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1992-11-26 第125回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成四年十月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       田邉 國男君    谷  洋一君       中谷  元君    西田  司君       野中 広務君    森  喜朗君       森田  一君    渡瀬 憲明君       遠藤  登君    小川  信君       北川 昌典君    北沢 清功君       小林  守君    山口 鶴男君       山口那津男君    吉井 光照君       吉井 英勝君    神田  厚君 ————————————————————— 平成四年十一月二十六日(木曜日)委員長指名 で、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  暴力団員不当行為防止法運用調査小委員       岡島 正之君    小坂 憲次君       中島  衛君    福永 信彦君       古屋 圭司君    増田 敏男君       谷村 啓介君    中沢 健次君       小谷 輝二君    吉井 英勝君       神田  厚君  暴力団員不当行為防止法運用調査小委員長                 岡島 正之————————————————————— 平成四年十一月二十六日(木曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       佐藤謙一郎君    谷  洋一君       中谷  元君    西田  司君       野中 広務君    森田  一君       遠藤  登君    小川  信君       北川 昌典君    北沢 清功君       小林  守君    山口那津男君       吉井 英勝君    高木 義明君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     塩川正十郎君  出席政府委員         警察庁長官   城内 康光君         警察庁長官官房         長       垣見  隆君         警察庁刑事局暴         力団対策部長  廣瀬  權君         警察庁警備局長 菅沼 清高君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房総         務審議官    滝   実君         自治省行政局公         務員部長    石川 嘉延君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      木村 幸俊君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ————————————— 委員の異動 十一月四日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     加藤 繁秋君 同月二十六日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     佐藤謙一郎君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     森  喜朗君   高木 義明君     神田  厚君     ————————————— 十月三十日  留置施設法案内閣提出、第百二十回国会閣法  第八六号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第四号) 十一月二十四日  地方交付税安定確保等に関する請願岩村卯  一郎君紹介)(第七九号)  地方交付税制度の堅持に関する請願平沼赳夫  君紹介)(第八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第四号)      ————◇—————
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 中島衛

    中島委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律運用について調査検討するため小委員十一名からなる暴力団員不当行為防止法運用調査小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 中島衛

    中島委員長 次に、内閣提出地方交付税法等 の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。塩川自治大臣。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  8. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成年度分の地方交付税が一兆五千六百八十二億二千三百万円減少することとなりますが、地方財政状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税総額を確保する必要があります。このため、交付税特別会計借入金を一兆五千六百八十二億二千三百万円増額し、この額については、平成年度から平成十三年度までの各年度において償還することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただかんことを心からお願い申し上げます。
  9. 中島衛

    中島委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 中島衛

    中島委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口那津男君。
  11. 山口那津男

    山口(那)委員 時間が限られておりますので、簡潔に質問してまいりたいと思います。  まず初めに、今回の交付税法改正案についてお伺いをいたします。  今回の法案では、国税減額補正に伴いまして、交付税財源が約一兆六千億円弱減額されるということになっております。したがいまして、その大半を交付税特別会計での借入金により補てんをするという措置をとろうとしているわけであります。これに対し、地方団体に配分する交付税総額は当初予算どおり確保しているということ自体は、これは当然といえば当然のことなのでありますが、この借り入れという手法についていろいろ問題があろうかと思いますので、この関連で幾つか御質問をしたいと思います。  まず、昭和五十九年度地財対策におきまして、地方財政健全化のために、自治大臣大蔵大臣大臣覚書が結ばれております。そこで、今後は交付税特別会計における借り入れば行わない、これを原則とする、こういう内容覚書で交わされたわけでありまして、国会でもそのように御答弁をされておられると思います。  今回のこの交付税特別会計における借り入れ措置は、この五十九年度自治大臣大蔵大臣両者間の覚書に反するのではないかと思われるわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  12. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいま御指摘のように、昭和五十九年度地方財政対策におきまして、自治大蔵大臣の間で、交付税の問題についての覚書が取り交わされております。今御指摘のように、交付税特別会計新規借入金措置原則として行わないということにいたしまして、当分の間、今後の地方財源措置については地方財政特例措置地方交付税交付金特例措置を講ずるということにしまして、それにのっとりまして交付税法の附則第三条の規定改正として入れていただいたところでございます。  そういう意味で、御指摘のように今後、五十九年以降原則としては行わないということでございますが、今年度状況を見てまいりますと、景気減速等によりまして所得税法人税が五兆七百億円という巨額の減少が出ることが補正予算で見込まれたわけでございますので、こういう予測し得ない状況のもとにおきまして地方財政を円滑に運営するためには、臨時異例措置といたしまして、今回、交付税特別会計借入金によりまして当初の交付税総額を確保するということにさせていただいたものでございます。  そのかわりと申してはなんでございますが、この借入金利子につきましては全額国負担をするということでございますし、この借入金返済につきましては、平成年度から平成十三年度までの八年間ということで、既に当初予算で八千五百億円を国に貸しておりますけれども、その返済にあわせて八年間で返済をするというようなことで、地方財政の実質的な負担にならない、そういう配慮をしたところでございますので、御了解いただきたいと思います。
  13. 山口那津男

    山口(那)委員 先ほどの五十九年度覚書におきましては、原則として借り入れはしない、特例措置として一般会計からやりくりをして行う、こういう立て方というかルールをつくったわけですね。しかしながら、この特例措置では大幅な金額借り入れ是正というのは当然望めないわけでありまして、今回のような大幅な欠陥があった場合にはこれをどうすべきかということについて、いろいろ悩みがあったんだろうと思います。そこで、昭和六十一年度補正の際にも交付税特別会計での借り入れをしているわけですね。その際、自治省のお考えとしては、原則としてやらないと言っておるけれども、緊急避難的な措置である、やむを得ないんだ、こういう答弁をされているだろうと思います。  そうしますと、六十一年でもやり、さらに今年度もやるということになりますと、この五十九年度に立てた原則というのはもう「原則として」の意味を失いかねない。つまり、原則なるものをもう既に放棄しているのではないか、こうも思わざるを得ないわけであります。この点についてどのように考えておられるのでしょうか。
  14. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のように、昭和六十一年度におきましても、年度途中において所得税法人税の大幅な減収がございまして、そのために特別会計借入金という形で当初の額を確保するという措置を講じました。そのときに、やはり臨時異例措置だということでこれをお願いしたところでございますが、今回の場合にも、基本的には六十一年度と同じような状況になってしまったわけでございます。当初から予測できないこういう事態に対応いたしまして、借入金をやらずに何かいい方法がないかということでいろいろ検討をしてみたわけでございますが、何せ国の財政事情が極めて厳しいという状況もございまして、これ以外の方法で当初の交付税総額を確保するということが残念ながらできなかったところでございます。  そういう意味で、今回は二度目のこの借入金措置をやったわけでございますけれども、しかし当初予算の段階では、今までこういう特例措置以外の措置を講じたことはないわけでございます。そういうことでこの原則は、いろいろ厳しい状況ではございますけれども、これからも原則としてやはりこれは堅持していかなければならないのじゃないか。  この五十九年度措置を講じたときの状況考えてみますと、特別会計借入金で十兆円を超す借入金をしていた。これがいよいよ雪だるま式借入金がふえてきたら大変なことになるという、こういう背景のもとにこの覚書が交わされているということを考えますと、これを原則にして、借入金というのは原則行わないのだという、これを原則にいたしましてこれからもやっていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  15. 山口那津男

    山口(那)委員 原則としてやらない、そして特別な場合には特例措置をとる、こういう組み立てですね。二つしか手段が与えられてないわけであります。しかし、大幅な歳入欠陥が出た場合には、やはり特例措置はもうおのずから限界があるというわけですから、またこの原則を破って借り入れに頼らざるを得ない、こういう構造的な予測というのがなされるのじゃないでしょうか。その場合に特例措置をとるか、あるいは借り入れ手段をとるか、この限界というか選択の基準というか、こういうものはあるのでしょうか。
  16. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国税の、交付税にリンクされている税目が減額になったときに常に借り入れをす るということは、やはりこれは困るのじゃないか。やはり原則は、借り入れということは頭の外にできるだけ置いておきたい。現に、国の財政余裕のあるときには当初額を固定いたしまして借り入れ措置をしなかったということもこの五十九年度以降もあるわけでございますので、できるだけそういうような措置で講じられれば、これが一番望ましいのではないかと思います。ただ、今回の場合に、それではなかなかしのげない、国の財政事情等もございますので、この点について借り入れという措置をやむを得ず講じたものでございますので、この点御理解いただきたいと思います。
  17. 山口那津男

    山口(那)委員 今原則としてやらないとたびたびおっしゃられていますけれども、やはり多額にわたって歳入欠損があった場合には、もう借り入れせざるを得ないわけですよ。とすると、原則としてやらないとうたってみたところで原則意味がないと私は思うわけですね。  自治省のお考えによれば、利子負担は国が面倒を見る、実質的負担は伴わないんだ、しかも多年度にわたって返済が繰り延べられるんだ、だから損はないじゃないか、むしろ結構なことじゃないか、こうも思っていらっしゃるのじゃないでしょうか。そうすると、原則としてやらないこと、なぜそういう原則をとらなければならないのか。その強い根拠というのが本当にあるのでしょうか。その点、いかがですか。
  18. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 特別会計借入金というのは、やはりできればない方がいいわけでございます。それで、そのためにはやはり、国の国税収入というものが毎年的確に予測できればこういう問題ができないわけでございますから、この問題に限らず、国税収入をできるだけ的確にこれからも見積もる、これがまず第一条件ではないかと思うわけでございますが、その上で、途中で減収が出てきたときにそれをどういう形でやっていくかという点につきましては、いろいろな対応策がございます。  国の一般会計負担してもらう、これが一番いい方法ですが、これがなかなかできないという場合、それじゃ交付税減額するか。いずれこれは国税三税の一定割合ということで決まるわけでございますから、仮に補正をしないで決算までいけば翌年度以降でこれは減額しなければならぬということになってくるわけですから、それじゃ、これは途中で減額しようか。しかし、これは八月末にもう既に交付税を決定しているということを考えますと、地方財政の運営に非常に大きな混乱が出てくるというようなこともございます。  いろいろそういうことを検討した結果で、今回は借り入れという措置を講じたわけでございまして、常に補正借り入れというものが裏腹のものだというふうに考えることはやはりできないのじゃないか。いろいろなことを選択肢として持ちながら、そのときどきに一番適するやり方でこの措置を講じていくということになるのではないかと思います。
  19. 山口那津男

    山口(那)委員 今の御答弁を伺っていると、建前は崩せないものの、柔軟な選択肢幾つかあることは、これは悪いことではないという本音が見えているような気がしてなりません。  ところで、今年度の当初予算においては交付税特例減額というのは八千五百億円という多額にわたって行っているわけですね。これはいわば国に対する貸し付けみたいなものでありまして、当初予算でこれだけの額を貸しておきながら、今度は大幅に足りなくなったから借りてこざるを得ない。しかし、同じ年度内のことでありますから、これは貸したものを返してもらうという年度内での処理というのを本来は考えるべきではないかと思うのですね。これは返してもらったらどうなんですか。そういうシステムというのはつくれないものですか。
  20. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今御指摘のとおり、ことしの当初では交付税を国に八千五百億貸し付けているわけでございますから、金が足りなくなったからこの交付税、貸した分を返してもらったらという御指摘はまことにごもっともでございますし、私どもも、この減額が出たときに大蔵省との折衝のもとで、まずこの八千五百億を返してくれないかという議論は当然したわけでございます。  ただ、この場合に、先ほども申しましたとおり、国の一般会計補正予算内容をごらんいただきますとおわかりのとおり、国税収入では約五兆円の減額になっている。その中で景気対策をやっていくに当たっては、これはすべて建設国債でこれを充当しているというようなことを考えますと、八千五百億円を捻出する財源というものは残念ながら国の今の財政事情の中ではこれは不可能だということでございまして、もし仮にこれをやるとすれば、赤字国債を出さなければならない、そのために赤字国債を出さなければならぬというようなこともございますし、やはり特例国債を発行するということは、これは私どもの立場といたしましても極力回避してもらわなければいけないという気持ちもございまして、今回の選択肢としては借入金という形で措置をさせていただいたものでございます。  そのかわりと申してはなんでございますが、この八千五百億を返してもらうのが平成年度から十三年度までの八年間で返してもらいますから、これと同じ年度でこれを返していくというようなこと、あるいは利子負担を国で持ってもらうというようなことで、地方財政には迷惑のかからないような方策をとりながら今回の措置をやらせていただいたわけでございます。
  21. 山口那津男

    山口(那)委員 赤字国債が発行されないから仕方がなく借り入れをせざるを得なかったというのは後から考えた理屈でありまして、そもそもは年度当初で特例減額をしておきながら、それは要するに、国でもう財源が足りないということはほぼ予測されているわけであります。しかも、税収の見込みからすれば決してふえることはない、順調にふえていくことはないということはもう年度当初から予測されていることでありますから、この期に及んでまた大幅な借り入れをしなければいけないというのも、これももっとやはり年度当初に見積もりを厳しくやっておくべきじゃないかと私は思うわけなんですね。当初予算を本当に一割も下回るというのは、国全体としての見通しがいかにも緩過ぎるということだろうと思います。欠陥が起きてしまったら今度は貸し借り処理をしよう、これもまた安易に、やすきに流れているんではないかと思うわけですね。  この点について大臣、この当初の予算見積もりが甘いのではないか。それに対応するために貸し借りに頼る。しかも、今貸し借りの関係では恐らく地方から国に対する貸しの方が数字の上では幾らか多いんだろうと思いますね。そうすると、多い分はまだ借り入れする余裕があるという判断にもつながってくるのかもしれませんけれども、そんなことがよもやあってはならないと私は思うわけですね。それらの点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  22. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 一割から違うということはやはり甘いですね。これは見積もりが十分とれてないと思います。しかしこれは、これだけ経済のスケールが大きくなりまして、しかも国際情勢等いろいろな面から不確定な要素が以前と違いまして随分ふえてきておりますから、これがいわば作業の不誠実からきたとは一概に言えないと思うのですが、精いっぱいやっておっても予測されざる要件が多過ぎるということだと思います。しかし、おっしゃるように、確かにちょっと幅が大き過ぎるなという感じがいたします。  それから貸し借りの問題ですが、これは余り神経質になって考えるほどのこともないと思うのです。役人同士覚書ですから、その当人が、双方の役所が納得することをお互いがこうして自己主張していることですから、おおよその了解上で書かれた覚書が多いのでございますから、私はそんなに気にする必要はないと思います。しかし、現実的に処理しなければならないことであったら、これしか方法がないと思うのです。だからこそ、交付税に関することは全部法律をもって措置するということであって、覚書でもって措置するなど とは一言も書いてございませんから、その点、安心してお任せいただいたらいいのではないかと思います。
  23. 山口那津男

    山口(那)委員 さすがに大臣、広い、包容力のあるお考えをお持ちだということですが、結局、弾力的な措置はあるにこしたことはない、こういうお考えなのだろうと私なりに推測いたします。  さてそこで、平成年度の話はそういうことだとして、来年度平成年度地方財政見通しをどう考えるかということでありますが、生活大国を標榜しておられる政府ですからやるべきことは多々あるわけでありまして、景気が悪いからといって一気に事業を減らすとかおくらせるということは国民が納得しないのではないかと私は思います。そうした意味で、来年度地方団体の経費の積極的な計上が望まれるわけですね。  そこで、お伺いいたします。高齢化社会に備えて地域福祉基金というものを創設しております。これは平成年度平成年度にわたって積み立てを累積してきたわけでありますが、来るべき高齢化社会に、そのときに至ってから急にやるということは当然無理があるわけですから、今からそれを見越してこういう財政的措置を重ねていくということは実に妥当な措置であろうと私は思っておるわけであります。  そこで、積み立て状況あるいは活用の事例、そして現在までの基金の評価、これらについて概括的にお伺いしたいと思います。
  24. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地域福祉基金につきましては、御指摘のように民間の福祉活動を活発化するというようなことを目的にいたしまして、各自治体に積立金を設けてもらおうという趣旨で、平成年度平成年度の二カ年間、地方財政措置として講じたものでございます。四年度末、これは最終が、まだ決算出ておりませんけれども、現在までの都道府県、市町村の状況調査いたしますと、今年度末の地域福祉基金の現在高は、積み立てしている団体が三千二百五十七団体、ほとんどの団体積み立てておりますが、現在高は七千八百四十三億円、約八千億円に上る金額積み立てられておりまして、地方財政措置をした以上の金額平成年度末には積み立てられるものだというふうに考えております。  この主な使い道を調査してみますと、大きく分けて大体三つぐらいに分かれるのではないかと思います。一つは、在宅介護者に対する介護技術の講習会とか、あるいは在宅福祉の普及向上のためのいろいろな施策をするということ、それから二番目は、高齢者等の健康や生きがいづくりの推進のためのいろいろな施策を行う、それから三つ目は、ボランティア活動の支援を行う、こういうような事業に各自治体が基金を使ってやっているようでございます。  いろいろな事例がございますけれども、大きく分けますと、そういうようなところが主なものではないかと思いまして、この基金運用益は非常に有効に活用されているのではないか。この財源措置というものは各自治体からも非常に高く評価をされているところでございます。
  25. 山口那津男

    山口(那)委員 おおむね良好かつ高い評価を得ているのだろうというふうに伺いました。したがいまして、来年度におきましても引き続きこの積み増しが必要でもありますし、努力をしていただきたいと思うわけでありますが、一方で、依然として景気見通しは楽観できませんし、税収も厳しい状況にあるだろうと思うのですね。そうした中で、大蔵当局との予算の折衝の中で、こういう基金の積み増しというようなものについては何が何でも来年度へ継続しなければならないものではなかろう、こういう反論が予想されるわけでありますが、これに対して、自治省当局としてはどのように考え、また臨まれるおつもりでしょうか。
  26. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今年度補正予算国税収入があれだけ減額になったということを考えますと、明年度国税収入はかなり厳しいものがあろうかと思います。そうなりますと、地方交付税の額も厳しいということになるわけでございまして、そういう中で明年度どういう財政措置を講じるかということはこれからの大きな課題になろうかと思いますけれども、私どもはかねてから地方が当面する財政需要というものには毎年度的確に対応できるような財政措置を毎年毎年地方財政計画の策定を通じてやっていかなければならないというふうに考えているわけでございまして、そういう中では、ただいまの高齢化社会に対応するためのいろいろな財政需要、あるいは社会資本の充実というような問題、あるいは地域づくりの問題、こういうようなものは財政が非常に厳しいという中でもできるだけ前向きに対応していかなければならない分野ではないかというふうに考えておりますので、この点について私どもも十分努力をしてまいりたいと思っております。
  27. 山口那津男

    山口(那)委員 次に、地域づくりの各施策についてお伺いいたします。  昭和六十三年度以来、ふるさと創生一億円等の措置によりまして、一貫して地域づくりを積極的に進めてこられたと思います。今年度でその事業が一段落をする、こういうふうに伺っておりますが、これまでのこの一連の施策の評価ですね。どのようにお考えになっておられるか、これをまず大臣にお伺いしたいと思います。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、地域づくり推進事業というものは地方自治体に非常に大きい影響を与えたと思っております。非常に大きい部門におきましては、いい影響であったと思っております。  まず第一に、自治意識がこれによって目覚めてきたということでございまして、今までは自治意識がなくて、何か国の下請意識だけしか持っておらなかったものが、だんだんとこれらを本当におれたちでやれるんだということが一つ意識づいてきたということ。もう一つは、縦割り行政による弊害といいましょうか、中央省庁の画一主義、規制主義というものが、地方の方から芽が吹き出して一部是正されてきた。これは私は非常に大きい影響だろうと思っておるのです。そのためには自治体がみずから考えてやってきたということの成果だと思うのでございます。この二つが非常にいい芽であったと思っております。  その結果として地域は活気づいてまいりましたし、また、それによってそれなりの整備も進んでまいりました。最近、各地へ行きますと、確かに町並みがきれいになってまいりましたし、そしてまた郷土愛に結びつくような文化施設も整備されてきましたので、非常に結構だと思っております。したがって、今後ともこの地域づくり推進事業というものを続けていきたい、継続して発展させていきたいと思っております。
  29. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひとも来年度以降もこれを継続、発展させていただきたい。やはりいっときの自治意識の啓発にとどまらず、持続的に展開していくということが大事だろうと思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。  さて最後に、固定資産税の評価がえが平成年度に予想されておりますので、これについて伺いたいと思います。  この評価がえに当たっては、地価公示価格の七割程度を目標に評価がえしていくというふうに伺っておりますが、現状では全国平均で、地価公示価格の約三六・三%程度、かなり低目の評価にとどまってきたわけですね。これを七割に引き上げるとなれば、平均でその倍の引き上げになるわけであります。東京を初め都市部においてはさらにこの格差が大きくて、五倍以上のところも出てくるわけですね。そうすると、これらの評価がえに伴ってそれがそのまま税負担にはね返るとすれば、これはとても負担にたえかねるという層も出てくるわけでありまして、この緩和措置というのが必ず必要になってくるわけです。  いろいろな施策をお考えだろうと思いますが、まず住宅用地については、これは特に一般の大衆といいますか庶民の生活部分についての負担というのは小規模にとどめなければいけないと思うのですね。具体的には、二百平米以下の小規模宅地等において大幅な特例措置が講じられておる、このように聞いておりますが、この特例措置をぜひ拡充、また税負担が大幅にふえるようなことがな いようにしていただきたいと思うのですが、具体的にどのようなことをお考えでしょうか。
  30. 杉原正純

    ○杉原(正)政府委員 平成年度の評価がえは、今委員指摘がございましたように、土地基本法十六条の趣旨などを踏まえまして、今までとかく問題がございました評価につきましての均衡化、適正化を図る、それ自体を目的とすることでございまして、それ自身で増税、増収をねらうというものではございません。したがいまして、お話ございましたようなこのような評価がえに伴います税負担につきましては、これは昨年末の税制調査会の答申にも指摘されているわけでございますけれども、急激な変化が生じないような総合的かつまた適切な調整措置を講ずる必要があろうと思っております。  特に、御指摘のような住宅用地につきましては、税負担に対する配慮というものがより一層必要だろうというふうに考えておりまして、現行に定められております軽減措置をさらに拡充するといったようなことによりまして、納税者の税負担に配慮するということを十分検討してまいる必要があろうと思っておりまして、具体的には、今評価がえの状況をいろいろ集計、分析中でございますので、それらを踏まえまして十分な対応を考えてまいりたいと思っております。
  31. 山口那津男

    山口(那)委員 それでは、ぎりぎりですが、最後の質問をしたいと思います。  当委員会平成四年三月十日の附帯決議によりまして、「居住用家屋等に対する負担軽減措置を講ずる」、こういう決議があるわけですね。従来、家屋については評価額がほぼ一定で、古くなっても下がる、減額するということがなかったわけですね。しかし、市場価格はもうゼロに等しくなるということはあるわけでありまして、それに伴う評価がえというのはすべきではないかと私は思うわけであります。そういう意味での附帯決議だったと思うのですね。  一方、都市計画税についても、これは固定資産税の評価額を使って一定の課税が行われるわけでありますけれども、この都市計画税の点では住宅用地についての負担軽減措置というのが今までとられてきませんでした。これについても附帯決議で負担軽減措置を検討する、こういうふうになされております。この二点についてどのような措置を検討されておられるか、御答弁いただきたいと思います。
  32. 杉原正純

    ○杉原(正)政府委員 最初の、一点目の家屋の話でございます。  御指摘のような本委員会の附帯決議がこの三月にございました。したがいまして、そういった決議の御趣旨を十分踏まえまして、例えば耐用年数を短縮するといったようなことの改正によりまして、居住用家屋等に対します負担軽減措置を講じてまいるということを現在検討しておるところでございます。  それから、都市計画税でございますが、これは本来目的税でございますといったことから、従来固定資産税においてとられているような住宅用地に対しますような特例は法律上これまでございませんでした。しかし、これもまた御指摘のような本委員会での附帯決議で示されておるわけでございます。また、税制調査会の答申でも検討をするようにといったようなことを指摘されておりますものですから、納税者の税負担の調整を図るといった場合には、この都市計画税につきましても何らかの住宅用地につきましての特例措置といったものを導入することを検討してまいる必要がやはりあろうと思っておりまして、これまた先ほどと同じでございますが、現在評価がえの状況を集計、分析中でございますので、それらを踏まえました適切な措置をまた検討してまいりたいと思っております。
  33. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひ積極的な措置をお願いしたいと思います。  これで終わります。
  34. 中島衛

  35. 中沢健次

    中沢委員 本来でありますと、大体社会党が一番手の質問に立つのでありますが、実は、きょう、明日、日ごろお世話になっております公明党の全国大会がございまして、山口委員が午後から執行部側で答弁に立たれる、そんなことがありまして、協調いたしまして先にやっていただきました。  さて大臣、私はきょう、わずか一時間でありますけれども、提案をされました内容、そして平成年度予算編成時期にも来ておりますので、やや広い問題を含めて幾つかお尋ねをしたいと思っています。  最初に大臣自治大臣に就任をされましてもうちょうど丸一年を過ぎました。たしか昨年の十一月の五日でなかったかと思うのであります。私自身は、この委員会で何回か質問にも立ちましたし、あるいは社会党のシャドーの仕事をやっている関係もございまして、直接大臣にもいろいろな問題についてお目にかかってお願いをしたこと、あるいは意見交換をしたことがたくさんございます。せっかくの機会でありますから、私は、大臣就任一周年に当たりまして大臣自身が自己採点をどうされているか、率直に聞いておきたいと思います。  私は野党でありますけれども、正直に言いまして、二年続きの特例減額、随分文句も言ってまいりました。これは許しがたい、大蔵大臣にも来ていただいて随分やり合いましたけれども、結果的に法案は社会党は断腸の思いで賛成をした経緯がございます。しかし、それ以外は、総じて言いますと、地方の単独事業についても相当大幅にふやしていただいている、あるいは今議論がありましたように高齢化社会に対応する地域の福祉基金、これも二年度にわたってそれぞれ積み増しもしていただいている、その他いろいろありますが、総じて言えば、まあ変な話でありますけれども、宮澤内閣に対する不信任を我が党がぶつけるかどうかまだ決めておりませんが、私はこの委員会に籍を置いている野党の議員でありますけれども、個人的には、決してお世辞ではありませんが、及第点は差し上げていいのかな、こんな感じを率直に持っているわけでありまして、それが参考になるかどうかは別にして、大臣としてひとつ自己採点、自己評価を改めて聞いておきたいと思います。
  36. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 及第点をいただきまして、ありがとうございます。  いや、私はそんなことは思っていません。何か今までの大臣と違って、がみがみと口のうるさい、また、もうぼろくそに言う大臣が来たなぐらいしか思っていないのじゃないかなと思っておりまして……。しかし、まあ自分の言いたいことは言う、それで余り体裁ぶらないで、私は、本音と建前はわきまえないで本音で物を言うということが一番本当は解決が早いのだろうと、その主義を持っておりました。  それで、地方行政に対しましては、地方は、田舎の方は安全で安定した社会を、そして都会は美しい町をつくっていくという、それにどうして地方行政を誘導するかということであったと思っておりますが、まあがみがみ大臣だ、もうちょっとで終わりだというところだろうと思っております。
  37. 中沢健次

    中沢委員 別にそういう論議をするのが決して目的ではありませんが、しかし、私なりに、やはり実力大臣であったという、そしてさまざまな難しい局面でありましたけれども、相当頑張っていただいた、ただ、やはり特例減額はまだどうしても私の心の中にしこりとして残っている、社会党全体もそういう思いである、そのことは率直にまた申し上げておきたいと思うのです。  そこで、具体的な内容に入っていきたいと思いますが、一つは緊急経済対策十兆七千億、もっと言うと、地方的に言えば国の公共事業に対する地方負担分、単独事業あるいは土地の関係を含めてざっと計算しても、やや地方が責任を持ってやろうとしているのは金額にして四兆一千億になるわけですね。予算委員会でも随分議論があったようでありますが、簡単に言うと緊急経済対策の規模が十兆七千億、その中で地方が責任を持った部分が四兆を超える。私は古いことはよくわかりませんが、ここ数年の補正予算やあるいは緊急対策の中身からいうと、地方の責任分野が非常に広がって質も高まった、こういう感じを率直に持つわけ であります。  そこで、財政局長にお尋ねをしたいのは、そういうことを前提にして、自治省の当局として緊急経済対策の何を目玉に考えているか、そこのところをまず改めて聞いておきたいと私は思うのです。
  38. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の景気の不況のときに当たりまして、政府全体として二つの措置が過去講じられております。  一つは、三月三十一日に経済対策閣僚会議で決められました緊急経済対策でございまして、この中では、一番大きな目玉と言えるかもしれませんが、一つは公共事業などの施行について上半期七五%を超える執行率を確保していこうじゃないかということが、たしか四月の十四日ですが閣議決定されました。これを受けて、地方政府のこの考え方に同調していただくようにお願いを、対応をしていただく、これが一つございました。  それから、今御指摘の八月の末でございますが、総合経済対策ということで、これも経済対策閣僚会議でいろいろな、総合的な経済対策として決められたわけでございますが、この中で地方に関係する大きなものは三つございます。  一つは、ただいま御指摘の公共事業追加の問題でございます。この公共事業のほとんどの分野は地方団体を通じて仕事をしていくわけでございますから、この分野について遺漏のないような執行をしていくという責任があろうかと思います。  それからもう一つは、地方単独事業を積極的に追加してやっていただきたいという問題。それにあわせまして、今回は公共用地の先行取得につきまして、これを積極的にやっていただきたい。これは景気対策と言うにはちょっと今までとは異例の形なんでございますが、これまでの状況を見ますと、建設事業をやっていく場合にはどうしたって土地が必要なんでございますけれども、この土地のストック率というものが地方団体、非常に少なくなってきているということもございますので、公共事業あるいは地方単独事業を積極的に推進するためには、用地の先行取得もあわせてやっていきませんと事業が執行できないという問題もございますので、八月末の総合経済対策の中の大きな目玉としてこの三つのことを重点に地方団体として取り組んでいこうということでございます。今御指摘のように、そういう意味地方の取り組みは従来にない大きなウエートを占めているということでございます。  それは、やはり一つは、地方単独事業というものが従来以上に大幅に今伸びてきている時期でもございますし、こういう時期に社会資本の整備の中の特に生活関連施設を受け持っている地方団体の役割というものは非常に大きいということ、あるいは地域経済を活性化するためには、大きな、大型の公共事業よりもむしろ、地方単独事業というようなもので地域の実情に合うようなそういう事業を積極的にやっていくことが現下のこの景気状況に適合するんじゃないかというような問題もございまして、今申しました公共事業、地方単独事業それから用地の先行取得、こういうものを重点にして八月末の総合経済対策に対応したところでございます。
  39. 中沢健次

    中沢委員 それで大臣、今局長から私と同じような立場で、地方も相当責任を持って従来になく規模も内容も含めて頑張っているというお答えがありました。  実は減税問題について、この際ですから大臣の決断を私は求めたいと思うのですよ。今ありましたように、従来と違って地方が相当責任を大きく持つ、これは一つの時代の要請だと思うのですね。そうしますと、減税問題でいいますと、確かにきのう、おとついの予算委員会でいろいろ聞いておりましても、減税をやれという野党を中心にしたいろいろな質問、大蔵大臣財源どうなる、赤字国債の発行はできない、だから難しいんだ、この一点張りだったと思うのですよ。しかし、宮澤総理は、さすがに最高責任者でありますから、緊急経済対策ということの必要性の中に減税問題についても念頭から離れない、非常に悩んでいる、こういうお話が率直に出たと思うのですよ。非常に乱暴な言い方かもしれませんが、一つは、この際ですから国税に先駆けて、制度的に難しいことは私も承知をしておりますけれども国税の減税に先駆けて地方税、住民税を中心にした減税について私は自治大臣としてやはり早急に決断を求めたいと思うのですよ。  同時に、閣議の中で、正直言ってきょうは竹下喚問がございました。大変な政治不信が今渦巻いているわけですね。外を見たら物すごくいい天気なんですよ。ですから、年末を控えて経済界も最近は減税減税という声も上がっているぐらいでありますから、やはり政治不信を招いた政治家全体の責任として我々野党も連帯をして何とか国民のそういう経済的な要求にこたえる、減税にこたえる、せめてそのぐらいのことがあってしかるべきだと私は思うのですよ。ですから今直ちに、私の期待としては国税に先駆けて、住民が非常に困っている、年末を控えている声なき声も含めて非常に広範に広がっている減税問題について自治大臣の責任で地方税はとにかくやる、国税もやらせる、そのぐらいのひとつリーダーシップですね、決断を含めて持っていただきたい。いかがでしょう。せっかく冒頭、私は及第点を差し上げましたので、よろしくお願いしたいと思います。
  40. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 冒頭褒めていただいたから答弁しにくいですね。私は、きのうも予算委員会で御質問がございました。そのときに私は申し上げたと思うのでございますが、今、税の間における不均衡がいろいろなものがあるのを、それをやはり解決していく時期ではなかろうか。その中の一つのあり方として減税もございましょうが、一方でやはり増税あってしかるべき分野もあると思うのです。そこらの調整をやはり各税ごとに検討していく必要があると思いますので、決して私は税をさわってはいかぬとかなんとか、そんなかたくなな考えは全然持っておりません。むしろ積極的に、その検討した結果を長期計画で、私は、二、三年計画で税の体系、構造をこういうふうに変えるということを今積極的に話すべきときではないかと思うのです。  その一つとして住民税を考えろとおっしゃることでございますから、私たちも、住民税、やはり相当きついなとは思いますが、しかし一方におきまして、住民税のいわば均等割でございますか、この均等割が持つ地方自治体の参加の意識というものを考えると、これはやはり徴税コストに合うようなものにしていただかなきゃならぬという考えがあります。一方、高額所得者にとりましては確かに市民税は相当な負担になってきておる、これも何か考えなきゃならぬ。そこらの権衡はやはり図っていく必要があるのではなかろうか、これが一つ。  それからもう一つ、地方自治体におきますところの増減税の調整分を、地方自治体が行いますところの行政の中にそれを反映する方法はないだろうか。例えて言いますと、私は、市民税あるいは固定資産税、この税額と見合った一つのものとして、例えば国民健康保険の低所得者の負担を思い切り下げる財源に使わしてくれぬだろうか。これは私は、国民健康保険の低所得者の負担というものは余りにもきつい、これをずっとほっておくべきではないとかねてから思っておるのです。そして同時に、老人保健の負担というものももう少し自治体が考えてもいいのではないか、そういう権衡を一度やはり検討すべきときだろう。減税いかぬという一点張りで私は言っているわけではございません。必要なものはやったらいい。一方において、国税の方で見ました場合に、間接税の方でもう少し負担する能力はあるのではないかと思ったりいたします。  そういうようなものと兼ね合わせまして、税体系等を見直してもらいたい。そして地方自治体としても、私は、住民税、固定資産税、そして事業税、その他いろいろと自治体に属された税がございますが、他のいろんな諸税が果たして、徴税コストを見た場合に、有効な税かどうかという、疑わしいものも相当ございますので、そういう税の 整理もあわせて行うときだと私は認識しております。
  41. 中沢健次

    中沢委員 率直に言って、私の期待をしたようなお答えではありませんが、ただ、示唆的なお話として、例えば健保の問題ですとか老人保健、老人医療の問題がありました。これは減税というよりも制度的に地方財政の中で何とかできないか、私は非常に示唆的なお答えだと思いまして、ぜひひとつ、これは来年度交付税あるいは地方財政計画の中でしっかり議論もしてみたいと思うのです。その辺はひとつ、そちらに座っている自治省の関係の皆さんもよく念頭の中に入れていただいて、積極的に研究をぜひお願いをしておきたいと思います。  時間があればもう少しそのことを詰めたいのでありますが、きょうは時間がありませんから先に行きます。  補正法案に関連をして幾つかお尋ねをしておきたいと思います。  先ほど山口委員の方からもありました、残念ながら経済動向がこんな状態で国税が大幅に減る。法人と所得、合わせて約五兆円、したがって三二%を掛けますと交付税も約一兆六千億減額になる。私から言えば、この見通しそのものは、先ほど大臣は甘いということは認められましたけれども、甘過ぎる。時間があれば経済企画庁あたり呼んで、その辺をもっと議論もしたいのでありますが、私は、やはり甘過ぎた。しかし、結果的にもこういう現実が来ておるわけでありますから、問題は、一兆六千億の交付税減額について、全額国から借りるというそういう措置について、正直言って非常に納得しがたいのですね。  もっと言うと、昨年度五千億特例減額、今年度八千五百億特例減額、公経済バランス論ということで我々は辛うじて賛成に回ったわけですよ。つまり、地方が国に金を貸した。今度は、くどいことは言いませんが、約一兆六千億、国から地方が借りる。普通からいえば貸した金を戻してもらって、簡単に言えば貸した金を戻してもらって不足部分を借りる、これが普通の常識だと思うのです。普通の常識。何でそういう普通の常識が国と地方財政問題で通用しないのだろうか。これは率直な疑問だと思うのです。もっと言えば、先ほどもありましたが、五十九年の覚書原則としてはこういうことはやりません、六十一年にその原則を破って、やった。ことしもやろうとしている。二回も原則を破るということは、原則じゃなくてもう無原則だと私は思う。こんな無原則のことを原則だ、原則だと言ったってしようがないと思うのです。  だから、そういう問題も含めて、もう少し当局の方から、その辺の経緯等々について改めて聞いておきたいと思うのです。後でまた大臣に所見を聞いておきたいと思います。
  42. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今年度の当初予算におきまして税収の見積もりが非常に甘かったのではないかという御指摘でございますけれども、結果的には仰せのとおりのことになったわけでございますが、この税収を見積もる段階におきましては、やはり各種のいろいろな経済指標というものを使いまして可能な限り適正な税収見積もりをやったということではないかと思います。しかし、結果として、この厳しい経済情勢の中で国税収入が大幅に減収になっているという結果になったわけでございますので、何とか私どももそれに対応しなければならないわけでございます。  それで、交付税というのはもともと国税の一定の税目の一定割合ということでリンクしているわけでございますから、この税収が異動いたしますと当然のこととしてこれは動くわけでございます。だから、その動く度合いを年度途中でなるべく少なくするということが一番望ましいわけでございますが、今回のような場合には、これはちょっと大き過ぎたなという感じはするわけでございます。  それで、五十九年度地方財政対策において、今後原則としてこういう借り入れ方式、特別会計借り入れ方式をやめようという意識というのは、当時十兆円を超える借入金特別会計にあった。それでその当時、これをどうやって返していくかということで随分大きな議論があったわけでございまして、その結果で、半分は国が引き取ろう、残りの半分は将来の交付税負担をしましょう、しかし、そのかわり借り入れというのはもうやめていこうじゃないか、これが率直な当時の当事者の気持ちだったのではないかと思うわけです。だから、そのまま借り入れ方式というものを続けていけば、その後も借入金というものが随分累増していったわけでございますから、この原則に従って、少なくとも当初予算におきましては特例措置という形でずっと経緯をしてきたということは、これは五十九年度のやり方として私は評価してもらっていいのではないかなという気がするわけでございます。  ただ、残念ながら途中で国税収入が変わってくるというときの対応のやり方として、選択肢としては非常に限られてくるということもございまして、本当であれば貸したものを返す、返してもらう、これが一番いい、あるいはそれで足りない分は、もう地方に対して決めたものを返していただく。交付税は一定の税率で決められておるわけでございますから、税収が落ちればその割合で交付税総額が落ちてくるということはある意味では当初から予定をしなければいかぬことかもしれません。しかし、現実の問題としてそういうことは地方財政運営に支障を生ずるわけでございますからとてもできる話ではない。そういうふうに一つ一つのことを詰めていき、財政当局とも随分議論をした結果で、今回はやむを得ず借り入れということで、特別会計借り入れという形で措置をせざるを得ないだろうということでやらしていただきました。  国に貸しておきながら、国から借りたという御表現、ちょっとございましたが、これは国から借りたんではなしに、特別会計が将来の地方交付税財源として借り入れたということでございますから、国から借り入れたということでは私はないのじゃないかと思いますけれども、しかしいずれにしても、将来の地方交付税の中から返していくということでございますから、こういうことはできるだけ避けられれば避けた方がいいということはもう申すまでもございません。これからもこういうことのないような、適正な見積もりというものを私どもも努力していかなければならないと思っております。よろしくこの辺のところを御理解賜りたいと思います。
  43. 中沢健次

    中沢委員 今、局長の方からお答えがあったことで私はちょっと脇に落ちないというか、正確かどうか、ちょっと確かめておきたいと思います。  よく我々は国と地方貸し借りという議論をします。今度の場合は正確に言えば資金運用部資金を借りてきた。しかし、一般的に言って、国から借りたということで私はいいと思うのですよ、私は。そういう理解が間違っているのですか。  ということは、もっと突き詰めて言うと、局長のような言い方をしますと、国と地方財政貸し借りという議論が、正確に言えば成り立っていかないのですよ。国の一般会計地方財政との貸し借り、資金運用部資金は別です、こういうふうになってくると、どうしても国と地方貸し借りということには性格上ちょっとなじまない、それはまた別の問題ですと、そういう理解であれば僕は非常に問題があると思うのですがね。  やはり一般論というか、そんなに我々、自治省の皆さん方と違って、朝から晩まで財政問題ばかりやっているわけにはいきませんが、こういうところで議論する、あるいは予算委員会だとか大蔵委員会で議論する場合に、一般論としてはやはり国と地方貸し借り、それが会計上資金運用部から借りる場合、あるいは交付税特会に入れて借りる場合、いろいろあるのでしょうけれども、正直言ってやはり国と地方貸し借りということで私は理解をしておきたいと思うのです。それは間違いなんですか。
  44. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ちょっと私の言い方もあれだったと思いますけれども、国の一般会計から借り入 れたという意味で、今回の分が借り入れたものではない。国に返すわけじゃないわけですね。交付税の中でどこから借りてきた資金に対してその借金を返すという意味で、地方財源を担保にしてそれは借りたものだ、一般会計に対してお返しするという性格のものではないんだ、こういうところを私はちょっと強調したかったので申し上げたわけでございまして、一般的にはおっしゃるとおり、国との関係で貸したり借りたりという関係だということでは、一般的にはそういう認識だと思いますけれども、何かこの借り入れというものが一般会計の方から借りてきた、あるいはその一般会計を助けるために借りたんだという、そういう性格とはやや違うんじゃないか。交付税総額を、当初予算を確保するために、将来の交付税を担保としてそれを会計の責任で借りた、こういうふうに私ども考えたいということでございます。  ちょっと言葉の遊びみたいなことになるかもしれませんので、ちょっとこの辺については余り正確に議論しても意味がないところだと思いますけれども
  45. 中沢健次

    中沢委員 財政局長といういわゆるプロ中のプロがそういう認識をするということについては、私は一〇〇%否定はしません。しかし、本当に一般論というよりも、全体のレベルで言えば国と地方財政との貸し借り。ですから、今までも大蔵大臣を呼んできて、おかしいじゃないかと、国が本当に金がないのだったら、別の方法財源を捻出しろと、地方から特例減額することは何事だという議論が、私はそのことが前提にありまして、やったつもりなんですよ。これ以上きょうはやりません。  そこで、大臣、いずれにしても特例減額にしても、今度の関係にしても、よって来た原因は、やはり国の税収見積もりが甘過ぎた、それが原因だと思うのですよ。もっと突き詰めて言えば、大抵の場合、大抵の場合と言っていいか、ほとんどと言っていいと思うのでありますけれども、国の財政事情によって地方財政がいろいろ影響を受ける。私は、これは精神的に言って非常におもしろくないのですよ。  本来、地方財政というのはあるいは交付税というのは、大臣もよく御答弁されているように、地方全体の固有の財源なはずなんですね。であれば、そういう観点からいうと、やはり地方の自主性がもっと尊重されて、国の都合で、国の理由で地方財政が右に行ったり左に行ったり、貸せと言われたり貸すと言われたりする、その辺は非常に行動的な問題あるいは思想的な問題も含めて私はなかなか納得できない。納得をせざるを得ないけれども、非常に問題があると思うのですけれども大臣は、特に政治家としてその辺はどう考えていますか。簡単で結構でありますが、お答えいただきたい。
  46. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 戦後、我が国の税制が新しい段階から発足しました。その時分には付加税というのがよくございまして、国税に対する付加税、付加税が地方税になるというような制度がございました。それを整理して国税地方税と分けたのだと思うのでございますが、それがシャウプさんがお越しになって抜本的に組みかえられる。  そのときの記録を私は読んだりいたしますと、余り税の種類を多くしてもいかぬし、それから複雑にしても徴税事務が非常にコストが高くつくとか、いろいろな観点から税の種目を絞られて、国税に向くもの、そして地方の安定財源として地方に向くものと分けられた、こういうことを聞いておりますが、その昔あった付加税的なものが要するに交付税ということで統一されてきておるように、私の認識も間違っておるかもわかりませんが、そんな感じがするのであります。  でございますから、交付税というものは生まれたときから実は地方の税であるということはもう明確なことなんでございますけれども、ただ、それがいわば国税と連担しておるというところから国と地方との半ばの税金だというような意識が出てまいりまして、どうもやはり国支配の関係がいまだに尾を引いてきておるという仲だと思っております。  私は地方の独立、実はえらい余談になりますが、行革審の先生方にもよく言うのですけれども、一番問題は、交付税の問題を考えてみてください、地方の分権だといろいろおっしゃいますが、パイロット自治体、いろいろおっしゃっていますが、財政上の構造からいって自主独立を図るべき問題の一番大きい課題としてこれがあるのです、これは地方の税であります、地方の税であるということで明確にはなっておるけれども、この税が実は非常に問題の税なんですと、ここは検討願いたい、こう言っておる。  話はまた戻りまして、ところで、この税が実は私、国と地方との共同の責任だというので、また交付税としても非常に助かった点があると思うのです。今おっしゃるように、貸した金を返せばいいじゃないかという議論でございますけれども、しかし、その前、今からちょうど、十年もない、七、八年前ですか、五十九年の覚書が出ましたとき、あの時分は私は地方行政に関係しておりませんけれども、国民運動本部長をやっておりましたときに、各地でそういうのを聞きました。それは、こんなに交付税がもう物すごい赤字になって、税率を変えてくれ、交付税率を変えてくれ。できなかったんです。そのかわりに国が金を貸してきた。こういういきさつがあって、それをパアにしたわけですね、半々持ち合うてむこんなこともやってきておるものでございますから、今回のこの税に関してもそういう延長線上においての解決しかないような感じがするんです。  でございますから、先ほども言いました、お話ございました、質問ございましたのですが、五十九年の覚書、あれは余り原則にこだわる必要ないや、あれは原則なんだよ、だからお互いにそういうことのないようにしようという、よく交通事故があったら再び交通事故を起こしませんと言うのと同じで、覚書というのは、こういうようなことでやりましたので決着をつけましたという一つの証拠なんでございます。交付税というのを現実に処理していく上でそのとき一番大事なのは、政府地方をどう見るか、どう認識するか、地方行政をどう見るかという国の姿勢、ここに私は最大の重点を置いて考えられるべきものだと思っております。
  47. 中沢健次

    中沢委員 それで、大臣の方からお答えがあったようなことでは、私も全面的ではありませんけれども、同感できる部分があるんです。私自身、今非常に短期的に言って心配しておりますのは、こういう経済状態でありますから、国の財政も大変だけれども地方財政は急速にやはり厳しくなってくる。交付税総額の確保はなかなか難しい。結果的に国から金を借りてこなければ全体の枠の確保ができない時代が、私は経済学者でも何でもありませんが、少し続くんじゃないか。そうすると、かつて昭和五十年代に経験をしたように、結果的にそれが大変な借金になって、その解決策として政治家が集まって、あのときは、大臣おっしゃるように、国だって責任があるんだから約十兆を超える多額の借金については国が半分持つ、地方が半分持とう、折半で政治解決をしたと思うんですよね。ただ、そういう道筋をたどることがいいかどうかという問題と、仮にそういう多額の借金が残った場合の政治解決が本当にそういう方法でつけられるのかどうか。これは相当先の話ですから今直ちに即答は要りませんが、そんなことなんか心配するものですから、あえて言っているわけですよ。  そこで財政局長、今七十二兆地方は借金を抱えていますね。今度の緊急経済対策、補正、一兆六千億の借金をすることなどをずっと要素に入れていくと、どの程度の負債残高というか借金の残高になるんですか、数字的に知っていれば聞いておきたいと思います。
  48. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 当初の段階で平成年度末で地方が抱える借金の残高は約七十二兆円、七十一兆ちょっと超えるということで試算をしておりました。これに今回の地方財政補正措置、これは地方団体はまだ最終的に地方債を発行していないです から明確なことは言えませんが、大体今の地方財政補正措置を前提にして考えますと、地方債で普通会計分で約二・六兆円ぐらいふえるだろう、それから今御指摘交付税特別会計借入金、これが一兆六千億ふえてまいります。それから公営企業の今回補正絡みで出します地方債のうち普通会計で持たなければいかぬ分もあると思いますので、こういうものを考えますと、今回の補正措置で四兆三千億ぐらいの増加になるんじゃないか。それに当初の七十一兆余りを加えますと、大体七十六兆円ぐらいの残高になるか、こういう感じでございます。
  49. 中沢健次

    中沢委員 いずれにしても今度の緊急経済対策、補正予算関連、まあ結論的に言えばほとんど地方債で財源捻出をせざるを得ない、それがそっくり赤字になって結果的に四兆ちょっと純粋にふえる。私の指摘をしたいのは、そういう事実も含めてこれから先、短期になるか中期になるかは別にしてそういう状態がいや応なしに続いてくる。したがって、その辺のところ、大臣は先ほどお答えをいただきましたけれども、やっぱり自治省当局としても十分押さえていただいて、そうはいっても、後でも言いますが、交付税の総枠、地方財政計画の総枠の確保というのはこれまた論理的に矛盾をするかもしらぬ、しかし、矛盾するかもしらぬけれども、そういう総枠確保というのは至上命題なんですね。そういう認識について、釈迦に説法だと思いますけれども、あえて指摘をしておきたいと思うのですよ。  そこで、次の問題に移っていきたいと思いますが、平成年度地方交付税見通し、一体どうなのか。端的に言えば十五兆七千億の平成年度補正で約一兆六千億減ってしまう。約一〇%減っております。もとに戻すだけでも一〇%交付税をふやさぬとならない。それだけでも大変だと思うのですね。それ以外に、一番最後で言いますけれども、やはり交付税のいわゆる基準財政需要額、必要な地方の事業についてはしっかりした財政的な裏打ちが必要だ。黙っていてもプラス何%か出てくる。これは大変だと思うのですよ。まだ予算編成の最終的な段階は迎えていませんが、もう間もなく十二月でありますから、そろそろそういう見通しも含めていろいろ持っていると思いますけれども、少しくその辺具体的な内容を出していただきたい。その内容によってはまたいろいろ質問もしてみたいと思うのです。
  50. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 現段階で税収の見積もりをするにはいろんなデータがまだ出ていないということもございまして非常に難しいわけでございますが、ただいま委員指摘のとおり、今回の補正予算交付税のリンク税目でございます法人税所得税で五兆円の減収があったということでございまして、今御指摘のように、この交付税総額としても約一〇%落ち込む。この一〇%以上の税収が上がるということはなかなか現段階で予測することは難しいと思います。そうなりますと、地方交付税総額につきまして四年度の当初だけの金額が確保できるかどうか、これは非常に難しい、非常に厳しい状況だと思います。  また地方税につきましても、国税がこれだけ落ちたということは地方税につきましても非常に厳しい状況でございますから、地方の一般財源でございます地方税、地方交付税は来年度は相当厳しいんじゃないか。  対しまして歳出面では、今も御指摘のとおり、公共投資もやっていかなきゃならない、高齢化社会にも対応していかなきゃならないということで歳出面はかなりいろんな要素が出てくるということでございますので、この辺をどういうふうに対応していくかというのが正直言って今非常に頭の痛いところでございます。  まだ具体的に計数的に申し上げられる段階ではございませんけれども、ともかく需要面では社会資本の整備あるいは高齢化社会あるいは環境問題とかいうような問題も含めていろいろメジロ押しに財政需要がございますから、そういう当面する地方財政需要には何とか対応しなきゃいけないと思いますし、一般財源はそういうことでございますので、ここらあたりをどうにらんでいくかということで、これからともかく地方財政運営に支障のない、当面する財政需要には対応できるようなそういう何らかの措置が講じられないかということで今頭を痛めているところでございます。
  51. 中沢健次

    中沢委員 それで大臣にお尋ねをしたいと思うのでありますけれども地方財政平成年度見通しでいえば、一言で言えば非常に厳しい、こういうお答えなわけです。私もそうだと思います。ところが、昨日の日経朝刊を読みました。一面記事で、大蔵省がどうのこうのという、予算編成についての数字を含めて出しておりました。その中で非常に気になることは、引き続き地方財政についても特例減額の協力を求めたい、こういう記事が載っておりました。私は言語道断だと思うのですね。大蔵大臣が出てきてああいう経過がある、しかも、財政状況が国も大変だけれども地方も大変だ、何を今さらという、正直言って怒り心頭とまでいかないけれども、唖然としたわけですよ。  率直に言って、やはり平成年度は少なくとも特例減額で国に協力をする余地は、公経済バランス論に立っていらっしゃる大臣、恐らくその余地はない、このように思っていられると思うのです。もっと言えば、この際緊急措置として三二%の交付税の税率を上げたらどうだ、地方団体が来月集会をやるようですが、そういう声はいろいろなところで出てくると私は思いますね。  それで大臣、どうでしょう。少なくとも特例減額の余地なしと明確に、きょうの段階で歯切れよくそこのところはお答えをいただいておきたいと思うのですが。
  52. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、かねてから原則論と、これはこれこそ原則論でございますが、特例減額というのは、これはもう非常に精神的なダメージは大きいと思います。ただ、計算上起こってくるところの減額を、今回のような国税落ち込みによる減額措置をどうするかということと、特例減額とは私は性格が違う、こちらは非常に政治的な問題だと思っております。でございますから、特例減額に対しましては、あらゆる手段をもってこれに対抗するということは考えなければいかぬ。  それにつけても、大蔵の方は、今は私の方に特例減額のことの情報も何一つ入ってきておりませんし、こちらから何か慌てて特例減額けしからぬと言っていったら、何やそんなことはやはり議論になっているんですかということを言われてしまうので、慎重に対応したいと思っておりますが、気持ちは、先ほど申しましたように、絶対特例減額については非常に厳しい処置で臨んでいきたい、こう思っております。
  53. 中沢健次

    中沢委員 今のお答えを信頼しておきたいと思うのですね。ただ、原則という話もありました。去年も、そういう心づもりでありながらも結果的に八千五百億、こういう一つの結果があるわけでありまして、私はやはり、どこでどう言うかは別にいたしまして、もう地方財政は全くそんな余裕はない、もっと言えば、補正で一兆六千億を借りるわけでありますから、したがって、ぜひ大臣、在任中いろいろなところでそのことを総理や大蔵大臣にしっかりひとつ教育をしていただく、教育ということは語弊があるかもしれませんが、真意のほどをよく伝えていただいておきたいと思うのであります。改めてそのことをお願い申し上げておきたいと思います。  さて次に、一般財源化問題一つだけお尋ねをしたいと思うのですよ。  理屈に合う一般財源化でいうと、我々も総論賛成。したがって、平成年度は、例えば義務教育の共済の追加費用、六百二十億だと思いますが、これは一般財源化を認めました。ところが、これも新聞に出ておりますように、文部省は全体的な義務教育、補助の二分の一を三分の一にしたい、あるいは従来からやっております事務職員だとか栄養士の人件費を一般財源化するかしないかという段階だ。私は、これはもう全く次元の違う話でありまして、義務教育というのはもともと国が責任を持ってやるべきだ。だから、追加費用のようなああいうものは、一般財源化についてはそれは もういろいろな話の中で受けることもあっていいと思うのでありますけれども、全体的な義務教育の人件費、総体的に補助率を下げるその受け皿として地方財政で面倒見てくれ、これはとんでもない話だと思うのですね。  具体的にそういう動きが、単に大蔵と文部のやり合いだけじゃなくて自治省に来ているのかいないのか、まずそこのところを聞いておきたいし、あるいは大臣としては、文部大臣経験者でもありますけれども、今私の言ったようなことについてどういうような考え方を持っておられるか、改めて聞いておきたいと思います。
  54. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 大臣の御答弁の前に一言申し上げたいと思います。  今御指摘のように、国庫補助負担金の整理合理化についてのお考え中沢委員と同じ考え方でございます。特に、今お尋ねの義務教育の国庫負担金につきましては、国庫負担金というのは、私どもの所管している地方財政法の中でも国家的な見地から必要とされる行政の規模とか水準というものをきちっと維持していくために国と地方とでお金を分担し合うという性格のものだということで理解をしているわけでございまして、義務教育費の国庫負担金はまさにそれに該当するわけですから、単なる奨励補助金ではないわけでございます。  もちろん、国庫負担金の中にも社会の経済情勢などの変化によってもう一般財源化してもいいのではないかというようなものもございますけれども、義務教育費の国庫負担金というのは、やはり教育の根幹でもあるわけでございますから、こういうものについて全体一般財源化するとか補助率を下げるというような話、これは私どもには省庁間の話では何も来ておりませんけれども、こういうことは私どもとしてもなかなか受け入れられる問題ではないのではないかというふうに考えております。
  55. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ちょうど一九八二年にレーガン大統領に対する教育答申が出ました。その中に、アメリカの教育改革の一番のバックボーンは何か、教育のイニシアチブはいずこにありやということだったのであります。今日本で文部省の中で一番大きい問題は義務教育、この義務教育のイニシアチブをどうして確保していくかというこの問題にあると、私は文部大臣のときにはその意識を持ってそれに取り組んだ次第であります。  そういう点から見まして、先ほど財政局長が答えておりますように、義務教育のイニシアチブの問題とも絡んでまいりますだけに、教員の国庫負担地方負担という問題はただ単に財政上の問題だけで決めるべき問題ではない、私はそう思うのであります。ましてや年次計画でやるとかいう話が何か新聞ではございましたけれども、私は大蔵及び文部から一切そんな話は聞いておりませんので、誤解のないようにしていただきたいと思っております。  ただ、私たちは前から言っておりますことは、義務教育の根幹を揺るがすようなそういう問題は今議論すべきではないけれども、義務教育の環境の問題として例えば、学校の維持管理をしております公務員の問題があります。これは、学校の維持管理の責任が地方団体である以上は、公務員、用務員ですか、用務員の一部一般財源化ということは当然あっていいのではないか、これは、地方団体として地方団体の中における一般財源として処置されてもいいではないか、あるいはまた、栄養士、学校給食の栄養士でございますが、これもやはり自治体が、その教育環境の中のいわば給食事業というものの責任は機関委任事務として受けておる以上は、そういうことも考えてもいいではないか、こういう主張は従来してきておるところでありますが、教員の問題については先ほど言った次第であります。そこへもってきて、現在交付税にそんな余裕はないのでありますから、今そんなことを、義務教育の国庫負担の一部肩がわりを言われても、自治省としては当惑するばかりでございまして、そんな今聞くべき話ではないと思っております。
  56. 中沢健次

    中沢委員 いずれにしても、今大臣からお答えがありました基本的な問題で言えば、私も全く同感であります。ただ、学校栄養士に言及をされましたが、これは私はちょっと見解を異にしておりますけれども、もう時間がありませんからこれ以上は申し上げません。  ただ、今文部省の話を出しましたが、例えば、同じように厚生省あたりも、まだ余り大きな火種になっていないようでありますけれども、似たような問題でまた自治省に持っていこうかなんということになるやもしれぬ。ですから、そこのところは、今大臣おっしゃったようなこととしっかり当局の方も合わせていただいて、奨励的な補助について言えばそれは論議の余地あり、それ以外はやはりだめなものはだめだ、やはり玄関先で押し返すようなしっかりした姿勢、対応をぜひこれからもとっていただきたい。あえてそのことを申し上げておきたいと思います。  もう一つは、一般的な補助率についても、これも新聞報道などではかなり以前から、今もう二十段階以上いろんな補助率があって、それを整理したい、二分の一補助と三分の一補助にしたい、こういうことが報道としてもありました。事実上自治省としてもそういうことで動いているようなんですが、結果的にはそれによって地方負担がふえるという補助事業も出てくると思うのですね。しかし、補助率を仮にそういうふうに集約をするのであれば、それに伴って起こる地方負担増をどうやって自治省の責任で手当てをするか、また一方ではその辺も非常に大事な問題ではないかと思うのです。そこのところはどのように考えているか、簡単で結構でありますから、お答えください。
  57. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度予算編成のときに、公共事業などの建設関係の国庫補助負担率に一定の取り決めを省庁間でやったわけでございますけれども、これが平成年度までの暫定措置ということで、それまでにできるだけ体系化、簡素化の観点から関係省庁間で総合的な検討をしていこうというお話があったわけです。そして、可能なものから逐次実施していこうということで、これは昨年度から、公共事業などを所管している関係省庁、それに財政当局も入った省庁間の連絡会議を持っているわけでございまして、この連絡会議の中でいろいろと今論議を進めているところでございます。そして、もし話がつけば、これは年限としては来年度まででございますけれども、今年度で決着つくものならついてもいいのではないかという意味で、私どもも積極的にこのお話し合いには参加させていただいております。社会資本の整備を行っていくについても、余り複雑な補助体系ということはやはり問題もございますし、行革審からもいろいろとお話もございますし、また、当委員会でも特別決議の中にもこういう問題に言及していただいているわけでございますので、結論が得られれば今年度中でもお願いしたいなと思っております。  ただ、その場合に、今御指摘のように、見直しによってもし地方負担がふえるというようなことがあれば、これはやはりこの分をきちっと公共事業が執行できる、そういう財政措置はあわせてやっていくということが当然前提になるわけでございまして、それを頭に入れながらこの検討に私どもは入っていくつもりでございます。
  58. 中沢健次

    中沢委員 それでは、もう時間が来ましたので、最後に、大臣に改めて決意のほどをお伺いしたいと思います。  わずか一時間でありましたけれども大臣からそれぞれお答えがありまして、それなりの決意のほどはわかったのでありますが、ただいずれにしても、くどいようでありますけれども平成年度予算編成の大詰めを事実上は迎えている。私もしばしば指摘をさせていただいているし、大臣もいろいろなところで、とにかく事業に必要な財源は確保しますと、非常に積極的な態度を表明されてきた。  さてそこで、これから平成年度地方財政計画あるいは交付税問題について、予算編成絡みで自治大臣として責任を持ってされるわけでありますが、今まで議論をしてきましたように、財政状 況は非常に厳しくなっている。しかし、一方においては必要な事業の財源の確保の必要性もある。もっと特徴的にいいますと、先ほどもありました高齢化社会に対応するような財政、あるいは社会資本整備に必要な財政、もっと言えば、我が党としては平成年度の一つの大きな目玉として、森林、山村対策をどうするか、これは森林業というよりも地域政策の一環としてどうするか、こういう問題もあります。あるいはさまざまな基金の積み増しの問題もこれあり、もっと言えば、大臣先ほどお答えいただきましたが、分権の時代に即応するような財政構造をどうやってしっかりつくるか、大きなテーマが課題として非常に残っていると思うのでありますね。  ですから、そういうことも含めて大臣として、平成年度に向けて私はぜひこのことはこういう形で頑張ると、決意のほどをお聞かせをいただきたいし、社会党としてはまた改めまして、十二月の上旬ごろになると思うのでありますが、全体的に平成五年の予算編成に向けてのさまざまな内容について、直接また時間をとっていただいて大臣といろいろお話し合いもさせていただきたいと思います。きょうは委員会でありますから、決意のほどを最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方財政というものは永遠の過程の中にずっと展開されていくものでございますし、それだけに、いいときもあれば悪いときもあるという紆余曲折を経るものであろうと思っております。でございますから、一年一年をそんなに神経質に考える必要はないと私は思うのでありますが、来年はとにかく厳しいということは私の頭の中にしっかりと今入っております。それだけに、具体的にはどうするか。といって、平成年度より大変落ち込んでしまうということは絶対してはならぬ。やはりずっと歴年継続というものを維持していきたいと思っております。  でございますから、事業費等につきましては、特に投資的経費については、本年度を若干でも上回る程度に維持していきたいと思っております。落ち込むということだけは避けたいと思っております。一方、経常経費については、それはそれなりの新規事業の要求と改革していくべき問題とを取りまとめて、調整を絶えず図りながらやってもらいたい。けれども、これも、大きく制度的に変えるようなものは来年度はできにくいのではないかと思っております。  したがいまして、財政全体を見回した場合、本年とスケールにおいてほぼ同様な過程でいかざるを得ない。しかし、その間に若干の公債の増加といいましょうか、これはあるかもわからぬ。これは心配しておりますが、それに対するものがどこから来るかといったら、やはり財源補てん債等をある程度発行せざるを得ないことから起こってくるものだ。これについては、後年度いかに負担していくかという問題とあわせて解決の道をあらかじめつけておきたい、それによって各自治体が安心して行政に取り組んでいただけるようにしたいと思っております。  最後にお尋ねの森林問題についてでありますが、この問題は私も非常に気になっておる問題で、現在まだ宿題として残って未解決でございますが、実は、自治省の方と林野庁と相当なところまで具体的に話を煮詰めております。そして財政的措置につきましても、ある程度両省庁の間で了解も得ておりますし、大蔵当局も、両省庁で話がつけばそれに異議を申すものではないという態度でありますので、できれば私の任期中にきちっと森林対策だけはまとめたいと思っております。
  60. 中沢健次

    中沢委員 どうもありがとうございました。
  61. 中島衛

  62. 北沢清功

    北沢委員 ただいま社会党を代表して、中沢委員から総括的な御質問がございました。  私は、三、四の点につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、まずお尋ねをいたしたいのは、このところ急を告げておりますガット・ウルグアイ・ラウンドに絡む米の自由化の問題に関してであります。  これは単なる食糧問題にとどまらず、特に地域社会政策という意味では私は相当大きな問題だろうというふうに思うわけであります。この点においては、一昨日来の予算委員会におきまして、宮澤総理が例外なき関税化を認めることはできないとの御見解を述べられておりまして、大変力強い思いをいたしておるところでありますが、地方自治の最高責任者であります自治大臣にもぜひこの問題についての御見解をお尋ねをいたしたいと思います。
  63. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 自治大臣として答弁するのは難しいことだと思うのでございますが、私は一政治家として答えさせていただきたい、それでよろしゅうございますかと思いますが、そういう観点に立って申しますならば、政府が例外なき関税化は困難であることを非常に強く主張しておること、宮澤総理の主張は私は当然だと思っております。  しかし、現実の問題としてどう展開するかということにつきましては、これまた別の問題があろうと思うのですが、政府の方針並びに自由民主党なり私たちの所属しておりますいろいろな関係はそういう方向で動いておりますし、その決意で事を進めておりますので、私もその措置が当然であろうと思っております。
  64. 北沢清功

    北沢委員 米を主たる生産物としている特に中山間地域の農業は、全国農業に占める農家の割合でも約四割であります。また、耕地面積でも四割ありますし、農業粗生産額においても四割に上っているのでありますので、米の自由化がこの地域に与える打撃というものの大きさは、この地域社会を組織する観点から、私は無視できないと思われるところであります。それでなくとも過疎化が進んでいる、零細で不利な状況に置かれているこうした地域の農業をどうするかということは、地域政策、環境政策においても極めて真剣な課題であるというふうに思っております。  これまで地域格差是正、人口流出防止のために各省、省庁ごとにさまざまな地域政策が実施せられてきたわけでありますが、これらに共通するものは、財政補助のかさ上げを通じて地域産業の競争力を強化するという産業政策的な発展には限界が来ているというふうに考えざるを得ないわけであります。  今後求めているのは、従来の画一的な縦割り別の地域政策ではなく、ハードな施設面だけではなくソフトの面を含めて地域政策の総合化ではないかと思われるわけでありまして、こういう意味で地域政策の発展の転換、抜本的な見直しが必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、これらについてはいかがなお考えでありましょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。     〔委員長退席、小坂委員長代理着席〕
  65. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 農業の振興、これは私は、食糧の確保とあわせまして当然のことでございまして、今おっしゃっている諸政策につきまして、我々も地方自治行政の立場からできる限りの協力もしていきたいと思っております。
  66. 北沢清功

    北沢委員 今回、不況対策の補正で十兆余という投資をされるわけでありますが、農業の面では今出口のない不況といいますか不振を来しておりますし、特に山村地域では日本の高齢化率の二十年先を見越すような状況であります。加えて、山村における後継者不足というものは相当深刻なものがあるわけでありまして、そういうことを含めて農山村の不振というものは、当然今もって私も地域で感じておるのですが、地域の中小商店、それから日本の地方の小都市にも及んでいるのではないかというふうに私は思うわけです。だから、人口流出が今もって四割に上っているという自治体があるということを見ても明らかではないかというふうに私は思うわけです。  そういう意味で、何といいますか集落の中で、十四万余の集落があったわけでありますが、ここ二十年来の中では約一方、その中の一万余が消えたというような状況であります。ですから、そこに住む皆さんというのは、今日農業問題、また過疎問題については、今までのような形ではだめで はないか。  特に、私は、この間木曽の地方を我が党の衆参議員十名で現地視察をしまして、現地の市町村長さんや、また林野等を見てまいりました。そういう中でも異口同音にそういうことを言われておりまして、非常に緑の大切さということが唱えられておりながら、実際的な国の施策としての緑を造成をするということ、これは時代的な環境も含めての要請にこたえているわけでありますが、それら農民が非常に少ないということ。今実は中沢委員から山村問題が出されまして、自治大臣から山林問題については非常に力強い御答弁をいただいたわけですが、山林の自治体の持っている交付税をぜひ比率をふやしてもらうとか、または森林組合の雇用を人材確保という面でぜひひとつ積極的にしていただきたいということを現地の実情の中から訴えられました。  そういう意味で私は、米問題もそうなんですが、米こそ地方自治であるというふうに、全国的な三五%を占める人口を持っているわけでありますから、今言った角度で思い切った転換をしていかなければならぬのじゃないか。特にEC等においてはデカップリングという所得補償政策がとられているわけでありまして、そこまでいかなくても、何としても山を活性化する意味での最低限の後継者について格別なひとつ来年度予算に向けて御努力を特にお願いしたいと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  67. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、山林対策、それから農村対策、それぞれに特色はあると思いますけれども、森林対策につきましては私は、ぜひひとつしっかりした受け皿をそれぞれの森林対策の分野ごとに設けてもらいたい、その受け皿対策をきちっとしてほしいということ等をあわせまして今林野庁と話しておるところでございますので、これをぜひ急がせて、早急に五年度予算編成までに間に合うようにいたしたいと思います。  それから農村対策につきましては、若者定住者対策等いろいろなことを講じております。その効果も部分的に出てまいっておりますから、それはやはり地方自治体の努力とアイデアの成果によるものが大きいと思っておりますが、これにつきましても、地域づくり推進事業のいわば中心事業としてさらに一層の活用を図るように努めていきたいと思っております。
  68. 北沢清功

    北沢委員 御答弁、決意等お伺いして力強いわけでありますので、来年度予算に向けてぜひ大きな前進がされますことを特に期待をいたしたいと思います。  今米の問題を取り上げたのは、案外、マスコミ等に見られるECとアメリカとの摩擦の中で、フランスにおける拒否をしてもいいというような、国会を含めてのそういう意思表示がされておるわけでありまして、これは特に、世界で一番の輸入国である日本の立場、そして米の問題はただ単なる食糧問題ばかりではなくて、先ほど申し上げたような地域の問題であるとか環境の問題であるとか、そういう意味で重要な課題でありますから、特に私が自治大臣に先ほどお伺いしたということは、外圧に押し切られることのないような、最大輸入国としての我が国の立場を外国にはっきりと表明をして理解をしてもらうというきちんとした姿勢で臨まれるということを、政府の重要閣僚の一員であります自治大臣に特に私は要請をしておきたいと思うわけであります。  以上、米、山林の問題については、そういう観点から、自治省としての新しいお考えを大いに次期の国会に向けてぜひ出していただきますことを特に要請しておきたいと思います。  次に、本年の五月から施行されました地方自治法の一部改正による地方公共団体における完全週休二日制について、現在実施状況調査なさっておると聞いておりますが、実態はどうなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  69. 石川嘉延

    ○石川政府委員 自治省が十月一日現在で行いました調査によりますと、既に都道府県、各地方自治体の九月の定例議会までに、都道府県レベルでは完全週休二日制の関係条例案がすべて提出をされ、成立をしております。また、指定都市では十二のうち四団体、市区町村では千二百八十三団体、関係条例が提出をされて、成立しております。今後、十二月議会になりますと、九月までのものも含めまして累計で二千五百十三団体、全市町村の中での構成比で見ますと七七・四%に当たる二千五百十三団体で関係条例が成立をするという見込みでございます。また、平成五年二月議会になりますと、二千六百九十七団体、構成比で八三・一%の団体において条例が提出をされるという見込みになってございます。当面完全週休二日制を導入する予定はない等の、検討が行われております団体は二百八十八団体、構成比で八・八%ということになってございます。  以上、こう見ますと、全体的に市区町村におきましてやや導入のテンポが都道府県、指定都市と比べまして遅くなっておりますが、四週六休を実施いたしましたときに比べますと、総じて順調に導入が進んでいるというふうに私どもは見ております。  以上でございます。
  70. 北沢清功

    北沢委員 今お伺いしますと、実施状況は進んではおるものの、二百八十八団体が全くめどがないということでありまして、まだまだ厳しいものがあるように思うわけです。これはやはり国や地方団体がこの制度をいわゆる国の制度化として実現をしたわけでありますが、そういう中でこれは国民的な時間短縮につながるわけでありますから、ぜひひとつそういう面で進めていただきたいと思うわけでありますが、今後きちんと指導をお願いしたいと思うわけです。  中でも、今言われるような全く見通しの立たないという地方団体はなぜ導入ができないのか、またはいかなることを根拠としているかをきちんと把握するように一層指導を強化すべきであると思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  71. 石川嘉延

    ○石川政府委員 導入状況調査のときに、おくれている団体につきましては、あわせてその理由を私どもも問うたわけでありますが、導入がおくれております理由といたしましては、近隣市町村の動向を見定めたいとか、地域における週休二日制普及のおくれがあるとか、あるいは市町村長等のトップの意向等を理由としている団体が多く見られます。こういう団体につきましては、今後できるだけ指導を強化していきたいと考えております。
  72. 北沢清功

    北沢委員 このことについてはぜひ指導を強化していただいて、なるべく全国的な歩調ができるように、これはある面ではいろいろ地方自治体の悩みとか負担もあると私は思いますが、そういう面についてはきちっと指導させていくということが大切ではないかと思うわけで、その面の指導を強化していただきたいということを要望したいと思います。  問題は、自治省の指導の点では三点があるわけでして、人員をふやさない、それから金もふやさない、そしてサービスを低下させない、その三つが指導の要点であるように思います。これらを自治省では、地域の自治体の工夫によってひとつやるように、進めるようにという指導がされているわけですね。実は、この間全国の町村長大会に見えましたそれぞれの代表から、市町村長の立場から見て非常に金がないという意味か、そういう面でいわゆる工夫の限界というものについて私どもに訴えられておったわけです。     〔小坂委員長代理退席、委員長着席〕  私は、特に医療とか福祉の分野におけるこの問題は相当難しい問題であるし、また、これをどういうふうにするかということは工夫だけではされないんじゃないかという感じがするわけですね。だからそういう意味で、工夫ということの中では他の職場の超過的な負担等によっても解決をしなければいけない問題もあるわけでありますから、自治省は医療、福祉の現場等についてはどう考えておるかということと、それから、前に私がマンパワー対策でこの委員会で質問をいたしましたと きに、私の側からそういう分野の中では短期公務員制度というものを取り入れることがこの問題の解決につながるのではないかということも実は当時お伺いし、それらについては研究をするということに答弁をいただいたわけですから、そこら辺の状況もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  73. 石川嘉延

    ○石川政府委員 完全週休二日制を実施するに当たりましては、今北沢委員の方から御指摘のありましたような福祉とか病院等の、特に交代制勤務を必要とするような箇所の導入がなかなか困難性を伴うということでございまして、私どももいろいろ研究を重ねてまいりまして、各地方団体で工夫をいろいろ重ねながらやっております事例を収集いたしまして、それをわかりやすく編さんして各地方団体に資料として提供して活用していただいているというような状態でございます。  したがいまして、今後そういう事例を参考にしながら、それぞれの市町村におきまして、それぞれの団体におきまして全体的な定員配置の見直しなども加味しながらやっていただければ、予算をふやさない、あるいはサービス水準を急激に低下させない、人員をふやさないという三原則のもとに週休二日制の導入をすることは可能であるというふうに私ども考えております。  御指摘の短期公務員制度の問題でございますが、これは本年度から私どもも勉強会におきまして研究を始めたところでございます。公務員制度の根幹にも触れてくるような問題がいろいろございますので、多面的な研究をしてまいりたいというふうに今鋭意研究を進めているところでございます。
  74. 北沢清功

    北沢委員 今それぞれの再配置等の中で、特に病院とか福祉関係については工夫を凝らして進めることに自信を持たれております。やはり医療の分野では、例えば薬剤師であるとか栄養士であるとか看護婦さんも含めて、そういう意味で非常に専門的な業務が多いわけでありますから、そこら辺を含めると非常に複雑なものがあるというふうに私は思うわけであります。したがって、そういう面についてはもっともっと地方の実情を調べて、その中で適切な対策を立てられるように特に要請をしておきたいと思いますし、先ほど申し上げました短期公務員制度についても研究を早められて、それらについても御検討をされますようにお願いをいたしたいと思います。  もう一つ、私はこの前の委員会で尋ねたわけでありますが、地方行政委員会の附帯決議として、地方自治体病院に対する、特に赤字対策というか不振対策についてなされたわけでありまして、そのときの話では、地域医療に果たしている役割の重要性にもかかわらず深刻な財政危機に陥っているという自治体病院に対して平成年度地方財政計画に措置が図られることという答弁をされました。そういう措置によって現状は何らかの改善が見られるかどうか、特にお願いをしたいと思います。
  75. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 自治体病院の問題につきましては、たしか四月に先生から御質問がございまして、この自治体病院の経営のあり方につきましては、確かに非常に難しい問題がいろいろございます。特に、自治体病院については民間病院と違ったいろいろな機能がございますので、その機能に着目しながら地方財政の立場から支援できるところは支援していこうということで、かねてから自治体病院に対する財政支援を行っているわけでございます。平成年度におきましても、地方財政計画で対前年度九・三%の増、金額で四千四百四十三億円という金額を計上して、これを交付税措置をして各自治体で適切に自治体病院に援助できるような財源措置を行ったところでございます。  まだ年度途中でございますから具体的な効果というのは決算を見てみないとわかりませんけれども、それなりにやはりこれは効果が出ているのではないかというふうに考えているところでございまして、この自治体病院の持っている機能、いろいろな機能がございますが、この機能に着目しながらこれからもきちんとした充実した財源措置に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  76. 北沢清功

    北沢委員 全国自治体病院協議会というのがありまして、最近の調査によりますと、このところ非常に外国人が増加をしているわけでありますが、この人たちの医療費が未納になっているものがますます大きくなりまして、公的病院の財政を非常に圧迫するというふうに聞いております。そこら辺を含めて、来年度予算においてこうした事情も配慮をしながら、先ほど申し上げましたような地方自治体病院の支援措置についてはより一層必要ではないかというふうに考えるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  77. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 外国人に対する医療の問題、特に不法滞在者と申しますか、そういう方々に対する医療の問題については関係省庁でいろいろ論議をしているところでございますが、現に病気にかかった人たちに対してはやはり人道的な見地から医療行為をする必要があるわけでございまして、その場合に公立病院がそういうことをやる事例がだんだんふえてきているわけでございます。  こういうものについて最終的にどういう財政負担をすべきかという点についてまだ関係省庁の間では結論が出ている問題ではございませんけれども、当面の問題としてはそれぞれの医療機関が負担せざるを得ないというようなこともございまして、病院が本来であれば独立採算制であるということを考えますと、こういう事例がふえていきますと経営上も非常に問題があるということでございます。したがって、この問題は、まず医療費をだれが負担するかという問題、やはりこれをきちっと整理していただいた上で必要な財政措置というものを行っていくべきじゃないかというふうに考えまして、鋭意この問題について関係省庁と論議をしているところでございます。
  78. 北沢清功

    北沢委員 やはり当面は病院等の負担になっておりますから、そのことは当然赤字の上にさらに大きな負担をしようという形になるわけですから、今御答弁がありましたように、関係の省庁と早くだれが負担をするかということを含めて協議をしていただきたいと思うし、また、これらに向けても、本院の附帯決議もさらに配慮をして、来年度に向けても地方財政負担、病院の負担についても援助措置を講じてもらいたいということを追加をしたいと思います。  私は、最後にもう一つ申し上げますが、地方拠点都市の指定については知事がそれぞれ最近指定をしたところでありまして、来年度といいますか、ことしの、初年度の決定については国はいつごろ決めるのかというか、その辺について、国を挙げたそれらの問題についてどういう決定をされるかということを特に今お尋ねをして終わりたいと思います。
  79. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  地方拠点都市地域の指定につきましては、現在事前のヒアリングが終了いたしました段階でございます。現在、各主務省庁におきまして検討中でございまして、その調整を各主務省庁でできるだけ行いました上で、さらに関係省庁というのがございますので、関係省庁の御意向も聞いて、そして正式協議に応じていく、こういうスケジュールにいたしております。  したがいまして、今後のスケジュールでございますが、今年中には最初の指定に関する協議が終了するように目途とはいたしております。したがって、そういうスケジュールに沿ってできるだけそういう目途が達成できますように努力は続けていきたいと考えております。
  80. 北沢清功

    北沢委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  81. 中島衛

  82. 吉井英勝

    吉井(英)委員 私は、地方交付税法等の一部改正案について本来中心的に議論したい問題というのは、これは交付税特会借り入れの問題についてでありますが、何しろいただいている時間が物すごく短いものですから、それで、本題に入る前に、今問題になっております佐川、暴力団疑惑に関連して、城内長官に来ていただいておりますので、 特に八七年、竹下政権誕生時の自民党事件に暴力団が関与したという問題について、あなたの方でこれに関連して十月十五日に記者会見をなさって、そして自民党の特定派閥から警察庁への要請があったのかという記者の質問などに対して、当時のことを警備局などに調べさせたがそういった事実は出てきていない、私も聞いていない、そのころ市民など各方面から何とかならないかという投書や電話がいろいろあったがという趣旨の記者会見をなさったということを伺っております。  そこで二つ、まず最初に確認しておきたいんですが、特定派閥からの要請はなかったのかどうかという点が一点です。それからもう一つは、各方面からの投書や電話については、その中には政治家からの投書や電話等があったのか、これが二つ目です。これはまず、記者会見に関連して最初に伺いたいと思います。
  83. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  御指摘の記者会見におきまして、おおむね今委員が言われたような趣旨のことを申しております。  まず第一に、特定の派閥からそういう依頼があったのかということにつきましては、私ども可能な範囲で調べてみたわけでございますけれども、そういうことは出てきておりませんし、また、私自身の記憶で考えてみても、政治家の方からそういうことを言われたことはございません。したがいまして、二つ目のことにもなるわけでございますが、私どもが調べた限りでは政治家の方からそういうお話はなかったわけであります。  ただ私ども、警視庁で勤務しておりますから、都内で当時日本自民党の街宣がどのようなものであるか、どのように騒音をまき散らしているかというようなことについては十分私ども自身がそれを見聞きしておりましたし、また、一般の方から投書やあるいは電話などで何とかならないかという要請があったということも事実でございます。
  84. 吉井英勝

    吉井(英)委員 この点に関連して、実はその二日前の十三日の閣議の後の大蔵大臣の会見も紹介されておりますが、当時しかるべき機関に抗議をしたが、残念ながら十分な対応をしてもらえなかったと発言したとあります。しかるべき機関といえば、我々常識的に考えれば警察のことというふうに思うわけですが、また、当時あなたは警視庁の公安部長もやっておられて、そういう情報は一番よく集中しているところですから、しかるべき機関に要請があったとすれば、当然耳に入っておったんじゃないかとも思うわけです。  先日、予算委員会で菅沼局長の方からは、この自民党の街宣に関しては道交法違反、公務執行妨害で十三件、十四人を検挙したという答弁もありました。ですから、これも素直に見れば、要請を受けて警察としても対応もされて、そして検挙もされたんじゃないかと思うわけですが、もう一度伺っておきたいのですが、やはり要請というのは、大蔵大臣はこういうふうに言っておられるのですが、なかったわけですね。
  85. 城内康光

    ○城内政府委員 先ほども答弁いたしましたように、いろいろな方からそういう、いわゆる苦情が寄せられまして、私どもも何かしなきゃいけない、こう考えたわけでございますが、特にそういう政治家のお名前で言われたとか、あるいは特別なそういう派閥とかそういうものを言われて要請があったというようなことは私どもつまびらかでございません。ただ、もしそういうことをおっしゃらないとすると、例えば一般の市民の方とかいろいろな方が電話をかけてきますから、私どもの認識としては先ほど申したとおりわからないわけでございますけれども、いろいろな苦情がありましたから、そういう中にはなかったのかと言われると、私もそこのところはちょっと自信がないことでございます。  それから、ただ私どもは、先ほど申したように、私ども自身が何とかほっとけないなというふうに考えまして、十三件、十四人というのはこれは全国でございまして、都内だけでも九件、九名、当時の法令上可能な措置は私どもとしてはとった、こういうことでございます。
  86. 吉井英勝

    吉井(英)委員 とにかく余りにも異常な宣伝であるだけに、もう少し改めて伺っておきたいのは、せんだって週刊誌ででも「竹下事務所から警察へ取り締りを依頼したのは事実です。当時の警視総監は鎌倉節氏。担当の公安部長は城内さんだった」ということも載っているわけでありますが、竹下事務所からそういう要請はありませんでしたか。
  87. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  ただいまの引用されました記事を私もよく読んだわけでございますが、真ん中にポツがありまして、そのポツの前のところと後ろの部分が関係があるように見えないことはないのですが、先ほども申しましたように、私どもとしてはいろいろ調べてみたんですけれども、当時もしそういう依頼があるとするとこういう人のところへ依頼があるんではないかということ、私どもとしても一応手だてを尽くしたわけでありますが、そういうことはございませんでした。後ろの部分は、これは当時の総監が鎌倉さんであり、公安部長が私であったというのは、これはもう歴史的な事実でございますから、そういうふうに、私もそれを読みまして、ああ、事によると誤解を与えるんではないかなとちょっと心配したということでございます。
  88. 吉井英勝

    吉井(英)委員 今警察庁長官より、要請は受けていないということで三度続けてお聞きして御答弁をいただきました。  実は、けさの予算委員会での竹下氏の証言によりますと、八七年十月五日に東京プリンスホテルでいわゆる渡邉、竹下、金丸、小沢の四者会談が一時間にわたって開かれたということと、その中で、田中邸訪問が自民党の褒め殺し街宣活動を中止する条件につながっているという印象を持ったことは事実ですと竹下氏は発言をしておられました。実はその十月五日に四者会談があって、そういう印象を持たれて、ということは条件だなという認識を持たれたということでありますが、十月六日の朝に田中邸訪問でこの条件はクリアされているわけですね。  そして、普通だったらクリアされて街宣中止となるはずなのに、これはせんだっても予算委員会で警察庁答弁によってもう明らかになっておりますように、十月二日には街宣が終わって、三日には引き揚げになっている。条件がクリアされなくても引き揚げたということでありますから、これは十月一日ごろの時点でいわゆる手打ちが行われたと言われている問題、あるいは金銭授受があったのではないかと言われている問題がありますが、この自民党への金銭授受はあったのかなかったのか、警察庁としてつかんでいらっしゃるかどうか、これも伺いたいと思います。
  89. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  自民党は十月二日まで街頭宣伝活動をやったということは確認をいたしております。十月三日以降活動はなかったというように私どもは見ております。ただ、その間の事情、経緯等につきましては承知いたしておりません。
  90. 吉井英勝

    吉井(英)委員 それで、自民党が褒め殺し宣伝を執拗に行って、そして中止をしたときに金銭の授受が行われていれば、これはこの時点で恐喝罪が成立する可能性がありますね。刑法二百四十九条により、その場合最高は懲役十年というふうになるわけですが、そうすると、刑事訴訟法二百五十条で公訴時効期間というのは七年というふうになっていますね。現在まだ時効に達していないわけですから、金銭授受の事実を含めて恐喝罪が成立するかどうかとか、私はこれはやはり一度調べる責任があると思うのですが、いかがでしょうか。
  91. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 当時、何らかの法的な問擬措置ができないかどうかということにつきましてはいろいろ検討したようでございますけれども、当時の把握している事実関係において、法的に問擬するということは困難であったというように聞いております。  今お尋ねのような件につきまして、法的な措置につきましては、御承知のように、街頭宣伝活動というのは政治活動の形態を一応とっているということと、それからまた、内面の意思のような外にあらわれていないものを立証していくというよ うな大変難しい問題はございますが、今後の問題としては、そうしたことも含めて検討はしてまいりたいというように考えております。
  92. 吉井英勝

    吉井(英)委員 八七年一月から十月までということで、余り詳しい日にちを追っての資料というのはお願いしたのですがいただけないわけですが、ただ、この間の街宣活動に要する経費ですね。これは大体数千万円から億単位の費用がかかっているであろうということは大体思われるわけですが、その費用を賄って、さらに相当の仮にもうけを上げているとすると、かなりの額が、金銭授受があったという可能性もあるわけですね。ですから、金銭授受の事実がもしお調べになって、あればあったで、これは恐喝罪の成立の可能性も出てくるわけであります。  ですから、今調べていることを検討するというお話でありますから、こういうことはこれだけ問題になっている事案でありますから、やはり徹底的に取り組んでいただく。検討されるということですから、ぜひ本格的に調べていくことについて検討をして、そして仮に恐喝罪ということになればとんでもないことですから、二度とこういうことを許さないということでやっていただきたいと思うわけです。
  93. 城内康光

    ○城内政府委員 一部右翼の過激な行動につきましては、私どもは視察を行いまして、違法行為があれば厳正に対処するという姿勢を堅持しております。そういう意味で、いろいろな事情について私どもは関心を持っているわけでございます。  先生も御承知のように、刑事訴訟法には、私どもは「犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」というふうに書いてございます。犯罪があるというようなときには、その規定に基づいてやるということは極めて私どもにとっては原則的であり、また当たり前のことでございます。
  94. 吉井英勝

    吉井(英)委員 ですから、その点については厳しく調べていただきたいと思うわけです。  さて、一九九〇年秋、警察庁の方では暴力団対策新法を準備していた時期だったと思うわけです。このときには学者、専門家も入れて暴力団対策研究会も持っておられました。そこに出す資料の準備等はそれよりはるかに前からやっておられて、そして当時の警察庁長官も、それから新法をこの国会審議したときの当時の国家公安委員長も、暴力団は壊滅させるのが基本的な方針なんだ、これは繰り返し答弁をされました。  ただ、まさにそのときに、これは公判で朗読された渡邉調書などによれば、浜田予算委員長辞任問題に続いて、北朝鮮訪問に関連しての金丸氏への右翼の攻撃とか、あるいは山梨リニア起工式での攻撃など、それらをやめさせるために生原秘書が渡邉社長に依頼し、そして石井会長に連絡され、石井会長の手で解決された、こういうことが既に公判の中では明らかになってきております。  もちろん、それらを事実として認定するかどうかは裁判所の話でありますが、問題は、暴力団を壊滅するという立場が警察なんだということで臨んでいるときに、一国の総理を生み出すその自民党の総裁選挙やあるいは国会人事その他に暴力団が介入していたとあっては、これはゆゆしき事態だと思うわけです。また、昨年の国会でも問題になりました東急電鉄株の買い占めから野村証券の関与の問題に至るまで、今や政治経済のあらゆる分野で暴力団がこれだけ深く介在してきているとなれば、本当にゆゆしき事態だと思うわけです。  そこで、質疑終了の時間になってまいりましたということですから、紙が回ってきましたので、私は暴力団が一国の政治経済にこれだけ介在している、本当にとんでもないことだと思うだけに、最後に、国家公安委員長として、暴力団を壊滅していく大臣として、この間の稲川会のこれらの動きを解明し、そして調べた結果を国会等の場で明らかにしていただきたい。あなた自身の決意を最後に伺っておきたいと思うのです。
  95. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 暴力団対策につきましては、警察庁は全力を挙げてこれに対処してきておりまして、特に新たに制定されました暴力団対策法が三月から施行するに当たりまして万全の準備をし、現在順調に指定等が進行しておりますし、また、それと並行して暴力団の活動もやや自粛ぎみで、平静化してまいった、この効果は着実にあらわれてきたと私は思っておりますが、一方において、こういう不祥事件が起こってまいったということはまことに残念至極であります。  つきましては、できるだけ、人権問題等いろいろございますので私たちも非常に扱いは難しいと思うのでございますが、事件全貌につきましての、いずれ各関係者のところで明らかになりましたものを取りまとめ、警察の方からもしかるべき要路のところに対しましての説明もやはりいたすべきであろうと私は思っております。
  96. 吉井英勝

    吉井(英)委員 終わります。
  97. 中島衛

  98. 高木義明

    高木委員 地方交付税法等の一部を改正する法案に関連をいたしまして、まず地方交付税総額特例措置についてお尋ねをしておきます。  この問題につきましては、本日も他党の議員からも繰り返し取り上げられております。私としては重複を避けたいところでありますが、予算編成を前にして非常に重要な問題でありますので、一言お尋ねをしておきます。  御承知のとおり、政府は、地方公共団体の強い反対にもかかわらず、これまで地方固有の財源であります地方交付税交付金を、平成年度には五千億円、引き続き四年度には八千五百億円減額する措置をとってまいりました。国が財源不足という理由をもってこういった特例措置特例減額が今後も続くとするならば、事実上は棚上げされ、地方交付税のカットという状況になるわけでありまして、私たちも実に問題だと思っておるのであります。  きょうは時間が少のうございますので大蔵省答弁は求めませんけれども、この交付税特例措置に対する自治省としての御見解を賜っておきたいと思います。
  99. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方交付税総額につきましては、前年度それから今年度の当初におきまして特例措置によりまして減額が行われたわけでございますけれども、それぞれの年度財政事情というものを加味しながら国と地方財政が円滑に運営できるような措置を、地方の立場からも協力をするということでございました。  今後のこの問題を考えてみますと、まだ具体的に計数的には出てこない問題ではございますけれども、今回の国税収入が極めて大幅な減額になったということを踏まえまして、地方交付税が当初額に比べて一割も減額になったということでございますので、これを踏まえて明年度地方交付税の額というものを考えますと、かなり厳しい問題があるのではないか。また、地方税につきましても、国税がこういう減収を来しているわけでございますから、地方税におきましても同じような傾向が明年度は出てくるのではないか。歳入面においては、そういう非常に厳しいことが予想されるわけです。  他方、歳出面におきましては、かねてから公共投資の積極的な対応をしていかなければならない、特に生活関連施設について地方は責任を持って整備をしていくという立場にありますので、こういうものの整備充実をする、あるいは高齢化社会に対応するためのいろいろな準備をする必要があるだろう、たくさんの財政需要がございます。こういう財政需要に毎年度年度的確に対応できるようにするために、地方財政計画において財源措置を行ってまいりたいというふうに考えているわけでございまして、明年度におきましてもそういう基本姿勢に立ちまして、地方税、地方交付税等の一般財源の確保、その他の財源の確保を十分勘案しながら、当面する地方財政財政需要に対応してまいりたいというように考えております。
  100. 高木義明

    高木委員 さて、地方財源の中で今大きく要望があっておりますのは、補助率のカットの復元でございます。地方公共団体からも強い要望が出されております昨今でありますが、自治省として、この国庫補助金、とりわけ公共事業の補助率につ いていかに考えておるのかということであります。仄聞するところによりますと、大蔵省は、来年度自治体の公共事業に対する国からの補助金の比率をさらに引き下げようと考えておる、自治体向け支出の削減をめぐる大蔵省自治省の綱引きはこれで三年連続になる、ことしは補助率の見直しが絡み複雑な攻防になりそうだ、こういうふうなことを聞くわけでございますので、特にこの際、このことについて自治省としていかにお考えか、お尋ねをしておきます。
  101. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 公共事業などの建設事業に対する国庫補助負担金の負担率、補助率につきましては、平成年度予算編成のときに一定の関係省庁間での取り決めが行われまして、三年以内に、行革審答申を踏まえて補助率の体系化、簡素化をしていこう、今非常に複雑な補助率の体系になっておりますので、これの体系化、簡素化を実施していこうということで、関係省庁間で総合的な検討を進めようという趣旨で昨年度から関係省庁間で連絡会を設けて一応検討いたしております。  ことしもその検討をずっと続けているわけでございますけれども、こういう関係省庁間のお話し合いがつけば、来年度まで、一応期間は三年間ということで来年度までの期間はございますけれども年度途中におきまして可能なものから実施しようという話にもなっておりますので、お話し合いがつけば本年度でこの問題も決着をつけたらいいんじゃないか、いつまでも不安定な補助負担率で仕事をやるということは、国にとりましても、地方にとりましてもよくないわけでございますので、安定した補助負担率というものを早急に決める方がいいのではないか、そういうふうな考え方で今関係省庁間でお話し合いをいたしております。行革審におきましても、補助率が余り複雑過ぎるから簡素化あるいは体系化というものについてもっと積極的に検討しろというお話もございますので、これを受けて実施をできればやってまいりたい。  その場合に、地方負担がふえるのか減るのかという点、これはこれからのお話し合いでございますから、どういうことになるかという点は明確にはございませんけれども、恐らく下がるものもあるだろうし、上がるものもあるかもしれません。これは補助金の体系化、簡素化という整備の中でいろいろな対応が出てくるかと思います。いずれにいたしましても、地方財政に支障のないように、公共事業が円滑に地方団体で執行できるようにその財源措置地方財政計画できちんと措置をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  102. 高木義明

    高木委員 いずれにいたしましても、地方財政に支障のないようにぜひ留意をされて対処していただきたいと要望をしておきます。  次に、パイロット自治体についてお聞きをいたします。  行革審のくらし部会におきましては、いわゆるパイロット自治体の提言がなされております。やる気と能力のある十ないし二十の市町村を選びまして、国の権限を移管をする、そして補助金も自治体の自由裁量によって使える交付金に変える、こういう趣旨でございます。私たちは、地方分権に対して非常に期待をいたしておりました。しかし、このパイロット自治体の提言が、いわゆる閣議決定する前までは大きな期待を抱かれたわけでありますが、とうとう結果的には骨抜きになった、大きく後退をしたということは非常に残念に思っておりますが、この現状についてどのように考えておるのか、自治大臣としていかにお考えか、この際お聞きをしておきたいと思います。
  103. 松本英昭

    ○松本説明員 私の方から最初にお答えさせていただきますが、御指摘のように、パイロット自治体の制度は地方分権特例制度、こういう正式な名称で呼んでおりますけれども、これは行革審の第三次答申で提言されておるものでございます。これが、最初は内容は、いわゆる国の権限というものを法令制度を改正して移行する、移譲するということを検討しておったわけでございますが、最終的には、今御指摘のように運用改善ということにとどまったということで、いろいろとただいま御指摘のようなことがあったわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、運用改善といいましても、その内容が例えばその運用基準というようなものに外れていても、地方団体が自主的にそれを定めたような場合に自動的にそれを認めていくというように、大変意義あるものであったような場合は、この運用改善でありましても、地方自治体の自主性という点で相当の効果もある点もあろうかというように考えておるわけでございます。  現在のところ、実施に向けましてその骨格的なものの作成に向かって今総務庁を中心に政府部内で検討を進めております。自治省といたしましても、地方分権の趣旨に沿ってこの制度が進みますように引き続き対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  104. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 行革審の考え方は、私はこれは本来的な地方行政の認識で、いわば自治の本旨を生かす最も決定的なものだと高く私たちも評価しております。  しかし、現状が難しいものでございますので、そこへ一歩でも近づくべく、パイロット自治体が生まれ出ますような環境づくりのために、今後とも制度並びに財政上、両面からそれの方向に努力していきたいと思っております。
  105. 高木義明

    高木委員 きょうは特にこの問題についてさらに申し上げることもございませんけれども、全国の四十七都道府県知事にこのアンケートをとった結果、評価できないという都道府県は十六都府県あったということで、非常に失望を抱いておるのであります。したがいまして、今後私は、一歩前進ということでありましょうけれども、さらにこういった提言が本格的になされますように御努力をお願いしておきたいと思います。  最後になりますけれども、この際、先ほども出ましたけれども地方拠点都市整備法についてお伺いをいたします。  私ども、この法案が上程された折に、本会議におきましても、従来テクノポリス法あるいはリーゾート法、こういった法律の制度の後にも各地方自治体等からの陳情合戦が非常に繰り広げられたわけであります。したがって、そのことについて触れましたところ、大臣は本会議答弁で次のように述べられております。  これは陳情合戦にならないと私は思っております。それはなぜかと申しますと、この地方拠点都市地域というものは、都道府県知事が指定を行うものでございまして、したがいまして、地方の自主性を最大限に尊重することとしておりますことから、陳情するよりも、むしろその地域における合意づくりが優先するということでございますので、したがって、地方の自主性を尊重した上でのことでございますから陳情合戦にはならない、こういうことでございます。  こういうことを述べられております。  しかし、今日現在、確かにこれは都道府県知事が指定するわけでございますので、今それぞれの努力はされて、各都道府県の方からそれぞれの絞り込みがなされております。今後は一体、この各地方から出されたやつを国として最終的にどのように支援の枠を決めていくのかということが大きな問題になっておりますことから、やはり今かなりの陳情合戦的なものがにぎやかになっておるのは、私は事実ではないかと思っております。  したがいまして、この整備法の中身は地方にとっては大変魅力あるものでございまして、当然そういうものに採択をされることが地方の活性化に通ずるということでやられておりますので、私は、それはそれで仕方ないことでありますし、むしろ当然ではないかと思っております。したがいまして、こういう極めて激しい今後の指定についての取り組みがなされるわけでありますが、その点について自治大臣としての御見解、そして今後、とりあえず来年はどの程度の箇所、都市、数ですね。見通しについては先ほど御答弁いただきましたので、もう省きますけれども、どの程度の数が指定されるものか、その辺についての見通しを含 めてお尋ねをしておきたいと思います。
  106. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この地方拠点都市法、いわゆる拠点都市法でございますが、これは先生御存じのとおり、従来の開発法とはちょっと手法が違いまして、知事が考えるという、今度は思い切った法体制になっております。これが本当の知事行政だと私は思うのであります。  今まで国が与えてきたもの、えさをばっとこうやっておった、そういうあさましい根性ではだめで、自分らで決めなさいというのが今度の法案でございます。そこで、知事から出てまいりましたものはできるだけ尊重するということを一方ではやらなければ、何のために知事に決定させたのかわからなくなりますので、知事から申請があるものはできるだけ容認していきたい、こういうのは当然であります。  ただ、一方におきまして、全部集中しまして初年度に四十カ所も五十カ所もとなってしまったのでは、これは要するに集中的に、重点的に開発をしていこう、整備していこうという地域であるのに薄められてしまいますので、私たちはできるだけ数は絞っていきたいなという気持ちを持っておりますけれども、しかしながら、地方がせっかく苦労されたものでございますから、これは尊重して指定していくべきだ、こう思っております。  ただ、そこの間に、例えばことしはできないけれども来年は必ずするとかいう区別といいましょうか区割りはある程度やらなければ、一遍に全部やるということはできませんので、そういうことはしたい。しかし、知事の意向は尊重する、この原則は貫徹したいと思っております。
  107. 高木義明

    高木委員 終わります。
  108. 中島衛

    中島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会      ————◇—————