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1992-11-26 第125回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成四年十月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 柳本 卓治君 理事 小野 信一君    理事 細谷 治通君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    狩野  勝君       亀井 善之君    河村 建夫君       久野統一郎君    小林 興起君       左藤  恵君    関谷 勝嗣君       戸塚 進也君    林  大幹君       前田  正君    山下 元利君       池田 元久君    菅  直人君       佐藤 観樹君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       富塚 三夫君    中村 正男君       早川  勝君    堀  昌雄君       渡辺 嘉藏君    東  祥三君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君 ————————————————————— 平成四年十一月二十六日(木曜日)     午後零時三十分開議 出席委員   委員長 太田 誠一君    理事 井奥 貞雄君 理事 中川 昭一君    理事 村上誠一郎君 理事 持永 和見君    理事 柳本 卓治君 理事 小野 信一君    理事 細谷 治通君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    石原 伸晃君       岩村卯一郎君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    狩野  勝君       亀井 善之君    河村 建夫君       久野統一郎君    小林 興起君       左藤  恵君    関谷 勝嗣君       戸塚 進也君    林  大幹君       前田  正君    山下 元利君       池田 元久君    菅  直人君       佐藤 観樹君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       中村 正男君    早川  勝君       渡辺 嘉藏君    東  祥三君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         大蔵政務次官  村井  仁君         大蔵大臣官房総         務審議官    日高 壮平君         大蔵省主計局次         長       涌井 洋治君         大蔵省主計局次         長       竹島 一彦君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省関税局長 米澤 潤一君         大蔵省理財局長 藤井  威君         大蔵省証券局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         国税庁課税部長 松川 隆志君  委員外出席者         厚生年金局年         金課長     中村 秀一君         社会保険庁運営         部年金指導課長 小牟禮敏秀君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 小畑 勝裕君         通商産業省産業         政策局産業資金         課長      長島 英雄君         労働省職業安定         局雇用政策課長 野寺 康幸君         建設省建設経済         局調整課長   澤井 英一君         自治省税務局府         県税課長    瀧野 欣彌君         参  考  人         (日本銀行理事         )       福井 俊彦君         大蔵委員会調査         室長      中川 浩扶君     ————————————— 十月三十日  平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の  特例等に関する法律案内閣提出第一号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二号) 十一月二十四日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願(長  谷百合子紹介)(第五六号)  同(東中光雄紹介)(第五七号)  同(不破哲三紹介)(第五八号)  同(不破哲三紹介)(第一二六号)  消費税廃止に関する請願小沢和秋紹介)  (第一〇四号)  同(金子満広紹介)(第一〇五号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇六号)  同(児玉健次紹介)(第一〇七号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一〇八号)  同(菅野悦子紹介)(第一〇九号)  同(辻第一君紹介)(第一一〇号)  同(寺前巖紹介)(第一一一号)  同(東中光雄紹介)(第一一二号)  同(不破哲三紹介)(第一一三号)  同(藤田スミ紹介)(第一一四号)  同(古堅実吉紹介)(第一一五号)  同(正森成二君紹介)(第一一六号)  同(三浦久紹介)(第一一七号)  同(山原健二郎紹介)(第一一八号)  同(吉井英勝紹介)(第一一九号)  不況を打開し、国民本位税制の確立に関する  請願菅野悦子紹介)(第一二〇号)  同(東中光雄紹介)(第一二一号)  同(不破哲三紹介)(第一二二号)  同(藤田スミ紹介)(第一二三号)  同(正森成二君紹介)(第一二四号)  同(吉井英勝紹介)(第一二五号) 同月二十五日  電波によるたばこ宣伝廃止に関する請願外五  件(秋葉忠利紹介)(第二二七号)  同(上田哲紹介)(第二二八号)  同(江田五月紹介)(第二二九号)  同(金子満広紹介)(第二三〇号)  同(北側一雄紹介)(第二三一号)  同(高沢寅男紹介)(第二三二号)  同(細谷治通紹介)(第二三三号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三〇六号)  同(松本龍紹介)(第三〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇八号)  同(井上一成紹介)(第三八一号)  同(井上義久紹介)(第三八二号)  配偶者特別控除廃止に関する請願富塚三夫  君紹介)(第三八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件 平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例等に関する法律案内閣提出第一号) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣 提出第二号) 国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 太田誠一

    太田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項 の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 太田誠一

    太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 太田誠一

    太田委員長 内閣提出平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。羽田大蔵大臣。     —————————————  平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理の   特例等に関する法律案  日本開発銀行法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま議題となりました平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成年度におきましては、租税及び印紙収入が最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し大幅な減収となることが避けられない見通しである一方、総合経済対策に関連する経費を計上するとともに、給与改善費など特に緊要となった事項について措置を講ずる必要が生じております。このため、政府は、補正予算編成に当たり、既定経費節減等に最大限の努力を払うとともに、追加財政需要につきましても極力圧縮し、さらに、やむを得ざる措置として、公共事業関係費追加に対応するものなどについて建設公債追加発行を行うことといたしております。  しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足することから、本法律案は、臨時異例措置として、平成年度歳入歳出決算上の剰余金の全額を補正予算不足財源に充当することができるよう、財政法特例を定めるとともに、一般会計において承継した債務等償還延期について所要法的措置を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、剰余金処理特例についてであります。  財政法第六条第一項においては、各年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一を下らない金額翌々年度までに公債または借入金償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成年度剰余金については、この規定は適用しないことといたしております。  第二は、一般会計において承継した債務等償還特例についてであります。  交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないことといたしております。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  総合経済対策を踏まえて日本開発銀行貸付規模の拡大を図るため、補正予算において所要財政投融資追加が予定されておりますが、これにより同行貸し付け等の額が現行の貸し付け等限度額を超えることとなります。日本開発銀行に対する資金需要は引き続き旺盛なものと見込まれますので、本法律案は、これに適切かつ機動的に対処し、長期安定的な資金の供給により景気対策の効果を着実なものとするため、同行貸し付け等限度額引き上げを行おうとするものであります。  また、同じく総合経済対策を踏まえて行われる日本開発銀行輸入体制整備貸し付けの金利の引き下げのため、補正予算において同行に対する追加出資が予定されておりますが、これに伴い、本法律案は、日本開発銀行法資本金に関する規定について所要整備を行うこととしております。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、貸し付け等限度額引き上げについてであります。  日本開発銀行法第十八条の二においては、日本開発銀行借り入れ等限度額自己資本の額の十二倍とされ、また、貸し付け等限度額自己資本の額及び借り入れ等限度額合計額、すなわち自己資本の額の十三倍と定められておりますが、借り入れ等限度額を従来の自己資本の額の十二倍から十四倍に引き上げることによって、貸し付け等限度額自己資本の額の十五倍とすることといたしております。  第二は、資本金に関する規定整備についてであります。  日本開発銀行法第四条に、予算で定める金額の範囲において政府による追加出資を可能にする規定を設けることといたしております。  以上が、平成年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例等に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。  以上であります。
  6. 太田誠一

    太田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 太田誠一

    太田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤恒晴君。
  8. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 四十分という限られた時間でありますが、提案されております二法について質問をいたしたいと思います。  その前に、午前中も竹下総理の喚問が行われたようでありますが、いわゆる東京佐川問題に関しまして大臣に二、三お尋ねをしたいと思います。  派閥解消というのは、自民党内部の問題でありますから私には直接関係ないのでありますが、しかし、総理でもある宮澤さんがたびたび公に派閥解消問題等について触れておられます。大臣も、いわゆる竹下派に所属をいたしまして、重要な役割を果たしておられるわけで、しかも、竹下総理大臣誕生のころは派内においてかなり重要な役割を果たしていたというふうに伺っております。  そこで、十月二十九日の「ニュースステーション」におきまして、久米宏さんとかなり深いやりとりをされております。その中で、私はメモをしながら聞いておったのでありますが、速記ではありませんから正確ではありませんけれども、こういうことを大臣は言っているのですね。いろんな人から顔のきく人に頼んでみたらどうだという話がたくさんございました、こういう発言をしているわけです。それを金丸さんにお話ししたところが、金丸さんは、そういうことは嫌いなのでだめだよ、こう言った。そこのところは切れているわけでありますが、しかしいろんな人から顔のきく人に頼んだらどうだという話があったということは、いわゆる自民党事件について、七名の国会議員がどう携わったかは別にしまして、そういう動きがあったことについてはかなり具体的にお知りの立場ではないのか、こんなふうに思うのであります。名前を挙げて答弁されることはできないだろうと思いますけれども、ひとつ所信があれば、見解があればお尋ねをしたいと思います。  それから、短いことでありますので続けて質問いたしますが、これは国税庁の方にお尋ねいたしますけれども、今度の事件とはかかわりなしに、政治家政治献金を受けたということを本人も認めて明確になった、しかし使途先は、つまり使い道については明らかでない、不明であるということになれば、これは保有金ということで雑所得として課税されると思いますけれども、そのとおりの解釈でいいかどうかお尋ねをしておきます。  さらに、これは銀行局の方にお尋ねをしたいと思いますが、佐川再建弁護団で確認しただけでも大体五千億以上のものが債務保証あるいは融資があるだろうと言われているようでありますが、去る二月の本委員会におきます私の質問について、主要銀行のいわゆる佐川に対する融資等の問題については事情をいろいろ聞いているところであるという答弁をいただいております。したがって、東京佐川に対して、例えば都銀十一行では約三千億円の融資がされておったという報道が過去にあるわけでありますが、現在時点で、東京佐川に対するこうした主要銀行の直接的な融資あるいはまた債務保証等についてはどのくらいになるというふうにその後把握しておられるのか、以上三点についてお尋ねをしたいと思います。
  9. 羽田孜

    羽田国務大臣 第一点目の問題についてお答えをさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、当時の総裁選挙をめぐりまして、竹下総裁候補に対します、当時は褒め殺しと私たちは言っておりませんで、褒めつぶしと言っておったのですけれども、そういう示威行動といいますか、それが毎日永田町をずっと朝から夜まで、たしか延べで九カ月くらいに及んだと思っております。こういうあり方に対しまして、私たちは大変実は迷惑を受けたということ、それからまた、周辺の皆様方からも何とかやめさせてほしいというような声があったということも事実のようであります。そういう中にありまして、私どもに対しまして、今御指摘がありましたように、また私がこの間テレビでも申し上げましたように、それこそ本当に、私はこれは名前をどうこうというのじゃないのですけれども、本当にこれは覚えてないのですけれども、いろいろな方からこの問題についてお願いする筋はあるよ、だからそれをやったらどうだろうかというような話がありまして、どうもそれが暴力団のような組織であるというふうに感じたわけでございます。  いずれにいたしましても、こういったやり方によってやるということは、当時、竹下総裁候補だけではありませんで、いろいろな企業とか、そういったところに対してもやっておったのですね。そういったものがとまったというような話もありまして、そういう筋を通じてという話だと思うのですけれども、私どもにも話がありました。このことを率直に申し上げましたところ、私どもの当時の金丸会長からは、ともかくそういったような筋を通して我々が頭を下げるとかなんとか、そういった問題について、なぜこれから日本の天下をとっていかなければならない者がそういったことをしなければならないのか、私たちはそんなものは受けるものじゃないということを言われまして、一蹴されてしまったものですから、その後、私は一切それにかかわっておらないのです。その後、今のようなことになったことについても、私は承知しておらないというのが実際であるということを申し上げておきたいと思います。
  10. 松川隆志

    松川政府委員 お答えいたします。  政治家の受領した献金の中の使途不明金について雑所得として課税対象になるかというお尋ねでございますが、一般論として申し上げますと、政治家個人が受けた政治資金につきましては、所得税課税雑所得収入として取り扱うことになっておりまして、その政治資金収入から政治活動のために消費した金額を控除した残額が課税対象になるということでございます。この場合、政治資金収入政治活動のために消費されたかどうかにつきましては、私的消費状況等、種々の状況を踏まえて個別のケースにおいて実態に即して判断するということでございます。
  11. 寺村信行

    寺村政府委員 旧東京佐川急便は元社長が多数の簿外保証を行いまして、同社単独では当該保証債務の支払いが困難でありますことから、同社再建佐川急便グループの合併で行うことが決定され、昨年十一月に運輸省に対しまして主管六社の合併につきまして認可申請が行われ、本年四月に認可を受けまして、五月一日に合併をいたしました。現在、金融機関の支援のもとでこの再建計画を遂行中ということでございます。  一般論で申し上げますと、金融機関におきまして不良債権が発生した場合には、個々のケースに応じまして金融機関みずからが経営健全性確保の観点から適切に対応すべきものでありまして、当局といたしましては、金融機関不良債権等その経営状況については、その実態把握に努め、適切に指導してまいりたいと考えているところでございますが、個別の金融機関特定取引先との融資の問題につきましては、行政当局から具体的なコメントをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  12. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 今の最後の答弁でありますが、既に新聞等で十一行については約三千億円ということがはっきりしているし、前回の委員会において事情聴取中であるということでありますから、個別金融機関との関係は別にいたしまして、これほどいろいろなマスコミなり雑誌なりに報道されている問題でありますから、トータルくらいは発表されても何ら問題はないのではないかと思いますが、発表しないということであれば、いずれ機会を見て、また改めてお尋ねしたいと思います。  それから、大臣答弁で、いろいろな人については覚えていないという答弁は一番結構な答弁かと思いますが、そういうことはないだろうと私は思います。  そこで、改めてお尋ねしたいのは、総理派閥解消問題については大変悩んでおられるようでありますけれども大蔵大臣はその渦中の人にならんとしているわけでありますけれども派閥解消ということについてどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつ見解お尋ねしておきたいと思います。
  13. 羽田孜

    羽田国務大臣 派閥解消問題というのは、たしか初めは鳩山総理のころでございますか、派閥解消は天の声というようなことを言われ、また岸総理の時代にもそのことは非常に強く言われ、歴代の総理もそれを言われてまいりました。ただ、これはあるいは私どもの党の構造ということかもしれませんけれども、長く政権を担当してまいりました中にあって、私どもはやはり過半数をどうしても確保したいという気持ちがございます。そういう中で、一つ選挙区から二人、三人、あるときには四人、五人と立候補するというのが現状でございます。そういう中にあって、率直に申し上げまして、党だけでは戦えません。私ども自分後援会をつくるということでやっております。そういう背景に、ただ自分後援会、党だけではどうにもなりませんので、また、そこに党というよりは派閥背景にする現状があるということをまず申し上げたいと思います。  ただ問題は、派閥というのは、確かに私ども当選したばかりのころに新しい政治を起こそうというようなことで、一人の方を掲げて、政党政治あるいは決断と実行の政治とか日本列島改造というようなことに大変なあれを持ちまして駆け回ったことがあるわけでございますけれども、それはまさに一つ集団でありました。派閥というのはそういう政策的な集団であるとするならば、私は政治に対して活力を及ぼすものであろうと思っております。しかし、それがだんだん時がたってその方がおやめになる、またしばらく時間がたちますと、どうしてもどろどろとした部分だけが出てきてしまうということがございます。そういったものを感じますときに、最近、やはり派閥弊害というものは起こってきているなということを改めて思わざるを得ないということでございまして、私どもは、何とか派閥なんかはつくらなくても済むような政治体制、また選挙制度も含めたそういったものにすることが大事であり、また一つ集団があるとしても、これは政策を求めて歩む、そういう集団であるというのがやはり本来の姿であろうと思っております。  その意味で、派閥弊害というものは何としても除去する、まず、今の制度の中でもでき得る限りこれを除去していく、こういったことに我々は努めていかなければいけないであろう、かように考えております。
  14. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 行政府の長といいますか、連帯責任を持つ重要なポストでありますから、自民党内で何をやっても構いませんけれども、この不景気の中に大蔵大臣何をやっているんだということを言われないように、ひとつぴしっとやっていただきたいと思います。  時間がありませんから本論に入ります。剰余金処理特例法に関して若干お尋ねをしたいと思います。  時間がありませんから飛ばして要約的に申し上げますが、今度の特例法については、四兆八千億余という膨大な税収のマイナス修正、それから景気対策、さらには建設国債の増発という、かってないような内容を含んでいるという意味で、今度の特例法を適用する補正予算というのは非常に問題があろうというふうに思っております。とりわけこの国債費一般会計に占める割合というのは非常に大きくなってきているという点で問題を将来に残すというふうに思っておりまして、平成七年の国債依存度が五%未満、五%程度というような見通しについては、今後国債を例えば一兆円発行するということになりますと、六十年債でも元利償還まで二兆八千億円ぐらいの元利金になるというようなことを含めてまいりますと、あと十年ぐらいは、もうとてもじゃないが、五%どころか、いわゆる二けた台でいかざるを得ないのではないか、こんなふうに実は思うわけでありまして、そういう見通しについてどうお考えであるのかということ。  それから、こういう、単に補正予算といっても、過去に例のないような内容を含んだ補正予算を編成せざるを得ないというのは、しかも、後にも述べますが、一年間に二度も緊急経済対策そして総合経済対策ということをやらざるを得ないというのは、明らかに宮澤内閣が引き継いだ自民党内閣の経済政策の失敗、こういうふうに言わざるを得ないと思うのでありますが、大臣、いかがでしょうか。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  15. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘がございましたように、まさに現在の公債の残高というのは百七十六兆円に達する、そして国債費が歳出の二割も超えてしまうということでございまして、依然として構造的な厳しさが続いております。加えて、四年度税収は当初の見積もりに比べましても大幅な減収が生じるものと見込まれることでございまして、我が国の財政は近年になく容易ならざる状況にあろうというふうに考えております。  今後の中期的な財政運営につきましての御指摘があったわけでございますけれども、高齢化社会に多大の負担を残さず、二度と特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げ等によりまして公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくこと、これはさらに私どもは真剣に努力しなければいけないことであろうと思っております。今後ともこのような考え方に沿いまして、極めて厳しい財政事情のもとでございますけれども、できるだけ制度、施策、こういったものを見直しながら、この再建を図るためにやっていかなければならないというふうに思っております。  ただ、新努力目標、この五%の目標についてでございますけれども、当面財政が緊急に取り組むべき財政構造の確立を目指すものでございまして、各年度予算編成におきまして、そのときどきの景気の情勢ですとか、あるいは財政事情等に応じ、可能な限りその五%の目的達成に向けて最大限の努力を払っていくべきものであろうと思っております。  まあ五カ年程度が目途とされているものでございますので、いずれにいたしましても、現下の財政状況に照らせば公債累増体質こういったものの脱却が喫緊の課題であろうというふうに考えながら、我々はさらに努力をしていかなければならないことを今改めて私たちは考えなければいけないということを申し上げて御答弁とさせていただきます。
  16. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 ちょっと建設省にお尋ねをしたいと思いますが、先ほど申し上げたように緊急経済対策を三月にやって七五%強の前倒しをやる。前年が六八%ということでありますから、当然下半期においては追加をやらざるを得ないということはもう三月段階で明らかであり、しかもその段階では、いわゆる年度当初における予算編成の議論も行われていた時期であります。さらに、そういう状況の中から、八月には今度十兆七千億の総合経済対策ということになったわけでありますけれども、宮澤総理は参議院の選挙の最中にテレビの自民党のコマーシャル、いわゆる政見放送の中で、経済はお任せください、秋にはよくなりますよ、どうぞ御安心くださいという政策スポットをやっておった。そういう宮澤総理の責任とは一体どうなるのかということをひとつ申し上げたいわけでありますが、そのことはまあきようは触れないことにいたします。  公共投資一兆九千億円ほど見込んでおられる。しかし、その内容は、生活大国づくりを目指すという意味での特徴が何かということになりますと、我々はちょっと知る由もない内容だ。しかも、この最終需要の拡大をどうするのかというような要求が非常に強い中で、そのことが目に見えるような補正にはなっていないのではないか、こんなふうに思っているわけであります。  都道府県のいわゆる公共投資事業の契約率七八・九%ということだそうでありますが、これも予定よりもマイナスであります。そういうマイナスの要素というのはなぜ起こるのかということになりますと、約二十都道府県においてマイナスでありますが、用地買収が進まないということがあるようであります。こういうことになりますと、地方も含めて用地買収費を約一兆五千五百億円ほど見ておられるようでありますけれども、国及び地方公共団体合わせて約四万ヘクタールくらいのストックがあるというふうに言われておりますが、消化能力というのは五兆ないし六兆円ではないかというふうに言われておりまして、それも職員とかあるいは事業を請け負った関係業者が夜討ち朝駆けで用地交渉をやって、ようやっと消化をするというような状況になっているというふうにも聞いているわけであります。しかも、都市部の土地については複雑な権利関係も設定されているというふうに思われるわけでして、こういう予算あるいは計画を、下半期において残りわずかな期間に消化できるというような見通しをお持ちになっているのかどうか、見解をひとつお尋ねをしておきたいと思います。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 澤井英一

    ○澤井説明員 御説明申し上げます。  公共用地の取得は、通常の場合、非常に多くの箇所におきまして、事業箇所ですとか買収箇所、これを確定するためのくい打ち作業、そういった準備作業も含めてかなり継続的に行われているところでございます。取得を追加する場合にはその意味で、全く新規の取得に着手するというよりは、このような継続的な箇所の取得をいわば前倒しして促進していくという対応が中心になると考えております。  特に、通常の場合、用地買収は、いわば売ってくださいという格好で買いに入るわけでありますが、個々の地権者の事情によりまして、逆に事業箇所が確定いたしますと早く買ってほしいという要望が出される、いわゆる買い取り請求のケースもかなりあるわけでございまして、用地費の追加がございますと、こうした事業予定地内の地権者からの買い取り請求にも通常よりも早目にこたえることも可能になるわけでございます。  また、特に今年度につきましては、ただいま先生御指摘のように、既に用地費を含めまして公共事業費の上半期の前倒し執行が行われておりまして、そういう意味で、下半期について見れば取得量が通年よりも少ない、こういう状況にございます。こういった幾つかの点を踏まえまして、今年度追加的な用地取得への対応は可能であるというふうに私ども考えております。  いずれにしましても、公共事業の円滑な推進のために用地取得は非常に重要であると考えておりますので、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  18. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 予算なり計画は組んだけれどもできなかったということのないように、しかも土地の値上がり、バブルを再来しないようにやってもらいたいと思います。  ところで、税収が二年連続前年を割り込むというような形でマイナス修正をしなければいけないということでございますけれども、八八年以降所得減税も行われないで来ているわけであります。過去の、長期間でありますが約十五年ぐらいの期間で見ますと、日本の租税負担率は八ないし九%上がっている、しかし、欧米においては二%ぐらいきり上がっておらないということになりますと、日本の国民の租税負担率は欧米に比べて非常に大きな負担になってきている、こういうことに実はなるわけであります。ユニオン連合の調査によりましても、税制に対する不公平感あるいはまた減税要求というものは、九割以上がそれを求めているというアンケート調査の結果なども発表されているわけでありますが、私はそういう意味で、来年度予算編成に当たっては、やはり内需拡大を図る所得政策あるいは減税政策というものをきちんと打ち出すべきではないのか。あるいは生活大国を目指すというのであれば、年収の五年以内でうちが持てるなんというのは夢物語のような話でありますから議論の余地がないわけでありますが、やはり身近な社会資本の投資というものに重点を置く、公共事業の予算の枠の設定の仕方を抜本的に変えていく必要があるだろう。さらにはまた、六百億円もするAWACSを買わなきゃいかぬというような、そういう防衛のあり方についても見直しながら防衛費の削減をやっていくなど、予算のいわゆる骨格づくりを根本的に変えていく必要があるんじゃないか、こんなふうに実は私は思うわけであります。  そこで、二点ほどお尋ねをいたしますが、金融関係の諸税の税制、あるいはまた各種引当金等のいわゆる不公平税制と言われるようなものを見直しを行う、あるいは歳出の削減を思い切って行う等々によって所得減税というものを行うべきではないのか。さらにはまた、消費税によって打撃を受ける低所得層、あるいはまた老後のために、あるいはまた退職金を貯金しておったけれども、預金しておったけれども、金利が下がってべらぼうに預金の利子収入が少なくなってしまった、それによって生活に影響が及ぶというようないわゆる低所得層といいますか決まった所得のない皆さん、こういう皆さんに対する戻し税方式、これは所得減税にならないわけでありますから、戻し税方式等々、やはり国民の懐まで潤って、消費が拡大をするという政策をとるべきだというふうに思うのでありますが、見解お尋ねをしたいと思います。
  19. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答えを申し上げます。  幾つかの御指摘をいただいておりますが、最初に、状況といたしまして租税負担率がこれだけ上がってきておるということを前提にして物を考えてみなければいけないんじゃないかという御指摘がございましたけれども、確かに趨勢的に租税負担率は上がってきている感じはございましたが、近時に至りまして、経済のこういった状況を反映いたしまして税収の減収というものの規模が大きくなってまいりましたために、分母の経済見通し自体がどうなるかという問題が残されておりますけれども、今の段階では負担率は、若干そういう意味では頭を打った感じになりつつある、そういう財政状況になっているということが背景事情として一つあろうかと存じます。  減税の問題につきましては、今一つの方策といたしまして、不公平是正等々の手段によって財源を調達することによってできないであろうか。その御所論の背景にございますものは、赤字公債を言うわけではない、赤字公債の減税を言うわけではないが、所要財源を不公平是正等によって確保できないだろうかという御指摘かと存じますけれども金融制度に関連する税制その他、今ちょっとお触れになりましたようなものをどのように我々が見直すか、御議論をいただきますかといいます場合に、結局は制度としましてそういうものが適正であるかどうかという、専らその観点から御議論をいただくわけでございまして、減税のために税制を、そういった諸税制を見直すということには限界があるだろうという感じを強く持っておるわけでございます。  それから、低所得層に対しましての戻し税というものが考えられないかという話もございましたけれども、戻し税というものは、若干ばらまき的かつ一時的な性格を持つ減税というふうに受け取られるであろうと思いますし、現にそういうものであろうと思います。それにどれだけの効果が期待できるのかということもございますし、これは国民の受けとめ方と申しますかマインドの問題にも係る政策だと思うのでございますけれども、我が国には、五十年代に入りましてから戻し税的なことが行われた経験がございます。その経験を私どもは忘れておりません。当時の新聞を開いてみましても、国民の受けとめ方としては、全般に、実施されました後、消極的な受けとめられ方をしておったというふうに記憶いたします。記事の見出しなどを思い浮かべましてもそうでございます。戻し税というものが、一般に言われておりますことと国民の受けとめ方というものを考えましたときに、そのような方策を優先的にとれる状況かどうか、私どもは疑問に思っております。
  20. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 先に話を進めたいと思いますが、開発銀行の法律改正につきまして次に触れたいと思います。  実は、過去五年間を見ますと、開発銀行の貸付金の伸びというのは三二%ぐらい伸びている、当然原資としての借り入れも伸びているわけでありますが、そういたしまして、貸付金利息の収入、これがその割には伸びておらない。これは、いわゆる利率別貸し出しの平残等について私は資料がありませんから内容を見て指摘をするわけにはまいりませんが、それにいたしましても、未収金利息が貸付金利息収入の約一〇%毎年ある、つまり五百億円以上あるということになりますと、これは政策金融とはいいながら、貸し出しの方法上、システム上そういう結果が起こるんだということだけでいいのかどうかということになるのではないかと私は思うのです。したがって、毎年五百億円以上の未収金が発生するようなシステムは、システム上それが発生するというのであればシステムを変えるべきではないか、実はこんなふうに思うのでありますが、この点についての見解。  さらにまたお尋ねをしたいと思いますが、当期利益金がずっと減少の一途をたどっておりまして、国庫納付金も、過去五年間から見ますと、昨年は三九%ですね。私は、政策金融金融機関から国庫納付金を多額に取れという考え方はございませんけれども、過去の創立以来の、設立以来の融資額、事業規模から見たところの国庫納付金というものを見てまいりますと、極端にこの五年間低くなっている。ということになりますと、どういうところにそれは問題があるのかということになるわけでありまして、政府融資している、いわゆる融資財源として政府の方から出しているお金に対する納付金の割合を見ますと、平成二年は〇・〇九%、こういうようなことでありまして、コンマ以下であるというのが最近の実例であります。政策金融といいながらこれでいいのかどうかというところについての見解お尋ねをしたいと思います。  なお、リゾート法制定に伴うリゾート関連融資も、第三セクター等を通じて約三百億円以上の融資を行っているようでありますが、その行っているリゾート開発地区については、環境保護団体の問題なり、あるいは採算がとれないということで開発企業が撤退をするとか、いずれも問題の起こっているようなところ、つまり問題があって停滞をしているところに対する融資が多いのではないか、実はこんなふうにも思いますので、その点は指摘だけにしておきたいと思いますが、政策金融としてそれでいいのかどうかということについてまずお答えをいただきたいと思います。
  21. 寺村信行

    寺村政府委員 まず未収利息の問題でございますが、決算期間中に発生しながら返済期限が到来しない利息は未収利息として計上することとなっております。  この水準でございますが、期末の貸付残高に対しましての比率で見ますと、先ほどのフローの数字とはちょっと違った数字が出てまいりまして、全体、〇・六から〇・八ぐらいのところで今推移をしておりまして、この水準がいわゆる市中金融機関と比較しても特段に高いという状況にはないというふうに認識をしているところでございます。  ただ、恐らく先生の御指摘は、最近それが少し高くなっているんじゃないかというような御趣旨ではないかと思いますが、実は、これは昭和六十二年の法律改正によりまして船舶建造利子補給金が一部繰り延べられたということで、法律に基づきましてそういった繰り延べ措置が行われ、それに伴いまして利息の支払い猶予が行われたという事実で、その分が若干上積みになっているという事情がございます。ただ、これはいずれにしましても後ほど法律に基づきまして交付金等で補てんをされるということで、いずれはその分は減少していくというようなことが見込まれているものでございます。  それから次に、国庫納付金が減少しているという御指摘でございます。  開発銀行は営利を目的とした機関ではございませんが、やはり適切な水準の利益、あるいはそれから出てくる国庫納付金というのをある程度発生させるような財政体質というのをつくっていくことが、やはり今後の政策金融を、開銀に与えられました使命を適切に果たしていくためにも、そのような財務体質をつくっていくことは御指摘のとおり重要なことではないかと考えているわけでございます。ただ、一方でできるだけ長期、低利の資金政策的な要請から出さなければいけない、そういうところで実際に貸付金利の設定の仕方をどうするかということで、やはり開発銀行の収益構造が規定されるということになってまいります。その両者の兼ね合いでいろいろなことをしているわけでございますが、昨年もそういうところで全体的な金利水準が低下する中で特別金利の体系を若干見直しまして、開銀の財務体質が向上するような措置も講じたところでございます。  以上でございます。
  22. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 もう時間がないので内容をちょっと飛ばしますが、実は今度の改正の中で融資枠の拡大ということでありますけれども、それは特に七千億円の追加の中では省力化投資とかあるいは省エネ投資とか、生活関連・都市基盤整備といった内容を予定しているわけであります。  これは通産省の方にお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、十一月二十日に産業構造審議会の報告が出されているということで、その内容を見ますと、いわゆる設備投資が前年に比べて三・九%の減少であるということで、第一次オイルショック以来の状況なので大変だ、こういう指摘がございまして、しかもこれが続いていきますと、中長期的に見た場合には産業構造に対する影響が懸念される、こういったような指摘も見るわけであります。これについての見解お尋ねをしたいと思います。  続いて、今後の企業等の資金調達について同報告との関連でありますが、金融機関融資姿勢が非常に慎重であるとか、あるいは銀行の利ざや拡大が行われているにもかかわらず、どうもそういう利益が実際の融資政策の中には浮かんでこないとか、あるいはまた社債等の発行に伴う調達コストが非常にアップして困っているというような問題が指摘をされておりまして、公共投資の追加あるいは政府金融機関の貸出枠の拡大に対する期待が非常に強いというふうになっているわけでありますけれども、これに対する今後の運用見通しについて、今回の措置の運用見通しについて、大蔵及び通産の方に見解お尋ねしておきたいと思います。  同時に、銀行の方は金利の低下によって貸付金利も下がるかというと実はそうではなくて、いわゆる利子差益収入が都市銀十一行において、前年度はマイナス一兆一千億、九一年はプラス一兆九千億。こういうことになりますと、銀行はもう低金利政策の中でもうけ通しにもうけている。しかし、貸し渋りの現象が起こっている。こういうような問題もございまして、いわゆる景気低迷の中でマネーサプライの問題がいろいろ議論をされますと、金利水準はどうなるかという議論が起こってくるということでございますので、この金利水準の問題について大蔵大臣はどのようにお考えになっているのか、お尋ねをしたいと思います。  最後に、この開発銀行については、設備資金融資については、全金融機関に占める割合というのは六十年には一二・九%であった。しかし、年々減少しておりまして、現在ではもう三%を割ろうという状況になってきている。こういうことから見てまいりますと、千人を抱えた開発銀行というものが、先ほど申し上げたような納付金の減少等々いろいろな状況を見てまいりますと、果たしてこのまま単独の事業を継続することがどうなんだろうかというふうに考えてまいりますと、他の政府金融機関の問題も含めて再編成あるいはあり方について検討すべき時期にあるのではないか、こう思うのでありますが、その辺の見解お尋ねをしたいと思います。
  23. 長島英雄

    ○長島説明員 お答えをいたします。  ただいま、通産省の行いました設備動向調査に関連いたしましての御質問でございます。先ほど御質問の中にございましたように、ことしの十月一日現在で、平成年度でございますけれども、民間企業の設備投資計画がどういうことになるかということにつきまして、通産省といたしまして調査を行っております。その結果によりますと、先ほど先生から御指摘ございましたように、前年度に比較いたしまして三・九%の減少ということでございまして、民間企業の投資意欲の冷え込みというものがこういう数字に出ているのかなというふうに考えているわけでございます。  さらに、調査結果を内容別に見てまいりますと、実は、景気の動向には余り左右されないというふうに従来から言われてまいりました研究開発投資ですとかあるいは省エネ関係の投資等も減少しておりまして、このあたり、中長期的に日本の経済をどういうふうに持って行くのかという観点からは懸念されるところというふうに考えているわけでございます。こうした形で民間の設備投資意欲というのが冷え込んでいるわけでございますが、その理由としてはいろいろあろうかと思っております。要は、最近の景気の先行きの見通しがなかなか立たない、あるいは収益状況が大変悪化 しているということもございまして、短期的な収益の改善に結びつかない投資は極力削減しようとしているのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  御案内のとおり、民間の設備投資といいますと経済の拡大を図る上で大変重要な役割を果たすものでございまして、こうした点からも懸念がされているところでございます。したがいまして、今回の総合経済対策におきましても、民間企業に極力安い資金を供給いたしまして、設備投資が減らないように少しでも下支えをしたいということで、開発銀行を初めとする低利融資制度の枠の拡大をお願いしているところでございます。  通産省といたしましては、こうした結果を踏まえまして、産業金融が円滑に行われるということを確保するため、所要の対策をこれからも考えていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  24. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答え申し上げます。  確かに御指摘がございましたように最近のマネーサプライ、この伸びが低下しておるということで、これは金融機関の貸し渋りが生じているのではないかという批判がありますことは私どもも承知いたしております。  銀行の貸し出しの伸びは、落ちているというよりは二・数%、非常に低いところにありますけれども、この背景には基本的には銀行に対する企業の資金需要の低迷があるというふうに考えております。これはやはり設備投資がバブル時代に相当大きく伸びたということがありまして、これからやらなければならないのは省力化ですとかあるいはいわゆる環境問題ですとか、こういった設備投資になろうと思っておりますけれども、いずれにしても、まだそういった資金需要というのが低迷しておるということであろうと思っております。  金融機関におきましても融資の対応力、これを確保するために自己資本の充実ですとか、あるいは債権の流動化、こういったものに努めるなど、さまざまな手段によって努力がなされておるというふうに承知いたしております。  私どもといたしましても、去る八月十八日に金融行政の当面の運営方針でも述べましたように、金融機関がバブル期における過剰融資等の反省から過度に消極的な融資姿勢に陥ることなく、健全な経済活動には必要な資金の提供というものを円滑にするようにということでこの対応を求めておるところでございます。  なお、公定歩合によって、なかなか借りられないという状況があるかといいますと、銀行の金利というのは公定歩合の五次にわたる引き下げによりまして低下してきております。ピーク時の六%から、ちょうど現在で三・二五%、二・七五%低下しておるということでありまして、これに伴いまして短プラがピーク時の八・二五%から現在では四・七五%、長プラではピークの八・九%から五・五%と低下しておるところでございまして、金利そのものは今、産業が十分使い得るものになっておるであろうというふうに私どもは思っております。  いずれにいたしましても、今後も市場金利の実勢等に従いまして資金の需要にきちんと対応ができるように、私どもも十分見守っていきたいというふうに考えております。
  25. 寺村信行

    寺村政府委員 開銀その他の政府関係金融機関の今後のあり方についての御質問でございますが、政府関係金融機関は、民間金融では対応できないものの補完をするという本来の役割がございます。御指摘のように、設備資金に占める開銀のウエートはかつてと比べて低下はしておりますが、その分、民間金融機関で対応できる分野がふえてきた結果であるというふうに理解をしております。  ただ、最近の状況を見ますと、開発銀行に対する資金需要が非常に増大しております。のみならず、中小企業金融公庫とか国民公庫とか環衛公庫、これもかつては五十年代の後半からのいわゆるバブル経済の時期におきまして、この種の政府関係金融機関に対する資金需要が極端に低下をした時期がございますが、現時点ではかなり民間金融のサイドの問題もございますし、一方ではこれらの政府関係金融機関が固定金利、長期かつ固定の金利を出す、その水準はかなり低いという状況で、今資金需要が大変増大いたしております。  今回の補正に伴います貸付規模追加も、開発銀行は七千億でございますが、国民公庫は五千百七十、中小公庫は三千三百七十、合計一兆六千七百七十億円の追加をしているところでございますが、これらは現在の状況を見ますと極めて順調な消化が行われているということでございまして、こうした国民のニーズにこたえているのではないか。今後とも、そのあり方については不断の見直しが必要でございますが、そのときの状況に応じた対応をしていく必要があろうかと考えているわけでございます。
  26. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 ありがとうございました。
  27. 太田誠一

  28. 池田元久

    池田(元)委員 まず、剰余金特例法案からお尋ねしたいと思います。  税収見積もりでは九二年度補正後で五十七兆六千三百十億円ということで、当初予算に比べまして四兆八千七百三十億円の減収を見込んでいるわけです。減収を見込んだ理由について、まずお尋ねしたいと思います。
  29. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  平成年度予算についてでございますけれども、当初予算計上時以降、私どもの予測し得なかった事態が生じておりまして、ただいま御指摘がございました四兆八千七百三十億円の減額補正をお願いをいたしておるところでございます。  その主たる要素、要因と申しましては、一つは源泉所得税でございますが、これは給与分と利子分と両方ございますけれども、利子分の方でございまして、金利低下によります利子分の低調ということを反映しまして約二兆四千億強の減額をお願いしたいと存じます。平成年度の当初予算を編成いたしました当時と申しますと三年度でございますけれども、三年度の例えば年度平均の公定歩合のレベルというものは、思い返していただきますと五%強の水準にございましたけれども、四年度、これまでの経過をずっと延ばして考えました場合の年度平均としましては、このままいきますと三%半ばというところまで落ちてきております。これがもろに税収に顕在化したというのが一つでございます。  もう一つは法人税が大きな減収要因でございまして、三兆一千億強の減収を計上させていただいております。これは企業収益の状況を反映しておるわけでございますけれども平成四年三月決算法人につきまして多額の還付が生じまして、これが効いたという感じがいたします。  経常利益の見通しというものも、時を追いまして各期間ごとに発表になります数字を見ておりましても下がってまいっておりまして、例えば日銀短観で見ましても、四年二月の調査のときは四年度の経常利益につきまして一〇〇・三%という伸びを想定しておったと思いますけれども、五月調査のときはこれが九五・八、八月調査のときは八九・五というふうに数字が低くなってまいりました。こういった企業の刻々の利益予測の低下というものが税収に反映されてきているという感じがいたします。  それから、ほかにも減収になりました要素としましては有価証券取引税がございます。これは二千億強でございますけれども、株式取引の低調を反映しておるものでございます。
  30. 池田元久

    池田(元)委員 この補正後の減収の見積もりというのを過去にさかのぼってみますと、一九八二年の六兆一千四百六十億円以来の金額なわけです。九二年度は当初に比べて、六十二兆に対して四兆八千億円余りですから約八%の落ち込み。八%も落ち込むといいますか見通しが狂ったんですが、当初の税収見積もりが甘かったのではないかということをまず指摘したいと思うのですが、その辺について、いかがでしょうか。
  31. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 御指摘のように減収として補正をお願いいたします規模といたしましては、先ほど御指摘の五十七年ごろの六兆一千億円の補正減、これに次ぐ規模でございまして、率といたしましてもそれに次ぐような、あるいは率としましてはもう少し振れのある補正をお願いしたこともございますけれども、いずれにしましても大きな減収率になっておろうと存じます。  これは当初の段階における見積もりが甘かったのではないかという御指摘でございますけれども、ただいま聞いていただきましたように、源泉所得税あるいは法人税の見積もりが甘かったかということになるわけでございますが、金利水準というものの見通し年度当初において持ちますことはなかなか難しいことであるということは御想像いただけようかと存じます。  それから、法人税の場合につきましても、いろいろな情報をもとにしまして税収を計上するわけでございますけれども、私どもとしましては当初予算の場合は主として国の経済見通しによったわけでございますが、経済見通し、その他いろいろな情報のもとに当時検討いたしましたイメージ、これが一段と厳しくなってきたということでございまして、私どもも大変この点残念に思っておるわけでございます。  税収見積もりをいたします場合に、結局はこういった経済全般の動きというものを我々としてどの程度捕捉するかということになるわけでございます。国民各方面のいろいろな力をかしていただいて作業をさせていただいているという感じが強くするわけでございますけれども、そういう国民のお力をかりての作業によるといたしましても、計画的な行動ならざる自由な経済行為を言い当てるということにはどうしても限界があるという感じがいたすわけでございますが、今後とも何とか一つ一つの経験を生かしてと申しますか、新しく我々が接し得る情報、精度の高い情報というものを求めて努力してみたいと思っております。
  32. 池田元久

    池田(元)委員 八%近い減収見積もりということなんですが、これは民間企業も最近不況で売り上げが落ちたり、そういったことはありますけれども、これは政府の問題ですから、大蔵省、経企庁もそれぞれありますので、その権威あるとされている政府機関がこのような見積もりを大きく狂ったということは、やはりこれから問題にしていかなければならないんじゃないかと思います。民間であれば担当役員の責任問題ぐらいに発展する可能性もあるのではないかと思います。確かに今主税局長おっしゃいましたように、経済見通しと財政のあり方、その経済見通し、いろいろよく言われますけれども、どうも使う方の立場から過大に見積もるのではないかというそういった見方もありますが、経済見通しと財政についてはこれからも論議していきたいと思います。  次に、決算剰余金について触れたいと思うのですが、過去一兆円以上の剰余金が出たのは一九八六年から八八年の三年度です。いずれも税収は、当初予算の見積もりに比べて決算としては結果として増収になっている。要するに増収決算剰余金が出るのは当たり前、多額の剰余金が出るのは自然ではないかと思います。しかし、昨年度、九一年度は減収決算でありながら一兆五千億円を上回る剰余金が出たわけです。この剰余金が出た理由について御説明願いたいと思います。
  33. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 御説明申し上げます。  三年度の場合も実は補正の段階で企業収益の減少等が見込まれまして、補正後予算においては一兆八千九十億円の法人税の減額を行いまして、対当初予算比でたしか二兆六千七百十九億円の減収になったと記憶いたします。そういう事態があり、また源泉所得税も、金利低下局面に遭遇いたしまして、予算額より五千二百億円ぐらいの減収を決算段階で記録したわけでございますけれども、補正段階でも、話はちょっと前後して恐縮でございますけれども、今のは決算でございますが、補正段階でも法人税で一兆八千億、それからこのときはたしかほかに印紙税収等につきましても見直しを行ったと思いますけれども、いずれも減額修正をお願いしたわけでございます。  しかしながら、意外なことが生じまして、申告所得税におきまして、土地の取引が三年末になりましてそれまでの状況と著しく異なった動きを示しました。補正予算を検討しておりました時期には、土地取引の例えば登記件数の動きなどを見ましても、前年度に比べまして八〇%強といったような水準であったかと思いますけれども、十二月に至りまして、結果的にわかったことでございますけれども、一二〇%を超える取引件数を記録いたしました。これは予想以上のことでございまして、このことによってもたらされました申告所得税の増収が一兆五千億に及んだということでございます。補正時に見ておりました法人税等の減少というものをはるかに上回りましたそういった思いがけない増収の結果生じたものでございまして、この点も先ほど申し上げましたように我々の見通しの限界を超えたということを残念に思っておる次第でございます。
  34. 池田元久

    池田(元)委員 人間ですからそういう思いがけないことは当然あると思うのです。譲渡所得税の駆け込みがあったというのはそれなりにわかります。いずれにしましても、昨年度は補正段階で一たん二兆七千八百二十億円と過大な減収見積もりをした後、逆に、したから後で一兆五千億円の剰余金を出したということになったわけです。  こうしますと、これからどうなるかということは当然興味はございますが、九二年度剰余金はどうなるのか、見通しをお示し願いたいと思います。
  35. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 今御審議をお願いいたしております平成年度補正予算において計上させていただいております減収額、先ほどから御指摘ございましたように巨額のものでございます。しかし、今私どもの能力で推しはかり得ます平成年度の税収の決着というのは、この補正で見込んでおります水準、それ以外の水準を想定することは私どもにはできません。したがいまして、平成年度において、ただいまお願いいたしておりますような予算規模を上回る剰余金が生ずるということは、今の段階では想定しておりません。
  36. 池田元久

    池田(元)委員 もうちょっとはっきりおっしゃっていただきたかったのですが、税収見積もりに自信がおありになるならば、剰余金は微調整程度、ゼロに近くなるだろう、こういうふうにはっきりとおっしゃっていただきたかったと思うのです。これこそまさに、何といいますか、クレジビリティーギャップといいますか、その辺のところが果たして信頼性がどうかということになってしまうのではないかと思います。  余りこの議論をしていると時間がありませんので、一つだけ申し上げたいのは、まとまった剰余金を出せば翌年度の予備費のかわりに使えるので意図的に剰余金を出すようにしているのではないかという見方もあるのですが、その辺はいかがでしょうか。一言でお答え願いたいと思います。
  37. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 そのようなことは全くございません。
  38. 池田元久

    池田(元)委員 次に、一般会計承継債務、漢字が多くてちょっと、これはなかなか普通我々市民の言葉ではないのですが、これの資金運用部に対する償還特例についてお尋ねしたいと思います。  これは政府の方は、一般会計と特別会計間のやりとりだから国民に直接負担を求めるものではない、こういうことを言いたいと思うのですが、これは言ってみれば借金の先送りですから、繰り延べ期間の金利が上乗せされる、その分一般会計の方に例えば負担がふえるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  39. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 御指摘のとおり、今回お願い申し上げております五千六百億円ほどの元本の繰り延べということでございますので、さなかりせば残高が減るわけでございますので、将来の金利負担はそれに伴って減るはずでございますが、それが元金が減りませんので、従来どおりに比べますと一般会計の金利の負担は新たに生じてくるということでございます。
  40. 池田元久

    池田(元)委員 この一般会計承継債務償還延期というのは特例ですから、緊急避難的な措置だと私は思うのです。ところが、九三年度予算でも、再び一般会計承継債務六千九百八十三億円全額の返済を先送りするという話がもう出ているわけです。この辺のところをお聞きしたいのですが、赤字国債の発行を避けるためにこうした国の債務の返済の先送りを常態として続けていいのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  41. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 平成年度予算編成についてのお尋ねかと思いますが、まさに今鋭意作業をしておるところでございまして、今回の補正予算でお願い申し上げているように、税収の減というものがございますので、それを受けての五年度編成ということでございますから、財源事情は大変厳しくなっておるということでございます。  そういう中で、もろもろのことにも配慮をしていかなければならぬということで余計大変なわけでございますけれども、しかしながら、公共事業といったような分野はともかくといたしまして、全体の歳出について厳しい見直しを行って、歳出の面でまず赤字公債の発行にならないような努力をしなければならぬと思っておりますが、その上で歳入面での措置についても当然考えていかなければならぬわけでございます。  具体的に今回お願い申し上げております承継債務の扱い、確かに五年度においても七千億円弱のものが予定されておるわけでございますが、これについてどうするかは、今最初に申し上げましたような作業を経まして、その上どう判断するかという問題だと認識しております。まずそれありきということで今の予算編成を行っているわけではございませんけれども、いずれにしても具体的な姿につきましてはこれからの話でございますので、本件の扱いについては、今具体的に決まっているわけではないということでございます。
  42. 池田元久

    池田(元)委員 予算編成間近ですからもう決まっているはずなんですが、その辺は置いておきまして、羽田大蔵大臣お尋ねしたいんですが、こうした手法、具体的な個別的な理由ではなくて、赤字国債の発行を避けるために国の債務の返済の先送りを毎年やるような、こういうやり方がいいのかどうか、財政としてオーソドックスな方法であるかどうか、一言お尋ねしたいと思います。
  43. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘がございましたが、決してオーソドックスな方法じゃございませんで、私どもといたしましても、これをお願い申し上げますときに臨時、特例、異例と言いながら、これは続けているじゃないかと言われればそれまでですけれども、しかし、そういう言葉を申し上げるぐらいやはり異例なものであるというつもりでこういうことをやらしていただいております。  ただ、やはり赤字国債ということになりますと歯どめがございませんけれども、この場合にはまさに国の中のやりくりという中でやはり限りがあるということ、これはひとつぜひ御理解いただきたいと思います。
  44. 池田元久

    池田(元)委員 次に、開銀法の改正案について触れたいのですが、この開銀法の改正案の後半部分、出資規定整備整備というのは大変便利な言葉なんですが、その中身について触れたいと思います。  開銀の輸入体制整備貸し付けの金利引き下げに伴いまして、開銀の利益、損益の悪化を防ぐために補正予算で開銀に追加出資を行うことになっています。要するに理由はそういうことなんですが、追加出資を予定しているから予算で定める金額の範囲内でということで、資本金法定主義を改めるのはいかなる理由によるものか、お尋ねしたいと思います。
  45. 寺村信行

    寺村政府委員 現在、開発銀行以外、輸出入銀行でございますとか各公庫の、政府関係金融機関政府出資によります資本金の増加につきましては、予算によりまして国会の承認をいただく、こういう方式をとっているところでございます。  実は、開銀についてはこのような規定整備が行われませんでしたのは、開銀は昭和三十年度以来、資本金の増加がなかった、異動がなかったためでございまして、そのようなことから、このような規定が現在設けられておりません。  それで、今回、ただいま御指摘がございましたように、新たな追加出資を行うということに伴いまして、他の政府関係機関と同様の規定整備を行おうとするものでございます。
  46. 池田元久

    池田(元)委員 追加出資を予定しているという理由であれば、第四条の資本金額をふやせば済むことなんです。どうしてそういう単純な、単純といいますか簡明なやり方をとらないのか、端的にお答え願いたいと思います。
  47. 寺村信行

    寺村政府委員 繰り返しになりますけれども、実は輸出入銀行等につきましても当初は予算と法律と両方で規定する形になっておりましたけれども予算で国会の議決をいただければ、それはそのような法律を整備することによって国会の御承認をいただいたということで、その後ずっと整備が行われてまいりました。そういった趣旨でございます。
  48. 池田元久

    池田(元)委員 その理由は、輸銀がやっているとかそういうことをおっしゃいますが、端的に言えば、追加出資ができるようにするためにはこれまでの方法だったら資本金額をふやせば済むことなんです。なぜ基本に立ち返って資本金法定主義をやめるのか、明確な答えはないんですが、これは国会が審議できなくなるということですから、ある意味では大変な問題なんですが、私は立法府の立場ですからこの点も一言言わなければならないと思うんですが、この辺はこれまでやってきたからとかそういうんじゃなくて、やはり国会の立場としても、この種の問題はこの法案だけじゃありませんので、資本金とか料金についてどの程度国会が関与すべきか、その辺は全体の問題として考えなければならないと思います。こういうふうに個別にその法定主義をやめて、政府予算で決定するという方式にしていいのかなという感じがいたしますが、これはやはり国会の審議権に絡みますので国会としても考えていかなければならないことであるということを指摘したいと思います。  さて、以上二つの法案についてお聞きしたのですが、予算の編成も近づいてまいりましたので、先ほども予算のことについて触れましたけれども予算編成のあり方についてお尋ねしたいと思います。  予算というものは政府政策の事実上の決定です。国民生活に大変かかわり深いということは御存じのとおりでありまして、特に現在は不況が長引いておりますので、予算や財政の役割は大変大きいものがあると言えるんじゃないかと思うのです。  それで、その予算編成のあり方でございますが、ことしの二月二十六日、この大蔵委員会で、私は、予算編成というのは大蔵省がすべてやっているんだけれども、本来編成権は内閣にあるわけです。内閣の総合調整機能として、内閣が行うべきではないか。要するに、基本に立ち返って少し論議をしたんですが、その際には第一次臨調の内閣補佐官構想なども紹介いたしました。最近、この論議が余りないと思うのですが、最近になって経済同友会が行政改革に絡んで意見書を出しました。それによりますと、「真に必要な部門に重点的に予算を投入するため、内閣が直接責任を持った予算編成システムを確立すべきだ」ということを述べているわけです。要するに、内閣のリーダーシップで省庁の縦割り構造や縄張り意識を背景とした固定化した予算配分を打ち破る必要があるということを強調しているわけです。政治改革、いろいろなことを言われておりますが、この問題も、戦後、折に触れて取り上げられました大きな問題です。政治改革に熱心だと言われる羽田大蔵大臣にこの辺についての所見をお伺いしたいと思います。
  49. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘のございました点について、経済同友会からそういう提言があったことを私ども承知しておりますし、また、今日までもこの問題について国会の中で御論議があったことも承知いたしております。  しかし、予算の編成に当たりましては、何といっても経済全般の動向ですとか、あるいは金融状況、こういったものを十分踏まえながら、他の政策手段、例えば税制ですとか、あるいは金融ですとか財政投融資など、こういったものとも整合性をとりながら策定していく必要があろうというふうに考えます。そういう意味で、予算編成部局のみを分離するということになりますと、むしろ、予算編成に期待されるいわゆる総合調整機能、こういったものの低下をもたらして、経済あるいは財政政策の適切な運営にとって障害になっていくんじゃないのかなということを私は思っております。また、これはあれですけれども、新たにそういった組織をつくるということは、行政改革そのものにもやはり逆行してしまうんじゃないのかという懸念もあります。  いずれにいたしましても、今後の予算編成に当たりまして、私どもといたしましても、時代の要請というものに応じながら財源の重点的な、また効率的な配分を図っていく必要があろうと思っております。私自身は編成作業は一回だけでありますけれども、あと補正を二度ほどやらせていただきましたけれども、やはり今の制度というのは非常に中立的であるんじゃないのかな、また効率的であり、的確であろうというふうに考えていることを率直に申し上げさせていただきます。
  50. 池田元久

    池田(元)委員 行政改革に反するという点については、それは整理統合すればいいわけでありますから、私はむしろ行政改革からいっても、もうそろそろこの辺のやり方について洗い直しをする必要があるんじゃないか。アメリカのクリントン政権はESCですか、そういった総合的なアメリカ経済の立て直しのために大統領直属の機関を設けるといったようなこともございます。日本も明治以来の縦割り行政の結果として、このような予算編成を続けていいのかどうか、今やすべて見直しの時代ですから、やはりこの辺も大変重要なその一部として考えていかなければならないのではないかと思っているわけです。  さて、予算編成シーズン間近でございますが、予算編成はこのシーズンだけではもちろんないわけですね。実際は春先から始まりまして、概算要求基準の策定から大蔵原案の決定までが大変重要である。しかし、この中身がなかなか見えてこないというところが大変問題ではないかと思います。それから、今申し上げましたように、現在の予算編成方式はだれも真の意味の総合調整はしていないと思うのです。前年度と比べて何%ふえたか減ったかということを問題にする、予算を根源的に洗い直さずにその限界的な増減部分だけ調整する、その間にはいわゆる族議員というものも横行いたします。こうしたやり方、前例踏襲主義というものだと思うのですが、前例踏襲主義にとらわれているんではないか。この辺の予算編成のやり方について、もう一度羽田大蔵大臣お尋ねしたいと思います。
  51. 羽田孜

    羽田国務大臣 私どもは、シーリングという形をとりながら、夏のときから実は各省あるいは各関係機関と話しております。私も、その作業というものを横から、あるいは内から見たわけでございますけれども、相当深い洗い直し、それこそゼロから発するような洗い直し、根本からの議論というものがなされているということ、これは私、申し上げることができると思うのです。  ただ、確かにシーリングを示しながら全体的にこれだけ減らしてくださいよというお願いをする、そういう中で、今度各省が各省の中でまた徹底した洗い直しをしておるというのが現状でございまして、確かに結果から見ますと、特に公共事業等のあれなんかがそんな大きく伸びてないじゃないかという指摘はあるのですけれども、しかし、最近なんか見ておりましても、例えば下水道ですとか、あるいは公園事業ですとか、また農業なんかにおきましても、集落排水事業ですとか、こういったものはやはり顕著な伸びを示しておるということ、こういうものを見ても、私は、限られた中にあって相当努力がなされているのじゃないのかなというふうに思っております。  それから各国の状況を見てみますと、各省の要求基準ですとか要求額ですとか大蔵省の内示額、予算編成過程というのはほとんど実は公開されておらないということで、これがもう確立された慣行みたいになっておるということから見ますと、夏のこの時期から国民の中でもいろいろな議論があって、だんだんその議論が集約されていく今の編成というのは、割合とおもしろいかなというふうに私は思っております。  ただし、それぞれのものを見ましても、やはり制度とか、あるいは今までやってきた施策というものにつきましては、常に見直す、これは国民あるいは国民を代表する、あるいはまたある分野を代表する組織、そういった人たちも、やはり新しいものを要求するときには本当にみずからが血を流す、そのくらいな覚悟を持って対応してもらわなければいけない。いろいろな要請がありますけれども、切っていいよという要請は一つもないわけでございまして、そのあたりいろいろな角度からお互いに考え直してみる必要がある。これは私もよく頭に置かなければいけないと思っております。
  52. 池田元久

    池田(元)委員 今の点について事務当局として何か考えていらっしゃることがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。  要するに、国民の目にはなかなか見えない。それから前例踏襲主義でいいのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  53. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 大臣答弁に尽きますけれども、確かに財政は複雑であるということもあり、かなり制度の議論もあるものですから、私ども日ごろ努力しているつもりでございますけれども、なかなか国民の皆様方の関心を呼ぶということが少ないように実感しておるわけでございます。  しかしながら、いろいろ財政の実情でありますとかこれからの将来見通しでありますとか、そういったことを材料にしながら、できるだけ機会をつくりまして財政のキャンペーンもやらしていただいておる。それから予算編成過程は、今大臣から御答弁ありましたとおり、ほかの国に見られないくらい、ある意味では情報がディスクローズされておるということでございますので、そういう中でぜひ国民の関心を今以上に得られるような工夫は今後とも続けていきたいと思います。  それからもう一点、増分主義といいますか、現状踏襲型というお話がございましたが、結果において増減がこの程度かという御批判はお立場によってあるかと思いますけれども、いずれにしましても、法律に基づく制度によって予算が決まってくるというものが予算全体の中で大半を占めているわけでございますから、そう毎年毎年、ある予算が出たり消えたりするものではないと思います。  そういう意味で、歳出の抑制というのは大変なわけでございますけれども、私どもは、議論するときはまさにゼロベース、本当に今の時代に要るのかどうかということを、風雪に耐えた制度であってもゼロから議論をするということで毎年毎年予算をつくっておりますので、その結果、すべてがふえているわけじゃなくて前年度に比べて減のものもございますし、増分とか減分とかその部分だけを議論して根っこの部分は保証するというような予算をつくっているつもりは毛頭ございません。
  54. 池田元久

    池田(元)委員 ただいまのゼロベースから考えるというのは大変歓迎すべきことでありまして、ぜひそうしていただきたい。ただ、全体として見ますと、予算編成の過程というのはなかなか国民の目に見えないし、どうしても固定した予算配分で増減が中心になるということは否定できないと思うのです。その辺をどのように打開するか、事務当局もぜひ考えていただきたい。  それから、その前に申し上げました、やはり総合的な調整という観点からどのようなやり方がいいのかというのを、まさにそれもゼロベースから国全体として考えていかなければならない問題ではないかと思います。  さて、具体的に一つだけお尋ねしたいのですが、今度の来るべき九三年度予算の顔は何か、特徴は何か、その辺をお尋ねしたいと思います。
  55. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 大変大きなことについてのお尋ねでございますが、いずれにいたしましても五年度予算をめぐる状況として申し上げなければならぬのは、まず財源が大変であるということでございます。それに対して赤字公債を出すことは適当ではない。そういった制約の中で、景気に対する配慮、それから国際貢献等に対する配慮、それから従来からいろいろ問題がございます社会保障でありますとか文教とか、あらゆる分野でいろいろな議論がございますけれども、そういったものについてきちんとした見直しをして、最初に申し上げましたような財源難の中でも赤字公債を出さずに、かつ中身は、その限られた中ではございますけれども、必要なものには配慮できる、こういったことでございまして、顔とか目玉とかということにつきまして、まだ今の段階で申し上げる状況ではないわけでございますけれども、いずれにしても大変厳しい中で編成しなければならぬということでございます。
  56. 池田元久

    池田(元)委員 非常に優秀な大蔵省の方がそういうことをおっしゃるので、僕もちょっと、やはりその中の論議というのは従来の論議で、幾ら優秀な方でもやはり個別の問題しか出てこないのかな、非常に失礼な言い方ですけれども、そんな感じがするわけです。予算のやりくりについては大変御苦労があることは、私もそういうふうに感じます。  しかし、それはやりくりじゃなくて何をやるかなんですね、要するに。何をやるか。この予算の顔はこういうことなんだ、それから出発するのが本来のやり方ではないか。各論あって総論なしという感じがいたします。大変厳しいことを言っておりますが、そういう感じはだれしも、常識的に考えればそういうことじゃないかと思うのです。しかし、どうしても予算というのは従来的な見方で見られている、何%今年度は伸びるとか伸びないとか、そういったところにどうしても話がいくということで、私はやはり大蔵省の方々にも、予算の全体像、顔はこれだということをぜひ考えて編成に当たっていただきたい。それ以上にやはり政治家がそういったことを考えなければならないということも、同時に私としては申し上げなければならないと思います。  さて、もう時間もないのですが、この九三年度予算は現在の景気に対してどのように臨むか、どのようなタイプの予算であるか、一言お尋ねして質問を終わりたいと思います。
  57. 羽田孜

    羽田国務大臣 今次長の方からも申し上げましたように、今度の予算編成の基本は、財政というもの、これはやはり赤字国債を発行してはならぬということを基本に置きます。しかし、今現在の景気の状況、これはやはり私たちは考えなければならないということで、景気に配慮したもの、こういったものを基本に置かなければいけないだろうというふうに考えます。
  58. 池田元久

    池田(元)委員 終わります。
  59. 太田誠一

  60. 日笠勝之

    日笠委員 宮澤内閣は企業優先から生活者優先ということで発足いたしまして、一年がたったわけでございます。それで、そのスタンスがこの補正予算にあらわれるのかなという期待もしておりました。しかし、この補正予算で欠落しておる、生活者優先というこのスタンスが欠落しておるのは、いわゆる家計にダイレクトに響く、反映する所得税の減税がないということではないかと思います。  きょうは、なぜ所得税減税をすべきかという理由は余り申し上げません。掃いて捨てるぐらいの理由があるわけでございますので、これはもう大蔵大臣に決断を求める以外にないのではないかと思うのですね。マックス・ウェーバーという人は政治家の三条件という中で、情熱、決断力そして洞察力、こう言っておるわけですから、これからの質問は、大蔵大臣に直接お伺いをし決断を求める質問にさせていただきたいと思うわけでございます。  そこで、野党は、野党だけではありません、労働組合もそうですし財界からも言われております、消費拡大を進めていかなければ景気の回復にも結びつかない、GNPの六割を占めておる消費でございます。また、経済は心理学とも言うわけですね。消費者マインドを刺激しなければ消費拡大にもならないわけでございます。そういういろいろな理由はあるのでございますが、所得税減税はもうこの補正では一切、一円たりともしない、こういう、赤字国債は出さないという程度の決意なのかどうか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  61. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに経済は今調整局面にあるということでございます。  そういう中にありまして、調整局面にあるという状況を、その背景というものを考えますときに、何といっても、これは産業の方の関係を除きますけれども、家計の方におきましてもやはりバブル期におきまして相当いろいろな耐久消費財といったものが整備されたといいますか、ストックというものは高まっておるというふうに考えております。そういうことで、これは変な言い方をするとおしかりを受けますけれども、報道等でも書かれておりますが、ことしはやったものの中に、扇子だとかあるいはうちわですとか、あるいは扇風機ですとか浴衣、こんなものがはやった。そしてこれを何かいじましいものに感じたかというと、そうではなくて非常に堅実なものを感じておるということでありまして、産業と同様に家庭の方もリストラ、再構築といいますか、そういったものが今進みつつあるのだろうというふうに思っております。  ですから、今少し刺激をいたしましたらそれではすぐ買いの出動に出るのかといいますと、私はそういうものではないのじゃないのかなというふうに思うのです。ですから、確かに所得を刺激して少しでもまた買い出動に出るということは、いろいろなものを刺激して、特にいわゆる売る方の立場の皆様方にとってはそれをやられることが少しでもいいからということでありましょうけれども、しかし私は、そういう刺激をしても今そういう状況にある中ではそんな効果は余りないだろう。しかし、これに対して対応するための原資というものは大変大きなものになるということでございまして、今お話がありましたように、そういったものを進めるとすると、やはり今私たちは厳に慎まなければならない赤字公債というものの発行等に頼らなければならないということになると思います。それをやりますと、まさにこれから長い時間をかけながらそういったものを返済していかなければいけないということを考えたときに、また、しかも累積の債務があるという今日の状況を考えましたときに、私どもはここで所得減税については、申しわけないのですけれどもできないということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  62. 日笠勝之

    日笠委員 補正予算またこの二法案の採決のときに、野党がこぞって組み替え動議であるとか修正要求であるとかいうようなことはあるかもしれません。そのときに決断を迫られるかもしれません。が、もう少しこの減税問題に入っていきたいと思います。  今大蔵大臣の話を聞くと、もし減税するとなれば赤字国債しかないというふうに私は聞けたのですが、もし減税をするとなれば赤字公債国債しかない、こういうことでしょうか。
  63. 羽田孜

    羽田国務大臣 今度の補正予算につきましても、私どもとして考えられる知恵というものをすべて出しながら今度対応しておるということを考えましたときに、今お話のあったような措置をするとなるとどうしても特例公債に頼らざるを得かいであろうというふうに考えるわけであります。
  64. 日笠勝之

    日笠委員 財源が赤字国債、これは私たちも望んでおるわけじゃありません。がしかし、隠れ借金とか裏公債とかいろいろ今回もやっておられますが、そういう伝統的な大蔵省の手法を使うならば財源はあるのじゃないかと思うのですね。  理財局長は——じゃどなたでもいいのですが、国債整理基金特別会計ですね、これはことしは幾ら繰り入れて、年度末残高はどれぐらいになる予定ですか。
  65. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 お答え申し上げます。  平成年度の定率繰り入れの予定額は三兆七百億円でございまして、もろもろございますが、お尋ねの四年度末の国債整理基金の残高見込み額は二兆五千六百億円でございます。
  66. 日笠勝之

    日笠委員 ことし定率繰り入れをする約三兆円ですが、既にこの特別会計へいかほど入っていますか。残がどれだけありますか。
  67. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 ただいまお答え申し上げました約三兆円の予定額のうち、四半期平準化して繰り入れておりますので、現時点では約四分の一相当額が残っているという計算になります。
  68. 日笠勝之

    日笠委員 七千億円ぐらいということですかね。  それを大臣、今度は大臣ですよ、これを定率繰り入れを一部停止する、それで財源を見出して減税に回す。その減税も、私ここで大きいことを、一兆円、二兆円とこう言いたいところですが、本音の話をいたしますと、経済は心理学ですし消費者マインドを刺激するということで、パートの方のことも考えて、給与所得控除を十万円程度もし上げようということになれば三千億円程度で済むわけですが、そこで、こんな小さい規模の減税を言うと後おしかりを党内からも受けるのかもしれませんけれども、本音の話で、年末調整に間に合うように、また戻し減税でも結構ですから、これを給与所得控除十万円上げて七十五万円にする、そうするとパートの方も百十万円までは非課税、こうなるわけですね。そういう意味でこれを一部停止をしたらどうか。そこに財源を見つけて減税をする、こういう手法も考え得るのですが、どうでしょうか。
  69. 羽田孜

    羽田国務大臣 定率繰り入れば、やはり公債政策に対します国民の信頼を得るということで、公債政策の健全性を確保するための現行の減債制度の根幹をなすものでございまして、これを停止することは考えられないというふうに思います。また、将来の国債償還財源といたしましてもいずれ必要となるものでございますから、減税財源としてはこれは適当なものではないであろうということを申し上げざるを得ない、こういうことであります。
  70. 日笠勝之

    日笠委員 それは償還ルールで六十年で償還ですから百分の一・六繰り入れる、これはわかっております。しかし、今までトータルでいかほど繰り入れを停止しておりますか。十五兆余りでしょう。それからもう一つは、今回の剰余金特例法ですね。私は、特例ではなくて、先ほども同僚議員が言われたが、恒例法だと思っておりますがね。この十五年間で七回ぐらい剰余金二分の一国債整理基金特会に繰り入れるべきものを恒例で繰り入れてないわけですから。だから、突然そういう大上段にかざしたこの償還ルール、健全性だと言われたって、にわかに信じがたいわけなんですよ。ですから、三千億ですから、この際、定率繰り入れを一部停止してそれを所得減税に回し、消費を刺激する、これはぜひお願いをしたいな。、来年度は、後でもちょっと申し上げたいと思いますが、地価税というものが恒久財源としてあるわけですから、地価税は、これは私ども、ここの委員会の場で大議論をいたしました。その結果、附帯決議をつけておるのですね。この附帯決議は私は大変重要視していただかなきゃいけない。その附帯決議があればこそ賛成したとも言える、また審議促進したとも言える税制でございます。その附帯決議にどうあるか。「地価税の創設に伴う増収分の使途については、所得課税の減税、土地対策等に配慮しつつ、」云々とある。そして「平成年度税制改正・予算編成時においてその具体的内容について検討する」とある。ですから、この際、国債整理基金特別会計へ三千億ほど繰り入れを一部停止し、それを給与所得控除十万円アップさし、そして一時しのがなきゃいけません。剰余金も出る、出ないと言っていますが、剰余金も恐らく来年度出ますよ。日銀の納付金も非常に好調でございますしね。それは先のことはわからないといたしましても、しかしこの減税はとりあえず芽をつくっておくということからもぜひ必要だ。そして、来年度平成年度財源は恒久財源でございます地価税、これで三千億円程度充てるということにすれば、ことし一年間わずか三千億円ほどの特会に入れるのをちょっと、ほかの承継債務延期と一緒でございますから、この際決断をもってそうすべきではないか、財源はあるんだ、ということで大蔵大臣の御答弁を期待します。
  71. 羽田孜

    羽田国務大臣 この減税につきまして、景気に対するマインドというお話があったわけでありますけれども、私ども、もちろんこの財源という問題もございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、国民の消費性向というのはバブルで相当やはり大きく膨らんだ、そういったものを反省しながら今堅実なものになっておるということであろうと思うのです。産業の方がどうしてもリストラをしなければならないという今考え方でいろいろと御苦労をされておるわけでありますけれども、各家庭の皆さん方もやはりそんなふうに堅実な生活をということを思っております。  ですから私は、この二つの、産業の方も家庭生活にあっても、これはやはり避けて通ってはならないものなんであって、それを思えば、私はそのマインドを持っていただけば、今減税によって刺激するということ、それで景気をよくするんだというマインドを起こすことがいいのか、それよりやはり今ちょっと苦しいけれどもここしばらく我慢することがいいのか、そのあたりのマインドというものを今度しっかり持っていただけば、私は、景気に対して今所得減税によって少し刺激すること以上の効果というものをもたらしてくるんじゃないのかなというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今何回が御指摘があったのですけれども、この繰り入れの停止について、それを財源にしての減税ということについてはひとつお許しをいただきたいということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  72. 日笠勝之

    日笠委員 私が言っているのは、消費者マインドを刺激するということもその理由一つですが、まだいっぱい、宅配便で送ってこなければいけないくらい量はたくさんあるんですよ。何年間も税制改正、減税してないとか、それから内外価格差というようなことはちっとも言いませんね、諸外国より課税最低限は高いとおっしゃるけれども、内外価格差は、日本は三割くらい物価が高いんですよ、家賃も高いとか。そういうものを全然カウントしていませんしね。それから税負担率も、ヨーロッパに比べれば確かに日本はこの十数年間ぐっと、倍以上高まっていますしね、高いですしね。そういう理由はいっぱいあるのです。  ただ、今これだけの国民世論が、ボーナスもどうも減額になりそうだとかいろいろな理由で、残業手当もなくなりそうだとか、いろいろな意味で家計が大変なわけですよ。それは大臣の家庭はもう買う物がないかもしれませんが、私のところは幾らでも買う物はありますしね。後ろに座っている官僚の方々も恐らく一緒だと思いますよ。そういう意味では、理由はいろいろある。だから決断を求めると言っているわけですね、減税を今すべきときじゃないかなと。理由は幾らでもあるんですけれども、そういう理由をここで一々やっていると時間がたつばかりですから、だからマックス・ウェーバーまで引きまして決断が大事なのですよ、こう申し上げておるわけなんです。  これは、今御答弁になったとおり、それを翻すというわけにはいかないでしょうから、この場ではそういう御答弁だということで理解します。しかし、補正予算とこの関連法案の採決のときにはわかりませんよ。そのときにはもう一段の決断が要るかもしれません。そう予告しておきます。  そういうことで、減税は非常に今重要な課題になっておる。もう何か佐川急便事件ばかりが云々されていますが、しかし、国民の多くは所得減税をささやかでもいいからやってもらいたいという強い強い願望があるということを知っておいていただきたいと思います。  それから、開銀のことに絡めてではございませんが、関連といいましょうか、金融機関のことでお聞きしたいと思うんですね。  債権の買い取り会社もできるようでございますね。いろいろ方策を講じて金融機関のリストラを今図っていこうということは、それは当然だと思います。しかし、こういうこそくな方法じゃなくて、政府も公的資金を導入してでもというような鳴り物入りでございましたけれども、そこまでやると国民は納得しないというようなこともあったんでしょう。それは公的資金を導入しなくても債権買い取り会社をつくるという方向だそうでございますが、そういうペーパー商売、実物の不動産を動かさないでペーパーだけで評価して損したとか損金で落とすとか、そういうことじゃなくて、こそく的なことではなくて、もう不要不急の不動産をいっぱい持っておるわけですよ、自社の。例えばグラウンドだとか、それから保養施設だとか、まずそういう自助努力をさせるべきじゃないかと思うのですね。  私の岡山のある第二地銀でございますが、このバブルの影響で大変厳しいということで、三十数億円不要不急の不動産を売りましたよ。立派なものです、これは。そういうふうに努力しているわけです。それが大手の銀行だけこんな買い取り会社をつくって、こそくな迂回だとかなんとかというようなことで、仕組みは知っていますけれども、じゃなくて、まず不要不急の不動産を売れ、とにかく身を切れ、そういうふうな姿勢がまずなければ、金融機関のリストラなんというのは、これは国民の納得は得られないと思いますね。  そういうことで、銀行局長、どうですか、まず不要不急の不動産なんかどんどん売却しなさい、この際甲子園球場のようなグラウンドは必要なのか、そんな野球なんてする暇があるのかというようなことで、ひとつ不要不急の不動産をまず売って、身軽にして、それから知恵を出すべきだ、そういうふうに思います。自助努力が大事だと思いますが、いかがでしょう。
  73. 寺村信行

    寺村政府委員 金融機関経営努力の問題につきましては、去る八月の金融行政の当面の運営方針におきましても、厳しい自助努力によります経費節減等の努力を要請したところでございます。当然、その後各金融機関からそれぞれ対応された計画が発表されておりますし、また発表しないところもかなりそういう合理化計画を進めているところがございます。  不要不急の不動産の問題でございますが、私どもとしては、このような資金が固定化するような資産を金融機関が持つのは適切でないという指導を今までもしておりますが、今後ともそういう方向で指導してまいりたいと考えております。
  74. 日笠勝之

    日笠委員 それで、もう一つは、不要不急の不動産を売ってリストラをやっていこう、それはそういうふうにやってもらいたいと思いますよ、自助努力をやってもらいたい。役員の給与も何%かカットするとか、自助努力、それが目に見えた形で、私たちにわかるような努力はお願いしたい。  しかし一面、こんなに金融機関は厳しい厳しいと言いながら、企業献金なんてどうなっているのですか。この前発表された平成年度の企業献金、企業別のベスト一位から十四位までは全部銀行じゃありませんか。五十番以内を見ましても、銀行が十五行、信託銀行が五行、生損保が三行、二十三、半分近くですよ。リストラをして自助努力をしていけと言いながら、野方図にどんどん一億単位くらいの献金をする。そういうものも削らすべきじゃないですか、どうですか。
  75. 寺村信行

    寺村政府委員 銀行の行います政治献金の問題につきましては、金融行政当局として特に把握しているということはございません。仮に金融機関政治献金を行っていたといたしましても、それが政治資金規正法等の法令に従って行われるものであるならば、特に問題はないと考えているところでございます。
  76. 日笠勝之

    日笠委員 大蔵大臣、何か派閥をつくられるそうですが、もう銀行からもらわない、どうですか。
  77. 羽田孜

    羽田国務大臣 それはよくお聞きしておきますけれども、ただやはり社会的な一つの存在であるということ、そういった中で、これから政治資金全体を一体どうするかという中で物を考えていく問題であろうと思っております。
  78. 日笠勝之

    日笠委員 もう時間がありませんので、次の質問に移ります。  何回か大蔵委員会予算委員会等で質問をさせていただき、業界も少しずつ前向きになっておるという実感をいたします、いわゆるカード破産に対する件でございます。  最高裁の調べによりますと、平成年度の自然人の自己破産件数、一月度から九月度までの九カ月間で全国で三万一千八十二件、九カ月間で三万一千八十二件だそうでございます。最高裁の調べでございます。あと三カ月あるわけでございますが、四万件になんなんとするのではないか。そして、潜在的な多重債務者はその十倍ないしは二十倍と言われておるわけでございまして、俗に言う貸金業、サラ金と言っていましたね、サラ金の問題があった五十七年、八年、九年、このころでも年間二万四千件くらいなんですね。そのピークをさらに大幅に上回る自己破産が今心配をされておるわけでございます。  そこで、この対策は、私たちいろいろ調べてみると、通産省の方は割と真剣にやっている。しかし、銀行関係、これがどうも対応が遅いのではないか、こういうふうに実感をしておるわけです。  そこで、どうなんでしょうか、銀行関係は、ホワイト情報ですね、借人情報ですが、こういうものは一体どうするおつもりなのか、まずお伺いしたいと思います。
  79. 寺村信行

    寺村政府委員 カード破産を含めました多重債務問題の発生を防止するために、信用情報の整備活用が重要であり、私ども行政当局といたしましても、貸し金業者等に対しまして、プライバシー保護に配慮しつつ信用情報機関を活用していくように指導しているところでございます。  信用情報機関相互の情報の交流につきましては、御案内のように六十二年三月からいわゆるブラック情報の交流が行われているところでございまして、ただいま御指摘がございましたホワイト情報につきましても、その交流の実現を図ることが重要であると考えているところでございます。このため、当局より呼びかけを行いまして、本年二月から消費者信用にかかわる五つの業界団体が月一回程度定期的に会合を開きまして、いわゆるホワイト情報の相互交流に向けての体制整備あるいは消費者に対する啓発活動の推進、多重債務者に対するカウンセリングの充実、それから貸し令業者の信用情報機関の利用促進等についての意見交換や検討を行っているところでございます。  大蔵省といたしましても、今後ともプライバシー保護に配慮しつつ信用情報機関の積極的な利用を特に貸し金業者等が行うように指導いたしてまいりますとともに、通産省を初め関係省庁及び関係団体とも協力をしつつ情報の整備充実とその交流の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  80. 日笠勝之

    日笠委員 ホワイト情報を構築していくには、多大なシステムの開発費が要るわけですね。消費者信国産業というのは、これは一種の装置産業左んですね。コンピューターシステムそれからCATというようなものも各加盟店が持っていないと事故情報がわからぬわけですから、そういう意味では装置産業と言われているわけです。  そこで、これはどうなんでしょうか。ホワイト情報構築を促進させるためにも、全部とは言いませんが、限定して結構でございますが、投資減税、これこそ投資減税、消費者信用の場合、それが最大の投資ですから、投資減税の対象にならないのかなというのが考えられるわけでございますが、いかがでしょうか。
  81. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  投資減税につきましては、省力化あるいはエネルギーの有効利用等の観点から、いろいろな措置が講ぜられており、さきの総合経済対策の一環としましてその追加も行われたところでございますけれども、ただいま日笠先生から御指摘がございましたものにつきまして、私ども具体的にその詳細を今承知しているわけではないのでございます。したがいまして、多少推測がまじりますことはお許しいただきたいのでございますが、そういった分野の機械につきましても、一部のものは既にその対象に該当しておる可能性があるなという気がいたします。  信用情報機関というのは情報サービス業に該当すると思われるわけでございますけれども、そうだといたしますと、例えば現行の中小企業等基盤強化税制というのがございます。中小企業等基盤強化税制と申しますのは、特定の事業基盤強化の必要がございます設備につきまして、例えばその器具、備品を大蔵大臣が告示、指定しましてお認めするということでございまして、例といたしましては、その特定のサービス業を営みます法人の中で、業務用の電子計算機でございますとか、不正の入力防止装置でございますとか、音声応答装置でございますとか、ディジタル式の交換機でございますとか、そういった幾つかの機器につきましては、この制度によりまして、取得価格の三〇%の特別償却あるいは取得価格の七%の税額控除という特典が均てんしておる可能性があるのではないかという気がいたします。  また、中小企業の場合には、中小企業の新技術体化投資促進税制、いわゆるメカトロ税制というような制度もほかにございまして、そういったものの対象になっているものも場合によってはあり得るかなという気がいたします。
  82. 日笠勝之

    日笠委員 では、また別途御相談申し上げたいと思います。  では、最後に簡単な質問でございます。  このカード破産の原因にはいわゆる犯罪が見え隠れするわけですね。いわゆる買い取り屋とか紹介屋とかコーチ屋とか整理屋とかいうのが横行しておるわけです。テレビなんかでもこれは出ておりましたね。  そこで、通産省が来年度予算要求の中に、クレジットカードにかかわる犯罪防止システムネットワークに関する調査研究委託費を一千五百五十二万円ほど要求をしておるわけですが、こういうカード破産の大きな原因になっておりますことについて、これから研究しようということでございますから、ぜひこれは来年度予算で認めてやっていただきたい、こう思いますが、前向きに検討いただけますか。それをお答えいただいて終わりたいと思います。
  83. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 通産省予算の中で十分に協議して、対応を考えていきたいと思います。
  84. 日笠勝之

    日笠委員 終わります。
  85. 太田誠一

  86. 正森成二

    ○正森委員 非常に短い時間でございますが、法案に関連する問題といいますか、景気対策にも関連して一、二の問題について聞かせていただきます。  その一つは、公的資金による株式運用強化の問題であります。  政府総合経済対策で、低迷する株価対策、証券市場活性化の目玉として、新たに公的資金一兆一千二百億円の株式運用を追加、これは郵貯が六千五百億、簡保二千七百億、厚生・国民年金二千億、こう言われておりますが、それを決めるとともに、株式投資に回す資金の上限、組み入れ比率ですね、これを撤廃いたしました。しかし、これまで国民から徴収した公的資金の一部がバブル投入されたことによって大きな損害が出ております。  きょうは大蔵委員会質問でございますので、他省庁は呼んでおりませんので、事前に郵政省と厚生省の担当者に来てもらって確かめましたが、例えば公的年金では、九一年度の積立金の自主運用事業十二兆六千五百億円の運用で、五百四十億円の赤字を計上しております。これは五百八十億円赤字ですが、他の部門で約四十億黒字がありますので、差し引き五百四十億だそうであります。また、全国に約千六百ある厚生年金基金、約十八兆八千億円が、信託銀行などに委託しているものがございますが、含み損が一五%生じまして、二兆八千億円以上に上っている勘定になる、こう言っております。  また、簡保は九一年度末で残高五兆五千五百億円のうち約四割の二兆円強を株式運用にしておりますが、株価下落で数千億円の含み損を抱えております。ただし、郵政省は事業団を通じ信託銀行に運用させており、運用状況の報告を受けているが、日々経理処理をするというようにはなっていないので、実情は把握しておりますが、それを損失というようには考えておらないという見解であったことを申し上げておきたいと思います。  いずれにせよ、こういうように株式運用は元本自体も必ずしも保全されないというように非常に問題のあるものであります。大蔵省は、従来から、公的資金の運用については何よりも安全確実性という考え方が不可欠、元本保証がない株式運用は問題という見地をずっと取り続けてきたはずであります。私も今までに一、二回質問しましたが、例えば五月二十日の大蔵委員会羽田大蔵大臣答弁では、要旨でありますが、国の信用に基づいて国民からお預かりし、しかもお返ししていかなければならないもの、やはり運用は何よりも安全確実性という考え方が不可欠であろうということで、元本が保証されない株式に運用することは性格上なかなか難しいという意味答弁をされたことは御記憶にあるところだと思います。  また、これは新聞に書かれていることですが、八月中旬に今回の株式運用強化案を役人からお聞きになったときに、羽田蔵相は、「そんなことをしたら年金や保険金の受給者に迷惑がかからないのか」、こういうように言われたと十月五日の日経「カレントアイ」に載っております。この発言を聞いたある大蔵幹部が「羽田さんは正常な神経を持っている」、こう言ったと載っています。なかなか失礼な発言といいますか、あるいは評価した発言といいますか、羽田大蔵大臣は正常であって、運用しなきゃいかぬと言う者は正常ではないという含みでありましょうが、この役人は簡保資金の株式運用がいささか正常ではないということを暗に認めているわけであります。  ところが、実際に経済対策として、あるいは総合経済対策としてそれが非常に大きな目玉になっているかのごとき報道が行われ、そしてまた実際もそうなっておるという状況がありますが、これについて、なぜ御見解を変えられたのか、伺いたいと思います。
  87. 羽田孜

    羽田国務大臣 前段の部分につきましてのお話は、簡易保険とかあるいは年金というものは、直接それを運用するということになると、これは今のリスクその他があるんじゃないかということを申し上げたんだと思います。ただ、皆様からお預かりしたもの、こういったものが安定してちゃんとまた支払いのときに支払われる、そのためにはやはり簡易保険あるいは年金事業団におきましても当然これは運用をしていかなければいけないということですから、運用先をいろいろと考えるというのは、私はそれは当然のことだろうと思うのです。  それから、今の問題につきましては、保険そのものがこういった運用というものに携わることになると問題があるであろうということで、今度の場合には簡易保険事業団が、しかも専門家の信託等を通じながら、こういったもので対応していきましょうということで、これは従来のスキームからはみ出たものでないということを申し上げたいと思います。
  88. 正森成二

    ○正森委員 しかし、運用枠の上限を撤廃したりあるいはそこへ投入する資金を非常に大幅にふやしていくことは、明らかにお立場が変わったということを指摘せざるを得ないわけであります。  大蔵省は、従来、株式市場に国家は介入すべきではない、王道を歩む、つまり株式投資などを進めることは王道ではない、王道の反対の言葉は権道とか邪道とかいうのですが、そういう見解をとっていたと新聞でも報道されております。また、元本保証がないという投資リスクを回避すべきだということで資金運用に一定の運用枠を設定してきたはずであります。ところが、それが自民党や証券業界からの要求に押されて限度枠を撤廃する、あるいはそれに投入する公的資金を非常に大きくふやすことは、みずから王道を踏み外したものだというように言わなければならないと思うのですね。  私もそれは年金が運用によって利益を上げなければならないということは承知しておりますから、それをやったらいかぬというようなばかなことを言うわけではありません。しかし、それはあとう限り元本保証のある確実なものでなければならない。予算委員会や特別委員会で、たしか私の記憶では斎藤主計局長が再々答弁しているのですが、ほかの共済年金関係が、各省庁が株式運用している場合に大蔵だけがそれをやっていなかった、私が褒めましたら、元本保証がある、これが一番安全確実で有利だと思っておりますと斎藤主計局長がお答えになったのを今でも覚えているわけであります。ところが、大蔵省自身がこれが一番安全確実で有利だと言いながら、その他の公的年金についてはあえて株価上昇等を優先させて安全性とかあるいは王道を踏み外すことをやるというのはいかがなものですか。
  89. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 今大臣からお答えいたしましたが、公的資金を運用することの一番大事な前提が今先生のおっしゃっている安全確実ということである、この前提を動かしてはいけないということに関しては、我々も当然のこととして、それを前提に物を考えてきたということをまず申し上げておきたいと思います。  従来から指定単による運用をある一定額ずっと認めてきたわけでございますが、それも今大臣が申し上げましたように特別会計なり国なりがみずからやるということではなくて、ワンクッション設けて、簡保事業団というところあるいはその他の事業団で運用してもらう、しかももう一つクッションを設けまして、実際の運用は信託銀行の専門家にゆだねる、そういう形でのスキームということで、安全確実ということのぎりぎりの担保をとってきたというのが従来の姿でございました。  今回補正でお願いしております一兆一千二百億円の新たな資金をこの指定単に投入するという措置は、大臣申し上げましたように、現在の証券市場の動向から考えまして、その活性化を図って健全な発展を担保していくということでそういう措置をとったわけでございますが、先ほど申しました二つの点、事業団等を通ずる、あるいは信託銀行等に判断をゆだねる、この二つの点のスキームについては変更いたしておりませんので、安全確実な運用という基本的な考えは確保されて、その中で行った措置であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  90. 正森成二

    ○正森委員 この場には郵政が来ておりませんので、私は見解を述べて注意を喚起するだけにとどめておきたいと思いますが、十一月十九日の報道によりますと、郵政省が指定単の運用を任せられている信託銀行全行の役員や部長クラスを呼んだ、そこで関係者は、郵政省から株式の組み入れ比率を長期的に八割程度にするよう積極的に、大胆にやってくれと指示された、こういうふうに言ったと報道されております。また、厚生省も同様の指示をした、こういうように言われております。それはなぜかというと、森喜朗政調会長が十七日に郵政、厚生の両省の担当局長、審議官らを呼んで、総合経済対策であれだけ思い切った措置をとったのに株式の組み入れ比率が低水準にとどまっているのはどういうわけか、こう不満を表明したので、これを受けて両省が動いたというように言われているわけであります。  そうしますと、これは公的資金の運用による利益がなるべく有利であれというような観点じゃなしに、むしろ株価対策に重点を置いて、もっともっと株の方に運用を向けろ、こういうスタンスになってくるので、公的資金を安全性よりも株価対策に重点を置いて、いろいろあれこれ自民党の政調会長が指示し、それに各省庁が従うというようなことになれば、これは国全体が株の投機そのものに非常に大きな関心を持つというようなことになってきて、大蔵省の従来の観点と大分変わってくると思うのですね。  私はもちろん年金等の運用益が安全でかつ高いことを望みますけれども、しかし、それには限度があって、株が低迷しているからといって余りに深入りすることは非常に危険であるということをこの機会にもう一度御注意申し上げまして、次に、公定歩合の点に移ろうと思いましたが、ちょうど時間が来たようでございますので一もう一遍あるの、一般質問が、そのときに質問させていただきます。
  91. 太田誠一

    太田委員長 中井洽君。
  92. 中井洽

    中井委員 私も正森議員と同じく短時間、御配慮いただいて短時間しかありませんので、二、三の問題でお尋ねいたします。  最初に、大蔵大臣お尋ねします。  現在の景気の動向というのをどういうふうにごらんになっているか。そして、この不況、どういうのが原因だとお考えになっているか、お聞かせをください。
  93. 羽田孜

    羽田国務大臣 現在の状況は、まさにバブルが崩壊したということの中におきまして、産業におきましても在庫の調整あるいは設備の調整というものが行われておるということであろうと思っておりますし、またもう一つは、各家庭の方々も、いろいろな御意見がありましょうけれども、やはり総じてバブル期に相当膨れ上がったもの、そういったものの調整をされておるということで、やはり最終需要というものが相当落ち込んできておるということ、これは単なる調整というだけではなくて、やはり堅実な消費性向というものにあるということだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、最終需要というものが落ち込んでおるということではないのかというふうに思っております。  そういったことで、私どもの方といたしましては、やはり全体的に経済というものを立て直していかなければいけないということ、そういうことで総合経済対策を打ち出したわけで、今また補正予算でこれを御審議いただいておるということでございまして、私どもはこういったことを進めることによりまして、また土地の取得なんかもできるということでありますから、土地なんかも動き出すというようなこともございましょう。あるいは公共事業あるいは設備投資、また住宅あるいは中小企業、こういったものに対するもろもろの対策というものが浸透して、徐々に回復の方向に向かっていこうと思っておりますけれども、ただ、私たちが当初予測したよりはやはり底の期間というのが少し長くなるのかな、調整の期間が少し長くなるのかなという感じを持っております。
  94. 中井洽

    中井委員 私、今五十ですが、二十くらいから考えて、こんな不況というのはちょっとないのではないかという感じを抱いております。それは今までの過去の不況というのは何か原因があった。例えばオイルショック不況だとか円高不況だとか名前をつけられ、対策の打ちょうも極めてわかりやすかった。しかし、今回は一言で片づけられるような原因がある不況ではない。それだけに、かなり思い切った景気対策を早目早目にやっていかなければ大変なことになる。心配をいたしております。そういう意味で、今回の景気対策、十兆数千億という世界じゅうが驚くような金額、お取り組みいただいたということは大変評価をいたします。  そういう観点で二つだけあります。  一つは、原因はないけれども、私なりにいろいろ考えると、どんどん落ち込んでいくのは、やはり政治不信というものが大きい。二つ目は、世界の情勢に対する不安感がずっと漂っておる。三つ目は、やはり証券・金融の不信感がぬぐい切れていない。これらだというふうに考えます。そのいずれも政治が責任を持ってみずから正し、改革をしていかなきゃならない問題だというふうに考えております。  そういう時期に、大変恐縮ですが、政治改革を一番熱心におやりになっていただいた羽田さん が、大蔵大臣というポストにありながら、みずから派閥の長に名のりを上げられて闘争をされる。個人としてはいろいろおありでしょうし、私は羽田さんが将来もっともっと責任の重いポストに必ずつかれる方だと思っておりますが、あのこと自体は大変景気対策にとってマイナスであった。また今回の空転ということもやむを得ないことにしろ、お互いがこの景気ということに対して責任があった、このように感じております。  そういう意味で、自民党政治改革、こう言われるなら、自民党内部、特に派閥弊害、きのう私どもの書記長が宮澤総理に申し上げたようでありますが、派閥というものをなくす、自民党みずからが近代的な党として、大政党として責任を持ってお取り組みをいただく、このことが一番大事じゃないか、こういうふうに考えます。そういう意味でお考えを少し承りたい、これが一つであります。  それからもう一つは、こういう不況ですから、公共事業中心にやるのは結構。従来の景気対策、できる限り量を多くしてやるのは結構であります。しかし、従来余り考えられなかった減税というのを頭の中へ入れて、来年度予算対策というものを、予算編成というものをお取り組みいただくべきだと私どもは思います。財源の問題だとかいろいろな背景については先ほどから議論がありました。時間がありませんから、私は省きます。しかし、これだけの公共事業を組んで、これだけの景気対策をやってもなかなか浮かび上がらないときに、減税というものを発想として持っていく、そして考えていく、このことが一番大事なことだ、このように私は思いますが、いかがですか。
  95. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほどちょっと一つ申し落としましたけれども、今質問、御指摘がありましたが、くどくは申し上げません。  まず、景気が低迷している、低迷した要因の一つといたしましては、やはりバブルが崩壊したという中にあって、株式あるいは土地、そういったものの大きな下落というもの、そういったところから不安心理といいますか、そういったものが大きく広がっていったということ、これもやはり一つの大きな要因であろうと思いまして、私どものとりました対策の中では、八月十八日の日に発しました当面の金融政策ということが実はありましたけれども、そういったもろもろの制度措置、まさに私は複雑骨折なんて言葉で申し上げてきましたけれども、非常にいろいろなものが入り組んだものが要因になっておるということで、単に伝統的な、古典的な、いわゆる公定歩合の引き下げあるいは公共事業の追加、そういったものだけではないということで、八月十八日にもそういった政策も打ち出したということを御理解をいただきたいと思っております。  それから、確かにいろいろな問題につきまして全体的に政治不信というのが非常に高まっておるということ、これはやはりいろいろな問題で、政治がこう行くといったら、さあっとそれでみんなが動いてくれないという、これは私は、一面あること、これは否定をし得ないと思っております。  なお、そういう中で、金丸会長が退陣されたということで、私どもの会の会長問題なんかがございます。しかし、私自身が立ち上がったといいますか、私自身がみんなから引っ張り出された、これは単なる会長争いとかなんとかというものではない。まさに今御指摘がありましたように、今日の政治というのは、派閥というものは、派閥弊害というものが余り出過ぎてしまっておる。本来、派閥というのは一つの理想を目指して同憂の士が集まりまして、そして政治に活力を与えていくというところに一番の基本があるわけでございますけれども、私はそういうことを考えたときに、ただ派閥を継承しようとかなんとか、そんなつもりではありません。私自身、権力欲なんかもともとない人間でございまして、それより新しい政治を起こさなければいけないというつもりで今皆さんと一緒に勉強しておるということを申し上げさせていただきたいと思います。  それから、今お話がございました減税問題につきましては、これは先ほどもるる申し上げたわけでございますけれども、今所得減税をやる。確かにパートも減っておる、あるいは残業も減っておるということで、なかなか所得というのは今までのようなわけにいかないという現状はあります。そういったものが消費性向というものを抑えておるという面は非常に強くあることは間違いありません。しかしそれだけではなくて、やはりみんなが非常に堅実な消費性向になっておるということでございまして、そういう中で今、少し刺激することが本当にいいのだろうか、そういう減税等によって刺激することが果たしていいのだろうか。各家庭も今私は真剣にリストラはやっていらっしゃるというふうに思っておるのです。ですから、これを乗り越えたときに私は本当の堅実な日本社会というものが生まれてくるであろうというふうに考えまして、財源も非常に厳しい中にあって、今減税をとり得る状況にないということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  96. 中井洽

    中井委員 公共事業の効果というのは、それはもう否定をするものではないわけです。しかし、今のような予算配分の中で公共事業をやって本当にその事業分だけ波及効果が出てくるのか、そこらも一度お考えをいただかなきゃならない、このように思います。  例えば、私の選挙区で今問題になっております長良川の河口ぜき、これは三十年かかったのです。要は、環境問題では全然ない、公共事業が三十年かかっていざでき上がりつつあったら三十年前の価値観と違っちゃった、ここに問題があります。公共事業のこういうやり方。あるいは、例えば公益事業体、電力だとかガスだとか、ああいうところは景気対策をやってくれ、やってくれと言われて利益を落としてまで十分やっていらっしゃる。そこで働いている人はもうめっちゃくちや残業だ。時短だ、時短だ、千八百時間だと言ったって何にも時短にならない。こういう業界だけめちゃくちゃ仕事をさせられておる。  あるいは、今回の補正に伴って各地方自治体が公共事業の要求を出せ、出せ、出せとやかましく言われて、本当に頭を絞って、ないんだという中で、やらなきゃならない仕事じゃないことまで出してきておる。例えばこういう公共対策をやるのだったら、生活先進国、生活大国と宮澤さんがおっしゃっていますが、五カ年計画でやるのをもっと進めるんだ、それに絞った公共事業をやるんだとか、そういう形ならともかく、一律の分配、分配率を変えない形での公共事業を幾らふやしたってむだが多い。そういうことを考えると、私は所得減税を思い切ってやった方が景気対策になるのじゃないか、こんなふうに考えております。  そういった観点からも、予算編成に対して私どもも強く要求をしてまいりますが、ひとつぜひお考えを賜りたい。羽田さんがおやりになっていらっしゃるかどうか知りませんが、お考えを賜りたい、このように要望いたしておきます。  もう一つ、これは大臣に、あるいは大蔵省にお尋ねすることじゃないかもわかりませんが、この法案の審議は大変不自由な時間帯でやります。これは、補正予算が進んでいるのだからそれに伴ってやらなきゃならないということで、私どもは慣例に従って急いでやるわけであります。ところが、この補正予算で出されてまいりました中身に入っております公務員の給与、これはこれで予算が通る。しかし、給与法は十月の二十三日に閣議決定されておるけれども、まだ国会に提出されてないじゃないですか。ここらも少し大蔵大臣として閣議の中、あるいは関係当局に強く申し入れていただきたい。こういうことを国会対策だとかあるいは法案審議のテクニックだというような形でとめておるということ自体、私は古い政治のやり方だと思いますが、いかがですか。
  97. 羽田孜

    羽田国務大臣 この給与法につきましても、やはり私どもは人勧について尊重して対応しなければいけないということで予算措置をいたしたところでございまして、これは一日も早く国会に提案されることを私どもも望みたいと思っております。
  98. 中井洽

    中井委員 もう一問だけお尋ねいたします。  先ほど正森先生が簡保事業団、景気対策で一兆一千億余りの株式運用枠が今回の景気対策に入っているという形での御質疑がございました。私は、これは大変結構なことだというふうに考えております。  承るが、この株式運用の枠をふやしたことと同時に、五年運用を郵政省と大蔵省の間でお認めになる。今までは一年運用だったのを五年運用でお認めになったと聞いておりますが、間違いありませんか。同時に、これからも景気対策ということではなしに日常の運用の中でこういう長期の運用というものを認めていかれる、このように理解をさせていただいていいですか。
  99. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 今回追加いたしました公的資金の指定単への運用に際しまして、確かに株式組み入れ比率を、従来設けていたものを組み入れ比率をなくするというスキームに変更いたしまして、あわせて、先生御指摘のような金利について五年一括利払いということをお認めしたわけでございます。ただ、もちろん利息をまけるということではございませんで、五年後には複利計算をいたしまして一括してお支払いいただくわけなんですけれども、しかし、より株式運用に振り向けやすくするという立場からそういう措置をとったわけでございます。  ただ、これが非常に広まって一般的になりますと、やはりいろいろ問題も起こります。一般の公的資金の運用は、当然のことながら年単位、半年単位で行われておりますので、そういう意味では、これは我々としましては非常に臨時、異例の措置としてこういう株式市場のもとで株式市場の健全化を図るんだ、活性化を図っていくんだという、いわゆる総合経済対策の一環としての特殊性ということを考慮してこういう措置をとったわけでございます。その点、御理解いただきたいと思います。
  100. 中井洽

    中井委員 私は、その五年の利子の一括払いということも賛成でありますが、そうなりますと、前に委員会質問したことがありますが、簡保事業団の自主運用でありますが、NTTあるいは将来上場されるであろうJT、JR、これらの株も対象となる、このことはもう当然のことだと考えていいですか。
  101. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 指定単の運用自体は、御承知のとおり信託銀行のファンドマネジャーの責任と義務のもとで行っていただきます。公的部門がどんなタイミングでどういう銘柄を買うかというようなことについて一々ということは、これは制度としてないわけでございます。したがいまして、広く言えば上場株式はすべて対象になっておるという一般的なお答えでお許しいただきたいと思います。
  102. 中井洽

    中井委員 終わります。
  103. 太田誠一

    太田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  104. 太田誠一

    太田委員長 次に、国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 太田誠一

    太田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  106. 太田誠一

    太田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  107. 沢田広

    沢田委員 大臣その他、お疲れであると思いますが、閥務よりは幾らか楽なんじゃないか、こう思います。そういう意味で、これから一般質問ですから、六カ月ではありませんけれども相当期間があいてまいりました。委員長も、その間一回ぐらい開いて時の情勢を考える時間を与えてくれればもっと円滑にいったんじゃないのか、こう思いますが、その点は極めて遺憾であったということを申し上げておきます。  それから、きょうは一般質問でありますから、日銀さんにまずおいでをいただいております。日銀さんから見て、今の景気状況というものについてはどのように判断をされているか。それから、例えば東京、愛知、近畿あるいは北九州等の場所と地方と、そのバランスはどういうふうになっているかお答えいただきたいと思います。
  108. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答えを申し上げます。  日本銀行から拝見しておりまして、足元の国内の景気でございますが、やはり現在、ただいまの状況では、製造業を中心といたしまして設備投資が引き続き減少傾向にある、それから、個人消費の方も足取りが鈍化しているというふうなことがございまして、全体として最終需要が停滞傾向を続けているという状況でございます。一言で言えば、景気は引き続き厳しい調整局面を経過中であるということでございます。  最近、個々の企業について九月の中間決算が発表されておりますけれども、このペースで見ましても、かなり多くの企業でこの上半期の収益が大幅減益になっているというふうな状況が出ておりまして、企業マインドも引き続き慎重という状況でございます。  しかし、そうした一方で住宅投資の持ち直し傾向というものが明確でございますし、政府の施策の効果もありまして、公共事業の増大、これも明確でございます。そういう面からは景気の回復を促す力も働き始めている、その点も見逃せない側面かなというふうに思っております。  設備投資の減少ということを申し上げましたけれども、設備投資の減少が続いているということは、一たび非常に高い水準になりました資本ストックの伸び率が下がってきているということでありますし、一方で企業が生産の抑制を続けている中で、在庫調整は多少おくれ気味でございますけれども、調整それ自身は着実に進んでいる面もあるということでございまして、さらには企業の収益が悪いと申し上げましたが、企業自身は先行き、収益をしっかり上げていくために、今収益基盤の再構築、いわゆるリストラクチャリングと言われている困難な経営基盤の見直しを進めているという状況でございまして、これらをあわせて考えますと、今景気は調整局面を引き続き経過中ではございますが、その中で同時に将来、回復の基盤が徐々ながら整備されてきているということだろうと思います。  そういう上に先般打ち出されました政府総合経済対策の効果が加わってくるということになるわけでございまして、今回の政府の対策、日本銀行から拝見いたしましても、公共事業投資の追加を主体として絶対額が非常に大きい、それから、経済規模、すなわちGNPとの対比で見ても、過去最大級のものとなっているということでありますので、これから補正予算の成立がなされまして、これらの施策がフルに実施されていくという段階に移ってまいりますれば、その効果は必ずや実体経済に相当強く及んでいくものだというふうに見ております。  さらに、日本銀行のサイドからは、これまで五次にわたる公定歩合の引き下げなどによりまして金利全般が着実かつ大幅に低下を見てきている現状でございまして、これらの累積的な効果というものも先行きの景気回復に大いに資するであろうというふうに見ております。  したがいまして、我が国経済はいましばらく調整局面が続くことは避けられないと思いますが、いずれ回復の方向へ向かう、その筋道は引き続き失われていないと判断しております。  お尋ねのございました中央と地方との格差の問題でございますが、御指摘のとおり、大都市地域と申しますか、東京、名古屋、大阪等東海道地帯といいますか、太平洋ベルト地域といいますか、その辺で不況感がより強く、これに比べて地方では不況感が相対的に言えば薄いということは、私どもの支店長会議で各地の支店長の報告などを聞いておりましても、つとにうかがえるところでございます。  思うに、今回の景気調整というのは、基本的には、八七年以降四年間も続いたいわば早過ぎた成長の後に生じている自律的調整という性格の強いものでございますけれども、同時にそれが地価あるいは株価の高騰とその後の反落ということによってある程度増幅されている面があることは否めないわけでございます。この点では大都市地域ではそうしたバブルの形成、崩壊の影響が相対的に大きく出て、それに対してその他の地方ではその影響が比較的少ないということが、今御説明申し上げました中央と地方との格差の背景にあるというふうに思っているわけでございます。  ただ、ごく最近のところでは、地方にも調整色が徐々に広がってきているということもまた事実でございまして、地域間の格差、依然として残っておりますが、全体としてその格差は今のところ縮小傾向にあるようにうかがわれます。私どもとしましては、中央だけでなくて日本全体にわたって今後とも金融、経済の動きをしっかりフォローしていきたいと思っております
  109. 沢田広

    沢田委員 今おっしゃられた中で、調整の局面を迎えている、どの分野が調整の局面を迎えているのか、その相手方といいますか、どういうものを対象にして調整が必要だと考えておられるのか。  それから、回復の基盤は、例えばこの補正予算だけで、言葉は少し大き過ぎるかもしれませんが、オールマイティーにこの補正予算で回復をする、こういうふうに言えるのか。そしてまた、その時期はいつごろと大体考えられるのか。どうお考えになっておられますか。
  110. 福井俊彦

    ○福井参考人 経済の調整は部分的と申しますよりも、かなり広範囲に調整が進んでいるということだろうと思います。しかし、その中で特にポイントを申し上げれば、一つは、過去の経済成長が非常に早かった時期に、企業が設備投資をかなり多額に行いまして、結果としてどこの企業におきましても、いわゆる工場設備、資本ストックが非常に高いレベルに積み上がっておりますので、この資本ストックの伸び率というものがいましばらく新規の設備投資を調整することによってそのレベルを下げていく、資本ストックの伸び率の余りに高いレベルを下げていって、先行き安定的に景気が拡大していくのにマッチするような水準に調整しつつあるというのが一つでございます。  それだけではございませんで、例えば自動車とかあるいは個人が使います家電製品等、いわゆる耐久消費財につきましても、この前のブーム期には異常と思えるぐらいの爆発的な売れ行きを見たわけでございまして、どの家庭を訪問いたしましても、そうしたいわゆる耐久消費財が少し積み上がっているわけでありまして、この面につきましても、いましばらく調整局面を経過せざるを得ないという部分があると思います。  そういうふうに消費とか設備投資の伸び率が非常に高い状況にありました時期には、当然それに見合ってどこの企業でも生産水準を上げていたわけでありますが、結果として、いわゆる生産物もふえていた、現在景気が調整局面に入りますと、必然的に各企業の段階で在庫もたまっている、この在庫を調整するために生産を抑制している、現実に着実に在庫は減りつつある、大体そういった在庫とあわせて全体として景気が自律的な調整過程を今経ているというところでございます。  恐らくこれらの調整の中では、在庫の調整というものが一番早く完了する可能性がある。在庫の調整の完了というものにめどがついてまいりますれば、恐らくそれよりも若干早目に生産が立ち上がりかけるであろう、こういうことでございます。  その時期についてなかなか明確な見通しを今申し上げることは難しい段階にございます。現在のところは、在庫調整がある程度進展してまいりま、して、これまでに出ているいろいろな諸指標で判断いたします限り、生産のレベルはかなり大底圏内に近づいてきているというふうな感じもございますけれども、まだ完全に生産が底をついたと判断できるまでの材料がないという状況でございます。したがいまして、あくまで推察の域を出ませんけれども、年明け後、そう遅くない時期に在庫調整一巡のめどがつき、生産も回復に向かう可能性があるということだけは申し上げられるだろうと思います。
  111. 沢田広

    沢田委員 それで、私はきょうは余り私の主張はなしに、大分期間があきましたから、総体的にお聞きするだけにとどめておきたいと思うのでありますが、結果的には来年の秋ごろか春ごろかわかりませんが、その見通しにおいて、バブルの前の、八八年の時期あるいは八六年、八九年、そういう時期の指標とどこがどういうふうに変わってくると考えておられますか。人不足の問題はどうなるか、あるいは公共事業はどうなるか、あるいはマネーサプライはどうなるか、住宅事情はどうなるか、いろいろ挙げればあると思うのですが、そういうものについて日銀の方としては、調整が終わった段階における、言うならば諸指標といいますか、国民の需要はあるいは生産は、大体これが終わった後の姿はどういう形になると、個人意見で結構ですから、三重野さんも病気で来られないのだそうですから、早期の御回復を祈りますが、とにかくその辺どのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただけたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  112. 福井俊彦

    ○福井参考人 その前に、先ほどのお尋ねの中で最後の部分をお答えするのを失念いたしまして、大変失礼いたしました。  これまでの景気対策で十分かどうかという点でございますが、景況の当面の展望について若干のことを御説明申し上げたわけでございますが、そういう見通しを前提にいたしますと同時に、これまでとられました諸施策というのはかなり大きな効果が期待できるものだということ、それから金融面でも金利水準が歴史的な比較から見ましても、あるいは企業のいわゆる期待投資収益率との対比で見ましても、非常に低い水準に下がっているということから見ましても、当面は経済の情勢の推移とこれまでとられた施策の効果の発現の仕方というものをじっくり見守るべき時期ではないか、そういう意味では、現状の判断に立つ限り十分な施策がとられているというふうに考えていることをまず申し上げたいと思います。  それから、ただいまの御質問でございますけれども、今は厳しい景気の調整局面にあるという表現で一応申し上げましたけれども、それは例えば今申し上げましたとおり、設備投資の抑制度合いが非常に強くなっているとか、あるいは生産の抑制度合いが非常に強くなっているとか、あるいは短期的に見て企業収益の落ち込み幅が大きいとか、そうした厳しい側面が幾つか見られるという意味で申し上げたわけでございますが、また違った観点からいろいろ見ますと、例えば雇用情勢自身も緩和の方向にございますけれども、例えば前回の円高不況当時に比べますと、雇用情勢はまだ比較的良好な状況にあるわけでございます。失業率も二%ちょっとと少しずつ上がってきておりますけれども、雇用に基本的に問題が生ずる懸念というものを感じさせる段階にはまだ至っていないという点では、前回の円高不況期とは違ったような側面もございます。  したがいまして、この先の経済がどういうふうになっていくか、特に生産が立ち上がり始めて景気が少し回復し始めたときに、前回の円高不況から脱出して立ち上がっていった過程とどこが違うだろうかというふうなことを考えますと、一つは設備投資の立ち上がり方というのが今回の場合には少しタイムラグを伴うし、あるいは場合によっては立ち上がり方がそんなに力強くない状況で日最初は始まるかもしれない。それは先ほども申し上げましたとおり、過去四、五年の間の設備投資の積み上がり方が非常に高かったことの反動としてそういうことが言えるのではないかということが一つございます。  それからもう一つは、過去のブームの間に企業はかなり思い切った投資をしたわけでありますけ れども、結果として振り返ってみますと、いわゆる資本コストがかなりかかった。企業としては固定費負担がかなりかかって、収益基盤という意味では損益分岐点がかなり上がっているということがございまして、今それを引き下げる努力を企業はしておりますけれども、この先、仮に生産が立ち上がる過程ですべての企業が十分損益分岐点の再調整が終わっているという保証はないわけでございますので、生産が立ち上がりかけても収益がしっかりそれに伴うというのに若干タイムラグが伴うかもしれない。そういう観点から見ますれば、これはもう今のところはデータ不足で推測にすぎないわけでございますが、恐らく景気の回復過程は比較的モデレートであり、企業収益の回復と申しますか、立ち上がりも非常にモデレートな形で始まる可能性がある。  前回の円高不況からの立ち上がり過程、先ほど委員は八六年とおっしゃいましたが、かなり急速に企業の投資が先行して景気が回復した。企業収益もかなりのスピードで上昇した。したがって、資産価額の上昇も顕著であった。そういう感じとはかなり様相の異なった、モデレートなものではないか。ただし、経済の中身としてはより堅実、健全なものとして回復していく可能性が強い、そういうふうに思っております。
  113. 沢田広

    沢田委員 では、以上で金利政策については変更は必要ない、現状のままでほぼそういうものは達成できる、こういう御判断ですか。
  114. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  金利につきましては、公定歩合のことを先ほど触れまして、既に五回引き下げてきた、こういうふうに申し上げました。公定歩合につきましては、新たなる措置をとりました段階で、いわば階段的にこういうふうに金利が下がってまいるわけでございますけれども、その他の金利、つまり短期、長期の市場の金利であるとか、個々の企業が銀行から借り入れを受けられるときの借入金利であるとか、あるいは社債市場で資金を調達される場合のそういうマーケットの金利、いずれもこれは階段的にと申しますよりは一貫して緩やかにずっと下がってきておりまして、ごく最近におきましても、これら諸金利は引き続き緩やかに低下中ということでございます。したがいまして、累積的に見た金利低下効果というものはさらに募っている段階でございます。新たな政策措置が必要だというふうに判断できる状況ではないというふうに考えております。
  115. 沢田広

    沢田委員 どうもありがとうございました。日銀さんには以上で終わります。  では、それに関連しまして、これは厚生省おいでをいただいておりますが、今もやはり問題になる財政の一番根本になるのは、医療費がどんどん膨れているということが一つあります。それから、年金問題がやはりこれまた膨れているという課題があります。  一つは、医療費の問題については今後どういうふうにひとつ対応しようと考えているのか、それから年金問題についてはどういうふうに財政圧迫を避けていこうと考えているのか。その辺大ざっぱな問題でありますが、お答えいただきたいと思います。
  116. 中村秀一

    中村説明員 先生から医療と年金についての問題の御指摘でございますが、人口が急速に高齢化している中で、社会保障給付費、特に医療と年金の給付費の増加が大変大きくなってきております。例えば、社会保障給付費を見ますと、年金が昭和五十五年ごろから医療費を凌駕して急速に伸びている、こういうような状況にあります。  こういう急速に高齢化する中で、長期的に安定した年金制度や医療保険制度を堅持していくために、厚生省といたしましては、年金につきましては御承知のとおり五年に一度財政再計算というものをやりまして、長期的な年金財政の収支見通しを立てた上で年金財政の安定を図る、こういう措置をやっているところでございまして、最近で申し上げますと、平成元年に財政再計算をいたしておりますので、次期財政再計算、平成年度でございますが、これに向けて年金の制度のあり方について検討をしている、こういう状況でございます。  医療につきましては、高齢化に対応するために、御承知のとおり老人保健制度を導入いたしましたり、医療供給体制やあるいは医療保険制度について適時見直しをいたしておりますし、二年に一度診療報酬の改定なども実施いたしておりますが、そういったものにつきましても、医療保険の安定といったことを踏まえまして見直しを行っているところでございます。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  117. 沢田広

    沢田委員 そういう意味じゃないのですよ。我々減税も要求したり、いろいろしていますけれども、今財政を圧迫している主なものを挙げて、それはどういうふうに、どういう方向で処方せんを描いていこうとしているのか。言うなら行政府の立場でお答えをいただこう、こういう趣旨ですから、現状の報告ではないんですよね。これをどういうふうにしようと考えているのか、その点を明らかに、これは簡単にひとつ答えてもらいたいのですよね。これはやはり住民負担によらざるを得ないんだ、いや他の財源によらざるを得ないんだとか、いずれにも考え方があると思うのですよね。ただ、今のような事情説明では、そういうところへ私は入ったくないから概略的にそう言ったのですから、現状説明でないことを簡単にひとつ答えてください。
  118. 中村秀一

    中村説明員 お答え申し上げます。  具体的にということでございますので、年金制度につきまして考え方を申し上げさせていただきたいと思います。  年金制度につきましては、先ほども申し上げましたように、二十一世紀には欧米でも経験のない超高齢化社会を迎える、こういうことになります。そういった中で、現在年金制度につきましては、高齢者の世帯の方々の大半の収入が年金が中心になってきている、こういう実態でございますので、公的年金制度が、ただいま申し上げました超高齢社会においても国民の老後生活の基本的部分を確実に支える、こういう役割を果たしていくために長期的安定を図っていく必要があると考えております。  その場合基本となりますのは、やはり高齢者世代の年金の給付と現役世代の保険料のバランス、こういった問題を考えていく必要があろうかと思っておりますので、年金の立場で申し上げますと、やはり負担と給付のバランスを、年金制度として保険料負担のあり方、あるいは国庫負担のあり方、そういったものも考えながら設計していく、こういうことを認識いたしております。
  119. 沢田広

    沢田委員 もういいや、もう時間がだんだん迫りますから。  大蔵省として、この百七十四兆、赤字国債は、現状の財政が大変厳しいときですけれども剰余金もその債務に入れるような状況でありますけれども、どういうふうにこれは考えて対応しようとしているのか。これも簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  120. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 先生の御質問は財政一般ですか、それとも社会保障の……(沢田委員「それはもう終わっちゃったから、赤字国債の話」と呼ぶ)財政一般ということですね。  先生御承知のとおり、現在大変な金額公債残高を抱えておりまして、その利払い費だけでも相当な金額になっております。それが御承知のとおり政策的な経費を圧迫しているわけでございます。そういうことで、我々財政当局といたしましては、やはり歳出面におきましては制度の根本にさかのぼって根本的な見直しをして削減の努力をしますとともに、歳入面におきましてもいろいろな歳入の確保の努力をいたすということで、精いっぱいの努力をして国債を減らし、残高を減らしていかなくちゃいけないと考えております。
  121. 沢田広

    沢田委員 きょうは聞きっ放しですから。  続いて労働省ですが、人不足問題についてはどうなのか。それから、千八百時間の労働時間短縮の見通しはどういうスケジュールになっているのか。  それから今一・〇一ですよね、一・〇一くらいのあれですけれども、どういう状況と、ここでは中小企業は人手不足で泣いている、こう日銀では分析していますが、労働省、答えてください。
  122. 野寺康幸

    ○野寺説明員 まず、人手不足という状況の問題でございますけれども現状をどういうふうに表現するか非常に難しいものがございます。といいますのは、有効求人倍率という指標だけで見ますと、平成三年三月のピーク、一・四七を境にしまして、以後ずっと低下しておりまして、一番新しい九月の数字で一・〇一という状況でございます。したがいまして、求職者一人に一つ以上の仕事があるという状況ではあるんですが、ただ細かく見てまいりますと、中小企業を中心に、地方の産業へ行きましては人手不足感があるのでございますが、一方で大都市、大企業を中心に雇用過剰感があるという複雑な状況でございます。特に製造業、機械関連の製造業を中心にこの雇用過剰感というのは急速に高まりつつあるわけでございまして、今後とも雇用調整が、景気の動向いかんによりましては一段と進行するんではないかというふうに考えております。そういう意味では非常に今後については注意を要する時期であるというふうに考えております。  もう一つ先生お尋ねの千八百時間でございますが、これは時短ということにつきましては国民全体の目標であるというふうに考えておりまして、既に時短を促進するための法律を先国会で成立さしていただいておりますけれども、現在さらに労働基準法の改正につきまして研究会等で御審議をいただいておりまして、週四十時間制というものを制度上確立した上でさらに時短については取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  123. 沢田広

    沢田委員 大蔵大臣、今まで日銀、各省、まあ大きな問題だけちょっと、ほかにもまだ政治改革とかいろいろ問題ありますが、財政的なあるいはこういうものだけについて一応紹介した。簡単に、どういうふうに受けとめておられるか、所感だけで結構です。余り聞いてなかったんだったら次の問題に行ってからいきますがね。
  124. 羽田孜

    羽田国務大臣 日銀の福井さんの方からお話をあれしたのをよく承っておったわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在は調整局面にあるということ、そしてこの調整局面というのは、これからの堅実な、日本の経済が、全体が順調に進んでいくためにはやはり避けては通れない調整局面にあるという認識を持ちながら、しかしそういったものが着実に伸びていくために、この補正予算をやはり一日も早く通していただきながらこの実行というものを図っていくことが重要であろうという認識を持っておることを申し上げたいと思います。
  125. 沢田広

    沢田委員 若干飛びますかもしれませんが、大臣にこれは聞きますが、金融機関の不信というのが政治不信と同じように大きくクローズアップしている。同時に、郵貯がなぜ六十兆円も預金がふえたのか、そういう原因と金融機関の信頼というものと両方はかってみて、どのように感じていますか。
  126. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは大変難しい質問でございますけれども、郵貯の場合には、やはり伸びている部分というのは定額貯金の部分であるということ、そしてこれが国の機関が経営しておるということはありますけれども、やはり一番大きな理由というのは定額貯金にあるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  127. 沢田広

    沢田委員 それだけ金融機関の、言うなら財政なり金融のあり方、不信感が強い、こういうことだと思うんですね。  それであえてこれは大臣なり銀行局長の方にお願いするのですが、これはノンバンクを含めてですが、やはり金融機関の財政事情の開示を、特に不良債権の開示をずばりと出す。そして、国民にこうなんです、失敗は失敗だとして認めて、それを五百億で切ったり、あるいはこれはいいよというふうに除外例をたくさんつくったりしないで、やはり不良債権は、不良債権の定義も問題になりますが、しかしこれだけとにかくオーバーローンもあるし、支払い不能もあるし、支払い繰り延べもある、そういうふうにずばりと出す、開示を強める。ぜひひとつ国民の前にこれは出しちゃって、裸になってスタートし直す、こういうことで金融の出直しはできませんか。
  128. 羽田孜

    羽田国務大臣 不良資産というものを抱えておるということ、これが金融機関に対する不安というものを助長したことは間違いないわけでございまして、その意味ではやはりディスクロージャーというのは非常に重要なものであろう、信頼を回復するために重要であろうと思っております。  そこで、この間は私どもとして全体のものを申し上げたわけでございますけれども、今金融制度調査会、ここで御審議をいただいております。やはり各行各行がばらばらにやるということは比較もできないことになりましょう。そういったことを考えたときに、この金融制度調査会の方で今年末までに一つの基準の案というものを出していただくことになるものでございますから、そういったものをもとにしながら、来年度決算が終わった後にそれぞれの銀行がきちんと責任を持ってディスクローズしていくことが重要であろうと思っております。  ノンバンクにつきましては、現在まだ上場企業が少ないということがありますし、ディスクロージャーの基本であります財務諸表、これの開示さえまだ十分実施されていないという状況もございます。また、経理基準の統一も図られていないということから、ノンバンクについてのディスクロージャーを実施した場合には、ディスクローズされた内容を各ノンバンクによって比較することが困難であるということがありましょう。また、多種多様な業態であるために、ディスクローズする内容についての一律的な対応をすることは適当でないというふうに考えるところでございます。  そういったことで、これは銀行局長の諮問機関でノンバンク問題懇談会、ここの中間報告では、ノンバンクにおけるディスクロージャーの充実を進めるためには、まず業態ごとの業界団体を中心として経理基準を統一した上で、業態ごとに業務の実情に合ったディスクロージャーの範囲を定めて基準を設けるとともに、ディスクロージャーの方法についても検討していくことが望ましいとされております。また同時に、余りにせっかちなディスクロージャーはかえってノンバンクに対する信用不安を引き起こすおそれがあり、業態ごとの実情を勘案して段階的に、漸進的にディスクロージャーを進めていくことが必要であろうということが指摘されておるところでございまして、私どもも以上の報告を受けとめながら、ノンバンク業界におきましてディスクロージャーの充実に向けての一層の努力が図られるよう、環境の整備、これを進めてまいりたいということを申し上げたいと存じます。
  129. 沢田広

    沢田委員 この補正予算を組んで、財政をもう一回景気を持ち直させようとするのには、やはり今私が述べたような必要な条件を満たさなければ国民の信頼は取り戻せないのですね。ですから、今補正予算について日銀さんやその他が言っていることは、その下には今言ったような条件が整えばの話なんですね、株価の安定もしかりなんですが。そういうものが整って初めてできるので、あるいはノンバンクの問題にしても不良債権の開示にしても、この補正予算が通る時期には発表できるようにするということが本来必要だと思うのです。  もう一つだけ言っておきますが、現在まで証券会社の損失補てん、飛ばし、そして今度はまた野村が外債ですか、外地のあれを二百億も出した、  一覧表、次の委員会じゃなくてもいいですから、できるだけ早く一覧表を出してくれませんか。今までに行ってきた実績の結果はどういうふうになっているのか。それからノンバンクについても、この間法律を改正したのですから、それだけの効果を示すような資料を、五百億以上でもいいですよ、五百億以上でもいいですから、九十八兆円が現在どういうふうになったか。それからもら  一つは、いわゆる利子の繰り延べ、元金の支払い繰り延べをやっているところはどことどことどこか、そのぐらいは委員会なりに開示をしていいんじゃないですか。以上四つぐらい、応じていただけますか。
  130. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的なことだけ申し上げますけれども、確かに私ども、今補正をお願いする、何をお願いするということがございます。そして、そういったものがやはり景気に対して相当いい影響を与えていくことであろうことを私ども確信しておりますけれども、今お話がありましたように、やはりバブルによりましていろいろな信頼というものがそれぞれのところにおきまして失われておるということでございまして、こういったものを信頼を取り戻すことは何といってもやはりそこにあるということは、今沢田委員の方から御指摘があったとおりであるというふうに私ども考えております。
  131. 小川是

    ○小川政府委員 ただいま御指摘のありました証券会社の問題につきましては、それぞれ、これまでのところ証券業協会で取りまとめたもの、資料等がございますので、できる限りの範囲内で資料を整えたいと存じます。
  132. 寺村信行

    寺村政府委員 金融機関のディスクロージャーの問題につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、本年末までに金融制度調査会の結論を得て、それで来年三月には個別の金融機関がディスクローズできるような体制を進めてまいりたいと思っております。  それから、ノンバンクの問題でございますが、これにつきましては、先ほど大臣からも御説明がございましたようにいろいろな問題点がございます。政省令で定められた範囲で私どもとして可能なものを出せるかどうか、検討させていただきたいと思っております。
  133. 沢田広

    沢田委員 最悪の場合でも決めたものをとにかく委員会提出をしてください。それはいいですね。検討じゃない、出してくださいよ、いいですしね。
  134. 寺村信行

    寺村政府委員 政省令で定められている範囲内で、可能なものについて検討させていただきたいと思います。
  135. 沢田広

    沢田委員 可能なものは余計で、やはりそのとおり出してください。  それでは次に行きます。  次に、厚生省残っていただいておりますが、国民年金、これは極めて危険な経営状況にあると思うのですね。それで、六千六百万の言うならば厚生年金その他の分が背負っているというのが現状で、その他の部分は全くそれだけを独立させれば赤字倒産、こういうことになるのだろうと思うのですね。これに対する対策としては何かきちんと持っているのですか、それともぼんやり見詰めているのですか、どっちですか。
  136. 小牟禮敏秀

    ○小牟禮説明員 国民年金の問題、先生おっしゃるとおりでございまして、現在の国民年金の保険料収入関係でございますが、これにつきましてはいろいろな努力をしている結果、徐々にではございますが毎年引き上がってきております。そうは言いまし、ても、平成年度末におきましては収納率と申しますのは八五・七%という状況でございます。  この国民年金制度を健全に運営していくためには、保険料を確実に納めていただくというのが大変大切なことでございます。私どももそういうことを念頭に置きまして、効果的な収納対策を講じていく必要があるということも日ごろから考えているところでございます。具体的には、保険料を納めやすい環境を整備する、例えば口座振替の推進を図るとかそれから納付組織の育成を図る、こういうことは当然のことながら進めながら、また納付期限までに保険料を納められない方々につきましては、催告状を発行するとかそれから電話とか戸別訪問等々によって収納の督励に励んでいるところでございます。  確かに、この問題に真剣に取り組んで制度の健全な運用を行うということも考える上で、今後とも市町村それから都道府県一体となって努力していきたいというふうに考えております。
  137. 沢田広

    沢田委員 答弁は要りませんが、これも日がたてば未納者、それから低所得者といいますか生活保護者等で未納者がだんだんふえることによって、将来その人たちがどういうふうになるかということを考えると、そんな答弁では済まされない状況が生まれると思うのですね。これまた広く国民全体の負担となっていくことになるわけですから、やはり早期な対応が必要であるということを、これは勧告ぐらいですか、忠告しておきまして次へ行きます。  続いて、買いかえ制度はいろいろまた議論が起きているようであります。買いかえ制度を復活しろ、しない、両論があるわけですが、やはりバブルがはじけたことによって、二度とそういう状態をつくらせてはならない、また地上げ屋とかというようなものの跳梁を許してはならない、そういう警戒心が一つには働いて復活をさせるべきではない、また、土地の価格の安定をもっと図った上で考えるなら考えるべきだ、こういうことだと思うのですね。  それからもう一つは、住宅建設その他のためには復活をした方が促進できる、景気が回復するではないか、こういう意見もあると思うのですが、大蔵大臣としては、大臣在任中といえども、来年度予算編成といえども、法律ですから、どういう所信でこれから臨もうと考えておりますか。
  138. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、確かに種々議論があることは私どもよく承知しております。  ただ、大都市の地価というのは依然として高い水準にあろうと思います。土地問題の解決は、やはり我が国の経済社会にとりまして引き続き重要な課題であるという認識を私たちは持たなければいけないだろう。そして、再び土地神話というものを起こしてはならないということ、そして、さらなる地価の引き下げあるいは地価高騰の再発の防止のためにも、土地税制を初めとする総合的な土地対策の着実な実施が必要であろうというふうに考えておりまして、今もお話がございましたからもう細かく申し上げませんけれども、やはりこの特例措置につきましては、私どもとしては、これは地価高騰の再発になるおそれがあるんだということを考えなければいかぬと思っております。  いずれにしましても、買いかえにつきましては、現行制度のもとで、ちょうど六十三年に廃止いたしましたときにとりました三千万円の特別控除によりまして、居住用の財産の譲渡者の八七%が非課税となっておるという現状課税となる場合におきましても、軽減税率によって税負担が大変軽減されておるということを考えたときに、買いかえ特例の復活は、こうしたものに対応するためにも私どもとしてはこれは続けていくべきであろうというふうに考えております。
  139. 沢田広

    沢田委員 続いて、赤字法人の問題でありますが、これは地方税であります。現在五十億以上の資本で七十五万円なんですね、均等割は。それから、十億以上が五十万円、一億以上が十万円、それ以下一千万円以上が三万円、それ以下は一万円なんですね。売り上げといいますか総資産といいますか、そういうものは恐らく資本金の十倍以上には達していると思うのですね。こういうのが二百万ある法人のうち一つ説明に入っちゃいましたけれども、もう説明は省略します。百万近い赤字法人がある。これは均等割だけで済んでしまっておる。そういうことはかえって不公正じゃないのか。住んでおる地域の人たちにお世話になっている割合というものはもっと高いんじゃないか。それから、外形的に見ても、相当な面積を持ち、あるいは持たなくとも、それだけいろいろしておる、そういう状況から考えて、赤字法人の税率、平均割合というのは上げてもいいんじゃなかろうか。我々個人の場合に比較して比率は低過ぎるんじゃないか、こういうふうに思いますが、法人税の現状とあわせて見ますと、これは地方税ですが、地方交付税の問題もありますから、それがまた国に戻ってくるということもあるんですから、総合的に考えて均衡をとるべきではないか。これは大蔵も自治もひとつ両方答えていただきたいと思います。
  140. 瀧野欣彌

    瀧野説明員 お答えいたします。  ただいま法人住民税の均等割の税率についてのお尋ねでございます。法人住民税の均等割につきましては、法人も地域の構成員であるということで、所得の有無にかかわらず一定の負担をしていただいておるわけでございます。その税率につきましては、ただいま御指摘にありましたような水準になっているわけでございますが、そのほかに市町村民税としての均等割もございます。この税率につきましては、五十八、五十九年度に大幅な見直しをしております。従来、県民税では二千円から二十万円という五段階、それから市町村民税では八千円から八十万円という五段階でございましたけれども、その後見直しいたしまして、現在では、道府県民税については一万円から七十五万円の五段階、それから市町村民税につきましては四万円から三百万円の六段階と大幅に引き上げたところでございます。  ちなみに五十六年度平成年度の間の税収の伸びを見てみますと、地方税全体では二倍弱でございますが、均等割につきましては七倍ぐらいに伸びておるということでございまして、我々もこういう均等割の趣旨を考えながら適正に負担していただくということについて心がけておるつもりでございますが、今後ともさらに検討を続けていきたいというふうに考えております。
  141. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 赤字法人の問題でございますが、ただいま沢田先生から御指摘ございましたように、公共サービスに対する応益負担という観点からこれをどう考えるかという点につきましては、地方税の世界での今の対応というものがございまして、既にそういった対応が行われておりますことをどう考えるか。それから、所得課税の世界でこの問題にどう取り組む余地があるかという問題もありますけれども、結局、法人税というのは法人の所得ありて課税ありということでございましょうから、法人所得に対する課税という角度から赤字法人課税の問題に対して何か新しい突破口が見つかるかといいますと、これまたなかなか難しい問題のように思います。  赤字法人の中には、実際黒字であるにもかかわらず意図的に赤字申告をしておる、そういう企業もあるではないかという御指摘もあるかもしれませんけれども、この範疇につきましては、従来から申し上げていることでありますけれども、税務調査の充実といいますか、執行面で対応させていただくべき問題だというふうに思っておりまして、そういうふうに順次考えてまいりますと、なかなかそれ以上の妙案がまだ見つからない。しかし、税制調査会では、先ほど御指摘ございましたようなおびただしい数の赤字法人が現に存在しておるということをどう考えていくべきかということは常々問題意識としてお持ちいただいておりまして、引き続き御検討いただくことであろうと私は思っております。  なお、近時、法人税の欠損金の繰り戻しによる還付制度につきまして停止措置が講ぜられたことでございますとか、あるいは土地税制に関しまして、特に短期所有の土地の譲渡に関しまして、これは赤字法人の場合もそういった取引に対する独立の課税をお願いするということにしております点は、一つの新しい赤字法人への対応として出てきている事柄であることを御報告申し上げておきたいと思います。
  142. 沢田広

    沢田委員 私らがこういうことをあえて提言しているのは、ここ十年くらい、大体二百万の法人があって九十八万くらいの、百万超えているかな、過半数を超えての赤字法人がずっと続いているのですね。これは名目法人もあるだろうと思いますし、その実態が十何年間ちっとも改善されていない。ちっとも改善されていなくて、いまだにそれが綿々と続いていくということは許されることじゃないんじゃないですか。それは、あなたのときの時代はどうであれ、この十年間、我々はこう見てきて、全部これは解消してない。そういうことは、これはさもなければサボタージュしているということになるのか、どこが悪いのかということになるわけで、やはり三年も四年も赤字で飯を食っているというのは、これはおかしくなっちゃうんですよ。それは当然経営者として改善しなければならぬ責任があるものだと思うのですね。少なくとも我々も税を上げることにあえて提言をする以上は、やはり腹をくくって物を言っているわけでありますから、そんな生易しい返事じゃなくて、もっときちっとした責任がとれるような返事をしてくださいよ。いいかげんな返事じゃ困る。
  143. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 この問題が長い間大切な問題として提起されてきましたことを私どもも重く受けとめておるということは、先ほども申し上げたとおりでございます。しかし、具体的にどういう方途があるのか、実際に考えてみまして、なかなか容易な解決策が見出せない問題であることは確かでございます。いいかげんな答弁をしているつもりは私は全くございませんけれども、さらに勉強してみたいと存じます。
  144. 沢田広

    沢田委員 大臣はどうですか。検討してみる余地はありませんか。
  145. 羽田孜

    羽田国務大臣 今主税局長もお答えされましたように、さらに検討したいということを申しておりますから、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  146. 沢田広

    沢田委員 きょうは時間の関係がありますから、次に行きます。  続いて、JRとJTの株の上場なんですが、なぜこれをおくらせたのですか。まず理由だけお聞かせください。
  147. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 従来から、政府保有株式の売却を実施するという場合にどんな方針でいくかということにつきましては、国有財産中央審議会の答申がございます。株式市場全体に悪影響を与えないように、円滑な売却が図られるように、そういうようなことも考えながら売却してきたわけでございます。  本年度、先生のおっしゃいますように、JT、たばこ会社の株式の売却について、どうも現状から見て、こういう円滑な売却は困難であろうという判断をせざるを得なかったというのがまさにその実態であろうと思います。そういう判断のもとで、総合経済対策の一環として、NTT及びJTの株式の売却を見送ったわけでございます。  JR株式の売却につきましては運輸省の御判断でございましたが、運輸省等におきましても、同じような判断でこれを見送ったというふうに理解しております。
  148. 沢田広

    沢田委員 これも、今財源不足の状況ですから、私は市場が違うと思っております。市場が違う。これはほかの株の市場とおのずから市場が異なってくるというふうに判断をしております。生だ、NTTの株とはこれまた市場が違う、こういうふうに思っておりますから、これは後で運輸省の方なり、あるいはJTは大蔵省が考えればいい。来年はやはり早急にやって、景気回復の一つの手段になっていく、こういうふうに私は思っておりますから、それは意見だけ申し上げておきます。  念のためですが、NTTのテレホンカードの販売は、六十年から今まで四千四百六十四億円のテレホンカードがたまっている、いわゆるうちの中にそれだけたまっているという状況なんです。だから、大蔵大臣、株の配当が少なければ、せめてテレホンカードの十枚ぐらい、どうせたまっているような状態になるのだとすれば、これは同じことじゃないかと思うのですよ。せめてそのぐらい、平成年度にしても二千億売って千四百億しか使われてないというのですよ。平成年度も二千億売って千三百億しか使われてないというのです。たまっていって、何と一兆円売って五千八百億しか使ってないというのですよ。きっと記念品にとっているのですよ。だとすれば、これも大蔵省の金貨、銀貨と同じじゃないですか。せめて株の配当に、今のような状態ですから、それを二百五十万、三百万で買った人はいまだに涙を流しで いるわけですから、原則として経営者、労働者、株主は平等に扱われるという原則は立てなければいけないと思うのですね。それが原価にしか払われておりませんから、これはまた意見になるから、とにかくこの現状をどう思うかということと、配当をもっと強めなさいということ、その点だけ大蔵大臣答えてくれませんか。
  149. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、いずれにいたしましても、基本的にNTTがその経営状況にかんがみまして自主的に判断すべき問題であろうというふうに考えておるところでございます。
  150. 沢田広

    沢田委員 自分で売っておいて、言葉は悪いですけれども、あなたじゃないけれども、さんざん宣伝して売っておいて、三百万円につり上げて、仕手株みたいなものですよ。それで五十八万ぐらいに下がってしまってひいひい泣いているというのが現状でしょう。その実態はわかっていますか。泣いているということもわかっていますか。両方とも首を縦に振っているからわかっているんだね。わかっているなら何とかしてあげなさいよ、多くの国民に。泣いている実態に対して何にも出せなかったら政治じゃないですよ。理屈はわかるのですよ。しかし、やはりそれだけ国民に犠牲を負わせたというのなら、なぜ野村が二百億も出して損をした人に補てんをしながら、これを買った国民になぜ補てんができないのですか。だから、配当として何か考えてやりなさいということがなぜできないのですか。  時間がないですからもうやめますけれども、せめて何か考えるぐらいは、売ったのは政府なんですよ。それは会社が考えることだと言ったって、一部分しかまだ売ってないじゃないですか。後売れないじゃないですか、株が。それは政府が売ったんですから、私はこの前政府は詐欺師だと言ったのですけれども。だから今、後動けないのですよ。大臣、少なくとも高く買った人たちにはその点を考えなさいよ。一株ずつやったらいいじゃないかという意見もあるくらいですよ。そのくらいの意見もあるので、これも黙ってしらばっくれているというのは政治不信を余計招くし、これは余りにもかわいそうですよ。そう思いませんか。大臣には人情がないですか。
  151. 羽田孜

    羽田国務大臣 お気持ちは私もよくわかりますし、私のところにもいろいろな手紙が参りました。電話がかかってきたりなんかしておりますから、よく実態はわかっております。  ただ、これはもう既に株そのものを売ってしまった方もいらっしゃるわけです。そういったことも考えなければならないということで、政府が少なくとも損失補てんのそしりを受けることはしてはいかぬと思っております。ですけれども、まず何といってもNTTそのものが経営そのものを魅力のあるものにしていくということが重要であろうと思いますし、配当等につきましても、これはNTTが積極的に考えていただくべき問題であろうと考えております。     〔持永委員長代理退席、柳本委員長代理     着席〕
  152. 沢田広

    沢田委員 大体あと二、三分ですから、相続税の問題ですが、相続税でバブルのときに亡くなった人は、全く泣きの涙というのはこのことを言うのですね。だから、バブルのときは土地がべらぼうに公示価格が高い。それで、相続税はそのときの価格で徴収される。物納をすると言えば、そのときの価格で納められる。しかし、売ったらばもちろん値下がりをする。死んだ人の後を、遺族の人たちも非常に泣いているわけですね。固定資産税も一%ずつ上げているくらいですから、今現在より価格の変動が非常に大きい。何か調整減税なり、それは逆の場合もありますよ。安いときに買ったのが、死んだときに後になって高くなったというのもあります。もちろん、それはそれで売って納めるでしょう。今は逆で、安くなって、物納をするにしても物すごくどうにもならない金額になって非常に耐え切れない。こういう状況がありますが、一応これはきょう出した問題だけに、例えば去年の一月、一月一日なら一月一日に亡くなったとすると、一月一日のときの価格で納めることになるわけですね。それは非常に過酷な条件が生まれてくるという状況一つ考えておいてもらいたいと思います。後はバトンタッチしますから、これは大臣、今急だから、考える必要があると思うので、要請をしておきます。わかりますか。  最後は佐川問題で締めくくっておきますが、佐川問題で政府として、一員としてどういうふうな責任を、中身のごちゃごちゃしたことはよう言いません。しかし、これだけ世間を騒がし、これだけ国民の不信を買って政府が何にも責任を負わない。あれはだれかの責任だ、あれはだれの責任だということだけで済まされる問題ではないと思いますが、その辺、大臣見解を聞いておきたいと思います。
  153. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに政治不信が非常に大きな高まりになっておることを私たちも感じざるを得ません。その意味でも、政府といたしましても、再びこういったことが起こらないようにきちんとした対応をし、そして再びこれを起こさないような政治改革もやっていかなければならないことを申し上げたいと存じます。
  154. 沢田広

    沢田委員 以上で終わります。
  155. 柳本卓治

    柳本委員長代理 渡辺嘉藏君。
  156. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 消費税についてまず質問いたします。  過日、自民党税制調査会長が消費税の税率を一〇%に引き上げるのが適当であるという発言をされたのです。これは九月二十九日のことなのですが、私どもこれを見まして、少なくとも自民党、与党の税制調査会長ですから、これは当然自民党の方針、自民党の方針はこれがまた政府に反映してくる危険がある。もちろん政府税制調査会の発言ではありません。しかし、それを受けて綿貫幹事長もまたそういう意向を漏らされたやに聞いておるわけです。  この消費税については、二年数カ月前、あの国民の声の中で消費税廃止するという公約をして私どもは当選をしてまいったわけですが、この件につきまして政府自民党、その後この消費税についてどういうようなお考えを持っていらっしゃるのか。と同時に、この一〇%、自民党の税調会長が述べたことは全く無視しておる、関係ない、こういうことならそれで結構なのです。ひとつこの消費税をどう考えていらっしゃるか、そして一〇%の税率引き上げについての、この談話についての御見解をまず承りたいと思います。
  157. 羽田孜

    羽田国務大臣 この御発言、私どもは報道で承知いたしましたけれども、これはあくまでも武藤税調会長個人の見解見解といいますか考え方。しかもこれを読んでみましても、それから後で私も話を聞きましたけれども、実は非常に幅広い視点から、これからの税制のあり方という中での発言であったということでございまして、この御発言によりまして、私ども大蔵省が今度近いうちにどうするという、消費税の税率について具体的な方針を今どうこう考えておるということではないということ、これはもう申し上げられることと同時に、私ども常に申し上げてまいりましたように、国民の御理解がなしに安易な税率の変更を行うことは考えられないということ、また国民各層の論議、国民の御意向、こういったものをそんたく、尊重して対応していくべきものである、この考え方に今変わっておらないことを申し上げたいと存じます。
  158. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 この点はまた後ほどから触れますが、国民の声はいまだに消費税廃止を求める、こういう声が非常に強い。これは大臣の耳にはなかなか高いものだから聞こえぬかもしれぬけれども、国民の各層からは常にこの声が出るのです。消費税をどうしたのだ、消費税をなぜ廃止できないのだ、この声は非常に強い。とするならば、税率の引き上げどころではなくて消費税廃止の方向に対しては政府はどういう考え方を持っていらっしゃるかということと、税率の引き上げについては今のところ全く考えていない、こういうふうに理解していいかどうかということです。
  159. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の御見解があったわけでございますけれども、私も相当多くのいろいろな幅の広い方々とお話しする機会があるわけでございますけれども、今現在、どちらかというと、直接税というのが圧倒的に大きいわけでございますけれども、いろいろな方とお話ししておりますと、消費税というものを始めてみて、消費を多くする人、この人が支払うという税、これだったら自分で税を払うのがきつかったらある程度倹約をすることも考えていくね、あるいはみずからの生活も堅実性を高めることができるということで、割合と評価されている方が多いということをこれは率直に申し上げさせていただきたいと思います。  それから税率について、今どうこうするということについて私どもは考えていないことを申し上げたいと思います。
  160. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 じゃ、その点はまた後ほどから承りますが、二つ目に、豚肉の畜産物価格安定等に関する法律についての件で承りたいと思います。  これは豚肉の国内の価格安定のために差額関税制度を設けていらっしゃるわけなんですが、昭和三十五年に制定されまして、その後、輸入の自由化に伴って昭和四十六年から実施して今日まで二十年間経過してきた差額関税制度なんですが、昭和六十三年には養豚の生産業者は五万八千戸ございました。現在は二万九千九百戸と二分の一になりました。しかし、頭数は、当時の千二百万頭から千百万頭と百万頭減少したにすぎないのであります。昭和六十三年当時に、中小の生産業者は五百頭未満を対象にいたしますと九二・四%あったのです。そして、大規模者は七・六%にすぎなかった。ところが、現在はどうかというと、大規模者が二二%となり、中小業者は七八%に減少した。先ほどの減少は、もう全部ここが減少してきたわけですね。ところが、生産頭数は余り減っていない。これに輸入が若干入ってきております。だから、それのプラスマイナス考えますると、需要はむしろふえておる、これが実情なんです。一人当たりの需要はふえておる。  そこで、二二%の大規模業者が八〇%の頭数を押さえておる、これは日本経済の縮図がまさにここにもあらわれておるわけですね。こういう急速な、この四年間に五万八千から二万九千九百までに半減したわけなんですが、この急速に大規模業者に集中して中小業者が減少した原因は何だと思います。
  161. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 御説明をさせていただきます。  先生御案内のとおりでございますが、豚肉につきましては畜産物の価格安定等に関する法律というものに基づきまして価格安定帯の制度を設けておりまして、一定の幅の中に価格を安定させるということによりまして安定的な養豚経営を維持する、ともに消費者の安定を図るということをねらいとしておるわけでございます。  差額関税制度は、こうした価格安定制度とリンクをした制度でございまして、やはり国内の需給バランスをとりまして価格の安定を図るという機能を有しておる制度であると考えております。  このような制度の基礎となりますところの価格でございますが、全国的に平均した数字を使うということで、平均的な農家の生産費であるとか販売価格であるとかというデータをもとにしてこれを算定し、運営をしておるところでございます。  ところで、大規模化が進行しているというお話なんでございますが、豚肉の場合は牛肉と比べますと高級化をして差別化をするということがなかなか難しいわけでございます。したがいまして、輸入品と競争をするということになりますと、生産性の向上に努めることが基本になるわけでございます。また、環境問題というのがございまして、これの防止のための施設、これのコストも相当大きくなるわけでございます。したがいまして、豚肉の場合は牛肉なんかに比べますと専業化、大規模化というものが避けられないということで、農家がそういう方向で経営の改善を図っているというふうに私どもは理解をしているわけでございます。  ちなみに、これも五年前でございますが、昭和六十二年と平成四年を比べますと、一戸当たりの飼養頭数は百七十四・四頭から三百六十六・八頭ということで、二一〇%も拡大をしておるわけでございまして、国際化の中で農家がこういう形で経営の対応をしているというふうに理解をしてございます。中小農家につきましてもこういう努力を、私どもとしては、例えば集団的に取り組むであるとか、農協を中心にして取り組んでいくとかということで、やはり生産性の向上であるとか、環境の保全ということが確保されるような経営体にしていかなければならないというふうに考えてございます。
  162. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 今の答弁はなっておらぬではないですか。僕は嫌なことは言いたくないけれども、少なくとも先ほど僕が申し上げたように、四年前は五万八千戸あったのです。それが四年間に二万九千戸になったのです。半分になったのです。半分になって頭数は千二百万頭から千百万頭。百万頭違ったって、幾らも違ってない。こんなもの、割り算やれば百七十四頭、一戸当たり百七十四が三百六十八になりました。こんなつまらぬ計算、まともな答弁されたらどうかしておるよ。  私が聞いておるのは、この五万八千から二万九千までに四年間に減ったのです。なぜ減ったか。これは中小の業者はもうやっていけない。今もお話があったように、公害の問題あり、後継者の問題あり、悪臭の問題あり、町の中で規模が小さくてはもうとても採算が合わない、こういうようなことでどんどん減ってきたのです。このことをきちっと答弁しなければいけない。  と同時に、ここで問題がまた起きるのです。すなわち、こういうどんどんと淘汰されてそして生産業者は減少してくる、半分になったのですから。それがために、これらの中小業者は生き残りをかけて何を考えるか。少なくとも良質で値打ちで安いものを市場に提供して、そういう汗まみれ、血みどろの努力を展開しなければならぬ、これは当たり前のことなのです。そこへ安い輸入の豚肉が入ってくる。これで消費者におこたえしよう、こういうふうにするときに、障害になるのが関税暫定措置法、いわゆる差額関税制度なのです。  そこで、まず私はこの点を聞きたいわけですが、今もおっしゃったこの豚肉の価格安定のために、この暫定制度で下限四百円まで、上限五百六十五円まで、この価格帯の中で売買をしてくださいよ。そして輸入するときには基準価格としては四百八十二円五十銭で輸入しなさい、それ以上で輸入しなさい、それ以下で輸入するときには四百円から四百八十二円五十銭までの差額について、四百円以下でもそうですが、以下ならもっと、全部ですね、下までいくから。その間は差額関税制度として、その総額を全部差額関税として国庫は徴収しますよ、こういうことにして四百八十二円五十銭という基準輸入価格を設けておる。だから、そこまでくるようにしてあるわけですね。昭和六十三年にはこの基準輸入価格が四百九十五円、平成元年から十三円ですか、十二円五十銭下げまして、四百八十二円五十銭、これが基準価格になったわけですが、今日までこの四年間、この基準輸入価格は改定されていない。そして、上限も下限も改定されていない。今日のこの四年間、非常に経済が変動し、そして輸入の自由化も含めて価格が安定から値打ちになってきておる、品物の商品。物によっては二割三割値引きして売っている。これが今の状況なのですね。こういう中において、これが四年間手直し、見直しがされてこなかったことを、これは大蔵省、先のは農林省、もう一回答えていただけますか。
  163. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 先ほどの御説明が少し回りくどかったかもしれませんが、価格安定制度のもとで安定の上位価格と下位価格を定めておりまして、その中間を基準輸入価格ということで差額関税の基準としてございます。この基準輸入価格でありますが、この中心点の価格は国内の養豚経営の再生産を確保する数字、価格ということで、法律に基づきまして、また審議会にお諮りをしまして算定をしているところでございます。それを一定の価格変動があるということで上位と下位に開きまして、その間でなるべく変動をさせるようにというような仕組みになっておるわけでございます。  そういうことで、審議会にお諮りし、また生産費あるいは市場の実勢価格をもとに価格を算定してまいりましたところ、平成年度から四年度までは安定価格四百円、上位価格五百六十五円ということで同価格になってきたということでございます。     〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 さっきも言ったでしょう。五万八千が二万九千に半分に減ったんですが、これはなぜだ。単なる公害だとかそんなことだけでなしに、なぜかということについて何も答弁してないことと、しかし、これに余りこだわっていると時間がなくなるので、次に進みます。  では、見直しを四年間していない。この間に牛肉は自由化もありましたね。ですから、牛肉の場合には、牛のロースで平成二年に百グラムで店頭小売が四百円ぐらいのもの、これはいろいろありますので大体で選びましたが、四百円ぐらいのものが、今日では二年間経過したら二百八十円から三百円に下がった。だから、まず約三百円と見て、百円下がったのです。ということは二五%値下がりしたのです。  ところが、豚の場合には、この基準輸入価格でびしつと四百八十二円五十銭で抑えてしまうものだから下がらない。なぜか。三百六十円で仮に輸入しても、三百六十円と四百八十二円五十銭の間の差額は全部関税で取っちやうから、自動的に四百八十二円五十銭で輸入したことになってしまう。こういう基準価格が四年間全く見直しをせずに、上限五百六十五円、下限四百円、このままでずっと来たというのは、これは見直しをしないのではなくて、むしろ怠慢だよ、こんなことは。消費者保護の観点からいったら、どうかしておる、こんなことは。なぜこれをやらないのか。
  165. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 市場実勢価格であるとか農家の生産費であるとかというものを毎年度算定をした結果が同じになったということであります。
  166. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 その毎年度算定した基礎が、それ自身がおかしい。少なくとも物価がこれだけ変動して、そして輸入価格がどんどん下がってきておる。輸入豚肉に対する基準価格を設けて、これによって維持しておるから、こういう市場価格は変化しないという一律的な結果になった。  今日、生産業者ではもう三百八十円から三百九十円だと言われておる。だから今、豚肉を調整保管しようということに農林省は乗り出そうとまでしておるのですね。いいですか。今の価格が三百八十円から三百九十円、これは物価の動き、えさ代、レート、その他から換算すれば決して安過ぎるものではない。またこれでどんどん輸入もできる。こういう実態でありながら、四年間基準価格で四百八十二円に抑えておりながらでも中小養豚業者は全体で半分に減ってしまった。こういう事実から考えれば、養豚業者を保護したものでも何でもない。むしろ価格を高くにとまらせるためにこういう制度を固持してきた。だから牛の場合でも鳥の場合でも、こういう差額関税制度はありません。豚にだけしかない。  私は、消費者に安く提供できるべきものを差額関税制度という障壁によって高値安定をさせる、このようなことは、価格の自由市場における形成の原則から見ても好ましくない。台湾等から安い輸入肉が三百六十円で入ってきても、これに四百八十二円との差額百二十二円を関税で取ってしまう、こういうことはもう今の時代、二十年前からやってきておるのですが、もうこの際は私は廃止をすべき暫定措置法だと思うのですが、これについて農林省と大蔵省とから承りたい。
  167. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 御説明の繰り返しになりますが、豚肉の価格安定制度は、冒頭御説明をさせていただきましたが、養豚経営の維持と一方で消費の安定という目的を持って運営をいたしております。したがいまして、一方で安い物を消費者に提供するという観点とともに、まさに御指摘のとおり、大幅に減少しております養豚経営の維持ということも一方で考えていかなければならないのではないかと私どもは考えておる次第でございます。  一方、確かに制度ができてから二十年たったわけでございますが、特に昨今のように円高が進行しておる、あるいは原産地での価格が低下しているということで輸入が急増する要因があるわけでございまして、この差額関税制度は、こうしたときだからこそますます有効に機能するのではないかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  168. 米澤潤一

    ○米澤政府委員 お答え申し上げます。  豚肉につきましては、農林省から御説明申し上げておりますとおり、市場における自由な価格形成は前提としつつも、一定の幅の中に価格を安定させることによって異常な価格変動を防止し、安定的な養豚経営の維持、消費の安定、消費者家計に与える悪影響を緩和するといったことをねらいとしているものでございまして、差額関税制度はそうした国内の価格安定制度を前提として整合性を持って組み込まれているものでございまして、今直ちにこれを廃止することは困難であると考えております。
  169. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 世の中がどんどん変わっておる。変わらぬのはあなた方の今考えておる頭の一部だと僕は思っておる、この部分については。ほかはいいですよ、あなた方は優秀だから、どんどん変わっても。だけれども、脳細胞の一部分に、この部分だけは塩漬けにしてある。こんなことはだれが考えたっておかしいんです。なぜか。国際価格も三百六十円なりなんなりでどんどん入ってくる。それを四百八十二円まで引き上げさせて、その差額は全部差額関税で取ってしまう、こういう自由価格形成を妨害するような制度はあってはならない。  だから何回も言う。養豚業者を保護する。減ったから保護する。保護をしておる四年間でも、今申し上げたように半分に減ったじゃないですか。同じことだ。むしろそれよりも、安い価格で入ってきたものを安く商品として市場に出して消費者に提供した方がたくさん売れる。そのことの方が消費を刺激して中小養豚業者はむしろ生き残れるのです。逆なんだ、あなた方の考えは。この点はもう一遍きちっと見詰め直せば、もうこんなものは当然見直しをすべき段階に来ている。すなわち、四百八十二円五十銭を見直すことが一つ。と同時に、これは究極的には廃止する時期が来ておる。この二点を私は申し上げるとともに、これについてもう一遍答弁を聞いておいて、その先についてはまた私はやりますから、この問題は。こんなことをいつまでも石頭みたいに同じ答弁を繰り返されちゃかなわぬ。まずその点、聞きましょうか。
  170. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 御説明いたします。  申しわけございませんが、生産費関係の資料が今手元にございませんので、経営状況を数字で御説明することはちょっと今できないのでございますが、今の価格水準が現在の養豚農家にとって大変厳しい水準であるというふうに私どもは理解をしておるところでございまして、その数字につきましては、後ほど御説明をさせていただくということでお許しをいただければありがたいかと思います。
  171. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 とても合点がいかないので、後ほどまた私の資料も出してもらいますし、またこれについては強く改善を要求します。と同時に、仮に三百六十円で輸入をしてきた。そして、これに四十円の経費を乗せて四百円で売った。今、差額関税制度のことを抜きにしてですよ。そして四百円で市場に提供した。そういうふうに企業の生き残りをかけ、消費者保護にも努めた人、こういう人があったとすると、これは関税暫定措置法によりましてこの差額関税を脱税したということで摘発されて重罪、罰金、こうなってくるわけですね。こういう事件がこのごろ頻発しておるのが私の耳に入ってくるのです。  ここにも一つありますが、「差額関税制度違反の事件が後を絶たないと言われているが、裁判所に提出された警察の報告書によっても、輸入の現状は業者は実際のところ基準輸入価格をかなり下回る価格で台湾から輸入しており、取引価格で輸入申告をした場合、多額の関税を納付することになるので、これを免れるために輸入価格を基準輸入価格に近づける虚偽価格、高額で申告して関税を脱しているものであり、この手口で関税を脱する者が後を絶たない状況にある。」こういうことが報告書に載っていたのですが、私はこういうことが横行しておると見ておるのですが、これはどの程度横行しておるか、またこれに対して防止策はどういうふうにやっておるのか。単なる取り締まりではなくて、その障壁そのものがおかしいのです。その制度そのものがおかしい。この点についてどうですか。
  172. 米澤潤一

    ○米澤政府委員 差額関税制度は脱税を誘発しやすいのではないかというお尋ねに対しまして、私どもは、法律を忠実に執行するのが税関に課せられた使命でございますので、輸入通関の際に原則として仕入れ書と契約書の価格の対比を行いまして、そして必要に応じて現品の検査を行うなど十分な審査、検査を行いますが、なおそれでもその通関のときの時間というのは限られておりますから、そこで輸入許可後におきましても必要に応じて、いわゆる事後調査と言っておりますけれども、輸入者に対して立入検査を実施し、輸入申告価格の適否をチェックするなど制度の悪用の防止、摘発のための努力を行っているところでござます。
  173. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 時間がありませんので次に進めますが、この脱漏は所得を隠ぺい、脱漏したのとは趣が違うと思うのですね。すなわち、輸入肉の差額を懐に入れたのではなくて、そのまま正常なマージンをつけて販売をしており、所得があったそれを、納税すべき金銭を着服、使用したというのと同一じゃないことは言うまでもないわけですね。こういうような意味で、私は、前者の場合にはある程度善意な営業活動が、善意と言うとおかしいかもしらぬけれども、やむにやまれない一つの条件反射でこういうことが行われる可能性が多々あると思うのですね。  しかし、今おっしゃったように悪法も法なりという一これは悪法と言わぬけれども悪法に近いと私は考えておるわけだが、悪法も法なりで、違反すればこれは当然取り締まることはやむを得ないけれども、しかし、こういうような状況で苦しんでおる人があり、消費者保護の観点からも好ましくないとすれば、こういうことで摘発されたことに対しては、やむを得ない実情に対して何らかの救いの手はないものかどうか、この点も承りたい。
  174. 米澤潤一

    ○米澤政府委員 おっしゃいますとおり、所得を脱漏したというのとはその違法の中身が違っていることは確かでございまして、関税法第百十条の関税邁脱罪というのは、偽りその他不正な行為により関税を免れたということで、所得の隠ぺいということとは別な問題でございます。  差額関税制度については、いろいろ先ほど来御議論がございますが、現在ともかくこの法律に基づいてそういう制度があるわけでございまして、それが国内の豚肉の再生産を確保し、消費者の利便を守るという観点から、現時点で法律として存在しております以上これを適正に執行してまいるのはやはり税関の使命だと思っております。
  175. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 これはやはり改正をすべきだと思い、私ども立法府はこれについては現状に合わせた見直し、改正をすべきだと私は信じております。そういう努力をしますから、その点は御協力をいただきたいと思います。  次、これから本論です。いよいよ総合経済対策についてですが、深刻な不況は昨年の三月から顕在化しておることはこれはもう事実なんですが、私もたくさんの中小企業その他の関係者から、昨年の秋には非常に不況になった、落ち込んだ、売り上げが減った、受注も減った、大変な話を聞いた。ところが、経済企画庁、大蔵省にこの問題で委員会で聞いても、いや、そんなことはありません、消費も住宅着工も堅調であって心配は無用です、こういうお答えを私どもは聞いてきた。  ところが、ことしの一月の十九日になりまして、やっと景気は下降線に入った、こういう発表があり、経済企画庁の出しました経済白書によりましても、日本経済は九〇年末から緩やかに減速を始め、九一年後半には調整過程に入り、今回のそれは自律的調整だ、しかし、バブルによる景気への影響は回復に深刻な悪影響は与えない、住宅建設回復の動きに加え、個人消費は堅調に推移すると見られ、それに世界的な景気もよくなってきつつあるので、ことしの後半には最終需要全般に回復の動きが明らかに期待されるとことしの七月に述べた。今どうです。ことしの後半に入っておるのだが、回復基調はどこに見出せる、ない。少なくともこの一年から一年半の政府の認識の甘さが今日の深刻の深みを増した、厳しさを重加させた、こういうふうに考えておるわけです。この点について、大蔵省はどう認識と対応されたのか。
  176. 羽田孜

    羽田国務大臣 景況感につきましての考え方、いろいろとあるわけでございますけれども、昨年、私が就任いたしまして直ちに公定歩合の引き下げをする、そして暮れには補正予算をお願いをすること、また引き続きまして、平成年度予算、これはまさに景気に配慮した予算ということで実はお願いをいたしたところでございます。そして、十二月三十日の日に公定歩合を引き下げるということに引き続いて、その後、七月まで五回引き下げたということでありますけれども、そのほか、予算を国会で御審議いただき、通していただくと同時に、直ちにこれを前倒しさせていただくということで、これの執行、浸透に努めてまいったところでありますし、また八月には、十八日に当面の金融政策ということでこれを打ち出すと同時に、その後八月二十八日の日に総合経済対策を打ち出したところでございまして、私どもといたしましては、景気の動向というものを見きわめながらあるいは浸透状況、こういったものを見きわめながら逐次対策をとってまいったということを申し上げることができると思います。  先ほど日銀の福井さんの方からもお話がございましたけれども、まだ現在調整局面、調整の過程にあるということでございますけれども、しかし、在庫調整についてもまだ全般ということは申し上げることはできませんけれども、多少まち生ちな部分がありますけれども、在庫調整がある程度進んできておるということ、また今お話がございましたけれども、住宅についても引き続き回復が見られるということ、あるいは鉄等につきましても生産が少し始まり始めている部分もあるというようなこと、また電力需要等につきましても、多少需要が伸びてきているというような一面もあるということ、こういったものを見ましたときに、私ども総合経済対策あるいはその前の緊急経済対策、こういったものが徐々に浸透しつつあるというふうに考えておるところでございます。  しかし、先ほど来お話し申し上げてまいりましたように、今度の景気後退は、大きな成長といいますか、バブルと言われるような大きな景気であったということ、それであっただけに複雑であり、しかも資産デフレ効果などというものも実は出てきたというようなことのために、割合と長く底をはっておるという現状であろうというふうに思っておりますけれども、先ほどお話もありましたように、年明けと同時に一つの光といいますか、そういったものが見えてくるのじゃないのか、私どもはそれを目指しながら今補正予算も実は御審議をいただいておるというところであります。
  177. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 大蔵大臣のその認識はまだまだ甘いと私は思う。その甘さは後で大やけどになったら大変でございますので。  なぜ私はそういうことを言うかというと、今公定歩合を下げて、そして、それに対する総合経済対策をこうやって打ち出していこうと、いろいろおっしゃったが、私の見るところでは、これは金融と証券と公共事業に偏重したものであって、今のバブル不況と言われるバブルの後遺症も含まっ た複合不況、こう言われるわけですが、それの対応策としては、今までの一律的な金融政策、それから財政の出動による公共事業だけでは決して回復しない、これはもう皆さんが認めておることだと私は思うのですね。  公共事業による波及効果は一時は一対三だと言われておったわけですね。今ではこれは一・五だと言われております。一対一・五、公共事業による波及効果はここまで下がっておる。私もそうだと思うのです。と同時に、今度私どもは減税を要求しておるわけですが、減税による波及効果はかつて一対一・五、こう言われていたのです。そうすると、公共事業による波及効果と減税による波及効果とは同じようなレベルに来た。しかし、その結果の問題を言うんじゃないんですよ。私は、今の景気に対して考えるならば、むしろ減税効果の方が波及効果としては大きなものがあるんじゃないか、こういうふうに見ておるわけですが、この点が一つ。  いま一つは、今何といったって消費が落ち込んだんです。物を買わないのですよ。サービスを受けないのですね。これが一番困っておるんです、みんな。それがために、何としてもGNPの二分の一を占める個人消費の拡大をしなきゃならぬということは皆さんがおっしゃっている。そこで、私どもが主張しておるのが所得減税を一兆円、それから飲食料品の消費税廃止による一兆円、この二兆円の減税による波及効果でまず消費を刺激すること、これが大事じゃないかと思っておるわけですが、この二つについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  178. 羽田孜

    羽田国務大臣 今の消費が落ち込んでおるということにつきましてでありますけれども、確かにパート等がなくなってきたということ、あるいは残業等によるところの収入というものが減っておるという現実があることは事実であろうと思っております。しかし、やはり一番大きなものは、このバブル期におきまして耐久消費財の需要、こういったものを中心にしながら相当好調であったということも、この反動といいますかそういった影響が出ているんだろうと思っております。  それともう一つは、やはり消費志向というものが非常に堅調になってきたということでございまして、先ほども申し上げたように、産業の方もリストラをされておるわけでありますけれども、やはり家庭も、家庭消費にありましても非常に堅調な志向になっておるというふうに思っておりまして、私は、確かに商売をやっておる人にとっては非常にきつい話でございますけれども、しかし、この堅調になってきておる状態というのは決して悪い傾向ではないというふうに思っておるところであります。  ですから、それを無理して今、財源というものが、それはある程度の確保ができるということであれば別でございますけれども、そうでなくてこの所得税減税をやるということは、効果は少なくて、しかし後に対するツケというものは非常に大きなものになって、それこそ後世への負担というものを残してしまうということ。これは私たちは今つらい、きついところで何でもやりたいです、私もそれこそ減税でも何でもやって褒められることが一番いいのでしょうけれども、しかし、ここは産業もそうでありますし、家庭もここは我慢しながらこれを乗り越えるということが大事であろうと思うのです。これを乗り越えたときに、私は、産業は本当に強くなるし、あるいは家庭も非常に堅実でありながらしかも質の高いものになっていくだろうと考えるところでありまして、今ここで所得減税というものは、いわゆる財源がなくて所得減税することについては、私は今は考えるべきじゃなかろうというふうに思っております。  そして、今消費税につきまして、飲食料品等についてもというお話があったわけでございますけれども、この点につきましては昨年でございましたか、これについて国会の方でも御議論をいただきまして、各党各会派の意見の一致を見られなかったとの報告があったわけでございまして、私どもはこの立法府の御議論というものの経緯、経過、これを踏まえながら、先般改正していただきましたものをやはり円滑に実施していくことに今努めるときであろうと思っております。  また、非課税を含めました消費税にかかわる特別な措置につきましての考え方につきましては、やはり課税ベースの広い間接税としてのいわゆる消費税の基本的な性格、これは忘れてはならないということでございまして、また、そうした措置が経済取引に大きな影響をもたらしてしまうということになってはいけないんじゃなかろうかというふうに考えております。こういう観点から見て、今この措置はとり得ないというふうに思っておりますし、また、景気対策といった見地から消費税の改正というものは考えるべきじゃないということを思っていることを申し上げたいと存じます。
  179. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 では、大蔵大臣平成二年に出ました政府のあの消費税の見直し案、一・五、一・五、ゼロというあれですね。あれの総額が一兆一千億、こういうふうに概算で聞いております。また、私どもが出しました飲食料品の全段階非課税、これも一兆一千億ぐらいと理解しておるわけですが、これはいいかどうか。
  180. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 飲食料品に対します消費税課税扱いに関連いたします議論につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、私どもの認識は、各党間のお話し合いを踏まえた道を進むということ以外にはないのでございますけれども平成年度、ただいまお話がございました例の、余りにも問題が多いという御指摘を受けた小売段階非課税及び特別低税率制度、これによります減収額は、当時計算したもので平年度九千八百七十億円であったと思います。
  181. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 いやいや、今度私のところのものの計算は、飲食料品非課税をやったら幾らですか。
  182. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 私どもが当時計算をいたしましたのは、この御提案いたしました、今申し上げました案に即した減収額でございまして、そのほか、今私ちょっとよく理解できなかったのですが、全段階非課税という意味でございますか。——全段階非課税というのは、考え方としてあろということは当時議論されました中にそうしたものがあったかと存じますけれども、それがどれぐらいの減収額をもたらすかという計算は実はしてないのでございます。その数字は当時から特に計算はしておりません。
  183. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 そんなことはない。そのときにもやったし、先日も私はやりまして、こういう僕の計算によれば、今のベースでいけば、政府案を今に置き直しても一兆一千億、我々の全段階非課税でも一兆一千億、同じですねと言ったら、そうですと、私どもへ大蔵省が説明に来たじゃないか。あれはうそですか。
  184. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 渡辺先生のところに伺わせていただきました者が、その何かいろいろな仮定計算のようなものでお話を申し上げたということがあるのかもしれませんが、私、寡聞にしまして今そのことを存じておりません。思い起こしません。我々自身が計算いたしました数字の中には、全段階非課税にかかわる減収額というのは正式な数字としてはないはずでございます。
  185. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 そういう将来の竹下さんになるような答弁は好ましくない。なぜかといえば、これはもうきちっとやって、そんな、おたくのところで聞いておらぬはずはない、こんなことは。しかし、そんなことは押し問答しておってもしようがない。同じなのですよ。だから政府が出したものと同じものを私ども出しておる。こんなもの、政府も乗るべきだし、自民党も乗っていただくべきなんだ。各党その気持ちでひとつこれは取り組んでいきますが、とことんやりますので、そのつもりでひとつお願いします。  次に、証券・金融界の問題について触れていきますが、まず、証券・金融界の実態についてですが、証券界の隠れ損失が、いわゆる御案内の、大蔵省が、この中間決算を組むときに株式含み損の先送りをしてもいい、こういうことになったものですから、これは出てこなかったわけですが、上位二十四社が全部赤字だとさえ言われております。これについて、もしもこの先送りをしなかったら、九二年九月の決算期はどうなったか、九三年の三月期はどうなるのか。  それから、今度は金融界の不良債権ですが、これについては都銀など二十一行で十二兆三千億と九二年九月の中間決算の数字を説明されました。そして、回収不能が四兆円。私どもがさきに聞いたときには、七、八兆に対して回収不能二兆円、こういうことだったわけです。これは回収不能が倍になったわけですが、しからばこれは九三年三月にはどういう見通しになるのか。
  186. 小川是

    ○小川政府委員 証券会社の保有いたします有価証券の評価損につきましては、平成四年九月の中間期におきまして、上場証券会社二十五社ベースで九百六十六億円という形でディスクローズされております。  なお、全証券会社の九月中間決算につきましては、私どもで聞き取りをいたしましたところ、全体といたしまして、経常損益ベースで約二千百億円という大幅な赤字になっているわけでございます。この中にはただいま申し上げました評価損は含まれておりません。と申しますのは、今御指摘のございましたように、中間決算におきましては簿価のままで中間決算が行われているわけでございます。  なお、証券会社の経営につきましては、御案内のような状況でございますので、大変厳しい状況にございまして、かなり前から広告宣伝費その他の諸経費の削減あるいは人件費の削減、店舗の廃止といったような努力をしているところでございます。
  187. 寺村信行

    寺村政府委員 都銀、信託、長信銀の金融機関の三業態におきます六カ月以上の延滞債権の額は、平成四年九月末現在で、先ほど御指摘のとおり、総額で十二兆三千億円程度、それから、そのうちに担保、保証でカバーされない金額が四兆円程度ということになっております。これは、私どもが九月末現在で金融機関からヒアリングをした計数によるものでございます。  来年の三月の見通しでございますが、これはちょっと今の段階ではわからないのでございますが、ただ、その六カ月以上延滞債権という性格もございますので、同時並行的に金融機関から感触を聞いたところによりますと、当然まだ債権はふえているけれども、増勢は鈍化している、こういうような感触を得ているところでございます。
  188. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 私は、証券界、金融界ともにもうこの冷え込みの状態、まさに危機的だと見ておるのです。これが今の景気の足をまた重く引っ張っておることも、これはもう御承知のとおりです。  時間がありませんので飛ばして質問いたしますが、こういう危機的な状況、この十月の証券界の株の売買の出来高を見ましても、一日平均二億一千八百万株なのですが、ずっと統計を調べてみますと、ずっとないのですね、こんな低い数字は。調べてみたら、五十一年までさかのぼる。昭和五十一年にちょうど二億三千万株というのに突き当たるのです。ここまで下がっておるというわけです。株価の下がりは言うまでもありませんし、一日当たりの売買代金も千八百三十八億円ですから、これは昭和五十八年当時と同額になっている。そしてこれから、平成三年の企業は減益だった、四年も危ない、五年も危ないという見通しが今言われておる。このときに平成六年の企業減益もまた必至だとなったら、これは大変なことになるのではなかろうか、こう思うわけです。  これに対して、総合対策で一兆一千二百億円の今回新たに公的資金によって信託に預託契約をいたしまして、これの資金運用をすることを今度計画して十月から実施されたわけです。そしてその上限を外した。一平成四年の当初予算に一兆七千億入っておりますから、合わせて二兆八千二百億、これが運用されておるはずなのです、上位十一、二行の信託銀行の中で。ところが、この運用がどうも三〇%か四〇%程度しか活用されておらないのではないか。もちろん、それは下がる株を買ってもらっちゃ困りますけれども、そこらはもっと積極的な活用をしないと、やけどしちゃいけませんよ、公的資金ですから、しないと、この株価の低落は救いがたい状態になってくる。そうすると、看板をちょっと減らしたとか人件費をちょっとどうのというようなことでは到底このような極度の冷え込みには対応できないのではないかということ。  最後に、これは嫌な質問するわけではありませんけれども、こういう重大な経済危機のときに、大蔵大臣が一生懸命今頑張っていらっしゃるわけですが、反面では、派閥の旗上げで会長になられるとかという話がどんどん入ってくるわけですね。大蔵大臣のこの重責とそういう仕事との兼務は果たして無理ではなかろうか、率直に私はそう思ったのです。時が重大な時期だけに、この点については大蔵大臣はぜひ大蔵大臣に——私は派閥関係ないですよ、自民党じゃありませんし。やはり大蔵大臣の職務に専念していただく、そして派閥は離脱してでもやるべきではなかろうか、むしろそのように思っておるわけですが、三点聞きましたので、最後に大蔵大臣の決意を聞いて終わります。
  189. 羽田孜

    羽田国務大臣 さらにもっと積極的に公的資金を活用すべきではないかという御指摘があったと思いますけれども、この点につきましては、もう今お話がありましたように、やはり安全確実に行われること、これが不可欠であるという御指摘があったわけでございますけれども、株式への運用は国みずからが行うのではなくて、仮に損失が生じた場合にもみずからの責任におきましてこれを補てんすることができる簡保事業団等を経由しまして、しかも運用の専門家であります信託銀行の責任と判断によって運用がなされる指定単の中で行われることとされております。したがって、指定単の枠組みの中で具体的にどの程度株式が運用されているかは、これは受託者であります信託銀行の判断に任されているところでございまして、株式に対する具体的な運用を国が指示するといった性格のものではないということは、これは当然御理解の上でお話しであろうと思っておりますけれども、これは、ちょうど今私のところに参ったのですけれども、大引けはきょうは三億一千万株で、一万七千四百七十九円ということでございますけれども、いろいろと八月十八日以降手当てをしてくる中で、株式というのは今一応ここまで来ておるということでありますけれども、あとは、先ほどから御心配なさっているように、景気というものはやはり本当に堅調に復するということ、これが間違いない株式のやはり回復にいくものであろう。しかし、今少しずついい状況といいますか、日差しが少しずつ見えてきているというところもございますから、大体株は先を見ながらそれに対して反応していくというものでございましょうから、私どものこの補正予算を一日も早く通していただきまして、こういったものが動くぞというもの、そしてそれが浸透していくことによって株価の回復も見られるであろうというふうに考えております。それと同時に、やはりこの環境の整備ということは、さらに我々も意を尽くしていかなければいけないものであろうというふうに考えております。  なお、今派閥の問題についてあれするんですけれども、これは報道では盛んに実は派閥活動、派閥と言われるんですけれども、実際には報道の皆さん方につかまったときに、私はそこでマイクを突きつけられたり、あるいはカメラで写されたりなんかしたときに、これが派閥活動なんていうふうに非常に何か大きく動いているみたいなんですけれども、全然その問題には、私は会合とかなんとかにもほとんど参加しておらない。少なくも執務時間中には一切、公務の時間にはこういったものはあれしていないということは、これは率直に申し上げておきます。  それともう一つは、申し上げておきたいのは、私はもともと権力志向をする人間じゃございませ ん。それと同時に、私自身が実は、あそこの一つ政策研究グループといいますか、この代表に依頼されたときに私が申し上げたことは、私はもともと今の派閥弊害について物を言っている人間であって、私をもし代表にするということは、いずれそんな遠くないうちに制度そのものもみんな改革をしながら派閥そのものをなくなすんだけれども、それでもよろしいのかということを申し上げながら、実はそれをお受けしたということでございまして、いずれにしましても、新しい政治を動かそうという中で、活動といいますか、考え方で動いているんだということを申し上げ、今のいろいろと指摘される派閥弊害に対しては最もこれに対して憂慮している人間であるということを、これは率直に申し上げておきたいと存じます。  以上でございます。
  190. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 終わります。ありがとうございました。
  191. 太田誠一

  192. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、先ほどは最後の二、三分が俄然大きな声で元気よくお話しになりましたが、やはり御自分の一番関心のあり、かつ自信のあることは声に力が入るということを感じました。  大分遅くなりましたので、大臣もいろいろ激務でお忙しいと思いますので、私もできるだけ簡潔に、時間内で短く聞いていきたいと思います。  それで、二点ぐらい聞きたいのですが、最近一年余りの間に五回にわたって公定歩合が大幅に下げられております。私も存じておりますが、たしか九一年の七月一日には、六%から五・五に下げられたと思います。以来五回下げられたと思いますが、最後が七月二十七日でしたか、関係当局、幾らに下がりましたか。
  193. 日高壮平

    ○日高政府委員 本年七月の第五次引き下げによりまして、六%から最終的には三・二五%に現在なっております。
  194. 正森成二

    ○正森委員 そうですね。一年余りの間に二・七五%低くなったわけであります。連動して預貯金の金利も引き下げられたはずであります。私の資料では、一年定期は六・○八から三・八二%に、普通預金は二・○八から〇・三八%に下げられているはずですが、それで合っておりますか。
  195. 寺村信行

    寺村政府委員 そのとおりでございます。
  196. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、一年定期はこの一年ほどの間に二・二六%下がっております。普通預金金利は一・七〇%下がっております。個人の預貯金、個人事業者も含みますが、約五百兆円で、統計によりますと約九割が定期性預金ということになっております。そうすると、年間に約十兆円もの利子収入を庶民は失ったということになるわけであります。これは非常にばかにならない金額で、先ほどから同僚委員消費税の税率アップ等の話もされましたが、消費税というのは一%で二兆円の税収が上がるんですね、国と地方と合わして。そうすると、金利で十兆円金利収入が減ったということは、消費税の税率が、この一年間だけに限って言えば三%から八%ぐらいに税率アップされたのと同じ効果を大部分の庶民に対して持っているということを言わなければならないわけであります。現在の物価上昇は約二%前後ですから、普通預金では完全にマイナスになってしまうわけであります。  主計局になりますか、今回補正予算にも出ておりますが、税金が非常に減収であります。その大部分は法人税によるものですが、主税局長、先ほども答弁になりましたか、利子の源泉所得税への減額がたしか二兆円を超えているんじゃないですか。私の、皆さんからいただいた資料では二兆四千五百三十億円のはずですが、そのとおりですか。
  197. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答え申し上げます。  四年度予算におきまして、源泉所得税の中で利子に係ります部分だけを申し上げますと、当初予算に計上いたしました額は五兆五千三百六十億、補正後予算で三兆五千七十億、差し引き減額が二兆二百九十億でございます。
  198. 正森成二

    ○正森委員 補正予算での減額は二兆強ぐらいであります。つまり、これはどういうことかといいますと、多くの経済評論家などが言っておりますように、公定歩合の引き下げやあるいは定期性預金の引き下げというようなものは結局だれの利益になるであろうかといえば、言うまでもなく銀行であります。銀行は、安い金利で預金を獲得して、それでそれを貸すわけですから、だから大銀行の大部分は、業務による収益というのは、もちろん今までの、過去の不良債権がありますからあれですが、業務収益は著しく向上している。その分だれが被害を受けているかといったら、一つは金利所得が減った大部分の庶民であり、その次には国家が税収が減るという格好で損害を受けておるわけであります。その分、金利の低下によってもちろん企業マインドが刺激されて投資がふえるというようなことで、景気一般もよくなるという効果はあるでしょうけれども、直接的には大企業やあるいは不動産が焦げついているそういう企業に恩恵を与えているということに必然的になるわけであります。このことは、我々が経済政策を考えていく上で大いにやはり考えなければならないということだろうというように思うわけであります。特に年金生活者等には非常に大きな打撃を与えている。  私はたしか、四月一日の三・七五%に金利低下が行われた直後だったと思いますが、大蔵委員会で、証券・金融関係の法改正で、総理にもおいでいただきました。そのときに、総理大蔵大臣にこの点を少し申しまして、もうこれ以上金利低下をすべきではないということを言いまして、そのときに総理は、それについてたしか大きな反対をされずに共感を示されたはずであります。ところが、それからわずか一、二カ月の間にまたまた金利を低下させる。  ところが、銀行局おりますか、こういうぐあいに公定歩合を下げているのに中小企業から今非常に悲鳴が聞こえてまいりまして、貸出金利は必ずしも低下していないですね。あるいは貸し出しが容易になったかというとそのようになっていないということが私たちのところに頻々と陳情に参ります。実際の数字はどうなっているかわかりませんが、実際実情としてそういう傾向がある。これは銀行が、今までより以上に、前が余りずさん過ぎたので、貸し出しの態度を、審査を厳しくしている、それから、この機会に余りよろしくない中小企業に融資しておったのを選別して、いいところだけ自分のところのお客に残して残りは切っていくということを非常に厳しくやっているからそういうことになるのじゃないかと思いますが、銀行局ではどのように把握していますか。
  199. 寺村信行

    寺村政府委員 銀行の貸出金利について申し上げますと、公定歩合がピーク時の六%から、現在、先ほど申し上げました三・二五%と二・七五%低下しておりまして、それに対しまして短期プライムレートは、ピーク時は八・二五でございましたけれども、現在は四・七五と三・五%の低下になっております。それから長期プライムレートは、ピーク時八・九%でございましたのが現在五・五%と、これはもう三・四%の低下になっております。  それから、先ほど金融機関の業務純益についてのお話がございました。全国銀行の中間決算状況は、これは金利低下局面でございますので、業務収益、業務費用とも、ともに低下をしているわけでございます。  具体的に申し上げますと、費用、これは調達コストが下がったということで二一・四%の減でございます。それから、収益が同じように下がっておりますけれどもこれが一七・九%。これがなぜ、実は金利も下がっているのでございますが、それは、金融機関の場合は有価証券の保有割合がかなり高くなっておりまして、有価証券は国債等ございます。これは直ちには低下しないということで、金利低下局面ではサイクルとして業務純益がぽんと上がる、こういう傾向がございまして、今そういう結果になっているということでございます。
  200. 正森成二

    ○正森委員 今プライムレートの話がありましたが、中小企業の相当部分というのはプライムレートで貸し出してもらえるということはまずないのですね。だから、今のお話は、それは一流の大きな企業については公定歩合の引き下げに見合って、あるいは三%台ですからそれより以上に貸出金利は下がったかもしれませんけれども、中小企業の場合にはそうなっていないという声が私どものところへ頻々と参るわけですね。  もう時間がなくなってきましたから、次の問題に移ります。  そこで、この不況対策のところで政府が八月に政策を発表しましたが、その中で我々のところに言ってきておりますのは、真に困っている中小企業を視野に置いて対策を立ててほしいという要望であります。これは大蔵大臣に要請に行きましたとき、大蔵大臣お一人の耳にだけは入れましたが、私が愛知、豊田のあるところへ調査に行きましたら、県当局が中小企業の実情を説明しました。それで、二千社の統計をとっておりましてというので中小企業の状況がどうであるかということを説明しました。ところが、その二千社というのは従業員十人以上だけではないか、九人以下の中小企業の統計は入っていないのではないかと言ったら、三十分ほど原局へ行って調べてきて、先生のおっしゃるとおりでした、九人以下の中小企業はこの統計に入っておりませんでしたと。九人以下の中小企業は愛知県下ではどのぐらいの数があるのかと言うたら、全事業所の七八%でございますと言うのです。つまり、製造業を含む七八%の中小企業はてんから調べないで、視野に置かないで、そして残りのことについて私ども説明して、こうやっている、ああやっているということを言っているのですね。これでは中小企業は助からぬと言うたら、たしか大蔵大臣、その七八という数字ぴよっと書いていただきましたね。そのせいかどうかわかりませんが、日銀の全国企業短観ですね、それは中小企業の統計を二千社つけ加えるということをこの間、十一月に発表したというのが出ておりました。私は、大蔵大臣が影響力を行使されたのかどうかわかりませんが、仮に影響力を行使されなかったとしても、そういうぐあいに中小企業に統計上目を向けられたというのは非常にいいことだと思っております。  それでは、時間が参りましたので最後に、大いに陳情が来ておりますのは、地方自治体の無担保、無保証人融資を拡充するために、中小企業信用保険法三条の三に特別小口保険の限度額がありますね、これの四百五十万円というのをもう少し引き上げてくれ、一千万円にしてくれ、そうでないと地方自治体自体が対応できないというのは、私が大阪府に中小企業の問題について懇談したときに大阪府当局からも陳情されたことであります。これは大蔵省だけではできない通産省との共管の問題もありますが、こういう問題について御答弁をお伺いして、ちょうど十五分たちましたから終わらせていただきたいと思います。
  201. 寺村信行

    寺村政府委員 特別小口保険の限度額は、通産省が主管をいたしております中小企業信用保険法によりまして現在四百五十万円となっております。この限度額引き上げるという要望が出ておりますことは承知をいたしておりますが、この限度額につきましては、中小企業信用保険公庫の収支の状況、事故率、それから各信用保証協会の状況等も勘案しつつ、主管省であります通産省とも相談をして対応してまいりたいと考えております。
  202. 正森成二

    ○正森委員 それでは、時間ですから終わります。
  203. 太田誠一

    太田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十七分散会      ————◇—————