣は、大雪山については現地調査等についても考えていきたいという、こういうやりとりがあったわけですね。  この工事再開の動きの大きな根拠は、北海道が行った六十三年の環境アセスの調査報告なんですが、この調査には自然保護協会の学者、研究者も参加しています。ところが問題なのは、調査に基づく正当な意見が評価されないまま作成されたということなんです。そして、この評価をめぐってつい二週間前に重大なことが明らかになりました。  この図面を見てください。(図面掲示)この図面は、緑のところが道路建設の影響が大きいというところ。そしてオレンジ色が道路建設の影響が小さいというところです。そして白いところは、道路建設の影響が比較的大きいということになって、比較的道路建設の影響が大きいという部分。この白い部分、そして影響が小さいという部分にルートを変更してやろうじゃないかという総合評価図なんですね。しかし、この図面ですけれども、驚くことに植物の評価とそれから動物の評価が全く異なって、動物の評価は植物の十分の一と低く見られているわけなんです。それを合わせての評価なんです。  具体的にどういう問題が起きるかというと、例えば貴重なナキウサギが植物のササの葉っぱと同じ評価だということになるので、本来道路建設の影響が大きいものが、ここでは植物の影響を受けて、比較的大きいというふうに下がっちゃうということになって、この調査報告の計画路線の選定という項目に、総合評価図などを参考にルートを検討した結果、わずか十分程度しかルートとしては既にある路線より短くならないのに、必要だという結論を出しているわけです。しかも北海道の土木部は、動物と植物の最高点をそろえると道路建設の影響の大きい場所ばかりになると述べて、故意に評価をねじ曲げだということを認めていらっしゃるわけですね。  こういうずさんなアセスというのは、もう一回やり直さなきゃならないほど私は致命的な欠陥だと思うんですが、環境庁としては正式に聞いていないということのようですけれども、直ちに調査していただきたいし、こんなずさんなまま工事再開というのは認められないと思いますから、ゆめゆめ強行突破ということはあってはならないということで、地元だけではなく、広く道民の合意を得られるということで、環境庁環境を守る、生きとし生けるもの、命を大切にする環境行政ということで大臣所信も述べられました。その立場で現地もぜひ見ていただきたいですし、そういう立場で今言ったことについてお答えいただきたいと思います。
  219. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  220. 林大幹

    国務大臣(林大幹君) 委員長から特に簡潔にという御注意をいただきましたので、それを守ります。  大雪山国立公園は、高崎先生おっしゃるとおり、全国でも指折りのというか、あるいは一番と言ってもいいと思いますが、二十三万ヘクタールの地域を擁する非常に広大な国立公園でございまして、その中でも特に亜寒帯針葉樹林など北方性の自然が非常に広い範囲に残されている地域でございますから、これは我が国を代表するすぐれた自然景観の国立公園でございますので、環境庁としても特に大事に考えておるところであります。  そこに、もう一つの点として、士幌道路の問題が今、高崎先生から提起されたわけでありますけれども、このことにつきましては担当の政府委員から説明させます。
  221. 大西孝夫

    説明員(大西孝夫君) 簡潔に私の方から補足をさせていただきます。  士幌高原道路の建設につきまして北海道庁におきましては、昭和四十八年、地元の方々のいろいろな自然保護に関する反対意見を踏まえ、五十三年以降アセスを行って、その結果を踏まえつつ、そうした自然への影響を最小限にしつつ、地元自治体の道路建設への要望を満たすような方向で何らかの方策は考えられないかという観点でいろいろ今御検討をいただいているように承知しておりますが、その内容につきましては、基本的に北海道道をつくる、つくらないという立場の事業者としての検討を行っている段階でございますし、私どもの立場で今コメントしたり、あるいはこちらから意見を申し上げるという段階にはちょっとないというふうに認識をいたしております。
  222. 古川太三郎

    古川太三郎君 改革連合の古川です。きょうは井上議員が質問だったんですが、外国に出張しておりますので私がかわって質問させていただきます。  最近は、役所と一般の企業との契約関係で競争入札をしなければならないというのが大きな世論でございます。そういう中で、今まで一番不思議だなと思うような結果が大きくあらわれていたのが郵政省ではないかと思うんです。小さい金額である場合には随意契約とかあるいは指名競争入札でいいんですけれども、金額にしまして大体〇・〇一%ですか、千分の一ぐらいの金額しか本当に競争入札をしていない。こういう実態があったから、去年の一月に総務庁からの監査を受けて勧告があったんだろうと私は思っておるんです。事実あったんですけれども。  それについて見ますと、二千二百億円の物品の調達、こういったのがありながら、競争入札で契約されたのはわすが一千七百万、本当に微々たるものです。確かに、郵政省の物品なんかでは特殊な資材というようなものが必要であろうかとは思いますけれども、いかにしてもそれは少なかったと思います。  そういう中での総務庁からの改善勧告、これは去年の一月にありました。もう既に一年間経過しておりますので、その後どのように改善されてきたかお伺いしたいと思います。
  223. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) ただいま先生指摘ございましたように、平成四年の一月に総務庁行政監察局の勧告をいただきまして、自来、一年間にわたりまして一般競争契約の拡大について種々検討を行いました。  例えば、灯油とか重油とか机、いす、こういった庁内備品と私ども申しておりますけれども備品類、あるいは貯金、保険で使います奨励物品、こういった品質に比較的差がなくてしかも安定的に購入が可能な市販品を中心といたしまして、その拡大に鋭意努力をしてまいったところでございます。  これを具体的に契約件数で見てみますと、平成三年度では、先生指摘のように、大変数は少のうございまして二十五件でございましたが、平成四年度では、四月から十二月までの九カ月でございますけれども、二百八十八件となっておるところでございます。
  224. 古川太三郎

    古川太三郎君 今おっしゃったのは件数ですか。
  225. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 件数でございます。
  226. 古川太三郎

    古川太三郎君 二万八千件とおっしゃいましたね、総契約件数は。
  227. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 平成三年度におきまして二万八千九百件でございます。
  228. 古川太三郎

    古川太三郎君 小さい数字はいいですが、大ざっぱに二万八千件。そして一般競争入札をしたのは二百八十八件、これは一%ですね。一%というと、よく考えてみれば百件あってその一つですよね。これはちょっといかにも一般競争入札契約としては少ないんではないでしょうか。契約自体が不明朗な部分が大いにあるんではないかと疑いを持たれるような数字だと思うんですが、いかがですか。
  229. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 私どもの契約のあり方といたしましては、今話題になっております一般競争契約のほかに指名競争契約、これも競争契約の 一種類でございます。そのほかに随意契約というのがございます。今二万八千件と申しましたのは平成三年度の数字でございますが、平成四年度、先ほど一般競争契約二百八十八件と申しましたが、四月から十二月末までの全体の契約件数は二万三千件でございます。ただ、いずれにいたしましても、一般競争契約の件数がまだ低いという先生の御指摘はおっしゃるとおりだと思います。
  230. 古川太三郎

    古川太三郎君 細かい数字は言ってないんで、金額にしてもこのときには二千百億ぐらいの契約をなさったわけですね、この期間に。それでよろしいですか。そして、その間にどのくらいの契約高があったんですか。それをちょっと聞かせてください。
  231. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 平成四年度の四月から十二月末までの全体の契約金額でございますが、一千八百五十六億円でございます。そのうち一般競争契約の契約金額が二十八億でございます。
  232. 古川太三郎

    古川太三郎君 それにしても二%に満たないですね。これは特殊事情はよくわかりますよ。しかし、こういう一般競争入札が本来ならば原則であるべきところを一%や二%の契約をやっていて、不明朗だと言われてそうじゃないと言い返す何か根拠でもありますか。
  233. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 先ほど申し上げましたように、一般競争契約はおっしゃいますように一・何%でございますが、一方指名競争契約も相当数ございまして、これも競争契約でございます。一般競争契約あるいは指名競争契約が物品調達に当たってなじむかなじまないかというような問題もございまして、私どもいろいろな角度から一般競争契約を拡大すべく努力をしてまいっておるところでございます。
  234. 古川太三郎

    古川太三郎君 努力されているのはわかりますが、どういう努力をして一%か二%になったんですか。本来ならば、努力されたのならば三〇%あるいは四〇%、特殊事情があるとしてもそのぐらいまでは努力していっていけるんじゃないかなと思うんですけれども、そういう割合はできないんだという何か事情があったら教えてください。
  235. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 全体の契約件数の割合で申しますと、確かに〇・一%程度から一・二%という数字でございますが、件数で申しますと二十五件が二百八十八件と十倍以上にふえた。それから、指名競争契約でございますけれども、これは件数で三千九百五十六件でございます。平成四年度の四月から十二月末までの九カ月間でございます。
  236. 古川太三郎

    古川太三郎君 勧告の中にも、指名競争の指名業者をもっと多くしなさいという勧告もありましたね。その辺の努力はどうなさっていますか。
  237. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 指名競争契約における指名業者数につきましても、この一年間で各郵政局にそれぞれ指導を行いました。例えば、従来ですと五社で指名しておりましたものを十一社あるいは十社に拡大するというような形で、鋭意努力をいたしておるところでございます。
  238. 古川太三郎

    古川太三郎君 機会均等の原則とか公正性の確保、こういったことを言われます。今後一般競争入札の拡大、これについてまだまだ努力される意思がありますか、また余地がありますか、それだけ聞かせてください。
  239. 新井忠之

    説明員(新井忠之君) 郵政省調達しております物品につきましては、先ほどから申し上げておりますように、利用者サービスあるいは事業運営上の観点から、どうしても一定の品質あるいは性能というものが要請される状況がございます。こういった一般競争契約に必ずしもなじまない、こういうケースもございますが、先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、対応可能なものにつきまして、一般競争契約を拡大する方向で今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
  240. 古川太三郎

    古川太三郎君 大臣がいらっしゃるので一問だけお聞きしたいと思いますが、先ほど同僚の守住議員から郵政事業について、独立採算制がある、そしてそれは国家の法令に基づいてきちっとしているんだと、こういうようなお話がございましたけれども、一般の国民が見ているのは、国家のそういう財政上の問題から見ているんじゃなくて、企業会計として貯金事業だとかあるいは保険事業だとかそういったものが本当に独立採算制を持って事業しているかどうか、そういう事実の情報が非常に少ないわけなんですね。だから、ディスクロージャーが少ないというところに非常に一般の国民は疑問を持っている。そういったところが不満だったと思うんです。  そういう意味で、企業会計のような形の経理をしながら、本当にそれが民間事業と競争していけるかどうか、あるいはそういうような競争ができるということをもっともっと発表なさった方が、私は、そこに働いている人たちも自信を持って、あるいはまたプライドを持って仕事ができるだろう、こう思うんですが、大臣はそのことについてどうお考えか。
  241. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 議員の言われること、同感であります。会計明朗化のために、もし疑問があれば、またいろんな御指摘があれば、批判のないように資料を提供するのにやぶさかではございません。
  242. 古川太三郎

    古川太三郎君 それでは自治省にお聞きしますが、これは昔から何回も言われていることだと思うんです。また新聞にもたくさん出ていることだと思うんですが、今の地方自治という観点から、もう戦後五十年もたったと思いますし、その制度を本当に育成していく意味ならば、これは自治省の方としては人事の交流とおっしゃるかもしれませんが、天下りと受け取る方もおりますので。五年とか六年ぐらいたった方を地方の課長、そういったところにつけられるんです。その部署も財政課長だとかあるいは企画課あるいは地方課とか、地方自治体としては非常に重要なポスト、そういったところに三十いくかいかない人がついていく。こういうことが本当に地方自治を育成する意味でいいかどうか、大臣にお聞きしたいと思います。
  243. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 古川委員お答え申し上げたいと思います。  日本の自治制度というのは、明治に確立したときにはフランスとかプロイセンなどの大陸法規を取り入れて非常に中央集権的であったというのは御指摘のとおりで、当時は内務省がそういった地方行政についてのことをやったわけでございます。しかし、戦後非常にこの情勢が一変をいたしまして、現在は都道府県、市町村は全部自治体でございます。自治省から地方公共団体に対する人事のあっせんについては地方公共団体の要請に基づいて行うというのが本来でございまして、自治省からポストを特定して人事のあっせんを行っておるという建前ではございません。自治省においては、このような人事交流は戦後の地方自治を育成するために国と地方が相互理解を深める上で非常に有益な成果を上げていると考えておりまして、地方自治行政発展のためにも必要なものと私は認識をいたしております。  実は、私自身も戦後の自治省の採用でございまして、地方公共団体にもたびたび出向いたしました。また、地方の方々が自治省に勤務をするという事例もたくさんございます。例えば財政局であるとか行政局であるとか、そういうところに行って中央、地方の人事交流が地方自治の建前に立って非常にスムーズに行われておると理解をしておりまして、戦前の大陸法規での地方自治姿勢ではなしに、イギリスやアメリカなどの国々の地方自治の体制に変わってきたと思っております。  したがって、今後とも地方公共団体の要請に応じて適切に人事のあっせんをしたり、あるいは地方の方々に自治省に来ていただいたりすべきものと私は考えております。
  244. 古川太三郎

    古川太三郎君 これは大臣でなくて結構ですけれども、この人事交流というのは言葉はいいんですが、実際はやはり予算の獲得であったりあるいは許認可の便宜を受けるとか、そういうようなことがあるんじゃないかと一般に見られている。そういう見られ方をすることはやはりこれは我々国政選挙についてもゆがんだ目で見られてくる、利益誘導型の政治だとか、こういうところでまた自民党もサービスするとかというようなことになり ますわね。今政策なんかが本当に国会で議論されるんじゃなくて、だれでもこれは中央官庁に要請しに行った方がいいやとかあるいは自民党の政調会長に言った方がいいやとか、政調部会ですか、そういったところで政策が決まっていく。国会はその後の何だかわからないようなところでもう政策が決まってしまった後の整理をしているだけだと、一般の人がそういうような見方をして見る。これはやっぱり非常に日本政治としてはよくないことだと思うんですよね。  いずれにしても、今地方自治だとこう言っている時代ですから、やはり少なくとも課長として行かれるんじゃなくて、むしろ採用なさったのなら何年間は地方に行ってもらう、そして課長補佐ぐらいまではいいとしても、もう課長ぐらいになったら帰ってもらうとかというようなことで人事交流をしていかれる方が、これは地方の人が見ているのが、なるほど自分らで考えていかなきゃならぬ自治だというような育成にもなるんじゃないか、こう思って質問したんですけれども、よろしく御配慮をいただくようにお願いしまして、時間ですから結構です。  終わります。
  245. 下村泰

    ○下村泰君 大臣、もう少しですので我慢してください。  まず、てんかんの方の運転免許についてお伺いしたいんですが、てんかんの人の自動車運転免許の取得は、現在道路交通法八十八条一項の二号によって禁じられています。一九八四年の日本てんかん協会のてんかんの人を対象とした免許取得状況の調べによりますと、二二・九%の人が免許を現有しています。現実に一五・三%の人が運転しています。そして、将来免許証を取りたいという希望を持っている人は合わせると大体五二・六%、この中には免許を必要としている人もいるわけです。  というのは理由を申し上げなくてもおわかりだろうと思いますけれども、その方の住んでいる場所によっては当然車がなければ動きがとれないという方々もいらっしゃいます。こういう方々はもう本当に生活上の必要性からそういうふうに望んでいるわけですけれども、既に取得している二二・九%の人はいわばこれは道交法違反ということになるわけですね。ところが、中には自分は免許が取れないということを全然知らないで取得された方もいるわけですね。大体そういった方が別の調査によると半分以上を占めているわけです。それから一昨年の警察庁の調査によりますと、こういってんかん発作が原因で事故を起こした件数が五十件あったと聞いております。  このてんかんの発作というのはいろいろな症状がありますから、皆様方もよく御存じのごとく、人てんかんというのもあれば水てんかんというのもあります、といったように発作の状態がそれぞれ違います。ただ、医学的にてんかんはさまざまな原因で起きる慢性脳疾患で、その特徴は脳ニューロンの過度、脳ニューロンというのは何かこの辺にあるみたいで、私も自分の脳の中よくわからないんですけれどもこの辺にあるらしい。その脳ニューロンの過度な放電に由来する反復性発作であり、多種多様な臨床及び検査所見を随伴すると言われておりまして、現在の臨床てんかん学のレベルでは合理的な治療を行うと半数以上の方は発作寛解状態がもたらされるという、要するに完全に治ってはいないけれどもそう簡単には発作が起きない状態になるというふうに今の医学では抑えられるんですね。  この中で一つ問題があるのは、最近テレビゲームに親しんでいる子供さんがひっくり返ったりなんかする、あれがどうもこれじゃないかというような意見も出ているんですね。ですから、本人がてんかんという疾状が全然今まで自覚されていなかったのが、たまたまあのテレビゲームに熱中することによって今申し上げた脳ニューロンというのが物すごい放電をして、そして発作が起きたんじゃなかろうかというような説もございます。これはまだはっきりしていません。  ただ、てんかんである人はすべてだめだというのはどうもちょっと私は納得いかないんで、例えば一定の条件、何年も発作もありません、医者が寛解したと証明した場合に免許の取得ができるといったような相対的なことにするような時期に来ているのではないかと思うんです。てんかんの方は福祉法の対象から全部外れています。福祉法にもかかわりません。雇用にしてもまだ劣悪な状況にあるといいます。免許取得でもそうなんですけれども、状況改善の大きな意義があるということはもう明らかなんで、この要望は何年も前から出されております。警察庁でもよく御存じのことと思います。そちら様の言い分も私も十分承知しております。  そこで、きょう大臣にぜひお願いしたいことがあるんですが、警察庁として問題として考えている点について、日本てんかん学会の専門医やそれから日本てんかん協会の関係者、実際に事実先進諸国では許可している国もあるんですね。フランス、ドイツ、それからアメリカ、アメリカは州によって違いますけれども、イギリス、こういった先進諸国では今申し上げたようなことの状況を踏まえて免許証の取得を許している国もあるわけで、ですから一定の条件が整えば認められてもいいんじゃないかというふうに私は考えるんですけれども、いかがでございましょうかな。そういうことも含めて具体的に勉強会というようなものをやって、本格的に検討していただけるということはどうでしょうか、お約束していただけますでしょうか。ちょっと伺いたいと思います。
  246. 関根謙一

    説明員(関根謙一君) 先生ただいま御指摘になりました道路交通法八十八条の二号に、運転免許の欠格事由に該当する方ということで、てんかん病者というのが規定されております。  具体的な欠格事由としている理由でございますが、これもただいま先生指摘になりましたように、年間数十件の方々がその発作で事故を起こされ、そのうちの数件の場合には死亡事故になっているというようなこともございまして、その発作が起こった場合に自動車を運転することが道路上危険を生じるおそれがあるということから、このような規定を設けているものと理解しております。  ところで、その規定の適用の関係でございますが、具体的にこの規定に該当するてんかん病者に当たる方であるかどうかということにつきましては医師の判断によるということでございまして、ただいま先生が御指摘になりましたような、発作が起こらないというような方であればこれに該当するということはないというように考えますのでございますので、ただいまの問題は、この規定の適用ないし運用の問題であろうかと存じます。  てんかん病者、道交法に言ってんかん病者ではなくて病理学上のてんかん病者の方々で寛解の状態になる方々は、現代の医学の進歩によりましてふえてきているように伺っております。そこら辺のことも私どもの方でこの規定を運用する上で研究をしたいと考えます。そういう趣旨で学界の方々、有識者の方々の御意見を伺いつつこの規定の運用に努めまして、誤りのないようにしたい、このように考える次第でございます。
  247. 下村泰

    ○下村泰君 よほど難しい答えが返ってくるかと思ったんですけれども、ありがとうございます。  警視庁の交通部長が、かつて私にこういうことでこぼしたことがある。私らの仕事はもう何が何だかわからなくなる。免許証をどんどん取らせておいて取り締まらなくちゃいけない。こんなばかな話はない。じゃ最初から取り締まって、やらない方がいいぐらいなんです。警視庁が免許証を出して、警視庁が取り締まっているんですからね。  ところが、今申し上げたように、てんかんというような症状、薬で抑えれば症状の起きない人にもまだ免許証が出せない。ところが健常者で、まともで神経もそろって、五体そろっている人の方が事故は多いんですよ、実際のことを言って。のべつ幕なし起きているでしょう、事故が。それはまともな体をしている人の方が多いわけなんです。こういう方々の方が自分はそういう症状が出るということをむしろ自覚していますから、薬で 医者の指導どおりきちんとやっていれば意外と事故の件数は少ないわけですね。  ですから大臣、今のお答えを踏まえまして、大臣はどういうふうなお考えか、ちょっとひとつ。
  248. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 下村委員の御質問、よく承りました。  局長からてんかん病者についてはお答え申し上げたとおりになっておるのでございますが、現在非常に医学が進歩をしてきておりまして、そして専門家からの御意見もよく承って、また患者の皆様からのお話があればその御意見を承りながら慎重に検討してまいりたい、このように思います。
  249. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございます。  今度はひとつ郵政大臣にお伺いしますが、去る一月十五日午後八時七分、釧路沖に大きな地震がありました。人間は何が頼りないといって、自分の立っている地べたが揺れるぐらい頼りないことはないですよ。こんな恐ろしいことはない。事実、私もそういう目に一度遭ったことがあるんです。  東京都内で、三十年代でしたね、まだオリンピックに向かってあの高度経済成長の最中でございましたけれども、第一京浜でもって地下鉄の工事をしておる。普通ならば鉄板で覆ってあるわけです、穴が。覆ってなかったんですよ。私は、当時ルノーという車に乗っていまして走ってきた。照明がそんなに強くありませんから穴があいているのが見えなかった。急に向こうが真っ暗なんでおかしいなと思って徐行して、はっと思ったら穴なんですよ。ブレーキ踏んで、すんででとまりましたがね、あれそのまま打っちゃっていると合いないんですよ。両方に花が飾られているんです、今ごろ。危なく落ちるところでした。地べたが揺れるぐらい、こんな頼りないことはありません。  ただ、こういうときにいつも思うことなんですが、例えば障害者はどうやってそれを察知するのかですね、いつも私申し上げることなんですけれども。今度の被害の中にも障害を持った奥さんをかばったためにその御主人が上からの落下物によってお亡くなりになったという記事が出ております。まことにこういう方々にとってはお悔やみを申し上げる以外手がございません。  さて、そういうことで、NHKあたりにあのときにどうやったか、どういう方法でこういう方々に知らしめたかということを伺いたかったんですけれども、その方法もきょうはございませんので、それは抜きにいたしまして郵政省に伺いますけれども、昨年七月の選挙までは逓信委員をやっておりましてびっくりしたんですが、障害や難病を持った方々の郵政行政のことについていろいろお尋ねもしたりお願いもしたんですが、厚生省以上の対応をしてくださったんですよ、郵政省が。郵政省が厚生省にかわったのかと思ったぐらい一生懸命やってくださったんです。大変私はありがたいと思っています。  大臣に伺いますけれども、こういった障害者に対するような問題で、郵政大臣としてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、ちょっとそのお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  250. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 郵政省の管轄しております仕事で、利便が健常者と同様に障害者の方も受けられるような措置をできるだけとっていくという方向で今いろいろな対策をしておりますし、これからもしていきたいと思っております。
  251. 下村泰

    ○下村泰君 例えば聴覚障害の方、こういう方々にとっては字幕放送というのが一番大事なことなんです。これも一生懸命郵政省の方も取り組んでくださっていることはよくわかります。研究会とかあるいはその機器などが具体的に挙げられているわけですけれども、どうも字幕放送普及のネックになっているのを絞りますと、私は四つあると思うんです。  まず、放送免許の問題があります。それから字幕を入れるためのコストの問題。それから、しゃべっている方の言葉を全部要約せないかぬ、この要約作成のための時間の問題。それから受信機の問題。こういうふうに四つがどうもネックになっているんじゃないかなと思うんです。それが番組の数を少なくして、スポンサーや放送事業者に拡大をためらわすということになるのではないか。これが悪循環で起きていると思うんです。それぞれの解決策として現在どういう対応とどういう方向に向かっておられるのか、もし郵政省の方にこの対応について御説明していただけることがあるならばしてください。
  252. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 字幕放送の問題でございますが、確かに今御指摘のようになかなか拡大をしていない現状にございます。  その理由は、ただいま先生の御指摘の中身に尽きようかと思いますが、やはり字幕の制作手順が大変複雑でございまして時間を要する。したがって、字幕放送の対象となる番組が限定されざるを得ないということ。それからまた、番組制作費が多額であるということ。つまり、制作費の調達が困難だというようなことが主な理由がなというふうに考えております。そのほかに、先ほど言われました免許手続の問題についても御指摘を受けているところでございます。  こうした状況におきまして、私ども今までのやってきたことで決して十分とは思っていませんし、さらに多角的にこれを検討していく必要があるというふうに考えております。したがいまして、昨年の九月からでございますが、視聴覚障害者向け放送番組の制作・流通に関する調査研究会というものを開催しているところでございます。  さらに、具体的にもう一つ申し上げますと、平成五年度におきまして、字幕放送などの番組制作に対する通信・放送機構による助成等の支援の制度を創設したいと考えているところでございます。現在、所要の法的措置について検討中でございます。  今後とも、私どもできるだけ視聴覚障害者の皆さんが一般の方々と同様にテレビが楽しめますように環境の整備に努めてまいりたい、そのように考えております。
  253. 下村泰

    ○下村泰君 ですから、今度免許を許可するときにおいても、そういうことを含めて、ひとつ免許の取得条件の中に入れていただきたいんです、私の方は。何か、ちょっとこういうこともしてくれなきゃ困るよなんというのじゃなくて、完全にこういうことをしてくれなければ放送の免許は出しませんよというくらいにまでいっていただきたいと思うんですが、その辺までいけますか。
  254. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) 現在、文字放送の免許と一般のテレビの映像の免許と別になっておるわけでございます。従来は、文字放送についてできるだけ毎日放送しなさいという義務が課せられておりまして、そのために一般のテレビ事業を営む皆さん方の非常に負担になっていたところもございます。したがって、文字放送についての免許を受けたがらないという風潮もあったわけでありますが、これをかつて努力義務ということにいたしまして、この点で免許をしやすくするというような法的な措置も講じてきたところでございます。  さらに、今後私どもの方で、この調査研究会の中でもいろいろな御意見が出ておりますので、そのことについてのありようについても、いろいろな方々の御意見も承りながら検討してまいりたいと考えております。
  255. 下村泰

    ○下村泰君 地方のローカル局によっては、費用が高くつくからお互いにやめようじゃないかというように暗黙のうちに避けているなんという話も聞くんですよ。もしそういうことがあってはいけないなと思いますので、ひとつよろしくどうぞ。  それから、手話通訳のことで伺いますが、もう時間がございませんので一言だけお尋ねしたいんですが、もう下手するとことしのうちに衆議院選挙があるかもわからない。そうしますと、またその政見放送がある。そのときに手話通訳をつけるかつけないかということがまた問題になってくると思うんですが、これは自治省、どういうふうにお考えでしょうか。  これは、この間も塩川自治大臣にもお話しした。塩川自治大臣は、そのことについて予算をとってもいいよぐらいのことをおっしゃった。それから、NHKの川口会長にも直談判したんですが、今どういうふうになっていましょうか。
  256. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 政見放送への手話通訳の導入の問題でございますけれども、これにつきましては、政見放送研究会という研究会を設けまして調査研究を進めていただいております。現在まで十回の研究会を開催いたしまして、政見放送に手話通訳を導入するといたしました場合に、いろいろ解決しなければならないような課題につきまして検討を進めていただいておるところでございます。  最近におきましては、手話通訳を導入した政見放送の制作に係る問題点を具体的に検討いたしますとともに、NHK協力もいただきまして試作品の制作を行い、これに基づきます検討、さらには手話通訳士、それから全日本聾唖連盟の意見聴取も行わせていただいたところでございます。  政見放送研究会におきましては、意見の取りまとめに向けまして鋭意御努力をいただいておる段階でございますので、私ども自治省といたしましてもその結論を待ちまして対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  257. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。  それから自治大臣、実は先ほど常松委員から骨髄バンクのお話がありまして、承っておりました。常松委員の情熱に大変ほだされたんですけれども、骨髄移植の問題なんです。これは、厚生省が恐らく自治省の頭越しにああいうあれを出したので自治省が頭にきて反発したんじゃないかと私は思うんですね。どうも役所というのは縄張り根性が強いから、そんな感覚にしか私は受け取れないんです、一般庶民として。  ただ、これは自治大臣にお願いしておきますが、問題は骨髄移植も大事なんですが、ドナーを募ることが大事なんです。日本人の場合には、ほとんど単一民族に近いですから、一万人に一人HLAが合うという方がいる、血液型が合う。ところが、気の毒にも欧米とかあっちは全然合わないですよ、十万人以上でないと。いろんな、入りまじっていますからね。日本は簡単に合うんです。ところが、現在一万何ぼしかいないです、まだドナーが。  自治省がああいったような見解を出しますと、ドナーが減っちゃうんです、本当のことを言って。私は逆にこっちの方を言いたいんです。と申しますのは、血液検査をするのは日赤へ行かなきゃいかぬですよ。東京みたいなところはいいですけれども、日赤病院のないところもあります。ない県はないでしょうけれども。そこへ行って検査をするのに一日かかっちゃうんです。つまり自分の骨髄液を提供することによって今亡くなりそうな方が助かるわけですからね、この白血病の対策は。その方のために提供しようとしている方たちが、自分の血液を検査するために一日仕事を休まなきゃならない。そんなことを会社に申し出たら、恐らく会社は承知しないでしょう、普通の会社は。  ですから、ここで自治省が、まず自治省のお役人全部がドナーになってほしいんです、私は。自治省からまず率先してそういうことをやっていただきたい。うちの者はどんどん行きなさい、行く分には半日ぐらい休んでいいですよと。東京なら半日で済みますから。そういう率先躬行してくださることによって大企業の方もそれに右へ倣えになってくれる。そうしてくれませんと、十万人という当初の目標はなかなかうまくいきません。五万人もいかないんじゃないかと、私はそれを心配しておるんです。ですから、自治省が率先してくださらないと。  大臣もおっしゃっているでしょう、人の命にかかわる問題だと。年間二千人も発病しているんですからね。ですから、大臣がそこまでおっしゃってくださるなら、自治省として率先躬行していただきたい、まずその先鞭をつけていただきたいと思うんですが、そういうお気持ちはありましょうか。それを聞いて終わりにしたいと思います。
  258. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 下村委員の熱心な御指摘は本当に承りました。  骨髄バンクの問題につきましては、御指摘のように先ほどお答えしたとおりでございまして、人命に関することだから緊急にやれ、猶予は許せない、こういうふうに私ははっきりと申したわけでございます。私はこの問題に関して、実は官庁の縄張り争いというのは、今御指摘されてそういうことがあったのかなと思ったのでございまして、全く意識をしておりませんでした。下村委員の熱心な御指摘は、まことに人命を重んじる、ヒューマニズムを重んじる崇高な精神だと思いますから、御趣旨はよく承っておきます。
  259. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  260. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、郵政省自治省警察庁環境庁及び公営企業金融公庫決算の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会      ――――◇―――――