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仙谷委員 日本社会党・護憲民主連合の
仙谷でございます。
裁判官、
検察官の
報酬あるいは
俸給に関する
法律の一部を
改正する
法律案についての審議でございますが、私は、
裁判官、
検察官が
一般職の公務員に比べて少々いい
報酬、
俸給等を支給されているということは、いわば職務の重要性にかんがみて当然のことである、十分なとは言えないかもわかりませんけれども、比較的良好な
報酬、
俸給等によりまして、ある種の国政上の根幹であります刑事司法あるいは司法そのものが健全に運営されなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
ところで、今日ほど日本の法務・
検察行政に対する国民の信頼が揺らいだことはかつてなかったということは、多くの国民の共通認識ではないだろうかと考えております。ずっと予算
委員会の審議もテレビあるいは傍聴席で拝聴をいたしたわけでございますが、法務省当局の答弁によりましては何ら信頼回復につながるようなものが見えない。そういう姿勢が見えないばかりか、かえってますます国民に背を向けた法務・
検察行政が行われているのではないだろうかということを私は痛感しております。私も法曹界出身の議員の一人でございます。法務・
検察行政が毅然として公正で公平な
捜査を貫徹することなしには、国家の基本あるいは国民の司法に対する信頼そのものが大きく揺らぐということは間違いないのではなかろうか、そう考えているわけでございます。
一体何が問題になっているのかということでございます。一つは、刑事訴訟法第一条にも記載をされております実体的真実発見義務を有する司法関係者の重要な一翼を担う
検察官が、このたびの東京
佐川急便事件におきましてあるいはそこから派生する事件におきまして十分の義務履行をしたのだろうかという問題でございます。そして、そのような十分の真実発見義務を果たさなかったように少なくとも見える。法務当局は、端座憶測、げすの勘ぐりと言われるのかもわかりませんけれども、いわゆる政治的なプレッシャーに自主規制、自己規制をしたのではないだろうか、こういう問題点でございます。せんじ詰めて言えば、今回の、現在も引き続いておりますいわゆる東京
佐川急便事件捜査が厳正、公正、公平に行われていたか、いるかという問題でございます。
ちなみに、元新潟県知事の金子清さんの弁護人は、こんな不公平な
捜査はないと公言をしていらっしゃるわけでございます。そしてさらに、金丸さんの弁護人でいらっしゃる安部昌博弁護士も、なぜ巷間多くの政治家が多額の全員を授受しながら金丸一人だけが
捜査の対象になるのかということを強く申し出たということを述べておるわけでございます。
ここまで来ますと、
検察官が、いわゆる巷間うわさされております、あるいは報道された十二人の代議士のうち、金丸元代議士の五億円受領についてのみ、それを政治資金規正法量的制限違反という法務当局の認識によると軽罪で処分した、微罪で処分した、それのみに終わろうとしているということがやはり一番の大問題だろうと考えるわけでございます。
前置きをそのくらいにいたしまして、そこで、派生した問題の中で、法務大臣、昨日の予算
委員
会で大臣がお述べになったことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
法務大臣が
検事調書の朗読について、「
検事調書について政治家の名誉棄損ではないか等の検察批判が出ているが、どうみるか。」という問いに対して「確かに裏付けされていないものが朗読されたとした場合、
一般の庶民の方がそうされた場合にどうするかを振り返ってみると、
人権擁護等の立場から何とか第三者の名誉を回復するような方法はないのかを謙虚に反省して冷静に考えていかねばならない問題だと考えている。」ということをおっしゃっておるのですね。
大臣、これ逆さまじゃないですか。「謙虚に反省して冷静に考えていかねばならない問題」は、裏づけ
捜査をしなかったという問題であったり、
捜査がまずかったという問題であったり、公判維持の仕方がまずかったという問題で謙虚に反省するのはいいけれども、「何とか第三者の名誉を回復するような方法はないのかを謙虚に反省して冷静に考えていかねばならない」、何でこんなリップサービスをする必要があるんですか。お答えください。