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1993-01-20 第125回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年一月二十日(水曜日)     午後零時四十分開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 石田 祝稔君       赤城 徳彦君    植竹 繁雄君       亀井 久興君    小林 興起君       佐藤 守良君    笹川  堯君       虎島 和夫君    深谷 隆司君       松岡 利勝君    森  英介君       上田  哲君    田中 昭一君       田並 胤明君    武部  文君       山下八洲夫君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小泉純一郎君  委員外出席者         郵政政務次官  斉藤斗志二君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員異動 平成四年十二月十八日  辞任         補欠選任   大野 功統君     笹川  堯君 同月二十六日  辞任         補欠選任   鈴木 恒夫君     植竹 繁雄君   松岡 利勝君     虎島 和夫平成五年一月十二日  辞任         補欠選任   真鍋 光広君     亀井 久興君 同月十四日  辞任         補欠選任   伏屋 修治君     石田 祝稔君 同月十九日  辞任         補欠選任   山本  拓君     松岡 利勝君 同月二十日  理事伏屋修治君同月十四日委員辞任につき、そ  の補欠として石田祝稔君が理事当選した。     ————————————— 平成四年十二月十日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波監理及び放送に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事石田祝稔君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 谷垣禎一

    谷垣委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、小泉郵政大臣及び斉藤郵政政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。小泉郵政大臣
  5. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 昨年十二月に郵政大臣に就任いたしました小泉純一郎でございます。  浅学非才でありますが、誠心誠意職務に精励いたしたいと思いますので、皆様方の御指導、御協力、よろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 谷垣禎一

  7. 斉藤斗志二

    斉藤説明員 去る十二月二十六日郵政政務次官を拝命をいたしました斉藤斗志二でございます。  谷垣委員長を初め委員皆さんの御指導を賜りながら、国民生活に極めて密着した郵政行政充実発展に全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  8. 谷垣禎一

    谷垣委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。
  9. 川崎二郎

    川崎(二)委員 閉会中でございますけれども、郵政大臣にはわざわざ御出席をいただきまして御苦労さまでございます。  実は、本日の閉会審査に至りましたのは、昨年御就任以来各所での御発言をお聞きしておりますと、私も実は昭和五十五年以来逓信委員会の中に在籍をしておるわけでありますけれども、官業あり方郵政事業あり方について多少トーンが違うのかな、こんな感をいたしております。郵政の根幹の問題でありますので、その認識問題等について少しお尋ねをしてまいりたいと思います。  郵政事業に対する基本的認識でありますけれども、実はこれは官業役割ということになろうかと思います。統一した言葉は、やはりあまねく公平にということになるのだと思います。そうなりますと、私、郵政事業って何ですかと一般の方々に質問されたときにいつも答えますのは、北海道の端から沖縄の端まで、東京手紙を書いても三重県で手紙を書いても四十一円ではがきが届き、六十二円で封書が届く、これをやはり守っていくこと、全国均一料金体系、これが実は官業の中の一番骨子になっているのですよという話をよくするわけであります。全国均一料金、この基本的な体系について大臣はどういう御認識をお持ちになっておるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  10. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 大変国民にも信頼され利用されているいい制度だと思っております。
  11. 川崎二郎

    川崎(二)委員 例えばこの分野民営化するという話になりますと、東京都内はまあ二十円ぐらいでできるのかなという感覚を持つのです。やはり費用価格という面で、民間的な考え方でいけば、やはり北海道へお出しになるのだったら八十円もらわなきゃならぬのかなと思うのですね。実はNTTというのは大体そういう料金体系になっております。実は、NTTが逆に全国全部四十円でやりますよと決めてしまうと、NCC三社はあしたから倒産ですね。これは間違いないと思うのです。実はこの辺が、費用価格という割り切りをしない、一つ全国ネットワークの中でこれをやっておるということになると思うのですけれども、その辺、民営化問題と絡めてこういう議論があることについて大臣としてはどうお考えになるのでしょうか。これはやはり四十一円、六十二円という基本的な均一料金体系というのは大臣としては守っていくというおつもりでありましょうか。実は、料金改定問題もことし暮れぐらいから一つ問題になってきそうでありますので、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  12. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 料金は安い方が国民に喜ばれますので、できるだけ価格体系は維持していきたいと思っております。
  13. 川崎二郎

    川崎(二)委員 きょう朝ビデオで、NHKに出られた大臣の御発言をちょっと聞かせていただいたのですけれども、その中で、電力は民営化しているんですよ、そこへ加えて国鉄さえも民営化しているんですよという郵政大臣発言があったわけですね。それを私聞いておって、ちょっと認識が違うのかなという感じを受けたわけであります。国鉄をなぜ民営化していったかとなると、赤字があれだけ累積してきて、その根本が親方日の丸ということでやってきたのじゃないか、その辺をきちっといじらなければならぬという認識だろうと思うのです。  私は五十五年に初当選でありますけれども、その前は松下電器の営業企画をいたしておりました。当選後すぐ出てきましたのが、二十円のはがきを四十円に上げる、年賀状だけ一たん三十円でとめたのですけれども、二十円のものを四十円に上げる、そして同時に、料金体系はもう法定制をやめていこう、大臣郵政審議会に、やはり事業である以上は上げなければならぬときもある、それを、正直言って国会で縛られ縛られでは官業として国鉄二の舞になるのではなかろうか、実はこんな一つ議論の中で二十円が四十円に上がってきたわけであります。  その後、民間手法も取り入れた、ふるさと小包みたいなものもつくった、労使が徹底的な話し合いもしてきたという中で、おかげさまで今まで、消費税は入ってそのときだけ値上がりになりましたけれども、少なくともそれ以来十二年間、四十円という体系が守られて今日まで至っているのですね。では我々逓信委員会で何を言ってきたかというと、要するに親方日の丸経営をしちやだめだぞ、郵政事業親方日の丸経営をしちやだめだぞ、自分たち会計できちっとやって、国鉄二の舞になってはいかぬぞという形で言ってきたと思うのですね。  だから、国鉄さえも民営化ですよというあのトーンの流れからいきますと、実は、国鉄だから民営化してしまったんだ、郵政事業は三事業きちっとやっているから官業としての役割を果たしておるのかなという認識を我々はしておったのです。そこがちょっと大臣と我々の感覚の違いだと思うのですけれども、国鉄さえも民営化ですよというところにどういう感じ大臣はお持ちになったのか、お聞かせいただけたらと思います。
  14. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国鉄さえも民営化したとか言ったかどうか忘れましたけれども、私の基本的な考えは、民間でできることはできるだけ民間にやってもらった方がいい、国でやるべきこと、民間でやるべきこと、この役割分担見直しがあらゆる面で必要じゃないか、国でやらなくても民間がやれることはどんどん国が手を引いていって民間活力を引き出すような形にしていった方がいい、今そういう制度見直し時期に来ているのじゃないかという気持ちで言ったわけであります。
  15. 川崎二郎

    川崎(二)委員 実は大臣も使い分けされておるのですけれども、国務大臣立場なり、ある程度第三者の立場となると——確かに大臣のお言葉、大事だと思うのです。ただ、やはり三事業の社長でありますので、おまえら、少しこれから商売引いていった方がいいぞというふうに聞こえるのですね。一生懸命、要するに第二の国鉄になってはいかぬぞ、一生懸命やれよ、ふるさと小包をやれよと言ってきたのを、いや、そこは宅急便に任せて、ふるさと小包引いたらどうだというふうに聞こえるのですけれども、その辺はどうでしょうか。
  16. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 引けよという議論はともかく、もし民間でやれるという点があれば、いろいろな意見を聞いて見直していく方がいいのじゃないか。どこまで国がやる必要があるか、民間はできるかどうか、徹底的な見直しが私は必要だと思います。
  17. 川崎二郎

    川崎(二)委員 実はその辺がかなり我々と認識のずれるところなんです。やはり職員叱咤激励をしながらやるのが大臣一つ役目ではなかろうかなと思っておるものですから、官業見直しをきちっとしていかなければならぬ、郵政内部できちっと大臣がお詰めになっていろんな論議をしていく、これは大事だと思うのですよ。しかしながら、そこまで詰まってない、よくわからぬ、ふるさと小包は引いた方がいいか引かない方がいいかわからぬけれども、これは議論していくんだよと—初めからこう、ぽんとしてしまいますと、やはり、ふるさと小包どうするんですか、こうやってやってきて、確かに民業もやっていますよ、これどうするんですかといったときに、初めから大上段から引けよというのが前提にあって始まると、どうもその議論におかしな面が出てくるのではなかろうか。私は、もちろん勉強することは大事だ、郵政内部大臣が命じていろんな形でどうだろうかなと考えることは大事だと思うのですけれども、どうもその手順が違うような気がしてならないのです。  実はこの間、例えば国鉄はこの十二年の間で八回値上げをいたしております。タクシーは三回値上げをいたしております。新聞は四回値上げをいたしております。そういう意味では郵便事業、ある意味ではよくやったなという評価があってもいいのだろう。逆に、先ほど大臣が冒頭言われましたように、国民は安いサービスをやはり要求しているということになれば、民業で提供して上がってしまった、官業だったら安かったという議論がもし生まれたとしたら、これはまた先ほどの答弁が少しおかしなことになるのではなかろうか。官業でやっていて、しかしながらこれが民業に行って、国民サービスが上がって安くなるというのだったらよくわかるのです。逆に言えば、十分議論を積み重ねて官業民業論というものはすべきではなかろうかな。  冒頭、安い価格は維持しなきゃならぬというお話でありましたので、そのことについてお聞きしたいと思います。
  18. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それが安ければ安いほど国民は喜ばれますし、官業の場合、それでは税負担はどのぐらいにすべきだという議論も出てくると思います。その事案事案によって、どこまで国がやるべきか、税負担をすべきか、また民間企業でもできるかどうかというのは、事案事案によって、またケース・バイ・ケースによって違ってくるのではないかと思っています。
  19. 川崎二郎

    川崎(二)委員 三事業というのは基本的には独立会計である。特に郵政の中の民営手法で特徴的なのは、特定郵便局長制度ということで、その局舎は実は税金かかっておる。基本的には税金払っているのですね、民営手法ですから。やはり税金払ってやっておるという御認識をぜひ持っていただきたいと思うのです。  実はもう一つ議論として、国土の均衡ある発展というのが国の施策の大きな命題だろうと私は思っているのです。その中、民間金融機関のない町村が五百九十三町村日本にはある。この辺はどう大臣はとられておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今の郵便局役割というのは、多くの国民皆さんから重宝がられ、信頼され、そして郵便局職員の日夜を分かたない精励恪勤によって信頼を集めて、非常に有効な制度として機能していると私は思っております。
  21. 川崎二郎

    川崎(二)委員 そうなると、実は今の言葉だと余り差がないということになるのですけれども。  実は、店舗でいいますと、全国的にいきますと郵政は三四%、銀行は四〇%、農協は二六%ぐらいの店舗数があります。その中で過疎に対する店舗の配置ということになると、郵政が四五%、銀行が一五%、農協が三八%ということになります。  それで、一万九千五百ある特定局、基本的には五、六〇%赤字という認識だろうと思うのです。そうすると、先ほどの郵便の話と一緒で、全体のトータルとして郵貯事業というものも合わせておる。それは過疎を守っていくとしたら、やはり一体性の中でやっていく必要があるという御認識でしょうか。その辺をお聞かせ願いたいと思うのです。
  22. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一体としてとは、郵便貯金保険という……
  23. 川崎二郎

    川崎(二)委員 いや、違います。郵便貯金として、もちろん過疎のところもやっていかなければならぬ。もちろん収益性の高いところもやっていかなければならぬ。先ほどの郵便の話と一緒ですね。東京だったら本当は二十円かもしれない。北海道だったら本当は八十円かもしれない。しかしながら四十円で一体性でやっているのですね、ネットワークとして。貯金もそういう意味ではそういう分野だと思うのですね。銀行が出てこないのですから、五百幾つも。出てこないということは、やはり民間のレベルからいえば合わないところだと思うのです。収益性合えば出ていきますよ。出ていかない部分がかなりある。そこを、一万九千五百の特定局が半分ぐらい赤字だと言われながら一体性の中でやっている。ある意味では、それは東京でもうかっているのかもしらぬ、名古屋でもうかっているのかもしらぬ。しかしながらこれの一体の中で実は郵便貯金事業というのは頑張っておるのだという御認識は、その辺のことであります。
  24. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まさに全国あまねく郵便局が設置され、過疎市民に対してもさまざまな利便を提供しておる、これは誇るべきことだと思います。  同時に、民間企業でも、もし採算とれるところだけやってとれないところをやらないということだと、一流企業として繁栄していかないのじゃないか。私はいろいろな形態があると思いますけれども、やはり企業としては、採算とれるところ、とれないところ、何か事業考えれば、全国的に展開していこうという企業が一番発展するのじゃないかなと思っていますし、今、宅急便とかいろいろ電気通信事業、さまざまな民間企業が進出し、活発にやっておりますけれども、採算のとれるところだけやっていこうという形だと多くの国民から利用されない。やはり発展すればするほど、できるだけ多くの国民に利用してもらおうというふうな企業の旺盛な活力が出てくるのじゃないか。その辺をどう考えるか、それは事業事業によって違ってくると思います。
  25. 川崎二郎

    川崎(二)委員 実は、まさにそのところにあるので、民間がすべてをカバーしてくれますかというところに一つ議論があると思うのです、官業役割一つの。  実は、過疎バスバス会社も大手です。大きいですね。過疎バスというのがあるのです。大臣、大体どのぐらい国が今過疎バスにお金を出しているか御存じでしょうか。
  26. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 知りません。
  27. 川崎二郎

    川崎(二)委員 実は郵政省の今年度予算、四百十五億ですね。これは御存じだと思うのです。対して、過疎バスだけで今二百五十億から三百億ぐらい実は運輸省は補助金として交付しているのです。今の理屈だと、民間企業が全体的なトータルで合わしてバス事業の中でおやりになればいいのじゃないかという理屈もあると思うのです。しかしながら実態として、我々としてやはり過疎バスというものを維持しなければならぬ。町村がその主体になり、そして国や県が、今申し上げたような補助金をつけてやっているのが現実なんです。だから、そこは民間企業がやり切れない部分がかなりあって、そこを郵政事業としてはトータルで実は合わして何とかやっているんですよと私は思っているのです。そこを、何か一部だけ切り離して、何とかできるとかなんとかとなると、ちょっと議論として難しいのかなと私は思っているのですけれども、もう一度その過疎バス民営民間企業が実はそこまでやらぬという実態について、大臣の御意見を聞きたいと思います。
  28. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 過疎バスに対する補助金制度がどのようなものか、詳しくは存じませんが、やはり過疎バスが必要だと国会判断する、あるいは政府が判断する、国が事業としてやるべきだという場合には、恐らく今のは民間補助金を出しているのですか、民間にどういう形で出しているのかわかりませんけれども、国がどの程度負担すべきかというのは議論していけばいい。やはり、いろいろな面において国が補助金を出していますし、学校でも全部民間にやれといったって、民間は全部できない、国が補助金を出す。それは、さまざまな形態があると思って結構だと思います。
  29. 川崎二郎

    川崎(二)委員 もう一つ、角度を変えて大臣の御専門であったことをお聞きしたいのです。  実は、私の地元市民病院をつくれという運動が物すごく盛んなんです。市長さんも、そろそろつくらなければならぬな、財政負担すごいけれどもなということで、踏み切ろうとされております。対して、医師会の方から、民業圧迫だ、民業圧迫だ、けしからぬという話があるのですね。それで、ある程度制約をしたい、必ず紹介にしてくださいよとか。高度医療を進める点ではそれも必要なのかもしれぬ。いろいろな制約があるのですね。それを市長さんなり我々が聞きながら、最終的には財政負担問題と、やはり国民サービスがどう上がっていくか。医療でありますから、国民一人一人が本当に安心して暮らせる市というものをつくれるのか、地域というものをつくれるのかということで、実は、官業である市民病院も入ってくる、民業反対をする、そこを調整するのが政治だと私は思うのです。官業だけは要らぬよ、全部民業で任せているんだから、病院民間の大きな病院を持ってきたらいいじゃないか、市民病院つくって財政負担なんかすることないよ、こういう議論もあると思うのですけれども、大臣厚生大臣も御経験されておりますから、その辺はどういうふうに思われますでしょうか。
  30. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この市民病院公立病院問題は各地区で非常に切実な問題になっていると思います。市民は、できるだけ市民病院を欲する。しかし市としては、財政考えるととても負担し切れない。そういう中でどの程度財政負担が可能か、あるいは受益者負担が可能か、これはどの市町村でも大変頭を痛めている問題だと思います。ですからそのときどき、例えば国立病院が統廃合というふうになりますと、ほとんど反対ですね。どんなに赤字になっていても、地元人たちは、それはサービスが低下すると。自分のところの近くの病院がなくなるということ、あるいはもう一方に統合されるということは、統合される近くのはいいのですけれども、遠いところは反対だ。その点はまさに、どこまで負担すべきか、これはそのときどきによって違ってくるのだと思います。しかし全部、医療だから、公共だから国で、税金で面倒を見ましょうよとか、あるいは保険料を上げればいいという問題にならないところにこの難しさがあるのだと思います。
  31. 川崎二郎

    川崎(二)委員 まさにそのとおりだと思うのですよね。  だから、官業だから全部民業にしておけという理屈ではないと思うのですね、やはり病院あたりでも。こういう高度な病院はやはり守っていきたい、いや、国民の、市民の声を聞きながら考えていくと、やはり市民病院はつくらなければならぬかな、本当に相当な金額かかりますから、市長判断としては極めて難しい判断だと思うのです。しかし同時に、それができ上がったときは市長さんとしてはやはり、何とか収益性考えて院長さん頑張ってくれよというのがまあまあ普通だと私は思うのです。それをいろいろ見ながら判断していくのはやはり政治であって、官業がいいんだ、民業がいいんだという簡単な割り切りというのは、私はないように思っているのです。ここが、実は大臣と基本的な認識の違いということになろうかと思います。  大臣が今、郵政大臣になられまして、あらゆる分野見直しをしなければならぬ、これは私は頭から否定するものではありません。いろんな意味で勉強しなければならぬ。そうしますと、大臣の日程の中にNHK民営化というものは、入っておるのですか。見直し対象になるのでしょうか。
  32. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今のところ考えておりません。
  33. 川崎二郎

    川崎(二)委員 そうすると、大臣に就任されて、先ほど前段がありましたね、官業民業にかわり得るならばあらゆる検討をすべきであると大臣言われたのですけれども、NHKは何でそういう対象にならないのでしょうか。
  34. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 民営化しろという意見が出れば検討すればいい、今私がこの場で民営化を検討しろと言うことは考えていないということを言ったまでであります。
  35. 川崎二郎

    川崎(二)委員 民営化しろという意見をだれが言ったら検討するのですか。
  36. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これからいろいろな議論をしていくわけですから、そういう意見がある、あるいは違う意見もある、広く議論をしていけばいいということだと思うのです。
  37. 川崎二郎

    川崎(二)委員 実は、どうも議論していきますと何か貯金だけに集約されるような話になってしまうものですから、私はあえてこういう話をしているのですけれども、実は先ほど言いました医療問題もあるし、学校問題もあるし、いろいろな分野から、郵便問題もあるのでしょう、郵便宅急便等問題もある。だから私は、できるなら、大臣がそういうお気持ちを本当にお持ちなら、官業民業というものは、どういうふうにきちっと分けながら、郵政省がどういう役目を果たしながらきちっとやっていくか、NHKというものはこのままこういう形で保たなければならないんだというんだったら、逆にきちっと私は持った方がいいと思うのです。だれかから注意されたらやるけれども注意されない限りNHKはこのままにしておくんだという感覚じゃなくて、NHKというものをよく調べてみたら、こういう形で、こうという形で守っていくことが大事なんだなという実は大臣が気概を持っていただく方が、よそから出てきたらちょっと相談してみますよということでは、私は一番責任ある立場大臣としてはどうかなと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
  38. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、今NHK公共放送として国民から親しまれているし、私はこれを今どうこうするか検討する必要はないんじゃないかという意見を申したまでであって、いまだ貯金質問は全然出ませんし、いろいろな質問に答えているだけでありますので、私がはっきり認識を持った問題について御質問いただければそれなりの答弁はさせていただきたいと思っております。
  39. 川崎二郎

    川崎(二)委員 そうすると、今ずっと話をしてきますと、要は、郵便貯金だけは大臣認識をお持ちになってこれは民営化等を検討していくべきであるということなんですか。ほかのことは、まあおれはまだやっておらぬということでしょうか。
  40. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国の行財政改革、そして行政の肥大化を阻止して、行政の簡素化を考えると、郵貯を見直しせざるを得ない、郵貯の見直しが必要だという観点から、昨年の就任時の記者会見以来いろいろ私は意見を申しておりますけれども、郵貯の見直しというのは、行財政改革を考えると避けて通れない問題だと私は思っております。
  41. 川崎二郎

    川崎(二)委員 ある程度大臣のお考えが集約されてきているんだと思うのですね。要は、私どもいろいろなところから聞いたときに、いや、郵政事業民営化しなければならぬのだという議論だと思ったのですよ、現実問題。しかし、そうじゃないんだと。要するに、郵貯というものだけが見直さなければならないんだと思っておるということになるのですか。
  42. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、郵貯のみならず郵政事業、もしこれから民営化の可能性があるならばそれも検討していけばいいじゃないかという意見は私は持っております。  そして、郵貯問題等いろいろ議論をされておりますけれども、そういう中にあっても郵便貯金事業というものも、果たしてこのままでいいのかと疑問を持つ点も多いものですから、就任以来私の意見がいろいろお騒がせしている面もあると思うのですが、行財政改革の一環として郵貯問題、そして財政投融資問題というのはこれから議論していかなきゃならない、また、見直ししていかなきゃならない問題じゃないかなというふうに私は思っております。
  43. 川崎二郎

    川崎(二)委員 もちろんこれからその問題について、きょういろんな人が立つのに同じ質問をしていてもしようがありませんので、私はあえてこういう切り口で質問をさせていただいておりますけれども、最後に、大臣はボランティア貯金にお入りでしょうか。
  44. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 入っております。
  45. 川崎二郎

    川崎(二)委員 どのくらいの金額か、もしお構いなかったら教えていただきたいのです。
  46. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 幾らかはっきり額は確認しておりませんが、入っております。
  47. 川崎二郎

    川崎(二)委員 ボランティア貯金が普通預金であるということは御認識されていると思うのです。認識されていますね。
  48. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 はい。
  49. 川崎二郎

    川崎(二)委員 そうしましたら、実はちょっと混同して伝わっておりますので、大臣からはっきり御訂正をいただきたいと思うのですけれども、やはりNHKで見たわけですけれども、三百万の預金がある人がいる、この人たちは、今度は非課税をふやしてくれという議論をしているんだ、ところが、たった七万か八万円しか貯金のない人が寄附をしてくれているんだ、税金を取られた上で、また二〇%寄附してくれているんだ、三百万、たくさん持っている層が税金まけてくれと言って、少ない層が寄附しますよと言っているんだという実は議論展開をされたのですね。  実は郵政大臣は、きょう資産公開を見させていただいたのですけれども、郵便貯金が二百四十万くらいありますね。これは定期預金ですね。出されているのですから定期預金。普通預金は幾らあるのか、これはわからないですね、公開の必要はありませんから。いずれにしろ、大臣は二百四十万の貯金をお持ちになった上で、何万円かを普通預金にしてそれをボランティア貯金にしている。ですから、この層とこの層は違うのですよという議論はちょっと間違いであった、こういう認識というか御訂正をお願い申し上げたいと思うのですけれども。
  50. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私が言いたかったことは、三百万だろうが七万だろうが八万だろうが、一千万だろうがあるいは一万だろうが、ともかく利子二〇%を納税し、なおかつさらに二〇%国際ボランティア貯金に協力してくれる方々が一千万人にも今及んでいる。これは大変すばらしいことだ。そういう人を考えると、どちらかといえば持てる方たちが今でもなお非課税されて、もうちょっと非課税にしてくれということはいかがなものかという例で言ったわけであります。
  51. 川崎二郎

    川崎(二)委員 いやいや、そこは大臣、そこはちょっとおかしいのですよ。大臣も二百四十万定額貯金を持って、そして何万円かしているのですよ。同じ人格なんですよ。三百万の定額貯金をお持ちになっているお年寄りがいる、六十六歳の人がいる、しかしながらその人もボランティア貯金はしていただいている可能性は高いのですよ。それを、どうもこの層とあの層は違うという発言を——いや、テレビのを持ってきてもいいのですけれどもね。
  52. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、それは三百万円のもしているでしょうし、あるいは十万円しかしてない人もいると思うのですよ。そういうことはすばらしいことだ、いいことだということで言ったわけでありまして、すべてが七、八万の人がボランティア貯金をやっていて、三百万円の持てる層がしてないということなんて一言も言ってないです。
  53. 川崎二郎

    川崎(二)委員 それを私、朝テレビを見て確認してまいりましたので、もうこれ以上論議しません。ただ、大臣はひとつNHKにお出になったビデオテープを一度ごらんになっていただいて、再確認をいただきたい。そして、もし大臣発言で、実はボランティア貯金の——郵政大臣ですから、専門家ですからね。専門家じゃない人が間違えて言ってしまったという話ならいいけれども、専門家でありますから、もし言葉に間違いがテレビで言ったことがあったとしたら、御訂正を次の委員会でお願いを申し上げたい。  以上で質問を終わります。
  54. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御苦労さまでした。  次に、武部文君。
  55. 武部文

    ○武部(文)委員 ただいま同僚の川崎君からもお話がございましたが、私は、大臣が改造の直後に発言をされた言葉、さらには、きょうまで約四十日間、大臣に就任されてから各種のインタビューやその他のマスコミとの対談で発言をされた、そういう内容について、あなたの政治姿勢あるいは基本的な考え方、こういう点について、わずかの時間ですが問いただしたいと思います。  あなたは改造直後みずから、青天のへきれきだった、こういう表現で就任の感想を述べられたのであります。新聞にはっきり出ておるのでありますが、実は青天のへきれきだったのはあなたではなくて、もう一人おったのではないか、我々はそういう事実を承知しておるのであります。  それはどういうことか。内閣が総辞職をして新しい内閣が誕生する、それまでの間に、ある人が、皆さんの同僚の議員が、実は今度の改造内閣で自分郵政大臣になる予定だから、そのときは万事ひとつよろしく、こういうあいさつをしておられる。この人にとってはまさに青天のへきれきでしょう、あなたが大臣になったことは。新聞でも結果的にいろいろなことがありますよ、人事のことですからね。何かやりとりがあったということは報道されておりますから、あなたもお気づきでしょう。そんなこと知らぬはずがない。今申し上げるように、現実にそういうことがあったのですよ。ただその人は、幸いにして別な大臣になっておられますから、もって瞑すべし。余り心配せぬでいいです。ただ、そういうことをあなたがおっしゃったけれども、何かこの裏にあるなと私は感じたのですよ。  そこで、これから少し聞きたいのです。あなたは、金融財政関係の自民党の議員連盟である自由経済懇話会という組織に、昭和五十六年以来十二年間事務局長を務めておられます。間違いありませんか。務めておられたということですが、間違いありませんか。
  56. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 間違いありません。
  57. 武部文

    ○武部(文)委員 それならば、なぜ改造の二日前におやめになったのですか。その理由はいかがですか。
  58. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 二日前にやめたという記憶はありません。かなり前にやめていたのですが、総会なり会合を開かなかったのだと思います。
  59. 武部文

    ○武部(文)委員 それは余り信用できない発言だと思いますが、あなたがおっしゃるのですから、そういうことにしておきましょう。  そこで、あなたのおやめになった—我々はそう見ておるのですけれども、二、三日前に、直前におやめになった金融財政関係の委員会はたくさんの議員の方がおられるようでありまして、何回も会合をお持ちになる。そこにはたくさんの金融関係の団体が呼ばれて御出席になっておる。これも事実であります。特に十日の日、改造の、あなたが任命されたのは十一日の夕方ですから、その前の日、たくさんの皆さんがお集まりになって会合が持たれたのですが、その席にあなたは御出席になりましたか。
  60. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 はい、出席いたしました。
  61. 武部文

    ○武部(文)委員 その席上で、今度の内閣改造では小泉先生は郵政大臣就任が濃厚と漏れ伝わってきている、郵政大臣に就任した暁には国民経済的観点に立って郵貯の肥大化を内部から阻止してほしい、こういうあいさつが主催者の方からあった、こういうことを聞いておるわけですが、間違いございませんか。
  62. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それははっきり覚えていませんが、中には私に郵政大臣になってもらいたいと期待して冗談まじりに言っていた人は雑談の中ではいたと思いますけれども、そのような会ではっきり言ったかどうかは覚えておりません。
  63. 武部文

    ○武部(文)委員 希望を述べたのではなくて、そういう話を漏れ承っておるという話でございまして、この発言者は横浜銀行頭取であります。あなたの選挙区の横浜銀行。あなたは二区だけれども神奈川県だ。そして、この人は地方銀行協会会長ですね。この人がそういうことを言っておる。そうしたら明くる日になってあなたは間違いなく郵政大臣に就任された。大した情報をとったものだとその人は大変うらやましがられたそうであります。まあ、それはそれだけのこと。  そこで、この十日の日に、これはキャピタル東急でやっているのですね、その日にこの懇話会で、郵貯に対する八項目の要望書が十三団体の名で出席された皆さんに要望された。もちろんあなたもお受け取りになっておると思いますが、その八項目、時間がありませんから一々申し上げません、もうあなた十分承知のとおりですが、今日ただいまでもこの八項目の要望についてあなたは同じ見解ですか。
  64. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 八項目か何項目かわかりませんけれども、いただきましたけれども、私は読んでいません。
  65. 武部文

    ○武部(文)委員 あなたの四十日間の大臣就任後の日にちの中でお述べになったことは、この八項目と全く同じ、裏腹なんです。八項目の裏をあなたは言っていらっしゃる。同じことを言っているのですよ。全くよくも似たことをおっしゃるものだと思って感心するぐらい同じことをおっしゃっておる。これだけ申し上げておきましょう。  そこで、次に申し上げたいのでございますが、先ほどの川崎君の意見にも私も関係いたしますが、あなたが十五日の日にNHKの「モーニングワイド」に出ておられますね。ここに全部ございますが、先ほどの答弁はちょっとおかしいですよ。あなたは違ったことをおっしゃっておる。ですから、もう一回これが済んだら全部お読みになってみてください。あのボランティアの問題というのは全くおかしい。これはためにせんがために、持てる層と持たざる層と区別をして、持たざる層でもこれほど協力しておるのに何だ、こういうふうにして、三百万、四百万持ったお年寄りに対して暗に誹謗をするような発言になっているのですよ。これはお読みになってください。そして、間違っておったらやはり訂正すべきです。  それから、八万、九万ということをたまたま例にお出しになっておる。私は、現場の第一線がどういう苦労をしてこのボランティア貯金というものを一千万人も獲得したかということを知っているのですよ、現場の第一線が何をしておるのかということを。あなたは、だあっと知らぬ間に集まってきて一千万ということは大したものだと。それもあるでしょう。しかし、現実にはこれは法律を委員会で改正して、そして別に一つの通帳をつくることさえここで決めて、皆さんにもう一冊通帳を持ってもらう、それを郵政大臣に寄託をして、そして、ボランティア貯金に協力してください、こういう法律をつくったのですよ。ですから、何とか協力してもらえぬかといって外務員の諸君が訪ねていくと、それならばこの銀行から八万、九万、十万をおろして別な通帳に入れて協力いたしましょう、あるいは、端数ができておるからその端数の貯金を通帳に入れて協力しましょう。何もひとりでに集まったものじゃないのですよ。皆さんが苦労をして、そして、このボランティア貯金というのは郵政省のヒット商品だと今非常に高い評判ですよ。こんなにいい商品を出したかという評判が今非常に高い。そういうものが現実に生まれていますね。あなたがこれを評価している点については私も同感です。  しかし、ここにこういうことを言っていますね、そのときに。官業民業の補完、これはあなたの一本やりだ。それはいいけれども、さっきも話がありましたね、もしも民間でできる分野があったら、その民間人の活力を生かすためにも、直接税金を投じて国の仕事をやるよりも、むしろ一歩引いて、こうおっしゃっているのですよ。郵政事業は直接税金を投じて国の仕事をやっているのじゃないのですよ。郵政大臣ともあろう者が、郵政事業は国の税金でやっておると思っておるのですか、あなたは。根本的に間違っているじゃないですか。間違っておるということに気がついたら撤回しなさいよ。
  66. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 国際ボランティア貯金について、私の発言に間違いがあったらば訂正いたします。  それと、今の郵便貯金、税金を使ってないということですが、郵貯資金というのは資金運用部に全額預託することになっております。その資金運用部資金を使って各財投機関に財政投融資制度が行われております。現在、住宅金融公庫等には預託金利よりも低い金利で、住宅金融公庫なり国民金融公庫なり中小企業金融公庫なりに貸して、政策金融としてやっておりますが、預託金利が高くて住宅金融公庫が低い、その差は一般会計で財投機関合わせますと既に五千億円を超えております。なおかつ、財政投融資で融資している機関、これは膨大な数に上ります。そして、財政投融資資金はどういうふうに運用されなければいけないかといえば、法律にあるように、確実で有利な運用をしなければならないというふうに規定されております。  そういうことを考えますと財政投融資機関—国鉄が清算事業団になりました。既に累積債務が二十六兆円に上っております。返済計画のめども立っておりません。これは一体だれが返すのでしょうか。将来、結局足りなければ、JRに全部負担させるわけにいかないと思うのですね。その場合には一般会計からどれだけ投ずるのか、税金をどれだけ使うのかという議論が出てくる。そしてどんどん財投資金をあるから使うということになっていきますと、本来確実で有利な運用先という規定からも、果たしてどうなのか。そういう観点からこの財政投融資も見直さなければならぬし、そして、郵貯という資金で財政投融資が行われている、そういう点も、行財政改革ということを考えるならば触れざるを得ないのじゃないかということで、私は、郵貯も見直しする必要があるというふうに言ったわけであります。
  67. 武部文

    ○武部(文)委員 私の質問にあなた答えてないじゃないですか。そんなこと聞いてないのですよ。そんなことは百も承知ですよ。財政投融資ということなんか一つも聞いていませんよ。あなた、しゃべっていませんよ、ここでは。どこにそんなことが書いてあるのですか、この「モーニングワイド」に。そんなこと言っていませんよ、あなたは。  私が言うのは、郵政事業が国の税金でそんなことをやるよりも、民間にやったらどうだ、あなたはこういうことを言ったのですよ、あのときに。それだから、それは間違いですよと。間違いならば、やはり間違いとして撤回すべきですよ。三事業はこういう制度ですよ、それは自分認識不足だったと。  しかし、あなたがおっしゃるようなことはあるかもしれません、財政投融資の使い方について。使い方は何も郵政省の責任じゃないですよ。あなたがおった大蔵省ですよ。あなたは大蔵委員長だったでしょう。党の財政部会長でしょう。使い方はあなたが責任を負うべきですよ。長い経歴を、あなたは大蔵のいろいろな役職についておられるんじゃないですか。その責任ある人が責任を感じるべきであって、一生懸命苦労して集めて、そして十何兆円を財政投融資に出して、何であなたから文句言われる筋合いがあるのですか、郵政省が。そんなばかなことがありますか。ちょっと返事してくださいよ。
  68. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは単に郵政省だけとか大蔵省だけの問題じゃないと思います。国の全体として、政治家として、このまま行政改革しなくていいのだろうか、あるいは行財政改革、見直さなくていいのだろうかということまで考えていきますと、これは触れざるを得ない問題でありまして、今委員から私の意見を求められましたから基本的な考えを述べているのでありまして、今までの発言で私の発言に間違いがあれば訂正しますけれども、真意を聞かれて、真意が違うあるいは同感、それはまた別問題だと思います。
  69. 武部文

    ○武部(文)委員 それは話をそらすやり方ですよ。そんなこと私は言ってないのですよ。あなたの発言に対して質問をしたのですよ。ないことを言って、あと自分発言をしたって、それは意味がない。私みたいなおとなしい者があなたに文句を言うのは本当に珍しいことですよ。  もう一つ僕は申し上げなければいかぬ。経営形態です。  さっき話の中に出ましたね、自分はそんなことは言ってない、貯金のことはちょっと言ったと。ところが、あなたの新聞記事は全部とっていますよ、あなたは認証式の前の日にそれを言っているのですよ。認証式は十二日でしょう。あなたは十一日の夜に郵政省へ行って記者会見してしゃべっているんじゃないですか。貯金のほかに保険考えなきゃいかぬ。次の日になったら、今度は郵便も民営に対して検討しなきゃいかぬ、こういうことを言いましたよ。間違いなく言っているのですよ。三事業をこれから民営化しよう、まず第一歩は貯金から、こういう話のようでした。だから、それならそれでちょっと申し上げてみたい。  郵便は御承知のように明治四年ですから百二十二年たっていますよ。そういう歴史を持っているのですよ。貯金は八年ですから百十八年。簡保は七十七年間、貯金は百十八年、郵便百二十二年という長い長い歴史を持っているのですよ。その中にいろいろなことがありました。我々の知らないところでいろいろなことがあって今日の郵便事業が成り立っているのですよ。郵政事業が三事業一緒になってようやく運営しているのですよ。そういう歴史を持っているのですよ。当委員会でもそういうことを振り返りながら、悪い点は直さなきゃいかぬというのでいろいろなことをやりながら、法律を改正したりつくったり、附帯決議をつけたり、いろいろなことをしながら今日まで来たのですよ。そうして曲がりなりにも三事業がようやく黒字になって、国民皆さんには迷惑かけないような事業になってきておるのですよ。その中であなたが一つだけ、貯金だけ外したらどういうことになるかということを想定して御発言になっておるでしょうか。  私は一つあなたに聞いてもらわなきゃいかぬのです。あなたが御承知ないから言わなきゃいかぬ。  私は先年万国郵便連合、スイスのベルンにあります百六十九の国が加盟しておる世界最大の組織ですが、そこへ行って郵政事業というものを調べてみました。三事業が一本というのは実に理想的な形態だということをそこの事務局の次長は、ポルトガルの人だったと思いますが、しきりに褒めていましたよ。ほかの国のことも、ほかの局のことも聞きました。いろいろ聞いたけれども、郵便単独の国は非常に経営がまずくなってみんな料金をどんどん値上げしなきゃならぬようになっておる、そういう中で日本の三事業といろものは大変評価できるということを去年、今明けておととしになりますか、調査して帰った一人です。  そこでもう一つあなたに聞いてもらいたいことがあります。  五年前にニュージーランドが一つのことをやったのです。あなたの言うようなことをやったのですよ。郵便貯金の両事業の分割と民営化がニュージーランドで実施された。その後、貯金事業はオーストラリア・ニュージーランドバンクに売却され、完全な民営企業になったその結果、利益を追求する民営企業としては当然なこととはいえ、このバンクは経済力の低い僻地などから一斉に店舗を撤収した。このため、こうしたところに住む人の年金の受け取りができなくなった、こういう事態がニュージーランドで起きたのです。また、郵便貯金の双方を取り扱うことで採算的に成り立っていた郵便局が、郵便だけとなったために採算が合わなくなって、郵便局は廃局、そのために郵便の配達が請け負いになって慢性的な遅配が起こって住民の不安が高まり、一部では民営化反対する人の座り込み、警官の出動、こういう事態がニュージーランドで起きておる。これは調べていただければわかるとおりです。こういう事態が四、五年前にニュージーランドで発生しておるのです。  私どもは、経営形態あり方というものは長い長い歴史の中で、今三つの形態の中で、お互いが人件費も局舎費もそして事業費も出し合いながら、三つでもってようやく特定郵便局というものが成り立っておるのですよ。全国で二万四千のネットワークの中で収支率一〇〇%以下が四一%あるのですよ。四一%は採算がとれないのですよ。それでも三事業がお互いにそういうことで助け合って今日三事業でも黒字を出しながら運営しておるのですよ。その中の一つ貯金を外したらどういうことになりますか。とりあえず特定郵便局、局長を含めて、ここには現在一万八千三百五十六局特定局がありますよ。集配局、無集配局、これは成り立ちませんよ。成り立たぬということを局長や職員は十分知っておるのです。ですから、あなたがはしなくも貯金事業民営化だ、民営化すべきだということをおっしゃったときに、一番動揺したのはどこでしょうか。特定郵便局なんですよ。あそこの諸君は、そうなったら局が存続しなくなるよということを肌で知っておるのですよ。  そういうことを、たった一日や二日で、郵政大臣になったあなたがインタビューやなんかに答えて堂々とそういうことをおっしゃったということは、三十万の従業員に対する冒涜ですよ。不安と混乱と動揺を与えたのですよ、あたなは。この責任は私は大きいと思う。何でも知っておった上であなたがおっしゃっておるならなおさら悪いが、そこまであなたは御承知でおっしゃっておるのですか。ちょっとお聞かせください。
  70. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 民営化を含めて検討すべきだと言ったのは事実でございますが、直ちに民営化していくなんてことは、たとえ言ったってできることじゃないのはわかっております。しかし、郵政事業、これはそれぞれの妙味を発揮しているのも事実であります。郵便貯金保険、またニュージーランドの例もあると思います。日本は日本なりにいろいろな制度見直しが必要だと思いまして、この郵政事業につきましてもいい点あるいは弊害点があるわけですので、こういう点はやはり積極的に見直しを行う方向で考えるのも一案ではないかなということで言っているわけでありまして、これはもう日本独特のよさもありますから、各方面からやはり意見を聞いていく必要があるのではないかと思います。現在のところ、この郵政事業というのはそれぞれの場で職員が本当に努力されておりますし、国民からも親しまれております。そういう点も含めて、いろいろな意見を出し合って見直ししていくべき点があれば見直すことが必要じゃないかと私は思っております。
  71. 武部文

    ○武部(文)委員 あなたが新聞に発言されたことと内容がちょっと変わってきましたな。ちょっと変わってきました。変わってこられたことは悪いことじゃないですよ。悪いことじゃないけれども、あなたのおっしゃったことをもう一遍新聞見てくださいよ。自分発言が新聞に載っているのですからね。ごらんになっていただければ、今のようなことじゃないのですよ。あなたの発言は、もう今にも民営化をやらなければならぬという発言なんですよ。そういうふうにみんなとっているのですよ。ですから、それはあなたが自分の本意じゃないとおっしゃればそうかもしれませんけれども、受け取る側がおるのですから、そういう人の身にもなって考えてもらわなければ困るのですよ。  それからもう一つ郵便貯金をえらくあなたは敵視しておられますね。とにかく金を一生懸命集めてくるものをかたきみたいなことをおっしゃっておられる。「貯金と預金」というNHKの番組をあなたはごらんになったことがありますか、ありませんか。
  72. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ありません。また、私は目のかたきにしたことなんて一度もありません。
  73. 武部文

    ○武部(文)委員 私はそう思っておるのですが……。  前々の大臣かのときに私はこの話をしたのです。貯金と預金の違いというのをNHKが朝のモーニングショーでやったのですよ。非常にわかりやすい、銀行の預金と郵便局貯金とがいかに違うか、こういう非常にわかりやすいことを言った。そして、ここでやりとりしたのですよ。当時の大臣は早速テープを取り出して自分で見て、ここでやりとりいたしました、認識を新たにしたとおっしゃっておりました。貯金は庶民のものなんです。個人のものなんですよ。預金はほとんど法人なんですよ。郵便局貯金の九九%が個人だということはあなたもよもや知らぬはずはないと思うのです。そういう金が何に使われておるか、これがさつきあなたがおっしゃったように財政投融資に回り、あるいは保険の金が回り、いろいろな形で社会資本の中に還元されておるのですよ。  ちょっとそれじゃ聞きますが、あなたは横須賀市の出身だが、横須賀市に簡易保険の積立金が幾ら貸し付けられて、残高が幾らあるか御存じですか。知らぬでしょう。二百三十億円、十二月三十一日現在であるのですよ。横須賀市だけに二百三十億円。神奈川県単独で二百八十億円ですからね、ほとんど匹敵するぐらいな二百三十億円という金が横須賀市のために使われておるのです。簡易保険の積立金です。そのほとんど大半は文教と社会福祉、これに使われているのです。これがほとんど八割以上になっていることが私は調査の結果わかりました。  そのように、集められた簡易保険の金も貯金の金も、財政投融資やあるいは積立金の貸し付けや、そういう形をしながら国民に還元されておる。あなたは省益よりも国益だということをおっしゃるが、我々はこういうやり方は省益よりも国民益だと思うのですよ。国民益なんですよ。我々はそういうふうに思います。あなたは二つに分けておっしゃっているけれども、私たちはそういうふうにせっかく努力して集めた金がどこに使われておるかというのは大変な関心事ですよ、それは。あなたのおっしゃるとおりだ、これは。しかし、現実にそれは生かされておるじゃありませんか。それを目のかたきにして、何としても民営化をして、やり方について鉄槌を加えよう、そういう魂胆がありありと見える。あの八項目はそれを裏づけているのですよ。あなた、もう一遍八項目を読み返してみてください。そうなっているのですよ。  そこで、その反面、預金で集められた金が何をしたかということ、あなたも十分承知でしょう。ここで我々やりとりした。一年間に四十三兆円もの銀行の金が地上げと土地転がしのために使われた。不動産に流れた。日本銀行総裁、反省したとおっしゃった。そういうふうに四十三兆円もの金が使われた。バブルの責任はこの人たちが負うべきですよ。大蔵省が負うべきですよ、責任を。その一端は、重要な地位におられたあなたもその責任ある一人だと私は思うのですが、どうですか。感じませんか。
  74. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、別に銀行の行政マンでもありませんし、銀行当局者でもございませんし、金融機関の正すべき点は正すのが当然だ。私にバブルの責任を問われても、これは何とも言われません。また、責任あるとも言えません。
  75. 武部文

    ○武部(文)委員 責任を感じておられませんかと聞いているのですよ。とれと言っているのじゃないですよ。あなたはここへ初めて来られたのでしょう。あなたの顔、私は初めて見ました。あなたは大蔵にはずっとおられたのですね。大蔵委員長から政務次官から党の財政部会長ですか、いろいろなことをしておられる。長いこと理事もしておられるのですね。もうあなたの経歴見れば大蔵ばかりだ、これは。私は初めてここであなたにお目にかかったわけですけれども、そういう面からいうと、大蔵省、少なくとも銀行業界は郵便貯金に文句をつける前に自分自身が反省すべきだと思うのです。反省すべきだと思うのです。  護送船団方式という言葉がありますな。いい言葉をつくったものだと思います、これは。自分たち一つも反省しないで批判を郵便貯金に向けておる。大蔵省がどの銀行も倒産させない、いわゆる護送船団方式だ。そういう銀行行政そのものが今日あのようなバブルを生んだ最大の原因ではないですか。新しい商品のできる銀行はある、力のあるものはある、にもかかわらず、それをやったら弱いものがようついてこぬ、みんな一緒に歩こう、一緒に連れ立って同じ商品でいこう、こういうことをやっておられる。だから一つも新しい商品が出てこないじゃないですか。それは安全でしょう、みんな一緒になってつぶれぬように、そういう護送船団方式。  あなたは年からいって終戦のときは三つぐらいだから護送船団なんと言ったってわからぬかもしらぬが、輸送船を我々が軍隊に行くときに、そういう格好で見ておるのですよ。ぐるぐる駆逐艦が回って輸送船を安全に守っておった。その駆逐艦の役目が大蔵省であり、党の役員のあなたですよ。我々はそう見ているのですよ。そういう人が何も感じずに、バブルの責任はだれかが負うべきだというようなことを言って、そして郵便貯金に矛先を向けて批判する、攻撃するということは許せない、私はそう思うのです。どうですか。
  76. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 政治家の出身母体とか今までの立場から偏見をとられるのは心外であります。私は一政治家として、金融界の代表でもありませんし、大蔵省の代弁者でもありません。郵政大臣として、また国務大臣として今まで自分感じたことを述べたことでありまして、逓信委員会が全逓の出身者とか今まで逓信委員会ばかりやってきた議員じゃなきゃいけないとも思っていません。そういう方々も言っても結構、あるいは全く畑違いの人がやっても結構。私が大蔵省の関係の役職といいますか委員会の仕事をしていたから偏見があるだろうと思われるのは非常に心外であります。
  77. 武部文

    ○武部(文)委員 私も、あなたの意見を聞いて心外であります。あなたの言っていることは銀行業界の言っておることと一緒なんだから。比べてごらんなさいよ。どこが違うのですか。それだから私がこういうことを言わざるを得ないのですよ。郵政大臣としての立場があるなら、そういうことを勉強して、自分の知らないところは知られてから発言されたってちっともおかしくないのです。一たん発言されたらその影響は大きいのですよ。職員がどういう気持ちを持ちますか。それを感じていただきたいのですよ。あなたは郵政大臣として三十万の職員の長でしょう。最高の責任者ですよ。その一言一句がどんな影響を与えるかということを考えていただきたい。私は、またこれから何回もここであなたとやり合わなければいかぬが、ぜひ最初にそのことだけは申し上げておきたいと思います。  もう時間も来ますからこれでやめなきゃなりませんが、もう一つ、あなたに申し上げます。  あなたは神奈川県第二区の出身でありますが、宮前の郵便局の建設ということが今度決まりましたね。我々も郵政省に職を持っておった時期もございますので、郵便局舎というものがどういう形で、どういう順序で、どうして建設されるかぐらいのことは知っています。あなたが大臣になられてからすぐ数日後の五年度の査定の際にこれが入った、宮前の郵便局が。五千平米以上の土地を購入するということが出ておりました。建坪は一万平米以上の相当大きな局になるようですね。そういうときに大変尽力をされたということが新聞報道についこの間出ましたが、事実でございますか。
  78. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 かなり前から地元から陳情がありまして、その陳情活動を協力しておったことは事実であります。
  79. 武部文

    ○武部(文)委員 ここには、あなた方が最も今反対される、銀行の支店とも言うべき貯金課ができますね。保険の支店とも言うべき簡易保険を扱う保険課もできますよ。そういう窓口がこの新しい局にできるのですよ。そういう局舎、あなた方は、郵貯が肥大する、簡保が肥大することに反対だ、ですから局舎も何もくそもあるものかと、とにかく大きくなることはだめだというのだから、そういうことをしながら片一方で自分のところにそんな大局を1私はたくさん順番があったと思う。いっぱいあるのですから。全国から出ているのですから。その中で急に、あなたが大臣になった途端に、三日後に、何でそんなものがひょいと出てきて予算に組まれたのか、大変不思議だったのですよ。まあ、あなたが努力されたということでしたから、もうこれ以上言いません。  私は、二、三分残っておりますが、これから何遍もあなたと法律が出るたびにここでできますから、もう一遍やらせてもらいますから、きょうは第一回戦ですから、これぐらいのところでやめておきます。終わります。
  80. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御苦労さまでした。  次に、大木正吾君。
  81. 大木正吾

    ○大木委員 大臣に伺いますが、銀行不祥事の問題についての大臣感じ方をまず伺いたい。
  82. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 やはり今の銀行の不祥事というのは、多くの国民が批判をしておりますし、いろいろ正すべきところが私もあると思います。
  83. 大木正吾

    ○大木委員 現在のこの景気の落ち込み、これについてどういうお考えを持っていますか。
  84. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 景気というのは専門家でもいろいろ見方がありますし、我々としては何とかこの景気停滞を早く回復したいという気持ちでいっぱいであります。
  85. 大木正吾

    ○大木委員 新しい国会がいよいよあさってから始まるわけでございますが、新年度予算について、予算と財投の金額等について御承知ですか。
  86. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一般会計予算は七十二兆三千五百億円ぐらいですか、財投が四十兆ぐらいですか、詳しい数字はわかりません。大体その程度じゃないかと思っております。
  87. 大木正吾

    ○大木委員 従来日本の景気、ずっと、私も企画庁の経済審議委員をやったことがあるのですが、三年から五年ごとに好不調の波がございまして、そのたびごとに財投の出動があったわけですけれども、ことしこれを見ていますと、一般会計七十二兆三千五百四十八億円、財投が四十五兆七千七百六億円です。大変な財投がたくさん出ておりまして、一般会計〇・二%の増に対しまして、財投の方ですと大体一二から一三%、こういうふうにふえているわけですね。さっき国鉄の例をお出しになりましたね。財投自身の見直し、こういう話もあったのですが、結局こういう状態で物をとらえますと、さっきの答弁を伺っておりまして、私自身は財投の問題よりもやはり国鉄問題赤字の方が問題でありまして、財投自身が最終的には税金でもって補てんする云々で大臣締めくくられたのでありますけれども、財投に何か大変な問題がある、こういうふうな感じ方でお答えを伺ったのですが、そういうふうにやはり受けとめておられますか。
  88. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 あらゆる役所は、どの役所も仕事を一生懸命やろうと思っておりますから、みずからの権限を少しでも拡大していこうと思うのは、ある意味では当然だと思います。いろいろな機構も、一度できますと少しでも一生懸命仕事をやらなければいかぬということで、その業務の拡大に精を出すという面は、私は否定できない点だと思います。そういうことから財政投融資も、郵便局等の努力もありまして、資金がかなり潤沢に財政投融資に使われる存在になってきた。これが国民の生活向上のために大変いい影響を与えているのも事実であります。  同時にやはり、資金があるから使おう使おうということでどんどん投資、融資をふやしていきますと、これまた別の問題が出てくると思います。それはやはり、行政を今肥大化から簡素化しようという大きな目標で、このチェックが甘くなるんじゃないか、財政投融資の本当に確実で有利な運用を投融資先が確保してくれるだろうかという見直しも必要なんじゃないか。金があるから、また公共のためだから、国のためだから、国民が喜ぶからということでどんどん融資を広げていきますと、結局最後どこで、確実で有利な運用先として保証されるのか。これは最後は、国の事業だから、公共的だからということでチェックが甘くなりますと、結局負担するのは国民一般になってくる。その点の見直しはやはり財政投融資制度、便利だからどんどん、また金があるからどんどん使えばいいという問題でもないと私は思うのであります。  ですから、財政投融資機関の存在価値、存在理由、こういうものはこの際静かに再検討することも必要じゃないかなと私は思っております。
  89. 大木正吾

    ○大木委員 財政投融資制度が必要なことは否定されませんね。大臣、大体問題点とお考えのところはどういう箇所ですか。私自身はそんなにずさんにこれをやっていると思っていませんけれどもね、予算は大蔵省が組むのだから。どういう問題がありますか。
  90. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 預託金利ももうちょっと低くすることによって住宅金融公庫の金利ももっと低くできるのじゃないか、あるいは国民金融公庫の金利も中小企業金融公庫の金利も低くできるのじゃないか、そうするとやはりその利差補給の一般会計の負担も少なくて済むのじゃないか、そういう点もあります。そういう点もやはりこの際見直していく点があるのじゃないかと私は考えております。
  91. 大木正吾

    ○大木委員 今の答弁じゃ余り目新しいものは見当たらないですね。私もそういった形は賛成ですからね。  そこで、問題は原資の問題なんですが、財投の必要性については大臣は否定はしていないのでしょう。否定はしていませんね。
  92. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 否定はしておりません。
  93. 大木正吾

    ○大木委員 大体国民年金、年金関係の資金、同時に郵貯、保険等が資金の最大問題になっていますね。そこで問題は、その大臣発言の郵貯問題に入っていかざるを得ないのですが、結局新聞をずっとあちこち切り抜いてみたのですが、結果的には銀行を褒めている投書欄というのは余り見当たりませんでしたね。郵便貯金の場合には物すごく褒めているのが割にあるのですが、結果的にはやはり貯金というものは一体だれのものかという認識について、まず大臣に伺ってみたいのですが、個人の預貯金一体だれのものだとお考えですか。
  94. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 貯金はやはり個人がするものですから、個人がそれぞれさまざまな理由で有事に備えるということだと思うのであります。
  95. 大木正吾

    ○大木委員 預ける本人の財産の問題でもありましょうし、資産の問題もあるでしょうし、所有権もそうでしょうし。  特徴的な問題で申し上げますと、例えばATMとかCD関係に絡んで、盲人の方々の点字の設備がございますね。それの設備を見ていきますと、郵便局の場合には全国一万四千八百十一設備がございまして、銀行ですと、足利銀行の宇都宮市役所支店ですか、ここ一カ所しかないのですね。こういった問題について、大臣民間貯金と郵貯の関係について一般の国民の方々がどういうふうに受けとめるかについての御認識はどうですか。
  96. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは個々の具体的な対応は知りませんが、いろいろな利便を障害者の方にも与えていくという方向は大事なことだと思っております。
  97. 大木正吾

    ○大木委員 いろいろな総理府の統計なんか持ってきてみたのですが、郵便局を利用する理由というのが中にありまして、全国どこでも出し入れができるから使います、これは七六%ですね。さらに、役所あるいは福祉事務所、区役所、その他、NTTも入りますけれども、そういったものの窓口の印象というところがありまして、郵便局は何とこの中の三位に入っているのですね。福祉事務所は一番で、公立の美術館がその次にありまして、ずっと下がって税務署、保健所とあるのですが、こういったこと等調べていきますと、やはり郵便局の利便と信用というものについては物すごく高いという統計数字が出てきていますね。  ひとつ、ここに投書がありますので、銀行を褒めている投書を探しまくったのですが、なかなかないのですね。結局これは東京都の佐々木さんという方の投書ですが、「私は平素から郵便局を地域に根差した営業活動をしていると感じています。銀行もこれを見習ってもらいたい。」こういう話がありまして、そういう投書があちこち出ているわけでして、やはり郵便局の方がまさしく庶民金融としまして信頼され、同時に便利があって、一番肝心なことは親近感ですね、庶民性といいましょうか、そういったものが銀行に対してすぐれている、こういった問題があろうかと思うのですね。その辺、大臣はどういうふうに、銀行立場に立ってと言うと失礼ですけれども、どういうふうにお考えになりますか。
  98. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は別に銀行立場に立つつもりもありませんし、そういう気持ちも全くありません。銀行の評判が悪いのは、私自身も郵便局の方にはるかに親近感を持っておりますし、銀行の支店長はちょくちょくかわるけれども、特定局長さんは長年地域に根づいて、地域活動も一生懸命やって信頼感がある、私自身そう思っております。愛着もはるかに郵便局の方に私は持っております。これと実際の政治問題とは全く別だと考えております。
  99. 大木正吾

    ○大木委員 今の質問は若干あれしまして、トータル的に伺いますけれども、結局、大事が郵便局民営化問題を真剣に考えている理由ですが、どこにありますか。
  100. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 民営化も含めて検討してもいいのではないかということで、今すぐ私は民営化考えているわけではありませんが、それを断っておきますが、同時に、やはり基本的に、民間でできる仕事は民間に任せた方がいい、官業ということは最小限度に抑えるべきだという考えは基本的に持っております。  同時に、郵便貯金というのが簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させるということで、郵便局皆さんは非常に熱心でありますから、事業意欲も旺盛であります。貯蓄手段だけでなく、今は与信業務にも非常に積極的に力を入れる意欲を持っておられる。民間金融機関と同じようなこともやって、それだけ多くの市民に喜ばれている。この旺盛な意欲というものを何とかもっと広く活用できないか。資金もどんどんどんどん国の財政投融資に集まってくるのも、いい面もありますが、同時に、そうなりますと民間に行かなくなる。そうすると結局また民間活力をそぐ形になる。  そういう点もあって、これは今の郵便局職員のあの努力、奮励ぶり、仕事ぶりを考えると、非常に旺盛な意欲があるな、これを何とかいい方向で、民間金融機関と競争したいならば本当に同じ立場で競争させることによって、もっと民間活力を発揮できるようなことはないだろうか。そういう点も含めて、この郵便貯金というのは見直してもいい点があるんじゃないかというふうに考えたからあのような一連の発言になっているのだというふうに思います。
  101. 大木正吾

    ○大木委員 私は、官業民業という問題について、ぼちぼち卒業したいという気持ちがあるのですね。むしろ大臣が本当に、バブルがないようなもっと平常な経済状態の中で、そしてやはり産業資金が乏しいからとか、あるいはそういった面で資金量が乏しい、足りないとか、そういった立場でもって、もっと企業の努力なり企業の繁栄というもののために、産業資金をふやすためにどうしても郵貯を抑えて民間銀行資金を豊富にしよう、こういう気持ちが経済論理の中でもってあるとすればあなたに一遍聞いてみようと思ったのですが、どうもそうでもないような感じなものですから改めて問うのです。  結局、国民の側からしますと、預貯金はみんな国民、個人のものですね。そうしますと結果的にはやはり、安心、同時に信用、もう一つ利息ということもありますけれども、実は調べていきますと、郵便貯金をやる方々の希望、選択を聞いてみますと、金利問題というのは三位か四位になってしまって、やはり安心、便利とかそういったものが優先するのですね。  ですから、そういった点を考えていきますと、官民の問題でもって私は問題を片づけることは、中曽根民活のころは別ですけれども、どうも今では、やはり特にバブルの前後から今日の状態を見たときには、少しく問題は短絡に過ぎないか、こういう感じがするのですね。大臣、一考に値しませんか。
  102. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そういう意見もやはり傾聴に値するものがありますし、これからいろいろな意見官業民業役割分担というのは政府全体の仕事でもありますので、広く議論していく必要があるのじゃないかと思っております。
  103. 大木正吾

    ○大木委員 先ほど川崎委員からもお話があったのですが、私も逓信委員会に大蔵から帰ってきたのが二年ぐらい前なんですね。この年次別の附帯決議をずっと拝見いたしますと、毎回の貯金問題審議の際に、郵便の最高限度額を上げろとか量をふやせ、そういったことがたくさん出てくるわけですよ。そうしますと、逓信委員会におったり大蔵委員会におったりしまして戸惑う点もあるのですけれども、もう少し日本の経済全体、産業全体を見た目で識見を持っている話ならばわかるのですけれども、どうもやはり官業民業を圧迫するとかそういったことでは、逓信委員会議論の経緯からしますとちょっと乗り切れぬという感じがしますので、大臣、一言申し上げておきたい問題ですね。  それから、エコノミストの九月八日号ですが、野村総研の理事長をやっていた方ですけれども、大蔵省元銀行局長の方、名前は出しませんが、この方が百六十兆の郵便貯金民営化はもうだめだ、できない、こう言っていますね。これは知っていますか。
  104. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 その方が言ったとはわかりませんが、多くの人の中で、もう遅過ぎる、できないと言っている方が随分大勢いるということは知っております。
  105. 大木正吾

    ○大木委員 これは大蔵省の非常に著明な銀行局長であって、野村総研の理事長をやっていた方ですから、私もじかに会ってお話ししたことがあります。これは二万四千店舗特定局全部含めてですけれども、例えばの話が、二万四千店舗特定局だけで一万九千ぐらいありますか、その土地と店舗と建物、そういったもの全部を国が何年かの計画で買い取るとしますと何十兆と金がかかるのですね。  だからそういったことも不可能でしょうし、同時に、さっき話もたくさん出ましたけれども、特定局の場合には、例えばここにいる定員の数は三・五人とかそういった端数をもって切っているのですね。ですから三業務全部、忙しいときにどこでもできますし、貯金郵便保険も全部やる、こういうシステムですよ。同時に、家族従業員という方がおられまして、そして、あそこには奥さんだとか子供さん方が働いたりしておりますね。職住完全に一致ですよ、この場合。そういった幾つかのメリットがありますから、個別の業務で赤字が若干出ましても何とか支えてくれる。  そういった状態を考えたときに、私たちは特定局の構造というのを見たときに、その一事だけでも民営化ということはできないと思っているのですね。その辺はどう考えますか。
  106. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、いろいろな識者の意見も求めていろいろな意見を出して検討すべきじゃないか、私個人が言ってもどうなることでもありませんし、広く議論をする問題ではないかな、こう思っております。
  107. 大木正吾

    ○大木委員 大体、意見を聞いていますと、大臣の年末の大臣就任前後の発言は、相当トーンダウンと言うと失礼に当たりますけれども、自分個人の意見をしゃにむに通すというお気持ちじゃないということははっきりしたと思うのですが、そう確認してよろしゅうございますか。
  108. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 年末のマル優の問題以来私は、自分意見意見として言います、しかし決まったことには従いますということで通しているわけでありまして、大臣として議論は言います。しかし、大臣個人の考えを無理やり押しつけるという気は毛頭ありません。国民全体の立場でどういう結論が出るか、議論していくことによって問題点も明らかになってきますし、落ちつく先が出てくるのじゃないか、そういう広く議論の場をつくって一番いい方法を採用していく、これがやはり大臣の責任ではないかなと私は考えております。
  109. 大木正吾

    ○大木委員 結論的なことに入っていきますと、もう一遍伺いたいのですが、郵貯のそういった見直し大臣の持論だけれども、他の方々の意見も総合して、例えばこの委員会ですね、委員会の各委員と相談した上、合意がなければ踏み込まない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  110. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それはたとえ民営化の結論が出たとしても、法案を国会に出さなければなりませんから、国会の意思というものは最高に尊重されなければなりませんので、そのためにもいろいろな意見を聞く必要があるということを言っているわけであります。
  111. 大木正吾

    ○大木委員 予算委員会でもって総理が抽象的に答えるような答弁では困るのですよ。発想される前に、あなたが使っている各局長さん方、そういった方々を含めて、やはりまず郵政省として案をつくるわけでしょうが。ここにありますが、第三者機関、あの発言もございましたね。新聞ですからどうかわかりませんけれども、こういったものは現に諮問されているのですか、それともこれから諮問する予定ですか、どうですか。
  112. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今省内で勉強しているところであります。諮問とかそういう問題ではない。いろいろな意見を、省内の意見あるいは外部の意見、勉強していこうという段階であります。
  113. 大木正吾

    ○大木委員 法案になりまして出てきてからここでもって審議しようといいましても、これはちょっと困るのですよ。だから、やはり法案になる前が大事なんでして、そういった段階で、やはり他の人の意見を十分に聞いた上で問題考えてもらいたい、こういうことが私ども希望ですから、それはどうですか。
  114. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 もちろん私自身、個人の浅学非才郵政事業全体、財政投融資全体、行財政改革全体、とてもできる相談ではありません。また、その能力もありません。だからこそいろいろな専門家の意見を聞く必要がある、広く議論をする必要がある。そしていい結論の方に持っていって、それを国民生活のためにどうやって国会の審議をいただくかということになっていくのではないかと思います。
  115. 大木正吾

    ○大木委員 余りすかっとはしませんが、十二月の当時の発言とは大分違ってきていますから、この辺にしておきますが、ただ、大臣、最後に申し上げておきたいのですが、私は、宮澤さんのおっしゃるように生活大国とか、さらには企業本位から生活者中心とか、みんな、各党の幹部の方々はおっしゃいますよね。やはりそういった社会なり経済なり産業の動向等が国、国家全体的に変わっていく段階ですから、やはり官と民の比較、経済効率、そういったことは当然のことなんでありますけれども、余り頭からかぶした議論はやめた方がいい、中身に持っていったらいいと思うのですね。  もう一つは、地方の時代とか高齢者時代とか国際化時代とか、たくさんございますが、そういったところで見たときに、何といっても、生活者本位とかあるいは生活大国という場合に、日本で一番おくれている問題は生活面の社会資本の整備ですよね。そうすると、やはり財投というものもこれはなくするわけにいきませんし、財投資金になる郵便貯金というものも必要ですから、そういった面で、二〇〇〇年に入る段階ですから、従来の手法から民間中心でもって何でもいけば効率がいいのだ、こういった考え方を少しく転換すべき時期に入る、こういうふうに見ているのですね。ですから、大臣のそれは、非常に長い歴史的な経過からしまして、郵貯民営化問題とか、そういったことは絶対的にやるのだ、こういう気持ちではなく、全体の政治なり国民のニーズも変わっていますから、そういった面で物を見直すということについて、大臣の所見を少し聞いておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  116. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まさに今いろいろな制度見直しが必要でありまして、基本的には、日本がここまで発展してきたのは自由経済、市場経済、これがうまく機能してきたからだと思うのであります。これからもその民間活力をどうやって生かしていくかというのは政治家としても意を用いなければなりませんし、そういう制度が、今まで制度がよかったからといって変えないでいいかという点も含めまして、いろいろな制度見直しが必要じゃないか。その一環として今回の郵貯問題等、これもいろいろな意見を聞いて見直す点があるとすれば見直していく必要があるのじゃないかというふうに私は思っております。
  117. 大木正吾

    ○大木委員 今回の一連の発言に絡んで、私、一言これは最後にお願いですけれども、さっき武部さんもおっしゃったのですが、私自身が全逓の出身ではないのですね。全逓の委員長、書記長さんと年末にお話しいたしまして、ちょうど大臣発言のときが年賀郵便配達のピークだったわけですよ。あれでがくっときまして、どうしようかという話もあったのですね。だから、年賀状がもし元日に着きませんとまずいわけでありますから、大臣に対しても要請書を出しまして、同時に官房長官にもお願いをしたのですね。  そういった経緯がございまして、常に三十万人の郵政職員が働いているという現場の状態ということをやはり頭に置いていただきまして、そこが揺れますと仕事がうまくいきませんので、しかも一時と違って物すごく労使協力でもって頑張っていますから、そういう点について御認識を新たにしていただきまして、これからの発言につきましても配慮を願いたい、こういったことを最後にお願いして、大臣の所見を伺って終わりにします。
  118. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私も就任以来、短期間ではございますが、東京中央郵便局とか大阪中央郵便局とか現場視察させていただきまして、改めて職員の精励ぶり、また、日夜を分かたない、人が休んでいるときでも休めない、こういう事業の重要性を再認識した次第であります。こういう努力があるからこそ、この郵便局郵便制度というのは多くの国民から信頼され、愛着を持たれているのじゃないかということを痛感した次第であります。
  119. 大木正吾

    ○大木委員 終わります。
  120. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御苦労さまでした。  次に、上田利正君。
  121. 上田利正

    上田(利)委員 今まで川崎委員それから武部、大木委員大臣との質問、やりとりを聞いておりまして、私はちょっと方角を転向しまして、大臣の今までの記者会見あるいはマスコミ発言等を通じて、郵政事業に働く三十万の職員と、それから一万九千五百の特定郵便局がございます。先ほど答弁の中でもちょっと大臣からも指摘されましたけれども、その特定郵便局長以下物すごいエネルギーで地域の福祉の増進のために頑張っておるわけなんです。同時に、郵便貯金を愛して、そして郵便貯金を信頼をして、今日、明治八年以来約百二十年間郵貯事業に、郵便事業に協力していただいているお客様、本当にお客様を大切にしなければいけないのです。そういう人たちの声を代表して、これから短い時間でございますけれども、大臣考え方をただしていきたい、お聞きをしていきたい、こう思います。  その前に、先ほど武部委員とのやりとりの中で小泉郵政大臣は、財投問題で討論がありました。その中で財投問題について、預託金利が高いではないかというような答弁を大臣はされました。すなわち、郵貯の預託金利をもっと下げれば、その分利子補給が少なくて済むというようなことを言われたのですよね、あなたが。武部委員郵政事業は何も税金を一つもいただいていないぞ、言うならば国の税を使っているんじゃないぞ、こういう質問の中から大臣はそういうことを言われました。これは私の知っている範囲の中では大変な間違いだと思うのです。間違いなんです。  国が調達する金利でもっと低いものが、このものよりも、郵貯よりもあるならば、何かちょっと示してもらいたいというのが一つ。  それから、郵貯は各種金利の中で最も低い預金率で預けている。その郵貯のために預託金利が高くなっているかのごとき、そういう大臣発言については撤回をしていただきたい、こう思うのです。わからなければ事務当局から聞いて答えても結構です。この部分だけについては、聞いて答えても結構です。許します。
  122. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は一つの例として挙げたわけでありまして、預託金利を下げることによって、もっと低利で住宅金融公庫の金利も変えられる、あるいは国民金融公庫の金利も変えられる、それが低ければまた一般会計の負担も低くて済む、そういう検討もしていいのではないかということを言ったのは事実であります。
  123. 上田利正

    上田(利)委員 それはそうですよ。低ければ、限りなくゼロに近ければいいんですよ。それでは郵貯事業も成り立たないわけですから。  しかし今、民がいいんだ、民がいいんだと大臣はおっしゃってきている。セミじゃないけれどもミンミンミンミン言っている。そういう中で、官は悪いようなことをおっしゃってきて、そしてその金利についても、もっと預託率を下げればいいんだなどと言う。一番今低い形の中で、結局政府、財投はその中で、公共投資や福祉やあるいは環境や、そういうものに全部これが充当されて非常な成果を上げているわけですから、これが民になってみればもっと上がっちゃうんですよ。下げるどころの話じゃないんです。  ですから、そういう詭弁的なことでなくて、そうとられたら間違っておったと、こういうふうにちょっと答弁してくださいよ。
  124. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いや、民営になったときと現在ということとは、また議論が別だと思うのです。現在民営になってないのですから、私は、現在すぐ民営にしろとは言っていません。そういう現時点におきまして、預託金利が低くて済めばもっと国民負担は少なくて済むということを言っているわけであります。
  125. 上田利正

    上田(利)委員 そんなことは当然のことですよ。じゃどのくらい下げられるんですか、郵政大臣として。言ってください。
  126. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 どのぐらい下げるかというのは私は言っていません。そういうことも検討していいのではないかということを言っているわけであります。
  127. 上田利正

    上田(利)委員 郵政事業なんですよ。事業なんですよ、郵政といえども。よろしゅうございますね。ぎりぎりの段階で、今低利でもってこれを財投に預託しているわけなんですから、今はすばらしいと言ってもらわなければ、さらに努力すれば下がることもできるでしょうけれども、何かしら官が悪くて民がいいような、あなたは常に頭にそういうものがあるのです。そこをもう一度。はっきり言ってください。
  128. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 官が悪いとか民がいいとかいう問題ではなくて、私が言いたいのは、官業民業役割、こういう点はいろいろな時期において見直していいのじゃないか。官のやること全部悪いなんて言っていませんし、官がやるのは必要だからやっているわけです。公共的だからやっているわけです。そういう点で、しかし民間でやれるものは民間に任せていってもいいのじゃないか、また民間活力を活用するという点からも、そういう民営でできる分野というのは民間に任せていった方がいいということを言っているのであって、官が悪いとか民がいいとか、あるいは逆なことなんというのは、私はそう言った覚えはありませんし、そういう気はありません。
  129. 上田利正

    上田(利)委員 時間が制限されておりますけれども、いずれにしましても、官と民とは共存しながら、競争しながら、そして国民生活に寄与していく、あるいは個人の預金者についての利益も守っていく、こういうことだと思うものですから、やはりそういう点をしっかりと、郵政大臣としては基本的なスタンスとして置いていただかないと、どうしても郵政大臣発言というのは世間の中でさまざまな憶測を呼んでいくということになりますから、ぜひそういう点については今後配慮をして発言はしていただきたい、こう要望事項を申し上げておきます。  そこで、私、甲州でございまして、私の大先輩では金丸信元代議士がおりました。若干の問題で議員をおやめになりましたけれども、あの金丸信私の大先輩でございますけれどもときどき甲州弁を使いますけれども、甲州弁の中で、おまん、あるいはおまんとうという言葉があります。おまん、おまんとうというのは個人でございます。おまん、知らんもんほど強いぞ、こういう言葉がある。解説すれば、あなた、知らないものほど強いですねという、大臣も神奈川ですから、甲州弁もよく存じておるのじゃないかと思うのですけれども、近隣ですから、そういう甲州弁があるわけなんです。  私の私的なことを申し上げてはいけませんけれども、私のうちでも大を飼っておりまして、柴犬でございまして、非常にかわいいのですけれども、知らない人が来ると必ずほえるのです。知っている人が来ればほえないのです。だから、知らぬ者が来るときは強いのです。甲州弁もそんなところからきたのかなと思っているのですけれども。ただし、私が飼い主で出ていって、犬には、この人はこれでいいんだぞ、ほえるんじゃないよと言うと、においをかいでそのうちになれてきて尾っぽを振る、こういう犬の習性でございますが、次に二度、三度来ると今度は絶対ほえないのですね。  そういう中で、郵政大臣、先ほどからお聞きしておりますと、今各局に指示をされまして勉強会をされているということなんでございますが、非常に結構なことだと思うのです。本当は記者会見でいろいろさまざまおっしゃる前に、やはり勉強会をしていただいておけばよかったな、郵政大臣、すばらしい郵政大臣ですけれども、もっとすばらしいなと思われたのじゃないかと思って残念に思っているのでございますけれども、その勉強会の成果は、大臣就任してもう四十日間になりましたけれども、かなり成果があったのじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。所感をちょっとお伺いしたいと思います。
  130. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 みんな役所の人たちは勉強家でまじめですから、勉強会を始めてよかったなと思っております。
  131. 上田利正

    上田(利)委員 どうですか、認識は。当初御就任されたときよりも大分お変わりになったように自分自身として、大臣思っておられますか。
  132. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 やはり勉強すべき点、見直すべき点はしなければいかぬという気持ちで取り組んでおりますので、勉強というのは非常にいいものだと、同じような姿勢で勉強に取り組んでおります。
  133. 上田利正

    上田(利)委員 本当に少し私も安心をいたしました。ぜひそういう気持ちを大切にしていただきたいと思うのです。  私は、本委員会の中でときどき触れておりますけれども、人間というのは主張すべきときは主張しなければならない。しかしまた、間違ったときにはそれははっきり間違ったと言わなければならない。そして、やるべきときにはやるのでしょうけれども、やはり人間は謙虚ということを忘れてはだめだ、こういうことを私いつも言われてきておりまして、本委員会でも申し上げましたけれども、大臣、ぜひ謙虚という言葉も頭の片隅に置いておいていただきたい、こう思うのです。  そこで、話はちょっと飛躍しますけれども、政策集団で、シリウスという政策集団があります。何か横断的なようでございますけれども、人ごとのようなことを私は言っておりますが、私は加盟していないから言っているのでございますけれども、そのシリウスというのは星座というか星のようでございまして、余り私は星を見ている時間もございませんけれども、ある元社会党所属の代議士が留置場におって、そこからシリウスを見て、それに慰められていろいろやったというようなことの中から何かシリウスという集団が出たようなんですけれども、これは中国で申しますとテンロウと言われまして、天の狼と書くわけでございます。  この天狼というシリウスでございますけれども、ここに山口誓子という俳人がいらっしゃいまして、その同人誌に名前が「天狼」という題名がついているのです。それを主宰をしておりまして、その同人誌の句の中に、ちょうど今ごろ、ことしは暖冬でございますけれども、氷の張った池の中のコイの状態を詠んだのだと思うのですけれども、「寒鯛の静にむきをかへにけり」というふうな句がありました。今大臣の顔見ながらちょっと思い出したのでございますが、何事をやるにも、その寒い中での氷の下のコイが向きを変える場合に、ばちゃっと変えると、これはコイの性格上からいくと命取りになることもあるということ、あるいは地震やなんかのときには大変な状態になることもある。ですから、大臣の今までの記者会見あるいはマスコミでの問題、それから三人の先輩の皆さん方が先ほども討論をされましたけれども、大臣どうでしょうか、「寒鯛の静にむきをかへにけり」ですね。いい句だと思うのですよ。大臣、どんな感じがしますか。
  134. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 なかなか含蓄の深い、博学ぶりを感心して聞いていましたけれども、いい句だなと。  確かに、就任以来全く逆の方向で戸惑いを与えたのは事実だと思います。だからこそ、一カ月ちょっとたちましたけれども、向きを変えるか変えないかわかりませんけれども、いろいろ与える影響が大きいものですから、じっくりと勉強して、誤解を与えないような形で少しでも新しい時代に対応できるような改革ができればなというふうに考えて、今じっくりと勉強し、いろいろな方の意見を聞いている最中であります。
  135. 上田利正

    上田(利)委員 本当にほれぼれするような答弁をいただきました。ただもう一つ、念押しといってはいけませんけれども、私、申し上げておきます。  本院でも四、五年前に一度使いまして、議事録にあるかどうか、ですから余り使いたくないのですけれども、甲州でいつも言われることに、そういうことだけはなっちゃいけないぞということがあるのです。この間、私、自分の党のある大会でちょっと言いましたら、それがえらい流行語のようになっておるようでございますけれども、ナマズのほおかぶりというのがあるのです。大臣のお耳に入っているかどうかわかりませんけれども、もう時間がないから私が解説してしまいます。  ナマズのほおかぶりにはなるな、ナマズのほおかぶりはだめよ、小さいときからこういうおやじの教育を私は受けてまいりました。甲州は大体そういうことで、金丸信さん以下、ナマズのほおかぶりにはなってはいけない、だからあの人はやめたのだと思うのですね。ナマズのほおかぶりにはなってはいけないからやめたのだと思う。そこのところは立派だと思うのです。というのは、ナマズというのは口が大きくて頭が大きくて、ウナギや蛇はずっと丸くなっておりますけれども、下へいきますと細くなるのですね。あれはなかなか下の方は余り食べるところがなくて、頭の方と口は食べられる量は多いようでございますけれども、そのナマズにほおかぶりをさせますと何が見えるかというと、ナマズにほおかぶりですから、何ぼほおかぶりをしても、ほおかぶりは隠すということなんですよ、ところが、やってもナマズの口が大きいものですから、口だけ見えるから、口ばっかりということになるのですね。  ですから、静かに向きを変えにけりということも、今御答弁いただきましたからよかったなと思いますけれども、念押しで、大臣、ナマズのほおかぶりには決してならないように。この所感もちょっとお聞きをしたい。
  136. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 初めて逓信委員会で答弁するものですから、褒められているのかしかられているのか、ほおかぶりさせられているのかわかりませんが、やはり政治の場にいる者として大事なのは、口だけじゃない、有言実行。言うからには、しっかりと信用されるような行動をとらなきゃいかぬなというふうに考えております。そして、大臣としての立場から、多くの郵政事業を抱えている責任者の立場としても今後どういう点を改革すべきか、またどういう点のよさを残していくべきかという点もじっくり勉強いたしまして、引き続き皆さんの御理解と御協力が得られるような発言と行動をしていかねばならぬなというふうに、今いろいろな御意見を聞きまして感じております。
  137. 上田利正

    上田(利)委員 大臣に就任した当時のことの有言実行ではないと確認いたしまして、私は、静かに向きを変えるということを含めての有言実行、こういうふうに受けとめておきますから、ぜひそんなことで、また勉強会も通じながら、すばらしい郵政事業を築き上げていただきたいと思います。  褒めさせていただきましたけれども、そのくらいにさせていただきまして、本論に入らせていただきます。  十二月十五日のある新聞社の新閣僚に聞くというインタビューがございまして、それを見ましたところ、高齢者等の少額非課税制度、いわゆるマル老でございますけれども、大臣は、このマル老の限度額引き上げについては全く理解できない、これが一つ。全くですよ、全く理解できない。またもう一つは、非常識であるとさえ思う、こう断言されているのです。これは本当に静かに向きを変えるどころの話じゃないのです。  私これを見まして、これは郵政大臣としては大変なことだ、とんでもないことだと。郵政省三十万人、これが会社で、あなたが言ってきました、もう好きじゃないと思いますけれども、今まで好きだったと思われる民間会社だとしますと、郵政大臣というのはやはり社長ですから、代表権を守る社長、三十万の職員の社長、そういうトップの座におられる公人といいますか、公職人と申しますか、そういうあなたがこういうことを言われたわけです。限度額引き上げということは全く理解できない、それからもう一つは、非常識であると思う、こう言っている。  そうすると、先ほどもいらっしゃいましたけれども、歴代の大臣、特に前の渡辺秀央郵政大臣、きょうもいらっしゃいますけれども与党自民党の通信部会等、いわゆる郵政事業、通信事業、そういうところに所属され、そして勉強しながら一生懸命郵政事業に国会議員という立場で対応していただいておる先生方、すべてが非常識者ということになるのです。非常識者、みんなだめということですね。大臣なんか特にだめ、渡辺郵政大臣なんかとんでもない非常識者、こういうことになるわけです。また、郵政省におる事務次官以下もみんな非常識者、こういうことになってしまう。  そしてさらに本院が、逓信委員会におきましても、先ほどから御意見が出ておりますように、本院が再三再四にわたってこのいわゆるマル老問題等につきましては、真剣に真摯に論議をして、その都度附帯決議等をつけながら早期に実施をしていこうじゃないか、そういうことで百二十三通常国会では、この附帯決議も含めまして本会議にこれが上程され、当時の常任委員長がこの討議模様を報告をして、そしてこれが本会議において可決をされておる。そうすると、大臣の非常識論をここへも当てはめますと、本会議で決めたなどというのは全く非常識、こういうことになり、委員会も非常識、こういう形になる。我が国の国会そのものが、全体がもう非常識ということになってしまう。  大臣発言というのは、やはり今までの大蔵省関係が多かったというようなことでございますけれども、大蔵省の関係で御発言されているときと郵政大臣という、この職権をお持ちになり、国の行政を統括していく、法律を執行していく、こういう大臣発言であるだけに大変な問題だと思うのです、私人として行ったのではないわけですから。  そこで具体的に申し上げたいのは、国会議員手帳にもございますけれども、憲法七十三条には、内閣は「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」、こういうふうに明確に規定している。そのほかの規定もたくさんございます。さまざまな法律がございます。「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」とか、さまざまなものが規定をされておるわけですけれども、郵政大臣大臣として法律を誠実に守っていかなければならない、執行していかなければならない、こういう立場にあるのですけれども、あなたはこれは守るのか、守らないのか。法律を守らない大臣が常識で、守る者はすべて非常識というようなことでは大変なことになります。これを守るのか、守らないのか、何で非常識などということを言われたのか、この点をまずお尋ねしておきます。
  138. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 議論の過程としては、いろいろな議論があります。しかし、決まったことに対して従うのは政党人として当然ですから、今回、昨年の暮れの税制改正作業で三百五十万に引き上げが決まったわけですから、これを遂行していくように大臣として努力するのは、これまた当然だと思います。しかし、今ここで議論の経過まで言う気はございません。
  139. 上田利正

    上田(利)委員 いや、三百五十万問題はまた法案が出てくれば論議しますから横に置いていただいて、問題は、国会が長い間——みんな国会議員バッジを同じでつけているわけなんです。まあ当選回数多い少ないはあるでしょうけれども、権限は、みんな国民から選ばれて、それで国民立場に立ってやっているわけですから、それがこの委員会というものである。あるいは本会議にこれはかけてそれはやらなければできない、そういう国会法になっておる。  そういう過程をずっと踏んできながら、あなたは十二月の上旬に郵政大臣に御就任された。そうしたら途端に——今までの長い歴史、過程、あるいは歴代の郵政大臣あるいは常任委員長、この逓信委員会での審議の状況、あるいは附帯決議の問題、本会議での可決の問題、そういうものを知っておられる。きのうきょう国会議員になられた小泉大臣じゃないのですから。もう長い歴史を持っておる。  しかも、私ちょっと新聞で見ましたら、小泉家では三代にわたって国会議員をやっておられる。おじい様も戦前に逓信大臣をやられてこの郵便事業のために本当に貢献された、すばらしい業績を残された大臣、副議長もされておられる。あなたはお孫さんになるわけでございますけれども。そしてお父様も、ちょっと早くお亡くなりになって残念なことでございますけれども、大臣もなされたという、こういう中での経歴をお持ちで郵政大臣になられたわけですから、そのあなたが、こんなものは非常識だというような、引き上げの問題は一歩横に置くといたしましても、非常識だと思う、こういう記者会見でのことを言われる。これはちょっと大変な問題だ。今までの分を全部否定するわけですから。その過程のことを言っているのでございます。  訂正するお考えはございますか。
  140. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 議論の過程としてそういう発言をしたことはございます。しかし、決まったことになって、今あえてここで蒸し返すのもどうかと。撤回する考えはございません。
  141. 上田利正

    上田(利)委員 撤回する考え方はないと申しますとすべて私どもが非常識ということになってしまう——いや、限度の額の問題は横に置くと今私申しました。大臣になったら——長いキャリアを持っておられる、そして三代にわたって国会議員もなされておる、お父様の教育も受けておられる、おじい様のと、こういう中のあなたですから、私よく知らないで非常識とちょっと言ってしまいましたということではないでしょうし、それは十分知っていながら今までの論議過程は全部非常識だ、こういうふうにだれだって見ますよ、これは。見ますよ。記者会見で、いや私も勉強してもう少し検討してみなければわかりませんというのが普通でしょう。非常識だなどということは、今までやったことが全部非常識ということなんですよ。ここを言っている、ここだけを。ここはどうでしょうか。
  142. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、当時の党内の議論の場で私は今まで皆さんがやっていたこととは反対意見を申しましたから、それは意見として政治家としてどういう意見があろうとも私は自由だと思うのです。それで決まった。決まったことに私は従いますということだと思います。
  143. 上田利正

    上田(利)委員 いや、そんなことは、決まったことに従うか従わぬか、それは本人の意思でしょうけれども、従う従わないの前に。そうでしょう。あなたが今まで大臣になる前の中で大蔵部会やその他の中でやられていることであれば結構なんですよ。あなたが郵政大臣になって、郵政大臣に聞くというインタビューなんですよ、抱負も含めて、その中で非常識と言っているのですから。今度は私の言っていることがよくわかりましたね。これは今そのことを私どもが——その非常識ということはまだ変わっていませんか。
  144. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは郵政大臣の個人の考え方も申し述べたわけでありまして、それをどういうふうに決めるかというのはいろいろな方と議論して決めるわけであります。今まで言ったことを否定しろと言われても、これは私の意見ですから否定しようがない。政治家としての意見であります。しかし、これは個人の意見だった、多数に従うのがこれは政治家として当然だと。自分意見が全部通るとは思っておりません。むしろ自分意見の通らないことの方が政治家として、政党人として多いでしょう。それはそれとして割り切って進めていくのも必要じゃないかなと。ですから、今までの発言をどうこう論じてここの場でやるのが果たしていいのかどうか、ちょっと私は疑問に思っているのです。それで、大臣個人の意見としてという今までの発言をとらえられて撤回するのかどうかと言われても、経過ですから、これは何ともしようがない、政治家として。
  145. 上田利正

    上田(利)委員 もうこれは絶対に私ももう最後まで、死ぬまでやりますよ、私はこれは。  私が言っていることは、政治小泉純一郎ならいいのですよ、それを言うのだったら。その中では堂々と意見を吐くのは当たり前のことですよ、こんなものは。あるいは、この委員会の中だって言うことがありますよ。その中で、過程がずうっとあって、本委員会でもやり、大臣の答弁もあり、あるいは政府委員の答弁もあり、それから最後には附帯決議までつけて確認をしてという、こういうルールを踏んできているのですよ。額がどうのこうのということは別にしましても、マル老の問題点については、やはり引き上げる方向でということで方向が出てきているのです。その額が多いかどうかということは、郵政大臣として今後一つの法案として出す問題ですから、あるでしょう。あるいは与党としての中で協議しなければならぬ、あるいはやらなければならぬ一つのルールがあれば、そ中でやっていく。それに決まればそれに従いながら法案を提出してくるということになると思う。  ただ、私が言っているのは、あなたが郵政大臣に就任をして、そのときのマスコミの新聞社の各新大臣に聞くという中の郵政大臣に聞くという中で、このいわゆるマル老と言われるものについてどう思いますか、こう言ったときに、あなたはそれについて、二つ目の問題点として、これは非常識だと思う、こう言われている。これは、個人である政治家である小泉純一郎じゃないのですよ。郵政大臣として聞かれておることですから。ここについてそう言われれば、非常識だと言われたものは全部今まで非常識なんだ、非常識になっちゃうんですよ。だから、私は死ぬまでこだわると言っているんだ。  そして、最初も言ったように、人間だから間違うこともある。勉強をもうちょっとすればよかったなというけれども、そうでなくて、すぐインタビューになっちゃったからやっちゃったとか、そういうこともあれば、人間には間違いなんか何ぼでもあるのですよ。だから、そこについてどうなのか、これは撤回するかどうか。一歩譲って私が申しますと、あのときのインタビューのときの郵政大臣としての答えとしては適切な表現ではなかったとか、このくらいのことはあなた言わなければ、もう永久にこれは平行線ですよ。普通でいえば戦争ですね。戦国時代じゃ。そういうことになるのです。はっきりしてください。
  146. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 確かに、三百万円を引き上げる必要はないということで、当時郵政大臣としても持論を述べました。また、私と全く逆な意見の方もたくさんいました。結果的に、いろいろ議論をした結果三百五十万円になったわけであります。それはそれで結論が出たわけですからいいのじゃないでしょうか。(上田(利)委員「額なんか一万円でも五万円でもいいんですよ。そんなこと言ってませんよ」と呼ぶ)ですから、その過程の議論大臣として意見を述べたということを撤回しろと言われても、これはちょっと私にはできないと思うのですが。
  147. 上田利正

    上田(利)委員 撤回しなければ、こっちがみんな、歴代の大臣もどうにもならぬばかばかりいたということになるのですよ。国会軽視も甚だしいということになる。  時間がないから、これから通常国会が明後日から開催されまして、そして百五十日間、六月の二十日ごろまでありまして、本委員会も毎週水、木と、木曜日は半日でございますが、ありますから、その際に、もうこれだけでもいいから毎週毎週でもやるようにいたしまして、これは改めて、時間の関係で後送りにしておきます。  それで、もう時間がなくなりましたから最後ですけれども、たしか十二月十五日だと思いますが、ここにも新聞記事その他がございますけれども、きょうもおいでをいただいておりますけれども、当時郵政政務次官として本当に郵政事業発展のために、国民の福祉増進のために御貢献されました当時の政務次官、笹川堯先生。みずからまた委員会委員として、あそこに座っている政務次官がこちらへ座っていただく、こういうことはもう私も敬服しておる一人でございます。その笹川先生がいらっしゃって申しわけないのですけれども、私も信念で申し上げる。あなたも信念ということを言うから、それがお好きのようでございますけれども。  今までの例で、国会の歴史の中で、新しい大臣が任命され御就任されて、そして今まで一年なり一年半やっておられました政務次官がまだ交代しない段階の中で一この大臣と政務次官というものは一体なんですよ。女房以上の関係でいくのですから、夫婦以上の関係でございます。そういう中で、もう前になってしまいましたけれども、当時の笹川政務次官が辞表を出した。三十万の人の立場に立っておれが一人泥をかぶって、そして、何ぼ郵政大臣とお話しをしてもと。だから今の問題もそうだと思うのですよ。そんなことも言われたかどうかわかりませんけれども、非常識、非常識じゃないぞなんというようなことが言われたかどうかわかりませんけれども、そういう中でおやめになったのです。今までに例がないことなんです。そして最終的には、きょうごあいさついただきました新しい政務次官が選任された。こういうことでございます。  これも、今までの我が逓信委員会の中では、逓信委員会というのは本当に良識の府みたいなものでございまして本当に気合いを一致して、かあっとやってきた百二十年の歴史、まあ国会はそんなにございませんから百年ちょっとでございますけれども、それの中にあなたは石をぶち込んで、それも小さい石じゃなくてでかい石をどこどこどこどこ、そして政務次官がおやめになるという。これに対してどんな気持ちを今お持ちになっておりますか、お聞きをしたいと思います。
  148. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 政務次官には本当に迷惑をおかけしたと思っております。まあ、非常に混乱を与えたことは事実でありますし、政務次官としての信念を通されて、どうしても辞任したいと申し出がありまして、考え直してくれないかということではありましたけれども、どうしてもという御意志が強かったものですから辞表を受理したわけでありますけれども、その間、今までやってきたことたまたま新たに就任した大臣と違う意見だったということは、本当につらい思いをさせたなと思っております。また私自身も大臣として、今まで積み重ねてきたものに対して違うということに対しましても心苦しい気持ちはありましたけれども、やはり政治家として議論をしなきゃいかぬという問題議論をしたわけであります。ですから私自身は、議論をして出た結果には別にこだわってはおりません。
  149. 上田利正

    上田(利)委員 もう時間がございませんけれども、これも一つだけ聞いておきます。  今大臣考え方を聞きました。まだ私は納得できません。けれども、これはしようがないと思います。ただそのときに、笹川堯政務次官がおやめになる、ううん、おれにもこれも反省しなきゃならぬ点があったんだな、こう言って、心の中で思ったか口に出されたかどうかは知りませんけれども、そういう気持ちであるとするならば、政務次官がやめるんだったら、おれも大臣をやめようかな、やめて責任をとろうかな、こういう気持ちは少しもございませんでしたか。ちょっと最後に。
  150. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 そういう気持ちはありませんでした。
  151. 上田利正

    上田(利)委員 よくわかりました。  終わります。
  152. 谷垣禎一

    谷垣委員長 どうも御苦労さまでございました。  次に、鳥居一雄君。
  153. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣に対してさまざまなお考えを伺ってきたわけでありますが、郵貯に対してこれまで、昨年来大臣発言がございます。定額貯金、そしてまたそれを含めまして郵貯の見直し、今現在どういうお考えでしょうか。
  154. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 郵貯制度郵貯事業というのは、多くの国民から信頼され親しまれているのは事実でありますし、国民から多く利用されているわけですから、それは制度として重要なものだと思っています。と同時に、郵貯ばかりに民間の資金が集中すると、いろいろ国民経済の観点からも問題があるのではないか。この郵貯資金というのは、財政投融資全般の原資になっておりますので、行財政改革を考える場合にも非常に重要な問題だ、こういう点から一度見直す必要があるのじゃないかという気持ちを私は常に持っております。
  155. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 現在の郵貯は、もう既に御存じだと思うのですが、非常に零細な個人金融のシステムの中にあって大変大きな役割を果たしてきた、こういう評価だと思うのですね。昭和十六年に定額貯金というのがスタートをし、昭和二十四年以来大変なインフレの中で、国民の貯蓄という点からいきまして、なかなか貯蓄しにくい中で、昭和二十四年から初めて半年複利、半年据え置き、十年という今日に至る制度がここで確立をした。その後この委員会におきましてもたびたび、インフレに強い貯金を何とかつくらなければならない。しかも郵貯自体、通常貯金を調べてみますと、口座の数で平成三年度末現在八千五百万、一口座当たり十四万三千円、非常に零細な、法人ももちろん限度額の中で利用しているわけでありますけれども、法人は極めて少なく〇・九%、九九・一%といういわゆる個人金融という一つの使命を持った存在であったと思うのです。  それで、今日のこの郵政事業考えてみますと、全国あまねく、つまり二万四千局という、辺地における郵政事業というその公共性の上から、一つの国策としてこの事業がなされてきた。そして一方におきましては企業性の追求をやり、三事業一体という中で今日の成果を生んできていると思っております。この点につきまして大臣はどういう評価をされていますか。
  156. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まさに三事業一体という中でいろいろな成果を上げてきたと思うのであります。その点は評価しなければいけないことだと思っております。しかしながら、全体の国民経済ということを考えると、果たしてこのままどんどん郵貯事業が拡大していっていいのかな、当初は簡易な貯蓄手段としてのみこの郵貯制度が設けられた、こういう法の精神に照らして考えると、今の郵貯事業というのはちょっと質が変わってきているのじゃないかな、時代に合わせて法改正すべきかあるいは見直しすべきか、そういう点は、もっといろいろな方の意見を聞いてもいいのじゃないかなと私は思っております。
  157. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵貯の実績を見てみますと、個人金融の三〇%、これはこの十年こういう推移をずっとしてきているわけです。郵貯が三〇%、この三〇%が郵政大臣としては巨大とお考えでしょうか。いかがでしょうか。
  158. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 何%までならいい、何%までなら巨大である、何%までなら肥大ではないと言うのはなかなか難しいと思います。しかし、いろいろな旺盛な事業展開ということを考えていきますと、私は金利の面におきましても、国家の信用を背景にしているわけですから、民間のいろいろな事業を圧迫しないような配慮も必要じゃないかな、その点はいろいろな意見を聞いてみる必要があると私は思うのです。ですから、今のままでどんどん簡易で確実な貯蓄手段としての郵貯から若干変質しつつある機能を助長させていいのかという点も含めて見直す必要があるのじゃないかというふうに私は思っております。
  159. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 かつて、十年ほど前に銀行法が全面改正されましたね。明治以来の銀行法を、当時片仮名であったわけですけれども、これを平仮名に書き直しをするのだ、それで銀行法全面改正という作業の過程で、実はそれまであった貯蓄銀行法という法律が廃止になったわけですね。この貯蓄銀行法、我が国にありました非営利、つまり個人金融という市場を非営利で提供していく貯蓄銀行制度、これが普通銀行に全部淘汰される形でついに消滅したのがこの銀行法全面書き直しの時期でありました。諸外国を見てみますと、例えばドイツ、庶民といいますか個人といいますか、個人金融、利益を追求する法人金融とは違いまして、国民の福祉厚生、これを目的にいたしまして、非営利のいわゆる貯蓄銀行、まさにこの役割郵政事業の中で郵貯がその役割を今日まで果たしてきた、こういう重い意味を持っていると思うわけです。  昨年、バブルがはじけ銀行の経営上大変大きな問題が提起をされ、確かに銀行の預入額を見てみまずと大口の預入はマイナスになっておりますけれども、いわゆる個人金融として銀行に預け入れたというのは、これは数字がきちんと出ておりまして一定の評価がある。もちろん郵貯としての受け入れもありました。こういう推移の中で確かに資金がシフトしたというのは、一つには公定歩合連動という規制金利、これが期日指定預金、一方におきましては郵貯にありましたから、昨年末の改定によって本年六月から市場金利に連動させる、そういう制度で大蔵、郵政の間で合意ができ上がった。こういう事態の中で問題はすべて解消というふうに思うのですが、どういう御認識ですか。
  160. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 金利自由化になりますと金利というのは市場の実勢に任せなければならない。一方で郵貯というのは国家の管理のもとで市場実勢とは別な金利がつけられるとなると、自由化という意味がなくなってしまうものですから、そういう金利の自由化に対して阻害ないような話し合いが必要じゃないかな、私はそういうふうに思っております。
  161. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵政事業の中で、いわゆる貯金、郵貯、この自由化は大蔵との間の合意を踏まえながら今日まで進んできておりますし、昨年末、十二月二十五日だったと思いますが、定額貯金につきまして従来の公定歩合連動から市場金利連動に合意を見た。これで最終決着じゃないのですか。金利の自由化であとどんな問題が残っているのですか。
  162. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 その辺は、今後どういう問題があるか、それぞれ郵政当局あるいは大蔵当局、話し合いが必要じゃないか。これからどういう金利自由化体制になっていくか、昨年の暮れに大蔵、郵政当局、決着しましたけれども、これからどういうふうに金利が動いていくか、しばらく様子を見ないといけないと思います。定額預貯金に対してはことしの六月ですか、そして通常預金に対しましても自由化体制になっていくわけですから、郵貯の金利設定が本当の市場実勢に沿ったものになるのかどうか、そういう点も含めて私はこれからもよく検討が必要だと思っております。
  163. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵貯が金利の自由化の障害になっているというのは全くの認識の誤りだと私は思っております。  それから、国の事業民業圧迫といいますけれども、この点につきましては、今日まで安定的に個人金融サービスというので特に郵貯の中でも定額貯金というのがその役割を果たしてきた。これからも続かなければならないだろうと思っております。その場合の金利については市場金利連動、新聞報道によっても月二回、変更する場合には変更できるように第一、第三月曜日、そしてその場合の金利の設定の仕方ということについても郵政、大蔵の間で合意ができ上がった。もう一つは、大臣が言う半年据え置きそして半年複利の十年という長期の貯蓄性、これが問題だ、こういう指摘がありましたけれども、これは民間で、郵貯の定額貯金になぞらえ競争をして新しい商品の開拓をしていこう、こういう意欲に立てばできない話じゃない。  法人企業対象にした銀行、利益を追求するそういう民間と、非営利で個人金融の確立を図ろうとする郵貯事業とはやはり比較にはならない話だと思うのです。安定的な供給という意味官業の果たす役割というのは無視はできない。貯蓄銀行の話をしましたが、貯蓄銀行役割を郵貯は我が国において果たしている。ドイツにおきましては非営利の貯蓄銀行が個人金融市場の五〇%ということでもあるようでありますし、この点についていかがでしょうか。
  164. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ドイツの例は定かに存じておりませんが、郵貯が貯蓄手段として深く定着しているのは事実でありますし、これは貴重な存在だと思います。同時に、今、貯蓄手段ではなくて民間と同じような与信事業も意欲的に取り組んでおるというのも事実であります。そういう点も勘案しまして、いろいろな話し合いをすることが必要じゃないかなと私は言っているわけであります。
  165. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 こういう資料があります。全国各地域の中でいわゆる過疎地域、過疎地域活性化特別措置法に基づいて指定されました地域、これを見てみますと、北海道百四十七自治体、以下日本全国に千百九十九あります。銀行等の民間金融機関店舗がない市町村、これが過疎地域の千百九十九のうちに五百九十三地域あるわけです。この金融機関がない五百九十三地域の中で、郵便局がないのは一地域だけ。つまり、この五百九十二地域においては民間店舗がないかわりに郵便局が重要な役割を果たしている、こういう現実があります。  民営化考えた場合に、今三事業一体という中でこういう辺地における活動ができている、これはもう間違いなく揺らぐ形になると思うのですが、この点、大臣どうお考えですか。
  166. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ですから、そういう三事業としての特殊性もあります。また過疎地域等、民間の金融機関がないところにも郵便局があるということで非常に重宝がられている。ですから、いろいろな点がありますから、各方面の意見を聞きながらやはり見直しをする必要がある。また、中にはやはり民間で十分できる事業も出てくると思いますから、その点について、今のままでずっといくのがいいのかどうかという点も含めまして、議論する価値は私はあるのじゃないかなと思っております。それぞれ郵貯の必要性を挙げたら、私はたくさんあると思います。ですからいろいろな点も含めて、どういう場がいいのか、ともかく現状維持ということだけでなくて、やはり自由経済の活力をどうやって発揮していくかという視点も私は必要なんじゃないかなと思っております。
  167. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一般に、見直しをし、改革に取り組む、これは私たちにとりまして極めて大事なことだと思うのですね。今日までさまざまな、例えば金融懇あるいは臨調、行革審、郵政事業に対する指摘がありました。そしてその指摘に対しまして、逓信委員会におきましてもさまざまな議論をし、改革に取り組んでまいりました。  例えば、預入限度額の管理あるいは業務の改善、奨励手当のあり方会計帳簿のつけ方が現金主義じゃなくて発生主義に改めるべきだ、これもやりました。資金の運用について、これも改革を一歩一歩進めてまいりました。この事業あり方、これも現行の経営形態で支障がないのかどうか日々検討をし、特段の支障がない、そういう状況の中で今推移しているのだと思うのです。あるいは合理化、昭和五十七年以来郵政職員の六千七百七十一人の要員の縮減、これもやってまいりました。  こういう今日までの実績をどういうふうに評価されますか。
  168. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それぞれ問題があると指摘した点について協力して改正している点、これは私は評価されるべき点だと思います。
  169. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 第三者機関でこれらの検討をやりたい、そういうお考えを表明されていますが、具体的には郵政審議会を指すのですか。
  170. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今まだはっきり決めていませんが、省内に今勉強会をしておりますし、そして臨時行政改革推進審議会でも取り上げるというような話を若干仄聞ですが聞いております、まだ新聞報道しか私はそれは知りませんけれども。まだ私がどこで検討するかというのは決めておりません。いましばらく検討させていただきたいと思っております。
  171. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 最後に、くどいようなんですが、定額預金の半年複利十年、これは民業にとって障害になっておるとお考えですか。そして、民業の補完という意味で廃止の方向で見直そう、こういうお考えですか。
  172. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 定額貯金の有利さによって一般の方々が民間金融機関でなくて郵貯にどんどん預けたがるという傾向が続いていきますと、資金的な問題でいろいろな問題を起こしていきますので、そういう場合には商品性の見直しも検討していいのではないかというふうに思っておりますが、これはいろいろな意見がございますので、それは各般からの意見を聞いて、その情勢情勢に応じて、また金利の自由化もあります、その大勢を見ながら常に見直しが必要じゃないか、検討が必要じゃないかというふうに思っております。
  173. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 新聞報道に基づきまして大臣のお考えを伺いました。わかったことは、すべてこれから検討したいということでございますが、政治家として意見を持つ、こうあるべきだと考える、これはもう当然のことだと私も思うのです。しかし、郵政大臣というポストは、現に郵便あるいは貯金、簡保、こういう三事業の頂点にあって現業部門の指揮をしなければならない立場だと思うのですね。郵政大臣としてどうかひとつ、三十万の働く人々の指揮をしっかりととっていく決意を伺いたいと思うのです。
  174. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 政治家としての意見意見として、郵政大臣として郵政事業が円滑に、また国民から信頼されるような事業展開をするよう、誠心誠意努力をしていきたいと思っております。
  175. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 質問を終わります。
  176. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御苦労さまでございました。  次に、菅野悦子君。
  177. 菅野悦子

    ○菅野委員 まず、大臣に老人マル優の問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、これはいろいろ御意見があって結局三百五十万の方向で決着がつきそうだということであるわけなんですが、大臣のお考えとして御認識をお聞きしたいのですが、この老人マル優制度自体が富裕老人優遇だということをたびたびおっしゃっておられる。この制度の存在そのものが富裕老人優遇だというふうなお考えなのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いろいろ意見がありますが、郵政大臣としては、今決められたことについてこれを推進していくというのは当然だと思います。それで、今の御意見というか今までの議論は、税制の問題とか福祉の問題とかいろいろまざり合っていたものですから、その決まる過程として私は、いろいろな議論があり、私の個人としての意見も言わせていただきました。今の御意見も、個人として、政治家個人として言えということなら私は、マル優制度と老人の福祉の問題というのは、むしろ税制問題とか福祉問題とかいろいろありますから、切り離して議論もできる問題ではないかな、そういうふうに考えております。
  179. 菅野悦子

    ○菅野委員 どうもいささかあいまいなような御答弁だったのですけれども、真意のところは、マル優制度そのものが富裕老人優遇というふうな御認識なのかなというふうに、伺っていて思うわけです。そういうことになりますと、大臣の御認識は事実に相当反するのじゃないか、事実といいますか、実態について。  といいますのは、貯蓄広報中央委員会というところでの貯蓄に関する世論調査平成三年というのがございます。これを見てみますと、世帯主が六十歳以上という世帯におきましての生活費の収入源は、確かに年収が高い層ほど利子配当所得が収入源になっているということはあるわけなんです。しかし、年収の低い層というのは、実は利子が収入源どころか、貯蓄そのものを取り崩して生活しているというのが多いわけです。例えば、貯蓄の取り崩しというのを挙げたのは、全体で一四・九%なんですが、年収三百万未満で一八・六%、四百万未満で一八・五%ですから、お年寄りの貯蓄、これを利子収入の面からだけ論じるというのは非常に一面的だ。もっと言ったら、本当にお年寄りの生活の実態というのは、年収が少ない人たちというのは蓄えを少しずつ取り崩して生活をやりくりしているというのが今の現実の状況であるわけなんです。  だから、そういう点でそういう人たちの貯蓄に対する税制上のささやかな優遇措置、これを富裕老人の角度だけから見るということは、実態をよく御存じだとはとても言えないと思うのです。そういう点で本当にこの実態について、私今説明しましたが、そういう状況を踏まえて大臣はどうお考えなのか、もう一度お尋ねいたします。
  180. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 このマル優制度は富裕老人だけのための制度ではないと私は思うのであります。マル優廃止の過程で出てきた問題でありますから、これはまた富裕老人がどうかという問題とは別の問題ではないでしょうか。
  181. 菅野悦子

    ○菅野委員 それでしたらなおさら、この制度見直し云々、先ほどから非常識とかいうふうな御発言もあったやにいろいろ言われておりましたけれども、そういう御発言はいかがなものかと思うわけなんです。私は、当初郵政省が主張しておりました七百万にするかどうかは別にして、長い間据え置かれたままのこの三百万をそこそこの額引き上げる必要性というのはいろいろな角度からある、必要性は大いにあるというふうに思うわけです。  例えばその一つは、この間の公定歩合の引き下げによりまして、実質的な貯蓄は随分目減りをしております。例えば定期性の預貯金で言いますと、年間の利率の引き下げは二・二六%、普通預金でも一・七%ダウンしているのです。個人の預貯金約五百兆円ございますが、そのうちの九割は定期性預貯金ということになっていますけれども、結局その中での目減り分、国民が利率の低下によって入るべき利子が入らなくなったというお金が何ぼあるか。十一兆円に上るわけです。この十一兆円ものお金が預金者から、銀行が利ざやで結局もうけるということ、利潤になるわけですね、そういう業務利益に移動しているという状況があるわけなんです。  こういうこと一つ考えても、本当に大変な庶民の貯蓄の目減りが生じた事実があるわけですから、そこを考えるだけでも、とりわけ貯蓄に非常に依存して生活しているお年寄りの皆さんの補てん策として、このマル優の限度額引き上げというのは当然検討されてしかるべきだと思うわけです。そういうふうな点でもいかがでしょうか。
  182. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 三百万、三百万、三百万で九百万、これが低過ぎるかそうでないかというのは議論のあるところだと思いますが、私としては、その議論の過程でいろいろありましたけれども、七百万円まで上げるのはどうかと言ったことも事実であります。金利というのは、常に変動するものですから、この問題で、どれだけ目減りしたか、また非課税がいいのかという問題に対しましては、郵政大臣就任当初から引き上げる必要はないのじゃないかと言ったわけでありますが、結果的に三百五十万というふうに決まったわけですから、それはそれでよしとしなければいかぬということだと思います。
  183. 菅野悦子

    ○菅野委員 大きな御認識の変化がないような御答弁で残念なんですけれども、さっきからずっと言っていますように、老後のために蓄えた貯蓄を少しずつ取り崩して生活しているというふうなお年寄りの実態、その中で、その人たちのわずかな利子からまで税金を取るというふうなものがどういうことなのかということについては、よくお考えいただきたいと思います。大臣が、それはそれとして福祉対策を別にやりましょうというふうな御意見やに伺っておりますが、ただ、消費税のときでさえ高齢化社会のためということで導入して、それが全くお年寄りに回っていないという現実問題もあるわけですから、その点については、この老人マル優制度問題についてはぜひお考えをいただきたい、今後の方向について積極的な問題提起をしておきたいと思うわけです。  続きまして、郵貯の民営化問題、大分いろいろと同僚議員もやりとりをされておりますが、定額と銀行の定期預金を単純に比較していろいろな言われ方をなさっております。官業というのは民業を補完するものでいいとか、民業を圧迫してはならないとか言っておりますが、つまるところ、郵貯の定額貯金銀行の定期預金を単純に比較して議論されていると私は思うのです。その点で、二つの郵貯と銀行の土俵の違い、これを相当無視した議論ではないかというふうに私は指摘したいのです。銀行というのは貸し付け業務と一体でありますし、法人も対象です。ところが、郵貯の方はあくまで国民の、個人対象ということがあるわけですから、土俵が違うものを、その土俵の違いを意図的に無視してどうだこうだというふうに比較していろいろとお話をなさっているのではないのかなと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  184. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 土俵は、郵貯と民間の金融機関、信用金庫、農協、漁協、銀行、それぞれ違うと思いますね。どれが公平か、これはなかなか難しいのです。いろいろな税金の面あるいは貸し付けの面、それぞれ金融機関、形態が違いますから、どういう土俵にしようか、またどういう土俵が公平かというのは人によって非常に違ってくる。そういう点も含めて、資金のあるべき形はどういうものかという議論も必要じゃないかなということから見直し問題が出てきているわけでありまして、同じ土俵にしようといっても、もともとそれでは同じとはどういうものかという点すらまだ基準が決まっていない。そういう点がありますから、この問題はいろいろな立場からの意見も聞いていかなければならぬ、そういうふうに私は思っております。
  185. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういうふうに、大臣が相当根本論議まで必要だと今の御答弁のようにお考えなら、この間のいろいろな御発言というのはいささかどうだったのかな、勇み足といいますか、ちょっと言い過ぎということではなかろうかと思うのですね。例えば、定額のような商品が民間にできるかできないかなどというのは非常に表面的な議論だというように思うのです。  例えばこの間、十一月二十七日付の日経金融新聞というのがございますけれども、そこには都市銀行の中間決算についてこんなふうに書いています。「都銀十一行の預金量が各行とも軒並み減少した背景には、九三年三月末を達成期限とした国際決済銀行(BIS)の基準による自己資本比率八%を維持するために、預金量の圧縮を図ったのも一因と見られる。」こういうことが言われているのです。ですから、銀行のいわゆる貸し渋り、これが指摘されているのですけれども、貸し付けと預金が一体となっていれば、当然預金の面も厳しくなるという状況があるわけですね。こういうふうな銀行の側面といいますか、これをどうお考えになるか。  そして、もともと非常に幅広い銀行の業務の中から個人預金だけ取り出して、郵貯と比べてどうだこうだ、圧迫しているだとか民間に負けるなだとかいうふうな議論というのは、非常に私ははっきり言って浅薄なものだというふうに思うのですけれども、こういうことについてどうお考えですか。これはなかなか土俵同じになりませんよね。そこで民営化だ何だとかいうふうなことを急いでおっしゃっている。こういう御発言、いかがお考えですか。
  186. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 別に私は急いで言っているわけではありませんし、在任中に民営化しようなどという考えは毛頭ありませんし、この形態は、まさに今言われましたように、貯蓄も貸し付けも分かれているわけですね、今は。郵貯は集める方、財投は使う方、それで借り手はさまざまな形態を持っている。こういう機関の存在とそして民間の金融機関、これはもう銀行によっても信用金庫によってもあるいは農協によっても違います。なおかつ、それでは果たして郵貯が、単なる簡易で確実な貯蓄手段としてではなくて、国営銀行的な性格を持ちたいのかどうか。そういう意欲のある人もいるでしょう。果たしてそこまで必要ないじゃないか、これはやっぱり官と民の見直しを十分する必要があるんじゃないかという議論もある。  ですから、この問題は非常に大きな問題なんです。その大きな問題、行財政改革全体ということを考えますとこの郵貯というのは避けて通れない、そういう視点からいろんな議論見直しが私は必要じゃないかなということを言っているわけであります。
  187. 菅野悦子

    ○菅野委員 大臣の御答弁、ずっと聞いておりまして、この委員会の中でトーンが大分変わってこられたなというふうに思うのですけれども、はっきり申し上げまして、今いろいろと論議されているこの問題、私はもっと突っ込めば、郵政省と大蔵省の定額預金に対する合意ということで、この貯金に対するそのことも含めて、自由化というふうなことも含めて、国民の側から見たらどういうことなのかなということをぜひ知っていただきたいなというふうに思うのですけれども、結局、自由化論議も含めて、私は郵貯と銀行、いかに横並びにするかというふうな議論に終始しているというふうに指摘せざるを得ないわけです。  しかし、今ずっと見てきましたように、定額貯金についてなぜ今、利率を下げたり利用者にとってより不利にするような、そういう横並びが必要なのか。結局この点では郵貯と銀行の業務の違い、役割の違い、ここがあるわけですから、ここをはっきりさせなければ、そしてその上でこういう方向ということを納得させなければ、私は国民の疑問には答えられないというふうに思うわけなんです。官業民業を補完すればいいということも大臣言っていらっしゃいます。しかしその点でも、本当に、結局横並びにして、郵貯が民業である銀行を圧迫しているから民営化だ、郵貯の定額をもうちょっと下げろということは、やっぱり国民にとっては非常に、何といいますか、もってのほかといいますか、そういう論議なんだということをぜひ知っていただきたいというふうに思うのです。  それと私はここで一つ、先ほどの論議もありましたけれども、ぜひ大臣の御意見をお伺いしたいと思いますのは、この間の我が国の金融機関がとってきた、とりわけバブルのときの銀行などの果たした役割ですね、これは一体どうだったのかということを、官業民業の補完というふうなことをおっしゃる大臣ですから、ぜひお聞きをしたいというふうに思うのです。  例を一つ一つ挙げなくても、先ほども少し御意見がありましたし、いいかなと思いますけれども、あのとき金融スキャンダルで随分問題になりました。民間金融機関全体としての行動というのは一体何だったのか。結局、不動産投機をあおって、バブルをあおって、例えば信託銀行の場合なんかは投資先として、製造業向け、これが大きく減って、ノンバンクとかリース業とか不動産向けというのが五〇%以上になってしまった。これは長期信用銀行とか生命保険でも同じような傾向があったわけです。だから、郵貯、この官業がなくなって、民業銀行だけが残ったら一体どうなるのかということですね。この間のバブルのときなどの銀行の行動というのに対して、残念ながら国民の信用はないというふうに私は指摘せざるを得ないわけなんです。  だから、そういう点で今後の、今すぐではないよとおっしゃっておられますけれども、方向として、結局、大臣民業圧迫論とか先行きの民営化という方向について、これらの問題、どうお考えなのかということを私はぜひ聞いておきたいというふうに思うのです。
  188. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは、銀行、金融機関、批判されるべきところはたくさんあると思います。しかし、基本的に私は、これからの日本を発展させるためには官業民業の補完であるべきだという考えを持っております。民間でできること、民間と同じように競争し、補完としてやらなければならない事業もたくさんあると思いますが、そうでない事業もあると思います。できるだけ官は民の補完であるという精神は私は大事にしていきたいと思っております。
  189. 菅野悦子

    ○菅野委員 はっきり言って、私は非常に問題のある御発言だというふうに指摘せざるを得ません。  あのバブルのときでも、郵貯などを原資とする中小企業金融公庫とか公的な金融というのはああいうふうなことができなかったのですね。バブルに躍ることはできなかったのですよ。それは、法の規律のもとでそれができないというふうなのが今の官業だからです。郵貯をもとにした中小企業金融公庫とか、いろいろなこういう公的な金融というのは、それをしなかったし、できなかったのです。ここに民業では絶対できない官業役割があるのですよ。そこのところを横に置いて、大臣のおっしゃる、ひたすら民業補完論、これはもう絶対重要な問題があるということを私はぜひ指摘せざるを得ないのです。  それから、ちょっと時間がありませんので、あと一つだけ聞いておきたいと思いますが、財投の問題です。  この間の論議の中でもいろいろありましたけれども、財投の中で原資として郵貯が非常に大きな役割を果たしているということはもう今改めて強調するまでもないと思いますけれども、その中でのこの財投の見直しということを大臣は言っていらっしゃる。そうしたら、私は思うのですけれども、今までの財投計画のどこが問題なのかということ、そして、もし問題があるとすれば、そのつくり続けてきた財投計画——今財投は第二の予算とも言われています。今度通常国会が始まりますと、みんなでその財投も含めた予算を論議するわけですけれども、大臣は閣僚の一人としてそれを提案する側なんですね。その財投を見直しせなあかんというふうな問題意識を持っていらっしゃるとすれば、これは一体閣僚としての責任はどういうことになるのかなというふうに思うわけです。一貫して財投も含めた予算案にずっと大臣は賛成してこられましたし、今度だって提案者の一人であるわけですから、その辺はどうなのか、ぜひはっきりと御答弁をいただきたい。
  190. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 現行制度においていい点はたくさんあります。それを現職大臣として進めていくのは当然だし、不自然ではない。しかし、現在の制度にはいろいろ問題がある。例えて言いますと、現行中選挙区制度問題がある、では中選挙区だったら選挙をやらないか、そういう問題でもない。あるいは憲法違反である、あるいは憲法を改正しなければならないという人もたくさんいる、だからといって憲法を守らない、そうじゃない。現行憲法、現行法律、守るのは当然なんです。しかし、それだけが常にいいとは限らない。常に現行制度見直しというのは必要だ。現行の制度見直しを言ったら現状を否定するのか、守らないのかと言われても困る。やはり、現状の制度を大事にしながら将来の問題としてどういう点があるかというのは、政治家として常によりよいものを目指して改革するという視点が私は必要ではないかと思っております。
  191. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう時間がありませんから終わりますけれども、今の大臣の答弁はすりかえです。先ほどからもいろいろありました。一政治家とか一議員だったらいいでしょう。閣僚なんです。大臣なんです。その点をはっきりと御認識いただかなければ困ります。大臣としての責任というのは一議員のそういうものに絶対解消できるものではありませんし、大臣としての、また閣僚として、郵政大臣としての言動、ここの点についてはしっかりとお考えになって、引き続き御発言なりしていただきたいなということを申し上げまして、終わります。
  192. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、中井洽君。
  193. 中井洽

    ○中井委員 先ほどから同僚議員の質疑を聞きながら感じましたことを率直にお尋ねをして大臣のお考えを尋ねたい、このように考えております。  きょう閉会審査がやられたのでありますが、実は、御承知のように年末各党理事相寄りまして、何ということだ、直ちに委員会をということでありましたが、私はその場で、大臣はあれは確信犯だ、したがって委員会開いてやれば、予算編成時期、また年賀状等大変現場が忙しい時期、余計混乱をする。こういうことを申し上げ、各党もそうだそうだということで今日になりました。  私は、大臣とも少しはおつき合いがありますから、お考えもわかるし、御性格も知っておるつもりであります。きょうの答弁等もかなり折れて答弁をなさっておるなと思ってはおります。しかし、今日までのいろいろな経過を聞き、あるいは新聞等で読みますと、どうも小泉大臣ほど大物の政治家、しかも自民党のどこをどう押せばどういう反応をするか、役所のどこをどう押せばどうなるか、あるいはマスコミにどう言えばどういう反応があるか、こういったことを知って御活動いただいている政治家が、ああいうタイミングで郵政大臣として御発言でいいのか、このことを思わざるを得ません。きょうの委員会が、あなたが大蔵大臣で就任なすって、そしてああいうことを言われて逓信委員会議論をする、私は大変有意義なことだと思います。しかし、郵政大臣としてあのタイミングでああいうことを言われたことは、郵政事業見直しを含めてあなたのお考えを進める上で、あるいは郵政事業発展、変化に対応する上で本当によかったのかどうか。そういうことを考えると、私はどうしてああいうタイミングで発言をされたかと思わざるを得ません。  そういった意味で何か御感想があれば、お答えをいただきます。
  194. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 確かに就任早々の発言が非常に混乱を与えたというのは事実なんですが、今振り返ってみまして、それではあの場合、私が今までの政治家としての持論を撤回して、いろいろ積み上げてきたものに素直に乗って無難にやればよかったかということを考えてみますと、これは私の政治家としてとてもとり得る道ではない。現状を乗り切るために取り繕うということになれば必ず化けの皮がはがれます。それよりもやはり、日ごろ考えてきた政治家としての持論といいますか、意地といいますか、そういうみずからの考えを言いながら、当然私と違う考えの方がたくさんおられるわけですから、議論することによって落ちつくところに落ちつくのじゃないかな、ともかく自分の持論も言ってみようということでああいう発言になったわけであります。  今皆様方のいろいろな御意見を伺っていますと、じゃ今までのとおり大臣というのは踏襲しなければならないとなりますと、現状維持だけに終わってしまう。やはりこのさまざまな変化の激しい時代において、当然過去のいきさつとか慣例とか先輩のやってきたことに対して配慮をし、尊重しなければならない点もたくさんあります。しかし、そういう過去のいきさつにとらわれてばかりいたら、私は、何も改善ができない。そういう点も含めて大臣として現実の行政を推進していくということは大変重要な仕事であります。同時に、やはり将来を見越して少しでも改善の余地があるものがあれば、広く議論をして、よりよい方向に着地させるような改革も大事じゃないかということでいろいろ発言してきたわけであります。  もとより郵政事業の重要性というものは、皆さんが御指摘するまでもなく多くの国民も理解しております。現状として、また現場の行政を円滑に施行するためにも混乱を与えずに精励できるような環境をつくるのも、これまた大臣として大事だと思いますし、同時に、長い将来を見越してどういう点を改善する余地があるのかという点もやはりあわせてやっていくのがこれまた大臣の仕事ではないかな、そのバランスが非常に重要ではないかなというふうに私は考えております。
  195. 中井洽

    ○中井委員 その理事会の席でも申し上げたのですが、大臣のお考えのとおりであるならば政権交代したみたいなものだ、今までの自民党の政府のやってきたことを全部ひっくり返すような大問題じゃないか、こう冷やかしておきました。しかし、あなたを郵政大臣に任命されたのは総理でありますから、総理大臣はここまであなたが、大臣じゃなしに政治小泉純一郎として発言をされた、財投まで踏み込んで発言をされた、このことを事前に御承知で大臣に任命されたとお考えですか。あるいはまた、この御発言後、閣議や総理大臣に直接財投の見直しについて進言をされたりお諮りになったことはありますか。
  196. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 総理がどういう意図で私を郵政大臣にしたかというのは全く私のあずかり知らないところであります。ですから、その点について私は何も申し上げることはできない。ただ郵政大臣をしっかりやってくださいということで私はお引き受けさせていただいたわけであります。  それと、今後の問題について閣議でというお話ですが、そういう点はまだ話しておりません。
  197. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、郵政大臣はこういう大事な問題を提起されるときに、一番仕事である閣議で発言をされたり、あるいは所属をされておる自民党のそれぞれの場所で発言をされずに、マスコミを通じて問題提起をされる、これを今後の政治一つの手段としてお考えになるのか。先ほどから、議論の過程ではいろいろ言う、決まったことは守るんだ、こういうことを言われました。それはお互いそうであろうかと思う。しかし、各党各人は、所属している党、部署によってそれぞれあろうかと思うのであります。それをマスコミだけで大臣というポストで御発言なさる、そして問題になったら、いやそれは政治家の発言だ、ここらは私は少し大臣らしくないなと感じますが、いかがですか。
  198. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は聞かれた問題に率直に話してしまう性格なものですから、聞かれるままに話して、どういう報道をしたのか、それは一々すべてにわたって目は通していませんが、答えていいのか悪いのか、いろいろな質問が来ますから、何げない政治家個人としての発言が混乱を与える点があるとすれば、これはもっと注意しなきゃならぬなというふうに感じております。
  199. 中井洽

    ○中井委員 そのマスコミのインタビューの中で、総理から郵政大臣をと言われたときに、省益よりも国益を優先してやりますと言われた。また、いろいろなところでも、初当選以来そういうことでやってきた、このように御発言なさっております。大臣にとりまして、今郵政省でやっておる諸事業、諸計画、どれが省益でどれが国益を損なうとお考えになっているか、お答え願います。
  200. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 いろいろ郵政省の仕事は、国民のために、また国家のために有益な点がたくさんあると思います。しかし同時に、みずからの事業をどんどんどんどん拡大していっていいかという点は、少しとどまって考えなきゃならない点がある。具体例を挙げますと、それは郵便貯金事業にしましても、本来簡易で確実な貯蓄手段として提供されたはずであります。これが、それを一歩踏み出して民間と同じように与信業務をやりたい、いろいろ事業展開しております。どの程度までいいのか、やはりこういう見直しが私は必要じゃな  いかと思っております。
  201. 中井洽

    ○中井委員 老人マル優の五十万の枠の引き上げが政府内部で決まりました。これについて大臣は、やはりこれは省益を優先したものであって国益を損なうと政治家個人としてお考えになっているのか、これが一つであります。  もう一つは、先ほどから御議論を聞いてどうもわからないのでありますが、郵貯、財投まで御発言なすった中に、財投が信用付与をやっておる、貸し付けをやっておるのじゃないか、これが民業圧迫になっておるという意味で受け取られるような発言があった。私どもはこの委員会でも、あるいは私も大蔵委員をしていますが、大蔵委員会でも、預金面での民業圧迫あるいはよりよい競争、そういった観点でいろいろと議論はしてまいりました。しかし、財投が貸し付けで民業を圧迫しているのだという論議は余りなかったと考えております。大臣は、そういう意味で財投を将来的にはもう金融機関に任せて、そういったところから地方公共団体も含めて借り入れればいいじゃないか、そして郵貯は預金一本でいけばいいじゃないか、こういう発想であるのかどうか、お尋ねいたします。
  202. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財投の問題が出ましたけれども、財投機関というのはちょっと挙げることができないほどたくさんあります。国民金融公庫あるいは住宅・都市整備公団あるいは農林漁業金融公庫、各省庁は公庫、公団をたくさん持っていると思います。そういうところに投融資されて運用されている。国民の生活に多大な利便を提供しているのも事実であります。そういう事業も、中にはそれほど必要でない事業もあるかもしれない、依然として必要な事業があるかもしれない。そういう一々見直しを主張しないと、どんどん拡大するばかりだ。行財政改革、行政の簡素化を言いながら、そういう点まで踏み込まないと真の行政の簡素化、行政の肥大化阻止はできないのじゃないかという観点から、私は見直しが必要じゃないかということを言っているわけであります。
  203. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ、五十万の方も、省益、国益について。
  204. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 このマル優の三百万を三百五十万に引き上げた、これは議論のところで私は自分意見を言いました。今決まった段階で、これは大臣として決まったことを……(中井委員「いや、政治家としてどう思っておるのか」と呼ぶ)そう聞かれれば、私は問題があるというふうに言わざるを得ません。しかし、大臣としてそういうことを聞かれれば、答えないのは失礼でしょう。本当は大臣として答えたくないのです。大臣だからそういうことは自分政治家個人の考えはありますけれども言いませんといって、その方がいいでしょうか。そういう点もありますから、おのずから節度を持ってこの問題は当たりたいと私は思うのであります。
  205. 中井洽

    ○中井委員 大臣は自民党の中でも金融財政通だと知られておりますので、その点から一、二お尋ねをしたい。  先ほどから民業圧迫だという話が盛んに出てまいりました。日本の金融機関も証券会社も保険会社も、本当に御努力されて、世界有数の資金量を持つようになりました。しかし考えてみますと、大蔵省の保護のもと、護送船団だと言われるぐらい守られて、絶対倒産しない。参入する数は限られておる。そういう中で本当に大蔵省あるいは自民党のおやりになっておる金融政策は自由主義経済のもとの金融機関でありましょう。同時に、それを監督しておる大蔵省、こここそ局あって省なし、省あって国なしと言われる元凶であります。その中で頑張っている姿は敬意を表するときもありますが、弊害も多い。あなたはそういう専門家として、これらのことについて今まで自民党内なり要所要所で今回のような刺激的な思い切った御発言をなさったことがおありなのか、あるいはお考えをお持ちなのか、お尋ねいたします。
  206. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私は、郵政大臣になる前から今のような議論は党内で盛んにしておりました。ただ、大臣でないから取り上げられなかっただけであります。
  207. 中井洽

    ○中井委員 もう一つお尋ねをいたします。  郵貯の財投に関連して、貸付先、そこらが民業圧迫だという話はそれなりに議論がこれからも続けばいいと私は思っておる。いろいろな議論があります。しかし、その郵貯そのものについてどうお考えなのだ。  例えば、アメリカやヨーロッパのように民間より安い利子にする、そのことでいつの間にか幾らやってもだれも預け入れない、そして自然消滅をした、大臣はそういう形へいくのがいいとお考えなのか。あるいは、私どもが委員会で常に、日本の民営の金融機関は守られておる、なかなか庶民では利用しにくい面もいっぱいある。個人的貸し付けについては、つい最近は違ってまいりましたが、今までは随分やらなかった。そういう中で、本当にどこにでもある郵便局が努力して預金を集めて国家財政の運用の中で役立ってきた。そういうのを、民間と国の事業とが競争してお互いがレベルを高めていく、国民にとってはよりよいサービスがどちらからでも受けられる、こういう形で存続をさせていくべきだとお考えなんですか。どちらでしょうか。
  208. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 これは大分先の話になると思いますが、これほど信頼され愛着のある郵政事業、この改革といっても人によってとり方は全部違うのですね。だからこそ各方面からのいろいろな意見が必要だし、今どういう形の改革がいいのかというのを言われましても、すぐ青写真をかけといっても、これはとても無理ですが、しかし、郵便貯金保険一緒になった事業独特のよさというものをどうやって伸ばしていくべきか、あるいは弊害をどうやって正していくべきかというのは、まさに国民経済全体の視点から、そして行財政改革どうあるべきか、行政の肥大化を阻止して行政の簡素化にどうやって持っていくべきか、関連してとらえていかないとこの改革はうまくいかないと思うのであります。  それぞれ必要な事業だからこそこれだけ多くの皆さんから利用されているのも事実でありますから、その点は実に大きな改革になるし、郵政省だけでとてもできるようなものではない。多くの各省庁の協力、国民各位の協力があって初めて大きな改革はなし得るのだ。いわば郵貯という一つの小さな改革にとどまらない。基本は、どうやって国民経済を発展させていくか、そして自由経済、市場経済を活力に満ちたものにしていくか、そしてあわせて、何でも官に頼るのではない、やはり官というのは民の補完であるべきかという視点に立ちながら、少しでも国民経済が発展するために改革を考えるべきじゃないか。その中に郵貯もあるということでとらえていきたいと私は思っております。
  209. 中井洽

    ○中井委員 最後、あと二つぐらい質問したいと思うのですが、一つはちょっと嫌ったらしい情けない質問でありますが、何せあなたの御発言になった新聞を持ってきたらこんなにあるものですから、いろいろございますが、そのうちの一つ、神奈川新聞に、今度の予算の中で、あなたの選挙区の宮前区というところに郵便局をつくれ、こういう運動があって認められて、平成七年完成のようであります。大変大きな普通郵便局のようでありますが、ここは人口もふえておるのでしょうから当然であろうかと思います。しかし、この郵便局をつくるについては随分小泉先生も働きかけられた、こういう記事が褒めて載っております。そうすると、あなたは万一ここへお祝いに行かれたら、やはり民業を圧迫せぬように仕事しろ、こういうふうに言われるのか、あるいは、それぞれ郵便局郵便局で頑張ってくれ、私も郵政事業が必要だと思って働きかけたと言ってあいさつをされるのか、どちらですか。
  210. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それは私も働きかけたのは事実であります。しかし、現在一生懸命やっている人に対して一生懸命やるななんて言うわけがありません。みんな一生懸命頑張って御苦労している。これからも頑張ってくださいと言うのは当然であります。それと制度改革とはまた別の問題じゃないですか。政治家として常に現行制度を改善していこう、改革していこうという場合、それはまた当然議論があっていいのじゃないか。現在一生懸命やっている方々の努力があって今郵政事業というのはうまくいっているわけですから、そういう人たちの努力を軽視するようなことは私は今までしたこともありませんし、これからもするつもりはありません。
  211. 中井洽

    ○中井委員 大臣のお気持ちはそのとおりであろうかと思います。しかし残念ながら、去年御就任直後発言をされ続けてきたことは、あなたが今したこともない、これからするつもりもないと言われたことをやったのだと現場は全部受けとめております。私どもも暮れから正月、民社党は民社党で、一生懸命やってくれている労働組合がありますから、激励やら、あなたの問題委員会がどうなるかというようなことも話しに行きました。もうみんなうんざりしております。どういうことだ。  あなたは自分のやったことは正しい、決して傷つけていない、政治家としての信念を言った、こう思っていらっしゃるかもしれません。それはそれでいいのであります。しかし、受けとめ手、マスコミからそれを聞いている三十万の現場の人たち、小包が一時赤字になったときにお話がありました、もう小包事業から撤退するかという議論もあったのです、郵政事業から。しかし、負けてなるものかといってすさまじい努力をやって、今民間事業と競り合って、お互いが安い値段で、いいサービスで小包をやってくれている。そういう努力をしてきた人は、あなたの大臣就任以来の発言で本当にやる気をなくす。あなたは、そんなこと絶対したことないと言っていますが、受け取った側は三十万みんなそう受けとめています。  これからもあなたは自民党の大物としてもっともっと重要な職務を務めていただかなければならない人だと私は思います。そういう意味で、少し自重していただき、お考えをいただき、また率直にそういったことを三十万職員にもおわびもしていただきたい。私は、この場ではなくてもしかるべき機会もあると思います。そういったことをぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  212. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 年末も年始も郵政の現場で働く方々をじかに視察させていただきまして、本当にああいう日夜努力している方々のおかげで、当たり前のことのように見えているいろいろな事業が円滑に行われているのだということを私なりによく理解しているつもりでございます。しかし私の発言にそういう思いを持たれている方がいるということだったならば、これから大臣としての発言もいろいろ注意して、そういう誤解のないようなことに努めていかなければならぬな、そういうふうに思っております。
  213. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  214. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御苦労さまでございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十九分散会